気化器付きエンジンを備えた携帯作業機及びその燃料供給制御方法

申请号 JP2017098572 申请日 2017-05-17 公开(公告)号 JP2018193928A 公开(公告)日 2018-12-06
申请人 株式会社やまびこ; 发明人 野中 匠; 山口 史郎; 河野 徹; 佐藤 元一; 飯原 裕太;
摘要 【課題】気化器付きエンジンの 燃料 供給をエンジン運転中に最適化する。 【解決手段】スロットル開度を検出するスロットル開度検出センサ(26)と、燃料吐出部又は燃料供給通路の開度を可変に制御する弁体(10)をマップに基づいて制御する制御ユニット(40)とを有する。マップは、スロットル開度に基づいて分けられた複数の区分と、各区分毎に設定された弁体(10)の開度とを含んでいる。各区分毎に設定された弁体(10)の開度は、各区分において最もエンジン回転数が高くなる前記弁体の開度である。制御ユニット(40)は、複数の区分のうち、スロットル開度検出センサ(26)によって検出したスロットル開度が属する区分に設定されている弁体(10)の開度となるように、弁体(10)を駆動する電動アクチュエータ(14)を制御する。 【選択図】図3
权利要求

エアクリーナがろ過したエアを受け入れる気化器内エア通路と、 ユーザが操作する出制御操作部材と連係され且つ該出力制御操作部材の動作に応じたスロットル開度を生成する出力制御弁と、 前記気化器内エア通路に燃料を吐出する燃料吐出部と、 該燃料吐出部に燃料を供給する燃料供給通路と、 前記燃料吐出部又は前記燃料供給通路に配置され且つ電動アクチュエータによって駆動される弁体であって、前記燃料吐出部又は前記燃料供給通路の開度を可変に制御する弁体と、を有する気化器を備えた内燃エンジンによって駆動される携帯作業機において、 前記スロットル開度を検出するスロットル開度検出センサと、 前記弁体をマップに基づいて制御する制御ユニットとを有し、 前記マップは、前記スロットル開度に基づいて分けられた複数の区分と、各区分毎に設定された前記弁体の開度とを含み、 前記各区分毎に設定された前記弁体の開度は、各区分において最もエンジン回転数が高くなる前記弁体の開度であり、 前記制御ユニットは、前記複数の区分のうち、前記スロットル開度検出センサによって検出したスロットル開度が属する区分に設定されている前記弁体の開度となるように前記電動アクチュエータを制御することを特徴とする携帯作業機。前記各区分に設定された前記弁体の開度が、前記エンジンが動作中に一定の条件を満足したときに更新される、請求項1に記載の携帯作業機。前記エンジンが加速中のとき、前記エンジンが減速中のときには前記更新が禁止される、請求項2に記載の携帯作業機。前記エンジンが冷たい状態からエンジンが暖まった状態及び前記エンジンが暖まった後において、前記各区分に設定された前記弁体の開度が、前記エンジンが動作中に一定の条件を満足したときに更新される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の携帯作業機。前記気化器がロータリ式気化器であり、 前記弁体が、前記燃料吐出部を構成する燃料吐出口を備えた燃料ノズルの中に挿入されたニードルで構成されている、請求項1〜4に記載の携帯作業機。前記スロットル開度検出センサが、前記ロータリ式気化器の前記出力制御弁を構成するロータリバルブ本体の回転位置を検出するポジションセンサで構成されている、請求項5に記載の携帯作業機。前記気化器がバタフライバルブ式気化器であり、 前記弁体が、前記燃料吐出部を構成するメイン吐出部に燃料を供給する燃料供給通路に介装された針弁で構成されている、請求項1〜4に記載の携帯作業機。前記スロットル開度検出センサが、前記バタフライバルブ式気化器の前記出力制御弁を構成するバタフライ弁の回転位置を検出するポジションセンサで構成されている、請求項7に記載の携帯作業機。エアクリーナがろ過したエアを受け入れる気化器内エア通路と、 ユーザが操作する出力制御操作部材と連係され且つ該出力制御操作部材の動作に応じたスロットル開度を生成する出力制御弁と、 前記気化器内エア通路に燃料を吐出する燃料吐出部と、 該燃料吐出部に燃料を供給する燃料供給通路と、 前記燃料吐出部又は前記燃料供給通路に配置され且つ電動アクチュエータによって駆動される弁体であって、前記燃料吐出部又は前記燃料供給通路の開度を可変に制御する弁体と、を有する気化器を備えた内燃エンジンによって駆動される携帯作業機の燃料供給制御方法において、 前記スロットル開度に基づいて分けられた複数の区分と、各区分毎に設定された前記弁体の開度とを含む制御マップであって、該各区分毎に設定された前記弁体の開度が、各区分において最もエンジン回転数が高くなる弁体の開度である制御マップを用意し、 前記スロットル開度を検出するスロットル開度検出工程と、 該スロットル開度検出工程で検出した前記スロットル開度が属する前記制御マップの区分に設定されている前記弁体の開度に基づいて前記電動アクチュエータを制御する制御工程とを有することを特徴とする携帯作業機の燃料供給制御方法。前記内燃エンジンの動作が安定しているときに、前記制御マップに設定されている前記弁体の開度を更新するデータ更新工程を更に有する、請求項9に記載の携帯作業機の燃料供給制御方法。前記データ更新工程がベストサーチ処理を含み、 該ベストサーチ処理は、前記データ更新工程を実行するときの前記内燃エンジンの運転状態でのスロットル開度が属する前記制御マップの区分において、前記弁体の開度を徐々に変化させて最も高いエンジン回転数を実現できる前記弁体の開度を当該区分に関連付けて更新する、請求項10に記載の携帯作業機の燃料供給制御方法。前記ベストサーチ処理を実行したときに、該ベストサーチ処理により更新した区分の前記弁体の開度の変化を他の区分に設定されている前記弁体の開度に反映させて、該他の区分の前記弁体の開度を更新する、請求項11に記載の携帯作業機の燃料供給制御方法。

说明书全文

本発明は刈払機、チェーンソーなどの携帯作業機に関し、より詳しくは気化器付きエンジンを備えた携帯作業機及びその燃料供給制御方法に関する。

刈払機、チェーンソー、パワーブロア、トリマーなどの携帯作業機は、その駆動源として内燃エンジン、例えば2サイクルエンジンが採用され、また、気化器が採用されている。勿論、携帯作業機は4サイクルエンジンを駆動源として採用できるのは言うまでもない。

