技術分野本発明は蒸留残渣の分画方法に関するものである。 より詳細には本発明は蒸留残渣を主に無機画分と主に有機画分とに分離する新規で経済的な方法に関するものである。 無機画分は主にカリウム塩からなり、それは例えば化学肥料として役立つものである。 有機画分は主に有機酸からなり、それは例えば飼料添加剤としてまたサイレージ(貯蔵生牧草)の生産に役立つものである。 背景ビートジュース、蔗糖ジュースおよびでんぷん水解物のような糖蜜や他の植物誘導糖含有抽出物はアルコール、酵母、クエン酸、グルタミン酸、リシンや他の多くの発酵生成物を製造する発酵業の広範囲に渡って原材料として用いられる。 一次生成物を発酵培地から回収したとき、希釈副産物培地が残る。 発酵によるこの希釈副産物を濃縮するとき、それは一般的に”蒸留残渣”と呼ばれるものである。 他の呼び名にCMS(濃縮糖蜜溶解物Condensed Molasses SolublesおよびCPL(補蛋白質液体Complement Proteique Liquide)がある。蒸留残渣の古くからの用途としては、自然環境へ廃棄物として(しばしば濃縮せずに)処分してしまうこと、カリウム化学肥料としての用途、および動物飼料に加える添加剤としての用途があった。蒸留残渣はそれが代謝エネルギーを低コストで提供し、またバインダーとして働くことから、動物飼料に加える添加剤として使用されていた。蛋白質源としての蒸留残渣の有用性についてはすでに研究されている。(Deleplanque, G. & Maindron, G.,1982年:Le CPL 他、Pulpe Surpressee Ensilee, Secopal SA)。 蒸留残渣はカリウムを高い割合で含有していて、それは例えば蒸留残渣を餌とする動物のマグネシウム吸収障害という問題の原因となる。 (Tomas, FM& Potter, BJ,1976年”羊についてカリウムがマグネシウム吸収に与える作用の効果と作用部位”(The effect and site of action of potassium upon magnesium absorption in sheep), Aust. J. Agric. Res.,27, 873-880、およびFontenot, JP, Allen, VG, Bunge, GE, & Goff, JP,1989年”反芻動物についてのマグネシウム吸収および代謝に影響を与える因子”(Factors influencing magnesium absorption and metabolism in ruminants.)Journal of American Science,67, 3445-3455)。 カリウムの高比率を下げる方法はすでに開発されている。 (FR 1 497 480, Lasaffre & Cie., 1967年、FR 2 573 088, Beghin-Say, SA,1986年、NL 6 800 313, Julsingba, J.,1969年、およびDE 1 817 550, 1970年)。 その方法は完全に中性の状態で硫酸イオンの存在中で塩もしくは複塩としてのカリウムの沈澱を基準としている。 カリウム含有量を減らした蒸留残渣生成物はProuvital、Proteinal、Sirional、Viprotalなどの商品名で売られている。 廃棄物としての蒸留残渣の処分に対する環境への制約が強まり、その結果動物飼料のための添加物や化学肥料としての蒸留残渣の供給が増加した。 これら2つの目的に対する需要が限られているにもかかわらず、それ故に重大な供給過剰状態が市場に現存している。 したがって、蒸留残渣から有用な成分を回収することに対する関心が高まっている。 例えばクロマトグラフによる分離方法でベタインを回収することができる。 ベタインはまたイオン交換体を使用することにより回収することができ、そのイオン交換体は陽イオン型のものでも陰イオン型のものでもよい。 回収できるその他の有効成分はグリセリン、単糖類、アミノ酸およびコハク酸である。 これらの有用な成分を回収した後、蒸留残渣中の残留成分の濃度が以前よりも高くなっている別の種類の蒸留残渣が残る。 生成物のカリウム含有量は非常に高く、従って動物の飼料として使用するには限界がある。 