Electrical energy storage recovery system and the electrical energy storage return method

申请号 JP2010506972 申请日 2008-04-21 公开(公告)号 JP2010527221A 公开(公告)日 2010-08-05
申请人 サイペム エス.アー.SAIPEM s.a.; 发明人 リュエ、ジャック;
摘要 電気エネルギを蓄積および復帰させるシステム。 本システムは、ガスと孔状耐火材料(11)を収容する第1容器(1)および第2容器(2)と、ガスと孔状耐火材料(11)は、孔状耐火材料と、第1容器および第2容器を流れるガスとの 接触 によって適切に熱を移送することと;他方の容器の一端に接続された容器の端部同士の間のパイプを流れるガスの圧縮装置(3b,4b)および膨張装置(3c,4c)とを備える。 本発明はまた、本発明のシステムが使用する熱エネルギの形で電気エネルギを蓄積する方法、および本発明の方法によって蓄積した熱エネルギを電気エネルギ(E
R )に復帰させる方法に関する。 電気エネルギは、耐火材料内部の熱の形で蓄積され、蓄積された熱ポテンシャルエネルギは、電気エネルギの形で復帰される。
权利要求
  • 電気エネルギを蓄積したり復帰させたりするエネルギ蓄積復帰システムであって、
    ガスと第1孔状耐火材料(11)を収容する第1容器(1)と、ガスと第2孔状耐火材料(11)を収容する第2容器(2)とであって、前記ガス、前記第1孔状耐火材料(11)、および前記第2孔状耐火材料(11)は、前記第1容器を流れるガスが前記第1孔状耐火材料(11)に接触すること、および前記第2容器を流れるガスが前記第2孔状耐火材料(11)に接触することとによって熱を移送することと;
    前記第1容器の端部から前記第2容器の端部にガスを連続通過可能とするパイプ(1c,1c',2c,2c',1d,1d',2d,2d')の閉回路と;
    他方の容器の一端に接続された容器の端部同士の間のパイプを流れるガスを圧縮する圧縮装置(3b,4b)および膨張させる膨張装置(3c,4c)と;
    前記第2容器を流れるガスを加熱する第1ガス加熱装置(5a)と;
    前記第1容器の端部のうちの1つと、前記圧縮装置(4b)および前記膨張装置(3c)との間を流れるガスを冷却する冷却装置(6)であって、前記冷却装置(6)は、前記膨張装置(3c)による膨張前に前記端部において前記第1容器から流出するガス、または前記圧縮装置(4b)による圧縮後に前記第1容器に流入するガスを冷却することとを備えることを特徴とする、エネルギ蓄積復帰システム。
  • (A) 第1容器上端(1 )と第1容器下端(1 )の間で前記第1容器を流れるガスを通過させる前記第1孔状耐火材料によって充填された第1被覆容器(1)と;
    (B) 第2容器上端(2 )と第2容器下端(2 )の間で前記第2容器を流れるガスを通過させる前記第2孔状耐火材料によって充填された第2被覆容器(2)と;
    (C) 前記第1容器と前記第2容器の間の閉回路においてガス流れを可能にする被覆パイプ(1c,1c',2c,2c',1d,1d',2d,2d')であって、前記パイプは、前記第1容器上端(1 )と前記第2容器上端(2 )の間の第1上パイプ(1d〜1d')および第2上パイプ(2d〜2d')と、前記第1容器下端(1 )と前記第2容器下端(2 )の間の第1下パイプ(1c〜1c')および第2下パイプ(2c〜2c')とを備えることと;
    (D) 前記第2容器の内部のガスを加熱する第1ガス加熱装置(5a)と、
    (E) 電気モータ(3a)を備える第1ガス圧縮装置(3)であって、前記電気モータ(3a)は、第1上パイプ(1d)を介して前記第1容器上端(1 )にガスを供給するために、第2上パイプ(2d)を介して前記第2容器上端(2 )から得られるガスを圧縮する第1圧縮機(3b)を作動させるために蓄積される電気エネルギ(E )によって供給されることと;
    (F) 第1タービン(3c)を備える第1ガス膨張装置(3c)であって、前記第1タービン(3c)は、第2下パイプ(2c)を介して前記第2容器下端(2 )にガスを供給するために、前記第1下パイプ(1c)を介して前記第1容器下端(1 )から得られるガスを膨張させることと;
    (G) 他の第1下パイプ(1c,1c')を介して前記第1容器下端(1 )にガスを供給するために、他の第2下パイプ(2c,2c')を介して前記第2容器下端(2
    )から得られるガスを圧縮する第2ガス圧縮装置(4b)と;
    (H) 第2タービン(4c)を備える第2ガス膨張装置であって、前記第2タービン(4c)は、他の第2上パイプ(2d,2d')を介して前記第2容器上端(2 )にガスを供給するために、他の第1上パイプ(1d,1d')を介して前記第1容器上端(1
    )から得られるガスを膨張し、第2膨張装置は、電気エネルギ(E )を復帰させる発電機(4a)を作動させることと;
    [I] 前記第1容器下端(1 )から、第2圧縮機(4b)および前記第1タービン(3c)までの第1下パイプ(1c,1c')を流れるガスを冷却するガス冷却装置としての熱交換器(6)とを備える、請求項1記載のエネルギ蓄積復帰システム。
  • 前記エネルギ蓄積復帰システムは更に、前記第2容器上端と前記第1圧縮機(3b)との間の第2上パイプ(2d)を流れるガスを加熱する第2ガス加熱装置(5b)を備える、請求項2記載のエネルギ蓄積復帰システム。
  • 前記第1タービン(3c)は、機械的連結する前記第1圧縮機(3b)によって作動される、請求項2または3記載のエネルギ蓄積復帰システム。
  • 前記第2タービン(4c)は、前記第2タービン(4c)を駆動する補助電気モータ(4d)に連結される、請求項2〜4何れか一項記載のエネルギ蓄積復帰システム。
  • 前記第2圧縮機(4b)は、機械的連結される前記第2タービン(4c)によって作動される、請求項2〜5何れか一項記載のエネルギ蓄積復帰システム。
  • 不活性ガス、好ましくはアルゴンによって充填される、請求項1〜6何れか一項記載のエネルギ蓄積復帰システム。
  • 前記第1容器と前記第1孔状耐火材料は、少なくとも750℃、好ましくは750℃〜2000℃、より好ましくは1000℃〜1500℃の第1温度T1に耐性があり、
    前記第2タービンは、第1温度T1でガスを膨張させる大きさであり 前記第2タービンよりも容量が小さい前記第1タービンは、周囲温度T0から−80℃〜−20℃の第3温度T3でガスを膨張させる大きさである、請求項2〜7何れか一項記載のエネルギ蓄積復帰システム。
  • 前記第2容器と前記第2孔状耐火材料は、少なくとも400℃、好ましくは400℃〜1000℃、より好ましくは500℃〜700℃の第2温度T2に耐性があり、
    前記第1圧縮機は、第2温度T2でガスを圧縮する大きさであり、
    前記第1圧縮機よりも容量が小さい前記第2圧縮機は、−80℃〜−20℃の第3温度T3でガスを周囲温度まで圧縮する大きさである、請求項2〜8何れか一項記載のエネルギ蓄積復帰システム。
  • 前記第1圧縮機は、前記第1タービンよりも高い体積流量で供給し、
    前記第2タービンは、前記第2圧縮機よりも高い体積流量で供給し、
    前記第1圧縮機と前記第2タービンは炭素を含む、請求項2〜9何れか一項記載のエネルギ蓄積復帰システム。
  • 前記第1孔状耐火材料と前記第2孔状耐火材料は、20%〜60%の気孔率を有する、請求項1〜10何れか一項記載のエネルギ蓄積復帰システム。
  • 前記第1孔状耐火材料と前記第2孔状耐火材料は、多孔質レンガ(11)によって構成され、前記多孔質レンガ(11)は互いに組付けられ、且つ好ましくは円筒状の孔(11 )を有し、前記孔(11 )は、組付けられる容器の長手方向である共通の長手方向に平行に配置されて多孔質レンガ(11)を貫通し、
    前記孔は、5mm〜20mmの直径を有する、請求項11記載のエネルギ蓄積復帰システム。
  • 前記第1孔状耐火材料と前記第2孔状耐火材料は、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、およびライムのうちから選択される化合物の含有が高い耐火粘土を含む、請求項1〜12何れか一項記載のエネルギ蓄積復帰システム。
  • 前記第1孔状耐火材料は、第2耐火粘土またはシャモットを含む、請求項1〜13何れか一項記載のエネルギ蓄積復帰システム。
  • 前記第2孔状耐火材料は、第1耐火粘土を含む、請求項1〜14何れか一項記載のエネルギ蓄積復帰システム。
  • 前記第1容器と前記第2容器はそれぞれ5000m 以上、好ましくは10000m 〜45000m の体積を有する、請求項1〜15何れか一項記載のエネルギ蓄積復帰システム。
  • 請求項1〜16何れか一項記載のエネルギ蓄積復帰システムを用いて、電気エネルギ(E )を熱エネルギの形で蓄積するエネルギ蓄積方法であって、
    第2温度T2まで加熱される前記第2容器のガスを予め加熱する初期段階の後、前記エネルギ蓄積復帰システムは初期の周囲温度T0である永久気体によって充填され、
    [I] 第2温度T2で第2容器上端(2 )から流出するガスを、前記第1容器上端(1 )への供給前に前記第1圧縮機(3b)で圧縮することによって第2温度T2よりも高い第1温度T1まで加熱することであって、前記第1容器では前記第2容器の第2圧力P2よりも高い第1圧力P1が設定され、前記第1圧縮機(3b)は、蓄積される電気エネルギ(E )で電力供給される第1電気モータ(3a)によって駆動されることと;
    [II] ガスは第1容器上端(1 )と第1容器下端(1 )の間で前記第1容器を通過し、周囲温度T0で、または周囲温度T0よりは高いが第2温度T2よりは低い第1低温度T'1で前記第1容器下端(1 )から流出することと;
    [III] 前記第1容器下端(1 )の流出口の下流に配置された、好ましくは熱交換型のガス冷却装置(6)によって、その後にガスを周囲温度T0まで適宜冷却することと;
    [IV] その後にガスは、好ましくは前記第1圧縮機(3b)によって駆動される前記第1タービン(3c)によって第1圧力P1よりも低い前記第2容器の第2圧力P2に膨張されることであって、ガスは第2容器下端(2 )を介して前記第2容器に流入する前に周囲温度T0よりも低い第3温度T3まで冷却されることと;
    [V] ガスは前記第2容器下端(2 )および第2容器上端(2 )の間で前記第2容器を流れ、これによって第3温度T3まで冷却される前記第2容器下部(2b)における耐火材料の体積を増加させ、第2温度T2の、または第2温度T2よりは低いが周囲温度T0および第1低温度T'1よりは高い第2低温度T'2の第2容器上部(2a)の体積を減少させることであって、第2低温度T'2で前記第2容器から流出するガスを、第2ガス加熱装置(5b)の補助によって第2温度T2まで適宜加熱することと;
    [VI] 第1温度T1まで加熱される前記第1容器上部(1a)が前記第1容器の体積の少なくとも80%を占めるまで、工程[I]〜[V]を繰返し行うことであって、前記第2容器下部(2b)は第3温度T3まで冷却され、前記第2容器の体積の少なくとも80%を占めることとを含む、エネルギ蓄積方法。
  • 工程[VI]において、第1低温度T'1の前記第1容器下部(1b)は、前記第1容器の体積の少なくとも10%、好ましくは10%〜20%となり、
    第2温度T2の前記第2容器上部(2a)は、前記第2容器の体積の20%未満、好ましくは10%〜20%となるように蓄積が中断される、請求項17記載のエネルギ蓄積方法。
  • T1/T2が1.5〜3であり、T1/T0が2よりも高く、好ましくは3よりも高く、より好ましくは6未満であり、
    P1/P2が2〜4である、請求項17または18記載のエネルギ蓄積方法。
  • 前記第1温度T1は750℃〜2000℃、好ましくは1000℃〜1500℃であり、
    前記第2温度T2は400℃〜1000℃、好ましくは500℃〜700℃である、請求項17〜19何れか一項記載のエネルギ蓄積方法。
  • 第1圧力P1は2〜4バール絶対圧(2×10 Pa〜4×10 Pa)であり、
    第2圧力P2は0.5〜1.5バール絶対圧(0.5×10 Pa〜1.5×10 Pa)である、請求項19または20記載のエネルギ蓄積方法。
  • 前記周囲温度T0は10℃〜50℃、第3温度T3は−80℃〜−20℃、T1'は2
    0℃〜150℃である、請求項17〜21何れか一項記載のエネルギ蓄積方法。
  • 蓄積された電気エネルギ量は、20MWh〜10000MWhである、請求項17〜21何れか一項記載のエネルギ蓄積方法。
  • 請求項17〜23何れか一項記載のエネルギ蓄積方法によって蓄積された熱エネルギを、電気エネルギ(E )に復帰させるエネルギ復帰方法であって、
    前記第2圧縮機(4b)と前記第2タービン(4c)が補助電気モータ(4d)によって駆動される初期段階において、前記第1容器の第1高圧力P'1と、第1高圧力P'1よりも低い前記第2容器の第2高圧力P'2との間に圧力勾配が、第1高圧力P'1は第2高圧力P'2よりも高く、第1高圧力P'1は好ましくはP1よりも高く、第2高圧力P'2は好ましくはP2未満となるように設定され、この初期段階の後、
    [I] 第1温度T1で前記第1容器上端(1 )から流出するガスが、前記第2タービン(4c)によって膨張されて第2温度T2まで冷却され、前記第2タービン(4c)は、復帰された電気エネルギ(E )を供給可能にする発電機(4a)を作動させることと;
    [II] ガスは前記第2容器上端(2 )から第2容器下端(2 )まで通過する第2工程であって、前記第2容器上部(2a)は第2温度T2まで加熱され、前記第2容器下部(2b)は第3温度T3で維持されることと、
    [III] 第3温度T3で前記第2容器下部(2 )から流出するガスはその後、前記第2タービン(4c)によって放出されるエネルギによって好ましくは作動する前記第2圧縮機(4b)を通過して圧縮され、前記第2圧縮機(4b)の流出口において周囲温度T0よりも高く、必要に応じて第1低温度T'1よりも高いが第2温度T2よりは低い第4温度T4まで加熱されることと、
    [IV] ガスはその後、第1容器下端(1 )から前記第1容器(1)に導入される前に冷却装置(6)によって周囲温度T0または第1低温度T'1まで冷却されて、第1低温度T'1の前記第1容器下部(1b)に流入することと;
    [V] ガスは前記第1容器を流れ、第1低温度T'1の第1容器下部(1b)の耐火材料の体積を増加させ、高第1温度T1の上部(1a)における耐火材料の体積を減少させることと;
    [VI] 第1温度T1における前記第1容器下部(1b)が前記第1容器の体積の少なくとも80%となり、第2温度T2の前記第2容器上部(2a)が前記第2容器の体積の少なくとも80%となるまで、上記工程[I]〜[V]を繰返し行うこととを含む、エネルギ復帰方法。
  • 工程[VI]において、前記エネルギ復帰方法は、前記第1容器上部(1a)を第1温度T1で維持するように中断され、第1容器上部(1a)は前記第1容器の体積の20%未満、好ましくは10%〜20%となり、
    低第3温度T3の前記第2容器下部(2b)は、前記第2容器の体積の20%未満、好ましくは10%〜20%となる、請求項24記載のエネルギ復帰方法。
  • 電気エネルギが発電機(4a)によって復帰される効率E /E が、60%よりも高く、好ましくは75%〜85%である、請求項24または25記載のエネルギ復帰方法。
  • P'1/P'2の比が3〜5である、請求項24〜26何れか一項記載のエネルギ復帰方法。
  • 第4温度T4は150℃〜400℃である、請求項24〜27何れか一項記載のエネルギ復帰方法。
  • 第1高圧力P'1は、3〜5バール絶対圧(2×10 Pa〜4×10 Pa)であり、
    第2高圧力P'2は、1〜1.5バール絶対圧(1×10 Pa〜1.5×10 Pa)である、請求項24〜28何れか一項記載のエネルギ復帰方法。
  • 说明书全文

