圧縮ガスエネルギーの貯蔵及び回収システムにおける弁作動

申请号 JP2014547479 申请日 2012-12-14 公开(公告)号 JP2015501905A 公开(公告)日 2015-01-19
申请人 サステインエックス インク.Sustainx Inc.; サステインエックス インク.Sustainx Inc.; 发明人 ジェフリー モダーノ; ジェフリー モダーノ; ザマー シャー; ザマー シャー; ランダル ストラウス; ランダル ストラウス; ジョエル バーグ; ジョエル バーグ; トロイ オー. マクブライド; トロイ オー. マクブライド; ベンジャミン アール. ボリンジャー; ベンジャミン アール. ボリンジャー; デイヴィッド イー. パーキンス; デイヴィッド イー. パーキンス; アーン ラヴェン; アーン ラヴェン;
摘要 様々な実施形態において、弁の効率及び信頼性が、液圧又は磁気の弁作動、作動速度の増加に向けて構成された弁、及び/又は、作動中の衝突 力 の低減のために制御された弁の使用を介して、高められる。
权利要求
  • エネルギー貯蔵システムでのエネルギーの貯蔵、又は、エネルギー貯蔵システムによるエネルギーの回収の少なくとも一方を行うための方法において、前記エネルギー貯蔵システムが、(i)ゲートポートを通じてシリンダ組立体に出入りする流体の流れを制御するための弁を有し、前記弁が前記ゲートポートを塞ぐための弁部材を備えるシリンダ組立体と、(ii)前記弁を作動するための作動システムとを備え、前記作動システムが、(a)作動シリンダと、(b)前記作動シリンダ内に配置され、前記作動シリンダを第1の室と第2の室とに分割するピストンとを備える方法であって、
    前記シリンダ組立体内において、(i)エネルギーを貯蔵するためのガスの圧縮、又は、(ii)エネルギーを回収するためのガスの膨張の少なくとも一方を行うステップと、
    前記圧縮又は前記膨張の少なくとも一方の前、最中、又は後のうちの少なくとも1つにおいて、流体を前記作動シリンダの前記第1の室に吸い込ませて前記第1の室内の流体圧力を増加させることによって、前記弁を閉状態から開状態に作動させ、それによって、前記ピストンを前記第2の室に向かって移動させることによって、前記シリンダ組立体への流体の吸込み、又は、前記シリンダ組立体からの流体の排出の少なくとも一方を、少なくとも部分的に行うステップと を含み、
    前記作動中に、(i)流体が前記作動シリンダの前記第2の室から第1の速さで脱出し、前記ピストンの移動の速度を最大にし、(ii)その後、流体が前記第2の室から前記第1の速さより遅い第2の速さで脱出し、前記ピストンが前記作動シリンダの端面に到達する前に、前記ピストンを減速させる方法。
  • 流体の流れの第2の速さが、ピストンが作動シリンダの端面に向かって移動するにつれて低下する、請求項1に記載の方法。
  • 作動中、ピストンが作動シリンダの端面に向かって移動するにつれて、前記ピストンが第2の室においてオリフィスの少なくとも一部を塞ぎ、それによって、前記第2の室からの流体の流れを第1の速さから第2の速さに減速させる、請求項1に記載の方法。
  • ピストンが端面の近傍に配置されるとき、オリフィスがピストンによって完全に塞がれる、請求項3に記載の方法。
  • オリフィスの少なくとも一部の側部寸法が、作動シリンダの端面からの距離の関数として変化する、請求項3に記載の方法。
  • (i)オリフィスの第1の部分の側部寸法が、作動シリンダの端面からの距離の関数として変化せず、(ii)前記オリフィスの第2の部分の側部寸法が、前記作動シリンダの前記端面からの距離の関数として変化する、請求項3に記載の方法。
  • オリフィスの少なくとも一部の側部境界が、関数y(x)=C(V max −2Ax) 1/2によって定義される形状を有し、ここで、Cは定数であり、V maxは前記オリフィスが塞がれていないときの作動シリンダ内のピストンの速度であり、Aは前記オリフィスが部分的に塞がれているときの前記作動シリンダ内の前記ピストンの減速の大きさである、請求項3に記載の方法。
  • 流体が、(i)作動シリンダ内でのピストンの移動の間に前記ピストンによって少なくとも部分的に塞がれるように構成された閉塞可能オリフィスと、(ii)前記作動シリンダ内での前記ピストンの移動の間に前記ピストンによって塞がれないように構成された固定オリフィスとの両方を通じて、第1の室に吸い込まれる、請求項1に記載の方法。
  • 作動の少なくとも一部の最中に、流体が、(i)作動シリンダ内でのピストンの移動の間に前記ピストンによって少なくとも部分的に塞がれるように構成された閉塞可能オリフィスと、(ii)前記作動シリンダ内での前記ピストンの移動の間に前記ピストンによって塞がれないように構成された固定オリフィスとの両方を通じて、第2の室から脱出する、請求項1に記載の方法。
  • エネルギー貯蔵システムでのエネルギーの貯蔵、又は、エネルギー貯蔵システムによるエネルギーの回収の少なくとも一方を行うための方法において、前記エネルギー貯蔵システムが、(i)ゲートポートを通じてシリンダ組立体に出入りする流体の流れを制御するための弁を有し、前記弁が前記ゲートポートを塞ぐための弁部材を備える前記シリンダ組立体と、(ii)前記弁を作動するための作動システムとを備え、前記作動システムが、(a)作動シリンダと、(b)前記作動シリンダ内に配置され、前記作動シリンダを第1の室と第2の室とに分割するピストンと、(c)前記作動シリンダ内での前記ピストンの移動の間に前記ピストンによって少なくとも部分的に塞がれるように構成された閉塞可能オリフィスとを備える方法であって、
    前記シリンダ組立体内において、(i)エネルギーを貯蔵するためのガスの圧縮、又は、(ii)エネルギーを回収するためのガスの膨張の少なくとも一方を行うステップと、
    前記圧縮又は前記膨張の少なくとも一方の前、最中、又は後のうちの少なくとも1つにおいて、流体を前記作動シリンダの前記第1の室に吸い込ませて前記第1の室内の流体圧力を増加させることによって、前記弁を閉状態から開状態に作動させ、それによって、前記ピストンを前記第2の室に向かって移動させることによって、前記シリンダ組立体への流体の吸込み、又は、前記シリンダ組立体からの流体の排出の少なくとも一方を、少なくとも部分的に行うステップと を含み、
    前記作動中、(i)流体が、前記第2の室から、前記ピストンによって塞がれていない前記閉塞可能オリフィスを通って流れ出し、それによって前記ピストンの移動の速度を最大にし、(ii)その後、前記ピストンが前記閉塞可能オリフィスの少なくとも一部を塞ぎ、それによって前記第2の室からの流体の流れが減少して、前記ピストンが前記作動シリンダの端面に到達する前に、前記ピストンを減速させる方法。
  • 閉塞可能オリフィスが、作動の終わりまでに、ピストンによって完全に塞がれる、請求項10に記載の方法。
  • 閉塞可能オリフィスの少なくとも一部の側部寸法が、作動シリンダの端面からの距離の関数として変化する、請求項10に記載の方法。
  • (i)閉塞可能オリフィスの第1の部分の側部寸法が、作動シリンダの端面からの距離の関数として変化せず、(ii)前記閉塞可能オリフィスの第2の部分の側部寸法が、前記作動シリンダの前記端面からの距離の関数として変化する、請求項10に記載の方法。
  • 閉塞可能オリフィスの少なくとも一部の側部境界が、関数y(x)=C(V max −2Ax) 1/2によって定義される形状を有し、ここで、Cは定数であり、V maxは前記閉塞可能オリフィスが塞がれていないときの作動シリンダ内のピストンの速度であり、Aは前記閉塞可能オリフィスが部分的に塞がれているときの前記作動シリンダ内の前記ピストンの減速の大きさである、請求項10に記載の方法。
  • 流体が、(i)作動シリンダ内でのピストンの移動の間に前記ピストンによって少なくとも部分的に塞がれるように構成された第2の閉塞可能オリフィスと、(ii)前記作動シリンダ内での前記ピストンの移動の間に前記ピストンによって塞がれないように構成された固定オリフィスとの両方を通じて、第1の室に吸い込まれる、請求項10に記載の方法。
  • 作動の少なくとも一部の最中に、流体が、(i)閉塞可能オリフィスと、(ii)作動シリンダ内でのピストンの移動の間に前記ピストンによって塞がれないように構成された固定オリフィスとの両方を通じて、第2の室から脱出する、請求項10に記載の方法。
  • (i)内部において、エネルギーを貯蔵するためのガスの圧縮、又は、エネルギーを回収するためのガスの膨張の少なくとも一方のためのものであり、(ii)内部区画を有するシリンダ組立体と、
    ゲートポートを通じた、前記内部区画への流体の吸込み、又は、前記内部区画からの流体の排出の少なくとも一方のための弁であって、前記ゲートポートを塞ぐための弁部材を備える弁と、
    前記弁を作動するための作動機構と を備え、前記作動機構が、(i)側面及び2つの相対する端面を有する作動シリンダと、(ii)前記作動シリンダ内に配置され、前記作動シリンダを2つの室に分割するピストンであって、前記弁が前記2つの室の間の流体圧力の差によって作動するように構成された、ピストンと、(iii)前記側面によって画定され、前記作動シリンダ内での前記ピストンの移動の間に前記ピストンによって少なくとも部分的に塞がれるように構成された閉塞可能オリフィスとを備える、エネルギー貯蔵及び回収システム。
  • 閉塞可能オリフィスが、ピストンが作動シリンダの端面の近傍に配置されるとき、前記ピストンによって完全に塞がれるように構成される、請求項17に記載のシステム。
  • 閉塞可能オリフィスの一部が、ピストンが作動シリンダの端面の近傍に配置されるとき、前記ピストンによって塞がれないように構成される、請求項17に記載のシステム。
  • 閉塞可能オリフィスの少なくとも一部の側部寸法が、作動シリンダの端面のうちの一方からの距離の関数として変化する、請求項17に記載のシステム。
  • (i)閉塞可能オリフィスの第1の部分の側部寸法が、作動シリンダの端面のうちの一方からの距離の関数として変化せず、(ii)前記閉塞可能オリフィスの第2の部分の側部寸法が、前記作動シリンダの前記端面のうちの一方からの距離の関数として変化する、請求項17に記載のシステム。
  • 閉塞可能オリフィスの少なくとも一部の側部境界が、関数y(x)=C(V max −2Ax) 1/2によって定義される形状を有し、ここで、Cは定数であり、V maxは前記閉塞可能オリフィスが塞がれていないときの作動シリンダ内のピストンの速度であり、Aは前記閉塞可能オリフィスが部分的に塞がれているときの前記作動シリンダ内の前記ピストンの減速の大きさである、請求項17に記載のシステム。
  • 作動機構が、作動シリンダの端面のうちの一方によって画定された固定オリフィスを備える、請求項17に記載のシステム。
  • 閉塞可能オリフィスと固定オリフィスとの両方に選択的に接続可能な高圧流体供給源をさらに備える、請求項23に記載のシステム。
  • 高圧流体供給源と固定オリフィスとの間の接続部内に配置され、閉塞可能オリフィスがピストンによって少なくとも部分的に塞がれるとき、前記固定オリフィスへの実質的に制限のない流体の流れを可能にするように構成された逆止弁をさらに備える、請求項24に記載のシステム。
  • 閉塞可能オリフィスと固定オリフィスとの両方に選択的に接続可能な低圧流体貯留器をさらに備える、請求項24に記載のシステム。
  • 閉塞可能オリフィス及び固定オリフィスを、(i)高圧流体供給源、(ii)低圧流体貯留器、又は、(iii)前記閉塞可能オリフィス及び前記固定オリフィスが画定される作動シリンダの室とは反対の前記作動シリンダの室に接続するための、異なる設定を有する弁をさらに備える、請求項26に記載のシステム。
  • (i)閉塞可能オリフィス及び固定オリフィスが作動シリンダの室のうちの一方に画定され、(ii)前記作動シリンダの他方の室で、端面が第2の固定オリフィスを画定し、前記作動シリンダの側面が、前記作動シリンダ内でのピストンの移動の間に前記ピストンによって少なくとも部分的に塞がれるように構成された第2の閉塞可能オリフィスを画定する、請求項23に記載のシステム。
  • 弁部材及びピストンが機械的に接続される弁棒をさらに備える、請求項17に記載のシステム。
  • シリンダ組立体が、ガスを初期圧力から最終圧力に圧縮するように構成された請求項17に記載のシステムであって、
    前記シリンダ組立体のガスをおおよそ前記初期圧力まで予備膨張し、
    前記予備膨張に続いて、前記初期圧力のガスを前記シリンダ組立体に吸い込ませ、前記予備膨張がガスの前記吸込みの間の結合損失を低減し、
    前記シリンダ組立体のガスを前記最終圧力まで圧縮し、
    前記圧縮したガスの一部のみを前記シリンダ組立体から排出することによって圧縮サイクルを完了し、
    前述の手順を少なくとも一回繰り返すことで、少なくとも一回の追加の圧縮サイクルを実施する ように構成された制御システムをさらに備え、
    前記ガスの吸込み又は前記ガスの排出の少なくとも一方は、弁のゲートポートを通じて起こる、システム。
  • シリンダ組立体が、ガスを初期圧力から最終圧力に膨張するように構成された請求項17に記載のシステムであって、
    前記シリンダ組立体のガスをおおよそ前記初期圧力まで予備圧縮し、
    前記予備圧縮に続いて、前記初期圧力に圧縮されたガスを前記シリンダ組立体に吸い込ませ、前記予備圧縮が圧縮されたガスの前記吸込みの間の結合損失を低減し、
    前記シリンダ組立体のガスを前記最終圧力まで膨張し、
    前記膨張したガスの一部のみを前記シリンダ組立体から排出することによって膨張サイクルを完了し、
    前述の手順を少なくとも一回繰り返すことで、少なくとも一回の追加の膨張サイクルを実施する ように構成された制御システムをさらに備え、
    前記ガスの吸込み又は前記ガスの排出の少なくとも一方は、弁のゲートポートを通じて起こる、システム。
  • (i)ガスをシリンダ組立体にその内部での膨張のために供給すること、又は、(ii)ガスを前記シリンダ組立体からその内部での圧縮の後に受け入れることの少なくとも一方のために、前記シリンダ組立体に選択的に流体接続される高圧側構成部品と、
    (i)ガスを前記シリンダ組立体にその内部での圧縮のために供給すること、又は、(ii)ガスを前記シリンダ組立体からその内部での膨張の後に受け入れることの少なくとも一方のために、前記シリンダ組立体に選択的に流体接続される低圧側構成部品と、
    (i)膨張のためのガスの前記シリンダ組立体内への吸込みの前に前記シリンダ組立体内部でのガスの予備圧縮によって、前記シリンダ組立体と前記高圧側構成部品との間の結合損失を低減すること、又は、(ii)圧縮のためのガスの前記シリンダ組立体内への吸込みの前に前記シリンダ組立体内部でのガスの予備膨張によって、前記シリンダ組立体と前記低圧側構成部品との間の結合損失を低減することの少なくとも一方を実施するために前記シリンダ組立体を運転するための制御システムと をさらに備える、請求項17に記載のシステム。
  • 制御情報を生成するために、シリンダ組立体内の温度、圧力、又は境界機構の位置のうちの少なくとも1つを感知するためのセンサをさらに備え、制御システムが前記制御情報に応答する、請求項32に記載のシステム。
  • 制御システムが、(i)シリンダ組立体内でのガスの予備圧縮、又は、(ii)前記シリンダ組立体内でのガスの膨張の少なくとも一方の間に、(i)前記シリンダ組立体内の事前ガス膨張、又は、(ii)前記シリンダ組立体内のガスの事前予備圧縮の少なくとも一方の間に生成された制御情報に少なくとも一部基づいて、前記シリンダ組立体を運転するように構成される、請求項33に記載のシステム。
  • 制御システムが、(i)シリンダ組立体内でのガスの予備膨張、又は、(ii)前記シリンダ組立体内でのガスの圧縮の少なくとも一方の間に、(i)前記シリンダ組立体内の事前ガス圧縮、又は、(ii)前記シリンダ組立体内のガスの事前予備膨張の少なくとも一方の間に生成された制御情報に少なくとも一部基づいて、前記シリンダ組立体を運転するように構成される、請求項33に記載のシステム。
  • 高圧側構成部品が圧縮ガス貯蔵貯留器を備える、請求項32に記載のシステム。
  • 高圧側構成部品が、シリンダ組立体の運転の圧力範囲よりも高い圧力範囲内で、ガスを圧縮すること又はガスを膨張することの少なくとも一方のための第2のシリンダ組立体を備える、請求項32に記載のシステム。
  • シリンダ組立体の運転の圧力範囲よりも高い圧力範囲内で、ガスを圧縮すること又はガスを膨張することの少なくとも一方のための第2のシリンダ組立体をさらに備え、高圧側構成部品が、前記シリンダ組立体の運転の圧力範囲と前記第2のシリンダ組立体の運転の圧力範囲との両方の圧力範囲内にある圧力、又は、前記両方の圧力範囲間にある圧力でガスを収容するための中間圧力容器を備える、請求項32に記載のシステム。
  • 低圧側構成部品が大気への通気口を備える、請求項32に記載のシステム。
  • 低圧側構成部品が、シリンダ組立体の運転の圧力範囲よりも低い圧力範囲内で、ガスを圧縮すること又はガスを膨張することの少なくとも一方のための第2のシリンダ組立体を備える、請求項32に記載のシステム。
  • シリンダ組立体の運転の圧力範囲よりも低い圧力範囲内で、ガスを圧縮すること又はガスを膨張することの少なくとも一方のための第2のシリンダ組立体をさらに備え、低圧側構成部品が、前記シリンダ組立体の運転の圧力範囲と前記第2のシリンダ組立体の運転の圧力範囲との両方の圧力範囲内にある圧力、又は、前記両方の圧力範囲間にある圧力でガスを収容するための中間圧力容器を備える、請求項32に記載のシステム。
  • (i)内部において、エネルギーを貯蔵するためのガスの圧縮、又は、エネルギーを回収するためのガスの膨張の少なくとも一方のためのものであり、(ii)内部区画を有するシリンダ組立体と、
    ゲートポートを通じた、前記内部区画への流体の吸込み、又は、前記内部区画からの流体の排出の少なくとも一方のための弁であって、前記ゲートポートを塞ぐための弁部材を備える弁と、
    前記弁を作動するための作動機構と を備え、前記作動機構が、(i)側面並びに相対する第1の端面及び第2の端面を有する作動シリンダと、(ii)前記作動シリンダ内に配置され、前記作動シリンダを第1の室及び第2の室に分割するピストンであって、前記2つの室の間の流体圧力の差が前記弁を作動させるピストンと、(iii)前記第1の室内において、前記側面によって画定され、前記作動シリンダ内での前記ピストンの移動の間に前記ピストンによって少なくとも部分的に塞がれるように構成された第1の閉塞可能オリフィスと、(iv)前記第1の室内において、前記作動シリンダ内での前記ピストンの移動の間に前記ピストンによって塞がれないように構成された第1の固定オリフィスと、(v)前記第2の室内において、前記側面によって画定され、前記作動シリンダ内での前記ピストンの移動の間に前記ピストンによって少なくとも部分的に塞がれるように構成された第2の閉塞可能オリフィスと、(vi)前記第2の室内において、前記作動シリンダ内での前記ピストンの移動の間に前記ピストンによって塞がれないように構成された第2の固定オリフィスとを備える、エネルギー貯蔵及び回収システム。
  • 第1の固定オリフィスが作動シリンダの第1の端面によって画定され、第2の固定オリフィスが前記作動シリンダの第2の端面によって画定される、請求項42に記載のシステム。
  • 第1の閉塞可能オリフィスが、ピストンが第1の端面の近傍に配置されるとき、前記ピストンによって完全に塞がれるように構成される、請求項42に記載のシステム。
  • 第2の閉塞可能オリフィスが、ピストンが第2の端面の近傍に配置されるとき、前記ピストンによって完全に塞がれるように構成される、請求項42に記載のシステム。
  • 第1の閉塞可能オリフィスの少なくとも一部の側部寸法が、第1の端面からの距離の関数として変化する、請求項42に記載のシステム。
  • (i)第1の閉塞可能オリフィスの第1の部分の側部寸法が、第1の端面からの距離の関数として変化せず、(ii)前記第1の閉塞可能オリフィスの第2の部分の側部寸法が、前記第1の端面からの距離の関数として変化する、請求項42に記載のシステム。
  • 第1の閉塞可能オリフィスの少なくとも一部の側部境界が、関数y(x)=C(V max −2Ax) 1/2によって定義される形状を有し、ここで、Cは定数であり、V maxは前記第1の閉塞可能オリフィスが塞がれていないときの作動シリンダ内のピストンの速度であり、Aは前記第1の閉塞可能オリフィスが部分的に塞がれているときの前記作動シリンダ内の前記ピストンの減速の大きさである、請求項42に記載のシステム。
  • (i)第1の閉塞可能オリフィスと第1の固定オリフィスとの両方、又は、(ii)第2の閉塞可能オリフィスと第2の固定オリフィスとの両方に選択的に接続可能な高圧流体供給源をさらに備える、請求項42に記載のシステム。
  • 高圧流体供給源と第1の固定オリフィスとの間の接続部内に配置され、第1の閉塞可能オリフィスがピストンによって少なくとも部分的に塞がれるとき、前記第1の固定オリフィスへの実質的に制限のない流体の流れを可能にするように構成された第1の逆止弁と、
    前記高圧流体供給源と第2の固定オリフィスとの間の接続部内に配置され、第2の閉塞可能オリフィスが前記ピストンによって少なくとも部分的に塞がれるとき、前記第2の固定オリフィスへの実質的に制限のない流体の流れを可能にするように構成された第2の逆止弁と をさらに備える、請求項49に記載のシステム。
  • (i)第1の閉塞可能オリフィスと第1の固定オリフィスとの両方、又は、(ii)第2の閉塞可能オリフィスと第2の固定オリフィスとの両方に選択的に接続可能な低圧流体貯留器をさらに備える、請求項49に記載のシステム。
  • (i)第1の閉塞可能オリフィス及び第1の固定オリフィスを高圧流体供給源に接続し、第2の閉塞可能オリフィス及び第2の固定オリフィスを低圧流体貯留器に接続する、(ii)前記第1の閉塞可能オリフィス及び前記第1の固定オリフィスを前記低圧流体貯留器に接続し、前記第2の閉塞可能オリフィス及び前記第2の固定オリフィスを前記高圧流体供給源に接続する、又は、(iii)前記第1の閉塞可能オリフィス及び前記第1の固定オリフィスを前記第2の閉塞可能オリフィス及び前記第2の固定オリフィスに接続するための、異なる設定を有する弁をさらに備える、請求項51に記載のシステム。
  • 弁部材及びピストンが機械的に接続される弁棒をさらに備える、請求項42に記載のシステム。
  • シリンダ組立体が、ガスを初期圧力から最終圧力に圧縮するように構成された請求項42に記載のシステムであって、
    前記シリンダ組立体のガスをおおよそ前記初期圧力まで予備膨張し、
    前記予備膨張に続いて、前記初期圧力のガスを前記シリンダ組立体に吸い込ませ、前記予備膨張がガスの前記吸込みの間の結合損失を低減し、
    前記シリンダ組立体のガスを前記最終圧力まで圧縮し、
    前記圧縮したガスの一部のみを前記シリンダ組立体から排出することによって圧縮サイクルを完了し、
    前述の手順を少なくとも一回繰り返すことで、少なくとも一回の追加の圧縮サイクルを実施する ように構成された制御システムをさらに備え、
    前記ガスの吸込み又は前記ガスの排出の少なくとも一方は、弁のゲートポートを通じて起こる、システム。
  • シリンダ組立体が、ガスを初期圧力から最終圧力に膨張するように構成された請求項42に記載のシステムであって、
    前記シリンダ組立体のガスをおおよそ前記初期圧力まで予備圧縮し、
    前記予備圧縮に続いて、前記初期圧力に圧縮されたガスを前記シリンダ組立体に吸い込ませ、前記予備圧縮が圧縮されたガスの前記吸込みの間の結合損失を低減し、
    前記シリンダ組立体のガスを前記最終圧力まで膨張し、
    前記膨張したガスの一部のみを前記シリンダ組立体から排出することによって膨張サイクルを完了し、
    前述の手順を少なくとも一回繰り返すことで、少なくとも一回の追加の膨張サイクルを実施する ように構成された制御システムをさらに備え、
    前記ガスの吸込み又は前記ガスの排出の少なくとも一方は、弁のゲートポートを通じて起こる、システム。
  • (i)ガスをシリンダ組立体にその内部での膨張のために供給すること、又は、(ii)ガスを前記シリンダ組立体からその内部での圧縮の後に受け入れることの少なくとも一方のために、前記シリンダ組立体に選択的に流体接続される高圧側構成部品と、
    (i)ガスを前記シリンダ組立体にその内部での圧縮のために供給すること、又は、(ii)ガスを前記シリンダ組立体からその内部での膨張の後に受け入れることの少なくとも一方のために、前記シリンダ組立体に選択的に流体接続される低圧側構成部品と、
    (i)膨張のためのガスの前記シリンダ組立体内への吸込みの前に前記シリンダ組立体内部でのガスの予備圧縮によって、前記シリンダ組立体と前記高圧側構成部品との間の結合損失を低減すること、又は、(ii)圧縮のためのガスの前記シリンダ組立体内への吸込みの前に前記シリンダ組立体内部でのガスの予備膨張によって、前記シリンダ組立体と前記低圧側構成部品との間の結合損失を低減することの少なくとも一方を実施するために前記シリンダ組立体を運転するための制御システムと をさらに備える、請求項42に記載のシステム。
  • 制御情報を生成するために、シリンダ組立体内の温度、圧力、又は境界機構の位置のうちの少なくとも1つを感知するためのセンサをさらに備え、制御システムが前記制御情報に応答する、請求項56に記載のシステム。
  • 制御システムが、(i)シリンダ組立体内でのガスの予備圧縮、又は、(ii)前記シリンダ組立体内でのガスの膨張の少なくとも一方の間に、(i)前記シリンダ組立体内の事前ガス膨張、又は、(ii)前記シリンダ組立体内のガスの事前予備圧縮の少なくとも一方の間に生成された制御情報に少なくとも一部基づいて、前記シリンダ組立体を運転するように構成される、請求項57に記載のシステム。
  • 制御システムが、(i)シリンダ組立体内でのガスの予備膨張、又は、(ii)前記シリンダ組立体内でのガスの圧縮の少なくとも一方の間に、(i)前記シリンダ組立体内の事前ガス圧縮、又は、(ii)前記シリンダ組立体内のガスの事前予備膨張の少なくとも一方の間に生成された制御情報に少なくとも一部基づいて、前記シリンダ組立体を運転するように構成される、請求項57に記載のシステム。
  • 高圧側構成部品が圧縮ガス貯蔵貯留器を備える、請求項56に記載のシステム。
  • 高圧側構成部品が、シリンダ組立体の運転の圧力範囲よりも高い圧力範囲内で、ガスを圧縮すること又はガスを膨張することの少なくとも一方のための第2のシリンダ組立体を備える、請求項56に記載のシステム。
  • シリンダ組立体の運転の圧力範囲よりも高い圧力範囲内で、ガスを圧縮すること又はガスを膨張することの少なくとも一方のための第2のシリンダ組立体をさらに備え、高圧側構成部品が、前記シリンダ組立体の運転の圧力範囲と前記第2のシリンダ組立体の運転の圧力範囲との両方の圧力範囲内にある圧力、又は、前記両方の圧力範囲間にある圧力でガスを収容するための中間圧力容器を備える、請求項56に記載のシステム。
  • 低圧側構成部品が大気への通気口を備える、請求項56に記載のシステム。
  • 低圧側構成部品が、シリンダ組立体の運転の圧力範囲よりも低い圧力範囲内で、ガスを圧縮すること又はガスを膨張することの少なくとも一方のための第2のシリンダ組立体を備える、請求項56に記載のシステム。
  • シリンダ組立体の運転の圧力範囲よりも低い圧力範囲内で、ガスを圧縮すること又はガスを膨張することの少なくとも一方のための第2のシリンダ組立体をさらに備え、低圧側構成部品が、前記シリンダ組立体の運転の圧力範囲と前記第2のシリンダ組立体の運転の圧力範囲との両方の圧力範囲内にある圧力、又は、前記両方の圧力範囲間にある圧力でガスを収容するための中間圧力容器を備える、請求項56に記載のシステム。
  • エネルギー貯蔵システムでのエネルギーの貯蔵、又は、エネルギー貯蔵システムによるエネルギーの回収の少なくとも一方を行うための方法において、前記エネルギー貯蔵システムが、ゲートポートを通じてシリンダ組立体に出入りする流体の流れを制御するための弁を有する前記シリンダ組立体を備え、前記弁が前記ゲートポートを塞ぐための、前記ゲートポートの幅より大きい又は前記ゲートポートの幅に実質的に等しい幅Wを有する弁部材を備える方法であって、
    前記シリンダ組立体内において、(i)エネルギーを貯蔵するためのガスの圧縮、又は、(ii)エネルギーを回収するためのガスの膨張の少なくとも一方を行うステップと、
    前記圧縮又は前記膨張の少なくとも一方の前、最中、又は後のうちの少なくとも1つにおいて、前記弁を閉状態から開状態に作動させることによって、前記シリンダ組立体への流体の吸込み、又は、前記シリンダ組立体からの流体の排出の少なくとも一方を、少なくとも部分的に行うステップと を含み、
    前記作動が、
    前記弁部材が、前記ゲートポートから実質的に開いた位置に届かない又は実質的に届くだけ離れた距離で、最大速度に達するように、前記弁部材を閉じた位置から加速することであって、(i)前記実質的に開いた位置で前記ゲートポートを通る流れにとって利用可能な開口面積が、前記ゲートポートの面積とおおよそ等しく、(ii)前記弁部材が、前記実質的に開いた位置を過ぎて、前記ゲートポートから前記実質的に開いた位置よりもさらに遠くの全開位置に移動し続けること、又は、
    前記弁部材を前記実質的に開いた位置に移動し、その後、(i)前記弁部材を前記全開位置に移動し、(ii)前記弁部材の前記実質的に開いた位置から前記全開位置への前記移動の少なくとも一部の間に、前記弁部材が前記全開位置に到達するときに前記弁部材の速度がおおよそゼロであるように、前記弁部材を減速すること の少なくとも一方を含む方法。
  • 弁部材のゲートポートを向く表面がWと等しい直径の円形である、請求項66に記載の方法。
  • 実質的に開いた位置において、弁部材がゲートポートからW/4の距離で離れる、請求項67に記載の方法。
  • 弁部材を閉じた位置から加速することが、以前に弁を閉じた間に貯蔵されたエネルギーの少なくとも一部を回収することを含む、請求項66に記載の方法。
  • 弁部材が減速される、請求項66に記載の方法であって、前記減速の間に前記弁部材の運動エネルギーの少なくとも一部を貯蔵することをさらに含む、方法。
  • エネルギーがポテンシャルエネルギーとして貯蔵される、請求項70に記載の方法。
  • ポテンシャルエネルギーが、ばねポテンシャルエネルギー又は液圧力ポテンシャルエネルギーの少なくとも一方である、請求項71に記載の方法。
  • 弁部材を閉じた位置から加速することが、前記弁部材を、全閉位置から、前記弁部材がゲートポートに配置された座部の少なくとも一部と接触したままである十分に閉じた位置までの有限距離で移動することを含む、請求項66に記載の方法。
  • 弁部材が全閉位置から十分に閉じた位置に移動するとき、座部の少なくとも一部が前記弁部材と接触した状態で移動する、請求項73に記載の方法。
  • 特定の差圧において、弁部材が十分に閉じた位置にあるときにゲートポートを通る流れが、前記弁部材が十分に開いた位置にあるときに前記ゲートポートを通る流れの1%未満である、請求項74に記載の方法。
  • エネルギー貯蔵システムでのエネルギーの貯蔵、又は、エネルギー貯蔵システムによるエネルギーの回収の少なくとも一方を行うための方法において、前記エネルギー貯蔵システムが、ゲートポートを通じてシリンダ組立体に出入りする流体の流れを制御するための弁を有する前記シリンダ組立体を備え、前記弁が前記ゲートポートを塞ぐための、前記ゲートポートの幅より大きい又は前記ゲートポートの幅に実質的に等しい幅Wを有する弁部材を備える方法であって、
    前記シリンダ組立体内において、(i)エネルギーを貯蔵するためのガスの圧縮、又は、(ii)エネルギーを回収するためのガスの膨張の少なくとも一方を行うステップと、
    前記圧縮又は前記膨張の少なくとも一方の前、最中、又は後のうちの少なくとも1つにおいて、前記弁を開状態から閉状態に作動させることによって、前記ゲートポートを塞ぐステップと を含み、
    前記作動が、
    前記弁部材が、前記ゲートポートから実質的に開いた位置に届かない又は実質的に届くだけ離れた距離で、最大速度に達するように、前記弁部材を全開位置から加速することであって、(i)前記実質的に開いた位置で前記ゲートポートを通る流れにとって利用可能な開口面積が、前記ゲートポートの面積とおおよそ等しく、(ii)前記弁部材が、前記実質的に開いた位置を過ぎて、前記弁部材が前記ゲートポートに配置された座部の少なくとも一部と接触する実質的に閉じた位置に移動し続けること、又は、
    前記弁部材を前記実質的に閉じた位置に移動し、その後、(i)前記弁部材を前記実質的に閉じた位置を越えて全閉位置に移動し、(ii)前記弁部材の前記実質的に閉じた位置及び前記全閉位置からの前記移動の少なくとも一部の間に、前記弁部材が前記全閉位置に到達するときに前記弁部材をおおよそゼロの速度まで減速し、前記弁部材が前記実質的に閉じた位置で前記座部の前記少なくとも一部と接触したままであること の少なくとも一方を含む方法。
  • 弁部材のゲートポートを向く表面がWと等しい直径の円形である、請求項76に記載の方法。
  • 実質的に開いた位置において、弁部材がゲートポートからW/4の距離で離れる、請求項77に記載の方法。
  • 弁部材を全開位置から加速することが、以前に弁を開けた間に貯蔵されたエネルギーの少なくとも一部を回収することを含む、請求項76に記載の方法。
  • 弁部材が減速される請求項76に記載の方法であって、前記減速の間に前記弁部材の運動エネルギーの少なくとも一部を貯蔵することをさらに含む、方法。
  • エネルギーがポテンシャルエネルギーとして貯蔵される、請求項80に記載の方法。
  • ポテンシャルエネルギーが、ばねポテンシャルエネルギー又は液圧力ポテンシャルエネルギーの少なくとも一方である、請求項81に記載の方法。
  • 弁部材が十分に閉じた位置から全閉位置に移動するとき、座部の少なくとも一部が前記弁部材と接触した状態で移動する、請求項76に記載の方法。
  • 特定の差圧において、弁部材が十分に閉じた位置にあるときにゲートポートを通る流れが、前記弁部材が十分に開いた位置にあるときに前記ゲートポートを通る流れの1%未満である、請求項76に記載の方法。
  • 弁部材が全閉位置に到達する請求項76に記載の方法であって、その後、前記弁部材と座部の少なくとも一部との間の接触を維持しつつ、前記弁部材を前記全閉位置から十分に閉じた位置に戻すステップをさらに含む、方法。
  • (i)内部において、エネルギーを貯蔵するためのガスの圧縮、又は、エネルギーを回収するためのガスの膨張の少なくとも一方のためのものであり、(ii)内部区画を有するシリンダ組立体と、
    ゲートポートを通じた、前記内部区画への流体の吸込み、又は、前記内部区画からの流体の排出の少なくとも一方のための弁であって、前記ゲートポートを塞ぐための、前記ゲートポートの幅より大きい又は前記ゲートポートの幅に実質的に等しい幅Wを有する弁部材を備える弁と、
    前記弁を作動するための作動機構と を備え、
    前記ゲートポートが、接触部を備える座部と、前記座部に接続され、(i)前記弁部材を前記座部から離すように加速すること、(ii)前記弁部材を前記接触部との接触と同時に減速すること、又は、(iii)前記弁部材の運動エネルギーをポテンシャルエネルギーとして貯蔵することのうちの少なくとも1つのための衝撃吸収機構とを備えるエネルギー貯蔵及び回収システム。
  • 衝撃吸収機構が、波形ばね、コイルばね、空気ばね、又は弾性材料のうちの少なくとも1つを備える、請求項86に記載のシステム。
  • 接触部の輪郭形状が、弁部材と接触弁輪との間の接触と同時にゲートポートが実質的に塞がれるように、前記弁部材の輪郭形状に対して補完的である、請求項86に記載のシステム。
  • 接触部が斜めにされる、請求項86に記載のシステム。
  • 接触部がポリエーテルエーテルケトンを含む、請求項86に記載のシステム。
  • ゲートポートがシリンダ組立体のエンドキャップ内に配置される、請求項86に記載のシステム。
  • 作動機構が、液圧式、電気式、機械式、又は磁気式のうちの少なくとも1つである、請求項86に記載のシステム。
  • 接触部が、振動吸収材料への圧力を強化又は緩和するように移動可能である、請求項86に記載のシステム。
  • 少なくともゲートポートが弁部材によって塞がれるとき、接触部とシリンダ組立体の内部区画との間の流体の流れを防止するために、前記接触部の周りに配置されたガスケットをさらに備える、請求項86に記載のシステム。
  • 接触部が環状の接触弁輪を備える、請求項86に記載のシステム。
  • 弁が高圧側弁である、請求項86に記載のシステム。
  • 弁が低圧側弁である、請求項86に記載のシステム。
  • 弁部材が切頂円錐として形成される、請求項86に記載のシステム。
  • 作動機構が、
    ピストンを収容する液圧シリンダであって、前記ピストンが前記液圧シリンダの内部を2つの室に分割する液圧シリンダと、
    弁部材及び前記ピストンに機械的に連結する弁棒と、
    流体を前記室のうちの少なくとも一方に供給するための循環機構と、
    前記2つの室への流体の流れ、前記2つの室からの流体の流れ、及び、前記2つの室の間の流体の流れを制御するための制御機構であって、前記2つの室の間の流体圧力の差が前記ピストンへの圧力を与えて弁を作動させる制御機構と を備える、請求項86に記載のシステム。
  • 作動機構が、
    2つの室の各々と循環機構とに選択的に流体接続される高圧蓄圧器であって、前記循環機構によって供給される圧力とおおよそ等しい又はそれよりも大きい圧力で流体を貯蔵するための高圧蓄圧器 をさらに備える、請求項99に記載のシステム。
  • 制御機構が、弁の作動中に、循環機構と高圧蓄圧器との両方から2つの室のうちの一方に流体を吸い込ませるように構成される、請求項100に記載のシステム。
  • 作動機構が、
    2つの室の各々と循環機構とに選択的に流体接続される低圧蓄圧器であって、前記循環機構によって供給される圧力とおおよそ等しい又はそれよりも低い圧力で流体を貯蔵するための低圧蓄圧器 をさらに備える、請求項99に記載のシステム。
  • 循環機構に流体接続された、低圧蓄圧器とは異なる流体貯留器をさらに備える、請求項102に記載のシステム。
  • 制御機構が、弁の作動中に、2つの室のうちの一方から低圧蓄圧器と流体貯留器との両方に流体を吸い込ませるように構成される、請求項103に記載のシステム。
  • 低圧蓄圧器と流体貯留器との間に接続部をさらに備え、前記接続部が、前記低圧蓄圧器の圧力が閾圧力を超えたとき、前記低圧蓄圧器から前記流体貯留器に流体の流れを許容するように構成された圧力逃し弁を備える、請求項103に記載のシステム。
  • 制御機構が、(i)循環機構を2つの室のうちの第1の室と流体接続する設定と、(ii)前記循環機構を前記2つの室のうちの前記第1の室とは異なる第2の室と流体接続する設定と、(iii)前記2つの室を一体に流体接続する設定の、異なる設定を有する三方向制御弁を備える、請求項99に記載のシステム。
  • 弁を作動させるために、(i)循環機構を第1の室又は第2の室のいずれかに流体接続する設定のうちの1つに三方向制御弁を設定することで、液圧シリンダのピストンを前記液圧シリンダの長さによって定められる行程長さに沿って移動させ、(ii)前記液圧シリンダの前記ピストンが前記行程長さの全体に沿って移動する前に、前記三方向制御弁を前記第1の室及び前記第2の室を一体に流体接続する設定に設定するように構成された制御システムをさらに備える、請求項106に記載のシステム。
  • (i)内部において、エネルギーを貯蔵するためのガスの圧縮、又は、エネルギーを回収するためのガスの膨張の少なくとも一方のためのものであり、(ii)内部区画を有するシリンダ組立体と、
    ゲートポートを通じた、前記内部区画への流体の吸込み、又は、前記内部区画からの流体の排出の少なくとも一方のための弁であって、前記ゲートポートを塞ぐための、前記ゲートポートの幅より大きい又は前記ゲートポートの幅に実質的に等しい幅Wを有する弁部材を備える弁と、
    前記弁を作動するための液圧作動機構であって、液圧シリンダの2つの室への流体の流れ、前記2つの室からの流体の流れ、及び、前記2つの室の間の流体の流れを制御するための制御機構を備え、前記2つの室の間の流体圧力の差が前記弁を作動させる液圧作動機構と を備えるエネルギー貯蔵及び回収システム。
  • 液圧シリンダが、前記液圧シリンダの内部を2つの室に分割するピストンを収容し、作動機構が、(i)弁部材及びピストンに機械的に連結する弁棒と、(ii)流体を前記室のうちの少なくとも一方に供給するための循環機構とをさらに備える、請求項108に記載のシステム。
  • 作動機構が、
    2つの室の各々と循環機構とに選択的に流体接続される高圧蓄圧器であって、前記循環機構によって供給される圧力とおおよそ等しい又はそれよりも大きい圧力で流体を貯蔵するための高圧蓄圧器 をさらに備える、請求項109に記載のシステム。
  • 制御機構が、弁の作動中に、循環機構と高圧蓄圧器との両方から2つの室のうちの一方に流体を吸い込ませるように構成される、請求項110に記載のシステム。
  • 作動機構が、
    2つの室の各々と循環機構とに選択的に流体接続される低圧蓄圧器であって、前記循環機構によって供給される圧力とおおよそ等しい又はそれよりも低い圧力で流体を貯蔵するための低圧蓄圧器 をさらに備える、請求項109に記載のシステム。
  • 循環機構に流体接続された、低圧蓄圧器とは異なる流体貯留器をさらに備える、請求項112に記載のシステム。
  • 制御機構が、弁の作動中に、2つの室のうちの一方から低圧蓄圧器と流体貯留器との両方に流体を吸い込ませるように構成される、請求項113に記載のシステム。
  • 低圧蓄圧器と流体貯留器との間に接続部をさらに備え、前記接続部が、前記低圧蓄圧器の圧力が閾圧力を超えたとき、前記低圧蓄圧器から前記流体貯留器に流体の流れを許容するように構成された圧力逃し弁を備える、請求項113に記載のシステム。
  • 制御機構が、(i)循環機構を2つの室のうちの第1の室と流体接続する設定、(ii)前記循環機構を前記2つの室のうちの前記第1の室とは異なる第2の室と流体接続する設定、又は、(iii)前記2つの室を一体に流体接続する設定を有する三方向制御弁を備える、請求項109に記載のシステム。
  • 弁を作動させるために、(i)循環機構を第1の室又は第2の室のいずれかに流体接続する設定のうちの1つに三方向制御弁を設定することで、液圧シリンダのピストンを前記液圧シリンダの長さによって定められる行程長さに沿って移動させ、(ii)前記液圧シリンダの前記ピストンが前記行程長さの全体に沿って移動する前に、前記三方向制御弁を前記第1の室及び前記第2の室を一体に流体接続する設定に設定するように構成された制御システムをさらに備える、請求項116に記載のシステム。
  • (i)内部において、エネルギーを貯蔵するためのガスの圧縮、又は、エネルギーを回収するためのガスの膨張の少なくとも一方のためのものであり、(ii)内部区画を有するシリンダ組立体と、
    前記内部区画への流体の吸込み、又は、前記内部区画からの流体の排出の少なくとも一方のための弁と、
    前記弁を磁気作動力で作動するための作動機構とを備えるエネルギー貯蔵及び回収システム。
  • 弁が、ゲートポートと、内部区画への流体の流れ、又は、前記内部区画から出る流体の流れの少なくとも一方を選択的に制御するための弁部材とを備える、請求項118に記載のシステム。
  • 弁部材が、ゲートポートと、シリンダ組立体の内部区画の少なくとも一部との間に配置される、請求項119に記載のシステム。
  • ゲートポートが、弁部材と、シリンダ組立体の内部区画との間に配置される、請求項119に記載のシステム。
  • ゲートポートが弁部材の形状に対して補完的である形状を有する座部を備えることで、前記弁部材が前記座部と接触しているとき、前記ゲートポートを閉じることができる、請求項119に記載のシステム。
  • 弁部材が永久磁石を備える、請求項119に記載のシステム。
  • 弁部材磁石が電磁石を備える、請求項119に記載のシステム。
  • 作動機構を通って延在し弁部材に接続された弁棒をさらに備える、請求項119に記載のシステム。
  • 作動機構の近傍にあり、弁棒に接続された永久磁石をさらに備える、請求項125に記載のシステム。
  • 作動機構の近傍にあり、弁棒に接続された電磁石をさらに備える、請求項125に記載のシステム。
  • 作動機構が永久磁石を備える、請求項118に記載のシステム。
  • 作動機構が電磁石を備える、請求項118に記載のシステム。
  • 弁の弁部材の位置、又は、内部区画内の圧力と弁内の圧力との間の差の少なくとも一方に応答して磁気作動力を制御するための制御システムをさらに備える、請求項118に記載のシステム。
  • 弁が、差圧閉することで、磁気作動力が存在しないときに、内部区画への流体の流れ又は前記内部区画から出る流体の流れを防止するように構成される、請求項118に記載のシステム。
  • 弁を閉まる方に付勢すること、開ける力を和らげること、又は、閉まる作動力の少なくとも一部を提供することのうちの少なくとも1つのための機械式又は空気圧式のばねをさらに備える、請求項118に記載のシステム。
  • 弁が、内部区画と、(i)圧縮ガス貯蔵貯留器、又は、(ii)シリンダ組立体が構成される圧力範囲より高い圧力範囲でのガスの膨張又は圧縮の少なくとも一方のための第2のシリンダ組立体との間の流体の流れを制御するように構成される、請求項118に記載のシステム。
  • 弁が、内部区画と、(i)大気への通気口、又は、(ii)シリンダ組立体が構成される圧力範囲より低い圧力範囲でのガスの膨張又は圧縮の少なくとも一方のための第2のシリンダ組立体との間の流体の流れを制御するように構成される、請求項118に記載のシステム。
  • 作動機構と弁の少なくとも一部とが、シリンダ組立体のエンドキャップ内で一体化される、請求項118に記載のシステム。
  • シリンダ組立体内において、(i)エネルギーを貯蔵するためのガスの圧縮、又は、(ii)エネルギーを回収するためのガスの膨張の少なくとも一方を行うステップと、
    前記圧縮又は前記膨張の少なくとも一方の前、最中、又は後のうちの少なくとも1つにおいて、弁を磁気作動力で作動することによって、前記シリンダ組立体への流体の吸込み、又は、前記シリンダ組立体からの流体の排出の少なくとも一方を、少なくとも部分的に行うステップと を含むエネルギーの貯蔵及び回収のための方法。
  • 流体の吸込み又は排出の少なくとも一方が、シリンダ組立体の内部と外部との圧力の差から生じる液圧力によって、開始、維持、又は完了のうちの少なくとも1つが行われる、請求項136に記載の方法。
  • 弁を作動することが、液圧力と共に作用させるために、磁気作動力を加えることを含む、請求項137に記載の方法。
  • 液圧力が弁を少なくとも部分的に開き、磁気作動力が前記弁を開いた位置に維持する、請求項138に記載の方法。
  • 液圧力が弁を少なくとも部分的に閉じ、磁気作動力が前記弁を閉じた位置に維持する、請求項138に記載の方法。
  • 弁を作動することが、液圧力とは反対に作用させるために、磁気作動力を加えることを含む、請求項137に記載の方法。
  • 磁気作動力が、前記磁気作動力を加える作動機構と、弁の弁部材との間の衝突力を低減する、請求項141に記載の方法。
  • 弁を作動することが、前記弁の作動中に時間とともに変化する磁気作動力を加えることを含む、請求項136に記載の方法。
  • 機械的な力で、弁を閉まる方に付勢すること、開ける力を和らげること、又は、閉まる作動力の少なくとも一部を提供することのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項136に記載の方法。
  • 说明书全文

    関連出願 本出願は、2011年12月16日に出願された米国仮特許出願第61/576,654号、2012年3月22日に出願された米国仮特許出願第61/614,045号、及び、2012年4月4日に出願された米国仮特許出願第61/620,018号の利益及び優先権を主張するものである。 これらの出願の各々の開示の全体が、参照により、本明細書によって本明細書に組み込まれている。

    連邦政府資金による研究開発の記載 本発明は、DOEによって与えられたDE−OE0000231のもと、政府の支援で行われた。 政府は、本発明において一定の権利を有する。

    様々な実施形態において、本発明は、空気圧技術、液圧技術、発電、及びエネルギー貯蔵に関し、より詳細には、エネルギーの貯蔵及び回収のための空気圧シリンダ、空気圧/液圧シリンダ、及び/又は液圧シリンダを用いるシステム及び方法に関する。

