透析された血清を有する心筋細胞培地

申请号 JP2013515582 申请日 2011-06-20 公开(公告)号 JP6039551B2 公开(公告)日 2016-12-07
申请人 セルラー ダイナミクス インターナショナル, インコーポレイテッド; 发明人 メイヤー, ナザン; スワンソン, ブラッド; フェイン, スティーブ;
摘要
权利要求

細胞集団における心筋細胞の純度を、少なくとも1週間、90%以上に維持するための組成物であって、 (1)血清含有培地であって、前記血清が10kD以下の分子量を有する低分子量分子を実質的に含有しない血清含有培地、および、 (2)ヒトの誘発された多能性幹(iPS)細胞から調製された心筋細胞 を含み、ここで、前記培地が、ガラクトース、フルクトース、マンノース、スクロース、マルトース、ラクトース、トレハロース、ツラノース、ピルベート、ピルビン酸、グルタミン、グルタミン酸、アスパルテート、アスパラギン酸、ラクテート、乳酸、および、これらの組み合わせからなる群から選択される非グルコースエネルギー源を含む、組成物。前記培地が、10%〜75%の範囲の透析された血清を含む、請求項1記載の組成物。前記培地が、少なくとも25%の透析された血清を含む、請求項1または2記載の組成物。前記培地が、55%の透析された血清を含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の組成物。前記培地が1〜20mMのガラクトースを含むかおよび/または前記培地が0.1〜10mMのピルベート又はピルビン酸を含む、請求項1〜4のいずれか一項記載の組成物。少なくとも95%の心筋細胞の細胞集団を含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の組成物。前記心筋細胞が、心筋細胞特異的プロモーターの制御下で少なくとも1つの選択可能又はスクリーン可能トランスジーンを発現する、請求項6記載の組成物。前記集団が線維芽細胞又は末分化多分化能性幹細胞を実質的に有さない、請求項6または7記載の組成物。前記心筋細胞が凍結保存された心筋細胞である、請求項6〜8のいずれか一項記載の組成物。細胞集団における心筋細胞の純度を、少なくとも1週間、90%以上に維持するためのエクスビボの方法であって、 血清含有培地であって、前記血清が10kD以下の分子量を有する低分子量分子を実質的に含有しない血清含有培地において精製された心筋細胞の集団を培養すること を含み、ここで、前記心筋細胞は、ヒトの誘発された多能性幹(iPS)細胞から調製され、前記精製された心筋細胞の集団は、非心筋細胞を実質的に有さず、前記培地が、ガラクトース、フルクトース、マンノース、スクロース、マルトース、ラクトース、トレハロース、ツラノース、ピルベート、ピルビン酸、グルタミン、グルタミン酸、アスパルテート、アスパラギン酸、ラクテート、乳酸、および、これらの組み合わせからなる群から選択される非グルコースエネルギー源を含む、方法。前記培地が以下の特徴: (1)前記培地が化学的に定義される、 (2)前記培地が、高エネルギーリン酸結合を形成できる化合物、アシル基担体分子、又は心筋細胞カルシウムチャネルモジュレーターをさらに含む、 (3)前記培地が、クレアチン、カルニチン又はタウリンを含む、 (4)前記培地がインスリンをさらに含む、 (5)前記培地が血清を含み、ここで前記血清又は培地は低分子量分子を除去するために処理されている、 (6)前記培地が透析された血清を含む、 (7)前記培地がグルコースを実質的に含まない、 (8)前記培地がピルベート又はピルビン酸を含む、または (9)前記培地がガラクトースを含む、 のうちの任意の1つまたはそれより多くを有する、請求項10記載の方法。前記培地が、0.1〜10mMのピルベート又はピルビン酸を含む、請求項11記載の方法。前記培地が、1〜20mMのガラクトースを含む、請求項11または12記載の方法。前記精製された心筋細胞が、少なくとも1つの選択可能又はスクリーン可能トランスジーンを発現する、請求項10〜13のいずれか一項記載の方法。前記トランスジーンが、心筋細胞特異的プロモーターの制御下で選択可能又はスクリーン可能マーカーを含む、請求項14記載の方法。前記心筋細胞特異的プロモーターが、MYH6(αミオシンH鎖)遺伝子のプロモーターである、請求項14または15記載の方法。前記精製された心筋細胞の集団が前記トランスジーンの発現に基づいて精製される、請求項14〜16のいずれか一項記載の方法。前記集団中の精製された心筋細胞の純度が、前記トランスジーンの発現に基づく、請求項17記載の方法。前記心筋細胞の集団が、前記培養の前に保存されている、請求項17または18記載の方法。前記集団が、以下: (1)10%までの非心筋細胞を含む集団、 (2)5%までの非心筋細胞を含む集団、および (3)非心筋細胞を実質的に有さない集団、 からなる群より選択される、請求項10〜19のいずれか一項記載の方法。前記集団が非心筋細胞を実質的に有さず、ここで、前記非心筋細胞が、線維芽細胞又は未分化多分化能性幹細胞を含む、請求項20記載の方法。前記培地が、以下の特徴: (1)前記培地が、非心筋細胞の増殖を阻害する、または (2)前記培地が培養下で少なくとも6週間、前記集団中の心筋細胞の純度を維持する、 のうちの任意の1つまたはそれより多くを示す、請求項10〜21のいずれか一項記載の方法。前記培地が培養下で少なくとも7か月間、前記集団中の心筋細胞の純度を維持する、請求項22記載の方法。前記心筋細胞が、細胞生存性又は機能を調節する化合物と接触する、請求項10〜23のいずれか一項記載の方法。前記化合物が、細胞イオンチャネル活動を調節する、請求項24記載の方法。前記化合物が、拍動周波数及び/又はフィールドポテンシャル持続時間を調節する、請求項24または25記載の方法。前記心筋細胞が、拍動周波数を調節する化合物と接触する、請求項24〜26のいずれか一項記載の方法。前記化合物がテトロドトキシン又はイソプロテレノールである、および/または前記心筋細胞が、フィールドポテンシャル持続時間を調節する化合物と接触し、ここで、前記化合物がE4031又はテルフェナジンである、請求項24〜27のいずれか一項記載の方法。

说明书全文

優先権の主張 本出願は、2010年6月18日に提出された米国出願第61/356,136号及び2010年6月21日に提出された米国出願第61/356,916号に基づく優先権を主張し、その全開示は参照によりその全体が但し書きなしに本明細書に明確に組み込まれる。 本出願は概して細胞培養の分野に関する。特に、それは心筋細胞維持及び調節に関する。

再生医療における研究のための中心的挑戦は、心機能の再構成を助けることができる細胞組成物を開発することである。5人の男女中、ほぼ1人が何かの形の心血管疾患を有することが推定される(National Health and Nutrition Examination Survey lil, 1988−94, Center of Disease Control and the American Heart Association)。広範囲の病状として、冠状動脈性心疾患(人口の5%)、先天的心血管欠陥(0.5%)及びうっ血心不全(3%)が含まれる。医薬技術は、心疾患の結果として生じる損傷の制限を助けることができる小分子薬物及び生物学的化合物を製造して来たが、しかし損傷を受けた組織の再生を助ける商業的に入手できるものは何もない。

心臓再生できる細胞集団を開発するために、機能的心筋細胞の使用を包含するいくつかの異なった手段に基づいて、研究が行われて来た。心疾患を治療するための再生細胞の可能な源は、種々の種類の多分化能性幹細胞、特に誘発された多分化能性幹細胞にin vitroで由来する心筋細胞である。しかしながら、多くの障害が、培養における心筋細胞系統細胞の均質性を維持するための範例を開発する手段を遠ざけて来た。

in vitroでの薬物スクリーニングアッセイ及び/又は再生医療への使用のためのそれらの技法の商業化は、細胞均質性及び収率を改善するための拡張及び分化プロトコールのさらなる改良の恩恵を受けるであろう。 次の参照文献は、それらが本明細書に示される参照文献を補足する、典型的な手順又は他の詳細を提供できる程度に、参照により本明細書に明確に組込まれる。

米国特許第5,843,780 号;

米国特許第6,200,806号;

米国特許第6,602,711号;

米国特許第6,833,269号;

米国特許第7,029,913号;

米国出願第61/058,858号;

米国出願第61/172,079号;

米国出願第61/184,546号;

米国公開番号第2002/0168766号;

米国公開番号第2003/0022367号;

米国公開番号第20080038820号;

米国公開番号第20080226558号;

米国公開番号第20080254003号;

米国公開番号第20090047739号;

国際出願第01/51616号;

国際出願第03/004626号。

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本発明の目的は、透析された血清を有する心筋細胞培地を提供することである。

本発明の観点は、特に均質性の点から、心筋細胞集団の純度を維持するための方法を提供することにより技術的主要欠陥を克服する。ある態様によれば、下記に使用される培地において精製された心筋細胞集団を培養することを含む、精製された心筋細胞の集団の純度を維持するための方法が提供され、ここで前記集団は少なくとも1週間〜7ヶ月間、培養され、そして心筋細胞の純度を維持する。

下記に記載される培地において心筋細胞集団を培養することを含む、心筋細胞の電気活動を調節するための方法もまた提供され、ここで前記心筋細胞培養の拍動率は、低分子量分子を除去するために処理されていない血清含有培地に対する安定性を増強した。

そのような培地は血清を実質的に有さないか;又は血清を含み、ここで前記血清又は培地は低分子量分子(低分子量成長因子を包含する)を除去するために処理されている。例えば、前記血清又は培地は、低分子量成長因子を実質的に有さないか、又は低分子量分子を実質的に有さない。前記低分子量分子又は成長因子は約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30 kD以下、又はいずれかの中間サイズ又はサイズ範囲の分子量を有することができる。例えば、培地は透析された血清を含むことができる。特に、血清は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30 kD、又はそれに由来できるいずれかの範囲の分子量カットオフを有する膜により透析され得る。

本発明のある観点はまた、心筋細胞の細胞集団及び培地を含む組成物も提供することができる。培地は血清を含むことができ、ここで前記血清又は培地は低分子量分子、例えば透析された分子を除去するために処理されている。前記培地は、少なくとも又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、99%までの透析された血清又はいずれかの中間範囲又は数のそのような血清を含むことができる。他方では、培地は血清又は血清成分を実質的に有することができない。

細胞集団は、少なくとも50、60、70、80、90、91 、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5、99.9%の心筋細胞又はいずれかの中間範囲又は数のそのような心筋細胞を有することができる。特定の観点によれば、前記集団は少なくとも90%又は95%の心筋細胞を含むことができる。前記集団は汚染性細胞、例えば線維芽細胞又は末分化多分化能性幹細胞を実質的に有することはできない。単離を促進するためには、心筋細胞は、心筋細胞−特異的プロマーターの制御下で少なくとも1つの選択可能又はスクリーン可能トランスジーンを発現することができる。さらなる観点によれば、心筋細胞はマウス又はヒト心筋細胞である。特定の観点によれば、心筋細胞は凍結保存された心筋細胞であり得る。

培地は、糖を含むことができるか、又は糖を実質的に有さない。培地は、グルコースを含むことができるか、又はグルコースを実質的に有することができない。特定の観点によれば、培地は、例えば約1〜20mM又はそれに由来するいずれかの範囲でグルコースを含むことができる。培地はさらに、ピルベート又はピルビン酸、例えば約0.1〜10mMのピルベート又はピルビン酸を含むことができる。培養心筋細胞の観点から、培地は維持培地であり得る。例えば、維持培地は、ガラクトース、ピルベート及び透析された血清、例えば10mMのガラクトース、1mMのピルベート及び10%の透析された血清を含むことができる。

好ましくは、本明細書で使用される心筋細胞は前もって精製され得る。精製された心筋細胞集団は、非心筋細胞を実質的に有することができない。非心筋細胞を「実質的に有さない(essentially free)」細胞集団とは、約1%、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2,0.1又は0.01%までの又は以下(又はそれに由来できるいずれかの範囲)の非心筋細胞を含む細胞集団(100%の心筋細胞を有する細胞集団も包含する)を言及する。あるさらなる態様によれば、本発明は、多くとも又は約20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2又は0.1%(又はそれに由来できるいずれかの範囲)の非心筋細胞を含む心筋細胞集団を包含する。純粋な心筋細胞集団を汚染する傾向がある典型的な非心筋細胞は、線維芽細胞、末分化細胞及び他の心筋細胞を言及する。

本明細書に記載されるような培地における心筋細胞の培養は、心筋細胞の純度を維持し;そのような利点を達成するためには、本明細書に記載されるような心筋細胞は、少なくとも又は約2、3、4、5、6日、1、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12週、1 、2、3、4、5、6、7、8、9、11月、1、2、3、4、5年、又はそれに由来できるいずれかの範囲の間、培地において培養され得ることが考慮される。特に、心筋細胞集団は、少なくとも7ヶ月間、純度を維持することができる。

