【0001】 発明の分野 本発明は、炭化水素の転化方法に関する。 より具体的には、本発明はナフサの改質と連結した改質油の品質を向上させる方法に関する。 【0002】 背景 この発明は、改質装置から得られる改質油流の品質を向上させる方法に関する。 具体的には、改質油のベンゼン,キシレンおよびC 5含有量を増加させる品質向上方法に関する。 【0003】 ベンゼンは、化学原材料として使用する場合に非常に価値のある製品である。 キシレン、とくに、パラーキシレンは価値のある化学供給原料であり、パラーキシレンは、ポリエステルの合成用途に、結晶分別,選択吸着,または膜分離により混合キシレンから分離され得る。 【0004】 石油ナフサやその他のナフサ中にベンゼンやキシレンが存在することは、昔から認識されており、且つこれらと沸点が接近した脂肪族炭化水素との混合物から単環芳香族を回収する多くの方法が知られている。 最初の頃は、脂肪族から芳香族を分離するために選択的溶媒を用いた抽出法が好まれた。 そのようにして得られた芳香族濃縮物を蒸留すると、所望の純度のベンゼンとトルエンが簡単に得られた。 C 8芳香族には、3つのキシレン異性体とエチルベンゼン(EB)があり、EBの277.1ー Fからオルソキシレン(o−キシレン)の292ー Fまでの狭い範囲にある沸点のため、より困難な課題が課される。 凝固点の大きな差が、結晶分別によるC 8成分を分離する基本原理を与える。 このようにしてパラーキシレン(p−キシレン)を回収する大型設備が設置され、その後p−キシレンの含有量が少ないC 8芳香族混合物は接触異性化してo−キシレンやメターキシレン(m−キシレン)から所望のp−キシレンをさらに生成し、p−キシレンに富む製品は結晶分別ステージにリサイクルされる。 EBを除去する工程を入れないかぎり、変化しないEBが異性化と結晶化の「ループ」に蓄積されていくことになる。 【0005】 EB蓄積問題を解決する一つの方法は、オクタファイニング(Octafining)・プロセスであり、これはシリカーアルミナ担持白金触媒の存在下で水素圧力の下でキシレン類を異性化する。 オクタファイニング条件の下では、EBは水素化されてエチルシクロヘキサンになり、これが異性化されてジメチルシクロヘキサンへ、さらに、脱水素されてキシレンになる。 キシレンの望ましくない副産物へのキシレンの同時転化は、EBがキシレンに転化してもキシレンの正味の損失をもたらすようになる。 オクタファイニング自身の歴史については、本明細書の引用に組み込まれている米国特許第3,856,872号に詳細に述べられている。 この米国特許では、酸性成分がZSM−5などのゼオライトである触媒の存在下における異性化が開示されている。 【0006】 キシレンの商業的用途が増加したため、その他のC 8芳香族を異性化してキシレン類の平衡混合物をつくり、所望のキシレン類の収率を上げることがますます重要になっている。 現在、いくつかのキシレン異性化プロセスが商業的に利用されている。 たとえば、Tabakらに発行され且つこの明細書の参考文献として引用されている米国特許第4,163,028号と第4,236,996号では、ZSM−5触媒の存在下で高温でキシレンを異性化し且つエチルベンゼンをベンゼンに転化する方法が開示されている。 この方法では、不均化によりキシレン類をロスすることなくエチルベンゼンがベンゼンに転化される。 【0007】 パラフィン類及び/又はオレフィン類の芳香族への転化に用いられた1つの方法は、M−2フォーミング(Forming)で、これはCattanachの米国特許第3,760,024号と第3,756,942号、Yanらの米国特許第3,845,150号、Owenらの米国特許第4,090,949号に記載されている。 これらの特許もすべてこの明細書引用に組み込まれている。 M−2フォーミングは、たとえば、水素及び/又はフラグメントに寄与する炭化水素およびZSM−5などの特定の細孔特性を有する結晶性ゼオライトを含む酸性触媒の存在下でこれらのオレフィン系ガソリンの転化により、比較的低品質のオレフィン系ガソリンの品質を向上する方法に関する。 