難燃性の脂肪族ポリケトン材料、それから製造された成形品、及びその製造方法

申请号 JP2016209423 申请日 2016-10-26 公开(公告)号 JP2017101220A 公开(公告)日 2017-06-08
申请人 エーエムエス−パテント アクチェンゲゼルシャフト; 发明人 ゲオルク シュテッペルマン;
摘要 【課題】部分結晶性の脂肪族ポリケトンをベースとするハロゲンフリーの難燃性成形材料の提供。 【解決手段】30〜94重量%の180℃〜280℃の範囲の融解 温度 (Tm)を有する部分結晶性・脂肪族ポリケトンに、0〜50重量%の少なくとも1種の充填及び強化剤、6〜15重量%の少なくとも1種のハロゲンフリー難燃剤、0〜10重量%の少なくとも1種の添加剤及び好ましくは難燃剤として0〜2.0重量%の有機ホスフィト並びにホスフィン酸の塩を含む、ハロゲンフリーの難燃性成形材料。 【効果】前記成形材料から成形された成形品に、0.35〜3.0mm厚の試験片の場合、UL分類(UL−94)でV0の耐火性を有する。 【選択図】なし
权利要求

(A)30〜94重量%の、少なくとも1種の部分結晶性・脂肪族ポリケトンであって、ISO11357-3に従うDSC及び20K/分の加熱速度で測定した際、180℃〜280℃の範囲の融解温度(Tm)を有するもの; (B)0〜50重量%の、少なくとも1種の充填及び強化材; (C)6〜15重量%の、少なくとも1種のハロゲンフリー難燃剤; (D)0〜2.0重量%の、少なくとも1種の有機ホスファイト及び/又はホスホナイト; (E)0〜10重量%の、少なくとも1種の添加剤; を含むか、又はそれらからなる、難燃性ポリケトン成形材料であって、 成分(A)〜(E)の重量パーセントが合計100%となり、好ましくは、前記成形材料が、成分(A)〜(E)のみからなる、難燃性ポリケトン成形材料。それぞれ互いに独立して、又は互いとの組み合わせにおいて、 (A)前記少なくとも1種の脂肪族ポリケトンの含有率が、35〜83.85重量%、好ましくは40〜76.7重量%、さらに好ましくは45〜71.7重量%、特に45〜61.7重量%、 (B)前記少なくとも1種の充填又は強化材の含有率が、10〜50重量%、好ましくは15〜45重量%、さらに好ましくは20〜40重量%、特に30〜40重量%、 (C)前記少なくとも1種のハロゲンフリー難燃剤の含有率が、7〜12重量%、好ましくは8〜11重量%、 (D)前記少なくとも1種の有機ホスファイト及び/又はホスホナイトの含有率が、0.05〜1.5重量%、好ましくは0.1〜1.0重量%、及び/又は (E)前記少なくとも1種の添加剤の含有率が、0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜3重量%、 であることを特徴とする、請求項1に記載のポリケトン成形材料。前記少なくとも1種のポリケトン(A)は、一酸化炭素と少なくとも1種のオレフィン性不飽和化合物のポリマーであり、前記オレフィン性不飽和化合物は、好ましくは、エテン、及び3以上から好ましくは20までの炭素原子を有する少なくとも1種のさらなるオレフィン性の不飽和化合物、例えば、プロペン、1-ブテン、イソブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ドデセン、スチレン、p-メチルスチレン、p-エチルスチレン、m-イソプロピルスチレン及びそれらの混合物又は組み合わせからなる群より選択され;特に好ましくは、一酸化炭素とエテンのポリマー、又は、一酸化炭素とエテンとプロペン又は1-ブテンのターポリマーであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリケトン成形材料。前記少なくとも1種のポリケトン(A)が、以下の一般式のターポリマー 式中、Qは、少なくとも3つの炭素原子を有するオレフィン性不飽和化合物から派生した二価基であり、且つ、モル比y:xは、0.5以下、好ましくは0.2未満、特に0.1以下、特に0.01〜0.1 であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリケトン成形材料。前記少なくとも1種の脂肪族ポリケトンが、 a)部分結晶性ポリケトンであり、好ましくは、ISO11357-3に従うDSCによって、20K/分の加熱速度で測定した際、180℃〜280℃の、好ましくは200℃〜240℃の、特に好ましくは210℃〜235℃の範囲の融解温度を有する、 b)ISO1133に従って、240℃及び2.16kgの荷重で測定した際、5〜200cm3/10分の範囲の、特に10〜100cm3/10分の範囲の、非常に好ましくは20〜80cm3/10分の範囲の溶融粘度(MVR、メルトボリュームフローレイト)を有する、 c)100mLのm-クレゾール中に溶解された0.5gのポリケトンの溶液で、温度20℃で、毛細管粘度計で測定した際、1.5〜2.5の、好ましくは1.6〜2.2の相対粘度を有する、及び/又は d)ヘキサフルオロイソプロパノール中でGPCによって測定した際(PMMA標準物質と比較)、20,000〜100,000g/molの、特に30,000〜60,000g/molの範囲の数平均モル質量を有する ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリケトン成形材料。前記充填又は強化材が、繊維状又は粒子状の充填材又はそれらの混合物からなる群より選択され、好ましくは、サイズ及び/又は接着剤が付与されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリケトン成形材料。前記繊維状の充填材が、 a)ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、玄武岩繊維及びウィスカー、及びそれらの混合物又は組み合わせからなる群より選択される、 b)エンドレス・ストランドの形状及び/又はカット形状、特に短ガラス繊維(カットガラス)の形状で存在する、及び/又は c)円形横断面又は非円形横断面を有し、そのような系の混合物を使用することも可能である ことを特徴とする、請求項6に記載のポリケトン成形材料。前記粒子状の充填材が、鉱物粒子状充填材、好ましくは、タルク、マイカ、シリケート、石英、二酸化チタン、珪灰石、カオリン、非晶質ケイ酸、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、チョーク、ライム、長石、中実又は中空ガラス球又は粉末状ガラス、ガラスフレーク、永久磁化又は磁化可能な金属化合物及び/又は合金、顔料、特に、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化鉄、銅クロマイト、又はそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項6に記載のポリケトン成形材料。前記少なくとも1種のハロゲンフリー難燃剤が、少なくとも1種のホスフィン酸、少なくとも1種のジホスフィン酸、それらの金属塩及び/又は有機誘導体及びそれらの混合物又は組み合わせからなる群より選択され、好ましくは少なくとも1種の相乗剤との組み合わせであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリケトン成形材料。