Steam power cycle system

申请号 JP2007523259 申请日 2005-06-28 公开(公告)号 JP4669964B2 公开(公告)日 2011-04-13
申请人 国立大学法人佐賀大学; 實原 定幸; 株式会社ゼネシス; 发明人 清彦 会場; 真士 岡部; 康之 池上;
摘要
权利要求
  • 沸点の異なる複数の流体が混合された作動流体を全て液相の状態で所定の高温熱源と熱交換させ、前記作動流体の少なくとも一部を蒸発させる蒸発器と、前記作動流体のうち蒸発した気相分を導入されて流体の保有する熱エネルギを動力に変換するタービンと、当該タービンを出た気相の作動流体を所定の低温熱源と熱交換させて作動流体を凝縮させる凝縮器と、当該凝縮器を出た液相の低温作動流体を前記蒸発器へ送込むポンプとを少なくとも備える蒸気動力サイクルシステムにおいて、
    前記蒸発器が、中空の圧力容器であるシェルと、当該シェル内に配設されて長手方向両端部に熱交換対象流体の流入出口が存在する熱交換部とを備え、当該熱交換部における作動流体の流出口以外の各流入出口がシェル外部に延長配設されてシェル内部空間からは隔離された状態とされる一方、熱交換部における作動流体の流出口がシェル内部空間に開口連通する状態とされ、
    前記蒸発器における熱交換部の流出口からシェル内部空間に流出した高温の作動流体が、前記内部空間で気相分と液相分とに分離し、シェルから気相の作動流体と液相の作動流体がそれぞれ別個に取出されることを 特徴とする蒸気動力サイクルシステム。
  • 沸点の異なる複数の流体が混合された作動流体を全て液相の状態で所定の高温熱源と熱交換させ、前記作動流体の少なくとも一部を蒸発させる蒸発器と、前記作動流体のうち蒸発した気相分を導入されて流体の保有する熱エネルギを動力に変換するタービンと、当該タービンを出た気相の作動流体を所定の低温熱源と熱交換させて作動流体を凝縮させる凝縮器と、当該凝縮器を出た液相の低温作動流体を前記蒸発器へ送込むポンプとを少なくとも備える蒸気動力サイクルシステムにおいて、
    前記凝縮器が、中空の圧力容器であるシェルと、当該シェル内に配設されて長手方向両端部に熱交換対象流体の流入出口が存在する熱交換部と、液相の作動流体をシェル内部空間への気相作動流体の流入部分に散布する散水部とを備え、当該熱交換部における低温熱源となる流体の流入出口がシェル外部に延長配設されてシェル内部空間からは隔離された状態とされる一方、熱交換部における作動流体の流入出口がシェル内部空間に開口連通する状態とされ、
    前記シェルの内部空間へ各相の作動流体が流入すると、前記散水部から噴射された液相の作動流体が一部の気相作動流体を吸収しつつ、液相の作動流体と気相の作動流体とが一つに混合し、当該混合状態の作動流体が熱交換部へ流入して熱交換による気相分の凝縮を進行させ、
    前記熱交換部の流出口から前記シェル内部空間に流出した作動流体が、前記内部空間で気相分と液相分とに分離し、シェルから気相の作動流体と液相の作動流体がそれぞれ別個に取出されることを 特徴とする蒸気動力サイクルシステム。
  • 前記請求項1に記載の蒸気動力サイクルシステムにおいて、
    前記凝縮器が、中空の圧力容器であるシェルと、当該シェル内に配設されて長手方向両端部に熱交換対象流体の流入出口が存在する熱交換部と、液相の作動流体をシェル内部空間への気相作動流体の流入部分に散布する散水部とを備え、当該熱交換部における低温熱源となる流体の流入出口がシェル外部に延長配設されてシェル内部空間からは隔離された状態とされる一方、熱交換部における作動流体の流入出口がシェル内部空間に開口連通する状態とされ、
    前記シェルの内部空間へ各相の作動流体が流入すると、前記散水部から噴射された液相の作動流体が一部の気相作動流体を吸収しつつ、液相の作動流体と気相の作動流体とが一つに混合し、混合状態の作動流体が熱交換部へ流入して熱交換による気相分の凝縮を進行させ、
    前記熱交換部の流出口から前記シェル内部空間に流出した作動流体が、前記内部空間で気相分と液相分とに分離し、シェルから気相の作動流体と液相の作動流体がそれぞれ別個に取出されることを 特徴とする蒸気動力サイクルシステム。
  • 沸点の異なる複数の流体が混合された作動流体を全て液相の状態で所定の高温熱源と熱交換させ、前記作動流体の少なくとも一部を蒸発させる蒸発器と、前記作動流体のうち蒸発した気相分を導入されて流体の保有する熱エネルギを動力に変換する二つのタービンと、当該タービンを出た気相の作動流体を所定の低温熱源と熱交換させて作動流体を凝縮させる凝縮器と、当該凝縮器を出た液相の低温作動流体を前記蒸発器へ送込むポンプと、前記高温熱源との熱交換を経て高温となった作動流体のうち、液相の作動流体を、前記蒸発器に導入される前の全て液相の作動流体と熱交換させる再生器と、前記二つのタービンのうち第一段目のタービンを出た気相の作動流体から抽気された一部の気相作動流体と前記液相の低温作動流体とを熱交換させる加熱器とを少なくとも備える蒸気動力サイクルシステムにおいて、
    前記ポンプが、前記凝縮器から蒸発器に至る全て液相の作動流体の主流路における前記加熱器配置位置より前段側に配設され、
    当該ポンプと前記凝縮器との間に所定のタンクが配設され、凝縮器を出た直後の全て液相の作動流体が導入され、
    前記第一のタービンから加熱器に通じる作動流体の支流路が、加熱器から前記タンクより小さい他のタンク及び前記ポンプより吐出能力の小さい他のポンプをそれぞれ経て、前記全て液相の作動流体の主流路における加熱器と再生器との間の位置で主流路と合流し、
    前記第一のタービンを出て加熱器での熱交換を経た作動流体が、前記他のタンク及び他のポンプをそれぞれ経由して、前記主流路を流れる全て液相の作動流体に加わることを 特徴とする蒸気動力サイクルシステム。
  • 前記請求項4に記載の蒸気動力サイクルシステムにおいて、
    前記蒸発器が、中空の圧力容器であるシェルと、当該シェル内に配設されて長手方向両端部に熱交換対象流体の流入出口が存在する熱交換部とを備え、当該熱交換部における作動流体の流出口以外の各流入出口がシェル外部に延長配設されてシェル内部空間からは隔離された状態とされる一方、熱交換部における作動流体の流出口がシェル内部空間に開口連通する状態とされ、
    前記蒸発器における熱交換部の流出口からシェル内部空間に流出した高温の作動流体が、前記内部空間で気相分と液相分とに分離し、シェルから気相の作動流体と液相の作動流体がそれぞれ別個に取出されることを 特徴とする蒸気動力サイクルシステム。
  • 前記請求項4又は5に記載の蒸気動力サイクルシステムにおいて、
    前記凝縮器が、中空の圧力容器であるシェルと、当該シェル内に配設されて長手方向両端部に熱交換対象流体の流入出口が存在する熱交換部と、液相の作動流体をシェル内部空間への気相作動流体の流入部分に散布する散水部とを備え、当該熱交換部における低温熱源となる流体の流入出口がシェル外部に延長配設されてシェル内部空間からは隔離された状態とされる一方、熱交換部における作動流体の流入出口がシェル内部空間に開口連通する状態とされ、
    前記シェルの内部空間へ各相の作動流体が流入すると、前記散水部から噴射された液相の作動流体が一部の気相作動流体を吸収しつつ、液相の作動流体と気相の作動流体とが一つに混合し、混合状態の作動流体が熱交換部へ流入して熱交換による気相分の凝縮を進行させ、
    前記熱交換部の流出口から前記シェル内部空間に流出した作動流体が、前記内部空間で気相分と液相分とに分離し、シェルから気相の作動流体と液相の作動流体がそれぞれ別個に取出されることを 特徴とする蒸気動力サイクルシステム。
  • 说明书全文

