近接近の間接暴露を利用する、ポリマー材料の大気圧プラズマ処理

申请号 JP2015543102 申请日 2013-11-19 公开(公告)号 JP2016504713A 公开(公告)日 2016-02-12
申请人 ユーティー−バッテル・エルエルシー; リマックスコー・テクノロジーズ・エルエルシー; 发明人 フェリックス・エー・パウラウスカス; トルーマン・エー・ボンズ;
摘要 中間の加熱容積および内部の処理容積を含む処理チャンバを用意するステップを含むプラズマ処理方法。内部の処理容積はプラズマを発生するための電極組立体を含有し、中間の加熱容積が内部の処理容積を加熱する。被加工物は処理チャンバを通り抜ける。処理チャンバの内部の処理容積に処理ガスが導入される。電極組立体を用いて処理ガスからプラズマが形成され、プラズマの反応種は、電極組立体が内部の処理容積に生成した流れ渦によって繊維トウの方へ 加速 される。
权利要求

内部の処理容積を含むチャンバと、 前記内部の処理容積の中への、少なくとも1つの処理ガス入口と、 前記内部の処理容積を通って延在し、前記チャンバの第1の終端から前記内部の処理容積に入って前記チャンバの第2の終端から前記内部の処理容積を出る被加工物と、 前記内部の処理容積の中に、前記被加工物に近接近で存在する電極組立体であって、誘電体障壁、および、誘電体障壁の表面上の互いから分離された少なくとも2つのプラズマ発生電極を含む電極組立体とを備えるプラズマ処理装置。前記チャンバが、前記内部の処理容積を加熱するための加熱要素を備え、前記加熱要素が、抵抗ヒータ、接触加熱器、空気処理用加熱器、赤外線加熱器、マイクロ波加熱およびそれらの組合せから成る群から選択されたものである請求項1に記載のプラズマ処理装置。前記チャンバが外殻および中間の加熱容積を含み、前記内部の処理容積が、内殻によって前記中間の加熱容積から分離されている請求項1に記載のプラズマ処理装置。前記チャンバの前記外殻が、円筒状、長方形、楕円、または正方形の形状を備える請求項3に記載のプラズマ処理装置。前記チャンバの前記内殻が、円筒状、長方形、楕円、または正方形の形状を備える請求項3に記載のプラズマ処理装置。前記誘電体障壁が、酸化シリコン(SiO2)、ホウケイ酸塩類のガラス、ソーダ石灰ガラス、窒化シリコン(Si3N4)、アルミナ(Al2O3)、アルミノケイ酸塩、ポリアルミノケイ酸塩セラミック(ポリコール)、雲母およびそれらの組合せから成るものである請求項1に記載のプラズマ処理装置。前記中間の加熱容積によって生成された熱エネルギーが、前記内部の処理容積の中に拡散される請求項3に記載のプラズマ処理装置。前記中間の加熱容積が対流加熱によって加熱される請求項3に記載のプラズマ処理装置。前記電極組立体の上部電極が長方形の形状を有する請求項1に記載のプラズマ処理装置。前記上部電極の長手方向が、前記被加工物の進行方向と平行である請求項9に記載のプラズマ処理装置。前記上部電極の長手方向が、前記被加工物の前記進行方向に対して垂直である請求項10に記載のプラズマ処理装置。誘電体障壁の表面上の前記少なくとも2つのプラズマ発生電極が、誘電体障壁の第1の表面にあって長方形の形状を有する上部電極と、前記誘電体障壁の前記第1の表面の反対側の第2の表面にあって長方形の形状を有する下部電極とを含む請求項1に記載のプラズマ処理装置。前記上部電極の幅および長手方向の寸法のうち少なくとも1つが、前記下部電極の幅および長手方向の寸法のうち少なくとも1つよりも短いものであって、非対称の電極形状をもたらす請求項12に記載のプラズマ処理装置。前記非対称の電極形状が、処理ガスに適用されている前記少なくとも2つのプラズマ発生電極によって生成された反応種の電気流体学的流れ誘導をもたらす請求項13に記載のプラズマ処理装置。前記上部電極および前記下部電極のそれぞれの中心に長方形の開口が配置されている請求項12に記載のプラズマ処理装置。誘電体障壁の表面上の前記少なくとも2つのプラズマ発生電極が、誘電体障壁の第1の表面にあって円形の形状を有する上部電極と、前記誘電体障壁の前記第1の表面の反対側の第2の表面にあって円形の形状を有する下部電極とを含む請求項1に記載のプラズマ処理装置。前記上部電極の幅が前記下部電極の幅未満であって非対称の電極形状をもたらす請求項16に記載のプラズマ処理装置。前記非対称の電極形状が、処理ガスに適用されている前記少なくとも2つのプラズマ発生電極によって生成された反応種の電気流体力学的流れ誘導をもたらす請求項17に記載のプラズマ処理装置。前記上部電極および前記下部電極のそれぞれの中心に円形の開口が配置されている請求項16に記載のプラズマ処理装置。前記少なくとも2つのプラズマ発生電極が、平行板の構成で同一の長さを有し、処理ガスに適用されている前記少なくとも2つのプラズマ発生電極によって生成された反応種の電気流体力学的流れ誘導を生成しない請求項1に記載のプラズマ処理装置。前記少なくとも2つのプラズマ発生電極が、3形、星形、楕円およびそれらの組合せから成る群から選択された形状を有し得る請求項1に記載のプラズマ処理装置。外殻、内部の処理容積、および中間の加熱容積を含むチャンバであって、前記内部の処理容積が、内殻によって前記中間の加熱容積から分離されているチャンバと、 前記外殻から、前記内部の処理容積および前記内殻を通って、前記内部の処理容積へと延在する少なくとも1つの処理ガス入口であって、前記内部の処理容積に少なくとも1つの処理ガスを導入する少なくとも1つの処理ガス入口と、 前記内部の処理容積を通って延在する被加工物であって、前記チャンバの第1の終端から前記内部の処理容積に入って前記チャンバの第2の終端から前記内部の処理容積を出る被加工物と、 前記内部の処理容積の中に、前記被加工物を通すように存在する電極組立体であって、前記少なくとも1つの処理ガスからプラズマを発生し、前記電極組立体と前記内部の処理容積の形状の組合せによって誘起された流れ渦が、反応種を、前記プラズマから前記被加工物へと加速する電極組立体とを備えるプラズマ処理装置。少なくとも前記流れ渦が、前記内部の処理容積内に熱的均一性をもたらす請求項22に記載のプラズマ処理装置。前記チャンバの前記外殻が円筒状の形状を備え、前記チャンバの前記内殻が、円筒状、長方形、楕円、または正方形の形状を備える請求項22に記載のプラズマ処理装置。前記中間の加熱容積によって生成された熱エネルギーが、前記内部の処理容積の中に拡散される請求項22に記載のプラズマ処理装置。前記電極組立体が前記被加工物に近接近している請求項22に記載のプラズマ処理装置。前記電極組立体が、誘電体障壁と、誘電体障壁の表面上の、互いから分離された少なくとも2つのプラズマ発生電極とを含む請求項22に記載のプラズマ処理装置。中間の加熱容積および内部の処理容積を含むチャンバを用意するステップであって、前記内部の処理容積がプラズマを発生するための電極組立体を含有し、前記中間の加熱容積が前記内部の処理容積を加熱するステップと、 被加工物を、前記内部の処理容積を通り抜けさせるステップと、 前記処理チャンバの前記内部の処理容積に処理ガスを導入するステップと、 前記電極組立体を用いて前記処理ガスから前記プラズマを形成するステップであって、前記プラズマの反応種が、前記電極組立体によって前記内部の処理容積に生成した流れ渦によって繊維トウの方へ加速されるステップとを含むプラズマ処理方法。前記中間の加熱容積が、前記内部の処理容積の温度を500℃程度まで上昇させる請求項28に記載の方法。前記電極組立体が、誘電体表面の第1の側の少なくとも1つの第1の電極と、反対側の第2の誘電体表面の少なくとも1つの第2の電極とを含む請求項28に記載の方法。前記電極組立体が、前記繊維トウから30cm以下の寸法だけ分離される請求項28に記載の方法。前記被加工物を、前記処理チャンバを通り抜けさせるステップが、100〜500,000のフィラメントの範囲の被加工物サイズを含む請求項28に記載の方法。前記被加工物が、レーヨン、ポリアクリロニトリル(PAN)、石油および石炭ベースのピッチ、リグニン、およびそれらの派生物および組合せから成る群から選択されたポリマー前駆物質を含む請求項28に記載の方法。前記被加工物の処理された部分が、前記内部の処理容積の中に1分から300分の範囲の期間存在する請求項28に記載の方法。前記内部の処理容積に導入される前記処理ガスが、空気、窒素、酸素、窒素酸化物、二酸化炭素、一酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、素、水素含有ガス、酸素含有ガス、およびそれらの組合せから成る群から選択されたガスである請求項28に記載の方法。前記処理ガスが、窒素(N2)と2原子を持った分子酸素(O2)とのガス混合物であり、前記2原子を持った分子酸素(O2)の含有量が10%から100%の範囲であり得、前記窒素(N2)の含有量が0%から95%の範囲であり得る請求項28に記載の方法。前記プラズマを形成する前記ステップが、前記電極組立体に30Hzから20MHzの周波数範囲の交流電流(AC)を印加するステップを含む請求項28に記載の方法。前記プラズマの前記反応種が、O2、Ox、O、NxOy、HxOy、ならびに前記処理ガスのイオン、遊離基、励起状態および代謝安定から成る群から選択される請求項28に記載の方法。前記被加工物がポリアクリロニトリル(PAN)から成るものであり、前記反応種が酸素含有種から成るものであって前記被加工物を酸化させる請求項28に記載の方法。前記流れ渦が、前記電極組立体によって生成された非対称の電界勾配によって前記内部の処理容積にもたらされる請求項28に記載の方法。前記プラズマを発生するための前記電極組立体が含んでいる複数のプラズマ形成電極組立体が、前記内部の処理容積の長手方向に沿った温度勾配をもたらすように、独立してエネルギーを与えられ得る請求項28に記載の方法。

