二次空気導入装置

申请号 JP2017077330 申请日 2017-04-10 公开(公告)号 JP2018178808A 公开(公告)日 2018-11-15
申请人 スズキ株式会社; 发明人 田中 和宏; 秋田 佳克;
摘要 【課題】排気ポートへ空気を導入する通路を逆流した排気がリード弁の弁体に直接当たり、またはリード弁の弁体とストッパとの間に直接入ることによる弁体等の部品の破損等を防止する。 【解決手段】エアクリーナと排気ポートとの間を接続する空気導入通路の途中にリード弁を設け、排気ポート内の負圧を利用してリード弁を開弁させ、排気ポート内に空気を導入する二次空気導入装置において、空気導入通路のリード弁と排気ポートとの間に逆流制限部材41を設ける。逆流制限部材41は、空気導入通路の伸長方向と交わる面を有する平板部42を有し、平板部42は、エアクリーナから排気ポートへ向かって空気導入通路を流れる空気を通過させる空気通過領域44と、排気ポートから空気導入通路を逆流する排気のうちリード弁の弁体へ直接当たる方向に流れる排気を遮断する逆流遮断領域47とを有している。 【選択図】図11
权利要求

エンジンのシリンダヘッドに設けられた排気ポート内の負圧を利用して前記排気ポート内に空気を導入する二次空気導入装置であって、 大気を取り込む空気取込部と前記排気ポートとの間を接続する空気導入通路が設けられた空気導入部と、 前記空気導入通路に設けられ、前記排気ポート内の圧に応じて前記空気導入通路を開閉するリード弁と、 前記空気導入通路において前記リード弁と前記排気ポートとの間に設けられ、前記空気導入通路の伸長方向と交わる面を持つ板部を有する逆流制限部材とを備え、 前記板部は、前記空気取込部から前記排気ポートへ向かって前記空気導入通路を流れる空気を通過させる空気通過領域と、前記排気ポートから前記空気導入通路を逆流する排気のうち少なくとも前記リード弁の弁体へ直接当たる方向に流れる排気を遮断する逆流遮断領域とを有していることを特徴とする二次空気導入装置。前記逆流遮断領域は、前記板部のうち、前記弁体において前記排気ポートから前記空気導入通路を逆流する排気が直接当たる部分と前記空気導入通路の伸長方向において対向する部分に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の二次空気導入装置。前記空気導入通路は、弁室と、前記空気取込部と前記弁室との間を接続する第1の通路と、前記弁室と前記排気ポートとの間を接続する第2の通路とを備え、 前記リード弁は、前記弁室内を前記第1の通路が接続された第1の室と前記第2の通路が接続された第2の室とに分割するように設けられ、 前記逆流制限部材は前記第2の室内に設けられ、 前記逆流遮断領域は、前記板部の前記排気ポート側を向いた面において、前記第2の室内に開口した前記第2の通路の開口部を投影した領域の一部または全部を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の二次空気導入装置。前記リード弁は、前記第2の室側を向いた面に着座面が設けられた基体と、前記基体に設けられ、前記着座面に離着座する前記弁体と、前記弁体の離座方向の移動量を規制するストッパとを備え、 前記第2の通路は、排気の一部が当該第2の通路から前記第2の室内へ前記弁体と前記ストッパとの間に直接入る方向に流出するように設けられ、 前記逆流遮断領域は、前記第2の通路から前記第2の室内へ流出する排気のうち、少なくとも前記弁体と前記ストッパとの間に直接入る方向に流出する排気を遮断することを特徴とする請求項3に記載の二次空気導入装置。前記板部において、前記空気通過領域には、複数の孔を配列することにより形成された通気構造が設けられ、前記逆流遮断領域には前記通気構造が設けられていないことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の二次空気導入装置。前記板部において、前記空気通過領域および前記逆流遮断領域には、複数の孔を配列することにより形成された通気構造がそれぞれ設けられ、前記逆流遮断領域に設けられた前記通気構造は、前記空気通過領域に設けられた前記通気構造と比較し、単位面積当たりの孔の個数が少ないことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の二次空気導入装置。前記板部において、前記空気通過領域および前記逆流遮断領域には、複数の孔を配列することにより形成された通気構造がそれぞれ設けられ、前記逆流遮断領域の面積に対する前記逆流遮断領域内に配列された複数の孔の合計面積の割合が、前記空気通過領域の面積に対する前記空気通過領域内に配列された複数の孔の合計面積の割合よりも小さいことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の二次空気導入装置。

说明书全文

本発明は、エンジンのシリンダヘッドに設けられた排気ポート内の負圧を利用して排気ポート内に空気を供給する二次空気導入装置に関する。

自動二輪車等のエンジンには、排気ポート内の負圧を利用して排気ポート内に空気を供給する二次空気導入装置が設けられることがある。この二次空気導入装置によれば、燃焼室から排出される排気中の未燃ガスを、排気ポートに導入した空気により燃焼させることができる。これにより、エンジンの始動時等において排気温度を上昇させ、触媒の早期活性化を図ることができる。

二次空気導入装置は、例えば、吸気系におけるエアクリーナから排気ポートへ空気を導入する通路を形成し、この通路の途中に弁室を形成し、弁室内にリード弁を設けることにより構成される。このような二次空気導入装置において、排気の脈動により排気ポート内に負圧が生じたとき、この負圧により、リード弁が開き、エアクリーナ側から排気ポート内へ空気が吸引される(下記の特許文献1を参照)。

