含フッ素化合物、ハードコート層形成用組成物およびハードコート層を有する物品

申请号 JP2015511525 申请日 2014-10-16 公开(公告)号 JP5804224B2 公开(公告)日 2015-11-04
申请人 旭硝子株式会社; 发明人 高尾 清貴; 島田 豊通; 星野 泰輝;
摘要
权利要求

下式(1)で表される、含フッ素化合物。 D1−Rf1−O−CH2−(CmF2mO)n−A・・・(1) ただし、 D1はCF3−またはCF3−O−であり、 Rf1は、原子を1個以上含む炭素数1〜20のフルオロアルキレン基、水素原子を1個以上含み、炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2〜20のフルオロアルキレン基、炭素数1〜20のアルキレン基、または炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2〜20のアルキレン基であり、 mは1〜6の整数であり、 nは1〜200の整数であり、nが2以上のとき、(CmF2mO)nは、mの異なる2種以上のCmF2mOからなるものであってもよい。 Aは−C(=O)−CR1=CH2(ただし、R1は水素原子またはメチル基である。)を1つ以上有する1価の有機基である。前記(CmF2mO)nが、{(CF2O)n1(CF2CF2O)n2}である(ただし、n1は1以上の整数であり、n2は0以上の整数であり、n1+n2は1〜200の整数であり、n1個のCF2Oおよびn2個のCF2CF2Oの結合順序は限定されない。)、請求項1に記載の含フッ素化合物。前記Rf1が、下式(2−1)で表される基、下式(2−2)で表される基または下式(2−3)で表される基である、請求項1または2に記載の含フッ素化合物。 −RF−O−CHFCF2−・・・(2−1) −RF−CHFCF2−・・・(2−2) −RF−CzH2z−・・・(2−3) ただし、 RFは、単結合、炭素数1〜15のペルフルオロアルキレン基、または炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2〜15のペルフルオロアルキレン基であり、 zは1〜4の整数である。前記Aが、下式(A1)で表される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の含フッ素化合物。 −CF2CH2O−Q1−C(=O)−CR1=CH2・・・(A1) ただし、 Q1は、炭素数が1〜100で、フッ素原子を有しない2価の有機基であり、 R1は水素原子またはCH3である。前記Q1が、下式(3)で表される基、下式(4)で表される基または下式(5)で表される基の1種以上を有する、請求項4に記載の含フッ素化合物。 −(CH2CH2O)p−・・・(3) −(CH2CH(CH3)O)q−・・・(4) −{C(=O)CtH2tO}k−・・・(5) ただし、 p、q、kおよびtは、1〜20の整数である。前記Q1が、下式(6)で表される基である、請求項5に記載の含フッ素化合物。 −(CH2CH2O)p−{C(=O)CH2CH2CH2CH2CH2O}k−C(=O)NH−CH2CH2−O−・・・(6) ただし、 pおよびkは1〜10の整数である。前記Aが、下式(A2)で表される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の含フッ素化合物。 ただし、 Q2は3価の有機基であり、2つのR1はそれぞれ独立して水素原子またはCH3である。前記Q2が、下式(7−1)〜(7−6)で表される基のいずれかを有する、請求項7に記載の含フッ素化合物。 ただし、 s、t、u、vおよびwはそれぞれ独立して2〜10の整数であり、 *1、*2および*3は、他の基と結合する末端であり、*1および*2は、それぞれ、前記式(A2)における−C(=O)−CR1=CH2と結合し、*3は−CH2CF2−または片末端が−CH2CF2−である2価の有機基を介して、前記式(1)における(CmF2mO)nと結合する。数平均分子量が、800〜80,000である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の含フッ素化合物。請求項1〜9のいずれか一項に記載の含フッ素化合物と、 光重合性化合物(ただし、前記含フッ素化合物を除く。)と、 光重合開始剤と を含むことを特徴とするハードコート層形成用組成物。液状媒体をさらに含む、請求項10に記載のハードコート層形成用組成物。前記含フッ素化合物の含有量が、固形分(100質量%)のうち0.01〜5質量%である、請求項11に記載のハードコート層形成用組成物。基材と、 請求項10〜12のいずれか一項に記載のハードコート層形成用組成物から形成したハードコート層と を有することを特徴とする物品。前記基材の材料が、金属、樹脂、ガラス、セラミック、またはこれらの複合材料である、請求項13に記載の物品。

说明书全文

本発明は、含フッ素化合物、該含フッ素化合物を含むハードコート層形成用組成物および該組成物から形成したハードコート層を有する物品に関する。

光学物品、ディスプレイ、光記録媒体等は、通常、傷つき等を防止するためのハードコート層を表面に有する。 また、該物品には、汚れ(指紋、皮脂、汗、化粧品、食品、油性インク等)が表面に付着しにくく、汚れが表面に付着しても容易に除去できる特性、すなわち防汚性を有することが望まれる。たとえば、メガネレンズの表面に汚れが付着すると、良好な視界を妨げ、見栄えを悪くする。光記録媒体の表面に汚れが付着すると、信号の記録および再生に障害が発生することがある。ディスプレイの表面に汚れが付着すると、視認性が低下し、タッチパネル付きディスプレイにおいては操作性に悪影響を及ぼす。

ハードコート層に防汚性を付与できる物質としては、下記のものが提案されている。 (1)主鎖中に、ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖を有する含フッ素ポリマー(特許文献1)。 (2)分子の末端にペルフルオロメチル基を有し、該ペルフルオロメチル基にオキシペルフルオロアルキレン基が結合した構造を有する撥撥油性付与剤(特許文献2)。

特許第4547642号公報

特許第4923572号公報

しかし、本発明者らの知見によれば、(1)の含フッ素ポリマーを用いたハードコート層は、防汚性が不充分である。また、潤滑性も不充分である。 一方、(2)の撥水撥油性付与剤を用いたハードコート層は、防汚性には優れる。ところが、該ハードコート層は、潤滑性が不充分である。潤滑性が不充分なハードコート層をたとえばタッチパネル付きディスプレイの表面に設けると、タッチパネルのタッチ感が悪く、操作性が低下する。

本発明は、対象物(ハードコート層等)に優れた防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)と潤滑性を付与できる含フッ素化合物、防汚性と潤滑性に優れるハードコート層を形成できるハードコート層形成用組成物、ならびに防汚性と潤滑性に優れるハードコート層を有する物品の提供を目的とする。

本発明は、下記[1]〜[14]の構成を有する含フッ素化合物、ハードコート層形成用組成物およびハードコート層を有する物品を提供する。

[1]下式(1)で表される、含フッ素化合物。 D1−Rf1−O−CH2−(CmF2mO)n−A・・・(1) ただし、 D1はCF3−またはCF3−O−であり、 Rf1は、水素原子を1個以上含む炭素数1〜20のフルオロアルキレン基、水素原子を1個以上含み、炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2〜20のフルオロアルキレン基、炭素数1〜20のアルキレン基、または炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2〜20のアルキレン基であり、 mは1〜6の整数であり、 nは1〜200の整数であり、nが2以上のとき、(CmF2mO)nは、mの異なる2種以上のCmF2mOからなるものであってもよい。 Aは−C(=O)−CR1=CH2(ただし、R1は水素原子またはメチル基である。)を1つ以上有する1価の有機基である。

[2]前記(CmF2mO)nが、{(CF2O)n1(CF2CF2O)n2}である(ただし、n1は1以上の整数であり、n2は0以上の整数であり、n1+n2は1〜200の整数であり、n1個のCF2Oおよびn2個のCF2CF2Oの結合順序は限定されない。)、[1]の含フッ素化合物。 [3]前記Rf1が、下式(2−1)で表される基、下式(2−2)で表される基または下式(2−3)で表される基である、[1]または[2]の含フッ素化合物。 −RF−O−CHFCF2−・・・(2−1) −RF−CHFCF2−・・・(2−2) −RF−CzH2z−・・・(2−3) ただし、 RFは、単結合、炭素数1〜15のペルフルオロアルキレン基、または炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2〜15のペルフルオロアルキレン基であり、 zは1〜4の整数である。

[4]前記Aが、下式(A1)で表される、[1]〜[3]のいずれかの含フッ素化合物。 −CF2CH2O−Q1−C(=O)−CR1=CH2・・・(A1) ただし、 Q1は、炭素数が1〜100で、フッ素原子を有しない2価の有機基であり、 R1は水素原子またはCH3である。

[5]前記Q1が、下式(3)で表される基、下式(4)で表される基または下式(5)で表される基の1種以上を有する、[4]の含フッ素化合物。 −(CH2CH2O)p−・・・(3) −(CH2CH(CH3)O)q−・・・(4) −{C(=O)CtH2tO}k−・・・(5) ただし、 p、q、kおよびtは、1〜20の整数である。 [6]前記Q1が、下式(6)で表される基である、[5]の含フッ素化合物。 −(CH2CH2O)p−{C(=O)CH2CH2CH2CH2CH2O}k−C(=O)NH−CH2CH2−O−・・・(6) ただし、 pおよびkは1〜10の整数である。

[7]前記Aが、下式(A2)で表される、[1]〜[3]のいずれかの含フッ素化合物。

ただし、 Q2は3価の有機基であり、2つのR1はそれぞれ独立して水素原子またはCH3である。

[8]前記Q2が、下式(7−1)〜(7−6)で表される基のいずれかを有する、[7]の含フッ素化合物。

ただし、 s、t、u、vおよびwはそれぞれ独立して2〜10の整数であり、 *1、*2および*3は、他の基と結合する末端であり、*1および*2は、それぞれ、前記式(A2)における−C(=O)−CR1=CH2と結合し、*3は−CH2CF2−または片末端が−CH2CF2−である2価の有機基を介して、前記式(1)における(CmF2mO)nと結合する。 [9]数平均分子量が、800〜80,000である、[1]〜[8]のいずれかの含フッ素化合物。

[10]前記[1]〜[9]のいずれかの含フッ素化合物と、 光重合性化合物(ただし、前記含フッ素化合物を除く。)と、 光重合開始剤と を含むことを特徴とするハードコート層形成用組成物。 [11]液状媒体をさらに含む、[10]のハードコート層形成用組成物。 [12]前記含フッ素化合物の含有量が、固形分(100質量%)のうち0.01〜5質量%である、[11]のハードコート層形成用組成物。

[13]基材と、[10]〜[12]のいずれかのハードコート層形成用組成物から形成したハードコート層とを有することを特徴とする物品。 [14]前記基材の材料が、金属、樹脂、ガラス、セラミック、またはこれらの複合材料である、[13]の物品。

本発明の含フッ素化合物は、対象物に優れた防汚性と潤滑性を付与できる。さらに加えて、本発明の含フッ素化合物は、他の成分との相溶性にも優れる。 本発明のハードコート層形成用組成物は、防汚性と潤滑性に優れるハードコート層を形成できる。さらに加えて、本発明のハードコート層形成用組成物は、貯蔵安定性にも優れる。 本発明の物品は、防汚性と潤滑性に優れるハードコート層を有する。

