ドリリング装置およびこのためのトルクリミッタ・カップリング

申请号 JP2015067221 申请日 2015-03-27 公开(公告)号 JP2015189004A 公开(公告)日 2015-11-02
申请人 ロェーム ゲーエムベーハー; 发明人 ペーター シェンク; パトリック ヘングスバーガー;
摘要 【課題】ドリリングスピンドルに作用するトルクを必要に応じて制限するとともに、種々の作動モードで使用可能なドリリング装置及びこのためのトルクリミッタ・カップリングにおいて、既存の伝動機構を変更せずに使用可能とする。 【解決手段】伝動機構として遊星歯車機構(9)が用いられ、この内歯車(13)にはカム部(14)が備えられ、このカム部(14)は、少なくともドリリングの 位置 ・姿勢にてカップリング部材(15)との相互作用を行う。カップリング部材(15)は、締付の位置・姿勢にて、締付バネ(16)の締付バネ 力 に逆らって、内歯車(13)に対して位置ズレ可能である。また、カップリング部材(15)は、ねじ締めの位置・姿勢において、締付バネ(16)とねじ締めバネ(17)との直列接続により得られるねじ締めバネ力に逆らって、内歯車(13)に対して位置ズレ可能である。 【選択図】図1
权利要求

少なくとも、締め付けの位置・姿勢と、ねじ締めの位置・姿勢と、ドリリングの位置・姿勢との間で切替可能であるドリリング装置であって、 機械ハウジング(1)と、動源により駆動可能な機械スピンドル(2)と、ドリルチャックとを備え、 ドリルチャックには、締付あご保持体(3)と、この中にて、連れ動かし具(4)とネジ切スリーブ(5)とのネジ切部同士の接続(6)によって位置・姿勢をシフト可能に案内された締付あご(7)と、ドリリングスピンドル(8)と、ドリリングスピンドル(8)における機械スピンドル(2)の側に設けられて動力源からのドリリングスピンドル(8)の駆動を可能にする遊星歯車機構(9)とが備えられ、 遊星歯車機構(9)には、太陽歯車(10)と、少なくとも遊星歯車(11)を保持する遊星キャリア(12)と、内歯車(13)とが備えられ、内歯車(13)には少なくとも一つのカム部(14)が備えられ、 このカム部(14)は、少なくともドリリングの位置・姿勢において内歯車(13)に対して固定されるカップリング部材(15)との相互作用を行うドリリング装置において、 少なくとも一つのカップリング部材(15)が備えられ、 前記少なくとも一つのカップリング部材(15)は、締付の位置・姿勢において、締付バネ(16)の締付バネ力に逆らって、内歯車(13)に対して位置ズレ可能に取り付けられており、 前記少なくとも一つのカップリング部材(15)は、ねじ締めの位置・姿勢において、締付バネ(16)とねじ締めバネ(17)との直列連結により得られるねじ締めバネ力に逆らって、内歯車(13)に対して位置ズレ可能に取り付けられていることを特徴とするドリリング装置。前記の位置・姿勢の間での切替を手動で行うための切替スリーブ(18)を備えることを特徴とする請求項1に記載のドリリング装置。ねじ締めバネ(17)と締付バネ(16)とが、仕切リング(19)によって仕切られており、仕切リング(19)は、締付の位置・姿勢において内歯車(13)に対して固定され、ねじ締めの位置・姿勢において内歯車(13)に対して位置ズレ可能に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のドリリング装置。仕切リング(19)における内歯車(13)の側に、締付バネ(16)が配置され、仕切リング(19)における内歯車(13)とは逆の側に、ねじ締めバネ(17)が配置されていることを特徴とする請求項3に記載のドリリング装置。仕切リング(19)を機械ハウジング(1)に対して回転不能に支持するためには、機械ハウジング(1)と、仕切リング(19)との間の回転止め機構が作動可能であることを特徴とする請求項3または4に記載のドリリング装置。仕切リング(19)に案内部(20)が備えられ、締付の位置・姿勢において、この案内部(20)は、仕切リング(19)について、内歯車(13)に対してズレ動くことを防止するか、または、軸方向にズレ動くことを防止することを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のドリリング装置。前記回転止め機構が、仕切リング(19)の案内部(20)と、機械ハウジング(1)に設けられた案内用抜き部とにより形成されていることを特徴とする請求項6に記載のドリリング装置。切替スリーブ(18)は、締付の位置・姿勢、または締付の位置・姿勢及びドリリングの位置・姿勢にて案内部(20)を案内するための周方向案内受入部(21)を備え、また、 切替スリーブ(18)は、ねじ締めの位置・姿勢において案内案内部(20)を案内するための軸方向案内受入部(22)を備えることを特徴とする請求項6または7に記載のドリリング装置。カップリング部材(15)が、複数の互いに別体の部材からなり、少なくとも一つの内歯車カップリング部材(23)と、少なくとも一つのバネカップリング部材(24)とを備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のドリリング装置。少なくとも一つの内歯車カップリング部材(23)は、機械ハウジング(1)中に案内されているか、または、機械ハウジング(1)に回転不能に連結されている連結リング中に案内されており、 切替スリーブ(18)に回転不能に接続されるか、または一体に設けられた口金リング(25)が、機械ハウジング(1)に共軸に備えられ、この口金リング(25)が少なくとも一つの通し部(26)を備え、この通し部(26)中に、少なくともバネカップリング部材(24)が配置されることを特徴とする請求項9に記載のドリリング装置。少なくとも一つの内歯車カップリング部材(23)の直径が、バネカップリング部材(24)の直径よりも小さいかまたは等しいことを特徴とする請求項9または10に記載のドリリング装置。ねじ締めの位置・姿勢及び締付の位置・姿勢のいずれかである場合にのみ、少なくとも一つのバネカップリング部材(24)と、これに対応する少なくとも一つの内歯車カップリング部材(23)とが、締付バネ(16)及びねじ締めバネ(17)の共通のバネ中心軸(27)に沿って整列されることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載のドリリング装置。ねじ締めバネ力を増減させるべく、軸方向に位置シフト可能な圧縮部材(28)が備えられることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のドリリング装置。締付あご保持体(3)は、締付の位置・姿勢において、機械ハウジング(1)に、回転不能に取り付けられ、ねじ締めの位置・姿勢及びドリリングの位置・姿勢において、ドリリングスピンドル(8)に回転不能に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のドリリング装置。切替スリーブ(18)には、ダイアルリング(29)と、切替用スロット(30)とが備えられ、この切替用スロット(30)には、前記の位置・姿勢の間で位置・姿勢をシフト可能な切替・調整部材(31)が案内されていることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のドリリング装置。切替・調整部材(31)は、締付あご保持体(3)と相互作用を行うズレ動かしスリーブ(32)に連結されており、この連結は、締付あご保持体(3)が、締付の位置・姿勢においてのみ、機械ハウジング(1)に対して回転不能に取り付けられていることを特徴とする請求項15に記載のドリリング装置。切替・調整部材(31)が、機械ハウジング(1)に対して回転不能に取り付けられていることを特徴とする請求項16に記載のドリリング装置。切替用スロット(30)は、ダイアルリング(29)の内壁面(33)におけるリング状または円弧状の抜き部として設けられ、この抜き部中を、切替・調整用ブラケットして設けられた切替・調整部材(31)が案内されていることを特徴とする請求項15〜17のいずれかに記載のドリリング装置。先端カム部(35)としてのカム部(14)が、内歯車(13)における機械スピンドル(1)とは逆の側の先端面(34)に設けられたことを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載のドリリング装置。ドリリング装置におけるトルクを制限するためのトルクリミッタ・カップリング(51)であって、 カップリング面にカム部(14)を備える内歯車(13)と、 前記カップリング面に突き当てられる少なくとも一つのカップリング部材(15)とを含み、 ドリリングの位置・姿勢においては、内歯車(13)に対するカップリング部材(15)の位置が固定されており、 締付の位置・姿勢においては、カップリング部材(15)が、締付バネ(16)の締付バネ力に逆らって、内歯車(13)に対して位置ズレ可能であり、 ねじ締めの位置・姿勢においては、カップリング部材(15)が、締付バネ(16)及びねじ締めバネ(17)の直列連結構造によるねじ締めバネ力に逆らって、内歯車(13)に対して位置ズレ可能であることを特徴とするトルクリミッタ・カップリング。締付バネ(16)及びねじ締めバネ(17)が、内歯車(13)とは逆の側にて、軸方向に延びるように配置されていることを特徴とする請求項20に記載のトルクリミッタ・カップリング。締付バネ(16)及びねじ締めバネ(17)が、少なくとも一つのカップリング部材(15)における内歯車(13)とは逆の側に配置されていることを特徴とする請求項20に記載のトルクリミッタ・カップリング。ダイアルリング(29)と、ダイアルリング(29)に回転不能に接続されている切替スリーブ(18)と、ダイアルリング(29)に回転不能に接続されている口金リング(25)とを備えることを特徴とするトルク制限機構。

