Polyelectrolyte film

申请号 JP2011534407 申请日 2009-11-04 公开(公告)号 JP5542833B2 公开(公告)日 2014-07-09
申请人 エルジー・ケム・リミテッド; 发明人 チェ、ソン‐ホ; リー、ウォン‐ホ;
摘要
权利要求
  • マルチブロック共重合体であって、
    下記化学式1で表される多数の繰り返し単位を有する疎水ブロックと、及び 下記化学式2で表される多数の繰り返し単位を有する親水ブロックとを含むブランチされたものであり、
    前記親水ブロックの全体繰り返し単位数が100ないし350である、マルチブロック共重合体。
    [化学式1]
    [化学式2]
    [上記化学式1及び化学式2において、
    A、X、及びYは、それぞれ独立して、
    または
    であり、上記Rは、‐NO または‐CF であり、
    上記Zは、
    または
    であり、
    上記Qは、‐SO H、‐SO 、‐COOH、‐COO 、‐PO 、‐PO または‐PO 2− 2M であり、
    上記Mは、NaまたはKであり、
    上記Bは、
    または
    であ り、
    0<u/t<1であって、0<w/v<1であり、
    a、b、c、d、e、f、g、hはモル比であって、0.7<(e+1.5*g)/(f+h+g)≦0.95または0.7<(f+h+g)/(e+1.5*g)≦0.95であり、
    a+e+1.5(c+g)=f+h+b+d+c+gである。 ]
  • (S1) ビスフェノール系モノマーまたは芳香族ジハロゲン系モノマーと;酸置換体を有するフェノール系モノマー、酸置換体を有するビスフェノール系モノマーまたは酸置換体を有する芳香族ジハロゲン系モノマーと;及びブランチャーを有機溶媒に溶解させた後、重合してブランチされた親水ブロックを製造するステップと;及び(S2) 前記(S1)ステップで製造されたブランチされた親水ブロック、ビスフェノール系モノマー、芳香族ジハロゲン系モノマー、及びブランチャーを有機溶媒に溶解させた後、重合してブランチされた疎水ブロックを製造すると同時にブランチされたマルチブロック共重合体を製造するステップを含んでなり、
    前記親水ブロックの製造ステップ(S1)において、芳香族ジハロゲン系モノマーとフェノール系またはビスフェノール系モノマーとが反応するようにモノマーが選択され、前記モノマーとブランチャーとを含めて、全体ヒドロキシ基の当量が全体ハロゲン基当量対比70/100超過ないし95/100以下であるか、全体ハロゲン基の当量が全体ヒドロキシ基当量対比70/100超過ないし95/100以下であり、
    前記(S1)及び(S2)ステップの全体において、モノマーとブランチャーの、ヒドロキシ基の全体当量とハロゲン基の全体当量とは同一であることを特徴とする、請求項1に記載のブランチされたマルチブロック共重合体の製造方法。
  • (S1) ビスフェノール系モノマー、芳香族ジハロゲン系モノマー、及びブランチャーを有機溶媒に溶解させた後、重合してブランチされた疎水ブロックを製造するステップと;及び(S2) 前記(S1)ステップで製造されたブランチされた疎水ブロックと、ビスフェノール系モノマーまたは芳香族ジハロゲン系モノマーと;酸置換体を有するフェノール系モノマー、酸置換体を有するビスフェノール系モノマーまたは酸置換体を有する芳香族ジハロゲン系モノマーと;及びブランチャーを有機溶媒に溶解させた後、重合してブランチされた親水ブロックを製造すると同時にブランチされたマルチブロック共重合体を製造するステップを含んでなり、
    前記親水ブロックの製造ステップ(S2)において、芳香族ジハロゲン系モノマーとフェノール系またはビスフェノール系モノマーとが反応するようにモノマーが選択され、前記モノマーとブランチャーとを含めて、全体ヒドロキシ基の当量が全体ハロゲン基当量対比70/100超過ないし95/100以下であるか、全体ハロゲン基の当量が全体ヒドロキシ基当量対比70/100超過ないし95/100以下であり、
    前記(S1)及び(S2)ステップの全体において、モノマーとブランチャーの、ヒドロキシ基の全体当量とハロゲン基の全体当量とは同一であることを特徴とする、請求項1に記載のブランチされたマルチブロック共重合体の製造方法。
  • 前記芳香族ジハロゲン系モノマーが、4,4´‐ジフルオロベンゾフェノン、ビス(4‐フルオロフェニル)スルホン及び2,2‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンからなる群より選択される何れか一つまたは2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項2又は3に記載のブランチされたマルチブロック共重合体の製造方法。
  • 酸置換体を有するフェノール系モノマー、酸置換体を有するビスフェノール系モノマーまたは酸置換体を有する芳香族ジハロゲン系モノマーが、ヒドロキノンスルホン酸カリウム塩、2,7‐ジヒドロキシナフタレン‐3,6‐ジスルホン酸ジナトリウム塩、1,7‐ジヒドロキシナフタレン‐3‐スルホン酸モノナトリウム塩、2,3‐ジヒドロキシナフタレン‐6‐スルホン酸モノナトリウム塩、カリウム5,5´‐カルボニルビス(2‐フルオロベンゼンスルホネート)及びカリウム2,2´‐[9,9‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)フルオレン]スルホネートからなる群より選択される何れか一つまたは2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項2または3に記載のブランチされたマルチブロック共重合体の製造方法。
  • 前記ブランチャーが、[3,5‐ビス(4‐フルオロベンゾイル)フェニル](4‐フルオロフェニル)メタノン、[3,5‐ビス(4‐フルオロスルホニル)フェニル](4‐フルオロフェニル)メタノン、(3,5‐ジフルオロ‐4´‐フルオロベンゾフェノン)及び(3,5‐ジフルオロ‐4´‐フルオロフェニル)スルホンからなる群より選択される何れか一つまたは2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項2または3に記載のブランチされたマルチブロック共重合体の製造方法。
  • 前記ビスフェノール系モノマーが、4,4´‐ビフェノール、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)フルオレンまたはこれらの混合物であることを特徴とする、請求項2または3に記載のブランチされたマルチブロック共重合体の製造方法。
  • 前記(S1)ステップ、(S2)ステップまたは重合ステップの全体において、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム及び炭酸バリウムからなる群より選択される何れか一つまたは2種以上の混合物である炭酸塩触媒を使用することを特徴とする、請求項2または3に記載のブランチされたマルチブロック共重合体の製造方法。
  • 前記有機溶媒が、N,N´‐ジメチルアセトアミド、N‐メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド及びN,N‐ジメチルホルムアミドからなる群より選択される何れか一つまたは2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項2または3に記載のブランチされたマルチブロック共重合体の製造方法。
  • 前記ブランチされた親水ブロックの重量平均分子量は、30,000ないし150,000であることを特徴とする、請求項2または3に記載のブランチされたマルチブロック共重合体の製造方法。
  • Qが‐SO 、‐COO 、‐PO または‐PO 2− 2M であり、MがNaまたはKである請求項1に記載のブランチされたマルチブロック共重合体に酸溶液を加えて酸の塩を酸に置換するステップを含むことを特徴とする、酸処理された、ブランチされたマルチブロック共重合体の製造方法。
  • 前記酸溶液が、0.5ないし10Mの濃度を有することを特徴とする、請求項11に記載の、酸処理された、ブランチされたマルチブロック共重合体の製造方法。
  • 請求項11または12に記載の酸処理された、ブランチされたマルチブロック共重合体から製造されることを特徴とする、 解質膜。
  • 請求項13に記載の 解質膜を備えてなることを特徴とする、燃料電池。
  • 说明书全文

