表面改質処理材料の製造方法、および表面改質処理材料の製造装置

申请号 JP2016084851 申请日 2016-04-20 公开(公告)号 JP2017193637A 公开(公告)日 2017-10-26
申请人 小澤 康男; 小澤 恒徳; 发明人 小澤 康男; 黒田 真一; 細井 克比古; 小澤 恒徳;
摘要 【課題】材料を流通式、かつ連続式に大気圧プラズマ照射処理できる表面改質処理材料の製造方法および製造装置を提供する。 【解決手段】材料を、重 力 によって、または気流を介して管内移動させながら、前記材料の表面に大気圧低温プラズマを照射する表面改質処理材料の製造方法であって、前記管の周方向に略等間隔に設置された複数のプラズマトーチから、大気圧低温プラズマを、前記管内を移動する前記材料に対し照射する。 【選択図】図2
权利要求

材料を、重量によって、または気流を介して管内移動させながら、該材料の表面に大気圧低温プラズマを照射する表面改質処理材料の製造方法であって、前記管の周方向に略等間隔に設置された複数のプラズマトーチから、大気圧低温プラズマを、前記管内を移動する前記材料に対し照射することを特徴とする表面改質処理材料の製造方法。前記プラズマトーチのプラズマ照射度を、前記管の長手方向に対し30度〜90度とする請求項1に記載の表面改質処理材料の製造方法。前記大気圧低温プラズマとして、発生温度が40℃以下のプラズマを用いる請求項1または2に記載の表面改質処理材料の製造方法。前記管の周方向に略等間隔に設置された前記プラズマトーチの本数を4〜16とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の表面改質処理材料の製造方法。複数の、前記管の周方向に複数の前記プラズマトーチが略等間隔に設置されたプラズマ分配器を、前記管の長手方向に直列に設置する請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の表面改質処理材料の製造方法。前記材料として、天然繊維または合成繊維を用いる請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の表面改質処理材料の製造方法。前記材料として、羽毛、繭を原料とする粉体若しくは微小繊維、絹糸、ウール、綿、麻、パルプまたは合成繊維を用いる請求項1〜5または6のうちいずれか一項に記載の表面改質処理材料の製造方法。前記材料として、羽毛を用いる請求項1〜5または7のうちいずれか一項に記載の表面改質処理材料の製造方法。前記材料が表面に金属酸化物や金属塩が付着した繊維材料である請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の表面改質処理材料の製造方法。材料の表面を大気圧低温プラズマにより照射処理するための表面改質処理材料の製造装置において、前記材料を、重によって、または気流を介して移動させる管と、前記管の周方向に略等間隔に設置された複数のプラズマトーチとを備えることを特徴とする表面改質処理材料の製造装置。前記プラズマトーチのプラズマ照射角度が、前記管の長手方向に対し30度〜90度である請求項10に記載の表面改質処理材料の製造装置。前記大気圧低温プラズマが、発生温度が40℃以下のプラズマである請求項10または11に記載の表面改質処理材料の製造装置。前記管の周方向に略等間隔に設置された前記プラズマトーチの本数が4〜16である請求項10〜12のうちいずれか一項に記載の表面改質処理材料の製造装置。複数の、前記管の周方向に複数の前記プラズマトーチが略等間隔に設置されたプラズマ分配器が、前記管の長手方向に直列に設置されている請求項10〜13のうちいずれか一項に記載の表面改質処理材料の製造装置。

说明书全文

本発明は、表面改質処理材料の製造方法、および表面改質処理材料の製造装置に関し、詳しくは、繊維材料を始めとする各種材料を流通式、かつ連続式のプラズマ照射処理による表面改質処理によって高機能化する表面改質処理材料の製造方法、およびこれに用いられる表面改質処理材料の製造装置に関する。

