Underwater detecting device

申请号 JP2108792 申请日 1992-02-06 公开(公告)号 JPH05215852A 公开(公告)日 1993-08-27
申请人 Furuno Electric Co Ltd; 古野電気株式会社; 发明人 NISHIMORI YASUSHI; FUKUOKA ITSUO; YOSHIOKA TAKASHI; HAYASHI TATSUO; KAWAI MASATO;
摘要 PURPOSE:To heighten target identifying capacity by detecting frequency information included in echoes at high speed from phase difference in the wave detection signals of wave input signals based on two ultrasonic wave receiving beams. CONSTITUTION:A wave transmitter 101 transmits ultrasonic detection pulse signals, and two ultrasonic vibrators 1p, 1q of an ultrasonic wave receiver 1 are rotated at constant speed on a horizontal plane while keeping the relation of being separated by a specified angle theta. When an ultrasonic echo arrives from a specific direction, the vibrators 1p, 1q catch this, amplify (2p, 2q) echo signals p(t), q(t) and delay (3) the signal P(t) by the time difference tau part. The signals ptau(t), q(t) are inputted into multipliers 6p1-6q2. On the other hand, reference signals different by 90 deg. in phase are respectively supplied to the multipliers 6p1, 6q1 and 6p2, 6q2 from reference signal generators 4c, 4s. The respective signals through with orthogonal wave detection (5) are inputted into a phase difference detecting circuit 12 so as to obtain the phase angles of the signals p(t), q(t) by computing elements 13, 14, and subtraction (15) is made to compute phase difference DELTApsi and to compute (18) carrier frequency (f) by an expression: f=DELTApsi/(2pitau). The speed information on a target in relation to one' s own ship can be thus found.
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 広範囲から到来する超音波信号を受波すべく、第1の超音波受波ビームを旋回走査させると共に、前記第1の超音波受波ビームに対して常に一定の方位差θの遅れを伴う第2の超音波受波ビームを旋回走査させる超音波受波手段と、前記超音波受波手段における二本の超音波受波ビームに基づく受波信号をそれぞれ検波する検波手段と、超音波受波手段よりの受波信号もしくは検波手段より得られる検波信号に対して、前記方位差θにより時間的にτだけ先行している、第1の超音波受波ビームよりの信号に対してτだけ遅延させるための遅延手段と、両検波信号における位相差を検出する位相差検出手段と、前記位相差検出手段で検出された位相差Δψに基づき、f=Δψ/(2πτ)の式より、受波した超音波信号のキャリア周波数fを算出する算出手段とを具備するキャリア周波数検出回路と;前記キャリア周波数fを、周波数の大きさに応じて色別のデータを読み出す周波数/色変換回路と;前記色別のデータを表示する表示部と;を備えたことを特徴とする水中探知装置。
  • 【請求項2】 広範囲から到来する超音波信号を受波すべく、第1の超音波受波ビームを旋回走査させると共に、前記第1の超音波受波ビームに対して常に一定の方位差θの遅れを伴う第2の超音波受波ビームを旋回走査させる超音波受波手段と、前記超音波受波手段における二本の超音波受波ビームに基づく受波信号をそれぞれ検波する検波手段と、超音波受波手段よりの受波信号もしくは検波手段より得られる検波信号に対して、前記方位差θにより時間的にτだけ先行している、第1の超音波受波ビームよりの信号に対してτだけ遅延させるための遅延手段と、両検波信号における位相差を検出する位相差検出手段と、前記位相差検出手段で検出された位相差Δψに基づき、f=Δψ/(2πτ)の式より、受波した超音波信号のキャリア周波数fを算出する算出手段とを具備するキャリア周波数検出回路と;前記キャリア周波数検出回路よりのキャリア周波数fから該周波数のばらつきを表す分散データを求める分散検出回路と;分散データの大きさに応じて色別のデータを読み出す分散/色変換回路と;前記色別のデータを表示する表示部と;を備えたことを特徴とする水中探知装置。
  • 【請求項3】 請求項1記載の水中探知装置に、請求項2記載の分散検出手段と、検出したキャリア周波数fおよび分散データの値に対じて色別のデータを読み出す周波数・分散/色変換回路とを備えたことを特徴とする水中探知装置。
  • 【請求項4】 広範囲から到来する超音波信号を受波すべく、第1の超音波受波ビームを旋回走査させると共に、前記第1の超音波受波ビームに対して常に一定の方位差θの遅れを伴う第2の超音波受波ビームを旋回走査させる超音波受波手段と、前記超音波受波手段における二本の超音波受波ビームに基づく受波信号をそれぞれ検波する検波手段と、超音波受波手段よりの受波信号もしくは検波手段より得られる検波信号に対して、前記方位差θにより時間的にτだけ先行している、第1の超音波受波ビームよりの信号に対してτだけ遅延させるための遅延手段と、両検波信号における位相差を検出する位相差検出手段と、前記位相差検出手段で検出された位相差Δψに基づき、f=Δψ/(2πτ)の式より、受波した超音波信号のキャリア周波数fを算出する算出手段とを具備するキャリア周波数検出回路と;前記検波手段よりの検波信号から得られる振幅データに対し、所望の帯域内の振幅データのみを選択し、選択した振幅データの大きさに応じて色別のデータを読み出すフィルタ・振幅/
    色変換回路と;前記色別のデータを表示する表示部と;
    を備えたことを特徴とする水中探知装置。
  • 【請求項5】 各色変換回路における色別データへの変換の際に、入力データの振幅情報を参照し、一定の振幅レベルを上回る入力データのみ変換対象とした請求項1
    ないし4のいずれかに記載の水中探知装置。
  • 【請求項6】 請求項1記載の水中探知装置に、キャリア周波数検出回路よりのキャリア周波数fを記憶する記憶手段と;表示部に対して所望を領域を指定するための指示部と;前記指示部で指定した領域に対応するキャリア周波数fのデータを前記記憶手段から読み出すデータ読出し手段と;前記データ読出し手段から読み出したキャリア周波数fのデータから周波数分布を検出してヒストグラムを作成するfヒストグラム演算部と;作成したヒストグラムを表示する表示部と;を備えたことを特徴とする水中探知装置。
  • 【請求項7】 請求項1ないし請求項5の各装置による少なくとも二つの表示画像を一台の表示部に並べて表示することを特徴とする水中探知装置。
  • 【請求項8】 広範囲から到来する超音波信号を受波すべく、第1の超音波受波ビームを旋回走査させると共に、前記第1の超音波受波ビームに対して常に一定の方位差θの遅れを伴う第2の超音波受波ビームを旋回走査させる超音波受波手段と、前記超音波受波手段における二本の超音波受波ビームに基づく受波信号をそれぞれ検波する検波手段と、超音波受波手段よりの受波信号もしくは検波手段より得られる検波信号に対して、前記方位差θにより時間的にτだけ先行している、第1の超音波受波ビームよりの信号に対してτだけ遅延させるための遅延手段と、両検波信号における位相差を検出する位相差検出手段と、前記位相差検出手段で検出された位相差Δψに基づき、f=Δψ/(2πτ)の式より、受波した超音波信号のキャリア周波数fを算出する算出手段とを具備するキャリア周波数検出回路と;前記キャリア周波数検出回路よりのキャリア周波数fから対地船速に起因する周波数f 1を減じることにより、ターゲット自身の対地速度を示すキャリア周波数feを得る対地船速補正回路と;を備えたことを特徴とする水中探知装置。
  • 【請求項9】 広範囲から到来する超音波信号を受波すべく、第1の超音波受波ビームを旋回走査させると共に、前記第1の超音波受波ビームに対して常に一定の方位差θの遅れを伴う第2の超音波受波ビームを旋回走査させる超音波受波手段と、前記超音波受波手段における二本の超音波受波ビームに基づく受波信号をそれぞれ検波する検波手段と、超音波受波手段よりの受波信号もしくは検波手段より得られる検波信号に対して、前記方位差θにより時間的にτだけ先行している、第1の超音波受波ビームよりの信号に対してτだけ遅延させるための遅延手段と、両検波信号における位相差を検出する位相差検出手段と、前記位相差検出手段で検出された位相差Δψに基づき、f=Δψ/(2πτ)の式より、受波した超音波信号のキャリア周波数fを算出する算出手段とを具備するキャリア周波数検出回路と;前記キャリア周波数検出回路よりのキャリア周波数fから対水船速に起因する周波数f 2を減じることにより、ターゲット自身の対水速度を示すキャリア周波数fwを得る対水船速補正回路と;を備えたことを特徴とする水中探知装置。
  • 【請求項10】 対地船速に起因する周波数f 1は、航法装置等の外部装置より得た対地速度に相当するドップラー周波数から方位毎の成分に分解して得たものである請求項8記載の水中探知装置。
  • 【請求項11】 対水船速に起因する周波数f 2は、潮流計等の外部装置より得た対水速度に相当するドップラー周波数から方位毎の成分に分解して得たものである請求項9記載の水中探知装置。
  • 【請求項12】 対地船速に起因する周波数f 1は、上記キャリア周波数検出回路より出力されるキャリア周波数fをフレームメモリに記憶させ、該フレームメモリから所定の読み出し領域を指定し、かつ該領域から所定のアドレス順に読み出すことにより、方位別に読み出して得たものである請求項8記載の水中探知装置。
  • 【請求項13】 上記キャリア周波数検出回路より出力されるキャリア周波数fをフレームメモリに記憶させ、
    該フレームメモリから所定の読み出し領域を指定し、かつ該領域から所定のアドレス順に読み出すことにより、
    対地船速に起因する周波数f 1を、方位別に読み出し、
    この読み出したデータから一つのcos曲線を推定し、該c
    os曲線から改めて方位別に読み出したものである請求項8記載の水中探知装置。
  • 【請求項14】 対地船速に起因する周波数f 1でもって、フレームメモリ内に格納されたキャリア周波数fのデータを補正する請求項12または13記載の水中探知装置。
  • 【請求項15】 対地船速に起因する周波数f 1でもって、キャリア周波数検出回路より出力されるキャリア周波数fを補正する請求項12または13記載の水中探知装置。
  • 【請求項16】 対水船速に起因する周波数f 2は、上記キャリア周波数検出回路より出力されるキャリア周波数fをフレームメモリに記憶させ、該フレームメモリから所定の読み出し領域を指定し、かつ該領域から所定のアドレス順に読み読み出すことにより、方位別に読み出して得たものである請求項9記載の水中探知装置。
  • 【請求項17】 上記キャリア周波数検出回路より出力されるキャリア周波数fをフレームメモリに記憶させ、
    該フレームメモリから所定の読み出し領域を指定し、かつ該領域から所定のアドレス順に読み出すことにより、
    対水船速に起因する周波数f 2を方位別に読み出し、この読み出したデータから一つのcos曲線を推定し、該cos
    曲線から改めて方位別に読み出したものである請求項9
    記載の水中探知装置。
  • 【請求項18】 対水船速に起因する周波数f 2でもって、フレームメモリ内に格納されたキャリア周波数fのデータを補正する請求項16または17記載の水中探知装置。
  • 【請求項19】 対水船速に起因する周波数f 2でもって、キャリア周波数検出回路より出力されるキャリア周波数fを補正する請求項16または17記載の水中探知装置。
  • 【請求項20】 上記のターゲット自身の対地速度もしくは対水速度を示すキャリア周波数feもしくはfwを、
    周波数の大きさに応じて色別のデータを読み出す周波数/色変換回路と;前記色データを表示する表示部と;を備えた請求項8ないし19のいずれかに記載の水中探知装置。
  • 【請求項21】 上記のターゲットの補正した対地速度もしくは対水速度にを示すキャリア周波数feもしくはfwを、周波数の大きさかつ、送波周波数より高いか低いかに応じて固有の色データを読み出す周波数/色変換回路と;前記色データを表示する表示部と;を備えた請求項8ないし19のいずれかに記載の水中探知装置。
  • 【請求項22】 上記色データは、キャリア周波数fe
    もしくはfwが送波時の周波数より高いか低いかに応じて例えば複数色を寒色系と暖色系とに分類し、寒色系と暖色系とに対してキャリア周波数feもしくはfwの大きさに応じて各色を設定した請求項21記載の水中探知装置。
  • 【請求項23】 上記のターゲットの補正した対地速度もしくは対水速度を示すキャリア周波数feもしくはfw
    eから該周波数のばらつきを表す分散データを求める分散検出手段を更に備えた請求項8ないし19のいずれかに記載の水中探知装置。
  • 【請求項24】 分散データの大きさに応じて色別のデータを読み出す分散/色変換回路と;前記色データを表示する表示部と;を更に備えた請求項23記載の水中探知装置。
  • 【請求項25】 請求項23記載の水中探知装置に、補正したキャリア周波数feもしくはfwと分散データとの値に応じて色別のデータを読み出す周波数・分散/色変換回路を更に備えたことを特徴とする水中探知装置。
  • 【請求項26】 請求項8もしくは9記載の水中探知装置に、検波手段よりの検波信号から得られる振幅データに対して、所望の帯域内の振幅データをのみ選択し、選択した振幅データの大きさに応じて色別のデータを読み出すフィルタ・振幅/色変換回路と;前記色別のデータを表示する表示部と;備えたことを特徴とする水中探知装置。
  • 【請求項27】 各色変換回路における色別データへの変換の際に、入力データの振幅情報を参照し、一定の振幅レベルを上回る入力データのみ変換対象とした請求項20ないし25のいずれかに記載の水中探知装置。
  • 【請求項28】 請求項20記載の水中探知装置に、ターゲットの補正した対地速度もしくは対水速度を示すキャリア周波数feもしくはfwを記憶する記憶手段と;表示部に対して所望を領域を指定するための指示部と;前記指示部で指定した領域に対応するキャリア周波数のデータを前記記憶手段から読み出すデータ読出し手段と;
    前記データ読出し手段から読み出したキャリア周波数のデータから周波数分布を検出してヒストグラムを作成するfヒストグラム演算部と;作成したヒストグラムを表示する表示部と;を備えたことを特徴とする水中探知装置。
  • 【請求項29】 請求項20ないし28の各装置による少なくとも二つの表示画像を一台の表示部に並べて表示することを特徴とする水中探知装置。
  • 【請求項30】 上記の各色変換回路は、各入力データの値に対応して色データを格納したROMである請求項1ないし4、20ないし22、24ないし26のいずれかに記載の水中探知装置。
  • 【請求項31】 請求項1記載のキャリア周波数検出回路と;キャリア周波数検出回路で検出したキャリア周波数に含まれるドップラー周波数偏移を検出する検出手段と;観測点Oを原点とした直交座標P(x,y,z)にてターゲットがO点に対して速度 0 (X 0 ,Y 0 ,Z 0 )で移動している時、検出した前記ドップラー周波数偏移に基づき、OP方向の距離rにおけるターゲットの速度成分v
    を求め、前記Pの座標(x,y,z)およびV 0の各成分(X
    0 ,Y 0 ,Z 0 )をそれぞれ極座標のパラメータ[r、α、
    β]および[V 0 、A 0 、B 0 ]を用いて表し、v=f
    (r、α、β、V 0 、A 0 、B 0 )の関係式を立て、更にターゲットと同じ速度 0で移動しているターゲットについて他の方向への複数の受波ビームにより、前式と同様な関係式を立て、これらの複数の関係式から前記P点でのターゲットの速度パラメータV 0 、A 0 、B 0を最小2
    乗法により推定する、速度ベクトル演算回路と;を備えたことを特徴とする水中探知装置。
  • 【請求項32】 設定される任意の領域毎に潮流もしくは魚群の移動方向を、上記速度ベクトルに基づき矢印記号等にて表示する請求項31記載の水中探知装置。
  • 【請求項33】 広範囲方向へ超音波信号を発射する送信手段と、前記広範囲方向の各方向から帰来する超音波エコー信号を受信する受信手段と、前記超音波エコー信号に含まれるドップラー周波数偏移を検出する検出手段とと、観測点Oを原点とした直交座標P(x,y,z)にてターゲットがO点に対して速度 0 (X 0 ,Y 0 ,Z 0 )で移動している時、検出した前記ドップラー周波数偏移に基づき、OP方向の距離rにおけるターゲットの速度成分v
    を求め、v=( OP0 )の関係式を立て、更にターゲットと同じ速度 0で移動しているターゲットについて他の方向への複数の受波ビームにより、前式と同様な関係式を立て、これらの複数の関係式から前記P点でのターゲットの速度 0を最小2乗法により推定する、速度ベクトル演算回路と、を備えたことを特徴とする水中探知装置。
  • 【請求項34】 P点および速度 0を極座標で表すことを特徴とする請求項33記載の水中探知装置。
  • 【請求項35】 P点および速度 0を直交座標で表すことを特徴とする請求項33記載の水中探知装置。
  • 【請求項36】 設定される任意の領域毎に潮流もしくは魚群の移動方向と速度の大きさを速度ベクトルに基づき表示する請求項33記載の水中探知装置。
  • 【請求項37】 上記超音波受波手段は、一対の超音波振動子を機械的に旋回させるものである請求項1ないし30のいずれかに記載の水中探知装置。
  • 【請求項38】 上記超音波受波手段は、円上に配列した複数個の超音波振動子から隣接する所定数の超音波振動子を、電気的な切り換えにより、順次シフトさせつつ選択し、選択した所定数の超音波振動子よりの受波信号を位相合成することにより、第1の超音波受波ビームを作成し、該第1の超音波振動子と方位差θだけずれている第2の超音波受波ビームを同様にして作成するものである請求項1ないし30のいずかに記載の水中探知装置。
  • 【請求項39】 上記超音波受波手段は、直線上に配列した複数個の超音波振動子から隣接する所定数の超音波振動子を、電気的な切り換えにより、順次シフトさせつつ選択し、選択した所定数の超音波振動子よりの受波信号を位相合成することにより、第1の超音波受波ビームを作成し、該第1の超音波振動子と方位差θだけずれている第2の超音波受波ビームを同様にして作成するものである請求項1ないし30のいずかに記載の水中探知装置。
  • 【請求項40】 上記キャリア周波数検出回路において、第1の超音波受波ビームおよび第2の超音波受波ビームを旋回走査させるための走査手段は、全周走査から扇形走査に切り換え可能であり、この切り換えにより、
    サンプリングレートを上げて分解能を高める請求項1ないし30、32のいずれかに記載の水中探知装置。
  • 【請求項41】 上記のキャリア周波数検出回路において、第1の超音波受波ビームと第2の超音波受波ビームを、方位差(2π−θ)を有するビームとして捕え、方位差(2π−θ)により時間的にτ 2だけ先行している一方の超音波受波ビームよりの受波信号に対してτ 2だけ遅延させるための第2の遅延手段と、第2の遅延手段より出力される受波信号と、他方の超音波ビームよりの受波信号との位相差Δψ'を検出する第2の位相差検出回と、この位相差Δψ'からキャリア周波数f 2 =Δψ'/
    (2πτ 2 )を求め、上記の位相差Δψから求めたキャリア周波数fと、前記キャリア周波数f 2とで合致するキャリア周波数を真のキャリア周波数として出力する周波数算出手段とを備える請求項1ないし30、32のいずれかに記載の水中探知装置。
  • 【請求項42】 上記のキャリア周波数検出回路において、第1の超音波受波ビームと第2の超音波受波ビームを、方位差(2π+θ)を有するビームとして捕え、方位差(2π+θ)により時間的にτ 3だけ先行している一方の超音波受波ビームよりの受波信号に対してτ 3だけ遅延させるための第2の遅延手段と、第2の遅延手段より出力される受波信号と、他方の超音波ビームよりの受波信号との位相差Δψ'を検出する第2の位相差検出回と、この位相差Δψ'からキャリア周波数f 2 =Δψ'/
    (2πτ 3 )を求め、上記の位相差Δψから求めたキャリア周波数fと、前記キャリア周波数f 2とで合致するキャリア周波数を真のキャリア周波数として出力する周波数算出手段とを備える請求項1ないし30、32のいずれかに記載の水中探知装置。
  • 【請求項43】 上記のキャリア周波数検出回路において、第1の超音波受波ビーム又は第2の超音波受波ビームに対して、1旋回後の超音波受波ビームを検出することにより、方位差2πを有する二つの超音波受波ビームとして捕え、方位差2πにより時間的にτ 4だけ先行している一方の超音波受波ビームよりの受波信号に対してτ 4だけ遅延させるための第2の遅延手段と、第2の遅延手段より出力される受波信号と、他方の超音波ビームよりの受波信号との位相差Δψ'を検出する第2の位相差検出回と、この位相差Δψ'からキャリア周波数f 2
    Δψ'/(2πτ 4 )を求め、上記の位相差Δψから求めたキャリア周波数fと、前記キャリア周波数f 2とで合致するキャリア周波数を真のキャリア周波数として出力する周波数算出手段とを備える請求項1ないし30、32
    のいずれかに記載の水中探知装置。
  • 【請求項44】 広範囲方向へ超音波信号を発射する送信手段と、 前記広範囲方向の各方向から帰来する超音波エコー信号を受信する受信手段と、 受信された超音波エコー信号のキャリア周波数(又はキャリア角周波数)を検出する周波数検出手段と、 前記キャリア周波数(又はキャリア角周波数)をドップラー周波数偏位(又はドップラー角周波数偏位)に変換する周波数変換手段と、 該周波数変換手段から送出されたドップラー周波数偏位
    (又はドップラー角周波数偏位)のばらつきを表わす分散データを求める分散検出手段と、 分散データの大きさに応じて色別のデータを発生する分散/色変換手段と、 前記色別のデータを表示する表示器とを備えたことを特徴とする水中探知装置。
  • 【請求項45】 広範囲方向へ超音波信号を発射する送信手段と、 前記広範囲方向の各方向から帰来する超音波エコー信号を受信する受信手段と、 受信された超音波エコー信号のキャリア周波数(又はキャリア角周波数)を検出する周波数検出手段と、 該周波数検出手段で検出されたキャリア周波数(又はキャリア角周波数)のばらつきを表わす分散データを求める分散検出手段と、 分散データの大きさに応じて色別のデータを発生する分散/色変換手段と、 前記色別のデータを表示する表示器と、 を備えたことを特徴とする水中探知装置。
  • 【請求項46】 広範囲方向へ超音波信号を発射する送信手段と、 前記広範囲方向の各方向から帰来する超音波エコー信号を受信する受信手段と、 受信された超音波エコー信号のキャリア周波数(又はキャリア角周波数)を検出する周波数検出手段と、 前記キャリア周波数(又はキャリア角周波数)をドップラー周波数偏位(又はドップラー角周波数偏位)に変換する周波数変換手段と、 受信された超音波エコー信号を検波する検波手段と、 該検波手段が送出する検波信号から得られる振幅データの内前記ドップラー周波数偏位(又はドップラー角周波数偏位)が所望の周波数帯域内の振幅データのみを選択する選択手段と、 該選択手段が選択した振幅データの大きさに応じて所定色の色信号を発生する振幅/色変換手段と、 前記色信号を表示する表示器とを備えたことを特徴とする水中探知装置。
  • 【請求項47】 広範囲方向へ超音波信号を発射する送信手段と、 前記広範囲方向の各方向から帰来する超音波エコー信号を受信する受信手段と、 受信された超音波エコー信号のキャリア周波数(又はキャリア角周波数)を検出する周波数検出手段と、 受信された超音波エコー信号を検波する検波手段と、 該検波手段が送出する検波信号から得られる振幅データの内前記キャリア周波数(又はキャリア角周波数)が所望の周波数帯域内の振幅データのみを選択する選択手段と、 該選択手段が選択した振幅データの大きさに応じて所定色の色信号を発生する振幅/色変換手段と、 前記色信号を表示する表示器とを備えたことを特徴とする水中探知装置。
  • 【請求項48】 広範囲方向へ超音波信号を発射する送信手段と、 前記広範囲方向の各方向から帰来する超音波エコー信号を受信する受信手段と、 受信された超音波エコー信号のキャリア周波数fを検出するキャリア周波数検出手段と、 該搬送周波数検出手段から送出されるキャリア周波数f
    を記憶する記憶手段と、 表示器と、 該表示器の表示面上における所望の領域を指定する指定手段と、 該指定手段で指定した領域に対応するキャリア周波数f
    のデータを前記記憶手段から読み出すデータ読み出し手段と、 該データ読み出し手段から読み出したキャリア周波数f
    のデータから周波数分布を検出してヒストグラムを作成するヒストグラム演算部と、 前記表示器に前記作成したヒストグラムを表示する表示手段とを具備することを特徴とする水中探知装置。
  • 【請求項49】 広範囲方向へ超音波信号を発射する送信手段と、 前記広範囲方向の各方向から帰来する超音波エコー信号を受信する受信手段と、 受信された超音波エコー信号のキャリア周波数fを検出するキャリア周波数検出手段と、 前記キャリア周波数検出手段により送出されるキャリア周波数fから対地船速に起因する周波数f 1を減じることにより、ターゲット自身の対地速度を示す周波数fe
    を得る対地船速補正手段とを具備することを特徴とする水中探知装置。
  • 【請求項50】 広範囲方向へ超音波信号を発射する送信手段と、 前記広範囲方向の各方向から帰来する超音波エコー信号を受信する受信手段と、 受信された超音波エコー信号のキャリア周波数fを検出するキャリア周波数検出手段と、 前記キャリア周波数検出手段により送出されるキャリア周波数fから対水船速に起因する周波数f 2を減じることにより、ターゲット自身の対水速度を示す周波数fw
    を得る対水船速補正手段とを具備することを特徴とする水中探知装置。
  • 【請求項51】 対地船速に起因する周波数f 1は、航法装置より得た対地速度に相当する周波数から方位毎の成分に分解して得たものである請求項43記載の水中探知装置。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【産業上の利用分野】この発明は、広範囲方向の探査領域から到来する超音波信号の搬送周波数(周波数を含む)を検出することができる中探知装置に関し、例えば検出した搬送周波数に基づき、ターゲットをその移動速度に応じた色にてカラー表示可能とした装置に関する。

