繊維機械用ベルト

申请号 JP2015165839 申请日 2015-08-25 公开(公告)号 JP2017043854A 公开(公告)日 2017-03-02
申请人 ニッタ株式会社; 发明人 中井 直道; 東 利光;
摘要 【課題】ベルト走行中に発生する走行音を低減できる繊維機械用ベルトを提供する。 【解決手段】繊維機械用ベルトに用いられる芯体帆布は、経糸が複数の緯糸と交差し、前記経糸と前記緯糸が交差する組織点の集合体19がベルトの長手方向Lの一方へ規則的にずれて斜文線17が形成される綾織組織を基本とする織物で構成され、前記斜文線17は、前記集合体19の一部が所定の間隔で前記一方と反対の他方へずれて形成されていることを特徴とする。 【選択図】図2
权利要求

芯体帆布を備えた繊維機械用ベルトであって、 前記芯体帆布は、経糸が複数の緯糸と交差し、前記経糸と前記緯糸が交差する組織点の集合体がベルトの長手方向の一方へ規則的にずれて斜文線が形成される綾織組織を基本とする織物で構成され、 前記斜文線は、前記集合体の一部が所定の間隔で前記一方と反対の他方へずれて形成されていることを特徴とする繊維機械用ベルト。前記集合体は、前記経糸が2本の前記緯糸と交差しており、前記経糸と前記緯糸の浮きの数が同じであることを特徴とする請求項1記載の繊維機械用ベルト。前記芯体帆布は、第1組織点における前記経糸と、前記第1組織点に隣接する第2組織点における前記緯糸との高さの差が80μm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の繊維機械用ベルト。

说明书全文

本発明は、繊維機械用ベルトに関する。

繊維機械において用いられるベルトは、通常、表面にゴム層を有している(例えば、特許文献1参照)。こうしたベルトにおける表面のゴム層は、ベルトの耐摩擦性や耐屈曲性を担っている。

繊維機械としての合撚機においては、一対のベルトを交差するように配設して、それぞれプーリにより互いに交差走行させ、一対のベルトが、互いに対向する面によって糸をニップしてツイステッドヤーンが製造される。一方、繊維機械としてのカバリング機においては、紡糸ボビンを支持した中空スピンドルを高速で回転させ、この中空スピンドルを通過して走行する芯糸に、紡糸ボビンから供給されるカバー糸を巻付けてカバードヤーンが製造される。カバリング機においては、中空スピンドルに接触して配置されたベルトによって、中空スピンドルの高速回転が達成されている。

特開2007−314895号公報

繊維機械の運転中には、比較的高い音域の走行音がプーリとの接触部分から発生することがある。現在、6000〜8000Hzの周波数が走行音の中に確認されている。音圧レベルが過剰に高くない場合であっても、6000〜8000Hzの周波数は一般に不快に感じる範囲であるとされている。良好な作業環境を維持するために、繊維機械の運転中における不快な走行音は低減することが求められる。

そこで本発明は、ベルト走行中に発生する走行音を低減できる繊維機械用ベルトを提供することを目的とする。

本発明に係る繊維機械用ベルトは、芯体帆布を備えた繊維機械用ベルトであって、前記芯体帆布は、経糸が複数の緯糸と交差し、前記経糸と前記緯糸が交差する組織点の集合体がベルトの長手方向の一方へ規則的にずれて斜文線が形成される綾織組織を基本とする織物で構成され、前記斜文線は、前記集合体の一部が所定の間隔で前記一方と反対の他方へずれて形成されていることを特徴とする。

本発明によれば、斜文線は、集合体の一部が所定の間隔でベルトの長手方向の一方と反対の他方へずれて形成されている。これにより、芯体帆布は、ベルトの幅方向における表面の起伏が抑制されているので、経年使用を経ても、ベルト表面の性状に与える影響を抑制することができる。したがって繊維機械用ベルトは、走行中に発生する走行音を低減することができる。

