ペルフルオロポリエーテルホスフェートを用いた付加物及びその使用

申请号 JP2013516019 申请日 2011-06-23 公开(公告)号 JP6093948B2 公开(公告)日 2017-03-15
申请人 ギウリアニ ソシエタ ペル アチオニ; 发明人 ギウリアニ・ジャムマリア; ベネデュシ・アンナ; パンチニ・ジョヴァンニ; マスコロ・アントニオ; バロニ・セルジオ;
摘要
权利要求

式O−PF−X[式中、Oは、油であり、PFは、ペルフルオロポリエーテルホスフェート(PFPE)であり、Xは、溶性のポリヒドロキシル化物質又は化合物である物質である]の付加物であって、 該付加物は水及び油に不溶性であり、油を高度に寄せ付けず、 油(O)をペルフルオロポリエーテルホスフェート(PFPE)の水溶液に加えて、O−PF乳濁液を作ることと、 前記O−PF乳濁液に物質Xの水溶液又は水分散液を攪拌しながら加えることと を含む方法によって得られる付加物。式O−PF−X[式中、Oは、油であり、PFは、ペルフルオロポリエーテルホスフェート(PFPE)であり、Xは、水溶性のポリヒドロキシル化物質又は化合物である物質である]の付加物であって、 該付加物は水及び油に不溶性であり、油を高度に寄せ付けず、 ペルフルオロポリエーテルホスフェート(PF)の水溶液を物質Xの水溶液又は水分散液に攪拌しながら加えて、PF−X付加物を形成させることと、 前記PF−X付加物に油(O)を攪拌しながら加えることと を含む方法によって得られる付加物。前記ペルフルオロポリエーテルホスフェート(PF)が、式: (HO)2OP−O−(CH2CH2O)n−CH2−Rf−CH2−(OCH2CH2)n −O−P−O(OH)2 を有しており、ここで、Rf=−(CF2CF2O)p−(CF2O)qは、(ペル)フルオ ロポリエーテル鎖を表し、−CF2CF2O−及び−CF2O−単位はランダム分布であ り、p/q=0.5〜3.0であり、n=1〜2であり、Rfの平均分子量が500〜4 000であることを特徴とする請求項1又は2に記載の付加物。半固体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の付加物。前記油が、エモリエントオイル、UVサンフィルタ、香料、油状の美容的に及び薬学的に活性のある成分、並びにこれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の付加物。前記水溶性のポリヒドロキシル化物質又は化合物である物質(X)が、少なくとも1つのカルボキシル基を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の付加物。前記水溶性のポリヒドロキシル化物質又は化合物である物質(X)が、乳酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の付加物。前記アスコルビン酸塩は、アスコルビン酸ナトリウムであることを特徴とする請求項7に記載の付加物。皮膚の美容的処置のための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の付加物の使用。少なくとも1つの生理学的に許容できる賦形剤と、請求項1〜9のいずれか1項に記載の付加物とを含む組成物。

说明书全文

本発明は、ペルフルオロホスフェートを用いた付加物及びその使用に関するものである。

本発明は、局所的な適用のための製品分野に関するものであり、具体的には化粧品及び/又は医薬品分野である。

本発明は、化粧品及び/又は医薬品分野において典型的に使用される活性物質の特性、挙動及び機能性を変更する必要性から生じている。

化学工業的実施において、活性成分の安定性の問題及びその使用時の性能又は活性の問題は、解決することが困難であり、多くの場合、新しいグループの分子を確認することを産業界に強要し、高い調査費用を伴う。

否定できない活性を持つ化合物の化粧品又は医薬品分野における適用でさえも、配合物の安定化及び適用時の性能において直面する困難によって阻まれる場合が多いことが認められている。

一例として、我々は、ビタミンの使用、具体的にはビタミンC(L−アスコルビン酸)の皮膚美白剤としての使用及び他の美容的適用における使用に関する安定性の問題について言及することができる。

ビタミンCは、実際のところ、の存在下、アスコルビン酸ナトリウムの形態において及びアスコルビン酸として不安定であり、更には、酸素と接触して容易に酸化され、温度が上昇するにつれて、分解が増加する。この不安定性のせいで、ビタミンCは、化粧品業界において、誘導体、例えば、ホスフェート等の無機エステル又はパルミタート等の有機エステルの形態で使用されるが、それらは完全に安定であるわけでもないし、又は他の理由から、上記問題の部分的な解決を提示するにすぎない。例えば、アスコルビン酸の有機エステルは、皮膚の酵素の作用によって、わずかな程度しかビタミンCを放出することができず、所望の美容効果は、著しく低減した程度だけしか得られない。

反対に、日焼け止め剤、即ち、その配合物中にUVフィルタを含み、太陽放射を遮蔽し、より長期に渡る被ばくを可能にする製品の場合には、処方の問題に直面する。

現在のところ、実際、安定性プロファイルを増加させるためには、日焼け止め剤配合物中における個々のUVフィルタの最大レベルに関する厳格な規制上の制限がある。この理由で、十分な遮蔽効果を得るためには、日焼け止め剤が、合計濃度15〜20重量%に達するため、2つ以上のUVフィルタ、通常3〜6つを組み込んでおり、高いレベルの保護を補償するが、この場合、相溶性及び皮膚吸収の危険性の問題がある。

それ故、高いレベルの保護を備えた日焼け止め剤に対する要求の高まりは、化粧品業界が、A型及びB型のUV放射の通過をブロックでき、好都合な毒物学的プロファイルを有し、ヒトの皮膚に塗布する際に容易に耐えられ、より高い分子量のため、皮膚吸収の危険性を示すことがない新規の分子を絶えず探し求める必要があることを意味する。

