Production of aromatic polymer

申请号 JP27938593 申请日 1993-11-09 公开(公告)号 JPH06263871A 公开(公告)日 1994-09-20
申请人 Raychem Corp; レイケム・コーポレイション; 发明人 BIKUTAAZU JIYANSON; HAINRITSUHI KAARU GOOSU;
摘要 PURPOSE: To easily obtain a heat-resistant high-molecular-weight poly(arylene ether ketone) by polymerizing phosgene or an aromatic diacid dihalide and an aromatic comonomer or a specified acid halide-containing monomer system in the presence of a specified amount of a Lewis acid.
CONSTITUTION: A poly(arylene ether ketone) is produced by polymerization reacting phosgene or an aromatic diacid dihalide with a monomer system containing a polycyclic aromatic comonomer of any one of formulas I to IV (wherein (m) is 1-3; and (n) is 2 or 3) or an acid halide of formula V (wherein Z is a halogen; (k), (q) and (r) are each 0, 1 or 3; and (p) is 1 or 2) or an acid halide of formula VI [wherein (n) is 2 or 3; Y is CO-Z or CO-Ar-CO-Z (wherein Z is a halogen)] [in each formula, Ar is a (substituted)phenyl or the like] in the absence of a Lewis acid and in a reaction medium containing a Lewis acid in an amount sufficient as a polymerization catalyst and in an amount equal to the sum of the amount equivalent per equivalence of the CO groups present in the monomer system and 0.05-0.3 equivalent per equivalence of the acid halide and 0-93 wt.%, based on the total reaction mixture, aprotic diluent.
COPYRIGHT: (C)1994,JPO
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 (I)(i)ホスゲンまたは芳香族二酸ジハライドと、 (ii)(a)H−Ar−O−Ar−H (b)H−(Ar−O) n −Ar−H [式中、nは2または3を表す。 ] (c)H−Ar−O−Ar−(CO−Ar−O−Ar) m −H [式中、mは1、2または3を表す。 ]または (d)H−(Ar−O) n −Ar−CO−Ar−(O−Ar) m −H [式中、mは1、2または3、nは2または3を表す。 ]を含んで成る多環式芳香族コモノマーあるいは (II)式: H‐Ar‐O‐[(Ar‐CO) p ‐(Ar‐O) q ‐(Ar‐CO) r ] k ‐Ar‐C
    O‐Z [式中、Zはハロゲン、kは0、1または2、pは1または2、qは0、1または2、rは0、1または2を表す。 ]で示される酸ハライドあるいは (III)式: H−(Ar−O) n −Ar−Y [式中、nは2または3、YはCO−ZまたはCO−Ar
    −CO−Z(ここでZはハロゲンを表す。)を表す。 ]で示される酸ハライド[上記式中、各Arは、ケトンカルボニルおよびエーテル酸素基のない置換および非置換多環式芳香族残基、ならびに置換または非置換フェニレンから独立的に選択される。 ]を含んで成るモノマー系を、
    ルイス塩基が実質的に存在せず、(A) モノマー系中に存在するカルボニル基1当量当たり1当量の量+反応混合物中の酸ハライド1当量当たり0.05〜0.3当量である重合触媒として働くのに十分な量のルイス酸、および(B) 全反応混合物重量に対して0〜93重量%の量の非プロトン希釈剤を含んで成る反応媒体中で重合させることから成るポリ(アリーレンエーテルケトン)の製法であって、 (i) モノマー系が(I)(ii)(a)、(I)(ii)(b)または(I)
    (ii)(d)に規定されるコモノマーおよび二酸ジハライドを含む場合に、(aa)ルイス酸は、上記(A)の最小量に加えて、モノマー中の失活していないアリールオキシ基1
    当量当たり0.8当量までの過剰量で、および酸ハライド基が、分離した環縮合していない芳香族環に位置する場合には酸ハライド基1当量当たり0.5当量までの付加的量の過剰量で存在し、(bb)更に、モノマー系が(I)
    (ii)(a)で規定されるコモノマーを含有し、二酸ジハライドがベンゼンジカルボニルジクロライドである場合に、ポリマーが少なくとも部分的に結晶性であるという条件下、反応混合物中のモノマー濃度は、反応混合物総重量に対して少なくとも7重量%であり、 (ii)モノマー系が(III)である場合に、ルイス酸は、上記(A)の最小量に加えて、モノマー中の失活していないアリールオキシ基1当量当たり0.8当量までの過剰量で存在し、あるいは (iii)モノマー系が(I)(c)または(II)である場合に、ルイス酸は、上記(A)の最小量に加えて、酸ハライド基1
    当量当たり少なくとも0.6+[0.25×tanh(50(0.
    1−D))](ここでDはモノマーの希釈剤に対するモル比を表す。)の量の過剰量で存在することを特徴とするポリ(アリーレンエーテルケトン)の製法。
  • 【請求項2】 モノマー系はp−フェノキシベンゾイルクロライドを含んで成る請求項1に記載の方法。
  • 【請求項3】 モノマー系は1,4−ジフェノキシベンゼンおよびホスゲンまたはテレフタロイルクロライドを含んで成る請求項1に記載の方法。
  • 【請求項4】 モノマー系は4,4'−ジフェノキシベンゾフェノンおよびホスゲンまたはテレフタロイルクロライドを含んで成る請求項1に記載の方法。
  • 【請求項5】 モノマー系はジフェニルエーテルおよびホスゲンまたはテレフタロイルクロライドを含んで成る請求項1に記載の方法。
  • 【請求項6】 ルイス酸は三塩化アルミニウムである請求項1に記載の方法。
  • 【請求項7】 誘電率が24℃で少なくとも2.5である非プロトン性希釈剤の存在下で重合を行う請求項1〜
    6のいずれかに記載の方法。
  • 【請求項8】 非プロトン性希釈剤の誘電率は24℃で4.0〜25である請求項7に記載の方法。
  • 【請求項9】 メチレンクロライド、二硫化炭素、o−
    ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、o
    −ジフルオロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、1,
    1,2,2−テトラクロロエタンおよびこれら混合物から成る群から選択された非プロトン性希釈剤の存在下で重合を行う請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【産業上の利用分野】本発明は、ポリ(アリーレンケトン)の製法に関し、更に詳しくは、求電子重合によるポリ(アリーレンケトン)の製法に関する。 ポリ(アリーレンケトン)、特に全パラ結合ポリ(アリールエーテルケトン)は、多くの望ましい性質、例えば高温安定性、機械的強度、通常の溶媒に対する耐性を有する。 ポリ(アリーレンエーテルケトン)製造には2つの異なった方法があり、文献に記載されている。 第1の方法は、アリールケトン結合が形成される求電子合成である。 第2の方法はアリールエーテル結合が形成される求核合成である。
    本発明は、ポリ(アリーレンケトン)、特に全パラ結合ポリ(アリールエーテルケトン)の改良された求電子合成法に関する。

