収納装置製造用のポリオキシメチレン組成物

申请号 JP2014533386 申请日 2012-09-28 公开(公告)号 JP2015504027A 公开(公告)日 2015-02-05
申请人 ティコナ・エルエルシー; 发明人 ラーソン,ローエル; ツィーグラー,ウルスラ; ビハリ,マルヴィカ;
摘要 耐衝撃性改良剤を含有するポリオキシメチレン重合体組成物を開示する。本開示にしたがい、耐衝撃性改良剤はポリオキシメチレン重合体に結合されており、ポリカーボネート基のようなカーボネート基を含有する熱可塑性エラストマーを含んでなる。1つの態様では、カップリング剤が耐衝撃性改良剤をポリオキシメチレン重合体に結合させる。カーボネート基を含有する耐衝撃性改良剤を取入れると、材料の透過性も保持しながら良好な耐衝撃性を有する物品が製造されることが判っている。当該重合体組成物は収納装置、特に 燃料 タンク、を製造するのに良く適している。【選択図】図1
权利要求
  • 収納装置であって、
    前記収納装置が、壁に囲まれた容積を規定する容器を含んでなり、前記容器が前記容積と流体連通する開口を含み、
    前記壁が、重合体組成物から作られ、前記重合体組成物が、
    a)ポリオキシメチレン重合体であって、その末端基の少なくとも50%がヒドロキシル基であり、前記ポリオキシメチレン重合体が10,000ダルトン未満の分子量を有する低分子量成分もポリオキシメチレン重合体の総質量に対し約10重量%未満の量で含有する、前記ポリオキシメチレン重合体と;
    b)熱可塑性エラストマーを含んでなる耐衝撃性改良剤であって、前記耐衝撃性改良剤が前記ポリオキシメチレン重合体に化学的に結合されており、前記熱可塑性エラストマーがポリカーボネート単位を含有する、前記耐衝撃性改良剤と、
    を含んでなり、
    前記重合体組成物が、SAE試験J2665にしたがうと40℃で5g mm/m /日未満の透過度を有する、
    上記収納装置。
  • 前記熱可塑性エラストマーがポリカーボネート単位を含有する熱可塑性ポリウレタンエラストマーを含んでなる、請求項1に記載の収納装置。
  • 前記耐衝撃性改良剤が前記重合体組成物中に約5〜約30重量%の量で存在する、請求項1に記載の収納装置。
  • 前記耐衝撃性改良剤が前記重合体組成物中に約17〜約25重量%の量で存在し、前記重合体組成物が40℃、2mmの厚さで試験すると3g/m 日未満の透過度を有する、請求項1に記載の収納装置。
  • 前記耐衝撃性改良剤がISO試験868にしたがうと約85〜約95のショアーA硬度を有する、請求項1に記載の収納装置。
  • 前記重合体組成物がさらにカップリング剤を含んでなり、前記カップリング剤が前記ポリオキシメチレン重合体と前記熱可塑性エラストマーを互いに結合させる、請求項1に記載の収納装置。
  • 前記カップリング剤がイソシアネートを含んでなる、請求項6に記載の収納装置。
  • 前記重合体組成物が40℃、2mmの厚さで試験すると約2.5g/m 日未満の透過度を有する、請求項1に記載の収納装置。
  • 前記収納装置が10ガロンまでの容量を有する燃料タンクを含んでなる、請求項1に記載の収納装置。
  • 前記収納装置の前記壁が前記重合体組成物の単層だけを含んでなる、請求項1に記載の収納装置。
  • 前記壁が約0.5mm〜約10mmの厚さを有する、請求項1に記載の収納装置。
  • 前記収納装置が第二の部分に溶接された第一の部分を含み、前記第一および第二の部分が前記重合体組成物を射出成形することにより形成されている、請求項1に記載の収納装置。
  • 前記収納装置が吹込成形された容器を含んでなる、請求項1に記載の収納装置。
  • 前記重合体組成物がさらにヘテロポリ酸を含んでなる、請求項1に記載の収納装置。
  • 前記カップリング剤がメチレンジフェニル−4,4'−ジイソシアネートを含んでなり、前記メチレンジフェニル−4,4'−ジイソシアネートが前記重合体組成物中に約0.5〜約3重量%の量で存在する、請求項6に記載の収納装置。
  • 前記熱可塑性エラストマーが熱可塑性ポリウレタンエラストマーを含んでなり、前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーが前記重合体組成物中に約15〜約30重量%の量で存在し、前記ポリオキシメチレン重合体の末端基の少なくとも70%がヒドロキシル基であり、前記ポリオキシメチレン重合体が前記重合体組成物中に少なくとも約70重量%の量で存在し、前記ポリオキシメチレン重合体が前記低分子量成分を前記ポリオキシメチレン重合体の総質量に対し約5重量%未満の量で含有し、前記収納装置の前記壁が前記重合体組成物の単層だけを含んでなり、前記壁が約1.5mm〜約4mmの厚さを有する、請求項7に記載の収納装置。
  • 前記収納装置が燃料タンクを含んでなる、請求項16に記載の収納装置。
  • 前記重合体組成物が、ISO試験179/1eAにしたがって−30℃で測定すると約7kJ/m より大きいシャルピーノッチ付衝撃強さを有する、請求項1に記載の収納装置。
  • 前記重合体組成物が、ISO試験179/1eAにしたがって−30℃で測定すると約7kJ/m より大きいシャルピーノッチ付衝撃強さを有する、請求項16に記載の収納装置。
  • 燃料タンクを内蔵したエンジンであって、前記燃料タンクが請求項1に記載の収納装置を含んでなる、上記エンジン。
  • 前記ポリオキシメチレン重合体が第一の反応基を含み、前記耐衝撃性改良剤が第二の反応基を含み、前記カップリング剤が前記ポリオキシメチレン重合体上の前記第一の反応基と前記耐衝撃性改良剤上の前記第二の反応基との間に共有結合を起こさせる、請求項6に記載の収納装置。
  • 請求項1に記載の収納装置を製造する方法であって、
    以下の工程:
    前記重合体組成物を射出成形するに際し、前記重合体組成物を第一の型に注入して、前記収納装置の第一の部分を形成する工程;
    前記重合体組成物を射出成形するに際し、前記重合体組成物を第二の型に注入して、前記収納装置の第二の部分を形成する工程;および 前記第一の部分を前記第二の部分に溶接して、前記収納装置を形成する工程;
    を含んでなる、上記方法。
  • 請求項1に記載の収納装置を製造する方法であって、
    前記重合体組成物を吹込成形して、前記容器を形成する工程を含んでなる、上記方法。
  • 说明书全文

    [0001]本願は、2011年9月29日出願の米国仮特許出願第61/460,779号の出願日の特典を主張しており、当該出願の全内容を本明細書に引用して援用する。

    [0002]車両、その他の移動装置に用いられる燃料タンクは、一般的に様々な特性と性質を有する必要がある。 例えば、燃料タンクは著明な量の燃料蒸気を逃すことなく燃料を保持できる必要がある。 また、このタンクはタンクに収容される燃料に対し化学的に耐性も有している必要がある。 燃料タンクは良好な耐衝撃特性も有しているべきである。 これまで、従来の燃料タンクは一般的に金属から作られていた。