说明书全文

連邦政府の委託研究または委託開発に関する声明 本発明は、米国エネルギー省とUT−Battelle,LLCの間の契約番号第DE−AC05−00OR22725号の国庫補助を用いてなされたものである。米国政府は本発明における一定の権利を有する。

本開示は、ポリマー材料の安定化および酸化のための装置および方法に関し、より詳細には、ポリマー材料のプラズマベースの安定化および酸化のための装置および方法に関するものである。

たとえばポリアクリロニトリル(PAN)といったサーモプラスチックベースの繊維からの炭素繊維の生産は、一般的には複数ステップの処理であって、ポリアクリロニトリル(PAN)繊維が、最初に、大きな炉の内部で張をかけたまま室温から約300℃の範囲の酸化環境で処理される。酸化した繊維は、次に、不活性雰囲気の中で、約500℃から始めて約1000℃〜1200℃までの連続した温度で炭化され(炭化ステップ)、次いで、任意選択で約3000℃までさらに加熱される。従来、最初の酸化処理または安定化処理のステップが、通常の炭素繊維生産における最も時間のかかる律速段階である。

本開示の一実施形態では、内部の処理容積および熱源を含むチャンバを備えるプラズマ処理装置が提供される。処理ガス入口が、内部の処理容積の中に延在する。被加工物は、内部の処理容積を通って引かれ、チャンバの第1の終端から内部の処理容積に入ってチャンバの第2の終端から内部の処理容積を出る。内部の処理容積の中に、電極組立体が被加工物に近接近で存在する。電極組立体は、誘電体障壁と、誘電体障壁の表面上の、互いから分離された少なくとも2つのプラズマ発生電極とを含む。

本開示の別の態様では、外殻を有するチャンバと、内部の処理容積と、中間の加熱容積とを含むプラズマ処理装置が提供され、内部の処理容積は、内殻によって中間の加熱容積から分離されている。少なくとも1つの処理ガス入口が、チャンバの内部の処理容積に、少なくとも1つの反応種を生成するガスを導入する。この、少なくとも1つの処理ガス入口は、外殻から、内部の処理容積および内殻を通って、内部の処理容積へと延在する。被加工物は、内部の処理容積を通って延在する。プラズマ処理装置は、チャンバ内部の処理容積の中に電極組立体も含み、被加工物は、チャンバの第1の終端からチャンバの第2の終端へ進むとき電極組立体を通る。電極組立体は、少なくとも1つの処理ガスからプラズマを生成し、プラズマからの反応種を被加工物の方へ加速するための流れ渦を誘起する。

別の態様では、プラズマ処理方法が提供される。一実施形態では、プラズマ処理は、中間の加熱容積および内部の処理容積を含んでいるチャンバを用意するステップを含む。内部の処理容積は、プラズマを生成するための電極組立体を含有する。中間の加熱容積が内部の処理容積を加熱する。被加工物が内部の処理容積を通り抜ける。内部の処理容積に処理ガスが導入される。電極組立体を用いて、処理ガスからプラズマが形成される。プラズマの反応種は、電極組立体によって生成された流れ渦によって被加工物の方へ加速される。

以下の詳細な説明は、例として示されており、本開示をもっぱらそれに限定するように意図されたものではなく、添付図面とともに最もよく理解されるはずであり、同様の参照数字は同様の要素および部品を表す。

被加工物に近接近の間接暴露(CPIE)プラズマ処理工程を適用するための、本開示の一実施形態によるプラズマ処理装置の処理チャンバの等図である。

被加工物に近接近の間接暴露(CPIE)プラズマ処理を適用するための、本開示の一実施形態による処理チャンバであって、処理チャンバ内に存在する電極組立体が長方形に成形されたプラズマ発生電極を含み、該電極の長手方向が被加工物の長手方向に対して平行な処理チャンバの終端断面図である。

図2Aに表された本開示の一実施形態による処理チャンバの側断面図である。

被加工物に近接近の間接暴露(CPIE)プラズマ処理をもたらすための、本開示による処理チャンバであって、処理チャンバ内に存在する電極組立体が長方形に成形されたプラズマ発生電極を含み、該電極の長手方向が被加工物の長手方向に対して垂直な処理チャンバの終端断面図である。

図3Aに表された本開示の一実施形態によるプラズマ処理装置の側断面図である。

本開示の一実施形態によるプラズマ処理装置の別の実施形態の側断面図である。

誘電体障壁と、プラズマを生成し、かつ流れを誘起するように構成された少なくとも2つのプラズマ発生電極とを含んでいる電極組立体を含む、本開示の一実施形態による処理チャンバであって、周囲の体積拘束と組み合わせて、プラズマによって生成された反応種を加速するとともに処理チャンバの内部の処理容積内の熱的均一性を増進する流れ渦を生成する処理チャンバの終端断面図である。

図4Aに表された処理チャンバの切断線B−Bに沿った下向き図(top down view)である。

本開示の一実施形態による、処理チャンバの内部の、被加工物が通る処理容積内に整列して配置された複数の誘電体障壁のプラズマ放電電極組立体であって、電極のそれぞれが、被加工物の長手方向に対して長手方向が平行な長方形の形状を有する電極組立体を表す下向き図である。

本開示の一実施形態による、プラズマ処理装置の処理チャンバの内部の処理容積内の複数のプラズマ発生電極組立体の別の実施形態を表す下向き図である。

本開示の一実施形態による、多重パス構成の一実施形態を示す酸化モジュールの正面図である。

本開示の一実施形態による、プラズマ処理装置の処理チャンバの内部の、被加工物が通る処理容積内に整列して配置された複数の誘電体障壁のプラズマ放電電極組立体であって、電極が長方形の形状を有し、被加工物の長手方向に対して電極組立体の長手方向が垂直である電極組立体を表す下向き図である。

本開示による、プラズマ処理装置の処理チャンバの内部の処理容積内に配置された、電気流体力学的流れ効果を誘起しない複数のプラズマ発生電極組立体の別の実施形態を表す正面図である。

本開示による、プラズマ処理装置の処理チャンバの内部の処理容積内に配置された、電極の長さの差が電気流体力学的流れ効果を誘起する1つまたは複数のプラズマ発生電極組立体の別の実施形態を表す正面図である。

本開示による長方形の形状を有するプラズマ発生電極組立体の別の実施形態を表す下向き図である。

図11Aに表されたプラズマ発生電極組立体の等角断面図である。

本開示による長方形の形状を有するプラズマ発生電極組立体の別の実施形態を表す下向き図である。

図12Aに表されたプラズマ発生電極組立体の等角断面図である。

本開示による円形の形状を有するプラズマ発生電極組立体の別の実施形態を表す下向き図である。

図13Aに表されたプラズマ発生電極組立体の等角断面図である。

本開示による円形の形状を有するプラズマ発生電極組立体の別の実施形態を表す下向き図である。

図14Aに表された円形の形状を有するプラズマ発生電極組立体の等角断面図である。

誘導プラズマトーチの透視図である。

平坦な構成を有する誘導プラズマトーチの概略図である。

マイクロ波プラズマ装置の概略図である。

電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマ装置の概略図である。

本開示の一実施形態による、複数の電極組立体を含んでいる近接近の間接暴露(CPIE)プラズマ処理装置の終端断面図である。

図19Aに表された近接近の間接暴露(CPIE)プラズマ処理装置の側断面図である。

本開示の詳細な実施形態が本明細書で説明されるが、開示される実施形態は、様々な形態で実施され得る本開示の構成、構造および方法の単なる実例であることを理解されたい。それに加えて、様々な実施形態と関連して示されるそれぞれの例は、例示であって、限定することのないように意図されている。さらに、図は必ずしも原寸に比例するものではなく、特定の構成要素の詳細を示すために、いくつかの特徴が強調されていることがある。したがって、本明細書で開示される特定の構造上の詳細および機能上の詳細は、限定するものではなく、本明細書で開示される構成、構造および方法を様々に採用することを当業者に教示するための単なる代表的な基本と解釈されるべきである。明細書における「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的実施形態」などに対する参照は、説明される実施形態が、特定の特徴、構造または特性を含み得るが、すべての実施形態が必ずしも特定の特徴、構造または特性を含んでいるとは限らないことを示す。その上、そのような慣用句は、必ずしも同一の実施形態を表すわけではない。

本明細書で用いられる「プラズマ」という用語は、粒子の特定の部分がイオン化されている、ガスに類似の物質の状態を表す。プラズマ状態は、一般に第4の物質の状態と称される。純粋に熱的な見地からすると、固体を加熱すると融解し、または液体を加熱すると蒸発するのと同様に、ガスを十分に加熱するとプラズマ状態への相変化をもたらすことになる。そのため、ガスを十分に加熱すると、その分子または原子がイオン化し(それらの電子の数が減少するかまたは増加し)、したがって、荷電粒子と、プラスイオンと、マイナスの電子またはイオンとを含有しているプラズマへの相変化を誘起することになる。プラズマは完全にイオン化され得、または部分的にイオン化され得る。イオン化は、強力な電磁界などの非熱的メカニズムによって誘起することができ、存在する場合には、分子結合の解離を伴い得る。プラズマベースの工業処理技法は、「遠隔暴露」または「直接暴露」のいずれかを含み得る。直接暴露方法は、プラズマ容積の中に被加工物を直接浸漬するステップを包含している。ポリアクリロニトリル(PAN)繊維に関して、直接暴露プラズマ方法は、一般に、材料に対して過大な損傷を与える一方で、十分に有効な酸化を誘起することがない。遠隔暴露(RE)プラズマ方法は、プラズマ容積自体ではなく、プラズマによって生成された反応種のみを代わりに利用する。一般的には、プラズマ容積を処理容積に接続するのに、それだけではないが、一般的には(化学的純度のために)フルオロポリマーで製作された長い細管が用いられる。プラズマ容積からの処理領域の分離の長さの効果を調査したところ、遠隔暴露(RE)プラズマ処理への影響はほとんどなかった。これは、数分程度の半減期を有する反応種を数ミリ秒以下の半減期を有する反応種に対して分離する顕著な半減期閾値が存在するという事実によるものであった。直接暴露プラズマ方法に似て、遠隔暴露プラズマ方法も、処理されているポリマーの被加工物に損傷を与える可能性がある。直接暴露と遠隔暴露のどちらにおいても、ポリマーの被加工物に与えられる中程度の損傷によって、結果として得られる炭素繊維の炭化された機械的性質が制限される。

