Power transmission device

申请号 JP2006241277 申请日 2006-09-06 公开(公告)号 JP5021988B2 公开(公告)日 2012-09-12
申请人 サンデン株式会社; 发明人 和彦 高井;
摘要
权利要求
  • 同方向に回転される被駆動体と該被駆動体を駆動する駆動体とを連結部を介して連結し、駆動体のトルクを被駆動体へ伝達するとともに、被駆動体の駆動負荷が所定値を超えた場合に駆動体からのトルクの伝達を遮断するようにした動力伝達装置において、前記連結部を、互いに別部材からなる、正回転方向のトルクを伝達するとともに前記被駆動体の駆動負荷が所定値を超えた場合に自身の破断により駆動体からのトルクの伝達を遮断する正トルク伝達部材と、逆回転方向のトルクを伝達可能な負トルク伝達機構または負トルク伝達部材との組み合わせにより構成し 、前記正トルク伝達部材および前記負トルク伝達機構または負トルク伝達部材には、それらの組み付け状態において、互いに反対方向の予荷重が付与されており、かつ、両予荷重が作用/反作用の関係により略釣り合い状態にあることを特徴とする動力伝達装置。
  • 前記正トルク伝達部材の剛性または破断強度が前記負トルク伝達機構または負トルク伝達部材の剛性または破断強度よりも低く設定されていることを特徴とする、請求項1に記載の動力伝達装置。
  • 装置回転方向に、前記正トルク伝達部材には引張り予荷重を、前記負トルク伝達機構または負トルク伝達部材には圧縮予荷重が付与されていることを特徴とする、請求項 1または2に記載の動力伝達装置。
  • 前記正トルク伝達部材は、前記駆動体と前記被駆動体との間にわたって延びる連続体に構成されていることを特徴とする、請求項1〜 のいずれかに記載の動力伝達装置。
  • 前記負トルク伝達機構または負トルク伝達部材は、機構または部材中に接触部を有する分割構造に構成されていることを特徴とする、請求項1〜 のいずれかに記載の動力伝達装置。
  • 前記正トルク伝達部材の引張り予荷重を受ける部分の長さが、前記負トルク伝達機構または負トルク伝達部材の圧縮予荷重を受ける部分の長さよりも短く設定されていることを特徴とする、請求項 に記載の動力伝達装置。
  • 前記負トルク伝達機構は、装置半径方向にばね力を持つばね部を有するとともに、該ばね部を介して前記駆動体側と被駆動体側とを係合させる係合部を有することを特徴とする、請求項1〜 のいずれかに記載の動力伝達装置。
  • 前記係合部は、前記ばね部の装置半径方向のばね力を保持可能に構成されていることを特徴とする、請求項 に記載の動力伝達装置。
  • 前記ばね部は、前記駆動体と被駆動体との間のトルク伝達の遮断に伴う前記ばね力の保持の解除後、自らのばね力により、前記駆動体または被駆動体とは非干渉の自身の自由位置に復帰可能に構成されていることを特徴とする、請求項 に記載の動力伝達装置。
  • 前記正トルク伝達部材および前記負トルク伝達部材が、それぞれ所定の予荷重を付与された状態で、前記連結部を構成可能な部品として予め組み立てられていることを特徴とする、請求項1〜 のいずれかに記載の動力伝達装置。
  • 前記分割構造に構成された負トルク伝達機構または負トルク伝達部材に対し、前記接触部の両側部位間の相対位置ずれ規制手段が設けられていることを特徴とする、請求項 5〜10のいずれかに記載の動力伝達装置。
  • 駆動力源が車両のエンジンからなることを特徴とする、請求項1〜 11のいずれかに記載の動力伝達装置。
  • 圧縮機にトルクを伝達する装置からなることを特徴とする、請求項1〜 12のいずれかに記載の動力伝達装置。
  • 車両用空調装置に用いられる圧縮機にトルクを伝達する装置からなることを特徴とする、請求項 13に記載の動力伝達装置。
  • 前記予荷重が、前記エンジンのトルク変動を含む伝達トルク値よりも大きく、かつ、伝達を遮断すべきトルクの設定値よりも小さいことを特徴とする、請求項 12〜14のいずれかに記載の動力伝達装置。
  • 说明书全文