【0008】 米国特許第4,851,604号,第5,365,003号,第5,455,213号および第5,498,822号では、トルエンをパラキシレンに転化する方法であるMTPXプロセスが開示されている。 形状選択的炭化水素の転化は、ZSM−5などの触媒分子篩を改良することにより行われる。 ZSM−5は、シリコーン類やシリコーン・ポリマーからなる群から選ばれた珪素選択性付与剤との接触により選択性が向上した。 珪素含有選択性付与剤は、有機キャリアー中に存在する。 分子篩は、引き続いて、仮焼される。 転化条件には、約100〜約760℃の温度、約0.1〜約200気圧の圧力、約0.08〜約2000の毎時重量空間速度、および約0〜約100の水素/炭化水素モル比を含む。 【0009】 米国特許第5,406,016号では、ベンゼンを主としてメチルベンゼン類に転化し、同時にナフサ沸点範囲の改質プロセス流れにおけるC 10 +アルキル芳香族の濃度を下げる方法が開示されている。 この流れは、約250〜450℃の範囲の温度、および約400〜2500psigの圧力にて、USY,フォージャサイトおよびゼオライトベータなどの12環ゼオライト物質と接触する。 このゼオライトには、水素化機能を有するReなどの金属が担持されている。 【0010】 アルキル芳香族炭化水素のトランスアルキル化処理がEP 816,311 Aで開示されている。 この方法では、50重量%を超えたエチルトルエンが転化される。 炭化水素は、モルデナイト(100pbw),無機酸化物および/または粘土(25−150pbw)、およびレニウム,白金およびニッケルから選択された1種以上の金属成分からなる触媒と接触させられる。 キシレン類は好適な製品である。 【0011】 改質装置からの流出油流れには、ベンゼンやキシレンなどのより価値の高い製品に転化されうる化学物質が含まれている。 たとえば、改質油には、オクタン価の低いかなりの量のn−パラフィン、およびベンゼンとキシレン類に不均化できるトルエンが含まれている。 改質油はすでに高温になっているので、この流れは触媒、好ましくは形状選択性ゼオライトでさらに転化するのに適している。 具体的に述べると、形状選択性ゼオライトを含む触媒を用いて行うことができる所望の反応には、n−アルカン類の転化(ただし、イソオクタン類の転化率が低い),アルキル化芳香族(たとえば、エチルベンゼン,p−エチルトルエン,プロピルベンゼン類,など)の脱アルキル,キシレン類とベンゼンへのトルエンの不均化,およびベンゼンとp−キシレンへのトルエンの選択的不均化がある。 トルエンの不均化に適した触媒には、ゼオライトまたは非ゼオライト系物質がある。 ただし、形状選択性ゼオライトは好ましい。 この明細書で述べたプロセス・スキームは、化学物質が高く評価される製油所において潜在的価値が最も高い。 【0012】 改質油の品質向上に用いた最も古い方法では、供給物として、品質向上反応器に入る前に、分別された改質油を用いた。 【0013】 米国特許第5,865,986号では、石油ナフサの留分の品質を向上する方法が開示されている。 ナフサが改質にかけられ、且つ改質油は酸活性の低い分子篩を含むベンゼンとトルエンを合成する触媒で、ベンゼンおよびトルエンを合成するゾーンにカスケードされる。 好ましい分子篩は、スチーム処理されたZSM−5である。 ベンゼンとトルエンの合成ゾーンは、約50psig(446kPa)より上の圧力および約800ー F(427℃)より上の温度などの改質装置の条件と合致した条件下で作動される。 この発明の一つの態様においては、ベンゼン・トルエン合成触媒にはコバルト,ニッケル,白金またはパラジウムなどの金属水素化成分を含む。 一つの作動形式では、ベンゼン・トルエン合成触媒は、改質装置の触媒の少なくとも一部を置換している。 この方法では、改質油と比較してベンゼンとトルエンの比率が増加し、C 8芳香族、とくに、エチルベンゼン類の比率が低い製品が得られる。 【0014】 この発明は、'986が主として重質(C 9 +)芳香族の脱アルキルを行うとという点で、'986特許に開示されている発明と相違する。 '986では、Pd含浸低活性ZSM−5触媒(約10アルファ)は、比較的高いBTX収率を得るための好ましい触媒であると確認されている。 この発明では、重質芳香族の脱アルキルより、むしろトルエン不均化が強調されている。 トルエン不均化活性を有するゼオライト触媒が、最も適切である。 【0015】 概要 この出願では、改質油の品質を向上する一体化した方法が開示されている。 このような方法により、既存の改質油の流れにはすでに水素が含まれ且つこの流れは高温にあるので、潜在的に低いコストで価値の高い一連の製品の生産が可能になる。 改質工程は、反応や拡散と同様にゼオライトと一体になっている。 この発明では、改質油の品質向上は分別の前になされる。 さらに、品質向上触媒は、トルエンの不均化,エチルベンゼンの脱アルキルおよび/またはパラフィンの分解を行う。 【0016】 発明の詳細な説明 好適な実施態様に関する説明 改質油全製品の品質を向上する方法の概略図1には、改質装置ループの末端に一体化された改質油の品質を向上する容器[TDP(トルエン不均化)反応器などの]を有する典型的な改質装置ループを示している。 末端にある容器の機能は、最終触媒床(固定床改質装置における)により交互に使用することができる。 別々の改質油品質向上容器を用いる場合は、あらゆる種類の改質装置を使うことができる(連続的触媒再生方式の改質(すなわちCCR),半再生方式,スイング式反応器を用いるサイクル装置)。 一つ以上の触媒床を用いて、所望の化学反応を実現することができる。 追加のベンゼンとキシレンを生産する一体化された方法は、キシレン異性化装置,製品回収装置,および関連するリサイクル流れも含むことができる。 【0017】 図1において、改質装置流出油(すなわち、改質油)は、TDP反応器10に入る。 TDP反応器は、この場合、改質油品質向上反応器である。 トルエン不均化後、容器10の流出油は改質装置供給物および容器20のリサイクル流れと熱交換し、次いで脱イソブタン装置30に進む。 次いで、脱イソブタンされた流れは分別装置40に進む。 この流れの一部のトルエンは、比較的小さな分子とともに分別器からのガソリンプールに入る。 トルエンの別の一部は、改質装置供給物にリサイクルされる。 キシレン類、すなわち、C 8を含む留分は、p−キシレン抽出ブロック50に進み、このブロック内でキシレン異性化,p−キシレン回収,および改質装置供給物へのリサイクルが行われる。 【0018】 条件および供給物 改質油の品質向上ゾーンでは、少なくとも572− F(300℃)〜2192− F(1200℃)の範囲の温度、0psig(103kPa)〜1000psig(6895kPa)の圧力、0〜50/hrのWHSVおよび炭化水素に対する水素のモル比を0〜10に保たれる。 改質油の品質向上ゾーンの条件の好ましい範囲は、少なくとも750− F(399℃)〜1050− F(560℃)、0〜400psig( 103 −2859kPa)、0.5〜30/hrのWHSVおよび炭化水素に対する水素のモル比1〜5である。 【0019】 図1−3に例示された改質ループへの供給物は、ナフサ単独かまたはトルエンと併用される。 品質向上ゾーンに入る改質流出油は、改質油全体,脱ヘキサンされた改質油,CCR製品,直留製品,またはトルエンと改質油のブレンドからなる群から選ばれた流れと併用することもできる。 【0020】 品質向上触媒 この発明の品質向上触媒には、分子篩、好ましくはゼオライトが含まれる。 嵩高いアルキル芳香族炭化水素が入れるのに適し、且つ芳香族を触媒的に不均化および/または脱アルキルするるのに適した細孔サイズを有する分子篩は、すべて、この改質油品質向上処理において用いることができる。 この発明の改質油品質向上反応を触媒する分子篩は、シリカ対アルミナのモル比が約12以上、具体的には約12〜約1000、好ましくは15−500である中間または大きな細孔サイズのゼオライトである。 ゼオライトの特徴は、通常、拘束指数(Constraint Index)が約0.5〜12の範囲にあることである。 