一実施形態では、本明細書で開示される方法および構造は、加熱処理チャンバとプラズマ放電チャンバの統合と、処理チャンバを通してポリマー繊維を引っ張るための繊維送出技法と、プラズマで生成された反応種をポリマーの繊維の方へ加速するプラズマ生成方法とを結合する方法および装置を用いて、直接暴露プラズマおよび間接暴露プラズマによる酸化などのプラズマベースの処理でポリマーの前駆物質を処理する際の前述の問題を克服することができる。

図1に表されるプラズマ処理装置の処理チャンバ100の一実施形態が提供する近接近の間接暴露(CPIE)プラズマ処理工程は、加熱処理チャンバの統合、すなわち中間の加熱容積10、およびプラズマ放電チャンバすなわち内部の処理容積5を含み得る。一般的な遠隔暴露(RE)プラズマ方法に関する問題の1つには、処理チャンバ内の熱的均一性および効率が不足していることがある。いくつかの実施形態では、図1に表された処理チャンバ100は、遠隔暴露(RE)プラズマ方法と比較して、向上した熱的均一性および効率を提供するものである。いくつかの実施形態では、処理チャンバ100の全体にわたって熱をより均一に分布させるために、中間の加熱容積10がもたらす対流加熱は、内部の処理容積5の中に存在する電極組立体20によって生成された非対称の電界勾配から生じる処理容積5内の流れ渦によって分散される。

より具体的には、図1に表された処理チャンバ100は、内殻9および外殻11が内部の処理容積5すなわちプラズマ放電チャンバの熱源になる中間の加熱容積10を画定する、対流加熱制御を利用するものである。この内部の処理容積5は、内殻9をもたらす材料によって、処理チャンバ100の炉部すなわち中間の加熱容積10から絶縁されている。熱エネルギーは、中間の加熱容積10から内部の処理容積5へ拡散される。内部の処理容積5では、ポリマー前駆物質の繊維が、被加工物6として繊維トウの形で長手方向に引き抜かれる。

図1を参照すると、円筒状、長方形、楕円状、正方形、または他の一般的な閉じた断面の多種多様な筺体形状が処理チャンバ100に適している。いくつかの実施形態では、熱的筺体と見ることができるあらゆるものが、処理チャンバ100として実施され得る。さらに、図1に表されているのは、処理チャンバ100の1つの形状のみである。たとえば、別の可能な構成では、単一の円筒状の断面内に多重パスゾーンが採用されてよい。

一実施形態では、図1を参照して、処理チャンバ100の外殻11は円筒状の形状を有する。処理チャンバ100の外殻11は任意の形状を有し得るので、処理チャンバ100の外殻11の円筒状の形状は、説明のためにのみ与えられたものであって、本開示をその形状だけに限定するようには意図されてないことが注意される。たとえば、外殻11は、長方形の形状のものなど、複数の面を有する形状でよい。外殻11は、ステンレス鋼などの金属から成るものでよい。一実施形態では、処理チャンバ100の外殻11は、ポリマーおよびセラミックなど、300℃より高い温度に暴露され得る熱的絶縁材料から成るものでよい。別の実施形態では、処理チャンバ100の外殻11は金属から成るものでよく、外殻11の外面のまわりには絶縁ブランケットが存在してもよい。絶縁ブランケットは、繊維ガラスベースの絶縁体、セラミックベースの絶縁体、またはポリマーから成るものでよい。外殻11が円筒状の形状を有する一実施形態では、外殻11は、2cmから5000cmの範囲の長さL1と、2cmから500cmの範囲の直径D1とを有してよい。

処理チャンバ10の内殻9は、中間の加熱容積10および内部の処理容積5の容積を画定する。図1に表された実施形態では、内殻9は、外殻11の円筒状の形状に対応する円筒状の形状を有する。外殻11に類似して、内殻9の形状は円筒に限定されない。たとえば、内殻9も、長方形の形状などの複数の面を有してよい。いくつかの実施形態では、内殻9は電気的絶縁材料から成り、内部の処理容積5を加熱するように、熱エネルギーが、内殻9の材料によって中間の加熱容積10から内部の処理容積5へ拡散することが可能になる。内殻9が金属から成るものでよいため、内殻9が電気的絶縁材料である必要はない。内殻9の別の機能には、本来腐食性かつ爆発性であり得る処理ガスおよび処理排気を密封して、外部環境への漏洩を防止することがある。適切な排気によって安全動作が保証される。

いくつかの実施形態では、内殻9の材料は、ガラス、セラミック、雲母、金属、任意の高温複合材(金属、ポリマー、セラミックおよびそれらの組合せ)から成るものでよい。内殻9の寸法は、内殻9が外殻11内に含有され、内殻9と外殻11を分離する空間が中間の加熱容積10をもたらすのに十分であるように選択される。一実施形態では、内殻9の寸法は、内殻9と外殻11を分離する寸法W1が0.1cmから100cmの範囲になり得るように選択される。別の実施形態では、内殻9と外殻11を分離する寸法W1は、1cmから10cmの範囲にあり得る。

いくつかの実施形態では、中間の加熱容積10は、対流熱によって内部の処理容積5の温度を上昇させ、すなわち中間の加熱容積は対流加熱器の構成要素である。「対流加熱器」は、空気処理用加熱器など、加熱要素にわたって、次いで加熱される作業成果物まで循環する空気の対流によって動作する加熱器である。一実施形態では、中間の加熱容積10向けに熱を生成する加熱要素は、抵抗加熱器(すなわち電気的加熱要素)である。一実施形態では、加熱要素は中間の加熱容積10の中ではなく外部に存在し、加熱要素によって生成された熱は空気によって中間の加熱容積に運ばれる。次いで、熱は、内殻9を通って内部の処理容積5の中に拡散する。したがって、いくつかの例では、電気的加熱要素からの電気的入力が処理空気を加熱し、次に処理空気が中間の加熱容積10を満たして内部の処理容積5の壁を加熱することによって内部の処理容積5を加熱し、すなわち内殻9を加熱することによって内部の処理容積5を加熱する。加熱要素は、カンタル(FeCrAl)、ニクロム80/20、銅ニッケル合金、珪化モリブデン(MoSi2)およびアルミニウム(Al)でドープされた珪化モリブデンから成る抵抗線またはリボンでよい。加熱要素も、チタン酸バリウムとチタン酸鉛の複合材など、抵抗の熱係数がプラス(PTCR)のセラミックから成るものでよい。加熱要素は、また、加熱ランプ、伝導加熱、マイクロ波加熱、抵抗加熱およびそれらの組合せによってもたらされ得る。加熱要素によって生成された熱を中間の加熱容積に移送するための空気は、注入ポート41を通って配送され、圧縮ガス源、ファン、送風機、または煙突効果をもたらす管路系統によって供給されてよい。

本明細書で開示された方法および構造は、中間の加熱容積10を加熱する対流加熱方法に限定されるものではない。たとえば、中間の加熱容積10は、伝導加熱、赤外線加熱、誘導加熱、およびマイクロ波加熱のうち少なくとも1つを用いて加熱されてよい。いくつかの実施形態では、内部の処理容積5の伝導加熱のために、内部の処理容積5の壁(すなわち内殻9)に接触加熱器を取り付けて、内部の処理容積5の壁(すなわち内殻9)に熱を直接与えることができる。そのような接触加熱器は、一般に、接触加熱器自体の中間基板を通じて内部の処理容積5の壁を直接加熱する内部の電気的抵抗素子を有し得る。加熱器は、高温、熱伝導性接着剤、セメントまたはエポキシ樹脂によって壁に接合され得る。

いくつかの実施形態では、内部の処理容積5を赤外線で加熱するために、赤外線加熱器が、内部の処理容積5の壁すなわち内殻9のコーティングに対して熱を放射するように設置され、内殻9のコーティングは、赤外線領域において強く吸収し、したがって内部の処理容積5に熱エネルギーを伝達して加熱する。別の実施形態では、内部の処理容積5を赤外線で加熱するために、内部の処理容積5の壁すなわち内殻9が効率的に吸収する材料で構成されていて、赤外線エネルギーによってそれ自体が単独で加熱される。赤外線加熱器は、処理容積の外部に配置され、内部の処理容積の壁が赤外線のエネルギーを透過するように構築されていれば、被加工物6に赤外線のエネルギーを直接伝送することができる。赤外線加熱器は、赤外線のエネルギーを被加工物6に直接伝送するように、プラズマ電極から電気的かつ化学的に十分に絶縁されるようなやり方で中間の加熱容積10の内部に設置され得、または内部の処理容積5に取り付けられてもよい。赤外線加熱器の代表例は電気的抵抗素子であり、電流が流れると、そのエネルギーを赤外線放射に効率的に変換するか、または熱エネルギーを赤外線放射に効率的に変換する基板を加熱する。