    本発明は、動伝達装置に関し、例えば、車両のエンジンからの駆動力を車両搭載の機器(例えば、車両空調装置用圧縮機)に伝達するのに好適な動力伝達装置に関する。

    動力伝達装置には、過大な駆動力の伝達を遮断するトルクリミッタの機能が要求されることが多い。 例えば、車両空調装置用圧縮機に車両のエンジンからの駆動力を伝達して圧縮機を駆動するに際し、被駆動体としての圧縮機側の駆動負荷が何らかの理由で過大になった場合には、車両エンジンやベルトを保護するために、駆動力の伝達(トルク伝達)が遮断されることが望まれる。

    このようなトルク伝達の遮断機構としては、各種のものが知られており、例えば、駆動側の部材と被駆動側の部材との間に、所定値を越える伝達荷重が加わったときに破断する部材または部位を設けるようにした、破断式のトルクリミッタが知られている。 例えば特許文献1に記載の動力伝達装置には、圧縮機が故障等によって異常停止した際に、駆動源側のプーリと、被駆動側の圧縮機の軸に取り付けられた回転伝達板との間に設けられた結合部材を破断させるようにした破断式のトルクリミッタが設けられている。

    実公平6−39105号公報

    ところが、上記のような従来の破断式のトルクリミッタは、とくに駆動源がエンジンのように出力変動を伴うものである場合、一般に以下のような問題を抱えている。 上記特許文献1に記載の構造を例にとって説明するに、特許文献1に記載の構造では、図10に示すように、圧縮機101の主軸102の端部には回転伝達板103が取り付けられており、エンジン(図示略)の駆動トルクが、プーリ104から、プーリ104と回転伝達板103との間を連結するように設けられた結合部材105を介して、回転伝達板103へと伝達され、それによって主軸102が回転駆動されるようになっている。 このように構成された圧縮機用動力伝達装置においては、せん断荷重保持型のトルク遮断体(またはトルク伝達体)としての結合部材105には、エンジントルク変動に伴う荷重が加わり、結合部材105にせん断応力が回転方向の正方向/逆方向に交番負荷されることとなっている。 このような交番荷重が加わると、結合部材105に疲労が生じ、狙いの破断トルク値よりも低いトルクで結合部材105が破断し、所定の値でのトルク遮断が行われないおそれがある。 また、上記のようなせん断荷重が加わる結合部材105の形態以外に、プーリと圧縮機の主軸側のハブ間を、単に回転方向に沿う方向に延びる板状部材で連結する方式も考えられるが、その場合には、板状部材に引張り荷重と圧縮荷重とが交番荷重として加わり、やはり板状部材に金属疲労を発生させてしまい、遮断トルクを精度よく設定できないこととなっている。

    このような従来装置における問題は、図式的に以下のように表わされる。 すなわち、エンジンの爆発/圧縮の行程変化に伴う回転変動によりエンジンの出力変動が発生するが、上記のような動力伝達装置におけるトルク変動を含めた正トルク側の最大トルク値をWp、負トルク側の最大トルク値をWnとすると、図11に示すように、トルク変動の全振幅は(Wp+Wn)となる。 図10に示したせん断荷重保持型のトルク遮断体には、せん断応力が順方向(正方向)/逆方向共に交番負荷されるため、同様のことが言える。 このように、従来の破断式トルク伝達装置では、上記トルク振幅による変動荷重が丸ごと作用していたため、トルク遮断体として機能させるべきトルク伝達部材は疲労現象を起し、狙いの破断トルク値よりも低いトルクでトルク遮断していた。 この材料の疲労を考慮して破断式のトルクリミッターを設計すれば、瞬時の破断トルクは大きな値となり、本来の目的であるベルト保護、エンジン保護には適さないものとなる。

    そこで本発明の課題は、駆動体側にトルク変動が存在しても(例えば、エンジンの出力トルク変動が存在しても)、その影響を最小限に抑え、狙いの遮断トルク値で的確にトルク遮断することができるようにした動力伝達装置を提供することにある。

