Nickel powder and a method of manufacturing the same

申请号 JP14994997 申请日 1997-05-26 公开(公告)号 JP3137035B2 公开(公告)日 2001-02-19
申请人 昭栄化学工業株式会社; 发明人 和郎 永島; 榮一 浅田; 裕二 秋本;
摘要
权利要求 (57)【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 表面の少なくとも一部に、ランタンとニッケルとを含む複合酸化物層を有するニッケル粉末。
  • 【請求項2】 クロムの酸化物を含む、請求項1記載のニッケル粉末。
  • 【請求項3】 熱分解性のニッケル化合物の1種又は2
    種以上と、熱分解性のランタン化合物の1種又は2種以上、又はこれら該ニッケル化合物と該ランタン化合物と熱分解性のクロム化合物の1種又は2種以上とを含む溶液を、微細な液滴にし、その液滴を該ニッケル化合物、
    該ランタン化合物及び該クロム化合物の分解温度より高い温度で加熱することにより、ニッケル粉末を生成させると同時に、該ニッケル粉末の表面近傍にランタンとニッケルとを含む複合酸化物層又は該複合酸化物層とクロムの酸化物を析出させることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載のニッケル粉末の製造方法。
  • 【請求項4】 請求項1記載のニッケル粉末及び請求項2記載のニッケル粉末の1種又は2種以上を含む導体ペースト。
  • 【請求項5】 請求項4記載の導体ペーストを用いて導体層を形成したことを特徴とする積層セラミック電子部品。
  • 【請求項6】 請求項4記載の導体ペーストを用いて導体層を形成したことを特徴とするセラミック多層基板。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は、厚膜導体ペースト用に適した新規なニッケル粉末とその製造方法に関するものであり、更にはこのニッケル粉末を用いた導体ペースト、並びにそのペーストを用いて導体層を形成した積層電子部品又は多層基板に関する。

    【0002】

    【従来の技術】エレクトロニクス分野において、電子回路や抵抗、コンデンサ、ICパッケージ等の部品を製造するために、導体ペーストや抵抗ペーストなどの厚膜ペーストが使用されている。 これは金属、合金や金属酸化物等の導電性粉末を、必要に応じてガラス質結合剤やその他の添加剤と共に有機ビヒクル中に均一に混合分散させてペースト状としたものであり、基板上に適用した後高温で焼成することによって導体被膜や抵抗体被膜を形成する。

    【0003】積層コンデンサ、積層インダクタ等の積層セラミック電子部品や、セラミック多層基板は、一般に誘電体、磁性体等の未焼成セラミックグリーンシートと内部導体ペースト層とを交互に複数層積層し、高温で同時焼成することにより製造される。 内部導体としては従来パラジウム、銀−パラジウム、白金などの貴金属を用いるのが主流であったが、近年、省資源や、又パラジウムや銀−パラジウムの焼成時の酸化膨張に起因するデラミネーション、クラック等の改善の要求から、ニッケル等の卑金属材料が注目されている。

    【0004】これらの積層部品や多層基板では、より積層数を増加させる傾向にあり、例えば積層コンデンサでは積層数が数百層にも及ぶものが製造されるようになってきた。 このためセラミック層を薄膜化することと、これに伴って内部導体層を更に薄膜化することが要求されている。 例えばセラミック層の厚さが3μm程度になると、内部導体膜厚は1μm以下、望ましくは0.5μm
    程度でないと、積層体の中央部が厚くなり、構造欠陥や信頼性の低下に繋がる。

    【0005】しかし、通常のニッケル粉末を用いた導体ペーストでは、焼成時、過焼結によって内部導体が不連続膜となり、抵抗値の上昇を招いたり、断線を引き起こしたりするばかりか、ニッケル粉末の凝集により結果的に導体厚みが厚くなってしまう問題があり、薄膜化には限界があった。 即ちニッケル粉末は、特に酸化防止のために不活性雰囲気中や還元性雰囲気中で焼成した場合、
    焼結が早く、比較的活性の低い単結晶粉末であっても4
    00℃以下の低温で焼結、収縮を開始する。 一方セラミック層が焼結を始める温度は一般にこれよりはるかに高温であって、例えばチタン酸バリウムでは約1200℃
    であり、同時焼成してもニッケル膜と一緒に収縮しないから、ニッケル膜は面方向に引張られる形になる。 このため比較的低温での焼結によってニッケル膜中に生じた小さい空隙が、高温域での焼結の進行に伴って拡がって大きな穴になり易く、又ニッケル粉末の凝集により膜が厚み方向に成長し易くなると考えられる。