近年、繊維材料・製品の分野においては、新たな化学繊維材料の開発に加えて、既存の繊維材料自体を改良することにより新たな機能を付加した、高機能性繊維材料(いわゆるハイテク繊維)の開発が盛んである。例えば、繊維材料自体の吸性を高めた吸水性繊維や、抗菌性を付加した抗菌性繊維、約700kgの自動車を吊り上げることができる強度を有するスーパー繊維など、これまで製品としての改良により得られてきた機能をその原材料である繊維材料そのものに付与する技術が種々提案されてきている。

一方で、最近の自然派志向のブームに伴って、繊維材料に関しても、絹やウールなどを始めとする動植物由来の天然繊維の需要が高まってきている。このような天然繊維についても上述したような各種機能の付与が可能であれば、合成繊維にはない天然繊維の特性を活かして、従来になく優れた繊維材料を実現することが可能である。

しかし、上記のような従来の繊維材料の高性能、高機能化技術は、主に、合成繊維自体の構造を改良するといったものであり、天然繊維においては適用することができない。そこで、合成繊維はもちろん、天然繊維においても適用可能な繊維材料の高機能化技術として、繊維材料の表面改質処理技術が提案されている。

特許文献1には、ウンデシレン酸および/またはウンデシレン酸誘導体と重合性不飽和基を有する化合物とをエステル化反応させて得られたエステル化物を付与したポリエステル繊維を非重合性ガス中で一定時間静置しながら低温プラズマを照射処理し、表面改質処理することで、柔軟な風合いと良好な染色堅牢度を有し、かつ変色が少なく、殺菌性、抗ウィルス性および洗濯耐久性に優れた改質ポリエステル繊維を提供することが開示されている。

また、特許文献2には、表面にチタニアが付着したダウンの表面に、装置本体内で、バッチ式に大気圧低温プラズマ照射処理する表面改質処理繊維材料の製造方法が開示されている。大気圧低温プラズマを照射することで、繊維材料表面に付着したチタニアから不純物を取り除くことと、繊維材料表面に対しより強固に定着させることができることから、表面改質処理後の取り扱い時においてチタニアが剥離することをより確実に抑制し、合成繊維および天然繊維に付与した機能性を長期にわたり保持することが可能となることが示されている。

特開2011−208335号公報

WO2016/013484号公報

しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の表面改質処理繊維材料の製造方法並びに製造装置では、大気圧低温プラズマの照射はバッチ式反応器で行っていたため、表面改質処理繊維材料の生産速度、ひいては生産能がどうしても低く抑えられてしまううえ、作業に手間がかかるという問題があった。

そこで本発明の目的は、繊維材料を始めとする各種材料を、流通式、かつ連続式に大気圧プラズマ照射処理できる表面改質処理材料の製造方法および製造装置を提供することにある。

本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、下記構成とすることにより、上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明の表面改質処理材料の製造方法は、材料を重量によって、または気流を介して管内移動させながら、該材料の表面に大気圧低温プラズマを照射する表面改質処理材料の製造方法であって、前記管の周方向に略等間隔に設置された複数のプラズマトーチから、大気圧低温プラズマを、前記管内を移動する前記材料に対し照射することを特徴とするものである。

さらに、本発明の表面改質処理材料の製造装置は、材料の表面を大気圧低温プラズマにより照射処理するための表面改質処理材料の製造装置において、前記材料を、重力によって、または気流を介して移動させる管と、前記管の周方向に略等間隔に設置された複数のプラズマトーチとを備えることを特徴とするものである。

本発明によれば、繊維材料を流通式、かつ連続式に大気圧プラズマ照射処理でき、表面改質処理繊維材料の生産速度、ひいては生産能力を向上できるうえ、作業の手間を削減させることができる。

また、本発明の表面改質処理材料の製造方法の対象は繊維材料に限定されるものではない。重力によって、または気流を介しての管内移動が可能な材料、例えば球状、紛体状、繊維状の有機、無機各種材料であれば、本発明の製造方法を用いて表面改質処理を行うことができる。具体的な例としては、球状、円柱状の高分子ペレットや、金属粉などの定形物、羽毛や綿毛のような不定形物を挙げることができる。