本実施形態に係る繊維機械用ベルトの断面図である。

本実施形態に係る芯体帆布の綾織組織の最小単位を示す模式図であり、図2Aは表面、図2Bは裏面である。

本実施形態に係る芯体帆布の表面性状を測定した結果を示す図であり、図3Aは拡大画像、図3Bは3次元イメージ像、図3Cは高低差を測定した結果を示す。

従来の芯体帆布の織組織の最小単位を示す模式図である。

従来の芯体帆布の表面性状を測定した結果を示す図であり、図5Aは拡大画像、図5Bは3次元イメージ像、図5Cは高低差を測定した結果を示す。

ベルト走行音を測定する試験機を説明する模式図である。

ベルト走行音を測定した結果を示すグラフである。

以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。

1.全体構成 図1に示す繊維機械用ベルト10は、芯体帆布12と、芯体帆布12の両面にそれぞれ設けられた第1の樹脂層14a、第2の樹脂層14bと、第1の樹脂層14aの表面に設けられたプーリ側層16と、第2の樹脂層14bの表面に設けられたスピンドル側層18とを備える。

<芯体帆布> 芯体帆布12の材質は、ポリエステル繊維およびナイロン繊維等から選択することができる。ポリエステル繊維としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、およびポリブチレンテレフタレート繊維等が挙げられ、ナイロン繊維としては、例えばナイロン6繊維、およびナイロン66繊維等が挙げられる。特に、PET繊維が芯体帆布12の材質として好ましい。芯体帆布12の厚さは特に限定されないが、通常、0.4〜1.2mm程度であるのが好ましく、0.45〜0.8mm程度であるのがより好ましい。

芯体帆布12は、表面及び裏面が従来に比べ、より平坦である点が特徴である。芯体帆布12の構成を、図2を参照して詳細に説明する。図2に芯体帆布12の綾織組織の最小単位11を示す。最小単位11は、縦4個、横8個のマスで構成されている。各マスは、経糸と緯糸が交差する組織点であり、縦列が経糸を、横列が緯糸を示す。黒色で塗りつぶされたマスは、経糸が緯糸の上を通って交差する第1組織点13である。塗りつぶされていないマスは、経糸が緯糸の下を通って交差する第2組織点15である。

本図に示す綾織組織の最小単位11は、縦方向がベルトの長手方向Lであり、横方向がベルトの幅方向Wである。図2Bに示す綾織組織の最小単位11の裏面は、表面(図2A)を左右方向に裏返した状態を示している。裏面は、表面に対し第1組織点13と第2組織点15が逆に表れることになる。また芯体帆布12は、綾織組織が両面で同じではない。すなわち芯体帆布12は、表面(図2A)と裏面(図2B)において同一の最小単位11が表れない。

芯体帆布12は、経糸がより多くの緯糸と交差し、経糸と緯糸が交差する組織点としての第1組織点13の集合体19がベルトの長手方向Lの一方へ規則的にずれて斜文線17が形成される綾織組織を基本とする織物である。本実施形態の場合、経糸と緯糸の浮きの数、すなわち第1組織点13の数と、第2組織点15の数は同じで2個である。一つの縦列に着目すると、経糸は、2本の緯糸の上を通過した後、2本の緯糸の下を通過することを繰り返している。これにより一つの縦列において、2個の第1組織点13と、2個の第2組織点が繰り返し表れる。ここで集合体19は、2個の第1組織点13で形成される。

斜文線17は、集合体19がベルトの長手方向Lの一方へ規則的にずれていると共に、集合体19の一部が所定の間隔でベルトの長手方向Lの一方と反対の他方へずれて形成されている。各集合体19は、隣同士の縦列において一部の第1の組織点13同士が繋がり、全体として連続している。