    本発明は複数物質の混合作動流体を加熱、冷却させつつ循環させ、相変化を繰返す作動流体に仕事を行わせて動エネルギを得る蒸気動力サイクルシステムに関し、特に、作動流体に相変化を生じさせる各機器の構成を改良してシステム全体の熱効率を高めると共に、システム各部のコンパクト化、低コスト化が図れる蒸気動力サイクルシステムに関する。

    蒸気動力サイクルを用いるにあたり、高温熱源と低温熱源の温度差が小さい場合には、熱効率を高めて有効に熱を動力に変換できるようにするため、と水より沸点の低い流体との混合流体、又は水以外の互いに沸点の異なる複数種類の流体が混合されたものを作動流体として用いる蒸気動力サイクルが従来から提案されており、このような従来の蒸気動力サイクルシステムの一例として、特開平7−91361号公報に記載されるものがある。

    前記従来の蒸気動力サイクルシステムは、蒸気動力サイクルとして一般的なランキンサイクル同様に蒸発器、タービン、凝縮器及びポンプを有する他に、凝縮器の前段側に膨張後の気相作動流体を液相作動流体に一部吸収させる吸収器と、蒸発器で加熱された作動流体のうち、液相の作動流体を蒸発器で熱交換する前の低温液相の作動流体と熱交換させる再生器と、複数段配設されたタービンの中間から抽気された高温気相の作動流体を低温液相の作動流体と熱交換させる加熱器とを備える構成である。

    この従来の蒸気動力サイクルシステムは、単一の作動流体を用いる一般的なランキンサイクルに比べて熱効率を高めることができ、特に、タービンから抽気を行うと共に吸収器で気相の作動流体を液相の作動流体に一部吸収させ、凝縮器で低温熱源と熱交換する作動流体の量を抑えることで、凝縮器の負荷を低減して全体の効率上昇と共に凝縮器の過度の大型化とこれに伴うコスト上昇を抑制できるという利点を有していた。

    特開平7−91361号公報

    従来の混合流体を用いた蒸気動力サイクルは、前記特許文献に示される構成となっており、単一の作動流体を用いるサイクルに比べて熱効率を高めることができるものの、特に、蒸発器の半分から同程度の大きさとなる気液分離器や、凝縮器と同程度かそれ以上の大きさとなる吸収器を用いることから、これらがシステム中で大きなスペースを占有し、システムのコンパクト化を困難なものにする他、各機器間に配管が存在することに伴う熱損失やポンプ損失が無視できないものとなり、熱エネルギから有効な仕事として得られる分が小さくなるという課題を有していた。

