Production of metallic sintered body

申请号 JP23269599 申请日 1999-08-19 公开(公告)号 JP2001059103A 公开(公告)日 2001-03-06
申请人 Injex Corp; 株式会社インジェックス; 发明人 SHIMODAIRA KENICHI; HAYASHI JUNICHI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To facilitate cutting working, to widen the width of material selection and to obtain high sintered density by forming a molded body by a slip casting method using a mixture contg. fine metal powder and an organic binder and having fluidity, subjecting the molded body to cutting working and thereafter executing sintering.
SOLUTION: An organic binder and water are added to metal powder to form into slurry. As to this metal powder, the average grain size is desirably controlled to ≤150 μm, particularly to about 0.5 to 80 μm, the optional one such as the one having high hardness, high m.p., difficulty in alloying, or the like, e.g. of a metal such as Fe and Ni or the alloy thereof is used, and its concn. in the slurry is desirably controlled to 70 to 97 wt.%, particularly to about 80 to 95%. Moreover, as the organic binder, PVA, starch, or the like, is used, and its concn. in the slurry is desirably controlled to 0.2 to 5%, particularly to about 0.2 to 3%. The slurry is molded by a slip casting method, the molded body is subjected to cutting working such as engraving and is thereafter subjected to sintering accompanying degreasing treatment to obtain a metallic sintered body having
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 金属粉末を含む流動性の混合物を用いてスリップキャスティング法により成形体を成形する工程と、 前記成形体に対し削り加工を施す工程と、 前記加工後の成形体を焼結して焼結体を得る工程とを有することを特徴とする金属焼結体の製造方法。
  • 【請求項2】 組成の異なる2種類以上の金属粉末を含む流動性の混合物を用いてスリップキャスティング法により成形体を成形する工程と、 前記成形体に対し削り加工を施す工程と、 前記加工後の成形体を焼結して焼結体を得る工程とを有することを特徴とする金属焼結体の製造方法。
  • 【請求項3】 前記金属粉末の平均粒径が、150μm
    以下である請求項1また2に記載の金属焼結体の製造方法。
  • 【請求項4】 前記最終的に得られる焼結体の空孔率が7%未満である請求項1ないし3のいずかに記載の金属焼結体の製造方法。
  • 【請求項5】 前記混合物には、前記金属粉末が混合物全体の70〜97重量%含まれている請求項1ないし4
    のいずれかに記載の金属焼結体の製造方法。
  • 【請求項6】 前記混合物には、有機バインダーが混合物全体の0.2〜5重量%含まれている請求項1ないし5のいずれかに記載の金属焼結体の製造方法。
  • 【請求項7】 前記削り加工は、彫刻である請求項1ないし6のいずれかに記載の金属焼結体の製造方法。
  • 【請求項8】 前記焼結は、脱脂処理を伴った焼結である請求項1ないし7のいずれかに記載の金属焼結体の製造方法。
  • 【請求項9】 前記焼結体は、一品製作物である請求項1ないし8のいずれかに記載の金属焼結体の製造方法。
  • 【請求項10】 前記一品製作物は、記念銘板である請求項9に記載の金属焼結体の製造方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は、金属焼結体の製造方法に関する。

    【0002】

    【従来の技術】従来、金属製の記念銘板は、熱硬化性の鋳物砂を焼成して鋳型を作るシェルモールド法や、ワックス模型(ろう型)を用いるロストワックス法等の鋳造法により製造されていた。

    【0003】しかし、これらの製造方法では、クラックや空孔等の鋳造欠陥等が生じやすく、そのため空気との接触面積が大きくなり、酸化しやすく、錆びやすい。 また、鋳造法の場合、鋳型の離型性を配慮しなければならず、特に、良好な離型性を確保するために抜きテーパや部に大きな曲率半径のR付けが必要とされ、形状の制約を受ける。 また、文字や模様を微細で明確な形状に作れないという欠点を有し、数年で銘板に刻まれた文字や模様が変化してしまうという問題がある。