    本発明は、マルチブロック共重合体及びその製造方法、並びにそれから製造される電解質膜に関する。 さらに詳しくは、分散型電源用発電所、熱併合発電所、無公害自動車電源、産業用電源、家庭用電源、移動機器用電源などに使われ得る燃料電池の電解質膜として使用することができるブランチされたマルチブロック共重合体及びその製造方法、並びにそれから製造される電解質膜、そして上記電解質膜が適用された燃料電池に関する。

    最近、石油や石炭のような既存のエネルギー資源の枯渇が予測されるにつれて、これらに代替可能なエネルギーに対する関心が高まっている。 このような代替エネルギーの一つとして、高効率であってNO 及びSO などの公害物質を排出せず、使われる燃料が豊富であるなどの長所から燃料電池が特に注目されている。

    燃料電池は、燃料と酸化剤との化学反応エネルギーを電気エネルギーに変換する発電システムであって、燃料としては素と、メタノール、ブタンなどのような炭化水素が、酸化剤としては酸素が代表的に使用される。

    燃料電池において、電気を発生させる最も基本的な単位は膜電極接合体(MEA)であって、これは電解質膜、電解質膜の両面に形成されるアノード及びカソード電極から構成される。 燃料電池の電気発生原理を表した反応式1(水素を燃料として使用した場合の燃料電池の反応式)を参照すれば、アノード電極では燃料の酸化反応が起きて水素イオン及び電子が発生し、水素イオンは電解質膜を通してカソード電極に移動し、カソード電極では酸素(酸化剤)と電解質膜を通して伝達された水素イオン及び電子とが反応して水が生成される。 このような反応によって外部回路に電子の移動が発生することになる。

    [反応式1]
    アノード電極:H → 2H + 2e
    カソード電極:1/2O + 2H + 2e− → H
    全体反応式:H + 1/2O → H

    燃料電池の中で高分子電解質燃料電池(PEMFC)は、エネルギー効率が高くて電流密度及び出密度が大きく、駆動時間が短いと同時に負荷変化に対する応答特性が速い特性を有している。 高分子電解質燃料電池で使われる電解質膜は、高い水素イオン伝導度と化学的安定性、作動温度での熱的安定性、低い気体透過度、特にセパレーターとしての優れた機械的強度などの特徴を有するべきである。 このような条件を満たす膜が開発されても、これを商用化するためには価格競争が可能であり、環境にやさしい製造技術が必要である。 デュポン(Du Pont)のNafionやDow Membrane、旭化成ケミカルズ株式会社のAciplexなどのフッ素系膜は、低湿、高温工程で水素イオン伝導度の減少、高い生産コストなどの短所がある。 したがって、耐熱性高分子を基本骨格にし、これに極性基を導入して高分子電解質としての機能を付与した非フッ素系高分子の研究も活発であり、これらの中で芳香族誘導体及びエーテル結合を有する構造のポリ(アリーレンエーテル)(poly(arylene ether))系高分子は、耐熱性及び耐化学性だけでなく、機械的強度、耐久性などに優れると同時に製造コストが安価である特徴がある。

    しかし、燃料電池の高分子電解質膜は多量の水が発生する燃料電池の特性上、寸法安定性も非常に重要な特性であるにもかかわらず、このような寸法安定性の問題を有効に解決した非フッ素系高分子電解質膜に対しては未だに知られていない。

    したがって、本発明が解決しようとする課題は、燃料電池の電解質膜として使われ得、機械的強度や化学的安定性に優れながらも寸法安定性が改善したマルチブロック共重合体及びその製造方法、並びにそれから製造される電解質膜を提供することである。

