電子機器及び音出制御方法

申请号 JP2015253134 申请日 2015-12-25 公开(公告)号 JP2017118375A 公开(公告)日 2017-06-29
申请人 京セラ株式会社; Kyocera Corp; 发明人 ISHIDA YUJI;
摘要 【課題】スピーカの 指向性 を適切に制御可能な電子機器を提供する。【解決手段】複数の音出 力 部30と、周囲の対象物を検知する検知部40と、検知部40による検知結果に基づいて、音出力部30に出力する 信号 を制御する制御部10とを備える電子機器1。【選択図】図1
权利要求
  • 複数の音出力部と、
    周囲の対象物を検知する検知部と、
    前記検知部による検知結果に基づいて、前記音出力部に出力する信号を制御する制御部とを備える電子機器。
  • 前記検知部は、前記対象物までの距離及び前記対象物の大きさの少なくともいずれか一方を検知する、請求項1に記載の電子機器。
  • 前記検知部は超音波センサを含み、前記対象物における超音波の反射係数を検知する、請求項1又は2に記載の電子機器。
  • 筐体をさらに備え、
    前記複数の音出力部は、前記筐体の異なる面に配置されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器。
  • 画像を撮像する撮像部を備え、
    前記制御部は、
    前記撮像部で撮像された画像に基づいて所定のユーザの位置を検知し、当該検知した位置に基づいて前記音出力部に出力する信号を制御する、請求項1から4のいずれか一項に記載の電子機器。
  • 前記制御部は、
    前記撮像部で撮像された画像に基づいて所定のユーザの耳の位置を検知し、当該検知した耳の位置に基づいて前記音出力部に出力する信号を制御する、請求項5に記載の電子機器。
  • 複数の音出力部を備える電子機器の周囲の対象物を検知する検知工程と、
    前記検知工程による検知結果に基づいて、前記音出力部に出力する信号を制御する制御工程を備える、音出力制御方法。
  • 说明书全文

    本発明は、指向性を制御して音を出する電子機器及び音出力制御方法に関する。

    従来、電子機器のスピーカから出力される音声を、端末のユーザ以外に漏らさないように、イヤホンが用いられる(例えば、特許文献1参照)。 あるいは、平面波スピーカ、又はパラメトリックスピーカなど、狭指向性を有するスピーカが用いられる(例えば、特許文献2、3参照)。

    特開平4−200045号公報

    特開2014−165862号公報

    特開2004−349815号公報

    しかし、イヤホンを用いる場合、に取り付けたり取り外したりするのが煩わしく、不使用時の収納にも困るため、利便性に欠ける。

    また、平面波スピーカから出力される音波は、平面波で伝播するため音圧レベルの距離減衰が小さく、壁などに反射することがある。 また、パラメトリックスピーカから出力される音波も音圧レベルの距離減衰が小さく、平面波スピーカと同様に、壁などに反射することがある。 その結果、平面波スピーカ、又はパラメトリックスピーカなどの狭指向性を有するスピーカを用いても電子機器のユーザ以外に音声が漏れることがある。

    そこで本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、スピーカの指向性を適切に制御可能な電子機器及び音出力制御方法を提供することを目的とする。

    上記目的を達成する本発明に係る電子機器は、
    複数の音出力部と、
    周囲の対象物を検知する検知部と、
    前記検知部による検知結果に基づいて、前記音出力部に出力する信号を制御する制御部とを備える。

    また、好ましくは、前記検知部は、前記対象物までの距離及び前記対象物の大きさの少なくともいずれか一方を検知する。

    また、好ましくは、前記検知部は超音波センサを含み、前記対象物における超音波の反射係数を検知する。

    また、好ましくは、筐体をさらに備え、
    前記複数の音出力部は、前記筐体の異なる面に配置されている。

    また、好ましくは、画像を撮像する撮像部を備え、前記制御部は、前記撮像部で撮像された画像に基づいて所定のユーザの位置を検知し、当該検知した位置に基づいて前記音出力部に出力する信号を制御する。

    また、好ましくは、前記制御部は、前記撮像部で撮像された画像に基づいて所定のユーザの耳の位置を検知し、当該検知した耳の位置に基づいて前記音出力部に出力する信号を制御する。

    また、上記目的を達成する本発明に係る音出力制御方法は、
    複数の音出力部を備える電子機器の周囲の対象物を検知する検知工程と、
    前記検知工程による検知結果に基づいて、前記音出力部に出力する信号を制御する制御工程を備える。

    本発明によれば、スピーカの指向性を適切に制御可能な電子機器及び音出力制御方法を提供することができる。

    一実施形態に係る電子機器の概略構成例を示す機能ブロック図である。

    出力部の構成及びスピーカとの接続の一例を示すブロック図である。

    電子機器の一例を示す斜視図である。

    1個の主スピーカを備えるスピーカの指向特性図の一例である。

    1個の主スピーカと2個の副スピーカとを備えるスピーカの指向特性図の一例である。

    スピーカの制御点の配置の一例である。

    スピーカの出力の指向性を制御する方法を示すフローチャートである。

    ユーザが電子機器を使用する態様の一例である。

    電子機器が超音波センサを用いて対象物を検知する構成の例である。

    材質ごとの音波の反射係数の周波数特性の一例を示すグラフである。

    電子機器を壁の近傍で使用している場合の例である。

    電子機器が赤外線センサを用いて対象物を検知する構成の例である。

    電子機器がカメラを用いて対象物を検知する構成の例である。

    図3に示される電子機器にさらにカメラ46が備えられた構成である。

    人間の顔の特徴点の抽出処理の一例である。

    スピーカがユーザの耳の方向に指向性を有する態様の例である。

    スピーカと耳との距離、スピーカから出力される音圧レベルの時間変化の一例を示すグラフである。

    2人のユーザが同時に認識された場合のスピーカの指向性を示す例である。

    スピーカがライン状に配置されたバンド形状の電子機器の例である。

    スピーカが放射状に配置されたリング形状の電子機器の例である。

    スピーカが円周上に配置されたリング形状の電子機器の例である。

    (実施形態)
    以下、一実施形態に係る電子機器について、図面を参照しながら詳細に説明する。 なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。

    [機器構成]
    図1は、本実施形態に係る電子機器1の概略構成例を示す機能ブロック図である。 電子機器1は、制御部としてのコントローラ10と、音出力部としてのスピーカ30と、検知部40とを備える。

    コントローラ10は、記憶部12と取得部14と出力部20とを備える。 コントローラ10は、アプリケーションソフトウェアを実行可能なプロセッサまたはマイコン等により構成することができる。 また、コントローラ10は、電子機器1を動作させるために必要な各機能部および要素の制御および管理を行う。

    記憶部12は、半導体メモリ等で構成することができ、各種情報、又は電子機器1を動作させるためのプログラム等が格納される。 また記憶部12は、コントローラ10のワーキングメモリとして用いられる。 また記憶部12は、スピーカ30へ出力される音声データを格納する。 音声データは、例えば、楽曲の再生データであったり、視聴しているビデオ映像の音声データであったり、電子機器1を通話に用いる際の相手方の音声データであったりするが、これらに限られるものではない。