    圧縮ガスの形態でエネルギーを貯蔵することは長い歴史があり、構成部品は、十分に試験されて信頼できる傾向があり、長い耐用年数を有している。 圧縮ガス又は圧縮空気のエネルギー貯蔵(CAES)の一般的な原理を使用して、発生したエネルギー(例えば、電気エネルギー)がガス(例えば空気)を圧縮し、それによって元々のエネルギーを圧ポテンシャルエネルギーに変換する。 このポテンシャルエネルギーは、後に、適切な機構に連結されたガス膨張を介して有用な形態で回収される(例えば、電気に再変換される)。 圧縮ガスエネルギー貯蔵の利点には、比エネルギー費用が安いこと、耐用年数が長いこと、維持管理が少ないこと、エネルギー密度が適度であること、及び、信頼性が優れていることが含まれる。

    ガスの実体がその環境と同じ温度であり、ガスとその環境との間の熱交換の速さに対して膨張がゆっくりと生じる場合、ガスは、膨張するにつれておおよそ一定の温度に留まることになる。 この過程は、「等温」膨張と呼ばれている。 所与の温度で貯蔵されたある量の高圧ガスの等温膨張は、「断熱膨張」、つまり、例えば膨張が素早く起こる、又は断熱された容器内で起こるため、ガスとその環境との間で熱の交換がない膨張よりも、おおよそ3倍の仕事を回収する。 ガスは、等温又は断熱で圧縮されてもよい。

    圧縮、貯蔵、及び膨張の理想的な等温エネルギー貯蔵サイクルは、100%の熱力学的効率を有することになる。 理想的な断熱エネルギー貯蔵サイクルも100%の熱力学的効率を有することになるが、断熱的な手法には多くの実際上の欠点がある。 それら欠点には、システム内でより高い温度及び圧力の極値が生じること、貯蔵期間中の熱損失、並びに、膨張及び圧縮のそれぞれの間に環境上の(例えば電気−熱同時発生の)熱源及びヒートシンクを利用できないことが含まれる。 等温システムでは、断熱的な手法の問題の解決と引き換えに、熱交換システムを加えるコストがかかる。 いずれの場合でも、膨張するガスからの機械的なエネルギーが、典型的には、使用の前に電気エネルギーに変換される。

    ほぼ等温でのガスの圧縮及び膨張を利用した圧縮ガスの形態でエネルギーを貯蔵するための効率的で新規な設計が、2009年4月9日に出願された米国特許第7,832,207号('207号特許)と、2010年2月25日に出願された米国特許第7,874,155号('155号特許)とに示されて記載されており、これらの特許の開示は、参照によりその全体において、本明細書により本明細書に組み込まれている。 '207号特許及び'155号特許は、必要な時に電気エネルギーを発生させるために、段階的なシリンダ及び増圧器で幅広い圧力範囲にわたってガスを等温で膨張させるためのシステムと技術とを開示している。 膨張したガスからの機械的なエネルギーは、電気を作り出す液圧ポンプ/モータサブシステムを駆動するために用いられ得る。 '207号特許及び'155号特許に開示されたシステム及び方法など、システム及び方法で採用できる液体−空気圧力増加のためのシステム及び技術は、2010年9月10日に出願された米国特許第8,037,678号('678号特許)に示されて記載されており、この特許の開示は、参照によりその全体において、本明細書によって本明細書に組み込まれている。

    '207号特許及び'155号特許に開示されたシステムでは、往復動する機械的運動が、貯蔵からエネルギーを回収する間、シリンダ内のガスの膨張によって引き起こされる。 この往復運動は、例えば、'678号特許、及び、2011年2月14日に出願された米国特許第8,117,842号('842号特許)に開示されるように、様々な技術によって電気に変換できる。 '842号特許の開示は、参照によりその全体において、本明細書によって本明細書に組み込まれている。 このようなシステムの、エネルギーを貯蔵する(つまり、エネルギーを使ってガスを貯蔵貯留器内に圧縮する)能力、又は、エネルギーを作り出す(つまり、貯蔵貯留器からガスを膨張させてエネルギーを放出する)能力は、電気機械及び空気機械の原理に適度に精通している者には明らかであろう。

    運転(operation)の全体の圧力範囲を縮小するために、様々なCAESシステムは、複数の相互接続されたシリンダを伴う設計を利用できる。 このような設計では、「死容積(dead volume)」という閉じ込められた領域が、孤立したガスが弁の変位の前後においてシリンダ内に留まるようにして生じる可能性がある。 このような容積は、シリンダ自体の内部、及び/又は、管路、弁、若しくは、シリンダ内部でシリンダと相互に連結する他の構成部品の内部で、生じる可能性がある。 比較的高圧のガスを死容積内部の比較的低圧のガスと連通させる(例えば、弁を開けることによって行われる)ことは、有用な仕事を行わせることなく高圧ガスの圧力を低下させることになる傾向があり、それによって、高圧ガス内から回収可能な仕事量又は高圧ガス内に貯蔵された仕事量を、不利に減少させる。 空気の死容積は、死容積と連通されたある量の高圧ガスから利用可能な仕事量を減少させる傾向がある。 ポテンシャルエネルギーのこの損失は、「結合損失(coupling loss)」と呼ぶことができる。 例えば、圧縮段階の間、比較的高い圧力に圧縮されたある体積のガスは、シリンダの移動部材(例えば、ピストン、液圧流体、又は空気袋)がその行程の終端に到達した後、圧縮シリンダ又はそれに取り付けられた管路の内部に留まる可能性がある。 行程の終端で次の段に押し込まれない圧縮された空気の体積は、「死容積」(圧縮機においては「隙間容積」とも呼ばれる)を構成する。 そして、シリンダ内のその体積の高圧ガスが吸入管の区画と流体連通される(例えば、弁を開けることによって行われる)場合、高圧ガスの一部は配管に進入して配管内の内容物と混合する傾向があり、2つの容積内の圧力を均一にする。 圧力のこの均一化は、エクセルギー(exergy)(つまり、仕事として利用可能なエネルギー)の損失を伴う。 好ましいシナリオでは、死容積のガスは、(例えば、ピストンを押すことによって)有用な仕事を行う形で膨張することが可能とされ、弁が開く前に配管内のガスと圧力が均一化する。 別のシナリオでは、死容積のガスは、吸入管内のガスの圧力未満で膨張することが可能とされ、圧力の均一化は、弁の変位中(開く間)に起こる。

    CAESシステムにおける膨張の進行中の死空間の形成の他の例では、シリンダ内でピストンを押すことによって仕事を行う目的のために、ガスをシリンダ内に弁を通じて導入しようとしており、且つ、弁が開けられたとき低圧ガスで満たされる室又は容積がピストンに隣接して存在する場合、室に進入する高圧ガスは、自由膨張の間に圧力が急速に低下して低圧のガスと混合するため、圧力の低下がなければ可能であったであろうピストンへの機械的な仕事よりも、小さな仕事を行うことになる。 このような例の低圧の容積は、空気の死容積を構成する。 死容積は、シリンダ内部と連通する弁機構の一部内、又は、弁をシリンダ内部に連結する管内若しくは経路内、又は、システムの運転の様々な状態においてガスを収容する他の構成部品内でも現れる可能性がある。 死容積が圧縮の進行中に現れる可能性もあること、及び、空気圧的に連通する死容積に起因するエネルギー損失が付加される傾向があることは、液圧技術及び空気圧技術に精通している者にとっては明らかであろう。

    さらに、シリンダ内でガスをほぼ等温で(つまり、おおよそ一定の温度で)膨張又は圧縮するように運転される膨張機−圧縮機システムでは、シリンダを逃れて液圧サブシステムにおいて(例えば、非圧縮の流体を排することによって)死容積になるガスは、システム内の圧力が変化するにつれて、ガスと死容積を包囲する材料との間の熱伝達によるエネルギー損失を伴いながら、断熱して(つまり、非一定の温度で)膨張及び圧縮することがある。 これらの熱エネルギー損失は、ガスの仕事を行わない膨張のため、死容積の圧力を低下させることになる損失が付加される傾向がある。

    そのため、等温圧縮機−膨張機システムを含む様々な圧縮機−膨張機システムでは、死容積の形成を防止することにより、概して、より高いシステム効率が可能になる。 死容積を最小にする試みには、シリンダ及び他の構成部品を相互接続する管路の大きさ及び長さを小さくすることが、しばしば含まれる。 しかしながら、このような試みは、すべての死容積を排除することはできず、個々のシステム構成部品の全体の形状及び配置を制限する傾向がある。 そのため、ガスの圧縮及び/又は膨張の間の結合損失を低減し、効率を改善するために、空気圧構成部品における死容積の低減及び/又は死容積の悪影響を低減するための代替又は追加の手法が必要とされている。

    さらに、圧縮ガスエネルギー変換システムの効率は、シリンダに出入りする、並びに/又は、他の構成部品に入る、他の構成部品から出る、及び/若しくは他の構成部品を通過するガス(及び/又は他の流体)の流れを制御する弁システムによって、限定され得る。 例えば、従来の設計は、作動流体(actuation fluid)と仕事流体(working fluid)との間の汚染を防止せず、静ロック(hydrolocking)による損傷を防止せず、過度の作動エネルギーを必要とし、作動する(つまり、開閉する)ために過度の時間を必要とし、過度の圧力低下があり、必ず閉止し(例えば、弁作動機構への動力が失われたときに高圧ガスの望ましくない放出を防止する)、配管に死空間を含み、且つ、他の欠点を有する弁構成を伴うことがある。 このような特徴を緩和又は排除する設計は、有利となる傾向がある。 一般的に、通路が全体のシステム効率を悪化させる絞り損失を伴うため、できるだけ少ない流体が部分的に開いた状態又は閉じた状態にある弁を通過し得るようにするために、弁が素早く開閉することも有利である。

    さらに、シリンダに出入りするガス(及び/又は他の流体)の流れを制御するために、カム又はピストンによって作動される弁を用いることは、欠点を伴う恐れもあり、これらの欠点は、新規な設計によって克服又は緩和することができる。 従来の技術又は先行技術の往復動ピストン式の膨張機は、典型的には、カム又はピストンによって作動される弁を用いて、ピストンが上死点(つまり、「最上部」に指定されたシリンダの端部にピストンが最も近づく接近位置)の近くにあるとき、高圧源からシリンダへの流体の吸込みを制御し、また、ピストンが下死点(つまり、最上部の反対である「最下部」に指定されたシリンダの端部にピストンが最も近づく接近位置)の近くにあるとき、シリンダからの流体の排出を制御する。 従来の往復動ピストン式圧縮機は、典型的には、受動的な逆止型の弁を用いて、吸入(又は吸引)行程中のシリンダ内への流体の吸込みと、排出行程中のシリンダからの流体の排出とを制御する。 往復動ピストン式の膨張機及び圧縮機のためのこれらの従来の弁技術は、圧縮空気エネルギー貯蔵システムでの使用に対して最適ではない可能性があり、例えば、カム又はピストンによって作動される固定されたタイミングの弁は、圧力が低下していく供給源(例えば、ガス貯蔵器)からのガスの可変速度で一定出力の膨張に対して最適ではない可能性がある。 典型的には、より望ましいのは、圧縮モードにおいて受動的に、つまり、シリンダ圧力のみに基づいて作動でき、且つ、膨張モードの間に能動的又は半能動的に制御できる(例えば、弁の作動のタイミングが運転者又は制御システムによって設定できる)吸入弁及び出口弁である。 吸入弁及び出口弁は、特定の作動状態において差圧閉(check closed)し、また、他の作動状態において差圧開(check open)することも望ましい。 例えば、受動的な状態又は動力の供給されていない状態での吸入弁は、シリンダ内の圧力が高圧の貯蔵内の圧力よりも低いとき、高圧の空気が高圧の貯蔵からシリンダ内に流れるのを防止すべきであるが、シリンダ内の圧力が高圧の貯蔵内の圧力よりも高いときは、シリンダからの空気が高圧の貯蔵内に流れるのを許容すべきである。 同様に、受動的な状態又は動力の供給されていない状態での出口弁は、シリンダ内の圧力が第2の容積の圧力よりも高いとき、高圧の空気がシリンダから環境への通気口又は他の第2の容積に放出するのを防止すべきであるが、シリンダ内の圧力が第2の容積内の圧力よりも低いときは、第2の容積からの空気がシリンダ内に流れるのを許容すべきである。 そのため、弁の設計及び弁の作動効率をさらに高めることによってエネルギー貯蔵及び回収システムの全体の効率を向上する機会が存在する。

    米国特許第7,832,207号

    米国特許第7,874,155号

    米国特許第8,037,678号

    米国特許第8,117,842号

    本発明の実施形態は、CAESシステムにおける圧縮及び/又は膨張の間に、空気圧シリンダ及び/又は空気圧/液圧シリンダの空気圧室における死容積の影響を低減し;流体(つまり、ガス、液体、又はガスと液体との混合物)が、エネルギー変換システムの一部である空気圧シリンダ若しくは空気圧液圧シリンダへ吸い込まれ得る又はそのシリンダから排出され得る効率を向上させ;及び、シリンダのヘッドに一体化させることができると共に、典型的には、(i)開けるために差圧を用い、(ii)開いた状態を保持するために電磁力を用い、(iii)差圧閉する1又は2以上の弁を採用することによってエネルギー変換システムの性能を向上する;

    様々な実施形態において、死容積の影響が、システム構成部品内のガス圧力の時間的に調整された整合によって低減され、システム構成部品は、このような整合がない場合、結合損失及び潜在的な機器の損傷を被ることになる。 本明細書では、CAESシステムの任意の構成部品内の空間は、その容積が運転の一部の状態又はすべての状態において、機械的な制限(例えば、ピストンが上死点にあるときのピストンのシリンダヘッドの内部面への不完全な一致が、取り除けない残存する室容積を形成する)のためにゼロまで減少させることができない場合、且つ、システム運転の一部の状態において、その空間が、著しく異なる圧力のガスと(例えば、弁の変位を通じて)流体連通され得る圧力でガスを収容する場合、「死容積」又は「死空間」と呼ばれる。

    シリンダでは、圧力の時間的に調整された整合は、互いに流体連通されることになるシステム構成部品内でおおよそ整合された圧力を生み出す手法で選択的に開閉される作動弁を用いて、実現できる。 比較的高い圧力(例えば、3,000psi)のガスを収容する構成部品が比較的低い圧力(例えば、300psi又は大気圧)のガスを収容する構成部品と流体連通されるとき、仕事を行わないガスの膨張によるエクセルギーの損失を低減するために、1又は2以上の潜在的な死空間が、より高い圧力のガスの体積とより低い圧力のガスの体積とが互いに流体連通される前に、より高い圧力のガスの圧力とおおよそ等しい圧力まで予備圧縮される。 他の実施形態では、1又は2以上の潜在的な死空間のガスは、より高い圧力の体積とより低い圧力の体積とが互いに流体連通される前に、より低い圧力のガスの圧力とおおよそ等しい圧力まで予備膨張される。 このような予備圧縮及び予備膨張は、具体的な目標圧力(例えば、3,000psi)を、具体的な時間に、又は、システム運転の具体的な状態において(例えば、シリンダピストンが上死点の位置に到達し、釣り合いが取られて膨張行程を開始するとき)、作り出す。 圧力整合の目標圧力とタイミングとの両方が、システム運転の進行中に、CAESシステムの様々な部分内の圧力の測定、及び/又は、システム状態の他の態様に基づいて、順応して変更され得る。 作動弁は、例えば、予備圧縮条件が満たされたときだけ弁が開けられ得るといった、死空間の影響を低減するために具体的な時間に作動され得る(つまり、開かれ得る又は閉じられ得る)。 作動弁の作動のタイミングは、さらに、システムエネルギー効率の向上及び/又は他の利点を提供するために、フィードバックで調節することができる。 本明細書では、「作動」弁は、開閉が差圧によって決定される受動的な「逆止」式の弁、又は、開く又は閉じる時間が機械的に指示される「カム駆動」の弁とは区別され、開弁又は閉弁が、任意に又は限度内で、システム運用者又は制御機構によって変更され得る時間に起こる弁である。 作動弁は、差圧による逆止弁の作動によって引き起こされ得るのと異なる時間に開くことによって、性能を改善できる。 可変タイミングカム駆動弁は、作動弁と解釈でき、本発明の範囲内にある。

    本発明のある実施形態では、CAESシステムは、移動可能な内部部材(例えば、ピストン)、又は、液圧流体若しくは空気袋などの他の境界機構を特徴とするシリンダ組立体(又は、多段といった複数のシリンダ組立体)を備え得る、又は、そのようなシリンダ組立体から基本的に構成され得る。 シリンダの内部境界機構は、シリンダの内部を、区別できる流体の実体を収容し得る2つの室に分割し、これらは、システムの運転の様々な状態において異なる圧力となり得る。 システムは、さらに、高圧貯蔵貯留器及びシリンダ組立体と連通している第1の制御弁と、シリンダ組立体及び大気への通気口と連通している第2の制御弁と、シリンダ組立体と流体連通している熱伝達サブシステムと、シリンダ組立体内に配置された移動部材を駆動するように構成された駆動機構(例えば、クランクシャフト、液圧ポンプ、リニア発電機の可動子)と機械的に連通している電気モータ/発電機と、シリンダ組立体及び/又はシステムの他の構成部品の様々な態様を特徴づける様々な情報(例えば、圧力、温度、ピストン位置、ピストン速度)に基づいて、第1の制御弁及び第2の制御弁を作動するように構成された制御システムとを備え得る。

    本発明の一態様は、CAESシステムの膨張段階の間に、結合損失を低減しシステム性能を向上するための方法に関する。 様々な実施形態において、シリンダの第1の室内のガスは、シリンダの膨張行程の始端又はその始端の近くにおいて、おおよそいくらか比較的高い圧力(例えば、3,000psi)に加圧される。 この運転状態において、シリンダのピストンは、その上死点の位置又は上死点の近くの位置にあり、第1の室は死容積を構成する。 次いで、第1の制御弁は、第1の室と流体連通している外部供給源(例えば、加圧ガス貯蔵貯留器)からのある体積の高圧ガス(例えば、3,000psiの空気)を配置するように作動される。 第1の室内のガスは、第1の制御弁を開けることによって、第1の室と連通して配置された高圧源とおおよそ同じ圧力にあるため、高圧源からのガスは、有用な仕事を行わずに、第1の室内に急激に拡散する傾向はない。 したがって、高圧源のシリンダへの接続の間の結合損失は、低減又は排除される。 要するに、システムの性能は、接続する空間間の圧力の素早い均一化という事前の事象によって改善できる。

    後に続くシリンダの膨張行程(本明細書では、「下向き行程」とも呼ばれる)の間、有用な仕事は、(1)高圧ガスが第1のシリンダ室に吸い込まれつつ、境界機構が下向きに移動して、第1のシリンダ室の拡大を可能にすること、つまり、本明細書では「直接駆動局面」又は「直接駆動」と呼ばれる運転の局面と、(2)それに続く膨張局面(つまり、第1の制御弁が閉じられた後)であって、その間に、境界機構が下向きに移動し続け、固定された質量の高圧ガスが、拡大していく第1の室で膨張する膨張局面との両方の間に、高圧ガスから回収される。 '207号特許、'155号特許、及び、本明細書において参照によりその全体の開示が組み込まれている、2012年5月16日に出願された米国特許出願第13/473,128号('128号出願)に開示されるように、ガス膨張は、適切な温度の一定の体積の液体(例えば、ある量の泡又は噴霧)を、膨張の前及び/又は最中にシリンダ内に導入することによって、実質的に等温として維持できる。

    膨張行程の終端又は終端の近くで、ガスがより低い圧力(例えば、300psi)に到達するとき、ピストン内で移動部材の上向き行程が起こると、第2の制御弁がガスの排出(例えば、通気口に向けて、及び/又は、中間圧力容器及び第2のシリンダ組立体に向けて)を開始するように作動される。 シリンダ行程(例えば、上向き行程)の第2の半分の第1の部分の間、ガスは、移動部材(例えば、ピストン)又は他の境界機構を移動してシリンダ組立体の第1の室の容積を減少することによって、第2の制御弁を通じて(例えば、中間圧力容器及び第2のシリンダ組立体内に)排出される。 シリンダ行程(例えば、上向き行程)の第2の半分の第2の部分の間、移動部材がシリンダの内部で行程の終端(例えば、行程の上端)に到達する前に、第2の制御弁は閉じられ、「予備圧縮行程」が実施されて、シリンダの内部の残っている容積の空気(死容積)及び/又は液体を圧縮する。

    第2の制御弁を閉じる時間は、説明した一連の運転の状態に対して、恣意的なものではない。 第2の弁を早めに閉じると、典型的には、第1の室で過大な量のガスを捕捉する傾向があり、第1の室の容積が最小に達するとき(つまり、行程の上死点において)、第1の室のガスが過大に加圧されることになる。 これが起こると、次の膨張サイクルの開始で第1の弁を開けると、第1の室内のガスの、第1の室と流体連通している高圧貯蔵貯留器及び他の構成部品(例えば、配管)への仕事を行わない膨張を通じて、エネルギー損失をもたらすことになる。

    一方、第2の弁を遅く閉じると、第1の室で不十分な量のガスしか捕捉できない傾向があり、第1の室の容積が最小に達するとき(つまり、行程の上死点において)、第1の室のガスが十分に加圧されないことになる。 これが起こると、次の膨張サイクルの開始で第1の弁を開けると、一般的に、第1の室と流体連通している高圧貯蔵貯留器及び他の構成部品(例えば、配管)から第1の室へのガスの仕事を行わない膨張を通じて、エネルギー損失をもたらすことになる。

    そのため、本発明のある実施形態では、第2の制御弁の作動の最適な時間は、例えば、第1の室の圧力、高圧貯蔵貯留器の圧力、ピストン位置、ピストン速度などといった、CAESシステムの1又は2以上の部分で感知された条件に少なくとも一部基づいている。 第2の制御弁の作動の時間が決定される原理は、以下で明確にされている。

    液体が第1の室に導入されておおよそ等温の膨張を可能にするとき、ある量の液体が、一般的に、膨張行程の間に第1の室(例えば、ピストン又は他の移動部材の最上部上にある)に溜まることになる。 理想的な場合、つまり、第1の室で圧縮されるガスのすべてが、貯蔵貯留器又は高圧シリンダ段に、第1の室の容積が最小となる時間までに送られる場合、第1の室の残っている容積(つまり、移動部材とシリンダの上方エンドキャップの内部面との間の容積)は、液体によって全部が占められることになる。 つまり、すべてのガスが吐き出され、新しい膨張行程の開始における第1の室には、ガスで満たされた死容積はないことになる。 しかしながら、実際には、新しい膨張行程の開始における第1の室の容積は、以前の膨張行程から残っている液体とガスとの両方を収容する傾向がある。 この容積のガスの部分は、新しい行程の開始において、死容積を構成する可能性がある。 そのため、予備圧縮行程の間、すでに先に説明したように、この死容積による有効な結合損失は、残っている空気を貯蔵貯留器にある空気の圧力(又は、このようなガスが貯蔵貯留器から直接届いていない場合、膨張のためにシリンダに導入されるガスの圧力)と実質的に等しい圧力まで加圧することによって、最小とされる。 したがって、追加の高圧ガスが膨張のためにシリンダに吸い込まれるとき、第1の制御弁の2つの側面の間では、圧力差がない、又は最小である。 これによって、第1の制御弁は、より少ない作動エネルギーで作動でき、システムの効率をさらに改善する。

    予備圧縮行程の間に第1の室の空気に対して行われた仕事のほとんど又は実質的にすべては、典型的には、それに続く膨張行程の間に空気が再膨張するとき回収される。 さらに、死容積における空気の圧力が、貯蔵容器又は次の高圧段の空気の圧力とおおよそ等しい場合、貯蔵貯留器又は次の高圧段に第1の弁が開かれるとき、結合損失は実質的にないことになる。 死容積内での圧力がより高いと、弁が膨張段階の間に開かれるとき、貯蔵貯留器又は次の高圧段からシリンダへのガスの流れをより少なくすることになり、それによって、結合損失を低減し、効率を改善する。 さらに、一部のシステム構成部品の寿命は、死容積に突然流れ込む高圧空気によって引き起こされる過渡的な機械的応力が、最小になる、又は排除されるため、増加される可能性がある。

    様々な構成部品(例えば、経路及び室)内の圧力の測定を採用することで、作動弁の開閉(つまり、弁の変位事象)のタイミングを、具体的なシステム条件に対して最適化させることができる。 例えば、同様の設計によって構築されたCAESシステムは、管の長さ、及び、潜在的な死空間に与える他の詳細において異なる可能性がある。 このような場合、作動弁を備えていれば、弁変位事象を、死空間の結合損失を最小にすることによって個々のシステムの効率を最適化するように、調節することができる。 例えば、過大な圧力が予備加圧されたシリンダ室で検出された場合、ガスを戻り行程の間に室から脱出させることができる弁の閉作動を、予備加圧されたガスの量を減らすために遅らせることができる。 弁変位事象の調節がコンピュータ化されたシステム制御装置によって実施されるCAESシステムは、この点において、自己調節システムと考えることができる。 他の例については、ガス貯蔵貯留器内の圧力が、貯留器内のガスが冷える若しくは排出されるにつれて低下するため(又は、貯留器内のガスが温まる若しくは増加されるにつれて上昇するため)、弁変位事象のタイミングは、CAESシステムのエネルギー効率を順応して連続的に最大化する手法で、調節されてもよい。 したがって、本発明の様々な実施形態によるCAESシステムは、システム構成の特異性と変化する運転条件との両方に応答して死空間の結合損失を最小とするために、自身の弁変位事象を順応して自己調節できる。

    さらに、死空間の影響を最小限とするために、弁の作動のタイミングは、実際の弁の非理想的な特徴に鑑みて選択され得る。 非瞬間的な弁の変位は、システム能力(1行程当たりで圧縮又は膨張される空気の量)とシステム効率(死空間によるエネルギー損失によって一部決定される)との間での二律背反を伴う傾向がある。 CAESシステムの運転における非理想的な弁の作動の影響は、以下の本発明のある実施形態については考慮されている。

    本明細書では「ガス過程」と呼ばれる、ある量のガスのいずれの圧縮又は膨張も、概して、次の3つの種類のうちの1つである。 それらは、(1)ガスがその環境と熱を交換せず、その結果、温度が上昇又は低下する断熱ガス過程、(2)ガスがその環境と一定の温度に留まるようにして熱を交換する等温ガス過程、及び、(3)ガスがその環境と熱を交換するが、ガスの温度が一定に留まらないポリトロープガス過程である。 完全な断熱ガス過程は、一部の熱が任意のガスの実体とその環境との間で常に交換されるため(理想的な断熱材及び反射材は存在しない)、現実的ではない。 完全な等温ガス過程は、ある量のガスとその環境の一部(例えば、液体の実体)との間で熱が流れるためには、例えば、熱を液体に伝導できるように圧縮の間にガスを加熱できなければならないといった、ゼロ以外の温度差がガスとその環境との間に存在しなければならないので、現実的ではない。 したがって、現実の世界のガス過程は、断熱過程又は等温過程に近いかもしれないが、典型的にはポリトロープである。

    理想気体の法則は、質量m、圧力p、体積V、及び温度Tを有する所与の量のガスに対して、pV=mRTであると提示している。 ここで、Rは気体定数である(空気についてはR=287J/K・kg)。 等温過程については、Tは過程を通じて一定であり、したがって、pV=Cであり、ここで、Cはある定数である。

    ポリトロープ過程については、熱力学の技術に精通している者には明確であるように、過程を通じてpV =Cであり、ここで、ポリトロープ指数と呼ばれるnは、概して1.0と1.6の間のある定数である。 n=1の場合、pV =pV =pV=Cであり、つまり、過程が等温である。 一般的に、nが1に近い(例えば、1.05)過程は、おおよそ等温と見なすことができる。

    断熱過程については、pV γ =Cであり、ここで、γは、断熱係数と呼ばれ、一定の体積C における熱容量に対する、一定の圧力C におけるガスの熱容量の比率と等しく、つまり、γ=C /C である。 実際には、γは圧力に依存する。 空気の場合、断熱係数γは、典型的には、1.4と1.6の間である。

    本明細書では、「実質的に等温」なガス過程を、n≦1.1を有しているガス過程として定義する。 本明細書で説明するシリンダ内で行われるガス過程は、好ましくは、n≦1.05で実質的に等温である。 本明細書では、シリンダ組立体又は貯蔵貯留器内で起こるガス過程が「等温」としてどこで説明されたとしても、この言葉は、「実質的に等温」という用語と同義である。

    所与の量のガスの圧縮又は膨張で行われる仕事量は、実質的にポリトロープ指数nと共に変化する。 圧縮については、行われる最小の仕事量は等温過程に関してであり、最大の仕事量は断熱過程に関してであり、また、膨張についてはその逆である。 したがって、本明細書で説明する圧縮ガスエネルギー貯蔵システムで典型的に起こるようなガス過程に関しては、断熱ガス過程、等温ガス過程、及び実質的に等温のガス過程によって達せられる最終的な温度は、このようなシステムの運転性及び効率に実際の影響を有するだけの違いがある。 同様に、断熱ガス過程、等温ガス過程、及び実質的に等温のガス過程の熱効率は、このようなエネルギー貯蔵システムの全体の効率に実際の影響を有するだけの違いがある。 例えば、20℃の初期温度及び0psig(大気)の初期圧力から180psigの最終圧力までのある量のガスの圧縮に関して、ガスの最終温度Tは、等温過程については正確に20℃となり、断熱過程についてはおおよそ295℃となり、ポリトロープ指数n=1.1(n=1の等温の場合に対してnにおける10%の増加)を有するポリトロープ圧縮についてはおおよそ95℃となり、ポリトロープ指数n=1.05(n=1の等温の場合に対してnにおける5%の増加)を有するポリトロープ圧縮についてはおおよそ60℃となる。 別の例では、20℃の初期温度及び0psig(大気)の初期圧力から、ガスを貯蔵貯留器に180psigで圧縮することを含め、おおよそ180psigの最終圧力までの1.6kgの空気の圧縮に関して、等温圧縮はおおよそ355キロジュールの仕事を必要とし、断熱圧縮はおおよそ520キロジュールの仕事を必要とし、ポリトロープ指数n=1.045を有するポリトロープ圧縮はおおよそ375キロジュールの仕事を必要とする。 つまり、ポリトロープ圧縮は、等温過程よりおおよそ5%多くの仕事を必要とし、断熱過程は等温過程よりおおよそ46%多くの仕事を必要とする。

    本明細書で説明するようなシリンダ組立体で起こるガス過程のポリトロープ指数nは、nを数式pV =Cに実験的に適合させることで、推定することが可能である。 ここで、例えばシリンダ内での、圧縮又は膨張の間のガスの圧力p及び体積Vは共に、ピストンの位置、既知の装置の寸法、及び圧力変換器の測定から、時間の関数として測定できる。 さらに、理想気体の法則によれば、シリンダ内の温度は、シリンダ内に配置されてその流体内容物と接触している変換器(例えば、熱電対、抵抗温度計、サーミスタ)による直接的な測定の代替として、p及びVから推定できる。 多くの場合では、体積と温度とを介した温度の間接的な測定は、温度変換器からのより遅い点測定よりも、より迅速で、全体の体積をより代表し得る。 したがって、本明細書で説明する温度の測定及び監視は、1又は2以上の変換器を介して直接的に実施されても、又は、上記のように間接的に実施されてもよく、また、「温度センサ」は、このような1若しくは2以上の変換器、並びに/又は、例えば、体積センサ、圧力センサ、及び/若しくはピストン位置センサといった、温度の間接的な測定のための1若しくは2以上センサのうちの1つであってもよい。

    本発明の様々な実施形態において、1又は2以上の弁(例えば、ポペット式弁)が、シリンダのヘッドに一体化されている。 弁作用の俊敏性及び効率を上げることで、本発明の実施形態は、エネルギー変換システムの全体の出力密度(density)及び効率を向上させる。 そこから生じる他の利点は説明されていないが、検討されており、本発明の範囲内にある。

    '207号特許、'155号特許、及び、2009年6月9日に出願された米国特許第7,802,426号('426号特許、本明細書において参照によりその全体の開示が組み込まれている)に説明されたエネルギー変換システムの様々な実施形態において、ガスは、シリンダの室内にある範囲の圧力で吸い込まれる。 室内で膨張又は圧縮された後、ガスは室から排出される。 室内に吸い込まれるガスの供給源、及び、室から排出されるガスの行先は、異なる可能性がある。 例えば、ガスは、高圧貯留器(又は「貯蔵」)から室に吸い込まれてもよく、また、室から通気口又は別のシリンダ内の室に排出されてもよい。 別々の弁は、典型的には、各々の供給源からのガスの流れ、又は各々の行先へのガスの流れを調節するために必要とされる。 シリンダに往来するガスの流れを調節する弁は、少ないエネルギーの消費で素早く作動する(つまり、開く及び閉じる)ことが望ましい。 素早い弁の作動によって、エネルギー変換システムは、エネルギー変換システムの出力定格及び出力密度を高める傾向がある、より短い運転サイクル(例えば、(1)シリンダ室への流体の吸込み、(2)シリンダ室内の流体の膨張又は圧縮、(3)膨張又は圧縮した流体のシリンダ室からの退出)を実施できる。 低エネルギー(効率の良い)弁の作動は、エネルギー変換システムの全体の効率を向上させる。 さらに、素早い弁の作動は、弁が部分的に開いているだけの期間の弁の開口を通じての制限された流れによる絞り損失を減少する。 シリンダに往来するガスの流れを調節する弁は、弁性能の特性を示すために用いられる無次元数である流量係数C が高いことも望ましい(高いC は、大きな流量に対する弁を通じた圧力降下が低いときに実現される)。

    本発明の実施形態は、有利には、先行技術に従って構築されるポペット弁の構成と比較したとき、エネルギーの貯蔵及び回収の効率を改善する弁及び弁作動構成を組み込んでいる。 本発明の様々な実施形態による、十分に開いた弁状態及び十分に閉じた弁状態(「十分に開いた」及び「十分に閉じた」という用語は、後で明確に定義される)をより素早く達成する構成は、本明細書で説明するように、より素早い弁の開閉を可能にできるため、全体のシステム出力の定格及び密度を増加させる。 本発明の様々な実施形態による、弁体の減速から(つまり、開く又は閉じる弁行程の終端において)回収されたエネルギーを貯蔵する構成、及び、弁体の加速における(つまり、開く又は閉じる弁行程の始端において)貯蔵されたエネルギーを使用する構成は、本明細書で説明するように、弁を作動するために必要とされる平均エネルギーの低減を可能にでき、したがって全体のシステム効率を向上させる。

    膨張を受けるガスは冷える傾向がある一方、圧縮を受けるガスは温まる傾向がある。 効率(つまり、仕事に変換される圧縮ガスの弾性ポテンシャルエネルギーの部分、又はその逆)を最大化するために、ガスの膨張及び圧縮は、できるだけ等温(つまり、一定温度)に近くするべきである。 等温の膨張及び圧縮を近似するいくつかの技術が、本発明の実施形態により採用され得る。

    第1に、'426号特許に記載されるように、圧縮又は膨張のいずれかを受けるガスを、連続的に又は分割して、シリンダの外部の熱交換サブシステムを経由してシリンダに案内できる。 熱交換サブシステムは、(圧縮を受けるガスを冷却するために)環境への熱を排除する、又は、(膨張を受けるガスを加熱するために)環境からの熱を吸収する。 等温過程は、この熱交換率の賢明な選択によって近似できる。

    また、'155号特許に記載されるように、液体(例えば水)の滴が、ガスに熱を伝達する又はガスから熱を伝達するために、ガスが圧縮(又は膨張)されているシリンダの室内に噴霧されてもよい。 液滴がそれらの周囲のガスと熱を交換するにつれて、ガスの温度は上昇又は低下し、滴の温度も上昇又は低下する。 液体は、適切な機構を通じて、シリンダから排出される。 熱交換の噴霧の滴は、噴霧ヘッド(例えば、鉛直なシリンダの場合)を通じて、シリンダピストンと同軸線上に配置された噴霧ロッド(例えば、水平なシリンダの場合)を通じて、又は、シリンダ内での液体の噴霧(又は、後でさらに説明するような泡)の形成を可能にする他の任意の機構によって、導入できる。 滴(及び/又は泡)は、膨張を受けるガスを加熱するため、又は、圧縮を受けるガスを冷却するために用いられてもよい。 この場合も、等温過程は、この熱交換率の賢明な選択によって近似できる。 このような液体の熱交換が利用されるとき、室の内容物は、液体とガスとの混合物(例えば泡)を含み得る、又は、そのような混合物から基本的に構成され得る。 ガスを室に吸い込ませる、及び/又は、ガスを室から排出するために用いられる任意の弁は、好ましくは、液体−ガスの混合物の流れを受け入れる。 このような二相流れは、特定の品質係数(例えば、ガスの体積と比較して液体の体積が10%を超え、場合によっては、液体の体積が25%を超える)を超えてもよい。

    本発明の様々な実施形態は、変更されたシリンダ組立体に関する。 シリンダ内のピストンは、シリンダの内部を2つの管状の室に分割する。 各々の管状室は、一端においてピストンによって境界が設けられ、他端においてエンドキャップによって境界が設けられる。 本発明の様々な実施形態では、2つ以上の液圧式、電気式、又は機械式の作動する2つのポートのポペット弁が、シリンダのヘッドのうちの1つを通過する。 各々の弁は、本体部、作動機構、弁棒(stem)、弁輪(ring)、弁体(disc)(弁部材)、2つのポート、及び座部を備える。 各々の弁は、本明細書では、流体が流れて通過できる「流室」と呼ばれる室を含む。

    各々の弁では、2つのポート(開口)が、弁室の内部と弁の外部との間の連通を可能にする。 一方のポートは、典型的には常に開いていて管に接続でき、このポートは本明細書では「外側ポート」と呼ばれる。 他方のポートは、シリンダの内部と連通していて弁体によって開閉され、このポートは本明細書では「ゲートポート」と呼ばれる。

    弁棒の一端は、本明細書では「遠位端」と呼ばれ、弁棒をその軸線に沿って移動させる作動機構に接続されており、弁棒の他端は、本明細書では「近位端」と呼ばれ、弁棒より拡がっている材料の実体である弁体に接続されている。 弁棒の遠位端は、近位端よりもゲートポートから離れている。 弁が閉じているとき、弁棒は近位側方向においてその移動の限界に到達しており、弁体の周囲の縁又は表面が、座部、つまり、ゲートポートを包囲するテーパー状の面又はフランジと接触している。

    2つ以上の弁は、典型的には少なくとも2つの種類のものである。 ある種類の弁では、弁体が流室の外側にある。 弁が開かれたとき、弁棒は、近位側方向において(つまり、ゲートポートに向かって)その移動の限界にあり、弁体は流室の外側にあって座部と接触しておらず、流体を流室とシリンダ室との間でゲートポートを通じて流すことができる。 弁が閉じられたとき、弁棒は遠位側方向において(つまり、ゲートポートから離れる向きで)その移動の限界にあり、弁体は座部と接触している。 この種類の弁は、本明細書では「低圧側弁(low-side valve)」と呼ばれる。

    別の種類の弁では、弁体が流室の内側にある。 弁が開かれたとき、弁棒は、遠位側方向において(つまり、シリンダ室から離れる向きで)その移動の限界にあり、弁体は流室の内側に位置し座部と接触しておらず、流体を流室とシリンダ室との間でゲートポートを通じて流すことができる。 弁が閉じられたとき、弁棒は近位側方向において(つまり、ゲートポートに向かって)その移動の限界にあり、弁体は座部と接触している。 この種類の弁は、本明細書では「高圧側弁(high-side valve)」と呼ばれる。

    本明細書の説明は、典型的には、簡潔及び明確にするために、単一の吸入(高圧側)弁と、単一の出口(低圧側)弁とを有するシステムに言及するように表現されているが、複数の吸入弁及び出口弁を有するシステムも、それら複数の弁が個々に作動するか同期して作動するかに拘わらず、検討されており、本発明の範囲内にある。

    シリンダが膨張機として作動されるとき、貯留器に高圧(例えば、おおよそ3,000psi)で貯蔵されたガスは、配管及び高圧側弁を通してシリンダ組立体に吸い込まれる。 初期状態において、シリンダ室内の流体ガス又はガス−液体の混合物は、高圧貯留器にあるガス以下の圧力にある。 高圧側弁が開かれ、低圧側弁が閉じられる。 高圧ガスが、高圧側弁の流室に、高圧側弁の外側ポートを通じて入ってくる。 高圧側弁が開かれ、そのため弁体は座部と接触しておらず、外側ポートとゲートポートとの両方が開かれている。 高圧貯蔵からのガスが、入口弁を通ってシリンダ内に流れる。

    この初期状態において、低圧側弁は閉じた位置にある。 つまり、ゲートポートは、座部と接触している弁体によって塞がれる。 本明細書では、弁棒に接続された弁体の側は弁体の「内側」と呼ばれ、弁体の反対側は弁体の「外側」と呼ばれる。 高圧側弁又は低圧側弁が閉じられたとき、弁の流室の内側の流体は、弁体の内側に液圧力を与え、シリンダ室の流体内容物は弁体の外側に液圧力を与える。 したがって、力は、流体によって、弁体の両方の側において弁体に与えられる。 また、力は、作動機構を通じて、弁棒によっても弁体に与えられる。 弁棒と閉じた低圧側弁の流室内の流体とが、シリンダ室内の流体よりも全体でより大きな力を弁体に与える場合、弁体は座部と接触したままであり、ゲートポートは閉じられたままである。 弁棒と低圧側弁の流室内の流体とが、シリンダ室内の流体よりも併せてより小さな力を弁体に与える場合、弁体は遠位側方向(つまり、座部から離れる向き)に移動し、ゲートポートは開く。

    前述の初期状態において、シリンダ室は高圧ガスで満ちている。 低圧側弁の外側ポートは、配管を通じて、例えば大気又は別のシリンダの内容物といった、より低い圧力のガスの実体と連通する。 流室内の流体によって与えられる力は、シリンダ室内の流体からの弁体への全体の力、及び、作動機構によって与えられる任意の弁棒の力よりも小さい。 そのため、ゲートポートは弁体によって塞がれたまま、つまり、低圧側弁は閉じたままである。 この状態、又は、シリンダ室の内容物が流室の内容物が与えるよりも大きな力を弁体に与える他の任意の状態において、弁が閉じたままであるためには、低圧側弁の作動機構によって、力が供給される必要はない。 そのため、低圧側弁は閉止できない可能性がある。

    後に続く運転状態において、シリンダ室内の流体のガス状部分は、高圧貯蔵の圧力未満の圧力(例えば、おおよそ300psi)に膨張している。 高圧側弁がこの運転状態で閉止できないこと、つまり、高圧側弁が閉じたままであるためには、力が高圧側弁の作動機構によって供給される必要がないことは、空気圧機械及び液圧機械の技術に適度に精通している者には明らかである。 この運転状態では、低圧側弁の作動機構によって低圧側弁の弁棒に加えられる十分な力が、低圧側弁を開けることになり、シリンダ室内の流体を、低圧側弁を通して排出させることができる。

    実施形態の他の運転モードでは、明確に記載されていないが、ガスは、低圧側弁を通じて吸い込まれ、シリンダ室内で圧縮され、高圧側弁を通じて高圧貯蔵に押し出され得る。 圧縮モードでは、弁は、逆止弁モードで作動でき、外部からの作動力は必要とされない。

    ここで、弁が閉じているとき、弁体の周囲(円形である必要はない)が同様の形及び大きさの開口(つまり、ゲートポート)の周囲とすべての位置において接触する、理想的な弁を参照する。 この場合、弁を通じた流れは不可能である。 弁が開けられているとき、流体が流れることができる開口の面積は、典型的には、弁体の面積A より若干小さいがおおよそ等しい、ゲートポートの面積A GPである。 流れがゲートポートのいずれの側においても障害物に遭遇しない場合におけるゲートポートの前後での所与の圧力差に対して、面積A GPの開いたゲートポートを通じて生じる流体の流れの流量は、F max,p (所与の差圧に対する最大流れ)である。 ゲートポートの近くに弁体が存在することは、流体の流れが利用可能な有効面積を低減する傾向がある。 ゲートポートの平面に対して弁体が垂直に変位する(つまり、典型的なポペット式の弁体の移動)と仮定すると、弁を通る流体の流れが利用可能な面積は、弁体の周囲をゲートポートの周囲と繋ぐ仮想面の面積である。 本明細書では、この利用可能な面積は、この仮想面が弁体の周囲からゲートポートの周囲に降ろされたカーテンに類推的に似ていたことから、「開口面積(curtain area)」A curtainと呼ばれる。 例えば、ゲートポートから距離hで垂直に変位される半径Rの円形の弁体に関しては、初等幾何学により、A GP =πR 及びA curtain =2πRhである。 h<R/2に関しては、A curtain <A GPを得る。 つまり、弁体が、自身の半径の半分未満でゲートポートの近くにあるとき、弁を通る流れの利用可能なA curtainは、ゲートポートの面積A GPより小さい。 h=R/2では、A curtain =A GPを得られ、h>R/2に関しては、A curtain >A GPを得る。

    弁を通る流量は、任意の有限距離に弁体が存在するとされる場合、弁を通る所与の圧力降下のために、弁体が存在しない場合よりも少なくなる傾向があることは、流体力学の技術に適度に精通している者には明らかである。 同様に、弁を通る所与の流量は、ある有限距離に弁体が存在するとされる場合、同じ流量が弁体が存在しない場合において伴うであろう圧力降下よりも大きな圧力降下(すなわちエネルギー損失)を伴う傾向がある。 要するに、弁体は、座部からどれだけ離れていたとしても、ゲートポートを通る流れをある程度において邪魔する傾向がある。

    弁の前後における所与の圧力降下に関して、弁を通る流れは、弁体の変位hの関数F(h)である。 特に、h=0のとき(つまり、弁が閉じているとき)、F(h)=0であり、h→∞となるにつれてF(h)→F max,pとなる。 つまり、F(h)は、弁体が座部からより大きな距離まで移動されるにつれて、その可能な最大値F max,pに漸近的に近づいていく。 したがって、h≧R/2で、利用可能な流れ面積A curtainがゲートポートの面積A GP以上である場合でも、所与の圧力降下に対する流れF(h)は、理論的な最大流れF max,pよりも小さくなる。

    しかしながら、hの増加による流れでの潜在的な利得のほとんど(例えば、おおよそ90%)は、弁体をh=R/2に変位することによって、つまり、開口面積A curtainをゲートポートの面積A GPと等しくすることによって、実現される。 そのため、ポペット式の弁は、典型的には、それらが「十分に開いた」とき、つまり、開いていく弁の行程が弁体をゲートポートから距離h=R/2まで移動したとき、又は、同程度の距離まで移動したとき、全開していると見なされる。 ポペット弁は、典型的には、最終的な全開位置として弁体をおおよそh=R/2まで、又は、同程度の変位まで移動するように設計されている。 本明細書では、hがR/2又は同程度の値と等しいとき、所与の差圧に対して弁を通る流れを、十分に開いた流れF SO,pと呼ぶ。

    弁は、弁体が座部と接触しているときに閉じられており、したがって、弁の開口は100%塞がれている。 十分に閉じたとは、所与の差圧に対する流れが、例えば、十分に開いた流れF SO,pの1%未満である状態として定義できる。

    R/2におおよそ等しい十分に開いた変位h SOの値は、本明細書では典型的として説明されているが、h SOの他の値も想定されている。 h SOの現実的な値は、典型的には、R/2と同程度のものである。

    弁体及び弁棒は、弁を開ける又は閉じるために移動されるとき、先ず停止から加速され、次に、行程の終端において、それらが再び停止されるまで減速される。 減速は急激に生じることがあり、例えば急激な減速は、弁が閉じる間に、弁体がその最大の閉じる速度で座部に衝突するのが可能とされる場合に、事前の減速なしで生じる。 しかしながら、減速のない衝突は、座部、弁体、弁、並びにおそらくは他の弁及びシステムの構成部品への、短時間の大きな力の作用を伴うことになる。 これらの急激で強い力は、構成部品の摩耗、騒音、弁体の跳ね返り、及び、他の望ましくない効果を引き起こす可能性がある。 弁が開いている間の弁体の急激な減速は、(弁体が開いている間は座部から離れるように移動するため)弁体と座部との衝突を伴わないが、典型的には、弁機構のいずれかの場所で同様の衝突力を伴うことになる。

    そのため、開ける間と閉じる間の両方において、弁行程の終端の前に弁棒及び弁体を減速するための構成を提供することが典型的である。 このような予備減速は、衝突による減速を受け止めるより、弁構成部品への長時間のより小さな力の作用を伴うことになる。 しかしながら、このような予備減速は、開ける又は閉じる行程の間に弁の平均速度を低下させることによって、弁の作動を遅くさせ、長引く部分的に開いた弁状態の間に、絞り損失を増加させる。

    本発明の実施形態では、先行技術に従って構成された弁と比較して弁の作動時間を短くしつつ、予備減速の主要な利点(つまり、衝突力の回避又は緩和)を維持する手法で、低圧側弁及び高圧側弁の両方を素早く開く及び閉じることが行われる。 本発明の実施形態は、開く間であるか閉じる間であるかに拘わらず、減速の間に、弁体及び弁棒、並びにおそらくは他の構成部品から伝達されるエネルギーの一部を貯蔵することと、貯蔵されたエネルギーの一部を、加速の間に、弁体及び他の移動部品に戻すこととを行うことも含む。

