【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明はフィルム接着剤、特に半導体実装における使用のためのフィルム接着剤に関する。 【0002】 【従来の技術】 エレクトロニクス実装の一般的な形態として、半導体デバイスを接着テープによって基板上に貼ることが含まれる。 エポキシ化合物および樹脂は、最近、半導体ダイが基板に結合されるダイ接着剤などの最近のフィルム系接着剤用途用に最も一般的に用いられる材料の一つである。 一般的な態様において、フィルム形成性ゴム重合体はエポキシ樹脂および硬化剤と共に配合される。 次に、これらの組成物は熱硬化性網状組織の発達をもたらす加熱によって硬化することができる。 エポキシ接着剤に対する一つの欠点はそれらの究極の待ち時間にある。 一般に、これらの材料は接着剤の時期尚早の発達を避けるために低温で貯蔵しなければならない。 さらに、これらの組成物に対する硬化速度は比較的遅く、ダイ接着操作をワイヤボンド化集積回路実装用の全体組立て製造工程の中で最も非効率的な段階にしている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 このため、従来の熱硬化性フィルム接着剤に比較して急速に硬化することができるフィルム接着剤に対する、特にエポキシを全く含有しないフィルムへの必要性が生じている。 【0004】 【課題を解決するための手段】 本発明は、ポリマーシステム、フィルム形成性ゴム化合物およびポリマーシステムに対する硬化剤を含む接着剤組成物から調製されるフィルム接着剤である。 好ましい態様において、ポリマーシステムはエポキシ官能基を含有しない。 ポリマーシステムは基本ポリマー並びに電子供与体および電子受容体官能基を含む。 電子供与体および電子受容体官能基は、基本ポリマーから垂れ下がるか、または独立化合物として基本ポリマーと共に相互分散することができる。 一部のケースにおいて、基本ポリマーはフィルム形成性ゴム化合物として機能することができる。 フィルムは接着剤組成物から単層として直接に、または接着剤組成物を耐熱性テープ基材の両側上に被覆することから調製することができる。 【0005】 【発明の実施の形態】 フィルム接着剤を調製するためのポリマーシステムは、基本ポリマー(以後「ポリマー」または「基本ポリマー」)並びに電子供与体および電子受容体官能基を含有する。 システムはいくつかのクラスに分離することができる:(1)独立の電子供与体化合物および独立の電子受容体化合物と配合された非置換型基本ポリマー;(2)側鎖電子受容体官能基により置換され、独立の電子供与体化合物および場合により独立の電子受容体化合物と共に配合された基本ポリマー;(3)側鎖電子供与体官能基により置換され、独立の電子受容体化合物および場合により独立の電子供与体化合物と共に配合された基本ポリマー;(4)側鎖電子供与体および電子受容体官能基により置換された基本ポリマー、または場合により独立の電子供与体化合物または独立の電子受容体化合物、または両方と共に配合された、側鎖電子供与体官能基により置換された基本ポリマーおよび側鎖電子受容体官能基により置換された基本ポリマーの組合せ。 【0006】 好ましくは、電子供与体対電子受容体のモル比は1:1であるが、しかし、モル比は0.01〜1.0:1.0〜0.01の範囲にあることができる。 【0007】 本発明のフィルム接着剤のポリマーシステムにおける適切な基本ポリマーは、標準的な重合技術を用いてアクリルおよび/またはビニルモノマーから調製される。 基本ポリマーを形成するために用いることができるアクリルモノマーには、3〜5個の炭素原子数を有するα,β−不飽和モノおよびジカルボン酸並びにアクリル酸エステルモノマー(アルキル基が1〜14個の炭素原子を含有するアクリル酸およびメタクリル酸のアルキルエステル)が挙げられる。 例としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−ノニルおよびアクリル酸2−エチルヘキシルなどのそれらの対応する分岐鎖異性体がある。 基本ポリマーを形成するために用いることができるビニルモノマーには、ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルハロゲン化物、ビニリデンハロゲン化物およびエチレン性不飽和炭化水素のニトリルが挙げられる。 