New heparitinases, its production method and its producing bacteria

申请号 JP6370791 申请日 1991-03-06 公开(公告)号 JP3110064B2 公开(公告)日 2000-11-20
申请人 生化学工業株式会社; 发明人 浩 丸山; 圭一 吉田; 博文 宮園; 清志 森川;
摘要
权利要求 (57)【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 下記の理化学的性質を有するヘパリチナーゼT−IV。 (A) 作 用 ヘパリン及びヘパラン硫酸のグリコサミニド結合に作用するリアーゼであり、切断部のグルクロン酸又はイズロン酸の4位と5位の炭素の間に二重結合を形成する。 (B) 基質特異性 ヘパリン及びヘパラン硫酸に作用し、分解物として生ずる不飽和二糖はウロン酸−グルコサミン−N−硫酸、ウロン酸−グルコサミン−N,6−ジ硫酸、ウロン酸−2
    −硫酸−グルコサミン−N−硫酸、ウロン酸−2−硫酸−グルコサミン−N,6−ジ硫酸である。 (C) 至適pH 7.5−8.0 (D) 安定pH範囲 5.0−10.0 (E) 至適温度 40℃ (F) 安定温度範囲 40℃以下 (G) 阻害及び活性化 酵素活性がBa 2+ 、Ca 2+ 、Mg 2+ で賦活され、C
    2+ 、Zn 2+ で阻害される。
  • 【請求項2】 バチルス属に属するヘパリチナーゼT−
    IV生産能を有する細菌を培養し、その培養液または菌体抽出液からヘパリチナーゼT−IVを採取することを特徴とする 、請求項1記載のヘパリチナーゼT−IVの製造法。
  • 【請求項3】 少なくとも 請求項1記載のヘパリチナー<br>ゼT−IV生産能を有するバチルス・サーキュランスHp
    T298菌株。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は、ヘパラン硫酸及びヘパリンを分解する新規酵素ヘパリチナーゼ、その製法及びその生産菌に関する。

    【0002】ヘパリチナーゼは、N−アセチル−D−グルコサミンとウロン酸との二糖単位の繰り返しを基本構造とする、複合多糖であるヘパラン硫酸(以下HSと略す)やヘパリン(以下Hepと略す)のグルコサミニド結合を切断する酵素で、HSやHepの生体内での機能あるいは生体成分中のこれら物質の分析研究試薬として有用である。 また、近年、抗血栓剤として開発が進められている低分子ヘパリン調製時の低分子化剤として、あるいは体外循環装置による治療の際問題となるHepの副作用を軽減するための素材(Hep除去剤)としても有用性が注目されており、診断、治療の目的に多様な用途が期待される。

    【0003】

    【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】これら用途に用いうる酵素は、糖鎖に結合する硫酸基の有無、
    結合位置など、糖鎖構造の違いを認識する種々の基質特異性の異なるヘパリチナーゼを取り揃えることが必要であり、また、酵素源としては安定的に大量供給出来るものが望ましい。 かかる観点から、本発明者らは上記用途を満足する酵素を生物起源に求め、該酵素生産菌を検索し、既にフラボバクテリューム属細菌からヘパリチナーゼを三種見いだした(特開平2−57183号)。

    【0004】微生物起源のヘパリチナーゼに関して精製や性質まで詳細に言及した報告としては、他にフラボバクテリューム属細菌やバチルス属細菌などから採取した酵素が知られ、例えば第10回国際グリココンジュゲートシンポジウム要旨集〔330頁、1989年〕や特開平2−142470号公報に開示されている。 これら公知の酵素類は上記の目的のために有用であるが、更に基質特異性の異なる新規ヘパリチナーゼが上記の目的達成のために求められている。

    【0005】本発明者らはかかる理由から、更に新規ヘパリチナーゼ生産菌を広く自然界に検索した結果、埼玉県下の土壌から分離したバチルス・サーキュランス(B
    acillus circulans)HpT298菌株が新規ヘパリチナーゼを生産する能を持つことを見いだした。 これらヘパリチナーゼを分画・精製し、理化学的性質や特異性の異なる4種の新しいヘパリチナーゼを単離した。

    【0006】

    【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、HSおよびHe
    pを分解する新規酵素、ヘパリチナーゼT−I、ヘパリチナーゼT−II、ヘパリチナーゼT−III 及びヘパリチナーゼT−IVのうちヘパリチナーゼT−IV(以下、本酵素と呼ぶ)に関するものであり、また本酵素の生産能を有するバチルス属の細菌から本酵素を効率よく製造する方法に関するものである。 以下に本発明を更に詳細に説明する。