    【0002】

    【従来の技術】検出したエコーをそのレベル情報でもって表示する従来のソナーの欠点としては、 1. 飽和現象により相対強度情報が失われる、 2. 弱信号が強信号にマスクされてしまい識別不能となる、 3. 同レベルの信号からは何も識別できない、 等があげられる。 このような欠点を克服するために、広ダイナミック化、AGC機能の装備、新規な信号処理等の多くの改善がなされているが、レベル情報だけでは、
    3項のレベル差が生じない信号の処理に対しては改善の術もない。

    【0003】ところで、魚群が遊泳しておれば、魚群から反射される超音波エコーは、ドップラー効果により周波数偏移(ドップラーシフト)を受けている。 ソナーの高速走査性(リアルタイム処理)、広範囲探索、方位距離分解能を損なうことなく、このドップラーシフトによる周波数(位相)情報を検出できれば、海底のような固定物体からの超音波エコーと識別することができ、また、魚群の移動速度の大小等の判別ができ、ターゲットの識別能を格段に高めることができる。 そのために、従来の水中探知装置には、ドップラーシフト量を検出するようにしたものが提供されている(例えば特開昭57−299
    75号参照)。

    【0004】

    【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の装置は、特定の一方向から到来する超音波エコーのドップラーシフト量を検出することができるだけであり、全方位から到来する超音波エコーのドップラーシフト量を高速で検出することはできないために、周波数情報に基づき速度を表示するようにしたソナーは未だ実用化されておらず、従来より、魚群の移動速度の大小等の情報を広範囲にかつリアルタイムで測定できる装置の開発が望まれていた。 本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、エコーに含まれる周波数情報を高速で検出し、この周波数情報を表示することによりターゲットの識別能力を高めた水中探知装置を提供することを目的とする。

    【0005】

    【課題を解決するための手段及び作用】本発明の請求項1記載の水中探知装置は、広範囲から到来する超音波信号を受波すべく、第1の超音波受波ビームを旋回走査させると共に、前記第1の超音波受波ビームに対して常に一定の方位差θの遅れを伴う第2の超音波受波ビームを旋回走査させる超音波受波手段と、前記超音波受波手段における二本の超音波受波ビームに基づく受波信号をそれぞれ検波する検波手段と、超音波受波手段よりの受波信号もしくは検波手段より得られる検波信号に対して、
    前記方位差θにより時間的にτだけ先行している、第1
    の超音波受波ビームよりの信号に対してτだけ遅延させるための遅延手段と、両検波信号における位相差を検出する位相差検出手段と、前記位相差検出手段で検出された位相差Δψに基づき、f=Δψ/(2πτ)の式より、
    受波した超音波信号のキャリア周波数fを算出する算出手段とを具備するキャリア周波数検出回路と;前記キャリア周波数fを、周波数の大きさに応じて色別のデータを読み出す周波数/色変換回路と;前記色別のデータを表示する表示部と;を備えたことを特徴とする。

    【0006】請求項1記載の水中探知装置によれば、キャリア周波数検出回路において、第1の超音波受波ビームを旋回走査させると共に、これに追随するように、常に一定の方位差θの遅れを伴う第2の超音波受波ビームを旋回走査させ、方位差θにより時間的にτだけ先行している、第1の超音波受波ビームよりの信号に対してτ
    だけ遅延させて両超音波受波ビームよりの両信号間で時間的な遅れをなくし、この後、両信号間の位相差Δψが位相差検出手段により検出され、検出した位相差Δψに基づき、f=Δψ/(2πτ)の式より、受波した超音波信号のキャリア周波数fが算出される。 このキャリア周波数検出回路の原理および実際の回路例については本明細書の発明の詳細な説明中の段落番号0056ないし0
    102に詳細に説明している。 このキャリア周波数には、超音波信号の発振源であるターゲットと自船間の相対的な速度に伴うドップラー周波数が含まれる。 従ってこのキャリア周波数fの大きさから自船に対するターゲットの速度情報を知ることができ、そのためにキャリア周波数fに対応する色データが、周波数/色変換回路から読み出され、表示部に速度画として表示される。

    【0007】請求項2記載の水中探知装置は、請求項1
    記載のキャリア周波数検出回路に、前記キャリア周波数検出回路よりのキャリア周波数fから該周波数のばらつきを表す分散データを求める分散検出回路と;分散データの大きさに応じて色別のデータを読み出す分散/色変換回路と;前記色別のデータを表示する表示部と;を備えたことを特徴とする。

    【0008】請求項2記載の水中探知装置によれば、キャリア周波数検出回路にて検出されたキャリア周波数から周波数(速度)のばらつきである分散が求められ、表示部に魚種の識別に有用となる分散画として表示される。

    【0009】請求項3記載の水中探知装置は、請求項1
    記載の水中探知装置に、請求項2にある分散検出手段と;検出したキャリア周波数fおよび分散データの値に対じて固有の色データを読み出す周波数・分散/色変換回路と;を備えたことを特徴とする。

    【0010】請求項3記載の水中探知装置によれば、検出したキャリア周波数fおよび分散データの値に対じて1つの色データが周波数・分散/色変換回路から読み出され、表示部に表示されるので、その表示色から速度の大きさ(キャリア周波数による)および速度のばらつき
    (分散による)を知ることができる。

    【0011】請求項4記載の水中探知装置は、請求項1
    にあるキャリア周波数検出回路に、検波手段よりの検波信号から得られる振幅データに対し、所望の帯域内の振幅データのみを選択し、選択した振幅データの大きさに応じて色別のデータを読み出すフィルタ・振幅/色変換回路と;前記色別のデータを表示する表示部と;を備えたことを特徴とする。

    【0012】請求項4記載の水中探知装置によれば、フィルタ・振幅/色変換回路のフィルタ機能により、所望の帯域のみの色変換が可能であり、所望の帯域としては、例えばキャリア周波数fを参照して、設定した帯域内にある振幅データaのみを色変換することにより、他の周波数帯域の信号からの干渉を排除したり、あるいは、所定の周波数(速度)を上回る信号のみを色変換することにより、動体と静止物体との判別が可能となり、例えば表示部から海底または海面の像を除去することができる。

    【0013】以上の水中探知装置における各色変換回路における色別データへの変換の際には、請求項5に記したように、入力データの振幅情報を参照し、一定の振幅レベルを上回る入力データのみ変換対象とすれば、ノイズ等の低レベル信号を表示から除くことができる。