気化器は、エアクリーナでろ過したエアが通過する気化器内エア通路を有し、また、この気化器内エア通路に燃料を吐出する燃料吐出部を有する。燃料吐出部には、燃料源から燃料供給通路を通じて燃料が供給される。気化器は、気化器内エア通路を通過するエアが燃料吐出部から燃料を吸い出すことにより混合気を生成する。

メーカは、携帯作業機を出荷する時に、燃料吐出部を通じて吐出される燃料の量(燃料供給)を最適化する調整が実施される。燃料供給通路には一般的に手動の針弁が設けられ、この針弁のバルブ開度を調整することにより燃料供給の調整が行われる。この調整により、出荷する作業機の個体差を解消し、出荷する各作業機の動作が適正化される。

しかし、ユーザが作業機を使用する環境(例えば気圧、気温)は同じではない。また、使用する燃料の種類も相違する。このことから、ユーザ側で燃料供給の再調整が必要となる。この再調整は、多くのユーザにとって簡単ではない。

特許文献1は、燃料供給通路にソレノイドバルブを設置した気化器及びこれを組み込んだ携帯作業機を開示している。このソレノイドバルブのバルブ開度は、エンジン回転数を検出する回転数センサを使って電子制御される。特許文献1に開示の燃料供給制御は、具体的には、暖気運転が終わった後、無負荷且つスロットル全開の状態で、予め設定した目標回転数となるように回転数センサでエンジン回転数を検知しながらソレノイドバルブのバルブ開度がフィードバック制御される。無負荷の状態で目標回転数を実現できるソレノイドバルブのバルブ開度はメモリに保存される。

作業機を使って作業を行うと、エンジンに作用する負荷によってエンジン回転数が低下する。特許文献1は、無負荷での目標回転数と有負荷で検出したエンジン回転数との差分に基づいてソレノイドバルブのバルブ開度を補正する。この補正量は、予め用意してあるマップから求められる。マップには、上記差分に相当するエンジン回転数をパラメータとして各差分に対応する補正量が予め規定されている。

JP特開2013-204552号公報

上述したように、特許文献1は、回転数センサによって検出したエンジン回転数に基づいて燃料供給制御が実行される。チェーンソーでの作業はスロットル全開で行われる。

他方、刈払機は、スロットル全開での作業に限定されない。刈り取る草の状態に応じてパーシャルスロットル開度での作業も含まれる。また、刈払機の刈刃は、金属刃と、使用により直ぐに摩耗するプラスチック刃(ナイロンコード)とがあり、ナイロンコードと金属刃は選択的に刈払機に装着されて使用される。ナイロンコードと金属刃とではエンジンに作用する負荷の大きさが異なるため、スロットルバルブが全開である時の回転数が違う。スロットルバルブ全開において、金属刃では回転数が10,000rpmを超えるのに対して、長いナイロンコードでは例えば6,000rpmである。また、ナイロンコードは使用している最中に摩耗により長さが変化する。すなわち、ナイロンコードを使用したときには、作業を行っている最中に、エンジンに作用する負荷は時々刻々と変化する。

特許文献1に開示の燃料供給制御は、限られた条件の下では燃料供給を適正化できるかも知れないが、回転数に基づく燃料供給制御では、特にパーシャル運転やナイロンコードを使った作業において、燃料供給を適正化することは事実上不可能である。

本発明の目的は、気化器付きエンジンの燃料供給をエンジン運転中に最適化することのできる携帯作業機及びその燃料供給制御方法を提供することにある。

本発明の更なる目的は、特にパーシャル運転での燃料供給を適正化できる携帯作業機及びその燃料供給制御方法を提供することにある。

本発明の更なる目的は、燃料供給を最適化することのできる携帯作業機及び燃料供給制御方法を提供することにある。

本発明の更なる目的は、エンジンが暖まった後だけでなく、エンジンが冷たい状態からエンジンが暖まるまでの間も燃料供給を最適化することのできる携帯作業機及び燃料供給制御方法を提供することにある。

上記の技術的課題は、本発明の一つの観点によれば、 エアクリーナがろ過したエアを受け入れる気化器内エア通路と、 ユーザが操作する出制御操作部材と連係され且つ該出力制御操作部材の動作に応じたスロットル開度を生成する出力制御弁と、 前記気化器内エア通路に燃料を吐出する燃料吐出部と、 該燃料吐出部に燃料を供給する燃料供給通路と、 前記燃料吐出部又は前記燃料供給通路に配置され且つ電動アクチュエータによって駆動される弁体であって、前記燃料吐出部又は前記燃料供給通路の開度を可変に制御する弁体と、を有する気化器を備えた内燃エンジンによって駆動される携帯作業機において、 前記スロットル開度を検出するスロットル開度検出センサと、 前記弁体をマップに基づいて制御する制御ユニットとを有し、 前記マップは、前記スロットル開度に基づいて分けられた複数の区分と、各区分毎に設定された前記弁体の開度とを含み、 前記各区分毎に設定された前記弁体の開度は、各区分において最もエンジン回転数が高くなる前記弁体の開度であり、 前記制御ユニットは、前記複数の区分のうち、前記スロットル開度検出センサによって検出したスロットル開度が属する区分に設定されている前記弁体の開度となるように前記電動アクチュエータを制御することを特徴とする携帯作業機を提供することにより達成される。

上記の技術的課題は、本発明の他の観点によれば、 エアクリーナがろ過したエアを受け入れる気化器内エア通路と、 ユーザが操作する出力制御操作部材と連係され且つ該出力制御操作部材の動作に応じたスロットル開度を生成する出力制御弁と、 前記気化器内エア通路に燃料を吐出する燃料吐出部と、 該燃料吐出部に燃料を供給する燃料供給通路と、 前記燃料吐出部又は前記燃料供給通路に配置され且つ電動アクチュエータによって駆動される弁体であって、前記燃料吐出部又は前記燃料供給通路の開度を可変に制御する弁体と、を有する気化器を備えた内燃エンジンによって駆動される携帯作業機の燃料供給制御方法において、 前記スロットル開度に基づいて分けられた複数の区分と、各区分毎に設定された前記弁体の開度とを含む制御マップであって、該各区分毎に設定された前記弁体の開度が、各区分において最もエンジン回転数が高くなる弁体の開度である制御マップを用意し、 前記スロットル開度を検出するスロットル開度検出工程と、 該スロットル開度検出工程で検出した前記スロットル開度が属する前記制御マップの区分に設定されている前記弁体の開度に基づいて前記電動アクチュエータを制御する制御工程とを有することを特徴とする携帯作業機の燃料供給制御方法を提供することにより達成される。

