Cooling, heat generation and / or job generation plant

申请号 JP2011502413 申请日 2009-03-30 公开(公告)号 JP2011526670A 公开(公告)日 2011-10-13
申请人 サントル ナスィオナル ド ラ ルシェルシュ スィアンティフィク; 发明人 シルヴァン・モーラン; ドリス・スティトゥー; ナタリー・マゼ; ピエ−ル・ヌヴー;
摘要 冷却、熱生成又は仕事生成プラントを提供する。 このプラントは、a)熱源に関連付けられた蒸発器Evapと、ヒートシンクに関連付けられた凝縮器Cond と、作業 流体 G
T を圧縮または膨張させるための装置PEDと、該作業流体G
T を前記凝縮器Condと前記装置PEDの間及び前記蒸発器Evapと前記装置PEDの間で移送させる手段を含む第1組立体と、移送液体L
T 及び液体形態及び/又は気体形態の前記作業流体G
T (ここにL
T とG
T は2種の異なった流体である)を収容している2つの移送室CT及びCT'を有する第2組立体と、前記作業流体G
T を、前記凝縮器Condと前記各移送室CT及びCT'との間、及び前記蒸発器Evapと前記各移送室CT及びCT'との間で選択的に移送させる手段、及び前記移送液体L
T を、前記移送室CT及びCT'と前記圧縮または膨張装置PEDとの間で選択的に移送させる手段であって少なくとも一つの流体変換器を含むものと、より構成された少なくとも一つの修正カルノー機械を含む。
权利要求
  • a)熱源に関連付けられた蒸発器Evapと、ヒートシンクに関連付けられた凝縮器Condと、作業流体G Tを圧縮または膨張させるための圧縮または膨張装置PEDと、該作業流体G Tを前記凝縮器Condと前記装置PEDの間及び前記蒸発器Evapと前記装置PEDの間で移送させる手段を含む第1組立体と、
    b)移送液体L T及び液体形態及び/又は気体形態の前記作業流体G T (ここにL TとG Tは2種の異なった流体である)を収容している2つの移送室CT及びCT'を有する第2組立体と、
    c)前記作業流体G Tを、前記凝縮器Condと前記各移送室CT及びCT'との間、及び前記蒸発器Evapと前記各移送室CT及びCT'との間で選択的に移送させる手段と d)前記移送液体L Tを、前記移送室CT及びCT'と前記圧縮または膨張装置PEDとの間で選択的に移送させる手段であって少なくとも一つの流体変換器を含むものと、
    より構成された少なくとも一つの修正カルノー機械を含む冷却、熱生成又は仕事生成プラント。
  • 前記修正カルノー機械は駆動機械であり、前記流体変換器は流体モータであり、前記熱源は前記ヒートシンクよりも高温度であり、前記圧縮または膨張装置PEDは、飽和液体または過冷液体状態の前記作業流体G Tを加圧する装置である請求項1に記載のプラント。
  • 前記修正カルノー機械は駆動機械であり、前記流体変換器は流体モータであり、前記熱源は前記ヒートシンクよりも高温度であり、前記圧縮または膨張装置PEDは、圧縮/膨張室ABCDとそれに関連付けられた移送手段と前記移送液体L Tを加圧するための補助流体ポンプAHP 2を含む請求項1に記載のプラント。
  • 前記修正カルノー機械は受動機械であり、前記流体変換器は流体ポンプであり、前記熱源は前記ヒートシンクよりも低温度であり、前記圧縮または膨張装置PEDは、膨張弁EV、毛細管C、又は毛細管CVCに直列接続された制御弁であり、前記作業流体G Tは前記圧縮または膨張装置PEDを流れるものである、請求項1に記載のプラント。
  • 前記修正カルノー機械は受動機械であり、前記流体変換器は流体ポンプであり、前記熱源は前記ヒートシンクよりも低温度であり、前記圧縮または膨張装置PEDは前記移送液体L Tにより前記作業流体G Tを断熱圧縮または断熱膨張させる室ABCDを含む、請求項1に記載のプラント。
  • 前記プラントは、前記凝縮器及び/又は前記蒸発器の個所で補助装置に熱的に結合されている1つの修正カルノー機械を含み、前記補助装置は、修正駆動カルノー機械としての二熱熱力学装置及び修正受動カルノー機械としての二熱熱力学装置である請求項1に記載のプラント。
  • 前記熱的な結合は、熱伝達流体、ヒートパイプ、直接接触、又は放射により達成される請求項6に記載のプラント。
  • 前記二熱熱力学機械は第2の修正カルノー機械である請求項6に記載のプラント。
  • 前記修正カルノー機械は一つの補助機械に機械的に結合されている請求項1に記載のプラント。
  • 前記プラントは、補助駆動装置又は駆動/受動装置に結合された修正受動カルノー機械を含むか、又は補助受動装置または駆動/受動装置に結合された修正駆動カルノー機械を含んでいる請求項9に記載のプラント。
  • ・前記補助駆動装置は電気モータ、流体タービン、風力発電機、石油駆動エンジン、ガス駆動エンジン、ディーゼルエンジン、又は修正駆動カルノー機械であり、
    ・前記補助受動装置が流体ポンプ、輸送機械、交流発電機、機械蒸気又はガス圧縮ヒートポンプ、空気圧縮機、また他の修正受動カルノー機械であり、
    ・前記補助駆動/受動装置はフライホイールである、請求項10に記載のプラント。
  • 駆動モードまたは受動モードで動作できる前記プラントであって、
    ・変換要素と該変換要素を前記移送室CT及びCT'に選択的に接続させる手段とを含み、前記変換要素が、モータまたはポンプとして動作する二機能流体変換器から構成されるか、又は流体ポンプ及び流体モータから構成され;
    ・前記圧縮または膨張装置PEDは、加圧装置、膨張装置、及び前記凝縮器Condと前記蒸発器Evapの間の2つの並列回路に挿入された前記加圧装置と前記膨張装置を排他的に選択する選択手段とを備えていて、各々が前記凝縮器Condを前記蒸発器Evapに接続可能にする、請求項1に記載のプラント。
  • 前記プラントは、異なった温度にある前記熱源及び/又は前記ヒートシンクの間の直接または間接熱交換手段を含み、さらに前記移送室CTとCT'内の前記作業流体G Tは直接または間接熱交換を行うものである請求項1に記載のプラント。
  • 前記作業流体G Tと前記移送液体L Tは、作業流体G Tが移送液体L Tに弱溶解性であり、前記作業流体G Tが前記移送液体L Tと反応せず、且つ液体状態での作業流体G Tが前記移送液体L Tよりも低密度である請求項1に記載のプラント。
  • 前記作業流体G Tと前記移送液体L Tは、これら両者の間に非浸透性の隔壁を提供し且つ移送液体L Tの変位及び熱伝達に対して実質的に抵抗しない可撓性膜、又は液体状態での前記作業流体G Tと前記移送液体L Tの中間の密度を有するフロートにより互いに隔離されている請求項1に記載のプラント。
  • 前記移送液体L Tは、水、鉱物油、及び合成油から選択されている請求項14に記載のプラント。
  • 作業流体G Tは純物質又は共沸混合物である請求項14に記載のプラント。
  • 作業流体G Tは水、CO 2 、NH 3 、1〜6個の炭素原子を有するアルコール、1〜18個の炭素原子を有するアルカン、1〜15個の炭素原子を有するクロロフルオロアルカン、1〜15個の炭素原子を有する一部又は完全にフッ素化又は塩素化したアルカンから選択される請求項14に記載のプラント。
  • 前記請求項1のプラントを使用して、作業流体G Tに下記の一連の修正カルノーサイクルを行わせる方法であって、各修正カルノーサイクルは:
    ・作業流体G Tと熱源との間、又は作業流体G Tとヒートシンクの間の熱交換による等温過程、
    ・前記作業流体G Tの圧力の減少による断熱過程、
    ・前記作業流体G Tとヒートシンクの間、又は前記作業流体G Tと前記熱源との間の熱交換による等温過程、及び・作業流体G Tの圧力の増加による断熱過程より成り、特徴として・作業流体G Tは少なくともサイクルの2つの等温過程で気液二相形態を有し、
    ・サイクルのこれら2種の等温過程は、流体変換器を駆動し又は該流体変換器により駆動される移送流体L Tの変位に応じて作業流体G Tの体積の変化を生じさせ又該体積の変化に追従し、仕事は少なくとも前記2つの等温過程で流体変換器を流通する流体を介してプラントから移送され又はプラントに受領される、
    ことを特徴とする冷却生成、熱生成及び/又は仕事生成の方法。
  • 仕事は一方の断熱過程の期間に流体変換器を通して流れる移送液体L Tを介してプラントが受け取り又はプラントから送り出される請求項19に記載の方法。
  • 仕事は両方の断熱過程の期間に流体変換器を通して流れる移送液体L Tを介してプラントが受け取り又はプラントから送り出される請求項19に記載の方法。
  • 前記サイクルは・前記熱源からの熱を前記作業流体G Tに供給することにより開始される等温過程、
    ・前記作業流体G Tの圧力の減少と前記プラントによる仕事の生成を行う断熱過程、
    ・前記熱源の温度よりも低い温度で前記作業流体G Tからヒートシンクに熱を供給する等温過程、及び・作業流体G Tの圧力の増加による断熱過程を含む請求項19に記載の方法。
  • 仕事は前記両断熱過程において前記プラントと環境との間で交換される請求項22に記載の方法。
  • ρ aを前記ヒートシンクとの熱交換の段階の終端における作業流体G Tの密度、ρ cを前記熱源との熱交換の段階の終端における作業流体G Tの密度としたとき、比率ρ a /ρ cが0.9≦ρ a /ρ c ≦1を充足する請求項23に記載の方法。
  • 前記サイクルは・前記作業流体G Tから前記ヒートシンクへの熱の放出を伴う等温過程、
    ・前記作業流体G Tの圧力の減少を伴う断熱過程、
    ・熱が前記ヒートシンクの温度よりも低い温度で前記熱源から作業流体G Tに供給される等温過程、及び・移送流体L Tを介して仕事を供給することにより開始される作業流体G Tの圧力の増加をともなう断熱過程を含むことを請求項19に記載の方法。
  • 二熱熱力学器機械に結合された修正カルノー機械を含むプラントで実施され、前記修正カルノー機械の前記凝縮器から熱が前記二熱熱力学的機械へ移されるか、又は前記修正カルノー機械の前記蒸発器が前記二熱熱力学的機械から熱を受領する請求項19に記載の方法。
  • 第1及び第2(最後)の修正カルノー機械と、場合によりこれら第1及び最後の修正カルノー機械の間に挿入された少なくとも1つの中間修正カルノー機械とを含むプラントにおいて実施される請求項19に記載の方法において、
    ・前記第1の機械は作業流体G Tfを蒸発させるための熱を供給され、前記最後の機械は前記作業流体G Tfと同一または異なった作業流体G Tlを凝縮することにより発生した熱を環境に放出し;
    ・適当な場合に、各中間機械はそれに先行する機械の作業流体G Ti-1の凝縮により放出された熱を受け取り、前記G Ti-1と同一または異なるそれ自身の作業流体G Tiの凝縮により放出された熱を後続の機械に放出し;そして・各機械は環境と仕事を交換し、
    上記のすべての機械はすべて駆動またはすべて受動機械であり、
    ・すべての機械が駆動機械の場合には、第1の機械へ送られる熱は温度T hiであり、最後の機械へ送られる熱は温度T loはT lo <T hiであり、正味の仕事は環境に送り出され、そして・すべての機械が受動機械の場合には、第1の機械に送られる熱は温度T loであり、最後の機械から放出される熱は温度T hiはT lo及び環境の温度よりも高く、正味の仕事は環境から送入される、
    請求項19に記載の方法。
  • 請求項3に記載のプラントを使用して温度T loの熱及び/又は仕事を生成する方法であって、温度T hiの高温熱源と温度T lo (<T hi )のヒートシンクとの熱交換により作業流体G Tがそれぞれ高温度の前記蒸発器Evapと低温度の前記凝縮器Cond内に維持されており且つ作業流体G Tと移送流体L Tの間のすべての連絡回路が遮断されている初期状態から出発して、
    ・時刻t αにおいて、前記蒸発器Evapと前記室CT'との間の作業流体G Tの回路が開放され、前記室CT'と前記流体モータHMの上流側との間の移送流体L Tの回路が開かれ、前記補助ポンプAHP 2が作動され、その結果:
    *作業流体G Tが前記蒸発器Evap内で蒸発し、飽和したG T蒸気が前記高圧P hiで前記蒸発器Evapを出て行き、室CT'に入り、移送液体L Tを中間レベルJにもたらす;
    *移送液体L Tは流体モータHMを通ってその中で膨張し、次いで補助ポンプAHP 2により断熱圧縮又は膨張器ABCDに送られる;
    ・時刻t βにおいて、室ABCDと蒸発器Evapとの間の回路が開放され、その結果、作業流体G Tがが液体状態で蒸発器に導入される;
    ・時刻t γにおいて、蒸発器EvapとCT'の間の作業流体G Tの回路と室ABCDと蒸発器Evapの間の回路が閉じられ、前記補助ポンプAHP 2が停止し、CondとABCDの間及びCT及びCondの間の作業流体G Tの回路が開き、そしてCTとABCDの間の移送流体L Tの回路が開き、その結果:
    *室CT'内のG T蒸気は断熱膨張を続け、L TをCT'内で低レベルまで膨張させ、ついでHMを通して室CTに入る。
    *Condと連通している室ABCDは低圧に戻され、その下側部分に含まれているL Tは室CTに流れ;そして *室CTに含まれているG T蒸気はCond内で凝縮し、
    ・時刻t δにおいて、t γにおいて開放していたすべての回路は閉じられ、蒸発器Evapと室CTの間のG T回路は開かれ、室CTと流体モータHMの上流側との間のL T回路が開き、そして補助ポンプAHP 2が作動され、その結果 *高圧P hiで蒸発器Evapを出る飽和したG T蒸気は室CTに入り、液体L Tを中間レベルJにする;
    *液体L Tは流体モータHMを通り、その中で膨張し、次いで補助ポンプAHP 2によりABCDへ送られる;
    ・時刻t εにおいて、ABCDとEvapの間のG T回路が開き、作業流体G Tが液体状態で蒸発器に入り;
    ・時刻t λにおいてEvapとCTの間のG T回路及びABCDとEvapの間のG T回路が閉じ、補助ポンプAHP 2が停止し、CondとABCDの間のG T回路及びCT'とCondの間の回路が開き、CT'とABCDの間のL T回路が開き、その結果 *CT内のG T蒸気は断熱膨張を続け、L TをCT内の低レベルに送り、ついでHMを経てCT'へ送り;
    *Condと連通している室ABCDを低圧に戻し、CT'の下側部分にあるL TをCT'に流し、そして *CT'内にあったG T蒸気をCondで凝縮することよりなり、
    それにより、数サイクル後にはプラントは定常状態となり、高温熱源は温度T hiで熱を連続的に蒸発器Evapに送り、熱は凝縮器Condにより連続的に温度T loの低温シンクに送られ、仕事は前記機械から外部に送られる、方法。
  • 請求項2に記載のプラントを使用して温度T loの熱及び/又は仕事を生成する方法であって、温度T hiの高温熱源と温度T loのヒートシンクとの熱交換により作業流体G Tがそれぞれ高温度の前記蒸発器Evapと低温度の前記凝縮器Cond内に維持されており、且つ作業流体G Tと移送流体L Tの間のすべての連絡回路が遮断されている初期状態から出発して、時刻t 0において補助流体ポンプAHP 1が起動され、前記凝縮器Cond及び前記蒸発器Evapの間の前記G T回路が開かれ、その結果、飽和又は過冷却液体状態の作業流体G Tの一部が補助ポンプAHP 1により取り出されて前記凝縮器Condの下部に取り込まれ、過冷却状態で蒸発器Evapに送られて加熱され、ついで作業流体G Tは下記の一連の修正カルノーサイクルに掛けられる:
    ・時刻t αにおいて、前記サイクルの最初のサイクル中、一部の作業流体G Tは凝縮器内で液体状態に留まり、蒸発器Evapと室CT'の間のG T回路と室CTと凝縮器Condの間の回路は開き、前記液体L Tを室CT'から室CTへ移送する回路であって流体モータHMを通る回路は開き、その結果 *作業流体G Tは蒸発器Evapで加熱及び蒸発され、高い圧力P hiで蒸発器Evapを出て行く飽和した作業流体G T蒸気は室CT'に入り、移送液体L Tを中間レベルJに移動させる;
    *移送液体L Tは流体モータHMを通ってその中で膨張し、ついで室CTに送られて中間レベルIに上がる;
    *室CT内のG T蒸気であって移送液体L Tにより移送された蒸気は凝縮器Condで凝縮する;
    *飽和した又は過冷された液体状態の作業流体G Tは凝縮器Condの下部に到達し、そこで漸次補助ポンプAHP 1により取り込まれ、次いで過冷液体状態で蒸発器Evapに送られる;
    ・時刻t βにおいて、蒸発器Evapと室CT'の間の回路が閉じられ、その結果 *室CT'内のG T蒸気は断熱膨張を続け、液体L Tを室CT'内の低レベルまで駆動し、次いでL Tは液体モータHMを通って室CTに送られ高レベルに上がる;
    *室CT内の残りのG T蒸気であって液体L Tにより移送されたものは凝縮器Condで凝縮する;
    *飽和または過冷却液体状態の作業流体G Tは凝縮器Condの底部に至り、そこで補助ポンプAHP 1に次第に取りこまれ、次いで過冷却液体状態で蒸発器Evapに送られる;
    ・時刻t γにおいて、時刻t βで開いていた回路(ただし、凝縮器Condと蒸発器Evapの間のG Tを移送する回路は除く)は閉じ、EvapとCTの間及び室CT'とCondの間のG T回路は開放し、流体モータHMを通ってCTからCT'へ液体L Tを移送する回路は開放され、その結果、
    *作業流体G T温度が上がりEvap内で蒸発し、飽和したG T蒸気は高圧P hiでEvapを出てCTに入り、液体L Tを中間レベルJに上げる;
    *液体L TはHMを通り、そこで膨張し、次いで液体L TはCT'内の中間レベルIにあげられる;
    *CT'内のG T蒸気であって液体L Tにより移送された蒸気はCondで凝縮する;
    *飽和または過冷液体状態のG TはCondの下部に到達し、そこで次第に補助ポンプAHP 1により取り込まれ、次いで過冷液体状態でEvapに送られる;
    ・時刻t δにおいて、EvapとCTの間のG T回路が閉じられ、その結果、
    *CT内のGT蒸気が連続的に断熱膨張し、CT内でL Tレベルを低レベルに下げ、次いでHMを通してL TをCT'に送り、そのレベルを高レベルにする;
    *CT'内の残りのG T蒸気であって液体L Tにより送られたものはCondで凝縮する;
    *飽和または過冷状態のG Tは凝縮器Condの下側に達し、そこのAHP 1により次第に取りこまれ、最後に過冷液体状態でEvapに入り、
    よって、数サイクルの後にはプラントは定常状態で作動し、高温熱源は連続的に高温度T hiの熱を蒸発器Evapに送り、熱は凝縮器Condから連続的に低温シンクT loに送られ、仕事が連続的に前記機械により送りだされるようにした、方法。
  • 請求項5に記載のプラントを使用して、作業流体G Tと移送液体L Tのための全ての連絡回路が遮断された初期状態から出発して、時刻t 0において流体ポンプHPが作動され、次いでG Tが下記の一連の工程よりなる修正カルノーサイクル、すなわち:
    ・時刻t αで移送液体L Tを室ABCDから流体ポンプHPの上流側へ送るLT回路、及び移送液体L Tを流体ポンプHPを経て室CTから室CT'へ送る回路が開放され、その結果:
    * ABCDとCT内の気液平衡状態の作動流体G Tが高圧P hiから低圧P loに膨張し、L TをHPを通してCT'に送り;
    *CT'内のG T蒸気は断熱圧縮され、
    ・時刻t βにおいて、EvapとCTの間、及びABCDとEvapの間の回路が開放され、その結果:
    *移送流体L TがポンプHPにより取り込まれ、加圧され、ついでCT'に送られ;
    *ABCD, CT 及びCT'内のL Tレベルがそれぞれ高いレベルから低いレベルへ、高いレベルから中間レベルJへ、及び低いレベルから中間レベルIへと移り、
    *CT内の前記G T蒸気により占められていた体積が増大するので、G TはEvap中で蒸発し、低圧P loでEvapを出て行く飽和したG T蒸気はCTに入り;
    *CT'内のG T蒸気は高圧P hiまで断熱圧縮され続け;
    *低圧P loの飽和液体状態のG Tは重力によりABCDからEvapへ流れる;
    ・時刻t γにおいて、ABCDとEvapの間のG T回路は閉じ、ABCDとHPの上流側の間のL T回路は閉じ、CT'とCondの間のG T回路、及びCondとABCDの間のG T回路は開き、HPの下流側とABCDの間のL T回路は開き、その結果 *L Tは再びポンプHPに取り込まれて加圧されCT'へ送られ;
    *ABCD、CT及びCT'のL Tレベルはそれぞれ低から高へ、中間レベルJから低へ、中間レベルIから高へ移り;
    *CT中でG T蒸気に占有されていた体積は増大を続けるのでEvapではG Tが蒸発し、Evapを出て行く飽和したG T蒸気は低圧P loでCTに入り;
    *CT'のG T蒸気はL Tにより高圧P hiでCondに送られ;そして、
    *飽和液体状態のG Tは重力の作用でCondからABCDに流れ;
    ・時刻t δにおいて、時刻t γにおいて開放していた回路は閉じ、室ABCDからL Tを流体ポンプHPの上流側に移送するためのL T回路、及びCT'からL Tを流体ポンプHPを経てCTへ至るL T回路が開放され、その結果:
    *ABCDとCT'内の気液平衡状態のG Tは高圧P hiから低圧P loへ膨張し、そしてL TをHPを介してCTに送り;そして *CT内はG T蒸気を断熱圧縮される;
    ・時刻t εにおいて、EvapとCT'の間、及びABCDとEvapの間のG T回路は開放し、その結果:
    *L TはポンプHPに取り入れられ、加圧され、ついでCTに入り;
    *ABCD、CT及びCT'内のL Tレベルはそれぞれ高から低、低から中間レベルI、及び高から中間レベルJに移動し;
    *CT'でG T蒸気により占有された体積は増大するので、G TはEvap内で蒸発し、飽和したG T蒸気は低圧P loでEvapを出てCT'に入り;
    *CT内のG T蒸気は高圧P hiまで断熱圧縮され続け;そして *低圧P loで飽和液体状態にあるG Tは重力によりABCDからEvapへ入る;
    ・時刻t λにおいて、ABCDとEvapの間のG T回路は閉じ、ABCDとポンプHPの上流側の間のL T回路は閉じ、CTとCondの間及びCondとABCDの間のG T回路は開放し、ポンプHPの下流側とABCDの間のL T回路は開き、その結果:
    *L Tは再びポンプHPにより取り込まれ、加圧され、CTに送られ;
    *ABCD、CT及びCT'内のL Tレベルは、それぞれ低から高、中間レベルIから高、及び中間レベルJから低に移動し;
    *CT'内でG Tに占められていた体積は増加を続けるので、Evap内でG Tは蒸発し、飽和したG T蒸気はEvapを低圧P loで出て、CT'に入り;
    *CT内の高圧P hiのG T蒸気はL TによりCondに送られそこで凝縮し、そして *飽和液体状のG Tは重力によりCondからABCDに流れる、
    各サイクルよりなり、
    数サイクルの後にはプラントは定常状態で運転され、そして、
    ・冷却目的のためには、初期状態で、G Tは、T hiの高温シンクとの熱交換により凝縮器Cond内で高温度に維持され、またG Tは前記機械の外部の媒体との熱交換により蒸発器Evap 内でT hiと同じ又はそれ以下の温度に維持され、前記媒体は初期にはT hiを有し、定常状態では正味の仕事が流体ポンプHPにより消費され、前記凝縮器Condは連続的に熱を高温T hiのホットシンクに除去し、熱は蒸発器Evapにより連続的に消費され、前記蒸発器Evapと接触している外部媒体からの熱の抽出で、前記外部媒体の温度T loは厳密にT hi以下に維持され、
    ・熱生成の場合には、初期状態で、G Tは温度T loの低温熱源との熱交換により蒸発器Evap内で低温度に維持され、G Tは前記機械の外部の媒体との熱交換により温度T hi ≧T loで凝縮器Cond内に維持され、前媒体はは初期にはT hi以上の温度に維持され、定常状態では正味の仕事が流体ポンプHPで消費され、温度T loの低温源が熱を連続的に前記蒸発器Evapへ送り、凝縮器Condが熱を連続的に高温シンクに取り除き、前記プラントは前記凝縮器Condと接触している温T hi >T loの外部媒体に対して熱を生成する、方法。
  • 請求項4に記載のプラントを使用して、作業流体G Tと移送液体L Tのための全ての連絡回路が遮断された初期状態から出発して、時刻t 0において流体ポンプHPが作動され、次いでCondとEvapの間のG T回路が開かれ、そしてG Tが下記の一連の修正カルノーサイクルにかけられるプラントの動作方法において、G Tが下記の一連の工程よりなる修正カルノーサイクル、すなわち、
    ・時刻t αにおいて、L Tを室CTから流体ポンプHPを経て室CT'に移送するためのL T回路、及びEvapとCTの間のG T回路が開かれ、その結果:
    *L TがポンプHPに取り込まれて加圧され、ついでCT'に移送され;
    *CT内のL Tレベルが高から中間レベルJへ、CT'内のL Tレベルが低から中間レベルIへ移動し;
    *CT内のG T蒸気により占められている体積が増大するので、G TはEvap内で蒸発し、Evapを出て行く低圧P loの飽和したG T蒸気はCTに入り;
    *CT'内のG T蒸気は断熱圧縮されて高圧P hiになり;
    *Cond内の飽和又は過冷却液体状態で高圧P hiのG Tは等エンタルピー膨張をし、次いで気液二相混合状態で且つ低圧P loで蒸発器Evapに入る;
    ・時刻t βで、CT'とCondの間のG T回路が開かれ、その結果:
    *L TがポンプHPにより取り込まれて加圧され、次いでCT'に送られる;
    *CT内のL Tレベルは中間レベルJから低になり、CT'では中間レベルIから高になり、
    *CT内でG T蒸気に占められていた体積は増加を続けるので、Evap内でG Tは蒸発し、飽和したG T蒸気は低圧P loでEvapを出てCTに入る。
    *CT'内の高圧P hiのG T蒸気はL TによりCondに入り、そこで凝縮する;
    ・時刻t γにおいて、時刻t βで開いていたすべての回路は、CondとEvapの間のG T回路を除いて閉鎖され流体ポンプHPを経由するCT'からCTへの移送回路は開かれ、EvapとCT'の間のG T回路は開かれ、その結果:
    *L TはポンプHPにより取り込まれ、そこで加圧され、そしてCTへ送られる;
    *CT内のL Tのレベルは低から中間レベルIになり、CT'内のL Tのレベルは高から中間レベルJになり;
    *CT'内のG Tにより占められた体積は増加するので、作業流体G TはEvap内で蒸発し、そして飽和したG T蒸気は低圧P loでEvapを出てCT'に入り;
    *CT内のG T蒸気は断熱圧縮されて高圧P hiになり;
    *Cond内の飽和又は過冷液体状態で且つ高圧P hiのG Tは等エンタルピー膨張し、そして気液二相混合状態で且つ低圧P loで蒸発器Evapに入り、そして・時刻t δにおいて、CTとCondの間のG T回路は開かれ、その結果、
    *L Tは再びポンプHPに取りこまれ、加圧され、次いでCTに送られ;
    *CT内のL Tレベルは中間レベルIから高に、CT'内のL Tレベルは中間レベルJから低になり;
    *CT'内でG T蒸気が占める体積が増大を続けるので、G TはEvap内で蒸発し、飽和したG T蒸気は低圧P loでEvapを出て行き、CT'に入る;
    *CT内の高圧P hiのG T蒸気はL TによりCondに送られCond内で凝縮し、
    数サイクルの後に、プラントは定常状態で動作し、
    そして、
    ・冷却目的のためには、初期状態で、G Tは、T hiの高温シンクとの熱交換により凝縮器Cond内で高温度に維持され、またG Tは前記機械の外部の媒体との熱交換により蒸発器Evap 内でT hiと同じ又はそれ以下の温度に維持され、前記媒体は初期にはT hi以上の温度を有し、定常状態では正味の仕事が流体ポンプHPにより消費され、前記凝縮器Condは連続的に熱を高温T hiのホットシンクに除去し、熱は蒸発器Evapにより連続的に消費され、前記蒸発器Evapと接触している外部媒体からの熱の抽出で、前記外部媒体の温度T loはT hi以下に維持され、
    ・熱生成の場合には、初期状態で、G Tは温度T loの低温熱源との熱交換により蒸発器Evap内で低温度に維持され、G Tは前記機械の外部の温度≧T hiの媒体との熱交換により温度≧T hiで凝縮器Cond内に維持され、定常状態では正味の仕事が流体ポンプHPで消費され、温度T loの低温源が熱を連続的に前記蒸発器Evapへ送り、凝縮器Condが熱を連続的に高温シンクに取り除き、前記プラントは前記凝縮器Condと接触している温度T hi >T loの外部媒体に対して熱を生成する、方法。
  • 说明书全文

