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Plant having modified stamen cell

阅读:383发布:2020-08-06

专利汇可以提供Plant having modified stamen cell专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To obtain a male sterility plant having excellent disease resistance and environmental suitability, useful for producing a hybrid seed by including a specific adventitious DNA in the whole cell nuclear genome. SOLUTION: This male sterility plant has an adventitious DNA in the whole cell nuclear genome. The adventitious DNA is (i) a male sterility DNA capable of perishing or paralyzing a stamen cell and preventing the production of a fertile male gamete when expressed in the stamen cell of the male sterility plant (e.g. potato or the like) and contains (ii) a first promoter such as TA29 gene promoter or the like selectively inducing gene expression in the stamen cell of the plant in which the male sterility DNA exists in the same transcriptional unit of the first promoter and is under the control of the unit with the proviso that in the case of the first promoter being a promoter for selectively expressing the male sterility DNA in a microspore and/or a pollen cell, a plant cell nuclear genome is a homozygote. The plant can be transformed with Agrobacterium.,下面是Plant having modified stamen cell专利的具体信息内容。

【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 全ての細胞の核ゲノム中に外来DNAを保有する雄性不稔植物であって、前記外来DNAが、
    (a) 前記植物の雄蕊細胞中に発現された際に、雄蕊細胞を死滅又は無力にして稔性雄性配偶子の産生を防止することを可能にする雄性不稔DNA、および(b) 前記植物の雄蕊細胞中で遺伝子発現を選択的に誘起する第1
    プロモータを含み、ここで前記雄性不稔DNAは前記第1プロモータと同じ転写単位に存在しかつその制御下にあり、但し、前記第1プロモータが小胞子および/または花粉細胞中で前記雄性不稔DNAを選択的に発現することを可能にするプロモータである場合、前記植物の細胞核ゲノムがホモ接合型である、ことを特徴とする前記植物。
  • 【請求項2】 アグロバクテリウムにより形質転換し得る、請求項1記載の植物。
  • 【請求項3】 前記第1プロモータが、葯細胞中で前記雄性不稔DNAの発現を誘起する請求項1又は2に記載の植物。
  • 【請求項4】 前記第1プロモータが、前記植物のタペータム細胞又は葯表皮細胞中で前記雄性不稔DNAの発現を誘起する請求項3記載の植物。
  • 【請求項5】 前記第1プロモータがTA29遺伝子のプロモータである請求項1〜4のいずれか一項に記載の植物。
  • 【請求項6】 前記第1プロモータが、TA26遺伝子のプロモータ、TA13遺伝子のプロモータ、または前記T
    A29遺伝子,前記TA26遺伝子もしくは前記TA13遺伝子にハイブリダイズしうるタペータム特異性mRNAをコードするDNAのプロモータである請求項1〜4のいずれか一項に記載の植物。
  • 【請求項7】 植物がホモ接合型植物であり、かつ前記第1プロモータが前記ホモ接合型植物の花粉細胞中で前記雄性不稔DNAの選択的発現を誘起することができる請求項1又は2に記載の植物。
  • 【請求項8】 前記雄性不稔DNAが、前記雄蕊細胞中に産生された際に、雄蕊細胞を死滅又は無力にして稔性雄性配偶子の産生を防止することを可能にする蛋白もしくはポリペプチドをコードするものである請求項1〜7
