伝達装置

申请号 JP2015506756 申请日 2014-03-17 公开(公告)号 JPWO2014148414A1 公开(公告)日 2017-02-16
申请人 小倉クラッチ株式会社; 发明人 加藤 基; 基 加藤; 義弘 黒須; 義弘 黒須; 貴浩 神沢; 貴浩 神沢;
摘要 同一の回転軸線上に配置されたプーリ(4)およびハブ(11)と、これらの回転体を連結する連結部材(13)とを備える。連結部材の一方の端部(13a)をプーリに離脱不可能に連結する第1の連結構造(14)と、連結部材の他方の端部(13b)をハブに離脱可能に連結する第2の連結構造(15)とを備える。第2の連結構造は、連結部材(13)の他端部(13b)を軸線方向に貫通する柱状体(21)と、柱状体(21)に設けられた頭部(28)と、連結部材(13)のスリット(22)と、連結部材(13)を回転体に押し付ける皿ばね(29)とを備えている。連結部材(13)の他端部(13b)は、軸線方向から見て連結部材(13)の他の部位より大きく形成される。この他端部(13b)におけるハブ(11)の軸心側を指向する部位には、ハブ(11)の外周側に向けてへこむ凹部(16)が形成されている。動 力 伝達を遮断するトルクリミッタの動作荷重を高い 精度 で設定可能な動力伝達装置を提供できる。
权利要求

同一の回転軸線上に配置された第1の回転体および第2の回転体と、 前記第1の回転体と前記第2の回転体とを連結する連結部材と、 前記連結部材の一方の端部を前記第1の回転体に連結し、前記連結部材が前記第1の回転体から外れることを規制する第1の連結構造と、 前記連結部材の他方の端部を前記第2の回転体に連結し、前記連結部材が前記第2の回転体から外れることを許容する第2の連結構造と を備え、 前記第2の連結構造は、 前記第2の回転体に設けられ、前記回転軸線に沿って延びて前記他方の端部を貫通する柱状体と、 前記柱状体における前記他方の端部に近接する端部から前記他方の端部に沿って形成された突体と、 前記他方の端部の端縁から前記柱状体の回転軌跡に沿って形成されて、前記柱状体が挿入されたスリットと、 前記他方の端部を前記軸線方向に押圧し、前記柱状体および第2の回転体を含む回転部材と前記他方の端部との間で動を伝達する摩擦力を発生させる弾性体とを備え、 前記連結部材の他方の端部は、前記軸線方向から見てこの連結部材の他の部位より大きく形成され、 この他方の端部における第2の回転体の軸心側を指向する部位には、第2の回転体の外周側に向けてへこむ凹部が形成されていることを特徴とする動力伝達装置。請求項1記載の動力伝達装置において、 前記第1の回転体は、動力源に接続されて駆動される駆動側回転体であり、 前記第2の回転体は、前記駆動側回転体と同一軸線上に位置する従動側回転体であり、 前記駆動側回転体は、従動側装置の一端部に、この従動側装置の回転軸と同一軸線上に位置する状態で回転自在に支持され、 前記従動側回転体は、 前記回転軸の一端部に固定されたボス部と、このボス部から径方向の外側に延びて前記連結部材が連結された取付用フランジ部とを有し、 前記連結部材の前記他方の端部は、前記一方の端部より回転方向の後側において前記従動側回転体に連結され、 前記連結部材は、ばね材料によって形成されているとともに、前記回転軸をその一端部から他端部を指向する方向へ付勢する状態で前記駆動側回転体と前記従動側回転体とに連結され、 前記連結部材の凹部は、前記ボス部の一部が挿入可能な形状に形成されていることを特徴とする動力伝達装置。請求項1記載の動力伝達装置において、 前記第1の回転体は、動力源に接続されて駆動される駆動側回転体であり、 前記第2の回転体は、前記駆動側回転体と同一軸線上に位置する従動側回転体であり、 前記駆動側回転体は、従動側装置の一端部に、この従動側装置の回転軸と同一軸線上に位置する状態で回転自在に支持され、 前記従動側回転体は、 前記回転軸の一端部に固定されたボス部と、このボス部から径方向の外側に延びて前記連結部材が連結された取付用フランジ部とを有し、 前記連結部材の前記他方の端部は、前記一方の端部より回転方向の後側において前記従動側回転体に連結され、 前記連結部材は、ばね材料によって形成されているとともに、前記回転軸をその他端部から一端部を指向する方向へ付勢する状態で前記駆動側回転体と前記従動側回転体とに連結され、 前記連結部材の凹部は、前記従動側回転体の軸端に重ねられて前記従動側回転体を前記回転軸に固定する固定用ボルトの一部が挿入可能な形状に形成されていることを特徴とする動力伝達装置。請求項3記載の動力伝達装置において、 前記駆動側回転体における前記連結部材の一方の端部が連結される部位には、前記連結部材が前記一方の端部を中心として遠心力で揺動することにより連結部材が当接するストッパーが設けられていることを特徴とする動力伝達装置。請求項1ないし請求項4のうちいずれか一つに記載の動力伝達装置において、 前記柱状体は、前記第2の回転体と前記他方の端部とを貫通するリベットの軸部と、前記他方の端部の厚みより長く形成されて前記軸部が貫通するとともに前記スリットに挿入された円筒状のカラーとによって構成され、 前記突体は、前記リベットの頭部によって構成され、 前記弾性体は、前記突体と前記第2の回転体との間に設けられた板状のばねによって構成されていることを特徴とする動力伝達装置。請求項5記載の動力伝達装置において、 前記弾性体は、前記柱状体が貫通する円環状の皿ばねによって構成されているとともに、前記他方の端部と前記第2の回転体との間に外周部が前記他方の端部に接触する状態で設けられ、 前記突体は、前記軸線方向から見て弾性体の全域が重なる大きさに形成されていることを特徴とする動力伝達装置。請求項1ないし請求項4のうちいずれか一つに記載の動力伝達装置において、 前記柱状体は、前記第2の回転体と前記他方の端部とを貫通するリベットの軸部によって構成され、 前記軸部は、前記第2の回転体を貫通する小径部と、前記他方の端部の厚みより長く形成されて前記スリットに挿入された大径部とによって構成され、 前記突体は、前記リベットの頭部によって構成され、 前記弾性体は、前記突体と前記第2の回転体との間に設けられた板状のばねによって構成されていることを特徴とする動力伝達装置。請求項7記載の動力伝達装置において、 前記弾性体は、前記柱状体が貫通する円環状の皿ばねによって構成されているとともに、前記他方の端部と前記第2の回転体との間に外周部が前記他方の端部に接触する状態で設けられ、 前記突体は、前記軸線方向において弾性体の全域が重なる大きさに形成されていることを特徴とする動力伝達装置。請求項1ないし請求項4のうちいずれか一つに記載の動力伝達装置において、 前記柱状体は、前記第2の回転体と前記他方の端部とを貫通するリベットの軸部と、前記他方の端部の厚みより長く形成されて前記軸部が貫通するとともに前記スリットに挿入された円筒状のカラーとによって構成され、 前記突体は、前記リベットの頭部によって構成され、 前記弾性体は、前記頭部の外周部に一体に形成された筒状部によって構成されていることを特徴とする動力伝達装置。請求項1ないし請求項4のうちいずれか一つに記載の動力伝達装置において、 前記柱状体は、前記第2の回転体と前記他方の端部とを貫通するリベットの軸部によって構成され、 前記軸部は、前記第2の回転体を貫通する小径部と、前記他方の端部の厚みより長く形成されて前記スリットに挿入された大径部とによって構成され、 前記突体は、前記リベットの頭部によって構成され、 前記弾性体は、前記頭部の外周部に一体に形成された筒状部によって構成されていることを特徴とする動力伝達装置。請求項1ないし請求項4のうちいずれか一つに記載の動力伝達装置において、 前記柱状体は、前記第2の回転体と前記他方の端部とを貫通するボルトの軸部と、前記他方の端部の厚みより長く形成されて前記ボルトの軸部が貫通するとともに前記スリットに挿入された円筒状のカラーとによって構成され、 前記突体は、前記ボルトの頭部によって構成され、 前記弾性体は、前記頭部と前記第2の回転体との間に挿入された板状のばねによって構成されていることを特徴とする動力伝達装置。

