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系統安定化制御装置および電系統制御システム

申请号 JP2015068757 申请日 2015-03-30 公开(公告)号 JP6348862B2 公开(公告)日 2018-06-27
申请人 株式会社日立製作所; 发明人 山崎 潤; 友部 修; 黒田 英佑; 坪田 亮; 戸邊 澄人; 谷津 昌洋;
摘要
权利要求

系統内の複数計測地点における計測情報に基づき、電力系統内に設置された制御機器を制御する系統安定化制御装置であって、 前記電力系統に連系される系統設備の情報を格納する設備情報データベースと、前記系統設備の情報に基づき前記制御機器の制御優先度を決定する制御優先度決定部と、前記複数計測地点における計測情報および前記制御優先度に基づき制御対象を決定する制御対象決定部と、前記複数計測地点における計測情報から前記電力系統の不安定化時間を算出する不安定化時間算出部と、前記不安定化時間および前記系統設備の情報に基づき前記制御機器の制御時間を決定する制御時間決定部と、を備えることを特徴とする系統安定化制御装置。請求項1に記載の系統安定化制御装置であって、 前記不安定化時間算出部は、電力系統の動揺の周波数成分の動揺周波数、減衰係数、及び振幅の少なくとも何れか一つを用いて不安定化時間を算出することを特徴とする系統安定化制御装置。請求項2に記載の系統安定化制御装置であって、 前記系統設備の情報は、前記制御機器を含む系統設備の制御手段、制御可能量、動作時間のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする系統安定化制御装置。請求項3に記載の系統安定化制御装置であって、 前記系統設備の情報は、前記複数計測地点の夫々の緯度及び経度と、前記複数計測地点の間のトポロジーと、前記複数計測地点の間のインピーダンスと、前記複数計測地点の夫々の近傍に連系している電力機器の特性との、少なくとも何れか一つを含む、ことを特徴とする系統安定化制御装置。請求項4に記載の系統安定化制御装置であって、 前記設備情報データベースは、過去の動揺情報を記憶し、動揺検出部は、前記複数計測地点の状況に対応する前記過去の動揺情報を選択し、前記選択された過去の動揺情報における周波数成分の継続時間に基づいて、動揺影響度を算出し、前記制御対象決定部と、前記不安定化時間算出部に計測情報の一部として提供することを特徴とすることを特徴とする系統安定化制御装置。請求項1に記載の系統安定化制御装置であって、 前記制御対象決定部は、不安定動揺が観測される計測地点と前記制御機器の連系地点との間の電気的距離または前記2地点間インピーダンスを用いて制御対象を決定することを特徴とする系統安定化制御装置。電力系統内の複数計測地点における計測情報に基づき、電力系統内に設置された制御機器を制御する系統安定化制御装置であって、 前記電力系統に連系される前記制御機器を含む系統設備の設備情報を格納する設備情報データベースと、前記設備情報に基づき前記制御機器の制御優先度を決定する制御優先度決定部と、前記計測情報から検知した電力系統動揺の動揺計測点と前記制御機器の距離と、前記制御優先度に応じて制御すべき前記制御機器を決定する制御対象決定部と、前記計測情報から検知した電力系統動揺の不安定化時間を算出する不安定化時間算出部と、前記不安定化時間および前記設備情報に基づき制御時間を決定する制御時間決定部を備え、決定した制御機器に対して決定した制御時間の制御を実行することを特徴とする系統安定化制御装置。電力系統内の複数計測地点における計測情報を第1の通信手段を介して系統安定化制御装置に得、前記電力系統を構成する系統設備内の制御機器に対して第2の通信手段を介して前記系統安定化制御装置から制御指令を与える電力系統制御システムであって、 前記系統安定化制御装置は、前記電力系統に連系される系統設備の情報を格納する設備情報データベースと、前記系統設備の情報に基づき前記制御機器の制御優先度を決定する制御優先度決定部と、複数計測地点における計測情報および制御優先度に基づき制御対象を決定する制御対象決定部と、複数計測地点における計測情報から前記電力系統の不安定化時間を算出する不安定化時間算出部と、不安定化時間および前記系統設備の情報に基づき制御時間を決定する制御時間決定部と、前記決定した制御機器と決定した制御時間を含む前記制御指令を前記第2の通信手段を介して与える出力部を備えることを特徴とする電力系統制御システム。請求項8に記載の電力系統制御システムであって、 前記系統安定化制御装置は、前記系統設備の情報に基づき想定動揺を算出する想定動揺算出部と、前記計測情報および前記想定動揺を比較する動揺比較部とを備え、前記制御対象決定部は前記動揺比較部における動揺比較結果および制御優先度に基づき制御対象を決定することを特徴とする電力系統制御システム。請求項8または請求項9に記載の電力系統制御システムであって、 前記系統安定化制御装置の前記出力部に接続されて、前記決定した制御機器と決定した制御時間を含む情報を得る全系統安定化制御装置を備え、 該全系統安定化制御装置は、受信した制御機器および制御時間に基づき追加制御機器および追加制御時間を決定する追加制御決定部と、該追加制御機器および追加制御時間を前記系統設備内の制御機器に対して送信する出力部を備えることを特徴とする電力系統制御システム。

说明书全文

本発明は、系統安定化制御装置および電系統制御システムに関する。

電力系統は、多くの発電機、負荷、送配電機器および制御装置から構成されている。定常状態においては、負荷変動および系統切替などによる微小な外乱が電力系統に加えられる。系統の地絡や短絡のような故障発生時には、大きな外乱が電力系統に加えられる。これらの外乱を原因として、複数の動揺モード成分を持つ電力動揺が発生する。

この動揺モード成分が小さい場合、又は高速に減衰する場合には、外乱発生後に系統動揺は十分小さい範囲に保たれるため、電力系統は安定な状態にある。しかし動揺が大きくなったり、減衰が収束せず持続や発散する場合は、結果として発電機が停止したり、広域停電が発生したりして、安定運用が不可能となる可能性がある。

電力系統規模の拡大とともに、電源容量増大、遠隔地化、偏在化およびこれに伴う送電線の長距離化、重潮流化が進む傾向にある。これらの変化による影響は電力系統の安定度を低下させる方向に働くため、系統故障時の発電機脱調を発端とした大規模電源脱落および広域停電への連鎖的な影響の拡大が懸念される。

そのため系統の安定度を常時監視し、広域停電への波及を未然に予防、予測するオンラインによる系統安定化制御手法が必要となる。

近年、GPS(Global Positioning System)を用いた同期計測により、ほぼリアルタイムに電力系統の母線電圧位相を測定する位相検出器PMU(Phasor Measurement Unit)が普及しつつある。位相検出器PMUにより計測した系統母線電圧などのオンライン計測値を用いて、電力動揺現象をリアルタイムに把握することが可能になりつつある。

上記の背景の元、電力系統を運用する事業者が系統の状態を監視し安定化するための系統安定化制御技術が提案されている。例えば、特許文献1には、「複数台の発電機群が接続された電力系統の系統故障により前記電力系統の多くの発電機が不安定となる現象を前記電力系統に接続された制御対象発電所の一部の発電機を高速に遮断することにより安定化する電力系統安定化装置において、前記系統故障発生前の定常状態時に前記電力系統を前記制御対象発電所内の発電機群とその他の主電力系統内の発電機群との2機系モデルで等価的に表現しその場合の発電機定数と初期状態量とを数分程度の定周期で算出する2機系モデル作成手段と、前記系統故障発生を起動条件に前記制御対象発電所の電圧と電流及び電力を検出する電気量検出手段と、前記電気量検出手段で検出された電気量を入力し前記系統故障除去後に前記制御対象発電所の母線から前記主電力系統を見た場合の外部リアクタンスを演算する外部リアクタンス推定手段と、前記2機系モデル作成手段で算出された発電機定数及び初期状態量と前記外部リアクタンス推定手段により算出された外部リアクタンスと前記電気量検出手段により検出された電気量に基づいて前記制御対象発電所内の発電機群とその他の前記主電力系統内の発電機群の動きを等価的に表す2台の等価発電機の動揺を演算しその演算結果と予め設定されている各発電機の電制優先順位により拡張等面積法により安定化に必要な電制発電機を決定する電制発電機決定手段と、前記電制発電機決定手段で選択された発電機を前記電力系統より解列する制御手段とを備えたことを特徴とする」という記載がある。

