【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は錠付きドアのロック緊急開放システム、特に緊急時において、錠前を有するドアの作動とは無関係に、ドアを自動的に開放可能にした錠付きドアのロック緊急開放システムに関する。 【0002】 【従来の技術】ドアの取り付けは、建築物の内外、または建築物内での室の区画、ジェット機などの飛行体の操縦席と乗客席間の室の仕切り、ホテル内での各室の玄関において、数多く取り付けられている。 そして、これらのドアには錠なしのものもあるが、各室のプライバシーの保持や防犯上の問題から、錠付きが多数用いられている。 本発明では、防犯などの理由から、室の内外から解錠して室内に入り、室の内からはノブなどの取っ手(ハンドル)を廻して室外へ出るための、ドアのロック解放システムを改良せんとするものである。 【0003】すなわち、上記ドアロック解放システムは、室内からは取っ手を用いて室外へ、特に室外からはキーや磁気カードを用いるか、これらを用いないで記憶により特定ボタンを押したり、ダイヤル目盛を憶えておいてダイヤルを廻してから解錠してから、取っ手(ハンドル)を用いてドアーをオープンしていた。 特に、最近のジェット機などでは安全性を確保するためにロック錠が用いられており、飛行毎に暗証番号をチェックするものさえあり、ドアが躯体に取り付けた枠から自動的に開放することができないようになっている。 このロック錠としては、例えば特開昭58−80074号公報の発明やその改良発明としての特開平11−256896号公報のもの等が考えられる。 【0004】しかし、これらの錠は、もちろんドアを躯体枠に閉めた状態のままでは解放することはできないものであり、例えばジェット機の乗客席側に意図的に爆発があった場合(気圧が上がる)に、ドアや枠が爆発力より強固な場合では乗客席側の扉や窓、もしくは機体の一部が破壊されて外気と通じることで内部の気圧が急激に下がって乗客が危険な状態となり、また操縦席側の風圧でガラスが破れて気圧が急激に下がることにより、乗客席との境にあるドアが破壊されて操縦席中の計器やパイロットなどに当たり操縦不能状況になることが予想される。 また、密封状態にある室で爆発があると、室はもちろん住宅やビルの躯体も損傷し、人的にも非常に危険なことが予測されるだけでなく、ドアそのものが破壊されてしまう不都合があった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記欠点、すなわち爆発や突然の窓ガラス破壊に基づく室内外の圧力差により、室内での部品や計器もしくは人身の損壊を防ぐために、室内外の圧力差を瞬時に失くするようにした錠付きドアのロック緊急開放システムを提供せんとする。 【0006】本発明の他の目的は、上記緊急時においてロックされたドアを錠やハンドルにより解放する時間的余裕がない場合でも、ドアやその一部の錠などの破壊を防止して、そのドアの耐久性を高めんとするものである。 【0007】本発明の更に別の目的は通常時においては室外から錠と取っ手により、室内からハンドルによりドアを解放するようにしたドアのロック解放システムを用い、これをそのままドア内外の窓ガラスなどの機体破壊や機内爆発などの非常時において、上記ドアをロック状態にしたままで該ドアを瞬時に開放するようにした錠付きドアのロック緊急開放システムを提供するものである。 【0008】 【本発明の課題を解決するための手段と実施の形態】本発明の基本形成としては、室の内外を仕切るドアと、該ドア内外にあるハンドルで施錠ボルトを出入可能に取り付けた施錠ユニットと、該ユニットを前記室の外側からの操作により解錠可能にした各種錠機構とからなり、前記室の外側から前記錠機構を解錠して前記ハンドルにより前記施錠ボルトを引いてドアを解放するとともに、前記錠機構に関与することなく前記室の内側から前記ハンドルにより前記施錠ボルトを引くことでドアの解放を可能にした、常態としての錠付きドアのロック解放システムを提供するものである。 【0009】ここで、上記ドアには、両開きドアもあるが、一般には左付施錠ボルトか右付施錠ボルトの片開きドアであり、ドアの躯体への取り付け場所は屋内外の仕切るものの他に、屋内で各室を仕切るもの、および飛行機や自動車または船舶などの運送車の室内の仕切り、特に機内の操縦席と乗客席とを仕切るドアを含む。 