【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、帯電防止ベルト、 特に、伝動ベルトおよびコンベヤーベルトに関する。 プーリー、伝動ローラー、または被動ローラー上で、ベルトが摩擦されると、静電気が発生し、発生した静電気によって、電子機器またはそのベルトで移送される物品が破損することもある。 ゴムまたは熱可塑性樹脂から作られるベルトへ、カーボンブラック、導電性可塑剤、および添加剤(第四級アンモニウム塩またはエトキシル化誘導体など)を配合することによって、こうしたベルトの大半に、帯電防止性を持たせることができる。 【0002】 【従来の技術】こうして配合された物質が、ポリマー中、またはゴム中を移行し、しみ出しを起こすと、帯電防止効果を弱めたり、またはその効果を失ったりする。 カーボンブラックに関しては、その黒色ゆえに、許容しがたいこともある。 市販の導電性ファイバーを、ベルト(場合によっては、織物形状を持つ)に含ませることも可能であるが、そのときは接着剤が必要となる。 更に、 機械的性質が、ベルトの材料によって大きく異なることも時々あるが、これが原因で、帯電防止挙動が劣化したり、または失われたりする可能性がある。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、上記のような従来技術の欠点を解消するために創案されたものであり、適切な材料を使用することによって、長期間に渡り安定した帯電防止性能を発揮できるベルトを提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、ベルトに帯電防止性を持たせるのに十分な量のポリエチレングリコールブロックを含むポリマー(B)を含んでなる熱可塑性ポリマー(A)から、ベルトを作ることが可能であることを見出した。 本発明において、ベルトとは、伝動ベルト(平らなもの、または断面が「v」形、矩形、もしくは円形のものでもよい)およびコンベヤーベルトの両方を意味するものと解釈する。 ここで言うコンベヤーベルトには、物品移送用ベルト(例えば、幅0.2〜 1.5m)および磁気切符用または磁気カード読み取用バンド(例えば、幅1〜5cm)のいずれをも含めることができる。 【0005】熱可塑性ポリマー(A)には、ベルトを作るうえで満足すべき機械的特性を有する、すなわち、低い伸び率において寸法安定性を示すと共に、こうした低い伸び率において許容し得る応力を有する、任意のポリマーが含まれる。 更に、機械的性質が周囲の湿気に影響されないようにするためには、こうした熱可塑性ポリマー(A)が湿気に敏感であってはならない。 熱可塑性ポリマー(A)としては、以下の化合物が挙げられる: ・スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)ブロック共重合体; ・スチレン/エチレン−ブテン/スチレン(SEBS) ブロック共重合体; ・スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)共重合体; ・EPDMs(エチレン−プロピレン−ジエン); ・エチレン−プロピレンゴム(EPR); ・ポリアミド、またはポリアミドをマトリックスとするポリアミドとポリオレフィンとの混合物; ・ポリウレタンエラストマー(TPU); ・ポリエーテルエステルエラストマー; ・ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含むポリマー。 【0006】ポリアミドとは、以下の化合物から得られる縮合物を意味するものと解釈する: ・1つもしくは多数のアミノ酸(アミノカプロン酸、7 −アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、および12−アミノドデカン酸など)、または1つもしくは多数のラクタム(カプロラクタム、エナントラクタム、 およびラウリルラクタムなど)の縮合物; ・ジアミン(ヘキサメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタ−キシリレンジアミン、ビス−(p−アミノシクロヘキシル)メタン、およびトリメチルヘキサメチレンジアミンなど)と、二酸(イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、およびドデカンジカルボン酸など)と、の1 つもしくは多数の塩または混合物の縮合物; ・これらのいくつかのモノマーの混合物で、コポリアミドを形成するもの。 【0007】ポリアミドの混合物を使用することもできる。 PA−6、PA−6,6、およびPA−12を使用することが有利である。 ポリアミドをマトリックスとする、ポリアミドとポリオレフィンとの混合物に関して、 ポリオレフィンとは、オレフィン単位(例えば、エチレン、プロピレン、または1−ブテンの単位など)を含むポリマーを意味するものと解釈する。 