架橋化有機ポリマー組成物

申请号 JP2015538118 申请日 2013-10-21 公开(公告)号 JP6316829B2 公开(公告)日 2018-04-25
申请人 デルスパー リミテッド パートナーシップ; 发明人 ドレイク, ケリー エー.; ノルドキスト, アンドリュー エフ.; ダス, スディプト; バーゴイン, ウィリアム エフ. ジュニア; ソン, リ; ウィリアムズ, ショーン ピー.; ボーランド, ロジャー ケイ.;
摘要
权利要求

架橋化合物ならびに有機酸および/またはアセテート化合物から選択される架橋反応添加物を含む組成物であって、該架橋化合物が、式(IV): (式中、Aは、10,000g/mol未満の分子量を有するアレーン部分であり、R1は、ヒドロキシド(−OH)、アミン(−NH2)、ハライド、エーテル、エステル、またはアミドからなる群から選択され、xは2.0〜6.0である)の構造を有し、 該架橋反応添加物が該架橋化合物と反応してオリゴマー形態の反応性中間体を形成することができ、反応性中間体オリゴマーが有機ポリマーを架橋することができる、組成物。前記架橋化合物は、 からなる群から選択される構造を有する、請求項1に記載の組成物。前記アレーン部分が1,000g/mol〜9,000g/molの分子量を有する、請求項1に記載の組成物。前記アレーン部分が2,000g/mol〜7,000g/molの分子量を有する、請求項3に記載の組成物。前記架橋反応添加物が、氷酢酸、ギ酸、および/または安息香酸から選択される有機酸である、請求項1に記載の組成物。前記架橋反応添加物が、式(II): (式中、MはI族金属またはII族金属であり;R2は、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基であり、前記アルキル基は1〜30個の炭素原子の炭化素基を含み、前記アルキル基は、前記基の鎖もしくは構造に沿ってまたは鎖もしくは構造中に0〜10個のエステル基またはエーテル基を有し、R2は、スルフェート、ホスフェート、ヒドロキシル、カルボニル、エステル、ハライド、メルカプト、またはカリウムから選択される0〜10個の官能基を含む)の構造を有するアセテート化合物である、請求項1に記載の組成物。前記アセテート化合物が、酢酸リチウム水和物、酢酸ナトリウム、および/または酢酸カリウム、ならびにその塩および誘導体から選択される、請求項6に記載の組成物。前記架橋化合物の前記架橋反応添加物に対する重量百分率が10:1〜10,000:1である、請求項1に記載の組成物。前記架橋化合物の前記架橋反応添加物に対する重量百分率が20:1〜1000:1である、請求項8に記載の組成物。少なくとも1つの有機ポリマーをさらに含み、前記架橋反応添加物が前記架橋化合物と反応してオリゴマー形態の反応性中間体を形成することができ、反応性中間体オリゴマーが有機ポリマーを架橋することができる、請求項1に記載の組成物。前記有機ポリマーが、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリフタルアミド、ポリアミド−イミド、ポリ(ベンズイミダゾール)、およびポリアラミドから選択される、請求項10に記載の有機ポリマー組成物。前記有機ポリマーが、以下の構造: (式中、Ar1、Ar2、Ar3、およびAr4は同一のまたは異なるアリールラジカルであり、m=0〜1.0、そしてn=1−m)を有するポリマー繰り返し単位を含むポリ(アリーレンエーテル)である、請求項11に記載の有機ポリマー組成物。前記有機ポリマーがポリ(アリーレンエーテル)であり、mが1であり、nが0であり、前記ポリマーが、式(V): の構造を有する繰り返し単位を有する、請求項12に記載の有機ポリマー組成物。前記架橋反応添加物が、氷酢酸、ギ酸、および/または安息香酸から選択される有機酸である、請求項10に記載の有機ポリマー組成物。前記架橋反応添加物が、式(II): (式中、MはI族金属またはII族金属であり;R2は、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基であり、前記アルキル基は1〜30個の炭素原子の炭化水素基を含み、前記アルキル基は、前記基の鎖もしくは構造に沿ってまたは鎖もしくは構造中に0〜10個のエステル基またはエーテル基を有し、R2は、スルフェート、ホスフェート、ヒドロキシル、カルボニル、エステル、ハライド、メルカプト、またはカリウムから選択される0〜10個の官能基を含む)の構造を有するアセテート化合物である、請求項10に記載の有機ポリマー組成物。前記有機ポリマーの前記架橋化合物および前記架橋反応添加物の組み合わせ重量に対する重量百分率が1:1〜100:1である、請求項10に記載の有機ポリマー組成物。前記有機ポリマーの前記架橋化合物と前記架橋反応添加物との組み合わせ重量に対する重量百分率が3:1〜10:1である、請求項16に記載の有機ポリマー組成物。前記組成物が、炭素繊維、グラスファイバー、織物状グラスファイバー、織物状炭素繊維、アラミド繊維、ホウ素繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、セラミック繊維、ポリアミド繊維から選択される連続または不連続、長繊維または短繊維の強化用繊維;ならびにカーボンブラック、シリケート、ファイバーグラス、硫酸カルシウム、ホウ素、セラミック、ポリアミド、アスベスト、フルオログラファイト、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、ホウ砂(ホウ酸ナトリウム)、活性炭、パーライト、亜鉛テレフタレート、グラファイト、タルク、マイカ、炭化ケイ素のウィスカまたは板状結晶、ナノフィラー、モリブデンジスルフィド、フルオロポリマー、カーボンナノチューブ、およびフラーレンチューブから選択される1つまたは複数の充填剤から選択される少なくとも1つの添加物をさらに含む、請求項10に記載の有機ポリマー組成物。前記組成物が、0.5重量%〜65重量%の前記少なくとも1つの添加物を含む、請求項18に記載の有機ポリマー組成物。前記組成物が、安定剤、難燃剤、色素、可塑剤、界面活性剤、および/または分散剤をさらに含む、請求項10に記載の有機ポリマー組成物。請求項10に記載の組成物から形成される成形品。前記物品を、押出し、射出成形、ブロー成形、ブローフィルム成形、圧縮成形、または射出/圧縮成形を使用して成形する、請求項21に記載の成形品。請求項10に記載の組成物から形成された製品であって、前記製品が、耐酸コーティング;化学的流延フィルム;押出しフィルム;溶媒流延フィルム;ブローフィルム;カプセル化製品;絶縁材;包装材;複合セル;コネクタ;シーリングアセンブリ(Oリング、Vリング、Uカップ、ガスケットが含まれる);ベアリング;バルブシート;アダプタ;ワイパリング;シェブロンバックアップリング;および管材料から選択される、製品。架橋化有機ポリマーの形成で用いる有機ポリマー組成物であって、 有機ポリマー;および 式(IV): (式中、Aは10,000g/mol未満の分子量を有するアレーン部分であり、R1は、ヒドロキシド(−OH)、アミン(−NH2)、ハライド、エーテル、エステル、または/およびアミドからなる群から選択され、xは2.0〜6.0である)の構造を有する架橋化合物と有機酸および/またはアセテート化合物から選択される架橋反応添加物との反応生成物である反応性架橋オリゴマー を含む、組成物。請求項24に記載の組成物から形成された成形品。有機ポリマーの架橋で用いる架橋化合物の架橋反応速度を制御する方法であって、 a)架橋化合物ならびに有機酸および/またはアセテート化合物から選択される架橋反応添加物を含む架橋組成物を提供する工程であって、該架橋化合物が、式(IV): (式中、Aは10,000g/mol未満の分子量を有するアレーン部分であり、R1は、ヒドロキシド(−OH)、アミン(−NH2)、ハライド、エーテル、エステル、またはアミドからなる群から選択され、xは2.0〜6.0である)の構造を有し、該架橋反応添加物が該架橋化合物と反応して有機ポリマーの架橋のためのオリゴマー形態の反応性中間体を形成することができる、工程;および b)該架橋化合物のオリゴマー化が起こるように該架橋組成物を加熱する工程 を含む、方法。工程(b)が、熱成形前に前記架橋組成物を加熱することをさらに含む、請求項26に記載の方法。前記架橋反応添加物は、氷酢酸、ギ酸、および/もしくは安息香酸から選択される有機酸、ならびに/または酢酸リチウム、酢酸ナトリウム水和物、および/もしくは酢酸カリウムから選択されるアセテート化合物、ならびにその塩および誘導体である、請求項26に記載の方法。前記架橋化合物と前記架橋反応添加物とを工程(a)において固体形態で合わせることをさらに含む、請求項26に記載の方法。前記架橋化合物と前記架橋反応添加物とを工程(a)において溶媒中で合わせ、前記架橋化合物と前記架橋反応添加物とを反応させて反応性のオリゴマー化した架橋化合物を形成する工程をさらに含む、請求項26に記載の方法。(c)前記反応性のオリゴマー化した架橋化合物を有機ポリマーに添加して架橋性組成物を形成する工程、および (d)前記有機ポリマー組成物を架橋して架橋化有機ポリマーを形成する工程 をさらに含む、請求項30に記載の方法。工程(c)において少なくとも1つの添加物を添加することをさらに含む、請求項31に記載の方法。前記有機ポリマーが、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリフタルアミド、ポリアミド−イミド、ポリ(ベンズイミダゾール)、および/またはポリアラミドから選択される、請求項26に記載の方法。前記有機ポリマーが、以下の構造: (式中、Ar1、Ar2、Ar3、およびAr4は同一のまたは異なるアリールラジカルであり、m=0〜1.0、n=1−m)を有するポリマー繰り返し単位を含むポリ(アリーレンエーテル)である、請求項33に記載の方法。

说明书全文

関連出願の相互参照 本出願は、米国特許法第119条(e)項の下、発明の名称が「架橋化有機ポリマー組成物および加工可能性を増大させるためのその改変方法」である2013年6月10日出願の米国仮特許出願第61/833,351号および発明の名称が「架橋化有機ポリマー組成物およびその形成のために架橋反応速度を制御する方法」である2013年10月22日出願の同第61/716,800号の利益を主張する。

発明の分野 本発明は、架橋化有機ポリマー(ポリマー鎖内に芳香族基を有する架橋化有機ポリマーが含まれる)、架橋組成物、およびかかるポリマーを作製する方法に関する。より詳細には、高ガラス転移温度の有機ポリマーを形成するためにかかる組成物中の架橋化合物の架橋反応速度を制御する方法、ならびに例えば、ダウンホールツールに適用するために使用することができる成形部品の形成におけるかかる架橋化有機ポリマーおよびポリマー組成物の加工可能性を増大させる方法に関する。

関連技術の説明 高ガラス転移温度のポリマーは、多数の高温での適用において有用であった。かかる高ガラス転移温度の有機ポリマーの改変により、一般に、非改変有機ポリマーと比較して極端な温度環境で必要とされる部品および製品として使用するための高温での性能、強度、および耐薬品性が改良される。

架橋は、高温高分子材料を改変するための1つの方法として広く認識されている。いくつかの発明が、ポリマー自体への架橋によるポリマー内の架橋、ポリマーへの架橋化合物へのグラフティング、またはブレンドなどによるポリマー中への架橋化合物の組み込みの使用によって有機ポリマー(骨格中に芳香族基を有する有機ポリマーなど)の高温性能を改良することを試みている。

米国特許第5,874,516号(本出願の出願人に譲渡され、関連部分が本明細書中で参考として援用される)は、熱安定性を示し、誘電率が低く、吸湿性が低く、吸湿によるガス放出が低いポリ(アリーレンエーテル)ポリマーを示している。このポリマーは、さらに、ポリマー自体が架橋し得るか、架橋剤を使用して架橋することができる構造を有する。

米国特許第6,060,170号(これも本出願の出願人に譲渡され、関連部分が本明細書中で参考として援用される)は、グラフトにより約200℃〜約450℃の温度範囲でポリマーが架橋する、ポリマー骨格上にグラフト化した芳香族基を有するポリ(アリーレンエーテル)ポリマー組成物の使用を記載している。この特許は、架橋基をグラフト化するための適切な溶媒へのポリマーの溶解を開示している。かかる必要な工程段階は、時折、グラフト化を困難にし得るか、一定のポリマー型または一定のポリマー構造(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が含まれる)で実用的ではない。

国際公開第2010/019488A1号(これも本出願の出願人に譲渡され、関連部分が本明細書中で参考として援用される)は、第2のポリマーにグラフト化して架橋化高分子網目を得たペル(フェニルエチニル)アレーンポリマーを示している。

所望の機械的性質および高温性能を獲得するために高ガラス転移温度のポリマーの骨格に沿った架橋形成を制御する試みも以前に行われている。出願人の米国特許第5,658,994号(関連部分が本明細書中で参考として援用される)は、例えば、約350℃を超える温度に暴露することによってポリマー自体を架橋すること、または架橋剤の使用によって架橋することができる低誘電性中間層中のポリ(アリーレンエーテル)の使用を証明している。この特許および米国特許第5,874,516号に記載のように、公知の末端キャッピング剤(フェニルエチニル、ベンゾシクロブテン、エチニル、およびニトリルなど)を使用して、ポリマー骨格末端で架橋が起こる。架橋度は、ガラス転移温度の低下、耐薬品性の低下、および引張り強度の低下の結果として制限され得る。

本出願の出願人の国際公開第2013/074120A1号(これも関連部分が本明細書中で参考として援用される)は、ダウンホールツールへの適用などの極端な条件下で用いるガラス転移温度のより高い架橋化有機ポリマーを得るために非架橋化ポリマーとブレンドされる本明細書中の発明で使用される架橋化合物を開示している。 架橋剤は有効であり得るが、架橋の速度および程度を制御することは困難であり得る。架橋化ポリアリーレンエーテルポリマー(架橋化ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が含まれる)などの骨格中に芳香族基を有する架橋化有機ポリマーは、本明細書中に記載の架橋を制御するための薬剤を使用して作製した場合でさえ、高温(Tgが約270℃超である)で十分に機能する無定形ポリマーである。架橋により、ベースポリマーの高温特性に強化された耐薬品性が付加される。上記で確認した特許および特許出願公開に記述の技術および本明細書中に記載の出願人の技術を使用して架橋することができる。成形において、制御された架橋化ポリマーは、約250℃(または材料のTgよりいくらか低い温度)で十分に機能する。しかし、成形温度が上昇するにつれて、反応が加速されて1分以内に完全に硬化し得る。しかし、射出成形品(管材、ロッド、または電気コネクタなど)のサイクル時間は、一般に、3〜5分以上である。1分未満での完全硬化は、成形部品の形成における従来の成形技術(射出成形または押出しなど)の有用性を妨害し得る。 先行技術は、化合物を使用して架橋反応を遅延または抑制し、緩和することを試みており、その反応は公知である。Vanderbilt Rubber Handbook、第13版、1990、281頁を参照のこと。しかし、かかる反応を制御および抑制し、伝統的な成形技術を使用してかかるポリマーをより容易に加工する能を改良することが当該分野で依然として必要である。

