バイオマスから芳香族化合物を製造するプロセス

申请号 JP2017529619 申请日 2015-12-02 公开(公告)号 JP2017537923A 公开(公告)日 2017-12-21
申请人 サビック グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ; サビック グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ; 发明人 フライヤ アル−アナジ; フライヤ アル−アナジ; シード ハシュミ; シード ハシュミ;
摘要 芳香族化学品の製造法であって、この製造法は、バイオマスを含む原料を第1反応器に供給して第1生成物流を製造する工程であって、第1生成物流がメタンと二 酸化 炭素とを含む工程と、第1生成物流をリサイクル流と混合して第2反応器供給流を生成する工程と、第2反応器供給流を第2反応器に通し、 芳香族化合物 と 水 素ガスとを含む第2生成物流を製造する工程と、第2生成物流から芳香族化合物を回収し、芳香族化合物を含まない回収流を作る工程と、回収流を二酸化炭素含有流と混合して混合回収流を生成する工程と、混合回収流を第3反応器に通し、ガスを含むリサイクル流を製造する工程と、第2生成物流から芳香族化学品を生成する工程と、を含む。
权利要求

芳香族化学品の製造法であって、 前記製造法は、 バイオマスを含む原料を第1反応器に供給して第1生成物流を製造する工程であって、前記第1生成物流がメタンと二酸化炭素とを含む工程と、 前記第1生成物流をリサイクル流と混合して第2反応器供給流を生成する工程と、 前記第2反応器供給流を第2反応器に通し、芳香族化合物素ガスとを含む第2生成物流を製造する工程と、 前記第2生成物流から芳香族化合物を回収し、芳香族化合物を含まない回収流を作る工程と、 前記回収流を二酸化炭素含有流と混合して混合回収流を生成する工程と、 前記混合回収流を第3反応器に通し、ガスを含むリサイクル流を製造する工程と、 前記第2生成物流から芳香族化学品を生成する工程と、 を含むことを特徴とする、芳香族化学品の製造法。前記バイオマスが、植物、水生作物、林業、農業残渣、動物の屎尿、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せより選ばれる材料を含むことを特徴とする、請求項2に記載の製造法。前記芳香族化学品が、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せであることを特徴とする、請求項1〜2のいずれか1項に記載の製造法。前記ガスがメタンを含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造法。前記リサイクル流が更に水を含み、前記リサイクル流から水を分離する工程を更に含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造法。前記第2反応器が脱水素芳香族化反応器であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造法。前記第1生成物流が、55質量%から70質量%のメタンと、40質量%から45質量%の二酸化炭素とを含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造法。前記第2反応器内で、触媒を用いて前記第2反応器供給流を反応させ、前記第2生成物流を生成する工程を更に含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造法。前記触媒が金属触媒を含むことを特徴とする、請求項8に記載の製造法。前記金属が、モリブデン、タングステン、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀、亜鉛、クロム、スズ、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せより選ばれることを特徴とする、請求項9に記載の製造法。前記第2生成物流を脱水素化する、および/または、前記第2生成物流を環化する工程を更に含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造法。前記第2生成物の脱水素化および/または環化を、400℃から1,000℃の温度と、0.02メガパスカルから0.5メガパスカルの圧で行うことを特徴とする、請求項13に記載の製造法。前記第2生成物の脱水素化および/または環化を、400ガス毎時空間速度から8,000ガス毎時空間速度の、供給ガスの圧力、または、1時間当たり、触媒体積当たりの気体の体積で測定したガス毎時空間速度で行うことを特徴とする、請求項12に記載の製造法。メタン化触媒を前記混合回収流と接触させて第3生成物流を製造する工程を更に含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の製造法。前記メタン化触媒が、ルテニウム、コバルト、ニッケル、鉄、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せより選ばれることを特徴とする、請求項14に記載の製造法。前記第3生成物流を、200℃から600℃の温度と、0メガパスカルから75メガパスカルの圧力で生成することを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の製造法。芳香族化学品の製造法であって、 前記製造法が、 バイオマスを含む原料を第1反応器に供給して第1生成物流を製造する工程であって、前記第1生成物流がメタンと二酸化炭素とを含む工程と、 前記第1生成物流をリサイクル流と混合して第2反応器供給流を生成する工程と、 前記第2反応器供給流を脱水素芳香族化反応器に通し、芳香族化合物と水素ガスとを含む第2生成物流を製造する工程と、 前記第2生成物流から芳香族化合物を回収し、芳香族化合物を含まない回収流を作る工程と、 前記回収流を二酸化炭素含有流と混合して混合回収流を生成する工程と、 前記混合回収流を第3反応器に通し、水とガスとを含む第3生成物流を製造する工程と、 前記第2生成物流から芳香族化学品を生成する工程と、 前記第3生成物流からメタンを回収して前記リサイクル流を生成する工程と、 を含むことを特徴とする、芳香族化学品の製造法。芳香族化学品の製造法であって、 前記製造法は、 バイオマスを含む原料を消化装置に供給する工程であって、消化を20℃から50℃で行い、第1生成物流を生成する工程と、 前記第1反応器排出流を第1分離装置に通す工程であって、前記第1反応器排出流が、55質量%から70質量%のメタンと、30質量%から45質量%の二酸化炭素とを含み、前記第1分離装置が前記第1反応器排出流を、メタンを含む第1生成物流と、二酸化炭素を含む転送流とに分離する工程と、 前記第1分離装置から前記第1生成物流を回収する工程と、 前記第1生成物流をリサイクル流と混合して第2反応器供給流を生成する工程と、 前記第2反応器供給流を第2反応器に通し、前記第2反応器内においてメタンを、脱水素環化反応によって芳香族化合物と水素に、脱水素カップリング反応によって炭化水素に転化して、第2生成物流を生成する工程と、 前記第2生成物流を凝縮装置に供給し、前記第2生成物流から芳香族化合物を分離して、芳香族化合物流と、芳香族化合物を含まない生成物流とを生成する工程と、 芳香族化合物を含まない前記生成物流を水素と混合して混合回収流を生成する工程と、 前記混合回収流をメタン化反応器に送って第3生成物流を生成する工程と、 前記第3生成物流を第2分離装置に供給する工程と、 前記第2分離装置内において前記第3生成物流を分離し、水含有流と、メタンを含むリサイクル流とを生成する工程と、 を含むことを特徴とする、芳香族化学品の製造法。前記第2反応器内で前記第2反応器供給流を触媒と接触させる工程を更に含むことを特徴とする、請求項18に記載の製造法。前記第1生成物流の反応生成物を前記メタン化反応器に加えて前記第3生成物流を製造する工程を更に含むことを特徴とする、請求項18〜19のいずれか1項に記載の製造法。