【0008】ポリオレフィンとしては、例えば、以下の化合物が挙げられる: ・ポリエチレン、ポリプロピレン、またはエチレンとα −オレフィンとの共重合体。 これらの化合物を、不飽和カルボン酸無水物(無水マレイン酸など)または不飽和エポキシド(グリシジルメタクリレートなど)でグラフト化することも可能である; ・(i)不飽和カルボン酸、それらの塩、もしくはそれらのエステル、(ii)飽和カルボン酸のビニルエステル、(iii)不飽和ジカルボン酸、それらの塩、それらのエステル、それらのモノエステル、もしくはそれらの無水物、または(iv)不飽和エポキシド、から選ばれる少なくとも1つの化合物と、エチレンとの共重合体。 これらのエチレン共重合体を、不飽和ジカルボン酸無水物または飽和エポキシドでグラフト化することが可能である; ・スチレン/エチレン−ブテン/スチレン(SEBS) ブロック共重合体。 場合によっては、マレイン化してもよい。 【0009】2つまたは多数のこれらのポリオレフィンの混合物を使用することもできる。 ポリオレフィンとしては、以下の化合物を使用するのが有利である: ・ポリエチレン; ・エチレンとα−オレフィンとの共重合体; ・エチレン/アルキルアクリレート(アルキルメタクリレート)共重合体; ・エチレン/アルキルアクリレート(アルキルメタクリレート)/無水マレイン酸共重合体。 ここで、無水マレイン酸は、グラフト化または共重合されている; ・エチレン/アルキルアクリレート(アルキルメタクリレート)/グリシジルメタクリレート共重合体。 ここで、グリシジルメタクリレートは、グラフト化または共重合されている; ・ポリプロピレン。 【0010】ポリオレフィンが、相溶化を促進しうる官能基を、ほとんど、または全く持っていない場合には、 ポリアミドマトリックスの形成を促進するために、相溶化剤を添加することが推奨される。 ポリアミドとポリオレフィンとを相溶化するための相溶化剤それ自体は、公知の化合物である。 【0011】こうした相溶化剤としては、例えば、以下の化合物が挙げられる: ・ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、またはエチレン−ブテン共重合体。 これらの化合物はすべて、無水マレイン酸またはグリシジルメタクリレートでグラフト化されている; ・エチレン/アルキルアクリレート(アルキルメタクリレート)/無水マレイン酸共重合体。 ここで、無水マレイン酸は、グラフト化または共重合されている; ・エチレン/ビニルアセテート/無水マレイン酸共重合体。 ここで、無水マレイン酸は、グラフト化または共重合されている; ・前述の2つの共重合体において、無水マレイン酸を、 グリシジルメタクリレートで置き換えたもの; ・エチレン/アクリル酸(メタクリル酸)共重合体。 場合によっては、その塩; ・ポリエチレン、ポリプロピレン、またはエチレン−プロピレン共重合体。 これらのポリマーは、アミンと反応する部位を呈する化合物でグラフト化され、次に、こうしてグラフト化された共重合体は、単一アミン末端を有するポリアミドまたはポリアミドオリゴマーで縮合されている。 【0012】これらの化合物は、仏国特許第2,29 1,225号および欧州特許第342,066号の各明細書(これらの開示内容は、本出願明細書中に含まれるものとする)に記載されている。 マトリックスを形成するポリアミドの量を、ポリオレフィン5〜45部あたり、55〜95部の範囲に設定できる。 【0013】相溶化剤の量は、ポリオレフィンが、ポリアミドマトリックス中で、小球の形状で分散するのに十分な量とする。 その量を、ポリオレフィンの重量の最高20%までとすることができる。 溶融状態における通常の混合技術(二軸スクリュー混合、バス(Buss)混合、一軸スクリュー混合)に従って、ポリアミドと、ポリオレフィンと、場合によっては相溶化剤と、を混合することによって、こうした熱可塑性ポリマーブレンドを製造する。 【0014】ポリウレタンエラストマーとは、以下の3 つの基本単位を含む配列から生じるものを指す: 1)線状ポリオール(OH末端を有し、分子量が、例えば、500〜3,500であるもの)。 ポリエステル(アジパート、アゼラート、イソフタラート、およびポリカプロラクトンなど)、またはポリエーテル(ポリプロピレングリコール(PPG)もしくはポリテトラメチレングリコール(PTMG)など)、のいずれかより、 こうしたポリオールを選ぶことができる; 2)ジイソシアナート(ジフェニルメタン−4,4'− ジイソシアナート(MDI)もしくはトルエン−2,4 −ジイソシアナート(TDI)などの芳香族化合物、またはジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアナートなどの非芳香族化合物、を含めることができる); 3)連鎖延長剤としての低分子量グリコール(1,4− ブタンジオール、エチレングリコール、または1,4− フェニレンビス(β−ヒドロキシエチル)エーテルなど)。 