    上記課題を解決するために、本発明に係る動力伝達装置は、同方向に回転される被駆動体と該被駆動体を駆動する駆動体とを連結部を介して連結し、駆動体のトルクを被駆動体へ伝達するとともに、被駆動体の駆動負荷が所定値を超えた場合に駆動体からのトルクの伝達を遮断するようにした動力伝達装置において、前記連結部を、互いに別部材からなる、正回転方向のトルクを伝達するとともに前記被駆動体の駆動負荷が所定値を超えた場合に自身の破断により駆動体からのトルクの伝達を遮断する正トルク伝達部材と、逆回転方向のトルクを伝達可能な負トルク伝達機構または負トルク伝達部材との組み合わせにより構成し、前記正トルク伝達部材および前記負トルク伝達機構または負トルク伝達部材には、それらの組み付け状態において、互いに反対方向の予荷重が付与されており、かつ、両予荷重が作用/反作用の関係により略釣り合い状態にあることを特徴とするものからなる。 すなわち、一つの部材のみで正トルクと負トルクの交番荷重を受けるのではなく、互いに別の特性を持たせた、互いに別部材からなる正トルク伝達部材と負トルク伝達部材とによってそれぞれ荷重を受け持たせるようにしたものである。 この構造により、一つの部材のみに交番荷重により疲労現象が発生するのを抑え、狙いの遮断トルク値よりもはるかに小さいトルクでトルク伝達部材が破断することを回避可能になる。

    この本発明に係る動力伝達装置においては、上記正トルク伝達部材の剛性または破断強度が上記負トルク伝達機構または負トルク伝達部材の剛性または破断強度よりも低く設定されていることが好ましい。 これは、狙いの遮断トルク値でトルク遮断を行うに際し、該トルク遮断は機器保護の面から正トルク側の過大トルクに対して行われるのが望ましいことから、過大トルクが発生した場合には正トルク伝達部材を破断させることが好ましく、これを確実に実現するための構成である。

    また、上記正トルク伝達部材および上記負トルク伝達機構または負トルク伝達部材には、それらの組み付け状態において、互いに反対方向の予荷重が付与されており、かつ、両予荷重が作用/反作用の関係により略釣り合い状態にある このような予荷重を付与しておくことにより、後述の如く、伝達中のトルクの変動振幅を大幅に低減することが可能になり、それによって材料の疲労による影響を最小限に抑えることが可能になる。

    上記予荷重としては、例えば、装置回転方向に、正トルク伝達部材には引張り予荷重を、負トルク伝達機構または負トルク伝達部材には圧縮予荷重が付与されている形態を採用できる。 このように装置回転方向について、引張り予荷重と圧縮予荷重を共に付与しておくことにより、トルク変動振幅を低減するに際し引張り予荷重と圧縮予荷重が略正反対方向にに作用でき、効率よくしかも極めて効果的に、トルク変動振幅を大幅に低減することが可能になる。

    各トルク伝達部材の構成は特に限定されず、例えば、上記正トルク伝達部材は、上記駆動体と被駆動体との間にわたって延びる連続体に構成することができる。 正トルク伝達部材が連続体からなることにより、そのいずれの部位から破断が生じても、目標とするトルク遮断が確実に達成されることになり、破断が生じるべき部位をおおまかにある範囲に設定しさえすればよいことになり、構造の簡素化に寄与できる。 また、破断が生じるべき部位の剛性や、断面積等も簡単に設定できることから、設計の容易化をはかることも可能になる。

    一方、上記負トルク伝達機構または負トルク伝達部材は、例えば、機構または部材中に接触部を有する分割構造に構成されている構造、つまり、少なくとも二部品が接触部を有し、その接触部に例えば圧縮荷重が負荷される構造に構成できる。 正トルク伝達部材側で破断を発生させれば、目標とするトルク遮断を達成できるので、負トルク伝達機構または負トルク伝達部材側の構造としては、負トルクを確実に受けることができさえすればよいことになり、必ずしも連続体である必要はない。 むしろ、正トルク伝達部材と負トルク伝達機構または負トルク伝達部材との組み合わせ構造において、正トルク伝達部材に破断が発生した際に、負トルク伝達機構または負トルク伝達部材がトルク遮断状態の障害にならないように、正トルク伝達部材の破断に連動して即座に負トルク伝達機構または負トルク伝達部材中の連結状態も遮断されることが好ましく、上記のような分割構造に構成されていることが好ましい。