    取得部14は、検知部40からデータを取得する。 検知部40から取得するデータについては後述する。 また、取得部14は、電子機器1に接続される他の機器からデータを取得する。 他の機器から取得するデータは、例えば、上述の音声データであるが、これに限られない。 コントローラ10は、取得部14が取得したデータを用いて種々の制御を行う。 また、コントローラ10は、取得部14が取得したデータを記憶部12に格納して用いてもよい。

    出力部20は、記憶部12に格納された音声データ、又は、取得部14により取得された音声データに基づいて、スピーカ30で再生可能な音声信号を生成し、該音声信号をスピーカ30へ出力する。

    なお、記憶部12は、図1においてコントローラ10の内部に備えられているが、コントローラ10の外部に別個の記憶装置として備えられてもよい。 また、取得部14及び出力部20についても、記憶部12と同様に、コントローラ10の外部に別個の装置として備えられてもよい。

    電子機器1は、複数のスピーカ30を備える。 本実施形態において、電子機器1は、N個のスピーカ30−1〜30−N(N:2以上の自然数)を備える。 以下、スピーカ30−1〜30−Nを区別する必要がない場合は、まとめてスピーカ30という。 スピーカ30は、コントローラ10の出力部20に接続され、出力部20から出力された音声信号に応じて振動板を振動させることにより、音波を出力する。

    本実施形態における各スピーカ30は、スピーカ軸を有するものとする。 スピーカ軸は、スピーカ30の中心を通り、スピーカ30の正面方向に向かう軸である。 以下、スピーカ軸のことを、スピーカの軸、又は、単に軸ともいう。 なお説明の便宜上、スピーカ30はスピーカ軸を有するものとするが、本実施形態に係る電子機器1は、スピーカ軸が定義されないようなスピーカ30を備えてもよい。

    図2は、出力部20の構成、及び、出力部20とスピーカ30との接続の一例を示すブロック図である。 出力部20は、スピーカ30の個数に合わせてN個設けられる。 以下、これらN個の出力部20をそれぞれ区別する必要がある際には、出力部20−1〜20−Nという。 スピーカ30−1〜30−Nはそれぞれ、出力部20−1〜20−Nに接続される。 出力部20−1〜20−Nは別個の回路又はユニットとして実装されてもよいし、多チャンネルの信号処理を行う1つ若しくは複数の回路又はユニットとして実装されてもよい。

    出力部20−i(i:N以下の自然数)は、フィルタ22−iと、D/A変換器24−iと、アンプ26−iとを備える。 以下、フィルタ22−1〜22−N、D/A変換器24−1〜24−N、及びアンプ26−1〜26−Nをそれぞれ区別する必要がない場合、まとめてフィルタ22、D/A変換器24、及びアンプ26という。

    フィルタ22は、入力された音声データをフィルタ伝達関数に基づいて音声信号に変換し、変換された音声信号を出力する。 フィルタ伝達関数は、各フィルタ22が有するものであり、フィルタ22−iが有するフィルタ伝達関数をH iと表す(i:N以下の自然数)。 本実施形態において、フィルタ22へ入出力される音声信号はデジタル信号であるが、これに限られず、アナログ信号であってもよい。

    D/A変換器24は、フィルタ22から出力されたデジタルの音声信号をアナログの音声信号に変換する。 フィルタ22から出力される音声信号がアナログ信号である場合、D/A変換器24は備えられなくともよい。

    アンプ26は、D/A変換器24又はフィルタ22から出力されたアナログの音声信号を増幅し、増幅した音声信号をスピーカ30に出力する。

    フィルタ22とD/A変換器24とアンプ26とは、別個の回路又はチップとして実装されてもよいし、まとめて1つの回路又はチップとして実装されてもよい。

    検知部40は、電子機器1の周囲状況を検知する。 検知部40は、周囲状況の検知結果をコントローラ10に出力する。 検知部40は、例えば、画像を撮像する撮像部としてのカメラ46(図13参照)を含む。 カメラ46は、電子機器1の周囲を撮像(以下、撮影ともいう)し、撮影した画像をコントローラ10に出力する。 この場合、コントローラ10は、カメラ46から取得した画像を処理・解析することによって、電子機器1の周囲状況を検知することができる。

    また検知部40は、例えば、超音波センサ42(図9参照)、赤外線センサ44(図12参照)などの各種センサやマイクなどを含む。 これらのセンサやマイクは、電子機器1の周囲にある対象物までの距離、対象物の大きさなどを測定(検知)し、測定結果(検知結果)をコントローラ10に出力する。 この場合、コントローラ10は、検知部40から取得した測定結果(検知結果)を処理・解析することによって、電子機器1の周囲状況を検知することができる。

    図3は、電子機器1の一例を示す斜視図である。 図3に示される電子機器1は、スマートフォンであり、板状で略六面体の筐体2を備える。 図3には、XYZ座標系が示されており、筐体2の正面の法線方向がX軸の正方向に、筐体2の右側面がY軸の正方向に、筐体2の上面がZ軸の正方向に、それぞれ一致している。

    図3に示される電子機器1は、筐体2の正面にさらにタッチパネル5を備える。 タッチパネル5は、液晶ディスプレイ、又は有機ELディスプレイなどの表示デバイスとタッチセンサとを備える。

    図3に示される電子機器1は、筐体2の各面にさらにスピーカ30−1〜30−5を備える。 スピーカ30−1は、筐体2の正面のタッチパネル5の上部に配設され、スピーカ30−1の軸の向きはX軸の正方向である。 スピーカ30−2は、筐体2の背面の下部に配設され、スピーカ30−2の軸の向きはX軸の負方向である。 スピーカ30−3は、筐体2の底面に配設され、スピーカ30−3の軸の向きはZ軸の負方向である。 スピーカ30−4及び30−5はそれぞれ、筐体2の左側面及び右側面に配設され、スピーカ30−4及び30−5の軸の向きはそれぞれY軸の負方向及び正方向である。

    スピーカ30の配設位置は、図3に示される例に限られるものではない。 また、スピーカ30の配設数も、図3に示されるように5個に限られるものではなく、各面に1個と限られるものでもない。 また、各スピーカ30は好適には、それぞれの軸が互いに異なる向きとなるように配設される。

    また、電子機器1は、筐体2に端子、マイク、又は操作ボタン等を備えてもよい。

    [指向特性]
    電子機器1のスピーカ30から音声が出力される場合、該音声は電子機器1のユーザのみ、又は1名若しくは複数の所望のユーザのみが聞き取れると良い。 つまり、ユーザがいる方向に出力される音波の音圧レベルが、それ以外の方向に出力される音波の音圧レベルよりも大きくなるように、スピーカ30の指向特性が制御される。 以下、一般的なスピーカセットの指向特性について説明する。 ここで、音圧とは、媒質の中に音波が存在したときの媒質の圧力の変動部分をいう。