    【0006】従って、ニッケル内部導体層を薄膜化するためには、ニッケル粉末をより微細化し、かつ分散性の良いものにして、焼成時にできるだけ空隙を作りにくくすると共に、セラミック層との焼結収縮挙動を一致させることが必要と考えられる。 更に、このような導体層とセラミック層の焼結収縮挙動の不一致は、特に膜厚が厚い場合には、デラミネーションやクラックなどの構造欠陥を生じる原因ともなり、歩留り、信頼性が低下する。

    【0007】又、同様な過焼結による抵抗値上昇や構造欠陥の発生は、外部導体を同時焼成により形成する場合にも問題となる。 従来、セラミック層の焼結開始温度まで導体の焼結を抑制するために、種々検討がなされてきた。 例えば酸化チタンや酸化ジルコニウム、酸化バリウム、酸化鉄などの金属酸化物粒子や、焼成中にこれらの酸化物を生成する前駆体化合物を導体ペーストに添加したり、金属粉末に被覆したりする方法がある。 しかしこれらの酸化物は絶縁体であり、多量に添加すると導電性が低下する。

    【0008】又、セラミック層に用いられるものと同一組成のセラミック粉末を多量に添加することにより、見掛け上800℃付近まで導体膜の収縮開始を遅らせることができるが、金属粉末自身の焼結が抑制されるわけではないので、1300℃程度の高温で焼成した場合には結果的に導体膜の連続性及び導電性を損なう。

    【0009】

    【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ニッケル粉末の低温での焼結を効果的に抑制し、膜厚が薄い場合にも導電性の高い導体膜を得ることにある。 特に、
    積層部品等未焼成のセラミック層と同時焼成する導体ペーストに用いる場合においては、導電性を損なうことなく、ニッケル粉末の焼結開始温度をセラミック層の焼結開始温度にできる限り近づけ、その収縮挙動をセラミックと近似させることによって、過焼結による導体膜の断線や構造欠陥を防止し、かつ薄膜化を可能にすることを目的とする。 更に他の目的は、このようなニッケル粉末の簡単かつ優れた製法を提供することにある。

    【0010】

    【課題を解決するための手段】即ち本発明は、表面の少なくとも一部に、ランタンとニッケルとを含む複合酸化物層を有し、更に所望によりクロムの酸化物を含有させてなるニッケル粉末を要旨とするものである。 また、本発明は熱分解性のニッケル化合物と熱分解性のランタン化合物又はこれらの化合物と熱分解性のクロム化合物を含む溶液を微細な液滴にし、その液滴を該ニッケル化合物、該ランタン化合物及び該クロム化合物の分解温度より高い温度で加熱することにより、ニッケル粉末を生成させると同時に、該ニッケル粉末の表面近傍にランタンとニッケルを含む複合酸化物層を析出させることを特徴とする表面の少なくとも一部に、ランタンとニッケルとを含む複合酸化物層を有し、更に所望によりクロム酸化物を含有させたニッケル粉末の製造方法を要旨とするものである。 また、本発明は前記ニッケル粉末を含有する導体ペースト、更に該導体ペーストを用いて導体層を形成したことを特徴とする積層セラミック電子部品及びセラミック多層基板を要旨とするものである。

    【0011】

    【発明の実施の形態】複合酸化物は、ニッケル粉末の表面を被覆した形でも、又ニッケル粉末の表面及び/又は表面近傍に高濃度に偏析した形でもよいが、ニッケル粉末の焼結を抑制するのに有効な形で表面近傍に存在している必要がある。 ニッケル金属同士の接触を妨げるためには表面の全体を被覆したものが最も効果あると考えられるが、必ずしも全面を覆っていなくても、用途、焼成雰囲気、要求特性等により必要に応じて有効量が表面に存在していればよい。

    【0012】複合酸化物は、少なくともランタンとニッケルを含むものであって、例えばLaNiO 3 、La 2
    NiO 4 、La 3 Ni 27などの構造のものが挙げられる。 これらはセラミックスであるから、焼結挙動がセラミックグリーンシートに近似する。 この複合酸化物を表面に有するニッケル粉末は、低温域での焼結が抑制され、酸化物量によってはセラミックスの焼結開始温度付近まで焼結を遅延させることも可能になり、過焼結が防止される。 このため導体層とセラミック層の同時焼成時の収縮の不一致に起因する導体抵抗の上昇や断線、膜厚の増大、デラミネーション等が防止され、薄くかつ導電性、接着性の良好なニッケル導体が形成される。 これにより、積層部品等における導体層の薄膜化も可能になる。