    本発明は冷却、熱生成及び/又は仕事生成プラントに関する。

    冷却、熱生成又はエネルギー生成に使用される熱学機械はすべて「カルノー機械」と呼ばれる理想的機械を参照する。 理想的なカルノー機械は、異なった2つの温度レベルにある熱源とヒートシンクを必要とする。 従ってそれは2熱源機械である。 それが仕事を供給することにより動作するときには駆動カルノー機械と呼ばれ、仕事を消費することにより動作するときは受動カルノー機械(又はカルノーヒートポンプ)と呼ばれる。 駆動モードでは、熱Q hiが温度T hiの高温熱源から作業流体G Tに供給され、ついで機械により作業流体G Tから熱Q loが温度T loの低温シンクに供給され、そして正味の仕事Wが機械により供給される。 逆に、ヒートポンプモードでは、熱Q loが作業流体G Tによって低温熱源T loに取りこまれ、熱Q hiは作業流体により温度T hiの高温ヒートシンクに取りだされ、正味の仕事Wが機械により消費される。

    熱力学の第2法則によると、2熱源(駆動または受動)機械の効率は、カルノーサイクルで動作するか否かに拘わらず現実の機械では、最大でも理想的なカルノー機械の効率に等しく、熱源とヒートシンクの温度にのみ依存する。 しかし、2つの等温過程(T hiとT loでの)と2つの可逆断熱過程よりなるカルノーサイクルの実施は、現在まで完全には解決されていない多数の困難を有する。 このサイクル中に、作業流体は気体状態にとどまるか、又は2つの等温過程(T hiとT loでの)中に液体/蒸気状態変化が生じうる。 液体/蒸気状態変化が生じると、流体が蒸気状態にとどまる場合よりも高い効率で機械と環境との間に熱伝達が行われる。 第1の場合及び熱源とヒートシンクで同一の交換される熱動力レベルがあるには、熱交換面積は小さい(従ってより安価)。 しかし、液体/蒸気状態過程がある場合には、可逆断熱過程は液体/蒸気二相混合物の圧縮と膨張からなる。 従来の技術は二相混合物が圧縮又は膨張することを許さない。 従来技術ではこれらの変換を正しく行う方法は知られていない。

    この問題を解決するために、液体を等エントロピー圧縮し、過熱蒸気を等エントロピー膨張させることによりカルノーサイクルに近似させ(駆動サイクルに対して)、加熱蒸気を圧縮しそして液体を等エンタルピー膨張させる(受動サイクルに対して)ことが考えられている。 しかし、かかる修正はサイクルの非可逆性を誘導し、その効率、すなわちモータの効率、性能係数、又はヒートポンプの増幅係数を著しく減じる。

    本発明の目的は、カルノーサイクルに近いサイクルで動作する、従来技術による機械よりもすぐれた熱力学的機械を提供することである。 換言すると本発明は、断熱過程中のサイクルの非可逆性を実質的に制限しながら、必要な最小の接触面積の利益を維持するために、作業流体の液体/蒸気状態変化を伴って動作する機械を提供することにある。

    本発明の一つの目的は、少なくとも一つの修正カルノー機械を含む冷却、熱生成及び/又は仕事生成プラントを提供することである。 本発明の他の目的は少なくとも一つの修正カルノー機械を含むプラントを使用する冷却、熱生成及び/又は仕事生成方法を提供することである。

    本発明による冷却、熱生成又は仕事生成プラントは、下記の手段、より構成された少なくとも一つの修正カルノー機械を含む。
    a)熱源に関連付けられた蒸発器Evapと、ヒートシンクに関連付けられた凝縮器Cond と、作業流体G Tを圧縮または膨張させるための装置PEDと、該作業流体G Tを前記凝縮器Condと前記装置PEDの間及び前記蒸発器Evapと前記装置PEDの間で移送させる手段を含む第1組立体と、
    b)移送液体L T及び液体形態及び/又は気体形態の前記作業流体G T (ここにL TとG Tは2種の異なった流体である)を収容している2つの移送室CT及びCT'を有する第2組立体と、
    c)前記作業流体G Tを、前記凝縮器Condと前記各移送室CT及びCT'との間、及び前記蒸発器Evapと前記各移送室CT及びCT'との間で選択的に移送させる手段、及び d)前記移送液体L Tを、前記移送室CT及びCT'と前記圧縮または膨張装置PEDとの間で選択的に移送させる手段であって少なくとも一つの流体変換器を含むものと、
    より構成された少なくとも一つの修正カルノー機械を含む。