本明細書において、式(1)で表される化合物を化合物(1)と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。 以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。 「エーテル性酸素原子」とは、炭素−炭素原子間においてエーテル結合(−O−)を形成する酸素原子を意味する。 「フルオロアルキレン基」とは、アルキレン基の水素原子の一部またはすべてがフッ素原子に置換された基を意味し、「ペルフルオロアルキレン基」とは、アルキレン基の水素原子のすべてがフッ素原子に置換された基を意味する。 「ペルフルオロアルキル基」とは、アルキル基の水素原子のすべてがフッ素原子に置換された基を意味する。 「オキシペルフルオロアルキレン基」とは、ペルフルオロアルキレン基の片末端に酸素原子を有する基を意味し、その化学式は、酸素原子をペルフルオロアルキレン基の右側に記載して表すものとする。 −C(=O)−CR1=CH2(ただし、R1は水素原子またはメチル基である。)で表される基を、以下「(メタ)アクリロイル基」という。(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基およびメタクリロイル基の総称である。 HO−C(=O)−CR1=CH2で表される化合物を、以下「(メタ)アクリル酸」といい、(メタ)アクリル酸のエステルを(メタ)アクリレートという。(メタ)アクリレートは、アクリレートおよびメタクリレートの総称である。 有機基とは、炭素原子を有する基である。

〔含フッ素化合物〕 本発明の含フッ素化合物は、下式(1)で表される化合物(1)である。 D1−Rf1−O−CH2−(CmF2mO)n−A・・・(1) ただし、 D1はCF3−またはCF3−O−であり、 Rf1は、水素原子を1個以上含む炭素数1〜20のフルオロアルキレン基、水素原子を1個以上含み、炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2〜20のフルオロアルキレン基、炭素数1〜20のアルキレン基、または炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2〜20のアルキレン基であり、 mは1〜6の整数であり、 nは1〜200の整数であり、nが2以上のとき、(CmF2mO)nは、mの異なる2種以上のCmF2mOからなるものであってもよい。 Aは(メタ)アクリロイル基を1つ以上有する1価の有機基である。

(D1基) D1はCF3−またはCF3−O−であるため、化合物(1)の一方の末端がCF3−となる。そのため、化合物(1)を用いることにより、低表面エネルギーで防汚性に優れるハードコート層を形成できる。

((CmF2mO)n) (CmF2mO)nは、ハードコート層に防汚性および潤滑性を付与する。 mは、防汚性、潤滑性を充分に付与する点からは、1〜3の整数が好ましく、ハードコート層に潤滑性を充分に付与する点からは、1または2がより好ましい。 mが2以上の場合、CmF2mは直鎖状でも分岐状でもよい。ハードコート層に防汚性、潤滑性を充分に付与する点からは、直鎖状が好ましい。

nは、ハードコート層に防汚性、潤滑性を充分に付与する点からは、2以上の整数が好ましく、4以上の整数がより好ましく、5以上の整数が特に好ましい。化合物(1)の数平均分子量が大きすぎると、単位分子量当たりに存在する後述のA基中の(メタ)アクリロイル基の数が減少し、ハードコート層の耐摩耗性が低下する点、ハードコート層形成用組成物における化合物(1)と他の成分との相溶性に優れる点からは、nは、100以下の整数が好ましく、80以下の整数がより好ましく、60以下の整数が特に好ましい。

nが2以上のとき、(CmF2mO)nは、mの異なる2種以上のCmF2mOからなるものであってもよい。 (CmF2mO)nにおいて、mの異なる2種以上のCmF2mOが存在する場合、各CmF2mOの結合順序は限定されない。たとえば、CF2OとCF2CF2Oが存在する場合、CF2OとCF2CF2Oがランダムに配置されてもよく、CF2OとCF2CF2Oが交互に配置されてもよく、複数のCF2Oからなるブロックと複数のCF2CF2Oからなるブロックが連結してもよい。

(CmF2mO)nは、ハードコート層に防汚性、潤滑性を充分に付与する点からは、{(CF2O)n1(CF2CF2O)n2}である(ただし、n1は1以上の整数であり、n2は0以上の整数であり、n1+n2は1〜200の整数であり、n1個のCF2Oおよびn2個のCF2CF2Oの結合順序は限定されない。)ことが好ましい。 {(CF2O)n1(CF2CF2O)n2}は運動性に優れ、そのため、ハードコート層の潤滑性が優れる。特に(CF2O)n1は、炭素数が1で酸素原子を有する基であるため、運動性により優れる。

{(CF2O)n1(CF2CF2O)n2}は、化合物(1)の製造のしやすさ等の点から、{(CF2O)n1(CF2CF2O)n2}の−CH2−に結合する側の末端はCF2Oであることが好ましい。−CH2−に結合する側の末端がCF2Oである{(CF2O)n1(CF2CF2O)n2}を、以下、CF2O{(CF2O)n1−1(CF2CF2O)n2}と表す。なお、CF2O{(CF2O)n1−1(CF2CF2O)n2}においても、前記のように、(n1−1)個の(CF2O)およびn2個の(CF2CF2O)の結合順序は限定されない。

n1は1以上の整数である。ハードコート層に防汚性、潤滑性を充分に付与する点からは、n1は、2以上の整数が好ましく、3以上の整数が特に好ましい。化合物(1)の数平均分子量が大きすぎると、単位分子量当たりに存在する後述のA基中の(メタ)アクリロイル基の数が減少し、ハードコート層の耐摩耗性が低下する点、ハードコート層形成用組成物における化合物(1)と他の成分との相溶性に優れる点からは、n1は、50以下の整数が好ましく、40以下の整数がより好ましく、30以下の整数が特に好ましい。

n2は0以上の整数である。ハードコート層に防汚性、潤滑性を充分に付与する点からは、n2は、1以上の整数が好ましく、2以上の整数が特に好ましい。化合物(1)の数平均分子量が大きすぎると、単位分子量当たりに存在する後述のA基中の(メタ)アクリロイル基の数が減少し、ハードコート層の耐摩耗性が低下する点、ハードコート層形成用組成物における化合物(1)と他の成分との相溶性に優れる点からは、n2は、50以下の整数が好ましく、40以下の整数がより好ましく、30以下の整数が特に好ましい。

n1とn2との比率は、ハードコート層に潤滑性を充分に付与する点からは、n2がn1の0〜3倍であることが好ましい。

化合物(1)は、(CmF2mO)nにおけるnの数が異なる複数種の化合物の混合物として製造されうる。この場合、混合物としてのnの平均値は、2〜100が好ましく、4〜80が特に好ましい。また、化合物(1)は、{(CF2O)n1(CF2CF2O)n2}におけるn1およびn2の数が異なる複数種の化合物の混合物として製造されうる。この場合、混合物としてのn1の平均値は、1〜50が好ましく、n2の平均値は1〜50が好ましい。

(Rf1基) Rf1における水素原子の数は、ハードコート層の潤滑性が充分に優れる点から、1以上が好ましい。Rf1における水素原子の数は、(Rf1の炭素数)×2以下であり、ハードコート層の防汚性が充分に優れる点からは、(Rf1の炭素数)以下が好ましい。 Rf1が水素原子を有することによって、上述の(CmF2mO)nの運動性がより向上し、ハードコート層の潤滑性が充分に優れ、ハードコート層形成用組成物における化合物(1)と他の成分との相溶性が優れる。一方、Rf1が水素原子を有しない場合、ハードコート層の潤滑性が不充分であり、ハードコート層形成用組成物における化合物と他の成分との相溶性が不充分であり、ハードコート層形成用組成物の貯蔵安定性が不充分である。

Rf1は、化合物(1)の製造のしやすさの点からは、下式(2−1)で表される基、下式(2−2)で表される基または下式(2−3)で表される基が好ましい。なお、RFはD1に結合する基である。 −RF−O−CHFCF2−・・・(2−1) −RF−CHFCF2−・・・(2−2) −RF−CzH2z−・・・(2−3) ただし、 RFは、単結合、炭素数1〜15のペルフルオロアルキレン基、または炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2〜15のペルフルオロアルキレン基であり、 zは1〜4の整数である。

RFは、ハードコート層に防汚性、潤滑性を充分に付与する点からは、炭素数1〜9のペルフルオロアルキレン基、または炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2〜13のペルフルオロアルキレン基が好ましい。ペルフルオロアルキレン基は、直鎖状でも分岐状でもよい。 zは、1〜3の整数が好ましい。zが3以上の場合、CzH2zは直鎖でも分岐でもよく、直鎖が好ましい。

Rf1が式(2−1)で表される場合、D1−Rf1−基の具体例としては、下記基が挙げられる。 CF3−O−CHFCF2−、 CF3−CF2−O−CHFCF2−、 CF3−CF2CF2−O−CHFCF2−、 CF3−CF2CF2CF2−O−CHFCF2−、 CF3−CF2CF2CF2CF2CF2−O−CHFCF2−、 CF3−O−CF2CF2−O−CHFCF2−、 CF3−CF2OCF2CF2−O−CHFCF2−、 CF3−O−CF2CF2OCF2CF2−O−CHFCF2−、 CF3−CF2OCF2CF2OCF2CF2−O−CHFCF2−、 CF3−CF2CF2OCF(CF3)CF2−O−CHFCF2−、 CF3−CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CF2−O−CHFCF2−。

Rf1が式(2−2)で表される場合のD1−Rf1−基の具体例としては、下記基が挙げられる。 CF3−CHFCF2−、 CF3−CF2−CHFCF2−、 CF3−CF2CF2−CHFCF2−、 CF3−CF2CF2CF2−CHFCF2−。

Rf1が式(2−3)で表される場合のD1−Rf1−基の具体例としては、下記基が挙げられる。 CF3−CH2−、 CF3−CF2−CH2−、 CF3−CF2CF2−CH2−、 CF3−CF2CF2CF2−CH2−、 CF3−CF2CF2CF2CF2−CH2−、 CF3−CF2CF2CF2CF2CF2−CH2−、 CF3−CF2CF2CF2CF2CF2CF2−CH2−、 CF3−CH2CH2−、 CF3−CF2−CH2CH2−、 CF3−CF2CF2−CH2CH2−、 CF3−CF2CF2CF2−CH2CH2−、 CF3−CF2CF2CF2CF2−CH2CH2−、 CF3−CF2CF2CF2CF2CF2−CH2CH2−、 CF3−CF2CF2CF2CF2CF2CF2−CH2CH2−、 CF3−CH2CH2CH2−、 CF3−CF2−CH2CH2CH2−、 CF3−CF2CF2−CH2CH2CH2−、 CF3−CF2CF2CF2−CH2CH2CH2−、 CF3−CF2CF2CF2CF2−CH2CH2CH2−、 CF3−CF2CF2CF2CF2CF2−CH2CH2CH2−、 CF3−CF2CF2CF2CF2CF2CF2−CH2CH2CH2−、 CF3−O−CF2−CH2−、 CF3−CF2OCF2−CH2−、 CF3−O−CF2CF2OCF2−CH2−、 CF3−CF2OCF2CF2OCF2−CH2−、 CF3−O−CF2CF2OCF2CF2OCF2−CH2−、 CF3−CF2OCF2CF2OCF2CF2OCF2−CH2−。

Rf1は、化合物(1)の製造のしやすさの点からは、式(2−1)で表される基が好ましく、D1−Rf1−基としては、CF3−CF2CF2−O−CHFCF2−またはCF3−CF2CF2CF2CF2CF2−O−CHFCF2−が特に好ましい。