说明书全文

本発明は、少なくとも、ドリリングの位置・姿勢、ねじ締めの位置・姿勢、及び締付の位置・姿勢の間で位置・姿勢をシフト可能なドリリング装置に関する。ここでの位置・姿勢は、特には、回転駆動の伝動に関連した部材相互の位置・姿勢(位置及び姿勢の少なくとも一方)のことをいうこととする。本発明は、また、トルクリミッタ・カップリング、及び、ドリリング装置への回転モーメントを制限するための機構に関する。

このドリリング装置には、機械ハウジングと、モーターなどの動力源により駆動可能な機械スピンドルと、ドリルチャックとが備えられる。このドリルチャックには、締付あご保持体と、締付あご保持体中にて、連れ動かし具と、ネジ切リングとの間のネジ合わせ接続により位置・姿勢をシフト可能な複数の締付あごと、ドリリングスピンドルとが備えられる。このドリリングスピンドルは、動力源により駆動可能であり、機械スピンドルの側に配置された遊星歯車機構を通じて駆動可能である。遊星歯車機構は、太陽歯車と、少なくとも一つの遊星歯車を保持する遊星保持体と、内歯歯車とを備える。ドリルチャックには、少なくとも一つのカム部が備えられる。このカム部は、少なくともドリリングの位置・姿勢にて内歯歯車に固定されるカップリング部材との相互作用を行う。

導入部で述べたようなドリリング装置は、ドイツ特許出願公開102011055869A1により既に公知となっている。この中に示されたドリリング装置は、選択された作動モードに応じて、駆動ピンに作用する最大のトルクを制限できるという利点を有する。したがって、例えば、ねじ締めの位置・姿勢における最大限可能なトルクについて、締付の位置・姿勢及び締付解除の位置・姿勢におけるよりも小さくすることができる。最大限に可能なトルクは、ドリリングモードまたはドリリングの位置・姿勢にて、伝えられる。このようなドリリング装置を、ドリリング機械に一体に組み込むためには、所望の結果を得るべく、すなわち、駆動ピンの回転可能な支持をトルクに依存して、種々の駆動モードで実現すべく、ドリリング機械における伝動・減速機構の歯車へのコストや手間のかかる噛み合わせや組み込みが依然として必要である。

ドイツ特許出願公開102011055869A1

そのため、本発明の課題は、ドイツ特許出願公開102011055869A1の技術を比較の基準として、ドリリング機械における既存の伝動機構の構成を変更することが、実質上、不要となるドリリング装置を提供することにある。また、本発明の課題は、ドリリング機械の伝動機構における噛み合せの深さを小さくとることができる、安全クラッチ並びにトルク制限のための機構を提供することにある。

ドリリング装置についての上記課題は、導入部で述べたようなドリリング機械において、以下のようであることにより解決される。すなわち、少なくとも一つのカップリング部材は、締付の位置・姿勢において、締付バネの締付バネ力に逆らって、内歯車に対して位置ズレ可能に取り付けられている。また、少なくとも一つのカップリング部材は、ねじ締めの位置・姿勢において、締付バネとねじ締めバネとの直列接続により得られるねじ締めバネ力に逆らって、内歯車に対して位置ズレ可能に取り付けられている。