米国特許第5,874,516号明細書

米国特許第6,060,170号明細書

国際公開第2010/019488号

米国特許第5,658,994号明細書

国際公開第2013/074120号

Vanderbilt Rubber Handbook、第13版、1990、281頁

発明の概要 本発明は、架橋化合物ならびに有機酸および/またはアセテート化合物から選択される架橋反応添加物を含む架橋組成物であって、前記架橋化合物が、式(IV):

(式中、Aは、10,000g/mol未満の分子量を有するアレーン部分であり、R1は、ヒドロキシド(−OH)、アミン(−NH2)、ハライド、エーテル、エステル、またはアミドからなる群から選択され、x=2.0〜6.0)の構造を有し、 前記架橋反応添加物が架橋化合物と反応してオリゴマー形態の反応性中間体を形成することができ、反応性中間体オリゴマーが有機ポリマーを架橋することができる、架橋組成物を含む。

前述の組成物中の架橋化合物は、以下の構造

を有し得る。

前述の架橋化合物のアレーン部分の分子量は、好ましくは、約1,000g/mol〜約9,000g/mol、より好ましくは約2,000g/mol〜約7,000g/molである。

有機ポリマー(特に骨格中に芳香族基を有する有機ポリマー)の架橋および架橋化合物(以下の式(I)に示す9,9’−(ビフェニル−4,4’−ジイル)ビス(9H−フルオレン−9−オール)など)の使用において十分に作用する1つの抑制剤は、例えば、本明細書中の1つの実施形態では、有機酸(氷酢酸、ギ酸、および/または安息香酸など)であり得る。

したがって、1つの実施形態では、架橋反応添加物は、氷酢酸、ギ酸、および/または安息香酸であり得る有機酸である。

別の実施形態では、架橋反応添加物は、式(II):

(式中、MはI族金属またはII族金属であり;R2はアルキル、アリール、またはアラルキル基であり、アルキル基は、炭化素基の鎖に沿ってか鎖中に0〜約10個のエステル基またはエーテル基、好ましくは約0〜約5個のエステル基またはエーテル基を有する1〜約30個の炭素原子、好ましくは約1〜約15個の炭素原子の炭化水素基であり、R2は、1つまたは複数のスルフェート、ホスフェート、ヒドロキシル、カルボニル、エステル、ハライド、メルカプト、またはカリウムであり得る0〜約10個、好ましくは約0〜約5個の官能基を有し得る)の構造を有するアセテート化合物であり得る。より好ましくは、アセテート化合物は、酢酸リチウム水和物、酢酸ナトリウム、および/または酢酸カリウム、ならびにその塩および誘導体であり得る。

架橋化合物の架橋反応添加物に対する重量百分率は、約10:1〜約10,000:1、より好ましくは約20:1〜約1000:1であり得る。

別の実施形態では、本発明は、上記の式(IV)のような構造を有する架橋化合物;有機酸および/またはアセテート化合物から選択される架橋反応添加物;および少なくとも1つの有機ポリマーを含む、架橋化有機ポリマーの形成で用いる有機ポリマー組成物を含み、ここで、架橋反応添加物は架橋化合物と反応してオリゴマー形態の反応性中間体を形成することができ、反応性中間体オリゴマーは有機ポリマーを架橋することができる。

さらなる実施形態では、本発明は、有機ポリマーならびに上記の式(IV)のような構造を有する架橋化合物と有機酸および/またはアセテート化合物から選択される架橋反応添加物との反応生成物である反応性架橋オリゴマーを含む、架橋化有機ポリマーで用いる有機ポリマー組成物を含む。

有機ポリマーは、好ましくは、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリフタルアミド、ポリアミド−イミド、ポリ(ベンズイミダゾール)、およびポリアラミドから選択されるポリマーである。

有機ポリマーはまた、本明細書中の1つの実施形態では、その骨格に沿って、以下の構造:

(式中、Ar1、Ar2、Ar3、およびAr4は同一のまたは異なるアリールラジカルであり、m=0〜1.0、そしてn=1−m)を有するポリマー繰り返し単位を含むポリ(アリーレンエーテル)であるポリマーであり得る。

1つのさらに好ましい実施形態では、有機ポリマーは、骨格中に芳香族基を有するポリマー(好ましくは、ポリ(アリーレンエーテル))であり、mは1であり、nは0であり、このポリマーは、その骨格に沿って、式(V):

の構造を有する繰り返し単位を有する。

この実施形態における架橋化合物は前述の種々の構造を有することができ、アレーン部分は前述の特徴を有することもできる。

本発明の1つの実施形態では、架橋反応添加物は、氷酢酸、ギ酸、および/または安息香酸などの有機酸である。本発明の1つの別の実施形態では、架橋反応添加物は、アセテート化合物(式(II)の構造を有する前述のアセテート化合物など)である。より好ましくは、アセテート化合物は、1つまたは複数の酢酸リチウム水和物、酢酸ナトリウム、および/または酢酸カリウム、ならびにその塩および誘導体である。本実施例の組成物中の有機ポリマーの架橋化合物および架橋反応添加物の組み合わせ重量に対する重量百分率は、約1:1〜約100:1であってよく、好ましくは約3:1〜約10:1である。

有機ポリマー組成物は、1つまたは複数の添加物をさらに含むことができる。好ましくは、添加物は、1つまたは複数の炭素繊維、グラスファイバー、織物状グラスファイバー、織物状炭素繊維、アラミド繊維、ホウ素繊維、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluorethylene)(PTFE)繊維、セラミック繊維、ポリアミド繊維から選択される1つまたは複数の連続または不連続、長繊維または短繊維の強化用繊維、ならびに/またはカーボンブラック、シリケート、ファイバーグラス、硫酸カルシウム、ホウ素、セラミック、ポリアミド、アスベスト、フルオログラファイト、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、ホウ砂(ホウ酸ナトリウム)、活性炭、パーライト、亜鉛テレフタレート、グラファイト、タルク、マイカ、炭化ケイ素のウィスカまたは板状結晶、ナノフィラー、モリブデンジスルフィド、フルオロポリマー充填剤、カーボンナノチューブ、およびフラーレンチューブから選択される1つまたは複数の充填剤から選択される。

添加物には、好ましくは、連続または不連続、長繊維または短繊維の繊維である強化用繊維が含まれ、この強化用繊維は、炭素繊維、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)繊維、および/またはグラスファイバーである。より好ましくは、添加物は、連続長繊維である強化用繊維である。好ましい実施形態における有機ポリマー組成物は、組成物中に約0.5重量%〜約65重量%の添加物、より好ましくは、組成物中に約5.0重量%〜約40重量%の添加物を含む。有機ポリマー組成物は、1つまたは複数の安定剤、難燃剤、色素、着色剤、可塑剤、界面活性剤、および/または分散剤をさらに含むことができる。

有機ポリマーの架橋で用いる架橋化合物の架橋反応速度を制御する方法も本明細書中に提供する。本方法は、架橋化合物ならびに有機酸および/またはアセテート化合物から選択される架橋反応添加物を含む架橋組成物を提供する工程であって、架橋化合物が前述の式(IV)の構造を有し、架橋反応添加物が架橋化合物と反応して有機ポリマーの架橋のためのオリゴマー形態の反応性中間体を形成することができる、工程;および架橋化合物のオリゴマー化が起こるように架橋組成物を加熱する工程を含む。

1つの実施形態では、本方法は、熱成形前に架橋組成物を加熱する工程をさらに含む。別の実施形態では、本方法は、熱成形中に架橋組成物を加熱する工程をさらに含む。

本方法で使用される架橋化合物は、前述の種々の構造のいずれかを有し得る。1つの実施形態では、架橋反応添加物は、上記の有機酸および/またはアセテートである。

1つの実施形態では、本方法は、架橋化合物と架橋反応添加物とを溶媒中で合わせ、架橋化合物と架橋反応添加物とを反応させて反応性のオリゴマー化した架橋化合物を形成する工程をさらに含む。別の実施形態では、本方法は、架橋化合物と架橋反応添加物とを固体形態で合わせる工程をさらに含む。

有機ポリマー組成物を形成する方法は、反応性のオリゴマー化した架橋化合物を有機ポリマーに添加して架橋性組成物を形成する工程、有機ポリマー組成物を架橋して架橋化有機ポリマーを形成する工程も含むことができる。本方法の有機ポリマーは、前述の種々のポリマーのうちの1つ(式(V)のような繰り返し単位を有する好ましいポリアリーレンポリマーが含まれる)であり得る。

本発明はまた、ダウンホールおよび他の極端な条件下での究極的適用に有用な、有機ポリマー組成物および上記方法から形成される熱成形品を含む。この製品を、種々の方法または技術(押出し、射出成形、ブロー成形、ブローフィルム成形、圧縮成形、および/または射出/圧縮成形が含まれる)によって形成することができる。好ましくは、製品には、例えば、耐酸コーティング、化学的流延フィルム、押出しフィルム、溶媒流延フィルム、ブローフィルム、カプセル化製品、絶縁材、包装材、複合セル、コネクタ、Oリング、Vリング、Uカップ、ガスケットの形状のシーリングアセンブリ、ベアリング、バルブシート、アダプタ、ワイパリング、シェブロンバックアップリング、および管材料が含まれるが、これらに限定されない。

前述の化合物の使用に加えて、出願人は、かかる芳香族基含有有機ポリマーの粘度が増加するにつれて、速度制御のためにかかる架橋反応添加物を使用することによって達成され得る抑制度は常に十分でないかもしれず、その結果、本明細書中のいくつかの実施形態では、硬化速度および架橋速度を減少および/または制御するように末端効果を改善するためのさらなる改変が望ましいことを観察した。

したがって、出願人は、前述の先行技術のような直接架橋プロセスを使用して達成することができる時間より長い可能性がある硬化時間枠および/または、さらに、上記または本明細書中の他の場所に記載の出願人の強化された架橋反応添加物を使用して達成される抑制効果を必要とする伝統的な成形技術を使用することが可能である、本明細書中に記載の技術を使用して形成されたか先行技術を使用して形成された架橋化有機ポリマーのより容易で円滑な加工および熱成形のための当該分野のニーズに応える溶液も開発した。

したがって、本発明は、骨格中に芳香族基を有し、そして/または高ガラス転移温度ポリマーのカテゴリーに含まれる有機ポリマーに特に有用な架橋のための脱臭素化有機ポリマー、ならびにかかる脱ハロゲン化有機ポリマーを含む組成物およびその調製および架橋する方法をさらに提供する。得られる製品は制御された架橋反応速度を使用して形成され、それにより、脱ハロゲン化有機ポリマーの加工可能性の強化に起因してかかるポリマーの架橋中に伝統的な成形技術を使用することが可能である。本発明は、かかる材料に有利な性質(耐薬品性、高温高圧性能、および種々の究極的適用のための強度が含まれる)を提供する種々の固有かつ容易に成形可能な架橋化有機ポリマー製品の製造への道を切り開く。

脱ハロゲン化有機ポリマーおよび少なくとも1つの架橋化合物を含む架橋化芳香族ポリマーの形成で用いる有機ポリマー組成物が本明細書中に含まれる。1つの実施形態では、脱ハロゲン化有機ポリマーは、脱臭素化有機ポリマーである。

1つの実施形態では、架橋化合物は、式(IV):

(式中、Aは10,000g/mol未満の分子量を有するアレーン部分であり、R1は、ヒドロキシド(−OH)、アミン(−NH2)、ハライド、エーテル、エステル、またはアミドからなる群から選択され、xは約2.0〜約6.0である)の構造を有する。

さらなる実施形態では、架橋化合物は、以下

からなる群から選択される構造を有する。

アレーン部分の分子量は、約1,000g/mol〜約9,000g/mol、より好ましくは約2,000g/mol〜約7,000g/molであり得る。

組成物はまた、有機酸および/またはアセテート化合物から選択される架橋反応添加物をさらに含むことができ、ここで、架橋反応添加物は、架橋化合物と反応してオリゴマー形態の反応性中間体を形成することができ、反応性中間体オリゴマーは脱ハロゲン化有機ポリマーを架橋することができる。

かかる架橋反応添加物は、氷酢酸、ギ酸、および/または安息香酸から選択される有機酸であり得る。架橋反応添加物は、さらなる実施形態では、式(II):

(式中、MはI族金属またはII族金属であり;R2は、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基であり、アルキル基は、基の鎖もしくは構造に沿ってまたは鎖もしくは構造中に0〜約10個のエステル基またはエーテル基、好ましくは0〜約5個のかかる基を有する1〜約30個の炭素原子の炭化水素基を含み、R2は、スルフェート、ホスフェート、ヒドロキシル、カルボニル、エステル、ハライド、メルカプト、またはカリウムから選択される0〜約10個の官能基を含む)の構造を有するアセテート化合物である。

アセテート化合物は、好ましくは、酢酸リチウム水和物、酢酸ナトリウム、および/または酢酸カリウム、ならびにその塩および誘導体から選択される。

架橋化合物の架橋反応添加物に対する重量百分率は、好ましくは、約10:1〜約10,000:1、より好ましくは約20:1〜約1,000:1であり得る。

脱ハロゲン化有機ポリマーの架橋化合物と架橋反応添加物との組み合わせ重量に対する重量百分率は、例えば、約1:1〜約100:1、好ましくは約3:1〜約10:1であり得る。

脱ハロゲン化有機ポリマーは、好ましくは、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリフタルアミド、ポリアミド−イミド、ポリ(ベンズイミダゾール)、およびポリアラミドから選択されるポリマーである。

脱ハロゲン化有機ポリマーはまた、本明細書中の1つの実施形態では、その骨格に沿って、以下の構造:

(式中、Ar1、Ar2、Ar3、およびAr4は同一のまたは異なるアリールラジカルであり、m=0〜1.0、そしてn=1−m)を有するポリマー繰り返し単位を含むポリ(アリーレンエーテル)であるポリマーであり得る。

1つのさらに好ましい実施形態では、脱ハロゲン化有機ポリマーは、骨格中に芳香族基を有するポリマー(好ましくは、ポリ(アリーレンエーテル))であり、mは1であり、nは0であり、このポリマーは、その骨格に沿って、式(V):