本発明の作用効果及び他の目的は、以下の好ましい実施例の詳細な説明から明らかになろう。

実施例の作業機に搭載されたロータリ式気化器の斜視図である。

図1に図示のロータリ式気化器の分解斜視図である。

図1に図示のロータリ式気化器の断面図である。

実施例の作業機において、制御マップの各区分で最適化処理を実行する運転状態を制限するために、最適化処理を実施する運転状態であるか否かを判断するフローチャートである。

図4で限定した最適化処理を実行する運転状態を説明するための図である。

実施例で実施される最適化処理の基本ステップを説明するための図であり、(a)は工場出荷時にメモリに記憶されたマップの基本ステップ数(オリジナルの設定値)を線図で示し、(b)は基本ステップ数を含むマップのデータの一覧を示す。

第1のやり方を説明するための図であり、(a)は作業機のエンジンを起動したときに、アイドル状態(第3区分)で実施されたベストサーチ処理及びこれにより得られた第3区分でのステップ数を他の区分の設定ステップ数(設定値)に反映させる最適化処理を説明するための図であり、(b)は更新後のマップのデータの一覧を示す。

図7で説明した最適化処理の後の段階で、(a),(b)は第13区分で実行されたベストサーチ処理及びこれにより得られた第13区分でのステップ数を他の区分の設定ステップ数(設定値)に反映させる最適化処理を説明するための図であり、(b)は更新後のマップのデータの一覧を示す。

図8で説明した最適化処理の後の段階で、(a),(b)は第16区分(WOT)で実行されたベストサーチ処理及びこれにより得られた第16区分でのステップ数を他の区分の設定ステップ数(設定値)に反映させる最適化処理を説明するための図であり、(b)は更新後のマップのデータの一覧を示す。

図9で説明した最適化処理の後の段階で、(a),(b)は第6区分で実行されたベストサーチ処理及びこれにより得られた第6区分でのステップ数を他の区分の設定ステップ数(設定値)に反映させる最適化処理を説明するための図であり、(b)は更新後のマップのデータの一覧を示す。

図10で説明した最適化処理の後の段階で、(a),(b)は再び第13区分で実行されたベストサーチ処理及びこれにより得られた第13区分でのステップ数を他の区分の設定ステップ数(設定値)に反映させる最適化処理を説明するための図であり、(b)は更新後のマップのデータの一覧を示す。

図7〜図11と同様の方法で継続的に各区分でのベストサーチを実行してステップ数を更新すると共に、この更新したステップ数を他の区分の設定ステップ数(設定値)の修正に反映させる最適化処理を、エンジン運転中に何回も行うことにより、全ての区分でのステップ数(設定値)を最適化できることを説明するための図である。

(a)は工場出荷時にメモリに記憶された制御マップの基本ステップ数を線図で示し、(b)は制御マップに含まれるデータの一覧を示す。

第2のやり方を説明するための図であり、(a)は作業機のエンジンを起動したときに、アイドル状態(第3区分)で実行されたベストサーチにより得られたステップ数に基づいて他の区分のステップ数(設定値)を修正することを説明するための図であり、(b)は更新後のデータの一覧を示す。

図14で説明した最適化処理の後の段階で、(a),(b)は第13区分で実施されたベストサーチ及びこれにより得られた第13区分でのステップ数に基づいて他の区分のステップ数(設定値)を修正することを説明するための図であり、(b)は更新後のデータの一覧を示す。

図15で説明した最適化処理の後の段階で、(a),(b)は第16区分(WOT)で実施されたベストサーチ及びこれにより得られた第16区分でのステップ数に基づいて他の区分のステップ数(設定値)を修正することを説明するための図であり、(b)は更新後のデータの一覧を示す。

実施例での制御マップを説明するための図であり、(a)は工場出荷時にメモリに記憶された制御マップの基本ステップ数(オリジナルの設定値)を線図で示し、(b)は制御マップに含まれるデータの一覧を示す。

第3のやり方を説明するための図であり、(a)は作業機のエンジンを起動したときに、アイドル状態の第3区分で実行されたベストサーチ及びこれにより得られた第3区分でのステップ数に基づいて他の区分のステップ数(設定値)を修正することを説明するための図であり、(b)は更新後のデータの一覧を示す。

図18で説明した最適化処理の後の段階で、(a),(b)は第13区分で実行されたベストサーチ及びこれにより得られた第13区分でのステップ数に基づいて他の区分のステップ数(設定値)を修正することを説明するための図であり、(b)は更新後のデータの一覧を示す。

第3のやり方で継続的に各スロットル開度でのベストサーチを実行してマップに含まれる各区分のステップ数を更新すると共に、この更新したステップ数を他の区分のステップ数(設定値)の修正に反映させ続けることにより、エンジンを運転している最中に、全ての区分でのステップ数(設定値)を最適化できることを説明するための図である。

本発明をバタフライバルブ式気化器付きエンジンに適用できることを説明するために、バタフライバルブ式気化器の具体的な構成を説明するための図である。

以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。図1ないし図3は、本発明に従う携帯作業機に搭載されたロータリ式気化器を示す。図1は斜視図である。図2は分解斜視図である。図3は縦断面図である。図示のロータリ式気化器は典型的には2サイクル内燃エンジンに組み込まれて、この2サイクル内燃エンジンの燃料供給システムの一部を構成する。図示のロータリ式気化器を4サイクル内燃エンジンに組み込んで、4サイクル内燃エンジンの燃料供給システムの一部をロータリ式気化器で構成してもよい。

本発明に従う携帯作業機は、刈払機、チェーンソー、パワー送風機、トリマーなどを含み、手持ち式の作業機であってもよいし、背負い式の作業機であってもよい。

図1〜図3を参照して、図示のロータリ式気化器100は気化器本体2を有し、気化器本体2の中に、出力制御弁を構成する円柱状のロータリバルブ本体4が軸回転可能に収容されている。このロータリバルブ本体4は軸線方向に変位しない。

気化器本体2は、従来と同様に、互いに対抗する2つの開口2a(図2)を有する。筒状のロータリバルブ本体4は一つの貫通穴4aを有する。この貫通穴4aは上記2つの開口2aと一緒に気化器内エア通路6を形成し、そしてこの気化器内エア通路6で混合気が生成される。