【0010】上記各種錠機構が、本発明の請求項2のロック錠、ダイヤル錠、磁気錠、もしくはシリンダー錠のいずれかであり、いずれの錠にも共通するものとして、 解錠時にノブやレバーなどのハンドルを回転することにより、施錠ボルトをドア本体内に引いてドアを解放する構造になっていることにある。 この錠機構の解錠は、室外からのものであり、室内からは上記錠機構によらずしてハンドルで直接施錠ボルトをドア本体に引いてドアを解放する構造を兼ね備えたシステムになっている。 【0011】本発明であるドア構造の特徴部分は、上記システムに付加して、云い換えると、上記錠付きドアがロック状態にあっても、そのドアが内外の圧力差のみによって解放されるものであり、従来の施錠ユニットを改造したものと、連結機構、およびセンサードアとからなり、これらはセンサードアをドア内外の圧力差により開放することで連結構造に係止していた係止手段を係止解除することで連結構造を作動させ、該構造と前記施錠ユニットとの連結手段を引くことにより施錠ボルトをドア内に引いて、ドアをロック解放システムで強制的に解放することなく、自動開放するようにしたものである。 【0012】本発明である請求項3の施錠ユニットは、 ドア本体に固着した反力枠と施錠ボルトとともに出入する摺動枠と、これらの枠間に介在させた押圧スプリングを介在させて貫通した施錠ボルト、及びこの施錠ボルトの作動と連係する施錠ボルト係止部材からなるものである。 これらの構成、連結手段、連結機構、係止手段及びセンサードアを付加することにより、施錠ボルトのドア内への引っ込みを、常態での前記室の外側からの錠機構の解錠、もしくは錠機構に関与することなく直接施錠ボルトを前記室の内側からハンドルを操作してドアを解放するとともに、非常事態では前記室の内外での圧力差により前記ハンドルによらずしてドアの自動開放を行なうようにしたものである。 【0013】また、本発明である請求項4のセンサードアの構造としては、ドア内外の小さな圧力差、例えば7 g/cm 2以上の圧力差でセンサードアが破壊されることなく開放するように、室内外への貫通孔を均等バランスで複数設けるととともに、センサードアの圧力を受ける側を空気圧を受け易いスコップ状にしたことを特徴とする。 【0014】さらに、本発明である請求項5は、連結機構をカム機構とし、このカム機構に前記施錠ボルトからドアを引くようにして前記施錠ユニットとの間に連結手段を配置するとともに、前記センサードアとの間に係止手段を配設することで、前記センサードアの開放により、前記係止手段を前記カム機構から外すとともに、前記カム機構のカムを回転させて前記連結手段を引いて前記施錠ユニットの施錠ボルトをドアから引っ込めるようにしたことを特徴とする。 【0015】以上で用いた「施錠ボルト」とは、「ラッチ」すなわち出入棒の先がテーパー状のもの(一方向のみハンドルを廻さなくても押し入れの力のみによって引っ込んで躯体側の穴に入るもの)、「デッドボルト」すなわち丸棒や角棒のものでラッチのようにテーパーのないもの、及び「掛け金」や「閂」のようにクレモンボルトと称するものを含む。 【0016】 【作用】本発明では、ドアの施錠ボルトを出入させるために、一般に用いられている、室の外側から各種ある錠機構を解錠してから施錠ボルトをドア内に引いてドアを解放するとともに、室の内側からの操作により前記錠機構に関与することなく前記施錠ボルトをドア内に引くことでドアの解放を可能にした常態としての錠付きドアのロック解放システムを用いる。 そして、このシステムの施錠ユニットには施錠ボルトをドア内に引くためにカム機構からなる連結機構に連結する連結手段と、該連結機構を前記センサードアに連設する係止手段とを付設することにより、非常事態におけるドア内外の圧力差により前記センサードアを圧力の高い側から低い側へ開放することで、前記係止手段を外して前記連結機構を作動させて前記施錠ボルトを引くことで、ドアを自動開放するようにしたものである。 この場合のドアの自動開放は、上記ドアのロック解放システムにより強制的に解放することを排除するものである。 【0017】本発明のシステムには、ロック錠、ダイヤル錠、磁気錠、もしくはシリンダー錠のいずれかの錠を用いるが、いずれの錠を用いる場合、すなわち室の外側からロック錠のロックピンやダイヤル錠のダイヤル、磁気錠の磁気カード、及びシリンダー錠の鍵を用いる場合においても、それぞれの施錠ボルトすなわち掛け金を必ず用いる。 【0018】本発明の施錠ユニットは、ドア本体に固着した反力枠と、施錠ボルトとともに出入する摺動枠と、 摺動枠と反力板間に押圧スプリングを介して貫通した施錠ボルト及び常態において室の内外にあるハンドルと連動するカム錠により前記施錠ボルトをドア内に引き、非常事態において施錠ボルトの出入と関与しない施錠ボルト係止部材からなる。 