    【0013】又、前記複合酸化物のうち特にペロブスカイト構造のLaNiO 3は高い導電性を有する導電性セラミックスであり、他の複合酸化物も導電性を示すので、従来の焼結抑制剤に比べて、導体の抵抗値の上昇を招かない点で極めて優れたものである。 クロムは、Cr
    23やLaCrO 3など酸化物の形で、主として前記複合酸化物層中に存在することによって焼結開始遅延効果を高めると考えられる。

    【0014】複合酸化物層は、いかなる方法で形成してもよい。 例としてゾルゲル法等の湿式法によりニッケル粉末表面にランタン化合物等を付着させ、か焼して複合酸化物層を形成する方法や、噴霧熱分解による方法、又ニッケル粉末と複合酸化物を機械的に混合して付着させる方法などが挙げられる。 望ましくは、本発明の粉末は噴霧熱分解法で製造される。 噴霧熱分解法は、特公昭6
    3−31522号公報や、特開平6−279816号公報等に記載されているように、1種又は2種以上の金属化合物を含む溶液を噴霧して微細な液滴にし、その液滴を該金属化合物の分解温度より高い温度、望ましくは該金属の融点近傍又はそれ以上の高温で加熱し、金属化合物を熱分解して金属又は合金の粉末を析出させる方法である。

    【0015】この方法によれば、結晶性が良く、高密度、かつ高分散性のニッケル粉末が得られ、粒径のコントロールも容易であるほか、原料のニッケル化合物溶液中にランタン化合物等を添加しておくことにより、本発明の複合酸化物層を有するニッケル粉末が1回の操作で得られるので、新たに被覆工程を必要としない利点がある。 即ち熱分解により析出したランタン又はランタン酸化物は、生成したニッケル粒子の結晶性が良好であるため表面に弾き出され、表面近傍で複合酸化物を生成すると考えられる。 しかも複合酸化物は表面に比較的均一に析出するので、微量でも所望の効果を上げることができる。 又噴霧熱分解法では、生成粒子の組成は基本的に溶液中の金属化合物の組成と一致するので、組成の制御が容易であり、本発明のニッケル粉末の製造に適している。

    【0016】尚、原料溶液中にクロム化合物を含有させた場合、クロムは大部分は複合酸化物層中に酸化物やランタンとの複合酸化物の形で存在するが、一部はニッケル中に固溶すると考えられる。 本発明の方法において、
    ニッケル化合物としては硝酸塩、硫酸塩、塩化物、アンモニウム塩、リン酸塩、カルボン酸塩、金属アルコラート、樹脂酸塩などの熱分解性化合物の1種又は2種以上が使用される。 複塩、錯塩を用いてもよい。 ランタン、
    クロムの化合物も同様に硝酸塩、硫酸塩、塩化物、アンモニウム塩、リン酸塩、カルボン酸塩、金属アルコラート、樹脂酸塩などの化合物や、複塩、錯塩などから適宜選択される。

    【0017】これらの金属化合物を、や、アルコール、アセトン、エーテル等の有機溶剤あるいはこれらの混合溶剤中に溶解した溶液は、超音波式、二流体ノズル式等の噴霧器により微細な液滴とし、次いで金属化合物の分解温度より高い温度で加熱することにより熱分解を行う。 加熱処理はニッケルの融点又はそれ以上の高温で行うことが望ましいが、融点より200℃程度低い温度でも十分弾き出しの効果が得られる。 特に高密度、形状の均一性等が要求されない場合は融点より相当低い温度でも差支えない。 加熱は、還元性又は不活性雰囲気中などニッケル粉末を実質的に酸化させないような雰囲気中、望ましくは水素、一酸化炭素などを含む弱還元性雰囲気中で行う。

    【0018】前記複合酸化物の量は、ニッケルに対してLa 23換算で0.01重量%程度の少量でも効果はあるが、0.1重量%以上とすることが望ましい。 複合酸化物は導電性を有するので多くても差支えないが、前述の噴霧熱分解による製法ではあまり多いと表面に偏析しにくくなり、焼結抑制効果の大きな改善が望めないこと、又ニッケル分率の低下により導電性が低下することから、50重量%程度までが実用的である。

    【0019】クロムの酸化物も少量で効果があるが、多すぎると逆に焼結しなくなるので、ニッケルの焼結性を阻害しない範囲で添加される。 La 23に対してCr
    23換算で等量(重量)程度までとするのが望ましい。 本発明のニッケル粉末を導電成分とする導体ペーストは、常法に従って有機ビヒクル中に均一に混合分散させることにより製造される。 必要に応じて他の導電性粉末やガラス粉末等の無機結合剤、その他の添加剤を含有させてもよい。 本発明のニッケル粉末は、特に積層部品や多層基板の内部導体や外部導体など、セラミックスと同時焼成する導体用に適しているが、通常の厚膜導体ペーストに用いることもできる。