プラズマ照射処理に使用するプラズマ分配器の縦断図である。

プラズマ照射処理に使用するプラズマ分配器のa−a’面横断図である。

プラズマ照射処理装置の概略図である。

プラズマトーチの構成を示す部分断面図である。

プラズマ照射処理に使用した照射度45度のプラズマ分配器の縦断図である。

プラズマ照射処理に使用した照射角度45度のプラズマ分配器のb−b’面横断図である。

バッチ式プラズマ照射処理装置の概略図である。

4連プラズマトーチの構成を示す概略図である。

4連で使用されるプラズマトーチの構成を示す部分断面図である。

プラズマ照射角度90度の場合のTi2pナロースペクトルを示すグラフである。

プラズマ照射角度45度の場合のTi2pナロースペクトルを示すグラフである。

プラズマ照射処理前のポリスチレン微粒子の水の濡れ性を示す写真図である。

プラズマ照射処理後のポリスチレン微粒子の水の濡れ性を示す写真図である。

以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。 本発明の表面改質処理材料の製造方法においては、材料、例えば、表面にチタニア等の金属酸化物、金属塩等が付着した繊維材料を管中で気流を介して移動させながら、前記管の周方向に略等間隔に設置された複数のプラズマトーチから、材料の表面に対し、大気圧低温プラズマの照射を行い表面改質処理を行うものである。この方法によれば、表面改質処理効果、具体的にはこの例では、繊維材料表面に付着したチタニア等の金属酸化物、金属塩等から不純物を取り除いたうえでの、繊維材料表面に対するより強固な定着、表面改質処理後の取り扱い時における前記金属酸化物、金属塩等が剥離することのより確実な抑制、合成繊維および天然繊維に付与した機能性の長期にわたる保持といった効果を有する大気圧低温プラズマ照射処理を流通式、かつ連続式に行うことが可能となる。

ここで、大気圧低温プラズマとは、大気圧下で、かつ、40℃以下程度の常温で発生させるプラズマである。本発明においては、材料の処理に大気圧低温プラズマを用いるため減圧を要すことがなく、設備コストや処理コストを抑えることができるとともに、常温で処理を行うことが可能であるため、被処理材料の形状や特性を損なうことがない。このような大気圧低温プラズマ照射処理は、例えば、クレスール(株)製の大気圧常温プラズマジェット発生装置CAPPLATを用いて行うことができる。プラズマ発生ガスの制限は特になく、一般に使用される各種のガスを使用することができるが、コスト性の観点からは、アルゴンガスが好ましい。

図1に、本発明の表面改質処理材料の製造装置の一好適例であるプラズマ分配器の縦断図を示す。また、図2に図1のプラズマ分配器のa−a’面横断図を示す。プラズマ分配器12は材料の移送管11に接続し、移送管11と略同一径の管の周方向に複数のプラズマトーチ13が略等間隔に設置されている。この設置は、例えば、プラズマ分配器12から突設された円筒状の突起部にプラズマトーチ13を嵌着することにより行うことができる。移送管11とプラズマ分配器12の管部分をあわせて管と総称し、また、これらの中の移動を管内移動と総称する。前記複数のプラズマトーチ13が移送管11内を移動する材料に対し管の周方向から万遍なくプラズマを照射することでプラズマ照射処理を流通式、かつ連続式に行うことが可能となる。プラズマ分配器12の内径は、プラズマトーチ13により発生するプラズマジェットが対向するプラズマ分配器12内壁に作用せず、かつ、プラズマ分配器12の中心部までは作用するように設定することが望ましい。また、図中の矢印は材料の流通する方向で、気流を介する場合は気流の流れる方向を表すが、移動する材料が滞留するのを防止するために、プラズマ分配器12上の各プラズマトーチ13設置箇所の根元部分の、移送管11の外壁の位置に相当する位置に、材料の目詰まり防止のためにナイロンメッシュ14が設置されている。