いくつかの実施形態では、被加工物6またはチャンバ壁すなわち内殻9を加熱するのにマイクロ波エネルギーを利用することができる。いくつかの例では、マイクロ波エネルギーを効率的に役立てるために、被加工物6またはチャンバ壁すなわち内殻9は、ほとんどのマイクロ波エネルギーを効率的に吸収して熱エネルギーに変換することができる。したがって、赤外線構成のとき説明されたのと同様に、2つの可能な構成が存在する。最も一般的なマイクロ波エネルギー源は磁電管である。マイクロ波エネルギー源を導波管に結合すると、所望の加熱効果を達成することができるはずである。

一実施形態では、中間の加熱容積10で生成された熱によって、内部の処理容積5の温度が、たとえば20から25℃といった室温から500℃の範囲だけ上昇し得る。別の実施形態では、中間の加熱容積10で生成された熱によって、内部の処理容積5の温度が、100℃から300℃の範囲だけ上昇し得る。

処理チャンバ100は、被加工物6が処理チャンバ100を通って被加工物6によって引き抜かれ得るように、それぞれの終端に開口を含み得る。処理チャンバ100のそれぞれの終端における開口は、選択された数の被加工物6が処理チャンバ100を通って引き抜かれ得るような寸法および任意の数でよい。処理チャンバ100は開口も含んでよく、これを通って処理ガス入口30が内部の処理容積5の中に延在する。処理ガス入口30は、被加工物6および電極組立体20の上に、処理チャンバ100の上部面を通って配置されて表されているが、処理ガス入口30の位置は、この配置のみに限定されるわけではない。処理ガス入口30により、処理ガスが、これも電極組立体20を含有している処理チャンバ100の内部の処理容積5に導入される。

一実施形態では、本明細書で開示される方法および構造は、ポリアクリロニトリル(PAN)繊維または他のポリマー材料の酸化または化学的架橋を提供する。いくつかの実施形態は、ポリマーの中への拡散速度を高めるために、2原子を持った分子酸素(O2)の代わりに1原子から成る酸素(O)などの反応性酸化種(ROS)を採用し、その結果、繊維の内部の未反応の酸化していない材料が、より効率的に処理され得る。拡散の総括速度を高めることにより、ポリアクリロニトリル(PAN)ベースの炭素繊維の生産における熱硬化の段階である酸化の第2のサブ段階を完成するのに、より多くの酸素が有効になる。特定の反応性酸化種の1つである原子酸素は、質量が分子酸素の半分であるばかりでなく、より化学反応性が強く、繊維の、必要とされる未反応の内部の領域の中に拡散した後、ポリアクリロニトリル(PAN)と反応し得る以前に解離する必要がないはずである。

反応性酸化種(ROS)は、処理ガスの存在下で生成されたプラズマの生成物でよい。空気はプラズマ装置向けの1つの処理ガスであるが、特定の用途向けには、いくらかの酸素混合物を含む処理ガスまたは酸素含有ガスの他の混合物が適していることがある。実例には、それだけではないが、乾燥した空気または湿った空気と、窒素と、酸素および酸素含有ガスと、窒素、窒素酸化物と、一酸化炭素、二酸化炭素と、ヘリウム、アルゴンまたは他の不活性ガスと、アンモニアを含む素および水素含有ガスと、それらの混合物とが含まれる。

一実施形態では、ポリアクリロニトリル(PAN)から成る、たとえばポリマートウといった炭素繊維用のポリマー前駆物質の酸化に利用される処理ガスは、窒素(N2)と2原子を持った分子酸素(O2)のガス混合物を含み得る。窒素(N2)と2原子を持った分子酸素(O2)のガス混合物の、酸素含有量、すなわち2原子を持った分子酸素(O2)含有率は、10%から100%の範囲であり得、窒素(N2)含有率は0%から95%の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、プラズマ源によって処理ガスから生成され得る反応性酸化種には、O2、Ox、O、NxOy、HxOy、および他の酸素含有種、ならびに任意の処理ガスのイオン、遊離基、励起状態および代謝安定が含まれる。

いくつかの実施形態では、加熱空気を中間の加熱容積10の中へ導入するための入口41を含んでいる処理チャンバ100は、処理チャンバ100の内部の処理容積5の中に直接供給するように分流されたこの流れのすべてのうち一部分を有することができる。いくつかの実施形態では、中間の加熱容積5の温度は、加熱空気を内部の処理容積5および中間の加熱容積10の中に直接導入するための入口41によって制御される。入口41によって内部の処理容積5に導入された加熱空気は、中間の加熱容積10を加熱するのに採用された前述の従来の加熱法のうちいずれかを用いて加熱されてよい。

図1〜図14Bを参照して、電極組立体20は、処理チャンバ100の内部の処理容積5の中にも存在し得る。電極組立体20は、被加工物6が処理チャンバ100の第1の終端から第2の終端へ進むとき電極組立体20を通るように配置されてよい。いくつかの実施形態では、電極組立体20は、1)熱を発生して中間の加熱容積10に供給する加熱要素のエネルギー所要量を低減し、2)電気流体力学的流れ誘導によって内部の処理容積5内に熱を分散させて、3)処理ガス入口30によって内部の処理容積5に導入された処理ガスから反応性の強い短命な種を生成する、といった3つの目的に役立ち得る表面プラズマ装置をもたらす。「電気流体力学的流れ誘導」という用語は、正味の可動電荷(net mobile charge)を有する流体に働く電界によって生成された粒子または流体の移送である。いくつかの実施形態では、電気流体力学的流れ誘導によって、プラズマと、チャンバの形状と、プラズマ形成電極の配置との組合せに由来する、処理チャンバ100の全体にわたる対流加熱がもたらされる。プラズマ40への被加工物6の近接近のために、反応性の強い短命な種は、ポリマー材料の酸化率を能動的に加速することができる。電極組立体20によって内部の加熱容積5の中に形成されたプラズマ40が、処理ガス入口30によって内部の加熱容積5に導入された処理ガスから反応種を生成して維持する。反応種と中間の加熱容積10によって生成された温度との組合せが、酸化率の加速に関与する。

図1〜図8において、プラズマ生成方法は、誘電体障壁24の向かい合った面に少なくとも2つの電極21、22、23が存在する電極組立体20からの表面放電である。一実施形態では、表面放電プラズマ生成は、放電空間に加えて金属電極間の電流通路に1つまたは複数の絶縁層が存在することによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、電極21、22、23が、電極組立体20(パネルとも称される)を取り巻くガスの降伏電圧を超過する30Hzから60kHzの周波数範囲の交流電流(AC)で電気的に励振されるとき、誘電体障壁24の表面上にプラズマが形成される。いくつかの実施形態では、電極21、22、23に印加される交流電流の周波数範囲は、無線周波数領域(すなわち数十MHz)に及ぶものでよい。一実施形態では、電極21、22、23は、40Hzから50kHzの周波数範囲の交流電流(AC)で励振される。このプラズマの適切な生成は圧力に左右されるが、一般的には、それだけではないが1トル〜1500トルという広い範囲にわたって適切に動作するはずである。いくつかの実施形態では、プラズマを生成するための圧力は250トルから800トルの範囲でよい。一例では、現在の工業のポリマー繊維変換ラインへの理想的な統合のために、動作はおおよそ大気圧(760トル)で行われる。

プラズマ40の反応種は、処理ガス入口30を通って処理チャンバ100の内部の処理容積5に導入された処理ガスの存在下で電極21、22、23に電圧を印加することによって生成され、処理ガスが、プラスに帯電したイオンおよびマイナスに帯電したイオンならびに電子すなわち「反応種」成分にイオン化される。このタイプの放電のプラズマ物理学は、標準的な誘電体障壁放電のメカニズムに従うものであり、イオン化の主要なメカニズムは電子なだれである。もたらされるプラズマ放電は非熱様式のものであり、すなわち電界から印加されるエネルギーの大部分を電子集団が吸収し、イオンおよび中性密度は室温に近いままである。

生成される反応種のタイプおよび量を決定するのに、温度、圧力、プラズマ物理学、電気的特性、電極形状、および周囲ガスの化学的性質のすべてが寄与する。反応種生成の主要なメカニズムは粒子衝突である。プラズマにおいて生じ得る一般的な原理の反応ステップは、特定のプラズマの動作様式に限定されるものではなく、また、本発明が、表1に列挙された電子放出、解離およびイオン化、ならびに再結合であることにも限定されない。

反応は複雑であり、一般的には、プラズマ容積の外部で検出される反応種は、それら自体がプラズマ容積の外部では残存し得ない短命な反応種(反応中間体)の間の複数ステップの反応の結果である。たとえば、大半のイオン種は、第三体の存在によって触媒された再結合のために、通常はプラズマ容積の外部では残存し得ない。それにもかかわらず、プラズマ容積によって生成された紫外光子により、プラズマ容積の外部の励振状態の種および準安定分子の寿命が、処理条件に依拠して、異なる度合いで延長され得る。

いくつかの実施形態では、表面プラズマは、たとえばポリマーの前駆物質の酸化といった被加工物の化学的変換メカニズムを加速するために、室温から300℃の範囲で加熱され得る内部の処理容積5の中の被加工物すなわち被加工物6の近接近で生成される。本明細書で用いられる「近接近」という用語は、たとえば繊維トウといった被加工物6と電極組立体20の誘電体障壁24の間の距離D4が30cm以下であることを意味する。たとえば、たとえば繊維トウといった被加工物6と電極組立体の誘電体障壁24の間の距離D4は、20cm、18cm、16cm、14cm、12cm、10cm、8cm、6cm、4cm、2cmまたは1cmである。前述の値のうち任意の2つからもたらされる範囲も、本明細書で企図されている。例として、たとえば繊維トウといった被加工物6と誘電体障壁24の間の距離D4は、1cmから15cmの範囲でよい。別の実施形態では、たとえば繊維トウといった被加工物6と誘電体障壁24の間の距離D4は、5cmから10cmの範囲でよい。