前記少なくとも1種のハロゲンフリー難燃剤が、 (C1)60〜100重量%、好ましくは70〜98重量%、特に80〜96重量%の少なくとも1種のホスフィン酸、少なくとも1種のジホスフィン酸、それらの金属塩及び/又は有機誘導体、及び、 (C2)0〜40重量%、好ましくは2〜30重量%、特に4〜20重量%の、少なくとも1種の相乗剤 を含むか又はそれらからなることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリケトン成形材料。(C1)前記少なくとも1種のホスフィン酸及びそれから派生した金属塩が、以下に示す一般式(I)を有し、あるいは、前記少なくとも1種のジホスフィン酸及びそれから派生した金属塩が、以下に示す一般式(II)を有し、 式中、 R1及びR2は同一であるか又は異なっており、好ましくは、C1−C8アルキル、直鎖状又は分岐鎖状、飽和、不飽和、又は部分不飽和、及び/又は、アリールであり; R3は、C1−C10アルキレン、直鎖状又は分岐鎖状、飽和、不飽和、又は部分不飽和、C6−C10アリーレン、アルキルアリーレン又はアリールアルキレンであり; Mは、水素イオン(プロトン)又は周期表の第2又は第3主又は亜族の金属イオン、好ましくは、アルミニウム、バリウム、カルシウム、マグネシウム、及び/又は亜鉛であり;及び m=2又は3;n=1又は3;x=1又は2である 及び/又は (C2)前記少なくとも1種の相乗剤が、 窒素及び/又はリンを含有する相乗剤、好ましくは、メラミン又はメラミン縮合物からなる群より選択され、特に好ましくは、メレム、メラム、メロン、メラミンとポリリン酸の反応生成物、メラミン縮合物とポリリン酸の反応生成物 又はそれらの混合物、 酸素含有、窒素含有又は硫黄含有金属化合物、好ましくは、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、ナトリウム、カリウム及び亜鉛から選択される金属、さらに好ましくは、前記金属化合物は、酸化物、水酸化物、カーボネート、シリケート、ボレート、ホスフェート、スズ酸塩、アルコキシド、カルボキシレート及びこれらの化合物の組み合わせ又は混合物、例えば、酸化物-水酸化物又は酸化物-水酸化物-カーボネート、特に、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ベーマイト、擬ベーマイト、ジハイドロタルサイト、ハイドロカルマイト、水酸化カルシウム、カルシウム・ヒドロキシアパタイト、酸化スズ水和物、水酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、硫化亜鉛、リン酸亜鉛、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、塩基性ケイ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、パルミチン酸カリウム、ベヘン酸マグネシウム、及び前述の化合物の少なくとも2つの混合物及び/又は組み合わせからなる群より選択される ことを特徴とする、請求項10に記載のポリケトン成形材料。前記少なくとも1種の有機ホスファイト又はホスホナイトが、トリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニルジアルキルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトール ジホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ジイソデシルオキシペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4,6-トリス-(tert-ブチルフェニル))ペンタエリスリトール ジホスファイト、トリステアリルソルビトール トリホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4'-ビフェニレン ジホスホナイト、6-イソオクチルオキシ-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-12H-ジベンゾ-[d,g]-1,3,2-ジオキサホスホシン、6-フルオロ-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-12-メチルジベンゾ[d,g]-1,3,2-ジオキサホスホシン、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)メチルホスファイト、及びビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)エチルホスファイト、特に好ましくは、トリス[2-tert-ブチル-4-チオ(2'-メチル-4'-ヒドロキシ-5'-tert-ブチル)フェニル-5-メチル]フェニルホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、及びそれらの混合物及び組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリケトン成形材料。前記少なくとも1種の添加剤が、安定剤、特に、熱-、UV及び/又は光安定剤、抗酸化剤、加工助剤、脂肪族ポリケトン以外のポリマー、特に、ポリオレフィン、酸- 又は無水物-修飾ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、特に、脂肪族ポリアミド、衝撃改質剤、接着剤、結晶化促進剤又は遅延剤、流動助剤、潤滑剤、離型剤、可塑剤、ラジカル捕捉剤、帯電防止剤、顔料、着色-及びマーキング物質、層状のナノ粒子、層状シリケート、伝導性添加剤、例えば、カーボンブラック、グラファイトパウダーあるいはカーボンナノフィブリル、重合プロセスの残留物、例えば触媒、塩及びその誘導体、酸素-、窒素-又は硫黄含有金属化合物、及び調節剤、例えばモノアシッド又はモノアミン、及びそれらの混合物又は組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載のポリケトン成形材料。0.35〜3.0mm、特に0.75mm及び1.5mmの厚みの試験片の、UL-94による分類がV0であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載のポリケトン成形材料。請求項1〜14のいずれか1項に記載のポリケトン成形材料から製造された成形品であって、特に、以下のためのハウジング、機能部品の形態のもの、ポンプ、トランスミッション、バルブ、水流メーター、スロットル・バルブ、シリンダー、ピストン、ヘッドライト・ハウジング、反射体、屈光調節器、歯車、エンジン及びトランスミッション・ベアリング、プラグ接続、コネクタ、形材、ホイル又は多層ホイルの層、繊維、電子部品、特に、携帯用電子機器のための部品、電子部品のためのハウジング、コネクタ、携帯電話のハウジング、LEDハウジング用の部品、パソコンのためのハウジング又はハウジング部品、特に、ノート型パソコンのハウジング、ツール、複合材料、流体導管及びコンテナ(特に、自動車分野における)、平滑な及び波形の単-又は多層管、管接合部、接続部材、接続ホース用の管継手、波形管及び媒体導管、多層管の構成部材(内層、外層、又は中間層)、多層コンテナの個々の層、水圧管、ブレーキ管、クラッチ管、冷却液管、ブレーキ液容器。射出成形、押出成形又はブロー成形によって、請求項15に記載の成形品を製造する方法。