本実施形態の場合、集合体19が右隣の縦列に行くにしたがってマス一つ分ずつ縦方向下にずれている。例えば、左から2番目の縦列における集合体19に対し、右隣の縦列(左から3番目の縦列)における集合体19は、マス一つ分だけ縦方向下にずれていることにより、上側の第1組織点13において2番目の縦列における集合体19と繋がっている。同様に、左から4番目の縦列における集合体19は、左から3番目の縦列における集合体19に対し、マス一つ分だけ縦方向下にずれている。

さらに、左から5番目の縦列においては、集合体19が縦方向上にマス一つ分ずれている。これにより、左から縦5番目の縦列における集合体19は、下側の第1組織点13において左から縦4番目の縦列における集合体19と繋がっている。次いで左から6番目の縦列における集合体19は、左から縦5番目の縦列における集合体19に対し、マス一つ分だけ縦方向下にずれている。このように芯体帆布12は、所定間隔(本図の場合、中4列)ごとに集合体19の一部が縦方向上にマス一つ分ずれている。これにより斜文線17は、ベルトの長手方向Lの一方へ規則的にずれている集合体19のみで形成した場合に比べ、ベルトの幅方向Wに対し、ゆるやかな傾斜となっている。

集合体19で形成される斜文線17は、経糸と緯糸の数が等しく、密度が同じ場合、ベルトの長手方向Lとのなす度が45°より大きい。

上記のように芯体帆布12は、経糸が複数の緯糸と交差する綾織組織を基本とする織物で構成されていることにより、ベルト長手方向の引張強度を向上することができる。また芯体帆布12は、集合体19が最少の組織点で形成されている。すなわち芯体帆布12は、2個の第1組織点13と2個の第2組織点15が縦方向に繰り返し表れるように織られているため、経糸の起伏を抑制し、表面及び裏面をより平坦化することができる。

芯体帆布12は、斜文線17がベルトの幅方向Wに対しゆるやかな傾斜となっていることにより、ベルトの幅方向と交差する斜文線17の数が低減するので、ベルトの幅方向において表面の起伏を抑制することができる。

芯体帆布12は、綾織組織の最小単位において、第1組織点13の数と、第2組織点15の数が同じであることにより、より均一な表面を得ることができる。

芯体帆布12は、前記第1組織点13における経糸と、第1組織点13に隣接する第2組織点における緯糸の高さの差、より具体的には、本図中、P1と、P2の高低差が80μm以下であるのが好ましい。このような芯体帆布12は、上記のような綾織組織とすると共に、太さが1000〜1700デシテックスの経糸と、太さが1000〜1700デシテックスの緯糸とを用い、密度をタテ:170〜200、ヨコ:40〜60とすることで得ることができる。この場合、経糸は撚度を80〜170/m、緯糸は無撚とするのが好ましい。

<第1、第2の樹脂層> 第1の樹脂層14a及び第2の樹脂層14bは、熱可塑性エラストマーを用いて形成され、繊維機械用ベルト10に接着性および柔軟性を付与する。熱可塑性エラストマーとしては、例えば熱可塑性ポリウレタン(Thermoplastic Polyurethane:TPU)エラストマー、ポリエステルエラストマー等が挙げられる。なかでも、柔軟性および屈曲性がより優れていることから、TPUエラストマーが好ましい。第1の樹脂層14a及び第2の樹脂層14bそれぞれの厚さは特に限定されず、通常、0.2〜0.85mm程度であるのが好ましく、0.5〜0.85mm程度であるのがより好ましい。

<プーリ側層> 第1の樹脂層14a表面のプーリ側層16は、繊維機械においてプーリに接触して摩擦に供される。このプーリ側層16は、例えば天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、塩素化ポリエチレン、エピクロルヒドリンゴム、ニトリルゴム(NBR)、アクリルゴム、およびウレタンゴム等から選択されるゴム材料を用いて作製することができる。これらのゴム材料は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。簡便な手法で芯体帆布12に固着でき、良好な接着が得られることから、ゴム材料としてはNBRが好ましい。プーリ側層16の厚さは、特に限定されず、通常、0.15〜0.45mm程度であるのが好ましく、0.2〜0.3mm程度であるのがより好ましい。