締付の際の最大トルクを制限する機構を、ねじ締めのための最大トルクを制限するのにも用いることができる。言い換えると、締付トルクリミターと、ねじ締めトルクリミターとを一つにまとめることができる。これにより、省スペースとなるだけでなく、上記のようなトルク制限機構を、取りリング機械及びドリリング装置に組み込むべき場合に、ドリリング機械の駆動伝達系における最終段の部分について、そのままとすることができる。なお、少なくとも一つのカップリング部材が、内歯車の外面から半径方向に支持されるようにすることができる。これにより、ドリリング装置の長さ寸法を顕著に小さくすることができる。また、これに代えて、少なくとも一つのカップリング部材が、軸方向を向くように配置されて、内歯車における機械スピンドルとは逆側の先端面から軸方向に支持されるようにすることができる。これにより、少なくとも一つのカップリング部材は、ドリリングの位置・姿勢において固定されており、ねじ締めの位置・姿勢において軸方向に位置ズレ可能となっている。位置ズレは、これに関連したトルクを超えた際に可能となっている。

本発明にしたがうドリリング装置の斜視図である。

図1のドリリング装置をドリリングの位置・姿勢で示す3次元図であり、部分的に縦断面を示す。

図2に示すドリリングの位置・姿勢にあるドリリング装置についての半断面・半側面図である。

図1のドリリング装置をねじ締めの位置・姿勢で示す3次元図であり、部分的に縦断面を示す。

図4に示すねじ締めの位置・姿勢にあるドリリング装置についての要部の構成を示す斜視図であり、部分的に縦断面を示す。

図4に示すねじ締めの位置・姿勢にあるドリリング装置についての半断面・半側面図である。

図1のドリリング装置を締付の位置・姿勢で示す3次元図であり、部分的に縦断面を示す。

図7に示す締付の位置・姿勢にあるドリリング装置についての要部の構成を示す斜視図であり、部分的に縦断面を示す。

図7に示す締付の位置・姿勢にあるドリリング装置についての半断面・半側面図である。

選択回転リングのみを取り出して示す斜視図である。

取り扱いを容易にするためには、前記の位置・姿勢の間での切替を手動で行うための切替スリーブが備えられるならば好ましいことにつき明らかとなった。

好ましい一実施形態において、ねじ締めバネと締付バネとが、仕切リングによって仕切られており、仕切リングは、締付の位置・姿勢において内歯車に対して固定され、ねじ締めの位置・姿勢において内歯車に対してう位置ズレ可能に設けられている。したがって、仕切リングは、締付バネとネジ回しバネとの直列連結構造につき、ねじ締めの位置・姿勢では作動させ、締付の位置・姿勢では作動させないように切り替えるのに用いられる。

仕切リングにおける内歯車の側または機械スピンドルの側に、締付バネが配置され、仕切リングにおける内歯車または機械スピンドルとは逆の側に、ねじ締めバネが配置されているならば好ましい。このようであると、締付の位置・姿勢にある際に、締付バネは、ねじ締めバネのバネ力に全く依存せずに、締付バネのバネ力を少なくとも一つのカップリング部材に作用させることができる。仕切りリングが内歯車に対して、または、軸方向へと位置ズレ可能になったならば、直ちに、締付バネ及びネジ締めバネが作用を行う。言い換えると、これらのバネからなる直列連結構造が、少なくとも一つのカップリング部材に対してバネ力を加える。

機械ハウジングと仕切リングとの間にて、機械ハウジングに仕切リングを相対回転不能に取り付けるための回転止め機構が作動すると好ましいことが明らかになった。これにより、種々の動作モードの間でドリリング装置を切り替える際に仕切リングは確実に回転しないこととなる。仕切リングが回転すると、ドリリング装置内部での切替エラーを引き起こすおそれがある。

そのため、本発明の枠内において、締付の位置・姿勢のときに、仕切リングが内歯車に対してズレ動くか、または軸方向にズレ動きのを防止する案内部を仕切リングが有していると好ましい。このような案内部材により、ねじ締めバネのバネ力と、締付バネの締付バネ力とが組み合わさらないようにすることができる。

仕切リングの案内部は、この案内部と、軸方向に延びるように機械ハウジングに一体成形された案内用抜き部とにより形成される回転止め機構に用いられるのが好ましい。このようであると、ドリリング装置の部材数を減らすことができる。仕切リングの案内部が2つの異なる機能を提供する。すなわち、一方では、回転止め機構に用いられ、他方では、仕切リングのズレ動きを止めるのに用いられる。

別の特に好ましい一実施形態では、切替スリーブに周方向案内部及び軸方向案内部が含まれていることが想定されている。周方向案内部は、締付の位置・姿勢にある際、並びに、場合によってはドリリングの位置・姿勢にある際に、仕切リングの案内部を案内するためものでおり、軸方向案内部はねじ締めの位置・姿勢のときに案内部を案内するものである。機械ハウジングに対して軸方向に固定された切替スリーブにおける周方向案内部は、仕切リングの案内部のズレ動きを軸方向にて制限するか、または軸方向のズレ動きを防止する。仕切リングの案内部が切替スリーブの軸方向案内部と一直線上に並ぶように配置されるねじ締めの位置・姿勢のときにのみ、仕切リングを軸方向へ位置シフトさせることができる。このように配置されることによって締付バネとねじ締めバネとの直列連結構造が作動状態となる。

本発明の好ましい一実施形態では、少なくとも1つのカップリング部材は、複数の別体の部材からなり、少なくとも1つの内歯車カップリング部材と、少なくとも1つのバネカップリング部材とにより形成される。すなわち、少なくもこれらを含んで形成される。内歯車カップリング部材は、内歯車と相互作用しており、バネカップリング部材は、バネにより、特には締付バネによりバネ力を受けている。内歯車カップリング部材とバネカップリング部材とは互いに組み合わせを解除可能なように設けられている。