の構造を有する繰り返し単位を有する。

少なくとも1つの添加物を組成物に提供することもでき、添加物は、炭素繊維、グラスファイバー、織物状グラスファイバー、織物状炭素繊維、アラミド繊維、ホウ素繊維、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluorethylene)繊維、セラミック繊維、ポリアミド繊維から選択される連続または不連続、長繊維または短繊維の強化用繊維;ならびにカーボンブラック、シリケート、ファイバーグラス、硫酸カルシウム、ホウ素、セラミック、ポリアミド、アスベスト、フルオログラファイト、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、ホウ砂(ホウ酸ナトリウム)、活性炭、パーライト、亜鉛テレフタレート、グラファイト、タルク、マイカ、炭化ケイ素のウィスカまたは板状結晶、ナノフィラー、モリブデンジスルフィド、フルオロポリマー、カーボンナノチューブ、およびフラーレンチューブから選択される1つまたは複数の充填剤であり得る。

1つの実施形態では、添加物は、連続または不連続、長繊維または短繊維の炭素繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、およびグラスファイバーからなる群から選択される強化用繊維を含む。かかる添加物を前述のように使用する場合、組成物は、好ましくは約0.5重量%〜約65重量%の少なくとも1つの添加物、より好ましくは約5.0重量%〜約40重量%の少なくとも1つの添加物を有する。

さらに、組成物は、安定剤、難燃剤、色素、可塑剤、界面活性剤、および/または分散剤をさらに含むことができる。

脱ハロゲン化有機ポリマーを、本明細書中の1つの実施形態では、少なくとも1つのハロゲン含有反応基を有する有機ポリマーをアルカリ金属化合物と反応させて少なくとも1つのハロゲン含有反応基を有する有機ポリマーと少なくとも1つのハロゲン含有反応基中のハロゲン原子との間の結合を破壊し、それによりカルボカチオンを有する中間体を形成することによって形成することが好ましい。カルボカチオンを有する中間体を酢酸と反応させて脱臭素化有機ポリマーを形成する。1つの実施形態では、ハロゲン含有反応基は、臭素含有反応基である。

かかる脱ハロゲン化反応で有用なアルカリ金属化合物は、好ましくは、構造R3−M’を有するアルカリ金属化合物であり、M’はアルカリ金属であり、R3はHであるか、基の鎖もしくは構造に沿ってまたは鎖もしくは構造中に0〜約10個のエステル基またはエーテル基を有する1〜約30個の炭素原子のアルキル基、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基から選択される分枝鎖または直鎖の有機基であり、R3は置換または非置換であってよい。

アルカリ金属化合物は、本明細書中の1つの好ましい実施形態では、t−ブチルリチウムであり得る。少なくとも1つのハロゲン含有末端基(臭素含有反応基など)を有する有機ポリマーを、好ましくは、溶媒中でアルカリ金属化合物と反応させ、また、少なくとも1つのハロゲン含有末端基を有する有機ポリマーを、好ましくは、溶媒中での反応前に乾燥させる。

本発明はまた、上記および本明細書中にさらに記載の組成物から形成される成形品を含む。

本発明はまた、架橋反応中の少なくとも1つのハロゲン含有反応基を有する有機ポリマー(好ましくは、ポリマーの骨格鎖中に芳香族基を有する有機ポリマー)の架橋反応速度を制御する方法を含む。本方法は、(a)少なくとも1つのハロゲン含有反応基を有する有機ポリマーをアルカリ金属化合物と反応させて、少なくとも1つのハロゲン含有反応基を有する有機ポリマーと少なくとも1つのハロゲン含有反応基中のハロゲン原子との間の結合を破壊し、それにより、カルボカチオンを有する中間体を形成する工程;(b)カルボカチオンを有する中間体を酢酸と反応させて脱ハロゲン化有機ポリマーを形成する工程;および(c)架橋反応を使用して脱ハロゲン化有機ポリマーを架橋する工程を含む。

少なくとも1つのハロゲン含有反応基は、一般に、末端基であり、有機ポリマーは、前述の有機ポリマーのいずれか(ポリ(アリーレンエーテル)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリフタルアミド、ポリアミド−イミド、ポリ(ベンズイミダゾール)、およびポリアラミドなど)であってよく、好ましくは、ポリマーの骨格鎖中に芳香族基を有する有機ポリマーである。1つの実施形態では、ハロゲン含有反応基を有する有機ポリマーは、その骨格に沿って、以下の構造:

(式中、Ar1、Ar2、Ar3、およびAr4は同一のまたは異なるアリールラジカルであり、m=0〜1.0、そしてn=1−m)を有するポリマー繰り返し単位を含むポリ(アリーレンエーテル)である。1つの実施形態では、かかる有機ポリマーはポリ(アリーレンエーテル)であり、mは1であり、nは0であり、前記ポリマーは、その骨格に沿って、式(V):

の構造を有する繰り返し単位を有する。

少なくとも1つのハロゲン含有反応基は、好ましくは、−R4−(X)pによって示され、R4は炭素であるか、基の鎖もしくは構造に沿ってまたは鎖もしくは構造中に0〜約10個のエステル基またはエーテル基、好ましくは0〜約5個のかかる基を有する1〜約30個の炭素原子のアルキル基、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基から選択される分枝鎖または直鎖の有機基であり、R4は置換または非置換であってよく;Xはハロゲン原子であり、pは1または2である整数である。

本明細書中の1つの実施形態では、アルカリ金属化合物は、R3−M’からなる群から選択され、M’はアルカリ金属であり、R3はHであるか、基の鎖もしくは構造に沿ってまたは鎖もしくは構造中に0〜約10個のエステル基またはエーテル基、好ましくは0〜約5個のかかる基を有する1〜約30個の炭素原子のアルキル基、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基から選択される分枝鎖または直鎖の有機基であり、R3は置換または非置換であってよく、かつt−ブチルリチウムであり得る。

少なくとも1つのハロゲン含有末端基を有する有機ポリマーを、好ましくは、本明細書中に記載の方法の1つの実施形態にしたがって、溶媒中でアルカリ金属化合物と反応させる。溶媒は、好ましくは、少なくとも1つのハロゲン含有反応基を有する有機ポリマーを溶解することができ、かつ前述の工程(a)における反応条件下でハロゲン含有反応基中のハロゲンと反応する官能基を含まない溶媒である。適切な溶媒には、ヘプタン、ヘキサン、テトラヒドロフラン、およびジフェニルエーテルが含まれる。

また、少なくとも1つのハロゲン含有末端基を有する有機ポリマーを、好ましくは、溶媒中でのアルカリ金属化合物との反応前に乾燥させる。

脱ハロゲン化処理の第1の反応工程は、好ましくは、約−20℃未満の温度、より好ましくは約−70℃未満の温度で約2時間行う。

前述の方法の工程(c)は、脱ハロゲン化有機ポリマーを架橋化合物と反応させることをさらに含み得る。かかる架橋化合物は、式(IV):

(式中、Aは10,000g/mol未満の分子量を有するアレーン部分であり、R1は、ヒドロキシド(−OH)、アミン(−NH2)、ハライド、エーテル、エステル、またはアミドからなる群から選択され、xは約2.0〜約6.0である)の構造を有する。

工程(c)はまた、有機酸および/またはアセテート化合物から選択される架橋反応添加物を提供することをさらに含むことができ、ここで、架橋反応添加物が架橋化合物と反応してオリゴマー形態の反応性中間体を形成することができ、反応性中間体オリゴマーが脱ハロゲン化有機ポリマーを架橋することができる。

架橋反応添加物は、氷酢酸、ギ酸、および/または安息香酸から選択される有機酸であり得る。架橋反応添加物はまた、式(II):

(式中、MはI族金属またはII族金属であり;R2は、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基であり、アルキル基は、基の鎖もしくは構造に沿ってまたは鎖もしくは構造中に0〜約10個のエステル基またはエーテル基、好ましくは0〜約5個のかかる基を有する1〜約30個の炭素原子の炭化水素基を含み、R2は、スルフェート、ホスフェート、ヒドロキシル、カルボニル、エステル、ハライド、メルカプト、またはカリウムから選択される0〜約10個の官能基を含む)の構造を有するアセテート化合物であり得る。

アセテート化合物は、好ましくは、酢酸リチウム水和物、酢酸ナトリウム、および/または酢酸カリウム、ならびにその塩および誘導体から選択される。

上述の工程(c)はまた、架橋化合物および架橋反応添加物を、個別の組成物中で、架橋化合物がオリゴマー化して反応性中間体オリゴマーを形成するように加熱することを含むことができる。本方法はまた、反応性中間体オリゴマーを脱ハロゲン化有機ポリマーに添加して架橋性組成物を形成し、次いで、架橋性組成物を架橋して架橋化有機ポリマーを形成する工程をさらに含むことができる。

本方法はまた、架橋化有機ポリマーを熱成形して熱成形製品を形成する工程をさらに含む。製品を、押出し、射出成形、ブロー成形、ブローフィルム成形、圧縮成形、または射出/圧縮成形などの技術を使用した熱成形によって形成することができる。

本明細書中で作製された製品は、耐酸コーティング;化学的流延フィルム;押出しフィルム;溶媒流延フィルム;ブローフィルム;カプセル化製品;絶縁材;包装材;複合セル;コネクタ;シーリングアセンブリ(Oリング、Vリング、Uカップ、ガスケットが含まれる);ベアリング;バルブシート;アダプタ;ワイパリング;シェブロンバックアップリング;および管材料であり得る。 本発明は、例えば、以下を提供する。 (項目1) 架橋化合物ならびに有機酸および/またはアセテート化合物から選択される架橋反応添加物を含む組成物であって、該架橋化合物が、式(IV):

(式中、Aは、10,000g/mol未満の分子量を有するアレーン部分であり、R1は、ヒドロキシド(−OH)、アミン(−NH2)、ハライド、エーテル、エステル、またはアミドからなる群から選択され、xは約2.0〜約6.0である)の構造を有し、 該架橋反応添加物が該架橋化合物と反応してオリゴマー形態の反応性中間体を形成することができ、反応性中間体オリゴマーが有機ポリマーを架橋することができる、組成物。 (項目2) 前記架橋化合物は、

からなる群から選択される構造を有する、項目1に記載の組成物。 (項目3) 前記アレーン部分が約1,000g/mol〜約9,000g/molの分子量を有する、項目1に記載の組成物。 (項目4) 前記アレーン部分が約2,000g/mol〜約7,000g/molの分子量を有する、項目3に記載の組成物。 (項目5) 前記架橋反応添加物が、氷酢酸、ギ酸、および/または安息香酸から選択される有機酸である、項目1に記載の組成物。 (項目6) 前記架橋反応添加物が、式(II):

(式中、MはI族金属またはII族金属であり;R2は、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基であり、前記アルキル基は1〜約30個の炭素原子の炭化水素基を含み、前記アルキル基は、前記基の鎖もしくは構造に沿ってまたは鎖もしくは構造中に0〜約10個のエステル基またはエーテル基を有し、R2は、スルフェート、ホスフェート、ヒドロキシル、カルボニル、エステル、ハライド、メルカプト、またはカリウムから選択される0〜約10個の官能基を含む)の構造を有するアセテート化合物である、項目1に記載の組成物。 (項目7) 前記アセテート化合物が、酢酸リチウム水和物、酢酸ナトリウム、および/または酢酸カリウム、ならびにその塩および誘導体から選択される、項目6に記載の組成物。 (項目8) 前記架橋化合物の前記架橋反応添加物に対する重量百分率が約10:1〜約10,000:1である、項目1に記載の組成物。 (項目9) 前記架橋化合物の前記架橋反応添加物に対する重量百分率が約20:1〜約1000:1である、項目8に記載の組成物。 (項目10) 少なくとも1つの有機ポリマーをさらに含み、前記架橋反応添加物が前記架橋化合物と反応してオリゴマー形態の反応性中間体を形成することができ、反応性中間体オリゴマーが有機ポリマーを架橋することができる、項目1に記載の組成物。 (項目11) 前記有機ポリマーが、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリフタルアミド、ポリアミド−イミド、ポリ(ベンズイミダゾール)、およびポリアラミドから選択される、項目10に記載の有機ポリマー組成物。 (項目12) 前記有機ポリマーが、以下の構造:

(式中、Ar1、Ar2、Ar3、およびAr4は同一のまたは異なるアリールラジカルであり、m=0〜1.0、そしてn=1−m)を有するポリマー繰り返し単位を含むポリ(アリーレンエーテル)である、項目11に記載の有機ポリマー組成物。 (項目13) 前記有機ポリマーがポリ(アリーレンエーテル)であり、mが1であり、nが0であり、前記ポリマーが、式(V):

の構造を有する繰り返し単位を有する、項目12に記載の有機ポリマー組成物。 (項目14) 前記架橋反応添加物が、氷酢酸、ギ酸、および/または安息香酸から選択される有機酸である、項目10に記載の有機ポリマー組成物。 (項目15) 前記架橋反応添加物が、式(II):

(式中、MはI族金属またはII族金属であり;R2は、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基であり、前記アルキル基は1〜約30個の炭素原子の炭化水素基を含み、前記アルキル基は、前記基の鎖もしくは構造に沿ってまたは鎖もしくは構造中に0〜約10個のエステル基またはエーテル基を有し、R2は、スルフェート、ホスフェート、ヒドロキシル、カルボニル、エステル、ハライド、メルカプト、またはカリウムから選択される0〜約10個の官能基を含む)の構造を有するアセテート化合物である、項目10に記載の有機ポリマー組成物。 (項目16) 前記有機ポリマーの前記架橋化合物および前記架橋反応添加物の組み合わせ重量に対する重量百分率が約1:1〜約100:1である、項目10に記載の有機ポリマー組成物。 (項目17) 前記有機ポリマーの前記架橋化合物と前記架橋反応添加物との組み合わせ重量に対する重量百分率が約3:1〜約10:1である、項目16に記載の有機ポリマー組成物。 (項目18) 前記組成物が、炭素繊維、グラスファイバー、織物状グラスファイバー、織物状炭素繊維、アラミド繊維、ホウ素繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、セラミック繊維、ポリアミド繊維から選択される連続または不連続、長繊維または短繊維の強化用繊維;ならびにカーボンブラック、シリケート、ファイバーグラス、硫酸カルシウム、ホウ素、セラミック、ポリアミド、アスベスト、フルオログラファイト、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、ホウ砂(ホウ酸ナトリウム)、活性炭、パーライト、亜鉛テレフタレート、グラファイト、タルク、マイカ、炭化ケイ素のウィスカまたは板状結晶、ナノフィラー、モリブデンジスルフィド、フルオロポリマー、カーボンナノチューブ、およびフラーレンチューブから選択される1つまたは複数の充填剤から選択される少なくとも1つの添加物をさらに含む、項目10に記載の有機ポリマー組成物。 (項目19) 前記組成物が、約0.5重量%〜約65重量%の前記少なくとも1つの添加物を含む、項目18に記載の有機ポリマー組成物。 (項目20) 前記組成物が、安定剤、難燃剤、色素、可塑剤、界面活性剤、および/または分散剤をさらに含む、項目10に記載の有機ポリマー組成物。 (項目21) 項目10に記載の組成物から形成される成形品。 (項目22) 前記物品を、押出し、射出成形、ブロー成形、ブローフィルム成形、圧縮成形、または射出/圧縮成形を使用して成形する、項目21に記載の成形品。 (項目23) 項目10に記載の組成物から形成された製品であって、前記製品が、耐酸コーティング;化学的流延フィルム;押出しフィルム;溶媒流延フィルム;ブローフィルム;カプセル化製品;絶縁材;包装材;複合セル;コネクタ;シーリングアセンブリ(Oリング、Vリング、Uカップ、ガスケットが含まれる);ベアリング;バルブシート;アダプタ;ワイパリング;シェブロンバックアップリング;および管材料から選択される、製品。 (項目24) 架橋化有機ポリマーの形成で用いる有機ポリマー組成物であって、 有機ポリマー;および 式(IV):

