熱を機械エネルギーに変換する装置用の作動流体、装置および方法

申请号 JP2017544700 申请日 2016-03-09 公开(公告)号 JP2018512531A 公开(公告)日 2018-05-17
申请人 インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション; INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION; 发明人 バーグ、ブライアン; マイケル、ブルーノ; パレデス、ステファン;
摘要 【課題】熱を機械エネルギーに変換する装置(4)のための作動 流体 (6)を開示する。【解決手段】作動流体(6)は、1バール(105N/m2)の圧 力 で30から250℃の間の範囲の沸騰 温度 を有する流体(7)と、流体(7)の液相内に分散または懸濁させているナノ粒子(8)とを含む。前記ナノ粒子(8)は、凝縮核または沸騰核として、あるいはその両方として備えられており、前記ナノ粒子(8)の表面は、凝縮または沸騰、あるいはその両方を持続させるように適合されている。【選択図】図3
权利要求

熱を機械エネルギーに変換する装置のための作動流体であって、 1バール(105N/m2)の圧において30から250℃の間の範囲内の沸騰温度を有する流体と、 前記流体の液相内に分散または懸濁させたナノ粒子と を含み、 前記ナノ粒子は、凝縮核または沸騰核、あるいはその両方として備えられており、前記ナノ粒子の表面は、凝縮または沸騰、あるいはその両方を持続させるように適合されている、作動流体。前記ナノ粒子の直径は、1から100nmの間、1から50nmの間、または1から10nmの間である、請求項1に記載の作動流体。前記流体内の前記ナノ粒子の濃度は、0.01から1体積パーセントの範囲、0.05から0.5体積パーセントの範囲、または0.06から0.14体積パーセントの範囲である、請求項1または2に記載の作動流体。前記ナノ粒子は、機能化表面の親性表面を有する、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の作動流体。前記ナノ粒子は、酸化物単層または有機単層、あるいはその両方を含む、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の作動流体。熱を機械エネルギーに変換する装置であって、 請求項1ないし5のいずれか一項に記載の作動流体と、 前記作動流体を少なくとも部分的に凝縮して、それによって前記作動流体から熱を除去するように適合された、流入コンデンサ装置と を備え、 前記作動流体に含有されている前記ナノ粒子は、凝縮過程を強化し、かつ加速させるために、全凝縮表面を増大させるように適合されており、前記凝縮過程は、前記作動流体の液体−気体混合物の一部が前記ナノ粒子において凝縮するように実現される、装置。前記作動流体の前記液体−気体混合物を生成するために前記作動流体を加熱するように適合された、ボイラと、 前記作動流体の前記液体−気体混合物を膨張させるように適合された、膨張装置と をさらに備える、請求項6に記載の装置。前記流入コンデンサ装置は、前記作動流体から熱を除去するためのステータ熱交換器を備える、請求項6または7に記載の装置。前記流入コンデンサ装置は、前記作動流体の流れ方向に対して直列に配設されている、前記作動流体から熱を除去するための複数のステータ熱交換器を備える、請求項8に記載の装置。可動要素をさらに備え、前記可動要素は、前記作動流体の前記液体−気体混合物が、前記作動流体の前記液体−気体混合物の内部エネルギーまたは運動エネルギー、あるいはその両方を、前記可動要素と関連づけられた機械エネルギーに少なくとも部分的に変換するように、配設されている、請求項6ないし9のいずれか一項に記載の装置。前記流入コンデンサ装置は、前記作動流体の流れ方向に対して直列に配設されている、前記作動流体から熱を除去するための複数のステータ熱交換器を備え、前記可動要素は、前記作動流体の前記流れ方向に対して、前記流入コンデンサ装置の2つのステータ熱交換器の間に配設されている、請求項10に記載の装置。前記作動流体の前記液体−気体混合物が、蒸気品質100%から80%の間、または99%から93%の間で、前記流入コンデンサ装置に入るか、または前記作動流体の前記液体−気体混合物が、蒸気品質60%から40%の間、または55%から45%の間で、前記流入コンデンサ装置から出るか、あるいはその両方である、請求項6ないし11のいずれか一項に記載の装置。前記ボイラは、前記作動流体の前記液体−気体混合物を生成するために前記作動流体を加熱するように適合された少なくとも1つのチャネルを有する、チャネル流ボイラであり、前記ナノ粒子は、前記少なくとも1つのチャネル内部での沸騰のための核生成部位として作用する、請求項7、または請求項7を含む請求項8ないし12のいずれか一項に記載の装置。熱を機械エネルギーに変換する方法であって、 作動流体の液体−気体混合物を生成するために、ナノ粒子を含む前記作動流体を加熱するステップ(S1)と、 前記作動流体の前記液体−気体混合物を膨張させるステップ(S2)と、 前記作動流体の前記液体−気体混合物の内部エネルギーまたは運動エネルギー、あるいはその両方を機械エネルギーに変換するステップ(S3)と、 凝縮核としての前記ナノ粒子において、凝縮が少なくとも部分的に起こるように、流入コンデンサ装置内の前記作動流体の前記液体−気体混合物を、少なくとも部分的に凝縮させるステップ(S4)と を含み、 前記方法が熱力学サイクルとして作動するか、または前記流入コンデンサ装置における凝縮がほぼ等温であるか、あるいはその両方である、方法。複数のステータ熱交換器が、前記流入コンデンサ装置における凝縮中の循環式再冷却を可能にして、等温凝縮を可能にする、請求項14に記載の方法。

说明书全文

本開示は、熱を機械エネルギーに変換する装置用の作動流体(working fluid)、熱を機械エネルギーに変換する装置、および熱を機械エネルギーに変換する方法に関する。