    [0003]比較的最近まで、当業者は重合体から作られた燃料タンクの設計を試みてきた。 例えば、小型オフロード用車両や装置で用いられるような多くの小型燃料タンクは、現在のところ高密度ポリエチレンから作られている。 高密度ポリエチレンは良好な衝撃強さ耐性を有する。 しかしながら、上記の重合体は時間の経過と共に燃料蒸気を放出する傾向がある。 したがって、高密度ポリエチレンから作られる燃料タンクは一般にフッ素化されるが、その結果、製品に著しいコストが加わるだけでなく、一貫性のない結果がもたらされることが判っている。 したがって、当業者は他の種類の重合体から重合体燃料タンクを製造しようとしてきた。

    [0004]これに関して、当業者は、ポリエステル重合体を用いて燃料タンク、特に小型燃料タンク、を製造することを提唱してきた。 例えば、米国特許出願公開第2006/0175325号(その内容を本明細書に引用して援用する)には、オレフィン−ビニルアルコール成分および耐衝撃性改良剤成分と組み合わせたポリエステルを含んでなる耐衝撃性改良ポリエステルが開示されている。

    [0005]良好な耐透過特性を有する他の種類の重合体はポリオキシメチレン重合体である。 標準的なポリオキシメチレン重合体は良好な耐透過性を有するが、この重合体は材料の高い結晶性に起因して燃料タンク用途には衝撃強さが不十分な傾向がある。 ポリオキシメチレン重合体の衝撃強さは、耐衝撃性改良剤を材料中に取り入れることにより改善できる。 しかしながら、耐衝撃性改良剤をポリオキシメチレン重合体中に取り入れることは本重合体の透過特性を著明に増大する可能性があることが知られている。 したがって、燃料タンクの製造に用いられるポリオキシメチレン重合体を含有する重合体材料の開発を可能とする際、諸問題に遭遇してきた。

    [0006]米国特許出願公開第2009/0220719号(その内容を本明細書に引用して援用する)には、耐衝撃性改良剤と組み合わせたポリオキシメチレン重合体から作られた低い燃料透過性の熱可塑性容器が記載されている。 この'719出願は、ポリオキシメチレンと、熱可塑性ポリウレタンと、コポリエステルとの“非相溶化”ブレンドを用いることを教示している。 上記'719出願中で使用されている“非相溶化”という用語は、組成物が重合体相溶化剤を含有していないことを意味する。

    [0007]'719出願の教示は技術の大きな進歩をもたらしたが、いっそうの向上が依然として必要とされる。

    米国特許出願公開第2006/0175325号

    米国特許出願公開第2009/0220719号

    [0008]本開示は一般に、ポリカーボネート単位を含有する熱可塑性エラストマーを含んでなる耐衝撃性改良剤と組み合わせてポリオキシメチレン重合体を含有する重合体組成物を対象とする。 以下により詳細に述べるように、当該重合体組成物は燃料タンクのような収納装置を製造するのに特に良く適している。 重合体組成物を用いて収納装置のような物品を製造する際、耐衝撃性改良剤はポリオキシメチレン重合体に化学的に結合する。 重合体組成物は極めて良好な耐衝撃強さ特性を有するだけでなく、蒸気やガスが経時的に収納装置から漏れ出すのを防止する場合にもよく適している。 特に、重合体組成物は、揮発性有機化合物(“VOC”)の蒸気放出を低下または防止させるように、しかも、より低温で比較的高い衝撃に付されても破裂せずにいられる燃料タンクを提供するように、配合できる。

    [0009]上記に鑑みて、1つの態様において、本開示は、VOC、圧縮ガスおよび/または燃料を受入れるように構成されている開口を含む、容器のような収納装置を対象とする。 収納装置は、燃料を燃焼機関または他の同様の装置に供給するための排出具も含む。 収納装置は壁に囲まれた容積を規定する。

    [0010]本開示にしたがい、壁はポリオキシメチレン重合体を含んでなる重合体組成物から作られる。 例えば、ポリオキシメチレン重合体は、末端基の少なくとも50%がヒドロキシル基であるポリオキシメチレンを含んでなってよい。 例えば、末端基の少なくとも約70%はヒドロキシル基であることができ、例えば末端基の少なくとも約80%はヒドロキシル基であることができ、例えば末端基の約85%より多い量ですらヒドロキシル基であることができる。 さらに、ポリオキシメチレン重合体は、10,000ダルトン未満の分子量を有する低分子量成分を微量に含有してよいか、または含有しなくてもよい。 例えば、ポリオキシメチレン重合体は低分子量成分をポリオキシメチレンの総質量に対し約10重量%未満の量、例えば約5重量%未満の量、例えば約3重量%未満の量、で含有することができる。

    [0011]ポリオキシメチレン重合体に加え、組成物は、ポリオキシメチレン重合体に結合されている耐衝撃性改良剤をさらに含む。 耐衝撃性改良剤は、例えば熱可塑性ポリウレタンエラストマーのような熱可塑性エラストマーを含んでなってよい。 より具体的には、耐衝撃性改良剤は、ポリカーボネート単位を含有する熱可塑性エラストマーを含んでなる。 ポリカーボネート単位を含有する熱可塑性エラストマーを用いると、収納装置の壁からの透過が著明に減少し、同時に衝撃強さが維持されることが判っている。

    [0012]耐衝撃性改良剤をポリオキシメチレン重合体に結合させるにはカップリング剤を用いてよい。 カップリング剤は例えばイソシアネートを含んでなる。 例えば1つの態様では、カップリング剤はメチレンジフェニル−4,4'−ジイソシアネートを含んでなってよい。

    [0013]上記のように、本開示の重合体組成物は低い透過特性を有する。 例えば、重合体組成物の透過度はSAE試験J2665にしたがって調べると、40℃で約5g mm/m 日未満であることができる。 例えば透過度は、約4g mm/m 日未満、例えば約3g mm/m 日未満、例えば約2.5g mm/m 日未満、例えば約1.5g mm/m 日未満、であることができる。 例えば、1つの態様において、透過度は約0.1g mm/m 日〜約2.5g mm/m 日、例えば約0.1g mm/m 日〜約1.5g mm/m 日でよい。

    [0014]例えば2mmの肉厚で検査すると、透過度は、約2.5g/m 日未満、例えば2g/m 日未満であることができ、例えば1.5g/m 日未満ですら可能である。 3mmの肉厚で検査すると、透過度は、約2.5g/m 日未満、例えば1.5g/m 日未満であることもできる。 例えば、1つの態様において、3mmの肉厚では約0.05g/m 日〜約1g/m 日の透過度でもよい。

    [0015]特に有利なのは、重合体組成物中に比較的大量の熱可塑性エラストマーが導入されても、組成物が上記の透過特性を有することができることである。 例えば、重合体組成物は耐衝撃性改良剤を約5重量%〜約30重量%の量で含有してよい。 1つの態様において、耐衝撃性改良剤は重合体組成物中に約17〜約25重量%の量で存在することができ、しかも2mmの厚さで、40℃で検査すると、3g/m 日未満の透過度を有する組成物が製造できる。

    [0016]上述のように、耐衝撃性改良剤はポリカーボネート単位を含有する熱可塑性エラストマーを含んでなる。 例えば、1つの態様において、熱可塑性ポリウレタンエラストマーは熱可塑性ポリウレタンエラストマーを含んでなってよい。 1つの態様において、熱可塑性エラストマーは、耐衝撃性改良剤がISO試験868にしたがうと約85〜約95のショアーA硬度を有するようにポリカーボネート単位を含有してよい。