心筋細胞集団の純度を維持するためには、a)少なくとも90%の心筋細胞の細胞集団、及び血清を含むことができる培地(ここで、前記血清又は培地は低分子量分子を除去するために処理されている)を含む第1組成物、又は少なくとも90%の心筋細胞の第2細胞集団及び血清を実質的に有さない培地を含む第2組成物を入手し;そして前記第1又は第2組成物を培養することを含む方法が提供され得る。前記培養は、少なくとも8時間、16時間、1,2,3,4,5,6又は7日間、又はいずれかの中間数の間、続くことができる。特定の観点によれば、前記第1又は第2組成物は、培養下で心筋細胞の純度を維持する。

前記方法はさらに、第1又は第2組成物中の心筋細胞と、1つの化合物とを接触し、そして心筋細胞の拍動周波数(beating frequency)及び/又はフィールドポテンシャル持続時間を測定することを含むことができる。特定の観点によれば、前記化合物は、心筋細胞のイオンチャネル活動、拍動周波数及び/又はフィールドポテンシャル持続時間を調節することができる。例えば、拍動周波数を調節する化合物は、テトロドトキシン(オクタヒドロ−12−(ヒドロキシメチル)−2−イミノ−5,9:7,10a−ジメタノ−10aH−[1,3]ジオキソシノ[6,5−d]ピリミジン−4,7,10、11,12−ペントール)、又はイソプロテロノールであり得;フィールドポテンシャル持続時間を調節する化合物は、E−4031((1−[2−(6−メチル−2−ピリジル)エチル]−4−(4−メチルスルホニル−アミノベンゾイル)ピペリジン))又はテルフェナジン((RS)−1−(4−tert−ブチルフェニル)−4−{4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]ピペリジン−1−イル}−ブタン−1−オール)であり得る。

前記方法はまた、培養の前、第1又は第2組成物中の心筋細胞を凍結保存することも含む。前記方法はまた、前記第1又は第2組成物中の心筋細胞を得るために、in vitroで幹細胞から分化された又は非心筋細胞から分化転換された心筋細胞を精製することも含む。

心筋細胞純度の「維持(Maintaining)」とは、一定時間、有意に低下しない心筋細胞の純度、好ましくは心筋細胞集団の細胞純度又は均質性における多くとも又は約10、9、8、7、6、5、4、3、2、1%、又はそれに由来できるいずれかの範囲の低下を言及する。心筋細胞の「純度(Purity)」とは、本明細書において使用される場合、所定の培養条件下での心筋細胞の百分率を言及する。これは、心筋細胞−特異的プロモーターの制御下での内因性心筋細胞マーカー又はトランスジェニック遺伝子マーカーの発現に基づいての心筋細胞の検出により決定され得る。例えば、実施例に示されるように、純度は、心筋細胞−特異的プロモーターにより駆動されるRFPを発現するiPS細胞系に由来する心筋細胞培養におけるRFP陽性細胞の百分率を定量化することにより、又は心筋細胞培養における心臓トロポニンT陽性細胞の百分率を定量化することにより測定され得る。

本発明者らは、本発明の培地配合物における心筋細胞の培養が拍動周波数及び拍動率振動(beating rate oscillation)の両者に対して深く且つ再生できる効果を有し、そして実際、拍動率の上昇及び拍動率振動の同時低下の効果(心拍速度の低められた変動性又は変化)を有することを、さらに観察した。従って、本発明はさらに、本発明の培地において心筋細胞集団を培養することにより、心拍速度を早める方法及び心拍振動を低める方法(すなわち、心拍安定性を増強する)を包含する。

本発明のさらなる観点によれば、a)心筋細胞と1つの化合物とを接触させ、ここで前記心筋細胞は、(i)血清を実質的に有さないか;又は(ii)血清を含む培地(前記血清又は培地は、低分子量分子(低分子量成長因子も包含する)を除去するために処理されている)において培養され;そしてb)心筋細胞の拍動周波数及び/又はフィールドポテンシャル持続時間を測定することを含む、心筋細胞に対する前記化合物の効果の試験方法を提供することができる。前記測定方法は、多電極配列(MEA)の使用を含むことができる。

心臓活動を調節できる化合物の効果を増強するためには、本明細書に記載される心筋細胞が、本明細書に記載されるような培地における細胞生存性又は機能を調節する化合物と接触させられてもよい。そのような化合物は、イオンチャネル活動、例えばカリウムチャネル又はナトリウムチャネルを調節できる。特に、前記化合物、例えばテトロドトキシン又はイソプロテノールは拍動周波数を調節し、又はE−4031又はテルフェナジンのような化合物はフィールドポテンシャル持続時間を調節できる。

ある観点によれば、心筋細胞の集団及び培地を含む組成物が提供され得る。前記心筋細胞集団は、非心筋細胞、例えば線維芽細胞又は末分化細胞を包含することができる。前記培地は、ガラクトース又はピルベートを包含し、そして血清を実質的に有さない。他の観点によれば、培地は、ガラクトース、ピルベート及び透析された血清を含むことができる。培地はグルコースを含むか、又はグルコースを実質的に有さない。心筋細胞は前もって精製され得;例えば、それらは10、9、8、7、6、5、4、3、2、1%までの又はいずれかの中間範囲の非心筋細胞を含むか、又は非心筋細胞を実質的に有さない。

心筋細胞集団は、精製され、単離されるか又は富化され得る。精製、単離又は富化は、心筋細胞において特異的に発現される内因性又は外因性マーカーの使用を包含する。例えば、心筋細胞は、1又は2以上の選択可能又はスクリーン可能トランスジーンを発現できる。トランスジーンは、心筋細胞−特異的プロモーター、例えばMYH6(αミオシンH鎖)遺伝子のプロモーター下での選択可能又はスクリーン可能マーカーであり得る。そのようなマーカーは、抗原性エピトープ、蛍光タンパク質コード遺伝子又は抗生物質耐性遺伝子を含むことができる。ある観点によれば、心筋細胞集団は、トランスジーンの発現に基づいて単離され得る。心筋細胞集団の単離は当該技術分野において知られているいずれかの方法、例えば蛍光分類又は磁気分類であり得る。心筋細胞の純度は、心筋細胞において特異的に発現するトランスジーンの発現に基づいてもよい。

ある観点によれば、心筋細胞の集団は、上記に記載される培地に、培養の前、保存されている。心筋細胞は、ヒト心筋細胞又は異なった源、例えばいずれか他の哺乳類、例えば霊長類、イヌ、ネコ又はマウスからの心筋細胞を包含することができる。心筋細胞は、対象から直接単離され得るか、又はin vitroで幹細胞から分化され得るか、又は非心筋細胞から分化転換され得る。そのような幹細胞は、多分化能性幹細胞又は組織幹細胞、例えば心臓細胞、又は非心臓系統幹細胞又は前駆細胞であり得る。多分化能性幹細胞は、誘発された多分化能性幹細胞、胚幹細胞、又は体細胞核トランスファーにより誘導された多分化能性幹細胞を包含することができる。

ある観点によれば、培地は、血清を実質的に有さないか、又はより特定には、化学的に定義され得る。他の観点によれば、培地は血清を含むが、しかし血清又は培地は血清中の低分子量分子、特に低分子量成長因子を除去するために処理されている。特に、培地又は血清は、低分子量分子を実質的に有さないか、又は低分子量血清成長因子及び他の成分を実質的に有することができない。

さらなる観点によれば、培地はグルコースを含むことができる。培地中のグルコースは、少なくとも又は約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900μΜ又は1 、2、3、4、5、5.5、6、7、8、9、10mMであり得る。

他の観点によれば、培地はグルコースを実質的に有することができない。グルコース以外のエネルギー源を供給するためには、培地は、高エネルギーリン酸結合、アシル基担体分子、又は心筋細胞カルシウムチャネルモジュレーターを形成できる化合物を含むことができる。例えば、培地はクレアチン、カルニチン又はタウリンを含むことができる。さらなる観点によれば、培地はインスリンを含むことができる。

グルコース以外の炭素及び/又はエネルギー源を提供するためには、培地はガラクトース、フルクトース、マンノース、スクロース、マルトース、ラクトース、トレハロース、ツラノース、ピルベート、ピルビン酸、グルタミン、グルタミン酸、アスパルテート、アスパラギン酸、ラクテート、乳酸又はその組合せを含むことができる。培地中のガラクトースは、少なくとも又は約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、50 mM、又はそれに由来するいずれかの範囲であり得る。

培地はまた、ピルベート又はピリビン酸を含むこともできる。培地中のピルベート又はピルビン酸は、少なくとも又は約0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10 mM、又はそれに由来するいずれかの範囲であり得る。

本発明の方法及び/又は組成物に関して論じられる態様は、本明細書に記載されるいずれか他の方法又は組成物に関して使用され得る。従って、1つの方法又は組成物に関連する態様は、本発明の他の方法及び組成物にも適用され得る。

核酸に関しての用語「コードする(encode)」又は「コードする(encoding)」とは、本明細書において使用される場合、当業者による本発明の容易な理解のために使用され;しかしながら、それらの用語は、それぞれ「含む(comprise)」又は「含む(comprising)」と共に互換性を持って使用され得る。

「1つの(a又はan)」とは、本明細書において使用される場合、1又は2以上を意味することができる。用語「含む(comprising)」に関して使用される場合、本特許請求の範囲に使用され得る場合、用語「1つの(a又はan)」は1又は1以上を意味することができる。

特許請求の範囲における用語「又は(or)」の使用は、代替手段のみを言及するために明確に示されなければ、又は代替え手段が互いに独占的でなければ、「及び/又は(and/or)」を意味するために使用されるが、但しその開示は、代替手段及び「及び/又は」のみを言及する定義を支持する。「別の(another)」とは、本明細書において使用される場合、少なくとも第2又はそれ以外を意味することができる。

本出願を通して、用語「約(about)」とは、1つの値が装置、すなわちその値を決定するために使用される方法についての誤差の固有の変動、又は研究対象間に存在する変動を包含することを示唆するために使用される。