本発明の枠内において、次のようであると、特に好ましいことが明らかになった。すなわち、少なくとも1つの内歯車カップリング部材が、機械ハウジング、または機械ハウジングに回転不能に連結されたカップリングリングで案内されている。また、切替スリーブと相対回転不能に接続されるか、またはこれと一体に設けられた口金リングが、機械ハウジングと共軸に配置されている。この口金リングは、場合により軸方向の少なくとも1つの通し部を有しており、該通し部の中に少なくとも1つのバネカップリング部材が配置されている。このようであると特に好ましいことが明らかになった。上に説明した構造により、口金リングを機械ハウジングまたはカップリングリングに対して回転させることができる。これにより、同様に、少なくとも1つの内歯車カップリング部材の位置・姿勢が、少なくとも1つのバネカップリング部材に対してシフトされる。場合によっては、半径方向へ位置シフトされる。

別の好ましい一実施形態では、少なくとも1つの内歯車カップリング部材の直径はバネカップリング部材の直径よりも小さいか、またはこれに等しい。これにより、内歯車カップリング部材も、口金リングの軸方向の通し部の中に入ることができ、締付バネによって、または締付バネとねじ締めバネとの直列連結構造によって、少なくとも間接的に、確実にバネ力を受ける。

ドリリング装置のための特別に有効なトルクリミッター・カップリングを提供するために、ねじ締めの位置・姿勢と締付の位置・姿勢のときにのみ少なくとも1つのバネカップリング部材およびこれに対応する少なくとも1つの内歯車カップリング部材が一直線上に整列されるように、2つのばねによる共通のバネ軸の上に配置されるのが好ましいことが明らかになった。

ドリリング装置のねじ締めの位置・姿勢についてさまざまなトルクを設定できるようにするために、ねじ締めバネ力を増減・変更するためには、軸方向へ位置シフト可能な圧縮部材が設けられていると有意義であることが明らかになった。この圧縮部材はバネを、特にはねじ締めバネを圧縮することができる。これにより、機械式のトルクリミッター・カップリングが作動するトルクを調節することができる。

締付の位置・姿勢にある際にのみ締付あごの位置・姿勢をシフトさせる必要がある。このシフトは、ネジ切スリーブに回転不能に接続されたドリリングスピンドルが、締付あご保持体に対して相対回転することで行われる。ここで、次のようであれば好ましい。すなわち、締付あご保持体は、締付の位置・姿勢のときに機械ハウジングに対して相対回転不能に支持されるとともに、ねじ締めの位置・姿勢及びドリリングの位置・姿勢の際にドリリングスピンドルに対して相対回転不能に支持されているならば好ましい。このことは、締付の位置・姿勢のときにドリリング装置内にて、締付あごが、所定の範囲及び方式にて位置・姿勢のシフトが可能であるるという利点と結びついている。使用されるドリリング装置のモータまたは原動機は時計まわり(右)回転と半時計まわり(左)回転で作動させることができるので、締付プロセスに相当する第1の回転方向へのモータの作動時に締付あごが締付され、取外しプロセスに相当する第2の回転方向へのモータの作動時に取り外される。したがって締付の位置・姿勢とは、ドリリング装置における把持及び締付を行う際の位置・姿勢を意味するだけでなく、締付あごの取外しプロセスを可能にするの位置・姿勢をも意味している。ドリリングの位置・姿勢にあるドリリング装置についても同様のことが同じく該当する。ここでも右回転と左回転が可能であるが、それは、ドリリング工具を穿孔方向と反対に向く回転方向へ作動させることが必要な場合である。ねじ締めの位置・姿勢では、たとえば左回転でねじを緩めることができ、右回転でねじを締めることができる。またはその逆である。

ドリリング装置を、それぞれの動作モードの間で容易に切り替えられるようにするためには、切替スリーブは、ダイアルリングと、切替用スロットとを含んでおり、この切替用スロットには、前記の位置・姿勢の間で位置・姿勢をシフト可能な切替・調整部材が案内されているならば、特に好ましいことが明らかになった。

切替・調整部材は、締付あご保持体と相互作用するズレ動かしスリーブと連結されており、それにより、ズレ動かしスリーブが締付あご保持体を締付の位置・姿勢のときにのみ機械ハウジングに対して相対回転不能に支持するようになっているならば好ましいことが明らかになった。このようにズレ動かしスリーブは、特に簡単な方式で、機械ハウジング及びドリリングスピンドルのうちの選択された一方に対して相対回転不能に、締付あご保持体の位置・姿勢をシフトさせる連結部材をなす。

軸方向へのズレ動かしスリーブの確実な位置シフトを保証するために、1つの好ましい実施形態では、切替・調整部材は機械ハウジングに対して相対回転不能に、すなわち回り止めされて配置されている。

ドリリング装置をいっそうコンパクトに構成できるようにするために、切替用スロットは、ダイアルリングの内壁にあるリング状または円弧状の抜き部として設けられ、この抜き部中を、切替・調整用ブラケットして設けられた切替・調整部材が案内されているていると好ましいことが明らかになった。切替・調整用ブラケットの利用が有意義である理由は、これを曲げないし成形によって非常に簡単に構成することができ、それ自体として大きい重量を有していないからである。

先端カム部としてのカム部が、内歯車における機械スピンドルとは逆の側の先端面)に設けられいると特に好ましい。このようであると、カム部は半径方向から内歯車に着座するのではないので、その帰結として、ドリリング装置を相応に小さい直径で構成することができる。それに対して、本発明の別の実施形態では、カム部はラジアルカムとして構成されており、それにより半径方向のトルクリミッター・カップリングが形成され、それによってドリリング装置をいっそう短く構成することができる。

トルクリミッター・カップリングに関わる課題は、請求項19の構成要件に基づくトルクリミッター・カップリングによって解決される。

ドリリング装置でトルク制限をするためのこのトルクリミッター・カップリングは、カム部を有するカップリング面を備えた内歯車を備えており、また、カップリング面をに突き当てられる少なくとも1つのカップリング部材を備えている。カップリング部材は、その位置・姿勢が、ドリリングの位置・姿勢のときに内歯車に対して固定される。また、締付の位置・姿勢では、締付バネの締付バネ力に抗して、内歯車に対して可動なように支持される。カップリング部材は、ねじ締めの位置・姿勢では、締付バネとねじ締めバネとの直列連結構造から生じるねじ締めバネ力に抗して、内歯車に対して可動なように支持される。