    【0020】

    【実施例】次に、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。 実施例1〜9 硝酸ニッケル六水和物をNi濃度50g/lとなるように水に溶解し、これにニッケル元素に対してLa 23
    換算で0.01〜20重量%となるように表1に示した量の硝酸ランタンをそれぞれ添加して、原料溶液を作成した。 この原料溶液を超音波噴霧器を用いて微細な液滴とし、弱還元性に調整したガスをキャリアとして、電気炉で1500℃に加熱されたセラミック管中に供給した。 液滴は加熱ゾーンを通って加熱分解され、酸化ランタンを含むニッケル粉末を生成した。 得られた粉末をそれぞれ硝酸に溶解し、ICPにより粉末中のランタン濃度を調べたところ、原料溶液の配合組成と一致していた。 粉末のX線回折分析、高分解能FE−SEMによる観察及び電子線回折の結果から、ニッケル粒子表面にL
    aNiO 3 、La 2 NiO 4 、La 3 Ni 27の1種以上の結晶相の存在が確認された。

    【0021】比較例1 ランタンを添加しない以外は実施例1と同様にして、純ニッケル粉末を得た。 次に、実施例1〜9で得られたニッケル粉末及びランタンを含まない比較例1のニッケル粉末について、熱機械分析(TMA)を行って粉末の焼結挙動を評価し、焼結収縮開始温度及び焼結収縮終了温度を表1に示した。 表1より明らかなように、ランタンを添加しない場合は300℃で徐々に焼結収縮を始めるのに対し、ランタン添加により収縮開始温度は200〜
    600℃程度上昇した。 又収縮終了も300℃以上遅延されることがわかる。

    【0022】実施例10〜14 硝酸ニッケル六水和物の50gNi/l水溶液に、ニッケル元素に対してLa 23換算で0.8重量%の硝酸ランタンと、表1に示されるようにCr 23換算で0.01〜0.8重量%の硝酸クロムとを添加して原料溶液を作成した。 この原料溶液から実施例1と同様にして、表面にランタン、クロム及びニッケルを含む複合酸化物層を有するニッケル粉末を製造した。 TMA分析により収縮開始温度及び収縮終了温度を測定し、表1に併せて示した。

    【0023】実施例15〜17 電気炉の温度をそれぞれ1400℃、1300℃、16
    00℃とする以外は実施例11と同様にして、表面に複合酸化物層を有するニッケル粉末を得た。 TMA分析の結果、収縮開始温度はそれぞれ900℃、890℃、9
    10℃であり、収縮終了温度はいずれも1300℃以上であった。

    【0024】実施例18 実施例3、6、9、11及び比較例1で得られたニッケル粉末を、有機ビヒクルと共に混練してペーストを製造した、BaTiO 3系セラミックグリーンシート上にこのペーストを用いてNi塗布量が0.5mg/cm 2の導体パターンを印刷し、乾燥した後、1300℃で同時焼成を行った。 導体の膜厚と比抵抗値を表2に示す。 比較例1の粉末を用いたものでは、過焼結のため断線し、
    ニッケルの存在するところの膜厚は2.0μmであったが、導通は得られなかった。 各実施例の粉末では過焼結は見られず、表2より明らかなように、膜厚、比抵抗とも小さいものが得られた。 特にクロムを添加した実施例11では、膜厚が0.5μmと非常に薄いにも拘らず、
    比抵抗値は20μΩ・cmと十分に低い値を示した。

    【0025】

    【表1】

    【0026】

    【表2】

    【0027】

    【発明の効果】本発明のニッケル粉末は、低温での焼結が抑制され、ニッケルペーストの焼成時の収縮の開始をセラミックが焼結を始める温度付近にまで遅延させることができる。 従って特に積層部品や多層基板においては、導電性を損うことなく、ニッケル導体層の収縮挙動をセラミック層と近似させ、これにより導体膜の断線や構造欠陥を防止し、信頼性の高い、高性能の製品を製造することができるばかりでなく、内部導体層の薄膜化が可能になり、いっそうの小型化・高積層化を図ることができる。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 7識別記号 FI H01G 4/008 H05K 3/46 S H05K 3/46 H01G 1/01 (58)調査した分野(Int.Cl. 7 ,DB名) B22F 9/30 B22F 1/02

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