    また、前記従来の蒸気動力サイクルシステムでは、タービンから抽気して加熱器で熱交換を行わせた後の作動流体を、凝縮器から出て蒸発器へ向う作動流体に合流させる点に、合流する各流路における流量変化の影響を緩和するタンクを設けると共に、このタンクの後段側に各流路からの作動流体がスムーズに逆流なく後段側の再生器や蒸発器に向うようにするポンプが配設される。

    ただし、これにより、液相の作動流体をサイクル後段側に圧送するポンプが、加熱器の前段側と再生器の前段側の二箇所に設けられる形となり、作動流体流路において直列となるその配置関係のために、ポンプ同士が互いの運転状態の影響を受けやすく、負荷変化に追随して両ポンプの吐出流量の均衡を保つようにしないと、各流量が多寡いずれかに極端に変化してしまい、ポンプ動作の不具合を招いてサイクルの稼働が不安定となりやすく、このためポンプ運転状態の細かな調整を必要として制御のためのコストが上昇するという課題を有していた。

    本発明は前記課題を解消するためになされたもので、サイクル中の熱交換器等各機器の構成と配置を適正化して、高温熱源と低温熱源との温度差に基づく熱エネルギの有効利用が図れ、十分な効率を確保できると共に、システムのコンパクト化、低コスト化を実現させられる蒸気動力サイクルシステムを提供することを目的とする。

    本発明に係る蒸気動力サイクルシステムは、沸点の異なる複数の流体が混合された作動流体を全て液相の状態で所定の高温熱源と熱交換させ、前記作動流体の少なくとも一部を蒸発させる蒸発器と、前記作動流体のうち蒸発した気相分を導入されて流体の保有する熱エネルギを動力に変換するタービンと、当該タービンを出た気相の作動流体を所定の低温熱源と熱交換させて作動流体を凝縮させる凝縮器と、当該凝縮器を出た液相の低温作動流体を前記蒸発器へ送込むポンプとを少なくとも備える蒸気動力サイクルシステムにおいて、前記蒸発器が、中空の圧力容器であるシェルと、当該シェル内に配設されて長手方向両端部に熱交換対象流体の流入出口が存在する熱交換部とを備え、当該熱交換部における作動流体の流出口以外の各流入出口がシェル外部に延長配設されてシェル内部空間からは隔離された状態とされる一方、熱交換部における作動流体の流出口がシェル内部空間に開口連通する状態とされ、前記蒸発器における熱交換部の流出口からシェル内部空間に流出した高温の作動流体が、前記内部空間で気相分と液相分とに分離し、シェルから気相の作動流体と液相の作動流体がそれぞれ別個に取出されるものである。

    このように本発明によれば、動力サイクルの一部をなす蒸発器として、高温熱源と作動流体とを熱交換させる熱交換部、並びに、この熱交換部を取囲むシェルを設けると共に、このシェルの内部空間を、熱交換部における各熱交換対象流体の流入出口のうち、作動流体出口にのみ連通するようにし、熱交換部で液相の作動流体を高温熱源と熱交換させた後、蒸発した気相の作動流体とこれ以外の液相の作動流体とが混合した状態の高温混相作動流体を、熱交換部から内部空間に流出させると、この内部空間で混相状態の作動流体が気相分と液相分に分離することにより、蒸発器から気相の作動流体と液相の作動流体とをそれぞれ分離状態で取出せ、蒸発器が気液分離器の機能も有することとなり、非共沸混合流体を作動流体として用いる場合に、通常は蒸発器と別途に必要であった気液分離器を省略でき、蒸発器と気液分離器を別体で配設していた場合より機器配置に必要なスペースも小さくでき、配置の自由度が増大することに加え、システム全体をコンパクト化、低コスト化できる。 また、気液分離器に付随する配管も省略でき、配管の存在に伴う圧力損失や熱損失を低減させて有効に取出せる仕事量を増大させられ、高温熱源と低温熱源の温度差が小さくても十分な動力を発生させられる。

    また、本発明に係る蒸気動力サイクルシステムは、沸点の異なる複数の流体が混合された作動流体を全て液相の状態で所定の高温熱源と熱交換させ、前記作動流体の少なくとも一部を蒸発させる蒸発器と、前記作動流体のうち蒸発した気相分を導入されて流体の保有する熱エネルギを動力に変換するタービンと、当該タービンを出た気相の作動流体を所定の低温熱源と熱交換させて作動流体を凝縮させる凝縮器と、当該凝縮器を出た液相の低温作動流体を前記蒸発器へ送込むポンプとを少なくとも備える蒸気動力サイクルシステムにおいて、前記凝縮器が、中空の圧力容器であるシェルと、当該シェル内に配設されて長手方向両端部に熱交換対象流体の流入出口が存在する熱交換部と、液相の作動流体をシェル内部空間への気相作動流体の流入部分に散布する散水部とを備え、当該熱交換部における低温熱源となる流体の流入出口がシェル外部に延長配設されてシェル内部空間からは隔離された状態とされる一方、熱交換部における作動流体の流入出口がシェル内部空間に開口連通する状態とされ、前記シェルの内部空間へ各相の作動流体が流入すると、前記散水部から噴射された液相の作動流体が一部の気相作動流体を吸収しつつ、液相の作動流体と気相の作動流体とが一つに混合し、当該混合状態の作動流体が熱交換部へ流入して熱交換による気相分の凝縮を進行させ、前記熱交換部の流出口から前記シェル内部空間に流出した作動流体が、前記内部空間で気相分と液相分とに分離し、シェルから気相の作動流体と液相の作動流体がそれぞれ別個に取出されるものである。