例としては、酢酸ビニル、アクリルアミド、1−オクチルアクリルアミド、アクリル酸、ビニルエチルエーテル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、無水マレイン酸およびスチレンがある。 【0008】 本発明のフィルム接着剤のポリマーシステムにおける別の適切な基本ポリマーは、標準的な重合技術を用いて共役ジエンおよび/またはビニルモノマーから調製される。 基本ポリマーを形成するために用いることができる共役ジエンモノマーには、ブタジエン−1,3、2−クロロブタジエン−1,3、イソプレン、ピペリレンおよび共役ヘキサジエンが挙げられる。 基本ポリマーを形成するために用いることができるビニルモノマーには、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、塩化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリル酸、イタコン酸およびアクリル酸が挙げられる。 【0009】 あるいは、基本ポリマーは商業的に購入することができる。 適切な市販のポリマーには、ゼオン・ケミカルズ(Zeon Chemicals)からのアクリロニトリル−ブタジエンゴムおよびジョンソン・ポリマー(Johnson Polymer)からのスチレン−アクリルコポリマーが挙げられる。 【0010】 基本ポリマーが電子供与体および/または電子受容体官能基により置換されたシステムにおいて、置換の程度は最終用途における架橋密度に対する特定の要求に適するように変えることができる。 適切な置換レベルは6〜500、好ましくは10〜200の範囲にある。 【0011】 置換されるにしても置換されないにしても、基本ポリマーは2,000〜1,000,000の範囲の分子量を有する。 ガラス転移温度(Tg)は特定の基本ポリマーに応じて変化する。 例えば、ブタジエンポリマーに対するTgは−100℃〜25℃の範囲にあり、変性アクリルポリマーに対しては15℃〜50℃の範囲にある。 【0012】 適切な電子供与体官能基には、ビニルエーテル基、ビニルシラン基および芳香族環の外側の芳香族環中の不飽和と共役する炭素−炭素二重結合が挙げられる。 適切な電子受容体基には、マレイミド、アクリレート、フマレートおよびマレエートが挙げられる。 【0013】 基本ポリマーに側鎖電子供与体または電子受容体官能基を加えるために基本ポリマー上の相補的な官能基と反応するために適切な出発材料の例には、電子供与体官能基用にヒドロキシブチルビニルエーテル、桂皮アルコール、1,4−シクロヘキサン−ジメタノールモノビニルエーテル、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、イソオイゲノールおよび前述の化合物の誘導体;電子受容体官能基用にマレイン酸ジオクチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジオクチル、フマル酸ジブチル、N−(6−ヒドロキシヘキシル)マレイミド、6−マレイミドカプロン酸および3−マレイミドプロピオン酸が挙げられる。 【0014】 基本ポリマーと配合するための独立電子供与体化合物には、少なくとも二つのビニルエーテル基を有するか、または芳香族環の外側の芳香族環中の不飽和と共役する少なくとも二つの炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。 適するジビニルエーテルの例には、ビス[4−(ビニルオキシ)ブチル]テレフタレート、ビス[4−(ビニルオキシ)ブチル](4−メチル−1,3−フェニレン)ビスカルバメート、ビス[4−(ビニルオキシ)ブチル]1,6−ヘキサンジイルビスカルバメート、4−(ビニルオキシ)ブチルステアレートおよびビス[4−(ビニルオキシ)ブチル](メチレンジ−4,1−フェニレン)ビスカルバメート(モルフレックス(Morflex,Inc.)から商品名ベクトマー(Vectomer)で販売されている)などの化合物が挙げられる。 芳香族環の外側の芳香族環中の不飽和と共役する少なくとも二つの炭素−炭素二重結合を有する代表的な化合物には以下が挙げられる。 【0015】 以下の構造を有する、トリシクロデカン−ジメタノールおよび3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート(m−TMI)の付加物【化9】
【0016】 以下の構造を有する、2−ヒドロキシエチルジスルフィドおよびm−TMIの付加物【化10】
