Method for manufacturing product having antifouling layer and product having antifouling layer

申请号 JP2006293631 申请日 2006-10-30 公开(公告)号 JP2007276445A 公开(公告)日 2007-10-25
申请人 Seiko Epson Corp; セイコーエプソン株式会社; 发明人 KOMAI HIDENORI; KINOSHITA ATSUSHI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To form an antifouling layer having sufficient durability on an organic based reflection prevention layer. SOLUTION: A method for manufacturing a product having an antifouling layer comprises a process to form an antifouling layer using a fluorine containing composition on a surface of an organic based reflection prevention layer which is a substrate layer of an antifouling layer. The fluorine containing composition includes at least one kind of a fluorine silane compound selected from the group consisting of fluorine silane compounds having a molecular weight of a range of 1,000-10,000 and at least one kind of a fluorine silane compound selected from the group consisting of fluorine silane compounds having a molecular weight of a range of 100-700. COPYRIGHT: (C)2008,JPO&INPIT
权利要求
  • 防汚層を有する製品の製造方法であって、
    前記製品は、前記防汚層の下地層が有機系反射防止層であり、
    当該製造方法は、前記有機系反射防止層の表面に、フッ素含有組成物を用いて前記防汚層を形成する工程を有し、
    前記フッ素含有組成物は、分子量が1000〜10000の範囲のフッ素シラン化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種類のフッ素シラン化合物、および分子量が100〜700の範囲のフッ素シラン化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種類のフッ素シラン化合物を含む、製造方法。
  • 請求項1において、前記分子量が1000〜10000の範囲のフッ素シラン化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種類のフッ素シラン化合物の重量Waと、前記分子量が100〜700の範囲のフッ素シラン化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種類のフッ素シラン化合物の重量Wbとの比は、以下の条件を満たす、製造方法。
    90/10 ≧ Wa/Wb ≧ 30/70
  • 請求項2において、前記重量Waと、前記重量Wbとの比は、以下の条件を満たす、製造方法。
    80/20 ≧ Wa/Wb ≧ 50/50
  • 請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記分子量が1000〜10000の範囲のフッ素シラン化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種類のフッ素シラン化合物は、下記一般式(I)により表されるフッ素シラン化合物および/または下記一般式(II)により表されるフッ素シラン化合物を含む、製造方法。
    ただし、式中、Rf 1は、パーフルオロアルキル基である。 Zは、フッ素またはトリフルオロメチル基である。 a、b、c、d、eは、それぞれ独立して、0または1以上の整数であり、a+b+c+d+eは、少なくとも1であり、a、b、c、d、eで括られた各繰り返し単位の存在順序は、式中において限定されない。 Yは、水素または炭素数1〜4のアルキル基である。 X 1は、水素、臭素またはヨウ素である。 R 1は、水酸基または加水分解可能な置換基である。 R 2は、水素または1価の炭化水酸基である。 pは、0、1
    または2である。 qは、1、2または3である。 rは、1以上の整数である。
    ただし、式中、Rf 2は、式:−(C k2k )O−(前記式中、kは1〜6の整数である)で表される単位を含み、分岐を有しない直鎖状のパーフルオロポリアルキレンエーテル構造を有する2価の基である。 R 3およびR 4は、それぞれ独立して、炭素数1〜8の1価の炭化水素基である。 X 2およびX 3は、それぞれ独立して、加水分解性基またはハロゲン原子である。 sおよびtは、それぞれ独立して、0〜2の整数である。 uおよびvは、それぞれ独立して、1〜5の整数である。 hおよびiは、それぞれ独立して、2または3である。
  • 請求項1ないし4のいずれかにおいて、前記有機系反射防止層は、下記一般式(III)
    により表される有機ケイ素化合物、およびシリカ系微粒子を含有する、製造方法。
    5 m6 n SiX 4 4-nm (III)
    ただし、式中、R 5は、重合可能な反応基を有する有機基である。 R 6は、炭素数1〜6の炭化水素基である。 X 4は、加水分解性基である。 mおよびnは、少なくとも一方は1
    であり、他方は0または1である。
  • 防汚層を有する製品であって、
    前記防汚層の下地層が有機系反射防止層であり、
    前記防汚層は、フッ素含有組成物から形成されており、
    前記フッ素含有組成物は、分子量が1000〜10000の範囲のフッ素シラン化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種類のフッ素シラン化合物、および分子量が100〜700の範囲のフッ素シラン化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種類のフッ素シラン化合物を含む、製品。
  • 说明书全文

    本発明は、レンズおよびその他の製品であって、防汚層を有する製品の製造方法、および防汚層を有する製品に関するものである。

    眼鏡などに用いられるレンズや光ディスクなど、表面における光の反射が好ましくない製品については、反射を抑制するための反射防止層が設けられている。 そのような反射防止層を有する製品において、反射防止層が手垢、指紋、汗、化粧品等で汚染されてしまうと、反射防止層の機能が損なわれる。 このため、反射防止層を有する製品においては、多くの場合、反射防止層に重ねて撥性の防汚層が形成されている。

    特許文献1には、有機系反射防止層の最表面にフッ素系撥水膜を形成することが記載されている。

    特許文献2には、表面に、少なくとも1種以上が含フッ素シラン化合物であり、単独成分として用いたときのレンズ表面の動摩擦係数が異なる、2種以上のシラン化合物により防汚層を形成することが記載されている。

    特開2005−43572号公報

    特開2005−3817号公報

    反射防止層としては、屈折率の異なる多層の無機層から構成される無機系のものが知られている。 さらに、有機ケイ素化合物とシリカ系微粒子とを含む有機系の反射防止層を用いることが検討されている。 したがって、有機系の反射防止層をカバーする防汚層を形成するための組成物を提供することは重要である。 無機系の反射防止層と同じような含フッ素シラン化合物を含む組成物が、そのまま有機系の反射防止層に適しているか否かは問題であり、幾つかのケースでは耐久性が不足するという報告がある。 反射防止層の表面を保護する機能を備えた防汚層は、十分な撥水性能と、耐久性を備えていることが要求される。