そして、この施錠ボルトのドア内への引っ込みを、常態において前記室の外側からの錠機構による解除により、室の内側から、前記錠機構に関与することなく直接施錠ボルトを引くことで、非常事態では室の内外での圧力差により、上記施錠ボルト係止部材と関係なく、ドアの自動開放を行なうようにした。 このことにより、たとえば操縦席の窓が破れるなど室内が室外より減圧し、またその逆に乗客席での爆発により室外が室内より増圧した場合に、前記センサードアを自動開放できるようにしたために、従来のドアが自動開放できない場合のようにドア自体、あるてはドアの部品が操縦席に飛び散って操縦用計器の破損や操縦手を傷付けることを防止した。 【0019】本発明のセンサードアによれば、そのドアに複数の貫通孔を設けるとともに、高圧側からの圧力を受け易くするために略凹形にしたので、貫通孔の孔径や位置など設計によりセンサードアに受けた圧力の均一化と均等化を図ることがき、また圧力を受け易くしてセンサードア開放精度を上げた。 【0020】本発明のドアのロック緊急開放システムは、前記の施錠ユニット、センサードアおよび連結機構は全て機械的構成と作動して電気的作動を一切しないために、操縦席や各種室での計器の後作動やガスまたは石油等への発火を防止する。 【0021】また、連結機構をカム機構とし、これと施錠ユニット間に連結手段を、またセンサードア間に係止手段を、直線状かつ平面状に配置することでドアに対する余分な突出部が出ることを避け、簡易かつ確実な施錠ボルトの引っ込み動作を得られるようにした。 【0022】 【実施例】本発明のより好ましい実施例であるロック錠によるロック緊急開放システムを以下に説明するが、本発明がこの実施例に限定されるものでなく、ロック錠の他にダイヤル錠、磁気錠、又はシリンダー錠にも実施できる。 【0023】本発明は、常態においては、室の外側から錠機構を解錠してラッチユニットのラッチを引いてドアを解放するとともに、室の内側からは前記錠機構に関与することなく前記ラッチを引くことでドアを解放するようにしたドアのロック解放システムを用い、非常事態において、このシステムにラッチユニットと連結機構を連結した連結手段と、該機構とセンサードアとを連設した係止手段とをドアに付設することにより、前記ロック解放システムに関与しなくとも、前記センサードアと前記連結機構を作動させて上記ラッチユニットのラッチを引いてドアを自動開放するドアのロック緊急開放システムを要旨とする。 【0024】そして、本発明の特徴は、上記各種錠機構で解錠されるラッチを、そのラッチと連結した連結機構とセンサードアによりなり、センサードアがドアの外側からの高圧あるいは内側の低圧による圧力差により自動開放することでドア内外の圧力差を瞬時に均一化したことにある。 【0025】まず、本発明のロック錠の解放システムについて図8乃至図18により以下に一例としてのロック錠Aについて説明する。 【0026】このロック解放システムは、上記したように室の外側からドアのロック錠を解錠してノブなどのハンドルを廻してドアを解放し、内側からはドアのハンドルを廻すことでドアを解放する装置である。 【0027】図において、(乗客席側)メインハンドル1は、これと錠内で角ピン2で一体に連結されたカム錠3、及びその先部の解除カム4とからなり、このメインハンドル1を左又は右に回転することでラッチ6を躯体8側の穴9に掛脱自在にして、ドア7をラッチ6と反対側の躯体8に取り付けたヒンジ10で開閉可能にしている。 【0028】また、この乗客側ハンドル1をドア7を介して相対する位置にある(操縦席側)サブハンドル5 は、その先部にある前記解除カム4と連設し、後述するロック錠のシステムと縁を切って左右に回転可能にすることで、やはりラッチ6を穴9から出入してドア7を開閉する構成とする。 【0029】しかして、前記カム錠3の上方には該カム3を解錠により上下に摺動する錠プレート11を配置し、該プレート11に1列に各6個づつ、2列で計12 個の穴14を設けている。 これらの穴14にそれぞれ押ボタン12の先端(内部)に設けたシャンク13を配置し、各シャンク13には上下に180度位相差を有し、 かつ出入方向に位置をずらした上と下のノッチ15,1 6を設け、下ノッチ15は押ボタン12を押し込む前に錠プレート11と対応し、上ノッチ16は押し込み後に錠プレート11と対応する。 