(式中、Aは10,000g/mol未満の分子量を有するアレーン部分であり、R1は、ヒドロキシド(−OH)、アミン(−NH2)、ハライド、エーテル、エステル、または/およびアミドからなる群から選択され、xは約2.0〜約6.0である)の構造を有する架橋化合物と有機酸および/またはアセテート化合物から選択される架橋反応添加物との反応生成物である反応性架橋オリゴマー を含む、組成物。 (項目25) 項目24に記載の組成物から形成された成形品。 (項目26) 有機ポリマーの架橋で用いる架橋化合物の架橋反応速度を制御する方法であって、 a)架橋化合物ならびに有機酸および/またはアセテート化合物から選択される架橋反応添加物を含む架橋組成物を提供する工程であって、該架橋化合物が、式(IV):

(式中、Aは10,000g/mol未満の分子量を有するアレーン部分であり、R1は、ヒドロキシド(−OH)、アミン(−NH2)、ハライド、エーテル、エステル、またはアミドからなる群から選択され、xは約2.0〜約6.0である)の構造を有し、該架橋反応添加物が該架橋化合物と反応して有機ポリマーの架橋のためのオリゴマー形態の反応性中間体を形成することができる、工程;および b)該架橋化合物のオリゴマー化が起こるように該架橋組成物を加熱する工程 を含む、方法。 (項目27) 工程(b)が、熱成形前に前記架橋組成物を加熱することをさらに含む、項目26に記載の方法。 (項目28) 前記架橋反応添加物は、氷酢酸、ギ酸、および/もしくは安息香酸から選択される有機酸、ならびに/または酢酸リチウム、酢酸ナトリウム水和物、および/もしくは酢酸カリウムから選択されるアセテート化合物、ならびにその塩および誘導体である、項目26に記載の方法。 (項目29) 前記架橋化合物と前記架橋反応添加物とを工程(a)において固体形態で合わせることをさらに含む、項目26に記載の方法。 (項目30) 前記架橋化合物と前記架橋反応添加物とを工程(a)において溶媒中で合わせ、前記架橋化合物と前記架橋反応添加物とを反応させて反応性のオリゴマー化した架橋化合物を形成する工程をさらに含む、項目26に記載の方法。 (項目31) (c)前記反応性のオリゴマー化した架橋化合物を有機ポリマーに添加して架橋性組成物を形成する工程、および (d)前記有機ポリマー組成物を架橋して架橋化有機ポリマーを形成する工程 をさらに含む、項目30に記載の方法。 (項目32) 工程(c)において少なくとも1つの添加物を添加することをさらに含む、項目31に記載の方法。 (項目33) 前記有機ポリマーが、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリフタルアミド、ポリアミド−イミド、ポリ(ベンズイミダゾール)、および/またはポリアラミドから選択される、項目26に記載の方法。 (項目34) 前記有機ポリマーが、以下の構造:

(式中、Ar1、Ar2、Ar3、およびAr4は同一のまたは異なるアリールラジカルであり、m=0〜1.0、n=1−m)を有するポリマー繰り返し単位を含むポリ(アリーレンエーテル)である、項目33に記載の方法。 (項目35) 架橋化有機ポリマーの形成で用いる有機ポリマー組成物であって、 脱ハロゲン化有機ポリマー、および 少なくとも1つの架橋化合物 を含む、有機ポリマー組成物。 (項目36) 前記脱ハロゲン化有機ポリマーが脱臭素化有機ポリマーである、項目35に記載の有機ポリマー組成物。 (項目37) 前記架橋化合物が、式(IV):

(式中、Aは10,000g/mol未満の分子量を有するアレーン部分であり、R1は、ヒドロキシド(−OH)、アミン(−NH2)、ハライド、エーテル、エステル、またはアミドからなる群から選択され、xは約2.0〜約6.0である)の構造を有する、項目35に記載の有機ポリマー組成物。 (項目38) 有機酸および/またはアセテート化合物から選択される架橋反応添加物をさらに含み、前記架橋反応添加物が前記架橋化合物と反応してオリゴマー形態の反応性中間体を形成することができ、反応性中間体オリゴマーが前記脱ハロゲン化有機ポリマーを架橋することができる、項目35に記載の有機ポリマー組成物。 (項目39) 前記脱ハロゲン化有機ポリマーが、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリフタルアミド、ポリアミド−イミド、ポリ(ベンズイミダゾール)、およびポリアラミドから選択されるポリマーである、項目35に記載の有機ポリマー組成物。 (項目40) 前記脱ハロゲン化有機ポリマーが、その骨格に、以下の構造:

(式中、Ar1、Ar2、Ar3、およびAr4は同一のまたは異なるアリールラジカルであり、m=0〜1.0、そしてn=1−m)を有するポリマー繰り返し単位を含むポリ(アリーレンエーテル)である、項目39に記載の有機ポリマー組成物。 (項目41) 前記脱ハロゲン化有機ポリマーがポリ(アリーレンエーテル)であり、mが1であり、nが0であり、前記ポリマーが、その骨格に沿って、式(V):

の構造を有する繰り返し単位を有する、項目40に記載の有機ポリマー組成物。 (項目42) 前記組成物が、炭素繊維、グラスファイバー、織物状グラスファイバー、織物状炭素繊維、アラミド繊維、ホウ素繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、セラミック繊維、ポリアミド繊維から選択される連続または不連続、長繊維または短繊維の強化用繊維;ならびにカーボンブラック、シリケート、ファイバーグラス、硫酸カルシウム、ホウ素、セラミック、ポリアミド、アスベスト、フルオログラファイト、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、ホウ砂(ホウ酸ナトリウム)、活性炭、パーライト、亜鉛テレフタレート、グラファイト、タルク、マイカ、炭化ケイ素のウィスカまたは板状結晶、ナノフィラー、モリブデンジスルフィド、フルオロポリマー、カーボンナノチューブ、およびフラーレンチューブから選択される1つまたは複数の充填剤から選択される少なくとも1つの添加物をさらに含む、項目35に記載の有機ポリマー組成物。 (項目43) 前記脱ハロゲン化有機ポリマーを、 少なくとも1つのハロゲン含有反応基を有する有機ポリマーをアルカリ金属化合物と反応させて前記少なくとも1つのハロゲン含有反応基を有する前記有機ポリマーと前記少なくとも1つのハロゲン含有反応基中のハロゲン原子との間の結合を破壊し、カルボカチオンを有する中間体を形成すること;および 前記カルボカチオンを有する中間体を酢酸と反応させて前記脱ハロゲン化有機ポリマーを形成すること によって形成する、項目35に記載の有機ポリマー組成物。 (項目44) 前記アルカリ金属化合物がR3−M’からなる群から選択され、M’がアルカリ金属であり、R3が、Hであるか、基の鎖もしくは構造に沿ってまたは鎖もしくは構造中に0〜約10個のエステル基またはエーテル基を有する1〜約30個の炭素原子のアルキル基、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基から選択される分枝鎖または直鎖の有機基であり、R3が置換または非置換であってよい、項目43に記載の有機ポリマー組成物。 (項目45) 前記アルカリ金属化合物がt−ブチルリチウムである、項目44に記載の有機ポリマー組成物。 (項目46) 前記ハロゲン含有反応基が臭素含有反応基である、項目43に記載の有機ポリマー組成物。 (項目47) 前記少なくとも1つのハロゲン含有末端基を有する有機ポリマーを溶媒中でアルカリ金属化合物と反応させ、前記少なくとも1つのハロゲン含有末端基を有する有機ポリマーを溶媒中での反応前に乾燥させる、項目43に記載の有機ポリマー組成物。 (項目48) 項目35に記載の組成物から形成される成形品。 (項目49) 架橋反応中に少なくとも1つのハロゲン含有反応基を有する有機ポリマーの架橋反応速度を制御する方法であって、 a)前記少なくとも1つのハロゲン含有反応基を有する有機ポリマーをアルカリ金属化合物と反応させて前記少なくとも1つのハロゲン含有反応基を有する有機ポリマーと前記少なくとも1つのハロゲン含有反応基中のハロゲン原子との間の結合を破壊してカルボカチオンを有する中間体を形成する工程; b)前記カルボカチオンを有する中間体を酢酸と反応させて脱ハロゲン化有機ポリマーを形成する工程;および c)架橋反応を使用して前記脱ハロゲン化有機ポリマーを架橋する工程 を含む、方法。 (項目50) 前記少なくとも1つのハロゲン含有反応基が末端基であり、前記少なくとも1つのハロゲン含有反応基を有する有機ポリマーが、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリフタルアミド、ポリアミド−イミド、ポリ(ベンズイミダゾール)、およびポリアラミドから選択されるポリマーである、項目49に記載の方法。 (項目51) 前記少なくとも1つのハロゲン含有反応基が−R4−(X)pで示され、R4は、炭素であるか、基の鎖もしくは構造に沿ってまたは鎖もしくは構造中に0〜約10個のエステル基またはエーテル基を有する1〜約30個の炭素原子のアルキル基、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基から選択される分枝鎖または直鎖の有機基であり、R4は置換または非置換であってよく;Xはハロゲン原子であり、pは1または2である整数である、項目49に記載の方法。 (項目52) 前記アルカリ金属化合物がR3−M’からなる群から選択され、M’はアルカリ金属であり、R3はHであるか、基の鎖もしくは構造に沿ってまたは鎖もしくは構造中に0〜約10個のエステル基またはエーテル基を有する1〜約30個の炭素原子のアルキル基、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基から選択される分枝鎖または直鎖の有機基であり、R3は置換または非置換であってよい、項目49に記載の方法。 (項目53) 前記アルカリ金属化合物がt−ブチルリチウムである、項目52に記載の方法。 (項目54) 前記少なくとも1つのハロゲン含有末端基を有する有機ポリマーを、溶媒中で前記アルカリ金属化合物と反応させる、項目49に記載の方法。 (項目55) 前記溶媒が、前記少なくとも1つのハロゲン含有反応基を有する有機ポリマーを溶解することができ、かつ、工程(a)のための反応条件下でハロゲン含有反応基中のハロゲンと反応する官能基を含まない、項目54に記載の方法。 (項目56) 前記溶媒が、ヘプタン、ヘキサン、テトラヒドロフラン、およびジフェニルエーテルから選択される、項目55に記載の方法。 (項目57) 前記少なくとも1つのハロゲン含有末端基を有する有機ポリマーを、前記溶媒中での前記アルカリ金属化合物との反応前に乾燥させる、項目54に記載の方法。 (項目58) 工程(a)を約−20℃未満の温度で行う、項目49に記載の方法。 (項目59) 工程(a)を約−70℃未満の温度で約2時間行う、項目58に記載の方法。 (項目60) 工程(c)が、 前記脱ハロゲン化有機ポリマーを架橋化合物と反応させる工程 をさらに含む、項目49に記載の方法。 (項目61) 工程(c)が有機酸および/またはアセテート化合物から選択される架橋反応添加物を提供することをさらに含み、前記架橋反応添加物が前記架橋化合物と反応してオリゴマー形態の反応性中間体を形成することができ、反応性中間体オリゴマーが前記脱ハロゲン化有機ポリマーを架橋することができる、項目60に記載の方法。 (項目62) 工程(c)の前に、前記架橋化合物および前記架橋反応添加物を、個別の組成物中で、前記架橋化合物がオリゴマー化して反応性中間体オリゴマーを形成するように加熱する工程をさらに含む、項目61に記載の方法。 (項目63) 前記架橋化有機ポリマーを熱成形して熱成形製品を形成する工程をさらに含む、項目49に記載の方法。 (項目64) 前記製品を、押出し、射出成形、ブロー成形、ブローフィルム成形、圧縮成形、または射出/圧縮成形を使用して熱成形する、項目63に記載の方法。 (項目65) 前記製品が、耐酸コーティング;化学的流延フィルム;押出しフィルム;溶媒流延フィルム;ブローフィルム;カプセル化製品;絶縁材;包装材;複合セル;コネクタ;シーリングアセンブリ(Oリング、Vリング、Uカップ、ガスケットが含まれる);ベアリング;バルブシート;アダプタ;ワイパリング;シェブロンバックアップリング;および管材料から選択される、項目63に記載の方法。

(図面のいくつかの観点の説明) 前述の概要および以下の本発明の好ましい実施形態の詳細な説明は、添付の図面と併せて読んだ場合により理解が含まる。本発明を例示するために、現在好ましいとされる図の実施形態を示す。しかし、本発明は示された正確な順序および手段に制限されないと理解すべきである。

図1は、架橋化合物および有機酸を含む架橋組成物の生成物との組み合わせ後の有機ポリマー組成物の熱硬化速度のグラフ表示である。

図2は、架橋化合物および有機酸との組み合わせ後の有機ポリマー組成物の熱硬化速度のグラフ表示である。

図2Aは、有機ポリマー組成物の5000FPブレンドにおける硬化時間対オリゴマー化反応時間のグラフ表示である。

図3は、架橋化合物およびアセテート化合物との組み合わせ後の有機ポリマー組成物の熱硬化速度のグラフ表示である。

図3Aは、有機ポリマー組成物を添加済みのオリゴマー化架橋化合物の比率に相関する、熱硬化速度制御のグラフ表示である。

図4Aは、非オリゴマー化架橋化合物を含む成形有機ポリマー組成物の射出成形製品の写真である。

図4Bは、オリゴマー化架橋化合物を含む成形有機ポリマー組成物の射出成形製品の写真である。

図5は、実施例6中にグラフAとして記載したグラフ表示である。

図6は、実施例6中にグラフBとして記載したグラフ表示である。

発明の詳細な説明 架橋化合物および1つまたは複数の反応性架橋添加物を含む架橋組成物、架橋化有機ポリマーの形成で用いる有機ポリマー組成物、かかる組成物およびポリマーの調製方法、ならびにダウンホール適用などでの極端な条件下での究極的適用で有用なかかる方法によって上記組成物から形成した製品を本明細書中に記載する。

