【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、一般に、ガス膨張装置に使用するバルブに関し、特に、低温のガス膨張装置に使用される場合に、非常に低い膨張排気温度で有効に作動することができる独特の排気バルブに関する。 【0002】 【従来の技術】ガス膨張装置は、すでに公知であり、その膨張容積部で、またはその近くの空間的な領域で非常に低い温度を達成するために、低温の適用において長年にわたって使用されている。 このような目的のために、 特に有効な装置は、例えば、米国特許第4,862,6 92号に開示されている。 【0003】このような低温装置における排気バルブは、非常に低い温度、例えば、約5°Kから約3°Kの範囲の温度で作動しなければならない。 このような低温において、従来のバルブ構造は、時間が経過するにつれて不十分で信頼性に欠ける動作を行う傾向があった。 さらに、従来の低温のバルブ構造は、低温の領域に熱の漏れ通路を形成する複雑な機械的な作動装置を必要とする。 例えば、このような低温において、バルブ部品の間の金属と金属との接触を必要とするバルブは、その金属部品間に比較的に早い摩耗及びこすれ合いを生じる傾向がある。 ガス膨張装置の膨張容積部で発生する低い温度で、より信頼性を有するように作動し、低損失の低温ソレノイドオペレータと両立し得る改良された排気バルブを提供することが望ましい。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、可動なバルブ部材を利用する排気バルブは、金属製のバルブディスク・エレメントと非線形ばねである金属製ばねエレメントとを有し、これらのエレメントは可動なバルブ部材を形成するために一体的に成形されている。 このバルブ部材は、複動低温ソレノイドによって作動され、このソレノイドによって、バルブを閉鎖、開放するように、 固定的に取り付けられたバルブシート・エレメントの非金属製の表面にバルブディスク・エレメントを着座させたり離したりする。 ばねの非線形の性質は、バルブを開放状態に維持するために必要な「開放維持」力を減少させ、従って、低温ソレノイドアクチュエータに使用される開放維持電流によって発生する熱を減少させる。 さらに、バルブアセンブリは、膨張容積部に対して、ガス膨張動作用の装置内に通常必要とされる真空を開放することなくバルブへの接近とサービスを行うことができるように配置される。 【0005】 【実施例】以下に、本発明を添付図面を参照して詳細に説明する。 【0006】本発明による排気バルブはガス膨張装置、 特に低温の液体ヘリウムを適用した場合のような極端に低い温度を生じるように設計された装置の膨張容積部で有効に使用することができる。 このような使用のための装置は、例えば前述した米国特許において説明されている。 このような装置の典型的な例図を図1に示すが、この例において、そのガス膨張容積端部、すなわち装置の「冷たい」端部を示す。 これによって分かるように、エキスパンダ、または駆動、ピストン10は膨張容積部1 2上で円筒形のハウジング11内で可動である。 【0007】膨張容積部12の下端部は、ガス排気出力ライン15に接続されたガス排気ポート14を有する円筒形のヘッドアセンブリ13によって閉鎖されている。 排気バルブ17は、ばねエレメント19および外側のリング部分20と一体に形成されたバルブディスク・エレメント18を有する。 このバルブディスク・エレメント18及びばねエレメント19はシリンダヘッドアセンブリ13内に配置され、リング20がスペーサ21上に載置され、スペーサ21と1つまたは複数のねじ23(その内1つを図1に示す)によって所定位置に配置されたクランプリング22との間に固定されるようになっている。 バルブシート24が1つまたは複数のねじ26(その内1つを図1に示す)によって所定位置に保持されるクランプリング25によってシリンダヘッドに固定されている。 図1に示すバルブ閉鎖位置において、バルブディスク18は複動低温ソレノイド28の垂直方向に可動な操作プランジャ27の上端上に配置されている。 【0008】作動中、膨張容積部12は、ピストン10 がその最下位置、すなわち圧縮位置から移動するにしたがって適当に開口した吸気バルブ(図示せず)を介して高圧のガス、例えばヘリウムで充填され、このバルブは、装置の上方の「暖かい」端部に配置される。 この圧縮ガスは、前述した米国特許からよく理解できるように、例えば吸気バルブを通り、シリンダ11とピストン10の外壁との間の間隙、すなわち通路16を通って供給され、膨張容積部内は高圧を保持する。 【0009】適当な量の高圧ガスが膨張容積部12に入ったときに、吸気バルブを閉鎖する。 このピストン10 は上方に移動し膨張容積部12と間隙部16内に形成されたガスが膨張し、その圧力が排気ポート14及び排気出力ライン15の排気圧よりわずかに低い水準まで低下する。 【0010】ピストン10が最大の上限の膨張位置に達したときに、このような目的のために作動されるソレノイド28の制御の下にプランジャ27を上方に運動させることによって膨張容積部12の圧力と排気ポート14 との圧力の間の差圧によって付加された力に対抗して排気バルブ17が開放される。 このような作動によって、 バルブディスク18はバルブシート24から持ち上げられる。 バルブディスク18がこの圧力に対抗して上方に移動するとき、バルブディスクが保持される選択された開放位置まで移動し、それ以上の運動は、以下にさらに詳しく述べるように、クランプリング22上に取り付けられた、フィンガストップ29によって制限される。 