说明书全文

本発明は、カーエアコン用圧縮機に動を伝達するとともに、圧縮機側で過負荷が発生したときにトルクリミッタによって動力伝達を遮断することができる動力伝達装置に関するものである。

従来のこの種の動力伝達装置としては、例えば特許文献1に記載されているものがある。特許文献1に開示された動力伝達装置は、自動車エンジンの動力がベルトを介して伝達される駆動側回転部材としてのプーリと、このプーリの円板部に複数の連結部材を介して連結された従動側回転部材としてのハブとを備えている。プーリは、圧縮機のハウジングに軸受を介して回転自在に支持されている。ハブは、圧縮機の回転軸の先端部に装着され、この回転軸と一体に回転する。

連結部材は、帯状に形成された板によって形成されている。この連結部材の一端部は、プーリに連結されている。この連結部材の他端部は、ハブに連結されている。この連結部材とプーリとの連結部の連結構造は、圧縮機側で過負荷が発生したときに連結部材がプーリから外れる構造である。この連結構造は、連結部材の一端部に形成された切り欠きと、この切り欠きに通されたリベットとによって構成されている。 切り欠きは、プーリの回転方向の前側に向けて開く形状に形成されている。また、この切り欠きは、開放側に向かうにしたがって次第に開口幅が拡がる末広がり状に形成されている。

リベットは、切り欠きに通すことが可能な柱状部と、この柱状部の一端に設けられた頭部とを有している。このリベットは、柱状部が連結部材とプーリの円板部とを貫通し、かつ頭部が連結部材をプーリの円板部に押し付ける状態で円板部にかしめられて固定されている。すなわち、連結部材の一端部は、プーリの円板部と、リベットの頭部とに挟まれ、これらの部材が押し付けられた状態で円板部に固定されている。 また、特許文献1に示す動力伝達装置においては、連結部材の一端部をプーリに連結する力を増強するために、上述した連結構造の他に嵌合構造も併用されている。この嵌合構造は、リベットの頭部と連結部材とが互いに嵌合し合う構造のものと、連結部材と円板部とが互いに嵌合し合う構造のものとがある。

連結部材とハブとを連結する連結構造は、連結部材がハブから外れることができない構造で、連結部材の一端部がプーリから外れたときに連結部材がこの連結部分を中心にしてハブに対して回動可能に構成されている。

このように構成された従来の動力伝達装置においては、自動車エンジンの動力がプーリから連結部材を介してハブに伝達され、ハブとともに圧縮機の回転軸が回転する。このように動力が伝達される状態で圧縮機の回転軸に過負荷が発生すると、連結部材の切り欠きからリベットの柱状部が離脱し、動力伝達が遮断される。 上述した従来の動力伝達装置は、下記の2つの力で動力遮断特性が決まるものである。第1の力は、リベットがプーリの円板部と連結部材とを両側から挟んで固定する力である。第2の力は、リベットの柱状部がかしめにより径方向へ膨張することにより生じる切り欠き部分の保持力である。従来の動力伝達装置においては、これらの第1の力と第2の力とを合わせた力がトルクリミッタの動作荷重になる。

特許第5053614号公報

特許文献1に記載されている動力伝達装置では、動力伝達が遮断されるときの圧縮機側の負荷の大きさ、換言すれば動力伝達を遮断するトルクリミッタの動作荷重を高い精度で設定することは難しいという問題があった。この理由は、動作荷重がリベットの締結力に大きく依存するからである。

すなわち、リベットの高さ(長さ)にはばらつきがあるから、上述した第1の力が動力伝達装置毎に異なってしまう。また、柱状部の径方向への膨張量もリベット毎に変わり易いから、第2の力も動力伝達装置毎に異なり易い。 このように従来の動力伝達装置は、トルクリミッタの動作荷重がリベットの締結力に大きく依存するから、動力を遮断する特性の信頼性が低いものであった。

この動力伝達装置に用いられている連結部材は、トルクリミッタが動作して一端部のスリットからリベットの柱状部が抜けた際に、他端部の連結部分を中心にして回動する。このため、プーリから離脱した連結部材の一端部がハブのボス部などに衝突して変形したり、破断するおそれがあった。

また、従来の動力伝達装置においては、トルクリミッタの動作荷重を大きくすることが要請されている。この要請に応えるためには、連結部材の一端部の面積と、この一端部に接触するリベット頭部の面積を広く形成し、連結部材とプーリやリベットとの摩擦抵抗を増大させることが考えられる。 しかしながら、このような構成が採られると、連結部材とその周辺の部材との隙間が狭くなるから、上述した変形や破損が生じる可能性が高くなってしまう。なお、このような不具合は、動力伝達装置の外径を大きく形成し、上述した隙間を拡げることによって、ある程度は解消することができる。しかし、動力伝達装置が大型化することは避けなければならない。

本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、動力伝達を遮断するトルクリミッタの動作荷重を高い精度で設定可能で、しかも、小型化を図りながら、トルクリミッタの動作荷重を大きくすることが可能な動力伝達装置を提供することを目的とする。

この目的を達成するために、本発明に係る動力伝達装置は、同一の回転軸線上に配置された第1の回転体および第2の回転体と、前記第1の回転体と前記第2の回転体とを連結する連結部材と、前記連結部材の一方の端部を前記第1の回転体に連結し、前記連結部材が前記第1の回転体から外れることを規制する第1の連結構造と、前記連結部材の他方の端部を前記第2の回転体に連結し、前記連結部材が前記第2の回転体から外れることを許容する第2の連結構造とを備え、前記第2の連結構造は、前記第2の回転体に設けられ、前記回転軸線に沿って延びて前記他方の端部を貫通する柱状体と、前記柱状体における前記他方の端部に近接する端部から前記他方の端部に沿って形成された突体と、前記他方の端部の端縁から前記柱状体の回転軌跡に沿って形成されて、前記柱状体が挿入されたスリットと、前記他方の端部を前記軸線方向に押圧し、前記柱状体および第2の回転体を含む回転部材と前記他方の端部との間で動力を伝達する摩擦力を発生させる弾性体とを備え、前記連結部材の他方の端部は、前記軸線方向から見てこの連結部材の他の部位より大きく形成され、この他方の端部における第2の回転体の軸心側を指向する部位には、第2の回転体の外周側に向けてへこむ凹部が形成されているものである。