【0017】
以下の構造を有する、シアヌレート/三官能性イソシアネートおよび桂皮アルコールの付加物【化11】
【0018】
以下の構造を有する、1,3−プロパンジオールおよびm−TMIの付加物【化12】
【0019】
以下の構造を有する、1,4−ブタンジオールおよびm−TMIの付加物【化13】
【0020】
および以下の構造を有する、桂皮アルコールおよび1,6−ジイソシアナトヘキサンの付加物【化14】
【0021】
これらの化合物は、過度の実験なしで当業者に公知の標準的な合成法により調製することができる。
【0022】
基本ポリマーと配合するための独立電子受容体化合物には、少なくとも二つの分子内マレイミド、アクリレート、フマレートまたはマレエート基を有する樹脂が含まれる。 ビスマレイミドの例には、N,N'−エチレン−ビス−マレイミド、N,N'−ブチレン−ビス−マレイミド、N,N'−フェニレン−ビス−マレイミド、N,N'−ヘキサメチレン−ビス−マレイミド、N,N'−4,4'−ジフェニルメタン−ビス−マレイミド、N,N'−4,4'−ジフェニルエーテル−ビス−マレイミド、N,N'−4,4'−ジフェニルスルホン−ビス−マレイミド、N,N'−4,4'−ジシクロヘキシルメタン−ビス−マレイミド、N,N'−キシリレン−ビス−マレイミドおよびN,N'−ジフェニルシクロヘキサン−ビス−マレイミドなどが挙げられる。
【0023】
適切なフィルム形成性樹脂または化合物には、アクリル樹脂(ナガセ・ケムテックス(Nagase ChemteX Corporation)から商品名テイサン・レジン(TEISAN RESIN)で販売されている)およびアクリロニトリル−ブタジエンエラストマー(ゼオン・ケミカルズから商品名ナイポール(NIPOL)で販売されている)が挙げられる。 これらの材料は、一般に、フィルムがそれから調製される接着剤組成物中に、接着剤配合物の質量%で10%〜70%、好ましくは15%〜50%範囲の量で存在する。 他のレベルは末端使用用途に応じて適するものであってよく、最適レベルは配合者側の過度の実験なしで決めることができる。
【0024】
ポリマーシステムに対して適する硬化剤は、ポリマーシステムの質量%で0.1%〜10%、好ましくは0.1%〜5.0%の量で存在する熱開始剤および光開始剤である。 好ましい熱開始剤には、過オクチル酸ブチルおよび過酸化ジクミルなどの過酸化物、および2,2'−アゾビス(2−メチル−プロパンニトリル)および2,2'−アゾビス(2−メチル−ブタンニトリル)などのアゾ化合物が挙げられる。 好ましい一連の光開始剤には、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)により商品名イルガキュア(Irgacure)で販売されているものが挙げられる。 一部の配合物において、熱開始剤および光開始剤の両方が望ましい場合がある;例えば、硬化工程は放射線により開始することができ、後の処理段階で硬化は熱硬化を達成するために熱を加えることにより完遂することができる。 一般に、これらの組成物は70℃〜250℃の温度範囲で硬化すると共に、硬化は10秒〜3時間の範囲で、ある温度において達成される。 各配合物の時間および温度硬化プロフィールは、特定の電子供与体化合物および配合物の他の成分により変動するが、しかし、硬化プロフィールのパラメータは過度の実験なしで当業熟練者によって決めることができる。
【0025】
一部のケースにおいて、エポキシ化合物または樹脂を接着剤組成物に添加することが利点となり得る。 適するエポキシ化合物または樹脂には、ビスフェノールA型エポキシ、クレゾールノボラック エポキシまたはフェノールノボラック エポキシなどの二官能性および多官能性エポキシ樹脂が挙げられる。 別の適するエポキシ樹脂は、大日本インキ化学工業からの多官能性エポキシ樹脂(製品番号HP−7200で販売されている)である。 配合物に添加される場合、エポキシは80質量%までの量で存在する。
【0026】