    このように本発明によれば、動力サイクルの一部をなす凝縮器として、低温熱源と作動流体とを熱交換させる熱交換部、及び、この熱交換部を取囲むシェル、並びにシェル内で液相の作動流体を散布する散水部を設けると共に、シェル内部空間を作動流体流入出口にのみ連通させるようにし、シェル内に導入された気相の作動流体と液相の作動流体が内部空間で混合し、この混相状態の作動流体が熱交換部に流入して低温熱源との熱交換を行うことにより、シェル内部空間で気相の作動流体を液相の作動流体に一部吸収させられ、凝縮器が吸収器の機能も有することとなり、非共沸混合流体を作動流体とする場合に、従来用いられていた吸収器を省略でき、吸収器と凝縮器を別体で配設していた場合より機器配置に必要なスペースも小さくでき、配置の自由度が増大することに加え、システム全体をコンパクト化、低コスト化できる。 また、吸収器に付随する配管も省略でき、配管の存在に伴う圧力損失や熱損失を低減させて有効に取出せる仕事量を増大させられ、高温熱源と低温熱源の温度差が小さくても十分な動力を発生させられる。 さらに、シェル内で気相と液相の作動流体を一様に混合状態として熱交換部に流入させることで、熱交換部伝熱面の温度を過度に下げることなく気相分の凝縮を進行させることができ、凝縮器における熱交換効率を著しく高められる。

    また、本発明に係る蒸気動力サイクルシステムは、沸点の異なる複数の流体が混合された作動流体を全て液相の状態で所定の高温熱源と熱交換させ、前記作動流体の少なくとも一部を蒸発させる蒸発器と、前記作動流体のうち蒸発した気相分を導入されて流体の保有する熱エネルギを動力に変換する二つのタービンと、当該タービンを出た気相の作動流体を所定の低温熱源と熱交換させて作動流体を凝縮させる凝縮器と、当該凝縮器を出た液相の低温作動流体を前記蒸発器へ送込むポンプと、前記高温熱源との熱交換を経て高温となった作動流体のうち、液相の作動流体を、前記蒸発器に導入される前の全て液相の作動流体と熱交換させる再生器と、前記二つのタービンのうち第一段目のタービンを出た気相の作動流体から抽気された一部の気相作動流体と前記液相の低温作動流体とを熱交換させる加熱器とを少なくとも備える蒸気動力サイクルシステムにおいて、前記ポンプが、前記凝縮器から蒸発器に至る全て液相の作動流体の主流路における前記加熱器配置位置より前段側に配設され、当該ポンプと前記凝縮器との間に所定のタンクが配設され、凝縮器を出た直後の全て液相の作動流体が導入され、前記第一のタービンから加熱器に通じる作動流体の支流路が、加熱器から前記タンクより小さい他のタンク及び前記ポンプより吐出能力の小さい他のポンプをそれぞれ経て、前記全て液相の作動流体の主流路における加熱器と再生器との間の位置で主流路と合流し、前記第一のタービンを出て加熱器での熱交換を経た作動流体が、前記他のタンク及び他のポンプをそれぞれ経由して、前記主流路を流れる全て液相の作動流体に加わるものである。

    このように本発明によれば、サイクルにおける凝縮器と蒸発器間の液相作動流体主流路において、凝縮器後段側で且つ加熱器の前段側にポンプを配設して、この主流路におけるポンプを一つのみとすることにより、ポンプ動作が他のポンプ動作の影響を受けることもなく、ポンプが原因でサイクルの運転状態が不安定状態に陥る危険性を小さくすることができる。 また、加熱器に対し作動流体をスムーズに流入出させるための圧力を発生させる他のポンプ及びこのポンプ動作に伴う作動流体の流量変化の影響を小さくする他のタンクの配設位置が、タービンから加熱器へ至る抽気分の作動流体支流路の延長上で、凝縮器と蒸発器との間の液相作動流体主流路と合流する前の区間に設定されることで、これら他のタンク及びポンプが、作動流体を主流路に適切に合流させて逆流させない程度の能力を有していれば、システムを適切に機能させられることとなり、タンク及びポンプの小型化が実現し、システム全体のコンパクト化と低コスト化をさらに促せる。

    本発明の一実施形態に係る蒸気動力サイクルシステムの概略系統図である。

    本発明の一実施形態に係る蒸気動力サイクルシステムにおける蒸発器の概略縦断面図である。

    本発明の一実施形態に係る蒸気動力サイクルシステムにおける蒸発器の他の概略縦断面図である。

    本発明の一実施形態に係る蒸気動力サイクルシステムにおける蒸発器の熱交換部構造説明図である。

    本発明の一実施形態に係る蒸気動力サイクルシステムにおける凝縮器の概略縦断面図である。

    本発明の一実施形態に係る蒸気動力サイクルシステムにおける凝縮器の他方向の概略縦断面図である。

    本発明の一実施形態に係る蒸気動力サイクルシステムにおける凝縮器の熱交換部構造説明図である。

    符号の説明

    1 蒸気動力サイクルシステム 1a 主流路 1b、1c 支流路 10 蒸発器 11 シェル 11a 温海水流入口 11b 温海水流出口 11c、11d 作動流体流出口 11e 作動流体流入口 11f 内部空間 11g 有孔隔壁板 12 熱交換部 12a、12c 流入口 12b 流出口 21、22 タービン 30 凝縮器 31 シェル 31a 冷海水流入口 31b 冷海水流出口 31c、31d 作動流体流入口 31e、31f 作動流体流出口 31g 内部空間 32 散水部 32a スプレーノズル 33 熱交換部 33a 流入口 33b、33c 流出口 34 補助凝縮器 35、62 タンク 40、61 ポンプ 50 再生器 51 減圧弁 60 加熱器 70 伝熱プレート