    [0017] 本開示の重合体組成物は、優れた透過特性を有することに加え、優れた衝撃強さも示すことができる。 例えば、重合体組成物は、ISO試験179/1eAにしたがって−30℃で測定すると約7kJ/m より大きいシャルピーノッチ付衝撃強さを有してよい。 例えば、重合体組成物は、約8kJ/m より大きいシャルピーノッチ付衝撃強さを有してよい。 1つの態様において、重合体組成物は、−30℃で測定すると約7kJ/m 〜約15kJ/m のシャルピーノッチ付衝撃強さを有してよい。

    [0018]上述のように、ポリオキシメチレン重合体は比較的少量の低分子量成分を含有している。 1つの態様において、ポリオキシメチレン重合体は、ヘテロポリ酸触媒を用いることにより比較的少量の低分子量成分をもって製造できる。 組成物中に含有されるポリオキシメチレン重合体の量は一般的に、約50〜約90重量%で、例えば約65重量%より多く、例えば約70重量%より多いことができる。 一方、耐衝撃性改良剤は一般的に、約5重量%〜約30重量%、例えば約10重量%〜約25重量%、の量で存在できる。 一方、カップリング剤は一般的に、約5重量%未満の量、例えば約0.2〜約3重量%の量、で存在できる。

    [0019]重合体組成物はVOCや圧縮ガス用のあらゆる種類の収納装置を製造するのに適しているが、1つの態様において、燃料タンクは約10ガロンまでの燃料容量を有するように作られる。 特に有利には、燃料タンクは重合体組成物の単層だけを含んでなることができる。 容器壁は一般的に、約0.5mm〜約10mm、例えば約1.5mm〜約5mm、の厚みを有することができる。

    [0020]収納装置を製造するには、適切であればどのような成形方法を用いてもよい。 例えば、1つの態様において、収納装置は吹込成形される。 しかしながら、他の態様において、収納装置は射出成形される。 例えば、収納装置の2つの異なった部分を射出成形し、その後互いに溶接してよい。

    [0021]本開示の他の構成と側面を以下により詳細に述べる。

    [0022]本発明の十分かつ実施可能な開示(当業者にとり発明を実施するための最良の形態を含む)を、以下の添付の図面を参照しつつ、本明細書の残りの部分においてより具体的に述べる。

    [0023]図1は、本開示にしたがい作られた燃料タンクの1つの態様の斜視図である。

    [0024]図2は、図1に示された燃料タンクの断面図である。

    [0025]本明細書および図面中の参照符号を繰返し使用しているのは、本発明の同一または類似の構成または要素を表すためである。

    [0026]本説明は単に例示的な態様の記載であり、本開示のより広範な側面を限定するものではないこと、を当業者は理解すべきである。

    [0027]一般的に、本開示は、ポリオキシメチレン重合体を含有する重合体組成物であって、収納装置のような物品を成形するのに特に好適であるもの、を対象とする。 例えば1つの態様において、本開示にしたがい、燃料タンクとして、またはVOCや圧縮ガスを保持するように設計されたタンクとして、使用するのに特に好適である収納装置を作製してよい。 以下により詳細に記載するように、ポリオキシメチレン重合体組成物は、非常に優れた透過特性と組み合わされた非常に優れた耐衝撃性を有する成形品を製造するように配合されている。 特に、重合体組成物は、燃料蒸気、その他の揮発性有機化合物のような気体蒸気に比較的不透過性であり、天然ガス、プロパン、その他炭化素ガスのような圧縮ガスに不透過性である成形品を製造することができる。

    [0028]従来、ポリオキシメチレン重合体から燃料タンクを製造する際に、様々な問題に遭遇した。 ポリオキシメチレン重合体は良好な自然透過性を有するが、この材料は、材料の高い結晶性に起因して燃料タンク用途に用いる場合、受入れられる衝撃強さを持たない傾向がある。 しかしながら、相溶化された耐衝撃性改良剤で衝撃強さを増大させると、材料の透過性特性に悪影響を及ぼすことがある。

    [0029]本開示は上記の諸問題を克服することを対象とする。 特に、本開示は、ポリオキシメチレン重合体をポリオキシメチレン重合体の衝撃強さを高める耐衝撃性改良剤と共に含有する重合体組成物であって、同時に本材料の透過特性を許容範囲内に維持する本重合体組成物を対象とする。 これに関して、重合体組成物は、ポリカーボネート単位を含有する熱可塑性エラストマーを含んでなる耐衝撃性改良剤を含有する。 1つの態様において、耐衝撃性改良剤はポリオキシメチレン重合体に化学的に結合している。

    [0030]本開示の重合体組成物は、多種多様の物品を製造するのに用いることができる。 重合体組成物の透過特性に起因して、本組成物は液体や気体を保持する収納装置を製造するのに特によく適している。 例えば、重合体組成物は燃料タンクを製造するのに用いてよい。 燃料タンクは単一の吹込成形部品から作ることができるが、互いに溶接された多くの部品から作ることもできる。 燃料タンクは、特定の用途に応じて適したどのような容積も有することができる。 1つの特定の態様において、重合体組成物は、小型オフロードエンジンと呼ばれている部類のエンジン用の燃料タンクを製造するのに用いてよい。 普通、このようなエンジンは25馬力までの出力定格を持ち、種々の車両と移動装置に使用される。 例えば、小型オフロードエンジンは普通、小型実用装置、芝刈機、草刈機、チェーンソー、オートバイ、芝刈トラクター、送風機等に用いられる。 普通、このような燃料タンクは20ガロン未満、例えば10ガロン未満、特に5ガロン未満、の燃料容量を有する。

    [0031]しかしながら、燃料タンクに加え他の製品や物品を本開示にしたがって作ってよいと理解すべきである。 特に、いかなる種類のVOCまたは圧縮ガス収納装置を本開示にしたがって作ってもよい。 例えば、タンクに加え、収納装置はチューブ、ホース、その他同様の装置を含んでなってよい。 例えば、収納装置は炭化水素流体、農薬、除草剤、ブレーキ液、塗料用シンナー、および各種圧縮炭化水素ガス、例えば、天然ガス、プロパン等、に接触するか、またはそれらを収容するように設計してもよい。 この収納装置は燃料タンクとして用いる場合、液体であろうと気体であろうと、適当な炭化水素流体と接触するか、またはそれを収容してよい。

    [0032]例えば図1と図2を参照しながら、本開示にしたがって作製してよい燃料タンク10の1つの態様を示す。 燃料タンク10は燃料を受入れるための開口または入口12を含む。 開口12はねじ付き取付具14により規定できる。 ねじ付き取付具14は燃料を受入れ、キャップ(図示せず)を受入れるように構成されている。 例えば、燃料と蒸気が燃料タンク10から抜け出るのを防ぐために、キャップをねじ付き取付具14上に取付けることができる。

    [0033]さらに燃料タンク10は、エンジンのような燃焼装置に燃料を供給するための少なくとも1つの出口16を含む。

    [0034]燃料タンク10は、燃料を収容する容器容積18を規定する。 容器容積18は容器壁20で囲まれている。 容器壁20は多数の側面部を含むことができる。 例えば、容器壁は天板、底板、4つの側板を含むことができる。 あるいは、燃料タンク10は球状、円筒状、または他の適当な形状であることができる。