本発明に係る動力伝達装置において、連結部材によって伝達される動力の大きさは、この連結部材と、柱状体および第2の回転体を含む回転部材との間に生じる摩擦抵抗の大きさと対応している。本発明に係る動力伝達装置によって動力が伝達される従動側の装置に過負荷が発生し、連結部材が過大な動力を伝達する状態になると、この動力が摩擦抵抗を上回るようになる。

このような場合には、柱状体および第2の回転体を含む回転部材に対して連結部材の他方の端部が摩擦抵抗に抗して移動する。そして、連結部材のスリットに挿入されている柱状体がスリットの外に出る。この結果、上述したように負荷が過大になると、第2の連結構造が実質的にトルクリミッタとして機能し、動力の伝達が遮断される。

動力の伝達が遮断されるときの負荷の大きさ(トルクリミッタの動作荷重)は、上述したように、連結部材の他方の端部と、この他方の端部に接触する部材との摩擦抵抗の大きさに基づいて決まる。連結部材の他方の端部は、軸線方向から見てこの連結部材の他の部位より大きく形成されている。このため、連結部材が第2の回転体に対して移動するときの摩擦抵抗が大きくなり、これに伴ってトルクリミッタの動作荷重が大きくなる。 上述した摩擦抵抗の大きさは、弾性体のばね力の大きさと対応した大きさになる。弾性体のばね力の大きさは、柱状体の取付構造に大きく依存することなく設計値と略等しくなる。このため、本発明に係る動力伝達装置は、トルクリミッタの動作荷重が大きいものであって、動作荷重の精度が高いものとなる。

連結部材の他方の端部は、動力伝達が遮断される以前に摩擦抵抗に抗して第2の回転体に対して移動するときに、第2の回転体の軸心側に位置する部材に接近する。この理由は、連結部材の一方の端部と他方の端部とのうち一方の端部が駆動側回転体と共に回転するからである。連結部材の他方の端部がこのように軸心側の部材に接近すると、軸心側の部材の一部が他方の端部の凹部内に入る。このため、連結部材の他方の端部が大きく形成されているにもかかわらず、連結部材が軸心側の部材に衝突することを避けることができる。

この結果、連結部材の他方の端部と、上述した軸心側の部材との干渉を避けるために動力伝達装置を径方向に大きく形成する必要がないから、トルクリミッタの動作荷重が大きくなる構成を採っているにもかかわらず、動力伝達装置の小型化を図ることができる。 したがって、本発明によれば、動力伝達を遮断するトルクリミッタの動作荷重を精度よく設定可能で、しかも、小型化を図りながら、トルクリミッタの動作荷重を高く設定することが可能な動力伝達装置を提供することができる。

図1は、第1の実施の形態による動力伝達装置の正面図である。図1は、柱状体とハブの一部を破断した状態で描いてある。

図2は、第1の実施の形態による動力伝達装置の断面図である。図2は、図1におけるII−II線断面図である。

図3Aは、第1の実施の形態による第2の連結構造を拡大して示す断面図である。

図3Bは、第1の実施の形態による第2の連結構造を拡大して示す正面図である。

図3Cは、皿ばねの設置方向が異なる第2の連結構造を拡大して示す断面図である。

図3Dは、皿ばねより小さい突体を有する第2の連結構造を拡大して示す断面図である。

図3Eは、座金を有する第2の連結構造を拡大して示す断面図である。

図4は、第1の実施の形態による動力伝達装置の動力伝達が遮断される状態を示す正面図である。

図5は、第1の実施の形態による動力伝達装置の動力伝達が遮断される状態を示す断面図である。

図6は、第1の実施の形態によるハブおよび連結部材の圧縮機側から見た背面図である。

図7は、第1の実施の形態による連結部材の正面図である。

図8は、第2の実施の形態による動力伝達装置の正面図である。

図9は、第2の実施の形態による動力伝達装置の断面図である。図9は、図8におけるIX−IX線断面図である。

図10は、第2の実施の形態によるハブおよび連結部材の正面図である。

図11は、第2の実施の形態による動力伝達装置の連結部材が第2の回転体から外れた直後の状態を示す断面図である。

図12は、第2の実施の形態による動力伝達装置の連結部材が第2の回転体から外れた直後の状態を示す正面図である。

図13は、第2の実施の形態による連結部材がストッパーに当接した状態を示す正面図である。

図14は、スリットの形状が異なる動力伝達装置の正面図である。図14は、柱状体とハブの一部を破断した状態で描いてある。

図15は、スリットの形状が異なる動力伝達装置の断面図である。図15は、図14におけるXV−XV線断面図である。

図16は、スリットの形状が異なる動力伝達装置の要部を拡大して示す断面図である。

図17は、スリットの形状が異なる動力伝達装置の動力伝達が遮断される状態を示す正面図である。

図18は、第3の実施の形態による第2の連結構造を示す断面図である。

図19は、第4の実施の形態による第2の連結構造を示す断面図である。

図20は、第5の実施の形態による第2の連結構造を示す断面図である。

図21は、第6の実施の形態による第2の連結構造を示す断面図である。

図22は、第2の連結構造の位置が異なる動力伝達装置の正面図である。図22は、柱状体とハブの一部を破断した状態で描いてある。

(第1の実施の形態) 以下、本発明に係る動力伝達装置の一実施の形態を図1〜図7によって詳細に説明する。第1の実施の形態による動力伝達装置は、請求項1、請求項2、請求項5および請求項8に記載した発明を構成するものである。 図1に示す動力伝達装置1は、下記の2つの機能を有するものである。第1の機能は、図2に示すカーエアコン用圧縮機2に自動車エンジン(図示せず)の動力を伝達する機能である。第2の機能は、圧縮機2の回転軸3に過負荷が発生したときに動力伝達を遮断するトルクリミッタの機能である。この実施の形態においては、自動車エンジンが本発明でいう「動力源」に相当する。

自動車エンジンの動力は、図示していないベルトを介して動力伝達装置1のプーリ4に伝達される。 プーリ4は、図2に示すように、ベルトが巻き掛けられる溝5を有する円筒状のベルト掛止部6と、このベルト掛止部6の内側に位置する内側筒状部7と、これら両部どうしを接続する中間部8とによって構成されている。ベルト掛止部6と、内側筒状部7と、中間部8とは、プラスチック材料によって一体成形により一体に形成されている。内側筒状部7は、圧縮機2のハウジング2aに軸受9を介して回転自在に支持されている。プーリ4は、回転軸3と同一軸線上に位置付けられている。この実施の形態においては、このプーリ4によって、本発明でいう「駆動側回転体」が構成されている。