特開平09−046908号公報

近年、太陽光発電や風力発電に代表される再生可能エネルギーが系統に大量導入されつつある。それらの再生可能エネルギーは急峻かつ事前想定困難な発電出力変動を伴い、この結果として、系統特性が大きく変化する可能性がある。例えば、風速がある閾値を超えた場合、機器の安全性を保つために自動的に風力発電を停止し、発電出力をゼロとするカットアウトという動作が発生する。このような事象は、従来の系統においても発生した短絡・地絡故障と比較して発生頻度が高く、発電機が近接した地域に密集して設置された場合には、複数の発電機において同時発生する可能性が高いと予想される。

再生可能エネルギーの導入量が増大するにつれ、上記のような急峻な出力変動イベントによる系統へのインパクトが増大し、広域の動揺モードが不安定化する懸念がある。これに対処するため、出力変動イベント直後数秒から十数秒程度の中間領域における高速・高精度の安定判別に基づく安定化制御が必要となる。

さらに、高速な安定化制御のためには、発生する不安定な動揺モードごとに、安定化が可能となる制御手法をオンラインに選択する必要がある。この点に関し、特許文献1に記載の技術では、高速かつ高精度な安定化制御を実現することが困難である。

以上のことから本発明の目的は、高速かつ高精度な安定化制御を実現できる系統安定化制御装置および電力系統制御システムを提供することである。

上記課題を解決するために本発明においては、電力系統内の複数計測点における計測情報に基づき、電力系統内に設置された制御機器を制御する系統安定化制御装置であって、電力系統に連系される系統設備の情報を格納する設備情報データベースと、系統設備の情報に基づき制御機器の制御優先度を決定する制御優先度決定部と、複数計測地点における計測情報および制御優先度に基づき制御対象を決定する制御対象決定部と、複数計測地点における計測情報から電力系統の不安定化時間を算出する不安定化時間算出部と、不安定化時間および系統設備の情報に基づき制御機器の制御時間を決定する制御時間決定部と、を備えることを特徴とする。

また本発明においては、電力系統内の複数計測点における計測情報に基づき、電力系統内に設置された制御機器を制御する系統安定化制御装置であって、電力系統に連系される制御機器を含む系統設備の設備情報を格納する設備情報データベースと、設備情報に基づき制御機器の制御優先度を決定する制御優先度決定部と、計測情報から検知した電力系統動揺の動揺計測点と制御機器の距離と、優先度に応じて制御すべき制御機器を決定する制御対象決定部と、計測情報から検知した電力系統動揺の不安定化時間を算出する不安定化時間算出部と、不安定化時間および設備情報に基づき制御時間を決定する制御時間決定部を備え、決定した制御機器に対して決定した制御時間の制御を実行することを特徴とする。

また本発明は、電力系統内の複数計測点における計測情報を第1の通信手段を介して系統安定化制御装置に得、電力系統を構成する系統設備内の制御機器に対して第2の通信手段を介して系統安定化制御装置から制御指令を与える電力系統制御システムであって、系統安定化制御装置は、電力系統に連系される系統設備の情報を格納する設備情報データベースと、系統設備の情報に基づき制御機器の制御優先度を決定する制御優先度決定部と、複数計測地点における計測情報および制御優先度に基づき制御対象を決定する制御対象決定部と、複数計測地点における計測情報から電力系統の不安定化時間を算出する不安定化時間算出部と、不安定化時間および設備情報に基づき制御時間を決定する制御時間決定部と、決定した制御機器と決定した制御時間を含む制御指令を第2の通信手段を介して与える出力部を備えることを特徴とする。

本発明によれば、高速かつ高精度な安定化制御を実現できる系統安定化制御装置および電力系統制御システムとすることができる。

本発明の実施例に係る系統安定化制御装置の機能構成例を示す図。

本発明の実施例に係る電力系統制御システムの構成例を示す図。

系統安定化制御決定処理を示すフロー図。

動揺検出部12で求められた各計測地点における動揺成分を記憶する検出動揺情報テーブルの記憶内容を示す図。

複数計測地点抽出、並びに動揺影響度算出を意味する動揺影響推定処理を示すフローチャート。

動揺影響地点抽出処理(処理ステップS11)の詳細内容を示す図。

波数動揺情報テーブルTB2の例を示す図。

処理ステップS112における計測地点間距離算出処理を詳細に示すフローチャート。

設備情報データベースDB内のノード情報テーブルTB3を示す図。

設備情報データベースDB内の送電線情報テーブルTB4を示す図。

設備情報データベースDB内の計測設備情報テーブルTB5を示す図。

処理ステップS113の処理で得られた領域動揺情報テーブルTB6の一例を示す図。

動揺影響度算出処理の具体的なフローチャートを示す図。

動揺影響度算出処理の概念を示す図。

過去動揺情報テーブルTB7の一例を示す図。

過去動揺情報算出処理を示すフローチャートを示す図。

制御対象決定処理のフローを示す図。

不安定時間算出処理のフローを示す図。

制御時間決定処理のフローを示す図。

表示画面の一例を示す図。

実施例2に係る系統安定化制御装置の構成例を示す図。

実施例2に係る系統安定化制御決定処理のフローチャートを示す図。

実施例3に係る系統安定化制御装置の構成例を示す図。

実施例3に係る電力系統制御システムの構成例を示す図。

実施例3に係る系統安定化制御装置200における処理フローを示す図。

実施例3に係る全系統安定化制御装置300における処理フローを示す図。

本発明の実施例について、図面を参照しながら以下詳細に説明する。尚、下記はあくまでも実施の例に過ぎず、下記具体的内容に発明自体が限定されることを意図する趣旨ではない。

図1は、本発明の実施例に係る系統安定化制御装置の機能構成例を示す図である。

本実施例に係る系統安定化制御装置200は、系統安定化制御決定部10と、情報記憶部30を含む。このうち系統安定化制御決定部10は、系統計測部20に接続されている。系統計測部20は、複数の地点の計測情報を計測する計測装置21(21a、21b、・・・21n)で構成されている。情報記憶部30は、設備情報データベースDBに設備情報を格納する。なお以下の説明において、符号のアルファベットによって要素を区別する必要がない場合、符号のアルファベットを省略することがある。

系統安定化制御決定部10は、計測情報収集部11と、動揺検出部12と、制御優先度決定部13と、制御対象決定部14と、不安定化時間算出部15と、制御時間決定部16を含む。

計測情報収集部11は、系統計測部20の計測装置21において計測された複数の地点の計測情報(系統状態量)を、情報通信ネットワークを介して受信し、収集する。

動揺検出部12は、計測情報収集部11により収集された計測情報に基づいて、特定の種別の計測情報(計測種別)に対し、計測地点毎に、電力の動揺の周波数成分である動揺成分を示す検出動揺情報を算出する。

制御優先度決定部13は、設備情報データベースDBに記憶された設備情報に基づいて複数の設備の制御性能を算出し、その制御性能に基づき設備毎の制御優先度を決定する。

制御対象決定部14は、制御優先度決定部13において決定された制御優先度及び動揺検出部12において算出された検出動揺情報に基づき制御対象を決定する。

不安定化時間算出部15は、動揺検出部12において算出された検出動揺情報に基づき、系統が不安定化する限界時間である不安定化時間を算出する。

制御時間決定部16は、設備情報及び不安定化時間算出部において算出された不安定化時間算出部に基づき制御対象を決定する。

なお系統安定化制御装置200には、モニタ202やキーボードなどの入力操作機器が備えられ、使用者が適宜内部処理内容を確認可能であり、かつ適宜必要な設定などの入力処理が行えるものとされている。

系統計測部20は、系統内の計測地点における計測情報を計測し、計測情報収集部11に送信する。計測情報は、有効電力潮流、無効電力潮流、系統電圧、系統電流、電圧位相の中の少なくとも一つの種別を含む。系統計測部20は、複数の計測地点に夫々配置された計測装置21a、21b、・・・、21nを含む。計測装置21は、例えばPMU(Phasor Measurement Unit)等であり、電力に関する定期的な計測を行い、時系列の計測情報を送信する。

