Sound apparatus

申请号 JP2003074984 申请日 2003-03-19 公开(公告)号 JP2005326433A 公开(公告)日 2005-11-24
申请人 Sankyo Seiki Mfg Co Ltd; 株式会社三協精機製作所; 发明人 YASUDA SADAYOSHI; MINAE YOSHINORI; YOSHIMURA KATSUHIKO; MIYAMOTO KATSUNORI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a sound-amplifying plate for amplifying the vibration sound generated from a musical box.
SOLUTION: Two 1st and 2nd sound-amplifying plates 14, 16 formed in curved surfaces along the raw materials' own directions are arranged in parallel, and the whole peripheral edges, except the upper edges where a musical box movement 12 is installed, are fixed to supporting members 18, 19 and a base 20. The plane of a vibration plate 32 is disposed perpendicular to the tangent planes P, including the upper edges of the sound amplifying plates 14, 16 so that the vibrations are transmitted along the tangent lines of the curves drawn by the longitudinal sections of the sound-amplifying plates 14, 16. Since the wave excitation inputted from the wood trims of the upper end cutting faces of the sound-amplifying plates 14, 16 and its neighborhood is amplified sound, the vibration sound emitted by the movement 12 has little energy loss.
COPYRIGHT: (C)2006,JPO&NCIPI
权利要求
  • 発音体が発する振動を拡音板に伝達して可聴振動音を拡大する音響装置であって、前記拡音板は一つの端部を残してそれ以外の端部を支持部材で固定して前記拡音板の変位を阻止すると共に、前記拡音板を曲面に形成して前記支持部材に支持させ、前記拡音板に残された前記一つの端部に前記発音体を取付部材で固定して前記一つの端部の端およびその付近から前記振動を前記拡音板に入力することを特徴とする音響装置。
  • 前記拡音板は剛性に異方性を有する素材で曲面に形成し、前記曲面の湾曲方向を前記剛性の大きな方向に整合させたことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
  • 前記拡音板の曲面は、片面が一つ以上の凸面を有することを特徴とする請求項2に記載の音響装置。
  • 前記拡音板の相対する長辺および短辺の少なくとも一方を互いに非平行にしたことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
  • 前記拡音板は前記支持部材の少なくとも一支持部材に対して、一箇所以上の接合点を有しているかまたは連続して接合することを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
  • 前記拡音板を構成する板材固有の方向性に沿って直交する格子状リブあるいは前記拡音板の対角線に沿った傾斜状リブを固設したことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の音響装置。
  • 前記拡音板を2枚以上設けたことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の音響装置。
  • 前記拡音板のそれぞれは、材質、板厚、面積、凸面の数および曲面の曲率のうちの少なくとも一つが異なることを特徴とする請求項7に記載の音響装置。
  • 前記拡音板の材質は、厚紙、不織布、木材、合成樹脂板、FRP、金属板およびこれらを複合した板材のうちのいずれかによることを特徴とする請求項8に記載の音響装置。
  • 前記発音体はオルゴールのムーブメントであって、このムーブメントのフレームを前記拡音板に前記取付部材を介して装着したことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の音響装置。
  • 前記拡音板に装着した前記オルゴールのムーブメントに前記拡音板に固設した前記リブを直接接触させ、または連結部材を介して間接的に接触させたことを特徴とする請求項9に記載の音響装置。
  • 前記オルゴールの振動弁の振動方向に対して前記拡音板を概ね平行となるように支持したことを特徴とする請求項9に記載の音響装置。
  • 前記拡音板は、前記オルゴールの振動弁の振動方向に対して直角方向に湾曲する曲面に形成したことを特徴とする請求項9に記載の音響装置。
  • 前記拡音板の面積を前記オルゴールの振動弁を一体に形成した振動板の面積の2〜200倍としたことを特徴とする請求項9に記載の音響装置。