エポキシ化合物が添加される場合、配合物はエポキシ用の硬化剤または固化剤を含有することが必要となる。 適する硬化剤には、アミン、ポリアミド、酸無水物、ポリスルフィド、トリフルオロボロン並びに1分子中に少なくとも二つのフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物であるビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールSが挙げられる。 硬化促進剤も硬化剤と組合せて用いることができる。 適する硬化促進剤には、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、および1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウム トリメリテートなどのイミダゾールが挙げられる。 硬化剤および促進剤は当業者に公知の標準量で用いられる。
【0027】
接着促進剤(エポキシド、シラン)、染料、顔料およびレオロジー変性剤などの他の材料は、最終特性の変性に必要なだけ添加することができる。 こうした材料および必要とされる量は当業者の専門知識内にある。
【0028】
機械的、電気的伝導度または熱伝導度を強化する充填剤粒子も添加することができる。 適する伝導性充填剤には、カーボンブラック、グラファイト、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、ダイアモンドおよびアルミナが挙げられる。 適する非伝導性充填剤には、バーミキュライト、マイカ、ウオラストナイト、炭酸カルシウム、チタニア、砂、ガラス、溶融石英、ヒュームドシリカ、硫酸バリウム並びにテトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、塩化ビニリデンおよび塩化ビニルなどのハロゲン化エチレンポリマーの粒子が挙げられる。 存在する場合、充填剤は配合物の質量%で0.1%〜90%、好ましくは5%〜90%の量である。
【0029】
ポリマー合成実施例実施例1
この実施例は、側鎖アクリレート(電子受容体)官能基を含有するブタジエン/アクリロニトリル基本ポリマーを開示する。
【0030】
【化15】
GPCおよびNMR分析に基づき、上式中x=50、y=5、n=310、p=678およびq=59である(当業者はこれらの値が材料の高分子特性のせいでわずかに変動し得ることを認識するであろう)。
【0031】
カルボキシル化ブタジエン/アクリロニトリルポリマー(50.6g)(ゼオン・ケミカルズからのナイポール1072)を、機械式攪拌器、凝縮器および乾燥用チューブを備えた500mL4ツ口フラスコ内の4−メチル−2−ペンタノン(MIBK、250mL)中に溶媒和した。 メタクリル酸グリシジル(9.78g)および酢酸テトラブチルホスホニウム溶液(0.58g)(TBPAAC、モートン・インターナショナル(Morton International,Inc.)からのメタノール中70質量%のテトラブチルホスホニウム酸酢酸塩触媒)を攪拌しながら混合物に添加した。 混合物を110℃に加熱し、約12時間にわたりその温度で保持した。 最終生成物は室温で4870mPa. sの粘度を有すると共に、変性ナイポールゴムの残留カルボン酸の滴定結果により、カルボキシル転化率は約90%である。 GPC分析により、変性ナイポールポリマーの質量平均分子量および数平均分子量は、それぞれ、430,500g/モルおよび60,900g/モルである。
【0032】
実施例2
この実施例は、側鎖スチレン系(電子供与体)官能基を有するブタジエン/アクリロニトリル基本ポリマーを開示する。
【0033】
【化16】
GPCおよびNMR分析に基づき、上式中x=56、y=16、n=401、p=877およびq=76である(当業者はこれらの値が材料の高分子特性のせいでわずかに変動し得ることを認識するであろう)。
【0034】
カルボキシル化ブタジエン/アクリロニトリルポリマー(38.0g)(ゼオン・ケミカルズからのナイポール1072)を、機械式攪拌器、凝縮器および乾燥用チューブを備えた500mL4ツ口フラスコ内の4−メチル−2−ペンタノン(MIBK、255mL)中に溶媒和した。 イソオイゲノールグリシジルエーテル(11.43g)および酢酸テトラブチル−ホスホニウム溶液(0.62g)(TBPAAC、モートン・インターナショナルからのメタノール中70質量%のテトラブチルホスホニウム酸酢酸塩触媒)を攪拌しながら混合物中に添加した。 混合物を110℃に加熱し、約14時間にわたりその温度で保持した。 変性ナイポールゴムの残留カルボン酸の滴定結果により、カルボキシル転化率は約87%である。 生成物を3回のメタノール中での沈殿により精製した。 GPC分析により、変性ナイポールポリマーの質量平均分子量および数平均分子量は、それぞれ、554,400g/モルおよび89,100g/モルである。