芳香族化学品の製造法であって、 前記製造法は、 バイオマスを含む原料を第1反応器に供給して第1生成物流を製造する工程であって、前記第1生成物流がメタンと二酸化炭素とを含む工程と、 前記第1生成物流をリサイクル流と混合して第2反応器供給流を生成する工程と、 前記第2反応器供給流を第2反応器に通し、芳香族化合物と水素ガスとを含む第2生成物流を製造する工程と、 前記第2生成物流から芳香族化合物を回収し、芳香族化合物を含まない回収流を作る工程と、 前記回収流を二酸化炭素含有流と混合して混合回収流を生成する工程と、 前記混合回収流を第3反応器に通し、ガスを含むリサイクル流を製造する工程と、 前記第2生成物流から芳香族化学品を生成する工程と、 を含むことを特徴とする、芳香族化学品の製造法。前記バイオマスが、植物、水生作物、林業、農業残渣、動物の屎尿、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せより選ばれる材料を含むことを特徴とする、請求項1に記載の製造法。前記芳香族化学品が、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せであり、 前記ガスがメタンを含み、 前記リサイクル流が更に水を含み、前記リサイクル流から水を分離する工程を更に含むことを特徴とする、請求項1〜2のいずれか1項に記載の製造法。前記第1生成物流が、55質量%から70質量%のメタンと、40質量%から45質量%の二酸化炭素とを含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造法。前記第2反応器内で、触媒を用いて前記第2反応器供給流を反応させ、前記第2生成物流を生成する工程を更に含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造法。前記触媒が金属触媒を含み、 前記金属が、モリブデン、タングステン、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀、亜鉛、クロム、スズ、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せより選ばれることを特徴とする、請求項5に記載の製造法。前記第2生成物流を脱水素化する、および/または、前記第2生成物流を環化する工程を更に含み、 前記第2生成物の脱水素化および/または環化を、400℃から1,000℃の温度と、0.02メガパスカルから0.5メガパスカルの圧力で行い、 前記第2生成物の脱水素化および/または環化を、400ガス毎時空間速度から8,000ガス毎時空間速度の、供給ガスの圧力、または、1時間当たり、触媒体積当たりの気体の体積で測定したガス毎時空間速度で行うことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造法。メタン化触媒を前記混合回収流と接触させて第3生成物流を製造する工程を更に含み、 前記メタン化触媒が、ルテニウム、コバルト、ニッケル、鉄、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せより選ばれることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造法。芳香族化学品の製造法であって、 前記製造法が、 バイオマスを含む原料を第1反応器に供給して第1生成物流を製造する工程であって、前記第1生成物流がメタンと二酸化炭素とを含む工程と、 前記第1生成物流をリサイクル流と混合して第2反応器供給流を生成する工程と、 前記第2反応器供給流を脱水素芳香族化反応器に通し、芳香族化合物と水素ガスとを含む第2生成物流を製造する工程と、 前記第2生成物流から芳香族化合物を回収し、芳香族化合物を含まない回収流を作る工程と、 前記回収流を二酸化炭素含有流と混合して混合回収流を生成する工程と、 前記混合回収流を第3反応器に通し、水とガスとを含む第3生成物流を製造する工程と、 前記第2生成物流から芳香族化学品を生成する工程と、 前記第3生成物流からメタンを回収して前記リサイクル流を生成する工程と、 を含むことを特徴とする、芳香族化学品の製造法。芳香族化学品の製造法であって、 前記製造法は、 バイオマスを含む原料を消化装置に供給する工程であって、消化を20℃から50℃で行い、第1生成物流を生成する工程と、 前記第1反応器排出流を第1分離装置に通す工程であって、前記第1反応器排出流が、55質量%から70質量%のメタンと、30質量%から45質量%の二酸化炭素とを含み、前記第1分離装置が前記第1反応器排出流を、メタンを含む第1生成物流と、二酸化炭素を含む転送流とに分離する工程と、 前記第1分離装置から前記第1生成物流を回収する工程と、 前記第1生成物流をリサイクル流と混合して第2反応器供給流を生成する工程と、 前記第2反応器供給流を第2反応器に通し、前記第2反応器内においてメタンを、脱水素環化反応によって芳香族化合物と水素に、脱水素カップリング反応によって炭化水素に転化して、第2生成物流を生成する工程と、 前記第2生成物流を凝縮装置に供給し、前記第2生成物流から芳香族化合物を分離して、芳香族化合物流と、芳香族化合物を含まない生成物流とを生成する工程と、 芳香族化合物を含まない前記生成物流を水素と混合して混合回収流を生成する工程と、 前記混合回収流をメタン化反応器に送って第3生成物流を生成する工程と、 前記第3生成物流を第2分離装置に供給する工程と、 前記第2分離装置内において前記第3生成物流を分離し、水含有流と、メタンを含むリサイクル流とを生成する工程と、 を含むことを特徴とする、芳香族化学品の製造法。

