Hybrid vehicle and a control method thereof

申请号 JP2005322617 申请日 2005-11-07 公开(公告)号 JP4175361B2 公开(公告)日 2008-11-05
申请人 トヨタ自動車株式会社; 发明人 文一 佐藤; 大吾 安藤; 武司 金山;
摘要 When a start command of an engine is given in the presence of the driver's power demand, the start control sets the ignition timing of the engine to a power demand ignition timing, in order to enable quick output of a large power from the engine in response to the driver's power demand. When the start command of the engine is given in the absence of the driver's power demand in a vehicle drive state, there is little possibility of the occurrence of gear chattering noise because of application of a torque to a driveshaft. The start control accordingly sets the ignition timing of the engine to a vibration control ignition timing, in order to reduce the vibration of the vehicle body. When the start command of the engine is given in the absence of the driver's power demand in a vehicle stop state, on the other hand, application of a small torque may cause the occurrence of chattering noise. The start control accordingly sets the ignition timing of the engine to a chattering control ignition timing, in order to generate a certain level of torque that prevents repeated contact and separation of gears in a gear mechanism even in the event of an engine-induced torque variation.
权利要求
  • 車軸に連結された駆動軸に動力を出力可能な内燃機関と、
    前記内燃機関の出力軸とギヤ機構を介して連結され、前記駆動軸へのトルクの入出力を伴って前記内燃機関をモータリング可能なモータリング手段と、
    前記駆動軸へ動力を入出力可能な電動機と、
    前記駆動軸の回転状況を検出する駆動軸回転状況検出手段と、
    運転者のパワー要求の有無を検出する要求パワー検出手段と、
    運転者のパワー要求がない状態で前記内燃機関の始動指示がなされたときに前記駆動軸の回転が停止していた場合には、前記モータリング手段によって前記内燃機関をモータリングした状態で該内燃機関の始動トルクが所定の大きさの歯打ち抑制トルクになるようにして該内燃機関を完爆させたあと前記モータリング手段によるモータリングが終了するよう前記内燃機関、前記モータリング手段及び前記電動機を制御する始動時制御手段と、
    を備えるハイブリッド車。
  • 車軸に連結された駆動軸に動力を出力可能な内燃機関と、
    前記内燃機関の出力軸とギヤ機構を介して連結され、前記駆動軸へのトルクの入出力を伴って前記内燃機関をモータリング可能なモータリング手段と、
    前記駆動軸へ動力を入出力可能な電動機と、
    前記駆動軸の回転状況を検出する駆動軸回転状況検出手段と、
    運転者のパワー要求の有無を検出する要求パワー検出手段と、
    運転者のパワー要求がない状態で前記内燃機関の始動指示がなされたときに前記駆動軸が回転していた場合には、前記モータリング手段によって前記内燃機関をモータリングした状態で該内燃機関の始動トルクが所定の微小トルクになるようにして該内燃機関を完爆させたあと前記モータリング手段によるモータリングが終了するよう前記内燃機関、モータリング手段及び前記電動機を制御し、運転者のパワー要求がない状態で前記内燃機関の始動指示がなされたときに前記駆動軸の回転が停止していた場合には、前記モータリング手段によって前記内燃機関をモータリングした状態で該内燃機関の始動トルクが前記微小トルクよりも大きな歯打ち抑制トルクになるようにして該内燃機関を完爆させたあと前記モータリング手段によるモータリングが終了するよう前記内燃機関、前記モータリング手段及び前記電動機を制御する始動時制御手段と、
    を備えるハイブリッド車。
  • 前記始動時制御手段は、前記歯打ち抑制トルクとして、該内燃機関に起因するトルク変動によって前記ギヤ機構のギヤ歯同士が当接・離間を繰り返すことのない大きさのトルクを採用する、
    請求項1又は2に記載のハイブリッド車。
  • 前記始動時制御手段は、前記歯打ち抑制トルクとして、該内燃機関に起因するトルク変動によって前記ギヤ機構のギヤ歯同士が当接・離間を繰り返すことのない大きさのトルクであって前記微小トルクに近い値を採用する、
    請求項2に記載のハイブリッド車。
  • 前記始動時制御手段は、前記内燃機関の始動トルクが前記微小トルクになるようにするには該内燃機関の点火時期が最遅角になるように該内燃機関を制御し、前記内燃機関の始動トルクが前記歯打ち抑制トルクになるようにするには該内燃機関の点火時期が最遅角よりも進角側になるように該内燃機関を制御する、
    請求項2又は4に記載のハイブリッド車。
  • 前記始動時制御手段は、運転者のパワー要求がある状態で前記内燃機関の始動指示がなされたときには、前記モータリング手段によって前記内燃機関をモータリングした状態で該内燃機関の始動トルクが前記歯打ち抑制トルクを超えるトルクになるようにして該内燃機関を完爆させたあと前記モータリング手段によるモータリングが終了するよう前記内燃機関、モータリング手段及び前記電動機を制御する、
    請求項1〜5のいずれかに記載のハイブリッド車。
  • 前記始動時制御手段は、前記内燃機関の始動トルクを点火時期に基づいて制御する、
    請求項1〜6のいずれかに記載のハイブリッド車。
  • 前記モータリング手段は、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と第3の軸との3軸に接続され該3軸のうちいずれか2軸に入出力した動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段を前記ギヤ機構とし、前記第3の軸に動力を入出力する発電機として構成される、
    請求項1〜7のいずれかに記載のハイブリッド車。
  • 車軸に連結された駆動軸に動力を出力可能な内燃機関と、前記内燃機関の出力軸とギヤ機構を介して連結され、前記駆動軸へのトルクの入出力を伴って前記内燃機関をモータリング可能なモータリング手段と、前記駆動軸へ動力を入出力可能な電動機と、を備えるハイブリッド車の制御方法であって、
    運転者のパワー要求がない状態で前記内燃機関の始動指示がなされたときに前記駆動軸の回転が停止していた場合には、前記モータリング手段によって前記内燃機関をモータリングした状態で該内燃機関の始動トルクが所定の大きさの歯打ち抑制トルクになるようにして該内燃機関を完爆させたあと前記モータリング手段によるモータリングが終了するよう前記内燃機関、前記モータリング手段及び前記電動機を制御する、
    ハイブリッド車の制御方法。
  • 車軸に連結された駆動軸に動力を出力可能な内燃機関と、前記内燃機関の出力軸とギヤ機構を介して連結され、前記駆動軸へのトルクの入出力を伴って前記内燃機関をモータリング可能なモータリング手段と、前記駆動軸へ動力を入出力可能な電動機と、を備えるハイブリッド車の制御方法であって、
    (a)運転者のパワー要求がない状態で前記内燃機関の始動指示がなされたときに前記駆動軸が回転していた場合には、前記モータリング手段によって前記内燃機関をモータリングした状態で該内燃機関の始動トルクが所定の微小トルクになるようにして該内燃機関を完爆させたあと前記モータリング手段によるモータリングが終了するよう前記内燃機関、モータリング手段及び前記電動機を制御し、
    (b)運転者のパワー要求がない状態で前記内燃機関の始動指示がなされたときに前記駆動軸の回転が停止していた場合には、前記モータリング手段によって前記内燃機関をモータリングした状態で該内燃機関の始動トルクが前記微小トルクよりも大きな歯打ち抑制トルクになるようにして該内燃機関を完爆させたあと前記モータリング手段によるモータリングが終了するよう前記内燃機関、前記モータリング手段及び前記電動機を制御する、
    ハイブリッド車の制御方法。
  • 说明书全文