    本発明の一態様は、防汚層を有する製品の製造方法であって、防汚層を有する製品は、防汚層の下地層が有機系反射防止層であり、当該製造方法は、有機系反射防止層の表面に、フッ素含有組成物を用いて防汚層を形成する工程を有する。 フッ素含有組成物は、第1の成分と第2の成分とを含む。 第1の成分は、分子量が1000〜10000の範囲のフッ素シラン化合物からなる第1の群から選ばれた少なくとも1種類のフッ素シラン化合物(フッ素シラン化合物A)である。 第2の成分は、分子量が100〜700の範囲のフッ素シラン化合物からなる第2の群から選ばれた少なくとも1種類のフッ素シラン化合物(フッ素シラン化合物B)である。

    本願の発明者らの実験によると、第1の成分と第2の成分とを含むフッ素含有組成物(分子量の範囲の異なる少なくとも2種類のフッ素シラン化合物を含むフッ素含有組成物(フッ素シラン化合物AおよびBを含むフッ素含有組成物))は、第1の成分および第2の成分の含まれる比率(フッ素シラン化合物AおよびBの含まれる比率)により、有機系の反射防止層の上に、十分な撥水性能と耐久性を備えた防汚層を形成可能になることが判明した。

    十分な撥水性能と耐久性を備えた防汚層を形成可能なフッ素含有組成物に含まれる、第1の成分(フッ素シラン化合物A)の重量Waと、第2の成分(フッ素シラン化合物B)の重量Wbとの比の好適な範囲は、以下の条件を満たす範囲である。
    90/10 ≧ Wa/Wb ≧ 30/70・・・(1)

    第1の成分の重量Waと、第2の成分の重量Wbとの比は、以下の条件を満たすことがさらに好ましい。
    80/20 ≧ Wa/Wb ≧ 50/50・・・(2)

    第1の成分(分子量が1000〜10000の範囲のフッ素シラン化合物から選ばれた少なくとも1種類のフッ素シラン化合物A)は、典型的には、下記一般式(I)により表されるフッ素シラン化合物(フッ素シラン化合物C)および/または下記一般式(II)により表されるフッ素シラン化合物(フッ素シラン化合物D)を含む。

    ただし、上記(I)式中、Rf

    1は、パーフルオロアルキル基である。 Zは、フッ素またはトリフルオロメチル基である。 a、b、c、d、eは、それぞれ独立して、0または1以上の整数であり、a+b+c+d+eは、少なくとも1であり、a、b、c、d、eで括られた各繰り返し単位の存在順序は、式中において限定されない。 Yは、水素または炭素数1〜4のアルキル基である。 X

    1は、水素、臭素またはヨウ素である。 R

    1は、水酸基または加水分解可能な置換基である。 R

    2は、水素または1価の炭化水酸基である。 pは、0、1または2である。 qは1、2または3である。 rは、1以上の整数である。

    ただし、上記(II)式中、Rf

    2は、式:−(C

    k

    2k )O−(前記式中、kは1〜6の整数である)で表される単位を含み、分岐を有しない直鎖状のパーフルオロポリアルキレンエーテル構造を有する2価の基である。 R

    3およびR

    4は、それぞれ独立して、炭素数1〜8の1価の炭化水素基である。 X

    2およびX

    3は、それぞれ独立して、加水分解性基またはハロゲン原子である。 sおよびtは、それぞれ独立して、0〜2の整数である。 uおよびvは、それぞれ独立して、1〜5の整数である。 hおよびiは、それぞれ独立して、2


    または3である。

    有機系の反射防止層として好適なものは、下記一般式(III)により表される有機ケイ素化合物(E成分)、およびシリカ系微粒子(F成分)を含有するものである。
    5 m6 n SiX 4 4-nm (III)
    ただし、上記(III)式中、R 5は、重合可能な反応基を有する有機基である。 R 6は炭素数1〜6の炭化水素基である。 X 4は加水分解性基である。 mおよびnは、少なくとも一方は1であり、他方は0または1である。

    本発明の他の一態様は、防汚層を有する製品であって、防汚層の下地層が有機系反射防止層であり、防汚層は、フッ素含有組成物から形成されている。 フッ素含有組成物は、第1の成分と第2の成分とを含む。 第1の成分は、分子量が1000〜10000の範囲のフッ素シラン化合物からなる第1の群から選ばれた少なくとも1種類のフッ素シラン化合物(フッ素シラン化合物A)である。 第2の成分は、分子量が100〜700の範囲のフッ素シラン化合物からなる第2の群から選ばれた少なくとも1種類のフッ素シラン化合物(フッ素シラン化合物B)である。

    有機系の反射防止層の表面に防汚層を形成するのに適したフッ素含有組成物は、第1の成分(分子量が1000〜10000の範囲のフッ素シラン化合物から選ばれた少なくとも1つのフッ素シラン化合物A)と、第2の成分(分子量が100〜700の範囲のフッ素シラン化合物から選ばれた少なくとも1つのフッ素シラン化合物B)とを含む。 第1の成分(フッ素シラン化合物A)の重量Waと、第2の成分(フッ素シラン化合物B)の重量Wbとの比の好適な範囲は、以下の条件を満たす範囲である。
    90/10 ≧ Wa/Wb ≧ 30/70・・・(1)

    第1の成分の重量Waと、第2の成分の重量Wbとの比は、以下の条件を満たすことがさらに好ましい。
    80/20 ≧ Wa/Wb ≧ 50/50・・・(2)
    これらの範囲は、後述するように本願の発明者らの実験で確認された範囲である。

    無機系の反射防止層に対しては、分子量が2000〜3000のフッ素シラン化合物を用いて防汚層が形成されることが多い。 有機系の反射防止層に対しては、同じアプリケーションであると、十分な耐久性が得られないことがある。 それは、無機系の反射防止層が緻密な酸化物皮膜により形成されるのに対比すると、有機系の反射防止層の表面状態は粗く、表面の活性水素基の密度が低いことに起因すると考えられる。 すなわち、表面の活性水素基の密度が低いと、反射防止層の成分と防汚層の成分との間における活性水素基による結合の間隔が広くなり、その結果、反射防止層の成分と防汚層の成分との間で結合が作り難くなり、防汚層の水平方向の強度が低下して耐久性が低くなると考えられる。