    【0007】本酵素の生産に用いる微生物は、本酵素の生産能を有するバチルス属細菌であればいずれの菌株でもよいが、本発明の実施例に用いたバチルス・サーキュランスHpT298株は本発明者らがHep資化性菌の検索によって埼玉県下の土壌から分離した新菌株で、その菌学的性質は次の通りである。

    【0008】(A) 形態学的性質 グラム染色 : 陰性 細胞の形状 : 桿菌(0.4〜0.5μm×2.0〜
    3.6μm) 胞子形状 : 卵円形 胞子嚢の膨潤 : 陽性 パラ胞子クリスタル: 陰性 運動性 : 陽性

    【0009】 (B) 生育特性 好気的生育 : 陽性 嫌気的生育 : 陰性 生育温度 15℃: 陽性 20℃: 陽性 30℃: 陽性 40℃: 陽性 50℃: 陽性 51℃: 陽性 52℃: 陰性 リゾチーム(0.001%)存在下での生育: 陽性 NaCl存在下での生育 2%: 陽性 5%: 陰性 7%: 陰性 pH6.8(栄養培地)での生育: 陽性 pH5.7(サブローデキストロース培地)での生育: 陽性 生育pH : 5.0〜9.0、特に6.5〜7.5が最適 NaCl及びKClの要求性: 陰性

    【0010】(C) 生理学的性質及びその他の性質 カタラーゼ : 陽性 V−P試験 : 陰性 V−P培地でのpH: 6.0以下 酸生成 D−グルコースから : 陽性 D−キシロースから : 陽性 D−マンノースから : 陽性 L−アラビノースから: 陽性 D−マンニトールから: 陽性 ソルビトールから : 陰性 D−グルコースからのガス生成: 陰性 インドール生成 : 陰性 カゼインの加分解: 陰性 デンプンの加水分解: 陽性 チロシンの分解 : 陰性 フェニルアラニンの脱アミノ反応: 陰性 硝酸塩の還元 : 陽性 クエン酸の資化性 : 陽性 プロピオン酸の資化性: 陰性 ヘパリンの資化性 : 陽性 ヘパラン硫酸の資化性: 陽性 コンドロイチン硫酸の資化性: 陽性 ケラト硫酸の資化性: 陰性 グアニン+シトシン(G+C)含量: 53.0モル% 主たるイソプレノイドキノン: メナキノン−7(MK
    −7) 細胞壁ペプチドグリカン中のジアミノピメリン酸(DA
    P) : meso−DAP

    【0011】上記の菌学的性質を有するHpT298株の分類学上の位置を、バージェイズ・マニュアル・オブ・システマテック・バクテリオロジー、第1版、第2巻(1986年)を参照して検討すると、本菌は運動性を有する好気性グラム陰性桿菌で芽胞を形成し、主たるイソプレノイドキノンがメナキノン−7であり、細胞壁のペプチドグリカンにmeso−ジアミノピメリン酸を含むことから、バチルス属に属する菌株と判定された。 更にその他の性質をバチルス属の公知種と比較すると、本菌株はバチルス・サーキュランス(Bacillus
    circulans)の種に属すると同定された。 しかしながら、公知のバチルス・サーキュランス菌株、例えばIFO13632、IFO13635及びIFO13
    636は本発明の酵素を生産せず、この点で公知の菌株と区別される新菌株である。

    【0012】バチルス属のHS及びHepの分解酵素生産菌は、バチルス・SP(Bacillus・sp)B
    H100株が知られているが(特開平2−142470
    号)、嫌気条件での生育、最高生育温度、V−P培地でのpH、デンプンの加水分解能、DNA中のG+C含量の項目で試験結果が異なることから明らかなように、前記HpT298株はBH100株とは相違する。 なお、
    前記HpT298株は工業技術院微生物工業技術研究所に微生物国際受託番号BP−3765として寄託されている。

    【0013】本発明の新規なヘパリチナーゼT−IVは、
    バチルス・サーキュランスHpT298株あるいはバチルス属に属する本酵素生産菌を、通常微生物の培養に用いられる栄養培地、好ましくは酵素生産能を高めるためにHepやHSあるいはこれらを含む物質を添加した培地で培養することにより、培地液あるいは菌体中に生産蓄積されるので、公知の方法で精製酵素を得ることができる。