    【0002】

    【従来の技術および発明が解決しようとする課題】そのような求電子合成において重合段階は、カルボン酸または酸誘導基ならびに活性原子、即ち、求電子反応条件下で置換可能な水素原子を持つ芳香族炭素を有する芳香族化合物からのアリールケトン基の形成を包含する。
    重合で用いられるモノマー系は、例えば(a) 芳香族炭素にカルボン酸または酸誘導基および活性水素原子の両方を有する1つの芳香族化合物、例えば、 p−フェノキシベンゾイルクロライド; または(b) ジカルボン酸または酸誘導体、および2つの活性水素原子を有する芳香族化合物の2成分系、例えば1,4−ジフェノキシベンゼンおよびテレフタロイルクロライドであってよい。

    【0003】この種類の求電子重合は、フリーデル-クラフツ重合とよく呼ばれる。 典型的には、そのような重合は、反応体、触媒(例えば、無水三塩化アルミニウム)、溶媒(例えば、メチレンクロライド、二硫化炭素、
    ニトロメタン、ニトロベンゼンまたは o−ジクロロベンゼン)を含んで成る反応媒体中で実施される。 反応体および生成物のカルボニル基は三塩化アルミニウムと錯体を形成し、よって三塩化アルミニウムを失活させるので、一般に三塩化アルミニウムは反応媒体中のカルボニル基の各当量当たり1当量より多い量で用いられる。 他の無機ハライド、例えば塩化第二鉄を触媒として用いてよい。

    【0004】そのようなフリーデル-クラフツ重合によって反応容器から除去し精製するのが困難な取り扱いにくい反応生成物が生成する。 更に、望ましくない低分子量および/または熱不安定性であるポリマーが生成する傾向にある。 全パラ結合ポリ(アリーレンエーテルケトン)は、そのようなフリーデル-クラフツ条件下で製造するのが特に困難である。 この不満足な結果の原因となっているらしい1つの要因は、パラ結合ポリマーが、このポリマーのオルト、メタまたは混合異性体よりずっと結晶性であり、よってそのようなフリーデル-クラフツ反応で典型的に用いられる反応媒体に一般に更に不溶性であることであると、文献に報告されている。 よって低分子量状態でのポリマーの尚早な沈殿が生じ易い。 これらの不満足な結果を導く他の要因は、ポリマー鎖の成長を妨害する末端基のアルキル化または塩化アルミニウムとの錯体形成による末端アリールオキシ基の失活である。
    更に、(特に、活性芳香環のオルト位での)副反応によって、高温(例えば、ポリマー溶融加工で要求されるような高温)で架橋する可能性の高いおよび/または分岐したポリマーが生成する。 比較的長時間および/または高温でフリーデル-クラフツ反応を行う場合、ポリマーのオルト置換が起こる可能性が高くなることは一般に知られている。 米国特許第3,065,205号(Bonner)、
    同第3,767,620号(Angelo et al)、同第3,51
    6,966号(Berr)、同第3,791,890号(Gander
    et al)、同第4,008,203号(Jones)、ならびに英国特許第971,227および1,086,021号
    (Imperial Chemical Industries)には、フリーデル-
    クラフツ重合によるポリ(アリーレンケトン)の製造が開示されており、扱い易い溶融安定なポリマー製造の困難さが一般的に認められている。 例えば、Gander らは、
    ゲル化が生じる以前に反応混合物を特別に処理することによる粒状ポリマーの製法を提案し、Angeloらは、重合時に副反応によって生じポリマーの熱不安定性の原因となる望ましくない末端基を減少させるためのポリマー処理方法を提案している。

    【0005】上記フリーデル-クラフツ重合によってポリ(アリーレンケトン)を製造する時に生じる不都合を解消するため、無水フッ化水素中で三フッ化ホウ素を用いることが提案されている。 例えば、米国特許第3,44
    1,538号(Marks)、同第3,442,857号(Thorn
    ton)、同第3,953,400号(Dahl)および同第3,9
    56,240号(Dahl et al)を参照されたい。 この一般的方法は、所望の熱安定性高分子量ポリマーを工業的に製造するために用いられる。 しかし、三フッ化ホウ素およびフッ化水素の使用には、工業的規模でこの方法を実際に行うのを困難にする特別な技術および装置が必要である。

    【0006】

    【課題を解決するための手段】本発明者らは、工業的規模で容易に扱える反応媒体を用いてポリ(アリーレンケトン)の熱安定性高分子量ポリマーを求電子合成によって製造する改良方法を見い出した。 本発明の製法は、かなり短時間、かなり低温で反応を実施することを可能にする高い反応速度を与える。 更に、高分子量ポリマーが得られるまでポリマーは、反応媒体中に(例えば、溶液または反応性ゲル状態で)保たれている。 また更に、生成ポリマーは、要すれば芳香環のオルト置換がポリマー主鎖にほとんどなく、本質的に直線状である。 本発明の製法はポリマーを溶液または扱い易い状態で保つので、
    ポリマーの回収および精製は非常に促進される。

    【0007】本発明の製法によれば、以下に更に充分に説明する適切なモノマー系のフリーデル-クラフツ重合は、従来技術において教唆のない選択された反応体割合および反応条件下で反応することによって、または反応媒体ヘルイス塩基の如き調節剤を添加することによって、またはこの両方によってオルト置換、アルキル化および鎖の枝分かれを抑制するようにかつ/あるいはポリマーを溶解または膨潤するように調節されている。 本発明によれば、ルイス酸ならびに所望により調節剤および非プロトン性希釈剤の存在下、(I)2つの活性水素原子を有する多環式芳香族コモノマーとホスゲンまたは芳香族二酸ジハライド、または(II)酸ハライド基および活性水素原子の両方を有する多環式芳香族コモノマーを重合することを含んで成り、ポリマー主鎖のパラ結合した芳香族環のオルト置換から生成する側基を実質的に有さない熱安定性線状ポリ(アリーレンエーテルケトン)が得られるように、各成分は所定割合で存在し、および所定反応条件下で重合を行うポリ(アリーレンエーテルケトン)
    の製法が提供される。