特許第3330019号公報

上述した二次空気供給装置において、排気ポート内の負圧によりリード弁を開弁させ、排気ポート内へ空気を吸引するために、弁室と排気ポートとは、例えばシリンダヘッド等に形成された通路により連通している。このため、排気バルブが開弁し、排気が燃焼室から排出された直後等に、その排気の一部が弁室と排気ポートとの間の通路を逆流し、弁室内に設けられたリード弁の弁体に直接吹き当たることがある。

逆流した高圧の排気がリード弁の弁体に直接当たると、弁体が振動する。この振動により弁体の劣化が早まり、または弁体が破損することが懸念される。また、逆流した高温の排気が、弁体の振動により形成された弁体と弁座との間の隙間を通ってエアクリーナ側へ流入することがある。この場合には、リード弁の弁座において弁体が着座する部分に形成されたシール部材が排気の熱により早期に劣化し、または溶損することが懸念される。

また、リード弁は弁体の離座方向の移動量を規制するストッパを備えている。弁室と排気ポートとを連通する通路が弁室内へ接続する度や、弁室内におけるリード弁の取付位置等によっては、逆流した排気がリード弁の弁体とストッパとの間に直接入って弁体とストッパとの間を高速に流れ、この排気の流れにより弁体が弁座から浮き上がることがある。このため、高温の排気がリード弁を越えてエアクリーナ側へ逆流し、例えばエアクリーナと弁室との間の経路に設けられた配管等を早期に劣化させ、または破損させるおそれがある。

上記特許文献1には、リード弁が設けられた弁室内において排気ポート側の領域に遮熱板を設ける構成が記載されている。この遮熱板はアルミニウムにより形成されており、この遮熱板には多数の通気孔が形成されている。逆流した排気はこの遮熱板を通過してリード弁に至る。排気が遮熱板を通過する際、排気が遮熱板により熱引きされ、排気の温度が下降する旨が上記特許文献1に記載されている。

しかしながら、上記遮熱板の基板には、特許文献1の図6に示されているように、多数の通気孔が全域に亘って形成されている。このため、逆流した排気が通気孔を通ってリード弁の弁体に直接当たり、弁体を振動させるおそれがあり、または、逆流した排気が通気孔を通ってリード弁の弁体とストッパとの間に直接入り、弁体を浮上させるおそれがある。

本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、排気ポートへ空気を導入する通路を逆流した排気がリード弁の弁体に直接当たり、またはリード弁の弁体とストッパとの間に直接入ることによる弁体等の部品の早期の劣化または破損を防止することができる二次空気導入装置を提供することにある。

上記課題を解決するために、本発明の二次空気導入装置は、エンジンのシリンダヘッドに設けられた排気ポート内の負圧を利用して前記排気ポート内に空気を導入する二次空気導入装置であって、大気を取り込む空気取込部と前記排気ポートとの間を接続する空気導入通路が設けられた空気導入部と、前記空気導入通路に設けられ、前記排気ポート内の圧に応じて前記空気導入通路を開閉するリード弁と、前記空気導入通路において前記リード弁と前記排気ポートとの間に設けられ、前記空気導入通路の伸長方向と交わる面を持つ板部を有する逆流制限部材とを備え、前記板部は、前記空気取込部から前記排気ポートへ向かって前記空気導入通路を流れる空気を通過させる空気通過領域と、前記排気ポートから前記空気導入通路を逆流する排気のうち少なくとも前記リード弁の弁体へ直接当たる方向に流れる排気を遮断する逆流遮断領域とを有していることを特徴とする。

本発明によれば、排気ポートへ空気を導入する通路を逆流した排気がリード弁の弁体に直接当たり、またはリード弁の弁体とストッパとの間に直接入ることにより、弁体等の部品が早期に劣化し、または破損することを防止することができる。

本発明の実施例の二次空気導入装置が設けられたシリンダヘッドを示す説明図である。

本発明の実施例の二次空気導入装置を示す説明図である。

図2中の矢示III−III方向から見た二次空気導入装置を示す説明図である。

図3中の矢示IV方向から見た弁室形成凹部およびヘッド内通路の開口部を示す説明図である。

本発明の実施例の二次空気導入装置において、リード弁が取り付けられた弁カバーを示す斜視図である。

本発明の実施例の二次空気導入装置におけるリード弁を示す斜視図である。

本発明の実施例の二次空気導入装置におけるリード弁を示す分解斜視図である。

本発明の実施例の二次空気導入装置におけるリード弁の動作を示す説明図である。

本発明の実施例の二次空気導入装置における逆流制限部材を示す斜視図である。

本発明の実施例の二次空気導入装置において弁室形成凹部に逆流制限部材が取り付けられた状態を示す説明図である。

本発明の実施例の二次空気導入装置の逆流制限部材における空気通過領域および逆流遮断領域を示す説明図である。

本発明の実施例の二次空気導入装置において、仮にヘッド内通路の開口部とリード弁との間に何も介在していない場合に、逆流した排気がリード弁の弁体とストッパとの間に直接入る様子を示す説明図である。

本発明の実施例の二次空気導入装置において、仮にヘッド内通路の開口部とリード弁との間に何も介在していない場合に、リード弁において逆流する排気が直接当たる領域を示す説明図である。

本発明の実施例の二次空気導入装置における逆流制限部材の第1の変形例を示す説明図である。

本発明の実施例の二次空気導入装置における逆流制限部材の第2の変形例を示す説明図である。

本発明の実施例の二次空気導入装置における逆流制限部材の第3の変形例を示す説明図である。

本発明の実施形態の二次空気導入装置は、エンジンのシリンダヘッドに設けられた排気ポート内の負圧を利用して排気ポート内に空気を導入する装置である。当該二次空気導入装置は、大気を取り込む空気取込部と排気ポートとの間を接続する空気導入通路が設けられた空気導入部と、空気導入通路に設けられ、排気ポート内の圧力に応じて空気導入通路を開閉するリード弁と、空気導入通路においてリード弁と排気ポートとの間に設けられた逆流制限部材とを備えている。

