免疫療法のための組成物および方法

申请号 JP2015534828 申请日 2013-10-02 公开(公告)号 JP2015535689A 公开(公告)日 2015-12-17
申请人 メモリアル スローン−ケタリング キャンサー センター; メモリアル スローン−ケタリング キャンサー センター; 发明人 クリストファー シー. クロス,; クリストファー シー. クロス,; マイケル サデレイン,; マイケル サデレイン,;
摘要 本発明は、 抗原 認識レセプターのうちの少なくとも1つおよびキメラ共刺激レセプターのうちの1つを発現する免疫応答細胞(T細胞、細胞傷害性T細胞、制御性T細胞、およびナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる)を提供する。上記免疫応答細胞を使用するための方法は、抗原特異的免疫応答の増大が所望される新形成および他の病変の処置のための方法を含む。例えば、免疫応答細胞であって、a.低親和性で第1の抗原を結合する抗原認識レセプターであって、ここで該第1の抗原への該レセプターの結合は、該免疫応答細胞を活性化させる、抗原認識レセプター;およびb.第2の抗原を結合し、該免疫応答細胞を刺激するキメラ共刺激レセプター(CCR)、を含む、免疫応答細胞が提供される。
权利要求

免疫応答細胞であって、 a.低親和性で第1の抗原を結合する抗原認識レセプターであって、ここで該第1の抗原への該レセプターの結合は、該免疫応答細胞を活性化させる、抗原認識レセプター;および b.第2の抗原を結合し、該免疫応答細胞を刺激するキメラ共刺激レセプター(CCR)、 を含む、免疫応答細胞。前記細胞は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、制御性T細胞、ヒト胚性幹細胞、およびリンパ系細胞に分化し得る多能性幹細胞からなる群より選択される、請求項1のいずれか1項に記載の免疫応答細胞。前記抗原は、腫瘍抗原もしくは病原体抗原である、請求項1または2に記載の免疫応答細胞。前記抗原認識レセプターは、T細胞レセプター(TCR)もしくはキメラ抗原レセプター(CAR)である、請求項1〜3のいずれかに記載の免疫応答細胞。前記抗原認識レセプターは、外因性もしくは内因性である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の免疫応答細胞。前記抗原認識レセプターは、組換え発現される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の免疫応答細胞。前記抗原認識レセプターは、ベクターから発現される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の免疫応答細胞。前記キメラ共刺激レセプター(CCR)は、ベクターから発現される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の免疫応答細胞。前記免疫応答細胞は、自己由来である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の免疫応答細胞。前記第1のおよび第2の抗原は、CAIX、CEA、CDS、CD7、CD10、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD34、CD38、CD41、CD44、CD49f、CD56、CD74、CD133、CD138、サイトメガロウイルス(CMV)感染細胞抗原、EGP−2、EGP−40、EpCAM、erb−B2,3,4、FBP、胎児型アセチルコリンレセプター、葉酸レセプター−a、GD2、GD3、HER−2、hTERT、IL−13R−a2、x−軽鎖、KDR、LeY、LI細胞接着分子、MAGE−Al、MUC1、メソテリン、NKG2Dリガンド、NY−ESO−1、腫瘍胎児性抗原(h5T4)、PSCA、PSMA、ROR1、TAG−72、VEGF−R2、もしくはWT−1からなる群より選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の免疫応答細胞。前記第1のおよび第2の抗原は、CD133、サイトメガロウイルス(CMV)感染細胞抗原、erb−B2、KDRメソテリン、NKG2Dリガンド、NY−ES0−1、腫瘍胎児性抗原(h5T4)、PSCA、PSMA、CD19、VEGF−R2、およびWT−1からなる群より選択される別個の抗原である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の免疫応答細胞。前記第1のおよび第2の抗原は、HER2、MUC1、CD44、CD49f、EpCAM、CEA、CD133、サイトメガロウイルス(CMV)感染細胞抗原、EGP−2、EGP−40、EpCAM、erb−B2,3,4、FBP、KDR、メソテリン、NKG2Dリガンド、NY−ES0−1、腫瘍胎児性抗原(h5T4)、PSCA、PSMA、VEGF−R2、もしくはWT−1からなる群より選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の免疫応答細胞。前記第1のおよび第2の抗原は、CD10およびCD19である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の免疫応答細胞。前記第1のおよび第2の抗原は、CD56およびCD138である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の免疫応答細胞。前記第1のおよび第2の抗原は、メソテリン、葉酸レセプター−a、CD44、およびCD133からなる群より選択される別個の抗原である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の免疫応答細胞。前記抗原認識レセプターの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3鎖シグナル伝達ドメインである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の免疫応答細胞。前記キメラ共刺激レセプター(CCR)の細胞内シグナル伝達ドメインは、CD97、CD1 la−CD18、CD2、ICOS、CD27、CD154、CD5、OX40、4−1BBもしくはCD28シグナル伝達ドメインである、請求項1〜16のいずれか1項に記載の免疫応答細胞。前記細胞は、19z1もしくはPz1である抗原レセプターを発現する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の免疫応答細胞。腫瘍において腫瘍細胞死を誘導するための方法であって、該方法は、該腫瘍細胞と、免疫応答細胞であって、第1の腫瘍抗原を低親和性で結合し、ここで該結合は該免疫応答細胞を活性化する抗原認識レセプター、および第2の腫瘍抗原を結合し、該免疫応答細胞を刺激するキメラ共刺激レセプター(CCR)を含む免疫応答細胞とを接触させ、それによって、該腫瘍において腫瘍細胞死を誘導する工程を包含する、方法。前記方法は、腫瘍細胞数を減少させる、請求項19に記載の方法。前記方法は、腫瘍サイズを縮小させる、請求項19に記載の方法。前記方法は、前記腫瘍を根絶する、請求項19に記載の方法。被験体において新形成を処置もしくは予防するための方法であって、該方法は、免疫応答細胞であって、第1の抗原を低親和性で結合し、ここで該結合は、該免疫応答細胞を活性化する抗原認識レセプター、および第2の抗原を結合し、該免疫応答細胞を刺激するキメラ共刺激レセプター(CCR)を含む、免疫応答細胞の有効量を投与し、それによって、該被験体において新形成を処置もしくは予防する工程、を包含する、方法。前記新形成は、前立腺がん、乳がん、B細胞白血病、多発性骨髄腫、および卵巣がんからなる群より選択される、請求項23に記載の方法。前記新形成は、乳がんであり、前記第1のおよび第2の腫瘍抗原は、HER2、MUC1、CD44、CD49f、EpCAM、CEA、CD133、サイトメガロウイルス(CMV)感染細胞抗原、EGP−2、EGP−40、EpCAM、erb−B2,3,4、FBP、KDR、メソテリン、NKG2Dリガンド、NY−ESO−1、腫瘍胎児性抗原(h5T4)、PSCA、PSMA、VEGF−R2、もしくはWT−1からなる群より選択される別個の抗原である、請求項23に記載の方法。前記新形成は、B細胞白血病であり、前記第1のおよび第2の腫瘍抗原は、CD10およびCD19である、請求項23に記載の方法。前記新形成は、多発性骨髄腫であり、前記第1のおよび第2の腫瘍抗原は、CD56およびCD138である、請求項24に記載の方法。前記新形成は、卵巣がんであり、前記第1のおよび第2の腫瘍抗原は、メソテリン、葉酸レセプター−a、CD44、およびCD133からなる群より選択される別個の抗原である、請求項24に記載の方法。前記免疫応答細胞は、低親和性を有する抗原認識レセプターを有するとして選択される、請求項23〜28のいずれか1項に記載の方法。前記抗原認識レセプターは、低親和性を有するとして前記細胞での発現に関して選択される、請求項23〜28のいずれか1項に記載の方法。前記抗原認識レセプターは、T細胞レセプター(TCR)もしくはキメラ抗原レセプター(CAR)である、請求項23〜28のいずれか1項に記載の方法。前記抗原認識レセプターは、外因性もしくは内因性である、請求項23〜28のいずれか1項に記載の方法。前記抗原認識レセプターは、ベクターから発現される、請求項23〜32のいずれか1項に記載の方法。前記キメラ共刺激レセプター(CCR)は、ベクターから発現される、請求項23〜32のいずれか1項に記載の方法。前記細胞は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、制御性T細胞、ヒト胚性幹細胞、およびリンパ系細胞に分化し得る多能性幹細胞からなる群より選択される、請求項23〜34のいずれか1項に記載の方法。前記方法は、前記被験体において腫瘍負荷量を減少させるかもしくは根絶する、請求項23〜35のいずれか1項に記載の方法。腫瘍細胞死を誘導するための方法であって、該方法は、免疫応答細胞であって、低親和性で第1の抗原を結合し、ここで該結合は、該免疫応答細胞を活性化する抗原認識レセプター、および第2の抗原を結合し、該免疫応答細胞を刺激するキメラ共刺激レセプター(CCR)を含む免疫応答細胞の有効量を投与し、それによって、被験体において腫瘍細胞死を誘導する工程、を包含する、方法。抗原特異的免疫応答細胞を生成するための方法であって、該方法は、該免疫応答細胞に、キメラ共刺激レセプター(CCR)をコードする核酸配列を導入する工程であって、ここで該キメラ共刺激レセプターは、免疫応答細胞を刺激する細胞内シグナル伝達ドメインに連結した抗原結合ドメインを含み、ここで該免疫応答細胞は、第1の抗原を低親和性で結合する抗原認識レセプターを含み、ここで該結合は、該免疫応答細胞を活性化する、工程を包含する、方法。前記方法は、キメラ抗原レセプターをコードする第2の核酸配列を導入する工程をさらに包含し、ここで該キメラ抗原レセプターは、免疫応答細胞を活性化する第2の細胞内シグナル伝達ドメインに連結した第2の抗原結合ドメインを含む、請求項38に記載の方法。前記腫瘍抗原は、CAIX、CEA、CD5、CD7、CD10、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD34、CD38、CD41、CD44、CD49f、CD56、CD74、CD133、CD138、サイトメガロウイルス(CMV)感染細胞抗原、EGP−2、EGP−40、EpCAM、erbB2,3,4、FBP、胎児型アセチルコリンレセプター、葉酸レセプター−a、GD2、GD3、HER−2,hTERT、IL−13R−a2、x−軽鎖、KDR、LeY、LI細胞接着分子、MAGE−Al、MUC1、メソテリン、NKG2Dリガンド、NY−ES0−1、腫瘍胎児性抗原(h5T4)、PSCA、PSMA、ROR1、TAG−72、VEGF−R2、もしくはWT−1からなる群より選択される別個の抗原である、請求項38〜39のいずれか1項に記載の方法。前記抗原認識レセプターは、T細胞レセプター(TCR)もしくはキメラ抗原レセプター(CAR)である、請求項38〜40のいずれか1項に記載の方法。前記抗原認識レセプターは、外因性もしくは内因性である、請求項38〜41のいずれか1項に記載の方法。前記抗原認識レセプターは、組換え発現される、請求項38〜42のいずれか1項に記載の方法。前記抗原認識レセプターは、ベクターから発現される、請求項38〜43のいずれか1項に記載の方法。前記キメラ共刺激レセプター(CCR)は、ベクターから発現される、請求項38〜44のいずれか1項に記載の方法。前記細胞は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、制御性T細胞、ヒト胚性幹細胞、およびリンパ系細胞に分化し得る多能性幹細胞からなる群より選択される、請求項38〜45のいずれか1項に記載の方法。前記抗原認識レセプターの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3鎖シグナル伝達ドメインである、請求項38〜46のいずれか1項に記載の方法。前記キメラ共刺激レセプター(CCR)の細胞内シグナル伝達ドメインは、CD97、CD11a−CD18、CD2、ICOS、CD27、CD154、CD5、OX40、4−1 BBもしくはCD28シグナル伝達ドメインである、請求項38〜47のいずれか1項に記載の方法。前立腺がんの処置を必要とする被験体において前立腺がんを処置するための方法であって、該方法は、該被験体に、PSCAもしくはCD19を低親和性で結合し、ここで該結合は、免疫応答細胞を活性化する抗原認識レセプター、およびPSMAを結合し、該免疫応答細胞を刺激するキメラ共刺激レセプター(CCR)を含むT細胞の治療上有効な量を投与し、それによって、該被験体において前立腺がんを処置する工程、を包含する、方法。請求項1〜18のいずれか1項に記載の免疫応答細胞および薬学的に受容可能な賦形剤を含む、薬学的組成物。新形成もしくは腫瘍疾患の処置において使用するための、請求項1〜18のいずれかに記載の免疫応答細胞。前立腺がんの処置において使用するための、PSCAもしくはCD19を低親和性で結合し、ここで該結合は、免疫応答細胞を活性化する抗原認識レセプター、およびPSMAを結合し、該免疫応答細胞を刺激するキメラ共刺激レセプター(CCR)を含む、T細胞。免疫応答細胞であって、第1の抗原を結合し、該免疫応答細胞を活性化する抗原認識レセプター、および第2のウイルス抗原を結合し、該免疫応答細胞を刺激するキメラ共刺激レセプター(CCR)を含む免疫応答細胞を含む、キット。

说明书全文

(関連出願の引用) 本願は、2012年10月2日に出願された米国仮出願第61/709,072号に対する優先権を主張する通常出願である。米国仮出願第61/709,072号の内容は、ここで参照により本願に援用される。

(配列表) 本願は、配列表(2013年9月30日作製)を含み、そのファイル(ASCIIフォーマット)は、3314040AWO_Sequence Listing_ST25.txtと称され、サイズは27.5キロバイトである。上記配列表ファイルは、その全体において本願に参考として援用される。

(発明の背景) 前立腺がんは、米国の男性で最も頻度の高いがんであり、これが原因でほぼ31,000名が毎年死亡する。初期に診断されると、がんは、手術もしくは放射線療法によって効率的に処置され得る。術後の残存疾病は、放射線療法および/もしくはホルモン療法を要し、これらの療法は、腫瘍進行および転移を予防し得る。現時点で、ホルモン不応性の転移性前立腺がんの治癒措置はない。免疫療法は、このようながんの処置を原則として提供する標的療法である。

遺伝子改変された自己由来T細胞を利用する標的化T細胞療法は、黒色腫および進行の遅いB細胞悪性腫瘍において治療効の証拠を示し始めている。現在のT細胞操作ストラテジーは、形質導入したT細胞レセプター(TCR)もしくはキメラ抗原レセプター(CAR)を通じて、患者T細胞を腫瘍抗原へと再標的化する。しかし、強力な免疫応答を誘導する新たに発見された能力は、その要求を、免疫による攻撃を腫瘍に限定し、標的とされた抗原を発現し得る正常組織に対する反応を回避するように命令する。残念なことに、真に腫瘍に限定された抗原の利用可能性は限られており、しばしば非常に特異的な標的化の達成が除外される。上記制限の中でも、非常に特異的な標的化の達成を除外することは、真に腫瘍に限定された抗原の利用可能性の制限である。よって、新形成を処置するための新たな方法が、直ぐにでも必要である。

(発明の要旨) 本発明は、一般に、免疫細胞活性化活性を有する抗原結合レセプター(例えば、CARもしくはTCR)およびキメラ共刺激レセプター(CCR)を発現する免疫応答細胞(T細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる)、ならびに新形成、感染性疾患、および他の病変の処置のためのその使用法を提供する。

一局面において、本発明は、単離された免疫応答細胞であって、第1の抗原を低親和性で結合する(ここで上記結合は上記免疫応答細胞を活性化する)抗原認識レセプター、および第2の抗原を結合して上記免疫応答細胞を刺激するキメラ共刺激レセプター(CCR)を有する、単離された免疫応答細胞を提供する。

別の局面において、本発明は、被験体において腫瘍細胞死を誘導するための方法を提供し、上記方法は、免疫応答細胞であって、低親和性で第1の抗原を結合する(ここで上記結合は上記免疫応答細胞を活性化する)抗原認識レセプター、および第2の抗原を結合して上記免疫応答細胞を刺激するキメラ共刺激レセプター(CCR)を含む免疫応答細胞の有効量を投与し、それによって、上記被験体において腫瘍細胞死を誘導する工程を包含する。

さらに別の局面において、本発明は、被験体において新形成を処置もしくは予防するための方法を提供し、上記方法は、免疫応答細胞であって、第1の抗原を低親和性で結合する(ここで上記結合は上記免疫応答細胞を活性化する)抗原認識レセプター、および第2の抗原を結合して上記免疫応答細胞を刺激するキメラ共刺激レセプター(CCR)を含む免疫応答細胞の有効量を投与し、それによって、上記被験体において新形成を処置もしくは予防する工程を包含する。

なお別の局面において、本発明は、前立腺がんの処置を必要とする被験体において前立腺がんを処置するための方法を提供し、上記方法は、T細胞であって、上記被験体に、PSCAもしくはCD19を低親和性で結合する(ここで上記結合は上記免疫応答細胞を活性化する)抗原認識レセプター、およびPSMAを結合して上記免疫応答細胞を刺激するキメラ共刺激レセプター(CCR)を含むT細胞の治療上有効な量を投与し、それによって、上記被験体において前立腺がんを処置する工程を包含する。

さらに別の局面において、本発明は、抗原特異的免疫応答細胞を生成するための方法を提供し、上記方法は、上記免疫応答細胞に、キメラ共刺激レセプター(CCR)をコードする核酸配列を導入する工程であって、ここで上記キメラ共刺激レセプターは、免疫応答細胞を刺激する細胞内シグナル伝達ドメインに連結した抗原結合ドメインを有し、ここで上記免疫応答細胞は、低親和性で第1の抗原を結合する抗原認識レセプターを有し、ここで上記結合は、上記免疫応答細胞を活性化する、工程を包含する。