    [0035]本開示にしたがうと、燃料タンク10は、ポリオキシメチレン重合体と、ポリカーボネート単位を有する重合体を含んでなる耐衝撃性改良剤とを含有する重合体組成物から作製される。 特に有利なのは、重合体組成物が単層のタンクを形成でき、容器壁にそれ以上の塗膜や層を施さなくても耐衝撃性か耐透過性のどちらかを高めることができることである。

    [0036]例えば、本開示に準じて作られたポリオキシメチレン重合体組成物は、SAE試験J2665にしたがって調べると40℃で5g mm/m /日未満の透過度を有することができる。 SAE試験J2665は、本材料の透過性を10%のエタノール、45%のトルエン、45%のイソオクタンを含んでなる試験燃料で調べる。 g mm/m /日で報告される定常状態での透過流速の測定をSAE試験J2665、第10項にしたがって行う。 或る態様では、重合体組成物は4g mm/m /日未満、例えば3g mm/m /日未満、例えば2.5g mm/m /日未満、例えば約1.5g mm/m /日未満、の透過度を有する重合体材料を製造できる。 例えば1つの態様において、透過度は約0.1g mm/m /日〜約2.5g mm/m /日、例えば約0.1g mm/m /日〜約1.5g mm/m /日でよい。

    [0037]例えばSAE試験J2665、第11項にしたがって2mmの肉厚で検査すると、本開示の重合体組成物は約3g/m /日未満、例えば約2.5g/m /日未満、例えば2g/m /日未満の透過度、例えば1.5g/m /日すら下回る透過度を有してよい。 3mmの肉厚で検査すると、透過度は、約2.5g/m /日未満、例えば約1.5g/m /日未満であることも可能である。 例えば、1つの態様において、3mmの肉厚では約0.05g/m 日〜約1g/m 日の透過度でよい。

    [0038]本開示にしたがい配合された重合体組成物は、上記のような優れた透過特性を有することに加え、優れた耐衝撃強さも示す。 例えば、重合体組成物は、ISO試験179/1eAにしたがって−30℃で測定すると約7kJ/m より大きいシャルピーノッチ付衝撃強さを有してよい。 例えば、重合体組成物は、−30℃で測定すると約8kJ/m より大きいシャルピーノッチ付衝撃強さを有してよい。 一般的に、シャルピーノッチ付衝撃強さは約20kJ/m 未満、例えば約15kJ/m 未満である。

    [0039]重合体組成物は、良好な多軸衝撃強さも有することができる。 例えば、重合体組成物は、ASTM試験D3763では−30℃で4ftlb−fより大きい、例えば10ftlb−fより大きい、例えば15ftlb−fより大きい、多軸衝撃強さを有してよい。 多軸衝撃強さは、一般的に60ftlb−f未満、例えば約5ftlb−f〜約25ftlb−fである。

    [0040]ポリオキシメチレン重合体は熱可塑性重合体であるので、図1と2に示す燃料タンク10は異なった方法で作製できる。 例えば1つの態様では、燃料タンク10は吹込成形法により形成できる。 または、回転成形または射出成形を用いてタンクを製造してもよい。

    [0041]1つの特定の態様において、燃料タンク10の様々な部分を射出成形を用いて作ることができる。 例えば図1と2に示すように、燃料タンク10は第1の部分すなわち半部22と第2の部分すなわち半部24から形成してよい。 次に、適当な溶接法を用いて第1の部分22を第2の部分24に取付けることができる。 このような溶接法は、熱板溶接、振動溶接、レーザ溶接または超音波溶接を含む。

    [0042]本開示の重合体組成物は一般的に、ポリカーボネート基を含有する耐衝撃性改良剤と化学的に反応するか、または結合するポリオキシメチレン重合体を含有する。 例えば1つの態様において、耐衝撃性改良剤をポリオキシメチレン重合体と結合させる組成物中にカップリング剤が存在してよい。 より具体的には、カップリング剤は、ポリオキシメチレン重合体上の第1の反応基と反応し、耐衝撃性改良剤上に存在する第2の反応基と反応してよい。 例えば1つの態様において、カップリング剤は、耐衝撃性改良剤をポリオキシメチレン重合体と化学的に結合させるイソシアネートを含んでなってよい。

    [0043]耐衝撃性改良剤は熱可塑性エラストマーを含んでなってよい。 一般的に、熱可塑性エラストマーがカップリング剤の使用によろうとよるまいとポリオキシメチレン重合体に結合でき、少なくとも1つのカーボネート基を含有する限り、本開示にしたがっていかなる適切な熱可塑性エラストマーを用いてもよい。 例えば1つの態様において、熱可塑性エラストマーは、ポリオキシメチレン重合体上に含有されている反応基と直接または間接に結合する反応基を含んでよい。 例えば1つの特定の態様において、熱可塑性エラストマーは、カップリング剤を用いてポリオキシメチレン上のヒドロキシル基と共に共有結合を形成させる活性水素原子を有する。

    [0044]熱可塑性エラストマーは、熱可塑性とゴム状弾性の両方を有する材料である。 この熱可塑性エラストマーは、スチレンブロック共重合体、熱可塑性オレフィンエラストマーと呼ばれるポリオレフィンブレンド、エラストマー合金、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性コポリエステル、および熱可塑性ポリアミドを含む。

    [0045]本開示において使用するのによく適している熱可塑性エラストマーは、耐衝撃性改良剤がカーボネート基を含有している限り、上述の熱可塑性エラストマーのいずれもが当てはまる。 上記の熱可塑性エラストマーは、カップリング試薬および/またはポリオキシメチレン重合体と反応できる活性水素原子を有する。 そのような基の例としては、ウレタン基、アミド基、アミノ基またはヒドロキシル基がある。 例えば、熱可塑性ポリウレタンエラストマーの末端ポリエステルジオール軟質セグメントは、例えばイソシアネート基と反応可能な水素原子を有する。

    [0046]1つの特定の態様において、耐衝撃性改良剤としてのカーボネート基を単独もしくは他の耐衝撃性改良剤と共に含有する熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いる。 例えば、熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、長鎖ジオールおよび/またはカーボネート基の少なくとも1つの軟質セグメント、そしてジイソシアネートに由来する硬質セグメントと連鎖延長剤を有してよい。 代表的長鎖ジオールは、ポリ(ブチレンアジペート)ジオール、ポリ(エチレンアジペート)ジオール、ポリ(ε−カプロラクトン)ジオールのようなポリエステルジオール;およびポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(エチレンオキシド)グリコールのようなポリエーテルジオールである。 適当なジイソシアネートは、4,4'−メチレンビス(フェニルイソシアネート)、2,4−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、および4,4'−メチレンビス−(シクロキシルイソシアネート)を含む。 適当な連鎖延長剤は、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよびネオペンチルグリコールのようなC −C 脂肪族ジオールである。 熱可塑性ポリウレタンの一例は、本質的にポリ(アジピン酸−コ−ブチレングリコール−コ−ジフェニルメタンジイソシアネート)として特徴付けられる。