    本発明は、ハイブリッド車及びその制御方法に関する。

    従来より、プラネタリギヤ機構を介して連結した内燃機関と発電機と電動機との間で動のやり取りを行なうハイブリッド車が知られている。 例えば、特許文献1に記載されたハイブリッド車では、内燃機関の運転を停止しバッテリの放電パワーにより電動機を駆動して走行しているときに内燃機関を始動する必要が生じた場合、内燃機関の出力が急に立ち上がることによる車体振動の発生等を軽減することを目的として、内燃機関の点火時期を遅らせて内燃機関の出力トルクを抑える制御を行なっている。

    特開2004−11650号公報

    ところで、内燃機関の始動時の出力トルクを抑えすぎると、内燃機関に起因するトルク変動(例えば吸入・圧縮・膨張・排気という行程を繰り返すときに生じるトルク変動や低トルクのため燃焼が不安定になることにより生じるトルク変動など)により、プラネタリギヤ機構でカチカチカチという歯打ち音が発生することがある。 また、プラネタリギヤ機構と車軸との間に配置される変速機のギヤ機構においても同様の歯打ち音が発生することがある。

    本発明のハイブリッド車及びその制御方法は、内燃機関の始動に伴うギヤ機構の歯打ち音を抑制することを目的の一つとする。 また、本発明のハイブリッド車及びその制御方法は、内燃機関の始動に伴う車体振動と歯打ち音とを運転状況に応じて適切に抑制することを目的の一つとする。

    本発明のハイブリッド車及びその制御方法は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。

    本発明の第1のハイブリッド車は、
    車軸に連結された駆動軸に動力を出力可能な内燃機関と、
    前記内燃機関の出力軸とギヤ機構を介して連結され、前記駆動軸へのトルクの入出力を伴って前記内燃機関をモータリング可能なモータリング手段と、
    前記駆動軸へ動力を入出力可能な電動機と、
    前記駆動軸の回転状況を検出する駆動軸回転状況検出手段と、
    運転者のパワー要求の有無を検出する要求パワー検出手段と、
    運転者のパワー要求がない状態で前記内燃機関の始動指示がなされたときに前記駆動軸の回転が停止していた場合には、前記モータリング手段によって前記内燃機関をモータリングした状態で該内燃機関の始動トルクが所定の大きさの歯打ち抑制トルクになるようにして該内燃機関を完爆させたあと前記モータリング手段によるモータリングが終了するよう前記内燃機関、前記モータリング手段及び前記電動機を制御する始動時制御手段と、
    を備えることを要旨とする。

    このハイブリッド車では、運転者のパワー要求がない状態で内燃機関の始動指示がなされたときに駆動軸の回転が停止していた場合には、モータリング手段によって内燃機関をモータリングした状態で内燃機関を始動させるが、そのときの始動トルクが所定の大きさの歯打ち抑制トルクになるようにして該内燃機関を完爆させる。 これにより、内燃機関の出力軸とモータリング手段とを連結するギヤ機構などで歯打ち音が発生するのを抑制することが可能となる。