しかしながら、「新規化学物質」に分類される新規物質の登録は、ヒト及び金融資本の観点から、とりわけ新規化学物質がヒトへの適用を目的とする場合に、相当な努を要する。

従って、既に販売されている物質又は活性成分の適用を、その適用性を増大させる技術に頼ることによって、十分に活用できることが必要である。

それ故、使用時に不安定であるか又は相互に相溶性が乏しい活性成分を組み合わせることができる化粧品及び医薬品のためのディスペンサー、活性成分が適用時のみ空気と接触することを可能にする使い捨ての包装、カプセルの形をした活性成分の調製物、及び安定化した有効成分を備える配合物が開発されている。

しかしながら、現在のところ、既に販売されている活性物質の適用可能性を増加させることによって、上述の問題を克服する必要性が感じられる。

そこで、本発明の一般的な目的の一つは、驚くほど活性のある成分にあり、該成分は、産業上の利用可能性、特には化粧品及び医薬品分野における利用可能性を増加する形態で既に販売されている。

本発明の他の目的は、成分の一つが化粧品又は医薬品分野に有用な活性物質であるペルフルオロポリエーテルホスフェートに基づいた付加物を提供することにある。

これらの目的を考慮して、本発明の第一態様に従うと、式O−PF−Xの付加物が供給され、ここで、 Oは、油であり、 PFは、ペルフルオロポリエーテルホスフェート(PFPEホスフェート)であり、 Xは、生理学的に許容できる物質であり、 ・ポリヒドロキシル化された水溶性の物質(X)、好ましくは少なくとも1つのカルボキシル基を含むもの から選択されることが好ましい。

本発明の更なる追加の特徴は、ここに添付された従属請求項2〜10において詳述される。

本発明の文脈の中で、付加物(又は複合体)の用語は、成分の混合物である構造を意味するだけでなく、化学物質と異なる構造も意味しており、成分の特性が変えられる。

特に、本発明の付加物は、成分、延いては各種原子の割合が明確ではなく、(化学反応から生じる)ダルトナイド型の物質とも似ているものでもない;更に、上記付加物は、互いに会合する有機型の成分を主に含むため、無機鉱物に典型的に共通する非ダルトナイド又はベルトリド化合物のカテゴリーにも含まれない。

本発明の文脈の中で、付加物(又は接合体)の用語は、成分O、PF、Xの混合物を意味しない。本発明の付加物は、実際のところ、成分の直接混合物と区別する外観及び挙動を有する。実際、油とPFPEの間で混合物を得ることは、油(O)とPF(PFPEホスフェート)間の不相溶性のせいで困難である。ここで、PF(PFPEホスフェート)は、油を高度に寄せ付けないポリマー材料であり、水溶液中で使用しない限り、輸送可能ではない。

典型的に、本発明の付加物は、以下に記載される方法に従って得ることができるが、その成分の割合は、本発明の一部を形成する限度内で典型的に変化する。

特に、本発明のO−PF−X付加物においては、3つの成分が、その安定性を維持する弱い結合により結合されている。本発明の付加物は、水との長期に渡る接触(例えば、2年以下)又は激しい機械攪拌の結果によって、実質的に破壊されない。とりわけ水中では、油の形成が観察されず、その調製に使用される同油中での攪拌によってさえも破壊は起きない。

典型的に、本発明の付加物は、水及び油に不溶性であり、油を高度に寄せ付けない。

典型的に、本発明のO−PF−X付加物は、非晶質、蝋質、半固体又は半流動体である。

これらの特性は、それを化粧品及び/又は医薬品分野における特定の適用に適したものにする。

例えば、水中での不溶性は、水溶性であり、水中で不安定であるか又は水相の他の活性成分と不相溶性である活性成分を組み込むのに利用される。反対に、撥油性は、皮膚浸透を防ぐのに役立ち、UVフィルタ、美白剤、日焼け剤、剥離剤、香料、オゾン化油等の皮膚への外用のためにデザインされた活性成分の場合に利点が与えられる。更に、本発明の付加物の形成時においては、上述の活性成分が、まるでより高い分子量を有するかのように振る舞い、皮膚浸透、延いては刺激の危険性の更なる低減に導く。

O−PF−A付加物を作るための2つの方法(

方法A及び

方法B)を図式的に示す(一例として、A=アスコルビン酸塩)。

方法Aを用いた2種類の複合体(A=X又はY)の調製を図式的に示す。

本発明の付加物の必須成分の一つは、油(O)、即ち水に不溶性である液体である。本発明の適用に適した油は、生理学的に許容できる油、特には化粧品及び/又は医薬品分野で使用可能なものを含む。

本発明の範囲内で有用な油の典型例は、エモリエントオイル、UVフィルタ、及び美容的に及び/又は薬学的に活性のある他の油、並びにこれらの混合物である。

エモリエント特性に恵まれる油の典型例としては、以下のものが含まれる: ・炭化水素、例えば、鉱物油、パラフィン及びイソパラフィン、低分子量ポリオレフィン、スクアラン、線状又は環状テルペン; ・長鎖アルコール、例えば、エチルへキシルドデカノール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、セテアリルアルコール; ・脂肪酸のエーテル、例えばカプリル酸エーテル; ・カルボキシル基を1つ持つ脂肪酸の合成アルコールとのエステル、例えば、パルミチン酸エチルへキシル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル; ・モノカルボン酸の脂肪アルコールとのエステル、例えば、安息香酸C12−15アルキル、イソノナン酸セチル/ステアリル; ・カルボキシル基を1つ持つ脂肪酸の脂肪アルコールとのエステル、例えば、ステアリン酸トリデシル、リシノール酸ステアリル; ・モノカルボン酸の合成アルコールとのエステル、例えば、オクタン酸エチルへキシル; ・ジカルボン酸の合成アルコールとのエステル、例えば、アジピン酸ジ−イソプロピル、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ−イソプロピル、セバシン酸ジブチル; ・ジカルボン酸の脂肪アルコールとのエステル、例えば、アジピン酸ミリスチル; ・モノカルボン酸のプロポキシ化グリコールとのエステル、例えば、PEG−4ジヘプタノアート; ・脂肪酸のポリ−ヒドロキシラートとのエステル、例えば、ステアリン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル等のアスコルビン酸エステル、又はグリセロールトリカプリラート/カプラート、ペンタエリスリトールテトラカプリラート/カプラート、ペンタエリスリトールテトラオレアート、スクロースアルキルエステル; ・ヒドロキシ酸の脂肪アルコールとのエステル、例えば、サリチル酸トリデシル、酒石酸ミリスチル、乳酸ミリスチル、クエン酸トリ−C12−13アルキル; ・ポリカルボン酸の脂肪アルコールとのエステル、例えば、トリメリット酸トリデシル; ・植物油、例えば、アボカド油、マカダミア油、ヒマシ油、ゴマ油、アーモンド油、小麦胚種油、ホホバ油、ヒマワリ種子油; ・水素化植物油; ・植物油の非けん化性画分; ・動物油、例えば、ラノリン油。