说明书全文

本発明は、部分結晶性の脂肪族ポリケトンをベースとするポリケトン成形材料に関する。特に、本発明は、好ましくは難燃剤としてホスフィン酸の塩を含む、脂肪族ポリケトンをベースとするハロゲンフリーの難燃性成形材料に関する。前記成形材料は、UL94に従う防火分類V0を満たし、良好な機械的特性を示す。これらの成形材料は、特に、電気及び電子産業、例えば、ハウジング、ハウジング部品又はコネクタのための薄肉(薄壁)成形品の製造に適している。

脂肪族ポリケトンは長年にわたって知られており、10〜100℃の間でほぼ一定の機械的特性、非常に良好な耐加分解性、高い熱寸法安定性、良好な耐摩耗(耐摩損)性及び燃料に対する良好なバリアーを特徴とする。

他方、脂肪族ポリケトンは、常に良好な特性を有する熱可塑性プラスチック材料を代表するが、それらは、化学分解(特に、分子間-及び分子内アルドール縮合反応)を受ける温度に近い、比較的高い融点を有するという欠点を有する。ポリケトン成形材料は、一方では、通常の加工技術を使用して溶融状態で加工することが難しく、他方では、このような成形材料の特性は、加工の際に誘発される分解反応及び架橋反応によって悪影響を受け得ることから、このことは問題である。

これらの問題を克服するために、様々な可能性のある解決策が、文献中で提案されている。例えば、EP213671及びEP257663は、一酸化炭素、エテン及び少なくとも1種のさらなるオレフィン性不飽和モノマーに基づく脂肪族ポリケトンについて記載しており、これは、一酸化炭素とエテンのみから形成された対応するポリケトン-コポリマーより低い融点を示す。実施例で示されたターポリマーは、20〜30℃低い温度で加工でき、その際、熱分解と架橋はよりゆっくりと進行する。それにより、これらのターポリマーは、より大きなプロセスウィンドウを有する。同じ目的は、DE2626272が、一級モノアミン、モノ-あるいはジ-チオールを用いたポリケトンのポリマー類似変換によって追求しており、元のポリケトンの融点を80℃まで低下できる。

この解決法は、前記問題をある程度軽減するが、溶融状態のポリケトンの加工における全ての問題を解決するものではない。それゆえ、ポリケトン成形材料をさらに改良するために、他のポリマー(例えばポリアミド又はポリオレフィン)の添加、可塑剤の添加、又は特別な添加剤の使用を基礎とする組成物が記載されている。しかしながら、さらなるポリマーの使用は、比較的多くの量が必要であり、特に熱及び機械的特性が全体としてみると損なわれるという欠点を有する。添加されたポリマー次第で、さらに、ポリケトンによる望ましくない反応が発生する可能性があり、その結果として、形成された成形材料の特性は、低いレベルに至る。他方、可塑剤は、フレキシブルな成形材料が求められる場合に、実用的な解決法を示すだけである。

EP310166及びEP326224に、アルミニウム-酸素化合物の添加が記載されている。例えば、水酸化アルミニウムは、この添加剤により加工温度での架橋が遅れて発生し、また加工時間にわたってよりゆっくり進行するため、ポリケトンの流動挙動を改善するために考慮されるべきである。

EP629663又はEP896021によれば、ポリケトンの溶融加工は、0.01〜10%の擬ベーマイトの添加によって、さらに改善されうる。擬ベーマイトは、当該ポリケトンの融解温度より20K高い加工温度において、溶融粘度のあまりにも速すぎる増加を妨げる。

JP11-181080によれば、酸化アルミニウム又は酸化マグネシウムのような添加剤は、加工の間の流動挙動を実際に改善できるが、ポリケトンの分解に起因する揮発性化合物の発生は妨げない。ガス発生を減少又は阻害するために、アンモニア又は一級アミンを用いたポリケトンの処理が提案されている。

DE19808938は、とりわけ、ポリカーボネート、ポリエステル及びポリケトンの、酸化、熱及び光によって誘発される分解に対する安定化に関し、ここで、前記ポリマーに、ベンゾフラン-2-オン化合物の他に、さらなる安定剤、とりわけ、ホスファイト及びホスフィネートを添加することができる。

流動性に加えて、加工の間にわたって、ポリケトン成形材料の色と結晶化度も保存することを目的とする場合、EP896021は、水酸化アルミニウムとポリオールの組み合わせの添加を推奨している。

EP322959は、繊維強化ポリケトン成形材料、特にガラス繊維で強化した成形材料、及びこの成形材料をポリケトン溶液から得る方法を記載している。目的は、成形材料の強度と係数を高めることである。

US2007/0299171 A1は、少なくとも3つの成分、すなわち、ホスフィネート、リン酸とメラミンの反応生成物、及びメラミン縮合生成物(特に、メレム)を含む熱可塑性樹脂のための難燃配合物について記載している。ポリアミドPA66のみが熱可塑性樹脂として作用し、成形材料は、30重量%のガラス繊維に加えて、20〜23重量%の前記難燃配合物を含む。ポリケトンは、その種類についての詳細な説明なしに、ただ、可能性のある熱可塑性樹脂として、長いリストの中で言及されている。