関連する局面において、本発明は、薬学的に受容可能な賦形剤中に有効量の本発明の免疫応答細胞(例えば、新形成の処置のための薬学的組成物中の腫瘍抗原特異的T細胞)を含む薬学的組成物を提供する。

さらなる局面において、本発明は、新形成、病原体感染、自己免疫障害、もしくは同種異系移植の処置のためのキットを提供し、上記キットは、免疫応答細胞であって、第1の抗原を結合して上記免疫応答細胞を活性化する抗原認識レセプター、および第2のウイルス抗原を結合して上記免疫応答細胞を刺激するキメラ共刺激レセプター(CCR)を有する免疫応答細胞を含む。上記キットは、新形成、病原体感染、自己免疫障害、もしくは同種異系移植を有する被験体の処置のために、上記免疫応答細胞を使用するための書面による指示をさらに含み得る。

本明細書で詳述される局面のうちのいずれかの種々の実施形態において、上記免疫応答細胞は、低親和性を有する抗原認識レセプターを有するとして選択される。これは、上記免疫応答細胞を、低親和性で第1の抗原を結合する抗原認識レセプターを有するとして選択する工程を包含し得る。本明細書で詳述される局面のうちのいずれかの種々の実施形態において、上記抗原認識レセプターは、細胞における発現に関して低親和性を有するとして選択される。これは、キメラ抗原レセプターをコードする第2の核酸配列を導入する工程であって、ここで上記キメラ抗原レセプターは、免疫応答細胞を活性化する第2の細胞内シグナル伝達ドメインに連結した第2の抗原結合ドメインを含む工程を包含し得る。本明細書で詳述される局面のうちのいずれかの種々の実施形態において、上記抗原認識レセプターは、T細胞レセプター(TCR)もしくはキメラ抗原レセプター(CAR)である。種々の実施形態において、上記抗原認識レセプターの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3鎖シグナル伝達ドメインである。種々の実施形態において、上記キメラ共刺激レセプター(CCR)の細胞内シグナル伝達ドメインは、CD97、CD11a−CD18、CD2、ICOS、CD27、CD154、CD5、OX40、4−1BBもしくはCD28シグナル伝達ドメインである。

本明細書で詳述される局面のうちのいずれかの種々の実施形態において、上記抗原認識レセプターは、外因性もしくは内因性である。本明細書で詳述される局面のうちのいずれかの種々の実施形態において、上記抗原認識レセプターは、組換え発現される。種々の実施形態において、上記抗原認識レセプターは、ベクターから発現される。種々の実施形態において、上記キメラ共刺激レセプター(CCR)は、ベクターから発現される。特定の実施形態において、上記免疫応答細胞は、19z1もしくはPz1である組換えもしくは内因性の抗原レセプターを発現する。

本明細書で詳述される局面のうちのいずれかの種々の実施形態において、上記免疫応答細胞は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、制御性T細胞、ヒト胚性幹細胞、もしくはリンパ系細胞に分化し得る多能性幹細胞である。本明細書で詳述される局面のうちのいずれかの種々の実施形態において、請求項1〜9のいずれか1項に記載の上記免疫応答細胞は、自己由来である。

本明細書で詳述される局面のうちのいずれかの種々の実施形態において、上記抗原は、腫瘍抗原もしくは病原体抗原である。本明細書で詳述される局面のうちのいずれかの種々の実施形態において、1以上の抗原結合ドメインは、腫瘍抗原結合ドメインである。本明細書で詳述される局面のうちのいずれかの種々の実施形態において、上記抗原もしくは腫瘍抗原は、CAIX、CEA、CD5、CD7、CD10、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD34、CD38、CD41、CD44,CD49f、CD56、CD74、CD133、CD138、サイトメガロウイルス(CMV)感染細胞抗原、EGP−2、EGP−40、EpCAM、erb−B2,3,4、FBP、胎児型アセチルコリンレセプター、葉酸レセプター−a、GD2、GD3、HER−2、hTERT、IL13R−a2、x−軽鎖、KDR、LeY、LI細胞接着分子、MAGE−Al、MUC1、メソテリン、NKG2Dリガンド、NY−ES0−1、腫瘍胎児性抗原(h5T4)、PSCA、PSMA、ROR1、TAG−72、VEGF−R2、およびWT−1から選択される。種々の実施形態において、上記第1のおよび第2の抗原は、CD133、サイトメガロウイルス(CMV)感染細胞抗原、erbB2、KDR メソテリン、NKG2Dリガンド、NY−ES0−1、腫瘍胎児性抗原(h5T4)、PSCA、PSMA、CD19、VEGF−R2、およびWT−1から選択される。特定の実施形態において、上記第1のおよび第2の抗原は、HER2、MUC1、CD44、CD49f、EpCAM、CEA、CD133、サイトメガロウイルス(CMV)感染細胞抗原、EGP−2、EGP−40、EpCAM、erb−B2,3,4、FBP、KDR、メソテリン、NKG2Dリガンド、NY−ES0−1、腫瘍胎児性抗原(h5T4)、PSCA、PSMA、VEGF−R2、もしくはWT−1から選択される。具体的実施形態において、上記第1のおよび第2の抗原は、CD10およびCD19から選択される。他の実施形態において、上記第1のおよび第2の抗原は、CD56およびCD138から選択される。ある種の実施形態において、上記第1のおよび第2の抗原は、メソテリン、葉酸レセプター−a、CD44、およびCD133から選択される。

本明細書で詳述される局面のうちのいずれかの種々の実施形態において、上記新形成は、前立腺がん、乳がん、B細胞白血病、多発性骨髄腫、および卵巣がんからなる群より選択される。本明細書で詳述される局面のうちのいずれかの種々の実施形態において、上記方法は、被験体において腫瘍細胞数を減少させ、腫瘍サイズを縮小させ、そして/または腫瘍を根絶する。

種々の実施形態において、上記新形成は、前立腺がんであり、上記第1のおよび第2の腫瘍抗原は、PSCA、PSMA、CD19、CD133、サイトメガロウイルス(CMV)感染細胞抗原、erb−B2、KDR メソテリン、NKG20リガンド、NY−ES0−1、腫瘍胎児性抗原(h5T4)、VEGF−R2、およびWT−Iから選択される別個の抗原である。種々の実施形態において、上記新形成は、乳がんであり、上記第1のおよび第2の腫瘍抗原は、HER2、MUC1、CD44、CD49f、EpCAM、CEA、CD133、サイトメガロウイルス(CMV)感染細胞抗原、EGP−2、EGP−40、EpCAM、erb−B2,3,4、FBP、KDR、メソテリン、NKG2Dリガンド、NY−ESO−1、腫瘍胎児性抗原(h5T4)、PSCA、PSMA、VEGF−R2、もしくはWT−1から選択される別個の抗原である。特定の実施形態において、上記新形成は、B細胞白血病であり、上記第1のおよび第2の腫瘍抗原は、CD10およびCD19から選択される。ある種の実施形態において、上記新形成は、多発性骨髄腫であり、上記第1のおよび第2の腫瘍抗原は、CD56およびCD138から選択される。種々の実施形態において、上記新形成は、卵巣がんであり、上記第1のおよび第2の腫瘍抗原は、メソテリン、葉酸レセプター−a、CD44、およびCD133から選択される別個の抗原である。

本発明は、腫瘍細胞を標的とするT細胞を提供する組成物および方法を提供する。本発明によって定義される組成物および物品は、以下に提供される実施例と関連して単離されたかもしくは別の方法で製造された。本発明の他の特徴および利点は、詳細な記載および特許請求の範囲から明らかである。

図1A〜Cは、キメラ抗原レセプター(CAR)およびキメラ共刺激レセプター(CCR)ベクターの設計および初代ヒトT細胞の形質導入を介した発現を示す図解である。(A)は、免疫グロブリン可変ドメインの重鎖および軽鎖を、CD8膜貫通ドメイン(これは、CD3の細胞質ゾルシグナル伝達ドメインに融合されている)に融合することによって、CARの生成を示す。バイシストロン性発現を可能にするために、内部リボソーム導入部位(IRES)を使用することによって、CAR発現は、dsRED蛍光に対する相関によって容易に検出され得る(データは示さず)。scFvを、4−1BB(別名CD137)細胞質ゾルシグナル伝達ドメイン

21に融合したCD28膜貫通およびシグナル伝達ドメイン

15に融合することによって、上記CCRを生成した。CCR発現は、hrGFPのバイシストロン性発現に相関し得る(データは示さず)。略語:LTR−長い末端反復配列;SD−スプライスドナー部位;SA−スプライスアクセプター部位;VHもしくはV

L−それぞれ、重鎖可変ドメインもしくは軽鎖可変ドメイン;EC−細胞外ドメイン;TM−膜貫通ドメイン;C−細胞質ゾルドメイン;IRES−内部リボソーム導入部位;dsRED−Discosoma sp.赤色蛍光タンパク質;hrGFP−ヒト組変え緑色蛍光タンパク質。(B)は、これらのレトロウイルスベクターを使用する、初代ヒトT細胞の代表的形質導入効率を示す。(C)は、本研究の種々のおよび複数のCARでのCTLの形質導入を示す。

図1A〜Cは、キメラ抗原レセプター(CAR)およびキメラ共刺激レセプター(CCR)ベクターの設計および初代ヒトT細胞の形質導入を介した発現を示す図解である。(A)は、免疫グロブリン可変ドメインの重鎖および軽鎖を、CD8膜貫通ドメイン(これは、CD3の細胞質ゾルシグナル伝達ドメインに融合されている)に融合することによって、CARの生成を示す。バイシストロン性発現を可能にするために、内部リボソーム導入部位(IRES)を使用することによって、CAR発現は、dsRED蛍光に対する相関によって容易に検出され得る(データは示さず)。scFvを、4−1BB(別名CD137)細胞質ゾルシグナル伝達ドメイン

21に融合したCD28膜貫通およびシグナル伝達ドメイン

15に融合することによって、上記CCRを生成した。CCR発現は、hrGFPのバイシストロン性発現に相関し得る(データは示さず)。略語:LTR−長い末端反復配列;SD−スプライスドナー部位;SA−スプライスアクセプター部位;VHもしくはV

L−それぞれ、重鎖可変ドメインもしくは軽鎖可変ドメイン;EC−細胞外ドメイン;TM−膜貫通ドメイン;C−細胞質ゾルドメイン;IRES−内部リボソーム導入部位;dsRED−Discosoma sp.赤色蛍光タンパク質;hrGFP−ヒト組変え緑色蛍光タンパク質。(B)は、これらのレトロウイルスベクターを使用する、初代ヒトT細胞の代表的形質導入効率を示す。(C)は、本研究の種々のおよび複数のCARでのCTLの形質導入を示す。

図1A〜Cは、キメラ抗原レセプター(CAR)およびキメラ共刺激レセプター(CCR)ベクターの設計および初代ヒトT細胞の形質導入を介した発現を示す図解である。(A)は、免疫グロブリン可変ドメインの重鎖および軽鎖を、CD8膜貫通ドメイン(これは、CD3の細胞質ゾルシグナル伝達ドメインに融合されている)に融合することによって、CARの生成を示す。バイシストロン性発現を可能にするために、内部リボソーム導入部位(IRES)を使用することによって、CAR発現は、dsRED蛍光に対する相関によって容易に検出され得る(データは示さず)。scFvを、4−1BB(別名CD137)細胞質ゾルシグナル伝達ドメイン

21に融合したCD28膜貫通およびシグナル伝達ドメイン

15に融合することによって、上記CCRを生成した。CCR発現は、hrGFPのバイシストロン性発現に相関し得る(データは示さず)。略語:LTR−長い末端反復配列;SD−スプライスドナー部位;SA−スプライスアクセプター部位;VHもしくはV

L−それぞれ、重鎖可変ドメインもしくは軽鎖可変ドメイン;EC−細胞外ドメイン;TM−膜貫通ドメイン;C−細胞質ゾルドメイン;IRES−内部リボソーム導入部位;dsRED−Discosoma sp.赤色蛍光タンパク質;hrGFP−ヒト組変え緑色蛍光タンパク質。(B)は、これらのレトロウイルスベクターを使用する、初代ヒトT細胞の代表的形質導入効率を示す。(C)は、本研究の種々のおよび複数のCARでのCTLの形質導入を示す。

図2A〜Dは、ヒトT細胞の二重レセプターCAR/CCR媒介性活性化が、2つの抗原が結合した際に、強いCTL機能、長期の増殖、および腫瘍根絶の増強を可能にしたことを示す。(A)は、キメラレセプターを発現するT細胞が、未形質導入T細胞もしくはP28BB形質導入T細胞と比較して、CD19に特異的なCARがCTLアッセイでT細胞によって発現される場合に、抗原に対して陽性の細胞を溶解したことを示す。プロットは、n>4の実験の代表であり、エラーバーは、3回の反復の平均の標準偏差を表す。(B)は、キメラレセプターを何も発現しない、一方を発現するもしくは両方を発現するT細胞と、両方の抗原もしくはいずれかの抗原のみを発現するヒト腫瘍細胞株とを共培養した31日間にわたる絶対的T細胞数によってT細胞の長期増殖を示す。矢印は、新たに照射した腫瘍細胞を使用するT細胞の再刺激を示す。二重レセプター発現T細胞が両方の抗原に遭遇する場合にのみ、強い長期の増殖が観察される。プロットは、n>4の実験の代表であり、エラーバーは、3回の反復の平均の標準偏差を表す。(C)は、1.0×10

6 T細胞を、ルシフェラーゼ発現CD19

+PSMA

+ PC3ヒト前立腺腫瘍を有するNSGマウスへと静脈内(IV)に注入することによって評価した腫瘍感知T(tumor-sensing T)(TTS)細胞による全身腫瘍根絶の効力を示す。腫瘍負荷量を、BLIを使用することによって1週間に1回定量的に測定した。各群の2匹の代表的マウスの画像を、カラーで示した腫瘍の発光からのピクセル強度とともに示す。平均腫瘍負荷量をブロットし、エラーバーは、1群あたり6匹のマウスの値の平均からの標準偏差を表す。(D)は、1×10

6 PC3腫瘍細胞(細胞の各々は、CD19のみに対して陽性)をマウスの左側腹部に、PSMAのみに対して陽性の細胞をマウスの右側腹部に、およびCD19およびPSMAの両方に対して陽性の細胞をマウスの背部に皮下注射することによる三重腫瘍(tri−tumor)マウスモデルを使用して、DP腫瘍の選択的根絶を示す。上記キメラレセプターのうちの19z1、P28BB、もしくは19z1+P28BBの両方、のいずれかを発現するT細胞を、腫瘍注入の7日後に静脈内注入した。これらの腫瘍を有する群あたり2匹のマウスの代表画像を、カラーで示した腫瘍の発光とともに示す。腫瘍を、カリパスを使用して定量的に測定し、腫瘍容積を各腫瘍について時間に対してプロットした。エラーバーは、6匹のマウスの平均からの標準偏差を表す。統計的有意性は、19z1 T細胞および19z1+P28BB T細胞から得られた値を比較するために、対応のない両側t検定を使用して決定し、p値を、<0.05に関しては*もしくは<0.01に関しては**として表す。

図2A〜Dは、ヒトT細胞の二重レセプターCAR/CCR媒介性活性化が、2つの抗原が結合した際に、強いCTL機能、長期の増殖、および腫瘍根絶の増強を可能にしたことを示す。(A)は、キメラレセプターを発現するT細胞が、未形質導入T細胞もしくはP28BB形質導入T細胞と比較して、CD19に特異的なCARがCTLアッセイでT細胞によって発現される場合に、抗原に対して陽性の細胞を溶解したことを示す。プロットは、n>4の実験の代表であり、エラーバーは、3回の反復の平均の標準偏差を表す。(B)は、キメラレセプターを何も発現しない、一方を発現するもしくは両方を発現するT細胞と、両方の抗原もしくはいずれかの抗原のみを発現するヒト腫瘍細胞株とを共培養した31日間にわたる絶対的T細胞数によってT細胞の長期増殖を示す。矢印は、新たに照射した腫瘍細胞を使用するT細胞の再刺激を示す。二重レセプター発現T細胞が両方の抗原に遭遇する場合にのみ、強い長期の増殖が観察される。プロットは、n>4の実験の代表であり、エラーバーは、3回の反復の平均の標準偏差を表す。(C)は、1.0×10

6 T細胞を、ルシフェラーゼ発現CD19

+PSMA

+ PC3ヒト前立腺腫瘍を有するNSGマウスへと静脈内(IV)に注入することによって評価した腫瘍感知T(tumor-sensing T)(TTS)細胞による全身腫瘍根絶の効力を示す。腫瘍負荷量を、BLIを使用することによって1週間に1回定量的に測定した。各群の2匹の代表的マウスの画像を、カラーで示した腫瘍の発光からのピクセル強度とともに示す。平均腫瘍負荷量をブロットし、エラーバーは、1群あたり6匹のマウスの値の平均からの標準偏差を表す。(D)は、1×10

6 PC3腫瘍細胞(細胞の各々は、CD19のみに対して陽性)をマウスの左側腹部に、PSMAのみに対して陽性の細胞をマウスの右側腹部に、およびCD19およびPSMAの両方に対して陽性の細胞をマウスの背部に皮下注射することによる三重腫瘍(tri−tumor)マウスモデルを使用して、DP腫瘍の選択的根絶を示す。上記キメラレセプターのうちの19z1、P28BB、もしくは19z1+P28BBの両方、のいずれかを発現するT細胞を、腫瘍注入の7日後に静脈内注入した。これらの腫瘍を有する群あたり2匹のマウスの代表画像を、カラーで示した腫瘍の発光とともに示す。腫瘍を、カリパスを使用して定量的に測定し、腫瘍容積を各腫瘍について時間に対してプロットした。エラーバーは、6匹のマウスの平均からの標準偏差を表す。統計的有意性は、19z1 T細胞および19z1+P28BB T細胞から得られた値を比較するために、対応のない両側t検定を使用して決定し、p値を、<0.05に関しては*もしくは<0.01に関しては**として表す。