いくつかの実施形態では、被加工物6すなわち繊維トウに対する近接近D4にプラズマ容積40を配置することにより、より短命な反応種が、被加工物6の化学処理において、より大きな役割を果たすことができる。たとえば、いくつかの実施形態では、プラズマ容積からの反応種が、約10−4秒の時間で、被加工物6すなわち繊維トウに到達することができると推定される。それに比べて、遠隔暴露(RE)プラズマ処理方法は、プラズマからの反応種が被加工物すなわち繊維トウ6に到達するのに数秒程度かかる。いくつかの実施形態では、処理チャンバ100の内部の処理容積5内の、電極組立体20の電極21、22、23の形状ならびに電極組立体20の配置は、プラズマの反応種を被加工物6すなわち繊維トウの方へ加速する、内部の処理容積5内の電気流体力学的流れ誘導に影響を与え得る。電気流体力学的流れ誘導効果は、本開示のすべての実施形態に必要というわけではないことが注意される。

図1、図2A、図4Aおよび図4Bが示す一実施形態では、電極組立体20は、誘電体障壁24によって分離された2つの上部電極21、22と単一の下部電極23とを含む。2つの上部電極21、22は誘電体障壁24の第1の面に存在し、単一の下部電極23は誘電体障壁24の反対側の第2の面に存在する。2つの上部電極21、22は長方形の形状であって、それらの長手方向は被加工物6の進行方向に対して平行である。図3Aおよび図3Cが表す本開示の別の実施形態は、これも、長方形の形状を有する2つの上部電極21、22を含み、それらの長手方向は被加工物6の進行方向に対して垂直である。図3Bが表す本開示のさらに別の実施形態では、誘電体障壁24の一方の面すなわち上部面には単一の電極22’のみが存在し、他方の面すなわち下部面には単一の下部電極23が存在する。

図1〜図8を参照して、一実施形態では、反応種を生成するプラズマ40をもたらす電極組立体20の電極21、22、23は、白金、アルミニウム、銅、金、銀、およびそれらの組合せなどの導電材料から成るものである。上部電極21、22は、長方形の形状であるとき、長さは2cmから5000cmの範囲でよく、幅は0.01cmから10cmの範囲でよく、厚さは0.01cmから10cmの範囲でよい。図2Aを参照して、一実施形態では、上部電極21と22を互いから分離している距離D3は、1cmから500cmの範囲でよい。単一の下部電極23は、上部電極21、22の第1の電極21から第2の電極22に及ぶ幅を有し得る。いくつかの例では、単一の下部電極23の外縁は、第1の上部電極21の外縁および第2の上部電極22の外縁と実質的に整列してよい。たとえば、単一の下部電極23は、0.01cmから500cmの範囲の幅を有し得る。単一の下部電極23の厚さは0.01cmから10cmの範囲でよい。上記は固体電極の一般的な寸法である。これらの電極は、固体電極の構成に加えて、中空電極でもあり得る。

いくつかの実施形態では、上部電極21、22は高電圧電極と称されることがあり、単一の下部電極23は接地電極と称されることがある。一実施形態では、誘電体障壁24はセラミック材料から成るものである。たとえば、誘電体障壁24は、酸化シリコン(SiO2)、ホウケイ酸塩類のガラス(borosilicate family of glasses)、ソーダ石灰ガラス、窒化シリコン(Si3N4)、アルミナ(Al2O3)、アルミノケイ酸塩、ポリアルミノケイ酸塩セラミック(ポリコール)、すべての種類の雲母(たとえば黒雲母、白雲母、金雲母など)、温度的に最も安定した誘電体材料、任意の非導電セラミックポリマーおよび高温ポリマー、ならびにそれらの組合せから成るものであり得る。誘電体障壁24の厚さは0.01cmから10cmの範囲でよい。

電極組立体20はパネルと称されることもある。処理チャンバ100の内部の処理容積5内には、任意数の電極組立体20が存在し得る。一実施形態では、処理チャンバ100の内部の処理容積5の中にある電極組立体20の数は、被加工物6に対して遂行しようとする処理の数に対応するように選択されてよい。図5〜図8が表す本開示のいくつかの実施形態は、処理チャンバ100の内部の処理容積5内の電極組立体20の配置を示す。前述のように、図5〜図7に表された電極組立体20のそれぞれには、誘電体表面24上に存在し、互いから分離されている2つの上部電極21、22が含まれる。図5が表す本開示の一実施形態には、連続して、すなわち直線状に並んで配置された複数の電極組立体20a、20b、20cが含まれる。図5に表される電極組立体20a、20b、20cは、電極組立体20a、20b、20cの上部電極21、22の長手方向が、被加工物6の進行方向(length of travel)に対して平行になるように配置されている。図5に表された実施形態は電極組立体20a、20b、20cに関して個別のユニットを示すが、この構成は、内部では分割されているものの、装置の外部から観察すると1つの連続したユニットとして見えることもあり得る。加えて、外部で1つのオーブンに見えるモジュールが、実際には内部に温度勾配があるか、またはこれらの温度勾配を画定する内部の分割器を有することがある。

図6が表す本開示の一実施形態では、被加工物6が内部の処理容積5を何回も通過し、被加工物6は、内部の処理容積を通過するごとに、異なる電極組立体20d、20e、20fを通過する。図6に表される電極組立体20d、20e、20fは、電極組立体20d、20e、20fの上部電極21、22の長手方向が、被加工物6の進行方向に対して平行になるように配置されている。

図7は、多重パス構成を示す酸化モジュールの正面図である。内部に×を有する円は紙面に入って行く方向を表し、内部に点を有する円は紙面から出て来る方向を表す。3つの破線6は、(サイズを問わず)個々の繊維トウの列を表す。電極組立体20’は、それぞれの多重パスチャンバの頂部および底部に位置してよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、各チャンバの頂部および底部に電極組立体20’を有する必要はなく、頂部および底部にそれぞれ1つだけあればよい。多重パスの数は2から50の範囲であり得る。

図8が表す本開示の別の実施形態では、複数の電極組立体20g、20h、20i、20j、20kが直線状に並んで配置されている。この実施形態では、電極組立体20g、20h、20i、20j、20kの上部電極21、22の長手方向は、被加工物6の長手方向に対して垂直である。図1〜図8に表された電極組立体の例は、説明のためにのみ提供されたものであって、本開示を限定するようには意図されていない。本明細書で開示された方法および構造向けに多種多様な電極形状が可能であることが注意される。

たとえば、図9が表すプラズマ発生電極組立体50の一実施形態は、反応種を生成するが電気流体力学的流れ効果は誘起しないCPIEプラズマ処理装置の内部の処理容積5内に配置するためのものである。プラズマ発生電極組立体50は、第1の電極51と第2の電極52の間に少なくとも1つの誘電体層53a、53bを有する平行板の構成を含む。いくつかの実施形態では、第1の電極51上に第1の誘電体層53aすなわち第1の誘電体障壁が存在し、第2の電極52上に第2の誘電体層53bすなわち第2の誘電体障壁が存在する。第1の電極51と第2の電極52の間には、第1の誘電体層53aと第2の誘電体層53bのうち少なくとも1つが存在すればよく、両方が存在しなければならないわけではない。この実施形態の電極51と52の間に非対称性はなく、したがって電気流体力学的流れ誘導はない。この構成では、ガス入口54からの処理ガスがプラズマ容積40を通って噴射され、そこで生成された反応種を被加工物6に移送するのに十分な注入運動量がある。この実施形態では、図1〜図7に表された実施形態に似て、第1の電極51、第2の電極52と被加工物6の間の距離は、被加工物6が第1の電極51、第2の電極52に対して近接近D5であるように選択されている。たとえば、たとえば繊維トウといった被加工物6と電極組立体50の第1の電極51、第2の電極52の間の距離D5は、20cm、18cm、16cm、14cm、12cm、10cm、8cm、6cm、4cm、2cmまたは1cmである。前述の値のうち任意の2つからもたらされる範囲も、本明細書で企図されている。例として、たとえば繊維トウといった被加工物6と電極組立体50の第1の電極51、第2の電極52の間の距離D5は、1cmから15cmの範囲でよい。別の実施形態では、たとえば繊維トウといった被加工物6と電極組立体50の第1の電極51、第2の電極52の間の距離D5は、5cmから10cmの範囲でよい。

図10〜図14Bは、本開示の実施形態の、反応種を生成し、かつ電気流体力学的流れ誘導をもたらすことができる追加の表面放電プラズマ発生電極を表す。上記で論じたように、電気流体力学的流れ誘導は、プラズマによって生成された反応種を被加工物6の方へ加速することができる。図10は、表面障壁放電プラズマ発生電極組立体60の一実施形態であり、電気流体力学的流れ誘導に寄与する、電極の非対称の形状を示す。いくつかの実施形態では、頂部電極61の長さL1と底部電極62の長さL2の間の長さの差Lpから、電気流体力学的流れ誘導が生じ得、適切な励振により、プラズマ40が、誘電体障壁63の表面上およびその表面の近くで生成される。この長さ差Lpによって、流れすなわち電気流体力学的流れ誘導を誘起するための非対称性がもたらされ、後に論じる流れ渦が形成され得る。図10に表された電極組立体60は、図1〜図4Aに表された内部の処理容積5内に存在する電極組立体の代わりになり得、または図5〜図8に表された電極組立体に類似の配置をされてもよい。図10に表される電極形状は、電気流体力学的流れ誘導をもたらすことができる電極形状のほんの一例である。この非対称性を利用することができる広範な電極形状が存在し得る。たとえば、図11A〜図14Bが提供する非対称の電極形状のいくつかの例は、プラズマによって生成された反応種を被加工物6の方へ加速することができる電気流体力学的流れ誘導をもたらすことができる。