    [0047]1つの態様では、カーボネート基を含有する熱可塑性エラストマーは、カーボネート基を含有するジオール成分を用いて製造できる。 例えば、熱可塑性エラストマーは、カーボネート基を含有する重合体ジオールと、イソシアネートと、連鎖延長剤とを反応させることにより上述のように製造できる。 例えば、重合体ジオールはポリカーボネートジオールおよび/またはポリエステルポリカーボネートジオールを含んでなってよい。

    [0048]ポリカーボネートジオールは、ジオールをカーボネート化合物と反応させることにより製造してよい。 カーボネート化合物は例えば、アルキル基を有するカーボネート化合物、アルキレン基を有するカーボネート化合物、またはアリール基を有するカーボネート化合物を含んでなってよい。 具体的なカーボネート化合物には、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネートおよび/またはジフェニルカーボネートが含まれる。 一方、ポリエステルポリカーボネートは、カルボン酸の存在下にジオールを上記のようなカーボネート化合物と反応させて形成させてよい。

    [0049]上記のように、熱可塑性エラストマー中に含有されているポリカーボネート基を一般に軟質セグメントと呼ぶ。 したがって、ポリカーボネート基は熱可塑性エラストマーの硬度を低下させる傾向がある。 例えば1つの態様において、熱可塑性エラストマーのショアーA硬度はISO試験868にしたがって調べると約98未満、例えば約95未満、例えば約93未満である。 本材料のショアーA硬度は一般に約80より大きく、例えば約85より大きい。

    [0050]収納装置のような物品を形成するのに用いられる重合体組成物中に含有される耐衝撃性改良剤の量は、多くの因子次第で変わり得る。 組成物中に存在する耐衝撃性改良剤の量は例えば、得られる材料の所望の透過性に、および/または存在するカップリング剤の量に、および/または存在するポリオキシメチレン重合体の種類に左右される。 一般的に、1種以上の耐衝撃性改良剤が組成物中に約5重量%より多い量、例えば約10重量%より多い量、で存在してよい。 耐衝撃性改良剤は一般に30重量%未満の量、例えば約25重量%未満の量、で存在する。 特に有利には、本開示の耐衝撃性改良剤は比較的多い量で存在してよく、それでいて本材料の透過特性を保つ。 例えば、耐衝撃性改良剤は、組成物中に約17重量%より多い量、例えば約20重量%より多い量、で存在してよく、依然として所望の透過性を示す。 例えば1つの態様では、耐衝撃性改良剤は約20〜約25重量%の量で存在してよく、それでも、40℃、2mmの厚さで調べると3g/m 日未満の透過度を有する組成物を調製する。

    [0051]重合体組成物に用いられるポリオキシメチレン重合体は、単重合体または共重合体を含んでなってよい。 しかしながら、ポリオキシメチレン重合体は一般的に、比較的多量のヒドロキシル基のような反応基を末端位置に含有する。 より具体的には、ポリオキシメチレン重合体は末端ヒドロキシル基、例えばヒドロキシエチレン基および/またはヒドロキシル側基、を重合体上の全末端部位の少なくとも約50%より多い部位で有することができる。 例えば、ポリオキシメチレン重合体は、存在する末端基の総数に対し末端基の少なくとも約70%、例えば少なくとも約80%、例えば少なくとも約85%をヒドロキシル基として有してよい。 存在する末端基の総数には全ての末端側基が含まれるものとする。

    [0052]1つの態様において、ポリオキシメチレン重合体は少なくとも5mmol/kg、例えば少なくとも10mmol/kg、例えば少なくとも15mmol/kgの末端ヒドロキシル基含量を有する。 1つの態様において、末端ヒドロキシル基含量は18〜50mmol/kgである。

    [0053]ポリオキシメチレン重合体は、末端ヒドロキシル基に加え、このような重合体ではありふれた他の末端基も有してよい。 それらの例としては、アルコキシ基、ホルメート基、アセテート基またはアルデヒド基が挙げられる。 1つの態様によれば、ポリオキシメチレンは単重合体または共重合体であり、−CH O−反復単位を少なくとも50モル%、例えば少なくとも75モル%、例えば少なくとも90モル%、例えば少なくとも95モル%さえ含んでなる。

    [0054]本開示に係るポリオキシメチレン重合体は比較的高い末端ヒドロキシル基含量を有するだけでなく、比較的少量の低分子量成分も有する。 本明細書中、低分子量成分(または分画)とは10,000ダルトン未満の分子量を有する成分を指す。 所望の透過性必要値を有する重合体を製造するために、本発明者らは、低分子量成分の比率を下げると、耐衝撃性改良剤に結合させた場合、得られる材料の透過特性を劇的に向上できること、を予想外に発見した。 これに関して、ポリオキシメチレン重合体は、低分子量成分をポリオキシメチレンの総重量に対し約10重量%未満の量で含有する。 例えば、ある態様では、ポリオキシメチレン重合体は、低分子量成分を約5重量%未満の量、例えば約3重量%未満の量、例えば約2重量%すら下回る量、で含有してよい。

    [0055]ポリオキシメチレンの調製は、トリオキサンまたはトリオキサンとジオキサンとの混合物のようなポリオキシメチレン形成性単量体を分子量調整剤としてのエチレングリコールの存在下に重合させることにより実施できる。 この重合は、沈殿重合として、または溶融液中で実施できる。 重合時間または分子量調整剤の量のような重合パラメータを適切に選ぶと、得られる重合体の分子量、したがってMVR値、を調節できる。 上述の重合手順は、比較的低比率の低分子量成分を有する重合体をもたらすことができる。 低分子量成分の含量をさらに下げたいのであれば、塩基性プロトン溶媒で処理した後の不安定な画分を失活、分解後に重合体の低分子量画分を分離除去することにより可能となる。 これは安定化された重合体の溶液からの分別沈殿でよく、これにより異なった分子量分布の重合体画分が得られる。

    [0056]1つの態様において、ヒドロキシル末端基を有するポリオキシメチレン重合体は陽イオン重合法を用いて、次に溶液加水分解を行って不安定な末端基を取除くことにより製造できる。 陽イオン重合中、エチレングリコールのようなグリコールを連鎖停止剤として用いることができる。 陽イオン重合は、低分子量成分を含有する二峰性の分子量分布をもたらす。 1つの特定の態様において、燐タングステン酸のようなヘテロポリ酸を触媒として用いて重合を行うことにより、低分子量成分を著明に減少できる。 例えば、ヘテロポリ酸を触媒として用いると、低分子量成分の量は約2重量%未満とすることができる。

    [0057]ヘテロポリ酸とは、脱水を介して異なった種類のオキソ酸同士を縮合することにより形成されるポリ酸を指し、ヘテロ元素が中心に存在しオキソ酸残基が酸素原子を介して縮合されている単核または多核錯体イオンを含有する。 このようなヘテロポリ酸は以下の式により表される:
    [M M'
    [式中:
    Mは、P、Si、Ge、Sn、As、Sb、U、Mn、Re、Cu、Ni、Ti、Co、Fe、Cr、ThまたはCeからなる群から選ばれた元素を表し、
    M'は、W、Mo、VまたはNbからなる群から選ばれた元素を表し、
    mは1〜10であり、
    nは6〜40であり、
    zは10〜100であり、
    xは1以上の整数であり、
    yは0〜50である]
    [0058]上述の式中の中心元素(M)はPおよびSiから選ばれた1種以上の元素で構成されて良く、配位元素(M')はW、MoおよびV、特にWまたはMo、から選ばれた少なくとも1種の元素から構成される。