図3A〜Eは、腫瘍感知T

(TTS)細胞が、2種の前立腺腫瘍抗原を標的とする場合に、ヒト前立腺腫瘍を選択的に根絶したことを示す。(A)は、PSCAに対して特異的な3種の異なるscFvの評価を、CD3に対する特異性をも含む二重特異的抗体へのそれらのアセンブリに関して示す。T細胞を、20:1の比でPSCA

+ PC3腫瘍細胞および種々の量で添加した抗体とともに共培養し、特異的溶解を測定した。(B)は、細胞傷害性アッセイにおいて種々の効力を示す抗PSCA scFvを使用する、CARの生成を示す。PSCAを発現する標的細胞のCAR媒介性特異的溶解は、HzlもしくはMzlのいずれかに関するものと同じ溶解レベルを達成するために、50倍高いエフェクター:標的比を必要とすることによって、Lzl scFvの低下した効力を確証した。(C)および(D)は、PSCAおよびPSMAを発現する全身性前立腺腫瘍の選択的根絶をこれら無効果のscFvを使用することによって調査したことを示す。腫瘍(図5)を確立し、図2に示されるように処置した。14日後、Mzl+P28BB(図3C)もしくはLzl+P28BB(図3D)に関する1.0×10

6 キメラレセプター陽性T細胞を、静脈内に注入した。各群からの2匹の代表的マウスの画像を、カラーで(青色=5×10

5光子から赤色=2×10

7光子まで)示した腫瘍からの発光とともに示す。平均腫瘍負荷量を発光によって定量し、1群あたり5匹のマウスの値の平均からの標準偏差を表すエラーバーとともにプロットした。PSMA腫瘍(緑色の線)を受けた2匹のマウスは、49日目の後に死亡したので、発光の平均値を、56日目および63日目に関しては、3つの値から平均した。図3E。PSCA

+PSMA

+腫瘍のみに対する選択的抗腫瘍応答を、図2Dと同様に、PSCA

PSMA

+腫瘍およびPSCA

+PSMA

腫瘍を有したマウスにおいてLzl+P28BB T細胞によって達成した。統計的有意性は、Lzl T細胞およびLzl+P28BB T細胞から得られた値を比較するために、対応のない両側t検定を使用して決定した。p値を、<0.05に関しては*もしくは<0.01に関しては**として表す。

図3A〜Eは、腫瘍感知T

(TTS)細胞が、2種の前立腺腫瘍抗原を標的とする場合に、ヒト前立腺腫瘍を選択的に根絶したことを示す。(A)は、PSCAに対して特異的な3種の異なるscFvの評価を、CD3に対する特異性をも含む二重特異的抗体へのそれらのアセンブリに関して示す。T細胞を、20:1の比でPSCA

+ PC3腫瘍細胞および種々の量で添加した抗体とともに共培養し、特異的溶解を測定した。(B)は、細胞傷害性アッセイにおいて種々の効力を示す抗PSCA scFvを使用する、CARの生成を示す。PSCAを発現する標的細胞のCAR媒介性特異的溶解は、HzlもしくはMzlのいずれかに関するものと同じ溶解レベルを達成するために、50倍高いエフェクター:標的比を必要とすることによって、Lzl scFvの低下した効力を確証した。(C)および(D)は、PSCAおよびPSMAを発現する全身性前立腺腫瘍の選択的根絶をこれら無効果のscFvを使用することによって調査したことを示す。腫瘍(図5)を確立し、図2に示されるように処置した。14日後、Mzl+P28BB(図3C)もしくはLzl+P28BB(図3D)に関する1.0×10

6 キメラレセプター陽性T細胞を、静脈内に注入した。各群からの2匹の代表的マウスの画像を、カラーで(青色=5×10

5光子から赤色=2×10

7光子まで)示した腫瘍からの発光とともに示す。平均腫瘍負荷量を発光によって定量し、1群あたり5匹のマウスの値の平均からの標準偏差を表すエラーバーとともにプロットした。PSMA腫瘍(緑色の線)を受けた2匹のマウスは、49日目の後に死亡したので、発光の平均値を、56日目および63日目に関しては、3つの値から平均した。図3E。PSCA

+PSMA

+腫瘍のみに対する選択的抗腫瘍応答を、図2Dと同様に、PSCA

PSMA

+腫瘍およびPSCA

+PSMA

腫瘍を有したマウスにおいてLzl+P28BB T細胞によって達成した。統計的有意性は、Lzl T細胞およびLzl+P28BB T細胞から得られた値を比較するために、対応のない両側t検定を使用して決定した。p値を、<0.05に関しては*もしくは<0.01に関しては**として表す。

図4A〜Dは、増強されたサイトカイン分泌およびBclxL発現が、DP腫瘍上で共培養した場合に、TTS細胞によって見いだされることを示す。(A)は、形質導入していないPC3細胞(空)もしくはCD19

+PSMA

+ PC3細胞のいずれかを使用する、第1の抗原刺激の48時間後の、形質導入していないT細胞、または19z1、P28BB、もしくはその両方で形質導入したT細胞の多重サイトカイン分析を示す。エラーバーは、2回の生物学的複製の平均からの標準偏差を示す。(B〜D)は、空の細胞もしくはPSCA

+PSMA

+ PC3細胞のいずれかを使用する第2の抗原刺激の48時間後に示される、形質導入していないT細胞、またはHzl(B)、Mzl(C)、およびLzl(D)抗PSCA CAR、P28BB CCR、もしくはCAR+CCRの両方で形質導入したT細胞の多重サイトカイン分析を示す。(E)は、最初の抗原刺激後の24時間後に、形質導入していないT細胞、または19z1、P28BB、もしくはその両方で形質導入したT細胞の細胞溶解物を使用して行ったBc1xLのウェスタンブロット分析を示す。Aktの総量をローディングコントロールとして使用した。

図4A〜Dは、増強されたサイトカイン分泌およびBclxL発現が、DP腫瘍上で共培養した場合に、TTS細胞によって見いだされることを示す。(A)は、形質導入していないPC3細胞(空)もしくはCD19

+PSMA

+ PC3細胞のいずれかを使用する、第1の抗原刺激の48時間後の、形質導入していないT細胞、または19z1、P28BB、もしくはその両方で形質導入したT細胞の多重サイトカイン分析を示す。エラーバーは、2回の生物学的複製の平均からの標準偏差を示す。(B〜D)は、空の細胞もしくはPSCA

+PSMA

+ PC3細胞のいずれかを使用する第2の抗原刺激の48時間後に示される、形質導入していないT細胞、またはHzl(B)、Mzl(C)、およびLzl(D)抗PSCA CAR、P28BB CCR、もしくはCAR+CCRの両方で形質導入したT細胞の多重サイトカイン分析を示す。(E)は、最初の抗原刺激後の24時間後に、形質導入していないT細胞、または19z1、P28BB、もしくはその両方で形質導入したT細胞の細胞溶解物を使用して行ったBc1xLのウェスタンブロット分析を示す。Aktの総量をローディングコントロールとして使用した。

図5は、融合タンパク質、GFP−ホタルルシフェラーゼ(GFP/Luc)および腫瘍抗原の発現のための前立腺腫瘍細胞の生成を示す。形質導入されていないPC3細胞(空)を、レトロウイルス発現構築物を使用して、GFP/Luc、およびCD19、PSMA、PSCA、もしくは2つの抗原の組み合わせのいずれかで形質導入した。GFP/Luc、CD19、PSMA、および/もしくはPSCAについて、細胞を、二重精製FACS(double purity FACS)で精製した。

図6A〜Cは、腫瘍感知T細胞の概念を図示する。(A)は、有効なCARを発現するTTS細胞が、A

+113

+細胞によって強力に刺激されて、A

+細胞に対する免疫応答を促進されるようになることを示す。CAR

+CCR

+細胞は、CD3活性化シグナルを供給するCARで腫瘍抗原A

+細胞を結合し得る。これは、短期間の細胞溶解を生じ得る。CAR

+CCR

+細胞は、CD28シグナルおよびCD137シグナルを供給するCCRで腫瘍抗原B

+細胞を結合し得る。このシグナルのみでは、溶解もしくは増殖を誘導するのに十分ではない。CAR

+CCR

+細胞が、CARおよびCCRで腫瘍抗原A

+B

+細胞を結合する場合にのみ、活性化および刺激の両方が提供され得る。これは、強い溶解、T細胞増殖、増強されたサイトカイン分泌、BclxLのアップレギュレーション、およびインビボで腫瘍を選択的に根絶する能力を生じる。しかし、CARの効力に依存して、これらのCAR

+CCR

+細胞は、CARに対して特異的な抗原について単一陽性である細胞を溶解するように潜在的に再循環し得る。図6Bは、CARの効力を低減することによって、TTs細胞は、A

+B

+細胞がA

+13

+細胞に遭遇して選択的に応答して根絶する場合に、A

+細胞への応答を回避しながらCCR結合によって機能的にレスキューされ得ることを示す。(C)は、ある腫瘍抗原を結合する際にTCR活性化シグナルを供給する1つのCARおよび異なる腫瘍抗原を結合する際に刺激シグナルを供給する第2のCARを共発現することによって、Tリンパ球は、両方の抗原を発現する腫瘍を根絶するのみで、いずれかの抗原のみを発現する腫瘍を根絶しないことを示す。

図6A〜Cは、腫瘍感知T細胞の概念を図示する。(A)は、有効なCARを発現するTTS細胞が、A

+113

+細胞によって強力に刺激されて、A

+細胞に対する免疫応答を促進されるようになることを示す。CAR

+CCR

+細胞は、CD3活性化シグナルを供給するCARで腫瘍抗原A

+細胞を結合し得る。これは、短期間の細胞溶解を生じ得る。CAR

+CCR

+細胞は、CD28シグナルおよびCD137シグナルを供給するCCRで腫瘍抗原B

+細胞を結合し得る。このシグナルのみでは、溶解もしくは増殖を誘導するのに十分ではない。CAR

+CCR

+細胞が、CARおよびCCRで腫瘍抗原A

+B

+細胞を結合する場合にのみ、活性化および刺激の両方が提供され得る。これは、強い溶解、T細胞増殖、増強されたサイトカイン分泌、BclxLのアップレギュレーション、およびインビボで腫瘍を選択的に根絶する能力を生じる。しかし、CARの効力に依存して、これらのCAR

+CCR

+細胞は、CARに対して特異的な抗原について単一陽性である細胞を溶解するように潜在的に再循環し得る。図6Bは、CARの効力を低減することによって、TTs細胞は、A

+B

+細胞がA

+13

+細胞に遭遇して選択的に応答して根絶する場合に、A

+細胞への応答を回避しながらCCR結合によって機能的にレスキューされ得ることを示す。(C)は、ある腫瘍抗原を結合する際にTCR活性化シグナルを供給する1つのCARおよび異なる腫瘍抗原を結合する際に刺激シグナルを供給する第2のCARを共発現することによって、Tリンパ球は、両方の抗原を発現する腫瘍を根絶するのみで、いずれかの抗原のみを発現する腫瘍を根絶しないことを示す。

図6A〜Cは、腫瘍感知T細胞の概念を図示する。(A)は、有効なCARを発現するTTS細胞が、A

+113

+細胞によって強力に刺激されて、A

+細胞に対する免疫応答を促進されるようになることを示す。CAR

+CCR

+細胞は、CD3活性化シグナルを供給するCARで腫瘍抗原A

+細胞を結合し得る。これは、短期間の細胞溶解を生じ得る。CAR

+CCR

+細胞は、CD28シグナルおよびCD137シグナルを供給するCCRで腫瘍抗原B

+細胞を結合し得る。このシグナルのみでは、溶解もしくは増殖を誘導するのに十分ではない。CAR

+CCR

+細胞が、CARおよびCCRで腫瘍抗原A

+B

+細胞を結合する場合にのみ、活性化および刺激の両方が提供され得る。これは、強い溶解、T細胞増殖、増強されたサイトカイン分泌、BclxLのアップレギュレーション、およびインビボで腫瘍を選択的に根絶する能力を生じる。しかし、CARの効力に依存して、これらのCAR

+CCR

+細胞は、CARに対して特異的な抗原について単一陽性である細胞を溶解するように潜在的に再循環し得る。図6Bは、CARの効力を低減することによって、TTs細胞は、A

+B

+細胞がA

+13

+細胞に遭遇して選択的に応答して根絶する場合に、A

+細胞への応答を回避しながらCCR結合によって機能的にレスキューされ得ることを示す。(C)は、ある腫瘍抗原を結合する際にTCR活性化シグナルを供給する1つのCARおよび異なる腫瘍抗原を結合する際に刺激シグナルを供給する第2のCARを共発現することによって、Tリンパ球は、両方の抗原を発現する腫瘍を根絶するのみで、いずれかの抗原のみを発現する腫瘍を根絶しないことを示す。

(発明の詳細な説明) 本明細書中で言及される全ての特許、公開特許出願、および他の参考文献は、本開示へと本明細書で参考として援用される。

別段定義されなければ、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解される意味を有する。以下の参考文献は、当業者(one of skill)に本発明において使用される用語のうちの多くの一般的定義を提供する: Singleton et al., Dictionary of Microbiology and Molecular Biology (2nd ed. 1994); The Cambridge Dictionary of Science and Technology (Walker ed., 1988); The Glossary of Genetics, 5th Ed., R. Rieger et al. (eds.), Springer Verlag ( 1991); and Hale & Marham, The Harper Collins Dictionary of Biology (1991)。本明細書で使用される場合、以下の用語は、別段特定されなければ、以下にそれらに与えられた意味を有する。

「免疫応答細胞を活性化する」とは、免疫応答の開始を生じる細胞におけるシグナル伝達もしくはタンパク質発現の変化の誘導を意味する。例えば、CD3鎖クラスタがリガンド結合および免疫レセプターチロシンベースの阻害モチーフ(immunoreceptor tyrosine−based inhibition motif)(ITAM)に応答する場合、シグナル伝達カスケードが生じる。ある種の実施形態において、内因性TCRもしくは外因性CARが抗原を結合する場合、結合したレセプター(例えば、CD4もしくはCD8、CD3 / / /など)の近くの多くの分子のクラスター化を含む免疫学的シナプスの形成が起こる。膜結合したシグナル伝達分子のこのクラスター化は、CD3鎖内に含まれるITAMモチーフがリン酸化されることを可能にする。このリン酸化は、次に、T細胞活性化経路を開始し、最終的に、転写因子(例えば、NF−KBおよびAP−1)を活性化する。これらの転写因子は、T細胞の全般的な遺伝子発現を誘導して、増殖のためにIL−2生成を増大し、T細胞媒介性免疫応答を開始するために、マスターレギュレーターであるT細胞タンパク質を発現する。「免疫応答細胞を刺激する」とは、強くかつ持続した免疫応答を生じるシグナルを意味する。種々の実施形態において、これは、免疫細胞(例えば、T細胞)活性化後に起こるか、またはCD28、CD137(4−1BB)、OX40、およびICOSが挙げられるが、これらに限定されないレセプターを介して同時に媒介される。特定の理論に拘束されることなく、複数の刺激シグナルを受容することは、強くかつ長期のT細胞媒介性免疫応答を高めるために重要である。これらの刺激シグナルを受容しない場合、T細胞は、迅速に阻害され、抗原に非応答性となる。これらの共刺激シグナルの効果は変動し、部分的に理解されているだけであるが、それらは、一般に、完全なおよび持続した根絶のために抗原に強く応答する、長時間生存し、増殖性で、抗アポトーシス性のT細胞を生成するために、遺伝子発現の増大を生じる。

用語「抗原認識レセプター」とは、本明細書で使用される場合、抗原結合に応じて免疫細胞(例えば、T細胞)を活性化させ得るレセプターをいう。例示的な抗原認識レセプターは、天然のもしくは内因性のT細胞レセプターまたは腫瘍抗原結合ドメインが免疫細胞(例えば、T細胞)を活性化し得る細胞内シグナル伝達ドメインに融合されているキメラ抗原レセプターであり得る。種々の実施形態において、抗原認識レセプターは、抗原に対して低いかもしくは最小限の親和性もしくはアビディティを有するように選択される。

「親和性」とは、抗体と単一のハプテンもしくは抗原決定基との間の結合強度の尺度を意味する。理論に拘束されることなく、親和性は、抗体結合部位(antibody combining site)と抗原決定基との間の立体化学的適合の厳密性、それらの間の接触領域のサイズ、ならびに荷電した基および疎性の基の分布に依存する。親和性はまた、用語「アビディティ」を含み、この用語は、可逆的複合体の形成後に抗原抗体結合の強度をいう。抗原に対する抗体の親和性を計算するための方法は、当該分野で公知であり、親和性を計算するための結合実験の使用が挙げられる。抗原(Ag)への抗体(Ab)結合の場合、親和性定数が使用される(解離定数の逆数として表される)。

抗体結合の化学平衡はまた、結合速度(on−rate)(k正方向)および解離速度(off−rate)(k逆方向)の定数の比である。2つの抗体は、同じ親和性を有し得るが、一方は、高い結合速度定数および高い解離速度定数の両方を有し得るが、他方は、低い結合速度定数および低い解離速度定数の両方を有し得る。