本発明の他の目的、特徴及び利点は、次の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、その詳細な説明及び特定の実施例は、本発明の好ましい態様を示しているが、本発明の範囲内での種々の変更及び修飾がこの詳細な説明から当業者に明らかになるであろうから、単なる例示により与えられることが理解されるべきである。 したがって本発明は以下の項目を提供する: (項目1) 少なくとも90%の心筋細胞の細胞集団、及び血清含有培地を含み、上記血清又は培地は低分子量分子を除去するために処理されている、組成物。 (項目2) 上記培地が透析された血清を含む、項目1記載の組成物。 (項目3) 上記培地が、約10%〜約75%の範囲で透析された血清を含む、項目1〜2のいずれか1項記載の組成物。 (項目4) 上記培地が、少なくとも25%の透析された血清を含む、項目1〜3のいずれか1項記載の組成物。 (項目5) 上記培地が、少なくとも25%の透析された血清を含む、項目1〜4のいずれか1項記載の組成物。 (項目6) 上記培地が、約55%の透析された血清を含む、項目1〜5のいずれか1項記載の組成物。 (項目7) 上記血清又は培地が、多くとも10kDの分子量を有する低分子量分子を除去するために処理されている、項目1〜6のいずれか1項記載の組成物。 (項目8) 上記血清又は培地が、多くとも10kDの分子量を有する低分子量分子を実質的に有さない、項目1〜7のいずれか1項記載の組成物。 (項目9) 上記培地がグルコースを含まない、項目1〜8のいずれか1項記載の組成物。 (項目10) 上記培地が約1〜20mMのガラクトースを含む、項目1〜9のいずれか1項記載の組成物。 (項目11) 上記培地が約0.1〜10mMのピルベート又はピルビン酸を含む、項目1〜10のいずれか1項記載の組成物。 (項目12) 少なくとも95%の心筋細胞の細胞集団を含む、項目1〜11のいずれか1項記載の組成物。 (項目13) 上記心筋細胞が、心筋細胞−特異的プロモーターの制御下で少なくとも1つの選択可能を又はスクリーン可能トランスジーンを発現する、項目1〜12のいずれか1項記載の組成物。 (項目14) 上記集団が線維芽細胞又は末分化多分化能性幹細胞を実質的に有さない、項目1〜13のいずれか1項記載の組成物。 (項目15) 上記心筋細胞がヒト心筋細胞である、項目1〜14のいずれか1項記載の組成物。 (項目16) 上記心筋細胞が凍結保存された心筋細胞である、項目1〜15のいずれか1項記載の組成物。 (項目17) 心筋細胞集団の純度の維持方法であって、 a)項目1〜16のいずれか1項記載の第1組成物、又は少なくとも90%の心筋細胞の第2細胞集団及び血清を実質的に有さない培地を含む第2組成物を入手し;そして b)上記第1又は第2組成物を少なくとも7日間、培養することを含む、ここで上記第1又は第2組成物が上記培養下で心筋細胞の純度を維持する、方法。 (項目18) 上記第1又は第2組成物中の心筋細胞と1つの化合物とを接触させ、そして心筋細胞の拍動周波数及び/又はフィールドポテンシャル持続時間を測定することをさらに含む、項目17記載の方法。 (項目19) 上記化合物が、心筋細胞のイオンチャネル活動、拍動周波数及び/又はフィールドポテンシャル持続時間を調節する、項目17又は18記載の方法。 (項目20) 拍動周波数を調節する上記化合物がテトロドトキシン又はイノプロテレノールである、項目17〜19のいずれか1項記載の方法。 (項目21) フィールドポテンシャル持続時間を調節する上記化合物がE4031又はテルフェナジンである、項目17〜19のいずれか1項記載の方法。 (項目22) 上記培養の前に、上記第1又は第2組成物中の心筋細胞を凍結保存することをさらに含む、項目17〜21のいずれか1項記載の方法。 (項目23) 上記第1又は第2組成物中の心筋細胞を入手するために、in vitroで、幹細胞から分化された又は非心筋細胞から分化転換された心筋細胞を精製することをさらに含む、項目17〜22のいずれか1項記載の方法。 (項目24) 精製された心筋細胞の集団の純度の維持方法であって、 a)精製された心筋細胞の集団を入手し;そして b)(i)血清を実質的に有さないか;又は (ii)血清を含む培地(上記血清又は培地は低分子量分子を除去するために処理されている)において上記集団を少なくとも1週間、培養すること含み、ここで上記集団が心筋細胞の純度を維持する、方法。 (項目25) 心筋細胞の電気活性の調節方法であって、(i)血清を実質的に有さないか;又は(ii)血清含む培地(上記血清又は培地は低分子量分子を除去するために処理されている)において心筋細胞を培養することを含み、ここで上記培地が心筋細胞の拍動周波数を高め、そして/又は心筋細胞の拍動率振動(beating rate oscillation)を低める、方法。 (項目26) 心筋細胞に対する1つの化合物の効果の試験方法であって、a)心筋細胞と1つの化合物とを接触させ、ここで上記心筋細胞は、(i)血清を実質的に有さないか;又は(ii)血清を含む培地(上記血清又は培地は低分子量分子を除去するために処理されている)において培養され;そしてb)上記心筋細胞の拍動周波数及び/又はフィールドポテンシャル持続時間を測定することを含む方法。 (項目27) 上記培地が血清を実質的に有さない、項目24〜26のいずれか1項記載の方法。 (項目28) 上記培地が化学的に定義される、項目24〜27のいずれか1項記載の方法。 (項目29) 上記培地が、高エネルギーリン酸結合、アシル基担体分子、又は心筋細胞カルシウムチャネルモジュレーターを形成できる化合物さらに含む、項目24〜28のいずれか1項記載の方法。 (項目30) 上記培地が、クレアチン、カルニチン又はタウリンを含む、項目24〜29のいずれか1項記載の方法。 (項目31) 上記培地がインスリンをさらに含む、項目24〜30のいずれか1項記載の方法。 (項目32) 上記培地が血清を含み、ここで上記血清又は培地は低分子量分子を除去するために処理されている、項目24〜31のいずれか1項記載の方法。 (項目33) 上記血清又は培地が、低分子量血清成長因子を実質的に有さない、項目24〜32のいずれか1項記載の方法。 (項目34) 上記培地が透析された血清を含む、項目24〜33のいずれか1項記載の方法。 (項目35) 上記培地が血清を含み、そして上記血清又は培地が多くとも10kDの分子量を有する分子を除去するために処理されている、項目24〜34のいずれか1項記載の方法。 (項目36) 上記培地がグルコースを含む、項目24〜35のいずれか1項記載の方法。 (項目37) 上記培地が5.5mMまでのグルコースを含む、項目24〜36のいずれか1項記載の方法。 (項目38) 上記培地が少なくとも20μMのグルコースを含む、項目24〜37のいずれか1項記載の方法。 (項目39) 上記培地がグルコースを実質的に有さない、項目24〜35のいずれか1項記載の方法。 (項目40) 上記培地が非グルコースエネルギー源を含む、項目24〜39のいずれか1項記載の方法。 (項目41) 上記培地が、ガラクトース、フルクトース、マンノース、スクロース、マルトース、ラクトース、トレハロース、ツラノース、ピルベート、ピルビン酸、グルタミン、グルタミン酸、アスパルテート、アスパラギン酸、ラクテート、乳酸又はその組合せを含む、項目24〜40のいずれか1項記載の方法。 (項目42) 上記培地がピルベート又はピルビン酸を含む、項目24〜41のいずれか1項記載の方法。 (項目43) 上記培地が、約0.1〜10mMのピルベート又はピルビン酸を含む、項目24〜42のいずれか1項記載の方法。 (項目44) 上記培地がガラクトースを含む、項目24〜43のいずれか1項記載の方法。 (項目45) 上記培地が、約1〜20mMのガラクトースを含む、項目24〜44のいずれか1項記載の方法。 (項目46) 上記精製された心筋細胞が、少なくとも1つの選択可能又はスクリーン可能トランスジーンを発現する、項目24〜45のいずれか1項記載の方法。 (項目47) 上記トランスジーンが、心筋細胞−特異的プロモーターの制御下で選択可能又はスクリーン可能マーカーを含む、項目46記載の方法。 (項目48) 上記心筋細胞−特異的プロモーターが、MYH6(αミオシンH鎖)遺伝子のプロモーターである。項目47記載の方法。 (項目49) 上記精製された心筋細胞の集団が上記トランスジーンの発現に基づいて精製される、項目46〜48のいずれか1項記載の方法。 (項目50) 上記集団中の精製された心筋細胞の純度が、上記トランスジーンの発現に基づく、項目46〜49のいずれか1項記載の方法。 (項目51) 上記心筋細胞の集団が、上記培養の前に保存されている、項目24〜50のいずれか1項記載の方法。 (項目52) 上記心筋細胞がヒト心筋細胞である、項目24〜51のいずれか1項記載の方法。 (項目53) 上記心筋細胞が、in vitroで幹細胞から分化されるか、又は非心筋細胞から分化転換される、項目24〜52のいずれか1項記載の方法。 (項目54) 上記幹細胞が多分化能性幹細胞である、項目53記載の方法。 (項目55) 上記多分化能性細胞が、胚幹細胞、誘発された多分化能性幹細胞、又は体細胞核トランスファーにより誘導された多分化能性幹細胞である。項目54記載の方法。 (項目56) 上記集団が、10%までの非心筋細胞を含む、項目24〜55のいずれか1項記載の方法。 (項目57) 上記集団が、5%までの非心筋細胞を含む、項目24〜56のいずれか1項記載の方法。 (項目58) 上記集団が非心筋細胞を実質的に有さない、項目24〜57のいずれか1項記載の方法。 (項目59) 上記非心筋細胞が、線維芽細胞又は末分化細胞を含む、項目56〜58のいずれか1項記載の方法。 (項目60) 上記培地が、非心筋細胞の増殖を阻害する、項目24〜59のいずれか1項記載の方法。 (項目61) 上記培地が培養下で少なくとも又は約6週間、上記集団中の心筋細胞の純度を維持する、項目24〜60のいずれか1項記載の方法。 (項目62) 上記培地が培養下で少なくとも又は約7ヶ月間、上記集団中の心筋細胞の純度を維持する、項目24〜61のいずれか1項記載の方法。 (項目63) 上記心筋細胞が、細胞生存性又は機能を調節する化合物と接触する、項目24〜62のいずれか1項記載の方法。 (項目64) 上記化合物が、細胞イオンチャネル活動を調節する、項目63記載の方法。 (項目65) 上記化合物が、拍動周波数及び/又はフィールドポテンシャル持続時間を調節する、項目64記載の方法。 (項目66) 上記心筋細胞が、拍動周波数を調節する化合物と接触する、項目65記載の方法。 (項目67) 上記化合物がテトロドトキシン又はイソプロテレノールである、項目66記載の方法。 (項目68) 上記心筋細胞が、フィールドポテンシャル持続時間を調節する化合物と接触する、項目65記載の方法。 (項目69) 上記化合物がE4031又はテルフェナジンである、項目68記載の方法。 (項目70) 心筋細胞集団、及びガラクトース、ピルベートを含んで成り、そして血清を実質的に有さない培地を含む組成物。 (項目71) 心筋細胞集団、及びガラクトース、ピルベート及び透析された血清を含む培地を含む組成物。 (項目72) 上記培地がグルコースを含む、項目70又は71記載の組成物。 (項目73) 上記培地がグルコースを実質的に有さない、項目70又は71記載の組成物。 (項目74) 上記心筋細胞集団が10%以下の非心筋細胞を含む、項目70〜73のいずれか1項記載の組成物。 (項目75) 上記心筋細胞が非心筋細胞を実質的に有さない、項目70〜74のいずれか1項記載の組成物。 (項目76) 上記心筋細胞が精製された心筋細胞を含む、項目70〜75のいずれか1項記載の組成物。

次の図面は本明細書の一部を形成し、そして本発明のある観点をさらに示すために包含される。本発明は、本明細書に提供される特定の態様の詳細な説明と組合して、1又は2以上のそれらの図面の参照により良好に理解され得る。

図1A−1Bは、

無血清無グルコース培地がin vitroで心筋細胞純度を維持することを示す。図1A:対照培地(心臓維持培地:CMM)又は無血清グルコース(SFGF)培地下で培養された心筋細胞は、14日間、培養される場合、類似する心筋細胞生存性を維持する。図1B:CMM下で培養された、精製された心筋細胞は、14日後、純度の低下(<90%)を示す。SFGF培地下で培養された心筋細胞は、より高い純度(>99%)を維持する。

図2A−2Cは、

DS−CMM培地がin vitroで心筋細胞純度を

維持することを示す。図2A:CMM、又は透析された血清、ピルビン酸ナトリウム及びガラクトースにより補充された無グルコース培地(DS−CMM)下で培養された心筋細胞は、14日間、培養された場合、類似する心筋細胞生存性を維持する。図2B:CMM下で培養された、精製された心筋細胞は、14日後、純度の低下(<90%)を示す。DS−CMM培地下で培養された心筋細胞はより高い純度(>99%)を維持する。図2C:凍結保存された心筋細胞が210日間、DS−CMM下で培養された。純度が、7日及び210日目、融解下でアッセイされたが、純度の有意な変化は存在しなかった。

図2A−2Cは、

DS−CMM培地がin vitroで心筋細胞純度を

維持することを示す。図2A:CMM、又は透析された血清、ピルビン酸ナトリウム及びガラクトースにより補充された無グルコース培地(DS−CMM)下で培養された心筋細胞は、14日間、培養された場合、類似する心筋細胞生存性を維持する。図2B:CMM下で培養された、精製された心筋細胞は、14日後、純度の低下(<90%)を示す。DS−CMM培地下で培養された心筋細胞はより高い純度(>99%)を維持する。図2C:凍結保存された心筋細胞が210日間、DS−CMM下で培養された。純度が、7日及び210日目、融解下でアッセイされたが、純度の有意な変化は存在しなかった。

図3は、

iCMM対SFGF対CMMを示す。細胞をCMM中に接触し、そして24時間で実験用培地に移した。細胞計数及び純度を7日目でアッセイした。SFGF培地及びiCMMは、7日間の培養の後、より高い心筋細胞生存性及び純度を促進する。

図4は、

透析された血清が汚染性細胞の成長を阻害することを示す。

心筋細胞

が、DMEM、正常血清;DMEM−グルコース、正常血清;DMEM、透析された血清;又はDS−CMM(またiCMMとも呼ばれる)において培養された。透析された血清により調製された2種のDMEM条件(DMEM、透析された血清及びDS−CMM)は、正常血清含有DMEM培地に比較される場合、より高い心筋細胞純度を維持した。

図5A−5Bは、

グルコース濃度が心筋細胞純度をより低い程度に影響を及ぼ

ことを示す。図5A:透析された血清を含むが、しかしグルコースを欠いているDMEM培養培地(iCMM、またDS−CMMとしても知られている)が、透析された血清を含むグルコース含有DMEM培養培地に比較して、有意に高い心筋細胞純度を有する培養をもたらした。図5B。正常血清含有DMEM培地におけるグルコースの欠失は、細胞培養の心筋細胞純度を高める。

図6は、

無血清無グルコース(SFGF)培地が血清含有培地よりも早い拍動

単層を生成することを示す。SFGF培地下で培養された心筋細胞単層は、FBSを含むSFGF培地において培養された単層よりもより急速な拍動速度を示した。(N=24単層)。

I.序論 本発明は、無血清又は透析された血清含有培地が、健康な心筋細胞集団を維持しながら、心筋細胞集団中の非心筋細胞の増殖を阻止するよう企画され得る発見に一部、基づかれる。実質的に純粋な心筋細胞集団内でさえ、低百分率の汚染性細胞が存在する。標準の血清含有培養条件下で、いくらかの割合の汚染性細胞が心筋細胞よりも早い速度で増殖し、そして完全細胞集団を圧倒することができる。いくつかの態様によれば、本発明の培地条件はまた、心筋細胞のいくつかの機能的特性も改善することができる。