逆流制限部材は、空気導入通路の伸長方向と交わる面を持つ板部を有している。そして、この板部は空気通過領域および逆流遮断領域を有している。空気通過領域は、空気取込部から排気ポートへ向かって空気導入通路を流れる空気を通過させる領域である。逆流遮断領域は、排気ポートから空気導入通路を逆流する排気のうち、少なくともリード弁の弁体へ直接当たる方向に流れる排気を遮断する領域である。

例えば、空気通過領域には、複数の孔を配列することにより形成された通気構造が設けられている。一方、逆流遮断領域には、通気構造が設けられておらず、または空気通過領域に形成された通気構造よりも空気または排気の流通を制限する通気構造が設けられている。

このような構成を有する二次空気導入装置において、燃焼室から排気が排出されたときに空気導入通路を逆流する排気のうち、リード弁の弁体に直接当たる方向に流れる排気は、弁体に至る前に逆流制限部材の逆流遮断領域に当たる。これにより、排気が弁体に直接当たることを防止することができる。したがって、高圧の排気が弁体に直接当たることによって弁体が振動することを防止することができる。これにより、振動によって、弁体の劣化が早まり、または弁体が破損することを防止することができる。

また、弁体の振動を防止することができるので、振動によって弁体が弁座から離れることにより形成された隙間を通って、高温の排気が空気取込部側へ逆流することを防止することができる。したがって、リード弁の弁座に形成されたシール部材、空気取込部に至る途中に設けられた配管等が排気の熱によって早期に劣化し、または破損することを防止することができる。

また、逆流した排気のうちリード弁の弁体に直接当たる方向に流れる排気を逆流制限部材の逆流遮断領域に当てることにより、逆流した排気がリード弁の弁体とストッパとの間に直接入ることを防止することができる。これにより、排気が弁体とストッパとの間を高速に流れることによって弁体が弁座から浮上することを防止することができる。したがって、高温の排気がリード弁を越えて空気取込部側へ逆流することを防止することができ、空気取込部に至る途中に設けられた配管等の早期劣化または破損を防止することができる。

一方、燃焼室から排気が排出された後に排気ポート内に生じる負圧により吸引される空気は、空気取込部から逆流制限部材の空気通過領域を通って排気ポートへ円滑に流れる。すなわち、逆流制限部材によれば、空気導入通路を逆流する排気の流れを制限しつつも、空気導入通路を順方向に流れる空気の圧力損失の増加を抑えることができる。

(シリンダヘッド) 図1は、本発明の実施例の二次空気導入装置11が設けられたシリンダヘッド1を示している。シリンダヘッド1は、例えば自動二輪車のエンジンに設けられる。シリンダヘッド1は4バルブエンジン用のシリンダヘッドである。図1は、シリンダヘッド1を左右方向中間位置で切断した片側部分の断面を示している。図1中の右側が排気側であり、エンジンが自動二輪車に搭載されたときには自動二輪車の前方を向く側である。一方、図1中の左側が吸気側であり、エンジンが自動二輪車に搭載されたときには自動二輪車の後方を向く側である。なお、以下の説明で方向を示す際には、エンジンが自動二輪車に搭載された場合において当該自動二輪車の運転者にとっての前、後、左、右、上、下を基準とする(各図中の右下の矢印を参照)。

シリンダヘッド1は、例えばアルミニウム合金により形成されたシリンダヘッド本体2を備えている。シリンダヘッド本体2には、燃焼室形成凹部3、吸気ポート4、排気ポート6およびプラグホール8が形成されている。

燃焼室形成凹部3は、エンジンにおいてシリンダヘッド1の下方に設けられたシリンダ内のピストンが上死点に位置するときに、ピストンの上面と共に燃焼室を形成する部分である。燃焼室形成凹部3は、シリンダヘッド本体2の下面中央に形成されている。

吸気ポート4は燃焼室に吸気を導入するためのポートである。吸気ポート4はシリンダヘッド本体2の後部に形成されている。吸気ポート4において、吸気が流入する流入側は1つの通路であるが、燃焼室に向かう途中で二股に分かれ、流出側は2つの通路となり、それぞれの通路が燃焼室内に連通している。そして、吸気ポート4の流出側の2つの通路には、それらの通路を開閉する吸気バルブ5がそれぞれ設けられている。

排気ポート6は燃焼室から排気を排出するためのポートである。排気ポート6はシリンダヘッド本体2の前部に形成されている。排気ポート6において、排気が流入する流入側は2つの通路であり、それぞれが燃焼室と連通しているが、燃焼室から離れる途中で合流し、流出側は1つの通路となっている。そして、排気ポート6の流入側の2つの通路には、それらの通路を開閉する排気バルブ7がそれぞれ設けられている。

プラグホール8は点火プラグを収容するための孔である。プラグホール8は、吸気ポート4と排気ポート6との間に形成されている。

また、シリンダヘッド1には、本発明の実施例の二次空気導入装置11が設けられている。二次空気導入装置11は、シリンダヘッド本体の前部において、排気ポート6の上方に設けられている。

(二次空気導入装置) 図2は二次空気導入装置11を示している。図3は、図2中の矢示III−III方向から見た二次空気導入装置11を示している。図4は、弁カバー19、リード弁31および逆流制限部材41を取り外した状態で、図3中の矢示IV方向から見た弁室形成凹部12およびヘッド内通路17を示している。図5は、リード弁31が取り付けられた弁カバー19を示している。