    上記のように引張り、圧縮の予荷重が付与された構成においては、上記正トルク伝達部材の引張り予荷重を受ける部分の長さが、上記負トルク伝達機構または負トルク伝達部材の圧縮予荷重を受ける部分の長さよりも短く設定されていることが好ましい。 このような構成を採用すれば、例えば正トルク伝達部材と負トルク伝達機構または負トルク伝達部材の両者をボルトやピン、リベット等で結合する際に、正トルク伝達部材が引張り予荷重によって引き伸ばされ、負トルク伝達機構または負トルク伝達部材が圧縮予荷重によって圧縮された状態で組み立てやすくなり、相互に予荷重が付与された状態を現出しやすくなる。

    また、上記負トルク伝達機構としては、例えば、装置半径方向にばね力を持つばね部を有するとともに、該ばね部を介して上記駆動体側と被駆動体側とを係合させる係合部を有する構造に構成できる。 この場合、係合部は、ばね部の装置半径方向のばね力を保持可能に構成されていることが好ましい。 またその場合、ばね部は、駆動体と被駆動体との間のトルク伝達の遮断に伴う上記ばね力の保持の解除後、自らのばね力により、駆動体または被駆動体とは非干渉の自身の自由位置に復帰可能に構成されていることが好ましい。 すなわち、トルク伝達状態においては、係合部によりばね部のばね力を保持させることで、正トルク伝達部材には正トルク以外のトルクが実質的にかからないようにすることができ、正トルク伝達部材の破断によるトルク遮断後には、ばね部が自らのばね力により自然にかつ速やかに邪魔にならない自由位置に復帰できるようにした構成である。

    また、上記正トルク伝達部材および上記負トルク伝達部材が、それぞれ所定の予荷重を付与された状態で、上記連結部を構成可能な部品として予め組み立てられていることも好ましい形態である。 このような形態においては、連結部の構成部材が、実質的に一つの部品の形態で予め準備できるので、動力伝達装置への組み込みが極めて容易になる。 また、装置構成全体としても、大幅に簡素化される。

    また、前述の如く負トルク伝達機構または負トルク伝達部材が分割構造に構成される場合には、分割構造に構成された負トルク伝達機構または負トルク伝達部材に対し、上記接触部の両側部位間の相対位置ずれ規制手段(例えば、該機構または部材の軸方向の相対位置ずれ規制手段)が設けられていることが好ましい。 このように相対位置ずれ規制手段を有することにより、分割構造であっても、所定の負トルク伝達機構または負トルク伝達部材の構成が保たれる。 そして、後述の実施例に示すように、正トルク伝達部材にこの相対位置ずれ規制手段としての機能を持たせることも可能である。

    本発明に係る動力伝達装置は、駆動力源における出力トルクに変動がある場合に有効なものであるが、とくに駆動力源が車両のエンジンからなる場合に有効なものである。 車両のエンジンからの駆動力を伝達する場合には、エンジンの爆発/圧縮の行程変化に伴う回転変動により多かれ少なかれ必然的にエンジンの出力変動が発生するので、そのトルク伝達に際して的確に必要なトルク遮断を行うことができるようになる。

    また、本発明に係る動力伝達装置は、例えば、圧縮機にトルクを伝達する装置として有効なものであり、過大トルク発生時に、的確なトルク遮断により圧縮機や駆動源側を適切に保護することが可能である。 とくに、車両用空調装置に用いられる圧縮機にトルクを伝達する装置として有効なものであり、中でもエンジンを駆動源とする圧縮機へのトルク伝達装置として有効なものである。