  • 说明书全文

    【0001】
    【発明の属する技術分野】
    本発明は、発音体を有する音響装置に係わり、より具体的には、オルゴールの振動弁による発音を物理的に拡音する音響装置に関する。
    【0002】
    【従来の技術】
    発音体としてのオルゴールムーブメント(以下、単に「ムーブメント」という)は、音階に沿って配列した複数の振動弁を所定の楽曲に対応する順番で弾くことにより楽曲を演奏する構成である。 このムーブメントには、所定の楽曲に対応する穴又は突起によって、対応する爪車を回動させ爪車の爪で振動弁を弾く特定の爪車を回動させるディスク式、および回転シリンダ上に所定の楽曲に対応するように設けられた複数のピンにより直接振動弁を弾くシリンダ式とがある。 いずれの方式でもゼンマイ機構または電動モータ等を駆動源とする回転伝達機構により、ディスクあるいはシリンダを回転させる構造で、フレームに振動弁、振動弁を弾く手段(爪車とディスクまたは回転シリンダ等をいう)、回転伝達機構および駆動源等が配設されている。
    【0003】
    従来のオルゴールは、前述のようなムーブメントを発音体として、共鳴箱、宝石箱や玩具等の筐体に組み込んで筐体の共鳴および筐体内空間の空気振動を利用して拡音する構成であった。
    【0004】
    一方、特開平8−254977号に示すように、リード(振動弁)にて発生する振動を湾曲状態に設置した薄板状の拡音板に伝達し、拡音板を湾曲形状に強制する保持機構を備えたオルゴールの拡音装置は開示されている。
    【0005】
    【特許文献1】
    特開平8−254977号公報【0006】
    【発明が解決しようとする課題】
    しかしながら、上記従来のオルゴールにおいては、筐体内の共鳴を利用して拡音しているため、筐体内に複数の周波数の振動が入り交じり、振動弁から出る原音をそのままの状態に近い純粋な音として取り出し拡大することは難しい。
    【0007】
    一方、特開平8−254977号に開示された拡音装置では、振動板が拡音板と平行となるようにムーブメントを設置する構成で、湾曲形状を画定する自由端は拘束せず、振動入に対向する端部近傍に屈折部を設けて振動の伝播を遮断しているだけであるから、拡音板内部振動の端面におけるエネルギー損失が大きく非効率的である等、音響装置として実用化するには問題がある。
    【0008】
    そこで本発明の目的は、振動を拡音板の一つの端部の端およびその付近から入力して音を拡大すると共に保持機構で拡音板の湾曲形状を画定して固定することにより、上記不具合を克服して良質の音響を得ることができる音響装置を提供することである。
    【0009】
    【課題を解決するための手段】
    上記の目的を達成するために、本発明に係わる音響装置は、発音体が発する振動を拡音板に伝達して可聴振動音を拡大する音響装置であって、前記拡音板は一つの端部を残してそれ以外の端部を支持部材で固定して前記拡音板の変位を阻止すると共に、前記拡音板を曲面に形成して前記支持部材に支持させ、前記拡音板に残された前記一つの端部に前記発音体を取付部材で固定して前記一つの端部の端およびその付近から前記振動を前記拡音板に入力する。
    【0010】
    そして、前記拡音板は剛性に異方性を有する素材で曲面に形成し、前記曲面の湾曲方向を前記剛性の大きな方向に整合させた。 なお、前記拡音板の曲面は、片面が一つ以上の凸面を有する。 さらに、前記拡音板の相対する長辺および短辺の少なくとも一方を互いに非平行にした。 また、前記拡音板は前記支持部材の少なくとも一支持部材に対して、一箇所以上の接合点を有しているかまたは連続して接合する。 さらに、前記拡音板を構成する板材固有の方向性に沿って直交する格子状リブあるいは前記拡音板の対線に沿った傾斜状リブを固設した。
    【0011】
    その上、前記拡音板を2枚以上設け、前記拡音板のそれぞれは、材質、板厚、面積、凸面の数および曲面の曲率のうちの少なくとも一つが異なる構成とし、前記拡音板の材質は、厚紙、不織布、木材、合成樹脂板、FRP、金属板およびこれらを複合した板材のうちのいずれかによる。
    【0012】
    しかも、前記発音体はオルゴールのムーブメントであって、このムーブメントのフレームを前記拡音板に前記取付部材を介して装着した。 さらに、前記拡音板に装着した前記オルゴールのムーブメントに前記拡音板に固設した前記リブを直接接触させ、または連結部材を介して間接的に接触させた。 好適には前記オルゴールの振動弁の振動方向に対して前記拡音板を概ね平行となるように支持し、かつ前記拡音板は、前記オルゴールの振動弁の振動方向に対して直角方向に湾曲する曲面に形成し、前記拡音板の面積を前記オルゴールの振動弁を一体に形成した振動板の面積の2〜200倍とした。
    【0013】
    【発明の実施の形態】
    以下に、本発明に係わる音響装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。 図1は本発明に係わる音響装置10の外観を示す概略の斜視図で、実施例において、発音体は、所定の楽譜に対応させて突起を配列したディスクを回転させて、突起が係合して回転する爪車で振動弁を弾く発音機構をフレーム上に構成したディスク式オルゴールであり、そのムーブメント12と、その振動弁22を振動させて、発生した音を拡大する第一、第二拡音板14,16とが一体に構成されて音響装置10を形成している。
    【0014】
    オルゴールのムーブメント12は、振動弁22の振動を伝達するフレーム12aがスペーサ37を介してアルミ合金製L字型取付部材13に載置され、第一、第二拡音板14,16の端部Aに固定される(図11参照)。 また、第一拡音板14、第二拡音板16は、音響装置10の前面と後面側に配置されており、これら拡音板14,16はその側端部B,Dを、応力がかかった状態、すなわち湾曲した状態で支持部材18に固定されている。 なお、例えば一箇所の接合部15a以上の固定手段によって、あるいは連続接合15によって固定される(図2参照)。
