フェノール性単量体から誘導された高分子生体材料およびその医療用途

申请号 JP2014555809 申请日 2013-02-02 公开(公告)号 JP2015512962A 公开(公告)日 2015-04-30
申请人 ラトガース,ザ ステート ユニバーシティ オブ ニュー ジャージー; ラトガース,ザ ステート ユニバーシティ オブ ニュー ジャージー; 发明人 コーン,ヨアヒム,ビー.; ボリカル,ダルガダス;
摘要 本発明は、チロソールおよび誘導体に由来する化合物を含む、生体適合性ポリマーの調製に有用な新しい種類のフェノール化合物、並びにこれら単量体フェノール化合物から調製される、新規な生分解性および/または生体吸収性ポリマーを含む生体適合性ポリマーを提供する。改良された生体吸収性および加工性を備えたこれらの生体適合性ポリマーまたはポリマー組成物は、医療装置や制御放出治療製剤といった、さまざまな医療用途に有用である。本発明は、これら単量体フェノール化合物および生体適合性ポリマーの製造方法もまた提供する。【選択図】なし
权利要求

以下の式の繰り返し単位を含む、生体適合性ポリマー: 式中: y1は、0,1,2,3,または4であり; X1は、臭素(Br)またはヨウ素(I)であり;かつ R4aは、C1−C30アルキル,C2−C30アルケニル,C2−C30アルキニル,C1−C30ヘテロアルキル,C2−C30ヘテロアルケニル,C2−C30ヘテロアルキニル,C6−C30アリール,C7−C30アルキルアリール,C8−C30アルケニルアリール,C8−C30アルキニルアリール,およびC2−C30ヘテロアリールからなる群から選択される。R4aがC1−C30アルキルである、請求項1に記載の生体適合性ポリマー。R4aがC1−C6アルキルである、請求項1に記載の生体適合性ポリマー。チロソール繰り返し単位をさらに含み、以下の式によって特徴づけられる、請求項1に記載の生体適合性ポリマー: 。以下の式によって特徴づけられる、請求項4に記載の生体適合性ポリマー: 。マクロマー性(macromeric)繰り返し単位をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の生体適合性ポリマー。以下の式のジフェノール化合物: 式中: y1およびy2は、それぞれ独立して、0,1,2,3,または4であり; mおよびnは、それぞれ独立して、1から12の範囲の整数であり; X1およびX2は、各々でそれぞれ独立して、臭素(Br)またはヨウ素(I)であり; L1は、単結合,酸素(−O−),および−R4−C(O)−O−からなる群から選択され; L4は、単結合,酸素(−O−),および置換されていてもよいフェノキシ(−C6H4−O−)からなる群から選択され;かつ R4は、単結合,C1−C30アルキル,C2−C30アルケニル,C2−C30アルキニル,C1−C30ヘテロアルキル,C2−C30ヘテロアルケニル,C2−C30ヘテロアルキニル,C6−C30アリール,C7−C30アルキルアリール,C8−C30アルケニルアリール,C8−C30アルキニルアリール,およびC2−C30ヘテロアリールからなる群から選択される。mおよびnが、それぞれ1または2であり;かつy1およびy2が、それぞれ独立して、0,1または2である、請求項7に記載のジフェノール化合物。mおよびnが、それぞれ2であり;かつy1およびy2が、それぞれ独立して、0,1または2である、請求項7に記載のジフェノール化合物。L4が単結合である、請求項7に記載のジフェノール化合物。L1が単結合である、請求項7〜10のいずれか1項に記載のジフェノール化合物。X1=I、X2=H、かつy1=2である、請求項11に記載のジフェノール化合物。L1が酸素(−O−)である、請求項7〜10のいずれか1項に記載のジフェノール化合物。L1が−R4−C(O)−O−である、請求項7〜10のいずれか1項に記載のジフェノール化合物。以下の式の繰り返し単位を含む、生体適合性ポリマー: 式中: y1およびy2は、独立して、0,1,2,3,または4であり; mおよびnは、それぞれ独立して、1から12の範囲の整数であり; X1およびX2は、各々でそれぞれ独立して、臭素(Br)またはヨウ素(I)であり; L1は、単結合,酸素(−O−),および−R4−C(O)−O−からなる群から選択され; L4は、単結合,酸素(−O−),および置換されていてもよいフェノキシ(−C6H4−O−)からなる群から選択され;かつ R4は、単結合,C1−C30アルキル,C2−C30アルケニル,C2−C30アルキニル,C1−C30ヘテロアルキル,C2−C30ヘテロアルケニル,C2−C30ヘテロアルキニル,C6−C30アリール,C7−C30アルキルアリール,C8−C30アルケニルアリール,C8−C30アルキニルアリール,およびC2−C30ヘテロアリールからなる群から選択される。L1が単結合である、請求項15に記載の生体適合性ポリマー。L4が単結合である、請求項15に記載の生体適合性ポリマー。L1が酸素(−O−)である、請求項15に記載の生体適合性ポリマー。L1が−R4−C(O)−O−である、請求項15に記載の生体適合性ポリマー。マクロマー性(macromeric)繰り返し単位をさらに含む、請求項15〜19のいずれか1項に記載の生体適合性ポリマー。以下の式の繰り返し単位を含む、生体適合性ポリマー: 式中: y1およびy2は、それぞれ独立して、0,1,2,3,または4であり; mおよびnは、それぞれ独立して、1から12の範囲の整数であり; X1およびX2は、各々でそれぞれ独立して、臭素(Br)またはヨウ素(I)であり; L1は、単結合,酸素(−O−),および−R4−C(O)−O−からなる群から選択され; R4は、単結合,C1−C30アルキル,C2−C30アルケニル,C2−C30アルキニル,C1−C30ヘテロアルキル,C2−C30ヘテロアルケニル,C2−C30ヘテロアルキニル,C6−C30アリール,C7−C30アルキルアリール,C8−C30アルケニルアリール,C8−C30アルキニルアリール,およびC2−C30ヘテロアリールからなる群から選択され; L2は、単結合または−R8−C(O)−であり; L4は、単結合,酸素(−O−),および置換されていてもよいフェノキシ(−C6H4−O−)からなる群から選択され;かつ R8は、単結合,C1−C30アルキル,C2−C30アルケニル,C2−C30アルキニル,C1−C30ヘテロアルキル,C2−C30ヘテロアルケニル,C2−C30ヘテロアルキニル,C7−C30ヘテロアルキルアリール,C8−C30ヘテロアルケニルアリール,C8−C30ヘテロアルキニルアリール,C7−C30アルキルアリール,C8−C30アルケニルアリール,C8−C30アルキニルアリール,およびC2−C30ヘテロアリールからなる群から選択される。L2が単結合である、請求項21に記載の生体適合性ポリマー。L2が−R8−C(O)−である、請求項21に記載の生体適合性ポリマー。L4が単結合である、請求項21に記載の生体適合性ポリマー。L1が単結合である、請求項21〜24のいずれか1項に記載の生体適合性ポリマー。L1が酸素(−O−)である、請求項21〜24のいずれか1項に記載の生体適合性ポリマー。L1が−R4−C(O)−O−である、請求項21〜24のいずれか1項に記載の生体適合性ポリマー。以下の式によって特徴づけられる、請求項21に記載の生体適合性ポリマー: 。以下の式によって特徴づけられる、請求項21に記載の生体適合性ポリマー: 。以下の式によって特徴づけられる、請求項21に記載の生体適合性ポリマー: 式中、R15=HまたはCH3である。マクロマー性(macromeric)繰り返し単位をさらに含む、請求項21〜30のいずれか1項に記載の生体適合性ポリマー。ヨウ素化されていてもよいチロソール繰り返し単位と、チロシンエチルエステル(TE),モノ−ヨウ素化TE(ITE),ジ−ヨウ素化TE(I2TE),デスアミノチロシン(DAT),モノ−ヨウ素化DAT(IDAT),ジ−ヨウ素化DAT(I2DAT),デスアミノチロシルチロシンエチルエステル(DTE),モノ−ヨウ素化DTE(IDTE),ジ−ヨウ素化DTE(I2DTE),N−デスアミノチロシルモノ−ヨウ素化チロシンエチルエステル(DITE),およびN−デスアミノチロシルジ−ヨウ素化チロシンエチルエステル(DI2TE)からなる群から選択される、第二の繰り返し単位との間に、カーボネート結合を含む、生体適合性ポリマー。以下の式によって特徴づけられる、請求項32に記載の生体適合性ポリマー: 。以下の式によって特徴づけられる、請求項32に記載の生体適合性ポリマー: 。マクロマー性(macromeric)繰り返し単位をさらに含む、請求項32〜34のいずれか1項に記載の生体適合性ポリマー。請求項1〜6および請求項15〜35のいずれか1項に記載の生体適合性ポリマーを含む、ポリマー組成物。請求項1〜6および請求項15〜35のいずれか1項に記載の生体適合性ポリマーを含む、医療装置。生物学的に活性な化合物をさらに含む、請求項37に記載の医療装置。前記生物学的に活性な化合物は、化学療法剤、非ステロイド性抗炎症剤、ステロイド性抗炎症剤、および創傷治癒剤からなる群から選択される、請求項38に記載の医療装置。ステントである、請求項37に記載の医療装置。

说明书全文

関連出願の相互参照 本出願は、2012年2月3日に提出された米国仮出願番号第61/594,380号および2012年11月14日に提出された米国仮出願番号第61/726,321号に対して米国特許法第119条(e)項に基づく優先権を主張するものであり、双方の開示は、全体として参照により本明細書中に組み込まれる。

発明の分野 本発明は、新規な生分解性および/または生体吸収性ポリマーを含む、生体適合性ポリマーの調製に有用な新しい種類の単量体フェノール化合物、およびこれらによって調製される生体適合性ポリマーに関する。これらのポリマーは、特に制限されないが、X線不透過性に適合し、医療装置用途および制御放出治療製剤に有用である。

発明の背景 急速に発展しているバイオエンジニアリングの分野では、物理的、機械的、化学的および生理学的特性を広範囲に選択できる、異なる型のポリマーのさまざまなライブラリの要求が生まれている。特定のポリマー特性が開発下の特定の用途の要求に最適に合致しうるように、多くの異なる材料のライブラリが使用できることが望ましい。

多様なバイオエンジニアリング用途に適したポリマーの例としては、米国特許第5,099,060号;第5,665,831号;第5,916,998号および第6,475,477号に記載のもの、ならびに米国特許公開第2006/0024266号および第2006/0034769に記載のポリマーが挙げられる。埋め込み型医療装置においては、例えば機械的な屈曲が繰り返されるような厳しい機械的条件下であっても、その完全性および性能特性を長期間維持することが望ましいと考えられる多数の用途がある。多くの型の生体吸収性および/または生分解性ポリマーが知られているが、これらのポリマーの大部分において、ジフェノール性単量体は、適切に保護された二つのチロシン分子またはチロシン類縁体を、アミド結合を介して連結することにより調製される。これらのアミド結合は、生理学的条件下、加分解によって分解せず、水溶性の低い単量体は非常にゆっくりと分解する。さらに、アミド水素の水素結合により、これらの単量体に由来するポリマーの溶融粘度は非常に高く、これによって熱的な処理工程がより難しくなる。加えて、生体吸収および/または生分解は、互いに必ずしも線形に関連していない、予想できない方向に機械的特性を変化させる傾向がある。

したがって、熱的条件下における良好な加工性と共に、望ましい生体吸収性および生分解性を有する生体適合性ポリマーが求められている。適度な生体浸食速度を有し、生物医学用途のための組織適合性材料として使用するのに適した、無毒性のポリアリーレート(polyarylates)が依然として求められている。

発明の概要 本発明は、所望の生体適合性ポリマーおよび移植可能な医療装置を作製するために有用なさまざまな型のポリマーの調製に有用である、新規な単量体を提供することにより、上記課題に対処する。

本発明は、ジフェノール性単量体およびこれらの単量体を用いて合成される生体内分解性ポリマーに広く関連する。種々の実施形態において、上記ジフェノール性単量体は、チロシンおよび/またはチロシン類縁体に由来する。特に、好ましい一実施態様において、本発明は、天然に存在する4−(2−ヒドロキシルエチル)フェノール(または「チロソール」)ならびにホスゲンおよび/または生体適合性ジカルボン酸に由来する、生体内分解性ポリカーボネートおよびポリアリーレートに関連する。

一実施態様において本発明は、式(I)の繰り返し構造単位を含む生体適合性ポリマーを提供する:

式中、Lは−R1−A−R2−であり; Aは以下から選択される連結基であり:

X1およびX2は、各々でそれぞれ独立してハロゲン(F,Cl,Br,またはI)であり; y1およびy2は、それぞれ独立して0,1,2,3および4から選択される値をとり; R1およびR2は、それぞれ独立して、直鎖または分岐の、飽和または不飽和の、置換または非置換の、12以下の炭素原子を含む、アルキレン,アルケニレン,アルキルアリーレンオキシ,ヘテロアルキレンおよびヘテロアルケニレンから選択され、前記アルキレン,アルケニレン,ヘテロアルキレンおよびヘテロアルケニレンは、O,NRzおよびSからそれぞれ独立して選択される、1つ、2つまたは3つのヘテロ原子を含んでいてもよいペンダントZ基を含んでいてもよく; R3は、水素,C1−C30アルキル,C1−C30ヘテロアルキル,C2−C30アルケニル,C2−C30アルキニル,C2−C30ヘテロアルケニル,C2−C30ヘテロアルキニルからなる群から選択され; R4は、単結合,C1−C30アルキル,C2−C30アルケニル,C2−C30アルキニル,C1−C30ヘテロアルキル,C2−C30ヘテロアルケニル,C2−C30ヘテロアルキニル,C6−C30アリール,C7−C30アルキルアリール,C8−C30アルケニルアリール,C8−C30アルキニルアリール,およびC2−C30ヘテロアリールからなる群から選択され; R4aは、C1−C30アルキル,C2−C30アルケニル,C2−C30アルキニル,C1−C30ヘテロアルキル,C2−C30ヘテロアルケニル,C2−C30ヘテロアルキニル,C6−C30アリール,C7−C30アルキルアリール,C8−C30アルケニルアリール,C8−C30アルキニルアリール,およびC2−C30ヘテロアリールからなる群から選択され; Zは、−N(Rx)C(=O)R5,−N(Rx)COOR6,−COOR7または−CONRxRyである(R5,R6,R7,RxおよびRyは、各々でそれぞれ独立して、水素,30以下の炭素原子を含む、アルキル,アリール,アルキルアリール,アリールアルキル,ヘテロアルキル,およびヘテロアルキルアリール基から選択され,ここで、前記ヘテロアルキル基は、O,NおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜10のヘテロ原子を含み、前記ヘテロアルキルアリール基は、O,NおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜3のヘテロ原子を含む)。一実施形態において、前記ヘテロアルキルおよび/またはヘテロアルキルアリール基中のヘテロ原子は、NRz基の形をとるNであり、ここで、Rzは、H,30以下の炭素原子を含む、C1−C30アルキル,およびアリールアルキルからなる群から選択される。

様々な実施形態において、式(I)中のAおよびLの定義中のRxは、アルキル基、例えば、分岐または非分岐のC1−C6アルキルである。例えば、一実施形態において、式(I)中のRxはメチルである。様々な実施形態において、R1およびR2は、それぞれ独立して、−(CH2)m−および−(CH2)n−であり、ここで、nおよびmは、それぞれ独立して、1から12の範囲の整数である。例えば、一実施形態において、R1は−(CH2)m−であり、R2は−(CH2)n−であり、かつnおよびmは、それぞれ独立して、1または2である。いくつかの実施形態において、R1は−O−(CH2)m−または−O−C6H4−(CH2)m−であり、ここで、前記−C6H4−は、置換されていてもよいフェニル(例えば、Brおよび/またはIといった1または2のハロゲンで置換されていてもよい)であり、nおよびmは、それぞれ独立して、1から12の範囲の整数である(例えば、1または2)。同様に、いくつかの実施形態において、R2は、それぞれ独立して、−(CH2)n−O−または−(CH2)n−C6H4−O−であり、ここで、前記−C6H4−は、それぞれ独立して、置換されていてもよいフェニル(例えば、Brおよび/またはIといった1または2のハロゲンで置換されていてもよい置換されていてもよい)であり、nおよびmは、それぞれ独立して、1から12の範囲の整数である(例えば、1または2)。

式(I)中のX1およびX2は、それぞれ独立して、任意のハロゲン原子となるように選択される。一実施形態において、式(I)中のX1およびX2は、それぞれIである。一実施形態において、式(I)中のX1およびX2は、それぞれBrである。いくつかの実施形態において、前記式(I)の繰り返し単位を含むポリマー上のX1およびX2基は、ヨウ素である。

当業者であれば、式(I)の繰り返し構造単位の両末端上の酸素原子の存在が、酸素−酸素結合を形成する繰り返し単位が末端間で連結していること(end-to-end linkage)を意味していないことを理解するであろう。代わりに、前記式(I)の繰り返し構造単位を含むポリマーは、1つ以上の他の繰り返し単位もまた含みうると理解される。例えば、他の実施態様において、本発明は、式(I)の繰り返し構造単位を含み、A1で表される繰り返し単位をさらに含むポリマーを提供する。かようなポリマーの例としては、式(II)の繰り返し構造を含む、ポリカーボネート、ポリアリーレート、ポリイミノカーボネート、ポリホスファゼンおよびポリリン酸エステルが挙げられる:

式中、L,X1,X2,y1,およびy2は、上記と同様に定義され;かつ、A1は、以下の連結基から選択される:

式中、R8は、単結合,C1−C30アルキル,C2−C30アルケニル,C2−C30アルキニル;C1−C30ヘテロアルキル,C2−C30ヘテロアルケニル,C2−C30ヘテロアルキニル,C7−C30ヘテロアルキルアリール,C8−C30ヘテロアルケニルアリール,C8−C30ヘテロアルキニルアリール,C7−C30アルキルアリール,C8−C30アルケニルアリール,C8−C30アルキニルアリール,およびC2−C30ヘテロアリールから選択され;かつ R9およびR10は、それぞれ独立して、H,C1−C30アルキル,C1−C30ヘテロアルキル,C2−C30アルケニル,C2−C30アルキニル,C2−C30ヘテロアルケニル,およびC2−C30ヘテロアルキニルから選択される。

