皮革プリント

申请号 JP2014561454 申请日 2013-03-14 公开(公告)号 JP2015518525A 公开(公告)日 2015-07-02
申请人 コダス ホールディングス リミテッド; コダス ホールディングス リミテッド; 发明人 イアナコウ パンテリス; イアナコウ パンテリス;
摘要 【課題】皮革にプリントするための装置を提供する。【解決手段】この装置は、皮革の表面上にインク受容体を直接塗布するインク受容体塗布器と、インク受容体及び/又は皮革の表面にインクを塗布するインク塗布器と、インク受容体、インク、及び/又は皮革の表面上に添加剤を塗布する添加剤塗布器と、皮革の表面上の受容体、インク、及び添加剤と 接触 するように構成された表面を有するバリアと、実質的にインクを通さず、選択された 温度 範囲より高い融点を有するバリアが少なくとも表面上の受容体、インク、及び添加剤と直接接触して受容体、インク、及び添加剤を皮革内に 液化 し、受容体、インク、及び添加剤が溶解して皮革内に浸透するように、所定の温度又は選択された温度範囲内の温度までバリアの表面を加熱する加熱器とを含む。【選択図】図6
权利要求

皮革にプリントするための装置であって、 前記皮革の表面上にインク受容体を直接塗布するインク受容体塗布器と、 前記インク受容体及び/又は前記皮革の表面にインクを塗布するインク塗布器と、 前記インク受容体、前記インク、及び/又は前記皮革の表面上に添加剤を塗布する添加剤塗布器と、 前記皮革の表面上の前記受容体、インク、及び添加剤と接触するように構成された表面を有するバリアと、 実質的に前記インクを通さず、選択された温度範囲より高い融点を有する前記バリアが少なくとも前記表面上の前記受容体、インク、及び添加剤と直接接触して前記受容体、インク、及び添加剤を前記皮革内に軟化し、前記受容体、インク、及び添加剤が軟化して前記皮革内に浸透するように、所定の温度又は前記選択された温度範囲内の温度まで前記バリアの表面を加熱する加熱器と、 を含む、装置。前記所定の温度範囲の最低温度が約100℃より高い、請求項1記載の装置。前記所定の温度範囲の最高温度が約220℃より低い、請求項1記載の装置。選択された圧で前記塗布された受容体、インク、及び添加剤に対して前記加熱されたバリアを押しつけることにより、前記塗布された受容体、インク、及び添加剤に対して圧力を直接加える加圧器を更に含む、請求項1記載の装置。前記圧力が、約50psiより低く、約0psiより高い、請求項4記載の装置。前記バリアが、所定の時間範囲内のある時間の間又は所定の時間の間、前記受容体、インク、及び添加剤に対して適用される、請求項1記載の装置。前記時間が約2分以下である、請求項5記載の装置。前記皮革を脱して前記皮革内の水分を蒸気にする加熱器と、 前記皮革からの蒸気を吸引する真空吸引デバイス、又は 前記皮革からの蒸気を吸収する吸収物質 のうちの少なくとも1つとを更に含む、請求項1記載の装置。前記皮革の少なくとも1つの特性の空間変動を決定するスキャナを更に含み、前記少なくとも1つの特性が、液体、タンパク質、脂肪の含有量、厚さ、酸性度、細孔濃度、平面度、色及び表面粗さからなるグループから選択され、前記スキャナが前記皮革内の不具合(複数も可)を更に検出する、請求項1記載の装置。前記皮革のある位置に塗布されるインク総量及び/又は前記皮革に付着させるインク液滴のサイズ及び/又は色を調節する調節器を含むプリンタを更に含み、その調節が前記皮革の前記少なくとも1つの特性の空間変動の決定結果に依存する、請求項1記載の装置。前記調節器が、前記皮革の隣接領域より大きい損傷又は高い含水量を有する前記皮革の一領域でインク液滴サイズ及び/又はインクの前記総量を増加する、請求項10記載の装置。前記バリアが、熱を加えている間に実質的に固定位置に前記インクを保持するように構成される、請求項1記載の装置。1片の皮革の表面特性の測定値を入力する入力と、 走査結果を出力する出力と、 前記入力された測定値を保管するデータ・メモリと、 プロセッサ制御コードを保管するプログラム・メモリと、 前記入力、前記出力、前記データ・メモリ、及び前記プログラム・メモリに結合され、前記プロセッサ制御コードをロードして実現するプロセッサと、 を含むコンピュータ・システムを更に含む、請求項1記載の装置。前記皮革の表面にインク受容体を直接塗布し、 前記受容体及び/又は前記皮革の表面上にインクを直接塗布し、 前記受容体、前記インク、及び/又は前記皮革の表面に添加剤を塗布し、 実質的に前記インクを通さないバリアの表面を選択された温度又は選択された温度範囲内の温度まで加熱し、そして 前記選択された温度範囲より高い融点を有する前記加熱されたバリアを、前記皮革の表面上の前記インク受容体、添加剤、及びインクと直接接触させて前記添加剤、インク受容体、及びインクを前記皮革内に軟化し、前記インクが前記皮革内に浸透するようにする、 皮革にプリントする方法。更に、熱を加えている間に実質的に固定位置に前記インクを保持するように、前記インクを塗布する前に前記皮革を機械的に処理する、請求項14記載の方法。コンピュータ・プログラムがプロセスを制御する、請求項14記載の方法。コンピュータ・システムが、 1片の皮革の表面特性の測定値を入力する入力と、 走査結果を出力する出力と、 前記入力された測定値を保管するデータ・メモリと、 プロセッサ制御コードを保管するプログラム・メモリと、 前記入力、前記出力、前記データ・メモリ、及び前記プログラム・メモリに結合され、前記プロセッサ制御コードをロードして実現するプロセッサと、 を含み、前記コードが実行されると前記方法を実現する、請求項14記載の方法。

说明书全文

(関連出願) 本出願は、2012年3月14日に出願された米国特許出願第61/610531号の非仮出願であり、その主題は参照により本出願に組み込まれる。

本発明は、一般に、皮革にプリントするための装置、皮革にプリントする方法、並びにこのような方法を実行するためのコンピュータ・プログラム及びコンピュータ・システムに関する。

皮革は、皮なめし工場において商業規模で製造され仕上げられる。皮をなめすための方法は数通りある。2つの主な種類は植物なめしとクロムなめしである。皮革は一般に染色によって着色される。エンボス加工又はバフ磨きなどの様々な仕上げを適用することができる。これらの方法は、何らかのパターン、手触り、及び深さを表面に施そうとするものであるが、影響は限られている。