また他方で、生成物中の有機化合物の割合も高く、それにより化学肥料としての用途にも限界がある。 従来技術当業技術の文献は蒸留残渣からのカリウム除去方法を記述している。 フランス特許第1,497,480号(Lesaffre商会)には第一に酵母製造から得られる蒸留残渣が少なくとも60%の乾燥固形分になるまで濃縮されるという方法が開示されている。 その後結果として得られる液体のpHが中性を保つよう硫酸およびアンモニアが加えられる。 そしてカリウムは硫酸塩となって沈澱し、その硫酸塩結晶は遠心分離によって除去される。 アンモニアを加えることによってカリウムの収量がより少なくなる。 その上、アンモニアは動物にとって有害な物質なので、多くの国では動物飼料にそれを使用することを禁じている。 フランス特許第2,573,088号(Begin-Say,SA)には類似ではあるが硫酸、アンモニアもしくは有機アミンを希釈蒸留残渣に加えるという方法が開示されている。 フランス特許第2,596,748号(Swenson SA)には前記Lesaffreの参考文献と類似の方法とその方法を実践するために開発された装置が開示されている。 フランス特許第2,596,748号によれば、その方法は少なくとも二つの蒸発段階とそれに続く結晶分離の少なくとも二つの段階からなり、その方法は直列に連結した少なくとも二つの蒸発器からなる濃縮装置によって実行される。 カリウムを除いた液体は乾燥固形分が最多である分離段階からのオーバーフローとして得られる。 この段階で形成された結晶は溶解され、乾燥固形分がより少ない蒸発段階へ再循環させる。 乾燥固形分の少ない分離段階では硫酸カリウム生成物を生成する。 この分離段階からのカリウムを除いた液体はもっと濃縮するために第二の蒸発段階に移される。 別の成分への蒸留残渣の分画もまた記述されている。 ベタインは米国特許第4,359,430号および5,127,957号(Heikkila他)に記述されているようにクロマトグラフによる分離工程によって回収される。 ベタインはまたイオン交換体を使用することにより回収することができ、そのイオン交換体は陽イオン型のものでも陰イオン型のものでもよい。 グリセリンとグルコースの回収およびアミノ酸の分離については、米国フロリダ州、マイアミビーチ、ビオマス(Biomass)での燃料アルコールと化学製品の国際会議(International Conference on Fuel Alcohols and Chemicals)の中の、”希釈培地からのグリセリン、ブドウ糖、およびアミノ酸などの化学製品の回収”(Recovery of Chemicals such as Glycerol, Dextrose, and Aminoacids from Dilute broths)Burris, BD,1986年に記述されている。 欧州特許第0,411,780 A2号(Kampen)には例えばエタノール、グリセリン、コハク酸およびベタインのマッシュからの回収方法について記述されている。 硫酸カリウムや易流動性蒸留物の乾燥穀物もまた回収される。 本参考文献によれば、マッシュを第一に製造しそして蒸留によりマッシュからエタノールを分離する。 残った蒸留残渣は約0.1ないし10ミクロンの範囲の孔径を有する無機膜を使用する横断流ミクロ濾過工程によって清澄化され、透過物はイオン交換および/またはクロマトグラフィーによる1回以上の分離工程を経て、分離された生成物を純化する。 参考文献の実施例8はビート蒸留残渣を分画する方法を記述している。 ビート蒸留残渣は砂糖大根(テンサイ)のエタノール発酵の副産物であり、蒸留残渣を孔径が0.2ミクロンの無機アルファ酸化アンモニウム膜を使用する横断流ミクロ濾過で濾過し、透過物を50℃で蛋白質物質を加水分解するよう酵素で処理し、固形分が66重量%を越えるよう蒸発させ、そして硫酸カリウムの結晶を、混練器内で冷却と結晶化によって結晶化して遠心分離で除去するという工程で清澄化される。 この方法で清澄化されたビート蒸留残渣はベタインとグリセリンを回収するクロマトグラフによる分離のいくつかの段階を経て、これらの成分を回収した後蒸留残渣を濃縮し、乾燥し、固形化学肥料かまたは蒸留乾燥穀物すなわちDDGとして使用する。 