    【0015】
    図2に模式的に図示したように、本実施例では、第一拡音板14は全周縁のうち端部A(図示上側)にムーブメント12が設置され、相対する両側端部B,Dを支持する支持部材18は基台20に固設される。 さらに、第一拡音板14のムーブメント12を装着した端部Aに対向する端部C(図示下側)は、支持部材18間に跨設されたアルミ合金製L字型支持部材19に固定される。 一方、第二拡音板16の端部Aも第一拡音板14と同様にムーブメント12に結合されている。 そして、第二拡音板16の両側端部B,Dも、第一拡音板14と同様に、湾曲され、基台20に固設した支持部材18に固定される。 本実施例では、第一、第二拡音板14,16および基台20は全て木製で、L字型の金属製型材には振動伝達効率の良いアルミ合金を使用する。
    【0016】
    第一、第二拡音板14,16を構成する素材は特定の方向性を有しており、例えば、天然あるいは製造過程で生じる繊維方向またはマシン方向として内在する。 これを素材方向として矢印Mで示す。 実施例では、第一、第二拡音板14,16は素材方向Mを長辺L、素材方向Mに垂直な方向を短辺Sとして、長辺Lの長さが短辺Sの長さの2倍以下に形成されている。 また、実施例では、短辺Sと長辺Lの長さの比率がS:L=1:1.1〜1.2となるように形成されている。
    【0017】
    このように構成された第一、第二拡音板14,16内部では、ムーブメント12が発生する振動は、ムーブメント12を装着した第一、第二拡音板14,16の端部Aから図2に破線の矢印Wで示したように、第一、第二拡音板14,16全域に伝播され、支持部材18によって固定された第一、第二拡音板14,16の固定周縁で反射する振動(波動)が反射を繰り返し拡音に寄与するといわれる。
    【0018】
    このため、ムーブメント12の振動弁22が発生する振動は単一ではないから、種々の振動に対応できるように拡音板14-1は振動を入力する素材方向Mに垂直な端部S(A)に対向する端部Cおよび素材方向Mに整合する長辺Dに対向する端部Cを非平行にする(図3(a)参照)。 また図3(b)に別の実施例として図示した、素材方向Mに沿って対向する長辺D,Bを非平行に形成した拡音板14-2も可能である。 両辺の距離は上方に拡大しても下方に拡大してもよい。
    【0019】
    このように、相対する端部を非平行にすることにより、偏りのない音響特性を得ることができる。 第一、第二拡音板14,16における振動入力される短辺S(A)とそれに向い合う端部Cに対してそれ以外の端部B,Dの長さの比率を1オクターブに相当する2倍程度以下とすることにより、オクターブ内での音の干渉を減少して効率のよい音を放射することができる。
    【0020】
    さらに、第一、第二拡音板14,16の面に垂直方向の振動運動で失われるエネルギー損失を極力抑制するために、第一拡音板14には図4(a),(b)に示すようにリブ14a,14b,14cを固着してもよい。 リブ14aは素材方向Mに整合させ、リブ14bは素材方向Mに対して垂直に設ける。 またリブ14cは素材方向Mを斜めに横断する構成で、四辺形の拡音板に対しては対角線上に設けると好適である。 第一拡音板14のみ図示したが、第二拡音板16についても同様にリブを設けることができる(図示省略)。
    【0021】
    図4(a)のように格子状に固設するとムーブメント12からの振動を第一、第二拡音板14,16全体に効率よく伝播させ、かつこれら拡音板14,16の剛性を強化することができる。 また、図4(b)に示したリブ14cのように素材方向Mに対して斜傾させて設置すると、これら拡音板14,16全体に一層効率よくかつ均一にムーブメント12からの振動を伝えることができる。 リブ14a,14b,14cの材質、形状および設置位置の様々な選択により、リブ部分からの音のリークを抑制し、第一拡音板14(第二拡音板16)表面上の任意の場所からのみ音を放射するマスキング効果を得ることが可能である。
    【0022】
    拡音板に振動板を接続した場合に拡音作用があることは、特開平8−25497号に開示されている。 この拡音板を湾曲させると、剛性が強化されて質量移動が抑制され、エネルギーの損失が少なくなるため、さらに拡音作用が増大することも同様に公知である。 これは拡音板の表裏を高い音速で反射しながら、全面に振動の伝播が拡散し拡音板の表面に接する空気が高い効率で波動エネルギーとして音波を伝達するからとされている。
    【0023】
    ただし、この拡音効果は、発音エネルギーと拡音板面積との相対関係によって支配され、発音エネルギーを表す代用特性として、振動弁を形成している振動板の面積を設定した実験結果を図15(a)に示す。 図15(a)は、横軸に拡音板面積(Fa)/振動板面積(Va)を対数目盛で示し、縦軸に一定の距離に設置したマイクロフォンによる相対拡音効果を示す座標で、振動弁の本数(R1〜R4)をパラメータとして描いたものである。 便宜上、第一拡音板14の1枚だけを対象とし、材質、板厚および湾曲形状の曲率は同じにして実験に供した。
    【0024】
    本実験では、図15(b)に図示したシリンダ式オルゴールのムーブメント60を使用し、振動板65の長辺の長さの最大値(X)と短辺の長さの最大値(Y)の積を振動板65の面積(Va)とし、これを発音エネルギーの大きさを表す特性値として代用し、概略の傾向を把握することにした。 一方、拡音板14の面積には、平面図形における幾何学的実面積を適用して、拡音エネルギーの特性値に代用した。 シリンダ式オルゴールのムーブメント60は、駆動部61の動力がガバナ62で制御され、ほぼ等速でシリンダ63を回転させる。