    上記課題を解決するために、本発明のブランチされたマルチブロック共重合体は、下記化学式1で表される多数の繰り返し単位を有する疎水ブロック;及び下記化学式2で表される多数の繰り返し単位を有する親水ブロックを含んでなる。

    化学式1

    化学式2


    [上記化学式1及び化学式2において、


    A、X、及びYは、それぞれ独立して、


    または


    であり、上記Rは、‐NO

    または‐CF

    であり、


    上記Zは、


    または


    であり、上記Qは、‐SO

    H、‐SO

    、‐COOH、‐COO

    、‐PO

    、‐PO

    または‐PO

    2− 2M

    であり、望ましくは、‐SO

    Hまたは‐SO

    であり、上記Mは、NaまたはKであり、


    上記Bは、


    または


    であ

    り、


    0<u/t<1であって、0<w/v<1であり、


    a、b、c、d、e、f、g、hはモル比であって、0.7<(e+1.5*g)/(f+h+g)≦0.95または0.7<(f+h+g)/(e+1.5*g)≦0.95であり、


    a+e+1.5(c+g)=f+h+b+d+c+gである。 ]

    望ましくは、上記疎水ブロックの全体繰り返し単位数(repeating unit number)は約45ないし165であり、上記親水ブロックの全体繰り返し単位数は約100ないし350であり得るが、これに限定されるのではない。

    また、上記課題を解決するために、本発明の一側面では、(S1)ビスフェノール系モノマーまたは芳香族ジハロゲン系モノマー;酸置換体を有するフェノール系モノマー、酸置換体を有するビスフェノール系モノマーまたは酸置換体を有する芳香族ジハロゲン系モノマー;及びブランチャー(brancher)を有機溶媒に溶解させた後、重合してブランチされた親水ブロックを製造するステップ;及び (S2)上記(S1)ステップで製造されたブランチされた親水ブロック、ビスフェノール系モノマー、芳香族ジハロゲン系モノマー、及びブランチャーを有機溶媒に溶解させた後、重合してブランチされた疎水ブロックを製造すると同時にブランチされたマルチブロック共重合体を製造するステップを含むブランチされたマルチブロック共重合体の製造方法を提供する。

    また、上記課題を解決するために、本発明の他の側面では、(S1)ビスフェノール系モノマー、芳香族ジハロゲン系モノマー、及びブランチャーを有機溶媒に溶解させた後、重合してブランチされた疎水ブロックを製造するステップ;及び(S2)上記(S1)ステップで製造されたブランチされた疎水ブロックと、ビスフェノール系モノマーまたは芳香族ジハロゲン系モノマー;酸置換体を有するフェノール系モノマー、酸置換体を有するビスフェノール系モノマーまたは酸置換体を有する芳香族ジハロゲン系モノマー;及びブランチャーを有機溶媒に溶解させた後、重合してブランチされた親水ブロックを製造すると同時にブランチされたマルチブロック共重合体を製造するステップを含むブランチされたマルチブロック共重合体の製造方法を提供する。

    上記本発明の製造方法は、親水ブロックの製造ステップにおいて、ジハロゲン系モノマーとフェノール系またはビスフェノール系モノマーとが反応するようにモノマーが選択され、上記モノマーとブランチャーを含めて、全体ヒドロキシ基の当量が全体ハロゲン基当量対比70/100超過ないし95/100以下であるか、全体ハロゲン基の当量が全体ヒドロキシ基当量対比70/100超過ないし95/100以下であり、上記(S1)及び(S2)ステップの全体において、モノマーとブランチャーの、ヒドロキシ基の全体当量とハロゲン基の全体当量とは同一であることを特徴とする。

    また、本発明は、上記ブランチされたマルチブロック共重合体に酸溶液を加えてスルホン酸塩をスルホン酸に置換するステップをさらに含むことを特徴とする酸処理された、ブランチされたマルチブロック共重合体の製造方法を提供する。 このように製造された酸処理された、ブランチされたマルチブロック共重合体は、高分子電解質膜及び燃料電池の製造に使われ得る。

    本明細書に添付される下記の図面は本発明の望ましい実施例を例示するものであって、発明の詳細な説明とともに本発明の技術思想をさらに理解させる役割を果たすものであるため、本発明はそのような図面に記載された事項にのみ限定されて解釈されてはいけない。

    本発明による実施例1〜2及び比較例1の電解質膜の水分吸収率及びスウェリング比を測定した結果を示すグラフである。

    本発明による実施例1及び実施例2の電気的性能を測定した結果を示すグラフである。

    本発明による実施例1〜3及び比較例1の親水ブロックの分子量を測定した結果を示すグラフである。

    以下、本発明に対して詳しく説明する。 本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはいけず、発明者は自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に則して、本発明の技術的思想に符合する意味と概念とに解釈されなければならない。

    本発明のブランチされたマルチブロック共重合体は、上記化学式1で表される多数の繰り返し単位を有する疎水ブロック;及び上記化学式2で表される多数の繰り返し単位を有する親水ブロックを含むことを特徴とする。

    本発明のブランチされたマルチブロック共重合体は、酸置換体(acid substituents)を含まないブランチされた疎水ブロック(branched hydrophobic block)と酸置換体を含むブランチされた親水ブロック(branched hydrophilic block)とを重合することで、後処理スルホン化反応(post‐sulfonation)やスルホン化された重合体(sulfonated polymer)の架橋反応(cross‐linking)を行わずに、ブランチャー(brancher)が共重合体の主鎖を直接構成し、薄膜の機械的集積度を維持させる疎水ブロックと薄膜にイオン伝導性を付与する親水ブロックとが交互に化学的結合で繋がることになる。