    分子量の小さなフッ素シラン化合物を用いて防汚層を形成することにより、有機系の反射防止層の表面との密着性を高められるとも考えられる。 しかしながら、防汚層の強度自体が低下するためか良好な結果が得られなかった。 逆に、分子量をさらに大きくして、例えば、分子量が10000以上のフッ素シラン化合物を用いて防汚層を形成することにより、防汚層の強度を向上することも考えられる。 しかしながら、この形態も、良好な結果が得られなかった。 また、分子量10000以上の場合は、分子量増加に伴い、粘度が上昇し、溶解性が低下するため、工業的な使用が難しいという問題もある。

    このような状況に対して、高分子量、すなわち、分子量が1000〜10000の範囲のフッ素シラン化合物からなる第1の群から選ばれた少なくとも1種類のフッ素シラン化合物(第1の成分、フッ素シラン化合物A)と、低分子量、すなわち分子量が100〜700の範囲のフッ素シラン化合物からなる第2の群から選ばれた少なくとも1種類のフッ素シラン化合物(第2の成分、フッ素シラン化合物B)とを含むフッ素含有組成物であれば、第1の成分(高分子量のフッ素シラン化合物)と、第2の成分(低分子量のフッ素シラン化合物)とを適当な比率で含むことにより、有機系の反射防止層に対しても十分な耐久性を備えた防汚層を形成できることを見出した。 このような分子量の異なる複数のフッ素シラン化合物を含む組成物により、耐久性が向上する要因の一つは、以下のようなものであると考えられる。

    有機系の反射防止層の表面状態が粗い(凹凸が大きく、山面(山部、凸部)と、谷面(谷部、凹部)とがある)場合、第1の成分(高分子量化合物)だけでは表面の山面には結合するが、谷面には侵入できないと考えられる。 もしくは、結合した第1の成分(高分子量化合物)のクラスタ同士の間に空隙が存在し、十分な防汚性能が得られないと考えられる。 また、第2の成分(低分子量化合物)だけでは、表面の山面・谷面共に結合できるが、防汚性能が十分ではないと考えられる。

    これらに対し、第1の成分(高分子量化合物)と第2の成分(低分子量化合物)を組み合わせることによって、有機系の反射防止層の表面に防汚層がムラなく形成される。 第2の成分(低分子量化合物)の分子量が700を超える場合、表面の谷面には侵入できず、第2の成分(低分子量のフッ素シラン化合物B)として期待される効果が得られない。 一方、第1の成分(高分子量化合物)の分子量が1000未満の場合、防汚性能が不十分であり、第1の成分(高分子量のフッ素シラン化合物A)として期待される効果が得られない。

    第1の成分(高分子量のフッ素シラン化合物A)の一例は、下記一般式(I)により表されるフッ素シラン化合物である。 下記一般式(I)により表されるフッ素シラン化合物には、ダイキン工業(株)製の商品名「オプツールDSX」が含まれる。

    ただし、上記一般式(I)中、Rf

    1は、パーフルオロアルキル基である。 Zは、フッ素またはトリフルオロメチル基である。 a、b、c、d、eは、それぞれ独立して、0または1以上の整数であり、a+b+c+d+eは、少なくとも1であり、a、b、c、d、eで括られた各繰り返し単位の存在順序は、式中において限定されない。 Yは、水素または炭素数1〜4のアルキル基である。 X

    1は、水素、臭素またはヨウ素である。 R

    1は、水酸基または加水分解可能な置換基である。 R

    2は、水素または1価の炭化水素基である。


    pは、0、1または2である。 qは、1、2または3である。 rは、1以上の整数である。

    上記一般式(I)で表される式中のRf 1は、通常、有機含フッ素ポリマーを構成するパーフルオロアルキル基であれば、特に限定されない。 Rf 1としては、例えば、炭素数1
    〜16の直鎖状または分岐状のパーフルオロアルキル基を挙げることができる。 Rf 1は、好ましくは、CF 3 −、C 25 −、C 37 −である。

    上記一般式(I)中のZは、フッ素でも良いし、トリフルオロメチル基でも良い。 上記一般式(I)中のa、b、c、d、eは、フッ素シラン化合物の主骨格を構成するパーフルオロポリエーテル鎖の繰り返し単位数を表し、それぞれ独立して、0または1以上の整数である。 a、b、c、d、eは、a+b+c+d+eが1以上であれば特に限定されないが、それぞれ独立して、0〜200が好ましい。 さらに、フッ素シラン化合物の分子量を考慮すれば、a、b、c、d、eは、より好ましくは、それぞれ独立して、0〜50である。 a+b+c+d+eは、好ましくは、1〜100である。 また、a、b、c、d、eで括られた各繰り返し単位の存在順序は、上記一般式(I)中においてはこの順に記載したが、通常のパーフルオロポリエーテル鎖の構成の範囲において、これらの各繰り返し単位の結合順序は、この順に限定されるものではない。

    上記一般式(I)中のYは、水素または炭素数1〜4のアルキル基である。 上記炭素数1〜4のアルキル基は、特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等を挙げることができる。 上記炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。 上記一般式(I)中のX 1は、水素、臭素またはヨウ素を表す。 X 1
    が臭素またはヨウ素である場合には、上記一般式(I)により表されるフッ素シラン化合物は、ラジカル反応性が高くなる。 したがって、化学結合により他の化合物と結合させるのには好都合である。

    上記一般式(I)中のpは、パーフルオロポリエーテル鎖を構成する炭素とこれに結合するケイ素との間に存在するアルキレン基の炭素数を表し、0、1または2であるが、より好ましくは、0である。

    上記一般式(I)中のqは、ケイ素に結合する置換基R 1の結合数を表し、1、2または3である。 置換基R 1が結合していない部分には、当該ケイ素にはR 2が結合する。