心筋細胞集団の培養におけるさらなる前進がまた下記に記載される。この開示に従って維持される細胞の著しい均一性及び機能的性質が、in vitroでの心臓組織の研究のために、及び心疾患の治療における心臓組織の再生のための新規治療様式を開発するために、それらを価値あるものにする。 II.定義

「多分化能(pluripotency)」とは、1又は2以上の組織又は器官を構成するすべての細胞、例えば次の3種の胚葉のいずれかに分化する能を有する幹細胞を言及する:内胚葉(内部胃の内壁、胃腸管、)、中胚葉(筋肉、骨、血液、泌尿生殖器)又は外胚葉(表皮組織及び神経系)。本明細書において使用される「多分化能性幹細胞(pluripotent stem cells)」とは、3種の胚葉のいずれかに由来する細胞に分化することができる細胞、例えば全能細胞の子孫又は誘発された多分化能性幹細胞を言及する。

iPS細胞又はiPSCsとして通常簡略される「誘発された多分化能性幹細胞(Induced pluripotent stem cells)」とは、非多分化能性細胞、典型的には成人体細胞、又は最終分化細胞、例えば線維芽細胞、造血細胞、筋細胞、ニューロン、表皮細胞、又は同様の細胞から、再プログラミング因子を導入するか又は接触することにより、人工的に調製されるタイプの多分化能幹細胞を言及する。

「胚幹(ES)細胞(Embryonic stem cells)」とは、初期胚に由来する多分化能性幹細胞である。

「心筋細胞(Cardiomyocyte)」とは、いずれかの心筋細胞系統細胞を一般的に言及し、そして特にことわらない限り、いずれの制限も無く、心筋細胞個体発生のいずれかの段階での細胞に適用するために取られ得る。例えば、心筋細胞は、心筋細胞前駆細胞及び成熟心筋細胞の両者を包含することができる。

特定タンパク質を「コードする(encodes)」、「遺伝子(gene)」、「ポリヌクレオチド(polynucleotide)」、「コード領域(coding region)」、「配列(sequence)」、「セグメント(segment)」又は「フラグメント(fragment)」は、適切な調節配列の制御下に置かれる場合、in vitro又はin vivoで、遺伝子生成物、例えばポリペプチドに転写され、そして任意にはまた、翻訳される核酸分子である。コード領域は、cDNA、ゲノムDNA又はRNA形のいずれかで存在することができる。DNA形で存在する場合、核酸分子は、単鎖(すなわち、センス鎖)又は二本鎖であり得る。コード領域の境界は、5′(アミノ)末端での開始コドン及び3′(カルボキシ)末端での翻訳終止コドンにより決定いされる。遺伝子は、原核又は真核mRNAからのcDNA、原核又は真核DNAからのゲノムDNA配列、及び合成DNA配列を包含することができるが、但しそれらだけには限定されない。転写終結配列は通常、遺伝子配列の3′側に位置するであろう。

用語「トランスジーン(transgene)」とは、人工又は天然手段により細胞又は生物中に導入されて来た、遺伝子、核酸又はポリヌクレオチド、例えば外因性核酸を言及する。外因性核酸は異なった生物又は細胞からであり得るか、又はそれは、生物又は細胞内で天然下で発生する核酸の1又は2以上の追加のコピーであり得る。非制限的例によれば、外因性核酸は、天然細胞の染色体とは異なったその位置に存在するか、又は他方では、天然において見出される核酸配列とは異なった核酸配列を端に有する。

用語「プロモーター(promoter)」とは、DNA調節配列を含むヌクレオチド領域を言及するために、その通常の意味で本明細書に使用され、ここで前記調節配列は、RNAポリメラーゼを結合でき、そして下流(3′方向)のコード配列の転写を開始できる遺伝子に由来する。

図面及び他の場所に言及される培地タイプについての略語及び一般的説明が下記に記載される。培地組成及びその調製についてのより詳細な説明が、特定の態様に見出される。

III.心筋細胞の培養

本発明のある観点に従っての培養条件は、使用される培地に依存して、適切に定義され得る。培地は、動物細胞を培養するために使用されるべき培地をその基本的培地として用いて調製され得る。その基本的培地として、TeSR、BME、BGJb、CMRL 1066、Glasgow MEM、Improved MEM Zinc Option、IMDM、Medium 199、Eagle MEM、αΜΕΜ、DMEM、Ham、RPMI 1640、及びフィッシャー培地、並びにそれらのいずれかの組合せのいずれかが使用され得るが、しかし前記培地は、それが動物細胞を培養するために使用され得る限り、特にそれだけには限定されない。

培地は、血清含有又は無血清培地であり得る。無血清培地とは、血清又は血清−由来の成分を実質的に有さない培地を言及する。無血清培地はまた、血液−由来の成分又は動物組織−由来の成分(例えば、動物組織−由来の成長因子)、特に約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30 kDまでの又はそれに由来できるいずれかの範囲の分子量を有する成長因子又は血清成分を実質的に有することはできない。

培養下で増殖されるほとんどの細胞は、それらの増殖能力を維持するために成長培地中の血清成分を必要とする。全血清は通常の目的のために許容されるが、栄養パラメーター又はラベルされた材料の組込みを包含する研究は、研究下の成分が血清から除去されることを必要とする。それらの成分の除去のための最も通常使用される方法は、全血清の透析である。ダイアフィルトレーションによる透析のためには、血清が濃縮方法により中空線維を通して循環される。しかしながら、濾液は、血清への生理食塩の添加により置換される。例えば、透析は、ウシ胎児血清(FBS)から多くの小分子、例えばグルコース、塩及びいくらかの非タンパク質結合血清分子を除去する。この方法は、結合される血清であるホルモンは除去しないが、しかしそれはいくつかの細胞型についての成長促進能力を低めることができる。この透析方法は、10,000分子量カットオフ膜を有する限外濾過により行われ得る。

培地は、いずれかの血清代替物を含んでも又は含まなくても良い。血清代替物は、アルブミン(例えば、脂質に富んでいるアルブミン、アルブミン置換体、例えば組換えアルブミン、植物澱粉、テキストラン及びタンパク質加水分解物)、トランスフェリン(又は他の鉄トランスポーター)、脂肪酸、インスリン、コラーゲン前駆体、微量元素、2−メルカプトエタノール、3′−チオグリセロール、又はそれらの同等物を適切に含む材料を包含することができる。血清代替物は、例えば国際公開第98/30679号に開示される方法により調製され得る。他方では、いずれかの市販の材料が一層の便利さのために使用され得る。市販の材料は、ノックアウト血清代替物(KSR)、濃縮された化学的に定義された脂質(Gibco)及びグルタマックス(Gibco)を包含する。

好ましくは、培地は化学的に定義され、これは、動物由来の成分を実質的に有さない培地を言及する。例えば、培地は組換え成長因子又はタンパク質、例えば組換えアルブミンを含むことができる。

培地はまた、脂肪酸又は脂質、アミノ酸(例えば、非必須アミノ酸)、ビタミン、成長因子、サイトカイン、酸化防止物質、2−メルカプトエタノール、ピルビン酸、緩衝剤、及び無機塩を含むことができる。2−メルカプトエタノールの濃度は例えば、約0.05〜1.0mM及び特に0.1〜0.5mMであり得るが、しかしその濃度は、それが細胞培養のために適切である限り、特にそれらに限定されない。

心筋細胞を培養するために使用される培養容器は、それが心筋細胞を培養できる限り、フラスコ、組織培養のためのフラスコ、皿、ペトリ皿、組織培養のための皿、多皿、マイクロプレート、マイクロ−ウェルプレート、多重プレート、多重−ウェルプレートマイクロスライド、チャンバースライド、管、トレー、CellSTACK(登録商標)チャンバー、培養バッグ及びローラーボトルを包含するが、但しそれらだけには限定されない。心筋細胞は、培養の必要性に依存していて、少なくとも又は約0.2、0.5、1、2、5、10、20、30、40、50ml、100ml、150ml、200ml、250ml、300ml、350ml、400ml、450ml、500ml、550ml、600 ml、800ml、1000ml、1500ml、2000ml又はそれに由来できるいずれかの範囲の体積で培養され得る。ある態様によれば、培養容器は、バイオリアクターであり得、これは生物学的活性環境を支持するいずれかの装置又はシステムを言及する。バイオリアクターは、少なくとも又は約2、4、5、6、8、10、15、20、25、50、75、100、150、200、500L、1、2、4、6、8、10、15m2、又はそれに由来できるいずれかの範囲の体積を有することができる。

培養容器は細胞付着性又は非付着性であり得、そして目的に依存して、選択され得る。細胞付着性培養容器は、細胞への容器表面の付着性を改良するために、細胞付着のためのいずれかの基質、例えば細胞外マトリックス(ECM)により被覆され得る。細胞付着のための基質は、幹細胞又はフィダー細胞(使用される場合)を結合するよう意図されたいずれかの材料であり得る。細胞付着のための基質は、コラーゲン、ポリ−L−リシン、ポリ−D−リシン、ラミニン及びフィブロネクチン及びそれらの混合物、例えばMatrigel(登録商標)、並びに溶解された細胞膜調製物を包含する(Klimanskaya et al, 2005)。

他の培養条件は適切に定義され得る。例えば、培養温度は、約30〜40℃、例えば少なくとも、又は約31、32、33、34、35、36、37、38,39℃であり得るが、但し特にそれらだけには限定されない。CO2濃度は、約1〜10%、例えば約2〜5%、又はそれに由来できるいずれかの範囲であり得る。酸素圧は、少なくとも又は約1、5、8、10、20%又はそれに由来できるいずれかの範囲であり得る。 IV.心筋細胞調製

本発明のある観点下での心筋細胞は、幹細胞、例えば誘発された多分化能性幹細胞又は心臓幹細胞の分化、又は非心臓細胞、例えば他の組織幹細胞の分化転換により調製され得る。多分化能性幹細胞の分化は、例えば付着されたコロニーにおいて種々の方法で、又は例えば低付着環境下での細胞凝集体の形成により誘発され得、ここでそれらの凝集体は、胚葉体(EBs)として言及される。EBs内の分子及び細胞形態発生シグナル及び出来事は、発生する胚におけるそのような細胞の天然の個体発生の多くの様相を模倣する。

他方では、心筋細胞は、多分化能性幹細胞の直接的分化により調製され得る。「直接的分化」とは、中間体として胚葉体(細胞凝集体)を形成しないで、特定の細胞型の細胞のために富化される子孫へ多分化能性幹細胞を分化するための方法を言及する。これは、細胞が個体基質上にプレートされる場合に行われ得、但しプレーティングは、特にことわらない限り、必ずしも必要とされない。直接的分化は、培地成分の成長環境下で、可溶性因子、懸濁液中の又は容器壁上での不溶性成分、及び所望する組織タイプの方に細胞を向ける目的を達成する他の成分を培養することによりもたらされる。

胚葉体(EBs)は、多分化能性幹細胞、例えばES細胞又はiPS細胞に由来する細胞の凝集体であり、そしてマウス胚幹細胞により長年、研究されて来た。in vivo分化に固有のいくつかの手がかりを摘記するためには、本発明のある観点は、中間段階として三次元凝集体(すなわち、胚葉体)を用いることができる。凝集に基づいて、分化が開始され、そして細胞が胚成長を、限定された程度まで摘記し始める。それらは栄養外胚葉(胎盤を含む)を形成できないが、生物に存在する実質的にあらゆる他のタイプの細胞が成長することができる。本発明はさらに、凝集体形成に続いて、心臓分化を促進することができる。

細胞凝集は、懸滴、非組織培養処理されたプレート上へのプレート又はスピナーフラスコにより行われ;いずれの方法も細胞の表面への付着を妨げ、典型的なコロニー成長を形成する。多分化能性幹細胞は、細胞培養の業界において知られているいずれかの方法を用いて、凝集体促進培地中に接種され得る。例えば、多分化能性幹細胞は、単一コロニー又はクローングループとして凝集体促進培地中に接種され、そして多分化能性幹細胞もまた、実質的に個々の細胞として接種され得る。いくつかの態様によれば、多分化能性幹細胞は、当業界において知られている機械又は酵素方法を用いて、実質的に個々の細胞に分離される。非制限的例により、多分化能性幹細胞は、細胞と培養表面との間及び細胞自体間の結合を破壊するタンパク質分解酵素に暴露され得る。凝集体形成及び分化のための多分化能性幹細胞を個別化するために使用され得る酵素は、その種々の市販製剤でのトリプシン、例えばTrypLE、又は酵素の混合物、例えばAccutase(登録商標)を包含するが、但しそれらだけには限定されない。