【0015】(1)と(2)を含有する配列は、ポリウレタンの軟質セグメントを形成し、また(1)と(3) を含有する配列は、硬質セグメントを形成する。 ポリエーテルエステルには、以下の単位が含まれる: 1)ジカルボン酸(テレフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸など); 2)ポリエーテルジオール(ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコールなど); 3)低分子量グリコール(1,4−ブタンジオールまたはエチレングリコールなど)。 【0016】(1)と(2)を含有する配列は、ポリエーテルエステルの軟質セグメントを形成し、また(1) と(3)を含有する配列は、ポリエーテルエステルの硬質セグメントを形成する。 これらの化合物は、欧州特許第402,883号および欧州特許第405,227号の各明細書に記載されている。 【0017】ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含有するポリマーは、反応性末端を含有するポリアミド配列と、反応性末端を含有するポリエーテル配列とを共重縮合することによって得られるが、特に、以下の組み合わせが良い: 1)ジアミン鎖末端を含有するポリアミド配列と、ジカルボキシル鎖末端を含有するポリオキシアルキレン配列との共重縮合; 2)ジカルボキシル鎖末端を含有するポリアミド配列と、α,ω−ジヒドロキシル化脂肪族ポリオキシアルキレン配列(ポリエーテルジオールとして知られている) のシアノエチル化および水素化によって得られるジアミン鎖末端を含有するポリオキシアルキレン配列と、の共重縮合; 3)ジカルボキシル鎖末端を含有するポリアミド配列と、ポリエーテルジオールとの共重縮合。 この特定の組み合わせで得られる生成物は、ポリエーテルエステルアミドである。 【0018】ジカルボキシル鎖末端を含有するポリアミド配列は、例えば、ラクタムから、またはジカルボン酸とジアミンとから誘導されるα,ω−アミノカルボン酸を、鎖長制限用ジカルボン酸の存在下で縮合することによって得られる。 ポリアミド−12から、またはポリアミド−6から、ポリアミドブロックを形成することが有利である。 【0019】ポリアミド配列の数平均分子量Mnは、3 00〜15,000、好ましくは600〜5,000の範囲である。 ポリエーテル配列の数平均分子量Mnは、 100〜6,000、好ましくは200〜3,000の範囲である。 ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含有するポリマーにはまた、ランダムに分布する単位を含めることができる。 ポリエーテルと、ポリアミドブロックの前駆物質との同時反応によって、こうしたポリマーを調製することができる。 【0020】例えば、ポリエーテルジオールと、ラクタム(またはα,ω−アミノ酸)と、鎖長制限用の二酸と、を少量の水の存在下で、反応させることができる。 こうして得られるポリマーは、実質的に、非常に長さの異なるポリエーテルブロックとポリアミドブロックとを有すると共に、ランダムに反応した種々の反応物が、ポリマー鎖に沿って、統計的に分布したものとなる。 【0021】これらのポリマーには、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとが含まれる。 また、これらのポリマーが、予め調製しておいたポリアミド配列とポリエーテル配列との共重縮合に由来するものであっても、または一段反応に由来するものであっても、いずれにしても、例えば、これらのポリマーのショアーD型硬度を30〜75、有利な範囲としては30〜70とすることができると共に、0.8g/100mlの初期濃度で、250℃においてメタクレゾール中で測定される極限粘度を、0.8〜2.5の範囲とすることができる。 【0022】ポリエーテルブロックが、ポリプロピレングリコールから誘導されるものであっても、またはポリテトラメチレングリコールから誘導されるものであっても、いずれにしても、そのまま使用して、カルボキシル末端を含有するポリアミドブロックと共重縮合するか、 またはアミノ化して、ポリエーテルジアミンへ変換し、 カルボキシル末端を含有するポリアミドブロックと縮合するか、のどちらかである。 また、ポリエーテルブロックを、ポリアミド前駆物質および鎖長制限剤と混合して、統計的に分布した単位を有するポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含有するポリマーを調製することもできる。 【0023】ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含有するポリマーは、米国特許第4,331,7 86号、同第4,115,475号、同第4,195, 015号、同第4,839,441号、同第4,86 4,014号、同第4,230,838号、および同第4,332,920号の各明細書に記載されている。 