脂肪族ポリケトンをベースとする難燃性の、ガラス繊維強化ポリケトン成形材料は、WO97/14743に開示されている。難燃剤である水酸化マグネシウムは、好ましくは成形材料中に25〜40重量%の濃度で含まれる。25重量%の水酸化マグネシウムと15重量%のガラス繊維を含む成形材料は、亜鉛含有相乗剤が成形材料中に含まれていなければ、サンプル厚み1.6mmで、防火分類VOを達成する。

EP213671

EP257663

EP310166

EP326224

EP629663

EP896021

特開平11-181080号公報

DE19808938

EP322959

US2007/0299171 A1

WO97/14743

それゆえ本発明の基礎となっている課題は、とりわけ、部分結晶性・脂肪族ポリケトンをベースとする成形材料を提供することであり、これはハロゲンフリー難燃剤を含み、射出成形法によって容易に加工でき、良好な機械的特性を有する。前記成形材料は、好ましくは、サンプル厚み0.35〜3.0mm、特に0.75及び1.5mmの場合、UL94に従う防火分類がV0であり、薄肉成形部品でも良好な品質で製造することができる十分な流動性を有する。機械的特性に関しては、同じ強化グレードの場合、引張強さと破断伸度が、すくなくとも、非難燃性ポリケトン成形材料のレベルにあることが要求される。

この課題は、本発明に係る、請求項1のポリアミド成形材料によって達成される。請求項16によれば、本発明に係るポリケトン成形材料からなる成形品が示される。請求項17は、本発明に係る成形品の製造方法に関する。それぞれの従属請求項は、有利な実施形態に言及する。

したがって、本発明は、 (A)30〜94重量%の、少なくとも1種の部分結晶性・脂肪族ポリケトンであって、ISO11357-3に従うDSC及び20K/分の加熱速度で測定した際、180℃〜280℃の範囲の融解温度(Tm)を有するもの; (B)0〜50重量%の、少なくとも1種の充填及び強化材; (C)6〜15重量%の、少なくとも1種のハロゲンフリー難燃剤; (D)0〜2.0重量%の、少なくとも1種の有機ホスファイト(ホスフィットとも呼ばれる:phosphite)及び/又はホスホナイト(ホスホニットとも呼ばれる;phosphonite); (E)0〜10重量%の、少なくとも1種の添加剤 を含むか、又はそれらからなる、難燃性ポリケトン成形材料に関し、 ここで、成分(A)〜(E)の重量パーセントは、合計100%となり、好ましくは、前記成形材料は、成分(A)〜(E)のみからなる。

ここに示す及び下記の濃度又は濃度範囲は、それぞれ、前記成形材料が開放式に表現される(すなわち「含む」)場合は、成分A〜Eの合計に対して、あるいは、前記成形材料が閉鎖式に表現される(すなわち「からなる」)場合は、全成形材料に対して、のいずれかに関連している。後者の場合、前記成形材料は、成分A〜Eのみからなる。

好ましい実施形態によれば、それぞれ互いに独立して、又は互いとの組み合わせにおいて、 (A)前記少なくとも1種の脂肪族ポリケトンの含有率は、35〜83.85重量%、好ましくは40〜76.7重量%、特に好ましくは45〜71.7重量%、特に45〜61.7重量%、 (B)前記少なくとも1種の充填又は強化材の含有率は、10〜50重量%、好ましくは15〜45重量%、さらに好ましくは20〜40重量%、特に30〜40重量%、 (C)前記少なくとも1種のハロゲンフリー難燃剤の含有率は、7〜12重量%、好ましくは8〜11重量%、 (D)前記少なくとも1種の有機ホスファイト及び/又はホスホナイトの含有率は、0.05〜1.5重量%、好ましくは0.1〜1.0重量%、及び/又は (E)前記少なくとも1種の添加剤の含有率は、0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜3重量%、である。

成分(A) 本発明によって使用されるポリケトン成形材料のマトリクスは、少なくとも1種の部分結晶性・脂肪族ポリケトン(成分A)をベースとし、それは、それぞれISO11357-3に従うDSC及び20K/分の加熱速度で測定した際、180℃〜280℃の、好ましくは200℃〜240℃の、特に好ましくは210℃〜235℃の範囲の融点を有する。好ましくは、成分Aの割合は、35〜83.85重量%の範囲である。

前記脂肪族ポリケトンは、直鎖状の交互構造を有する熱可塑性ポリマーに関し、それは本質的に不飽和炭化水素物質の分子あたり、1つの一酸化炭素分子を含む。好ましい不飽和炭化水素は、特に、炭素原子数20まで、好ましくは炭素原子数10までのオレフィンであり、例えば、エテン及び他のα-オレフィン(プロペン、1-ブテン、イソブテン、1-ヘキセン、1-オクテン及び1-ドデセンを含む)である。さらに、アリール置換基を有するオレフィン性の不飽和化合物、例えば、スチレン、p-メチルスチレン、p-エチルスチレン及びm-イソプロピルスチレンも、モノマーとして適切である。

本発明の意味において、好ましい脂肪族ポリケトンは、一酸化炭素とエテンからなる交互コポリマー、又は、一酸化炭素とエテンと第二のエチレン性不飽和炭化水素(少なくとも3つの炭素原子を有する)からなるターポリマー、特にプロペン又は1-ブテンのようなα-オレフィンを伴うターポリマーである。

特に、前記少なくとも1種のポリケトン(A)は、以下の一般式に係るターポリマーである。

式中、Qは、少なくとも3つの炭素原子を有するオレフィン性不飽和化合物から派生した二価基であり、且つ、モル比y:xは、0.5以下、好ましくは0.2未満、特に0.1以下、特に0.01〜0.1となる。Qは特に、プロペンから派生した二価の単位-CH2-CH(CH3)-である。