    のいずれか一項に記載の植物。
  • 【請求項9】 前記雄性不稔DNAがRNアーゼT1 等のRNアーゼをコードする請求項8記載の植物。
  • 【請求項10】 前記雄性不稔性DNAがバルナーゼをコードする請求項8記載の植物。
  • 【請求項11】 前記雄性不稔DNAが、EcoRI等のDNアーゼ;パパインチモーゲンもしくはパパイン活性蛋白等のプロテアーゼ;グルカナーゼ;リパーゼ;脂質ペルオキシダーゼ;細胞壁インヒビター;または細菌毒素をコードする請求項8記載の植物。
  • 【請求項12】 前記雄性不稔DNAが、Agrobacteriu
    m T−DNAのcyt、aux−1および/またはau
    x−2によってコードされる酵素等の植物ホルモンの合成を触媒する酵素をコードする請求項8記載の植物。
  • 【請求項13】 前記外来DNAが、(e) 前記第1蛋白もしくはポリペプチドを前記雄蕊細胞の葉緑体もしくはミトコンドリア中に輸送しうる運搬体ペプチドをコードし、前記雄性不稔DNAおよび前記第1プロモータと同じ転写単位に存在すると共に前記雄性不稔DNAと前記第1プロモータとの間に位置する第1運搬体DNAをさらに含む請求項8〜12のいずれか一項に記載の植物。
  • 【請求項14】 馬鈴薯、トマト、菜種、アルファルファ、ヒマワリ、綿、セロリ、玉ネギ、クローバー、大豆、タバコ、アブラナ属野菜もしくは甜菜から選択される請求項1〜13のいずれか一項に記載の植物。
  • 【請求項15】トウモロコシである請求項2〜13のいずれか一項に記載の植物。
  • 【請求項16】 外来DNAが、(c) マーカーとなるマーカーRNA、蛋白もしくはポリペプチドをコードするマーカーDNA、および(d) 少なくとも特定組織もしくは特定細胞中で前記マーカーDNAの発現を誘起することができる第2プロモータをさらに含み、前記マーカーDNAは前記第2プロモータと同じ転写単位に存在しかつその制御下にある請求項1〜15のいずれか一項に記載の植物。
  • 【請求項17】 前記マーカーDNAが、除草剤の作用を阻害するかもしくは中和するタンパク質をコードする請求項16に記載の植物。
  • 【請求項18】 前記マーカーDNAが、除草剤耐性遺伝子特に、ホスフィノトリシン等のグルタミンシンテターゼ阻害剤に対し耐性を付与する遺伝子である請求項17
    に記載の植物。
  • 【請求項19】 前記マーカーDNAが sfr又は sf
    rv遺伝子である請求項18に記載の植物。
  • 【請求項20】 前記マーカーDNAが、グリホセートの標的としての改変5-エノールピルビルシキメート-3-
    ホスフェートシンターゼ、またはホスフィノトリシン等のグルタミンシンテターゼ阻害剤の標的としての改変グルタミンシンテターゼ等の除草剤に対しより低い親和性を有する除草剤用の改変標的酵素をコードする請求項17
    に記載の植物。
  • 【請求項21】 前記マーカーDNAが、遺伝子A1 もしくはGUS遺伝子等の少なくとも前記特定組織もしくは特定細胞に色を与える蛋白もしくはポリペプチドをコードする遺伝子;Mn−スーパーオキシドジスムターゼをコードする遺伝子等の前記植物にストレス耐性を付与する蛋白もしくはポリペプチドをコードする遺伝子;あるいは昆虫耐性を付与する Bacillus thuringiensisのエンドトキシンをコードする遺伝子もしくは細菌耐性を付与する殺細菌性ペプチドをコードする遺伝子等の病気または害虫耐性を付与する蛋白もしくはポリペプチドをコードする遺伝子;である請求項16に記載の植物。
  • 【請求項22】 前記第2プロモータが、35Sプロモータ、35S′3 プロモータ、PNOSプロモータもしくはPOCSプロモータ等の構成プロモータ;TR1'もしくはTR2'プロモータ等の傷誘発性プロモータ;SSUプロモータ等の光合成活性を有する植物組織中にて遺伝子発現を選択的に誘起するプロモータ;または葉細胞、花弁細胞もしくは種子被覆細胞等の種子細胞中にて遺伝子発現を選択的に誘起するプロモータである請求項16〜21
    のいずれか一項に記載の植物。
  • 【請求項23】 前記第2プロモータが35SプロモータまたはSSUプロモータである請求項22記載の植物。
  • 【請求項24】 前記外来DNAが、 マーカー蛋白もしくはポリペプチドを少なくとも前記特定組織もしくは特定細胞の葉緑体もしくはミトコンドリア中に輸送しうる運搬体ペプチドをコードし、前記マーカーDNAおよび前記第2プロモータと同じ転写単位に存在すると共に前記マーカーDNAと前記第2プロモータとの間に位置する第2DNAをさらに含む請求項16〜
    23のいずれか一項に記載の植物。
  • 【請求項25】 Agrobacterium に感染しうる植物であり、かつpTTM4,pTTM6 ,pTTM6 A- ,p
    TTM8 ,pTVEP1 ,pTVEP2 ,pTVE62もしくはpTVE63のT−DNAを含むベクターで形質転換された植物の子孫に属する請求項2〜24のいずれか一項に記載の植物。
  • 【請求項26】 請求項1〜25のいずれか一項に記載の植物の細胞。