【0035】
実施例3
この実施例は、側鎖スチレン系(電子供与体)官能基を有するブタジエン/アクリロニトリル基本ポリマーを開示する。
【0036】
【化17】
GPCおよびNMR分析に基づき、上式中x=49、y=7、n=310、p=739およびq=59である(当業者はこれらの値が材料の高分子特性のせいでわずかに変動し得ることを認識するであろう)。
【0037】
カルボキシル化ブタジエン/アクリロニトリルポリマー(53.8g)(ゼオン・ケミカルズからのナイポール1072)を、機械式攪拌器、凝縮器および乾燥用チューブを備えた1L4ツ口フラスコ内の4−メチル−2−ペンタノン(MIBK、360mL)中に溶媒和した。 グリシジルN−(3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジル)カルバメート(14.8g)および酢酸テトラブチルホスホニウム溶液(0.54g)(TBPAAC、触媒)を攪拌しながら混合物中に添加した。 混合物を105℃に加熱し、約15時間にわたりその温度で保持した。 最終生成物は室温で2000mPa. sの粘度を有すると共に、滴定結果により、カルボキシル転化率は約88%である。 GPC分析により、変性ナイポールポリマーの質量平均分子量および数平均分子量は、それぞれ、666,000g/モルおよび75,600g/モルである。
【0038】
実施例4
この実施例は、側鎖桂皮アルコール(電子供与体)官能基を有するブタジエン/アクリロニトリル基本ポリマーを開示する。
【0039】
【化18】
【0040】
トルエン中のカルボキシル化ブタジエン/アクリロニトリルポリマー(カルボン酸に対して1モル当量)の溶液を、50℃で約14時間にわたり過剰の塩化チオニルと反応させる。 過剰の塩化チオニルおよび溶媒を減圧下で除去して側鎖酸塩化物を有するブタジエン/アクリロニトリルポリマーを得る。
【0041】
桂皮アルコール1モル当量およびトリエチルアミン1モル当量を0℃で無水トルエン中に混合し、それに無水トルエン中に溶解した側鎖酸塩化物を有するブタジエン/アクリロニトリルポリマーを添加する(酸塩化物に対して1モル当量)。 混合物を放置して一夜にわたり反応させる。 生成物を3回のメタノール中での沈殿により精製する。
【0042】
実施例5
この実施例は、側鎖桂皮アルコール(電子供与体)官能基を有するブタジエン/アクリロニトリル基本ポリマーを開示する。
【0043】
【化19】
【0044】
シンナミルアミン1モル当量およびトリエチルアミン1モル当量を0℃で無水トルエン中に混合し、それに無水トルエン中に溶解した側鎖酸塩化物を有するブタジエン/アクリロニトリルポリマーを添加する(酸塩化物に対して1モル当量)。 混合物を放置して一夜にわたり反応させる。 生成物を3回のメタノール中での沈殿により精製する。
【0045】
実施例6
この実施例は、側鎖スチレン系(電子供与体)官能基を有するブタジエン/アクリロニトリル基本ポリマーを開示する。
【0046】
【化20】
【0047】
イソオイゲノール1モル当量およびトリエチルアミン1モル当量を0℃で無水トルエン中に混合し、それに無水トルエン中に溶解した側鎖酸塩化物を有するブタジエン/アクリロニトリルポリマーを添加する(酸塩化物に対して1モル当量)。 混合物を放置して一夜にわたり反応させる。 生成物を3回のメタノール中での沈殿により精製する。
【0048】
実施例7
この実施例は、側鎖スチレン系(電子供与体)官能基を有するブタジエン/アクリロニトリル基本ポリマーを開示する。
【0049】
【化21】
【0050】
4−ビニルベンジルアミン1モル当量およびトリエチルアミン1モル当量を0℃で無水トルエン中に混合し、それに無水トルエン中に溶解した側鎖酸塩化物を有するブタジエン/アクリロニトリルポリマーを添加する(酸塩化物に対して1モル当量)。 混合物を放置して一夜にわたり反応させる。 生成物を3回のメタノール中での沈殿により精製する。
【0051】
実施例8
この実施例は、側鎖ビニルエーテル(電子供与体)官能基を有するブタジエン/アクリロニトリル基本ポリマーを開示する。
【0052】
【化22】
【0053】
4−ヒドロキシブチルビニルエーテル1モル当量およびトリエチルアミン1モル当量を0℃で無水トルエン中に混合し、それに無水トルエン中に溶解した側鎖酸塩化物を有するブタジエン/アクリロニトリルポリマーを添加する(酸塩化物に対して1モル当量)。 混合物を放置して一夜にわたり反応させる。 生成物を3回のメタノール中での沈殿により精製する。