さらに好ましくは、前記少なくとも1種の脂肪族ポリケトンは、以下に挙げる特性の少なくとも一つによって識別される: 前記ポリケトンは a)部分結晶性ポリケトンであり、好ましくは、ISO11357-3に従うDSCによって、20K/分の加熱速度で測定した際、180℃〜280℃の、特に200℃〜240℃又は210℃〜235℃の範囲の融解温度を有する、 b)ISO1133に従って、240℃及び2.16kgの荷重で測定した際、5〜200cm3/10分の範囲の、特に10〜100cm3/10分の範囲の、非常に好ましくは20〜80cm3/10分の範囲の溶融粘度(MVR、メルトボリュームフローレイト)を有する、 c)100mLのm-クレゾール中に溶解された0.5gのポリケトンの溶液で、温度20℃で、毛細管粘度計で測定した際、1.5〜2.5の、好ましくは1.6〜2.2の相対粘度を有する、及び/又は d)ヘキサフルオロイソプロパノール中でGPCによって測定した際(PMMA標準物質と比較)、20,000〜100,000g/molの、特に30,000〜60,000g/molの範囲の数平均モル質量を有する。

前記脂肪族ポリケトンポリマーはそれ自体既知である。例えば、US4,880,903は、一酸化炭素、エテン及び他のオレフィン性不飽和炭化水素(特にプロペン)からなる直鎖状の交互ポリケトン-ターポリマーについて記載している。前記脂肪族ポリケトンの製造方法では、通常、パラジウム、コバルト又はニッケルから選択されるVIII族の金属化合物、ハロゲン酸に属さない強酸のアニオン、及び、二座のリン-、ヒ素-、又はアンチモンリガンドからなる触媒組成物を使用する。US4,843,144では、一酸化炭素と少なくとも1種のオレフィン性不飽和炭化水素からなる直鎖状交互ポリケトンポリマーの製造方法が記載されており、この際、触媒が使用され、それはパラジウム化合物、6未満のpKa値を有するハロゲン酸に属しない酸のアニオン、及び、二座のリンリガンドを含む。重合は、例えば、メタノール中で実施され、これは同時に、開始剤-及び連鎖移動機能を担い、このようにして製造されたポリケトンが、ケト基及びエステル基からなる典型的な末端基パターンを有するようにする。これらの特許明細書中に開示されたポリケトンは全て、本発明の目的のためにも適切である。前述のUS特許のこれに関連する開示内容は、それゆえ、本出願中にも包含される。

成分(B)−充填-及び強化材 本発明に係るポリケトン成形材料、あるいは、成分A〜Eの合計は、0〜50重量%の充填-又は強化材(粒子状又は繊維状充填材とも呼ばれる)を含む。成分(B)として、本発明に係る成形材料は、10〜50重量%、好ましくは15〜45重量%又は20〜40重量%の間の、非常に好ましくは30〜40重量%の間の、繊維状又は粒子状の充填材又はそれらの混合物を含むことができる。

一般に、成分Bは、好ましくは、繊維状又は粒子状の充填材又はそれらの混合物に関する。

繊維状の充填材は、一般的に、好ましくは、ガラス繊維、炭素繊維(カーボン繊維、グラファイト繊維)、アラミド繊維及びウィスカーの群より選択される。

前記充填材は、好ましくは、エンドレス・ストランドの形態、又はカットされた形態で、特に短ガラス繊維(カットガラス)の形態で存在する。好ましくは、前記充填材は、サイズ及び/又は接着剤で加工されている。

好ましくは、E-ガラスからなるガラス繊維が、成分(B)の充填材として使用される。

一般的に、成分(B)の繊維は、円形の横断面又は非円形の横断面を有していてもよく、このような系の混合物を使用することもできる。

好ましくは、円形の繊維の場合、5〜20μm、好ましくは6〜15μm、特に好ましくは7〜12μmの直径を有するものが使用される。

扁平な繊維(フラットファイバー)の場合、互いに垂直に存在する横断面の軸の比が、2以上、特に2.8〜4.5の範囲であり、且つ、その小さい方の横断面の軸が≧4μmの長さであるものが、好ましく使用される。

繊維状の充填材の例として、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウムウィスカーのような繊維状の強化物質も挙げられ、ガラス繊維が好ましい。成形材料中へのガラス繊維の取り込みは、エンドレス・ストランド(ロービング)の形態又はカットされた形態(短ガラス繊維)の形態のいずれかで、行うことができる。脂肪族ポリケトンとの適合性を改善するために、使用するガラス繊維をサイズ及び接着剤で加工することができる。

前記ガラス繊維は、好ましくはE-ガラスからなる。しかしながら、例えば、A-、C-、D-、M-、S-、R-ガラス繊維のような全ての他の種類のガラス繊維、又は任意のそれらの混合物、又はE-ガラスとの混合物も使用できる。前記ガラス繊維は、エンドレスファイバーとして、又はカットガラス繊維として添加でき、前記繊維は、適切なサイジング系及び接着剤又は接着剤系、例えばシランベースのもの、アミノシラン又はエポキシシランで、加工されてもよい。好ましくは、E-ガラス又はS-ガラスからなるカットガラス、いわゆる短ガラス繊維が使用される。極性サイズは、ポリエステル又はポリアミドのためにも使用されるようなものが好ましい。

適切なガラス繊維は、円形の横断面を有するガラス繊維(円形ガラスファイバー)及び、非円形の横断面を有するガラス繊維(フラットガラスファイバー)の両方である。

円形のガラス繊維は、5〜20μm、好ましくは6〜15μm、特に好ましくは7〜12μmの直径を有する。

好ましくは、本発明に係る成形材料中で、繊維、好ましくは非円形の横断面を有するガラス繊維(フラットガラスファイバー)、特に卵形、楕円形、繭(コクーン)状(2以上の円形のガラス繊維が、縦方向に互いに接合している)、又は長方形あるいはほぼ長方形のガラス繊維も、使用できる。