    【0014】請求項6記載の水中探知装置は、請求項1
    記載の水中探知装置に、キャリア周波数検出回路よりのキャリア周波数fを記憶する記憶手段と;表示部に対して所望を領域を指定するための指示部と;前記指示部で指定した領域に対応するキャリア周波数fのデータを前記記憶手段から読み出すデータ読出し手段と;前記データ読出し手段から読み出したキャリア周波数fのデータから周波数分布を検出してヒストグラムを作成するfヒストグラム演算部と;作成したヒストグラムを表示する表示部と;を備えたことを特徴とする。

    【0015】請求項6記載の水中探知装置によれば、表示部に表示されたレベル画(振幅情報を色別表示したもの)や前述の速度画に対して対象とするターゲットの領域を指定することにより、その領域内の検出されたキャリア周波数fから周波数分布が検出され、周波数の分布を示すヒストグラムが前記表示部の所定部に表示される。

    【0016】請求項7に記載したように、以上の速度画や分散画を、1つの表示部の例えば上下に並べて表示すれば、両者の表示を参照することにより、ターゲットに対する識別能力を更に高めることができる。

    【0017】請求項8記載の水中探知装置は、請求項1
    記載のキャリア周波数検出回路に、前記キャリア周波数検出回路よりのキャリア周波数fから対地船速に起因する周波数f 1を減じることにより、ターゲット自身の対地速度を示すキャリア周波数feを得る対地船速補正回路と;を備えたことを特徴とする。

    【0018】請求項8記載の水中探知装置によれば、キャリア周波数検出回路よりの、自船に対するターゲットのキャリア周波数fから、自船の対地船速に対応する
    (ドップラー)周波数f 1を減じることにより、ターゲット自身の対地速度を示すキャリア周波数feが得られる。

    【0019】請求項9記載の水中探知装置は、請求項1
    記載のキャリア周波数検出回路に、前記キャリア周波数検出回路よりのキャリア周波数fから対水船速に起因する周波数f 2を減じることにより、ターゲット自身の対水速度を示すキャリア周波数fwを得る対水船速補正回路と;を備えたことを特徴とする。

    【0020】請求項9記載の水中探知装置によれば、キャリア周波数検出回路よりの、自船に対するターゲットのキャリア周波数fから、自船の対水船速に起因する
    (ドップラー)周波数f 2を減じることにより、ターゲット自身の対水速度を示すキャリア周波数fwが得られる。

    【0021】請求項10に記載されるように、対地船速に起因する周波数f 1は、航法装置等の外部装置より対地速度を得て、その対地速度に相当するドップラー周波数から方位毎の成分に分解して求めることができる。

    【0022】又、請求項11に記載されるように、対水船速に起因する周波数f 2は、潮流計等の外部装置より対水速度を得て、その対水速度に相当するドップラー周波数から方位毎の成分に分解して求めることができる。

    【0023】又、請求項12に記載されるように、対地船速に起因する周波数f 1は、上記キャリア周波数検出回路より出力されるキャリア周波数fをフレームメモリに一旦、記憶させ、そのフレームメモリから所定の読み出し領域を指定し、かつ該領域から所定のアドレス順に読み出すことにより、方位別に読み出して得たものである。

    【0024】又、請求項13に記載されるように、対地船速に起因する周波数f 1は、請求項12記載の方法により方位別に読み出し、読み出したデータから、方位を横軸にした一つのcos曲線を推定し、推定したcos曲線から改めて方位別に読み出したものである。

    【0025】請求項14で記載されるように、対地船速に対応する周波数f 1でもって、キャリア周波数fを補正する際、フレームメモリ内に格納された1送波分のキャリア周波数fのデータを一括して補正することができる。

    【0026】また、請求項15で記載されるように、対地船速に起因する周波数f 1でもって、キャリア周波数fを補正する際、キャリア周波数検出回路より逐一出力されるキャリア周波数fをリアルタイムで補正することができる。

    【0027】請求項16で記載されるように、請求項1
    2での読み出しと同様に、対水船速に起因する周波数f
    2は、上記キャリア周波数検出回路より出力されるキャリア周波数fをフレームメモリに一旦、記憶させ、そのフレームメモリから所定の読み出し領域を指定し、かつ該領域から所定のアドレス順に読み出すことにより、
    を、方位別に読み出して得たものである。

    【0028】又、請求項17に記載されるように、対水船速に起因する周波数f 2は、請求項13での読み出しと同様に、方位別に読み出したデータから、方位を横軸にした一つのcos曲線を推定し、推定したcos曲線から改めて方位別に読み出したものである。

    【0029】請求項18で記載されるように、対水船速に起因する周波数f 2でもって、キャリア周波数fを補正する際、請求項14と同様に、フレームメモリ内に格納された1送波分のキャリア周波数fのデータを一括して補正することができる。

    【0030】また、請求項19で記載されるように、対水船速に起因する周波数f 2でもって、キャリア周波数fを補正する際、請求項15と同様に、キャリア周波数検出回路より逐一出力されるキャリア周波数fをリアルタイムで補正することができる。

    【0031】請求項20の水中探知装置は、請求項8ないし19のいずれかに記載の水中探知装置に、上記ターゲット自身の対地速度もしくは対水速度を示すキャリア周波数feもしくはfwを、周波数の大きさに応じて色別のデータを読み出す周波数/色変換回路と;前記色データを表示する表示部と;を備えたことを特徴とする。

    【0032】請求項20記載の水中探知装置によれば、
    ターゲット自身の対地速度もしくは対水速度を示すキャリア周波数feもしくはfwが、周波数の大きさに応じた色でもって速度画が表示される。

    【0033】請求項21の水中探知装置は、請求項8ないし19のいずれかに記載の水中探知装置に、上記ターゲット自身の対地速度もしくは対水速度を示すキャリア周波数feもしくはfwを、周波数の大きさかつ、その正負に応じて色別のデータを読み出す周波数/色変換回路と;前記色データを表示する表示部と;を備えたことを特徴とする。

    【0034】請求項21記載の水中探知装置によれば、
    ターゲット自身の対地速度もしくは対水速度を示すキャリア周波数feもしくはfwが、周波数の大きさおよび、
    送波周波数より高いか低いかに応じて1つの色が読み出されて速度画が表示されるので、この速度画からは、ターゲットの対地速度もしくは対水速度の大きさと、その移動方向とを知ることができる。

    【0035】請求項22に記載されるように、請求項2
    1における色データは、キャリア周波数feもしくはfw
    が送波周波数より高いか低いかに応じて例えば複数色を寒色系と暖色系とに分類し、寒色系と暖色系とに対してキャリア周波数feもしくはfwの大きさに応じて各色を設定すれば、1つの表示色から速度の大きさとその方向を知ることができる。

    【0036】請求項23記載の水中探知装置は、請求項8ないし19のいずれかに記載の水中探知装置に、上記ターゲットの補正した対地速度もしくは対水速度に係わるキャリア周波数feもしくはfweから該周波数のばらつきを表す分散データを求める分散検出手段を更に備えたものである。

    【0037】請求項24記載の水中探知装置は、請求項23記載の水中探知装置に、分散データの大きさに応じて色別のデータを読み出す分散/色変換回路と;前記色データを表示する表示部と;を更に備えたものである。

    【0038】請求項24記載の水中探知装置によれば、
    ターゲット自身の対地速度もしくは対水速度を示すキャリア周波数fe、fwにおける分散画が表示される。

    【0039】請求項25記載の水中探知装置は、請求項23記載の水中探知装置に、補正したキャリア周波数f
    eもしくはfwと分散データとの値に応じて固有の色別データを読み出す周波数・分散/色変換回路を更に備えたものである。

    【0040】請求項25記載の水中探知装置によれば、
    補正したキャリア周波数feもしくはfwと分散データとの値に応じて固有の色別データが読み出されるので、その表示色からターゲット自身の対地速度もしくは対水速度と、その速度のばらつきを同時に知ることができる。

    【0041】請求項26記載の水中探知装置は、請求項8もしくは9記載の水中探知装置に、検波手段よりの検波信号から得られる振幅データに対して、所望の帯域内の振幅データをのみ選択し、選択した振幅データの大きさに応じて色別のデータを読み出すフィルタ・振幅/色変換回路と;前記色別のデータを表示する表示部と;備えたことを特徴とする。

    【0042】請求項26記載の水中探知装置によれば、
    請求項4記載の水中探知装置と同様に、他の周波数帯域の信号からの干渉を排除したり、動体と静止物体との判別が可能となる。

    【0043】以上の水中探知装置における各色変換回路における色別データへの変換の際には、請求項27に記したように、入力データの振幅情報を参照し、一定の振幅レベルを上回る入力データのみ変換対象とすれば、ノイズ等の低レベル信号を表示から除くことができる。

    【0044】請求項28記載の水中探知装置は、請求項20記載の水中探知装置に、ターゲット自身の対地速度もしくは対水速度を示すキャリア周波数feもしくはfw
    を記憶する記憶手段と;表示部に対して所望を領域を指定するための指示部と;前記指示部で指定した領域に対応するキャリア周波数のデータを前記記憶手段から読み出すデータ読出し手段と;前記データ読出し手段から読み出したキャリア周波数のデータから周波数分布を検出してヒストグラムを作成するfヒストグラム演算部と;
    作成したヒストグラムを表示する表示部と;を備えたことを特徴とする。

    【0045】請求項28記載の水中探知装置によれば、
    表示部に表示された船速補正したレベル画(振幅情報を色別表示したもの)や速度画に対して対象とするターゲットの領域を指定することにより、その領域内の検出されたキャリア周波数fから周波数分布が検出され、周波数の分布を示すヒストグラムが前記表示部の所定部に表示される。

    【0046】請求項29に記載したように、以上の船速補正した速度画や分散画を、1つの表示部の例えば上下に並べて表示すれば、両者の表示を参照することにより、ターゲットに対する識別能力を更に高めることができる。

    【0047】請求項30に記載したように、上記の請求項1ないし4、20ないし22、24ないし26のいずれかに記載の色変換回路は、各入力データの値に対応して色データを格納したROMとすることができる。

    【0048】請求項31に記載したように、請求項1ないし30のいずれかに記載の水中探知装置における超音波受波手段は、一対の超音波振動子を機械的に旋回させたものである。

    【0049】又、請求項32に記載したように、請求項1ないし30のいずかに記載の水中探知装置における超音波受波手段は、円上に配列した複数個の超音波振動子から隣接する所定数の超音波振動子を、電気的な切り換えにより、順次シフトさせつつ選択し、選択した所定数の超音波振動子よりの受波信号を位相合成することにより、第1の超音波受波ビームを作成し、該第1の超音波振動子と方位差θだけずれている第2の超音波受波ビームを同様にして作成するものである。

    【0050】又、請求項33に記載したように、請求項1ないし30のいずかに記載の水中探知装置における超音波受波手段は、直線上に配列した複数個の超音波振動子から隣接する所定数の超音波振動子を、電気的な切り換えにより、順次シフトさせつつ選択し、選択した所定数の超音波振動子よりの受波信号を位相合成することにより、第1の超音波受波ビームを作成し、該第1の超音波振動子と方位差θだけずれている第2の超音波受波ビームを同様にして作成するものである。

    【0051】請求項34に記載したように、請求項1ないし30、32におけるキャリア周波数検出回路において、第1の超音波受波ビームおよび第2の超音波受波ビームを旋回走査させるための走査手段は、全周走査から扇形走査に切り換え可能であり、この切り換えにより、
    サンプリングレートを上げて分解能を高めることが可能である。

    【0052】請求項35に記載したように、請求項1ないし30、32のいずれかに記載のキャリア周波数検出回路において、第1の超音波受波ビームと第2の超音波受波ビームを、方位差(2π−θ)を有するビームとして捕え、方位差(2π−θ)により時間的にτ 2だけ先行している一方の超音波受波ビームよりの受波信号に対してτ 2だけ遅延させるための第2の遅延手段と、第2の遅延手段より出力される受波信号と、他方の超音波ビームよりの受波信号との位相差Δψ'を検出する第2の位相差検出回と、この位相差Δψ'からキャリア周波数f 2
    Δψ'/(2πτ 2 )を求め、上記の位相差Δψから求めたキャリア周波数fと、前記キャリア周波数f 2とで合致するキャリア周波数を真のキャリア周波数として出力する周波数算出手段とを備える。

    【0053】キャリア周波数検出回路で求められた位相差Δψが2πより大きくなると、周波数の折り返しにより、システム帯域内で複数の例えばキャリア周波数f 1
    ないしf 4が求まり、1つに特定できない。 一方、周波数の折り返しが生じないように前記方位差を小さくすれば、1つの例えばキャリア周波数f 2 'が求まるものの精度が良くない。 しかしながら、この周波数f2'から前記の4個のキャリア周波数f 1ないしf 4から精度のよい1つのキャリア周波数f 2を特定できる。 そのために、請求項35では、2本の超音波受波ビームに対して二つの方位差θと(2π−θ)を設定し、これらの位相差に対してキャリア周波数を検出している。

    【0054】請求項36では、2本の超音波受波ビームに対する方位差として、θと(2π+θ)を設定したものであり、また、請求項37では、2本の超音波受波ビームに対する方位差として、θと2πを設定したものである。

    【0055】

    【実施例】この発明の水中探知装置は、キャリア周波数を検出するキャリア周波数検出回路50及びそれに接続される信号処理回路100からなり、まず、キャリア周波数検出における第1原理を図1を参照して説明する。
    図1において、2つの超音波受波ビームP、Qは、2つの超音波振動子1p、1qによりそれぞれ形成される。
    これら2つの超音波振動子1p、1qは、常に所定角度θだけ離れた関係を保ちつつ、水平面上をOを中心として定速度で回転する。 これに伴い、2つの超音波受波ビームP、Qも、常に所定角度θだけ離れた関係を保ちつつ、水平面上をOを中心として定速度で回転して水中を走査する。 従って、図2に示すように、各超音波受波ビームP、Qは、例えば一つの方向(この例ではy方向)から到来する超音波エコー信号を一定の時間差τでもって受波することになる(図2の(a)、図2の(b)参照)。 また、各超音波受波ビームP、Qを形成する超音波受波器1p、1qが所定の速度で回転するので、物標により発生され到来する超音波信号に対してドップラー効果を生じる。

    【0056】従って、いま、時間的にτだけ先行する一つの超音波受波ビームPに着目した場合、この超音波受波ビームPで得られる超音波信号をp(t)とすると、この信号p(t)は、次式で記述される。

    【0057】

    【数1】 p(t)=S(t)・cos{ωt+α+m(t)+β} ここに、S(t)は、超音波受波ビームの指向特性と水平方向に走査する走査速度とで決まる振幅項、cos{ }は位相項で、ωは物標から到来する超音波信号のキャリア角周波数、αは到来する超音波信号の初期位相、βは受信系で発生する位相ずれ、m(t)は各超音波受波ビームを旋回走査しながら物標から到来する超音波信号を受信することにより生じるドップラー効果による変調項(従って各超音波受波ビームP、Qが停止あるいは超音波信号の到来方向であるy方向に直交するx方向に移動する場合はm(t)=0となる)である。 故に、上記の(1)式において、ωt+αは到来する超音波信号の位相を、m(t)
    +βは超音波受波ビームPの旋回走査に起因する位相変化分をそれぞれ表している。

    【0058】次に、他方の超音波受波ビームQで得られる受信信号をq(t)とすると、到来する超音波信号の位相は、他方の超音波受波ビームPで得られる受信信号の場合と同じでωt+αであるが、超音波受波ビームQの旋回走査に起因する位相変化はm(t−τ)+βとなる。
    従って、この超音波受波ビームQの受信信号q(t)は、
    次式で記述される。

    【0059】

    【数2】 q(t)=S(t−τ)・cos{ωt+α+m(t−τ)+β} 二つの超音波受波ビームP、Qの旋回走査による時間差τの影響をなくすために、(1)式の信号p(t)を時間差τだけ遅延させると(図2の(c)参照)、その受信信号p
    τ(t)は、