    上記R は、水酸基または加水分解可能な置換基である。 上記加水分解可能な置換基は、特に限定されず、好ましいものとしては、例えば、ハロゲン、−OR 11 、−OCOR 11 、−OC(R 11 )=C(R 122 、−ON=C(R 112 、−ON=CR 13等を挙げることができる。 ただし、R 11は、脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基であり、R 12は、水素または炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基であり、R 13は、炭素数3〜6の2価の脂肪族炭化水素基である。 より好ましくは、上記R 1は、塩素、−OCH 3 、−OC 25である。

    上記R は、水素または1価の炭化水素基である。 上記1価の炭化水素基は、特に限定されず、好ましいものとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等を挙げることができる。 上記1価の炭化水素基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。

    上記一般式(I)中のrは、1以上の整数を表し、特に上限はないが、1〜10の整数であることが好ましい。 上記rは、一般式(I)中においては整数を表すが、第1の成分に含まれる上記一般式(I)により表されるフッ素シラン化合物は、このような整数rを有する一般式(I)で表されるポリマーの混合物であっても良い。 したがって、上記一般式(I)と類似の表記により平均的な組成を示す場合は、式中のrなどの値は、整数には限定されない。 他の整数としている値、および他の一般式において整数としている値も同様である。

    第1の成分(高分子量のフッ素シラン化合物A)の他の例は、下記一般式(II)で表されるフッ素シラン化合物(パーフルオロポリアルキレンエーテル変性シラン)である。 下記一般式(II)により表されるフッ素シラン化合物には、信越化学工業(株)製の商品名「KY−130」が含まれる。

    ただし、上記の一般式(II)中のRf

    2は、式:−(C

    k

    2k )O−(式中、kは1〜6の整数である)で表される単位を含み、分岐を有しない直鎖状のパーフルオロポリアルキレンエーテル構造を有する2価の基である。 R

    3およびR

    4は、それぞれ独立して、炭素数1〜8の1価の炭化水素基である。 X

    2およびX

    3は、それぞれ独立して、加水分解性基またはハロゲン原子である。 sおよびtは、それぞれ独立して、0〜2の整数である。 uおよびvは、それぞれ独立して、1〜5の整数である。 hおよびiは、それぞれ独立して、2または3である。

    上記一般式(II)中のRf 2は、上記のとおり、式:−(C k2k O)−(式中、kは1〜6、好ましくは1〜4の整数である)で表わされる単位を含み、分岐を有しない直鎖状のパーフルオロポリアルキレンエーテル構造からなる2価の基である。 なお、上記一般式(II)中のsおよびtが各々0である場合、上記一般式(II)中の酸素原子に結合するR
    2の末端は、酸素原子ではない。

    このRf 2としては、例えば、下記一般式で示されるものが挙げられる。 ただし、Rf
    は、下記例示に限定されるものではない。 −CF 2 CF 2 O(CF 2 CF 2 CF 2 O) j CF 2 CF 2 −(式中、jは1以上、好ましくは1〜50、より好ましくは10〜40の整数である。)、−CF 2 (OC 24 −(OCF −(式中、p´およびq´は、それぞれ、1以上、好ましくは1〜50、より好ましくは10〜40の整数であり、かつp´+q´は、10〜100、好ましくは20〜90、より好ましくは40〜80の整数であり、上記の一般式中の繰り返し単位の(OC 24 )、および(OCF 2 )の配列はランダムである。)

    上記一般式(II)中のX 2および/またはX 3が加水分解性基である場合、X 2および/
    またはX 3としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。 メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシ基またはアリロキシ基、イソプロペノキシ等のアルケニルオキシ基またはアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシロキシ基またはジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルケトオキシム基、シクロペンノキシム基、シクロヘキサノキシム基等のケトオキシム基またはN−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−プロピルアミノ基、N−ブチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−シクロヘキシルアミノ基等のアミノ基またはN−メチルアセトアミド基、N−エチルアセトアミド基、N−メチルベンズアミド基等のアミド基またはN,N−ジメチルアミノオキシ基、N,N−ジエチルアミノオキシ基等のアミノオキシ基。

    また、X 2および/またはX 3がハロゲン原子である場合、X 2および/またはX 3としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。 塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等。 これらの中でも、X 2およびX 3としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロペノキシ基および塩素原子が好適である。

    上記一般式(II)中のR 3およびR 4は、それぞれ、炭素数1〜8、好ましくは1〜3の1価の炭化水素基である。 R 3およびR 4としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。 メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基またはシクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基またはフェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基またはベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基またはビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基。 これらの中でも、R 3およびR 4としては、メチル基が好適である。

    上記一般式(II)中のsおよびtは、それぞれ独立に、0〜2の整数である。 sおよびtは、それぞれ1であることが好ましい。 また、上記一般式(II)中のuおよびvは、それぞれ独立に、1〜5の整数である。 uおよびvは、それぞれ3であることが好ましい。 hおよびiは、それぞれ独立に、2または3である。 、加水分解及び縮合反応性および被膜の密着性の観点から、hおよびiは、3であることが好ましい。

    低分子量のフッ素シラン化合物(分子量が100〜700の範囲のフッ素シラン化合物)の群(第2の群)には、例えば、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、n−トリフルオロ(1,1,2,2−テトラヒドロ)プロピルシラザン、n−ヘプタフルオロ(1,1,2,2−テトラヒドロ)ペンチルシラザン、n−ノナフルオロ(1,1,2,2−テトラヒドロ)ヘキシルシラザン、n−トリデカフルオロ(1,1,2,2−テトラヒドロ)オクチルシラザン、n−ヘプタデカフルオロ(1,1,2,2−テトラヒドロ)デシルシラザン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ヘプチルメチルジクロロシラン、イソブチルトリクロロシラン、オクタデシルメチルジメトシキシラン、ヘキサメチルジシラザンが含まれる。

    低分子量のフッ素シラン化合物(分子量が100〜700の範囲のフッ素シラン化合物)の群(第2の群)には、さらに、信越化学工業(株)製KP−801、同LS−1090、同LS−4875、同LS−4480、同LS−2750、同LS−1640、同LS−410、同LS−7150、GE東芝シリコーン(株)製TSL−8257、同TSL−8233、同TSL−8185、同TSL−8186、同TSL−8183、同XC95−A9715などの市販されているものが含まれる。