ある態様によれば、多分化能性細胞は、培養表面上での培養形成のための培養培地に、実質的に個々(又は分散された)の細胞として添加されるか又は接種され得る。細胞が接種される培養培地は、TeSR培地又はmTeSR培地及び生存因子を含むことができる。例えば、分散された多分化能性細胞は、約104個の細胞/ml〜約1010個の細胞/mlの密度で培養培地中に接種される。より特定には、多分化能性細胞は、約105個の細胞/ml〜約107個の細胞/ml又は0.5×106個の細胞/ml〜約3×106個の細胞/mlの密度で接種される。それらの態様においては、培養表面は、さらに、本明細書に記載されるようなマトリックス成分を含むことができる。ある態様によれば、マトリックス成分は、培養表面と細胞及び培地との接触の前、培養表面に適用され得る。

心筋細胞系統細胞は、所望する表現型を有する細胞を富化する(所望する細胞の成長又は他の細胞型の阻害又は殺害のいずれかにより)特定の成長環境下で培養するか又は分化することにより、末分化幹細胞から入手され得る。

ある観点によれば、iPS細胞は、開示される方法を用いて、心臓細胞に分化され得る。分化は、上記のように、胚葉体又は凝集体を形成することにより、例えば多分化能性幹細胞培養物の過成長により、又はEB形成を可能にする、低付着性質の基質を含む培養容器における多分化能性幹細胞の懸濁培養により開始され得る。多分化能性幹細胞は、短時間のコラゲナーゼ消化により収穫され、クラスターに分離され、そして非付着性細胞培養プレートにプレートされ得る(参照により組込まれる、国際公開第01/51616号、アメリカ特許第6,602,711号)。任意には、EBsは、生成され、アルギネート又は他の適切な栄養物透過性マトリックスに封入され得、これはEB直径の均一性及び生成される細胞の一貫性の改善を助けることができる(参照により組込まれる、国際公開第03/004626号、Zandstra et al.,)。前記方法がEB形成を包含しようが、しまいが、血清又は血清同等物、例えば約20%のウシ胎児血清、又は適切な増殖培地、例えばRPMIにおける血清サプリメント、例えばB27又はN2を含む培地の使用が、心筋細胞系統の収縮細胞の増殖巣を促進する。心臓分化のより典型的な方法は、胚葉体(EB)方法(参照により組込まれる、Zhang et al., 2009)、OP9間質細胞方法(参照により組込まれる、Narazaki et al., Narazaki et al., 2008)、又は成長因子/化学的方法(それらの全体を参照により本明細書に組込む、アメリカ特許公開番号第20080038820号 、第20080226558号、第20080254003号 及び第20090047739号を参照のこと)を包含することができる。

心筋細胞表現型を促進するために、細胞が、心筋細胞型の増殖又は生存性を増強するか、又は他の細胞型の増殖を阻害する因子及び因子組合せと共に培養され得る。この効果は、細胞自体に対する直接的効果に起因するか、又は別の細胞型に対する効果に起因することができ、これは順に、心筋細胞形成を増強する。例えば、内胚葉又は外胚葉同等細胞の形成を誘発するか、又はそれらの細胞によるそれら自体の心臓促進要素の生成を引起す因子は、すべて心臓作用性因子の慣例内である。

例えば、心臓分化のための誘発培地は、心臓前方外植体、心臓前方中胚葉ならし培地及び中胚葉により分泌された成長因子、例えばHGFを包含するが、但しそれらだけには限定されない。

中胚葉層の細胞への多分化能性幹細胞の分化を誘発するか、又は心筋細胞系統細胞へのさらなる分化を促進すると思われる追加の因子は、次のものを包含する:

形質転換性成長因子β−関連リガンド(TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3及び下記に示されるTGF−β超ファミリーにより例示される)。リガンドはTGF−β受容体を結合し、タイプI及びタイプIIセリンキナーゼを活性化し、そしてSMADIエフェクターのリン酸化を引起す。

モルフォゲン様アクチビンA及びアクチビンB(TGF−β超ファミリーのメンバー)。

インスリン様成長因子(例えば、IGF I及びIGFII)。

骨形態形成タンパク質(BMP−2及びBMP−4により例示される、TGF−β超ファミリーのメンバー)。

線維芽細胞成長因子(bFGF,FGF−4及びFGF−8により例示される)、サイトゾル性キナーゼraf−1及びマイトゲン−活性化されたタンパク質キナーゼ(MAPK)を活性化する他のリガンド、及びマイトゲン、例えば上皮成長因子(EGF)。

DNAメチル化及び心筋細胞関連遺伝子(例えば、5−アザ−デオキシ−シチジン)の発現の変更に影響を及ぼすヌクレオチド類似体。

脳下垂体ホルモンオキシトシン又は酸化窒素(NO)。

同じ受容体に対する作動性活性を有する特異的抗体又は合成化合物。

心臓作用剤の典型的な効果的組合せは、モルフォゲン様アクチビンA及び多数の成長因子、例えば初期拘束段階の間、TGF−β及びIGFファミリーに包含されるそれらの使用を包含し、任意には、それらの追加のカルジオトルフィン、例えば1又は2以上の線維芽細胞成長因子、骨形態形成タンパク質及び血小板由来の成長因により補充される。

省略因子(omitting factors)、例えばインスリン様成長因子II(IGFII)及びin vitro分化の最終段階からの関連する分子が実際、心臓遺伝子発現のレベルを高めることが見出された。関係のない研究によれば、IGFIIが線維芽細胞におけるGSK3βのレベルを低めることが見出された(Scalia et al., 2001)。従って、IGF IIが、培養培地に存在するか、又は細胞により分泌されるWntタンパク質の効果を増強する。Wntタンパク質は通常、転写因子TCFの一部を含む細胞質分子、すなわちβ−カテニンの核トランスロケーションを安定化し、そして引起す。これは、複数の遺伝子の転写活性を変更する。Wntの不在下で、β−カテニンはキナーゼGSK3βによりリン酸化され、これにより、β−カテニンは不安定になり、そして細胞質に保持される。

Wnt活性化因子様IGFIIは明らかに心筋細胞分化を制限するので、本発明の一観点は、多分化能性幹細胞の心筋細胞分化の程度又は割合を高めるために、Wntアンタゴニストと共に培養することを包含する。Wntシグナリングは、DKK−1又はクレッセント(Wntを結合し、そして不活性化する、分泌されたタンパク質)(Schneider et al., 2001)のいずれかをコードする合成mRNAの注入により、又はDKK−1(Marvin et al., 2001)をコードするレトロウィルスによる感染により阻害され得る。他方では、Wnt経路は、キナーゼGSK3βの活性を高めることにより、例えばIL−6又はグルココルチコイドのような因子と共に細胞を培養することにより阻害され得る。

ある態様によれば、FGF、又はFGF及びHGFの組合せは、多分化能性細胞、細胞凝集体、又は分化された幹細胞を培養するために使用され、これにより、幹細胞の心臓誘発が促進され得る。例えば、FGFは、少なくとも又は約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、180、200、250ng/ml又はそれに由来できるいずれかの範囲の濃度で添加され得る。任意には、肝臓成長因子(HGF)はまた、例えば、少なくとも又は約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、180、200、250ng/ml又はそれに由来できるいずれかの範囲の濃度で含まれ得る。 V.多分化能性幹細胞の源

本発明のある観点によれば、心筋細胞はin vitroで多分化能性幹細胞から誘導され得る。

用語「多分化能性幹細胞(pluripotent stem cell)」とは、すべての3種の胚葉、すなわち内胚葉、中胚葉及び外胚葉の細胞を生ぜしめることができる細胞を言及する。理論的には、多分化能性幹細胞は身体のいずれの細胞にも分化することができるが、多分化能性の実験的決定は典型的には、個々の胚葉のいくつかの細胞型への多分化能性細胞の分化に基づかれる。本発明のいくつかの態様によれば、多分化能性幹細胞は胚盤胞の内部細胞塊に由来する胚幹(ES)細胞である。他の態様によれば、多分化能性幹細胞は、体細胞を再プログラミングすることにより誘導される誘発された多分化能性幹細胞である。ある態様によれば、多分化能性幹細胞は、体細胞核トランスファーにより誘導される胚幹細胞である。 A.胚幹細胞

胚幹(ES)細胞は、胚盤胞の内部細胞塊に由来する多分化能性細胞である。ES細胞は、成長する胚の外側の栄養外胚葉層を除き、次に非成長細胞のフィーダー層上で内部塊細胞を培養することにより単離され得る。適切な条件下で、増殖する末分化ES細胞のコロニーが生成される。それらのコロニーは除かれ、個々の細胞に別けられ、次に新鮮なフィーダー層上に再プレートされ得る。再プレートされた細胞は増殖し続け、末分化ES細胞の新規コロニーを生成する。次に、新規コロニーが除かれ、分けられ、再び再プレートされ、そして増殖され得る。未分化ES細胞の「副培養(subculturing)」又は「継代培養(passaging)」のこの工程が数回、反復され、未分化ES細胞を含む細胞系が生成され得る(アメリカ特許第5,843,780号; 第6,200,806号; 第7,029,913号)。「一次細胞培養物(primary cell culture)」とは、組織、例えば胚盤胞の内部細胞塊から直接得られる細胞の培養物である。「副培養物(subculture)」とは、一次細胞培養物に由来するいずれかの培養物である。

マウスES細胞を得るための方法は良く知られている。1つの方法によれば、129匹のマウスからの未着床胚盤胞がマウス抗血清により処理され、栄養外胚葉が除かれ、そして内部細胞塊が、ウシ胎児血清を含む培地における化学的に不活性化されたマウス胚線維芽細胞のフィーダー細胞層上で培養される。成長する未分化ES細胞のコロニーが、ウシ胎児血清の存在下でマウス胚線維芽細胞フィーダー層上で副培養され、ES細胞集団が生成される。いくつかの方法においては、マウスES細胞が、血清含有培養培地にサイトカイン白血病阻害因子(LIF)を添加することにより、フィーダー層の不在下で増殖され得る(Smith, 2000)。他の方法によれば、マウスES細胞が、骨形態形成タンパク質及びLIFの存在下で無血清培地において増殖され得る(Ying et al., 2003)。

ヒトES細胞は、前に記載された方法を用いて、胚盤胞から得られる(Thomson et al, 1995; Thomson and Marshall, 1998; Reubinoff et al, 2000.)。1つの方法によれば、5日目のヒト胚盤胞が、ウサギ抗−ヒト脾臓細胞抗血清に暴露され、次にモルモット補体:溶解性栄養外胚葉の1:5希釈溶液に暴露される。損なわれていない内部細胞塊から溶解された栄養外胚葉細胞を除いた後、その内部細胞塊が、γ−不活性化されたマウス胚線維芽細胞のフィーダー層上で及びウシ胎児血清の存在下で培養される。9〜15日後、内部細胞塊に由来する細胞群が化学的に(すなわち、トリプシンへ暴露される)又は機械的に分離され、そしてウシ胎児血清及びマウス胚線維芽細胞のフーィダー層を含む新鮮な培地に再プレートされ得る。さらなる増殖の後、未分化形態を有するコロニーが、マイクロピペットにより選択され、機会的に塊状物に分離され、そして再プレートされる(アメリカ特許第6,833,269号を参照のこと)。ES−様形態学は、明らかに高い核:細胞質比率及び目立った核小体を有するコンパクトコロニーとして特徴づけられる。得られるES細胞は、簡単なトリプシン処理により、又はマイクロピペットによる個々のコロニーの選択により通常通り継代培養され得る。いくつかの方法によれば、ヒトES細胞は、基本的線維芽細胞成長因子の存在下で、線維芽細胞のフィーダー層上でES細胞を培養することにより、無血清下で増殖され得る(Amit et al., 2000)。他の方法によれば、ヒトES細胞が、基本的線維芽細胞成長因子を含む「ならし(conditioned)」培地の存在下で、タンパク質マトリックス、例えばMotrigel(登録商標)又はラミニン上で細胞を培養することにより、フィーダー細胞層なしで増殖され得る(Xu et al., 2001)。培地は、線維芽細胞と共に同時培養することにより、前もってならされる。

赤毛ザル及び通常のキヌザルES細胞の単離方法はまた、公知である(Thomson, and Marshall, 1998; Thomson et al, 1995; Thomson and Odorico, 2000)。

ES細胞の別の源は、確立されたES細胞系である。種々のマウス細胞系及びヒトES細胞系は知られており、そしてそれらの成長及び増殖のための条件は定義されている。例えば、マウスCGR8細胞系は、マウス株129胚の内部細胞塊から確立され、そしてCGR8細胞の培養物は、フィーダー層なしで、LIFの存在下で増殖され得る。さらなる例として、ヒトES細胞系H1、H7、H9、H13及びH14は、Thompson et alにより確立されている。さらに、H9系のサブクローンH9.1及びH9.2が開発されて来た。当業界において知られているいずれかのES又は幹細胞系、例えば参照により本明細書に組込まれる、Yu and Thompson, 2008に記載されるそれらが本発明で実質的に使用され得ることが予測される。