一つのプラズマ分配器12に設置するプラズマトーチ13の本数は周方向から万遍なくプラズマを照射するためには、多ければ多いほど好ましいが、多くなるとプラズマ分配器12の強度の低下や、装置コストの上昇が問題となる。一つのプラズマ分配器12に設置するプラズマトーチ13の本数は、移送管11の管径によっても変わってくるが、4〜16が好ましい。

移送管の長手方向に対するプラズマトーチ13のプラズマ照射角度(θ)は、大きければ大きいほど好ましい。すなわち、照射角度90度が最も好ましいが、30度以上であれば十分の効果が期待でき好ましいと言える。これは、照射角度が大きければ大きいほど照射光単位断面積あたりのプラズマのエネルギー密度が大きくなるからであると推定される。

材料の、移送管11およびプラズマ分配器12中の移動が気流を介して行われる場合、該気流に用いる気体の種類には制約はなく、コストの観点から、ブロワーにより送気されたエアを用いることが好ましい。材料が気流中で連続的に均一に流れるためには、気流はある程度の線速度を持つことが要求され、この線速度は、材料の形状、密度、気流の種類等によって異なってくる。具体的には例えば綿状の繊維材料の場合、5〜50cm/s、特には15〜20cm/s程度の線速度となるようエアを流して、このエアに材料を乗せて、材料を移動させる。単一プラズマ分配器12における材料へのプラズマ照射処理時間は、この線速度によって決まることとなる。

また、材料の、移送管11およびプラズマ分配器12中の移動が重力によって行われる場合も、単一プラズマ分配器12における材料へのプラズマ照射処理時間はこの線速度によって決まることとなる。一定の距離以上を落下する場合の線速度は、材料の形状、密度、雰囲気の種類等によって決まる終端速度になる。

このため、材料を、重力によって移動させる場合も、気流を介して移動させる場合も、プラズマの照射処理時間を線速度の調整によって行うには限界があり、プラズマの照射処理時間を長くするためには、プラズマ分配器12の個数を増やし、それを直列につなぐことが有効な手段となる。プラズマ分配器12を直列につなぐべき数はプラズマトーチ13の照射角度や、一つのプラズマ分配器12に設置するプラズマトーチ13の本数によっても異ってくるが、照射角度が90度、一つのプラズマ分配器12に設置するプラズマトーチ13の本数が8の場合には2〜3個であることが好ましい。

プラズマ分配器12への材料の供給は、移送管11上流のホールダーに材料を投入し、移送管11を介して行う。気流を介して移動させる場合、例えば前述のブロワーにより送気されたエアを用い、材料を連続式にプラズマ分配器12に移動させる際、材料の投入作業が終了したホールダーに気流が導入されるようにする必要がある場合には、例えば、移送管11上流のホールダーを複数とし、各ホールダーに接続されている移送管11上に設けられたバルブやブロワーからのエア管上に設けられたバルブをシーケンシャルに切り替えるといった装置構成が考えられる。

プラズマ分配器12からの材料の排出は、移送管11を介して移送管11下流のホールダーに行う。プラズマ分配器12に気流を介して材料を供給した場合、プラズマ照射処理された材料は、やはり、気流を介して移送管11下流のホールダーに排出される。材料を連続的に排出する際、処理済材料の取り出し作業を行っているホールダーに、気流とともに新たな処理済材料が流れ込まないようにする必要がある場合には、例えば、前記移送管11下流のホールダーを複数とし、各ホールダーに接続されている移送管上に設けられたバルブをシーケンシャルに切り替える装置構成が考えられる。

本発明に使用する材料としては、天然繊維および合成繊維を含むいかなる繊維材料も用いることができる。特に、従来は機能性材料による高機能化がほとんど行われていなかった天然繊維、すなわち、動植物由来の天然の繊維材料を母材とした繊維材料の大気圧低温プラズマ照射処理による流通式、かつ連続式な表面改質処理が可能である。かかる動植物由来の繊維材料としては、例えば、羽毛、繭を原料とする粉体若しくは微小繊維、絹糸、ウール、綿、麻およびパルプを挙げることができる。ここで、繭を原料とする粉体とは、繭から生糸を引き出すのではなく繭自体をそのまま粉砕することにより得られる、いわばシルクのパウダーをいい、繭を原料とする微小繊維とは、繭の表面に付着している微細なケバ(毛羽)をいう。また、絹糸とは、繭から引き出した状態の1本の絹糸および紡糸した絹糸の双方を含み、特殊な手法により得られる絹糸、例えば、シルクウェーブ(商品名(登録商標)、(株)マペペユニット製)等も含むものである。また、紙製品一般に用いられる繊維原料より得られる繊維材料も本発明に含まれる。