    [0059]ヘテロポリ酸の具体例は、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、リンタングストバナジン酸、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイモリブドタングステン酸、ケイモリブドタングストバナジン酸、およびそれらの酸塩である。

    [0060]12−モリブドリン酸(H PMo 1240 )、12−タングストリン酸(H PW 1240 )、およびそれらの混合物から選ばれたヘテロポリ酸で優れた結果が得られている。

    [0061]ヘテロポリ酸は、多塩基カルボン酸のアルキルエステル中に溶解させてよい。 多塩基カルボン酸のアルキルエステルは、ヘテロポリ酸またはその塩を室温(25℃)で溶解させるのに有効であることが判っている。

    [0062]共沸混合物は形成されないので、多塩基カルボン酸のアルキルエステルは生産流から容易に分離できる。 さらに、ヘテロポリ酸またはその塩を溶解させるのに用いた多塩基カルボン酸のアルキルエステルは安全面と環境面を満たし、オキシメチレン重合体の生産条件下で不活性でもある。

    [0063]好ましくは、多塩基カルボン酸のアルキルエステルは以下の式の脂肪族ジカルボン酸のアルキルエステルである:
    (ROOC)−(CH −(COOR')
    [式中:
    nは2〜12、好ましくは3〜6、の整数であり、
    RとR'は互いに独立して炭素原子数1〜4のアルキル基であり、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルおよびtert−ブチルからなる群から選ばれたアルキル基である]
    [0064]1つの態様において、多塩基カルボン酸は、アジピン酸ジメチル(DMA)のような、上記式のジメチルまたはジエチルエステルを含んでなる。

    [0065]多塩基カルボン酸のアルキルエステルは以下の式で表されてもよい:
    (ROOC) −CH−(CH −CH−(COOR')
    [式中:
    nは0〜10、好ましくは2〜4、の整数であり、
    RとR'は互いに独立して炭素原子数1〜4のアルキル基であり、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルおよびtert−ブチルからなる群から選ばれたアルキル基である]
    [0066]上述の式にしたがいヘテロポリ酸を溶解させるのに用いることができる特に好ましい成分は、ブタンテトラカルボン酸テトラエチルエステルまたはブタンテトラカルボン酸テトラメチルエステルである。

    [0067]多塩基カルボン酸のアルキルエステルの具体例は、ジメチルグルタル酸、ジメチルアジピン酸、ジメチルピメリン酸、ジメチルスベリン酸、ジエチルグルタル酸、ジエチルアジピン酸、ジエチルピメリン酸、ジエチルスベリン酸、ジメチルフタル酸、ジメチルイソフタル酸、ジメチルテレフタル酸、ジエチルフタル酸、ジエチルイソフタル酸、ジエチルテレフタル酸、ブタンテトラカルボン酸テトラメチルエステル、ブタンテトラカルボン酸テトラエチルエステル、およびそれらの混合物である。 他の例として、ジメチルイソフタレート、ジエチルイソフタレート、ジメチルテレフタレートまたはジエチルテレフタレートが含まれる。

    [0068]好ましくは、ヘテロポリ酸は多塩基カルボン酸のアルキルエステルに5重量%未満の量、好ましくは0.01〜5重量%の量(全溶液に対する重量)で溶かされる。

    [0069]幾つかの態様では、本開示の重合体組成物は他のポリオキシメチレン単重合体および/またはポリオキシメチレン共重合体を含有してよい。 例えば、このような重合体は一般に、原則として少なくとも80%、例えば少なくとも90%、のオキシメチレン単位を含有する枝分かれしていない線状重合体である。 このような従来のポリオキシメチレンは、得られる混合物が上記の量のヒドロキシル末端基と上記の量の低分子量成分を維持する限り組成物中に存在してよい。

    [0070]組成物中に存在するポリオキシメチレン重合体は一般的に、ISO1133にしたがって190℃、2.16kgで測定すると50cm /10分未満、例えば約1〜約40cm /10分のメルトボリュームフローレート(MVR)を有することができる。

    [0071]本開示の重合体組成物中に存在するポリオキシメチレン重合体の量は、具体的な用途に応じて変わり得る。 例えば1つの態様において、組成物はポリオキシメチレン重合体を少なくとも50重量%の量、例えば約60重量%より多い量、例えば約65重量%より多い量、例えば約70重量%より多い量、で含有する。 一般に、ポリオキシメチレン重合体は約95重量%未満の量、例えば約90重量%未満の量、例えば約85重量%未満の量、で存在する。

    [0072]重合体組成物中に存在するカップリング剤は、耐衝撃性改良剤をポリオキシメチレン重合体に結合させることができるカップリング剤を含んでなる。 ポリオキシメチレン重合体と耐衝撃性改良剤との間に橋かけ基を形成するには、三官能性または二官能性カップリング剤のような広範な多官能性カップリング剤を用いてよい。 カップリング剤は、ポリオキシメチレン重合体上の末端ヒドロキシル基とで、また耐衝撃性改良剤上の活性水素原子とで、共有結合を形成できるものでよい。 このようにして、耐衝撃性改良剤は共有結合を介してポリオキシメチレンと結合される。

    [0073]1つの態様において、カップリング剤は脂肪族、脂環式および/または芳香族ジイソシアネートのようなジイソシアネートを含んでなる。 カップリング剤は三量体または二量体のような低重合体の形態でよい。

    [0074]1つの態様において、カップリング剤はジイソシアネートまたはトリイソシアネートを含んでなり、以下のものから選ばれる:2,2'−、2,4'−、および4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI);3,3'−ジメチル−4,4'−ジフェニレンジイソシアネート(TODI);トルエンジイソシアネート(TDI);高分子量MDI;カルボジイミド−変性液状4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート;パラ−フェニレンジイソシアネート(PPDI);メタフェニレンジイソシアネート(MDPI);トリフェニルメタン−4,4'−およびトリフェニルメタン−4,4”−トリイソシアネート;ナフチレン−1,5−ジイソシアネート;2,4'−、4,4'−、および2,2−ビフェニルジイソシアネート;ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(PMDI)(高分子量PMDIとしても知られている);MDIとPMDIとの混合物;PMDIとTDIとの混合物;エチレンジイソシアネート;プロピレン−1,2−ジイソシアネート;トリメチレンジイソシアネート;ブチレンジイソシアネート;ビトリレンジイソシアネート;トリジンジイソシアネート;テトラメチレン−1,2−ジイソシアネート;テトラメチレン−1,3−ジイソシアネート;テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート;ペンタメチレンジイソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI);オクタメチレンジイソシアネート;デカメチレンジイソシアネート;2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;ドデカン−1,12−ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;シクロブタン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,2−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート;ジエチリデンジイソシアネート;メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(HTDI);2,4−メチルシクロヘキサンジイソシアネート;2,6−メチルシクロヘキサンジイソシアネート;4,4'−ジシクロヘキシルジイソシアネート;2,4'−ジシクロヘキシルジイソシアネート;1,3,5−シクロヘキサントリイソシアネート;イソシアナトメチルシクロヘキサンイソシアネート;1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン;イソシアナトエチルシクロヘキサンイソシアネート;ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサンジイソシアネート;4,4'−ビス(イソシアナトメチル)ジシクロヘキサン;2,4'−ビス(イソシアナトメチル)ジシクロヘキサン;イソホロンジイソシアネート(IPDI);ジメリルジイソシアネート、ドデカン−1,12−ジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、1−クロロベンゼン−2,4−ジイソシアネート、フルフリリデンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロブタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、4,4'−メチレンビス(フェニルイソシアネート)、1−メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1−メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナト−メチル)シクロヘキサン、1,6−ジイソシアナト−2,2,4,4−テトラ−メチルヘキサン、1,6−ジイソシアナト−2,4,4−テトラ−トリメチルヘキサン、トランス−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、3−イソシアナト−メチル−3,5,5−トリメチルシクロ−ヘキシルイソシアネート、1−イソシアナト−3,3,5−チリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン、シクロ−ヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m−フェニレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、p,p'−ビフェニルジイソシアネート、3,3'−ジメチル−4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、3,3'−ジメトキシ−4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、3,3'−ジフェニル−4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、3,3'−ジクロロ−4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4−クロロ−1,3−フェニレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−クロロフェニレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、p,p'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,2−ジフェニルプロパン−4,4'−ジイソシアネート、4,4'−トルイジンジイソシアネート、ジアニジンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルエーテルジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−ナフチレンジイソシアネート、アゾベンゼン−4,4'−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4'−ジイソシアネート、またはそれらの混合物。