本発明に使用するためのES細胞源は、胚盤胞、胚盤胞の内部細胞塊の培養から誘導される細胞、又は確立された細胞系の培養から得られる細胞であり得る。従って、用語「ES細胞(ES cells)」とは、本明細書において使用される場合、胚盤胞の内部細胞塊、内部塊細胞の培養から得られるES細胞、及びES細胞系の培養から得られるES細胞を言及することができる。 B.誘発された多分化能性幹細胞

誘発された多分化能性幹(iPS)細胞は、ES細胞の特徴を有するが、しかし分化された体細胞の再プログラミングにより得られる細胞である。誘発された多分化能性幹細胞は、種々の方法により得られて来た。1つの方法においては、成人ヒト皮膚線維芽細胞が、レトロウィルストランスダクションを用いて、転写因子Oct4、Sox2、c−Myc及びKlf4によりトランスフェクトされる(Takahashi et al., 2007)。トランスフェクトされた細胞が、基本的線維芽細胞成長因子(bFGF)により補充された培地におけるSNLフィルダー細胞(LIFを生成するマウス細胞線維芽細胞系)上にプレートされる。約25日後、ヒトES細胞コロニーに類似するコロニーが培養物に現れる。ES細胞−様コロニーが、摘出され、そしてbFGFの存在下でフィーダー細胞上で拡張される。

細胞特徴に基づいて、ES細胞−様コロニーの細胞は、誘発された多分化能性幹細胞である。誘発された多分化能性幹細胞は、ヒトES細胞に形態学的に類似し、そして種々のヒトES細胞マーカーを発現する。また、ヒトES細胞の分化をもたらすことが知られている条件下で増殖される場合、誘発された多分化能性幹細胞はそれに応じて分化する。例えば、誘発された多分化能性幹細胞は、ニューロン構造及びニューロンマーカーを有する細胞に分化することができる。実質的に、いずれかのiPS細胞又は細胞系、例えばYu and Thampson, 2008に記載されるそれらが、本発明により使用され得ることが予測される。

別の方法によれば、ヒト胎児又は新生児線維芽細胞は、レンチウィルストランスダクションを用いて、4種の遺伝子Oct4、Sox2、Nanog及びLin28によりトランスフェクトされる(Yu et al., 2007)。感染の12〜20日目で、ヒトES細胞型態を有するコロニーは目に見えるようになる。そのコロニーが摘出され、そして拡張される。コロニーを作り上げる誘発された多分化能性幹細胞は、ヒトES細胞に形態学的に類似し、種々のヒトES細胞マーカーを発現し、そしてマウスへの注入の後、神経組織、軟骨及び腸上皮を有する奇形腫を形成する。

マウスからの誘発された多分化能性幹細胞の調製方法もまた知られている(Takahashi and Yamanaka, 2006)。iPS細胞の誘発は典型的には、Soxファミリーからの少なくとも1つのメンバー及びOctファミリーからの少なくとも1つのメンバーの発現又はそれらに対する暴露を必要とする。Sox及びOctは、ES細胞正体を特定する転写調節規定の中心にあると思われる。例えば、SoxはSox−1、Sox−2、Sox−3、Sox−15又は Sox−18であり得;OctはOct−4であり得る。追加の因子、例えばNanog、lin28、Klf4又はc−Mycは、再プログラミング効率を高めることができ、再プログラミング因子の特定組は、Sox−2、 Oct−4、 Nanog及び任意には、Lin−28を包含する組であり得;又はSox−2、Oct4、Klf及び任意には、c−Mycを包含する組であり得る。

ES細胞のように、IPS細胞は、SSEA−1、SSEA−3及び SSEA−4(Developmental Studies Hybridoma Bank, National Institute of Child Health and Human Development, Bethesda Md.)、並びにTRA−1−60及びTRA−1−81(Andrews et al., 1987)に対する抗体を用いて、免疫組織化学又は流動細胞計測により同定されるか又は確認され得る特徴的抗原を有する。胚幹細胞の多分化能性は、生後8〜12週の雄SCIDマウスの後脚筋肉中に約0.5〜10×106個の細胞を注入することにより確かめられ得る。3種の胚葉の個々の少なくとも1つの細胞型を示す奇形腫が進行する。

本発明のある観点によれば、iPS細胞は、上記のようにKlf又はNanogと組合して、Octファミリーメンバー及びSoxファミリーメンバー、例えばOct4及びSox2を含む再プログラミング因子を用いて、再プログラミング体細胞から製造される。本発明の体細胞は、多分化能性に誘発され得るいずれかの体細胞、例えば線維芽細胞、ケラチノサイト、造血細胞、間葉細胞、肝臓細胞、胃細胞又はβ細胞であり得る。ある観点によれば、T細胞もまた、再プログラミングのための体細胞源として使用され得る(参照により本明細書に組込まれる、アメリカ出願番号第61/184,546号を参照のこと)。

再プログラミング因子は、1又は2以上のベクター、例えば組込み型ベクター又はエピソームベクター、例えばEBV要素に基づくシステムに含まれる発現カセットから発現され得る(参照により本明細書に組込まれる、アメリカ出願番号第12/478,154号を参照のこと; Yu et al, 2009)。さらなる観点によれば、再プログラミングタンパク質は、タンパク質トランスダクション(参照により本明細書に組込まれる、アメリカ出願番号第12/723,063号を参照のこと)又はRNAトランスフェクション(アメリカ出願番号第12/735,060号を参照のこと)により、体細胞中に直接導入され得る。 C.体細胞核トランスファーに由来する胚幹細胞

多分化能性幹細胞は、体細胞核トランスファーにより調製され得、ここでドナー核が無紡錘体卵母細胞中にトランスファーされる。核トランスファーにより生成される幹細胞は、ドナー核と遺伝学的に同一である。1つの方法によれば、赤毛ザルの皮膚線維芽細胞からのドナー線維芽細胞核が、電気融合により、無紡錘体成熟中期II赤毛ザル卵母細胞の細胞質中に導入される(Byrne et al., 2007)。融合された卵母細胞が、イオノマイシンへの暴露により活性化され、次に、胚盤胞段階までインキュベートされる。次に、選択された胚盤胞の内部細胞塊が培養され、胚幹細胞系が生成される。胚幹細胞系は、正常なES細胞形態を示し、種々の細胞メーカーを発現し、そしてin vitro及びin vivoで多細胞型に分化する。用語「ES細胞(ES cells)」とは、本明細書において使用される場合、受精核を含む胚に由来する胚幹細胞を言及する。ES細胞は、核トランスファーにより生成される胚幹細胞とは区別され、それは、「体細胞核トランスファーにより誘導される胚幹細胞」として言及される。 VI.心筋細胞の特徴化

心筋細胞は多くの表現型基準に従って特徴づけられ、例えば心筋細胞は精製され又は単離され得、又は他方では、培養下での心筋細胞の純度は培養下での心筋細胞の検出に基づいて決定され得る。幹細胞、例えば多分化性幹細胞に由来する心筋細胞は、他源からの心筋細胞の形態学的特徴を有する。それらは、紡錘型、丸型、三形又は多重角に形状化され得、そしてそれは、免疫染色により検出できるサルコメア構造の特徴を示す条線を示すことができる。それらは平らな細胞シートを形成するか、又は懸濁下で基質又はフロートに結合したまま留まる凝集体を形成でき、これは、電子顕微鏡により試験される場合、典型的なサルコマー及び心房顆粒を示す。

例えば、心筋細胞の純度は、心筋細胞−特異的マーカーのプロモーターの制御下で外因性マーカー遺伝子を発現するか、又は内因性心筋細胞−特異的マーカーを発現する心筋細胞を検出することにより決定され得る。さらなる観点によれば、そのような検出は、本発明のある観点に記載される培地での長期間貯蔵のための心筋細胞を単離するか又は精製するために使用され得る。

例えば、心筋細胞−特異的マーカーは次のものを包含する:

心臓トロポニンI(cTnI)、すなわち横紋筋収縮の調節のためのカルシウム感受性分子スイッチを提供するトロポニン複合体のサブユニット。

心臓トロポニンT(cTnT)。

Nkx2.5、すなわち発生心臓において持続する、初期マウス発生の間、心臓中胚葉において発現される心臓転写因子。

心房ナトリウム利尿因子(ANF)、すなわち発生する心臓及び胎児心筋細胞において発現するか、しかし成人においてはダウン−レギュレートされるホルモン。それは心筋細胞のための良好なマーカーと思われる。なぜならば、それは心臓細胞において高い特異的態様で発現されるが、しかし骨格筋細胞においては発現されないからである。

ミオシンH鎖(MHC)、特に心臓特異的であるβ鎖。

チチン、トロポミオシン、α−サルコメアアクチニン及びデスミン。

GATA−4、すなわち心臓中胚葉において高く発現され、そして発生心臓において持続する転写因子。それは、多くの心臓遺伝子を調節し、そして心臓発生において役割を演じる。

MEF−2A、MEF−2B、MEF−2C、MEF−2D;心臓中胚葉において発現され、そして発生心臓において持続する転写因子。

心臓細胞間での付着に介在するN−カドヘリン。

心筋細胞間でギャップ機能を形成するコネキシン43。

β1−アドレナリン受容体(β1−AR)。

心筋梗塞に続いて血清において高められる、クレアチンキナーゼMB(CK−MB)及びミオグロビン。

α−心臓アクチン、初期成長応答−I、及びサイクリンD2。

心筋細胞−特異的マーカーは、いずれかの適切な免疫学的技法を用いて検出され、例えば細胞表面マーカーについては、フロ−イムノサイメトリー又は親和性吸着法を用いて、細胞内又は細胞表面マーカーについては免疫細胞化学法(例えば、固定された細胞又は組織断片の)を用いて、細胞抽出物についてはウェスターンブロット分析を用いて、及び培地中に分泌される細胞抽出物又は生成物については酵素結合イムノアッセイを用いて検出され得る。心臓マーカー、例えばcTnI及びcTnTを他のイソ形から区別する抗体は、Sigma and Spectral Diagnosticsのようなサプライヤーから市販されている。細胞による抗原の発現は、有意に検出できる量の抗体が抗原に結合される場合、任意には細胞の固定化の後、標準の免疫細胞化学又は流動細胞計測アッセイにより、及び任意には、ラベルされた第2抗体を用いて、抗体−検出できると言われる。

心筋細胞−特異的遺伝子生成物の発現はまた、ノザンプロット分析、ドット−ブロットハイブリダイゼーション分析、又は公的に入手できる配列データ(GenBank)を用いて、標準の増幅方法での配列−特異的プライマーを用いての逆転写酵素開始されたポリメラーゼ鎖反応(RT−PCR)により、mRNAレベルで検出され得る。タンパク質又はmRNAレベルで検出されるような組織−特異的マーカーの発現は、そのレベルが、対照細胞、例えば未分化多分化能性幹細胞又は他の無関係細胞型のレベルの少なくとも又は約2、3、4、5、6、7、8又は9倍、及びより特定には、10、20、30、40又は50倍以上である場合、陽性として見なされる。

マーカーが所望する表現型の細胞表面上に同定されると、それは、種々の技法、例えばイムノパニング又は抗体−介在性蛍光−活性化された細胞分類により、その集団をさらに富化する免疫選択のために使用され得る。

適切な環境下で、多分化能性幹細胞−由来の心筋細胞はしばしば、自発的周期的収縮活性を示す。これは、それらが適切なCa2+濃度及び電解質バランスを伴って適切な組織培養環境下で培養される場合、培養培地へのいずれか追加の成分を添加しないで、細胞の1つの軸を通して収縮し、そして次に収縮から解放することが観察されることを意味する。収縮は周期的であり、このことは、それらが通常の緩衝液下で、約6〜200の収縮/分、及びしばしば、約20〜約90の収縮/分の頻度で、規則的又は不規則的基準に基づいて反復することを意味する。個々の細胞は、それら自体、自発的周期的収縮活性を示すか、又はそれらは、組織、細胞凝集体、又は培養された細胞塊における隣接する細胞と協力して自発的周期的収縮活性を示すことができる。

細胞の収縮活性は、収縮の性質及び頻度に対する培養条件の影響に従って特徴づけられ得る。利用できるCa2+濃度を低めるか、又は他方では、Ca2+のトランスメンブラン輸送を妨げる化合物はしばしば、収縮活性に影響を及ぼす。例えば、L−タイプカルシウムチャネルブロッカージルチアゼムは、用量依存性態様で収縮活性を阻害する。他方では、イソプレナリン及びフェニレフリンのようなアドレナリン受容体は、正の変時効果を有する。細胞の機能的性質のさらなる特徴化は、Na+、K+及びCa2+についてのチャネルの特徴を包含する。電気生理学が、活動電位のような心筋細胞についてのパッチクランプ分析により研究され得る。