    以下、本発明の一実施形態を図1ないし図7に基づいて説明する。 図1は本実施の形態に係る蒸気動力サイクルシステムの概略系統図、図2は本実施形態に係る蒸気動力サイクルシステムにおける蒸発器の概略縦断面図、図3は本実施形態に係る蒸気動力サイクルシステムにおける蒸発器の他の概略縦断面図、図4は本実施形態に係る蒸気動力サイクルシステムにおける蒸発器の熱交換部構造説明図、図5は本実施形態に係る蒸気動力サイクルシステムにおける凝縮器の概略縦断面図、図6は本実施形態に係る蒸気動力サイクルシステムにおける凝縮器の他の概略縦断面図、図7は本実施形態に係る蒸気動力サイクルシステムにおける凝縮器の熱交換部構造説明図である。

    前記各図において本実施の形態に係る蒸気動力サイクルシステム1は、アンモニアと水の混合体からなる作動流体と前記高温熱源としての温海水とを熱交換させ、作動流体の蒸気を得る蒸発器10と、この蒸発器10で得られた蒸気により動作する原動機としてのタービン21、22と、これらタービン21、22を出た蒸気を凝縮させて液相とする凝縮器30と、凝縮器30から作動流体を取出して蒸発器10に導入するポンプ40と、温海水との熱交換を経て高温となった作動流体のうち、液相の作動流体を、凝縮器30から出た全て液相の作動流体と熱交換させる再生器50と、第1段目のタービン21を出た段階で抽気された一部の気相作動流体と前記全て液相の作動流体とを熱交換させる加熱器60とを備える構成である。 このうち、タービン21、22及びポンプ40については、一般的な蒸気動力サイクルで用いられるのと同様の公知の装置であり、説明を省略する。

    前記蒸発器10は、最外殻をなして他の機器と配管で接続される中空のシェル11と、このシェル11内部に配置され、高温熱源としての温海水と作動流体を熱交換させるプレート式の熱交換部12とを備える構成である。
    前記シェル11は、一般的な略円筒カプセル状の中空圧力容器であり、長手方向一端部に温海水流入口11aと作動流体流出口11c、他端部に温海水流出口11bと作動流体流入口11e、作動流体流出口11dがそれぞれ外部の配管と接続可能に配置される構造となっており、これら流入出口を除いて内部と外部を水密状態で隔離する構成である。 シェル11の作動流体流入口11eは再生器50低温側と連通する配管に接続される。 また、作動流体流出口11cはタービン21入口側と連通する配管に接続され、作動流体流出口11dは再生器50高温側と連通する配管に接続される。 このシェル11の内部空間11fは外部に対し保温状態となっている他、シェル11内には熱交換器12を支持すると共に気液の分離をより確実なものとする有孔隔壁板11gが設けられる。

    前記熱交換部12は、矩形状の複数のプレート同士を溶接して得られるもので、長手方向一端部に温海水の流入口12aと作動流体の流出口12b、他端部に温海水の流出口(図示を省略)と作動流体の流入口12cがそれぞれ配置される向流型となっており、熱交換部12におけるこれら各流入出口は、作動流体の流出口12bを除いてシェル11の各流入出口と連通状態で一体化されており、シェル11の内部空間11fに対して水密状態で隔離される構成である。 一方、作動流体の流出口12bはシェル11の内部空間11fで開口した状態にあり、この内部空間11f及び作動流体流出口11c、11dに連通している。

    この熱交換部12内で、ポンプ40からの送給圧力を受けつつ、温海水との熱交換で温められる作動流体は、熱交換部12を上昇し、揮発しやすいアンモニアを主成分とする一部が蒸発して気液混相流となる。 ちょうど既定の温度まで昇温した段階で熱交換部12上部の流出口12bより気液混相状態で流出するように流量を設定されている。

    作動流体は、熱交換部12の流出口12bからシェル11の内部空間11fに流出した後、この内部空間11fを流下しながら気相分と液相分に分れ、気相の作動流体はシェル11上部の作動流体流出口11cから後段側のタービン21へ向う一方、液相の作動流体はシェル11下部に達し、作動流体流出口11dから後段側の再生器50へ向うこととなり、結果として、温海水との熱交換を経た高温の作動流体を気相分と液相分とに分けてシェル11外に取出せる仕組みとなっている。

    こうして蒸発器10は、機能的には従来の蒸発器と気液分離器と組合わせたものとなるものの、大きさは従来のシェルを用いるタイプの蒸発器と同程度となり、気液分離器の容積分を削減できるため、小型・省スペース化が実現すると共に、蒸発部分と気液分離部分間の配管が省略されることで損失を抑えられ、システムの熱効率が向上する。