二次空気導入装置11は、排気ポート6内の負圧を利用して排気ポート6内に空気を導入する装置である。二次空気導入装置11は、図2または図3に示すように、弁室形成凹部12、ヘッド内通路17、弁カバー19、リード弁31、および逆流制限部材41を備えている。

弁室形成凹部12は弁カバー19と共に弁室27を形成する凹部である。弁室形成凹部12は、シリンダヘッド本体2の前部かつ上部の左右方向中間部に形成され、シリンダヘッド本体2の前面に開口している。また、図3に示すように、弁室形成凹部12において、左部および右部は、左右方向中間部と比較して深さが浅い浅底部13となっている。また、弁室形成凹部12の開口部には、図4に示すように、弁カバー19を取り付けるための弁カバー取付部14が形成されている。また、弁カバー取付部14には、弁カバー19を固定するボルト15を螺着させる穴16が形成されている。

ヘッド内通路17は、弁室27と排気ポート6とを接続する通路である。ヘッド内通路17は、シリンダヘッド本体2に例えば鋳造またはドリル加工により形成された孔である。ヘッド内通路17は、図1に示すように、シリンダヘッド本体2の前部の左右方向中間部に形成されている。図2または図3に示すように、ヘッド内通路17において、空気が流入する空気流入端側は弁室形成凹部12内、すなわち弁室27内に連通している。詳細には、ヘッド内通路17の空気流入端側は、弁室形成凹部12の奥部(後部)かつ下部の左右方向中間部に開口している。一方、ヘッド内通路17において、空気が流出する空気流出端側は排気ポート6内に連通している。詳細には、ヘッド内通路17の空気流出端側は、図1に示すように、排気ポート6においてその流出側の2つの通路が合流した部分に開口している。また、ヘッド内通路17は、その空気流出端側が空気流入端側よりも後方に位置するように傾斜しつつ上下方向に直線状に伸長している。

弁カバー19は弁室形成凹部12と共に弁室27を形成する部材である。弁カバー19は例えば耐熱性の高い樹脂により形成されている。弁カバー19は、図2、図3または図5に示すように、カバー本体20および管部24を備えている。

カバー本体20は、箱状に形成され、その後部が開口している。また、カバー本体20の後部外周側には、その全周に亘って外向きに突出したフランジ部21が形成されている。また、フランジ部21には、弁カバー19を弁室形成凹部12に固定するためのボルト15を通す穴22が形成されている。また、カバー本体20の後端部には、リード弁31を取り付けるための凹部である弁取付部23が形成されている。

管部24は、筒状に形成され、カバー本体20の上部の左右方向中間部から上方に伸長している。管部24の上端部には、空気取込部としてのエアクリーナ9から弁室27内へ空気を導入する空気導入ホース26を接続するための接続部25が形成されている。

図2または図3に示すように、弁室形成凹部12内に逆流制限部材41を入れ、かつ弁カバー19の弁取付部23にリード弁31を入れた後、弁室形成凹部12を塞ぐように弁カバー19を弁カバー取付部14に取り付け、両者をボルト15により固定する。これにより、弁室形成凹部12とカバー本体20とによって弁室27が形成される。弁室27は、リード弁31よりも前側に位置する上流室27Aと、リード弁31よりも後ろ側に位置する下流室27Bとを備えている。上流室27Aは、空気の流れ方向における上流側に位置する。管部24内の通路は上流室27Aに連通している。下流室27Bは空気の流れ方向における下流側に位置する。下流室27Bはヘッド内通路17と連通している。一方、エアクリーナ9と弁カバー19の接続部25とを空気導入ホース26で接続することにより、エアクリーナ9と弁室27との間を接続する通路が形成される。このように、弁カバー19を弁室形成凹部12に取り付け、かつ、弁カバー19の接続部25とエアクリーナ9との間を空気導入ホース26で接続することにより、エアクリーナ9と排気ポート6との間を接続する空気導入通路28が形成される。

(リード弁) 図6はリード弁31を示している。図7はリード弁31を分解した状態を示している。図8はリード弁の動作を示している。リード弁31は、排気ポート6内の圧力に応じて空気導入通路28を開閉する弁である。リード弁31は、図5に示すように、弁カバー19の弁取付部23に取り付けられている。また、リード弁31は、図2に示すように、弁カバー19が弁室形成凹部12に取り付けられることにより、概ね弁室27の内部に配置され、弁室27を上流室27Aと下流室27Bとに分割する。

リード弁31は、図6または図7に示すように、基体32、シール部材34、弁体36、およびストッパ37を備えている。

基体32は、例えば金属または耐熱性の高い樹脂により略直方体状に形成されている。基体32には、図7に示すように、開弁時に空気を上流室27Aから下流室27Bへ流通させる貫通孔33が形成されている。また、基体32において、後方(下流室27B側)を向いた部分は弁座として機能する。

シール部材34は、閉弁時に弁体36と基体32との間をシールし、空気の遮断性を高める部材である。シール部材34は、基体32の後面上であって貫通孔33の周縁部に貼付または塗布されている。シール部材34は、例えばフッ素ゴム等の耐熱性が高く、シール性を有する樹脂により形成された薄膜である。また、シール部材34の後面が着座面35となっている。