    本発明の1実施形態の製品において、有機系の反射防止層の一例は、下記一般式(III
    )により表される有機ケイ素化合物(E成分)、およびシリカ系微粒子(F成分)を含有するものである。
    5 m6 n SiX 4 4-nm (III)
    ただし、上記一般式(III)中、R 5は、重合可能な反応基を有する有機基である。 R 6
    は、炭素数1〜6の炭化水素基である。 X 4は、加水分解性基である。 mおよびnは、少なくとも一方は1であり、他方は0または1である。

    上記一般式(III)中のR 5は、重合可能な反応基を有する有機基である。 R 5としては、例えば、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基、エポキシ基、メルカプト基、シアノ基、アミノ基等が挙げられる。 上記一般式(III)中のR 6は、炭素数1〜6の炭化水素基である。 R 6としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、ビニル基、フェニル基等が挙げられる。 E成分の有機ケイ素化合物のX 4は、加水分解可能な官能基であり、具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基等のアルコキシ基、クロロ基、ブロモ基等のハロゲン基、アシルオキシ基等が挙げられる。

    上記一般式(III)により表される有機ケイ素化合物(E成分)の具体的な例は、以下のようなものである。 テトラメトキシシラン、ビニルトリアルコキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトシキ)シラン、アリルトリアルコキシシラン、アクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロピルジアルコキシメチルシラン、γ−グリシドオキシプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリアルコキシシラン、メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン。

    シリカ系微粒子(F成分)の具体的な例は、平均粒径1nm〜100nmの径の微粒子のシリカをコロイド状に分散させた、シリカゾルである。 分散媒としては、たとえば水、アルコール系、もしくはその他の有機溶剤等を用いることができる。

    このシリカ系微粒子は、内部空洞(隙間)を有するものが望ましい。 内部空洞を有するシリカ系微粒子を用いることによって、反射防止層の屈折率を低下させることができる。 したがって、反射防止層とハードコート層との屈折率の差を大きくして、反射防止効果を高めることができる。 シリカ系微粒子の内部空洞内にシリカよりも屈折率が低い気体または溶剤を包含させることによって、空洞のないシリカ系微粒子よりも屈折率が低減し、被膜の低屈折率化が達成される。

    なお、有機系の反射防止層は、上記一般式(III)により表される有機ケイ素化合物(
    E成分)およびシリカ系微粒子(F成分)の他に、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂等の各種樹脂や、これらの樹脂原料となるメタアクリレート類、アクリレート類、エポキシ類、ビニル類等の各種モノマーを含んでいても良い。 屈折率を低減する機能を有するものとしては、フッ素含有の各種ポリマー、またはフッ素含有の各種モノマーが挙げられる。 フッ素含有ポリマーは、フッ素含有ビニルモノマーを重合して得られるポリマーが好ましく、さらに他の成分と共重合可能な官能基を有することが好ましい。

    (実施例)
    以下では、有機系反射防止層および防汚層を有する製品の一例として、眼鏡用のプラスチックレンズを製造し、幾つかの組成により有機系反射防止層の表面に防汚層を形成して、その耐久性等を確認した。

    以下の実施例におけるプラスチックレンズは、レンズ基材と、プライマー層と、ハードコート層と、有機系の反射防止層と、防汚層とが順番に形成されたものである。

    レンズ基材としては、屈折率1.67のプラスチックレンズ基材(セイコーエプソン(株)製、商品名「セイコースーパーソブリン(SSV)」)を使用した。

    プライマー層は、以下の塗布液をレンズ基材に塗布して形成した。 まず、市販の水性ポリエステル「A−160P」(高松油脂(株)製、固形分濃度25%)77g、メタノール220g、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)31.5g、水91
    . 8g、メタノール分散二酸化チタン−二酸化ジルコニウム−二酸化ケイ素複合微粒子ゾル(触媒化成工業(株)製、固形分濃度20重量%)78.8g、シリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7604」)0.1gを加え、2時間攪拌した。 塗布には、浸漬法(引き上げ速度20cm/分)を用い、プライマー層形成用の塗布液を塗布した基材レンズは、80℃で20分間加熱硬化処理した。 このようにして形成されたプライマー層は、膜厚0.5μm、屈折率1.67であった。

    ハードコート層は、以下の塗布液をプライマー層の上に塗布して形成した。 まず、ブチルセロソルブ62.5g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン67.1gを混合した。 この混合液に0.1規定塩酸水溶液30.7gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。 この液に、メタノール分散二酸化チタン−二酸化ジルコニウム−二酸化ケイ素複合微粒子ゾル(触媒化成工業(株)製、固形分濃度20重量%)325g、グリセロールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製、商品名「デナコールEX−313」)12.5gを添加した後、鉄(III)アセチルアセトネート1.36g、シリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.15g、フェノール系酸化防止剤(川口化学工業(株)製、商品名「アンテージクリスタル」)0.63gを添加し、4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。 塗布は、浸漬法(引き上げ速度35cm/分)を用いた。 ハードコート層形成用の塗布液を塗布した後、80℃で30分間加熱硬化処理し、その後、さらに125℃で180分間の加熱硬化処理を行った。 このようにして形成されたハードコート層は、膜厚2.0μm、屈折率1.67であった。

    有機系の反射防止層は、以下の塗布液をハードコート層の上に塗布して形成した。 まず、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下PGME)48.6g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン14.1gを混合した後、0.1規定塩酸水溶液4.0gを攪拌しながら滴下し、さらに5時間攪拌した。 この液にイソプロパノール分散中空シリカゾル(平均粒径91nm、固形分濃度30wt%)33.3gを加えて十分に混合した後、硬化触媒としてAl(C 5723を0.06g、シリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、L7604)を0.03g添加して攪拌、溶解することにより、固形分濃度が20%のコーティング原液を得た。 このコーティング原液を希釈するために、300ppm濃度のシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、L7604)入りPGME溶液を準備し、コーティング原液を35.3g、希釈用界面活性剤入りPGME溶液114.7gを混合して十分に攪拌し、固形分濃度が約4.7%の反射防止層形成用の塗布液を作製した。 塗布は、浸漬法にて行い、引き上げ速度は10cm/分とし、液温は25℃とした。 反射防止層形成用の塗布液を塗布した後、125℃で90分間アニールを行った。 このようにして形成された有機系反射防止層の膜厚は、約91nm、屈折率は、約1.42であった。