他の実施態様において、本発明は、式(III)の下記一般的構造を有するジフェノール性単量体を提供する:

式中、L,X1およびX2,y1およびy2は、上記と同様に定義される。かような単量体は、以下で詳説される式(I)の繰り返し構造単位を含むポリマーの調製に有用である。

ある特定の実施態様において、本発明は、式(IV)の一般的構造を有するヒドロキシアルキルフェノールに由来するジフェノール性単量体を提供する:

式中、R1は上記と同様に定義される。R1は、好ましくは、C1−C12アルキレン、例えば、C1−C4アルキレンである。より好ましくは、R1は、エチレン(−CH2−CH2−)である。最も好ましくは、前記ヒドロキシアルキルフェノールは、以下の構造を有する、4−(2−ヒドロキシエチル)フェノールまたは2−(4−ヒドロキシフェニル)エタノール(または「チロソール」)である:

上記化合物は、オリーブオイルや白ワイン中に存在する天然物であり、抗酸化物質および心臓保護特性(cardio-protective properties)の両方を有することが示されている。チロソールのフェニル環はハロゲン化することができ、当業者であれば、本明細書中のチロソールに関する教示が、ハロゲン化された形態にも適用できることを理解するであろう。チロソールは、いくつかの方法で、ジフェノール性単量体、例えば、ジフェノール性エステルに変換することができる。チロソールは、デスアミノチロシン(DAT)またはN−保護されたチロシンとエステル化することができ、エステル結合を有するジフェノール性単量体を形成する。チロソールは、0.5モル当量のジカルボン酸とエステル化することもでき、必要に応じて、ポリマー鎖の柔軟性を制御するためにポリマーに導入されうるジフェノール性ジエステル単量体の類縁体を提供する。当業者であれば、ハロゲン化された環状化合物(例えば、ハロゲン化されたチロソール、ハロゲン化されたDATなど)を用いることにより、対応するハロゲン化されたポリマーをもたらすことを理解するであろう。

したがって、好ましい一実施形態において、本発明は、新しい種類である式(V)のジフェノール性単量体を提供する:

式中、L1は、単結合,酸素(−O−)または−R4−C(O)−O−であり、mおよびnは、それぞれ独立して、1から12の範囲の整数であり、L4は、単結合,酸素(−O−)または置換されていてもよいフェノキシ(−C6H4−O−)であり、かつX1,X2,y1,y2およびR4は、上記と同様に定義される。一実施形態において、R4は、飽和および不飽和の、置換および非置換の、18以下の炭素原子を含む、アルキレンおよびアルキルアリーレン基から選択される。他の実施形態において、mおよびnは、それぞれ独立して、1または2である。例えば、一実施形態は、式(Va)の単量体を提供する:

式中、L1,X1,X2,y1,およびy2は、上記で定義されたものと同様である。

かような単量体は、以下で詳説するように、ハロゲン化されていてもよいチロソールから調製することができる。

他の好ましい実施形態において、本発明は、新しい種類である式(VI)のジフェノール性単量体を提供する:

式中、X1,X2,y1,y2およびZは、上記で定義されたものと同様である。例えば、一実施形態において、Zは、−N(Rx)C(=O)R5または−N(Rx)COOR6であり、ここで、R5,R6,およびRxは上記で定義されたものと同様である。かような単量体は、以下で詳説するように、ハロゲン化されていてもよい2−(4−ヒドロキシフェニル)エタノールから調製することができる。

本明細書中、ジフェノール性単量体、例えば、式(III),(V)および(VI)は、ホスゲンを用いて重合されることで、ポリカーボネートを形成することができ、またはジカルボン酸と重合することで、ポリアリーレートを得ることができる。前記ジフェノール性単量体は、他のジフェノール(デスアミノチロシルチロシンエチルエステルなど)や、ポリ(エチレングリコール),ポリカプロラクトン−ジオール,ポリ(トリメチレンカーボネート),ポリラクチドおよび/またはポリグリコリド等の他のジヒドロキシル化合物と共重合させることができる。前記ポリマーは、フェニル環上にハロゲン、特にヨウ素および/または臭素原子を導入することで放射線−不透過性とすることができる。他のハロゲン化されていてもよいフェノール性アルコールは、チロソールの代わりに用いることができ、他のハロゲン化されていてもよい芳香族カルボン酸は、DATの代わりに用いることができる。

本明細書中で開示される単量体を用いて調製される好ましい生体適合性ポリマーは、以下の式(VII),(VIIa),(VIII),および/または(VIIIa)の繰り返し構造単位を有するポリマーを含む:

式中、L2は単結合または−R8−C(O)−であり、かつ、m,n,L1,L4,X1,X2,y1,y2およびR8は、上記と同様に定義される。一実施形態において、R4(L1の定義中の)およびR8(L2の定義中の)は、それぞれ独立して、飽和および不飽和の、置換および非置換の、18以下の炭素原子を含む、アルキレンおよびアルキルアリーレン基から選択される。

当業者であれば、芳香環が置換される形式および程度に応じて、本明細書中に開示されるポリマーが種々の構造をとりうることを理解するであろう。例えば、以下の式(VIIIb),(VIIIc),(VIIId),および(VIIIe)は、式(VIII)の繰り返し単位を含むポリマーの種々の実施形態を説明し、ここで、式(VIII)において、X1およびX2は、Brであり、y1およびy2は、1であり、L1は、Oであり、かつL2は単結合である:

驚くべきことに、アミド結合をエステル結合に置換することで、吸収性および加工性の論点の1つまたは両方が解決されうることが見いだされた。第一に、エステル結合は、加水分解的に開裂して水溶性のフラグメントを生じさせ、その結果、ポリマーの再吸収率を増加させる。第二に、アミド水素の濃度(level)が減少すると、ポリマーの溶融粘度が低くなる傾向があり、結果として、熱的な製造を容易にする。

他の実施態様において、本発明は、本明細書中に記載の生体適合性ポリマーを含むポリマー組成物を提供する。

他の実施態様において、本発明は、本明細書中に記載の生体適合性ポリマーを含む医療装置を提供する。好ましい実施形態において、前記医療装置は、ステントである。

ここで、式(I)の繰り返し単位を含むポリマーを製造する方法もまた提供される。一実施形態において、前記ポリマーの製造方法は、対応する単量体の合成中に、N−置換基を導入することを含む。一実施形態において、前記ポリマーの製造方法は、対応する単量体の重合中に、N−置換基を導入することを含む。一実施形態において、前記ポリマーの製造方法は、対応する単量体の重合後に、N−置換基を導入することを含む。式(I)の繰り返し単位を含むポリマーの製造方法は、さらに以下で詳説する。

これら実施形態および他の実施形態を以下で詳説する。

発明の詳細な説明 比較的毒性のない単量体の出発原料を用いて製造され、汎用性が高く、成形可能である、生分解性および生体適合性ポリマーの必要性を満たすため、本願は、種々の単量体およびこれら単量体から調製されるポリマーを開示する。

したがって、一実施形態において、本発明は、Lが−R1−A−R2−であり、Aが上記の種々の連結基のいずれかである、式(I)の繰り返し構造単位を含むポリマーを提供する。当業者であれば、左右非対称であるとき、上記で説明された「A」基のいずれかとして、表記された置換基は示された式に限定されるものではなく、配置が公知の化学結合原理に反しないような場合、式の対応する鏡像もまた含むと理解するであろう。例えば、以下の置換基が、上記に開示された式のいずれかに適合する場合、

と示された置換基は、

もまた含み、さらに

と示された置換基は、

もまた含む。同様の非対称性が存在する場合、同様の原理が本明細書中に開示された式、またはその部分のいずれかに適用される。本願において開示されたすべての式は、単に例示として示されたものであり、限定することを意図するものではない。

他の実施態様において、本発明は、上記のような式(II)の繰り返し構造を含む、ポリカーボネート,ポリアリーレート,ポリイミノカーボネート,ポリホスファゼンおよびポリリン酸エステルといったポリマーを提供する。式(II)において、Lは、−R1−A−R2−であり、AおよびA1は、上記においてAおよびA1としてそれぞれ定義された種々の連結基のいずれかの任意の組み合わせとすることができる。同様の原理が本明細書中に開示された種々の単量体および繰り返し構造単位の他の部分又は置換基に適用される。したがって、本開示は、そのようなすべての組み合わせを記載することを意図している。

本発明の他の実施態様は、重合され、ポリカーボネートまたはポリアリーレートを形成することができるジフェノール性単量体を提供する。本発明の実施態様によって提供される前記単量体は、上記式IIIの構造を有するジフェノール性化合物であり、いくつかの実施形態において、チロシンまたはチロソール誘導体であると考えることができる。

他の実施態様において、本発明は、式(Ia)の繰り返し構造を含むポリマーを提供する:

式中: iおよびjは、それぞれ独立して、ゼロ(0)または1から6から選択される整数であり; X1,X2,y1,およびy2は、上記と同様に定義され; Q1およびQ2は、各々でそれぞれ独立して、水素,ハロゲンであるか、またあるいは、二つの隣接するQ1’またはQ2’は単結合を形成し; L3は、酸素(O)または−NRx−であり、ここで、Rxは、上記で定義されたものと同様であり; Z1は、水素,−C(O)OR7または−C(O)NRxRyであり、ここで、R7,RxおよびRyは、上記で定義されたものと同様であり; Z2は、水素,−N(Rx)C(=O)R5または−N(Rx)COOR6であり、ここで、R5,R6,およびRxは、上記で定義されたものと同様である。

他の実施態様において、本発明は、式(IIa)の繰り返し構造を含むポリマーを提供する:

式中、i,j,y1,y2,X1,X2,Q1,Q2,Z1,Z2,L3およびA1は、上記で定義されたものと同様である。

他の実施態様において、本発明は、式(Ib)の繰り返し構造を含むポリマーを提供する:

式中、i,j,y1,y2,X1,X2,Z1,Z2,およびL3は、上記で定義されたものと同様である。

他の実施態様において、本発明は、式(IIb)の繰り返し構造を含むポリマーを提供する:

式中、i,j,y1,y2,X1,X2,Z1,Z2,L3およびA1は、上記で定義されたものと同様である。

一実施形態において、本発明は、有用なポリアリーレートを、チロソール−由来のジフェノール化合物から調製することができるという発見に立脚している。例えば、一実施形態において、本発明は、式(IIc)の繰り返し構造を含むポリマーを提供する:

式中、i,j,y1,y2,X1,X2,Z,およびA1は、上記で定義されたものと同様である。一実施形態において、Zは、水素,−N(Rx)C(=O)R5,または−N(Rx)COOR6であり、ここで、R5,R6,およびRxは、上記で定義されたものと同様である。

他の実施態様において、本発明は、式(Ic)の繰り返し構造を含むポリマーを提供する:

式中、i,j,y1,y2,X1,X2,Z1,Z2,およびL3は、上記で定義されたものと同様である。

他の実施態様において、本発明は、構造(IId)の繰り返し単位を含むポリマーを提供する:

式中、i,j,y1,y2,X1,X2,Z1,Z2,L3およびA1は、上記で定義されたものと同様である。

本実施態様の様々な実施形態において、A1は、上記のA1連結基のいずれかであり;iは、1または2であり;および/またはjは1または2である。

他の実施態様において、本発明は、構造(Id)の繰り返し単位を含むポリマーを提供する:

式中、X1,X2,y1,およびy2は、上記と同様に定義される。一実施形態において、X1およびX2は、それぞれ独立してBrまたはIであり;かつ、y1およびy2は、それぞれ独立して0,1,または2である。

他の実施態様において、本発明は、少なくとも第一のポリマー構成要素および第二のポリマー構成要素を含む、生体適合性ポリマー組成物を提供する。一実施形態において、前記第一のポリマー構成要素は、上記式(Ic)の第一の繰り返し単位を複数(n)(a number (n) of)含み、かつ、前記第二のポリマー構成要素は、式(IX),式(X),式(XI),および式(XII)からなる群から選択される式を有する繰り返し単位を含む:

式中、X3,X4,X5,X7,X8,X9,X10,X11,X12およびX13は、それぞれ独立して、O,SおよびNR11からなる群から選択され、ここで、R11は、水素および1〜30の炭素原子を含むアルキル基から選択され; Ar1およびAr2は、ハロゲン,ハロメチル,ハロメトキシ,メチル,メトキシ,チオメチル,ニトロ、スルホキシド,およびスルホニルからなる群からそれぞれ独立して選択される、1〜4つの置換基で置換されていてもよいフェニル環であり; R12およびR13は、それぞれ1〜10の炭素原子を含み、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキレン,置換されていてもよいヘテロアルキレン,置換されていてもよいアルケニレン,および置換されていてもよいヘテロアルケニレンからなる群から選択され; 式(XII)中、およびhは、それぞれ独立して、約1〜約500の範囲の整数であり;かつ DおよびD1は、24以下の炭素原子を含み、それぞれ独立して置換されていてもよいアルキレン,置換されていてもよいヘテロアルキレン,置換されていてもよいアルケニレンおよび置換されていてもよいヘテロアルケニレンからなる群から選択され; または、式(IX)中、D,X8およびX9は、HX8-D-X9Hがヒドロキシル末端封止マクロマー,メルカプト末端封止マクロマーまたはアミノ末端封止マクロマーを定義するように選択され; または、式(XI)中、D1,X3およびX4は、HX3-D1-X4Hがヒドロキシル末端封止マクロマー,メルカプト末端封止マクロマーまたはアミノ末端封止マクロマーを定義するように選択される。

本実施態様の好ましい実施形態において、前記第一のポリマー構成要素は、上記式(Id)の繰り返し単位を含む。

他の実施態様において、本発明は、本明細書中開示された、任意の繰り返し単位を2以上含む共重合体を提供する。例えば、一実施形態において、前記ポリマーは、式(I),式(Ia),式(Ib),式(Ic),式(Id),式(II),式(IIb),式(IIc),式(IId),式(VII),式(VIII),式(VIIIa),式(VIIIb),式(VIIIc),式(VIIId),式(VIIIe),式(IX),式(X),式(XI),式(XII),式(XIII),式(XIV),式(XV),式(XVIa),式(XVIb),および式(XVIc)によって表される繰り返し単位の群から選択される、2以上の繰り返し単位を含む。他の実施形態において、前記ポリマーは、本明細書中に開示された任意の2以上の単量体の重合によって得られる、少なくとも2つの繰り返し単位を含む。例えば、一実施形態において、前記ポリマーは、式(III),式(IV)(チロソール),式(V),式(VI)によって表される単量体、チロシンエチルエステル(TE),モノ−ヨウ素化TE(ITE),ジ−ヨウ素化TE(I2TE),デスアミノチロシン(DAT),モノ−ヨウ素化DAT(IDAT),ジ−ヨウ素化DAT(I2DAT),デスアミノチロシルチロシンエチルエステル(DTE),モノ−ヨウ素化DTE(IDTE),ジ−ヨウ素化DTE(I2DTE),N−デスアミノチロシルモノ−ヨウ素化チロシンエチルエステル(DITE),およびN−デスアミノチロシルジ−ヨウ素化チロシンエチルエステル(DI2TE)の群から選択される、2以上の単量体の共重合によって得られる、2以上の繰り返し単位を含む。

例えば、一実施形態は、Lが−R1−A−R2−であり、R1およびR2が−(CH2)2−であり、Aが

であり、A1

である、式(II)の繰り返し単位を含む、以下の式(XIII)によって表されるようなポリマーを提供する:

一実施形態において、前記ポリマーは、チロソール繰り返し単位および式(II)の繰り返し単位を含む共重合体である。かような繰り返し単位を含む共重合体の一例は、以下の式(XIIIa)および(XIIIb)によって表される:

一実施形態において、前記ポリマーは、以下の式によって特徴づけられる:

他の実施形態において、前記ポリマーは、以下の式によって特徴づけられる:

当業者であれば、式(XIIIa)および(XIIIb)の繰り返し単位を含むポリマーは、チロソール繰り返し単位、並びに、Lが−R1−A−R2−であり、R1およびR2が−(CH2)2−であり、Aが

であり、A1

である、式(II)の繰り返し単位を含むことを理解するであろう。

当業者であれば、式(XIIIb)について、X1およびX2がIであり、y1およびy2が2であり、かつR4aが−(CH2)3−であることもまた理解するであろう。

当業者であれば、式(XIIIa)および(XIIIb)の2つの繰り返し単位が、ポリマー分子中、様々な可能な配置で現れうることを理解するであろう。説明のために式(XIIIb)を用いるが、理論に束縛されることを意図するものではなく、重合反応条件に依存して、PrD−ジI2DATカーボネートおよびチロソールカーボネート繰り返し単位は、任意の順序で配列されうる。すなわち、2つの隣接するユニット(units)は、「PrD−ジI2DAT-PrD−ジI2DAT」,「PrD−ジI2DAT-チロソール」,または「チロソール-チロソール」を含みうる。チロソールの非対称な構造により、その「頭(head)」(すなわち、「フェノキシ」部分)または「尾(tail)」(すなわち、「エチレンオキシ」部分)のいずれかを用いてPrD−ジI2DATユニットと結合することができる。チロソール自体によって形成される、任意の2つの隣接するユニットは、「頭(head)−頭(head)」、「頭(head)−尾(tail)」および「尾(tail)−尾(tail)」配列のいずれかでありうる。特に、重合反応が実施例12に開示されたような方法で行われる場合、PrD−ジI2DATおよびチロソールの混合物にトリホスゲンを加えると、ポリ(PrD−ジI2DAT−コ−チロソールカーボネート)生成物は、主として、カーボネート(−OC(O)O−)連結基を介してランダムに配向して連結されたPrD−ジI2DATおよびチロソール繰り返し単位を有するポリマー分子からなる。特にことわりのない限り、上記式(XIIIa)および(XIIIb)並びに以下の式(XVIa),(XVIb)および(XVIc)のような、−[A]−[B]−と表された任意の繰り返し単位は、ここで説明したすべての可能な配置を含む。

発明の他の実施態様において、前記ポリマーは、天然に存在しない主鎖を含む。代わりにおよび/またはそれに加えて、前記ポリマーは、少なくとも1つのアミノ酸誘導体を含む主鎖を有してもよい。