    【0008】本発明は、(I)(i)ホスゲンまたは芳香族二酸ジハライドと、 (ii)(a)H−Ar−O−Ar−H (b)H−(Ar−O) n −Ar−H [式中、nは2または3を表す。 ] (c)H−Ar−O−Ar−(CO−Ar−O−Ar) m −H [式中、mは1、2または3を表す。 ]または (d)H−(Ar−O) n −Ar−CO−Ar−(O−Ar) m −H [式中、mは1、2または3、nは2または3を表す。 ]を含んで成る多環式芳香族コモノマーあるいは(II)式: H‐Ar‐O‐[(Ar‐CO) p ‐(Ar‐O) q ‐(Ar‐CO) r ] k ‐Ar‐C
    O‐Z [式中、Zはハロゲン、kは0、1または2、pは1または2、qは0、1または2、rは0、1または2を表す。 ]で示される酸ハライドあるいは(III)式: H−(Ar−O) n −Ar−Y [式中、nは2または3、YはCO−ZまたはCO−Ar
    −CO−Z(ここでZはハロゲンを表す。)を表す。 ]で示される酸ハライド[上記式中、各Arは、ケトンカルボニルおよびエーテル酸素基のない置換および非置換多環式芳香族残基、ならびに置換または非置換フェニレンから独立的に選択される。 ]を含んで成るモノマー系を、
    ルイス塩基が実質的に存在せず、(A) モノマー系中に存在するカルボニル基1当量当たり1当量の量+反応混合物中の酸ハライド1当量当たり0.05〜0.3当量である重合触媒として働くのに十分な量のルイス酸、および(B) 全反応混合物重量に対して0〜93重量%の量の非プロトン希釈剤を含んで成る反応媒体中で重合させることから成るポリ(アリーレンエーテルケトン)の製法であって、 (i) モノマー系が(I)(ii)(a)、(I)(ii)(b)または(I)
    (ii)(d)に規定されるコモノマーおよび二酸ジハライドを含む場合に、(aa)ルイス酸は、上記(A)の最小量に加えて、モノマー中の失活していないアリールオキシ基1
    当量当たり0.8当量までの過剰量で、および酸ハライド基が、分離した環縮合していない芳香族環に位置する場合には酸ハライド基1当量当たり0.5当量までの付加的量の過剰量で存在し、(bb)更に、モノマー系が(I)
    (ii)(a)で規定されるコモノマーを含有し、二酸ジハライドがベンゼンジカルボニルジクロライドである場合に、ポリマーが少なくとも部分的に結晶性であるという条件下、反応混合物中のモノマー濃度は、反応混合物総重量に対して少なくとも7重量%であり、 (ii)モノマー系が(III)である場合に、ルイス酸は、上記(A)の最小量に加えて、モノマー中の失活していないアリールオキシ基1当量当たり0.8当量までの過剰量で存在し、あるいは (iii)モノマー系が(I)(c)または(II)である場合に、ルイス酸は、上記(A)の最小量に加えて、酸ハライド基1
    当量当たり少なくとも0.6+[0.25×tanh(50(0.
    1−D))](ここでDはモノマーの希釈剤に対するモル比を表す。)の量の過剰量で存在することを特徴とするポリ(アリーレンエーテルケトン)の製法を提供する。

    【0009】本発明の求電子重合においてポリ(アリーレンエーテルケトン) は適切なモノマー系から製造される。 本発明の製法によって生成するポリマーは一般式

    【化1】

    [式中、各Ar は、置換および非置換フェニレンならびに置換および非置換多環式芳香族残基から独立的に選択される。 ]で示される繰り返し単位を有する。 多環式芳香族残基なる用語は、少なくとも2つの芳香環を有する芳香族残基を表示するために用いられる。 環は環縮合していてよく、直接結合または結合基によって結合していてよい。 あるモノマー、例えば、多環式芳香族コモノマー、酸ハライドモノマーおよびある二酸ジハライドにおいて、芳香環の少なくとも2つはエーテル酸素結合によって結合している。 芳香族残基において芳香環を結合する他の結合基は、例えば、カルボニル、スルホン、スルフィド、アミド、イミド、アゾ、アルキレンおよびパーフルオロアルキレンなどを包含する。

    【0010】フェニレンおよび多環式芳香族残基は芳香環にいくつかの置換基を有してよい。 これら置換基は重合反応を目だつ程度に妨害または抑制してはならない。
    そのような許容できる置換基は、例えば、フェニル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルキル、2-アラルケニルおよびアルキニルなどを包含する。

    【0011】これらポリマーは、本発明に従って適切なモノマー系を重合させることによって製造される。 そのようなモノマー系は、 I)(i) ホスゲンまたは芳香族二酸ジハライドと (ii) 多環式芳香族コモノマー (a) H−Ar−O−Ar−H (b) H−(Ar−O) n −Ar−H [式中、 nは2または3を表す。 ] (c) H−Ar−O−Ar−(CO−Ar−O−Ar) m −H [式中、 mは1、2または3を表す。 ]または (d) H−(Ar−O) n −Ar−CO−Ar−(O−Ar) m −H [式中、 mは1、2または3、 nは2または3を表す。 ]
    あるいは II)式: H‐Ar‐O‐[(Ar‐CO) p ‐(Ar‐O) q ‐(Ar‐CO) r ] k ‐Ar‐C
    O‐Z [式中、Zはハロゲン、k は0、1または2、p は1または2、q は0、1または2、r は0、1または2を表す。 ]で示される酸ハライドあるいは III)式: H-(Ar−O) n −Ar−Y [式中、n は2または3、YはCO−ZまたはCO−Ar
    −CO−Z (ここでZはハロゲンである。)を表す。 ]で示される酸ハライド[上記式中、各Ar は、ケトンカルボニルまたはエーテル酸素基のない置換および非置換多環式芳香族残基ならびに置換および非置換フェニレンから独立的に選択される。 ]を含んで成る。

    【0012】用いる芳香族二酸ジハライドはジクロライドまたはジブマイドであることが好ましい。 用い得る具体的な二酸ジハライドは、例えば、

    【化2】

    【化3】

    【化4】

    【化5】

    【化6】

    【化7】

    【化8】

    【化9】

    [式中、aは0〜4を表す]を包含する。

    【0013】そのような二酸ジハライドとともに用い得る具体的な多環式芳香族コモノマーは、 (a) H−Ar−O−Ar−H、例えば:

    【化10】

    【化11】

    (b) H−(Ar−O)

    n −Ar−H、例えば:

    【化12】

    および

    【化13】

    (c) H−Ar−O−Ar(CO−Ar−O−Ar)

    m −H、例えば:

    【化14】

    ならびに (d) H−(Ar−O)

    n −Ar−CO−Ar−(O−Ar)

    m −H、 例えば:

    【化15】

    である。

    【0014】モノマー系IIおよびIIIは酸ハライドを含んで成る。 (本明細書において、酸ハライドなる用語は一酸モノハライドを表示する。)モノマー系IIにおいて、
    酸ハライドは式 H‐Ar‐O[(Ar‐CO) p ‐(Ar‐O) q ‐(Ar‐CO) r ] k ‐Ar‐CO
    ‐Z で示される。 そのようなモノマーは、例えば、 k=0の場合、

    【化16】

    【化17】

    【化18】

    【化19】

    およびk =1の場合、

    【化20】

    【化21】

    を包含する。

    【0015】モノマー系IIIにおいて酸ハライドは式 H−(Ar−O) n −Ar−Y で示される。 そのような酸ハライドの例は、

    【化22】

    および

    【化23】

    を包含する。

    【0016】上記のように同条件を満足するモノマーの組合せを用い得ることがわかる。 例えば、化学量論的に正確であるならば、1種またはそれ以上の二酸ジハライドを1種またはそれ以上の多環式芳香族コモノマーとともに用い得る。 更に、1種またはそれ以上の酸ハライドを有し得る。 加えて、用いる1種またはそれ以上のコモノマーが少なくとも1つのエーテル酸素結合を有するならば、エーテル結合を有さない付加的モノマーを用い得る。 そのようなコモノマーは、例えば:

    【化24】

    【化25】

    を包含し、I(ii)(a) 、I(ii)(b) 、I(ii)(c) またはI(ii)(d) で規定されるような多環式芳香族コモノマーに加えて用いられる場合、ホスゲンもしくはあらゆる二酸ジハライドとともに、またはエーテル含有二酸ジハライドとの唯一のコモノマーとして用い得る。 同様に、

    【化26】

    は、エーテル含有多環式芳香族酸ハライドとのコモノマーとして、またはIに規定されるモノマー系との付加的コモノマーとして用い得る。

    【0017】モノマー系は、 A) モノマー系に存在するカルボニル基1当量当たり1
    当量の量+要すれば存在するルイス塩基1当量当たり1
    当量の量+重合触媒として働くのに充分な量であるルイス酸、 B) 要すれば存在するモノマー系に存在する酸ハライド基1当量当たり0〜約4当量の量であるルイス塩基、および C) 反応混合物総重量に対して0〜約93重量%の量である非プロトン希釈剤を含んで成る反応媒体中で重合を行う。

    【0018】本明細書において「ルイス酸」なる用語は、
    他の分子から非共有電子対を受容できる物質を表示するために用いられる。 本発明において実際に使用できるルイス酸は、例えば、三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、五塩化アンチモン、五フッ化アンチモン、三塩化インジウム、三塩化ガリウム、三塩化ホウ素、三フッ化ホウ素、塩化亜鉛、塩化第二鉄、塩化スズ、四塩化チタンおよび五塩化モリブデンである。 ルイス酸として実質的に無水の三塩化アルミニウムを用いることが好ましい。

    【0019】本発明において実際に使用するルイス酸の量は、選択された特定のモノマーおよび反応媒体に依存して変化する。 すべての場合、モノマー系に存在するカルボニル基1当量当たり少なくとも約1当量の量+重合触媒として働くのに十分な量(本明細書において触媒量と表示する。)であるルイス酸が使用される。 一般に、
    添加される触媒量は、反応混合物中の酸ハライド1当量当たり約0.05〜0.3当量である。 ルイス酸の添加量は、以下に述べるように反応条件およびモノマー性質に依存して要求される。 更に、他の塩基種(例えば、スルホン基)を有するコモノマーを使用する場合、付加的ルイス酸が要求される。 前記のように、フリーデル-クラフツ重合反応は、所望の溶融加工可能な実質的に線状の高分子量ポリ(アリーレンエーテルケトン) を得るためルイス酸量を変えることを包含する反応条件を変えることによって、または調節剤添加によって調節される。

    【0020】本発明の好ましい態様において、重合反応は、就中、望ましくない副反応、特に活性アリールオキシ基のオルト置換を抑制する調節剤の添加によって調節される。 副反応の抑制によって、熱安定なポリマー、即ち、ある時間、高温(例えば、ポリマー融点以上の温度)
    に付された場合に劣化または架橋しないポリマーが生成する。 溶融加工に適しているこの種のポリマーは、必要な加工時間の間、加工温度に耐え得るべきである。 典型的には、ポリマーが、望ましくないゲル形成またはインヘレント粘度の実質的変化なく、ポリマーの融点または軟化点より約30℃までで高い温度に、少なくとも30
    分間、好ましくは少なくとも60分間、最も好ましくは少なくとも90分間の間耐え得ることが必要である。

    【0021】好ましい重合用調節剤はルイス塩基である。 本明細書において「ルイス塩基」なる用語は、ルイス酸へ非共有電子対を供給し得る物質を表示するために用いられる。 よって、ルイス塩基は、反応媒体中に用いられるルイス酸と錯体を形成する。 ルイス酸とジフェニルエーテルの会合熱より大きい会合熱を有する1:1錯体を形成するルイス塩基が好ましいことがわかっている。
    例えば、三塩化アルミニウムがルイス酸である場合、用いるルイス塩基は、少なくとも約15kcal/モル、好ましくは少なくとも約20kcal/モル、最も好ましくは約30kcal/モルの会合熱を有する1:1錯体を形成すべきである。 会合熱は、2成分だけから成る1:1のルイス酸/ルイス塩基錯体から生じるが、形成される実際の錯体は1:1錯体である必要がない。 ルイス酸/ルイス塩基錯体の会合熱に関する説明は、D.E.H.Jones et a
    l, J.Chem Soc. (A), 3132−3135(1971)にみられる。 使用されるルイス塩基はアシル化、アルキル化またはアリール化剤であってはならず、反応条件下でアシル化可能であってはならない。 所望なら、2種またはそれ以上のルイス塩基の混合物を用いてよい。 本発明の実際において調節剤として用いられるルイス塩基は、反応媒体へ加えられる付加的成分である。 これは、重合時にその場で形成される塩基種を包含しない。 ルイス塩基を調節剤として用いる場合、ルイス酸の付加的量は一般に、ルイス塩基1当量当たり約1当量である。 ルイス酸として塩化アルミニウムを用いる場合、1当量は、Al
    Cl 3であると考えられる。

    【0022】典型的なルイス塩基は、例えばアミド、アミン、エステル、エーテル、ケトン、ニトリル、ニトロ化合物、ホスフィン、ホスフィンオキシド、リンアミド、スルフィド、スルホン、スルホアミド、スルホキシドおよびハライド塩を含有する。 特別な有機ルイス塩基の例は、アセトン、ベンゾフェノン、シクロヘキサノン、メチルアセテート、エチレンカーボネート、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、尿素、テトラメチル尿素、N−アセチルモルホリン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジフェニルスルホン、N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、ホスホリルクロライド、フェニルホスホニルクロライド、ピリジン−N−オキシド、トリフェニルホスフィンオキシド、
    トリオクチルホスフィンオキシド、ニトロプロパン、ニトロベンゼン、ベンゾニトリル、n−ブチロニトリル、
    メチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフィド、トリメチルアミン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、イミダゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、ベンズイミダゾール、2,2'−ビピリジン、o−フェナントロリンおよび4−ジメチルアミノピリジンなどである。 共有結合した有機化合物に加えて、適切なルイス塩基は、ルイス酸と錯体を形成し得る無機塩、例えば、塩化物(例えば、トリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、塩化ナトリウムまたは塩化リチウム)、過塩素酸塩およびトリフルオロメタンスルホネートなどを包含する。

    【0023】反応媒体に好ましいルイス塩基は、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,
    N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、テトラメチレンスルホン(スルホランとしても知られている。)、n−ブチロニトリル、ジメチルスルフィド、イミダゾール、アセトン、ベンゾフェノン、トリメチルアミン、トリメチルアミン塩酸塩、テトラメチルアンモニウムクロライド、ピリジン−N−オキシド、1−
    エチルピリジニウムクロライド、塩化リチウム、臭化リチウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウムおよびこれらの混合物である。