【0054】
実施例9
この実施例は、側鎖ビニルエーテル(電子供与体)官能基を有するブタジエン/アクリロニトリル基本ポリマーを開示する。
【化23】
【0055】
2−アミノエチルビニルエーテル1モル当量およびトリエチルアミン1モル当量を0℃で無水トルエン中に混合し、それに無水トルエン中に溶解した側鎖酸塩化物を有するブタジエン/アクリロニトリルポリマーを添加する(酸塩化物に対して1モル当量)。 混合物を放置して一夜にわたり反応させる。 生成物を3回のメタノール中での沈殿により精製する。
【0056】
実施例10
この実施例は、側鎖スチレン系(電子供与体)官能基を有するヒドロキシル化スチレン/ブタジエン基本ポリマーを開示する。
【0057】
【化24】
【0058】
ヒドロキシル化スチレン/ブタジエンポリマー1モル当量(ヒドロキシル官能基に対して)を90℃で窒素下で無水トルエン中に溶媒和させ、次に、反応物全体量に対して0.07%のジブチル錫ジラウレート(触媒)と共に3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート(m−TMI)1モル当量を添加する。 得られる混合物を窒素下でさらに24時間にわたり加熱する。 減圧下での溶媒除去後、殆ど定量的な収量において生成物を得る。
【0059】
実施例11
この実施例は、側鎖スチレン系(電子供与体)官能基を有するヒドロキシル化スチレン/ブタジエン基本ポリマーを開示する。
【0060】
【化25】
【0061】
1,2−ビニル結合に基づくブタジエン/スチレンポリマー1モル当量を窒素下で無水トルエン中に溶媒和させ、2−メルカプトエタノール0.3モル当量を混合物中に添加し、続いて75℃に加熱する。 次に、トルエン中のアゾジイソブチロニトリル(AIBN)溶液を混合物に添加する。 混合物を75℃で7時間にわたり攪拌する。 生成物を3回のメタノール中での沈殿により精製する。
【0062】
上述のように調製されるヒドロキシル化スチレン/ブタジエンポリマー1モル当量(ヒドロキシル官能基に対して)を90℃で窒素下で無水トルエン中に溶媒和させ、次に、反応物全体量に対して0.07%のジブチル錫ジラウレート(触媒)と共に3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート(m−TMI)1モル当量を添加する。 得られる混合物を窒素下でさらに24時間にわたり加熱する。 減圧下での溶媒除去後、殆ど定量的な収量において生成物を得る。
【0063】
実施例12
この実施例は、側鎖マレイミド(電子受容体)官能基を有するヒドロキシル化スチレン/ブタジエン基本ポリマーを開示する。
【0064】
【化26】
【0065】
実施例11におけるように調製されたヒドロキシル化スチレン/ブタジエンポリマー1モル当量(ヒドロキシル官能基に対して)を90℃で窒素下で無水トルエン中に溶媒和させ、続いてトルエン中の6−マレイミドカプロン酸1モル当量を添加する。 次に、硫酸の触媒量を混合物中に導入する。 混合物を熱して還流し、反応の間に生成した水を共沸により除去する。 反応を一夜にわたり続ける。 生成物を3回のメタノールでの沈殿により精製する。
【0066】
実施例13
この実施例は、側鎖スチレン系(電子供与体)官能基を有するポリブタジエン基本ポリマーを開示する。
【0067】
【化27】
【0068】
無水マレイン酸(商品名:サートマー(Sartomer Company)により製造されるリコン(Ricon)131MA20)を付加したポリブタジエン1モル当量(無水物官能基に対して)をアセトン中に溶媒和させ、続いてシンナミルアミン1モル当量を滴加する。 反応混合物を6時間にわたり攪拌する。 アセトンを減圧下で除去後、ポリマーをトルエン中に溶媒和させ、生成物を3回のメタノールでの沈殿により精製する。
【0069】
実施例14
この実施例は、側鎖アクリレート(電子受容体)官能基を有するスチレン/アクリル基本ポリマーを開示する。
【0070】
【化28】
GPCおよびNMR分析に基づき、上式中のm=11である(当業者はこの値が材料の高分子特性のせいでわずかに変動し得ることを認識するであろう)。
【0071】
機械式攪拌器、凝縮器、添加漏斗およびN