情報記憶部30内の設備情報データベースDBには、電力系統に連系している系統要素の接続情報を示す設備情報を格納する。設備情報には、計測地点の近傍に連系している発電機、負荷、調相機器など系統内の各ノードに接続される系統要素(電力機器)の特性を示す情報(ノード情報D1)と、各ノード間を接続する送電線のインピーダンス等を示す情報(送電線情報D2)と、複数の計測地点の緯度及び経度やトポロジー等の位置関係を示す情報(計測設備情報D3)との何れかが含まれる。これにより、計測地点間の電気的距離を算出することができ、計測地点を電気的距離で分類することができる。なお、ノード情報D1と、送電線情報D2と、計測設備情報D3について、図9、図10、図11に例示して別途詳細に説明を行う。

図2は、本発明の実施例に係る電力系統制御システムの構成例を示す図である。

図2に示すように、本発明の実施例に係る電力系統制御システムは、発電機Gと、ノード(母線)N(N1、N2、N3)と、変電所SSと、調相機器Cと、電力負荷LDと、外部電力系統PSと、計測装置21(21a、21b、・・・21e)と、情報通信ネットワーク108と、系統安定化制御装置200と、を含む。以下、発電機Gと、変電所SSと、調相機器Cと、電力負荷LDと、計測装置21(21a、21b、・・・21e)を含む電力系統を自系統と呼ぶことがある。

発電機Gは、発電力を生じる発電機であり、火力発電、力発電、原子力発電、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電、潮流発電を含む何れかの発電手法により発電力を生じる発電機である。

発電機Gaは、電力系統において変電所SSの高電圧側に設置される火力発電、水力発電、原子力発電などを含む大規模発電機であり、計測装置21aおよび情報通信ネットワーク108を通じて発電量を含む系統状態量を系統安定化制御装置200に送信する。また、発電機Gaは、計測装置21aおよび情報通信ネットワーク108を通じて系統安定化制御装置200より送信された制御指令情報を受信し、制御指令情報に応じて発電量を含む系統状態量を変化させる。

発電機Gbは、電力系統において変電所SSの低電圧側に設置される太陽光発電、風力発電、コジェネレーションなどを含む中小規模発電機であり、計測装置21bおよび情報通信ネットワーク108を通じて発電量を含む系統状態量を系統安定化制御装置200に送信する。

変電所SSは、電力系統内の送電線間に設置され、大規模発電機である発電機Gaが設置される高電圧側より送電される電力の電圧値を変更し、電力負荷LDが設置されている低電圧側に送電する。変電所SSには、電力コンデンサ、分路リアクトルなどの調相機器Cが接続される。

調相機器Cは、電力系統内における無効電力を変化させることにより、電力系統内の電圧分布を制御する機器であり、電力コンデンサ、分路リアクトル、STATCOM(Static Synchronous Compensator:自励式無効電力補償装置)、SVC(Static Var Compensator:静止型無効電力補償装置)、などを含む。一部の調相機器Cは、計測装置21cおよび情報通信ネットワーク108を通じて系統安定化制御装置200より送信された制御指令情報を受信し、制御指令情報に応じて発電量を含む系統状態量を変化させる。

電力負荷LDは、電力を消費する電動機や照明器具などを含む施設であり、家庭、工場、ビルなどの施設を表す。

外部電力系統PSは、系統安定化制御装置200からの制御が不可能である外部の電力系統であり、連系線により自系統と接続されている。

計測装置21(21a、21b、・・・21e)は、発電機Gaにおける発電量、調相機器Cにおける調相量、送電線における潮流値、電圧値、などの系統状態量を計測するセンサを含み、計測した系統状態量を、情報通信ネットワーク108を通じて系統安定化制御装置200に送信する。

情報通信ネットワーク108は、双方向にデータを伝送可能なネットワークである。情報通信ネットワーク108は、例えば、有線ネットワーク若しくは無線ネットワーク、又はそれらの組合せである。情報通信ネットワーク108は、いわゆるインターネットであっても良いし、専用線のネットワークであっても良い。

系統安定化制御装置200は、図1に示す系統安定化制御機能を実現するための装置である。系統安定化制御装置200は、計測装置21(21a、21b、・・・21e)において計測された系統状態量を、情報通信ネットワーク108を通じて受信する。また、系統安定化制御装置200は、送信された系統の系統状態量および内部に蓄積された情報を用いて算出した制御指令情報を、情報通信ネットワーク108を通じて計測装置21に送信する。

系統安定化制御装置200は、その内部構成として、CPU(Central Processing Unit)201と、表示装置202と、通信手段203と、入力手段204と、メモリ205と、記憶装置206と、がバス線211に接続されている。CPU201は、記憶装置206に格納された計算プログラムを実行して、系統状態の算出や、制御信号の生成、画像データの生成などを行い、画像データを表示装置202に表示させる。メモリ205は、表示用の画像データ、系統状態の算出結果データなどを一旦格納するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)などである。通信手段203は、情報通信ネットワーク108を通じて計測装置21から潮流値、電圧値などの系統状態量を取得する。計測情報収集部11は、通信手段203を用いて、複数の計測装置21で計測された時系列の計測情報を受信する。

系統安定化制御装置200のユーザ(管理者)は、入力手段204の所定のインタフェースを通じて各種閾値などのパラメータを設定又は変更し、自系統の系統安定化制御装置200の動作を適切に設定できる。また、ユーザは、入力手段204の所定のインタフェースを通じて確認したいデータの種類を選択し、表示装置202に表示させることができる。

記憶装置206は、各種プログラムおよびデータを保持する。記憶装置206は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)又はフラッシュメモリ等である。記憶装置206は、例えば、後述する各種機能を実現し得るプログラムおよびデータ等を保持する。記憶装置206に記憶されているプログラムおよびデータは、必要に応じてCPU201に読み出されて実行される。なお、記憶装置206は、情報記憶部30を実現し、各種のデータベース(DB)を格納する。

図3は、系統安定化制御決定処理を示すフロー図である。図3の各処理判断フローは、図1の系統安定化制御決定部10の各部に対応している。具体的には、図3の処理ステップS10が図1の動揺検出部12、処理ステップS20が制御優先度決定部、処理ステップS30が制御対象決定部14、処理ステップS40が不安定化時間算出部15、処理ステップS50が制御時間決定部16にそれぞれ対応している。図1と図3は上記の対応関係にあるので、以下の説明においてはこれらを対比して説明する。

まず、図1の動揺検出部12(図3の処理ステップS10)では、系統計測部20により計測された複数地点の計測情報を用いて、検出動揺情報を算出する。

ここで、系統計測部20により計測された複数地点の計測情報は、有効電力潮流、無効電力潮流、系統電圧、系統電流、電圧位相のうち少なくとも一つの計測種別の情報を含む。系統安定化制御装置200は、特定の一つの計測種別に対して系統安定化制御決定処理を行ってもよいし、複数の計測種別に対して系統安定化制御決定処理を行ってもよい。本処理における検出動揺情報の算出には、周波数解析に用いるアルゴリズム、すなわち、フーリエ解析、ウェーブレット解析、プローニー法、Matrix Pencil法、HTLS(Hankel Total Least Squares)法を例とするアルゴリズムのうちの少なくとも一つを適用する。

以下、プローニー法による動揺情報算出アルゴリズムについて説明する。プローニー法による動揺情報算出アルゴリズムでは、以下の(1)式から(12)式を実行する。なおこれらの式を実行するにあたり、解析窓幅のデータ数N、モード次数nは、事前に設定されているものとする。

動揺検出部12では、最初に各地点の計測情報である入力データy(k)(k=0、1、:、N−1)を用いて、以下の(1)式〜(4)式を実行し、行列a=(a1、a2、:、an)Tを算出する。ただし、上付き文字の”T”は転置行列を、上付き文字の”−1”は逆行列を示す。

ここで、(1)式は自己回帰モデル係数ベクトルaを算出する数式であり、(2)式は(1)式の自己回帰モデル係数ベクトルaの定義式、(3)式は(1)式のXの定義式、(4)式は(1)式のYの定義式である。なお(3)式において、kは時刻、yは入力である計測値(計測装置21として例えばPMUからの値)、nは事前に設定されたモード次数、Nは事前に設定された解析窓幅(信号処理のために、計測値をバッフアリングするデータサイズの意味)である。