  • 【請求項27】 請求項1〜25のいずれか一項に記載の植物の細胞培養物。
  • 【請求項28】 前記外来DNAを含有することを特徴とする請求項1〜25のいずれか一項に記載の植物の種子。
  • 【請求項29】 ハイブリッド植物である請求項1〜
    6、8〜25のいずれか一項に記載の植物。
  • 【請求項30】 マーカーDNAを含有する請求項29記載のハイブリッド植物。
  • 【請求項31】 前記マーカーDNAが、ホスフィノトリシン等のグルタミンシンテターゼ阻害剤を含む除草剤に対し耐性を付与しうるsfrもしくはsfrv遺伝子等の除草剤耐性遺伝子であるか、または前記除草剤用の改変標的酵素をコードする遺伝子である請求項30記載のハイブリッド植物。
  • 【請求項32】 前記外来DNAを含有する請求項29〜
    31のいずれか一項に記載のハイブリッド植物の種子。
  • 【請求項33】 請求項29〜31のいずれか一項に記載の植物の細胞。
  • 【請求項34】 下記のヌクレオチド配列に含まれるT
    A29遺伝子のプロモータ。 【化1】
  • 【請求項35】 (a) 植物の雄蕊細胞中に発現された際に、雄蕊細胞を死滅又は無力にして稔性雄性配偶子の産生を防止することを可能にする雄性不稔DNAと、(b)
    前記植物の雄蕊細胞中で遺伝子発現を選択的に誘起しうる第1プロモータとからなる第1キメラDNAであって、ここで前記雄性不稔DNAは前記第1プロモータと同じ転写単位に存在しかつその制御下にあり、但し、前記第1プロモータが小胞子および/または花粉特異性プロモータではない、前記第1キメラDNAを含有する組換えDNAカセット。
  • 【請求項36】 前記第1プロモータが、前記植物のタペータム細胞等の葯細胞中で前記雄性不稔DNAの発現を誘起しうる請求項35記載の組換えDNAカセット。
  • 【請求項37】 前記第1プロモータが、前記植物のタペータム細胞又は葯表皮細胞中で前記雄性不稔DNAの発現を誘起しうる請求項35又は36に記載の組換えDNA
    カセット。
  • 【請求項38】 前記第1プロモータがTA29遺伝子のプロモータである請求項37記載の組換えDNAカセット。
  • 【請求項39】 前記第1プロモータが、TA26遺伝子のプロモータ、内在性のTA13遺伝子のプロモータ、または前記TA29遺伝子,前記TA26遺伝子もしくは前記TA13遺伝子にハイブリダイズしうるタペータム特異性mRNAをコードするDNAのプロモータである請求項
    37記載の組換えDNAカセット。
  • 【請求項40】 前記雄性不稔DNAが、前記雄蕊細胞中に産生された際に、雄蕊細胞を死滅又は無力にして稔性雄性配偶子の産生を防止することを可能にする蛋白もしくはポリペプチドをコードするものである請求項35〜
    39のいずれか一項に記載の組換えDNAカセット。
  • 【請求項41】 前記雄性不稔DNAがRNアーゼT1
    等のRNアーゼをコードする請求項40に記載の組換えD
    NAカセット。
  • 【請求項42】 前記雄性不稔性DNAがバルナーゼをコードする請求項40に記載の組換えDNAカセット。
  • 【請求項43】 前記雄性不稔DNAが、EcoRI等のDNアーゼ;パパインチモーゲンもしくはパパイン活性蛋白等のプロテアーゼ;グルカナーゼ;リパーゼ;脂質ペルオキシダーゼ;細胞壁インヒビター;または細菌毒素をコードする請求項35〜39のいずれか一項に記載の組換えDNAカセット。
  • 【請求項44】 前記雄性不稔DNAが、Agrobacteriu
    m T−DNAのcyt、aux−1および/またはau
    x−2によってコードされる酵素等の植物ホルモンの合成を触媒する酵素をコードする請求項35〜39のいずれか一項に記載の組換えDNAカセット。
  • 【請求項45】 前記蛋白もしくはポリペプチドを前記雄蕊細胞の葉緑体もしくはミトコンドリア中に輸送しうる運搬体ペプチドをコードし、前記雄性不稔DNAおよび前記第1プロモータと同じ転写単位に存在すると共に前記雄性不稔DNAと前記第1プロモータとの間に位置する第1運搬体DNAをさらに含む請求項40〜44のいずれか一項に記載の組換えDNAカセット。
  • 【請求項46】 (c) マーカーとなるマーカーRNA、
    蛋白もしくはポリペプチドをコードするマーカーDNA
    と、(d) 植物の少なくとも特定組織もしくは特定細胞中で前記マーカーDNAの発現を誘起することができる第2プロモータとからなる第2キメラDNAをさらに含み、前記マーカーDNAは前記第2プロモータと同じ転写単位に存在しかつその制御下にある請求項35〜45のいずれか一項に記載の組換えDNAカセット。
  • 【請求項47】 前記マーカーDNAが、除草剤の作用を阻害するかもしくは中和するタンパク質をコードする請求項46記載の組換えDNAカセット。
  • 【請求項48】 前記マーカーDNAが、除草剤耐性遺伝子特に、ホスフィノトリシン等のグルタミンシンテターゼ阻害剤に対し耐性を付与する遺伝子である請求項47
    記載の組換えDNAカセット。
  • 【請求項49】 前記マーカーDNAが sfr又は sf