機能的アッセイ(例えば、細胞溶解アッセイ)における抗体活性はまた、抗体親和性を反映する。本発明の種々の実施形態において、上記抗原認識レセプターは、低親和性を有する。低親和性は、マイクロモル濃度もしくはナノモル濃度の親和性(例えば、10−5M、50−6M、10−6M、5×10−7M、10−7M、5×10−8M、10−8M、5×10−9M、10−9M)を含む。抗体および親和性は、表現型で特徴付けられ得、機能的アッセイ(例えば、細胞溶解アッセイ)を使用して比較され得る。

「親和性」は、抗体とサンプル(simple)との間の結合強度の尺度を意味する。用語「キメラ共刺激レセプター」(CCR)とは、本明細書で使用される場合、活性化とは独立して共刺激を媒介するキメラ抗原レセプター(CAR)の具体的タイプをいう。抗原認識レセプター(例えば、細胞を活性化するCARもしくはTCR)と組み合わせて免疫応答細胞で発現される場合、上記CCRは、第2の抗原に標的化される。ある種の実施形態において、上記CCRは、その標的抗原に対して中程度もしくは高い親和性を有する。

用語「キメラ抗原レセプター」(CAR)とは、本明細書で使用される場合、T細胞を活性化もしくは刺激し得る細胞内シグナル伝達ドメインに融合された腫瘍抗原結合ドメインをいう。最も一般的には、上記CARの細胞外結合ドメインは、マウスもしくはヒト化モノクローナル抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域の融合から得られる単鎖可変フラグメント(scFv)から構成される。あるいは、scFvは、Fabから得られる(抗体に由来する代わりに、例えば、Fabライブラリーから得られる)ものが使用され得る。種々の実施形態において、このscFvは、膜貫通ドメインに、その後、細胞内シグナル伝達ドメインに融合される。「第1世代」CARは、抗原結合の際にCD3シグナルを単に提供するものを含み、「第2世代」CARは、共刺激(例えば、CD28もしくはCD137)および活性化(CD3)の両方を提供するものを含む。「第3世代」CARは、複数の共刺激(例えば、CD28およびCD137)および活性化(CD3)を提供するものを含む。現在までのCAR適用において、上記CARは、抗原に対して高い親和性もしくはアビディティを有するように選択される。このことは、本明細書に記載される本発明とは異なりかつ区別され得る。

「CD3ポリペプチド」は、活性化もしくは刺激活性を有するNCBI Reference No: NP_932170もしくはそのフラグメントと少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の同一性を有するタンパク質を意味する。例示的なCD3は、以下の表1に提供される。「CD3核酸分子」は、CD3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。

「CD8ポリペプチド」は、刺激活性を有するNCBI Reference No: NP_001759もしくはそのフラグメントと少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の同一性を有するタンパク質を意味する。例示的なCD8は、以下の表1に提供される。「CD8核酸分子」は、CD8ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。

「CD28ポリペプチド」は、刺激活性を有するNCBI Reference No: NP_006130もしくはそのフラグメントと少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の同一性を有するタンパク質を意味する。例示的なCD28は、以下の表1に提供される。「CD28核酸分子」は、CD28ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。

「4−1BBポリペプチド」は、腫瘍壊死因子(TNF)リガンドとして作用するNCBI Reference No: P41273もしくはNP_001552またはこれらのフラグメントと少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の同一性を有するタンパク質を意味する。例示的な4−1BBは、以下の表1に提供される。「4−1BBL核酸分子」は、4−1BBLポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。

「CD80ポリペプチド」は、Igスーパーファミリーリガンドとして作用するNCBI Reference No: NP_005182もしくはそのフラグメントと少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の同一性を有するタンパク質を意味する。例示的なCD80ポリペプチドは、以下の表1に提供される。

「CD80核酸分子」は、CD80ポリペプチドをコードする任意のポリヌクレオチドを意味する。例示的なCD80核酸分子は、NM_005191である。

「OX4OLポリペプチド」は、腫瘍壊死因子(TNF)リガンドであるNCBI Reference No: BAB18304もしくはNP_003317またはこれらのフラグメントと少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の同一性を有するタンパク質を意味する。「OX4OL核酸分子」は、OX4OLポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。

「19z1ポリペプチド」は、以下に提供される配列と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の同一性を有し、CD19に結合した場合に活性化活性を有するタンパク質を意味する。

「P28zポリペプチド」は、以下に提供される配列と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の同一性を有するタンパク質を意味する。

「CD19」は、以下に提供される配列と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の同一性を有し、CD19を結合し得るタンパク質を意味する。

「PSMA」は、以下に提供される配列と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の同一性を有し、PSMAを結合し得るタンパク質を意味する。

「P28BB」は、以下に提供される配列と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の同一性を有し、PSMAに結合した場合に刺激活性を有するタンパク質を意味する。

本発明の方法において有用な核酸分子は、本発明のポリペプチドもしくはそのフラグメントをコードする任意の核酸分子を含む。このような核酸分子は、内因性の核酸配列と100%同一である必要はないが、代表的には、実質的同一性を示す。内因性配列と「実質的同一性」を有するポリヌクレオチドは、代表的には、2本鎖核酸分子のうちの少なくとも一方の鎖とハイブリダイズし得る。「ハイブリダイズする」は、種々のストリンジェンシー条件下で、相補的ポリヌクレオチド配列(例えば、本明細書に記載される遺伝子)、もしくはその一部の間で2本鎖を形成するように対になることを意味する。(例えば、Wahl, G. M. and S. L. Berger (1987) Methods Enzymol. 152:399; Kimmel, A. R. (1987) Methods Enzymol. 152:507を参照のこと)。

例えば、ストリンジェントな塩濃度は、通常は、約750mM NaClおよび75mM クエン酸三ナトリウム未満、好ましくは、約500mM NaClおよび50mM クエン酸三ナトリウム未満、およびより好ましくは、約250mM NaClおよび25mM クエン酸三ナトリウム未満である。低ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは、有機溶媒(例えば、ホルムアミド)の非存在下で得られ得るが、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは、少なくとも約35% ホルムアミド、およびより好ましくは、少なくとも約50% ホルムアミドの存在下で得られ得る。ストリンジェントな温度条件は、通常、少なくとも約30℃、より好ましくは、少なくとも約37℃、および最も好ましくは、少なくとも約42℃の温度を含む。種々のさらなるパラメーター(例えば、ハイブリダイゼーション時間、界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS))の濃度、ならびにキャリアDNAを含めるか含めないか)は、当業者に周知である。ストリンジェンシーの種々のレベルは、必要に応じてこれらの種々の条件を組み合わせることによって達成される。好ましい実施形態において、ハイブリダイゼーションは、30℃において、750mM NaCl、75mM クエン酸三ナトリウム、および1% SDS中で起こる。より好ましい実施形態において、ハイブリダイゼーションは、37℃において、500mM NaCl、50mM クエン酸三ナトリウム、1% SDS、35% ホルムアミド、および1001.1g/ml変性サケ精子DNA(ssDNA)中で起こる。最も好ましい実施形態において、ハイブリダイゼーションは、42℃において、250mM NaCl、25mM クエン酸三ナトリウム、1% SDS、50% ホルムアミド、および200pg/ml ssDNA中で起こる。これらの条件の有用な変形は、当業者に容易に明らかである。

大部分の適用に関しては、ハイブリダイゼーション後の洗浄工程もまた、ストリンジェンシーが変動する。洗浄ストリンジェンシー条件は、塩濃度によっておよび温度によって定義され得る。上記のように、洗浄ストリンジェンシーは、塩濃度を低下させることによって、もしくは温度を上昇させることによって増大され得る。例えば、洗浄工程のストリンジェントな塩濃度は、好ましくは、約30mM NaClおよび3mM クエン酸三ナトリウム未満であり、最も好ましくは、約15mM NaClおよび1.5mM クエン酸三ナトリウム未満である。洗浄工程のストリンジェントな温度条件は、通常は、少なくとも約25℃、より好ましくは、少なくとも約42℃、およびさらにより好ましくは、少なくとも約68℃の温度を含む。好ましい実施形態において、洗浄工程は、25℃において、30mM NaCl、3mM クエン酸三ナトリウム、および0.1% SDS中で起こる。より好ましい実施形態において、洗浄工程は、42℃において、15mM NaCl、1.5mM クエン酸三ナトリウム、および0.1% SDS中で起こる。別の実施形態において、洗浄工程は、68℃において、15mM NaCl、1.5mM クエン酸三ナトリウム、および0.1% SDS中で起こる。これらの条件のさらなる変形は、当業者に容易に明らかである。

ハイブリダイゼーション技術は、当業者に周知であり、例えば、Benton and Davis (Science 196:180, 1977); Grunstein and Hogness (Proc. Natl. Acad.Sci., USA 72:3961, 1975); Ausubel et al. (Current Protocols in Molecular Biology, Wiley Interscience, New York, 2001); Berger and Kimmel (Guide to Molecular Cloning Techniques, 1987, Academic Press, New York); およびSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New Yorkに記載されている。

「実質的に同一」は、参照アミノ酸配列(例えば、本明細書に記載されるアミノ酸配列のうちのいずれか1つ)もしくは核酸配列(例えば、本明細書に記載される核酸配列のうちのいずれか1つ)と少なくとも50%同一性を示すポリペプチドもしくは核酸分子を意味する。好ましくは、このような配列は、比較のために使用される配列と、アミノ酸レベルもしくは核酸レベルで少なくとも60%、より好ましくは、80%もしくは85%、およびより好ましくは、90%、95%もしくはさらに99%同一である。

配列同一性は、代表的には、配列分析ソフトウェア(例えば、the Genetics Computer Groupの配列分析ソフトウェアパッケージ(Sequence Analysis Software Package), University of Wisconsin Biotechnology Center, 1710 University Avenue, Madison, Wis. 53705, BLAST、BESTFIT、GAP、もしくはPILEUP/PRETTYBOXプログラム)を使用して測定される。このようなソフトウェアは、相同性の程度を種々の置換、欠失、および/もしくは他の改変に割り当てることによって、同一配列もしくは類似配列を適合させる。保存的置換は、代表的には、以下の群内での置換を含む:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、スレオニン;リジン、アルギニン;およびフェニルアラニン、チロシン。同一性の程度を決定する例示的アプローチにおいて、BLASTプログラムは、密接に関連した配列を示すe−3〜e−100の間の確率スコアとともに使用され得る。

「アナログ」は、参照ポリペプチドもしくは核酸分子の機能を有する構造的に関連するポリペプチドもしくは核酸分子を意味する。

用語「リガンド」とは、本明細書で使用される場合、レセプターに結合する分子をいう。特に、上記リガンドは、細胞間認識を可能にする、別の細胞にあるレセプターを結合する。

用語「構成的発現」とは、本明細書で使用される場合、全ての生理学的条件下での発現をいう。

「疾患」とは、細胞、組織、もしくは器官の正常な機能を損傷するかもしくは妨害する任意の状態もしくは障害を意味する。疾患の例としては、新形成もしくは細胞の病原体感染が挙げられる。

「有効量」は、新形成の継続している増殖、成長、もしくは転移(例えば、侵襲、もしくは移動)を停止させるか、改善するか、もしくは阻害するために十分な量を意味する。

「寛容性を強化する」は、自己反応性細胞もしくは移植した器官もしくは組織を標的とする免疫応答細胞の活性を防止することを意味する。

「外因性」は、細胞に内因的に存在しないか、または過剰発現される場合に得られる機能的効果を達成するために十分なレベルで存在しない、核酸分子もしくはポリペプチドを意味する。用語「外因性」は、従って、細胞中で発現される任意の組換え核酸分子もしくはポリペプチド(例えば、外来の、異種の、および過剰発現される核酸分子およびポリペプチド)を包含する。

「異種核酸分子もしくはポリペプチド」は、細胞もしくは細胞から得られるサンプル中に通常存在しない核酸分子(例えば、cDNA、DNAもしくはRNA分子)またはポリペプチドを意味する。上記核酸は、別の生物に由来してもよいし、例えば、細胞もしくはサンプル中で通常は発現されないmRNA分子であってもよい。

「免疫応答細胞」は、免疫応答において機能する細胞、またはその前駆細胞もしくは子孫を意味する。

「単離された細胞」は、上記細胞に天然に付随する分子成分および/もしくは細胞成分から分離されている細胞を意味する。

用語「単離された」、「精製された」、もしくは「生物学的に純粋な」とは、その天然の状態で見いだされるとおりの、通常付随している成分から、全くないから種々の程度までで存在する物質を指す。「単離する」は、元の供給源もしくは環境からのある程度の分離を示す。「精製する」とは、単離より高い分離の程度を示す。「精製された」もしくは「生物学的に純粋な」タンパク質は、いかなる不純物も、上記タンパク質の生物学的特性にも実質的に影響を及ぼさず、他の有害な結果も引き起こさないように、他の物質を十分に含まない。すなわち、本発明の核酸もしくはペプチドは、これが組換えDNA技術によって生成される場合には、細胞性物質、ウイルス物質、および培養培地を、または化学合成される場合には、化学前駆体や他の化学物質を実質的に含まれなければ、精製されている。純度および均一性は、代表的には、分析化学技術(例えば、ポリアクリルアミド・ゲル電気泳動もしくは高速液体クラマトグラフィー)を使用して決定される。用語「精製された」は、核酸もしくはタンパク質が電気泳動ゲル中で本質的に1本のバンドを生じることを示し得る。改変(例えば、リン酸化もしくはグリコシル化)に供され得るタンパク質に関しては、種々の改変が、別々に精製され得る種々の単離されるタンパク質を生じ得る。

用語「腫瘍抗原結合ドメイン」とは、本明細書で使用される場合、特定の抗原決定基もしくは腫瘍に存在する抗原決定基のセットを特異的に結合し得るドメインをいう。

「調節する」は、正にもしくは負に変化させることを意味する。例示的な調節は、1%、2%、5%、10%、25%、50%、75%、もしくは100%の変化を含む。

「新形成」は、細胞もしくは組織の病理学的増殖、ならびに他の組織(issues)もしくは器官へのその後の移動もしくは他の組織もしくは器官の侵襲によって特徴付けられる疾患を意味する。新形成の増殖は、代表的には、制御されずかつ進行性であり、正常な細胞の増殖を顕在化させないかもしくはその増殖の停止を引き起こす条件下で起こる。新形成は、種々の細胞タイプ、組織、もしくは器官(膀胱、骨、脳、乳房、軟骨、グリア、食道、ファローピウス管、胆嚢、心臓、腸、腎臓、肝臓、、リンパ節、神経組織、卵巣、膵臓、前立腺、骨格筋、皮膚、脊髄、脾臓、胃、精巣、胸腺、甲状腺、気管、尿生殖路、尿管、尿道、子宮、および膣、またはこれらの組織もしくは細胞タイプからなる群より選択される器官が挙げられるが、これらに限定されない)に影響を及ぼし得る。新形成としては、がん(例えば、肉腫、癌、もしくは形質細胞腫(形質細胞の悪性腫瘍))が挙げられる。本発明が使用され得る例示的な新生物としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:白血病(例えば、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性単球性白血病、急性赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病)、多血症、リンパ腫(ホジキン病、非ホジキン病)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、重鎖病、および固形腫瘍、例えば、肉腫および癌(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫(endotheliosarcoma)、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌(papillary carcinoma)、乳頭状腺癌(papillary adenocarcinoma)、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌(nile duct carcinoma)、絨毛癌、精上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、子宮がん、精巣がん、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫(ligodenroglioma)、神経鞘腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫、および網膜芽細胞腫)。一実施形態において、本発明のスクリーニング法は、乳がんもしくは肺がんを処置するために有用な組成物を同定する。

「レセプター」は、1種以上のリガンドを選択的に結合する、細胞膜上に存在するポリペプチドもしくはその一部を意味する。

「認識する」は、標的を選択的に結合することを意味する。ウイルスを認識するT細胞は、代表的には、上記ウイルスによって発現される抗原を結合するレセプターを発現する。

「病原体」は、疾患を引き起こし得るウイルス、細菌、真菌、寄生生物もしくは原生動物を意味する。例示的なウイルスとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:Retroviridae(例えば、ヒト免疫不全ウイルス(例えば、HIV−1(HDTV−Ill、LAVEもしくはHTLV−III/LAV、またはHIV−Illともいわれる;および他の単離株(例えば、HIV-LP));Picornaviridae(例えば、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス;エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス);Calciviridae(例えば、胃腸炎を引き起こす株);Togaviridae(例えば、ウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス);Flaviridae(例えば、デングウイルス、脳炎ウイルス、黄熱ウイルス);Coronoviridae(例えば、コロナウイルス);Rhabdoviridae(例えば、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);Filoviridae(例えば、エボラウイルス);Paramyxoviridae(例えば、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、RSウイルス);Orthomyxoviridae(例えば、インフルエンザウイルス);Bungaviridae(例えば、ハンタウイルス、ブンヤウイルス(bunga viruses)、フレボウイルスおよびナイロウイルス);Arena Viridae(出血熱ウイルス);Reoviridae(例えば、レオウイルス、オルビウイルスおよびロタウイルス);Birnaviridae;Hepadnaviridae(B型肝炎ウイルス);Parvovirida(パルボウイルス);Papovaviridae(パピローマウイルス、ポリオーマウイルス);Adenoviridae(大部分のアデノウイルス);Herpesviridae(単純ヘルペスウイルス(HSV)1および2、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスウイルス);Poxviridae(天然痘ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス);およびIridoviridae(例えば、アフリカブタ熱ウイルス);ならびに未分類のウイルス(例えば、デルタ型肝炎の因子(B型肝炎ウイルスの不完全サテライト(defective satellite)と考えられる)、非A非B型肝炎の因子(クラス1=内部伝播(internally transmitted);クラス2=非経口伝播(すなわち、C型肝炎);ノーウォークウイルスおよび関連ウイルス、ならびにアストロウイルス)。