使用することが考えられるゼオライトには、ZSM−5,ZSM−11,ZSM−12,ZSM−35,ZSM−38,ZSM−48,ZSM−51,ゼオライトベータおよびその他の類似の物質がある。 ZSM−5に言及し且つクレームしている米国特許第3,702,886号は、本明細書の引用として組み込まれている。 【0021】 使用することが考えられる分子篩は、更に、米国特許第4,076,842号に記載されているZSM−23、米国特許第4,962,256号に記載されているMCM−22および米国特許第5,266,541号に記載されているMCM−36がある。 この方法で使用することが考えられる分子篩には、米国特許第4,440,871号に記載されている結晶性シリコアルミノーホスフェート(SAPO)およびアルミノホスフェート(たとえば、ALPO)もある。 これらは米国特許第5,304,698号に記載されている。 これらの例には、SAPO−11,SAPO−34,SAPO−31,SAPO−5,およびSAPO−18がある。 【0022】 製品中のベンゼン対キシレンの比を制御する場合、細孔のサイズが中間のゼオライトと大きなゼオライトとの混合物を用いることが望ましい。 この種の混合物の1例は、ZSM−5とゼオライトベータである。 【0023】 この発明の分子篩は、結合剤の有無とは関係なく、有機溶媒に溶解された選択性付与剤と約2〜約6回接触させるのが好ましい。 選択性付与剤には、メイングループまたは遷移金属、好適には珪素を含む化合物またはポリマーがある。 この触媒は、有機溶媒中で珪素含有選択性付与剤と、触媒/選択性付与剤の重量比約100/1〜約1/10、約10〜約150℃の温度、約0〜約200psigの圧力等にて、約0.1〜約24時間の間接触させる。 有機キャリアーは、たとえば、蒸留または蒸発(真空を使う場合と使わない場合とがある)により除去するのが好ましい。 次いで、触媒は仮焼する。 この一連の方法には、選択性付与剤と触媒を接触させる工程と、この接触済みの触媒を仮焼する工程が含まれ、そしてこの一連の方法は「選択性付与処理」と呼ばれる。 次いで、この発明の触媒は、少なくとも2回これらの選択性付与処理にかけられる。 本明細書に引用として組み込まれている米国特許第5,689,025号では、シリカの選択性付与処理についてより詳細な説明を含んでいる。 【0024】 この明細書で用いている選択性付与「剤」は、炭化水素の転化率を商業的に受け入れられるレベルに維持しつつ、触媒である分子篩の形状選択性を所望のレベルに上げる物質を明示するのに使われる。 この種の物質には、たとえば、適切であると判明しているフェニルメチルーシリコーン,ジメチルシリコーン,およびそれらのブレンドなどの有機珪素化合物がある。 一般に、この種の有機珪素化合物は、この明細書の別のところで記載されているような有機溶媒に可溶であらねばならない。 さらに、「溶液」は、分子レベルまたはイオンレベルにおいて均一に分散した1種以上の物質の混合物を意味している。 理想溶液であろうとコロイド溶液であろうと、これらの溶液がエマルジョンと異なることは、当業者には理解できるはずである。 【0025】 好ましくは、効率の高い選択性付与剤の動力学的直径は、ゼオライトの細孔直径より大きく、選択性付与剤が細孔に入るのを防ぎ且つそれに付随する触媒の内部活性の低下を防ぐことができる。 【0026】 有機珪素選択性付与剤に適した有機媒体(キャリアー)の例には、3個以上の炭素を有する線状,分岐,および環状アルカン類がある。 この発明の方法では、キャリアーは、沸点が約70℃より高く且つ7個以上の炭素を有する線状,分岐,および環状アルカン類が好ましい。 所望により、水素化分解装置リサイクル油などの低揮発性有機化合物の混合物が、キャリアーとして用いられる。 とくに好適な選択性付与剤の低揮発性炭化水素キャリアーには、デカンとドデカンがある。 【0027】 この発明の品質向上触媒には、拡散特性もある。 