D1−Rf1−O−CH2−(CmF2mO)n−にA基を導入するための出発化合物としては、下式(8)で表される化合物が好ましい。 D1−Rf1−O−CH2−(CmF2mO)n−R2−Y・・・(8) この式において、R2は単結合またはフッ素原子を有していてもよい2価の有機基であり、Yは反応性基である。R2としては、炭素数10以下の、アルキレン基やY側末端がメチレン基であるフルオロアルキレン基が好ましい。Yは水酸基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。−R2−Yとしては−CF2CH2OHが好ましい。 上記出発化合物としては、後述の化合物(α2)等の下式(8−1)で表される化合物が好ましい。 D1−Rf1−O−CH2−(CmF2mO)n−CF2CH2OH・・・(8−1) 化合物(8−1)はモノオールであり、その水酸基の反応性を利用して(メタ)アクリロイル基を導入し、化合物(1)が製造される。 化合物(8−1)は、たとえば、D1を有する含フッ素オレフィンと(CmF2mO)nの両末端に水酸基含有有機基を有する含フッ素ジオール1分子とを、含フッ素オレフィンの不飽和基へ含フッ素ジオールの1個の水酸基を付加反応させる方法により得られる。含フッ素ジオールとしては市販の含フッ素ジオールを使用できる。含フッ素ジオールとしては、後述の化合物(α1)等が挙げられる。

(A基) A基は(メタ)アクリロイル基を1つ以上有する1価の有機基である。A基が(メタ)アクリロイル基を有するため、化合物(1)は、光照射により、ハードコート層形成用組成物に含まれる後述の光重合性化合物と反応し、ハードコート層に優れた耐摩耗性を付与する。光硬化性のハードコート層形成用組成物は、硬化に際して加熱が不要であるため、ガラス等に比較して耐熱性の低い樹脂からなる基材に、ハードコート層を形成する際に好適に使用される。

A基の有する(メタ)アクリロイル基の数は、1〜3が好ましく、1または2が特に好ましい。 A基は、化合物(8)における−R2−YのYが反応して生じる基を含む。−R2−Yが−CF2CH2OHの場合、A基は−CF2CH2O−をその末端に有し、−CF2CH2O−のCF2が(CmF2mO)nの末端酸素原子に結合する。 A基としては、下式(A1)〜(A3)で表される基が挙げられる。下式(A1)〜(A3)における−CF2CH2O−は、上記−CF2CH2OHの水酸基の水素原子を除いた基である。

式(A1)〜(A3)中、Q1は2価の有機基、Q2は3価の有機基、Q3は4価の有機基であり、R1は水素原子またはCH3であり、Q2およびQ3中の複数のR1は異なっていてもよい。

Q1〜Q3の炭素数はそれぞれ1〜100が好ましく、10〜60が特に好ましい。炭素数が上記範囲の下限値以上であれば、ハードコート層形成用組成物における化合物(1)と他の成分との相溶性が優れ、上記範囲の上限値以下であれば、ハードコート層の防汚性がより優れる。Q1〜Q3はフッ素原子を有しないことが好ましい。Q1〜Q3がフッ素原子を有しないことにより、ハードコート層形成用組成物における化合物(1)と他の成分との相溶性が優れる。 Q1〜Q3は、直鎖状でも分岐状でもよい。また、環構造を有していてもよい。環構造を有する場合、環構造は芳香族環でも脂肪族環でもよく、脂肪族環が好ましい。 Q1〜Q3は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を有していても、エステル基、エーテル基(エーテル性酸素原子)、ウレタン基、ウレア基、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基等の基を有していてもよい。また、Q1〜Q3は、フッ素原子を有しない有機基であることが好ましい。

上式(A1)で表される基(以下、「A1基」ともいう。)は、Q1が下式(3)で表される基、下式(4)で表される基または下式(5)で表される基の1種以上を有することが好ましい。 −(CH2CH2O)p−・・・(3) −(CH2CH(CH3)O)q−・・・(4) −{C(=O)CtH2tO}k−・・・(5)

p、q、kおよびtは、1〜20の整数である。 たとえば、pは、1〜10の整数が好ましく、1〜3の整数が特に好ましい。tは1〜8の整数が好ましく、化合物(1)の製造容易性の点から、tは3〜6がより好ましく、5が特に好ましい。kは、1〜10の整数が好ましく、2〜8の整数が特に好ましい。

Q1は、前記化合物(8−1)の水酸基にアルキレンオキシドやラクトンを1分子以上付加させて上式(3)〜(5)で表される基を形成することが好ましい。また、水酸基の反応性を調整するために、前記化合物(8−1)の−CF2CH2OHにエチレンカーボネートを脱炭酸させながら付加して−CF2CH2OCH2CH2OHとした後、アルキレンオキシドやラクトンを反応させることが好ましい。 Q1が上式(3)で表される基を有する場合、Q1は、たとえば、エチレンオキシドを1分子以上付加する方法、ポリエチレングリコールを2官能イソシアネート化合物とともに反応させる方法等で化合物(1)に導入できる。エチレンオキシドを付加する際には、エチレンカーボネートを脱炭酸させながら付加した後、エチレンオキシドを付加してもよい。 Q1が上式(4)で表される基を有する場合、Q1は、たとえば、プロピレンオキシドを1分子以上付加する方法、ポリプロピレングリコールを2官能イソシアネート化合物とともに反応させる方法等で化合物(1)に導入できる。プロピレンオキシドを付加する際には、エチレンカーボネートを脱炭酸させながら付加した後、プロピレンオキシドを付加してもよい。 Q1が上式(5)で表される基を有する場合、Q1は、たとえば、ラクトンを1分子以上付加する方法等で化合物(1)に導入できる。ラクトンを1分子以上付加する際には、エチレンカーボネートを脱炭酸させながら付加した後、ラクトンを付加してもよい。

Q1は、化合物(1)の製造容易性の点から、式(5)で表される基を少なくとも有することが好ましく、下式(6)で表される基がより好ましい。 −(CH2CH2O)p−{C(=O)CH2CH2CH2CH2CH2O}k−C(=O)NH−CH2CH2−O−・・・(6)

式(6)中のpおよびkは、式(3)および式(5)におけるpおよびkと同じ意味を示す。

なお、化合物(8−1)と同様に、化合物(8−1)に式(3)〜(5)で表される基を導入して得られる末端に水酸基を有する化合物はいずれもD1−Rf1−O−CH2−(CmF2mO)n−CF2CH2O−で表される基を有するモノオールであり、これらモノオールは、Q1を有する化合物(1)は勿論、Q2を有する化合物(1)やQ3を有する化合物(1)を製造するための原料化合物として好ましい。

上式(A2)で表される基(以下、「A2基」ともいう。)としては、−CF2CH2O−Q2<が下式(7−1)〜(7−6)で表される基を有する基が挙げられる。これらの基を有する化合物は、D1−Rf1−O−CH2−(CmF2mO)n−CF2CH2O−で表される基を有するモノオールとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとトリイソシアネート化合物を反応させることにより得ることができる。

式(7−1)〜(7−6)中、s、t、u、v、wはそれぞれ独立して2〜10の整数である。*1、*2および*3は、他の基と結合する末端であり、*1および*2は、それぞれ、式(A2)における−C(=O)−CR1=CH2と結合し、*3は−CH2CF2−または片末端が−CH2CF2−である2価の有機基を介して、式(1)における(CmF2mO)nと結合することが好ましい。片末端が−CH2CF2−である2価の有機基としては、片末端に−CH2CF2−が結合した炭素数1〜10のアルキレン基、片末端に−CH2CF2−が結合した前記式(2)〜(6)で表される2価の基が挙げられる。ただし、−CH2CF2−のCF2側が(CmF2mO)nと結合する。

上式(A3)で表される基を有する化合物(1)は、上記(A2)基を有する化合物(1)合成におけるトリイソシアネート化合物に代えてテトライソシアネート化合物を使用して得ることができる。

(化合物(1)の好ましい態様) 化合物(1)としては、下式(111)、下式(112)、下式(121)、下式(122)、下式(131)、下式(132)で表される化合物が好ましい。また、下式(14−1)〜(14−6)で表される化合物が好ましい。なかでも化合物(1)としては、下式(111)、下式(112)、下式(121)、下式(122)、下式(131)、下式(132)および下式(14−1)で表される化合物が、工業的に製造しやすく、取扱いやすく、ハードコート層に防汚性、潤滑性を充分に付与できる点で特に好ましい。

D1−RF−O−CHFCF2−O−CH2−CF2O{(CF2O)n1−1(CF2CF2O)n2}−CF2CH2O−(CH2CH2O)p−{C(=O)CH2CH2CH2CH2CH2O}k−C(=O)NH−CH2CH2−O−C(=O)−CH=CH2・・・(111) D1−RF−O−CHFCF2−O−CH2−CF2O{(CF2O)n1−1(CF2CF2O)n2}−CF2CH2O−(CH2CH2O)p−{C(=O)CH2CH2CH2CH2CH2O}k−C(=O)NH−CH2CH2−O−C(=O)−C(CH3)=CH2・・・(112)

D1−RF−CHFCF2−O−CH2−CF2O{(CF2O)n1−1(CF2CF2O)n2}−CF2CH2O−(CH2CH2O)p−{C(=O)CH2CH2CH2CH2CH2O}k−C(=O)NH−CH2CH2−O−C(=O)−CH=CH2・・・(121) D1−RF−CHFCF2−O−CH2−CF2O{(CF2O)n1−1(CF2CF2O)n2}−CF2CH2O−(CH2CH2O)p−{C(=O)CH2CH2CH2CH2CH2O}k−C(=O)NH−CH2CH2−O−C(=O)−C(CH3)=CH2・・・(122)

D1−RF−CzH2z−O−CH2−CF2O{(CF2O)n1−1(CF2CF2O)n2}−CF2CH2O−(CH2CH2O)p−{C(=O)CH2CH2CH2CH2CH2O}k−C(=O)NH−CH2CH2−O−C(=O)−CH=CH2・・・(131) D1−RF−CzH2z−O−CH2−CF2O{(CF2O)n1−1(CF2CF2O)n2}−CF2CH2O−(CH2CH2O)p−{C(=O)CH2CH2CH2CH2CH2O}k−C(=O)NH−CH2CH2−O−C(=O)−C(CH3)=CH2・・・(132)

式(14−1)〜(14−3)中、G10は、D1−Rf1−O−CH2CF2O{(CF2O)n1−1(CF2CF2O)n2}CF2CH2−である。s、t、u、v、wは、式(7−1)〜(7−3)と同じ意味であり、好ましい範囲も同じである。

式(14−4)〜(14−6)中、G10は、D1−Rf1−O−CH2CF2O{(CF2O)n1−1(CF2CF2O)n2}CF2CH2−である。s、t、u、v、wは、式(7−1)〜(7−3)と同じ意味であり、好ましい範囲も同じである。

化合物(1)としては、D1−Rf1−基がCF3−CF2CF2−O−CHFCF2−であり、pが1でkが2である下式(111−1)の化合物が特に好ましい。 CF3CF2CF2−O−CHFCF2−O−CH2−CF2O{(CF2O)n1−1(CF2CF2O)n2}CF2CH2O−(CH2CH2O)−{(C=O)CH2CH2CH2CH2CH2O}2−C(=O)NH−CH2CH2−O−C(=O)−CH=CH2・・・(111−1)