    レンズ基材上に、プライマー層と、ハードコート層と、有機系の反射防止層とが形成されたものを、以下、ワークピースという。

    (実験例1)
    フッ素含有組成物S1を用いて、上記のワークピースの有機系反射防止層の表面に防汚層を形成した。 フッ素含有組成物S1は、分子量2500のフッ素シラン化合物A(信越化学工業(株)製、商品名「KY−130」)(以降では化合物A1)と、分子量497.5のフッ素シラン化合物B(信越化学工業(株)製、商品名「KP−801」)(以降では化合物B1)を含み、フッ素系溶剤(住友スリーエム(株)製、商品名「ノベックHFE−7200」)にて希釈して、固形分濃度3%溶液としたものである。 フッ素含有組成物S1は、フッ素シラン化合物A1の重量Waと、フッ素シラン化合物B1の重量Wbとの比が、90/10(例えば、溶媒に希釈したときの固形分濃度として、化合物A1が2.7%、化合物B1が0.3%)、80/20(化合物A1が2.4%、化合物B1が0.6%)、50/50(化合物A1が1.5%、化合物B1が1.5%)、30/70(化合物A1が0.9%、化合物B1が2.1%)、100/0(化合物A1が3%、化合物B1が0%)、20/80(化合物A1が0.6%、化合物B1が2.4%)の6種類を用意し、それぞれを用いて防汚層を形成した。

    実験例1では、防汚層の形成は乾式(蒸着)法を使用した。 すなわち、フッ素含有組成物S1を多孔質セラミックス製のペレットに1g含浸させ乾燥させたものを蒸着源として真空蒸着機のチェンバーにセットした。 真空蒸着機のチェンバー内を、到達圧が1.0〜4.0×10 -2 Paの範囲になるまで排気した。 真空蒸着機のチェンバー内に、上述したワークピースを導入し、ペレットを400℃から500℃に加熱することによってシラン化合物を蒸発させ、有機系反射防止層の表面に防汚層となるフッ素含有組成物S1の層を成膜した。 蒸着終了後、蒸着機内を徐々に大気圧に戻して、フッ素含有組成物S1が蒸着されたワークピースを取り出し、さらに、ワークピースを、90℃90%RHに設定した恒温恒湿層に2時間保持することにより防汚層を備えたプラスチックレンズを得た。

    (実験例2)
    フッ素含有組成物S2を用いて、上記のワークピースの有機系反射防止層の表面に防汚層を形成した。 フッ素含有組成物S2は、化合物A1、すなわち、分子量2500のフッ素シラン化合物と、化合物B1、すなわち、分子量497.5のフッ素シラン化合物とを含み、フッ素系溶剤(住友スリーエム(株)製、商品名「ノベックHFE−7200」)にて希釈して、固形分濃度0.3%溶液としたものである。 したがって、このフッ素含有組成物S2は、上記のフッ素含有組成物S1と基本的には同じものである。 フッ素含有組成物S2も、フッ素シラン化合物A1の重量Waと、フッ素シラン化合物B1の重量Wbとの比が、90/10(溶媒に希釈したときの固形分濃度として、化合物A1が0.27%、化合物B1が0.03%)、80/20(化合物A1が0.24%、化合物B1が0.06%)、50/50(化合物A1が1.5%、化合物B1が1.5%)、30/70(化合物A1が0.09%、化合物B1が0.21%)、100/0(化合物A1が0.3%、化合物B1が0%)、20/80(化合物A1が0.06%、化合物B1が0.24%)の6種類を用意し、それぞれを用いて防汚層を形成した。

    実験例2では、湿式(ディップ方法)で防汚層を形成した。 フッ素含有組成物S2に、ワークピースを浸漬して1分保持した後、15cm/分にて引き上げ、その後、90℃90%RHに設定した恒温恒湿槽に投入し、1.5時間保持した。

    (実験例3)
    フッ素含有組成物S3を用いて、上記のワークピースの有機系反射防止層の表面に防汚層を形成した。 フッ素含有組成物S3は、分子量5000のフッ素シラン化合物A(ダイキン工業(株)製、商品名「オプツールDSX」)(以降では化合物A2)と、分子量497.5のフッ素シラン化合物B1とを含み、フッ素系溶剤(住友スリーエム(株)製、商品名「ノベックHFE−7200」)にて希釈して、固形分濃度0.3%溶液としたものである。 フッ素含有組成物S3も、フッ素シラン化合物A2の重量Waと、フッ素シラン化合物B1の重量Wbとの比が、90/10、80/20、50/50、30/70、100/0、20/80の6種類を用意し、それぞれを用いて防汚層を形成した。 実験例3では、湿式(ディップ方法)で防汚層を形成した。 条件は実験例2と同じである。

    (実験例4)
    フッ素含有組成物S4を用いて、上記のワークピースの有機系反射防止層の表面に防汚層を形成した。 フッ素含有組成物S4は、分子量1000のフッ素シラン化合物A(以降では化合物A3)と、分子量652のシラン化合物B(GE東芝シリコーン(株)製、商品名「XC95−A9715」)(以降では化合物B2)とを含み、フッ素系溶剤(住友スリーエム(株)製、商品名「ノベックHFE−7200」)にて希釈して、固形分濃度0.3%溶液としたものである。 フッ素含有組成物S4も、フッ素シラン化合物A3の重量Waと、フッ素シラン化合物B2の重量Wbとの比が、90/10、80/20、50/50、30/70、100/0、20/80の6種類を用意し、それぞれを用いて防汚層を形成した。 実験例4では、湿式(ディップ方法)で防汚層を形成した。 条件は実験例2と同じである。