    すなわち、本発明に従って製造される疎水ブロックは、下記化学式3で表すことができる。

    化学式3

    また、本発明に従って製造される親水ブロックは、下記化学式4で表すことができる。

    化学式4

    上記化学式3及び化学式4において、
    A、X、及びYは、それぞれ独立して、

    または


    であり、上記Rは、‐NO

    または‐CF

    であり、


    Zは、


    または


    であり、上記Qは、‐SO

    H、‐SO

    、‐COOH、‐COO

    、‐PO

    、‐PO

    または‐PO

    2− 2M

    であり、望ましくは、‐SO

    Hまたは‐SO

    であり、上記Mは、NaまたはKであり、


    Bは、ブランチャーであって、


    または


    であり、


    GはXであって、G´はZであり、


    Kは、F、Cl、Br、I、NO

    、OHであり、


    0<u/t<1であって、0<w/v<1であり、


    a、b、c、d、e、f、g、hはモル比であって、0.7<(e+1.5*g)/(f+h)≦0.95または0.7<(f+h)/(e+1.5*g)≦0.95であり、a+e+1.5(c+g)=f+h+b+dである。

    上記疎水ブロックの全体繰り返し単位数は約45ないし165であり、上記親水ブロックの全体繰り返し単位数は約100ないし350であり得るが、これに限定されるのではない。

    本発明の発明者らはブランチされたマルチブロック共重合体に関する研究を通じて韓国登録特許第657740号のような結果を公開したことがある。 多数の親水ブロックと多数の疎水ブロックとを備えるマルチブロック共重合体で膜を形成する場合には、親水ブロック間及び疎水ブロック間の相互作用によって固有のモルホロジーを形成することになり、特に親水ブロック間の引力によって親水ブロックが接することになれば、プロトンが伝導され得るチャンネルが形成されるようになって燃料電池の電解質膜として使用することができる。

    しかし、本発明の発明者らは、従来の燃料電池用電解質膜はイオン伝導度以外に寸法安定性にも問題があることを見出し、イオン伝導度が低下しないながらも寸法安定性に優れた電解質膜を開発するために多くの研究を重ねた結果、その解決策として本発明を開示するに至った。

    具体的には、ブランチされたマルチブロック共重合体の親水ブロックまたは疎水ブロックは、ブランチャーを含めてヒドロキシ基を有するフェノール系またはビスフェノール系モノマーとハロゲン基を有する芳香族ジハロゲン系モノマーが反応して形成される。 ところが、従来にはモノマー及びブランチャーの反応当量比に対する特別な考慮はなかった。

    しかし、本発明のブランチされたマルチブロック共重合体において、親水ブロックまたは疎水ブロックは全体的にヒドロキシ基を有するモノマー(及びブランチャー)から形成される繰り返し単位と、ハロゲン基を有するモノマー(及びブランチャー)から形成される繰り返し単位のモル比が前述した特定範囲の値を有することが特徴である。

    すなわち、本発明のように、ヒドロキシ基を有するモノマーとハロゲン基を有するモノマーとの当量比が1:1にならなければ、鎖の成長が十分なされないので、製造される親水ブロックの長さが相対的に短くなる。 親水ブロックの長さが短くなるということは、本発明のマルチブロック共重合体は従来の共重合体と分子量は大きい差がないが、個別的な親水ブロック単位体の分子量は従来より小さくなることから確認できる。

    本発明の発明者らは、親水ブロックを形成する繰り返し単位が前述した特定のモル比を有するように親水ブロックを形成したとき、親水ブロックが所定長さを有することになりこれに対応する固有のモルホロジーを形成して、水分吸収率及びスウェリング比が顕著に低くなって、寸法安定性は向上しながらもイオン伝導度は低下せず優秀に維持できることを見出した。

    また、後述する本発明のマルチブロック共重合体の製造方法によれば、疎水ブロックの製造の際、親水ブロックの製造を含めて共重合体製造反応式全体の観点から、反応物(モノマー及びブランチャーのヒドロキシ基とハロゲン基)の当量が1:1になるようにモノマーを使用すれば、本発明のブランチされたマルチブロック共重合体は従来の共重合体と全体分子量には大きい差がなく、共重合体そのものの機械的物性が低下することも防止することができる。

    以下、本発明の製造方法の一具現例を詳しく説明する。

    まず、ビスフェノール系モノマーまたは芳香族ジハロゲン系モノマー;酸置換体を有するフェノール系モノマー、酸置換体を有するビスフェノール系モノマーまたは酸置換体を有する芳香族ジハロゲン系モノマー;及びブランチャーを有機溶媒に溶解させた後、重合してブランチされた親水ブロックを製造する(S1)。

    本発明によるブランチされた親水ブロックまたは疎水ブロックは、酸置換体を有さないモノマーと酸置換体を有するモノマーとが反応して形成され、そのうち一つがジハロゲン系であれば他の一つはフェノール系またはビスフェノール系モノマーが選択され、上記モノマーとブランチャーを含めて、全体ヒドロキシ基の当量が全体ハロゲン基当量対比70/100超過ないし95/100以下であるか、全体ハロゲン基の当量が全体ヒドロキシ基当量対比70/100超過ないし95/100以下である。

    上記モノマーの中でより少なく添加されるモノマーの当量比が70/100以下であれば、親水ブロックの鎖の長さが非常に短くなるので製造される電解質膜のイオン伝導度がランダム高分子に類似したレベルに低下し、95/100超過であれば、製造される電解質膜の水分吸収率が高過ぎるので寸法安定性が低下する。

    このように製造された親水ブロックの重量平均分子量は使用されるモノマーによって多様な範囲を有し得、例えば、30,000ないし150,000であり得るが、これは例示に過ぎず、本発明がこれに限定されるのではない。