今日の電気エネルギーのほとんどは、機械的仕事を生み出すための熱学的サイクルを使用して発生させる。カルノー・サイクルは、ニコラ・レオナール・サディ・カルノー(Nicolas Leonard Sadi Carnot)により提案された理想的な理論熱力学サイクルである。この理論サイクルは、2つの熱貯蔵器間で、所与の量の熱を仕事に変換するための、任意の熱力学サイクルの効率に対する上限を設定する。2相作動流体のためのサイクルは、ランキン・サイクルである。ウィリアム・JM・ランキン(William J.M. Rankine)は、T−s図がカルノー・サイクルと類似するので、2相作動流体に対する実際的なカルノー・サイクルであると考えられる、蒸気エンジンの基本的な熱力学基盤を提供した。主たる差異は、熱の(ボイラにおける)付加および(コンデンサにおける)遮断が、ランキン・サイクルでは等圧的であり、理論カルノー・サイクルでは等温的であることにある。ポンプは、コンデンサから受け入れられた作動流体を加圧する。サイクルを通して作動流体をポンピングする際のエネルギーのすべてが、コンデンサにおいて遮断される、ボイラ内での蒸発のエネルギーのすべてと同様に、失われる。液体の作動流体のポンピングには、タービン動力の約1〜3%を必要とする。ランキン・サイクルの効率は、作動流体と機器材料とによって制限される。タービン中への水蒸気進入温度は、約565℃であり、コンデンサ温度は約30℃である。これによって、理論カルノー効率が約63%、現代的な多段階発電所に対する実際効率が42%となり、圧力に抵抗する膨張仕事のため、および沸騰と凝縮における温度勾配によって、21%が、主としてボイラとコンデンサにおいて失われる。多種類の作動流体を使用することが可能であるが、水は、無毒、無反応性であって、豊富にあり、低コストで、かつ良好な熱力学特性を有するので、一般に好まれる流体である。ランキン・サイクルが有機作動流体で実現される場合には、一般に有機ランキン・サイクル(ORC)と呼ばれる。

古典的なランキン・エンジンは、4つの別個の構成要素、すなわち、ボイラ、膨張装置、コンデンサ、およびポンプを有する。さらに、古典的なランキン・エンジンは、気相と液相の間の相変化を伴う。ランキン・サイクルの最も顕著な特徴は、膨張装置からボイラとコンデンサが分離されることと、膨張装置における液体から気体への作動流体の相変化を回避することである。古典的なランキン・エンジンは、相変化過程と、再加熱なしの断熱膨張過程と、熱源、作動流体、およびヒート・シンク間の温度勾配とによる、体積増加を利用できないため、その効率は制限される。膨張装置から加熱冷却熱交換器を分離することの主な理由は、体積不適合(volume incompatibility)である。このことは、熱交換器の体積が、膨張装置よりもはるかに大きいことを意味する。低級熱源は、高級変換過程におけるよりも、はるかに大きい相対効率損失を誘発するので、温度勾配が小さいことは、低級熱源に対してはるかに重要である。

文献米国特許第8166761B2号は、よりエネルギー効率の高い、ランキン・サイクルの代替サイクルを開示している。

米国特許第8166761B2号

したがって、本開示の一態様は、より小さい体積における沸騰および凝縮と、より大きい体積における膨張を可能にするとともに、より高い全体効率を可能にする、熱を機械エネルギーに変換する装置のための改良された作動流体を提供することである。

本開示の別の態様は、熱を機械エネルギーに変換するための改良された装置を提供することである。

本開示のさらに別の態様は、熱を機械エネルギーに変換する改良された方法を提供することである。

したがって、熱を機械エネルギーに変換する装置のための作動流体が開示される。この作動流体は、1バール(105N/m2)の圧力において30から250℃の間の範囲内の沸騰温度を有する流体と、流体の液相内に分散または懸濁させたナノ粒子とを含む。前記ナノ粒子は、凝縮核または沸騰核、あるいはその両方として備えられており、前記ナノ粒子の表面は、凝縮または沸騰、あるいはその両方を持続させるように適合されている。

作動流体の一実施形態によれば、前記ナノ粒子の直径は、1から100nmの間、好ましくは1から50nmの間、より好ましくは1から10nmの間である。

作動流体のさらに別の実施形態によれば、流体内の前記ナノ粒子の濃度は、0.01から1体積パーセントの範囲、好ましくは0.05から0.5体積パーセントの範囲、より好ましくは0.06から0.14体積パーセントの範囲である。

作動流体のさらに別の実施形態によれば、前記ナノ粒子は、機能化表面(functionalized surface)、特に親水性表面を有する。

作動流体のさらに別の実施形態によれば、前記ナノ粒子は、酸化物単層または有機単層、あるいはその両方を含む。

さらに、熱を機械エネルギーに変換する装置が開示される。この装置は、上記作動流体に記載の作動流体と、作動流体を少なくとも部分的に凝縮して、それによって作動流体から熱を除去するように適合された、流入コンデンサ装置(inflow condenser device)とを備える。作動流体に含有されている前記ナノ粒子は、凝縮過程を強化し、かつ加速させるために、全体凝縮表面を増大させる。凝縮過程は、作動流体の液体−気体混合物(liquid-gas mixture)の一部が前記ナノ粒子において凝縮するように実現される。

一実施形態によれば、装置は、作動流体の液体−気体混合物を生成するために作動流体を加熱するように適合されたボイラと、作動流体の液体−気体混合物を膨張させるように適合された、膨張装置とをさらに備える。

装置のさらに別の実施形態によれば、流入コンデンサ装置は、作動流体から熱を除去するためのステータ熱交換器(stator heat exchanger)を備える。

装置のさらに別の実施形態によれば、流入コンデンサ装置は、作動流体の流れ方向に対して直列に配設されている、作動流体から熱を除去するための複数のステータ熱交換器を備える。

さらに別の実施形態によれば、装置は可動要素をさらに備え、この可動要素は、作動流体の液体−気体混合物が、作動流体の液体−気体混合物の内部エネルギーまたは運動エネルギー、あるいはその両方を、可動要素と関連づけられた機械エネルギーに少なくとも部分的に変換するように配設されている。

装置のさらに別の実施形態によれば、流入コンデンサ装置は、作動流体の流れ方向に対して直列に配設されている、作動流体から熱を除去するための複数のステータ熱交換器を備え、可動要素は、作動流体の流れ方向に対して、流入コンデンサ装置の2つのステータ熱交換器の間に配設されている。