次に動揺検出部12では、(5)式〜(7)式を実行して、固有値λを算出する。ここで(5)式は(1)式で算出した自己回帰モデル係数(a1、a2、・・、an)を用いて固有値を算出する特性方程式、(6)式は解Zと固有値λの関係式、(7)式は固有値λと減衰係数σ、同様化周波数ωの関係式である。

具体的にはまず、上記(1)〜(4)式により算出した自己回帰モデル係数(a1、a2、・・、an)を、以下の(5)式に代入する。(5)式は、Ziを解とするn次の多項式(特性方程式)であり、n個のZi、σi、fiがそれぞれ解として求められる。

その後、動揺検出部12では、(5)式の特性方程式の解Zに、(6)式及び(7)式の形式で表されるZiを代入し、固有値λi、減衰係数(減衰率)σi[1/sec]、動揺周波数fi[Hz]=ωi/2πを算出する。ここでΔtはサンプリング周期を表す。

次に動揺検出部12では、入力データy(k)(k=0、1、・・、N−1)、および算出したZi(i=1、2、・・、n)を用いて、以下の(8)式〜(11)式から、行列b=(B1、B2、・・、Bn)Tを算出する。ここで(8)式は複素振幅ベクトルbを算出する数式、(9)式は(8)式のベクトルbの定義式、(10)式は(8)式の解Zとの定義式、(11)式は(8)式のwの定義式である。なお(8)式において要素は各動揺モードの複素振幅Bであり、(11)式においてyは計測値である。

最後に動揺検出部12では、(8)式〜(11)式から算出した複素振幅B(B1、B2、:、Bn)から、(12)式で表される絶対値Ri、偏角θiを求める。このとき、絶対値Riが振幅を、偏角θiが初期位相を意味する。なお(12)式は、複素振幅Bと振幅R、位相θの関係式である。

以上の処理により、動揺周波数、減衰係数、振幅、初期位相を含む検出動揺情報が得られる。検出動揺情報が、動揺周波数、減衰係数、及び振幅の一つを含むことにより、各計測地点における動揺成分を表すことができる。また、このような検出動揺情報を用いることにより、将来の動揺成分を予測することができる。

図4は、上記(1)式から(12)式の処理により求められた各計測地点における動揺成分を記憶する検出動揺情報テーブルTB1の記憶内容を示す図である。

図4の検出動揺情報テーブルTB1は、検出動揺情報毎のエントリを有する。一つの検出動揺情報に対応するエントリは、当該検出動揺情報を識別するための検出動揺識別情報(図中の動揺名称)100と、当該検出動揺情報により表される動揺の特性を示す動揺特性101とを含む。検出動揺識別情報100は、入力データに対応する計測地点の名称100aと、当該検出動揺情報のモードを示す検出動揺情報番号(No.)100bとを含む。

上記のプローニー法を用いて検出動揺情報が算出される場合、1計測地点の1種別の計測情報につき、モード次数nと同数の検出動揺情報が算出される。従って、p個の地点(p≧1)の各地点において、q個の種別(q≧1)の計測情報を使用した場合、n×p×q個の検出動揺情報が算出される。動揺特性101は、算出された動揺周波数102、減衰係数103、振幅L、初期位相105を含む。

このようにして動揺検出部12(図3の処理ステップS10)では、検出動揺情報を算出しているが、これはさらに以下のような加工情報として利用することが可能である。加工情報の一例は、動揺影響度であり、図3では動揺影響度を求める処理ステップをS10Aとして点線で示している。

動揺検出部12の処理ステップS10Aでは、処理ステップS10で求めた検出動揺情報と、情報記憶部30に格納された設備情報データベースDBのデータに基づき、同一と判別される動揺成分毎に関連する複数計測地点を抽出し、動揺成分の影響の大きさを表す動揺影響度を算出する。動揺影響度を用いて系統安定化制御を決定することにより、動揺が大きく影響範囲が広いため、不安定時の系統への影響が大きい動揺を優先的に安定化させる制御を選択することができる。

動揺検出部12の処理ステップS10Aの一連の処理(複数計測地点抽出、並びに動揺影響度算出)について、図5から図13を用いて詳細に説明する。

まず図5は、処理ステップS10Aの一連の処理(複数計測地点抽出、並びに動揺影響度算出)を表す動揺影響推定処理を示すフローチャートである。図5のフローチャートは、図1の動揺検出部12において実行され、これは図3の処理ステップS10Aの処理を具体化したものである。図5の最初の処理ステップS11では、同一と判別される動揺成分毎に関連する複数計測地点を抽出する動揺影響地点抽出処理を行う。次の処理ステップS12では、動揺成分の影響の大きさを表す動揺影響度を算出する。なお、処理ステップS11の詳細な処理内容が図6の処理フローチャートに示されており、処理ステップS12の詳細な処理内容が図6の処理フローチャートに示されている。

図6の処理フローチャートは、動揺影響地点抽出処理(処理ステップS11)の詳細内容を示している。ここでの最初の処理ステップS111では、動揺検出部12により算出された複数の検出動揺情報を動揺周波数で分類し、その結果を周波数動揺情報テーブルTB2として情報記憶部30に保存する。なお動揺検出部12により算出された複数の検出動揺情報については、上記した検出動揺情報テーブルTB1として既に情報記憶部30に保存されたものを利用する。

図7は、周波数動揺情報テーブルTB2の例を示す。図7のテーブルTB2を図4のテーブルTB1と比較すると明らかなように、このテーブルTB2は、図4のテーブルTB1を動揺周波数102の観点で記載順序を入れ替えたものである。

図7の周波数動揺情報テーブルTB2についてより詳細に説明すると、これは周波数動揺情報毎のエントリを含む。一つの周波数動揺情報に対応するエントリは、当該周波数動揺情報に対応する動揺成分の動揺周波数102と、検出動揺識別情報100(図中の動揺名称)と、当該動揺周波数に近い動揺周波数を有する少なくとも一つの検出動揺情報の特性を示す動揺特性101とを含む。検出動揺識別情報100は、検出動揺情報の検出動揺識別情報100a、100bと同様である。動揺特性101は、減衰係数103と、振幅104と、初期位相105とを含む。

この周波数動揺情報テーブルTB2の例において、0.18に近い動揺周波数を有する周波数動揺情報には、計測地点PMU1におけるNo.1の検出動揺情報と、計測地点PMU2におけるNo.1の検出動揺情報とが含まれている。同様に、0.65に近い動揺周波数を有する周波数動揺情報には、計測地点PMU1におけるNo.2の検出動揺情報が含まれている。以後、一つの周波数動揺情報に含まれる計測地点を計測地点群候補と呼ぶことがある。

なおこの分類に際し、動揺検出部12では、事前に定められた動揺周波数の差を示す周波数幅を用い、動揺周波数の差が周波数幅以内である検出動揺情報を、同じ動作周波数の周波数動揺情報に分類しても良い。前述の検出動揺情報テーブルTB1の例において、計測地点PMU2のNo.1の検出動揺情報の動揺周波数は0.19であり、計測地点PMU1におけるNo.1の検出動揺情報の動揺周波数は0.18であるが、これらは同じ周波数動揺情報に分類されている。動揺周波数が周波数幅内にある検出動揺情報を同じ周波数動揺情報に分類することで、各検出動揺情報に、ノイズに起因する誤差が含まれる場合においても、各動揺の系統内の分布を正確に推定できる。

ここで、同じ分類に含める動揺周波数の範囲を定める周波数幅は、入力データとして用いられる計測情報の数に基づいて定められても良い。例として、同じ周波数動揺情報に含める動揺周波数の周波数幅Δfを(13)式に示す。(13)式は、サンプリング定理に基づく周波数幅Δfの決定手法を表す式である。ここで、Nを検出動揺情報の算出に用いた計測情報の入力データ数とし、Δfsを計測情報のサンプリング周波数、αを事前に指定される定数とする。一般に、周波数解析における周波数分解能は入力データのサンプリング周波数が小さい場合に高く、データ数が大きい場合に高くなるため、(13)式により、同じ周波数動揺情報に含める動揺周波数の周波数幅Δfを適切に選択することができる。