    本発明は、数十MWhまたは数千MWhの電気エネルギを適切に蓄積および復帰させるシステムに関する。 また、本発明のシステムが使用する熱エネルギの形で電気エネルギを蓄積する方法、および本発明の方法によって蓄積した熱エネルギを電気エネルギに復帰させる方法に関する。

    本発明は、高温でのエネルギ蓄積に関する。 より詳細には、本発明は電気エネルギを消費ピーク時に配電網において復帰させることを目的とした、電気エネルギの蓄積に関する。

    一般に電気は、エネルギを生成するための各種燃料(たとえばガス、油、石炭、亜炭)を用いて発電所で生成される。 他の手段としては、高圧蒸気タービンで後に電気エネルギに変換される熱を、核燃料を用いて生成するものがある。

    様々な国で発電に多大に貢献している再生可能エネルギも知られている。 他の可能性としては、ダムで得られる圧エネルギ、風タービン、海流からエネルギを得る水力タービン、海の隆起または太陽エネルギからエネルギを回収する各種装置がある。

    燃料またはダムに貯められた水から発電するシステムは、非常に長い期間、公称電力または最大電力で継続して稼動できるが、再生可能エネルギは間欠稼動を特徴とする。 また、ネットワークで再生可能エネルギを利用した場合、一般に従来の発電所のわずか何分の1かのアンローディングで機能する。 これらの発電所のうち、ネットワークからの電力要求待機時に低電力で稼動可能なもの、またはほぼ停止状態になるものもある。

    燃料(たとえばガスまたは油)からの機械的エネルギ生成にタービンを用いた各種技術が知られている。 これらの技術は酸化剤(一般に空気)を圧縮し、その後に燃料を混合して燃焼室で燃焼し、生成した機械的エネルギを回収するために最後に膨張タービンへ案内する。 圧縮機と膨張タービンは、一般に共通のシャフトに一列に載置される。 この種の回転機械の最大効率は、膨張タービンの温度に対する入り口の温度を関数として求められる。 一般にCO 、NOx、およびタービンのブレードの作製に用いられる合金に対して攻撃性のある他の化合物を含む燃焼ガスが、超高温で示す攻撃性を考えると、動作温度は膨張タービンのブレードの温度挙動のために制限される。

    原子力発電所で使用される蒸気タービンも知られている。 原子力発電所では、取り込んだ水力エネルギを、まず機械的エネルギに、次に蒸気タービンのシャフト端部に連結した発電機内部で電気エネルギにし、高温の蒸気に変化させる。 このような蒸気タービンは、タービン上流の蒸気相の水およびタービン下流の液体の水を、熱搬送流体用の閉回路で動作させる。

    エネルギが消費ピーク時にほぼ即時に利用できるようにエネルギを蓄積する試みが、長年にわたりなされている。 数々の技術が開発されており、特にエネルギ需要のピーク時にタービンを駆動させるために、蓄電器(一般に鉛酸蓄電池)、または高度のあるダムへの水の汲み上げが開発されている。

    鉛酸蓄電池へのエネルギ蓄積は、小容量および中容量の場合には有効な技術である。 しかし原子力発電所に相当する量、すなわち約1200MWを24時間または36時間以上蓄積する必要がある場合、巨大で全く非現実的なシステムが必要になる。

    ダムは優れたエネルギ蓄積装置ではあるが、不幸なことに適切な用地の数には限りがある。 また大容量のエネルギを蓄積するには、膨大な量の水を移動させなければならない。 この量は利用可能な量から得なければならない。 また、多量の水が不用な期間には(たとえば灌漑用に)放出しなければならず、水が浪費される。 なかには高地の貯水地と低地の貯水池(一般に容量が大きい湖)を備えた用地もある。 エネルギを蓄積する場合、低地の湖の内容物を高地の湖に汲み上げ、配電網への追加電力供給が必要な消費ピーク時には、タービンの逆方向の駆動に利用できる。

    他の技術ではエネルギを圧縮空気の形で蓄積し、その後にピストンエンジン、ベーンモータ、またはタービンによって機械的エネルギに再び変える。
    特許文献1には、エネルギを熱の形で地下の容器に蓄積する技術が記載されている。 初期に大気圧下および周囲温度下にある空気を、地下の貯蓄部の温度(約700℃)で圧縮することによって熱が生成される。 この用途において、貯蓄段階では自由大気から孔部に向けて、その後にエネルギ復帰段階では孔部から自由大気に向けてガス(すなわち空気)は開回路を流れる。