    【数3】 pτ(t)=S(t−τ)・cos{ω(t−τ)+α+m(t−τ)+β} =S(t−τ)・cos{ωt+α+m(t−τ)+β−ωτ} となる。

    【0060】(2),(3)式の受信信号q(t)、pτ(t)
    の位相差をΔψとすると、上記の両式を比較すると明らかなように、Δψ=ωτ=2πfτであり、よって、キャリア周波数fは、

    【数4】f=Δψ/(2πτ) となり、位相差Δψは物標から到来する超音波信号のキャリア周波数fに起因することになる。 ここに、時間差τは既知であるから、pτ(t)とq(t)の両信号の位相差Δψを検出することができれば、(4)式に基づいて超音波信号のキャリア周波数fを決定することができる。 尚、位相差Δψは2πの範囲でしか検出できないので、ωτが[−τ,τ]を越える場合は次式によりキャリア周波数fを算出する。 ω=g(Δψ−g(ωtx・τ))/τ+ωtx ここで、gは、[−π,π]を越える角度を[−π,π]
    の範囲にもってくる関数、ωtxは、送信角周波数である。

    【0061】以上の第1の原理に基づくキャリア周波数検出回路50の例を以下に示す。 回路例1 図3において、送波器101は、制御器102から供給されるタイミング信号に応答して超音波探知パルス信号を広範囲方向に発射する。 超音波受波器1は、2つの超音波振動子1p、1qで構成され、図1に示したようにこの超音波振動子1p、1qが常に所定角度θだけ離れた関係を保ちつつ、水平面上を定速度で基準点を中心に機械的に回転させられ、これにより、超音波振動子1
    p、1qで形成される受信ビームP、Qも水平方向に水中を走査する。 従って、同一方向から到来する超音波エコー信号を各超音波振動子1p、1qによりそれぞれ受波して得られる各受信信号p(t)、q(t)の内、一方の受信信号q(t)は、他方の受信信号p(t)よりも一定の時間差τだけ遅れて出力されることになる。

    【0062】2p、2qは各超音波振動子1p、1qが受波する超音波エコー信号を増幅する前段増幅器である。
    3は一方の超音波振動子1pで得られる受信信号を上記の時間差τ分だけ遅延させて、超音波振動子1p、1q
    間の間隔に起因した受信信号の時間差を無くすための遅延回路である。 5は、回転する各超音波振動子1p、1
    qがそれぞれ形成する受波ビームの旋回走査により得られる各々の受信信号p(t)、q(t)を直交検波する直交検波回路であり、互いに位相が90°ずれた参照信号を発生する2つの参照信号発生器4c、4sと、両参照信号発生器4c、4sからの参照信号を受信信号に対して掛け算する4つの掛算器6p 1 、6p 2 、6q 1 、6q 2と、各掛算器6p 1 、6p 2 、6q 1 、6q 2で得られた受信信号に含まれる高調波成分を除く4つのローパスフィルタ8p
    1 、8p 2 、8q 1 、8q 2とからなる。

    【0063】12は、直交検波回路5を通った各受信信号について、物標からの超音波エコーのドップラー効果に基づく相互の位相差を検出するための位相差検出回路であり、直交検波で得られた各受信信号pτc(t)'、pτ
    s(t)'、qc(t)'、qs(t)'の内一方の演算器13でtan
    -1 {pτs(t)'/pτc(t)'}を算出して一方の受信信号p
    (t)の位相角を決定し、また、他方の演算器14でtan -1
    {qs(t)'/qc(t)'}を算出して他方の受信信号q(t)の位相角を決定し、そして、減算器15で両受信信号の位相差Δψを算出する。 18は、後述するように、位相差検出回路12で検出された各受信信号の位相差に基づいてキャリア周波数を算出する算出回路である。

    【0064】次に、上記3図の動作について説明する。
    超音波探知パルス信号が送波器101から送信される。
    超音波受波器1を構成する2つの超音波振動子1p、1
    qは、図1に示したように常に所定角度θだけ離れた関係を保ちつつ、水平面上を一定速度で回転する。 超音波エコーが特定方位から到来すると、その超音波エコー信号は、受波ビームをそれぞれ形成する各超音波振動子1
    p、1qで捕捉される。 受波されたエコー信号p(t)、q
    (t)は、前記(1)、(2)式で記述される。 そして、これらの受信信号p(t)、q(t)が前段増幅器2p、2qで増幅され、続いて一方の受信信号p(t)が遅延回路3で前記の時間差τ分だけ遅延される。 したがって、その受信信号pτ(t)は(3)式で記述される。 これらの受信信号pτ
    (t)、q(t)は、直交検波回路5の各掛算器6p 1 、6p 2
    6q 1 、6q 2にそれぞれ入力される。

    【0065】一方、直交検波器回路5の各参照信号発生器4c、4sからは、中心周波数が超音波の送信周波数と同じで位相が互いに90°異なる参照信号cosω 0 t、si
    0 tがそれぞれ出力され、この一方の参照信号cosω 0 t
    が2つの各掛算器6p 1 、6q 1に、他方の参照信号sinω
    0 tが残りの2つの掛算器6p 2 、6q 2にそれぞれ与えられる。 従って、各掛算器6p 1 、6p 2 、6q 1 、6q 2の出力は、次のようになる。

    【0066】

    【数5】 pτc(t)=pτ(t)・cosω 0 t ={S(t−τ)/2}[cos{ω(t−τ)+α+m(t−τ)+β+ω 0 t}+ cos{ω・(t−τ)+α+m(t−τ)+β−ω 0 t}]

    【数6】 pτs(t)=pτ(t)・sinω 0 t ={S(t−τ)/2}[sin{ω(t−τ)+α+m(t−τ)+β+ω 0 t}− sin{ω・(t−τ)+α+m(t−τ)+β−ω 0 t}]

    【数7】 qc(t)=q(t)・cosω 0 t ={S(t−τ)/2}[cos{ωt+α+m(t−τ)+β+ω 0 t}+ cos{ωt+α+m・(t−τ)+β−ω 0 t}]

    【数8】 qs(t)=q(t)・sinω 0 t ={S(t−τ)/2}[sin{ωt+α+m(t−τ)+β+ω 0 t} −sin{ωt+α+ m・(t−τ)+β−ω 0 t}]

    【0067】これらの信号は次段のロ−パスフィルタ8
    1 、8p 2 、8q 1 、8q 2によって高調波成分が除かれることにより、次のようになる。

    【数9】 pτc(t)'={S(t−τ)/2}・cos{(ω−ω 0 )t+α+m(t−τ)+β−ωτ}

    【数10】 pτs(t)'={S(t−τ)/2}・sin{(ω−ω 0 )t+α+m(t−τ)+β−ωτ}

    【数11】 qc(t)'={S(t−τ)/2}・cos{(ω−ω 0 )t+α+m(t−τ)+β}

    【数12】 qs(t)'={S(t−τ)/2}・sin{(ω−ω 0 )t+α+m(t−τ)+β}

    【0068】そして、直交検波して得られた各信号 p
    τc(t)'、pτs(t)'、qc(t)'、qs(t)'がそれぞれ位相差検出回路12に与えられている。 位相差検出回路12において、一方の演算器13によるtan -1 {pτs(t)'/pτ
    c(t)'}の演算により、一方の受信信号p(t)の位相角が求められ、また、他方の演算器14によるtan -1 {qs
    (t)'/qc(t)'}の演算により、他方の受信信号q(t)の位相角が求められ、そして、減算器15にて両受信信号の位相角の減算により、両受信信号の位相差Δψが算出される。

    【0069】そして、この位相差Δψの値が算出回路1
    8に送出されるので、算出回路18は、前述の(4)式に基づいてキャリア周波数fが算出される。 又、直交検波回路5よりの出力信号qc(t)'=Cとqs(t)'=Dとが検波回路111に供給され、(C 2 +D 2 ) 1/2により振幅a 1が求められ、演直交検波回路5よりの別の出力信号qτc(t)'とqτs(t)'とが検波回路112へ供給され同様に振幅a 2が求められる。

    【0070】回路例2 以下の各回路例において図3と同一の機能を有する回路に対しては共通の符号を付している。 図4は、図3における直交検波回路5に替えてマッチドフィルタを用いたものであり、一対の超音波振動子1p及び1qが一定の時間差τをもって基準点を中心に同じ軌跡上を同じ方向に一定の速度で機械的に回転させられる。 超音波振動子1p及び1qで捕捉された受信信号p(t)、q(t)はそれぞれアンチエリアジングフィルタ106及び107を介して、それぞれマッチドフィルタ30p 1 、30p 2 、並びにマッチドフィルタ30q 1 、30q 2へ供給される。 これらのマッチドフィルタ30p 1 、30p 2 、30q 1 、30
    2の各々は、FIR(Finite Impulse Response)型デジタルフィルタで構成される。

    【0071】前述したように、二つの超音波振動子1
    p、1qがそれぞれ形成する各超音波受波ビームP、Qが旋回し水中を走査することから、物標から到来する超音波信号に対してドップラー効果を生じる。 このため、2
    つの超音波受波ビームP、Qが捕捉する各受信信号p
    (t)、q(t)は、前記(1)、(2)式に示すものとなる。 これらの受信信号は、周波数が時間的に変化するリニアFM
    信号である。 したがって、これらの受信信号p(t)、q
    (t)とは逆の時間特性(インパルス応答)をもつマッチドフィルタ(特開昭57−40664号および特開昭63
    −249071号公報参照)を用いて位相合成によるビームが形成される。 即ち、これらの時系列的に得られる、位相の異なる各受信信号p(t)、q(t)に対して所定のキャリア信号を乗算して位相をずらすことにより、各受信信号を同位相とし、これらを相互加算している。 具体的には、4つのマッチドフィルタ30p 1 、30p 2 、3
    0q 1 、30q 2を設け、30p 1 、30q 1のマッチドフィルタのインパルス応答hc(t) が、

    【数13】hc(t)=cos{ωa(−t)−m(−t)} となるように又、30q 1 、30q 2の各マッチドフィルタのインパルス応答hs(t) が、

    【数14】hs(t)=sin{ωa(−t)−m(−t)} となるようにそれぞれ設定しておく。 ここに、ωaは、
    被探知物体が発生する超音波信号の搬送波の既知の角周波数又は送波器101が発射する探知パルス信号のキャリア角周波数である。

    【0072】このように、各インパルス応答を設定しておけば、各マッチドフィルタ30p 1 、30p 2 、30q 1
    30q 2を通過した後の受信信号は、ωaが検出される角周波数ωと近い関係にある場合には次のようになる。

    【数15】 Vpc(t)={S'(t)/2}・cos{ωt+α+m(t)+β}

    【数16】 Vps(t)={S'(t)/2}・sin{ωt+α+m(t)+β}

    【数17】 Vqc(t)={S'(t−τ)/2}・cos{ωt+α+m(t−τ)+β}

    【数18】 Vqs(t)={S'(t−τ)/2}・sin{ωt+α+m(t−τ)+β} ただし、S'(t)=(AT/2)・sinc(μ 0・Tt/2)、 sinc(x)=sinx/x、m(t)=−(1/2)・μ 0 t 2 、β=k 0 r、μ 0 =k 0 r・ωs 2 、 A(t):受信信号の振幅、T:インパルス応答特性を定義する時間幅、r:超音波受波ビームの旋回走査の半径、ωs:超音波受波ビームの旋回走査の角速度、k 0
    定数、α:到来する超音波信号の初期位相(前述)である。

    【0073】そして、Vpc(t)、Vps(t) の信号が遅延回路10で所定時間τだけ遅延されるので、これらの信号は次のようになる。 Vp・τc(t)={S'(t−τ)/2}・cos{ωt+α+m(t−τ)+β−ωτ} (15)' Vp・τc(t)={S'(t−τ)/2}・sin{ωt+α+m(t−τ)+β−ωτ} (16)' なお、遅延回路10は、シフトレジスタで構成される。
    (15)'、(16)'式は、前述した(9)、(10)式と等価であり、
    また、(17)、(18)式は、前述した(11)、(12)式と等価である。 したがって、各信号Vp・τc(t)、Vp・τs(t)、V
    q・cs(t)、Vq・s(t)の位相角は、図3にて直交検波して得られる各信号pτc(t)'、pτs(t)'、qc(t)'、qs(t)'
    と基本的に同じになり、以降の信号処理は、図3の場合と同様に行われて物標から到来する超音波信号のキャリア角周波数ωが検出される。 なお、上記回路例では、遅延回路10をマッチドフィルタの後側に設置したが、マッチドフィルタの前に設けても良く、この場合には遅延回路10の数を少なくできる。

    【0074】回路例3 上記の回路例では、二つの超音波振動子1p、1qを用い、これによる2つの超音波受波ビームP,Qについて得られる受信信号に基づいて物標が発生するエコー信号のキャリア角周波数ωを検出するようにしているが、1
    つの超音波振動子1pを用い、これによる単一の超音波受波ビームPのみを一定周期τ 0でもって回転させ、今回の回転走査で得られた受信信号と、それ以前の回転走査で得られた受信信号とに基づいてキャリア周波数fを検出することも可能であり、そのための回路を図5に示しており、回路構成を一層簡略化することができる利点がある。

    【0075】回路例4 図6における超音波受波器1'は、例えば120個の超音波振動子sを円周上に等間隔にて配列している。 このリング状に配列された120個の超音波振動子sの内から、2つの切換回路7p、7qによってそれぞれ隣接する30個の超音波振動子sを、周回するように順次シフトさせつつ選択する。 このようにして120個の超音波振動子sの内から、2つの切換回路7p、7qによって選択された扇形角が90度となる、各30個の超音波振動子sよりの受波信号を位相合成回路9p及び9qへそれぞれ供給することにより、この位相合成回路9p及び9qにおいて、受波信号を位相合成することにより各超音波ビームが形成され、かつ、2つの切換回路7p、7
    qによる超音波振動子の選択を、前記位相差τに相当する時間ずらすことにより、2本の超音波受波ビームを互いに一定の時間差τでもって旋回し水中を走査することにより、図3の場合と同じように、位相差θだけずれた二つの受信信号p(t)、q(t)が得られる。

    【0076】従ってこれ以降の回路構成は、図3と同じである。 この構成のように2本の超音波受波ビームを電気的に形成し回転させる場合には、2個の超音波振動子を用いて受波ビームを形成しこれらの超音波振動子を機械的に回転させることにより2本の受波ビームを旋回させる方法に比べて超音波受波ビームを高速に回転させることができる利点がある。

    【0077】回路例5 図7は、図6における直交検波回路えに替えてマッチドフィルタ30p 1 、30p 2 、30q 1 、30q 2を用いたものを示す。 この場合、切換回路7P',7Q'は、図6
    のものと異なり、120個の超音波振動子sから順次1
    個づつ走査してマッチドフィルタへ供給しており、このマッチドフィルタでは、前述したように、時系列に供給される各信号に対して処理することにより位相合成されビームが形成される。

    【0078】回路例6 図8は、図6における直交検波回路5に替えて位相合成回路を用いたものである。 ここで用いた各位相合成回路9p 1 、9p 2 、9q 1 、9q 2は、図9に示すように、図示されていない発振器からの基準信号を所定量だけ移相する移相器20、各切換回路7pまたは7qからの受信信号と移相器20からの基準信号とをそれぞれ乗算する乗算器22 1 〜22n、各乗算器22 1 〜22nの出力を加算する加算器24および加算器24の出力に含まれる高調波成分を除くフィルタ26からなる。

    【0079】そして、符号9p 1 、9q 1で示されるcos成分およびsin成分の位相合成回路については、各乗算器22 1 〜22nにおいて、切換回路7pまたは7qからの出力と移相器20からの基準信号cos(ω 0 t+θ 1 )〜cos
    0 t+θn)とが乗算されることにより、各受信信号の位相合成が行われる。 一方、符号9p 2 、9q 2で示されるcos成分およびsin成分の位相合成回路については、切換回路7pまたは7qからの出力と移相器20から上記の基準信号よりもすべて90°移相された基準信号sin
    0 t+θ 1 )〜sin(ω 0 t+θn)とが乗算されることにより、各受信信号の位相合成が行われる。

    【0080】各位相合成回路9p 1 、9p 2からの信号を遅延回路10p 1 、10p 2で遅延した出力と、位相合成回路9q 1 、9q 2からの出力とは、前述した(9)式〜(1
    2)式に示したものと同様になり、以降の信号処理は、実施例2の場合と同様に行われてキャリア角周波数(ω−
    ω 0 )が検出される。 角周波数ω 0は、既知なので、到来した超音波信号のキャリア角周波数ω、それ故、キャリア周波数fが算出される。