    【0014】更に具体的に説明すると、バチルス属に属する本酵素生産菌を適当な栄養培地、例えば適当な炭素源、窒素源、無機塩類とHepやHSあるいはこれらを含む物質などを含む培地で菌を培養し、本酵素を培地中か菌体中に生産蓄積させる。 炭素源としては、資化できるものはいずれの物質も利用でき、例えば、D−グルコース、D−キシロース、D−マンノース、L−アラビノース、D−マンニトール、澱粉及びその加水分解物、糖蜜、クエン酸塩、各種ペプトン類などが挙げられる。 窒素源としては、酵母エキス、麦芽エキス、各種ペプトン類、各種肉エキス類、大豆粉脱脂大豆粉、コーンステープリカー、アミノ酸溶液、アンモニウム塩など有機無機の窒素化合物又はこれら含有物が利用できる。 無機塩としては、各種リン酸塩、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、カルシウムなどの塩類が使用される。 そして更に必要に応じて菌の生育あるいは酵素生産に必要な各種の無機物や有機物、例えばシリコーン油、ゴマ油、各種界面活性剤などの消泡剤やビタミン類を培地に添加することができる。

    【0015】本発明においては、本酵素の誘導物質としてHepやHSまたはそれらを含有する物質を添加すれば大量に本酵素を生成させることができる。 これら誘導物質の添加は培養当初からでも培養途中に行ってもよい。 添加量としてはHepやHSとして通常0.2%〜
    2%添加すれば良い結果が得られる。

    【0016】培養の形態は液体培養でも固体培養でもよいが、通常は液体培養が好適であり、工業的には深部通気撹拌培養を行うのが有利である。 本発明における培養条件は、本酵素の生産に最も有利な条件を適当に選択、
    調節して行う。 培養温度は15〜51℃の範囲内で適宜変更することができるが、特に好ましいのは40〜45
    ℃である。 培養時間は培養条件によって異なるが1〜2
    日程度であって、本酵素が最高蓄積量になる時期に培養を終了すればよい。 培地のpHは培地調製時に中性付近にあればよく、通常の場合特に調節の必要はない。

    【0017】このようにして得た培養液の上清液及び菌体抽出液の双方から前記4種の酵素を得ることができる。 培養上清液については、硫酸アンモニウムを加え、
    0.6飽和として析出した沈澱物を透析した後、ハイドロキシアパタイト、イオン交換樹脂、ゲルろ過剤、吸着剤を用いて酵素を分画精製する。 また、菌体内酵素については、菌体を適当な緩衝液に懸濁し、超音波または機械的破砕法によって菌体を破壊して酵素を抽出した後、
    その遠心上清液を培養上清液に用いたのと同様の手法により精製できる。 しかし、これら精製の手法により本発明は何ら制約を受けるものではない。

    【0018】本酵素の力価は、本酵素がヘキソサミニド結合に作用するリアーゼであり、切断部の断端のウロン酸の4位と5位の炭素間に形成される二重結合が紫外吸収を持つことを利用し、その増大を測定することにより求められる。

    【0019】酵素の基質には、ヘパリチナーゼT−I、
    ヘパリチナーゼT−II及びヘパリチナーゼT−III については、ウシ腎臓由来のHSを、ヘパリチナーゼT−IV
    については、ブタ腸粘膜由来のHepを用いる。

    【0020】即ち、上記基質10mg/ml水溶液25μl
    に対し、酵素液10μl 、100mMトリス・酢酸緩衝液(pH7.0)25μl、20mM塩化カルシウム25μl
    及び水15μl を加え、45℃で10分間反応させる。
    この液に対し、0.06N 塩酸溶液500μl を加え反応を停止させ、232nmにおける紫外吸収Aを測定する。 対照液として同溶液のゼロ時間における紫外吸収A
    0を測定する。

    【0021】酵素力価の表示は、上記反応条件で1分間に1μmol の分解量を生じさせる力価を1単位として、
    次の式から算出する。 A−A 0 /5.5(分子吸光係数を用いたモル補正)×
    600/10(酵素希釈補正)×1/10(1分当りの補正)=U/ml(使用酵素1ml当りの単位)

    【0022】本発明の新規なヘパリチナーゼT−IV及び他のヘパリチナーゼ類の理化学的性質を示す。 (1) 作 用いずれの酵素もヘパリン又はヘパラン硫酸のグリコサミニド結合に作用するリアーゼであり、切断部のグルクロン酸又はイズロン酸の4位と5位の炭素の間に二重結合を形成する。

