Decolorable color developing particle

申请号 JP2011094299 申请日 2011-04-20 公开(公告)号 JP2012224767A 公开(公告)日 2012-11-15
申请人 Toshiba Corp; Toshiba Tec Corp; 東芝テック株式会社; 株式会社東芝; 发明人 GOTANDA TAKESHI; TAKAYAMA AKIRA; SEKIGUCHI YUMIKO; SANO KENJI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a decolorable color developing particle capable of well maintaining high density color development.SOLUTION: The decolorable color developing particle includes 41-50 mass% color material relative to the total amount, while the rest being a binder. The color material includes an amount mof a color developing compound and an amount m(m
权利要求
  • 総量の41〜50質量%を占め、量m Lの呈色性化合物と量m D (m D <m L )の顕色剤とを含む色材と、
    残部のバインダーとを含有し、
    前記色材に富んだ島部が、前記バインダーに富んだ海部に分散されていることを特徴とする消色可能な発色体粒子。
  • 前記発色体粒子の半径をRとし、中心から任意の距離をR 0 (R 0 <R)とした際、半径R 1 (R 1 >R 0 )の領域における島部の全面積I 1および海部の面積S 1と、半径R 2 (R 2 <R 0 )の領域における島部の全面積I 2および海部の面積S 2とは、以下の関係を満たすことと特徴とする請求項1に記載の消色可能な発色体粒子。
    (I 1 /S 1 )<(I 2 /S 2
  • 前記呈色性化合物の量m Lは30モル%を超え70モル%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の消色可能な発色体粒子。
  • 前記顕色剤の量m Dは30モル%以上70モル%未満の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の消色可能な発色体粒子。
  • 前記顕色剤の量m Dは前記呈色性化合物の量m Lの0.7〜0.9倍であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の消色可能な発色体粒子。
  • 前記R 0は前記Rの30%以下であり、前記(I 2 /S 2 )は前記(I 1 /S 1 )の1.1〜2.3倍であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の消色可能な発色体粒子。
  • 前記発色体粒子は、87.5℃以上のガラス転移温度を有すること特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の消色可能な発色体粒子。
  • 说明书全文

    本発明の実施形態は、消色可能な発色体粒子に関する。

    呈色性化合物と顕色剤とを含有する発色体粒子が知られている。 この発色体粒子は、呈色性化合物と顕色剤との相互作用が増大すると発色し、相互作用が減少すると消色する消去可能な画像形成材料である。

    発色体粒子は、発色した際には十分に高い発色濃度を示すことが要求される。 消色が求められるまでの間、発色は高い濃度で維持されなければならない。

    特開2010−77376号公報

    本発明が解決しようとする課題は、高濃度の発色を良好に維持できる消色可能な発色体粒子を提供することにある。

    実施形態の消色可能な発色体粒子は、総量の41〜50質量%の色材と残部のバインダーとを含有する。 色材は、量m Lの呈色性化合物と量m D (m D <m L )の顕色剤とを含む。 前記色材に富んだ島部が、前記バインダーに富んだ海部に分散されていることを特徴とする。

    一実施形態の消色可能な発色性粒子の構造を説明する概略図。

    加熱温度と発色維持率との関係を示すグラフ図。

    放置時間と発色維持率との関係を示すグラフ図。

    以下、実施形態を具体的に説明する。

    本実施形態の消色可能な発色体粒子は、呈色性化合物と顕色剤とを含む色材、およびバインダーを含有する。 色材の含有量は、総量の41〜50質量%であり、顕色剤の含有量は呈色性化合物の含有量より少ない。 さらに、本実施形態の発色体粒子は、バインダーに富んだ海部と、この海部の仲に分散された色材に富んだ島部とを含む。