回転軸3は、一方の軸端部がハウジング2aの一端部から突出する状態でカーエアコン用圧縮機2に装備されている。以下においては、この軸端部がハウジング2aから突出する方向をカーエアコン用圧縮機2の前方とし、この方向とは反対方向を後方として説明する。 回転軸3の軸端部(前端部)には、ハブ11が取付けられている。この実施の形態においては、このハブ11によって、本発明でいう「従動側回転体」が構成されている。

ハブ11は、回転軸3に固定されるボス部11aと、このボス部11aから径方向の外側に延びる板状の取付用フランジ部11bとによって構成されている。ボス部11aは、円筒状に形成されており、回転軸3の軸端部がねじ込まれている。ボス部11aは、軸心部を貫通する固定用ボルト12によって回転軸3に固定されている。このため、回転軸3とボス部11aとは一体に回転する。 フランジ部11bは、図1に示すように、回転軸3の軸線方向から見て円形に形成されている。このフランジ部11bには、後述する3個の連結部材13が取付けられている。これらの連結部材13は、フランジ部11bを周方向に3等分する位置に取付けられている。

連結部材13は、プーリ4の回転をハブ11に伝達するものである。この連結部材13は、図7に示すように、円弧状を呈する板によって形成されている。また、この連結部材13は、ばね材料によって形成されている。 この連結部材13の一端部13aは、プーリ4の中間部8に後述する第1の連結構造14を介して連結されている。 連結部材13の他端部13bは、一端部13aよりプーリ4の回転方向(図1においては時計方向)の後側において、ハブ11のフランジ部11bに後述する第2の連結構造15を介して連結されている。

この他端部13bは、図7に示すように、ハブ11の軸線方向から見てこの連結部材13の他の部位より大きく形成されている。この他端部13bにおけるハブ11の軸心側を指向する部位には、ハブ11の外周側に向けてへこむ凹部16が形成されている。この凹部16は、ハブ11のボス部11aの一部が挿入可能な形状であって、ハブ11の軸線方向から見て円弧状に形成されている。

この実施の形態においては、連結部材13の一端部13aが本発明でいう「一方の端部」に相当し、連結部材13の他端部13bが本発明でいう「他方の端部」に相当する。また、この実施の形態においては、プーリ4が本発明でいう「第1の回転体」に相当し、ハブ11が本発明でいう「第2の回転体」に相当する。 連結部材13の一端部13aと他端部13bとを連結する連結部13cは、図7に示すように、ハブ11の軸線方向から見て円弧状に形成されている。この連結部13cの幅は、一端部13aや他端部13bと較べて狭く形成されている。

ハブ11のフランジ部11bは、図2に示すように、プーリ4の内側筒状部7および中間部8よりカーエアコン用圧縮機2の前方へ離間した位置に配置されている。このため、連結部材13は、ハブ11の軸線方向に弾性変形させられた状態でプーリ4とハブ11とに取付けられている。この連結部材13の他端部13bは、ハブ11の軸線方向において、一端部13aよりカーエアコン用圧縮機2の前方へ偏る位置に配置されている。このため、連結部材13は、回転軸3の軸端部をカーエアコン用圧縮機2のハウジング2aに対して後方へ(カーエアコン用圧縮機2の内方へ)付勢している。すなわち、この実施の形態による動力伝達装置は、いわゆるシャフト圧縮仕様のものである。

第1の連結構造14によって構成されたプーリ4と連結部材13との連結部は、図1に示すように、プーリ4の回転方向に等間隔で離間する3箇所に配設されている。この第1の連結構造14は、連結部材13の一端部13aがプーリ4から外れることを規制する構造である。この実施の形態による第1の連結構造14は、図2に示すように、プーリ4の中間部8に埋設されたナット部材17と、このナット部材17と協働して連結部材13の一端部13aを支持する取付用ねじ18とによって構成されている。

取付用ねじ18は、連結部材13の一端部13aに形成された貫通孔19(図7参照)に通され、連結部材13がこの取付用ねじ18を中心にして回動できる状態でナット部材17に螺着されている。 連結部材13は、第1の連結構造14によってプーリ4に固定される部位からプーリ4の回転方向の後側に延びている。

第2の連結構造15は、上述したトルクリミッタの機能を実現するためのものである。この第2の連結構造15は、圧縮機2に過負荷が発生していない通常時に連結部材13がハブ11に連結され、圧縮機2に過負荷が発生したときに連結部材13の他端部13bがハブ11から外れることを許容する構造である。 この実施の形態による第2の連結構造15は、図1および図2に示すように、ハブ11に設けられた柱状体21と、この柱状体21が挿入される連結部材13のスリット22などを備えている。柱状体21は、詳細は後述するが、ハブ11に軸線方向へ延びる状態で設けられている。この柱状体21は、図2に示す連結状態においては、連結部材13を軸線方向に貫通している。

スリット22は、図7に示すように、連結部材13の他端部13bを連結部材13の長手方向に横切る形状に形成されている。この実施の形態によるスリット22は、他端部13bの端縁(一端部13aとは反対側に位置する端縁)に開口する幅広部23と、この幅広部23から連結部材13の一端部13a側に延びる幅狭部24とによって構成されている。幅広部23の開口幅は、後述する断面円形の柱状体21が挿入可能な幅であって、幅狭部24の開口幅より広く形成されている。このスリット22が延びる方向は、ハブ11とともに回転する柱状体21の回転軌跡に沿う方向である。

幅広部23は、他端部13bの端縁から上述した回転軌跡に沿って延びる柱状体通過部23aと、この柱状体通過部23aよりハブ11の回転方向の前側に位置する円弧部23bとによって構成されている。柱状体通過部23aは、柱状体21との間に最小限のクリアランスが形成される形状であって、連結部材13が弾性変形することなく柱状体21が通過する形状に形成されている。円弧部23bは、図1に示すように、柱状体21の外周部の約半部が嵌合する形状に形成されている。すなわち、幅広部23は、柱状体21がスリット22の先端部から中間部まで挿入可能な形状に形成されている。

この実施の形態による柱状体21は、図3Aに示すように、複数の部材によって構成されている。この柱状体21は、ハブ11のフランジ部11bを貫通して軸線方向(図3Aにおいては左右方向)に延びるリベット25の軸部26と、この軸部26が貫通する円筒状のカラー27とによって構成されている。このカラー27がスリット22の幅広部23に挿入されている。カラー27の軸線方向の長さは、連結部材13の厚みより長く形成されている。すなわち、柱状体21は、ハブ11の軸線方向に延びる状態でハブ11のフランジ部11bに設けられて連結部材13の他端部13bを軸線方向に貫通している。また、この柱状体21は、連結部材13の他端部13bよりフランジ部11bとは反対側(カーエアコン用圧縮機2の後側)に突出している。

リベット25は、上述した軸部26と、この軸部26の後端部(フランジ部11bから後方に突出した突出側端部)に一体に形成された頭部28とによって構成されている。軸部26は、断面円形の棒状に形成されている。頭部28は、軸部26の後端部(軸部26における連結部材13の他端部13bに近接する端部)から径方向の外側に突出する円板状に形成されている。この実施の形態においては、頭部28が本発明でいう「突体」に相当する。