    【0081】なお、図9に示した位相合成回路における遅延手段として、乗算器22、移相器及び発振器を用いて対応する各超音波振動子が捕捉する信号を間接的に移相させたが、遅延回路をインダクター及びコンデンサーを用いて構成し、振動子が受信する信号を直接必要な時間遅延させても良い。

    【0082】なお、以上の各回路例における位相差検出回路12に代えて、図10に示す構成の位相差検出回路12'を用いるともできる。 この位相差検出回路12'では、各超音波振動子1p、1q又は超音波振動子Sから超音波エコーを受波して得られる受信信号p(t)、q(t)
    の位相差ωτは、直交検波した信号を用いて次式で記述される。

    【0083】

    【数19】 tanωτ={pτs(t)'・qc(t)'+pτc(t)'・qs(t)'} /{pτc(t)'・qc(t)'+pτs(t)'・qs(t)'} したがって、各掛算器12p 1 、12p、12q、12qでは、pτc(t)'・qc(t)'、pτs(t)'・qs(t)'、pτs
    (t)'・qc(t)'、pτc(t)'・qs(t)'がそれぞれ算出され、次の加算器14p、14qでは、pτc(t)'・qc(t)'
    +pτs(t)'・qs(t)'=A、pτs(t)'・qc(t)'+pτc
    (t)'・qs(t)'=Bとして各A、Bの値が算出される。 引き続いて、演算部16では両加算器14p、14qの出力A、Bに基づいて、tan -1 (B/A)を求める。 これらの演算の結果、tan -1 (B/A)=ωτ=Δψとなるから、これにより、各超音波振動子1p、1qで得られる受信信号p(t)、q(t)の位相差Δψが求まる。

    【0084】回路例7 図11は、図8における遅延回路10に替えて、メモリ42およびこれを読み出すためのCPU44を用いたものであり、又、この図11では、位相差検出するための演算器16p、16qを位相合成回路9p 1 、9p 2 、9
    1 、9q 2の直後に設けている。

    【0085】このメモリ42には、超音波受波ビームP
    を走査する時間差τでもって互いに対応づけられた位相量θi(t),θi(t −τ)(i =1〜n,n:全周360°
    方向の分割数)のデータが予め記憶されている。 そして、各演算器16p、16qで得られる位相量に対応する信号θp(i)、θq(i)をA/D変換器40p、40qでデジタル化し、この信号θp(i)、θq(i)をメモリ42に対するアドレスデータとして入力する。 そして、メモリ42から位相量θi(t)、θi(t−τ)のデータを読み出し、この位相量θi(t)、θi(t−τ)のデータに基づいてCPU44で位相差Δψ=θi(t)−θi(t−τ)が読み出され、算出回路18によって更にキャリア周波数fが算出される。

    【0086】回路例8 図5では1つの超音波振動子1pによる1つのビームを周回させて位相差の異なる二つのビームを得るようにしたが、例えば図6における円上に複数の超音波振動子s
    を配した超音波受波器1'においても1つのビームを形成し、これを周回させることにより、位相差の異なる二つのビームを同様に得ることができる。 そのための回路構成を図12に示しており、この場合も回路構成を一層簡略化できる。 この手法は、図7、図8に対しても同様に適用でき、図8に適用した構成を回路例9として図1
    3に示す。 又、図13における遅延回路10を位相差検出回路12の後に移動した構成を回路例10として図1
    4に示す。 図14では遅延回路3は1つでよい。 又、図6ないし図11においては超音波振動sをリング状に配した超音波受波器1'を用いたが、複数個の超音波振動子sを直線状に配し、この超音波受波器に対して切換回路により選択し位相合成し、1本の受波ビーム、もしくは互いに角度θτだけずれた2本の受波ビームを形成し、かつこれを走査することにより同様にキャリア角周波数ωを得ることもできる。

    【0087】次にキャリア周波数検出の第2の原理を図15を参照して説明する。 図15に示すように、今、二次元平面(x,y)上において、x軸上に超音波受波器1"
    が配置され、この超音波受波器1"は、無指向性の超音波振動子sをx軸に沿ってリニア状に多数配列して構成されているものとし、この超音波受波器1"に対して、
    y軸と一定角度θの方向に進行する超音波信号(平面波)
    が到来するものとする。

    【0088】このとき、超音波受波器1"に到来する超音波信号p(x,y,t)は、次式で記述される。

    【数20】 p(x,y,t)=p 0・cos{x・k・sinθ+y・k・cosθ−ω・t} ここで、p 0は到来する超音波信号の振幅(音圧)、cos
    { }は位相項で、x、yは座標位置、kは波長定数(=2
    π/λ、λは波長)、ωは到来する超音波信号のキャリア周波数、tは時間である。 初期位相は便宜上0としている。 従って、x軸上の音場はy=0とおいて、

    【数21】p(x,t)=p 0・cos (x・k・sinθ−ω・t)

    【0089】今、各超音波振動子sからの各出力を一定速度uで切り換えるとすれば、各超音波振動子sの位置xは、

    【数22】x=u・t となる。 (35)式を(34)式に代入すれば、

    【数23】p(t)=p 0・cos{(u・k・sinθ−ω)・t} 音圧p 0の超音波信号入力に対する超音波受波器1"からの受信信号出力をv 0とすれば、この超音波受波器1"の受信感度Gは、G=v 0 /p 0であるから、到来する超音波信号p(t) に対する受信信号出力v(t)は、G・p(t)
    であり、v(t)とp(t)とは比例関係にあるので(23)式は次のようになる。

    【数24】v(t)=v 0・cos{(u・k・sinθ−ω)・t} (24)式をみると、これはx軸上を1個の超音波振動子s
    が速度uで走査されつつ、超音波信号を受信する場合に得られる受信信号と等価である。

    【0090】ここで、v(t)の空間周波数2πf=u・k・
    sinθ−ωであるから、v(t)をフーリエ変換してパワースぺクトラムを求めれば、u、k、ω、Gがいずれも既知ならば、超音波受波器1"に対して到来する超音波信号の方位θと振幅p 0とを求め得る。次に、(22)式に対して、Δtだけ遅れて各超音波振動子sの出力を一定速度uで切り換えることを考える。このとき、各超音波振動子sの位置xは、

    【数25】x=u・(t−Δt) これを(34)式に代入すると、

    【数26】 p(t)=p 0・cos{u・(t−Δt)・k・sinθ−ω・t} =p 0・cos{(u・k・sinθ−ω)・t−u・Δt・k・sinθ}

    【0091】よって、各超音波振動子sから出力される受信信号をv(t)とすれば、(26)式は次のようになる。

    【数27】 v(t)=v 0・cos{(u・k・sinθ−ω)・t−u・Δt・k・sinθ} 一方、(24)式の受信信号v(t)をΔt分だけ遅延させると、その受信信号v(t−Δt)は、

    【数28】 v(t−Δt)=v 0・cos{(u・k・sinθ−ω)・(t−Δt)} =v 0・cos{(u・k・sinθ−ω)・t−u・Δt・k・sinθ+ω・Δt} (40)式の受信信号v(t)と、(28)式の受信信号v(t−Δ
    t)との位相差をΔψとすると、

    【数29】Δψ=ω・Δt であり、位相差Δψは、物標から到来する超音波信号のキャリア周波数ωに関係する。 ここで、時間差Δtを、
    たとえば、超音波受波器1"の各超音波振動子sを切り換える繰り返し走査周期に一致させておけば、Δtは既知であるから位相差Δψを求めれば、キャリア周波数f
    は、

    【数30】f=Δψ/(2πΔt) として決定し得る。 そして、このキャリア周波数fの変化から移動物標に関するドップラーシフト量を検出することができる。

    【0092】キャリア周波数fを得るためには、本発明では、(28)式に基づく受信信号v(t−Δt)と、(27)式に基づく受信信号v(t)について、それぞれフーリエ変換して位相スペクトラムを求め、各空間周波数成分ごとに両信号の位相を引き算して位相差Δψを求める。 そして、求めた位相差ΔψをΔtで除算してωに変換すれば、各空間周波数成分2πf(したがって超音波信号の各到来方向θ)ごとに、その超音波信号のキャリア周波数fを決定し得る。

    【0093】以上の第2の原理に基づくキャリア周波数検出回路50'の例を以下に示す。 回路例11 図16において、超音波受波器1"は、本例では多数の超音波振動子sをリニア状に配列して構成されている。
    そして、これらの超音波振動子sが一定の繰り返し周期Δtでもって走査される。 202は超音波振動子sからの受信信号出力を切り換え走査するためのマルチプレクサ、204はマルチプレクサ202を通った受信信号のスイッチングノイズを除くフィルタ、206はA/D変換器、208はデジタル化された受信信号をフーリエ変換するフーリエ変換回路である。

    【0094】210はこのフーリエ変換回路208でのフーリエ変換結果に基づいて受信信号のパワースペクトラムを算出するパワースペクトラム演算回路、212はこのパワースペクトラムの横座標の空間周波数2πfの値を超音波受波器1"に対して到来する超音波信号の方位θを示す値に変換する目盛換算回路である。214はフーリエ変換回路208でのフーリエ変換結果に基づいて受信信号の位相スペクトラムを求める位相スペクトラム演算回路、216はこの位相スペクトラム演算回路2
    14で得られた位相スペクトラムに基づいて、超音波振動子sの今回の走査で得られた受信信号とそれ以前の走査で得られた受信信号について、各空間周波数成分ごとに両位相を引き算してその位相差Δψを求める位相差算出回路で、本例では、バッファメモリ218と引算回路220とからなる。

    【0095】222は各空間周波数fの値をこれに対応する超音波受波器1"に対して到来する超音波信号の方位θを示す値に変換する換算回路である。また、224
    は各受信信号の空間周波数成分ごとの位相差Δψに基づいて物標からの超音波信号のキャリア周波数fを算出するキャリア周波数算出回路である。

    【0096】次に、上記構成の水中探知装置について、
    物標から到来する超音波信号について、その到来方向θ
    およびその振幅p 0を検出するとともに、さらに超音波信号のキャリア角周波数ωを検出する場合の動作について説明する。 超音波受波器1"を構成する超音波振動子sは、マルチプレクサ202によって一定周期Δtで切り換え走査されることにより、物標から到来する超音波信号が受信される。そして、各超音波振動子sで得られる受信信号は、フィルタ204でスイッチングノイズが除かれた後、A/D変換器206でデジタル化されてフーリエ変換回路208でフーリエ変換される。そして、
    このフーリエ変換結果の情報がパワースペクトラム演算回路210と位相スぺクトラム演算回路214とにそれぞれ送出される。

    【0097】パワースペクトラム演算回路210は、このフーリエ変換結果に基づいて、図17(a)に示すように、横軸を受信信号の空間周波数2πf、縦軸を受信信号の出力v 0としたパワースペクトラムを求める。

    【0098】次いで、目盛変換回路212でパワースペクトラムの横座標の空間周波数2πfの値を超音波受波器1"に対して到来する超音波信号の方位θを示す値に変換して出力する。すなわち、(37)式に示したように、
    受信信号v(t)の空間周波数2πfは、2πf=u・k・s
    inθ−ωとなるが、u、k、ωはいずれも既知であるから、超音波受波器1"に対して到来する超音波信号の方位θに換算できる。したがって、超音波受波器1"に対して到来する超音波信号の方位θに換算できる。 超音波受波器1"に対して到来する超音波信号の方位(この例ではθ 1 、θ 2 )とその出力レベルv 01 、v 02 (これは到来する超音波信号の振幅p 0に対応する)とが求まる。

    【0099】一方、位相スペクトラム演算回路214
    は、前記のフーリエ変換結果に基づいて、図17(b)に示すように、横軸を受信信号の空間周波数2πf、縦軸を受信信号の位相ψとした位相スペクトラムを求める。
    この今回の超音波振動子sの走査により得られた位相スペクトラムのデータ(図17(b)の実線で示す)は、引算回路220に与えられるとともに、バッファメモリ2
    18にも転送される。 このとき、バッファメモリ218
    からは、前回の超音波振動子sの走査に基づいて得られた位相スペクトラムのデータ(図17(b)の破線で示す)
    が読み出されて、これが同じく引算回路220に与えられる。 引算回路220は、超音波振動子sの今回の走査で得られた受信信号((27)式のv(t) に相当する)と前回の走査で得られた受信信号((28)式のv(t−Δt)に相当する)について、各空間周波数成分(この例では 2π
    1 、2πf 2 )ごとに両位相を引き算してその位相差Δψ
    1 、Δψ 2を求める。

    【0100】引き続いて、換算回路222は、各空間周波数2πf 1 、2πf 2の値をこれに対応する超音波受波器1"に対して到来する超音波信号の方位θ 1 、θ 2を示す値に変換し、次に、キャリア周波数算出回路224では、各受信信号の位相差Δψ 1 、Δψ 2をΔtで割って(30)
    式で示したように各到来方向θ 1 、θ 2ごとの超音波信号のキャリア周波数f 1 、f 2を算出する。

    【0101】なお、上記の回路例では、キャリア角周波数ωを算出するためのキャリア角周波数算出回路224
    を設けているが、たとえばキャリア角周波数ωの大小に応じて色分け表示を行うような場合には、この算出回路224を省略し、単位換算回路222から出力される位相差Δψの信号をそのまま利用してもよい。 すなわち、
    (29)式の関係からも明らかなように、繰り返し走査される超音波受波ビームの周期Δt は予め設定されていて一定であるから、ω∝Δψであり、位相差Δψの信号のままでもキャリア周波数fの情報が反映されているからである。

    【0102】また、上記の回路例では、フィルタ204
    を設けることによって、各超音波振動子sからの受信信号が間断なく入力されるようにしているが、受信信号が離散的に入力されるのを防ぐには、たとえば、特公昭6
    3−7350公報に記載されているように、隣接する2
    つの超音波振動子sから同時に受信信号を入力し、各受信信号を換算器でそれぞれ重み付けした後に両受信信号を加算することで、各超音波振動子sをスイッチングしても受信信号が連続的に入力されるようにすることが可能である。 なお、上述のキャリア周波数検出回路においては、異なる時間に形成される受波ビームにより到来信号を受波して、広範囲方向から到来する信号のキャリア周波数を検出したが、広範囲の各方向に受波ビームをそれぞれ予め形成しておき、それぞれの受波ビームで到来信号を捕捉し、これら到来信号のキャリア周波数を検出することも可能である。

    【0103】図18は、上述した各種キャリア周波数検出回路50の後段に接続される船速補正・表示回路10
    0の一実施例を示すブロック図である。 減算回路51
    は、入力される超音波送信信号の搬送周波数f 0とキャリア周波数検出回路50から供給されるキャリア周波数fとを用いて、fs=f−f 0の演算を行ない、ドップラー周波数偏移(速度)fsを算出する。 ここで得られたドップラー周波数偏移fsは、自船より見たデータであるため、自船に近付いているか遠のいているかを知ることができ、衝突予防の情報が得られる。 しかし自船を停止させて、ターゲット自身の絶対的な速度情報を得ることも重要であり、そのためには自船の船速(対地または対水船速)でもってドップラー周波数偏移fsを補正(船速補正という)すればよい。 そのために設けられたのが船速補正回路61および71であり、船速補正回路61では、減算回路51より時系列的に得られるドップラー周波数偏移fsに対して、後述の回路65で検出した船速
    (対地または対水船速)または外部装置で検出した船速
    (対地または対水船速)に起因するドップラー周波数偏移Δfvを減じることにより船速補正している。 62は、
    この船速補正で得られたドップラー周波数偏移fmを記憶するフレームメモリである。 このフレームメモリ62
    には、1送波に起因するエコーが1フレーム分のデータ
    (周波数fm)として書き込まれるようになっており、このデータは次の送波で検出される新しいデータで順次更新されるようになっている。 船速補正回路61及び71
    は、ROMで構成される。 減算回路51と、自己船速補正値算出部65若しくは外部船速補正値演算部67とからそれぞれドップラー周波数偏移fsと、対地船速または対水船速に起因するドップラー周波数偏移Δfv(f 1
    またはf 2 )が供給された時、所定の周波数を表わす信号が送出されるように構成されている。