    こうした条件を備えた本実施形態の発色体粒子は優れた耐熱性を有し、これに起因して発色を高い濃度で維持できることが、本発明者らによって見出された。

    本実施形態の消色可能な発色体粒子においては、色材に富んだ島部がバインダーに富んだ海部の中に分散されている。 発色体粒子におけるこうした分散の状態について、図1を参照して説明する。 発色体粒子の半径をRとし、中心から任意の距離をR 0とする。 この任意の距離R 0より外側の領域(半径R 1 >R 0 )において、色材に富んだ島部の全面積をI 1とし、バインダーに富んだ海部の面積をS 1とする。 また、任意の距離R 0より内側の領域(半径R 2 <R 0 )においては、色材に富んだ島部の全面積をI 2とし、バインダーに富んだ海部の面積をS 2とする。

    これらの面積には、以下の関係が成立する。

    (I 1 /S 1 )<(I 2 /S 2
    (I 1 /S 1 )は、任意の距離R 0より外側の領域(半径R 1 )における色材に富んだ島部の面積比に相当し、(I 2 /S 2 )は任意の距離R 0より内側の領域(半径R 2 )における色材に富んだ島部の面積比に相当する。 内側領域における島部の面積比は、外側領域における島部の面積比より大きい。 本実施形態の発色体粒子の全域にわたって、色材に富んだ島部の面積比は、外側の領域より内側の領域のほうが大きくなる。 本実施形態にかかる発色体粒子の組成は、傾斜構造を有しているといえる。

    本実施形態にかかる発色体粒子においては、任意の距離R 0が小さいほど、色材に富んだ島部の割合が多くなる。 例えば、距離R 0が発光体粒子の半径Rの30%以下程度の領域では、このR 0より外側の領域における(I 1 /S 1 )は0.4〜0.6程度となり、このR 0より内側の領域における(I 2 /S 2 )は0.7〜0.9程度となる。 この場合、(I 2 /S 2 )は(I 1 /S 1 )の1.1〜2.3倍程度となる。

    一方、任意の距離R 0が大きいほど、バインダーに富んだ海部の割合が多くなる。 例えば、距離R 0が発光体粒子の半径Rの80%以上程度の領域では、このR 0より外側の領域における(I 1 /S 1 )は0.2〜0.5程度となり、このR 0より内側の領域における(I 2 /S 2 )は0.6〜0.9程度となる。 この場合には、(I 2 /S 2 )は(I 1 /S 1 )の1.2〜4.5倍程度となる。

    島部および海部の面積および形状は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)または走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)により確認することができる。 発色体粒子における個々の島部の形状は、一般的には円形または楕円形などである。 島部1つ当たりの面積は、0.01μm 2 〜5μm 2程度である。

    各面積は、例えば、次のような方法により求めることができる。 まず、TEMまたはSEMにより7000倍で測定して得られた画像を、一般のソフトを用いて島部および海部を2色(例えば、白と黒)に二元化する。 二次元化された画像を、ソフトを用いて処理することにより各色の面積が求められる。

    本実施形態の発色体粒子における呈色性化合物としては、例えば、ロイコオーラミン類、ジアリールフタリド類、ポリアリールカルビノール類、アシルオーラミン類、アリールオーラミン類、ローダミンBラクタム類、インドリン類、スピロピラン類、およびフルオラン類等の電子供与性有機物を用いることができる。