    他の技術分野において、火を扱う産業では一般に再生熱交換器が使用される(すなわち、陶磁器業およびテラコッタ業、ガラス製造業およびセメント製造業では溶鋼炉が使用される)。 こうした再生器は高温の燃焼済ガスを大規模なタワーに送り、内部の耐火材料を加熱する。 そしてガスを大気に放出する前にこのガスから熱を回収する。 耐火材料内部で最大温度に到達すると、高温ガス流れが止まり、逆方向に冷気が流れる。 この冷気は、溶鋼炉または燃焼器の流入口に案内される前に耐火材料に接触して加熱される。 このような構成によって、多量のエネルギを消費する産業プロセスでの熱損失を非常に有意に低減できる。

    国際公開第2005/108758号

    エネルギの需要が製造能力を超えたピーク期間に大量のエネルギを即時に配電網に復帰可能とするために、従来の発電所(たとえば石炭火力発電所、ガス発電所、石油火力発電所、または原子力発電所)で生成される電気エネルギの蓄積が、課題として提起されている。

    同様に、強風または強い水流のあった期間に余剰に生成した大量のエネルギを、生成が不十分な段階で(すなわち、エネルギ生成レベルを風または水流では最小閾値に維持できない場合に)復帰させるために、再生可能エネルギ(たとえば風力タービンまたは海水タービン)を用いて蓄積可能とすることが課題である。

    課題達成のために、本発明は本質的に有意量の電気エネルギを熱の形で耐火材料内に蓄積する。 この流体は移送されるエネルギをガス、好ましくはアルゴンなどの不活性ガスにし、蓄積した熱ポテンシャルエネルギを電気エネルギの形に復帰可能とする。

    より詳細には、本発明は、電気エネルギを蓄積したり復帰させたりするシステムである。 システムは、ガス、第1孔状耐火材料、および第2孔状耐火材料を収容する第1容器および第2容器であって、ガス、第1孔状耐火材料、および第2孔状耐火材料は、第1孔状耐火材料および第2孔状耐火材料と、第1容器および第2容器を流れるガスとの接触によって適切に熱を移送することと;第1容器および第2容器のそれぞれの一端から他端にガスを連続して通過可能とするパイプの閉回路と;他方の容器の一端に接続された容器の端部同士の間のパイプを流れるガスを圧縮する圧縮装置および膨張させる膨張装置と;好ましくは、第2容器を流れるガスを適切に加熱する第1ガス加熱装置と;好ましくは、第1容器の端部のうちの1つの端部と、圧縮装置および膨張装置との間を流れるガスを冷却する冷却装置と、冷却装置は膨張装置による膨張前に前記端部より第1容器から流出するガス、または圧縮装置による圧縮後に第1容器に流入するガスを適切に冷却することとを備えることを特徴とするシステムを提供する。

    前記2つのn番目の上パイプ(または下パイプ)は、タービン/圧縮機と1つの容器との間に接続部をもたらす2つの平行なパイプであること、あるいは前記2つのパイプの一方は、タービン/圧縮機の手前に他方のパイプからの分岐パイプを備えることを理解されたい。

    より詳細には、本発明の電気エネルギを蓄積および復帰させるシステムは:
    (A) 第1容器上端と第1容器下端の間で第1容器を流れるガスを適切に通過させる第1孔状耐火材料によって充填された第1被覆容器と;
    (B) 第2容器上端と第2容器下端の間で第2容器を流れるガスを適切に通過させる第2孔状耐火材料によって充填された第2被覆容器と;
    (C) 第1容器と第2容器の間の閉回路においてガス流れを可能にする被覆パイプであって、パイプは、第1容器および第2容器上端同士の間の第1上パイプおよび第2上パイプと、第1容器下端と第2容器下端同士の間の第1下パイプおよび第2下パイプとを備えることと;
    (D) 好ましくは、第2容器の内部のガスを適切に加熱する第1ガス加熱装置と;
    (E) 電気モータを備える第1ガス圧縮装置であって、電気モータは、第1上パイプを介して第1容器上端にガスを供給するために、第2上パイプを介して第2容器上端から得られるガスを適切に圧縮する第1圧縮機を作動させるために蓄積される電気エネルギで適切に供給されることと;
    (F) 第1タービンを備える第1ガス膨張装置であって、第1タービンは、第2下パイプを介して第2容器下端にガスを供給するために、第1下パイプを介して第1容器下端から得られるガスを適切に膨張させることと;
    (G) 他の第1下パイプを介して第1容器下端にガスを供給するために、他の第2下パイプを介して第2容器下端から得られるガスを適切に圧縮する第2ガス圧縮装置と;
    (H) 第2タービンを備える第2ガス膨張装置であって、第2タービンは、他の第2上パイプを介して第2容器上端にガスを供給するために、他の第1上パイプを介して第1容器上端から得られるガスを適切に膨張させ、第2膨張装置は、電気エネルギを適切に復帰させる発電機を適切に作動させることと;
    [I] 第1容器下端から、第2圧縮機および第1タービンの流出口および流入口までの第1下パイプを流れるガスを適切に冷却するガス冷却装置、好ましくは熱交換器とを備える。

    本発明の電気エネルギを蓄積および復帰させるシステムは、好ましくは第2容器上端と第1圧縮機の間の第2上パイプを流れるガスを適切に加熱する第2ガス加熱装置を備える。

    本発明のシステムの利点となる他の特徴によると:
    ・第1タービンは、機械的連結した第1圧縮機によって適切に作動され;
    ・第2タービンは、第2タービンを適切に駆動する補助電気モータに連結され;
    ・第2圧縮機は、機械的連結される第2タービンによって作動される。

    好ましい実施形態において、本発明のシステムは不活性ガス、好ましくはアルゴンによって充填される。
    以下に説明するように、アルゴンガスは、永久気体であり不活性ガスである(すなわち配管が腐食しない)ため、加熱し易いという利点をもつ単原子ガスであり、圧縮比に制限があるため、並びに低コストで豊富に得られるため利点がある。

    特定の実施形態において、システムは:
    ・第1容器と第1孔状耐火材料は、少なくとも750℃、好ましくは750℃〜2000℃、より好ましくは1000℃〜1500℃の第1温度T1に耐性があり;
    ・第2タービンは第1温度T1でガスを膨張させる大きさであり、第2タービンよりも容量が小さい第1タービンは、周囲温度T0から−80℃〜−20℃の第3温度T3でガスを膨張させる大きさであり;
    ・第2容器と第2孔状耐火材料は、少なくとも400℃、好ましくは400℃〜1000℃、より好ましくは500℃〜700℃の第2温度T2に耐性があり;
    ・第1圧縮機は第2温度T2でガスを圧縮する大きさであり、第1圧縮機よりも容量が小さい第2圧縮機は、−80℃〜−20℃の第3温度T3でガスを周囲温度まで圧縮する大きさであるという特徴を有する。

    特に第1圧縮機は、第1タービンよりも高い体積流量で適切に供給を行い、第2タービンは、第2圧縮機よりも高い体積流量で適切に供給を行い、第1圧縮機と第2タービンは炭素を含む。

    好ましくは、耐火材料は単位体積当たりの熱容量を少なくとも2000kJ/m /K、より好ましくは少なくとも2800kJ/m /K有する。
    好適には、第1孔状耐火材料と第2孔状耐火材料は、20%〜60%の気孔率を有する。

    特に、第1孔状耐火材料と第2孔状耐火材料は多孔質レンガによって構成され、多孔質レンガは互いに組付けられ、且つ好ましくは円筒状の孔を有し、前記孔は組付けられる容器の長手方向である共通の長手方向に平行に配置されて多孔質レンガを貫通し、前記孔はより好ましくは5mm〜20mmの直径を有する。

    特定の実施形態において、第1孔状耐火材料と第2孔状耐火材料は、酸化マグネシウムと、酸化アルミニウムと、ライムとから選択される化合物の含有が高い耐火粘土を含む。
    耐火材料は、シャモット、酸化マグネシウム、ドロマイト、ムライト、および炭素であってもよい。

    特に、第1孔状耐火材料は第2耐火粘土またはシャモットとからなり、第2孔状耐火材料は第1耐火粘土を含む。
    特定の実施形態において、第1容器と第2容器はそれぞれ5000m 以上、好ましくは10000m 〜45000m の体積を有する。

    本発明は、本発明のシステムを用いて電気エネルギを熱エネルギの形で蓄積する蓄積方法である。 第2温度T2まで加熱される第2容器のガスを予め加熱する初期段階の後、システムは、初期の周囲温度T0である永久気体によって充填される。 蓄積方法は、
    [I] 第2温度T2で第2容器上端から流出するガスを、第1容器上端への供給前に第1圧縮機で圧縮することによって第2温度T2よりも高い第1温度T1まで加熱することであって、第1容器では第2容器の第2圧力P2よりも高い第1圧力P1が設定され、第1圧縮機は、蓄積される電気エネルギで電力供給される第1電気モータによって駆動されることと;
    [II] ガスは上端と下端の間で第1容器を通過し、周囲温度T0で、または周囲温度T0よりは高いが第2温度T2よりは低い温度T'1で、第1容器下端から流出することと;
    [III] 第1容器下端の流出口の下流に配置された、好ましくは熱交換型のガス冷却装置によって、その後にガスを周囲温度T0まで適宜冷却することと;
    [IV] その後にガスは、好ましくは第1圧縮機によって駆動される第1タービンによって第1圧力P1よりも低い第2容器の第2圧力P2に膨張されることであって、ガスは第2容器下端を介して第2容器に流入する前に周囲温度T0よりも低い第3温度T3まで冷却されることと;
    [V] ガスは第2容器下端と第2容器上端の間で第2容器を流れ、これによって第3温度T3まで冷却される第2容器下部における耐火材料の体積を増加させ、第2温度T2の、または第2温度T2よりは低いが周囲温度T0および第1低温度T'1よりは高い第2低温度T'2の上部の体積を減少させることであって、第2低温度T'2で第2容器から流出するガスを、第2ガス加熱装置の補助によって第2温度T2まで適宜加熱することと;
    [VI] 第1温度T1まで加熱される第1容器上部が第1容器の体積の少なくとも80%を占めるまで工程[I]〜[V]を繰返し行うことであって、第2容器下部は第3温度T3まで冷却され、第2容器の体積の少なくとも80%を占めることとを含む一連の工程を行う。