    本明細書において、用語は次の意味を有する。
    「修正カルノーサイクル」は100%未満の可逆度を有する理論カルノーサイクル過程または同様な過程を含む熱力学的サイクルを意味する。
    「修正カルノー機械」は上記特徴a)b)c)d)を有する機械を意味する。
    「流体変換器」は流体ポンプ(hydraulic pump)または流体モータ(hydraulic motor)を意味する。
    「流体ポンプ」は環境が修正カルノー機械へ送る機械的エネルギーを用いて、流体移送流体L Tを低圧で圧送し、また高圧を回復させる装置を意味する。
    「補助流体ポンプ」は環境が修正カルノー機械に送る機械エネルギー、又は修正カルノー機械が環境に送る仕事から取り出される機械エネルギーを用いて、移送液体L T又は液体状態の作業流体G Tを加圧する装置を意味する。
    「流体モータ」は修正カルノー機械により発生された機械的エネルギーを、高圧の移送液体L Tを減圧しそれを低圧で回復させることにより、環境へ送る装置を意味する。
    「環境」は修正カルノー機械の外部にある任意の要素を意味し、熱源、ヒートシンク、その他修正カルノー機械が接続されているプラントの任意の部材を含む。
    「可逆過程」は厳密な意味での可逆過程(reversible transformation)と準可逆過程を含む。 過程を行う流体のエントロピー変動と環境のエントロピー変動の総和は、理想的な場合に対応する厳密な可逆過程の間はゼロであり、実際の準可逆過程の間にはわずかに正である。 一つのサイクルの可逆度は同じ極端温度間で動作するカルノーサイクルの効率に対する当該サイクルの効率の比(又は性能係数COP)により定量化できる。 サイクルの可逆性が大きいほど、この比は1に近くなる(この比は常に1より小さい)。
    「等温過程」は厳密な等温過程(isothermal transformation)及び理論的等温過程に近接した条件下での過程を意味する。 過程が繰り返して等温で行われると考えられる実際の動作条件下では、温度Tはわずかに変動し、ΔT/Tは±10%であると認識される。
    「断熱過程」は環境との間に熱交換が存在しないか、または過程を行う流体と環境を熱絶縁することにより熱交換を極力最小化した場合の過程(transformation)を意味する。

    本発明による冷却、熱生成及び/又は仕事生成の方法は、本発明に従って作業流体G Tに少なくとも1つの修正カルノー機械を含むプラント内で連続した修正カルノーサイクロを行わせることより成り、ここに修正カルノー機械は次の変換を行う。
    ・作業流体G Tと熱源との間、又は作業流体G Tとヒートシンクの間の熱交換による等温過程、
    ・作業流体G Tの圧力の減少による断熱過程、
    ・作業流体G Tとヒートシンクの間、又は作業流体G Tと熱源との間の熱交換による等温過程、及び・作業流体G Tの圧力の増加による断熱過程。
    この本発明の方法は次の特徴を有する。
    ・作業流体は少なくともサイクルの2つの等温過程で気液二相形態を有する。
    ・サイクルのこれら2種の等温過程は、流体変換器を駆動し又はそれにより駆動される移送流体L Tの変位に一致して作業流体G Tの体積の変化を生じさせ又は生じさせられる。 その結果、仕事は少なくとも2つの等温過程で流体変換器を流通する流体を介してプラントに移送され又はプラントから受領される。
    一つの実施形態では、仕事は、断熱過程の一方のみの段階で流体変換器を流れる流体を介してプラントに送られ又はプラントから受け取られる。 この実施形態では、修正カルノーサイクロまたは修正カルノー機械は「第1形式」と呼ばれる。
    一つの実施形態では、仕事は、両断熱過程の段階で流体変換器を流れる流体を介してプラントに送られ或いはプラントから受け取られる。 この実施形態では修正カルノーサイクロまたは修正カルノー機械は「第2形式」と呼ばれる。

    作業流体G

    Tとして使用できる各種流体に対する液体/蒸気平衡曲線を示す。 飽和蒸気圧P(バール)が片対数スケールのy軸に、x軸上にプロットされた温度T(℃)の関数としてプロットされている。

    第2形式の修正駆動カルノー機械の概要図である。

    冷却技術者により使用されるモリエ図に作業流体G

    Tが従う第2形式の修正駆動カルノーサイクルを示す。 圧力Pが対数スケール上に、作業流体の単位質量h当たりのエンタルピーの関数としてプロットされている。

    低温シンクとの熱交換期間に作業流体が同一温度T

    loに保持され、高温熱源との熱交換期間に作業流体が増大する温度T”

    hi

    T'

    hi及びT

    hiを有する第2形式の3つの修正駆動カルノーサイクルのモリエ図を示す。

    第1形式の修正駆動カルノーサイクルを示す。

    モリエ図に、作業流体G

    Tが従う第1形式の修正駆動カルノーサイクルを示す。 圧力Pが対数スケール上に、作業流体の単位質量h当たりのエンタルピーの関数としてプロットされている。

    第2形式の修正受動カルノーサイクルを示す。

    モリエ図に、作業流体G

    Tが従う第2形式の修正駆動カルノーサイクルを示す。 圧力Pが対数スケール上に、作業流体の単位質量h当たりのエンタルピーの関数としてプロットされている。

    第1形式の修正受動カルノーサイクルを示す。

    モリエ図に、作業流体G

    Tが従う第1形式の修正受動カルノーサイクルを示す。 圧力Pが対数スケール上に、作業流体の単位質量h当たりのエンタルピーの関数としてプロットされている。

    ユーザーの選択により第1駆動モードまたは第1受動モードで動作することができる修正カルノー機械の概略図である。

    図12a、図12bは同一の極限温度T

    hiと T

    loの間で動作する修正駆動カルノー機械の2つの実施例を示し、これらの図はこれらの機械と環境との間の熱交換及び仕事交換の方向を示す図である。 図12aは2種の修正駆動カルノー機械の間の中間温度レベルにおける熱カップリングの例を示し、図12bは単一の修正駆動カルノー機械を有する他の実施例を示す。

    低温修正受動カルノー機械に機械的に結合した高温修正駆動カルノー機械を含むプラントにおける熱交換及び仕事交換の熱源とシンクの温度レベル及び方向を示す概念図である。

    高温修正受動カルノー機械に機械的に結合した低温修正駆動カルノー機械を含むプラントにおける熱交換及び仕事交換の熱源とシンクの温度レベル及び方向を示す概念図である。

    図15aから15hは修正カルノー機械(またはこの機械の複数の組み合わせ)と環境との間の熱及び仕事交換、並びに各種作業流体を含む8つの例に対して熱源及びヒートシンク温度を示す模式図である。

    図15の8つの例に含まれる各種の修正カルノーサイクルにおける、、n-ブテン、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンに対するモリエ図を示す。

    図15の8つの例に含まれる各種の修正カルノーサイクルにおける、水、n-ブテン、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンに対するモリエ図を示す。

    図15の8つの例に含まれる各種の修正カルノーサイクルにおける、水、n-ブテン、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンに対するモリエ図を示す。

    本発明によるプラントでは、修正カルノー機械は駆動機械形態又は受動機械構造形態を有することができる。 両者とも、機械は第1形式(一方の断熱過程中の移送液体と環境の間の仕事交換)又は第2形式(両方の断熱過程中の移送液体と環境の間の仕事交換)を有しうる。 修正カルノー機械はまた、ユーザーの選択に依存して、駆動モード(第1または第2形式)又は受動モード(第1または第2形式)で動作する構成を有することができる。

    駆動機械を制御する方法は、修正カルノーサイクルの少なくとも1つの過程において仕事を回収することを目的として、熱がプラントへ供給される少なくとも1つの段階を含む。 受動機械を制御する方法は、修正カルノーサイクルの少なくとも1つの等温過程過程において熱を高温シンクT hiで回収し、或いは熱を低温シンクT loで除去することを目的として、仕事がプラントへ供給される少なくとも1つの段階を含む。

    本発明の方法は、作業流体G Tに熱源と熱シンクとの間で一連のサイクルを行わせる。 以下では、説明を簡単にするために、またこれは修正カルノー機械の動作原理に影響しないので、高温熱源または高温シンクの温度と、この熱源またはシンクと熱交換する作業流体の温度とを区別せず、これらの温度をT hで表す。 同様に、低温源または低温シンクの温度と、この低温源または低温シンクと熱交換する作業流体の温度を区別せず、これらの温度をT loで表す。 従って、任意の熱交換は完全であると考える。

    作業流体G Tと移送流体L Tは、好ましくは作業流体G Tが移送流体L Tに弱溶解性又は非溶解性であり、G TはL Tと反応せず、且つ液体状態ではG TはL Tよりも低密度であるように選択される。 G TのL T中への溶解性が高すぎるか又は液体状態での作業流体G Tの密度がL Tよりも高いと、熱交換を妨げない手段によりそれらを互いに隔離する必要がある。 この手段としては例えばG TとL Tの間に、非浸透性ではあるが移送液体の移動に対してごくわずかの抵抗しか与えず、又熱伝達にわずかな抵抗しか与えないバリアを形成する可撓性膜を介在させることができる。 他の解決手段は液体状態での作業流体G Tの密度と移送液体L Tの密度の間に中間の密度を有するフロートを設けることである。 フロートは大きい物理的バリアを形成できるが、移送室CT、CT'の側壁に摩擦がないことが望まれる場合には完全な効果を持たせることは難しい。 他方、フロートは非常に有効な熱抵抗を構成できる。 これら2つの解決策(膜とフロート)を併用してもよい。

    移送液体L Tはプラントの動作温度で低い飽和蒸気圧を有する液体から選択されるが、これは上記の隔膜が存在しない場合に、G T蒸気が凝縮器または蒸発器でL T蒸気を通して拡散することによる限界を回避するためである。 G Tとの上記の相容性があれば、L Tの例には水、鉱油、又は合成油があり、好ましくは低粘度のものである。

    作動流体G Tは、好ましくは気液(すなわち融点と臨界温度の間の)平衡と両立する温度/圧力熱力学領域において過程過程を行う。 しかし、修正カルノーサイクル中に、これらの過程過程のいくつかは、過冷却液体又は過熱蒸気領域で完全に又は部分的に行われ得る。 好ましくは、作業流体は、気液平衡状態において温度と圧力の間に一変数関係が成立するように純粋物質及び共沸混合物から選択される。 しかし、本発明の修正カルノー機械は非共沸溶液を作動流体としても運転できる。

    作業流体G Tは例えば水、CO 2又はNH 3である。 作業流体はまた1〜6個の炭素原子を有するアルコール、1〜18個(特には1〜8個)の炭素原子を有するアルカン、1〜15個(特には1〜10個)の炭素原子を有するクロロフルオロアルカン、好ましくは1〜15個(特には1〜10個)の炭素原子を有する一部又は完全にフッ素化又は塩素化したアルカンから選択してもよい。 具体的には、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、プロパン、イソブタン、n-ブタン、シクロブタン、及びn-ペンタンなどが使用できる。 図1は数種の前記流体G Tに対する気液平衡曲線を示す。 飽和蒸気圧P(bar)は対数スケールのy軸に温度T(℃)の関数としてプロットしてある。

    作業流体として使用できる流体は、それが使用されるプラント、入手できる熱源又は所望される目的に依存して、駆動流体または受動流体として作用することができる。
    一般に作業流体と移送流体はまずは入手可能な熱源とヒートの温度及び機械中の所望される最大又は最小飽和蒸気圧、次いでは他の基準(特に毒性、環境絵の影響、化学安定性、及び価格)に依存して選択される。

    室CT又はCT'内の流体G Tは、駆動サイクルの場合には断熱膨張段階後に又は受動サイクルの場合には断熱圧縮段階後に、液/気二相混合物状態にある。 この場合に、流体G Tの液相はG T /L T境界面に集積する。 室CT又はCT'が凝縮器に接続される前に室CT又はCT'内の流体G Tの蒸気含有量が高い(代表的には0.95〜1)と、これらの室内の流体G Tの液相が完全に消失することが考えられる。 この消失は、室CT又はCT'を凝縮器に連通させる段階の最後において、室CT又はCT'内の作業流体G Tの温度を凝縮機内の液体状態にある作業流体G Tの温度以上に維持することにより実施でき、この瞬間に室CT又はCT'内に液体G Tが存在ないものとなる。
    1つの実施例において、プラントは異なった温度にある熱源とヒートシンクの間で熱交換を行う手段、蒸発器Evap、凝縮器Cond、及び移送室CTとCT'内の作業流体G Tを有する。

    修正カルノー機械の流体変換器が流体モータであって熱源温度がシンクの温度よりも高い場合には、修正カルノー機械は駆動機械である。 本発明のプラントは、意図した目的に依存して、単一の修正駆動カルノー機械であるか、又は補助装置に結合されている修正駆動カルノー機械である。 この結合は熱的または機械的に達成できる。

    第1形式の修正駆動カルノー機械では、装置PEDは飽和液体状又は過冷却液体の状態にある作業流体G Tを加圧する装置、例えば補助流体ポンプAHP 1より成る。

    第2形式の修正駆動カルノー機械では、加圧又は膨張装置PEDは圧縮/膨張室ABCDと、それに関連づけられた移送手段と、移送流体L Tを加圧する補助流体ポンプAHP 2を含む。

    修正駆動カルノーサイクルにより実施される本発明の方法は、次の過程を含む。
    ・熱を温度T hiの熱源からG Tに移す等温過程、
    ・G Tの圧力減少による断熱膨張過程、
    ・熱をG Tにより温度T hiよりも低い温度T loのヒートシンクへ移す等温過程、及び ・G Tの圧力増大による断熱圧縮過程。

    本発明の方法が一連の修正駆動カルノーサイクルであるとき、熱源はヒートシンクの温度よりも高い温度にある。 各サイクルは作業流体G Tの体積変化が生じる一連の工程である。 この体積変化は、流体モータを駆動する液体L Tの変位を引き起こすか、又は補助流体ポンプにより駆動される液体L Tの変位により引き起こされる。 従って、プラントはある工程では仕事を消耗し、他の工程ではこれを回収する一方、完全なサイクルにわたっては、環境に対して正味の仕事を生成する。 環境はこのプラントから配送される仕事を電気、熱又は寒冷に変換する補助装置でありうる。 修正駆動カルノー機械を運転する方法は図2に概要を示した機械に基づいて詳細に説明する。

    図2は修正駆動カルノー機械の概要図である。 この装置は蒸発器Evap、凝縮器Cond、等エントロピー圧縮/膨張室ABCD、流体モータHP、補助流体ポンプAHP 2 、及び2つの移送室CT及びCT'を含む。 これらの要素は作業流体G Tのみを収容している第1回路と、移送流体L Tのみを収容している第2回路により互いに接続されている。 これらの回路は制御弁により開閉される各種の分岐を有する。

    蒸発器Evapと凝縮器Condは一般に液体・気体混合状態の作業流体G Tのみを収容している。 しかし、作業流体G Tと熱源T hiの温度とに依存して、作業流体G Tは温度T hiにおいて超臨界領域にあってよく、また、これらの条件下に蒸発器Evapは気体状態の作業流体G Tのみを収容していてもよい。 モータHMとポンプAHP 2を流れるのは液体L Tのみである。 等エントロピー圧縮/膨張室ABCD、移送室CT及びCT'はこれら両流体G TとL Tの回路の間のインターフェースを構成している。 これらは底部に液体状態の流体L Tを含み、及び/又は上部に液体、気体又は気液混合状態の作業流体G Tを含む。

    室ABCDはソレノイド弁SV 3とSV 4によりそれぞれ閉鎖できる回路(G Tを収容している)を介してCondとEvapに接続されている。 Evapはソレノイド弁SV 1 、SV 1'によりそれそれ閉鎖できる回路(作業流体G Tを収容している)を介してCT及びCT'に接続されている。 Condはソレノイド弁SV 2 、SV 2'によりそれそれ閉鎖できる回路(作業流体G Tを収容している)を介してCT及びCT'に接続されている。 図2に示した実施例では、閉鎖手段とは二方向ソレノイド弁である。 しかし、制御されるかどうかに拘わらず、他の型の弁、特に空気弁、スライド弁、逆止弁を使用してもよい。 何対かの二方向弁(すなわち1つの入口と1つの出口を有するもの)を三方向弁(1つの入口と3つの出口、又は2つの入口と1つの出口)と置換してもよい。 他の可能な弁の組み合わせは当業者の設計事項である。

    図2の実施例において、流体モータHMを流れる液体は常に同一の方向に流れる。 流体モータの最も頻繁に使用される1つである本発明の実施例では、高圧移送液体L Tは常に同じ入口(図2の右側)へ接続され、低圧移送液体L Tは常に同一の出口(図2の左側)へ接続される。 室CTとCT'は交互に高圧及び低圧になるので、一組の電磁弁がそれらをモータHMの適正な入口/出口に接続する。 従って、流体モータHMは、高圧のL Tを収容していて電磁弁SV hi及びSV hi'によりそれぞれ遮断できる回路によりCT及びCT'の入口(又は上流)に接続され、そして、低圧のL Tを収容していて電磁弁SV lo及びSV lo'によりそれぞれ遮断できる回路によりCT及びCT'の出口(又は下流)に接続されている。 例えば、図2に示したサイクルの段階において、高圧は室CT'に低圧は室CTにあり、電磁弁SV hi'及びSV loは開き、電磁弁SV hi及びSV lo'は閉じており、モータHMを流れる移送液体は右から左へ向かう。 他の半サイクル中には、高圧は室CTに低圧は室CT'にあり、電磁弁SV hi'及びSV loは閉じ、電磁弁SV hi及びSV lo'は開いているが、モータHMを流れる移送液体は同一の方向(右から左)へ向かう。