図11Aおよび図11Bが表す電極組立体70の一実施形態は、誘電体層73によって分離された長方形の上部電極71および下部電極72を有する。下部電極72の幅W5および長さL5は、上部電極71の幅W6および長さL6よりも大きく、電気流体力学的流れ誘導をもたらす非対称の形状を与える。図12Aおよび図12Bが表す電極組立体75の別の実施形態は、長方形の上部電極76と、誘電体層78によって分離された長方形の下部電極77とを有し、上部電極76と下部電極77はどちらも長方形の開口を有する。図11Aおよび図11Bに表された電極組立体70に似て、図12Aおよび図12Bが表す電極組立体75の上部電極76と下部電極77の寸法の差が、電極組立体75が生成したプラズマによって生成された反応種の電気流体力学的流れ誘導をもたらす。図11A〜図12Bに表された電極組立体70、75は、図1〜図4Aに表された内部の処理容積5内に存在する電極組立体の代わりになり得、または図5〜図8に表された電極組立体に類似の配置をされてもよい。図11A〜図12Bに表された矢印は、電極組立体70、75によって生成された電気流体力学的流れ誘導の方向を表す。図12Aおよび図12Bが表す電極組立体75を用いて、多方向の流れを互いに向けて導き、正味の上昇流をもたらすことにより、垂直の電気流体力学的流れ誘導が実現され得る。

図13Aおよび図13Bが表すプラズマ発生電極組立体80の一実施形態は、円形の形状を有し、上部の円形の電極81が誘電体層83によって下部の円形の電極82から分離されており、上部電極81の幅W7と下部電極82の幅W8の間の差によってもたらされた非対称の電極組立体80が、プラズマによって生成された反応種を加速することができる電気流体力学的流れ誘導効果をもたらす。図14Aおよび図14Bが表す電極組立体85の別の実施形態は、誘電体層88によって分離された円形の上部電極86および円形の下部電極87を有し、上部電極86および下部電極87のそれぞれが円形の開口を有する。図13Aおよび図13Bに表された電極組立体80に似て、図14Aおよび図14Bが表す電極組立体85の上部電極86と下部電極87の寸法の差が、電極組立体85が生成したプラズマによって生成された反応種の電気流体力学的流れ誘導をもたらす。図13A〜図15Bに表された電極組立体80、85は、図1〜図4Aに表された内部の処理容積5内に存在する電極組立体の代わりになり得、または図5〜図8に表された電極組立体に類似の配置をされてもよい。図13A〜図14Bに表された矢印は、電極組立体80、85によって生成された電気流体力学的流れ誘導の方向を表す。図14Aおよび図14Bが表す電極組立体85を用いて、多方向の流れを互いに向けて導き、正味の上昇流をもたらすことにより、垂直の電気流体力学的流れ誘導が実現され得る。

図9〜図14Bに表された例は、いずれかの平面方向にこれらの形状の配列を生成することにより、サイズまたは数をスケーリングすることができる。本開示では、CPIEプラズマ処理装置の電極組立体のための、3角形、星形、楕円およびそれらの組合せなどのさらなる幾何学的図形を想像して実施することができる。

図1〜図8および図10〜図14Bを参照して、いくつかの実施形態では、電極組立体20、60、70、75、80、85によって生成されたプラズマ容積40は、近接した周囲の中性ガスに、流れすなわち電気流体力学的流れ誘導を誘起することができ、プラズマによって生成された反応種の、容積からたとえば繊維トウといった被加工物6への直接的なバルク加速と、内部の処理容積5の中に熱の循環および分布とをもたらす。チャンバ壁と組み合わせた、内部の処理容積5の中のプラズマ形成から生じる熱および反応種の循環および分布は、「流れ渦」と称されることもある。いくつかの実施形態では、チャンバ壁すなわち内殻9が、内部の処理容積5の形状を画定し、流れ渦に関する境界条件をもたらす。

より具体的には、いくつかの実施形態では、電極組立体20、60、70、75、80、85(パネルとも称される)の適切な構造がもたらす非対称の電界勾配によって、プラズマ40のイオン種の流れが加速され、主として弾性衝突によって、中性ガスに、流れ誘導すなわち電気流体力学的流れ誘導が、電極組立体20、60、70、75、80、85の正確な幾何学的配置、ならびに電極組立体に印加される電圧、電極組立体に印加される周期数、隣接電極間の間隔、電極の形状および電極の化学的性質に依拠して、10メートル毎秒までの速度で特定方向にもたらされる。たとえば、一実施形態では、反応種は、流れ渦によって、被加工物6の方へ、反応性酸化種が10−3秒以内に被加工物6に到達するような速度に加速され得る。別の実施形態では、反応種は、流れ渦によって、被加工物6の方へ、反応性酸化種が10−4秒以内に被加工物6に到達するような速度に加速され得る。さらに別の実施形態では、反応種は、流れ渦によって、被加工物6の方へ、反応性酸化種が10−5秒以内に被加工物6に到達するような速度に加速され得る。

また、中間の加熱容積10と、加熱空気を内部の処理容積5の中に直接導入するための入口41とによって内部の処理容積5内で生成された熱が、流れ渦により、内部の処理容積5の全体にわたって均一に分布する。いくつかの実施形態では、温度均一性には3つの主要な要因が寄与する。内部の処理容積5にガス流れが注入され、内部の処理容積5でプラズマ放電が生じて、内部の処理容積の壁9が熱的に均一になる。いくつかの実施形態では、プラズマ40は熱源ももたらす。誘電体障壁電極組立体を利用するいくつかの実施形態では、プラズマ放電は、電気的励振からの粒子エネルギー変換のために熱源になる。プラズマ40は、誘電加熱現象と、内部の処理容積5内のプラズマのイオンおよび中性密度ならびにガス大気へのエネルギー分与との両方によって熱をもたらすことができる。プラズマ40によってもたらされた追加の熱源により、内部の処理容積5の温度を、前述の中間の加熱容積10によって供給される熱以上に上昇させることができる。この特徴は、よりエネルギー効率の良い処理をもたらし、以前は不可能であった処理に対する熱制御の新規のメカニズムを提供するものである。独立して制御される複数の電極組立体が設置されている、スケーリングされる実装形態では、各組立体が、送られる電力の度合いに比例して、ある程度の熱を発生することができ、このことが、より正確で均一な加熱効果をもたらすように、または、反対に、連続した被加工物の経路に沿った正確な温度勾配を作り出して、処理に対する特化された効果をもたらすように、利用され得る。一般に、対流加熱に加えてプラズマを含み、処理ガス流れは含まないプラズマ条件を、プラズマがなく(完全オフとも称される)、処理ガス流れもない、対流加熱のみを含んでいる対流加熱条件と比較すると、このプラズマ条件は、プラズマ条件のない対流加熱よりも均一な縦の温度勾配をもたらす。たとえば、一実施形態では、プラズマ条件は、傾斜を半分近くまで引き下げる。言い換えれば、静的加熱処理チャンバでは、温度は、一般に、チャンバの底部から頂部まで低温から高温へと変化する。本明細書で開示された方法および構造に採用されているプラズマ条件は、その温度変化をほぼ半分に低減することができる。

内部の処理容積5の全体にわたる温度均一性は本開示の一実施形態であるが、本開示のすべての実施形態の必要条件とは限らない。たとえば、図19Aおよび図19Bに示されるように、内部の処理容積5の温度が、その長手方向すなわちy方向に沿って一様でない実施形態が企図されている。図19Aを参照すると、内部の処理容積5内のx方向およびz方向は、温度均一性を維持するための、典型的に最も重要な方向である。図19Bを参照すると、いくつかの実施形態では、プラズマを形成する電極組立体90a、90b、90c、90dのそれぞれによってもたらされる熱を調節することにより、内部の処理容積5の長手方向すなわちy方向に沿って温度勾配または均一の温度をもたらすことができる。たとえば、温度勾配をもたらすには、y方向に沿った正確な熱制御を可能にするために、それぞれのプラズマ生成電極組立体90a、90b、90c、90dに独立してエネルギーを与えることができる。

図2A、図2Bおよび図7を参照すると、電極組立体20が含んでいる上部電極21、22が被加工物6の進行方向に対して平行な長手方向を有する一実施形態では、上部電極21、22のそれぞれの上で、流れ渦25a、25bが循環する。図2A、図2Bおよび図6では、上部電極21、22の長手方向は、処理チャンバ100の長手方向に対して平行である。したがって、流れ渦25a、25bが一周する軸は、処理チャンバ100の長手方向に対して平行である。各流れ渦25a、25bの各軸は、上部電極21、22のうち1つの上に存在する。

図2A、図2Bおよび図6を参照すると、一実施形態では、第1の上部電極21の上に存在する第1の流れ渦25aは、実質的に円形であって、第1の電極21から、たとえば反時計回りの第1の回転で、第1の電極21と第2の電極22の間の被加工物6に向かって上方へ延び、また、第2の上部電極22の上に存在する第2の流れ渦25bは、実質的に円形であって、第2の電極22から、たとえば時計回りの第2の回転で、被加工物6に向かって上方へ延びる。第2の渦25bの第2の回転は、第1の渦25aの第1の回転と反対方向である。

いくつかの実施形態では、プラズマ容積から通常は極低速で拡散するプラズマ40の反応種が、代わりに、流れ渦25a、25bによって、たとえば繊維トウといった被加工物6の方へ直接加速されることになり、被加工物6が反応種に暴露する速度が劇的に上昇して、所望の化学変換の速さが向上する。それに加えて、流れ渦25a、25bによってもたらされるこの流れ誘導は、内部の処理容積5内の温度すなわち熱の内部循環を起こすのにも役立ち、均一性および化学反応の速度にとって大きな支援となる。