インクは一般に皮革などの不均一で有機的かつ複雑な基材に対して十分に結合しないので、皮革プリントは困難であることがある。更に、例えば、形状、色、密度、含有量(例えば、分、タンパク質、脂肪、油、及び/又はラッカー)、細孔濃度(pore concentration)、平面度、厚さ、及び表面粗さ等の表面特性の不均一性のために皮革へのプリントは困難である。1枚の獣の皮は、太陽に曝される際の違いのために、異なる領域ではこのような特性も異なることがある。従って、単一の皮と同様に1つのバッチ内の複数枚の皮同士でも、著しい変動が存在することがある。皮革にプリントするための技法は、例えば、柔軟性、表面粗さ、外観、感触(人間の触感)、通気性、及び/又は吸収等の少なくとも1つの皮革の通常の特性を抑制する可能性がある。皮革の望ましい特性の1つとして柔軟性がある。皮革は、曲がったり撓んだりすることが要求される場所(例えば、履物、座席、装身具など)に使用される場合が多い。インクの結合が弱くて、正常な摩損時にインクが容易に除去される場合、或いは撓んだ時にプリントに亀裂が入る場合には、皮革の表面へのプリントは不利である。

インク分子が皮革と十分に結合しない場合、非皮革基材へのプリントを伴う、他の技術分野で知られたプリント技法を使用して皮革にプリントする際に、追加の困難が発生する可能性がある。例えば、より一般的に紙に適用されるプリント技法を使用して皮革にプリントすると、結果として、一部のインク分子のみが皮革に結合し、プリントされた着色/パターンが不均一及び/又はかすかなものになる可能性がある。単に皮革表面にプリントされたこのような着色/パターン形成は、容易に、迅速に、及び/又は不均一に摩滅するか及び/又は耐光性が低くなる可能性があり、従って、耐久性のないものになる可能性がある。

追加の背景として以下の文献を参照する。

米国特許出願第61/610531号

GB2379188A

WO/2006/129604

WO/01/32434

少なくとも1つの皮革の特性の減損を最小限にし、好ましくは、とりわけ、耐久性、高精細着色/パターン形成、熱/ひずみにより引き起こされる損傷に対する良好な抵抗力(例えば、亀裂の低減)、湿潤状態での色移りの減少(即ち、湿潤時のカラー染料/インクの流出の低下)、低コスト及び/又は効率(例えば、高速化)などの利点を有する方法でプリントすることにより皮革に着色又はパターン形成を施す方法は、依然として必要である。毎年生産され仕上げられる皮革の量を考慮すれば、皮なめし工場又は仕上げ工場の苛酷な環境において実施可能で目的に適した工業用皮革プリント・プロセスも、同様に必要とされる。

本発明者は、皮革の調製された表面上にインク受容体(ink acceptor)の下塗りを直接塗布するデバイスと、下塗り及び/又は皮革の表面上にインクを塗布するインク塗布器(applicator)と、下塗り、皮革の表面上のインク、及び/又は皮革の表面上に添加剤を直接塗布する添加剤塗布器と、少なくとも皮革の表面上の添加剤及びインクと接触するように構成された表面を有するバリアと、実質的にインクを通さず、所定の温度範囲より高い融点を有するバリアが表面上の添加剤及びインクと直接接触して添加剤及びインクを皮革内に軟化し、添加剤及びインクが皮革内に浸透するように、所定の温度又は所定の温度範囲内の温度までバリアの表面を加熱する加熱器とを含む、皮革にプリントするための装置を提供する。

また、本発明者は、皮革の表面上にインク受容体の下塗りを直接塗布することと、下塗り及び皮革の表面上にインクを塗布することと、下塗り、インク受容体、インク、及び皮革の表面に添加剤を塗布することと、実質的にインクを通さないバリアの表面を所定の温度又は所定の温度範囲内の温度まで加熱することと、所定の温度範囲より高い融点を有する加熱されたバリアを、少なくとも表面上の添加剤及びインクと直接接触させて塗布された添加剤及びインクを軟化し、インクが皮革内に浸透するようにすることを含む、皮革にプリントする方法も提供する。

更に、本発明者は、装置とともにプリント方法を実行するコンピュータ・プログラムを提供する。

更に、本発明者は、1片の皮革の表面特性の測定値を入力する入力と、走査結果を出力する出力と、入力された測定値を保管するデータ・メモリと、プロセッサ制御コードを保管するプログラム・メモリと、入力、出力、データ・メモリ、及びプログラム・メモリに結合され、プロセッサ制御コードをロードして実現するプロセッサとを含み、そのコードが実行されるとプリント方法を実現する、コンピュータ・システムを提供する。

より良好に理解するため並びにプロセスをどのように実施できるかを示すために、次に、例として、添付図面について言及する。

皮革表面構造を締め、裏面構造を開くために、以下に詳細に説明するプロセスの皮なめし後段階、貯蔵前段階において使用される逆延伸ドラム(reverse stretching drum)を概略的に示している。

貯蔵/脱水ユニットを概略的に示している。

プリント前処理台を概略的に示している。

走査台を概略的に示している。

(1)ホイル/バリアが基材の表面まで下ろされる、(2)下からの真空が基材を密閉する、(3)プラテンが熱と圧力を加える、(4)真空がオフになり、プラテンが上がり、ホイルが上がり、ビットを浄化するために圧延され、基材が前進方向に移動することを伴う可能性のあるプリント・ステップを概略的に示している。

プリンタの断面を概略的に示している。

RIP及びプロセス制御の流れ図である。

選択された可能な仕様の表である。

選択されたプロセスの一例の概略図を示している。

(a)温度による成功及び失敗の割合の変動のグラフを示している。 (b)温度による成功及び失敗の割合の変動のグラフを示している。

(a)失敗として分類されたテスト結果の写真を示している。 (b)成功として分類されたテスト結果の写真を示している。

皮革の表面を概略的に示しており、線は基材の繊維性/多孔質性を表している。

皮革基材の断面の顕微鏡写真である。

図12に示されている基材の表面上に付着させたインクを概略的に示している。

図14の基材の表面及びインクの上に付着させた添加剤の非常に薄い層を概略的に示している。

皮革基材の表面の顕微鏡写真である。

所定の時間の間、熱と圧力でプレスされた皮革/インク/添加剤を概略的に示している。

熱が添加剤とインクの層を軟化し、次にその層が毛管作用により皮革の表面に浸透することを概略的に示している。

プリントされた皮革の断面の顕微鏡写真である。

以下の説明は図面において例示のために選択された構造の特定の例について言及するためのものであり、特許請求の範囲以外に本発明を定義又は制限するためのものではないことが認識されるであろう。