弁体36は、着座面35に離着座することにより貫通孔33を開閉する部材である。弁体36は、例えば金属、カーボン、または耐熱樹脂等の耐熱性が高い材料により形成されている。また、弁体36は、排気ポート6内の圧力に応じて開閉可能となるように弾性を有している。また、弁体36は、略長方形の薄板状に形成され、貫通孔33を完全に塞ぐことができる面積を有している。また、弁体36の基端部(右端部)36Aはねじ38により、基体32の後面に固定されている。また、排気ポート6内の負圧の大きさが所定の大きさを超えておらず、弁体36が弾性変形していない間、弁体36の先端側部分(左側部分)36Bは着座面35に着座し、貫通孔33を塞ぎ、上流室27Aから下流室27Bへの空気の流通を阻止している。一方、排気ポート6内の負圧の大きさが所定の大きさを超えたときには、図8に示すように、弁体36がその先端側部分36Bが後方へ移動するように弾性変形し、弁体36の先端側部分36Bが着座面35から離れ、貫通孔33を開く。これにより、上流室27Aから下流室27Bへ空気が流通する。

ストッパ37は、弁体36の離座方向(着座面35から離れる方向)の移動量を規制する部材である。ストッパ37は例えば金属により形成されている。ストッパ37は、排気ポート6内の圧力により変形しないように、その厚さが設定されている。ストッパ37の基端部(右端部)37Aはねじ38により弁体36と共に、基体32の後面に固定されている。ストッパ37の先端側部分(左側部分)37Bは、図3に示すように、基体32または閉弁している状態の弁体36から所定距離離れ、弁体36を後方から覆っている。リード弁31を後方から見たとき(下流室27B側から上流室27A側に向かってリード弁31を見たとき)、ストッパ37は弁体36と略対応する形状および面積を有し、ストッパ37は弁体36と重なり合っている(図13参照)。排気ポート6内の負圧が大きくなり、弁体36に大きな吸引力が作用したときには、弁体36の先端部がストッパ37に接触し、弁体36の移動が制限される。

(逆流制限部材) 図9は逆流制限部材41を示している。図10は、弁室形成凹部12に逆流制限部材41が取り付けられた状態を示している。逆流制限部材41は、リード弁31の開弁時にエアクリーナ9から排気ポート6へ空気の流通を許しつつ、排気ポート6からヘッド内通路17を通って弁室27内に逆流する排気がリード弁31に直接吹き当たるのを制限する部材である。逆流制限部材41は例えばアルミニウム等の金属により形成されている。逆流制限部材41は、平板部42と、平板部42の上側、下側、左側、右側のそれぞれの縁部に形成された4つの側板部43とを備えている。平板部42は、弁室形成凹部12の開口形状(例えば略長方形)および開口面積に対応する形状および面積を有している。また、平板部42および側板部43は、空気の流通および排気の逆流により変形しないようにそれらの厚みが設定されている。また、各側板部43は平板部42が変形しないように補強する機能を有している。

逆流制限部材41は、空気導入通路28においてリード弁31と排気ポート6との間に設けられている。具体的には、逆流制限部材41は、図2に示すように、下流室27B内に設けられている。より具体的には、逆流制限部材41は、図10に示すように、弁室形成凹部12に嵌め込まれている。このように逆流制限部材41が弁室形成凹部12に配置された状態で、平板部42の面は、ヘッド内通路17の空気流入端側の伸長方向(図2または図12中の矢示A方向)と交わる。

また、逆流制限部材41は、リード弁31と共に、弁カバー19と弁カバー取付部14との間に挟まれて支持されている。すなわち、弁カバー19が弁カバー取付部14にボルト15により固定された状態で、図2に示すように、リード弁31は弁取付部23と弁カバー取付部14との間に挟まれて支持されている。そして、逆流制限部材41は、リード弁31の基体32と弁室形成凹部12の浅底部13の底面との間に挟まれて支持されている。具体的には、逆流制限部材41の平板部42の後面における左部および右部が浅底部13の底面にそれぞれ接触し、かつ逆流制限部材41の上側および下側の側板部43の先端がリード弁31の基体32に接触している。

(空気通過領域、逆流遮断領域) 図11は、逆流制限部材41の平板部42における空気通過領域44および逆流遮断領域47を示している。図12は、仮にヘッド内通路17の開口部17Aとリード弁31との間に何も介在していない場合に、逆流した排気がリード弁31の弁体36とストッパ37との間に直接入る様子を示している。図13は、仮にヘッド内通路17の開口部17Aとリード弁31との間に何も介在していない場合に、リード弁31において、逆流する排気が直接当たる領域を示している。

図11に示すように、逆流制限部材41の平板部42は空気通過領域44および逆流遮断領域47を有している。

空気通過領域44は、エアクリーナ9から排気ポート6へ向かって空気導入通路28を順方向に流れる空気を通過させる領域である。具体的には、空気通過領域44は、上流室27Aから下流室27Bへ向かって流れる空気を通過させる領域である。空気通過領域44には、複数の孔45を配列することにより形成された通気構造46が設けられている。通気構造46において、複数の孔45は所定のパターンをもって配列されている。例えば、複数の孔45は、所定の間隔を置いて配列されており、配列の方向が左右方向および上下方向にそれぞれ揃っている。空気通過領域44は、平板部42のうち、逆流遮断領域47以外の部分に配置されている。

燃焼室から排気ポート6へ排気が排出された後に生じる排気の脈動により、排気ポート6内の負圧の大きさが所定の大きさを超えたとき、リード弁31が開弁する。これにより、大気から取り込まれ、エアクリーナ9により浄化された空気は、エアクリーナ9から空気導入ホース26内、弁カバー19の管部24内、上流室27A、リード弁31の貫通孔33、逆流制限部材41の空気通過領域44に形成された複数の孔45、下流室27Bおよびヘッド内通路17を順次通って排気ポート6内へ吸引される(図1中の矢示参照)。逆流制限部材41の空気通過領域44には多数の孔45が形成され、またはそれぞれの孔45の面積が大きい。また、平板部42において、空気通過領域44の面積は後述する逆流遮断領域47の面積と比較して大きい。したがって、エアクリーナ9から排気ポート6へ流れる空気の圧力損失が逆流制限部材41によって増加することを抑制することができる。