说明书全文

本発明は、バイオマスから芳香族化合物を製造するプロセスに関する。

ベンゼンなどの芳香族化学品(芳香族化合物)は化学工業において多くの用途を持ち、これらの化合物に対する需要は年々高まりつつある。芳香族化合物の製造では、石油原料に、接触改質、トルエン素脱アルキル化、トルエン不均化、水蒸気分解など、様々な製造プロセスを行うことができる。あるいは、脱水素環化プロセスにより、メタン(CH4)を芳香族化合物に転化することができる。

様々な実施形態にテレフタル酸の精製法が開示されている。

芳香族化学品の製造法であって、この製造法は、バイオマスを含む原料を第1反応器に供給して第1生成物流を製造する工程であって、第1生成物流がメタンと二酸化炭素とを含む工程と、第1生成物流をリサイクル流と混合して第2反応器供給流を生成する工程と、第2反応器供給流を第2反応器に通し、芳香族化合物と水素ガスとを含む第2生成物流を製造する工程と、第2生成物流から芳香族化合物を回収し、芳香族化合物を含まない回収流を作る工程と、回収流を二酸化炭素含有流と混合して混合回収流を生成する工程と、混合回収流を第3反応器に通し、ガスを含むリサイクル流を製造する工程と、第2生成物流から芳香族化学品を生成する工程と、を含む。

芳香族化学品の製造法であって、この製造法は、バイオマスを含む原料を第1反応器に供給して第1生成物流を製造する工程であって、第1生成物流がメタンと二酸化炭素とを含む工程と、第1生成物流をリサイクル流と混合して第2反応器供給流を生成する工程と、第2反応器供給流を脱水素芳香族化反応器に通し、芳香族化合物と水素ガスとを含む第2生成物流を製造する工程と、第2生成物流から芳香族化合物を回収し、芳香族化合物を含まない回収流を作る工程と、回収流を二酸化炭素含有流と混合して混合回収流を生成する工程と、混合回収流を第3反応器に通し、水とガスとを含む第3生成物流を製造する工程と、第2生成物流から芳香族化学品を生成する工程と、第3生成物流からメタンを回収してリサイクル流を生成する工程と、を含む。

芳香族化学品の製造法であって、この製造法は、バイオマスを含む原料を消化装置に供給する工程であって、消化を20℃から50℃で行い、第1生成物流を生成する工程と、第1反応器排出流を第1分離装置に通す工程であって、第1反応器排出流が、55質量%から70質量%のメタンと、30質量%から45質量%の二酸化炭素とを含み、第1分離装置が第1反応器排出流を、メタンを含む第1生成物流と、二酸化炭素を含む転送流とに分離する工程と、第1分離装置から第1生成物流を回収する工程と、第1生成物流をリサイクル流と混合して第2反応器供給流を生成する工程と、第2反応器供給流を第2反応器に通し、第2反応器内においてメタンを、脱水素環化反応によって芳香族化合物と水素に、脱水素カップリング反応によって炭化水素に転化して、第2生成物流を生成する工程と、第2生成物流を凝縮装置に供給し、第2生成物流から芳香族化合物を分離して、芳香族化合物流と、芳香族化合物を含まない生成物流とを生成する工程と、芳香族化合物を含まない生成物流を水素と混合して混合回収流を生成する工程と、混合回収流をメタン化反応器に送って第3生成物流を生成する工程と、第3生成物流を第2分離装置に供給する工程と、第2分離装置内において第3生成物流を分離し、水含有流と、メタンを含むリサイクル流とを生成する工程と、を含む。

これらおよびその他の特徴および特性について以下で更に詳細に述べる。

以下は図面の簡単な説明であり、この中では同様の要素に類似した番号を付けている。これらは本件に開示されている例示的な実施形態を説明するために示すもので、これらを制限しようとするものではない。

バイオマス原料から芳香族化合物を製造するプロセスの実施形態を示す図である。

回収流を転送流と混合してリサイクルする、バイオマス原料から芳香族化合物を製造するプロセスの実施形態を示す図である。

回収流を更に分離した後に、転送流と混合してリサイクルする、バイオマス原料から芳香族化合物を製造するプロセスの実施形態を示す図である。

石油供給源のコストが上がるにつれ、石油から芳香族化合物を製造する経済性は低下する。少なくとも一部は経済的要因により、メタン供給源が石油に代わり、芳香族化合物の製造における重要な資源になり得ると考えられる。

脱水素環化プロセスによりメタン(CH4)を芳香族化合物に直接転化すると、副生成物の水素と共に芳香族化合物を製造することができる。しかし、生成物流中の未転化メタンが転化を制限すると考えられるため、脱水素環化反応の熱学的制限により芳香族化合物の収率が低下することがある。更に、芳香族生成物からの水素の分離にはコストのかかる分離プロセス(例えば、極低温分離、圧力スイング吸着、またはこの2つの組合せ)が必要と考えられ、これは非石油原料を利用するプロセスの経済的恩恵を小さくするおそれがある。

即ち、化学工業において、再生可能な原料(例えば、バイオマス)から、費用競争力のある方法で芳香族化学品(ベンゼン、トルエン、ナフタレン、および/またはその他の芳香族化合物など)を製造することが望まれている。従って、芳香族生成物流から水素を分離する必要がなく、メタン脱水素環化の熱力学を損なわないプロセスが求められている。