    一般的に、スピーカセットの指向特性は、スピーカセットを点音源とみなして、点音源から各方向に出力される音波の音圧で表される。 音圧は、人間の最小可聴音圧を基準とする音圧レベルで表される。 音圧レベルの単位は、dB(デシベル)である。 点音源から出力される音波は三次元空間の全方向に向かうが、点音源を含む一つの平面を切り出すことにより、該平面上における指向特性を表すことができる。

    図4及び図5は、スピーカセットの指向特性図である。 これらの指向特性図は、スピーカセットを擬した点音源から各方向へ出力される音圧レベルを太実線で示している。 また、これらの指向特性図において、スピーカセットの主スピーカ30aの軸の向き(スピーカセットの正面方向)は下方向である。

    図4は、スピーカセットが1個の主スピーカ30aを備える場合の指向特性図の一例である。 図4において、主スピーカ30aの正面方向に対応する下方向の音圧レベルが最も高い。 しかし、左右方向、及び、主スピーカ30aの背面方向に対応する上方向の音圧レベルも高くなっている。 つまり、図4に示されるスピーカセットの指向特性は、特定の方向の音圧レベルだけが高くなる狭指向性を有さず、全般的に音圧レベルが高くなる広指向性を有する。

    図5は、スピーカセットが1個の主スピーカ30aと2個の副スピーカ30bとを備える場合の指向特性図の一例である。 図5において、図4と同様に、主スピーカ30aの正面方向に対応する下方向の音圧レベルが最も高い。 ここで、図4と比較して、左右方向、及び、主スピーカ30aの背面方向に対応する上方向の音圧レベルが低くなっている。 よって、図5に示されるスピーカセットの指向特性は、スピーカセットの正面方向に狭指向性を有するといえる。 このような指向特性は、2個の副スピーカ30bから出力される音波が、主スピーカ30aから出力される左右方向及び上方向に向かう音波を相殺することにより得られる。

    スピーカセットの指向特性は、狭指向性、広指向性、又は所定の指向性を示さない無指向性などのうちいずれの指向性を有するかで特徴づけられる。 以下、スピーカセットの指向特性が有する指向性のことを、単に、スピーカセットの指向性ともいう。

    以上、図4及び図5を用いて、一般的なスピーカセットの指向特性について定性的に説明してきた。 なお、スピーカセットの指向特性を定量的な指標で表す方法もあり、そのような指標の一つとして指向度が挙げられる。 指向角度は、スピーカセットの正面方向における最大の音圧レベルから、音圧レベルが半減(−6dB)する方向までの広がり角度として定義される。

    上述の一般的なスピーカセットの指向特性は、本実施形態に係る電子機器1に備えられる複数のスピーカ30の指向特性に対応づけることができる。 つまり、本実施形態において、複数のスピーカ30のうち1個のスピーカ30を主スピーカ30aに対応づけ、他のスピーカ30を副スピーカ30bに対応づけることができる。 そして、電子機器1のコントローラ10は、各スピーカ30の出力を制御することにより、1個のスピーカセット、すなわち点音源とみなされた複数のスピーカ30の指向特性を制御することができる。 例えば、コントローラ10は、ユーザ以外の第三者に音声が届かないようにするために、ユーザがいる方向に狭指向性を有するように指向特性を制御する。

    例えば、図3に示される電子機器1において、スピーカ30−1〜30−5をまとめて1個の点音源とみなして、スピーカ30−1が配設されている位置に該点音源があるとみなすことができる。 この場合、図4に示される指向特性は、スピーカ30−1のみから音波を出力した場合の、XY平面上における指向特性に対応する。 また、図5に示される指向特性は、スピーカ30−1を主スピーカ30aとみなし、スピーカ30−2〜30−5を副スピーカ30bとみなした場合の、XY平面上における指向特性に対応する。 つまり、図3に示される電子機器1において、コントローラ10がスピーカ30−1〜30−5の出力を制御することにより、スピーカ30全体としての指向特性が狭指向性を有するようにできる。

    [指向特性の制御方法]
    以上説明してきたように、複数のスピーカ30をまとめて1個の点音源とみなして、各スピーカ30の出力を制御することによって、該点音源の指向特性を制御できる。 以下、図2に示されるようなN個のスピーカ30−1〜30−Nを1個の点音源であるスピーカ30とみなした場合に、スピーカ30の指向特性を制御する方法について説明する。

    <制御点の設定>
    スピーカ30の指向特性は、点音源とみなされるスピーカ30から所定の距離をおいた位置に到達する音波の音圧レベルにより定められる。 そこで、スピーカ30から所定の距離をおいた位置に制御点を設けて、該制御点における音圧レベルをオンにするかオフにするか制御することによって、スピーカ30の指向特性を制御する。 以下、スピーカ30から制御点までの所定の距離を制御距離ともいう。

    ここで、制御点における音圧レベルがオンであるとは、該制御点における音圧レベルが、ユーザにとって音声を聞き取るのに十分な音圧レベルである第1音圧レベル以上であることを意味する。 一方、制御点における音圧レベルがオフであるとは、該制御点における音圧レベルが、ユーザ以外の第三者に対して音声が漏れない程度の音圧レベルである第2音圧レベル未満であることを意味する。

    図6は、スピーカ30の制御点の配置の一例を示す図である。 図6において、点音源とみなされるスピーカ30を中心とし、制御距離(Rとして表示されている)を半径とする円周上に仮想的な仮想マイク32−1〜32−12が配置されている。 そして、仮想マイク32−1〜32−12の配置位置は、制御点に対応づけられる。 制御点における音圧レベルは、各制御点に対応づけられる仮想マイク32−1〜32−12により仮想的に測定される。

    図6において、仮想マイク32−1〜32−12は、下方向(スピーカ30の正面方向)を始点として、時計回りに30°おきに配置されている。 仮想マイク32−1〜32−12は12個であるが、個数はこれに限られず、12個より多くても少なくてもよい。 また、仮想マイク32−1〜32−12の配置は、図6の例に限られず、配置間隔を狭くしても広くしてもよいし、配置間隔が一定でなくともよい。 つまり、制御点の点数は、12点に限られず、12点より多くても少なくてもよいし、制御点の配置間隔は一定でなくともよい。

    以下、指向特性の算出モデルの一般的な説明では、スピーカ30を中心とし、制御距離を半径とする円周上に設けられるM個の制御点にM個の仮想マイク32−1〜32−Mが仮想的に配置されるものとする(M:2以上の自然数)。 また、M個の仮想マイク32−1〜32−Mをそれぞれ区別する必要がない場合は、まとめて仮想マイク32という。

    <フィルタによる信号変換>
    図2において、各スピーカ30−1〜30−Nは、フィルタ22−1〜22−Nを備える出力部20−1〜20−Nに接続される。 フィルタ22−1〜22−Nは、入力された音声信号を変換するフィルタ伝達関数をそれぞれ有する。 以下、フィルタ22−i(i:N以下の自然数)に対応するフィルタ伝達関数をH iと表す。