本明細書中に開示された繰り返し単位を含むポリマーは、任意の数の他の繰り返し単位と共重合されうる。一実施形態において、式(I),式(Ia),式(Ib),式(Ic),式(Id),式(II),式(IIb),式(IIc),式(IId),式(VII),式(VIII),式(VIIIa),式(VIIIb),式(VIIIc),式(VIIId),式(VIIIe),式(IX),式(X),式(XI),式(XII),および/または式(XIII)のいずれか1つ以上の繰り返し単位を含むポリマーは、式(XIV)の繰り返し単位をさらに含む:

式中: 式(XIV)中のBは、−O−((CHR)p−O)q−であり; それぞれのRは、それぞれ独立してHまたはC1〜C3アルキルであり; pおよびqは、それぞれ独立して、約1〜約100の整数であり;かつ A1は、それぞれ任意の他のA1から独立して、上記で定義されたものと同様である。

好ましい実施形態において、式(XIV)は、ポリエチレングリコール(PEG)繰り返し単位(R=Hかつp=2),ポリプロピレングリコール(PPO)繰り返し単位(p=2であり、かつ、2つの隣接するR’はそれぞれHおよびCH3である)および/またはポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)繰り返し単位(R=H,q=1,p=3かつA1=

)を含む。

本発明の種々のポリカーボネートおよびポリアリーレートは、出発原料としてチロソールに由来するジフェノール化合物を用いる。ポリカーボネートまたはポリアリーレートの形成に適した、チロソール由来のジフェノール単量体化合物の例は、上記のように定義された式(III)によって示される構造を有する。

前記ポリマーは、加水分解し、元のジフェノールおよび二塩基酸(diacid)を放出し、その結果、単量体の出発原料は毒性がないことを条件として、毒性のない分解生成物を生成すると期待される。ポリアリーレートに関する毒物学的な懸念事項は、チロソールに由来するジフェノールおよびホスゲンまたは代謝物もしくは生体適合性の高い化合物である、ジカルボン酸を用いることで満たされる。

したがって、本発明の他の実施態様は、本発明のポリマーから調製される成形品を提供する。

上記に基づいて、本明細書中に開示される生体適合性ポリマーのある実施形態において、A1は、

の構造を有するカルボニル基であり、ここで、前記カルボニル基は、ホスゲン出発原料に由来する。この方法は、基本的に、ジオールをポリカーボネートに重合する従来の方法である。適切な工程、関連する触媒および溶媒は、当該分野で公知であり、例えば、Schnell, Chemistry and Physics of polycarbonates, (Interscience, New York 1964)において教示されており、その教示は、参照により本明細書中に引用される。本発明のポリカーボネートおよび他のホスゲン由来のポリマーを調製するための使用に適用することができる他の方法は、米国特許番号6,120,491および6,475,477に開示されており、その開示は、参照により引用される。

本明細書中に開示されるポリマーの他の実施形態において、A1は、カルボン酸出発原料または単量体に由来する繰り返し単位である、構造:

を有する基である。前記ポリマーを形成するために用いられる単量体がジフェノールである場合、当該ジフェノールは、米国特許番号5,216,115に開示された、4−(ジメチルアミノ)ピリジニウム−p−トルエンスルホン酸(DPTS)を触媒として用いるカルボジイミド仲介プロセスにおいて脂肪族または芳香族ジカルボン酸と反応することができる。米国特許番号5,216,115に開示された内容は、特に重合方法を開示する目的で参照により引用される。この方法は、−O−C(=O)−R8−C(=O)−O−連結基を有するポリマーを形成する。R8は、出発原料として用いられるジカルボン酸が、天然に存在する重要な代謝物であるか、または生体適合性の高い化合物となるように選択されうる。したがって、脂肪族ジカルボン酸出発原料は、クレブス回路(Krebs Cycle)として知られる細胞呼吸経路の中間ジカルボン酸を含む。ジカルボン酸は、α−ケトグルタル酸,コハク酸,フマル酸およびオキサロ酢酸(R8はそれぞれ、−CH2−CH2−C(=O)−,−CH2−CH2−,−CH=CH−および−CH2−C(=O)−でありうる)を含む。

さらに、天然に存在する他の脂肪族ジカルボン酸は、アジピン酸(R8は−(CH2)4−である)であり、ビートジュース中で発見される。さらに他の生体適合性の脂肪族ジカルボン酸は、セバシン酸(R8は−(CH2)8−である)である。セバシン酸は、広く研究されており、Laurencin et al., J. Biomed. Mater. Res., 24, 1463-81 (1990)によって、ポリ(ビス(p−カルボキシフェノキシ)プロパン−コ−セバシン酸無水物)の臨床評価の一環として、毒性がないことが見いだされている。

他の生体適合性の脂肪族ジカルボン酸は、シュウ酸(R8は単結合である),マロン酸(R8は−CH2−である),グルタル酸(R8は−(CH2)3−である),ピメリン酸(R8は−(CH2)5−である),スベリン酸(R8は−(CH2)6−である)およびアゼライン酸(R8は−(CH2)7−である)を含む。したがってR8は、−(CH2)n−を表しうるものであり、ここで、nは、0〜8である。中でも、適切な芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸,イソフタル酸,およびビス(p−カルボキシ−フェノキシ)プロパンといったビス(p−カルボキシ−フェノキシ)アルカンである。

好ましいポリマーは、本明細書中に開示された繰り返し単位を含み、例えば、式(I),式(Ia),式(Ib),式(Ic),式(Id),式(II),式(IIb),式(IIc),式(IId),式(VII),式(VIII),式(VIIIa),式(VIIIb),式(VIIIc),式(VIIId),式(VIIIe),式(IX),式(X),式(XI),式(XII),式(XIII),式(XIV),式(XV),式(XVIa),式(XVIb),および式(XVIc)で表される繰り返し単位の群から選択される繰り返し単位を含む。好ましいポリマーは、ジカルボン酸,ハロゲン化された(例えば、ヨウ素化または臭素化された)デスアミノチロシル−チロシンの誘導体およびポリ(アルキレングリコール)から選択された構造単位の誘導体の組み合わせを含んでいてもよく、ステントを含む医療装置の製造における使用に適した望ましい物理機械的および物理化学的特性を示す。例えば、本発明の好ましい実施形態に従って開示されるステントは:(a)従来のX線蛍光透視法によって可視化されうる程度に十分に放射線不透過性であり;(b)動脈または周囲の組織内における医学的なレベルの半径方向の圧縮を支えるのに十分な強度を有し;および/または(c)異なる長さの時間のための、または治療薬の溶出のためのステントの存在を必要とする種々の用途に対する要求を満たすように調節されうる所望の再吸収プロファイルを有する。

例えば、本発明の好ましい一実施形態に従って、均一なポリマー、共重合体およびその混合物を含む、本質的に放射線不透過性であり、生体適合性の生体吸収性ポリマーを含む、医療装置が開示される。ここで、前記ポリマーは、式(XV)の繰り返し単位の1以上を含む:

式中: X1,X2,y1,y2,L,B,およびA1は、それぞれ独立して、上記定義と同様であり;かつ a,bおよびcは、0〜1の範囲であってもよく、このとき、正規化された和はa+b+c=1である。

好ましくは、式(XV)中のX1,X2,y1,およびy2は、X1およびX2が、前記ポリマーを放射線不透過性とするのに有効な量で存在するように選択される。例えば、一実施形態において、式(XV)中のy1およびy2の和は、少なくとも1である。他の実施形態において、式(XV)中のBは、脂肪族の直鎖のまたは分岐のジオールまたはポリ(アルキレングリコール)ユニットである。

好ましい共重合体の例は、以下の、式(XVIa),(XVIb)および(XVIc)の共重合体を含む:

以下の例に開示されるように、米国特許番号6,475,477において詳説されるような従来の方法によって芳香環のハロゲン化が行われてもよく;その全体が参照により、特に、単量体をハロゲン化する方法を開示する目的で本明細書中に組み込まれる。好ましいポリマーは、得られるポリマーを放射線不透過性とするために、十分にハロゲン化され、例えば、本明細書中に開示された式のいずれかにおいて、y1およびy2は、それぞれ独立して0,1,2,3または4であってもよい。芳香環をハロゲン化することが好ましい。一実施形態において、y1およびy2の和は、少なくとも1である。ポリマー中の種々の他の置換基もまた、ハロゲン化されてもよい。

驚くべきことに、アミド結合をエステル結合に置換した後、鎖間の水素結合を減少させることが期待されるが、様々な実施形態において得られるポリマーは、より高いガラス温度および溶融温度を有することが見いだされた。チロソール由来の単量体から調製される種々のポリマーが、半結晶性であり、高い強度の応用に適した機械的強度を有していることもまた、予想外である。

単量体およびポリマー合成 本明細書中に開示されたポリマー(例えば、式(I),式(Ia),式(Ib),式(Ic),式(Id),式(II),式(IIb),式(IIc),式(IId),式(VII),式(VIII),式(VIIIa),式(VIIIb),式(VIIIc),式(VIIId),式(VIIIe),式(IX),式(X),式(XI),式(XII),式(XIII),式(XIV),式(XV),式(XVIa),式(XVIb)および式(XVIc)によって表される繰り返し単位の群から選択される繰り返し単位を含むポリマー)は、当該技術分野で公知である、各種の従来の反応によって合成されうる。

例えば、前記ジフェノール性単量体化合物は、DPTSを触媒として用いるカルボジイミド−仲介直接ポリエステル化において、脂肪族または芳香族ジカルボン酸と反応させることができ、脂肪族または芳香族ポリアリーレートを形成する。ポリアリーレートを形成するための重合に適したジカルボン酸の例は、式(XVII)の構造を有する:

ここで、脂肪族ポリアリーレートとしては、R14は、飽和および不飽和の、置換および非置換の、18以下の炭素原子、好ましくは2〜12の炭素原子を含むアルキルまたはアルキルアリール基から選択される。芳香族ポリアリーレートとしては、 R14は、18以下の炭素原子、好ましくは6〜12の炭素原子を含む、アリール基から選択される。いくつかの実施形態において、R14は、R8に係る上記定義と同様に定義される。

R14は、出発原料として採用されるジカルボン酸が、重要な天然に存在する代謝物であるか、または生体適合性の高い化合物となるように選択されると好ましい。好ましい脂肪族ジカルボン酸出発原料の例は、本明細書の他の部分に開示されている。

前記ポリアリーレートは、縮合剤としてアリールスルホニルクロライドを用いる、Higashi et al., J. Polym. Sci.: Polym. Chem. Ed., 21, 3233-9 (1983)に開示された方法、縮合剤としてジフェニルクロロホスフェートを用いる、Higashi et al., J. Polym. Sci.: Polym. Chem. Ed., 21, 3241-7 (1983)の方法、縮合剤としてピリジンと共にチオニルクロライドを用いる、Higashi et al., J. Polym. Sci.: Polym. Chem. Ed., 24, 97-102 (1986)の方法、またはトリエチルアミンと共にチオニルクロライドを用いる、Elias, et al., Makromol. Chem., 182, 681-6 (1981)の方法によっても調製することができる。好ましいポリエステル化の方法は、特別に設計された触媒DPTSと共に、縮合剤としてカルボジイミド カップリング剤を利用する、Moore et al., Macromol., 23, 65-70 (1990)によって開示された方法である。

特に好ましいポリエステル化技術は、過剰量のカルボジイミドカップリング剤を利用するため、Mooreの方法を修飾する。本方法は、Mooreにより得られたものよりも大きな分子量を有する脂肪族ポリアリーレートを製造する傾向がある。ペプチド化学において一般的にカップリング剤として用いられる、本質的に任意のカルボジイミドを前記好ましいポリエステル化工程において縮合剤として用いることができる。かようなカルボジイミドは、公知であり、Bodanszky, Practice of Peptide Synthesis (Springer-Verlag, New York, 1984)に開示されており、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド,ジイソプロピルカルボジイミド,1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩,N−シクロヘキシル−N’−(2’−モルフォリノエチル)カルボジイミド−メト−p−トルエンスルホン酸塩,N−ベンジル−N’−3’−ジメチル−アミノプロピル−カルボジイミド塩酸塩,1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドメチオジド,N−エチルカルボジイミド塩酸塩などが挙げられる。好ましいカルボジイミドは、ジシクロヘキシルカルボジイミドおよびジイソプロピルカルボジイミドである。

エステル化反応の混合物は、ジフェノールおよびジカルボン酸について、一般的に、等モル量のジフェノールおよびジカルボン酸を溶媒中で直接接触させることによって得ることができる。適した溶媒としては、塩化メチレン,テトラヒドロフラン,ジメチルホルムアミド,クロロホルム,四塩化炭素およびN−メチルピロリジノンが挙げられる。デスアミノチロシルチロシンエチルエステルおよびコハク酸といったわずかに溶解性のある単量体の重合は、一般的に、溶媒量を増やすとより分子量の大きいポリマーを与えることになるが、ポリエステル化反応の開始前に、全ての試薬を完全な溶液にする必要はない。反応混合物は、反応物の部分的な溶解を助けるため、穏やかに加熱してもよい。

前記ポリアリーレートは、有益な物理的および化学的特定を有する、種々の有用な製品を製造するため、合成ポリマーの分野において一般的に採用される公知の方法によって後処理(work up)および単離をすることができ、すべて組織適合性の単量体から誘導することができる。有用な製品は、押出成形、圧縮成形、射出成形等といった、従来のポリマー−形成技術によって成形することができる。前記ポリアリーレートから作製された成形品は、とりわけ、医療用インプラント用途のための分解性バイオマテリアルとして有用である。かような用途としては、既知の時間内に無害で分解する、血管移植片およびステント、骨プレート、縫合糸、移植可能なセンサー、外科癒着防止のためのバリア(barriers)、移植可能な薬剤運搬デバイス、並びに他の治療用補助器具および製品としての成形品の使用が挙げられる。

合成スキーム1〜4は、式(I)の繰り返し単位を含むポリマーの作製に有用である、さまざまな種類のフェノール性単量体の調製を説明する。本明細書中の開示によって導かれる当業者であれば、これらの合成スキームが、上記で適宜されたような−N(Rx)C(=O)R5,−N(Rx)COOR6,−COOR7および/または−CONRxRyといったペンダント側鎖を含むフェノール性単量体を調製するために容易に適用されうることを理解するであろう。

当業者によって理解されるように、スキーム 3において説明されるような、チロソールまたはその類縁体と、ホスゲンまたはトリホスゲンとの反応は、採用された反応条件に依存して、カーボネート(−OC(O)O−)基によって連結された3種類の二量体(すなわち、「頭−頭」、「尾−尾」および「頭−尾」)の混合物および/または対応するポリマーを与えるであろう。したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、実施例17において説明されるような、制御された条件下における、これら特定の二量体およびポリマーの調製を提供する。

合成スキーム1〜10において、X1,X2,y1,y2,R4,R4aおよびR8は、上記で定義されたものと同様である。本明細書中に開示される単量体およびポリマーの様々な実施形態において、R4,R4aおよびR8は、それぞれ独立して、C1−C30アルキル、例えば、C1−C6アルキル,C1−C8アルキル,C1−C10アルキルなどである。当業者であれば、本明細書中に与えられる種々の式およびスキームにおいて、示された構造が対称的であるとき、変数(例えば、それぞれ、X1およびX2、並びにy1およびy2)が互換的に用いられうる範囲を認識するであろう。したがって、X1(およびX2)は、ハロゲンであってもよく、各々でそれぞれ独立して、ヨウ素、臭素、塩素およびフッ素から選択されうる。好ましくは、ハロゲンはヨウ素または臭素である。ハロゲン化は、当技術分野において従来公知の反応によって行うことができる。例えば、ヨウ素化は、アリール環上で、銅塩の存在下、KI,ICI,IF,ジクロロよう素酸ベンジルトリメチルアンモニウム,またはI2と処理することにより行われてもよい。同様に、臭素化は、アリール環上で、鉄等の触媒の存在下、臭素と処理することにより行われてもよい。他の臭素化試薬としては、HOBrおよび臭素アミド(bromo amides)が挙げられる。上記合成スキームは、説明の目的で簡素化されている。例えば、スキーム5といった、当業者に公知である同様の合成戦略を用いて、多くの変異体を得ることができる。

前記酸とアルコールとのカップリングは、当該分野において公知である、従来の反応によって行ってもよい。反応物の活性化のため、EDCI,HBTU,HOBtなどを含む標準のカップリング剤を用いてもよい。これらのポリマーの合成例は、以下の合成スキーム6〜9において説明される。

いくつかの実施形態において、本明細書中に開示されるポリマーは、リンを含む。これらポリマーの多様性は、反応の多様性で知られる、リン原子の多様性に由来しうるものである。その結合は、3p軌道または種々の3s−3p混成を含みうるものであり;接近可能であることから、spd混成もまた可能である。したがって、RまたはR’基を変化させることで、ポリ(リン酸エステル)の物理化学的特性は、容易に変更しうる。ポリマーの生分解性は、主として、ポリマーの主鎖中の、生理学的に反応しやすいリン酸エステル結合によるものである。主鎖または側鎖を操作することにより、幅広い範囲の生分解速度が達成可能である。

当業者が認識するように、単量体が、重合のための2つの等しいまたは類似の反応性官能基を持つ、非対称な構造を有する場合、形成される前記ポリマーは、主に、単量体のユニットを無秩序な順序で含みうる。かような例としては、上記スキーム6〜9において説明される重合反応が挙げられるが、これらに限定されない。

以下の合成スキーム10〜11は、それぞれ、ポリ(ホスホン酸塩)およびポリ(リン酸塩)の合成を説明する。

スキーム10〜13において、XはClまたはBrであり、かつ、X1,X2,y1,y2,L,R9およびR10は、上記で定義されたものと同様である。例えば、ポリ(リン酸塩)は、以下の合成スキーム12に従って、ホスホジクロリダート(phosphodichloridate)とジオールとの間の脱塩化水素化によって調製されうる。