    【0025】
    シリンダ63の外周には楽曲に従う配列でピン64が植設され、シリンダ63の回転によってピン64は対向して並列配置された振動板65に一体に形成されて対応する振動弁66を順次弾いて振動させる。 振動板65は、フレーム67に固設されて、振動を確実にフレーム67に伝達する。 フレーム67は拡音板14の端部に、振動板65の面が板材の切口面と平行になる態様で固定される。 符号68は始動/停止レバーで、引張スプリング69の弾性力により、先端70をシリンダ63に直結する速度制御歯車71の側面に圧接して摩擦による制動力を作用させている。
    【0026】
    図15(a)によれば、振動弁66の本数(R1〜R4)が増すに従って曲線はR1からR4へ移行して当然音量は増大する。 本図を見ると拡音板14の面積を増大させていくと、明らかに拡音効果が増大している。 しかしながら、拡音効果が有効に機能するのは、振動弁の本数(R1〜R4)の本数に関係なく、拡音板面積/振動板面積(Fa/Va)が2〜200の間で、面積比が200以上では拡音効果が飽和することが分る。
    【0027】
    前述したように、第1、第2の拡音板14、16の拡音作用は湾曲させることによって増大する。 この拡音作用について、実験によって確認したところ、図17に示すような結果となった。 この確認実験は、図16に示す簡易的な装置によって行われた。 900mm×640mmの拡音板14の端部Aには取付部材13が固定され、この取付部材13にオルゴールのムーブメント12(図示しない)が載置固定されている。 拡音板14は、図16に破線で示す平坦な自由状態を基準として、湾曲させた状態の曲げ寸法bを変化させながら周波数特性と音圧レベルの変化を測定した。 なお、この実験に使用した拡音板14は、木製の薄板を8枚貼り合わせた合板であった。
    【0028】
    その結果、図17に示すように、150 〜220Hz付近では、曲げ寸法bが30mm以上では,周波数特性が150Hz付近を中心とするピークと、220Hz付近を中心とするディップを持った特性を示すようになる。 曲げ寸法bが30mmより小さい場合にはこのようなピークまたはディップが見られない。 このように、曲げ寸法bが30mm以上では周波数特性すなわち音量バランスが安定するようになる。
    【0029】
    次に、曲げ寸法bと平均音圧レベルの関係を実験によって確認した結果、図18に示すように、拡音効果が大きいのは曲げ寸法bが30mmまでであり、それ以上曲げ寸法bを大きくしても湾曲による拡音効果が徐々に飽和することが分かった。
    【0030】
    図5〜図7は、本発明に係わる音響装置に用いたディスク式オルゴールによる第一実施例の構成図で、図5は平面図、図6は図5の6−6線に沿って示した断面図、図7は図5の7−7線に沿った正面図である。 図5は、構成を明確にするため外周縁に複数の透孔21aを等間隔で配列し、図示しない突起を楽曲に対応させて切り起したディスク21を透視で示し、図が複雑化するのを避けて振動弁22を弾く爪車列23、ディスク21の半径線上に横設した押え軸24(図7参照)および押え軸24に沿って等間隔に同心で並列に配列され、ディスク21を爪車列23との間に挟持して突起と爪車の係合を確保する押えローラ25は図示を省略してある。 以下の図示にも透視と省略が適宜に行われる。
    【0031】
    ディスク式オルゴールのムーブメント機構は公知であるので詳細な説明は省略するが、要約すると、26はモータで、適当な減速機構26aを介して駆動スプロケット27を回転する。 図5において、モータ26は駆動軸線をディスク21の半径線上に整合させて配置してあるが、図示しない適当な歯車機構(例えば傘歯車あるいはウォーム歯車等)や伝達軸のジョイント機構によって、ディスク21の半径線に対して直交方向に配置し、あるいは図示しない適当な回転伝達機構(例えばチェーンあるいはタイミングベルト等)によってディスク21半径線と並列な離間位置に配置することによってデッドスペースを削減し音響装置をコンパクトに構成することができる。
    【0032】
    ディスク21は、押え軸24と直交する直径線上の中心を挟む外周縁の対向位置を支持して案内するローラ29と押えローラ25との協働で下向きに凸状に湾曲支持された構造体を形成するので、半径線上で面方向の湾曲に対する剛性が強化され、爪車を介して弾く振動弁からの反作用に抗してディスク上の突起と対応する爪車との係合を確保する。
    【0033】
    このため、スプロケット27の外縁に等間隔で突設された複数の歯列28がディスク21外周縁の透孔21aと遊隙を生じることなく噛合し、ディスク21は、駆動スプロケット27の回転に連動して垂直軸30の周りに等速回転する。 押えローラ25は、ディスク21の突起が爪車列23の対応する爪と係合して爪車を回転する回転力の反作用を受けてディスク21が上方に変位するのを抑制し、モータ26による回転力で確実に爪車に伝達し、爪車は回転して爪先で対応する振動弁22を弾く。
    【0034】
    上記したように、ディスク21の突起と爪車との確実な係合を維持させるために、押えローラ25がディスク21の上面に当接する相対位置関係は重要で、押えローラ25を軸線上に等間隔で並列配置した押え軸24をディスク21面との着脱のために回動する基端42における支点軸25bの高さ方向の位置が調整可能に構成されている。 すなわち、図8に示すように、押え軸24の基端42を支持する支点軸25bは、押え軸基端42が回動する胴部25b1の両端から胴部25b1より直径の大きな固定軸25b2および胴部25b1より直径の小さい固定軸25b3が同一の中心C1で延在し、胴部25b1の中心C2は固定軸25b2,25b3の中心C1に対して偏心させてある。
