【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、管楽器のレバー、キー等からロータリーバルブ、鍵等への作用力伝達機構に介装され、回動により作用力を伝達する連結機構の組み立て調整に有効な管楽器のロータリーバルブ装置および鍵装置に関する。 【0002】 【従来技術】管楽器の演奏者が操作するレバー、キー等から管体に配設されたロータリーバルブ、鍵等へ作用力を伝達する機構として、例えば、図7に示すようなレバー機構が、従来より知られている。 すなわち、レバー機構101は、レバー102とロータリーバルブ103との間に、回動する連結機構であるジョイント104、1 05、作用力を伝達する連絡板106を備えて構成されている。 【0003】ここで、ジョイント104は、例えば、図8に示すように、レバー102に固定されたレバー連絡軸110、これと回動自在に嵌合するレバー連絡パイプ111、該レバー連絡パイプ111の軸方向への移動を規制するレバー連絡ネジ112から構成されている。 【0004】また、レバー連絡ネジを使用しない構成としては、例えば図9に示すように、レバー102に固定されたレバー連絡軸120、これと回動自在に嵌合する1対のワッシャー121a、121bおよびレバー連絡パイプ122を備え、レバー連絡パイプ122の軸方向への移動を規制するために、レバー連絡軸120の一端部120aをかしめ加工するジョイント104aが知られていた。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のジョイント104、104aにおいて、作用力の伝達に大きく寄与するのは、レバー連絡パイプ111、122の円滑な回動である。 この回動の円滑さの程度は、レバー連絡パイプ111の側端部111bとレバー連絡軸110 の縁部110dとの間隔C101、レバー連絡パイプ1 11の側端部111cとレバー連絡ネジ112の縁部1 12fとの間隔C102、もしくは、レバー連絡パイプ122の両側端と対向するワッシャー121a,121 bとの間隔C201,C202に応じて定まる。 【0006】しかし、上記従来の技術では、間隔C10 1,C102は、レバー連絡軸110の摺動部110b の軸方向長さL101と、レバー連絡パイプ111の軸方向長さL102とに基づいて定まってしまい、組み立て時、保守時等に、各構成部品の軸方向長さを加工してこの間隔C101,C102を定量的に調整することは、きわめて繁雑で困難を伴い、作業性の低下、製造工数の増加を招致するという問題があった。 特に、レバー連絡軸110はレバー102にロウ付け、もしくは、ハンダ付けされているため、バフ加工やメッキ処理により、摺動部110bの寸法精度を確保し難いので、組み立て時の調整の必要性は必然的に生じたが、上記従来技術の構造では未だ不充分であった。 【0007】また、管楽器の管体の経年変化に対しては再調整により対応する必要も生じるが、保守時の再調整も同様な困難を伴い、この保守作業性の低下は、管体が環境の影響を受け易い木管楽器では、特に顕著な問題となった。 【0008】さらに、従来のジョイント104aの構成では、カシメ加工しているため、再調整作業がより一層困難であり、摺動面122aへの注油等、通常保守作業に支障をきたす場合もあり、連結機構の信頼性・耐久性が低下してしまうという問題もあった。 【0009】本発明は、上記従来技術の課題を一挙に解決し、連結機構の組み立て調整作業効率および調整精度の向上を好適に実現する管楽器のロータリーバルブ装置および鍵装置の提供を目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の構成は、操作に応じて回動するレバーから、回動により管路を切り換えて管長を変更するロータリーバルブへ作用力を伝達する伝達機構に、回動により作用力を伝達する連結機構を介装した管楽器のロータリーバルブ装置において、前記連結機構が、前記伝達機構の作用力の伝達側、もしくは、被伝達側のいずれか一方に外周部を連結した略筒形状の回動部材と、上記回動部材の軸方向一方の側端位置を規制する規制縁部を有すると共に、上記回動部材の内周部に回動自在に遊嵌し、軸方向先端側にねじ溝を形成した細長軸を突設した軸部材と、上記回動部材の軸方向他方の側端位置を規制する調整縁部を有すると共に、上記回動部材の内周部に回動自在に嵌合し、上記軸部材の細長軸のねじ溝に螺合するねじ部を延設した調整部材と、上記軸部材と上記調整部材との間に介装され、両部材を上記回動部材の略軸方向に付勢する付勢部材と、を備えたことを特徴とする管楽器のロータリーバルブ装置を要旨とするものである。 