    エンジンを駆動源とする場合には、前述の予荷重としては、エンジンのトルク変動を含む伝達トルク値よりも大きく、かつ、伝達を遮断すべきトルクの設定値よりも小さいことが好ましい。 このように設定することにより、エンジンのトルク変動が存在していても、通常のトルク変動は全て予荷重の範囲内になるため該予荷重の範囲内で吸収されることになり、被駆動体側には実質的に変動としては伝達されず、被駆動体側のトラブル等により過大な伝達トルクが生じた場合のみ、それが連結部に作用して所望のトルク遮断が行われることになる。

    このように、本発明に係る動力伝達装置によれば、駆動源、駆動体側にトルク変動が存在する場合にあっても、例えばエンジントルク変動が存在しても、その影響を最小限に抑えることが可能になり、連結部における材料の疲労の発生を抑えて、狙いの遮断とトルク値で的確にトルク遮断できるようになる。

    また、本発明に係る動力伝達装置は、その連結部の構成として簡単な構造のものでよく、部品点数も少なく、低コストで実施できる。

    以下に、本発明の望ましい実施の形態について、図面を参照して説明する。
    図1〜図4は、本発明の実施例1に係る動力伝達装置を示している。 図1において、1は動力伝達装置全体を示しており、動力伝達装置1は、同方向(図1(A)の矢印方向)に回転される、駆動体としてのエンジンからの駆動力が伝達されるプーリ2と、被駆動体としての圧縮機の主軸4の端部に主軸4のねじ部5、ナット6を介して連結固定されたハブ体3とを備えている。 これらプーリ2とハブ体3とが、連結部7を介して連結されており、駆動体としてのプーリ2のトルクが被駆動体としてのハブ体3に伝達されるとともに、被駆動体の駆動負荷が所定値を越えた場合に、後述の如く連結部7の構成部材の破断によりトルクの伝達が遮断されるようになっている。 本実施例では、連結部7は複数、とくに3つ(3組)、円周方向に等配されている。

    各連結部7は、互いに別部材からなる、正回転方向(図1(A)の矢印方向)のトルクを伝達するとともに被駆動体の駆動負荷が所定値を超えた場合に自身の破断により駆動体からのトルクの伝達を遮断する正トルク伝達部材と、逆回転方向のトルクを伝達可能な負トルク伝達機構または負トルク伝達部材との組み合わせにより構成されている。 本実施例では、正トルク伝達部材8は、図2にも示すように、駆動体としてのプーリ2と被駆動体としてのハブ体3との間にわたって、実質的に装置回転方向に延びる連続体に構成されており、その両端部が、ピンまたはリベット10、カラー11を介して、プーリ2側とハブ体3側とに連結されている。

    また、負トルクの伝達のために、本実施例では、負トルク伝達機構9が設けられている。 この負トルク伝達機構9は、機構中に接触部12を有する分割構造に構成されている。 また、負トルク伝達機構9は、ハブ体3の径方向外周側部分が、実質的に装置回転方向に腕状に延びる形状に形成され、装置半径方向にばね力を持つばね部13を有するとともに、該ばね部13の先端部を介して駆動体側(プーリ2側)と被駆動体側(ハブ体3側)とを係合させる係合部14を有する構造に構成されている。 係合部14は、装置半径方向内側にばね部13を復帰させようとするばね部13の装置半径方向のばね力を保持可能に構成されている。 そして、ばね部13は、後述の如く、駆動体と被駆動体との間のトルク伝達の遮断に伴ってうばね力の保持の解除された後には、自らのばね力により、駆動体とは非干渉の自身の自由位置に復帰可能に構成されている。 本実施例では、上記正トルク伝達部材8は、このように係合部14に保持されたばね部13の先端部側と、駆動体としてのプーリ2側とを連結している。

    連結部7を介して駆動体としてのプーリ2と被駆動体としてのハブ体3を連結するに際しては、組み付け状態において、連結部7を構成する正トルク伝達部材8と負トルク伝達機構9にそれぞれ、互いに反対方向の予荷重が付与されており、両予荷重が作用/反作用の関係により、略釣り合い状態に保たれている。 本実施例では、装置回転方向に、正トルク伝達部材8には引張り予荷重が、負トルク伝達機構9には圧縮予荷重が、それぞれ付与されており、その状態になるように組み込まれている。 正トルク伝達部材8に付与される引張り予荷重は、エンジンのトルク変動まで考慮した、駆動体としてのプーリ2と被駆動体としてのハブ体3との間で発生するトルク値よりも大きく、かつ、遮断トルクの狙い値よりも小さく設定されている。