化粧品若しくは医薬品タイプの活性を持つ油及び/又は機能性油の典型例としては、以下のものが含まれる: ・液体状で化学型のUVフィルタ(日焼け止め用)、例えば、メトキシケイ皮酸エチルへキシル(DSM社製Parsol MCX,オランダ)又はオクトクリレン(BASF社製Uvinul A539,ドイツ)、或いは、液体フィルタ又はエモリエントオイルに可溶である場合には、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(DSM社製Parsol 1789)等の固体状のもの; ・精油又は香料(合成及び天然、その組み合わせ)それ自体又は皮膚軟化剤中の溶液; ・ポリ不飽和酸、例えば、オメガ−3、オメガ−6、オメガ−9; ・オゾン化植物油、例えば、高含量の不飽和酸、リシノール酸等を介したヒマワリ油; ・脂溶性ビタミン、例えば、ビタミンCの脂肪酸エステル;ビタミンE及びその誘導体、抗酸化(抗老化)特性を持つビタミンEアセタート等; ・シリコーン油、例えば、ジメチコーン及びアルキルジメチコーン; ・ペルフルオロポリエーテル、例えば、Y及びZ型のペルフルオロポリエーテル、ジアルコールペルフルオロポリエーテル、並びにエトキシ化ジアルコールペルフルオロポリエーテル。

特定の実施態様において、上記油は、本発明の付加物中、とりわけMP=250の油の場合、PFPEホスフェートに対して10重量%以上の量で存在する。

本発明の付加物の他の必須成分は、ペルフルオロポリエーテルホスフェート(PF又はPFPEホスフェート)であり、エトキシ化α,ω−ペルフルオロポリエーテルジアルコール、下記式: HO−(CH2CH2O)n−CH2−Rf−CH2−(OCH2CH2)n−OH [式中:n=1〜2]を有する2つのヒドロキシルを末端部分に持つ線状ポリマーの構造を備える化合物を用いた、オルトリン酸又は無水リン酸又はオキシトリ塩化リンのエステル化反応によって得られる。

従って、(ジアルコールと酸の間での)上記エステル化反応は、二官能性誘導体をもたらす。典型的に、オルトリン酸はまた、2つ以上の反応性部位(特には3つ)を含んでおり、モノ−、ジ−及びトリエステル化の可能性がある。典型的に、エステルの混合物は、モノエステルがジエステルより優勢であり、トリエステル成分が非常に減少しているか又は無くても、その反応が、特には水に不溶性であるトリエステルの形成を回避するために、過剰のオルトリン酸を用いて行われるため、「ホスフェート」と呼ばれる。

本発明の範囲内で使用されるペルフルオロポリエーテルホスフェート(PFPEホスフェート)は、以下に示す単純化した式(モノエステル)を有する: (HO)2OP−O−(CH2CH2O)n−CH2−Rf−CH2−(OCH2CH2)n−O−P−O(OH)2 ここで、 Rf=−(CF2CF2O)p−(CF2O)qは、(ペル)フルオロポリエーテル鎖を表し、 −CF2CF2O−及び−CF2O−単位はランダム分布であり、 p/q=0.5〜3.0であり、 n=1〜2である。

MWが約1500である特定の実施態様において、pは6〜12であり、qは10.8〜3.6である。重合条件を変える際に、異なる値が得られるが、性能の違いはわずかである。

一部の実施態様において、Rfの平均分子量は、500〜4000であり、典型的には1000〜2000であり、好ましくは1400〜1600である。例えば、ブランド名Fomblin HC/P2−1000で販売される製品の場合のように、特定の実施態様においては、MWが約1500である。化学的に、このポリマーは、リン酸エステルであり、典型的には、水に不溶性である粘性液体の形であるが、中和により可溶化できる。

適切なPFPEポリマーの説明は、国際特許出願WO2010/009989A1において、同一出願人の名で与えられており、この内容は、参照することによりここに組み込まれる。

典型的に、一の実施態様のPFPEホスフェートは、正確なINCI名「ポリペルフルオロエトキシメトキシ・ジフルオロエチル・PEGホスフェート」に相当する。

一の実施態様によれば、PFPE(Rf)鎖は、線状で且つ対照的であり(Z型のペルフルオロポリエーテル)、−CF2CF2O−及び−CF2O−単位がランダムに分布しており、酸素存在下におけるテトラフルオロエチレンの光重合によって得られる。

構造上、それは、我々が単一のモノマーから開始しても、酸素を含むラジカル機構によって部分的に分解され、UV放射により活性化するため、コポリマー鎖である。

典型的に、分子量1500のPFPE鎖は、PFPEホスフェート平均分子量(MW)2500に相当する。このMWは、ホスフェート基、オキシエチレン基、及び1つの同じホスフェート基に結合した2つのPFPE鎖が存在するジエステルの平均値への寄与から生じる。

特定の実施態様によれば、PFPEホスフェートの水溶液は、2つの方法で調製できる:例えば、以下に説明されるように、水中での中和による可溶化と、極性溶媒中での可溶化及びその後の水による希釈とがある。