【0011】また、上記課題を解決するためになされた請求項2に記載の構成は、操作に応じて回動するキーから、回動により管体の音孔を開閉して管長を変更する鍵へ作用力を伝達する伝達機構に、回動により作用力を伝達する連結機構を介装した管楽器の鍵装置において、前記連結機構が、前記伝達機構の作用力の伝達側および被伝達側に外周部を連結した略筒形状の回動部材と、上記回動部材の軸方向一方の側端位置を規制する規制縁部を有すると共に、上記回動部材の内周部に回動自在に遊嵌し、軸方向先端側にねじ溝を形成した細長軸を突設した軸部材と、上記回動部材の軸方向他方の側端位置を規制する調整縁部を有すると共に、上記回動部材の内周部に回動自在に嵌合し、上記軸部材の細長軸のねじ溝に螺合するねじ部を延設した調整部材と、上記軸部材と上記調整部材との間に介装され、両部材を上記回動部材の略軸方向に付勢する付勢部材と、を備えたことを特徴とする管楽器の鍵装置を要旨とするものである。 【0012】 【作用】上記請求項1に記載の構成は、操作に応じて回動するレバーから、回動により管路を切り換えて管長を変更するロータリーバルブへ作用力を伝達する伝達機構の作用力の伝達側、もしくは、被伝達側のいずれか一方に外周部を連結した略筒形状の回動部材の軸方向の両側端位置を、その内周部に回動自在に嵌合し、細長軸のねじ溝とねじ部とで螺合すると共に、付勢部材により略軸方向に付勢される軸部材の規制縁部および調整部材の調整縁部で規制するよう働く。 【0013】また、上記請求項2に記載の構成は、操作に応じて回動するキーから、回動により管体の音孔を開閉して管長を変更する鍵へ作用力を伝達する伝達機構の作用力の伝達側および被伝達側に外周部を連結した略筒形状の回動部材の軸方向の両側端位置を、その内周部に回動自在に嵌合し、細長軸のねじ溝とねじ部とで螺合すると共に、付勢部材により略軸方向に付勢される軸部材の規制縁部および調整部材の調整縁部で規制するよう働く。 【0014】すなわち、軸部材と調整部材とが相互に螺合および付勢されているので、回動部材の軸方向両側端間隔に応じて、規制縁部と調整縁部との間隔を所望間隔に精密に調整できるのである。 【0015】従って、連結機構組み立て調整時、構成部材の個体差に応じた最適な調整を実現するよう働く。 【0016】 【実施例】次に、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。 【0017】第1実施例 【0018】本発明の第1実施例であるフレンチホルン等の金管楽器に配設される糸式のレバー機構1は、図2 に示すように、レバー2、これに連接されたジョイント3、これに延設された連絡棒4、これに係合された糸5、ロータリバルブ6から構成されている。 レバー2 は、図示しないレバー支持台に配設されたレバー支持棒7と嵌合部2aで回動自在に嵌合し、レバー支持棒7回りに回動する。 一方、下端のネジ孔2bには上記ジョイント3が固定されている。 上記糸5は上記連絡棒4から延出し、ロータリーバルブ6の糸止めネジ6aを介して再び連絡棒4に係合する。 操作時、レバー2の操作側端部2cに矢印A方向の力を作用させると、レバー2はレバーバネ7aの付勢に抗してレバー支持棒7を中心に回動し、ジョイント3は矢印B方向に回動する。 すると、 連絡棒4は矢印C方向に移動し、糸5により連結されているロータリーバルブ6の回転台6bがバルブケーシング6cに対して矢印D方向に回転し、管路が切り換わる。 一方、レバー2の操作側端部2cを解放すると、レバーバネ7aの付勢により、レバー2はレバー支持棒7 を中心に矢印E方向に回動し、ジョイント3は矢印F方向に回動する。 すると、連絡棒4は矢印G方向に移動し、回転台6bが矢印H方向に回転し、管路が元の状態に戻る。 