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樹木を原料として用いたアルコールを製造する方法、及びそれによって得られたアルコール溶液

申请号 JP2013516423 申请日 2012-05-23 公开(公告)号 JPWO2012161230A1 公开(公告)日 2014-07-31
申请人 有限会社メイショウ; 藤澤環境開発株式会社; 发明人 薫 御手洗; 薫 御手洗; 坂井 美穂; 美穂 坂井; 賢二 松井; 賢二 松井;
摘要 発酵が困難な樹木を発酵させ、 燃料 用アルコールや食糧として利用可能なアルコールを生成する方法であって、目的の樹木にMRE共生菌群である有胞子好気性細菌の胞子形成に伴う細胞融解で生じる母細胞融解酵素群を適用し、これにより前記樹木を粉末状に分解して樹木分解物を得る工程、前記樹木分解物を滅菌する工程、前記滅菌された樹木分解物に麹菌を適用して一次発酵する工程、前記一次発酵によって得られた発酵液に 酵母 菌を添加して二次発酵する工程、及び前記二次発酵によって得られた発酵液をろ過する工程を有し、前記母細胞融解酵素群は、前記MRE共生菌群である有胞子好気性細菌を培養して得られた培養液を飢餓状態におくことにより当該細菌を内胞子化させ、該培養液から当該内胞子化された細菌を含む不純物を除去することにより得られるものであることを特徴とする方法が、提供される。
权利要求
  • 樹木からアルコールを製造する方法であって、
    目的の樹木に、有胞子好気性細菌の胞子形成に伴う細胞融解で生じる母細胞融解酵素群を適用する工程であって、これにより前記樹木を粉末状に分解し、樹木分解物を得るものである、前記適用する工程と、
    前記樹木分解物を滅菌する工程と、
    前記滅菌された樹木分解物に麹菌を適用して一次発酵する工程と、
    前記一次発酵によって得られた発酵液に、酵母菌を添加して二次発酵する工程と、
    前記二次発酵によって得られた発酵液をろ過する工程と を有し、前記母細胞融解酵素群は、前記有胞子好気性細菌を培養し、得られた培養液を飢餓状態におくことにより当該細菌を内胞子化させ、さらにその培養液から当該内胞子化された細菌を含む不純物を除去することによって得られるものであり、
    前記有胞子好気性細菌はMRE共生菌群である、
    ことを特徴とする、方法。
  • 請求項1記載の方法において、
    前記樹木は、タケ、スギ、ヒノキから選択されるものである、
    ことを特徴とする、方法。
  • 請求項1記載の方法において、
    前記麹菌は、Aspergillus amazake、Aspergillus orgzae(NBRC30104)、Aspergillus orgzae(NBRC30113)、Aspergillus cellulosae(NBRC4040)、Aspergillus cellulosae(IFO4297)、Aspergillus usami(NBRC4033)、Aspergillus awamori(NBRC4388)から選択されるものである、
    ことを特徴とする、方法。
  • 請求項1記載の方法において、
    前記酵母菌は、パン酵母、Saccharomyces celevisiae(NBRC0244)、Saccharomyces celevisiae(NBRC0249)、Saccharomyces celevisiae(NBRC0282)、Saccharomyces celevisiae(NBRC2373)、Saccharomyces celevisiae(NBRC2377)、Saccharomyces celevisiae(IFO1728)から選択されるものである、
    ことを特徴とする、方法。
  • 請求項1記載の方法において、
    前記樹木は、前記母細胞融解酵素群および/若しくは前記有胞子好気性細菌の胞子形成によって生成された胞子を含有する分解溶液に浸漬され、当該溶液をエアレーションすることによって分解されるものである ことを特徴とする、方法。
  • 請求項1記載の方法によって得られたアルコール溶液を含有する焼酎。
  • 請求項1記載の方法によって得られるアルコール溶液の製造過程において得られる発酵残渣であって、
    この発行残渣は、前記二次発酵によって得られた発酵液をろ過して得られるものである、
    ことを特徴とする、発酵残渣。
  • 請求項7記載の発酵残渣において、
    前記発酵残渣は、農業用堆肥または家畜飼料として使用されるものである、
    ことを特徴とする、発酵残渣。
  • 说明书全文

    本発明は、樹木からアルコールを製造する方法およびその方法によって得られたアルコール溶液に関する。 具体的には、本発明は、本来発酵が困難な樹木を発酵させることによりアルコールを製造する方法に関する。

    現在、地球温暖化や原油枯渇問題などを背景に世界的に低炭素社会を目指した取り組みが行われている。 その中で、バイオマスを利用したエネルギー生産方法が着目され、特にガソリンに替わるエネルギーとして注目を集めているのがバイオエタノールである。 しかし、バイオエタノールの製造には原料に食糧として用いられるデンプン質・糖質が用いられているため、これらのバイオエタノール生産への転用には、穀物の価格高騰や食糧危機の観点などから限界があると考えられている。

    そこで、食糧と競合しない木質系バイオマスを原料として、セルロースを化学処理および生物の酵素利用等によって、エタノールを生産する方法が研究されている。 しかし、この木質系バイオマスを用いた燃料用アルコール生産においても、大きな障害として生産コストの問題があり、現段階では燃料用アルコールとして用いることは難しいのが現状である。

    一方で、木質系バイオマスを用いて食糧供給に役立てようとする研究も行われている。 例えば、特許文献1では筍皮または若竹を発酵させて肥料を生産しており、また特許文献2ではテアニンなどの成分を有する健康食品成分を生産している。 しかし、特許文献1はあくまで肥料を生産するものであり、食糧を作ることはできない。 また、特許文献2は、嫌気性の菌を使用しているため飲料や調味料には適さないものである。

    また、特許文献3では、健康食品としての竹酢として、従来の竹炭製造に付随する、煙から蒸留して得られる竹酢に含まれるベンツピレンなどの発癌性物質や人体に対する有害物質を含まない竹酢の製造法が提案されている。 しかし、低温減圧での蒸留には5日〜15日という長い時間がかかってしまい、また不純物も多い。 さらに、特許文献4では、麹菌を使ってアルコール発酵を行う方法が提案されているが、特許文献4における原材料は穀物であり、抗菌物質を持つタケ等の樹木の発酵物を作るためには同じ手法をそのまま適応することはできない。

    特開2006−131487

    特開2006−180832

    特開2004−141141

    特許第4113252号

    本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、特有の抗菌物質を持つために発酵が困難な樹木を発酵させ、燃料用アルコールや食糧として利用可能なアルコールを生成することを目的とする。 また、硫酸などの薬品を使った化学処理を一切行わず、自然界に元々存在する菌を用いて飲料用アルコールを醸造することにより、人体に悪影響を及ぼさず、安全なアルコール飲料およびアルコール含有食糧を提供することを目的とする。

    さらに、本発明は、薬品処理や菌の遺伝子組換えを行わないことで、アルコール発酵後に出される発酵残渣や発酵後液等を家畜の飼料や植物用肥料として使用することにより、従来のアルコール発酵飲料製造において少なくない廃棄物処理を必要とする残渣を有効に活用することを目的とする。

    本発明は、麹菌または酵母菌が穀物や糠などによる糖質の供給なしに、樹木の分解物から直接、樹木自身のセルロースや糖質のみでアルコール発酵を行うことができるという知見に基づくものである。 本発明者らは、特有の抗菌物質を持ちほとんど栄養がないことにより麹菌や酵母菌の生存・繁殖が困難であり、その結果当該麹菌や酵母菌による発酵が困難であった樹木に、本願発明に係る母細胞融解酵素群を適用することによって、その樹木を原料として麹菌または酵母菌による発酵を可能にすることを見出した。