本発明に使用する材料は繊維材料に限定されるものではない。重力によって、または気流を介して管内移動できる材料、例えば球状、紛体状、繊維状の有機、無機各種材料であれば、本発明の製造方法を用いて表面改質処理を行うことができる。具体的には例えば、球状、円柱状の高分子ペレットや、金属粉などの定形物、羽毛や綿毛のような不定形物の表面改質処理が可能である。

以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。 <実施例1> (Tiゾルの作製) モレキュラーシーブにより脱水したメタノール900mlに、チタンテトライソプロポキシド(TTIP)100mlを溶解し、1.5M HCl水溶液10mlを添加して撹拌し、Tiゾルを作製した。

(チタニア付着処理) 前記Tiゾルを、液で満杯にならないようにTiゾル容器に入れ密封し、その気層に窒素ガスにて0.07MPaの圧力をかけ、Tiゾル容器の液層中に一端を浸した配管のもう一方の端部に備えられた噴射ノズルから、Tiゾルを繊維材料のダウン5gに万遍なく噴霧し、ダウンにチタニアを付着した。噴射ノズルはガス排出用のメッシュ部とともにダウンを収納するダウンホールダー上部に取り付けられており、Tiゾルは、ダウンの上部から噴霧された。Tiゾルに同伴する窒素ガスは上方から下向きに導入されたのち、上方から排出されることから、ダウンには高さ方向に回転移動する力が加わる。ダウン5gにTiO2ベースで1質量%吹きかけるために必要な時間を事前にシミュレーションした結果約11秒となったため、噴霧時間を15秒とし、前記ノズルから5gの容器内のダウンに万遍なく噴霧した。

(プラズマ照射処理装置) 図3にプラズマ照射処理装置の概略図を示す。図示する処理装置は、気流に乗せてチタニア付着ダウンを移動させる移送管11の途中に、本発明の好適装置であるプラズマ分配器12を備えている。ダウンがプラズマ分配器12を通過する際に、その周上に等間隔に設置されたプラズマトーチ13からプラズマが照射され、表面改質処理がなされる。

プラズマ分配器12の上流には、移送管11を介してプラズマ照射処理前のチタニア処理ダウンを投入するダウン入れ24があり、ダウン入れ24にはバルブ25を介してブロワー26が接続されている。また、プラズマ分配器12の下流には、やはり移送管11を介して、処理されたダウンを収納するための布製袋体の収納部27が接続されている。さらに、ダウン入れ24の上部には、ダウン投入用の開口部28が設けられている。

図1に示す通り、各プラズマトーチ13はプラズマ分配器12上で、移送管11の長手方向、すなわち繊維材料の流通方向に対して90度のプラズマ照射角度(θ)となるように配置されている。図中の矢印は繊維材料の流通する方向、すなわち気流を介して繊維材料を移動させる本実施例においては気流の流れる方向を表す。また、図2に示す通りプラズマ分配器12には、8本のプラズマトーチ13が移送管の周方向に等間隔に配置されている。

図4に、プラズマトーチの構成を示す部分断面図を示す。図示するように、プラズマトーチ13は、Cuパイプ(外径6mm,内径5mm,高電圧極)34と、Cuパイプ34の一端部を覆う2層のシリコーンチューブ(外径12mm,内径8mmおよび外径16mm,内径12mm)35と、を備えている。また、2層のシリコーンチューブ35側には、Cuテープ(幅20mm,アース極)36および金属メッシュ(150メッシュ)37が配置されている。大気圧常温プラズマを発生させる電源にはCAPPLAT(クレスール(株)製)を用いた。