次に、動揺検出部12は、図6の処理ステップS112において情報記憶部30に格納された設備情報データベースDBのデータに基づいて計測地点間距離を算出する計測地点間距離算出処理を行う。

図8は、処理ステップS112における計測地点間距離算出処理をさらに詳細に示すフローチャートである。図8の最初の処理ステップS114では、計測情報収集部11により取得された計測情報の計測地点から順に、2個の計測地点を選択する。

次の処理ステップS115では、選択された2個の計測地点間の計測地点間距離を、情報記憶部30に格納された設備情報データベースDBに保管したデータに基づき算出する。ここで参照する設備情報データベースDBのデータとは、先に説明したようにノード情報D1と、送電線情報D2と、計測設備情報D3とを含む。

図9は、設備情報データベースDBのデータのうち、ノード情報D1を格納するノード情報テーブルTB3の例を示す図である。

ノード情報D1を格納するノード情報テーブルTB3は、電力系統におけるノード毎に、ノードを識別するためのノード名称200と、例えば経度と緯度で表した当該ノードの位置を示す位置情報201と、当該ノードに接続される発電機、電力負荷、調相機器の特性202とを含む。この図の例では、ノードAおよびノードBに発電機202aが連系している。ノードAにはG1という名称の定格容量が100である火力発電機が連系しており、ノードBにはG2という名称の定格容量が200である風力発電機が連系している。

また、この図の例では、ノードAAおよびBBに電力負荷202bが連系している。ノードAAにはL1という名称の定格容量が1000である住宅が連系しており、ノードBBにはL2という名称の定格容量が2000である工場が連系している。

また、この図の例では、ノードAAAおよびBBBのノードに調相機器202Cが連系している。ノードAAAにはD1という名称の定格容量が10であるSC(Static Condenser:電力用コンデンサ)が連系しており、ノードBBBにはD2という名称の定格容量が20であるShR(Shunt Reactor:分路リアクトル)が連系している。

図10は、設備情報データベースDBのデータのうち、送電線情報D2を格納する送電線情報テーブルTB4の例を示す図である。

送電線情報D2は、電力系統における送電線毎に、送電線を識別するための送電線名称300と、当該送電線の両端のノードを示す両端ノード301と、当該送電線の正相抵抗302a、正相リアクタンス302b、及び正相キャパシタンス302Cとを含む。この図の例では、送電線aが、ノードAとノードBの間に存在し、送電線aの正相抵抗が0.01、正相リアクタンスが0.2、正相キャパシタンスが0.1である。また送電線bが、ノードBとノードCの間に存在し、送電線bの正相抵抗が0.02、正相リアクタンスが0.5、正相キャパシタンスが0.2である。

図11は、設備情報データベースDBのデータのうち、計測設備情報D3を格納する計測設備情報テーブルTB5の例を示す図である。

計測設備情報テーブルTB5は、計測設備情報、電力系統内の計測地点毎に、二つの計測地点400a、400bの識別情報と、それらの間の計測地点間距離403とを含む。ここで計測地点とは、計測装置21が接続される地点を示す。この図のテーブルTB5の例では、計測地点400a、400bの識別情報は、計測装置21を示す計測地点名称401a、401bと、ノード情報に含まれるノード名称402a、402bとを含む。PMU1という計測地点名称の計測地点はノードAに接続されており、PMU2という計測地点名称の計測地点はノードBに接続されている。

また、計測地点間距離は、2つの計測地点の間の電気的距離と、2つの計測地点の近傍に連系された発電機、電力負荷、調相機器などの系統要素とに基づいて算出される値である。例えば、計測地点間距離Dは以下の(14)式により算出される。なお(14)式は計測地点間距離Dの定義式である。

ここで、Dは2つの計測地点の間のインピーダンスに比例する電気的距離を示す。nは2つの計測地点の何れかから、ある閾値で定める電気的距離の範囲内に連系される発電機、電力負荷、調相機器などの系統要素の数を示す。またCiは2つの計測地点の何れかから、ある閾値で定める電気的距離の範囲内に連系されるi番目の系統要素の定格容量を示す。α、βiは係数を示す。二つの計測地点の間の電気的距離を用いることにより、二つの計測地点の動揺成分が同一であるか否かを判定することができる。

これらの設備情報データベースDBの図に示されたデータ構成は一例であり、情報記憶部30は、さらに詳細な設備情報を格納しても良い。例えば、ノード情報D1は、火力発電機が連系するノードの情報として、ガバナ定数などの発電機動特性を含んでも良い。また、ノード情報D1は、風力発電機などの自然エネルギーによる発電機が連系するノードの情報として、過去の履歴を用いた統計分析により算出した確率的な発電量変動特性を含んでも良い。

また、計測設備情報D3における計測地点間距離Dの算出において、動揺検出部12は、(1)式の係数βiを、上記の発電機動特性に基づき定めて良い。また、動揺検出部12は、インピーダンスや発電機、電力負荷、調相機器などの系統要素の情報を用いず、ノード情報に含まれる緯度経度情報を用いて、計測地点間の距離を算出して、その値を計測地点間距離Dとして良い。

図8における次の処理ステップS116において動揺検出部12は、計測情報収集部11により取得された計測情報の計測地点に関して、全ての2地点の組合せについて計測地点間距離を算出したかどうかを判断する。全ての2地点の組合せについて計測地点間距離を算出したと判定された場合(Yes)、動揺検出部12は、計測地点間距離算出処理を終了する。計測地点間距離を算出していない計測地点の組合せがある場合(No)、動揺検出部12は、別の2計測地点について処理ステップS114、処理ステップS115を繰り返す。以上の処理により、全ての2計測地点の組合せについて計測地点間距離を算出する。

図6の動揺影響地点抽出処理に戻り、説明を再開する。図6の処理フローでは、計測地点間距離算出(処理ステップS112)の後、動揺検出部12は、処理ステップS111で得られた周波数動揺情報を計測地点間距離で分類し、その結果を領域動揺情報として情報記憶部30に保存する(処理ステップS113)。このとき、動揺検出部12は、周波数動揺情報(動揺周波数)毎に、計測地点間距離を用いて、ウォード法、k−means法に代表されるクラスタリング手法を用いて周波数動揺情報を分類しても良い。

図12は、処理ステップS113の処理で得られた領域動揺情報テーブルTB6の一例を示す図である。図12の領域動揺情報テーブルTB6を見ると明らかなように、これは図7の周波数動揺情報テーブルTB2に、図11の計測設備情報テーブルTB5の計測地点名401を加味し、動揺番号500により纏めたものである。

図12の領域動揺情報テーブルTB6について詳細に説明する。領域動揺情報テーブルTB6は、計測地点間距離により分類された領域動揺情報毎のエントリを含む。一つの領域動揺情報に対応するエントリは、当該領域動揺情報により表される動揺成分を示す動揺番号500(No.)と、当該領域動揺情報に対応する周波数動揺情報の動揺周波数102と、当該領域動揺情報に対応する周波数動揺情報の計測地点を示す計測地点名称102と、当該動揺成分の特性を示す動揺特性101とを含む。動揺特性101は、周波数動揺情報の動揺特性(図7)と同様に、減衰係数103と、振幅104と、初期位相105とを含む。

この図の例において、計測地点PMU1において観測された動揺周波数0.18の検出動揺情報と、計測地点PMU3において観測された同じく動揺周波数0.18の検出動揺情報とは、互いに異なる領域動揺情報に分類されている。これは、計測地点PMU1と計測地点PMU3との計測地点間距離が、他の計測地点間距離に比べて、相対的に大きいためである。このように、周波数動揺情報は設備情報データベースDBの保管情報を用いて分類される。

複数の計測地点で検出された動揺成分の動揺周波数の差が予め定められた範囲内である場合、設備情報データベースDBの保管情報に基づいて、複数の計測地点の間の電気的距離により複数の計測地点を分類し、それぞれの分類に属する計測地点を計測地点群として抽出することにより、各動揺成分が存在する領域を特定することができる。

図5の動揺影響推定処理において、処理ステップS12では処理ステップS11の後、図12の領域動揺情報を用いて動揺影響度を算出する動揺影響度算出処理を行う。図13は、動揺影響度算出処理の具体的なフローチャートを示している。