    前記凝縮器30は、最外殻をなして他の機器と配管で接続される中空のシェル31と、このシェル31内で前記再生器50から出た液相の作動流体をシェル31の内部空間31gに散水する散水部32と、シェル31内へ導入された作動流体を低温熱源である冷海水と熱交換させて気相分を凝縮させる熱交換部33とを備える構成である。 また、凝縮器30には、凝縮器30における未凝縮分の気相の作動流体を導入して凝縮器30同様に冷海水と熱交換させ、完全に凝縮させる補助凝縮器34と、この補助凝縮器34並びに凝縮器30を出た液相の作動流体を一時的に貯溜した上で後段側へ送出すタンク35がそれぞれ併設される。

    前記シェル31は、一般的な略円筒状の中空圧力容器であり、長手方向一端部に冷海水の流入口31aと作動流体流出口31e、31f、他端部に冷海水の流出口31bと作動流体流入口31c、31dがそれぞれ外部の配管と接続可能に配置される構造となっており、これら流入出口を除いて内部と外部を水密状態で隔離する構成である。 シェル31の作動流体流入口31cはタービン22出口側と連通する配管に接続され、作動流体流入口31dは減圧弁51と連通する配管に接続される。 また、作動流体流出口31eは補助凝縮器34と連通する配管に接続され、作動流体流出口31fはタンク35と連通する配管に接続される。 シェル31の内部空間31gは外部に対し保温状態となっていることに加え、散水部32から散水された液相の作動流体やこれに吸収されたものが逆に液相から気相に変化しないように、圧力を適正な値に維持する仕組みとされている。

    前記散水部32は、複数のスプレーノズル32aを有してなり、シェル31の作動流体流入口31d内側部分に連通接続してシェル31内の上部に配設され、導入された液相の作動流体を各スプレーノズル32aより下方へ噴射して飛散させる構成である。 この散水部32については、下方への噴射に限らず、液相の作動流体を上方へ噴射するようにしてもかまわない。 また、スプレーノズル32aだけでなく、圧力損失を小さくしたより大型のノズル等を用いることもできる。

    前記熱交換部33は、矩形状の複数の金属製プレート同士を溶接して得られるもので、長手方向一端部に冷海水の流入口と作動流体の流出口33b、他端部に冷海水の流出口33cと作動流体の流入口33aが配置される向流型となっており、各流入出口のうち、冷海水の流入出口はシェル31における冷海水の流入出口と連通状態で一体化され、シェル31の内部空間31gに対しては水密状態で隔離される構成である。 一方、作動流体の流入口33a及び流出口33bはシェル31の内部空間31gに対し開口しており、この内部空間31gと、シェル31の作動流体流入口31c、及び作動流体流出口31e、31fにそれぞれ連通している。

    この熱交換部33における作動流体の流入口33aは、シェル31の内部空間31gに対し上向きに開口しており、散水部32から散水された液相の作動流体と、シェル31内に作動流体流入口31cを通じて導入されて前記液相の作動流体に吸収されなかったか又は吸収途上にある気相の作動流体とが、混合状態でこの流入口33aに流入し、まとめて冷海水と熱交換する仕組みとなっている。

    こうして凝縮器30は、機能的には従来の吸収器と凝縮器とを組合わせたものとなるものの、大きさは従来のシェルを用いるタイプの凝縮器を散水部32のスペース分だけ拡張した程度となり、吸収器の容積分を削減できることから、小型・省スペース化が実現すると共に、吸収部分と凝縮部分間の配管が省略されることで損失を抑えられ、システムの熱効率が向上する。

    前記蒸発器10及び凝縮器30の各熱交換部12、33としては、矩形状の金属製伝熱プレート70を複数並列状態で溶接一体化して形成され、各伝熱プレート70間に作動流体の通過する第一隙間部とその熱交換対象の温海水又は冷海水の通過する第二隙間部とがそれぞれ一つおきに生じると共に、前記各第一隙間部に作動流体を流入出させる一の開口部と前記各第二隙間部に海水を流入出させる他の開口部とが互いに離隔させて設けられる全溶接プレート式熱交換器をそれぞれ用いており、優れた熱交換効率により、高温熱源と低温熱源の温度差が小さくても作動流体を確実に蒸発、凝縮させて動力サイクルを稼働させられる仕組みである。

    前記再生器50は、凝縮器30からポンプ40を経て蒸発器10に向う全て液相の作動流体の主流路1a中に介設され、蒸発器10に達する前の全て液相の作動流体と、蒸発器10内で気相の作動流体と分離されて蒸発器10を出た高温液相の作動流体とを熱交換させる熱交換器であり、前記蒸発器10や凝縮器30の各熱交換部12、33と同様の構造とされてなり、詳細な説明は省略する。 この再生器50では、蒸発器10の作動流体流出口11dに通じる高温液相作動流体側の支流路1bが減圧弁51を介して凝縮器30と配管接続されており、再生器50を出た液相の作動流体が、減圧弁51を経由して圧力を調整された後、凝縮器30内の散水部32へ導入される仕組みである。

    この再生器50から減圧弁51を経由して凝縮器30内の散水部32へ液相作動流体が導入される過程で、圧力損失が大きい場合や、蒸気動力サイクルシステムの初期起動時等の、タービン21、22での膨張が小さく、蒸発器10と凝縮器30の間の圧力差が十分でない場合などには、スプレーノズル32aからの散水に必要な圧力を十分に得られないだけでなく、作動流体を再生器50側へ適切に送出せないことも起り得る。 このため、前記各場合に対応させるべく、再生器50の前段側に、蒸発器10を出た高温液相の作動流体を再生器50等後段側へ適切に送給可能とするポンプ(図示を省略)を配設することもできる。 このポンプは初期起動時などの必要な時期に動作させればよく、蒸気動力サイクルの定常動作状態など、蒸発器10と凝縮器30との間に十分な圧力差が生じている場合には動作させる必要はない。 また、こうしたポンプを設ける以外に、蒸発器10の設置位置を凝縮器30に比べて高くし、液高さにより圧力差を確保するようにしたり、起動時には作動流体ポンプの流量を少なくして全量が蒸発するようにし、圧力差が生じてきたら作動流体量を増やしていく手法等を用いることもできる。