しかし上記の方法により得られる蒸留残渣は前記の用途の問題点となる欠点を含むものである。 第一にベタインやグリセリンなどの他の成分を取り除くとき生成物のカリウムのレベルが上がる。 カリウムが高レベルで含まれることは何ら優位点を示さずそれどころか動物に対して有害ですらある。 したがってそのような生成物は限られた量でしか動物飼料の添加剤として利用できない。 第二に高レベルなカリウムは生成物を不安定にする。 すなわちカリウム塩は貯蔵中沈澱する傾向にある。 Kampen氏が生成物を乾燥させることを提案したのはこのためであろう。 しかしながら、乾燥は非常に経費のかかる工程である。 第三に有機物が高い割合で含まれることもまた、化学肥料としての用途において重大な欠点である。 必要とされる量のカリウムに達するよう大量の生成物が田畑に散布されなければならない。 有機物は、微生物分解を起こし、それが周辺環境で無視できない悪臭問題の原因となる。 発明の簡単な説明本発明は蒸留残渣を主に無機画分と主に有機画分とに分離する新規で経済的な方法に関するものである。 本発明の工程において、酸を加えることによって蒸留残渣のpHを下げ、結果として得られた残画分を液体から分離する。 残画分は無機画分を形成し、残った液体は有機画分である。 このようにこの方法は単純で簡単に実施できる。 本発明に従って形成された残画分、すなわち無機画分は、主にカリウム塩からなり、それは例えば化学肥料として有用である。 本発明はまた無機画分を除去した後に残る有機画分に関するものである。 有機画分は酸性の生成物で、それは高い含有量の有機酸と低い含有量のカリウムを含むため動物の飼料の添加物としてもサイレージを製造するときの保存添加剤としても役に立つものである。 発明の詳細な説明従って本発明は蒸留残渣の分画方法に関するものである。 分画は二つの画分、すなわち主に無機画分と主に有機画分を生成する。 本発明の方法は蒸留残渣をクロマトグラフによって分離すること、結果として生じる残画分含有有機酸のpH値を酸を加えることによって下げられること、および形成された沈澱物を分離して無機画分を得て、有機画分を残すことを特徴とする。 通常pH値は約5未満、好ましくは約3.0ないし3.8まで下げられる。 pH値は酸によって下げられ、その酸が塩の形をとったカリウムを除去する。 結果として得られる硫酸カリウムが液体から簡単に除去できるので、好ましくは硫酸を使用する。 塩酸のような他に通常用いられる酸もまた本発明の目的のために使用することができる。 本発明の方法は他のタイプの蒸留残渣にも適していて、その残留残渣は糖蜜の発酵の副産物として得られ、それから必要ならば一つもしくはいくつかの成分を除去するものである。 蒸留残渣をカラム工程を経るとき清澄化によって前処理されるのが好ましい。 蒸留残渣は例えば欧州特許明細書第0 411 780 A2(Kampen)に開示されている横断流ミクロ濾過方法によって、または好ましくは温度を上昇させながら高効率遠心分離機で蒸留残渣を遠心分離することによって清澄化することができる。 後者の目的に適する方法は共同出願中フィンランド特許第2,940,302に開示されている。 その後清澄化された蒸留残渣は蒸発システム中で濃縮され乾燥固形分を重量で約50ないし80重量%、好ましくは約55ないし65重量%にする。 含有量が35重量%よりも高いと、カリウム塩が沈澱/結晶化し始める。 沈澱物もしくは結晶は濃縮された蒸留残渣から通常の方法例えばデカンテーション、濾過もしくはこれらを組み合わせた方法で分離され、液体は、濾過板、濾過助剤もしくはこれらを組み合わせたものを使用する加圧式濾過器で濾過される。 工程中得られた沈澱物もしくは結晶スラリーは、そのままで、もしくはいくつかの成分がカラム工程により清澄化された蒸留残渣から回収されたときに得られた生成物であるカリウムの含有量の高い副産物と組み合わせて使用することができる。 もしこれら二つの生成物が本発明の分画中組み合わされているなら、カリウムのレベルが増加し、こうして結晶化が容易になるという利点が生まれる。 従って、この実施例は好ましいと考えられる。 