    室ABCDはその低い位置において移送液体L Tを収容していて、補助流体ポンプAHP 2と電磁弁SV rを並列な分岐回路にそれぞれ含む回路により、モータHMの下流端に接続されている。 液体L TがHMからABCDへ流れるとき、液体L TはAHP 2により加圧され、SV rは閉じる。 液体L TがABCDからHMへ流れるとき、液体L Tは重力により移動し、SV rは開き、AHP 2は停止される。 移送流体L Tは最終的にCT又はCT'へ流れるので、室ABCDは室CT及びCT'の上方にある必要がある。

    図2において、流体モータHMの軸SHは受動体(すなわち仕事消費体)に直接又は通常の継手を介して接続される。 受動体は流体モータHMの軸に直結された交流発電機であり、補助流体ポンプAHP 2は磁気クラッチMCを介してモータHMに結合されている。 他の結合手段、例えば万能ジョイント、ベルト、磁気または機械的クラッチも使用できる。 同様に、例えば水ポンプ、修正受動カルノー機械、又は通常のヒートポンプ(機械的蒸気圧縮機能を有するもの)等の他の受動体を同じ軸に接続してもよい。 必要なら、フライホイールをこの軸に取りつけてサイクルの受動及び駆動行程の連携を促進してもよい。

    修正カルノーサイクルは冷凍技術者により使用されるモリエ図に記載できる。 圧力は作業流体の単位質量当たりのエンタルピーhの関数として対数尺でプロットできる。 図3は作業流体G Tが従う修正カルノーサイクルのモリエ図である。

    使用される作業流体G Tに依存して、蒸発器の出口での飽和蒸気の等エントロピー膨張の過程は二相混合物または過熱蒸気を生じる。 図3において、二相混合物の場合は点cとdを結ぶ点線間の経路で示されており、過熱蒸気の場合には点cとd svを結ぶ実線間の経路で示されている。 さらに、G Tがどんなものかに拘わらず、蒸発器の出口の蒸気は、等エントロピー膨張の後に飽和限界の過熱蒸気または蒸気のみが存在するように過熱され得る。 この第3の場合は図3に点c svとd svを結ぶ一点鎖線で示した経路で示されている。 過熱蒸気領域での等エントロピー膨張の始点または終点での侵入(incursion)は不可逆性を生じるので、サイクルの効率低下をもたらす。 しかし、点dが飽和蒸気段階に非常に近接していれば、等エントロピー膨張後にG Tを過熱することにより室CT又はCT'内の液体G Tを無くするのが好ましい。 CT及びCT'内でG Tを加熱するための手段を選択することは当業者には容易である。 熱は例えば電気抵抗素子により、又はT hiで熱源と熱交換することにより供給できる。 熱交換はL T回路に一体化した熱交換器で行われ、そのL TはCT及びCT'内のそれらの界面でG Tと熱交換する。 熱交換はまたCT及びCT'の側壁と行われ得る。 図2に示されている、温度T iで熱がG Tに供給されるものは後者の可能性である。

    修正駆動カルノーサイクルは、時刻t α , t γ , t δ , t λにそれぞれ開始する引き続く4つの相により形成される。 これは以下に図3のモリエ図のabcd sv -eaのサイクルを参照して説明する。 原理はabc sv -d sv -eaのサイクルに対しても同じである。

    αβγ相(時刻t α とt γ の間)
    時刻t αの直前に、L Tのレベルは室ABCD及び室(シリンダ)CT内で低く(Lで表す)、室(シリンダ)CT'で高い(Hで示す)。 同じ瞬間に、G Tの飽和蒸気圧はABCDとCTで低いP lo値を有し、蒸発器EvapとCT'で高いP hi値を有する。 サイクルのこの瞬間が図2に示されているプラントの構成に相当する。

    時刻t αにおいて、電磁弁SV lo' , SV 2, SV hi'及びSV loの開放とポンプAHP 2の係合により、次の作用が生じる。
    ・圧力P hiの蒸発器を出て行く飽和蒸気G Tは室CT'に侵入し、移送液体L Tを中間レベル(Jで表す)にもたらす。 L TはモータHMを通り、その中で膨張して仕事を生じ、その一部はポンプAHP 2により回収される;
    ・モータHMによる膨張の後、移送液体L Tの一部は室CTに移送され、移送液体L Tの他の部分は室ABCDに移送される。 室CTでは液体L Tは例レベルから中間レベル(Iで示す)へ移動し、そしてG T蒸気を凝縮器に排出し、その中で凝縮してその底に貯まる(ここでは弁SV 2が開き、弁SV 3が閉じている)。 移送液体L Tの他の部分はポンプAHP 2により取り込まれ、より高い圧力で室ABCDに放出され、それによりこの室内に収容されている気液G T混合物が等エントロピー的に圧縮されることを可能にする。

    モリエ図(図3)において、この段階は次の同時過程に相当する。
    * a → b:室ABCD内で、
    * b → c :Evap−CT'の組み合わ中で
    * d sv → e :CT−Condの組み合わせ中で 室ABCD内でのG Tの低圧P loから高圧P hiへの加圧は、まだ高圧P hiにある蒸発器に導入される前に行う必要がある。 従って、それは室ABCDと室Evapの間の電磁弁SV 4 (逆止弁で置換可)が開放するのは時点t βのみである。 これにはこの段階の開始時点で蒸発器内で液体状態にあるG Tの貯留が必要である。 この貯留はこの段階の終点で再構成される。

    エネルギー面からみると、このαβγ相において、熱Q hiが温度T hiで蒸発器で消費され、温度T lo (T lo <T hi )の凝縮器で放出され、正味の仕事W αβγもまた外部に送出される。

    γδ相(時刻t γ とt δ の間)
    時刻t γ 、すなわちL Tのレベルがあらかじめ規定した値(CTにおいてI、CT'においてJ、及びABCDにおいてH)に達したとき、電磁弁SV 2、 SV lo及びSV hi'が開放状態のままであり、電磁弁SV 3及びSV rが開放される。 その結果、
    ・CT'室に収容されたG T蒸気は膨張を続けるが、準断熱過程であり(図3のモリエ図においてc→d→d sv段階)、再び移送液体L TをモータHMを介して室(シリンダ)CTに放出する。 実際、この過程は、流体G Tに依存して、二相領域または過熱蒸気に終わる厳密に断熱膨張と、それに続く、加熱を許す充分な温度(T loとT hiの間)に維持された室CT'の壁を介するわずかな過熱(d→d sv )との二段階に分解できる。 このd→d svの過程は、もしも厳密な断熱膨張(c→d)の後に、流体G Tが二相領域にあれば、液体G Tは一部分がこのγδ相の終わりに凝縮室に放出される;
    ・凝縮器と連通している室ABCDは低圧に戻され、その下部に収容されている移送液体L Tは重力により好ましくは室ABCDよりも下側にある室CTに流れる。 しかし、電磁弁SV rが電磁弁SV 3よりも少し前に開放し且つ少量のG Tが室ABCDの上部に飽和状態で残留していれば、室CTと連通している時間中のL Tの減圧が、初期に高圧P hiにある前記液体G Tの残りを部分的又は完全に気化させる。 これらの条件下に、弁SV rの上流側の圧力はL Tの移送期間を通じて液柱の高さを補うに充分でありうるもので、その場合、室ABCDは必ずしもCT及びCT'の上側になくてよい;
    ・室CTにおけるL Tのレベルの上昇(IからHへ)があるので、室CTの蒸気G Tの残部は凝縮器Condにおいて凝縮する(e→a段階);
    すべての凝縮液(前の相で蓄積したもの及びこの相で蓄積したもの)はABCD内にある。

    エネルギー面からみると、このγδ相の期間において、熱Q eaが温度T loの蒸発器で釈放され、室CT'では、段階d→d svの過熱を提供する熱(T hiの熱源から取り出されたもの)は消費される可能性はほとんどなく、また仕事W βγは外部へ送られる。

    サイクルの第2部分は対称である:蒸発器、凝縮器及びABCDは同じ継続した過程であるが、室CTとCT'の役割が入れ替わっている。

    δελ相(時刻t δ とt λ の間)
    この相はαβγ相に均等であるが、ただし、移送室CTとCT'は役目が反転する。
    λα相(時刻t λ とt α の間)
    この相はγδ相に均等であるが、ただし、移送室CTとCT'は反転する。
    λα相の後、第2形式の修正駆動カルノー機械は上に記載したサイクルのα状態にある。 流体G Tが従う各種の熱力学的過程(任意であるd→d svを含む)及び移送液体L Tのレベルは表1に示す。 作動素子(電磁弁、ポンプAHP 2のクラッチ)の状態は表2に示す。 表2においてxは対応する電磁弁が開放するか又はポンプAHP 2が係合していることを示す。


    仕事の生成はサイクルの期間中に連続するが、しかし、動力は一定ではない。 その理由は、流体モータの端子間圧力が変動するか、又はこの仕事の一部(時間経過で変動可能)が補助流体ポンプAHP 2により回収されるからである。 これはもしも外部に送出される仕事がサイクル中に一定でなくてもよい機械(例えば水ポンプまたは修正需要カルノー機械)により受け取られる場合には問題がない。 もちろん、サイクルを通じての平均動力は、定常運転状態が実現され且つ温度T hiとT loが一定にとどまる場合には、一つのサイクルから他のサイクルにわたり一定にとどまる。

    さらに、γδ相からλαの相の期間では、蒸発器は他の回路から孤立させられ、T hiの高温熱熱源から供給される熱は先験的に連続である。 これらの条件下に、これら孤立相の期間には温度上昇があり、従って蒸発器での圧力上昇、それに続く電磁弁SV 1又はSV 1'の再開放時の時刻t αとt δでの圧力急低下が生じる。

    本発明の方法を実施する好ましい方法においては、移送液体L Tが圧縮性でない事実、及び3つの室ABCD、CT及びCT'で同時に起きるレベル変動が独立でない事実が考慮される。 さらにはL Tのこれらのレベル変動は流体G Tの体積変動に起因するか又はかかる変動を起こす。 これはサイクルの各段階における流体G Tの密度の次の関係式で表される。
    ρ e −ρ a =ρ dsv −ρ c (式1)
    ここにρ iは点i(iはe, a, d sv及びc)におけるG Tの密度である。

    図4は第2形式の3つの修正駆動カルノーサイクルに対するモリエ図を示す。 すなわち、これらのサイクルは、a”-b”-c”-d sv -e”-a” 、a'-b'-c'-d sv -e'-a' 、及び abcd sv -aである。これらの3つのサイクルは凝縮器において同一のG T温度T loを、蒸発器において増大するT” hi , T' hi及びT hiをそれぞれ有する。 この図において、一点鎖線は一定密度における曲線を表す。

    凝縮器の温度と蒸発器の温度が非常に近い(或は一致する)場合には、モリエ図の点eはサイクルa”-b”-c”-d sv -e”-a”で示したように点aに近い(或は一致する)。ヒートシンクの温度と熱源の間の温度差が増大するにつれて、点eは点aから離れて点d svに近づく。サイクルa'-b'-c'-d sv -e'-a'は中間のケースであり、サイクルabcd sv -aは点eが点d svに一致する極端なケースである。修正駆動カルノーサイクルの効率はヒートシンクと熱源の温度差が大きいほど高くなるから、サイクルabcd sv -aは固定されたヒートシンク温度T loに対して充分に高い温度T hiを有することが望ましい。

    この好ましいケース(ρ e =ρ dsv )では、式1は図4に示されているようにρ c =ρ aとなる。 さらに、第2形式の修正カルノー機械の動作方法の一般的な形態において記載された段階は、d sv (又はd) → eの段階がもはや行われないので、単純化される。

    従って、修正駆動カルノーサイクルの2つの等温過程の間の温度差(T hi −T lo )は一方の温度(T hi又はT lo )及び選択した作業流体G Tに依存する或る最大値T maxを越えることはできない。 こうして、修正カルノー機械の性能は特にこのT maxに依存する。 特定の流体G Tと特定のT hi又はT loで最大の効率をえるためには、比ρ acができるだけ1に近く(しかし常に1より小さい)、好ましくは0.9≦ρ ac ≦1、より好ましくは0.95≦ρ ac ≦1となる他の動作条件を選択する必要がある。

    この好ましい実施方法の各種の熱力学的過程は表3に示し、各種作動素子(電磁弁、ポンプAHP 2のクラッチ)は表4に示す。 ここにxは対応の電磁弁が開放していること、又はポンプAHP 2が係合していることを示す。


    好ましい形態の第2形式の修正カルノーサイクルの段階は、一般的な形態に対する上述の説明とは異なる場合に、以下に詳細に説明する。

    作業流体G TがT hiの高温熱源及びT lo <T hiの低温シンクとの熱交換によりそれぞれ蒸発器Evapが高温度に且つ凝縮器Condが低温に維持されており、またG Tと移送液体L Tのすべての連絡回路が閉じている初期状態から出発すると、作業流体G Tは次の段階より成る連続したサイクルに従う:
    αβγ相(時刻t α とt γ の間)
    時刻t αにおいて、電磁弁SV 1'とSV hi'が開放し、ポンプAHP 2が係合すると次の作用が生じる。
    圧力P hiで蒸発器を出る飽和したG T蒸気が室CT'に入り、移送流体L Tを中間レベル(Jで示す)で排出する。 L TはモータHMを通り、その中で膨張して仕事を生成し、その一部はポンプAHP 2により回収される。 そして、
    HMで膨張した後、移送液体L TはポンプAHP 2により取り入れられ、より高い圧力で室ABCDに送られ、そこでこの室内に収容されている液/気G T混合物が等エントロピー圧縮されることを可能にする。

    モリエ図(図4)では、この段階は次の同時過程に対応する。
    a → b:室ABCD中で
    b → c:室Evap−CT'の組で

    室ABCDでの圧力P loからP hiへの流体G Tの加圧は、常時高圧P hiにある蒸発器に流体G Tが入る前に行われなければならない。 従って、室ABCDと室Evapの間にある電磁弁SV 4 (逆止弁で置替可能)が開放するのは、時刻t βでのみである。

    エネルギーの観点からは、このαβγ相の間に、熱Q hiはT hiの蒸発器において消費され、正味の仕事W αβγもまた外部に送られる。

    γδ相(時刻t γ とt δ の間)
    時刻t γ 、すなわちL Tのレベルが所定値(CT'でJ、ABCDでH)に達したとき、電磁弁SV 1'とSV 4が閉じられ、SV hi'が開いたままであり、電磁弁SV 2、 SV 3、 SV lo 、SV rが開く。 その結果は次のとおりである。
    室CT'内のG T蒸気は膨張を続けるが、断熱または準断熱的であって、c→dの過程(d→d svが可能)をたどり、そしてモータHMを通して移送液体L Tを室(シリンダ)CTに放出する。 この過程は、厳密な断熱膨張(c→d)(流体G Tに依存して2相領域又は過熱蒸気に終わる)と、その後の、充分な温度(T loとT hiの間)に維持されているCT'の壁によるわずかな過熱(d→d sv )とに分解できる;
    凝縮器に連通している室ABCDは低圧に戻され、その下側部分に収容されている移送液体L Tは重力の作用で室CTに流れる(それゆえ好ましくは室CTは室ABCDの下方に位置する必要がある)。 しかし、もしも電磁弁SV rが電磁弁SV 3以前にわずかに開き、またもし少量のG Tが室ABCDの上側部分で飽和液体状態にとどまるなら、室CTとの連通段階でのL Tの減圧が初期に高圧P hiにある残りの前記液体G Tを部分的又は完全に気化させる。 かかる条件下では、SV rの上流の圧力はL Tの移送期間を通じて液柱の高さを補償するに十分でありうるので、その場合には室ABCDは必ずしも室CTとCT'の上方にある必要はない;
    室CTでのL Tのレベルの上昇(LからHへ)のため、室CTに収容されているG T蒸気は凝縮器Condで凝縮される(d又はd sv →aへの過程); そして 凝縮液は自重により室ABCDへ流れるので凝縮器Condに貯まることがない。

    エネルギーの観点からは、このγδ相の期間に、熱Q daは温度T loで凝縮器内で放出され、少量の熱(高温熱源T hiからの)は、過熱d→d svを行い且つ仕事W γδも外部に送出する。

    第2形式の修正カルノー機械における本発明の実施方法の一般的場合と同様に、サイクルの他の半分は対称である:
    ・δελ相(時刻t δとt λとの間)はαβγ相に均等であるが、移送室CTとCT'の役目は反転している;
    ・λα相(時刻t λとt αとの間)はγδ相に均等であるが、移送室CTとCT'の役目は反転している。