本願では、バイオマス原料から芳香族化学品を製造するプロセスを開示する。このプロセスは、バイオマス原料を第1反応器に導入する工程を含むことができる。バイオマス原料は、炭素と水素を含む、どのような生物的に生産された物質を含むものでも良い。バイオマス原料は、メタンに転化することのできる、どのような生物的に生産された物質を含むものでも良い。例えば、バイオマス原料として、植物、水産資源(例えば、水産養殖)、林業、農業、動物の屎尿、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せから得られた材料を挙げることができる。バイオマスは、適当であればどのような方法(例えば、投入、注入、流入、搬入など)で第1反応器に導入しても良く、その際、液体、固体、または気体状態であって良い。第1反応器は、バイオマス原料からメタンを回収できるものであればどのような反応器であっても良い。第1反応器は、バイオマス原料からのメタン生産を最適化するため、複数の段階を含むものでも良い。第1反応器として、撹拌反応器、プラグ流反応器、または回分反応器を挙げることができる。第1反応器は、バイオマス原料をメタンに転化する細菌、例えば、メタン生成細菌を含んでいても良い。第1反応器として、プラグ流消化装置、完全混合消化装置などの嫌気性消化装置を挙げることができる。

バイオマス原料は、第1反応器内で、メタンと二酸化炭素を含む第1生成物流の製造に効果的な条件下で反応させることができる。第1反応器は、10℃から60℃、例えば、20℃から50℃で稼働させることができる。第1反応器中のバイオマス原料の滞留時間は、1から20日間、例えば、1から15日間とすることができる。第1生成物流は気相であっても良い。第1生成物流は、50から95質量パーセント(質量%)、例えば、55質量%から90質量%または55質量%から70質量%のメタンを含むことができる。第1生成物流は、5質量%から50質量%、例えば、10質量%から45質量%または30質量%から45質量%の二酸化炭素を含むことができる。

本プロセスは、第1分離装置内で第1反応器排出流を分離し、メタンを含む第1生成物流と、二酸化炭素を含む転送流とを生成する工程を含むことができる。転送流を第1生成物流から分けることができる。第1分離装置は、第1反応器排出流を、メタンを含む第1生成物流と、二酸化炭素を含む転送流とに分離できるものであればどのような分離装置であっても良い。このような分離装置としては、極低温凝縮装置、圧力スイング吸着装置、温度スイング吸着装置、気/液接触装置、スクラバーなどが挙げられる。本プロセスは、第1反応器排出流から二酸化炭素を分離および転送して、第2反応器供給流のメタン濃度を高めるよう、第1分離装置を含むことができる。ある実施形態では、第1反応器排出流から分離した転送流を、プロセスの別の部分へ送ることができる(例えば、更に処理を行うための別の反応器、例えば、メタン化反応器などへ送ることができる)。

本プロセスは、第1生成物流をリサイクル流と混合して第2反応器供給流を生成する工程を含むことができる。リサイクル流はメタンを含むことができる。

文中で使用されている“混合(combining)”には、2つ以上の流れを合流することが含まれる。2つ以上の流れは、装置(例えば、反応器、分離装置、回収装置など)の境界の外また中で混ぜ合わせることができる。例えば、混合には、それぞれがプロセス流を運搬する2つ以上の導管を1つの導管(例えば、マニホールド、反応器、管、容器など)に合わせることが含まれる。混合には(必ずしもではないが)、混合流の静的または動的混合のような混合も含まれる。

本プロセスは、第2反応器供給流を第2反応器に通し、芳香族化合物と水素ガスとを含む第2生成物流を製造する工程を含むことができる。本プロセスは、第2生成物流の生成に効果的な条件下で、第2反応器供給流を触媒と接触させる工程を含むことができる。第2反応器は充填床反応器であっても良い。第2反応器は充填材を含むことができる。充填材は触媒担体となって、充填材上に触媒を固定することができる。触媒は、ゼオライト担体上に担持した金属触媒などの二元機能触媒であっても良い。金属としては、モリブデン、タングステン、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀、亜鉛、クロム、スズ、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せが挙げられる。ゼオライト担体としては、ペンタシル型ゼオライト群、修飾ペンタシル型ゼオライト群、中細孔ゼオライト(例えば、β型ゼオライトおよびMCM−22型ゼオライト)、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せが挙げられる。

第2反応器内の化学反応としては、脱水素化、環化、脱水素カップリング、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せが挙げられる。第2反応器内の反応には、脱水素化と環化が同時に起き(例えば、脱水素環化過程)、芳香族化合物と水素とを生成する反応もある。第2反応器内の反応としては、炭化水素(例えば、非芳香族炭化水素)を生成する、脱水素カップリングもある。前述の触媒および後に述べる第2反応器の条件は、望ましい反応過程を促進することができる。第2反応器は、400℃から1000℃、例えば、500℃から850℃または700℃から750℃の温度で稼働させることができる。第2反応器は、0.2から5気圧の絶対(abs)圧力(atm(abs))(20から507キロパスカル(kPa(abs))、例えば、0.5から2atm(abs)(50.7から203kPa(abs))で稼働させることができる。第2反応器は、400から8,000GHSV、例えば、500から7,000GHSVの、第2反応器供給流のガス毎時空間速度(gas hourly space velocity:GHSV)で稼働させることができる。ここで使用するガス毎時空間速度(GHSV)とは、1時間当たり、反応器中の触媒(触媒担体を含む)の体積当たり、反応器に供給される気体の体積を指すことができる。GHSVは、反応器に供給される気体の体積流量を、反応器内に含まれる触媒と触媒担体とを合わせた体積で割ることで計算できる。

本プロセスは、第2生成物流から芳香族化合物を回収し、芳香族化合物を含まない回収流を作る工程を含むことができる。芳香族化合物回収装置を用いて、第2生成物流を、回収流(芳香族化合物を含まない)と芳香族生成物流とに分けることができる。芳香族化合物回収装置は、凝縮装置、極低温分離装置、気/液接触装置などの化学分離装置であっても良い。回収流は、メタン(例えば、第2反応器内で反応しなかったメタン)と水素(例えば、脱水素環化過程の副生成物である水素)を含むと考えられる。水素を含む第1補給水素流を回収流に混ぜ合わせて、回収流の水素含量を更に高めても良い。補給水素は、適当であればどのようなプロセスから供給しても良い。例えば、補給水素は、再生可能な原料(例えば、電気分解などの水分解過程または生物材料)から、炭化水素改質(例えば、メタン改質)、クラッキング(例えば、炭化水素クラッキング)、脱水素化過程、水素を遊離する化学過程、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せなどの過程から得られる。