例示的な細菌としては、Pasteurella、Staphylococci、Streptococcus、Escherichia coli、Pseudomonas種、およびSalmonella種が挙げられるが、これらに限定されない。感染性細菌の具体例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:Helicobacter pyloris、Borelia burgdoiferi、Legionella pneumophilia、Mycobacteria種(例えば、M.tuberculosis、M.avium、M.intracellulare、M.kansaii、M.gordonae)、Staphylococcus aureus、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、Listeria monocytogenes、Streptococcus pyo genes(A群Streptococcus)、Streptococcus agalactiae(B群Streptococcus)、Streptococcus(viridans群)、Streptococcus faecalis、Streptococcus bovis、Streptococcus(嫌気性種)、Streptococcus pneumoniae、病原性Campylobacter種、Enterococcus種、Haemophilus influenzae、Bacillus antracis、Corynebacterium diphtheriae、Corynebacterium種、Erysipelothrix rhusiopathiae、Clostridium perfringers、Clostridium tetani、Enterobacter aerogenes、Klebsiella pneumoniae、Pasturella multocida、Bacteroides種、Fusobacterium nucleatum、Streptobacillus moniliformis、Treponema pallidium、Treponema pertenue、Leptospira、Rickettsia、およびActinomyces israelli。

「特異的に結合する」は、あるポリペプチドもしくはそのフラグメントが、目的のポリペプチドを認識しかつ結合するが、本発明のポリペプチドを天然に含むサンプル(例えば、生物学的サンプル)中の他の分子を実質的に認識も結合もしないことを意味する。

用語「腫瘍抗原」とは、本明細書で使用される場合、免疫応答を誘導し得る、腫瘍によって発現される任意のポリペプチドをいう。

「ウイルス抗原」は、免疫応答を誘導し得る、ウイルスによって発現されるポリペプチドを意味する。

用語「comprises(含む、包含する)」、「comprising(含む、包含する)」は、米国特許法におけるそれらに帰せられる広い意味を有することが意図され、「includes(含む、包含する)」、「including(含む、包含する)」などを意味し得る。

本明細書で使用される場合、「処置」とは、処置されている個体もしくは処置されている細胞の疾患経過を変化させようとの試みにおける臨床的介入を指し、予防のために、もしくは臨床病理の過程の間にのいずれかで行われ得る。処置の治療効果としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:疾患の発生もしくは再発の予防、症状の緩和、上記疾患の任意の直接的もしくは間接的な病的結果の減少、転移の予防、疾患進行速度の低減、疾患状態の改善もしくは一時的緩和、ならびに寛解もしくは予後の改善。疾患もしくは障害の進行を防止することによって、処置は、罹患したもしくは診断された被験体、または障害を有すると疑われる被験体における障害に起因する悪化を防止し得るが、処置はまた、上記障害のリスクがあるかもしくは上記障害を有すると疑われる被験体における上記障害の発症または障害の症状を防止し得る。

用語「被験体」とは、本明細書で使用される場合、脊椎動物、好ましくは、哺乳動物、より好ましくは、ヒトをいう。

用語「免疫無防備状態の」とは、本明細書で使用される場合、免疫不全を有する被験体を指す。上記被験体は、健康な免疫系を有するヒトでは通常は疾患を引き起こさないが、免疫系が十分に機能していないもしくは抑制されたヒトには罹患し得る生物によって引き起こされる感染である、日和見感染に非常に無防備である。

本発明の他の局面は、以下の開示で記載され、本発明の範囲内である。

本発明は、一般に、抗原認識レセプター(例えば、TCRもしくはCAR)およびキメラ共刺激レセプター(CCR)の組み合わせを少なくとも発現する細胞(遺伝子改変された免疫応答細胞(例えば、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)細胞を含む)、ならびに抗原特異的免疫応答の増大が所望される新形成および他の病変の処置のためのその使用方法を提供する。本発明は、少なくとも一部は、抗原認識レセプターおよびキメラ共刺激レセプターによる、腫瘍細胞によって共発現される2つの抗原の同時結合(simultaneous engagement)が、全身作用なしに免疫反応細胞を活性化および刺激するために有用であるという発見に基づく。特に、いずれかの抗原のみを発現する組織に対する反応性は、好ましくは、最小限であり、両方の抗原の存在下でT細胞活性化を誘導するが、いずれか1つのみでは誘導しない。T細胞活性化は、抗原(例えば、CD19もしくは前立腺幹細胞抗原、PSCA)に標的化されるTCRもしくはCARによって媒介される。共刺激は、第2の抗原(例えば、前立腺特異的膜抗原、PSMA)に標的化される、「キメラ共刺激レセプター」(CCR)によって独立して媒介される12,13。このようなアプローチは、二重抗原陽性(DP)腫瘍に対して増大した反応性を生じたが、単一抗原陽性(SP)腫瘍に対する反応の増強は避けられなかった。腫瘍感知T細胞が、T細胞活性化が単独で有効でないレベルへとT細胞活性化を弱めることによって、DP腫瘍をSP腫瘍から区別するようにさせられ得るが、独立した共発現される抗原によって結合されるCCRによって腫瘍部位で機能的にレスキューされ得ることが見いだされた。このアプローチは、正常であるかもしくは新生物でないSP細胞に影響を与えないと同時に、腫瘍根絶のための腫瘍微小環境内で免疫原性を提供し、従来の養子T細胞療法より顕著な進歩を示す。

さらに、このアプローチは、新形成の処置に限定されないが、抗原特異的免疫応答の増大が所望される広範囲の適用が容易である。このような適用は、新形成の処置を含むのみならず、病原体感染もしくは感染性疾患に対する免疫応答を高めるための、および自己免疫もしくは同種異系移植の状況において制御性T細胞の免疫寛容を強化するための処置を含む。

(造血細胞系統) 哺乳動物の造血(血液)細胞は、多様な範囲の生理学的活性を提供する。造血細胞は、リンパ系統、骨髄系統および赤血球系統に分けられる。リンパ系統(B細胞、T細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞を含む)は、抗体の生成、細胞免疫系の調節、血液中の外来因子の検出、宿主に対して外来の細胞の検出などを提供する。用語「T細胞」とは、本明細書で使用される場合、胸腺中で成熟し、細胞媒介性免疫を主に担うリンパ球をいう。T細胞は、獲得免疫系に関与する。用語「ナチュラルキラー(NK)細胞」とは、本明細書で使用される場合、細胞媒介性免疫の一部であり、先天性免疫応答の間に作用するリンパ球をいう。それらは、標的細胞に対してそれらの細胞傷害性効果を発揮するための、事前の活性化を必要としない。細胞傷害性T細胞(CTLもしくはキラーT細胞)は、感染した体細胞もしくは腫瘍細胞の死滅を誘導し得るTリンパ球のサブセットである。

(本発明の方法で使用するための細胞) 本発明は、免疫応答細胞を活性化する抗原認識レセプター(例えば、TCR、CAR)およびキメラ共刺激レセプター(CCR)の組み合わせを発現する細胞、ならびに増強された免疫応答を必要とする疾患の処置のためにこのような細胞を使用する方法を提供する。1つのアプローチにおいて、腫瘍抗原特異的T細胞、NK細胞、CTL細胞もしくは他の免疫応答細胞は、新形成の処置もしくは予防のための1以上の共刺激リガンドを選択的富化するためのシャトル(shuttles)として使用される。例えば、CD19を認識するキメラ抗原レセプター19z1を発現するT細胞は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)を認識しかつ結合するキメラ共刺激レセプターP28BBを発現するT細胞において共発現される。このような細胞は、前立腺がんの処置もしくは予防のために、その必要性のあるヒト被験体に投与される。別のアプローチにおいて、ウイルス抗原特異的T細胞、NK細胞、CTL細胞は、ウイルス疾患の処置のために使用され得る。例えば、第1のCMV抗原を認識するキメラ共刺激抗原レセプターおよび第2のCMV抗原を認識しかつ結合するキメラ抗原レセプターは、CMVの処置のために細胞傷害性T細胞で共発現される。

(腫瘍抗原特異的Tリンパ球(およびNK細胞)) 本発明の方法において使用され得る腫瘍抗原特異的ヒトリンパ球のタイプとしては、キメラ抗原レセプター(CAR)を発現するように遺伝子改変された末梢血ドナーリンパ球(Sadelain, M., et al. 2003 Nat Rev Cancer 3:35−45)、aおよびpヘテロダイマーを含む全長腫瘍抗原認識T細胞レセプター複合体を発現するように遺伝子改変された末梢血ドナーリンパ球(Morgan, R.A., et al. 2006 Science 314:126−129)、腫瘍生検における腫瘍浸潤リンパ球(TIL)に由来するリンパ球培養物(Panelli, M.C., et al. 2000 J Immunol 164:495−504; Panelli, M.C., et al. 2000 J Immunol 164:4382−4392)、および人工抗原提示細胞(AAPC)もしくはパルス樹状細胞を使用する選択的にインビトロで増大した抗原特異的末梢血白血球(Dupont, J., et al. 2005 Cancer Res 65:5417−5427; Papanicolaou, G.A., et al. 2003 Blood 102:2498−2505)が挙げられるが、これらに限定されない。上記T細胞は、自己由来であっても、同種異系であっても、操作された前駆細胞もしくは幹細胞からのインビトロ由来であってもよい。

任意の適切な腫瘍抗原(抗原性ペプチド)は、本明細書で記載される腫瘍関連の実施形態において使用するために適している。抗原の供給源としては、がんタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。上記抗原は、ペプチドとして、またはインタクトなタンパク質もしくはその一部として、発現され得る。上記インタクトなタンパク質もしくはその一部は、天然であっても変異誘発されていてもよい。適切な抗原としては、前立腺特異的膜抗原(PSMA)および前立腺幹細胞抗原(PCSA)が挙げられる。

(ウイルス抗原特異的Tリンパ球(およびNK細胞)) 病原体感染もしくは他の感染性疾患の処置において(例えば、免疫無防備状態の被験体において)使用するために適した抗原としては、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、およびインフルエンザウイルスに存在するウイルス抗原が挙げられるが、これらに限定されない。

CTLの未精製供給源は、当該分野で公知の任意のものであり得る(例えば、骨髄、胎児、新生児、もしくは成体の造血細胞供給源または他の造血細胞供給源、例えば、胎児肝臓、末梢血もしくは臍帯血)。種々の技術が、細胞を分離するために使用され得る。例えば、負の選択法は、非CTLを最初に除去し得る。mAbは、正の選択および負の選択の両方のために、特定の細胞系統ならびに/もしくは分化のステージと関連するマーカーを同定するために特に有用である。

最終的に分化した細胞の大部分は、比較的粗い分離によって最初に除去され得る。例えば、磁性ビーズ分離が最初に使用されて、無関係の細胞の大多数を除去し得る。好ましくは、全造血細胞のうちの少なくとも約80%、通常は、少なくとも70%が、細胞単離の前に除去される。

分離のための手順としては、密度勾配遠心分離;再設定;細胞密度を改変する粒子への連結;抗体被覆磁性ビーズでの磁性分離;アフィニティークロマトグラフィー;mAbに結合されるかもしくはmAbとともに使用される細胞傷害因子(補体およびサイトトキシンが挙げられるが、これらに限定されない);ならびに固体マトリクス(例えば、プレート、チップ)に結合した抗体でのパニング、エラトリエーションまたは任意の他の従来技術が挙げられるが、これらに限定されない。

分離および分析のための技術としては、種々の程度の精巧さ(例えば、複数のカラーチャネル、低アングルおよび鈍光散乱検出チャネル、インピーダンスチャネル)を有し得るフローサイトメトリーが挙げられるが、これらに限定されない。

上記細胞は、死細胞に会合する色素(例えば、ヨウ化プロピジウム(PI))を使用することによって、死細胞に対して選択され得る。好ましくは、上記細胞は、2% ウシ胎仔血清(FCS)もしくは0.2% ウシ血清アルブミン(BSA)または任意の他の適切な(好ましくは、滅菌の)等張性媒体を含む媒体中に集められる。

よって、本発明は、一般に、第1の抗原を結合し、免疫応答細胞を活性化するレセプターおよび第2の抗原を結合し、免疫応答細胞を刺激するレセプターを含む免疫応答細胞(例えば、ウイルス特異的もしくは腫瘍特異的なT細胞)を提供する。

(ベクター) 免疫応答細胞(例えば、T細胞、CTL細胞、NK細胞)の遺伝子改変は、実質的に均一な細胞組成物を組換えDNA構築物で形質導入することによって達成され得る。好ましくは、レトロウイルスベクター(γ−レトロウイルスベクターもしくはレンチウイルスベクターのいずれかの)は、上記DNA構築物を上記細胞へと導入するために使用される。例えば、抗原(例えば、腫瘍抗原、またはそのバリアントもしくはフラグメント)を結合するレセプターをコードするポリヌクレオチドは、レトロウイルスベクターにクローニングされ得、その内因性プロモーターから、レトロウイルスの長い末端反復配列から、もしくは目的の標的細胞型に特異的なプロモーターから、発現が駆動され得る。非ウイルスベクターも同様に使用され得る。

腫瘍抗原特異的細胞もしくはウイルス抗原特異的細胞を提供するための細胞の最初の遺伝子改変のために、レトロウイルスベクターは、一般に、形質導入のために使用されるが、任意の他の適切なウイルスベクターもしくは非ウイルス送達システムが使用され得る。少なくとも2種の共刺激リガンドを含む抗原提示複合体を含む細胞を提供するためのその後の細胞の遺伝子改変のために、レトロウイルス遺伝子移入(形質導入)は、同様に有効と判明する。レトロウイルスベクターおよび適切なパッケージング系統の組み合わせもまた適しており、ここでキャプシドタンパク質は、ヒト細胞に感染するために機能的である。種々のアンホトロピックウイルス生成細胞株が公知であり、これらとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:PA12(Miller, et al. (1985) Mol. Cell. Biol. 5:431− 437); PA317(Miller, et al. (1986) Mol. Cell. Biol. 6:2895−2902);およびCRIP(Danos, et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:6460−6464)。非アンホトロピック粒子もまた適切である(例えば、VSVG、RD114もしくはGALVエンベロープおよび当該分野で公知の任意の他のもので偽型化された粒子)。

考えられる形質導入法としてはまた、細胞とプロデューサー細胞との直接共培養(例えば、Bregni, et al. (1992) Blood 80:1418−1422の方法による)、またはウイルス上清のみもしくは濃縮したベクターストックとともに、適切な増殖因子およびポリカチオンありもしくはなしで培養すること(例えば、Xu, et al. (1994) Exp. Hemat. 22:223−230;およびHughes, et al. (1992) J. Clin. Invest. 89:1817の方法による)が挙げられる。

他の形質導入ウイルスベクターは、免疫応答細胞において本発明の共刺激リガンドを発現するために使用され得る。好ましくは、選択されたベクターは、高い感染効率、ならびに安定した組み込みおよび発現を示す(例えば、Cayouette et al., Human Gene Therapy 8:423−430, 1997; Kido et al., Current Eye Research 15:833−844, 1996; Bloomer et al., Journal of Virology 71:6641−6649, 1997; Naldini et al., Science 272:263−267, 1996;およびMiyoshi et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 94:10319, 1997を参照のこと)。使用され得る他のウイルスベクターとしては、以下が挙げられる:例えば、アデノウイルスベクター、レンチウイルスベクター、およびアデノ随伴ウイルスベクター、ワクシニアウイルス、ウシパピローマウイルス、またはヘルペスウイルス(例えば、エプスタイン・バーウイルス(例えば、Miller, Human Gene Therapy 15−14, 1990; Friedman, Science 244:1275−1281, 1989; Eglitis et al., BioTechniques 6:608−614, 1988; Tolstoshev et al., Current Opinion in Biotechnology 1:55−61, 1990; Sharp, The Lancet 337:1277−1278, 1991; Cornetta et al., Nucleic Acid Research and Molecular Biology 36:311−322, 1987; Anderson, Science 226:401−409, 1984; Moen, Blood Cells 17:407−416, 1991; Miller et al., Biotechnology 7:980−990, 1989; Le Gal La Salle et al., Science 259:988−990, 1993;およびJohnson, Chest 107:77S−83S, 1995のベクターもまた参照のこと)。レトロウイルスベクターは、特に十分に開発されており、臨床状況で使用されてきた(Rosenberg et al., N. Engl. J. Med 323:370, 1990; Anderson et al., 米国特許第5,399,346号)。

非ウイルスアプローチもまた、細胞中でタンパク質を発現するために使用され得る。例えば、核酸分子は、リポフェクション(Feigner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 84:7413, 1987; Ono et al., Neuroscience Letters 17:259, 1990; Brigham et al., Am. J. Med. Sci. 298:278, 1989; Staubinger et al., Methods in Enzymology 101:512, 1983)、アシアロオロソムコイド-ポリリジンコンジュゲーション(Wu et al., Journal of Biological Chemistry 263: 14621, 1988; Wu et al., Journal of Biological Chemistry 264:16985, 1989)の存在下で核酸を投与することによって、または手術条件下でのマイクロインジェクション(Wolff et al., Science 247:1465, 1990)によって、細胞に導入され得る。