    【0004】また、鋳造後の記念銘板の鋳肌は粗く、サンドブラスト等の機械加工等による仕上げ加工が必要となる。

    【0005】さらに、前記両鋳造方法では、高融点の金属材料、後処理の困難な硬質材料、合金化の難しい材料等である場合、製造が不可能または困難であり、通常以上の時間および労を必要とする。 よって、製造する金属製品に材料上の制約を受ける。

    【0006】

    【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、削り加工を容易に行うことができ、材料選択の幅が広く、高い焼結密度を有する金属焼結体を得ることができる金属焼結体の製造方法を提供することにある。

    【0007】

    【課題を解決するための手段】このような目的は、下記(1)〜(10)の本発明により達成される。

    【0008】(1) 金属粉末を含む流動性の混合物を用いてスリップキャスティング法により成形体を成形する工程と、前記成形体に対し削り加工を施す工程と、前記加工後の成形体を焼結して焼結体を得る工程とを有することを特徴とする金属焼結体の製造方法。

    【0009】(2) 組成の異なる2種類以上の金属粉末を含む流動性の混合物を用いてスリップキャスティング法により成形体を成形する工程と、前記成形体に対し削り加工を施す工程と、前記加工後の成形体を焼結して焼結体を得る工程とを有することを特徴とする金属焼結体の製造方法。

    【0010】(3) 前記金属粉末の平均粒径が、15
    0μm以下である上記(1)また(2)に記載の金属焼結体の製造方法。

    【0011】(4) 前記最終的に得られる焼結体の空孔率が7%未満である上記(1)ないし(3)のいずかに記載の金属焼結体の製造方法。

    【0012】(5) 前記混合物には、前記金属粉末が混合物全体の70〜97重量%含まれている上記(1)
    ないし(4)のいずれかに記載の金属焼結体の製造方法。

    【0013】(6) 前記混合物には、有機バインダーが混合物全体の0.2〜5重量%含まれている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の金属焼結体の製造方法。

    【0014】(7) 前記削り加工は、彫刻である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の金属焼結体の製造方法。

    【0015】(8) 前記焼結は、脱脂処理を伴った焼結である上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の金属焼結体の製造方法。

    【0016】(9) 前記焼結体は、一品製作物である上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の金属焼結体の製造方法。

    【0017】(10) 前記一品製作物は、記念銘板である上記(9)に記載の金属焼結体の製造方法。

    【0018】

    【発明の実施の形態】以下、本発明の金属焼結体の製造方法について詳細に説明する。

    【0019】図1は、本発明の金属焼結体の製造方法の第1実施形態を示す工程図、図2は、本発明の金属焼結体の製造方法で用いるスリップキャスティングの成形型の一例を示す縦断面図である。

    【0020】以下、金属焼結体の製造方法の第1実施形態について説明する。 なお、製造される金属焼結体を記念銘板として説明する。

    【0021】[1]成形体の製造 本発明では、金属粉末を含む流動性の混合物(以下「スラリー」という)と成形型とを用いてスリップキャスティング法により成形体を製造する。

    【0022】まず、スラリーは、金属粉末と、有機バインダー(分散剤)と、とで構成されている。 これらは、通常、ミキサー(攪拌機)等により攪拌され、金属粉末が均一に分散している。

    【0023】金属粉末を構成する金属材料(以下単に「金属材料」と言う)としては、特に限定されず、例えば、Fe、Ni、Co、Cr、Mn、Zn、Pt、A
    u、Ag、Cu、Pd、Al、W、Ti、V、Mo、N
    b、Zr等のうちの少なくとも1種、あるいはこれらのうちの少なくとも1種を含む(主とする)合金が挙げられる。

    【0024】特に、本発明は、金属粉末の種類を適宜選択することができ、後述する成形型の形状が容易にどのような形状にも対応できることから、最終的に得られる焼結体の金属材料が比較的高硬度のもの、難加工性のもの、比較的高融点なもの、合金化が困難なものであることが好ましい。