ポリ(ホスホン酸塩)は、適切に置換されたジクロライドとジオールとの同様の縮合によって調製されうる。

ポリ(亜リン酸塩)は、二段階縮合反応において、グリコールから調製されうる。20%モル過剰のジメチル亜リン酸塩を用いてグリコールと反応させると好ましく、その後、オリゴマー中のメトキシホスホニル末端基を高温で除去する。溶融重縮合の利点は、溶媒や多量の他の添加剤を使用しなくてよいことであり、したがって、精製がより容易となる。また、合理的に高分子量のポリマーも提供されうる。重合は、溶液中で行われてもよい。クロロホルム、ジクロロメタンまたはジクロロエタンといった、塩素化された有機溶媒が用いられうる。高分子量を達成するために、溶液重合は、等モル量の反応剤の存在下で行うと好ましく、化学量論量の酸受容体またはルイス酸−型触媒の存在下で行うとより好ましい。有用な酸受容体としては、ピリジンまたはトリエチルアミンといった三級アミンが挙げられる。有用なルイス酸−型触媒の例としては、塩化マグネシウムおよび塩化カルシウムが挙げられる。生成物は、非溶媒における沈殿によって溶液から単離し、例えば、希HClなどの酸性水溶液と共に洗浄するなどの、当業者に知られた従来の方法により、塩酸塩を除去して精製してもよい。

ハロゲン化されたフェノール性単量体は、合成スキーム13において説明されるように、ポリイミノカーボネートを形成するために重合されてもよい。

ポリイミノカーボネートは、構造的にポリカーボネートに関連する。ポリイミノカーボネートは、ポリカーボネート中のカルボニル酸素によって一般的に占められる場所にイミノ基を有している。したがって、ポリイミノカーボネートは、以下の式に従った連結基を有する:

イミノカーボネート連結基を包含することにより、前記ポリマーに対し、加水分解の不安定性をかなりの程度与えうる。前記ポリイミノカーボネートは、対応するポリカーボネートと同程度の、望ましい機械的特性を有する。

本明細書中に開示された出発原料は、市販されているか、公知であるか、または当該分野において公知の方法により調製されうる。加えて、本明細書中に開示されていない出発原料は、市販されているか、公知であるか、または当該分野において公知の方法により調製されうる。

出発原料は、対応する置換基を備えた所望の生成物を最終的に与えるため、適切な置換基を有していてもよい。あるいは、置換基は、対応する置換基を備えた所望の生成物を最終的に得るために、合成の任意の時点で加えられてもよい。

本明細書中に開示された合成スキームは、好ましい実施形態の化合物を調製するために用いられうる方法を示す。当業者であれば、好ましい実施形態の化合物を合成するために、多くの異なる合成反応スキームが用いられうることを理解するであろう。さらに、当業者は、同様の結果を得るために、多くの異なる溶媒、カップリング剤、および反応条件が合成反応において用いられうることを理解するであろう。

当業者は、配列の変化を理解し、さらに、開示され、またはそうでなければ知られた、好ましい実施形態の化合物を調製するための上記工程において適切に用いられうる類縁体反応からの適切な反応条件の変化を理解するであろう。

本明細書中に開示される、好ましい実施形態の化合物を調製するための工程において、保護基に対する要求は、有機化学分野の当業者によって一般的によく認識されるものであり、したがって、適切な保護基の使用は、そのような基が明示的に示されていなくても、本明細書中のスキームの工程によって必然的に暗示されている。このように適当な保護基の導入および除去は、有機化学の分野において公知であり;例えば、T. W. Greene, “Protective Groups in Organic Synthesis”, Wiley (New York), 1999.を参照。

本明細書中に開示された反応生成物は、抽出、蒸留、クロマトグラフィーなどの従来の方法により単離することができる。

本明細書中に開示された化合物の塩は、適切な塩基または酸を化学量論当量の化合物と反応させることにより調製することができる。

いくつかの実施形態において、前記ポリマーは、チロソール−生物活性部分を有するポリ(エーテルカーボネート)を含む。デスアミノチロシル−チロシンジペプチドは、塩化メチレン中、PEGと結合することができ、ホスゲンは、トルエン中、溶液として添加することができる。反応は、約9分で完結しうる。いくつかの実施形態において、この反応は、1〜60分かけて行われる。一実施形態において、前記ポリマーは、ポリ(チロシンカーボネート)ペンダント生物活性部分基を含む。いくつかの実施形態において、前記ポリマーは、主鎖中に生物活性部分を有するポリ(エーテルカーボネート)チロシン-ジオール共重合体を含む。いくつかの実施形態において、前記ポリマーは、ペンダント生物活性部分を有するポリ(エーテルカーボネート)チロシン-ジオール共重合体を含む。いくつかの実施形態において、前記ポリマーは、ポリ(エーテルエステル)チロシン−生物活性部分-二塩基酸共重合体を含む。いくつかの実施形態において、前記ポリマーは、ポリ(イミノカーボネート)チロシン−生物活性部分−共重合体を含む。いくつかの実施形態において、前記ポリマーは、ペンダントPEG基を有するポリ(イミノチロシン)を含む。

他の実施態様において、本発明は、本明細書中に開示されたポリマーおよび/またはポリマー組成物を含む、医療装置を提供する。例えば、一実施形態は、本明細書中に開示されたポリマー組成物を含むステントを提供する。他の実施形態は、体の管腔内にステントを配置することを含む、体の管腔を治療する方法を提供する。これらおよび他の実施形態は以下で詳説する。

定義 本明細書中で用いられる「生分解性」の用語は、当該ポリマーが、4年を超えない期間内により低分子量のオリゴマーに変換されるような、生理的条件下で加水分解または酵素反応によりその分子量が減少するポリマーの特性を指すものである。

本明細書中で用いられる「オリゴマー」の用語は、その分子量が元のポリマーの10%よりも小さい、ポリマーの加水分解生成物を指すものである。

「アルキル」、「アルキレン」の用語および同様の用語は、当業者に知られた通常の意味を有し、したがって、直鎖または分岐の完全に飽和した(二重結合または三重結合を有さない)炭化水素基を指して用いられうる。例えば一般式−CnH2n+1の末端アルキル基は、本明細書中で「アルキル」基と表され、例えば一般式−(CH2)n−の連結アルキル基は、本明細書中で「アルキレン」基と表されうる。アルキル基は、1〜50の炭素原子を有しうる(本発明での定義は数値範囲の示されていない「アルキル」の用語の存在も包含するが、本明細書中で記載される場合、「1〜50」のような数値範囲は、与えられた範囲のそれぞれの整数を意味する;例えば「1〜50の炭素原子」は、前記アルキル基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、50個までの炭素原子を含んで構成されてもよいことを意味する)。前記アルキル基は、1〜30の炭素原子を有する中程度のサイズのアルキルであってもよい。前記アルキル基は、1〜5の炭素原子を有する低級アルキルであってもよい。化合物のアルキル基は、「C1−C4アルキル」または同様の表記で表されうる。例えば、「C1−C4アルキル」はアルキル鎖に1〜4の炭素原子があることを意味する、すなわち、前記アルキル鎖はメチル,エチル,プロピル,イソ−プロピル,n−ブチル,イソ−ブチル,sec−ブチル,およびt−ブチルからなる群から選択される。典型的なアルキル基としては、いかようにも制限されないが、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,イソブチル,ターシャリーブチル,ペンチル,ヘキシルなどが挙げられる。

前記アルキル基は置換されていても非置換であってもよい。置換されている場合、置換基は、1以上の置換基がそれぞれ独立して、アルキル,アルケニル,アルキニル,シクロアルキル,シクロアルケニル,シクロアルキニル,アリール,ヘテロアリール,ヘテロアリシクリル,アラルキル,ヘテロアラルキル,(ヘテロアリシクリル)アルキル,ヒドロキシ,保護されたル,アルコキシ,アリールオキシ,アシル,エステル,メルカプト,アルキルチオ,アリールチオ,シアノ,ハロゲン,カルボニル,チオカルボニル,O−カルバミル,N−カルバミル,O−チオカルバミル,N−チオカルバミル,C−アミド,N−アミド,S−スルホンアミド,N−スルホンアミド,C−カルボキシ,保護されたC−カルボキシ,O−カルボキシ,イソシアナート,チオシアナート,イソチオシアナート,ニトロ,シリル,スルフェニル,スルフィニル,スルホニル,ハロアルキル,ハロアルコキシ,トリハロメタンスルホニル,トリハロメタンスルホンアミド,ならびにモノ−およびジ−置換アミノ基を含むアミノ,ならびにこれらの保護誘導体から選択される1以上の基である。置換基が「置換されていてもよい」と記載されている限り、その置換基は上記置換基の一つによって置換されていてもよい。

「アルキルアリール」は、アリール基アルキレン基を介してアリール基が置換基として連結されている。アラルキルのアルキレンおよびアリール基は、置換されていても、または非置換であってもよい。例としては、これらに制限されるものではないが、ベンジル,置換されたベンジル,2−フェニルエチル,3−フェニルプロピル,およびナフチルアルキルが挙げられる。ある場合には、アルキレン基は、低級アルキレン基である。アルキルアリール基は、置換されていても、または非置換であってもよい。

上記でのべたように、アルキル基は、他の基と一緒に結合してもよく、その意味で、アルキレン基とも称されうる。アルキレン基は、したがって、ビラジカル連結基であり、その末端の炭素原子を介して分子の断片を連結する結合を形成する。例としては、これらに制限されるものではないが、メチレン(−CH2−),エチレン(−CH2CH2−),プロピレン(−CH2CH2CH2−),およびブチレン(−(CH2)4−)基が挙げられる。アルキレン基は、置換されていても、または非置換であってもよい。

「アルケニル」、「アルケニレン」の用語および同様の用語は、当業者に知られている通常の意味を有し、したがって、直鎖または分岐の、1以上の二重結合祖含む炭化水素鎖を含むアルキルまたはアルキレン基を指して用いられうる。アルケニル基は、置換されていても、または非置換であってもよい。置換されている場合、その置換基は、特にことわりのない限り、上記でアルキル基について開示されたものと同様の置換基から選択されてもよい。

「アミド」は、式−(R)n−C(O)NHR’または−(R)n−NHC(O)R’を有する化学部分であり、ここで、RおよびR’は、それぞれ独立して、アルキル,シクロアルキル,アリール,ヘテロアリール(環状炭素を介して結合された)およびヘテロアリシクリル(環状炭素を介して結合された)からなる基から選択され、ここで、nは、0または1である。アミドは、本発明の分子が取り付けられたアミノ酸またはペプチド分子であってもよく、それによってプロドラッグを形成する。「アミド連結基」は、二つの化学部分を互いに連結するアミド基(−C(O)NH−)である。

本明細書中に開示された化合物上の任意のアミン,ヒドロキシ,またはカルボキシル側鎖は、エステル化またはアミド化することができる。この目的を達成するために用いられる方法および特定の基は、当業者に知られており、Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, N.Y., 1999などの参照元において容易に見いだされ、これらの全体は参照により本明細書中に組み入れられる。

本明細書中で用いられる、「アリール」は、完全に非局在化したパイ電子系を有する炭素環式の(すべて炭素)環または2以上の縮合した環(2つの隣接する炭素原子を共有する環)を指す。アリール基の例としては、これらに制限されるものではないが、ベンゼン,ナフタレンおよびアズレンが挙げられる。アリール基は、置換されていても、または非置換であってもよい。置換されている場合、水素原子は、アルキル,アルケニル,アルキニル,シクロアルキル,シクロアルケニル,シクロアルキニルアリール,ヘテロアリール,ヘテロアリシクリル,アラルキル,ヘテロアラルキル,(ヘテロアリシクリル)アルキル,ヒドロキシ,保護されたヒドロキシル,アルコキシ,アリールオキシ,アシル,エステル,メルカプト,アルキルチオ,アリールチオ,シアノ,ハロゲン,カルボニル,チオカルボニル,O−カルバミル,N−カルバミル,O−チオカルバミル,N−チオカルバミル,C−アミド,N−アミド,S−スルホンアミド,N−スルホンアミド,C−カルボキシ,保護されたC−カルボキシ,O−カルボキシ,イソシアナート,チオシアナート,イソチオシアナート,ニトロ,シリル,スルフェニル,スルフィニル,スルホニル,ハロアルキル,ハロアルコキシ,トリハロメタンスルホニル,トリハロメタンスルホンアミド,ならびにモノ−およびジ−置換アミノ基を含むアミノ,ならびにこれらの保護誘導体からそれぞれ独立して選択される1以上の置換基によって置換される。置換されている場合、アリール基上の置換基は、そのアリール基に縮合した非芳香族環を形成してもよく、シクロアルキル,シクロアルケニル,シクロアルキニル,およびヘテロシクリルが挙げられる。

本明細書中で用いられる、「ヘテロアルキル」は、1以上の炭素原子がヘテロ原子(すなわち、炭素以外の元素であり、これらに制限されるものではないが、窒素,酸素および硫黄が挙げられる)で置換されているアルキル基を指すものである。

「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルキレン」の用語および同様の用語は、当業者に知られている通常の意味を有し、したがって、本明細書中に開示された、そのアルキル基またはアルキレン基の主鎖中の1以上の炭素原子が、窒素,硫黄および/または酸素といったヘテロ原子によって置換されているアルキル基またはアルキレン基を指すために用いられうる。同様に、「ヘテロアルケニレン」の語は、そのアルキル基またはアルキレン基の主鎖中における1以上の炭素原子が、窒素,硫黄および/または酸素といったヘテロ原子で置換されている、アルケニルまたはアルケニレン基を指すために用いられうる。

本明細書中で用いられる、「ヘテロアリール」は、1以上の炭素原子が、ヘテロ原子(すなわち、炭素以外の元素であり、これらに制限されるものではないが、窒素,酸素および硫黄が挙げられる)で置換されたアリール基を指す。

利便性と簡潔性のため、「アルキル」,「アルケニル」,「アルキニル」,「アリール」,「ヘテロアリール」,および「アルキルアリール」等の語は、単量体またはポリマーの分子の2つの部分を連結する働きをする場合、対応する連結基を指すために用いられうるものであり、かようなことは、当業者に容易に理解されるべきである。すなわち、このような場合、「アルキル」は、「アルキレン」として解釈されるべきであり;「アルケニル」は、「アルケニレン」として解釈されるべきであり;「アリール」は、「アリーレン」として解釈されるべきである;などである。

「重原子」は、ポリマーに結合した場合、重原子を含まないポリマーと比較して、そのポリマーを、画像技術により検出しやすくする原子である。多くのポリマーは、水素,炭素,窒素,酸素,ケイ素および硫黄など、比較的小さい原子番号の原子を含んでいるため、たいていの場合、重原子は、17以上の原子番号を有する。好ましい重原子は、35以上の原子番号を有するものであり、臭素,ヨウ素,ビスマス,金,白金,タンタル,タングステン,およびバリウムが挙げられる。

「炭化水素」は、完全に水素および炭素からなる有機化合物である。炭化水素の例としては、非置換のアルキル基,非置換のアリール基,および非置換のアルキルアリール基が挙げられる。炭化水素中におけるアルキル基,アリール基,またはアルキルアリール基に対する任意の置換は、炭素および/または水素原子のみを含むであろう。

本明細書中で用いられる、「マクロマー」、「マクロマー性」の用語および同様の用語は、当業者に知られた通常の意味を有し、したがって、そのマクロマーが、他のマクロマーまたは単量体と共重合することができるように選択される末端基で官能基化された、オリゴマー性およびポリマー性材料を指すために用いられうる。多様な種類のマクロマーおよびこれらを作製する方法は、当業者に知られている。適切なマクロマーの例としては、ヒドロキシ末端封止ポリ乳酸マクロマー,ヒドロキシ末端封止ポリグリコール酸マクロマー,ヒドロキシ末端封止ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)マクロマー,ヒドロキシ末端封止ポリカプロラクトンマクロマー,ポリ(アルキレンジオール)マクロマー,ヒドロキシ末端封止ポリ(アルキレンオキシド)マクロマーおよびヒドロキシ末端封止ポリジオキサノンマクロマーが挙げられる。

本明細書中で用いられる、「ポリマー」、「ポリマー性」の用語および同様の用語は、当業者に知られた通常の意味を有し、したがって、ホモポリマー、共重合体(例えば、ランダム共重合体,交互共重合体,ブロック共重合体,グラフト共重合体)およびその混合物を指すために用いられうる。ポリマーの繰り返し構造単位は、本明細書中、繰り返し単位とも称されうる。

本明細書中で用いられる、「分子量」の用語は、当業者に知られた通常の意味を有し、したがって、本明細書中、特定の分子量を有するポリマーに関する言及は、ダルトン単位でのポリマー分子量に関する言及として理解されるであろう。末端基分析(例えば、1H NMRによる)や、高圧サイズ排除クロマトグラフィー(HPSEC、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、「GPC」としても知られている)といった、当業者に知られている様々な技術がポリマー分子量を決定するために用いられうる。ある場合には、ポリマーの分子量は、「数平均」分子量(Mn)および/または「重量平均」分子量(Mw)の用語を用いてさらに開示され、いずれの語も、同様にダルトン単位で表現され、当業者に知られた通常の意味を有する。

特にことわりのない限り、置換基が「置換されていてもよい」とみなされる場合、前記置換基はアルキル,アルケニル,アルキニル,アルキリル,シクロアルキル,アリール,ヘテロアリール,ヘテロアリシクリル,ヒドロキシ,アルコキシ,アリールオキシ,メルカプト,アルキルチオ,アリールチオ,シアノ,ハロ,カルボニル,チオカルボニル,O−カルバミル,N−カルバミル,O−チオカルバミル,N−チオカルバミル,C−アミド,N−アミド,S−スルホンアミド,N−スルホンアミド,C−カルボキシ,O−カルボキシ,イソシアナート,チオシアナート,イソチオシアナート,ニトロ,シリル,トリハロメタンスルホニル,ならびにモノ−およびジ−置換アミノ基を含むアミノ,ならびにこれらの保護誘導体からそれぞれ独立して、選択される1以上の基で置換されていてもよい基であることを意味する。上記置換基の保護誘導体を形成しうる保護基は、当業者に公知であり、上記Greene and Wutsなどが参照される。

「放射線不透過性の」、「放射線−不透過性の」、「放射線不透過性」、「放射線−不透過性」、「放射線不透過化」の用語および同様の用語は、当業者に知られた通常の意味を有し、したがってポリマー組成物中に重原子が組み込まれ、医療用イメージング技術(例えばX線によって、および/または蛍光透視中に)を用いてより検出しやすくなったポリマー組成物を意味して用いられうる。このような組み込みは混合による;例えば、有効量のバリウム塩または錯体などの放射線不透過化添加剤の混合による、および/または有効量の重原子をポリマー組成物中の1以上のポリマーへ結合させることによる。