遺伝子移入のための他の非ウイルス手段としては、リン酸カルシウム、DEAEデキストラン、エレクトロポレーション、およびプロトプラスト融合を使用するインビトロでのトランスフェクションが挙げられる。リポソームはまた、細胞にDNAを送達するために潜在的に有益であり得る。正常な遺伝子を被験体の罹患した組織に移植することはまた、正常な核酸を培養可能な細胞タイプにエキソビボで移入すること(例えば、自己由来もしくは異種の初代細胞もしくはその子孫)、その後、上記細胞(もしくはその子孫)を、標的化した組織に注射するか、または全身に注射することによって達成され得る。組換えレセプターはまた、トランスポザーゼもしくは標的化ヌクレアーゼ(例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、もしくはTALEヌクレアーゼ)を使用して誘導もしくは得られ得る。一過性の発現が、RNAエレクトロポレーションによって得られ得る。ポリヌクレオチド療法において使用するためのcDNA発現は、任意の適切なプロモーター(例えば、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、シミアンウイルス40(SV40)プロモーター、もしくはメタロチオネインプロモーター)から誘導され得、任意の適切な哺乳動物調節エレメントもしくはイントロン(例えば、伸長因子1cエンハンサー/プロモーター/イントロン構造体)によって調節され得る。例えば、所望であれば、特定の細胞タイプにおける遺伝子発現を優先的に誘導することが公知のエンハンサーは、核酸の発現を誘導するために使用され得る。使用される上記エンハンサーとしては、組織特異的もしくは細胞特異的エンハンサーとして特徴付けられるものが挙げられ得るが、これらに限定されない。あるいは、ゲノムクローンが治療構築物として使用される場合、同族の調節配列によって、または所望であれば、異種供給源に由来する調節配列(上記で記載されるプロモーターもしくは調節エレメントのうちのいずれかが挙げられる)によって、調節が媒介され得る。

次いで、得られた細胞は、改変されていない細胞に関するものと類似の条件下で増殖させられ得、それによって、改変された細胞が増殖させられ得、種々の目的で使用され得る。

本発明にまた含まれるのは、19z1、CD19、CD8、CD3、dsRed、P28BB、PSMA、CD28、4−1 BB、GFPポリペプチドまたはこれらのフラグメントであり、これらは、免疫応答細胞において発現される場合にそれらの抗新生物活性を増強する方法で改変される。本発明は、アミノ酸配列もしくは核酸配列において改変を生じさせることによって、上記配列を最適化するための方法を提供する。このような改変は、ある種の変異、欠失、挿入、または翻訳後修飾を含み得る。本発明は、本発明の任意の天然に存在するポリペプチドのアナログをさらに含む。アナログは、アミノ酸差異によって、翻訳後修飾によって、またその両方によって、本発明の天然に存在するポリペプチドとは異なり得る。本発明のアナログは、一般に、本発明の、天然に存在するアミノ酸配列のうちの全てもしくは一部と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の同一性を示す。配列比較の長さは、少なくとも5個、10個、15個もしくは20個のアミノ酸残基、好ましくは、少なくとも25個、50個、もしくは75個のアミノ酸残基、およびより好ましくは、100個を超えるアミノ酸残基である。繰り返すと、同一性の程度を決定する例示的アプローチにおいて、密に関連する配列を示すe3〜e−100の間の確率スコアとともに、BLASTプログラムが使用され得る。改変としては、ポリペプチドのインビボおよびインビトロでの化学的誘導体化(例えば、アセチル化、カルボキシル化、リン酸化、もしくはグリコシル化)が挙げられ;このような改変は、ポリペプチド合成もしくはプロセシングの間に、または単離された改変する酵素での処理後に起こり得る。アナログはまた、一次配列における改変によって、本発明の上記天然に存在するポリペプチドとは異なり得る。これらは、遺伝子バリアント、天然および誘導されたものの両方を含む(例えば、照射もしくはエチルメチルスルフェート(ethanemethylsulfate)への曝露によって、または部位特異的変異誘発(Sambrook, Fritsch and Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2d ed.), CSH Press, 1989,または、Ausubel et al.,前出に記載されるとおり)によって、ランダム変異誘発から生じる)。L−アミノ酸以外の残基(例えば、D−アミノ酸もしくは天然に存在しないかもしくは合成のアミノ酸、例えば、−アミノ酸もしくは −アミノ酸)を含む環化ペプチド、分子、およびアナログもまた含まれる。

全長ポリペプチドに加えて、本発明はまた、本発明のポリペプチドもしくはペプチドドメインのうちのいずれか1つのフラグメントを提供する。本明細書で使用される場合、用語「フラグメント」とは、少なくとも5個、10個、13個、もしくは15個のアミノ酸を意味する。他の実施形態において、フラグメントは、少なくとも20個の連続したアミノ酸、少なくとも30個の連続したアミノ酸、もしくは少なくとも50個の連続したアミノ酸、および他の実施形態では、少なくとも60〜80個、100個、200個、300個以上の連続したアミノ酸である。本発明のフラグメントは、当業者に公知の方法によって生成され得るか、または通常のタンパク質プロセシング(例えば、生物学的活性に必要とされない、新生(nascent)ポリペプチドからのアミノ酸の除去、または選択的mRNAスプライシングもしくは選択的タンパク質プロセシング事象によるアミノ酸の除去)から生じ得る。

非タンパク質アナログは、本発明のタンパク質の機能的活性を摸倣するように設計された化学構造を有する。このようなアナログは、本発明の方法に従って投与される。このようなアナログは、元のポリペプチドの生理学的活性を超え得る。アナログ設計の方法は、当該分野で周知であり、アナログの合成は、得られたアナログが、免疫応答細胞において発現される場合に元のポリペプチドの抗新生物活性を増大させるようにその化学構造を改変することによる、そのような方法に従って行われ得る。これらの化学的改変としては、選択的なR基を置換すること、および参照ポリペプチドの特定の炭素原子における飽和度を変化させることが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、上記タンパク質アナログは、インビボ分解に対して相対的に抵抗性があり、投与の際により長期間の治療効果を生じる。機能的活性を測定するためのアッセイとしては、以下の実施例に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されない。

(共刺激リガンド) 少なくとも1種の共刺激リガンドとの相互作用は、免疫細胞(例えば、T細胞)の完全な活性化のために重要な非抗原特異的シグナルを提供する。共刺激リガンドとしては、腫瘍壊死因子(TNF)リガンド、サイトカイン(例えば、IL−2、IL−12、IL−15もしくはIL21)、および免疫グロブリン(lg)スーパーファミリーリガンドが挙げられるが、これらに限定されない。

腫瘍壊死因子(TNF)は、全身炎症に関与するサイトカインであり、急性相の反応を刺激する。その主な役割は、免疫細胞の調節にある。腫瘍壊死因子(TNF)リガンドは、多くの共通する特徴を共有する。上記リガンドの大部分は、短い細胞質セグメントおよび比較的長い細胞外領域を含むII型膜貫通タンパク質(細胞外C末端)として合成される。TNFリガンドとしては、神経増殖因子(NGF)、CD40L(CD40L)/CD154、CD137L/4−1BBL、腫瘍壊死因子α(TNFa)、CD134L/OX4OL/CD252、CD27L/CD70、Fasリガンド(FasL)、CD3OL/CD153、腫瘍壊死因子β(TNF(3)/リンホトキシン-α(LTa)、リンホトキシン−β(ur(3)、CD257/B細胞活性化因子(BAFF)/Blys/THANK/Ta11−1、グルココルチコイド誘導性TNFレセプターリガンド(GITRL)、およびTNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、LIGHT(TNFSF14)が挙げられるが、これらに限定されない。免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーリガンドは、細胞の認識、結合、もしくは接着プロセスに関与する細胞表面の可溶性タンパク質の大きなグループである。これらのタンパク質は、免疫グロブリンと構造的な特徴を共有している−−それらは、免疫グロブリンドメイン(折りたたみ)を有する。免疫グロブリンスーパーファミリーリガンドとしては、CD28に対する両方のリガンドであるCD80およびCD86が挙げられるが、これらに限定されない。

本発明の遺伝子改変された免疫応答細胞(例えば、T細胞、NK細胞、CTL細胞、もしくはそれらの前駆細胞)を含む組成物は、新形成、病原体感染、もしくは感染性疾患の処置のために被験体に全身にもしくは直接提供され得る。一実施形態において、本発明の細胞は、目的の器官(例えば、新形成に罹患している器官)に直接注射される。あるいは、遺伝子改変された免疫応答細胞を含む組成物は、目的の器官へと、例えば、循環系(例えば、腫瘍血管系)への投与によって間接的に提供される。増殖因子および分化因子は、上記細胞の投与前、投与の間、もしくは投与後に提供されて、T細胞、NK細胞、もしくはCTL細胞の生成をインビトロもしくはインビボで増加させ得る。

上記改変された細胞は、任意の生理学的に受容可能なビヒクル中で、通常は、血管内に投与され得るが、それらはまた、骨もしくは他の都合の良い部位(ここで細胞が再生および分化に適した部位(例えば、胸腺)を見いだし得る)へと導入され得る。通常、少なくとも1×105 細胞が投与され、これは、最終的には、1×1010以上に達する。本発明の遺伝子改変された免疫応答細胞は、精製された細胞集団を含み得る。当業者は、種々の周知の方法(例えば、蛍光活性化セルソーティング(FACS))を使用して、集団中の遺伝子改変された免疫応答細胞のパーセンテージを容易に決定し得る。遺伝子改変された免疫応答細胞を含む集団における好ましい純度範囲は、約50〜約55%、約55〜約60%、および約65〜約70%である。より好ましくは、上記純度は、約70〜約75%、約75〜約80%、約80〜約85%であり;なおより好ましくは、上記純度は、約85〜約90%、約90〜約95%、および約95〜約100%である。投与量は、当業者によって容易に調節され得る(例えば、純度の低下は、投与量の増加を要し得る)。上記細胞は、注射、カテーテルなどによって導入され得る。所望であれば、インターロイキン(例えば、IL−2、IL−3、IL−6、およびIL−11)、ならびに他のインターロイキン、コロニー刺激因子(例えば、G−CSF、M−CSFおよびGM−CSF)、インターフェロン(例えば、γ−インターフェロン)およびエリスロポエチンが挙げられるが、これらに限定されない因子もまた含まれ得る。

本発明の組成物は、遺伝子改変された免疫応答細胞もしくはそれらの前駆細胞および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を含む。投与は、自己のものであってもよいし、異種のものであってもよい。例えば、免疫応答細胞もしくは前駆細胞は、ある被験体から得られ得、同じ被験体もしくは異なる適合性の被験体に投与され得る。本発明の末梢血由来免疫応答細胞もしくはそれらの子孫(例えば、インビボ、エキソビボもしくはインビトロで得られる)は、局所注射(カテーテル投与が挙げられる)、全身性の注射、局所注射、静脈内注射、もしくは非経口投与を介して、投与され得る。本発明の治療用組成物(例えば、遺伝子改変された免疫応答細胞を含む薬学的組成物)を投与する場合、一般に、注射可能な単位投与形態(溶液、懸濁物、エマルジョン)に製剤化される。

(製剤) 遺伝子改変された免疫応答細胞を含む本発明の組成物は、都合の良いことには、選択されたpHへと緩衝化され得る滅菌液体調製物(例えば、等張性水性溶液、懸濁物、エマルジョン、分散物、もしくは粘性組成物)として提供され得る。液体調製物は、通常は、ゲル、他の粘性組成物、および固体組成物より調製しやすい。さらに、液体組成物は、投与するのに(特に、注射によって)、いくらかはさらに都合が良い。粘性組成物は、他方で、特定の組織とのより長い接触期間を提供するために、適切な粘性範囲内で製剤化され得る。液体もしくは粘性組成物は、溶媒もしくは分散媒(例えば、水、食塩水、リン酸緩衝化食塩水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)およびこれらの適切な混合物を含む)であり得るキャリアを含み得る。

滅菌注射用溶液は、必要とされる量の適切な溶媒中で、本発明の実施において利用される遺伝子改変された免疫応答細胞を、所望される場合、種々の量の他の成分とともに組みこむことによって調製され得る。このような組成物は、適切なキャリア、希釈剤、もしくは賦形剤(例えば、滅菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロースなど)と混合した状態にあり得る。上記組成物はまた、凍結乾燥され得る。上記組成物は、投与経路および所望される調製に依存して、補助物質(例えば、湿潤剤、分散剤、もしくは乳化剤(例えば、メチルセルロース)、pH緩衝化剤、ゲル化剤、もしくは粘性増強添加剤、保存剤、香味剤、色素など)を含み得る。標準テキスト、例えば、「REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCE」, 17th edition, 1985(本明細書に参考として援用される)は、過度の実験なく適切な調製物を調製するために調べられ得る。

上記組成物の安定性および滅菌性を増強する種々の添加剤(抗微生物保存剤、抗酸化剤、キレート化剤、および緩衝剤が挙げられる)が添加され得る。微生物の活動の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸など)によって確実にされ得る。注射用薬学的形態の長期間吸収は、吸収を遅延させる剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によってもたらされ得る。しかし、本発明によれば、使用される任意のビヒクル、希釈剤、もしくは添加剤は、遺伝子改変された免疫応答細胞もしくはそれらの前駆細胞と適合性でなければならない。

上記組成物は等張性であり得る。すなわち、それらは、血液および涙液と同じ浸透圧を有し得る。本発明の組成物の所望の等張性は、塩化ナトリウム、もしくは他の薬学的に受容可能な剤(例えば、デキストロース、ホウ酸、酒石酸ナトリウム、プロピレングリコールまたは他の無機もしくは有機の溶質)を使用して達成され得る。塩化ナトリウムは、ナトリウムイオンを含む緩衝液のために特に好ましい。

上記組成物の粘性は、所望であれば、薬学的に受容可能な濃化剤を使用して、選択されたレベルに維持され得る。メチルセルロースは、容易にかつ経済的に利用しやすいことおよび作業しやすいことから、好ましい。他の適切な濃化剤としては、例えば、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマーなどが挙げられる。濃化剤の好ましい濃度は、選択される剤に依存する。重要な点は、選択された粘性を達成する量を使用することである。明らかに、適切なキャリアおよび他の添加剤の選択は、正確なその投与経路および特定の投与形態(例えば、液体投与形態)の性質(例えば、上記組成物が、溶液、懸濁物、ゲルもしくは別の液体形態(例えば、時間放出形態もしくは液体充填形態)へと製剤化されるべきかどうか)に依存する。

当業者は、上記組成物の成分が化学的に不活性であるように選択されるべきであり、本発明に記載されるとおりの遺伝子改変された免疫応答細胞の生存性にも効力にも影響を及ぼさないことを認識する。これは、化学および製薬分野の当業者(those skilled in chemical and pharmaceutical principles)に全く問題をもたらさないか、または問題は、標準テキストを参照することによって、もしくは単純な実験(過度な実験を要しない)によって、本開示および本明細書で引用される文献から、容易に回避され得る。本発明の遺伝子改変された免疫応答細胞の治療的使用に関する1つの考慮事項は、最適な効果を達成するために必要な細胞量である。投与される細胞量は、処置されている被験体に関して変動する。一実施形態において、104〜1010の間、105〜109の間、もしくは106〜108の間の本発明の遺伝子改変された免疫応答細胞は、ヒト被験体に投与される。より有効な細胞は、さらに少ない数で投与され得る。いくつかの実施形態において、少なくとも約1×108、2×108、3×108、4×108、および5×108の本発明の遺伝子改変された免疫応答細胞は、ヒト被験体に投与される。何が有効用量と考えられるかの正確な決定は、各被験体に個別の要因(彼らのサイズ、年齢、性別、体重、および特定の被験体の状態を含む)に基づき得る。投与量は、当業者によって、本開示および当該分野の知識から容易に確認され得る。

当業者は、組成物中のおよび本発明の方法において投与される、細胞、ならびに任意選択の添加剤、ビヒクル、および/もしくはキャリアの量を容易に決定し得る。代表的には、任意の添加剤(活性な細胞(複数可)および/もしくは剤(複数可)に加えて)は、リン酸緩衝化食塩水中の0.001〜50%(重量)溶液の量で存在し、上記活性成分は、マイクログラムからミリグラムの桁で(例えば、約0.0001〜約5wt%、好ましくは、約0.0001〜約1wt%、さらにより好ましくは、約0.0001〜約0.05wt%もしくは約0.001〜約20wt%、好ましくは、約0.01〜約10wt%、およびさらにより好ましくは、約0.05〜約5wt%)存在する。当然のことながら、動物もしくはヒトに投与される予定の任意の組成物に関して、および任意の特定の投与方法に関しては、そのために、毒性(例えば、適切な動物モデル(例えば、マウスのような齧歯類)において致死用量(LD)およびLD50を決定することによって);および組成物(複数可)の投与量、その中の成分の濃度および組成物(複数可)の投与のタイミング(これは、適切な応答を引き出す)を決定することは好ましい。このような決定は、当業者の知識、本開示および本明細書で引用される文献から過度な実験を要しない。そして、逐次的な投与の時間は、過度の実験なく確認され得る。

(処置方法) 被験体において新形成を処置するための方法が、本明細書で提供される。被験体(例えば、免疫無防備状態のヒト被験体)において病原体感染もしくは他の感染性疾患を処置するための方法もまた、本明細書で企図される。上記方法は、本発明のT細胞、NK細胞、もしくはCTL細胞を、所望の効果(それは、既存の状態の一時的緩和もしくは再発の防止である)を達成するために有効な量で投与する工程を包含する。処置に関しては、投与される量は、所望の効果を生じることにおいて有効な量である。有効な量は、1回もしくは一連の投与で提供され得る。有効な量は、ボーラスでもしくは連続灌流によって提供され得る。