装置のさらに別の実施形態によれば、作動流体の液体−気体混合物が、蒸気品質(vapor quality)100%から80%の間、好ましくは、99%から93%の間で、流入コンデンサ装置に入るか、または作動流体の液体−気体混合物が、蒸気品質60%から40%の間、好ましくは55%から45%の間で、流入コンデンサ装置から出るか、あるいはその両方である。

装置のさらに別の実施形態によれば、ボイラは、作動流体の液体−気体混合物を生成するために作動流体を加熱するように適合された少なくとも1つのチャネルを有する、チャネル流ボイラ(channel flow boiler)であるとともに、前記ナノ粒子は、少なくとも1つのチャネル内部の沸騰のための核生成部位として作用する。

さらに、熱を機械エネルギーに変換する方法が開示される。この方法は、以下のステップ、すなわち、 作動流体の液体−気体混合物を生成するために、ナノ粒子を含む作動流体を加熱するステップS1と、 作動流体の液体−気体混合物を膨張させるステップS2と、 作動流体の液体−気体混合物の内部エネルギーまたは運動エネルギー、あるいはその両方を機械エネルギーに変換するステップS3と、 凝縮核としての前記ナノ粒子において、凝縮が少なくとも部分的に起こるように、流入コンデンサ装置内の作動流体の液体−気体混合物を、少なくとも部分的に凝縮させるステップS4とを含む。

この方法は、熱力学サイクルとして作動するか、または流入コンデンサ装置における凝縮はほぼ等温であるか、あるいはその両方である。

この方法の一実施形態によれば、複数のステータ熱交換器は、流入コンデンサ装置における凝縮中に循環式再冷却を可能にして、等温凝縮を可能にする。

提示された、熱を機械エネルギーに変換する装置用の作動流体、熱を機械エネルギーに変換する装置、および熱を機械エネルギーに変換する方法のいくつかの実施形態は、実施形態について上述または後述しているような、個別または組み合わされた特徴、方法ステップまたは態様を含んでもよい。

以下では、作動流体、装置および方法の実施形態について、同封の図面を参照して説明する。

T−s図における水蒸気ランキン・サイクルを示す図である。

一実施形態による熱を機械エネルギーに変換する装置を示す概略図である。

一実施形態による作動流体を示す概略図である。

さらに別の実施形態による熱を機械エネルギーに変換する装置を示す概略図である。

図4に記載の熱を機械エネルギーに変換する装置を示す概略横断面図である。

図5の部分Iを示す拡大図である。

図5に示された装置における蒸気品質を示す概略図である。

図5に示されたのと類似の装置による、T−s図における修正熱力学サイクルを示す図である。

さらに別の実施形態による、熱を機械エネルギーに変換する装置を示す概略横断面図である。

一実施形態による熱を機械エネルギーに変換する方法を示すフローチャートである。

図面における同一要素または機能的に類似の要素には、特に断らない場合には、同一の参照記号が割り当てられる。

熱を機械エネルギーに変換する装置用の作動流体が開示される。この作動流体は、1バール(105N/m2)の圧力において30から250℃の間の範囲内の沸騰温度を有する流体と、流体の液相中に分散または懸濁させたナノ粒子とを含む。前記ナノ粒子は、凝縮核または沸騰核、あるいはその両方として備えられており、前記ナノ粒子の表面は、凝縮または沸騰、あるいはその両方を持続させるように適合されている。

作動流体がナノ粒子を含むため、はるかに小さく、より効率的な、熱を機械エネルギーに変換する装置全体を実現することができる。特に、凝縮装置全体をより小さくすることができる。ナノ粒子支援凝縮によって、流入コンデンサ装置を使用することが可能になる。作動流体は、流入コンデンサ装置を通過する間に、少なくとも部分的に凝縮する。このことは、作動流体が流入コンデンサ装置を通過する間に、作動流体内のナノ粒子が全体凝縮表面を増大させるので可能である。それは、ナノ粒子が、凝縮過程に対する核生成部位として作用することを意味する。

作動流体は、熱力学サイクル内で使用されるように適合された流体を含む。熱力学サイクルの間に、作動流体は、加圧、膨張、凝縮または圧縮されるか、あるいはそれらの組合せを受ける可能性がある。さらに、作動流体は、特に液相と気相の間で、相変化を起こす可能性があり、逆のことも起こり得る。例えば、作動流体は水としてもよい。しかしながら、作動流体は、メタノール、トルエン、またはペンタンなどの有機流体としてもよい。1バール(105N/m2)の圧力において、流体の沸騰温度は、30から250℃の範囲、好ましくは65から200℃の範囲、より好ましくは75から150℃の範囲である。さらに、ナノ粒子を流体内に分布させる。流体の液相において、ナノ粒子は、流体内に分散または懸濁させている。

作動流体の一実施形態によれば、前記ナノ粒子の直径は、1から100nmの間、好ましくは1から50nmの間、より好ましくは1から10nmの間である。ナノ粒子が十分に小さい場合には、ナノ粒子は装置のロータ要素を損傷させることがない。ナノ粒子が100nmより小さい場合には、ナノ粒子は、気体流とともに流れ、ブレードに衝突することはなく、したがって発生する損傷は、はるかに少ない。

作動流体のさらに別の実施形態によれば、流体内での前記ナノ粒子の濃度は、0.01から1体積パーセントの範囲、好ましくは0.05から0.5体積パーセントの範囲、より好ましくは0.06から0.14体積パーセントの範囲である。0.01から1体積パーセントの間のナノ粒子の濃度は、流入コンデンサ装置における作動流体の迅速で効率的な凝縮を可能にするために適している。

作動流体のさらに別の実施形態によれば、前記ナノ粒子は、機能化表面、特に親水性表面を有する。ナノ粒子の機能化表面は、ナノ粒子を分離させておくのに有利であり得る。親水性表面は、流体内でのナノ粒子の凝集を防止することができる。