特定の形態においては、前記ポリマー組成物は本質的に放射線不透過性でありうる。本明細書中、「本質的に放射線不透過性」の用語は、十分な数の重原子が共有結合またはイオン結合によって結合し、放射線不透過性にしたポリマーを意味して用いられる。この意味は、当業者の理解と一致し、例えば、米国特許公開第2006/0024266号が参照され、当該文献は、特に放射線不透過性ポリマー材料を記載する目的を含むすべての目的で参照により本明細書中に援用される。

基が「置換されていてもよい」と記載される場合、基は非置換であるか、または1以上の表示された置換基で置換されうる。同様に、基が「非置換または置換」と記載される場合、置換されていれば、置換基は1以上の表示された置換基から選択されうる。

特にことわりのない限り、置換基が「置換されていてもよい」または「置換された」とみなされる場合、前記置換基はアルキル,アルケニル,アルキニル,シクロアルキル, シクロアルケニル,シクロアルキニル,アリール,ヘテロアリール,ヘテロアリシクリル,アラルキル,ヘテロアラルキル,(ヘテロアリシクリル)アルキル,ヒドロキシ,保護された,アルコキシ,アリールオキシ,アシル,エステル,メルカプト,シアノ,ハロゲン,カルボニル,チオカルボニル,O−カルバミル,N−カルバミル,O−チオカルバミル,N−チオカルバミル,C−アミド,N−アミド,S−スルホンアミド,N−スルホンアミド,C−カルボキシ,保護されたC−カルボキシ,O−カルボキシ,イソシアナート,チオシアナート,イソチオシアナート,ニトロ,シリル,スルフェニル,スルフィニル,スルホニル,ハロアルキル,ハロアルコキシ,トリハロメタンスルホニル,トリハロメタンスルホンアミド,ならびにモノ−およびジ−置換アミノ基を含むアミノ,ならびにこれらの保護誘導体からそれぞれ独立して、選択される1以上の基で置換されていてもよい基であることを意味する。同様に、「環ハロゲン化されていてもよい」の用語は、任意で1以上(例えば1、2、3、または4)のハロゲン置換基をアリールおよび/またはヘテロアリール環上に含む基を意味して用いられうる。上記の置換基の保護誘導体を形成しうる保護基は、当業者に公知であり、Greene and Wuts,Protective groups in Organic Synthesis,3rd Ed.,John Wiley & Sons,New York,NY,1999などの文献に記載されており、全体として参照により本明細書中に組み込まれる。

本明細書中に記載の1以上のキラル中心を有する任意の化合物は、絶対立体化学が明確に示されていない場合、各中心は独立してR−立体配置またはS−立体配置またはこれらの混合物でありうると理解される。したがって、本明細書中に与えられる化合物は光学異性体として純粋であってもよく、立体異性体の混合物であってもよい。加えて、EまたはZとして定義されうる幾何異性体を生成する1以上の二重結合を有する任意の化合物において、各二重結合は独立してEまたはZまたはこれらの混合物でありうると理解される。同様に、すべての互変異性型(tautomeric form)もまた含まれることを意図する。

以下の略称は、種々のヨウ素化化合物を特定するために用いられる。TEは、チロシンエチルエステルの略であり、DATは、デスアミノチロシンの略であり、DTEは、デスアミノチロシルチロシンエチルエステルの略である。PTEは、ヒドロキシ−フェノキシ−1−オキソエチルチロシンエチルエステルの略である。Tyは、チロソールの略である。DTEのホスゲン化により得られるポリマーは、ポリ(DTEカーボネート)として示される。略称の前の「I」は、モノ−ヨウ素化(例えば、ITEは、モノ−ヨウ素化TEの略である)を示し、略称の前のI2は、ジ−ヨウ素化(例えば、I2DATは、ジ−ヨウ素化DATの略である)を示す。DTEにおいて、「I」がDの前にある場合、それは、ヨウ素がDAT上にあることを意味し、「I」がDの後にある場合、それは、ヨウ素がチロシン環上にあることを意味する(例えば、DI2TEは、チロシン環上にある2つのヨウ素原子を有するDTEの略である)。次の図は、さらにこの命名法を説明する。

PTE,PTH,IPTE,I2PTE,PI2TE,等に関し、DAT CH2CH2は、OCH2で置換される。

本明細書中で用いられる、いかなる保護基、アミノ酸および他の化合物に関する略称は、他にことわりがない限り、それらの一般的な用法、または生化学命名に関するIUPAC−IUP委員会(Biochem. 11:942-944 (1972)を参照)に合わせて、略称と認識される。

本明細書中で用いられる「ハロゲン原子」の用語は、元素周期表の7列目の放射的に安定な(radio-stable)原子(例えば、フッ素,塩素,臭素,またはヨウ素であると好ましい)のいずれかを意味する。

「エステル」の語は、式−(R)n−COOR’を有する化学部分を表し、ここで、RおよびR’は、それぞれ独立して、アルキル,シクロアルキル,アリール,ヘテロアリール(環状炭素を介して結合された)およびヘテロアリシクリル(環状炭素を介して結合された)からなる基から選択され、かつ、nは0または1である。「エステル連結基」は、2つの化学部分を互いに連結するエステル基である。

本明細書中で用いられる「精製された」、「実質的に精製された」および「単離された」の用語は、発明の化合物が、与えられた試料の質量の、少なくとも0.5重量%,1重量%,5重量%,10重量%,または20重量%,最も好ましくは、少なくとも50重量%または75重量%を構成するように、自然状態における発明の化合物が、通常関連付けられる化合物とは非類似である他の化合物を実質的に含まない、明細書中に開示された化合物を指す。

明細書中に開示されたポリマーは、均一なポリマー、共重合体、および/またはポリマー混合物として、発明の好ましい実施形態に合わせて用いてもよいと理解される。したがって、例えば、式(I)のポリマーへの言及は、ホモポリマー、共重合体または混合物であってもよい、式(I)の繰り返し単位を含むポリマーに関する言及であると理解される。同様に、他の例として、明細書中の式(Ia)のポリマーへの言及は、ホモポリマー、共重合体または混合物であってもよい、式(Ia)の繰り返し単位を含むポリマーに関する言及であると理解される。

本発明者らは、特定の理論によって拘束されることを望まないが、本発明の医療装置に関する特性の有益な組み合わせは、少なくとも部分的には、その装置を形成する、式(Ia)のポリマーの特定の特徴に起因していると考えられる。

本発明の好ましい実施形態に従って開示される、生体吸収性であり、本質的に放射線不透過性のステントは、例えば、一般的にカテーテルを通した送達を含む従来の用途におけるように、一時的に血管を治療するために用いられてもよい。

いくつかの実施形態において、本明細書中に開示され、少なくとも1つの臭素−またはヨウ素−置換された芳香族環を有する十分な量の単量体出発原料から調製されたポリマーは、同時係属中であり、共有に係る米国特許出願番号10/592,202の開示だけでなく、米国特許番号6,475,477の開示に従って調製された、放射線不透過性のジフェノール化合物から調製されるポリマーのように、放射性−不透過性である。なお、上記文献の開示は、本明細書中に参照により組み込まれる。本発明のヨウ素化および臭素化されたジフェノール単量体は、他のポリマー性生体材料に対して、放射線不透過性、生体適合性であり、毒性のない添加剤としても採用されうる。

本発明の臭素およびヨウ素置換された芳香族単量体は、本明細書中に開示される指針を考慮して、過度の実験を行うことなく、当業者が容易に採用することができる、公知のヨウ素化および臭素化技術によって調製することができる。いくつかの実施形態において、本発明のハロゲン化された芳香族単量体から調製されるハロゲン化された芳香族化合物は、一般的に、オルト−配向性でハロゲン化される。「オルト−配向性」の用語は、本明細書中、フェノキシアルコール基に対する、ハロゲン原子の配向性を指定するために用いられる。

本明細書中に開示されるポリマーとしては、フリーなペンダントカルボン酸基を有する式IIIの単量体を重合することにより調製されるポリマーが挙げられる。しかしながら、フリーなカルボン酸基をコモノマーとクロス−反応させることなく、フリーなペンダントカルボン酸基を有する対応する単量体から、フリーなペンダントカルボン酸基を有するポリマーを重合することはできない。したがって、フリーなペンダントカルボン酸基を有する本発明に従ったポリマーは、本発明のベンジルおよびtert−ブチルエステル単量体のホモポリマーおよび共重合体から調製される。

ベンジルエステルホモポリマーおよび共重合体は、同時係属中であり、共有に係る米国特許番号6,120,491に開示された、パラジウム触媒による水素化方法による、選択的なベンジル基の除去を介して、対応するフリーなカルボン酸ホモポリマーおよび共重合体に変換されうる。なお、上記文献の開示は、本明細書中に参照により組み込まれる。

tert−ブチルエステルホモポリマーおよび共重合体は、上記で参照される米国特許出願番号10/592,202によって開示されたアシドリシス法による、選択的なtert−ブチル基の除去を介して、対応するフリーなカルボン酸ホモポリマーおよび共重合体に変換されうる。なお、上記文献の開示は、本明細書中に参照により組み込まれる。

重合後、本発明の好ましい実施形態に従ったポリマーの適切な後処理は、有益な物理的および化学的特性を有し、全てが組織適合性単量体に由来する種々の有用な製品を製造するために、合成ポリマーの分野において一般に採用され、公知である多様な方法のいずれかによって達成されうる。前記有用な製品は、押出成形,圧縮成形,射出成形,溶媒キャスティング,スピンキャスティング,湿式紡糸,これらの2以上の組み合わせ等といった、従来のポリマー−形成技術によって成形することができる。前記ポリマーから製造された成形品は有用であり、特に、医療用インプラント用途のための分解性生体材料として有用である。かような用途としては、血管移植片およびステントとしての成形品の使用が挙げられる。

本発明によるポリマーとしては、本発明のジフェノール化合物から公知の方法に従って調製されうる、ポリエーテル,ポリウレタン,ポリ(カーバメート),ポリ(チオカーボネート),ポリ(カルバモジチオナート)およびポリ(チオカルバメート)が挙げられる。

ポリ(アルキレンオキシド)を有する、本発明のポリマーのランダムまたはブロック共重合体は、米国特許番号5,658,995に開示された方法に従って調製してもよく、上記文献の開示は、本明細書中に参照により組み込まれる。ポリ(アルキレンオキシド)は、好ましくは、一般的に、1ユニット当たり、約10,000より小さい分子量を有するポリ(エチレングリコール)ブロック/ユニットである。より一般的には、ポリ(エチレングリコール)ブロック/ユニットは、1ユニット当たり約4000よりも小さい分子量を有する。分子量は、1ユニット当たり、約1000〜約2000であると好ましい。

ブロック共重合体中のポリ(エチレングリコール)ユニットのモル分率は、0よりも大きく、1よりも小さい範囲内であってもよく、一般的に、0よりも大きく約0.5以下である。より好ましくは、前記モル分率は、約0.25よりも小さく、さらに好ましくは、約0.1よりも小さい。より好ましい変形例において、前記モル分率は、約0.001よりも大きく約0.08までの間であってもよく、最も好ましくは、約0.025から約0.035の間である。

特にことわりのない限り、本明細書中に記載されたモル分率は、ポリマー中のポリ(アルキレングリコール)および非−グリコールユニットの全モル量に基づくものである。

重合後、本発明の好ましい実施形態に従ったポリマーの適切な後処理は、有益な物理的および化学的特性を有し、全てが組織適合性単量体に由来する種々の有用な製品を製造するために、合成ポリマーの分野において一般に採用され、公知である多様な方法のいずれかによって達成されうる。前記有用な製品は、前記ポリマーの分解温度がガラス転移温度または結晶溶融温度よりも高い場合、押出および射出成形といった、従来のポリマー加熱成形技術によって成形することができる。または、圧縮成形,射出成形,溶媒キャスティング,スピンキャスティング,湿式紡糸といった、従来の非加熱技術によって成形することができる。2以上の方法を組み合わせて用いてもよい。前記ポリマーから製造された成形品は有用であり、特に、医療用インプラント用途のための分解性生体材料として有用である。

当業者は、可変の基を適切に選択することにより、上記で開示された化合物の実施形態は、デスアミノチロシルチロシン(DAT)、またはヒドロキシフェニルアルケン酸といった、ヒドロキシフェニル−アルカン酸とすることができることを認識するであろう。式HX3-D1-X4Hの化合物がジオールであるとき、前記2つの化合物は、酸触媒によるフィッシャーエステル化反応において反応させてもよく、一般的に以下のように説明される:

この反応は可逆反応であり、反応混合物から水を除去することにより、平衡を右にシフトさせる。水の除去は、通常、共沸蒸留法により達成されるが、当該分野において知られた他の技術を採用してもよい。共沸蒸留が求められる場合には、当該溶媒が水との共沸混合物を形成するように、反応に用いられる溶媒を慎重に選択することが好ましい。一般的には、トルエン,ヘプタン,クロロホルム,テトラクロロエチレン等の溶媒が好ましい。

この反応の主な利点は、このような条件下ではフェノール性ヒドロキシ基が反応しない一方で、酸触媒下、一級および二級アルコールがカルボン酸と共にエステルを形成することである。したがって、フェノール性の基が失われず残っている一方で、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸(DAT)や3−(3,5−ジヨード−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオン酸(I2DAT)といった、特定の化合物のカルボン酸基は、一級または二級アルコールと反応させることができる。上記の例は、一般的に、上記スキーム4において説明され、さらに、以下の合成スキーム14においても説明される。

スキーム14において、Xは、上記定義と同様のR4aとすることができる。本明細書に開示されたようなポリマー組成物としては、ポリエーテル,ポリエステル,ポリ−イミノカーボネート,ポリリン酸エステルおよびポリホスファジンが挙げられる。当業者は、本明細書中で与えられる指針により情報が与えられる日常的な実験により、これらのポリマーを調製する。ポリエステル,特にポリ(エステルアミド)は、米国特許番号5,216,115によって開示された工程によって調製されてもよく、上記文献の開示は、特に、上記工程を開示する目的で本明細書中に参照により組み込まれる。ポリイミノカーボネートは、米国特許番号4,980,449によって開示される工程により調製されてもよく、上記文献の開示は、特に、上記工程を開示する目的で本明細書中に参照により組み込まれる。ポリエーテルは、米国特許番号6,602,497によって開示される工程により調製されてもよく、上記文献の開示は、特に、上記工程を開示する目的で本明細書中に参照により組み込まれる。

医療用途 本明細書中に記載されるポリマー組成物の多様な実施形態、好ましくは組織適合性単量体から誘導されるものは、有益な物理的および化学的特性を有する多様な有用な製品の製造に用いられうる。前記有用な製品は、前記ポリマーの分解温度がガラス転移温度または結晶溶融温度よりも高い場合、押出および射出成形などの通常のポリマー熱形成技術によって成形されうる。または、圧縮成形、射出成形、溶媒キャスティング、スピンキャスティング、湿式紡糸などの通常の非熱的技術が用いられうる。2以上の方法の組み合わせが用いられうる。前記ポリマーから調製される成形品は、とりわけ医療用インプラントの応用のための生体適合性、生分解性および/または生体吸収性の生体材料に有用である。

一実施形態において、前記医療装置はステントである。ステントが多くの異なる型の形態を含みうることが考慮される。例えば、前記ステントは、拡張型ステントでありうる。他の実施形態において、前記ステントは、シートステント,ブレードステント,自己拡張型ステント,織布ステント,変形可能ステント,またはスライドアンドロックステントの形態を有するように構成されうる。ステント製造工程は、レーザー切断,エッチング,機械的切断,または他の方法によってポリマーの押し出しシートを切断するなどの二次元的製造方法および得られた切断部分をステントに組み立てること、または、固体形態から装置を製造する同様の三次元的製造方法をさらに含みうる。

他の特定の実施形態において、前記ポリマーは、本明細書中に記載のポリマーまたは金属などの他の材料で作製される埋め込み型装置、特にステントの表面のコーティングに形成される。このようなコーティングは、ディッピング,スプレーコーティング,これらの組み合わせなどの技術によってステント上に形成されうる。さらに、ステントは、少なくとも1種の繊維材料、硬化性材料、積層材料および/または織布材料から形成されうる。前記医療装置はまた、塞栓治療に用いられるステントグラフトまたは装置でありうる。

本明細書中に記載のポリマーの好ましい実施形態に関連する特性の非常に有益な組み合わせは、これらのポリマーが、ステントに加えて多様な吸収性医療装置、特に、好ましくは放射線不透過性、生体適合性であり多様な回数の生体吸収を有する埋め込み型医療装置の製造における使用に非常に適していることを意味する。例えば、前記ポリマーは、他の医療系、例えば、筋骨格または整形外科系(例えば、,靭帯,骨,骨格軟骨,平滑筋);神経系(例えば、脊髄,脳,目,内);呼吸器系(例えば、鼻腔および副鼻腔,気管,咽頭,);生殖器系(例えば、男性または女性生殖器);泌尿系(例えば、腎臓,膀胱,尿道,尿管);消化器系(例えば、口腔,歯,唾液腺,咽頭,食道,胃,小腸,結腸);外分泌機能(胆道,胆嚢,肝臓,虫垂,直腸−肛門管);内分泌系(例えば、膵臓/膵島,下垂体,副甲状腺,甲状腺,副腎および松果体);造血系(例えば、血液および骨髄,リンパ節,脾臓,胸腺,リンパ管);ならびに,外皮系(例えば、皮膚,毛髪,爪,汗腺,皮脂腺)において使用するための、治療剤を含む、もしくは含まない吸収性埋め込み型装置;治療剤を含む、もしくは含まない装置の部品および/またはコーティングにおける使用に適する。

したがって、本明細書中に記載されるポリマーは、創傷閉鎖装置,ヘルニア修復メッシュ,胃のラップバンド,薬剤運搬インプラント,心臓装置の埋め込みのためのエンベロープ,他の心臓血管用途の装置;胆管ステント,食道ステント,膣ステント,肺−気管/気管支ステントなどの非心臓血管ステントの製造に用いられうる。