    【0025】また、製造される記念銘板は、その使用状態から、長期間外気に晒されても酸化しない高耐食性・
    耐候性に優れる金属材料が好ましい。

    【0026】この具体例としては、Fe系耐食性合金(例えば、ステンレス鋼:SUS304、SUS310
    S、SUS316L、SUS317、SUS329J
    1、SUS410、SUS430、SUS440、SU
    S630)が挙げられる。 また、TiまたはTi系合金、NiまたはNi系合金等が挙げられる。

    【0027】また、組成の異なる2種類以上の金属粉末を混合して用いてもよい。 これにより、従来、鋳造では、製造できなかった合金組成のものも可能となる。 また、新規的な機能や多機能を有する金属焼結体が容易に製造でき、金属焼結体の機能・用途の拡大を図ることができる。

    【0028】また、金属粉末の平均粒径は、特に限定されないが、通常、150μm 以下が好ましく、0.5〜
    80μm程度がより好ましく、1〜60μm程度が最も好ましい。 平均粒径が大き過ぎると、焼結時の緻密化が進まず、高密度化に限界がある。 また、平均粒径が小さ過ぎると、金属粉末の表面積が大きく有機バインダーの量が増え、焼結後の収縮率が大きい。

    【0029】また、金属粉末の含有量は、スラリー全体の70〜97wt%が好ましく、80〜95wt%がより好ましい。 70wt%未満では、成形体を焼結した際の収縮率が増大し、寸法精度が低下する。 また、97wt%超では、相対的に有機バインダーおよび水の含有量が減るので、成形型に注入した際の流動性が乏しくなり、成形体の製造が不能または困難となるか、あるいは成形体の組成が不均一となる。

    【0030】なお、金属粉末の製造方法は、特に限定されず、例えば、水またはガスアトマイズ法、還元法、カルボニル法、粉砕法により製造されたものを用いることができるが、アトマイズ法が好ましい。

    【0031】有機バインダーは、金属粉末同士の結合する結合剤として機能する。 また、スラリーにおいては、
    有機バインダーが金属粉末をスラリー中に均一に分散させる分散剤として機能する。

    【0032】このような有機バインダー(分散剤・結合剤)としては、例えば、ポリビニルアルコール(PV
    A)、ポリビニルピロリドン(PVP)、デンプン、水溶性ナイロン、寒天のような水溶性の樹脂あるいは有機物が挙げられる。 なお、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。

    【0033】また、有機バインダーの含有量は、スラリー全体の0.2〜5wt%が好ましく、0.2〜3wt%がより好ましい。 0.2wt%未満では、脱水後、成形体を構成する金属粉末同士の結合が弱く、成形体が脆くなる。 また、5wt%超では、スラリーの流動性が低下し成形体に欠陥が発生し易くなるとともに、脱脂および焼結後、金属焼結体内部の空孔率が増大する。

    【0034】また、さらに可塑剤が添加されていてもよい。 この可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル(例:DOP、DEP、DBP)、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、セバシン酸エステル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。

    【0035】また、スラリー中には、前記金属粉末、有機バインダー、可塑剤の他に、例えば、酸化防止剤、脱脂促進剤、界面活性剤等の各種添加物を必要に応じ添加することができる。

    【0036】また、スラリーは、前述の金属粉末、有機バインダー等の残部が、水である。

    【0037】攪拌条件は、用いる金属粉末の金属組成や粒径、結合剤、添加剤の組成およびその配合量等の諸条件により異なるが、その一例を挙げれば、攪拌温度:5
    〜80℃程度、攪拌時間:5〜90分程度とすることができる。

    【0038】次に、前記で得られたスラリーを成形型内に注入し、スリップキャスティング法により所望の形状、寸法の成形体を製造する。

    【0039】図2に示すように、成形型11は、上型1
    2と下型13とで構成されている。 上型12と下型13
    とは、接合面15で合わされている。 成形型11の内部には、記念銘板に対応した成形空間(キャビティー)1
    6が成形されている。 また、例えば、上型12には、スラリーを注入するため注入口14が形成されている。