「有効量」(もしくは「治療上有効な量」)は、処置の際に有益なもしくは所望の臨床結果をもたらすために十分な量である。有効量は、1以上の用量で被験体に投与され得る。処置に関して、有効量は、上記疾患の進行を一時的に緩和するか、改善するか、安定化するか、逆転する(reverse)か、または遅らせるために、またはさもなければ、上記疾患の病的結果を低減させるために十分な量である。上記有効量は、一般に、ケースバイケースを基礎として医師によって決定され、当業者の技術範囲内である。代表的には、有効量を達成するために適切な投与量を決定する場合に、いくつかの因子が考慮に入れられる。これらの因子としては、被験体の年齢、性別および体重、処置されている状態、その状態の重篤度ならびに投与される抗原結合フラグメントの形態および有効濃度が挙げられる。

抗原特異的T細胞を使用する養子免疫療法に関して、106〜1010の範囲の細胞用量(例えば、109)は、代表的には、注入される。宿主への遺伝子改変された細胞の投与およびその後の分化の際に、上記特定の抗原に対して特異的に指向されるT細胞が誘導される。T細胞の「誘導」は、欠失もしくはアネルギーによるなどの、抗原特異的T細胞の不活性化を含み得る。不活性化は、自己免疫障害におけるように、寛容を確立もしくは再確立するために特に有用である。上記改変された細胞は、当該分野で公知の任意の方法(静脈内、皮下、結節内(intranodal)、腫瘍内、髄腔内(intrathecal)、胸腔内、腹腔内、および胸腺に直接、が挙げられるが、これらに限定されない)によって投与され得る。

本発明は、免疫応答の増大の必要がある被験体において免疫応答を増大させるための方法を提供する。一実施形態において、本発明は、被験体において新形成を処置もしくは予防するための方法を提供する。本発明は、前立腺がん、または従来の治療介入に反応しない転移性前立腺がんを有する被験体の処置のために特に有用である治療を提供する。治療に適したヒト被験体は、代表的には、臨床診断基準によって区別され得る2つの処置群を含む。「進行した疾患」もしくは「高腫瘍負荷量」を有する被験体は、臨床的に測定可能な腫瘍を有する被験体である。臨床的に測定可能な腫瘍は、腫瘍量に基づいて検出され得る腫瘍である(例えば、触診、CATスキャン、ソノグラム、マンモグラムもしくはX線によって;被験体自身における正の生化学的もしくは組織学的マーカーは、この集団を同定するためには不十分である)。本発明において具現化される薬学的組成物は、彼らの状態を一時的に緩和する目的で、抗腫瘍応答を引き出すためにこれらの被験体に投与される。理想的には、腫瘍量の減少は、結果として起こるが、任意の臨床的改善が利益を構成する。臨床的改善としては、リスクもしくは進行の速度の減少または腫瘍の病理学的結果における低減が挙げられる。

適切な被験体の第2の群は、「アジュバント群(adjuvant group)」として当該分野で公知である。これらは、新形成の病歴を有したことがあるが、別の治療様式に応答性であった個体である。以前の治療としては、外科的切除、放射線療法、および伝統的な化学療法が挙げられ得るが、これらに限定されない。結果として、これらの個体は、臨床的に測定可能な腫瘍を有しない。しかし、彼らは、上記疾患の進行のリスク(元の腫瘍部位の近辺であるか、転移によるかのいずれか)があると疑われる。この群は、高リスク個体と低リスク個体とにさらに下位分類され得る。この下位分類は、最初の処置前もしくは処置後に認められた特徴に基づいて行われる。これらの特徴は、臨床分野で公知であり、各種々の新形成に関して適切に定義される。高リスク亜群に代表的な特徴は、上記腫瘍が隣接する組織に侵襲している個体、またはリンパ節の関与を示す個体である。

別の群は、新形成への遺伝的素因を有するが、新形成の臨床的徴候が未だ明らかではない。例えば、乳がんと関連する遺伝子変異に対して試験が陽性であるが、なお妊娠可能年齢である女性は、予防手術を行うのに適するまで、新形成の発生を予防的に防止するための処置において本明細書で記載される抗原結合フラグメントのうちの1以上を受けることを希望し得る。

以下の新形成のうちのいずれか:神経膠芽腫、黒色腫、神経芽腫、腺癌、神経膠腫、軟組織肉腫、および種々の癌(前立腺がんおよび小細胞肺がんが挙げられる)を有するヒト新形成被験体は、特に適した被験体である。適切な癌としては、腫瘍学分野で公知のいずれか(星状細胞腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、乏突起神経膠腫、上衣腫、髄芽腫、原始神経外胚葉腫瘍(PNET)、軟骨肉腫、骨原性肉腫、膵管腺癌、小細胞肺腺癌および大細胞肺腺癌(small and large cell lung adenocarcinomas)、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、扁平上皮癌、細気管支肺胞癌、上皮性腺癌(epithelial adenocarcinoma)、およびこれらの肝転移、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、肝癌、胆管癌、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、横紋筋肉腫、結腸癌、基底細胞癌、汗腺癌、乳頭状癌、脂腺癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、胆管癌(bile duct carcinoma)、絨毛癌、精上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、精巣腫瘍、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、神経芽腫、網膜芽腫、白血病、多発性骨髄腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、および重鎖病、乳房腫瘍(例えば、腺管腺癌および小葉腺癌)、子宮頸部の扁平上皮癌および腺癌(squamous and adenocarcinomas of the uterine cervix)、子宮上皮癌および卵巣上皮癌、前立腺腺癌、膀胱の移行扁平上皮癌(transitional squamous cell carcinoma of the bladder)、B細胞リンパ腫およびT細胞リンパ腫(結節性およびびまん性) 形質細胞腫、急性白血病および慢性白血病、悪性黒色腫、軟組織肉腫ならびに平滑筋肉腫が挙げられるが、これらに限定されない)をさらに含む。

上記被験体は、疾患の進行した形態を有し得る。その場合には、処置目標としては、疾患進行の緩和もしくは逆転、および/または副作用の改善が挙げられ得る。上記被験体は、上記状態の病歴を有し得、それに対して、彼らは、既に処置を受けており、その場合には、治療目標としては、代表的には、再発のリスクの低減もしくは遅延が挙げられる。

よって、本発明は、被験体において新形成を処置もしくは予防するための方法を提供し、上記方法は、腫瘍抗原を結合し、免疫応答細胞を活性化するレセプター(例えば、TCR、CAR)を含む有効量の該免疫応答細胞および別の腫瘍抗原を結合し、該免疫応答細胞を刺激するレセプターをコードするベクターを投与する工程を包含する。一実施形態において、上記新形成は、前立腺がん、乳がん、血液がん(例えば、白血病、リンパ腫および骨髄腫)、卵巣がん、膀胱がん、脳がん、結腸がん、腸がん、肝臓がん、肺がん、膵臓がん、前立腺がん、皮膚がん、胃がん、神経膠芽腫、および咽喉がんからなる群より選択される。別の実施形態において、上記腫瘍抗原は、炭酸脱水酵素IX(CAIX)、がん胎児性抗原(CEA)、CD5、CD7、CD10、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD34、CD38、CD41、CD44、CD49f、CD56、CD74、CD133、CD138、サイトメガロウイルス(CMV)感染細胞の抗原(例えば、細胞表面抗原)、上皮糖タンパク質−2(EGP−2)、上皮糖タンパク質−40(EGP−40)、上皮細胞接着分子(EpCAM)、レセプターチロシンプロテインキナーゼerb−B2,3,4、葉酸結合タンパク質(FBP)、胎児型アセチルコリンレセプター(AChR)、葉酸レセプター−a、ガングリオシドG2(GD2)、ガングリオシドG3(GD3)、ヒト上皮増殖因子レセプター2(HER−2)、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)、インターロイキン−13レセプターサブユニットα−2(IL−13Ra2)、ic−軽鎖、キナーゼ挿入ドメインレセプター(KDR)、ルイスY(LeY)、LI細胞接着分子(L1CAM)、黒色腫抗原ファミリーA、1(MAGE−A1)、ムチン1(MUC1)、メソテリン(MSLN)、NKG2Dリガンド、がん・精巣抗原NY−ES0−1、腫瘍胎児性抗原(h5T4)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG−72)、血管内皮増殖因子R2(VEGF−R2)、またはウィルムス腫瘍タンパク質(WT−1)のうちの1以上である。

腫瘍抗原を結合し、上記免疫応答細胞を活性化するレセプター(例えば、TCR、CAR)、および別の腫瘍抗原を結合し、上記免疫応答細胞を刺激するレセプター(例えば、CCR)をコードするベクターの表面発現の結果として、養子として移入されたヒトT細胞もしくはNK細胞は、腫瘍部位において増強された選択的細胞溶解活性が付与される。さらに、腫瘍もしくはウイルス感染に対するそれらの局在化およびそれらの増殖の後に、共刺激リガンド発現T細胞は、腫瘍もしくはウイルス感染部位を、生理学的な抗腫瘍もしくは抗ウイルス応答に関与する広い範囲の免疫細胞(腫瘍浸潤リンパ球、NK細胞、NKT細胞、樹状細胞、およびマクロファージ)の高度に伝導性の環境へと変える。

他の実施形態において、本発明は、病原体感染(例えば、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、寄生生物感染、もしくは原生動物感染)を有する被験体を処置するための方法を提供する。本発明は、免疫無防備状態の被験体において免疫応答を増強させるために特に有用である。本発明の方法を使用する処置に感受性の例示的なウイルス感染としては、サイトメガロウイルス(CMV)感染、エプスタイン・バーウイルス(EBV)感染、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染、およびインフルエンザウイルス感染が挙げられるが、これらに限定されない。

よって、本発明は、被験体において病原体感染を処置もしくは予防するための方法を提供し、上記方法は、本明細書に記載されるとおりの免疫応答細胞の有効量を投与する工程を包含する。

(キット) 本発明は、新形成、病原体感染、免疫障害もしくは同種異系移植の処置もしくは予防のためのキットを提供する。一実施形態において、上記キットは、単位投与形態において、活性化抗原レセプターおよび共刺激抗原レセプターを含む免疫応答細胞の有効量を含む治療用組成物もしくは予防用組成物を含む。特定の実施形態において、上記細胞は、共刺激リガンドをさらに含む。いくつかの実施形態において、上記キットは、治療ワクチンもしくは予防ワクチンを含む滅菌容器を含む;このような容器は、箱、アンプル、ボトル、バイアル、チューブ、バッグ、パウチ、ブリスターパック、もしくは当該分野で公知の他の適した容器形態であり得る。このような容器は、プラスチック、ガラス、ラミネート加工紙、金属ホイル、もしくは医薬を保持するために適した他の材料から作製され得る。

所望であれば、上記免疫応答細胞は、上記細胞を、新形成、病原体感染、免疫障害もしくは同種異系移植を有するか、またはこれらを発生させるリスクがある被験体に投与するための指示と一緒に提供される。上記指示は、一般に、新形成、病原体感染、免疫障害もしくは同種異系移植の処置もしくは予防のための上記組成物の使用に関する情報を含む。他の実施形態において、上記指示は、以下のうちの少なくとも1つを含む:治療用薬剤の説明;新形成、病原体感染、免疫障害、もしくは同種異系移植またはこれらの症状の処置もしくは予防のための投与スケジュールおよび投与;基本的注意(precautions);警告;適応症;禁忌症(counter−indications);過剰投与情報;有害反応;動物薬理(animal pharmacology);臨床研究;ならびに/または参考文献。上記指示は、容器(存在する場合)に直接印刷され得るか、上記容器に添付されたラベルとして、あるいは別個のシート、パンフレット、カードまたはフォルダーとして、上記容器の中にもしくはこれとともに供給され得る。

本発明の実施は、別段示されなければ、当業者の十分範囲内にある分子生物学(組み換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来技術を使用する。このような技術は、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」, second edition (Sambrook, 1989); 「Oligonucleotide Synthesis」 (Gait, 1984); 「Animal Cell Culture」 (Freshney, 1987); 「Methods in Enzymology」 「Handbook of Experimental Immunology」 (Weir, 1996); 「Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells」 (Miller and Cales, 1987); 「Current Protocols in Molecular Biology」 (Ausubel, 1987); 「PCR: The Polymerase Chain Reaction」, (Mullis, 1994); 「Current Protocols in Immunology」 (Coligan, 1991)などの文献中に十分に説明されている。これらの技術は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの生成に適用可能であり、よって、本発明を作製および実施するにあたって考慮され得る。特定の実施形態に特に有用な技術は、以下の節において考察される。

以下の実施例は、当業者に本発明のアッセイ、スクリーニング、および治療法を作製および使用する方法の完全な開示および記載を提供するために示されるのであって、本発明者らが彼らの発明としてみなすものの範囲を限定することは意図されない。

(実施例1.キメラ抗原レセプター(CAR)およびキメラ共刺激レセプター(CCR)を共発現するT細胞は、確立した腫瘍を根絶させた。) 本発明は、腫瘍細胞によって共発現される2つの抗原を同時に結合する「腫瘍感知T細胞」を提供する。重要なことには、いずれかの抗原のみを発現する組織に対する反応性は、無視できる程度であり、両方の抗原の存在下でのみT細胞活性化を解放するが、いずれか一方のみでは解放しないということを見出した。本発明は、一部は、選択的T細胞免疫反応性を提供することと合わせて、このアプローチを臨床的に関連させるという発見に少なくとも基づく。第1は、T細胞活性化を1つの抗原(例えば、CD19もしくは前立腺幹細胞抗原、PSCA)に割り当てることであり、これは、T細胞レセプター(TCR)もしくはキメラ抗原レセプター(CAR)によって媒介され得る。共刺激は、独立して、「キメラ共刺激レセプター」(CCR)によって媒介され12,13、これは、第2の抗原(例えば、前立腺特異的膜抗原、PSMA)に標的化される。このアプローチは、二重抗原陽性(DP)腫瘍に対して増大した免疫反応性を生じたが、単一抗原陽性(SP)腫瘍に対する増強された免疫反応性は避けられなかった。腫瘍感知T細胞がDP腫瘍をSP腫瘍から区別するために重要な第2の原理は、T細胞活性化を、それだけでは有効でないが、独立した、共発現される抗原によって結合されるCCRによって腫瘍部位で機能的にレスキューされるレベルへと減少させることである。CARおよびCCRは、HLA−ペプチド複合体ではなく細胞表面抗原を認識するので、この様式で操作されたT細胞は、腫瘍に直接標的化され、標的とした抗原を交差提示する(cross−presenting)細胞との相互作用によって共刺激されない。本明細書で示されるように、このアプローチは、複数の腫瘍を有するマウスにおいて選択的腫瘍根絶を生じた。

T細胞活性化シグナルおよび共刺激シグナルの両方が、2つの異なる抗原特異的レセプターを使用してインビボで供給され得ることを実証するために、B細胞マーカーCD19の認識の際にCD3活性化シグナルを提供するCAR14およびPSMAに対して特異的なCCR12,15の組み合わせを評価した。タンデム細胞質ドメイン18−21を含む、CD28と4−1BBとの間の相乗効果16,17から、4−1BB細胞質ドメインを、記載されるように21、PSMA CCR P2815に添加した(図1A)。初代ヒト末梢血T細胞を、19z1および/もしくはP28BBレセプターで形質導入したところ、両方のレセプターの容易に検出可能な発現が示された。形質導入効率は、4570%の範囲であった(図1B)。抗CD19 CAR(19z1)、抗PSMA CCR(P28BB)、組み合わされた抗CD19 CARおよび抗PSMA CCRの両方(19z1+P28BB)、およびモック形質導入したコントロール群(モック)を含むT細胞の4つの群を、全てのその後の研究において分析した(図1C)。CD19および/もしくはPSMAに曝した際のインビトロでの細胞傷害性応答および増殖応答は、CD19に対して指向された細胞傷害性が、予測されるとおり、19z1によって付与され、PSMAの存在下で変化しないことを示した。

上記T細胞群の定量的比較(19z1および19z1+P28BB群に関しては19z1形質導入T細胞の画分、ならびにP28BB群においてはP28BB形質導入画分に対して正規化した)は、19z1および19z1+P28BB T細胞が、50:1 E:T比で40〜47% CD19+標的を特異的に溶解することを示した一方で、P28BB形質導入T細胞は、PSMA+標的を溶解しなかった(図2A)。しかし、外因性サイトカインの非存在下でこれらの抗原への曝露を反復すると、19z1+P28BB T細胞のみが、両方の抗原を発現する人工抗原提示細胞(AAPC)に対して共培養した場合に、31日間で58倍の増大を伴う強い増殖を示した。比較により、19z1 T細胞もしくはP28BB T細胞は、CD19+PSMAAPCに対して19z1+P28BB T細胞を共培養した場合のように、最初に14日間でわずかな増殖を示したに過ぎなかった(図2B)。両方の抗原の存在下でのより強いT細胞活性化のさらなる証拠は、19z1+P28BB T細胞でのサイトカイン生成の定量的評価および抗アポトーシス分子BclxLの誘導によってもたらされ、これらは、いずれかの抗原のみの存在下よりCD19+PSMA+ APCの存在下で明瞭に大きかった(図4A, 4E)。