    フィルタ22に入力される音声信号をX(ω)、仮想マイク32で測定される音圧レベル(つまり、制御点における音圧レベル)をY(ω)、スピーカ30から仮想マイク32までの空間伝達関数をG(ω)とすると、X(ω)とY(ω)との関係は以下の式(1)で表される。 ここで、X、Y、G、Hは周波数スペクトルを有するため、引数ωを有する関数となっている(ω:角周波数)。

    H(ω)は、フィルタ22−1〜22−Nがそれぞれ有するフィルタ伝達関数(H 1 〜H N )を要素に持つN次元列ベクトルであり、次の式(2)で表される(Tは転置を表す)。

    Y(ω)は、仮想マイク32−1〜32−Mにより測定される音圧レベルに対応する信号であるY 1 (ω)〜Y M (ω)を要素に持つM次元列ベクトルであり、次の式(3)で表される(Tは転置を表す)。

    G(ω)は、k番目(k:N以下の自然数)のスピーカ30−kから、j番目(j:M以下の自然数)の仮想マイク32−jまでの空間伝達関数であるG jk (ω)を要素とするM×N行列であり、次の式(4)で表される。

    jk (ω)は、スピーカ30と仮想マイク32(制御点)との位置関係、及び、音波を吸収又は反射する物体の存在などによって定められる。 G jk (ω)は、予め算出されて記憶部12に格納されていてもよいし、状況に応じてリアルタイムに再計算されてもよい。

    ここで、フィルタ22に入力される音声信号であるX(ω)が任意の値をとる場合に、スピーカ30の指向特性が所定の指向性を有するようにするためのフィルタ伝達関数(H(ω))は、以下の式(5)及び式(6)で表される。

    -1 (ω)は、G(ω)の逆行列である。 D(ω)は、各仮想マイク32に対応する制御点における音圧レベルを示す値を要素とするM次元列ベクトルであり、スピーカ30の指向特性が有する指向性の制御目標である。 D(ω)の要素であるD j (ω)は、仮想マイク32−j(及びそれに対応する制御点)に対応づけられる(j:M以下の自然数)。

    仮想マイク32−jで測定される音圧レベルを第1音圧レベル以上としたい場合、つまり仮想マイク32−jに対応する制御点における音圧レベルをオンにしたい場合には、D j (ω)=1とする。 また、仮想マイク32−jで測定される音圧レベルを第2音圧レベル未満としたい場合、つまり仮想マイク32−jに対応する制御点における音圧レベルをオフにしたい場合には、D j (ω)=0とする。

    制御点における音圧レベルは、オンかオフかに定められると限られるものではなく、制御点ごとの音圧レベルに重み付けがされてもよい。 つまり、D j (ω)の値は、0か1かに定められると限られるものではなく、0と1の間で定められてもよい。 また、D j (ω)の値は、各要素間で相対的に定められるべきものであり、負の値、又は、1を超える値に定められてもよい。

    例えば、図6に示されるような仮想マイク32(制御点)の配置において、指向性の制御目標(D(ω))は、以下のように設定される。 仮想マイク32−1、32−2及び32−12の方向のみに指向性をもたせたい、つまり、仮想マイク32−1、32−2及び32−12に対応する制御点における音圧レベルをオンにしたい場合には、D 1 (ω)、D 2 (ω)及びD 12 (ω)が1に設定される。 一方で、仮想マイク32−3〜32−11の方向には指向性をもたせたくない、つまり、仮想マイク32−3〜32−11に対応する制御点における音圧レベルをオフにしたい場合、D 3 (ω)〜D 11 (ω)は0に設定される。 つまりD(ω)は、以下の式(7)のように設定される。

    以上説明してきたように、上記式(5)及び式(6)を用いて、フィルタ伝達関数(H(ω))を算出することができる。 算出されたフィルタ伝達関数は、フィルタ22に入力された音声信号(X(ω))の変換に用いられる。 そして、フィルタ22で変換された音声信号は、D/A変換器24でアナログ信号に変換され、アンプ26で増幅されて、スピーカ30に出力される。 このようにしてスピーカ30の出力を制御することにより、スピーカ30の指向性を、設定された制御目標(D(ω))に近づけることができる。

    本実施形態に係るスピーカ30の指向特性の制御方法は、各スピーカ30の機能を主スピーカ30a又は副スピーカ30bに限定するものではない。 本実施形態において、各スピーカ30は、主スピーカ30aにもなりうるし、副スピーカ30bにもなりうる。 つまり、本実施形態におけるスピーカ30は、主スピーカ30a又は副スピーカ30bとしての機能が動的に構成されうるものである。

    <制御方法のフローチャート>
    図7は、スピーカ30の指向性を制御する方法(音出力制御方法ともいう)を示すフローチャートである。 まず、電子機器1のコントローラ10は、制御点を設定する(ステップS11)。 制御点の設定は、記憶部12に予め格納された値を取得して行われてもよいし、ユーザの入力に応じて行われてもよい。

    続いてコントローラ10は、空間伝達関数(G jk (ω))を設定する(ステップS12)。 空間伝達関数の設定は、記憶部12に予め格納された値の取得により行われてもよいし、スピーカ30と制御点との間及びスピーカ30の周囲に存在する物体についての情報に基づく算出結果に応じて行われてもよい。 ステップS12には、検知部40に電子機器1の周囲を検知させることによって、コントローラ10がスピーカ30と制御点との間、又は、スピーカ30の周囲に存在する物体についての情報を取得するステップが含まれてもよい。

    続いてコントローラ10は、スピーカ30の指向性の制御目標(D(ω))を設定する(ステップS13)。 制御目標の設定は、記憶部12に予め格納された値を取得して行われてもよいし、ユーザがいる位置など周囲状況についての情報に基づいて適宜算出されることによって行われてもよい。 ステップS13には、検知部40に電子機器1の周囲を検知させることによって、コントローラ10が周囲状況についての情報を取得するステップが含まれてもよい。

    続いてコントローラ10は、フィルタ伝達関数(H(ω))を算出する(ステップS14)。 フィルタ伝達関数は、上述の式(5)及び式(6)を用いて算出される。

    続いてコントローラ10は、出力部20に入力された音声信号(X(ω))を変換してスピーカ30に出力する(ステップS15)。 出力部20においては、フィルタ22がフィルタ伝達関数によって音声信号を変換し、D/A変換器24が音声信号をアナログ信号に変換し、アンプ26がアナログ信号を増幅している。

    以上説明してきたように、電子機器1のコントローラ10は、スピーカ30の指向性を制御することができる。 このようにすることで、例えば、図8(a)に示されるように、ユーザは、電子機器1を耳から離してもスピーカ30から出力される音声が聞こえ、且つ、周囲への音声の漏れを低減できる。 一方で、スピーカ30の指向性が本実施形態に係る制御方法によって制御されない場合、電子機器1を耳から離しているとスピーカ30から出力される音声の漏れが大きくなってしまうため、図8(b)に示されるように電子機器1を耳に密着させる必要がある。

    図8(a)に示される使用態様と、図8(b)に示される使用態様とを対比すると、図8(a)に示されるように電子機器1を耳から離す使用態様の方が、ユーザによってより快適に感じられる。 つまり、図8(a)に示される使用態様によって、電子機器1への人間の汗や汚れの付着、及び、電子機器1の密着により受ける違和感が低減される。