    より具体的には、
    ・時刻t δにおいて、時刻t γで開いたすべての回路は閉じられ、EvapとCTの間のG T回路は開き(弁SV 1により)、CTと流体モータHMの上流側との間のL T回路は開放し(SV hiによる)、そして補助ポンプAHP 2は作動されている。 その結果、
    *高圧P hiで室Evapを出る飽和蒸気G Tは室CTに入り、中間レベルJの液体L Tを移送する;
    *液体L TはモータHMを通り、その中で膨張し、次いで補助ポンプAHP 2により取り入れられ、室ABCDに放出される;
    ・時刻t εにおいて、室ABCDと室Evapとの間のG T回路は開放され(弁SV 4による)、その結果作業流体G Tは液体状態で蒸発器に導入される;
    ・時刻t λにおいて、EvapとCTの間のG T回路は開き、ABCDとEvapの間の回路は閉じ、補助ポンプAHP 2は停止し、CondとABCDの間のG T回路は開き(SV 3による)、CT'とCondの間の回路は開き (SV 2'による)、CT'とABCDの間のL T回路は開放する(SV rとSV lo'による)。 その結果:
    *室CT内のG T蒸気は断熱膨張と続け、L TをCT内で低レベルまで膨張し、ついでHMを通して室CT'に入る。
    *Condと連通している室ABCDは低圧に戻され、その下側部分に含まれているL Tは室CT'に流れ;そして *室CT'に含まれているG T蒸気はCond内で凝縮する。

    数サイクルの後に、プラントは定常状態になり、高温熱源は熱を温度T hiで蒸発器Evapに連続的に送る。 熱は凝縮器Condにより温度T loの低温源(シンク)に連続的に送られ、仕事は機械から連続的に外部に供給される。 第2形式の修正駆動カルノーサイクルのこの好ましい実施例では、与えられた作業流体と凝縮器任意の温度T loに対して、密度ρ cとρ aが等しくなるような蒸発器の最高温度T hi-maxが存在する。 しかし、T hi-maxよりも十分に高い温度T hiの熱源が存在すれば、本発明の2つの修正駆動カルノー機械をカスケード接続することによるか、又はこのプラント内で第1形式の修正駆動カルノー機械を使用することにより、機械が先験的により高い効率を有することができる。

    第1形式の修正駆動カルノー機械においては、凝縮器Condと蒸発器Evapの間に置かれた加圧/膨張装置は、補助流体ポンプAHP 1と電磁弁SV 3と直列に含んでいる。 図5はこの装置の概要図である。 第2形式のカルノー駆動機械の部分と同一の部材には同じ参照符号を付した。 電磁弁SV 3は単純な逆止弁と置換してポンプAHP 1に一体化してもよい。 凝縮器Condの出口で飽和液体状態の作業流体G TはポンプAHP 1により直接加圧され、蒸発器Evapへ導入される。 図5において、温度T 1で熱が室CTとCT'に導入される可能性は示されなかったが図2の場合と同様に可能性が残る。

    各種の作動素子(電磁弁とAHP 1ポンプ)は以下に詳細に記載しまた表5〜6に示す。


    第1形式の修正カルノーサイクルの段階は、一般形態の上述の第2形式の修正カルノーサイクルと異なる点に対して以下に説明する。 第1サイクルは、T hiの高温熱源とT loの低温ヒートシンクとの熱交換によって、作業流体G Tがそれぞれ蒸発器Evapでは高温度の維持され、凝縮器Condでは低温度に維持されており、また流体G Tと移送液体L Tに対するすべての連通回路が閉じている状態から開始される。 時刻t 0において、補助流体ポンプAHP 1が作動され、CondとEvapの間のG T回路が開かれ(弁SV 3による)、それにより、飽和または過冷状態のG Tの一部がAHP 1により凝縮器Condの下部に取りこまれ、過冷液体状態でEvapに放出され、そこで加熱され、次いでG Tは一連の修正カルノーサイクルに掛けられる。 これらの段階を以下に示す。

    αβ相(時刻t α とt β の間)
    αの直前には、室(シリンダ)CT中のL Tのレベルは低く(Lで表す)、室CT'中のL Tのレベルは高い。 同じ瞬間にG Tの飽和蒸気圧はCT中では低い値P loを有し、EvapとCT'中では高い値P hiを有する。 サイクルのこの瞬間は図5に示されている。

    時刻t αでは、電磁弁SV 1' , SV 2 , SV 3 , SV hi'及びSV loの開放と補助ポンプAHP 1の作動は次の作用を引き起こる:
    圧力P hiで蒸発器を出て行く飽和G T蒸気はCT'に入り、中間レベル(Jで表す)で移送液体L Tを放出する。 L TはモータHMを通過し、その中で膨張し、それにより仕事を生成する。 AHP 1に対して必要な仕事は独立の電気モータ(図示せず)から供給される。 変形例において、ポンプAHP 1は磁気クラッチMCを介して流体モータの軸に結合することができ、その結果、この段階で流体モータによって送られる仕事の一部がポンプAHP 1により受け取られる;
    HMにより膨張された後に、移送液体L TはCTに送られる。 この室CT内で、L Tは低いレベルから中間レベル(Iで表す)へ移動し、G T蒸気を凝縮器に放出し、その中で凝縮が行われる。 飽和液体状態の作業流体G TはポンプAHP 1により引き出され、より高い圧力でEvapに送られ、過冷状態でそこに入る。

    モリエ図(図6)では、この段階は次の同時過程に相当する。
    a → b:凝縮器と蒸発器の間で
    b → b l → c:Evap−CT'の組み合わせで
    d sv → e:CT−Condの組み合わせで

    もしも補助流体ポンプAHP 1の上流にG T液体が存在しなければ、補助ポンプAHP 1は作動せず、また電磁弁SV 3は開かないことが好ましい。 必要ならば液体レベル検出器を安全要素として使用してこのポンプを停止しこの電磁弁を閉鎖するようにしてもよい。 蒸発器Evap内でのG Tの蒸発は凝縮器から流入する液体G Tにより連続的に補充され、それにより蒸発器中の液体G Tのレベルがほぼ一定に維持される。

    エネルギーの観点からは、このαβ相の期間に、蒸発器中で熱Q hiが温度T hiで消費され、凝縮器中で熱Q deが温度T lo (T lo <T hi )で釈放され、正味の仕事W αβが外部へ送られる。 この場合に仕事W αβは流体モータHMにより送出される仕事と補助流体ポンプAHP 1により消費される仕事との差である。

    βγ相(時刻t β とt γ の間)
    時刻t β 、すなわちL Tのレベルが所定の値(CT内ではI、CT'内ではJ)に達し、電磁弁SV 1'が閉じ、電磁弁SV 2 、SV 3 、SV lo 、SV hi'が開放状態のままであり、ポンプAHP 1が作動しているとき(液体G Tが上流に存在するとして)、次のようになる:
    ・CT'内のG T蒸気が断熱的に膨張を続け(図6のモリエ図でc→d sv過程)、モータHMを通して再び液体L TをシリンダCTに放出する。 図3に例示した実施例の場合と同様に、この過程は、使用される流体G Tに依存して、二相領域または過熱蒸気に終わる厳密な断熱膨張(c → d)と、その後の、これを可能にするように充分な温度(T loとT hiの間)に維持されたCT'の壁によるわずかな過熱(d → d sv )とに分解できる;
    ・CT内でのL Tのレベルの上昇 ( IからHへ)のため、CT内のG T蒸気の残りはCondで凝縮される(e→a過程);そして・前の段階の場合と同様に、凝縮液は凝縮器の底に溜まるにつれてポンプAHP 1に取り込まれる。

    エネルギーの観点からは、このβγ相の期間に、熱Q eaが温度T loで凝縮器内にて釈放され、少量の熱(T hiの熱源から得たもの)がd → d svの過熱に対してCT'内で消費され、正味の仕事W βγもまた外部に送られる。

    他の半部分は対称である。 すなわち、蒸発器と凝縮器は同一の引き続く過程を行う個所である。 ただしCTとCT'の役割は入れ替わる。

    γδ相(時刻t γ とt δ の間)及びδα相(時刻t δ とt α の間)
    これらの相はαβ及びβγ相とそれぞれ均等であるが、移送室CTとCT'の役割はは入れ替わる。
    より詳しくは次のとおりである。
    ・時刻t γにおいて、時刻t βで開いた回路は、室Condと室Evapの間の移送流体G Tのための回路を除いて閉じ(SV 3を介して)、G T回路はEvapとCTの間で(SV 1による)及びCT'とCondの間で開き(SV 2'による)、そして流体モータHMを経由するCTからCT'への移送流体L Tのための回路は開く(SV hiとSV loによる)。 その結果:
    *G TはEvapで加熱されて蒸発し、高圧P hiの飽和したG T蒸気はEvapを出て行き、室CTへ流入し、L Tを中間レベルJにする;
    *L TはモータHMを通過するときその中で膨張し、次いでL TはCT'へ移送されて中間点Iまで上昇される;
    *CT'内のG T蒸気は液体L Tにより排出されて凝縮器Cond内で凝縮する;ついで *飽和し又は過熱液体状態のG Tは凝縮器Condの下側部分に移り、そこで順次補助ポンプAHP 1により取り込まれ、次いで過冷却液体状態でEvapに入る。
    ・時刻t δでEvapとCTの間の回路は閉じるので(SV 1の閉鎖)、次のようになる。
    *CT内のG T蒸気は引き続いて断熱的に膨張し、液体L TをCT内で低レベルまで移動させ、次いでモータHMを通してCT'に入れ、そこで液体L Tは高レベルに達する;
    *CT'内の残りのG T蒸気であって液体L Tにより排出されたものは凝縮器Condで凝縮される;そして *飽和し又は過冷却された液体状態のG Tは凝縮器Condの下側部分に到来し、そこでポンプAHP 1により連続的に取り込まれそして最後に過冷却状態でEvapに入る。

    数サイクルの後にプラントは定常状態で動作し、高温熱源は高温度T hiの熱を連続的に蒸発器Evapに移し、熱は凝縮器により連続的に低温度T loの低温シンクに移され、仕事は連続的に機械から移送される。

    この構成(第1形式)において、サイクルの各段階における流体G Tの密度を表す式1はこの場合にも成り立つ。
    ρ e −ρ a =ρ dsv −ρ c式1

    しかし、凝縮器を出ていくG Tの密度すなわち飽和液体状態での密度(モリエ図の点a)は、T hiとT loの間の温度差とは無関係に、常に蒸発器を出ていくG Tの密度すなわち飽和又は加熱蒸気状態での密度(モリエ図点cとc sv )よりも遙かに小さい。 従って、次の不等式が依然として満足される。
    ρ a < ρ e < ρ dsv不等式1

    モリエ図で点eは常に点aとd svの間にあり、温度T loとT hiは第1形式の修正駆動カルノー機械の動作に影響することなく独立に完全に固定しうる。

    第1形式の修正駆動カルノーサイクルはその動作がより単純であり、より少ない構成要素を有する。 しかし、ランキンサイクルの場合にように、b → b l過程は認めうる程度の非可逆性を生じ、これはサイクルの効率に望ましくない影響を与える。 しかし、差(T hi -T lo )の増大は逆にこの効率に対して正の効果を与えるので、熱力学的な条件と選択される流体G Tに依存して、第2形式の修正駆動カルノーサイクルとその好ましい形態よりも第1形式の修正駆動カルノーサイクルの方が最終的にはより高い効率を有しうる。

    本発明の方法が一連の修正受動カルノーサイクルの場合、熱源はヒートシンクの温度T hiよりも低い温度T loにある。 各サイクルは作業流体G Tの体積変化が存在する期間中の引き続く段階により構成される。 この体積変化は液体L Tの変位を引き起こし又は変位により引き起こされる。 従って、ある段階ではプラントは仕事を消費しまた他の段階では仕事を回復するが、完全な1サイクルでは流体ポンプHPを経由して環境により送られる仕事の正味の消費がある。

    第1形式の受動駆動カルノー機械では、断熱膨張段階は等エンタルピーであって等エントロピーではない。 この理由は、等エントロピー膨張の期間に回復することができる仕事が、サイクルの他の段階に関係する仕事と比較して低いからである。 等エンタルピー膨張は単純な非可逆断熱膨張装置しか必要としないので、加圧または膨張装置は毛細管又は膨張弁であってよい。 第2形式の修正受動カルノー機械では、加圧及び膨張装置が断熱圧縮/断熱膨張室ABCD及びそれに関連した移送手段であることを必要とする。 従って、この好ましい形態の第1形式の受動駆動カルノー機械では、修正受動カルノー機械の性能係数又は増幅係数は若干減じるが(従来の等価な機械のそれよりも高いが)、方法の実質的な単純化が伴い、低いコストになる。

    本発明の方法が引き続く複数の修正受動カルノーサイクルである場合に、熱源はヒートシンクの温度T hi以下の温度T loにある。 各サイクルは作業流体G Tの体積の変化が存在する時間中の一連の段階により形成される。 この体積変動は液体L Tの変位を引き起こし或いは引き起こされる。 従って、ある段階の時間中にプラントは仕事を消費しまた他の段階の時間中に仕事を回収するが、完全な1サイクルでは環境から流体ポンプHPを経て送られてくる仕事の正味の消費がある。

    図7は第2形式の修正受動カルノー機械の概略図である。 この機械は蒸発器Evap、凝縮器Cond、等エントロピー圧縮/膨張室ABCD、流体ポンプHP、及び2つの移送室CTとCT'より構成される。 これら各種の要素は、作業流体G Tだけを収容する第1回路と移送液体L Tだけを収容する第2回路により互いに接続されている。 これらの回路は制御され或いは制御されない手段により閉鎖できる各種の分岐を有する。 しかし、他の型の制御された弁、特に空気弁、滑り弁、逆止弁を使用することもできる。 二方向弁の何組(すなわち1つの入口と1つの出口を有する弁)を三方向弁(1つの入り口と2つの出口、又は2つの入り口と1つの出口)で置き替えてもよい。 他の可能な弁の組み合わせは当業者には明らかである。

    蒸発器Evapと凝縮器Condは一般に気液混合状態の流体G Tのみを収容する。 しかし、作業流体G Tとホットシンクの温度T hiにおいて超臨界領域にあってもよいし、これらの条件下に凝縮器Condが気体状態のG Tのみを収容していてもよい。

    ポンプHPには液体L Tのみが流れる。 要素ABCD、CT及びCT'は2つの回路(G T及びL Tの回路)の間のインターフェースを構成する。 これらの回路は下側部分に移送流体L Tを含み及び/又は上側部分に液体、気体又は気液混合状態の流体G Tを含む。 ABCDは電磁弁SV 3とSV 4によりそれぞれ閉鎖できるG Tを含む回路によりCondとEvapに接続されている。 Evapは電磁弁SV 1とSV 1'によりそれぞれ閉鎖できるG Tを含む回路によりCTとCT'に接続されている。 CondはSV 2とSV 2'によりそれぞれ閉鎖できるG Tを含む回路によりCTとCT'に接続されている。

    一般に、流体ポンプを流通する液体は常に同じ方向に流れる。 これは図7に示された最も普通の選択肢である。 これは、低圧移送流体L Tがつねに同一入口(図7の左手)にあるポンプHPに接続されていること、高圧移送液体L Tが常に同じ出口(図7の右手)に接続されてることを意味する。 室CTとCT'は交互に高圧及び低圧に成るので、一組の電磁弁が、それらをポンプHPの適当な入口/出口に接続する役目をする。 従って、ポンプHPは、電磁弁SV loとEV lo'でそれぞれ閉鎖できる低圧のL Tを含む回路により室CTとCT'の入口(上流)側へ接続され、また電磁弁SV hiとSV hi'でそれぞれ閉鎖できる高圧のL Tを含む回路により室CTとCT'の出口(下流)側へ接続できる。 例えば、もしも高圧が室CT'内にあり、低圧が室CT内にある場合には、電磁弁SV hi'とSV loが開き、電磁弁SV hiとSV lo'が閉じ、移送液体はポンプHPを通して左から右に流れる。 他の半サイクル中には、高圧が室CT内にあり、低圧が室CT'内にあり、電磁弁SV hi'とSV loが閉じ、電磁弁SV hiとSV lo'が開くが、しかし移送液体L Tはポンプを同じ方向に(左から右に)流れる。

    室ABCDはその下側部分で移送液体L Tを収容する回路の2つの平行な分岐管により接続されている。 電磁弁SV iにより閉鎖できる分岐は高圧L T回路に接続され、電磁弁SV rにより閉鎖できる分岐は低圧回路に接続される。 L TがABCDから移送室CT又はCT'に流れる時は、その流れは重力によるので、ABCDはCT及びCT'よりも上方に位置することが必要である。