    具体的には、呈色性化合物としては以下の化合物が挙げられる。 クリスタルバイオレットラクトン(CVL)、マラカイトグリーンラクトン、2−アニリノ−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−3−メチルフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−N−プロピルアミノ)フルオラン、3−[4−(4−フェニルアミノフェニル)アミノフェニル]アミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、2−アニリノ−6−(N−メチル−N−イソブチルアミノ)−3−メチルフルオラン、2−アニリノ−6−(ジブチルアミノ)−3−メチルフルオラン、3−クロロ−6−(シクロヘキシルアミノ)フルオラン、2−クロロ−6−(ジエチルアミノ)フルオラン、7−(N,N−ジベンジルアミノ)−3−(N,N−ジエチルアミノ)フルオラン、3,6−Bis(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4'−ニトロ)アニリノラクタム、3−ジエチルアミノベンゾ[a]−フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−キシリジノフルオラン、3−(4−ジエチルアミノ−2−エソキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタライド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタライド、3−ジエチルアミノ−7−クロロアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3,3−Bis(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタライド、3,6−ジメチルエソキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メソキシ−7−アミノフルオラン、ジエチルホスホロメチル(DEPM)、アデノシン三リン酸(ATP),2−(フェニルアミノ)−3−メチル−6−[エチル(p−トリル)アミノ]スピロ[9H−キサンテン−9,1'(3'H)−イソベンゾフラン−3'−オン(ETAC)、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、クリスタルバイオレットカルビノール、マラカイトグリーンカルビノール、N−(2、3−ジクロロフェニル)ロイコオーラミン、N−ベンゾイルオーラミン、ローダミンBラクタム、N−アセチルオーラミン、N−フェニルオーラミン、2−(フェニルイミノエタンジリデン)−3,3−ジメチルインドリン、N−3,3−トリメチルインドリノベンゾスピロピラン、8'−メトキシ−N−3,3−トリメチルインドリノベンゾスピロピラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−ベンジルオキシフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、3,6−ジーp−トルイジノ−4,5−ジメチルフルオラン−フェニルヒドラジド−γ−ラクタム、および3−アミノ−5−メチルフルオラン等である。

    入手が容易で安価であることから、呈色性化合物としてはクリスタルバイオレットレットラクトン(CVL)が特に好ましい。

    呈色性化合物は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。 色材中における呈色性化合物の量m Lが30モル%を超え70モル%以下程度であれば、何等不都合なしに所望の効果が得られる。 呈色性化合物を適宜選択すれば多様な色に発色させることができ、カラー対応も容易である。

    本実施形態の発色体粒子における顕色剤としては、例えば、フェノール類、フェノール金属塩類、カルボン酸金属塩類、ベンゾフェノン類、スルホン酸、スルホン酸塩、リン酸類、リン酸金属塩類、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステル金属塩類、亜リン酸類、および亜リン酸金属塩類等を用いることができる。

    顕色剤の具体例を以下に列挙する。 没色子酸、および没色子酸メチル、没色子酸エチル、没色子酸n−プロピル、没色子酸i−プロピル、没色子酸ブチルなどの没色子酸エステル、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸メチルなどのジヒドロキシ安息香酸およびそのエステル、2,4−ジヒドロキシアセトフェノン、2,5−ジヒドロキシアセトフェノン、2,6−ジヒドロキシアセトフェノン、3,5−ジヒドロキシアセトフェノン、2,3,4−トリヒドロキシアセトフェノンなどのヒドロキシアセトフェノン類;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4'−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4'−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどのヒドロキシベンゾフェノン類;2,4'−ビフェノール、4,4'−ビフェノールなどのビフェノール類などである。

    また、4−[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,2,3−ベンゼントリオール、4−[(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,2,3−ベンゼントリオール、4,6−ビス[(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,2,3−ベンゼントリオール、4,4'−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)ビス(ベンゼン−1,2,3−トリオール)]、4,4'−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)ビス(1,2−ベンゼンジオール)]、4,4',4''−エチリデントリスフェノール、4,4'−(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、およびメチレントリス−p−クレゾールなどの多価フェノール類などを用いてもよい。

    入手が容易で安価であることから、顕色剤としては2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンが特に好ましい。

    顕色剤は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。 色材中における顕色剤の量m Dは、30モル%以上70モル%未満の範囲内とすることができるが、顕色剤の量m Dは、呈色性化合物の量m Lより少ない。 顕色剤の量が呈色性化合物の量より少ないことによって、得られる発色体粒子のガラス転移温度(Tg)の変化が小さくなる。 このため、顕色剤が多い組成よりも、呈色性化合物と顕色剤とを含む色材の含有量を増やすことが可能になる。