    【0035】
    従って、ブラケット25cを貫通する軸孔43に嵌合する支点軸25bの中心C1に対して、回動軸中心C2が偏心して装着される。 支点軸25bの頭部25b4のすり割溝44にドライバを係合して、ブラケット25cの軸孔43a,43b内で支点軸25bを回動させることにより、支点軸25bの中心C1に対する基端42の回動軸中心C2をブラケット25cの長手方向(図中高さ方向)に移動させることができる。 押えローラ25とディスク21上面との位置関係が適正に設定された回動位置で支点軸25bをピンまたはセットネジ等の適当な手段で回り止めする。
    【0036】
    フレーム12aは、このような機構を搭載すると共に、振動弁22を一体に形成した振動板32が最もよく振動を伝達できる構成で直結されて、ムーブメント12を形成している。 ムーブメント12は、第一、第二拡音板14,16と合体して音響装置を構成する。
    【0037】
    以下にムーブメントと拡音板とを結合する実施例を図9に基づいて説明する。 便宜上、図9は、ムーブメント50としてシリンダ式オルゴールが図示されているが、ディスク式オルゴールのムーブメントについても同様の結合態様が適用できる。 また一般的拡音板の参照符号として14xを使用し、その他の符号で共通する部材には同一の符号を使用して説明を省略する。
    【0038】
    シリンダ式オルゴールのムーブメント50は、ピン51を植設したシリンダ52を駆動部53で回転して振動板54に一体に形成された振動弁55を弾く機構で、フレーム56に搭載され、振動板54はフレーム56に固着されて、振動弁55が発生する振動を効率よくフレーム56に伝達する。
    【0039】
    図9(a)は、ムーブメント50と拡音板14xとの基本的取付関係を示すもので、振動板54の面の方向Lに対して拡音板14xの湾曲面において端部Aを含む接平面の方向Pが概ね直角となる取付態様である。 ムーブメント50は、フレーム56が拡音板14xを木片36aと共に挾装したアルミ合金製コ字型取付部材13aに適当な結合手段によって固着され、振動弁55の振動方向(矢印V)に対して拡音板14xの面はほぼ平行になる。 端部Aに対向する端部Cは、アルミ合金製L字型取付部材19aの内面側に木片36bで挟着し固定される。 図示しないが以下の実施例も同様に、拡音板14xの両側端部B,Dは、上記したように支持部材18に固定される(図7参照)。
    【0040】
    図9(b)は、ムーブメント50のフレーム56より幅の広い拡音板14xに結合する実施例の図示で、アルミ合金製コ字型取付部材13aの長さを拡音板14x端部Aの幅全体に一致させることにより、ムーブメント50のフレーム56以上の幅をもつ拡音板14xに振動を伝達する場合にも、拡音板14x全体に効率良く振動を伝えることができる。 振動板54の面の方向Lと拡音板の端部Aにおける曲面に対する取付に関する位置付けは図9(a)と同じで、端部Cに対する固定も取付部材19aと木片36bによって同様に行われる。
    【0041】
    図9(c)は、離間位置に配設されたムーブメント50と拡音板14xとを接続する場合の実施例で、連結部材38aをフレーム56とアルミ合金製L字型取付部材13bの間に介在させることにより、ムーブメント50からの振動を効率良く伝えることができる。 拡音板14xの端部Aは取付部材13b内側の面と木片36bで挟着して固定する。 連結部材38aの材質は、振動伝播速度の速い金属等が好ましく、また連結部材38aを取付部材13bと一体化すると一層効果的である。
    【0042】
    図9(d)は、連結部材39aの軸線が図9(c)に示すような直線でない場合を示す。 この場合、ムーブメント50から取付部材13bに振動を効率的に伝達するため、振動板54と拡音板14xの直角方向関係が保てるように、連結部材38aのフレーム56に対する取付面を通る軸線方向S1と振動板の面の方向L1を直角に取付け、さらに、連結部材38aの取付部材13bに対する取付面を通る軸線方向S2に対して取付面を直角に設けて、拡音板14x端部Aを含む曲面の接平面の方向線上Pに軸線方向S2を整合させる。
    【0043】
    図9(c)および図9(d)において端部Cの図示が省略されているが、上記実施例と同様に固定され、両側端部B,Dについても同様である。 このような結合手段を適用することによってデザインの自由度が広がり、視覚的に魅力のあるオルゴールの構造を実現することができる。 拡音板14xの湾曲形状は特定できないので、各実施例ごとに異なる形状で図示した。 また図示は省略するが、拡音板14xに固設したリブ14a,14b,14cの端部は、取付部材13a,13b、木片36a,36bあるいは連結部材38a,38bのいずれかに接続するか、ムーブメント50のフレーム56に直結する。
    【0044】
    以下にムーブメント12と第一、第二拡音板14,16からなる本発明に係わる音響装置の構成を説明する。 図10は(a),(b),(c),(d)に第一、第二拡音板14,16を曲面に構成して支持する型枠33,34を第一、第二拡音板14,16と共に第一、第二拡音板14,16の両側の端部B,Dを支持する支持部材18から分解して示した側面図で、図10(e)に型枠33,34を接合して第一、第二拡音板14,16を支持する支持部材18を基台20に立設した組立図を示す。
    【0045】
    図10(a)に示す型枠33は、直線的に形成した後面側Rrと第二拡音板16の両側端部B,Dの曲面に沿って形成した前面側Frとを概ね鏡像対称に配置した型枠33が左右二枚作成される。 この左右二枚の型枠33の前面側Frに形成され、第二拡音板16の両側端部B,Dの後面に密着される曲線は、左右型枠33の曲線は必ずしも一致しなくてよい。
    【0046】