    したがって、本発明の第一の主要な観点によれば、樹木からアルコールを製造する方法であって、目的の樹木に、有胞子好気性細菌の胞子形成に伴う細胞融解で生じる母細胞融解酵素群を適用する工程であって、これにより前記樹木を粉末状に分解し、樹木分解物を得るものである、前記適用する工程と、前記樹木分解物を滅菌する工程と、前記滅菌された樹木分解物に麹菌を適用して一次発酵する工程と、前記一次発酵によって得られた発酵液に、酵母菌を添加して二次発酵する工程と、前記二次発酵によって得られた発酵液をろ過する工程とを有し、前記母細胞融解酵素群は、前記有胞子好気性細菌を培養し、得られた培養液を飢餓状態におくことにより当該細菌を内胞子化させ、さらにその培養液から当該内胞子化された細菌を含む不� ��物を除去することによって得られるものであり、前記有胞子好気性細菌はMRE共生菌群である、ことを特徴とする、方法が提供される。

    このような構成によれば、穀物や糠などの糖質の供給なしに、樹木の分解物から直接、麹菌や酵母菌によって樹木自身のセルロースや糖質のみでアルコール発酵する方法を提供することができる。 また、本発明によれば、アルコール原料となる樹木分解物は滅菌されるだけであるため、生成されるアルコールは樹木本来の成分を保持しており、また樹木の香りも保持したアルコールを提供することができる。

    また、本発明の一実施形態によれば、このような方法において、前記樹木は、タケ、スギ、ヒノキから選択されるものである。

    また、本発明の別の実施形態によれば、このような方法において、前記麹菌は、Aspergillus amazake、Aspergillus orgzae(NBRC30104)、Aspergillus orgzae(NBRC30113)、Aspergillus cellulosae(NBRC4040)、Aspergillus cellulosae(IFO4297)、Aspergillus usami(NBRC4033)、Aspergillus awamori(NBRC4388)から選択されるものである。

    また、本発明の更に他の実施形態によれば、このような方法において、前記酵母菌は、パン酵母、Saccharomyces celevisiae(NBRC0244)、Saccharomyces celevisiae(NBRC0249)、Saccharomyces celevisiae(NBRC0282)、Saccharomyces celevisiae(NBRC2373)、Saccharomyces celevisiae(NBRC2377)、Saccharomyces celevisiae(IFO1728)から選択されるものである。

    また、本発明の更に別の実施形態によれば、このような方法において、前記樹木は、前記母細胞融解酵素群および/若しくは前記有胞子好気性細菌の胞子形成によって生成された胞子を含有する分解溶液に浸漬され、当該溶液をエアレーションすることによって分解されるものである。

    本発明の第二の主要な観点によれば、上述の方法によって得られたアルコール溶液を含有する焼酎が提供される。

    さらに、本発明の第三の主要な観点によれば、上述の方法によって得られるアルコール溶液の製造過程において得られる発酵残渣であって、この発行残渣は、前記二次発酵によって得られた発酵液をろ過して得られるものである、ことを特徴とする、発酵残渣が提供される。

    本発明の一実施形態によれば、このような発酵残渣において、前記発酵残渣は、農業用堆肥または家畜飼料として使用されるものである。

    なお、上記した以外の本発明の特徴及び顕著な作用・効果は、次の発明の実施形態の項及び図面を参照することで、当業者にとって明確となる。

    図1は、本願発明の一実施形態におけるアルコール発酵のフローシートである。

    図2は、本願発明の一実施形態における糖化後のアルコール発酵のフローシートである。

    図3は、本願発明の一実施形態における菌糸伸長試験のフローシートである。

    図4は、本願発明の一実施形態において、アルコール発酵条件を検討するためのフローシートである。

    図5は、本願発明の一実施形態において、酵母別のアルコール発酵能を検討するためのフローシートである。

    図6は、本願発明の一実施形態において、MRE処理タケによる段仕込みのフローシートである。

    図7は、本願発明の一実施形態において、MRE処理タケに米糀を均一に混合した段仕込みのフローシートである。

    図8は、本願発明の一実施形態において、MRE処理タケに米糀を段階的に減少させながら仕込む段仕込みのフローシートである。

    図9は、本願発明の一実施形態において、MRE処理タケに米糀を段階的に増加させながら仕込む段仕込みのフローシートである。

    図10は、本願発明の一実施形態において、MRE処理タケの大容量発酵実験のフローシートである。

    図11は、本願発明の一実施形態において、麹菌種類別での菌糸伸長試験における10日目の写真である。

    図12は、本願発明の一実施形態において、加率別菌糸伸長試験における10日目の写真である。

    図13は、本願発明の一実施形態において、第1回目の酵母別アルコール発酵能の結果を示すグラフである。

    図14は、本願発明の一実施形態において、グルコース濃度を示すグラフである。

    図15は、本願発明の一実施形態において、第2回目の酵母別アルコール発酵能の結果を示すグラフである。

    図16は、本願発明の一実施形態において、グルコース濃度を示すグラフである。

    図17は、本願発明の一実施形態において、本願発明に係る方法に従ってアルコール発酵を行った結果およびグルコース濃度を示すグラフである。

    図18は、本願発明の一実施形態において、本願発明に係る方法に従ってアルコール発酵を行った結果およびグルコース濃度を示すグラフである。

    図19は、本願発明の一実施形態において、本願発明に係る方法に従ってアルコール発酵を行った結果およびグルコース濃度を示すグラフである。

    図20は、本願発明の一実施形態において、本願発明に係る方法に従ってアルコール発酵を行った結果およびグルコース濃度を示すグラフである。

    図21は、本願発明の一実施形態において、本願発明に係る方法に従って得られたアルコールの蒸留画分アルコール濃度を示すグラフである。

    図22は、本願発明の一実施形態において、本願発明に係る方法に従って、大容量でアルコール発酵を行なった結果のアルコール濃度とグルコース濃度を示すグラフである。

    図23は、本願発明の一実施形態において、MRE処理スギ・ヒノキを用いたアルコール発酵フローシートである。

    図24は、本願発明の一実施形態において、酵母別のアルコール発酵能を検討するためのフローシートである。

    図25は、本願発明の一実施形態において、MRE処理スギ・ヒノキの段仕込みアルコール発酵のフローシートである。

    図26は、本願発明の一実施形態において、MRE処理スギを用いた麹菌種類別での菌糸伸長試験における10日目の写真である。

    図27は、本願発明の一実施形態において、MRE処理ヒノキを用いた麹菌種類別での菌糸伸長試験における10日目の写真である。

    図28は、本願発明の一実施形態において、MRE処理スギを用いた酵母別アルコール発酵能を示すグラフである。

    図29は、本願発明の一実施形態において、MRE処理スギを用いた場合のグルコース濃度を示すグラフである。

    図30は、本願発明の一実施形態において、MRE処理ヒノキを用いた酵母別アルコール発酵能を示すグラフである。

    図31は、本願発明の一実施形態において、MRE処理スギを用いた場合のグルコース濃度を示すグラフである。

    図32は、本願発明の一実施形態において、MRE処理スギを用いた場合の段仕込みでのアルコール濃度とグルコース濃度を示すグラフである。

    図33は、本願発明の一実施形態において、MRE処理ヒノキを用いた場合の段仕込みでのアルコール濃度とグルコース濃度を示すグラフである。

    上述したように、本発明によれば、内胞子(スポア)を形成する好気性細菌の胞子化に伴う母細胞の細胞溶解の際に放出される母細胞融解酵素群を利用して樹木を分解し、当該樹木を原料として、所定の麹菌を使用して発酵させエタノールや旨味成分など含有する一次発酵液を作り、さらに所定の酵母菌を使用してエタノール濃度を高める二次発酵を行ってアルコールを生成する方法が提供される。 そして、この好気性細菌は内胞子を形成するものであれば特に制限されるものではなく、好ましくはMRE共生菌群である。 また、本発明に係る方法において使用される好気性細菌は、1又はそれ以上の好気性細菌からなる混合菌群であっても良い。