    正トルク伝達部材8は、両端部の連結部間に存在する、狭幅の破断部を有しており、この部分の存在によりこの部分で剛性を弱めて、引張りにおけるばね定数を低く抑えることができるとともに、過大トルクが発生したときには、この部分の破断強度が弱めれているてめこの部分で破断できるようになっている。 過大トルクが発生した場合に正トルク伝達部材8側で確実に破断するように、正トルク伝達部材8の剛性または破断強度が、負トルク伝達機構9の剛性または破断強度よりも低く設定されている。

    また、負トルク伝達機構9は、前述の如く、分割構成で、接触部12の両側部位が当接されて圧縮予荷重が付与されている状態にあるが、この部分の構造のみをみれば、接触部12の両側部位が相対的に移動(とくに、板厚方向に相対的に移動)可能な構造(位置ずれ可能な構造)となっているので、この相対位置ずれを防止するために、相対位置ずれ規制手段が設けられている。 本実施例では、この相対位置ずれ規制は、プーリ2とハブ体3との間にわたって延びる正トルク伝達部材8が接触部12と実質的にオーバラップする位置に設けられていることによって達成されているので、正トルク伝達部材8が上記相対位置ずれ規制手段を兼ねている。

    このように構成された実施例1に係る動力伝達装置1においては、トルクの伝達は次のように行われる。 通常のトルク伝達時には、図1(A)に示した状態にある。 図9を用いて説明するに、正トルク伝達部材8に加わるエンジントルク変動に起因するトルク変動振幅を算出すれば、正トルク伝達部材8にはエンジントルク変動に対応するトルク値よりも大きな引張り予荷重が付与されているため、通常伝達状態では圧縮応力は発生せず、かつ、負荷変動はトルク変動振幅(Wp+Wn)のφ倍(φ≪1)となり、負荷変動は非常に小さくなる(つまり、前述した従来のトルク変動振幅(Wp+Wn)に比べ、φ倍小さくなる)。 これは、負トルク伝達機構9(または後述の実施例2における負トルク伝達部材)のばね定数Kcに比べ、正トルク伝達部材8のばね定数Kbが十分に小さく設定されていることによる。 ここで、Wpはエンジントルク変動のうち正トルク側の最大値を示し、Wnはエンジントルク変動のうち負トルク側の最大値を示している。 また、φ=Kb/(Kb+Kc)である。

    このように、エンジントルク変動が存在しても、その影響を最小限に抑えることができる。 より具体的には、伝達トルクの変動振幅を大幅に低減でき、金属疲労、とくに正トルク伝達部材8の疲労を極小化して、過大トルク発生時に狙いの破断トルクで的確に作動させることができるようになる。

    一方、過大トルクが発生した時には、図3に示すように、正トルク伝達部材8が予め予定していた中央部の剛性を弱められた部位で破断し、トルク伝達が停止される。 その結果、ハブ体3の回転が停止し、主軸4の回転が停止されて、駆動源側が、つまり、プーリ2やプーリ2への駆動力伝達用ベルト等も適切に保護されることになる。 そして、正トルク伝達部材8が破断すると、速やかに係合部14におけるばね部13の係合が解除されるので、図4に正トルク伝達部材8を除いて見た状態を示すように、係合部14に保持されていたばね部13はプーリ2側から外れ、自身のばね力によって自然に自由位置に復帰し、プーリ2側とは非干渉(非接触)の位置に移動して、プーリ2側だけが空回りする状態になる。 したがって、所望のトルク遮断が、円滑かつ確実に行われる。