    [0075]1つの態様において、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)のような芳香族ポリイソシアネートが用いられる。

    [0076]重合体組成物は一般にカップリング剤を約0.1〜約10重量%の量で含有する。 例えば1つの態様において、カップリング剤は約1重量%より多い量、例えば2重量%より多い量、で存在している。 1つの具体的態様において、カップリング剤は約0.2〜約5重量%の量で存在している。 耐衝撃性改良剤がポリオキシメチレン重合体と完全に結合されていることを確保するため、1つの態様において、カップリング剤上の反応基をポリオキシメチレン重合体上の末端ヒドロキシル基の量と比較すると、カップリング剤は重合体組成物にモル過剰量で添加できる。

    [0077]1つの態様において、ホルムアルデヒド掃去剤も組成物中に含まれていてよい。 例えば、ホルムアルデヒド掃去剤はアミン系でよく、約1重量%未満の量で存在してよい。

    [0078]本開示の重合体組成物は、必要であれば安定剤および/またはその他各種既知の添加剤を含有することができる。 このような添加剤は例えば、酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線安定剤または熱安定剤を含むことができる。 さらに、成形材料または成形物は加工助剤、例えば、定着剤、潤滑剤、核剤、脱型剤、充填剤、補強剤または帯電防止剤、および染料および/または顔料のような、成形材料や成形物に所望の性質を付与する添加剤を含有してよい。

    [0079]一般に、他の添加剤は重合体組成物中に約10重量%までの量、例えば約0.1〜約5重量%、例えば約0.1〜約2重量%、の量で存在できる。

    [0080]本開示にしたがい収納装置を形成する場合、上記の成分は共に溶融混合でき、その結果、カップリング剤と、ポリオキシメチレン重合体と、耐衝撃性改良剤との間で自動的に反応が起こる。 上記のように、カップリング剤はポリオキシメチレン重合体上の反応性末端基と、また耐衝撃性改良剤上の反応基と反応する。 これら成分間の反応は、同時または順次に起こり得る。 1つの具体的態様では、組成物中の成分は混ぜ合わされ、次に押出機で溶融混合される。

    [0081]諸成分の反応は、100〜240℃、例えば150〜220℃、の温度で行われるのが普通であり、混合時間は0.5〜60分であるのが普通である。

    [0082]他の成分に対するカップリング剤の比率は広い範囲内で選ぶことができる。 例えば、活性水素原子を含有するポリオキシメチレン中の、ヒドロキシル基の形態をした活性水素原子1モルにつきカップリング剤が0.2〜5モル、好ましくは0.5〜4モル存在するような量でカップリング剤を用いてよい。

    [0083]1つの態様において、本開示の成形用組成物は、成形工程に用いられる前に一緒に反応、配合される。 例えば1つの態様において、それぞれ異なった成分が上述の温度で従来の一軸または二軸スクリュー押出機において溶融、混合できる。 押出ストランドをこの押出機で製造してもよく、次にこれからペレットが作られる。 混合前に、重合体成分を約0.05重量%以下の含水量まで乾燥してもよい。 所望であれば、ペレット化した配合物を適当な粒度、例えば約100ミクロン〜約500ミクロンの範囲内の粒度、に粉砕できる。

    [0084]上記のように、本開示に係るVOCと圧縮ガスの収納装置の形成は、吹込成形、回転成形または射出成形のような適当な成形法を用いて実施できる。 1つの具体的態様では、射出成形を用いて収納装置を形成する。 例えば、収納装置の複数の部分をはじめに作り、次に互いに溶接できる。

    [0085]射出成形する場合、事前に配合した組成物または個々の成分を加熱したバレルに供給し、混合し、金型キャビティ内に押入れる。 加熱したバレルは、一軸スクリュー押出機または二軸スクリュー押出機を含んでなってよい。 バレル内にある間、組成物は流動する溶融混合物を形成するのに十分な温度に加熱される。 金型キャビティに一旦入れられると、重合体組成物は冷えて固化し、所望の部品が作製される。 1つの態様において、射出成形はガスで補助できる。 例えば、窒素のような非反応性ガスや超臨界ガスを用いることにより、溶融材料を加圧して、この材料を型の壁に押付けることができる。 しかしながら、他の態様においては、型内に圧入している間に必要な圧力を得るのにそのようなガスは必要でない。

    [0086]収納装置の部分または部品が成形された後、異なった各部分を互いに結合する。 例えば1つの態様において、適当な溶接法を用いて、各部分を互いに結合させてよい。 例えば、各部分はレーザ溶接、超音波溶接、線形振動、軌道振動、熱板溶接またはスピン溶接を用いて互いに結合してよい。 レーザ溶接中、諸成分は吸収を引起す波長の電磁波に付される。 電磁波の吸収は諸成分の界面での加熱と溶融をもたらし、異なった各部品を接合させる。

    [0087]線形振動中、接合面での線形変位を介して圧力下に1つの部品を他の部品に対して移動させることにより熱が生まれる。 接合界面で溶融状態に達したら、振動を止め、部品同士に接着層が形成されるまで締付圧を維持する。 軌道振動は線形振動と似ており、電磁駆動のみを用いて2つの熱可塑性部分間に相対運動を作り出す。 この定速度運動は熱を発生させ、2つの部品を互いに結合させる。

    [0088]熱板溶接中、加熱されたプラテン集成装置を互いに接合される2つの部分の間に導入する。 一旦各々の部品上の界面重合体が溶融または軟化すると、加熱されたプラテンを取出し、部品同士を締付ける。

    [0089]スピン溶接は、それぞれの円形熱可塑性部品の界面に円形の回転運動で圧力をかけることにより、部品同士を接合する方法である。 それぞれの部分の1つは取付具に静止状態で保持されるのが普通であり、他の部分はそれに押付けられながら回転する。 発生する摩擦熱が部品の界面同士を溶融させ、融着させる。