濾過後、清澄化された蒸留残渣は貯蔵されるかもしくは、直ちに望ましい成分を回収するためにカラム工程に使用される。 これらの成分は例えばベタイン、グリセリン、イノシトールおよびアミノ酸を含む。 できる限り清澄化されている蒸留残渣であって、望ましい成分が上記の方法で除去されるような蒸留残渣は本発明に従って無機および有機画分に分画される。 無機画分を形成するためにカリウムを本発明の新規の方法、つまり酸を加えて蒸留残渣のpH値を下げることによって塩および/もしくは複塩の形で一つの段階でカリウムを除去するという方法で蒸留残渣から除去する。 カリウム塩は蒸発晶出装置内で制御された方法で沈澱もしくは結晶化される。 カリウムは、好ましくは、硫酸を加えることによっておよび結晶を形成させうる蒸発器内で蒸留残渣を濃縮することによって除去される。 液体に酸を加え、塩の形でカリウムを除去する。 好ましくは硫酸を加え、硫酸イオンを形成しカリウム塩の収量を増やす。 塩形成は塩を形成するためにどれだけ多くの利用できるイオンが存在するかに依存する。 カリウム塩の形成は、酸例えばSO 4 2+イオンを提供する硫酸の所望量を加えることによってこのように制御することができる。 加えられる酸の量によってそれぞれpH値が決定される。 多量の酸を加えるのでpHは約5未満、好ましくは約4.2ないし4.5未満になる。 pHが3.0ないし3.8であるのが最も好ましい。 蒸留残渣を濃縮し、乾燥固形分を約40ないし80重量%、好ましくは約55ないし65重量%にする。 乾燥固形分が35重量%を越えて増加するとき、カリウム塩は沈澱/結晶化を開始する。 結晶核の形成のような結晶化、および結晶の成長やサイズをよりよく制御するために、その後濃縮が行われる蒸発器は、好ましくは蒸発晶出装置(強制循環瞬間蒸発器、強制循環蒸発器、DTB蒸発器、連続攪拌パン晶出装置など)でなければならない。 希釈蒸留残渣又はカリウム塩の沈澱/結晶濃度になるまで濃縮された蒸留残渣のいずれにも酸を加えることができる。 沈澱/結晶の制御がしやすいので後者の選択の方がより好ましい。 結果として得られた硫酸カリウム沈澱物は例えば濾過、デカンテーション、遠心分離のような通常の方法により又はこれらの方法の組み合わせを使用して分離される。 カリウム塩/結晶は無機画分の大部分を形成する。 蒸留残渣のpHを下げるため硫酸が使用されるとき、乾燥固形分の硫酸カリウムの割合は普通約70%ないし90%である。 従ってカリウムの割合は約30ないし42%である。 無機画分は例えば化学肥料として使用され得る。 カリウムを除去した後、有機画分が残る。 この画分の最大の成分のうちの一つは有機酸によって形成され、その割合は乾燥固体を基準にして約18%ないし45%で、好ましくは約30%ないし45%である。 主たる部分は乳酸およびピロリドンカルボン酸(PCA)によって構成され、それらを合わせて約10ないし20%になる。 これらに加えて、画分はまた、より低い濃度で、通常1%未満で例えば酢酸、マレイン酸、コハク酸、プロピオン酸およびギ酸を含む。 画分はさらにまた比較的大量の窒素含有化合物を含む;すなわち画分中の窒素全含有量が約5ないし12%でありそしてアミノ酸含有量が約1ないし10%である様な化合物からなる。 炭水化物の総量は約5ないし35%である。 灰分の割合は乾燥固体を基準にして約12ないし30%である。 工程によって、ベタインの濃度は約1ないし20%まで様々である。 上記のように、有機画分のカリウム含有量は、加える硫酸の量を調整することによって望ましいレベルに調整することができる。 通常のカリウム含有量は約3.0ないし5.5%である。 一般にpHは3.0ないし4.0まで様々である。 有機画分の最初の原料は植物誘導材料である。 植物材料の組成は、種類、土、化学肥料、天候および他の条件を基準として様々である。 植物材料を加工するのに使用される方法は最終製品の組成にも影響を与える。 それゆえに有機画分の組成は非常に様々なものである。 このようにそれらの成分および濃度とともにここに記述した組成は単に例であることは当業者にとって明らかである。 本発明の範囲はこのように他のよく似た組成物をも含む。 以下に砂糖大根(テンサイ)から製造した有機画分の典型的な組成を示す。 濃度は乾燥固体を基準とした百分率として表した。 