    図5〜図8は、本発明の実施例2に係る動力伝達装置を示している。 図5において、21は動力伝達装置全体を示しており、動力伝達装置21は、同方向(図5の矢印方向)に回転される、駆動体としてのエンジンからの駆動力が伝達されるプーリ22と、被駆動体としての圧縮機の主軸24の端部にナット25等を介して連結固定されたハブ体23とを備えている。 これらプーリ22とハブ体23とが、連結部26を介して連結されており、駆動体としてのプーリ22のトルクが被駆動体としてのハブ体23に伝達されるとともに、被駆動体の駆動負荷が所定値を越えた場合に、後述の如く連結部26の構成部材の破断によりトルクの伝達が遮断されるようになっている。 本実施例では、連結部26は複数、とくに3つ(3組)、円周方向に等配されている。

    各連結部26は、本実施例では図6(A)に示すように、互いに別部材からなる、正回転方向(図5の矢印方向)のトルクを伝達するとともに被駆動体の駆動負荷が所定値を超えた場合に自身の破断により駆動体からのトルクの伝達を遮断する正トルク伝達部材27と、逆回転方向のトルクを伝達可能な負トルク伝達部材28との組み合わせにより構成されている。 本実施例では、正トルク伝達部材27は、実施例1同様に、駆動体としてのプーリ22と被駆動体としてのハブ体23との間にわたって、実質的に装置回転方向に延びる連続体に構成されており、その両端部が、ピンまたはリベット29、スリーブ30を介して、プーリ22側とハブ体23側とに連結されている。

    また、負トルクの伝達のために、本実施例では、負トルク伝達部材28が設けられている。 この負トルク伝達部材28は、部材中に接触部31を有する分割構造に構成されており、本実施例では、接触部31を形成する負トルク伝達部材本体28aとカラー28bの少なくとも二部品を有している。 これら一連の部材により、連結部7が図6(A)の最下段に示したように組み立てられる。 連結部26の構成状態は図6(A)に示した通りであるが、この組み立て段階では、図6(B)に示すようなトルク伝達部材サブアッシー32が形成され、このサブアッシー32段階にて、実施例1と同様に予荷重を付与した状態に構成することができる。

    すなわち、トルク伝達部材サブアッシー32の組み立て状態において、正トルク伝達部材27と負トルク伝達部材28にそれぞれ、互いに反対方向の予荷重が付与されており、両予荷重が作用/反作用の関係により、略釣り合い状態に保たれている。 本実施例では、装置回転方向に、正トルク伝達部材27には引張り予荷重が、負トルク伝達部材28には圧縮予荷重が、それぞれ付与されており、その状態になるようにトルク伝達部材サブアッシー32の組み立て段階にて両部材27、28が組み込まれている。 この場合にも、正トルク伝達部材27に付与される引張り予荷重は、エンジンのトルク変動まで考慮した、駆動体としてのプーリ22と被駆動体としてのハブ体23との間で発生するトルク値よりも大きく、かつ、遮断トルクの狙い値よりも小さく設定されている。

    正トルク伝達部材27は、実施例1と同様に、両端部の連結部間に存在する、狭幅の破断部を有しており、この部分の存在によりこの部分で剛性を弱めて、引張りにおけるばね定数を低く抑えることができるとともに、過大トルクが発生したときには、この部分の破断強度が弱めれているてめこの部分で破断できるようになっている。 過大トルクが発生した場合に正トルク伝達部材27側で確実に破断するように、正トルク伝達部材27の剛性または破断強度が、負トルク伝達部材28の剛性または破断強度よりも低く設定されている。

    また、負トルク伝達部材28は、前述の如く、分割構成で、接触部31の両側部位が当接されて圧縮予荷重が付与されている状態にあるが、この部分の構造のみをみれば、接触部31の両側部位が相対的に移動(とくに、板厚方向に相対的に移動)可能な構造(位置ずれ可能な構造)となっているので、この相対位置ずれを防止するために、相対位置ずれ規制手段が設けられている。 本実施例では、この相対位置ずれ規制は、ピンまたはリベット29の頭部と正トルク伝達部材27の間に負トルク伝達部材28の分割部(接触部31)を挟み込むことによって達成されているので、この挟持構造が上記相対位置ずれ規制手段を構成している。