【0019】ここで、本第1実施例の主要部であるジョイント3の構造を図1に基づいて説明する。 ジョイント3は、レバー2に固定されたレバー連絡オネジ10、これに遊嵌する略円筒形状のレバー連絡パイプ11、該レバー連絡パイプ11と嵌合すると共に上記レバー連絡オネジ10と螺合するアジャスタブルスクリュー12、このアジャスタブルスクリュー12と上記レバー連絡オネジ10との間に介装されたバネ13から構成されている。 【0020】レバー連絡オネジ10の一端側にはネジ部10aが刻設され、レバー2のネジ孔2bに螺着すると共に、ハンダ付けされている。 一方、レバー連絡オネジ10の他端側にはオネジ10bが延設されている。 また、アジャスタブルスクリュー12は、頭部12aから軸方向に延出した軸部12bを有し、該軸部12bの先端に開口し軸方向に沿って内部に延びるメネジ部12 c、該メネジ部12cに連設された有底孔12dが形成されている。 この軸部12bの外周面と上記レバー連絡パイプ11の内面11aとは摺動自在に嵌合している。 また、上記有底孔12dにはバネ13が配設されている。 上記レバー連結オネジ10のオネジ10bと上記アジャスタブルスクリュー12のメネジ部12cとは螺合し、上記バネ13により、オネジ10bの先端面10c と有底孔12dの底とは軸方向に付勢されている。 この付勢により、オネジ10bとメネジ部12cとの正確な螺合を実現している。 また、上記螺合位置の調整に際してアジャスタブルスクリュー12を回動するために、その頭部12aにはドライバー挿入溝12eが刻設されている。 【0021】上記構成において、レバー連絡オネジ10 の規制縁部10dとレバー連絡パイプ11の一方の側端部11bとの間隔C1およびレバー連絡パイプ11の他方の側端部11cとアジャスタブルスクリュー12の調整縁部12fとの間隔C2を調整するには、レバー連絡パイプ11の軸方向長さL1に応じてアジャスタブルスクリュー12を回動させ、レバー連絡パイプ11が円滑に回動する適切な位置に設定する。 すると、規制縁部1 0dおよび調整縁部12fの位置は、上述したオネジ1 0bとメネジ部12cとの螺合およびバネ13の付勢により正確に規定される。 この調整は、製造時、保守時等所望の時期に実行可能である。 【0022】本第1実施例によれば、レバー連絡オネジ10の規制縁部10dとレバー連絡パイプ11の一方の側端部11bとの間隔C1およびレバー連絡パイプ11 の他方の側端部11cとアジャスタブルスクリュー12 の調整縁部12fとの間隔C2を、レバー連絡パイプ1 1の軸方向長さL1に応じて最適間隔に定量的に調整できるので、ジョイント3の組み立て調整や保守に際して、レバー連絡オネジ10、レバー連絡パイプ11等の構成部品の寸法の個体差の影響を受けることのない最適な調整が、少ない工数で高い精度を保持したまま可能になる。 【0023】また、ジョイント3への注油等、通常保守作業に支障をきたすことなくアジャスタブルスクリュー12による精密調整を実現するので、ジョイト3の信頼性、耐久性がより一層向上する。 【0024】さらに、付勢用のバネ13がアジャスタブルスクリュー12の内部の有底孔12dに配設されているため、調整状態によるバネ13の変形がレバー連絡パイプ11の回動を妨げないので、円滑な回動が常時保証され、作用力の伝達効率が向上する。 【0025】第2実施例 【0026】次に本発明の第2実施例を図3に基づいて詳細に説明する。 第2実施例と既述した第1実施例との相違は金管楽器の金具式レバー機構21に複数個のジョイント23A,23Bを適用したことである。 【0027】レバー機構21は、図3に示すように、レバー2、これに連接されたジョイント23A、これと略直交方向に固定されたジョイント23B、これに延設された連絡棒24、これに連結されたロータリバルブ26 から構成されている。 レバー2の下端のネジ孔2bには上記ジョイント23Aが該レバー2と略直交方向に固定されている。 このジョイント23Aのレバー連絡パイプ27の外周にはもうひとつのジョイント23Bのレバー連絡パイプ28aが略直交方向にろう付けされている。 このジョイント23Bのレバー連絡オネジ28bには略直交方向に連絡棒24の一端がろう付けされている。 