    前記加熱器60は、前記再生器50同様に凝縮器30から蒸発器10に向う全て液相の作動流体の主流路1a中に介設され、再生器50より前段側の位置でこの再生器50に達する前の全て液相の作動流体と、第一段目のタービン21を出た後抽気された一部の高温気相の作動流体とを熱交換させる熱交換器であり、前記蒸発器10や凝縮器30の各熱交換部12、33と同様の構造とされてなり、詳細な説明は省略する。 この加熱器60のタービン21側に接続される高温作動流体側の支流路1cにおける、加熱器60より後段側部分には、加熱器60に対し高温作動流体をスムーズに流入出させるための圧力を発生させるポンプ61及びこのポンプ動作に伴う作動流体の流量変化の影響を小さくするタンク62がそれぞれ配設される。

    この加熱器60の高温作動流体側の支流路1cは、タンク62及びポンプ61を介して、前記主流路1aにおける加熱器60より後段側で且つ再生器50より前段側の位置に合流する形で配管接続されており、タービン21を出て加熱器60における熱交換で冷却され凝縮した作動流体が、タンク62及びポンプ61を経由した後、再生器50に達する直前の液相作動流体に加わる仕組みである。 前記タンク62及びポンプ61は、加熱器60で凝縮された液相の作動流体を主流路1a側からの逆流等なく適切に後段側へ流せる程度の容量及び吐出能力があれば問題なく、容量や能力を抑えた小型のものを用いることができる。

    次に、本実施の形態に係る蒸気動力サイクルシステムのサイクル実行状態について説明する。 前提として、海の所定深さ位置から低温熱源となる冷海水を、また、海の表層から高温熱源としての温海水を、それぞれ所定の流量を確保しつつ取水し、凝縮器30又は蒸発器10にそれぞれ導入しているものとする。

    蒸発器10では、高温熱源として上側の温海水流入口11aから導入される温海水と、下側の作動流体流入口11eから導入される全て液相で且つ当初の組成のままの作動流体とを、内部の熱交換部12で熱交換させる。 ここで加熱された作動流体は、昇温に伴いその一部が蒸発して気液混相流となる。 この混相状態の高温作動流体は、熱交換部12の流出口12bからシェル11の内部空間11fに流出して、有孔隔壁板11gを通過し、熱交換器12側面やシェル11内壁に沿って流下する過程で気相分と液相分に分れ、気相の作動流体は内部空間11fを上昇してシェル11上部の作動流体流出口11cから蒸発器10外へ出る。 また、液相の作動流体はそのまま流下してシェル11下部に達し、作動流体流出口11dから蒸発器10外へ出ることとなる。

    蒸発器10を出た高温気相の作動流体は、蒸発器10導入前の当初組成の液相作動流体と比較してアンモニアの割合が非常に高くなっており、この作動流体がタービン21、22に達してこれらを作動させ、これらタービン21、22により発電機等他の機器が駆動され、熱エネルギが使用可能なエネルギに変換される。 こうしてタービン21、22で膨張して仕事を行った気相作動流体は、圧力及び温度を低減させた状態となり、第二段目のタービン22を出た後、凝縮器30に導入される。

    一方、作動流体流出口11dから蒸発器10外へ出た高温液相の作動流体は、蒸発器10導入前の当初組成の液相作動流体と比較してアンモニアの割合が低めとなっており、この作動流体が再生器50へ通じる支流路1bに入り、再生器50に導入される。 この再生器50では、他方の主流路1aを通る全て液相の作動流体と前記高温液相の作動流体とを熱交換させ、主流路1a側の全て液相の作動流体を昇温させて蒸発器10側へ向わせる。 そして、この再生器50での熱交換で冷却される支流路1b側の液相作動流体は、再生器50を出た後、減圧弁51を経て凝縮器30の作動流体流入口31dから内部の散水部32に導入され、この散水部32から内部空間31gに散水されることとなる。

    凝縮器30では、作動流体流入口31cから内部に導入された気相の作動流体が、シェル31の内部空間31gで散水部32から散水される液相の作動流体と接触し、これに一部吸収されて液相に変化する。 そして、残りの未吸収分の気相作動流体は、吸収によりその量を増加させた液相の作動流体とこの内部空間31gにおいて一様に混合した状態で、熱交換部33の流入口33aに流入し、熱交換部33内を混相流として進むこととなる。

    混合状態の作動流体は、別途熱交換部33に導入された温度の低い冷海水と伝熱プレート70を介して熱交換し、作動流体全体が冷却される中、気相の作動流体は冷却に伴い凝縮して液相になるが、液相分と混合状態であることから、気相のみの場合に比べ比較的高めの温度で凝縮することとなる。 このように作動流体を混相状態として冷海水と熱交換させることで、気相単相の場合より高い温度でも安定的に凝縮させられ、気相から液相となる割合を増加させられる。