    前記工程[II]において、初期時に全体が周囲温度T0であるガスが第1容器上端で第1温度T1に到達すると、ガスは第1容器上端から第1容器下端に向かって下方へ移動する。 第1孔状耐火材料を通過するガスは、第1容器上部の第1耐火材料に熱を供給する効果をもたらし、第1容器上部は第1温度T1に加熱される。 加熱されない、またはわずかに加熱される第1容器下部は、周囲温度T0〜第1温度T1(実際には周囲温度T0〜第2温度T2)の第1低温度T'1である。 閉回路を循環するガスが通過し続けると、第1容器の高温部と低温部の間の第1前部すなわち第1熱遷移層が下方に移動し、第1温度T1の上部の占める体積が増加する。 同時に工程[V]において、ガスは低第3温度T3の第2容器下部に貫通する。 これによって第2孔状耐火材料から熱を抽出する効果が得られ、通過する第2容器下部を第2温度T2から第3温度T3まで冷却する。 ガスが通過し続けると、第2容器の高温上部と低温下部の間の第2前部すなわち第2熱遷移層が上方に移動し、第3温度T3の下部の占める体積が増加する。

    第1圧縮機へのエネルギ供給に用いられる電気エネルギE は、(高温の)熱エネルギ(カロリー)の形で第1容器に、(低温の)熱エネルギ(フリゴリ(frigories))の形で第2容器に蓄積される。 このエネルギは温度勾配T1〜T3によって決まる。

    好ましくは、第1低温度T'1の第1容器下部(1b)は第1容器の体積の少なくとも10%、好ましくは10%〜20%となり、および/または第2温度T2の第2容器上部(2a)は、第2容器の体積の20%未満、好ましくは10%〜20%となるように蓄積が中断される。

    本発明の利点となる他の特定の特徴によると、使用される耐火材料は以下の特性及び質量を有する:
    ・第1温度T1,T2はT1/T2が1.5〜3であり、T1/T0が2よりも高く、好ましくは3よりも高く、より好ましくは6未満であり、P1/P2が2〜4である;
    ・第1温度T1は750℃〜2000℃、好ましくは1000℃〜1500℃であり、第2温度T2は400℃〜1000℃、好ましくは500℃〜700℃である;
    ・第1圧力P1は2〜4バール絶対圧(2×10 Pa〜4×10 Pa)であり、第2圧力P2は0.5〜1.5バール絶対圧(0.5×10 Pa〜1.5×10 Pa)である;
    ・必要に応じて周囲温度T0は10℃〜50℃、第3温度T3は−80℃〜−20℃、T1'は20℃〜150℃である。 好適には、20MWh〜10000MWhの電気エネルギ量が蓄積される。

    本発明はまた、上記の本発明の方法によって蓄積された熱エネルギを電気エネルギに復帰させる方法であって、第2圧縮機と第2タービンが補助電気モータによって駆動される初期段階において、第1容器の第1高圧力P'1と、第1高圧力P'1よりも低い第2容器の第2高圧力P'2との間に圧力勾配が、第1高圧力P'1は第2高圧力P'2よりも高く、第1高圧力P'1は好ましくはP1よりも高く、第2高圧力P'2は好ましくはP2未満となるように設定され、この初期段階の後:
    [I] 第1温度T1で第1容器上端から流出するガスが、第2タービンによって膨張されて第2温度T2まで冷却され、第2タービンは、復帰された電気エネルギを供給可能にする発電機を作動させることと;
    [II] ガスは第2容器上端から第2容器下端まで通過することであって、第2容器上部は第2温度T2まで加熱され、第2容器下部は第3温度T3で維持されることと、
    [III] 第3温度T3で第2容器下部から流出するガスはその後、第2タービンによって放出されるエネルギによって好ましくは作動する第2圧縮機を通過して圧縮され、第2圧縮機の流出口において周囲温度T0よりも高く、必要に応じて第1低温度T'1よりも高いが第2温度T2よりは低い第4温度T4まで加熱されることと、
    [IV] 好ましくはガスはその後、下端より第1容器に導入される前に冷却装置によって周囲温度T0または第1低温度T'1まで冷却され、第1低温度T'1の第1容器下部に流入することと;
    [V] ガスは第1容器を流れ、第1低温度T'1の下部の耐火材料の体積を増加させ、高第1温度T1の上部における耐火材料の体積を減少させることと;
    [VI] 第1温度T1における第1容器下部が第1容器の体積の少なくとも80%となり、第2温度T2の第2容器上部が第2容器の体積の少なくとも80%となるまで、上記工程[I]〜[V]を繰返し行うこととを含む一連の工程を行う方法を提供する。

    本発明のエネルギ蓄積方法と同じ第1温度T1と第2温度T2を第1容器と第2容器で維持するために、初期工程において、本発明の蓄積方法による第1容器と第2容器の間の圧力勾配よりも高い圧力勾配を、第1容器と第2容器の間に設定することが必要である。

    各工程[II]において、初期時に第2温度T2または第2温度T2よりも低い第2低温度T'2で20%以下であるガスが第2容器上端で第2温度T2に到達すると、ガスは第2容器上端から第2容器下端に向かって下方へ移動する。 第2孔状耐火材料を通過するガスは、第2容器上部の第2耐火材料に熱を供給する効果をもたらし、第2容器上部は第2温度T2に加熱される。 加熱されない下部は第3温度T3で維持される。 ガスが通過し続けると、第2容器の高温部と低温部の間の第2前部すなわち第2熱遷移層が下方に移動し、第3温度T3の下部の占める体積が減少する。 同時に工程[V]において、ガスは周囲温度T0または第1容器下部の第1低温度T'1に到達する。 これによって第1孔状耐火材料を冷却し、第1容器下部を第1温度T1から第1低温度T'1まで冷却する。 ガスが通過し続けると、第1容器の高温上部と低温下部の間の第1前部すなわち第1熱遷移層が上方に移動し、第1温度T1の上部の占める体積が減少する。

    (高温の)熱エネルギ(カロリー)の形で第1容器に、(低温の)熱エネルギ(フリゴリ(frigories))の形で第2容器に蓄積された電気エネルギE は、第1容器のガスの膨張時および冷却時に用いられる第2容器が放出する機械エネルギを、電気エネルギE に変換させる。

    好ましくは、工程[VI]において、エネルギ復帰方法は、第1容器上部を第1温度T1で維持するように中断され、上部は第1容器の体積の20%未満、好ましくは10%〜20%となり、および/または低第3温度T3の第2容器下部は第2容器の体積の20%未満、好ましくは10%〜20%となる。

    好適には、電気エネルギが発電機(4a)によって復帰される効率E /E が、60%よりも高く、好ましくは75%〜85%である。
    本発明の電気エネルギを復帰させる方法の利点となる他の特性によると:
    ・P'1/P'2の比が3〜5である;
    ・第4温度T4は150℃〜400℃である;
    ・第1高圧力P'1は3〜5バール絶対圧(2×10 Pa〜4×10 Pa)であり、第2高圧力P'2は1〜1.5バール絶対圧(1×10 Pa〜1.5×10 Pa)である。

    本発明の他の利点と特徴については、以下の図面を参照して詳細な説明に記載する。

    本発明のエネルギ蓄積方法による第1容器または熱源を再充填する段階を示す、本発明のシステムの機能図。

    第1容器または熱源に蓄積した熱エネルギを電気の形に復帰させる、本発明のシステムの機能図。

    円筒形の孔の拡大図を含む、本発明のシステムの容器の一部断面の側面図。

    形の耐火材料要素を示す水平面図。

    六角形の耐火材料要素を示す水平面図。

    理想の熱力学的サイクルと、実在気体の圧縮および膨張を示すグラフ。

    ネットワークから得た電気エネルギによって第1容器を再充填する熱力学的サイクルを示すグラフ。

    ネットワークに還元するために、第1容器のエネルギを復帰させる熱力学的サイクルを示すグラフ。

    第1容器における熱遷移層の高さhの上昇を示す模式図。

    第1容器における熱遷移層の高さhの第1容器上端への遷移を示す模式図。

    第1容器における熱遷移層の高さhの第1容器下端への遷移を示す模式図。

    電気エネルギを蓄積および復帰させる本発明の装置は:
    ・10mm〜100mmの厚さを有し、且つ1000℃〜1600℃、特に1300℃の第1温度T1、および2バール絶対圧(bara)〜5bara(すなわち2×10 Pa〜5×10 Pa)の圧力において、内部の不活性ガスの高温および高圧に耐性のある第1孔状耐火材料によって充填された鋼壁を有する第1被覆容器である第1容器1と;
    ・共通の体積(すなわち、10000m 〜15000m )と、10mm〜100mmの厚さを有し、且つ含有する不活性ガスの第2温度T2および第2圧力P2(すなわち、500℃〜700℃、特に約600℃のT2)に耐性のある第2孔状耐火材料によって充填された鋼壁とを有する第2被覆容器である第2容器2とを備える。

    第1容器1と第2容器2は、上記のように高熱量を有する孔状耐火材料11で略全体が充填されている。
    システム内のガスが、第1容器と第2容器上端および下端に好ましくは位置する2つの対極にある端部1 −1 および2 −2 の間で各容器を通過可能となるよう、装置は第1容器1と第2容器2の間の閉回路循環のダクトを備える。

    第1容器と第2容器の間の循環ダクトは、以下のように第1容器と第2容器の間のガスを圧縮する装置/膨張させる装置も備える。
    特に、第1容器と第2容器は垂直に配置される。

    図1と図2において、第1容器1は、第1容器上端1 において第1容器上部1aに開口する上ダクト1dを備え、第1容器下端1 において第1容器下部1bに開口する第1下ダクト1cを備える。

    同様に、第2容器2は、第2容器上端2 において第2容器上部2aに開口する第2上ダクト2dを備え、第2容器下端2 において第2容器下部2bに開口する第2下ダクト2cを備える。

    第1下ダクト1c、第2下ダクト2c、および上ダクト1d,2dは同様に被覆されている。
    第2容器2は、第1ヒータ5a(好ましくは電気抵抗器5a を備えるヒータ)と、第2容器の両端の間のヒータ配管5a の閉回路とに連結される。 ヒータ配管5a を流れるガスは、第1ヒータ5aによって加熱される。

    第1圧縮/膨張群3は、第1容器1と第2容器2の間に介在する。 以下のように、この第1圧縮/膨張群3は第1モータ3aと第1ガスタービン3cとを備える。 第1モータ3aは電気E で電力供給され、且つ軸流式または遠心分離式の第1動的圧縮機3dを作動させるように機能する。 第1ガスタービン3cは、第1圧縮機3bに連結されている。 また第1モータ3aと第1ガスタービン3cの各シャフトは、互いに連結されている。

    第1圧縮機3bの流出口は、第1上パイプ1dを介して第1容器上端1 に連結される。 また第1圧縮機3bの流入口は、第2上パイプ2dを介して第2容器上端2 に連結される。 以下のように、第2上パイプ2dは第1圧縮機3bの供給パイプを成し、第1上パイプ1dは、蓄積サイクルにおける圧縮後の第1圧縮機3bからのガス放出パイプを成す。