    従来、タケ等の樹木は発酵させて飲料や食品に供することはなかった。 それは、2,6ジメトキシ1,4ベンゾキノン、パラベンゾキノン、タンニンなどの抗菌物質が麹菌などの活動を阻害し麹菌や酵母菌などによる発酵を持続することが困難であったからである。 また、樹木等の木質系バイオマスを用いたアルコールの製造では、セルロース・ヘミセルロースからグルコースを得るプロセスが必要であるが、セルロース・ヘミセルロースから糖を回収するためには前処理を行う必要があり、この前処理におけるコストや手間がかかるという問題もあった。 本発明は、麹菌または酵母菌が、穀物や糠などによる糖質の供給なしに樹木分解物から直接セルロースや樹木の糖質のみでアルコール発酵を行うという知見に基づくものである。

    MRE共生菌群による樹木分解物の生成は、MRE共生菌群の胞子化に伴う母細胞融解酵素を利用して樹木をバルク分解したものをメッシュのふるいにかけて分別することによって行われ、その結果得られた粉末状の分解物を樹木発酵の原料に使う。 このようにすることにより、樹木が持つ抗菌を抑制する一方で樹木に備わる香りなどは保持したまま、発酵し易くなる。

    次に、この発酵原料に水を加えオートクレープや蒸し器で加熱殺菌した後、麹菌を投入し25℃で一次発酵を4日間行い、得た発酵液から固形物を除去する。 この固形物を除去した発酵液にさらに酵母菌を加え15℃で1日間二次発酵を行う。 二次発酵で得られた発酵液をフィルターで濾過し最終発酵液を得る。 このようにすることで、イソプロピルアルコールをほとんど含まない樹木発酵液を得ることができる。 この発酵液は原料となる樹木の香りや若干の抗菌成分を保持している。

    なお、樹木として例えばタケを用いた場合に竹酢を作るには、そのまま発酵を持続し過発酵を行えば有害成分を含まない竹酢が生成できる。 また、竹焼酎は、80℃〜90℃の範囲で蒸留を行い、得られた蒸留液に2次発酵原液を混ぜることによって製造される。 さらに、2次発酵によって得られたこの樹木の発酵液には、うまみ成分のグルタミン酸やアスパラギン酸を含むので樹木風味の調味料としても利用できる。

    さらに詳しく説明すると、第一段階で、1cm〜5mm程度に細かく粉砕した樹木を、MREを用いた乾式の分解装置で分解する。 この分解装置は、MRE共生菌群による内包子形成過程で生成される母細胞融解酵素群のリソゾーム相同分解酵素を利用するものである。

    ここで、前記MRE共生菌群は、バシラスsp. (Bacillus sp.)(FERM BP−11209、識別番号MK−005)、リシニバシラス フシフォルミス(Lysinibacillus fusiformis)(FERM BP−11206、識別番号MK−001)、バシラス ソノレンシス(Bacillus sonorensis)(識別番号MK−004)、リシニバシラスsp. (Lysinibacillus sp.)(FERM BP−11207、識別番号MK−002)、及びコマモナスsp. (Comamonas sp.)(FERM BP−11208、識別番号MK−003)から成るものであり、いずれも好気性の細菌類である。

    本発明に係る方法では、形成された内胞子が沈殿した後の溶液を、0.2μmのメンブレンと0.02μmのフィルターで濾過することにより、残存した極微量の培養細胞と残存浮遊する内胞子(スポア)とを除去し、その溶液をエアレーション(曝気)することによって得られた溶液を樹木に適用する。 そして、本発明者らは、分解が困難であるという理由によって従来はアルコール原料に使用し得なかった樹木を原料として、効率的にアルコールを生成することができることを発見し、本発明を成し得たものである。

    さらに詳しく説明すると、上述の内胞子を形成する好気性細菌の集まりであるMRE共生菌群(MK−001、MK−002、MK003、MK−004、MK−005)の培養液1m を同一形状の1.2m の2つの培養曝容器に入れ、溶存酸素濃度0.5mg/L〜1.2mg/Lになるようにエアレーション(曝気)を行う。 その一つを培養細胞槽、他の一つをスポア化槽と名付けた。 培養細胞槽には、魚粉500g、米ぬか500g、油カス250g、肉汁50gを最小限の栄養物として与え培養PH6.0〜6.8および培養温度25℃〜35℃の培養条件下でエアレーションを加え培養を続行した。 一方、スポア化槽では一切の栄養を絶って飢餓状態下に置き、さらに25℃〜35℃の条件下でエアレーションを加え続けると窒素成分の枯渇をトリガーに内胞子化が始まる。 培養液の透明度が増すのを待ってエアレーション(酸素供給)を止めると、内胞子は一斉に沈殿を始め透明な溶液になる。 この溶液を0.2μmのメンブレンで濾過し、さらに0.02μmのフィルターにかけたものを、再度良く洗浄したスポア化槽に入れて、樹木分解の準備を整えた。 ここで、MRE菌をスポア化した液からフィルターによって残存母細胞とスポアを除去したものをMRE溶液と呼ぶことにする。 従って、MRE溶液には菌もスポアもほとんどない状態といえ、当該MRE溶液には母細胞融解酵素群が存在する。 本発明は、この母細胞融解酵素群の分解力を利用するものである。 なお、本明細書において、「MRE溶液」、「スポア化後の溶液」、「スポア化後の菌の存在しない溶液」等の表現を使用することがあるが、特に言及する場合を除き、いずれも本願発明に係る母細胞融解酵素群を有する溶液を指すものとする。

    本願発明において、上述の溶液に適用するメンブレン及びフィルターの大きさは特に制限されるものではない。 例えば、メンブレンは1μm、0.7μm、0.5μm、0.3μmであっても良く、好ましくは0.2μmである。 また、フィルターは、0.15μm、0.1μm、0.07μm、0.05μm、0.03μmであっても良く、好ましくは0.02μmである。

    また、本願発明においては、上述の2つの培養細胞槽とスポア化槽を使用して、両方とも溶存酸素濃度0.5mg/L〜1.2mg/Lになるようにエアレーション(曝気)を行いつつ、以下の実験を行っている。

    このMRE溶液は、60℃〜80℃という温度領域で使用することにより威力を発揮する。 特に、常に酸素が流入する環境において母細胞融解酵素群を有する溶液を噴霧して、対象の樹木を放熱板で80℃以下になるように攪拌加熱しながら分解するのが好ましく、当該溶液は母細胞融解酵素群と共に胞子(スポア)を含んでいてもよい。 この原理で作動する装置を、MREを用いた乾式分解装置と呼び、通常分解できない樹木を80℃以下という低温で分解させることができ、アルコール発酵の原料とすることができる。

    本願発明においては、前記乾式分解装置を使用して、処理が問題となっているタケ、ヒノキ、スギなどの樹木、間伐材、稲藁などを分解し、アルコール生産のための原料を作ることができる。

    また、本発明において、樹木を分解する際に用いる前記MRE溶液は、原液でも希釈液でも良いが、好ましくは1〜100倍希釈、より好ましくは1〜50倍希釈、更に好ましくは1〜25倍希釈、更により好ましくは1〜10倍希釈、最も好ましくは3〜6倍に希釈して使用する。