(フッ素原子の割合および数平均分子量) 化合物(1)(100質量%)中のフッ素原子の割合は、0.1〜80質量%が好ましく、1〜70質量%がより好ましく、5〜65質量%が特に好ましい。 また、ハードコート層の防汚性をより向上させる点からは、化合物(1)中のフッ素原子(100質量%)のうち、40〜100質量%が(CmF2mO)nの有するフッ素原子であることが好ましく、50〜100質量%が(CmF2mO)nの有するフッ素原子であることが特に好ましい。 フッ素原子の割合が上記範囲内であれば、ハードコート層に優れた防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)、潤滑性を付与できるとともに、化合物(1)がハードコート層形成用組成物における他の成分との相溶性に優れる。 フッ素原子の割合は、実施例に記載の方法によって測定される。

化合物(1)の数平均分子量(Mn)は、800〜80,000が好ましく、1,000〜40,000がより好ましく、1,200〜30,000が特に好ましい。数平均分子量が該範囲内であれば、ハードコート層に優れた防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)、潤滑性を付与できるとともに、化合物(1)がハードコート層形成用組成物における他の成分との相溶性に優れる。

〔含フッ素化合物の製造方法〕 化合物(1)は、出発化合物である前記化合物(8)を合成し、次いで前記化合物(8)やその誘導体と(メタ)アクリロイル基を有する反応性化合物とを反応させることにより製造することができる。また、化合物(8)やその誘導体と(メタ)アクリロイル基を有する反応性化合物とをその両化合物と反応する多官能性化合物を介して結合することにより製造することもできる。以下、前者の方法を製造方法(i)、後者の方法を製造方法(ii)という。 化合物(8)としては前記化合物(8−1)が好ましい。化合物(8)の誘導体としては、前記化合物(8−1)に前記式(4)〜(5)で表される基の1種以上を導入して得られるモノオールが好ましい。以下、水酸基を1つ有する、化合物(8)の誘導体と化合物(8)を含フッ素モノオールと総称する。 以下、出発化合物の例として上記含フッ素モノオールを使用した製造方法(i)、製造方法(ii)を説明する。

製造方法(i): (メタ)アクリロイル基と水酸基と反応しうる反応性基とを有する反応性化合物と含フッ素モノオールとを反応させて、化合物(1)を製造することができる。 反応性化合物の反応性基としては、イソシアネート基、ハロカルボニル基、カルボキシ基、エポキシ基等が挙げられる。反応性基としては、イソシアネート基とハロカルボニル基が好ましい。反応性化合物としては、反応性基を1つ有する化合物が好ましい。反応性化合物は1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有し、(メタ)アクリロイル基の数は1〜4が好ましく、1がより好ましい。反応性化合物としては、たとえば、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリル酸クロリド等が挙げられる。 具体的には、たとえば、アクリル酸クロリドと含フッ素モノオールとを反応させることにより、含フッ素モノオールの水酸基をアクリロイルオキシ基に変換して化合物(1)を製造することができる。また、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートと含フッ素モノオールとを反応させることにより、含フッ素モノオールの水酸基を−O−C(=O)NH−CH2CH2−O−C(=O)−CH=CH2に変換して化合物(1)を製造することができる。

製造方法(ii): (メタ)アクリロイル基と反応性基とを有する反応性化合物と含フッ素モノオールとを該反応性基に反応しうる官能基と水酸基に反応しうる官能基とを有する多官能性化合物を介して反応させて、化合物(1)を製造することができる。この場合の反応性化合物の反応性基は水酸基であることが好ましく、多官能性化合物としては水酸基と反応しうる官能基を2以上有する化合物が好ましい。多官能性化合物の官能基としては、イソシアネート基、ハロカルボニル基、カルボキシ基、エポキシ基等が挙げられ、特にイソシアネート基が好ましい。 水酸基を有する反応性化合物は、1以上の(メタ)アクリロイル基と1以上の水酸基を有する化合物であり、水酸基の数は1が好ましい。(メタ)アクリロイル基の数は1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、1が特に好ましい。水酸基を有する反応性化合物としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。特に、アルキル部分の炭素数が2〜10のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、そのうちでも末端に水酸基を有する直鎖状のヒドロキシアルキル基を有する炭素数が2〜10のヒドロキシアルキルアクリレートが好ましい。 多官能性化合物としては、イソシアネート基の数が2〜4のポリイソシアネート化合物が好ましい。ポリイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等のジイソシアネート、およびジイソシアネートのイソシアヌレート変性体、ビュレット変性体、多価アルコール変性体等の変性体が挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、およびそれらの変性体であるトリイソシアネートまたはテトライソシアネートが好ましい。

(メタ)アクリロイル基と1個の反応性基とを有する反応性化合物と含フッ素モノオールとg個の官能基を有する多官能性化合物とを、(反応性化合物):(含フッ素モノオール):(多官能性化合物)のモル比で(g−1):1:1の割合で反応させることにより化合物(1)が製造される。たとえば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと含フッ素モノオールとg個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物とをモル比(g−1):1:1:で反応させることにより、(g−1)個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(1)を製造することができる。 反応性化合物と含フッ素モノオールと多官能性化合物は同時に反応させてもよく、含フッ素モノオールと多官能性化合物を反応させた後反応性化合物と反応させる方法や反応性化合物と多官能性化合物を反応させた後含フッ素モノオールと反応させる方法で化合物(1)を製造することもできる。

製造方法(ii)により、前記化合物(14−1)〜(14−6)を製造することができる。前記化合物(14−1)〜(14−6)は、含フッ素モノオールであるG10−OHと、ヒドロキシアルキルアクリレートと、トリイソシアネートとを、モル比1:2:1の割合で反応させて得られる。使用されるトリイソシアネートは、化合物(14−1)〜(14−6)の順に、イソシアヌレート変性アルキレンジイソシアネート、イソシアヌレート変性トリレンジイソシアネート、イソシアヌレート変性イソホロンジイソシアネート、ビュレット変性アルキレンジイソシアネート、グリセロール変性アルキレンジイソシアネート、グリセロール変性アルキレンジイソシアネートである。 なお、G10−OHとヒドロキシアルキルアクリレートとトリイソシアネートとをモル比1:2:1の割合で反応させて得られる反応生成物は、前記化合物(14−1)〜(14−6)のみが生成するとは限られず、反応させる3成分のモル比のずれ等が原因で、モル比1:2:1の反応生成物以外の化合物が副生することがある。副生物としては、たとえば、G10が2でヒドロキシアルキルアクリレート残基が1の化合物、G10が3でヒドロキシアルキルアクリレート残基が0の化合物、G10が0でヒドロキシアルキルアクリレート残基が3の化合物が挙げられる。副生物は少ない方が好ましいが、場合によっては反応生成物を精製して副生物量を減少させることもできる。また、副生物のうちヒドロキシアルキルアクリレート残基を有する化合物は、後述の多官能性モノマー(a1)や単官能性モノマー(a2)として機能することより、特にその副生量が多くならない限り、それら副生物を含む化合物(1)は、それら副生物を除去することなく使用できることもある。 この副生物の生成は、トリイソシアネート化合物を使用する場合以外にも、多官能性化合物を介した化合物(1)の製造方法で生じうる。その場合もまた上記と同様に対応することが好ましい。

化合物(111)は下記の方法で製造できる。 塩基性化合物の存在下、両末端にOH基を有する下式(α1)で表される化合物(α1)に、D1−RF−O−CF=CF2を反応させて、化合物(α2)、化合物(α3)および未反応の化合物(α1)の混合物を得る。 HOCH2CF2O{(CF2O)n1−1(CF2CF2O)n2}CF2CH2OH・・・(α1) D1−RF−O−CHFCF2OCH2CF2O{(CF2O)n1−1(CF2CF2O)n2}CF2CH2OH・・・(α2) D1−RF−O−CHFCF2OCH2CF2O{(CF2O)n1−1(CF2CF2O)n2}CF2CH2OCF2CHF−O−RF−D1・・・(α3) 上記混合物から、片末端にOH基が残存する一官能体の化合物(α2)を単離して、以下の化合物の製造に用いる。

炭酸セシウム等の塩基性化合物の存在下、化合物(α2)にエチレンカーボネートを脱炭酸させながら付加させて、化合物(α4)を得る。 D1−RF−O−CHFCF2OCH2CF2O{(CF2O)n1−1(CF2CF2O)n2}CF2CH2O(CH2CH2O)pH・・・(α4) 次いで、チタンテトライソブトキサイド等の金属錯体触媒の存在下、化合物(α4)にε−カプロラクトンをアニオン重合させ、化合物(α5)を得る。 D1−RF−O−CHFCF2OCH2CF2O{(CF2O)n1−1(CF2CF2O)n2}CF2CH2O(CH2CH2O)p{C(=O)CH2CH2CH2CH2CH2O}kH・・・(α5) 次いで、スズ等の金属触媒の存在下、化合物(α5)にアクリロイルオキシエチルイソシアネートを反応させ、アクリロイル基を導入し、化合物(111)を得る。

化合物(112)を製造する場合には、化合物(111)の製造において用いたアクリロイルオキシエチルイソシアネートに代えて、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを用いればよい。

化合物(121)を製造する場合には、化合物(111)の製造において用いたD1−RF−O−CF=CF2に代えて、D1−RF−CF=CF2を用いればよい。 化合物(122)を製造する場合には、化合物(111)の製造において用いたD1−RF−O−CF=CF2に代えて、D1−RF−CF=CF2を用い、アクリロイルオキシエチルイソシアネートに代えて、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを用いればよい。

化合物(131)を製造する場合には、化合物(111)の製造において用いたD1−RF−O−CF=CF2に代えて、D1−RF−CzH2z−X(ただし、Xは脱離基であり、I、Br、Cl等である。)を用いればよい。 化合物(132)を製造する場合には、化合物(111)の製造において用いたD1−RF−O−CF=CF2に代えて、D1−RF−CzH2z−Xを用い、アクリロイルオキシエチルイソシアネートに代えて、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを用いればよい。

化合物(14−1)のうち、D1−Rf1−がD1−RF−O−CHF−CF2−であり、s、t、uがいずれも6で、vおよびwがいずれも2である化合物(14−11)は、スズ等の金属触媒の存在下、上記化合物(α2)と、ヒドロキシエチルアクリレートと、イソシアヌレート変性ヘキサメチレンジイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネートの環状3量体とも呼ばれるトリイソシアネート)であるトリイソシアネート化合物とを反応させる方法で製造できる。トリイソシアネート化合物の1モルに対して、化合物(α2)の有する活性水素とヒドロキシエチルアクリレートの有する活性水素の総和が3モルであってよい。

トリイソシアネート化合物には、化合物(α2)およびヒドロキシエチルアクリレートを同時に添加して反応させても、化合物(α2)およびヒドロキシエチルアクリレートを順次添加して反応させてもよく、化合物(α2)、ヒドロキシエチルアクリレートの順で添加して反応させることが好ましい。

化合物(α2)は、トリイソシアネート化合物の1モルに対して、0.0001モル以上を反応させることが好ましく、0.01モル以上がより好ましく、0.1モル以上が特に好ましい。化合物(α2)は、トリイソシアネート化合物の1モルに対して、2モル以下を反応させることが好ましく、1.5モル以下がより好ましく、1.0モル以下が特に好ましい。

ヒドロキシエチルアクリレートは、トリイソシアネート化合物の1モルに対して、1モル以上を反応させることが好ましく、1.2モル以上がより好ましく、1.5モル以上が特に好ましい。ヒドロキシエチルアクリレートは、トリイソシアネート化合物の1モルに対して、2.5モル以下を反応させることが好ましく、2.0モル以下がより好ましく、1.8モル以下が特に好ましい。