作動流体のさらに別の実施形態によれば、前記ナノ粒子は、酸化物単層または有機単層、あるいはその両方を含む。また、ナノ粒子の酸化物単層または有機単層、あるいはその両方は、流体内でのナノ粒子の凝集を防止することができる。さらに、凝縮または沸騰、あるいはその両方の有効性を向上させることができる。

さらに、熱を機械エネルギーに変換する装置が開示される。この装置は、記載の作動流体による作動流体と、作動流体を少なくとも部分的に凝縮させて、それによって作動流体から熱を除去するように適合された流入コンデンサ装置とを備える。作動流体に含有される前記ナノ粒子は、凝縮過程を強化し、かつ加速させるために、全体凝縮表面を増大させる。凝縮過程は、作動流体の液体−気体混合物の一部が前記ナノ粒子において凝縮するように実現される。

熱を機械エネルギーに変換する装置は、コンデンサ部またはボイラ部、あるいはその両方をより小型に製作できるので、熱を機械エネルギーに変換する従来のエンジンと比較して、寸法を低減させることができる。ナノ粒子支援凝縮によって、流入コンデンサ装置を使用することが可能になる。作動流体は、流入コンデンサ装置を通過する間に、少なくとも部分的に凝縮する。このことは、作動流体が流入コンデンサ装置を通過する間に、作動流体内のナノ粒子が全体凝縮表面を増大させるため、可能である。それは、ナノ粒子が、凝縮過程に対する核生成部位として作用することを意味する。詳細には、低温/低圧作動のために、膨張装置はより大きくなる。ナノ粒子と流入構成によって、ボイラおよびコンデンサは、大幅に小さくなり、その結果として、それらは、この時点ではより大きい膨張装置内に含めることができる。

一実施形態によれば、装置は、作動流体の液体−気体混合物を生成するために、作動流体を加熱するように適合されたボイラと、作動流体の液体−気体混合物を膨張させるように適合された膨張装置とを備える。ボイラ、膨張装置および流入コンデンサ装置は、同程度の寸法であり、したがって複合タービン装置に一体化することができる。

ボイラは、液体−気体混合物を提供するように適合させてもよい。液体−気体混合物は、作動流体の液相と、作動流体の気相とを含んでもよい。さらに、ボイラは、予め設定された、液体−気体混合物の気体または蒸気の、ある質量分率を有する、液体−気体混合物を提供してもよい。液体−気体混合物の気体の質量分率は、蒸気品質とも呼ばれる。さらに、沸騰装置は、液体小滴衝突による、可動要素、例えば、タービン・ブレードの有害な浸食を避けるために、液相が複数の小さい液滴に微細に分散され、液滴の寸法が小さいために、これらの液滴が流動気相に完全に連行される、液体−気体混合物を提供するように適合させてもよい。

膨張装置は、液体−気体混合物の膨張を可能にする機構を備えてもよい。液体−気体混合物の膨張によって、液体−気体混合物の体積が増大する。膨張する液体−気体混合物の体積増加を説明するためには、膨張装置の内容積も、例えば、流れ方向に沿って、増大しなくてはならない。

ボイラは、膨張装置に、少なくとも部分的に結合することができる。膨張装置は、機械エネルギーを発生させるように適合させることができる。例えば、ボイラの出口と、膨張装置の入口を一致させてもよい。さらに、膨張装置は、少なくとも部分的に、流入コンデンサ装置に結合することができる。例えば、膨張装置の出口と、流入コンデンサ装置の入口を一致させてもよい。特に、ボイラ、膨張装置および流入コンデンサ装置は、一体的に形成してもよい。さらに、ボイラと膨張装置とは、沸騰装置において生成された液体−気体混合物の運動エネルギーが、沸騰および加速装置から膨張装置への液体−気体混合物の通過中に、維持されるように配設または配列してもよい。特に、沸騰装置と膨張装置との間の導管または管を省略してもよい。

ボイラ、膨張装置および流入コンデンサ装置は、作動流体の流れ方向などの、選好方向をそれぞれ有してもよい。実施形態において、ボイラ、膨張装置および流入コンデンサ装置の選好方向は、互いに平行であるか、または同一線であるか、あるいはその両方である。代替形態において、湾曲部(turn)を設けることができるが、それは効率を低下させる。

装置のさらに別の実施形態によれば、流入コンデンサ装置は、作動流体から熱を除去するステータ熱交換器を備える。流入コンデンサ装置において、凝縮過程は、熱伝達過程から分離されている。したがって、流入コンデンサ装置における凝縮過程は、不均質凝縮過程である。この過程は、ナノ粒子によって仲介されるが、関連する熱伝達を含まない。原理的に、これは霧箱内での雲形成および霧生成と同じ過程である。したがって、流入コンデンサ装置は、気体膨張が許容されない場合には、熱伝達を実行するために、少なくとも1つのステータ熱交換器を備える。小型化されたシステムに対して、表面と体積の比は大きく、その結果として、略等温動作(near isothermal operation)に到達させるのに、ステータに加えて、明白な熱交換器は必要ではない。ステータ熱交換器は、必須ではない。熱交換は、体積膨張によって行うこともできる。

装置のさらに別の実施形態によれば、流入コンデンサ装置は、作動流体の流れ方向に対して直列に配設されている、作動流体から熱を除去するための複数のステータ熱交換器を備える。複数のステータ熱交換器は、1つだけのステータ熱交換器よりも、良好な熱伝達をもたらすことができる。

さらに別の実施形態によれば、装置は、可動要素をさらに備え、この可動要素は、作動流体の液体−気体混合物が、作動流体の液体−気体混合物の内部エネルギーまたは運動エネルギー、あるいはその両方を、可動要素と関連づけられた機械エネルギーに少なくとも部分的に変換するように配設されている。

可動要素は、ロータ要素としてもよい。特に、膨張する液体−気体混合物は、液体−気体混合物の内部エネルギーまたは運動エネルギー、あるいはその両方を移動要素に関連づけられた機械エネルギーに少なくとも部分的に変換することができる、可動要素を移動させてもよい。例えば、可動要素は、発電機などの発生装置用のシャフトを、駆動または推進してもよい。