なお、前記押ボタン12には指で押し込むと押圧され、指を外すと元の位置に戻るスプリング22を設け、後でどの押ボタン12を押したか判らない機構になっている。 【0030】シャンク13の押ボタン12と反対側には、押ボタン12の押し込みによりシャンク13とともに移動したシャンク位置保持用の傘形位置決めプレート17があり、各プレート17の上部にはリセットボタン18により上下スライド可能にした押バネ19付きリセットプレート20を配置している。 なお、このリセットプレート20の下端は常にバネ21により下方に付勢されてカム錠3の上端に載置されている。 【0031】一方、前記位置決めプレート17の図上右方に一体に設けたストップバー28は、押ボタン12を一定の長さ以上押し込めないようにするために、ロック錠本体24と一体に設けたストッパープレート23を配置する。 さらに、プレート23の右方には、スプリング26を入れたシリンダー25を設け、このスプリング2 6の中に先端にピストン27を有するピストン棒29を配置する。 なお、このピストン棒29の右端に摘み30 を固着し、その摘み30には、どの押ボタン12を押せば解錠するかを、ロック錠の裏側から明らかにしておくために、非暗証ボタン(解錠のためには押し込んではいけない押ボタン)の摘み30は切り込みを上方位置31 −aにしてそのままの位置とし、暗証ボタン(押さなければ解錠しない押ボタン)は下方位置31−bに来るように摘み30を予め廻してシャンク13を180度回転しておく。 【0032】上記構成からなる、ドアに取り付けたラッチユニットのラッチを躯体の孔9から出入させる、ロック錠の操作を以下に説明する。 【0033】まず、ロック錠Aの錠が全く掛っていないフルオープン状態のものを図8乃至図11により説明する。 これらの場合、錠が掛っていない(フルオープン) ためにメインハンドル1を右又は左に回転すると、図8 から図10,図9から図11へと変形、すなわち錠プレート11と、それに対応した全ての押ボタン12に対応するシャンク13の下ノッチ15との間に隙間があるために、カム錠3のカム部3'が錠プレート11に当たって、上記隙間に錠プレート11が上がることができ、メインハンドル1、すなわち解除カム4を廻して、解除カム4を図2から図4へと作動させることで、ラッチユニットのラッチ6を躯体8の穴9から引っ込めることによってドアは解放される。 【0034】つぎに、上記フルオープンの12箇のロック錠1〜12の組み合せのうちから、図12と図13に示す右の一番上の押ボタン12の裏側に対応する摘み3 0に設けた切り込みを上方位置31−a(非暗証)から矢印のように下方位置31−b(暗証)に反転してこれを暗証の押ボタンとし、他を非暗証の押ボタンとしておく(図12,図13の矢印)。 この場合、そのままの状態ではメインハンドル1を廻わそうとしても、右の一番上に当たる錠プレート11はシャンク13に当接しているために廻すことができず、したがってロック状態にある。 そこで、このロック状態のものを解錠するには、右の一番上の押ボタンのみを図14の矢印のように押し込んで、シャンク13、位置決めプレート17及びストップバー28を、ストップバープレート23に位置決めプレート17が当接するまで押し込む。 この際、位置決めプレートの傘状のテーパ面にあったリセットプレート2 0の押バネ19は、傘径の一番大きい径を乗り越えて径の小さい箇所に移動することで、押ボタン12はスプリング22によって(図17のように)キャップ18のみを元の位置に復元する。 この時、位置決めプレート17 とシャンク13は押バネ19によって戻れない。 キャップ18が復元することにより、一度押された押ボタン1 2と未だ押されていない押ボタン12とでは外見上判別できなくなることで、より一層解錠する確率を小さくすることができる(図18)。 【0035】つぎに、上記図14の状態から、図15と図16の状態にするには、メインハンドル1を廻すと、 カム錠3により、バネ21に抗して錠プレート11とリセットプレート20を押し上げるとともに、解除カム4 を廻してラッチ6を躯体の穴9から引き出してドアを開放する。 【0036】なお、図17は、上記右列1番上の押ボタン12の他に、それ以外の上から2番目の押ボタン1 2、すなわち非暗証の押ボタン12を押した状態を示すものであり、この場合は2番目のシャンクが右方へ移動して錠プレート11に当接してしまいメインハンドル1 を廻すことができない。 したがって、一度でも非暗証の押ボタン12を押してしまうと、もうメインハンドル1 は廻すことができない構成になっている。 