加えて、前記吸収性ポリマーは、埋め込み型の放射線不透過性ディスク、プラグ、および組織除去(例えば、癌組織の除去および器官除去における)の領域をトラックするために用いられる他の装置、ならびに創傷の閉鎖、組織を骨および/または軟骨に接着させること、出血停止(ホメオスタシス)、卵管結紮、外科接着防止などにおける使用に適したステープルおよびクリップの製造における使用に適する。出願人はまた、本明細書中に記載されるポリマーの好ましい実施形態は、医療装置、特に埋め込み型医療装置の多様なコーティングの製造における使用に適していることを認識した。

さらに、いくつかの好ましい実施形態において、本発明のポリマーは、例えば、前十字靭帯(ACL),回旋筋腱板/回旋筋カップ,および他の骨格の変形の矯正、防止、再建ならびに修復を含む用途において使用される、放射線不透過性生分解性ねじ(締まりねじ)、放射線不透過性生分解性縫合糸アンカーなどを含む多様な吸収性整形外科用装置の作製に有利に使用されうる。

本明細書中に記載されるポリマーの好ましい実施形態から有利に形成されうる他の装置としては、組織工学(tissue engineering)において使用される装置が挙げられる。適当な吸収性装置の例としては、組織工学の足場およびグラフト(例えば血管グラフト,神経再生に用いられるグラフトまたはインプラントなど)が挙げられる。前記吸収性ポリマーはまた、内部創傷の閉鎖における使用に有効な多様な装置の形成に用いられうる。例えば、多様な外科手術、化粧品用途、および心創傷の閉鎖において使用される、生分解性吸収性の縫合糸,クリップ,ステープル,有刺またはメッシュの縫合糸,埋め込み型器官支持体などが形成されうる。

歯科用途に有用な多様な装置が、本明細書中に記載の実施形態に従って有利に形成されうる。例えば、組織再生誘導のための装置、義歯装着者のための歯茎差し替え、および上顎の顔面の骨の再生のための装置は、放射線不透過性であることから、外科医または歯科医が簡単なX線イメージングによってこのようなインプラントの配置および連続的な機能を確かめることができるという利益が得られうる。

本明細書中に記載されるポリマーの好ましい実施形態はまた、腫瘍および血管奇形、例えば、子宮筋腫、腫瘍(すなわち、化学塞栓術)、出血(例えば、出血を伴う外傷の間)および動静脈奇形、ろう管および動脈瘤の治療のための、血液供給の一時的なおよび治療上の制限または遮断のための、カテーテルまたはシリンジによって運搬される生体吸収性、本質的に放射線不透過性のポリマー塞栓治療製品の製造に有用である。本明細書中に記載されるポリマーが採用されうる塞栓治療製品および製造方法の詳細は、米国特許公開番号20050106119Al(その開示は、特にこのような製品および方法を記載する目的で参照により組み込まれる)に開示されている。塞栓治療の治療方法は、その全身よりも局所的な性質によるものであり、前記製品は、運搬および治療の蛍光透視モニタリングを可能にするように、好ましくは本明細書中に記載される放射線不透過性ポリマーから作製される。

本明細書中に記載されるポリマーは、幅広い治療剤運搬装置の製造にさらに有用である。このような装置は、多様な治療剤;例えば、医薬品(すなわち、薬剤)および/または生物学的因子(上記で定義され、生体分子、遺伝物質および処理生体物質などを含む)を含む;を含む使用に適しうる。癌、血管内の問題、歯科的な問題、肥満、感染などの治療における治療剤運搬のための装置を含む、治療剤を身体に運搬することができるいくつもの輸送システムが作製されうる。

ポリマー材料を含む医療装置は、意図する用途に応じて、1以上のさらなる成分、例えば、可塑剤,充填剤,結晶化核形成剤,保存料,安定剤,光活性化剤などを含みうる。例えば、一実施形態においては、医療装置は、少なくとも1つの治療剤および/または磁気共鳴増強剤の有効量を含む。好ましい治療剤の非制限的な例としては、化学療法剤,非ステロイド性抗炎症剤,ステロイド性抗炎症剤,および創傷治癒剤が挙げられる。治療剤はポリマー材料と共に投与されうる。好ましい実施形態においては、治療剤の少なくとも一部がポリマー材料中に含まれる。他の実施形態においては、治療剤の少なくとも一部が医療装置の表面上のコーティング中に含まれる。

好ましい化学療法剤の非制限的な例としては、タキサン類,タキシニン類,タキソール類,パクリタキセル,ドキソルビシン,cis−プラチン,アドリアマイシン,およびブレオマイシンが挙げられる。好ましい非ステロイド性抗炎症化合物の非制限的な例としては、アスピリン、デキサメタゾン、イブプロフェン、ナプロキセン、およびCox−2阻害剤(例えば、Rofexcoxib、CelecoxibおよびValdecoxib)が挙げられる。好ましいステロイド性抗炎症化合物の非制限的な例としては、デキサメタゾン,ベクロメタゾン,ヒドロコルチゾンおよびプレドニゾンが挙げられる。1以上の治療剤を含む混合物を用いてもよい。好ましい磁気共鳴増強剤の非制限的な例としては、炭酸ガドリニウム,酸化ガドリニウム,塩化ガドリニウムなどのガドリニウム塩およびこれらの混合物が挙げられる。

前記医療装置中に存在するさらなる成分の量は、好ましくは、意図する用途に有効であるように選択される。例えば、治療剤は、好ましくは、前記医療装置が投与された、または埋め込まれた患者において所望の治療効果を達成するために有効な量で、前記医療装置中に存在する。このような量は通常の実験によって決定されうる。特定の実施形態においては、所望の治療効果は、生物学的応答である。一実施形態において、前記医療装置中の治療剤は、少なくとも1つの生物学的応答、好ましくは、血栓症、細胞接着、細胞増殖、炎症細胞の誘引、マトリックスタンパク質の沈着、血栓形成の阻害、細胞接着の阻害、細胞増殖の阻害、炎症細胞の阻害、およびマトリックスタンパク質の沈着の阻害からなる群から選択される生物学的応答を促進するように選択される。医療装置中の磁気共鳴増強剤の量は、好ましくは、放射線学的イメージングを容易にするために有効な量であり、通常の実験によって決定されうる。

本明細書中、「医薬品(pharmaceutical agent)」の用語は、特定の生理的(代謝)応答を刺激する疾患の緩和、治療または予防を意図した物質を含む。本明細書中、「生物学的因子(biological agent)」の用語は、生体系において構造的および/または機能的活性を有する任意の物質を含み、特に制限されないが、器官、組織または細胞ベースの誘導体、細胞、ウイルス、ベクター、天然、組み換え、および合成起源であり、任意の配列およびサイズの核酸(動物,植物,微生物,およびウイルス),抗体,ポリヌクレオチド,オリゴヌクレオチド,cDNA,癌遺伝子,タンパク質,ペプチド,アミノ酸,リポタンパク質,糖タンパク質,脂質,炭水化物,多糖,脂質,リポソーム,または、例えば受容体およびリガンドなどの他の細胞成分もしくは細胞小器官が挙げられる。さらに、本明細書中、「生物学的因子(biological agent)」の用語は、人の疾患もしくは損傷の予防,治療,または治癒に適用可能な,ウイルス,血清,毒素,抗毒素,ワクチン,血液,血液成分,または誘導体,アレルギー産物または類似体産物,あるいはアルスフェナミンまたはその誘導体(または任意の三価の有機ヒ素化合物)を含む(公衆衛生法(42U.S.C.262(a)のセクション351(a))。さらに、「生物学的因子」の用語は、1)「生体分子」;本明細書中で用いられる場合、天然もしくは組み換え生物,抗体,組織もしくは細胞株またはこのような分子の合成類似体から製造されるおよび精製される、生物活性ペプチド,タンパク質,炭水化物,ビタミン,脂質,または核酸を含む;2)「遺伝物質」;本明細書中で用いられる場合,核酸(デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)),遺伝要素,遺伝子,因子,対立遺伝子,オペロン,構造遺伝子,調節遺伝子,オペレーター遺伝子,遺伝子相補体,ゲノム,遺伝子コード,コドン,アンチコドン,メッセンジャーRNA(mRNA),トランスファーRNA(tRNA),リボソーム染色体外遺伝要素,細胞質遺伝子,プラスミド,トランスポゾン,遺伝子突然変異,遺伝子配列,エクソン,イントロンを含む;および3)「処理生体物質」;本明細書中で用いられる場合,マニピュレーションを受けた細胞,組織または器官などを含む;を含みうる。前記治療剤はまた、ビタミンまたは無機物、または他の天然要素を含みうる。

例えばステントなどの血管系に設置される装置では、治療剤の量は、好ましくは、再狭窄もしくは血栓症を阻害する、またはステント装着組織の他のいくつかの状態に影響を与える(例えば不安定プラークを治す、および/または破裂を防ぐ、または内皮形成を刺激する)のに十分な量である。本発明の好ましい実施形態によれば、前記薬剤は、抗増殖剤、抗炎症剤、抗マトリックスメタロプロテイナーゼ、脂質低下、コレステロール調節、抗血栓症および抗血小板剤からなる群から選択されうる。ステントのいくつかの好ましい実施形態においては、前記治療剤は、ポリマーと混合されるか、当業者に知られた他の手段によって混合されてステント中に含まれる。ステントの他の好ましい実施形態においては、前記治療剤は、ステント表面のポリマーコーティングから運搬される。他の好ましい変形において、前記治療剤はポリマーコーティングを用いずに運搬される。ステントの他の好ましい実施形態においては、前記治療剤は、前記ステントの少なくとも1つの部分または1つの表面から運搬される。前記治療剤は、ステントの少なくとも一部の、前記治療剤の運搬に用いられるポリマーまたは担体に化学的に結合されうる、および/または前記治療剤は、ステント本体の少なくとも一部を含むポリマーに化学的に結合されうる。好ましい実施形態においては、1以上の治療剤が運搬されうる。

特定の実施形態において、本明細書中に記載の上記の任意の装置は治療剤運搬装置(その他の機能に加えて)としての使用に適しうる。生物学的にまたは医薬的に活性な薬剤および/または不活性な(受動的な)薬剤などの治療剤が、ポリマーマトリックス中に物理的に埋め込まれている、もしくは分散されている、または本明細書中に記載のポリマーと物理的に混合されている、制御された治療剤運搬システムが調製されうる。制御された治療剤運搬システムは、治療剤を生体吸収性ステント装置(本明細書中に記載のポリマーの少なくとも1つを含む)などの埋め込み型医療装置の表面に、これらのポリマーをコーティングとして用いることなく直接塗布することによって、または他のポリマーもしくは物質をコーティングに用いることによっても調製されうる。

治療剤運搬化合物はまた、当業者に知られた通常の方法を用いて、運搬される治療剤を本明細書中に記載のポリマーと物理的に混合することによって形成されうる。この治療剤運搬実施形態においては、前記ポリマーが治療剤の共有結合のためのペンダント基を有することは本質的ではない。

治療剤を含む本明細書中に記載されるポリマー組成物は、ポリマー複合体(polymer conjugate)の形態であってもポリマーと治療剤との物理的混合物であっても、局所的な運搬が求められる用途に、および全身への運搬が求められる状況においても適している。前記ポリマー複合体および物理的混合物は、本質的に従来の、当業者に知られた手順によって、必要とする患者の体内に埋め込まれうる。

前記ポリアリーレートもまた、薬理学的または生物学的に活性な薬剤を予測可能に制御された放出時間内に放出させるために分解する、薬剤運搬インプラントを形成しうる。このように制御された薬剤運搬システムは、上記活性な薬剤をペンダント側鎖としてポリマー鎖に組み込むことにより、また、ペンダント側鎖を架橋し、その内部に上記活性な薬剤を物理的に埋め込んだり、分散させたりしたポリマーマトリックスを形成することにより調製される。制御された薬剤運搬システムインプラントは、ポリアリーレートを生物学的にまたは薬理学的に活性な薬剤と物理的に混合することによっても形成されうる。上記方法は、本質的に従来の、当業者に知られたものである。

生物学的にまたは薬理学的に活性な薬剤がポリマーマトリックス中に物理的に埋め込まれたり、分散させたり、または物理的にポリアリーレートと混合されている、制御された薬剤運搬システムにおいて、適切な、生物学的または薬理学的に活性な薬剤は、原則として、長期にわたって繰り返し投与される、いかなる活性な薬剤をも含む。

本明細書中に記載される放射線不透過性生体吸収性ポリマーを治療剤運搬用途に用いる利点は、治療剤の放出および埋め込み型治療剤運搬システムの存在のモニタリングの容易さである。ポリマーマトリックスの放射線不透過性は、共有結合したハロゲン置換基によるものであるため、放射線不透過性のレベルは、埋め込み後任意の時間にインプラント部位に依然として存在する分解性治療剤運搬マトリックスの残量に直接的に関連する。好ましい実施形態においては、分解性治療剤運搬システムからの治療剤の放出速度は、ポリマーの吸収速度と関連付けられるであろう。このような好ましい実施形態においては、放射線不透過性の残りの程度の直接的、定量的な測定によって、主治医が埋め込み型治療剤運搬システムからの治療剤の放出のレベルをモニターする方法が提供されるであろう。

後述する以下の非制限的な例を用いて本発明の特定の形態を説明する。特にことわりのない限り、部および百分率はすべてモル百分率であり、特にことわりのない限り、温度はすべて摂氏温度である。特にことわりのない限り、溶媒はすべてHPLCグレードであり、他の試薬はすべて分析グレードであり、市販のものをそのまま用いた。

実施例 すべての試薬は純品を購入し、受け取ったものをそのまま使用した。溶媒は「HPLC」または「ACS試薬」グレードを用いた。

一般的に、前記ジフェノール性単量体は、チロソールと、デスアミノチロシン、3,5−ジヨードデスアミノチロシンまたはジカルボン酸(0.5当量)等のフェノール酸とを、溶媒としてのクロロホルムまたは1,2−ジクロロエタン中、触媒量の4−トルエンスルホン酸と共に還流させることにより、フィッシャー−エステル化させることで調製した。生成した水を除去するため、改良したディーンシュタークトラップを用いた。トリホスゲンを用いて、純品または適当な混合物の状態の前記ジフェノール性単量体を重合し、対応するポリカーボネートとした。上記ポリマーを圧縮成形し、フィルムとした。上記フィルムについて、機械的特性を試験したところ、一般的に高い係数(modulus)、引張強度および破断点伸びを示した。さらなる詳細を下記に示す。

実施例1.4−ヒドロキシフェネチル3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(DTy)の合成 オーバーヘッドスターラーおよび水より重い溶媒用に改良したディーンシュタークトラップを備えた500mLの丸底フラスコに、10g(72mmol)のチロソール、13g(78mmol)のデスアミノチロシン(DAT)、0.65g(3.4mmol)の4−トルエンスルホン酸一水和物、および200mLの1,2−ジクロロエタン(DCE)を加えた。水冷還流凝縮器を改良したディーンシュタークトラップの上に設置し、上記フラスコの内容物を撹拌しながら加熱して還流させた。改良したディーンシュタークトラップ中、DCEの上に約1.4mLの水が回収され、原則的に水の回収が停止するまで(約4時間の還流)反応を続けた。反応混合物を室温まで冷却したところ、オフホワイトの結晶性固体として粗生成物が沈殿し、これを100mLの酢酸エチルに溶解させ、100mLの5%重曹溶液を用いて2回洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥させた後、有機層を濃縮し、ヘキサンを用いて沈殿させた。得られた白色結晶性固体を濾過により回収し、真空オーブンを用いて25℃で乾燥させた。生成物について、元素分析、HPLCおよび1H NMRによって特性を評価した。

同様の方法を用いて、デスアミノチロシンを4−ヒドロキシフェニル酢酸に置換することにより、4−ヒドロキシフェネチル4−ヒドロキシフェニルアセテート(HPTy、式(V)中、L1=L4=結合、m=2、n=1、y1=y2=0である化合物)を調製した。生成物について、HPLCおよび1H NMRによって特性を評価した。

同様の方法を用いて、デスアミノチロシンを2−(4−ヒドロキシフェノキシ)酢酸に置換することにより、4−ヒドロキシフェネチル2−(4−ヒドロキシフェノキシ)アセテート(式(V)中、L1=結合、L4=−O−、m=2、n=1、y1=y2=0である化合物)が調製される。同様の結果が得られる。

同様の方法を用いて、1,2−ジクロロエタン中よりもN−アセチルチロシンがより溶解しやすい溶媒または混合溶媒を用いて、N−アセチルチロシンにジヨードチロソールを反応させることにより、下記構造を有する単量体(式(VI)中、Z=−NH−C(O)−CH3、X1=I、y1=2、y2=0である化合物)が調製される。同様の結果が得られる。

同様の方法を用いて、1,2−ジクロロエタン中よりもN−アセチルチロシンがより溶解しやすい溶媒または混合溶媒を用いて、N−アセチルチロシンにチロソールを反応させることにより、下記構造を有する単量体(式(VI)中、Z=−NH−C(O)−CH3、y1=y2=0である化合物)が調製される。同様の結果が得られる。

実施例2.4−ヒドロキシフェネチル3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジヨードフェニル)−プロピオネート(I2DTy)の合成 オーバーヘッドスターラーおよび水より重い溶媒用に改良したディーンシュタークトラップを備えた500mLの丸底フラスコに、34.5g(0.250mol)のチロソール、102g(0.244mol)の3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジヨードフェニル)プロピオネート(I2DAT)、4.76g(0.025mol)の4−トルエンスルホン酸一水和物、および500mLのDCEを加えた。水冷還流凝縮器を改良したディーンシュタークトラップの上に設置し、上記フラスコの内容物を撹拌しながら加熱して還流させた。改良したディーンシュタークトラップ中、DCEの上に約4.8mLの水が回収され、原則的に水の回収が停止するまで反応を続けた。反応混合物を室温まで冷却したところ、オフホワイトの結晶性固体として粗生成物が沈殿し、これを乾燥させ、続いて350mLのテトラヒドロフラン(thf)に溶解させた。この溶液に、撹拌しながら1Lの5%重曹溶液を加え、10分間撹拌し、その後静置して層分離させた。上層を除去して廃棄した。下層について、500mLの5%重曹溶液を用いて2回洗浄した。I2DTyが白色結晶性固体として沈殿した。これを濾過により回収し、50mLの脱イオン水で3回洗浄した。真空オーブンを用いて生成物を40℃で24時間乾燥させ、元素分析、HPLCおよび1H NMRによって特性を評価した。