    【0104】63は、キャリア周波数検出回路50より得られるエコーの振幅a 1 、a 2の平均aを求める振幅平均回路である。 尚、片方の振幅のみが入力された時はその値が出力される。 64は、振幅平均回路63より得られる振幅aを記憶するフレームメモリである。 キャリア周波数検出回路50より同一の探査ポイント(同一の音源)に対して得られたドップラー周波数偏移fsと、振幅aとは両フレームメモリ62、64で対応する同一アドレスに書き込まれる。 自己船速補正値算出部65は、船速補正回路61に対する補正値として、対地および対水船速に起因するドップラー周波数偏移Δfvを、前述のドップラー周波数偏移fmから求めるためのであり、フレームメモリ62に対して、読出し範囲指示部66で指定した領域を読み出し、対地船速または対水船速に起因するドップラー周波数偏移Δfv(f 1またはf 2 )を算出している。 自己船速補正値算出部65は、後述するように、対地船速または対水船速に起因するドップラー周波数偏移f 1またはf 2を各方位毎に算出する演算部と、
    これらの周波数偏移f 1またはf 2を記憶する例えば36
    0個の記憶素子で構成される記憶器と、記憶した周波数偏移f 1またはf 2を順次読み出し船速補正回路61へ供給する読出器とで構成される。 読出し範囲指示部66
    は、対地船速または対水船速に起因するドップラー周波数偏移f 1またはf 2のいずれの周波数偏移を読出すかを選択する。

    【0105】又、この自己船速補正値算出部65は、フレームメモリ64からも読出し範囲指示部66で指定した同じ領域を読み出すことにより、フレームメモリ62
    から読み出したドップラー周波数偏移f 1またはf 2と同じ音源よりのエコーに対する振幅データaを得ており
    (以下周波数データに付随する振幅と表現する)、この振幅データaは、船速補正値を求めるに際して重み付け
    (又はしきい値等)を与えるために用いられる。

    【0106】67は、外部装置(例えばGPSやジャイロにより構成される)より得た対地船速または対水船速
    (例えば潮流計等による)を用いて船速補正回路61に対する補正値Δfvを求める外部船速補正値演算部であり、これらの対地船速および対水船速から、補正しようとするキャリア周波数fを得た音源方向での対地もしくは対水の船速成分を演算により求め、この船速成分に相当するドップラー周波数偏移Δfv(f 1またはf 2 )を得ている。 自己船速補正値算出部65で得られる対地船速(自己対地船速と呼ぶ)、対水船速(自己対水船速と呼ぶ)および、外部船速補正値演算部67で得られる対地船速(外部対地船速と呼ぶ)、対水船速(外部対水船速と呼ぶ)に起因する周波数f 1 ,f 2は、切換スイッチ68により選択され船速補正回路61へ送出される。 尚、切換スイッチ68を空きの端子xに切り換えた時は、船速補正回路61では何も補正が行われず、入力データがそのまま出力され、フレームメモリ62には生データが格納される。 外部船速補正値演算部67は、例えばGPS(G
    lobal Positioning System) 受信機及びジャイロに接続された場合には、対地船速に起因するドップラー周波数偏移f 1を送出し、超音波信号を送受波して潮流速度を測定する潮流計に接続された場合には、対水船速に起因するドップラー周波数偏移f 2を送出する。 この外部船速補正値演算部67は、対地船速または対水船速に起因するドップラー周波数偏移f 1またはf 2を算出する演算部と、これらのドップラー周波数偏移f 1またはf 2を記憶する例えば360個の記憶素子で構成される記憶器と、記憶さしたドップラー周波数偏移f 1またはf 2を順次読み出し船速補正回路61へ供給する読出器とで構成される。

    【0107】船速補正回路61より得られるドップラー周波数偏移fmに対して分散を検出することにより、ターゲットの速度の乱れを知ることができ、分散検出回路69はそのために設けたものであり、この分散検出回路69で検出された分散値は、フレームメモリ62と同じ構成のフレームメモリ70に格納される。

    【0108】船速補正回路61は、減算回路51より出力されるドップラー周波数偏移をリアルタイムで補正するが、フレームメモリ62に一旦格納した1フレーム分の生データに対して補正するのが船速補正回路71である。 72は、自己対地速度または自己対水速度で補正するかを切り換えるための切換スイッチである。 73は、
    船速補正回路61よりリアルタイムで出力されるドップラー周波数偏移fmまたは船速補正回路71より1フレーム遅れで出力される周波数データfを選択する切換スイッチである。 又、切換スイッチ74は、分散検出回路69よりリアルタイムで出力される分散値またはフレームメモリ70に一旦格納された分散データを選択する。
    同様に、切換スイッチ75は、振幅平均回路63よりリアルタイムで出力される振幅値aまたはフレームメモリ64に一旦格納された振幅データaを選択する。 これらの切換スイッチ73ないし75は連動して切り替わる。
    以上が船速補正に係わる回路部であり、次に表示回路部について述べる。

    【0109】76は、切換スイッチ73で選択された各周波数データをその周波数の大小に応じて色別表示するための周波数/色変換回路であり、その色変換の際には、切換スイッチ75より得られる、各周波数データf
    に付随する振幅データaがしきい値として参照される。
    77は、切換スイッチ74で選択された各分散データσ
    fをその分散の程度に応じて色別表示するための分散/
    色変換回路であり、その色変換の際には、各分散データに付随する振幅データaがしきい値として参照される。
    78は、周波数および分散の双方のデータを参照して対応する1つの色に変換する周波数・分散/色変換回路である。 79は、振幅データaに基づき色別表示する振幅/色変換回路である。 80は、周波数データfが、設定した周波数帯域内にある場合には、振幅データaに対応する色信号を発生し、帯域外にある場合には下地色を発生するフィルタ・振幅/色変換回路である。 周波数/色変換回路76は、信号レベル範囲設定器から供給される信号に基づいて設定された信号レベル範囲内にあるエコー信号のドップラー周波数偏移信号を取り出し、取り出した信号をその信号の周波数に対応する色信号に変換する。 周波数/色変換回路76は、周波数と種々の色との所定の関係が予め記憶されているROMを含み、切換スイッチ73を介して供給される周波数信号に対応する色信号を送出する。 分散/色変換回路77は、信号レベル範囲設定器から供給される信号に基づいて設定された信号レベル範囲内にあるエコー信号の分散データを取り出し、取り出した信号をその分散データに対応する色信号に変換する。 分散/色変換回路77は、分散データと種々の色との所定の関係が予め記憶されているROMを含み、切換スイッチ74を介して供給される分散データ信号に対応する色信号を送出する。 周波数・分散/色変換回路78は、振幅データa,ドップラー周波数偏移信号f,分散データ及び信号レベル範囲設定器から供給される信号に基づいて設定された信号レベル範囲内にあるエコー信号の周波数及び分散に対応する色信号を発生する。 周波数・分散/色変換回路78は、周波数及び分散と種々の色との所定の関係が予め記憶されているROM
    を含む。 フィルタ・振幅/色変換回路80は、ドップラー周波数偏移信号が周波数帯域設定器から供給される信号に基づいて設定された周波数帯域内にあるエコー信号の振幅信号を取り出し、取り出した信号をその信号の振幅に対応する色信号に変換する。 フィルタ・振幅/色変換回路80は、切換スイッチ73から供給されたドップラー周波数偏移信号が設定された周波数帯域内にある時その振幅信号を通過させるフィルタと、信号レベルと種々の色との所定の関係が予め記憶されているROMを含み、切換スイッチ75を介して供給される振幅信号に対応する色信号を送出する。 振幅/色変換回路79は、信号レベルと種々の色との所定の関係が予め記憶されているROMで構成される。

    【0110】以上の変換回路76,77,78における色変換の際には、変換される入力データの振幅aが参照され、信号レベル範囲設定器により設定された所望振幅範囲を有する入力データを変換対象としている。 81
    は、フレームメモリ62よりの周波数データに基づき周波数分布を示すヒストグラムを作成する周波数ヒストグラム演算回路であり、82は、対象とする探査範囲を指定入力するための指示部である。 83は、速度ベクトル演算回路であり、指示部84で指定した領域に対して、
    フレームメモリ64よりの周波数データに基づき速度ベクトルを演算する。 85は、選択回路であり、以上の各回路から供給される各信号を選択して表示部86へ送出する。

    【0111】以下、船速補正について述べるが最初に1
    フレーム分のデータを取り込んだ後に一括して補正(以下一括補正という)する場合について述べる。 この場合、切換スイッチ68を空き端子xに切り換えて、ドップラー周波数fsを補正せずにフレームメモリ62に記憶させる。 又、切換スイッチ73ないし75は図示した端子側に切り換えておく。

    【0112】さて、水中探知ソナーにおいては、図3の送波器101より海底に向けて図19に示したように円錐状に広がる超音波ビームを送波し、これによるエコーを超音波受波器1を旋回走査させながら検出しているため、この超音波受波器1は、前記円錐体に沿い螺旋状に探査ポイントを走査していることになる。 かかる走査で次々と検出されるデータは、この場合、船速補正回路6
    1で補正されずにフレームメモリ62に書き込まれる。
    フレームメモリ62(他のフレームメモリも同じ構成)
    は、図20に示すように、横方向に方位、縦方向に距離
    (深度)を持つ2次元構成になっており、次々と検出された前記データは、左上から右下に向けて1行づつ順に書き込まれる。 従って、図20における領域Xに書き込まれたデータは、1送波によるエコーの内で初期に検出されたデータ(深度の浅い水中よりのエコー)であるため、
    これは対水船速に起因するドップラー周波数偏移f 2であり、一方、領域Yに書き込まれたデータは、1送波によるエコーの内で後期に検出されたデータ(深度の深い海底よりのエコー)であるため、これは対地船速に起因するキャリア周波数f 1である。 これらの領域X,Yは指示部66により設定入力されるが、領域Yは、海底の深度および超音波送波ビームのチルト角(図19に示すφ)
    に応じて自動的に求めることもできる。 尚、上述した各キャリア周波数検出回路50においてはチルト角を一定としたが、チルト角を変化させるには、図3に示した一対の超音波振動子p,qを機械的に旋回させるものであれば、その超音波振動子の向きを変えることにより、
    又、図6に示した円状に複数個の超音波振動子を配し、
    電気的な切り換えにより旋回走査させる方式のものにあっては、このような超音波受波器1'を複数個上下方向に並べて円筒状とし、各方位毎に上下方向の各超音波振動子間で位相合成することにより所望のチルト角を得ることができる。 尚、当然のことながら超音波受波ビームを水平方向に放射したときは海底よりのエコーは得られないために、対地船速に起因するドップラー周波数偏移f 1を得ることはできず、その場合は後で述べるように外部より得た対地速度を用いる。 尚、図20において、
    距離方向で0ないしfの領域には、送波器101より送信した周波数f 0のキャリア信号が、送受を切り替えるためのトラップ回路(不図示)の信号もれにより超音波受波器1で検出されたものが格納されているので、この領域より読み出した周波数f 0を、前述した減算回路51
    に補正信号として供給している。 この構成により、送信用水晶発振周波数のドリフトによる変化や、受信系の位相誤差およびサンプリング周波数の変動等があっても、
    これらの影響がキャンセルされ、正確なドップラー周波数偏移fmを得ることができる。

    【0113】図21にこの場合の表示例を示しており、
    自船を中心Oとして探査結果が極座標形式に表示される。 半径r 1 〜r 2内の領域および半径r 3 〜r 4の領域は図20における領域XおよびYに書き込まれたデータであり、指示部66より半径rを指示入力することにより、図20のフレームメモリ62より対水船速もしくは対地船速に起因する個々のドップラー周波数偏移のデータを得ることができる。

    【0114】前記の領域X,Yから読み出されたデータに対して、(31)式および(32)式に従って、各方位(D(j,
    k):j=0〜m)毎に、距離軸方向(D(j,k):k=p〜q
    (対地船速の場合)、k=g〜h(対水船速の場合))の平均を求めることにより、自己対地船速および対水船速に起因する、各方位毎のドップラー周波数偏移f 1 (j)、f
    2 (j)が求まる。

    【0115】

    【数31】

    【0116】

    【数32】

    【0117】切換スイッチ72を図示したように自己対地船速側に切り換えていた場合、補正用の対地船速に係わるドップラー周波数偏移f 1が船速補正回路71に供給されることにより、その後、フレームメモリ62から読み出されるすべての生データD(j,k)(j=0〜m、k
    =0〜n)に対して、対応する方位の対地船速に起因するドップラー周波数偏移f 1 (j)を減じることにより、ターゲットの対地速度を示すドップラー周波数偏移feが得られる。

    【数33】fe(j,k)=D(j,k)−f 1 (j)

    【0118】一方、切換スイッチ72を自己対水船速側に切り換えていた場合は、生データD(j,k)(j=0〜
    m、k=0〜n)に対して、対応する方位の対水船速に起因するドップラー周波数偏移f 2 (j)を減じることにより、ターゲットの対水速度を示すドップラー周波数偏移fwが得られる。

    【数34】fw(j,k)=D(j,k)−f 2 (j)

    【0119】以上説明した一括補正は、1フレーム分のデータD(j,k)を検出した後、このデータから補正用のデータf 1 (j)およびf 2 (j)を求め、この補正データでもって前記1フレーム分の全データD(j,k)を補正するものであるため1送波分の遅れが生じる。 次に検出したデータを逐一補正する補正(以下逐一補正という)について説明する。

    【0120】その場合には切換スイッチ68を自己対地船速または自己対水船速に切り換えると共に切換スイッチ73を破線で示した側に切り換え(他の切換スイッチ74,75も切り替わる)、減算回路51より時系列的に供給されるドップラー周波数偏移fsを船速補正回路61にてリアルタイムで補正し、その補正したデータはフレームメモリ62に格納されると共に切換スイッチ7
    3を介して周波数/色変換回路76等へ直接に供給される。

    【0121】切換スイッチ68を自己対水船速側に切り換えていた場合、フレームメモリ62では、上述したように、図20において左上のアドレスから順に補正値f
    2 [n−1]で補正されたキャリア周波数fのデータが格納され、領域Xに、対水船速に起因するデータが格納された時点でこのデータに基づき、(32)式により、f
    2 (j)を求め、前回補正値f 2 [n−1](j)を加えたf
    2 [n]=f 2 (j)+f 2 [n−1](j)=を補正データとして船速補正回路61に供給される。 従って、この補正データで補正されるドップラー周波数fsは、図20
    のアドレスで言えば領域X以降のデータであり、領域X
    の以前のデータは、前回(1送波前)に求められた補正データでもって補正される。

    【0122】一方、切換スイッチ68を自己対地船速に切り換えていた場合は、図20の領域Yにデータが格納された時点で同様に自己船速補正値算出部65にて補正データとして対地船速に係わるドップラー周波数偏移f
    1が求められるので、この補正データで補正されるドップラー周波数偏移fsは、図20のアドレスで言えば、
    領域Y以降のデータとなり、領域Y以前のデータは前回求められた補正データでもって補正される。 つまり、この逐一補正では補正した検出データはリアルタイムで得られるものの補正に用いる補正データは現時点のものではない。 しかしながら、補正ループが組まれ、常に補正データが更新され続けているのでほぼ正確なリアルタイム補正を期待できる。

    【0123】以上の一括補正および逐一補正は、自身の検出データより得た補正データでもって検出データを補正を行う場合であったが、測定状況により対地速度または対水速度が得られなくなった場合に外部装置より得た船速情報でもって補正する外部補正を次に述べる。

    【0124】切換スイッチ68を外部対地船速側に切り換えた場合、例えばGPS及びジャイロにより構成される外部装置から供給される対地速度V 1 (方位θとする)
    と船首方位αが外部船速補正値演算部67に入力されることにより、ここでこの対地速度V 1より、(35)式を用いて各方位毎の対地速度成分V 1 (j)が求められる。