    【0040】なお、成形空間16は、記念銘板に対応した形状、すなわち、板状の空間とされている。

    【0041】このような成形空間16は、例えば、石膏のような多孔質で吸水性がある材料で構成されているのが好ましい。 これにより、成形型11がスラリーの水成分を吸収し、成形体を製造することができる。

    【0042】次に、上記成形型11を用いた成形体の製造方法を説明する。

    【0043】まず、注入口14からスラリーを注入し、
    成形空間16にスラリーを満たす。 次に、スラリー中の水分が、成形型11にある程度まで吸収されるまで保持する。 次に、成形型11を上型12と下型13とに分割して、成形空間16から板状の成形体を取出す。

    【0044】取出すときの成形体は、成形体中の含水率が8%以下であるのが好ましく、5%以下であるのがより好ましい。 8%超である場合には、成形体の取扱いが困難であり、変形、欠陥、崩壊等が生じ易く、後述の削り加工が不可能または困難となる。

    【0045】なお、本発明は、成形空間16の形状を選択することで所望の形状の成形体を製造できる。 また、
    石膏製等の成形型を用いるスリップキャスティング法は、金型を用いた金属射出成形法(MIM法)と比べ、
    大型の成形型を容易かつ安価に製造することができる。
    よって、スリップキャスティング法は、比較的大きい型の金属製品や一品製作物の金属製品の製造に適する。

    【0046】また、スリップキャスティング法では、成形体の脱脂(脱バインダー)量を金属射出成形法(MI
    M法)による脱脂量よりも低減することができる。

    【0047】また、この成形型11から製造される成形体の形状、寸法は、以後の焼結による成形体の収縮分を見込んで決定される。

    【0048】[2]成形体への削り加工 前記工程[1]で得られた板状の成形体に対し削り加工を施す。

    【0049】この削り加工としては、彫刻が挙げられる。

    【0050】この彫刻に用いる彫刻工具としては、例えば、エンドミルのような切削工具部をモータ等により駆動するものと、彫刻刃のような駆動部が無いものが挙げられる。

    【0051】製造される記念銘板は、エンドミルを用いて成形体の表面に微細で明確な文字および複雑でシャープな模様等のパターンを形成する。

    【0052】なお、後加工としてバリ取り、研磨等の表面研磨を施してもよい。

    【0053】また、削り加工を施す際の形状・寸法は、
    以後の脱脂および焼結による成形体の収縮分を見込んで決定される。

    【0054】焼結前の成形体は、焼結体に比べて硬度が低いため、金属粉末の組成にかかわらず、このような機械加工を容易に行うことができる。 例えば、従来、作業が困難とされた比較的高融点な材料や、硬質材料に対しても機械加工が施すことができる。 このように加工性に優れているため形状や寸法をコントロールし易く、文字や模様等の微細で複雑なパターンを有するものに有利である。

    【0055】また、記念銘板の場合、従来、鋳型で製造した場合には、文字を逆文字でデザインする必要があったが、この削り加工においては、直接、文字をデザインすることができ、作業性を向上することができる。

    【0056】[3]成形体の焼結 以上のようにして加工された成形体を焼結炉で焼成して脱脂(脱バインダー)を伴いながら焼結し、金属焼結体を製造する。

    【0057】焼結により金属粉末が拡散、粒成長し、結晶粒となる。 この場合、空隙は消滅し、全体として緻密な、すなわち高密度、低空孔率の焼結体が得られる。

    【0058】焼結における焼結温度は、例えば、FeまたはFe系合金の場合、好ましくは1000〜1500
    ℃程度、より好ましくは1050〜1450℃程度とされ、TiまたはTi系合金の場合、好ましくは950〜
    1500℃程度、より好ましくは1000〜1450℃
    程度とされ、NiまたはNi系合金の場合、好ましくは950〜1500℃程度、より好ましくは1000〜1
    450℃程度とされる。