化合物(α2)、ヒドロキシエチルアクリレートおよびイソシアヌレート変性ヘキサメチレンジイソシアネートは、溶媒中で反応させることができる。

〔ハードコート層形成用組成物〕 本発明のハードコート層形成用組成物(以下、「本組成物」とも記す。)は、化合物(1)と、光重合性化合物(ただし、化合物(1)を除く。)と、光重合開始剤とを含む。本発明のハードコート層形成用組成物は、必要に応じて液状媒体、他の添加剤をさらに含んでいてもよい。

(光重合性化合物) 光重合性化合物は、後述する光重合開始剤の存在下、活性エネルギー線を照射することで重合反応を開始するモノマーである。 光重合性化合物としては、多官能性モノマー(a1)(以下、「モノマー(a1)」とも記す。)、単官能性モノマー(a2)(以下、「モノマー(a2)」とも記す。)が挙げられる。ただし、化合物(1)は除く。 光重合性化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。光重合性化合物としては、ハードコート層に優れた耐摩耗性を付与する点から、モノマー(a1)を必須成分として含むものが好ましい。

モノマー(a1)としては、(メタ)アクリロイル基を1分子中に2つ以上有する化合物が挙げられる。(メタ)アクリロイル基は1分子中に3つ以上有することが好ましく、3〜30個有することが特に好ましい。 モノマー(a1)としては、ハードコート層に優れた耐摩耗性を付与する点から、(メタ)アクリロイル基を1分子中に3つ以上有し、(メタ)アクリロイル基1つあたりの分子量が120以下であるモノマー(a11)が好ましい。

モノマー(a11)としては、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトールまたはそれらの多量体(ポリペンタエリスリトール等)と、(メタ)アクリル酸との反応生成物であり、かつ(メタ)アクリロイル基を3つ以上、より好ましくは4〜20個有する化合物が挙げられる。具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。

モノマー(a1)としては、ウレタン結合が水素結合の作用で擬似架橋点として働き、(メタ)アクリロイル基1つあたりの分子量が小さくなくてもハードコート層に優れた耐摩耗性を付与する点から、ウレタン結合を分子内に有し、かつ(メタ)アクリロイル基を1分子中に3つ以上有するモノマー(a12)も好ましい。

モノマー(a12)としては、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、下記の化合物等が挙げられる。 ・ペンタエリスリトールまたはポリペンタエリスリトールと、ポリイソシアネートと、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応生成物であり、かつ(メタ)アクリロイル基を3つ以上、より好ましくは4〜20個有する化合物。 ・水酸基を有するペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートまたは水酸基を有するポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートと、ポリイソシアネートとの反応生成物であり、かつ(メタ)アクリロイル基を3つ以上、より好ましくは4〜20個有する化合物。

モノマー(a2)としては、(メタ)アクリロイル基を1分子中に1つ有する化合物が挙げられる。モノマー(a2)は反応性希釈剤として機能し、本発明の組成物が液状媒体を含まない場合であっても本発明の組成物の粘度を低下させて基材への塗布を容易にする。また、本発明の組成物が液状媒体を含む場合であっても、組成物の粘度の調整やハードコート膜の物性の調整に有効である。 具体例としては、下記の化合物が挙げられる。 アルキル基の炭素数1〜13のアルキル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロデカトリエン(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−スルホン酸ナトリウムエトキシ(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ビニルアセテート、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、イソボルニルアクリレート等。

(光重合開始剤) 光重合開始剤としては、公知の光重合開始剤が使用できる。たとえば、アリールケトン系光重合開始剤(たとえば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、アルキルアミノベンゾフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール類、ベンゾイルベンゾエート類、α−アシルオキシムエステル類等)、含硫黄系光重合開始剤(たとえば、スルフィド類、チオキサントン類等)、アシルホスフィンオキシド類(たとえば、アシルジアリールホスフィンオキシド等)、その他の光重合開始剤が挙げられる。光重合開始剤は、1種を単独で用いて、2種以上を併用してもよい。光重合開始剤は、アミン類等の光増感剤と併用してもよい。

光重合開始剤の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。 4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−tert−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−tert−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−{4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−{4−(メチルチオ)フェニル}−2−モルホリノプロパン−1−オン。 ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、9,10−フェナントレンキノン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2−エチルアントラキノン、4’,4”−ジエチルイソフタロフェノン、(1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2(o−エトキシカルボニル)オキシム)、α−アシルオキシムエステル、メチルフェニルグリオキシレート。 4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド等。

(液状媒体) 本組成物は、必要に応じて液状媒体をさらに含んでいてもよい。液状媒体を含むことによって、本組成物の形態、粘度、表面張等を調整でき、塗布方法に適した液物性に制御できる。

液状媒体としては、有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、本組成物の塗布方法に適した沸点を有する有機溶媒が好ましい。 有機溶媒は、フッ素系有機溶媒であっても、非フッ素系有機溶媒であってもよく、両溶媒を含んでもよい。

フッ素系有機溶媒としては、上述したフルオロアルカン、フルオロ芳香族化合物、フルオロアルキルエーテル、フルオロアルキルアミン、フルオロアルコール等が挙げられる。 フッ素系有機溶媒としては、化合物(1)が溶解しやすい点で、フルオロアルカン、フルオロ芳香族化合物、フルオロアルコール、フルオロアルキルエーテルが好ましく、フルオロアルコールおよびフルオロアルキルエーテルが特に好ましい。

非フッ素系有機溶媒としては、水素原子および炭素原子のみからなる化合物、水素原子、炭素原子および酸素原子のみからなる化合物が好ましく、上述した炭化水素系有機溶媒、アルコール系有機溶媒、ケトン系有機溶媒、エーテル系有機溶媒、グリコールエーテル系有機溶媒、エステル系有機溶媒が挙げられる。 非フッ素系有機溶媒としては、化合物(1)が溶解しやすい点で、グリコールエーテル系有機溶媒およびケトン系有機溶媒が特に好ましい。

液状媒体としては、フルオロアルカン、フルオロ芳香族化合物、フルオロアルキルエーテル、フルオロアルコール、水素原子および炭素原子のみからなる化合物、ならびに、水素原子、炭素原子および酸素原子のみからなる化合物からなる群から選択される少なくとも1種の有機溶媒が好ましい。特に、フルオロアルカン、フルオロ芳香族化合物およびフルオロアルキルエーテルおよびフルオロアルコールから選ばれるフッ素系有機溶媒が好ましい。 液状媒体としては、フッ素系有機溶媒であるフルオロアルカン、フルオロ芳香族化合物、フルオロアルキルエーテル、フルオロアルコール、非フッ素系有機溶媒である水素原子、炭素原子および酸素原子のみからなる化合物からなる群から選択される少なくとも1種の有機溶媒を、合計で液状媒体全体の90質量%以上含むことが、化合物(1)の溶解性を高める点で好ましい。

(他の添加剤) 本組成物は、必要に応じて他の添加剤をさらに含んでいてもよい。 他の添加剤としては、コロイダルシリカ、光増感剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱硬化安定剤、酸化防止剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、顔料、染料、分散剤、帯電防止剤、界面活性剤(防曇剤、レベリング剤等)、金属酸化物粒子、各種樹脂(エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等)等が挙げられる。 また、化合物(1)を使用する際、化合物(1)の製造上不可避の化合物(以下、不純物とも記す。)を同伴してもよい。具体的には、化合物(1)の製造工程で生成した副生成物および化合物(1)の製造工程で混入した成分である。不純物の含有量は、化合物(1)(100質量%)に対して5質量%以下が好ましく、2質量%以下が特に好ましい。不純物の含有量が前記範囲であれば、ハードコート層に著しく優れた防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)および潤滑性を付与できる。 化合物(1)中の副生成物の同定および定量は、1H−NMR(300.4MHz)および19F−NMR(282.7MHz)によって行う。

(組成) 化合物(1)の含有量は、本組成物の固形分(100質量%)のうち0.01〜5質量%が好ましく、0.02〜4質量%がより好ましく、0.05〜3質量%が特に好ましい。化合物(1)の含有量が上記範囲内であれば、本組成物の貯蔵安定性、ハードコート層の外観、耐摩耗性、防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)および潤滑性に優れる。 なお、本組成物における固形分とは液状媒体を除いた全成分をいう。したがって、本組成物が液状媒体以外の液状の成分(たとえば、モノマー(a1)やモノマー(a2))を含んでいても、液状媒体を含まない本組成物の固形分は100質量%である。

光重合性化合物の含有量は、本組成物の固形分(100質量%)のうち20〜98.99質量%が好ましく、50〜98.99質量%がより好ましく、60〜98.99質量%がさらに好ましく、80〜98.99質量%が特に好ましい。光重合性化合物の含有量が上記範囲内であれば、本組成物の貯蔵安定性、ハードコート層の外観、耐摩耗性、防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)および潤滑性に優れる。

光重合開始剤の含有量は、本組成物の固形分(100質量%)のうち1〜15質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましく、3〜10質量%が特に好ましい。光重合開始剤の含有量が上記範囲内であれば、光重合性化合物との相溶性に優れる。また、本組成物の硬化性に優れ、形成する硬化膜は硬度に優れる。

液状媒体を含ませる場合、液状媒体の含有量は、本組成物(100質量%)のうち5〜80質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましく、20〜60質量%が特に好ましい。 他の添加剤を含ませる場合、他の添加剤の含有量は、本組成物の固形分(100質量%)のうち0.5〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましく、1〜10質量%が特に好ましい。

本組成物の固形分濃度は、塗布方法に適した液物性となるように調整すればよい。液状媒体を含ませる場合の本組成物の固形分濃度は、たとえば、30〜90質量%が好ましく、40〜80質量%が特に好ましい。

〔物品〕 本発明の物品は、基材と、本組成物から形成したハードコート層とを有する。基材とハードコート層との密着性を向上させる点から、基材とハードコート層との間にプライマ層をさらに有していてもよい。すなわち、本発明の物品としては、基材の少なくとも片方の表面に直接、本組成物から形成したハードコート層を積層した物品、または、基材の少なくとも片方の表面に、プライマ層を介して、本組成物から形成したハードコート層を積層した物品、が好ましい。 ハードコート層の厚さは、耐摩耗性および防汚性の点から、0.5〜20μmが好ましく、1〜15μmが特に好ましい。

(基材) 基材は、耐摩耗性および防汚性が必要とされる種々の物品(光学レンズ、ディスプレイ、光記録媒体等)の本体部分、または該物品の表面を構成する部材である。 基材の表面の材料としては、金属、樹脂、ガラス、セラミック、石、これらの複合材料等が挙げられる。光学レンズ、ディスプレイ、光記録媒体における基材の表面の材料としては、ガラスまたは透明樹脂基材が好ましい。 ガラスとしては、ソーダライムガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、クリスタルガラス、石英ガラスが好ましく、化学強化したソーダライムガラス、化学強化したアルカリアルミノケイ酸塩ガラス、および化学強化したホウ珪酸ガラスが特に好ましい。透明樹脂基材の材料としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂が好ましい。 本組成物は、光硬化性であって硬化に際して加熱が不要であるため、ガラス等に比較して耐熱性の低い樹脂からなる基材に、ハードコート層を形成する際に好適に使用される。