図2A、図2Bおよび図4Aに表された流れ渦25a、25bは、処理チャンバ100の内部の処理容積5内に形成され得る流れ渦25a、25bの単なる一例である。たとえば、図3A〜図3Cに表された本開示の別の実施形態では、上部電極21、22、22’は、処理チャンバ100の内部の処理容積5内に、上部電極21、22、22’の長手方向が被加工物6の進行方向に対して実質的に垂直になるように配置されている。図3A〜図3Cに表された電極組立体20は、図2A、図2Bおよび図4Aに表された電極組立体20の構成に似て、非対称の電界勾配を生成する。非対称の電界は、チャンバ100の内部の処理容積5の壁の寸法形状と組み合わせて、プラズマ40のイオン種すなわち反応種を加速する機械的流れを誘起し、このことが、中性ガスに、主として弾性衝突によって、特定の方向に数十メートル毎秒までの速度で流れ誘導すなわち電気流体力学的流れ誘導をもたらす。図3A〜図3Cでは、上部電極21、22、22’の長手方向は繊維トウ6の進行方向に対して垂直であり、上部電極21、22、22’のそれぞれの上で流れ渦25c、25dが循環する。

図3A〜図3Cでは、上部電極21、22、22’の長手方向は、処理チャンバ100の長手方向に対して垂直である。したがって、流れ渦25c、25dが一周する軸は、処理チャンバ100の長手方向に対して垂直である。各流れ渦25c、25dの各軸は、上部電極21、22、22’のうち1つの上に存在する。図3A〜図3Cを参照すると、一実施形態では、第1の流れ渦25c、25dは実質的に円形であり得る。流れ渦25c、25dは、図2A、図2Bおよび図4Aに表された流れ渦25a、25bに似て、プラズマ40の反応種を、たとえば繊維トウ6といった被加工物の方へ直接加速し、被加工物が反応種に暴露する速度が上昇して、所望の化学変換の速さが向上する。さらに、いくつかの実施形態では、流れ渦25c、25dによってもたらされる流れ誘導は、内部の処理容積5内の温度すなわち熱の内部循環を起こすのに役立ち、均一性および化学反応の速度にとって大きな支援となる。

図1〜図7に表された、誘電体障壁放電プラズマのための電極組立体20、20a、20b、20c、20d、20e、20f、20g、20h、20i、20j、20kは、被加工物6の処理のためのプラズマ40および反応種を形成するための電極組立体のほんの数例でしかないことが注意される。たとえば、コロナ放電、ホロー陰極放電、低圧放電(この分野のいくつかは、アークまたは低圧放電などのダイオード放電として、DCの放電を分離する)およびそれらの組合せなどの誘電体障壁放電に加えての他の容量結合技法も、本明細書で開示された方法および構造に採用され得る。容量放電に加えて、被加工物6を処理するためのプラズマおよび反応種は、誘導結合方法および電磁波結合方法も含み得る。さらに、誘導結合方法および電磁波結合方法と容量結合を組み合わせたいくつかの実装形態が存在している。一般に、本明細書で採用されたプラズマ方法は、非熱的物理的様式の範囲内のものである。

誘導結合は、熱的物理的様式および非熱的物理的様式に関して、広範囲の圧力においてプラズマ放電を生成し、かつ閉じ込めるために、磁界を利用することを包含している。ヘリコン、トーチ、およびジェットなどの様々な実装形態が存在する。誘導結合の手法では、一般的には、様々な材料のコイルが、大電流を通すとプラズマ放電を発生し、かつ/または含有するように構築される。誘導プラズマトーチの一般的な構成が図15に示されており、平坦な構成が図16に示されている。一般に、誘導プラズマを維持するのに必要な放電エネルギーは、3つの主要な種の個体群(電子、イオン、および中性粒子)がすべて同一温度において存在する熱的様式でプラズマを動作させるのに十分なほど大きいものである。しかしながら、いくつかの実施形態では、誘導結合技法を利用する最適な構成は、非熱的様式の動作を必要とする可能性がある。ここで、ポリマー材料すなわち被加工物6に対する近接近の磁気励起と電気励起の組合せは、所望の結果をもたらし得る。

プラズマ放電に対する励起エネルギーの電磁波結合も、反応種を、被加工物すなわち繊維トウ6の方へ加速するために、流れ渦をもたらす非対称の電界勾配を形成するための別の可能な実装形態である。電磁波結合を採用する可能な手法には、図17に示されるような表面波形プラズマ、マイクロ波プラズマと、図18に示されるような電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマとが含まれる。電磁波結合は、適切な周期数および圧力(通常、低圧が必要とされる)でガスをプラズマに分解するために高エネルギー伝送波を利用することを包含している。この手法を開示された処理とともに利用するために、所望の効果を達成するのに、波形および近接が、最も感度のよいパラメータである。プラズマシースの厚さ、材料への反応種送出、および温度を決定論的に制御するために、プラズマとポリマー材料の間の領域には、追加の電磁界操作が必要となる可能性が高い。

別の態様では、処理チャンバ100の中に、たとえばポリマー前駆物質といった被加工物を移送するための配送方法が提供される。一実施形態では、図1〜図7および図9に表されるように、配送方法は被加工物6によってもたらされる。一実施形態では、被加工物6は、リールツーリールのトウによって供給されてよい。一実施形態では、リールツーリールのトウは、処理チャンバ100の入口の開口に存在する送りリールと、反対側の、処理チャンバ100の出口の開口に存在する引上げリールとを含む。本明細書で用いられる「被加工物」という用語は、フィラメントの集合を表す。いくつかの実施形態では、被加工物6は、グループ化されたポリマーのフィラメントの長い直線状の全長から成り、繊維トウと称されることがある。被加工物6はマットで供給されてもよく、繊維マットには、単一指向性など指向性の、またはランダムな配向の、緩くまとめられた、様々な長さのポリマーのフィラメントのグループが含まれ得る。被加工物6は、短繊維も含んでよく、または編んだ材料から成り得る。たとえば、編んである/織ってある材料の被加工物6は、織物状の材料を生成する織り込まれたポリマーのフィラメントを含み得る。被加工物6および開示されたプラズマベースの処理は、あらかじめ酸化された材料の難燃性を高めるのに用いられ得る。さらに別の実施形態では、被加工物6には、数インチからミクロンまでの様々な長さにカットされ、相互に積重ねられたフィラメントが含まれ得る。

トウは、含有している繊維の数によって示される。たとえば、12kのトウは約12,000の繊維を含有している。他のトウサイズには、0.5k、1k、3k、6k、24K、26K、48K、50K、62Kおよび80kが含まれ得る。k値は、トウ内の個々のフィラメントの数を1000で示す。いくつかのさらなる例では、被加工物6は、500,000までのフィラメントを含んでよく、バンドと称され得る。炭素繊維の生産において、処理チャンバ100内で、たとえば繊維トウといった被加工物6が酸化処理を用いて処理される実施形態では、被加工物6は、レーヨン、ポリアクリロニトリル(PAN)または石油ピッチなどのポリマー前駆物質から成るものでよい。ポリマー前駆物質がポリアクリロニトリル(PAN)から成る一例では、前駆物質の構成はアクリロニトリルモノマーから開始してよく、これが、反応器の中で、アクリル酸メチルまたは酢酸ビニルなどの可塑化アクリルのコモノマー、およびイタコン酸、二酸化硫黄酸、硫酸またはメチルアクリル酸などの触媒と組み合わされる。連続した攪拌により、原料が混合され、均一性および純度が保証され、アクリロニトリルの分子構造の内部で遊離基の形成が始まる。この変化が、アクリル繊維を形成することができる長い原子連鎖のポリマーを生成する化学処理である重合をもたらす。

レーヨンまたはポリアクリロニトリル(PAN)などの合成ポリマーについては、前駆物質が、完成した炭素繊維の最終的な物理的特性が向上するように、最初にポリマー原子を整列させるために、化学的処理および機械的処理を用いて最初にフィラメントへと紡がれる。湿式紡糸と称される処理によってポリアクリロニトリル(PAN)繊維が形成され得る。一実施形態では、液体の凝固浴槽に浸漬されたドープが、貴金属から製作された紡糸口金の孔を通って押し出される。紡糸口金の孔は、ポリアクリロニトリル(PAN)繊維の所望のフィラメント数と一致する。比較的ゼラチン状で壊れやすいこの湿式紡糸繊維は、過剰な凝固剤を除去するために、ローラーによって、洗浄液(wash)を通って引き抜かれ、次いで、ポリアクリロニトリル(PAN)ポリマーの配向を持続するように、乾燥され、かつ引き伸ばされる。ここで、フィラメントの外部形状および内部断面は、選択された溶剤および凝固剤が前駆物質繊維に侵入している度合いと、印加された張力の合計と、フィラメントの伸びの割合とによって決定される。湿式紡糸の代替には、乾燥ジェット/湿式紡糸と称されるハイブリッド処理があり、これは繊維と凝固槽の間の垂直の空隙を用いるものである。これは、複合材料における繊維/母体樹脂の境界面を増強することができる滑らかで丸いポリアクリロニトリル(PAN)繊維を生成する。ポリマー繊維は、引抜きまたは紡糸の後に、次いで、非炭素原子を追い出すために加熱されてよい(炭化)。粘着性のフィラメントが一緒に凝集するのを防止するために、前駆体物質に仕上げオイルを塗布してよい。前駆体物質はボビンに巻きつけられてよい。このボビンは、繊維トウの、リールツーリールの装置の送りリールをもたらし得る。