    【0023】(2) 基質特異性 (図1−図2) ヘパリチナーゼT−1及びヘパリチナーゼT−IIはHe
    pには殆ど作用せず、主としてHSに作用し、分解物として生ずる不飽和二糖は非硫酸化物(以下「△DiHS
    −OS」という)及び少量のウロン酸−グルコサミン−
    N−硫酸(以下「△DiHS−NS」という)である。
    ヘパリチナーゼT−III はHepには殆ど作用せず、主としてHSに作用し、分解物として生ずる不飽和二糖は△DiHS−OS及び△DiHS−NSである。 ヘパリチナーゼT−IVはHep及びHSに作用し、分解物として生ずる不飽和二糖は△DiHS−NS、ウロン酸−グルコサミン−N,6−ジ硫酸(以下「△DiHS−di
    N,6S」という)、ウロン酸−2−硫酸−グルコサミン−N−硫酸(以下「△DiHS−diU,NS」という)及びウロン酸−2−硫酸−グルコサミン−N,6−
    ジ硫酸(以下「△DiHS−triS」という)である。

    【0024】(3) 至適pH (図3) 本酵素等の至適pHを50mMの酢酸緩衝液、トリス・酢酸緩衝液及びトリス・塩酸緩衝液を用い、45℃、10
    分間の反応で調べたところ、ヘパリチナーゼT−I及びヘパリチナーゼT−IIはいずれもpH5.5〜6.5であり、ヘパリチナーゼT−III はpH7.0〜8.0、
    ヘパリチナーゼT−IVはpH7.5〜8.0である。

    【0025】(4) 安定pH範囲 (図4) 本酵素等の安定pH領域を100mMの酢酸緩衝液、トリス・酢酸緩衝液、トリス・塩酸緩衝液及びグリシン・水酸化ナトリウム緩衝液を用い、37℃、30分間処理して調べたところ、ヘパリチナーゼT−IはpH4.5〜
    9.5、ヘパリチナーゼT−IIはpH5.0〜9.5、
    ヘパリチナーゼT−III はpH5.0〜9.5、ヘパリチナーゼT−IVはpH5.0〜10.0の範囲でそれぞれ安定である。

    【0026】(5) 作用至適温度 (図5) 本酵素等の至適温度を50mMのトリス・酢酸緩衝液pH
    7.0を用い、10分間の反応で調べたところ、ヘパリチナーゼT−I及びヘパリチナーゼT−IIはいずれも5
    5℃、ヘパリチナーゼT−III は50℃、ヘパリチナーゼT−IVは40℃である。

    【0027】(6) 安定温度範囲 (図6) 本酵素等の安定温度範囲を50mMのトリス・酢酸緩衝液pH7.0を用い、60分間各温度で処理して調べたところ、ヘパリチナーゼT−I及びヘパリチナーゼT−II
    はいずれも50℃以下、ヘパリチナーゼT−III は45
    ℃以下、ヘパリチナーゼT−IVは40℃以下でそれぞれ安定である。

    【0028】(7) pH、温度などによる失活の条件
    (図4、図6) 本酵素等を100mMの酢酸緩衝液、トリス・酢酸緩衝液、トリス・塩酸緩衝液及びグリシン・水酸化ナトリウム緩衝液を用い、37℃、30分間処理することにより、調べたところ、ヘパリチナーゼT−I、ヘパリチナーゼT−II及びヘパリチナーゼT−III はpH4.5以下、pH10.0以上で、ヘパリチナーゼT−IVはpH
    4.5以下、pH10.5以上でそれぞれ急激に失活する。 また、本酵素等を50mMのトリス・酢酸緩衝液pH
    7.0を用い、60分間各温度で処理して調べたところ、ヘパリチナーゼT−I及びヘパリチナーゼT−IIはそれぞれ55℃以上、ヘパリチナーゼT−III は50℃
    以上、ヘパリチナーゼT−IVは45℃以上でそれぞれ急激に失活する。

    【0029】(8) 無機イオンの影響 (表1) 本酵素等の活性は各種イオンにより賦活又は阻害される。 ヘパリチナーゼT−IはCa 2+ 、Co 2+ 、Mg 2+
    Mn 2+で賦活され、Zn 2+で阻害される。 ヘパリチナーゼT−IIはBa 2+ 、Ca 2+ 、Co 2+ 、Mg 2+ 、Mn 2+で賦活され、Zn 2+で阻害される。 ヘパリチナーゼT−II
    I はZn 2+で阻害される。 ヘパリチナーゼT−IVはBa
    2+ 、Ca 2+ 、Mg 2+で賦活され、Co 2+ 、Zn 2+で阻害される。