なお、ジョイント23Bの調整はアジャスタブルスクリュー28cにより行なう。 ジョイント23A,23Bのその他の構造は既述した第1実施例と同様である。 連絡棒24は、先端にオネジを形成した挿入軸24aを内部にメネジを形成した被挿入軸24bに螺合し、両者間に止めネジとして作用するナット24cを介装して構成され、長さ調節およびその位置決めを可能にしている。 連絡棒24の他端部はロータリーバルブ26の連絡棒止めネジ26aに固定されている。 操作時、レバー2の操作側端部2cに矢印I方向の力を作用させると、レバー2 はレバーバネ7aの付勢に抗してレバー支持棒7を中心に回動し、ジョイント23Aは矢印J方向に回動する。 一方、ジョイント23Bは矢印K方向に回動し、連絡棒24は矢印L方向に移動する。 すると、ロータリーバルブ26の回転台26bがバルブケーシング26cに対して矢印M方向に回転し、管路が切り換わる。 一方、レバー2の操作側端部2cを解放すると、レバーバネ7aの付勢により、レバー2はレバー支持棒7を中心に矢印N 方向に回動し、ジョイント23Aは矢印O方向に、ジョイント23Bは矢印P方向に各々回動する。 すると、連絡棒4は矢印Q方向に移動し、回転台26bが矢印R方向に回転し、管路が元の状態に戻る。 【0028】以上説明したように、ジョイント23A, 23Bを直交して配設すれば、金管楽器の金具式のレバー機構にも適用でき、第1実施例と同様な効果を奏する。 【0029】なお、上記第1、第2実施例では、フレンチホルンのレバー機構に適用した例について説明したが、ロータリーバルブを備えた他の金管楽器、例えば、 切り換えバルブ付きトロンボーン、ロータリートランペット、ロータリーチューバ等にも適用でき、同様な効果を奏する。 【0030】第3実施例 【0031】次に、本発明の第3実施例を図4に基づいて説明する。 第3実施例と第1、第2実施例との相違は、レバー連絡オネジ側に有底孔を穿設し、バネを介装したことである。 【0032】図4に示すように、ジョイント3Aは、レバー2に固定されたレバー連絡ネジ30、これに遊嵌する略円筒形状のレバー連絡パイプ31、このレバー連絡パイプ31と嵌合すると共に上記レバー連絡ネジ30と螺合するアジャスタブルスクリュー32、このアジャスタブルスクリュー32と上記レバー連絡ネジ30との間に介装されたバネ33から構成されている。 【0033】レバー連絡ネジ10の一端側は軸方向に延出した細長部30bを形成し、その内部には先端に開口し軸方向に沿うメネジ部30cが刻設されると共に、該メネジ部30cに連設された有底孔30dが形成されている。 アジャスタブルスクリュー32は、頭部32aから軸方向に延出した軸部32bを有し、該軸部32bの軸方向先端にはオネジ部32cが刻設されている。 上記レバー連絡ネジ10の細長部30bの外周面と上記レバー連絡パイプ31の内面31aとは摺動自在に嵌合している。 また、上記有底孔30dにはバネ33が配設されている。 上記レバー連結ネジ30のメネジ30cと上記アジャスタブルスクリュー32のオネジ部32cとは螺合し、上記バネ33により、オネジ部32cの先端面3 2dと有底孔30dの底とは軸方向に付勢されている。 この付勢により、オネジ部32cとメネジ部30cとの正確な螺合を実現している。 また、上記螺合位置の調整に際してアジャスタブルスクリュー32を回動するために、その頭部32aにはドライバー挿入溝32eが刻設されている。 【0034】上記構成において、レバー連絡ネジ30の規制縁部30eとレバー連絡パイプ31の一方の側端部31bとの間隔C11およびレバー連絡パイプ31の他方の側端部31cとアジャスタブルスクリュー32の調整縁部32fとの間隔C22を調整するには、レバー連絡パイプ31の軸方向長さL11に応じてアジャスタブルスクリュー32を回動させ、レバー連絡パイプ31が円滑に回動する適切な位置に設定する。 すると、規制縁部30eおよび調整縁部32fの位置は、上述したオネジ部32cとメネジ部30cとの螺合およびバネ33の付勢により正確に規定され、既述した第1、第2両実施例と同様な効果を奏する。 【0035】第4実施例 【0036】次に本発明の第4実施例を図5に基づいて詳細に説明する。 