ただし、誤って非暗証の押ボタン12を押すことがあるが、こり場合には図8、図10、図12、図14、図15(図9、図11、図13、図16には記載していない)の一番上にあるリセットボタン18を押すことで、バネ21に抗してリセットプレート20を押し上げることにより、傘形位置決めプレート17の径の小さい箇所に移動していた押バネ19を押し上げると同時に、スプリング26によりピストン27、ストップバー28、位置決めプレート17、及びシャンク13を押して、リセットプレート2 0の押バネ19を位置決めプレート17のテーパー面の元の位置に戻す。 【0037】つぎに、上記ロック錠AとラッチユニットBからなるドアのロック解放システムに付加した、連結機構CおよびセンサードアDからなるドアのロック緊急開放システムの構造について、図1乃至図7により以下に説明する。 図1はセンサードアを外した緊急開放システムの分解斜視図、図2は通常のロック状態(図12と図13の暗証番号(矢印)を押した状態)を操縦席から見た縦断正面図で、図3は図2のラッチ位置の横断面図を示す。 これらの図において、前記図8乃至図17のメインハンドル1の角ピン2、カム錠3のカム部3'及び解除カム4が見える。 そして、この状態は上記したロック状態において乗客席側のメインハンドル1を廻そうとしても廻らず、ドアを開けることができないが、上記ロック錠を解錠してからメインハンドル1を廻すか、ロック錠と関与していないサブハンドル5を操縦席側から廻すことで、解除カム4を廻してラッチユニットのラッチ係止部材32を右方向に引くことで、ラッチ6を穴9から外すようにしている。 【0038】しかして、ラッチユニットBは、従来のものは上記ラッチ係止部材32と、こり係止部材32と一体にして同時にドア7の穴9から出入するラッチ6とからなるが、本発明ではこれを改良して、後述する連結機構Cと連結して作動するために、ラッチ6とピン33で一体として連結手段としての連結棒34と、連結棒34 を左右に動かす前記ラッチ係止部材32にビス36で固定した摺動枠35と、前記連結棒34を貫通させるとともに、前記ラッチ6の後端との間に押圧スプリング38 を介在させて連結棒34をドア7から出入できるようにした反力枠37を追加する。 【0039】つぎに、図1、図2及び図3に示すように、ラッチ6と反対側には、前記連結棒34を摺動可能に保持し、ラッチ6が穴9の中へ入っている位置において、ドア本体7に固定したデッドボルト39で止まるストップ板40を設けた連結手段としての非常用連結プレート41を配置する。 このプレート41には、前記した常態において、ドア表側からのロック錠の解錠によりメインハンドル1、あるいはドア7の裏側からサブハンドル5、を回転しても前記連結棒34のみが摺動してそれ自体動かない(図4)が、非常事態ではセンサードア側(右方)へ動くようにしてデッドボルト39の右側でのみ左右に動くことが可能で、かつ前記摺動する連結棒3 4から右側に離れて後述するカム機構Cに係止する引張ピン42を固定している。 また、この非常用連結プレート41には、後述する連結機構Cとしてのカム機構のカム板44を右に廻すよう付勢したバネ43より弱い力で、常にストップ板40を前記デッドボルト39との間に保持するようラッチ側(左方)に付勢しているバネ部材45を有する。 なお、この非常用連結プレート41 は、図1に示すように、左右逆コの字形のもので、その中にカム板44が支持軸51で回動可能に配置され、またコの字形の非常用連結プレート41の左右外側には左右(非常時は右方のみ)移動方向に2つづつのガイドピン46があり、これらがロック緊急開放システムのドア本体7の内側にある外函48に設けたガイド溝47に沿って、非常用連結プレート41を左右に安定して動かすことができるようにしている。 【0040】さらに、連結機構Cであるカム機構としてのカム板44は、前記したバネ43が、外函48に固定した固定ピン49と、カム板44の下部に設けたバネ係止部50間に設けられて、前記バネ部材45より強い力で外函48に軸支した支持軸51により、常に右廻りに付勢されている。 なお、外函48に固定した位置決めピン60は、支持軸に回動可能にしたカム板44をこれ以上左に廻らないストッパーの役目をしている。 このカム板44は、図示していないが、強度を強くし、よじれを防ぎ、振動を強くし、かつ部厚い部材の切断部位におけるダレやバリをなくする加工技術上3枚重ね構造としている。 