    しかしながら、顕色剤が少な過ぎる場合には呈色化合物の呈色が不十分になる。 顕色剤の量m Dは、呈色性化合物の量m Lの0.7〜0.9倍が好ましく、0.75〜0.8倍がより好ましい。

    なお、ガラス転移温度の低下が大きい場合には、バインダーは比較的低温でガラス転移以上の温度に達する。 この温度範囲内では、呈色性化合物および顕色剤のような低分子量の成分は、バインダー中で移動しやすい。 発色体粒子をトナーに適用する際には、粒子は温に浸漬される。 ガラス転移温度に低い粒子が温水に浸漬されると呈色性化合物と顕色剤とが解離しやすく、最終的に得られるトナーの光学濃度が低下してしまう。

    発色体粒子を水性インクに適用する際も、トナーの場合と同様の不都合が生じる。 呈色性化合物と顕色剤との解離は室温環境下でも徐々に進行し、発色体粒子の光学濃度を長期間にわたって維持することが困難になる。

    上述したように本実施形態の発色体粒子は、ガラス転移温度の変化が小さいため、耐熱性に優れている。 その結果、光学濃度を長期間にわたって維持することが可能となった。 したがって、本実施形態にかかる発色体粒子は、トナーや水性インクにも好適に用いることができる。

    呈色性化合物と顕色剤とによって、本実施形態の発色体粒子における色材が構成される。 発色体粒子中における色材の含有量は、総量の41〜50質量%である。 発色体粒子の残部はバインダーである。 発色体粒子中における色材の含有量は、総量の43〜47質量%がより好ましい。

    発色体粒子に含まれる呈色性化合物および顕色剤の含有量は、ゲル浸透クロマトグラフィ法(GPC:Gel Permeation Chromatography)により定量することができる。 バインダーと呈色性化合物と顕色剤とを溶離液に溶解して、得られた溶液が定量に用いられる。 溶離液としては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、ジメチルホルムアミド(DMF),ジクロロベンゼン(DCB)などが挙げられる。 得られた溶液をGPC法により定量し、含有成分毎にピークとして確認できる。

    本実施形態においては、主に3つのピークが確認される。 原理的に分子量が大きいほど、リテンションタイムが短くなる。 検出されるのは、バインダーに由来するピーク、呈色性化合物に由来するピーク、および顕色剤に由来するピークである。 例えば、バインダー成分はMwが1000以上のピーク、呈色性化合物と顕色剤はMwが1000以下のピークである。 なお、各成分が複数のものから構成される場合は、その数に応じてピーク数が増える。

    GPC法により得られたピークのチャートにおいて、ピーク(検出)が存在しない位置を結んだ線をベースラインとする。 このベースラインを基準として、各ピークの面積を算出する。 こうして、得られたピークの面積比から、発色体粒子中の呈色性化合物および顕色剤の濃度を定量できる。 複数のピークが重なっている場合は、重なりの一番少ない位置(ピーク間の谷になる部分)で、それぞれに分割して算出する。 なお、各ピークの分子構造は、各ピークを分取した後、マススペクトルを測定すればフラグメントイオンから同定できる。

    バインダーは、非極性であるほど呈色濃度が高くなる。 極性を高める原子団としては、例えばエーテル基(−O−)、カルボニル基(−C(=O)−)、エステル等が挙げられる。 バインダーにおける極性基の量は、分子量の1/3以下程度が好ましい。

    このようなバインダーとしては、例えばポリスチレン、ポリスチレン誘導体、およびスチレンの共重合体などが挙げられる。 バインダーは、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4一ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert一ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n一オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、P−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレンおよび3,4−ジクロルスチレンからなる群から選択されるスチレン系単量体を重合させて得ることができる。

    スチレンの共重合体としては、例えばスチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・p−クロロスチレン共重合体、スチレン・プロピレン共重合体、およびスチレン・ブタジエンゴム等が挙げられる。