    本発明の第2のハイブリッド車は、
    車軸に連結された駆動軸車軸に連結された駆動軸に動力を出力可能な内燃機関と、
    前記内燃機関の出力軸とギヤ機構を介して連結され、前記駆動軸へのトルクの入出力を伴って前記内燃機関をモータリング可能なモータリング手段と、
    前記駆動軸へ動力を入出力可能な電動機と、
    前記駆動軸の回転状況を検出する駆動軸回転状況検出手段と、
    運転者のパワー要求の有無を検出する要求パワー検出手段と、
    運転者のパワー要求がない状態で前記内燃機関の始動指示がなされたときに前記駆動軸が回転していた場合には、前記モータリング手段によって前記内燃機関をモータリングした状態で該内燃機関の始動トルクが所定の微小トルクになるようにして該内燃機関を完爆させたあと前記モータリング手段によるモータリングが終了するよう前記内燃機関、モータリング手段及び前記電動機を制御し、運転者のパワー要求がない状態で前記内燃機関の始動指示がなされたときに前記駆動軸の回転が停止していた場合には、前記モータリング手段によって前記内燃機関をモータリングした状態で該内燃機関の始動トルクが前記微小トルクよりも大きな歯打ち抑制トルクになるようにして該内燃機関を完爆させたあと前記モータリング手段によるモータリングが終了するよう前記内燃機関、前記モータリング手段及び前記電動機を制御する始動時制御手段と、
    を備えることを要旨とする。

    このハイブリッド車では、運転者のパワー要求がない状態で内燃機関の始動指示がなされたときに駆動軸が回転していた場合には、モータリング手段によって内燃機関をモータリングした状態で内燃機関を始動させるが、駆動軸が回転しているときにはギヤ機構の歯打ち音が生じにくいため、そのときの始動トルクは所定の微小トルクになるようにして内燃機関の始動時に生じる車体振動を低減する。 一方、運転者のパワー要求がない状態で内燃機関の始動指示がなされたときに駆動軸の回転が停止していた場合には、モータリング手段によって内燃機関をモータリングした状態で内燃機関を始動させるが、そのときの始動トルクは微小トルクよりも大きな歯打ち抑制トルクになるようにしているため、内燃機関の出力軸とモータリング手段とを連結するギヤ機構などでギヤ歯同士が当接・離間を繰り返すという動きが生じにくい。 このように、内燃機関の始動に伴う車体振動と歯打ち音とを運転状況に応じて適切に抑制することができる。

    本発明の第1又は第2のハイブリッド車において、前記始動時制御手段は、前記歯打ち抑制トルクとして、該内燃機関に起因するトルク変動によって前記ギヤ機構のギヤ歯同士が当接・離間を繰り返すことのない大きさのトルクを採用してもよい。 こうすれば、内燃機関に起因するトルク変動が生じたとしてもギヤ機構などで歯打ち音が発生するのを確実に抑えることができる。

    本発明の第2のハイブリッド車において、前記始動時制御手段は、前記歯打ち抑制トルクとして、該内燃機関に起因するトルク変動によって前記ギヤ機構のギヤ歯同士が当接・離間を繰り返すことのない大きさのトルクであって前記微小トルクに近い値を採用してもよい。 こうすれば、内燃機関の始動時の車体振動をできるだけ小さくしつつ歯打ち音を抑制することができる。

    本発明の第2のハイブリッド車において、前記始動時制御手段は、前記内燃機関の始動トルクが前記微小トルクになるようにするには該内燃機関の点火時期が最遅になるように該内燃機関を制御し、前記内燃機関の始動トルクが前記歯打ち抑制トルクになるようにするには該内燃機関の点火時期が最遅角よりも進角側になるように該内燃機関を制御してもよい。

    本発明の第1又は第2のハイブリッド車において、前記始動時制御手段は、運転者のパワー要求がある状態で前記内燃機関の始動指示がなされたときには、前記モータリング手段によって前記内燃機関をモータリングした状態で該内燃機関の始動トルクが前記歯打ち抑制トルクを超えるトルクになるようにして該内燃機関を完爆させたあと前記モータリング手段によるモータリングが終了するよう前記内燃機関、モータリング手段及び前記電動機を制御してもよい。 こうすれば、運転者のパワー要求がある場合には、内燃機関の始動に伴う車体振動やギヤ機構の歯打ち音を抑制するよりも内燃機関からいち早く大きなトルクが出力されるようにするため、運転者の要求にレスポンスよく応えることができる。

    本発明の第1又は第2のハイブリッド車において、前記始動時制御手段は、前記内燃機関の始動トルクを点火時期に基づいて制御してもよい。 例えば吸入空気量を操作することによって始動トルクの大きさを制御してもよいが、それよりも点火時期を操作することにより始動トルクの大きさを制御する方が一般に迅速に行なうことができるため好ましい。

    本発明の第1又は第2のハイブリッド車において、前記モータリング手段は、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と第3の軸との3軸に接続され該3軸のうちいずれか2軸に入出力した動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段を前記ギヤ機構とし、前記第3の軸に動力を入出力する発電機として構成されていてもよい。

    本発明の第3のハイブリッド車の制御方法は、
    車軸に連結された駆動軸に動力を出力可能な内燃機関と、前記内燃機関の出力軸とギヤ機構を介して連結され、前記駆動軸へのトルクの入出力を伴って前記内燃機関をモータリング可能なモータリング手段と、前記駆動軸へ動力を入出力可能な電動機と、を備えるハイブリッド車の制御方法であって、
    運転者のパワー要求がない状態で前記内燃機関の始動指示がなされたときに前記駆動軸の回転が停止していた場合には、前記モータリング手段によって前記内燃機関をモータリングした状態で該内燃機関の始動トルクが所定の大きさの歯打ち抑制トルクになるようにして該内燃機関を完爆させたあと前記モータリング手段によるモータリングが終了するよう前記内燃機関、前記モータリング手段及び前記電動機を制御する、
    ことを要旨とする。