    本発明の実施形態は、典型的には、圧縮ガスを利用するエネルギー貯蔵生成システムで利用される。 圧縮ガスエネルギー貯蔵システムでは、ガスは高圧(例えば、おおよそ3,000psi)で貯蔵される。 このガスは、シリンダ内に摺動可能に配置されたピストンによって(又は、他の境界機構によって)分割された、第1の区画(又は「室」)と第2の区画とを有するシリンダ内に膨張され得る。 シャフトは、ピストンに連結され、シリンダの第1の区画及び/又は第2の区画を通ってシリンダのエンドキャップを越えて延在してもよく、また、'678号及び'842号特許に記載されるように、伝達機構が、シャフトの往復運動を回転運動に変換するためにシャフトに連結されてもよい。 さらに、モータ/発電機が、伝達機構に連結されてもよい。 代替又は追加で、シリンダのシャフトは、'842号特許に記載されるように、1又は2以上のリニア発電機に連結されてもよい。

    '842号特許に記載されるように、所与の量のガスを所与の時間に膨張させることで作り出される力の範囲は、複数の直列に接続されたシリンダの段の追加を通じて低減され得る。 つまり、高圧貯留器からのガスが第1の高圧のシリンダの一方の室で膨張されるにつれて、第1のシリンダの他方の室からのガスが第2の低圧のシリンダの膨張室に導かれる。 この第2のシリンダの低圧室からのガスは、環境に放出されても、或いは、さらに低圧で作動する第3のシリンダの膨張室に導かれてもよく、第3のシリンダは第4のシリンダに同様に接続されてもよく、以下同様である。

    原理は、具体的な用途に合わせるために、3つ以上のシリンダに拡張されてもよい。 例えば、所与の範囲の貯留器の圧力に対してより狭い出力範囲は、例えば、おおよそ3,000psigとおおよそ300psigまでの間で作動する第1の高圧のシリンダと、例えば、おおよそ300psigとおおよそ30psigまでの間で作動する第2のより大容積の低圧のシリンダとを有することで達成される。 2つの膨張シリンダが使用されるとき、いずれのシリンダ内の圧力範囲(したがって、いずれのシリンダによって作り出される力の範囲)も、例えば、おおよそ100:1〜おおよそ10:1('853号出願に記載されている)といった、単一の膨張シリンダで受ける圧力(又は力)の範囲に対する平方根として縮小される。 さらに、'678号特許に記載されるように、N個の適切にサイズ設定されたシリンダは、元々の作動圧力範囲RをR 1/Nに縮小することができる。 N≧2とされた、この手法で段階的とされたN個のシリンダの任意の群は、本明細書ではシリンダ群と呼ばれる。

    一態様では、本発明の実施形態は、エネルギーを貯蔵するためのガスの圧縮、及び/又は、内部においてエネルギーを回収するためのガスの膨張のためのシリンダ組立体であって、内部区画と、一端部に配置されたエンドキャップとを有するシリンダ組立体を含むエネルギー貯蔵及び回収システムを特徴としている。 エンドキャップ内に一体化されるのは、(i)膨張の前にシリンダ組立体の内部区画に流体を吸い込ませるためであって、且つ、圧縮の後のシリンダ組立体の内部区画から流体を排出するための第1の弁、及び、(ii)膨張の後にシリンダ組立体の内部区画から流体を排出するためであって、且つ、圧縮の前のシリンダ組立体の内部区画に流体を吸い込ませるための第2の弁である。 第1の弁及び第2の弁の各々は、別々の流体経路を介して内部区画との流体連通を制御し、それぞれゲートポートと外側ポートとを備える。 システムは、第1の弁を作動するための第1の作動機構、及び、第2の弁を作動するための第2の作動機構も含み、また、シリンダ組立体の内部区画内の圧力、第1の弁のゲートポートの位置、及び/又は、第2の弁のゲートポートの位置の少なくとも一部に基づいて、第1の作動機構及び第2の作動機構を制御するための制御システムも含む。

    本発明の様々な実施形態は、任意の様々な組合せの以下のものを1又は2以上組み込んでいる。

    (1)第1の弁及び/又は第2の弁の作動機構は、弁体を座部から全開距離h FOに移動するための構成を含む。 (本明細書では、弁体の変位は、弁体の近位側の面から座部の内側周囲までの距離として与えられる。)全開距離h FOは、十分に開いた距離h SOより実質的に大きい。 本明細書では、2つの距離の差h FO −h SOが、開いていく弁の行程の間、弁棒及び弁体をそれらの開く行程の最大速度V MOから許容可能な低さの最終的な開く速度V OV (例えば、ゼロ)まで減速する作動機構に関して十分である場合、h FOはh SOより「実質的に大きい」となる。

    開く行程の間、弁棒及び弁体は、作動機構によって(及び/又は弁体に液圧力を与える加圧された流体によって)、停止から最大の開く速度V MOまで加速される。 弁体及び弁棒は、十分に開いた距離h SOにおいて、又は、h SOに到達する前に、V MOに達することができる。 弁体がh SOに到達するとき又はその後、作動機構は弁体及び弁棒を減速し始める。 弁体が最終的な開いた距離h FOに到達するまでに、作動機構は、弁体及び弁棒を許容可能な最終的な開く速度V OV (例えば、ゼロ)まで減速している。

    (2)弁座部は、衝撃吸収機構に連結された適切な材料(例えば、ポリエーテルエーテルケトン[PEEK])の接触弁輪を備える。 接触弁輪は、弁が閉じられたときに弁体と触れる弁座部の部分である。 衝撃吸収機構は、例えば、接触弁輪の下に取り付けられた環状の波形ばねを備えてもよい。 空気ばね及びポリマーの弾性材料などの他の種類の衝撃吸収機構が、検討されており、本発明の範囲内にある。 衝撃吸収機構は、h=0の初期位置から実質的に押圧された位置h=−h SDまでの弁輪の移動を可能にする。 本明細書では、負の距離は、h=0から近位側への変位を表している。 距離−h SDは、閉じる弁行程の間に、弁棒及び弁体をそれらの閉じる行程の最大速度V MCから許容可能な低さの最終的な閉じる速度V CV (例えば、ゼロ)まで減速する衝撃吸収機構に関して十分である場合、「実質的」である。

    弁の閉じる行程の間、座部及び弁棒は、作動機構により停止から最大の閉じる速度V MCまで加速される。 弁体及び弁棒は、弁体が接触弁輪に到達する(h=0)とき又は到達する前にV MCに達することができ、弁体は、接触弁輪に到達するとき、V MCで移動している。 弁体と弁輪との最初の接触の瞬間から進行して、弁輪に接続された減速機構(例えば、波形ばね)は、弁体の移動に対して抵抗を与え、弁体を減速する。 弁体がその実質的に押圧された変位h SDに到達するときまでに、減速機構は、弁体を許容可能な最終的な閉じる速度V CVまで減速している。 その後、ある実施形態では、減速機構は、弁体及び接触弁輪を中立位置h=0まで戻す。

    (3)開く間であるか閉じる間であるかに拘わらず、減速の間に、弁体及び弁棒から取り除かれた運動エネルギーの一部が貯蔵されること、及びこの貯蔵されたエネルギーの一部が、加速の間に、運動エネルギーの形態で、弁体及び弁棒に付与されることが行われる。 本明細書では、このような構成は、「再生弁構成」と呼ばれる。 例えば、エネルギーは、流体の圧力ポテンシャルエネルギーとして貯蔵できる。

    本発明の様々な実施形態は、シリンダのヘッドに一体化され得る1又は2以上の弁(例えば、ポペット式弁)を採用する。 これらの弁は、素早い弁作用、高い流量係数(つまり、大きな流量に対して弁の通過による圧力降下が小さい)、及び他の利点をもたらし、それらの一部は後で説明する。 弁作用の効率を上げることで、本発明の実施形態は、エネルギー変換システムの全体の効率を向上させる。

    シリンダのヘッド間のうちの一方を通過する液圧で作動される2ポート式のポペット弁を組み込む様々な実施形態において、各々のポペット弁の液圧作動機構は、液圧シリンダを含む。 作動シリンダ内のピストンは、作動シリンダの内部を2つの管状の液体で満たされた室に分割する。 各々の管状室は、一端においてピストンの近位側の面によって境界が設けられ、他端においてエンドキャップによって境界が設けられる。 弁棒は、ピストンに取り付けられ、作動シリンダの近位側のエンドキャップを通過する。 弁棒は、変更されたシリンダ組立体に入る、及び/又は、そのシリンダ組立体から出る流体の流れに対して開閉するポペット弁の遠位側のエンドキャップを通り抜ける第2の弁棒と整列され、その第2の弁棒に取り付けられる。 第2の弁棒はポペット弁の弁体に取り付けられる。 作動シリンダのピストンと弁棒とは、ポペット弁の弁体及び弁棒と調和して移動する。 液圧作動シリンダの2つの室は、本明細書では、近位室(変更されたシリンダ組立体により近い室)、及び、遠位室(変更されたシリンダ組立体からより離れた室)と指定される。

    作動シリンダの遠位室における流体圧力が作動シリンダの近位室における流体圧力を超えるとき、作動シリンダのピストン及び弁棒、したがって、それらと調和して移動するポペット弁のピストン及び弁棒は、シリンダ組立体に向かって加速する傾向がある。 作動シリンダの近位室における流体圧力が作動シリンダの遠位室における流体圧力を超えるとき、作動シリンダのピストン及び弁棒、したがって、ポペット弁のピストン及び弁棒は、シリンダ組立体から離れるように加速する傾向がある。 本明細書では、用語「加速」及び「減速」は、置き換え可能に採用されている。 典型的には、「減速」は、物体の速度が大きさにおいて減少するような加速を表している。

    作動シリンダのピストンは、その移動範囲の近位側の限界又はその限界の近くにあるとき、ポペット弁体は着座される(つまり、ポペット弁が閉じられ、流体が、ポペット弁を通って、変更されたシリンダ組立体に入らない又は変更されたシリンダ組立体から出ない)。 作動シリンダのピストンは、その移動範囲の遠位側の限界又はその限界の近くにあるとき、ポペット弁が全開して、流体が変更されたシリンダ組立体に入る又は変更されたシリンダ組立体から出る一方で、最小の圧力降下を受けるように、ポペット弁体は座部からある距離にある。 作動シリンダのピストンは、その移動の近位側の限界又は遠位側の限界のいずれでもない任意の中間位置にあるとき、作動シリンダは、概して、開いていく過渡状態又は閉じていく過渡状態にある。 特に、作動シリンダのピストンがその移動の近位側の限界の近くにある(近位側の限界にはない)とき、ポペット弁は、部分的に開いているだけである。 つまり、ポペット弁の弁体は座部の比較的近くにあり、このポペット弁に関しては、流体は、弁体と座部との間の比較的制限された開口だけを通じて、変更されたシリンダ組立体に入る、又は変更されたシリンダ組立体から出る。 そのような開口を通る流体の流れは、乱流損失及び絞り損失(つまり、有用なエネルギーの損失)を伴う。 このようにして伴われる損失は、本明細書では、「弁体近接損失」と呼ばれる。 弁体近接損失が無視できない弁の開く期間又は弁の閉じる期間は、本明細書では、「弁体近接期間」と呼ばれ、弁体近接損失が無視できない弁の近位位置から遠位位置の範囲は、本明細書では、「弁体近接領域」と呼ばれる。 弁体近接領域の長さは、本明細書では、D proxと呼ばれる。 一般的に、全体のエネルギー貯蔵システム効率を最大にするためには、ポペット弁が開閉する間、弁体近接期間は最小とされる。

    弁体近接損失を最小にするために、ポペット弁の弁体は、(ポペット弁が閉じられるとき)その全開位置から座部との接触まで、できるだけ素早く移動され、且つ、(ポペット弁が開かれるとき)座部からその全開位置まで離れるように、できるだけ素早く移動される。 弁を閉める間に弁体近接損失を最小にするための一手法は、作動シリンダのピストン、したがってポペット弁の弁体を、近位側方向においてある比較的速い速度まで加速することである。 加速は、ポペットの弁体が弁体近接領域に到達する(つまり、座部のD prox内に入る)前に、ほとんど又は完全に生じている。 したがって、ポペット弁の弁体は、弁座と接触されるまで、高速で弁体近接領域全体を移動する。 代替で、作動シリンダのピストン、したがってポペット弁の弁体は、弁体が座部に当たるまでずっと、近位側方向において加速されてもよい。 しかしながら、一般的に、衝突の瞬間に弁体がなおも加速している、していないかに拘わらず、弁体と座部との間の高速の衝突は、衝撃波及び構成部品の摩耗を引き起こすと共に、より軽量であってより頑丈でない構成部品よりも、任意の所与の加速がされるためにはより大きな力を受けることになるより重量のあるより頑丈な構成部品(例えば、弁棒)を必要とするため、不利である。 一般的に、弁体の座部への衝突速度が低いことが望ましい。

    前述の検討に鑑みて、ポペット弁が閉じる間、先ず、(a)作動シリンダのピストン、したがってポペット弁の弁体の高速の移動を作り出し、次に、(b)弁体が座部に近づくにつれて、弁体の座部への衝突速度が許容可能な低さとなるように、これらの構成部品を素早く減速することが有利である。 一般的に、最小の弁体近接損失を伴う最短の弁体近接期間は、(a)可能な最大の速度V maxが、弁体が弁体近接領域に入る前に、作動シリンダピストン及びポペット弁体にもたらされる場合、及び(b)作動シリンダピストン及びポペット弁体が、弁体の座部への衝突の前に、V maxで始まってある許容可能な低さの弁体の座部への衝突速度V endで終わる、可能な最大の加速で減速される場合に、ポペット弁が閉じる間に達成されることになる。 本明細書では、速度のベクトル及び加速のベクトルは、それらのスカラーの大きさによって、文脈又は明白な記述によって明確にされた作用の方向で参照される。

    先に記載したように、作動シリンダピストンは、ピストンの近位側の面に作用する液圧力がピストンの遠位側の面に作用する液圧力より大きいとき、例えば、ポペット弁の閉まる間に速度が落ちる(減速する)といったように、遠位側方向に加速する傾向がある。 (例えば、電磁力、又は、何らかの機構によって作動シリンダピストンの弁棒に加えられる機械的な力といった、作動シリンダピストンに作用する遠位側に向けられた任意の他の力も、作動シリンダピストンを遠位側方向に加速する傾向がある。)そのため、作動シリンダピストンの減速の間、一般的に、作動シリンダの近位室内で可能な最大圧力を作り出すように望まれる。 ピストンの減速の間に作動シリンダの近位室内で可能な最大圧力は、一般的に、作動シリンダの定格液圧力P maxによって決定される。

    電磁力又は他の力が、作動シリンダ内の液圧力に加えてピストンに作用しない様々な実施形態では、ポペット弁が閉じる間の作動シリンダピストンの最短期間での減速が、次のように理想的に生じる。 (1)ポペット弁体を含む、調和して一緒に移動する作動シリンダピストン、及びすべてのシステム構成部品は、ある近位方向最大速度V maxまで加速される。 V maxは、ポペット弁の弁体が弁体近接領域の開始に到達する時間までに、達成される。 つまり、弁体は、弁体が座部から距離D proxになる時間まで、V maxで移動している。 (2)弁体と他の構成部品とが、V maxで移動して距離D proxに到達するとき、作動シリンダの遠位室での流体圧力は、ゼロ又はいくらかの負の値まで急激に低下し、近位室の圧力は、ゼロ又はいくらかの負の値からP maxまで急上昇する。 近位室における圧力は、流体が近位室から吐き出されるので、減速の間はP maxで一定のままである。 したがって、遠位方向への正味の液圧力F decelが、作動シリンダピストン、及び調和して一緒に移動する構成部品とに作用する。 作動シリンダピストンが、距離D proxを通過して移動するにつれて、一定の力F decelは、作動シリンダピストンを許容可能な弁体の座部への衝突速度V endまで減速する。 この減速は、一定の加速度Aで起こる。 ニュートンの第二法則によって、F decel =M Aであり、ここで、M は、作動シリンダピストン及び調和して一緒に移動するすべての構成部品の全質量である。 (3)弁体の座部への衝突の間、作動シリンダピストンに作用するすべての液圧力は、ゼロ又は極僅かであり、衝突力は、作動シリンダピストンを含む、調和して一緒に移動する弁体、及び構成部品の停止への減速を支配する。 弁体及び他の構成部品のいくらかの跳ね返る動作が、衝突の後に起こる可能性があり、このような動作は、摩擦によって、並びに、液圧及び/又は他の仕組みによって、抑えることができる。

    最短の時間間隔に対する最大の減速は、一般的に、ポペット弁を閉じる間の弁体近接損失を最小にすることとなるが、これは、損失が発生する時間間隔が最小とされるためである。 最大の減速は、ポペット弁の減速が作動シリンダの近位室内の流体によって作動ピストンに与えられる力に主に起因する実施形態では、最大の許容可能圧力P maxが減速を通じて作動シリンダの近位室において維持される場合、及び、そのような場合のみ、発生することになる。 しかし、一般的に、ピストン(ピストンの有効な質量は、調和して一緒に移動するすべての構成部品の質量と等しくなる)の減速が、近位室から、固定された流れ抵抗(例えば、固定された外部配管及び他の構成部品に連結された1又は2以上の固定オリフィス)を有する経路を介して、流体を吐き出させることによって、作動シリンダの近位室に一定の圧力P maxが作り出されることはない。 むしろ、近位室の圧力P(t)は、ピストンが減速するにつれて、低下することになる。 ここで、P(t)という表記は、圧力Pが時間の関数であることを表している。

    作動シリンダの近位室において、ピストンの初期速度V maxから最終速度V endまでの減速を通じて、一定又はおおよそ一定の圧力P maxを作り出すために、減速するピストンによって室から吐き出される流体は、時間変化する(変調される)流れ抵抗R flow (t)を有する通路を通るように案内される。 このような変調は、作動シリンダの近位室で一定又はおおよそ一定の圧力P max (又は他の任意の特定の時間に依存した圧力プロファイル)を作り出すために、明確に時間が計られて制御される。 流れ抵抗R flow (t)の変化は、いくつかの手段によって作り出すことができる。 例えば、作動シリンダの外部にある流れ経路における弁を通じた圧力降下は、減速の間に、弁の内径を狭める又は拡げることによって、能動的に変調できる。

    本発明のある実施形態では、近位室を脱出する流体が通過するオリフィスが、近位室におけるおおよそ一定の圧力P max (又は何らかの所望の時間に依存した圧力プロファイル)を作り出すために、ピストンの減速の間に変調される。 減速の間のオリフィス変調は、シャッター、拡張する絞り(iris)、又は、弁組立体内の他の仕組みによって実現できる。 弁が閉まる間のオリフィス変調は、作動シリンダピストン自体が、減速するにつれて、1又は2以上のオリフィスに漸次的に膜を降ろすような手法、又は、1又は2以上のオリフィスを漸次的に塞ぐように、1又は2以上のオリフィスを近位室の側壁に成形及び配置することによって、最も簡単に実現できる。 このような漸次的に塞ぐことは、減速の間に近位室を脱出する流体が受ける流れ抵抗を変調することになる。 本明細書では、移動するピストンによって漸次的に塞がれるように成形及び配置されたオリフィスは、「固定オリフィス」(例えば、作動シリンダのエンドキャップにある)とは区別して「閉塞可能オリフィス」と呼ばれ、その開口面積は、ピストンの移動の間に変化しない。 閉塞可能オリフィスは、所与のシリンダ組立体において固定オリフィスと組み合わされてもよい。 閉塞可能オリフィス及び固定オリフィスの適切な大きさ、形状、及び配置は、ピストンの減速を通じて近位室から押し出される流体が受ける流れ抵抗を調節するために用いられてもよく、したがって、ピストンの減速を通じて近位室内の圧力P(t)を調節するために用いられてもよい。 所与の組立体の材料の限界内で、近位室内の圧力P(t)を調節することは、任意である(つまり、任意所望の機能的な形状を取ることができる)。 1つの可能な調節は、すでに説明したように、減速を通じて近位室内を一定の圧力P(t)=P maxに向けて構成することである。

    作動シリンダ内の複数の閉塞可能オリフィスの正確な形状及び構成、並びに、それらの1又は2以上の固定オリフィスとの可能な組合せは、減速を通じて作動シリンダの近位室内で任意のP(t)を作り出し、それによって減速時間及び弁体近接損失を最小とするために、一般的に、一意的ではない(つまり、オリフィスを1つより多く構成することで任意特定のP(t)を作り出せる)。 オリフィスの数、大きさ、配置、及び形状とP(t)との間の関係は、実際には、複雑で不明瞭な手法で、シリンダの形状、液圧流体の特性、及び他の要因に依存している。 近位室、遠位室、又はそれら両方の内部の圧力を調節又は調整するための、オリフィスのすべてのこのような形状及び構成、並びに、弁を閉じる間に流れ抵抗を変調する他の方法(例えば、外部の流れ抵抗の変調)と、このようなオリフィスの形状及び構成とのすべての組合せが、検討されており、本発明の範囲内にある。

    液圧のピストン及び弁に精通するものには明白であるように、ポペット弁を閉じる間の作動シリンダピストンの調節された行程の減速を作り出すための上記の方法及び技術は、作動シリンダピストン、又は、ピストンが行程の終端までに減速される任意の他の液圧シリンダの開く工程の間に減速を調節することに適用されてもよい。 行程の減速を調節するための前述の方法及び技術の開く行程への適用は、本明細書においてさらに詳述される。

    様々な実施形態において、ピストンの減速の間に作動シリンダの近位室で一定のP(t)を作り出すことは、実際的ではない、又は、必要ない可能性がある。 むしろ、減速の間のP(t)のピーク値を何らかの許容可能な最大値P maxに限定しつつ、近位室からの流体流出と減速するピストンの速度との間の関係を調節するための適切な形状の閉塞可能オリフィス、又は他の仕組みが存在しない場合に、(P maxを超えることなく)可能とされるよりも素早くピストンを減速することで十分であり得る。 つまり、前述の方法及び技術によりP(t)の曲線を平坦化又は平滑化することは、一般的に、ピストンの理想的な減速(減速の間の一定のP max )が実現されない場合でも、有利となる。

    本発明の様々な実施形態は、すでに先に記載したように、シリンダのヘッドに一体化させることができ、典型的には、(i)開けるために差圧を用い、(ii)開いた状態を保持するために電磁力を用い、(iii)差圧閉する、1又は2以上の弁を採用する。 各々の弁は、そのシール部材(本明細書では、その「弁部材」とも呼ばれる)に、開ける間、開いた状態を保持する間、閉じる間、又は、閉じているのを保持する間の任意の時間に、電磁力を与えることができ、このように与えられた力は、閉める方向又は開ける方向のいずれかに作用でき、その大きさは、時間変化する電流、又は、1若しくは2以上の電磁石を作動させる電流によって動的に制御できる。 このような弁は、本明細書では、「電磁弁」又は単に「弁」(文脈がこのような使用を一義的とする場合)と呼ばれ、素早い弁作用、少ない弁作動エネルギー、高い流れ係数(つまり、大きな流量に対して弁の通過による圧力降下が小さい)、弁作動出力の不具合による加圧された流体の損失に対する保護、時間の関数としての弁作動力に対する精密な制御、及び、他の利点を提供し、これらのうちの一部は後で説明する。 弁作用の効率を上げることで、本発明の実施形態は、エネルギー変換システムの全体の効率を向上させる。 本発明の実施形態から生じる他の利点は説明されていないが、検討されており、本発明の範囲内にある。

    2つのポート、単一の円板形状の弁部材、及び単一の座部を有する電磁弁が本明細書で説明されているが、多数のポート、複数の弁部材、及び座部を有し、環状、板状、及び他の幾何学的形状の一般的な形態の弁部材及び座部も有する、又は、そのような形態の弁部材及び座部を代替で有する電磁弁が、すべて検討されており、本発明の範囲内にある。 所与の電磁弁におけるポートの数、並びに弁部材及び弁輪の形状及び数は、所与のシリンダ組立体に採用された弁の数と共に、本発明の範囲から逸脱することなくすべて変更できる。

    本発明のある実施形態では、各々の電磁弁では、2つのポート(開口)は、流室の内部と弁の外部との間の連通を可能にする。 一方のポートは、典型的には常に開いていて管に接続でき、このポートは本明細書では「外側ポート」と呼ばれる。 他方のポートは、シリンダの内部と連通していて弁部材によって開閉され、このポートは本明細書では「ゲートポート」と呼ばれる。

    本発明のある実施形態では、電磁石を含む電磁作動機構が、(例えば、その巻線における電流の向きに依存して)弁部材の永久磁石に引力又は斥力のいずれかを与え得る。 弁部材の移動は、機械的な案内部(例えば、流室の壁)によって、作動機構に向かう方向又は作動機構から離れる方向のいずれかとなるように制限され得る。 弁が閉じているとき、弁部材の周囲の縁又は表面は、概して、座部、つまりゲートポートを包囲するテーパー状の面又はフランジと接触している。 弁部材及び座部は、好ましくは、弁部材が座部と接触しているとき、ゲートポートが完全に塞がれるような相補的な手法で形成される。 弁が開いているとき、弁部材は座部と接触しておらず、流体は、弁部材と座部との間の隙間と、ゲートポートとを通って流れることができる。

    本発明の様々な実施形態において、弁は、少なくとも2つの種類のものである。 ある種類の弁では、弁体が流室の内側にある。 永久磁石は、弁部材に取り付けられ得る、弁部材の内部にあり得る、又は弁部材の一部であり得る。 作動機構によって作り出される磁界は、永久磁石に引力又は斥力を与え、弁を開ける又は閉じる傾向がある。 弁が開いているとき、弁部材は座部と接触しておらず、流体を、流室とシリンダ室との間で、ゲートポートを通じて流すことができる。 弁が開いているとき、作動機構の磁石の向かい合う極間と弁部材との間の距離は、減少する又は最小になる。 弁が閉じているとき、流室は座部と接触している。 弁部材及び座部は、好ましくは、弁部材が座部と接触しているとき、ゲートポートが完全に塞がれるような相補的な手法で形成される。 この種類の弁は、本明細書では「高圧側弁」と呼ばれる。

    本発明の様々な実施形態による弁の別の種類では、弁部材は流室の外側にあり、弁棒が、弁部材から流室を通って作動機構まで延在し得る。 永久磁石は、弁棒の取り付けられ得る、弁棒の内部にあり得る、又は弁棒の一部であり得る。 作動機構によって作り出される磁界は、永久磁石に引力又は斥力を与え、弁を開ける又は閉じる傾向がある。 弁部材及び座部は、好ましくは、弁部材が座部と接触しているとき、ゲートポートが完全に塞がれるような相補的な手法で形成される。 弁が開いているとき、弁部材は座部と接触しておらず、流体を、流室とシリンダ室との間で、ゲートポートを通じて流すことができる。 弁が開いているとき、弁部材は、座部の近くにある、又は座部と接触しており、作動機構の磁石の向かい合う極間と弁部材との間の距離は、減少する又は最小になる。 この種類の弁は、本明細書では「低圧側弁」と呼ばれる。

    本発明の様々な実施形態において、作動機構の構成部品(例えば、磁界を作り出すことができる導線)が座部を包囲する弁の本体内に埋め込まれてもよく、ばねが、ある運転状態において弁部材がばねと接触するように、弁部材に取り付けられる、又は配置されてもよく、液圧又は他の種類の機構が、弁部材に与えられ得る任意の電磁力に加えて、様々な運転状態において弁部材に力を与えてもよく、弁部材が永久磁石ではなく電磁石を含んでもよく、作動機構が電磁石ではなく永久磁石を含んでもよく、1つの電磁石及び1つの永久磁石ではなく、2つ以上の電磁石が採用されてもよく、低圧側弁の弁部材が弁棒に接続されなくてもよく、高圧側弁の弁部材が弁棒に接続されてもよく、また、弁構造の他の要素が、本明細書において明確に記載されているものから、本発明の範囲から逸脱することなく、異なってもよい。

    シリンダが膨張機として作動されるとき、貯留器に高圧(例えば、おおよそ3,000psi)で貯蔵されたガスは、配管及び高圧側弁を通してシリンダ組立体に吸い込まれる。 初期状態において、シリンダ室内の流体ガス又はガス−液体の混合物は、高圧貯留器にあるガス以下の圧力にある。 高圧側弁が開かれ、低圧側弁が閉じられる。 高圧ガスが、高圧側弁の流室に、高圧側弁の外側ポートを通じて入ってくる。 高圧側弁が開かれ、そのため弁部材は座部と接触しておらず、外側ポートとゲートポートとの両方が開かれている。 高圧貯蔵からのガスが、入口弁を通ってシリンダ内に流れる。

    この初期状態において、低圧側弁は閉じた位置にある。 つまり、ゲートポートは、座部と接触している弁部材によって塞がれる。 本明細書では、弁棒に接続された弁部材の側は弁部材の「内側」と呼ばれ、弁部材の反対側は弁部材の「外側」と呼ばれる。 高圧側弁又は低圧側弁が閉じているとき、弁の流室内の流体は、弁部材の内側に液圧力を与え、シリンダ室の流体内容物は、弁部材の外側に液圧力を与える。 したがって、力は、弁部材の両側において、流体によって弁部材に与えられる。 力は、作動機構を通じて、弁棒によっても弁部材に与えられ得る。 弁棒と閉じた低圧側弁の流室内の流体とが、シリンダ室内の流体よりも全体でより大きな力を弁部材に与える場合、弁部材は座部と接触したままであり、ゲートポートは閉じられたままである。 弁棒と低圧側弁の流室内の流体とが、シリンダ室内の流体よりも併せてより小さな力を弁部材に与える場合、弁部材は遠位側方向に(つまり、座部から離れる方に)移動し、ゲートポートは開く。

    前述の初期状態において、シリンダ室は高圧(例えば、3,000psi)のガスで満ちている。 低圧側弁の外側ポートは、配管を通じて、例えば大気又は別のシリンダの内容物といった、より低い圧力のガスの実体と連通する。 流室内の流体によって与えられる力は、シリンダ室内の流体からの弁部材への全体の力、及び、作動機構によって弁部材に与えられる任意の力よりも小さい。 そのため、ゲートポートは弁部材によって塞がれたまま、つまり、低圧側弁は閉じたままである。 この状態、又は、シリンダ室の内容物が流室の内容物が与えるよりも大きな力を弁部材に与える他の任意の状態において、弁が閉じたままであるためには、低圧側弁の作動機構によって、閉じる力が供給される必要はない。 そのため、低圧側弁は閉止又は「差圧閉」できない可能性がある。 低圧側弁は、作動されて閉じてもよく、又は、閉じているとき、閉じる付勢(実質的に一定の閉じる力)がもたらされてもよい。 同様に、流室の内容物がシリンダ室の内容物が与えるよりも大きな力を弁部材に与える他の任意の状態において、弁が閉じたままであるためには、高圧側弁の作動機構によって、閉じる力が供給される必要はない。 そのため、低圧側弁と同様に、高圧側弁は閉止又は「差圧閉」できない可能性がある。 高圧側弁は、作動されて閉じてもよく、又は、閉じているとき、閉じる付勢がもたらされてもよい。

    後に続く運転状態において、シリンダ室内の流体のガス状部分は、高圧貯蔵の圧力未満の圧力(例えば、約300psi)に膨張している。 高圧側弁がこの運転状態で閉止できないこと、つまり、高圧側弁が閉じたままであるために、力が高圧側弁の作動機構によって供給される必要がないことは、空気圧機械及び液圧機械の技術に適度に精通している者には明らかである。 この運転状態では、低圧側弁の作動機構によって低圧側弁の弁部材に加えられる十分な力が、低圧側弁を開け、シリンダ室内の流体を、低圧側弁を通して排出させることができる。

    実施形態の他の運転モードでは、明確に記載されていないが、ガスは、低圧側弁を通じて吸い込まれ、シリンダ室内で圧縮され、高圧側弁を通じて高圧貯蔵に押し出され得る。 圧縮モードでは、弁は、逆止弁モードで作動でき、外部からの作動力は必要とされない。

    追加の高圧ガスをシリンダの外部の供給源から吸い込ませる前にシリンダ室内に残っているあらゆる流体を予備圧縮することによって、圧縮ガスエネルギー貯蔵システムの膨張段階の間に、結合損失を低減しシステム性能を向上する方法は、2012年10月12日に出願された米国特許出願第13/650,999号('999号出願)に開示されており、その開示は、参照によりその全体において、本明細書により組み込まれている。 本発明の実施形態は、'999号出願に開示された方法と組み合わされ、本発明と'999号出願に開示された方法との両方の利点を実現できる。

    高圧側弁及び低圧側弁を開けるために、差圧(つまり、様々な運転状態における、シリンダ室内の流体と、シリンダ室と高圧側弁及び低圧側弁を通じて連通している入口管及び出口管の内部の流体との間の圧力の差)を用いることは、開いたのを保持する、加速する、又は、このような弁を開ける若しくは閉じることに影響を与えるために電磁力を用いることと併せて、従来のシステムと比較して概して有利である。 2つの磁極の間の電磁力は、引力か斥力かに拘わらず、1/x に比例し、ここで、xは極間の距離(隙間)である。 したがって、磁石(例えば、作動機構の電磁石、及び弁部材の永久磁石)間の距離が、高圧側電磁弁又は低圧側電磁弁のいずれかが開く間に減少する本発明の実施形態では、磁石間の引力を増加すること(つまり、弁部材への電磁的な開ける力を増加すること)を、開く間、電磁石の巻線において一定の電流又は増加する電流を維持することによって得ることができる、又は、一定の開ける力を、巻線における電流を適切に減少することによって得ることができる、又は、開ける力を減少することを、巻線における電流をより素早く減少することによって得ることができる、又は、ゼロ若しくは最小の開ける力を、巻線における電流をゼロ(若しくは、一定の直流値)に設定することによって得ることができる。 磁石間の力は、任意に変化させることができる、又は、巻線における電流の適切な変化によって、閉じる間、方向を逆にすることもできる。

    弁部材の開く動作が、流室及びシリンダ室の差圧から生じる力によって支援される運転状態では、所与の開ける速度を達成するために作動機構によって消費されなくてはならないエネルギーが最小であり、弁は、巻線における電流がゼロの場合(つまり、ゼロのエネルギーが作動機構によって消費される場合)であっても、開く傾向にある。 しかしながら、ゼロでない開ける力は、弁が開くのを加速でき、流室とシリンダ室との間の流れの開始を有利に早くできる。 さらに、作動機構の巻線における電流を適切に時間変化させることによって、弁部材の速度は、弁が開いていく間を通じて正確に制御でき、さらなる利点を実現する可能性がある。 例えば、開弁過程の終わり(つまり、2つの極の間の隙間が比較的小さくなるとき)において、電磁石の巻線における電流を逆転することは、弁部材が作動機構に接近するにつれて弁部材を減速でき、衝突力を低減し、電磁弁の寿命を引き延ばせる。

    弁部材を全開位置に保ち、それによって、流体が弁を通過して流れている間に流室が妨害されるのを最小にすることを確実にするためには、開いた弁の弁部材に保持力を与えることが、典型的には望ましい。 所与の巻線電流に対する磁極間の力が1/x に比例し、有効なxが、磁石が互いから最短の距離にある(例えば、接触している)ときに最小であるため、保持力を、最小の巻線電流、したがって最小のエネルギーを用いて、開いた弁の弁部材に与えることができる。 ある実施形態では、作動機構の強磁性コアと弁部材の永久磁石との間の磁気引力が、ゼロの電流が作動機構の巻線を通って流れる場合でも、開いたまま保持する十分な力を提供してもよい。 弁は、差圧によって完全に開けられ、そして、電磁力によって開いたまま保持されてもよい。 弁は、弁部材に作用する差圧と電磁力との組合せによって、又は、電磁力だけによって開けられてもよく、そして、一度開くと、電磁力によって開いたままとされてもよい。

    利点は、電磁弁の開く間及び開いたのを保持する間だけでなく、前述のように、閉じる間にも、本発明の実施形態によって実現できる。 例えば、全開の弁を閉じることの開始において、電磁石と永久磁石の極間の距離xは最小であり、そのため、2つの磁石の間での比較的大きな斥力は、比較的小さい電流(小さい作動エネルギー)によって作り出すことができる。 この手法では、弁部材の閉じた位置への移動は、比較的小さなエネルギーの消費によって初めに加速できる。 弁を閉じる間に作動機構の巻線を流れる電流の方向は、概して、弁を開ける間に巻線を流れる電流の反対となる。 作動機構の巻線における電流を適切に時間変化させることによって、弁部材の速度を、弁が閉じていく間を通じて正確に制御でき、さらなる利点を実現する可能性がある。 例えば、閉弁過程の終わり(つまり、2つの極の間の隙間が比較的大きくなるとき)において、電磁石の巻線における電流を逆転することは、弁部材が座部に接近するにつれて弁部材を減速でき、衝突力を低減し、電磁弁の寿命を引き延ばせる。 保持力は、作動機構によって、閉じた弁部材に与えることができる。 しかしながら、典型的な運転では、差圧によって弁部材に加えられている力は、電磁的な閉じる保持力の生成を不必要とさせることになる。

    圧縮ガスのポテンシャルエネルギーを機械エネルギー及び電気エネルギーに変換するための前述の手法のすべては、適切に設計される場合、電気エネルギーを圧縮ガスのポテンシャルエネルギーとして貯蔵するために、逆に運転させることができる。 この言葉が正しいことは、電気機械、電力技術、空気圧技術、及び、熱力学の原理に適度に精通している者にとっては明らかであるため、これらの機構を、エネルギーを貯蔵すること及びエネルギーを貯蔵から回収することの両方のために運転することは、各々の実施形態に関連して必ずしも説明されない。 しかしながら、このような運転は、検討されており、本発明の範囲内にあり、過剰に実験しなくても率直に理解できる。

    本明細書で説明するシステム、並びに/又は、泡に基づいた熱交換、液体噴霧の熱交換、及び/若しくは外部ガスとの熱交換を採用する他の実施形態は、2010年1月20日に出願された米国特許第7,958,731号('731号特許)に記載されるように、電気−熱同時発生の目的のために、熱エネルギーを、それらの熱交換機構を介して外部のシステム(図示されていない)に引き出す又は送り出すことができ、この特許は、本明細書において参照によりその全体の開示が組み込まれている。

    本明細書で説明する圧縮空気のエネルギー貯蔵及び回収システムは、好ましくは、「開放空気」システム、つまり、圧縮のために空気を周囲の大気から取り込み、膨張の後に空気を周囲の大気に戻すように放出するシステムであり、密閉された容器に確保されている容積のガスを圧縮及び膨張するシステム(つまり、「密閉空気」システム)ではない。 本明細書で説明するシステムは、概して、ガスの圧縮及び膨張を介して、エネルギーの貯蔵と回収とをするための1又は2以上のシリンダ組立体を特徴としている。 そのシステムは、(i)圧縮の後の圧縮ガスの貯蔵、及び、圧縮ガスの膨張のための圧縮ガスの供給のための貯留器と、(ii)膨張の後の膨張されたガスの大気への放出、及び、圧縮のためのガスの供給のための通気口とを含んでもいる。 貯蔵貯留器は、例えば、1又は2以上の圧力容器(つまり、剛性の外装を有しても、又は膨張可能であってもよく、金属又はプラスチックなどの様々な適切な材料から形成でき、圧力容器についてのASME規則の範囲内にあっても、又はなくてもよい、圧縮ガス用の容器)、1又は2以上の管(つまり、流体管路としても機能できる、及び/又は、流体管路としても評価でき、直径を十分に超える(例えば、100倍を超える)長さを有し、圧力容器についてのASME規則の範囲内にない、圧縮ガス用の剛性の容器)、或いは、1又は2以上の洞窟(cavern)(つまり、典型的には地下に位置された自然発生的な空洞又は人工的に作られた空洞)を含み得る、又は、それらから基本的に構成され得る。 開放空気システムは、典型的には、密閉空気システムに対して、優れたエネルギー密度を提供する。

    さらに、本明細書に記載されたシステムは、例えば、風力エネルギー及び太陽エネルギーといった、再生可能エネルギーの供給源を利用及び回収するために、有利に用いることができる。 例えば、ガスの圧縮の間に貯蔵されるエネルギーは、例えば、風力エネルギー及び太陽エネルギーといった間欠的な再生可能エネルギー供給源に由来でき、エネルギーは、間欠的な再生可能エネルギー供給源が機能しないとき(つまり、利用可能エネルギーを作り出さないとき、又は、名目上の程度よりも低い程度でエネルギーを作り出すとき)、ガスの膨張によって回収できる。 したがって、本明細書で説明するシステムは、このようなシステムによって生成される再生可能エネルギーを貯蔵するために、例えば、ソーラーパネル又は風力タービンに接続できる。

    一態様において、本発明の実施形態は、エネルギー貯蔵システムでのエネルギーの貯蔵、及び/又は、エネルギー貯蔵システムによるエネルギーの回収のための方法において、そのエネルギー貯蔵システムが、(i)ゲートポートを通じてシリンダ組立体に出入りする流体の流れを制御するための弁を有し、弁がゲートポートを塞ぐための弁部材を備えるシリンダ組立体と、(ii)弁を作動するための作動システムとを備え、作動システムが、(a)作動シリンダと、(b)作動シリンダ内に配置され、作動シリンダを第1の室と第2の室とに分割するピストンとを備える方法を特徴とする。 シリンダ組立体内において、ガスがエネルギーを貯蔵するために圧縮される、及び/又は、ガスがエネルギーを回収するために膨張される。 その圧縮及び/又は膨張の前、最中、及び/又は後において、流体を作動シリンダの第1の室に吸い込ませて第1の室内の流体圧力を増加させることによって、弁を閉状態から開状態に作動させ、それによって、ピストンを第2の室に向かって移動させることによって、流体が、少なくとも一部は、シリンダ組立体へ吸い込まれる、及び/又は、シリンダ組立体から排出される。 作動中に、流体が作動シリンダの第2の室から第1の速さで脱出し、ピストンの移動の速度を最大にし、その後、流体が第2の室から第1の速さより遅い第2の速さで脱出し、ピストンが作動シリンダの端面に到達する前に、ピストンを減速させる。

    本発明の実施形態は、任意の様々な組合せの以下のものを1又は2以上含み得る。 流体の流れの第2の速さが、ピストンが作動シリンダの端面に向かって移動するにつれて低下してもよい。 作動中、ピストンが作動シリンダの端面に向かって移動するにつれて、ピストンが第2の室においてオリフィスの少なくとも一部を塞いでもよく、それによって、第2の室からの流体の流れを第1の速さから第2の速さに減速させてもよい。 ピストンが端面(例えば、作動シリンダ内でのピストンの動程(piston's travel)の一方の限界にある)の近傍に配置されるとき、オリフィスがピストンによって完全に塞がれてもよい。 オリフィスの少なくとも一部の側部寸法(lateral dimension)が、作動シリンダの端面からの距離の関数として変化してもよい。 オリフィスの第1の部分の側部寸法が、作動シリンダの端面からの距離の関数として変化しなくてもよく、オリフィスの第2の部分の側部寸法が、作動シリンダの端面からの距離の関数として変化してもよい。 オリフィスの少なくとも一部の側部境界が、関数y(x)=C(V max −2Ax) 1/2によって定義される形状を有してもよい。 ここで、Cは定数であり、V maxはオリフィスが塞がれていないときの作動シリンダ内のピストンの速度であり、Aはオリフィスが部分的に塞がれているときの作動シリンダ内のピストンの減速の大きさである。 流体が、(i)作動シリンダ内でのピストンの移動の間にピストンによって少なくとも部分的に塞がれるように構成された閉塞可能オリフィスと、(ii)作動シリンダ内でのピストンの移動の間にピストンによって塞がれないように構成された固定オリフィスとの両方を通じて、第1の室に吸い込まれてもよい。 作動の少なくとも一部の最中に、流体が、(i)作動シリンダ内でのピストンの移動の間にピストンによって少なくとも部分的に塞がれるように構成された閉塞可能オリフィスと、(ii)作動シリンダ内でのピストンの移動の間にピストンによって塞がれないように構成された固定オリフィスとの両方を通じて、第2の室から脱出してもよい。

    別の態様において、本発明の実施形態は、エネルギー貯蔵システムでのエネルギーの貯蔵、又は、エネルギー貯蔵システムによるエネルギーの回収の少なくとも一方を行うための方法において、エネルギー貯蔵システムが、(i)ゲートポートを通じてシリンダ組立体に出入りする流体の流れを制御するための弁を有し、弁がゲートポートを塞ぐための弁部材を備えるシリンダ組立体と、(ii)弁を作動するための作動システムとを備え、作動システムが、(a)作動シリンダと、(b)作動シリンダ内に配置され、作動シリンダを第1の室と第2の室とに分割するピストンと、(c)作動シリンダ内でのピストンの移動の間にピストンによって少なくとも部分的に塞がれるように構成された閉塞可能オリフィスとを備える方法を特徴とする。 シリンダ組立体内において、ガスがエネルギーを貯蔵するために圧縮される、及び/又は、ガスがエネルギーを回収するために膨張される。 その圧縮及び/又は膨張の前、最中、及び/又は後において、流体を作動シリンダの第1の室に吸い込ませて第1の室内の流体圧力を増加させることによって、弁を閉状態から開状態に作動させ、それによって、ピストンを第2の室に向かって移動させることによって、流体が、少なくとも一部は、シリンダ組立体へ吸い込まれるか、及び/又は、シリンダ組立体から排出される。 作動中、(i)流体が、第2の室から、ピストンによって塞がれていない閉塞可能オリフィスを通って流れ出し、それによってピストンの移動の速度を最大にし、(ii)その後、ピストンが閉塞可能オリフィスの少なくとも一部を塞ぎ、それによって第2の室からの流体の流れが減少されて、ピストンが作動シリンダの端面に到達する前に、ピストンを減速させる。

    本発明の実施形態は、任意の様々な組合せの以下のものを1又は2以上含み得る。 閉塞可能オリフィスが、作動の終わりまでに(例えば、作動シリンダ内でのピストンの動程の一方の限界において)、ピストンによって完全に塞がれてもよい。 閉塞可能オリフィスの少なくとも一部の側部寸法が、作動シリンダの端面からの距離の関数として変化してもよい。 閉塞可能オリフィスの第1の部分の側部寸法が、作動シリンダの端面からの距離の関数として変化しなくてもよく、閉塞可能オリフィスの第2の部分の側部寸法が、作動シリンダの端面からの距離の関数として変化してもよい。 閉塞可能オリフィスの少なくとも一部の側部境界が、関数y(x)=C(V max −2Ax) 1/2によって定義される形状を有してもよい。 ここで、Cは定数であり、V maxは閉塞可能オリフィスが塞がれていないときの作動シリンダ内のピストンの速度であり、Aは閉塞可能オリフィスが部分的に塞がれているときの作動シリンダ内のピストンの減速の大きさである。 流体が、(i)作動シリンダ内でのピストンの移動の間にピストンによって少なくとも部分的に塞がれるように構成された第2の閉塞可能オリフィスと、(ii)作動シリンダ内でのピストンの移動の間にピストンによって塞がれないように構成された固定オリフィスとの両方を通じて、第1の室に吸い込まれてもよい。 作動の少なくとも一部の最中に、流体が、(i)閉塞可能オリフィスと、(ii)作動シリンダ内でのピストンの移動の間にピストンによって塞がれないように構成された固定オリフィスとの両方を通じて、第2の室から脱出してもよい。

    さらに別の態様において、本発明の実施形態は、(i)内部において、エネルギーを貯蔵するためのガスの圧縮、及び/又は、エネルギーを回収するためのガスの膨張のためのものであり、(ii)内部区画と、ゲートポートを通じた内部区画への流体の吸込み、及び/又は、内部区画からの流体の排出のための弁と、弁を作動するための作動機構とを有するシリンダ組立体を含む、又は、そのシリンダ組立体から基本的に構成されるエネルギー貯蔵及び回収システムを特徴とする。 その弁が、ゲートポートを塞ぐための弁部材を含む。 作動機構が、(i)側面及び2つの相対する端面を有する作動シリンダ、(ii)作動シリンダ内に配置され、作動シリンダを2つの室に分割するピストンであって、弁が2つの室の間の流体圧力の差によって作動するように構成された、ピストン、及び、(iii)側面によって画定され、作動シリンダ内でのピストンの移動の間にピストンによって少なくとも部分的に塞がれるように構成された閉塞可能オリフィスを含む、又は、それらから基本的に構成される。

    本発明の実施形態は、任意の様々な組合せの以下のものを1又は2以上含み得る。 閉塞可能オリフィスが、固定オリフィスを画定する端面(例えば、作動シリンダ内でのピストンの動程の一方の限界にある)の近傍にピストンが配置されるとき、ピストンによって完全に塞がれるように構成されてもよい。 閉塞可能オリフィスの一部が、ピストンが作動シリンダの端面(例えば、作動シリンダ内でのピストンの動程の一方の限界にある)の近傍に配置されるとき、ピストンによって塞がれないように構成されてもよい。 閉塞可能オリフィスの少なくとも一部の側部寸法が、作動シリンダの端面のうちの一方からの距離の関数として変化してもよい。 閉塞可能オリフィスの第1の部分の側部寸法が、作動シリンダの端面のうちの一方からの距離の関数として変化しなくてもよく、閉塞可能オリフィスの第2の部分の側部寸法が、作動シリンダの端面のうちの一方からの距離の関数として変化してもよい。 閉塞可能オリフィスの少なくとも一部の側部境界が、関数y(x)=C(V max −2Ax) 1/2によって定義される形状を有してもよい。 ここで、Cは定数であり、V maxは閉塞可能オリフィスが塞がれていないときの作動シリンダ内のピストンの速度であり、Aは閉塞可能オリフィスが部分的に塞がれているときの作動シリンダ内のピストンの減速の大きさである。 作動機構が、作動シリンダの端面のうちの一方によって画定された固定オリフィスを含んでもよい。 システムが、閉塞可能オリフィスと固定オリフィスとの両方に選択的に接続可能な高圧流体供給源を含んでもよい。 システムが、高圧流体供給源と固定オリフィスとの間の接続部内に配置された、閉塞可能オリフィスがピストンによって少なくとも部分的に塞がれるとき、固定オリフィスへの実質的に制限のない流体の流れを可能にするように構成された逆止弁を含んでもよい。 システムが、閉塞可能オリフィスと固定オリフィスとの両方に選択的に接続可能な低圧流体貯留器を含んでもよい。 弁が、閉塞可能オリフィス及び固定オリフィスを、(i)高圧流体供給源、(ii)低圧流体貯留器、又は、(iii)閉塞可能オリフィス及び固定オリフィスが画定される作動シリンダの室と反対の作動シリンダの室に接続してもよい。 弁棒が、弁部材及びピストンに機械的に接続されてもよい。 閉塞可能オリフィス及び固定オリフィスが作動シリンダの室のうちの一方に画定されてもよく、作動シリンダの他方の室で、端面が第2の固定オリフィスを画定してもよく、作動シリンダの側面が、作動シリンダ内でのピストンの移動の間にピストンによって少なくとも部分的に塞がれるように構成された第2の閉塞可能オリフィスを画定してもよい。