本発明では、架橋性有機ポリマーを使用した熱成形の間にそのままの状態で、そして/または架橋性有機ポリマーとの組み合わせ前に反応させることによって、架橋化合物および架橋反応添加物を含む架橋組成物を反応させて反応性オリゴマー化架橋中間体を形成し、次いで、熱成形して製品を形成することができる。架橋反応添加物を有する架橋化合物のこの中間体オリゴマー反応生成物は、有機ポリマーと合わせた場合に架橋反応を制御することができ、得られる架橋化有機ポリマーの熱形成中に熱硬化速度を遅延させることができ、より広い範囲およびより良好な制御が可能である。

架橋反応速度を抑制および/または制御することができる架橋化有機ポリマー組成物ならびにかかる組成物を使用して架橋化有機ポリマーから製品を成形する方法も本明細書中に記載する。本明細書中の組成物および方法は、形成過程の時間枠が硬化速度と不一致であるかどうかに配慮することなく架橋化有機化合物から製品を形成するための伝統的な(または非伝統的な)熱成形技術を容易に使用することができ、その結果、部品形成中の尚早な架橋硬化が減少または排除され、それにより、より加工が容易な組成物から均一な部品が形成される。

一般に、有機ポリマー自体への架橋または未修飾架橋化合物を含む有機ポリマー組成物における架橋の形成は、約380℃(ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の典型的な加工温度)で約2分以内に完了し得る。この反応の程度を、動的粘度の測定によって追跡することができる。反応が完了し得る時点を判断するにはしばしば2つの方法を使用する。交点またはゲル化点と呼ばれる貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”とが等しい点は、架橋によって相互に連結したゲルの形成開始を示す。硬化が継続するに連れて、G’が増加し、これは架橋密度を示す。硬化が継続するにつれて、最終的にG’は横ばいになり、これはほとんどの硬化が完了していることを示す。明白な交点を決定することができない場合、ガラス化の開始を示す屈曲点G’を使用することもできる(以下のグラフ1を参照のこと)。G’、G”交点、またはガラス化の開始を達成するのに必要な時間を、熱硬化材料の加工時間の上限として使用することができる。

グラフ1.380℃でのブレンド3の平行平板応力。J. Mercelら、“Thermal Analysis of Polymers:Fundamentals and Applications、”445頁、Wiley発行、1(2009)を参照のこと。

本発明における1つまたは複数の架橋反応添加物の利用は、高ガラス転移温度および高架橋密度のポリマーを提供するのに役立つ。500℃までの高熱安定性および高架橋密度を有するポリマーは、望ましいが、さらなる加工の前に非常に高い融解粘度を示すので、溶解加工が非常に困難である。熱成形中に架橋化ポリマーの硬化が開始され得る場合、架橋開始時に制御することが望ましい。組成物を最終製品に成形する前に架橋速度が制御されない場合、製品は熱成形前または熱成形中に時期尚早に硬化され始め得るか、硬化が非常に急激に進行して不完全に鋳型に充填され、装置が破損し、製品の品質が低下し得る。したがって、本発明は、有機ポリマーにおける架橋形成速度の制御を改良する。架橋有機ポリマーのために使用される架橋化合物への本明細書中に記載の架橋反応添加物の添加により、得られた有機ポリマーの構造を制御様式で迅速に加工および成形可能にするために有機ポリマーの架橋開始を数分間に遅延させることができる。

1つまたは複数の架橋化合物が本明細書中の架橋組成物および有機ポリマー組成物中に存在する。好ましくは、架橋化合物は、式(IV):

(式中、Aは10,000g/mol未満の分子量を有するアレーン部分である)の構造を有する。R1は、ヒドロキシド(−OH)、アミン(−NH2)、ハライド、エーテル、エステル、またはアミドであってよく、xは約2.0〜約6.0である。

上記架橋化合物上のアレーン部分Aは、より複雑な架橋化合物構造(例えば、以下が含まれるが、これらに限定されない)を形成するための架橋部位を提供する。

アレーン部分Aは、異なる構造(以下が含まれるが、これらに限定されない)を有するように変動し得る。

アレーン部分Aは、最も好ましくは、4,4’−ビフェニルのジラジカル(すなわち、以下)である。

アレーン部分Aを、必要に応じて、1つまたは複数の官能基(例えば、スルフェート、ホスフェート、ヒドロキシル、カルボニル、エステル、ハライド、またはメルカプトなどであるが、これらに限定されない)を使用して官能化することもできる。

架橋化合物を、例えば、ハロゲンをリチウムと交換するためにハロゲン化アレーンをアルキルリチウムと反応させ、その後に9−フロレノンおよび酸を添加することによって形成することができる。この形成方法は、国際公開第2013/074120A1号(形成方法に関する関連部分が本明細書中で参考として援用される)により詳細に記載および表示されている。

架橋組成物および有機ポリマー組成物はまた、架橋反応添加物を含む。架橋反応添加物には、架橋化合物のオリゴマー化を促進することができる有機酸および/またはアセテート化合物が含まれる。1つの実施形態では、1つまたは複数の有機酸(氷酢酸、酢酸、ギ酸、乳酸、クエン酸、シュウ酸、尿酸、安息香酸、および類似の化合物が含まれる)を使用した酸触媒によってオリゴマー化することができる。上記列挙の架橋化合物の1つを使用したオリゴマー化反応は、以下の通りである。

他の実施形態では、無機アセテート化合物(以下の式(II)の構造を有する化合物など)を、有機酸の代わりにまたは有機酸と組み合わせて使用することもできる。

(式中、MはI族金属またはII族金属である)。式(II)中のR2は、好ましくは、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基であり得る。例えば、R2は、1〜約30個の炭素原子、好ましくは1〜約15個の炭素原子の炭化水素基(直鎖および異性体のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、およびデセニルなどが含まれる)であり得る。R2はまた、炭化水素基の鎖に沿ってか鎖中に0〜約10個のエステル基またはエーテル基、好ましくは約0〜約5個のかかるエステル基またはエーテル基を有し得る。適切なR2は、アリール基およびアラルキル基(0〜約10個の炭素原子、好ましくは約0〜約5個の炭素原子のアリール構造上に任意選択的な低級アルキル基をそれぞれ含み得るフェニル基、ナフチル基、および類似の基に基づいたアリール基およびアラルキル基が含まれる)であり得る。R2は、さらに、必要に応じて、構造上にスルフェート、ホスフェート、ヒドロキシル、カルボニル、エステル、ハライド、メルカプト、および/またはカリウムなどの0〜約10個、好ましくは0〜約5個の官能基をさらに含むことができる。

アセテート化合物を使用した架橋化合物のオリゴマー化により、有機酸を添加した場合と同一のオリゴマー化架橋組成物を得ることができる。架橋反応添加物は、酢酸リチウム水和物、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、酢酸フランシウム、酢酸ベリリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、および/または酢酸ラジウム、ならびにその塩および誘導体であり得る。より好ましくは、架橋反応添加物は、酢酸リチウム水和物、酢酸ナトリウム、および/または酢酸カリウム、ならびにかかる化合物の塩および誘導体である。架橋化合物のうちの1つを使用したオリゴマー化反応を、以下のように進行することができる。

架橋組成物における最良の結果を得るための架橋化合物の架橋反応添加物に対する重量百分率は、好ましくは約10:1〜約10,000:1、より好ましくは約20:1〜約1000:1である。架橋組成物の作製において、1つの実施形態では、成分を有機ポリマーの添加前に合わせて有機ポリマー組成物を作製する。あるいは、これら全てを同時に合わせることができる。

架橋組成物中の架橋化合物の量は、架橋組成物の重量に基づいて、好ましくは約70重量%〜約98重量%、より好ましくは約80重量%〜約98重量%、最も好ましくは約85重量%〜約98重量%である。架橋組成物中の架橋反応添加物の量は、好ましくは約2重量%〜約30重量%、より好ましくは約2重量%〜約20重量%、最も好ましくは約2重量%〜約15重量%である。

架橋化ポリマーの形成で用いる有機ポリマー組成物は、少なくとも1つの有機ポリマーを含む。少なくとも1つの有機ポリマーは、多数のガラス転移温度がより高い有機ポリマー(ポリ(アリーレンエーテル)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリフタルアミド、ポリアミド−イミド、ポリ(ベンズイミダゾール)、およびポリアラミドなどであるが、これらに限定されない)のうちの1つであり得る。好ましくは、ポリマーは、これらのポリマーが化学的に不活性であり、かつダウンホールツール製品または究極的適用での使用に有害であるいかなる官能基も持たないという点で、非官能化されている。

より好ましくは、有機ポリマーは、以下の構造:

(式中、Ar1、Ar2、Ar3、およびAr4は、同一または異なるアリールラジカル(架橋化合物についてのアレーン部分として上記列挙の基など)であってよく、m=0〜1.0、n=1−m)のポリマー繰り返し単位を含むポリ(アリーレンエーテル)である。

より好ましくは、有機ポリマーは、以下の式(V)の繰り返し単位を有し、且つ数平均分子量(Mn)が約10,000〜約30,000である上記の一般的構造(nは0であり、mは1である)の構造を有するポリ(アリーレンエーテル)である。

かかる有機ポリマーは、例えば、Greene、Tweed and Co.,Inc.、Kulpsville、PennsylvaniaのUltura(商標)として購入することができる。

有機ポリマー組成物における最良の結果を得るための有機ポリマーの架橋化合物および架橋反応添加物の組み合わせ重量に対する重量百分率は、好ましくは約1:1〜約100:1、より好ましくは約3:1〜約10:1である。

有機ポリマー組成物の作製において、架橋化合物および架橋反応添加物の成分を有機ポリマーの添加前に合わせて有機ポリマー組成物を作製することが好ましい。あるいは、これら全てを同時に合わせることができる。

有機ポリマー組成物中の架橋化合物の量は、架橋化合物、架橋反応添加物、および有機ポリマーを含む非充填有機組成物の総重量に基づいて、好ましくは約1重量%〜約50重量%、より好ましくは約5重量%〜約30重量%、最も好ましくは約8重量%〜約24重量%である。

有機ポリマー組成物中の架橋反応添加物の量は、架橋化合物、架橋反応添加物、および有機ポリマーを含む非充填有機ポリマー組成物の総量に基づいて、好ましくは約0.01重量%〜約33重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、最も好ましくは約0.2重量%〜約2重量%である。

有機ポリマー組成物中の有機ポリマーの量は、架橋化合物、架橋反応添加物、および有機ポリマーを含む非充填有機ポリマー組成物の総量に基づいて、好ましくは約50重量%〜約99重量%、より好ましくは約70重量%〜約95重量%、最も好ましくは約75重量%〜約90重量%である。

ポリマー組成物を使用して形成した複合物および他の最終製品のモジュラス、衝撃強度、寸法安定性、耐熱性、および電気的性質を改良するために、有機ポリマー組成物をさらに充填および/または強化し、1つまたは複数の添加物を含めることができる。これらの添加物は、当該分野で公知であるか、開発すべき任意の適切なまたは有用な添加物(連続または不連続、長繊維または短繊維の強化用繊維(例えば、炭素繊維、グラスファイバー、織物状グラスファイバー、織物状炭素繊維、アラミド繊維、ホウ素繊維、PTFE繊維、セラミック繊維、およびポリアミド繊維など);および/または1つまたは複数の充填剤(例えば、カーボンブラック、シリケート、ファイバーグラス、硫酸カルシウム、ホウ素、セラミック、ポリアミド、アスベスト、フルオログラファイト、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、ホウ砂(ホウ酸ナトリウム)、活性炭、パーライト、亜鉛テレフタレート、グラファイト、タルク、マイカ、炭化ケイ素のウィスカまたは板状結晶、ナノフィラー、モリブデンジスルフィド、フルオロポリマー充填剤、カーボンナノチューブ、およびフラーレンチューブなど)が含まれるが、これらに限定されない)であり得る。好ましくは、添加物には、強化用繊維(連続または不連続、長繊維または短繊維の炭素繊維、PTFE繊維、および/またはグラスファイバーなど)が含まれる。

有機ポリマー組成物の作製において、オリゴマー化架橋組成物(またはその組み合わせた成分)を有機ポリマーと合わせるのと共にかほぼ同時に組成物に添加物を添加して有機ポリマー組成物を作製することが好ましいが、強化用繊維または他の充填剤の提供様式はかかる材料を組み込むための種々の技術に従うことができ、本発明の範囲を制限すると見なすべきではない。添加物の量は、有機ポリマー組成物の量に基づいて、好ましくは約0.5重量%〜約65重量%、より好ましくは約5.0重量%〜約40重量%である。

さらに、有機ポリマー組成物は、安定剤、難燃剤、色素、可塑剤、界面活性剤、および/または分散剤が含まれる他の配合剤(当該分野で公知であるか製造プロセスを補助するために当該分野で開発されるべき配合剤など)をさらに含むことができる。有機ポリマー組成物の作製において、オリゴマー化架橋組成物(またはその組み合わせた成分)を有機ポリマーと合わせるのと共にかほぼ同時に有機ポリマー組成物に1つまたは複数の充填剤を添加して有機ポリマー組成物を作製することが好ましいが、前述のように、かかる材料の提供様式は種々の技術に従うことができ、本発明の範囲を制限すると見なすべきではない。使用する場合、有機ポリマー組成物中に合わせることができる配合剤の量は、好ましくは、有機ポリマー組成物の量に基づいて、かかる総成分の約5重量%〜約60重量%、より好ましくは約10重量%〜約40重量%、最も好ましくは約30重量%〜約40重量%である。

本発明の方法の1つの実施形態では、例えば、本明細書中に記載の架橋組成物製造による提供後、架橋組成物を、実施例1および4に示すように、架橋化合物のオリゴマー化を誘導するために加熱する。方法の1つの実施形態では、オリゴマー化は、酸触媒によって生じる。架橋添加物として有機酸を使用する場合に酸触媒を使用する。式(IV)の架橋化合物のR1官能性を化合物の残部から解離してカルボカチオンを得て、次いで、有機ポリマーをフリーデル・クラフツアルキル化に供して結合を形成することができる。本発明の方法の別の実施形態では、架橋化合物のオリゴマー化は、ドーピングによって生じ得る。約−100℃〜約−300℃の低温で組成物中の固体反応物を物理的に混合することによるドーピング後、得られた組成物を硬化および/または熱成形するために組成物全体を反応させて製品を形成させる。