    rv遺伝子である請求項48記載の組換えDNAカセット。
  • 【請求項50】 前記マーカーDNAが、グリホセートの標的としての改変5-エノールピルビルシキメート-3-
    ホスフェートシンターゼ、またはホスフィノトリシン等のグルタミンシンテターゼ阻害剤の標的としての改変グルタミンシンテターゼ等の除草剤に対しより低い親和性を有する除草剤用の改変標的酵素をコードする請求項47
    記載の組換えDNAカセット。
  • 【請求項51】 前記マーカーDNAが、遺伝子A1 もしくはGUS遺伝子等の少なくとも前記特定組織もしくは特定細胞に色を与える蛋白もしくはポリペプチドをコードする遺伝子;Mn−スーパーオキシドジスムターゼをコードする遺伝子等の前記植物にストレス耐性を付与する蛋白もしくはポリペプチドをコードする遺伝子;あるいは昆虫耐性を付与する Bacillus thuringiensisのエンドトキシンをコードする遺伝子もしくは細菌耐性を付与する殺細菌性ペプチドをコードする遺伝子等の病気または害虫耐性を付与する蛋白もしくはポリペプチドをコードする遺伝子である請求項46記載の組換えDNAカセット。
  • 【請求項52】 前記第2プロモータが、35Sプロモータ、35S′3 プロモータ、PNOSプロモータもしくはPOCSプロモータ等の構成プロモータ;TR1'もしくはTR2'プロモータ等の傷誘発性プロモータ;光合成活性を有する植物組織中にて遺伝子発現を選択的に誘起するプロモータ;または葉細胞、花弁細胞もしくは種子被覆細胞等の種子細胞中にて遺伝子発現を選択的に誘起するプロモータである請求項46〜51のいずれか一項に記載の組換えDNAカセット。
  • 【請求項53】 前記第2プロモータが35SプロモータまたはSSUプロモータである請求項52記載の組換えD
    NAカセット。
  • 【請求項54】 (f) マーカー蛋白もしくはポリペプチドを少なくとも前記特定組織もしくは特定細胞の葉緑体もしくはミトコンドリア中に輸送しうる運搬体ペプチドをコードし、前記マーカーDNAおよび前記第2プロモータと同じ転写単位に存在すると共に前記マーカーDN
    Aと前記第2プロモータとの間に位置する第2DNAをさらに含む請求項46〜53のいずれか一項に記載の組換えDNAカセット。
  • 【請求項55】 請求項35〜54のいずれか一項に記載の組換えDNAカセットを含有する植物。
  • 【請求項56】 アグロバクテリクムにより形質転換し得る、請求項55に記載の植物。
  • 【請求項57】 馬鈴薯、トマト、菜種、アルファルファ、ヒマワリ、綿、セロリ、玉ネギ、クローバー、大豆、タバコ、アブラナ属野菜もしくは甜菜から選択される請求項56に記載の植物。
  • 【請求項58】 トウモロコシである請求項56に記載の植物。
  • 【請求項59】 請求項35〜54のいずれか一項に記載の組換えDNAカセットを、その全ての細胞に含む請求項
    55に記載の植物。
  • 【請求項60】 雄性不稔である請求項55に記載の植物。
  • 【請求項61】 ハイブリッド植物である請求項55〜60
    のいずれか一項に記載の植物。
  • 【請求項62】 請求項55〜61のいずれか一項に記載の植物の細胞。
  • 【請求項63】 請求項35〜54のいずれか一項に記載の組換えDNAカセットを含有する植物種子。
  • 【請求項64】 雄性不稔植物、その再生物質もしくは種子等の子孫の生産方法であって、請求項35〜54のいずれか一項に記載の組換えDNAカセットを植物細胞の核ゲノム中に導入して形質転換植物細胞を得、この形質転換植物細胞から前記雄性不稔植物を再生し、必要に応じて、前記雄性不稔植物から、前記外来DNAを含有する再生物質もしくは子孫を得ることを包含する前記方法。
  • 【請求項65】 植物がアグロバクテリウムにより形質転換し得る植物である請求項64に記載の方法。
  • 【請求項66】 植物が馬鈴薯、トマト、菜種、アルファルファ、ヒマワリ、綿、セロリ、玉ネギ、クローバー、大豆、タバコ、アブラナ属野菜もしくは甜菜から選択される請求項65に記載の方法。
  • 【請求項67】 植物がトウモロコシである請求項65に記載の方法。
  • 【請求項68】 種子形成性かつ雄性不稔植物の種子を生産する方法であって、 − i)種子形成性かつ雄性不稔植物であり、この植物中のマーカーDNAが除草剤に対し耐性を付与する遺伝子又は前記除草剤用の改変標的酵素をコードする遺伝子である、請求項46〜54のいずれか一項に記載の組換えD
    NAカセットを全細胞の核DNA中に安定に組込んで含有する植物、または請求項16〜24のいずれか一項に記載の植物を、 ii)前記マーカーDNA及び第2プロモータを含有しない雄稔性植物と他家受粉させ、 − 前記植物に前記除草剤を散布して雄稔性植物を排除し、 − 前記受粉した雄性不稔植物の種子を得る ことを包含する前記方法。
  • 【請求項69】 種子がアグロバクテリウムにより形質転換し得る植物の種子である請求項68に記載の方法。
  • 【請求項70】 植物が馬鈴薯、トマト、菜種、アルファルファ、ヒマワリ、綿、セロリ、玉ネギ、クローバー、大豆、タバコ、アブラナ属野菜もしくは甜菜から選択される請求項69に記載の方法。