筒状のロータリバルブ本体4は軸回転することにより気化器内エア通路6の有効通路断面積つまりスロットル開度を制御するのは従来と同じである。

図3を参照して、ロータリ式気化器100は、従来と同様に、気化器本体2に固設された燃料ノズル8を有する。燃料ノズル8は、燃料を気化器内エア通路6に吐出する燃料吐出部を構成する部材である。燃料ノズル8はロータリバルブ本体4の軸線上において上方に向けて延び、ロータリバルブ本体4を貫通して気化器内エア通路6の中まで侵入している。燃料ノズル8はメタリング室Mに通じており、このメタリング室Mに燃料タンクFTから燃料が供給される。

ロータリバルブ本体4は、定置された燃料ノズル8と同軸の軸線を中心に回転可能である。燃料ノズル8の先端部(上部)には、その周壁に燃料吐出口8aが設けられている(図3)。燃料吐出口8aは、気化器内エア通路6に燃料を供給する「燃料吐出部」を構成する。すなわち、気化器内エア通路6を通るエアによって、燃料吐出口8aから燃料が吸い出される。これにより気化器内エア通路6で混合気が生成される。混合気は、従来と同様に2サイクル内燃エンジンのクランク室に供給される。

図から良く分かるように、燃料ノズル8には、従来と同様にニードル10の一部が挿入されている。すなわち、ロータリバルブ本体4の軸線上にニードル10が配置され、ニードル10は燃料ノズル8と同軸である。そして、ニードル10の先端部(下端部)が燃料ノズル8の中に挿入されている。このニードル10の挿入端によってバルブ開度つまり燃料吐出口8aの有効開口面積が規定される。すなわち、ニードル10は、燃料吐出部の開度を調整するバルブとして機能し、そして、このニードル10の位置によって燃料吐出部の開度が規定される。

ニードル10は電動弁の一部を構成する。ニードル10には、ニードル10をその軸線に沿って上下に変位させる駆動機構部品12が設けられている(図1、図2)。駆動機構部品12は、例えばスクリューネジを使った変換機構を含み、回転運動を直線運動に変換する。駆動機構部品12には、電動アクチュエータであるステッピングモータ14(図1)が連結されている。ステッピングモータ14はニードル10を上下に変位させてバルブ開度つまり燃料吐出口8aの有効開口面積を可変に制御する。ステッピングモータ14を含むニードル10は、磁気を帯びることがないため、ソレノイドバルブと違って鉄粉が吸着する可能性はないという利点がある。

一般論として、ソレノイドバルブは電動弁の中で最も普及しており、比較的安価に入手可能であるという利点があるため、ソレノイドバルブを使った制御の実用的価値は大きい。しかし、燃料制御にソレノイドバルブを用いると、ソレノイドバルブが電磁石を含んでいることに伴う問題が発生する。ソレノイドバルブは、その動作に伴ってバルブが磁気を帯びる。磁気を帯びたバルブは金属粉を引き寄せる。そしてバルブに金属粉が吸着することでバルブの動作不良を発生してしまう。

図2に図示の参照符号18は戻しバネを示し、また、参照符号20はカバー部材を示す。出力制御弁を構成するロータリバルブ本体4を収容した気化器本体2はカバー部材20で閉じられている。そして、カバー部材20とロータリバルブ本体4との間に戻しバネ18が介装されている。

ロータリバルブ本体4は、上方に延びる筒状のスロットルシャフト22を有し(図2、図3)、この中空のスロットルシャフト22はカバー部材20を通過して上方に延びている。スロットルシャフト22は、カバー部材20に対して相対回転自在である。スロットルシャフト22の外周面は非円形の異形断面形状を有する(図2)。カバー部材20は気化器本体2に固定される。

スロットルシャフト22の回りには、スロットルレバー24及びポジションセンサ26が配置されている。ポジションセンサ26はリング状の形状のケースを有し、ケースはスロットルシャフト22と同軸に配置されている。ポジションセンサ26のケースは、スロットルシャフト22の周囲の少なくとも一部を包囲する形状を有し、駆動機構部品12の上端部を包囲する固定部材28(図1)及び第1のボルト30によってカバー部材20に固定されている。固定部材28の図示を図2では省略してある。第2のボルト32によって駆動機構部品12が固定部材28に締結され、そして駆動機構部品12は、中空のスロットルシャフト22の中に収容されている。

スロットルレバー24は、スロットルシャフト22を受け入れる開口を有し、この開口は、スロットルシャフト22と相補的な異形の形状を有している。この構成により、スロットルレバー24はスロットルシャフト22つまりロータリバルブ本体4と相対回転不能に連結されている。

図2を参照して、スロットルレバー24は、ワイヤ(図示せず)を介して、スロットル・トリガ(図示せず)に機械的に連係されている。スロットル・トリガは、作業者が操作するための出力制御操作部材である。作業者がスロットル・トリガを操作すると、この操作に連動したスロットルレバー24の動きによってロータリバルブ本体4が軸回転する。ロータリバルブ本体4の軸回転によって気化器内エア通路6の通路有効断面積つまりスロットル開度が規定される。

なお、出力制御弁であるロータリバルブ本体4と、出力制御操作部材であるスロットル・トリガとの連係は、上述したワイヤによる機械的な連結に限られない。JP特開平4−255535号公報に開示のように、出力制御弁を駆動するモータと、このモータを制御する制御手段(CPU)とを設けて、出力制御弁と出力制御操作部材とを電子的に連結してもよい。

スロットルシャフト22の周囲に配置されたリング状のポジションセンサ26は、スロットルレバー24の回転位置つまりロータリバルブ本体4の回転位置を無段階で検出することができる。すなわち、ポジションセンサ26によってスロットル開度を全閉から全開までリニアに且つ無段階に検出することができる。変形例として、スロットル開度を検出するスロットル開度検出センサであるポジションセンサ26は多段階にスロットル開度を検出するようにしてもよい。

スロットル開度検出センサであるポジションセンサ26によって検出したスロットル開度は燃料供給制御に用いられる。燃料供給制御の概要を説明すると、先ず、スロットル開度に関し、その程度に応じて、つまり全閉(スロットル開度0%)から全開(スロットル開度100%)まで複数の区分に分けられた制御マップが用意される。マップは、スロットル開度の程度に応じて分けた複数の区分を有している。複数の区分は、各区分毎に設定されたステッピングモータ14のステップ数(設定値)を含んでいる。このステップ数は、各区分において最もエンジン回転数が高くなるステップ数である。