第4実施例は、木管楽器のキーメカニズムに適用したことが既述した各実施例と相違する。 【0037】片支持構造をなすキーメカニズム41は、 クラリネット等の木管楽器の管体40に固定されたキーポスト42に固定された連絡オネジ43、これに遊嵌する略円筒形状の連絡パイプ44、この連絡パイプ44と嵌合すると共に上記連絡オネジ43と螺合するアジャスタブルスクリュー45、このアジャスタブルスクリュー45と上記連絡オネジ43との間に介装されたバネ4 6、連絡パイプ44に固定され、図示しない針ばねにより常時は閉方向に付勢されている鍵47、連絡パイプ4 4に固定されてこの鍵47を開くキー48から構成されている。 【0038】連絡オネジ43の一端側にはネジ部43a が刻設され、キーポスト42のネジ孔42bに螺着すると共に、ハンダ付けされている。 このネジ部43aには、規制縁部42cが連設されている。 一方、連絡オネジ43の他端側には軸方向に沿って段付き部43b、細長部43cが延設され、この細長部43cの先端側にはオネジ43dが刻設されている。 アジャスタブルスクリュー45は、頭部45aから軸方向に延出した軸部45 bを有し、該軸部45bの先端に開口し軸方向に沿って内部に延びるメネジ部45c、該メネジ部45cに連設された有底孔45dが形成されている。 この軸部45b および上記段付き部43bの外周面と上記連絡パイプ4 4の内面44aとは摺動自在に嵌合している。 また、上記有底孔45dにはバネ46が配設されている。 上記連結オネジ43のオネジ43dと上記アジャスタブルスクリュー45のメネジ部45cとは螺合し、上記バネ46 により、オネジ43dの先端面43eと有底孔45dの底とは軸方向に付勢されている。 この付勢により、オネジ43dとメネジ部45cとの正確な螺合を実現している。 また、上記螺合位置の調整に際してアジャスタブルスクリュー45を回動するために、その頭部45aにはドライバー挿入溝45eが刻設されている。 【0039】上記構成において、連絡オネジ43の規制縁部42cと連絡パイプ44の一方の側端部44bとの間隔C21および連絡パイプ44の他方の側端部44c とアジャスタブルスクリュー45の調整縁部45fとの間隔C22を調整するには、連絡パイプ44の軸方向長さL21に応じてアジャスタブルスクリュー45を回動させ、連絡パイプ44が円滑に回動する適切な位置に設定する。 すると、規制縁部42cおよび調整縁部45f の位置は、上述したオネジ43dとメネジ部45cとの螺合およびバネ46の付勢により正確に規定される。 この調整は、製造時、保守時等所望の時期に実行可能である。 【0040】上記第4実施例の構成は、管体40が木製等で、温度、湿度等環境条件により寸法が経年変化し易い木管楽器に使用すると特に顕著な効果を奏する。 【0041】第5実施例 【0042】次に本発明の第5実施例を図6に基づいて詳細に説明する。 第5実施例と上記第4実施例との相違は、両支持構造のキーメカニズムに適用したことである。 【0043】両支持構造をなすキーメカニズム51は、 木管楽器の管体50に固定された一方のキーポスト52 に固定された連絡オネジ53、これに遊嵌する略円筒形状の連絡パイプ54、この連絡パイプ54と嵌合すると共に上記連絡オネジ53と螺合するアジャスタブルスクリュー55、このアジャスタブルスクリュー55と上記連絡オネジ53との間に介装されたバネ56、管体50 に固定されてこのアジャスタブルスクリュー55の頭部55aを支持する他方のキーポスト57、上記連絡パイプ54に固定され、図示しない針ばねにより常時は閉方向に付勢されている鍵58a,58b、連絡パイプ54 に固定されてこの鍵58a,58bを開くキー59から構成されている。 【0044】連絡オネジ53の一端側は一方のキーポスト52に固定されると共に、径を拡大した規制縁部52 cを形成し、他端側には軸方向に沿って段付き部53 b、細長部53cが延設され、この細長部53cの先端側にはオネジ53dが刻設されている。 一方、アジャスタブルスクリュー55は、頭部55aから軸方向に延出した軸部55bを有し、該軸部55bの先端に開口し軸方向に沿って内部に延びるメネジ部55c、該メネジ部55cに連設された有底孔55dが形成されている。 