また、プラズマ照射条件としては、±8kVの電圧をパルス状に20kHzで印加し、プラズマガスとしてアルゴンガス20LPM(l/min)を用いた。

(プラズマ照射処理) プラズマ照射処理方法を、図3を用いて説明する。まず、バルブ25を閉じた状態で、ダウン入れ24の開口部28から、チタニア処理ダウン5gをダウン入れ24の内部に投入した。次に、開口部28をふさいだ。

次に、大気圧、室温条件下で、プラズマ分配器12のプラズマトーチ13にアルゴンガスを供給して高電圧を印加した。次いで、ブロアー26を動かし、エアによりダウン入れ24内のダウンを線速度16cm/sのエア気流で移動させながら、移送管11経由でプラズマ分配器12を通過するダウンに対しプラズマを照射した。プラズマ分配器12でプラズマ処理されたダウンは、下流側の移送管11経由で収納部27に移動させた。

収納部27に移動したプラズマ照射処理済のチタニア処理ダウンを少量サンプリングし、残りをダウン入れ24に戻して再度のプラズマ照射処理を行った。これを繰り返し2回行い、プラズマ照射回数0〜3の4種類のチタニア処理ダウンのサンプルを採取した。

<実施例2> 実施例2では、実施例1から繊維材料の流通方向に対するプラズマ照射角度のみを変更した。図5に、プラズマ照射処理に使用したプラズマ分配器の縦断図を、図6に、プラズマ照射処理に使用したプラズマ分配器のb−b’面横断図を示す。図5に示す通り、実施例2で用いるプラズマ分配器42の各プラズマトーチ43は、移送管41の長手方向、すなわち繊維材料の流通方向に対して45度のプラズマ照射角度(θ1)となるように配置されている。図中の矢印は繊維材料の流通する方向、すなわち気流を介して繊維材料を移動させる本実施例においては気流の流れる方向を表す。また、図6に示す通りプラズマ分配器42には、実施例1のプラズマ分配器12同様、8本のプラズマトーチ43が移送管の周方向に等間隔に配置されている。

プラズマ分配器42のプラズマ照射角度以外は、プラズマ照射処理装置も、Tiゾルの作製条件、チタニア付着処理条件、プラズマ照射処理条件もすべて実施例1と同じにして、チタニア処理ダウンに対するプラズマ照射処理を繰り返し3回行い、プラズマ照射処理回数0〜3の4種類のチタニア処理ダウンのサンプルを採取した。

<比較例1> チタニア処理ダウンを流通式、かつ連続式にプラズマ照射処理を行う実施例1、2に対し、比較例では、チタニア処理ダウンをバッチ式にプラズマ照射処理した。具体的には、実施例1と同じTiゾルの作製条件、チタニア付着処理条件で作成したチタニア処理ダウンに、以下に示すプラズマ照射処理装置、プラズマ照射処理方法を用いて表面改質処理を行いサンプルを作製した。この様な処理を行ったチタニア処理ダウンは、前記特許文献2の実施例に該当し、保温性や剛性、弾性率がすべて高いうえ、この剛性および弾性率の高さの効果は洗濯した後も残ることが特許文献2中に記載されている。

(プラズマ照射処理装置) 図7に、バッチ式プラズマ照射処理装置の概略図を示す。図示する処理装置は、ダウンに対するプラズマ照射処理を行うための装置本体51と、エア注入用の注入口52と、処理されたダウンを装置本体51内から送り出すための送出口53と、装置本体51内のダウンに対しプラズマ照射処理を行うための照射装置54と、装置本体51内にエアを流入させるためのガス流入口55と、を備えている。

エア注入用の注入口52には、ブロワー56が接続されている。また、送出口53の下流には、バルブ57を介して、処理されたダウンを収納するための布製袋体の収納部58が接続されている。さらに、装置本体51の上部には、ダウン投入用の開口部59およびガス排出用のメッシュ部Mが設けられている。さらにまた、照射装置54に用いた4連プラズマトーチを備える大気圧常温プラズマジェット発生装置CAPPLAT(クレスール(株)製)は高圧電源HVに接続されている。