本発明者は、皮革にプリントするための装置を提供する。この装置は、皮革の表面にインク受容体の下塗りを直接塗布するように構成されたインク受容体塗布器と、下塗り及び/又は皮革の表面上にインクを直接塗布するように構成されたインク塗布器と、下塗り、インク、及び/又は皮革の表面上に添加剤を塗布するように構成された添加剤塗布器と、所定の温度又は所定の温度範囲内の温度まで表面を加熱するように構成された加熱プレスと、表面上のインクと直接接触して皮革を軟化して被覆し、塗布された受容体及び添加剤で被覆されたインクが皮革内に浸透するように構成され、インクのための保護コーティングを形成する添加剤とを含むことができる。

この装置は、フラットベッド、ローラープリンタなどとして構成することができる。ローラー構成はより高速である可能性があるが、皮革の両側のローラーの相対移動のために何らかの位置合わせ不良が発生する可能性がある。プリントは、皮革の着色及び/又はパターン形成を伴う可能性がある。皮革「への」プリントは、インクが皮革に入ることを意味する。インク塗布器は1つ又は複数のインク・ヘッドにすることができ、これはデジタルで制御することができる。更に又は代わって、添加剤が少なくともインク塗布器の一部として作用するように、インクをまず添加剤に塗布し、次に皮革に塗布することができる。インク受容体は、ナイロン、好ましくは、ナイロン6,12の水性懸濁液混合物、ナイロン12及びナイロン6,10などのポリアミドにすることができ、粉末形式で又は懸濁液などの液体として噴霧することができる。添加剤は、例えば、インク受容体と同様又は同一のナイロンなどのポリアミドにすることができ、粉末形式で又は懸濁液などの液体として噴霧することができるか或いはドライ・シート上に存在することができる。

また、本発明者は、以下のステップ1〜5を含む代表的なプロセスなどの方法も提供する。 1.インク受容体の下塗りを塗布する。 2.多孔質の調製された基材上の選択された位置にインクを配置する。 3.添加剤の薄い層で被覆する。 4.迅速に(数秒など)(必ず圧力を加えるわけではなく、添加剤/インクを所定の位置に保持するのに十分な程度に)加熱する。 5.インク受容体、インク、及び添加剤を軟化し、皮革の表面に浸透させて、毛管作用により細孔を充填し、それによりインクがインク受容体及び添加剤に閉じ込められ、皮革内に結合される。

有利なことに、下塗り上塗りの両方に使用するポリアミドと、使用する厚さは、そのポリアミドがインクを保護し、皮革にインクを結合するが、皮革の重要な特性を抑制しないようなものにすることができる。

皮革への浸透は、例えば、表面の下の少なくとも約0.0001〜0.0040mmの深さまでにすることができる。

所定の温度範囲のうちの最低温度は約100℃より高くすることができる。更に又は代わって、所定の温度範囲のうちの最高温度は約220℃より低くすることができる。

この装置は、塗布されたインクに対して加熱されたバリアを押しつけることにより、塗布された受容体、添加剤、及びインクに対して圧力を直接加えるように構成された加圧器を含むことができ、好ましくは、その圧力は所定の圧力であるか又は所定の圧力範囲内である。この圧力は、約50psiより低く、好ましくは約0psiより高い圧力にすることができる。加圧器は、こびりつかないバリアを有するヒートプレス(heat press)を含むことができる。この装置は、所定の時間範囲内のある時間の間又は所定の時間の間、塗布された受容体、インク、及び添加剤に対して加熱されたバリアをあてがうように構成することができる。この時間は約2分以下にすることができる。この装置は、加熱されたバリアを複数回あてがうように構成することができる。

この装置は、皮革を加熱して皮革の含水量の少なくとも一部分を蒸気にし、皮革からの蒸気を吸引するための真空吸引ユニットと皮革からの蒸気を吸収するための吸収ユニットのうちの少なくとも1つを含むことにより皮革を脱水するように構成することができる。このような脱水は、例えば、プリント前の調製として又はプリント中のプレスと同時に使用することができる。そうではない場合、水分が蒸気として抜け出し、プリントを妨げる可能性がある。更に又は代わって、プリント前に皮革に対して何らかの化学的前処理が行われる。

この装置は、皮革の少なくとも1つの特性の空間変動を決定するスキャナを含むことができ、少なくとも1つの特性は、液体、タンパク質及び/又は脂肪の含有量、厚さ、酸性度、細孔濃度、平面度、厚さ、色及び/又は表面粗さを含む。このスキャナは、好ましくは、皮革内の不具合を検出するように更に構成される。更に又は代わって、皮革のサイズ及び/又は形状を走査することができる。液体は、例えば、水分、油、脂肪などにすることができる。酸性度はpH値として測定することができる。

この装置は皮革にプリントするプリンタを含むことができ、このプリンタは皮革のあるポイント又は位置に塗布されるインク総量及び/又は皮革に付着させるインク液滴のサイズ及び/又は色を調節する調節器を含み、その調節は皮革の少なくとも1つの特性の空間変動の決定結果に依存する。この調節器は、皮革の隣接領域より大きい損傷又は高い含水量を有する皮革の一領域でインク液滴サイズ及び/又はインクの総量を増加するように構成することができる。プリンタは、フラットベッド又はローラープリンタにすることができ、好ましくは、デジタルで制御されたインク液滴付着を行う。

バリア及びヒートプレスは、熱を加えている間に実質的に固定位置にインクを保持するように構成し、好ましくはくぼませる(indent)ことができる。

皮革にプリントする方法は、皮革の表面上にインク受容体を直接塗布し、皮革の被覆された表面上にインクを塗布し、インクに添加剤を塗布し、バリアの表面を所定の温度又は所定の温度範囲内の温度まで加熱し、加熱されたバリアを、表面上のインク受容体、インク、及び添加剤と直接接触させて、受容体、インク、及び添加剤を皮革内に軟化し、塗布されたインクが皮革内に浸透するようにすることからなっており、そのバリアは実質的に受容体、インク、及び添加剤を通さず、所定の温度範囲より高い融点を有する。