    このように構成された実施例2に係る動力伝達装置21においては、トルクの伝達は次のように行われる。 通常のトルク伝達時には、図5に示した状態にある。 この時にも、実施例1と同様に、図9を用いて説明した作用効果が得られる。 つまり、正トルク伝達部材27に加わるエンジントルク変動に起因するトルク変動振幅を算出すれば、正トルク伝達部材27にはエンジントルク変動に対応するトルク値よりも大きな引張り予荷重が付与されているため、通常伝達状態では圧縮応力は発生せず、かつ、負荷変動はトルク変動振幅(Wp+Wn)のφ倍(φ≪1)となり、負荷変動は非常に小さくなる(つまり、前述した従来のトルク変動振幅(Wp+Wn)に比べ、φ倍小さくなる)。 これは、実施例1と同様に、負トルク伝達部材28のばね定数Kcに比べ、正トルク伝達部材27のばね定数Kbが十分に小さく設定されていることによる。

    このように、実施例2においても、エンジントルク変動が存在しても、その影響を最小限に抑えることができる。 より具体的には、伝達トルクの変動振幅を大幅に低減でき、金属疲労、とくに正トルク伝達部材27の疲労を極小化して、過大トルク発生時に狙いの破断トルクで的確に作動させることができるようになる。

    一方、過大トルクが発生した時には、図7に示すように、正トルク伝達部材27が予め予定していた中央部の剛性を弱められた部位で破断し、トルク伝達が停止される。 その結果、ハブ体23の回転が停止し、主軸24の回転が停止されて、駆動源側が、つまり、プーリ22やプーリ22への駆動力伝達用ベルト等も適切に保護されることになる。 そして、正トルク伝達部材27が破断すると、図7に示すように、分割構造に構成されている負トルク伝達部材28の分割部(接触部31)における係合が速やかに解除され、負トルク伝達部材本体28aがプーリ22側に取り付けられているトルク伝達部材の一部により、内側に押し下げられる。 これにより、以降の破断および分割されたトルク伝達部材同士の接触、干渉が回避され、プーリ22側だけが空回りする状態になる。 したがって、所望のトルク遮断が、円滑かつ確実に行われる。

    なお、この破断時においては、前述の組み合わせ部品として構成されていた連結部26は、図8に示すような状態になる。

    本発明に係る動力伝達装置の構造は、回転駆動体と被駆動体との間の連結部材の破断によりトルク遮断するようにしたあらゆる動力伝達装置に適用でき、とくに駆動源を車両のエンジンとする場合、例えば車両空調装置用圧縮機に動力を伝達する場合に採用して好適なものである。

    本発明の実施例1に係る動力伝達装置の正面図(A)およびB−B線に沿う縦断面図である。

    図1の装置の分解部分正面図である。

    図1の装置のトルク遮断直後の状態を示す正面図である。

    図1の装置のトルク遮断後の正トルク伝達部材を除いて見た状態を示す部分正面図である。

    本発明の実施例2に係る動力伝達装置の正面図である。

    図5の装置におけるトルク伝達部材の分解構成図(A)およびそのサブアッシーの断面図である。

    図5の装置のトルク遮断直後の状態を示す正面図である。

    図5の装置におけるトルク伝達部材のトルク遮断後の状態を示す分解構成図である。

    本発明におけるトルク変動が存在する場合のトルク伝達状態の概念を示す弾性変形量と荷重との関係図である。

    従来の動力伝達装置の縦断面図(A)、部分正面図(B)および部分断面図(C)である。

    従来の動力伝達装置におけるトルク変動が存在する場合の伝達トルク振幅の概念を示す説明図である。

    符号の説明

    1、21 動力伝達装置2、22 駆動体としてのプーリ3、23 被駆動体としてのハブ体4、24 圧縮機の主軸5 主軸のねじ部6、25 ナット7、26 連結部8、27 正トルク伝達部材9 負トルク伝達機構10、29 ピンまたはリベット11 カラー12、31 接触部13 ばね部14 係合部28 負トルク伝達部材28a 負トルク伝達部材本体28b カラー30 スリーブ32 トルク伝達部材サブアッシー

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