連結部材13の他端部13bは、頭部28より前方であって、頭部28と隣り合う位置に配置されている。すなわち、頭部28は、柱状体21の後端部(突出側端部)から突出して連結部材13の他端部13bと対向している。この連結部材13の他端部13bとハブ11のフランジ部11bとの間には、皿ばね29が挿入されている。この皿ばね29は、円環状に形成されており、中心部分にカラー27が貫通する状態でカラー27を介してリベット25に保持されている。皿ばね29の外径は、リベット25の頭部28の外径と同等である。すなわち、リベット25の頭部28は、ハブ11の軸線方向から見て皿ばね29の全域が重なる大きさに形成されている。また、リベット25の頭部28と皿ばね29は、連結部材13の他端部13bの大部分と重なる大きさに形成されている。この実施の形態においては、皿ばね29によって、本発明でいう「弾性体」が構成され、請求項5記載の発明でいう「板状のばね」が構成されている。

リベット25の軸部26における頭部28とは反対側の端部は、ハブ11のフランジ部11bに穿設された貫通孔31に嵌合され、フランジ部11bから頭部28とは反対側へ突出している。この突出部分がかしめ加工により塑性変形させられることによって、このリベット25のかしめ部25aが形成されている。 リベット25のかしめ加工は、頭部28によってカラー27がフランジ部11bに押し付けられる状態で行われる。すなわち、カラー27は、いわゆるリベット25のかしめ高さを設定する部材としても機能するものである。

皿ばね29は、リベット25がかしめ加工によりフランジ部11bに固定された状態において、軸線方向に弾性変形する形状に形成されている。すなわち、カラー27の軸線方向の長さは、連結部材13の他端部13bとハブ11のフランジ部11bとの間に所定の幅の隙間が形成され、この隙間の中で皿ばね29が所定の変形量だけ弾性変形する長さに形成されている。この実施の形態による皿ばね29は、図3Aに示すように、連結部材13の他端部13bとハブ11のフランジ部11bとの間に、外周部が連結部材13の他端部13bに接触する状態で装着されている。

皿ばね29が他端部13bとフランジ部11bとに挟まれて弾性変形することにより、皿ばね29のばね力が連結部材13に伝達され、このばね力によって連結部材13が頭部28に押し付けられる。なお、本発明でいう「板状のばね」は、この実施の形態に示した皿ばね29に限定されることはない。すなわち、本発明でいう「板状のばね」は、波板状に形成されたばねを用いることができる。

このように弾性変形した皿ばね29は、連結部材13の他端部13bをハブ11の軸線方向(カーエアコン用圧縮機2の後方)に押圧し、柱状体21およびハブ11を含む回転部材と、連結部材13の他端部13bとの間で動力を伝達するための摩擦力を発生させる。すなわち、第2の連結構造15は、摩擦抵抗により連結部材13とハブ11とを連結するものである。

次に、上述したように構成された動力伝達装置1の動作を説明する。 この実施の形態による動力伝達装置1においては、自動車エンジンの動力がベルトを介してプーリ4に伝達され、プーリ4が回転する。プーリ4が回転すると、連結部材13がハブ11のフランジ部11bを回転方向の前側に引き、ハブ11が回転させられる。この結果、ハブ11を有する回転軸3が回転し、圧縮機2が駆動される。この動力伝達状態は、第2の連結構造15に生じる摩擦力が連結部材13に作用する引張り力(圧縮機2の負荷と対応する力)より大きい状態である。

圧縮機2に過負荷が生じ、上述した引張り力が摩擦力を上回ると、連結部材13の他端部13bが摩擦抵抗に抗してリベット25の頭部28と皿ばね29とに対して滑り、図1中に二点鎖線で示すように移動する。摩擦抵抗に抗して滑る動作は、他端部13bが頭部28と皿ばね29との間から出るまで継続される。連結部材13は、この移動する過程において、図1中に二点鎖線で示すように、リベット25の軸部26を中心にして連結部13cがハブ11のボス部11aに接近する方向へ揺動する。

このように連結部材13が揺動することにより、他端部13bは、摩擦抵抗に抗して移動する途中でハブ11のボス部11aに接近する。この他端部13bにおけるボス部11aと対向する部位には、凹部16が形成されている。このため、他端部13bがボス部11aに接近したときには、図6に示すように、ボス部11aの一部が凹部16内に入る。ボス部11aが凹部16内に入ることによって、他端部13bがボス部11aに衝突することを避けることができる。 連結部材13の他端部13bが頭部28と皿ばね29との間から出ることによって、第2の連結構造15が非連結状態になる。この結果、圧縮機2の負荷が過大になると、第2の連結構造15が実質的にトルクリミッタとして機能し、動力の伝達が遮断される。

連結部材13は、他端部13bがハブ11から離脱した後、図5に示すように、弾性により初期の形状に復元し、ハブ11の軸線方向とは直交する方向へ直線状に延びる。このとき、連結部材13の他端部13bは、ハブ11の軸線方向において、リベット25とプーリ4の内側筒状部7との間に移動する。このようにハブ11から離脱した連結部材13は、プーリ4と一体に回転することにより生じる遠心力で一端部13aの取付用ねじ18を中心にして揺動する。揺動方向は、他端部13bがプーリ4の外周側へ移動する方向である。この揺動は、連結部材13の他端部13bがプーリ4のベルト掛止部6に当接することによって規制される。このため、連結部材13が遠心力で拡がるようなことがあったとしても、ベルトが損傷することはない。

この実施の形態による動力伝達装置1において、動力の伝達が遮断されるときの負荷の大きさ(トルクリミッタの動作荷重)は、連結部材13の他端部13bと、この他端部13bに接触する部材との摩擦抵抗の大きさに基づいて決まる。連結部材13の他端部13bは、軸線方向から見てこの連結部材13の他の部位より大きく形成されており、その大部分がリベット25の頭部28と皿ばね29とによって挟まれている。このため、連結部材13がハブ11に対して移動する際には、大きな摩擦抵抗が生じ、トルクリミッタの動作荷重が大きくなる。 また、上述した摩擦抵抗の大きさは、皿ばね29のばね力の大きさと対応した大きさになる。皿ばね29のばね力の大きさは、柱状体21の取付構造に依存することなく設計値と略等しくなる。このため、この実施の形態による動力伝達装置1は、トルクリミッタの動作荷重が大きいものであって、動作荷重の精度が高いものとなる。

この実施の形態による連結部材13の他端部13bは、ハブ11から離脱するときにハブ11のボス部11aに接近する。しかし、この他端部13bには凹部16が形成されているから、この他端部13bがハブ11のボス部11aに向けて移動したとしても、連結部材13とハブ11とが互いに干渉し合うことはない。すなわち、この干渉を避けるために、動力伝達装置1を径方向に大きく形成する必要がないから、動力伝達装置1の小型化を図ることができる。 したがって、この実施の形態によれば、動力伝達を遮断するトルクリミッタの動作荷重を高い精度で設定可能で、しかも、小型化を図りながら、動作荷重を高く設定することが可能な動力伝達装置を提供することができる。