一方、逆流遮断領域47は、排気ポート6から空気導入通路28を逆流する排気のうち、リード弁31の弁体36またはシール部材34へ直接当たる方向に流れる排気を遮断する領域である。また、逆流遮断領域47は、ヘッド内通路17から下流室27Bへ流出する排気のうち、リード弁31における弁体36とストッパ37との間に直接入る方向に流出する排気を遮断する領域である。逆流遮断領域47には、通気構造46が設けられていない。すなわち、逆流遮断領域47には、孔45が1つも形成されていない。

平板部42のうち、逆流遮断領域47は、仮にヘッド内通路17の開口部17Aとリード弁31との間に何も介在していない場合に、弁体36においてヘッド内通路17を逆流する排気が直接当たる部分とヘッド内通路17の空気流入端側の伸長方向(図12中の矢示A方向)において対向する部分に配置されている。

図12に示すように、ヘッド内通路17の空気流入端側の開口部17Aは、下流室27Bの後部かつ下部の左右方向中間部に開口している。すなわち、この開口部17Aは、リード弁31の左右方向中間部の後方の下側に位置している。したがって、図13に示すように、仮にヘッド内通路17の開口部17Aとリード弁31との間に何も介在していない場合に、ヘッド内通路17を逆流して開口部17Aから流出する排気は、リード弁31の弁体36、シール部材34およびストッパ37における左右方向中間部の下部に直接当たる。図13中のBは、リード弁31において排気が直接当たる領域を示している。この領域Bには、弁体36の一部およびシール部材34の一部が含まれている。図13中のCは、領域Bのうち、弁体36の一部およびシール部材34の一部が存在する領域を示している。この領域Cは、仮にヘッド内通路17の開口部17Aとリード弁31との間に何も介在していない場合に、ヘッド内通路17を逆流して開口部17Aから流出する排気が弁体36またはシール部材34に直接当たる領域である。逆流制限部材41の逆流遮断領域47は、図11に示すように、平板部42のうち、ヘッド内通路17の空気流入端側の伸長方向において、この領域Cと対向する部分に配置されている。

排気バルブ7が開弁し、燃焼室から排気ポート6へ排気が排出された直後、排気の一部は、ヘッド内通路17を逆流し、ヘッド内通路17の空気流入端側の開口部17Aから下流室27B内へ流出する。開口部17Aとリード弁31との間には、領域Cと対応する部分に逆流遮断領域47が配置された逆流制限部材41が設けられているので、開口部17Aから下流室27B内へ流出した排気のうち、リード弁31の弁体36またはシール部材34に直接当たる方向に流れる排気は逆流制限部材41の逆流遮断領域47に直接当たる。これにより、開口部17Aから下流室27B内へ流出した排気は弁体36またはシール部材34に直接当たらない。

また、平板部42のうち、逆流遮断領域47は、仮にヘッド内通路17の開口部17Aとリード弁31との間に何も介在していない場合に、リード弁31において排気が弁体36とストッパ37との間に直接入る部分とヘッド内通路17の空気流入端側の伸長方向において対向する部分に配置されている。

図12に示すように、ヘッド内通路17の空気流入端側の伸長方向(矢示A方向)は、リード弁31の着座面35を含む面Dと斜め方向に交わる。そして、ヘッド内通路17の空気流入端側の開口部17Aはリード弁31の左右方向中間部の後方の下側に位置している。この結果、仮にヘッド内通路17の開口部17Aとリード弁31との間に何も介在していない場合に、開口部17Aから流出した排気の一部は、リード弁31の後方下側から、弁体36とストッパ37との間に直接入る(図12中の矢印参照)。

図13中の領域Cには、仮にヘッド内通路17の開口部17Aとリード弁31との間に何も介在していない場合に、排気が弁体36とストッパ37との間に直接入る部分の全部が含まれている。そして、図11と図13とを比較するとわかるように、逆流制限部材41の逆流遮断領域47は領域Cに対応している。そして、下流室27B内において開口部17Aとリード弁31との間には、この領域Cと対応する部分に逆流遮断領域47が配置された逆流制限部材41が設けられている。したがって、ヘッド内通路17を逆流し、ヘッド内通路17の空気流入端側の開口部17Aから下流室27B内へ流出する排気のうち、リード弁31の弁体36とストッパ37との間に直接入る方向に流出する排気は逆流制限部材41の逆流遮断領域47に直接当たる。これにより、開口部17Aから下流室27B内へ流出した排気は弁体36とストッパ37との間に直接入らない。

以上説明した通り、本発明の実施例の二次空気導入装置11によれば、通気構造46が形成されていない逆流遮断領域47を有する逆流制限部材41をヘッド内通路17の開口部17Aとリード弁31との間に設ける構成としたから、排気ポート6からヘッド内通路17を逆流する排気が、リード弁31の弁体36またはシール部材34に直接当たることを防止することができる。したがって、高圧の排気が弁体36に直接当たることによって弁体36が振動することを防止することができる。これにより、振動によって弁体36が早期に劣化し、または破損することを防止することができる。また、高温の排気がシール部材34に直接当たることによってシール部材34が早期に劣化し、または溶損することを防止することができる。