    このハイブリッド車の制御方法では、運転者のパワー要求がない状態で内燃機関の始動指示がなされたときに駆動軸の回転が停止していた場合には、モータリング手段によって内燃機関をモータリングした状態で内燃機関を始動させるが、そのときの始動トルクが所定の大きさの歯打ち抑制トルクになるようにして該内燃機関を完爆させる。 これにより、内燃機関の出力軸とモータリング手段とを連結するギヤ機構などで歯打ち音が発生するのを抑制することが可能となる。 なお、このハイブリッド車の制御方法において、上述した本発明のハイブリッド車の各種機能を実現するためのステップを加えてもよい。

    本発明の第4のハイブリッド車の制御方法は、
    車軸に連結された駆動軸に動力を出力可能な内燃機関と、前記内燃機関の出力軸とギヤ機構を介して連結され、前記駆動軸へのトルクの入出力を伴って前記内燃機関をモータリング可能なモータリング手段と、前記駆動軸へ動力を入出力可能な電動機と、を備えるハイブリッド車の制御方法であって、
    (a)運転者のパワー要求がない状態で前記内燃機関の始動指示がなされたときに前記駆動軸が回転していた場合には、前記モータリング手段によって前記内燃機関をモータリングした状態で該内燃機関の始動トルクが所定の微小トルクになるようにして該内燃機関を完爆させたあと前記モータリング手段によるモータリングが終了するよう前記内燃機関、モータリング手段及び前記電動機を制御し、
    (b)運転者のパワー要求がない状態で前記内燃機関の始動指示がなされたときに前記駆動軸の回転が停止していた場合には、前記モータリング手段によって前記内燃機関をモータリングした状態で該内燃機関の始動トルクが前記微小トルクよりも大きな歯打ち抑制トルクになるようにして該内燃機関を完爆させたあと前記モータリング手段によるモータリングが終了するよう前記内燃機関、前記モータリング手段及び前記電動機を制御する ことを要旨とする。

    このハイブリッド車の制御方法では、運転者のパワー要求がない状態で内燃機関の始動指示がなされたときに駆動軸が回転していた場合には、モータリング手段によって内燃機関をモータリングした状態で内燃機関を始動させるが、駆動軸が回転しているときにはギヤ機構の歯打ち音が生じにくいため、そのときの始動トルクは所定の微小トルクになるようにして内燃機関の始動時に生じる車体振動を低減する。 一方、運転者のパワー要求がない状態で内燃機関の始動指示がなされたときに駆動軸の回転が停止していた場合には、モータリング手段によって内燃機関をモータリングした状態で内燃機関を始動させるが、そのときの始動トルクは微小トルクよりも大きな歯打ち抑制トルクになるようにして内燃機関の出力軸とモータリング手段とを連結するギヤ機構などでギヤ歯同士の当接が離れ再度当接するという動きが生じにくい。 このように、内燃機関の始動に伴う車体振動とギヤ機構の歯打ち音とを運転状況に応じて適切に抑制することができる。 なお、このハイブリッド車の制御方法において、上述した本発明のハイブリッド車の各種機能を実現するためのステップを加えてもよい。

    次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。

    図1は、本発明の一実施例である動力出力装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介してピニオンギヤ33を回転させるキャリア34が接続されたプラネタリギヤ30と、プラネタリギヤ30のサンギヤ31に接続された発電可能なモータMG1と、プラネタリギヤ30のリングギヤ32に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに減速ギヤ35を介して接続されたモータMG2と、ハイブリッド自動車20全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。 なお、駆動軸としてのリングギヤ軸32aは動力伝達ギヤ60とデファレンシャルギヤ62とを介して駆動輪63a,63bが取り付けられた車軸64に接続されており、リングギヤ軸32aに出力された動力は走行用の動力として用いられる。

    エンジン22は、例えばガソリンまたは軽油などの炭化素系の燃料により動力を出力可能な内燃機関として構成されており、図2に示すように、エアクリーナ122により清浄された空気をスロットルバルブ124を介して吸入する共に燃料噴射弁126からガソリンを噴射して吸入された空気とガソリンとを混合し、この混合気を吸気バルブ128を介して燃料室に吸入し、点火プラグ130による電気火花によって爆発燃焼させて、そのエネルギにより押し下げられるピストン132の往復運動をクランクシャフト26の回転運動に変換する。 エンジン22からの排気は、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC),窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する浄化装置(三元触媒)134を介して外気へ排出される。

    エンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により制御されている。 エンジンECU24は、CPU24aを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU24aの他に処理プログラムを記憶するROM24bと、データを一時的に記憶するRAM24cと、図示しない入出力ポート及び通信ポートとを備える。 エンジンECU24には、エンジン22の状態を検出する種々のセンサからの信号、クランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ140からのクランクポジションやエンジン22の冷却水温度を検出する水温センサ142からの冷却水温,燃焼室内に取り付けられた圧力センサ143からの筒内圧力Pin,燃焼室へ吸排気を行なう吸気バルブ128や排気バルブを開閉するカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサ144からのカムポジション,スロットルバルブ124のポジションを検出するスロットルバルブポジションセンサ146からのスロットルポジション,吸気管に取り付けられたエアフローメータ148からのエアフローメータ信号AF,同じく吸気管に取り付けられた温度センサ149からの吸気温などが入力ポートを介して入力されている。 また、エンジンECU24からは、エンジン22を駆動するための種々の制御信号、例えば、燃料噴射弁126への駆動信号や、スロットルバルブ124のポジションを調節するスロットルモータ136への駆動信号、イグナイタと一体化されたイグニッションコイル138への制御信号、吸気バルブ128の開閉タイミングを変更可能な可変バルブタイミング機構150への制御信号などが出力ポートを介して出力されている。 なお、エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータを出力する。