本プロセスは、第3分離装置内で回収流を分離し、メタンを含むメタン回収流と、水素を含む水素回収流とを生成する工程を含むことができる。水素回収流に、第1補給水素流、二酸化炭素含有流(例えば、転送流)、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せを混ぜ合わせても良い。メタン回収流に、第1生成物流、第3生成物流、メタンを含むリサイクル流(後で述べるように、第3生成物流から得られる)、第2補給水素流、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せを混ぜ合わせても良い。

本プロセスは、回収流(水素を補給した、または補給していない、芳香族を含まない流れ)を、二酸化炭素を含む流れと混ぜ合わせて混合回収流を生成する工程を含むことができる。二酸化炭素含有流は第1生成物流から得ることができる。例えば、二酸化炭素含有流は、先に述べたように、第1分離装置内で第1反応器排出流から分離した転送流であっても良い。あるいは、二酸化炭素含有流は、新たな二酸化炭素の供給、別のプロセス(例えば、分離過程、燃焼などの反応過程、改質、水性ガスシフト過程など)からの流れ、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せを含んでいても良い。

本プロセスは、混合回収流を第3反応器に通し、水とガスとを含む第3生成物流を製造する工程を含むことができる。本プロセスは、水とガスとを含む第3生成物流の生成に効果的な条件下で、混合回収流を触媒と接触させる工程を含むことができる。第3生成物流は、メタンガスと気相の水とを含むと考えられる。第3生成物流中のメタンガスは、混合回収流からの未反応メタン、第3反応器内で合成されたメタン、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せを含むことができる。第3反応器は充填床反応器であっても良い。第3反応器は、触媒担体に担持したメタン化触媒を含んでいても良い。メタン化触媒としては、ロジウム、パラジウム、白金、イリジウム、ルテニウム、コバルト、ニッケル、鉄、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せが挙げられる。触媒担体としては、触媒をその上に固定することのできる、無機酸化物(例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化セシウム、酸化ジルコニウムなど)が挙げられる。

第3反応器内でのメタン化は、メタンガスと水とを含む第3生成物流の生成に効果的な条件下で行うことができる。第3反応器は、200℃から600℃、例えば、300℃から575℃または500℃から575℃の温度で稼働させることができる。第3反応器は、0から680atm(g)(0から69メガパスカル(MPa)(g))のゲージ(g)圧で稼働させることができる。メタン化は、200から1万GHSVまたは約600から5,000GHSVの混合回収流のGHSVで行うことができる。

第3生成物流を第1生成物流と混合して第2反応器供給流を生成することができる。第3生成物流を第2分離装置内で分離し、水除去流と、メタンを含むリサイクル流とを生成することができる。リサイクル流を、第3分離装置からのメタン回収流、第1生成物流、第2補給水素流、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せと混合して、第2反応器供給流を生成することができる。水除去流は、第2分離装置から流出する液相の流れであっても良い。メタンを含むリサイクル流は、第2分離装置から流出する気相の流れであっても良い。

本プロセスは、第2生成物流から芳香族化学品を生成する工程を含むことができる。芳香族化合物回収装置から回収される芳香族化合物としては、ベンゼン、トルエン、ナフタレン、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せが挙げられる。

図1は、芳香族化合物を製造するためのプロセス1を示す図である。プロセス1は、第1反応器10に導入されるバイオマス原料11を含む。バイオマス原料11は第1反応器10内で反応して第1生成物流31を生成し、これをリサイクル流32と混合して第2反応器供給流34を生成することができる。第2反応器供給流34を第2反応器30に通し、ここで、脱水素化、環化、脱水素カップリング、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せを行って、第2生成物流41を生成することができる。芳香族回収装置40内で第2生成物流41から芳香族化合物含有流45を取り出し、芳香族化合物を含まない回収流51を第2反応器30へ戻すことができる。回収流51はメタンと水素とを含むと考えられる。回収流51を二酸化炭素含有流52と混合して混合回収流54を生成することができる。混合回収流54をメタン化反応器などの第3反応器50に通して、そのメタン含量を高めることができる。メタンを含むリサイクル流32を第1生成物流31と混合して第2反応器供給流34を生成することができる。第1補給水素流53で混合回収流54に水素を追加し、第3反応器50内でのメタン化を促進することができる。芳香族化合物含有流45には、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せなどの芳香族化学品が含まれると考えられる。

図2は、芳香族化合物を製造するためのプロセス100を示す図である。プロセス100は、第1反応器110に導入されるバイオマス原料111を含む。バイオマス原料111は第1反応器110内で反応して第1反応器排出流121を生成し、これを第1分離装置120内で分離すると、二酸化炭素を含む転送流152と、メタンを含む第1生成物流131とが生成できる。第1生成物流131を、リサイクル流132、第2補給水素流133、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せと混合し、第2反応器供給流134を生成することができる。第2反応器供給流134を第2反応器130に通し、ここで、脱水素化、環化、脱水素カップリング、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せを行って、第2生成物流141を生成することができる。芳香族回収装置140内で第2生成物流141から芳香族化合物含有流145を取り出し、芳香族化合物を含まない回収流151を、リサイクル流132を経て第2反応器130へ戻すことができる。回収流151はメタンと水素とを含むと考えられる。回収流151を、二酸化炭素を含む転送流152、第1補給水素流153、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せと混合し、混合回収流154を生成することができる。ある実施形態では、混合回収流154を、第3反応器150(例えば、第3反応器150に、回収流151、転送流152、第1補給水素流153、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せを運ぶための取り入れ口がある場合)内で生成することができる。メタン化反応器などの第3反応器150に混合回収流154を通すことで、そのメタン含量を高めることができる。第2分離装置160内で第3生成物流161から水を除き、リサイクル流132と水除去流162とを生成することで、リサイクル流132のメタン濃度を更に高めることができる。メタンを含むリサイクル流132を、第1生成物流131、第2補給水素流133、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せと混合し、第2反応器供給流134を生成することができる。第1補給水素流153で混合回収流154に水素を追加し、第3反応器150内でのメタン化を促進することができる。芳香族化合物含有流145には、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せなどの芳香族化学品が含まれると考えられる。