これらの特性は、120℃および4.5+/−0.8mm水銀のo−キシレン分圧におけるオルソキシレンの平衡キャパシティーの30%を吸収するのに必要な時間(分単位で)を記録することにより識別することができる。 これらの特性を測定する方法は、Olsonらの米国特許第4,117,026号,第4,159,282号およびRe. 31,782に記載されている方法である。 なお、これらの特許はすべて本明細書に引用として組み込まれている。 この明細書で、オルソキシレンの平衡キャパシティーは、ゼオライト100グラムに付き1グラムより多量のキシレンとして規定されている。 【0028】 この発明では、改質処理において製品の品質を向上する特定のゼオライト系触媒について調べた。 TDP活性を示す選択性付与および非選択性付与ZSM−5触媒(金属担持有無の両ケースについて)の両方について調べた。 標的にされた化学反応には、ベンゼンとキシレンへのトルエンの不均化,重質芳香族の脱アルキルおよび未反応線状パラフィンの分解がある。 選択性が付与された触媒は、低い空間速度において、p−キシレンとベンゼン含有量が比較的高い一連の製品を与える。 選択性が付与されていない触媒では、高い空間速度においてさえ、ベンゼンと混合キシレンの収率が高い一連の製品リストと純度の高い(99.94%以上)ベンゼンが得られる。 この明細書で説明した改質ループにおけるトルエン不均化の経済性は、独立型のTDPプラントよりも優れている。 【0029】 図1. 改質油製品全体の品質を向上する方法の概略。 【0030】 図2は、図1のフロースキームをより単純に例示し、「直列」フロースキームを示している。 この図では、改質装置20からのトルエン(ライン2)とナフサ(ライン1)がブレンドされてリサイクルされ、改質装置への供給物(ライン3)がつくられている。 この供給物は、交換器10において改質装置品質向上反応器流出油との熱交換により加熱され、改質装置20に入る。 ライン4の改質油は改質装置品質向上反応器30に入り、この反応器でゼオライトを含む触媒と接触する。 反応器30の流出油(ライン5)は、反応器10における供給物との熱交換により冷却され、高圧分離器40を通過する。 高圧分離器において、ライトエンド(light end)は圧縮され、そして供給物にリサイクルされる。 一方、重質分(ライン6)は製品として分離器を出る。 【0031】 図3(並列フロー) この配列では、改質油品質向上触媒は、それ自身の供給物流れ(たとえば、改質装置からのトルエンカット)を有する別の容器に収められている。 【0032】 この品質向上容器は、改質装置反応器と並列に作動する。 改質油品質向上容器への供給物流れ(改質装置からのトルエンカットなど)は、改質油品質向上触媒で処理され、価値の高い製品(たとえば、追加のベンゼンとキシレン)が得られる。 改質油品質向上容器からの製品は、次いで、改質装置の製品と合流し、したがって、相分離や抽出のハードウエアは改質装置と共有する。 【0033】 図3は単純化された例示で、「並列」フロースキームを示している。 ナフサ(ライン1)とトルエン(ライン2)は、それぞれ、別々に交換器10と20における熱交換により加熱される。 ナフサは、改質装置30に供給され、一方、改質装置から得られたトルエンは改質油品質向上装置40に供給され、この装置で品質向上触媒と接触する。 品質向上反応器40および改質装置30からの流出油は、それぞれ、交換器10と20で冷却され、次いでブレンドされて高圧分離器50に入り、そこでライトエンド(ライン3)は圧縮され、次いで供給物にリサイクルされ、一方、比較的重い留分(ライン4)は製品から除去される。 【0034】 実施例1 ベース触媒は、Dow−550シリコーン・ポリマーを用いた親のHZSM−5の多重選択性付与処理を介してつくられた。 全部で5回の選択性付与処理が行われ、毎回触媒に対して7.8重量%のポリマーの添加が行われた。 【0035】 実施例2 以下の実施例で用いた供給物は、改質油でその組成を下の表に示す。 【表1】
【0036】
実施例3 この実施例では、この発明の方法により富化された製品を示す。 実施例には、改質油全体が触媒と接触する方法が示されている。