    シリンダ組立体が、ガスを初期圧力から最終圧力に圧縮するように構成されてもよく、システムが、制御システムを含んでもよい。 その制御システムが、(i)シリンダ組立体のガスをおおよそ初期圧力まで予備膨張し、(ii)その予備膨張に続いて、初期圧力のガスをシリンダ組立体に吸い込ませ、予備膨張がガスの吸込みの間の結合損失を低減し、(iii)シリンダ組立体のガスを最終圧力まで圧縮し、(iv)圧縮したガスの一部のみをシリンダ組立体から排出することによって圧縮サイクルを完了し、(v)前述の手順を少なくとも一回繰り返すことで、少なくとも一回の追加の圧縮サイクルを実施するように構成されてもよい。 ガスの吸込み及び/又はガスの排出が、弁のゲートポートを通じて行われてもよい。

    シリンダ組立体が、ガスを初期圧力から最終圧力に膨張するように構成されてもよく、システムが、制御システムを含んでもよい。 その制御システムが、(i)シリンダ組立体のガスをおおよそ初期圧力まで予備圧縮し、(ii)その予備圧縮に続いて、初期圧力の圧縮されたガスをシリンダ組立体に吸い込ませ、予備圧縮が圧縮されたガスの吸込みの間の結合損失を低減し、(iii)シリンダ組立体のガスを最終圧力まで膨張し、(iv)膨張したガスの一部のみをシリンダ組立体から排出することによって膨張サイクルを完了し、(v)前述の手順を少なくとも一回繰り返すことで、少なくとも一回の追加の膨張サイクルを実施するように構成されてもよい。 ガスの吸込み及び/又はガスの排出が、弁のゲートポートを通じて行われてもよい。

    システムが、(i)ガスをシリンダ組立体にその内部で膨張するために供給する、及び/又は、(ii)ガスをシリンダ組立体からその内部での圧縮の後に受け入れるために、シリンダ組立体に選択的に流体接続される高圧側構成部品(high-side component)と、(i)ガスをシリンダ組立体にその内部で圧縮するために供給する、及び/又は、(ii)ガスをシリンダ組立体からその内部での圧縮の後に受け入れるために、シリンダ組立体に選択的に流体接続される低圧側構成部品(low-side component)と、(i)膨張のためのガスのシリンダ組立体内への吸込みの前にシリンダ組立体内部でのガスの予備圧縮によって、シリンダ組立体と高圧側構成部品との間の結合損失を低減する、及び/又は、(ii)圧縮のためのガスのシリンダ組立体内への吸込みの前にシリンダ組立体内部でのガスの予備膨張によって、シリンダ組立体と低圧側構成部品との間の結合損失を低減するためにシリンダ組立体を運転するための制御システムとを含んでもよい。 システムが、制御情報を生成するために、シリンダ組立体内の温度、圧力、及び/又は境界機構の位置を感知するためのセンサを含んでもよい。 制御システムが、制御情報に応答してもよい。 制御システムが、(i)シリンダ組立体内でのガスの予備圧縮、及び/又は、(ii)シリンダ組立体内でのガスの膨張の間に、(i)シリンダ組立体内の事前ガス膨張、及び/又は、(ii)シリンダ組立体内のガスの事前予備圧縮の間に生成された制御情報に少なくとも一部基づいて、シリンダ組立体を運転するように構成されてもよい。 制御システムが、(i)シリンダ組立体内でのガスの予備膨張、及び/又は、(ii)シリンダ組立体内でのガスの圧縮の間に、(i)シリンダ組立体内の事前ガス圧縮、及び/又は、(ii)シリンダ組立体内のガスの事前予備膨張の間に生成された制御情報に少なくとも一部基づいて、シリンダ組立体を運転するように構成されてもよい。 高圧側構成部品が、シリンダ組立体の運転の圧力範囲よりも高い圧力範囲内で、ガスを圧縮すること又はガスを膨張することの少なくとも一方のための圧縮ガス貯蔵貯留器又は第2のシリンダ組立体を含んでもよい、又は、その圧縮ガス貯蔵貯留器又は第2のシリンダ組立体から基本的に構成されてもよい。 システムが、シリンダ組立体の運転の圧力範囲よりも高い圧力範囲内で、ガスを圧縮する、及び/又はガスを膨張するための第2のシリンダ組立体を含んでもよく、高圧側構成部品が、シリンダ組立体の運転の圧力範囲と第2のシリンダ組立体の運転の圧力範囲との両方の圧力範囲内にある圧力、又は、両方の圧力範囲間にある圧力でガスを収容するための中間圧力容器を含んでもよい、又は、その中間圧力容器から基本的に構成されてもよい。 低圧側構成部品が、シリンダ組立体の運転の圧力範囲よりも低い圧力範囲内で、ガスを圧縮する、及び/又はガスを膨張するための大気又は第2のシリンダ組立体への通気口を含んでもよい、又は、その通気口から基本的に構成されてもよい。 システムが、シリンダ組立体の運転の圧力範囲よりも低い圧力範囲内で、ガスを圧縮する、及び/又はガスを膨張するための第2のシリンダ組立体を含んでもよく、低圧側構成部品が、シリンダ組立体の運転の圧力範囲と第2のシリンダ組立体の運転の圧力範囲との両方の圧力範囲内にある圧力、又は、両方の圧力範囲間にある圧力でガスを収容するための中間圧力容器を含んでもよい、又は、その中間圧力容器から基本的に構成されてもよい。

    さらなる態様において、本発明の実施形態は、(i)内部において、エネルギーを貯蔵するためのガスの圧縮、又は、エネルギーを回収するためのガスの膨張の少なくとも一方のためのものであり、(ii)内部区画と、ゲートポートを通じた内部区画への流体の吸込み、及び/又は、内部区画からの流体の排出のための弁と、弁を作動するための作動機構とを有する、シリンダ組立体を含む、又は、そのシリンダ組立体から基本的に構成されるエネルギー貯蔵及び回収システムを特徴とする。 その弁が、ゲートポートを塞ぐための弁部材を含む。 作動機構が、(i)側面並びに相対する第1の端面及び第2の端面を有する作動シリンダ、(ii)作動シリンダ内に配置され、作動シリンダを第1の室及び第2の室に分割するピストンであって、2つの室の間の流体圧力の差が弁を作動させるピストン、(iii)第1の室内において、側面によって画定され、作動シリンダ内でのピストンの移動の間にピストンによって少なくとも部分的に塞がれるように構成された第1の閉塞可能オリフィス、(iv)第1の室内において、作動シリンダ内でのピストンの移動の間にピストンによって塞がれないように構成された第1の固定オリフィス、(v)第2の室内において、側面によって画定され、作動シリンダ内でのピストンの移動の間にピストンによって少なくとも部分的に塞がれるように構成された第2の閉塞可能オリフィス、及び、(vi)第2の室内において、作動シリンダ内でのピストンの移動の間にピストンによって塞がれないように構成された第2の固定オリフィスを含む、又は、それらから基本的に構成される。

    本発明の実施形態は、任意の様々な組合せの以下のものを1又は2以上含み得る。 第1の固定オリフィスが作動シリンダの第1の端面によって画定されてもよく、及び/又は、第2の固定オリフィスが作動シリンダの第2の端面によって画定されてもよい。 第1の閉塞可能オリフィスが、ピストンが第1の端面の近傍に配置されるとき、ピストンによって完全に塞がれるように構成されてもよい。 第2の閉塞可能オリフィスが、ピストンが第2の端面の近傍に配置されるとき、ピストンによって完全に塞がれるように構成されてもよい。 第1の閉塞可能オリフィスの少なくとも一部の側部寸法が、第1の端面からの距離の関数として変化してもよい。 第1の閉塞可能オリフィスの第1の部分の側部寸法が、第1の端面からの距離の関数として変化しなくてもよく、第1の閉塞可能オリフィスの第2の部分の側部寸法が、第1の端面からの距離の関数として変化してもよい。 第1の閉塞可能オリフィスの少なくとも一部の側部境界が、関数y(x)=C(V max −2Ax) 1/2によって定義される形状を有してもよい。 ここで、Cは定数であり、V maxは第1の閉塞可能オリフィスが塞がれていないときの作動シリンダ内のピストンの速度であり、Aは第1の閉塞可能オリフィスが部分的に塞がれているときの作動シリンダ内のピストンの減速の大きさである。 システムが、(i)第1の閉塞可能オリフィスと第1の固定オリフィスとの両方、又は、(ii)第2の閉塞可能オリフィスと第2の固定オリフィスとの両方に選択的に接続可能な高圧流体供給源を含んでもよい。 システムが、高圧流体供給源と第1の固定オリフィスとの間の接続部内に配置された、第1の閉塞可能オリフィスがピストンによって少なくとも部分的に塞がれるとき、第1の固定オリフィスへの実質的に制限のない流体の流れを可能にするように構成された第1の逆止弁を含んでもよい。 システムが、高圧流体供給源と第2の固定オリフィスとの間の接続部内に配置された、第2の閉塞可能オリフィスがピストンによって少なくとも部分的に塞がれるとき、第2の固定オリフィスへの実質的に制限のない流体の流れを可能にするように構成された第2の逆止弁を含んでもよい。 システムが、(i)第1の閉塞可能オリフィスと第1の固定オリフィスとの両方、又は、(ii)第2の閉塞可能オリフィスと第2の固定オリフィスとの両方に選択的に接続可能な低圧流体貯留器を含んでもよい。 システムが、(i)第1の閉塞可能オリフィス及び第1の固定オリフィスを高圧流体供給源に接続し、且つ、第2の閉塞可能オリフィス及び第2の固定オリフィスを低圧流体貯留器に接続する、(ii)第1の閉塞可能オリフィス及び第1の固定オリフィスを低圧流体貯留器に接続し、且つ、第2の閉塞可能オリフィス及び第2の固定オリフィスを高圧流体供給源に接続する、又は、(iii)第1の閉塞可能オリフィス及び第1の固定オリフィスを第2の閉塞可能オリフィス及び第2の固定オリフィスに接続するための、異なる設定を有する弁を含んでもよい。 弁棒が、弁部材及びピストンに機械的に接続されてもよい。

    シリンダ組立体が、ガスを初期圧力から最終圧力に圧縮するように構成されてもよく、システムが、制御システムを含んでもよい。 その制御システムが、(i)シリンダ組立体のガスをおおよそ初期圧力まで予備膨張し、(ii)その予備膨張に続いて、初期圧力のガスをシリンダ組立体に吸い込ませ、予備膨張がガスの吸込みの間の結合損失を低減し、(iii)シリンダ組立体のガスを最終圧力まで圧縮し、(iv)圧縮したガスの一部のみをシリンダ組立体から排出することによって圧縮サイクルを完了し、(v)前述の手順を少なくとも一回繰り返すことで、少なくとも一回の追加の圧縮サイクルを実施するように構成されてもよい。 ガスの吸込み及び/又はガスの排出が、弁のゲートポートを通じて行われてもよい。

    シリンダ組立体が、ガスを初期圧力から最終圧力に膨張するように構成されてもよく、システムが、制御システムを含んでもよい。 その制御システムが、(i)シリンダ組立体のガスをおおよそ初期圧力まで予備圧縮し、(ii)その予備圧縮に続いて、初期圧力の圧縮されたガスをシリンダ組立体に吸い込ませ、予備圧縮が圧縮されたガスの吸込みの間の結合損失を低減し、(iii)シリンダ組立体のガスを最終圧力まで膨張し、(iv)膨張したガスの一部のみをシリンダ組立体から排出することによって膨張サイクルを完了し、(v)前述の手順を少なくとも一回繰り返すことで、少なくとも一回の追加の膨張サイクルを実施するように構成されてもよい。 ガスの吸込み及び/又はガスの排出が、弁のゲートポートを通じて行われてもよい。

    システムが、(i)ガスをシリンダ組立体にその内部で膨張するために供給する、及び/又は、(ii)ガスをシリンダ組立体からその内部での圧縮の後に受け入れるために、シリンダ組立体に選択的に流体接続される高圧側構成部品と、(i)ガスをシリンダ組立体にその内部で圧縮するために供給する、及び/又は、(ii)ガスをシリンダ組立体からその内部での膨張の後に受け入れるために、シリンダ組立体に選択的に流体接続される低圧側構成部品と、(i)膨張のためのガスのシリンダ組立体内への吸込みの前にシリンダ組立体内部でのガスの予備圧縮によって、シリンダ組立体と高圧側構成部品との間の結合損失を低減する、及び/又は、(ii)圧縮のためのガスのシリンダ組立体内への吸込みの前にシリンダ組立体内部でのガスの予備膨張によって、シリンダ組立体と低圧側構成部品との間の結合損失を低減するためにシリンダ組立体を運転するための制御システムとを含んでもよい。 システムが、制御情報を生成するために、シリンダ組立体内の温度、圧力、及び/又は境界機構の位置を感知するためのセンサを含んでもよい。 制御システムが、制御情報に応答してもよい。 制御システムが、(i)シリンダ組立体内でのガスの予備圧縮、及び/又は、(ii)シリンダ組立体内でのガスの膨張の間に、(i)シリンダ組立体内の事前ガス膨張、及び/又は、(ii)シリンダ組立体内のガスの事前予備圧縮の間に生成された制御情報に少なくとも一部基づいて、シリンダ組立体を運転するように構成されてもよい。 制御システムが、(i)シリンダ組立体内でのガスの予備膨張、及び/又は、(ii)シリンダ組立体内でのガスの圧縮の間に、(i)シリンダ組立体内の事前ガス圧縮、及び/又は、(ii)シリンダ組立体内のガスの事前予備膨張の間に生成された制御情報に少なくとも一部基づいて、シリンダ組立体を運転するように構成されてもよい。 高圧側構成部品が、シリンダ組立体の運転の圧力範囲よりも高い圧力範囲内で、ガスを圧縮すること又はガスを膨張することの少なくとも一方のための圧縮ガス貯蔵貯留器又は第2のシリンダ組立体を含んでもよい、又は、その圧縮ガス貯蔵貯留器又は第2のシリンダ組立体から基本的に構成されてもよい。 システムが、シリンダ組立体の運転の圧力範囲よりも高い圧力範囲内で、ガスを圧縮する、及び/又はガスを膨張するための第2のシリンダ組立体を含んでもよく、高圧側構成部品が、シリンダ組立体の運転の圧力範囲と第2のシリンダ組立体の運転の圧力範囲との両方の圧力範囲内にある圧力、又は、両方の圧力範囲間にある圧力でガスを収容するための中間圧力容器を含んでもよい、又は、その中間圧力容器から基本的に構成されてもよい。 低圧側構成部品が、シリンダ組立体の運転の圧力範囲よりも低い圧力範囲内で、ガスを圧縮する、及び/又はガスを膨張するための大気又は第2のシリンダ組立体への通気口を含んでもよい、又は、その通気口から基本的に構成されてもよい。 システムが、シリンダ組立体の運転の圧力範囲よりも低い圧力範囲内で、ガスを圧縮する、及び/又はガスを膨張するための第2のシリンダ組立体を含んでもよく、低圧側構成部品が、シリンダ組立体の運転の圧力範囲と第2のシリンダ組立体の運転の圧力範囲との両方の圧力範囲内にある圧力、又は、両方の圧力範囲間にある圧力でガスを収容するための中間圧力容器を含んでもよい、又は、その中間圧力容器から基本的に構成されてもよい。

    一態様では、本発明の実施形態は、エネルギー貯蔵システムでのエネルギーの貯蔵、及び/又は、エネルギー貯蔵システムによるエネルギーの回収を行うための方法において、エネルギー貯蔵システムが、ゲートポートを通じてシリンダ組立体に出入りする流体の流れを制御するための弁を有するシリンダ組立体を備える方法を特徴とする。 弁がゲートポートを塞ぐための、ゲートポートの幅より大きい又はゲートポートの幅に実質的に等しい幅Wを有する弁部材を含む。 シリンダ組立体内において、ガスがエネルギーを貯蔵するために圧縮される、及び/又は、ガスがエネルギーを回収するために膨張される。 圧縮及び/又は膨張の前、最中、及び/又は後において、弁を閉状態から開状態に作動させることによって、流体が、少なくとも一部は、シリンダ組立体に吸い込まれる、及び/又は、シリンダ組立体から排出される。 作動が、(A)弁部材が、ゲートポートから実質的に開いた位置に届かない又は実質的に届くだけ離れた距離で、最大速度に達するように、弁部材を閉じた位置から加速することであって、(i)実質的に開いた位置でゲートポートを通る流れにとって利用可能な開口面積が、ゲートポートの面積とおおよそ等しく、(ii)弁部材が、実質的に開いた位置を過ぎて、ゲートポートから実質的に開いた位置よりもさらに遠くの全開位置に移動し続けること、及び/又は、(B)弁部材を実質的に開いた位置に移動し、その後、(i)弁部材を全開位置に移動し、(ii)弁部材の実質的に開いた位置から全開位置への移動の少なくとも一部の間に、弁部材が全開位置に到達するときに弁部材の速度がおおよそゼロであるように、弁部材を減速することを含む、又は、これらのことから基本的に構成される。

    本発明の実施形態は、任意の様々な組合せの以下のものを1又は2以上含み得る。 弁部材のゲートポートを向く表面がWと等しい直径の円形であってもよい。 実質的に開いた位置において、弁部材がゲートポートからW/4の距離で離れてもよい。 弁部材を閉じた位置から加速することが、以前に弁を閉じた間に貯蔵されたエネルギーの少なくとも一部を回収することを含んでもよい。 弁部材が減速されたとき、その減速の間に弁部材の運動エネルギーの少なくとも一部が貯蔵されてもよい。 エネルギーがポテンシャルエネルギー(例えば、ばねポテンシャルエネルギー及び/又は液圧力ポテンシャルエネルギー)として貯蔵されてもよい。 弁部材を閉じた位置から加速することが、弁部材を、全閉位置から、弁部材がゲートポートに配置された座部の少なくとも一部と接触したままである十分に閉じた位置までの有限距離で移動することを含んでもよい。 弁部材が全閉位置から十分に閉じた位置に移動するとき、座部の少なくとも一部が弁部材と接触した状態で移動してもよい。 特定の差圧において、弁部材が十分に閉じた位置にあるときにゲートポートを通る流れが、弁部材が十分に開いた位置にあるときにゲートポートを通る流れの1%未満であってもよい。

    別の態様では、本発明の実施形態は、エネルギー貯蔵システムでのエネルギーの貯蔵、及び/又は、エネルギー貯蔵システムによるエネルギーの回収を行うための方法において、エネルギー貯蔵システムが、ゲートポートを通じてシリンダ組立体に出入りする流体の流れを制御するための弁を有するシリンダ組立体を備える方法を特徴とする。 弁がゲートポートを塞ぐための、ゲートポートの幅より大きい又はゲートポートの幅に実質的に等しい幅Wを有する弁部材を含む。 シリンダ組立体内において、ガスがエネルギーを貯蔵するために圧縮される、及び/又は、ガスがエネルギーを回収するために膨張される。 圧縮及び/又は膨張の前、最中、及び/又は後において、弁を開状態から閉状態に作動させることによって、ゲートポートが塞がれる。 作動が、(A)弁部材が、ゲートポートから実質的に開いた位置に届かない又は実質的に届くだけ離れた距離で、最大速度に達するように、弁部材を全開位置から加速することであって、(i)実質的に開いた位置でゲートポートを通る流れにとって利用可能な開口面積が、ゲートポートの面積とおおよそ等しく、(ii)弁部材が、実質的に開いた位置を過ぎて、弁部材がゲートポートに配置された座部の少なくとも一部と接触する実質的に閉じた位置に移動し続けること、及び/又は、(B)弁部材を実質的に閉じた位置に移動し、その後、(i)弁部材を実質的に閉じた位置を越えて全閉位置に移動し、(ii)弁部材の実質的に閉じた位置及び全閉位置からの移動の少なくとも一部の間に、弁部材が全閉位置に到達するときに弁部材をおおよそゼロの速度まで減速し、弁部材は実質的に閉じた位置で座部の少なくとも一部と接触したままであることを含む、又は、これらのことから基本的に構成される。

    本発明の実施形態は、任意の様々な組合せの以下のものを1又は2以上含み得る。 弁部材のゲートポートを向く表面がWと等しい直径の円形であってもよい。 実質的に開いた位置において、弁部材がゲートポートからW/4の距離で離れてもよい。 弁部材を全開位置から加速することが、以前に弁を開けた間に貯蔵されたエネルギーの少なくとも一部を回収することを含んでもよい。 弁部材が減速されたとき、その減速の間に弁部材の運動エネルギーの少なくとも一部が貯蔵されてもよい。 エネルギーがポテンシャルエネルギー(例えば、ばねポテンシャルエネルギー及び/又は液圧力ポテンシャルエネルギー)として貯蔵されてもよい。 弁部材が十分に閉じた位置から全閉位置に移動するとき、座部の少なくとも一部が弁部材と接触した状態で移動してもよい。 特定の差圧において、弁部材が十分に閉じた位置にあるときにゲートポートを通る流れが、弁部材が十分に開いた位置にあるときにゲートポートを通る流れの1%未満であってもよい。 弁部材が全閉位置に到達し、その後、弁部材と座部の少なくとも一部との間の接触を維持しつつ、弁部材が全閉位置から十分に閉じた位置に戻されてもよい。

    さらに別の態様において、本発明の実施形態は、(i)内部において、エネルギーを貯蔵するためのガスの圧縮、又は、エネルギーを回収するためのガスの膨張の少なくとも一方のためのものであり、(ii)内部区画と、弁と、弁を作動するための作動機構とを有する、シリンダ組立体を含む、又は、そのシリンダ組立体から基本的に構成されるエネルギー貯蔵及び回収システムを特徴とする。 弁が、ゲートポートを通じて、内部区画に流体を吸い込ませる、及び/又は、内部区画から流体を排出し、弁が、ゲートポートを塞ぐための、ゲートポートの幅より大きい又はゲートポートの幅に実質的に等しい幅Wを有する弁部材を含む。 ゲートポートが、接触部を有する座部と、座部に接続され、(i)弁部材を座部から離すように加速する、(ii)弁部材を接触部との接触と同時に減速する、及び/又は、(iii)弁部材の運動エネルギーをポテンシャルエネルギーとして貯蔵するための衝撃吸収機構とを含む。

    本発明の実施形態は、任意の様々な組合せの以下のものを1又は2以上含み得る。 衝撃吸収機構が、波形ばね、コイルばね、空気ばね、及び/又は弾性材料(例えば、エラストマー)を含んでもよい、又は、それらから基本的に構成されてもよい。 接触部の輪郭形状が、弁部材と接触弁輪との間の接触と同時にゲートポートが実質的に塞がれるように、弁部材の輪郭形状に対して補完的であってもよい。 接触部が斜めにされてもよい。 接触部が、ポリエーテルエーテルケトンを含んでもよいし、又は、ポリエーテルエーテルケトンから基本的に構成されてもよい。 ゲートポートがシリンダ組立体のエンドキャップ内に配置されてもよい。 作動機構が、液圧式、電気式、機械式、及び/又は磁気式であってもよい。 接触部が、振動吸収材料への圧力を強化又は緩和するように移動可能であってもよい。 ガスケットが、接触部の周りに配置されてもよく、少なくともゲートポートが弁部材によって塞がれるとき、接触部とシリンダ組立体の内部区画との間の流体の流れを防止してもよい。 接触部が、接触弁輪を含んでもよい、又は、接触弁輪から基本的に構成されてもよい。 弁が、高圧側弁又は低圧側弁であってもよい。 弁部材が切頂円錐として成形されてもよい。

    作動機構が、液圧シリンダの内部を2つの室に分割するピストンを収容する液圧シリンダと、弁部材及びピストンに機械的に連結する弁棒と、流体を室のうちの少なくとも一方に供給するための循環機構と、2つの室への流体の流れ、2つの室からの流体の流れ、及び、2つの室の間の流体の流れを制御するための制御機構とを含んでもよい、又は、それらのものから基本的に構成されてもよい。 2つの室の間の流体圧力の差が、ピストンに圧力を与えて弁を作動する。 作動機構が、2つの室の各々と循環機構とに選択的に流体接続される高圧蓄圧器であって、循環機構によって供給される圧力とおおよそ等しい又はそれよりも大きい圧力で流体を貯蔵するための高圧蓄圧器を含んでもよい。 制御機構が、弁の作動中に、循環機構と高圧蓄圧器との両方から2つの室のうちの一方に流体を吸い込ませるように構成されてもよい。 作動機構が、2つの室の各々と循環機構とに選択的に流体接続される低圧蓄圧器であって、循環機構によって供給される圧力とおおよそ等しい又はそれよりも低い圧力で流体を貯蔵するための低圧蓄圧器を含んでもよい。 低圧蓄圧器とは異なる流体貯留器が、循環機構に流体接続されてもよい。 制御機構が、弁の作動中に、2つの室のうちの一方から低圧蓄圧器と流体貯留器との両方に流体を吸い込ませるように構成されてもよい。 システムが、低圧蓄圧器と流体貯留器との間に接続部を含んでもよい。 接続部が、低圧蓄圧器の圧力が閾圧力を超えたとき、低圧蓄圧器から流体貯留器に流体の流れを許容するように構成された圧力逃し弁を含んでもよい。 制御機構が、(i)循環機構を2つの室のうちの第1の室と流体接続する設定、(ii)循環機構を2つの室のうちの第1の室と異なる第2の室と流体接続する設定、及び(iii)2つの室を一体に流体接続する設定の異なる設定を有する三方向制御弁を含んでもよい、又は、その三方向制御弁から基本的に構成されてもよい。 システムが、弁を作動させるために、(i)循環機構を第1の室又は第2の室のいずれかに流体接続する設定のうちの1つに三方向制御弁を設定することで、液圧シリンダのピストンを液圧シリンダの長さによって定められる行程長さに沿って移動させる、(ii)液圧シリンダのピストンが行程長さの全体に沿って移動する前に、三方向制御弁を第1の室及び第2の室を一体に流体接続する設定に設定するように構成された制御システムを含んでもよい。

    さらなる態様において、本発明の実施形態は、(i)内部において、エネルギーを貯蔵するためのガスの圧縮、又は、エネルギーを回収するためのガスの膨張の少なくとも一方のためのものであり、(ii)内部区画と、弁と、弁を作動するための液圧作動機構とを有する、シリンダ組立体を含む、又は、そのシリンダ組立体から基本的に構成されるエネルギー貯蔵及び回収システムを特徴とする。 弁が、ゲートポートを通じて、内部区画に流体を吸い込ませる、及び/又は、内部区画から流体を排出し、ゲートポートを塞ぐための、ゲートポートの幅より大きい又はゲートポートの幅に実質的に等しい幅Wを有する弁部材を含む。 液圧作動機構が、液圧シリンダの2つの室への流体の流れ、2つの室からの流体の流れ、及び、2つの室の間の流体の流れを制御するための制御機構を含み、2つの室の間の流体圧力の差が弁を作動する。

    本発明の実施形態は、任意の様々な組合せの以下のものを1又は2以上含み得る。 液圧シリンダが、液圧シリンダの内部を2つの室に分割するピストンを収容してもよい。 作動機構が、(i)弁部材及びピストンに機械的に連結する弁棒と、(ii)流体を液圧シリンダの室のうちの少なくとも一方に供給するための循環機構とを含んでもよい。 作動機構が、2つの室の各々と循環機構とに選択的に流体接続される高圧蓄圧器であって、循環機構によって供給される圧力とおおよそ等しい又はそれよりも大きい圧力で流体を貯蔵するための高圧蓄圧器を含んでもよい。 制御機構が、弁の作動中に、循環機構と高圧蓄圧器との両方から2つの室のうちの一方に流体を吸い込ませるように構成されてもよい。 作動機構が、2つの室の各々と循環機構とに選択的に流体接続される低圧蓄圧器であって、循環機構によって供給される圧力とおおよそ等しい又はそれよりも低い圧力で流体を貯蔵するための低圧蓄圧器を含んでもよい。 システムが、循環機構に流体接続された、低圧蓄圧器とは異なる流体貯留器を含んでもよい。 制御機構が、弁の作動中に、2つの室のうちの一方から低圧蓄圧器と流体貯留器との両方に流体を吸い込ませるように構成されてもよい。 システムが、低圧蓄圧器と流体貯留器との間に接続部を含んでもよい。 接続部が、低圧蓄圧器の圧力が閾圧力を超えたとき、低圧蓄圧器から流体貯留器に流体の流れを許容するように構成された圧力逃し弁を含んでもよい。 制御機構が、(i)循環機構を2つの室のうちの第1の室と流体接続する設定、(ii)循環機構を2つの室のうちの第1の室と異なる第2の室と流体接続する設定、又は、(iii)2つの室を一体に流体接続する設定を有する三方向制御弁を含んでもよい、又は、その三方向制御弁から基本的に構成されてもよい。 システムが、弁を作動させるために、(i)循環機構を第1の室又は第2の室のいずれかに流体接続する設定のうちの1つに三方向制御弁を設定することで、液圧シリンダのピストンを液圧シリンダの長さによって定められる行程長さに沿って移動させる、及び(ii)液圧シリンダのピストンが行程長さの全体に沿って移動する前に、三方向制御弁を第1の室及び第2の室を一体に流体接続する設定に設定するように構成された制御システムを含んでもよい。

    一態様において、本発明の実施形態は、(i)内部において、エネルギーを貯蔵するためのガスの圧縮、又は、エネルギーを回収するためのガスの膨張の少なくとも一方のためのものであり、(ii)内部区画と、ゲートポートを通じた内部区画への流体の吸込み、及び/又は、内部区画からの流体の排出のための弁と、弁を磁気作動力で(つまり、磁気的に)作動するための作動機構とを有する、を含む、又は、そのシリンダ組立体から基本的に構成されるエネルギー貯蔵及び回収システムを特徴とする。

    本発明の実施形態は、任意の様々な組合せの以下のものを1又は2以上含み得る。 弁が、ゲートポートと、内部区画への流体の流れ、又は、内部区画から出る流体の流れの少なくとも一方を選択的に制御するための弁部材とを含んでもよい、又は、それらから基本的に構成されてもよい。 弁部材が、ゲートポートと、シリンダ組立体の内部区画の少なくとも一部との間に配置されてもよい。 ゲートポートが、弁部材と、シリンダ組立体の内部区画との間に配置されてもよい。 ゲートポートが弁部材の形状に対して補完的である形状を有する座部を含んでもよく、それによって、弁部材が座部と接触しているとき、ゲートポートを閉じることができる。 弁部材が、永久磁石及び/又は電磁石を含んでもよい、又は、永久磁石及び/又は電磁石から基本的に構成されてもよい。 弁棒が、作動機構を通って延在してもよく、弁部材に接続してもよい。 永久磁石及び/又は電磁石が、作動機構の近傍にあり、弁棒に接続されてもよい。 作動機構が、永久磁石及び/又は電磁石を含んでもよい、又は、永久磁石及び/又は電磁石から基本的に構成されてもよい。 システムが、弁の弁部材の位置、及び/又は、内部区画内の圧力と弁内の圧力との間の差に応答して磁気作動力を制御するための制御システムを含んでもよい。 弁が、差圧閉することで、磁気作動力が存在しないときに、内部区画への流体の流れ又は内部区画から出る流体の流れを防止するように構成されてもよい。 システムが、弁を閉まる方に付勢する、開ける力を和らげる、及び/又は、閉まる作動力の少なくとも一部を提供するための機械式又は空気圧式のばねを含んでもよい。 弁が、内部区画と、(i)圧縮ガス貯蔵貯留器、又は、(ii)シリンダ組立体が構成される圧力範囲より高い圧力範囲でのガスの膨張及び/又は圧縮のための第2のシリンダ組立体との間の流体の流れを制御するように構成されてもよい。 弁が、内部区画と、(i)大気への通気口、又は、(ii)シリンダ組立体が構成される圧力範囲より低い圧力範囲でのガスの膨張及び/又は圧縮のための第2のシリンダ組立体との間の流体の流れを制御するように構成されてもよい。 作動機構と弁の少なくとも一部とが、シリンダ組立体のエンドキャップ内で一体化されてもよい。

    別の態様では、本発明の実施形態は、エネルギーの貯蔵及び回収のための方法を特徴とする。 シリンダ組立体内において、ガスがエネルギーを貯蔵するために圧縮される、及び/又は、ガスがエネルギーを回収するために膨張される。 圧縮及び/又は膨張の前、最中、又は後のうちの少なくとも1つにおいて、少なくとも一部は弁を磁気作動力で(つまり、磁気的に)作動することによって、流体が、シリンダ組立体に吸い込まれる、及び/又は、シリンダ組立体から排出される。

    本発明の実施形態は、任意の様々な組合せの以下のものを1又は2以上含み得る。 流体の吸込み及び/又は排出が、シリンダ組立体の内部と外部との圧力の差から生じる液圧力によって、開始、維持、及び/又は完了が行われてもよい。 弁を作動することが、液圧力と共に作用させるために、磁気作動力を加えることを含んでもよい、又は、そのことから基本的に構成されてもよい。 液圧力が弁を少なくとも部分的に開いてもよく、磁気作動力が弁を開いた位置に維持してもよい。 液圧力が弁を少なくとも部分的に閉じてもよく、磁気作動力が弁を閉じた位置に維持してもよい。 弁を作動することが、液圧力と反対に作用させるために、磁気作動力を加えることを含んでもよい、又は、そのことから基本的に構成されてもよい。 磁気作動力が、磁気作動力を加える作動機構と、弁の弁部材との間の衝突力を低減してもよい。 弁を作動することが、弁の作動中に時間とともに変化する磁気作動力を加えることを含んでもよい、又は、そのことから基本的に構成されてもよい。 方法が、機械的な力で、弁を閉まる方に付勢すること、開ける力を和らげること、及び/又は、閉まる作動力の少なくとも一部を提供することを含んでもよい。

    これらの目的及び他の目的は、本発明の利点及び特徴と共に、以下の記載、添付の図面、及び特許請求の範囲を参照することで、より明らかになる。 さらに、本明細書に記載された様々な実施形態の特徴は、相互に排他的ではなく、様々な組合せ及び様々な置き換えで存在できる。 本明細書で用いられる「管」、「配管」などの用語は、2つの位置の間でガス又は液体を運ぶように評価される1又は2以上の管路を指すことに注意されたい。 したがって、単数の用語は、適切な場合、複数の平行な管路を含むと解釈されるべきである。 本明細書では、用語「液体」及び「水」は、ほとんど又は実質的に圧縮不可能な任意の液体を置き換え可能に意味しており、用語「ガス」及び「空気」は、置き換え可能に用いられ、用語「流体」は、特に指示されていない場合、液体、ガス、又は液体とガスとの混合物(例えば、泡)を指すことができる。 特に指示されていない場合、本明細書で用いられる用語「おおよそ」及び「実質的に」は、±10%、ある実施形態では±5%を意味している。 「弁」は、流体経路間又は流体貯留器間の流体連通を制御するため、又は、選択的に制御を可能にする若しくは放出するための任意の機構又は構成部品である。 用語「シリンダ」は、一定であるが必ずしも断面が円形でない室であって、摺動可能に配置されたピストン又は他の機構を収容できる室を指しており、そのピストン又は他の機構は、室の一方の側にある流体を他方の側にある流体から分離し、室の一方の側から他方の側への流体の移動を防止しつつ、室の一方の側から隣側への又は室の外部の機構への力/圧力の伝達を可能にする。 室の2つの端のうちの少なくとも一方は、本明細書では「ヘッド」とも呼ばれるエンドキャップによって、閉じられてもよい。 本明細書で利用されるように、「エンドキャップ」は、シリンダの残りの部分から区別又は分離できる構成部品では必ずしもなく、シリンダ自体の端部分を指すこともできる。 ロッド、弁、及び他の機器が、エンドキャップを通過できる。 「シリンダ組立体」は、単純なシリンダであっても、複数のシリンダを含んでもよく、また、追加の関連部品(シリンダ間の機械的連結部品など)を有しても、有してなくてもよい。 シリンダのシャフトは、機械的負荷(例えば、液圧モータ/ポンプ、又はクランクシャフト)に液圧的又は機械的に連結されてもよく、その機械的負荷は、'678号及び'842号特許に記載されるように、電気的負荷(例えば、パワーエレクトロニクスに取り付けられた、及び/又は、電力網若しくは他の負荷に直接に取り付けられた、回転又はリニア電気モータ/発電機)に連結されている。 本明細書で用いられるように、熱交換流体の「熱的条件」は、熱交換流体が熱エネルギーを交換しているガスとの相互作用から生じる熱交換流体の温度のあらゆる変化を含まず、むしろこのような熱的条件は、概して、他の手段(例えば、外部の熱交換器)による熱交換流体の温度の変化を指している。 用語「熱交換」及び「熱伝達」は、概して、本明細書では置き換え可能に利用されている。 特に指示されていない場合、本明細書に記載されるモータ/ポンプは、システムの運転中に、モータ又はポンプとしてのみ利用され、それら両方として利用されない場合、モータ及びポンプの両方として機能するように構成されている必要はない。 本明細書に記載されるガス膨張は、(例えば、内燃機関のシリンダの運転とは反対に)燃焼が存在しなくても実施できる。

    図面では、同様の参照符号は、概して、異なる図を通じて同じ部品を指している。 シリンダ、ロッド、及び他の構成部品は、空気圧シリンダ及び液圧シリンダの技術に精通するすべての者に理解できるであろう形で、断面により示す。 また、図面は、同じ縮尺である必要はなく、代わりに、本発明の原理を示す上で強調が行われている。 以下の説明では、本発明の様々な実施形態が、以下の図面を参照しつつ説明されている。

    本発明の様々な実施形態による圧縮ガスエネルギー貯蔵システムの概略図である。

    本発明の様々な実施形態による圧縮ガスエネルギー貯蔵システムの様々な構成部品の概略図である。

    本発明の様々な実施形態による圧縮空気エネルギー貯蔵及び回収システムの主要な構成部品の概略図である。

    本発明の様々な実施形態による多数のシリンダの圧縮ガスエネルギー貯蔵システムの様々な構成部品の概略図である。

    本発明の様々な実施形態による、シリンダの外部で泡を発生するための装置を備えたシリンダ組立体の概略図である。

    本発明の様々な実施形態による、シリンダの外部で泡を発生するための装置を備え、泡発生装置を迂回させることができるシリンダ組立体の概略図である。

    本発明の様々な実施形態による、シリンダの外部の容器で泡を発生するための装置を備えたシリンダ組立体の概略図である。

    本発明の様々な実施形態による、シリンダの内部で泡を発生するための装置を備えたシリンダ組立体の概略図である。

    本発明の様々な実施形態による、複数の対の高圧シリンダ及び低圧シリンダを採用する圧縮空気エネルギー貯蔵システムの概略図である。

    本発明の様々な実施形態による、4つの異なる膨張のシナリオに関する、時間の関数としての圧力を例示的にプロットした図である。

    本発明の様々な実施形態による実験的試験データのグラフ表示である。

    圧縮機又は膨張機のいずれかとして運転されるシリンダ内の理想的な圧力−体積のサイクルを例示的にプロットした図である。

    本発明の様々な実施形態による、例示のCAESシステムにおける3つの異なる膨張のシナリオに関する、シリンダ室体積の関数としてのシリンダ室圧力を例示的にプロットした図である。

    本発明の様々な実施形態による、例示のCAESシステムにおける異なる膨張のシナリオに関する、シリンダ室体積の関数としてのシリンダ室圧力を例示的にプロットした図である。

    本発明の様々な実施形態による、例示のCAESシステムにおける3つの異なる圧縮のシナリオに関する、シリンダ室体積の関数としてのシリンダ室圧力を例示的にプロットした図である。

    本発明の様々な実施形態による、例示のCAESシステムにおける3つの異なる圧縮のシナリオに関する、シリンダ室体積の関数としてのシリンダ室圧力を例示的にプロットした図である。

    本発明の様々な実施形態による低圧側ポペット弁の主要な構成部品の概略図である。

    図17Aの弁の異なる作動状態における概略図である。

    本発明の様々な実施形態による高圧側ポペット弁の主要な構成部品の概略図である。

    図18Aの弁の異なる作動状態における概略図である。

    本発明の様々な実施形態による、シリンダのヘッドに一体化される高圧側弁及び低圧側弁を備えたシリンダ組立体の概略図である。

    図19Aの組立体の異なる作動状態における概略図である。

    本発明の様々な実施形態による液圧作動シリンダ及びポペット弁の様々な構成部品の概略図である。

    本発明の様々な実施形態による、閉じる間に時間変化する液圧抵抗によって減速される部材を有する高圧側弁を組み込むシステムの概略図である。

    本発明の様々な実施形態による、閉じる間に時間変化する液圧抵抗によって減速される部材を有する低圧側弁を組み込むシステムの概略図である。

    本発明の様々な実施形態による、シリンダに出入りする流体の流れを支配するための仕組みを備えた作動シリンダの概略図である。

    図23Aのシステムの異なる運転状態における概略図である。

    本発明の様々な実施形態による、固定オリフィス及び閉塞可能オリフィスの両方を有する作動シリンダの様々な構成部品の概略図である。

    図24Aのシステムの異なる運転状態における概略図である。

    本発明の様々な実施形態による、閉塞可能オリフィスを有する作動シリンダの様々な構成部品の概略図である。

    本発明の様々な実施形態による閉塞可能オリフィスの断面図である。

    本発明の様々な実施形態による、高圧側弁と、閉塞可能オリフィスを備える作動シリンダとを組み込むシステムの概略図である。

    図26Aの作動シリンダの拡大図である。

    本発明の様々な実施形態による液圧作動シリンダのスプールの位置をプロットした図である。

    本発明の様々な実施形態による液圧作動シリンダのスプールの速度をプロットした図である。

    本発明の様々な実施形態による液圧作動シリンダの1つの室内の流体圧力をプロットした図である。

    本発明の様々な実施形態による高圧側ポペット弁の主要な構成部品の概略図である。

    図30Aの弁に採用され得るような例示の波形ばねの図である。

    図30Aの弁の異なる作動状態における概略図である。

    従来の弁の弁体の経時的な位置の例示的な図である。

    本発明の様々な実施形態による、図30Aの弁の弁体の経時的な位置の例示的な図である。

    図30Aの弁の異なる作動状態における概略図である。

    本発明の様々な実施形態による高圧側ポペット弁の作動機構の主要な構成部品の概略図である。

    図33Aの機構の異なる作動状態における概略図である。

    本発明の様々な実施形態による電磁弁の概略図である。

    図34Aの弁の異なる作動状態における概略図である。

    本発明の様々な実施形態による電磁弁の概略図である。

    図35Aの弁の異なる作動状態における概略図である。

    図1は、エネルギーを貯蔵及び放出するための、別段示さないより大きなシステムの一部であり得る、例示のシステム100を示す。 以降の図面は、本発明の実施形態のこのようなシステムへの適用を明確にすることになる。 図1に示すシステム100は、ガスを圧縮及び膨張するための組立体101を特徴とする。 膨張/圧縮組立体101は、ガスを膨張又は圧縮するための1又は2以上のいずれかの個別の装置(例えば、移動可能な境界機構をそれぞれ収めることができるタービン又はシリンダ組立体)、又は、段階的に連続するこのような装置、及び、図1に明確に示さない補助装置(例えば、弁)を備えてもよいし、又は、これらの装置から基本的に構成されてもよい。

    電気モータ/発電機102(例えば、回転又はリニア電気機械)が、膨張/圧縮組立体101と物理的な連通状態にある(例えば、液圧ポンプ、ピストンシャフト、又は機械的クランクシャフトを介する)。 モータ/発電機102は、図1には明確に示さない電気エネルギーの供給源及び/又はシンク(sink)に電気的に接続され得る(例えば、電力分配グリッド、又は、1又は2以上の風力タービン又は太陽電池などの再生可能エネルギー供給源)。

    膨張/圧縮組立体101は、膨張/圧縮組立体101から抽出される流体(つまり、ガス、液体、又は、泡などのガス−液体の混合物)の温度及び/又は圧力を変更すると共に、流体の温度及び/又は圧力を変更した後に、その少なくとも一部を膨張/圧縮組立体101に戻す熱伝達サブシステム104と流体連通していてもよい。 熱伝達サブシステム104は、ポンプと、弁と、熱伝達サブシステム104の熱伝達機能を補助すると共に、膨張/圧縮組立体101と往来する流体の移動を補助する他の装置(図1には明確に示さない)とを備え得る。 適切に運転されると、熱伝達サブシステム104は、膨張/圧縮組立体101の内部のガスの実質的に等温の圧縮及び/又は膨張を可能にする。

    膨張/圧縮組立体101に接続されるのは、組立体101と貯蔵貯留器112(例えば、1又は2以上の圧力容器、管、及び/又は洞窟)との間で流体(例えば、ガス)の流れを制御する制御弁108を備えた管106である。 貯蔵貯留器112は、貯蔵貯留器112から除去された流体の温度及び/又は圧力を変更すると共に、流体の温度及び/又は圧力を変更した後に、それを貯蔵貯留器112に戻す熱伝達サブシステム114と流体連通していてもよい。 制御弁118を備えた第2の管116が、膨張/圧縮組立体101と、比較的低い圧力のガスの実体(例えば、周囲大気)と連通する通気口120と流体連通していてもよい。

    制御システム122が、システム100の任意の膨張/圧縮組立体101、貯蔵貯留器112、及び他の構成部品、並びに、システム100の外部の供給源からの情報入力を受信する。 これらの情報入力は、圧力、温度、及び/又は、システム101の構成部品の特性の他の遠隔計測された測定を含んでもよいし、又は、それらから基本的に構成されてもよい。 このような情報入力は、本明細書では概して文字「T」によって表され、無線によって、又は、有線を通じてのいずれかで、制御システム122に送信される。 このような送信は、図1では、点線124、126によって表されている。

    制御システム122は、組立体101におけるガスの実質的に等温の圧縮及び/又は膨張を可能にするために、弁108及び118を選択的に制御できる。 制御信号は、本明細書では概して文字「C」によって表され、無線によって、又は、有線を通じてのいずれかで、弁108及び118に送信される。 このような送信は、図1では、破線128、130によって表されている。 制御システム122は、熱伝達組立体104、114の運転、及び、図1に明確に示さない他の構成部品の運転をも制御できる。 これらの目的のための制御信号及び遠隔測定信号の送信は、図1には明確に示さない。

    制御システム122は、ヒューマン−マシンインターフェースを備えた任意の受け入れ可能な制御装置であり得る。 例えば、制御システム122は、コンピュータ読取可能なソフトウェア媒体の形態の保存された制御アプリケーションを実行するコンピュータ(例えば、パーソナルコンピュータ(PC)形式のもの)を備えてもよい。 より一般的には、制御システム122は、ソフトウェア、ハードウェア、又はそれらのある組合せによって実現できる。 例えば、制御システム122は、Santa Clara、Calif.のIntel Corporation社によって製造されるPentium、Core、Atom、又はCeleronの系列のプロセッサ、Schaumburg、Ill.のMotorola Corporation社によって製造される680x0及びPOWER PCの系列のプロセッサ、及び/又は、Sunnyvale、Calif.のAdvanced Micro Devices,Inc.社によって製造されるATHLONの系列のプロセッサなど、1又は2以上のプロセッサを備えるCPUボードを有するPCなど、1又は2以上のコンピュータで実施できる。 また、プロセッサは、前述の方法に関連するプログラム及び/又はデータを格納するための主記憶装置を含み得る。 記憶装置は、1又は2以上の特定用途向け集積回路(ASIC, application specific integrated circuits)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA, field programmable gate arrays)、電気的消去再書込み可能な読出し専用メモリ(EEPROM, electrically erasable programmable read-only memories)、再書込み可能な読出し専用メモリ(PROM, programmable read-only memories)、プログラマブルロジックデバイス(PLD, programmable logic devices)、又は読取り専用メモリ装置(ROM, read-only memory devices)などの一般的に利用可能なハードウェアに存在するランダムアクセスメモリ(RAM, random access memory)、読出し専用メモリ(ROM,read only memory)、及び/又はFLASHメモリを含み得る。 ある実施形態では、プログラムは、光学ディスク、磁気ディスク、又は他の保存機器などの外部RAM及び/又は外部ROMを用いて提供され得る。

    制御装置122の機能がソフトウェアによって提供される実施形態については、プログラムは、FORTRAN、PASCAL、JAVA、C、C++、C#、LISP、PERL、BASIC、又は任意適切なプログラム言語などの多くの高水準言語のうちのいずれか1つで書くことができる。 また、ソフトウェアは、対象となる装置に存在するマイクロプロセッサ向けとされたアセンブリ言語及び/又はマシン語で実施できる。

    前述のように、制御システム122は、システム100の運転の様々な状況を監視するセンサから遠隔測定を受信でき、弁作動装置、弁、モータ、及び他の電気機械的/電子的な装置に信号を送ることができる。 制御システム122は、このようなセンサ及び/又はシステム100の他の構成部品(及び本明細書に記載される他の実施形態)と、有線又は無線通信を介して通信できる。 適切なインターフェースが、センサからのデータを、制御システム122によって読取可能な形態へと変換するために用いることができる(RS−232又はネットワークに基づく相互接続など)。 同様に、インターフェースは、コンピュータの制御信号を、弁、及び、運転を行うための他の作動装置によって使用可能な形態へと変換する。 このようなインターフェースの提供は、適切な制御プログラムと共に、通常の当業者には明らかであり、過剰な実験なしで提供できる。