2入口を備えた500mL4ツ口フラスコ内に、塩化メチレン(100mL)中のスチレン−アクリルポリマー(ジョンソン・ポリマー(Johnson Polymer)からのジョンクリル(Joncryl)587)45.02gを充填した。 ポリマーを窒素下で室温で溶媒和した後、溶液を0℃に冷却し、トリエチルアミン6.83gを混合物に添加した。 この得られた混合物に塩化アクリロイル6.11gを滴加した。 混合物を放置してさらに6時間にわたり反応させた。 水相が中性になるまで数回水溶液で洗浄した後、得られる有機層をMg 2 SO 4およびシリカゲル上で乾燥した。 減圧下で溶媒を除去後、白色固形物を得た。 【0072】
実施例15
この実施例は、側鎖スチレン系(電子供与体)官能基を有するスチレン/アクリル基本ポリマーを開示する。
【0073】
【化29】
GPCおよびNMR分析に基づき、上式中のm=11である(当業者はこの値が材料の高分子特性のせいでわずかに変動し得ることを認識するであろう)。
【0074】
機械式攪拌器、凝縮器、添加漏斗およびN
2入口を備えた1L4ツ口フラスコ内に、メチルエチルケトン(620mL)中のスチレン−アクリルポリマー(ジョンソン・ポリマーからのジョンクリル587)126.7gを充填した。 ポリマーを窒素下で溶媒の還流温度で溶媒和した後、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート(m−TMI)40.58gをジブチル錫ジラウレート(触媒)0.12gと共に溶液に添加した。 得られた混合物を窒素下でさらに24時間にわたり加熱した。 減圧下で溶媒を除去後、白色固形物を殆ど定量的な収量で得た。 GPC分析により、変性スチレン−アクリルポリマーの質量平均分子量および数平均分子量は、それぞれ、15,600g/モルおよび8,400g/モルである。 DSC分析により、変性スチレン−アクリルポリマーのガラス転移温度は約40℃である。 【0075】
接着フィルムの実施例実施例16
接着フィルムを、非置換アクリル/ゴム基本ポリマー、独立の電子受容体樹脂、独立の電子供与体樹脂およびエポキシ樹脂を含むポリマーシステムから調製し、これらの成分および用いられた質量部を表1に識別する。 フィルム配合物は、ラジカル開始剤、エポキシ用硬化剤、充填剤および接着促進剤も含有した。
【0076】
【表1】
【0077】
電子供与体は以下の構造を有した:
【化30】
【0078】
攪拌しながらメチルエチルケトン中で成分を混合することによりフィルム配合物を調製し、次に真空脱ガスを行った。 得られたワニスを5ミルの厚さのシリコーン処理剥離ライナー上に2ミルの厚さに被覆し、次に、100℃で10分間にわたり加熱することにより乾燥して1ミルの厚さを有する部分的に硬化した接着フィルムを形成した。
【0079】
実施例17
接着フィルムを、側鎖電子受容体官能基により置換されたポリ(ブタジエン)基本ポリマー、独立の電子受容体樹脂、独立の電子供与体樹脂およびエポキシ樹脂を含むポリマーシステムから調製し、これらの成分および用いられた質量部を表2に識別する。 フィルム配合物は、ラジカル開始剤、エポキシ用硬化剤、および接着促進剤も含有した。
【0080】
【表2】
【0081】
攪拌しながらメチルエチルケトン中で成分を混合することによりフィルム配合物を調製し、続いて真空脱ガスを行った。 得られたワニスを5ミルの厚さのシリコーン処理剥離ライナー上に2ミルの厚さに被覆し、次に、100℃で10分間にわたり加熱することにより乾燥して1ミルの厚さを有する部分的に硬化した接着フィルムを形成した。
【0082】
実施例18
接着フィルムを、側鎖電子供与体官能基により置換されたスチレン/アクリル基本ポリマー、独立の電子受容体樹脂、独立の電子供与体樹脂およびアクリロニトリル/ブタジエンゴムを含むポリマーシステムから調製し、これらの成分および用いられた質量部を表3に識別する。 フィルム配合物は、ラジカル開始剤および接着促進剤も含有した。
【0083】
【表3】
【0084】
攪拌しながらメチルエチルケトン中で成分を混合することによりフィルム配合物を調製し、続いて真空脱ガスを行った。 得られたワニスを5ミルの厚さシリコーン処理剥離ライナー上に2ミルの厚さに被覆し、次に、100℃で10分間にわたり加熱することにより乾燥して1ミルの厚さを有する部分的に硬化した接着フィルムを形成した。
【0085】
実施例19
接着フィルムを、側鎖電子供与体官能基により置換されたスチレン/アクリル基本ポリマー、側鎖電子供与体官能基により置換されたアクリロニトリル/ブタジエン基本ポリマー、独立の電子受容体樹脂、独立の電子供与体樹脂を含むポリマーシステムから調製し、これらの成分および用いられた質量部を表4に識別する。 フィルム配合物は、ラジカル開始剤、充填剤および接着促進剤も含有した。