水中での中和による可溶化 第1の実施態様によれば、PFPEホスフェートは、塩基を用いた部分的又は完全中和によって水中に溶解できる。典型的に、水酸化ナトリウムが水中に溶解したものを用いるが、他のアルカリ又は有機塩基を用いることもできる。中和剤は、PFPEホスフェートの水分散液に徐々に加えられ、好ましくは攪拌しながら加熱(60〜90℃)して実施される:透明な溶液が、典型的には4〜12、好ましくは5〜7のpHで、PFPEホスフェート濃度5〜20%で得られ、任意には水の添加に適切な濃度まで希釈される。

極性溶媒を経由した水中での可溶化 他の実施態様によれば、PFPEホスフェートの水溶液は、中和剤を使用せず、極性溶媒中、例えば最高で40〜50重量%の、濃縮溶液を調製し、これら溶液の主成分が水になるように水を徐々に加えることにより希釈させることによって得られ、PFPEホスフェート濃度が、有利には5〜20%の範囲内であるが、更に一層低い、例えば0.1重量%以下の適切な濃度に達するように、水を用いた更なる希釈が可能である。

これら溶液のpHは、有利には、1.5〜2から、中和剤の可能な添加により中性まで変えることができる。適切な溶媒は、揮発性溶媒、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、メチラール;又はグリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール;又はグリコール・エーテル、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、並びにこれらの混合物とすることができる。好ましい溶媒には、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール及びこれらの混合物が含まれる。これらの条件において、典型的には、水が優勢である水性アルコール又は水性グリコール環境において、どんなタイプの油も不溶性である。

本発明の付加物の他の成分は、次の2つの種類から選択される少なくとも1つの物質又は化合物Aを含む: (X)ポリヒドロキシル化された物質、典型的には水溶性であり、好ましくは少なくとも1つのカルボキシル基を含むもの; (Y)水に不溶性である無機物質、好ましくは微粉化粉末の形のもの。

本発明の範囲内で、適切な可溶性のポリヒドロキシル化した化合物又は物質(X)は、化粧品及び/又は医薬品分野における適用を見出すものである。一の実施態様によれば、可溶性のポリヒドロキシル化した物質は、以下のものを含む群から選択される: ・アスコルビン酸及び関連した塩(例えばアスコルビン酸ナトリウム)、アルブチン及びコウジ酸、例えば皮膚美白剤として使用されるもの、 ・他のポリヒドロキシル化した物質、例えば、乳酸、クエン酸、酒石酸及び関連した塩、例えば、剥離剤として使用されるもの、又は日焼け剤として使用されるエリトルロース。

一部の実施態様において、前述のポリヒドロキシル化物質(X)は、可溶性のヒドロキシル化した有機酸、具体的には、ポリヒドロキシル化したカルボン酸である。適切なカルボン酸の典型例としては、乳酸、酒石酸、クエン酸、グリコール酸及びこれらの混合物が含まれる。

適切な不水溶性の無機物質又は化合物(Y)は、化粧品及び/又は医薬品分野における適用を見出すものである。好ましくは、不水溶性の無機物質は、微粉化粉末の形であり、例えば、粒径が1〜50ミクロンであり、3〜10ミクロンであることが好ましい。

一の実施態様によれば、不水溶性の無機物質は、合成的に製造されてもよいし、鉱物由来でもよく、具体的には、以下のものを含む群から選択される: ・金属酸化物、例えば、酸化亜鉛、酸化鉄、二酸化チタン(太陽光線を利用するもの)、酸化クロム、オキシ塩化ビスマス、スルホ−ケイ酸塩及びこれらの混合物; ・リン酸塩鉱物、例えば、ヒドロキシアパタイト; ・ケイ酸塩鉱物、例えば、タルク、マイカ、ベントナイト及びこれらの混合物。

一の実施態様において、油(O)及び上述した物質又は化合物X,Yの機能的な組み合わせは、相乗効果を得る目的で想定される。典型例としては、以下に示す組み合わせが含まれる: ・美白剤及び剥離剤、例えば、老化防止効果を持つ顔用化粧品を作るためのもの; ・高レベル保護を備えた日焼け止め剤を得るための、油(化学的フィルタ)と不溶性粉末(物理的フィルタ)を組み合わせた形態のUVフィルタ; ・抗酸化活性(抗フリーラジカル作用及び抗老化作用を組み合わせたもの)を増大させるための、水溶性ビタミン、例えばビタミンCと、脂溶性ビタミン、例えば、同ビタミンC又はビタミンEの脂肪酸エステル。

本発明の他の態様によれば、上述したO−PF−A付加物を調製するための方法を提供する。

一の実施態様によれば、 ・PF(PFPEホスフェート)の水溶液を、典型的には攪拌しながら、加えて、O−PF乳濁液を作る段階と ・O−PF乳濁液に、物質Aの水溶液又は水分散液を、典型的には攪拌しながら、加えて、O−PF−A付加物を形成させる段階と を含む、O−PF−A付加物を調製するための方法(方法A)であって、一般的には、O−PF−A付加物を何らかの方法で沈殿又は分離する方法が提供される。

一部の実施態様において、得られる沈殿物は、O−PF−A付加物に基づくものであり、任意には遠心分離後の、ろ過又はデカンテーションによって分離される。

他の実施態様によれば、 ・物質Aの水溶液又は水分散液に、PFの溶液を、典型的には攪拌しながら、加えて、PF−A付加物を形成させる段階と、 ・PF−A付加物に、油(O)を、典型的には攪拌しながら、加えて、O−PF−A付加物を形成させる段階と を含む、O−PF−A付加物を調製するための方法(方法B)が提供される。

特定の実施態様において、上述した両方の方法における不水溶性成分の分散段階は、例えば機械的タイプの、典型的にはタービンの使用により得られる、激しい攪拌によって行われる。

上記調製方法は、均質な付加物が得られることにつながり、実質的に分離した油が存在しないことが観察されている。

本発明の他の態様によれば、O、PF、Aが先に定義される通りであり、上述した方法A又は方法Bを用いて得られるO−PF−A付加物が供給される。

特に、上述した1番目の方法(方法A)の場合、以下に示すO−PF−A付加物が、およそ90%の収率で得られる:

図面の簡単な説明 本発明に従うO−PF−A付加物と、それらを調製するための技術との更なる特徴は、添付の図面からより明らかになる: ・図1は、O−PF−A付加物を作るための2つの方法(方法A及び方法B)を図式的に示す(一例として、A=アスコルビン酸塩); ・図2は、方法Aを用いた2種類の複合体(A=X又はY)の調製を図式的に示す。 図1は、本発明に従う付加物を調製するための、2つの代替経路の概略表現である。油−ペルフルオロポリエーテルホスフェート(O−PF)分散液を中間体として調製することを描く方法が、図2においてより詳しく図式的に示されており、ここで、上記付加物の成分Aは、上述した物質又は化合物X、Yから選択できる。

一部の実施態様によれば、油成分(O)を成分Aに加えたものの量に対する成分PFの量の比が、以下に示す範囲にある: 0.01< PF/O+A(X,Y) < 50 好ましくは、 0.1 < PF/O+A(X,Y) < 5 更に好ましくは、 0.2 < PF/O+A(X,Y) < 1 ここでは、上述の通り、PF=PFPEホスフェートであり、O=油であり、Aは、X,Yから選択される物質であり、X=ポリヒドロキシル化した物質であり、Y=無機物質である。

その上、他の2つの成分(O,A)の合計に対して、等しい量のPFPEホスフェート及び等しい割合のPFPEホスフェートの場合、これら最後の2つ(O,A)間の比は、0〜100%の範囲内で変えることもでき、即ち、2つの成分の付加物であることが可能であることが観察された:油のみの場合や可溶性のヒドロキシル化した物質又は微粉末化粉末のみの場合である。この比を選択する場合、油(O)若しくは成分A(X及び/又はY)又はその両方が、その濃度を、それほど重要ではない機能(活性)を有する成分を犠牲にして、増加させることにより増加できる活性成分として、機能を果たすことができることについても留意しておくべきである。

典型的に、2つの成分O及びAは、桁数を同一とすることができるが、他の実施態様においては、Oが、Aより5から10倍大きい濃度であり、逆の場合もある(しかし、実際のところ、成分の相対比率の限度を超えることは現実的ではない)。

他の態様によれば、本発明は、少なくとも一つの生理学的に許容できる賦形剤と、請求項1〜9のいずれか1項に記載の付加物とを含む化粧品又は医薬品組成物に関するものである。

本発明のこの態様に従う組成物は、化粧品又は医薬品配合物に通常使用される美容的又は薬学的に許容できる賦形剤を1種以上含むことができる。

一部の実施態様において、上記付加物は、組成物全体重量に対して0.01〜10重量%の量で存在しており、好ましくは0.1〜5重量%である。

以下に示す例は、純粋に本発明を説明するために提供されるものであり、添付の特許請求の範囲に起因する保護の範囲を限定するものとして見なされるものではない。

具体的に、例1は、アスコルビン酸ナトリウムの濃縮溶液(16%)に、ペルフルオロポリエーテルホスフェート(PFPEホスフェート)の希釈(2%)水溶液を、単純に手動で攪拌しながら、加えることを含む方法を記載する。最初に、混濁し、次いで、凝集し、ゼラチン質堆積物の形で付加物が形成される。この堆積物は、水相をデカントすることによって分離した後、空気中で安定であると認められなかった。

2つの成分を異なる順序で混合して、即ち、PFPEホスフェート溶液にアスコルビン酸ナトリウム溶液を加えることによって(例2)、又はPFPEホスフェートとアスコルビン酸ナトリウムを異なる割合で実施する(例3)ことによって、同様の付加物を得る。アスコルビン酸ナトリウムをアスコルビン酸に代えた場合、本発明の付加物は生じない(例4及び5)。

しかしながら、中程度の極性の油、例えばパルミチン酸エチルへキシル等が少量存在する中で作業し、好ましくは例えばタービンを用いた、攪拌を適用することによって、沈殿により、白っぽい外観の付加物を明らかに優れた安定性で大量に得ることができることが観察される(例6)。

典型的に、付加物の調製における収率は、パルミチン酸エチルへキシルの濃度を増加させ、他の成分が同じままであると、減少し(例7)、一方で、前述の油及びPFPEの比を一定に保つ場合(参考として、例6の場合、約0.5%)、これらの含有量と共に増加する(例8及び9)。パルミチン酸エチルへキシル等の中程度の極性の油を鉱物油等の無極性油に代えても、著しい違いはない(例10)。

上述した方法a)の実施態様を利用して、他のテストを行った(例11〜13)。ここでは、パルミチン酸エチルへキシルを可変量のサンフィルタ(メトキシケイ皮酸エチルへキシル)に代えて、一定量のPFPEホスフェートにより乳化させる。このようにして得られた乳濁液を、表Iに示される可変の割合で、アスコルビン酸ナトリウムと組み合わせる。これらテストの結果によれば、使用した油の特徴は、その結果を達成する決め手とならず、エモリエントオイルをUVサンフィルタ等の活性油に代えることも可能であることが確認される。

他の一連のテスト(例14〜16)では、アスコルビン酸ナトリウムをアスコルビン酸に代えると、油の不在下において生じない付加物の形成が依然として得られた(例14〜16と例4〜5の比較)。先のシリーズに対して手順を変更したことを指摘しておくべきであり、最初の工程として、水中での油の分散を行うことの重要性が示される一方、アスコルビン酸をPFPEホスフェートと組み合わせて加えるかどうかについては重要でない(確認として、例14〜16の場合には、油の分離が観察されない)。