また、プーリ側層16の硬度(JIS−A)は、60〜83°以下であることが好ましく、70°以下であることがより好ましい。プーリ側層16の硬度は、JIS K6301に準拠して求めることができる。

<スピンドル側層> 第2の樹脂層14b上のスピンドル側層18は、繊維機械においてスピンドルに接触してスピンドルを回転させる。このスピンドル側層18は、プーリ側層16と同様の材料で形成することができる。スピンドル側層18の厚さは、特に限定されず、通常、0.15〜0.45mm程度であるのが好ましく、0.2〜0.3mm程度であるのがより好ましい。

2.製造方法 繊維機械用ベルト10は、芯体帆布12と第1の樹脂層14a及び第2の樹脂層14b、第1の樹脂層14aとプーリ側層16、第2の樹脂層14bとスピンドル側層18とが固着して剥離しないような方法であれば、任意の方法により製造することができる。

まず、帯状に成形した芯体帆布12の両面に、コーティングまたはディッピングにより接着剤を塗布する。接着剤としては、例えばポリウレタン系接着剤を用いることができる。接着剤が塗布された芯体帆布12の両面には、第1の樹脂層14a及び第2の樹脂層14bを押出ラミネーションによりラミネートする。

プーリ側層16は、カレンダー加工等により、所定のゴム材料を所定の帆布上に塗布してシート状のゴム材料を作製し、得られたシート状のゴム材料を第1の樹脂層14aの表面に転写して配置することができる。本実施形態においては、プーリ側層16の作製に用いられる帆布は平織構造であり、この帆布のピッチは0.7mm未満に規定される。

スピンドル側層18は、プーリ側層16と同様の手法により帆布上にシート状のゴム材料を作製し、得られたシート状のゴム材料を第2の樹脂層14bの表面に転写して配置することができる。スピンドル側層18を作製する場合には、用いられる帆布は特に限定されず、任意の帆布を用いることができる。

プーリ側層16およびスピンドル側層18の転写にあたっては、シート状のゴム材料を第1の樹脂層14a、第2の樹脂層14bの各表面に配置して、最表面に帆布を有する積層体を得る。この積層体に対して加熱加圧条件下で圧搾加硫を行って、所定の厚さに加工する。圧搾加硫の後の厚さは、例えば2.0〜3.0mm程度とすることができる。圧搾加硫を行うことによって、第1の樹脂層14aの表面にはプーリ側層16が加硫接着により固着され、第2の樹脂層14bの表面には、スピンドル側層18が加硫接着により固着される。

最表面の帆布を剥離して、芯体帆布12と、芯体帆布12の両面にそれぞれ設けられた第1の樹脂層14aおよび第2の樹脂層14bと、第1の樹脂層14aの上に設けられたプーリ側層16と、第2の樹脂層14bの上に設けられたスピンドル側層18とを備えた本実施形態の繊維機械用ベルト10が得られる。

このようにして得られた繊維機械用ベルト10は、適用される装置等に応じて所望の寸法とすることができる。例えば、幅は20〜60mm程度、長さは10〜160m程度とすることができる。本実施形態の繊維機械用ベルト10は、両端部をフィンガー継手により継ぎ合せて無端状とすることができる。無端状としたベルト10は、繊維機械における2つのプーリ間に、例えば15〜30N/mm程度の張で掛け回して使用することができる。

3.作用及び効果 本実施形態に係る繊維機械用ベルト10において、斜文線17は、集合体19がベルトの長手方向Lの一方へ規則的にずれていると共に、集合体19の一部が所定の間隔でベルトの長手方向Lの一方と反対の他方へずれて形成されていることにより、ベルトの幅方向における表面の起伏が抑制されている。これにより、ベルト走行中に発生する6000〜8000Hzの周波数の音圧レベルを低減することができる。