    システム100は、通気口120を通って吸い込まれるガスを圧縮し、圧縮されたガスを貯留器112で貯蔵するために、運転させることができる。 例えば、運転の初期状態において、弁108は閉じられ、弁118は開いており、ある量のガスを膨張/圧縮組立体101に吸い込ませる。 所望の量のガスが組立体101に吸い込まれたとき、弁118は閉じられる。 モータ/発電機102は、図1に明確に示さない供給源(例えば、電力グリッド)によって供給されるエネルギーを用いて、機械的出力を膨張/圧縮組立体101に提供し、組立体101内のガスを圧縮できる。

    組立体101内のガスの圧縮の間、流体(つまり、ガス、液体、又はガス−液体の混合物)は、組立体101と熱交換組立体104との間で循環させることができる。 熱交換組立体104は、組立体101内のガスの実質的に等温の圧縮を可能にするように運転できる。 組立体101内でのガスの圧縮の最中又は後に、弁108は、高圧の流体(例えば、圧縮されたガス、又は、液体と圧縮されたガスとの混合物)を貯留器112へと流すことができるように、開けることができる。 熱交換組立体114は、貯留器112内の流体の温度及び/又は圧力を変更するように、任意の時間に作動できる。

    システム100は、貯留器112からの圧縮ガスを、膨張/圧縮組立体101において、空気圧機械、液圧機械、及び電気機械の運転に精通するすべての者には明らかであろう、エネルギーをモータ/発電機102に送り出すように膨張するために、運転させることもできる。

    図2は、貯留器222(図1における符号112)、及び、大気への通気口223(図1における符号120)と連通しているシリンダ組立体201(つまり、図1における組立体101の実施形態)を特徴とする例示のシステム200を示す。 図2に示す例示のシステム200では、シリンダ組立体201は、内部に摺動可能に配置されたピストン202を収容している。 ある実施形態では、ピストン202は、シリンダ組立体201を複数の室に分割する異なる境界機構に置き換えられるか、又は、ピストン202が全体で非存在で、且つ、シリンダ組立体201が「液体ピストン」となっている。 シリンダ組立体201は、例えば、2つの空気圧室、又は、1つの吸気圧室と1つの液圧室とに分割されてもよい。 ピストン202は、中心に穿孔された流体通路を備えることができるロッド204に接続されており、その流体通路は、ピストン202から延在し、流体出口212を備えている。 ロッド204は、例えば、示さない機械的負荷(例えば、クランクシャフト又は液圧システム)にも取り付けられる。 シリンダ組立体201は、ガスの実質的に等温の圧縮/膨張を可能とするために、循環ポンプ214及び噴霧機構210を備える、又は、それらから基本的に構成される熱伝達サブシステム224と、液体連通している。 ポンプ214によって循環される熱伝達流体は、熱交換器203(例えば、シェルアンドチューブ(tube-in-shell)式又は平行プレート式の熱交換器)を通過させることができる。 噴霧機構210は、1又は2以上の噴霧ヘッド(例えば、シリンダ組立体201の一方の端に配置される)、及び/又は、1又は2以上の噴霧ロッド(例えば、シリンダ組立体201の中心軸の少なくとも一部に沿って延在する)を備えてもよいし、又は、それらから基本的に構成されてもよい。 他の実施形態では、噴霧機構210は省略され、'128号出願に記載されるように、シリンダ組立体201内でのガスの圧縮及び膨張の間に液体とガスとの間の熱交換を容易にするために、滴の噴霧ではなく、泡が作り出される。 泡は、シリンダ組立体201の外部の機構(図示されておらず、後でより詳細に説明する)で、ガスを熱交換液体で泡立てることによって生成でき、次に、その結果できた泡をシリンダ組立体201内に噴射する。 代替又は追加で、泡は、熱交換液体をシリンダ組立体201内に泡生成機構(例えば、噴霧ヘッド、回転刃、1又は2以上のノズル)を通じて噴射することによって、シリンダ組立体201の内部で生成でき、シリンダ組立体201の空気圧室を一部又は全部満たす。 ある実施形態では、滴及び泡は、シリンダ組立体201内に、同時に及び/又は連続して導入できる。 様々な実施形態は、泡の特性(例えば泡のサイズ)を制御するための機構(図2には示していない)、並びに、泡を壊す、分離させる、及び/又は再生するための機構(図2には示していない)を特徴とする。

    システム200は、貯蔵貯留器222と連通している第1の制御弁220(図1における符号108)と、通気口223及びシリンダ組立体201と連通している第2の制御弁221(図1における符号118)とをさらに備えている。 制御システム226(図1における符号122)が、例えば、シリンダ組立体201及び/又は貯蔵貯留器222からの様々なシステム入力(例えば、圧力、温度、ピストン位置、及び/又は、流体の状態)に基づいて、弁222及び221の作動を制御できる。 ポンプ214によって循環される熱伝達流体(液体は、管213を通って入る)。 管213は、(a)低圧流体供給源(例えば、通気口223が接続される圧力の流体貯留器(図示せず)、又は熱泉(thermal well)242)に接続されてもよいし、(b)高圧供給源(例えば、貯留器222の圧力の流体貯留器(図示せず))に接続されてもよいし、(c)圧縮過程の間に低圧で、膨張過程の間に高圧に、(図示されない弁構成を用いて)選択的に接続されてもよいし、(d)シリンダ201の圧力変更流体208に接続部212を介して接続されてもよいし、又は、(e)これらの選択肢のある組合せに接続されてもよい。

    初期状態において、シリンダ組立体201は、ガス206(例えば、弁221及び通気口223を介してシリンダ組立体201に導入された空気)と、熱伝達流体208(例えば、水又は他の適切な液体を含んでもよいし、又は、それらから基本的に構成されてもよい)とを収容してもよい。 ガス206がシリンダ組立体201に入るとき、ピストン202は、ガス206を上昇した圧力(例えば、おおよそ3,000psi)まで圧縮するように作動される。 熱伝達流体(熱伝達流体208と同一の実体である必要はない)が、管213からポンプ214へと流れる。 ポンプ214は、熱交換流体の圧力を、'409号出願に記載されるように、シリンダ組立体201内の圧力よりいくらか高い圧力まで(例えば、おおよそ3,015psigまで)、熱交換流体の圧力を上昇させることができる。 代替又は併用で、本発明の実施形態は、2011年8月17日に出願された米国特許出願第13/211,440号('440号出願)に記載されるように、比較的低圧の流体だけを熱交換器又は流体貯留器を通過させることによって、シリンダ組立体201の高圧ガスに熱(つまり、熱エネルギー)を加えるか、又は、シリンダ組立体201内の高圧ガスから熱を除去する。 '440号出願は、本明細書において参照によりその全体の開示が組み込まれている。

    そして、熱伝達流体は、熱交換器203(ここで、熱伝達流体の温度が変更される)を通過され得る管216を通り、次に、管218を通って噴霧機構210へと至るように送られる。 したがって、循環する熱伝達流体は、液体若しくは泡を含んでもよいし、又はそれらから基本的に構成されてもよい。 噴霧機構210は、図に示すように、シリンダ組立体201内に配置されてもよいし、貯蔵貯留器222若しくは通気口223に配置されてもよいし、又は、管218、若しくは、シリンダ組立体を貯蔵貯留器222若しくは通気口223に接続する配管など、シリンダ組立体の周囲の配管若しくはマニフォールドに配置されてもよい。 噴霧機構210は、圧縮の間、通気口223又は接続管において作動でき、別体の噴霧機構は、膨張の間、貯蔵貯留器222又は接続管で作動できる。 噴霧機構210(及び/若しくは任意の他の噴霧機構)からの熱伝達噴霧211、並びに/又は、シリンダ組立体101の内部若しくは外部の機構からの泡が、シリンダ組立体201内でのガス206の実質的に等温の圧縮を可能にする。

    ある実施形態では、熱交換器203は、熱伝達流体を低圧(例えば、シリンダ組立体201における圧縮行程又は膨張行程の最大圧力より低い圧力)の条件に整えるように構成され、熱伝達流体は、'440号出願に記載されるように、ストローク間で、又は、ストロークの一部の間だけで、熱的に条件が整えられる。 本発明の実施形態は、運転の間に自在に曲がるホースを使用せずに、例えば、自在に曲がらないように構成された管若しくはストロー(straw)、及び/又は、シリンダ組立体の内部の(例えば、シリンダ組立体のピストンロッドの内に少なくとも一部が配置される)ポンプ(例えば、水中ボアポンプ、軸流ポンプ、又は他のインライン式ポンプ)の使用を通じて、熱伝達流体を循環するように構成されている。 これは、2011年9月16日に出願された米国特許出願第13/234,239号('239号出願)に記載されており、239号出願は、本明細書において参照によりその全体の開示が組み込まれている。

    圧縮行程の終端又は終端近くで、制御システム226は、弁220を開けて、圧縮ガス206を貯蔵貯留器222へと吸い込ませる。 弁220及び221の作動は、シリンダ組立体201におけるピストン位置、貯蔵貯留器222での圧力、シリンダ組立体201の圧力、及び/又は、シリンダ組立体201の温度など、制御システム226への様々な入力によって制御され得る。

    前述のように、制御システム226は、実質的に等温の運転、つまり、例えば、シリンダ組立体201へのガスの導入及びシリンダ組立体201からのガスの排出、圧縮の速さ及び/若しくは膨張の速さ、並びに/又は、感知された条件に応答した熱交換サブシステムの運転に対する制御を介して、シリンダ組立体201のガスの膨張及び/又は圧縮を実行できる。 例えば、制御システム226は、シリンダ組立体201内又はシリンダ組立体201上に配置された、シリンダ組立体201内のガス及び/又は熱交換流体の温度を測定するための1又は2以上のセンサに応答でき、温度の偏差に対して、感知された温度の偏差をリアルタイムで補正するように、前述のシステムの1又は2以上の構成部品を作動させる制御信号を出力することで応答する。 例えば、シリンダ組立体201内の温度上昇に応答して、制御システム226は、熱交換流体208の噴霧211の流量を増加する命令を出力できる。

    さらに、本発明の実施形態は、シリンダ組立体201(又は、シリンダ組立体201の室)が、第2のシリンダ(例えば、図4に示されるようなもの)の空気圧室と流体連通しているシステムに適用できる。 この第2のシリンダは、さらに、第3のシリンダと同様に連通してもよく、以下同様である。 任意の数のシリンダが、この方法で連結できる。 これらのシリンダは、圧縮及び膨張が複数の段階で行われる並列の構成又は直列の構成で接続できる。

    熱交換器203の流体回路は、水、冷却剤混合物、水性泡、又は、任意の他の許容可能な熱交換媒体で満たすことができる。 代替の実施形態では、空気又は冷媒などのガスが、熱交換媒体として用いられる。 一般的に、流体は、閉ループ又は開ループでは、このような流体の大きな貯留器への管路に沿って送られる。 開ループの一例は、周囲環境の水が引き込まれ、排出水が、例えば川の下流といった、別の場所に送られる、井戸又は水の実体である。 閉ループの実施形態では、冷却塔が、熱交換器に戻すために、水を空気を通して循環できる。 同様に、流体の流れが別のサイクルのために熱交換器へと戻る前に、流体の流れを大気温度に戻すために逆の熱交換が行われる連続する配管の水中にあるコイル又は埋設されたコイルを、水は通過できる。

    様々な実施形態において、熱交換流体は、'731号特許に記載されるように、熱交換器203の外部熱交換側の流体入口238及び流体出口240を、熱エンジン発電所、廃熱を伴う産業プロセス、ヒートポンプ、及び/若しくは、加熱若しくは冷却する空間を必要とする建物などの設備に接続することで、加熱若しくは冷却の要求のために、条件が整えられるか(つまり、予備加熱及び/若しくは予備冷却される)、又は、使用される。 代替で、熱交換器203の外部熱交換側は、図2に示すように、熱泉242に接続されてもよい。 熱泉242は、システムと共に使用するために一定温度の熱流体供給源として機能する大きな水貯留器を含んでもよいか、又は、その水貯留器から基本的に構成されてもよい。 代替で、水貯留器は、前述のように、産業プロセスなどからの廃熱に、設備内に収容される別の熱交換器を介して、熱的に連結されてもよい。 これによって、熱交換流体は、構成に依存して、エネルギー貯蔵/変換システムにおける加熱/冷却媒体として後で使用するために、連結されたプロセスから熱を得る、又は、連結されたプロセスに熱を吐き出すことができる。 代替で、熱泉242は、例えば、温水熱泉及び冷水熱泉といった、2つ以上のエネルギー貯蔵媒体の実体を含むことができる。 温水熱泉及び冷水熱泉は、熱泉242が単一のエネルギー貯蔵媒体の実体を含むシステムと比較して、システム200のエクセルギーを増加させるために、典型的には対照的なエネルギー状態で維持される。 水以外の貯蔵媒体が熱泉242で利用されてもよく、温度変化、相変化、又はそれら両方が、エネルギーを貯蔵又は放出するために、熱泉242の貯蔵媒体によって用いられてもよい。 大気、地面、及び/又は、環境の他の構成への熱的な連結又は流体の連結(図示せず)が、システム200に含まれてもよく、質量、熱エネルギー、又はそれらの両方を、熱泉242に加えることができるか、又は、熱泉242から除去することができる。 さらに、図2に示すように、熱伝達サブシステム224は、熱泉242と直接的に流体を交換しないが、他の実施形態では、流体が、熱伝達サブシステム224と熱泉242との間で、流体間の分離を維持する熱交換器なしで、直接的に通過される。

    図3は、機械的エネルギーを圧縮ガスのポテンシャルエネルギーへと効率よく変換する(つまり、貯蔵する)ために、空気圧シリンダ302を用いる例示のシステム300の主要な構成部品の概略であり、別の運転モードでは、圧縮ガスのポテンシャルエネルギーを機械的な仕事に効率よく変換する(つまり、回収する)。 空気圧シリンダ302は、シリンダ302の内部を遠位室306と近位室308とに分割する摺動可能に配置されたピストン304を収容できる。 関連する管312と双方向弁316とを伴う1又は2以上のポート(図示せず)は、ガスを、高圧貯蔵貯留器320から室306に望むように吸い込ませることができる。 関連する管322と双方向弁324とを伴う1又は2以上のポート(図示せず)は、ガスを、室306から通気口326を介して大気に望むように排出させることができる。 代替の実施形態で、通気口326は、追加の低圧空気圧シリンダ(又は、シリンダの空気圧室)によって置き換えられる。 1又は2以上のポート(図示せず)は、室308の内部を周囲大気と常に自由に連通させることができる。 代替の実施形態では、シリンダ302は複動式であり、室308は、室306と同様に、運転の様々な状態において、流体を吸い込ませると共に排出するように設けられる。 ロッド330の遠位端はピストン304に連結されている。 ロッド330は、クランクシャフト、液圧シリンダ、又は、'678号及び'842号特許に記載されるように、直線的な機械運動を有用な仕事に変化するための他の機構に接続できる。

    エネルギー回収運転モード又はエネルギー膨張運転モードでは、貯蔵貯留器320は、高圧の空気(又は他のガス)332と、ある量の熱伝達流体334とで満たされている。 熱伝達流体334は、噴霧される又は作用されるときに泡となる傾向がある水性の泡又は液体であってもよい。 泡となる傾向がある水性の泡の液状部分又は液体は、2%〜5%のある添加物を加えた水を含んでもよいし、又は、その水から基本的に構成されてもよく、それらの添加物は、耐腐食性、耐摩耗性(潤滑性)、対生物成長性(殺生物性)、凝固点改質(不凍性)、及び/又は、表面張力改質の作用をもたらしてもよい。 添加物は、鉱物油などの潤滑流体のマイクロエマルション、グリコール(例えば、プロピレングリコール)などの薬品の溶液、又は、可溶性合成物質(例えば、エタノールアミン)を含んでもよい。 このような添加物は、液体の表面張力を小さくする傾向があり、噴霧されたときに実質的な泡立ちをもたらす。 市販されている流体が、おおよそ5%の水溶液に用いられてもよく、鉱物油のマイクロエマルションから一部がなるMecagreen 127(MichiganのCondat Corporation社から入手可能)や、溶解性のエタノールアミンから一部がなるQuintolubric 807-WP(PennsylvaniaのQuaker Chemical Corporation社から入手可能)などがある。 プロピレングリコールから一部がなるCryo-tek 100/Al(New JerseyのHercules Chemical Company社から入手可能)を含む他の添加物が、より高濃度(50%水溶液など)で使われてもよい。 これらの流体は、噴霧されつつ泡立ちするのを高めるためや、貯留器にあるときに泡が消えるのを早めるために、さらに改質されてもよい。

    熱伝達流体334は、高入口圧で低電力消費のポンプ336('731号特許に記載されるようなもの)を介して、貯蔵貯留器320で循環させることができる。 様々な実施形態において、流体334は、貯蔵貯留器320の最下部から配管338を介して除去されてもよいし、ポンプ336を介して熱交換器340を通じて循環されてもよいし、配管342及び噴霧ヘッド344(又は他の適切な機構)を介して貯蔵貯留器320の最上部に再び導入(例えば、噴霧)されてもよい。 ガスの除去又は追加(例えば、管312を介する)による貯留器320内の圧力のあらゆる変化は、一般的に、貯留器320内のガス332の温度の変化を引き起こす傾向がある。 流体334を貯蔵貯留器のガス332を通じて噴霧及び/又は泡立てることで、熱が、熱伝達流体334との熱交換を介して、ガス332に加えられ得るか、又は、ガス332から除去され得る。 熱伝達流体334を熱交換器340を通じて循環することで、流体334及びガス332の温度は、実質的に一定に(つまり、等温に)維持できる。 ほぼ大気圧の向流熱交換流体346が、後でより詳細に説明するように、ほぼ大気温度の熱泉(図示せず)又は供給源(例えば、廃熱供給源)又は熱エネルギーのシンク(例えば、冷水供給源)から循環されてもよい。

    本発明の様々な実施形態において、貯留器320は、水性の泡を、ガス状部分と液状部分とに分離されているか、又は一部分離されているかのいずれかで、収容する。 このような実施形態では、ポンプ336は、泡自体、又は、分離された泡の液状部分、又は、それらの両方のいずれかを循環でき、また、貯留器320への流体の再循環は、図3には示していない装置による泡の再生を含んでもよい。

    エネルギー回収運転モード又はエネルギー膨張運転モードでは、ある量のガスが、ピストン304が上端の近くにある、又はその行程の上端(つまり、シリンダ302の上死点)にあるとき、弁316及び管312を介してシリンダ302の上方室306に導入され得る。 そして、ピストン304とそのロッド330とは、下向きに移動することになる(シリンダ302は任意の配向とされてよいが、この図示した実施形態では鉛直に配向されて示されている)。 熱交換流体334は、同時に、選択的なポンプ350を介して(代替で、ポンプ350が必要ないように、圧力損失が経路312に導入されてもよい)、管352及び一方通行弁354を通って室306内に導入され得る。 この熱交換流体334は、室306内に、1又は2以上の噴霧ノズル356を介して、泡360を生成するように噴霧させることができる。 (ある実施形態では、泡360は、泡の形態で室306内に直接導入される。)泡360は、全体の室306を全体で満たすことができるが、例示の目的だけのために図3に示されるのは、室306を一部だけ満たしている。 本明細書では、用語「泡」は、(a)泡だけ、又は、(b)泡と他の泡でない状態(例えば、滴)の熱交換液体との様々な任意の混合物のいずれかを表している。 さらに、一部の泡でない液体(図示せず)は、室306の最下部に溜まる可能性があり、任意のこのような液体は、全体的に、本明細書では泡360を参照し、室306内に含まれる。

    システム300は、圧力センサ、ピストン位置センサ、及び/又は温度センサ(図示せず)が備えられており、また、制御システム362によって制御される。 ピストン304の所定位置において、ある量のガス332及び熱伝達流体334が、室306内に吸い込まれており、弁316及び弁354が閉じられる。 (弁316及び354は、各々が所望の流体量に基づいた制御値を有しているため、同時又は異なる時間に閉じることができる。)そして、室306のガスは、自由膨張され、ピストン304を下向きに駆動し続ける。 この膨張の間、泡360の非存在において、ガスは温度が実質的に低減する傾向がある。 泡360が室を大体又は全体において満たす場合、室306のガスの温度及び熱伝達流体360の温度は、熱交換を介して互いに近くなる傾向がある。 泡360(例えば、1又は2以上の添加物を含む水)の液状部分の熱容量は、ガス(例えば、空気)の熱容量よりかなり大きい可能性があるため、ガス及び液体の温度は、多くの回数のガス膨張(例えば、250psigからほぼ大気圧まで、又は、他の実施形態では、3,000psig〜250psig)を通じても実質的に変化しない(つまり、実質的に等温である)。

    ピストン304がその行程の終端(下死点)に到達するとき、室306内のガスは、所定の低圧(例えば、ほぼ大気圧)まで膨張されている。 そして弁324が開かれ、室306からのガスを、管322及び通気口326を通して大気に(ここで図示するように)、又は、他の実施形態では、管322を介して膨張過程にある次の段(例えば、別体のシリンダの室)に、どちらかに放出できる。 弁324は、ピストンが上向きの(つまり、戻りの)行程になっているときに開いたままで、室306を空にする。 泡360の一部又は実質的に全部も、管322を介して室306から押し出される。 分離器(図示せず)、又は、重力分離などの他の手段が、熱伝達流体を、好ましくは泡のない状態で(つまり、添加物を含むか又は含まない単なる液体として)回収するために、及び、回収した熱伝達流体を管366を介して貯蔵貯留器364に導くために、用いられる。

    ピストン304が行程の上端に再び到達するとき、ガス332及び熱伝達流体334が容器320から弁316及び354を介して吸い込まれる過程が繰り返される。 追加の熱伝達流体が貯留器320で必要とされる場合、その熱伝達流体は、貯留器320内に、貯留器364から配管367及び選択的なポンプ/モータ368を介して送り戻すことができる。 一運転モードでは、ポンプ368は、貯留器320の圧力が実質的に一定に保持されるように、貯留器320を連続的に補充するために用いることができる。 つまり、ガスが貯留器320から除去されるにつれて、熱伝達流体334が、貯留器320の一定の圧力を維持するために加えられる。 他の実施形態では、ポンプ368は、用いられないか、又は、間欠的に用いられ、貯留器320の圧力は、エネルギー回収過程の間(つまり、ガスの貯留器320からの除去を含む)に低減し続け、したがって、制御システム362は、ピストン304がその行程の終端に到達するときにおおよそ同じ終了圧力に到達するように、弁316及び354のタイミングを変化させる。 エネルギー回収過程は、貯蔵貯留器320において加圧されたガス332がほとんど空になるまで続くことができ、そのとき、エネルギー貯蔵過程が、貯蔵貯留器320を加圧されたガス332で再充填するために使われてもよい。 他の実施形態では、エネルギー回収過程及びエネルギー貯蔵過程は、運転者の要求に基づいて交互に行われる。

    エネルギー貯蔵運転モード又はエネルギー圧縮運転モードのいずれにおいても、貯蔵貯留器320は、典型的には、ある量の熱伝達流体334を収容しているため、典型的には、高圧ガス332が少なくとも部分的に枯渇している。 貯留器364は、低圧(例えば、大気圧、又は、シリンダ302の圧縮局面に対して吸入圧力として作用する何らかの他の低圧)であり、ある量の熱伝達流体370を収容している。

    熱伝達流体370は、貯留器364内で、低電力消費のポンプ372によって循環できる。 様々な実施形態において、流体370は、貯留器364の最下部から配管367を介して除去されてもよいし、ポンプ372を介して熱交換器374を通じて循環されてもよいし、配管376及び噴霧ヘッド378(又は他の適切な機構)を介して貯留器364の最上部に再び導入(例えば、噴霧)されてもよい。 流体370を貯留器のガス380を通じて噴霧することで、熱が、熱伝達流体370を介して、ガスに加えられ得るか、又は、ガスから除去され得る。 熱伝達流体370を熱交換器374を通じて循環することで、流体370及びガス380の温度は、ほぼ一定に(つまり、等温に)維持できる。 ほぼ大気圧の向流熱交換流体382が、ほぼ大気温度の熱泉(図示せず)又は供給源(例えば、廃熱供給源)又は熱エネルギーのシンク(例えば、冷水供給源)から循環されてもよい。 ある実施形態では、向流熱交換流体382は、膨張の間のエネルギー回収を向上させるために高温となっているか、及び/又は、向流熱交換流体382は、圧縮の間のエネルギー使用を低減するために低温となっている。

    エネルギー貯蔵運転モード又はエネルギー圧縮運転モードでは、ある量の低圧ガスが、ピストン304がシリンダ302の上死点の近くにあるときから始めて、弁324及び管322を介してシリンダ302の上方室306に導入される。 低圧ガスは、周囲大気(例えば、ここで図示しているように、通気口326を通じて吸い込まれ得る)からのものであってもよいし、前の圧縮段などの加圧されたガスの供給源からのものであってもよい。 吸入行程の間、ピストン304とそのロッド330とは、下向きに移動し、ガスを引き込む。 熱交換流体370は、同時に、選択的なポンプ384を介して(代替で、ポンプ384が必要ないように、圧力損失が経路386に導入されてもよい)、管386及び一方通行弁388を通って室306内に導入され得る。 この熱交換流体370は、室306内に、1又は2以上の噴霧ノズル390を介して、泡360を生成するように導入(例えば、噴霧)させることができる。 この泡360は、吸入行程の終端までに、室306を一部又は全部満たすことができ、例示の目的だけのために、泡360は、図3では室306を部分的に満たすように示されている。 吸入行程の終端において、ピストン304は行程の終端位置(下死点)に到達し、室306は、低圧(例えば、大気)の空気と熱交換液体とから生成された泡360で満たされる。

    行程の終端において、行程の終端の位置にあるピストン304によって、弁324は閉じられる。 弁388も、弁324と同時である必要はないが、所定量の熱伝達流体370が吸い込まれた後に閉じられ、泡360を作り出す。 熱伝達流体370の量は、圧縮される空気の量、圧縮比、及び/又は、熱伝達流体の熱容量に基づいてもよい。 次に、ピストン304とロッド330とは、機械的手段(例えば、液圧流体、液圧シリンダ、機械的クランクシャフト)を介して上向きに駆動されて、室306内のガスを圧縮する。

    この圧縮の間、泡360の非存在において、室306のガスは温度が実質的に増加する傾向がある。 泡360が室を少なくとも部分的に満たす場合、室306のガスの温度及び泡360の液状部分の温度は、熱交換を介して平衡する傾向がある。 泡360(例えば、1又は2以上の添加物を含む水)の液状部分の熱容量は、ガス(例えば、空気)の熱容量よりかなり大きい可能性があるため、ガス及び液体の温度は、多くの回数のガス圧縮(例えば、ほぼ大気圧から250psigまで、又は、他の実施形態では、250psig〜3,000psig)を通じても実質的に変化せず、ほぼ等温である。

    室306のガス(泡360のガス状部分を含む、又は、そのガス状部分から基本的に構成される)は、例えば、貯蔵貯留器320内の圧力とおおよそ等しい圧力といった、適切な圧力まで圧縮され、そのとき、弁316が開かれる。 そして、ガス状部分及び液状部分の両方を含む泡360は、ピストン304及びロッド330の引き続いての上向きの移動によって、弁316及び管312を通じて貯蔵貯留器320に送られる。

    ピストン304が行程の上端に再び到達するとき、低圧ガス及び熱伝達流体370が通気口326及び貯留器364から弁324及び388を介して吸い込まれる過程が繰り返される。 追加の熱伝達流体が貯留器364で必要とされる場合、その熱伝達流体は、貯留器364に、貯留器320から配管367及び選択的なポンプ/モータ368を介して戻すことができる。 モータ368から回収される電力は、ピストン304及びロッド330を駆動するための機械的機構を駆動するのを支援するために用いられてもよいし、又は電気モータ/発電機(図示せず)を介して電力に変換されてもよい。 ある運転モードでは、モータ368は連続的に運転されてもよく、一方、貯留器320は、その圧力が実質的に一定に保持されるようにガスで満たされていく。 つまり、ガスが貯留器320に加えられるにつれて、熱伝達流体334が、貯留器320内の実質的に一定の圧力を維持するために、貯留器320から除去される。 他の実施形態では、モータ368は、用いられないか、又は、間欠的に用いられ、貯留器320の圧力は、エネルギー貯蔵過程の間に上昇し続け、したがって、制御システム362は、ピストン304が行程の下端に到達するときに所望の終了圧力(例えば、大気圧)が室306内に実現されるように、弁316及び388のタイミングを変化させる。 エネルギー貯蔵過程は、貯蔵貯留器320が加圧されたガス332によって最高貯蔵圧力(例えば、3,000psig)で満たされるまで続いてもよく、その後、システムは、エネルギー貯蔵過程を実施する準備が整う。 様々な実施形態において、システムは、貯蔵貯留器320が加圧されたガス332で一部だけ満たされたときに、最高貯蔵圧力であるか、又は、大気圧と最高貯蔵圧力との間の中間の何らかの貯蔵圧力であるかに拘わらず、エネルギー回収過程を開始できる。 他の実施形態では、エネルギー回収過程及びエネルギー貯蔵過程は、運転者の要求に基づいて交互に行われる。

    図4は、少なくとも2つのシリンダ組立体402、406(つまり、図1の組立体101の実施形態であって、例えば、図2のシリンダ組立体201である)と、各々のシリンダ組立体402、406と関連する熱伝達サブシステム404、408(例えば、図2のサブシステム224)とを特徴とする例示のシステム400を示す。 また、システムは、破線によって示すように、熱伝達サブシステム404、408のいずれか又は両方と関連し得る熱泉410(例えば、図2の熱泉242)を備えてもよい。

    組立体402は、比較的高い圧力(例えば、おおよそ3,000psig)で流体を保持できる貯蔵貯留器412(例えば、図1における符号112、図2における符号222)と選択的に流体連通している。 組立体406は、組立体402、及び/又は、組立体402と406との間の省略記号422で指示される選択的に追加されるシリンダ組立体と、選択的に流体連通している。 組立体406は、大気への通気口420(例えば、図1における符号120、図2における符号223)と選択的に流体連通している。

    システム400は、大気圧にある空気(通気口420を通してシステム400に吸い込まれた)を、組立体406及び402を通じて、貯留器412で貯蔵するための高圧に段階的に圧縮できる。 システム400は、貯留器412の高圧からの空気を、組立体402及び406を通じて、通気口420を通して大気に放出するための低圧(例えば、おおよそ5psig)に段階的に膨張もできる。

    本明細書において参照によりその全体の開示が組み込まれている、2011年4月6日に出願された米国特許第8,191,362号('362号特許)に記載されるように、高圧(例えば、おおよそ3,000psig)と低圧(例えば、おおよそ5psig)との間でガスを膨張又は圧縮するために用いられるN個のシリンダ組立体の一群において、システムは、高圧の限度と低圧との間の中間にN−1段階の圧力においてガスを収容することになる。 本明細書では、このような各々の中間の圧力は、「中間圧力」と呼ばれる。 例示のシステム400では、N=2でN−1=1であり、システム400では1つの中間圧力(例えば、膨張の間におおよそ250psig)がある。 システムの運転の様々な状態において、中間圧力は、直列に接続されたシリンダ群(例えば、組立体402及び406のシリンダ)の室のいずれにおいても、及び、それら室と流体連通しているあらゆる弁、配管、及び他の装置内においても、発生し得る。 例示のシステム400では、中間圧力は、本明細書では「中間圧力P1」で表され、弁、配管、並びに、組立体402及び406の間の中間にある他の装置で、主に発生する。

    組立体402は高圧組立体である。 つまり、組立体402は、高圧において貯留器412からガスを吸込んで、そのガスを中間圧力P1まで膨張して組立体402に送ることができるか、及び/又は、中間圧力P1において組立体406からガスを吸込んで、そのガスを高圧まで圧縮して貯留器412に送ることができる。 組立体406は低圧組立体である。 つまり、組立体406は、中間圧力P1において組立体402からガスを吸込んで、そのガスを低圧まで膨張して通気口420に送ることができるか、及び/又は、低圧において通気口420からガスを吸込んで、そのガスを中間圧力P1まで圧縮して組立体402に送ることができる。

    システム400では、拡張されたシリンダ組立体402が、中間圧力組立体414を介して、拡張されたシリンダ組立体406と連通している。 本明細書では、「中間圧力組立体」は、弁と、配管と、室と、ガスが通過及び進入する他の構成部品と流体連通して配置されたガスの貯留器とを含むか、又は、それらから基本的に構成される。 貯留器のガスは、特定の中間圧力組立体が提供するように意図された中間圧力におおよそなっている。 貯留器は、弁、配管、室、及び、貯留器が流体連通している他の構成部品内の容積とおおよそ等しい体積の中間圧力のガスが、その圧力を実質的に変えることなく貯留器に出入りできるように、十分な大きさがある。 また、中間圧力組立体は、脈動減衰、追加の熱伝達能力、流体分離を提供でき、並びに/又は、サブシステム404及び/若しくは408の一部若しくは全部などの1又は2以上の熱伝達サブシステムを収めることができる。 '362号特許に記載のように、中間圧力組立体は、例えば図4のシステム400といった、空気圧シリンダ組立体を採用するシステムの様々な構成部品における死空間の量を実質的に減少することができる。 死空間の減少は、全体のシステム効率を向上する傾向がある。

    代替又は併用で、中間圧力組立体414を迂回する管及び弁(図4には示されていない)によって、流体を組立体402と組立体406との間で直接的に通すことができる。 弁416、418、424、及び426は、組立体402、406、412、及び414の間の流体の通路を制御する。

    制御システム428(例えば、図1における符号122、図2における符号226、図3における符号362)は、例えば、組立体402及び406、中間圧力組立体414、貯蔵貯留器412、熱泉410、熱伝達サブシステム404、408、並びに/又は、環境周囲システム420からの様々なシステム入力(例えば、圧力、温度、ピストン位置、及び/又は流体状態)に基づいて、システム400のすべての弁の作動を制御できる。

    システム400と同様であるが、1つ、2つ、又はそれ以上の中間圧の拡張されたシリンダ組立体を組み込むことで異なっているシステムが、追加で過剰に実験することなく考案できることは、空気圧機械の技術に適度に精通しているものには明らかであろう。 システム400に付随するすべての見解は、省略記号422で指示されるように、実質的な修正をすることなく、このようなN個のシリンダのシステムに適用できることも明らかであろう。 このようなN個のシリンダのシステムは、本明細書ではさらに詳述しないが、検討されており、本発明の範囲内にある。 '678号特許に示され、記載されるように、N個の適切な大きさとされたシリンダは、N≧2の場合、元の(単一のシリンダの)運転流体圧力範囲RをR 1/Nに縮小でき、それに応じて、単一のシリンダのシステムに作用する力の範囲と比較して、N個のシリンダのシステムにおいて各々のシリンダに作用する力の範囲を縮小できる。 この利点及び他の利点は、'678号特許で説明されるように、N個のシリンダのシステムにおいて実現できる。 また、複数の同一のシリンダが、並列で追加ができ、共通又は別々の駆動機構(図示せず)に取り付けることができ、省略記号432、436によって指示されるシリンダ組立体402、406は、より高い出力と空気流量とを可能にする。

    図5は、本発明の実施形態による、空気圧シリンダ502(一部を断面で示している)を用いた、エネルギー貯蔵及び回収のためのガスのおおよそ等温の圧縮及び膨張を実現するためのシステム500の構成部品を示す概略図である。 シリンダ502は、典型的には、シリンダ502を2つの室506、508に分割する摺動可能に配置されたピストン504を収容する。 貯留器510は、高圧(例えば、3,000psi)でガスを収容し、また、貯留器510は、ある量の熱交換液体512も収容する。 熱交換液体512は、液体の泡立つ傾向を、(例えば、液体512の表面張力を低下させることにより)増加させる添加物を含んでもよい。 添加物は、界面活性剤(例えば、スルホン酸塩)、鉱物油などの潤滑流体のマイクロエマルション、グリコール(例えば、プロピレングリコール)などの薬品の溶液、又は、可溶性合成物質(例えば、エタノールアミン)を含んでもよい。 スルホン酸塩(例えば、IllinoisのStepan Company社から入手可能なBio-SoftD-40などの直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩)などの発泡剤が追加されてもよいし、又は、消火剤の泡の濃縮物など市販されている発泡濃縮物(例えば、TexasのChemGuard社から入手可能なものなどのフッ素系界面活性剤)が用いられてもよい。 このような添加物は、水の液体表面張力を小さくする傾向があり、噴霧されたときに実質的な泡立ちをもたらす。 市販されている流体が、おおよそ5%の水溶液に用いられてもよく、鉱物油のマイクロエマルションから一部がなるMecagreen 127(MichiganのCondat Corporation社から入手可能)や、溶解性のエタノールアミンから一部がなるQuintolubric 807-WP(PennsylvaniaのQuaker Chemical Corporation社から入手可能)などがある。 プロピレングリコールから一部がなるCryo-tek 100/Al(New JerseyのHercules Chemical Company社から入手可能)を含む他の添加物が、より高濃度(50%水溶液などで)で使われてもよい。 これらの流体は、噴霧されつつ泡立ちするのを高めるため、及び貯留器にあるときに泡が消えるのを早めるために、さらに改質されてもよい。

    ポンプ514及び配管516は、熱交換液体を、本明細書では「混合室」(符号518)と呼ばれる装置に運ぶことができる。 貯留器510からのガスも、混合室518に、(配管520を介して)運ぶことができる。 混合室518内では、泡生成機構522が、貯留器510からのガスと配管516によって運ばれた液体とを混ぜ合わせて、本明細書では泡Aと呼ばれる、ある等級(つまり、泡の大きさの差異、平均の泡の大きさ、空隙比)の泡524を混合室518の内部に作り出す。

    混合室518は、スクリーン526、又は、泡の構造を変化若しくは均質にする他の機構(例えば、超音波の供給源)を収容してもよい。 スクリーン526は、例えば、混合室518の出口又は出口の近くに、配置できる。 スクリーン526を通過した泡は、泡Aと異なる泡の大きさ及び他の特徴を有してもよく、本明細書では泡B(符号528)と呼ばれる。 他の実施形態では、スクリーン526は、泡Aが意図的な変更なしで室506に送られるように、省略される。

    混合室518の出口は、配管530からの流体をシリンダ502の上方室(空気室)506に吸い込ませる弁532(例えば、ポペット式の弁)によって開閉されるシリンダ502のポートに、配管530によって接続されている。 弁(図示せず)が、貯留器510から配管520を通って混合室518に流れ、混合室518から配管528を通ってシリンダ502の上方室506に流れるガスを制御できる。 別の弁534(例えば、ポペット式の弁)は、上方室506を、例えば、追加の分離器装置(図示せず)、別のシリンダの上方室(図示せず)、又は、周囲大気への通気口(図示せず)といった、システム500の他の構成部材と連通させることができる。

    貯留器510の容積は、混合室518及びシリンダ502の容積と比較して大きく(例えば、少なくともおおよそ4倍大きく)てもよい。 泡A及び泡Bは、好ましくは、システム500の典型的な周期的運転の時間尺度の一部又は全部にわたって、静的に安定した泡である。 例えば、120RPM(1回転当たり0.5秒)のシステムに関して、泡は、5.5秒後、又は、1回転の時間のおおよそ5倍を超える時間の後、実質的に変化しないまま(例えば、10%の排出未満)であり得る。

    貯留器510に貯蔵されるガスが膨張されてエネルギーを放出する進行の運転の初期状態において、弁532は開けられており、弁534は閉じられており、ピストン504はシリンダ502の上死点の近くにある(つまり、シリンダ502の最上部に向かっている)。 貯留器510からのガスは、配管520を通って混合室518に流れることができる一方で、貯留器510からの液体は、ポンプ514によって混合室518に汲み出される。 このようにして混合室518に運ばれたガスと液体とは、泡生成機構522によって混ぜ合わされて泡A(符号524)を形成し、その泡Aは、混合室518の主室を部分的又は実質的に満たす。 混合室518から出るとき、泡Aは、スクリーン526を通過し、それによって泡Bに変更される。 泡Bは、貯留器510に貯蔵されるガスとおおよそ同じ圧力にあり、弁532を通って室506に入る。 室506では、泡Bは、ピストン504に接続されると共にシリンダ502の下方エンドキャップを摺動可能に通り抜けるロッド536によって、シリンダ502の外部の機構(例えば、発電機であり、図示されていない)につなげられ得るピストン504に、力を与える。

    室506の泡のガス状部分は、ピストン504とロッド536とが下向きに移動するにつれて膨張する。 ピストン504の下向きの移動のある位置において、貯留器510からのガスの混合室518への流れ、したがって(泡Bのガス状成分としての)室506への流れは、弁(図示せず)の適切な作動によって終了され得る。 室506の泡のガス状部分は、膨張するにつれて、熱が伝達されない場合は、理想気体の法則に従って温度が低下する傾向がある。 しかしながら、室506の泡の液状部分が、室506の泡のガス状部分より高い温度にある場合、熱が液状部分からガス状部分に伝達される傾向がある。 そのため、室506内の泡のガス状部分の温度は、ガス状部分が膨張するにつれて、一定(おおよそ等温)に留まる傾向がある。

    ピストン504が、シリンダ502の下死点に近づくとき(つまり、シリンダ502の移動の限界まで下に移動したとき)、弁532は閉じることができ、弁534は開けることができ、室506の膨張したガスを、シリンダ502から、例えば、通気口、又は、さらなる膨張のための別のシリンダの室といった、システム500の何らかの他の構成部品に通すことができる。

    ある実施形態では、ポンプ514は可変速度ポンプである。 つまり、ポンプ514は、貯留器510から泡生成機構522により遅くか又はより速い速度で液体512を送るように作動でき、制御システム(図示せず)からの信号に応答できる。 液体512がポンプ514によって泡機構522に送られる速さが、ガスが貯留器510から配管520を通って機構522に運ばれる速さに対して大きくされる場合、機構522によって生成される泡の空隙比が低下され得る。 機構522によって生成された泡(泡A)が比較的低い空隙比を有する場合、室506に運ばれる泡(泡B)も、概して、比較的低い空隙比を有する傾向がある。 泡の空隙比がより低いとき、いっそう多くの泡が液体からなり、そのため、泡のガス状部分及び泡の液状部分が互いに熱平衡になる(つまり、相対温度における変化を止める)前に、より多くの熱エネルギーが、ガス状部分と液状部分との間で交換され得る。 比較的高い密度(例えば、周囲温度、高圧)のガスが貯留器510から室506に送られるとき、より低い空隙比を有する泡を生成し、泡の液状部分が、それに応じたより大きな量の熱エネルギーを泡のガス状部分と交換することができることは有利であり得る。

    本明細書で以降の図面に示されるすべてのポンプは、可変速度ポンプであってもよく、制御システムからの信号に基づいて制御されてもよい。 制御システムからの信号は、1又は2以上の以前の圧縮及び/又は膨張のサイクルからのシステムの実働(例えば、ガス温度及び/又は圧力、サイクル時間など)の測定に基づいてもよい。

    本発明の実施形態は、所与の量の熱交換液体512の表面積を(液体512とシリンダ502内で膨張又は圧縮されることになるガスとの間の、対応して加速される熱伝達を伴って)大幅に増加させることが、例えば、液体512の噴霧への変換といった、液体の表面積を増加する代替の方法によって必要とされるよりも少ないエネルギー投資で可能とすることで、圧縮されたガスを用いたエネルギーの貯蔵及び回収のためのシステム500の効率を向上する。

    他の実施形態では、貯留器510は、図5に示す高圧貯蔵貯留器というより、分離器である。 このような実施形態では、'128号出願に示され、記載されるように、分離器を、高圧ガス貯蔵貯留器と流体連通していると共に混合室518と流体連通している状態で配置させることができる配管、弁、及び、図5に示さない他の構成部品が、提供される。

    図6は、本発明の実施形態による、空気圧シリンダ604(一部を断面で示している)を用いた、エネルギー貯蔵及び回収のためのガスのおおよそ等温の圧縮及び膨張を実現するためのシステム600の構成部品を示す概略図である。 システム600は、バイパス管638を備えていることを除いて、図5のシステム500と同様である。 さらに、2つの弁640、642を、図6に明確に示す。 バイパス管638は、以下のように採用され得る。 (1)ガスが貯蔵貯留器610から放出され、混合室618で熱交換液体612と混合され、シリンダ604の室606に運ばれてその中で膨張されるとき、弁640は閉じられ、弁642は開けられている。 (2)ガスがシリンダ604の室606で圧縮されてから貯蔵のために貯留器610に運ばれるとき、弁640は開けられ、弁642は閉じられている。 弁640及びバイパス管638を通過する流体は、弁642及びスクリーン626を通って泡生成機構622の周りを通過する流体より、より少ない摩擦を受ける傾向がある。 他の実施形態では、弁642が省略され、流体は、混合室618によって与えられるより大きな抵抗によって、バイパス管638に沿って送ることができ、弁640は、ガスが膨張モードで放出されるとき、流体の流れを防ぐ逆止弁である。 室606から抵抗の少ない経路(つまり、バイパス管638)を介した貯留器610への流体の方向は、このような流れの間に、より小さい摩擦損失をもたらす傾向があり、そのため、システム600に関してより高い効率をもたらす傾向がある。

    他の実施形態では、貯留器610は、図6に示す高圧貯蔵貯留器というより、分離器である。 このような実施形態では、分離器を、高圧ガス貯蔵貯留器と流体連通していると共に混合室618及びバイパス管638と流体連通している状態で配置させることができる配管、弁、及び、図6に示さない他の構成部品が、提供される。

    図7は、本発明の実施形態による、空気圧シリンダ702(一部を断面で示している)を用いた、エネルギー貯蔵及び回収のためのガスのおおよそ等温の圧縮及び膨張を実現するためのシステム700の構成部品を示す概略図である。 システム700は、混合室518を省略して、代わりに、貯蔵貯留器710内で泡を生成することを除いて、図5のシステム500と同様である。 システム700では、ポンプ714が、熱交換液体712を、貯留器710内の泡生成機構722(例えば、1又は2以上の噴霧ノズル)に循環させる。 貯留器710は、ポンプ714及び機構722を用いて、初期又は元々の特性の泡である泡A(符号724)によって、一部又は全体が満たされ得る。 貯留器710は、管720を介して、シリンダ702の弁ゲートポート744と流体連通して配置され得る。 弁(図示せず)は、管720を通る流体の流れを支配できる。 管720内にあるが貯留器710とシリンダ702の室706との間の流体の流れの経路におけるいずれかの位置に配置可能である図7に示す選択的なスクリーン726(又は、超音波の供給源などの他の適切な機構)が、泡A(符号724)を、泡の大きさの差異及び平均の泡の大きさなどの特性を規制する泡B(符号728)に変換するために機能する。

    他の実施形態では、貯留器710は、図7に示す高圧貯蔵貯留器というより、分離器である。 このような実施形態では、分離器を、高圧ガス貯蔵貯留器と流体連通していると共にシリンダ702と流体連通している状態で配置させることができる配管、弁、及び、図7に示さない他の構成部品が、提供される。 他の実施形態では、図6に示すものと同様のバイパス管が、流体をシリンダ702から貯留器710にスクリーン726を通過させずに通すことができるように、システム700に追加される。

    図8は、本発明の実施形態による、空気圧シリンダ802(一部を断面で示している)を用いた、エネルギー貯蔵及び回収のためのガスのおおよそ等温の圧縮及び膨張を実現するためのシステム800の構成部品を示す概略図である。 システム800は、混合室518を省略して、代わりに、シリンダ802の空気室806内で泡を生成することを除いて、図5のシステム500と同様である。 システム800では、ポンプ814は、熱交換液体812を、室806内に配置されるか、又は、室806と(例えば、ポートを通って)連通する泡生成機構822(例えば、シリンダ内、及び/又は、空気の通過を可能とするスクリーン上に噴射する1又は2以上の噴霧ノズル)に循環させる。 室806は、ポンプ814及び機構822を用いて(及び、貯留器810から管820を介してポート844を通って供給されるガスを用いて)、泡で一部又は実質的に全体が満たされ得る。 貯留器810は、管820を介して、シリンダ802の弁ゲートポート844と流体連通して配置され得る。 弁(図示せず)は、管820を通る流体の流れを支配できる。

    図9は、空気が圧縮及び膨張される対とされた高圧シリンダ及び低圧シリンダを採用する例示のCAESシステム900の概略図である。 シリンダのうちの半分は高圧シリンダ(符号900の図でブロック902で指示されるHPC)であり、シリンダのうちの半分は低圧シリンダ(符号900の図でブロック904で指示されるLPC)であり、2段圧縮過程をもたらす。 ブロック902は、あるN個の高圧シリンダ(図示せず)を表しており、ブロック904は、同じ数のN個の低圧シリンダ(図示せず)を表している。 HPC及びLPCは、一緒にクランクシャフトを駆動し、そのクランクシャフトは、さらに発電機を駆動するか、又は、システム900のある運転状態では、電気モータによって駆動される。 システム900と同様の運転の原理を採用するが、他のサブシステム、他の機構、他の部品配置、他の数の段(つまり、単一の段又は1段より多くの段)、並びに、数が等しくない高圧シリンダ及び低圧シリンダを備えるシステムも、検討されており、本発明の範囲内にある。