    【0125】

    【数35】 V 1 (j)=V 1・cos(α+2πj/m−θ) (j:0,1,2,…m) この方位毎の対地速度V 1 (j)に相当するドップラー周波数f 1 (j)が演算により求められ、これを補正データとして船速補正回路61にて、前記の(33)式に従ってターゲットの対地速度に対するドップラー周波数偏移fe(j,
    k)が求められ、切換スイッチ73へ供給される。 尚、ティルト角がβのときは対地速度成分V 1 (j)は、

    【数36】 V 1 (j)=V 1・cos(α+2πj/m−θ)×cosβとなる。

    【0126】又、切換スイッチ68を外部対水船速側に切り換えた場合、例えば潮流計で構成される外部装置よりの対水速度V 2が外部船速補正値演算部67に入力されることにより、この対水速度V 2より同様にして各方位毎の対水速度成分V 2 (j)に分解され、これより対応するドップラー周波数偏移f 2 (j)が演算により求められ、そして(34)式に従って、ターゲットの対水速度によるキャリア周波数fw(j,k)が求められる。 この補正法では外部装置よりの船速情報より現時点の補正データが得られるのでリアルタイムの補正(以下リアルタイム補正という)が可能となる。

    【0127】ドップラー周波数偏移f 1 ,f 2を求める他の方法を次に述べる。 (31)式および(32)式で求められた、各方位毎の対地船速および対水船速に係わる周波数f 1 、f 2は、(35)式に示されるような一つのcos曲線に合致して変化するはずであるが実際にはノイズ等の影響を受けたりしてcos曲線に合致せず、正確なデータが得られない場合も生じる。 (31)式,(32)式で求めたf 1 ,f
    2から更にcos曲線をf 1 ,fとして用いることもできる。

    【0128】(31)式で求めたドップラー周波数偏移f 1
    からcos曲線を推定するには、

    【数37】 V(j)=V・cos(2πj/m−θ) (j:0,1,2,…
    m) とおき、(37)式の自乗差Qが最小となるV、θを求める。

    【0129】

    【数38】

    【0130】これを(36)式に代入することにより一つの
    cos曲線を推定でき、これをf 1 (j)として船速補正計算に用い、f 2 (j)についても同様である。

    【0131】以上説明した対地(または対水)の各補正モード(一括補正、逐一補正)で補正されたドップラー周波数偏移fe,fw(以下周波数データfという)は、切換スイッチ73を介して周波数/色変換回路76に入力される。 この周波数データfの値から、ターゲットの対地
    (または対水)速度の自船方向成分(以下単に速度と呼ぶ)
    とその方向(自船の中心位置に向かっているのか遠ざかっているのか)を知ることができる。 そこでこの周波数/色変換回路76では、速度の大きさと方向とを表示部86で同時に表示すべく、次表のごとく8色に色別変換している。

    【0132】尚、前記周波数データfの色変換の際には、該周波数データfに付随する振幅データaが切換スイッチ75を介して供給されることにより、振幅データaが設定振幅範囲周波数データfのみを色変換の対象としている。 以下に記す各変換回路77,78に対しても同様な処理がなされる。

    【0133】

    【表1】 速度レベル : 大 0 大 移動方向 : (中心方向) 静止 (遠心方向) 8ビットデータ: 0 ……… 128 ……… 255 表示色 : 茶 赤 橙 黄 緑 青 紫 藍

    【0134】上表では、ターゲットが静止していれば黄ないし緑色表示され、ターゲットが近付づいている場合、その速度の大小に応じて茶、赤、橙の暖色系で表示され、ターゲットが遠ざかっておればその速度の大小に応じて藍、紫、青の寒色系で表示される。 移動ターゲットと静止物体とを明確に区別させるために静止ターゲットを例えばグレイ系の色で表示してもよい。

    【0135】表示色を16色にする場合には上記の各色の間に中間色を採用すればよい。 その場合、キャリア周波数fのデータは一般に8ビット(256種)であるため、これを16色表示する場合には4ビット(16種)のデータに割り付ける必要がある。 その際、図22の直線L 1で示したように通常はリニアで変換するが、放物線L 2もしくは指数曲線L 3に従って変換することにより、
    所望のレベルを強調したり弱めたりすることもでき。 いずれの場合においても色データを書き込んだROMから8ビットデータに対する色データを読み出している。

    【0136】次に分散について述べる。 ソナーや魚群探知機においては魚群エコーの周波数分析を行い、魚群の移動速度情報を得ることは漁労において有用なことは既に述べた。 この魚群の移動速度は、群としての平均速度を意味しているが、群の中の各々の魚の速度のばらつき具合(偏差)も又、魚群の認知並びに魚種、魚体長の判別を行う上で重要な情報となる。 又、群状のターゲットを完全静止物(例えば海底)から分離識別する際にも速度の偏差がわかれば識別容易となる。 上記のキャリア周波数fの分布から分散データを検出するようにした分散検出回路69の構成を以下に述べる。

    【0137】図23において、図18の船速補正回路6
    1よりのドップラー周波数偏移fmは角周波数演算回路151で角周波数ωに変換され、次に平均化回路152
    により平均された角周波数( ωと記す)が求められ、加算器153の加算端子に入力される。 又、角周波数ωは遅延回路154にて、平均化回路152での遅れに等しい時間だけ遅延され、加算器53の減算端子に入力され、
    この加算器153より得られた| ω −ω|(又は| ω −ω
    | 2 )は平滑化回路155で平滑化されることにより、分散σfが得られる。 尚、平均化回路152において振幅aで平均処理に重み付けを行うことも可能である。

    【0138】図24は分散検出回路69の別の回路構成を示している。 ドップラー周波数偏移fmを角周波数演算回路161にて角周波数ωが求められ、平均化回路1
    62にて平均され( ωと表す)、更に2乗回路163にて
    ( ω ) 2が求められる。 一方、前記キャリア周波数fは、
    2乗回路164にてω 2が求められ、そして平均化回路165にてω 2に平均化され、加算器166にてω 2
    ( ω ) 2の減算により分散σfが得られる。

    【0139】船速補正回路61より出力されるドップラー周波数偏移fm(一括補正時は生データ、逐一補正およびリアルタイム補正時は補正済みのデータ)は、上記の分散検出回路69にてそれの分散が検出され、切換スイッチ74に供給されるとともに、フレームメモリ70に書き込まれる。 この分散検出回路69またはフレームメモリ70よりの分散データは、切換スイッチ74を介して分散/色変換回路77に供給されることにより、ここで、分散の程度に応じて上述と同じような変換ROMから色データが読み出され、表示部86にて分散画が表示される。

    【0140】周波数・分散/色変換回路78では、周波数データfと分散データσfとに基づき対応する一つの色に変換されることにより、表示部86における一つの表示像から周波数と分散との同時に知ることができる。
    その変換法の一例を次表に示す。 ここでは、分散が小さい時、速度レベルが、大(中心向)、小、大(遠心向)に対応して表示色は赤、…灰、…青と変化し、分散が大きくなるに従って前記の表示色に緑色を混ぜている。

    【0141】

    【表2】 速度レベル : 大 0 大 移動方向 : (中心方向) 静止 (遠心方向) 表 (分散小): 赤 …… 灰 …… 青 示 : : : : : 色 (分散大): 黄 …… 緑 …… シアン

    【0142】フィルタ・振幅/色変換回路80では、フィルタ機能により、所望の帯域のみ色変換が可能であり、所望の帯域としては、例えばドップラー周波数偏移fmを参照して、この周波数の帯域(つまり当該水中探知装置のシステム帯域)内にある振幅データaのみを色変換することにより、他の周波数帯域の信号からの干渉を排除したり、あるいは、所定の周波数(速度)を上回る信号のみを色変換することにより、海底等の静止ターゲットを除去することができる。

    【0143】次にヒストグラム表示について述べる。 図25は表示部86における、上記の周波数/色変換回路76による速度画の表示例を示している。 今、ターゲットT 1ないしT 3が捕えられているが、ターゲットT 1について周波数(速度)分布を知りたいときは、そのターゲットT 1の表示エリア(方位範囲θ 1 〜θ 2 、距離範囲r 1
    〜r 2 )を指示部82より入力する。 これにより、fヒストグラム演算回路81により、図26に示したフレームメモリ62から前記領域に対応する領域Sから周波数データfが読み出され、その読み出した周波数データfから周波数分布が求められ、図25の表示窓Wに示したように、周波数分布を示すヒストグラムが表示される。

    【0144】以上説明した各種表示は船速補正したドップラー周波数偏移fmを周波数/色変換回路76その他の回路77,78,81,83の入力データとしたが、船速補正しないドップラー周波数偏移fmを入力データとすることもでき、その場合には切換スイッチ68を空き端子xに切り換え、船速補正回路61より出力される生データもしくはフレームメモリ62に格納された生データを入力データとすればよい。

    【0145】振幅/色変換回路79では、振幅aのレベルに応じて色変換されることにより、通常のレベル画が得られる。

    【0146】上述した表示例では選択回路85により各変換回路77ないし80およびfヒストグラム演算回路81、速度ベクトル演算回路83よりいずれか一つの出力を選択して表示部86一つの画像を表示していたが
    (単記画)、例えば図27に示したように、表示部86の上半分に、振幅/色変換回路79よりのレベル画86a
    を表示し、そして下半分には周波数/色変換回路76よりの速度画86bを同時に表示すれば(併記画)、両画像を比較対比することにより、ターゲットの識別能力を更に高めることができる。

    【0147】次に分解能を上げる手法について述べる。
    ターゲットよりのエコーに対する検出分解能は、超音波受波ビームの旋回速度に依存するが、この走査速度は、
    以降の電気回路の処理速度等により高速化には限界がある。 図28に示したは、矢印Yは、例えば図6の超音波受波器1'で形成された超音波受波ビームの方位を示しており、この超音波受波ビームYが一周を80msecで旋回している場合、この時点で到来エコーのタイミングt 1点のエコーが検出されたとすると、この超音波受波ビームYで次に検出されるのは、図29に示すように8
    0msec後のタイミングt 3点のエコーとなり、このように80msecおきにしかエコーを検出できず、そのためエコー情報の検出漏れがある。

    【0148】そこで、切換回路7p、7qによる超音波振動子sの切り換えを制御して、図29に示したように、全周走査を行わずに半周走査を行うようにして探査エリアを狭めれば、同じ走査速度であっても、エコーの検出サイクルは40msecとなり、サンプリングレートが2倍になることにより、タイミングt 2のエコーをも検出できるようになるので分解能が2倍となる。 又、探査エリアを45°の範囲にすればエコーの検出サイクルは10msecとなり8倍に分解能を高めることができる。 このようにして分解能を上げれば、詳しいエコー情報が得られるので、検出した探査結果を拡大して表示することが可能となり、ターゲットの識別能力を更に高めることができる。

    【0149】ところで本装置は、例えば図3においては、位相差検出回路12において、互いに方位差θ(時間差でτ)ずれた二つの超音波受波ビームよりの両検出信号から位相差Δψ(0≦Δψ≦2π)を求めている。 この位相差Δψは、Δψ=ω・τの関係式より、図30の直線L 1で示されるように、キャリア角周波数ωに比例するが、位相差検出回路12より出力される位相差Δψ
    は、0≦Δψ≦2πの値しか取り得ないので、キャリア角周波数ωが増大して位相差Δψが2πまで達すると、
    位相差Δψに折り返しが生じ、その後は直線L 2のごとく変化し、以下同様にL 3 、L 4のごとく周期的に変化する。 従って、検出された位相差Δψが例えばπであっても、このときのキャリア角周波数は、ω 1 、ω 2 、ω 3 、ω 4
    …のいずれであるか特定できない。 それならば、τを小さくして直線Lnで示されるようにシステム帯域内で折り返しが生じないようにすれば、ただ一つのキャリア角周波数ω 5を決定できる、τを小さくすると、後で述べるように、求まるキャリア角周波数ω 5に含まれる誤差が大きく影響し、精度のよい検出結果を得ることはできない。

    【0150】本発明では以下に述べる方法によって以上の問題点を解決している。 二つの超音波ビーム間で時間差τ 1ずれている時に位相差Δψに折り返しが生じた場合に求まる複数個のキャリア角周波数ωxは次式で与えられる。

    【0151】

    【数39】 ωx=Δψ 1 /τ 1 ±n(ωτ 1 ) ((ωτ 1 )=2π/τ 1 ) ここでΔψ 1 =Δψ 10 +Δφ 1 (Δψ 10 、Δφ 1はΔψ 1
    の真値および誤差)とおくと、

    【0152】

    【数40】ωx=Δψ 10 /τ+Δφ 11 ±n(ωτ 1 )

    【0153】この場合、図31で示したようにシステム帯域幅で4個のキャリア角周波数ω 1 、ω 2 、ω 3 、ω 4が求まったとする。 各々の角周波数ωxに幅があるのは、(4
    0)式右辺の第2項(Δφ 11 )の誤差のためである。

    【0154】次に折り返しが生じないように、二つの超音波ビーム間で時間差をτ 2 (<τ 1 )とした場合に求まるキャリア角周波数ω 5は次式で与えられる。

    【0155】

    【数41】ω 5 =Δψ 2 /τ 2ここでΔψ 2 =Δψ 20 +Δφ 2 (Δψ 20 、Δφ 2はΔψ
    の真値および誤差) とおくと、

    【0156】

    【数42】ω 5 =Δψ 20 /τ+Δφ 22

    【0157】この場合は図32で示したように、システム帯域幅でただ1つのキャリア角周波数ω 5が求まる。
    この場合においても(42)式右辺の第2項の誤差が含まれるがこの誤差(Δφ 22 )は、τ 2値がτ 1値と比べて小さいために前記の誤差(Δφ 11 )よりも大きくなっているため、一つのキャリア角周波数ω 5を特定できても正確な値は得られない。

    【0158】しかしながら、図31と図32とを対比すればわかるように、4個のキャリア角周波数ω 1ないしω 5の内でキャリア角周波数ω 5に包含されるω 3が真値であり、具体的には、例えば両者でキャリア角周波数毎にアンド積をとることにより、キャリア角周波数ω 3を確定できる。

    【0159】図33に示すように、旋回する二つの超音波受波ビームP、Qで二つの時間差τ 1 、τ 2 (<τ 1 )を得るには、両ビームの方位差θによる時間差をτ 2とし、
    残りの角度(2π−θ)による時間差をτ 1とすればよい。 又、長い方の時間差として、Tfs(旋回周期)あるいは(Tfs+τ 2 )としてもよい。

    【0160】これを実現する回路を図34に示している。 この図34は、図4または図7のマッチドフィルタ方式のキャリア周波数検出回路に適用した回路例であるが他のキャリア周波数検出回路に対しても適用可能である。 図34においては新たに位相差検出回路12'とこの位相差検出回路12'に対するτ 1もしくはTfsの遅延回路10'を備え、又、遅延回路10'における遅延量をτ 1にするかTfsにするかによって位相差検出回路12'
    への入力を切り換えるための切換スイッチ300を備える。 短い時間差τ 2による位相差検出回路12から出力される位相差Δψからは、上述したように、システム帯域幅内において精度は良くないがただ一つのキャリア角周波数ω'が求まり、一方、長い時間差τ 1もしくはTfs
    による位相差検出回路12'から出力される位相差Δψ'
    からは複数個のキャリア角周波数ωxが求まる。 折り返し補正・周波数算出回路301では、上述した手法でもって位相差ΔψとΔψ'との組み合わせから一つのキャリア角周波数ω、つまりキャリア周波数fを求めている。 尚、U 1 ,U 2は、位相差検出回路12,12'より出力される複数個の位相差Δψ,Δψ'をそれぞれ平均する平滑回路であり、この平均化処理により、検出精度を高めることができる。 なお、上述の実施例においては、減算回路を用いてキャリア周波数をドップラー周波数偏移信号に変換した後、船速補正や分散検出などの種々の処理を行ったが、ドップラー周波数偏移信号に変換することなくキャリア周波数についてこれらの種々の処理を行うことも可能である。 なお、上述の実施例においては、ドップラー周波数偏移信号やキャリア周波数を用いたが、ドップラー角周波数偏移信号やキャリア角周波数を用いることも明らかに可能である。