    (実験例5)
    フッ素含有組成物S5を用いて、上記のワークピースの有機系反射防止層の表面に防汚層を形成した。 フッ素含有組成物S5は、分子量10000のフッ素シラン化合物A(以降では化合物A4)と、分子量652のシラン化合物B2とを含み、フッ素系溶剤(住友スリーエム(株)製、商品名「ノベックHFE−7200」)にて希釈して、固形分濃度0.3%溶液としたものである。 フッ素含有組成物S5も、フッ素シラン化合物A4の重量Waと、フッ素シラン化合物B2の重量Wbとの比が、90/10、80/20、50/50、30/70、100/0、20/80の6種類を用意し、それぞれを用いて防汚層を形成した。 実験例5では、湿式(ディップ方法)で防汚層を形成した。 条件は実験例2と同じである。

    (実験例6)
    フッ素含有組成物S6を用いて、上記のワークピースの有機系反射防止層の表面に防汚層を形成した。 フッ素含有組成物S6は、分子量10000のフッ素シラン化合物A4と、分子量116.2のシラン化合物B(信越化学工業(株)製、商品名「LS805」)(以降では化合物B3)とを含み、フッ素系溶剤(住友スリーエム(株)製、商品名「ノベックHFE−7200」)にて希釈して、固形分濃度0.3%溶液としたものである。 フッ素含有組成物S6も、フッ素シラン化合物A4の重量Waと、フッ素シラン化合物B3の重量Wbとの比が、90/10、80/20、50/50、30/70、100/0、20/80の6種類を用意し、それぞれを用いて防汚層を形成した。 実験例6では、湿式(ディップ方法)で防汚層を形成した。 条件は実験例2と同じである。

    (実験例7)
    フッ素含有組成物S7を用いて、上記のワークピースの有機系反射防止層の表面に防汚層を形成した。 フッ素含有組成物S7は、分子量1000のフッ素シラン化合物A3と、分子量116.2のシラン化合物B3とを含み、フッ素系溶剤(住友スリーエム(株)製、商品名「ノベックHFE−7200」)にて希釈して、固形分濃度0.3%溶液としたものである。 フッ素含有組成物S7も、フッ素シラン化合物A3の重量Waと、フッ素シラン化合物B3の重量Wbとの比が、90/10、80/20、50/50、30/70、100/0、20/80の6種類を用意し、それぞれを用いて防汚層を形成した。 実験例7では、湿式(ディップ方法)で防汚層を形成した。 条件は実験例2と同じである。

    (実験例8)
    フッ素含有組成物S8を用いて、上記のワークピースの有機系反射防止層の表面に防汚層を形成した。 フッ素含有組成物S8は、分子量900のフッ素シラン化合物A(以降では化合物A5)と、分子量652のシラン化合物B2とを含み、フッ素系溶剤(住友スリーエム(株)製、商品名「ノベックHFE−7200」)にて希釈して、固形分濃度0.3%溶液としたものである。 フッ素含有組成物S8も、フッ素シラン化合物A5の重量Waと、フッ素シラン化合物B2の重量Wbとの比が、90/10、80/20、50/50、30/70、100/0、20/80の6種類を用意し、それぞれを用いて防汚層を形成した。 実験例8では、湿式(ディップ方法)で防汚層を形成した。 条件は実験例2と同じである。

    (実験例9)
    フッ素含有組成物S9を用いて、上記のワークピースの有機系反射防止層の表面に防汚層を形成した。 フッ素含有組成物S9は、分子量1000のフッ素シラン化合物A3と、分子量793.2のシラン化合物B(信越化学工業(株)製、商品名「LS8980」)(以降では化合物B4)とを含み、フッ素系溶剤(住友スリーエム(株)製、商品名「ノベックHFE−7200」)にて希釈して、固形分濃度0.3%溶液としたものである。 フッ素含有組成物S9も、フッ素シラン化合物A3の重量Waと、フッ素シラン化合物B4の重量Wbとの比が、90/10、80/20、50/50、30/70、100/0、20/80の6種類を用意し、それぞれを用いて防汚層を形成した。 実験例9では、湿式(ディップ方法)で防汚層を形成した。 条件は実験例2と同じである。

    (実験例10)
    フッ素含有組成物S10を用いて、上記のワークピースの有機系反射防止層の表面に防汚層を形成した。 フッ素含有組成物S10は、分子量10000のフッ素シラン化合物A4と、分子量793.2のシラン化合物B4とを含み、フッ素系溶剤(住友スリーエム(株)製、商品名「ノベックHFE−7200」)にて希釈して、固形分濃度0.3%溶液としたものである。 フッ素含有組成物S10も、フッ素シラン化合物A4の重量Waと、フッ素シラン化合物B4の重量Wbとの比が、90/10、80/20、50/50、30/70、100/0、20/80の6種類を用意し、それぞれを用いて防汚層を形成した。 実験例10では、湿式(ディップ方法)で防汚層を形成した。 条件は実験例2と同じである。

    (実験例11)
    フッ素含有組成物S11を用いて、上記のワークピースの有機系反射防止層の表面に防汚層を形成した。 フッ素含有組成物S11は、分子量11000のフッ素シラン化合物A(以降では化合物A6)と、分子量652のシラン化合物B2とを含み、フッ素系溶剤(住友スリーエム(株)製、商品名「ノベックHFE−7200」)にて希釈して、固形分濃度0.3%溶液としたものである。 フッ素含有組成物S11も、フッ素シラン化合物A6の重量Waと、フッ素シラン化合物B2の重量Wbとの比が、90/10、80/20、50/50、30/70、100/0、20/80の6種類を用意し、それぞれを用いて防汚層を形成した。 実験例11では、湿式(ディップ方法)で防汚層を形成した。 条件は実験例2と同じである。