図3は、芳香族化合物を製造するためのプロセス200を示す図である。プロセス200は、第1反応器210に導入されるバイオマス原料211を含む。バイオマス原料211は第1反応器210内で反応して第1反応器排出流221を生成し、これを第1分離装置220内で分離すると、二酸化炭素を含む転送流252と、メタンを含む第1生成物流231とが生成できる。第1生成物流231を、リサイクル流232、第2補給水素流233、メタン回収流273、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せと混合し、第2反応器供給流234を生成することができる。第2反応器供給流234を第2反応器230に通し、ここで、脱水素化、環化、脱水素カップリング、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せを行って、第2生成物流241を生成することができる。芳香族回収装置240内で第2生成物流241から芳香族化合物含有流245を取り出し、芳香族化合物を含まない回収流271を、リサイクル流232を経て第2反応器230へ戻すことができる。回収流271はメタンと水素とを含むと考えられる。回収流271を第3分離装置270内で分離し、メタン回収流273と水素回収流272とを生成することができる。水素回収流272を、二酸化炭素を含む転送流252、第1補給水素流253、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せと混合し、混合回収流254を生成することができる。ある実施形態では、混合回収流254を、第3反応器250(例えば、第3反応器250に、水素回収流272、転送流252、第1補給水素流253、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せを運ぶための取り入れ口がある場合)内で生成することができる。混合回収流254をメタン化反応器などの第3反応器250に通すことで、そのメタン含量を高めることができる。第2分離装置260内で第3生成物流261から水を除き、リサイクル流232と水除去流262とを生成することで、リサイクル流232のメタン濃度を更に高めることができる。メタンを含むリサイクル流232を、第1生成物流231、メタン回収流273、第2補給水素流233、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せと混合し、第2反応器供給流234を生成することができる。第1補給水素流253で混合回収流254に水素を追加し、第3反応器250内でのメタン化を促進することができる。芳香族化合物含有流245には、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せなどの芳香族化学品が含まれると考えられる。

他のプロセスでメタンから芳香族化合物を合成する場合には、芳香族生成物流から水素を分離するため、極低温分離、圧力スイング吸着(PSA)、または前述の方法を組み合わせた工程が必要なことがある。本発明の主題は、この欠点を克服し、プロセスの熱力学的条件を、芳香族化合物への転化率が高まるようにシフトさせることができる。理論によって束縛しようとするものではないが、第2反応器(例えば、脱水素環化反応器)内のメタン濃度を高めると芳香族化合物の生成に有利な条件となり、生成物の転化率が向上すると考えられる。このため、第3反応器(例えば、メタン化反応器)内で回収流(芳香族化合物を含まない流れ)を反応させて、リサイクル流のメタン含量を高めることができる。更に、第3反応器内で、二酸化炭素を含む転送流(第1生成物流から分離したもの)を回収流と混合するとリサイクル流のメタン含量が更に高まり、原料をより効率良く利用することができる。また更に、第3生成物流(例えば、メタン化生成物流)から水を除くことで、リサイクル流のメタン濃度を高めることができる。このように、水素と二酸化炭素をメタンに転化することのできる第3反応器をプロセスに加えると、リサイクル流のメタン含量が高まり、第2反応器内での芳香族化合物の転化率が向上すると考えられる。

本件に開示のプロセスは、少なくとも次の実施形態を含むことができる。

実施形態1:芳香族化学品の製造法であって、この製造法は、バイオマスを含む原料を第1反応器に供給して第1生成物流を製造する工程であって、第1生成物流がメタンと二酸化炭素とを含む工程と、第1生成物流をリサイクル流と混合して第2反応器供給流を生成する工程と、第2反応器供給流を第2反応器に通し、芳香族化合物と水素ガスとを含む第2生成物流を製造する工程と、第2生成物流から芳香族化合物を回収し、芳香族化合物を含まない回収流を作る工程と、回収流を二酸化炭素含有流と混合して混合回収流を生成する工程と、混合回収流を第3反応器に通し、ガスを含むリサイクル流を製造する工程と、第2生成物流から芳香族化学品を生成する工程と、を含む。

実施形態2:実施形態2の方法であって、バイオマスは、植物、水生作物、林業、農業残渣、動物の屎尿、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せより選ばれる材料を含む。

実施形態3:実施形態1〜2のいずれかの方法であって、芳香族化学品は、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せである。

実施形態4:実施形態1〜3のいずれかの方法であって、ガスはメタンを含む。

実施形態5:実施形態4の方法であって、メタンガスは、合成メタン、未転化メタン、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せを含む。

実施形態6:実施形態1〜5のいずれかの方法であって、リサイクル流は更に水を含み、リサイクル流から水を分離する工程を更に含む。

実施形態7:実施形態1〜6のいずれかの方法であって、第2反応器は脱水素芳香族化反応器である。

実施形態8:実施形態1〜7のいずれかの方法であって、第1生成物流は、55質量%から70質量%のメタンと、40質量%から45質量%の二酸化炭素とを含む。

実施形態9:実施形態1〜8のいずれかの方法であって、第2反応器内で、触媒を用いて第2反応器供給流を反応させ、第2生成物流を生成する工程を更に含む。

実施形態10:実施形態9の方法であって、触媒は金属触媒を含む。

実施形態11:実施形態10の方法であって、金属は、モリブデン、タングステン、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀、亜鉛、クロム、スズ、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せより選ばれる。