まず、動揺検出部12の処理ステップS121では、図12のように整理された領域動揺情報毎に、領域動揺情報に含まれる計測地点を抽出する。例えば図12の領域動揺情報テーブルTB6の例において説明すると、動揺検出部12は、最初に動揺番号500について「1」を参照し、動揺周波数102が「0.18」の動揺成分を検出した計測地点401として、「PMU1」、「PMU3」などを抽出する。同様に、動揺検出部12は、動揺番号500について「2」を参照し、動揺周波数102が「0.65」の動揺成分を検出した計測地点401として「PMU1」などを抽出する。また同様に動揺検出部12は、動揺番号500について「3」を参照し、動揺周波数102が「0.18」の動揺成分を検出した計測地点401として「PMU2」などを抽出する。

次に、動揺検出部12の処理ステップS122では、図8の処理ステップS114で抽出された計測地点に対応する動揺特性から、領域動揺情報毎の動揺影響度を算出する。動揺影響度を算出することにより、各動揺成分が電力系統の安定度へ与える影響の大きさを表すことができる。

図14を用いて、動揺影響度算出処理の概念を説明する。図14では、横軸に時間を取り、縦軸に計測情報xijk及び計測情報から得られた動揺影響度Jijkを示している。この例では、電力変動は時間経過とともに減衰振動した事例を示している。図14についてさらに詳細に説明する。

図14において、Jijkを計測地点iにおける領域動揺情報j及び計測種別kの動揺影響度とし、xijkを計測地点iにおける領域動揺情報jで計測種別kの計測情報とし、t1、t2(t1

ijkを(12)式により算出された動揺の振幅(図12の104)とし、σ

ijkを(7)式により算出された減衰係数(図12の103)とする。

動揺検出部12では、領域動揺情報毎の動揺影響度Jijkを(15)式より算出する。なお(15)式は動揺影響度Jの定義式である。

ここで、解析の基準とする時刻を0と定義し、0>t2>t1と設定すると、解析基準時刻より過去の領域動揺情報の動揺影響度Jijkが算出される。同様に、t2>0>t1と設定すると、解析基準時刻を含む現在の領域動揺情報の動揺影響度Jijkが算出され、t2>t1>0と設定すると、解析基準時刻より将来の領域動揺情報の動揺影響度Jijkが算出される。

例えば、t2>t1>0と設定することにより、或る計測地点における将来の動揺成分の時間変化を予測し、予測された動揺成分に基づいて動揺影響度Jijkを算出し、その動揺影響度Jijkにより、その計測地点が将来、不安定になるか否かを判定することができる。動揺影響度Jijkに振幅Bijk及び減衰係数σijkを用いることにより、将来の動揺影響度Jijkを予測することができる。

(15)式の定義により動揺影響度Jijkを算出することで、振幅Bijkが大きく、かつ減衰係数σijkが悪い(減衰係数σijkが大きい)領域動揺情報の動揺影響度が大きくなる。ここで、(15)式による動揺影響度の代わりに、振幅Bijkあるいは減衰係数σijk自体の値を動揺影響度として定義しても良い。

また、動揺検出部12の処理においては、過去の領域動揺情報を参照し、過去の領域動揺情報の中から、現在の領域動揺情報の計測地点群の状況に対応する過去の領域動揺情報を選択し、選択された過去の領域動揺情報の動揺成分の継続時間を考慮して動揺影響度Jijkを算出しても良い。

例えば、動揺検出部12は、過去の領域動揺情報において、同じ動揺周波数を持つ動揺成分が継続して存在する期間が予め定められた期間閾値以上である場合、動揺影響度Jijkを大きく設定し、同じ動揺周波数を持つ動揺成分が継続して存在する期間が期間閾値以下である場合、動揺影響度Jijkを小さく設定しても良い。このように動揺影響度Jijkを定めることにより、瞬間的に系統動揺に含まれるノイズの影響による動揺を排除し、定常的に存在する動揺成分を優先的に監視することができる。

図15は、過去動揺情報テーブルTB7の一例を示す図である。図15の過去動揺情報テーブルTB7を図12の領域動揺情報テーブルTB6と比較して明らかなように、過去動揺情報テーブルTB7は、さらに動揺影響度や事例詳細の情報を付与して整理されたものである。

過去動揺情報テーブルTB7について、さらに詳細に説明する。過去動揺情報テーブルTB7は、事例毎のエントリを有する。一つの事例のエントリは、事例を示す事例詳細600と、その事例に対応する少なくとも一つの領域動揺情報を含む。事例詳細600は、時刻601、日付又は曜日602、月又は季節603、イベント種別604等を含む。領域動揺情報は、動揺番号500、動揺周波数102、動揺影響度605、計測地点401、減衰係数103、振幅104、初期位相105を含む。

動揺検出部12は、過去の領域動揺情報を事例毎に分類し、統計処理した情報を、過去動揺情報テーブルTB7として情報記憶部30に格納する。動揺検出部12は、検出動揺情報の算出に用いた計測情報の時刻、日付、曜日、月、季節、イベント種別の情報に基づいて、事例を設定する。

動揺検出部12は、時刻601を用いて事例を設定することにより、1日の中の系統内の潮流状況の変動影響を領域動揺情報の統計処理に反映することができる。この場合の潮流状況の変動は、朝夕の出勤退勤時刻で区切られる勤務時間帯を一例とする1日の中の生活行動を原因としている。この図15の例において、事例No.1では8:00−10:00が、事例No.2では12:00−14:00が設定されている。

動揺検出部12は、日付または曜日602を用いて事例を設定することにより、1週間の中の系統内の潮流状況の変動影響を領域動揺情報の統計処理に反映することができる。この場合の潮流状況の変動は、平日および休日を一例とする曜日毎の生活行動を原因としている。この図の例において、事例No.1では土日が、事例No.2では月−金が設定されている。

動揺検出部12は、月または季節603を用いて事例を設定することにより、1年間の中の系統内の潮流状況の変動影響を領域動揺情報の統計処理に反映することができる。この場合の潮流状況の変動は、夏季における冷房需要、冬季における暖房需要を一例とする月または季節毎の生活行動を原因としている。この図の例において、事例No.1では3月−5月が、事例No.2では7月−9月が設定されている。

動揺検出部12は、イベント種別604を用いて事例を設定することにより、系統故障、系統切替などのイベントによる系統内の潮流状況の変動影響を領域動揺情報の統計処理に反映することができる。この図の例において、事例No.1ではイベントなしが、事例No.2ではノードAAの1LGが設定されている。

図15には例示していないが、動揺検出部12は、上記の事例の設定方法に加えて、事前に監視対象として設定したノードまたは送電線の潮流量、発電機の発電量、晴れ・曇り・雨の区分または気温情報を含む気象情報、を分類項目とした事例を設定し、領域動揺情報の統計処理を実施しても良い。

ここでは、動揺検出部12が図15の過去動揺情報テーブルTB7を算出する過去動揺情報算出処理について説明する。図16は、過去動揺情報算出処理を示すフローチャートの例である。なお図16の処理フローは、図5の動揺影響推定処理フローの後段に位置づけられて実行されることになる。

図16では、まず動揺検出部12は、処理ステップS161において複数時点の計測情報を格納する。

次に、動揺検出部12は、処理ステップS162において格納した計測情報を用いて、複数時点における領域動揺情報及びその動揺影響度を算出する。このとき、動揺検出部12は、前述の図5の処理ステップS11〜S12の工程に従って、領域動揺情報及びその動揺影響度を算出する。

次に、動揺検出部12は、処理ステップS163において事例の分類を設定する。このとき、動揺検出部12は、分類項目として、過去動揺情報に示す時刻、日付、曜日、月、季節、イベント種別の情報のうち少なくとも一つを用いる。動揺検出部12は、使用する分類項目のそれぞれについて、期間の始端及び終端、イベント種別の分類名、あるいは数値情報の最小値・最大値を決定し、分類区分を設定する。