    本願発明において、破砕した樹木を前記乾式分解装置で処理し、約36〜48時間経つと、含水率3.8%〜6%の乾燥状態の微細粉末状の残存物を得る。 この残存物を所定のメッシュのふるいにかけ、MRE処理樹木粉末を得ることができる。 このMRE処理樹木粉末は、超乾燥状態にあるため容易に吸湿せずかつ長期間放置しても腐敗しないという性質を持っている。

    また、本願発明に係る一実施形態において、前記分解装置は、分解槽と仕上槽とにわかれていてもよく、はじめに分解槽により前処理を行い、続いて仕上槽に移して分解を完成させることもできる。 この場合、分解槽における前処理を60〜80℃、好ましくは70℃で36〜48時間行い、続いて、分解槽で得た原料に水を加えて、仕上槽における処理を60〜80℃、好ましくは70℃で24時間行うことが好ましい。

    さらに、本願発明に係る一実施形態において、発酵の原料となる樹木は、本願発明に係る母細胞融解酵素群および/若しくは前記有胞子好気性細菌の胞子形成によって生成された胞子(スポア)を有する溶液に浸漬し、且つ、当該溶液をエアレーションしながら分解することもできる。

    本願発明において、上述の残存物に適用するふるいの大きさは特に制限されるものではない。 例えば、5〜8mmメッシュ又は2〜5mmメッシュであってもよく、好ましくは1mmメッシュである。 また、ふるいに残った残分は前記分解槽において再処理することもできる。

    なお、本願発明の一実施形態に係るMRE処理樹木粉末(タケ粉末)を分析すると、セルロース43.1%、ヘミセルロース12.6%、リグニン25.2%であった。 残りの19.1%が炭水化物とタンパク質および脂質であった。

    また、本願発明の一実施形態において、一次発酵に用いる麹菌としては、Aspergillus amazake、Aspergillus orgzae(NBRC30104)、Aspergillus orgzae(NBRC30113)、Aspergillus cellulosae(NBRC4040)、Aspergillus cellulosae(IFO4297)、Aspergillus usami(NBRC4033)、Aspergillus awamori(NBRC4388)を用いることができるが、樹木粉末を糖化できるものであればこれらに限られるものではなく、米糀を使用することもできる。

    また、本願発明の一実施形態において、二次発酵に用いる麹菌としてはパン酵母、Saccharomyces celevisiae(NBRC0244)、Saccharomyces celevisiae(NBRC0249)、Saccharomyces celevisiae(NBRC0282)、Saccharomyces celevisiae(NBRC2373)、Saccharomyces celevisiae(NBRC2377)、Saccharomyces celevisiae(IFO1728)を用いることができるが、通常のアルコール発酵をすることができる酵母菌であればこれらに限られるものではない。

    また、本願発明の一実施形態において、樹木粉末からのアルコール発酵は以下の手順で行うことができる。 まず、MRE処理樹木粉末に水を10重量倍の割合で加え、120℃15分間のオートクレーブで殺菌する。 甘酒麹菌や黒麹Aspergillus oryzae NBRC4388菌等の麹菌を加えて4日間25℃で一次発酵を行う。 次に、この一次発酵による生成物から固形物を取り除き、これに酵母菌を加え、1日間15℃で二次発酵を行う。 二次発酵による生成液は、0.45μmのフィルタリングの後さらに0.2μmのフィルタリングを行いアルコール濃度0.29%以上の二次発酵生成液を得ることができる。 なお、本願発明において、樹木粉末からのアルコール生成のための手順は上記のものに限られるものではなく、発酵条件(温度、期間など)は使用する麹菌や酵母菌の種類に応じて適宜最適なものを採用することができ、従来のアルコール発酵や焼酎造りにおける手順を採用することも可能である。

    また、本願発明の一実施形態において、本発明の二次発酵生成液をガスクロマトで分析すると、飲料として好ましくないイソプロピルアルコールが極めて少ないエタノールを成分とするアルコールであることが分かった。 さらに、本発明の二次発酵生成液は、遊離グルタミン酸と遊離アスパラギン酸という海藻の昆布と同じ旨味成分を含有している。 従って、本発明の二次発酵生成液を調味料として使用すると、微量なエタノールおよび遊離グルタミン酸遊離並びにアスパラギン酸を含有する樹木風味の調味料を提供することが可能である。

    この二次発酵をさらに持続させ過発酵を行うとエタノールは100%酢酸へ変化する。 この過発酵によって遊離グルタミン酸や遊離アスパラギン酸という旨味成分を含んだ樹木風味の酢酸ができる。 この樹木酢酸を蒸留した酢酸を添加することで任意の酢酸濃度の食酢を作ることもできる。

    また、本願発明の一実施形態において、本発明の二次発酵生成液を79℃〜90℃で連続蒸留してエタノールを抽出し、さらに2%以内の範囲で二次発酵生成液を加えアルコール濃度20%〜40%で調整することにより樹木風味のある焼酎を作成することができる。 また、本願発明に係る一実施形態において、焼酎を得る連続蒸留で得られた残液をさらに加熱濃縮してグルタミン酸やアスパラギン酸などの旨味成分の濃度を上昇させることにより、樹木成分由来の調味料を得ることもできる。

    また、本願発明において、アルコール発酵の原料となる樹木としては、タケ、ヒノキ、スギなどを用いることができるが、抗菌物質を含むことにより従来の方法では発酵が困難であった樹木であれば特に限定されるものではない。

    本願発明の一実施形態において、発酵後のアルコールを取り除いた発酵残渣を、農業用の堆肥として使用することもできる。 従来、焼酎などの発酵過程の残渣の処理が環境保全の観点から難しく、また処理コストも高く問題であった。 本願発明において、得られた発酵残渣は、そのまま農業用の良好な堆肥や動物の飼料として利用することもできる。

    以下に、本願発明に係る一実施形態および実施例を、図面を参照して説明する。

    (実施例1)
    MRE溶液の製造 MRE共生菌群の培養は、好気性グラム陽性菌の一般的な培養方法で培養を行う。 1.2立法メ−トルの培養曝気槽に1000リットルの水と入れエアレーション(曝気)を行う。 その培養曝気槽に魚粉3kg、米ぬか3kg、油カス1.6kg、肉汁350gを栄養物として与え、さらに硫酸マグネシュウムやシリカなどのミネラルを適量加える。 さらに菌体を投入し、培養PH6.0〜6.8および培養温度25℃〜35℃の培養条件下で、かつ溶存酸素濃度0.5mg/L〜1.2mg/Lになるようにエアレーション(曝気)を加えながらMRE共生菌群を培養する。

    菌の十分な増殖と安定化を待って、MRE共生菌群の一切の栄養を絶って飢餓状態下に置き、さらに15℃〜35℃の条件下でエアレーションを加え続けると窒素成分の枯渇をトリガーにMRE共生菌群の内胞子化が始まる。 培養液の透明度が一気に増すのを待ってエアレーション(酸素供給)を止めると、内胞子は一斉に沈殿を始め透明な上澄み液を得る。

    こうして得られた上澄み液をさらに0.2μのメンブレンで加圧ろ過することにより、MRE溶液を得る。 エアレーションを止めるタイミングは、また、位相差顕微鏡でスポア化が完了したことを確認した上で行うことができる。

    (実施例2)
    MRE処理タケの製作方法 本実施例で使用するタケは、MRE溶液で処理されたものであり、以下の手順1〜5に従って処理されている。

    1. 床材料にはふるい残分60Lのタケを使用 2. 床材用に破砕したタケ40L、MRE溶液を分解槽に投入し、36時間、70℃で分解処理を行う 3.36時間後、分解槽より原料を取り出し、容積、重量を計量 4. 分解槽より取り出したものに水20Lを加え、仕上槽に投入 5. 仕上槽で24時間、70℃(水分8%以下)で処理し、1mmメッシュふるいにかける。 ふるいに残った残分は手順2. で再投入する このフローを以下に示す。