スロットル開度0%〜スロットル開度100%を次のように「10」に分けたと仮定する。 (1)第1区分:開度0%〜開度10%未満 (2)第2区分:開度10%〜開度20%未満 (3)第3区分:開度20%〜開度30%未満 (4)第4区分:開度30%〜開度40%未満 (5)第5区分:開度40%〜開度50%未満

(6)第6区分:開度50%〜開度60%未満 (7)第7区分:開度60%〜開度70%未満 (8)第8区分:開度70%〜開度80%未満 (9)第9区分:開度80%〜開度90%未満 (10)第10区分:開度90%〜開度100%

ポジションセンサ26が検出したスロットル開度は、上記第1区分ないし第10区分のいずれかに属するはずである。各区分には、上述したように、ステッピングモータ14のステップ数つまりニードル10の位置(バルブ開度:燃料吐出口の開度)が設定されている。このステップ数に関し、出荷時にメーカが各区分毎の最適値を予め設定する。最適値は、各区分において、最もエンジン回転数が高くなる値である。このステップ数によって、下記のように、各区分での燃料吐出口8aの有効開口面積が規定される。

(1)第1区分:第1ステップ数(ニードル10の第1位置)つまり燃料吐出口8aの第1有効開口面積(第1バルブ開度) (2)第2区分:第2ステップ数(ニードル10の第2位置)つまり燃料吐出口8aの第2有効開口面積(第2バルブ開度) (3)第3区分:第3ステップ数(ニードル10の第3位置)つまり燃料吐出口8aの第3有効開口面積(第3バルブ開度) (4)第4区分:第4ステップ数(ニードル10の第4位置)つまり燃料吐出口8aの第4有効開口面積(第4バルブ開度) (5)第5区分:第5ステップ数(ニードル10の第5位置)つまり燃料吐出口8aの第5有効開口面積(第5バルブ開度)

(6)第6区分:第6ステップ数(ニードル10の第6位置)つまり燃料吐出口8aの第6有効開口面積(第6バルブ開度) (7)第7区分:第7ステップ数(ニードル10の第7位置)つまり燃料吐出口8aの第7有効開口面積(第7バルブ開度) (8)第8区分:第8ステップ数(ニードル10の第8位置)つまり燃料吐出口8aの第8有効開口面積(第8バルブ開度) (9)第9区分:第9ステップ数(ニードル10の第9位置)つまり燃料吐出口8aの第9有効開口面積(第9バルブ開度) (10)第10区分:第10ステップ数(ニードル10の第10位置)つまり燃料吐出口8aの第10有効開口面積(第10バルブ開度)

ユーザがスロットル・トリガを操作すると、スロットル・トリガとワイヤ連結されたスロットルレバー24が回転する。スロットルレバー24が回転するとロータリバルブ本体4が回転する。ロータリバルブ本体4の回転により、気化器内エア通路6の通路有効断面積つまりスロットル開度が変化する。

スロットルレバー24の回転位置つまりスロットル開度は、ポジションセンサ26によって検出される。ポジションセンサ26が検出したスロットル開度は、上記第1乃至第10区分のいずれかに属する。スロットル開度が属する区分のステップ数(マップの設定値)がステッピングモータ14に供給される。例えば、検出したスロットル開度が、今現在、第2区分に属しているときには、ステッピングモータ14には第2ステップ数が供給される。これによりニードル10の位置が第2位置に位置決めされ、この第2位置のニードル10によって第2バルブ開度つまり第2有効開口面積の燃料吐出口8aが形成される。作業中つまりエンジンが動作している最中、作業者の操作によってスロットル開度が変化したときには、変化したスロットル開度が属する区分のステップ数に基づいてステッピングモータ14の回転位置(ニードル10の位置)が位置決めされる。このように、エンジン運転中は、常時、スロットル開度を検出し、制御マップに基づいて検出したスロットル開度に対応する区分のステップ数に基づいてステッピングモータ14の回転位置(ニードル10の位置)が位置決めされ、これにより燃料吐出部の開度が設定される。

変形例として、上記の説明では区分の数を「10」で説明したが、区分の数は任意である。より緻密な制御を実行したいときには、区分の数を例えば「15」とか「20」というように「10」よりも多い区分の数を設定すればよい。また、上記の例ではスロットル開度0%〜100%まで均等に分けたが、不均等に分けてもよい。

ユーザが作業している最中に各区分の設定値(ステップ数)を更新して、今現在の環境や燃料の種類などに対応した最適なステップ数を設定するのがよい。すなわち、ユーザが作業機を使って実際に作業している最中に、各区分の設定値を更新し続けるのがよい。これにより燃料供給制御を今現在の環境、今現在使用している燃料の種類などに適合した燃料供給の最適化を実現することができる。

図3を参照して、ステッピングモータ14は制御ユニット40によって制御される。この制御ユニット40には、ポジションセンサ26が検出したスロットル開度が入力され、また、温度センサ42からエンジン温度が入力され、エンジンが冷機状態か暖まった状態かの判断に用いられる。温度センサ42の設置は任意である。

制御ユニット40はメモリ44を有し、工場出荷時に、ステッピングモータ14を含む燃料供給システムを制御するためのデータつまり制御マップがメモリ44に記憶されている。ここに、燃料供給システムを制御するためのデータは、前述したように、スロットル開度に基づく複数の区分と、各区分毎に設定されたステッピングモータ14のステップ数つまりニードル10の位置(燃料吐出部の開度)とを含む。

マップに含まれる各区分のステップ数は一定の条件の下で更新される。このステップ数を更新する処理を「最適化処理」と呼ぶと、この最適化処理は、エンジンの運転状態が落ち着いているとき、つまり定常運転のときに実行される。換言すれば、最適化処理は、作業者が操作するスロットル・トリガの操作が安定しているときに実行するのが良い。換言すれば、作業者のトリガ操作が、加速操作、減速操作、スロットル・トリガの位置の微調整操作を行っているときには、最適化処理を禁止するのが良い。

最適化処理は次の「ベストサーチ処理」を含む。ベストサーチ処理は、マップに設定されているステップ数を徐々に変化させてエンジン回転数が最も高くなるステッピングモータ14のステップ数を求める。ベストサーチ処理により得たステップ数によって、マップの該当する区分のステップ数が上書き保存される。