例に記載される手順を行うため、以下に示す装置及び機器を用いた: ・タービン:Silverson L5Mホモジナイザー,Silverson Machines Ltd.製,ウォーターサイド,チェシャム(英国),標準的なヘッドと標準的な分子篩固定子及びインラインヘッドを備える; ・加熱板付き磁気攪拌器; ・Heraeous Multifuge X1R遠心分離機,熱調節付き,Thermo Electron LED GmBH,D−37520オステロード(ドイツ); ・Metrohm pH計測器,温度制御用に併用されるガラス電極とプローブ付き,Metrohm AG,ヘリザウ(スイス); ・Brookfield DV−I粘度計,スピンドルセット,Brookfield Engineering Laboratories Inc.,ミドルボロ,MA(USA); ・FT−IR分光光度計,AVATAR 330,HATR技術及びSmart Performer付属品付き,Thermo Fisher Scientific,ウォルサム,MA(USA); ・温度計。

PFPEホスフェートは常に存在する成分であり、典型的に全種類の油は他の2つの成分と共に使用できるため、説明の目的で、例を、主要な可変物がO−PF−A付加物の成分Aであるようグループ分けした。その結果、例を3つの主要グループに分けた: ・グループ1:アスコルビン酸ナトリウムとアスコルビン酸を用いた例1〜16 ・グループ2:ポリヒドロキシル化された他の物質を用いた例17〜20 ・グループ3:不水溶性の無機物質を用いた例21〜23

具体的に、本発明の付加物の中に含まれない一部の調製(例1〜5、17、19)と、反対に、本発明に従う付加物(複合体)とみなす他の調製(例6〜16、18、20〜23)とを説明する。

グループ1:アスコルビン酸ナトリウムとアスコルビン酸を用いた例 例1 例1−2つの成分を用いた付加物の調製:PFPEホスフェート及びアスコルビン酸ナトリウム(油成分がない付加物は、より水溶性であり、全ての場合において空気中での安定性が低い) 不水溶性リン酸エステルとして市販されているPFPEホスフェート(商品Fomblin HC/P2−1000,Solvay Solexis SpA製,ミラノ)の可溶化を独立して行う。80℃に加熱したFomblin HC/P2−1000の水分散液の中和によって、可溶化が達成される。中和には高度の注意を要し、以下の通り、衝撃を防ぐため、水酸化ナトリウム溶液(18%)を徐々に加え、pHを監視し、磁気攪拌を維持する: 水溶液 水酸化ナトリウム 0.76部 脱塩水 8.00部 水分散液 PFPEホスフェート(Fomblin HC/P2−1000) 20.00部 脱塩水 71.24部 合計100.00部(PFPEホスフェートを20重量部含有する)

完全に透明で、淡黄色であるPFPEホスフェート溶液(20%)が得られ、pHは5.5〜7.5であり、水を用いて適当な濃度に希釈できる。

この例では、その後の例と同様に、水を含めた合計200gの反応物を用いて作業することにより調製を行っており、反応物の重量パーセントを提示する。

アスコルビン酸ナトリウム溶液(DSM,オランダ)に、PFPEホスフェート溶液(pH=7.2)を、軽く手動で攪拌しながら加える。以下に示す割合で作業する(PFPEホスフェート100%に関して、PFPEホスフェート/アスコルビン酸ナトリウムの重量比:2:16): % a)PFPEホスフェート(20重量%) 10(100%PFPEホスフェートの2%) b)アスコルビン酸ナトリウム 16 水 74 合計 100

添加後、その溶液はまず濁っており、次いで、約10分間置いた後、凝集が起こり、堆積物(付加物)の形成がある。それは、半透明なゲル状であり、合計の約20%の体積である。一方、水相は、透明で、わずかに黄色である。棚上で2週間後、水相の下にあるゲルは、変化がないように見えるが、覆っている水溶液は、赤褐色の着色がある。デカントすることにより分離した後、そのゲル(水溶性であり、アルコールに殆ど不溶性であり、油中に分散させるのが困難である)が空気中において不安定であると分かる。

例2−比較(異なる手順を用いる) 同一の割合であるが、異なる手順で作業して、例1を繰り返した:PFPEホスフェート水溶液にアスコルビン酸ナトリウム水溶液を加え、全く類似した結果を得る(具体的には、その付加物は安定ではない)。

例3−PFPEホスフェートとアスコルビン酸ナトリウム(より低い割合) 同一の手順を採用するが、アスコルビン酸ナトリウムに対するPFPEホスフェートの割合を低くして作業を行い、例1を繰り返した: % a)PFPEホスフェート(20重量%) 5 b)アスコルビン酸ナトリウム 15 水 80 合計 100

その結果は、例1と全く類似したものであったが、凝集(及び付加物の形成)は、直ちに起こり、収率は目に見えて高いものであった。

例4−PFPEホスフェートとアスコルビン酸 同一手順及び同一割合を採用するが、アスコルビン酸ナトリウムをアスコルビン酸(DSM,オランダ)に代えて、例1を繰り返した: % a)PFPEホスフェート(水中20%) 10 b)アスコルビン酸 16 水 74 合計 100

棚上で2日後、その溶液は、もはや完全に透明なものではなく、堆積は観察されず、それ故に、付加物の形成はない。

例5−酸性PFPEホスフェートとアスコルビン酸(比較) 例4の場合と同一の割合を用いるが、PFPEホスフェートを水中で予め可溶化したものを、エタノール中に直接溶解し、次いで水で希釈した酸性PFPEホスフェート(即ち、商品を中和しない)に代える。 % a)酸性PFPEホスフェート(100%) 2 エタノール(95%) 20 水 16 b)アスコルビン酸 16 水 46 合計 100

その結果は、例4と全く類似したものであり、即ち、堆積がなく、それ故に、付加物の形成がない。

例6−PFPEホスフェート、パルミチン酸エチルへキシル及びアスコルビン酸ナトリウム 以下に示す作業を行う:タービンを用いて約5分間攪拌させて、PFPEホスフェート水溶液(20%)に油を加えて、パルミチン酸エチルへキシル(Cegesoft C24,Cognis,ドイツ)の希釈乳濁液(a)を調製する;手動で攪拌し、次いでタービンで攪拌して、アスコルビン酸ナトリウム水溶液(B)にこの分散液を加える: % a)パルミチン酸エチルへキシル 0.5 水 29.5 PFPEホスフェート(水中20%) 5.0 b)アスコルビン酸ナトリウム 15.0 水 50.0 合計 100.0