実施例2および5中に証明するように、本方法は、反応したオリゴマー化架橋組成物を有機ポリマーに添加して架橋性組成物を形成する工程をさらに含むことができる。実施例3中で証明するように、未修飾の架橋化合物を有機ポリマーに直接添加し、架橋反応添加物とブレンドし、それによって同時にオリゴマー化して有機ポリマーに結合することができる。一旦反応性のオリゴマー化した架橋化合物が有機ポリマーと反応すると、同一の架橋化合物を使用するが架橋反応添加物を使用しない先行技術の架橋組成物を有する有機ポリマー組成物で生じる架橋速度と比較して、硬化プロセスにおいてより遅い時間に有機ポリマーが架橋する。それにより、鋳型に完全に充填され、種々の熱成形技術中に複合ポリマーからより優れた末端加熱成形/押出しなどがなされた製品が形成される(反応性架橋添加物の不使用下および使用下でそれぞれ形成された完成部品が異なることを示す図4Aおよび4Bを参照のこと)。

本発明の有機ポリマー組成物の粉末をペレットにし、ペレットを熱成形プロセスに供した。有機ポリマー組成物を、当該分野で既知であるか、開発すべき多数の異なる手段(押出し、射出成形、圧縮成形、および/または射出/圧縮成形が含まれる)によって熱成形することができる。図4Bに示すように、本発明の有機ポリマー組成物のペレットを、ホットスプルーを含むコールドランナーシステムを備えたArbug(登録商標)38−ton射出成形機にて射出成形した。図4Aに示す先行技術の未修飾の架橋化合物を使用して作製したバーは、充填圧力36,000psiを使用した場合でさえも完全に充填することが出来なかった。しかし、本発明の反応性オリゴマー化架橋中間体化合物を使用して作製したバーは、充填圧力26,000psiしか使用せずに加工され、完全に充填され得る。

製品を形成するための熱成形を、当該分野で公知であるか、開発すべき任意の方法(熱硬化、高エネルギーの印加による硬化、熱硬化、プレス硬化、蒸気硬化、加圧硬化、電子線硬化、または手段の任意の組み合わせによる硬化などが含まれるが、これらに限定されない)によって行うことができる。必要に応じて、当該分野で公知であるか開発すべき硬化後処理も適用することができる。本発明の有機ポリマー組成物を、約250℃〜約500℃を超える温度、より好ましくは約350℃〜約450℃に組成物を暴露することによって硬化する。

上記の組成物および/または方法を、石油化学工業で使用されるダウンホールツールおよび適用で使用することができるか、その製品を調製することができる。特に、製品は、耐酸コーティング、化学的流延フィルム、押出しフィルム、溶媒流延フィルム、ブローフィルム、カプセル化製品、絶縁材、包装材、複合セル、コネクタ、およびOリング、Vリング、Uカップ、ガスケットの形状のシーリングアセンブリ、ベアリング、バルブシート、アダプタ、ワイパリング、シェブロンバックアップリング、ならびに管材料からなる群から選択される。

上記の本発明の実施形態を、ここに、以下の非限定的な実施例にしたがって説明する。

実施例1 有機酸架橋添加物を使用した架橋組成物の調製。国際公開第2013/074120A1号中の実施例2および4でジオール−2と同定された架橋化合物のうちの15.34gを、20mLの氷酢酸と300mLのシクロヘキサノンとの混合物に溶解した。溶液を、全部で13.5時間加熱還流し、その後、氷酢酸およびシクロヘキサノンを常圧蒸留によって除去した。生成物はペースト状の固体残渣であった。1HNMRおよび13CNMRのデータは、架橋化合物のC−OHのカルド炭素に対するモル比が1:00:1:00であることを示す。

実施例2 有機酸架橋添加物を使用した架橋化合物のオリゴマー化後の有機ポリマー組成物の調製。実施例1の残渣のうちの0.85gを、9.15gの5000FPポリエーテルエーテルケトン(PEEK)粉末と合わせた。8mm平行板および不活性窒素パージを備えたAR2000レオメータによって分析して硬化速度を決定した。サンプルをロードし、380℃で4.5分間安定化し、60分掃引試験を行ってモジュラスの変化を記録して50分間の硬化速度を決定した。結果を図1に示す。

実施例3 有機酸架橋添加物を使用した架橋化合物のオリゴマー化中の有機ポリマー組成物の調製。13.725gの5000FBポリエーテルエーテルケトン(PEEK)粉末を、1.275gの前述の架橋化合物ジオール−2、100mLシクロヘキサノン、および20mL氷酢酸とマグネチックスターラーバーを備えた500mlのRBF中で合わせた。還流4時間後、氷酢酸およびシクロヘキサノンを、短経路型蒸留器を使用して除去後、真空オーブン内で120℃にて20時間乾燥させた。8mm平行板および不活性窒素パージを備えたAR2000レオメータによって分析して硬化速度を決定した。サンプルをロードし、380℃で4.5分間安定化し、60分掃引試験を行ってモジュラスの変化を記録して50分間の硬化速度を決定した。結果を表1にまとめ、図2および2Aに示す。

実施例4 アセテート化合物架橋添加物を使用した架橋組成物の調製。4ブレンドの上記で同定した架橋化合物ジオール−2および酢酸リチウム脱水物を、Spex(登録商標)6870フリーザーミルを使用して調製した。サンプルを、液体窒素中にておよそ−195℃で15分間冷却し、次いで、3分間粉砕後5分間冷却を12サイクル行った。粉砕時間は−196℃、速度10サイクル/秒にて全部で96分間であった。本実施例では溶媒を使用しなかった。組成物の各成分の重量を、以下の表2に列挙する。

実施例5 アセテート化合物架橋添加物を使用した架橋化合物のオリゴマー化後の有機ポリマー組成物の調製。実施例4中のブレンド2のオリゴマー化架橋剤組成物のうちの8.0gを、92gの5000FPポリエーテルエーテルケトン(PEEK)粉末と500mLボトル中で合わせ、45rpmで30分間震盪した。8mm平行板および不活性窒素パージを備えたAR2000レオメータによって分析して硬化速度を決定した。サンプルをロードし、380℃で4.5分間安定化し、60分掃引試験を行ってモジュラスの変化を記録して50分間の硬化速度を決定した。結果を表3にまとめ、図3および3Aに示す。

出願人は、架橋性有機ポリマー(特に、骨格中に芳香族基を有する架橋性有機ポリマー)の組成物(前述の速度制御添加物を有する組成物が含まれる)の硬化制御の欠如および急速な制御の原因の一部が反応性末端基(特に、ハロゲン含有反応基(臭素含有反応末端基など)を有する反応性末端基)の存在であることも発見した。ハロゲン含有反応末端基(この場合、ビフェニルブロミド基である臭素含有末端基)を有する架橋化ポリアリーレンエーテルポリマーの例を、以下の式(III)に示す:

かかる末端基は、架橋化有機ポリマーの加工および性質に負の影響を及ぼし得る。かかる末端基を除去するために架橋用化合物を使用して典型的に形成したかかるポリマーの処理により、かかる処理を使用しなかった同一のポリマーより有意に加工性が高い材料が得られる。

典型的な合成手順によって数平均分子量(Mn)は約20,000〜約25,000ダルトンであり、ポリマーの繰り返し単位(式IIIに示す繰り返し単位など)は約502ダルトン。したがって、所与のバッチにおいて数平均分子量24,000のポリマー中に約46個の繰り返し単位が存在する。各ポリマー鎖は、少なくとも2個の末端基を有する。ポリマーが縮合ポリマーである場合、ハロゲン含有末端基(臭素含有基、上記の式IIIに示すビフェニル臭素末端基など)の確率はおよそ50%である。したがって、かかる各ポリマーは、鎖あたり約1個の臭素含有末端基を有すると予想され、これは単一の臭素末端基を有するポリマーについての近似の臭素レベル約3,100〜4,000ppmに相当する。ポリマーが2個のかかる末端基を組み込んでいる場合、臭素レベルは、6,200〜約8,000ppmと同程度であり得る。出願人は、25,300の数平均分子量を有するこのカテゴリー内の典型的なポリマーについて臭素分析を行い、このポリマーは臭素レベルが3,400ppmであり、理論的予想の範囲内であった。

ビフェニル臭素末端基および他の類似の末端基は、芳香族架橋化骨格ほどの熱安定性が予想されず、したがって、高温(約350℃〜約400℃)での加工中に熱分解され得る。例えば、フェニル−臭素結合は非常に弱いことが当該分野で公知であり、臭素ラジカルは非常に反応性が高い。したがって、臭素化芳香族化合物の高温での加熱によってフェニル−臭素結合が破壊されて臭素ラジカルおよびフェニルラジカルが生成され得る。Ladackiら、Proceedings of the Royal Society of London:Series A.Mathematical and Physical Sciences、(1953)219,11,341−352頁、”Studies of the Variations in Bond Dissociation Energies of Aromatic Compounds. I. Monobromo−aryles”を参照のこと。臭素ラジカルは、他のハロゲンと同様に、非常に反応性が高く、プロトンを迅速に引き抜いて副生成物としてHX(式中、Xはハロゲンである)を生成する。臭素に関しては、HBrを形成し、これは、酸塩基反応によって3トリチルアルコールのヒドロキシル基と反応してカルボカチオンを形成し、それにより、トリチルブロミド(トリチルアルコールの共役酸である)および水を形成することが公知の酸である。

出願人は、本明細書中で、9,9’−(ビフェニル−4,4’−ジイル)ビス(9H−フルオレン−9−オール)のヒドロキシル基がこれに関してトリチルアルコールと非常に類似する挙動を示すことを観察した。したがって、得られたHBrは開始剤として作用し、次いで、反応性カルボカチオンを生成し、したがって、架橋を促進する(以下の(A)に示した反応スキームを参照のこと)。この挙動は、反応速度を抑制する上記の反応性架橋添加物によって得られる制御の程度に部分的に反作用することができ、さらに、架橋を加速し得る。

9,9’−(ビフェニル−4,4’−ジイル)ビス(9H−フルオレン−9−オール)のヒドロキシル基の喪失によって生成される熱生成カルボカチオンは、反応性中間体となり、これは、架橋反応開始の律速段階となりやすい。9,9’−(ビフェニル−4,4−ジイル)ビ(9H−フルオレン−9−オール)および関連変異体を使用した有機ポリマーの架橋反応についての提案される反応機構(B)を以下に示す。

上記の酢酸リチウムおよび類似の化合物は、塩基性抑制剤としてフェニルフルオレノール末端基の熱活性化を抑えて反応性カルボカチオンの形成を抑制するように作用する。しかし、かかる反応スキームでは、架橋化ポリマー末端基の熱分解によって生成される酸性HBrまたは他の類似のハロゲン酸は、例えば、塩基性酢酸アニオンと反応して中和することができ、したがって、同時に反応性添加物の抑制効果を中和することができる。

架橋反応の反応速度を制御するために予想される反応性添加物として酢酸リチウムを使用してこの評価を継続すると、生成され得るHBrまたは他の類似の酸の理論的モル量は、反応抑制添加物として添加した酢酸リチウム二水和物(塩基)のモル量のおよそ2.4倍である。したがって、この問題を克服するための自然な方法は、生成された酸を中和する抑制効果を有する高濃度の酢酸リチウムまたは他の反応性添加物を組み込むこと。不運なことに、非常に過剰および/または大量のかかる反応性阻害添加物(例えば、酢酸リチウム)を使用する場合、過剰な添加物が実質的に反応を加速し始める可能性があり、したがって、複雑な反応機構において上記の本発明で記述した添加物の有効範囲を制限するので、ハロゲン酸の存在下での逆効果に寄与し得る。

ハロゲン酸(HBrなど)の生成を別とした反応速度に影響を及ぼす問題に加えて、架橋中の熱脱ハロゲン化水素反応の生成物は、非常に反応性の高いアリールラジカルまたはベンザイン中間体を生成することができる。熱誘導性脱ハロゲン化水素によって生成された反応性アリール中間体自体が熱活性化架橋部位として作用することができ、この中間体は、反応(9,9’−(ビフェニル−4,4’−ジイル)ビス(9H−フルオレン−9−オール)と架橋有機ポリマー(ポリアリーレンエーテルなど)との間の反応など)の発熱性に起因して制御が困難であり、発熱反応プロフィールを、示差走査熱量測定法(DSC)によって観察および評価することができる。発熱反応曲線を使用して、Borchardt and Daniel法によって発熱反応の半減期を評価することができる。ASTM−E2041、Standard Test Method for Estimating Kinetic Parameters by Differential Scanning Calorimeter Using the Borchardt and Daniels Methodを参照のこと。この方法により、活性化エネルギーおよび他の動態パラメーターの計算が可能である。一旦これらの速度係数が得られると、種々の温度における反応半減期を計算することができる。次いで、ポリマーおよび抑制剤の種々の処理のために得た半減期を比較して、特定の処理によって得た硬化時間(架橋反応時間)の改善を評価することができる。

上記の情報を考慮して、出願人は、上記の問題のあるアプローチに反して、ハロゲン含有副生成物を制御するのではなくハロゲン含有末端基からハロゲンを化学的に除去することが可能であり、かかるポリマーが架橋前に脱ハロゲンされるという意味で精製された有機ポリマーを形成することができることを発見した。次いで、かかる脱ハロゲン化された精製有機ポリマーを容易に架橋および成形することができ、その結果、成形中の架橋反応はよりゆっくりかつより適合性が高く制御され、伝統的な熱成形技術を容易に使用することができる。

架橋化製品を、本明細書中に記載の本発明の架橋化合物および任意選択的な1つまたは複数の反応性架橋添加物を使用した脱ハロゲン化有機ポリマー、ならびに架橋化有機ポリマーの形成で用いる脱ハロゲン化有機ポリマーおよび架橋化合物を有する有機ポリマー組成物の架橋から形成する。さらに、かかる組成物およびポリマーの調製方法ならびに上記組成物からかかる方法によって形成された製品は、本発明の範囲内であり、ダウンホール適用などの極端な条件下での究極的適用で有用である。

架橋化合物を含む架橋組成物を反応させて架橋性脱ハロゲン化有機ポリマーと合わせた熱成形の間にそのままの状態で反応性オリゴマー化架橋中間体を形成し、そして/または架橋化合物を有する架橋組成物および架橋反応添加物を個別に反応させることによってオリゴマー化架橋中間体を形成し、次いで、オリゴマー化架橋中間体を架橋性脱ハロゲン化有機ポリマーと合わせ、合わせた材料を熱形成して製品を形成することができる。任意選択的な架橋反応添加物を有する架橋化合物の中間体オリゴマー反応生成物は、一般に有機ポリマー、特に、骨格中に芳香族基を有する有機ポリマーと合わせた場合に抑制剤として作用し、架橋反応を制御することができるが、脱ハロゲン化有機ポリマーをベースポリマーとして使用した場合、熱形成中に熱硬化速度をさらにより遅延させることができ、より広い範囲およびより良好な制御ならびに反応速度の抑制が可能である。