    【0059】なお、焼結温度は、前述した範囲内または範囲外で、経時的に変動(上昇または下降)してもよい。

    【0060】焼結時間は、前述したような焼結温度の場合、好ましくは0.5〜8時間程度、より好ましくは1
    〜5時間程度とされる。

    【0061】また、焼結雰囲気は、特に限定されないが、減圧下、真空下または非酸化性雰囲気とされるのが好ましい。 これにより、金属の酸化による特性劣化を防ぐとともに、焼結体の空孔率の低減に寄与する。

    【0062】好ましい焼結雰囲気としては、1Torr 以下(より好ましくは1×10 -2 〜1×10 -6 Torr)の減圧(真空)下、または1〜760Torrの窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気、または1〜760Torr
    の水素ガス雰囲気であるのが好ましい。

    【0063】なお、焼結雰囲気は、焼結の途中で変化してもよい。 例えば、最初に1×10 -2 〜1×10 -6 Torr
    の減圧(真空)下とし、途中で前記のような不活性ガスに切り替えることができる。

    【0064】以上のような条件で焼結を行うことにより、焼結体の空孔率を低減することができる。 この焼結体の空孔率は、7%未満が好ましく、5%以下がより好ましい。 空孔率の低減は、すなわち焼結体の高密度化に寄与するとともに、高強度、高い寸法精度、焼結欠陥の防止、良好な外観性が得られ、また、焼結の効率が良く、より短い焼結時間で焼結を行うことができ、生産性が向上する。

    【0065】また、焼結は、2段階またはそれ以上で行ってもよい。 例えば、焼結条件の異なる1次焼結と2次焼結を行うことができる。 この場合、2次焼結の焼結温度を、1次焼結の焼結温度より高い温度とすることができる。 これにより、焼結の効率がさらに向上し、空孔率の更なる低減を図ることができる。

    【0066】このような焼結により一品製作物として得られる金属焼結体は、前述した記念銘板に限らず、例えば、銅像、胸像、印鑑、表札、ナンバプレート、レリーフ(美術品、工芸品)等が挙げられる。

    【0067】また、このような金属焼結体の形状、寸法は、脱脂および焼結による成形体の収縮分を見込んで決定加工される。

    【0068】なお、本発明においては、任意の目的で、
    工程[1A]の前工程、工程[1A]〜[3A]の間に存在する中間工程、または工程[3A]の後工程が存在していてもよい。

    【0069】

    【実施例】次に、本発明の焼結体の製造方法の具体的実施例について説明する。

    【0070】(実施例1)金属焼結体として記念銘板を試作した。

    【0071】金属粉末として、水アトマイズ法により製造された平均粒径12μmのステンレス鋼(SUS31
    6L/組成:Fe−18wt%Cr−12wt%Ni−2wt
    %Mo合金)粉末を用意した。

    【0072】ステンレス鋼粉末、ポリビニルアルコールおよびジブチルフタレート(可塑剤)から構成される有機バインダーと、水とを混合し、これらを攪拌機にて1
    5℃×30分の条件で攪拌し、スラリーを得た。

    【0073】実施例1におけるスラリーの構成材料の重量%を表1に示す。

    【0074】

    【表1】

    【0075】次に、このスラリーをスリップキャスティングの成形型に注入し、成形体の水分が成形型に吸収されるまで常温、常圧の下で所定の時間保持し、成形体を上型と下型に分割して成形型から取り出した。 このときの成形体の含水率は、4%であった。 また、成形体の寸法は、縦345mm、横345mm、厚さ41mm(焼結後の目標寸法:縦250mm、横250mm、厚さ30mm)であった。

    【0076】次に、上記の成形体に対し削り加工である彫刻を施した。 彫刻工具には、彫刻用エンドミルを用いて板状の成形体の表面に所定の文字および模様を刻んだ。

    【0077】次に、加工した成形体に対し脱脂を伴った焼結を行い、一品製作物の金属焼結体(記念銘板)を得た。 脱脂条件は、10Torrの窒素ガス雰囲気で500℃
    ×3時間とし、その後連続して昇温し、焼結を行った。
    焼結条件は、760Torr(常圧)のArガス雰囲気中で1350℃×3時間とした。