また、この方法は、好ましくは添加剤及び熱を加えている間に実質的に固定位置にインクを保持するように皮革をくぼませることにより、インクを塗布する前に皮革を機械的に処理することからなっていてもよい。

また、本発明者は、上記の方法を実行するためのコンピュータ・プログラムとともに、1片の皮革の表面特性の測定値を入力する入力と、走査結果を出力する出力と、入力された測定値を保管するデータ・メモリと、プロセッサ制御コードを保管するプログラム・メモリと、入力、出力、データ・メモリ、及びプログラム・メモリに結合され、プロセッサ制御コードをロードして実現するプロセッサとを含み、そのコードは実行されると上記の方法を実現するためのコードを含む、コンピュータ・システムも提供する。

当然のことながら、上記のすべての諸態様のうちの任意の数を任意の順列で組み合わせることができる。

工業用皮革プリント機械に適用可能なプロセス及び概念について以下に説明する。更に、以下の説明は、プリントされる皮革基材に関連する。しかし、以下の説明は、その他の非皮革材料へのプリントにも適用可能である。更に、本発明者の方法及び装置は、植物なめし皮革とクロムなめし皮革の両方に適している可能性がある。

皮革にインクをプリントすることに関する実験により、圧力、温度及び/又は時間の組み合わせを選択することが必要な場合があることが分かった。受容体及び受容体の厚さも変量である。添加剤及び添加剤の厚さも変量である。これらの特性のうちの少なくとも1つが選択された値より増加した場合、皮革に入るインクの量が急速に増加する。これは、インクが毛管作用により皮革に入ることを示唆しており、受容体、インク、及び添加剤を通さないバリア(例えば、金属、セラミック・プレート、ホイル、及び/又は紙)によって受容体、インク、及び添加剤が皮革内に押し込まれた場合、皮革内以外に混合液が移される場所は実質的にどこにもない可能性があり、その液体に関して皮革はバリアに比べて多孔質である。これは、図18に示されているようにプリントされたインクが皮革の表面の下の皮革内に見つかることを示す電子顕微鏡画像によって確認されている。

インクは、単に皮革の表面上で見つかる場合より永続的にプリントされる。バリアは、皮革及び/又はプレートが横に移動して、添加剤及びインクを皮革に塗布するために互いに向かい合う前に、添加剤及びインクを受け取るように配置することができる。代わって、一方の側(例えば、上を向いている側)に添加剤及びインクを有するプレートは、その側が皮革に面する(例えば、その側が皮革に向かって下を向く)ように回転させることができる。バリアは、任意の所望の厚さの中実板を含むことができる。

更に、バリアは、皮革と直接接触するための金属ホイル又は層を含むことができる。ドラムの周りを回転するように構成されたベルトの上にこのようなホイル、紙、又はセラミック層を設けることによって、インクを皮革に塗布するために、被覆された皮革に面するようにバリアのその側が回転される前に、バリアの一方の側に添加剤及びインクを塗布することができる。伝達媒体(transfer medium)を使用して添加剤及びインクを皮革に塗布することは可能である。

成功したプリントの温度及び時間に関する依存性により、毛管作用が上記のように行われるように見えることと、従って、インク受容体、液体添加剤、及びインクの拡散が皮革内にインクが入るための支配的なプロセスである可能性があることが確認される。面積が約10cm×10cmで厚さが3mmの未仕上げのピンク色の植物なめし皮革の約50個の切断片にプリントするために、伝達媒体は、インク担体としての標準的な伝熱紙(ポリマーと薄いポリアミド添加剤という2つの層を有するプラスチックを含む)、標準的なHP顔料ベースのインク、及び約0〜約50psiの定数に設定された圧力にすることができる。

同じ圧力で温度と時間の様々な組み合わせについてテストした。図10(a)及び図10(b)は、温度によって成功(図10(a)における1)及び失敗(図10(a)における0)の割合がどのように変動するかを示している。皮革へのインクの移転が良好な浸透によって皮革サンプル全域で発生した時に成功が達成された。不成功のテストでは、皮革へのインクの移転なし(即ち、浸透なし)、未定義/不明瞭な結果(例えば、不均一な移転)、或いは損傷(例えば、通常、過度の熱及び/又は過度の時間による皮革の乾燥、収縮、及び/又は変形)が見られた。

興味深いこととしては、成功した事例における添加剤及びインクは皮革内に浸透し、単に皮革の表面上に残存するのではなく、細孔を充填していた。更に、温度と時間は強く成功を決定するものであり、どちらも図10(a)及び図10(b)に示されているものと同様に実質的に温度又は時間の関数として成功率の階段関数に関連づけられていた。従って、これらのテストでは、部分浸透はほとんど見られなかった。テスト結果の画像は図11(a):失敗及び図11(b):成功に示されている。プリントされた皮革の断面は高倍率の顕微鏡を使用して検査した。添加剤及びインクは、表面「上」とは対照的に表面「内」にあること、即ち、例えば、少なくとも約0.002mm、場合によっては数マイクロメートルの深さまで浸透していることが明瞭に見られた。

発生する可能性があり、「強制浸透(forced penetration)」と記述することもできるメカニズムについて以下に説明する。インクは基材の表面内に埋め込まれるので、結果として得られるプリント効果は「デジタル・タトゥー」と呼ぶことができる。

図12に示されているように、ポリアミド・インク受容体の被覆で適切に調製された基材がプリント用に提示される。基材は、真空を加えることができるようにするための穴を含むベースで支持することができる。真空は、基材を所定の位置に保持し、プリントを抑制する可能性のある過剰な水蒸気を除去する。線は、皮革の有用な特性のうちの多くにおいて1つの要因である皮革の「繊維性」を示している。しかし、本明細書の図面はいずれも、単に理解を促進するためのものであり、即ち、概略のものであり、従って、特定の相対寸法又はコンポーネントに限定されない。

図13は、皮革の内部構造を高倍率で示している。図14に示されている所望の像を形成するために基材上にインク液滴が付着している。インク液滴は、始めは皮革に浸透せず、むしろ表面上に残存し、インク受容体によって所定の位置に保持されている。像の所望の定義次第で、様々な方法によってインクを付着させることができる。