  • 【請求項71】 種子がトウモロコシ種子である請求項
    69に記載の方法。
  • 【請求項72】 前記他家受粉の前に前記除草剤を散布することを含む請求項64〜71項のいずれか一項に記載の方法。
  • 【請求項73】 前記他家受粉の後に前記除草剤を散布することを含む請求項72に記載の方法。
  • 【請求項74】 マーカーDNAが、ホスフィノトリシン等のグルタミンシンテターゼ阻害剤に対し耐性を付与しうる sfrもしくは sfrv遺伝子等の遺伝子であり、かつ、前記グルタミンシンテターゼ阻害剤を前記植物に散布することを含む請求項64〜71のいずれか一項に記載の方法。
  • 【請求項75】 前記雄性不稔植物が、前記雄性不稔D
    NAと同じ遺伝子座中に、前記マーカーDNAの他に、
    植物細胞の核ゲノム内に安定に組み込まれた他の除草剤耐性遺伝子もしくは他の除草剤用改変標的酵素をコードする遺伝子等の第2マーカーDNAを含有し、かつ受粉に使用する前記雄稔性植物が、その植物細胞の核ゲノム内に安定に組み込まれた第2マーカーDNAのみを含有することを特徴とする請求項64〜74のいずれか一項に記載の方法。
  • 【請求項76】 前記雄性不稔植物と前記雄稔性植物がハイブリッド種子を生じさせることができ、及び前記雄性不稔植物のハイブリッド種子を回収することを含む請求項64〜75のいずれか一項に記載の方法。
  • 【請求項77】 請求項46〜54のいずれか一項に記載の組換えDNAカセットに関してヘテロ接合型である種子形成性かつ雄性不稔植物であって、前記組換えDNAカセットがその全細胞の核DNA中に安定に組み込まれて含み、及びその植物中のマーカーDNAが除草剤に対し耐性を付与する遺伝子であるか又は前記除草剤用の改変標的酵素をコードする遺伝子である前記植物の近親交配系を維持するための方法であって、 − i)前記近親交配系の雄性不稔植物を、ii)前記マーカーDNAと前記第2プロモータを含有しない近親交配系の雄稔性植物と他家受粉させ、その他家受粉後、 − 前記雄性不稔植物から種子を得、 − 前記種子を成長させて植物となし、及び − その植物に前記除草剤を散布して雄稔性植物を排除する ことを包含する前記方法。
  • 【請求項78】 前記マーカーDNAが、グルタミンシンテターゼ阻害剤に対し耐性を付与しうる sfrもしく<br>は sfrv遺伝子等の遺伝子であり、かつ前記方法が前記グルタミンシンテターゼ阻害剤を前記植物に散布することを含む請求項77記載の方法。
  • 【請求項79】 (a) 請求項35〜54のいずれか一項に記載の組換えDNAカセットを含有する雄性不稔親植物と、(b) 雄稔性親植物とからなる、種子を生産するための一対の親植物。
  • 【請求項80】 アグロバクテリウムにより形質転換し得る植物である請求項77〜79のいずれか一項に記載の一対の親植物。
  • 【請求項81】 馬鈴薯、トマト、菜種、アルファルファ、ヒマワリ、綿、セロリ、玉ネギ、クローバー、大豆、タバコ、アブラナ属野菜もしくは甜菜から選択される請求項80に記載の一対の親植物。
  • 【請求項82】 トウモロコシ植物である請求項80に記載の一対の親植物。
  • 【請求項83】 前記雄性不稔親植物および雄稔性親植物が異なる育種系に属するものである請求項77〜82のいずれか一項に記載の一対の親植物。
  • 【請求項84】 前記雄性不稔親植物および雄稔性親植物が同じ育種系に由来するものである請求項77に記載の一対の親植物。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明が属する技術分野】本発明は、外来DNA配列が核ゲノム中に安定に組込まれるよう細胞が形質転換される雄性不稔植物およびその繁殖材料(たとえば種子)に関するものである。 本発明の外来DNA配列は少なくとも1個の第1外来DNA(以下、「雄性不稔DNA」と称する)を有し、この雄性不稔DNAは (1)植物の雄蕊細胞にて産生もしくは過剰産生された際に雄蕊細胞の代謝、機能および/または発育を顕著に阻害する第1RN
    Aまたは蛋白もしくはポリペプチドをコードし、かつ
    (2)植物の雄蕊細胞にて雄性不稔DNAの発現を選択的に誘起しうる第1プロモータと同じ転写単位に存在しかつその制御下にある。 特に本発明はこの種の核雄性不稔(nuclear male-sterile)植物およびその繁殖材料に関し、ここで本発明の外来DNA配列は少なくとも1個の第2外来DNA(以下「マーカーDNA」と称する)をも含有する外来キメラDNA配列であって、このマーカーDNAは(1) 植物の少なくとも特定組織もしくは特定細胞に存在する際に、その全植物を、少なくとも特定組織もしくは特定細胞中に第2RNA、蛋白もしくはポリペプチドを含有しない他の植物から容易に分離させうるような第2RNAまたは蛋白もしくはポリペプチドをコードし、 (2)植物の少なくとも特定組織もしくは特定細胞にてマーカーDNAの発現を誘起しうる第2プロモータと同じ転写単位に存在しかつその制御下にあり、さらに (3)雄性不稔DNAと同じ植物細胞の核ゲノムの遺伝子座に存在する。