前述のように、有機ポリマー自体への架橋または未修飾架橋化合物を含む有機ポリマー組成物における架橋の形成は、約380℃(ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の典型的な加工温度)で約2分以内に完了し得る(グラフ1)。

1つまたは複数の架橋反応添加物の利用は、架橋化合物(式(IV)の架橋化合物など)と合わせた場合に、高ガラス転移温度および高架橋密度のポリマーをより安定に硬化させるのに役立つことが確認されている。500℃までの高熱安定性および高架橋密度を有するポリマーは、望ましいが、上述のように、さらなる加工の前に非常に高い融解粘度を示すので、溶解加工が非常に困難である。組成物を最終製品に成形する前に架橋速度が制御されない場合、製品は熱成形前または熱成形中に時期尚早に硬化され始め得るか、硬化が非常に急激に進行して不完全に鋳型に充填され、装置が破損し、製品の品質が低下し得る。したがって、本発明はまた、架橋することができる脱ハロゲン化有機ポリマー(脱臭素化有機ポリマーなど)と組み合わせて上記の架橋化合物および/または架橋反応添加物を使用して有機ポリマーにおける架橋形成速度を制御または抑制することによる改良に関する。これにより、抑制剤(BまたはHBrなどのXまたはHX形成に妨害されない)が、得られた有機ポリマーの構造を制御様式で迅速に加工および成形可能にするために、より有効に作用し、初期ポリマーの脱ハロゲン化処理を使用せずに達成される時間より数分間ものはるかに長い時間有機ポリマーにおける架橋の開始を遅延させることができる反応が提供される。

架橋化有機ポリマーの形成で用いる本明細書中に記載の有機ポリマー組成物では、組成物は、少なくとも1つの脱ハロゲン化された有機ポリマーを含む。架橋前に脱ハロゲン化処理によって好ましい様式で利益を得ることができるポリマーには、少なくとも1つの有機ポリマーが含まれ、この有機ポリマーは、多数のガラス転移温度がより高く、そして/または有機ポリマーの骨格中の芳香族基を有する有機ポリマー(例えば、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリフタルアミド、ポリアミド−イミド、ポリ(ベンズイミダゾール)、およびポリアラミドが含まれるが、これらに限定されない)のうちの1つであり得る。好ましくは、ポリマーは、これらのポリマーが化学的に不活性であり、かつダウンホールツール製品または究極的適用での使用に有害であるいかなる官能基も持たないという点で、非官能化されている。かかるポリマーは、架橋前に脱ハロゲン化処理から利益を得ることができる場合、少なくとも1つのハロゲン含有反応基も有する。一般に、上記で考察されるように、かかる基は、一般に、重合プロセスまたは他の末端キャッピング反応などから残存し得る末端基である。

より好ましくは、本明細書中の1つの実施形態では、有機ポリマーは、ポリ(アリーレンエーテル)(ポリマー鎖の骨格中に、以下の構造:

(式中、Ar1、Ar2、Ar3、およびAr4は、同一または異なるアリールラジカル(架橋化合物についてのアレーン部分として上記列挙の基など)であってよく、m=0〜1.0、n=1−m)を有するポリマー繰り返し単位を含む前述のポリ(アリーレンエーテル)など)である。

より好ましくは、有機ポリマーは、以下の式(V)の繰り返し単位を有し、且つ数平均分子量(Mn)が約10,000〜約30,000である上記の一般的構造(nは0であり、mは1である)を有するポリ(アリーレンエーテル)である。

前述のように、かかる有機ポリマーは、例えば、Greene、Tweed and Co.,Inc.、Kulpsville、PennsylvaniaのUltura(商標)として購入することができる。

前述の本発明で用いる他の適切な有機ポリマー(ポリアリーレンおよびポリアリーレンエーテルなど)を、例えば、ジヨードビフェニルモノマーおよび/またはジブロモビフェニルモノマーを使用して作製することができる。かかる例では、本明細書中で使用した方法を、臭素含有反応基またはヨウ素含有反応基を除去してポリマーを脱ヨウ素化または脱臭素化するために使用すべきである。他の適切なポリマー(ポリスルホンなど)について、その多くは塩素含有反応基を遊離することができる合成において塩素化モノマーを使用して形成され、塩素含有反応基を脱塩素化するために本明細書中の方法を使用すべきである。したがって、当業者は、ハロゲン含有反応基(ハロゲン含有末端基など)を遊離する重合プロセスによる形成から得られるハロゲン含有反応基を有する有機ポリマーについて、かかる有機ポリマーを脱ハロゲン化して、伝統的な熱成形プロセスにおいてかかるポリマーの使用で速度制御が問題となる架橋反応で用いる精製有機ポリマーを提供することができると理解すべきである。

有機ポリマーを脱ハロゲン化するために、有機ポリマーを、単独または組み合わせて本発明の方法に供することができる。本方法は、架橋組成物中で架橋反応中の少なくとも1つのハロゲン含有反応基を有する有機ポリマーの架橋反応速度を制御するように作用する脱ハロゲン化有機ポリマーを提供する。本方法では、ハロゲン含有反応基を有する有機ポリマー(好ましくは1つまたは2つのハロゲン含有末端基(臭素、ヨウ素、および塩素など)を有する前述の有機ポリマーなど)を使用する。

ハロゲン含有反応基を有するポリマーをアルカリ金属化合物と反応させて、ハロゲン原子をポリマーに接続していた結合(すなわち、少なくとも1つのハロゲン含有反応基を有する有機ポリマーと少なくとも1つのハロゲン含有反応基中のハロゲン原子との間の結合)を破壊する。この反応により、カルボカチオンを有する中間体が形成される。

少なくとも1つのハロゲン含有反応基は、典型的にはハロゲン原子(X)であるが、より頻繁には、ハロゲン原子は、最も典型的には最終有機基によって一次骨格から末端の位置で鎖に連結する。かかる反応基を−R4−(X)pとして示すことができ、R4は炭素であるか、基の鎖もしくは構造に沿ってまたは鎖もしくは構造中に0〜約10個のエステル基またはエーテル基、好ましくは0〜約5個のかかるエーテル基またはエステル基を有する1〜約30個の炭素原子、好ましくは1〜約20個の炭素原子のアルキル基、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基から選択される分枝鎖または直鎖の有機基であり、R4は置換または非置換であってよい。適切なアルキルには、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、およびヘプチルなどが含まれる。適切なアルケニルには、メテニル、エテニル、プロペニル、イソ−プロペニル、ブテニル、イソ−ブテニル、tert−ブテニル、およびペンテニルなどが含まれる。アリール基は、単環構造または多環構造(ベンジル(benyl)、フェニル、キシリル、ビフェニル、およびジベンジルなど)であってよく、かかる基をアリール基またはアラルキル基または側鎖を有するように修飾してアラルキル構造を形成することもできる。Xはハロゲン、臭素、ヨウ素、塩素、およびフッ素などを示し、pは1または2の整数である。

ハロゲン含有反応基を有する有機ポリマーは、アルカリ金属化合物と反応することが好ましい。アルカリ金属化合物をR3−M’によって示すことができ、M’はアルカリ金属であり、R3はHであり得るか、基の鎖もしくは構造に沿ってまたは鎖もしくは構造中に0〜約10個のエステル基またはエーテル基、好ましくは0〜約5個のかかる基を有する1〜約30個の炭素原子、好ましくは約1〜約15個の炭素原子のアルキル基、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基から選択される分枝鎖または直鎖の有機基であり得る。R3は、置換基または非置換基であり得る。置換基には、プロセスから最終的に形成された脱ハロゲン化有機ポリマーに影響を及ぼさず、そして/またはハロゲン含有ハロゲン反応基を有する有機ポリマーの反応または反応速度に影響を及ぼさないか、かかるポリマーのアルカリ金属との間の反応に負の影響を及ぼさないことを条件として、得られたポリマーに他の性質を提供するための官能基を含むことができ、かかる官能基には、例えば、ヒドロキシル、カルボニル、エステル、ハライド、メルカプト、および/またはカリウムが含まれ得る。

適切なアルカリ金属化合物には、メチルリチウム、メテニルリチウム、エチルリチウム、エテニルリチウム、イソプロピルリチウム(isoproypl lithium)、プロピルリチウム、プロペニルリチウム、ブチルリチウム、イソブチルリチウム、t−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、n−ブチルリチウム、ブテニルリチウム、および類似の化合物、メチルナトリウム、メテニルナトリウム、エチルナトリウム、エテニルナトリウム、イソプロピルナトリウム、プロピルナトリウム、プロペニルナトリウム、n−ブチルナトリウム、s−ブチルナトリウム、t−ブチルナトリウム、ブテニルナトリウム、および類似の化合物、メチルカリウム、メテニルカリウム、エチルカリウム、エテニルカリウム、プロペニルカリウム、ブチルカリウム、イソブチルカリウム、n−ブチルカリウム、s−ブチルカリウム、t−ブチルカリウム、ブテニルカリウム、および類似の化合物、ならびに、例えば、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、ベンジルナトリウム、フェニルナトリウム、ベンジルカリウム、フェニルカリウム、および他の関連化合物が含まれる。好ましくは、アルカリ金属化合物は、ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ブチルナトリウム、t−ブチルナトリウム、ブチルカリウム、またはt−ブチルカリウムである。

少なくとも1つのハロゲン含有末端基を有する有機ポリマーを、好ましくは溶媒環境下でアルカリ金属化合物と反応させる。溶媒は、好ましくは、少なくとも1つのハロゲン含有反応基を有するが、使用した反応条件下でハロゲン含有反応基中のハロゲンと反応する官能基を含まない有機ポリマーを溶解することができる。適切な溶媒には、ヘプタン、ヘキサン、テトラヒドロフラン、およびジフェニルエーテル、ならびに類似の溶媒およびかかる溶媒の誘導体または官能化変異体が含まれるが、これらに限定されず、最も好ましい溶媒はテトラヒドロフラン(THF)である。

使用溶媒とアルカリ金属化合物との間の潜在的な副反応を最少にするために、約−20℃未満、好ましくは約−50℃未満、より好ましくは約−70℃未満の低温で反応させることが好ましい。例えば、−20℃でのTHF中のt−ブチルリチウムの半減期が約42分間であるので、その温度未満(例えば、−70℃〜−78℃)でのt−ブチルリチウムの反応により、その化合物のTHF中での推定半減期が約1300分間であるので、より長い半減期が得られる。したがって、必要に応じて反応が進行し、熱による反応の干渉は最小である。大部分のハロゲン原子が有機ポリマーから除去されるまで、好ましくは、ほとんど全てのハロゲン原子、最も好ましくは実質的に全てのまたは全てのハロゲン原子が除去されるまで反応を進行することが好ましい。反応時間は、使用される溶媒、アルカリ金属化合物、および反応温度に応じて変化するが、約0.5〜約4時間、好ましくは約1〜約2時間継続すると予想される。

有機ポリマーをかかる溶媒反応に導入する前に、溶媒中でアルカリ金属化合物と反応すべき少なくとも1つのハロゲン含有反応基を有する有機ポリマーを、準備段階として、溶媒中でポリマーをアルカリ金属化合物と反応させる前に最初に乾燥させることが好ましい。水は反応を妨害し得るので、かかる乾燥工程を、ポリマー由来の吸着水を最小化するか除去するための任意の様式で行うことができる。1つの許容され得る非限定的なポリマーの乾燥方法は、選択したポリマーを真空オーブンにて適切な温度でオーブン乾燥することである。ポリアリーレンポリマーについて、約100℃〜約200℃、より好ましくは約110℃〜約120℃が適切である。ポリマーを少なくとも実質的に乾燥するまで、少なくともおよそ10時間、好ましくは少なくとも15時間、最も好ましくは約16時間オーブン乾燥させるべきであり、乾燥時間もポリマーおよび前処理したポリマー中の吸着水レベルに応じて変化し得ると理解される。種々のタイプの水分分析(例えば、THFに溶解したポリマーのKarl Fischer電量滴定(空気乾燥機の露点を測定)または熱重量分析(TGA)による約250℃未満での重量減少)によって乾燥を検証することができる。

一旦ハロゲン含有反応基を有する乾燥有機ポリマーを溶媒に溶解し、アルカリ金属化合物と反応させると、カルボカチオンを有する中間体が形成される。次いで、この中間体および継続している反応を、カルボカチオンを有する中間体の酢酸または酸を含む類似のアセテート基との反応によって停止させて脱ハロゲン化有機ポリマーを形成する。

ハロゲン含有反応基がジフェニル臭素であるポリアリーレンポリマーを使用したこの反応についての1つの反応スキームを、以下の反応スキームCに示し、ここで、Rは、末端のジフェニル臭素基中に第1のフェニル基を含む上記の式(III)のポリマー鎖を示す。

上記機構は本明細書中で好ましい脱ハロゲン化法を示すが、他の反応およびかかる有機ポリマーからハロゲンを除去する方法を、本発明の範囲内で使用することもできる。例えば、J.Moonら、”Hydrogenolysis of Aryl Haliodes by Hydrogen Gas and Hydrogen Transfer over Palladium−Supported Catalysts”、3巻、6号、Comptes Rendus L’Academie des Sciences−Chemistry、465−470頁(2000年11月)を参照のこと。グリニャール試薬での処理によって脱ハロゲン化することもできる。Grignard Degradation、Comprehensive Organic Name Reactions and Reagents、1271−1272頁(2010年9月)。

有機ポリマーの脱ハロゲン化後、脱ハロゲン化有機ポリマーを架橋反応に導入することができ、それにより、かかる反応の能力が強化される。任意の適切なグラフト、反応または類似の架橋反応を使用することができる。好ましくは、上記のように架橋化合物を使用して架橋する。

したがって、脱ハロゲン化有機ポリマーおよび架橋化合物を含む有機ポリマー組成物を形成することができる。脱ハロゲン化有機ポリマーから架橋化有機ポリマーを作製する任意の適切な架橋化合物を使用することができる。1つのかかる系の例として、骨格中に芳香族基を有する脱ハロゲン化有機ポリマーを、架橋化合物を使用して架橋することができ、架橋化合物は、式(IV):

(式中、Aは10,000g/mol未満の分子量を有するアレーン部分であり、R1は、ヒドロキシド(−OH)、アミン(−NH2)、ハライド、エーテル、エステル、またはアミドからなる群から選択され、xは約2.0〜約6.0である)の前述の構造を有する架橋化合物が好ましい。