非円形の横断面を有するガラス繊維(フラットガラスファイバー)は、好ましくは、主横断面軸の寸法が、10〜35μmの範囲、特に18〜32μmの範囲であり、副横断面軸の長さは、3〜15μmの範囲、特に4〜10μmの範囲である。

これらの成形材料は、成形材料から製造された成形品において、特に横の方向に剛性と強度に関する利点を有する。好ましく使用される扁平なガラス繊維(成分B)は、フラットな形状と非円形の横断面を有する短ガラス繊維(カットガラス)であり、互いに垂直に存在する横断面軸の比は2以上であり、小さいほうの横断面軸は≧4μmの長さを有する。特に、横断面ができるだけ長方形に近いガラス繊維が好ましい。前記ガラス繊維は、2〜50mmの長さを有するカットガラスの形状で存在する。すでに上述したように、成分Bにおいて、扁平なガラス繊維は、好ましくはカットガラスとして使用される。これらのガラス繊維は、小さい横断面軸の直径が4〜10μmであり、大きい横断面軸の直径が8〜30μmであり、互いに垂直に存在する横断面軸の比(副横断面軸に対する主横断面軸の比)は、2〜6の間、好ましくは2.5〜5、非常に好ましくは2.8〜4.5の間である。

前記ガラス繊維は、部分的にあるいは完全に、ウィスカーによって置き換えることができる。ウィスカーとしては、針状の結晶、特に、通常多形の横断面を有する、金属、酸化物、ホウ化物、炭化物、窒化物、ポリチタネート、炭素などからなる単結晶、例えば、チタン酸カリウムウィスカー、酸化アルミニウムウィスカー、炭化ケイ素ウィスカーが挙げられる。ウィスカーは、通常、0.1〜10μmの直径と、mmからcm範囲の長さを有する。同時に、それらは高い引張強さを有する。ウィスカーは、気相からの固体上への析出(VSメカニズム)によって又は三相系(VLSメカニズム)から製造できる。

成分(B)の粒子状充填材は、好ましくは、鉱物ベースであり、特に好ましくは、タルク、マイカ、シリケート、石英、二酸化チタン、珪灰石、カオリン、非晶質ケイ酸、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、チョーク、ライム、長石、中実又は中空ガラス球又は粉末状ガラス、ガラスフレーク、永久磁化又は磁化可能な金属化合物及び/又は合金、顔料、特に、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化鉄、銅クロマイト、又はそれらの混合物をベースとするものから選択される。充填材は、表面処理されていてもよい。

成分(C) 本発明に係る成形材料は、さらに6〜15重量%、好ましくは7〜12重量%、及び特に8〜11重量%の1種の有機ハロゲンフリー難燃剤又は、異なる有機ハロゲンフリー難燃剤の組み合わせ、又は、1又は複数の相乗剤(成分C)との併用でそのような難燃剤を含む。好ましくは、成分(C)は全てハロゲンフリーである。

さらに好ましい実施形態は、成分(C)の割合が、7〜12重量%の範囲、好ましくは8〜11重量%の範囲にあり、且つ、好ましくは成分(C)は、少なくとも部分的に、ホスフィン酸塩及び/又はジホスフィン酸塩をベースとして構成されることを特徴とする。

成分(C)の難燃剤、又は全体としての成分(C)は、さらに好ましい実施形態によれば、60〜100重量%、好ましくは70〜98重量%、特に80〜96重量%のホスフィン酸塩及び/又はジホスフィン酸塩(成分C1)、及び、0〜40重量%、好ましくは2〜30重量%、特に4〜20重量%の相乗剤、特に窒素含有相乗剤及び/又は窒素とリンを含有する難燃剤(成分C2)を包含する。

一般的に言えば、この好ましい実施形態は、成分(C)が、以下の成分を含むこと、好ましくは以下の成分からなることを特徴とする: (C1)60〜100重量%、好ましくは70〜98重量%、特に80〜96重量%のホスフィン酸塩及び/又はジホスフィン酸塩; (C2)0〜40重量%、好ましくは2〜30重量%、特に4〜20重量%の相乗剤、特に、窒素含有相乗剤及び/又は窒素とリンを含有する難燃剤、好ましくは、メラミン又はメラミン縮合物、特に好ましくは、以下の群より選択されるようなもの:メレム、メラム、メロン、メラミンとポリリン酸の反応生成物(ポリリン酸によるメラミンの変換生成物)、メラミン縮合物とポリリン酸の反応生成物(ポリリン酸によるメラミン縮合物の変換生成物)又はそれらの混合物。

成分C1とC2の濃度表示は、それぞれ、成分C全体に関するものであり、すなわち、A〜Eの合計又は成形材料に関するものではない。

成分(C2)は、好ましくはメラミン又はメラミン縮合物、例えば、メレム、メラム、メロン、又はメラミンとポリリン酸の反応生成物、メラミン縮合物とポリリン酸の反応生成物又はそれらの混合物に関する。成分(C2)として、特にポリリン酸メラミンが好ましい。このような難燃剤は、技術水準において既知である。これに関連して、DE103 46 3261が参照され、これに関連して、この明細書の開示内容が本明細書中に明示的に包含される。さらなる実施形態では、相乗剤としての成分(C2)は、好ましくは、酸素含有、窒素含有又は硫黄含有金属化合物として選択される。好ましい金属は、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、ナトリウム、カリウム及び亜鉛である。適切な化合物は、酸化物、水酸化物、カーボネート、シリケート、ボレート、ホスフェート、スズ酸塩、アルコキシド、カルボキシレート及びこれらの化合物の組み合わせ又は混合物、例えば、酸化物-水酸化物又は酸化物-水酸化物-カーボネートの群より選択される。例として、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ベーマイト、擬ベーマイト、ジハイドロタルサイト、ハイドロカルマイト、水酸化カルシウム、カルシウム・ヒドロキシアパタイト、酸化スズ水和物、水酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、硫化亜鉛、リン酸亜鉛、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、塩基性ケイ酸亜鉛、スズ酸亜鉛が挙げられる。ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、パルミチン酸カリウム、ベヘン酸マグネシウムのような系も可能である。場合によっては、充填及び強化材(成分B)としても含まれる相乗剤が、成分(C2)として含まれている場合、これらの物質はもはや充填及び強化材としては含まれていない。