特に、膨張する液体−気体混合物は、タービン装置の可動ロータ要素を推進してもよい。膨張する液体−気体混合物の内部エネルギーまたは運動エネルギー、あるいはその両方が、可動ロータ要素を回転させてもよい。ロータ要素の回転によって、液体−気体混合物の内部エネルギーまたは運動エネルギーを、あるいはその両方を機械エネルギーに変換することができる。

装置のさらなる実施形態によれば、流入コンデンサ装置は、作動流体の流れ方向に対して直列に配設されている、作動流体から熱を除去するための複数のステータ熱交換器を備え、可動要素は、作動流体の流れ方向に対して、流入コンデンサ装置の2つのステータ熱交換器の間に配設されている。また、流入コンデンサ装置において、膨張する液体−気体混合物の内部エネルギーまたは運動エネルギー、あるいはその両方を、機械エネルギーに変換することができる。

装置のさらに別の実施形態によれば、作動流体の液体−気体混合物は、蒸気品質100%から80%の間、好ましくは、99%から93%の間で、流入コンデンサ装置に入るか、または作動流体の液体−気体混合物が、蒸気品質60%から40%の間、好ましくは55%から45%の間で、流入コンデンサ装置から出るか、あるいはその両方である。原理的に、凝縮の約90%を、流入コンデンサ装置内部で発生させることができる。

装置のさらに別の実施形態によれば、ボイラは、作動流体の液体−気体混合物を生成するために作動流体を加熱するように適合された少なくとも1つのチャネルを有する、チャネル流ボイラであるとともに、前記ナノ粒子は、少なくとも1つのチャネル内部の沸騰のための核生成部位として作用する。ナノ粒子が理由で、沸騰過熱は低くすることができる。ナノ粒子は表面張力を低減させるので、このことが当てはまる。沸騰過程および凝縮過程は、流体内部での熱伝達、および熱交換器への熱伝達が制限されているため、および(小さい泡が不安定であるため、)沸騰に幾何学的支援が必要であるために、過熱または過冷を受けやすい。

さらに、熱を機械エネルギーに変換する方法が開示される。この方法は、以下のステップ、すなわち、 作動流体の液体−気体混合物を生成するために、ナノ粒子を含む作動流体を加熱するステップS1と、 作動流体の液体−気体混合物を膨張させるステップS2と、 作動流体の液体−気体混合物の内部エネルギーまたは運動エネルギー、あるいはその両方を機械エネルギーに変換するステップS3と、 凝縮核としての前記ナノ粒子において、凝縮が少なくとも部分的に起こるように、流入コンデンサ装置内の作動流体の液体−気体混合物を、少なくとも部分的に凝縮させるステップS4とを含む。

この方法が熱力学サイクルとして作動するか、または流入コンデンサ装置における凝縮がほぼ等温であるか、あるいはその両方である。

作動流体の液体−気体混合物の膨張は、略等温膨張である。それは、作動流体の液体−気体混合物を膨張させる間に、ステータ熱交換器を介して熱が加えられることを意味する。流入コンデンサ装置内での作動流体の液体−気体混合物の凝縮は、略等温凝縮である。それは、流入コンデンサ装置内で作動流体の液体−気体混合物を凝縮させる間に、ステータ熱交換器を介して熱が除去されることを意味する。

この方法の一実施形態によれば、複数のステータ熱交換器は、流入コンデンサ装置における凝縮中に循環式再冷却を可能にして、等温凝縮を可能にする。流入コンデンサ装置内のステータ熱交換器は、作動流体から熱を除去するために使用される。代替形態においては、流体体積膨張(volumetric fluid expansion)も可能である。

さらに、熱を機械エネルギーに変換する装置用の作動流体の使用が開示される。この作動流体は、1バール(105N/m2)の圧力において30から250℃の間の範囲内の沸騰温度を有する流体と、流体の液相内に分散または懸濁させたナノ粒子とを含む。前記ナノ粒子は、凝縮核または沸騰核、あるいはその両方として備えられており、前記ナノ粒子の表面は、凝縮または沸騰、あるいはその両方を持続させるように適合されている。

以下においては、熱を機械エネルギーに変換する装置の区間または部分だけが示されているものと理解される。実際の実施形態においては、バルブ、管、導管、アクセサリ、治具、ポンプ、圧縮器、その他などの追加の要素を含めることができる。

これらの実施形態は、ランキン・サイクル・ベースの過程といくらかの類似性を示している。図1は、T−s図における水蒸気ランキン・サイクルを示す。特に、水蒸気ランキン・サイクルは、一般に、電気エネルギーを発生させる水蒸気発電機において使用されている。横軸1は系のエントロピを表わし、縦軸2は系の絶対温度Tを表わす。曲線3は、使用される作動流体、例えば水蒸気の飽和蒸気曲線を表わす。ランキン・サイクルは、作動流体の断熱圧縮(A→B)、作動流体への等圧熱付加(B→C)、作動流体の断熱膨張(C→D)、および等圧放熱(D→A)を含む。ランキン・サイクルの効率は、カルノー・サイクルの効率の約70%に制限される。ランキン・サイクルとカルノー・サイクルの主要な差異は、熱付加(例えば、ボイラにおける)と放熱(例えば、コンデンサにおける)が、等エントロピ(すなわち、一定エントロピ)ではなく、等圧(すなわち、一定圧力)であること、および作動流体の膨張が、等温性ではなく、断熱的であることである。また、ランキン・サイクルの従来式の実現において直面する実際的な問題は、作動流体の断熱膨張中(C→D)の水滴の形成である。これらの水滴は、タービン・ブレードの衝撃浸食(impingement erosion)を生じさせる。このため、蒸気は、例えば、過熱されて、サイクル効率の損失が生じる。過熱を伴うランキン・サイクルは、図1において過程A−B−C−C’−D’−Aで示されている。

図2は、熱を機械エネルギーに変換する装置4の一実施形態を示す概略図である。装置4は、作動流体6を少なくとも部分的に凝縮させて、それによって作動流体6から熱を除去するように適合された、流入コンデンサ装置5を備える。