上述した最適化処理やベストサーチの実行を、エンジンが冷たい状態では、キャンセルしてもよい。逆に、エンジンが冷たい状態においても上述した最適化処理やベストサーチを実行することにより、エンジンが冷たい状態から暖かい状態に達するまでの間でも各区分での設定値を最適化することができる。

以下に説明する実施例は、スロットル開度0%(全閉)〜100%(全開)を17に分割した第0区分ないし第16区分を備えたマップに基づいて燃料供給制御が実行される。ベストサーチを含む最適化処理は一定の条件が成立する毎に実行される。最適化処理を実行する運転状態と、これを実行しない運転状態とを区分したのが図5である。

図4、図5において、「α」はスロットル開度を意味している。スロットル開度αは上述したポジションセンサ26(図2、図3)によって検出することができる。「Δα」はスロットル開度の変化量を意味する。図4のステップS1において、スロットル開度の変化量ΔαがΔα1以上であるか否かの判定が行われる。このステップS1においてYesであるときには、加速中であるとしてステップS2に進む。ステップS2において最適化処理が行われない。

上記ステップS1においてNoのときにはステップS3に進んで、スロットル開度の変化量Δαが−Δα1以下であるか否かの判定が行われる。このステップS3においてYesであるときには、減速中であるとしてステップS4に進む。ステップS4において最適化処理が行われない。

上記ステップS3においてNoのときにはステップS5に進んで、スロットル開度の変化量Δαが−Δα1<Δα<−Δα2又はΔα2<Δα<Δα1であるか否かの判定が行われる(図5参照)。ここに、|Δα1|>|Δα2|である。つまり、ステップS5において、作業者が所望のエンジン回転数を得るためにスロットル・トリガを微妙に動かして所望のエンジン回転数を探している状態であるか否かの判定が行われる。このステップS5においてYesであるときには、作業者がスロットル・トリガの位置を調整している最中であるとしてステップS6に進む。ステップS6において、最適化処理が行われない。

ステップS5においてNoのときにはステップS7に進んで、スロットル開度αが全開(WOT)且つスロットルバルブの開度変化が殆ど無い(Δα=0)か否かの判定が行われる。このステップS7でYesであるときにはスロットル開度が全開位置で安定しているとしてステップS8に進んで最適化処理が実行される。また、ステップS7においてNoのときには、スロットル開度がパーシャル又はアイドル以下で安定しているとしてステップS9に進んで最適化処理が実行される。

最適化処理に関する第1のやり方を図6乃至図12に基づいて説明する。第1のやり方では、第0区分ないし第16区分において上記の条件を満足した運転状態において、当該運転状態でのスロットル開度が該当する区分でベストサーチ処理を実行し、その結果求めることができた、最も高いエンジン回転数を実現できるステップ数(ニードル10の位置)を当該区分に関連付けて更新する。ベストサーチ処理を実行した区分でない他の区分の設定値(ステップ数)は、上記ベストサーチ処理を実行して求めたステップ数を念頭に置いた修正を加えて、修正したステップ数で当該他の区分の設定値を更新するのがよい。すなわち、例えば第13区分のベストサーチを行って、この第13区分のステップ数を更新したときに、この第13区分のステップ数に基づいて他の区分のステップ数を修正するのがよい。これにより、最適化処理の回数が少ないときでも、全ての区分でのステップ数をほぼ適正なステップ数に修正することができる。

上記の他の区分の修正の具体的な仕方として、パーシャルスロットル開度を含む区分、例えば第13区分のベストサーチが完了したときに、これにより求めたステップ数と、その前の旧ステップ数との偏差を他の区分のステップ数に反映させる修正を行うのがよい。他の仕方として、例えば第13区分のベストサーチが完了して第13区分のステップ数を更新したら、当該第13区分のベストサーチを実行する直前にベストサーチした他の区分のステップ数と、第13区分の更新後のステップ数とで線形補間して、他の全ての区分のステップ数を修正してもよい。

図6は工場出荷時の状態を示している。工場出荷時に、第0区分ないし第16区分毎に設定されたステッピングモータ14のステップ数(ニードル10の位置:燃料吐出部の開度)を含むマップが、制御ユニット40のメモリ44に記憶されている。上記工場出荷時の各区分のステップ数を基本ステップBSと呼び、これを図6の(a)において一点鎖線で図示してある。この基本ステップBSは上記最適化処理によって更新される。

図6の(b)はメモリに記憶されたマップである。図6の(b)を参照して、項目「ステップ」はステッピングモータ14のステップ数を意味している。

図7は、作業機を入手したユーザがエンジンを起動した状態を示す。このときのエンジンはアイドル運転状態であり、最適化処理を実行する条件が整っている。アイドル運転でのスロットル開度は第3区分に属する。したがって、第3区分のステップ数がベストサーチの対象となる。このベストサーチは、メモリに記憶されているステップ数を当該第3区分内で変化させて、エンジン回転数が最も高くなるステップ数を求める。そして、このベストサーチで求められた最適なステップ数で第3区分の設定値(ステップ数:燃料吐出部の設定開度)が更新される。

ベストサーチの処理において、図7(a)に記載の「リッチ」は、メモリ44に記憶されているステップ数(現在の設定値)よりも若干ステップ数を大きくしたことを意味している。逆に、図7(a)に記載の「リーン」は現在の設定値よりも若干ステップ数を小さくしたことを意味している。ベストサーチは、上述したように、ステップ数を徐々に変化させてエンジン回転数が最も高いときのステップ数を求め、そして、この新たなステップ数によって現在のステップ数を更新する。

図7は、第3区分(IDLE)でベストサーチを行った後のデータ処理を示す。このデータ処理では、第3区分の更新値を他の区分のステップ数に反映する処理が行われる。すなわち、先ず、第3区分のベストサーチで得られたステップ数で当該第3区分の設定ステップ数が上書きされる。そして、この第3区分の更新ステップ数と、工場出荷時に設定された基本ステップBSにおける第16区分(WOT)のステップ数とに基づいて、これらの間の第4区分ないし第15区分のステップ数が線形補間により求められ、線形補間により求められたステップ数によって各区分のステップ数が更新される。同様に、第3区分の更新後のステップ数と、基本ステップBSにおける第0区分のステップ数とに基づいて、これらの間の第1区分、第2区分のステップ数が線形補間により求められ、この線形補間により求められた各区分のステップ数によって更新される。線形補間したデータを図7(a)において参照符号Sar(1)で示してある。