    (実験例12)
    フッ素含有組成物S12を用いて、上記のワークピースの有機系反射防止層の表面に防汚層を形成した。 フッ素含有組成物S12は、分子量11000のフッ素シラン化合物A6と、分子量116.2のシラン化合物B3とを含み、フッ素系溶剤(住友スリーエム(株)製、商品名「ノベックHFE−7200」)にて希釈して、固形分濃度0.3%溶液としたものである。 フッ素含有組成物S12も、フッ素シラン化合物A6の重量Waと、フッ素シラン化合物B3の重量Wbとの比が、90/10、80/20、50/50、30/70、100/0、20/80の6種類を用意し、それぞれを用いて防汚層を形成した。 実験例12では、湿式(ディップ方法)で防汚層を形成した。 条件は実験例2と同じである。

    (実験例13)
    フッ素含有組成物S13を用いて、上記のワークピースの有機系反射防止層の表面に防汚層を形成した。 フッ素含有組成物S13は、分子量10000のフッ素シラン化合物A4と、分子量88.1のシラン化合物B(信越化学工業(株)製、商品名「LS471」)(以降では化合物B5)とを含み、フッ素系溶剤(住友スリーエム(株)製、商品名「
    ノベックHFE−7200」)にて希釈して、固形分濃度0.3%溶液としたものである。 フッ素含有組成物S13も、フッ素シラン化合物A4の重量Waと、フッ素シラン化合物B5の重量Wbとの比が、90/10、80/20、50/50、30/70、100/0、20/80の6種類を用意し、それぞれを用いて防汚層を形成した。 実験例13では、湿式(ディップ方法)で防汚層を形成した。 条件は実験例2と同じである。

    (実験例14)
    フッ素含有組成物S14を用いて、上記のワークピースの有機系反射防止層の表面に防汚層を形成した。 フッ素含有組成物S14は、分子量1000のフッ素シラン化合物A3と、分子量88.1のフッ素シラン化合物B5とを含み、フッ素系溶剤(住友スリーエム(株)製、商品名「ノベックHFE−7200」)にて希釈して、固形分濃度0.3%溶液としたものである。 フッ素含有組成物S14も、フッ素シラン化合物A3の重量Waと、フッ素シラン化合物B5の重量Wbとの比が、90/10、80/20、50/50、30/70、100/0、20/80の6種類を用意し、それぞれを用いて防汚層を形成した。 実験例14では、湿式(ディップ方法)で防汚層を形成した。 条件は実験例2と同じである。

    (実験例15)
    フッ素含有組成物S15を用いて、上記のワークピースの有機系反射防止層の表面に防汚層を形成した。 フッ素含有組成物S15は、分子量900のフッ素シラン化合物A5と、分子量116.2のフッ素シラン化合物B3とを含み、フッ素系溶剤(住友スリーエム(株)製、商品名「ノベックHFE−7200」)にて希釈して、固形分濃度0.3%溶液としたものである。 フッ素含有組成物S15も、フッ素シラン化合物A5の重量Waと、フッ素シラン化合物B3の重量Wbとの比が、90/10、80/20、50/50、30/70、100/0、20/80の6種類を用意し、それぞれを用いて防汚層を形成した。 実験例15では、湿式(ディップ方法)で防汚層を形成した。 条件は実験例2と同じである。

    (評価方法)
    上記の実験例において、それぞれのフッ素含有組成物を用いて防汚層が形成されたプラスチックレンズの表面(凸面)を、木綿布を用い、200gの荷重をかけながら、5000回往復し、その後、接触と、拭き耐久性(耐擦傷性)とを評価した。 その結果を図1にまとめて示している。

    接触角は、接触角計(協和科学(株)製、CA−D型)を使用し、液滴法による純水の接触角を測定した結果である。 これにより、防汚層の撥水性が評価できる。 以下の評価レベルで図1に示している。
    「○」:100°以上「△」:90〜100°
    「×」:90°未満

    拭き耐久性(耐擦傷性)は、レンズ表面を目視により検査し、その結果を以下の評価レベルで図1に示している。
    「◎」:全く傷が認められない「○」:1〜5本傷が付いた「△」:6〜10本傷が付いた「×」:無数の傷が付いた

    図1の評価結果から分かるように、分子量が1000〜10000の高分子量のフッ素シラン化合物(第1の成分)と、分子量が100〜700の低分子量のフッ素シラン化合物(第2の成分)とを含むフッ素含有組成物S1〜S7を用いて、有機系の反射防止層の表面に防汚層を形成した例では、高分子量の化合物の重量Waと、低分子量の化合物の重量Wbとの比が90/10、80/20、50/50、30/70の場合において、耐久性試験後の、接触角および耐擦傷性の評価が良好である。 すなわち、フッ素含有組成物S1〜S7を用いて、有機系の反射防止層の表面に防汚層を形成した例では、高分子量の化合物の重量Waと、低分子量の化合物の重量Wbとの比が90/10、80/20、50/50、30/70の場合において、十分な耐久性を備えた防汚層を形成できる。 高分子量の化合物の重量Waと、低分子量の化合物の重量Wbとの比が、80/20、50/50の場合、耐久性試験後の、接触角および耐擦傷性の評価が特に良好である。

    また、実験例1および2から、本例のフッ素含有組成物であれば、乾式、湿式(ディップ)のいずれでも、有機系の反射防止層の上に、十分な耐久性を備えた防汚層を形成できる。 乾式により反射防止層を成膜する場合、湿式の場合に必須であった加湿アニールおよび乾燥アニールを省くことができ、サイクルタイムの減少が可能となる。 また、湿式の場合は、ディップ用の液を作製するので、液のポットライフを管理しなければならないのに対し、乾式の場合は、1回の成膜に対して1個のペレットを作製し蒸着源とするため、ポットライフを管理する必要がないというメリットがある。

    なお、上記では基板がプラスチックレンズのものを例に説明しているが、ガラスレンズであっても同様の効果を得ることができる。 例えば、有機系の反射防止層の上に防汚層を備えた製品には、眼鏡レンズに限らず、カメラ用などの多種多様なレンズ、その他の光学素子、例えば、プリズムなど、さらには、DVD等などの記録媒体、窓用のガラスなど多種多様なものが含まれる。

    本発明の実施形態に係る防汚層の製造条件と評価結果を示す図。

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