上記乳濁液をアスコルビン酸ナトリウム溶液に加えた後、混濁が直ちに観察され、続いて凝集があり、白っぽい堆積物を形成する。

凝集が終わって、数分間置いた後、堆積物上にある水性部分は、透明である。攪拌の際、堆積物(付加物)の再分布はない。この堆積物の体積は、固体の外観を呈して、合計の約20〜25%である。棚上で約2週間置いた後、水相は、赤い着色がある。デカントすることにより分離した堆積物は、油と水に不溶性であり、油を寄せ付けず、見たところ空気中で安定である。

例7−PFPEホスフェート、パルミチン酸エチルへキシル及びアスコルビン酸ナトリウム(例6との比較) 油の含量を増加し(0.5%を2%に代える)、他の成分の含量を一定に保ち、同一手順を採用して、例6を繰り返す:その結果は、付加物(堆積物)の特徴に関して類似したものであるが、それは、目に見えて少ない量で生じる。

例8−PFPEホスフェート、パルミチン酸エチルへキシル及びアスコルビン酸ナトリウム(例6との比較) 同一手順であるが、パルミチン酸エチルへキシルとPFPEホスフェートの両方をより多い量であるが同一の割合(0.5)で用い、アスコルビン酸塩をより少ない量で用いて作業し、例6を繰り返す: % a)パルミチン酸エチルへキシル 2.5 水 22.5 PFPEホスフェート(水中20%) 25.0(100%PFPEホスフェートの5%) b)アスコルビン酸ナトリウム 7.5 水 42.5 合計 100.0

その結果は、付加物(堆積物)の特徴に関して類似したものであるが、それは、目に見えて多い量で生じる。その上、ある期間置いても、水相の色の変化は観察されず、わずかに黄色の色がついたままである。

例9−PFPEホスフェート、パルミチン酸エチルへキシル及びアスコルビン酸ナトリウム(例8との比較) 同一の成分及び割合であるが異なる手順で作業し、例8を繰り返す:手動で攪拌しながら、アスコルビン酸ナトリウム水溶液(b)にPFPEホスフェート溶液(a)を徐々に加え、次いで、タービンで攪拌しながら、パルミチン酸エチルへキシル(c)を加える: % a)PFPEホスフェート(水中20%) 25.0 b)アスコルビン酸ナトリウム 7.5 水 65.0 c)パルミチン酸エチルへキシル 2.5 合計 100.0

全体の結果は、とりわけ、乳化されていない油が表面に観察され、先の例の付加物と全く類似したように見える付加物(堆積物)の形成がより少ないという理由から、目に見えて違う。

例10−PFPEホスフェート、鉱物油及びアスコルビン酸ナトリウム パルミチン酸エチルへキシルを鉱物油(BFR070 Paraffinum Liquidum,ACEF SpA,ピアツェンツァ)に代えることを除いて、例8を繰り返す: % a)鉱物油 2.5 水 22.5 PFPEホスフェート(水中20%) 25.0 b)アスコルビン酸ナトリウム 7.5 水 42.5 合計 100.0

付加物(堆積物)の量及びその特徴は、例8と類似しており、特には、油の存在が観察されない。

例11〜13−PFPEホスフェート、メトキシケイ皮酸エチルへキシル及びアスコルビン酸ナトリウム パルミチン酸エチルへキシルをサンフィルタであるメトキシケイ皮酸エチルへキシル(Parsol MCX,DSM,オランダ)に代え、同一手順であるが可変の割合の成分を用いて作業して、例8を繰り返す。下記のものを調製する: ・メトキシケイ皮酸エステル乳濁液、ここで、100%PFPEホスフェートは同一含量(5%)であり、油の含量が可変である; ・アスコルビン酸ナトリウムの30%水溶液。

手動で攪拌し、続いてタービンによる短時間の処理を行い、可変量のアスコルビン酸ナトリウム溶液を上記分散液に加えるが、表Iに与えられるように、メトキシケイ皮酸エステルをアスコルビン酸塩と組み合わせた合計量(15%)と3成分の合計量(20%)は同一となるようにする。

例11及び12は、異なって処理されるが、これらの場合に堆積物が多量に存在することが分かる。

例11.棚上で3ヶ月の熟成後、付加物又は堆積物の色変化が観察されず(白っぽい)、水相だけがわずかに赤い着色をとる。デカントすることにより、水相141.4gと湿潤堆積物49.8gを分離するため、191.2g(初期200gに対応する)を遠心分離した。この付加物を45℃の温室中で3日間乾燥させた:乾燥付加物は、見たところ変化がなく、38.2gの重量があり、理論重量40g(不溶性形態で3成分すべてが回収されると仮定する)に対して95.5%の収率である。

以下に示す処理を行う: ・約9gをエタノール30gで処理することにより、黄色溶液と、白っぽい堆積物とを得る;エタノールを用いた処理を繰り返して、無色の溶液が得られ、堆積物は、付加物と全く類似しているように見える; ・水で処理することにより、わずかに黄色い溶液が得られ、堆積物は、エタノールを用いた処理により得られたものと同じようである; ・また、メトキシケイ皮酸エチルへキシル(Parsol MCX)30gの処理は、堆積物の特徴に影響を与えないように見える; ・O/W乳濁液30gを用いて処理し、PFPEホスフェート1%及び鉱物油75%を含有する内相を増加させると(70%)、付加物がよく分散する。

例12.棚上で23ヶ月間の熟成後、例12の付加物は、変化がないように見え(白っぽい)、その溶液は、最初の黄色い着色と同じままであった。デカントすることにより、水相148.7gと湿潤付加物40.5gを分離するため、189.2g(初期200gに対応する)を7000rpmにて10分間遠心分離する。この付加物を40℃の温室中で3日間乾燥させたところ、外観の変化はなく、重量が38.7gに変化し、理論重量40g(不溶性形態で3成分すべてが回収されると仮定する)に対して96.7%の収率である。