この軸部55bおよび上記段付き部53bの外周面と上記連絡パイプ54の内面54aとは摺動自在に嵌合している。 また、上記有底孔55dにはバネ56が配設されている。 上記連結オネジ53のオネジ53dと上記アジャスタブルスクリュー55のメネジ部55cとは螺合し、 上記バネ56により、オネジ53dの先端面53eと有底孔55dの底とは軸方向に付勢されている。 この付勢により、オネジ53dとメネジ部55cとの正確な螺合を実現している。 また、上記螺合位置の調整に際してアジャスタブルスクリュー55を回動するために、その頭部55aにはドライバー挿入溝55eが刻設されている。 さらに、アジャスタブルスクリュー55の頭部55 aの外周55fは、他方のキーポスト57に穿設された貫通孔57aと摺動および回動自在に嵌合可能に仕上げ加工されている。 アジャスタブルスクリュー55の頭部55aは、上記キーポスト57の貫通孔57aとの嵌合により管体50に支持されている。 【0045】上記構成において、連結オネジ53の規制縁部52cと連絡パイプ54の一方の側端部54bとの間隔C31および連絡パイプ54の他方の側端部54c とアジャスタブルスクリュー55の調整縁部55gとの間隔C32を調整するには、連絡パイプ54の軸方向長さL31に応じてアジャスタブルスクリュー55を回動させ、連絡パイプ54が円滑に回動する適切な位置に設定する。 すると、規制縁部52cおよび調整縁部55g の位置は、上述したオネジ53dとメネジ部55cとの螺合およびバネ56の付勢により正確に規定される。 【0046】上記第5実施例の構成としても、既述した第4実施例と同様な効果を両支持型のキーメカニズムで実現できる。 【0047】なお、上記第4、第5両実施例では、クラリネットを一例として説明したが、例えば、サクソフォーン、フルート、オーボエ、ファゴット等各種の木管楽器に適用でき、同様の効果を奏する。 【0048】以上、本発明のいくつかの実施例について説明したが、本発明はこのような実施例に何等限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲内において種々の態様により実現し得るものであることは勿論である。 【0049】 【発明の効果】以上詳記したように、本発明は、軸部材と調整部材とを相互に螺合および付勢したため、回動部材の軸方向両側端間隔に応じて、規制縁部と調整縁部との間隔を最適間隔に定量的に調整できるので、連結機構の組み立て調整や保守に際し、構成部材の個体差、環境条件に応じた最適な調整が、少ない工数で高い精度を保持したまま可能になるというきわめて優れた効果を奏する。 【0050】また、ロータリーバルブを有する金管楽器、鍵機構を有する木管楽器といった各種の管楽器に適用できるので、高い汎用性を発揮する。 【0051】さらに、連結機構は常時調整可能であるため、管楽器の管体の経年変化に対しても再調整により対応できるので、円滑な回動により、作用力の適切な伝達を保持できるという利点も生じる。 このことは、管体が環境の影響を受け易い木管楽器に適用した場合、特に、 顕著な効果を生じる。 【0052】また、連結機構への注油等、通常保守作業に支障をきたすことなく精密調整を実現するので、連結機構の信頼性・耐久性がより一層向上する。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明第1実施例の主要部の構造を示す断面図である。 【図2】本発明第1実施例の概略構造を示す斜視図である。 【図3】本発明第2実施例の概略構造を示す斜視図である。 【図4】本発明第3実施例の主要部の構造を示す断面図である。 【図5】本発明第4実施例の主要部の構造を示す部分断面図である。 【図6】本発明第5実施例の主要部の構造を示す部分断面図である。 【図7】従来技術の概略構成を示す部分断面図である。 【図8】従来技術の主要部の構造を示す断面図である。 【図9】従来技術の主要部の構造を示す断面図である。 1・・・ レバー機構、3・・・ ジョイント、10・ ・・ レバー連絡オネジ、10d…規制縁部、12f・ ・・ 調整縁部、11・・・ レバー連絡パイプ、12 ・・・ アジャスタブルスクリュー、13・・・ バネ |