次に、動揺検出部12の処理ステップS164においては、処理ステップS161で設定した事例の分類に基づき、事例毎の領域動揺情報、動揺影響度を算出する。このとき、動揺検出部12は、処理ステップS162で領域動揺情報、動揺影響度を算出した解析時刻を事例毎に分類し、同一事例に分類された複数時刻における領域動揺情報および動揺影響度の情報に統計処理を施して算出した代表値を、各事例の領域動揺情報、動揺影響度とする。動揺検出部12は、代表値として、領域動揺情報、動揺影響度毎の平均値、中間値を用いる。

以上が過去動揺情報算出処理である。なお動揺影響度算出処理において、動揺検出部12は、過去動揺情報算出処理により算出された過去動揺情報を参照して、解析時刻の状況に最も近い事例を抽出し、抽出した事例の動揺影響度を適用してもよい。動揺検出部12は、過去の領域動揺情報の統計処理結果を用いることにより、解析時刻において系統動揺に含まれる瞬間的なノイズの影響による動揺を排除し、優先的に監視する動揺成分を正確に選択することができる。

なお図13の処理ステップS122の後、処理ステップS123において動揺検出部12は、(16)式に従って、計測地点iにおける領域動揺情報jの動揺影響度Jijを算出する。(16)式は、複数種別を考慮した動揺影響度Jの定義式である。ここで、(16)式のβkは計測情報種別kに対して設定される係数である。βkは各計測種別kの定格値の逆数としても良い。動揺検出部12は、各計測種別の定格値を用いることにより、複数の種別の計測情報における動揺影響度を、定格に対する比率で正規化して算出することができる。また、特定の計測種別の動揺影響度を抽出するために、当該計測種別kに対応する係数βkの値を他種別に対する係数に比して大きく設定しても良い。

さらに、動揺検出部12は、計測地点iにおける全ての領域動揺情報を考慮した動揺影響度Jiを以下の(17)式により算出しても良い。(17)式は動揺が発生する領域を考慮した動揺影響度Jの定義式である。ここでγjは領域動揺情報jに対して設定される係数である。ある領域動揺情報jに対する係数γjを大きくすることで、特定の領域動揺情報を重視した動揺影響度を算出することができる。

以上、図13の動揺影響度算出処理により、計測地点iにおける領域動揺情報jの動揺影響度Jij、または計測地点iの動揺影響度Jiが算出される。ここまでの説明が、図1の動揺検出部12、従って図3の処理ステップS10における処理内容を述べたものである。

次に図1の制御優先度決定部13、従って図3の処理ステップS20における処理内容を具体的に述べる。図3の処理ステップS20では、設備情報データベースDBに保管されたデータに基づき、制御機器ごとの優先度を決定する。

制御優先度を算出する数式の一例を(18)式に示す。(18)式は制御優先度Lの定義式である。なお、Lijは制御機器iによる制御手段jの制御優先度、pijは制御機器iの制御手段jによる制御可能量、qijは制御機器iの制御手段jによる制御効果の度合い、a1、a2は事前設定される係数を示す。

ここで、制御対象機器(以後単に制御機器という)iは発電機、負荷、調相機器、変圧器、開閉装置、を含んでもよい。制御手段jは、電源制限、発電機無効電力制御、負荷制限、調相制御、タップ制御、系統切替、を含んでもよい。制御可能量pijは、発電機の現在出力、負荷の現在消費電力、調相機器容量、開閉装置を流れる現在潮流量、に基づき決定してよい。qijは、制御機器iの制御手段jの制御速度(動作時定数)に基づき、制御速度が速い(動作時定数が小さい)場合に大きく、制御速度が遅い(動作時定数が大きい)場合に小さく設定してよい。また、qijは、安定化対象とする不安定化現象と制御機器iの制御手段jの組合せにより設定しても良い。例えば、有効電力のアンバランスに起因する不安定化現象を安定化する場合、有効電力潮流への影響が大きい電源制限、負荷制限、系統切替といった制御手段のqijを大きく設定してよい。

このようにして制御優先度Lijを算出することにより、設備データベースDBに保管したデータを用いて各制御手段の制御性能に基づいた安定化制御が可能となる。

再度図1、図3に戻り、次に、制御対象決定部14の処理ステップS30では、検出動揺情報および制御優先度に基づき制御対象を決定する。図17に制御対象決定処理のフローを示す。

図17の制御対象決定処理では、最初の処理ステップS31においてまず、制御優先度を算出した制御機器を一つ選択する。

次に処理ステップS32では、選択した制御機器と不安定動揺が観測された全計測地点との距離を算出する。地点間距離は、制御機器の連系地点と計測地点との間の電気的距離と、制御機器の連系地点と計測地点との近傍に連系された発電機、電力負荷、調相機器などの系統要素とに基づいて算出される値である。例えば、(14)式により算出される地点間距離Dを用いることができる。

次に処理ステップS33では、、制御優先度および制御対象と計測地点との距離に基づき制御対象を決定する。例えば、以下の(19)式に示す制御効果L‘ijを制御手段ごとに算出し、L‘ijが最大となる制御手段を選択して良い。なお(19)式は制御効果L‘ijの定義式である。ここで、制御効果Lijは制御機器iによる制御手段jの制御優先度、Diは、処理ステップS32にて算出した、制御機器iと不安定動揺が観測された計測地点との距離、b1、b2は事前設定される係数を示す。

ここで、制御機器iは発電機、負荷、調相機器、変圧器、開閉装置、を含んでよい。制御手段jは、電源制限、発電機無効電力制御、負荷制限、調相制御、タップ制御、系統切替、を含んでよい。Diは、処理ステップS32にて算出した、制御機器iと不安定動揺が観測された計測地点との距離の中で最小の値として良い。

処理ステップS31から処理ステップS33に示す処理を全ての制御機器について繰り返すことで、全ての制御機器について制御効果L‘ijが算出され、その中でL‘ijが最大の制御手段を選択する。

このようにして、制御性能が高く、かつ動揺発生地点に近いため制御効果の高い制御対象を決定することにより、少ない制御量で系統を安定化することができる。

このとき、複数の制御機器の組合せを一つの制御として、制御優先度を算出し、制御対象を決定して良い。ここで、制御量の上限を事前に設定し、複数制御機器の制御量の総和が制御量上限未満となる制御機器のみについて制御対象として良い。こうすることで、制御量を一定範囲内に制限することができるため、安定化に不必要な制御機器まで制御する過剰制御を抑制することができる。

再度図1、図3に戻り、次に、不安定化時間算出部15の処理ステップS40では、検出動揺情報に基づき不安定化時間を算出する。図18に不安定化時間算出処理のフローを示す。

図18に不安定時間算出処理のフローを示す。

図18の不安定時間算出処理のフローの最初の処理ステップS41では、不安定動揺の検出動揺情報を一つ選択する。次に処理ステップS42では、現在時刻以降の判定時刻を設定し、事前設定した検証限界時刻よりも前かどうかを判定する。判定時刻が検証限界時刻よりも後の場合(図中処理ステップS42のN)、「不安定時間なし」の結果を出力(処理ステップS43)し、不安定時間算出処理を終了する。判定時刻が検証限界時刻よりも前の場合(図中処理ステップS42のY)、検出動揺情報を用いて判定時刻の動揺推定値を算出する(処理ステップS44)。ここで、以下の(20)式に基づいて動揺推定値を算出しても良い。

ここで、y(t)は推定値、tは判定時刻、iは動揺情報のインデックス、Riは動揺情報iの振幅、θiは動揺情報iの初期位相、σiは動揺情報iの減衰係数、fiは動揺情報iの動揺周波数、を表わす。

次に処理ステップS45において、算出した動揺推定値と事前設定した基準値の差分が、事前設定した不安定閾値より小さいかどうかを判定する。ここで、基準値として、ある一定期間の計測値の平均値あるいは定常値を用いて良い。上記差分が不安定閾値より小さい場合(図中処理ステップS45のY)、事前設定した時間間隔が経過した時刻を判定時刻に設定し(処理ステップS46)、処理ステップS42の処理に戻る。上記差分が不安定閾値より大きい場合(図中処理ステップS45のN)、現在の判定時刻を不安定時間として出力し(処理ステップS47)、不安定時間算出処理を終了する。

このようにして、将来動揺推定値が不安定閾値を超える時刻を算出することができる。

再度図1、図3に戻り、次に、制御時間決定部16の処理ステップS50では、不安定化時間情報および制御対象情報に基づき制御時間を決定する。図19に制御時間決定処理のフローを示す。