さらなる好ましい実施形態によれば、成分(C1)は、一般式(I)及び/又は一般式(II)のホスフィン酸塩及び/又はそのポリマーである:

式中、 R1及びR2は同一であるか又は異なっており、好ましくは、C1−C8アルキル、直鎖状又は分岐鎖状、飽和、不飽和、又は部分不飽和、及び/又は、アリールであり; R3は、C1−C10アルキレン、直鎖状又は分岐鎖状、飽和、不飽和、又は部分不飽和、C6−C10アリーレン、アルキルアリーレン又はアリールアルキレンであり; Mは、周期表の第2又は第3主又は亜族の金属イオンであり、好ましくは、アルミニウム、バリウム、カルシウム、マグネシウム 及び/又は 亜鉛であり;及び m=2又は3;n=1又は3;x=1又は2である。 金属イオンMとして、好ましくはアルミニウムと亜鉛が使用される。

本発明に係るホスフィン酸塩を製造するために適切なホスフィン酸は、例えば、ジメチルホスフィン酸、エチルメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、メチル-n-プロピルホスフィン酸、メタン-ジ(メチルホスフィン酸)、エタン-1,2-ジ(メチルホスフィン酸)、ヘキサン-1,6-ジ(メチルホスフィン酸)、ベンゼン-1,4-ジ(メチルホスフィン酸)、メチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸である。前記ホスフィン酸塩は、例えば、水溶液中のホスフィン酸を、金属炭酸塩、金属水酸化物又は金属酸化物で変換することによって製造でき、本質的にモノマーのホスフィン酸塩、反応条件に応じて、場合によってはポリマーのホスフィン酸塩も生じる。

本発明に係るポリアミド成形材料、又はそれから製造された成形品は、さらに、前述した優れた特性に加えて、優れた耐火性も達成することは強調されるべきである。成形材料は、0.35〜3.0mm厚の試験片の場合、UL分類によればV0である(UL-94、Underwriters Laboratories (U.L.)の標準試験、www.ulstandards.com 参照)。

成分(D) 前記成形材料又は成分A〜Eの合計は、0〜2.0重量%、好ましくは0.05〜1.5重量%、特に好ましくは0.1〜1.0重量%の少なくとも1種の有機ホスファイト又はホスホナイトを含むか、又はそれからなる。

好ましい有機ホスファイト及びホスホナイトは、トリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニルジアルキルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトール ジホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ジイソデシルオキシペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4,6-トリス-(tert-ブチルフェニル))ペンタエリスリトール ジホスファイト、トリステアリルソルビトール トリホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4'-ビフェニレン ジホスホナイト、6-イソオクチルオキシ-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-12H-ジベンゾ-[d,g]-1,3,2-ジオキサホスホシン、6-フルオロ-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-12-メチルジベンゾ[d,g]-1,3,2-ジオキサホスホシン、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)メチルホスファイト、及びビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)エチルホスファイトである。特に、トリス[2-tert-ブチル-4-チオ(2'-メチル-4'-ヒドロキシ-5'-tert-ブチル)フェニル-5-メチル]フェニルホスファイト、及びトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトが好ましい。

特に、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、トリス[2-tert-ブチル-4-チオ(2'-メチル-4'-ヒドロキシ-5'-tert-ブチル)フェニル-5-メチル]フェニルホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、及び、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4'-ビフェニレン ジホスホナイト(Clariant社によって製造されているSandostab P-EPQ") が好ましい。

成分(E) 成分(E)として、前記成形材料は、0〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%及び特に好ましくは0.2〜3重量%の少なくとも1種の添加剤又は加工助剤を含む。前記添加剤又は加工助剤は、成分(A)〜(D)とは異なる。

前記成形材料は、安定剤(熱-及び光安定剤、抗酸化剤)、加工助剤、及びさらなるポリマー、特に、ポリオレフィン、酸又は無水物で修飾されたポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、特に、脂肪族ポリアミド、衝撃改質剤及びさらなる添加剤 を含むことができる。

前記添加剤又は加工助剤は、前記充填及び強化材又は難燃剤とは異なっており、特に場合によっては難燃剤に含まれうる相乗剤(C2)とは異なっている。

成分(E)は、通常一般的に、例えば、以下の群より選択される添加剤及び/又はさらなるポリマーに関する:衝撃改質剤、接着剤、結晶化促進剤又は遅延剤、流動助剤、潤滑剤、離型剤、可塑剤、安定剤、加工助剤、帯電防止剤、顔料、着色-及びマーキング物質、層状のナノ粒子、伝導性添加剤、例えば、カーボンブラック、グラファイトパウダーあるいはカーボンナノフィブリル、重合プロセスの残留物、例えば触媒、塩及びその誘導体、及び調節剤、例えばモノアシッド又はモノアミン。

成分Eの割合は、好ましい実施形態によれば、0.1〜10重量%の範囲、好ましくは0.2〜3重量%の範囲である。

本発明は、さらに、熱可塑的に加工可能な成形品を製造するための上述した成形材料の使用、及び本発明に係る組成物から得られる成形品にも関する。

そのような成形品の例には、次のものが含まれる:以下のためのハウジング及び機能部品、ポンプ、トランスミッション、バルブ及び水流メーター、スロットル・バルブ、シリンダー、ピストン、ヘッドライト・ハウジング、反射体、屈光調節器、歯車、エンジン及びトランスミッション・ベアリング、プラグ接続、コネクタ、形材、ホイル又は多層ホイルの層、繊維、電子部品、特に、携帯用電子機器のための部品、電子部品のためのハウジング、コネクタ、携帯電話のハウジング、LEDハウジング用の部品、パソコンのためのハウジング又はハウジング部品、特に、ノート型パソコンのハウジング、ツール、複合材料、流体導管及びコンテナ(特に、自動車分野における)、平滑な及び波形の単-又は多層管、管接合部、接続部材、接続ホース用の管継手、波形管及び媒体導管、多層管の構成部材(内層、外層、又は中間層)、多層コンテナの個々の層、水圧管、ブレーキ管、クラッチ管、冷却液管、ブレーキ液容器など。前記成形品は、射出成形法、押出成形法又はブロー成形法によって製造できる。