    [周囲状況に応じた空間伝達関数の設定]
    上述の通り、指向性を制御して音声信号を出力するために、スピーカ30から制御点までの空間伝達関数が設定される必要がある。 空間伝達関数は、スピーカ30と制御点との間、及び、スピーカ30の周囲に存在する物体の配置、すなわち、周囲状況に応じて設定される。 本実施形態において、電子機器1のコントローラ10は、検知部40を用いて周囲状況を検知することができ、検知結果から得られる周囲状況に応じて、空間伝達関数を設定することができる。 以下、コントローラ10が周囲状況に応じて空間伝達関数を設定する動作について説明する。 この動作は、図7に示されるフローチャートにおけるステップS12(空間伝達関数の設定)の動作に含まれるものである。

    <超音波センサによる検知>
    図9を参照して、電子機器1が検知部40として超音波センサ42を備える場合について説明する。 図9は、電子機器1が超音波センサ42を用いて対象物を検知する構成を示す図である。 図9(a)に示される超音波センサ42は、超音波信号の発信部42aと超音波信号の受信部42bとをそれぞれ1個ずつ備える。 また、図9(b)に示される超音波センサ42は、超音波信号の発信部42aを1個備え、超音波信号の受信部42bを2個備える。

    超音波センサ42の発信部42aは、超音波信号を対象物に発信する。 発信された超音波信号は、対象物において反射する。 図9(a)及び図9(b)に示される例では、対象物は壁80である。 受信部42bは、壁80で反射した超音波信号を受信し、壁80の存在を検知する。 ここで壁80は、一般的な住居又は事務所等に設けられるものであり、例えば、壁紙及び断熱材などを備えるものである。

    図9(b)において、受信部42bは2個設けられている。 これによって、対象物の2箇所において反射される超音波信号をそれぞれ受信できる。 よって、対象物を点だけでなく、面で検知でき、図9(a)と比較して、より高い感度で対象物を検知できる。 さらに、対象物の大きさを測定(検知)できる。 なお、受信部42bは1個又は2個に限られるものではなく、3個以上設けられてもよい。 その場合、さらに多くの箇所において反射される超音波信号を受信でき、より高い感度で対象物を検知できる。

    図9に示される例では、対象物として壁80が検知されるが、対象物は壁80に限られず、衣服であったり、金属であったりしてもよい。 また、超音波信号を反射するその他の対象物も検知されうる。 また、超音波センサ42は、受信した超音波信号の利得を算出することにより、対象物における超音波の反射係数(又は吸収係数)を測定(検知)できる。 ここで、反射係数とは、進行する波に対し反射して戻ってくる波の振幅の割合をいう。

    図10は、材質ごとの音波の反射係数の周波数特性の一例を示すグラフである。 図10のグラフの横軸は周波数を示し、縦軸は反射係数を示している。 図10において、実線は壁80における反射係数、破線は衣服における反射係数、一点鎖線は金属における反射係数を示している。

    図10において、横軸に示される周波数帯は、およそ左半分が可聴音域であり、およそ右半分が超音波帯域である。 例えば、壁80の反射係数は、可聴音域と超音波帯域とで異なる。 しかし、他の材質との大きさの関係は、可聴音域と超音波帯域とで同じである。 つまり、壁80は衣服よりも反射係数が大きく、金属よりも反射係数が小さい。 よって、超音波センサ42によって測定(検知)される超音波の反射係数は、空間伝達関数の算出に用いられる可聴音の反射係数とある程度の相関があるといえる。 なお、一般的には、硬い材質は反射係数が高く、軟らかい材質は反射係数が低い。

    コントローラ10は、例えば、図10に示される材質ごとの音波の反射係数の周波数特性と、超音波センサ42から出力される超音波の周波数を異ならせて測定した場合の反射係数の周波数特性とから、対象物の材質を特定することができる。

    また、コントローラ10は、超音波センサ42から超音波を出力中において、例えば、超音波センサ42の角度をアクチュエータなどで変更した際の角度変化を検知したり、あるいは、ユーザによる電子機器1自体の位置変更を加速度センサなどの位置センサで検知したりすることにより、超音波センサ42の出力角度の変更を検知し、出力角度と、出力角度毎に受信される超音波とから対象物の大きさを検知することができる。

    また、コントローラ10は、超音波センサ42として複数の送信部及び受信部が形成されているアレー状の超音波センサ42を用いている場合は、当該アレー状の受信部での超音波の検測定結果により対象物の大きさを検知することもできる。

    また、図10に示される反射係数は、一般的には対象物の大きさと相関し対象物が大きければ反射係数も大きくなる。 そのため、コントローラ10は、図10に示される材質ごとの音波の反射係数の周波数特性と、反射係数とから、対象物の大きさを特定することもできる。

    また、コントローラ10は、図10に示される材質ごとの音波の反射係数の周波数特性の一例を示すグラフを用いて、超音波などの各周波数の信号での反射係数から、可聴音での反射係数を算出することができる。

    また、超音波センサ42は、超音波信号の発信から受信までの遅延時間を算出することにより、対象物までの距離を測定(検知)できる。

    電子機器1のコントローラ10は、超音波センサ42から、対象物があるか、対象物までの距離、又は対象物における超音波の反射係数などについての検知結果(測定結果)を取得する。 そして、コントローラ10は、検知結果(測定結果)に基づいて、空間伝達関数を設定することができる。

    コントローラ10は、超音波センサ42から取得した検知結果(測定結果)に含まれる情報を取り入れて空間伝達関数を算出してもよい。 例えば、スピーカ30の周囲に対象物がある場合、該対象物において反射される音波の成分が空間伝達関数に影響を与える。 よって、超音波センサ42の検知結果(測定結果)に含まれる情報を取り入れて空間伝達関数を算出することで、空間伝達関数の精度をより高くすることができる。

    図11は、壁80の近傍で電子機器1を使用している場合を示す図である。 電子機器1のスピーカ30から出力される音波が壁80で反射している。 このとき、壁80には仮想スピーカ30cが配置されているとみなされる。 仮想スピーカ30cからの出力は、スピーカ30から壁80までの距離、壁80の大きさ、及び壁80における可聴音の反射係数によって算出される。 コントローラ10は、仮想スピーカ30cからの出力を考慮した空間伝達関数を算出することにより、空間伝達関数の精度をより高くすることができる。

    また、コントローラ10は、超音波センサ42の検知結果(測定結果)から得られる対象物に関する情報を、予め準備されているモデルと比較し、最も似ているモデルに対応する空間伝達関数を設定してもよい。 ここで、モデルとは、スピーカ30の周囲及びスピーカ30から制御点までの間にある対象物の存在パターンを予め想定したものである。 例えば、壁80が電子機器1の背面にある場合、近くにユーザ以外の第三者がいる場合などに対応するパターンがモデルとして準備されうる。 この場合、予め準備されたモデル、及び、これに対応する空間伝達関数は、記憶部12に格納されていてもよい。