    (実施例3)
    パン酵母を用いたアルコール発酵可能性試験 実験材料は以下の通りである。

    ・MRE酵素処理タケ粉末(1mm meshふるい)
    ・粉砕した生タケ(1mm meshふるい)
    ・ミネラルウォーター(森の水だより 販売元コカコーラ)
    ・甘酒麹(Aspergillus amazake)
    ・ドライイースト(日清フーズ(株)社製、日清スーパーカメリア)

    (1)酵母を使用した発酵方法 生タケとMRE処理タケをそれぞれ125g取り、水(ミネラルウォーター)250gを加えよく撹拌した。 その後オートクレーブ(121℃、15分)にかけて加熱処理を行ない、室温まで冷まし、ドライイースト5g、ミネラルウォーター滅菌した仕込み水(以降仕込み水と呼称)400mlを加えよく混合後、15℃で3日間アルコール発酵させた。 発酵終了後、綿製の布で絞り、単式蒸留を行い、アルコール濃度を測定した。 図1Aに生タケでのアルコール発酵フロー、図1BにMRE処理タケでのアルコール発酵フローを示した。

    (2)Aspergillus amazakeを使用した糖化・発酵方法 MRE処理タケ250gに250mlミネラルウォーターを加えよく撹拌した。 その後オートクレーブ(121℃、15分)にかけて加熱処理を行ない室温まで冷まし、1次発酵として、甘酒麹を加え、25℃で7日間静置させた。 次に2次発酵として、ドライイースト2g、滅菌水(ミネラルウォーター)700mlを加えよく混合後、15℃で3日間アルコール発酵させた。 発酵終了後、綿製の布で絞り、単式蒸留後、アルコール濃度を測定した。 図2に実験方法のフローを示した。

    (実施例4)
    1次発酵に用いる麹菌の育成試験及びアルコール発酵の条件検討 実験材料および使用した菌株は以下の通りである。

    ・MRE酵素処理タケ粉末(1mm meshふるい)
    ・ミネラルウォーター(森の水だより 販売元コカコーラ)

    (1)麹菌種類別の菌糸伸長試験 MRE処理タケにミネラルウォーターを加え、80%加水したものをシャーレに20gずつ等分配した。 その後オートクレーブ(121℃、15分)で加熱処理を行い冷却後、白麹3種類(Aspergillus amazake、Aspergillus orgzaeNBRC 30104、NBRC30113)、黄麹2種類(Aspergillus cellulosae NBRC4040、IFO4297)、黒麹2種類(Aspergillus usami NBRC4033、Aspergillus awamori NBRC4388)の計7株を植菌し、25℃で10日間生育し、菌糸の伸長を調べた。
    (2)加水率別の菌糸伸長試験 麹菌種類別の菌糸伸長試験で良い結果の得られた麹菌を用いて、加水率別での菌糸伸長試験を行った。 MRE処理タケにミネラルウォーターを加え、60%、80%、100%とそれぞれ加水したものをシャーレに20gずつ等分配した。 その後オートクレーブ(121℃、15分)で加熱処理を行い冷却後、麹菌を植菌し、25℃で10日間生育し菌糸の伸長を調べた。 図3Aに麹菌種類別の菌糸伸長試験フロー、図3Bに加水率別の菌糸伸長試験フローを示した。

    (実施例5)
    アルコール発酵の条件検討 実験材料は以下の通りである。

    ・MRE酵素処理タケ粉末(1mm meshふるい)
    ・ミネラルウォーター(森の水だより 販売元コカコーラ)
    ・甘酒麹(Aspergillus amazake)
    ・ドライイースト(日清フーズ(株)社製、日清スーパーカメリア)

    ガスクロマトグラフィー(GC)の測定条件 アルコール濃度測定GL Sciences社製のガスクロマトグラフィーを用いた。 測定条件は以下の表の通りである。

    アルコール発酵条件検討方法 MREタケ粉末100gにミネラルウォーター100mlを加えよく撹拌した。 その後オートクレーブ(121℃、15分)にかけ、冷却後、甘酒麹を加えよく撹拌し25℃、7日間で発酵させた(1次発酵)。 次に仕込み水900mlを加えよく混ぜ1日静置させた。 その後、液体のみ500ml容ビーカーに300ml分取し、液体のみとタケ固体+液体(コントーロール)にそれぞれ分け、2次発酵させた。 2次発酵の条件は、ドライイーストを5g加え、よく撹拌し15℃、5日間1日おきに撹拌することとした。 図4に実験方法のフローを示した。

    (実施例6)
    アルコール発酵に適した酵母の検討 実験材料および使用した酵母は以下の通りである。

    ・MRE酵素処理タケ粉末(1mm meshふるい)
    ・ミネラルウォーター(森の水だより 販売元コカコーラ)
    ・使用菌株;
    1次発酵用の菌株:Aspergillus AMAZAKE(池屋醸造合名社 甘酒糀より分離)
    使用酵母:アルコール発酵能検討用酵母7種7種

    使用培地 使用した培地(PD液体培地)の組成は以下の通りである。
    Potato Starch 4.0g/L
    Dextrose 20.0g/L

    上記培地組成を、酵母の液体培養に使用した。 また、寒天培地は上記培地組成に1.5%になるように寒天を加えて用いた。

    使用キット 和光純薬工業社製 グルコース測定用キット グルコースCII−テストワコーを用いた。 操作方法は、使用キットの操作手順に準じて行った。 なお、グルコース濃度の算出は、下記の式にて算出した。
    グルコース濃度(g/L)=吸光度(Es)/0.0001×0.001

    ガスクロマトグラフィー(GC)の測定条件測定条件は以下の表の通りである。

    高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の測定条件 Agilent Technologies社製のHPLCを用いたグルコース濃度の測定条件を以下に示す。

    HPLC測定条件 HLPC
    Coiumn :TSK−GEL AMIDE−80HR、
    TSKgel G2500PWXL、
    TSKguardcolumn PWXL
    Coiumn Temp:40℃
    Eluent :H
    Flow rate :0.5mL/min
    Detector :RI 35℃
    Splitless :20uL

    実験方法 図5に実験方法のフローを示した。

    MRE処理タケ200gにミネラルウォーター200gを添加し、よく混合後、121℃,15minオートクレーブをかけた。 室温まで冷却後、A. amazake約0.1gを種麹として添加し、よく混合後、25℃、7日間、静置発酵を行い、これを1次発酵とした。 この1次発酵したものに滅菌水(ミネラルウォーター)1800mlを加え、よく混合後、24hr静置した。 24時間後、発酵液の上清を300ml容トールビーカーに100mlずつ分配した。

    上述したPD液体培地10mlを入れた18φ試験管に、表3に示した酵母をそれぞれの試験管に一白金植菌し、30℃、24hr、100cpmで培養した。 これを前培養液とし、前培養液を1%、500ml容マイヤーフラスコ(working volume 200ml PD medium)にそれぞれ植菌し、30℃、24hr、100cpmで培養し、これを本培養液とした。 24hr後、小型冷却遠心分離機(TOMY社製)を用いて、本培養液200mlを4℃,10min,8krpmで遠心分離し、培養酵母を得た。 この培養酵母全量を滅菌水3mlで懸濁後、1次発酵液に加え、2次発酵を開始した。 2次発酵は15℃、3日間、静置条件で発酵を行い、24hrごとに静かに撹拌を行った。 2次発酵中は24hrごとにGC(GLサイエンス社製)を用いてアルコール濃度の測定を行い、0timeと3日後にHPLC(東ソー社製)を用いてグルコース濃度の測定を行った。 なお、1次発酵液に酵母を添加しないものをコントロールとして比較を行った。