本組成物を用いることで、耐摩耗性、防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)および潤滑性に優れるハードコート層が得られる。該ハードコート層を有する物品は、タッチパネルを構成する部材として好適である。タッチパネルとは、指等による接触によってその接触位置情報を入力する装置と表示装置とを組み合わせた入力/表示装置(タッチパネル装置)の、入力装置である。タッチパネルは、基材と、入力検出方式に応じて、透明導電膜、電極、配線、IC等とから構成されている。物品のハードコート層を有する面をタッチパネルの入力面とすることによって、優れた防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)および潤滑性を有するタッチパネルが得られる。潤滑性が優れると、タッチパネルのタッチ感が優れ、操作性が向上する。 タッチパネル用基材の材質は、透光性を有する。具体的には、JIS R1306に準じた垂直入射型可視光透過率が25%以上である。

(プライマ層) プライマ層としては、公知のものが挙げられる。プライマ層は、たとえば液状媒体を含むプライマ層形成用組成物を基材の表面に塗布し、液状媒体を蒸発除去することによって形成される。

(物品の製造方法) 物品は、たとえば、下記の工程(I)および工程(II)を経て製造される。工程(I)は必要に応じて行う。 工程(I):プライマ層形成用組成物を基材の表面に塗布してプライマ層を形成する工程。 工程(II):本組成物を基材またはプライマ層の表面に塗布して塗膜を得て、本組成物が液状媒体を含む場合は液状媒体を除去し、光硬化させてハードコート層を形成する工程。 なお、液状媒体を含む本組成物等の塗膜から液状媒体を蒸発除去する過程を、以下、乾燥ともいう。

工程(I): 塗布方法としては、公知の手法を適宜用いることができる。該塗布方法としては、バーコート法、スピンコート法、ワイプコート法、スプレーコート法、スキージーコート法、ディップコート法、ダイコート法、インクジェット法、フローコート法、ロールコート法、キャスト法、ラングミュア・ブロジェット法、グラビアコート法等が挙げられる。 乾燥温度は、50〜140℃が好ましい。 乾燥時間は、0.5分間〜3時間が好ましい。

工程(II): 塗布方法としては、工程(I)で例示した公知の塗布方法が挙げられる。

本組成物が液状媒体を含む場合、光硬化させる前に、塗膜から液状媒体を除去して乾燥膜とする。液状媒体の除去方法としては、公知の方法を適宜用いることができる。乾燥方法としては、加熱、減圧、減圧下で加熱する方法が挙げられる。なお、得られた乾燥膜は、液状媒体を10質量%未満含むことが好ましく、1質量%未満含むことが特に好ましい。 加熱する場合の温度は、50〜120℃が好ましい。 溶媒の除去時間は、0.5分間〜3時間が好ましい。

光硬化は、本組成物が液状媒体を含まない場合には塗膜に対して、本組成物が液状媒体を含む場合には乾燥膜に対して行う。 光硬化は、活性エネルギー線を照射することによって行われる。 活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波線等が挙げられ、波長180〜500nmの紫外線が経済的に好ましい。 活性エネルギー線源としては、紫外線照射装置(キセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等)、電子線照射装置、X線照射装置、高周波発生装置等が使用できる。 活性エネルギー線の照射時間は、化合物(1)の種類、光重合性化合物の種類、光重合開始剤の種類、塗膜の厚さ、活性エネルギー線源等の条件により適宜変え得る。通常は、0.1〜60秒間照射することにより目的が達成される。 硬化反応を完結させる目的で、活性エネルギー線の照射後に加熱してもよい。加熱温度は、50〜120℃が好ましい。

以下、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下において「%」は特に断りのない限り「質量%」である。なお、例1〜4および9〜18は実施例、例5〜8および19〜20は比較例である。

各例中の略号は以下を意味する。 TMS:テトラメチルシラン、 AC−2000:C6F13H、製品名、旭硝子社製、 AE−3000:CF3CH2OCF2CF2H、製品名、旭硝子社製、 AK−225:ジクロロペンタフルオロプロパン、 DBTDL:ジブチル錫ジラウレート、 R−113:CCl2FCClF2、 L:リットル、 Mn:数平均分子量。

〔測定・評価〕 (数平均分子量(Mn)) 分子量測定用の標準試料として市販されている重合度の異なる数種の単分散ポリメチルメタクリレートのゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を、市販のGPC測定装置(東ソー社製、装置名:HLC−8220GPC)にて、溶離液にAK−225:ヘキサフルオロイソプロパノール=99:1(体積比)の混合溶媒を用いて測定し、ポリメチルメタクリレートの分子量と保持時間(リテンションタイム)との関係をもとに検量線を作成した。 含フッ素化合物を前記混合溶媒で1.0質量%に希釈し、0.5μmのフィルタに通過させた後、含フッ素化合物についてのGPCを、前記GPC測定装置を用いて測定した。 前記検量線を用いて、含フッ素化合物のGPCスペクトルをコンピュータ解析することによって含フッ素化合物の数平均分子量(Mn)を求めた。

(フッ素原子の割合) 内標準としてヘキサフルオロメタキシレンを使用し、1H−NMR(300.4MHz)および19F−NMR(282.7MHz)における積分比をもとに、含フッ素化合物中のフッ素原子の割合(質量%)を算出した。

(水接触) JIS R 3257「基板ガラス表面のぬれ性試験方法」に準拠して、ハードコート層の3ヶ所に水滴を載せ、各水滴について静滴法によって水接触角を測定した。液滴は約2μL/滴であり、測定は20℃で行った。接触角は、3測定値の平均値(n=3)で示す。なお、防汚性の点から、水接触角は100度以上が好ましい。

(オレイン酸接触角) JIS R 3257「基板ガラス表面のぬれ性試験方法」に準拠して、ハードコート層の3ヶ所にオレイン酸滴を載せ、各オレイン酸滴について静滴法によってオレイン酸接触角を測定した。液滴は約2μL/滴であり、測定は20℃で行った。接触角は、3測定値の平均値(n=3)で示す。なお、防汚性の点から、オレイン酸接触角は65度以上が好ましい。

(相溶性) 下記の基準にしたがい、目視によって調整直後のハードコート層形成用組成物の外観を評価した。 ○(良好):溶液が均一で濁りがない。 ×(不良):濁りが確認できる。

(貯蔵安定性) ハードコート層形成用組成物を室温で3ヶ月静置したのち、目視によってハードコート層形成用組成物の外観を評価した。 ○(良好):溶液が均一で濁りがない。 ×(不良):濁りが確認できる。

(ハードコート層外観) 下記の基準にしたがい、目視によってハードコート層の外観を評価した。 ○(良好):異物が確認できず、膜厚が均一である。 △(可) :異物は確認できないが、膜厚にムラがある。 ×(不良):異物が確認され、膜厚にムラがある。

(油性インクはじき性) ハードコート層の表面にフェルトペン(ゼブラ社製、製品名:マッキー極太黒色)で線を描き、油性インクの付着状態を目視で観察することによって評価した。評価基準は下記の通りである。 ◎(優良):油性インクを玉状にはじく。 ○(良好):油性インクを玉状にはじかず、線状にはじき、線幅がフェルトペンのペン先の幅の50%未満である。 △(可) :油性インクを玉状にはじかず、線状にはじき、線幅がフェルトペンのペン先の幅の50%以上100%未満である。 ×(不良):油性インクを玉状にも線状にもはじかず、表面にきれいに線が描ける。

(指紋汚れ除去性) 人工指紋液(オレイン酸とスクアレンとからなる液)を、シリコンゴム栓の平坦面に付着させた後、余分な油分を不織布(旭化成社製、製品名:ベンコットM−3)にて拭き取り、指紋のスタンプを準備した。該指紋スタンプを、ハードコート層を有する物品上に乗せ、1kgの荷重にて10秒間押しつけた。次に、指紋が付着した箇所について、ティッシュペーパを取り付けた、往復式トラバース試験機(ケイエヌテー社製)を用い、荷重500gにて拭き取りを行った。拭き取り一往復毎にヘーズを目視で観察し、10往復後までのヘーズを目視で観察することによって評価した。評価基準は下記の通りである。 ○(良好):ヘーズが目視で確認できない。 △(可) :ヘーズが目視でわずかに確認できる。 ×(不良):ヘーズが目視で明らかに確認できる。

(耐摩耗性) ハードコート層を有する物品について、往復式トラバース試験機(ケイエヌテー社製)を用い、スチールウール(日本スチールウール社製、ボンスター#0000)を荷重1,000gで100回往復させた後、水接触角およびオレイン酸接触角を測定した。 スチールウール擦り後の水接触角およびオレイン酸接触角の低下が小さいほど摩擦による性能の低下が小さく、耐摩耗性に優れる。

(鉛筆硬度) JIS K 5600に準じて測定した。

(動摩擦係数) ハードコート層を有する基材の人工皮膚(PBZ13001、出光テクノファイン社製)に対する動摩擦係数を、荷重変動型摩擦摩耗試験システムHHS2000(新東科学社製)を用い、接触面積3cm×3cm、荷重100gの条件で測定した。 動摩擦係数が小さいほど潤滑性に優れる。

〔化合物〕 (光重合性化合物) (a−1):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(モノマー(a11)に該当)。 (a−2):トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート(モノマー(a12)に該当)。 (光重合開始剤) (b−1):2−メチル−1−{4−(メチルチオ)フェニル}−2−モルホリノプロパン−1−オン。 (有機溶媒) (c−1):2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール。 (c−2):1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン。 (c−3):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート。 (c−4):プロピレングリコールモノメチルエーテル。

〔例1〕化合物(111−1)の製造例: (例1−1) 500mLの3つ口丸底フラスコに、水酸化カリウムの1.04gを取り入れ、tert−ブタノールの83gと1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンの125gを加えた。室温で攪拌して水酸化カリウムを溶解させ、これに化合物(α1)(FLUOROLINK D10/H:製品名、ソルベイ・ソレクシス社製)の250gを加えて1時間攪拌した。室温のまま、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(CF3CF2CF2−O−CF=CF2)の38.2gを加え、さらに24時間攪拌した。塩酸水溶液を加えて中和し、さらに水を加えて分液処理を行った。3回の水洗後、有機相を回収し、エバポレータで濃縮することによって、反応粗液の288.0gを得た。再び、AC−2000の144gで希釈し、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:AC−2000およびAE−3000)に展開して分取した。これにより、化合物(α2−1)の136.2g(収率47%)を得た。 CF3CF2CF2−O−CHFCF2−O−CH2−CF2O{(CF2O)n1−1(CF2CF2O)n2}CF2CH2OH・・・(α2−1)。 (n1−1)の平均値:8。 (n2)の平均値:10。 化合物(α2−1)のNMRスペクトル; 1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):3.9、4.2、5.9。 19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl3) δ(ppm):−52.3〜−55.7、−78.7、−80.7、−81.3、−82.1、−83.4、−85.3〜−88.2、−89.4〜−91.1、−130.5、−145.2。

(例1−2) 撹拌機および冷却管を装着した50mLの4つ口フラスコに、炭酸セシウムの391mg、化合物(α2−1)の1.50g、エチレンカーボネートの106mgを加え、160℃で36時間加熱撹拌した。得られた溶液にAK−225の15gおよび希塩酸の10gを加えた。有機層と水層を分離し、有機層をイオン交換水の30mLで3回洗浄した後、硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下で溶媒を留去することで化合物(α4−1)の1.07gを得た。 CF3CF2CF2−O−CHFCF2−O−CH2−CF2O{(CF2O)n1−1(CF2CF2O)n2}CF2CH2O−(CH2CH2O)H・・・(α4−1)。 化合物(α4−1)のNMRスペクトル; 1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重アセトン+R−113、基準:TMS) δ(ppm):3.69、4.04、4.64、6.40〜6.83。 19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重アセトン+R−113、基準:CFCl3) δ(ppm):−51.7〜−58.4、−78.6、−80.6、−82.3、−85.2〜−87.6、−89.0〜−92.1、−130.7、−146.3。