図15では、ポリアミドなどの添加剤の非常に薄い層を表面上に付着させ、付着させたインク及び任意のインクで覆われていないエリアを覆う。インク受容体は、粉末として又は懸濁液中で噴霧することができる。添加剤は、粉末として噴霧するか或いは液体形式で付着させることができる。インク受容体の被覆は非常に薄く、典型的に0.0050mm未満にすることができる。添加剤の被覆は非常に薄く、典型的に0.0050mm未満にすることができる。

インク受容体と添加剤の両方のポリアミドの内部組成は、好ましくは、図16に示されているように皮革の内部組成と同様のものである。これは、長鎖の「巣」であり、皮革とポリアミドの両方が同様の特性、即ち、柔軟性、多孔性、吸収、強度などを有することを意味する。

次に、図17に示されているように、プラテンを使用して、或いはこびりつかないバリアと次にプラテンとを使用して、受容体、インク、及び添加剤をヒートプレスすることができる。その結果、熱が受容体、インク、及び添加剤を軟化し、それらは実質的に所定の位置に残存している間に基材の多孔質表面に浸透する。バリアとしての金属プラテンは熱伝達に十分なものであるが、特に工業用の速度でプリントが適用される場合、迅速にしかも横移動なしに熱と圧力が基材の表面上の受容体、インク、及び添加剤に伝えられことが好ましい。ヒートプレスの前に、表面上のインクは好ましくは乾燥状態(固体)である。熱と圧力が加えられると、受容体、インク、及び添加剤は簡単に軟化し、その後、混ざり合う。毛管作用に加えて、バリアからの圧力が受容体、インク、及び添加剤の混合物を引き延ばして多孔質基材に浸透させる。上には不浸透性のバリアがあり、両側から実質的に等しい圧力が加わるので、実質的にインクは広がらない。従って、受容体、インク、及び添加剤は、表面上に配置された位置でまっすぐ下に向かって拡散する。

図18に示されているように、固体の受容体、インク、及び添加剤が熱と圧力に曝されると、それらは軟化し浸透するように見える。これは、プラテンからの圧力下でホイルの形のバリアによって所定の位置に保持することができる。皮革のベースから加えられた真空によって、皮革全域の差圧が増加する可能性がある。このような真空は、皮革内の水分から発生した蒸気を除去することもできる。受容体、インク、及び添加剤は皮革内で再固体化し、インクが皮革材料と結合するように熱がインクを「固定する」ことができる。従って、「強制浸透」が発生することができる。混合物を更に軟化し固定するために、熱と圧力を複数回加えることができる。

このプロセスが効果的に機能するために、複数の要因を同時に満たさなければならない。皮革は正しい方法で調製しなければならず、皮革の表面はむき出し(未仕上げ)でなければならない。インク受容体は正確な厚さまで塗布しなければならない。インクは適切な組成のものでなければならない。添加剤は、液体形式の時に、受容体及びインクとともに、皮革に浸透するのに十分な粘性のものになるように、正しいものでなければならない。圧力、温度、及び時間も、安定した強固な結果を得るために重要である。

図19は、1片のプリントされた皮革の高倍率断面を示している。一番上の(黒い)層は約0.0030mmの厚さである。これは、軟化し、皮革内に浸透した後の受容体、インク、及び添加剤である。受容体、インク、及び添加剤の混合物の「筋」が細孔を充填している。

基材、例えば、皮革は、好ましくは、インクを受け入れるために最適な状態で提供される。これは、皮革が好ましくは最適な程度まで多孔質である(好ましくは皮革の繊維も明瞭である)ことを意味する。きめ細かい表面構造によってより高精細のプリントが可能になるので、その表面は好ましくは「タイト」である。上述の通り、このプロセスは皮革内に蒸気を発生し、それがプリントを妨げる可能性があるので、含水量は更なる考慮事項である。pHレベル、脂肪含有量、色などのその他の要因は最終的なプリント品質に対して同様に影響を及ぼす可能性がある。一般に、仕上げられた皮革は、上記の強制浸透が行われるのに必要な程度まで多孔質にはならない(ただし、仕上げられた皮革によってはそうである可能性がある)。「仕上げられた」とは、例えば、保護コーティングが塗布され、汚れ防止、防水処理、カラー染色、グレインエンボス加工、防水処理及び/又は難燃加工が施されていることを意味する可能性がある。従って、皮革が特定の方法で調製されていること、例えば、プロセスのプリントが適用される前に特定の仕上げステップを省略すること、例えば、特定の染料によってなめされていないことが好ましい可能性がある。従って、好ましくは、なめした皮革は未仕上げかつ未染色であり、表面を滑らかにするか、サンドペーパーで磨くか、バフ磨きするか、又はその他の方法で再仕上げし、皮革の細孔構造を妨げる可能性のある機械的処理を受けていない。しかし、なめしプロセスは、なめし添加剤によるなどの機械的、化学的、及び/又は生物学的処理、例えば、色を漂白するか又は明るくするためのシュウ酸又は水酸化ナトリウム、細孔を開くための浅いドラムの上での機械的な逆延伸、及び/又は細孔を開くためのCO2の加熱噴射内での乾燥によって皮革のプリント適性を改善するように変更することができる。

インクは、好ましくは、あるタイプ、例えば、HPP(高性能顔料着色)のものであるか、又は、好ましくは1.0μm未満の分子サイズ及び20%を超えるインク容積濃度などの選択された特性を有する柔軟な紫外線硬化インクである。異なるタイプの皮革のために、潤滑剤及び樹脂のレベルを制御することができる。顔料ベースのインクを使用して、良好な結果が達成されている。この点に関して、プリントを改善するために、好ましくは、顔料の分子サイズ及び浸透温度が調節される。

インクは、好ましくは、既知のインクジェット技術を使用して皮革上に配置される。インク配置のために、少なくとも2つのオプションがある。第一に、インクは、被覆され調製された基材上に直接配置することができる。インクが所定の位置に保持されるように、インク配置の前にインク受容体が基材に塗布される。このようなインク受容体は像の汚れを低減することができる。代わって又は更に、インク滴「ホルダ」、例えば、バリアの表面上のディンプルを有する可能性のあるバリアにインクを塗布することができ、例えば、所定の位置にインクを保持するのに適した艶消し生地を有するようにバリアをナノ設計することができるか、及び/又は、例えば皮革の表面を粗くして皮革表面上のインクの移動性を低減するために皮革をくぼませることができる。このようにくぼませることは、皮革の表面の上で、ディンプル付き表面を有するローラーを移動させることによって(例えば、均一な艶消し仕上げが得られるように、10k ipis=約600dpiの密度で、皮革の表面上で非常に薄いパターンのくぼみを圧延エンボス加工することによって)実行することができる。このようなエンボス加工は約120℃で行うことができ、これにより、例えば、皮革の含水量を低減することができる。更に、このような圧延エンボス加工は、皮革の厚さの変動を実質的に矯正することができる。好ましくは、このくぼみ付けは皮革表面の非永続的変形であり、例えば、数秒又は数分後に、皮革は自然に元のくぼみなしの状態に戻る。