    流体ポンプHPの軸は1つ以上の駆動装置(すなわち仕事を送る)に、直接又は通常の結合手段(万能継手、ベルト、又は磁気的または機械的クラッチ等)で接続されなければならない。 例えば、図7において、軸SHは磁気クラッチMC 1を介して電気モータEMに結合され、他方の磁気クラッチMC 2は他の電気モータ、例えば流体タービン、ガソリンまたはジーゼルエンジン、ガス動力エンジン、又は修正カルノー機械に結合される。 最後に、必要なら、フライホイールをこの軸に取り付けることによりサイクルの受動及び駆動段階の連携を促進することができる。

    駆動流体G Tが従う修正受動カルノーサイクルは図8に示したモリエ図に記載されている。

    使用される流体G Tに依存して、蒸発器の出口での飽和蒸気の等エントロピー圧縮段階は二相混合物または過熱蒸気を生じる。 図8において、第1の場合(極めてまれだが二相混合物の場合)は点1と点2の間の点線の経路により表され、第2の場合(過熱蒸気)には点1と点2 svの間の実線の経路で表される。 さらに、G Tには無関係に、蒸発器の出口の蒸気は、等エントロピー圧縮後に飽和限界で過熱蒸気または蒸気のみとなるようにわずかに過熱される場合がありうる。 この第3の場合は図8に点1 svと点2 svの間の一点鎖線の経路で表される。 過熱蒸気領域における等エントロピー圧縮領域の起点と終点の間の任意の経路は不可逆性を生じるので、性能係数又はサイクルの増幅係数のわずかな減少を引き起こす。 修正駆動カルノーサイクルの場合と同様に、等エントロピー圧縮の入口でG Tの過熱が生じる可能性があるが、しかしこれは、この等エントロピー圧縮が二相領域を生じる場合にのみ、わずかな利益を与える(液体G Tが室CT又はCT'に存在することを避ける)。 この過熱の発生に対する技術的な解決策は駆動機械(電気的抵抗素子、高温熱源T hiとの熱交換など)の場合と同様であり、図7には示されない。

    作業流体G Tを蒸発器に導入するための装置は、G Tが液体状態で蒸発器に導入されるが、飽和液体(図8のモリエ図で点3)が膨張した後には、より大きい体積を占有し且つ残りの液体の上方にオーバーヘッドを生じる(図8のモリエ図で点4)ように設計される。 いくつかの解決策のうちの一つは、可撓性の吸引チューブの吸引端を室ABCD内のフロート線の直下で浮きに固定することである。 室ABCDは蒸発器内の液体G Tのレベルよりも上に配置する必要があり(図7)、また室CTとCT'の上に配置する必要があるので、液体G T又はL Tのいずれかのこれら貯器への導入は重力の作用で行われる。

    修正カルノーサイクルは時刻t α 、t γ 、t δ 、t λにそれぞれ開始する4つの引続く相により形成される。 点1 svでの変数は原理を変えないので、以下には経路1-2 sv -3-4-5-1のサイクルのみを記載する。

    作業流体G Tと移送液体L Tに対するすべての連絡回路が閉鎖されている初期状態(t 0 )から開始して、流体ポンプHPが作動され、次いでG Tが次の記載する各段階を含む一連の修正カルノーサイクルに従う。
    αβγ相
    時刻t αの直前の瞬間では、室ABCDとシリンダCT中のL Tのレベルは高く、シリンダCT'中のL Tのレベルは低い。 同じ瞬間に、断熱膨張器ABCD、凝縮器Cond及び室CT内のG Tの飽和蒸気圧は高値P hiであり、蒸発器Evapと室CT'では低値P loである。 図7に図示されているのはサイクルのこの瞬間の状態である。

    時刻t αでは電磁弁SV r , SV lo及びSV hi'が開かれる。 断熱膨張器ABCDにおけるG Tの気液混合状態への等エントロピー膨張(ただし蒸気含有量はほとんどゼロ重量)は液体L Tを流体ポンプHPを通して放出する。 同時に、CTに収容されている非常に少量の飽和蒸気と流体L Tは同一の圧力変動に従うが、しかしこれは上記の少量の蒸気のため、CT内のL Tのレベルの実質的な変動を伴わない。 ポンプHPの下流側の移送液体L TはCT'内のG T蒸気を等エントロピー圧縮する。 ポンプHPの上流及び下流側の圧力は時刻t βで平衡し、時刻t αとt βの間では、ポンプHPから送られる仕事の消費は理論的に存在しない。 この段階では熱伝達がないので時刻t αとt βの間の時間は短い。

    時刻t βで電磁弁SV 1 、SV 4は開かれる。 その結果次のようになる。
    ・SV 1が開くと、飽和蒸気G Tが圧力P hiで蒸発器を出て室CTに入り、移送液体L Tを中間レベル中間(Jで表す)にする。 この液体はポンプHPに取り込まれて加圧され、外部から供給される仕事を消費する。 ポンプを出るとL Tは室CT'に送られ(レベルIまで)、それによりG Tを圧力P hiまでの等エントロピー圧縮の完了を可能にする;そして・SV 4が開いた後に飽和液体状態で低圧P loの作業流体G Tが重力の作用で蒸発器Evapに流入する。 その質量はCTへ出ていく気体状のG Tを補う以上の量である。

    このαβγ相の間に、次の過程が実施された。
    ・3 → 4 :ABCD内での過程;
    ・4 → 5 :Evap−CTの組み合わせでの過程;
    ・1 → 2 sv :CT'内での過程。 圧縮は等エントロピーであり、使用される流体G Tに対してこの過程は過熱蒸気領域で終わる。

    エネルギーの観点からは、このαβγ相の期間に、熱Q 45が温度T loで蒸発器に圧送されており、仕事W αβγがポンプHPにより消費されている。 この仕事は時刻t βから増加する動力で外部から送られたものである。 なぜなら、ポンプHPの上流圧力はこの瞬間後には実際上一定(=P lo )にとどまり、一方下流圧力はP hiにまで増大するからである。

    αβγ相
    時刻t γでは、L Tのレベルが所定の値(ABCDでL、CTでJ、CT'でI)に達し、電磁弁SV 1 , SV lo 、SV hi'が開放状態にあり、SV 2' , SV 3 、SV iが同時に開かれる。 その結果、G T蒸気は蒸発器で連続して作られ、且つCT内で膨張しており(5 → 1の過程)、それにより移送流体はポンプが取り込んだ移送液体を再びシリンダCT'(この時点では凝縮器に接続されている)へ放出する。 CT'内のG T蒸気は脱過熱され(一部はCT'で)、凝縮器で完全に凝縮する(2 sv → 3の過程)。 蒸気は凝縮器内では蓄積しないが、それは重力の作用で断熱膨張室ABCDに放出されるからである。 並行して、ポンプによる移送液体L Tの出力の一部はABCDへ放出されてその中に高いL Tを回復する。

    エネルギーの観点からは、このαβ相の期間中、熱Q 51が温度T loで蒸発器に圧送され、熱Q 23が温度T hi (with T hi >T lo )で凝縮器から釈放されるが、これには外部からの仕事W γδを必要とする。 ポンプの上流と下流の圧力は実際上一定であるので、この仕事はほぼ一定の動力である(凝縮器と蒸発器に無制限の熱交換器を有する)。

    時刻t δでは、サイクルの半分が完了する。 後の半分は対称である。 すなわち蒸発器、凝縮器及び室ABCDは同一の継続する過程に対する場所であるが、室CT とCT'の役目は入れ替わる。

    δελ相(時刻t δ 、t λ の間)及びλα相(t λ とt α の間)
    これらの相は前記αβγ相及びγδ相にそれぞれ均等であるが、室CTとCT'は交代する。

    より詳しく述べると、
    時刻t γで開いたすべての回路は時刻t δで閉じ、室ABCDからポンプHPの上流端へ液体L Tを移送するL T回路は開き(弁SV rによる)、ポンプHPを経る室CT'からCTへの回路は開く(弁SV lo'とSV hiによる)。 その結果 *室ABCDと室CT'気液平衡状態にある流体G Tは高圧P hiから低圧P loへ膨張し、液L TをポンプHPを通して室CTに送る;
    *CT内のG T蒸気は断熱圧縮される。
    時刻t εにおいて、EvapとCT'の間のG T回路は開き(SV 1'による)、ABCDとEvapの間のG T回路は開く(SV 4による)。 その結果、
    *L TはポンプHPに取り込まれて加圧され、次いでCTに放出される;
    *ABCD、CT、及びCT'内のL Tレベルはそれぞれ高から低、低から中間レベルI、及び高から中間レベルJに移る;
    *CT'内でG Tにより占有される体積は増大するので、G TはEvap内で蒸発し、そしてEvapを低圧P loで出ていく飽和したG T蒸気はCT'に入る;
    *CT内のG T蒸気は断熱的に高圧P hiまで圧縮される;
    *低圧P loで飽和液体状態のG Tは重力の作用でABCDからEvapに流れる;
    時刻t λにおいて、ABCDとEvapの間のG T回路は閉じ(SV 4による)、ABCDとポンプHPの上流側のL T回路は閉じ(SV rによる)、CTとCondの間のG T回路(SV 2による)とCondとABCD の間の回路G T (SV 3による)は開き、ポンプHP下流側とABCDの間のL T回路は開く(SV iによる)。 その結果:
    *L Tは再びポンプHPに取り込まれて加圧され、CTの中へ送られる;
    *ABCD、CT及びCT'のL Tレベルはそれぞれ低から高、中間レベルIから高、及び中間レベルJから低へと変わる;
    *CT'内のG Tにより占有される体積は増加し続けるので、G TはEvap内で蒸発し、Evapから低圧P loで出ていく飽和G T蒸気はCT'に入る;そして *高圧P hiでCT内に含まれているG T蒸気はL Tにより放出され、Condで凝縮される;そして *飽和液体状態のG Tは重力の作用でCondからABCDへ流れる。
    数サイクルの後にプラントは定常状態で動作する。

    冷却に対しては、初期状態で、G Tは高温T hiの高温シンクとの熱交換により凝縮器Cond内では高温度に維持され、またG Tは機械の外部の媒体(初期にはT hiの温度を有する)との熱交換によりT hi又はそれより低い温度に維持される。 定常状態では、正味の仕事が流体ポンプHPにより消費され、凝縮器Condは連続的に熱を温度T hiの高温シンクに除去し、熱は蒸発器Evapにより連続して消費され、蒸発器Evapと接触する外部媒体からの熱の抽出が行われ、外部熱媒体の温度T loはT hiよりも低くなる。

    熱生成に対しては、初期状態において、G Tは温度T loの低温熱源との熱交換により低温度で蒸発器Evap内に維持され、またG Tは機械の外部の媒体(初期には≧T hi以上)との熱交換により温度T hi ≧T loで凝縮器Cond内に維持される。 定常状態では、正味の仕事が流体モータHPにより消費され、T loの低温熱源は熱を連続的にEvapに供給し、凝縮器Condは熱を連続的に高温シンクに供給し、プラントは凝縮器Condと接触する外部媒体へ熱を与える(外部媒体はT hi >T loを有する)。

    λα相の後に、第2形式の修正カルノーサイクルはサイクルのα状態にある。 流体G Tにより行われる各種の熱力学的過程と、移送液体L Tのレベルは表7に示す。 電磁弁の状態は表8に示す。 ここに、xは対応する弁の開放を意味する。


    仕事の消費はサイクル中(時刻t αとt βの間、及びt δとt ε間は除く)連続的であるが、流体ポンプの端末間の圧力差が変動する可能性があるので常に一定ではない。 もちろん、定常状態に達し且つ温度T hiとT loが一定なら、サイクル全体の平均動力はサイクル間で一定にとどまる。 さらに、凝縮器はαβγ相とδελ相の期間に残りの回路から孤立し、他方、T hiの高温シンクでの熱除去は先験的に連続である。 これらの条件下に、これらの孤立相の期間中、凝縮器の温度の低下従って圧力の低下ががあり、電磁弁SV 2又はSV 2'の再開放で時刻t γ及びt λに突然の上昇があるであろう。

    移送液体L Tは非圧縮性なので3つの室ABCD、CT、CT'内で同時的に起きるレベル変動は独立ではない。 さらに、L Tのこれらのレベル変動は流体G Tの体積変動によるか又はそれに付随する。 これは図8に表したサイクルの諸段階での流体G Tの密度間にある次の関係式で表される。
    ρ 5 −ρ 3 =ρ 1 −ρ 2sv (式2)
    ここにρ iは点熱力学的状態iにあるG Tの密度であり、ここにiはそれぞれ5、3、1、及び2 svである。 一定密度での曲線の例は図8に一点鎖線で示されている。

    第2形式の修正カルノーサイクルとは異なり、ここではT loの低温熱源とT hiの高温シンクの間の温度差に制限はない。 点3における密度は常にサイクルで最小であるので、T hiとT loに関係なく次の2重不等式が成り立つ。
    ρ 4 < ρ 5 < ρ 1 (不等式2)

    第1形式の修正受動カルノー機械では、圧縮/膨張装置は凝縮器Condと蒸発器Evapの間に直列に挿入される。 それは膨張弁EV又は毛細管のような単純な膨張装置を含み、電磁弁SV 3に直列に入ることができる。 このような装置は図9に示され、符号は他の図と同様である。 EVとSV 3の組み合わせた膨張装置を構成する。 凝縮器Condを出る飽和状態の作業流体G Tは直ちに膨張し、そして蒸発器Evapに入る。 この修正受動カルノー機械の例は図10のモリエ図において1-2 sv -2 g -3-4-5-1のサイクルにより概略化されている。

    電磁弁のサイクルと状態の諸段階は以下で詳しく説明し、また表9〜10に示される。 電磁弁SV 3は、機械が動作状態になっているときは常に開放しているので重要ではない。 この弁は凝縮器を蒸発器から分離し、機械を停止させることができる点のみの利点を有する。

    この第1形式の修正受動カルノーサイクルの段階は、上に説明した第2形式の修正受動カルノーサイクルの段階と異なる場合のみ、以下で説明する。

    作業流体G Tと移送液体L Tに対するすべての連絡回路が閉じており、時刻t 0で流体ポンプHPが起動され、CondとEvapの間のG Tに対する回路が開かれ(SV 3による)、そしてGが下記の各段階よりなる一連の修正カルノーサイクルに掛けられる:
    αβ相(t α とt β の間)
    時刻t αの直前に、シリンダCT内のL Tのレベルは高く(Hで表す)、シリンダCT'内のL Tのレベルは低い(Lで表す)。 同時に、G Tの飽和蒸気圧はCondとCT内では高い値P hiを有し、EvapとCT'内では低い値P loを有する。 サイクルのこの瞬間は図9に示す。

    時刻t αに、電磁弁SV 1 , SV 3, SV lo及びSV hiが開放すると次の結果を生じる。
    ・圧力P loで蒸発器を出ていく流体G Tの飽和蒸気はCTに入り、移送液体L Tを中間レベル(Jで示す)にする。 L TはポンプHPに取り込まれて加圧され、従って、仕事が消費される;
    ・HPにより加圧された移送液体L TはCT'へ送られる。 CT'内でL Tは低レベルから中間レベル(I)になり、この室内に含まれる蒸気G Tを等エントロピー圧縮する;ついで・電磁弁SV 3の開放に続いて、飽和液体状態で高圧P hiの作業流体G Tは弁EVにより膨張され、次い二相混合状態で蒸発器Evapに入り、それにより室CTへの放出された気体状G Tの質量を補償する。

    図10に示したモリエ図においては、この工程は次の同時過程に相当する。
    ・3 → 4: CondとEvapの間の過程・4 → 5:Evap−CTの組み合わせにおける過程・1 → 2 sv :CT'内での過程。
    すでに述べたように、使用される作業流体G Tは、この等エントロピー過程の後に、過熱蒸気領域に終わることになる。

    エネルギーの観点からは、このαβ相の期間に、熱Q 45がT loで蒸発器に送られ、仕事W αβがポンプHPにより消費される。 ポンプの上流側の圧力は実際上一定(=P lo )にとどまる一方、下流側圧力がP hiにまで高まるので、この仕事は増大する動力で外部から送入されたものである。

    βγ相(時刻t β とt γ の間)
    時刻t β 、すなわちL Tのレベルが所定の高さ(CTでJ、CT'でI)に達するとき、電磁弁SV 1 , SV 3 、SV lo 、SV hiは開放状態のままにされ、電磁弁SV 2は開放される。 その結果G T蒸気は蒸発器内で連続的に生成され、CT内で膨張し(5→1の過程)、それにより、ポンプにより取り込まれた移送液体を再び、いまや凝縮器に接続されているシリンダCT'に送る(2 sv →2 gの過程)。 CT'内G T蒸気は過熱され(すなわちCT'内で部分的な2 sv →2 g過程)、凝縮器内で完全に凝縮する(2 sv →2 g →3の過程)。 飽和液体状態の流体G TはEVにより膨張され、次いで蒸発器に導入される。

    エネルギーの観点からは、このαβ相の期間に、熱Q 51がT loで蒸発器に輸送され、熱Q 23がT hi (T hi >T lo )で凝縮器に放出され、それにより外部からの仕事W γδが必要になる。 ポンプの上流圧力と下流圧力は実際上一定なので(凝縮器と蒸発器における非制限的な熱交換器)、この仕事は実際上一定である