    好ましくは電気抵抗器5a を備える第2ヒータ5bは、第2上パイプ2dに連携動作する。 第2ヒータ5bは、第2容器上端2 と第1圧縮機3bの流入口との間に介在する。

    第1タービン3cは、第1下パイプ1cを介して第1容器下端1 に接続される。 また第1タービン3cは、第2下パイプ2cを介して第2容器下端2 に接続される。 第1下パイプ1cは、第1容器下部1bから放出されたガスを、第1タービン3cに供給するように機能する。 以下のように、装置が蓄積サイクルで動作している場合、第1タービン3cから放出されたガスは、第2下パイプ2cを介して第2容器下部2bに到達する。

    熱交換器6は、第1容器下端1 と第1タービン3cの間の第1下パイプ1cに連携動作する。
    図2に示すとおり、第2群4(発電機群という)は、以下のように第1容器1と第2容器2の間に介在する。 発電機第2群4は、第2ガスタービン4cと、更に第2圧縮機4bとに連結される第2電気モータ4dを備える。 以下に説明するとおり、第2電気モータ4dは、エネルギ復帰サイクル/エネルギ引出サイクルの開始時に第2タービン4cを始動させるために本質的に機能する小型モータである。

    発電機第2群4は、第2ガスタービン4cと第2圧縮機4bとの放出シャフトに連結されたオルタネータ4aを備える。 エネルギ引出サイクル時に以下のように第2タービン4cおよび第2圧縮機4bが起動されると、電気エネルギE を復帰させる。

    第2タービン4cには、第1上ダクト1dからの分岐接続部である第1上分岐ダクト1d'、または第1上ダクト1dに平行なダクトによってガスが供給され、その結果、第1
    容器上端1 は第2タービン4cに接続される。 装置が引出サイクルで動作している場合、第2タービン4cから流出する膨張ガスは、第2上ダクト2dに続く第2上分岐ダクト2d'、または第2上ダクト2dに平行なダクトによって第2容器上端2 に向けて放出され、その結果、第2容器上端2 は第2タービン4cに接続される。

    第2圧縮機4bには、第2下ダクト2cに続く第2分岐下ダクト2c'、または第2下ダクトに平行なダクトによってガスが供給され、第2容器下端2 は第2圧縮機4bに接続される。 第1下ダクト1cに続く第1分岐下ダクト1c'、または第1下ダクト1cに平行なダクトによって、第2圧縮機4bから第1容器下端1 に向かってガスが放出され、その結果、第1容器下端1 は第2圧縮機4bに接続される。

    第2分岐下ダクト2c'は、第1タービン3cに到達する手前で、第2圧縮機4bを第2下パイプ2cに接続する。 第1分岐上ダクト1d'は、第1圧縮機3bに到達する手前で、第2タービン4cを第1上ダクト1dに接続する。 第2分岐上ダクト2d'は、第2
    ヒータ5bと第1圧縮機3bの間において、第2タービン4cと第2上ダクト2dとの接続部となる。 第1分岐下ダクト1c'は、熱交換器6と第1タービン3cの間において、
    第2圧縮機4bと第1下ダクト1cの接続部となる。

    第1容器1と第2容器2は、それぞれ第1容器上端1 と第1容器下端1 、第2容器上端2 と第2容器下端2 の間で前記容器にガスを通過可能とする孔状耐火材料11によって充填されている。 第1容器1と第2容器2に用いられる孔状耐火材料11は、20%〜60%の気孔率(孔隙率)を有してもよい。 このため、ガスと耐火材料11の間で十分に熱交換が行え、熱損失を十分に抑え、孔状材料11における流速を十分に高く維持するという好影響をもたらす。 動作時、本発明の装置は、不活性ガス(好ましくはアルゴン)によって完全に充填される。 すなわち上記のパイプ回路、タービン、圧縮機、ヒータ、および第1容器と第2容器は、すべて不活性ガスによって充填される。

    図3は、ガスを通さない金属製の外部ケーシング13と、内部被覆システム12とを備える容器を示す断面および側面図である。 内部被覆システム12は、金属製の外部ケーシング13の壁と、耐火材料11のブロックまたはブリックの積層物との間に配置される。 耐火材料11は穿孔形状の縦チャネル11 を有し、この穿孔は好ましくは直径5mm〜30mmの円形断面を有し、耐火材料11を貫通し、第1容器1の横断面全体の各平面において略均一に配置されている。 詳細は図3Aと図3Bに示す。

    重畳された各種ブロック11のチャネル11 は、それぞれ一直線状に配列される。 これによって、第1容器1と第2容器2の長手方向ZZにおいて各容器の両端同士の間を、同長手方向ZZにおいて互いに重畳される個々のブロック11のチャネル間に障害物なく、ガスの循環が可能となる。 容器の下部に位置する多孔質の支持構造14は、隣接する被覆された下ダクト1c,2cを介して流入または流出するガスを、容器の断面全体にほぼ均一に拡散可能とする。 これによって、ガスが下部から供給された場合に、耐火材料11のブロックを垂直に通過するチャネル11 に向かって最適な方法で(すなわち熱損失を最小にして)ガスが案内される。 同様に、ガスが容器の上部から供給された場合に十分に拡散可能となるように、容器の上部に空隙15が設けられる。 図3において、ガスは容器の下部から流入し、上部から流出する。 以下に説明するように、これは第2容器2への蓄積段階と第1容器1への復帰段階に対応している。

    図3Aは、図3の平面AAにおける部分横断面図である。 耐火材料のブロック11は正方形であり、図の平面に直交する垂直方向ZZに延伸する複数の平行な環状円筒孔を有する。 ブロックは好適には互いに間隙e(たとえばeは5mm)を介している。 このため、温度変化時に間隙が狭まった場合、ブロックは間隙の間隔の大きさを損なわずに膨張できる。 またこの間隙は必要に応じて第2容器下部2bから第2容器上部2aへガスを通過させる垂直チャネルとして機能できる。 耐火材料ブロック11は、好適には容器の被覆12を介して容器の壁に直接接触する。 このため、この領域においては低温または高温のガスが直接自由に通過しないように制限される。 本発明の第1態様において、耐火材料11のブロックの連続平面におけるブロックは、好適にはモジュールの半分だけ互いにズラして配置されている。 すなわち、ブロックは、隣のブロックの半分だけズラして配置されている。 これによって組立部は、図3に示す容器内で安定する。 容器の好ましい態様において、ブロックは容器の高さ全体において互いに垂直方向に積層され、すべての方向で互いに5mm〜10mmの間隙を介して独立した積層部を成す。 これによって、図3のズラして載置したブロックのように、蓄積−復帰サイクルで膨張したり蓄積−復帰サイクルで水平面AAにおいて磨耗したりする危険性が回避される。

    図3Bは、円筒型容器の絶縁壁付近における、6角形断面を有する耐火ブロック11aを示す。 ブロック11aの端部に直接接触することによって、または絶縁ブロック12aを屈曲に適合する形状とすることによって、または絶縁材料12a(すなわち、容器の被覆12と同種の材料)を埋込むことによって、または屈曲に一致する形状の耐火性ブロック12bによって、絶縁壁との接触が行われる。

    分岐接続バルブV 〜V は、以下の接続部に設けられる:
    ・V :第1上ダクト1dと第1分岐上ダクト1d'の間の接続部;
    ・V :第2上ダクト2dと第2分岐上ダクト2d'の間の接続部;
    ・V :第1下ダクト1cと第1分岐下ダクト1c'の間の接続部;
    ・V :第2下ダクト2cと第2分岐下ダクト2c'の間の接続部。

    図1と図2を参照して以下に説明するとおり、エネルギ蓄積サイクル時に発電機第2群4の接続を遮断することによって、圧縮機第1群3(第1圧縮機3bと第1タービン3c)はそれ自身で動作可能になる。 あるいは逆に、エネルギ引出サイクル時に第2圧縮機4bを動作させるために、第1圧縮機3bの接続を遮断して分岐ダクトを開くことができる。

    本発明の装置は、以下の2つの互いに異なるモードで動作可能である:
    ・蓄積サイクルすなわち充填サイクルの第1モード;
    ・エネルギ復帰サイクルすなわちエネルギ引出サイクルの第2モード。

    エネルギ蓄積モードすなわちエネルギ充填モードは、以下のように動作が行われる。 最初に不活性ガス(たとえばアルゴン)が装置に、すなわち第1容器、第2容器、タービン、圧縮機、および配管に周囲温度T0(たとえば20℃)で載荷される。

    図1は、第1容器1にエネルギを充填すなわち蓄積する段階の装置を示す。
    初期時にシステム全体は10℃〜20℃の周囲温度T0にあり、容器内および配管内にはガスがある。 このため、周囲温度T0の第1容器1と第2容器2は、載荷圧力に関係する共通の初期圧力(たとえば1bara〜1.2bara)にある。

    第2容器2内の耐火材料は、その後に600℃の第2温度T2まで加熱される。 加熱を行うために、第2容器のガスは第2容器上端2 と第2容器下端2 の間で閉ループ状に循環される。 また、第2容器下端2 と第2容器上端2 の間でループを成すヒータパイプ5a 内のガスを第2容器2の外部で加熱する第1ヒータ5aを用いて、ガスは第2容器2の外部で加熱される。 ファン5a によってガスは、ヒータ配管5a を循環する。 第1ヒータ5aは、第1抵抗器5a を備える。 バルブ5a は、第1ヒータ5aが初期加熱時の終わりに使用されない場合、第1ヒータ5aを分離させるように機能する。 これによって、通常サイクルにおいて望ましくないガスの移送および循環が回避される。

    第2容器2内の耐火材料全体が600℃の第2温度T2まで加熱された場合、バルブ5a が閉じ、ガスは第2上ダクト2dを介して第1圧縮機3bに送られ、第1圧縮機3bの流出口で1200℃〜1400℃(たとえば1300℃)の第1温度T1に加熱される。 第1容器1と第2容器2の間で圧力勾配が形成され、第1容器1の第1圧力P1は2bara〜4bara(2×10 Pa〜4×10 Pa)に上昇し、第2容器2の第2圧力P2は約1bara(1×10 Pa)に降下する。