インクの制御及び配置に関しては、一例でインクジェット式印刷を使用する場合、表面への「注入」が必要な正確な位置でインク液滴が基材と接触させられる。表面は、理想的には、インクを受け入れるための状態にある。これは、表面の特定の調製(機械的及び/又は化学的)を必要とする可能性がある。また、インク液滴の色及び/又はサイズも基材全域での色の変化に応じて調節することができる。皮革に関する不具合の頻繁な発生も、好ましくは、像を配置する時に考慮される。

上記を考慮して、このプロセスは、色管理が標準的ではないように、従来のプリントよりタトゥーに似ていると見なすことができる。基材は、従来プリントされていたその他の基材が持っていないような特性、即ち、色及びその他の特徴の不均一性、表面不具合の広まりなどを有する可能性がある。基材表面の調製はインクの受け入れを改善し、色管理は好ましくは特定の皮革問題の克服を支援する。より具体的にこのプリントに関しては、考慮すべきパラメータは、温度、時間、及び圧力である。これらのパラメータの制御は、矛盾する要因を考慮に入れることができる。受容体、インク、及び添加剤の浸透及び固定は、好ましくは、熱と圧力によって達成される。しかし、この2つのパラメータは、情況によっては、基材の特性に影響を及ぼし、最終的には基材を永続的に損傷する可能性がある。従って、理想的には、強制浸透を達成し、インクを固定して、皮革品質を劣化させずに安定した強固な像を生成するために、最小熱及び/又は最小圧力を最小時間の間、加える。それぞれのタイプの皮革は異なる1組の所望のパラメータを有することができ、それは厚さに対して敏感である可能性があり、例えば、約0.4mm(製本)から、例えば、約8mm(重工業使用)までの範囲になる可能性があり、即ち、20倍の変動になる可能性がある。

皮革は高い含水量を有し、その水分は熱と圧力を受けて蒸気に変わり、基材を通って上昇し、皮革を通って反対方向に拡散しようとする可能性のあるインクを妨げる可能性があるので、蒸気の発生について更に考慮することができる。この効果の影響は、選択された状態で基材を提示することによって、例えば、基材を脱水し、プリント中に機械的プロセス(例えば、蒸気の真空除去)を使用することによって低減することができる。プリントする前にプリントすべきそれぞれ個別の1片の基材の測定及び分析を使用すると、インク液滴サイズ、色、熱と圧力、時間などの所望のパラメータを決定することができる。例えば、サドルに使用するための堅くピンク色で6mm厚さの植物なめしの皮革にプリントすることは、手袋又は室内装飾品用皮革或いは靴用皮革のための柔らかく薄い1.5mmのヤギ皮と比較して、異なるパラメータを伴う可能性がある。

プリントされた皮革についてプリント後のコンディショニングを行うことができる。上記で詳述したように皮革に対して様々な機械的及び/又は化学的調節を行い、皮革を熱と圧力に曝すと、皮革は仕上げのプロセス・ラインまで続行するための理想的な状態にはない可能性がある。従って、再水和、乳状加脂剤処理、圧延などの機械的化学的な矯正プロセスを適用し、皮革を仕上げに適した状態にすることができる。観察結果について以下に説明する。

高精細の安定した像が達成された。インクは基材の表面内に埋め込まれているように見え、これは高倍率顕微鏡を使用した検査後のケースであることが分かった。更に、強制浸透メカニズムを使用してプリントした皮革の各片は劣化又は退色を全く示さなかった。従って、強制浸透によるプリントの結果は非常に安定したもののように見える。インクはヒートプレス時に乾燥していた。しかし、湿式インクを使用しても同様の効果が観察されるであろう。しかし、この点に関しては、高精細像を達成するために有利であるので、好ましくはプリントされた像のにじみを低減するためのステップを行うために湿式インクを配置するケースである可能性がある。上記のプロセスの実行に関する概念、特に、工業用皮革プリント機械に適用可能な概念について以下に説明する。

「強制浸透」が良好な結果をもたらすことを立証したので、本発明者は商用プロセスを設計した。好ましくは、このようなプロセスは、大量で高速及び/又は強固;安価;効率、例えば、低い運転/維持コスト;プリントの低い失敗率;使いやすい、例えば、制御がユーザフレンドリである;及び/又は環境に優しい、例えば、その他の仕上げに比べて影響が低減されるもののうちの1つ又は複数にすることができる。環境上の影響に関しては、このプロセスは直接プリントを伴うので、例えば、プラスチックを除去するためのアセテートなどの有毒化学物質を回避することができる。同様に、溶剤ベースの染料の使用を回避することにより、汚染物質を削減することができる。

このプロセスは、例えば、皮なめし(これは、以下に更に詳述するように皮なめしプロセス中に皮革に対して化学処理を施すことを伴う可能性がある);プリント前処理(例えば、皮革をくぼませること及び/又は上記のようにホルダを提供すること);プリントのための調製(例えば、脱水、水分を蒸発させるため及び/又はプリント中に後で熱を加えた時の寸法の変化を低減するための加熱)及び/又は浄化(例えば、超音波を使用する);インク受容体による被覆;走査;プリント;プリント後処理(例えば、皮革内のインクを固定するための再加熱又は紫外線走査、例えば、皮革へのインク分子の結合を増加するため);制御ソフトウェアの実行(例えば、プリントすべき1片の皮革全域での皮革の特性の空間変動に依存するインク液滴を決定するため及び/又は皮革の更なる処理の必要性を決定するため);例えば、更なる脱水処理(例えば、含水量を低減するための加熱)という複数の段階に分解することができる。

それぞれの段階について、いくつかのオプションが存在する可能性がある。例えば、脱水は、水分/蒸気を除去するための抽出器を備えた脱水炉を皮革のラックが通過することを含むことができる。加熱は、好ましくは、含水量が重量で約5%まで低減されるまで、約70℃の温度で続行される。必要な時間は、それぞれのバッチに適用されるサイズ、厚さ、皮なめし方法次第で変動する可能性がある。浄化は、温かい空気/CO2混合物の噴射による温風噴射及び/又は大きいか又は頑固な汚れを除去するための軽いバフ・メカニズムによって達成することができる。更に、これらの段階は、必ずしも任意の特定の順序で実行されるわけではなく、例えば、プリントのための調製はプリント前処理の前に行うことができる。