    本発明において、上記ビスフェノール系モノマーは、例えば、4,4´‐ビフェノール(4、4‐biphenol)、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)フルオレン(9,9‐bis(4‐hydroxyphenyl)fluorene)などをそれぞれ単独でまたは混合して使用することができるが、これに限定されるのではない。

    本発明において、上記芳香族ジハロゲン系モノマーは、例えば、4,4´‐ジフルオロベンゾフェノン(4,4´‐difluorobenzophenone)、ビス(4‐フルオロフェニル)スルホン(bis(4‐fluorophenyl)sulfone)または2,2‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(2,2‐bis(4‐hydroxyphenyl)hexafluoropropane)などをそれぞれ単独でまたは2種以上混合して使用することができるが、これに限定されるのではない。

    本発明で使われ得る酸置換体を有するフェノール系モノマー、酸置換体を有するビスフェノール系モノマーまたは酸置換体を有する芳香族ジハロゲン系モノマーは、フェニル環に一つ以上の酸置換体を有するフェノール系モノマー、フェニル環に一つ以上の酸置換体を有するビスフェノール系モノマーまたはフェニル環に一つ以上の酸置換体を有する芳香族ジハロゲン系モノマーであって、例えば、ヒドロキノンスルホン酸カリウム塩(hydroquinonesulfonic acid potassium salt)、2,7‐ジヒドロキシナフタレン‐3,6‐ジスルホン酸ジナトリウム塩(2,7‐dihydroxynaphthalene‐3,6‐disulfonic acid disodium salt)、1,7‐ジヒドロキシナフタレン‐3‐スルホン酸モノナトリウム塩(1,7‐dihydroxynaphthalene‐3‐sulfonic acid monosodium salt)、2,3‐ジヒドロキシナフタレン‐6‐スルホン酸モノナトリウム塩(2,3‐dihydroxynaphthalene‐6‐sulfonic acid monosodium salt)、カリウム5,5´‐カルボニルビス(2‐フルオロベンゼンスルホネート)(potassium 5,5´‐carbonylbis(2‐fluorobenzene sulfonate))、またはカリウム2,2´‐[9,9‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)フルオレン]スルホネート(potassium 2,2´‐[9,9‐bis(4‐hydroxyphenyl)fluorene]sulfonate)などをそれぞれ単独でまたは2種以上混合して使用することができるが、これに限定されるのではない。 酸置換体としては、スルホン酸、スルホン酸塩、炭酸、炭酸塩、リン酸またはリン酸塩などが使われ得、望ましくはスルホン酸またはスルホン酸塩を使用することができる。

    この中で、カリウム5,5´‐カルボニルビス(2‐フルオロベンゼンスルホネート)は、4,4´‐ジフルオロベンゾフェノン及び4,4´‐ジフルオロジフェニルスルホンを発煙硫酸(fuming sulfuric acid)で直ちにスルホン化して製造することができ、カリウム2,2´‐[9,9‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)フルオレン]スルホネートは、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)フルオレンをクロロ硫酸(ClSO H)で直ちにスルホン化して製造することができる。

    本発明で使われ得るブランチャーは、マルチブロック共重合体の主鎖を直接構成し、例えば、[3,5‐ビス(4‐フルオロベンゾイル)フェニル](4‐フルオロフェニル)メタノン(3,5‐bis(4‐fluorobenzoyl)phenyl](4‐fluorophenyl)methanone)、[3,5‐ビス(4‐フルオロスルホニル)フェニル](4‐フルオロフェニル)メタノン([3,5‐bis(4‐fluorosulfonyl)phenyl](4‐fluorophenyl)methanone)、(3,5‐ジフルオロ‐4´‐フルオロベンゾフェノン)(3,5‐difluoro‐4´‐fluorobenzophenone)、または(3,5‐ジフルオロ‐4´‐フルオロフェニル)スルホン((3,5‐difluoro‐4´‐fluorophenyl)sulfone)などをそれぞれ単独でまたは2種以上混合して使用することができるが、これに限定されるのではない。 この中で上記[3,5‐ビス(4‐フルオロベンゾイル)フェニル](4‐フルオロフェニル)メタノンは、1,3,5‐ベンゼントリカルボニルトリクロライド(1,3,5‐benzenetricarbonyltrichloride)、アルミニウムクロライド(aluminumchloride)、及びフルオロベンゼン(fluorobenzene)をフリーデル‐クラフツ反応(friedel‐crafts reaction)して製造することができ、この他に、他の構造のブランチャーも類似したフリーデル‐クラフツ反応によって製造することができる。

    本発明で親水ブロック及び/または疎水ブロックの重合に使われ得る有機溶媒は、反応物と生成物とをよく溶解させるものであれば制限されないが、特にN,N´‐ジメチルアセトアミド(N,N‐dimethylacetamide、DMAc)、N‐メチルピロリドン(N‐methyl pyrrolidone、NMP)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)、またはN,N‐ジメチルホルムアミド(N,N‐dimethylformamide、DMF)などをそれぞれ単独でまたは2種以上混合して使用することができるが、これに限定されるのではない。

    本発明で親水ブロック及び/または疎水ブロックを得るためのモノマーの重合には、当分野で使われる触媒を使用することができる。 通常炭酸塩触媒が使われているが、本発明がこれに限定されるのではない。 炭酸塩触媒としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどをそれぞれ単独でまたは2種以上混合して使用することができるが、これに限定されるのではない。

    上記のように、ブランチされた親水ブロックを製造するための各成分が用意されれば、モノマーと触媒とを有機溶媒に溶解させた後、140〜150℃で3〜5時間に亘って撹拌し、混合物から水を除去する。 水は共沸混合物として除去され得、この場合ベンゼンやトルエンが水との共沸混合物として使われ得る。 共沸混合物を除去するために通常のディーン‐スタークトラップ(dean‐stark trap)を使用することができる。 共沸混合物が除去されれば反応温度を昇温させ、上述のように170〜190℃で6〜24時間に亘って撹拌して重合反応を行えば親水ブロックを得ることができる。