上記のようであると、内歯車におけるカム部を備えたカップリング面へのカップリング部材の圧着力を増減・変更するためには、完全に独立した2つのバネ部材を使用しなくてすむという利点が得られる。むしろ、締付バネとねじ締めバネのバネ力を直列連結によって重ね合わせることができる。このことにより、トルクリミッター・カップリングを作動させる可変のトルクが設定される。トルクリミッター・カップリングは、内歯車に対して半径方向または軸方向に向いていてよい。トルクリミッター・カップリングが半径方向に設けられる配置であると、カム部は、内歯車の半径方向外面に配置される。この場合、カップリング部材は、機械ハウジング中に半径方向に配置されるか、または、機械ハウジングと共軸に配置された口金リング中にて、半径方向に配置されている。

トルクリミッター・カップリングの1つの好ましい実施形態では、締付バネとねじ締めバネが、内歯車におけるカム部とは逆側にて軸方向に配置されることを想定している。そして機械ハウジングのカップリング部材は軸方向に固定されていてよく、このような構成では、内歯車だけが締付の位置・姿勢ないしねじ締めの位置・姿勢にて、予め決められたトルクを超えたときに軸方向のズレ動きを行う。換言すると、予め決められたトルクを超えると、内歯車は、締付バネ力に抗して、またはねじ締めバネ力に抗して、軸方向の位置が引き下げられる。

別の代替的な一実施形態では、締付バネとねじ締めバネが、少なくとも1つのカップリング部材における内歯車とは逆側に配置されることを想定している。それにより、本発明にしたがうトルクリミッター・カップリングを備える機構を追加することで、既存のドリリング機械をアップデートまたは拡張することができる。従来知られているトルク制限機構に比べて、ドリリング機械における駆動伝達系の伝達段への、はるかに小さな噛み合わせしか必要ない。種々に固定して設定されたトルクにて連動解除を行うトルクリミッター・カップリングを提供すべく、カップリング部材について、締付バネおよびねじ締めバネとともに、ドリリング機械に駆動伝達系における最後の伝動段である内歯車についてのカップリング面としての先端面に取り付けることができる。

トルク制限機構に関する課題は、請求項23の構成要件によって解決される。このようなトルク制限機構であると、機械式のトルクリミッター・カップリング用いることができるだけでなく、電子式の、すなわちセンサ制御式のトルクリミッター・カップリングであっても、ドリルチャックに適用することができるという利点を有している。

次に、図面に示されている実施例を参照しつつ、本発明について詳しく説明する。図面には、ドリリング装置およびこのためのトルクリミッタ・カップリング51が示されている。

ドリリング装置は、図示の実施形態において、締め付けの位置・姿勢と、ねじ締めの位置・姿勢と、ドリリングの位置・姿勢との間で、切替可能である。図示の実施形態において、ドリリング装置には、複数の別体の部材からなる機械ハウジング1と、機械スピンドル2とが含まれる。機械スピンドル2は、不図示の動力源により駆動可能である。また、ドリリング装置には、機械スピンドル2の先端部に、遊星歯車機構9が備えられる。遊星歯車機構9の太陽歯車10は、機械スピンドル2に回転不能に取り付けられており、複数の遊星歯車11に噛み合っている。これら遊星歯車11は、遊星キャリア12の遊星軸36に取り付けられており、内歯車13を伝って転動可能である。遊星キャリア12は、回転不能にドリリングスピンドル8に取り付けられている。ドリリングスピンドル8は、非円形の横断面を有しており、この非円形の横断面による外面と、遊星キャリア12における対応する非円形の横断面による内面とが噛み合って相互作用を行う。内歯車13は、機械スピンドル1に、位置・姿勢によっては、すなわち駆動伝達モードによってはトルクに依存するものの回転不能であるように取り付けられる。

ドリリングスピンドル8は、図示の実施形態によると、機械スピンドル2とは逆の側の端部が、ドリルチャックのネジ切スリーブ5に、回転不能に接続されている。他の一実施形態によると、ドリリングスピンドル8は、ネジ切スリーブ5と一体に設けられて、ネジ切孔スピンドルをなす。ネジ切スリーブ5中には、外面ネジ切部を有する連れ動かし具4がねじ込まれて、ネジ切スリーブ5の内面ネジ切部とネジ接続6をなす。また、ドリルチャックには、締付あご保持体3が備えられる。この締付あご保持体3には、一般的な方式にて、複数の締付あご7がそれぞれ案内スリット中に案内されている。これらの案内スリット中にて、締付あご7は、連れ動かし具4により、位置・姿勢をシフトさせることができる。締付あご保持体3に対してネジ切スリーブ5を回転させるためには、図示の実施形態のドリルチャックにおいて、転がり軸受け37が備えられる。図示の具体例ではボールベアリングが備えられる。ネジ切スリーブ5と締付あご保持体3との相対回転によってのみ、締付あご7の位置・姿勢をシフトさせることができる。

ドリリング装置には、トルクリミッタ・カップリング51が備えられる。これについては、後で詳しく述べる。一方、内歯車13には、複数のカム部14が備えられる。これら複数のカム部14は、複数のカップリング部材15と相互作用を行う。図示の実施形態によると、内歯車13における機械スピンドル2とは逆の側にある先端面34には、先端カム部35としてのカム部14が備えられる。カップリング部材15と先端カム部35との相互作用により、内歯車13は、機械ハウジング1中にて回転しないよう固定されるか、または、機械ハウジング1に対して回転しないように連結されている。

ドリリングの位置・姿勢において、図2〜3に示すように、複数のカップリング部材15は、内歯車13の先端面34に突き当てられた状態に固定されている。図示の実施形態において、複数のカップリング部材15は、内歯車13に対して軸方向にズレ動き不能となっている。

締付の位置・姿勢において、図7〜8に示すように、カップリング部材15は、締付バネ16の締付バネ力に逆らって軸方向に、ドリルチャックの工具受入部38の側へと引き下がることができる。また、ねじ締めの位置・姿勢において、図4〜6に示すように、カップリング部材15は、ねじ締めバネ力に逆らって、同様に、軸方向に、ドリルチャックの工具受入部38の側へと引き下がることができる。このねじ締めバネ力は、互いに直列をなす締付バネ16とねじ締めバネ17とによって生じている。