図8は、第3区分でベストサーチして当該第3区分のステップ数を更新(図7)し、そしてこのステップ数で他の区分を最適化した、その次の段階での最適化処理において、第13区分でベストサーチを実行した後のデータ処理を示す。第13区分でベストサーチして得られたステップ数で当該第13区分の設定値(ステップ数)が更新される。また、このベストサーチで得られた第13区分の新たなステップ数と、その直前の最適化処理で求めたデータSar(1)における第16区分(WOT)のステップ数とに基づいて、これらの間の第14区分、第15区分のステップ数が線形補間により求められる。そして、この線形補間により求めたステップ数によって第14区分、第15区分のステップ数が更新される。同様に、第13区分の更新後の新たな設定値(ステップ数)と、その直前の最適化処理で求めたデータSar(1)における第3区分(IDLE)のステップ数とに基づいて、これらの間の第4区分ないし第12区分のステップ数が線形補間により求められ、この線形補間により求めたステップ数によって第4区分ないし第12区分のステップ数が更新される。線形補間した後のデータを図8(a)において参照符号Sar(2)で示してある。

図9は、第13区分でベストサーチし、これに基づいて他の区分のステップ数を更新した最適化処理の後の次の段階で、第16区分(WOT)でベストサーチした後のデータ処理を示す。先ず、第16区分でのベストサーチで得られたステップ数で当該第16区分の設定値(ステップ数)が上書き保存される。そして、この第16区分の更新後のステップ数と、その直前の最適化処理で求めたデータSar(2)における第13区分の設定値(ステップ数)とに基づいて、これらの間の第14区分、第15区分のステップ数が線形補間により求められ、この線形補間により求めたステップ数で第14区分、第15区分のステップ数が更新される。線形補間したデータを図9(a)において参照符号Sar(3)で示してある。

図10は、スロットル全開(WOT)で上記の条件を満足したときには、第16区分(WOT)でベストサーチを行い、そして、これに関連した他の区分のステップ数の修正を行う最適化処理(図9)を行った後の次の段階で、第6区分でベストサーチを実行した後のデータ処理を示す。第6区分のベストサーチで得られたステップ数(ニードル10の位置:燃料吐出部の設定開度)で当該第6区分のステップ数が上書き保存される。そして、このベストサーチで得られた第6区分の設定ステップ数と、その直前の最適化処理で求めたデータSar(3)における第13区分の設定ステップ数とに基づいて、これらの間の第7区分ないし第12区分の設定ステップ数が線形補間により求められ、この線形補間により求めた各区分のステップ数で第7区分ないし第12区分の設定ステップ数が更新される。また、今回のベストサーチで得られた第6区分のステップ数と、データSar(3)における第3区分(IDLE)のステップ数とに基づいて、これらの間の第4区分、第5区分のステップ数が線形補間により求められ、この線形補間により求めたステップ数で第4区分、第5区分の設定ステップ数が更新される。線形補間により求めたステップ数を図10(a)において参照符号Sar(4)で示してある。

図11は、第6区分でベストサーチを行い、これに伴う他の区分のステップ数の修正を含む最適化処理(図10)を行った後において、第13区分に属する運転状態において上述した一定の条件が成立したら、この第13区分での最適化処理が実行される。すなわち、第13区分のベストサーチを再度、実行する。そして、第13区分の再度のベストサーチで得られたステップ数(ニードル10の位置)で当該第13区分のステップ数が上書き保存される。また、この第13区分のステップ数と、その直前の最適化処理で求めたデータSar(4)(図10)における第6区分のステップ数とに基づいて、これらの間の第7区分ないし第12区分のステップ数が線形補間により求められ、この線形補間により求めた各区分の設定ステップ数が更新される。また、ベストサーチで求めた第13区分のステップ数と、その直前の最適化処理に伴って求めたデータSar(4)(図10)の第16区分(WOT)のステップ数とに基づいて、これらの間の第14区分、第15区分のステップ数が線形補間により求められ、この線形補間により求めたステップ数(ニードル10の位置)で第14区分、第15区分のステップ数が更新される。線形補間により求めたデータを図11(a)において参照符号Sar(5)で示してある。

作業中、上述した一定の条件が成立する運転状態になる毎に、燃料制御マップの設定値(ステップ値)の最適化処理が実行される。図12は、各区分のステップ数の最適化処理を実行し続けて各区分のデータを更新し続けることで、全ての区分のステップ数を最適化できることを説明するための図である。図6ないし図12を参照して説明した第1のやり方は、今現在ベストサーチで求めたステップ数で更新した一つの区分と、この一つの区分のステップ数に基づいて、これに隣接する区分のステップ数を修正するために線形補間が用いられる。既にベストサーチを行った区分が存在するときには、このベストサーチ済みの区分のステップ数とに基づいて、これら2つの区分の間に位置する区分のステップ数を線形補間により修正するのがよい。仮に、第n区分に隣接した区分において、既にベストサーチしたステップ数が無いときには、第0区分又はアイドル領域である第3区分又は全開領域である第16区分の出荷時の基本ステップ数を使って線形補間すれば良い。

最適化処理に関する第2のやり方を図13乃至図16に基づいて説明する。図13は、前述した図6と同じであり、工場出荷時の状態を示している。図14は、図7と同様に、作業機を入手したユーザが初めてエンジンを起動した状態を示す。このときアイドル運転で上記の一定の条件を満足したときには第3区分(IDLE)でベストサーチが行われ、そして、この第3区分のステップ数(設定値)の更新と共に他の区分のステップ数の修正を行う最適化処理が実行される。図14は、第3区分でのベストサーチ及びこれに伴い他の区分の修正を行った後のデータを示す。第1のやり方(図7)との違いは、この第2のやり方では、更新した第3区分(IDLE)のステップ数と、基本ステップBSつまり出荷時に設定した第3区分のステップ数との差分値に基づいて他の区分の基本ステップBSを修正して各区分のステップ数が求められ、そして、この修正したステップ数で各区分の設定ステップ数が更新される。これにより、工場出荷時の基本ステップBSと、ベストサーチした第3区分つまりアイドル運転時にベストサーチしたステップ数とに基づいて、他の全ての区分のステップ数を修正することができる。図14の(a)において、この修正後のステップ数に参照符号Sar(1)を付してある。