単糖類 0.2% 二糖類 1.2% 他の炭水化物 8 % 総窒素量 6.5% ベタイン 2.4% アミノ酸 7 % 有機酸 36 % カリウム 4 % 灰分 15 % 本発明の有機画分は例えば動物飼料およびサイレージ製造に加える添加物として有効である。 本発明の有機画分の影響は例えばサイレージの乾燥固体の損失を測定することによって推定できる。 サイレージ製造の条件が良くないとき、サイレージは強いガスを発生する原因となる望ましくない微生物によって台無しにされる。 サイレージの乾燥固体の一部はこのようにガスとして失われ、サイレージの実利的利用度は減少する。 貯蔵中の乾燥固体の損失における有機画分の影響はガス発生を測定することによって決定づけられる。 異なる濃度の有機画分を加えた、たとえばオオアワガエリやライ麦を飼い葉として使用することによって実験を行った。 結果を以下の表に示す。
結果として、有機画分は明らかに乾燥固体の損失を縮小させ、それはオオアワガエリとライ麦の両方について8リットル/トンというような非常に少ない量を使用するときでさえもそれを縮小させたことがわかる。 有機画分を16リットル/トンの量加えたとき、乾燥固体の損失はオオアワガエリについては半分に、ライ麦については4分の1に縮小した。 以下に詳しく述べた実施例は発明を例証するものである。 記述された工程段階およびパラメータは本発明の基本的な考えから逸脱することなく変更できることは当業者にとって明白である。 このように実施例は本発明の範囲を限定するものではないと理解されるべきである。
実施例実施例1
アルコール生産の発酵段階後、遠心分離によって発酵マッシュから酵母を除去した。 その後マッシュを蒸留カラムに移動し、そこでアルコールを除去した。 カラム残液はまだ約0.05ないし1.5重量%の非溶解性固体を含む希釈蒸留残渣を形成した。 概してその固体は小さい酵母細胞、他の微生物細胞、砕けた細胞の砕片などから形成されている。 液体の乾燥固体分は6.5ないし13重量%の範囲で変動し、カリウム含有量は液体の乾燥物質の10.7ないし11.7重量%だった。
固体含有液体を約85ないし95℃に加熱した。 そのpHを約6.5ないし7.0の値に調整し、8500rpmの回転速度のディスク積層清澄化遠心分離機(Westfalia SB7)で清澄化した。 清澄化した蒸留残渣を強制循環蒸発器(Rosenlew)を使用して固形分が約59ないし65%になるまで蒸発器内で濃縮した。 固形分が約40重量%になるところで硫酸カリウム結晶が形成し始めた。
硫酸カリウム結晶をデカンテーションによりスラリーの形で除去した。 結晶物は底に沈澱し、比較的透明な液体を上部から静かに注ぎ出した。 重力をもとにしたデカンテーションをここでは使用した。 例えば遠心分離デカンターもしくは濾過などの他の方法や装置をも使用できることは当業者にとって明白である。 分離したカリウム塩結晶スラリーの総量は容積で16%だった。
カリウム塩結晶を、ペーパーフィルター板(Carlson)を有するフィルタープレス(Seitz Orion)によってスラリーから回収した。 結晶はまた他のタイプのフィルター、または例えば多孔性のもしくは網状スクリーンを有するバスケット遠心分離機によって回収することができる。
デカントした液体をペーパーフィルター板(Carlson)を有するフィルタープレス(Seitz Orion)で濾過し、微細結晶と残存非溶解性固体を回収した。 濾過助剤(Kenite 300)も使用した。 濾過は非常に容易に行うことができ、またフィルターの固体空間はこの工程中にほぼ完全に充満された。
結果として得られた清澄化した蒸留残渣をその後パイロット規模のクロマトグラフ分離器に移動させ、二つの画分に分けた。 すなわちベタイン、グリセリン、イノシトール、単糖類といくつかのアミノ酸を含むベタイン画分および、ほとんどのイオン化できる材料や高分子量の化合物などを含有するベタインを含まない蒸留残渣の画分である。