図3は、一実施形態による作動流体6を示す概略図である。作動流体6は、流体7とナノ粒子8とを含む。ナノ粒子8は、作動流体6内に分布させている。流体7の液相において、ナノ粒子は分散または懸濁させている。ナノ粒子8は、凝縮核として備えられている。さらに、ナノ粒子8の表面は、凝縮を持続させるように適合されている。

図2の熱を機械エネルギーに変換する装置4は、図3の作動流体6を含む。ナノ粒子8は、ナノ粒子8の表面と流入コンデンサ装置5の表面とからなる、全体凝縮表面を増大させる。したがって、凝縮過程が増強される。流入コンデンサ装置5における凝縮過程は、作動流体6の液体−気体混合物の一部が、ナノ粒子8において凝縮するように実現される。

流入コンデンサ装置5は、可動要素、特にロータ要素15を備えることができる。ロータ要素15は、作動流体6の内部エネルギーまたは運動エネルギー、あるいはその両方を機械エネルギーに変換する。さらに、流入コンデンサ装置5は、作動流体6から熱を除去するためのステータ熱交換器16を備えることができる。流入コンデンサ装置5において、凝縮過程は、ナノ粒子8が理由となり、熱伝達過程から分離されている。したがって、流入コンデンサ装置5は、少なくとも1つのステータ熱交換器16を備えて、熱伝達を実行する。

装置4は、液体の作動流体6から液体−気体混合物を生成して加速させるために、作動流体6を加熱するように適合されたチャネル流ボイラとして実現されている。ボイラ9は、チャネル方向yを定義する、少なくとも1つのチャネルを有する。作動流体6は、供給ライン11から入口10を介してボイラ9へ供給される。装置4は、膨張装置14をさらに備えてもよい。ボイラ9の出口12は、膨張装置14の入口13に接続することができる。チャネル方向yは、膨張装置14における可動要素15の選好方向と一致させることができる。膨張装置14は、液体−気体混合物を膨張させるように適合されるとともに、液体−気体混合物に熱を供給するように適合されている。特に、膨張装置14は、可動要素、特にロータ要素15によって、内部エネルギーまたは運動エネルギー、あるいはその両方を、機械エネルギーに少なくとも部分的に変換する。さらに、膨張装置14は、作動流体6に熱を加えるためのステータ熱交換器16を備えることができる。これによって、作動流体6の等温膨張が可能になる。

熱力学サイクルを実行するために、装置4は、任意選択で、従来式コンデンサ17とポンプ18とに接続してもよい。さらに、装置4は、断熱ステージ19を備えることができる。断熱ステージ19は、膨張装置14と流入コンデンサ装置5の間に配設される。

ボイラ9、膨張装置14および流入コンデンサ装置5は、同程等の寸法を有する。したがって、個々の実体において、これらの機能、すなわち加熱、膨張および凝縮を分離することは必要ではない。ボイラ9、膨張装置14および流入コンデンサ装置5は、1つの一体化装置とすることができる。従来型水蒸気エンジンにおいては、ボイラおよびコンデンサ(熱変換装置)は、現行の確立された温度および圧力に対して、膨張装置よりもはるかに大きい体積を有する。開示された装置および方法は、熱を機械エネルギーに変換するための、より小さく、良好な一体化されたシステムおよび機構を可能にする。

図4は、さらに別の実施形態による熱を機械エネルギーに変換する装置4を示す概略図である。装置4は、ボイラ9と、膨張装置14と、断熱ステージ19と、流入コンデンサ装置5と、コンデンサ装置20とを備える。ボイラ9、膨張装置14、断熱ステージ19、流入コンデンサ装置5およびコンデンサ装置20は、単一の装置4に一体化することができる。図4の熱を機械エネルギーに変換する装置4は、タービン21として実現されている。タービン21は、機械エネルギーを別の装置(図4には図示せず)に伝達するためのシャフト22を備える。

図4において、熱源23は、閉ループ24内で装置4に接続されている。例えば、水を、閉ループ24内で使用することができる。閉ループ24は、膨張装置14とボイラ9とに熱を供給するために、膨張装置14とボイラ9とを通過している。さらに、閉ループ24は、熱交換装置25を通過する。

さらに、冷熱源(cold source)26は、閉ループ27内で装置4に接続されている。例えば、水を、閉ループ27内で使用することができる。閉ループ27は、コンデンサ装置20を冷却するために、コンデンサ装置20を通過する。

作動流体6は、閉ループ28において、ボイラ9と、膨張装置14と、断熱ステージ19と、流入コンデンサ装置5と、コンデンサ装置20とを通過する。さらに、コンデンサ装置20を出てから、閉ループ28は、流入コンデンサ装置5を2回目として通過し、それによって流入コンデンサ装置5を冷却するとともに、作動流体6を加熱する。それは、流入コンデンサ装置5における凝縮過程中に失われる熱の一部を、閉ループ28が流入コンデンサ装置5を2回目に通過するときに、貯留することができることを意味する。これによって、熱力学サイクルの全体効率が増大する。さらに、閉ループ28は熱交換装置25を通過して、やはり熱交換装置25を通過する閉ループ24を介して、熱源23によって加熱される。次いで、閉ループ28はボイラ9に再び到達する。

図5は、図4に記載の熱を機械エネルギーに変換する装置4を示す概略横断面図である。図5においてわかるように、装置4は、単一のハウジング36に一体化された、5つの区間を含む。第1の区間は、ボイラ9を含み、第2の区間は膨張装置14を含み、第3の区間は断熱ステージ19を含み、第4の区間は流入コンデンサ装置5を含み、第5の区間はコンデンサ装置20を含む。装置4は、タービン21として実現されている。タービン21は、シャフト22を備える。複数のロータ要素15がシャフト22に接続されている。