図19の制御時間決定処理の、最初の処理ステップS51では、制御効果が最大の制御機器を選択する。次に処理ステップS52では、選択した制御機器の動作時間が、算出した不安定化時間より小さいかどうかを判定する。動作時間が不安定化時間より大きい場合、(図中処理ステップS52のN)選択した制御機器を制御候補から削除(図中処理ステップS53)し、処理ステップS51に戻って残りの制御候補から制御効果が最大の制御機器を選択する。動作時間が不安定化時間より小さい場合、(図中(図中処理ステップS52のN)選択した制御候補を制御対象として決定し、制御機器の動作時間を制御時間とする(図中処理ステップS54))。

このようにして、不安定化時間よりも前に制御可能であり、制御効果の高い制御対象を選択することで、最小の制御量で安定化可能な制御対象を選択することができる。このとき、動作時間が不安定化時間よりも短くなる制御案を複数算出してもよい。

以上により図1及び図3の各部、各処理の内容を説明したが、これらの処理過程並びに処理結果は、適宜モニタ画面に表示されて、使用者の便に供されるのがよい。図20には、係る表示画面の一例を示す。表示画面は、複数のモニタを使用して行われてもよく、1つのモニタ画面を画面分割して複数の内容を表示するものであってもよい。ここでは画面分割事例を示している。

ここでのモニタ画面の利用場面としては、不安定時間検出の処理を例示する。例えば不安定時間検出部15は、特定の時刻において動揺影響度の高い領域動揺情報を選択する。不安定時間検出部15は、選択された領域動揺情報を示す表示画面を表示装置202に表示させる。表示画面は、選択された領域動揺情報に含まれる計測地点を区別して表示する、例えば、系統図上で領域動揺情報毎に色分けして表示する。

例えば、表示画面は、画面の左側の欄410に系統図を表示する。系統図には発電機Gや送配電線などが図示され、さらにその系統図上に計測地点PMU1〜PMU5を表示する。表示画面はさらに、領域動揺情報に基づき、破線あるいは一点鎖線で囲んだ領域で、各領域動揺情報に含まれる計測地点を表す。この図の例では、一つの領域動揺情報にPMU1、PMU2、PMU4が含まれ、もう一つの領域動揺情報にPMU1、PMU3、PMU5が含まれる。

また、表示画面は、右側上の欄420に領域動揺情報の詳細、および広域動揺現象に影響を及ぼす近隣地域にて発生した地絡・短絡故障情報や、発電機脱落情報等を表示する。領域動揺情報の詳細は、動揺影響度の高い領域動揺情報を優先的に表示する。さらに、表示画面は、右側下の欄430に、制御対象、制御手段、制御量、制御時間を優先度の高い順に表示する。オペレータ(管理者)は、表示画面により現在または将来の不安定地点および制御候補を認識した場合、安定化制御の指令を出すことができる。

以上の実施形態によれば、系統切替、再生可能エネルギー出力変動により系統状態が急峻に変化し不安定化した場合であっても、高速かつ高精度な安定化制御を実現することが可能となる。

実施例1の系統安定化制御装置においては、電力系統の状態を監視して実動揺時に制御対象、制御時間を決定し安定化に向かわせる制御機能としての利用を主体に構成されていた。これに対し実施例2では、運転員訓練シミュレータとしての利用形態について説明する。

図21の系統安定化制御装置の構成は、基本的に図1と同じであるが、さらに想定動揺算出部17、動揺比較部18を備えている。また運転員訓練シミュレータとしての利用形態であるため、想定動揺算出部17に対して、適宜の設定内容を入力可能に構成され、モニタ202と入力操作機器を用いた利用が可能に構成されている。

図22に示す系統安定化制御決定処理のフローは、基本的に図3と同じであるが、処理ステップS221、S223、S30Aの部分で相違している。

処理ステップS221(想定動揺算出部17)では、設備情報を用いたシミュレーションなどにより、事前想定動揺を算出する。この事前想定動揺では、電力系統の想定動揺の発生場所、動揺の大きさなどが予め算出、設定される。

処理ステップS223では、事前想定動揺と検出動揺情報を比較する。ここでは、比較結果として例えば事前想定動揺の情報を次段以降の処理に送る。あるいは、比較結果の差分を各種データに反映させて、以後の処理に生かすといった処理を行う。通常このシステムは系統安定化制御装置として機能してリアルタイムに系統を監視しながら、適宜運転員訓練シミュレータとして利用することを想定すると、比較の意味は両機能の切り替え、あるいは必要なデータの受け渡しといった処理が実行されることになる。

処理ステップS30Aは、図3の処理ステップS30と同じ処理を行うが、利用するデータが検出動揺情報の代わりに比較動揺情報を用いた点で相違する。

上記構成によれば、運転員訓練シミュレータの教官による想定動揺に対して訓練員の対応を入力させ、最終的に処理ステップS50から回答としての制御対象、制御時間などを提示することでの訓練を行う装置としての利用が可能になる。

実施例1における系統安定化制御装置の構成では、系統安定化制御装置200は電力系統全体の一部領域からここに配置された計測装置の情報を入手していた。これに対し、より広範囲の電力系統領域を対象とする場合の装置構成として、全系統安定化制御装置300を付加したものが図23の構成である。

図23の構成例において、系統安定化制御装置200は電力会社Aの電力系統を監視領域としたものであり、全系統安定化制御装置300は複数の電力会社を跨いで監視対象とするものとすることができる。あるいは、系統安定化制御装置200は電力会社Aの地域電力系統を監視領域としたものであり、全系統安定化制御装置300は当該電力会社の広域電力系統を監視対象とするものと位置付けることができる。また系統安定化制御装置200は、その監視領域ごとに複数設けられ、全系統安定化制御装置300はその上位に位置づけられて全体を監視するものとされてもよい。

図23の構成では、系統安定化制御装置200内に送信部17、全系統安定化制御装置300内に受信部41を備えて、系統安定化制御決定部10の情報が全系統安定化制御装置300に送られる。

全系統安定化制御装置300内の設備情報データベースDBには、全域の設備情報が保持され、系統安定化制御追加決定部60では、広域での判断を行った結果として追加制御対象決定部42においてさらに制御すべき制御対象を決定し、その場合の追加制御時間を追加制御時間決定部で決定する。追加決定された操作内容は適宜通信系統を介して系統安定化制御決定部10側に送られ、追加操作が実行される。

図24は、図23を実現するときのシステム構成を示している。なお全系統安定化制御装置300内において、301はCPU、302は表示装置、303は通信手段、304は入力手段、305はメモリである。

図25は、系統安定化制御装置200と全系統安定化制御装置300における処理フローを示している。図25Aが系統安定化制御装置200における処理フローであり、図25Bが全系統安定化制御装置300における処理フローである。

図25Aの処理フローは、基本的に図3の構成と同じであり、一連の処理後に処理ステップS60において制御対象及び制御時間を全系統安定化制御装置300に送るという点でのみ相違している。

図25Bの処理フローは、基本的に図23の系統安定化制御追加決定部60の構成と同じであるが、その前提として処理ステップS70において制御対象及び制御時間を全系統安定化制御装置300から受信するという点で相違している。

最後に本発明の表現のための用語について説明する。系統安定化制御装置として、系統安定化制御装置200等が用いられてもよい。計測装置として、計測装置20等が用いられてもよい。記憶部として、記憶装置206等が用いられてもよい。受信部として、通信手段203等が用いられてもよい。演算部として、系統安定化制御決定部10等が用いられてもよい。設備情報として、設備情報DB等が用いられてもよい。通信線として、情報通信ネットワーク108等が用いられてもよい。動揺情報として、検出動揺情報等が用いられてもよい。監視装置として、系統安定化制御装置200等が用いられてもよい。

10:系統安定化制御決定部 11:計測情報収集部 12:動揺検出部 13:制御優先度決定部 14:制御対象決定部 15:不安定化時間算出部 16:制御時間決定部 20:系統計測部 21:計測装置 30:情報記憶部 G:発電機 SS:変電所 C:調相機器 LD:電力負荷 PS:外部電力系統 108:情報通信ネットワーク 200:系統安定化制御装置

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