実施形態12:実施形態11の方法であって、金属触媒は、ゼオライトに担持した金属触媒である。

実施形態13:実施形態1〜12のいずれかの方法であって、第2生成物流を脱水素化する、および/または、第2生成物流を環化する工程を更に含む。

実施形態14:実施形態13の方法であって、第2生成物の脱水素化および/または環化を、400℃から1,000℃の温度で行う。

実施形態15:実施形態14の方法であって、第2生成物の脱水素化および/または環化を、0.02メガパスカルから0.5メガパスカルの圧力で行う。

実施形態16:実施形態15の方法であって、第2生成物の脱水素化および/または 環化を、400ガス毎時空間速度から8,000ガス毎時空間速度の、供給ガスの圧力、または、1時間当たり、触媒体積当たりの気体の体積で測定したガス毎時空間速度で行う。

実施形態17:実施形態1〜16のいずれかの方法であって、メタン化触媒を混合回収流と接触させて第3生成物流を製造する工程を更に含む。

実施形態18:実施形態17の方法であって、メタン化触媒は、ルテニウム、コバルト、ニッケル、鉄、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せより選ばれる。

実施形態19:実施形態1〜18のいずれかの方法であって、第3生成物流を、200℃から600℃の温度で生成する。

実施形態20:実施形態1〜19のいずれかの方法であって、第3生成物流を、0メガパスカルから75メガパスカルの圧力で生成する。

実施形態21:芳香族化学品の製造法であって、この製造法は、バイオマスを含む原料を第1反応器に供給して第1生成物流を製造する工程であって、第1生成物流がメタンと二酸化炭素とを含む工程と、第1生成物流をリサイクル流と混合して第2反応器供給流を生成する工程と、第2反応器供給流を脱水素芳香族化反応器に通し、芳香族化合物と水素ガスとを含む第2生成物流を製造する工程と、第2生成物流から芳香族化合物を回収し、芳香族化合物を含まない回収流を作る工程と、回収流を二酸化炭素含有流と混合して混合回収流を生成する工程と、混合回収流を第3反応器に通し、水とガスとを含む第3生成物流を製造する工程と、第2生成物流から芳香族化学品を生成する工程と、第3生成物流からメタンを回収してリサイクル流を生成する工程と、を含む。

実施形態22:芳香族化学品の製造法であって、この製造法は、バイオマスを含む原料を消化装置に供給する工程であって、消化を20℃から50℃で行い、第1生成物流を生成する工程と、第1反応器排出流を第1分離装置に通す工程であって、第1反応器排出流が、55質量%から70質量%のメタンと、30質量%から45質量%の二酸化炭素とを含み、第1分離装置が第1反応器排出流を、メタンを含む第1生成物流と、二酸化炭素を含む転送流とに分離する工程と、第1分離装置から第1生成物流を回収する工程と、第1生成物流をリサイクル流と混合して第2反応器供給流を生成する工程と、第2反応器供給流を第2反応器に通し、第2反応器内においてメタンを、脱水素環化反応によって芳香族化合物と水素に、脱水素カップリング反応によって炭化水素に転化して、第2生成物流を生成する工程と、第2生成物流を凝縮装置に供給し、第2生成物流から芳香族化合物を分離して、芳香族化合物流と、芳香族化合物を含まない生成物流とを生成する工程と、芳香族化合物を含まない生成物流を水素と混合して混合回収流を生成する工程と、混合回収流をメタン化反応器に送って第3生成物流を生成する工程と、第3生成物流を第2分離装置に供給する工程と、第2分離装置内において第3生成物流を分離し、水含有流と、メタンを含むリサイクル流とを生成する工程と、を含む。

実施形態23:実施形態22の方法であって、第2反応器内で第2反応器供給流を触媒と接触させる工程を更に含む。

実施形態24:実施形態23の方法であって、触媒はゼオライト機能性金属触媒である。

実施形態25:実施形態22〜24のいずれかの方法であって、第1生成物流の反応生成物をメタン化反応器に加えて第3生成物流を製造する工程を更に含む。

実施形態26:実施形態22〜25のいずれかの方法であって、混合回収流を、ルテニウム、コバルト、ニッケル、鉄、または前述のものの少なくとも1つを含む組合せより選ばれる触媒と接触させて、第3生成物流を製造する工程を更に含む。

一般的に、本発明は、本件に開示されている任意の適当な構成要素を、交互的に含む(alternately comprise)、〜から成る(consist of)、または本質的に〜から成る(consist essentially of)ことができる。先行技術の構成に使われている、あるいは、本発明の機能および/または目的の達成に特に必要のない任意の構成要素、材料、成分、補助物、または種を除いて、または実質的に含まないよう、本発明を、追加的に、または代用的に構成しても良い。同じ構成要素または特性に関する全ての範囲の終点はそこに含まれ、また独立して結合可能である(例えば、“25質量%以下、または5質量%から20質量%”の範囲は、終点と、“5質量%から25質量%”などの範囲の間にある全ての値を含む)。より広い範囲に加えて、より狭い範囲またはより具体的な群が開示されていても、より広い範囲またはより大きい群を否定するものではない。“組合せ”には、配合物、混合物、合金、反応生成物などが含まれる。更に、文中の用語“第1”、“第2”等は、序列、数量、または重要度のいずれを示すものではなく、ある要素と別の要素とを区別するために使用する。文中の用語“a”、“an”、“the”は数量の限定を示すものではなく、文中に別途指示のない限り、または文脈によって明らかに否定されない限り、単数形と複数形の両方を含むと解釈すべきである。“または”は、“および/または”を意味している。文中で使われている接尾辞“(s)”は、それが修飾する語の単数形と複数形の両方を含むことを意図しており、このため、1つ以上のその項目が含まれる(例えば、フィルム(s)は、1つ以上のフィルムを含む)。明細書中で言及している“ある実施形態”、“別の実施形態”、“1つの実施形態”などは、その実施形態に関連して述べられている特定の要素(例えば、特徴、構造、および/または特性)が、本件に記載の少なくとも1つの実施形態に含まれており、別の実施形態中には存在していてもしていなくても良いことを意味している。更に、当然のことながら、記載されている要素は、様々な実施形態において任意の適当な方法で組み合わせることができる。