約6.9のpHと乾燥固体を基準にして約14%のレベルのカリウムを有する蒸留残渣画分を強制循環蒸発器(Rosenlew)を使用して乾燥固形分が約59ないし61%になるまで濃縮した。 蒸発を120なし200mbarの絶対圧力の真空下で行った。 良好な結晶の成長は保ち、かつ新しい結晶核の形成は回避するために硫酸(96%)を液体にゆっくりと加えた。 中和剤は加えなかった。 液体の最終的なpHは約3.1だった。 この時点で、スラリーは約20重量%の結晶を含有していた。 結晶を多孔金属スクリーンを有するバスケット遠心分離器(Heine)で分離した。 結晶ケーキの乾燥固形分は98%であり、その中にカリウムを34%含有していた。 有機画分のカリウム含有量は4.9%であり、有機酸含有量は30%であり、アミノ酸含有量は4%であった。
実施例2
蒸留残渣からクロマトグラフによりベタインを分離したとき得た残留蒸留残渣を以下の方法で加工した。 乾燥固形分が16.1%であり、そのカリウム含有量が13.6%である600リットルの残留蒸留残渣に、その液体のpHが3.9まで下がるように10キログラムの濃縮硫酸を加えた。 200リットルの酸性にした液体を蒸発晶出装置、すなわち0.4m
3の真空沸騰パン(A. Gronroos Oyのよる製造)に通した。 230ないし250mbarの圧力で温度68ないし70℃で塊(the mass)を加熱した。 塊の屈折率による乾燥固形分が30%まで増加したとき、新しい液体を加え始め、液体容積を約100リットルに保った。 液体の流入と同時にpHが3.5を越えないように維持するのに十分な割合で硫酸を加えた。 流入を終えて、母液の屈折率による乾燥固形分が約68.5%、およびpH値が3.06に至るまで蒸発を続けた。 その後塊を冷却晶出装置にいれ、そこで16時間かけて約26℃に冷却した。 冷却された塊をバスケット遠心分離器(Heine)で遠心分離した。 遠心分離収量は30kgの結晶ケーキと99kgの液体有機画分だった。 結晶ケーキの乾燥固形分は97.3%で、その中にはカリウムを32.1%含み、したがって乾燥固体を基準にした硫酸カリウム含有量は71.2%だった。 有機画分のカリウム含有量は乾燥固体を基準にして4.1%だった。 実施例3
蒸留結晶化を実施例1に記述したように行った。 同じパラメーターを用いたが、熱処理は母液の屈折率による乾燥固形分が60.0%および、pH値が3.1のとき終了させた。 その後、塊(the mass)を冷却晶出装置に入れ、26℃に冷却し実施例1に記述したように遠心分離を行った。 遠心分離収量は25kgの結晶ケーキと121.5kgの液体有機画分だった。 結晶ケーキの乾燥固形分は98.2%で、その中にはカリウムを40.1%含み、したがって乾燥固体を基準にした硫酸カリウム含有量は89.8%だった。 有機画分のカリウム含有量は乾燥固体を基準にして4.9%だった。
実施例4
蒸留により得られた、11.7%の平均乾燥固形分を有し、その中にカリウムを平均10.7%含有する新たな蒸留残渣を85ないし95℃に加熱し、その後そのpHを約6.5ないし7.0の値に調整した。 温度の高い蒸留残渣をディスク積層清澄化遠心分離機で清澄化し、そこから連続的に上昇型フィルムタイプの強制循環蒸発器に送り込み、乾燥固形分が60±1%になるまで濃縮した。 濃縮した蒸留残渣を滞留時間10時間で沈降タンクを通過させることによってデカントした。 沈澱した硫酸カリウムを含むスラリーを総流量の10%の容積率でタンクの底から除去した。 スラリーの乾燥固形分は67%で、その中にカリウムを14.5%含有していた。 スラリーを60℃まで加熱し、2.8m2のフィルター面を有するプレート・フレームタイプの濾過装置(Seitz Orion)を通過させた。 270リットルのスラリーを濾過した後、フィルターチャンバーがぎっしり詰まっていることを示す濾過圧が急激に上がった。 その後濾過を終え、フィルターチャンバー内の液体を空気と置き換えた。 濾過装置を開け、90.5kgのフィルター塊を回収した。 その塊の乾燥固形分は78.4%で、その中に25.9%のカリウムを含有していた。