    【0002】さらに本発明は、核ゲノムが外来DNA配列により形質転換される植物細胞および植物細胞培養物に関するものである。

    【0003】さらに本発明は、核雄性不稔植物およびその繁殖材料、並びに外来DNA配列を含有するその細胞培養物にも関し、ここで雄性不稔DNAは (1)第1プロモータの制御下にありかつ必要に応じ第2プロモータの制御下でマーカーDNAと同じ遺伝子座に存在し、 (2)
    植物細胞の核ゲノム中に安定に組込まれ;かつ (3)第1
    RNA、蛋白もしくはポリペプチドとして植物の雄蕊細胞中で選択的に発現することができる。

    【0004】さらに本発明は、ハイブリッド植物に成長するハイブリッド種子の生産方法にも関し、この方法は
    (1)好ましくは除草剤耐性を植物に付与する蛋白をコードするマーカーDNAを核ゲノム中に有する本発明の雄性不稔植物と、 (2)ゲノム中にマーカーDNAを持たない雄稔性植物とを交配させることを特徴とする。 特に本発明は、商業規模で、好ましくは殆んど手作業の必要なしにほぼランダムな集団としてハイブリッド種子を生産する方法に関する。

    【0005】さらに本発明は、植物ゲノム由来のタペータム(tapetum) 特異性プロモータにも関するものである。 このプロモータは、植物を核雄性不稔となるよう形質転換させるために本発明の外来DNA配列における第1プロモータとして使用され得る。

    【0006】

    【従来の技術】植物のハイブリッド化は、親植物の所望の形質の組合せを備えた子孫を生産するための重要な方法として認識される。 得られるハイブリッド子孫は、しばしばたとえば収量、環境変化に対する適応性および病気抵抗性のような各種の形質において親を凌ぐ能を有する。 この能力は「ヘテローシス(heterosis) 」もしくは「雑種強勢(hybrid vigor)」と呼ばれる。 その結果、
    ハイブリッド化はたとえばトウモロコシ、甜菜およびヒマワリのような主作物を改良するため広範に使用されている。 主として殆んどの植物は自家受粉および他家受粉の両者を受けうるという事実に関する多くの理由から、
    ハイブリッド種子の収穫を得るべく顕著な自家受粉なしに制御された植物の他家受粉を行なうことは、商業規模にて達成困難であった。

    【0007】天然において、大多数の作物は同一植物の雄性および雌性の繁殖器官を通常同じ花の互いに近接した部位に形成する。 これは自家受粉に好適である。 しかしながら或る種の植物は例外であって、その繁殖器官の特定形態により、他家受粉に好適である。 これらの植物は向上した活力および適応性を持ったハイブリッド子孫を生産する。 Cannabis ssp. (麻)におけるこの種の1
    つの形態は、別個の植物に雄性繁殖器官および雌性繁殖器官を有する。 Zea mays (トウモロコシ)におけるこの種の他の形態は、同一植物の種々異なる部分に雄性繁殖器官および雌性繁殖器官を有する。 Elaeis guineensis
    (油椰子)におけるこの種の他の形態は雄性配偶子と稔性の雌性配偶子とを有しており、植物の発育における異なる時期に稔性となる。

    【0008】たとえばAnanas comosus (パイナップル)
    のような或る種の他の植物は、その繁殖器官の特定の生理学を介し他家受粉を促進する。 この種の植物はいわゆる「自家不和合系」を発生して、1つの植物の花粉が同じ植物の雌性配偶子または同じ遺伝子型を有する他の植物の雌性配偶子を受精することができない。

    【0009】或る種の他の植物は、いわゆる「雄性不稔」のゲノム特性を天然に示すことにより他家受粉に好適である。 この特徴により、植物の葯はこれら葯により生産された花粉が成熟に達する前に退化する〔「高等植物における雄性不稔(Male-Sterility in Higher Plant
    s)」,M. L. H. Kaul(1987);モノグラフス・オン・セオレチカル・アンド・アプライド・ジェネチックス (Monographs onTheoretical and Applied Genetic
    s)10,スプリンガー・フェアラーク出版,参照〕。 この種の天然の雄性不稔の特徴は特にしばしば劣性欠失を含む広範囲の自然突然変異から生ずると思われ、かつこの特徴は主として自家受粉する植物種には容易に維持されない。 何故なら、自然条件下において種子が産生されないからである。