    【0161】次に速度ベクトル演算回路83について述べる。 図35において、観測点Oを原点にとった直交座標系x-y-zを考える。 x方向に対して水平角度αおよびチルト角βの方位に、O点からrの距離にある点P
    (x,y,z)およびその近傍に、観測点Oと相対速度0
    で動くターゲットが分布しているとする。 アンダーラインはベクトルを示す。 速度0は、x軸に対して水平角度A 0及びチルト角度B 0の方位を持つ。 座標P(x,y,
    z)および速度V 0 (X 0 ,Y 0 ,Z 0 )の各々の成分を極座標のパラメータ[r,α,β及びV 0 ,A 0 ,B 0 ]を用いて表すと、

    【数43】x=r・cosβcosα y=r・cosβsinα z=r・sinβ

    【数44】X 0 =V 0・cosB 0 cosA 00 =V 0・cosB 0 sinA 00 =V 0・sinB 0となる。

    【0162】観測点Oから超音波パルスを送信し、OP
    方向の指向性受波ビームでP点のターゲットからのエコーを受信し、距離rとドップラー周波数偏移を検出する。 そのドップラー周波数偏移から求められる速度v
    ( OP , 0 )は、 0OP方向への斜影である。

    【数45】 v( OP , 0 )= 0・( OP /r)=(xX 0 +yY 0 +zZ 0 )/r アンダーラインはベクトルであることを示す記号とし、
    0P /rは単位ベクトルを示す。

    【0163】(45)式に(43)式および(44)式を代入すると、

    【数46】 v( OP , 0 )= V 0 (cosB 0 cosA 0 cosβcosα+cosB 0 sinA 0 cosβsinα+sinB 0 sinβ) vは受波ビームの方向α,βと、ターゲットの相対速度V 0およびその方向A 0 ,B 0の関数となっているので(46)
    式を次式のごとく書き改める。

    【数47】 v(α,β,V 0 ,A 0 ,B 0 )= V 0 (cosB 0 cosA 0 cosβcosα+cosB 0 sinA 0 cosβsinα+sinB 0 sinβ) (47)式中のビーム方向α,βは既知量であり、ターゲット速度のパラメータV 0 ,A 0 ,B 0が未知量である。

    【0164】同じ速度0で動くターゲットがOP方向以外にも分布している場合は、OP方向以外の別の方向の複数の受波ビームにより、同様にしてターゲットの速度vを求めてやると、パラメータ[V 0 、α、β]の異なる(47)式が複数得られ、それらを連立方程式として解くことにより、V 0 ,A 0 ,B 0を求めることができる。 これが3ビームや4ビームを用いた潮流計の基本原理であるが、本発明では、α、βの異なるv(α,β,V 0 ,A 0 ,B 0 )
    を多数求め、これが(47)式のモデル式に基づくデータであると見なし、そのデータよりモデルパラメータを最小2乗法により推定することにより、ターゲット速度
    0 、即ち、V 0 ,A 0 ,B 0を求める手法を採用する。

    【0165】図36に示すように、水平方向に2π/N
    に刻み、又、チルト角方向に2π/Mに刻み、距離方向にはΔr刻みで全周のターゲットに関する速度情報vとエコー強度情報aが得られたものとする。 速度データ、
    強度データをそれぞれv(i,j,k)、am(i,j,k)と書く。 iはα=(2π/N)i、jはβ=(2π/M)j、k
    はr=Δr・kの点のデータであることを意味し、観測点Oから全空間を観測できるとすれば、i,j,kは次の範囲の整数である。 i=0〜(N−1)、j=−M/4〜M/4、k=1,2,3
    … データ点i,j,kにおいて同一速度のターゲットが在るか否かの確度をw(i,j,k)と表す。 このwの決め方は後述する。

    【0166】例えば、図36のマス目表示してあるエリア(i=i 1 〜i 2 、j=j 1 〜j 2 、k=k 1 〜k 2 )のターゲットが同一速度を有していると考えられる場合は、そのエリア内でw(i,j,k)=1で他は0である。 測定データv(i,j,k)に(47)式をフィッティングモデルさせるために、(47)式のα、βもそれぞれ2π/N、2π/
    M、2π/M刻みで離散化させることにより、

    【数48】 y(i,j)=V 0 (cosB 0・cosA 0・cos(2π/N)i・cos(2π/M)j+ cosB 0・sinA 0・sin(2π/N)i・cos(2π/M)j+sinβ 0・sin(2π/M)j) =a・cos(2π/N)i・cos(2π/M)j+b・sin(2π/N)i・cos(2π/M)j +c・sin(2π/M)j

    【数49】 a=V 0 cosB 0 cosA 0 、b=V 0 cosB 0 sinA 0 、c=V 0 sinB 0と表し、このy(i,j)をフィッティングモデルとする。 データとモデルとの差を、

    【0167】

    【数50】

    【0168】で定義し、Qを最小とならしめるために、

    【0169】

    【数51】

    【0170】を解いてa,b,cの推定値a',b',
    c'を求め、(49)式を逆に解けば、同一とした速度の推定値V 0 ',A 0 ',B 0 'を求めることができる。

    【0171】さて、wの決め方であるが、状況、測定対象等により種々の方法が考えられるが次に一例を示しておく。 (1)ソナー等においてはエコー強度情報の画像を参照し、マニュアルでおおまかな範囲(i 1 ,i 2 、j 1 ,j 2
    1 ,k 2 )を設定し、その範囲内においてエコーの強度a
    m(i,j,k)があるしきい値レベル以上のデータ点に対してw(i,j,k)=1とし、他はすべて0とする。 この場合は魚群速度や大型ターゲットを対象とする場合に適する。 (2)前記の範囲内でw(i,j,k)=am(i,j,k)とし、範囲外では0とする。 (3)あらかじめ全測定空間をいくつかの範囲に分けておき、各々の範囲毎に(1)や(2)の方法でw(i,j,k)
    を設定する。 (4)潮流(海水の流れ)等を設定範囲内で求めたいときは、しきい値レベルを逆に用いてあるレベル以下のエコー強度のデータ点のみを1とし、その範囲内の他の点は0とし、又、その範囲外はすべて0とする。

    【0172】ところで、潮流や魚群のように、ターゲットの速度V 0に垂直成分がない(上下動がない)と考えてよい場合は、以下のごとく簡略化できる。 (47)式、(48)
    式、(49)式、(50)式、(51)式でB 0 =0とおくことにより、

    【数52】 v(α,β,V 0 ,A 0 )=V 0 (cosA 0 cosβcosα+sinA 0 cosβsinα)

    【数53】 y(i,j)=a・cos(2π/N)i・cos(2π/M)j+b・sin(2π/N)i・cos(2π/M)j

    【数54】a=V 0 cosA 0 、b=V 0 sinA 0

    【0173】

    【数55】

    【0174】

    【数56】

    【0175】となり、推定値a',b'からターゲットの速度(この場合V 0 'とA 0 ')を得ることができる。

    【0176】更に、ビームのチルト角βが固定(β 0 )の場合は、(52)式、(53)式、(54)式、(55)式、(56)式より、

    【数57】 v(α,β 0 ,V 0 ,A 0 )=V 0 cosβ 0 (cosA 0 cosα+sinA 0 sinα)

    【数58】y(i)=a・cos(2π/N)i+b・sin(2π/N)i

    【数59】a=V 0 cosβ 0 cosA 0 、b=V 0 cosβ 0 sinA

    【0177】

    【数60】

    【0178】

    【数61】

    となり、推定値a',b',β

    0からターゲットの速度、


    0 'およびA

    0 'を得ることができる。

    【0179】又、計算量を減らすために、k方向に速度v(i,j,k)をw(i,j,k)の重みで平均してva(i,
    j)とし、チルト角β 0が固定の場合には、速度va(i,
    k)をw(i,k)の重みで平均してva(i)とし、(55)
    式、(60)式より、

    【0180】

    【数62】

    【0181】

    【数63】

    【0182】が得られ、この式を用いてもよい。 ここでwa(i,j)およびwa(i)は、k方向で平均したもの、
    もしくは、k方向のw(i,j,k)の合計がしきい値より大きいか否かによって1もしくは0をとる。

    【0183】上記のごとく検出された速度ベクトルの表示例を以下に述べる。 図37は、チルト角βの変化によりターゲット速度を3次元的に捕えた表示であり、図3
    8は、図37においてある一層(一定の深度)のみを取り出して速度の水平成分を2次元表示したものである。
    尚、チルト角βが固定の場合にも図38のようなベクトル図が得られるが、その場合、自船(△記号で示す)を中心として、半径が大きくなるにつれて深度が大きくなる
    (図19参照)。

    【0184】図39は、表示部86上において検出されたターゲットT 4に対して指示部84により、領域(Z 1
    で示す)を指定することにより、その領域Z内のターゲットT 4に対する平均した速度ベクトルを求め、矢印記号Y 1にて示したものである。 又、同心円の領域Z 2における潮流ベクトルY 2も同時に表示される。

    【0185】本発明の速度ベクトル図の利点を次に述べる。 従来の潮流計であれば、自船直下に魚群がある場合にはそれがノイズとして表示されるが、本発明では振幅情報を参照することで潮流から魚群を区別し、潮流のみ表示することができる。 又、チルト角を小さくすることにより、表層における潮流を検出することもできる。

    【0186】

    【発明の効果】以上説明したように、本発明は、広範囲から到来する超音エコーのキャリア周波数を高速に検出し、この検出したキャリア周波数の変化を調べることにより、自船に対するターゲットの速度情報を知ることができ、この速度情報を色表示することにより、飽和現象による相対レベル情報の消失や強信号による弱信号のマスキング作用、および同レベルの信号では識別不能といった、従来のレベル画での課題を解消できる。 又、速度画以外にターゲットの分散情報を検出することにより、
    魚群の認知および魚種や魚体長の判別の上で重要な情報となる。 更には、ターゲットよりのエコー情報を、自船の対地や対水速度で補正することにより、ターゲット自身の対地速度情報や対水速度情報を知ることが可能となり、より的確に魚群の認知等を行うことができる。 又、
    超音波受波ビームを全周走査から扇形に走査してサンプリング間隔を短くすることにより、高分解能で検出することができる。 更には、2本の超音波受波ビーム間の方位差として異なる2つの位相差を検出し、これらの位相差に基づきキャリア周波数を検出するよにすれば、一つのキャリア周波数を精度よく確定できる。 更には、本発明では、任意領域毎に求めた速度ベクトルより、2次元もしくは3次元で速度分布を求めることができ、これにより、魚群の真の動きを知ることができる。 又、船の斜め方向の魚群を探知することができるので、魚群の真上に自船が位置していなくても魚群の速度を知ることができる。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】 本発明のキャリア周波数検出回路部の第1原理を示す図

    【図2】 図1で形成される二つの超音波受波ビームのタイムチャート

    【図3】 第1原理に基づく、旋回する一対の超音波振動子を用いたキャリア周波数検出回路図

    【図4】 図3の直交検波回路に代えてマッチドフィルタを用いたキャリア周波数検出回路のブロック図

    【図5】 図3において1個の超音波振動子にて実現したキャリア周波数検出回路のブロック図

    【図6】 複数の超音波振動子を円状に配したキャリア周波数検出回路のブロック図

    【図7】 図6の直交検波回路に代えてマッチドフィルタを用いたキャリア周波数検出回路のブロック図

    【図8】 図6の直交検波回路に代えて位相合成回路を用いたキャリア周波数検出回路のブロック図

    【図9】 図6の位相合成回路の回路図

    【図10】 以上のキャリア周波数検出回路における位相差検出回路の変形回路図

    【図11】 図8の遅延回路に代えてRAMとその読出しにCPUを用いたキャリア周波数検出回路のブロック図

    【図12】 図6において1本の超音波受波ビームを形成したキャリア周波数検出回路のブロック図

    【図13】 図8において1本の超音波受波ビームを形成したキャリア周波数検出回路のブロック図

    【図14】 図13の遅延回路に代えてRAMとその読出しにCPUを用いたキャリア周波数検出回路のブロック図

    【図15】 本発明のキャリア周波数検出回路の第2原理を示す図

    【図16】 第2原理に基づくキャリア周波数検出回路のブロック図

    【図17】 図16のパワースペクトラ演算回路および位相スペクトラム演算回路で得られたパワースペクトラムを示した図

    【図18】 本発明の船速補正・表示回路部の一実施例を示すブロック図

    【図19】 超音波受波ビームの旋回に伴う探査ポイントの移動を示した図

    【図20】 図18のフレームメモリのマップ図

    【図21】 図18の表示部における表示例を示した図

    【図22】 図18の周波数/色変換回路における色変換の一例を示した図

    【図23】 図18の分散検出回路の制御ブロック図

    【図24】 図18の分散検出回路の別の制御ブロック図

    【図25】 速度画が表示されている表示部の一部にヒストグラムを表示した表示例を示した図

    【図26】 図25で指定した領域に対するフレームメモリ上のアドレスを示した図

    【図27】 レベル画と速度画を同時に表示した表示例を示した図

    【図28】 超音波受波ビームを全周走査したときの到来エコーの検出タイミングを示した図

    【図29】 図28において超音波受波ビームを半周走査したときの到来エコーの検出タイミングを示した図

    【図30】 検出された位相差Δψとキャリア角周波数ωとの関係を示した図

    【図31】 図30において折り返し発生により4個得られたキャリア角周波数ω 1ないしω 4のシステム帯域内に占める帯域を示した図

    【図32】 図30において折り返しを無くして得られた1個のキャリア角周波数ω 5のシステム帯域内に占める帯域を示した図

    【図33】 2本の超音波受波ビームに対して得た二つの位相差を示した図

    【図34】 2本の超音波受波ビームにより二つの位相差を得るための構成を示す制御ブロック図

    【図35】 速度ベクトルを3次元で求めるのに用いた説明図

    【図36】 所望の3次元領域に対して速度ベクトルを求めるのに用いた図

    【図37】 3次元表示の速度ベクトル図

    【図38】 2次元表示の速度ベクトル図

    【図39】 表示器における速度ベクトルの表示例を示した図

    【符号の説明】

    P 超音波受波ビーム Q 超音波受波ビーム 1 超音波受波器 1p 超音波振動子 1q 超音波振動子 s 超音波振動子 3 遅延回路 4c 参照信号発生器 4s 参照信号発生器 5 直交検波回路 6p 掛算器 6q 掛算器 7p 切換回路 7q 切換回路 8p ローパスフィルタ 8q ローパスフィルタ 9p 位相合成回路 9q 位相合成回路 10 遅延回路 12 位相差検出回路 13 演算器 14 演算器 15 減算器 18 算出回路 20 移相器 22 乗算器 24 加算器 26 フィルタ 30p マッチドフィルタ 30q マッチドフィルタ 40p A/D変換器 40q A/D変換器 42 メモリ 44 CPU 50 キャリア周波数検出回路 61 船速補正回路 62 フレームメモリ 63 振幅平均回路 64 フレームメモリ 65 自己船速補正値算出部 66 読出し範囲指示部 67 外部船速補正値演算部 68 切換スイッチ 69 分散検出回路 70 フレームメモリ 71 船速補正回路 72 切換スイッチ 73 切換スイッチ 74 切換スイッチ 75 切換スイッチ 76 周波数/色変換回路 77 分散/色変換回路 78 周波数・分散/色変換回路 79 振幅/色変換回路 80 フィルタ・振幅/色変換回路 80a スイッチ 81 周波数ヒストグラム演算回路 82 指示部 85 選択回路 86 表示部 100 船速補正・表示回路 101 送波器 102 制御器 106 フィルタ 107 フィルタ 111 検波回路 112 検波回路 151 角周波数演算回路 152 平均化回路 153 加算器 154 遅延回路 155 平滑化回路 161 角周波数演算回路 162 平均化回路 163 2乗回路 164 2乗回路 165 平均化回路 166 加算器 202 マルチプレクサ 204 フィルタ 206 A/D変換器 208 フーリエ変換回路 210 パワースペクトラム演算回路 212 目盛換算回路 214 位相スペクトラム演算回路 216 位相差算出回路 218 バッファメモリ 224 算出回路 301 折返し補正・周波数算出回路

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 5識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01S 11/14 15/96 8113−5J (72)発明者 林 辰男 兵庫県西宮市芦原町9番52号 古野電気株 式会社内 (72)発明者 河合 正人 兵庫県西宮市芦原町9番52号 古野電気株 式会社内

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