選択された装置及び関連のプロセスについて以下の段落で説明する。皮革は、例えば、インクの受容性(好ましくはインクを閉じ込めるため)及びプリント品質を高めるための添加剤を使用して、皮なめしすることができる。皮革はプリントのために(化学的/機械的に)処理される。例えば、皮革に対して、脱水、プレス(例えば、皮革が巻き上げられた形又は折りたたまれた形で供給された場合)、浄化などを行うことができる。この段階で、調製された皮革は、この状態で、好ましくは「サンドイッチ・パイル」状態で、即ち、隣接皮革層間に吸塵シートが挿入されている状態か、或いは隣接層間の皮革ダストの移転を低減するために層同士を分離するラック内にある状態で、貯蔵に適したものになる可能性がある。このようなラックは、皮革の積み重ねを移動させるための輸送メカニズムとして及び/又は皮革を脱水する時のサポートとして及び/又は主要な機械/プロセス・ラインへのフィーダ・メカニズムとして使用することができる。皮革が実際のプリント・プロセスに入る前に可能な限り多くの調製を行うことは効率的である。これは、プリントを加速し、プリント・ライン故障のリスクを低下させることができる。インライン・プリント段階は、好ましくは、輸送メカニズム、例えば、フラットベッド及び/又はローラー・メカニズムを有する。皮革が実際のプリント・プロセスに入ると、即時プリントのための最終調製が行われる。これは、最適温度までの予熱などの機械的処理を伴う可能性がある。化学処理、例えば、インク受容体で皮革の表面を被覆することが適用される可能性がある。一般に、その目的は、インクを乾燥させ、プレスのために所定の位置にそれを保持することである。

プリント前に、プリント品質に影響を及ぼす測定可能な特性が識別される。皮革を走査して、(a)これらの特性を測定し、(b)不具合を識別し、(c)カラー・プロファイルを入手し、(d)物理的プロファイル(面積、形状)を入手する。走査可能な特性としては、例えば、液体含有量(例えば、水分、油など)、細孔濃度、平面度、厚さ、色などのうちの任意の1つ又は複数を含むことができる。走査可能な不具合としては、しわ、切れ目及びかき傷、穴、かみ跡などのうちの任意の1つ又は複数を含むことができる。較正済みの視覚的プロファイルは、走査結果に応じて基材のカラー・マップを提供することができる。物理的測定は、走査、例えば、含有量を検出するための分光法、色を検出するための写真技術、厚さを検出するための距離又は重量測定、平面度を検出するための距離測定、厚さ及び/又は細孔濃度を検出するための光透過率、超音波センサによる通過(例えば、含水量を検出するため)などのために必要である可能性がある。不具合の走査並びにこれを基礎とするプリントの調節によって無駄を減らすことができることは注目に値する。

この走査は、プリント品質及び効率を改善するためにプリント・パラメータ(例えば、インク液滴サイズ及び/又は色)を調節する際の基礎に関する情報を発見することができる。この走査は、それぞれの層で、色、水分密度、及び任意の不具合/汚点/しわなどの位置を示す、基材の層状デジタル・プロファイルを生成することができる。制御ソフトウェアにより、インクの色及び量並びにプレスの温度、圧力及び/又は時間の制御を調節することができる。フロントエンド画像制御ソフトウェアは、好ましくは、問題エリアと不具合を強調して、オペレータが必要な像を効率良く配置できるようにする。これは、必要に応じて自動化することができる。

従って、上記のプロセスが実行された後、皮革は、プリント品質及び効率を改善するための方法ですでに皮なめし及び前処理されている可能性がある。皮革は、適切な貯蔵場所から、好ましくは、インライン・プリント・プロセスに入り、プリントのために調製されている。これは、インク受容体の下塗りを塗布することを含む。これは、更に好ましくは、画像及び機械制御ソフトウェアに関するデータを入手するために走査されている。所望の像は、(機械オペレータによるか又は自動的に)フロントエンド・ソフトウェア・アプリケーション上の皮革の走査プロファイル上に配置される。これは、不具合の影響を最小限にし、使用できる面積を最大限にすることができる。次にインクは皮革とプレス・バリアとの間に配置される。様々なオプションが存在し、例えば、(a)インクが調製された基材の上に配置されるか、(b)インクがバリアの上に配置されるか、及び/又は(c)インクが紙又はフィルム或いは「メッシュ」、例えば、柔軟なワイヤメッシュなどの担体の上に配置され、ホルダ/保持剤を有し、例えば、メッシュのワイヤ自体が機械的インク・ホルダとして作用する。有利なことに、オプション(c)の担体は再利用可能である。

インク配置の方法は、既知の技術、好ましくは、インクジェットに基づくことができる。しかし、インク量(液滴サイズ)、インクの塗布温度、及びその他の要因は、新しい方法で制御することができ、プリント装置のコンポーネント、例えば、プリントヘッドは従来のもの(例えば、従来の大判プリンタのように、CMYKは好ましくは並列に配置される)又は従来とは異なるもの、即ち、本発明者によるプリント・プロセス用に選択されたものにすることができる。同様に、インクは現在入手可能なインクにすることができるが、好ましくは、強制浸透に適しており、新しいプロセスを改善するために特別に設計されたインクであり、例えば、基材の固有の特性及び有機性、低温の選択、圧力などを考慮に入れている。

調製された基材の上にインクが配置されると、インクが全くないエリアを含む、表面全体の上に添加剤の非常に薄い層が配置される。これは、基材全体について均一な性能で実質的に均一な仕上げを達成するためのものである。添加剤は、懸濁液中で乾燥(粉末)形式で表面上に噴霧される場合もあれば、ブレードを使用して液体として広げられる場合もある。添加剤は非常に微細(0.0050mm未満)である可能性があり、インクを妨げることはない。