    図5に示したフローシートに従い、2回繰り返し実験を行った。 なお、2回目に使用した酵母を以下の表に示す。

    2回目の検討の際、アルコール濃度の測定は1回目と同様とし、グルコース濃度の測定には、24hrごとの測定には上述のグルコースキットを使用し、0time,1day,3daysの3回はキットとともにHPLCを併用した。

    (実施例7)
    段仕込みでのアルコール発酵の検討 実験材料は以下の通りである。

    ・MRE酵素処理タケ粉末(1mm meshふるい)
    ・ミネラルウォーター(森の水だより 販売元コカコーラ)
    ・甘酒麹(Aspergillus amazake)
    ・ドライイースト(日清フーズ(株)社製、日清スーパーカメリア)

    実験方法(1)MRE処理タケによる段仕込み ステンレス缶にMRE処理タケ150gに水(ミネラルウォーター)150gを加え、よく混合した。 121℃、15minオートクレーブをかけ、室温まで放冷後、A. amazake約0.1gを加え、菌が均一に混合するよう、よく撹拌した。 これを25℃、3日間静置した。 1日に1回静かに撹拌し、MRE処理タケ全体に菌糸が十分に伸長するのを確認し、これを1次発酵原料とした。 その後、仕込み水500gと焼酎酵母(Sacharromyces celevisiae NBRC0249)0.6gを加え、よく混合した。 これを15℃で1日静置し、仕込み水1200gを加え、よく撹拌し、3日間15℃で静置したのち、発酵液のみを取り出した。 この発酵液に2段仕込みとして1次発酵原料150gを加え、3日間15℃で静置した。 もう1度、発酵液のみを取り出し、3段仕込みとして、1次発酵原料150gを加え、3日間15℃で静置した。 この間、毎日静かに撹拌し、発酵状態の目視観察ならびにアルコール濃度の測定を行った。 アルコール濃度の測定には、GCを用いた。 フローシートを図6に示し、加えた原料を表6に示した。

    (2)MRE処理タケに米糀を均一に混合した段仕込み MRE処理タケ150gに水(ミネラルウォーター)150gを加え、よく混合した。 121℃、15minオートクレーブをかけ、室温まで放冷後、A. amazake約0.1gを加え、菌が均一になるよう、よく混合撹拌した。 これを25℃、3日間静置した。 1日に1回静かに撹拌し、MRE処理タケ全体に菌糸が十分に伸長するのを確認し、これを1次発酵原料とした。 その後、仕込み水500gと焼酎酵母(Sacharromyces celevisiae NBRC0249)0.6gを加え、よく混合した。 これを15℃で1日静置し、ここに米糀50gと仕込み水1350gを加え、よく撹拌し、3日間15℃で静置したのち、発酵液のみを取り出した。 この発酵液に2段仕込みとして1次発酵原料と米糀50gを加え、3日間15℃で静置した。 もう1度、発酵液のみを取り出し、3段仕込みとして、1次発酵原料と米糀50g、仕込み水300mlを加え、3日間15℃で静置した。 この間、毎日静かに撹拌し、発酵状態の目視観察ならびにアルコール濃度の測定を行った。 アルコール濃度の測定には、GCを用いた。 フローシートを図7に示し、加えた原料を表7Table2−2−12に示した。

    (3)MRE処理タケに米糀を段階的に減少させながら仕込む段仕込み ステンレス缶にMRE処理タケ150gに水(ミネラルウォーター)150gを加え、よく混合した。 121℃、15minオートクレーブをかけ、室温まで放冷後、A. amazake約0.1gを加え、菌が均一に混合するよう、よく撹拌した。 これを25℃、3日間静置した。 1日に1回静かに撹拌し、MRE処理タケ全体に菌糸が十分に伸長するのを確認し、これを1次発酵原料とした。 その後、仕込み水500gと焼酎酵母(Sacharromyces celevisiae NBRC0249)0.6gを加え、よく混合した。 これを15℃で1日静置し、仕込み水1350gを加え、よく撹拌し、3日間15℃で静置したのち、発酵液のみを取り出した。 この発酵液に2段仕込みとして1次発酵原料175gと米糀25gを加え、3日間15℃で静置した。 もう1度、発酵液のみを取り出し、3段仕込みとして、1次発酵原料187.5gと米糀12.5g、仕込み水500gを加え、3日間15℃で静置した。 この間、毎日静かに撹拌し、発酵状態の目視観察ならびにアルコール濃度の測定を行った。 アルコール濃度の測定には、GCを用いた。 フローシートを図8に示し、加えた原料を表8に示した。

    (4) MRE処理タケに米糀を段階的に増加させながら仕込む段仕込みステンレス缶にMRE処理タケ175gに水(ミネラルウォーター)175gを加え、よく混合した。 121℃、15minオートクレーブをかけ、室温まで放冷後、A. amazake約0.1gを加え、菌が均一に混合するよう、よく撹拌した。 これを25℃、3日間静置した。 1日に1回静かに撹拌し、MRE処理タケ全体に菌糸が十分に伸長するのを確認し、これを1次発酵原料とした。 その後、仕込み水500gと焼酎酵母(Sacharromyces celevisiae NBRC0249)0.6gを加え、よく混合した。 これを15℃で1日静置し、滅菌水(ミネラルウォーター)1325gを加え、よく撹拌し、3日間15℃で静置したのち、発酵液のみを取り出した。 この発酵液に2段仕込みとして1次発酵原料150gと米糀50gを加え、3日間15℃で静置した。 もう1度、発酵液のみを取り出し、3段仕込みとして、1次発酵原料175gと米糀25gを加え、3日間15℃で静置した。 この間、毎日静かに撹拌し、発酵状態の目視観察ならびにアルコール濃度の測定を行った。 アルコール濃度の測定は、アルコール濃度はガスクロマトグラフィーを用いた。 フローシートを図9に示し、加えた原料を表9に示した。

    (実施例8)
    大容量でのアルコール発酵の検討 実験材料は以下の通りである。

    ・MRE酵素処理タケ粉末(1mm meshふるい)
    ・ミネラルウォーター(森の水だより 販売元コカコーラ)
    ・甘酒麹(Aspergillus amazake)
    ・ドライイースト(日清フーズ(株)社製、日清スーパーカメリア)

    実験方法 スチール缶6個にMRE処理タケ粉末をそれぞれ300g(計1.8kg)計り取り、ミネラルウォーター300g(計1.8kg)ずつ加え、よく攪拌混合後、121℃、15分間、オートクレーブで加熱処理を行った。 加熱処理済みの試料1.8kgを30L容発酵槽に移し、米糀200gを加え、24時間ごとに混合撹拌を行い、25℃、7日間生育させ、これを1次発酵とした。 1次発酵後、仕込み水18.2kgとドライイースト9gを加えよく撹拌後、15℃で5日間アルコール発酵を行い、これを2次発酵とした。 2次発酵中のアルコール濃度ならびにグルコース濃度を1日おきに測定した。 フローシートを図10に示した。

    結果 (1)パン酵母を用いたアルコール発酵可能性試験 酵母のみを用いた生タケとMRE処理タケについて、1次発酵としてA. amazakeで糖化処理後にアルコール発酵した結果を以下の表に示す。

    この結果では、アルコール濃度は生タケで0.04%と一番低く、次にMRE処理タケで0.06%、1次発酵としてA. amazakeで糖化処理を行ったMRE処理タケで0.23%とアルコール濃度が高かった。