    以上、検知部40として超音波センサ42が用いられる場合について説明してきた。 このような構成により、周囲状況にあわせた空間伝達関数を設定することができ、スピーカ30の指向性の制御の精度を高めることができる。

    なお、本実施形態では、上記検知部40として、スピーカ30と可聴音を検知するマイクとを組み合わせたものを利用することもできる。 このスピーカ30とマイクを検知部40として利用した実施形態の説明及び図面は、上記検知部40として超音波センサ42を用いた説明及び図面において、超音波センサ42をスピーカ30とマイクに置き換えた説明及び図面となる。 また、上記検知部40として超音波センサ42を用いた説明における超音波信号を可聴音とする。 この可聴音は、通常は20から2万ヘルツ程度の周波数であるが、可聴音の指向性を考慮して7000Hz以上の周波数の音であると良い。 また、超音波センサ42の発信部42aと超音波信号の受信部42bとは、それぞれ、スピーカ及びマイクとなる。 また、検知部40としてのマイクとスピーカは、筐体の同じ面に配置されていると良い。 この検知部40として、スピーカ30と可聴音を検知するマイクとを組み合わせたものを用いた実施形態では、超音波センサ42を検知部40として用いた場合と同様に、電子機器1のコントローラ10は、スピーカ30と可聴音を検知するマイクとを組み合わせた検知部40から、対象物があるか、対象物までの距離、大きさ又は対象物における超音波の反射係数などについての検知結果(測定結果)を取得する。 このように、上記検知部40として、スピーカ30と可聴音を検知するマイクとを組み合わせたものを利用した場合でも、超音波センサ42を用いた場合と同様に、コントローラ10は、検知結果(測定結果)に基づいて、空間伝達関数を設定することができる。

    <赤外線センサによる検知>
    図12を参照して、電子機器1が検知部40として赤外線センサ44を備える場合について説明する。 図12は、電子機器1が赤外線センサ44を用いて対象物を検知する構成を示す図である。 赤外線センサ44は、赤外線の投光部44aと赤外線の受光部44bとを備える。

    赤外線センサ44の投光部44aは、赤外線を対象物に投光する。 投光された赤外線は、対象物において、反射する。 図12に示される例では、対象物は壁80である。 受光部44bは、壁80で反射した赤外線を受光し、壁80の存在を検知する。

    図12において、投光部44aから投光される赤外線は広がりをもっているが、投光部44aは、対象物に対して赤外線をスポット的に投光するようにもできる。 この場合、受光部44bとして、例えば、PSD(Position Sensitive Detector:位置感知検出器)を用いることにより、対象物から反射される赤外線の受光位置のずれが測定(検知)されうる。 そして、受光位置のずれの測定結果(検知結果)に基づいて、対象物までの距離が測定(検知)されうる。

    図12に示される例では、対象物として壁80が検知されるが、これに限られず、人間も検知されうるし、赤外線を反射・散乱するその他の対象物も検知されうる。 また、受光部44bが複数の画素を備える赤外線カメラである場合、受光部44bは対象物の形状を検知することができる。 また、投光部44aがない場合でも、受光部44bが対象物から輻射される赤外線を受光し、対象物の存在を検知することができる。

    電子機器1のコントローラ10は、超音波センサ42を用いた場合と同様に、赤外線センサ44から、対象物があるか、対象物までの距離、又は対象物の大きさなどについての検知結果(測定結果)を取得する。 そして、コントローラ10は、検知結果(測定結果)に基づいて、空間伝達関数を設定することができる。

    コントローラ10は、超音波センサ42を用いた場合と同様に、赤外線センサ44から取得した検知結果(測定結果)に含まれる情報を取り入れて空間伝達関数を算出してもよい。 あるいは、コントローラ10は、赤外線センサ44の検知結果(測定結果)から得られる対象物に関する情報を、予め準備されているモデルと比較し、最も似ているモデルに対応する空間伝達関数を設定してもよい。 この場合、予め定められたモデル、及び、これに対応する空間伝達関数は、記憶部12に格納されていてもよい。 モデルについての説明は、超音波センサ42に関する説明と重複するため省略する。

    以上、検知部40として赤外線センサ44が用いられる場合について説明してきた。 このような構成により、周囲状況にあわせた空間伝達関数を設定することができ、スピーカ30の指向性の制御の精度を高めることができる。

    <カメラによる検知>
    図13を参照して、電子機器1が、検知部40として、カメラ46を備える場合について説明する。 図13は、電子機器1がカメラ46を用いて対象物を検知する構成を示す図である。

    カメラ46は、周囲の画像を取得し、画像処理によって、壁80の存在を検知する。

    図13に示される例では、対象物として壁80が検知されるが、これに限られず、人間も検知されうるし、画像処理で判別できるその他の対象物も検知されうる。 また、寸法が既知の部分を含む対象物(既知対象物とする)が検知された場合、画像処理によって、対象物までの距離も測定(検知)されうる。 また、カメラ46が複数台備えられる場合も、対象物までの距離が測定(検知)されうる。 また、カメラ46は、撮影を補助する投光部を別途備えてもよい。 つまり、コントローラ10は、撮像画像の中から対象物と既知対象物を画像認識により認識する。 そしてコントローラ10は、撮像画像中の既知対象物の大きさなどからカメラ46からこの既知対象物までの距離や実際の大きさを算出する。 そして、コントローラ10は、既知対象物までの距離及び実際の大きさと、対象物と既知対象物とのピント合わせの際のコントラスト情報とから、対象物までの距離と実際の大きさを算出する。

    電子機器1のコントローラ10は、カメラ46から、対象物があるか、対象物までの距離、又は対象物の形状などについての検知結果(測定結果)を取得する。 そして、コントローラ10は、検知結果(測定結果)に基づいて、空間伝達関数を設定することができる。

    コントローラ10は、超音波センサ42を用いた場合と同様に、カメラ46から取得した検知結果(測定結果)に含まれる情報を取り入れて空間伝達関数を算出してもよい。 あるいは、コントローラ10は、カメラ46の検知結果(測定結果)から得られる対象物に関する情報を、予め準備されているモデルと比較し、最も似ているモデルに対応する空間伝達関数を設定してもよい。 この場合、予め定められたモデル、及び、これに対応する空間伝達関数は、記憶部12に格納されていてもよい。 モデルについての説明は、超音波センサ42に関する説明と重複するため省略する。

    以上、検知部40としてカメラ46が用いられる場合について説明してきた。 このような構成により、周囲状況にあわせた空間伝達関数を設定することができ、スピーカ30の指向性の制御の精度を高めることができる。

    以上、検知部40を用いて周囲状況を検知することにより、周囲状況にあわせた空間伝達関数を設定する方法について説明してきた。 このようにすることで、コントローラ10が検知部40による検知結果に基づいて、スピーカ30に出力する信号を制御することができ、コントローラ10による指向性の制御の精度をより高めることができる。