    熱交換部33で十分温度を低下させて液相分の割合を増加させた作動流体は、一部気相分の残った気液混相状態で熱交換部33の流出口33bを出てシェル31底部に達し、未凝縮で残った気相分と液相分が分離し、液相の作動流体はシェル31の作動流体流出口31fから外部に排出されて後段側のタンク35に流入する。 未凝縮分の気相の作動流体は、シェル31の作動流体流出口31eからさらに補助凝縮器34に達し、ここで最終的に全て凝縮して液相の作動流体に変化した後、凝縮器30を出た他の液相作動流体同様にタンク35に流入する。 このタンク35内に存在する全て液相の作動流体は、ほぼ当初の状態の作動流体の組成に戻っており、液相の作動流体としてはシステム内で最も低い温度及び圧力となっている。 このタンク35に達した全て液相の作動流体は、ポンプ40を経由して、主流路1aを蒸発器10へ向け進むこととなる。

    なお、第一段目のタービン21から第二段目のタービン22に向う高温気相の作動流体の一部(約1%程度)が、抽気されて支流路1cに入り、加熱器60に導入される。 加熱器60では、他方の主流路1aを通る全て液相の作動流体と前記抽気された高温気相の作動流体とを熱交換させ、全て液相の作動流体を昇温させて、気相の作動流体の保有する熱を回収する。 気相の作動流体はこの加熱器60での熱交換を経て冷却され、凝縮して液相となり、この凝縮した液相の作動流体は加熱器60を出た後、前記タンク62及びポンプ61を経て、支流路1cと主流路1aの合流点で主流路1aを流れる全て液相の作動流体に加わる。 この合流点において、各過程で複数の流路にそれぞれ分れた作動流体が全て一つに合わさることとなり、作動流体におけるアンモニアと水の割合が当初の割合に戻る。
    こうして液相の作動流体は、加熱器60や再生器50での熱交換を経て、あらかじめ所定温度まで昇温した状態で蒸発器10内に戻り、前記同様に蒸発器10での熱交換以降の各過程を繰返すこととなる。

    この作動流体に対し、凝縮器30や補助凝縮器34での熱交換に使用された冷海水は、作動流体からの熱を受けて所定温度まで昇温している。 この海水は、凝縮器30や補助凝縮器34の外へ排出された後、最終的にシステム外部の海中へ放出される。 また、蒸発器10での作動流体との熱交換に伴い温度が下がった温海水も、熱交換後にシステム外部の海中へ排出される。

    このように、本実施の形態に係る蒸気動力サイクルシステムにおいては、凝縮器30と蒸発器10間の液相作動流体主流路1aで、凝縮器30後段側で且つ加熱器60の前段側位置にポンプ40を配設し、この主流路1aにおけるポンプを一つのみとして、他のポンプ動作の影響を排除し、蒸気動力サイクルの運転状態の安定を得ていることに加え、蒸発器10と凝縮器30がプレート式熱交換器とシェルを組合わせた構造とされ、蒸発器10が気液分離器の機能を備える一方、凝縮器30は吸収器の機能を備え、非共沸混合流体を作動流体として用いる場合に、通常は蒸発器や凝縮器と別途に必要であった気液分離器及び吸収器をそれぞれ省略でき、機器配置に必要なスペースも小さくでき、配置の自由度が増大することに加え、システム全体をコンパクト化、低コスト化できる。 また、気液分離器や吸収器に付随する配管も省略でき、配管の存在に伴う圧力損失や熱損失を低減させて有効に取出せる仕事量を増大させられ、高温熱源と低温熱源の温度差が小さくても十分な動力を発生させられる。

    なお、前記実施の形態に係る蒸気動力サイクルシステムにおいては、改良した蒸発器10と凝縮器30、さらにタンク62やポンプ61配置の改良を、まとめてシステムに採用した構成としているが、これに限らず、従来の蒸気動力サイクルシステムに、改良された蒸発器、改良された凝縮器、又はタンクやポンプの配置改良をそれぞれ個別に採用するようにしてもかまわない。 そして、改良された蒸発器、及び/又は改良された凝縮器については、タービン抽気を行わず加熱器を用いない蒸気動力サイクルシステムにも採用することができ、前記同様システムのコンパクト化が図れる。

    また、前記実施の形態に係る蒸気動力サイクルシステムにおいて、蒸発器10や凝縮器30の熱交換部12、33としては、金属製の伝熱プレート70を複数並列状態で溶接一体化して形成した全溶接プレート式熱交換器を用いる構成としているが、これに限らず、プレート自体に流入口や流出口となる孔が穿設された伝熱プレートを、ガスケットを介在させつつ重ね合せて一体化する、従来から一般的なタイプのプレート式熱交換器等、様々なプレート式熱交換器を採用することもできる。 さらに、こうしたプレート式の熱交換器の他、長手方向端部に熱交換対象流体の流入出口が位置するものであれば、例えばシェルアンドチューブ型などの他の形式の熱交換器を採用する構成とすることもできる。

    また、前記実施の形態に係る蒸気動力サイクルシステムにおいては、蒸発器10から支流路1bに入り再生器50で熱交換された後の液相の作動流体を、減圧弁51を経由させて凝縮器30に導入する構成としているが、この他、凝縮器30における散水部32のノズル部分に減圧(膨張)機能を付与して減圧弁を兼用させ、支流路1bへの減圧弁の配置を省略する構成とすることもでき、システムの構成がより簡略となり、コストダウンが図れる。

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