    [0090]1つの具体的態様において、収納装置の各々異なる部品または部分同士を超音波溶接により接着させる。 超音波溶接中、ホーンと呼ばれる超音波器具は界面で一方または両方の部品を通して振動エネルギーを伝える。 この振動エネルギーは摩擦を介して熱に変換され、圧力が施されれば部品同士を接着する。 より具体的には、超音波溶接中、それぞれの部品の1つ以上をアンビルと変換器に接続されたホーンとの間に保持することができる。 通常、低振幅の音響振動が発される。 超音波溶接において用いられる周波数は一般に約10kHz〜約100kHzとすることができる。

    [0091]上記のように、他の態様において、本開示の物品は吹込成形により製造してもよい。 一般に、吹込成形法は、成形用組成物を溶融させてパリソンにすることから始まる。 適切なスクリュー設計の一軸スクリュー押出機を用いて、組成物(普通はペレット)を均質な溶融物に変換する。 溶融強度に応じ、正規の古典的な押出吹込成形法で組成物を用いることもできる。 これは250〜300mmの最大パリソン長さを有する組成物にも当てはまる。 もっと大きなパリソン長さの場合には、追加のアキュムレータヘッドを設置して押出吹込成形法を用いることが必要であろう。 このヘッドの大きさは、特定の容器サイズと肉厚を形成する材料の量により異なる。

    [0092]基本的な方法には、根底をなす二段階がある。 はじめに、パリソン自体(パリソンとはプラスチックのチューブ状片を指す)をダイから垂直に押出す。 一旦パリソンがインジェクタピン(エアインジェクタ)上に収まったら、型を閉じる。 第二の段階では、空気をチューブ中に注入し、チューブが工具の壁に到達するまで吹き入れる。

    [0093]圧力は一般に溶融物が固化するまで保持される。 この過程に重要なもう一つの因子は、全体の成分/パリソン長さを通して均一な肉厚分布を有する成分を達成することである。 これは、ダイヘッドでの肉厚制御システム(WDS)で達成してよい。 一般に、このシステムは、パリソンがアキュムレータヘッドから吐出される間の押出/肉厚プロフィールを確立するプログラミング工程を含んでなる。

    [0094]本開示は以下の実施例を参照すればいっそう良く理解されるであろう。

    [0095]本開示にしたがって作られた組成物の利点と長所の幾つかを示すため、以下の実験を行った。

    [0096]まず、エチレングリコールを連鎖停止剤として陽イオン重合を用いてポリオキシメチレン重合体を調製し、次に溶液加水分解を行った。 ポリオキシメチレン重合体の1つ(試料番号1)は従来の触媒、すなわち三フッ化ホウ素、を用いて作成した。 しかしながら、以下の試料番号2と試料番号3は、ヘテロポリ酸を用いて製造したポリオキシメチレン重合体を用いて配合したので、少量の低分子量成分を含有していた。

    [0097]次にポリオキシメチレン重合体を耐衝撃性改良剤と、カップリング剤と、酸化防止剤および潤滑剤を含む安定剤パッケージと溶融混合した。

    [0098]用いた潤滑剤は、エチレンビスステアルアミドとエチレンビスパルミトアミドとの組み合わせを含有した。 用いた酸化防止剤は、テトラキス(メチレン−(3,5−ジ−(tert)−ブチル−4−ヒドロシンナメート)メタンであった。配合した組成物を32mmの二軸スクリュー押出機を用いて溶融混合した。押出条件は以下の通りだった:

    [0099]試料番号1と試料番号2では、用いた耐衝撃性改良剤は、BASFから商品名ELASTOLLANで得られた熱可塑性ポリウレタンエラストマーであった。 一方、試料番号3で用いた耐衝撃性改良剤は、ポリカーボネート単位を含有する熱可塑性ポリウレタンエラストマーを含んでなっていた。 ポリカーボネート単位を含有する熱可塑性エラストマーはバイエルから得た。 用いたカップリング剤は4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートであった。 上記のように、それぞれの組成物は酸化防止剤と潤滑剤を含む安定剤パッケージも含有した。

    [0100]試料番号1〜3では、安定剤パッケージは0.4重量%の量で存在し、耐衝撃性改良剤は18重量%の量で存在した。 カップリング剤は試料番号1と試料番号3には0.5重量%の量で添加し、試料番号2には0.8重量%の量で添加した。

    [0101]これらの試料はRoboshot165SiB成形機を用いて試験用に成形した。 試験片は、1/16インチ厚さ、直径4インチの円板であった。 成形条件は以下の表に記す。

    [0102]材料試料板は、1/32インチと1/8インチとの間の平均厚さで直径4インチの円板を射出成形することにより作製した。 これらの試料板を透過カップに合うように3インチの円形に打抜いた。 材料の厚みを最低5点で測定し、これらの測定値から平均厚さを決定した。 透過カップ試験取付具には、SAE J2665、第8.3項〜第8.11項にしたがい所望の材料試験板を組付けた。

    [0103]材料の透過値は、SAE J2665の変更版“カップ減量法”(2006年10月発布)を用いて重量測定により測定した。 Thwing−Albert社から市販されている蒸気圧計モデル68透過カップを試験取付具として用いた。 これらのカップは以下のようにSAE J2665にしたがって変更を加えた:1)ネオプレンガスケットをFKMガスケットに交換し、2)供給された6個の刻み付き頭ねじをトルクレンチ締付ができるように交換した。

    [0104]燃料CE10を試験燃料(エタノール10%、トルエン45%、イソオクタン45%)として用いた。 カップを表を上にして温度制御された環境内に置き(T=40℃±2℃)、試験材料が燃料の蒸気相のみと接触するようにした。 試験取付具の重量を週に2回測定した。 経時的な重量損失をSAE J2665第9項に記載された方法を用いてプロットした。 定常状態での流速([グラム/(m −日)]として報告)の測定は、SAE J2665第10項にしたがって行った。 蒸気透過度(VTR)または“透過係数”([グラム−mm/(m −日)]として報告)の測定は、SAE J2665第11項にしたがって行った。

    [0105]試料番号1〜3の透過結果は以下の通りであった:

    [0106]次に、上記の試料番号2と試料番号3について各種物性を調べた。 結果を以下に示す:

    [0107]次に、上記の試料番号2に類似した各種重合体組成物を作製した。 これらの組成物において、熱可塑性ポリウレタンエラストマーの量は変えた。 2種の配合物(試料番号2Aと試料番号2B)は耐衝撃性改良剤を18重量%未満の量で含有した。 他の配合物2種(試料番号2Cと試料番号2D)は耐衝撃性改良剤を18重量%より多い量で含有した。 以下の重合体組成物を調製し、透過度を試験した。

    [0108]上記試料についての透過結果を以下の表に示す。 以下の表には比較のために計算した透過値も示す。

    [0109]本発明に対する上記およびその他の改変、変更は、当業者であれば、添付された請求項においてより具体的に述べられた本発明の精神や範囲を逸脱することなく行うことができよう。 さらに、各種態様の諸側面は全体的または部分的に入れ替え可能であることを理解すべきである。 また、以上の記載は例示のためだけに示してあり、上記の添付請求項にさらに記載した発明を限定するものではないことを当業者であれば理解するであろう。

    10 燃料タンク 12 開口 14 ねじ取付具 16 出口 20 容器壁 22 第1の部分 24 第2の部分

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