図8に、4連プラズマトーチの構成を示す概略図を、図9に、4連で使用されるプラズマトーチの構成を示す部分断面図を示す。図8に図示するように、4連プラズマトーチは、40mm間隔で4本のプラズマトーチ61が並列に配置されてなる。図中の符号62はアクリル板、63はコネクタ、64は塩化ビニル管を示す。また、図9に図示するように、プラズマトーチ61は、ガラスキャピラリ65と、外周を覆うCuパイプ(外径8mm,内径7mm,高電圧極)66と、Cuパイプ66の一端部を覆う2層のシリコーンチューブ(外径12mm,内径8mmおよび外径16mm,内径12mm)67と、Cuパイプ66の他端側でガラスキャピラリ65を覆うシリコーンチューブ68と、を備えている。また、シリコーンチューブ68にはピンチコック69が装着され、2層のシリコーンチューブ67側には、Cuテープ(幅20mm,アース極)70および金属メッシュ(150メッシュ)71が配置されている。

また、プラズマ照射条件としては、±8kVの電圧をパルス状に20kHzで印加し、プラズマガスとしてアルゴンガス20LPM(l/min)を用いた。

(プラズマ照射処理) まず、バルブ57を閉じた状態で、装置本体51の開口部59から、チタニア処理ダウン5gを装置本体51の内部に投入した。次に、開口部59をふさいで、ガス流入口55からエアを流した。ダウンがほぐれない場合には、ブロワー56を用いて、注入口52からエアを注入した。

次に、大気圧、室温条件下で、照射装置54のプラズマトーチにアルゴンガスを供給して高電圧を印加し、エアにより装置本体51内でダウンを高さ方向に回転移動させながら、ダウンに対しプラズマを30秒間照射した。次に、アルゴンガスおよびエアの供給を止め、メッシュ部Mをふさぎ、バルブ57を開いた状態でブロワー56を作動させて、処理されたダウンを収納部58に移動させた。

<実施例3> 実施例3では、ポリスチレン微粒子(東洋スチレン株式会社製 商品名 トーヨースチロールGP GP−1B)のプラズマ照射処理を行った。

実施例1に用いた移送管11およびプラズマ分配器12を鉛直方向に立てて固定し、ポリスチレン粒子を、その上部のホールダーに連続投入し、ホールダー底部に設置したふるいにより移送管断面全体に均一になるように自然落下させた。ポリスチレン微粒子は移送管11経由でプラズマ分配器12に送られ、プラズマ分配器12内を通過する間にプラズマ照射処理がされ、再度移送管11を経由して移送管下部に設置されたビーカーに排出された。プラズマ照射処理回数1回とした。また、プラズマ照射条件としては、±8kVの電圧をパルス状に20kHzで印加し、プラズマガスとしてアルゴンガス20LPM(l/min)を用いた。

<実施例4> 実施例4では、多重巻ポリプロピレン/ポリエチレン不織布(販売元 株式会社グローバル 商品名 不織布水切り 排水口用)のプラズマ照射処理を行った。

ポリプロピレン/ポリエチレン不織布を3層に巻いた状態で、その最も外側の層の上端2箇所に該不織布を吊り下げ、固定するための針金を通した。実施例3同様、実施例1に用いた移送管11およびプラズマ分配器12を鉛直方向に立てて固定し、針金で吊り下げられた不織布を移送管11の上部から管内に入れ、プラズマ分配器12の高さになる位置に固定した。実施例4では、プラズマ処理されるポリプロピレン/ポリエチレン不織布は、移送管11内を固定されており移動しない。固定された3層のポリプロピレン/ポリエチレン不織布の最も内側の層と最も外側の層を比較することで、プラズマ分配器12の管壁近傍部と、管中央部のプラズマ照射処理状況を比較することを目的として実施された。また、プラズマ照射条件としては、±8kVの電圧をパルス状に20kHzで印加し、プラズマガスとしてアルゴンガス20LPM(l/min)を用い、1分間プラズマ照射処理を行った。