ポリエーテルとしては、例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)またはポリテトラメチレングリコール(P TMG)が挙げられる。 後者は、ポリテトラヒドロフラン(PTHF)としても知られている。 【0024】ポリエーテルブロックが、ポリアミドブロックとポリエーテルブロック(ジオールまたはジアミンの形で)とを含有するポリマーの鎖中にある場合、こうしたポリエーテルブロックを、単に、PPGブロックまたはPTMGブロックなど、と呼ぶ。 ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含有するこのポリマーでは、多数の型のポリアミドブロックおよび/または多数の型のポリエーテルブロックを、同一の鎖中へ組み込むことができる。 【0025】ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含有するポリマーには、単一の型のポリアミドブロックと単一の型のポリエーテルブロックとを組み込むことが好ましい。 PA−12ブロックとPTMGブロックとを含有するポリマー、およびPA−6ブロックとP TMGブロックとを含有するポリマー、を使用するのが有利である。 【0026】また、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含有するこれら2つのポリマーの混合物を使用することも可能である。 本発明のもう1つの態様に従えば、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含有するポリマーは、ポリアミドが重量的に主成分となるポリマーである。 すなわち、ブロックの形状をとり、場合によっては鎖中に統計的な分布をするポリアミドの量が、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含有するポリマーの50重量%以上を占める。 ポリアミドの量とポリエーテルの量は、それらの比(ポリアミド/ポリエーテル)が1/1〜4/1となるように選ぶのが有利である。 【0027】熱可塑性ポリマー(A)を、ポリアミド、 ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含有する共重合体、ポリウレタンエラストマー、またはポリエーテルエステルから選ぶのが有利である。 熱可塑性ポリマー(A)としては、ポリアミド−6、ポリアミド−1 1、ポリアミド−12、PA−6ブロックとPTMGブロックとを含有するポリマー、またはPA−12ブロックとPTMGブロックとを含有するポリマー、が好ましい。 【0028】ポリマー(B)のポリエチレングリコール(またはポリオキシエチレン、PEG)ブロック:HO −[−C 2 H 4 −O−]n−Hの数平均分子量Mnを、 200〜6,000の範囲にすることができる。 ポリマー(B)としては、例えば、以下の化合物を挙げることができる: ・ポリオール(1)がポリエチレングリコールであるポリウレタンエラストマー; ・ポリエーテルジオール(2)がポリエチレングリコールであるポリエーテルエステル; ・ポリエーテルがポリエチレングリコールである、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含有するポリマー。 【0029】ポリマー(B)としては、ポリアミドブロックとポリエチレングリコールブロックとを含有するポリマーが有利である。 ポリアミドブロックを、PA−6 またはPA−12から形成するのが好ましい。 本発明のもう1つの態様に従えば、熱可塑性ポリマー(A)には、その鎖中に、PEGブロック、並びに他のポリエーテルブロックを含有させることができる。 PEGの量が十分であれば、ポリマー(B)は、もはや存在させる必要がなくなる。 【0030】本発明のベルトは、その半減放電時間が、 3秒未満、有利な時間としては1秒未満、好ましくは0.2〜0.7秒の間のときに、帯電防止性を呈すると考えられる。 半減放電時間は、以下のように測定される。 試料を、接地された回転板上に置く。 電極を、試料の上に、接触させないように配置し、10キロボルトまで印加する。 こうすることよって、空気をイオン化し、 試料上に電荷を蓄積させる。 【0031】直径方向に沿って反対に位置するもう1つの電極で、表面電位を測定する。 表面電位が、定常状態の値に達したとき、電荷の流出速度と電荷の蓄積速度とが同じであることを意味する。 充電を中止し、次に、表面電位が定常状態の値の半分まで低下するのに要する時間を測定する。 この時間は、半減放電時間と呼ばれている。 【0032】別の試験も利用される。 すなわち、本発明のベルト、または本発明のベルトの材料から作製された板もしくは棒を、長時間、紡毛布地で擦る。 