    時刻t γでサイクルの半分が完了する。 他の半分は対称で、蒸発器と凝縮器は同一の引き続く過程に対する場所であり、室CTとCT'の役目は交代する。

    γδ相(t γ とt δ の間)及びδα(t δ とt α の間)
    これらの相はαβ相とβγ相にそれぞれ均等であるが、室CTと室CT'の役割は交代する。
    より具体的に説明すると次の通りである。
    ・時刻t γにおいて、時刻t βで開いていたすべての回路はCondとEvapの間のG T回路を除いて閉じられ、流体モータHPを介してCT'からCTへ液体L Tを移送することを可能にするL T回路が開き(SV loとSV hiによる)、そしてEvapとCT'の間のG T回路が開かれる(SV l'による)。
    *L TがポンプHPに取り込まれ、加圧され、ついでCTへ送られる;
    *CT内のL Tのレベルが低レベルから中間レベルIに移動し、CT'では高レベルから中間レベルJに変わる;
    *CT'内のG T蒸気による占有体積は増大するので、作業流体G TはEvapで蒸発し、Evapから低圧P loでEvapを出て行くG Tの飽和蒸気はCT'に入る;
    *CT内のG T蒸気は高圧P hiまで断熱圧縮される;そして *Cond内の飽和又は過冷液他状態で高圧P hiのG Tは等エントロピー膨張し、気液混合状体で且つ低圧P loで蒸発器Evapに入る;
    ・時刻t δにおいて、CTとCondの間のG T回路が開き(SV 2による)、その結果 *L Tは再びポンプHPに取り込まれて加圧され、CTに送られる;
    *CT内のL Tのレベルは中間レベルIに上がり、CT'では中間レベルJから低レベルに下がる;
    *CT'内のG T蒸気により占有される体積が増大を続けるので、G TはEvap内で蒸発し、低圧P loでEvapを出ていく飽和したG T蒸気はCT'に入り、そして *高圧P hi ,でCT内にあるG T蒸気は液体L Tによって送りだされ、Condで凝縮する。
    数サイクルの後にプラントは定常状態で動作する。

    冷却に関しては、初期状態において、G Tは温度T hiの高温シンクとの熱交換により高温度で凝縮器Cond内に維持され、また機械の外部の媒体(初期にはT hiと同一またはそれ以下の温度を有する)との熱交換により温度T hi又はそれ以下の温度にある蒸発器Evap内に維持され;そして定常状態では正味の仕事が流体モータHPにより消費され、凝縮器Condは連続的に熱を高温度T hiにある高温シンクに除去し、そして熱は蒸発器Evapにより連続的に消費される。 つまり熱は蒸発器Evapと接触している外部媒体(外部媒体の温度T loは厳密にT hiよりも低温である)から抽出される。

    熱生成に関しては、初期状態では、G Tが低温T loの低温熱源との熱交換により低温度にある蒸発器Evap内に維持され、また温度T hiまたはそれ以上の温度にあるプラント外媒体との熱交換によりT hi又はそれ以上の温度にある凝縮器Cond内に維持され;そして、定常状態では、正味の仕事が流体ポンプHPにより消費され、温度T loの低温熱源は連続的に熱をEvapに供給し、そして凝縮器Condは熱を連続的に高温シンクに除く。 つまり、Condと接触する外部媒体(外部媒体の温度T hiは厳密にT loよりも高温である)がある。

    この構成(第1形式の受動形式)では、サイクルの各段階におけるG Tの密度を結合する式(2)と不等式(2)が依然として成り立つ。

    第2形式の修正受動カルノー機械は動作が単純で、少ない構成要素を有する。 しかし、従来の機械的な蒸気圧縮サイクルの場合、3→4 and 2 sv →2 gの過程はわずかな非可逆性を生じるので、サイクルの性能係数又は増幅係数に不利な影響を有する。 しかしこの劣化は穏やかなので、第1形式の構成が修正受動カルノー機械に対しては好ましい。 その理由は、第1形式の修正受動カルノー機械が従来の機械蒸気圧縮機械と類似しているが、なお2つの重要な利点を有するからである。
    ・断熱圧縮段階(1→2 sv )がより高い等エントロピー圧縮効率を有するので、ノイズが少なく信頼性がより高い;
    ・同一の機械がわずかな修正で駆動モードで運転できるが、これは従来の機械では可能でなかった。

    他の形式の受動機械は、特に熱源やヒートシンク温度、作業流体G T及び意図した目的に応じた入手可能な手段に従って選択される。

    同一の修正カルノー機械は、使用者の選択に応じて、駆動機能又は受動機能を提供することができる。 この場合に、修正カルノー機械は多目的機械と称される。 この可能性はこの装置が二種(駆動又は受動)の上記した動作モードを行うのに必要な構成要素及び1つのモードから他のモードへの切り替えに必要な追加要素を備えていることを意味する(二種の機能は同時には行えない)。 各モードを実行するのに必要な多くの構成要素は同一、すなわちCond、Evap、CT、CT'、ほとんどの制御弁、及びG T回路とL T回路の或る要素である。 従って、多目的修正受動カルノーサイクルのこれらの部品は二重に設ける必要がない。 他の要素は具体的なモードに特有なものである。 例えば、図2について述べたように、第2形式で駆動モードで動作させるためには、室ABCDを電磁弁SV 3とSV 4に結合する加圧膨張装置PEDを要するが、図7で述べた第2形式で受動モードの場合にはそうでない。 逆は真でなく、図7で述べたように、室ABCDを電磁弁SV 3とSV 4に結合する装置PEDは、第2形式の受動モードでの動作や第2形式の駆動モードでの動作を可能にする。 2つのモードでの両立の第2の例は、装置PEDに関係しているが、第1形式の修正カルノーサイクル機械に対しては、補助流体ポンプAHP 1 (図5)はEVまたは毛細管C(図9)のような動作流体を膨張させる機能を提供できないし、その逆もそうである。 同様に、流体変換器はポンプまたはモータである。 しかし、流体の流れの方向に依存して両機能を提供できる変換器が存在する。

    図11は使用者の選択に応じて第1形式の修正駆動カルノー機械の機能と第1形式の修正受動カルノー機械の機能のいずれかで動作する多目的修正カルノー機械の概念図である。 これら2種の他の3通りの組み合わせ、すなわち、第2形式の駆動及び受動モード、第1形式の駆動モードと第2形式の受動モード、及び第2形式の駆動モードと第1形式の受動モードである。 動作(駆動または従動)モードの選択には手の込んだ手段は不要である。 例えば図11において、電磁弁SV 3DとSV 3Rがそれぞれ開放と閉鎖、又は閉鎖と開放である。 これら2つの電磁弁SV 3DとSV 3Rは3方向弁に置換できる。 最後に、図11の例では流体ポンプと流体モータは2つの別個の変換器と考えられる。 選択した動作モード(駆動または受動モード)に依存して、一方または他方の変換器が3方向電磁弁SV RDの開放に従ってアクティヴとなる。 3方向電磁弁SV RDは移動液体回路中で2つの2方向弁または他の任意の作動素子に置換されてもよい。

    一つの実施例では、修正カルノー機械は熱カップリング又は機械カップリングにより補助装置に結合できる。
    本発明による修正駆動又は受動カルノー機械は、その凝縮器及び/又は蒸発器において補助装置に熱カップリングできる。 熱カップリングは熱伝達流体、ヒートパイプ、直結、又は放射により達成できる。

    補助装置は駆動又は受動熱力学機械であり得る。 2つの最も有利なケースは1つの修正駆動カルノー機械を1つの駆動熱力学機械へ結合すること、又は1つの修正受動カルノー機械を1つの受動熱力学機械へ結合することに関している。 両者の場合において、駆動熱力学機械又は受動熱力学機械は、修正駆動カルノー機械又は修正受動カルノー機械からそれぞれ熱を受け取るか、又は前記修正駆動カルノー機械の蒸発器へ又は修正受動カルノー機械へそれぞれ熱を与える。 これらの駆動又は受動熱力学機械は第2の修正駆動機械(第1又は第2形式)であるか又は前記第1のもの(第1又は第2形式)とは異なる修正受動カルノー機械でありうる。

    2つの修正駆動カルノー機械の熱結合の1つの形態は、図12a、12bに例示されている。 図12aは熱源とヒートシンクの温度レベルと、熱交換の方向と、機械間又は環境の間の熱交換及び仕事交換の方向を例示する。 第1の高温度(HT)機械は温度T hiのヒートシンクと中間温度T m1との間で動作し、作業流体G T1を含んでいる。 第2の低温(LT)機械はT m2の熱源と温度T loの熱源との間で動作し、作業流体G T2を含んでいる。 温度関係はT hi >T m1 >T m2 >T lo >T ambientである。 もしもHT機械の凝縮器とLT機械の蒸発器での熱伝達がが無限効率を有する(無限の交換面積及び/または無限の交換係数のため)とすると、温度T m1 、T m2は実際上同一である。 全ての場合に、この組合せは「熱カスケード結合」と呼ばれ、熱量Q hiが温度T hiで流体G T1を蒸発させるためにHT機械に送られ、温度T m1にあるHT機械の凝縮器で流体G T1が凝縮により放出した熱量Q m1が完全に(Q m1 =Q m2 )又は部分的に(Q m1 >Q m2 )LT機械の蒸発器に送られて温度T m2の流体G T2を蒸発し、流体G T2の凝縮で生成された温度T loの熱Q loは環境に送り出される。 仕事の生成だけが必要な場合には、T m1の熱源と、T m2のヒートシンクの間の熱伝達は完全である。 すなわち、この場合、Q m1とQ m2は等しく、単純にQ mで表される。 温度T m1のような十分な温度レベルで仕事と熱の両者の発生が望まれる場合には、T m1の熱源とT m2の熱源との間の熱伝達は部分的であり、Q m1はQ m2よりも大きく、この差分はユーザに送られる。

    場合により、作業流体G T1とG T2は同一であって良い。 並列で仕事W 1とW 2の量はHT機械とLT機械にそれぞれ送られる。 2つの修正駆動機械のカスケード結合の総合効率((W 1 +W 2 )/Q hi )は、図12bに示したように、同一の極限温度T hiとT loの間で動作する修正駆動カルノー機械単独のそれに必ずしも等しくなく、一般にやや低い。 実際、これらの2つの効率は、2つの修正カルノー機械が第2形式で且つ理想的に動作をする4条件下、すなわち、非可逆性がなく、温度T m1とT m2が一致し、この中間温度T mでの完全な熱回収(Q m1 =Q m2 )がある場合に、等しい。
    修正駆動カルノー機械の熱カスケード結合は同一形式(第1形式又は第2形式)の又は異なった形式の機械を含みうる。

    第2形式の2つの修正駆動カルノー機械をカスケード結合する第1の利点は、温度差T hi −T loが単独の第2形式の修正駆動カルノー機械が使用される場合のようにもはや制限されないことにある(式(1)により表わされる密度の条件のためである)。 従って、カスケード結合の総合的な効率は、この組み合わせの温度差T hi −T loが単独の機械に対する最大の温度差よりも大きくなるときに、単独の機械よりも大きくなる。

    第1又は第2形式の2つの修正駆動カルノー機械をカスケード結合する第2の利点は、各作業流体G T1とG T2の各圧力が、同一のT hiとT loの間で動作する第1又は第2形式の単独の修正駆動カルノー機械の作業流体の圧力よりも低くなることである。

    カスケード結合は同じ原理による2つより多い修正駆動カルノー機械を使用しても達成できる。 第1の機械は最高温度T hiで熱を供給されて作業流体を蒸発し、カスケード結合された最後の機械は、最低温度T loで凝縮により発生した熱を環境に放出する。 T loはしかし環境温度よりも高い。 これら両端にある2つの機械の間では、各中間の機械が先行する機械の作業流体の凝縮により釈放された熱を受け取り、そしてそれ自身の作業流体の凝縮で釈放した熱を後続の機械に移す。 各機械はある量の仕事を環境に移す。

    2つの修正受動カルノー機械は、駆動機械の場合について上記したようにして、カスケード結合できる。 仕事の流れおよび熱の流れは図12aに示したものとは逆方向になる。

    2つの修正受動カルノー機械のカスケード結合は、同じ極限温度T lo及びT hiで動作する単独の修正受動カルノー機械(第1形式又は第2形式に関係しない)の場合に見られる作業流体の圧力に比して、各作業流体G T1及びG T2の圧力を減じるという十分な利点を有する。

    本発明による修正カルノー機械は、機械が駆動機械の場合には流体モータの箇所で、または機械が受動機械の場合には流体ポンプの箇所で、補助装置に機械結合できる。 機械結合はベルト、万能継ぎ手、磁気クラッチ、又は非磁気クラッチにより、或いはこれら流体モータ又は流体ポンプの軸に直結により行うことができる。

    補助装置は駆動装置、例えば電気モータ、流体タービン、風力タービン、石油駆動エンジン、ガス駆動エンジン、ジーゼルエンジン、又は他の修正駆動カルノー機械でありうる。 補助装置は受動装置、例えば流体ポンプ、輸送機械、交流発電機、機械蒸気圧縮ヒートポンプ、空気圧縮機、また他の修正受動カルノー機械でありうる。
    補助装置は例えばフライホールなどの駆動/受動装置であっても良い。

    機械結合を実施するための特に好ましい方法の一つは、修正駆動カルノー機械を守勢受動カルノー機械に結合することである。

    修正受動カルノー機械に機械的に結合された修正駆動カルノー機械を含むプラントは、熱源とヒートシンク温度レベル、熱交換及び仕事交換の方向と共に図13に概念図で示されている。

    この駆動機械は作業流体G T1を含む。 機械は温度T hiの熱源から熱量Q hiを受け取り、温度T mDの熱量Q mDと仕事Wを放出する。 熱源の温度T hiはヒートシンクの温度T mDよりも高くなければならない。

    この受動機械は作業流体G T2を含み、温度T mRにおいて熱量Q mRを放出し、温度T loの熱源からの熱量Q loと駆動機械が放出した仕事Wとを受け取る。 熱源の温度T loはヒートシンクの温度T mRより当然低い。

    単一のエネルギー源として温度T hiのみを使用するこのような結合により意図された2つの用途は次のとおりである:
    ・T loでの寒冷の生成:この場合はT lo <T ambient ≦T mRである;
    ・T mRとT mDでの熱の生成:例えば住居の暖房であり、T loが外部の環境温度T ambient_outsideであり、2つの平均温度T mDとT mRは等しく、増幅係数(Q mR +Q mD )/Q hiは1より大きい。

    修正駆動カルノー機械を含むプラントの第2の実施例の概略は図14に、熱源とヒートシンクの温度レベル、及び熱交換と仕事交換の方向と共に示されている。

    この駆動機械は作業流体G T2を含み、温度T mの熱源から熱量Q mDを受け取り、低温T loで熱量Q loと仕事Wを放出する。 熱源の温度T mは当然ヒートシンクの温度T loよりも高い。

    受動機械は作業流体G T1を含み、温度T hiで熱量Q hiを放出し、温度T mの熱源から熱量Q mRと駆動機械から放出された仕事Wを受け取る。 熱源の温度T mは当然ヒートシンクの温度T hiより低い。

    このような本発明のプラントは環境からの仕事を消費することなく入手可能な熱源の温度よりも高い温度で熱量を取得することを可能にする。 この応用は未利用の熱が放出される場合で及び高温度の熱が必要な場合に特に有利である。

    本発明によるプラントは、熱源から電気、熱又は寒冷を生成するために使用することができる。 用途に応じて、プラントは、適当な環境と関連付けられた修正駆動カルノー機械又は修正受動カルノー機械を含む。 所望する目的、入手可能な熱源、及び入手可能なヒートシンクの温度に従って作業流体と流体移送液体が選択される。

    修正受動カルノー機械はあらゆる分野の冷却機械、ヒートポンプ、冷凍、冷蔵、「可逆」空気調和(すなわち夏に冷房、冬に暖房)に使用できる。

    従来のMCV(機械的蒸気圧縮型)冷却機械は良好な性能係数COP (=Q lo /W)又は良好な増幅係数COA (=Q m /W)を有するといわれている。 実際には、これらの係数はカルノー機械のものよりもはるかに低く(約50%程)、それゆえ本発明の特に第2形式の修正受動カルノー機械よりもはるかに低く、第1形式の修正受動カルノーサイクルより低い。 現在のMVC機械を修正受動カルノー機械に置換すれば、同一の条件を満たすのに必要な電気エネルギーを減じることが可能となる。