この実施の形態による柱状体21は、ハブ11と連結部材13の他端部13bとを貫通するリベット25の軸部26と、この軸部26が貫通する円筒状のカラーとによって構成されている。カラーは、連結部材13の他端部13bの厚みより長く形成されている。また、カラーは、連結部材13のスリット22に挿入されている。 この実施の形態による突体は、リベット25の頭部28によって構成されている。また、この実施の形態による弾性体は、頭部28とハブ11との間に設けられた皿ばね29によって構成されている。

この実施の形態によれば、リベット25とは別体に形成されたカラー27がスリット22に挿入される。カラー27の外径は、リベット25のかしめ加工とは無関係に一定である。このため、スリット22に挿入される物体(カラー27)がかしめ加工により膨張してこの物体の外径が増大するようなことはないから、柱状体21がスリット22を通過するときの摩擦抵抗が一定になる。 したがって、この実施の形態によれば、動力伝達が遮断されるときの圧縮機2の負荷をより一層高い精度で設定可能な動力伝達装置を提供することができる。また、カラー27の軸線方向の長さを変えることにより皿ばね29のばね力の大きさが変わるから、トルクリミッタの動作荷重を容易に調整することができる。

この実施の形態による弾性体は、柱状体21が貫通する円環状の皿ばね29によって構成されている。この皿ばね29は、連結部材13の他端部13bとハブ11との間に外周部が他端部13bに接触する状態で設けられている。柱状体21と連結部材13の他端部13bとが相対的に移動するときは、連結部材13の他端部13bに大きな摩擦力が作用する。このため、このときには、連結部材13の弾性変形によりスリット22の開口幅が広くなることがある。

このような場合、図3Cに示すように、皿ばね29の内周部が連結部材13の他端部13bに接触していると、拡げられたスリット22の中に皿ばね29の内周縁の一部が入り込んでしまうおそれがある。プーリ4の回転変動による微振動が連結部材13に伝達されたときは、連結部材13に瞬間的に大きな引っ張り力が加えられるから、このような状態になることがある。このような状態になると、皿ばね29のばね力が安定しないから、トルクリミッタの動作荷重が不安定になる。このことは、カーエアコン用圧縮機2に過負荷が生じていないにもかかわらず、動力の伝達が遮断されるおそれがあることを意味する。しかし、この実施の形態においては、図3Aに示すように、皿ばね29の外周部が連結部材13の他端部13bに接触しているから、上述した不具合は発生することがなく、トルクリミッタの動作荷重が一定になる。

皿ばね29の外周部が連結部材13に接触する構成を採ることにより、他端部13bの外縁部分が皿ばね29のばね力によって押される。この構成を採るに当たっては、リベット25の頭部28の外径が皿ばね29の外径と同等であることが望ましい。この理由は、図3Dに示すように、リベット25の頭部28の外径が皿ばね29の外径より小さいと、他端部13bの外縁部分13dを支えることができないからである。すなわち、皿ばね29のばね力で押された外縁部分13dが弾性変形してしまい、皿ばね29のばね力の一部が有効に作用しないからである。

この実施の形態による頭部28は、図3Bに示すように、ハブ11の軸線方向から見て皿ばね29の全域が重なる大きさに形成されているから、皿ばね29のばね力の全てが有効に作用する。この結果、この実施の形態によれば、トルクリミッタの動作荷重の精度が高い動力伝達装置を提供することができる。なお、皿ばね29のばね力の全てを有効に使用するためには、図3Eに示す構成を採ることができる。図3Eに示すリベット25の頭部28の外径は、皿ばね29の外径より小さく形成されている。しかし、この頭部28と連結部材13の他端部13bとの間には、座金32が挿入されている。この座金32は、ハブ11の軸線方向から見て皿ばね29と重なる大きさの円環状に形成されている。

この実施の形態による連結部材13の連結部13cは、連結部材13の一端部13aや他端部13bより幅が狭く形成されている。このように形成された連結部13cは、容易に弾性変形するものである。このため、この実施の形態によれば、連結部材13を弾性変形させてプーリ4とハブ11とに取付ける作業を容易に行うことができる。

(第2の実施の形態) 本発明に係る動力伝達装置は、図8〜図13に示すように構成することができる。これらの図において、図1〜図7によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。この実施の形態による動力伝達装置1は、請求項3〜請求項5に記載した発明を構成するものである。

この実施の形態による動力伝達装置1は、いわゆるシャフト引張り仕様となる構成が採られている。この動力伝達装置1の連結部材13は、図8および図9に示すように、ハブ11の軸線方向においてハブ11より前方に位置付けられている。

連結部材13の一端部13aは、プーリ4の中間部に突設された取付座33に第1の連結構造14によって回動可能に取付けられている。連結部材13の他端部13bは、ハブ11のフランジ部11bに第2の連結構造15によって取付けられている。プーリ4の取付座33は、プーリ4の中間部8から前方に突出している。この取付座33の前端であって連結部材13の一端部13aが重ねられる部位は、ハブ11の軸線方向において、ハブ11を回転軸3に固定する固定用ボルト12より前方に位置付けられている。このため、この実施の形態による連結部材13は、回転軸3をカーエアコン用圧縮機2のハウジング2aに対して前方へ付勢している。

取付座33には、連結部材13の揺動を規制するためのストッパー34が突設されている。このストッパー34は、図13に示すように、連結部材13がプーリ4と一体に回転して取付用ねじ18を中心として遠心力で揺動することによって、連結部材13の一端部13aの外縁部分13eと当接する。

この実施の形態による第2の連結構造15は、図9に示すように、ハブ11の軸線方向において、ハブ11より前方であって、固定用ボルト12と同一位置に位置付けられている。この第2の連結構造15の一部を構成するリベット25は、頭部28がハブ11より前方に位置する状態でハブ11に固定されている。連結部材13の他端部13bは、リベット25の頭部28と隣り合う位置であって、頭部28の後方に配置されている。この実施の形態による他端部13bも、第1の実施の形態を採るときと同様に、ハブ11の軸線方向から見て連結部材13の他の部位より大きく形成されている。

この連結部材13の他端部13bとハブ11のフランジ部11bとの間には、皿ばね29が弾性変形した状態で挿入されている。この皿ばね29は、外周部が連結部材13の他端部13bに接触する状態で取り付けられている。リベット25の頭部28と皿ばね29は、ハブ11の軸線方向から見て同等の大きさであって、連結部材13の他端部13bの大部分と重なる大きさに形成されている。このため、この実施の形態においても、連結部材13の他端部13bが頭部28や皿ばね29に対して移動するときに大きな摩擦抵抗が生じるから、トルクリミッタの動作荷重が大きくなる。また、トルクリミッタの動作荷重は皿ばね29のばね力の大きさに基づいて決まるから、トルクリミッタの動作荷重の精度が高くなる。