    【0078】(実施例2)2種類以上の金属粉末を用いて記念銘板を試作した。

    【0079】金属粉末としてカルボニル法により製造された平均粒径3μmのニッケル粉末と、電解法により製造された平均粒径2μmのコバルト粉末と、カルボニル法により製造された平均粒径3μmの鉄粉末(純鉄)を用意した。

    【0080】ニッケル粉末、コバルト粉末、鉄粉末、ポリビニルピロリドンおよびジブチルフタレート(可塑剤)から構成される有機バインダーと水とを混合し、これらを攪拌機にて20℃×1時間の条件で攪拌し、スラリーを得た。 実施例2におけるスラリーの構成材料の重量%を表2に示す。

    【0081】

    【表2】

    【0082】次に、このスラリーをスリップキャスティングの成形型に注入し、成形体の水分が成形型に吸収されるまで常温、常圧の下で所定の時間保持し、成形体を上型と下型に分割して成形型から取り出した。 このときの成形体の含水率は、3%であった。 また、成形体の寸法は、縦350mm、横350mm、厚さ42mm(焼結後の目標寸法:縦250mm、横250mm、厚さ30mm)であった。

    【0083】次に、上記の成形体に対し削り加工である彫刻を施した。 彫刻工具には、彫刻用エンドミルを用いて板状の成形体の表面に所定の文字および模様を刻んだ。

    【0084】次に、加工した成形体に対し脱脂を伴った焼結を行い、一品製作物の金属焼結体(記念銘板)を得た。 脱脂条件は、1×10 -2 Torrの減圧下で450℃×
    3時間とし、その後、連続して昇温し焼結を行った。 焼結条件は、10Torrの水素ガス雰囲気中で1380℃×
    3時間とした。

    【0085】<品質・特性の評価>実施例1〜2の各焼結体を多方向に切断し、それらの切断端面を目視観察し、焼結欠陥の有無の結果を表3に示す。

    【0086】また、実施例1〜2の各金属焼結体を目視観察し、所望の微細で明確な文字および模様が維持されているかを確認した結果も表3に示す。

    【0087】

    【表3】

    【0088】表3に示すように、実施例1〜2の各金属焼結体は、いずれも焼結欠陥は認められず、良好な品質の金属焼結体であることが確認された。 また、実施例1
    〜2の各金属焼結体の表面に刻まれた文字や模様は、微細で明確な文字や凹凸がシャープで明確な模様が維持されていることが認められた。

    【0089】

    【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、高い焼結密度を有し、所望の文字や模様等のパターンを微細で明確に作れる金属焼結体を製造することができる。

    【0090】また、スリップキャスティング法を用いて安価に、金属製品を製造することができ、特に、比較的大きい型の金属製品や一品製作物の金属製品でも容易に製造することができる。

    【0091】また、用いる金属粉末の種類を適宜選択することにより、従来加工が困難とされた硬質材料や比較的高融点な材料に対しても、金属焼結体の用途、機能の拡大が図れる。

    【0092】また、複数種の金属粉末を混合して用いることにより、新規な機能性や多機能な金属焼結体を製造することができる。

    【0093】このような金属製品は、例えば、記念銘板、銅像、胸像、印鑑、表札、ナンバプレート、レリーフ(美術工芸品)等の一品製作物の製造に適用する場合、上記効果が特に有効に発揮される。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】本発明の金属焼結体の製造方法による第1実施形態を示す工程図である。

    【図2】本発明の金属焼結体の製造方法で用いるスリップキャスティングの成形型の一例を示す縦断面図である。

    【符号の説明】

    1 成形体の製造工程 2 削り加工工程 3 焼結工程 11 成形型 12 上型 13 下型 14 注入口 15 接合面 16 成形空間(キャビティー)

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