最初に、これらの二重レセプター発現T細胞が、二重陽性(CD19+PSMA+)腫瘍細胞を有する免疫無防備状態のNOD/SCID−yC KO(NSG)マウスにおいて確立された全身のヒト前立腺腫瘍を根絶するインビボでの能力を試験した。上記NSGマウスを、CD19およびPSMAの両方を発現する2.0×106 ホタルルシフェラーゼ発現PC3腫瘍細胞を全身に植え付け(図5)、その19日後に、1.0×106 19z1 T細胞、19z1+P28BB T細胞、P28BB T細胞もしくはコントロールT細胞の1回の静脈内注入で処置した。35日後に、P28BB T細胞もしくはコントロールT細胞を受けたマウスを、腫瘍負荷量に起因して屠殺した。対照的に、19z1 T細胞で処置したマウスは、腫瘍負荷量の顕著な低下を有した。著しいことに、19z1+P28BB T細胞で処置したマウスは、検出可能な腫瘍負荷量を有しなかった(図2C)。70日間の注入後モニタリングにわたって、CD19+腫瘍は、19z1 T細胞を受けたマウスでは最終的に再発したが、19z1+P28BB T細胞を受けた全てのマウスでは、完全な退縮が継続した(図2C)。この結果は、腫瘍根絶が達成されたことを強く示した。

しかし、これらの所見は、19z1+P28BB T細胞によってCD19+PSMA腫瘍の潜在的なベースラインの根絶に起因して懸念事項を提起した。T細胞免疫反応性が、T細胞の再循環のために、二重陽性CD19+PSMA+腫瘍を有するレシピエントにおいて望ましくなく増強されたという可能性があった。この仮説を調査するために、マウスの左側腹部にCD19+PSMA腫瘍を、右側腹部にCD19PSMA+腫瘍を、マウスの背部にはCD19+PSMA+腫瘍を皮下注入した。1週間後、マウスに、19z1 T細胞、P28BB T細胞、もしくは19z1+P28BB T細胞のうちの1つを(1.0×106細胞)静脈内に投与した。P28BB T細胞を受けたマウスは、全3種の腫瘍が進行し、35日以内に屠殺される必要があった(図2D)。19z1 T細胞で処置したマウスでは、CD19+PSMA腫瘍およびCD19+PSMA+腫瘍は、P28BB T細胞のレシピエントでのそれらの進行と比較すると、最終的に進行する前には実質的な減少を経験した。以前の結果と一致して、19z1+P28BB T細胞で処置したマウスは、CD19+PSMA+腫瘍の完全な根絶を示した。しかし、仮説どおり、CD19+PSMA腫瘍の拒絶もまた、実質的に増強され、19z1 T細胞のレシピエントで観察されるものより優れていた(図2D,下側パネル)。従って、2つの抗原を標的とするスプリットシグナルアプローチは、T細胞反応性を制限せず、単一抗原腫瘍を防御しなかった。

単一抗原反応性の問題に対処するために、T細胞活性化が、ほぼ消滅のポイントまで最小化され、適当なCCR結合によって二重抗原発現の部位においてレスキューされるのみでなければならないということを提唱した。従って、減少した反応性を有するCARが求められた。これらの実験のために、PSCAおよびPSMAを標的化する抗原の臨床的に関連する組み合わせを使用した。PSCAに対して異なる結合親和性を有する3種のPSCA特異的scFvを評価した(図3A)。Hzl scFvは、ピコグラム範囲に至るまで腫瘍細胞を効率的に溶解した一方で、Lzl scFvは、特異的溶解の類似の効率を達成するために、1,000〜10,000倍多くの抗体を要した。これらのscFvを使用して、細胞傷害性アッセイにおいて異なる活性を有する3種のCD3ベースのCARをもたらした(図3B)。上記CARのうちの2種(HzlおよびMzl)は、PSCA+標的に対して中程度の溶解活性を誘導した(50: 1 E:T比で20%の特異的溶解)。対照的に、第3のCARであるLzlは、10%に達したのみであり、それが不十分な抗原レセプターであると評された。この序列は、サイトカイン放出アッセイ(このアッセイでは、いずれかのレセプターのみを有する細胞と比較して、19z1+P28BB T細胞(図4A)およびHz1+P28BB T細胞(図4B)によって、増強されたサイトカイン分泌が示された)においてもさらに確認された。この増強は、Mzl+P28BB T細胞(図4C)においては少なく、Lz1+P28BB T細胞ではさらに低下した(図4D)。

PSCA+PSMA反応性T細胞の治療効力および標的化プロフィールを評価するために、これらのT細胞の抗腫瘍活性を、PSCA+PSMA腫瘍および/もしくはPSCA+PSMA+腫瘍を有する動物で試験した。第1に、Mzl+P28BB T細胞およびLz1+P28BB T細胞がPSCA+PSMA+細胞を選択的に根絶する能力を試験するために、マウスに、PSMA、PSCA、もしくはその両方に関して陽性の2×106 FFLuc発現PC3細胞を静脈内接種した(図5)。14日後、マウスの1セットは、静脈内注入した1×106 Mzl+P28BB CAR+ T細胞を受け、別のセットは、1×106 Lz1+P28BB CARP T細胞を受けた。より効率的なMzl+P28BB T細胞で処置したPSCA+PSMA腫瘍細胞を有するマウスは、Lz1+PBB T細胞で処置したマウスより大きな腫瘍退縮を示した(図3C)。CD19実験(図2C)に類似して、これらの腫瘍は、最終的には再発し、進行した。しかし、PSCA+PSMA+腫瘍細胞を有するマウスにおいて、Mzl+P28BB T細胞は、強くかつ長期の腫瘍根絶を誘導した。Lzl+P28BB T細胞の有効性がより低いことと一致して、Lz1+P28BB T細胞で処置したPSCA+PSMA+腫瘍細胞を有するマウスでの腫瘍根絶は、よりゆっくりではあったが、にもかかわらず等しく成功し、全ての処置マウスでの強い腫瘍根絶および長期の生存を生じた(図3C)。腫瘍根絶は、PSCAVSMAもしくはPSCAPSMA+腫瘍のいずれかを有するコントロールマウスでは増強されなかった(図3C)。PSCAVSMA腫瘍に対してバックグラウンド活性のより厳密な評価を、同様にPSCA+PSMA+腫瘍およびPSCAPSMA+腫瘍を有する動物の状況で調査した。Lz1+P28BB T細胞は、PSCA+PSMA腫瘍の根絶を増大させることなく、PSCA+PSMA+腫瘍の根絶を媒介し(図3E)、これは、Lzl T細胞によって誘導されるものとは異ならなかった。

従って、これらの結果は、1つの標的化抗原を発現する組織に対する免疫反応性を回避し、2つの抗原が共発現される腫瘍部位でのT細胞活性化をレスキューする点まで、単一の抗原発現組織に対する反応性を高めるリスクを冒すことなく、T細胞活性化を減少させることが実行可能であることを実証する。そのようにすることにおいて、上記結果は、特異性および安全性を決定する2つの補完的結果を達成するための原理証明を実証する:1)組み合わせの抗原認識を通じて、特有の標的抗原の非存在下で標的化特異性を生み出す能力;および2)活性化を標的抗原共発現の部位へと実質的に制限するように、活性化シグナルおよび共刺激シグナルを滴定することによる、抗原のうちの1つのみを発現する細胞の保護。

標的化T細胞療法は、治癒力のある処置を提供する能力を有するが、それらの適用可能性は、確証された腫瘍特異的標的が不十分なことによって制限される。特大の腫瘍発現は、2−4”がときおり寛容可能であり得るが、最終的には致死的である「オンターゲット、オフ腫瘍(on−target, off−tumor)」効果を実際に生じる11。本明細書に記載される方法は、組み合わせ抗原認識を通じて、滴定された活性化および共刺激シグナルを供給することによって改善された標的化を提供する(図6A〜6C)。

生理学的抗原提示22において、T細胞は、活性化シグナルおよび共刺激シグナルを受容することによってリンパ節で刺激され、末梢部位へと移動し、末梢部位では、上記T細胞のエフェクター機能は共刺激には依存しない。同様に、抗原レセプターおよびCCRを介して結合したT細胞は、他の末梢部位へと再循環し得、標的化抗原のうちの1つのみを発現する組織に対して高められた細胞溶解活性を示し得る(図6A)。従って、本発明のストラテジーは、非腫瘍細胞を含む、抗原に対して単一陽性の細胞を残しておくために、潜在的全身作用というこの問題に対処するように開発された(図6B)。三重腫瘍マウスモデル(PSCA+、PSMA+、およびPSCA+PSMA+)において、PSCA+PSMA腫瘍およびPSCAPSMA+腫瘍を残しておく一方でPSCAVSMA+の根絶が達成された(図3E)。

本研究によって示されるように、DP腫瘍に対するこの選択性は、細胞傷害性の低い細胞を生み出し(図3B)、かつ低下したサイトカイン分泌のレベルを有する(図4A〜4D)CARの効力を低減することによって達成され得る。TH1およびTH2サイトカインの両方のレベルは、19z1 CARおよびHzl CARの両方に関して比較的高い一方で、余り効率的でないCARであるMzlおよびLzlを使用すると、これらのレベルの低下を生じた。Lzl T細胞と比較して、Lzl+P2888 T細胞におけるサイトカインレベルの増強は、IL−2およびIL−13を除いて最小であった。IL−2は増殖を誘導し、TH1応答もしくはTH2応答のいずれかを促進し得る23一方で、IL−13は、4−1BB/CD137シグナル伝達に対して特異的なTH2応答と関連する24,25

PSCAおよびPSMAは、転移性前立腺がんの処置の有望な標的である26,27が、いずれも完全に前立腺特異的ではない。ヒト被験体においては、PSCA発現は、前立腺がんにおいて、ならびに腎盂、子宮、膀胱、および尿道内で見いだされる28。PSMAの発現は、原発性前立腺がん、転移、ならびに星状細胞II型、腎臓近位尿細管および腸の刷子縁において強く相関する29。二重PSCA/PSMA標的化は、従って、前立腺がん標的化を増大し、これらの正常組織に対する反応性を低下させると予測される。この原理は、抗原の対、特に、真の腫瘍特異性を付与するものを発現する他の腫瘍タイプに拡げられ得ることが認識される。例えば、HER2、MUC1、CD44、CD49f、および/もしくはEpCAMは、このようにして、乳がんを処置するために使用され得る31。同様に、メソテリン、葉酸レセプター−a、CD44、および/もしくはCD133は、卵巣がんを処置するために使用され得る32,33。特有の標的抗原/構造が明確には未だ同定されていない34,35腫瘍開始細胞もしくはがん幹細胞の標的化は、このアプローチを使用することが、特に魅力的である。

このアプローチの重要な局面は、単一抗原に応じてT細胞活性化を妨げ、ほぼ停止することである。不十分な活性化シグナルを提供するに過ぎない、低親和性もしくは低アビディティを有するCARは、この効果を達成するために有用であることがわかった。あるいは、低親和性もしくは低アビディティを有する内因性TCRは、抗原特異的共刺激を提供するために、CCRと組み合わせて使用され得る。概して、この結果は、操作されたT細胞の活性を制限し、腫瘍感知T細胞による組み合わせの抗原認識を介して、有効性と安全性とを調和させるという利点を示す。

(γレトロウイルスベクター構築およびウイルス生成) γレトロウイルスベクターSFG−19z1は、広く記載されてきた14。この骨格構築物を、scFvを交換して、scFvの5’側に位置するNcoI部位およびscFvの3’側に位置するNod部位を利用する定方向クローニングによってSFG−Hzl、SFG−Mzl、およびSFG−Lzlを生成するために使用した。SFG-P28BBを生成するために、融合したCD28およびCD137ドメインを、SFG-P28BBz1からPCR増幅し、5’ NcoI部位および3’ BamHI部位を使用してPSMA scFvの3’側にライゲーションして、BBドメインの3’側の終止コドンを含めた一方で、CD3ドメインを除去した21。dsREDと共発現されるCARおよびhrGFPと共発現されるCCRのためのバイシストロン遺伝子発現を、以前に記載されるように、内部リボソーム導入部位を使用することによって達成した。ベクターを使用して、細胞株を一過性にトランスフェクトして、以前に記載されるとおりの安定なウイルス生成株を生成した。

(抗PSCA scFvの生成) 3つの新規なPSCA特異的scFv(Hzl、Mzl、およびLzlといわれる)を、以前に記載されるように36ハイブリドーマから縮重プライマーを使用して、非重複エピトープのPSCA抗原特異性を付与する重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを増幅することによって生成した。これらのVHドメインおよびVLドメインを、リンカーを使用して一緒に融合し、5’ SphI部位から3’ NotI部位を使用してSFG−19z1骨格中のCD19 scFvを置き換えるために使用した。

(初代ヒトT細胞の単離、レトロウイルス形質導入、および培養) 末梢血白血球を、Ficoll勾配を使用して単離し、以前に記載されるように形質導入した。簡潔には、2 &g/mL フィトヘマグルチニンでの48時間の活性化後、細胞を、次の48時間にわたってレトロネチン被覆プレート上で1時間の遠心接種(spinoculation)を介して2回形質導入し、20 U/mLのIL−2を添加した。ベクター発現のために3日間静置した後、フローサイトメトリーによって形質導入効率を決定し、バルクのソートされていない細胞を、種々のアッセイもしくは養子移入のために使用した。

(抗原発現腫瘍細胞株の生成) PC3ヒト前立腺腫瘍株を、ATCCから得、PC3−GFP/Lucを生成するためにレトロウイルスで16形質導入し、その後、これを使用して、10 PC3−CD19、PC3−PSMA、PC3−CD19−PSMA、PC3−PSCA、およびPC3−PSCA−PSMAをレトロウイルス形質導入によって生み出した。

(CTLクロム放出死滅アッセイ) 所望の抗原を発現する標的細胞を51Crで標識し、エフェクター:標的比を減少させてT細胞と共培養した。4時間培養した後、上清を取り出し、クロムから放出された放射能を測定するために使用した。特異的溶解を、T細胞と培養しなかった標的細胞のバックグラウンド放射能を差し引いて、0.2% Triton X−100を使用することによって完全に溶解した標的細胞から測定した放射能で除算することによって決定した。

(長期間のT細胞増殖アッセイ) 所望の抗原を発現する腫瘍細胞を、1.0×106 T細胞と5:1 エフェクター:標的比で共培養する前に、30Gyで照射した。T細胞を、Invitrogen Countess細胞カウンターを使用して毎週計数し、その後、照射した腫瘍細胞で再刺激した。これらの共培養物に外因性サイトカインは添加しなかった。

(マウスにおける腫瘍モデルの生成) PC3腫瘍細胞を、Jackson Laboratories、もしくはMSKCC Institutional Animal Care and Use Committeeによって承認されたプロトコル04−10−024の下での施設内交配のいずれかから得たNOD/SCID−IL2Ryマウスへと注入した。全身腫瘍実験のために、2.0×106 腫瘍をマウスに注入し、14日後に、1.0×106 キメラレセプター陽性T細胞を注入した。皮下腫瘍実験のために、1腫瘍部位あたり1.0×106 腫瘍細胞を注射し、7日間にわたて確立した。その際に、1.0×106 キメラ陽性T細胞をIV注入した。

(腫瘍負荷量の定量) 全身腫瘍実験に関して、生体発光画像化(BLI)を使用して、以前に記載されるようにIVIS 100システム(Caliper Life Sciences)を使用して、腫瘍負荷量の量を発光に相関させることによって、腫瘍負荷量を定量的に測定した。皮下腫瘍に関しては、カリパスを使用して、腫瘍サイズを測定した。各腫瘍の長さ、幅および高さを乗算することによって、腫瘍容積を計算した。

(二重特異的抗体媒介性腫瘍溶解) CD3特異的scFvに融合したPSCA特異的scFvを含む二重特異的抗体を、標準的な4時間のクロム放出アッセイにおいて、それぞれ、PSCA+ PC3と20:1比で共培養した形質導入していないT細胞に種々の量、添加した。

(フローサイトメトリー) 細胞を、LSRll フローサイトメーターを使用して分析するか、または以前に記載されるように16FACSAriaセルソーター(BO Biosciences)を使用してソートした。細胞表面でのキメラレセプターの検出を、AF647結合体化ヤギ抗マウス抗体(Invitrogen)を使用することによって直接達成し得る。CD4−PE−Cy7、CD8−Pacific Blue、およびCD19−APCに対する抗体を、Invitrogenから得た一方で、PSCA抗体を、ハイブリドーマ上清から精製し、PSMA抗体をMBL Interantionalから得た。

(サイトカイン分析) 長期間のT細胞増殖実験からの第2の腫瘍刺激の48時間後に上清を採取し、カスタムマルチプレックスシステムHCYTMAG−60K(Millipore)を使用することによってサイトカイン分析のために使用し、以前に記載されるように21Luminex 100機器(Luminex)を使用して分析した。

(ウェスタンブロット分析) 長期間のT細胞増殖実験の最初の腫瘍刺激の24時間後に細胞を採取して、BclxL発現のウェスタンブロット分析のために使用した。ウェスタンブロットを、BclxLおよびAkt一次抗体(Cell Signaling Technology)を使用して以前に記載されるように21行った。

前述の説明から、本明細書に記載される発明に対して変形および改変が行われて、これを種々の使用法および条件に採用し得ることは、明らかである。このような実施形態はまた、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。

本明細書中の変数の任意の定義における要素の一覧表の記載は、その変数を、列挙された要素のうちの任意の単一の要素もしくは組み合わせ(または部分組み合わせ)として定義することを含む。本明細書中の実施形態の記載は、その実施形態を、任意の単一の実施形態として、または任意の他の実施形態もしくはその一部と組み合わせて含む。

本出願は、米国特許出願第12/593,751号(これは、米国特許法第371条に準じて、米国仮特許出願第60/921,144号(2007年3月30日出願)の利益を請求する国際特許出願番号PCT/US2008/004251(2010年3月8日出願)の米国国内段階の出願であり、これらの開示は、それらの全体において本明細書に参考として援用される)に関連し得る。

参考文献

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