    [周囲状況に応じた指向性の設定]
    上述の通り、電子機器1のコントローラ10は、スピーカ30の指向性の制御目標(D(ω))を設定し、該制御目標に基づいてフィルタ伝達関数(H(ω))を算出する。 そして、コントローラ10は、算出されたフィルタ伝達関数を用いて変換された音声信号をスピーカ30に出力することによって、スピーカ30の指向性を制御目標に近づけることができる。

    D(ω)に設定される値は、予め定められた値とされてもよい。 この場合、例えば、ユーザが電子機器1を顔の正面に保持して使用する場合に適するスピーカ30の指向性が得られるようにD(ω)が設定されてもよい。 また、この例に限られず、予め想定される使用態様ごとに、スピーカ30の指向性が適切なものとなるようなD(ω)の値が予め準備されていてもよい。 また、予め準備されているD(ω)の値は、記憶部12に格納されていてもよい。

    また、D(ω)の値は、周囲状況に応じて自動的に設定されてもよい。 以下、コントローラ10が、周囲状況に応じてD(ω)の値を設定し、指向性を制御することについて説明する。 なお、この動作は、図7に示されるフローチャートおけるステップS13の動作(指向性の制御目標の設定)に含まれるものである。

    本実施形態において、スピーカ30の指向性は、ユーザにとって音声が十分に聞き取れるようにしつつ、ユーザ以外の第三者へ音声が漏れないように制御される。 このように制御するために、コントローラ10は例えば、周囲状況に係る情報として、検知部40を用いてユーザの位置に係る情報を取得する。 そして、コントローラ10は、ユーザの位置に応じて自動的に、指向性の制御目標(D(ω))を設定する。

    <カメラによる検知>
    以下、コントローラ10がユーザの位置に係る情報を取得するために、検知部40としてカメラ46を用いる場合について説明する。 図14は、図3に示される電子機器1において、さらにカメラ46が備えられた態様を示す図である。 図14において、電子機器1の筐体2の正面の上部にフロントカメラ46aが備えられ、筐体2の背面の上部にバックカメラ46bが備えられている。 以下、フロントカメラ46aとバックカメラ46bとをまとめてカメラ46ともいう。

    コントローラ10は、スピーカ30への音声信号の出力に連動させて、カメラ46に周囲状況を撮影させる。 この際、フロントカメラ46aだけに撮影させてもよいし、バックカメラ46bだけに撮影させてもよいし、両方に撮影させてもよい。

    コントローラ10は、カメラ46から撮影画像を取得し、該撮影画像にユーザが写っているか判定する。 判定は、一般的な顔識別技術を用いて行われる。 例えば、コントローラ10は、撮影画像から人間の顔の特徴点を抽出する処理を行う。 図15は、人間の顔の特徴点の抽出処理の一例を説明する図である。 例えば、図15(a)は、人間の顔を正面から写した画像であり、目、鼻、口角などが特徴点として抽出され、破線に囲まれている。 また例えば、図15(b)は、人間の横顔を写した画像であり、目、鼻、あごなどが特徴点として抽出され、破線に囲まれている。

    コントローラ10は、カメラ46の撮影画像に人物が写っていると判定した場合、該人物が電子機器1のユーザであるか判定する。 この判定は、予め記憶部12に格納されている、あるいは、取得部14によって他のデバイスから取得されるユーザの登録データと照合することにより行われる。 例えば、コントローラ10は、図15に示されるような顔の特徴点を対比することにより、撮影画像に写っている人物が、登録データに含まれるユーザと一致するか判定する。

    また、コントローラ10は、カメラ46の撮影画像から、スピーカ30とユーザとの位置関係を算出することができる。 コントローラ10は、算出されたユーザの位置に応じて、スピーカ30の指向性を制御する。 つまり、コントローラ10は、D(ω)の要素のうちユーザがいる方向に対応する要素を1に設定し、それ以外の要素を0に設定する。 このようにすることで、スピーカ30から出力される音声が、ユーザにとって聞き取りやすいものとなり、且つ、ユーザがいない方向への音漏れが低減される。

    また、コントローラ10は、撮影画像からユーザの耳の位置を算出することもできる。 耳の位置は、撮影画像から直接抽出されてもよいし、撮影画像から抽出された耳以外の特徴点(例えば、目、鼻又は口角等)の位置に基づいて算出されてもよい。 そして、コントローラ10は、算出されたユーザの耳の位置に応じて、スピーカ30の指向性を制御する。 つまり、コントローラ10は、D(ω)の要素のうちユーザの耳に向かう方向に対応する要素を1に設定し、それ以外の要素を0に設定する。

    図16は、スピーカ30がユーザの耳の方向に指向性を有する態様の例を示す図である。 図16(a)は、ユーザが電子機器1を正面に持って使用している態様を示している。 コントローラ10は、ユーザの両耳の位置を算出して、スピーカ30が正面の全方向に指向性を有するようにするのではなく、耳の位置に対応する2方向に指向性を有するように制御する。 つまり、コントローラ10は、D(ω)の要素のうちユーザの右耳に向かう方向と左耳に向かう方向とにそれぞれ対応する要素を1に設定し、それ以外の要素を0に設定する。 このようにすることで、スピーカ30から出力される音声が、ユーザにとってさらに聞き取りやすいものとなる。

    図16(b)は、ユーザが電子機器1を肩に載せて使用している態様を示している。 コントローラ10は、電子機器1に近い側の耳の位置を算出して、スピーカ30が耳の方向に指向性を有するように制御している。 また図16(c)は、図16(b)においてユーザの顔が横向きになった場合を示している。 この場合、コントローラ10は、ユーザの耳の位置が移動したことを検知し、耳の位置を再度算出して、スピーカ30が移動後の耳の方向に指向性を有するように制御する。 このようにすることで、スピーカ30から出力される音声が、ユーザにとってさらに聞き取りやすいものとなる。

    以上、カメラ46によりユーザを認識し、認識結果に応じて自動的に指向性を制御することについて説明してきた。 このようにすることで、ユーザと電子機器1との位置関係が変化しても、自動的にスピーカ30の出力が調整され、スピーカ30から出力される音声がユーザにとって聞き取りやすく、ユーザがいない方向への音漏れが低減される。

    なお、カメラ46によりユーザを認識するためには、カメラ46の撮像範囲内にユーザが入る必要がある。 よって、カメラ46は広角レンズを備える。 耳の位置が移動して、又は電子機器1が移動してカメラ46の撮像範囲内で耳の位置を検知できなくなった場合、コントローラ10は、スピーカ30の指向性の制御を中止してもよいし、スピーカ30からの音声の出力そのものを中止してもよい。

    <超音波センサによる検知>
    コントローラ10は、ユーザの位置に係る情報を取得するために、例えば検知部40として超音波センサ42(図9参照)を用いる。 超音波センサ42は、上述のように、スピーカ30の周囲にある対象物について、対象物までの距離、対象物の大きさ、対象物における超音波の反射係数などを検知できる。 コントローラ10は、超音波センサ42から取得した対象物における超音波の反射係数から、対象物が人体であるか判定できる。 超音波センサ42の検知結果からスピーカ30の周囲の人体の存在が認識された場合、コントローラ10は、認識された人体の方向に、スピーカ30の指向性の制御目標を設定してもよい。