好ましい実施形態の説明 本発明の好ましい実施形態を、以下に実施例を参照して記載するが、これらは説明のためのみに役立ち、限定的には解釈されない。

ポリケトン成形材料の製造: 成分(A)、(C)及び(D)の原料をあらかじめ混合し、ZSK25型(Werner and Pfleiderer)の二軸押出機の供給口に重量測定して投入する。成分(B)を、サイドフィーダーを経て、放出部前の4ハウジングユニットで、溶融物中に計量投入する。シリンダー温度は200〜270℃、スクリュー回転速度は200rpm、スループットは10kg/hで加工を行う。コンパウンドはノズルを経て放出され、ストランドの冷却後、造粒される。続いて、真空中で、100℃・24時間、乾燥を行う。

成形品の製造 成形品の製造は、200〜270℃の範囲の上昇シリンダー温度プロファイル、及び1000〜1800barの射出圧を備えた、射出成形機Arburg Allrounder 420C-1000-250で行う。金型温度は80℃とする。成形品の形状は、対応する試験規格の定められた基準に対応させる。

成形材料の組成、及びそれから製造された成形品の特性を表1にまとめる。 以下の材料が使用された: PK-EP:一酸化炭素、エチレン及びプロピレンからなる平均粘性の脂肪族ポリケトンであって、220℃の融点、60g/10分のMFR(240℃、2.16kg)を有する。Hyosung Co. Ltd. Exolit OP1230:アルミニウム-トリス-ジエチルホスフィネート Clariant, CH Magnifin H10 IV:高純度の水酸化マグネシウム Albemarle ガラス繊維:ポリアミド用の円形横断面を有するガラス繊維、繊維長4.5mm、直径10μm Vetrotex Sandostab P-EPQ:テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4'-ビフェニレン ジホスホナイト(CAS: 38613-77-3)、Clariant 安定剤:Irganox 1010、立体障害フェノール系酸化防止剤(BASF SE)

測定は、以下の基準及び以下の試験片によって、乾燥状態で実施された。すなわち、試験片は、射出成形後、それらが試験に供される前に、少なくとも48時間、室温で、乾燥した環境中(シリカゲル上)で保管される。

熱挙動(融点(TM)、融解エンタルピー(ΔHm)、ガラス転移点(Tg))は、ISO規格11357(ガラス転移点については11357-2、融解温度と融解エンタルピーについては11357-3)によって、顆粒で測定された。示差走査熱量測定(DSC)は、加熱速度20℃/分で行なわれた。相対粘度(ηrel)は、DIN EN ISO 307に従って、100mLのm-クレゾール中に溶解された0.5gのポリマーの溶液で、20℃の温度で測定された。サンプルとして顆粒が使用される。

引張弾性率、引張強さ及び破断伸度:引張弾性率、引張強さ及び破断伸度は、ISO527に従って、引張速度1mm/分で(引張弾性率)又は引張速度5mm/分で(引張強さ、破断伸度)、ISO試験片、規格ISO/CD3167、タイプA1、170×20/10×4mmで、温度23℃にて測定された。

シャルピーによる衝撃強さ及びノッチ付き衝撃強さは、ISO179/KeU又はISO179/KeAに従って、ISO試験片、規格ISO/CD3167、タイプB1、80×10×4mmで、温度23℃にて測定された。

MVR(メルトボリュームフローレイト:melt volume-flow rate)は、毛管レオメータを使用して、ISO1133に従って測定され、物質(顆粒)は、加熱可能なシリンダー中で、250℃の温度で溶融され、21.6kgの荷重によって生じた圧力下で、規定のノズル(キャピラリー)を通じてプレスされる。ポリマー溶融物の押出体積は、時間の関数として測定される。

HDT A(1.80MPa)及びHDT C(8.00MPa)の形で表される熱寸法安定性は、ISO75-1及びISO75-2に従って、80×10×4mmの寸法のISO衝撃バー(フラットワイズ位の試験片)で測定した。

燃焼試験は、UL-94(Underwriters Laboratories社の「装置及び器具部品用のプラスチック材料燃焼性試験(Tests for Flammability of Plastic Materials for Parts in Devices and Applications)」)に従って、127×12.7×0.35、127×12.7×0.75、125×13.0×1.5、及び125×13.0×3.0mmの寸法の試験片を使用して、標準のコンディショニング(7日、70℃)で行った。

結果: 水酸化マグネシウムを含む、技術水準における成形材料は、同じガラス繊維含有率の場合(CE1)、本発明に係る成形材料より有意に高い弾性率を示し、その際、防火分類V0を確実に達成するために、この無機難燃剤が高濃度で必要となる。

本発明に係る成形材料の引張強さは、少なくとも技術水準の成形材料のレベルにあり、しかしながら、これらは、同程度の剛性を有する成形材料と比較するとより優れている。

破断伸度、及び衝撃とノッチ付き衝撃は、室温と低温の両方で、比較例より有意に上である。さらに、本発明に係る難燃剤は、本発明に係る成形材料が、薄肉成形品でも問題なく製造するために、常に十分な流動性を有するように、溶融粘度(MVR)のあまりにも速すぎる上昇を妨げる。

必要であれば、本発明に係るポリケトン成形材料は、水酸化マグネシウムを含まないことも可能である。

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