数量に関連して使用する修飾語“約”は、提示した値を含み、文脈の指示する意味を持つ(例えば、特定の数量の測定に伴うある程度の誤差を含む)。“±10%”という表記は、表示されている測定結果が、述べられた値のマイナス10%の量からプラス10%の量までとなる可能性があることを意味する。用語“前”、“後”、“底部”、および/または“頂部”は、別途指示のない限り、単に記述する便宜上、文中で使われているのであって、いかなる特定の位置または空間的方位に限定するものではない。“随意的な(optional)”または“必要に応じて(optionally)”は、それに続いて述べられている事象または状況が起こることも起こらないこともあり、その記述に、その事象が起こる例と起こらない例が含まれることを意味する。別途定義のない限り、文中で使用されている専門用語および科学用語は、本発明の属する技術の当業者に一般的に理解されているものと同じ意味を持つ。“組合せ”には、配合物、混合物、合金、反応生成物などが含まれる。

文中で使用されている用語“ヒドロカルビル”および“炭化水素”は、炭素と水素、必要に応じて、1から3個のヘテロ原子、例えば、酸素、窒素、ハロゲン、ケイ素、硫黄、またはこれらの組合せを含む置換基を広く指す。“アルキル”は、直鎖または分枝鎖の飽和一価炭化水素基を指す。“アルキレン”は、直鎖または分枝鎖の飽和二価炭化水素基を指す。“アルキリデン”は、直鎖または分枝鎖で、1つの共通する炭素原子上に2本の価標のある飽和二価炭化水素基を指す。“アルケニル”は、炭素−炭素二重結合で結合した少なくとも2個の炭素を含む、直鎖または分枝鎖の飽和一価炭化水素基を指す。“シクロアルキル”は、少なくとも3個の炭素原子を含む、非芳香族で一価の単環または多環炭化水素基を指す。“シクロアルケニル”は、少なくとも3個の炭素原子を含み、不飽和度が1以上の、非芳香族環状二価炭化水素基を指す。“アリール”は、1つ以上の芳香族環中に炭素のみを含む芳香族一価基を指す。“アリーレン”は、1つ以上の芳香族環中に炭素のみを含む芳香族二価基を指す。“アルキルアリール”は、先に定義したアルキル基で置換されたアリール基を指し、アルキルアリール基の一例は、4−メチルフェニルである。“アリールアルキル”は、先に定義したアリール基で置換されたアルキル基を指し、アリールアルキル基の一例は、ベンジルである。“アシル”は、カルボニル炭素橋(−C(=O)−)を経て結合した、指定された数の炭素原子を含む、先に定義したアルキル基を指す。“アルコキシ”は、酸素橋(−O−)を経て結合した、指定された数の炭素原子を含む、先に定義したアルキル基を指す。“アリールオキシ”は、酸素橋(−O−)を経て結合した、指定された数の炭素原子を含む、先に定義したアリール基を指す。

別途指示のない限り、前述の基はそれぞれ、置換によってその化合物の合成、安定性、または使用にあまり悪影響がない限り、非置換でも置換されていても良い。文中で使用されている用語“置換された”は、指定された原子または基上の少なくとも1つの水素が、その指定原子の通常の価数を超えることなく、別の基で置き換えられていることを意味する。置換基がオキソ(即ち、=O)ならば、その原子上の2つの水素が置き換えられる。置換によってその化合物の合成または使用にあまり悪影響がない限り、置換基および/または変数を組み合わせても良い。“置換”位置に存在できる基の例としては、シアノ;ヒドロキシル;ニトロ;アジド;アルカノイル(アシルなどのC2〜6アルカノイル基など);カルボキサミド;C1〜6またはC1〜3のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル(少なくとも1つの不飽和結合と、2から8または2から6個の炭素原子を含む基など);C1〜6またはC1〜3アルコキシ;C6〜10アリールオキシ(フェノキシなど)、;C1〜6アルキルチオ;C1〜6またはC1〜3アルキルスルフィニル;C1〜6またはC1〜3アルキルスルホニル;アミノジ(C1〜6またはC1〜3)アルキル;少なくとも1つの芳香族環を持つC6〜12アリール(例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチルなど。それぞれの環は、置換または非置換芳香族);1から3個の、個別の、または縮合した環と、6から18個の環員炭素原子を含むC7〜19アリールアルキル;または、1から3個の、個別の、または縮合した環と、6から18個の環員炭素原子を含むアリールアルコキシ(アリールアルコキシの一例は、ベンジルオキシ)が挙げられる(但し、これらに限定されない)。

引用した全ての特許、特許出願、その他の参考文献はその内容を全て本件に引用して援用する。本願中の用語が援用した参考文献の用語と矛盾する、または一致しない場合、援用した参考文献による矛盾する用語よりも、本願の用語が優先する。

特定の実施形態について述べてきたが、現時点で予想されていない、または予想されていないと考えられる、代替、変更、変化、改善、および実質的同等物が、出願者や他の当業者に発生する可能性がある。従って、出願された、また、修正される可能性のある添付請求項は、このような代替、変更、変化、改善、および実質的同等物の全てを包含するものとする。

QQ群二维码
意见反馈