また、本発明の実施例の二次空気導入装置11によれば、弁体36の振動を防止することができるので、弁体36の振動によって弁体36が着座面35から離れることにより形成された隙間を通り、高温の排気がエアクリーナ9側へ逆流することを防止することができる。したがって、リード弁31のシール部材34、弁カバー19、空気導入ホース26等が排気の熱によって早期に劣化し、または破損することを防止することができる。

また、逆流制限部材41において、逆流遮断領域47を、平板部42のうち、弁体36またはシール部材34において逆流する排気が直接当たる部分とヘッド内通路17の伸長方向において対向する部分に配置する構成としたから、逆流する排気のうち、弁体36またはシール部材34に直接当たる方向に流れる排気を逆流遮断領域47に確実に当てることができる。これにより、当該排気が弁体36またはシール部材34に直接当たることを確実に防止することができる。

また、本発明の実施例の二次空気導入装置11によれば、通気構造46が形成されていない逆流遮断領域47を有する逆流制限部材41をヘッド内通路17の開口部17Aとリード弁31との間に設ける構成としたから、ヘッド内通路17の開口部17Aから下流室27B内に高速に流出した排気が、リード弁31における弁体36とストッパ37との間に直接入ることを防止することができる。したがって、弁体36とストッパ37との間を排気が高速に流れることによって弁体36が着座面35から浮き上がることを防止することができる。これにより、弁体36の浮き上がりにより弁体36と着座面35との間に形成された隙間を通って高温の排気がエアクリーナ9側へ逆流することを防止することができる。したがって、リード弁31のシール部材34、弁カバー19、空気導入ホース26等が排気の熱によって早期に劣化し、または破損することを防止することができる。

また、本発明の実施例の二次空気導入装置11によれば、逆流制限部材41の平板部42において逆流遮断領域47以外の空気通過領域44に、複数の孔45を有する通気構造46を形成したから、排気ポート6内に生じる負圧によりエアクリーナ9から排気ポート6へ流れる空気の圧力損失の増加を抑えることができる。

また、本発明の実施例の二次空気導入装置11によれば、平板部42のうち、逆流遮断領域47を、逆流した排気が弁体36またはシール部材34に直接当たる領域に対向する部分に制限することにより、空気通過領域44の面積を大きくすることができる。これにより、エアクリーナ9から排気ポート6へ流れる空気の圧力損失の増加を抑える効果を高めることができる。

また、本発明の実施例の二次空気導入装置11によれば、逆流した排気がリード弁31の弁体36またはシール部材34に直接当たることを防止することができるので、シリンダヘッドまたはエンジンの具体的な構造の都合等により、リード弁31を排気ポートの近くに配置せざるを得ず、その結果、排気ポートから逆流して弁室内に流出する排気の量が多くなり、または当該排気の圧力が高くなり、または当該排気の温度が高くなる場合でも、弁体36およびシール部材34の劣化を抑制し、または破損を防止することができる。

また、本発明の実施例の二次空気導入装置11において、逆流した排気は、空気通過領域44に形成された孔45を通る。このとき、排気の熱の一部が逆流制限部材41により奪われる。これにより、リード弁31の基体32やストッパ37に吹きかかる排気の温度を下げることができる。

(逆流制限部材の変形例) 図14は、本発明の実施例の二次空気導入装置11における逆流制限部材の第1の変形例を示している。図14に示すように、二次空気導入装置11における逆流制限部材の第1の変形例である逆流制限部材51は、板部52を備え、板部52は空気通過領域53および逆流遮断領域54を有している。また、空気通過領域53には、複数の孔55を配列することにより形成された通気構造56が設けられている。一方、逆流遮断領域54には通気構造56が設けられていない。また、第1の変形例の逆流制限部材51における逆流遮断領域54は、板部52の後面においてヘッド内通路17の開口部17Aを投影した領域Eの全部を含んでいる。領域Eは、視点を開口部17Aの中心に設定し、視線の方向をヘッド内通路17の空気流入端側の伸長方向に設定して、開口部17A(下流室27Bに開口しているヘッド内通路17の端部の内側の空間)を板部52の後面に写したものである。

領域Eは、ヘッド内通路17を逆流して開口部17Aから流出した排気が板部52の後面に直接当たる領域と略一致する。そして、開口部17Aの中心からヘッド内通路17の空気流入端側の伸長方向に沿ってリード弁31を見た場合、この領域Eは、仮にヘッド内通路17の開口部17Aとリード弁31との間に何も介在していない場合に、リード弁31において排気が直接当たる領域(図13中の領域B)と略一致する。そして、領域Bは、仮にヘッド内通路17の開口部17Aとリード弁31との間に何も介在していない場合に、排気が弁体36またはシール部材34に直接当たる領域(図13中の領域C)を含んでいる。したがって、領域Eの全部を含むように逆流遮断領域54の配置および面積を設定することにより、リード弁31の弁体36またはシール部材34へ直接当たる方向に流れる排気の全部を逆流制限部材51により遮断することができる。したがって、第1の変形例の逆流制限部材51によっても、高圧の排気が弁体36に直接当たることによる弁体36の振動、高速の排気が弁体36とストッパ37とに直接入ることによる弁体36の浮上、および高温の排気がリード弁31を超えてエアクリーナ9側へ逆流することによるリード弁31のシール部材34、弁カバー19、空気導入ホース26等の破損等を防止することができる。

また、第1の変形例の逆流制限部材51の逆流遮断領域54の面積は、上述した逆流制限部材41の逆流遮断領域47の面積よりも大きい。したがって、例えば何らかの理由で逆流制限部材51が位置ずれした場合でも、逆流した排気が弁体36またはシール部材34に直接当たることを防止することができる。