    モータMG1及びモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。 モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。 モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。 モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。

    バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。 バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、バッテリ50を管理するための残容量(SOC)を計算すると共に計算した残容量(SOC)と電池温度Tbやその入出力制限Win,Wout,バッテリ50を充放電するための要求値である充放電要求パワーPb*などを計算し、必要に応じてデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。

    ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポート及び通信ポートとを備える。 ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。 ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。

    こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。 エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてがプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1及びモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部がプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1及びモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。

    次に、実施例のハイブリッド自動車20の動作、特にエンジン22の運転停止中にエンジン22の始動要求があったときの動作について説明する。 図3はエンジン22の始動要求があったときにハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される始動時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 ここで、エンジン22の運転停止中にエンジン22の始動要求があったときとしては、例えばモータ運転モードで走行している際にエンジン22に要求されるエンジン要求パワーPe*が閾値Prefを超えたときや、停車状態でシステムを起動した直後であってエンジン22の暖機やバッテリ50の充電を行なう必要があるときなどが挙げられる。 モータ運転モードについて以下に簡単に説明する。 閾値Prefはエンジン22の始動要求の有無を判定するために用いられ、エンジン22を比較的効率よく運転することができる領域のうち下限のパワー近傍に設定されている。 エンジン要求パワーPe*は、駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき駆動軸要求パワーPr*とバッテリ50が要求する充放電要求パワーPb*(放電パワーを正、充電パワーを負とする)とロスLossとにより下記式(1)のように表されるから、バッテリ50の残容量(SOC)が比較的十分な状態でも運転者がアクセルペダル83を大きく踏み込んだときや、バッテリ50の残容量が比較的十分な状態であり且つ運転者のアクセルペダル83の踏み込みがないときでも車速Vが大きくなりリングギヤ軸32aの回転数Nrが大きくなったとき、運転者のアクセルペダル83の踏み込みがなく車速Vも小さくリングギヤ軸32aの回転数Nrも小さいときでもバッテリ50の残容量が低くなって大きな充放電要求パワーPb*(充電パワー)が設定されたときなどに、閾値Prefを超える。 なお、駆動軸要求パワーPr*は、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accと車速センサ88からの車速Vとに基づいて、ROM74に記憶された要求トルク設定用マップ(図4参照)からリングギヤ軸32aに要求される要求トルクTr*を導出し、この要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じたものとした。 リングギヤ軸32aの回転数Nrは、下記式(2)に示すように、回転位置検出センサ44により検出されるモータMG2の回転子の回転位置に基づいて計算されたモータMGの回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで割ることにより求めた。 なお、モータ運転モードでは、エンジン22の回転数Neはゼロ、モータMG1のトルクTm1もゼロである。

    Pe*=Pr*-Pb*+Loss (1)
    Pr*=Tr*・Nm2/Gr (2)

    さて、図3の始動時制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,エンジン22の回転数Ne,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ50の入出力制限Win,Woutなど制御に必要なデータを入力し(ステップS100)、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて図4の要求トルク設定用マップを用いて要求トルクTr*を設定する(ステップS110)。 ここで、エンジン22の回転数Neはクランクシャフト26に取り付けられたクランクポジションセンサ140からの信号に基づいて計算されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。 また、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されるモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて計算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。 また、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、バッテリ50の残容量(SOC)に基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。

    続いて、エンジン22の回転数Neや始動開始時からの経過時間tを用いてエンジン始動用マップからモータMG1のトルク指令Tm1*を導出して設定する(ステップS120)。 エンジン始動用マップは、エンジン22を始動する際のモータMG1のトルク指令Tm1*とエンジン22の回転数Neと始動開始時からの経過時間tとの関係を設定したマップである。 図5にこのマップの一例を示す。 このマップでは、図5に示すように、エンジン22の始動指示がなされた時間t1の直後からレート処理を用いて迅速に比較的大きなトルクをトルク指令Tm1*に設定してエンジン22の回転数Neを迅速に増加させる。 エンジン22の回転数Neが共振回転数帯を通過したか共振回転数帯を通過するのに必要な時間以降の時間t2にエンジン22を安定して点火開始回転数Nstart以上でモータリングすることができるトルク(モータリング用トルク)をトルク指令Tm1*に設定し、電力消費や駆動軸としてのリングギヤ軸32aにおける反力を小さくする。 ここで、点火開始回転数Nstartは、本実施例では共振回転数帯より余裕をもって大きな回転数(例えば1000rpm)に設定されているとした。 そして、エンジン22の回転数Neが点火開始回転数Nstartに至る時間t3を超えエンジン22が完爆したときに初めて超える完爆回転数Ncombに至る時間t4に達するまで前出のモータリング用のトルクをトルク指令Tm1*に設定し、時間t4から迅速にトルク指令Tm1*が値0となるようにレート処理を行い、時間t5にトルク指令Tm1*が値0になるとする。 その後は、エンジン22を自立運転させる場合にはモータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定し続け、モータMG1により発電する場合には発電用のトルク(負の値)をトルク指令Tm1*に設定する。 このように、エンジン22の始動指示がなされた直後に大きなトルクをモータMG1のトルク指令Tm1*に設定してエンジン22をモータリングすることにより、迅速にエンジン22を点火開始回転数Nstart以上に回転させて始動することができる。

    こうしてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定するとバッテリ50の入出力制限Win,Woutと設定したモータMG1のトルク指令Tm1*に現在のモータMG1の回転数Nm1を乗じて得られるモータMG1の消費電力(発電電力)との偏差をモータMG2の回転数Nm2で割ることによりモータMG2から出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tmin,Tmaxを次式(3)及び式(4)により計算すると共に(ステップS130)、要求トルクTr*とトルク指令Tm1*とプラネタリギヤ30のギヤ比ρを用いてモータMG2から出力すべきトルクとしての仮モータトルクTm2tmpを式(5)により計算し(ステップS140)、仮モータトルクTm2tmpをトルク制限Tmin,Tmaxで制限した値としてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し(ステップS150)、設定したモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信する(ステップS160)。 このようにモータMG1のトルク指令Tm1*を設定すると共にモータMG2のトルク指令Tm2*を設定することにより、エンジン22を始動しながら駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力する要求トルクTr*をバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で制限したトルクとして出力することができる。 なお、式(5)は後述する図6の共線図から容易に導き出すことができる。 また、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。

    Tmin=(Win-Tm1*・Nm1)/Nm2 (3)
    Tmax=(Wout-Tm1*・Nm1)/Nm2 (4)
    Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr (5)

    次に、エンジン22の回転数Neが点火開始回転数Nstartに至っているか否かを判定し(ステップS170)、エンジン22の回転数Neが点火開始回転数Nstartに至っていないときにはステップS100に戻り、エンジン22の回転数Neが点火開始回転数Nstartに至るまでステップS100〜S170の処理を繰り返す。 エンジン22の回転数Neが点火開始回転数Nstartに至ると、始動指令フラグFstartが値0か否かを確認する(ステップS180)。 この始動指令フラグFstartはエンジン22へ始動指令を出力したか否かを表すフラグであり、値0のときには未だエンジン22へ始動指令を出力していないことを表し、値1のときには既にエンジン22へ始動指令を出力したことを表す。 いま、ステップS170で初めてエンジン22の回転数Neが点火開始回転数Nstartに至ったときを考えると、ステップS180で始動指令Fstartは値0であるから、ステップS190以降の処理に進む。 そして、運転者のパワー要求があるか否かと停車中か否かとを判定し(ステップS190,S200)、それに応じて点火時期を設定する。 運転者のパワー要求があるか否かの判定は、本実施例では、今回の要求トルクTr*と前回の要求トルクTr*との差分を求めその差分が所定トルクを超えたときに運転者のパワー要求ありと判定するものとした。 所定トルクはゼロとしてもよいし、実質ゼロとみなすことのできる僅少な値としてもよい。 また、停車中か否かの判定は車速Vがゼロか否かによって判定するものとした。

    ステップS190で運転者のパワー要求があったときには、点火時期としてパワー要求用点火時期を設定する(ステップS210)。 パワー要求用点火時期は、エンジン22に吸入され圧縮された混合気を燃焼させたときの仕事量が略最大となるように実験等により予め定められている。 こうすることにより、運転者のパワー要求に迅速に対応することができる。 一方、運転者のパワー要求がなく且つ停車中でないときには、点火時期として振動抑制用点火時期を設定する(ステップS220)。 振動抑制用点火時期は、エンジン22が完爆したあと失火しない最低限のトルク又はその近傍のトルク(微小トルク)を発生するように実験等により予め定められており、本実施例では点火時期は最遅角となるように定められている。 このようなトルクに設定するのは、以下の理由による。 すなわち、停車中でなければモータ運転モードで走行中であり駆動軸であるリングギヤ軸32aにトルクが加えられているから、エンジン22の始動時にエンジン22から出力されるトルクが変動したとしてもギヤの歯打ち音が生じにくい。 このため、できる限りエンジン22から出力されるトルクを小さくして車体振動を抑制するのである。 また、運転者のパワー要求がなく且つ停車中のときには、点火時期として歯打ち抑制用点火時期を設定する(ステップS230)。 歯打ち抑制用点火時期は、エンジン22が吸入・圧縮・燃焼・排気を繰り返すのに起因してトルク変動が生じたり低トルクのため燃焼が不安定になることに起因してトルク変動が生じたりしたとしても、プラネタリギヤ30のピニオンギヤ33の歯とサンギヤ31の歯やピニオンギヤ33の歯とリングギヤ32の歯が当接・離間を繰り返して歯打ち音が生じるという事態を招かないトルクを発生するように、実験等により予め定められている。 この歯打ち抑制用点火時期は、発生するトルク(歯打ち抑制トルク)が微小トルクと運転者のパワー要求があったときのトルクとの中間であって歯打ち音が生じない範囲のうち微小トルクに近い値となるように設定されている。 具体的には、パワー要求用点火時期よりも遅角側、振動抑制用点火時期よりも進角側であるが、振動抑制用点火時期に近い位置に定められている。 こうすることにより、エンジン22の完爆後にエンジン22に起因するトルク変動によって歯打ち音が発生するのを抑制することができるし、可能な限り車体振動も抑制することができる。