上述した第3区分つまりアイドル運転時にベストサーチし、そして他の区分のステップ数を修正する最適化処理(図14)の次の段階において、第13区分に属する運転状態において上述した一定の条件が成立したら、この第13区分での最適化処理が実行される。この第13区分のベストサーチを実行した後のデータを図15に示す。第13区分のベストサーチで求めたステップ数と、前回のデータSar(1)の第3区分(IDLE)のステップ数とに基づいて、全ての区分のステップ数が線形補間により求められる。このようにして求めたステップ数に参照符号Sar(2)を付してある。

上述した第13区分でベストサーチし、そして他の区分のステップ数を修正する最適化処理(図15)の次の段階において、第16区分に属する運転状態(WOT)において上述した一定の条件が成立したら、この第16区分での最適化処理が実行される。この第16区分(WOT)のベストサーチを行った後のデータを図16に示す。第16区分(WOT)のベストサーチで求めたステップ数(ニードル10の位置)と、前回のデータSar(2)の第3区分のステップ数とに基づいて、他の全ての区分のステップ数が線形補間により求められる。このようにして求めたデータに参照符号Sar(3)を付してある。

以後、上記の一定の条件を満足した運転状態になると、そのときのスロットル開度が属する区分でベストサーチが行われ、そして、他の区分のステップ数を修正する最適化処理が継続的に実行される。

最適化処理に関する第3のやり方を図17乃至図20に基づいて説明する。図17は、前述した図6、図13と同じであり、工場出荷時の状態を示している。次の図18は、前述した図14と同じであり、作業機を入手したユーザがエンジンを起動した状態を示す。アイドル運転で上記の条件を満足したときには、第3区分(IDLE)でベストサーチが実行される。また、図18は、第3区分(IDLE)でベストサーチを行ってステップ数を更新し、そして、この第3区分の更新ステップ数と、基本ステップBSにおける第3区分のステップ数との間の差分に基づいて、第2やり方と同様に、他の区分の基本ステップBSを修正してステップ数が求められ、このステップ数で各区分の設定ステップ数が更新される。これにより、工場出荷時の基本ステップBSは第3区分のベストサーチで求めたステップ数と共に他の区分のステップ数も修正されることになる。この修正した後の保存データに対して、図18の(a)において、参照符号Sar(1)を付してある。

図19は、パーシャルなスロットル開度、例えば第13区分に属するスロットル開度の運転状態で上記の条件を満足したときには、第13区分のベストサーチが実行され、これにより求めたステップ数で第13区分のステップ数が更新される。

この第13区分でのステップ数の更新と共に、他の区分のステップ数の修正が行われる。具体的には、第13区分のベストサーチで求めたステップ数と、前回求めた修正データSar(1)における第16区分(全開)のステップ数とに基づいて、第14区分、第15区分のステップ数が線形補間により求められる。同様に、第13区分の更新ステップ数と、前回求めた修正データSar(1)における第3区分(IDLE)のステップ数とに基づいて、第4区分ないし第12区分のステップ数が線形補間により求められ、この線形補間により求めたステップ数で各区分のステップ数が更新される。この更新後の各区分のステップ数に参照符号Sar(2)を付してある。

図20は、順次、例えば、第6区分、第n区分、第13区分などパーシャルなスロットル開度での運転で上記の条件を満足したときには、該当する区分でベストサーチが実行され、また、他の区分のステップ数(設定値)の修正が実行される。これにより、パーシャルなスロットル開度でのステップ数が、実際の運転状態で実行されるベストサーチで最適化される。これにより求めた修正後のデータに参照符号Sar(3)を付してある。これにより燃料供給制御のマップに含まれる全ての区分、特にパーシャルの区分の設定値(ステップ数)を、作業中に、上記の一定の条件を満たす毎に更新して、燃料供給制御を最適化することができる。

以上、ロータリ式気化器100を含む2サイクル内燃エンジンを搭載した作業機を例に本発明の実施例を説明したが、本発明は、バタフライバルブ式気化器を備えた作業機にも適用可能である。図21は、バタフライバルブ式気化器を備えたエンジンを搭載した携帯作業機に本発明を適用した例を説明するための図である。

図21において、バタフライバルブ式気化器250は気化器内エア通路202を有し、気化器内エア通路202をエアフィルタでろ過したエアが通過する。エアの流れを矢印Aで図示してある。気化器内エア通路202には、出力制御弁であるバタフライ弁204が配設されている。バタフライ弁204は、前述したスロットル・トリガとワイヤを介して機械的に連係されている。作業者がスロットル・トリガを操作することによりバタフライ弁204を開け閉めして、所望の運転状態になるようにスロットル開度を調整することができる。

バタフライバルブ式気化器250は燃料タンク206から汲み上げた燃料を蓄えるメタリング室208を有し、また、メタリング室208から燃料が供給されるスロー系チャンバ210を有している。気化器内エア通路202に燃料を吐出する燃料吐出部212は、スロー系チャンバ210に連通したスロー系吐出部214と、メタリング室208に連通したメイン吐出部216とを有している。スロー系吐出部214はバタフライ弁204に臨んで配置されている。メイン吐出部216は、バタフライ弁204の上流側に位置する固定式のベンチュリー部218に配置されている。

メタリング室208とメイン吐出部216とは、第1、第2の燃料供給通路220、222を介して連通され、第2の燃料供給通路222には針弁230が介装されている。この針弁230のバルブ開度を制御することにより第2の燃料供給通路222の通路開度を0〜100%の範囲で制御することができる。この針弁230の駆動源はステッピングモータ232であり、ステッピングモータ232の回転動作は変換機構234によって直線動作に変換される。このステッピングモータ232の制御に本発明に従う燃料供給制御を好適に適用することができる。前述したポジションセンサ(スロットル開度検出センサ)26は、バタフライ弁204の回転位置を検出するように設置される。

100 ロータリ式気化器 4 ロータリバルブ本体(出力制御弁) 8 燃料ノズル(燃料吐出部) 8a 燃料吐出口 10 ニードル 14 ステッピングモータ(電動アクチュエータ) 26 ポジションセンサ(スロットル開度検出センサ) 40 制御ユニット 42 温度センサ M メタリング室(燃料源) 250 バタフライバルブ式気化器 216 メイン吐出部 220 第1燃料供給通路 222 第2燃料供給通路 230 針弁 232 ステッピングモータ(電動アクチュエータ)

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