    LPCをHPCから分離することは、圧縮過程又は膨張過程の間に、HPC902及びLPC904を緩衝して切り離す中間圧力容器(MPV)906である。 これによって、各々のシリンダ組立体(つまり、シリンダにガスが入ること又はシリンダからガスが脱出することを制御する高圧シリンダ又は低圧シリンダの各々及び弁)は、システム900内のすべての他のシリンダ組立体から独立して運転できる。 シリンダ組立体の独立した運転は、さらに、各々のシリンダ組立体の性能の最適化(弁タイミングの最適化)を可能にする。 例えばコンピュータ化された制御装置といった、システム制御装置(図示せず)が、個々のシリンダの運転を、お互いに、並びに、システム900内の他の空気圧部品及び過程と連係させる。

    シリンダ902、904、及びMPV906に加えて、システム900は、低圧(例えば、大気圧)で熱伝達流体(例えば、処理水)を保持する噴霧貯留器908と、圧縮のためにLPCに吸入させるための泡及び/又は噴霧を大気圧で作り出す低圧噴霧室910と、HPCでの膨張のために泡及び/又は噴霧を貯蔵圧力(つまり、ガス及び/又は熱伝達流体が圧縮の後、及び/又は、膨張の前に貯蔵される圧力)で作り出す高圧噴霧室912とを備えてもいる。 最後に、システム900は、高圧噴霧室912を介してHPC902に接続される1又は2以上の貯蔵貯留器(図示せず)を備えている。 貯蔵貯留器は、典型的には、例えば、システム900によって圧縮されて発電を行うように後の膨張のために貯蔵された空気といった、圧縮された空気を収容する。

    HPC群902及びLPC群904のシリンダ組立体の各々は、典型的には、図2のシリンダ201と同様のシリンダと、図2の弁220と同様の高圧側弁と、図2の弁221と同様の低圧側弁組立体とを備えている。 各々の高圧側弁は、シリンダの外に開くと共に、シリンダの膨張室/圧縮室を、概してその室より高い圧力である容積に接続する1又は2以上のポペット要素を備えるか、又は、そのポペット要素から基本的に構成される。 低圧シリンダについては、高圧側弁はシリンダの膨張室/圧縮室をMPV906に接続し、高圧シリンダについては、高圧側弁はシリンダの膨張室/圧縮室を高圧噴霧室912に接続する。 これらの高圧側弁は、シリンダの中に開くのではなく、シリンダの外に開くため、シリンダの過大圧力条件において、開いていることを受動的に確認し、システム構成部品への損傷を伴う可能性がある静水ロック事象の危険性、又は、システム運転との干渉の危険性を低減する。

    各々の低圧側弁は、シリンダ内に開くと共に、シリンダの膨張室/圧縮室を、概してその室より低い圧力である容積に接続する1又は2以上のポペット要素を備えるか、又は、そのポペット要素から基本的に構成される。 低圧シリンダについては、低圧側弁はシリンダの膨張室/圧縮室を噴霧貯留器908に接続し、高圧シリンダについては、低圧側弁はシリンダの膨張室/圧縮室をMPV906に接続する。 低圧側及び高圧側の両方で、すべての弁は、液圧によって作動できる。 可変カム駆動弁、電磁作動弁、機械作動弁、及び空気圧作動弁などの他の作動弁も考慮されており、利用することができる。

    システム900は、正常な圧縮過程(若しくは、「圧縮サイクル」)又は正常な膨張過程(若しくは、「膨張サイクル」)を周期的に実施できる。 正常な圧縮過程では、各々の低圧シリンダ及び各々の高圧シリンダは、各々が関連する弁の位置構成を有する一連の4つの状態又は局面を通じて進行する。 4つの局面は(1)圧縮行程、(2)直接充填、(3)再生又は膨張行程、及び、(4)取り込み、吸入、又は補助行程である。 局面の番号付けは、局面が繰り返しサイクルで実施されるとき、いずれの局面も、慣習による以外では「一番目」ではない意味で、任意のものである。 この説明では、システム900におけるすべての高圧側弁及び低圧側弁が、瞬間で理想的に作動すると仮定されており、理想的でない弁作動の実施は、後で説明することとする。 4つの局面を以下で詳細に説明する。

    圧縮行程は、シリンダのピストンがその行程範囲の下端にあるときに始まる。 シリンダの膨張室/圧縮室(本明細書では、単に「室」とも称される)は、比較的低圧(例えば、大気圧)の空気で満たされている。 例えば、シリンダは、その前に、その低圧側弁を通じてその低圧側の供給源から空気を引き込んでいてもよい(例えば、HPCは空気をMPV906から引き込んでおり、LPCは空気を周囲吸入/排出ポートから引き込んでいる)。 ピストンが行程の下端にあるため、シリンダの低圧側弁及び高圧側弁は、まだ閉じていない場合は両方とも閉じられ、ピストンは上向きに移動し始め、室内の空気を圧縮する。 つまり、圧縮行程が開始する。 圧縮行程は、ピストンが、両方の弁が閉じられた状態で、行程の下端から上に移動するにつれて継続する。 圧縮局面は、シリンダの圧力が、シリンダがその高圧側において接続される構成部品(例えば、MPV906又は高圧噴霧室、したがって高圧貯蔵貯留器)の圧力とおおよそ等しくなったとき、名目上終了する。 この時点で、直接充填の行程又は局面が始まる。

    直接充填の行程又は局面は、ピストンがなおも上向きに移動している間に起こり、室内の圧縮された空気をシリンダの外部であって高圧側構成部品内に押し込むことを含む。 直接充填は、シリンダ及び高圧側容器の圧力がおおよそ等しく、且つ、高圧側弁が開くように作動されるとき、開始する。 低圧側弁は閉じられたままである。 いったん高圧側弁が開くと、シリンダは、ピストンが行程の上端に向かって移動し続けるとき、圧縮された空気をシリンダの室から高圧側構成部品に押し込む。 直接充填は、シリンダが行程の上端に到達したときに終了し、そのときすぐに高圧側弁は閉じられる。

    再生行程は、シリンダピストンが行程の上端から離れるように下向きに移動するとき、両方の弁が閉じられた状態で起こる。 各々のシリンダは、ある程度の量の隙間容積を有しており、その隙間容積は、ピストンが行程の上端にあるときに存在し、ピストンの上方且つ弁の下方において、すべての接続部及び隙間にあるシリンダ内の物理的空間である。 さらに、シリンダ(例えば、システム900)内の熱伝達を効果的にするために液体/水の混合物を利用するCAESシステムでは、隙間容積のある一部が、液体と一部空気とによって占められることになる。 シリンダの特定の運転状態の間に空気によって占められた隙間容積のその部分は、その運転状態におけるシリンダの空気死容積(本明細書では、単に「死容積」とも呼ばれる)である。 これは、圧縮行程の間に圧縮されたが、その後に高圧側構成部品に押し出されなかった空気の部分である。 この圧縮された空気はエネルギー(つまり、熱と弾性ポテンシャルとの両方)を含み、再生行程は、このエネルギーを再び取り戻すことができる。 再生行程は、行程の上端で、両方の弁が閉じられた状態で開始し、ピストンが下向きに移動して死容積の空気を膨張させるときに続いていく。 再生行程は、シリンダの圧力が低圧側容器の圧力まで低下し、低圧側弁が開くように命令されたときに終了する。

    シリンダピストンが下向きに移動するにつれて、ひとたび低圧側弁が開けられると、吸入行程が始まる。 吸入行程が続き、新しい空気を引き込んで、ピストンが行程の下端に到達するまで次の行程で圧縮される。 この時点において、低圧側弁は閉じられ、次の圧縮行程が始まり得る。

    4つの圧縮段階の各々は、弁変位事象、つまり、1又は2以上の弁が開く又は閉じることによって、前の段階及び後の段階から分離されている。 上記の段階の説明において、弁の変位点は、行程の上端、行程の下端、又は、圧力の均一化として明確に定義されていたが、これは、システム900の弁が理想的に瞬間で応答することを仮定している。 しかしながら、有限のバルブ応答時間のため、各々の弁変位事象は、システム最適化のための機会となっている。

    前述の第1の弁変位事象は、吸入行程から圧縮行程への変位であり、この変位は、下死点(BDC;ピストンがその移動の一番下の位置にある条件)において名目上起こる。 有限(ゼロではない)弁の応答時間のため、低圧側弁は、BDCの若干前に閉じるように命令される必要があり、BDCの若干後に完全に着座して閉じられることになるだろう。 この弁の変位が早すぎることは、本来よりも少ない空気が引き込まれ、より少ない空気が次の圧縮行程の間に圧縮されることになる(能力の減少)ことを意味している。 弁の変位が遅すぎることは、引き込まれる空気の一部が、弁が完全に着座する前に再排出されることを意味しており、これもまた能力の減少をもたらす。

    第2の弁事象は、圧縮の終わりであり、直接充填に変位し、そこで高圧側弁が開かれて、空気の室への吸込みを終了すると共に空気を高圧側容器に押し込み始める。 名目上、高圧側弁は、室の圧力が高圧側構成部品の圧力と等しくなるときに開く。 しかしながら、有限の弁応答時間のため、圧力が等しくなったときに弁が開かれるように命令される場合、室内の圧力は、弁が開くように変位している間、室からの流れが高圧側弁を通るのに制限されて絞られるため、室内の圧力が著しく急上昇することになる。 圧力急上昇は、高圧側弁に、圧力が室と高圧側構成部品とで等しくなる前に開けるように命令することで、回避され得る。 しかしながら、室の圧力が高圧側構成部品内の圧力よりなおも低いときに高圧側弁が開き始める場合、高圧側構成部品からの流れが高圧側弁を通って室内に逆向きに流れるため、室へのある程度の量の逆流が発生することになる。 (この逆流は、高圧側弁が部分的に開いているため、絞られることになる。)高圧側弁の開かれるのが早すぎる場合、室内の圧力は、高圧側構成部品の圧力に急上昇することになり、ピストンは、室から高圧側構成部品に空気を押し戻すために追加の仕事を行う必要がある。 したがって、この弁変位は、逆流と圧力急上昇との間の二律背反を伴い、それらの両方が、圧力プロファイルと、ピストンによって空気に行われる必要のある仕事とに影響を与える。

    直接充填の終わりにおいて高圧側弁を閉じる弁変位は、システム能力に影響を与える。 高圧側弁の閉じられるのが早すぎる場合、本来よりも少ない空気が高圧側構成部品に押し込まれ、圧力は低下する前に瞬間的に急上昇することになる。 高圧側弁の閉じられるのが遅すぎる場合、高圧側構成部品に押し込まれた空気の一部は、ピストンが上死点(TDC;ピストンがその移動の一番上の位置にある条件)から離れるように移動するとき、再び引き戻されることになり、高圧側弁が閉じ終わるにつれて、流れが絞られるため、シリンダに逆流している空気のエネルギーがピストンへの仕事を小さくする。 絞りで失われる可能性のある仕事の損失は、一般的に、回収されない。

    最後に、低圧側弁を開けて吸入行程を開始する、再生行程の終わりでの変位は、ピストンに行われる仕事に影響を与える。 低圧側弁の開けられるのが早すぎる場合、ピストンに仕事をし続ける死容積からの高圧で残っている空気が、もはや膨張することがなくなるが、開いている低圧側弁を通って膨張する(絞られる)ことになる。 低圧側弁が開くのが遅すぎる場合、室の圧力が低圧側構成部品の圧力未満に低下し、ピストンは、ピストンを引っ張り下げると共に部分的に開いた低圧側弁を通して空気を引っ張るために、追加の仕事を行う必要がある。

    同様に、正常な膨張過程では、各々の低圧シリンダ及び各々の高圧シリンダは、各々が関連する弁の位置構成を有する一連の4つの状態又は副過程を通じて進行する。 4つの状態は、(1)放出(又は排出、又は補助)行程、(2)予備圧縮行程、(3)直接駆動、及び、(4)膨張行程である。 局面の番号付けは、局面が繰り返しサイクルで実施されるとき、いずれの局面も、慣習による以外では「一番目」ではない意味で、任意のものである。 この説明では、システム900におけるすべての高圧側弁及び低圧側弁が、瞬間で理想的に作動すると仮定されており、理想的でない弁作動の実施は、後で説明することとする。 4つの局面を以下で詳細に説明する。

    膨張サイクルは、ピストンがBDCから上向きに移動し始め、低圧側弁が開いた状態で、行程の下端で始まり、放出行程を開始する。 ピストンがBDCから離れるように上向きに移動するにつれて、室の空気(例えば、前のサイクルで膨張された空気)は、低圧側弁を通じて低圧側構成部品に排出される(例えば、HPCからMPV906に、又は、LPCから大気吸入/排出ポートに排出される)。 放出行程は、低圧側弁が閉じられて予備圧縮行程が始まるときに終了する。 一般的に、ピストンは、放出行程が終了して予備圧縮行程が始まるとき、障害なく上向きに移動し続ける。

    シリンダピストンは、上向きに移動し続けられていき、TDCに到達する前に、低圧側弁が閉じられて予備圧縮行程を開始する。 予備圧縮では、高圧側弁と低圧側弁との両方が閉じられ、室内に捕捉された空気体積が圧縮される。 予備圧縮の事象の制御では、目的とすることは、ピストンがTDCに到達するときに、室に捕捉された空気がシリンダに隣接する高圧側構成部品の圧力にできるだけ近くまで圧縮され、そのようなときに低圧側弁を閉じることである。 これによって、高圧側弁は、いずれの側でも等しい圧力の状態で、行程の上端において開くことができ、ある量のガスの仕事を行わない圧力損失のため、その弁を通るおおよそゼロに絞られた流れと、エクセルギーのおおよそゼロの損失とをもたらすことになる。 予備圧縮の開始(低圧側弁を閉じること)のタイミングは、等しい圧力の目的の達成に大きな影響を与える。

    ピストンがTDCで高圧側弁が開けられると、直接駆動行程が開始する。 直接駆動では、ピストンがTDCから離れるように下に移動していき、高圧側構成部品の空気が膨張していき、高圧側弁を通って室に流入し、ピストンを下向きに直接的に駆動する。 直接駆動行程は、適切な質量の空気がシリンダに加えられるまで続き、その時点で高圧側弁が閉じて膨張行程が開始する。 一般的に、ピストンは、直接駆動行程が終了して膨張行程が始まるとき、障害なく下向きに移動し続ける。

    膨張行程では、両方の弁が閉じられ、直接駆動局面の間に室に吸い込まれた空気が膨張し、その空気がピストンを下向きに駆動しながらピストンに仕事を行い続ける。 正確な質量の空気が直接駆動の間にシリンダに加えられた場合、膨張行程の終端における空気圧は、ピストンがBDCに到達する瞬間の行程の終端の目標圧力とおおよそ等しくなる。 高圧シリンダについては、行程の終端の目標圧力は、MPVにおける圧力であり、低圧シリンダについては、行程の終端の目標圧力は、典型的には大気圧より若干高い通気口の圧力である。 ピストンがBDCに到達すると、低圧側弁が開けられ、シリンダは次の放出行程において上に移動開始する。

    圧縮サイクル又は膨張サイクルの間に弁を作動するタイミングは、サイクルの効率に著しい影響を有する可能性がある。 このような影響は、ある実施形態では、圧縮サイクルの間よりも膨張サイクルの間でより大きくなる傾向がある。 膨張サイクルの間、第1の弁変位は、前述のように、予備圧縮を開始するために低圧側弁を閉じることである。 この弁変位の不正確又は準最適なタイミングは、サイクルにとって重大な結果を有する可能性がある。 第1に、この弁変位は、素早い高圧側弁の変位(短い作動時間)を必要とすることと関連している。 弁が閉じるにつれて、室の圧力は急速に上昇し、変位の間に弁を通る絞られた流れを引き起こす。 したがって、変位がより遅いと、流れの損失がより大きくなる。 第2に、弁が理想的とされるよりも後に閉じられる場合、シリンダで圧縮する空気がより少なくなり、また、空気を圧縮する間の行程長さがより短くなり、TDCにおいて、高圧側容器の圧力より低い圧力となる。 この差が十分に大きい場合、圧力は、最小の結合圧力を下回ることになり、高圧側弁は物理的に開くことができなくなり(つまり、作動装置が、圧力差に対して、弁を開けるだけの力を提供できなくなる)、シリンダは膨張サイクルを完了できなくなる。 TDCでの圧力が最小の結合圧力を上回るが高圧側構成部品内の圧力を下回る場合、高圧側弁が開くことはできないが、ガスは、開いている事象の間、有用な仕事をピストンに行うことはないが、シリンダ内に流れ込むことになる。 反対に、予備圧縮の開始に低圧側弁が閉じるのが早く起きすぎる場合、室内の圧力は、ピストンがTDCに到達する前に、高圧側構成部品内の圧力に到達することになり、また、ピストンがTDCに到達するときまでに、高圧側構成部品内の圧力を超えることになる。 この場合、より多くの空気が、必要より多く再圧縮されることになり(また、より少ない空気が排出されることになる)、能力の低下をもたらす。 室の圧力がTDCの前に高圧側容器に到達する場合、高圧側弁は、シリンダの過加圧を防ぐために、TDCを待つよりも、圧力が等しいときに開くべきである。

    高圧側弁がTDCで開き、シリンダが直接駆動になると、ピストンが下に移動する状態で、次の変位は、直接駆動の終わりに高圧側弁が閉じることである。 この変位は、能力と効率との両方に影響を与える可能性がある。 完璧な弁のタイミングにおいて(つまり、高圧側弁を閉じるのが、正確に正しい質量の空気がシリンダに引き込まれるような時間に起こる)、圧力は、膨張局面の間に低下し、おおよそBDCで目標圧力と等しくなる。 弁の閉じられるのが早すぎる場合、室はBDCの前に目標圧力に到達し、本来よりも、行程の間により少ない空気が膨張されることになる(つまり、能力を損失する)。 高圧側弁の閉じられるのが遅すぎる場合、室の圧力はBDCでなおも目標を上回ることになり、圧力差は、弁が開かれるや損失を伴うことになる。

    最後の弁の変位は、低圧側弁が開かれるときである、膨張行程の終端である。 理想的には、膨張行程の終端における圧力は、厳密にBDCにおいて、目標圧力と等しい。 室の圧力がBDCの前に目標圧力まで低下する場合、弁が開けられて、クランクシャフトはピストンを引っ張り下げるように仕事をする必要がなくなる。 圧力が目標まで低下する前にピストンがBDCに到達する場合も、弁が開くべきである。 (室の圧力が最大許容可能放出圧力を超える場合、例外が発生し得る。)この弁を開ける事象は、他の弁の作動事象に関して先に説明したのと同様の形で、有限の弁応答時間によっても影響される。

    同様の考察は、システム900の圧縮モードの間の弁作動事象のタイミング及び非理想性にも当てはまることは、空気圧技術及び液圧装置に精通する者には明らかであろう。 例えば、圧縮行程と直接充填行程との間の変位では、前述のように、シリンダの高圧側弁が開く。 高圧側弁が開けられるのが遅すぎる場合、室内の圧力は、高圧側構成部品(つまり、高圧貯蔵容器)内の圧力を超えることになり、ガスは、弁の作動において仕事を行わない形で、室から高圧側構成部品内に膨張することになる。 高圧側弁が開けられるのが早すぎる場合、室内の圧力は、高圧側構成部品内の圧力未満になり、ガスは、弁の作動において仕事を行わない形で、高圧側構成部品から室内に膨張することになる。 弁の作動タイミングは、圧縮過程の間のシリンダ運転の他の局面間の他の変位において、同様に抑制される。

    図10は、図2に示すシステム200と同様又は同一でさえある例示のCAESシステムにおける4つの異なる膨張のシナリオに関する、時間の関数としてのシリンダ圧力の例示的なプロットである。 点描によって印がされた図10の点A、B、C、D、及びEは、システム200の1若しくは2以上の構成部品の運転状態に対応しているか、又は、以下で説明するこのような運転状態における変化に対応している。 示された例示のプロットでは、点Aは空気圧シリンダ組立体(図2における符号201)の初期状態を表しており、その間においては、シリンダ組立体内に摺動可能に配置されたピストン(図2における符号202)が上死点にあり、貯蔵貯留器(図2における符号222)と低圧のシリンダ組立体201との間にある高圧側弁(図2における符号220)が開けられている。 点Bは、運転の直接駆動局面の終わりを表しており、その間においては、貯蔵貯留器222と低圧のシリンダ組立体201との間の高圧側弁220が閉じられ、シリンダ組立体201内の圧力は、ボトル圧力P (つまり、図2の貯蔵貯留器222内のガスの圧力(例えば、300psi))とおおよそ等しくなる。 点Cは、膨張の段階又は局面の終わりを表しており、その間において、シリンダ組立体201に吸い込まれたある量のガスは、シリンダ組立体201内に摺動可能に配置されたピストン202に、ボトル圧力P の上死点から排出圧力P exhaustの下死点まで仕事を行う。 点Cは、ピストン202が下死点にあるとき、大気への通気口(図2における符号223)とシリンダ組立体201との間にある低圧側弁(図2における符号221)の開く作動も表している。 点A、B、及びCは、以下に説明するシステム200の運転の4つのシナリオすべてにおいて、おおよそ同じ運転状態を表している。

    点Dの4つの種類(4つの異なる弁作動のシナリオに対応するためにD 、D 、D 、及びD とラベル付けされている)は、排出段階の終わり及び予備圧縮段階の開始を表しており、したがって、事象Dは、通気口223(又は低圧段)とシリンダ組立体201との間の低圧側弁221の閉じる作動に対応する。 事象Eの4つの種類(4つの異なる弁作動のシナリオに関するE 、E 、E 、及びE )は予備圧縮段階の終わりを表し、このとき、ピストン202は再び上死点にあると共にシリンダ組立体201内の圧力はボトル圧力P とおおよそ等しい。 システムが周期的に運転される場合、点E(いずれの種類も)はすぐに点Aに進行し、膨張サイクルは繰り返され得る。 予備圧縮行程の終わりにおける(つまり、点Eのいずれかの種類における)シリンダ組立体201内の圧力は、低圧側弁221を閉じる相対的なタイミングによって(つまり、点Dのいずれかの種類において)決定される。

    理想的とされた膨張のシナリオ(図10において実線によって表されたシナリオ1)では、シリンダ組立体201に死容積がなく、すべての弁作動が瞬間的に起こる。 低圧側弁221は、ピストン202が上死点にあるとき、点D において閉まり、その直後に高圧側弁220が点E で開く。 シナリオ1では、行程の上端において加圧する体積がないため、シリンダ組立体201の加圧が、結合損失なく即座に発生する。 D 及びE と同時である、シリンダ組立体201のこの瞬間的な加圧は、点D /E において、図10のシナリオ1の線の完全な垂直状態によって表されている。 シナリオ1は、図10では基準線として示されている。

    第2のシナリオ(図10において太い破線によって表されたシナリオ2)では、死容積がシリンダ組立体201に存在する。 点Cと点D との間で、ピストン202は、シリンダ組立体201内で、低圧側弁221が開いてシリンダ組立体201の上方室からのガスの放出を可能にする状態で、戻り行程を行う。 点D では、低圧側弁221が閉じられることで、シリンダ組立体201に上方室に残っているガスが、戻り行程の残りの間に加圧されることになる。 しかしながら、シナリオ2では、低圧側弁221が閉じられるのが遅すぎ、シリンダ組立体201の上方室に不十分な量のガスしか捕捉できず、そのため、ピストン202が上死点に到達するとき、シリンダ組立体201の上方室内のガスは、貯蔵ボトル圧力P より低い圧力P になる。 別の言い方をすれば、作動の点D は、適切な予備圧縮をシリンダ組立体201に残っているガスの点E までに可能にするために、時間(又は、ピストン位置)において生じるのが遅すぎている。 適切な予備圧縮は、おおよそ貯留器の圧力P までである。 高圧側弁が点E で開けられるとき、貯留器の圧力P に加圧されたガスが貯蔵貯留器222(又は、ある他の実施形態では、前のシリンダの段)から低圧のシリンダ組立体201に吸い込まれるとき、結合損失が生じる。

    第3のシナリオ(図10において短い破線によって表されたシナリオ3)では、点D 、つまり、通気口223とシリンダ組立体201との間にある弁221が閉まるのが、正確に時間通りとされて、シリンダ組立体201の上方室のガスを、ピストン202が上死点にあるとき(点E )、貯蔵されたボトル圧力P と実質的に等しい圧力P に到達させることができる。 別の言い方をすれば、作動の点D が正確な時間(又は、ピストン位置)にあるため、シリンダ組立体201に残っているガスの予備圧縮は、点E において、貯留器圧力P とおおよそ等しい圧力P となる。 シリンダ組立体202の上方室内の圧力P が貯蔵貯留器222(又は、前のシリンダ段)からのガスの圧力P とおおよそ等しいとき、弁220が開かれたときに結合損失はほとんど又はまったくなく、全体のシステムの効率及び性能が向上されることになる。

    第4のシナリオ(図10において太い点線によって表されたシナリオ4)では、通気口223とシリンダ組立体201との間にある弁221が閉められるのが早すぎ(点D )、ピストン202が上死点に到達するとき(点E )、シリンダ組立体201の上方室内の圧力が、貯蔵されたボトル圧力P より高い圧力P に到達する。 別の言い方をすれば、作動の点D は時間(又は、ピストン位置)において早すぎ、シリンダ組立体201の上方室で残っている空気の予備圧縮は、点E で、貯留器の圧力P を超える。 貯蔵容器222(又は、より前のシリンダ段)とシリンダ組立体201との間にある弁220が開けられるとき(点E )、間の圧力の差は結合損失を引き起こす。

    システム制御装置(図2における符号226)は、システム200の前の膨張サイクル及び現在の状態からフィードバック(例えば測定からの情報)を受け取るようにプログラムされてもよい。 このようなフィードバックは、情報的によるか又は機械的によるかに拘わらず、低圧側弁221を閉じて予備圧縮を開始する点Dのタイミングを調節するために用いることができる。 例えば、システムの条件の測定に対して弁の作動時間を設定するために、参照テーブルが用いられてもよい。 ある実施形態では、制御装置226は、前回の膨張行程のタイミング情報と、予備圧縮過程の完了(点E)におけるシリンダ201及び貯留器222の圧力測定とを利用して、弁221が閉じる次の時間を設定する。 このようなフィードバックは、膨張機/圧縮機の最適な性能を提供し、効率、性能、及びシステム部品の寿命を向上できる。 弁220の開く時間と膨張サイクルの他の事象とは、フィードバックに基づいて、システム制御装置226によって調節されてもよい。

    したがって、本発明の実施形態によれば、弁が早くか又は遅く作動して圧縮又は膨張の過程の全体の効率を低下させる場合、弁タイミングのフィードフォワード及びフィードバックの組合せの制御によって、ガスの圧縮又は膨張の間に、効率が最大にされる。 弁タイミングのこの効率は、理想的な弁タイミングで必要とされる仕事を、実験的又は準最適な弁タイミングによって実際に測定された仕事と比較することで、数学的に計算できる。 測定可能な他の要素、又は、測定可能な値及び衝突効率によって計算可能な他の要素は、膨張過程の間の貯蔵システムの圧力低下の速度、圧縮過程の間の質量貯蔵の速度、及び、いずれかの過程の間の過小加圧又は過大加圧の程度である。 圧縮過程及び膨張過程の両方に関して、典型的には、弁タイミングを最適化することで近づけることができる既知の理想的な圧力プロファイルがある。 理想的な圧力プロファイルには、圧力−体積曲線における重要な位置に関する総合的な仕事を最小又は最大とする弁タイミングを決定することによって、近づけることができる。 このようなタイミングの値を導き出すことや、システムをこのような弁タイミングの値に従わせることは、弁タイミング制御装置のフィードフォワード構成部品を構成する。 モデリングの不正確性、システム外乱、素早く生じるシステム変化、又は、長期間のシステムのドリフトの修正は、弁タイミング制御装置で代表的測定を取り入れることで実施され、これは、弁タイミング制御装置のフィードバック成分を構成する。 各々の弁変位事象は、本明細書で説明したように、効率のために最適化され得る。 例えば、圧縮行程の終端において高圧側弁を開けて直接充填すると、早い作動は、ガスを高圧側貯留器からシリンダに逆向きに進行させて、圧縮過程の効率を低下させ、また、遅い作動は、圧力の急上昇をもたらすことで、圧縮を完了するために必要とされる仕事を増加し、弁が開いてシリンダ圧力の空気が貯蔵と均一になったときに有用なエネルギーの損失を引き起こす。 したがって、手短に言えば、本明細書で利用される、圧縮又は膨張の過程の「最大化した効率」は、弁のタイミングの最適化を伴って、特定の量のガスの膨張の間の損失仕事を最小若しくは排除するか、又は、特定の量のガスを圧縮するために必要とされる追加の仕事を最小若しくは排除する。

    図11は、最初に高圧空気圧シリンダでガスを膨張し、次に低圧空気圧シリンダでガスを膨張することを含む膨張過程からの実験的試験データのグラフ表示である。 つまり、図11のデータが導かれた物理的システムでは、第1の高圧シリンダが、ガスを高圧P から中間圧P まで膨張し、一方、第2の低圧シリンダが、(a)その膨張室のガスを、あらかじめ存在する既定圧P (図11におけるプロットA)から予備圧縮しなかったか、又は、(b)その膨張室の予備圧縮されたガスを、あらかじめ存在する既定圧P から中間圧P (図12におけるプロットB)まで予備圧縮したかのいずれかである。

    プロットAでは、第1の高圧シリンダの膨張室の圧力が、P からP までの室の内容物の膨張の間の時間の関数として、曲線1100及び1104によって示されており、第2の低圧シリンダの膨張室の圧力が、時間の関数として、曲線1102、1106、及び1108によって示されている。 高圧シリンダのガスの膨張は、曲線1100によって示されている。 低圧シリンダのガスのおおよそ一定の圧力は、曲線1100によって記録された膨張と同時の戻り行程によって排出されており、曲線1102によって示されている。

    ラベル付けされた点A に対応する瞬間において、弁は、第1の高圧シリンダの膨張室を第2の低圧シリンダの膨張室と流体連通させるために開かれる。 2つの室はその時に異なる圧力にあり(つまり、高圧シリンダ室のガスはP であり、低圧シリンダ室のガスはP である)、点A (弁が開く)の後、高圧シリンダの室内の圧力は中間圧P I2まで急速に低下し(曲線1104)、一方、低圧シリンダの室内の圧力は中間圧P I2まで急速に上昇する(曲線1106)。 A のすぐ後の点A までに、2つのシリンダ室の圧力は平衡となっている。 曲線1104によって示される急速な膨張は、システムのいずれの機械部品にも仕事を行わず、そのため、利用可能なエネルギーの損失(つまり、死容積の損失)を伴う。 点A において、膨張が、低圧シリンダの膨張室において、P I2からある程度低い終了圧P E1まで生じる(曲線1108)。

    プロットBでは、第1の高圧シリンダの膨張室の圧力が、P からI までの室の内容物の膨張の間の時間の関数として、曲線1110によって示されており、第2の低圧シリンダの膨張室の圧力が、P からおおよそP までの低圧シリンダ室のガスの予備圧縮の間の時間の関数として、曲線1112によって示されている。 ラベル付けされた点Bの前に、低圧シリンダは排出行程を実施しており、ガスは、おおよそ一定の圧力P の低圧室の膨張室から、開いた排出弁を通って排出されている。 点Bに対応する瞬間に、ガスが低圧シリンダの膨張室から脱出するのを可能にする弁が閉じられ、室内に固定された量のガスを圧力P で捕捉する。 そして、この量のガスが、曲線1112によって示されるように、圧力P まで圧縮される。

    点Cにおいて、低圧シリンダの膨張室の圧力は、高圧シリンダの膨張室の圧力P とおおよそ等しくなり、弁が、2つの室を互いに流体連通させるために開けられる。 2つの室はおおよそ等しい圧力にあるため、弁が開いても著しい平衡化はなく(つまり、プロットBでは、プロットAにおける曲線1104によって示される高圧シリンダのガスの膨張に相当する曲線がない)、したがって、平衡化によるエネルギー損失はほとんど又はまったくない。 点Cに続いて、膨張が、低圧シリンダの膨張室において、P からある程度低い終了圧P E2まで生じる(曲線1114)。 図11では終了圧P E2は終了圧P E1と等しくないが、これは、図11に例示される予備圧縮過程の当然の結果ではなく、終了圧P E2は、本発明の実施形態による任意の範囲の値を取り得る。

    図12は、圧縮機又は膨張機のいずれかとして運転されるシリンダ内の理想的な圧力−体積のサイクルの例示的なプロットである。 図12は、続く図面に対する説明的な背景を提供する。 瞬間的で完全な時間通りの弁作動は、挙動が図12で表されるシステムに対して仮定される。 水平軸は体積を表しており(右方向に増加する)、垂直軸は圧力を表している(上向きに増加する)。 図12において、水平軸によって表されている体積は、図2のシリンダ201と同様又は同一であると共に膨張機又は圧縮機のいずれかとして運転されているシリンダ組立体の膨張室/圧縮室の容積である。 図12の4つの曲線(1、2、3、及び4とラベル付けされている)は、周期的なループを形成しており、各々の曲線は、圧縮及び膨張の両方についての前述の運転の4つの区別できる局面のうちの1つを表している。 圧縮機として運転するシリンダに関しては、曲線1から4は、反時計回り(例えば、1、4、3、2の順)に進行し、ここで、曲線1は直接充填の局面を表しており、曲線2は圧縮行程を表しており、曲線3は吸入行程を表しており、曲線4は再生行程を表している。 膨張機として運転するシリンダに関しては、曲線1から4は、時計回り(例えば、1、2、3、4の順)に進行する。 曲線1は直接充填の局面を表しており、曲線2は膨張行程を表しており、曲線3は排出行程を表しており、曲線4は予備圧縮行程を表している。 図12の点A、B、C、及びDは、弁変位事象を表している。 各々の事象(A、B、C、又はD)がシリンダの周期的運転の間に進行されるにつれて、各々で起きる弁作動は、シリンダが膨張機又は圧縮機のいずれとして運転されているかに依存する。 具体的にはシリンダが圧縮機として運転される場合、事象Aでは、高圧側弁V1(図2における符号220)は閉じられ、低圧側弁V2(図2における符号221)は閉じたままであり、事象Dでは、V1は閉じたままでV2は開けられ、事象Cでは、V1は閉じたままでV2は開けられ、事象Bでは、V1は開けられつつV2は閉じたままである。 シリンダが膨張機として運転されている場合、事象Aでは、V1は開けられてV2は閉じたままであり、事象Bでは、V1は閉じられてV2は閉じたままであり、事象Cでは、V1は閉じたままでV2は開けられ、事象Dでは、V1は閉じたままでV2は閉じられる。

    以降の図によって明らかとされるように、図12のすべての弁変位における弁V1及びV2の有限の(非理想的、ゼロでない)作動時間の影響は、システムの能力及び/又は効率を低下させる傾向があり、また、曲線1、2、3、及び4の形を変える傾向がある。 また、図12の弁変位のタイミングの誤りは、システムの能力及び/又は効率を低下させる可能性がある。 最適な作動タイミングが、任意の所与の運転条件における各々の弁作動事象に対して存在し、この最適な時間は、概して、システムが運転される条件が変化するにつれて、変化することになる(例えば、高圧ガス貯蔵貯留器の圧力が徐々に上昇又は低下する)。

    図13は、図2に示すシステム200と同様又は同一でさえある例示のCAESシステムにおける3つの異なる膨張のシナリオに関する、シリンダ室容積の関数としてのシリンダ室圧力の例示的なプロットである。 図13は、吸入局面から予備圧縮局面への(つまり、図12における曲線3から曲線4への)変位(図12における事象D;図13には示していない)における弁V2の早く閉じる場合、正確な時間に閉じる場合、及び、遅く閉じる場合の影響を示している。 図13の圧力−体積のプロットに示す3つのシナリオは、以下で説明するように、図10の圧力−時間のプロットに示すシナリオと非常に似ている。

    図13に描かれている膨張機の圧力−体積のサイクルの領域は、膨張過程に対して定義された図12における点Aに対応している。 (非理想的なシステムでは、弁変位事象の間に生じる事象は、圧力及び体積の変化なしで生じることはなく、そのため、圧力−体積のプロットにおいて単一の点によって表すことはできない。作動弁が変位するように命令された瞬間は、弁変位の開始の一表現である。)破線の曲線1302は、放出局面から予備圧縮局面への変位においてV2(図2における低圧弁221)の閉じることが最適な時間に生じるシナリオ(正確にV2(D)が閉じるシナリオ)に関する、予備圧縮局面(図12の曲線4)の後半部分の間の、シリンダ室内のガスの圧力−体積の過程を表している。 正確にV2(D)が閉じるシナリオは、図10における点D 及び点E を通過する曲線に対応している。

    太い実線の曲線1304、1306は、放出局面から予備圧縮局面への変位においてV2の閉じることが遅いシナリオ(遅くV2(D)が閉じるシナリオ)に関する、予備圧縮局面の後半部分の間の、ガスの圧力−体積の過程を表している。 遅くV2(D)が閉じるシナリオは、図10における点D 及び点E を通過する曲線に対応している。 細い実線の曲線1308、1310は、放出局面から予備圧縮局面への変位においてV2の閉じることが早すぎるシナリオ(早くV2(D)が閉じるシナリオ)に関する、予備圧縮局面の後半部分の間の、ガスの圧力−体積の過程を表している。 早くV2(D)が閉じるシナリオは、図10における点D4及び点E4を通過する曲線に対応している。

    図13〜図16のすべての曲線は、時間において、各々の曲線に付された矢印によって示された向きで進行される。

    挙動が図13〜図16によって部分的に表されるシステムでは、V1を通じてシリンダに接続される高圧側構成部品(例えば、図2の高圧貯蔵貯留器222)のガス容積は、高圧側構成部品とシリンダ室との間の空気の交換が、高圧側構成部品内のガスの圧力P を実質的に変化させないだけの十分な大きさであると仮定されている。

    正確にV2(D)が閉じるシナリオでは、V2が閉じると、シリンダ室に正確な量の空気を捕捉して、TDCにおいて、高圧側構成部品内の圧力P とおおよそ等しい室圧を作り出す。 図13では、P はおおよそ21.5メガパスカル(MPa)である。 点1312では、室内のガスが圧力P に近くなっているとき、V1が開かれるが、高圧側構成部品のガスと室のガスとの両方がP 又はP の近くにあるため、室のガスの圧力は著しく変化しない。 その結果、ガスは、直接駆動局面の間に、おおよそ一定のP で、ピストンがシリンダ内を下降するにつれて、高圧側構成部品から室に移動される(実線の曲線1314)。 予備圧縮局面から直接駆動局面への変位の間における死容積の影響は、正確にV2(D)が閉じるシナリオでは、最小とされるか又は非存在とすらされる。

    遅くV2(D)が閉じるシナリオでは、V2が閉じると、室に不十分な量の空気を捕捉して、TDCにおいて、P とおおよそ等しい室圧を作り出す。 代わりに、室のガスは幾分低い圧力P H2を達成し、図13では、P H2はおおよそ15MPaである。 点1316では、V1が開き、高圧側構成部品のガスが室のガス(P H2 )より高い圧力(P )であるため、高圧側構成部品からのガスが素早く室に進入し、室のガスの圧力を上昇させるが、一方、室の容積は著しく変化しない。 ほぼ一定の容積における圧力−体積のこの変化は、曲線1306によって表されている。 潜在的に有用な圧力エネルギーは、高圧部品から室へのガスの仕事を実施しないこの膨張の間に失われる。 つまり、死容積の損失が発生する。 曲線1306の終わりで、室のガスは点1312に到達し、その後、遅くV2(D)が閉じるシナリオは正確にV2(D)が閉じるシナリオ(曲線1314)と一致する。

    早くV2(D)が閉じるシナリオでは、V2が閉じると、室に必要とされるよりも多くの空気を捕捉して、TDCにおいて、P とおおよそ等しい圧力を作り出す。 代わりに、ガスは幾分高い圧力P H3を達成し、図13では、P H3はおおよそ25MPaである。 点1318では、V1が開き、高圧側構成部品のガスが室のガス(P H3 )より低い圧力(P )であるため、室からのガスが素早く高圧側構成部品に進入し、室のガスの圧力を低下させるが、一方、室の容積は著しく変化しない。 ほぼ一定の容積における圧力−体積のこの変化は、曲線1310によって表されている。 潜在的に有用な圧力エネルギーは、室から高圧部品へのガスの仕事を実施しないこの膨張の間に失われる。 つまり、死容積の損失が発生する。 曲線1318の終わりで、室のガスは点1312に到達し、その後、早くV2(D)が閉じるシナリオは正確にV2(D)が閉じるシナリオ(曲線1314)と一致する。

    図14A〜図14Cは、図2に示すシステム200と同様又は同一でさえある例示のCAESシステムにおける2つの異なる膨張のシナリオに関する、シリンダ室容積の関数としてのシリンダ室圧力の例示的なプロットである。 図14A〜図14Cに示す2つのシナリオは、正確にV1(A)が開くシナリオ、及び、遅くV1(A)が開くシナリオである。 図14A〜図14Cに描かれている膨張機の圧力−体積のサイクルの領域は、膨張過程に対して定義された図12における点Aに対応している。 弁V1及びV2は、図13に関して定義されている。 図14A〜図14Cは、予備圧縮局面から直接駆動局面(つまり、図12における曲線4から曲線1)への変位において、正確な時間に弁V1が開く影響と、遅く弁V1が開く影響とを示している。 図14A〜図14Cに示すシナリオでは、前の弁変位(図12における事象D)が最適に行われたと仮定されている。 曲線1402、1404、及び1406をそれぞれ示す3つの別々の図面である図14A〜図14Cは、曲線1406によって曲線1402が部分的に不明瞭になるのを回避するように用いられている。

    図14Aの曲線1402は、点1408に到達されるまでの両方のシナリオの体積−圧力の過程を表している。 その後、2つのシナリオは分岐する。 正確にV1(A)が開くシナリオでは、シリンダがTDCに到達したとき、V1が点1408で開かれる。 予備圧縮が最適に行われたため、室の圧力はP に近く、V1が開かれたとき、室と高圧側構成部品との間のガスの交換はほとんど又はまったくなく、また、点1408に続いて、ガスは、直接駆動局面の間に、おおよそ一定のP で、ピストンがシリンダ内を下降するにつれて、高圧側構成部品から室に放出される(図14Bにおける曲線1404)。 図14A〜図14Cでは、P はおおよそ1.82MPaである。 予備圧縮局面から直接駆動局面への変位の間における死容積の影響は、正確にV1(A)が開くシナリオでは、最小又は非存在とされる。

    遅くV1(A)が開くシナリオでは、ピストンがTDCにあるがその後しばらく閉じられたままであるとき、V1は点1408で開かれない。 したがって、ピストンが下降するにつれて、室のガスの圧力−体積状態は、反対方向で曲線1402を引き返し始める(図14Cの曲線1406の左手側の部分)。 つまり、室に捕捉されたガスは単に再膨張し始める。 点1410(図14C)では、室のガスはP より著しく低いある圧力P H4に達し、V1が開かれる。 そして、ガスは高圧側構成部品から室へ進入し、室のガスの圧力をP に上昇させる一方で、室の容積は増加していく(曲線1406の上昇部分)。 高圧部品から室へのガスの仕事を実施しないこの膨張の間に、ポテンシャルエネルギーが失われ、より少ない仕事が行われる。 つまり、死容積の損失が発生する。

    図15は、図2に示すシステム200と同様又は同一でさえある例示のCAESシステムにおける3つの異なる圧縮のシナリオに関する、シリンダ室容積の関数としてのシリンダ室圧力の例示的なプロットである。 図15は、圧縮局面から直接充填局面への(つまり、図12における曲線2から曲線1への)変位(圧縮モードに対して定義された、図12における事象B)における弁V1の早く開く場合、正確な時間に開く場合、及び、遅く開く場合の影響を示している。 図15に描かれている膨張機の圧力−体積のサイクルの領域は、圧縮過程に対して定義された図12における点Bに対応している。

    点線の曲線1502(太い実線の曲線1504によって一部不明瞭とされている)は、圧縮局面から直接充填局面への変位においてV1の開くことが最適な時間に生じるシナリオ(正確にV1(B)が開くシナリオ)に関する、圧縮局面(図12の曲線2)の後半部分の間の、シリンダ室内のガスの圧力−体積の過程を表している。 太い実線の曲線1504は、圧縮局面から直接充填局面への変位においてV1の開くことが遅いシナリオ(遅くV1(B)が開くシナリオ)に関する、圧縮局面の後半部分の間の、室のガスの圧力−体積の過程を表している。 細い実線の曲線1506は、圧縮局面から直接充填局面への変位においてV1の開くことが早すぎるシナリオ(早くV1(B)が開くシナリオ)に関する、圧縮局面の後半部分の間の、ガスの圧力−体積の過程を表している。

    挙動を図15に部分的に示すシステムでは、V1及びV2は、ゼロでない作動時間を有している。 そのため、V1が開く最適な時間(つまり、正確にV1(B)が開くシナリオに関するV1の開くタイミング)は、室の圧力がP に到達する前に、点1508で発生する。 点1508では、シリンダ室のガスは高圧部品のガスの圧力P にまだ達していないが、室のガスの圧力−体積状態が、点1508から、室の圧力がP に近い点1510に進行するにつれて、少量のガスだけが部分的に開いた弁を通って室内に絞られて入る。 小規模な圧力のオーバーシュートが発生する可能性があり(曲線1502で小さな隆起で表されている)、その後、ガスは、直接充填局面の間、おおよそ一定のP で、ピストンがシリンダ内で上昇し続けるにつれて、シリンダ室から高圧側構成部品に排出される(曲線1512)。 予備圧縮局面から直接駆動局面への変位の間における死容積の影響は、正確にV1(B)が開くシナリオでは、最小又は非存在とされる。

    遅くV1(B)が開くシナリオでは、V1は点1514で開けられ、そのときまでに、室のガスは、P より著しく高い圧力P H5に到達している。 V1が遅く開いた後、室の圧力が低下するにつれて、室のガスは高圧部品に移動する(曲線1514の大きな隆起の左手側)。 エネルギーは、室から高圧部品へのガスの仕事を実施しないこの膨張の間に失われる。 つまり、死容積の損失が発生する。

    同様の曲線は、圧力が等しいときに弁が点1510において開くように変位し始めたとしても描かれ、それは、弁を開くためのゼロでない時間と、部分的に開いた弁で生じる圧力上昇とによるためである。 注目されるのは、作動弁ではなく圧力駆動される逆止弁をV1に採用するシステムでは、過大圧力(例えば、P H5 、又は、P より著しく高い何らかの他の圧力)が、V1が作動されるためには、V1の高圧部品側に対してV1の室側において達成されなければならないため、遅くV1(B)が開くシナリオ(曲線1504)と同様の圧力−体積過程が、必ずしもあまり極端ではないかもしれないが、典型的には圧縮サイクルごとに生じる。 したがって、CAESシステムにおいて逆止弁ではなく作動弁を使用することは、この点において有利であり、また、他の点においても有利である。

    早くV1(B)が開くシナリオでは、V1は点1516で開けられ、そのときまでに、室のガスは、P より著しく低い圧力P H6までしか到達していない。 V1が早く開いた後、室の圧力が上昇するにつれて、高圧部品のガスは室に流入する(曲線1506の右手側)。 エネルギーは、高圧部品から室へのガスの仕事を実施しないこの膨張の間に失われる。 つまり、死容積の損失が発生する。

    図16は、図2に示すシステム200と同様又は同一でさえある例示のCAESシステムにおける3つの異なる圧縮のシナリオに関する、シリンダ容積の関数としてのシリンダ圧力の例示的なプロットである。 図16は、再生局面から吸入局面への(つまり、図12における曲線4から曲線3への)変位(圧縮モードに対して定義された、図12における事象D)における弁V2の早く開く場合、正確な時間に開く場合、及び、遅く開く場合の影響を示している。 図16に描かれている膨張機の圧力−体積のサイクルの領域は、圧縮過程に対して定義された図12における点Dに対応している。

    点線の曲線1602は、再生局面から吸入局面への変位においてV2の開けることが最適な時間に生じるシナリオ(正確にV2(D)が開くシナリオ)に関する、再生局面(図12の曲線4)の後半部分の間の、シリンダ室内のガスの圧力−体積の過程を表している。 太い実線の曲線1604は、再生局面から吸入局面への変位においてV2の開くことが遅いシナリオ(遅くV2(D)が開くシナリオ)に関する、圧縮局面の後半部分の間の、室のガスの圧力−体積の過程を表している。 細い実線の曲線1606は、再生局面から吸入局面への変位においてV2の開くことが早すぎるシナリオ(早くV2(D)が開くシナリオ)に関する、圧縮局面の後半部分の間の、ガスの圧力−体積の過程を表している。

    挙動を図16に部分的に示すシステムでは、V1及びV2は、ゼロでない作動時間を有している。 そのため、V2が開く最適な時間(正確にV2(D)が開くシナリオに関するV2の開くタイミング)は、室の圧力がおおよそP (例えば図2の通気口233といった、シリンダとV2を通じて連通する低圧部品の圧力)に近くなる前に、点1608で発生する。 シリンダ室のガスは低圧部品のガスの圧力P にまだ低下していないが、室のガスの圧力−体積状態が、点1608から、室の圧力がP に近い点1610に進行するにつれて、少量のガスだけが部分的に開いた弁V2を通って室内に絞られて入る。 小規模な圧力のオーバーシュートが発生する可能性があり(曲線1602における窪み)、その後、ガスは、吸入局面の間、おおよそ一定のP で、ピストンがシリンダ内で下降し続けるにつれて、低圧側構成部品から室に吸い込まれる。 再生局面から吸入局面への変位の間における死容積の影響は、正確にV2(D)が開くシナリオでは、最小又は非存在とされる。