図2及び3には、ドリリング装置及びトルクリミッタ・カップリング51について、ドリリングの位置・姿勢にある場合を示す。図示の実施形態において、カップリング部材15は、複数の互いに別体の部分からなり、特には2つの互いに別体の部分からなる。図示の具体例では、内歯車カップリング部23と、バネカップリング部24とから形成されている。これらのカップリング部23,24は、互いに引き離し可能な形態に具現されている。内歯車カップリング部23は、機械ハウジング1中に案内されている。ここで、切替スリーブ18に接続された口金リング25が、機械ハウジング1と共軸に取り付けられている。この口金リング25には、複数の通し部26が備えられる。この通し部26内には、バネカップリング部24が配置される。図示の例にて、内歯車カップリング部23は、カップリングピンとして具現されている。これに対し、バネカップリング部24は、球またはボールとして形成されている。なお、構成部材の数を減らすためには、切替スリーブ18と、口金リング25とを一体に設けることができる。

切替スリーブ18は、ダイヤルリング29に、回転不能に接続されている。このダイヤルリング29を通じて、切替スリーブ18を機械ハウジング1に対して回転させることができ、これにより、口金リング25を機械ハウジング1に対して回転させることができる。口金リング25における機械スピンドル2とは逆側の面には、締付リング16が配置されている。締付リング16は、機械スピンドル2とは逆側にて、仕切リング19に突き当てられいる。この仕切リング19により、さらには、ねじ締めバネ17が支持されている。図2及び3から知られるように、ドリリングの位置・姿勢において、口金リング25は、回転可能であり、これにより、内歯車部23がバネカップリング部24から引き離し可能となっている。したがって、言い換えるならば、内歯車カップリング部23は、ドリリングの位置・姿勢において、口金リング25に支持されている。このため、内歯車カップリング部23は、軸方向先端側、すなわち、工具受入部38の側へと動くことはできない。このことから、内歯車13に対する回転不能な拘束・支持が実現されている。この結果、ドリリングの位置・姿勢では、最大のトルクを伝達可能である。というのは、内歯車13の複数のカム部13と、複数のカップリング部材15から形成されるトルクリミッタ・カップリング51が非作動状態となっているからである。

図4〜6には、ドリリング装置及びトルクリミッタ・カップリング51が、ねじ締めの位置・姿勢にある場合を示す。口金リング25は、機械ハウジング1に対して、次のような具合に取り付けられている。すなわち、バネカップリング部24と、これに対応する内歯車カップリング部23とが、中心軸を共通とするように整列されるように取り付けられている。図4〜6によると、バネカップリング部24と、これに対応する内歯車カップリング部23とが、実質上同一の径を有しているので、内歯車カップリング部23は、口金リング25における軸方向通し部26中に入り込むか、または、沈み込むことができる。

図5は、トルクリミッタ・カップリング51を抜き出した要部拡大図であり、この図から知られるように、切替スリーブ18には、仕切リング19の案内部20を案内するための、軸方向案内スリット22と、周方向案内スリット21とが備えられる。これらの案内スリット21,22の中を、案内部20が滑り動き可能となっている。図5からさらに知られるように、ねじ締めの位置・姿勢において、仕切リング19の案内部20は、切替スリーブ18の軸方向案内スリット22と、軸方向から見て合わさるように整列されている。これにより、仕切リング19が軸方向に位置ズレ可能となっている。このような配置構成において、ねじ締めバネ力が、カップリング部材15に加えられており、したがって、内歯車カップリング部23とバネカップリング部24とに加えられている。仕切リング19が軸方向に位置ズレ可能であることから、ねじ締めバネ17と締付バネ16とが、直列に接続された状態となっている。

図示の実施形態において、ねじ締めバネ力を増減させるべく、軸方向に位置シフト可能な圧縮部材28が備えられている。図5の縦断面部分などから知られるように、この圧縮部材28が外面ネジ切部38を備えており、この外面ネジ切部3は、トルク調整スリーブ41における対応する内面ネジ切部40に噛み合っている。トルク調整スリーブ41を回転させると、圧縮部材28が軸方向先端側または軸方向根元側へと滑り動き、バネの組よりなるバネ機構を、圧縮するかまたは引き延ばす。バネ機構を圧縮することにより、トルクリミッタ・カップリング51による駆動伝達を解除するのに必要なトルクが大きくなる。また、バネ機構が圧縮部材28により引き延ばされたならば、駆動伝達を解除するのに必要なトルクが小さくなる。ねじ込みを行う際に、トルクが、予め決められた値を超えたならば、2つの部材により形成されたカップリング部材15は、締付バネ16とねじ締めバネ17との直列の組み合わせによるねじ締めバネ力に逆らって、工具受入部28の側へと引き下げられる。これにより、内歯車13は、機械ハウジング1に対して回転して動くこととなる。図示の実施形態において、締付バネ16は、波状バネ(板状鋼線をらせん状に巻きながら波を加えて得たウェーブスプリング、またはウェーブワッシャーの積層体)として形成され、ねじ締めバネ17は、コイルバネとして形成されている。しかしながら、バネのタイプは置換え可能であり、例えば、皿バネや板バネまたはこれらの積層体で置き換えることができる。また、締付バネ16とねじ締めバネ17とを同種のバネにより設けることもできる。

図7〜9には、ドリリング装置及びトルクリミッタ・カップリング51が、締付の位置・姿勢にある場合を示す。これらの図から知られるように、締め付けの位置・姿勢において、内歯車カップリング部23の中心軸と、バネカップリング部24の中心とが、いずれも、バネ機構をなす2つのバネの共通の中心軸27(図9)に重なるように配置されている。すなわち、共軸となるように整列している。

図8は、トルクリミッタ・カップリング51を抜き出した要部拡大図であり、この図から知られるように、仕切リング19の案内部20は、この場合も、切替スリーブ18の軸方向案内スリット22に対して、軸方向から見て重なるように整列されている。案内部20は、締付の位置・姿勢において、切替スリーブ18の周方向案内スリット20により、軸方向の位置が固定さている。このため、仕切リング19は、軸方向にいずれの方向にもズレ動くことができないようになっている。このことから、ねじ締めバネ17は、非作動の状態となっている。このため、複数のカップリング部材15には、締付バネ16の締付バネ力のみが作用する。予め決められたトルク値を超えたならば、カップリング部材15は、締付バネ16の締付バネ力に逆らって引き下げられる。これにより、内歯車13のカム部14を、カップリング部材15が乗り越えることとなり、機械ハウジング1に対する内歯車13の回転が可能となる。