    【0030】

    【表1】

    【0031】これら4種のヘパリチナーゼの酵素化学的性質を公知酵素と比較検討すると、ヘパリチナーゼT−
    I、ヘパリチナーゼT−II及びヘパリチナーゼT−III
    はヘパリンには殆ど作用せずヘパラン硫酸に作用し、分解物がフラボバクテリューム属細菌の公知酵素のものと異なる理由から、また、ヘパリチナーゼT−IVは、ヘパリン及びヘパラン硫酸に作用するがフラボバクテリューム属細菌の公知酵素とは分解物が異なること及びバチルス属細菌の酵素とは至適温度や温度安定性が異なる等の理由から、上記4種のヘパリチナーゼは公知酵素とは異なる性質を有する新規酵素と確認された。

    【0032】

    【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を何ら制限するものではない。 実施例 ペプトンA(極東製薬製)0.75%、酵母エキス(極東製薬製)0.5%、ヘパリンナトリウム(シンテックス製)0.5%、K 2 HPO 4 0.1%、MgSO 4
    7H 2 O 0.02%、NaCl0.1%、消泡剤アデカノールLG109(旭電化製)0.005%(pH
    7.0)の組成からなる生産培地20000mlを300
    00ml容のジャーファーメンターに仕込み、120℃で20分間蒸気滅菌後、予めハートインヒュージョン寒天培地(栄研化学製)で45℃一日培養後、生産培地と同組成(但し、ヘパリンナトリウムは0.2%、消泡剤は無添加)の種培地に接種して、45℃、20時間振盪培養しておいたバチルス・サーキュランスHpT298株の培養液600ml(3%)を無菌的に接種し、45℃で18時間通気(1v.vm)撹拌(300rpm)培養を行った。 培養終了後、培養液を連続遠心分離にて処理して菌体を集め、この菌体(湿潤量110g )のうち半量を3
    00mlの0.1M リン酸緩衝液(pH6.8)中に懸濁し、超音波破砕器を用いて破砕した。 破砕後、遠心分離により不溶物を除去し、得られた上清液に硫酸アンモニウムを加え0.6飽和とした。 沈澱物を集め、20mMトリス・酢酸緩衝液pH7.0で一夜透析し、透析液をD
    EAE−セファセルカラム(4.2×25cm)に負荷し、同緩衝液で溶出させた。 その溶出液をハイドロキシアパタイトカラム(3.2×24cm)に負荷し、同緩衝液中で食塩濃度を0〜0.5Mまで直線的に上昇させることにより溶出させた。 HepおよびHSを基質として活性を測定したところ、通過液でヘパリチナーゼT−I
    が、0.2M 前後でヘパリチナーゼT−IIが、0.4M
    前後でヘパリチナーゼT−III 及びヘパリチナーゼT−
    IVが溶出された。 それぞれの画分を限外ろ過膜を用いて脱塩し、次いで50mMトリス・酢酸緩衝液に置換した。
    そのうちヘパリチナーゼT−IとヘパリチナーゼT−II
    の両画分については、それぞれをセファクリルS−30
    0カラム(3.8×100cm)に負荷し、0.2M 食塩を含む50mMトリス・酢酸緩衝液でゲルろ過を行い、それぞれの活性画分を集め、限外ろ過膜を用いて濃縮脱塩し、酵素液を得た。 又、ヘパリチナーゼT−III 及びヘパリチナーゼT−IVが同時に溶出された画分については、硫酸化セルロファインカラム(3.2×20cm)に負荷し、50mMトリス・酢酸緩衝液中で食塩濃度0〜
    0.3M まで直線的に上昇させることにより溶出させた。 0.1M 前後でヘパリチナーゼT−III が、0.1
    5M 前後でヘパリチナーゼT−IVが溶出され、それぞれの画分を限外ろ過膜を用いて濃縮脱塩し、酵素液を得た。

    【0033】各酵素の収量 ヘパリチナーゼT−I : 12U ヘパリチナーゼT−II : 6U ヘパリチナーゼT−III : 50U ヘパリチナーゼT−IV : 6U

    【0034】

    【発明の効果】本発明によれば、ヘパリン及びヘパラン硫酸を分解する新規のヘパリチナーゼT−IVを提供することができる。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】ヘパリン(ブタ腸粘膜由来)及びヘパラン硫酸(ウシ腎臓由来)に対する各酵素の分解能を示す。

    【図2】酵素分解物の二糖成分をそれぞれ調べた結果を示す。

    【図3】至適pHを示す。

    【図4】安定pH範囲を示す。

    【図5】作用至適温度を示す。

    【図6】安定温度範囲を示す。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 7識別記号 FI C12R 1:09) (72)発明者 吉田 圭一 東京都東大和市立野3丁目1253番地 生 化学工業株式会社 東京研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl. 7 ,DB名) C12N 9/88 C12N 1/20 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

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