    遅くV2(D)が開くシナリオでは、V2は点1612で開けられ、そのときまでに、室のガスは、P より著しく低い圧力P L2に下降している。 V2が遅く開いた後、室の圧力が上昇するにつれて、低圧部品からのガスは室に流入する(曲線1604の大きな窪みの右手側)。 エネルギーは、低圧部品から室へのガスの仕事を実施しないこの膨張の間に失われる。 つまり、死容積の損失が発生する。

    注目されるのは、作動弁ではなく圧力駆動される逆止弁をV2に採用するシステムでは、過小圧力(例えば、P L2 、又は、P より著しく低い何らかの他の圧力)が、V2が作動されるためには、V2の低圧部品側に対してV2の室側において達成されなければならないため、遅くV2(D)が開くシナリオ(曲線1604)と同様の圧力−体積過程が、典型的には圧縮サイクルごとに生じる。 したがって、CAESシステムにおいて逆止弁ではなく作動弁を使用することは、この点において有利であり、また、他の点においても有利である。

    早くV2(D)が開くシナリオでは、V2は点1614で開けられ、そのときまでに、室のガスは、P より著しく高い圧力P L3まで低下しているだけである。 V2が早く開いた後、室の圧力が低下するにつれて、室のガスは低圧部品に脱出する(曲線1606の左手側)。 エネルギーは、室から低圧部品へのガスの仕事を実施しないこの膨張の間に失われる。 つまり、死容積の損失が発生する。

    図10及び図13〜図16を参照しつつ先の説明と同様の考察は、CAESシステムの圧縮及び膨張の運転モードの両方に関して、本明細書で明確に描写されていない弁変位事象における最適な弁作動、早い弁作動、及び遅い弁作動にも付随することは、液圧技術及び空気圧技術に精通している者にとっては明らかであろう。 CAESシステムのすべての弁変位事象において、説明した弁作動の手段によって最適化することは、検討されており、本発明の範囲内にある。 手短に言えば、2つ以上の体積のガスが、CAESシステムを運転する過程において、どこで互いに流体連通させられることになる場合でも、最適な時間とされた弁作動は、それら体積のガスが、互いの圧力がおおよそ等しいときに互いに流体連通させられるように計算された瞬間に発生する弁作動である。

    図17Aは、弁棒(又はロッド)1708に接続された弁体(又は弁部材)1706を移動することによって、ポート(又は開口)1704を開閉する液圧作動機構1702を採用する例示のポペット弁1700の主要な構成部品の概略的な断面図である。 他の実施形態では、弁1700は、電気的及び/又は機械的な作動システムによって作動される。 弁は、弁を閉じる方に付勢するためか、開ける力を緩衝するためか、及び/又は、閉まる作動機構を置き換えるためか若しくは補完するために、機械式又は空気圧式のばね(図示せず)を備えてもよい。 図17Aに示した弁1700は、先に定義したような低圧側弁である。

    図17Aに示すように、作動機構1702は、ピストン1712を収容する液圧シリンダ1710を特徴とする。 ピストン1712は、ガスケット1714を貫いて作動機構1702から外に通り抜けて弁1700の本体部1716に入り込むと共に、はめ輪1718及び追加のガスケット1720を貫通する弁棒1708に、接続されている。 はめ輪1718を出ると、弁棒1708は流室1722に入り込み、ポート1704を通り抜ける。 弁棒1708は弁体1706に接続されている。 ポート1704は、「座部」と呼ばれる縁又はフランジ1724によって包囲されている。 座部は、弁体1706の全体の外周部が座部1724の表面と密接し得るような形状及び大きさとされている。 第2のポート1726は、典型的には永久的に開いており、配管(図示せず)に接続され得る。 弁棒1708、ピストン1712、弁体1706、ポート1704、及び座部1724は、断面において円形であってもよいし、又は、何らかの他の断面形状を有してもよい。

    図17Aに示すように、低圧側弁1700は閉じられている。 つまり、弁棒1708、作動装置ピストン1712、及び弁体1706は、弁体1706を座部1724としっかりと接触させる位置にあり、ポート1704を塞ぐ。 より大きな力が、流室1722の内部の液体によってよりも、弁体1706の外側の流体によって与えられる場合、弁は、力が作動機構1702によって弁棒1708に加えられなくても閉じたままでいることになる。 (弁体1706は、ポート1704を通過するには大きすぎる。)ドレン1728が、作動機構1702からガスケット1714を通って、又は、室1722からガスケット1720を通って起こり得る液漏れのために提供されている。

    弁1700は、弁体1706の各々の側の面積比によって決定される所定の圧力差において開くように設計できる。 弁1700は、弁1700の前後における圧力損失が閾値未満(例えば、絶対圧の2%未満)に収まることでエネルギー貯蔵システムの効率を向上するように、所定の圧力差によって弁が開いていることを確認する直前に弁を作動する制御システム(例えば、制御システム122又は制御システム226)に応答できてもよい。 さらに、弁1700の作動は、弁を開く又は閉じる方に付勢するようになっていてもよいし、また、実際の液圧作動は、弁が開く又は閉じるその時に発生することを必要としなくてもよい。 制御システムは、前に弁が開くか若しくは閉じることが起きた際の弁1700の前後の圧力損失に基づいて、又は、前に起きたときの作動時間などの別のフィードバック測定に基づいて、弁のタイミングを調節するフィードバックループで運転してもよい。 空気圧ばね(図示せず)が、弁1700を閉まる方にさらに付勢するために、弁1700に備えられてもよい。 空気圧ばね内の圧力は、システムの運転中に調節されてもよいし、最適な弁の性能を実現するために、シリンダ行程の一部に対しては放出さえされてもよい。

    図17Bは、全開位置における高圧側弁1700を示す。 つまり、弁棒1708、作動装置ピストン1712、及び弁体1706は、機構の寸法が許すだけ弁体1706を座部1724と接触しないところに離す位置にあり、ポート1704を開く。

    図18Aは、弁棒1808に接続された弁体1806を移動することによって、ポート1804を開閉する液圧作動機構1802を採用する例示のポペット弁1800の主要な構成部品の概略的な断面図である。 他の実施形態では、弁1800は、電気的及び/又は機械的な作動システムによって作動される。 図18Aに示した弁1800は、先に定義したような高圧側弁である。

    図18Aに示すように、作動機構1802は、ピストン1812を収容する液圧シリンダ1810を特徴とする。 ピストン1812は、ガスケット1814を貫いて作動機構1802から外に通り抜けて弁1800の本体部1816に入り込むと共に、はめ輪1818及び追加のガスケット1820を貫通する弁棒1808に、接続されている。 はめ輪1818を出ると、弁棒1808は流室1822に入り込み、ポート1804を通り抜ける。 弁棒1808は弁体1806に接続されている。 ポート1804は、「座部」と呼ばれる縁又はフランジ1824によって包囲されている。 座部は、弁体1806の全体の外周部が座部1824の表面と密接し得るような形状及び大きさとされている。 第2のポート1826は、典型的には永久的に開いており、配管(図示せず)に接続され得る。 弁棒1808、ピストン1812、弁体1806、ポート1804、及び座部1824は、断面において円形であってもよいし、又は、何らかの他の断面形状を有してもよい。

    図18Aに示すように、高圧側弁1800は閉じられている。 つまり、弁棒1808、作動装置ピストン1812、及び弁体1806は、弁体1806を座部1824としっかりと接触させる位置にあり、ポート1804を塞ぐ。 より小さな力が、流室1822の内部の液体によってよりも、弁体1806の外側の流体によって与えられる場合、弁は、力が作動機構1802によって弁棒1808に加えられなくても閉じたままでいることになる。 (弁体1806は、ポート1804を通過するには大きすぎる。)ドレン1828が、作動機構1802からガスケット1814を通って、又は、室1822からガスケット1820を通って起こり得る液漏れのために提供されている。

    弁1800は、弁体1806の各々の側の面積比によって決定される所定の圧力差において開くように設計できる。 弁1800は、弁1800の前後における圧力損失が閾値未満(例えば、絶対圧の2%未満)に収まることでエネルギー貯蔵システムの効率を向上するように、所定の圧力差によって弁が開いていることを確認する直前に弁を作動する制御システム(例えば、制御システム122又は制御システム226)に応答できてもよい。 さらに、弁1800の作動は、弁を開く又は閉じる方に付勢するようになっていてもよいし、また、実際の液圧作動は、弁が開く又は閉じるその時に発生することを必要としなくてもよい。 制御システムは、前に弁が開くか若しくは閉じることが起きた際の弁1800の前後の圧力損失に基づいて、又は、前に起きたときの作動時間などの別のフィードバック測定に基づいて、弁のタイミングを調節するフィードバックループで運転してもよい。 空気圧ばね(図示せず)が、弁1800を閉まる方にさらに付勢するために、弁1800に備えられてもよい。 空気圧ばね内の圧力は、システムの運転中に調節されてもよいし、最適な弁の性能を実現するために、シリンダ行程の一部に対しては放出さえされてもよい。

    図18Bは、全開位置における高圧側弁1800を示す。 つまり、弁棒1808、作動装置ピストン1812、及び弁体1806は、機構の寸法が許すだけ弁体1806を座部1824と接触しないところに離す位置にあり、ポート1804を開く。

    図19Aは、シリンダ組立体1900のいくつかの構成部品の概略的な断面図である。 図19Aは、空気圧シリンダ又は空気圧−液圧シリンダ1902の一端部を示す。 シリンダ1902の一部及びシリンダ組立体1900の一部は、不規則な破線1904によって示されるように、図19Aには示さない。 高圧側弁1906及び低圧側弁1908が、シリンダ1902のヘッド1910(エンドキャップ)と一体化されている。 つまり、弁1906、1908は、本実施形態では、シリンダ1902内の室1912に配管によって接続されているのではなく、室1912と直接連通している。 高圧側弁1906は、図18A及び図18Bに描写された弁と実質的に同一である。 低圧側弁1908は、図17A及び図17Bに描写された弁と実質的に同一である。 弁は、液体の実質的な体積分(例えば、全体積の20%超が液体)を含む実質的に二層の流れ(つまり、ガスと液体との両方)を通過させるとき、小さな圧力損失(例えば、絶対圧の2%未満)を可能とする手法で、大きさが決められてもよい。 弁の質量及び作動力は、作動時間がシリンダ行程時間に対して素早く(例えば、全行程時間の5%未満)なるように、大きさが決められてもよい。

    図19Aに示すように、高圧側弁1906のポート1914は、シリンダヘッド1910内で通路1913と連通している。 通路1913は、さらに、通路1913を高圧(例えば、3,000psi)のガスの貯蔵と流体連通させる配管に接続されてもよい。 低圧側弁1908のポート1916は、シリンダヘッド1910内で通路1918と連通している。 通路1918は、さらに、通路1918を大気への通気口(図示せず)、加圧されたガスの貯蔵(図示せず)、又は、別の空気圧シリンダ若しくは空気圧−液圧シリンダの入口(図示せず)と流体連通させる配管に接続されてもよい。

    図19Aに示す運転状態において、高圧側弁1906は開いており、ガスを高圧供給源(図示せず)からシリンダ1902の室1912に吸い込ませる。 低圧側弁1908は、閉じられて、弁1908の作動機構1920による十分な力の付与を断つことで、通路1918内の圧力に対して高くなっている室1912内の圧力によって閉じたままとされる。

    図19Aに示す状態に続く運転状態(図示せず)では、弁1906及び1908は共に閉じられる。 この状態で、室1912内のガスは膨張され、シリンダ1902内のピストン(図示せず)に仕事を行う。 弁1906は、任意の理由のため、室1912の流体の圧力が高圧貯蔵のガスの圧力をある所定の大きさで上回る場合、弁1906は開き、シリンダ1902への過大な圧力を防止するための圧力逃しとして作用するように構成されてもよい。

    図19Bは、別の異なる作動状態における図19Aのシリンダ組立体を示す。 図19Bに示す運転状態で、高圧側弁1906は、閉じられて、弁1906の作動機構1920による十分な力の付与を断つことで、室1912内の圧力に対して高くなっている通路1913内の圧力によって閉じたまま維持される。 低圧側弁1908は開いて、室1912からのガスの移動(例えば、放出)を可能とする。 十分なガスがこの運転状態で室1912から移動されるとき、シリンダ組立体1900は、室1912へ高圧ガスの別の回の吸込みをさせるために、図19Aに示す運転状態に戻され得る。

    図20は、液圧作動シリンダ2002とポペット弁2004とを備える例示のシステム2000の構成部品の概略図である。 システム2000の様々な構成部品が、明瞭にするために省略されている。 システム2000は、本発明を採用していないが、本発明の様々な実施形態が採用され得る状況を示している。 システム2000は、図20において、例示の目的のために鉛直な配向で示されているが、他の配向も採用可能である。

    作動シリンダ2002は、シリンダ2006と、シリンダ2006の内部を遠位室2010と近位室2012とに分割するピストン2008と、ピストン2008に接続された弁棒2014とを備えている。 室2010、2012は流体で満たされ、適切なポート、弁、配管、及び他の装置(図示せず)が、実質的に非圧縮性の流体の室2010、2012からの制御された出入りを可能にし、室2010、2012の圧力は、遠位方向又は近位方向においてピストン2008を駆動することができる。 弁棒2014は、シリンダ2006の近位エンドキャップ2016を通って、ポペット弁2004の本体部(図示せず)内を通過する。 ポペット弁2004内では、弁棒2014が弁体2018に取り付けられている。 弁2004は、シリンダエンドキャップ2022(一部示している)の開口2021を包囲する環状の溝又は通路内に置かれた適切な材料の斜めにされた座部2020を備えている。 弁2004は、弁体2018が座部2020と接触しているときに閉じられ、弁体2018が座部2020から距離hにあるときに全開である。 弁2004が開いているとき、流体は、開口2021、及び、弁体2018と座部2020との間の隙間を通って移動できる。 ピストン2008、弁棒2014、及び弁体2018は、調和して移動し、弁体2018の距離hを通じた移動は、ピストン2008の距離hを通じた移動によって駆動される。

    図21は、本発明の態様を具体化する例示の組立体2100の様々な構成部品の概略図である。 組立体2100は、図21では鉛直な配向で示すが、様々な他の実施形態では他の向きに(例えば、水平に)配向されてもよい。 組立体2100は、空気圧シリンダ(図示せず)の内部と、空気圧シリンダの外部にあるガス用のある供給源又は目的先(図示せず)との間の流体連通を制御する高圧側ポペット弁2102を備えている。 弁2102は弁体2104を特徴とし、弁体2104が座部2106と接触しているとき、弁2102は閉じられている。 弁体2104は弁棒2108に接続され、弁棒2108は2つのガスケット2110、2112を通過する。 ガスケット2110と2112との間には集液室2114があり、その機能は後で説明する。 集液室2114は、例えば、高圧、低圧、又は可変圧力の流体の供給源への接続部といった、接続部2116と連通する。

    ポペット弁2102は、作動機構2118によって作動される。 作動機構2118は、その内部を上方室2122と下方室2124との2つの室に分割するピストン2120を備えている。 弁棒2126は、ピストン2120とポペット弁2102の弁棒2108にも接続されている(図21に示すように、ある実施形態では、弁棒2126、2108は、作動機構2118及び弁2102を通って延在する単一の弁棒の一部である)。 弁棒2126は、上方室2122の液圧力に晒されるピストン2120の有効な面積が、下方室2124の液圧力に晒されるピストン2120の有効な面積とおおよそ等しくなり得るように、均圧室2128内に上向きに延在されている。 均圧室2128は、圧力が一定であってもよいし、又は、組立体2100の運転状態により変化してもよい流体の実体への接続部2130と連通する。 例えば、接続部2130は、大気圧の流体、又は、(1)ポペット弁2102の弁体2104及び弁棒2108に作用するある平衡圧力を平衡にする圧力、若しくは、(2)作動機構2118のピストン2120を下向きに加速するのを支援するための高圧に設定された流体と連通できる。

    比較的低圧の流体の実体(図示せず)への連結部2116によって、集液室2114内の圧力は、典型的には大気圧に近く、好ましくは、(a)ポペット弁2102内の圧力、及び、(b)作動シリンダ2118の下方室2124内の圧力の両方より低く、又は、(ほとんど)おおよそ等しく維持されている。 そのため、ガスケット2110及び2112を迂回する流体(例えば、ガス、液圧流体、熱伝達流体)は、ポペット弁2102から作動シリンダ2118へ、又は、作動装置シリンダ2118からポペット弁2102には通らず(それゆえ、組立体2100内及び組立体2100を含む任意のシステム内で異なる流体の実体及び/又は流体の種類の望ましくない混合を引き起こす)、代わりに、集液室2114に溜まり、そこから連結部2116を通って除去できる。

    図21に示す例示の実施形態では、液体によって圧力が与えられるポペット弁の弁体2104の下面(A )と、弁体2104の上面(A )と、作動装置ピストン2120の下面(A )と、作動装置ピストン2120の上面(A )と、作動装置の弁棒2126の上端(A であり、室2128の流体に晒されている)とにおける面積A 〜A は、様々な運転状態において弁棒2126に沿って作用する力の適切な大きさと平衡とを通じて、ポペット弁2102の効率的な作動を可能にするように選択される。 一般的に、ポペット弁の弁体の下面の面積A は、弁開口面積と等しくされる。 7.5cmの弁の開口の直径に対して、ポペット弁の弁体の面積は、おおよそA =4.42×10 −3である。 作動装置の弁棒の面積A は、典型的には、作動、衝突、及び他の力に耐えるだけの大きさがあり、典型的には、ポペット弁の弁体の面積A の5%〜10%である。 面積A は、ポペット弁の弁体の面積とポペット弁の弁棒の面積との間の差に等しいか、又は、ポペット弁の弁棒の面積が作動装置の弁棒の面積と等しい場合A 〜A である。 作動装置ピストンの面積A 及びA は、所望のポペット弁作動時間を実現するために、ポペット弁への十分な力、したがって加速を提供するように(作動装置の液圧流体の圧力を考慮して)大きさが定められており、作動装置ピストンの面積は、典型的には、ポペット弁の弁体の面積A の5%〜15%の程度である。 図27〜図29に示した例では、A =0.095A 及びA =0.064A である。

    組立体2100は、ポペット弁2102を素早く閉じる一方で弁体2104を座部2106に許容不可能な高速で衝突させないと共に、ポペット弁2102を素早く開ける一方で作動装置ピストン2120を上方室2122のエンドキャップに許容不可能な高速で衝突させない仕組みを特徴とする。 以下で、図21に示す組立体2100の運転状態を詳細に説明する。 図22では、組立体2100と同様であるが低圧側ポペット弁を特徴とする組立体2200を示す。 図23A〜図23D及び図24A〜図24Eでは、組立体2100及び2200内に加えて様々な他の実施形態内において、制御された衝突速度で素早い弁の作動を実現するための仕組みの作動の原理を明らかにする。

    配管2132は、流体を、下方作動室2124と圧力逃し弁2134の流出側との間で導いており、圧力逃し弁2134は、組立体2100の通常の運転状態では閉じられたままである。 配管2132は主弁2136に往来する流体も導いており、主弁2136は、作動装置2118の作動の方向、つまり、開くこと(上向きの動作)又は閉まること(下向きの動作)を支配している。 図21に示す弁2136の位置で、作動装置2118は閉じており、流体は、下方室2124から配管2132及び弁2136を通って低圧流体の貯留器2138に向かわされ得る。

    下方室2124は配管2140にも接続されており、配管2140は、流体を、下方室2124と配管2132との間で、(a)可変又は固定の流れ抵抗2142と、(b)例えば高圧、低圧、又は可変圧の流体の供給源への接続部といった選択的な接続部2146とを通じて導く。 流体は、配管2132から配管2140及び室2124まで、逆止弁2144を経由して流れることができる。

    配管2132は、下方の作動装置の室2124と、室2124の側面(側方内部面)にある開口を通じて連通している。 この開口は、ピストン2120がその移動の下方への限界に到達したとき、開口が塞がれ、流体が配管2132を通って下方室2124に入るか又は出ることが基本的にできないように、室2124の側部における大きさ、形状、及び配置が定められている。 さらに、室2124における閉塞可能な開口の大きさ、形状、及び配置は、ピストン2120が室2124の下方エンドキャップに近づくときにピストン2120の制御された減速に寄与するようになっていてもよい。 閉塞可能な開口の特徴がピストン2120の制御された減速に寄与し得る手法は、図23A〜図23D及び図24A〜図24Eを参照しつつ明らかにする。

    配管2140は、典型的には、室2124のエンドキャップ(下面)の開口を通じて室2124と連通し、そのため、流体は、典型的には、ピストン2120の位置に関係なく、下方室2124に入ることができるか又は出ることができる。

    上方の作動装置の室2122の作動の関連する組立体2100の構成部品は、下方の作動装置の室2124の作動と関連して説明した構成部品と同様である。 例えば、配管2148は、流体を、上方の作動装置の室2122と圧力逃し弁2134の流入側との間で導いている。 弁2134の流入側の圧力が、弁2134の流出側の圧力を、ある規定の開く差において上回るとき、弁2134は開き、それら2つの側の間の圧力の差がある規定の閉まる差を下回るまで、弁2134は開いたままである。 逃し弁2134は、空気圧シリンダ(図示せず)内の圧力、つまり、弁体2104に上向きに与えられる圧力がある所定の閾を超えるとき、組立体2100の構成部品を損傷させることなくポペット弁2102を開かせることができる。 例えば、空気圧シリンダの上方室で比較的非圧縮性の液体を圧縮しようとすること、つまり、おそらく静水ロックの状況は、逃し弁2134を開かせるのに十分な圧力差を作動装置シリンダ2118の2つの室の間に作り出すことができる。 逃弁2134は、空気圧シリンダ内の静水ロック、及び、空気圧シリンダ内の過大な圧力の他の条件を防止する。

    配管2148は、流体を、上方の作動装置の室2122と主弁2136との間で導いている。 図21に示す弁2136の位置で、作動装置2118は閉じており、高圧の流体は、高圧流体2154の供給源から、逆止弁2152、主弁2136、及び配管2148を通って、上方室2122に向かわされ得る。 高圧流体2154の供給源(例えば、液圧ポンプ)は、弁2136から離れて配置されてもよく、したがって、液圧蓄圧器2150が、弁2136を通る流体の流れの間に高圧を維持するために、弁2136のより近くに配置できる。

    下方室2122は配管2156にも接続されており、配管2156は、流体を、上方室2122と配管2148との間で、(a)可変又は固定の流れ抵抗2160と、(b)例えば高圧、低圧、又は可変圧の流体の供給源への接続部といった選択的な接続部2162とを通じて導く。 流体は、配管2148から配管2156及び室2122に、逆止弁2158を経由し、流れ抵抗2160を通って流れることができる。

    配管2148は、上方の作動装置の室2122と、室2122の側面(側方内部面)にある開口(図示せず)を通じて連通している。 この開口は、ピストン2120がその移動の上方への限界に到達したとき、開口が塞がれ、流体が配管2148を通って上方室2122に入るか又は出ることが基本的にできないように、室2122の側部における大きさ、形状、及び配置が定められている。 さらに、室2122における閉塞可能な開口の大きさ、形状、及び配置は、ピストン2120が室2122の上方エンドキャップに近づくときにピストン2120の制御された減速に寄与するようになっていてもよい。 閉塞可能な開口の特徴がピストン2120の制御された減速に寄与し得る手法は、図23A〜図23D及び図24A〜図24Eで明らかにする。

    配管2156は、室2122のエンドキャップ(上面)の閉塞不可能な開口を通じて室2122と連通し、そのため、流体は、典型的には、ピストン2120の位置に関係なく、上方室2122に入ることができるか又は出ることができる。

    図21に示された作動の状態で、高圧側ポペット弁2102は閉じられている。 供給源2154からの高圧流体は、逆止弁2152、主弁2136、及び配管2148を通って上方の作動装置の室2122に流れる。 また、高圧である流体は、配管2148から逆止弁2158及び配管2156を通って上方室2122に流れる。 同時に、比較的低圧である流体は、下方の作動装置の室2124から配管2132及び主弁2136を通って脱出する。 また、比較的低圧である流体は、下方室2124から配管2140を通って配管2132に、流れ抵抗2142を通って脱出する。 正味の下向きの力が作動装置のピストン2120に加えられており、弁棒2108及び弁体2104が下向きに移動していく。

    図22は、本発明の態様を具体化する例示の組立体2200の様々な構成部品の概略図である。 組立体2200は、図21の組立体2100と、主に高圧側ポペット弁(例えば、図21における弁2102)ではなく低圧側ポペット弁2202を備えている点において、異なっている。 組立体2200は、逃し弁2334の配向においても、組立体2100とは異なっている。 つまり、弁2334の流入側は配管2232(図21における配管2132に対応する)に接続され、弁2334の流出側は配管2248(図21における配管2148に対応する)に接続されている。 逃し弁2234は、組立体2200の通常の運転状態では閉じられたままである。 弁2234の流入側の圧力が、弁2234の流出側の圧力を、ある規定の開く差において上回るとき、弁2234は開き、それら2つの側の間の圧力の差がある規定の閉まる差を下回るまで、弁2234は開いたままである。 逃し弁2234は、ポペット弁2202内の圧力、つまり、弁体2204に下向きに与えられる圧力がある所定の閾を超えるとき、組立体2200の構成部品を損傷させることなくポペット弁2202を開かせることができる。

    図22に示された作動の状態で、高圧側ポペット弁2202の開くことが正に始まったところである。 図21のように、正味の下向きの力が作動装置のピストン2220に加えられており、弁体2204が下向きに移動していく。

    図23Aは、以下で明らかとするように、その構成部品が図21の組立体2100及び図22の組立体2200の特定の構成部品に機能的に対応する例示の2つの室の液圧作動シリンダ組立体2300の様々な構成部品の概略図である。 組立体2300は、作動シリンダ2302と、低圧流体貯留器又は高圧流体供給源のいずれかに選択的に接続される液圧接続部2304と、調節可能な流れ抵抗2306と、逆止弁2308とを備えており、これらすべてが図示するように配管で相互に接続されている。 作動シリンダ2302は、ピストン2310と弁棒2312とを備えている。 弁棒2312は、図20〜図22に示されたものと同様の構成の組立体2300によって開閉されるポペット弁(図示せず)の弁体に接続されている。 ここで、ピストン2310の移動に言及すると、ピストン2310、弁棒2312、及びポペット弁体が調和して移動するとの説明となる。 配管2314は、接続部2304を、シリンダ2302の近位室2318の壁の閉塞可能オリフィス2316に接続する。 閉塞可能オリフィス2316の形状は、図23Aには示さないが、その遠位(右方向)限界及び近位(左方向)限界は、点線A及びBによって示されている。 固定オリフィス2320は、閉塞可能オリフィス2316が塞がれているかどうかに拘わらず、流体が室2318に入るか又は出るのを可能としている。 オリフィス2316、2320及び組立体2300の他の特徴は、ピストン2310が、位置Aに到達する前に達成される高い速度V maxから位置Bに到達する時間までに達成される許容可能な低い最終の速度V endまで減速するように、選択される。 組立体2300は、図23A〜図23Dにおいて例示の目的のために水平の配向で示されているが、他の配向(例えば、鉛直な配向)が様々な実施形態で採用できる。

    機能的に、シリンダ2302は図21の作動シリンダ2118に対応し、ピストン2310はピストン2120に対応し、弁棒2312は弁棒2108に対応し、室2318は室2124に対応し、配管2320は配管2140に対応し、流れ抵抗2306は流れ抵抗2142に対応し、逆止弁2308は逆止弁2144に対応し、配管2314は配管2132に対応し、接続部2304は高圧供給源2154又は低圧貯留器2138のいずれか(主弁2136によって選択可能)に対応する。

    図23Aに示された運転状態で、作動シリンダ2302は、閉じる行程を実施している。 つまり、ピストン2310及び弁棒2312は左に移動している。 ピストン2310は、オリフィス2316をまだ塞ぎ始めてはいない(つまり、ピストン2310の近位側の面が位置Aにまだ到達していない)。 閉じる行程のこの部分の間に、ピストン2310を移動するために行われなければならない仕事を最小とするために、近位室2318の流体圧力はできるだけ低いことが好ましい。 そのため、閉じる行程のこの部分の間に、接続部2304は低圧流体貯留器に接続され、室2318で流体に晒されるオリフィスの全面積は最大であり、例えば、流体は、オリフィス2316及び配管2314を通って接続部2304に流れる際、比較的小さい圧力損失を受ける。 また、一部の流体は、調節可能な流れ抵抗2306を通り、それから接続部2304に流れる。

    図23Bは、図23Aのシステム2300を、図23Aに示す運転状態に続く運転状態で示す。 ピストン2310は、オリフィス2316の前部を塞いでおり、V endに減速している。 流体は、配管2314を通って流れるのを停止しているが、調節可能な流れ抵抗2306を通ってそれから接続部2304に流れ続けている。 ピストン2310は、続いて、位置Bに到達するか、及び/又は、位置Bをオーバーシュートし(例えば、作動したポペット弁の座部の圧縮又はばねによる和らげといったため)、室2318における圧力、したがってピストン2310に作用する減速力は、固定オリフィス2320の大きさと、調節可能な流れ抵抗2306の設定とによって決定される。 (ここで、簡単にするために、システム2300の配管は流体の流れに対して無視できる抵抗を与えると仮定されている。)オリフィス2320がない場合、ピストン2310がオリフィス2316を完全に塞いだとき、流体は室2318から脱出することができず、室2318の圧力はある比較的非常に高い値に急上昇する(つまり、静水ロック条件が発生することになる)。 適切な大きさとされたオリフィス2320及び適切に調節された抵抗2306があれば、閉じる行程において(例えば、位置Bをオーバーシュートしている間であっても)、室2318の圧力が設計圧力限界P max (つまり、機械的な損傷又は失陥なしで許容できる最高圧力)を超えることは決してない。

    図23Cは、異なる運転状態における図23Aのシステム2300を示す。 図23Cに示された運転状態で、作動シリンダ2302は、開く行程を開始している。 つまり、ピストン2310及び弁棒2312は右に移動している。 ピストン2310は、オリフィス2316の閉塞を解除し始めてはいない(つまり、ピストン2310の近位側の面が位置Bをまだ通過していない)。 開く行程のこの部分の間に、近位室2318の流体圧力は、ピストン2310を遠位側方向に素早く加速し、それによってポペット弁を素早く開き、弁体近接損失を最小にするために、できるだけ高い(例えば、P max )ことが好ましい。 そのため、この運転状態の間に、接続部2304は高圧(例えば、P max )の流体供給源に接続される。 流体は、配管2314を通って閉塞可能オリフィス2316に流れることはまだできない。 しかしながら、流体は、低い抵抗の逆止弁2308を自由に通って、固定オリフィス2320に流れ、ピストン2310の素早い加速を可能にする。

    図23Dは、図23Cのシステム2300を、図23Cに示す運転状態に続く運転状態で示している。 ピストン2310は位置Aを通過しており、閉塞可能オリフィス2316はまったく塞がれていない。 ここでは、流体は、接続部2304から室2318内に、逆止弁2308(及びオリフィス2320)と配管2314(及び閉塞可能オリフィス2316)とを通って、比較的自由に通過する。

    図23A〜図23Dに示されたオリフィス、弁、及び配管の構成は、自動的に、つまり、能動的な弁、又は、他の複雑若しくはエネルギーを消費する装置を作動させずに、変調された抵抗が望ましいとき、システム2300の運転状態の間に、室2318から出る流体の流れに対して変調された抵抗を提供し、また、小さい抵抗が望ましいとき、運転状態の間に、室2318から出る流体の流れに対して比較的小さい抵抗を提供するため、有利である。

    図23A〜図23Dに示されたのと同様のオリフィス、弁、及び配管の構成(示さない)が、開く行程の後半部分の間にピストン2310の減速を制御するために、シリンダ2302の遠位室2322に接続できることは、液圧装置の原理に精通する者には明らかであろう。

    図24Aは、エネルギーの貯蔵及び放出のための示さないより大きなシステムの一部であり得ると共に本発明のある実施形態の態様を組み込む例示の作動シリンダ2400の構成部品の概略図である。 シリンダ2400は、図20又は図30Aに示されたものと同様の構成のポペット弁(図示せず)に接続されてそのポペット弁を作動し、ポペット弁を素早く効率よく閉じることが(閉じる最終局面の間に低減した絞り損失で)可能な一方で、ポペット弁における弁体と座部との大きな衝突速度を回避できるように、弁が閉じる間の作動シリンダ2400のピストンの素早い制御された減速のための構成を特徴とする。

    図24Aの下向きの方向は、本明細書では、近位側方向と呼ばれ、図24Aの上向きの方向はまた、本明細書では、遠位側方向と呼ばれる。 作動シリンダ2400は、管状のシリンダ本体部2402(断面が円形である必要はない)と、ピストン2404と、近位エンドキャップ2406と、遠位エンドキャップ2408と、近位エンドキャップ2406にある固定された断面のオリフィス(つまり、固定オリフィス)2410と、閉塞可能側面オリフィス2412、2414(例えば、シリンダ本体部2402の壁の穿孔)を備える。 (2つのオリフィス2412、2414は、単一のオリフィスの2つの部分、つまり、単一のオリフィスの上方部及び下方部として代替で説明できるし、また、それら2つの部分と同等でもよい。)本明細書では、上方のオリフィス2412は「自由流れ領域」又は「固定オリフィス」とも呼ばれ、下方のオリフィス2414は「緩衝領域」又は「成形オリフィス」とも呼ばれる。 様々な実施形態において、下方オリフィス2414は、上方オリフィス2412よりも著しく小さい傾向がある。

    ピストン2404の近位側の面と近位エンドキャップ2406の内側面との間の容積は、作動シリンダ2400の近位室2416を構成している。 ピストン2404の遠位側の面と遠位エンドキャップ2408との間の容積は、作動シリンダ2400の遠位室2418を構成している。 近位室2416及び遠位室2416の両方は、実質的に非圧縮性の流体で満たされている。

    作動シリンダ2400は、図23に水平な配向で示されたものと同様の構成で、ピストン2404の近位部分を、シリンダ2400の近くに配置されてシリンダ2400と整列されたポペット弁の弁体(図示せず)に接続する弁棒(明確には図示していない)も備えている。 弁棒及びポペット弁は、ピストン2404と調和して移動する。 ピストン2404(つまり、ピストン2404の近位側の面)が位置Bに到達するまで、ポペット弁(示されず)は全開であると見なされる。 ピストン2404が位置Dに到達するとき、ポペット弁は閉じられる(つまり、弁体が座部に接触する;図20参照)位置Bと位置Dとの間の距離はh である。

    図24Aに示す運転状態では、作動弁2400はポペット弁を閉じている。 つまり、ピストン2404は下向きに移動しており、そのため、弁棒によって押し進められ、ポペット弁の弁体(図示せず)も下向きに移動している。 ピストン2404が下向きに移動するにつれて、流体は近位室2416から、固定オリフィス2410及び閉塞可能オリフィス2412、2414を通じて吐き出される。

    上方の閉塞可能オリフィス2412は、図24Aに示された実施形態では矩形であり、高さがh で幅がwである。 成形オリフィス2414は、高さD proxで幅が変化している。 図24Aの成形オリフィス2414を台形に成形することは、例示のためだけであり、成形オリフィス2414についての他の成形は、検討されており、本発明の範囲内にある。 ある仮定のもとで最適である成形オリフィス2414のための成形の例示の計算は、以下で提供される。

    図示を簡単にするために、図24Aにおけるシリンダ本体部2402の横断面形状は、矩形であると仮定されており、したがって、図24Aに示すように、オリフィス2412、2414の形状は、紙面上への投影によって歪められてはいない。 しかしながら、シリンダ本体部2402に対する他の断面の成形(例えば、円形)は、検討されており、本発明の範囲内にある。

    ピストン2404の近位側又は下方の面が、ピストン2404が成形オリフィス2414を塞ぎ始める位置C(図24Aに水平の点線によって印されている)に到達するまで、最小の力がピストン2404を移動するために必要とされることが望ましい。 ピストン2404に与えられる最小の力は、最小の仕事の消費を伴うことになる。 上方オリフィス2412の目的は、位置Cに到達されるまで、ピストン2404の下向きの移動に対する液圧の抵抗を最小とすることである。 そのため、上方オリフィス2412は、概して、実現可能にできるだけ大きく作られる。 これは、オリフィス2412ができるだけ大きく作られるのが好ましい一方で、ピストン2404が両方のオリフィス2412、2414を同時に完全に塞ぐことがなおもできることを意味している。 これによって、ピストンが高さh で成形オリフィス2414が高さD proxのとき、h +D prox ≦h となる。 上方オリフィス2412の高さh のこの制限は、h ≦h −D proxと言い換えられ得る。 同様に、オリフィス2412の幅wは、好ましくは、オリフィス2412に入るか又は脱出する流体を制限するのを防ぐために、与えられたシリンダ本体2402の寸法に対して実質的に大きい。 内部周囲cを有するシリンダ本体部2402に関して、オリフィス2412の幅wは、cより大きくはできない(つまり、w≦c)。 図24Aでは、オリフィス2412の幅wは、シリンダ本体部2402の投影された直径と実質的に等しくなるように例示的に示されている。 しかしながら、これは、単なる例示であり、典型的には、オリフィス2412は、断面において円形であり、入るか又は脱出する流体の制限を妨げるのに十分な大きさ(例えば、十分に大きいだけ)とされている。

    理想的な場合では、ピストン2404の下向きの移動に対する抵抗は、ピストン2404の近位側の面が成形オリフィスの上端である位置Cに到達するまで、ゼロであり、その成形オリフィスの上端において、ピストン2404は成形オリフィス2414を塞ぎ始め、後で詳細に説明するように、ピストン2404の減速が進行することになる。 大きな通気口又はオリフィス2412を設けることは、ピストン2404が位置Cに到達して成形オリフィス2414を塞ぎ始めるまでのピストン2404の下向きの移動に対する抵抗を最小にするための実行可能な仕組みである。 この目的のために他の仕組みを用いることは、検討されており、本発明の範囲内にある。 例えば、代替の実施形態(図示せず)では、成形オリフィス2414は保留されているが、上方オリフィス2412は省略されている。 これらの代替の実施形態では、通路がピストン2404の本体部を通って長手方向に延びており、その通路は、ピストン2404が下向きに移動するにつれて、流体が近位室2416から遠位室2418に最小(例えば、ほぼゼロ)の抵抗で通過させることができるだけの幅のものである。 この内部ピストン通路は、ピストン2404の近位側の面が位置C(成形オリフィスの上端)に近づくか又は到達するときに閉鎖され得る。 例えば、ピストン2404の本体部内のバタフライ弁若しくは他の弁機構が、内部通路を閉鎖してもよいし、又は、内部ピストン通路とおよそ等しい直径で成形オリフィス2414と同じ高さのプラグシリンダが、ピストン2404の近位側の面が位置Cを通過するにつれてプラグの上端が内部ピストン通路の下方の端に入るように、近位室2416内に設けられてもよい。 これらの構成及び他の実行可能な代替の構成は、ピストン2404の下向きの移動に対する小さい抵抗から、近位室2416から成形オリフィス2414及び固定オリフィス2410を通る流体の排出によって支配される抵抗への素早い移行を可能にする。 対照的に、図24Aに示す構成は、ピストン2404が位置Aに到達したときから位置Cに到達するときまで、ピストン2404への減速させる力の増加を伴って、オリフィスの全面積の実質的に線形の減少を引き起こす。

    一部が図24Aに示されているシステムの物理的な実現化では、上方オリフィス2412の進行的な閉塞と、ポペット弁体(図示せず)が座部に接近するときの絞り損失とのため、ピストン2404のある程度の減速は、ピストン2404の近位側の面が位置C(成形オリフィス2414の上端)に到達するときまでに起こり得る。 先に説明したように、代替の機構は、ピストン2404が成形オリフィス2414の上端に到達するまで、ピストン2404の移動に対して無視できる抵抗であるという仮定に近くてもよい。 この詳述において、ピストン2404のその最大速度V maxからいくらか若干低めの速度V' maxへのある程度の減速は、ピストンが位置Aから位置Cに移動するにつれて発生する。 図24Aに示す瞬間において、ピストン2404は最大速度V maxで移動しており、位置Aにまだ到達していない。

    図24Bに示す瞬間において、ピストン2404は位置Aを通過している。 上方オリフィス2412は、ピストン2404によって一部塞がれている。 ポペット弁(図示せず)の弁体は、座部からなおもかなり離れているため、ポペット弁は有効に全開である(つまり、ポペット弁体の周囲での絞り損失はなおも無視できる)。 ピストン2404が位置Bを通過するとき、ポペット弁が機能的に閉じることが始まる。 つまり、ポペット弁は流れに対して最小の抵抗をもはや与えず、絞り損失は、著しくなり始め、弁が閉じるのが完了する(つまり、ポペット弁体が座部と接触する位置Dにピストン2404が到達するとき)まで増加する。 本発明の好ましい実施形態は、位置Bから位置Dまでの距離をできるだけ素早く進行するように設計されており、したがって、絞りによるエネルギー損失の全体を小さくする一方で、(a)室2416内の流体圧力をある特定の限界P max以下に維持し、(b)ピストン2404を位置Dに許容可能な低い最終の速度V endで到着させる。 これは、作動されたポペット弁の弁体のポペット弁の座部への衝突速度でもある。

    図24Cに示す瞬間において、ピストン2404は位置Cに到達している。 つまり、ピストン2404は、上方オリフィス2412を完全に塞いでいるが、成形オリフィス2414をまだ塞ぎ始めてはいない。 ピストン2404はV' maxに減速している。

    ピストン2404が位置Cから位置Dに下向きに移動するにつれて、室2416内の流体は、時間と共に変化し得るある圧力P(t)に加圧され、近位室2416の容積は減少され、室2416の容積の減少と等しい体積流量Q(t)の非圧縮性の流体が、室2416から固定オリフィス2410及び成形オリフィス2414を通って吐き出される。 本明細書では、簡単にするために、室2416を脱出する流体は、オリフィス2410、2414を通る通路から受ける流れ抵抗以外、無視できる流れ抵抗(例えば、配管内又は弁内の流れ抵抗)を受けると仮定される。 この場合、室2416内の圧力は、流量Q(t)(ピストン2404の速度によって決定される)と、オリフィス2410、2414の全開口面積O(t)とによって完全に決定される。 全開口面積O(t)は、2つのオリフィス2410、2414の塞がれていない部分の面積の合計である。 ピストン2404がよりゆっくりと動くと、より小さいQ(t)を伴い、これはより低いP(t)を伴う傾向があり、また、より小さいオリフィス面積O(t)は、より高いP(t)を伴う傾向がある。 ピストン2404の速度は、ピストン2404が近位方向に移動するにつれて減少する傾向があり、また、開口面積O(t)も、ピストン2404が近位方向に移動するにつれて減少する傾向があるため、速度を変化させるP(t)への影響とO(t)への影響との間に、平衡又は相殺する傾向がある。

    室2416の流体圧力は、上向きに作用する力をピストンの近位側の面に作り出す。 その圧力が閉じる力を超え、ピストン2404に作用する力が他にない(ここでは簡単のために仮定されている)場合、ピストン2404は、下向きに移動するにつれて減速することになる。 また、ピストン2404が位置Cを過ぎるとき、ピストン2404は成形オリフィス2414を塞ぎ始め、全開口面積O(t)を減少する。 したがって、ピストン2404が位置Cを過ぎて下向きに移動するにつれて、ピストン2404は減速することになり、より低いP(t)を伴う傾向となる一方で、オリフィス2414の塞がれていない面積が減少することになり、より高いP(t)を伴う傾向がある。 閉塞可能オリフィス2414と固定オリフィス2410とが適切な大きさ及び形状とされている場合、これら2つの効果(ピストンの減速及びオリフィスの狭小化)は、ピストン2404が位置Cから位置Dに減速するとき、P(t)が好ましくは最大緩衝圧力、P(t)=P maxに近い(又は、等しくさえある)一定の値を保持するように、互いに相殺することになる。 位置Dにおいて、ピストン2404は、好ましくは、速度V end (つまり、許容可能な遅さの弁体の座部への衝突速度)で移動している。

    先に記載したように、オリフィス2414はD proxの高さである。 図24Aに示すように、オリフィス2414の横断輪郭形状(つまり、近位側方向へ進むにつれて線形に拡がる形状)は、単なる例示であり、オリフィス2414が、システム2400又は様々な他の実施形態の様々な物理的な実現化において有することになるであろう形に、必ずしも対応していない。 様々な他の実施形態において、示さないが、2つ以上の閉塞可能オリフィス及び2つ以上の固定オリフィスが採用され、その場合、様々なオリフィスが、形及び大きさにおいて互いに異なってもよく、代替又は追加で、作動弁の外部にある仕組み(例えば、時間変化する流れ抵抗の弁)が、ピストンの減速の間に室2416を脱出する流体が受ける抵抗を変調し、それによって、減速の間にピストン速度と室2416内の圧力との間の関係を変調するために、採用されてもよい。 様々な他の実施形態では、作動弁の内部にある仕組みが、ピストンの減速の間に室2416を脱出する流体が受ける抵抗を変調するために、図24A〜図24Eに示されたものに追加又は代替で採用されてもよい。 例えば、ピストン2404の本体部内の1又は2以上の通路が、ピストン2404の近位側の面から、ピストン2404の移動のある位置又は状態において閉塞可能オリフィス2414と連通し得るピストン2404の側面の1又は2以上のオリフィスに、流体の流れ(弁又は他の装置によっておそらく変調される)を可能にしてもよい。 ピストン速度と近位室2416内の圧力との間の関係を変調するためのすべてのこのような代替又は追加の仕組みは、示さないけれども、検討されており、本発明の範囲内にある。

    図24Dは、図24Aの作動シリンダ2400を、図24Cに示す運転状態に続く運転状態で示している。 図24Dでは、ピストン2404は位置Cを通過しており、成形オリフィス2414を一部塞いでいる。 ピストン2404は、おおよそ一定の割合Aで減速しており、室2416からの流体の流出速度Q(t)は低下しており、全開口面積O(t)は低下しており、室2418の圧力P(t)は一定のP maxにある。

    図24Eは、図24Aの作動シリンダ2400を、図24Dに示す運転状態に続く運転状態で示している。 図24Eでは、ピストン2404は位置Dに達しており、成形オリフィス2414を全体で塞いでいる。 ピストン2404はV endに減速しており、ポペット弁(図示せず)の弁体は座部と接触している。

    図24A〜図24Eの作動シリンダが最適に閉じるために必要とされる閉塞可能オリフィス2414の形状は、本発明のある実施形態によれば、以下の例示的で理想的な仮定のもとで計算できる。

    1)ピストン2404、弁棒(図示されていないが、図4を参照)、及び、ポペット弁の弁体(図示されていないが、図20を参照)は、調和して移動し、本明細書では「ピストン−弁体組立体」と呼ばれる剛体の機械装置を構成する。

    2)ピストン−弁体組立体は、減速し始めるとき(つまり、ピストン2404が図24Aの位置Cに到達するとき)、ある最大実現可能速度V' maxで近位方向に移動している。

    3)ピストン−弁体組立体の変化する重力のポテンシャルエネルギーは、無視できる。 (代替で、作動シリンダ2400は水平な配置で運転されてもよく、その場合、ピストン−弁体組立体の重力のポテンシャルエネルギーは一定である。)

    4)シリンダ2402の遠位室の流体の変化する重力のポテンシャルエネルギー及び運動量は、無視できる。

    5)乱流及び他の複雑な流体機械的な影響は、無視できる。

    6)シリンダ2400は、ピストン−弁体組立体が大きさAの一定の減速で、最終の衝突速度V endまで減速するように考案される。 近位室2412の圧力は、減速の間、一定のP maxである。

    7)減速の間にピストン−弁体組立体に作用する唯一の力は、近位室2416の流体によって、遠位方向においてピストン2404に与えられる液圧力F decelである。 つまり、F decel =P maxpistであり、ここで、S pistはピストン2404の近位側の面の面積である。 F decelは、P max及びS pistが共に定義により一定であるため、一定である。 ニュートンの第二法則により、A=F decel /M PDであり、ここで、M PDはピストン−弁体組立体の全質量である。 遠位室2418の圧力は、減速の間ゼロであると仮定される。 (代替で、減速の間、遠位室2418で一定のゼロでない圧力を仮定してもよく、これは、閉塞可能な成形オリフィス2414の横断幅を、一定の係数で増減するだけである。)

    7)近位室2416内の圧力P(t)の平方根は、オリフィス2410、2414の全面積O(t)によって除算された、室2416からオリフィス2410、2414を通って出る流体の時間変化する体積流量Q(t)に比例している。 P(t) 1/2 ∝KQ(t)/O(t)であって、ここで、Kはある定数である。 これは、非理想的な弁でP(t)、Q(t)、とO(t)の間で実際に保持されることになる関係の単純化である。 減速の間、P(t)=P maxであるため、P max 1/2 ∝KQ(t)/O(t)に従うことになる。

    8)位置Cの下で、近位室は、室2416の側壁に単一の閉塞可能オリフィス2414と、室2416の近位エンドキャップ2406に単一の固定オリフィス2410とを備えている。

    9)閉塞可能オリフィス2414の高さはD proxである。 その遠位端は位置Cにあり、その近位端は位置Dにある。

    10)閉塞可能オリフィス2414によって穿孔されたシリンダ2402の壁の一部は、平面(平ら)であるか、又は、その非平面性が無視できるくらいにほぼ平面である。

    算方に精通する者には明確であるように、前述の10の条件は、閉塞可能オリフィス2414の横断輪郭形状に対する唯一の解の計算を可能にする。 図24A〜図24Eにおいて鉛直方向をxとラベル付けする。 ここで、xは位置Cにおいて0に等しく、近位側方向に増加する。 オリフィス2414の一方の側の横断輪郭y(x)は、関数y(x)=C(V' max −2Ax) 1/2によって表され、ここでCは定数である。 前述の10の仮定に基づく分析は、0の最終速度V endが規定される場合、y(x)はx=D proxにおいて無限大になる。 つまり、解は非物理的である(つまり、オリフィス2414は実際のシリンダで無限大に広くはできない)ことを示す。 しかしながら、V endが0を超える場合、解は物理的である(つまり、オリフィス2414の幅はいずれの位置でも有限である)。