    <赤外線センサによる検知>
    コントローラ10は、ユーザの位置に係る情報を取得するために、例えば検知部40として赤外線センサ44(図12参照)を用いる。 赤外線センサ44は、上述のように、スピーカ30の周囲にある対象物について、対象物までの距離、対象物の大きさ、対象物の形状などを検知できる。 コントローラ10は、赤外線センサ44から取得した対象物についての情報から、対象物が人体であるか判定できる。 赤外線センサ44の検知結果からスピーカ30の周囲の人体の存在が認識された場合、コントローラ10は、認識された人体の方向に、スピーカ30の指向性の制御目標を設定してもよい。

    以上、検知部40によって周囲状況を検知することにより、周囲状況にあわせて自動的に指向性の制御目標が設定される方法について説明してきた。 このようにすることで、ユーザと電子機器1との位置関係が変化しても、コントローラ10は自動的にスピーカ30の出力を調整することができる。 そして、スピーカ30から出力される音声が、ユーザにとってさらに聞き取りやすいものとなり、且つ、ユーザがいない方向への音漏れが低減される。

    [耳までの距離に応じた音量調整]
    以上の説明において、検知部40が、周囲状況を検知する際に対象物までの距離を測定することが可能であることも説明してきた。 以下、検知部40が耳までの距離も測定して、耳までの距離に応じてスピーカ30から出力される音声の音量を調整することについて説明する。

    スピーカ30と耳との距離にかかわらずスピーカ30から出力される音圧レベルが一定である場合、距離が遠ければ聞こえにくく、距離が近ければ音が大きすぎることとなる。 本実施形態においては、コントローラ10は、スピーカ30と耳との間の距離を測定し、耳までの距離に応じて、スピーカ30から出力される音圧レベルを調整する。

    図17は、スピーカ30と耳との距離、及び、スピーカ30から出力される音圧レベルの時間変化の一例を示すグラフである。 スピーカ30と耳との距離が破線で示され、スピーカ30から出力される音圧レベルが実線で示される。 スピーカ30と耳との距離は、検知部40により測定(検知)される。 コントローラ10は、スピーカ30と耳との距離の変化に応じて、スピーカ30から出力される音圧レベルを変化させる。 このようにすることで、ユーザの耳に入る音声の音量が適切に保たれ、ユーザにとって聞き取りやすいものとなる。

    以上、検知部40を用いて周囲状況を検知することにより、周囲状況にあわせて、スピーカ30の指向性の制御目標を設定する方法について説明してきた。 このようにすることで、コントローラ10が検知部40による検知結果に基づいて、スピーカ30に出力する信号を制御することができ、コントローラ10による指向性の制御の精度をより高めることができる。

    以上説明してきた本実施形態に係る電子機器1によれば、スピーカ30の指向性を適切に制御することができる。 また、検知部40による周囲状況の検知結果に基づいて、スピーカ30に出力する信号を制御し、スピーカ30の指向性を自動的に制御することができる。 結果として、電子機器1のユーザにとってスピーカ30から出力される音声が聞き取りやすいものとなり、且つ、ユーザ以外の第三者には音声が漏れにくくなる。

    (変形例1)
    本実施形態において、ユーザを認識してスピーカ30の出力をユーザに向けるように、スピーカ30の指向性を制御する例を説明してきた。 変形例1においては、2人以上のユーザを同時に認識して、各ユーザにスピーカ30の出力を向けるように指向性を制御する例について説明する。

    図18は、2人のユーザが同時に認識された場合の指向性の制御の一例を示す図である。 電子機器1は2人のユーザの間にあり、検知部40として例えばカメラ46を用いている。 電子機器1のコントローラ10は、カメラ46の撮影画像から2人のユーザそれぞれを認識している。 そして、コントローラ10は、各ユーザに対する指向性をスピーカ30にもたせるように指向性の制御目標(D(ω))を設定し、スピーカ30への出力を制御する。 これにより、各ユーザにとって音声を聞き取りやすくしつつ、それ以外の方向への音漏れが低減されている。

    本変形例では、2人のユーザが同時に認識されているが、さらに多くのユーザが同時に認識され、各ユーザに対してスピーカ30の出力を向けるようにスピーカ30の指向性が制御されてもよい。

    (変形例2)
    本実施形態において、電子機器1のスピーカ30は、図3に示されるように配置されていた。 変形例2では、スピーカ30の配置形態の例を説明する。

    図19、図20及び図21は、スピーカ30の配置形態を変えた電子機器1の例を示す図である。 図19(a)、図20(a)及び図21(a)は、平面図を示し、図19(b)、図20(b)及び図21(b)は、正面図を示す。 これらの図において、スピーカ30は8個配置されているが、8個に限られるものではない。

    図19は、スピーカ30−1〜30−8がバンド形状(紐状、ライン状)の保持体3に配置された電子機器1の例である。 このような形態の電子機器1において、スピーカ30の指向性の制御可能範囲は、主にバンドの延在方向である。 このようにすることで、電子機器1の使用態様のバリエーションが増え、利便性が向上する。

    図20は、スピーカ30−1〜30−8がリング形状の保持体3に放射状に配置された電子機器1の例である。 このような形態の電子機器1において、スピーカ30の指向性の制御可能範囲は、主にリングの円周方向である。 このようにすることで、電子機器1の使用態様のバリエーションが増え、利便性が向上する。

    図21は、スピーカ30−1〜30−8がリング形状の保持体3の円周上に配置された電子機器1の例である。 このような形態の電子機器1において、スピーカ30の指向性の制御可能範囲は、主に、図21(b)の上方の任意の方向である。 このようにすることで、電子機器1の使用態様のバリエーションが増え、利便性が向上する。

    以上、変形例について説明してきた。 このようにスピーカ30の指向性を制御することによって、ユーザが音声を聞き取りやすくなり、且つ、それ以外の方向への音漏れを低減させることができる。

    一実施形態に係る電子機器1、又は、変形例に係る電子機器1は、ウェアラブルデバイス、携帯デバイス、又はデスクトップ型デバイスなど種々の形態のデバイスであってもよい。 また、これらのデバイスは、音楽若しくはビデオなどの視聴、通話、又は電話会議など種々の用途に用いられうる。

    本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。 従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。 例えば、各構成部、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。 また、本発明について装置を中心に説明してきたが、本発明は装置の各構成部が実行するステップを含む方法としても実現し得るものである。 また、本発明について装置を中心に説明してきたが、本発明は装置が備えるプロセッサにより実行される方法、プログラム、又はプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。

    1 電子機器 2 筐体 3 保持体 5 タッチパネル 10 コントローラ 12 記憶部 14 取得部 20 出力部 22 フィルタ 24 D/A変換器 26 アンプ 30 スピーカ 32 マイク 40 検知部 42 超音波センサ 42a 発信部 42b 受信部 44 赤外線センサ 44a 投光部 44b 受光部 46 カメラ 80 壁

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