<測定および評価> (ダウンのXPS測定) 実施例1、2および比較例1のプラズマ照射処理前と後のチタニア処理ダウン、実施例3のプラズマ照射処理前と後のポリスチレン微粒子、および実施例4のプラズマ照射処理前と後のポリプロピレン/ポリエチレン不織布の表面組成を、XPS(X線光電子分光法)により分析した。装置としては、Perkin Elmer社製のESCA5600を用い、X線源 MgKα 14kV 400W、TOA45°の条件とし、各サンプル2回ずつ測定を行ったうえで、平均値を求めた。

表1に、実施例1(プラズマ照射処理回数1回)および比較例1のプラズマ照射処理前後でのチタニア処理ダウンのXPS分析結果をまとめる。プラズマ照射処理回数1回であっても、バッチ処理並みに酸化が進んでおり、バッチ処理とほぼ同等の効果を得ることができることがわかる。

実施例1の流通式、かつ連続式プラズマ照射処理では、チタニア処理ダウンは30秒でプラズマ分配器12を通過した。一方、比較例1のバッチ式プラズマ処理では、プラズマ照射処理時間こそ30秒で同一であったが、その前後の、チタニア処理ダウンの容器内投入、プラズマ照射処理準備、プラズマ照射処理済ダウンの払い出し準備および払い出しの各作業を含めると優に5分を超える時間、すなわち、10倍を超える時間が必要であった。言い換えれば、流通式、かつ連続式のプラズマ照射処理装置では、バッチ式のプラズマ照射処理装置と比べ、同じ量のチタニア処理ダウンを10分の1以下の時間で処理できることになる。

図10に、実施例1のプラズマ照射角度90度の場合のTi2pナロースペクトルを、図11に、実施例2のプラズマ照射角度45度の場合のTi2pナロースペクトルを示す。実施例1でも実施例2でもTi2pナロースペクトルでは、プラズマ照射処理回数が2回、3回と進むに従って、低エネルギー側にシフトし、TiO2に近づいており、両者ともプラズマ照射処理の効果が認められるものの、一方で、プラズマ照射角度90度の場合に比べてプラズマ照射角度45度の場合は変化が小さく、1回当たりのプラズマ照射処理効果が小さいことがわかる。

表2に、実施例3のプラズマ照射処理前後でのポリスチレン微粒子のXPS分析結果をまとめる。プラズマ照射処理後のポリスチレン粒子では酸化が進んでおり、自然落下によりプラズマ分配器12を通過する瞬間にポリスチレン微粒子が酸化されたことがわかる。

図12に、プラズマ照射処理前のポリスチレン微粒子の水の濡れ性を示す写真を、図13に、プラズマ照射処理後のポリスチレン微粒子の水の濡れ性を示す写真を示す。プラズマ照射処理による表面改質処理により、ポリスチレン微粒子の濡れ性が大きく向上したことがわかる。

表3に、実施例4のプラズマ照射処理前後での多重巻ポリプロピレン/ポリエチレン不織布のXPS分析結果をまとめる。プラズマ分配器12の管壁近傍部だけでなく、管中央部付近でもポリプロピレン/ポリエチレン不織布が酸化されたことがわかる。

11、41 移送管 12、42 プラズマ分配器 13、43、61 プラズマトーチ 14 ナイロンメッシュ 24 ダウン入れ 25、57 バルブ 26、56 ブロワー 27、58 収納部 28、59 開口部 34、66 Cuパイプ 35、67 2層のシリコーンチューブ 36、70 Cuテープ 37、71 金属メッシュ 51 装置本体 52 注入口 53 送出口 54 プラズマ照射装置 55 ガス流入口 62 アクリル板 63 コネクタ 64 塩化ビニル管 65 ガラスキャピラリ 68 シリコーンチューブ 69 ピンチコック M メッシュ部

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