ダイアルリング29を回すと、図示の実施形態において、ズレ動かしスリーブ32の位置・姿勢がシフトする。このズレ動かしスリーブ32は、常に、すなわち、ドリリング装置がいずれの位置・姿勢にある際にも、締付あご保持体3とのネジ切部同士の噛み合い42がなされている。このズレ動かしスリーブ32は、締付の位置・姿勢において、締付あご保持体3が機械ハウジング1に対して回転するのを防ぐ。このためには、ズレ動かしスリーブ32の位置を、軸方向根元側へと、すなわち、機械スピンドル2の側へとずらして、機械スピンドル1に、回転不能に据え付ける。例えば、機械ハウジング1のネジ切部43にねじ込んで固定する。この場合も、締付あご保持体3とのネジ切部同士の噛み合い42は維持される。ズレ動かしスリーブ32の位置・姿勢について所定のシフトを可能とするためには、ズレ動かしスリーブ32が、その機械スピンドル2の側にて、戻しバネ44によるバネ力を受けている。ドリリングの位置・姿勢及びねじ締めの位置・姿勢において、ズレ動かしスリーブ32は、ドリリングスピンドル8に、回転不能に接続されている。なお、場合により、ネジ切スリーブ5を通じて間接的に、回転不能に接続されている。図示の実施形態においては、この接続のために、スピンドルネジ切部との噛み合い45が行われている。したがって、ドリリングスピンドル8は、ドリリング駆動の際、または、締付駆動の際に、駆動力が、ネジ切スリーブ5へと、また、ズレ動かしスリーブ32を通じて同様に締付あご保持体3へと伝えられる。そのため、ドリルチャックの追い締めが行われて、後の時点で締め付けの解除が難しくなるということが起こりえない。締付の位置・姿勢において、ズレ動かしスリーブ32は、ドリリングスピンドル8並びにネジ切スリーブ5に対して回転可能に取り付けられている。しかしながら、機械スピンドル1に対しては回転不能に取り付けられている。

機械ハウジング1には、さらに、軸方向に延びるように設けられた抜き部(凹部または通孔)が備えられ、この抜き部には、仕切リング19の案内部(特には半径方向に突き出す案内突起)20が軸方向に案内されている。これにより、仕切リング19が回転しないように固定されている。そのため、ダイアルリング29及び切替スリーブ18を回転させた際に、仕切リング19が連れ動かされて回転することがない。

図10に、ダイアルリング29を抜き出した要部拡大図が示されており、この図から知られるように、ダイアルリング29の内壁面33には、切替・調整用ブラケットとして設けられた切替・調整部材31が案内されている。この切替・調整用ブラケットは、ズレ動かしスリーブ32に接続されており、軸方向への切替を行う際に軸方向へと位置シフトを行う。このために、切替・調整部材31は、機械ハウジング1に回転不能に接続されている。この回転不能な接続は、機械スピンドル1中に歯切構造部53が設けられ、切替・調整用ブラケットが歯切構造部53を通って延びることによって実現されている。図10に示されたところによると、切替・調整用カム部52が、ダイアルリング29の内壁面33側から見てとることができる。図示の具体例で、ダイアルリング29に、切替用スロット30が備えられており、切替用スロット30を囲む端面に、軸方向の位置シフトを引き起こすための切替・調整用カム部52が設けられている。この切替・調整用カム部52により、切替・調整用ブラケットが軸方向に動かされる。また、図10には、機械ハウジング歯切部43が示されている。この機械ハウジング歯切部43には、締付モードないし締付の位置・姿勢において、ズレ動かしスリーブ32の対応する歯切部がかみ合う。

以下に、本発明にしたがうドリリング装置並びにトルクリミッタ・カップリング51の作動方式について、図示の実施形態に基づき、一作動態様を説明する。

ドリリングの位置・姿勢において、口金リング25は、機械ハウジング1に次のような具合に取り付けられている。すなわち、内歯車カップリング部23が、口金リング25により、機械スピンドル2とは逆の側から支持される具合に取り付けられている。言い換えると、カップリング部材15は、ドリリングの位置・姿勢において、工具受入部38の側へと動くことができないので、トルクリミッタ・カップリング51による連動解除が所定のトルクで行われることもない。モーターなどの動力源の力は、機械スピンドル2を通じて、太陽歯車10に伝えられる。太陽歯車10は、遊星歯車12を回転させる。これにより、遊星歯車12が内歯車13を伝って転動し、このようにして遊星キャリア12を駆動する。遊星キャリア12は、回転不能にドリリングスピンドル8に接続されているので、ドリリングスピンドル8が遊星キャリア12とともに回転を行う。ドリリングスピンドル8の回転は、ネジ切スリーブ5に伝えられる。ネジ切スリーブ5は、ドリリングの位置・姿勢において、回転不能にずれ動かしスリーブ32に連結されている。そのため、ドリリングスピンドル8の回転は、ネジ切スリーブ5に伝えられ、また同時に、つかみあご保持体3に伝えられる。これにより、締め付けられているドリリング工具が回転する。

ダイアルリング29を回して、締付の位置・姿勢に切り替えることで、例えば、ドリリング工具の代わりに、ドライバービットをつかんで締め付けるようにする。すると、ずれ動かしスリーブ32は、切替・調整部材31により軸方向根元側へと、機械ハウジング1のハウジングネジ切部43との歯切部同士の噛み合わせが行われるまで、ずれ動かされる(図9)。この際、ずれ動かしスリーブ32は、依然として、締付あご保持体3に、回転不能に接続されているが、ネジ切スリーブ5に対しては回転可能である。言い換えるならば、締付あご保持体3は、ずれ動かしスリーブ32により、機械ハウジング1に、回転不能に取り付けられている。