同様の方法を用いて、I2DATを2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジヨードフェノキシ)酢酸に置換することにより、4−ヒドロキシフェネチル2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジヨードフェノキシ)アセテート(I2HPTy)を調製し、HPLCおよび1H NMRによって特性を評価した。

同様の方法を用いて、チロソールを4−(2−ヒドロキシエチル)−2,6−ジヨードフェノールに置換することにより、4−ヒドロキシ−3,5−ジヨードフェネチル3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジヨードフェニル)プロピオネート(I2HPTy)が調製される。

実施例3.ジチロシルコハク酸エステルの合成 オーバーヘッドスターラーおよび水より重い溶媒用に改良したディーンシュタークトラップを備えた500mLの丸底フラスコに、25.0g(0.181mol)のチロソール、9.56g(0.088mol)のコハク酸、3.44g(18.1mmol)の4−トルエンスルホン酸一水和物、および200mLのDCEを加えた。水冷還流凝縮器を改良したディーンシュタークトラップの上に設置し、上記フラスコの内容物を撹拌しながら加熱して還流させた。改良したディーンシュタークトラップ中、DCEの上に約3.2mLの水が回収され、原則的に水の回収が停止するまで反応を続けた。撹拌を続けながら、反応混合物を室温まで冷却した。沈殿した生成物を濾過により回収し、50mLのDCEで2回洗浄した。1H NMRは、残留したPTSAおよびチロソールを示した。精製のため、オーバーヘッドスターラーを用いて、上記固体を150mLの5%NaHCO3水溶液と共に3時間撹拌した。生成物を濾過により単離し、50mLのDI水で3回洗浄し、その後、真空オーブンを用いて50℃で24時間乾燥させた。生成物を真空下、40℃で24時間さらに乾燥させ、元素分析、HPLCおよび1H NMRスペクトルによって特性を評価した。

実施例4.ジチロシルシュウ酸エステルの合成 オーバーヘッドスターラーおよび水より重い溶媒用に改良したディーンシュタークトラップを備えた500mLの丸底フラスコに、25.0g(0.181mol)のチロソール、8.00g(0.08mol)のシュウ酸、3.44g(18.1mmol)の4−トルエンスルホン酸一水和物、および200mLの1,2−DCEを加えた。水冷還流凝縮器を改良したディーンシュタークトラップの上に設置し、上記フラスコの内容物を撹拌しながら加熱して還流させた。改良したディーンシュタークトラップ中、DCEの上に約3.2mLの水が回収され、原則的に水の回収が停止するまで反応を続けた。撹拌を続けながら、反応混合物を室温まで冷却した。沈殿した生成物を濾過により回収し、50mLのDCEで2回洗浄した。精製のため、オーバーヘッドスターラーを用いて、上記固体を150mLの5%NaHCO3水溶液と共に3時間撹拌した。生成物を濾過により単離し、50mLのDI水で3回洗浄し、その後、真空オーブンを用いて50℃で24時間乾燥させた。生成物を真空下、40℃で24時間さらに乾燥させ、元素分析、HPLCおよび1H NMRスペクトルによって特性を評価した。

実施例5.トリホスゲンを用いたDTyおよびHPTyの重合 メカニカルスターラーおよび液体添加装置を備えた500mLの三口丸底フラスコ中に、8.0g(0.035mol)のDTy、9.5g(0.12mol)のピリジン、70mLのジクロロメタン(DCM)を入れて15分間撹拌し、透明な溶液を得た。トリホスゲン(3.6g、0.036mol)を15mLのDCMに溶解させ、当該溶液を2〜3時間かけて反応フラスコ中に導入した。添加終了後、100mLの水を反応混合物に加えて5分間撹拌した。層分離させた後、上部の水層を除去して廃棄した。100mLのDI水を2回追加して上記のように洗浄を繰り返した。その後、反応混合物を120mLのIPAで沈殿させた。得られたゲルを、1Lのラボラトリーブレンダーで150mLのIPAと共に2回粉砕した。真空濾過によって生成物を単離し、真空オーブンを用いて80℃で24時間乾燥させた。上記ポリマーは、HPSECポリスチレン当量で160Kdaの分子量を有していた(THFを移動相とした)。上記ポリマーは、51℃のTgおよび181℃のTmを有する反結晶性であった。220℃における圧縮成形において、急速に冷却することで透明なフィルムが得られ、ゆっくりと冷却することで半透明なフィルムが得られた。引張係数、降伏点引張応力および破断点伸びは、それぞれ210ksi、5ksiおよび500%であった。同様の方法を用いて、HPTy(実施例1に従い得られた)を重合し、HPSECポリスチレン当量でMwが140Kdaであり、Tgが55℃であるポリ(HPTyカーボネート)を得た。

実施例6.トリホスゲンを用いたI2DTyおよびI2HPTyの重合 メカニカルスターラーおよび制御された液体添加装置を備えた500mLの三口丸底フラスコ中に、25g(0.046mol)のI2DTy、14.3g(0.181mol)のピリジン、200mLのDCMを入れて15分間撹拌し、透明な溶液を得た。トリホスゲン(5.1g、0.052molのホスゲン)を20mLのDCMに溶解させ、当該溶液を2〜3時間かけて反応フラスコ中に導入した。添加終了後、250mLの水を反応混合物に加えて5分間撹拌した。層分離させた後、上部の水層を除去して廃棄した。250mLのDI水を2回追加して洗浄を繰り返した。その後、反応混合物を350mLのIPAで沈殿させた。得られたゲルを、1Lのラボラトリーブレンダーで200mLのIPAと共に2回粉砕した。真空濾過によって生成物を単離し、真空オーブンを用いて80℃で24時間乾燥させた。上記ポリマーは、HPSECポリスチレン当量で176Kdaの分子量を有し(THFを移動相とした)、112℃のガラス転移温度(Tg)を有していた。205℃における圧縮成形により、引張係数、降伏点引張応力および破断点伸びが、それぞれ230ksi、9.2ksiおよび220%である、均一に透明なフィルムが得られた。同様の方法を用いて、I2HPTy(実施例2に従い得られた)を重合し、ポリ(I2HPTyカーボネート)を得た。

実施例7.ポリ(I2DTy−コ−10重量%PEG2Kカーボネート)の調製 メカニカルスターラーおよび液体添加装置を備えた250mLの三口丸底フラスコ中に、9.0g(0.017mol)のI2DTy、1.01gのPEG2000、5.4g(0.068mol)のピリジン、および65mLのDCMを入れて15分間撹拌し、透明な溶液を得た。トリホスゲン(2.0g、0.020molのホスゲン)を10mLのDCMに溶解させ、当該溶液を2〜3時間かけて反応フラスコ中に導入した。添加終了後、100mLの水を反応混合物に加えて5分間撹拌した。層分離させた後、上部の水層を除去して廃棄した。100mLのDI水を2回追加して洗浄を繰り返した。その後、反応混合物を100mLのIPAで沈殿させた。得られたゲルを、1Lのラボラトリーブレンダーで150mLのIPAと共に2回粉砕した。真空濾過によって生成物を単離し、真空オーブンを用いて50℃で乾燥させた。上記ポリマーは、HPSECポリスチレン当量で250Kdaの分子量を有し(THFを移動相とした)、64℃のガラス転移温度(Tg)を有し、250℃で圧縮成形することで、透明なフィルムが得られた。降伏点引張応力、引張係数、および破断点伸びは、それぞれ7.1ksi、235ksiおよび350%であった。

実施例8.ポリ(I2DTy−コ−5重量%PEG2Kカーボネート)の調製 メカニカルスターラーおよび液体添加装置を備えた250mLの三口丸底フラスコ中に、10g(0.019mol)のI2DTy、0.535gのPEG2000、5.9mL(0.073mol)のピリジン、および62mLのDCM入れて15分間撹拌し、透明な溶液を得た。トリホスゲン(2.1g、0.021molのホスゲン)を10mLのDCMに溶解させ、当該溶液を2〜3時間かけて反応フラスコ中に導入した。添加終了後、100mLの水を反応混合物に加えて5分間撹拌した。層分離させた後、上部の水層を除去して廃棄した。100mLのDI水を2回追加して洗浄を繰り返した。その後、反応混合物を100mLのIPAで沈殿させた。得られたゲルを、1Lのラボラトリーブレンダーで150mLのIPAと共に2回粉砕した。真空濾過によって生成物を単離し、真空オーブンを用いて50℃で乾燥させた。上記ポリマーは、HPSECポリスチレン当量で200Kdaの分子量を有し(THFを移動相とした)、84℃のガラス転移温度(Tg)を有していた。205℃における圧縮成形により、引張係数、降伏点引張応力および破断点伸びが、それぞれ232ksi、8.2ksiおよび70%である、均一に透明なフィルムが得られた。

実施例9.ポリ(I2DTy−コ−10重量%PTMC5Kカーボネート)の調製 メカニカルスターラーおよび液体添加装置を備えた250mLの三口丸底フラスコ中に、9.0g(0.017mol)のI2DTy、1.00gのMn5000であるポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC5K)、5.5ml(0.068mol)のピリジン、および65mLのDCMを入れて15分間撹拌し、透明な溶液を得た。トリホスゲン(1.9g、0.019molのホスゲン)を10mLのDCMに溶解させ、当該溶液を2〜3時間かけて反応フラスコ中に導入した。添加終了後、100mLの水を反応混合物に加えて5分間撹拌した。層分離させた後、上部の水層を除去して廃棄した。100mLのDI水を2回追加して洗浄を繰り返した。その後、反応混合物を100mLのIPAで沈殿させた。得られたゲルを、1Lのラボラトリーブレンダーで150mLのIPAと共に2回粉砕した。真空濾過によって生成物を単離し、真空オーブンを用いて50℃で乾燥させた。上記ポリマーは、HPSECポリスチレン当量で250Kdaの分子量を有し(THFを移動相とした)、101℃のガラス転移温度(Tg)を有していた。205℃における圧縮成形により、引張係数、降伏点引張応力および破断点伸びが、それぞれ201ksi、7.4ksiおよび120%である、均一に透明なフィルムが得られた。

実施例10.ポリ(I2DTy−コ−5重量%PTMC5Kカーボネート)の調製 メカニカルスターラーおよび液体添加装置を備えた250mLの三口丸底フラスコ中に、10g(0.019mol)のI2DTy、0.53gのPTMC5K、5.9ml(0.073mol)のピリジン、および65mLのDCMを入れて15分間撹拌し、透明な溶液を得た。トリホスゲン(2.1g、0.021molのホスゲン)を10mLのDCMに溶解させ、当該溶液を2〜3時間かけて反応フラスコ中に導入した。添加終了後、100mLの水を反応混合物に加えて5分間撹拌した。層分離させた後、上部の水層を除去して廃棄した。100mLのDI水を2回追加して洗浄を繰り返した。その後、反応混合物を100mLのIPAで沈殿させた。得られたゲルを、1Lのラボラトリーブレンダーで150mLのIPAと共に2回粉砕した。真空濾過によって生成物を単離し、真空オーブンを用いて50℃で乾燥させた。上記ポリマーは、HPSECポリスチレン当量で225Kdaの分子量を有し(THFを移動相とした)、106℃のガラス転移温度(Tg)を有していた。205℃における圧縮成形により、引張係数、降伏点引張応力および破断点伸びが、それぞれ266ksi、8.4ksiおよび185%である、均一に透明なフィルムが得られた。

実施例11.I2DAT(PrD−ジI2DAT)を用いた1,3−プロパンジオールのジエステルの合成 オーバーヘッドスターラー、ディーンシュタークトラップおよび温度計を備えた500mLの丸底フラスコに、3.04g(0.040mol)の1,3−プロパンジオール、33.8g(0.081mol)の3,5−ジヨードデスアミノチロシルチロシンエチルエステル(I2DAT)、0.76g(4.0mmol)のp−トルエンスルホン酸、および200mLの1,2−ジクロロエタンを添加した。オーバーヘッドスターラーを用いて撹拌しながら、ディーンシュタークトラップ中に1,2−ジクロロエタンおよび水が蒸留されるように、加熱マントルを用いてフラスコを加熱した。水の回収が停止するまで、加熱を続けた(約1.45mLの水が回収された)。反応混合物を50℃まで冷却し、その後、乾燥のために濃縮した。残渣に175mLのアセトニトリルを加え、室温で4時間撹拌した。分離された結晶性固体を濾過により単離し、アセトニトリルで洗浄した。オフホワイトの粗生成物を回収し乾燥させた。

上記で得られた粗PrD−ジI2DAT(HPLCによる純度98%)を、175mLのアセトニトリルと共にオーバーヘッドスターラーを用いて、200rpmで4時間撹拌した。生成物がほぼ無色の粉末で沈殿し、これは、HPLCで98〜99%の純度であった。さらなる精製のため、生成物をアセトニトリル(10mL/g)中に溶解させ、ノリット(Norit)と共に撹拌した(10mgのノリット/生成物1gあたり)。ノリットを除くために熱い溶液を濾過し、その後、再結晶のため氷水浴中で冷却し、無色の粉末を得た(HPLCによる純度>99.5%)。真空オーブンを用いて生成物を40℃で乾燥させた。生成物は、融点が88℃(DSCによる)であり、元素分析および1H NMRスペクトルが構造と一致した。シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより、さらなる精製が可能である。

実施例12.ポリ(PrD−ジI2DAT−コ−10重量%チロソールカーボネート)の調製 メカニカルスターラーおよび液体添加装置を備えた1Lの三口丸底フラスコ中に、25g(0.029mol)のPrD−ジI2TDAT、2.78g(0.020mol)のチロソール、15.4ml(0.19mol)のピリジン、および170mLのDCMを入れて15分間撹拌し、透明な溶液を得た。トリホスゲン(5.4g、0.055molのホスゲン)を20mLのDCMに溶解させ、当該溶液を2〜3時間かけて反応フラスコ中に導入した。添加終了後、200mLの水を反応混合物に加えて5分間撹拌した。層分離させた後、上部の水層を除去して廃棄した。200mLのDI水を2回追加して洗浄を繰り返した。その後、反応混合物を300mLのIPAで沈殿させた。得られたゲルを、1Lのラボラトリーブレンダーで200mLのIPAと共に2回粉砕した。真空濾過によって生成物を単離し、真空オーブンを用いて80℃で乾燥させた。上記ポリマーは、HPSECポリスチレン当量で200Kdaの分子量を有し(THFを移動相とした)、90℃のガラス転移温度(Tg)を有していた。205℃における圧縮成形により、引張係数、降伏点引張応力(σ)および破断点伸びが、それぞれ260ksi、9.7ksiおよび220%である、均一に透明なフィルムが得られた。同様の方法を用いて、5%および15%チロソールを有する共重合体を下記の通り調製した。

当業者に理解されるように、トリホスゲンは、反応物であるPrD−ジI2DATおよびチロソールの混合物中にゆっくりと加えられるため、上記ポリPrD−ジI2DAT−コ−チロソールカーボネート)生成物は、カーボネート(−OC(O)O−)リンカーを介してPrD−ジI2DATおよびチロソールユニットがランダムに配向したポリマー分子からなる。すなわち、二つの隣接したユニットは、PrD−ジI2DATおよびPrD−ジI2DAT、PrD−ジI2DATおよびチロソール、またはチロソールおよびチロソールを含みうる。チロソールの構造が非対称であれば、「頭(head)」(すなわち、「フェノキシ」部分)または「尾(tail)」(すなわち、「エチレンオキシ」部分)によってPrD−ジI2DATユニットと結合することができる。チロソール自身によって形成された二つの隣接するすべてのユニットは、「頭−頭」、「頭−尾」または「尾−尾」配置のいずれかでありうる。理論に束縛されるものではないが、本実施例では、PrD−ジI2DATが過剰モルで用いられるため、上記ポリマー分子は、互いに連結された「チロソール−カーボネート−チロソール」ユニットの長い連鎖を大量に含みにくい。他方、反応混合物中、PrD−ジI2DATに対して大過剰のチロソールが存在する場合、チロソールが互いに連結し、かような連結の、比較的長い連鎖を与える可能性がより高くなりうる。

実施例13.ポリ(チロソールカーボネート) メカニカルスターラーおよび液体添加装置を備えた500mLの三口丸底フラスコ中に、10g(0.073mol)のチロソール、24mL(0.298mol)のピリジン、200mLのDCMを入れて15分間撹拌し、透明な溶液を得た。トリホスゲン(7.7g、0.078molのホスゲン)を25mLのDCMに溶解させ、当該溶液を2〜3時間かけて反応フラスコ中に導入した。添加終了後、250mLの水を反応混合物に加えて5分間撹拌した。層分離させた後、上部の水層を除去して廃棄した。250mLのDI水を2回追加して洗浄を繰り返した。その後、反応混合物を300mLのIPAで沈殿させた。得られたゲルを、1Lのラボラトリーブレンダーで200mLのIPAと共に2回粉砕した。真空濾過によって生成物を単離し、真空オーブンを用いて60℃で乾燥させた。上記ポリマーは、HPSECポリスチレン当量で126Kdaの分子量を有し(THFを移動相とした)、58℃のガラス転移温度(Tg)を有していた。195℃における圧縮成形により、引張係数、降伏点引張応力および破断点伸びが、それぞれ191ksi、5ksiおよび450%である、均一に透明なフィルムが得られた。

実施例14.低分子量ポリ(チロソールカーボネート) メカニカルスターラーおよび液体添加装置を備えた250mLの三口丸底フラスコ中に、10g(0.073mol)のチロソール、22mL(0.277mol)のピリジン、60mLのDCMを入れて15分間撹拌し、透明な溶液を得た。トリホスゲン(7.0g、0.071molのホスゲン)を25mLのDCMに溶解させ、当該溶液を2〜3時間かけて反応フラスコ中に導入した。添加終了後、100mLの0.2M HCl水溶液を反応混合物に加えて5分間撹拌した。層分離させた後、上部の水層を除去して廃棄した。100mLの0.2M HCl水溶液を3回追加して洗浄を繰り返した。その後、反応混合物を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、100mLのヘキサンで沈殿させた。生成物が凝固して白色固体となるまで、得られた粘性油状物を200mLの新しいヘキサンと共に撹拌した。生成物をガラス皿に写し、真空オーブンを用いて60℃で間乾燥させた。上記ポリマーは、HPSECポリスチレン当量でMwが7500da、Mnが5700daであり(THFを移動相とした)、48℃のガラス転移温度(Tg)を有していた。本方法を用いることにより、Mw750daから40,000daの範囲内にある多くのオリゴマーおよびポリマーを調製した。