    【0024】存在するルイス塩基の量は、モノマー系に存在する酸ハライド基1当量当たり0〜約4当量でなければならない。 所望なら、4当量を越える量を使用してよい。 しかし、通常、多量に加えても付加的な調節効果は得られない。 よって、約4当量以下、一般に約2当量以下の量を使用するのが好ましい。 反応を調節するためルイス塩基を用いる場合、存在する酸ハライド基1当量当たり少なくとも約0.01当量、好ましくは少なくとも約0.05当量、最も好ましくは少なくとも約0.5当量のルイス塩基を用いねばならない。 添加されるルイス塩基の特定量は、存在モノマーの性質にある程度依存する。 反応を調節するためルイス塩基を用いる場合、反応が行われる温度は約−50〜+150℃である。 特に、
    モノマー系が非常に反応性のモノマーを含有する場合、
    低温、例えば約−50〜−10℃で反応を開始させることが好ましい。 重合が始まった後、所望なら、例えば反応速度を増加させるため、温度を上昇させてよい。 約−
    30〜+25℃(室温)の温度で反応を行うことが一般に好ましい。

    【0025】ルイス塩基が反応を調節するためどのように働くかは明確にはわかっていないが、次の要因の1つまたはそれ以上が考えられる。 ルイス酸/ルイス塩基錯体は、反応時に形成するポリマー/ルイス酸錯体の溶媒として働くらしく、よってポリマーを溶液または反応性ゲル状態に保つ。 更に反応混合物はより扱い易く、ポリマーの処理は容易であり、精製時の触媒残渣の効果的除去は確実にできる。 ルイス酸/ルイス塩基錯体の溶解性は、パラ結合ポリ(アリーレンエーテルケトン)の製造に特に重要である。 上記のように、これらポリマーはこのポリマー種の他のものに比べて非常に結晶性であり、それらのルイス酸との錯体は、低分子量形状でおよび/または回収および精製の非常に困難な特に扱いにくい塊で反応媒体から沈澱する傾向にある。 本発明のこの態様に従ってそのようなポリマーを製造する場合、上記の特別な特性に加えて、所望のポリマーをも溶解する錯体を形成するルイス酸とルイス塩基の組み合わせを選択することが有利である。 このことは、錯体を製造し、要すれば希釈剤を加え、次いでポリマーを加え、ポリマーが溶解するかを観察することによって容易に決定される。

    【0026】希釈剤(例えば、メチレンクロライドまたはジクロロエタン)を用いる場合、ルイス酸/ルイス塩基錯体は、有効なルイス酸の希釈剤と競争することによってこれら希釈剤がアルキル化剤として働く傾向を低下させ、よってポリマーのアルキル化を抑制すると考えられる。 ポリマーのパラ位でのアルキル化は反応をキャップするが、オルト位でのアルキル化は、枝分かれまたは架橋の原因となるポリマー鎖での望ましくない反応位置を作り出す。

    【0027】特にオルト置換を受け易い芳香環は、活性アリールオキシ基であると考えられる。 本明細書においてそのような基は失活していないアリールオキシ基と表示する。 「失活していないアリールオキシ基」とは、分子中に失活させる基がないアリールオキシ基、またはカルボニルのような失活させる基から少なくとも2つの芳香族残基(即ち、上記Ar)を隔てて位置するアリールオキシ基を意味する。 逆に、「失活したアリールオキシ基」とは、1つの芳香環、環縮合した芳香環または直接結合で結合する芳香環を含む芳香族基によって、失活させる基
    (通常、カルボニル基)から分離されているアリールオキシ基である。

    【0028】所望ならば、非プロトン性希釈剤をも用いてよい。 希釈剤はルイス酸/ルイス塩基錯体および生成ポリマー/ルイス酸錯体を溶解すべきことが有益である。 希釈剤は、フリーデル-クラフツ反応に対してかなり不活性であるべきでもある。 希釈剤は、その誘電率および溶解パラメータによって測定していくぶん極性であることが好ましい。 希釈剤の誘電率は24℃で、好ましくは少なくとも約2.5、更に好ましくは約4.0〜25
    である。 希釈剤のヒルデブランド溶解性パラメーターは、好ましくは少なくとも約7.2[cal/cm 3 ] 1/2 、更に好ましくは約9.2〜15[cal/cm 3 ] 1/2である。 好ましい希釈剤は、例えば、メチレンクロライド、二硫化炭素、 o−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、 o−ジフルオロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタンおよびこれらの混合物を包含する。

    【0029】希釈剤は、反応混合物総重量に対して0〜
    約93重量%の量で用いる。 この種類の重合において知られているように、反応は、希釈剤が存在せずともうまく進む。 ルイス塩基を用いようが用いまいが本発明の製法においてこのことは真実である。 以下に詳しく説明するように、モノマーと希釈剤の比が、所望生成物を生成するために重合反応の調節に役だつことがわかった。 典型的には希釈剤は、反応混合物重量に対して少なくとも約10重量%、好ましくは少なくとも約20重量%の量で用いる。

    【0030】アルキル化またはアシル化希釈剤の使用によって上記のような望ましくない副反応が起こる。 そのような溶媒を使用する場合、本明細書で教示する技術による重合の調節はそのようなアルキル化またはアリール化を抑制する。 結果として、本質的に線状である溶融加工可能な熱安定性ポリマーが得られる。 重合反応は、ルイス塩基を添加せずに適切な反応条件を用いることによっても調節される。 ルイス塩基の実質的な不存在なる用語は、本明細書において調節剤としてルイス塩基を添加しない反応混合物を表示するため用いる。 重合反応時にその場で少量のルイス塩基が生成してよいが、そのような量は反応の調節に不適切である。 必要な反応条件は、
    使用するモノマーの反応性に依存する。 2種類のモノマーを用いる必要がある(上記のような失活していないアリールオキシ基を有するモノマーおよび有さないモノマー)。 モノマー系のいずれかのモノマーが失活していないアリールオキシ基を有する場合、使用するルイス酸の量は、一般にある量を越えてはならない。

    【0031】本発明において実際に用い得るモノマー系は、存在するアリールオキシ基の反応性を考慮して上記のように規定した。 所望生成物を製造するため重合が調節される条件を、酸ハライド基の相対的活性によって必要となる場合の別要件とともに以下に述べる。

    【0032】即ち、モノマー系は、I)(i)ホスゲンまたは芳香族二酸ジハライドと、 (ii)(a)H−Ar−O−Ar−H (b)H−(Ar−O) n −Ar−H [式中、nは2または3を表す。 ] (c)H−Ar−O−Ar−(CO−Ar−O−Ar) m −H [式中、mは1、2または3を表す。 ]または (d)H−(Ar−O) n −Ar−CO−Ar−(O−Ar) m −H [式中、mは1、2または3、nは2または3を表す。 ]を含んで成る多環式芳香族コモノマーあるいは II)式: H‐Ar‐O‐[(Ar‐CO) p ‐(Ar‐O) q ‐(Ar‐CO) r ] k ‐Ar‐C
    O‐Z [式中、Zはハロゲン、kは0、1または2、pは1または2、qは0、1または2、rは0、1または2を表す。 ]で示される酸ハライドあるいは III)式: H−(Ar−O) n −Ar−Y [式中、nは2または3、YはCO−ZまたはCO−Ar
    −CO−Z(ここでZはハロゲンを表す。)を表す。 ]で示される酸ハライド[上記式中、各Arは、ケトンカルボニルおよびエーテル酸素基のない置換および非置換多環式芳香族残基、ならびに置換または非置換フェニレンから独立的に選択される。 ]である。