    次いで、上記(S1)ステップで製造されたブランチされた親水ブロック、ビスフェノール系モノマー、芳香族ジハロゲン系モノマー、及びブランチャーを有機溶媒に溶解させた後、重合して疎水ブロックを製造すると同時にブランチされたマルチブロック共重合体を製造する(S2)。

    上記化学式3で表されるブランチされた疎水ブロックの末端基(K)と上記化学式4で表されるブランチされた親水ブロックの末端基(K)とは互いに相互結合反応(coupling reaction)が可能であり、上記相互結合反応を通じて疎水ブロックと親水ブロックとが交互に化学的に結合された最終ブランチされたマルチブロック共重合体を製造することができる。 上述のように、本発明によるブランチされたマルチブロック共重合体を得るための親水ブロックと疎水ブロックとの相互結合反応は、疎水ブロックの製造と同時に行われ得る。

    本発明による疎水ブロックの前述したモノマーの当量は、ブランチされたマルチブロック共重合体全体の適切なイオン交換容量(IEC)及び上記先に製造された親水ブロックを考慮して決定することができる。 但し、上述のように、共重合体製造反応式全体の観点から、反応物(モノマー及びブランチャーのヒドロキシ基とハロゲン基)の当量が1:1になるようにモノマーを添加する。

    疎水ブロック形成用モノマーが用意されれば、上記親水ブロック製造方法と同一の範囲の反応条件及び反応過程で疎水ブロック及び本発明によるブランチされたマルチブロック共重合体が製造可能である。 例えば、上記親水ブロック重合反応終了後得られた結果物を希釈、濾過及び洗浄して親水ブロックを分離し、上記疎水ブロック重合用モノマーと別途で混合して重合させるか、上記親水ブロックが形成されたフラスコを50〜70℃に降温させた後、そこに上記疎水ブロック重合用モノマーをさらに添加して重合反応を行うことができる。

    親水ブロック、疎水ブロック形成用モノマー及び触媒を有機溶媒に溶解させた後、140〜150℃で3〜5時間に亘って撹拌し、混合物から水を除去する。 水は共沸混合物として除去され得、この場合ベンゼンやトルエンが水との共沸混合物として使われ得る。 共沸混合物を除去するために通常のディーン‐スタークトラップを使用することができる。 共沸混合物が除去されれば、反応温度を昇温させ、上述のように170〜190℃で6〜24時間に亘って撹拌して重合反応を行うことができる。

    重合反応が終了すれば、蒸留水、メタノールまたはアセトンに直接添加させるか、反応生成物に蒸留水、メタノールまたはアセトンを添加して希釈させ、濾過して反応生成物にある塩(salt)を除去した後、重合体スラリーを得る。 その後、上記スラリーを濾過して熱い蒸留水(〜80℃)及び/またはメタノールでpHが中性になるまで数回洗浄及び濾過することで、ブランチされたマルチブロック共重合体を得ることができる。 本発明によるマルチブロック共重合体の重量平均分子量は200,000ないし2,000,000であり得るが、これに限定されるのではない。

    本発明の他の具現例において、(S1)ビスフェノール系モノマー、芳香族ジハロゲン系モノマー、及びブランチャーを有機溶媒に溶解させた後、重合してブランチされた疎水ブロックを製造するステップ;及び(S2)上記(S1)ステップで製造されたブランチされた疎水ブロックと、ビスフェノール系モノマーまたは芳香族ジハロゲン系モノマー;酸置換体を有するフェノール系モノマー、酸置換体を有するビスフェノール系モノマーまたは酸置換体を有する芳香族ジハロゲン系モノマー;及びブランチャーを有機溶媒に溶解させた後、重合してブランチされた親水ブロックを製造すると同時にブランチされたマルチブロック共重合体を製造するステップを含むブランチされたマルチブロック共重合体の製造方法を提供する。 本具現例は、前述した本発明の製造方法で親水ブロックと疎水ブロックの製造順序を変えたことを除いては、モノマー及びブランチャーの具体的な種類、反応条件などは全て同一である。 特に、モノマー及びブランチャーの当量比においては、以後製造される親水ブロックが本発明の特定範囲のモル比を有する繰り返し単位で形成されることを考慮して決定される。 但し、前述のように、共重合体製造反応式全体の観点から、反応物(モノマー及びブランチャーのヒドロキシ基とハロゲン基)の当量が1:1になるようにモノマーを添加する。

    また本発明は、Qが‐SO 、‐COO 、‐PO または‐PO 2− 2M である上記化学式1で表される繰り返し単位からなるブランチされたマルチブロック共重合体に酸溶液を加えて酸の塩を酸に置換して製造されることを特徴とする酸処理された、ブランチされたマルチブロック共重合体を提供する。

    すなわち、上記製造されたブランチされたマルチブロック共重合体は、Qが‐SO 、‐COO 、‐PO または‐PO 2− 2M であるとき、酸の塩を含むので酸の塩形態の共重合体に塩酸または硫酸溶液を加えて酸の塩を酸に置換させた後、高分子電解質膜として製造することができる。 このとき、上記酸溶液は、ブランチされたマルチブロック共重合体に0.5ないし10Mの濃度で加え、1ないし24時間に亘って処理することが望ましい。