【0086】
【表4】
【0087】
攪拌しながらメチルエチルケトン中で成分を混合することによりフィルム配合物を調製し、続いて真空脱ガスを行った。 得られたワニスを5ミルの厚さのシリコーン処理剥離ライナー上に2ミルの厚さに被覆し、次に、100℃で10分間にわたり加熱することにより乾燥して1ミルの厚さを有する部分的に硬化した接着フィルムを形成した。
【0088】
実施例20
接着フィルムを、側鎖電子供与体官能基により置換されたアクリロニトリル/ブタジエン基本ポリマー、独立の電子受容体樹脂、独立の電子供与体樹脂およびエポキシを含むポリマーシステムから調製し、これらの成分および用いられた質量部を表5に識別する。 フィルム配合物は、ラジカル開始剤、エポキシ用硬化剤、充填剤および接着促進剤も含有した。
【0089】
【表5】
【0090】
攪拌しながらメチルエチルケトン中で成分を混合することによりフィルム配合物を調製し、続いて真空脱ガスを行った。 得られたワニスを5ミルの厚さのシリコーン処理剥離ライナー上に2ミルの厚さに被覆し、次に、100℃で10分間にわたり加熱することにより乾燥して1ミルの厚さを有する部分的に硬化した接着フィルムを形成した。
【0091】
実施例21
接着フィルムを、側鎖電子供与体官能基により置換されたアクリロニトリル/ブタジエン基本ポリマー、独立の電子受容体樹脂、独立の電子供与体樹脂およびエポキシを含むポリマーシステムから調製し、これらの成分および用いられた質量部を表6に識別する。 フィルム配合物は、ラジカル開始剤、エポキシ用硬化剤、充填剤および接着促進剤も含有した。
【0092】
【表6】
【0093】
攪拌しながらメチルエチルケトン中で成分を混合することによりフィルム配合物を調製し、続いて真空脱ガスを行った。 得られたワニスを5ミルの厚さのシリコーン処理剥離ライナー上に2ミルの厚さに被覆し、次に、100℃で10分間にわたり加熱することにより乾燥して1ミルの厚さを有する部分的に硬化した接着フィルムを形成した。
【0094】
実施例22
接着フィルムを、側鎖電子受容体官能基により置換されたアクリロニトリル/ブタジエン基本ポリマー、側鎖電子供与体官能基により置換されたスチレン/アクリル基本ポリマー、独立の電子受容体樹脂、独立の電子供与体樹脂を含むポリマーシステムから調製し、これらの成分および用いられた質量部を表7に識別する。 フィルム配合物は、ラジカル開始剤も含有した。
【0095】
【表7】
【0096】
攪拌しながらメチルエチルケトン中で成分を混合することによりフィルム配合物を調製し、続いて真空脱ガスを行った。 得られたワニスを5ミルの厚さのシリコーン処理剥離ライナー上に2ミルの厚さに被覆し、次に、100℃で10分間にわたり加熱することにより乾燥して1ミルの厚さを有する部分的に硬化した接着フィルムを形成した。
【0097】
接着フィルムの比較実施例実施例23
この実施例は、アクリロニトリル/ブタジエン基本ポリマーおよびエポキシ樹脂を含有するが、電子供与体官能基も電子受容体官能基も全く含有しない高分子システムにより調製される接着剤フィルムを開示する。 配合物は、また、フェノールノボラック樹脂および硬化剤を含有した。 配合物成分および質量部を表8に開示する。
【0098】
【表8】
【0099】
攪拌しながらメチルエチルケトン中で成分を混合することによりフィルム配合物を調製し、続いて真空脱ガスを行った。 得られたワニスを5ミルの厚さのシリコーン処理剥離ライナー上に2ミルの厚さに被覆し、次に、100℃で10分間にわたり加熱することにより乾燥して厚さ1ミルを有する部分的に硬化した接着フィルムを形成した。
【0100】
性能実施例実施例24
実施例16〜22および比較実施例23において製造される各フィルムの試料を、100×100平方ミルのシリコンダイをPIフレックス基板に120℃で5秒間において結合するために用い、180℃で1分間にわたり硬化した。 これらのベア実装でのダイ剪断強度を180℃でデイジ(Dage)シリーズ4000ボンドテスター(Bondtester)を用いて測定した。
【0101】
結果を表9に開示し本発明フィルムが優れた接着強度を有することを示す。
【表9】
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