    【0010】天然には、主として 4種類の雄性不稔が観察される。 これら4 種類の雄性不稔を全て商業上の育種計画に用いて、たとえばトウモロコシ、甜菜、アブラナおよびヒマワリのような作物のハイブリッド種子を生産すべく他家受粉するよう確保する。

    【0011】1つの種類の雄性不稔は核コード化され、
    かつ劣性対立形質として遺伝すると思われる。 育種の目的で、劣性の雄性不稔親植物は、これを劣性の雄性不稔対立形質を持ったヘテロ接合性の雄稔性植物と交配させることにより維持され、子孫は50%劣性の雄性不稔植物である。 他の50%は雄稔性植物であり、この雄稔性植物は間引かれなければならないが、劣性雄性不稔対立形質が選択可能なもしくはスクリーニング可能なマーカーと共に分離される場合にのみ効果的に間引くことが可能である。 米国特許第 4,727,219号には、ハイブリッドトウモロコシを生産するため劣性雄性不稔を使用する方法が記載されている。

    【0012】第2の種類の雄性不稔は核コード化されるが、優性対立形質として遺伝する。 劣性雄性不稔植物と比較して優性雄性不稔植物の利点は、雄稔性植物と交配することにより優性雄性不稔植物を維持して50%優性の雄性不稔植物の子孫を産生しうる点にある。 しかしながら、この優性核雄性不稔植物の有用性は限度がある。 何故なら、大抵の場合、その優性雄性不稔対立形質は選択可能もしくはスクリーニング可能なマーカーに緊密に連鎖しない(すなわち、同一の遺伝子座に存在しない)からである。

    【0013】第3の種類の雄性不稔は細胞質に(cytopl
    asmatically)コード化される。 大抵の場合、細胞質コードは植物のミトコンドリアゲノム中に存在し、極く少数の場合には植物の葉緑体ゲノム中に存在する。 細胞質コード化された雄性不稔の遺伝はメンデル法則にしたがわず、寧ろ細胞質因子に依存する。 細胞質雄性不稔植物と雄稔性植物との間の交配により得られる子孫は全て細胞質雄性不稔遺伝子を有し、したがって不稔性である。 その結果、この種の植物の子孫は、この子孫の経済的生産物が種子として使用されずに寧ろたとえば観賞植物および甜菜のような植物である場合のみ商業的価値がある。

    【0014】第4の種類の雄性不稔は、核コード化された雄性不稔と細胞質コード化された雄性不稔との両者の組合せの結果である。 雄性不稔を誘発する核対立遺伝子は一般に劣性であり、また雄性不稔の細胞質対立遺伝子を有しかつ雄性不稔を誘発する核対立遺伝子に対してホモ接合性である植物のみが表現型として雄性不稔である。 この種の植物において、対応の優性雄稔性−誘発対立遺伝子または「稔性回復系」は雄−稔性表現型を発生する。 その結果、この種の植物の雄性不稔子孫は、これら雄性不稔植物に稔性回復系を有する花粉を受粉させて雄稔性にすることができる。 その結果、この種の植物の子孫は、経済的生産物が種子である場合、すなわちたとえばトウモロコシ、ソルガムおよびヒマワリのような植物につき商業的価値がある。

    【0015】典型的にはハイブリッド種子の生産は、細胞質雄性不稔植物および雄稔性植物の大規模な成育によりかつ得られるハイブリッド種子を非ハイブリッド種子と混合しないよう或る程度防止することにより(たとえば明確なマーカーを用いて)達成されている。 米国特許第 3,842,538号によれば、ハイブリッド種子は色によって非ハイブリッド種子から面倒な手法で分離される。 米国特許第 4,351,130号によれば、ハイブリッド種子を非ハイブリッド種子から分離する問題は、背丈の低い雄性不稔植物と背丈の高い雄稔性植物とを用い、次いで受粉後に背丈の高い雄稔性植物を死滅させることにより回避される。 米国特許第 4,658,085号、第4,517,763 号および第 4,658,084号によれば、雄稔性植物には存在しない除草剤耐性を細胞質雄性不稔植物に与え、受粉後に雄稔性植物を除草剤で死滅させる。 米国特許第 4,305,225号によれば、雄性不稔の稲植物に成長ホルモン(たとえばジベレリン)を噴霧して稲の葉鞘から円錐花序を完全に出現させることにより、花が雄稔性植物から花粉を受入れる能力を増大させる。

    【0016】

    【発明が解決しようとする課題】雄性不稔植物からハイブリッド種子を生産するためのこれら全ての方法において、 (1)各雄性不稔植物からの高いハイブリッド種子生産; (2)殆んど専ら雄稔性植物の花粉と雄性不稔植物の卵とから得られかつ殆んど雄稔性植物からの非ハイブリッド種子を含まないハイブリッド種子群; (3)雄性不稔植物および雄稔性植物の両者の容易な生産;および (4)
    雄性不稔植物に受粉した後の雄稔性植物のほぼ完全な除去もしくは撲滅、或いは雄稔性植物により生産された非ハイブリッド種子の、雄性不稔植物により生産されたハイブリッド種子からの選択的分離を商業的規模で簡単かつ安価に得るための方法が探求されている。