この実施の形態による連結部材13は、ハブ11のフランジ部11bより前方に位置している。この連結部材13の他端部13bは、固定用ボルト12と対向している。このため、この他端部13bに形成されている凹部16は、図10に示すように、ハブ11の軸線方向から見てハブ11の外周部に向けてへこむ円弧状であって、固定用ボルト12の一部が挿入可能な形状に形成されている。 この連結部材13の他端部13bは、カーエアコン用圧縮機2の負荷が過大になってハブ11から離脱するときに、図8中に二点鎖線で示すようにリベット25の軸部26を中心にして揺動し、軸心側に位置する固定用ボルト12に接近する。

しかし、この他端部13bが固定用ボルト18に接近したときには、図10に示すように、固定用ボルト18の一部が凹部16内に入るから、連結部材13と固定用ボルト18とが互いに干渉し合うことはない。このため、これらの部材の干渉を避けるために動力伝達装置1を径方向に大型化する必要はない。 したがって、この実施の形態においても、トルクリミッタの動作荷重を高い精度で設定可能で、しかも、小型化を図りながら、トルクリミッタの動作荷重を大きくすることが可能な動力伝達装置を提供することができる。

連結部材13は、他端部13bがハブ11から離脱した後、図11に示すように、弾性により初期の形状に復元し、ハブ11の軸線方向とは直交する方向へ直線状に延びる。このとき、連結部材13の他端部13bは、ハブ11の軸線方向において固定用ボルト12およびリベット25より前方に移動する。このようにハブ11から離脱した連結部材13は、プーリ4と一体に回転することにより生じる遠心力で一端部13aの取付用ねじ18を中心にして揺動する。揺動方向は、他端部13bがプーリ4の外周側へ移動する方向である。この揺動は、図13に示すように、連結部材13の一端部13aの外縁部分13eがストッパー34に当接することによって規制される。このため、連結部材13が遠心力で拡がるようなことがないので、自動車のエンジンルーム(図示せず)内の他の部品が損傷することはない。

(スリットの変形例) 第1の実施の形態で示した動力伝達装置のスリットと、第2の実施の形態で示した動力伝達装置のスリットは、図14〜図17に示すように形成することができる。これらの図において、図1〜図13によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。

図14に示す連結部材13の他端部13bには、柱状体21が係合する一対の爪片41,42が設けられている。他端部13bのスリット22は、これらの爪片41,42の間に形成されている。これらの爪片41,42は、スリット22の幅が増減する方向に弾性変形することが可能である。このスリット22の幅広部23は、柱状体21が係入する形状に形成されている。詳述すると、幅広部23は、スリット22の先端側に位置する出入部43と、カラー27が嵌合する嵌合部44とによって構成されている。出入部43の開口幅は、カラー27の外径より小さく形成されている。

図15に示す連結部材13の一端部13aと他端部13bとは、ハブ11の軸線方向に離間する状態で平行に形成されている。この連結部材13は、これを実現するために、2箇所の折り曲げ部45,46(図14参照)で折り曲げられている。 連結部材13の一端部13aをプーリ4に連結する第1の連結構造14は、タッピングねじ47を用いて構成されている。すなわち、連結部材13の一端部13aは、プーリ4の中間部8にタッピングねじ47によって取付けられている。

第2の連結構造15は、図16に示すように、リベット25と、カラー27と、皿ばね29と、座金32などを用いて構成されている。リベット25の頭部28の前側(図16においては右側)に皿ばね29が位置し、この皿ばね29の前側に座金32が位置している。これらの皿ばね29と座金32は、それぞれ円環状に形成されており、中心部分にカラー27が貫通する状態でカラー27を介してリベット25に保持されている。連結部材13の他端部13bは、座金32とハブ11のフランジ部11bとの間に挟まれている。このフランジ部11bは、図17に示すように、回転軸3の軸線方向から見て三形状に形成されている。第2の連結構造15からなる連結部は、このフランジ部11bの3つの頂部にそれぞれ設けられている。

このように構成された第2の連結構造15においては、連結部材13に下記の2種類の抗力が作用し、動力を伝達できるように連結部材13がハブ11に連結される。2種類の抗力とは、連結部材13とハブ11のフランジ部11bとの接触部分に生じる摩擦抵抗と、柱状体21が係入部分から外れるようにスリット22が拡がるときの抗力である。摩擦抵抗の大きさは、皿ばね29のばね力の大きさと対応した大きさになる。スリット22が拡がるときの抗力の大きさは、主にスリット22を有する連結部材13のばね力と対応した大きさになる。これらのばね力の大きさは、いずれもリベット25の締結力に大きく影響を受けることはなく、設計値と殆ど変わることがない大きさとなる。

次に、この形態による動力伝達装置1の動作を説明する。 この動力伝達装置1において、プーリ4が回転すると、連結部材13がハブ11のフランジ部11bを回転方向の前側に引き、ハブ11が回転させられる。この結果、ハブ11を有する回転軸3が回転し、圧縮機2が駆動される。この動力伝達状態は、第2の連結構造15に作用する2つの抗力が連結部材13に作用する引張り力より大きくなる状態である。

圧縮機2に過負荷が生じて上述した引張り力が2つの抗力を上回ると、第2の連結構造15が非連結状態になる。すなわち、連結部材13がフランジ部11bとの接触部分に生じる摩擦抵抗に抗してフランジ部11bに対して回転方向の前側に移動する。これとともに、連結部材13のスリット22に係入している柱状体21がスリット22を拡げて係入部分から外れる。この結果、圧縮機2の負荷が過大になると、第2の連結構造15が実質的にトルクリミッタとして機能し、動力の伝達が遮断される。

柱状体21から外れた連結部材13は、プーリ4と一体に回転し、ハブ11に対して移動する。このとき、回転軸3の軸線方向から見て円弧状を呈する連結部材13の内側円弧面には、プーリ4の回転方向の前側に位置する皿ばね29や座金32が接触する。このため、連結部材13は、図17に示すように、皿ばね29や座金32との接触によりタッピングねじを中心としてハブ11側取付部12bがプーリ4の外周側に移動するように揺動する。なお、タッピングねじ47が連結部材13の揺動を許容するようにプーリ4にねじ込まれていた場合は、連結部材13は遠心力で揺動し、プーリ4のベルト掛止部6に当接することによりその位置に留まるようになる。このため、連結部材13が遠心力で拡がるようなことがあったとしても、ベルトが損傷することはない。

この動力伝達装置1において、動力の伝達が遮断されるときの圧縮機2の負荷の大きさ(トルクリミッタの動作荷重)は、摩擦抵抗と、スリット22が拡がるときの抗力とに基づいて決まる。摩擦抵抗の大きさは、皿ばね29のばね力の大きさと対応した大きさになる。スリット22が拡がるときの抗力の大きさは、主にスリット22を有する連結部材13のばね力と対応した大きさになる。皿ばね29のばね力と連結部材13のばね力は、リベット25の締結力に大きく影響を受けることなく、設計値と略等しい大きさになる。 したがって、この形態によれば、動力伝達が遮断されるときの圧縮機2の負荷をリベット25の締結力に依存することなく高い精度で設定することが可能な動力伝達装置を提供することができる。