    より現実的な流体機械的な仮定を含む、前記の列記した仮定と異なる仮定のもとでは、閉塞可能オリフィス2414の最適な形状は、y(x)によって規定されるものとは異なることになる。 また、前述の結果は、V' max =V max (つまり、位置Cに到達する前にピストンの減速がない)を仮定しても変わらない。

    閉塞可能オリフィス2414の高さは、すべての実施形態においてD proxに限定されない。 閉塞可能オリフィスのある部分は、例えば、シリンダ2400の近位エンドキャップ2406までずっと延在してもよい。 任意のこのような延在する閉塞可能オリフィス2414の形状は、閉じる行程の最中の位置Dのあらゆるオーバーシュートの間(例えば、図20で、弁体2018の衝突の後、座部2020又は座部2020を支持する螺旋ばねを圧縮する間)の近位室2416内の圧力及び流れを調節するために、調整されてもよい。

    図24Fは、図24A〜図24Eの例示の台形のオリフィス2414が、(対称的なオリフィスの各側部に関して)関数y(x)=C(V max −2Ax) 1/2によって記載される横断輪郭形状を有する閉塞可能オリフィス2420によって置き換えられた図24A〜図24Eの作動シリンダ2400を示している。 前述において示したように、この輪郭形状は、ある仮定のもとでは最適である。 対称的なオリフィス2420は、オリフィス2420を通る非対称的な流体の流れによる不均衡な横方向の力を排除するために、好まれる。 図24Fのすべての外観の規模は、オリフィス2420の横断輪郭形状の規模を含め、単に任意であって例示である。

    理想化されたシステム(例えば、図24Fのシステム)の恩恵は、最適に成形された閉塞可能オリフィスを持っていないシステムによって、ある程度実現できる。 図24Fは、作動シリンダ2400のある実現化において、近位室2416の壁にある閉塞可能オリフィスの図である。 このオリフィス成形は、2回の簡単な穿孔によって製作可能であるという利点を有している。

    図25は、本発明の態様のある例示の実現化の一部の図である。 具体的には、図25は、2つのオリフィス2502、2504(これらは、単一のオリフィスの2つの部分として考えられてもよい)の輪郭を示している。 機能的に、オリフィス2502は、自由流れ領域、又は、図24A〜図24Fの上方オリフィス2412に相当し、オリフィス2504は、緩衝領域、下方オリフィス、又は、図24A〜図24Fの成形オリフィス2414、2420に対応する。 上方オリフィス2502及び下方オリフィス2504の輪郭は、円形部分の周囲の非直線部分におおよそ対応し、それぞれ、図21Aの下方作動室2124の壁を貫通する円形の穿孔として製作できる。 周囲が部分的に上方オリフィス2502の輪郭に対応する円は、おおよそ3.2mmの半径を有し、周囲が部分的に下方オリフィス2504の輪郭に対応する円は、おおよそ1mmの半径を有する。 下方オリフィス2504の最下部の縁は、作動装置シリンダ(図25には示さない)の下方エンドキャップ2506の内側面からおおよそ0.75mmである。 一般的に、下方オリフィス2504は上方オリフィス2502より実質的に小さく、オリフィス2504の面積は、ある実施形態では、上方オリフィス2502の面積の5%〜15%である。 上方オリフィス2504は、弁の作動中に脱出する流体の、ほぼ自由な流れ、つまり、小さい圧力損失(例えば、作動圧力の20%未満)の流れを提供する大きさである。 図25のオリフィス2502、2504は、本明細書において、例えば図24A〜図24Fに示された、自由流れ領域及び緩衝領域のオリフィスの形状の非特異性を例示している。

    図26A及び図26Bは、本発明の態様のある例示の実現化の一部の図である。 組立体2600は、高圧側ポペット弁2602(図21のポペット弁2102に対応する)と、作動装置ピストン2618(図21の作動装置2118に対応する)とを備えている。 明確にするために、作動装置2618は、太い破線によって示すように、図26Bに拡大図でも表されている。 室2628は図21の均圧室2128に対応し、上方の作動装置の室2622は室2122に対応し、ピストン2620はピストン2120に対応し、弁棒2626は弁棒2126に対応し、集液室2614は集液室2114に対応し、配管2640は配管2140に対応し、配管2632は配管2132に対応し、配管2648は配管2148に対応し、配管2656は配管2156に対応する。 配管又は通路2640、2632、2648、及び2656は、図26Bに一部だけ表されている。 明確にするために、細い破線で示されるように、配管2632の断面が図26Bに拡大図2660で示されており、配管2648の断面が図26Bに拡大図2662で示されている。 配管2632及び2648の断面は、この例示の実現化では、図25の組み合わされたオリフィス2502、2504の断面に対応している。 したがって、図26A及び図26Bに一部示された実現化は、ポペット弁2602の素早くて緩衝される開くこと及び閉じることを可能にするための本発明の態様を組み込んでいる。 図26Bでは、作動装置2618がその移動の下方限界にあり、ポペット弁2602は閉じられている。

    図27は、図21、図26A、及び図26Bに一部示されたものに密接に類似する本発明の態様の物理的な実現化から得られたデータのプロットである。 図27には、図26Bの作動装置ピストン2620の位置が、閉じる作動に関して時間平均された、時間の関数(実線)としてプロットされている。 また、図27にプロットされるのは、ソフトウェアツールSimscape(商標)を用いて予測されたものとしての、図26Bの組立体2600に関する位置対時間の関数である(破線)。 シミュレーションされたピストンの速度と観察されたピストンの速度とは密接に一致している。

    図28は、図21、図26A、及び図26Bに一部示されたものに密接に類似する本発明の態様の物理的な実現化から得られたデータのプロットである。 図28には、図26Bの作動装置ピストン2620の速度が、一回の閉じる作動に関して時間の関数(実線)としてプロットされている。 また、図27にプロットされるのは、ソフトウェアツールSimscapeを用いて予測されたものとしての、図26Bの組立体2600に関する位置対時間の関数である(破線)。 シミュレーションされたピストンの速度と観察されたピストンの速度とは、閉じる前の実際の装置の「跳ね返り」を除いて、一致している。 シミュレーションの衝突速度と測定の衝突速度とは、0.2m/秒以下で密接に一致している。

    図29は、図21、図26A、及び図26Bに一部示されたものに密接に類似する本発明の態様の物理的な実現化から得られたデータのプロットである。 図29には、図26Bの作動装置ピストン2620の下方室内の流体圧力が、一回の閉じる作動に関して時間の関数(実線)としてプロットされている。 また、図27にプロットされるのは、ソフトウェアツールSimscapeを用いて予測されたものとしての、図26Bの組立体2600の下方作動室に関する位置対時間の関数である(破線)。 注目されるのは、圧力は、例えばピストン−弁体組立体の減速の間といった、閉じる期間の後半部分の間で最大になる。

    図30Aは、弁体3004を移動することによってポート3002を開閉するために、液圧又は他の種類の作動機構(図示せず)を採用する、本発明の様々な実施形態による例示のポペット弁3000の概略的な断面図である。 図30Aに示した弁3000は高圧側弁である。 弁3000は、例示の目的のために鉛直の配向で示されているが、他の配向(例えば、水平な配向)が様々な実施形態で採用できる。

    弁3000は、シリンダエンドキャップ3008(一部示している)の環状の溝又は通路内に嵌め込まれた適切な材料(例えば、ポリエーテルエーテルケトン[PEEK])の斜めにされた接触弁輪3006を備えている。 図30Aでは、弁体3004の斜めになっている部分が、接触弁輪3006の斜めになっている部分と補完し、そのため、弁体3004が弁輪3006と接触しているとき、弁体3004の斜めとされた表面と弁輪3006の斜めとされた表面とが互いに同一面で接触しており、ポート3002を完全に塞いでいる。

    接触弁輪3006は、環状(輪形状)の波形ばね3010上に置かれている。 波形ばねの上面は接触弁輪3006に押し付けられ、波形ばねの下面は、弁輪3006が嵌め込まれたエンドキャップ3008の環状の溝の下面に押し付けられている。 図30Aの波形ばね3010の概略的な断面図を明確にするために、例示の波形ばねが図30Bに示されている。 図30Bに示した設計以外の設計の波形ばねが、図30Aの機構に採用されてもよい。 波形ばねでない機構(例えば、コイルばね、空気圧ばね)が、追加又は代替で、図30Aの機構、又は、本発明を採用する他の弁に採用されてもよく、図30Aの波形ばねの使用は単なる例示である。 接触弁輪3006とエンドキャップ3008との間の流体の流れは、1又は2以上のガスケット3012によって防止される。

    弁体3004の下面と接触弁輪3006との間の鉛直方向の距離は、本明細書では、弁体変位hと呼ばれ、図30Aにおいて文字hのある両方向矢印で示されている。 図30Aでは、弁体3004が弁輪3006と接触しており、且つ、弁輪3006が達成し得る最も遠位側(つまり、図30Aにおける上向き)の位置にあるとき、0(ゼロ)の鉛直座標が、弁体3004の下面3014の平面によって定められる。 本明細書では、弁輪3006のこの最も遠位側の位置は、弁輪3006の中立位置と呼ばれる。 h=0の平面から近位側(つまり、図30Aにおける下向き)への変位は、負の数字で示される。 ここで、波形ばね3010は、弁輪3006がその中立位置にあるとき、「自然に圧縮されている」と言える。 例示の弁体3004の下面3014は、半径Rを有している。 ポート3002も半径Rを有している。

    図30Aは、弁3000が閉まる間に起こる作動状態の弁3000を示す。 図30Aに示す局面の前の弁の閉じる局面においては、弁体3004は、完全に開いた変位h FO (十分に開いた距離h SOより実質的に大きい)に元々は静止しており、最大の閉じる速度V MCまで近位側に加速していた。 最大の閉じる速度V MCは、弁体変位hが十分に開いた距離h SOまで減少される前に、弁体3004によって達成される。 有効に弁が閉じること、つまり、弁3000を通る流れに関する容量の著しい減少は、弁変位hがh SO未満となった瞬間(図示せず)に始まると言える。

    図30Aに示す作動状態で、波形ばね3010は、その中立に圧縮されている状態にあり、弁輪3006はその中立位置にあり、弁体3004は、弁機構の作動中に達成された最大の閉じる速度(V MC )で下向きに移動している。 (一定のV MCが図30A及び本明細書のいずれかにおける説明では例示で仮定されているが、一定でない弁体の速度が、本発明の他の実施形態で生じてもよい。)図30Aに示す瞬間において、hはh SO未満である。 したがって、図30Aに示す瞬間において、弁3000は、もはや十分に開いておらず、閉じる過程にある。

    図30Cは、弁3000の閉じる後半の局面にある弁3000を示す。 弁体3004は、速度V MCで下向きになおも移動している。 弁体3004は、弁輪3006と接触し、ポート3002を塞ぐが、弁輪3006はなおもその中立位置にあり、波形ばね3010はなおもその中立に圧縮されている状態にある。 したがって、図30Cは、十分に閉じたことが達成された瞬間の弁3000を示す。 弁体3004の下面3014はh=0にある。

    図30Cに示す十分に閉じた瞬間に続いて、弁輪3006は、弁体3004と、弁棒3016と、それらに接続されるおそらくは他の構成部品との運動量(本明細書では、「閉じるときの移動質量」と総称される)によって押し進められると共に、弁体3004に作用するあらゆる正味の下向きの流体圧力、又は、作動機構(図示せず)によって弁棒3016に与えられる力によって押し進められ、その中立位置から下向きに移動する。 弁輪3006の下向きの変位は波形ばね3010を圧縮し、波形ばね3010は、上向きの減速する力を、弁体3004、したがって閉じるときの移動質量全体に与える。 波形ばね3010のばね定数及び寸法は、波形ばね3010が最大に圧縮されるときまでに、閉じるときの移動質量の速度が許容可能な低い最終の閉じる速度V CV (例えば、ゼロ)まで低下されるように選択される。

    図30Dは、波形ばね3010が最大に圧縮され、且つ、閉じるときの移動質量の速度がV CVまで低下された瞬間における、図30A及び図30Cの弁3000を示す。 図30Dに示す瞬間において、弁輪3006は、その中立位置からその実質的に押圧された位置−h SDまで変位されている。

    図30Dに示す瞬間に続いて、ばね3010は、弁輪3006をその中立位置に戻す傾向がある。 本明細書では、図30Dに示す瞬間と、弁輪3006のその中立位置に安定して戻ることとの間の時間間隔は、設定間隔と呼ばれる。 弁輪3006、弁体3004、及び弁3000の他の構成部品の、設定間隔の間に起こり得るあらゆる振動又は他の移動は、弁3000及び/又は他の実施形態の構造の詳細に依存し、本明細書ではさらに説明はしない。 弁3000及び他の実施形態は、図30Cに示す十分に閉じた瞬間から設定間隔を通じて、弁体3004及び弁輪3006が互いに同一面で接触したままであるように(つまり、弁が跳ね返らず、十分に閉じた瞬間から開くサイクルの開始まで閉じたままでいるように)、設計されてもよい。

    ある実施形態では、弁輪3006が(図30Dに示すように)−h SDでその実質的に押圧された位置に達した後、下向きの十分な力が弁体3004上に維持されて、弁輪3006を実質的に押圧された位置に維持する。 このような実施形態では、弁体3004及び弁体3006は、実質的に押圧された位置に、弁3000の開くことがいくらか遅れたときに開始されるまで、維持されてもよい。 閉じた後に弁体3004及び弁輪3006が実質的に押圧された位置に維持される実施形態では、閉じるときの移動質量の減速の間にばね3010に行われた仕事は、弾性ポテンシャルエネルギーとしてばね3010に貯蔵され、開くサイクルの初期の局面の間に、弁輪3006と、弁体3004と、おそらくは他の構成部品とを加速するために利用可能である。

    図30A及び図30C〜図30Dに示す構成部品及び開口は軸を横切る断面において円形であるが、しかしながら、他の断面形状は、検討されており、本発明の範囲内にある。

    弁3000が閉じるのは、先の説明、並びに、図30A及び図30C〜図30Dの一部の図示のように、(a)閉じる間、弁体がおおよそh SOの変位での静止で始まり、(b)弁及び弁棒の作動機構による下向きの加速が、弁3000における弁体3004の加速とおおよそ等しく、(c)最大の閉じる速度V MCが弁3000の最大の閉じる速度とおおよそ同じである、そうでなければ同じであるポペット弁(本明細書では、「従来の弁」と呼ばれる)が閉じるのよりも、より素早くてより効率がよい。

    閉じた後に弁体3004及び弁輪3006が完全に押圧された位置ある実施形態では、図30Dは、開くサイクルの開始における弁3000の状態も示す。 この状態で、ばね3010は、弁体3004と、弁棒3016と、それらに取り付けられたあらゆる構成部品(本明細書では「開けるときの移動質量」と呼ばれる)とに上向きの力を与えている。 開くサイクルの初期の瞬間に(例えば、図30Dに示す瞬間、又は、そのすぐ後)、弁3000の閉状態の間に完全に押圧された位置に弁体3004及び弁輪3006を保持した下向きの力は、逆転されるか、又は、著しく減らされる。 その後すぐに、弁輪3006は、ばね3010によって上向きに加速される。 上向きの力が、この上向きの加速の間に、作動機構によって弁体3004に与えられる場合であって、且つ、その上向きの力が、弁体3004をばね3010よりも速く加速させるだけの大きさではない場合、弁輪3006及び弁体3004は、この上向きの加速の期間の間、互いに接触したままとなる。 つまり、弁3000は、この上向きの加速の期間の間、十分に閉じたままとなる。 上向きの加速の間、ばね3010は、弁輪3006及び弁体3004に仕事を行い、前の弁の閉じる減速の局面の間にばね3010に弾性ポテンシャルエネルギーとして貯蔵されたエネルギーの一部を、弁体3006に運動エネルギーの形態で戻す。 したがって、従来のポペット弁の閉じる間に作動機能において典型的には消散していたあるエネルギーが、本発明のこれらの実施形態及び他の実施形態では、弁が開く間に戻され、弁作動エネルギーを低減し、全体のシステム効率を向上させる。

    ここで図31A及び図31Bを参照すると、従来の弁が閉じるのと比較して、弁3000が有効に閉じることの素早さが明確にされている。 図31Aの「従来の弁」のプロットは、閉じる間における、従来の弁の弁体の時間経過に対する位置の例示的な概略のプロットである。 図31Bの「弁3000」のプロットは、閉じる間における、弁3000の弁体3004の時間経過に対する位置の例示的な概略のプロットである。

    図31Aでは、弁の閉じるのが時間T に開始する。 弁体変位hは、時間T の前では、h SO (例えば、R/2におおよそ等しい)に等しい。 つまり、弁体はh=h SOに動かないでいる。 期間A にわたって、弁体は、その最大の閉じる速度V MCに到達するまで、下向きに加速される。 時間T において、弁体の減速が開始する。 許容可能な最終の閉じる速度V CVまでの弁体の減速は、期間A にわたって起こる。 時間T において、従来の弁の弁体と座部とは互いに接触し、従来の弁は十分に閉じられる。 時間T (この時間の後、弁は十分に開いていることを終了する)から時間T (この時間に、弁は十分に閉じていることを達成する)までの期間は、従来の弁の有効な閉じる時間C である。

    図31Bでは、弁の閉じるのが時間T に開始する。 弁体変位hは、T の前では、h FO (全開位置)に等しい。 つまり、弁体3004はh=h FOに動かないでいる。 期間A (図31Aにおける期間A におおよそ等しい時間長さ)にわたって、弁体3004は、その最大の閉じる速度V MCに到達するまで、下向きに加速される。 時間T において、弁体は最大の閉じる速度V MCに到達している。 時間T4において、なおもV MCで移動している弁体3004は、弁輪3006と接触し、弁3000は十分に閉じられる。 許容可能な最終の閉じる速度V CVまでの弁体の減速は、期間A (図31Aにおける期間A におおよそ等しい時間長さ)にわたって起こる。 時間T までに、弁体はV CVに減速されている。 時間T (この時間の後、弁は十分に開いていることを終了する)から時間T (この時間に、弁は十分に閉じていることを達成する)までの期間は、弁3000の有効な閉じる時間C である。 図31A及び図31Bは、弁3000の有効な閉じる時間C が従来の弁の有効な閉じる時間C より小さいことを明確にしている。

    さらに、弁3000の弁体3004が、十分に開いた点(例えば、R/2におおよそ等しいh)と十分に閉じた点(h=0)との間で、より速い平均速度で移動することと、弁3000の開口面積A curtainが、従来の弁の閉じる間よりも弁3000の閉じる間に、より短い時間間隔において制限される(例えば、0<A curtain <πR )こととは、図31A及び図31Bから明白である。 A curtainの制限は、流体が弁の開口3002を通過するとき、より大きな絞り損失(つまり、乱流の流体における圧力ポテンシャルエネルギーの熱として発散)を伴う。 そのため、弁3000の設計がそうであるように、より大きな絞り損失が発生する時間間隔を短くすることは(つまり、有効な閉じる時間を短くすることは)、弁3000を備えるエネルギー変換システムの全体の効率を向上させる。

    ここで図32Aを参照すると、図30Dの弁3000の状態を示す。 (図32A〜図32Cの部品番号は、図30A及び図30C〜図30Dの同一の部品の番号の後の二桁において対応している。)図32Aに示された状態は、(図30Dに示されるように)弁輪3206が完全に押圧された位置にある状態で開始する開くサイクルの間に生じ、弁輪3206及び弁体3204の上向きの加速が続いている。 弁輪3206がその中立位置(つまり、さらに上向きに移動できない位置)に到達するまでであって、且つ、弁体3204が変位h=0であり、弁体3204がその最大の開く速度、V MOに達するように、弁3200は構成される。 図32Aは、弁輪3206がその中立位置に到達する瞬間を示しており、弁体3204は、変位h=0にあってV MOで移動している。 この瞬間まで、弁3200は、開くサイクルの間、十分に閉じたままとなっている(つまり、弁体3204と弁輪3206とは同一面で接触したままである)。 弁体3204が弁輪3206との接触を終了した後、弁3200は、もはや十分には閉じていないが、しかしながら、弁体3204の変位hが十分に開いた距離h SOとおおよそ等しいか、又は、距離h SOより大きくなるまで、十分には開いていない。

    図32Bは、図32Aに示す瞬間の後の、開く行程における瞬間を示す。 弁体3204の変位はおおよそh SOであり、弁体3204の速度は、図32Aのように、V MOのままである。 図32Bに示す瞬間又はその瞬間の後において、弁体3204の減速が開始する。 弁体3204が全開変位h FOに到達するときまでに、弁体3204は、許容可能な最終の開く速度V OV (例えば、ゼロ)に減速されている。

    図32Cは、開く行程の終端における、弁3200の選択された構成部品の最終の位置を示す。 弁体は、全開変位h FOにおいて静止している。

    図32A〜図32Cに一部示された例示の実施形態の開くサイクルの利点は、従来のポペット弁(つまり、先行技術によって構築されたポペット弁)の開くサイクルと比較して、図30A及び図30C〜図30Dに一部示すように、従来のポペット弁の閉じるサイクルと比較しての弁3200の閉じるサイクルについて先に説明した利点と、同等のことである。 つまり、弁体と弁輪との間の接触が終わる前に弁体3200をその最大変位速度(つまり、最大の開く速度V MO )に加速することと、弁が十分に開くことになる変位h SOを過ぎた後に弁体3200を減速することとは、そうでなければ同じである従来の弁と比較して、有効な弁の開く時間を短くし、開く間の絞り損失を低減する。 図31A及び図31Bの、その時間軸が逆にされたプロットは、従来の弁を開ける一連の事象と比較して、弁3200を開ける一連の事象をおおよそ表すことになる。

    他の実施形態では、弁組立体3200の開くサイクルは、弁体3204が静止していることを除いて、図32Aに示す状態に相当する位置で(つまり、弁輪3206が中立位置にある状態で)開始する。 このような実施形態では、ばね3210による閉じる局面からの運動エネルギーを弁体3204に戻すことは起こらない。 しかしながら、弁3200に関してすでに説明した利点は、このような実施形態になおも生じる。 つまり、そうでなければ同じである従来の弁に対して、弁3200の有効な閉じる時間はより短くなり、絞り損失はより小さくなる。

    さらに他の実施形態では、弁体3204及び弁輪3206は、上向きの加速の開始の前に、開くサイクルの初期の局面において、中立位置から完全に押圧された位置に移動されてもよい。

    図33A〜図33Cは、高圧側弁の実施形態を参照している。 同様の利点を実現する同様の構成を低圧側弁に対して考案できることは、弁の機構に適度に精通しているものには明らかであろう。 このような構成は、検討されており、本発明の範囲内にある。

    図33Aは、本発明の様々な実施形態による例示の液圧作動組立体3300の構成部品の概略図である。 作動装置は、弁体3304を移動することでポペット弁(例えば、図20又は図30Aに示すもの)のポート(図示せず)を開閉するために、液圧シリンダ3302を採用している。 図33Aに示すように、液圧シリンダ3302は、シリンダ3302の内部を2つの室3308、3310に分割するピストン3306を収容し、それら室3308、3310の両方は、典型的には、近似的には非圧縮性の液体(本明細書では、「液圧流体」又は単に「流体」と呼ばれる)で満たされている。 ピストン3306は、シリンダ3302から外に通り抜けて、組立体3300によって作動されるポペット弁の本体部(図示せず)内に入る、弁棒3312に接続する。 弁体3304は、図20及び前述の他の図面に示すものと同等である。 代替の実施形態では、弁棒3312は、室3308及び3310において実質的に等しいピストン面積を維持するために、シリンダ3302から外に延在してもよい。

    組立体3300は、2つの出口ポート(A、B)と2つの入口ポート(C、D)とを有する三方向制御弁(DCV)3314を特徴とする。 DCV3314の3つの可能な設定は、以下の通りである。 (1)ポートCがポートAに接続され(つまり、流体連通させられる)、且つ、ポートDがポートBに接続される閉じる設定、(2)ポートAがポートBに接続され、且つ、ポートCとポートDが閉じられる減速設定、(3)ポートDがポートAに接続され、且つ、ポートCがポートBに接続される開く設定。

    組立体3300は、高圧流体蓄圧器3316と、低圧流体蓄圧器3318と、低圧タンク又は流体貯留器3320と、逆止弁3322、3324、3326、3328、3330と、圧力逃し弁3332と、流体を比較的高圧(例えば、3000psig)にするポンプ3334とをも特徴とする。 管は、組立体3300の様々な構成部品に液圧流体を交換させることができる。 以下で明らかとされるように、組立体3300の構成は、組立体3300によってポペット弁(図示せず)を開けるか又は閉じる間に、ピストン3306、弁棒3312、及び弁体3304の減速からのエネルギーの貯蔵と、次の開けるか又は閉じるサイクルの間に、ピストン3306、弁棒3312、及び弁体3304の加速への貯蔵されたエネルギーの一部の適用とを可能にする。 典型的には(例えば、従来の弁作動機構において)消散される作動エネルギーのこのような回復又は再生は、作動組立体3300を備えるエネルギー変換システムの全体の効率を向上させる。

    図33Aに示す組立体3300の運転状態において、DCV3314は閉じる設定にある。 ポンプ3334の出口からの基準高圧p の液圧流体は、逆止弁3330を通過し、DCV3314のポートDに入ってDCV3314のポートBから出て、配管3336を通り、シリンダ3302の室3310に入る。 室3310の流体は、ピストン3306に力を与え、ピストン3306、弁棒3312、及び弁体3304を左に(つまり、閉じる方に)押すことになる。

    の流体は、配管3338を通過して高圧蓄圧器3316へも入ることができる(例えば、高圧蓄圧器3316の圧力が、p より若干低い圧力p 1−の場合)。 高圧蓄圧器内の流体の圧力は、圧力p の流体が常に逆止弁3330を通って高圧蓄圧器3316に入るため、典型的には、p 未満で著しく低下することはない。 代替で、高圧蓄圧器3316内の流体の圧力がp より高い圧力p 1+である場合、高圧蓄圧器内の流体の一部は、DCV3314を通過してシリンダ3302の室3310に入り、ピストン3306、弁棒3312、及び弁体3304を左に加速させる力に寄与することになる。

    ピストン3306が左方向に移動するにつれて、室3308の流体は室3308を脱出し、配管3340を通り、DCV3314のポートA及びCを通過し、配管3342によって低圧蓄圧器3318に運ばれる。 低圧蓄圧器3318及び/又はシリンダ室3308の圧力が所定の閾を超える場合、低圧蓄圧器3318及び/又はシリンダ室3308からの流体は、低圧蓄圧器3318及び/又はシリンダ室3308の圧力が閾をもはや超えなくなるまで、低圧貯留器3320に(圧力逃し弁3332を介して)放出される。

    図33Bは、作動シリンダ3302の閉じる行程の後半の運転状態の組立体3300を示す。 作動シリンダ3302の行程長さのある部分(例えば、行程長さの80%)において、DCV3314は減速位置に移動され、その減速位置で、室3310は、配管3336、DCV3314、及び配管3340を通じて室3308と流体連通させられる。 この運転状態は図33Bに示されている。 この運転状態において、室3310からの流体(初期にはおおよそ圧力p である)は、配管3336、DCV3314、及び配管3340によって提供される制限された通路を通って室3308に移動する傾向がある。 したがって、室3310の圧力は低下する傾向があり、室3308の圧力は上昇する傾向がある。 さらに、(弁の最大の閉じる速度V MCで左方向に移動している)ピストン3306、弁棒3312、及び弁体3304の運動量は、室3308の流体に力を与える傾向があり、室3308の流体の圧力をあるピーク値に上昇させる。 室3310、室3308、及び、それらに接続される配管のピーク圧力は、ピストン3306、弁棒3312、及び弁体3304の全質量と共にV MCに一部依存することになる。 典型的には、室3310、室3308、及び、管3340を含むそれら室に接続される配管のピーク圧力のピーク圧力は、圧力p より高いp 1+である。 管3340の流体がp 1+であり、高圧蓄圧器3316の圧力がp 1+未満であるとき、逆止弁3328は、管3340の流体の一部の高圧蓄圧器3316への通行を可能にし、高圧蓄圧器3316内の流体の圧力を上昇させる。 したがって、実際には、DCV3314を減速位置にすることで、弁が閉じる間にピストン3306、弁棒3312、及び弁体3304に与えられる運動エネルギーの一部は、回収され、高圧蓄圧器3316に圧力ポテンシャルエネルギーとして貯蔵される。

    組立体3300は、行程の終端までに、ピストン3306、弁棒3312、及び弁体3304が許容可能な低い最終の閉じる速度V CVで移動するように、(例えば、作動シリンダ3302の閉じる行程の適切な位置で、DCV3314を減速位置にすることによって)運転させることができる。

    同様に、作動シリンダ3302の開く行程を開始するために、DCV3314は開く位置とされる。 図33Cは、作動シリンダ3302の開く行程の初期の運転状態の組立体3300を示す。 図33Cに示す組立体3300の運転状態において、DCV3314は開く設定にある。 ポンプ3334の出口からの基準高圧p の液圧流体は、逆止弁3330を通過し、DCV3314のポートDに入ってDCV3314のポートAから出て、配管3340を通り、シリンダ3302の室3308に入る。 室3308の流体は、ピストン3306に力を与え、ピストン3306、弁棒3312、及び弁体3304を右に(つまり、弁を開く方に)押す。

    閉じる行程の間、p の流体は配管3338を通って高圧蓄圧器3316に入ることができる。 代替で、高圧蓄圧器3316内の流体の圧力がp より高い圧力p 1+である場合(例えば、閉じる行程の減速局面の間に集められた圧力ポテンシャルエネルギーの、高圧蓄圧器3316における貯蔵の結果として)、高圧蓄圧器3316内の流体の一部も、DCV3314が最初に開く位置にされたとき、シリンダ3302の室3308に入り、ピストン3306、弁棒3312、及び弁体3304を右に加速する力に寄与することになる。

    ピストン3306が右方向に移動するにつれて、室3310の流体は室3310を脱出し、配管3336を通り、DCV3314のポートB及びCを通過し、配管3342によって低圧蓄圧器3318に運ばれる。

    作動シリンダ3302の行程長さのある部分(例えば、行程長さの80%)において、DCV3314は減速位置に移動され、その減速位置で、室3310は、配管3336、DCV3314、及び配管3340を通じて室3308と流体連通させられる。 ピストン3306、弁棒3312、及び弁体3304の減速は、閉じる行程の間の減速について先に説明したように、室3310及び室3308の役割が逆にされた状態で起こる(つまり、開く行程の減速の間、圧力は、室3308において低下し、室3310において上昇する)。 閉じる行程の間の減速と同様に、開く行程の間の減速によって、弁が開く間にピストン3306、弁棒3312、及び弁体3304に与えられる運動エネルギーの一部は、回収され、高圧蓄圧器3316に圧力ポテンシャルエネルギーとして貯蔵される。

    したがって、図33A〜図33Cに示す例示の実施形態は、弁が開くか又は閉じる間に作動組立体3300を運転するために必要とされるエネルギーの一部の貯蔵及び再使用を可能にしている。 その結果、組立体3300と同様のポペット弁作動装置を特徴とするエネルギー変換システムは、従来のポペット弁作動装置を特徴とするエネルギー変換システムより高い全体の効率で運転できる。

    図33A〜図33Cは、高圧側弁の実施形態を参照している。 同様の利点を実現する同様の構成が低圧側弁に対して考案できることは、液圧の技術に適度に精通しているものには明らかであろう。 このような構成は、検討されており、本発明の範囲内にある。 さらに、図33A〜図33Cの作動シリンダ3302の水平の配向は単なる例示であり、他の配向(例えば、鉛直の配向)は、検討されており、本発明の範囲内にある。

    図34Aは、本発明の様々な実施形態による例示の電磁弁3400の主要な構成部品の概略的な断面図である。 明確にするために、弁本体部の外側ポート及び壁を含む弁3400の構成部品は、図34Aには示さない。

    弁3400は、差圧と電磁力とによって作動できる。 他の実施形態では、弁3400は、様々な作動状態において、差圧、電磁力、及び機械的な力によって作動されてもよい。 弁3400は、弁を閉じる方に付勢するため、開ける力を緩衝するため、及び/又は、閉まる作動機構を置き換えるため若しくは補完するために、機械式又は空気圧のばね(図示せず)を備えてもよい。 図34に示した弁3400は、先に定義したような高圧側弁であり、様々な実施形態において、先に説明した図面に示されたポペット式の高圧側弁と置き換えることができ、それによって様々な追加の利点を実現できる。

    弁3400は、シリンダ組立体のエンドキャップ3410を通り抜け得るか又はエンドキャップ3410と一体化され得る座部3405を特徴とする。 座部3405の開口3415は、弁3400のゲートポート3415を構成する。 弁3400は、弁部材3420と、弁部材3420に取り付けられたか又は一体とされた永久磁石3425と、作動機構3430とを備えてもいる。 作動機構3430は、強磁性コア3435と、電流を流すことができる巻線3440とを備えてもよいし、又は、それらから基本的に構成されてもよい。 図34Aでは、断面図で見て、座部3405及び巻線3440が整列された管形状又は輪形状の構造として示されている。 図34Aに示されるように、ゲートポート3415から見たとき、電流は巻線3440の周りを時計回りに流れていく。 従来の記号3445で示すように、強磁性コア3435の左に断面で示す巻線3440の一部では、電流は紙面から直に外に向かって流れている一方で、強磁性コア3435の右に断面で示す巻線3440の一部では、電流は紙面に直に向かって流れている。 この流れの方向は、本明細書では、「時計回り」の方向と呼ばれる。 電流が巻線3440で時計回りに流れるとき、強磁性コア3435は、ゲートポート3415の遠位にあるコア3435の端部がN磁極となり、ゲートポート3415の近位にあるコア3435の端部がS磁極となるように磁化される。 永久磁石3425は、そのN極がゲートポート3415の遠位になり、そのS極がゲートポート3415の近位になるように、固定されている。

    図34Aでは、弁3400は部分的に開いた状態で示されている。 コア3435の磁化の向きは、隙間3450を隔てて、S磁極を永久磁石3425のN極に向かせることである。 弁3400が全開状態にあるとき、隙間3450は最小又は非存在である(例えば、永久磁石3425とコア3435とが接触していてもよい)。 永久磁石3425のN極とコア3435のS極との間の有効な距離xの逆二乗に比例する引き付ける磁気力は、作動機構3430と弁部材3420との両方に作用する。 ここで、xは、隙間3450の幅におおよそ比例しており、ゼロ以外の定数である。 作動機構3430は、弁3400の本体部(図示せず)に接続されており、ゲートポート3415に向かう方に、又は、ゲートポート3415から離れる方に自由に移動せず、一方、弁部材3420は、ゲートポート3415に向かう方に、又は、ゲートポート3415から離れる方に自由に移動する。 磁気の上向きの力(磁気の開く力)F omは、弁部材3420を作動機構3430に向かって移動させる傾向がある。 磁気の開く力F omは、隙間3450の幅及び巻線3440の電流の方向及び大きさに依存する時間の関数として変化してもよい。 図34Aでは、コア3435は、強磁性材料の固体のシリンダとして示されており、他の実施形態では、コア3435は、他の形状を有し、その磁気抵抗が操作者又は制御システムによって変更できるように構成されてもよく、その場合、コア3435の磁気抵抗は時間と共に変化してもよい。 コア3435の磁気抵抗が時間と共に変化できる場合、磁気力は、コア3435の磁気抵抗と共に隙間3450の幅及び巻線3440の電流に時間変化する方法で依存できる。

    巻線3440の電流の方向及び大きさは、様々な作動上の利点を実現するために、弁3400の作動中、意図的に変化させることができる。 例えば、弁部材3420が座部3405と接触し(つまり、弁3400が閉じているとき)、弁3400が開き始めるとき、弁部材3420を座部3405から離れる方に加速するために、巻線3440には比較的大きな電流が用いられてもよい。 この電流は、弁部材3420が作動機構3430に向かって移動するにつれて、減少されてもよい(又は、完全に除去されたとしてもよい)。

    シリンダ室3455と流室3460との差圧は、ある作動状態では、磁気の開く力F omと同じ向きで作用する追加的な液圧の開く力F ohを提供してもよい。 例えば、シリンダ室3455の圧力は、流室3460の圧力より大きくてもよい。 この場合、弁3400が開き始めて弁部材3420が座部3405にもはや接触しなくなった後、流体の流れ3465が、概して、ゲートポート3415を通って発生することになる。 流体の流れ3465は、液圧の開く力F ohを弁部材3420に開く過程を通じて与え続ける傾向があるが、F ohは、弁部材3420がゲートポート3415から離れる方に移動するにつれて減少し得る。 液圧の開く力F ohは、弁3400の開くのを、開始、支援、及び/又は完了するに足り得る。

    弁部材3420が作動機構3430に向かって移動するにつれて、巻線3440の電流(したがって、磁気の開く力F om )は、弁部材3420の作動機構3430に向かう加速を増加、維持、減少、又は反対にするように変化され得る。 巻線電流、したがってF omの適切な変化を通じて、弁3400が素早く開くことと、衝突力の低減とは、最小のエネルギーの消費で実現できる。

    別の作動状態では、図34Aに示さないが、巻線3440の電流の方向は反時計回りである。 この作動状態では、強磁性要素3435のN極及びS極が逆転されることになり、N磁極は、作動機構3430によって、永久磁石3425のN磁極に呈されることになる。 2つのN磁極が近いことで、斥力(磁気の閉じる力F cm )を弁部材3420に作用させることになる。 流室3460とシリンダ室3455との差圧に応じて、液圧力が、磁気の閉じる力F cmに応じてか又はF cmに反してのいずれかで弁部材3420に作用し得る。 弁部材3420は、弁部材3420への正味又は合計の力の方向に加速することになる。 したがって、流室3460とシリンダ室3455との差圧に拘わらず、十分に大きい磁気の閉じる力F cmが作動機構3430によって弁部材3420に与えられる場合、弁部材3420はゲートポート3415に向かって移動することになる。 要するに、弁3400は、弁3400の前後の差圧に拘わらず、巻線3440を通る反時計回りの十分に大きな電流の通過によって、閉じることができる。

    弁3400が閉じる間、弁部材3420が作動機構3430から離れる方に向かって移動するにつれて、巻線3440の電流(したがって、磁気の閉じる力F cm )は、弁部材3420の作動機構3430から離れる方に向かう加速を増加、維持、減少、又は反対にするように変化され得る。 電流、したがってF cmの適切な変化を通じて、弁3400が素早く閉じることと、衝突力の低減とは、最小のエネルギーの消費で実現できる。 また、強磁性材料(例えば、図示しないが磁束増幅器)が、弁座での磁束密度を最大化又はそうでなければ最適化するために、戻りの磁路に(作動機構3430の上方又は周囲における少なくとも一部に)配置されてもよい。

    図34Bは、異なる作動状態における図34Aの弁の概略的な断面図である。 図34Bに示すように、弁3400は閉じられている。 つまり、弁部材3420が座部3405と接触しており、ゲートポート3415を塞ぐ。 流室3460とシリンダ室3455との差圧は、弁部材3420を座部3405と接触させたまま保持する(つまり、弁3400を閉じたまま保持する)傾向があるか、又は、弁3420を座部3405から離す方に移動する(つまり、弁3400を開く)傾向があるかのいずれかの力を提供できる。

    図34Bでは、巻線3440の電流は、反時計回りの方向に移動するとして示されている。 その結果、強磁性要素3430が、N磁極を永久磁石3425のN磁極に呈し、弁3400を閉じたまま保持する傾向がある磁気の閉じる力F cmは、弁部材3420に作用することになる。 流室3460とシリンダ室3455との差圧が弁3400を閉じたまま保持するような場合、弁3400は、巻線3440の電流がゼロであっても閉じたままとなり、流室3460とシリンダ室3455との差圧が、弁3400を開けるような場合、巻線3435の電流は、弁を閉じたままに維持するのに十分な相殺する磁気の閉じる力F cm (つまり、差圧によって与えられる液圧の開く力より大きいF cm )を作り出す値に設定され得る。

    図35Aは、本発明の様々な実施形態による例示の電磁弁3500の主要な構成部品の概略的な断面図である。 明確にするために、流室の外側ポート及び壁を含む弁3500の構成部品は、図35Aには示さない。 弁3500は、差圧と電磁力とによって作動できる。 他の実施形態では、弁3500は、様々な作動状態において、差圧、電磁力、及び/又は機械的な力によって作動されてもよい。 弁3500は、弁を閉じる方向に付勢するため、開ける力を緩衝するため、及び/又は、閉まる作動機構を置き換えるためか若しくは補完するために、機械式又は空気圧のばね(図示せず)を備えてもよい。 図35Aに示した弁3500は、先に定義したような低圧側弁であり、様々な実施形態において、先に説明した図面に示されたポペット式の低圧側弁と置き換えることができ、それによって追加の利点を実現できる。

    弁3500は、シリンダ組立体(別に図示されていないが)のエンドキャップ3510を通り抜け得るか又はエンドキャップ3510と一体化され得る座部3505を特徴とする。 座部の開口3515は、弁3500のゲートポート3515を構成する。 弁3500は、弁部材3520と、弁部材3520に取り付けられたロッド3570と、ロッド3570に取り付けられるか又はロッド3570と一体化された永久磁石3525と、作動機構3530とを備えてもいる。 作動機構3530は、強磁性コア3535と、電流を流すことができる巻線3540とを備えてもよいし、又は、それらから基本的に構成されてもよい。 図35Aでは、断面図で見て、座部3505、コア3535、及び巻線3540が整列された管形状又は輪形状の構造として示されている。 図35Aに示すように、巻線3535の電流は、前述のように、時計回りの方向に動いていく。 電流が巻線3540で時計回りに流れるとき、強磁性コア3535は、ゲートポート3515の遠位にあるコア3535の端部がN磁極となり、ゲートポート3515の近位にあるコア3535の端部がS磁極となるように磁化される。 永久磁石3525は、そのS極がゲートポート3515の近位になり、そのN極がゲートポート3515の遠位になるように、固定されている。

    図35Aでは、弁3500は全開状態で示されている。 コア3535の磁化は、隙間3550を隔てて、N磁極を永久磁石3525のS極に向かせることである。 弁3500が全開状態にあるとき、隙間3550は最小又は非存在である(例えば、永久磁石3525とコア3535とが接触していてもよい)。 永久磁石3525のS極とコア3535のN極との間の有効な距離xの逆二乗に比例する引き付ける磁気力は、作動機構3530と永久磁石3525との両方に作用する。 ここで、xは、隙間3550の幅におおよそ比例しており、ゼロ以外の定数である。 永久磁石3525に作用する磁力は、ロッド3570と弁部材3520とに伝わる。 作動機構3530は、弁3500の本体部(図示せず)に接続されており、ゲートポート3515に向かう方に、又は、ゲートポート3515から離れる方に自由に移動せず、一方、永久磁石3525、ロッド3570、及び弁部材3520は、ゲートポート3515に向かう方に、又は、ゲートポート3515から離れる方に自由に移動する。 永久磁石3525に作用する磁気の下向きの力(磁気の開く力)F omは、弁部材3520を下方に(つまり、ゲートポート3515から離れる方に)移動させる傾向がある。 磁気の開く力F omは、隙間3550の幅及び巻線3540の電流の方向及び大きさに依存する時間の関数として変化してもよい。 図35Aでは、コア3535は、固体の強磁性材料の管として示されており、他の実施形態では、コア3535は、その磁気抵抗が操作者又は制御システムによって変更できるように構成されてもよく、その場合、コア3535の磁気抵抗は時間と共に変化してもよい。 コア3535の磁気抵抗が時間と共に変化できる場合、磁気力は、コア3535の磁気抵抗と共に隙間3550の幅及び巻線3540の電流に時間変化する方法で依存できる。

    巻線3540の電流の方向及び大きさは、様々な作動上の利点を実現するために、弁3500の作動中、意図的に変化させることができる。 例えば、弁部材3520が座部3505と接触し(つまり、弁3500が閉じているとき)、弁3500が開き始めるとき、弁部材3520を座部3505から離れる方に加速し、弁3500が開くのを速くするために、巻線3540には比較的大きな電流が用いられてもよい。 この電流は、永久磁石3525が作動機構3530に向かって移動するにつれて、減少されてもよい。

    シリンダ室3555と流室3560との差圧は、ある作動状態では、磁気の開く力F omと同じ向きで作用する追加的な液圧の開く力F ohを提供してもよい。 例えば、シリンダ室3555の圧力は、流室3560の圧力より小さくてもよい。 この場合、弁3500が開き始めて弁部材3520が座部3505にもはや接触しなくなった後、流体の流れ3565が、概して、ゲートポート3515を通って発生することになる。 流体の流れ3565は、液圧の開く(下向きの)力F ohを弁部材3520に開く過程を通じて与え続ける傾向がある。 F ohは、弁部材3520がゲートポート3515から離れる方に移動するにつれて減少し得る。 液圧の開く力F ohは、弁3500の開くのを、開始、支援、及び/又は完了するに足り得る。

    弁3500が開く間、永久磁石3525が下向きに(作動機構3530に向かって)移動するにつれて、巻線3540の電流(したがって、磁気の開く力F om )は、弁部材3520の座部3505から離れる方に向かう加速を増加、維持、減少、又は反対にするように変化され得る。 電流、したがってF omの適切な変化を通じて、弁3500が素早く開くことと、衝突力の低減とは、最小のエネルギーの消費で実現できる。

    別の作動状態では、図35Aに示さないが、巻線3540の電流の方向は反時計回りとされ得る。 この作動状態では、強磁性要素3535のN極及びS極が逆転されることになり、S磁極は、作動機構3530によって、永久磁石3525のS磁極に呈されることになる。 2つのS磁極が近いことで、上向きの(閉じる)力F cmを永久磁石3525、ロッド3570、及び弁部材3520に作用させることになる。 したがって、弁部材3520は、上向き、つまり、ゲートポート3515の方向に移動する傾向がある。 流室3560とシリンダ室3555との差圧に応じて、液圧力が、磁気の閉じる力F cmに応じてか又はF cmに反して作用し得る。 弁部材3520は、弁部材3520への正味又は合計の力の方向に加速することになる。 したがって、流室3560とシリンダ室3555との差圧に拘わらず、十分に大きい磁気の閉じる力F cmが作動機構3530によって弁部材3520に与えられる場合、弁部材3520はゲートポート3515に向かって移動する傾向がある。 要するに、弁3500は、弁3500の前後の差圧に拘わらず、巻線3540を通る反時計回りの十分に大きな電流の通過によって、閉じることができる。

    弁3500が閉じる間、弁部材3520が作動機構3530に向かって移動するにつれて、巻線3540の電流(したがって、磁気の閉じる力F cm )は、弁部材3520の作動機構3530に向かう加速を増加、維持、減少、又は反対にするように変化され得る。 電流、したがってF cmの適切な変化を通じて、弁3500が素早く閉じることと、衝突力の低減とは、最小のエネルギーの消費で実現できる。 また、強磁性材料(例えば、図示しないが磁束増幅器)が、弁座での磁束密度を最大化又はそうでなければ最適化するために、戻りの磁路に(作動機構3530の下方又は周囲における少なくとも一部に)配置されてもよい。

    図35Bは、異なる作動状態における図35Aの弁の概略的な断面図である。 図35Bに示すように、弁3500は閉じられている。 つまり、弁部材3520が座部3505と接触しており、ゲートポート3515を塞ぐ。 流室3560とシリンダ室3555との差圧は、弁部材3520を座部3505と接触させたまま保持する(つまり、弁3500を閉じたまま保持する)傾向があるか、又は、弁3520を座部3505から離す方に移動する(つまり、弁3500を開く)傾向があるかのいずれかの力を提供できる。

    図35Bでは、巻線3540の電流は、反時計回りの方向に移動するとして示されている。 その結果、強磁性要素3535が、S磁極を永久磁石3525のS磁極に呈し、弁3500を閉じたまま保持する傾向がある磁気力が作り出されることになる。 流室3560とシリンダ室3555との差圧が弁3500を閉じたまま保持するような場合、弁3500は、巻線3540の電流がゼロであっても閉じたままとなり、流室3560とシリンダ室3555との差圧が、弁3500を開けるような場合、巻線3540の電流は、弁を閉じたままに維持するのに十分な磁気の閉じる力F cm (つまり、差圧によって与えられる液圧の開く力より大きいF cm )を作り出す値に設定され得る。

    一般的に、本明細書に記載されるシステムは、高効率の全サイクルエネルギー貯蔵システムの一部として、膨張モードと、反対の圧縮モードとの両方で運転できる。 例えば、システムは、圧縮機と膨張機との両方で運転でき、電気を圧縮されたガスのポテンシャルエネルギーの形態で貯蔵でき、電気を圧縮されたガスのポテンシャルエネルギーから作り出すことができる。 代替で、システムは、圧縮機又は膨張機として、独立して運転できる。

    本発明の実施形態は、本明細書において参照によりその全体の開示が組み込まれている、2011年8月30日に出願された米国特許出願第13/221,563号に記載のように、運転の間、圧縮されたガスの形態で貯蔵されたエネルギー、及び/又は、圧縮されたガスの膨張から回収されたエネルギーを、例えば質量の持ち上げといった、重力のポテンシャルエネルギーに変換できる。

    本明細書で用いられる用語及び表現は、説明の言い回しとして用いられており、限定するものではない。 また、このような用語及び表現の使用において、表示及び説明された特徴、並びに、その特徴の一部のあらゆる同等物を排除する意図はなく、様々な変形品が本発明の請求の範囲内で可能であることが認められている。

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