熱源23と膨張装置14とボイラ9とを接続する閉ループ24は、加熱された流体を膨張装置14とボイラ9とを通じてポンピングするためのポンプ29を備える。さらに、閉ループ24の加熱された流体は、熱交換装置25も通過する。熱源23は、例えば、太陽熱エネルギーまたは工業廃熱としてもよい。さらに、冷熱源26とコンデンサ装置20とを接続する閉ループ27は、コンデンサ装置20を通じて冷熱流体をポンピングするためのポンプ30を備える。作動流体を収納する閉ループ28は、作動流体をポンピングするためのポンプ31を備える。

代替構成においては、熱交換装置25は、入口と出口を交差させて接続することによって除外することができる。そうすると、復帰流体は熱源23において加熱されて、その出口を介して供給ライン11中に挿入される。そうすると、熱源23と膨張装置14の間は、単一のループだけになる。この構成の利点は、膨張装置14の加熱流体と作動流体6の間に熱勾配が導入されないことである。

さらに、膨張装置14、流入コンデンサ装置5およびコンデンサ装置20は、膨張において液体−気体混合物に熱を供給するとともに、凝縮過程中に液体−気体混合物に冷気を供給するように適合された、ステータ熱交換器16を備えてもよい。液体−気体混合物に熱または冷気を供給するために、ステータ熱交換器16は、熱交換器機構を備える。熱交換器機構は、熱または冷気を運ぶ流体を誘導する導管を備える。特に、ステータ熱交換器16によって液体−気体混合物に供給される熱は、膨張装置14における液体−気体混合物の温度低下を少なくとも部分的に補償する。

ボイラ9は、第1のボイラ区間32と第2のボイラ区間33を含み、各ボイラ区間32、33は、複数のチャネル流ボイラ34を備える。ボイラ区間32、33の数およびボイラ区間32、33の幾何学的配設は、その後の膨張装置14の寸法と幾何学形状とに応じて決めてもよい。

供給ライン11は、作動流体6を各チャネル流ボイラ34へ供給する。作動流体6の液体−気体混合物が、各チャネル流ボイラ34において生成されて、チャネル流ボイラ34から膨張装置14に向かう方向に出る。

装置4は、複数の後続ステージを備える。各ステージは、作動流体6の液体−気体混合物の内部エネルギーまたは運動エネルギー、あるいはその両方を、機械エネルギーに少なくとも部分的に変換するように適合された、可動ロータ要素15を備えることができる。さらに、装置4の各ステージは、作動流体6の液体−気体混合物に熱または冷気を供給するように適合された、ステータ熱交換器16を備えることができる。可動ロータ要素15およびステータ熱交換器16は、作動流体6の流れ方向に対して配設されている。

図5においてわかるように、膨張装置14の内径dは、作動流体6の流れ方向に増大する。また、作動流体6の液体−気体混合物は、作動流体6の流れ方向に膨張する。膨張装置14における膨張は、ステータ熱交換器16によって熱が加えられるので、略等温である。

断熱ステージ19の直径は、図5に示されるように一定である。代替構成においては、断熱ステージ19は連続的に拡がる。さらに、断熱ステージ19は、従来型タービンにおけるように、複数のステージで構成することができる。

図6は、図5の部分Iを示す拡大図である。それは、図6が断熱ステージ19と流入コンデンサ装置5とを、より詳細に示していることを意味する。矢印35は、作動流体6の流れ方向を示す。わかるように、断熱ステージ19は、3つのロータ要素15a、15b、15cを備え、ステータ熱交換器16は備えない。作動流体6の液体−気体混合物は、さらに膨張し、断熱ステージ19においては、熱交換は行われない。したがって、作動流体6の液体−気体混合物は、冷却と凝縮を開始する。

図6においてわかるように、断熱ステージ19は、一定の直径を有する。しかしながら、代替構成においては、断熱ステージ19は連続的に拡がる。

次に、作動流体6の液体−気体混合物は、流入コンデンサ装置5に入る。図6に示されている、流入コンデンサ装置5は、2つのステータ熱交換器16a、16bを備える。各ステータ熱交換器16a、16bは、作動流体6の液体−気体混合物と熱交換するように適合された、複数のフィン37を備える。さらに、装置4は、流入コンデンサ装置5の区間内にロータ要素15dを備える。ステータ熱交換器16a、16bは、作動流体6の閉ループ28に接続されている。しかしながら、低温液体の作動流体6は、ステータ熱交換器16a、16bを通過し、それによってステータ熱交換器16a、16bを冷却する。矢印35で指示された方向に流れる作動流体6の液体−気体混合物は、ステータ熱交換器16a、16bの場所において冷却される。作動流体6はまた、凝縮過程によって、加熱されるので、流入コンデンサ装置5内で循環式再冷却過程が生ずる。

凝縮は、主としてナノ粒子8において発生するとともに、流入コンデンサ装置5内部の表面においても発生する。ナノ粒子8は、凝縮過程に対する核生成部位として作用する。作動流体6は、流入コンデンサ装置5を通過する間に、少なくとも部分的に凝縮する。このことは、作動流体が流入コンデンサ装置5を通過する間に、作動流体6内のナノ粒子8が全体凝縮表面を増大させるため、可能である。

図7は、熱を機械エネルギーに変換する装置4における蒸気品質を示す概略図である。液体−気体混合物の気体の質量分率は、蒸気品質と呼ばれる。縦軸38は、装置4の場所を示す。作動流体6の液体−気体混合物が断熱ステージ19を出て、流入コンデンサ装置5に入るとき、蒸気品質は100から80%の間である。さらに、作動流体6の液体−気体混合物が流入コンデンサ装置5を出て、コンデンサ装置20に入るとき、蒸気品質は60から40%の間である。

図5は、作動流体6の液体−気体混合物が、流入コンデンサ装置5を出た後に、コンデンサ装置20に入ることを示している。コンデンサ装置20において、残りの凝縮が発生し、その結果として作動流体6は、コンデンサ装置20から出るときには、液体である。