機能的特性は、in vitroでの細胞及びそれらの前駆体の特徴づけ手段を提供するが、しかしこの開示に言及されるいくつかの使用については必ずしも必要ではない。例えば、機能的又は電気生理学性質のすべてではないが、上記に列挙されるマーカーのいくつかを担持する細胞について富化された混合細胞集団は、それらが傷害のある心臓組織に移植でき、そして心臓機能を補充するために必要とされる機能的性質をin vivoで得ることができる場合、相当の治療効果の1つであり得る。 VII.細胞の遺伝子変更

ある観点によれば、本発明の細胞は、分化の前又は後、遺伝子工学により、細胞中の1又は2以上の遺伝子変更を含むよう構築され得る(アメリカ公開番号2002/0168766号)。細胞は、ポリヌクレオチドが人工的操作のいずれかの適切な手段により細胞中にトランスファーされた場合、又は細胞が前記ポリヌクレオチドを受け継いだ元の変更された細胞の子孫である場合、「遺伝子変更された」又は「トランスジェニック性」であると言われる。例えば、細胞は、それらが制限された発生系統細胞又は最終分化細胞に進行する前又は後、テロメラーゼ逆転写酵素を発現するよう細胞を遺伝子変更することにより、それらの複製能力を高めるよう処理され得る(アメリカ公開番号第2003/0022367号)。

本発明の細胞はまた、組織再生に関与されるそれらの能力を増強するか、又は投与の部位に治療遺伝子を供給するために、遺伝子変更され得る。ベクターは、分化細胞型においてパン−特異的であるか又は特異的活性であるプロモーターに対して操作的に結合される所望する遺伝子についての既知のコード配列を用いて、企画される。種々のタイプの1又は2以上の成長因子、例えばFGF、心臓作用性因子、例えば心房ナトリウム利尿因子、クリプト及び心臓転写調節因子、例えばGATA−4、Nkx2.5及びMEF2−Cを発現するよう遺伝子変更される細胞が特に興味の対象である。投与の部位でのそれらの因子の生成は、機能的表現型の作用を促進し、投与された細胞の有益な効果を増強し、又は処置部位に隣接する宿主細胞の増殖又は活性を高めることができる。

本発明のある観点によれば、本発明の核酸コンストラクトを含む細胞は、発現ベクターに1つのマーカー、例えば選択可能又はスクリーン可能マーカーを含むことにより、in vitro又はin vivoで同定され得る。そのようなマーカーは、発現ベクターを含む細胞の容易な同定を可能にする細胞に、同定できる変化を付与するか、又は心筋細胞−特異的プロモーター、例えば心臓トロポニンT(cTnT)、α−ミオシンH鎖(MYH6)、ミオシンL鎖−2v(MLC−2v)、GATA−4、Nkx2.5、N−カドヘリン、β1−アドレナリン受容体、転写因子のMEF−2ファミリー、クレアチンキナーゼMB(CK−MB)、ミオグロビン、又は心房ナトリウム利尿因子(ANF)のプロモーターを用いることにより、分化心臓細胞の富化又は同定を助けるであろう。

一般的に、選択マーカーは、選択を可能にする性質を付与するマーカーである。正の選択マーカーは、そのマーカーの存在がその選択を可能にするマーカーであり、そして負の選択マーカーは、その存在がその選択を妨げるマーカーである。正の選択マーカーの例は、薬物耐性マーカーである。

通常、薬物選択マーカーの包含は、形質転換体のクローニング及び同定を助け、例えばネオマイシン、プロマイシン、ヒグロマイシン、ブラスチシジン、DHFR、GPT、ゼオシン及びヒスチジノールに対する耐性を付与する遺伝子が有用な選択マーカーである。

条件の遂行に基づいて形質転換の識別を可能にする表現型を付与するマーカーの他に、他のタイプのマーカー、例えばスクリー可能マーカー、例えばGFP(それらの基準は比色分析である)もまた、企画される。

そのようなスクリー可能マーカーの例は、細胞表面タンパク質(例えば、CD4、HAエピトープ)、蛍光タンパク質、抗原決定因子及び酵素(例えば、β−ガラクトシダーゼ)をコードする遺伝子を包含する。ベクター包含細胞は、例えばベクターコード酵素により蛍光生成物に転換され得る細胞表面タンパク質又は基質に対する蛍光標識された抗体を用いて、FACSにより単離され得る。

特定の態様によれば、スクリーン可能マーカーは蛍光タンパク質をコードする。ほとんどの可視光スペクトルに及ぶ蛍光放射スペクトルプロフィールを特徴とする、広範囲の蛍光タンパク質遺伝子変異体が開発されて来た(非制限例については表1を参照のこと)。オリジナルアエクロレア・ビクトリア(Aequorea victoria)クラゲの緑色蛍光タンパク質の突然変異誘導の努力は、青色〜黄色の範囲の新規蛍光プローブをもたらしており、そしてそれらは生物学的研究において最も広く使用されるin vivoレポーター分子のいくつかである。オレンジ色〜赤色スペクトル領域で放射する長い波長の蛍光タンパク質が、イソギンチャク、ディスコソマ・ストリアタ(Discosoma striata)、及び花虫網(Class Anchozoa)に属するサンゴから開発されて来た。

他方では、スクリーン可能酵素、例えばクロラムフェニルコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)が使用され得る。当業者はまた、たぶんFACS分析に関して、免疫学的マーカーをいかにして用いるかも知っている。使用されるマーカーは、それが遺伝子生成物をコードする核酸と同時に発現され得る限り、重要であるとは思われない。選択可能及びスクリーン可能マーカーのさらなる例は、当業者に良く知られている。 VIII.培養された心筋細胞の使用

本発明のある観点は、心筋細胞系統の細胞を培養する方法を提供する。本発明の培養方法又は培地は、心筋細胞の機能的性質に影響を及ぼす。例えば、培養培地は、拍動速度を促進するか、又は拍動率振動の発生を低める。そのような培養された心筋細胞は、多くの重要な研究、開発及び商業的目的のために使用され得る。

本発明の心筋細胞は、そのような細胞及びそれらの種々の子孫の特徴、例えば拍動周波数及び拍動率振動に影響を及ぼす因子(例えば、溶媒、小分子薬物、ペプチド、オリゴヌクレオチド)又は環境条件(例えば、培養条件又は操作)についてスクリーンするために商業的に使用され得る。上記のような培養培地は拍動周波数を高め、そして拍動率振動の発生を低めることができ、それにより、拍動周波数記録の安定性を高めることができる。

ある観点によれば、心筋細胞は、a)心筋細胞の通常の拍動周波数;b)拍動する心筋細胞の通常のフィールドポテンシャル持続時間;c)拍動周波数に影響を及ぼすことができる化合物により処理された心筋細胞の拍動周波数;又はd)フィールドポテンシャル持続時間に影響を及ぼすことができる化合物により処理された心筋細胞のフィールドポテンシャル持続時間を促進するために、上記培地中で培養され得る。

心筋細胞の拍動(収縮)周波数は、培養培地のpH、温度又はモジュレーター薬物により調節され得る。典型的な非制限モジュレーター薬物は、カテコラミン、カルシウムチャネルブロッカー又はカリウムを包含する。

心筋細胞、及び心筋細胞集団、例えばそのいずれかの発生、成熟又は分化段階の富化された又は選択された心筋細胞は、心臓作用剤をスクリーンするために又は同定するために使用され得る。種々の非制限的態様によれば、スクリーン又は同定方法に使用される心筋細胞集団は、結節性、洞房性又はペースメーカー細胞、成熟収縮心筋細胞、未成熟心筋細胞(心臓芽)、又はそれらの混合集団を包含する。

細胞機能の効果は、心筋細胞の表現型又は活性、例えば細胞培養における又はin vivoでマーカー発現、受容体結合、収縮活性又は電気生理学を観察するために、いずれかの標準アッセイを用いて評価され得る。医薬候補体がまた、収縮活性に対するそれらの効果について、例えばそれらが収縮の程度又は頻度を高めるか又は低めるかどうかについて試験され得る。効果が観察される場合、化合物の濃度が滴定され、中央有効量(ED50)が決定される。

ある観点によれば、本発明のある観点に従って培地において培養された心筋細胞を用いて、心筋細胞の機能的性質、特に心臓特異的電気活性、例えば拍動周波数又はフィールドポテンシャルを測定できる。

本発明の細胞及び組織の心臓特異的電気活性の検出は、多電極アレイを通して、その電気活性をモニターすることによりもたらされ得る。適切な多電極アレイは、Multi Channel Systems Reutlingen, Germanyから入手され得る。例えば、多電気極アレイは、100μm又はそれ以下離れて位置する60又はそれ以上の電極を包含する二次元直交配列であり得る。ある観点によれば、多電極アレイは、1〜25kHzから選択された範囲よりも高い周波数を有する心臓特異的電気活性を特徴づけるデータを入手するために構成される。

本発明の細胞及び組織における電気活性のモニターリングを用いて、本発明の細胞及び組織の電気活性に関する、多くの異なったタイプの重要且つ新規の情報を提供することができる。例えば、そのようなモニターリングは、個々の電極でそれぞれ電気活性をモニターするために使用され得るか、又はより好都合には、そのようなモニターリングは、例えば色分けされた勾配の形で、個々の電極での局部活性化時間の関数として電気活性を示す、電気活性伝播地図(本明細書においては、「活性化地図」とも呼ばれる)を生成するために使用され得る。そのような活性化地図を用いて、マイクロ電極アレイの領域にわたっての電気活性伝播の伝播性電気活性の電導速度及び電導方向性を、好ましくは伝道速度ベクターの形で示すことができる。

本発明のある観点によれば、心臓作用剤のスクリーニング及び同定方法がまた提供される。一能様によれば、1つの方法は心筋細胞と試験剤とを接触し、そして試験剤が集団内の心筋細胞の活性又は機能を調節するかどうかを決定することを包含する。集団内の心筋細胞の活性又は機能を調節する試験剤は、心臓作用剤としてその試験剤を同定する。調節され得る典型的な活性又は機能は、収縮又は拍動、代謝生成物の生成(例えば、1又は2以上のウレア、クレアチン又はCO2の生成)、又は細胞内酵素(例えば、1又は2以上の乳酸デヒドロゲナーゼ、クレアチンホスホキナーゼ(CPK)、クレアチンキナーゼ(CK)又はトロポニン)、又は細胞アポプトーシス、壊死、死、又は脱分化、成熟又は分裂を包含する。

心臓作用剤のスクリーニング及び同定方法は、任意には、予備決定された位置又はアドレスに位置するか又は配置される心筋細胞のアレイ(例えば、マイクロアレイ)を包含する、高処理能力のスクリーニングのために適切なそれらを包含する。高処理能力のロボット又は手動方法は、化学的相互作用をプローブでき、そして短時間で多くの遺伝子の発現レベルを決定できる。分子シグナル(例えば蛍光団)、及び非常に早い速度で情報を処理する自動分析を利用する技法が開発されて来た(例えば、Pinhasov et al., 2004を参照のこと)。例えば、マイクロアレイ技術は、特定遺伝子についての情報を提供しながら、数千の遺伝子の相互作用を一度にプローブするために広く使用されて来た(例えば、Mocellinand Rossi, 2007を参照のこと)。

そのような高処理能力のスクリーニング方法は、心臓作用剤を同定できる。例えば、心筋細胞(例えば、心筋芽細胞、心筋細胞又は洞房結節細胞)は、可能性ある治療分子の同定のために、任意には定義された位置で、培養皿、管、フラスコ、ローラーボトル又はプレート(例えば、単一の多ウェルプレート又は皿、例えば8,16,32,64,96,384及び1536の多ウェルプレート又は皿)上に配置されるか又はプレートされ得る(予備接種される)。スクリーンされ得るライブラリーは例えば、小分子ライブラリー、siRNAライブラリー、及びアデノウィルストランスフェクションベクターを包含する。

従って、そのような高処理能力の方法はまた、予測毒物学にも適用できる。任意には定義される位置で、培養皿、管、フラスコ、ローラーボトル又はプレート(例えば、単一の多ウェルプレート又は皿、例えば8,16,32,64,96,384及び1536の多ウェルプレート又は皿)上に位置するか又はプレートされる(予備接種される)心筋細胞(例えば、心筋芽細胞、心筋細胞、又は洞房結節細胞)の、小分子ライブラリー、siRNAライブラリー、アデノウィルストランスフェクションベクター及び遺伝子に基づくマイクロアレイアプローチを用いての高処理能力又は高満足性のスーニングのためへの使用は、種々の治療及び心臓負荷標的物を同定することができる。そのような技法はまた、細胞健康及び形態学的表現型、蛍光レポータータンパク質の発現、種々のFRETアプローチ、及び生存細胞における電気生理学的電流の直接的測定のための蛍光レポーター色素及びバイオマーカーによる、心臓介在性方策の直接的高処理能力の測定を可能にする。