(例1−3) 撹拌機および冷却管を装着した50mLの2つ口フラスコに、チタンテトライソブトキサイドの1.3mgと化合物(α4−1)の500mgおよびε−カプロラクトンの81mgを加え、160℃で7時間加熱することで、化合物(α5−1)の580mgを得た。 CF3CF2CF2−O−CHFCF2−O−CH2−CF2O{(CF2O)n1−1(CF2CF2O)n2}CF2CH2O−(CH2CH2O)−{(C=O)CH2CH2CH2CH2CH2O}2H・・・(α5−1)。 化合物(α5−1)のNMRスペクトル; 1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重アセトン+R−113、基準:TMS) δ(ppm):1.64、1.79、2.30、2.60、3.61〜4.73、6.55〜6.85。 19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重アセトン+R−113、基準:CFCl3) δ(ppm):−51.8〜−56.3、−78.8、−80.8、−82.3、−85.2〜−87.5、−88.7〜−91.9、−130.6、−146.3。

(例1−4) 撹拌機を装着した50mLの2つ口フラスコに、AK−225の750mg、アセトンの250mg、重合禁止剤である2,6−ジ−tert−ブチル−para−クレゾールの0.8mg、2−アクリロイルオキシエチルイソシアナートの15.7mg、DBTDLの0.06mg、および化合物(α5−1)の200mgを加え40℃で24時間撹拌した。その後、減圧下で溶媒を留去することで、化合物(111−1)と上記重合禁止剤との混合物を得た。該混合物中の化合物(111−1)の含有量は99.6質量%であった。化合物(111−1)の数平均分子量(Mn)は2,200で、フッ素原子の割合は、61質量%であった。 CF3CF2CF2−O−CHFCF2−O−CH2−CF2O{(CF2O)n1−1(CF2CF2O)n2}CF2CH2O−(CH2CH2O)−{(C=O)CH2CH2CH2CH2CH2O}2−C(=O)NH−CH2CH2−O−C(=O)−CH=CH2・・・(111−1)。 化合物(111−1)のNMRスペクトル; 1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重アセトン+R−113、基準:TMS) δ(ppm):0.80〜2.11、3.30〜4.77、5.57〜6.52、6.52〜6.87。 19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重アセトン+R−113、基準:CFCl3) δ(ppm):−52.4、−54.1、−55.9、−78.3〜−78.9、−80.8、−85.2〜−87.4、−88.9〜−91.9、−130.7、−146.5。

〔例2〕ハードコート層の形成例: 30mLのバイアル管に、例1で得た化合物(111−1)を99.6質量%含む上記混合物の2mg、光重合性化合物(a−1)の94mg、光重合性化合物(a−2)の94mg、光重合開始剤(b−1)の11.8mg、有機溶媒(c−2)の18mg、有機溶媒(c−4)の117mgを入れ、常温および遮光にした状態で、1時間撹拌して、ハードコート層形成用組成物(1)を得た。 次いで、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」とも記す。)基材の表面にハードコート層形成用組成物(1)をバーコートにより塗布し、塗膜を形成し、50℃のホットプレートで1分間乾燥させ、基材の表面に乾燥膜を形成した。次いで、高圧水銀ランプを用いて紫外線(光量:300mJ/cm2、波長365nmの紫外線積算エネルギー量)を照射し、基材の表面に厚さ5μmのハードコート層を形成した。 ハードコート層形成用組成物(1)の組成およびハードコート層の評価結果を表1に示す。

〔例3〕化合物(14−11a)の製造例: 撹拌機を装着した50mLの2つ口フラスコに、イソシアヌレート変性ヘキサメチレンジイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネートの環状3量体、旭化成ケミカルズ社製、製品名:DURANATE THA−100)の1.0g、AK−225の6.0gを入れ、DBTDLの7.5mgおよび2,6−ジ−tert−ブチル−para−クレゾールの0.3mgを加え、窒素雰囲気中、室温で撹拌しながら1時間かけて、例1−1で得た化合物(α2−1)の0.98gをAK−225の1.0gに溶かした溶液を滴下し、室温で12時間撹拌した。40℃に加温し、2−ヒドロキシエチルアクリレートの0.76gを2分間で滴下し12時間撹拌した。赤外吸収スペクトルによってイソシアナート基の吸収が完全に消失していることを確認できたため、得られた反応溶液をエバポレータで濃縮し、下式(13)のG1〜G3の1つが下式(14a)で表される基であり、残りが下式(15)で表される基である化合物(14−11a)と;G1〜G3の2つが下式(14a)で表される基であり、残りが下式(15)で表される基である化合物と;G1〜G3がすべて下式(14a)で表される基である化合物と;G1〜G3がすべて下式(15)で表される基である化合物との混合物の2.87gを得た。混合物としての数平均分子量(Mn)は1,400で、フッ素原子の割合は、23質量%であった。

CF3CF2CF2−O−CHFCF2−O−CH2−CF2O{(CF2O)n1−1(CF2CF2O)n2}CF2CH2O− ・・・(14a) CH2=CHC(=O)O−CH2CH2−O− ・・・(15) 化合物(14−11a)のNMRスペクトル; 1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム+R−113、基準:TMS) δ(ppm):1.19〜1.76、3.19、3.29、3.74、3.88、4.30、4.85〜5.28、5.84、6.15、6.45。 19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム+R−113、基準:CFCl3) δ(ppm):−52.3、−53.9、−55.6、−78.5、−80.6、−82.2、−86.8、−89.4、−91.0、−130.6、−145.0。

〔例4〕ハードコート層の形成例: 30mLのバイアル管に、例3で得た化合物(14−11a)を含む混合物の1mg、光重合性化合物(a−1)の94mg、光重合性化合物(a−2)の94mg、光重合開始剤(b−1)の11mg、有機溶媒(c−1)の18mg、有機溶媒(c−4)の117mgを入れ、常温および遮光にした状態で、1時間撹拌して、ハードコート層形成用組成物(2)を得た。 次いで、ハードコート層形成用組成物(1)のかわりにハードコート形成用組成物(2)を使用した以外は例2と同様にして基材の表面に厚さ5μmのハードコート層を形成した。 ハードコート層形成用組成物(2)の組成およびハードコート層の評価結果を表1に示す。

〔例5〕ポリマー(A)の製造例: (CF2O)と(CF2CF2O)との組み合わせからなるポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖の両末端にアクリロイルオキシ基を有する含フッ素化合物と、ヒドロキシエチルメタクリレートを共重合させたのち、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートを反応させて得られる含フッ素ポリマー(ポリマー(A))を、特許文献1の実施例1に記載の方法にしたがって合成した(数平均分子量(Mn):2,400)。ポリマー(A)中のフッ素原子の割合は、11質量%であった。

〔例6〕ハードコート層の形成例: 30mLのバイアル管に、例5で得たポリマー(A)を2mg、光重合性化合物(a−1)の94mg、光重合性化合物(a−2)の94mg、光重合開始剤(b−1)の11.8mg、有機溶媒(c−4)の134.5mgを入れ、常温および遮光にした状態で、1時間撹拌して、ハードコート層形成用組成物(3)を得た。 次いで、ハードコート層形成用組成物(1)のかわりにハードコート形成用組成物(3)を使用した以外は例2と同様にして基材の表面に厚さ5μmのハードコート層を形成した。 ハードコート層形成用組成物(3)の組成およびハードコート層の評価結果を表1に示す。

〔例7〕化合物(B)の製造例: 化合物(B)として、分子の末端にペルフルオロメチル基を有し、該ペルフルオロメチル基にオキシペルフルオロアルキレン基が結合した構造を有する、特許文献2の実施例に記載された撥水撥油性付与剤(B−13)を特許文献2の実施例に記載された方法にしたがって合成し、化合物(B)とした。化合物(B)の数平均分子量(Mn)は1,800、フッ素原子の割合は、42質量%であった。

〔例8〕ハードコート層の形成例: 30mLのバイアル管に、例7で得た化合物(B)の0.2mg、光重合性化合物(a−1)の94mg、光重合性化合物(a−2)の94mg、光重合開始剤(b−1)の11.8mg、有機溶媒(c−3)の18mg、有機溶媒(c−4)の117mgを入れ、常温および遮光にした状態で、1時間撹拌して、ハードコート層形成用組成物(4)を得た。 次いで、ハードコート層形成用組成物(1)のかわりにハードコート形成用組成物(4)を使用した以外は例2と同様にして基材の表面に厚さ5μmのハードコート層を形成した。 ハードコート層形成用組成物(4)の組成およびハードコート層の評価結果を表1に示す。

〔例9〕化合物(14−11b)の製造例: (例9−1) 化合物(α1)のかわりに化合物(α6)(FLUOROLINK D4000:製品名、ソルベイ・ソレクシス社製)を用いた以外は(例1−1)と同様にして、化合物(α6—1)(収率44.8%)を得た。 CF3CF2CF2−O−CHFCF2−O−CH2−CF2O{(CF2O)n1−1(CF2CF2O)n2}CF2CH2OH・・・(α6−1)。 単位数n1−1の平均値:21。 単位数n2の平均値:20。

化合物(α6−1)のNMRスペクトル; 1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):3.9、4.2、5.8〜6.0。 19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl3) δ(ppm):−52.4〜−55.8、−78.8、−80.8、−81.4、−82.2、−83.5、−85.3〜−88.2、−89.4〜−91.1、−130.5、−145.1。

(例9−2) 化合物(α2−1)のかわりに化合物(α6−1)の2.42gを使用した以外は(例3)と同様にして、式(13)のG1〜G3の1つが下式(14b)で表される基であり、残りが下式(15)で表される基である化合物(14−11b)と;G1〜G3の2つが下式(14b)で表される基であり、残りが下式(15)で表される基である化合物と;G1〜G3がすべて下式(14b)で表される基である化合物と;G1〜G3がすべて下式(15)で表される基である化合物との混合物を得た。混合物としての数平均分子量(Mn)は4,800で、フッ素原子の割合は、37質量%であった。 CF3CF2CF2−O−CHFCF2−O−CH2−CF2O{(CF2O)n1−1(CF2CF2O)n2}CF2CH2O− ・・・(14b) 単位数n1−1の平均値:21。 単位数n2の平均値:20。 CH2=CHC(=O)O−CH2CH2−O− ・・・(15)

化合物(14−11b)のNMRスペクトル; 1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム+R−113、基準:TMS) δ(ppm):1.19〜1.76、3.19、3.29、3.74、3.88、4.30、4.85〜5.28、5.84、6.15、6.45。 19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム+R−113、基準:CFCl3) δ(ppm):−52.3、−53.9、−55.6、−78.5、−80.6、−82.2、−86.8、−89.4、−91.0、−130.6、−145.0。

〔例10〕ハードコート層の形成例: 化合物(14−11a)のかわりに例9で得た化合物(14−11b)を使用した以外は例3と同様にして、ハードコート層形成用組成物(5)およびハードコート層を得た。 ハードコート層形成用組成物(5)の組成およびハードコート層の評価結果を表1に示す。