この形態による柱状体21は、ハブ11のフランジ部11bと連結部材13とを貫通するリベット25の軸部26と、連結部材13の厚みより長く形成されて軸部26が貫通するとともにスリット22に係入する円筒状のカラー27とによって構成されている。 この実施の形態によれば、リベット25とは別体に形成されたカラー27がスリット22に係入する。カラー27の外径は、リベット25のかしめ加工とは無関係に一定である。このため、スリット22に係入する物体(カラー27)がかしめ加工により膨張してこの物体の外径が増大するようなことはないから、スリット22が開くときの連結部材13の抗力が一定になる。 したがって、この形態によれば、動力伝達が遮断されるときの圧縮機2の負荷をより一層高い精度で設定可能な動力伝達装置を提供することができる。

(第3の実施の形態) 第2の連結構造の柱状体は、図18に示すように構成することができる。図18に示す第2の連結構造15は、請求項7記載の発明を構成するものである。図18において、図1〜図17によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。

図18に示す第2の連結構造15の柱状体21は、ハブ11のフランジ部11bと連結部材13などを貫通するリベット25の軸部26によって構成されている。軸部26は、フランジ部11bを貫通する小径部26aと、連結部材13の厚みより長く形成されてスリット22に係入する大径部26bとによって構成されている。 大径部26bは、連結部材13の他端部13bと、皿ばね29と、座金32とを貫通している。

この実施の形態によれば、柱状体21を一つの部品(リベット25)によって形成できるから、柱状体21が複数の部材によって構成されている場合と比べて組立工数を低減することができる。したがって、この実施の形態によれば、製造が容易な動力伝達装置を提供することができる。

(第4の実施の形態) 第2の連結構造の弾性体は、図19に示すように構成することができる。図19に示す第2の連結構造15は、請求項9記載の発明を構成するものである。図19において、図1〜図17によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。

図19に示す柱状体21は、ハブ11のフランジ部11bと連結部材13とを貫通するリベット25の軸部26と、この軸部26が貫通するカラー27とによって構成されている。 リベット25の頭部28の外周部には、円筒状を呈する筒状部51が一体に形成されている。この実施の形態においては、この筒状部51によって、請求項9記載の発明でいう「弾性体」が構成されている。この筒状部51は、リベット25にかしめ加工が施されて頭部28がカラー27をフランジ部11bと協働して挟む状態において、連結部材13に当接して弾性変形する形状に形成されている。このため、この実施の形態による連結部材13は、筒状部51のばね力でフランジ部11bに押し付けられている。

この実施の形態によれば、弾性体としての筒状部51がリベット25の頭部28に一体に形成されているから、弾性体がリベット25とは別体に形成されている場合と比べて組立工数を低減することができる。したがって、この実施の形態によれば、製造が容易な動力伝達装置を提供することができる。

(第5の実施の形態) 第2の連結構造の弾性体は、図20に示すように構成することができる。図20に示す第2の連結構造15は、請求項10記載の発明を構成するものである。図20において、図1〜図17によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。

図20に示す第2の連結構造15の柱状体21は、ハブ11のフランジ部11bと連結部材13とを貫通するリベット25の軸部26によって構成されている。軸部26は、フランジ部11bを貫通する小径部26aと、連結部材13の厚みより長く形成されてスリット22に係入する大径部26bとによって構成されている。

リベット25の頭部28の外周部には、円筒状を呈する筒状部51が一体に形成されている。この実施の形態においては、この筒状部51によって、請求項10記載の発明でいう「弾性体」が構成されている。この筒状部51は、リベット25にかしめ加工が施されて頭部28が大径部26bをフランジ部11bと協働して挟む状態において、連結部材13に当接して弾性変形する形状に形成されている。このため、この実施の形態による連結部材13は、筒状部51のばね力でフランジ部11bに押し付けられている。 この実施の形態によれば、柱状体21を一つの部品(リベット25)によって形成でき、このリベット25に弾性体が一体に形成されている。このため、第2の連結構造15をリベット25と連結部材13の2部品のみによって実現することができる。 したがって、この実施の形態によれば、より一層製造が容易な動力伝達装置を提供することができる。

(第6の実施の形態) 第2の連結構造の柱状部は、図21に示すように構成することができる。図21に示す第2の連結構造15は、請求項11記載の発明を構成するものである。図21において、図1〜図17によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。

図21に示す第2の連結構造15の柱状体21は、ハブ11のフランジ部11bと連結部材13とを貫通するボルト52の軸部53と、この軸部53が貫通するカラー27とによって構成されている。カラー27の軸線方向の長さは、連結部材13の厚みより長く形成されている。ボルト52は、フランジ部11bとカラー27とを貫通した軸部53にナット54を螺着させることによって、フランジ部11bに固定されている。この固定状態においては、ボルト52の頭部55とフランジ部11bとの間にカラー27が挟み込まれる。 この実施の形態においては、ボルト52の頭部55によって、請求項11記載の発明でいう「凸体」が構成されている。この頭部55と連結部材13の間には、請求項11記載の発明でいう「弾性体」を構成する皿ばね29と、座金32とが設けられている。

この実施の形態においては、既製品であるボルト52を用いて柱状体21を構成することができるから、専用のリベット25を用いる場合と比べて製造コストを低減することができる。したがって、この実施の形態によれば、動力伝達が遮断される負荷の大きさを高い精度で設定可能な動力伝達装置を低い価格で提供することができる。

(第2の連結構造の位置を変えた変形例) 上述した各実施の形態においては、連結部材13の他端部13bとハブ11との連結部を第2の連結構造15によって構成する例を示した。しかし、本発明は、このような限定にとらわれることはない。本発明に係る第2の連結構造15は、図22に示すように、プーリ4と連結部材13の一端部13aとの連結部分に設けることができる。図22において、図1〜図17によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。

図22に示す連結部材13の一端部13aは、第2の連結構造15によってプーリ4の中間部8に連結されている。このため、連結部材13の一端部13aにスリット22が形成され、柱状体21がプーリ4の中間部8に設けられている。連結部材13の他端部13bは、一端部13aよりプーリ4の回転方向の後側において第1の連結構造14によってハブ11に連結されている。

図22に示す動力伝達装置1においては、圧縮機2に過負荷が発生すると、柱状体21がスリット22から回転方向の前側に引き抜かれ、動力の伝達が遮断される。したがって、図22に示す構成を採る場合であっても、上述した実施の形態を採る場合と同等の効果が得られる。なお、図22に示す構成を採る場合であっても、柱状体21や弾性体は、図18〜図21に示すように構成することが可能である。

1…動力伝達装置、4…プーリ4(駆動側回転体)、11…ハブ(従動側回転体)、11a…ボス部、11b…フランジ部、12…固定用ボルト、13…連結部材、14…第1の連結構造、15…第2の連結構造、16…凹部、21…柱状体、22…スリット、25…リベット、26…軸部、26a…小径部、26b…大径部、27…カラー、28…頭部(突体)、29…皿ばね(弾性体)、34…ストッパー、51…筒状部(弾性体)、52ボルト。

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