次の実施例は、本発明の好ましい態様を例示するために包含される。次の実施例に開示される技法は、本発明の実施において良く機能する、本発明者により発見された技法を表し、そして従って、その実施のための好ましい様式を構成すると思われることが、当業者により理解されるべきである。しかしながら、当業者は、本発明の精神及び範囲を逸脱しないで、多くの変更が開示される特定態様において行われ、そして同様の又は類似する結果を得ることができることを、本開示の観点から理解すべきである。 実施例1−培地の配合及び調製

定義される無血清無グルコース(SFGF)培地を、in vitroで増殖する心筋細胞の生存性を維持するよう企画した。その培地をまた、in vitroで増殖する心筋細胞の純度を維持するよう企画した。標準レベルのグルコース及び正常血清を含む培養培地は、非心筋細胞集団の成長を誘発する。この培地は、少なくとも2週間、培養物中の心筋細胞を維持する。

無血清無グルコース(SFGF)培地は、次のものを含む: 98.4% DMEM (無グルコース) Invitrogen −11966−025 10mMのガラクトース−Sigma G5388 1 mMのピルビン酸ナトリウム−Sigma P4562 5mMのクレアチン−Sigma 27890 2mMのクレアチン−Sigma C0283 5mMのタウリン− Sigma T8691 2.5μMのインスリン−Sigma 19278 0.2%のウシ血アルブミン−Sigma A9576 1mMのL−グルタミン− Invitrogen 21051 1%DPBS− Invitrogen 14190 0.1mMの L−グルタミン−Invitrogen 21051 7 μLのβ−メルカプトエタノール−Sigma M7522。

クレアチン原液:Sigmaカタログ番号27890−100G: 100mlのDMEM−グルコース−ピルベート中、50mMのクレオチンの調製。 90mlのDMEM−グルコース−ピルベートに0.656gのクレアチンを添加し、そしてさらに添加し、全体を100mlにする。

カルニチン原液: Sigmaカタログ番号C0283−25G: 25mlのDMEM −グルコース−ピルベート中、 500mMのカルニチンの調製。20mlのDMEM −グルコース−ピルベートに2.47lgのカルニチンを添加し、そしてさらに添加し、全体を25mlにする。

タウリン原液: Sigmaカタログ番号T8691−100G: 50mlのDMEM −グルコース−ピルベート中、 250mMのタウリンの調製。45mlのDMEM −グルコース−ピルベートに1.564gのタウリンを添加し、そしてさらに添加し、全体を50mlにする。

インスリン原液: Sigmaカタログ番号I9278−5ML: 10 mg/ml (又は25 mM) 原液; 使用準備済み。

BSA原液: Sigmaカタログ番号A9576−50 ml: DPBS中、30%; 使用準備済み。

DMEM −グルコース−ピルベート: Invitrogenカタログ番号11966−024:

L−グルタミン原液:過使用に基づいて調製する: 0.146gの L−グルタミン− Invitrogen21051。 10mlの無Ca/Mg PBS − Invitrogen14190。 7μlの β−メルカプトエタノール − Sigma M7522。

SFGF培地は、グルコースをほとんど又はまったく有さず、そしてエネルギー源としてガラクトースを含む培地を要求した3のパーティーによる使用のために、本発明者により、最初に企画された。本発明者は、本明細書に記載される他の企画観点を用いて、そのような培地を調製し、そして驚くべきことには、心筋細胞の細胞均一性を維持するそのような培地の能力、及び本明細書に記載される他の所望する特性を発見した。

iCell心臓維持培地(iCell Cardiac Maintenance Medium)(i CMM)はまた、DS−CMM(透析された血清心臓維持培地(Dialyzed Serum Cardiac Maintenance Midium))としても知られている。DS−CMMは、CMMと同じ配合を有するが、但しグルコース又はピルビン酸ナトリウムを有さないDMEMは、使用される基礎培地であり、そして透析された血清、ガラクトース及びピルビン酸ナトリウムが添加される。

DS−CMMは、心筋細胞培養物の純度を維持するよう企画された低グルコース含有培地である。これは、精製工程、及び心筋細胞が培養下で分析又は増殖しない事実(ところが、汚染性細胞は分裂し又は増殖する)のために必要である。

この血清含有培地は、in vitroで増殖する心筋細胞の生存性を維持するよう企画される。培地はまた、in vitroで増殖する心筋細胞純度を維持するよう企画された。標準レベルのグルコース及び正常血清を有する培養培地は、非心筋細胞集団の増殖を誘発する。この培地は、少なくとも2週間、培養物の心筋細胞純度を維持する。

培地(DS−CMM)は次のものを含む: 90% DMEM (無グルコース) Invitrogen −11966−025; 10%透析されたウシ胎児血清−Millipore SH30079; 10mMのガラクトース− Sigma G5388; 1mM のピルビン酸ナトリウム−Sigma P4562。

DMEM −グルコース−ピルベート: Invitrogenカタログ番号11966−025;

ガラクトース原液: 500 mMの溶液。4.5gのガラクトースを計量し、DMEM −グルコース−ピルベートを50mlにする。

ピルビン酸ナトリウム原液: 100mM の溶液。550mgを計量し、DMEM −グルコース−ピルベートを50mlにする。

透析された血清: HyClone SH30079。

対照として、CMM(心臓維持培地(Cardiac Maintenance Medium))が使用され得る。このCMM培地は、分化工程の間に使用され、そして後−凍結保存された細胞についてのプレート実験のためのデフォルト(対照)培地として使用された。この培地は、DMEM(Gibco 10567)及びウシ胎児血清(Hyclone SH30396)を含む。

実施例のための計量及び定義:

「接種密度(Seeding density)」とは、培養容器に添加される心筋細胞の数を言及する。細胞数及び純度により計算される。

「プレーチィング密度(Plating density)」とは、48時間後、培養容器に接触する心筋細胞の数を言及する。細胞数及び純度により計算される。

「プレーチィング効率(Plating efficiency)」とは、培養容器に接触する心筋細胞の百分率を言及する(接種密度により割算されたプレーチィング密度)。細胞数及び純度により計算される。

「純度(Purity)」とは、所定の培養条件下で心筋細胞の百分率を言及する。これは、心筋細胞−特異的プロモーターにより駆動されるRFPを発現するiPS細胞系に由来する心筋細胞培養におけるRFP陽性細胞の百分率を定量化することにより、又は心筋細胞培養における心筋トロポニンT陽性細胞の百分率を定量化することにより測定され得る。 実施例2−心筋細胞純度を維持する培地

この実施例に使用されるiCell心筋細胞は、ヒト誘発された多分化能性幹(iPS)細胞由来の心筋細胞の精製された集団である。iPS開始材料は、MYH6(αミオシンH鎖)の心筋細胞−特異的プロモーターにより駆動される遺伝子修飾を有し、それにより、製造工程の間、精製のために使用される、赤色蛍光タンパク質(RFP)及びブラスチシジン耐性遺伝子が発現される。心筋細胞は培養下で増殖しないので、その純度は非常に重要なものである。存在するいずれかの非心筋細胞は培養下で分裂し続けることができ、その結果、心筋細胞培養物純度は時間と共に一定して低下する。 細胞を、凍結保存及び最終使用の前、流動細胞計測により測定して95%超のRFP陽性まで精製した。次に、細胞を融解し、培養容器中に接種し、そして実験のために有用であると判断する前に48時間、回復させた。

心臓維持培養(CMM)は、特に断らない限り、iCell心筋細胞のためのデフォルト融解/プレーティング及び培養培地として使用された。CMMは製造工程の間、使用される。CMMは、10%ウシ胎児血清(FBS)及びDMEM培養培地により製造される。

無血清無グルコース培地(SFGF)はin vitroで心筋細胞純度を維持する:10%ウシ胎児血清及び5.5mMのグルコースを含む標準条件下で培養される場合、高く精製された(>99%)心筋細胞は、汚染性細胞の増殖のために、すばやく純度を失う。比較すると、グルコース又は血清なしで調製された培地は、汚染性細胞の増殖を阻害し、培養純度を効果的に維持しながら(図1B)、同等の心筋細胞生存性を支持する(図1A)。

DS−CMM培地(iCMM)はin vitroで心筋細胞純度を維持する:心筋細胞についての意図される使用のいくつかは、血清が存在するが、しかし心筋細胞純度もまた維持されることを必要とする。ここで、ガラクトース及びピルビン酸ナトリウムにより補充された、10%透析された血清(10,000MWカットオフ)から構成される無グルコースDMEM培地(DS−CMM)は、対照条件(CMM)に対して同等の心筋細胞生存性を維持する(図2A)。DS−CMM培地はまた、汚染性細胞の増殖を阻害し、高い心筋細胞純度で培養物を維持する(図2B)。DS−CMMは、拡張された時間、培養における心筋細胞の純度を維持する。心筋細胞は、心臓トリポニンT流動細胞計測により測定される場合、ほとんどか又はまったく純度の低下を伴わないで、7ヶ月まで(210日)の間、DS−CMMにおいて培養された(図2C)。

iCMM対SFGF対CMM:細胞をCMMに接種し、そして24時間で、実験培地に移した(図3)。細胞数及び純度を7日目でアッセイした。この実験は、SFGF培地及びiCMMが高い心筋細胞生存性及び純度を、培養の7日後、促進することを示す。

透析された血清は汚染性細胞の増殖を阻害する:汚染性細胞の増殖を阻害する主要成分を決定するために、本発明者は、透析された血清の役割及び培養培地におけるグルコースの役割を試験し、そして透析された血清が汚染性細胞の増殖を阻害することを見出した(図4)。4種の培地タイプを、グルコース濃度を変えることにより及び正常ウシ胎児血清又は添加される透析されたウシ胎児血清のいずれかにより調製した。心筋細胞を4種の実験培地にプレートし、そして2及び7日後、心筋細胞純度についてアッセイした。4種の培地は次の通りである:1.DMEM、正常血清(CMMとしても知られている)−5.5mMのグルコース;2.DMEM−グルコース、正常血清−0.55mMのグルコース;3.DMEM、透析された血清−4.95mMのグルコース;4.DMEM−グルコース、透析された血清(DS−CMM;iCMMとして知られている)−ほぼ0mMのグルコース。

グルコース濃度が心筋細胞純度に対してより低い程度、影響を及ぼす:同じタイプの血清により調製された条件が比較される場合、そのデータは、低いグルコース濃度による条件が高い純度を維持するが、しかしグルコース濃度の効果は、透析された血清効果に比較して、最小であることを示す。DMEM及び透析された血清により調製された培地(グルコースを実質的に含まないが[iCMM]又は4.95mMのグルコースを実質的に含む[DMEM−透析された血清])において培養された細胞の心筋細胞純度を比較する場合、グルコースを実質的に欠く条件(iCMM)は有意に高い心筋細胞純度(p=0.004)を維持した(図5A)。正常血清及び種々のレベルのグルコースにより行われた処理が比較される場合、低いグルコース濃度による条件(DMEM−グルコース、正常血清;「グルコース」=0.55mM)が、高いグルコース含有培地(DMEM、正常血清;「グルコース」=5.5mM)よりも高い心筋細胞培養純度を維持する(図5B)。

無血清無グルコース培地は血清含有培地よりも早い拍動単層を生成する:無血清無グルコース(SFGF)培地において培養された単層は、FBS含有培地において培養された単層よりも早く拍動する。FBS含有培地において培養された単層は、SFGFにおける0.56Hzに比較して、0.34Hzの平均周波数で拍動する(図6)。心筋細胞を、ウシ胎児血清含有培地又はSFGFのいずれかを含む組織培養フラスコにおいて3日間、予備プレートした。次に、それらの培養物をトリプシン処理し、そしてウシ胎児血清を含む培地又はSFGF培地のいずれかを有する6−ウェル多電極アレイ(MEA)プレート上に30,000個の細胞/ウェルで3日間プレートした。拍動率(周波数)を、5分間にわたて測定した。このデータは、SFGF培地において培養されたMEA単層がより急速に拍動することを示す。高められた拍動周波数は、MEA心筋細胞拍動周波数分析において生じ得る拍動率振動の発生を低め、それにより、MEA−介在性拍動周波数記録の安定性を高める。

本明細書に開示され、そして請求されるすべての方法は、本開示の観点から過度の実験を伴わないで作成し、そして実施され得る。本発明の組成物及び方法は好ましい態様の点で記載されて来たが、種々の変動が、本発明の概念、精神及び範囲から逸脱することなく、前記方法及び本明細書に記載される方法の段階又は段階の順序に適用され得ることが当業者に明らかであろう。より特定には、化学的に及び生理学的に関連するある剤が、本明細書に記載される剤により置換され得るが、しかし同じか又は類似する結果が達成されることは明らかであろう。当業者に明らかなそのようなすべての類似する置換体及び修飾は、付随する請求項により定義されるように、本発明の精神、範囲及び概念内にあると思われる。

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