    図10(c)に示す型枠34は、第二拡音板16の端部B,Dの前面に沿って密着するように形成した後面側Rf曲線と、第一拡音板14の両側端部B,Dの後面に沿って密着するように形成した前面側Ff曲線とを概ね鏡像対称に配置した型枠34が左右二枚作成される。 左右の型枠34で、後面側Rf曲線と前面側Ff曲線とは、それぞれ拡音板14,16の曲面に整合させて形成されるので、左右の型枠34の曲線は必ずしも一致しない。 また、第一拡音板14で両側の端部B,Dの長さが異なる場合は型枠34は左右の長さが異なってもよい。
    【0047】
    振動入力を第一、第二拡音板14,16の固定されない端部Aから入力する拡音機構で、第一、第二拡音板14,16を湾曲することが本発明に係わる音響装置の構成における主要課題である。 第一、第二拡音板14,16を湾曲することによって生じる内部応力の増大が振動の物理的増幅をもたらすので拡音機能が最高に発揮される。 湾曲は、曲面を画定する母線が第一、第二拡音板14,16を構成する素材特有の素材方向(自然に形成される特定の方向あるいは、素材形成の過程で生じる繊維方向、マシン方向、延伸方向、強化繊維の配向等)に対して垂直で、素材方向の断面が示す曲線に少なくとも一つの変曲点を有する曲面に形成することが、拡音機能にとって重要である。 また、一つ以上の拡音板を持つ場合は、板厚、湾曲の曲率(曲げ量)、湾曲箇所の数をそれぞれの拡音板14,16で変えることにより、一層深みのある音質を確保することができる。
    【0048】
    ちなみに、図10(b)に示す後面拡音板16は前面に一つ、後面に二つの合計三つの凸面V1,V2,V3を備え、二つの変曲点T1,T2を持つ。 一方、図10(d)に示す前面拡音板14は、前面に一つの凸面を持つ。 このことはまた、囲まれた一定の投影面の枠内では、拡音板14,16を曲面にすることによって、単調な平面よりも拡音板14,16の放射面積が増大されるので、さらに拡音に寄与することになる。
    【0049】
    第一、第二拡音板14,16の端部の一箇所を振動入力の縁辺Aとし、それ以外の周縁B,C,Dについて、両側の端部B,Dは支持部材18に固着した型枠33,34が協働で固定する。 第二拡音板16は、振動を入力する一箇所の端部Aに相対する図示下側の端部Cを基台20まで延在させて、基台20に固定される。 一方、第一拡音板14は振動を入力する一箇所の端部Aに相対する端部Cが基台20まで延在しないから、左右の支持部材18間に跨設した支持部材19に固定される。 第一拡音板14の支持部材19には、取付部材13と同様にL字型で振動伝播効率の良いアルミ合金製型材13が使用される。
    【0050】
    図11に拡大図示されるように、第一、第二拡音板14,16双方の端部Aすなわち振動入力の端部に沿って左右の支持部材18間に跨設した振動伝播効率の良いアルミ合金製L字型の取付部材13と木片36に挾装して固定する。 そして、左右の木片36にムーブメント12のフレーム12aをスペーサ37を介してボルト等の適当な手段で固定する。
    【0051】
    各スペーサ37の取付部材13への接触面積をフレーム12aの面積より小さくし、発音体としてのオルゴールで発生する音(振動)を効率良く伝達することができる。 また、スペーサ37を用いることで、フレーム12aの平面度の精度を上げる必要もない。
    【0052】
    また、各スペーサ37の高さは、振動弁22を一体に形成した振動板32が最もよく振動を伝達できる構成で直結されるフレーム12aは、振動弁22を含む平面が、第一、第二拡音板14,16の振動を入力する端部Aを含む湾曲面の接平面Pに対して垂直となるように設定される。 すなわち、スペーサ37とアルミ合金製L字型の取付部材13とにより、振動弁22の振動方向と第一、第二拡音板14,16とは概ね平行となるように支持されている。
    【0053】
    上記構成により、振動弁22が発生する振動は、第一、第二拡音板14,16双方の端部Aから入力されて、第一、第二拡音板14,16内部に伝播され、物理的に増幅された振動として、第一、第二拡音板14,16内に伝播された振動の波動が板面から放射され拡音機能を達成する。
    【0054】
    図12は、本発明に係わる音響装置に適用するオルゴール11の第二実施例を示す正面図、図13は図12の13−13線に沿った側面の断面図である。 第一実施例と同様の部材は同一の符号で示し説明を省略する。 第一、第二拡音板14,16に対する構成は第一実施例と同様である。 第一実施例では、ディスク21を平に設置する構成であるのに対して、第二実施例のオルゴール11では、ディスク21を垂直に近い角度で立設した構成で、ムーブメント12自体は第一実施例と同じであるので説明を省略する。
    【0055】
    このため、図12の14−14線に沿って図14に拡大した断面図で示すように、振動弁22が発生する振動を最もよく伝達できるように振動板(図示しない)を平行に設置したフレーム12aと、第一、第二拡音板14,16に接続する木片36とは、連結部材38,39で連結される。 連結部材38,39の連結部40,41の接続面40a,41aは、第一、第二拡音板14,16の振動入力側の端部Aを含む湾曲面の接平面Pに対して垂直となるように設定される。 従って、第一実施例同様に、振動弁22が発生する振動は、第一、第二拡音板14,16双方の端部Aから入力されて、第一、第二拡音板14,16内部に伝播され、物理的に増幅された振動として、第一、第二拡音板14,16内に伝播された振動の波動が両拡音板の板面から放射され拡音機能を達成する。 図中、Hはムーブメント12を収納するハウジングで、ディスク交換や保守点検のために開閉可能な蓋FおよびグリルGを備える。
    【0056】