    上記酸処理された、ブランチされたマルチブロック共重合体からマルチブロック共重合体電解質膜を製造することができるが、製造方法は当分野で通常使われる方法を適用することができる。 一例として、キャスティング法を説明すれば、下記のようである。 上記酸処理された、ブランチされたマルチブロック共重合体を通常の有機溶媒に添加した後、フィルムアプリケーターを使用して数十〜数百μm厚さで基板上に塗布する。 この後、乾燥ステップを経れば電解質膜を得ることができる。 乾燥方法の例としては、80℃まで徐々に昇温させた後約24時間に亘って乾燥させ、さらに120℃で約24時間に亘って乾燥させる方法を採択することができる。

    このように製造された本発明の電解質膜は燃料電池の製造に使われ得る。 本発明によって提供される燃料電池は、上記電解質膜の両方に電極が付着された膜電極接合体が分離板を境界にして多数積層されて形成されたスタック;上記スタックに燃料を供給する燃料供給部;及び上記スタックに酸化剤を供給する酸化剤供給部を備えることができ、その製造方法は当分野で通常の方法を採択することができる。

    以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳しく説明する。 しかし、本発明による実施例は多くの形態に変形でき、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはいけない。 本発明の実施例は、当業界において通常の知識を持つ者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。

    実施例1
    <親水ブロックの製造>
    ディーン‐スタークトラップと凝縮機とが連結された1L反応器に、ヒドロキノンスルホン酸カリウム塩0.95当量、4,4´‐ジフルオロベンゾフェノン0.97当量、[3,5‐ビス(4‐フルオロベンゾイル)フェニル](4‐フルオロフェニル)メタノン0.02当量(実際の反応当量は0.03(0.02*1.5))を入れジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)とベンゼンとを溶媒として添加し、炭酸カリウムを触媒として使用して窒素雰囲気で反応を開始した。 その後、上記反応物をオイルバス(oil bath)で140℃の温度で4時間に亘って撹拌して、ベンゼンが蒸留されながらディーン‐スタークトラップの分子篩(molecular sieves)に共沸混合物として水を除去した後、反応温度を180℃に昇温させ20時間に亘って縮重合反応させた。

    <疎水ブロック及びブランチされたマルチブロック共重合体の製造>
    上記反応の終了後、上記反応物の温度を60℃に降温させた後、上記反応器に4,4´‐ジフルオロベンゾフェノン0.29当量、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)フルオレン0.3475当量、[3,5‐ビス(4‐フルオロベンゾイル)フェニル](4‐フルオロフェニル)メタノン0.005当量(実際の反応当量は0.0075(0.005*1.5))を入れ、ジメチルスルホキシドとベンゼンとを溶媒として添加し、炭酸カリウムを触媒として使用して窒素雰囲気で反応を再開始した。 その後、上記反応物をさらにオイルバスで140℃の温度で4時間に亘って撹拌して、ベンゼンを蒸留しながらディーン‐スタークトラップの分子篩を用いて共沸混合物としての水を除去した後、反応温度を180℃に昇温させ20時間に亘って縮重合反応させた。

    それから、反応物の温度を室温に降温させDMSOをさらに加えて生成物を希釈させた後、希釈された生成物を過量のメタノールに加えて溶媒から共重合体を分離した。 その後、水を利用して過量の炭酸カリウムを除去した後、濾過して得られた共重合体を80℃の真空オーブンで12時間以上乾燥して、疎水ブロックと親水ブロックとが交互に化学結合で繋がった、ブランチされたマルチブロック共重合体を製造した。 このとき、親水ブロックの繰り返し単位数(n)の値は、少量のブランチャーを除いて計算すれば、約340であった。

    実施例2
    親水ブロックの製造の際、ヒドロキノンスルホン酸カリウム塩0.9当量、4,4´‐ジフルオロベンゾフェノン0.97当量と[3,5‐ビス(4‐フルオロベンゾイル)フェニル](4‐フルオロフェニル)メタノン0.02当量(実際の反応当量は0.03)を使用したことと、疎水ブロックの製造の際、4,4´‐ジフルオロベンゾフェノン0.2275当量、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)フルオレン0.335当量、[3,5‐ビス(4‐フルオロベンゾイル)フェニル](4‐フルオロフェニル)メタノン0.005当量(実際の反応当量は0.0075)を使用したことを除いては、上記実施例1と同一の方法でブランチされたマルチブロック共重合体を製造した。 このとき、親水ブロックの繰り返し単位数(n)の値は、少量のブランチャーを除いて計算すれば、約200であった。

    実施例3
    親水ブロックの製造の際、ヒドロキノンスルホン酸カリウム塩0.85当量、4,4´‐ジフルオロベンゾフェノン0.97当量と[3,5‐ビス(4‐フルオロベンゾイル)フェニル](4‐フルオロフェニル)メタノン0.02当量(実際の反応当量は0.03)を使用したことと、疎水ブロックの製造の際、4,4´‐ジフルオロベンゾフェノン0.15当量、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)フルオレン0.3075当量、[3,5‐ビス(4‐フルオロベンゾイル)フェニル](4‐フルオロフェニル)メタノン0.005当量(実際の反応当量は0.0075)を使用したことを除いては、上記実施例1と同一の方法でブランチされたマルチブロック共重合体を製造した。 このとき、親水ブロックの繰り返し単位数(n)の値は、少量のブランチャーを除いて計算すれば、約100であった。

    比較例1
    親水ブロックの製造の際、ヒドロキノンスルホン酸カリウム塩1当量、4,4´‐ジフルオロベンゾフェノン0.97当量と3,5‐ビス(4‐フルオロベンゾイル)フェニル](4‐フルオロフェニル)メタノン0.02当量(実際の反応当量は0.03)を使用したことと、疎水ブロックの製造の際、4,4´‐ジフルオロベンゾフェノン0.35当量、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)フルオレン0.3575当量、3,5‐ビス(4‐フルオロベンゾイル)フェニル](4‐フルオロフェニル)メタノン0.005当量(実際の反応当量は0.0075)を使用したことを除いては、上記実施例1と同一の方法でブランチされたマルチブロック共重合体を製造した。 このとき、親水ブロックの繰り返し単位数(n)の値は、少量のブランチャーを除いて計算すれば、約440であった。