    熱安定性が高いことから、バインダーとしてはスチレン・ブタジエン共重合体が特に好ましい。

    本実施形態の発色体粒子は、例えば次のような方法により製造することができる。 まず、呈色性化合物、顕色剤、およびバインダーを溶媒に加えて溶解液を調製する。 溶媒は、例えば、トルエン、ヘキサン、およびアセトン等から選択することができる。 この溶解液を気相中に噴霧して、液滴を形成する。 得られた液滴から溶媒を分離して消色可能な発色体粒子を形成し、発色体粒子を回収する。 溶媒は、液滴の自由表面から蒸発して分離される。

    気相のガス種は特に制約されないが、液滴の引火や爆発の危険性を回避するために、酸素濃度が5%以下であることが好ましい。 ガス種としては、不燃性ガスまたは希ガスが好ましい。 具体的には、窒素ガス、炭酸ガスや、希ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、およびアルゴンガスなどが挙げられる。 こうしたガス種は、単独でも2種以上を混合して用いてもよい。

    噴霧の方法は特に制約されないが、具体的には、二流体ノズル、一流体ノズル、超音波ノズル、ピエゾ式ノズル、サーマルヘッド式ノズル、および静電噴霧ノズルなどを利用することができる。 生成する粒子サイズが小さいことから、二流体ノズルおよび静電噴霧ノズルが特に好適である。

    噴霧直後の液滴内部においては、乾燥と発色とが同時に進行し、液滴の自由表面から溶媒が蒸発する。 このとき、拡散の遅い樹脂成分であるバインダーは、液滴の外側に濃縮される。 一方、拡散の早い呈色性化合物および顕色剤は、液滴の内側に移動する。 乾燥後に得られる発色体粒子においては、呈色性化合物と顕色剤とを含む色材に富んだ島部は、内側に多くなって傾斜構造が形成される。

    本実施形態の発色体粒子は、ガラス転移温度が87.5℃以上であることが好ましい。 この温度以上であれば、発色体粒子の発色を保持できる。 発色体粒子のガラス転移温度は、例えば示差走査熱量分析(DSC:Differential scanning calorimetry)などにより測定できる。 なお、DSCによる測定の場合の昇温速度は10℃/分とする。

    以下に、消色可能な発色体粒子の具体例を示す。

    下記表1に示す処方で、呈色性化合物および顕色剤を含む色材と、バインダーとを溶媒に溶解してNo. 1〜6の溶解液を得た。 呈色性化合物および顕色剤のモル%は、色材全体におけるモル数に対する百分率である。 溶解された色材の量(質量部)は、最終的に得られる発色体粒子における色材の総含有量(質量%)に相当する。 いずれの溶解液においても、全量が1.25g/100mlになるように溶解させた。

    用いた材料を以下にまとめる。

    呈色性化合物:クリスタルバイオレットラクトンCVL(山田化学製ロイコ染料)
    顕色剤:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン(2,4−DHBP)
    没食子酸エチル(EG)
    バインダー:ポリスチレン(東洋スチロール、銘柄G320C)
    溶媒:アセトン(70質量%)とトルエン(30質量%)との混合溶媒 各溶解液は、スプレードライヤー(B−290型、柴田化学製)を用いて、窒素中で噴霧し、No. 1〜6の発色体粒子が得られた。 噴霧が行なわれる雰囲気の温度は、外部加熱により55℃から60℃の間で制御した。 温度の制御は、ヒーターを用いて行なった。 得られた発色体粒子の平均粒子径を粒度分布測定装置により求めたところ、200nm〜400nm程度であった。 発色体粒子の半径Rは100nm〜200nm程度となる。