    従来のCMVヒートポンプの場合のように、修正受動カルノー機械の作業流体G Tに対する適正な圧力範囲はほぼ0.7〜10バールである。 0.7バールより低い圧力では移送シリンダと蒸発器の間のパイプの寸法、特に移送シリンダ自体の体積が大きくなりすぎる。 一方、10バールより高い圧力では安全性と機械強度の問題が生じる。 これらの用途に対してはアルカン類またはHFC類の使用が非常に適している。 例えば、イソブタン(オゾン層に影響しないので)はすでに現在の冷凍機または冷却機に使用されている。 冷却用途の修正受動カルノー機械におけるこれらのアルカン類と関連する移送液体は水である。 しかし、0℃以下に冷却するためには、この場合、G TとL Tの間に膜を挿入して蒸発器の内部を阻害するいかなる氷結も防ぐか、定期的な除氷操作を行う必要があり、またL Tを移送室に戻す装置を必要とする。 水の代わりの移送液体としては、選択された作業流体G Tと混合しにくい油を使用することが考えられる。

    修正駆動カルノー機械は集中型又は分散型発電、水ポンプのための仕事生成、脱塩等、或いは双熱(dithermal)受動機械(すなわち、一つは加熱又は冷却の目的と、そして特には修正受動カルノー機械)のための仕事の生成に使用できる。

    修正駆動カルノー機械の利点及び修正受動カルノー機械の利点は、二種の機械を組み合わせることにより合算することができる。 実際、機械−電気変換はもはや不要となり、それによりこのような変換を含むわずかな効率の喪失を回避することができる。

    本発明によるプラントは、例えば核反応から生成される集中した高温熱源から集中型発電を行うのに利用できる。 核反応は500℃の熱を生成する。 この熱の使用は、高温度と両立できる駆動流体を使用するか、又は水蒸気タービンを使用する間接的な工程の実施をふくむ。 この場合、水蒸気は500〜300℃へ過熱され、この熱は300℃で修正駆動カルノー機械に送られ、300℃の熱源と外部環境の低温シンクとの間で動作する。 この温度差では、異なった作業流体を含む少なくとも2つの修正駆動カルノー機械が熱的にカスケード結合される必要がある。 最高温度の機械に対しては、水が作業流体として最適である。 この構成では、本発明により得られる利益は総合的な発電効率が現在の原子力発電所のそれよりも高いことである。

    本発明による設備は、熱源として太陽エネルギーを使用して分散型電力発電に使用することができ、このものは更新が可能でありあらゆる場所で得ることができる。 ただし、それは間欠的であり且つ極めて希薄である(晴天で最大約1kW/m 2 )。 現在のシリンダーパラボラ式太陽光捕集器は約300℃の駆動流体をもたらすことができる。 集中発電と比較すると、500〜300℃でタービンにより送り出される仕事は失われるが、しかし再生可能なエネルギーだけが利用される。

    例えば真空管コレクターで約130℃又は平坦なコレクターで約80℃で送り出される熱ソーラエネルギーを使用することも可能である。 明らかに熱源の温度が低いほど、修正駆動カルノー機械の効率は低い。 しかし、平坦なソーラコレクターから送られる最低温度T hiに対しては、熱カスケード結合は最早必要がなく、修正駆動カルノー機械は単純であるので安価である。 太陽が照らない場合には補助ボイラーが必要な熱を供給できる。

    本発明によるプラントは電気に変換する必要なしに熱を仕事に変換するために使用できる。 機械的仕事は直接に、例えば流体ポンプ、ヒートポンプのために使用でき、その圧縮器は電気モータにより駆動されない。 後者の場合には最終結果は次の通りである。
    ・温度T hiの熱源よりも低い温度T mでの、しかし1よりも大きい増幅係数での熱生成、又は低い温度T mよりも高い温度T hiの熱源での、しかし1よりも小さい増幅係数での熱生成。 これらの増幅係数は吸着又は吸収装置を使用する従来技術の増幅係数よりは大きい;
    ・室温より低い温度T loでの、しかし従来技術の吸着又は吸収装置を使用する増幅係数よりは大きい増幅係数での冷却。

    本発明の装置は本発明を制限するものではない以下の8つの実施例により例示する。 図15aから図15hは、各例に対する修正カルノー機械(又はそれらの組み合わせ)と勧業の間の熱交換と仕事交換、及び熱源及びヒートシンクの温度を図式的に示す。

    実施例1(図15a):熱的にカスケード結合した3つの第2形式の修正駆動カルノー機械、
    実施例2(図15b):熱的にカスケード結合した2つの第1形式の修正駆動カルノー機械、
    実施例3と4(図15cと図15d):第2形式又は第1形式の2つの修正受動カルノー機械、
    実施例5(図15e):熱的にカスケード結合した第1形式の2つの修正受動カルノー機械、
    実施例6と7(図15fと図15g):第1形式の高温度修正駆動カルノー機械と第1形式の低温度修正受動カルノー機械との機械的結合、及び 実施例8(図15h):第1形式の低温度修正駆動カルノー機械と第1形式の高温度修正受動カルノー機械の機械的結合。

    これらの実施例において、3種の作業流体G T 、すなわち水(R718で表す)、n−ブタン(R600で表す)、及び1,1,1,2テトラフルオロエタン(R134aで表す)が使用される。 これらの流体に対するモリエ図は図16、17、18にそれぞれ示した。 これらの図にプロットしたものは実施例1〜8に含まれる各種の修正カルノーサイクルである。

    実施例1(熱的にカスケード結合した3つの第2形式の修正駆動カルノー機械)
    目的は可能な限り最高の効率で仕事(この仕事は電気に変換できる)を生成することを目的とする。 与えられた低温シンク(T lo =40℃)に対して、効率は高温熱源の温度T hiが高いほど高くまた機械サイクルが理想的カルノーサイクルに近いほど高い。 第2形式の修正駆動カルノーサイクルは従ってその好ましい構成、すなわち、凝縮器を出て行く作業流体の密度が蒸発器を出て行く密度と同一であるような(図4に記載したような)制限を満足するような好ましい構成で使用される。

    温度85℃のT hi3の熱源で、使用される作業流体がR600の場合では、これは図17に示されたabcdaのサイクルを描く。 この流体ではc→dの断熱膨張は過熱領域にある上記を生じるにもかかわらず、飽和曲線に非常に近い。 非可逆性は非常に低い。 このサイクルの効率η 3は同じ温度間での完全カルノーサイクルの効率12.56%に比較して12.49%である。
    175℃の温度T hi2の熱源であって、先行するサイクルとの熱カスケード結合においては、使用される作業流体はR718であり、これは図16に示したefgheサイクルを記述する。 この流体ではg→hの断熱膨張は二相領域にある流体を結果し、従って非可逆性は起こさない。 このサイクルの効率η 2はカルノーサイクルのそれと一致して16.7%である。

    最後に、温度T hi1が275℃の熱源で、先行するサイクルとのカスケード結合においては、使用される作業流体はここでもR718であり、これは図16のabcdaのサイクルを描く。 このサイクルの効率η 1は16.4%である。

    諸機械間の熱伝達レベルで現実的な温度差を有するこれら3種の第2形式の修正駆動カルノー機械の熱的なカスケード結合(図15a)は、総合的に次の効率を結果する。
    η=(W 1 +W 2 +W 3 )/Q hi =η 12 (1-η 1 ) + η 3 (1-η 2 )(1-η 1 )
    これは、効率η=39.10%を与えるが、これは、同一の極限温度間で動作するカルノー機械の効率の91%に相当する。

    この効率は、遙かに高い(約500℃)過熱蒸気で動作する現在の原子核発電所の効率(約34%)よりも良い。 さらに、温度T hi1 (=275℃)の熱源は円筒パラボラ太陽コレクターにより供給することができる。

    実施例2(熱的にカスケード結合した2つの第1形式の修正駆動カルノー機械)
    先の実施例と同様に、目的は仕事(後に電気に変換できる)を生成することであるが、複数の第1形式の修正駆動カルノー機械のより単純な組合せを使用する。 熱源とヒートシンクの間の温度差は、凝縮器を出て行く作業流体の密度が蒸発器を出て行く作業流体の密度と同一であるという制限を課さない。 しかし過剰に大きい圧力差が他の語術的問題を生じるので、同一の極限温度の熱源及びヒートシンク(275℃と40℃)を使用して、かかる大きい圧力差で動作する単一の機械を使用する代わりに、2つの械を熱的にカスケード結合する方が好ましい。

    この熱的カスケード結合(図15b)は2つの第1形式の修正駆動カルノー機械を結合し、第1の機械は水(R718)を作業流体として使用していて図16のijbckiのサイクルを描き、第2の機械はnブタン(R600)を作業流体として使用していて図17のefbcdeのサイクルを描く。

    これらの2つのサイクルにおける段階j→bと段階f→bは追加的な非可逆性を生じるが、これら2つのサイクルの効率はカルノーサイクルの効率と対比すると非常に満足な値に留まり、R718のサイクルに対してη 1 =27.47%、R600のサイクルに対してη 2 =10.82%である。

    これら2つの第1形式の修正駆動カルノー機械の熱的カスケード結合(図15b)の総合効率は次の通りである。
    η=(W 1 +W 2 )/Q hi =η 1 + η 2 (1-η 1 )
    すなわち、η=35.32%(同一の極限温度間で動作するカルノー機械の効率の82%)である。
    先に例と比較すると、効率のごくわずかの劣化に対して(−3.78%)、3つの機械に代わり2つの機械となり、特に第2形式のものより単純な第1形式の機械となる点で、機械の単純化が比較的大幅である。

    実施例3(第2形式又は第1形式の修正受動カルノー機械)
    実施例3の目的は低温度放熱器(ラジエータ、床下暖房)により住居を過熱することである。 温度5〜50℃で動作する修正受動カルノー機械はこの用途に非常に適している(図15c)。
    作業流体としてR600を使用する第2形式の機械又は第1形式の機械の2つの可能なオプションが比較される。

    第2形式の修正受動カルノー機械では、図17に示した1-2-3-4'-9-1のサイクルが描かれる。 この流体では、もしも断熱圧縮段階が飽和蒸気(サイクルの9の点)から開始されるなら、この段階の終わりに流体は二相領域になったであろうが、これは欠点ではない。 この例で例示すると、圧縮の終端(サイクルの点2)で飽和蒸気のみが存在するように流体をわずかに過熱する(段階9→1)ように選択される。 これは、この段階中に、例えば修正駆動カルノー機械に対して図2に例示したように、移送シリンダでの熱の供給を示唆する。

    この修正受動カルノー機械の増幅係数は次の通りである。
    COA = Q hi /W = 7.18
    このCOAは同じ極限温度間で操作するカルノー機械の効率に実質的に等しい。 なぜなら9→1の過熱により引き起こされる非可逆性は非常に小さいからである。

    しかし、第2形式の機械は室ABCD及び関連した接続を必要とし、コストがかり、サイクルのより複雑な管理を含む。 第1形式の受動カルノー機械では、サイクルは図17に示した1-2-3-4-9-1のサイクルで記述される。 この第1形式の機械の性能係数(COA)は低くCOA=Q hi /W=6.06、すなわちカルノー機械の84%であるが、それでも同一の極点温度間で動作するMVC機械に対するCOAよりもはるかに良い。

    実施例4(第1形式の修正受動カルノー機械)
    実施例4の目的は下記における住居の冷房である。 温度15℃と40℃の間で動作する第1形式の修正受動カルノー機械はこの用途に非常に適している(図15d)。 使用され得作業流体R600は図17に示した5-6-7-8-5のサイクルを行う。 今までの例と比較すると、当エントロピー圧縮を実施する前に流体を過熱し内容に選択されている。 この修正受動カルノー機械の性能係数は次の通りである。
    COP=Q lo /W=10.33、すなわちカルノー機械の90%である。 これは同じ極限温度の間で動作する現在のMVC機械よりも遙かに良好である。

    実施例5(第1形式の2つの修正受動カルノー機械の熱的カスケード結合
    実施例5の目的は低温冷却(冷凍目的)である。 熱願とヒートシンクの間の温度差は、作業流体の密度を等しくするとの拘束による制限はないが、他の技術的な問題が生じないように機械の圧力差は余り高すぎないことが好ましい。 従って、温度−30℃の低温源と40℃の高温シンクでは、2つの機械はこのような大きい温度差で動作する単一の機械を設けるよりも、2つの機械を熱的にカスケード接続することが好ましい。 熱カスケード接続(図15参照)は第1形式の2つの修正受動カルノー機械を結合することより成り、第1の機械は作業流体としてR600を使用して図17に示した9-6-7-10-9のサイクルをたどり、第2の機械は作業流体としてR134aを使用し、図18に示した1-2-3-4-1のサイクルをたどる。

    第1形式のこれら2つの修正受動カルノー機械の熱的カスケード結合の総合的な性能係数は次の通りである。
    COP = Q lo /(W 1 +W 2 ) = 1/[1/COP 2 +(1+1/COP 2 )/COA 1 ]
    これはCOP=2.85であり、カルノー機械の82%である。 とりわけ、同じ極限温度の間で動作する現在の二段階MVC機械の性能係数よりも遙かに優れている。

    実施例6(第1形式の高温度修正駆動カルノー機械と第1形式の低温度修正受動カルノー機械との機械的結合)
    実施例6(図15f)の目的は、エネルギー源として熱のみ(例えば太陽熱コレクターから来るもの)を使用する下記の住居の冷房である。 このために、実施例2に記載した第1形式の修正駆動カルノー機械であって作業流体R600を使用する第1機械と、実施例4に記載した第1形式の修正受動カルノー機械である第2機械を結合する。

    この組合せの性能係数は
    COP=Q lo /Q hi1 COP 2 =1.29、すなわち、三熱カルノー機械のCOPの89%であり、同じ極限温度の間で動作する現在の従来技術の吸収又は吸着三熱システムのCOPよりも遙かに良好である。

    実施例7(第1形式の高温度修正駆動カルノー機械と第1形式の低温度修正受動カルノー機械との機械的結合)
    実施例7(図15g)の目的は数種ある。
    ボイラー又は円筒−パラボラ太陽熱捕集器により達成できる温度でエネルギー源を利用するあらゆる場合において、
    ・電気に変換できる仕事と冬期の住居の暖房(低温度)に有用な熱の同時発生。
    ・低温度空調、すなわち従来のビル(特に事務所又はアパート)のファン・コイル装置と両立できる。

    これらの実用目的に対して、作業流体R718を使用する第1形式の修正駆動カルノー機械であって図16に示されたlmgnlのサイクルを描く第1機械が、実施例3の第1形式の修正受動カルノー機械である第2の機械に結合される。 第1機械の効率η 1は25.34% (カルノー機械の効率の91%)であり、これは現在の光電池太陽捕集器の効率よりも遙かに高い。

    電気は受動機械(図15g)に対して回収されないが、熱Q m1の生成は発電を補う。 すなわち入力エネルギーQ hiの24.66%を補い、他方、光電池はそれ自体では熱を放出しない。 逆のケース、すなわち加熱及び/又は空調に対しては、増幅係数とこの組合せに対する性能は結合されて2つの機械のCOPと効率に統合されて次の値
    COA=COP+1=COP η 1 +1
    となり、それぞれCOA=2.28 (カルノーサイクルのCOAの84%)及びCOP=1.28 (カルノーサイクルのCOAの74% )となる。

    実施例8(第1形式の低温度修正駆動カルノー機械と第1形式の高温度修正受動カルノー機械の機械的結合)
    実施例8(図15h)の目的は、唯一のエネルギー源として、蒸気の直接的な生成と両立する低温度(85℃)の熱源を有する穏和な圧力(2バール)で蒸気を生成することである。 これは特に未利用の熱が捨てられ或いは高温度が必要な工業サイトで通常遭遇する1つの例である。

    85℃と120℃の間でのこの熱変換(2バールの蒸気を発生することができる)は第1機械、すなわち作動流体R718を使用し、85℃と120℃の間で動作し、図16の1-2-3-4-1のサイクルを行う第1形式の修正受動カルノー機械を、第2の機械、すなわち85℃と40℃の間で動作し、作動流体R600を使用する実施例2に記載された第1形式の修正受動カルノー機械に機械的に結合することにより実施できる。

    第1受動機械の性能係数COP 1は9.14 (二熱カルノー機械のCOP の89% )である。 水が作動流体であり、等エントロピー圧縮段階の終端での水蒸気は高度に過熱されている(T 2 =208℃>>120℃)。

    2つの機械(図15h)の結合の総合的な性能係数は次式を満足し、
    COP = Q hi /(Q m1 +Q m2 )=(COP 1 +1)/(COP 1 +1/η 2 )
    これらの熱源及びシンクで、性能係数COP=55.2%(二熱カルノー機械の89%)を与える。

    上記の各種の実施例は、プラント及び目的に従って、同一の作動流体が駆動流体としても受動流体としても使用できることを確認させる。

    n−ブタン(R600)は、実施例2(図15b)においては第1形式の駆動サイクル、実施例7(図15g)においては第1形式の受動サイクルを記述するのに使用され、R600を使用するこれらの駆動及び受動型の修正カルノー機械は、これらの2つの実施例で、作業流体として水(R718)を使用する他のカルノー機械と結合される。 従って、このことから本発明のプラントは、第1形式の修正駆動カルノー機械(作業流体がR718)が多目的修正カルノー機械(図11に記載した、R600を作業流体とする)に結合され、そしてかかるプラントが実施例2や実施例7で意図されたものとは異なる用途に使用できることが考えられる。

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