この場合には、煙草の灰を引きつけないが、熱可塑性ポリマー(A)だけの場合には、煙草の灰が引きつけられる。 本発明者らは、これらの試験は帯電防止挙動に対応するが、従来の表面抵抗率の測定値(熱可塑性ポリマー(A)を、熱可塑性ポリマー(A)とポリマー(B)とを含有する本発明の組成物に変えると、表面抵抗率が1 /100〜1/1,000に低下する)は、高い値のままであることを発見した。 【0033】ポリマー(B)の量は、そのPEG含量と、所望の帯電防止効果と、に依存する。 帯電防止性は、ポリマー(B)の量およびPEGの量と共に増加する。 ポリマー(B)の量を、熱可塑性ポリマー(A)+ ポリマー(B)の10〜40重量%とすることができる。 こうした熱可塑性ポリマー(A)とポリマー(B) との混合物を、溶融状態における熱可塑性樹脂の通常の混合技術(二軸スクリュー混合、バス(Buss)混合、一軸スクリュー混合)に従って、製造することができる。 【0034】また、熱可塑性ポリマー(A)とポリマー(B)との混合物には、酸化防止剤、耐紫外線剤、充填剤など、を加えることもできる。 本発明のベルトの利点は、帯電防止挙動が永久的である点であり、ポリマー(B)の移行はない。 熱可塑性ポリマー(A)およびポリマー(B)が、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含有するポリマーであり、しかも熱可塑性ポリマー(A)およびポリマー(B)のPAブロックが、 同じ型である場合には、熱可塑性ポリマー(A)とポリマー(B)との混合物は透明である。 本発明のベルトは、汚れがつかず、べたつきもない。 もう1つの利点は、本発明のベルトを洗っても、または拭いても、帯電防止挙動を呈する物質が除去されないという点であり、 この点が、しみ出しを起こして帯電防止性が低下する従来の帯電防止剤とは異なる。 【0035】本発明のベルトは、熱可塑性ポリマー(A)が、PA−12もしくはPA−6ブロックとPT MGブロックとを含有するポリマーであり、しかもポリマー(B)が、PA−6ブロックとPEGブロックとを含有するポリマー、もしくはPA−12ブロックとPE Gブロックとを含有するポリマー、またはそれらの混合物であることが有利である。 また、本発明のベルトは、 熱可塑性ポリマー(A)が、PA−6ブロックとPTM Gブロックとを含有するポリマーであり、かつポリマー(B)が、PA−6ブロックとPEGブロックとを含有するポリマーである場合、または、熱可塑性ポリマー(A)が、PA−12ブロックとPTMGブロックとを含有するポリマーであり、かつポリマー(B)が、PA −12ブロックとPEGブロックとを含有するポリマーである場合が好ましい。 【0036】本発明はまた、上述の熱可塑性ポリマー(A)とポリマー(B)との帯電防止混合物の2つの層の間に、物質(C)から作られる心層を含むベルトに関する。 物質(C)とは、ベルト(伝動ベルト型およびコンベヤーベルト型の両方)を作るうえで満足すべき機械的性質を有する任意の物質と定義することができる。 物質(C)を、熱可塑性ポリマー(A)から作ることが有利である。 【0037】こうしたベルトを、同時押出によって製造することができる。 場合によっては、同時押出用結合剤または接着剤を、心層(C)と各帯電防止層との間に付着させることができる。 また、心層(C)上へ、押出によって2つの帯電防止層を付着させるか、またはこれらすべての層もしくはこれらの層の可能な任意の組み合わせを積層することも可能である。 接着剤としては、ホットメルト接着剤を使用できる。 【0038】結合剤としては、例えば、以下の化合物が挙げられる: ・ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンと少なくとも1つのαオレフィンとの共重合体、またはこれらのポリマーの混合物(これらのポリマーはすべて、例えば無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸無水物でグラフト化されている)。 これらのグラフト化ポリマーとこれらの非グラフト化ポリマーとの混合物も使用することが可能である; ・(i)不飽和カルボン酸、それらの塩、もしくはそれらのエステル、(ii)飽和カルボン酸のビニルエステル、(iii)不飽和ジカルボン酸、それらの塩、それらのエステル、それらのモノエステル、もしくはそれらの無水物、または(iv)不飽和エポキシド、から選ばれる少なくとも1つの化合物と、エチレンとの共重合体。 これらの共重合体を、無水マレイン酸などの不飽和ジカルボン酸無水物またはグリシジルメタクリレートなどの不飽和エポキシドでグラフト化することが可能である; ・ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含有するポリマー。 【0039】接着剤も結合剤も必要としない構造を使用することが有利である。 