    得られた発色体粒子をTEMより観察した結果、No. 2〜6の発色体粒子においては、バインダーに富んだ海部の中に色材に富んだ島部が分散されていることが確認された。

    各発色体粒子においては、距離R 0を半径Rの50%として、図1に示したように外側領域と内側領域とを定義した。 外側領域における島部の面積I 1および海部の面積S 1をTEMから得られた画像により求め、外側領域における面積比(I 1 /S 1 )を算出した。 内側領域についても同様にして、島部の面積I 2および海部の面積S 2を求め、内側領域における面積比(I 2 /S 2 )を算出した。

    さらに、各発色体粒子のTgをDSCにより測定した。 その結果を、面積比とともに下記表2にまとめる。

    上記表2に示されるように、No. 2〜6の発色体粒子においては、外側領域より内側領域のほうが島部の面積比が大きいことが確認されたものの、No. 1においては、島部の存在が確認されなかった。 No. 2〜4の発色体粒子のTgは87.5℃以上と高い。 これらにおいては、発色体粒子中における色材の総含有量が41〜50質量%の範囲内であり、顕色剤の含有量が呈色性化合物の含有量よりも多い。 発色体粒子における色材の総含有量が30質量%の場合(No.1)、および70質量%の場合(No.5)には、Tgはそれぞれ60℃および70℃である。

    顕色剤の含有量が呈色性化合物の含有量より多い場合には、発色体粒子中における色材の総含有量が50質量%でもTgは60℃であることがNo. 6に示されている。

    次に、各発色体粒子の発色濃度を、色彩色差計(コニカミノルタ製)により測定した。 発色濃度は、0.5以上であることが求められる。

    さらに、加速試験を行なって各発色体粒子の発色保存性を調べた。 各発色体粒子をバイロナールMD−1200(東洋紡)に分散させた後、70℃の温水に15分間浸漬した。 バイロナールは分散剤として利用している。 各発色体粒子について、初期の光学濃度を測定して、退色前の光学濃度(D 0 )とした。 また、処理後における光学濃度を測定して、退色後の光学濃度とした。 (D 1 )とした。 発色維持率は、100×(D 1 )/(D 0 )から算出した。

    その結果を、発色濃度とともに下記表3にまとめる。 発色維持率は、60%以上であることが求められる。

    上記表3に示されるように、No. 2〜4の発色体粒子は、発色濃度および発色維持率のいずれの特性も良好である。 No. 2〜4の発色体粒子においては、呈色性化合物および顕色剤を含む色材の総含有量が41〜50質量%の範囲内であり、顕色剤の含有量が呈色性化合物の含有量より少ない。

    色材に富んだ島部が明瞭に確認できなかったNo. 1の場合には、発色濃度が0.3と低く、発色維持率も10%に留まっている。 しかも、No. 1の発色体粒子のガラス転移温度は60℃と低い。

    No. 5およびNo. 6の発色体粒子の発色維持率は、それぞれ30%および10%と低い。 No. 5の発色体粒子においては、顕色剤の総含有量が70質量%と多く、No. 6の発色体粒子においては、顕色剤の含有量が呈色性化合物の含有量より多いことが原因である。

    図2のグラフに示されるように、加熱温度が上昇すると発色維持率は低下する傾向にある。 なお、ここでの加熱温度は、液温をさす。 ガラス移転温度(Tg:87.5℃)までの加熱温度であれば、60%以上の発色維持率を確保することができる。

    また、図3のグラフに示されるように、発色維持率は、放置後の初期の段階で低下する傾向がある。 この低下の傾向は、雰囲気の温度に依存しており、雰囲気の温度がTgを超えない範囲であれば、70%以上の発色維持率を確保できる。 80℃の高温下に2時間曝されても、発色維持率はさらも低下することなく、ほぼ一定となる傾向が示されている。 したがって、室温環境下においても、発色は十分に維持できることが期待される。

    本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。 これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。 これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

    10…発色体粒子; I 1 …外側島部面積; S 1 …外側海部面積 I 2 …内側島部面積; S 2 …内側海部面積。

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