    (2)1次発酵に用いる麹菌の育成試験 麹菌種類別での菌糸伸長試験の結果を表11に、10日目の写真を図11に示した。

    また、加水率別菌糸伸長試験の結果を表12に、10日目の写真を図12に示した。

    表11から、A. amazakeが5日目と早い段階から菌糸が伸び、10日目でも一番菌糸の伸びが良いことがわかる。 麹菌の中では白麹の伸長がよく、次に黄麹2種類と黒麹A. usami NBRC4033が同程度、菌糸の伸長がよかった。 黒麹のA. awamori NBRC4388では菌糸の伸長が認められなかった。

    加水率の変化による菌糸の伸長生育テストでは、麹菌種類別の菌糸伸長試験で最も菌糸の伸長がよかったA. amazakeを用いて試験を行った。

    加水率別の菌糸伸長試験では、表12から、菌糸伸長は加水率100%>80%>60%の順であったことがわかった。 加水率100%では5日目と早い段階からMRE処理タケ全体に菌糸の伸長が認められた。

    (3)アルコール発酵の条件検討 糖化済みタケ液体のみのアルコール発酵の結果を表13に、MRE処理タケ固体入り(コントロール)でのアルコール発酵を表14に示した。

    表13および14から、アルコール濃度は1日目、2日目、3日目、5日目とすべての日数で液体のみの方がコントロールより高くなっていたことがわかる。 また、液体のみの方では5日目でアルコール濃度が一番高く0.21%に、コントロールでは2日目でアルコール濃度が一番高く0.13%であった。

    (4)アルコール発酵に適した酵母の検討 第1回目の酵母別アルコール発酵能検討結果を表15および図13に、グルコース濃度を図14に示した。

    アルコール濃度が高い値を示したのはパン酵母、S. celevisiae NBRC0282、NBRC2377であった(図13)。 しかしながら、香りの点では、表15に示したように、酒酵母であるS. celevisiae NBRC0249や焼酎酵母S. celevisiae NBRC2373の方が優れている傾向にあった。

    検討に用いた各酵母は、発酵2日目でアルコール濃度が定常状態もしくは減少傾向であった(表15および図14を参照)。 図14のグルコース濃度では、3日目でもグルコース濃度は減少せず、すべて、増加していることが示唆された。 そこで、酵母7株のうち、パン酵母と香りがよいものを3株選択し、図5に示したフローシートに従い、第2回目の検討を行った。 その際、グルコース濃度の傾向を調べるため、グルコースキットを用い、24時間ごとに測定することとした。 その第2回目のアルコール発酵能検討結果を図15に、グルコース濃度を図16に示した。

    その結果、アルコール濃度が上昇するに従い、グルコース濃度の減少がみられた(図15及び図16を参照)。 0timeから1dayまでは大幅にグルコースを資化し、アルコールに変換しているが、2days以降はグルコースの資化能が緩やかになっているのが認められた。 また、3daysになると、グルコース濃度が増加し、アルコール濃度の減少がみられた。

    酵母別グルコース資化性検討(第2回)
    HPLCで測定した結果を表16に示す。

    HPLCで測定した結果も、図16同様に1日目で減少し、3日目にグルコース濃度が増加する結果を示していた。

    (5)段仕込みでのアルコール発酵の検討 (5−1)MRE処理タケのみによる段仕込み フローシートに従い、アルコール発酵を行った結果およびグルコース濃度を表17および図17に示した。

    この結果、アルコール濃度はアルコール発酵1日目で0.015%と一番高く、その後は0.004〜0.008%の間を維持していた(表17及び図17を参照)。 また、表17から、グルコース濃度は1日経つごとに右肩上がりに濃度が上昇したことがわかる。 なお、アルコール濃度が低かったため、蒸留は行っていない。

    (5−2)MRE処理タケに米糀を均一に混合した段仕込み フローシートに従い、アルコール発酵を行った結果およびグルコース濃度を表18および図18に示した。

    この結果、アルコール濃度の上昇ならびにそれにともなう、グルコース濃度の減少がみられる(表18及び図18を参照)。 1日目のアルコール濃度は0.28%であり、段仕込み3回目の最終日(9日目)には4.55%まで上昇し、それに対しグルコース濃度は0%になっていた。

    (5−3) MRE処理タケに米糀を段階的に減少させながら仕込む段仕込み フローシートに従い、アルコール発酵を行った結果およびグルコース濃度を表19および図19に示した。

    この結果、アルコール濃度の上昇ならびにそれにともなう、グルコース濃度の減少がみられる(表19及び図19を参照)。 1日目のアルコール濃度は0.46%であり、段仕込み3回目の際、いったんグルコース濃度が上昇したのに伴い、アルコール濃度の減少がみられた。 しかしながら、段仕込み3回目の最終日(9日目)には2.26%まで上昇し、グルコース濃度は0%になっていた。 また、グルコース濃度は米糀の減少と共に0%になる日数が早くなっていった。

    (5−4) MRE処理タケに米糀を段階的に増加させながら仕込む段仕込み フローシートに従い、アルコール発酵を行った結果およびグルコース濃度を表20および図20に示した。

    この結果、アルコール濃度の上昇がみられ、1日目のアルコール濃度は0.12%であり、段仕込み3回目の最終日(9日目)には5.88%まで上昇した(表20及び図20を参照)。 グルコース濃度は3日目毎に減少がみられるが、段仕込み3回目では、その減少濃度が他の2回より少なくなっており、1.6%程度のグルコースが残存していた。

    (5−2)〜(5−4)で醸造したものに関しては、アルコール度数が高かったため、段仕込み最終日に蒸留を行った。 その結果を表21および図21に示した。

    この結果、米糀を均一に添加して醸造したものが最もアルコール濃度が高く、次に段階的に米糀を添加したもの、最もアルコール濃度が低かったものは段階的に米糀を減少させたものであった(表21及び図21を参照)。

    (6)大容量でのアルコール発酵の検討 スケールアップし大容量でアルコール発酵を行なった結果のアルコール濃度とグルコース濃度の測定値を表22および図22に示した。

    この結果、アルコール濃度は毎回の測定ごとに上昇しており、2次発酵終了5日目では0.02%であった。 また、グルコース濃度では測定するごとに減少しており、2次発酵終了5日目では0.004%であった(表22及び図22を参照)。

    (実施例9)
    MRE処理スギおよびヒノキを用いたアルコール発酵 1次発酵に用いる麹菌の育成試験及びアルコール発酵の検討 実験材料は以下の通りである。 また、使用した菌株の詳細については、表23に示した。

    ・MRE酵素処理スギ、ヒノキ粉末(1mm meshふるい)
    ・ミネラルウォーター(森の水だより 販売元コカコーラ)
    ・使用した菌株;7菌株 ・ドライイースト(日清フーズ(株)社製、日清スーパーカメリア)

    実験方法 (1−1)麹菌種類別の菌糸伸長試験 MRE処理スギ・ヒノキ粉末にミネラルウォーターを加え、100%加水したものをシャーレに20gずつ等分配した。 その後オートクレーブ(121℃、15分)で加熱処理を行ない冷却後、白麹2種類(Aspergillus amazake、Aspergillus orgzaeNBRC 30104)、黄麹2種類(Aspergillus cellulosae NBRC4040、IFO4297)、黒麹2種類(Aspergillus usami NBRC4033、Aspergillus awamori NBRC4388)の計6株を稙菌し、25℃で10日間生育し菌糸の伸長を調べた。 なお、加水率についてはタケでの実験結果から100%としている。 実験方法は図3aを参照。