こうした構造の例として、例えば、以下の場合が挙げられる: ・熱可塑性ポリマー(A)および物質(C)がポリエーテルエステルである場合; ・熱可塑性ポリマー(A)および物質(C)がポリアミドである場合; ・物質(C)がポリアミドであり、かつ熱可塑性ポリマー(A)が、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含有するポリマーである場合; ・物質(C)および熱可塑性ポリマー(A)が、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含有するポリマーである場合; ・物質(C)および熱可塑性ポリマー(A)が、ポリウレタンエラストマーである場合; ・物質(C)が、ポリウレタンエラストマーであり、かつ熱可塑性ポリマー(A)が、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含有するポリマーである場合、 またはその逆の場合。 【0040】好ましい構造としては、物質(C)が、P A−12ブロックとPTMGブロックとを含有するポリマー、またはポリアミド−12であり、かつ、熱可塑性ポリマー(A)が、PA−12ブロックとPTMGブロックとを含有するポリマーであり、かつポリマー(B) が、PA−6ブロックとPEGブロックとを含有するポリマー、もしくはPA−12ブロックとPEGブロックとを含有するポリマー、またはそれらの混合物である場合が挙げられる。 【0041】本発明のもう1つの態様に従えば、心層(C)は、熱可塑性ポリマー(A)とポリマー(B)との帯電防止混合物で完全に被覆される。 すなわち、ベルトの断面を見ると、心層が、熱可塑性ポリマー(A)とポリマー(B)との帯電防止混合物で、完全に取り囲まれている。 【0042】 【実施例】以下の実施例において、ペバックス1とは、 数平均分子量Mnが2000のPA−12ブロックと数平均分子量Mnが2000のPTMGブロックとを有し、ASTM D12 38に従ったMFI(メルトフローインデックス)が5(235℃、1kg)、融解温度が168℃、ショアーD型硬度が40である熱可塑性ポリマー(A)を指し、ペバックス2とは、数平均分子量MΠが1500のPA−12ブロックと数平均分子量Mnが1500のPEGブロックとを有し、融解温度が158℃、ショアーD型硬度が40であるポリマー(B)を指し、ペバックス3とは、数平均分子量Mnが1500のPA−6ブロックと数平均分子量Mnが15 00のPEGブロックとを有し、融解温度が204℃、 ショアーD型硬度が40であるポリマー(B)を指す。 【0043】表1に示される組成物は、コンパウンディングによって調製した。 これらの組成物は、その性質を測定するために、棒、フィルム、および板の形に加工した。 実施例4および7の材料については、続いて、幅2 0cm、厚さ0.9cmの平ベルトを作製した。 板の引張特性は、I. F. C. (INSTITUT FRAN CAIS DUCAOUTCHOUC:フランスゴム研究所)規格の試料に基づいて、測定した。 【0044】結果を表2に示す。 ここでsは、標準偏差を意味する。 【0045】 【表1】 【0046】 【表2】 【0047】半減放電時間と表面抵抗率を測定した。 その際、試料は、230℃、相対湿度50%(50%R H)の環境下で15日間保存したものを用いた。 湿度の影響を調べるために、2ヶ月後に、この測定をもう1度繰り返した。 これらの結果を、表3に示す。 【0048】 【表3】 また、試料2〜7は、紡毛布地で擦っても、煙草の灰を引きつけないが、試料1は、同じ条件下で、煙草の灰を引きつけることも、分かった。 【0049】 【発明の効果】本発明のベルトは、熱可塑性ポリマー(A)と、ポリエチレングリコールブロックを有するポリマー(B)と、から構成されているため、従来のような帯電防止剤のしみ出しは起こらず、長期間に渡って安定した帯電防止性が得られると共に、汚れがつかず、べたつきもないうえに、洗っても、または拭いても、帯電防止挙動を呈する物質が除去されることがない。 更に、 熱可塑性ポリマー(A)とポリマー(B)とを適切に選べば、ベルトを透明にすることもできる。 【0050】従って、本発明のベルトを、伝動ベルトやコンベヤーベルトとして利用すれば、静電気による、電子機器の破損またはそのベルトで移送される物品の破損を防ぐことができる。 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 6識別記号 FI B29L 29:00 (56)参考文献 特開 平7−316421(JP,A) 特開 平7−41652(JP,A) 特開 平6−308801(JP,A) 特開 昭61−203170(JP,A) 特開 昭63−218414(JP,A) 特開 平6−41354(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl. 6 ,DB名) B29C 47/06 B32B 27/18 C08L 71/02 C08L 77/02 |