    そして、ステップS210,S220又はS230のいずれかで点火時期を設定したあと、エンジンECU22へその点火時期で始動時の点火制御を実行するよう始動指令を出力すると共に始動指令フラグFstartに値1を設定する(ステップS240)。 すると、始動指令を受信したエンジンECU24は、エンジン22の冷却水の温度や吸気管内の温度などに基づいて算出した始動時燃料噴射量の燃料が燃料噴射弁126から噴射されるよう燃料噴射弁126を制御すると共に、所定の点火時期に至るとイグニッションコイル138に通電して点火プラグ130から電気火花を飛ばして混合気に点火する。 その後、エンジン22が完爆し且つトルク指令Tm1*がゼロになったか否かを判定する(ステップS250)。 このステップS250で、否定判定されたときはステップS100に戻ってステップS100以降の処理を繰り返すが、ステップS100以降を繰り返すときには始動指令フラグFstartは値1に設定済みであるからステップS180で否定判定されて直ちにステップS250にスキップすることになる。 その後、エンジン22が完爆し且つトルク指令Tm1*がゼロになったとき(図5の時間t5参照)には、エンジン22の始動は完了したと判断して、始動指令フラグFstartを値0にリセットし(ステップS260)、本ルーチンを終了する。 本ルーチンを終了すると、エンジン22及びモータMG1,MG2を駆動するトルク変換運転モードや充放電運転モードにより走行するための図示しない駆動制御ルーチンが実行されるが、この制御については本発明の中核をなさないため、その詳細な説明は省略する。

    図6はハイブリッド自動車20がモータ運転モードで走行しているときにエンジン22の始動要求がなされた場合の動作共線図である。 図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したリングギヤ32の回転数Nrを示す。 モータ運転モードで走行しているときには、図中点線で示すように、エンジン22の回転数Neはゼロであり、モータMG1の回転数Nm1はモータMG2の回転数Nm2が決まるとそれに追従できるようにモータMG1のトルク指令Tm1*をゼロトルクとしている。 このモータ運転モードのときに、バッテリ50の残容量(SOC)が比較的十分な状態でも運転者がアクセルペダル83を大きく踏み込んだときにはエンジン22の始動要求がなされ、モータMG1によりエンジン22をモータリングしてエンジン22の回転数Neが点火開始回転数Nstartとなるようにし(図6の実線参照)、要求トルクTr*が前回と比べて急増しているためパワー要求用点火時期で点火されるようエンジン22の始動を行い、いち早くエンジン22からパワーを出力するようにする。 一方、モータ運転モードのときでも、バッテリ50の残容量が比較的十分な状態であり且つ運転者のアクセルペダル83の踏み込みがない場合に車速Vが大きくなりリングギヤ軸32aの回転数Nrが大きくなったときや、運転者のアクセルペダル83の踏み込みがなく車速Vも小さくリングギヤ軸32aの回転数Nrも小さい場合でもバッテリ50の残容量が低くなって大きな充放電要求パワーPb*(充電パワー)が設定されたときなどにはエンジン22の始動要求がなされるが、運転者のパワー要求はないことから、モータMG1によりエンジン22をモータリングしてエンジン22の回転数Neが点火開始回転数Nstartとなるようにしたあと振動抑制用点火時期でエンジン22の始動を行い、エンジン22の始動に伴って発生する車体振動をできる限り抑制するようにする。 このとき、駆動軸であるリングギヤ軸32aにはトルク指令Tr*が加えられた状態であるため、プラネタリギヤ30内や減速ギヤ35内でギヤ同士の歯打ち音が生じにくい。

    図7はハイブリッド自動車20が停車中で且つエンジン22の運転が停止しているときにエンジン22の始動要求がなされた場合の動作共線図である。 停車中で且つエンジン22の運転が停止しているときには、モータMG1,MG2及びエンジン22の各回転数Nm1,Nm2,Neはすべてゼロである(図7の点線参照)。 このようなときにシステムが起動されエンジン22の暖機やバッテリ50の充電を行なう必要がある場合にはエンジン22の始動要求がなされる。 モータMG1のトルク指令Tm1*はエンジン22の完爆後の時間t5以降にゼロトルクになるから(図5参照)、エンジン22からの出力トルクが小さすぎるとエンジン22に起因するトルク変動により図8に示すようにサンギヤ31の歯とピニオンギヤ33の歯との当接・離間が繰り返されてカチカチカチという歯打ち音が発生する。 同様にしてリングギヤ32の歯とピニオンギヤ33の歯との間でも歯打ち音が発生する。 このため、実施例では、ギヤの歯同士の当接・離間が起こらないトルクをエンジン22から出力するようにしている。 なお、モータMG1のトルク指令Tm1*については、その後エンジン22を自立運転させる場合にはそのままゼロトルクを設定し続け、その後モータMG1に発電させるにはトルク指令Tm1*に負の符号となるトルクを設定する。