【0037】
同時供給物としてトルエンを用いた実施例2の改質油を、この発明の方法により実施例1の触媒と接触させた。 供給物が触媒と接触した条件は、温度950ー F,圧力120psig,WHSVが10hr
−1及び水素/HC(モル)が5:1である。 【0038】
【表2】
【0039】
表に示したデータは、ベンゼンとキシレンへのトルエン不均化、並びにアルキルベンゼン類の脱アルキルの結果として改質装置製品組成の変化を明らかに証明している。 とくに、この実験で用いた条件で処理を受けた後、改質油製品の含有量がキシレン類は11.3%、ベンゼンは75.34%増加した。 さらに、p−キシレンの選択性はとくに高い。
【0040】
この触媒は、芳香族の存在下で、分岐パラフィン類や多分岐パラフィンの最小限の転化で、線状パラフィン類の選択的分解を達成する。
【0041】
改質油製品のキシレン類の含有量は42.53%増加し、とくに、改質油製品のp−キシレンの含有量は198%増加した。 改質油製品のベンゼンの含有量は459.69%増加した。
【0042】
実施例5 この実施例では、分離後の一部の改質油を触媒と接触させ、必要な水素が同時に供給される方法が開示されている。
【0043】
同時に供給されたトルエンと実施例2の改質油を、この発明の方法により実施例1の触媒と接触させた。 120psig,950ー F,WHSV 10/hr
−1および水素:炭化水素モル比2.5:1の条件においてデータが得られた。 【0044】
【表3】
【0045】
表に示したデータは、ベンゼンとキシレンへのトルエンの選択的不均化、並びにアルキルベンゼン類の脱アルキルの結果として改質装置製品の組成の変化を明らかに証明している。 とくに、この実験で用いた条件で処理を受けた後、改質油製品の含有量がキシレン類は9.3%、ベンゼンは78.7%増加した。 さらに、p−キシレンの選択性はとくに高い。
【0046】
この触媒は、芳香族の存在下で、分岐パラフィン類や多分岐パラフィンの最小限の転化で、線状パラフィン類の選択的分解を達成する。
【0047】
実施例6 レニウム担持ZSM−5触媒は、HZSM−5押出物にアンモニウムーパーレネート水溶液を初期湿式法により含浸させてつくった。
【0048】
実施例7 この実施例では、改質油流れの全体を触媒と接触させる方法が開示されている。
【0049】
同時供給されたトルエンと実施例2の改質油を、この発明の方法により実施例6の触媒と接触させた。 改質油製品と触媒の接触条件は、温度950ー F,圧力120psig,WHSVが10hr
−1および水素:炭化水素モル比が5:1である。 この実験の結果を下の表に示す: 【表4】
【0050】
この触媒は、トルエンの不均化(TDP)についてかなり高い活性を示し、ベンゼン含有量(567.17%)とキシレン含有量(104.24%)のかなりの増加を示す。 n−パラフィンと分岐パラフィンの転化も明らかである。 TDPやパラフィンの転化では、形状選択性の効果は認められない。 何故ならば、この触媒は選択性付与処理がなされていないからである。 生成物流れは、C
9 +収率が49.16%低下していることから分かるようにアルキル化芳香族の脱アルキルがかなり顕著に起きることを示している。 C 5 −含有量もかなり増加している。 【0051】
ベンゼンの同時沸騰物をほとんどすべて廃除したことにより、生成物のベンゼン純度の分析は、純度は99.94%を超えていることを示す。 したがって、この発明の利点は、他に、抽出工程なしに販売可能な品質のベンゼンが得られることにある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 改質油製品全体の品質を向上する概略の方法を例示している。
【図2】 図1を単純にした図で、直列フロースキームを示している。
【図3】 並列フロースキームを例示しており、改質反応器と並列に作動する品質向上容器を有する。
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