    第1容器1において、耐火材料の第1容器上部1aは1300℃の第1温度T1まで上昇し続け、第1容器下部1bは20℃〜100℃の第1低温度T'1に設定される。
    ガスが第2容器下部2bを介して第2容器2に再導入され、膨張されて第3温度T3に冷却される前に、第2容器の第2圧力P2に再設定されるように、第1容器下端1 の流出口において第1タービン3cによってガスを膨張させる必要がある。 システムで蓄積したエネルギが第1温度T1〜第3温度T3の温度勾配に関係する限り、第3温度T3をできるだけ低く維持することがよい。 この目的のためには、ガスをできるだけ低い温度で第1タービン3cに導入および貫通させることがよい。 このため、ガスは第1タービン3cに再導入される前に、第1容器下端1 の流出口で熱交換器6によって、第1低温度T'1から10℃〜20℃の周囲温度T0に冷却される。

    蓄積モードの動作時、各種ガス循環サイクルが進行するにつれ、高温(1300℃の第1温度T1)の第1容器内の耐火材料11の第1容器上部1aは、第1容器1内で占める体積が増加してゆく。 すなわち、第1容器上端1 から導入された高温のガスは、耐火材料11に熱を与え、第1容器1内で体積が増加した耐火材料11を加熱する。 温度遷移領域に対応する第1前部としての第1熱遷移層1eは、図1と図2にラインで示されている。 蓄積時にガス循環サイクルが継続する間、高温(第1温度T1)の第1容器上部1aと、低温(20℃〜100℃の第1低温度T'1)の第1容器下部1bとは、漸次下方へ移動する。 反対に、少なくとも−80℃〜−20℃の第3温度T3の第2容器下部2bは、第2容器2内で占める体積が増加してゆく。 第2前部としての第2熱遷移層2eは、第3温度T3の第2容器下部2bと、第2温度T2の第2容器上部2aとの間の遷移領域をなす分離部をラインで示したものである。 各種ガス循環サイクルが進行するにつれ、第2熱遷移層2eは漸次上方へ移動する。

    第1圧縮機3bは、電気エネルギE を消費する第1モータ3aによって作動される。 第1タービン3cは、第1圧縮機3bにシャフトを介して連結される。 これによって、第1モータ3aが与えるエネルギに加え、第1タービン3cが、第1圧縮機3bにエネルギを供給する。

    エネルギ蓄積モード時の連続したガス循環サイクルにおいて、第2容器上部2aの温度は、第2温度T2よりも低い第2低温度T'2(すなわち600℃未満、たとえば300℃〜450℃)に降下する。

    第2容器上部2aの温度降下を抑制するためには、第2容器上端2 から流出するガスを、第2抵抗器5a を備える第2ヒータ5bによって加熱することがよい。 第2抵抗器5a は、第2上ダクト2dを流れるガスが、第1圧縮機3bに到達するまで600℃の第2温度T2で維持されるようにこのガスを加熱可能である。 同様に第1モータ3aは、第1圧縮機3bの流出口の温度を、約1300℃の一定の第1温度T1に維持するように調節される。

    各種エネルギ蓄積サイクルの期間において、第2ヒータ5bの流入口のガス温度を測定し、ガスを略一定の第2温度T2に上昇させるために第2ヒータ5bに1秒当たり注入する電気エネルギE の量をリアルタイムで調節する。 このため、エネルギ蓄積サイクルでシステムに注入する電力は、第1モータ3aに供給する電気エネルギE に、第2ヒータ5bに供給する電気エネルギE を加算したものに相当する。

    上記のとおりエネルギ蓄積サイクルにおいて、第1容器下端1 から流出するガスを冷却し、第1タービン3cでの膨張前にガスの温度を、周囲温度T0に降下させる必要がある。 これは熱交換器6を用いて行われる。 熱交換器6には、10℃〜20℃の温度の冷却流体(たとえば冷水または冷気)が供給される。 これによって、20℃〜100℃の第1低温度T'1で第1容器から流出するガスを冷却し、10℃〜20℃の周囲温度T0にする。 熱交換器6の冷却流体は、冷気または冷水の流速によって温度50℃〜100℃の出口6dで熱交換器6から流出する。 これによって熱交換器6は、50℃〜100℃の温度に加熱された水の形で熱エネルギE を放出する。 この熱エネルギE はシステム内に蓄積できないが、熱ポンプで回収可能なエネルギ、または産業プロセスもしくは都市部の暖房に利用可能なエネルギである。 すなわち蓄積サイクル全体において、熱エネルギE は装置の全体効率に影響する不足分を成す。

    システムを安定化させるために、また蓄積モードの動作からエネルギ復帰モードの動作へと連続する互いに異なる動作を最適化するために、第1容器が第1温度T1に上昇する前、または第2容器が第3温度T3に降下する前に、蓄積を中断することが好ましい。

    実際には、第1容器1の全体積の10%〜20%を成す第1容器下部1bは、第1容器1内で20℃〜100℃の第1低温度T'1で維持される。 同時に、第2容器上部2aは、第2温度T2または第2温度T2に近い温度で維持される。 すなわち、−80℃〜−20℃の温度の第2容器下部2bが第2容器2の体積の80%〜90%となる場合、蓄積が中断される。

    この10%〜20%分の体積は、図7を参照して以下に説明するとおり、高さaの温度遷移領域の体積に相応する。
    図2は、第1容器1内に蓄積したエネルギを、電気エネルギErに復帰させるサイクルを示す。

    第1容器1の充填が完了すると第1モータ3aは停止し、第1分岐上ダクト1d'と第2分岐上ダクト2d'によってガスが第2群4に供給されるように各種バルブV 〜V
    が作動する。 また、第1分岐下ダクト1c'と第2分岐下ダクト2c'、第1圧縮機3b、および第1タービン3cには、ガスは供給されない。

    復帰の初期時、つまり充填段階の終わりに第1モータ3aがOffに切替わった場合、
    ガスは定常状態になり、ガスの圧力は第1容器1と第2容器2において1.5bara〜2.5bara(1.5×10 Pa〜2.5×10 Pa)の中間値で均衡する。

    エネルギ復帰サイクルすなわちエネルギ引出サイクルの動作モード開始段階において、第2タービン4cと、第2タービン4cに連結した第2圧縮機4bとを駆動する小型電気モータ4dが起動される。 これによって、第1容器1と第2容器2の間で圧力勾配が設定され、第1容器1では第1圧力P1よりも高い第1高圧力P'1に、第2容器2では第2圧力P2よりも高い第2高圧力P'2になる。

    開始時、第2圧縮機4bは第2容器2からガスを吸入して、第1容器1に送る。 これによって第1容器1内の圧力を上昇させ、ガスを第2タービン4cに供給し、最後に第2容器2に復帰して循環サイクルを継続する。 第2タービン4cが動作速度に到達すると、小型電気モータ4dはOffに切替わる。

    安定状態において、第2タービン4cは第1容器上部1aからガスを吸入し、冷却および膨張させて第2容器2に供給する。 システムの動作を最適化するために、第2タービン4cから流出するガスは、蓄積サイクルの終端である第2容器上部2aのガス温度とほぼ同じ第2温度T2となることがよい。 これを達成するためには、第2タービン4cと第2圧縮機4bにおける損失がP'1/P'2>P1/P2となる。 実際、第1高圧力P'1は3bara〜5baraとなり、第2高圧力P'2は1bara〜1.5baraとなる。

    圧力勾配P'1/P'2が設定されると、小型電気モータ4dはOffに切替わる。 第2容器下部2bのガスは、蓄積サイクルの終端の温度である−80℃〜−20℃の第3温度T3である。 ガスは第2圧縮機4bに取込まれ、第1高圧力P'1に再圧縮される。 同時にガスは、第4温度T4に加熱される。 第2圧縮機4b内での損失があるため、第4温度T4は周囲温度T0よりも高い。 第4温度T4は一般に、100℃〜150℃である。

    第2圧縮機4bの流出口の周囲温度T0よりも高い第4温度T4のガスは、第1容器下端1 に供給される前に、熱交換器6で第1低温度T'1に冷却されなければならない。 第1容器1において、第1容器下部1bは、20℃〜120℃の第1低温度T'1である。

    引出サイクル時に第2圧縮機4bの流出口でガスを冷却した場合、冷却流体が加熱されることによって、熱エネルギE の損失という影響が生じる。 しかし、第4温度T4のガスを第1低温度T'1に冷却することによって、エネルギ蓄積サイクル時に第1容器下端1 の流出口のガスを、第1低温度T'1から熱交換器6下流の周囲温度T0に冷却し易くなる。 この結果、ガスは、エネルギ蓄積サイクルで第1タービン3cに流入するとき、周囲温度T0に到達する。 全体として、引出サイクル時の熱エネルギ損失E は、蓄積サイクル時よりも低い熱交換器6の熱エネルギ損失E によって補償される。 圧縮機およびタービンでの損失があるため、熱エネルギE +E 全体は、T4〜T0の温度勾配に関係するシステムにおける損失に相応する。

    システムによって復帰したエネルギE は、エネルギを電気に復帰可能な発電機つまりオルタネータ4aを駆動する第2タービン4cによって放出されるエネルギに相応する。 全体として正確には、エネルギE は、第2タービン4cが放出するエネルギから、第2タービン4cに連結された第2圧縮機4bが消費するエネルギを差引いたものに相応する。 更に、蓄積サイクルと引出サイクルとのシステムの全体効率は、E が容器、ダクト、タービン、圧縮機、および様々な付属品の被覆時の損失である場合、以下のように表すことができる。

    =E +E −(E +E )−E
    損失E +E +E は、供給されるエネルギE +E に対して15%〜25%となる。 このため、システムおよびエネルギ復帰方法の全体効率は、75%〜85%である。

    システムのエネルギ効率を最適化するためには、蓄積サイクルの終端で第1容器1を完全に第1温度T1になるまでは加熱しないことがよい。 これによって、第1容器下部1bの熱遷移層は、周囲温度T0または第1低温度T'1に保持され、第2容器上部2aの熱遷移領域は、第2温度T2に保持される。 同様に、1サイクル終端においてエネルギ復帰サイクル時は、第1容器1が完全に冷却される前、および第2容器2が完全に加熱される前に、引出が停止される。 これによって第1容器上部1aの熱遷移層は、第1温度T1に維持される第1容器1の体積の10%〜20%に相応し、第3温度T3に維持される第2容器下部2bの熱遷移領域に相応する。 この層も同様に、第2容器2の体積の10%〜20%となる。

    第2温度T2である第2容器上部2aに熱遷移領域があるため、共通の温度である第1容器の第1温度T1と第2容器の第2温度T2に相応するエネルギの復帰サイクル初期に、第1容器1と第2容器2の間に圧力勾配P'1/P'2が再設定し易くなる。