バルブ17が開放された後、ソレノイド28はピストン1 0が下方に移動する間バルブを開放し続ける。 ピストンの運動によって、開放したバルブ17を通り、排気ポート14に、したがって排気ライン15を通って外側に膨張容積部12内の大部分の膨張したガスを押し出す。 【0011】その後適当に選択された時間、ピストン1 0が下方に移動し続け、ソレノイド28をプランジャ2 7が下方に移動するように作動させ、ばね19の力によって、バルブを閉鎖位置に戻し、その位置でバルブディスク18がバルブを閉鎖するようにバルブシート24上に着座する。 ピストン10はその最下位置まで下方に移動し続け、膨張容積部12と間隙部16に残っているガスを、吸気バルブを開放したときに膨張容積部に導入される高圧ガスの圧力に近い圧力にまで圧縮する。 膨張容積部12内の圧力が上昇するにつれて膨張容積部内12 内の圧力とバルブディスク18上に作用する排気ポート内の圧力との間の差圧によって、バルブディスク18をバルブシート24に対して確実に押し付け、バルブを通過するガス漏れを防ぐ。 【0012】上記したように、クランプリング22は、 各々が非金属製の先端エレメント30を有する1つまたは複数のフィンガストップ29を備えている。 このフィンガストップはバルブディスクがバルブを開放するために上方に移動するときに一体に形成されたバルブディスク・エレメントとばねエレメントの上方への移動を制限する。 プランジャ27の上端の非金属性の先端部エレメント31はディスクをその開放位置まで上方に移動させるためにディスク18の下面に接触する。 このディスクエレメントは、上方への非線形のスナップ動作を丁度始めようとする点付近まで移動し、その点からさらに上方への運動はフィンガストップ29によって阻止される。 【0013】一体的に形成されるバルブディスク及びばねアセンブリを図2及び3において、さらに詳しく説明する。 その図から分かるように、特に好ましい実施例において、3つのばね要素19A,19B,19Cが形成されている。 図示した実施例において、バルブディスク18,ばね19A,19B,19C及び外側リング20 は、一体的な構造としてアセンブリを形成するために一枚のばね鋼からすべてを切り出すことが好ましい。 このアセンブリは、外側リング22より下位に配置されたバルブディスク18とともに熱処理され、バルブをシリンダヘッドアセンブリ13内で組み立てて配置し、プランジャ27からディスク上へ上方に向かう接触力がないときはバルブディスク18がバルブシート24に対して押し付けられる。 【0014】ばね19の半径方向の圧縮特性は、ディスク18がリング20の平面上より上方の位置まで移動するときに、非線形のスナップ動作を起こすようになっている。 上述した動作において、ディスクがほぼリング2 0の平面内の位置に到達したときに、バルブディスクはスナップ動作を始め、この平面より上位の位置へ移動しようとする。 バルブディスクが、ほぼリング20の平面内の位置に到達したときに、フィンガストップ29はバルブディスクがさらに上方へ運動するのを阻止する。 上記の位置で有効に始まる非線形のスナップ動作はバルブを開放したまま保持するために必要なプランジャ27の上方への力を最小にし、従ってソレノイドに必要な開放保持電流を最小限にすることができる。 ソレノイドがプランジャ27を下方に移動させると、ばねの動作によってディスクがバルブシート24上に着座する位置に戻される。 【0015】外部の真空は、通常、このようなガス膨張装置に使用するようなピストン/シリンダ・アセンブリはその全体を包囲することが必要であるが、シリンダ1 1の内側のピストン・アセンブリのためには真空は必要ではない。 従って、本発明のバルブは、ピストン/シリンダアセンブリを包囲する外部の真空を開放することなくピストン・アセンブリをシリンダ11から取り外しさえすれば保守のために容易に接近することができるように配置されている。 【0016】バルブシート24及び先端エレメント30 及び31は、適当な可塑性材料、例えば、テフロン(登録商標)またはKel−F(登録商標)のようなポリテトラフルオロエチル(polytetrafluoro ethl)ポリマで製造することができる。 したがって、金属製のスナップ動作可能なバルブディスク・エレメント18は、その動作中に非金属エレメントにのみ接触するので、通常、金属同士の接触により起こるバルブの摩耗及び引っ掻き傷を避けることができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】この装置の膨張容積部の「冷たい」端部で使用されるこの発明の排気バルブアセンブリの特定の実施例を示すガス膨張装置の一部の断面図である。 【図2】図1に示した排気バルブアセンブリのバルブディスク・エレメントの平面図である。 【図3】図2に示したバルブディスク・エレメントを線3−3に沿って切った断面図である。 【符号の説明】 10…ピストン 12…膨張容積部 15…ガス排気出力ライン 17…排気バルブ 18…バルブディスク・エレメント 19…ばねエレメント 20…リング 21…スペーサ 22…クランプリング 23…ねじ 24…バルブシート 28…ソレノイド フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−84270(JP,A) 実開 昭55−132475(JP,U) 米国特許3921670(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl. 7 ,DB名) F16K 31/06 - 31/11 |