実施例15.マルチ−ブロック ポリ(PrD−ジI2DAT−コ−10重量%チロソールカーボネート)の調製 メカニカルスターラーおよび液体添加装置を備えた1Lの三口丸底フラスコ中に、25g(0.029mol)のPrD−ジI2DAT、2.78g(0.49mmol)の、Mnが3700daであるオリゴ(チロソールカーボネート)、15.4mL(0.19mol)のピリジン、および170mLのDCMを入れて15分間撹拌し、透明な溶液を得た。トリホスゲン(33g、0.055 0.034molのホスゲン)を20mLのDCMに溶解させ、当該溶液を2〜3時間かけて反応フラスコ中に導入した。添加終了後、反応混合物を15分間撹拌した。粘性の反応混合物に、200mLの水を添加して5分間撹拌した。 層分離させた後、上部の水層を除去して廃棄した。200mLのDI水を2回追加して洗浄を繰り返した。その後、反応混合物を300mLのIPAで沈殿させた。得られたゲルを、1Lのラボラトリーブレンダーで200mLのIPAと共に2回粉砕した。真空濾過によって生成物を単離し、真空オーブンを用いて80℃で乾燥させた。上記ポリマーは、HPSECポリスチレン当量で200Kdaの分子量を有し(THFを移動相とした)、90℃のガラス転移温度(Tg)を有していた。上記ポリマーの1H NMRスペクトルは、構造と一致した。このポリマーの1H NMRスペクトルは、実施例13において得られたランダム共重合体のものとは明らかに異なっており、チロソール繰り返し単位のブロック性(blockiness)を示している。

実施例16.ポリ(PrD−ジI2DAT−コ−10重量%DTyカーボネート)の調製 メカニカルスターラーおよび液体添加装置を備えた1Lの三口丸底フラスコ中に、25g(0.029mol)のPrD−ジI2DAT、2.78g(0.010mol)のDTy、15.4mL(0.19mol)のピリジン、および170mLのDCMを入れて15分間撹拌し、透明な溶液を得た。トリホスゲン(4.3g、0.044molのホスゲン)を20mLのDCMに溶解させ、当該溶液を2〜3時間かけて反応フラスコ中に導入した。添加終了後、200mLの水を反応混合物に加えて5分間撹拌した。層分離させた後、上部の水層を除去して廃棄した。200mLのDI水を2回追加して洗浄を繰り返した。その後、反応混合物を300mLのIPAで沈殿させた。得られたゲルを、1Lのラボラトリーブレンダーで200mLのIPAと共に2回粉砕した。真空濾過によって生成物を単離し、真空オーブンを用いて80℃で乾燥させた。上記ポリマーは、HPSECポリスチレン当量で200Kdaの分子量を有し(THFを移動相とした)、95℃のガラス転移温度(Tg)を有していた。上記ポリマーの1H NMRスペクトルは、構造と一致した。205℃における圧縮成形により、引張係数、降伏点引張応力および破断点伸びが、それぞれ280ksi、10ksiおよび200%である、均一に透明なフィルムが得られた。

実施例17.チロソールまたは類縁体系交互ポリカーボネートの調製 尾(tail)−尾(tail)、頭(head)−頭(head)、および/または頭(head)−尾(tail)構造の規則的な配列を有する交互ポリマー(Alternating polymer)が開示される。これらのポリマーは、尾−尾、頭−頭、および/または頭−尾構造の特定の順序を有していないランダムポリマーとは、明らかに異なる。特に、チロソール由来のポリカーボネートは、以下に示される三種類のカーボネート結合:芳香族−芳香族(頭−頭とも称する)、芳香族−脂肪族の混合(頭−尾とも称する)、および脂肪族−脂肪族(尾−尾とも称する)を有する:

H−H、H−TまたはT−T骨格結合のランダムな配列を有するポリマーは、骨格結合の均一な配列を有するポリマーとは明確に異なる特性を有する。

H−HおよびT−T結合の均一、交互配列を備えた交互ポリマーを作るため、単量体をそれ自身と反応させ、二量体を形成した。本実施例では、その後、当該二量体を重合反応させ、脂肪族ジチロソールカーボネートおよび脂肪族チロソールクロロギ酸エステルを単量体として用いてポリカーボネートを合成した。脂肪族ジチロソールカーボネートは、脂肪族カーボネート結合の柔軟性および立体的な接近容易性(steric accessibility)に起因して酵素的切断部位を導入する。反応工程は、以下の通りである。

(A)チロソールクロロギ酸エステルの合成

不活性雰囲気下で、オーバーヘッドスターラーを備えた三口フラスコにチロソールを入れた。無水テトラヒドロフランをシリンジから加え、混合物を撹拌して溶液を得た。上記溶液は、常時氷/水浴で冷却された状態とし、トリホスゲンを無水テトラヒドロフラン中に溶解させ、反応器へ滴下した。1時間の間に脂肪族チロソールクロロギ酸エステルが得られた。後処理のため、大部分の溶媒を蒸発させた。残渣を溶解させるために塩化メチレンを加え、過剰のチロソールを濾別した。上記溶液を氷/水浴中で冷却した。反応中に生成したHClの大部分をも属貯め、冷却した脱イオン水を添加した。二層を分離し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を蒸発させ、真空下で乾燥させた後、脂肪族チロソールクロロギ酸エステルを油状物として得た。

(B)脂肪族ジチロソールカーボネートの合成

窒素雰囲気下、脂肪族チロソールクロロギ酸エステル(A)およびチロソールを無水テトラヒドロフラン中に溶解させ、氷/水浴中で冷却した。1当量のピリジンを、12時間かけてシリンジポンプを用いて滴下した。その後、溶媒を蒸発させ、残渣を塩化メチレンに溶解させた。有機層を希塩酸で4回洗浄し、5%(w/v)重炭酸水溶液で4回洗浄し、食塩水で2回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥させた後、ジチロソールカーボネートを白色固体として得た。

(C)交互カーボネート結合配列を備えたポリ(チロソールカーボネート)の合成

窒素雰囲気下、脂肪族ジチロソールカーボネートを塩化メチレン中に溶解させる。トリホスゲンを塩化メチレン中に溶解させ、反応混合物に滴下する。トリホスゲンの添加後、数時間かけてピリジンを反応混合物に滴下する。標準的な後処理方法により、交互カーボネート結合配列を備えたポリ(チロソールカーボネート)が得られる。

(D)制御されたカーボネート結合配列を備えたポリチロソールの合成

ジチロソールカーボネート(x当量)およびチロソールカーボネート(y当量)を無水テトラヒドロフラン中に溶解させ、ドライアイス/イソプロパノール浴中で冷却する。工程1において、数時間かけてピリジンを滴下する。その後、トリホスゲンを無水テトラヒドロフラン中に溶解させ、反応混合物に滴下する。標準的な後処理方法により、カーボネート結合が制御された組成を有するポリ(チロソールカーボネート)が得られる。

本発明の趣旨から逸脱せずに多くの様々な改変が可能であることは、当業者によって理解される。したがって、本明細書中に開示された本発明の様々な実施形態は例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないことは、明確に理解されるべきである。

実施例18.ポリ(PrDI2DAT−コ−9%チロソール−コ−1%PEG1Kカーボネート)の調製 メカニカルスターラーおよび液体添加装置を備えた1Lの三口丸底フラスコ中に、145g(51mmol)のPrD−ジI2DAT、4.5g(33mol)のチロソール、0.5g(0.50mmol)のPEG1000、25g(320mmol)のピリジン、および305mLのDCMを入れて15分間撹拌し、透明な溶液を得た。トリホスゲン(8.6g、87mmolのホスゲン)を32mLのDCMに溶解させ、当該溶液を2〜3時間かけて反応フラスコ中に導入した。添加終了後、135mLのTHFおよび15mLの水の混合物で反応混合物をクエンチした。350mLの水を反応混合物に加えて5分間撹拌した。層分離させた後、上部の水層を除去して廃棄した。350mLのDI水を2回追加して洗浄を繰り返した。その後、反応混合物を500mLのアセトンで沈殿させた。得られたゲルを、500mLのIPAと共に撹拌し、微細な粒子に粉砕した。当該粒子を二回粉砕し、濾過によって単離し、真空オーブンを用いて80℃で乾燥させた。上記ポリマーは、Mwが400Kdaであり、92℃のガラス転移温度(Tg)を有していた。上記ポリマーの1H NMRスペクトルは、構造と一致した。190℃における圧縮成形により、引張係数、降伏点引張応力および破断点伸びが、それぞれ240ksi、9.1ksiおよび106%である、均一に透明なフィルムが得られた。

実施例19.ポリ(I2DTy−コ−10%チロソールカーボネート)の調製 メカニカルスターラーおよび液体添加装置を備えた1Lの三口丸底フラスコ中に、45g (0.084mol)のI2DTy、5g(0.036mol)のチロソール、35.5g(0.45mol)のピリジン、および300mLのDCMを入れて15分間撹拌し、透明な溶液を得た。トリホスゲン(12.3g、0.125mmolのホスゲン)を32mLのDCMに溶解させ、当該溶液を2〜3時間かけて反応フラスコ中に導入した。添加終了後、135mLのTHFおよび15mLの水の混合物で反応混合物をクエンチした。350mLの水を反応混合物に加えて5分間撹拌した。層分離させた後、上部の水層を除去して廃棄した。350mLのDI水を2回追加して洗浄を繰り返した。その後、反応混合物を600mLのIPAで沈殿させた。得られたゲルを、4Lの高速ブレンダーで二回粉砕した。上記沈殿物を濾過によって単離し、真空オーブンを用いて80℃で乾燥させた。上記ポリマーは、Mwが318Kdaであり、100℃のガラス転移温度(Tg)を有していた。上記ポリマーの1H NMRスペクトルは、構造と一致した。190℃における圧縮成形により、均一に透明なフィルムが得られた。同様の方法を用いて、15%チロソールを有する共重合体を下記の通り調製した。

実施例20.開始剤としてエチレングリコールを用いるPLLAジオールの調製(EGPLLAD7K) 250mLの丸底フラスコ中に、1.29g(0.02mol)のエチレングリコール、1.44tg(3.6mmol)のオクチル酸Sn(II)および144.1g(1.0mol)のL−ラクチドを入れた。大きな卵型スターラーバーを上記フラスコ内に入れた。窒素加圧下で上記フラスコを保持し、その後、110℃に保持された湯浴中に入れ、1時間加熱したところ、ラクチドが融解した。温度を140℃まで上昇させ、かくはんしながら4時間加熱した。その後、湯浴からフラスコを取り出し、室温まで冷却した。上記フラスコに350mLのDCMを加え、一晩撹拌子、ポリマーを溶解させた。当該ポリマー溶液を、撹拌しながら1Lのヘプタンにゆっくりと添加した。濾過することにより白色結晶性粉末として単離されるポリマーが沈澱した。未反応のラクチドを除くため、上記沈殿物を250mLのアセトニトリルで洗浄した。真空オーブンを用いて40℃で24時間生成物を乾燥させた。DSCにより、Tgが47℃、融点が134℃(5J/g)および148℃(15.5J/g)であることがわかった。エチレングリコールの代わりに1,3−プロパンジオールを用いて、同様にPrDPLLAD7Kを調製した。

実施例21.ポリ(PrD−ジI2DAT−コ−50%EGPLLAD7Kカーボネート)の調製 メカニカルスターラーおよび液体添加装置を備えた1Lの三口丸底フラスコ中に、30g(0.034mol)のPrD−ジI2DAT、30g(0.004mol)のEGPLLAD7K、11.4g(0.145mol)のピリジン、および360mLのクロロホルムを入れて15分間撹拌し、透明な溶液を得た(溶液はわずかに懸濁していた)。トリホスゲン(3.96g、0.04molのホスゲン)を12mLのクロロホルムに溶解させ、当該溶液を2〜3時間かけて反応フラスコ中に導入した。添加終了後、135mLのTHFおよび15mLの水の混合物で反応混合物をクエンチした。350mLの水を反応混合物に加えて5分間撹拌した。層分離させた後、上部の水層を除去して廃棄した。350mLのDI水を2回追加して洗浄を繰り返した。その後、反応混合物を700mLのIPAで沈殿させた。得られたゲルを、4Lのブレンダーで550mLと共に2回粉砕した。濾過によって生成物を単離し、真空オーブンを用いて80℃で乾燥させた。上記ポリマーの1H NMRスペクトルは、構造と一致した。得られた50%EGPLLADポリマーを190℃で圧縮成形することにより、均一に透明なフィルムが得られた。

同様の方法を用いて、20%および65%EGPLLADを含む共重合体を調製した。三つのポリマー試料の物理的特性は下記の通りである。本明細書中に提供される指針(たとえば、コモノマーの含有量、ポリマー分子量およびフィルムの製造方法を適当に選択する)ことにより与えられる所定の実験を行うことによって、異なる物理的特性を有する他のポリマーが調製されうる。

実施例22.ポリ(I2DTy−コ−50%EGPLLAD7Kカーボネート)の調製 メカニカルスターラーおよび液体添加装置を備えた1Lの三口丸底フラスコ中に、25g(0.046mmol)のI2DTy、25g(0.004mol)のEGPLLAD、14.8g(0.19mol)のピリジン、および305mLのDCMを入れて15分間撹拌し、透明な溶液を得た(溶液はわずかに懸濁していた)。トリホスゲン(5.19g、0.053molのホスゲン)を15mLのDCMに溶解させ、当該溶液を2〜3時間かけて反応フラスコ中に導入した。添加終了後、135mLのTHFおよび15mLの水の混合物で反応混合物をクエンチした。350mLの水を反応混合物に加えて5分間撹拌した。層分離させた後、上部の水層を除去して廃棄した。350mLのDI水を2回追加して洗浄を繰り返した。その後、反応混合物を600mLのIPAで沈殿させた。得られたゲルを、4Lの高速ブレンダーで2回粉砕した。濾過によって得られた沈殿物を単離し、真空オーブンを用いて80℃で乾燥させた。上記ポリマーは、100℃のガラス転移温度(Tg)を有していた。上記ポリマーの1H NMRスペクトルは、構造と一致した。190℃で圧縮成形することにより、均一に透明なフィルムが得られた。

同様の方法を用いて、45%および60%EGPLLADを含む共重合体を調製し、同定を行った。上記ポリマーの特性を下記の表に示す。上記重合においてPLLADをPGADに変更することにより、同様の方法を用いてI2DTEおよびポリグリコリド−ジオール(PGAD)を含む共重合体が調製されうる。

実施例23.ポリ(I2DTy−コ−50%DTyカーボネート)の調製 メカニカルスターラーおよび液体添加装置を備えた1Lの三口丸底フラスコ中に、25g(0.046mol)のI2DTy、25g(0.087mol)のDTy、43g(0.55mol)のピリジン、および305mLのDCMを入れて15分間撹拌し、透明な溶液を得た。トリホスゲン(14.2g、0.143molのホスゲン)を43mLのDCMに溶解させ、当該溶液を2〜3時間かけて反応フラスコ中に導入した。添加終了後、135mLのTHFおよび15mLの水の混合物で反応混合物をクエンチした。350mLの水を反応混合物に加えて5分間撹拌した。層分離させた後、上部の水層を除去して廃棄した。350mLのDI水を2回追加して洗浄を繰り返した。その後、反応混合物を600mLのIPAで沈殿させた。得られたゲルを、4Lの高速ブレンダーで2回粉砕した。濾過によって得られた沈殿物を単離し、真空オーブンを用いて80℃で乾燥させた。上記ポリマーは、68℃のガラス転移温度(Tg)を有していた。上記ポリマーの1H NMRスペクトルは、構造と一致した。190℃で圧縮成形することにより、均一に透明なフィルムが得られた。170℃における圧縮成形により、引張係数、降伏点引張応力および破断点伸びが、それぞれ195ksi、4.3ksiおよび473%である、均一に透明なフィルムが得られた。同様の方法を用いて、ポリ(I2DTy−コ−20%DTyカーボネート)を調製した。

実施例24.(4−(2−ヒドロキシエチル)2,6,−ジヨードフェノール)の合成

200mLのKICl2溶液(2M)を140mLの95%エタノール中、27.6g(0.2mol)のチロソールに加え、得られた溶液を1時間撹拌することにより、チロソールのヨウ素化を行った。400mLの水で処理し、分離した油状物を100mLの2%チオ硫酸ナトリウム溶液と共に2時間撹拌した。得られた茶色固体をエタノールに溶解させ、活性炭で処理し、ろ過した。純粋なジヨードチロソール(4−(2−ヒドロキシエチル)2,6,−ジヨードフェニル)が収率65%で得られ、hplcおよびNMRにより同定した。

実施例25.4−ヒドロキシフェニルエチル3−(4−(4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−プロピオネートの合成

オーバーヘッドスターラーおよび水より重い溶媒用に改良したディーンシュタークトラップを備えた500mLの丸底フラスコに、10g(72mmol)のチロソール、30g(78mmol)のデスアミノチロニン(desaminothyronine)、0.65g(3.4mmol)の4−トルエンスルホン酸一水和物、および200mLの1,2−ジクロロエタン(DCE)を加えた。水冷還流凝縮器を改良したディーンシュタークトラップの上に設置し、上記フラスコの内容物を撹拌しながら加熱して還流させた。改良したディーンシュタークトラップ中、DCEの上に約1.4mLの水が回収され、原則的に水の回収が停止するまで(約4時間の還流)反応を続けた。反応混合物を室温まで冷却し、粗生成物を100mLの酢酸エチルに溶解させ、100mLの5%重曹溶液を用いて2回洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥させた後、有機層を濃縮し、ヘキサンを用いて沈殿させた。得られた白色結晶性固体を濾過により回収し、真空オーブンを用いて25℃で乾燥させた。生成物について、元素分析、HPLCおよび1H NMRによって特性を評価した。

本発明の趣旨から逸脱せずに多くの様々な改変が可能であることは、当業者によって理解される。したがって、本明細書中に開示された、本発明の様々な実施形態および実施例は例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。

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