芯体帆布12は、2個の第1組織点13と2個の第2組織点15が縦方向に繰り返し表れるように織られているため、ベルト長手方向の引張強度を向上すると共に、浮きの数が2個であるため表面及び裏面の起伏を抑制してより平坦化することができる。したがって、芯体帆布12は、芯体帆布12上に形成される第1の樹脂層14a及び第2の樹脂層14b、プーリ側層16及びスピンドル側層18の厚さが薄くても、また経年使用によって第1の樹脂層14a及び第2の樹脂層14b、プーリ側層16及びスピンドル側層18の厚さが薄くなっても、ベルト表面の性状に与える影響を抑制することができる。したがって繊維機械用ベルト10は、使用時間が経過しても、走行音が低減された状態を維持することができる。

実際に本発明に係る繊維機械用ベルトを作製し、評価をした。まず、以下に示す仕様で芯体帆布を作製した。経糸は、ポリエステルフィラメント糸(1100/1(デシテックス/構成)、撚度:150±10/m S,Z)を用いた。緯糸は、ポリエステルフィラメント糸(1100/1(デシテックス/構成)、無撚)を用いた。この経糸及び緯糸を用いて、幅:1100(mm)、長さ:210(m)、密度:経糸が188本/50mm、緯糸が49本/50mmの、本発明に係る綾織組織を有する帯状の芯体帆布を得た。

この芯体帆布の表面性状を測定した結果を図3に示す。測定は、デジタル顕微鏡(株式会社キーエンス製、型番:VHX-5000)を用いた。図3Aは拡大画像、図3Bは3次元イメージ像、図3Cは高低差を測定した結果を示す。図3Cにおいて、横軸は測定長さ(μm)、縦軸は高低差(μm)を示す。図3Aにおいて経糸と緯糸が交差している第1組織点13が表れている。測定結果より、第1組織点13における経糸の表面P1と、前記第1組織点13に隣接する第2組織点15における緯糸の表面P2の高低差が78.841μmであることが確認できた。この場合、第2組織点15において緯糸の表面P2は、前記第1組織点13の外縁に位置する場所が最も高さが低かった。

比較として、経糸の撚度を150±10/m S,Zとし、図4に示す綾織組織を最小単位51の組織とした以外は本発明に係る芯体帆布と同様とし、従来の芯体帆布を作製した。従来の芯体帆布について、表面性状を測定した結果を図5に示す。図5Aは拡大画像、図5Bは3次元イメージ像、図5Cは高低差を測定した結果を示す。測定結果より、従来の芯体帆布では、第1組織点13における経糸の表面P1と、前記第1組織点13に隣接する第2組織点15における緯糸の表面P2の高低差が237.836μmであった。この場合、第2組織点において緯糸の表面P2は、前記第1組織点13に対向する他の第1組織点の外縁に位置する場所が最も高さが低かった。

このことから、本発明に係る芯体帆布は、従来の芯体帆布に比べ、表面の起伏が抑制され、平坦化されていることが確認できた。

次いで帯状に成形した芯体帆布の両面にコーティングによりポリウレタン系接着剤を塗布した。接着剤が塗布された芯体帆布の両面にTPUエラストマーを押出ラミネーションによりラミネートして、第1,第2の樹脂層を0.8mmの厚さで作製した。

ゴム材料としてのNBRを、カレンダー加工により0.25mmの厚さで帆布(旭化成せんい株式会社製、型番:40dタフタ)に塗布して、プーリ側層の原料となる、帆布に支持されたシート状のゴム材料を得た。用いた帆布のピッチは0.22mmである。同様の手法により、スピンドル側層の原料となるシート状のゴム材料を得た。