受容体、インク、及び添加剤の層が基材とバリアとの間に配置されると、基材はプレスされ、選択された(即ち、所定の)温度まで加熱されるか、及び/又は最適時間の間、選択された圧力が加えられる。これらの所定の条件は好ましくはソフトウェアによって計算される。次に、強制浸透によるプリントが行われる。超音波を加えることは、皮革内へのインクの浸透を更に支援することができる。プリントは、プリントベッド上で(好ましくは、本明細書に記載された走査装置を通過するフラットベッド・コンベヤ行程で継続することにより)行うことができる。それが入ると、例えば、大判フラットベッド・プリントと同様に連続通過することにより、皮革の調製された表面上に必要な像をプリントすることができる。例えば、皮革が温かい、例えば、約70℃である場合、インクは調製された皮革に接触した時に乾燥する可能性がある(これが行われる場合、圧延エンボス加工後に冷却されている)。像のプリント中に、基材を覆うホイル、例えば、プリントベッド全域に広がる幅広の柔軟なホイルは基材と接触するように下ろすことができる。プリントベッドのベースを通して強力な真空を加え、基材上にぴったりとホイルを吸引することができる。

例えば、油圧によって操作された加熱プラテンは、次にプリントベッド全体をプレスすることができる。次にプラテンは、基材に直接ではなく、ホイルに接触する。このようなホイルは、プラテン表面から像を保護するために使用することができる。ホイルに代わるものとして、非多孔質の紙又はその他の非多孔質で柔軟な材料を使用することができる。従って、ホイル/紙及びプラテンは上記のバリアを形成する。指定の時間の間、熱と圧力を加えることができる。これらのパラメータは、基材の特性(走査によって決定されたもの)次第で変化する可能性がある。例えば、3mmの植物なめしの「半分側」(4フィート×8フィート)の場合、適切なパラメータは、時間:15秒、圧力:8psi、温度:170℃にすることができる。

プリント後、プラテンとホイルは持ち上げられ、真空は解除される。皮革はコンベヤに沿って続行し、プリントベッドから出ることができる。次の皮革片のためにプリント・メカニズムをリセットすることは、ホイル及び/又はプラテンの交換及び/又は浄化を伴う可能性がある。主なプリント・メカニズムでは、好ましくは速度の最大化(例えば、スループット)及び故障率の最小化と同時に、好ましくは良好なプリント品質及び信頼性が得られる。

この時点までのプロセスは一般に(調製及び走査並びにおそらくインク配置のため)フラットベッドであった可能性があるが、特にヒートプレスはローラー及び/又はフラットベッドによって遂行することができる。また、潜在的にプレス中に真空も必要である。これは、(a)プレス中に皮革を所定の位置に保持し、(b)余分な水蒸気を除去し、及び/又は(c)差圧を発生させることによってインクの浸透を改善することができるであろう。プリント後、皮革を機械的又は化学的に処理して、(a)インクを固定し、及び/又は(b)特性の一部を元に戻す(例えば、再水和する)ことができる。皮革は、この時点で実質的にプロセス中のその行程を完了しており、プリントされ、好ましくは改善された状態(通常の温度、水和レベル、柔軟性など)になっている。次に、従来の仕上げプロセス、例えば、グレインエンボス加工、保護コーティング、防水処理などを続行することができる。

有利なことに、上記のプロセスは、皮革の表面内に高精細でフルカラーの像をプリントすることを可能にすることができる。受容体、インク、及び添加剤は表面内に「注入」され、そこに固定されるので(一般に、皮革内のコラーゲンへの付着による)、更にコーティングする必要なしに良好に結合する。その結果は、永続的であり、皮革とともに移動する、フルカラーで強固なデジタル・プリントになる可能性がある。このプロセスは、高速で実行されるように工業化することができ、皮なめし工場内の仕上げ生産ラインに含めることができる。上記のソフトウェアの事例のすべてに関して、像/色管理を実行し、プロセス全体を制御するためのソフトウェアを提供することができる。このようなソフトウェアは、タイプ、平均厚さ、平均密度、平均カラー、平均サイズ/寸法、平均含水量などの皮革の既知の変量を考慮に入れることができる。プリントすべきバッチからのサンプルを予備テストし、これらの変量の任意の組み合わせを確立することができる。その後、制御ソフトウェアは、それに応じてプリント・パラメータを調節し、プリント品質又は出力を改善することができる。

このようなソフトウェアはラスタ画像処理(RIP)を制御することができ、その処理は背景色を考慮に入れるように較正することができる。出力のタイプは制御することができ、例えば、皮革が成長による自然の色変化を有する場合、この処理はこれを矯正することができる。RIPは色だけでなくインク密度、例えば、液滴サイズも制御することができ、それを必要とするエリアにより厚い被覆を適用することができる。像/色管理は表面不具合管理を含むことができる。例えば、制御画面は、不具合/汚点が存在するエリアを強調することができる。このソフトウェアは、パターン/像を移動して不具合を最適に偽装/隠蔽/回避するように、例えば、使用率を最大化するように、設定可能にすることができる。

本発明者は、例えば、組み込みプロセッサ上で上記のシステム及び制御手順(例えば、上記のソフトウェアの事例のいずれか)を実現するためのプロセッサ制御コードを更に提供する。このコードは、ディスク、CD−ROM、又はDVD−ROMなどの担体、読み取り専用メモリなどのプログラムされたメモリ(ファームウェア)、或いは光又は電気信号担体などのデータキャリア上で提供することができる。実現のためのコード(及び/又はデータ)は、Cなどの従来のプログラミング言語で作成された(解釈又はコンパイルされた)ソース・コード、オブジェクト・コード、又は実行可能コード、或いはアセンブリ・コード、ASIC(特定用途向け集積回路)又はFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)をセットアップ又は制御するためのコード、或いはVERILOG又はVHDL(超高速集積回路ハードウェア記述言語)などのハードウェア記述言語用のコードを含むことができる。このようなコード及び/又はデータは、相互に通信状態にある複数の結合されたコンポーネント間に分散することができる。

プリント・プロセス及び/又はプリンタに関する上記の説明/例のいずれかを使用して、様々な適用例、例えば、履物、家具、バッグ及びカバン類、装身具(手袋、ベルト、財布など)、衣類、乗物(例えば、列車/飛行機/船舶/自動車の座席など)、インテリア、書籍及び文房具、包装、乗馬用品などのための皮革にプリントすることができる。

更に、上記のものは非皮革基材へのプリントにも同じように適用することができる。疑いなく、当業者には多くのその他の効果的な代替例が思い浮かぶであろう。本発明は上記の例に限定されず、特許請求の範囲の精神及び範囲内にある当業者にとって明白な変更を包含するものであることが理解されるであろう。

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