たとえば電極組立体20といったプラズマ発生システムが、処理チャンバ100の内部の処理容積5の中に組み込まれているので、たとえば繊維トウといった被加工物6の位置、広がり、および張力は、被加工物6が電極組立体20の電極21、22に十分接近することを保証するように選択されてよく、その結果、プラズマによって生成された反応種は、たとえば繊維トウといった被加工物6の方へ加速され得る。たとえば、被加工物6と電極組立体20の誘電体障壁24の間の距離D4は、30cm以下でよい。他の例では、被加工物6と電極組立体20の誘電体障壁24の間の距離D4は、20cm、18cm、16cm、14cm、12cm、10cm、8cm、6cm、4cm、2cmまたは1cmである。前述の値のうち任意の2つからもたらされる範囲も、本明細書で企図されている。例として、たとえば繊維トウといった被加工物6と誘電体障壁24の間の距離D4は、1cmから15cmの範囲でよい。別の実施形態では、たとえば繊維トウ6といった被加工物と誘電体障壁24の間の距離D4は、5cmから10cmへ範囲でよい。最後に、繊維は、処理の過程において、分子緩和(熱によるもの)と分子配向(張力によるもの)の間の適切なバランスを達成することができるように張力を与えておく必要がある。必要な最小の張力は、チャンバの全長に沿って被加工物6のたるみがないようにするものである。繊維トウから成る被加工物6については、この範囲は、主としてトウのサイズ(1つのトウ当りのフィラメント数)に依拠して、より大きくなる。張力は、1つのトウ当りのフィラメント数に依拠して、10gから50kgの範囲であり得る。

一実施形態では、リール速度は、反応種によって処理されている被加工物6の部分が、1分から300分の範囲の期間、プラズマ処理装置の内部の処理容積5内に存在するように選択される。別の実施形態では、リール速度は、反応種によって処理されている被加工物6の部分が、20分から80分の範囲の期間、プラズマ処理装置の内部の処理容積5内に存在するように選択される。さらに別の実施形態では、リール速度は、反応種によって処理されている被加工物6の部分が、1分から60分の範囲の期間、プラズマ処理装置の内部の処理容積5内に存在するように選択される。さらなる実施形態では、リール速度は、反応種によって処理されている被加工物6の部分が、5分から10分の範囲の期間、プラズマ処理装置の内部の処理容積5内に存在するように選択される。被加工物6に反応種を印加する期間は、上記で示された範囲の間の任意の値を含み得る。前述の期間は説明のためにのみ与えられたものであり、本開示を限定するようには意図されていないことが注意される。

処理チャンバ100を通り抜ける被加工物6は、図1、図2A、図4A、図4Bおよび図5に示されるように前駆体物質の単一のトウでよく、または図3Aおよび図7に示されるように前駆体物質の複数の被加工物6を含み得る。被加工物6は、任意数の前駆体物質のトウを含み得て、与えられた図に表される数のみに限定されるわけではない。

図1〜図7に表された処理チャンバ100は、炭素繊維を合成するのに採用されてよい。具体的には、たとえばポリアクリロニトリル(PAN)といったサーモプラスチックベースの繊維からの炭素繊維の生産は、一般的には、酸化または安定化の処理ステップと、それに続く炭化ステップと、任意選択の黒鉛化ステップとを含み得る複数ステップの処理である。酸化または安定化の処理ステップは、前述の処理チャンバ100と、電極組立体および処理ガスによって発生されたプラズマによって生成される酸素含有反応種とを用いてもたらされ得る。この反応種が、電極組立体20が生成する非対称の電界勾配から生じる流れ渦によって、たとえばポリアクリロニトリル(PAN)といったポリマー前駆物質の被加工物6の方へ加速されて、被加工物6を酸化させる。

酸化に続いて、酸化した被加工物6に、炭化ステップおよび任意選択の黒鉛化ステップを適用してよい。炭化は、処理温度を徐々に高くする一連の炉の内部の不活性(無酸素)雰囲気中で起こり得る。たとえば、被加工物6が繊維トウであるとき、炭化ステップ中に、酸化した繊維すなわち酸化した繊維トウが、不活性雰囲気の中で、約500℃から始まって約1200℃まで続く温度で炭化されてよい。黒鉛化の期間中、炉の温度は約3000℃まで到達し得る。

各炉の入口と出口には、酸素の侵入を防止するためにパージチャンバが存在してよい。酸素がない状態で、水素、シアン化物の成分、他のVOC(安定化中に発生されたもの)、および粒子(局部的な繊維デブリの形成など)を含む非炭素分子のみが、炉から除去されて排出される。

90パーセントを超える炭素の完成した繊維を作製するために、酸化した繊維トウの炭素分子の結晶化を最適化することができる。「炭素」および「黒鉛」という用語は、しばしば互換性があるように用いられるが、「炭素」という用語は、約1000℃から1200℃、たとえば1350℃で炭化され、93%から95%の炭素を含有している繊維を表す。「黒鉛」という用語は、1900℃から3000℃の範囲の温度、たとえば2480℃で黒鉛化され、99パーセントを超える元素状炭素を含有している炭素繊維を表す。いくつかの実施形態では、1500〜2000℃の範囲で加熱(炭化)された炭素が最大の引張強さを示し、一方、2300〜3000℃で加熱(黒鉛化)された炭素繊維は、より大きい弾性率を示す。

本明細書で開示された方法および構造を用いるプラズマ処理からもたらされる材料の用途には、炭素繊維などの構造的な用途が含まれる。本明細書で開示された方法および構造を用いて処理された材料は、難燃性材料などの熱的用途にも適用可能であり得る。たとえば、酸化したPANは、周知の難燃性材料である。本明細書で開示された方法および構造は、サーモセッティングなどの材料処理用途にも適用可能であり得る。いくつかの例では、本明細書で開示された方法は、近接近間接暴露(CPIE)プラズマ装置によって処理されている被加工物の密度を高めるために、繰り返されてもよい。

以下の実施例は、本開示の方法および構造をさらに説明し、そこから生じるいくつかの利点を実証するために提供されるものである。本開示が本明細書で説明された特定の実施例に限定されることは意図されていない。

(実施例) [ポリアクリロニトリル(PAN)前駆物質の品質] 表2は、遠隔暴露(RE)酸化プラズマ方法と近接近間接暴露(CPIE)プラズマ方法の両方を用いた、航空宇宙等級ポリアクリロニトリル(PAN)前駆物質の酸化からの結果を列挙するものである。近接近間接暴露(CPIE)方法は、図1〜図7に表された処理チャンバ100を参照しながら上記で説明されている。滞留時間は、前駆物質すなわち繊維トウ6を処理するのにかかった時間である。品質の数値は、処理後に被加工物が受けている損傷の量の1〜10の範囲の定性的格付けであって、10は損傷なしである。10は、400〜500倍の光学顕微鏡法によって検出可能な欠陥がまったくない繊維を表す。DD格付けは、品質および密度の正規化された乗数と定義される。構造的な用途の航空宇宙等級炭素繊維に関する最適な密度は、一般に1.375g/ccである。以下で用いられる品質目盛は1〜10からであり、10は損傷なしを示す。したがって、10の品質および1.375g/ccの密度を有する、申し分なく処理された炭素繊維は、1.0のDD格付けを有することになる。

表2に含まれるデータは、同一の処理時間で、近接近間接暴露(CPIE)酸化プラズマ方法が、比較対象の遠隔暴露(RE)酸化方法よりも、より高密度かつより高品質の繊維を作製したことを示す。

[遠隔暴露(RE)方法および近接近間接暴露(CPIE)方法を用いて酸化され、かつ炭化されたポリアクリロニトリル(PAN)前駆物質の機械的性質] 表3および表4は、酸化され、かつ炭化されたポリアクリロニトリル(PAN)前駆物質の機械的性質を示す。表3には、典型的な77分の滞留時間を有する酸化ステップのための遠隔暴露(RE)方法からの結果が含まれる。酸化した炭素繊維は、次いで、ファイバ径、最大応力、弾性率および破断時の%歪みに関して特徴付けられた。結果は表3に記録された。酸化した炭素繊維は、次いで炭化されて、ファイバ径、最大応力、弾性率および破断時の%歪みに関して再び特徴付けられた。遠隔暴露(RE)方法を用いて作製された炭化繊維に関する特徴付けの結果が、表3に記録された。

表4は、20分から45分の範囲の滞留時間を有する酸化ステップの近接近間接暴露(CPIE)方法からの結果を示すものである。酸化に続いて、繊維トウ6は、ファイバ径、最大応力、弾性率および破断時の%歪みに関して特徴付けられた。その後、酸化した繊維トウ6は、炭化されて再び特徴付けられた。近接近間接暴露(CPIE)方法に関する特徴付けの結果が、表4に記録された。

表3と表4に含まれるデータを比較すると、近接近間接暴露(CPIE)プラズマ処理方法によれば、処理された炭素繊維の総合的な機械的性質が改善され、同時に、遠隔暴露プラズマ処理方法と比較して、酸化に必要な時間が劇的に短縮されることが示されている。

本発明は、本明細書の教示の利益を有する当業者にとって明らかな、様々であるが同等のやり方で変更され、かつ実施され得るので、上記で開示された特定の実施形態は単なる例示である。さらに、本明細書で示された構造または設計の詳細に対して、以下に記述される特許請求の範囲以外の制限は意図されていない。したがって、上記で開示された特定の実施形態は、改造または変更が可能なことは明らかであり、すべてのそのような変形形態は本発明の範囲および精神の範囲内にあると考えられる。したがって、本明細書で要求される保護は、以下の特許請求の範囲で説明される通りである。

5 内部の処理容積 6 被加工物 9 内殻 10 中間の加熱容積 11 外殻 20 電極組立体 20a〜20k 電極組立体 21 電極 22 電極 22’ 電極 23 電極 24 誘電体障壁 25a〜25d 流れ渦 30 処理ガス入口 40 プラズマ 41 入口 50 プラズマ発生電極組立体 51 電極 52 電極 53a、53b 誘電体層 54 ガス入口 60 表面障壁放電プラズマ発生電極組立体 61 頂部電極 62 底部電極 63 誘電体障壁 70 電極組立体 71 上部電極 72 下部電極 73 誘電体層 75 電極組立体 76 上部電極 77 下部電極 78 誘電体層 80 プラズマ発生電極組立体 81 電極 82 電極 83 誘電体層 85 電極組立体 86 上部電極 87 下部電極 88 誘電体層 90a〜90d 電極組立体 100 処理チャンバ

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