〔例11〕化合物(14−12b)の製造例: ヒドロキシエチルアクリレートのかわりに、ヒドロキシブチルアクリレートの0.94gを使用した以外は、例9−2と同様にして、式(13)のG1〜G3の1つが下式(14b)で表される基であり、残りが下式(16)で表される基である化合物(14−12b)と;G1〜G3の2つが下式(14b)で表される基であり、残りが下式(16)で表される基である化合物と;G1〜G3がすべて下式(14b)で表される基である化合物と;G1〜G3がすべて下式(16)で表される基である化合物との混合物を得た。混合物としての数平均分子量(Mn)は4,900で、フッ素原子の割合は、36質量%であった。 CF3CF2CF2−O−CHFCF2−O−CH2−CF2O{(CF2O)n1−1(CF2CF2O)n2}CF2CH2O− ・・・(14b) 単位数n1−1の平均値:21。 単位数n2の平均値:20。 CH2=CHC(=O)O−CH2CH2CH2CH2−O− ・・・(16)

化合物(14−12b)のNMRスペクトル; 1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム+R−113、基準:TMS) δ(ppm):1.19〜1.76、3.19、3.29、3.74、3.88、4.30、4.85〜5.28、5.84、6.15、6.45。 19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム+R−113、基準:CFCl3) δ(ppm):−52.3、−53.9、−55.6、−78.5、−80.6、−82.2、−86.8、−89.4、−91.0、−130.6、−145.0。

〔例12〕ハードコート層の形成例: 化合物(14−11a)のかわりに例11で得た化合物(14−12b)を使用した以外は例3と同様にして、ハードコート層形成用組成物(6)およびハードコート層を得た。 ハードコート層形成用組成物(6)の組成およびハードコート層の評価結果を表2に示す。

〔例13〕化合物(14−11c)の製造例: (例13−1) ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(CF3CF2CF2−O−CF=CF2)のかわりにCF3CF2CF2−O−CF(CF3)CF2−O−CF=CF2の59.7gを用いた以外は(例1−1)と同様にして、化合物(α7—1)(収率39.1%)を得た。 CF3−CF2CF2−O−CF(CF3)CF2−O−CHFCF2−O−CH2CF2−O{(CF2O)n1−1(CF2CF2O)n2}−CF2CH2−OH ・・・(α7−1) 単位数n1−1の平均値:8。 単位数n2の平均値:10。

化合物(α7−1)のNMRスペクトル; 1H−NMR(300.4MHz、溶媒:CDCl3、基準:TMS) δ(ppm):3.9、4.2、5.8〜6.0。 19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3) δ(ppm):−52.4〜−55.8、−78.9、−80.9、−81.4、−82.2、−83.5、−84.4〜−87.2、−89.1〜−90.7、−130.2、−145.5。

(例13−2) 化合物(α2−1)のかわりに化合物(α7−1)の1.10gを使用した以外は(例3)と同様にして、式(13)のG1〜G3の1つが下式(14c)で表される基であり、残りが下式(15)で表される基である化合物(14−11c)と;G1〜G3の2つが下式(14c)で表される基であり、残りが下式(15)で表される基である化合物と;G1〜G3がすべて下式(14c)で表される基である化合物と;G1〜G3がすべて下式(15)で表される基である化合物との混合物を得た。混合物としての数平均分子量(Mn)は2,400で、フッ素原子の割合は、23質量%であった。

CF3−CF2CF2−O−CF(CF3)CF2−O−CHFCF2−O−CH2CF2−O{(CF2O)n1−1(CF2CF2O)n2}−CF2CH2−O− ・・・(14c) 単位数n1−1の平均値:8。 単位数n2の平均値:10。 CH2=CHC(=O)O−CH2CH2−O− ・・・(15)

化合物(14−11c)のNMRスペクトル; 1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム+R−113、基準:TMS) δ(ppm):1.19〜1.76、3.19、3.29、3.74、3.88、4.30、4.85〜5.28、5.84、6.15、6.45。 19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム+R−113、基準:CFCl3) δ(ppm):−52.4〜−55.8、−78.5、−80.6、−82.2、−84.4〜−87.2、−89.1〜−90.7、−130.2、−145.5。

〔例14〕ハードコート層の形成例: 化合物(14−11a)のかわりに例13で得た化合物(14−11c)を使用した以外は例3と同様にして、ハードコート層形成用組成物(7)およびハードコート層を得た。 ハードコート層形成用組成物(7)の組成およびハードコート層の評価結果を表2に示す。

〔例15〕化合物(14−11d)の製造例: (例15−1) 国際公開第2004/035656号に記載の方法に従って、化合物(α8−1)を合成した。 HO−CH2CF2O−(CF2CF2O)n3−CF2CH2−OH ・・・(α8−1) 単位数n3の平均値:10。 (例15−2) 化合物(α1)のかわりに化合物(α8−1)を用いた以外は(例1−1)と同様にして、化合物(α8—2)(収率40.1%)を得た。 CF3CF2CF2−O−CHFCF2−O−CH2−CF2O(CF2CF2O)n3CF2CH2OH・・・(α8−2)。 単位数n3の平均値:10。

化合物(α6−1)のNMRスペクトル; 1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):3.9、4.2、5.8〜6.0。 19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl3) δ(ppm):−55.7、−78.8、−80.8、−81.4、−82.2、−83.5、−85.3〜−88.2、−89.4〜−91.1、−130.5、−145.1。

(例15−2) 化合物(α2−1)のかわりに化合物(α8−2)の0.69gを使用した以外は(例3)と同様にして、式(13)のG1〜G3の1つが下式(14d)で表される基であり、残りが下式(15)で表される基である化合物(14−11d)と;G1〜G3の2つが下式(14d)で表される基であり、残りが下式(15)で表される基である化合物と;G1〜G3がすべて下式(14d)で表される基である化合物と;G1〜G3がすべて下式(15)で表される基である化合物との混合物を得た。混合物としての数平均分子量(Mn)は1,600で、フッ素原子の割合は、17質量%であった。 CF3CF2CF2−O−CHFCF2−O−CH2−CF2O(CF2CF2O)n3CF2CH2O− ・・・(14d) 単位数n3の平均値:10。 CH2=CHC(=O)O−CH2CH2−O− ・・・(15)

化合物(14−11d)のNMRスペクトル; 1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム+R−113、基準:TMS) δ(ppm):1.19〜1.76、3.19、3.29、3.74、3.88、4.30、4.85〜5.28、5.84、6.15、6.45。 19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム+R−113、基準:CFCl3) δ(ppm):−55.7、−78.5、−80.6、−82.2、−86.8、−89.4、−91.0、−130.6、−145.0。

〔例16〕ハードコート層の形成例: 化合物(14−11a)のかわりに例15で得た化合物(14−11d)を使用した以外は例3と同様にして、ハードコート層形成用組成物(8)およびハードコート層を得た。 ハードコート層形成用組成物(8)の組成およびハードコート層の評価結果を表2に示す。

〔例17〕化合物(16−11a)の製造例: イソシアヌレート変性ヘキサメチレンジイソシアネートのかわりにビュレット変性ヘキサメチレンジイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体、旭化成ケミカルズ社製、製品名:DURANATE P301−70)1.25gを使用した以外は(例3)と同様にして、式(16)のG1〜G3の1つが式(14a)で表される基であり、残りが式(15)で表される基である化合物(16−11a)と;G1〜G3の2つが式(14d)で表される基であり、残りが式(15)で表される基である化合物と;G1〜G3がすべて式(14a)で表される基である化合物と;G1〜G3がすべて式(15)で表される基である化合物との混合物を得た。混合物としての数平均分子量(Mn)は2,000で、フッ素原子の割合は、24質量%であった。

化合物(15−11a)のNMRスペクトル; 1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム+R−113、基準:TMS) δ(ppm):1.19〜1.76、3.18〜3.89、4.30、4.85〜5.28、5.84、6.15、6.45。 19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム+R−113、基準:CFCl3) δ(ppm):−55.7、−78.5、−80.6、−82.2、−86.8、−89.4、−91.0、−130.6、−145.0。 3.9、4.2、5.9

〔例18〕ハードコート層の形成例: 化合物(14−11a)のかわりに例17で得た化合物(16−11a)を使用した以外は例3と同様にして、ハードコート層形成用組成物(9)およびハードコート層を得た。 ハードコート層形成用組成物(9)の組成およびハードコート層の評価結果を表2に示す。

〔例19〕化合物(C)の製造例: 例3に記載の方法にしたがって、式(13)のG1〜G3の1つが下式(14−2)で表される基であり、残りが式(15)で表される基である化合物(C)と;G1〜G3の2つが下式(14−2)で表される基であり、残りが式(15)で表される基である化合物と;G1〜G3がすべて下式(14−2)で表される基である化合物と;G1〜G3がすべて式(15)で表される基である化合物との混合物を合成した。混合物としての数平均分子量(Mn)は1,400で、フッ素原子の割合は、29質量%であった。 CF3CF2−O−(CF2CF2CF2O)n−CF2CF2CH2−O− ・・・(14−2)

〔例20〕ハードコート層の形成例: 化合物(14−11a)のかわりに例19で得た化合物(C)を使用した以外は例3と同様にして、ハードコート層形成用組成物(10)およびハードコート層を得た。 ハードコート層形成用組成物(10)の組成およびハードコート層の評価結果を表2に示す。

化合物(111−1)を用いて形成した例2のハードコート層、化合物(14−11a)を用いて形成した例4のハードコート層、化合物(14−11b)を用いて形成した例10のハードコート層、化合物(14−12b)を用いて形成した例12のハードコート層、化合物(14−11c)を用いて形成した例14のハードコート層、化合物(14−11d)を用いて形成した例16のハードコート層、および化合物(16−11a)を用いて形成した例18のハードコート層は、防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)に優れ、防汚性の指標となる水接触角およびオレイン酸接触角が高かった。また、例2、4、10、12、14、16および18のハードコート層形成用組成物は相溶性および貯蔵安定性に優れていた。また、例2、4、10、12、14、16および18のハードコート層は、動摩擦係数が小さく潤滑性に優れているとともに、外観、耐摩耗汚性にも優れていた。 これに対して、従来の含フッ素ポリマーを用いた例6のハードコート層は、水接触角およびオレイン酸接触角が低く、防汚性が不充分であった。また、動摩擦係数も非常に大きかった。例6のポリマーの相溶性およびハードコート層形成用組成物の貯蔵安定性が不充分であった。また、従来の化合物を用いた例8のハードコート層は、動摩擦係数が大きく、潤滑性が不充分であった。例8のハードコート層形成用組成物の貯蔵安定性が不充分であった。例20のハードコート層は、水接触角およびオレイン酸接触角は高いものの、耐摩耗性が不充分であった。例20のハードコート層形成用組成物の貯蔵安定性が不充分であった。

本発明の含フッ素化合物は、対象物(ハードコート層等)への優れた防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)および潤滑性の付与に好適に用いることができる。また、樹脂材料に混合して成形品に防汚性(油性インクはじき性、指紋汚れ除去性)および潤滑性を付与する用途、金型等の離型剤、ベアリング等の油漏れ防止、電子部品等を加工する際のプロセス溶液の付着防止、加工品の防湿等に用いることができる。 なお、2013年10月18日に出願された日本特許出願2013−217742号の明細書、特許請求の範囲および要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

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