図15は本発明の実施例の二次空気導入装置11における逆流制限部材の第2の変形例を示している。図15に示すように、二次空気導入装置11における逆流制限部材の第2の変形例である逆流制限部材61では、板部62において、空気通過領域63および逆流遮断領域64には、複数の孔65を配列することにより形成された通気構造66、67がそれぞれ設けられている。そして、逆流遮断領域64に設けられた通気構造67は、空気通過領域63に設けられた通気構造66よりも空気または排気の流通を制限する構造を有している。具体的には、逆流遮断領域64に設けられた通気構造67は、空気通過領域63に設けられた通気構造66と比較し、単位面積当たりの孔65の個数が少ない。

空気通過領域63においては、単位面積当たりの孔65の個数が多いので、エアクリーナ9から排気ポート6へ向かって流れる空気を円滑に通過させることができる。一方、逆流遮断領域64においては、単位面積当たりの孔65の個数が少ないので、排気ポート6からヘッド内通路17を逆流する排気のうち、リード弁31の弁体36またはシール部材34へ直接当たる方向に流れる排気を実質的に遮断することができる。したがって、第2の変形例の逆流制限部材61によれば、排気ポート6への空気の導入機能を確保しつつ、リード弁31の弁体36、シール部材34、弁カバー19、空気導入ホース26等の破損等を防止することができる。

図16は本発明の実施例の二次空気導入装置11における逆流制限部材の第3の変形例を示している。図16に示すように、二次空気導入装置11における逆流制限部材の第3の変形例である逆流制限部材71では、板部72において、空気通過領域73および逆流遮断領域74には、複数の孔75を配列することにより形成された通気構造76、77がそれぞれ設けられている。そして、逆流遮断領域74に設けられた通気構造77は、空気通過領域73に設けられた通気構造76よりも空気または排気の流通を制限する構造を有している。具体的には、逆流遮断領域74の全体の面積に対する逆流遮断領域74内に配列された複数の孔75の合計面積の割合が、空気通過領域73の全体の面積に対する空気通過領域73内に配列された複数の孔75の合計面積の割合よりも小さい。

空気通過領域73においては、当該領域の全体の面積に対する当該領域内に配列された複数の孔75の合計面積の割合が大きいので、エアクリーナ9から排気ポート6へ向かって流れる空気を円滑に通過させることができる。一方、逆流遮断領域74においては、当該領域の全体の面積に対する当該領域内に配列された複数の孔75の合計面積の割合が小さいので、排気ポート6からヘッド内通路17を逆流する排気のうち、リード弁31の弁体36またはシール部材34へ直接当たる方向に流れる排気を実質的に遮断することができる。したがって、第3の変形例の逆流制限部材71によっても、排気ポート6への空気の導入機能を確保しつつ、リード弁31の弁体36、シール部材34、弁カバー19、空気導入ホース26等の破損等を防止することができる。

なお、上述した実施例では、逆流制限部材41の平板部42に、空気通過領域44および逆流遮断領域47を設けたが、側板部43に空気通過領域44または逆流遮断領域47を設けてもよい。

また、上述した実施例では、逆流制限部材41の空気通過領域44に形成するそれぞれの孔45を、所定の間隔を置いて配列し、配列の方向が左右方向および上下方向にそれぞれ揃える場合を例にあげたが、空気通過領域44における複数の孔45をこのように整然と配列しなくてもよく、例えば孔45をランダムに配置してもよい。また、空気通過領域44に設ける通気構造46を金網等により形成してもよい。この場合、金網の網目が空気を通過させる孔に当たる。

また、上述した実施例では、排気ポート6へ空気を導入する空気導入通路28を、空気導入ホース26内、弁カバー19の管部24内、弁室27、およびヘッド内通路13により形成する場合を例にあげたが、空気導入通路28の構成はこれに限定されない。具体的なエンジンの構造等に応じて空気導入通路28の構成を変更してもよい。

また、本発明の二次空気導入装置は、4バルブエンジンに限らず、他の種類のエンジンにも適用することができる。また、本発明の二次空気導入装置は、自動二輪車用のエンジンに限らず、他の車両や船舶用のエンジンにも適用することができる。

また、上述した実施例における事項と特許請求の範囲の事項との主な対応関係は次の通りである。なお、両事項間で表現が一致しないものについて記載する。エアクリーナ9が空気取込部の具体例である。また、空気導入ホース26、弁カバー19およびシリンダヘッド1が空気導入部の具体例である。また、空気導入ホース26内、管部24内、弁室27、およびヘッド内通路17が空気導入通路の具体例である。また、空気導入ホース26内および管部24内が第1の通路の具体例であり、ヘッド内通路17が第2の通路の具体例である。また、上流室27Aが第1の室の具体例であり、下流室27Bが第2の室の具体例である。また、平板部42が板部の具体例である。

また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う二次空気導入装置もまた本発明の技術思想に含まれる。

1 シリンダヘッド 2 シリンダヘッド本体 6 排気ポート 9 エアクリーナ(空気取込部) 11 二次空気導入装置 12 弁室形成凹部 13 ヘッド内通路(第2の通路) 17 ヘッド内通路 17A 開口部 19 弁カバー 24 管部(第1の通路) 26 空気導入ホース(第1の通路) 27 弁室 27A 上流室(第1の室) 27B 下流室(第2の室) 28 空気導入通路 31 リード弁 32 基体 34 シール部材 35 着座面 36 弁体 37 ストッパ 41、51、61、71 逆流制限部材 42、52、62、72 平板部 43 側板部 44、53、63、73 空気通過領域 45、55、65、75 孔 46、56、66、67、76、77 通気構造 47、54、64、74 逆流遮断領域

QQ群二维码
意见反馈