    【0033】失活していないアリールオキシ基を有するモノマー系は、コモノマーがI(ii)(a)、I(ii)(b)、I
    (ii)(d)で規定されるIおよびIIIである。 一般に、この種類のモノマーを用いる場合、上記の存在カルボニル基1当量当たり1当量の量+重合触媒として働くのに充分な量に加えて存在するルイス酸の量は、失活していないアリールオキシ基1当量当たり0.8当量より少ないべきである。 もっと少ない量、例えば、存在する失活していないアリールオキシ基1当量当たり約0.6当量より少ない量、最も好ましくは約0.4当量より少ない量を用いることが好ましい。 しかし、ジフェニルエーテルジカルボニルジクロライドの如き多環式二酸ジハライドの反応性に起因して、そのような二酸ジハライドをモノマー系に用いる場合、異なった量のルイス酸を使用することが望ましい。 モノマー系Iにおいて、I(ii)(a)、I
    (ii)(b)およびI(II)(d)のコモノマーとともにそのような多環式二酸ジハライドを用いる場合、酸ハライド基1
    当量当たり約0.5当量までのルイス酸を更に添加することが望ましい。 更に添加する量は、酸ハライド基1当量当たり約0.03〜0.5当量であることが好ましい。
    m−ベンゼンジカルボニルジクロライドが充分に反応性であり、および生成物が反応媒体に充分に溶解するので高分子量ポリマーを得るためにルイス酸の最大過剰量を限定する必要がないことを見い出した。 しかし、反応性のより低い実質量のp−ベンゼンジカルボニルジクロライドを含むモノマー系から少なくとも部分的に結晶性のポリマーを製造する場合、上記A)で規定される量に加えてモノマー中の失活アリールオキシ基1当量当たり0.8当量までの過剰量のルイス酸を使用することは有益である。 ポリマーの結晶度は差動走査熱量法またはX
    線回折のごとき標準的技術によって測定できる。

    【0034】モノマー系がI(ii)(a)、I(ii)(b)およびI(ii)(d)で規定されるコモノマーを用いるモノマーI
    である場合、反応混合物のモノマー濃度は、反応混合物総重量に対して少なくとも約7重量%、好ましくは少なくとも約10重量%、最も好ましくは少なくとも約15
    重量%である。 使用するモノマー系がモノマー系IIIである場合にも、同様のモノマー濃度で反応することが望ましい。

    【0035】第2の種類のモノマーは、失活していないアリールオキシ基を有さないモノマー系である。 この種類のモノマーは、コモノマーがI(ii)(c)で規定されるモノマー系Iおよびモノマー系IIである。 この種類のポリマーとともに、大過剰のルイス酸を用いることが好ましく、この大過剰は希釈剤に対する特定モノマーのモル比(D)に依存する。 一般に、希釈剤に対するモノマーのモル比がかなり高いこと、およびルイス酸がかなり大過剰であることは好ましい。 ルイス酸の過剰量(上記のカルボニル基1当量当たり1当量の量+触媒量に加えて )
    は、酸ハライド基1当量当たり少なくとも約0.6+
    (0.25×tanh[50(0.1−D)])当量である。 ルイス酸の過剰量は、酸ハライド基1当量当たり好ましくは少なくとも約0.8+(0.25×tanh[50(0.1−
    D)])、最も好ましくは少なくとも約1.0+(0.25×
    tanh[50(0.1−D)])当量である。 希釈剤に対するモノマーのモル比が約0.15より大きい場合、標準過剰量のルイス酸量は酸ハライド基1当量当たり少なくとも約0.3当量である。 一般に、特定最小過剰の実質量のルイス酸を加えることが好ましい。 一般に、酸ハライド基1当量当たり少なくとも約0.5当量、好ましくは少なくとも約1.0当量の付加的ルイス酸を用いる。

    【0036】実質的に線状の溶融加工可能な高分子量ポリ(アリーレンエーテルケトン)を製造するのに必要である反応条件は、従来技術で教唆されていず、かつフリーデル-クラフツ化学で信じられていることに反する。 従来、モノマー系のカルボニル基1当量当たり約0.4当量過剰のルイス酸をフリーデル-クラフツ反応で通常用いる。 本出願人は、モノマー系に存在する全てのアリールオキシ基が上記のようにアリールオキシ基によって失活している場合、大過剰のルイス酸を使用しなければならないことを見い出した。 このことは第1図に示す。 第1図は、以下に述べるように、インヘレント粘度から決定したポリマー分子量と、用いたルイス酸量との関係を示す。 この種の従来技術フリーデル-クラフツ重合反応は、所望インヘレント粘度のポリマー製造に必要であるよりずっと少ないモノマーに対するルイス酸比を用い、
    または必要であるより少ない希釈剤に対するモノマーモル比を用いて実施する。 これは、第1図に説明されている。 第1図に、ポリ(カルボニル−p−フェニレンオキシ−p−フェニレン)を製造する場合、塩化アルミニウムがモノマー1当量当たり少なくとも2当量必要であることを示す。 グラフに示すように、従来技術は、低いインヘレント粘度のポリマーを製造するようなモノマーに対する塩化アルミニウム比を用い、あるいはモノマー系に失活していないアリールオキシ基がある場合、反応混合物のかなり高いモノマー濃度を維持するため、従来技術より少ない過剰量のルイス酸を添加することが必要である。 上記のように、これによって、副反応、特にポリマー鎖にあるパラ結合した芳香環のオルト位における反応が抑制される。 従来のフリーデル-クラフツ化学は、これらの結果を達成するため、適当な過剰量のルイス酸およびより希薄な反応混合物を使用することを教示する。
    本出願人は、ポリ(アリーレンエーテルケトン)の製造において必要である正反対のことを見い出した。 上記のように、本発明の1つの重要な特長は、高分子量のポリ
    (アリーレンケトン)が得られることである。 「高分子量」
    とは約0.6より大きいインヘレント粘度を有することを意味する。 本発明の製法によって製造されるポリマーのインヘレント粘度は約0.6〜2.0であることが好ましい。 機械的性質、例えば引張強さおよび伸びが劣るので、約0.6より小さいインヘレント粘度のポリマーは一般に有用でない。 約2.0より大きいインヘレント粘度のポリマーは、溶融加工がたいへん困難であり、脆い傾向にある。 本明細書においてインヘレント粘度とは、
    Sorenson et al, “Preparative Methods of Polym
    er Chemistry" Interscience(1968),44頁の方法に従って(ポリマー0.1gを濃硫酸100mlに溶解し25℃で)測定したインヘレント粘度を意味する。