    以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、エンジン始動要求があったときに運転者のパワー要求がなく且つ停車していた場合には、車体振動を十分抑制可能な微小トルクよりも若干大きな歯打ち抑制トルクをエンジン22から出力するようにするため、プラネタリギヤ30や動力伝達ギヤ60などでカチカチカチという歯打ち音が発生するのを抑制することが可能となる。 この歯打ち抑制トルクはギヤ歯同士が当接・離間を繰り返すことのない大きさのトルクであって微小トルクに近い値を採用しているため、エンジン22の始動時の車体振動をできるだけ小さくしつつ歯打ち音を抑制することができる。 また、エンジン始動要求があったときに運転者のパワー要求がなく停車していなかった場合には、駆動軸であるリングギヤ軸32aにトルクが加えられているため歯打ち音が発生しにくいことから、車体振動を十分抑制する微小トルクをエンジン22から出力するようにするため、エンジン22の始動時に運転者が車体振動を感じることはほとんどない。 このように、エンジン22の始動に伴う車体振動と歯打ち音とを運転状況に応じて適切に抑制することができる。

    また、エンジン始動要求があったときに運転者のパワー要求がある場合には、エンジン22の始動に伴う車体振動やギヤの歯打ち音を抑制するよりもエンジン22からいち早く大きなトルクが出力されるようにするため、運転者の要求にレスポンスよく応えることができる。

    なお、本発明は上述した実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。

    例えば、上述した実施例では、エンジン始動時にエンジン22から出力されるトルクの制御を点火時期を操作することにより行なったが、点火時期を操作する代わりにエンジン22に吸入する空気量(スロットル開度)を操作してもよい。 但し、吸入空気量を操作するのに比べて点火時期を操作する方が一般に迅速に行なうことができるため、点火時期を操作する方が好ましい。

    上述した実施例では、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72によって実行される始動時制御ルーチンで点火時期を設定するものとしたが、エンジン22の始動要求があったときにはハイブリッド用電子制御ユニット70からエンジンECU24へその始動要求を送信するようにし、その始動要求を受信したエンジンECU24のCPU24aが図9のエンジンECU側始動時制御ルーチンを行なうようにしてもよい。 すなわち、このルーチンが開始されると、エンジンECU24のCPU24aは、モータリングによって回転数Neが点火開始回転数Nstartになったあと、パワー要求がある場合とパワー要求がなく停車中の場合とパワー要求がなく走行中の場合のいずれに該当するかを判定し、それぞれの場合に応じて点火時期を設定する(ステップS300〜S350)。 なお、ステップS310〜S350は前述したステップS190〜S230と同様の処理である。 その後、エンジン冷却水温や吸気管温度などに基づいて算出した始動時燃料噴射量の燃料を燃料噴射弁126から噴射すると共に前出のステップS330〜S350のいずれかで設定した点火時期で点火プラグ130の電気火花により混合気に点火する処理を実行し(ステップS360)、回転数Neが完爆回転数Ncombを超えたあとハイブリッド用電子制御ユニット70へ完爆信号を出力する(ステップS370,S380)。 この場合、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、ステップS160のあとステップS250へ進み、エンジンECU24から完爆信号を受信するまでステップS100〜S160,S250の処理を繰り返し、完爆信号受信後にトルク指令Tm1*がゼロになるのを確認してそのルーチンを終了すればよい。

    上述した実施例では、今回の要求トルクTr*と前回の要求トルクTr*との差分を求めその差分が所定トルクを超えたときに運転者のパワー要求ありと判定するものとしたが、今回のアクセル開度Accと前回のアクセル開度Accとの差分(アクセル踏み増し量)を求めその差分が所定値を超えたときに運転者のパワー要求ありと判定してもよい。

    上述した実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を減速ギヤ35により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図10の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動軸63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図10における車輪64a,64bに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。

    上述した実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の始動時における可変バルブタイミング機構150の動作について言及しなかったが、吸気バルブ128の閉弁タイミングを遅角側にすることにより吸入行程から圧縮行程に移行してもできるだけ吸気バルブ128を開いたままの状態にすることが好ましい。 こうすることにより、エンジン始動時の圧縮行程で大きな圧縮力が生じることがなく、スムーズにエンジン22を始動させることができる。

    このように、本発明は内燃機関からの動力と電動機からの動力とを駆動軸に出力可能なハイブリッド自動車に適用することができるが、こうしたハイブリッド自動車に限定されるものではなく、自動車以外の車両、例えば列車や船舶などに適用することもできる。

    本発明の一実施例であるハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。

    エンジン22の構成の概略を示す構成図である。

    始動時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。

    要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。

    エンジン22を始動する際のモータMG1のトルク指令Tm1*とエンジン22の回転数Neと始動開始時からの経過時間tとの関係を設定したマップである。

    モータ運転モードでエンジン始動要求があったときのプラネタリギヤ30の回転要素を力学的に説明するための動作共線図である。

    停車中であって運転者のパワー要求がないときにエンジン始動要求があったときのプラネタリギヤ30の回転要素を力学的に説明するための動作共線図である。

    プラネタリギヤ30で歯打ち音が発生する際のメカニズムに関する説明図である。

    エンジンECU側始動時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。

    変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。

    符号の説明

    20,120 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、24a CPU、24b ROM、24c RAM、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 プラネタリギヤ、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 動力伝達ギヤ、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64 車軸、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、122 エアクリーナ、124 スロットルバルブ、126 燃料噴射弁、128 吸気バルブ、130 点火プラグ、132 ピストン、134 浄化装置、136,スロットルモータ、138 イグニッションコイル、140 クランクポジションセンサ、142 水温センサ、143 圧力センサ、144 カムポジションセンサ、146 スロットルバルブポジションセンサ、148 エアフローメータ、149 温度センサ、150 可変バルブタイミング機構、 MG1,MG2 モータ。

    QQ群二维码
    意见反馈