    蓄積サイクルの終端および復帰サイクルの終端で、第1容器1と第2容器2それぞれの一端に熱遷移領域を維持することも、システムの全体エネルギ効率に利点となる。 もし蓄積サイクルの終端に第1容器1全体を加熱すると、第1容器下端1 の熱遷移層に相応する体積を加熱しながら第1容器下端1 から流出するガスは、第1低温度T'1よりも高い温度で流出する。 この結果、より高い冷却エネルギE が必要となるため、エネルギ損失が高くなる。

    同時に、もし復帰サイクルの終端で第2容器2全体の第2容器下端2 を加熱すると、第2容器下端2 から流出するガスは、第3温度T3よりも高い温度で出て、一層高い第4温度T4で熱交換器6の下流に到達し、一層高い熱損失E を生じるため、エネルギ損失もより高くなる。

    蓄積の終端に、第1容器下部1bを第1低温度T'1に、第2容器上部2aを第2温度T2に維持すると、復帰サイクルが開始し易くなる。 この結果、復帰時に第1容器1と第2容器2をそれぞれ第1高圧力P'1,第2高圧力P'2、温度勾配T1,T2で安定して動作させるために、第2モータ4dを使用しなければならない時間が一層短くなる。 同様に、エネルギ復帰の終端で高温の第1容器上層1aを第1温度T1に、復帰サイクルの終端で低温の第2容器下層2bを第3温度T3に維持した場合、第2温度T2で第1圧縮機3bに流入するガスの維持に必要な電気エネルギE の量を抑えることによって、後の蓄積サイクルが開始し易くなる。

    蓄積サイクルに用いられる第1圧縮機3bと第1タービン3cの大きさは、異なる温度下での引出サイクルに用いられる第2圧縮機4bと第2タービン4cの大きさとは非常に異なる。 ガスの体積は温度とともに増加するため、高温のガス流入口と共に動作する圧縮機およびタービンは大型でなければならない。 こうした理由によって、蓄積段階において第1圧縮機3bは1300℃の第1温度T1で動作するため大型圧縮機であり、第1タービン3cは約−50℃の第3温度T3で動作するため小型タービンである。 反対に引出サイクルにおいて、−50℃の第3温度T3で動作する第2圧縮機4bは小型圧縮機であり、約1300℃の第1温度T1で動作する第2タービン4cは大型タービンである。 蓄積段階で小型の第1タービン3cを使用すると、大型の第1圧縮機3bによって駆動され易いことが観察される。 同様に、小型の第2圧縮機4bを使用すると、エネルギ損失が抑えられ、エネルギE は第2タービン4cが放出するエネルギから、第2圧縮機4bが消費するエネルギを差引いたものに相応する。 このため、同様にシステムの総エネルギ消費に影響するエネルギ消費が抑えられるように、第2圧縮機4bの流入口の第3温度T3を可能な限り低くすることも利点となる。

    エネルギ蓄積サイクルとエネルギ引出サイクルの両方において、エネルギ蓄積時は第1容器下端1 下流において、エネルギ復帰時には第1容器下端1 上流において、同一の熱交換器6を用いて冷却を行う。 よって、たとえばエネルギ復帰サイクル時に第1容器下端1 下流の熱交換器でガスを冷却しないような形態に比べて、熱交換器6の大きさを抑えることができる。

    エネルギ復帰段階で連続してガス循環サイクルが起こるに従い、第1容器1においては第1低温度T'1の低温の第1容器下部1bと、第1温度T1の高温の第1容器上部1aとの間の第1熱遷移層1eが、漸次上方に移動する。 一方、第2容器2においては、第2温度T2の高温の第2容器上部2aと、第3温度T3の低温の第2容器下部2bとの間の第2熱遷移層2eが、漸次下方に移動する。

    エネルギ復帰サイクルにおいて第1温度T1,第2温度T2がそれぞれ一定値(たとえば1300℃,500℃)に維持されるように、第2圧縮機4bと第1容器下部1bの間のガス復帰回路における熱交換器6の動作が調節され、次に第2タービン4cの動作が調節されることが観察される。

    本発明の本質的且つ独創的な特徴によると、エネルギ蓄積すなわちエネルギ充填サイクルおよびエネルギ復帰すなわちエネルギ放出サイクルにおいて、第1温度T1,第2温度T2は、一定且つ同一であることが観察される。

    図4は、熱力学的サイクルに対応するグラフであり、横軸に体積Vを、縦軸に絶対圧P(bara)を示す。 また、以下の4つの等温線を示す。
    ・T0(周囲温度:20℃);
    ・T1(第1容器の温度:1300℃);
    ・T2(第2容器の高温度:600℃);
    ・T3(第2容器の低温度:−80℃〜−20℃)。

    ポイントA,B間に、第1温度T1,T2にPV γ =一定の関係を適用した理想気体の断熱圧縮サイクル/断熱膨張サイクルを示す。 実機では挙動が異なり、第2温度T2,T1間の断熱圧縮は実際には曲線AB1となる。 曲線AB1は、圧力P よりも低い圧力P b1と、体積V よりも高い体積V b1とで、第1温度T1に到達することを示している。 同様に断熱膨張時は、圧力P よりも低い圧力P a1と、体積V よりも高い体積V a1とで、第2温度T2に到達する。

    第1容器1と第2容器2の温度を効果的に管理するためには、蓄積段階および復帰段階で各ガス容器の上方部がそれぞれほぼ同一の温度であることが重要である。 これを説明するために、たとえば第1容器上部1aを考える。 蓄積段階において、高温ガスは供給された耐火材料11を第1容器上部1aから貫通する。 この固形物の温度は、ガスの温度を超えないが、ガスの温度に限りなく近くなり得る。 復帰段階において、第1容器1内の供給された耐火材料11の上部から流出するガスの温度は、前記耐火材料11の温度に等しくなり得る。 同様のことが第2容器2についても言える。 可能な限り効率を高めるためには、第1容器1において、蓄積段階に注入されるガスの熱をすべて可能な限り復帰段階でも用いることが重要である。 また第2容器2において、蓄積段階にガスから回収した熱のすべてを可能な限り復帰段階でも用いることが重要である。 言い換えると、蓄積段階および復帰段階において、第1温度T1,第2温度T2はできるだけ近い(理想的には同一の)温度にすることがよい。

    図4を参照して説明したとおり、実機の膨張時または圧縮時に共通の第1温度T1,第2温度T2を用いた場合、圧力比が異なる。 これは、蓄積段階および復帰段階で使用されるタービンと圧縮機の組合せの圧力比が互いに異なる必要があることを意味している。 たとえば蓄積時に高圧力はP b1 、低圧力はP であり、復帰時には高圧力がP 、低圧力がP a1であることが図4より分かる。

    図5と図6は、図1と図2を参照して説明したシステムおよび方法で行われるエネルギ蓄積サイクルとエネルギ復帰サイクルにそれぞれ対応する熱力学的なサイクルを示す。 これらの熱力学的なサイクルは、1つのサイクル全工程を行うガスの単位体積(たとえば1m )に対応する。 サイクル全工程とは、容器のうちの一方または圧縮機でエネルギを得て、タービンまたはもう一方の容器に復帰させるサイクルである。 この単位体積によって、蓄積サイクルまたは復帰サイクルの期間全体に比べて非常に短い期間で熱力学的なサイクルが行われ、数百、数千、または数万の熱力学的サイクルが行われる。 すなわち圧縮機、タービン、ダクト、各容器をガスが何度も通過する。

    図5は、図1を参照して説明した蓄積段階を示す。 第2容器上部2aから出たガスは、ポイントAにおいて第2温度T2で第1圧縮機3bに入り、ポイントBにおいて温度Tで圧縮されて流出する。 ガスは第1容器1の耐火材料11を貫通し、耐火材料11に熱を供給しながら耐火材料11を通過し、温度の第1熱遷移層1eを漸次下方に移動させる。 ガスは第1容器下部1bを出て出口6aで約20℃〜100℃の温度となり、その後に熱交換器6を通過してエネルギE を外部に供給する。 この結果、熱交換器6は周囲温度20℃に相当するほぼ一定の周囲温度T0になる(図のポイントCに対応)。 ガスはその後、第1タービン3cを通過して第1圧縮機3bにエネルギを発し、第2下パイプ2cの第1タービン3cは、第3温度T3(−50℃)になる(図のポイントDに対応)。 最後に、ガスは第2容器下部2bに入って耐火材料11から熱を回収し、この耐火材料11を上方に通過し、温度の第2熱遷移層2eを漸次上昇させる。 最後に、ガスは第2容器上部2aから第2容器2を出て第1圧縮機3bに取込まれ、可能であれば第2ヒータ5bを通過後、第2温度T2になる。 第2ヒータ5bでは十分なエネルギE が適宜取込まれ、ガスの温度を第2温度T2の値に再調節する。 ガスはその後に図のポイントAに戻り、新しいサイクルが開始する。

    図6に詳細に示すエネルギ復帰の熱力学的サイクルは、以下のように行われる。 高温の第1温度T1のガスは、第1容器上部1aから流出する(図のポイントBに対応)。 ガスはその後に第2タービン4cを通過し、エネルギを発電機(E )に供給して第2温度T2(図のポイントA)に到達する。 ガスはその後に第2容器上部2aに入ってその熱を耐火材料11に供給し、温度の第2熱遷移層2eを漸次下方に移動させる。 ガスは第3温度T3で第2容器下部2bから流出する(図のポイントDに対応)。 その後にガスは第2圧縮機4bを通過し、所望の周囲温度T0よりも高い第4温度T4で流出する。 その後、熱交換器6を通過してエネルギE の量を外部に供給し、周囲温度T0に戻る(図のポイントCに対応)。 最後にガスは第1容器底部1bから貫通し、ここでエネルギを回収して加熱されて図のポイントBに到達し、温度の第1熱遷移層1eが漸次上昇する。 言い換えれば、第1容器1全体が冷却される。

    図7は、左側に第1容器1と、温度が約20℃の下領域および温度が約1300℃の上領域の間にある上昇する第1熱遷移層1eとを側断面図で示す。 この上昇する第1熱遷移層1eは、図7の右側のグラフに詳細に示す高さhの遷移領域に対応する。 エネルギ蓄積段階において遷移領域は下方に移動し(図7B)、復帰段階においては上方に移動する(
    図7A)。 最適効率に相当するタービン装置の動作範囲に維持するには、第1容器1を完全に充填しないまたは完全に放出しないことがよい。 すなわち、図7Bに詳細に示すように、充填サイクル/放出サイクルを第1容器1の総ピーク容量の最大高さδH (たとえば総高さの80%〜90%に相当)に制限する。 同様の遷移領域が第2容器2に存在するが、対応する温度は異なる(たとえば下部は−50℃で上部は500℃)。 使用する熱材の割合は、高さδH に対応する。 使用される前記割合は、第1容器1の割合とほぼ等しいこと(すなわち80%〜90%)が好ましい。