    【0037】所望ならば、ポリマーの分子量、分枝の程度およびゲル化度は、例えば米国特許第4,247,68
    2号(Dahl) に記載されるようなキャッピング剤の使用によって調節できる。 ポリマーの分子量は、上記のような2成分モノマー系を用いる重合反応において1種類のモノマーを少し過剰に用いることによっても調節できる。

    【0038】キャッピング剤は、使用する場合、ポリマー鎖の少なくとも1つの末端でポリマーをキャップするため重合反応媒体へ加えられる。 これは、ポリマーインヘレント粘度で示されるように、ポリマー鎖の連続的成長を停止させ、生成ポリマー分子量を調節する。 キャッピング剤の賢明な選択によって、選択された狭い分子量分布を有し、重合時にゲル形成が少なく、ポリマー鎖の枝分かれが少ないポリマーが生成し、溶融安定性が増加する。 ポリマー鎖の各末端をキャップするため、求核および求電子キャッピング剤の両方を用いてよい。

    【0039】好ましい求核キャッピング剤は4−クロロビフェニル、4−フェノキシベンゾフェノン、4−(4
    −フェノキシフェノキシ )ベンゾフェノンおよびビフェニル4−ベンゼンスルホニルフェニルフェニルエーテルなどである。

    【0040】典型的な求電子キャッピング剤は式

    【化27】

    [ 式中、Ar"はフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、4−シアノフェニル、4−メチルフェニルまたは電子吸引基で置換された他の芳香族基、Eはハロゲンまたは他の脱離基を表す。]で示される化合物である。好ましい求電子キャッピング剤はベンゾイルクロライドおよびベンゼンスルホニルクロライドなどを包含する。上記のように、本発明によれば、ポリマーが一様な連続した重合を行える形で反応媒体中にあるように、


    ルイス酸/ルイス塩基錯体がポリマーを溶解または溶媒和するので、所望の高分子量が、調節された再現可能な形で得られることである。 ルイス酸はフリーデル-クラフツ重合反応用触媒としても反応媒体中に存在する。 生成ポリマーは、ポリマーのカルボニル基と錯形成したルイス酸を有する。 多くの重合において、ルイス酸は、実質的に全てのカルボニル基と錯形成する。 この種類のポリマーにおいてよく知られているように、触媒残渣は除去されるべきである。 即ち、ルイス酸はポリマーから解離され除去されるべきである。 触媒残渣を除去する方法は、米国特許第4,237,884号(Dahl)に記載されている。

    【0041】解離は、重合完了後、解離塩基で重合反応混合物を処理することによって行われる。 反応媒体へ塩基を、または塩基へ反応媒体を加えることができる。 解離塩基は、ポリマー鎖の塩基性基と少なくとも同程度にルイス酸に対して塩基性であるべきである。 そのような解離は、ポリマーを反応混合物から単離する前に行なうべきである。

    【0042】用いる解離塩基の量は、反応混合物中の結合(錯形成)するおよび結合しないルイス酸の総量の過剰量であるべきであり、好ましくはルイス酸の総量の2倍であるべきである。 用い得る典型的な解離塩基は、水、
    希塩酸、メタノール、エタノール、アセトン、N,N −
    ジメチルホルムアミド、N,N −ジメチルアセトアミド、ピリジン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、
    テトラヒドロフラン、トリメチルアミン、トリメチルアミン塩酸塩、ジメチルスルフィド、テトラメチレンスルホン、ベンゾフェノン、テトラメチルアンモニウムクロライドおよびイソプロパノールなどを包含する。 従来技術、例えば、ルイス酸/ルイス塩基錯体およびルイス酸の溶剤となるまたはそれと相溶するポリマーの非溶剤を加え; ポリマーの非溶剤中へ反応媒体を噴霧し;濾過によってポリマーを分離し;または反応媒体から揮発分を蒸発し、次いで適切な溶剤で洗い、残存する塩基/触媒錯体を除去するということによって、解離したポリマーを分離できる。

    【0043】反応混合物からポリマーを回収する際、所望ならば、アメリカ合衆国特許第4,665,151号に記載されている方法によって反応混合物を液化できる。
    以下に実施例を示し、種々のルイス酸、ルイス塩基、不活性希釈剤およびモノマーを用いる本発明の製法を詳しく説明する。 尚、所望ならば、本発明の範囲内の他の反応体および反応媒体を使用することができる。

    【0044】

    【発明の好ましい態様】以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明する。

    【0045】 参考例1 p−フェノキシベンゾフェノン0.6165g (0.002
    25モル)、ベンゾイルクロライド0.3032g (0.0
    0215モル)、ジクロロエタン63.6g および p−フェノキシベンゾイルクロライド116.2g(0.400モル)から原料溶液を調製し、空気/非空気隔膜で栓をしたフラスコに室温で貯蔵した。 この原料溶液は、以下のスケールの約20の重合に充分であった。 この原料溶液から製造したポリマーは0.6モル%で二重にキャップされていた( p−フェノキシベンゾフェノン、調節キャッピング剤対 p−フェノキベンゾイルクロライドの比から計算した。)。

    【0046】反応器は、PTFE羽根付機械的攪拌器、
    50ml滴下ロート、ガラス被覆された熱電対端子、および不活性ガス導入チューブが取付けられた4つ口付蓋、
    および200ml重合釜から成る反応器を組みたてた( 使用直前までガラス容器を100℃で乾燥した。)。 全てのすりガラス接続をPTFEシールで封止し、攪拌棒を真空グリースで封止した。 窒素またはアルゴンガスを流しながら、組たてた反応器をホットエアガンまたはブンゼンバーナーで乾燥した。 試薬添加による瞬時の中断を除いて、操作の間、不活性ガス雰囲気下に保った。 反応器へ、順に無水塩化アルミニウム10.0g (0.075モル、
    Witco #0099)、塩化リチウム1.59g (0.03
    75モル、ACS試薬級)、および1,2−ジクロロエタン10.0g を仕込んだ。 ドライアイス/アセトン浴によって白色スラリーを−15〜−25℃に冷却した。 冷却攪拌下、モノマー原料溶液を7分間で一滴ずつ加えた。 次いで、反応混合物を温度−15℃で1時間保ち、
    温度を上昇させ0℃で23時間保った。 モノマー添加後約2〜3時間で、著しい粘度上昇が生じた。 この時、攪拌は極度に難しくなり、通常続けられなかった。