    比較例2
    親水ブロックの製造の際、ヒドロキノンスルホン酸カリウム塩0.7当量、4,4´‐ジフルオロベンゾフェノン0.97当量と3,5‐ビス(4‐フルオロベンゾイル)フェニル](4‐フルオロフェニル)メタノン0.02当量(実際の反応当量は0.03)を使用したことと、疎水ブロックの製造の際、4,4´‐ジフルオロベンゾフェノン0.0065当量、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)フルオレン0.314当量、3,5‐ビス(4‐フルオロベンゾイル)フェニル](4‐フルオロフェニル)メタノン0.005当量(実際の反応当量は0.0075)を使用したことを除いては、上記実施例1と同一の方法でブランチされたマルチブロック共重合体を製造した。 このとき、親水ブロックの繰り返し単位数(n)の値は、少量のブランチャーを除いて計算すれば、約35であった。

    試験例
    <燃料電池用高分子電解質膜の製造>
    合成された疎水性‐親水性マルチブロック高分子をN,N‐ジメチルアセトアミド(DMAc)を溶媒として7〜15wt%の重量比で完全に溶解させた後、濾過して、フィルムキャスティングが可能な溶液として用意した。 40℃のクリーンベンチ内のアプリケーターの水平板の上でドクターブレードを利用してガラス板にキャスティングした高分子フィルムを2時間静置した後(soft baking)、100℃のオーブンに入れて24時間に亘って静置させた。 以後、オーブンから取り出したガラス板を水にしばらく浸しておいた後、キャスティングされた高分子フィルムをガラス板から分離した。 このように用意された高分子電解質フィルムは80℃、10%の硫酸水溶液に2時間以上浸しておいて高分子のスルホン酸カリウム塩の形態をスルホン酸の形態に変えた後、蒸留水で洗浄して高分子フィルム表面の余分の酸を除去して、燃料電池用高分子電解質膜を製造した。

    1. 寸法安定性の評価 高分子電解質膜の水分吸収率(water uptake)及びスウェリング比(swelling ratio)は、電解質膜が完全に加湿された条件でスウェリングされる程度を示す尺度である。 実験で得られた電解質膜の水分吸収率及びスウェリング比は、一日間各膜を常温で蒸留水に浸しておいて完全にスウェリングされた後膜表面の水気を素早く拭き取ってから膜の質量と膜の対線の長さとを測定し、80℃の真空オーブンで一日間保管後完全に乾燥された状態の膜の質量と対角線の長さとを測定した後、下記の式に従って計算した。

    実施例1、実施例2及び比較例で製造された高分子電解質膜の寸法安定性の評価結果を図1に示した。

    図1に示すように、親水ブロックが本発明による繰り返し単位を有する場合、水分吸収率及びスウェリング比が著しく低いことが分かる。

    2. 電気的性能の評価 実施例1及び実施例2の高分子電解質膜の電気的性能評価を行った。

    具体的に、実施例1及び実施例2で製造された高分子電解質膜を利用して膜電極接合体を製造した。 電極はスプレーコーティング方法を利用してPt含量が0.4mg/cm 2になるように10BC GDLに噴射した。 その後、140℃、1barの条件で膜電極接合体を製造した。 製造された膜電極接合体を利用して燃料電池用単位電池を製造した後、テストステーション(test station)を利用してアノードとカソードの流量を一定にしてfixed flow rate方法で電流電圧グラフを測定し、その結果を図2に示した。

    図2に示すように、電池の電気的性能が有効な測定値を有する電圧領域において、本発明による実施例1及び実施例2が優れた電気的性能を示すことがわかり、実施例1より実施例2の電解質膜がさらに優れた電気的性能を示すことが分かる。

    3. モノマー当量と高分子鎖長さとの関係 実施例1ないし3及び比較例で製造された親水ブロック高分子の分子量を測定し、その結果を図3に示した。

    図3を参照すれば、比較例よりもモノマーの当量が小さい本発明の親水ブロックの分子量がさらに小さいことが分かる。 親水ブロックにおいてブランチされる比率が小さいので親水ブロックは実質的に線状鎖であると見なすことができ、したがって分子量が小さいということは高分子鎖の長さが相対的に短いということを意味する。 すなわち、本発明の実施例1ないし3で製造された親水ブロックは従来使用される親水ブロック(比較例)よりも短い鎖の長さを有し、上記検討したように本発明の共重合体から製造された電解質膜は優れた電気的性能を有しながらも改善した寸法安定性を有する。

    4. 親水ブロック分子量、イオン交換容量(IEC)及びイオン伝導度の比較 上記実施例1〜3及び比較例1〜2で製造された共重合体及び類似したIECを有するように製造されたランダム共重合体の親水ブロック分子量、イオン交換容量及びイオン伝導度を測定し、下記表1に記載した(Hq当量:ヒドロキノンスルホン酸カリウム塩当量)。

    上記表1に記載したように、本発明の特定範囲の当量で製造した共重合体は、親水ブロックの長さが若干短くなってもかえってイオン伝導度に優れることが分かる。

    本発明のブランチされたマルチブロック共重合体は、従来より短い親水ブロック鎖の長さを有することで、優れた機械的強度及び化学的安定性を現わすだけでなく、低い水分吸収率及びスウェリング比を有することになって寸法安定性に優れるこから、燃料電池用電解質膜として使われる場合燃料電池の性能を改善することができる。

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