    前述したように、本発明による音響装置では、湾曲状態に設置した薄板状の拡音板を備えた筐体を使用した実施例について説明した。 筐体としては、上記拡音板を備えた筐体の他に、筺体の共鳴および筺体内空間の空気振動を利用して拡音する箱型の筐体があり、これら筐体によっても音響特性が異なる。
    【0057】
    図19は、拡音板を備えた筐体と箱型の筐体における周波数特性を測定した結果を示している。 この特性図から分かるように、破線で示す箱型の筐体における周波数特性は、200Hz付近にピークを持った周波数特性を示し、実線で示す拡音板を備えた筐体における周波数特性はピークが見られず、高い周波数域まで平坦な周波数特性を示している。 この周波数特性の差は、拡音板を備えた筐体の構造から共鳴器として作用しないことであり、このことから、拡音板14等による拡音作用は拡音板を備えた筐体の方が広い帯域に渡って安定していること判明した。
    【0058】
    次に、拡音板を備えた筐体と、箱型の筐体の周波数特性における指向性の違いについて確認したところ、図20および図21に示すような結果が確認された。 この確認は、測定用のマイクロフォンを正面、右側面、および背面に距離と高さを各々1m離間させて設置して測定したものである。 この測定によれば、箱型の筐体の低音付近の音圧レベルは、図20に示すように、実線で示す正面と小さな破線で示す背面とは同等であるが、大きな破線で示す右側面では10〜20db低下する。 また、高音域は背面と右側面の音圧レベルが正面よりも低く、特に右側面では400Hz以上の中高音域の音圧レベルが正面より10db以上低下している。
    【0059】
    これに対して、拡音板を備えた筐体は、図21に示すように、小さな破線で示す背面と大きな破線で示す右側面において低音域・高音域の音圧レベル低下が見られるものの、右側面における全体的な音圧レベル低下は、箱型の筐体に比べると小さい。
    【0060】
    以上から明らかなように、拡音板を備えた筐体を使用した場合の周波数特性の変化は相対的に小さく、聴く位置による音量バランス(周波数特性)の変動が箱型の筐体よりも小さいことが判明した。 この結果、 実際にオルゴールを演奏した場合には、聴く位置によらず良好な音量バランスでオルゴール音を聴くことができる。
    【0061】
    以上、実施例について説明したが、本発明は図示の実施例に限定されるものではなく、その形状や構成について、本発明の構成要件から逸脱しない範囲で、細部に関する多様な変更や部品の再構成や実施例における組合せを交換する等の改変をなし得ることが予期される。 例えば、本実施例はディスク式オルゴールのムーブメントに基づいて説明したが、シリンダ式オルゴールを用いても同様の機能および効果を発揮することが可能である。 また、拡音板は木材の代わりに厚紙(板紙)、不織布、ガラス繊維強化合成樹脂板(FRP)、硬質合成樹脂成形板、金属板およびこれらを複合した板材のうちのいずれかを構成素材として適用することができる。
    【0062】
    また、実施例に示す音響装置では、第一、第二拡音板を用いているが、拡音板は2枚に限定されることはなく、1枚でもよいし、3枚以上であってもよい。 また、上記の実施例では、第一、第二拡音板は、間隔をおいて配置されているが、第一、第二拡音板が接触することがない限り、その間隔は限定されるものではない。 さらに、拡音板の形状は矩形以外の形状であってもよいし、拡音板の湾曲形状も実施例に限定されるものではない。
    【0063】
    【発明の効果】
    以上の説明で明らかなように、本発明に係わる音響装置は、請求項1から3の記載によれば、発音体が発する振動を拡音板に伝達して可聴振動音を拡大する音響装置が、前記拡音板は一つの端部を残してそれ以外の端部を支持部材で固定して前記拡音板の変位を阻止すると共に、前記拡音板を曲面に形成して前記支持部材に支持させ、前記拡音板に残された前記一つの端部に前記発音体を取付部材で固定して前記一つの端部の端およびその付近から前記振動を前記拡音板に入力し、前記拡音板は剛性に異方性を有する素材で曲面に形成し、湾曲方向を前記剛性の大きな方向に整合させ、片面が一つ以上の凸面を有する曲面としたので、音響エネルギーを拡散させることなく特定方向に伝達することができる。 前記拡音板の発音体入力側の端部を除く支持部材で固定されたその他の端部からは音響エネルギーの損失が抑制できる。
    【0064】
    第二には、オルゴールから入力された振動方向の拡音板端部に設けた支持部材が透過波を抑制すると共に拡音板内部での反射を促進し、拡音板による拡音効果を向上することができる。 しかも、拡音板内に生じる定在波によって大音量の拡音が可能になり、拡音板の面積を拡大して装置を大型化することにより、インテリアとしての装飾的機能を付加価値として付与することができる。
    【0065】
    そして、本発明に係わる音響装置は、請求項4の記載によれば、前記拡音板の相対する長辺および短辺の少なくとも一方を互いに非平行にしたので、拡音板内部に特定周波数の定在波の発生が抑制され、特定の周波数成分の音だけが拡大されることはなく、偏った音響特性になることが防止できる。
    【0066】
    また、本発明に係わる音響装置は、請求項5の記載によれば、前記拡音板は前記支持部材の少なくとも一支持部材に対して、一箇所以上の接合点を有しているかまたは連続して接合するので、密閉性が向上し、音響エネルギーの損失を減少させることができる。
    【0067】
    その上、本発明に係わる音響装置は、請求項6の記載によれば、前記拡音板に前記板材固有の方向性に沿って直交する格子状リブあるいは前記拡音板の対角線に沿った傾斜状リブを固設したので、曲面形状の安定性が向上し、入力された振動を湾曲拡音板全体に効率よく伝播させることができる。 またリブにより拡音板の剛性が増加するため、拡音板自体の振動を抑制し、拡音板内部からの振動をより効率よく放射させることができる。