    【0047】2つの処理法の1つによってポリマーを単離できた: (A)−40℃に冷却されているDMF100〜200ml
    が入った500ml Waring ブレンダーへ反応混合物を移した。 ブレンダーのスイッチを入れると濃橙色ゲルは解離した白色ポリマーに変化した。 ポリマーを炉集し、
    DMF100mlで洗い、DMF100ml(50℃、一晩)
    で温浸し、濾過し、水150ml(60℃、各1時間)で2
    回温浸した。 ポリマーは、濾過後、真空炉中165℃で一晩乾燥した。 (B)室温において2%塩酸200mlが入った500ml
    Waring ブレンダーへ反応混合物を移した。 ブレンダーのスイッチを入れると濃橙色ゲルは、解離した白色ポリマーに変化した。 ポリマーを濾集し、2%塩酸200ml
    で洗い、メタノール200ml(一晩、40℃)で1回および熱2%塩酸200mlで2回(各1時間)温浸した。 濾過後、ポリマーを脱イオン水500mlで洗い、真空炉中1
    65℃で一晩乾燥した。 インヘレント粘度1.1〜1.2d
    l/gのふわふわした白色ポリマーを得た。 インヘレント粘度は400℃で30分間おいても0.10dl/gを越えて変化しなかった。

    【0048】 実施例1本実施例は、ルイス塩基(ここでは塩化リチウム)存在下での重合における望ましくない副反応の抑制を示す。 以下を除いて参考例1、処理法Bを用い、2つの重合を実施した: (1)キャップ程度は0.45モル%であり、
    (2)時間/温度は1時間/0℃であり、次いで室温で反応し、(3)反応の1つは塩化リチウムなしで実施した。
    第I表に示されている時間で取り出したアリコートを処理し、分析した。 塩化リチウムとの反応は予想どおりキャップに感応し、約15時間後に安定な分子量のポリマーが生成した。 一方、塩化リチウムのない反応は、キャップに感応せず、分子量が増加し続け、実質的な副反応が生じた。 塩化リチウムがある反応から生成したポリマーは、より熱安定であった。

    【0049】

    【表1】 第I表反応時間 ポリマーのインヘレント粘度 (時間) 400℃での時間(分) 0 5 30 60 塩化リチウムのある場合 6 1.08 1.08 1.24 1.19 8 1.09 1.12 1.15 1.30 10 1.11 1.14 1.12 ゲル 13 1.20 ‐‐‐‐ 1.35 ‐‐‐‐ 26 1.32 1.24 1.36 1.18 32 1.33 1.34 1.32 ゲル塩化リチウムのない場合 6 0.93 0.94 ‐‐‐‐ 1.09 8 1.02 1.00 0.97 ゲル 10 1.05 1.13 1.18 ゲル 13 1.15 1.12 1.12 ゲル 26 1.72 ‐‐‐‐ ゲル ‐‐‐‐ 32 2.15 ‐‐‐‐ ゲル ‐‐‐‐

    【0050】 実施例2塩化リチウムを用いず、 p−フェノキシベンゾフェノン
    (0.45モル%)を唯一のキャッピング剤として用いる以外は、参考例1、処理法Bを繰り返し、 p−フェノキシベンゾイルクロライドを重合させた。 ポリマーのインヘレント粘度への塩化アルミニウム量の影響を表す結果を第II表に示す。

    【0051】

    【表2】

    比較として、塩化アルミニウム: 塩化リチウム: p−フェノキシベンゾイルクロライドのモル比3.0:1.5:


    1.0 で重合すると、インヘレント粘度1.15であった。

    【0052】 実施例3 (1) p−フェノキシベンゾフェノン(0.45モル%)を唯一のキャッピング剤とし、(2)用いる1,2−ジクロロエタンの量を変化させることによって「添加率」を以下のように調節し、(3)ルイス塩基を加えない以外は、参考例1、処理法Aを繰り返し、 p−フェノキシベンゾイルクロライドを重合した。 「添加率」とは、モノマー、キャッピング剤、ルイス酸および溶媒の総量(g)に対するポリマーの理論収量(g)の割合の100倍を表す。 結果を第III表に示す。

    【0053】

    【表3】

    【0054】 実施例4 (1)原料溶液を用いずに反応容器へ直接モノマーを加え、(2)塩化アルミニウムの酸ハライド基に対する当量比を2.0とし、(3)塩化リチウムを用いず、(4)キャッピング剤を用いないということ以外は、参考例1、処理法Bに従って、ジフェニルエーテル4,4'−ジカルボニルジクロライドをジフェニルエーテルと重合した。 ポリマーのインヘレント粘度は1.03であった。

    【0055】 実施例5 (1)原料溶液を用いずに反応容器へ直接モノマーを加え、(2)塩化アルミニウムの酸ハライド基に対する当量比を2.0とし、(3)塩化リチウムを用いず、(4)キャッピング剤を用いないということ以外は、参考例1、処理法Bに従って、ジフェニルエーテル4,4'−ジカルボニルジクロライドを1,4−ジフェノキシベンゼンと重合した。 ポリマーのインヘレント粘度は0.93であった。

    【0056】 実施例6 (1)反応をキャップせず、(2)逆に、モノマーの1,2
    −ジクロロエタン懸濁液へ塩化アルミニウムを加え、
    (3)塩化リチウムを用いる場合、反応混合物中のカルボニル基1当量当たり2.0当量の量の塩化リチウムを用い、(4)カルボニル基および塩化リチウムの総当量に対して10当量%過剰に塩化アルミニウムを用いるということ以外は、参考例1、処理法Aに従って、塩化リチウムを用いる場合と用いない場合について4,4'−ジフェノキシベンゾフェノンをテレフタロイルクロライドと重合した。 塩化リチウムを用いる場合にインヘレント粘度5.2のポリマー、塩化リチウムを用いない場合にインヘレント粘度4.2のポリマーを得た。 両方のポリマーは少しゲルを含んでいた。

    【0057】 実施例7本実施例は、テレフタロイルクロライド、およびI(ii)
    (a) 、I(ii)(b) またはI(i)(d) で規定されるコモノマーを用いる場合、およびルイス塩基の実質的な不存在下で重合を行う場合、過剰の塩化アルミニウムを調節する必要があることを示す。 (1)キャッピング剤を用いず、(2)「添加率」は約12%
    であり(参考例1では約16%である。)、(3)塩化リチウムを添加せず、(4)存在する酸クロライド基総当量に対する塩化アルミニウム過剰当量%を10また100にするということ以外は参考例1、処理法Aに従って、テレフタロイルクロライドを1,4−ジフェノキシベンゼンと重合した。 塩化アルミニウム10当量%過剰で反応した場合、インヘレント粘度1.59のポリマーが得られた。 塩化アルミニウム100当量%過剰で反応した場合、インヘレント粘度0.18のポリマーが得られた。

    【0058】特定の態様を例示し、本発明の芳香族ポリマーの製法を説明した。 上記特定の態様は本来、例示のためであり、本発明はそのような態様に限定されない。
    本発明の最も広い要旨は、反応媒体が、多量の遊離ルイス酸、および要すれば非プロトン性希釈剤を含んで成る求電子重合反応に存する。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】 重合時に存在するルイス酸量のポリ(カルボニル−p−フェニレンオキシ−p−フェニレン)のインヘレント粘度への効果を示すグラフである。

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