    温度が互いに異なる2つの容器を備える本構成において、耐火材料の80%〜90%の熱容量だけを用いると、75%〜85%程度の非常に優れた効率が得られる。
    これは第1に、周囲温度よりも非常に高い2つの温度レベルT2〜T1でエネルギが交互に汲み上げされ、回収されることによる。 カルノーの定理より、高温の供給源の温度上昇に伴って熱機関の効率が高くなることは周知である。

    第2の理由は、第1温度T1,T2が蓄積段階および復帰段階の両方で等しいことである。 これは互いに異なる圧力比(P1/P2およびP'1/P'2)で動作する互いに異なるタービンと圧縮機の組合せを用いて達成される。

    優れた全体効率の第3の理由は、蓄積段階において、高温の第1圧縮機3bからの損失分がガスの熱として抽出されることである。 このエネルギは、第2容器2から汲み上げられる熱と同様に、第1容器1の耐火材料11に蓄積される。 高温の第1圧縮機3bから損失するエネルギ分は、そのほとんどが復帰段階において有益な仕事の形で回収される。

    第4の理由は、熱をガスと交換する熱交換器6を使用したことによる。 超高温で動作可能であり、且つ気体と固体の間に非常に大きな熱交換領域を成す耐火部品群を構成することができる。 これによって、蓄積段階と復帰段階の両方で第1温度T1,第2温度T2をできる限りほぼ等しくできる。 蓄積能力は耐火材料11の質量に関係する。 本発明の性質として、熱の蓄積、および熱と気体の交換という2つの役割を行うためにほぼすべての耐火材料11が使用されることが利点である。

    優れた全体効率の理由として最後に、蓄積段階に第1タービン3c内での拡張によって生成される冷温のガスも、第2容器2に蓄積されることが挙げられる。 これによって復帰段階においては、第2圧縮機4bでの圧縮前にガスの冷却が可能となる。 その結果、第2圧縮機4bで吸収されるエネルギ量が減少し、復帰したエネルギE からエネルギが取り込まれる。

    ターボ機械の電力は以下の式で得られる。
    W=m×Cp×(T2−T1)
    ここで、mはガスの質量流量(kg/s)を表し、Cpはガスの熱容量(J/kg/K)であり、T1はガス流入口の温度であり、T2はガス流出口の温度である。 タービンにおいてはT2<T1であり、このためWは負の値となる(電力がガスから抽出される)。 圧縮機においては、Wは正の値である(電力がガスに供給される)。

    ガスの密度はモル質量に比例する。 軽質ガスよりも重質ガスの方が膨張または拡張し易い。 重ガスに必要な機械は、軽ガスに必要な機械よりも一層小型で一層安価である。
    モル質量は、アルゴンが40、CO が44、クリプトンが84、キセノンが131、ラドンが222である。

    このため、気体としてクリプトンまたはキセノンを使用するターボ機械は、モル質量が4のヘリウム、モル質量が28の窒素などのガスを使用するものよりも一層コンパクトである。 更に熱力学的な式:PV γ =一定において、
    γは単原子ガスで1.66;
    γは2原子ガスで1.4;
    γは3原子ガスで1.33
    である。

    以下の式を適用した場合、第1温度T1,T2は圧力比P1,P2またはP'1,P'2によって決まる。
    T1/T2=(P1/P2) (γ−1)/γ
    所定の温度比において、圧力比は2原子ガス(γ=1.4)または3原子ガス(γ=1.33)よりも単原子ガス(γ=1.66)で低いことが分かる。 これは容器の設計において実用上利点がある。 容器の壁の厚さは、ガスの最大圧力に関係する。 また、本方法は非常に多量のエネルギ蓄積能力を備えるため、非常に大型の容器を使用し得る。 このため、気体の内圧レベルを最小にすることは経済上の利点がある。 これを達成する方法として、ガスの圧縮比が制限される。 このためには単原子ガスを選択することが好ましい。

    したがって、ヘリウム、ネオン、アルゴン、またはモル質量が高い他の新規のガスなどの単原子ガスで最適なサイクルが得られる。
    窒素など単原子ガス、および空気またはCO などの単原子ガスは非常に豊富且つ安価であるが、高温下では容器のケーシング、パイプ、またはタービンおよび圧縮機のブレードを形成する金属を侵食してしまう。 このため、装置内のガスは、装置の金属要素に対して完全に不活発な不活性ガス(たとえばヘリウム、ネオン、アルゴン、またはモル質量が高い他の新規のガス)であることがよい。 ヘリウム、ネオン、およびアルゴンは、周囲空気に有意な割合で存在し、好ましい価格で多量に入手できる。 これらのガスのうちアルゴンは、本発明の装置での使用で最も優れた性能を発揮する。 これはアルゴンが単原子であり、本発明の装置を形成する金属要素に対して高温下または超高温度下で不活発であるため、並びにモル質量が高いだけでなく取得原価も低いためである。

    第1容器1の第1耐火材料11は、たとえば1200℃に耐性のある第2耐火粘土として知られるシャモットである。 あるいは酸化アルミニウムおよび/または酸化マグネシウムの含有が高い合成物である。 第2容器2の第2耐火材料11は、第1耐火粘土であってもよい。

    上記のとおり、耐火材料11は、直径5mm〜20mmの孔である平行なチャネルを有するブリックである。 またチャネルはブリックを貫通しており、容器の長手方向の前記チャネルに沿ってガスが循環および通過可能となるように配置されている。

    経済的な許容条件下で利用可能な超高温の各種耐火材料は、以下の表1に示すとおりである。

    これらすべての材料のうちシャモットが最も安価であるが、最大温度が他よりも非常に低い。
    耐火材料1立方メートルに蓄積されたエネルギは、以下の式で得られる。

    E=V×Cp×(T−T0)
    ここで、Eはジュールを表し、Vは高温の耐火材料の体積であり、Cpはジュールの熱容量(J/m /K)であり、Tは高温であり、T0は加熱前の初期温度である。

    蓄積温度Tが高いほど、耐火材料の単位体積当たりに蓄積されるエネルギ量が高くなることが分かる。
    このため酸化マグネシウムは、以下の単位体積当たりの熱容量において限界温度1800℃でより好ましい性能を示す。

    Cp=3600kJ/m /K
    たとえば3000MWhの容量を備え、100MWで電力を蓄積および復帰可能であり、40時間以上の充填および30時間以上の復帰に対応する装置は:
    ・直径41mおよび高さ20mの円筒であり、酸化マグネシウム16500m を含有し、気孔率25%を示す(すなわち3700万kg(37000メートルトン)の耐火材料である)第1容器1と;
    ・直径48mおよび高さ20mを備え、シャモットを22500m 含有し、気孔率35%を示し(すなわち29500tの耐火材料であり)、100MWの第1モータ3aと117MWの第1圧縮機3bと、17MWの第1タービン3cとを含む蓄積群、および100MWの発電機4aと、156MWの第2タービン4cと、56MWの第2圧縮機4bとを含む復帰群を備える第2容器2とによって構成される。 システム全体の内部体積(接続ダクトは含むが、耐火材料の有効質量に相当する体積は含まない)は、約35000m である。 ガスの何分の1かは、高温の耐火性容器の壁を被覆する絶縁材料(約12000m )に閉じ込められ、利用可能な体積23000m だけがガス循環に加えられる。 システムは、70000標準立方メートル(Nm )の体積に対応する圧力1バール(すわなち2bara)を開始する前にアルゴンによって充填される。 この70000Nm のうち、46000Nm が自由に循環する。 蓄積段階において、第1圧力P1は第1容器1で3baraであり、第2圧力P2は第2容器2で0.9baraである。 一方、放出時にこれらの圧力はそれぞれ3.3bara(P'1)、0.6bara(P'2)である。 第1温度T1は1256℃で設定され、第2温度T2は約600℃となる。 図5に示す熱力学的サイクル1期間を238秒とする(これは充填期間全体における600回のガス循環サイクルに相当)と、蓄積段階において、第1タービン3cまたは第1圧縮機3bに対するガスの流速は193Nm /sである。 放出サイクルについても同様の値が得られる。

    燃焼後に得られたガスは攻撃性があるため、遠心式圧縮機または軸流式圧縮機、およびタービンの温度は通常制限されている。 しかし本発明の装置において、このようなタービンおよび圧縮機は、不活性ガス(たとえばアルゴン)を用いて閉回路で使用される。 このため、タービンおよび圧縮機は従来技術よりも高い温度で動作点を示すことができる。

    装置が長期間充填および放出について不活性な状態でない限り、第1容器および第2容器に蓄積されたエネルギの損失は生じない。 損失は周囲媒体、主に容器の被覆12に生じる。

    本方法は本質的には多量エネルギの蓄積に好都合であるため、容器の体積は相対的に高い。 すなわち容量に対する表面の比が低い。 大型の容器において、熱損失は蓄積されたエネルギのわずか何分の1かである。 熱絶縁性は気孔率が高い材料(たとえばセラミック繊維フェルトまたはセラミック発泡体)で達成される。 上記に引用した例では、従来の繊維材料を用いた厚さ2mの被覆によってエネルギ損失が1日1%未満に制限できることが、計算から明らかである。

    ガスは不活性ガスであるため、高温で動作する大型の第1圧縮機3bと大型タービン4cは、炭素系材料から成ることがよい。 このような材料は、2000℃を超える超高温に対して機械的に耐性がある。 また気体(たとえば空気)または燃焼生成物の酸化時に急速に酸化するため、ターボ機械の構築には通常使用されない。 こうした制限は本明細書において適用されないため、炭素系材料の使用は想定され得る。 炭素タービンは実験的に、またはわずか数分の寿命をもつロケットエンジン用に既に作製されている。 本発明のこの用途において、タービンまたは圧縮機には寿命の制限がない。 金属を使用した現在の機械においては、低温のガスを内部に流すことによってブレードを冷却する必要があり、これは効率を損なってしまう。 にも拘らず、ブレードを動かすと、クリープ減少のために寿命が制限される。

    図1は、互いに異なる第1ヒータ5aと第2ヒータ5bを示すが、一つのヒータを使用可能であり、ダクトの構成は適宜合わせて変更される。

    QQ群二维码
    意见反馈