例14〜16−PFPEホスフェート、メトキシケイ皮酸エチルへキシル及びアスコルビン酸 1つの乳濁液と2つの溶液を調製する: a)メトキシケイ皮酸エチルエステル15%及びPFPEホスフェート10%を含有する乳濁液、 b)アスコルビン酸26.5%を含有する溶液、 c)PFPEホスフェートの20%水溶液(pH=7.2)。

表IIに示される割合で3つの成分を組み合わせる。

採用手順は、最初の工程として、アスコルビン酸塩をPFPEホスフェートと組み合わせて、油を乳化させることを想定する:溶液c)を溶液b)に加えて放置する:凝集は起きない;分散液a)を2つの溶液の合計に加える:例14の場合のみ、ほぼすぐに混濁があり、続いて、凝集及び堆積物の形成が起こる;しかしながら、数日間置いた後、3つ全ての例において、堆積物がほぼ等量で存在している。

棚上で熟成期間後(9ヶ月)、堆積物(付加物)は、わずかに赤い着色があり、例14及び15の場合にはっきりと表れるが、23ヶ月の全体熟成時間後、他の変化は観察されない。

例15.193.2g(初期200gに対応する)を7000rpmにて10分間遠心分離し、デカントすることにより母液から容易に分離できる固体堆積物を得た:これは、水相159.8gと湿潤堆積物33.4gをもたらす。この付加物を40℃の温室で2日間乾燥させた:乾燥付加物は、一見したところ変化がなく、重量が31.9gであり、理論重量43.00g(不溶性形態で3成分すべてが回収されると仮定する)に対して74.2%の収率である。

グループ2:ポリ−ヒドロキシル化された他の水溶性物質を用いた例 例17−PFPEホスフェート及び乳酸ナトリウム アスコルビン酸ナトリウム溶液を乳酸ナトリウム20%溶液(ACEF,ピアツェンツァ)に代え、以下の割合(2:16)で作業して、例1を繰り返す: % 溶液: a)PFPEホスフェート(20重量%) 10 溶液: b)乳酸ナトリウム 90 合計 100

PFPEホスフェート溶液を乳酸ナトリウム溶液に加える:混濁が観察され、続いて、凝集と、ゼラチン質の外観である堆積物(付加物)の形成とが起こる。

例18−PFPEホスフェート、パルミチン酸エチルへキシル及び乳酸ナトリウム PFPEホスフェート溶液を、パルミチン酸エチルへキシル1%及びPFPEホスフェート(100%)2%を含有する乳濁液に代えて、例17を繰り返す: % 分散液: a)パルミチン酸エチルへキシル 1.0 PFPEホスフェート(20%) 10.0 水 9.0 溶液: b)乳酸ナトリウム 80.0 合計 100.0

上記乳濁液を乳酸ナトリウム溶液に加えると、まず混濁があり、続いて、凝集と、ほぼ透明な水相の下に白っぽい堆積物(付加物)の形成がある。その堆積物は、攪拌しても分散しない。

例19−PFPEホスフェート及びクエン酸ナトリウム 乳酸ナトリウム溶液をクエン酸ナトリウム20%溶液(ACEF,イタリア)に代えて、例17を繰り返す。その結果は同様である。

例20−PFPEホスフェート、パルミチン酸エチルへキシル及びクエン酸ナトリウム 乳酸ナトリウム溶液をクエン酸ナトリウム20%溶液に代えて、例18を繰り返す。その結果は同様である。

グループ3:不水溶性の無機物質を用いた例 例21−PFPEホスフェート、メトキシケイ皮酸エチルへキシル及び酸化亜鉛 酸化亜鉛(LSM,イタリア)の水分散液を調製する。それはミルク状である。手動で攪拌し、次いでタービン攪拌しながら、この分散液をメトキシケイ皮酸エチルへキシル及びPFPEホスフェートを含有する分散液に加える。以下に示す割合で作業する: % a)メトキシケイ皮酸エチルへキシル 2.5 PFPEホスフェート(20%) 25.0 水 22.5 b)酸化亜鉛 7.5 水 42.5 合計 100.0

即時の変化はなかったが、その後、調製物の粘度の増加が観察され、堆積物を形成する傾向がある。放置した後(数日間)、188.6gで作業して、遠心分離を行う:遠心分離後、水相(147.4g)をデカントすることにより分離し、湿潤堆積物41.2gを得る。それを45℃の温室中で2日間乾燥させ、乾燥残留物24.9gを得る。3成分すべてが複合体を作り出したと仮定する理論量(30g)に対して約83%の収率である。

FT−IRによる観察は、サンプルが均質であるとみなせることを示す。エタノールを用いて、約1.5gを2工程(20ml+20ml)で処理したところ、理論値50%に対して60%の残留物(非可溶化粉末)である:FT−IRで解析すると、この残留物は、未抽出PFPEホスフェートの存在を示す(粉末の10〜25%)。

例22−PFPEホスフェート、メトキシケイ皮酸エステル及びヒドロキシアパタイト(リン酸塩鉱物) 同一手順及び同一割合であるが、酸化亜鉛をヒドロキシアパタイト(Apalight,Kalichem,イタリア)に代えて、例21を繰り返す。堆積物(付加物)の形成に関して、類似の挙動がある。45℃の温室で処理した後、理論値30gと比較して、見た目に乾燥した残留物37.2gを得る:FT−IRは、このサンプルも均質であることを示すが、抽出(エタノール20ml+20ml)は、(理論値50%に対して)52%の不溶性残留物をもたらす。

例23−PFPEホスフェート、メトキシケイ皮酸エステル及びタルク(ケイ酸塩鉱物) 酸化亜鉛をタルクに代えて、同一手順及び同一割合を採用し、例21を繰り返す。堆積物(付加物)の形成に関して、類似の挙動があり、FT−IRは、均質であることを示す。

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