ダイアルリング29を回すことにより、口金リング25が、再度、同様に、機械ハウジング1に対して回転する。このようにして、通し部26に配置されているバネカップリング部材24が、再度、内歯車カップリング部材23に対して、2つのバネに共通の中心軸27に沿って整列される。仕切リング19は、この締付の位置・姿勢にて、軸方向での位置が固定されている(図8)。

機械スピンドル2が、締付を解除する向きに回転させられたならば、駆動力は、太陽歯車10を通じて、遊星歯車11に、そして、遊星キャリア12に伝えられる。遊星キャリア12は、ドリリングスピンドル8について、締付を解除する向きへと駆動する。ドリリングスピンドル8は、ネジ切スリーブ5を駆動し、連れ動かし具4が、ネジ切スリーブ5のネジ切部にねじ込まれる。締付あご保持体3は、回転不能に機械ハウジング1に固定されているからである。

ドリリング工具に対する締付が解除されたならば、直ちに、工具受入部から取り外すことができ、また、切替機構により、動力源が、機械スピンドルを、締付を行う回転方向に駆動する。このとき、ドライバービットが工具受入部38に差し込まれる。これに対応して、ネジ切スリーブ5が、締付を行う回転方向に駆動される。これにより、連れ動かし具4が、ネジ切スリーブ5とのネジ接続から外れ出る。このようにして、ドライバービットの締付を行えるようにする。締付あご7が、ドライバービットに突き当てられたならば、直ちに、ドライバービットに対する締付が行われる。モーターなどの動力源をさらに駆動させると、トルクが上昇する。トルクが、締付バネ16の締付バネ力との相関関係を有する、予め設定された値を超えたならば、内歯車カップリング部23は、バネカップリング部24とともに、締付バネ16の締付バネ力に逆らって、引き下げられる。これにより、内歯車13の先端カム部35を、カップリング部15が乗り越えていくことになる。このようにして、内歯車13が、機械ハウジング1内にて回転するのであり、この場合も、回転うごきは、太陽歯車12からドリリングスピンドル8へと伝えられることがない。

ドライバー工具を工具受入部38中にてつかんで締め付けた後、ダイアルリング29を、ねじ締めの位置・姿勢の回転位置にまで回すことができる。これにより、切替スリーブ18が回転させられて、切替・調整部材31が再び締付あご保持体3とネジ切スリーブ5との間の回転不能の連結を行うようになる。また、切替スリーブ18は、仕切リング19に対して回転され、これにより、再度、仕切リング19の案内部20が、切替スリーブ18の軸方向案内スリット22に、軸方向から見て重なるように整列される(図5)。このねじ締めの位置・姿勢において、締付バネ16とねじ締めバネ17との直列の組み合わせが作動するようになっており、内歯車カップリング部23は、やはり、共通のバネ中心軸27と、中心軸が合わされるように整列され、バネカップリング部24も中心がバネ中心軸27のところに来るように整列される。

動力源からの力の駆動伝達は、ドリリングの作動モードのものとなっている。但し、ねじ締めバネ力に関連したトルクを超えた際、カップリング部材15は、工具受入部38の側へと位置をずらされる。これにより、内歯車13が機械ハウジング1内にて回転する。言い換えると、カップリング部材15は、内歯車13の先端カム部35を乗り越えて滑り動く。このようであることにより、内歯車13の回転は、ドリリングスピンドル8の回転をもはや引き起こさず、ドリリング装置の構成部材についての考え得る損傷が防止される。

なお、ドリルチャックが全体として、衝撃ドリリングの位置・姿勢にて作動を行うことができる。このためには、リベッティング(びょう(鋲)打ち)ヘッド46が備えられる。リベッティングヘッド46は、工具受入部38の側の面に、相応の波状凹凸47が設けられている。このような衝撃ドリリング装置は、公知の方式により構成される。

ドリルチャックは、ネジ切部を通じて機械スピンドル2にねじ合わせることもでき、また、機械スピンドル2と一体をなす形態の解決手段も考え得る。図7には、さらに、掛け止め部材48が示されている。掛け止め部材48は、ユーザーが、ドリルチャックについての所要の各作動モード並びに所要の各位置・姿勢を、確実に選択することができるようにするものである。このようにして、構成部材全体の中での位置・姿勢、すなわち、ダイアルリング29〜切替スリーブ18〜口金リング25により形成される機構の位置・姿勢について、自由に選択することができる。さらに、締付あご保持体3には、これを補強するための締付スリーブ49がねじ合わされて取り付けられている。ここで、締付あご保持体3及び締付スリーブ49には、半径方向通孔50が備えられる。これらの半径方向通孔50により、粉塵や汚染物質をドリルチャックから外部へと排出することができる。

1…機械ハウジング; 2…機械スピンドル; 3…締付あご; 4…連れ動かし具; 5…ネジ切スリーブ; 6…ネジ切部同士の接続; 7…締付あご; 8…ドリリングスピンドル; 9…遊星歯車機構; 10…太陽歯車; 11…遊星歯車; 12…遊星キャリア; 13…内歯車; 14…カム部; 15…カップリング部材; 16…締付バネ; 17…ねじ締めバネ; 18…切替スリーブ; 19…仕切リング; 20…案内部; 21…周方向案内スリット; 22…軸方向案内スリット; 23…内歯車カップリング部; 24…バネカップリング部; 25…口金リング; 26…通し部; 27…2つのバネの共通の中心軸; 28…圧縮部材; 29…ダイアルリング; 30…切替用スロット; 31…切替・調整部材; 32…ズレ動かしスリーブ; 33…内壁面; 34…先端面; 35…先端カム部; 36…遊星軸; 37…転がり軸受け; 38…工具受入部; 39…外面ネジ切部; 40…内面ネジ切部; 41…トルク調整スリーブ; 42…歯切部同士の噛み合わせ; 43…機械ハウジング歯切部; 44…戻しバネ; 45…スピンドル歯切部の噛み合わせ; 46…リベッテイングヘッド; 47…波状凹凸; 48…掛け止め部材; 49…締付スリーブ; 50…半径方向通孔; 51…トルクリミッタ・カップリング; 52…切替・調整用カム部; 53…歯切構造部

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