図8は、図5に示されたのと類似の装置4の動作による、T−s図における修正熱力学サイクルを示す図である。この類似の装置4においては、断熱ステージ19の横断面は増大する。横軸1は、系のエントロピSを表わし、縦軸2は系の絶対温度Tを表わす。曲線3は、使用された作動流体、例えば水蒸気の飽和蒸気曲線を表わす。修正熱力学サイクルは、作動流体の断熱圧縮(A→B)、チャネル流ボイラ34における作動流体への熱付加(B→C)、続いて膨張装置14におけるほぼ等温の膨張(C→C’)を含む。点CとC’の間に示される歯構造(tooth structure)は、作動流体6の一連の膨張を表わし、この場合に各膨張は、作動流体6の再加熱と組み合わされる。膨張装置14における作動流体6の断熱膨張と、液体−気体混合物の液相の一部のさらなる蒸発によって、温度が低下し、このことはCとC’の間の曲線の垂直区間から明白である。続いて、温度の低下は、膨張装置14の各ステータ熱交換器16における熱の供給によって、補償される。このことは、垂直区間に続く上昇区間によって示されている。

液体−気体混合物における残りの液相が蒸発した後に、作動流体は、装置4の断熱ステージ19において断熱膨張する(C’→D’)。図4に示された熱力学サイクルは、流入コンデンサ装置5およびコンデンサ装置20における放熱(D’→A)によって完了する。流入コンデンサ装置5における凝縮過程によって、作動流体6に熱が加えられ、すなわち温度が上昇し、このことはD’とDの間の曲線の上昇区間から明白である。流入コンデンサ装置5において、流入コンデンサ装置5の各ステータ熱交換器16によって熱が除去される。これが、上昇区間に続く垂直線によって示されている。原理的に、これらの垂直線は、3つの方法で達成することができる。第1の方法は、ステータ熱交換器16を介しての冷却である。第2の方法は、膨張と、ロータ要素15を介する機械エネルギー抽出である。第3の方法は、体積膨張である。

開示された装置4および方法は、好ましくは、作動流体6の液体−気体混合物の膨張または凝縮がほぼ等温で発生するように実現される。図8を参照すると、D’とDの間と同様に、CとC’の間の過程区間は、曲線の歯で定義される制限された温度範囲において発生するものと理解される。歯の高さまたは振幅は、ほぼ等温であると考えられる温度範囲内である。

図9は、さらに別の実施形態による、熱を機械エネルギーに変換する装置4を示す概略横断面図である。図9の装置は、図5の装置と非常に類似している。唯一の相違は、図9の装置4がコンデンサ装置20を備えていないことである。その代わりに、図9の装置4は、従来型コンデンサ17に接続されている。勿論のこと、作動流体6が流入コンデンサ装置5を通過した後の作動流体6の残りの凝縮は、装置4に接続された従来型コンデンサ17において行うことができる。

図10は、一実施形態による熱を機械エネルギーに変換する方法を示すフローチャートである。これらの方法ステップは、必ずしも図10のフローチャートに記述されている順序で実行されない。第1のステップS1において、ナノ粒子を含む作動流体6が、作動流体6の液体−気体混合物を生成するために加熱される。このことは、ボイラ9、例えばチャネル流ボイラ34において実行してもよい。ナノ粒子は、沸騰過程を増強することができる。

第2のステップS2において、作動流体6の生成された液体−気体混合物が膨張する。作動流体6の液体−気体混合物の膨張と、作動流体6の液体−気体混合物の液相の一部のさらなる蒸発とによって、液体−気体混合物の温度は低下する。この温度低下は、液体−気体混合物に熱を供給することによって、少なくとも部分的に補償される。したがって、略等温膨張が実行される。

第3のステップS3において、作動流体6の液体−気体混合物の内部エネルギーまたは運動エネルギー、あるいはその両方が、可動要素、例えば、ロータ要素15に関連づけられた、機械エネルギーに変換される。

第4のステップS4において、作動流体6の液体−気体混合物は、凝縮が、凝縮核としてのナノ粒子において少なくとも部分的に起こるように、流入コンデンサ装置5において凝縮される。さらに、この方法は、熱力学サイクル過程において使用される。破線矢印で示されているように、方法全体を繰り返してもよい。例えば、この方法は、発電機を駆動するのに使用される熱力学サイクル過程において使用してもよい。流入コンデンサ装置5における凝縮は、ほぼ等温である。流入コンデンサ装置5において作動流体6の液体−気体混合物を凝縮する間に、ステータ熱交換器16を介して熱が除去される。

複数のステータ熱交換器16が、流入コンデンサ装置における凝縮中の循環式再冷却を可能にする。したがって、等温凝縮を実現することができる。

記述された実施形態は、この開示に記述された一般概念から逸脱することなく、変更することができるものと理解される。特に、モジュール、区間、ロータ要素、ステータ熱交換器、導管などの数と形態は、システムの特定の用途に応じて変えてもよい。

より一般的には、本発明を特定の実施形態を参照して説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変形を行うとともに均等物で置換してもよいことが、当業者によって理解されるであろう。さらに、特定の状況を、本発明の範囲から逸脱することなく本発明の教示に適合させるために、多くの変更を行ってもよい。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定するものではないとともに、本発明は、添付の特許請求の範囲に入るすべての実施形態を含めることを意図している。

1 横軸 2 縦軸 3 飽和蒸気曲線 4 熱を機械エネルギーに変換する装置 5 流入コンデンサ装置 6 作動流体 7 流体 8 ナノ粒子 9 ボイラ 10 ボイラの入口 11 供給ライン 12 ボイラの出口 13 膨張装置の入口 14 膨張装置 15 ロータ要素 16 ステータ熱交換器 17 従来型コンデンサ 18 ポンプ 19 断熱ステージ 20 コンデンサ装置 21 タービン 22 シャフト 23 熱源 24 熱源の閉ループ 25 熱交換装置 26 冷熱源 27 冷熱源の閉ループ 28 作動流体の閉ループ 29 ポンプ 30 ポンプ 31 ポンプ 32 第1のボイラ区間 33 第2のボイラ区間 34 チャネル流ボイラ 35 矢印 36 ハウジング 37 フィン 38 縦軸 d 膨張装置の内径 S1〜S4 方法ステップ VQ 蒸気品質 y チャネル流ボイラ方向

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