芯体帆布の表面に、形成された第1の樹脂層の上にプーリ側層の原料を配置し、第2の樹脂層の上にはスピンドル側層の原料を配置して、最表面に帆布を有する積層体を得た。この積層体に対して常法により圧搾加硫を行った後、両表面から帆布を剥離して、厚さ2.6mmの実施例に係る繊維機械用ベルトが得られた。同様に、従来の芯体帆布を用いて、比較例に係る繊維機械用ベルトを得た。

<ベルトの走行音測定> 実施例および比較例の各繊維機械用ベルトは、両端部を熱融着により接合してフィンガー継手を有する無端ベルトを作製した。得られた無端ベルトを、図6に示す試験機(社内ミニタンゼンシャルデモ機)30で走行させて、走行音を測定した。

試験にあたっては、図示するように、作製した無端ベルト51を、駆動プーリ32と従動プーリ34との間に掛け回した。この際の無端ベルト51の張力は、9N/mmである。駆動プーリ32と従動プーリ34との間には、複数のバックアッププーリ36およびスピンドル38が配置されている。駆動プーリ32、従動プーリ34の直径は120mm、バックアッププーリ36の直径は40mm、スピンドル38の直径は20mmとした。無端ベルト51においては、プーリ側層16の表面がバックアッププーリ36等のプーリに接し、スピンドル側層18の表面がスピンドル38に接している。無端ベルト51を走行させた際には、無端ベルト51のプーリ側層16の表面は、バックアッププーリ36に押圧されることとなる。

図中の矢印方向に駆動プーリ32を回転させることにより、2.5m/sのベルト速度で無端ベルト51を走行させて、この際に発生する走行音を測定した。走行音は、騒音計40(リオン株式会社製、型番:NA−60)により測定し、図示しない1/3オクターブバンドフィルタ(リオン株式会社製、型番:NX−02A)により周波数分析を行った。無端ベルト31と騒音計40との距離dは150mmとした。

実施例および比較例の各無端ベルトについて、走行音を測定した結果を図7に示す。図7は、横軸が周波数[Hz]、縦軸が音圧[dB]を示す。また実施例および比較例の各無端ベルトについて、6300Hzの周波数の音圧(dB)を表1に示す。

上記表1に示すように、実施例の無端ベルトは、約10000時間走行後において、6300Hzの周波数の音圧が比較例に比べ低い。6000〜8000Hzの周波数は、一般的に不快に感じる範囲であることから、実施例の無端ベルトは、不快に感じる周波数の音圧レベルが10000時間走行後でも低減されていることがわかる。

実施例の無端ベルトは、比較例に比べ芯体帆布が平坦であり、経糸と第1組織点の外縁における緯糸との高低差が78.841μmである。このことから、実施例に係る無端ベルトは、表面の樹脂層、プーリ側層やスピンドル側層が薄くなった場合でも、芯体帆布がベルト表面の性状に与える影響が少ないので、10000時間走行後の6300Hzの周波数の音圧レベルを、比較例に比べ低下させることができる。

これに対し比較例に係る無端ベルトは、経糸と、第1組織点の外縁における緯糸との高低差が237.836μmであったため、表面の樹脂層、プーリ側層やスピンドル側層が薄くなった場合、芯体帆布がベルト表面の性状に与える影響が大きく、このため10000時間走行後の6300Hzの周波数の音圧レベルが上昇した。

4.変形例 本発明は、ここに記載された実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。

本実施形態の繊維機械用ベルト10を無端状にするにあたっては、ベルトの両端部をテーパー状に加工し、テーパー面同士を接着剤によって接着して、スカイバー継手により継ぎ合せてもよい。接着剤としては、例えばウレタン系接着剤を用いることができる。

また上記実施形態では斜文線をベルトの幅方向に対し右下がりに形成した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、斜文線をベルトの幅方向に対し右上がりに形成してもよい。

10 繊維機械用ベルト 12 芯体帆布 13 第1組織点 14a 第1の樹脂層 14b 第2の樹脂層 15 第2組織点 16 プーリ側層 16a (プーリ側層)表面 17 斜文線 18 スピンドル側層 19 集合体

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