【0041】そして、カム板44の右上肩に設けた凹部56において、ドア7に蝶番52で蝶着したセンサードアDの左上部をビス59止めした係止手段としての係止棒53の先部にある2つのフック55で係止している。 なお、押圧スプリング54は係止棒53の先部にある2 つのフック55で係止している。 なお、押圧スプリング54は係止棒53と外函48間にあって、係止棒53のフック55を常にカム板の凹部56に確実に係止している。 【0042】センサードアDは、図6に見られるように、飛行機の乗客席側からの一定の圧力以上(例えば乗客席側の爆発、または操縦席側の窓ガラスの破損による気圧の低下)が掛ることにより、ドア7は開けられた9 個の孔57から気圧がスコップ状のセンサードアに入ることで該ドアは開かれるように構成されている。 【0043】しかし、上記センサードアDは常態においては開かれず、すなわち非常態において開かれる状態を、以下に説明する。 【0044】前記したように、図2と図3が乗客席側と操縦席側間に大きな気圧差のない状態での通常のロック状態を示す。 この状態において、何らかの事故で操縦席側より乗客席側が急激に上がった場合、図5と図6に示すように、ドア7の孔57から空気が流れ込みセンサードアDは蝶番52により開くと、センサードアDとピン58で枢着している係止棒53を押圧スプリング54に抗して引くことでその先部のフック55がカム板44から外れ、カム板44はバネ43により右廻りに回転することで引張ピン42を引っ掛けたまま非常用連結プレート41及び連結棒34の先のラッチ6を押圧スプリング38に抗してラッチを穴9より引き、風圧によってドア7は自動的に開き、ドアの両側の圧力を均一にする。 【0045】なお、ドア7を元に戻すには、センサードアDを閉じてからドライバーを用いて支持軸51を左に廻してから係止棒53をカム板44の凹部56に掛ける。 【0046】 【発明の効果】上記した本発明システムは、ドアの室内外における圧力差が生じた場合に、所定圧力差において瞬時にドアに取り付けたセンサードアを開放することにより、人身の損傷や計器の破壊を防止した。 【0047】また、本発明システムによれば、ロックされたドアであっても、瞬間的な圧力差により、ドアや錠の破損を防止した。 【0048】さらに、本発明システムは、常時において錠や取っ手を用いて、云い換えれば時間的余裕をもってドアを開放していたものを、非常時では時間的余裕がなくても所定以上の室内外の圧力差によりドアを錠や取っ手を用いることなく、自動的に開放するようにした。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の特徴部分の一部を現わすセンサードアを外した緊急開放システムの分解斜視図【図2】本発明である錠付きドアのロック緊急開放システムの通常のロック状態を現わす縦断正面図【図3】図2のラッチの長さ方向の横断面図【図4】図2の通常のロック状態のシステムを通常のオープン状態にした縦断正面図【図5】図2のシステムを緊急時のオープン動作とした縦断正面図【図6】図5のラッチの長さ方向の横断正面図【図7】本発明装置のドア取付状態の説明図【図8】本発明に一例として用いるロック錠のフルオープン状態でハンドルを回転させる前の縦断面図【図9】図8のA矢視の縦断面図【図10】図9のフルオープン状態からハンドルを回転させた時の縦断面図【図11】図10のA矢視の縦断面図【図12】図8のうち上から二番目のボタンの裏側(右側)から180度反転させて、これを解錠の暗証番号とした状態を現わす縦断面図【図13】図12のA矢視の縦断面図【図14】図13の暗証番号のボタンを押した状態の縦断面図【図15】図14のすべてのボタンが解錠状態にしてハンドルを廻して解錠した斜視図【図16】図15のA矢視の縦断面図【図17】図12の状態のロック錠において誤って暗証ボタン以外の三番目のボタンを押した状態を示す縦断面図【図18】図8乃至図17の全ての暗証ボタン(暗証番号ボタンとそれ以外のボタン)はスプリングに抗して指で押して行くことができるが、指を放してもボタンは元に戻るが、ボタンにより押された内部シャフトはボタンとは縁が切られているので一度押し込むと元には戻らない状態を示す説明図【符号の説明】 A ロック錠B 施錠ユニット(ラッチユニット) C 連結機構D センサードア1 メインハンドル3 カム錠4 解除カム5 サブハンドル6 施錠ボルト(ラッチ) 7 ドア34 連結棒37 反力板38 押圧スプリング41 非常用連結プレート42 引張ピン43 バネ44 カム板53 係止棒55 フック56 カム板の凹部57 センサードアの孔 |