    【0068】
    なお、拡音板表面上のリブは、格子状に設置することにより、剛性を一層効果的に向上させることができる。 また、リブを湾曲拡音板表面上で拡音板の板対角線上に設置することにより、拡音板全体に効率的かつ均一に振動を伝えることができる。 さらに、リブで拡音板にマスキングを施すことによって、拡音板の任意の場所から音を放射することができる。 さらには、リブを適正に構成することによって支持部材を省略しても同様の効果を発揮することができる。
    【0069】
    しかも、本発明に係わる音響装置は、請求項7から9の記載によれば、前記拡音板を2枚以上設け、前記拡音板のそれぞれは、材質、板厚、面積、凸面の数および曲面の曲率のうちの少なくとも一つが異なるようにし、かつ前記拡音板の材質は、厚紙、不織布、木材、合成樹脂板、FRP、金属板およびこれらを複合した板材のうちのいずれかによるので、それぞれの拡音板より、違った音質・音量が発生し、一層深みのある音色を確保することができる。 また、低音から高音まで幅広い拡音に対応することができ、音質の硬さや軟らかさの表現を好みや環境に合わせて拡音板の材質を選択することができる。
    【0070】
    さらに、本発明に係わる音響装置は、請求項10の記載によれば、前記発音体はオルゴールのムーブメントであって、このムーブメントのフレームを前記拡音板に前記取付部材を介して装着したので、レトロ的感覚が助長され視覚的にもヒーリング効果が期待できる。
    【0071】
    また、本発明に係わる音響装置は、請求項11の記載によれば、拡音板に装着したムーブメントに前記拡音板に固設したリブを直接接触させ、または連結部材を介して間接的に接触させたので、拡音板の強度および拡音機能を損なうことなく、オルゴール装置の外観に関してデザインの幅を広げることができ、連結部材の形状を工夫することにより、視覚的に魅力のあるオルゴールの構造を実現することができる。
    【0072】
    そして、本発明に係わる音響装置は、請求項12および13の記載によれば、振動弁の振動方向に対して前記拡音板を概ね平行となるように支持すると共に、前記拡音板は、前記オルゴールの振動弁の振動方向に対して直角方向に湾曲する曲面に形成したので、ムーブメントからの入力振動を拡音板全体に効率よく伝達し、かつ前記拡音板は、前記オルゴールの振動弁の振動方向に対して直角方向に湾曲する曲面に形成したので、拡音板自体の振動によるエネルギー損失が抑制され、拡音板内部振動をより効率的に放射させることができる。
    【0073】
    さらに、本発明に係わる音響装置は、請求項14の記載によれば、前記拡音板の面積を前記オルゴールの振動弁を一体に形成した振動板の面積の2〜200倍としたので、オルゴール装置として最適の大きさを設定することができ、振動エネルギーの損失が少ない状態で、良質の可聴音を大音量で得ることができる。
    【図面の簡単な説明】
    【図1】本発明に係わる音響装置の第一実施例の外観を示す概略の斜視図である。
    【図2】本発明に係わる音響装置の構成と拡音板内部の振動状態を説明する模式図である。
    【図3】本発明に係わる音響装置における拡音板の外形に関する実施例を説明する模式図である。
    【図4】本発明に係わる音響装置における拡音板のリブに関する実施例を示す模式図である。
    【図5】本発明に係わる音響装置の第一実施例の平面図である。
    【図6】図5の6−6線に沿って示した断面図である。
    【図7】図5の7−7線に沿って示した正面図である。
    【図8】図6において円Eで囲んだ部分の拡大部分断面図である。
    【図9】本発明に係わる音響装置におけるムーブメントと拡音板の結合に関する実施例の説明図である。
    【図10】本発明に係わる音響装置における拡音板機構の構成を示す側面図で、(a)〜(d)は分解図、(e)は組立図である。
    【図11】本発明に係わる音響装置におけるオルゴールムーブメント取付部分を拡大図示した分解図と組立図の側面図である。
    【図12】本発明に係わる音響装置の第二実施例の正面図である。
    【図13】図12の13−13線に沿って示した側面の断面図である。
    【図14】図10の14−14線に沿って示した拡大断面図である。
    【図15】本発明に係わる音響装置における振動板と拡音板の面積比率に関する相対拡音効果の実験例で、(a)はムーブメントの振動弁の本数をパラメータとした図表、(b)は実験に使用したシリンダ式オルゴールの一例を示す平面図である。
    【図16】本発明に係わる音響装置における拡音板の曲げ寸法と周波数特性の関係を確認するための実験装置を示す概要図である。
    【図17】本発明に係わる音響装置における拡音板の曲げ寸法と周波数特性の関係を示す特性図である。
    【図18】本発明に係わる音響装置における拡音板の曲げ寸法と音圧レベルの関係を示す特性図である。
    【図19】本発明に係わる音響装置における箱型の筐体と拡音板を備えた筐体の周波数特性を示す特性図である。
    【図20】本発明に係わる音響装置における箱型の筐体を備えた場合の聴取位置による周波数特性を示す特性図である。
    【図21】本発明に係わる音響装置における拡音板を備えた筐体を備えた場合の聴取位置による周波数特性を示す特性図である。
    【符号の説明】
    10 音響装置12 オルゴールのムーブメント13 取付部材14 第一拡音板16 第二拡音板18 支持部材19 支持部材20 基台21 ディスク22 振動弁23 爪車列24 押え軸25 押えローラ26 モータ27 スプロケット29 案内ローラ30 垂直軸32 振動板33,34 型枠

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