1つまたは複数の架橋化合物が架橋組成物中に存在し、架橋化合物をかかる組成物中の脱ハロゲン化有機ポリマーと合わせることができる。

上記架橋化合物上のアレーン部分Aは、より複雑な架橋化合物構造(例えば、以下が含まれるが、これらに限定されない)を形成するための架橋部位を提供する。

アレーン部分Aを、異なる構造(以下が含まれるが、これらに限定されない)を有するように変化させることができる。

さらに、アレーン部分Aは、最も好ましくは、4,4’−ビフェニルのジラジカル、すなわち以下である。

アレーン部分Aを、必要に応じて、1つまたは複数の官能基(例えば、スルフェート、ホスフェート、ヒドロキシル、カルボニル、エステル、ハライド、またはメルカプトなどであるが、これらに限定されない)を使用して官能化することもできる。架橋化合物を、前述のように形成することができる。

架橋組成物および有機ポリマー組成物はまた、反応速度制御化合物(すなわち、抑制剤)として1つまたは複数の架橋反応添加物を含む。

架橋反応添加物は、好ましくは前述の有機酸および/またはアセテート化合物であり、架橋化合物と反応してオリゴマー形態の反応性中間体を形成することができなければならない。かかる反応性中間体オリゴマーは、脱ハロゲン化有機ポリマーと架橋して所望の効果を有することができなければならない。

架橋反応添加物には、有機酸および/またはアセテート化合物が含まれ、これらは架橋化合物のオリゴマー化を促進することができる。1つの実施形態では、1つまたは複数の有機酸(氷酢酸、酢酸、ギ酸、乳酸、クエン酸、シュウ酸、尿酸、安息香酸、および類似の化合物が含まれる)を使用した酸触媒によってオリゴマー化することができる。1つの架橋化合物を使用したオリゴマー化反応を上に示す。

他の実施形態では、無機アセテート化合物(以下の式(II)の構造を有する化合物など)を、有機酸の代わりにまたは有機酸と組み合わせて使用することもできる。

(式中、MはI族金属またはII族金属である)。式(II)中のR2は、好ましくは、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基であり得る。例えば、R2は、1〜約30個の炭素原子、好ましくは約1〜約15個の炭素原子の炭化水素基(直鎖および異性体のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、およびデセニルなどが含まれる)であり得る。R2はまた、炭化水素基の鎖に沿ってか鎖中に0〜約10個のエステル基またはエーテル基、好ましくは約0〜約5個のかかる基を有し得る。適切なR2は、アリール基およびアラルキル基(0〜約5個の炭素原子のアリール構造上に任意選択的な低級アルキル基をそれぞれ含み得るフェニル基、ナフチル基、および類似の基に基づいたアリール基およびアラルキル基が含まれる)であり得る。R2は、さらに、必要に応じて、構造上にスルフェート、ホスフェート、ヒドロキシル、カルボニル、エステル、ハライド、メルカプト、および/またはカリウムなどの0〜約5個の官能基をさらに含むことができる。

アセテート化合物を使用した架橋化合物のオリゴマー化により、有機酸を添加した場合と同一のオリゴマー化架橋組成物を得ることができる。架橋反応添加物は、酢酸リチウム水和物、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、酢酸フランシウム、酢酸ベリリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、および/または酢酸ラジウム、ならびにその塩および誘導体であり得る。より好ましくは、架橋反応添加物は、酢酸リチウム水和物、酢酸ナトリウム、および/または酢酸カリウム、ならびにかかる化合物の塩および誘導体である。架橋化合物のうちの1つを使用したオリゴマー化反応を上に示す。

架橋組成物における最良の結果を得るための架橋化合物の架橋反応添加物に対する重量百分率は、好ましくは約10:1〜約10,000:1、より好ましくは約20:1〜約1000:1である。架橋組成物の作製において、1つの実施形態では、成分を脱ハロゲン化有機ポリマーの添加前に合わせて本発明の有機ポリマー組成物を作製する。あるいは、これら全てを同時に合わせることができる。

架橋組成物中の架橋化合物の量は、架橋組成物の重量に基づいて、好ましくは約70重量%〜約98重量%、より好ましくは約80重量%〜約98重量%、最も好ましくは約85重量%〜約98重量%である。架橋組成物中の架橋反応添加物の量は、好ましくは約2重量%〜約30重量%、より好ましくは約2重量%〜約20重量%、最も好ましくは約2重量%〜約15重量%である。

有機ポリマー組成物における最良の結果を得るための脱ハロゲン化有機ポリマーの架橋化合物および架橋反応添加物の組み合わせ重量に対する重量百分率は、好ましくは約1:1〜約100:1、より好ましくは約3:1〜約10:1である。

有機ポリマー組成物の作製において、架橋化合物および架橋反応添加物の成分を脱ハロゲン化有機ポリマーの添加前に合わせて有機ポリマー組成物を作製することが好ましい。あるいは、これら全てを同時に合わせることができる。

有機ポリマー組成物中の架橋化合物の量は、架橋化合物、架橋反応添加物、および脱ハロゲン化有機ポリマーを含む非充填有機組成物の総重量に基づいて、好ましくは約1重量%〜約50重量%、より好ましくは約5重量%〜約30重量%、最も好ましくは約8重量%〜約24重量%である。

有機ポリマー組成物中の架橋反応添加物の量は、架橋化合物、架橋反応添加物、および脱ハロゲン化有機ポリマーを含む非充填有機ポリマー組成物の総重量に基づいて、好ましくは約0.01重量%〜約33重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、最も好ましくは約0.2重量%〜約2重量%である。

有機ポリマー組成物中の脱ハロゲン化有機ポリマーの量は、架橋化合物、架橋反応添加物、および脱ハロゲン化有機ポリマーを含む非充填有機ポリマー組成物の総重量に基づいて、好ましくは約50重量%〜約99重量%、より好ましくは約70重量%〜約95重量%、最も好ましくは約75重量%〜約90重量%である。

ポリマー組成物を使用して形成した複合物および他の最終製品のモジュラス、衝撃強度、寸法安定性、耐熱性、および電気的性質を改良するために、有機ポリマー組成物をさらに充填および/または強化し、1つまたは複数の添加物を含めることができる。これらの添加物は、上記のように、当該分野で公知であるか、開発すべき任意の適切なまたは有用な添加物であり得る。

有機ポリマー組成物の作製において、オリゴマー化架橋組成物(またはその組み合わせた成分)を脱ハロゲン化有機ポリマーと合わせるのと共にかほぼ同時に組成物に添加物を添加して有機ポリマー組成物を作製することが好ましいが、強化用繊維または他の充填剤の提供様式はかかる材料を組み込むための種々の技術に従うことができ、本発明の範囲を制限すると見なすべきではない。添加物の量は、有機ポリマー組成物の量に基づいて、好ましくは約0.5重量%〜約65重量%、より好ましくは約5.0重量%〜約40重量%である。

さらに、有機ポリマー組成物は、安定剤、難燃剤、色素、可塑剤、界面活性剤、および/または分散剤が含まれる他の配合剤(当該分野で公知であるか製造プロセスを補助するために当該分野で開発されるべき配合剤など)をさらに含むことができる。有機ポリマー組成物の作製において、オリゴマー化架橋組成物(またはその組み合わせた成分)を有機ポリマーと合わせるのと共にかほぼ同時に有機ポリマー組成物に1つまたは複数の充填剤を添加して有機ポリマー組成物を作製することが好ましいが、前述のように、かかる材料の提供様式は種々の技術に従うことができ、本発明の範囲を制限すると見なすべきではない。使用する場合、有機ポリマー組成物中に合わせることができる配合剤の量は、好ましくは、有機ポリマー組成物の量に基づいて、かかる総成分の約5重量%〜約60重量%、より好ましくは約10重量%〜約40重量%、最も好ましくは約30重量%〜約40重量%である。

本発明の架橋方法の1つの実施形態では、例えば、本明細書中に記載の架橋組成物製造による提供後、架橋組成物を、実施例1〜4および前述のように、架橋化合物のオリゴマー化を誘導するために加熱する。

方法の1つの実施形態では、オリゴマー化は、酸触媒によって生じる。架橋添加物として有機酸を使用する場合に酸触媒を使用する。式(IV)の架橋化合物のR1官能性を化合物の残部から解離してカルボカチオンを得て、次いで、有機ポリマーをフリーデル・クラフツアルキル化に供して結合を形成することができる。本発明の方法の別の実施形態では、架橋化合物のオリゴマー化は、ドーピングによって生じ得る。約−100℃〜約−300℃の低温で組成物中の固体反応物を物理的に混合することによるドーピング後、得られた組成物を硬化および/または熱成形するために組成物全体を反応させて製品を形成させる。

架橋方法は、反応したオリゴマー化架橋組成物を脱臭素化有機ポリマーに添加して架橋性組成物を形成する工程をさらに含むことができる。未修飾の架橋化合物を脱ハロゲン化有機ポリマーに直接添加して架橋反応添加物とブレンドし、それによって同時にオリゴマー化して脱ハロゲン化有機ポリマーに結合することができる。一旦反応性のオリゴマー化した架橋化合物が脱ハロゲン化有機ポリマーと反応すると、脱ハロゲン化処理を使用せず、前述の抑制添加物を有する同一の架橋系または他の先行技術の架橋系を使用した有機ポリマー組成物で生じる架橋速度と比較して、硬化プロセスにおいてより遅い時間に脱ハロゲン化有機ポリマーが架橋する。それにより、完全に充填された鋳物および優れた熱成形製品を形成するために伝統的な成形技術をより容易に使用することができ、かつ架橋時間をより長く制御することができる。

本発明の有機ポリマー組成物の粉末をペレットにし、ペレットを熱成形プロセスに供することができる。有機ポリマー組成物を、当該分野で既知であるか、開発すべき多数の異なる手段(押出し、射出成形、圧縮成形、および/または射出/圧縮成形が含まれる)によって熱成形することができる。本発明の有機ポリマー組成物のペレットを、例えば、ホットスプルーを含むコールドランナーシステムを備えたArbug(登録商標)38−ton射出成形機にて射出成形することができる。

製品を形成するための熱成形を、当該分野で公知であるか、開発すべき任意の方法(熱硬化、高エネルギーの印加による硬化、熱硬化、プレス硬化、蒸気硬化、加圧硬化、電子線硬化、または手段の任意の組み合わせによる硬化などが含まれるが、これらに限定されない)によって行うことができる。必要に応じて、硬化後処理も適用することができる。本発明の有機ポリマー組成物を、約250℃〜約500℃を超える温度、より好ましくは約350℃〜約450℃に組成物を暴露することによって硬化することができる。

上記の組成物および/または方法を、石油化学工業で使用されるダウンホールツールおよび適用で使用することができるか、その製品を調製することができる。特に、製品は、1つまたは複数の耐酸コーティング、化学的流延フィルム、押出しフィルム、溶媒流延フィルム、ブローフィルム、カプセル化製品、絶縁材、包装材、複合セル、コネクタ、およびOリング、Vリング、Uカップ、ガスケットの形状のシーリングアセンブリ、ベアリング、バルブシート、アダプタ、ワイパリング、シェブロンバックアップリング、ならびに管材料であり得る。

本発明を、ここに、以下の非限定的な実施例にしたがってさらに説明する。

実施例6 以下の実施例では、DSCデータを、TA InstrumentsモデルQ100DSCにて加熱速度20℃/分で収集した。

3Lの3つ口丸底フラスコに、1800mLの開栓したばかりのボトル由来のTHFおよび150gの前記の式IIIに示す骨格および少なくともビフェニル臭素末端基を平均して有する乾燥ポリアリーレンポリマーを充填した。フラスコに、メカニカルスターラー(半月状のブレード)、セプタムポート、温度計および窒素入口を備えたクライゼンヘッドを取り付けた。フラスコを窒素下で保持した。設定中および窒素ブランケッティング前の数分間、材料を外気中で取り扱った。反応器を、有機ポリアリーレンポリマーが溶解するまで室温で撹拌し、それに約1時間を要した。反応器を、ドライアイス/アセトン浴を使用して−70℃未満に冷却した。

反応器を500〜800rpmで撹拌しながら、t−ブチルリチウムを、反応器が−65℃未満に維持される速度でカニューレを介して添加した。これに約15分を要した。ポリマーがリチウム化するにつれて、溶液はより粘度を増した。70℃未満で2時間後、氷酢酸を添加してリチウム化ポリマーを中和した。冷却浴を除去し、浴を用いずに反応器を加温した。0℃を超えた時、反応物を、室温まで加温し続けながら100〜200rpmで撹拌した。約16時間の撹拌後、反応混合物を濾過していかなるゲルも除去した。急速に撹拌されたメタノールに濾液を注ぐことによって、ポリマーを沈殿させた。脱臭素化ポリマーを真空濾過によって分離し、真空下にて240℃で乾燥させていかなる吸着メタノールも除去した。

GPC分析は、ポリマーの分子量が脱臭素化処理後に架橋に起因する増加や鎖の切断に起因する減少があまりなく安定した状態を保つことを示した。出発有機ポリマーと脱臭素化ポリマーとを比較した以下の表4(表中Mwは重量平均分子量である)および以下の分子量分布プロットを参照のこと。

実施例の脱臭素化ポリマーおよび出発ポリマーを、以下に(D)として示す構造を有する架橋化合物および架橋反応添加物としての酢酸リチウムを使用して架橋した。

前述のBorchard−Daniel法を使用して、図5のグラフAおよび図6のグラフBの下のプロットは、脱臭素化処理を使用して得られた半減期の改善を示す。酢酸リチウムにより、380℃で1分間〜3分間未満半減期が変化した。脱臭素化ポリマーと共に同一の配合物を使用することにより、およそ30分間の半減期が得られた。グラフAでは、上のカーブは、20%の前述の架橋化合物および架橋反応性添加物(抑制剤)としての酢酸リチウムを使用して架橋した脱臭素化ポリマーを示す。真ん中のカーブは、同量の前述の架橋化合物および酢酸リチウム抑制剤を使用して架橋した出発ポリマー(脱臭素化処理なし)を示す。下のカーブは、同量の前述の架橋化合物を使用するが、さらなる酢酸リチウム抑制剤を使用しないで架橋した未処理の元のポリマー(脱臭素化処理なし)を示す。グラフBは、グラフAに例示したこれらの同一の3種の材料を含むが、それぞれの380℃での半減期を比較している。

広義の本発明の概念から逸脱することなく、上記実施形態の変更形態を得ることができると当業者は認識する。したがって、本発明は、開示の特定の実施形態に制限されず、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲内で修正形態も対象とすることが意図されると理解される。

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