    (1−2)菌糸伸長試験で結果の良かった麹菌を使用したアルコール発酵 MRE処理スギ・ヒノキをそれぞれ125g量りとり、ミネラルウォーター125gを加えよく撹拌し、加水率100%にした。 その後オートクレーブ(121℃、15分)にかけ、冷却後1次発酵として、25℃、7日間発酵させた。 2次発酵としてドライイースト(日清フーズ(株)社製、日清スーパーカメリア)を仕込み水800g加えよく混ぜ、1次発酵させたものに加えて、よくかき混ぜ2次発酵させた。 2次発酵は15℃、3日間の条件で行った。 発酵上清を分取し、フィルターろ過を行いグルコース濃度とアルコール濃度を測定した。 操作方法はフローシート図23に示した。

    (実施例10)
    アルコール発酵に適した酵母の検討 実験材料は以下の通りである。 また、使用した酵母の詳細については、表3の通りである。

    ・MRE酵素処理スギ・ヒノキ粉末(1mm meshふるい)
    ・ミネラルウォーター(森の水だより 販売元コカコーラ)
    ・使用菌株;
    1次発酵用の菌株;Aspergillus awamori NBRC4388
    使用酵母;アルコール発酵能検討用酵母7種

    また、使用培地、使用キット、ガスクロマトグラフィー(GC)の測定条件、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の測定条件、等についてはいずれもタケにおける実験と同様である。

    実験方法 実験方法の手順を図24に示した。

    MRE処理スギ・ヒノキ200gに重量比で100%加水になるようにミネラルウォーターを添加し、よく混合後、121℃,15minオートクレーブをかけた。 室温まで冷却後、Aspergillus awamori約0.1gを種麹として添加し、よく混合後、25℃、7日間、静置発酵を行い、24hr毎に静かに撹拌を行った。 これを1次発酵とした。 この1次発酵したものに仕込み水1800mlを加え、よく混合後、24hr静置した。 24時間後、発酵液の上清を300ml容トールビーカーに100mlずつ分注した。 PD液体培地10mlを入れた18φ試験管に、上述の酵母をそれぞれの試験管に一白金耳植菌し、30℃、24hr、100cpmで培養した。 これを前培養液とし、前培養液を1%、500ml容マイヤーフラスコ(working volume 200ml PD medium)にそれぞれ植菌し、30℃、24hr、100cpmで培養した。 これを本培養液とした。 24hr後、小型冷却遠心分離機(TOMY社製)を用いて、本培養液200mlを4℃,10min,8krpmで遠心分離し、培養酵母を得た。 この培養酵母全量を滅菌水3mlで懸濁後、1次発酵液に加え、2次発酵を開始した。 2次発酵は15℃、3日間、静置条件で発酵を行い、24hrごとに静かに撹拌を行った。 2次発酵中は24hrごとにGC(GLサイエンス社製)を用いてアルコール濃度の測定とグルコースキットを用いてグルコース濃度の測定を行った。 なお、1次発酵液に酵母を添加しないものをコントロールとして比較を行った。

    (実施例11)
    段仕込みでのアルコール発酵の検討 実験材料は以下の通りである。

    ・MRE酵素処理スギ・ヒノキ粉末(1mm meshふるい)
    ・ミネラルウォーター(森の水だより 販売元コカコーラ)
    ・使用菌株;
    1次発酵用の菌株;Aspergillus awamori NBRC4388
    使用酵母;アルコール発酵能検討用酵母7種

    実験方法 ステンレス缶にMRE処理スギ・ヒノキそれぞれ150gにミネラルウォーター150gを加え、よく混合した。 121℃、15minオートクレーブをかけ、室温まで放冷後、Aspergillus awamori NBRC4388約0.1gを加え、菌が均一に混合するようによく撹拌した。 これを25℃、3日間静置した。 1日に1回静かに撹拌し、全体に菌糸が十分に伸長するのを確認し、これを1次発酵原料とした。 その後、仕込み水500gと酵母(スギ:Sacharromyces celevisiae NBRC0244、ヒノキ:ドライイースト)それぞれ、0.6gを加え、よく混合した。 これを15℃で1日静置し、仕込み水1200gを加え、よく撹拌し、3日間15℃で静置したのち、発酵液のみを取り出した。 この発酵液に2段仕込みとして1次発酵原料150gを加え、3日間15℃で静置した。 もう1度、発酵液のみを取り出し、3段仕込みとして、1次発酵原料150gを加え、3日間15℃で静置した。 この間、毎日静かに撹拌し、発酵状態の目視観察ならびにアルコール濃度の測定を行った。 アルコール濃度の測定は、アルコール濃度はガスクロマトグラフィーを用いた。 なお、MRE処理スギ・ヒノキのみによる段仕込みに関しては、2次発酵であるアルコール発酵を行う際、スギ・ヒノキ粉末の固体成分があると、アルコール発酵を阻害する可能性があると考えられるため、1次発酵後に液体のみを取り出し、2次発酵を行う方法をとっている。 フローシートを図25に示し、加えた原料を表24に示した。

    結果 1次発酵に用いる麹菌の育成試験及びアルコール発酵の検討 MRE処理スギを用いた麹菌種類別での菌糸伸長試験の結果を表25に、10日目の写真を図26に示した。

    また、ヒノキを用いた麹菌種類別での菌糸伸長試験の結果を表26に、10日目の写真を図27に示した。

    MRE処理スギ、ヒノキ共にAspergillus awamori NBRC4388で3日目と早い段階から粉末全体に菌糸がまわり、菌糸の生育が一番良かった(表25及び表26を参照)。 また、MRE処理スギではAspergillus cellulosae NBRC4040以外の5種類の菌株でも良好な菌糸の生育を確認することが出来たが、MRE処理ヒノキでは、Aspergillus awamori NBRC4388以外の菌株ではMRE処理スギに比べて生育が遅いという結果であった。

    MRE処理スギ・ヒノキによる菌糸伸長試験で結果の良かったAspergillus awamori NBRC4388を1次発酵の糖化に用いてアルコール発酵を行なった結果を表27に示した。

    アルコール濃度はMRE処理スギで0.05%、MRE処理ヒノキで0.02%であった(表27を参照)。 また、グルコース濃度はアルコール発酵3日目でも、MRE処理スギ・ヒノキ共に1%以上発酵液中に残っており、完全に資化されていなかった。

    アルコール発酵に適した酵母の検討 MRE処理スギを用いた酵母別アルコール発酵能検討結果を表28および図28に、グルコース濃度を表29および図29に示した。

    また、MRE処理ヒノキでの酵母別アルコール発酵能検討結果を表30および図30に、グルコース濃度を表31および図31に示した。

    MRE処理スギを用いた酵母別アルコール発酵能検討を行なった結果、アルコール濃度が最も高い値を示したのはS. celevisiae NBRC0244であった(表28及び図28を参照)。 また、原料にMRE処理ヒノキを用いると、パン酵母が最も高いアルコール濃度であった(表30及び図30を参照)。 香りは、スギ、ヒノキの木材特有の香りが強く残っており、酵母の香りをほとんど感じることができなかった(表28及び表30を参照)。

    MRE処理スギ・ヒノキのみによる段仕込みでのアルコール発酵の検討 MRE処理スギを用いた段仕込みでのアルコール濃度とグルコース濃度の結果を表32および図32に示した。

    また、MRE処理ヒノキを用いた段仕込みでのアルコール濃度とグルコース濃度の結果を表33および図33に示した。

    MRE処理スギ・ヒノキのアルコール濃度は測定ごとに上昇していることが確認できた(図32及び図33を参照)。 また、発酵日数9日目のアルコール濃度はMRE処理スギで0.103%、MRE処理ヒノキで0.046%であった。 しかし、スギ、ヒノキともにグルコース濃度も1日毎に上昇していることから、グルコースが完全に資化されていないことが示唆された。

    その他、本発明は、さまざまに変形可能であることは言うまでもなく、上述した一実施形態に限定されず、発明の要旨を変更しない範囲で種々変形可能である。

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