乾燥固形分が58.8%で、その中に10.4%のカリウムを有するデカントされた液体を90℃に加熱し、同様の濾過ユニットを使用して濾過した。 濾過助剤として珪藻土(Kenite 300)を使用し、その用量は0.2ないし0.4%(w/v(重量/容積))まで様々であった。 容積で210リットルあり、乾燥固形分が60.1%で、その中にカリウムを9.2%含有するスラリーろ液を2430リットルのデカンテイションオーバーフローろ液と併用させた。 併用した透明なろ液を乾燥固形分が50%になるまで希釈し、検査濾過し、そしてベタインをクロマトグラフにより回収した。 クロマトグラフによるベタインの分離の後、蒸留残渣の乾燥固形分が15.8%でその中にカリウムを13.4%含有する9500リットルの残留蒸留残渣を得た。
上記のスラリー濾過から得られた塊が残留蒸留残渣に溶解され、それによってそのカリウム含有量が13.9%まで増加した。 6.6キログラムの濃縮硫酸を400リットルのこの液体に、液体のpH値を3.8まで低下させるよう加えた。 200リットルの酸性化された液体を蒸留晶出装置、すなわち0.4m
3の真空沸騰パン(A. Gronroos Oyによる製造)に移し、塊のpHを3.5より低く保つのに十分な量の硫酸を加えることによって実施例1に記述したように蒸発結晶化した。 母液の屈折率による乾燥固形分が約61.1%まで増加し、pH値が3.1のとき熱処理を終了した。 その後塊を冷却晶出装置に通し、約26℃まで冷却し遠心分離した。 遠心分離収量は19kgの結晶ケーキと83kgの液体有機画分だった。 結晶ケーキの乾燥固形分は98.0%で、その中にはカリウムを39.3%含み、したがって乾燥固体を基準にした硫酸カリウム含有量は87.8%だった。 有機画分のカリウム含有量は乾燥固体を基準にして4.8%だった。
実施例5
酵母生産の発酵段階後、遠心分離によって発酵母液から酵母を除去した。 母液は、容積で約0.01ないし0.8%の非溶解性固体をまだ含む希釈蒸留残渣を形成した。 概してその固体は小さい酵母細胞、他の微生物細胞、砕けた細胞の砕片などから形成されている。 液体の乾燥固形分は3ないし7重量%の範囲で様々で、カリウム含有量は乾燥固体を基準にして11.2ないし13.1%の範囲で様々だった。
固体含有液体を約85ないし95℃に加熱した。 そのpHを約6.5ないし7.0の値に調整し、8500rpmの回転速度の高効率清澄化遠心分離機(ディスク積層清澄化遠心分離機Westfalia NA7)で清澄化した。 一般に清澄化された液体は約0ないし0.05%の非溶解性固体を含有するものであった。 非溶解性固体除去の効率はこのように一般に90%を越えるものであった。
清澄化蒸留残渣を実施例1に記述した方法で濃縮し、同様の結果を得た。
硫酸カリウム結晶を実施例1に記述した方法で除去した。
デカントした蒸留残渣を実施例1に記述した方法で濾過した。
この方法で前処理した蒸留残渣を実施例1に記述した方法でパイロット規模のクロマトグラフFSB−SMBによる分離器によって分離した。
pHが約7.5であるベタインを除いた蒸留残渣画分を乾燥固形分が約68ないし69%になるまで強制循環蒸発器(Rosenlew)を使用して濃縮した。 その後良好な結晶の成長は保ち、かつ新しい結晶核の形成を回避するために硫酸(96%)を液体にゆっくりと加えた。 中和剤は加えなかった。 液体の最終的なpHは約3.1だった。 この時点で、スラリーは約20重量%の結晶を含有していた。 結晶を多孔金属スクリーンを有するバスケット遠心分離器で分離した。 結晶ケーキの乾燥固形分は97%であり、その中にカリウムを32%含有していた。 有機画分のカリウム含有量は4.1%であり、有機酸含有量は33%であり、アミノ酸含有量は2%だった。
実施例6
アルコール製造から得られ、乾燥固体を基準にして約12%のカリウムを含有しpH値は約5.6であるビート蒸留残渣を乾燥固形分が約59ないし61%になるまで強制循環蒸発器(Rosenlew)を使用して濃縮した。 蒸発を120ないし200mbarの絶対圧力の真空下で行った。 硫酸(96%)を液体にゆっくりと加えた。 液体の最終的なpHは約3.1だった。 この時点で、スラリーは約18重量%の結晶を含有していた。 結晶を多孔金属スクリーンを有するバスケット遠心分離器(Heine)で分離した。 結晶ケーキの乾燥固形分は97%であり、その中にカリウムを32%含有していた。 有機画分のカリウム含有量は5.2%であり、有機酸含有量は22%であり、アミノ酸含有量は3%だった。
|