    【0017】

    【課題を解決するための手段】本発明によれば、外来D
    NA配列、好ましくは外来キメラDNA配列により形質転換された核ゲノムを有する植物の細胞において、(a)
    前記植物の雄蕊細胞で産生されまたは過剰産生された際に前記雄蕊細胞の代謝、機能および/または発育を顕著に阻害する、好ましくは雄蕊細胞を死滅又は無力にして稔性雄性配偶子の産生を防止することを可能にする第1RNA、蛋白もしくはポリペプチドをコードする雄性不稔DNA、および(b) 前記雄性不稔DNAの発現を前記植物の雄蕊細胞中にて選択的に誘起する第1プロモータを含み、前記雄性不稔DNAは前記第1プロモータと同じ転写単位に存在しかつその制御下にあり、但し、
    前記第1プロモータが花粉細胞中で前記雄性不稔DNA
    を選択的に発現することを可能にするプロモータである場合、前記植物の核ゲノムがホモ接合型である、ことを特徴とする植物が提供される。

    【0018】形質転換された植物細胞の核ゲノムにおける外来DNA配列は、好ましくは雄性不稔DNAと同じ遺伝子座に、(c) 植物の少なくとも特定組織または少なくとも特定細胞に存在する際に前記植物を少なくとも前記特定組織もしくは特定細胞に第2RNA、蛋白もしくはポリペプチドを含有しない他の植物から容易に分離しうるようにする前記第2RNA、蛋白もしくはポリペプチドをコードするマーカーDNA、および(d) 前記マーカーDNAの発現を少なくとも前記特定組織もしくは特定細胞中にて誘起しうる第2プロモータをさらに含むことができ、マーカーDNAは第2プロモータと同じ転写単位に存在しかつその制御下にある。

    【0019】さらに本発明によれば、それぞれ形質転換細胞よりなる雄性不稔植物および植物細胞培養物;雄性不稔植物の種子;雄性不稔植物を雄稔性植物と交配させて得られるハイブリッド種子および植物;並びにこの種のハイブリッド種子の生産方法も提供される。

    【0020】さらに本発明によれば、タペータム特異性の第1プロモータも提供される。

    【0021】

    【発明の実施の形態】本発明によれば、雄性不稔植物は、植物細胞を周知方法で細胞の核ゲノム中、すなわち本発明の外来DNA配列中に安定挿入することにより形質転換させて、植物の単一細胞から作成される。 外来D
    NA配列は、第1プロモータの制御下にありかつ5'末端が第1プロモータに融合し、さらにその3'末端が適する転写制御シグナル(ポリアデニル化シグナルを含む)に融合した少なくとも 1個の雄性不稔DNAを含む。 これにより第1RNA、蛋白もしくはポリペプチドは植物の雄蕊細胞にて選択的に生産されもしくは過剰生産されて、植物を雄性不稔にする。 好ましくは、外来DNA配列はさらに第2プロモータの制御下にありかつそこに5'
    末端が融合し、さらにその3'末端が適する転写制御シグナル(ポリアデニル化シグナルを含む)に融合した少なくとも 1個のマーカーDNAをも含む。 マーカーDNA
    は好ましくは雄性不稔と同じ遺伝子座に位置し、これにより第2RNA、蛋白もしくはポリペプチドが少なくとも植物の特定組織もしくは特定細胞中で産生されて、植物を、特定組織もしくは特定細胞中に第2RNA、蛋白もしくはポリペプチドを持たない他の植物から容易に区別しかつ/または分離することができる。 これは、高い確信度を持って雄性不稔DNAとマーカーDNAとの両者が植物の子孫で一緒に分離することを保証する。

    【0022】植物(特にアグロバクテリウム( Agrobact
    erium )に感染しうる植物)の細胞は、好ましくは外来DNA配列を含有しかつアグロバクテリウムが有する非病原性(disarmed)Ti−プラスミドであるベクターを用いて、本発明により形質転換される。 この形質転換は、たとえばヨーロッパ特許出願公開第 0,116,718号および第 0,270,822号に記載された方法を用いて行なうことができる。 好適なTi−プラスミドベクターはTi−
    プラスミドのT−DNAの境界配列の間、或いは少なくともTi−プラスミドのT−DNAの右側境界配列の左側に位置する外来DNA配列を有する。 勿論、他の種類のベクターを用いて植物細胞を、たとえば直接的遺伝子導入(たとえばヨーロッパ特許公開第 0,223,247号に記載)、花粉媒介形質転換(たとえばヨーロッパ特許公開第 0,270,356号、PCT出願公開WO85/01856号およびヨーロッパ特許公開第 0,275,069号に記載)、 in vitr
    oのプロトプラスト形質転換(たとえば米国特許第 4,68
    4,611号)、植物RNAウイルス媒介形質転換(たとえばヨーロッパ特許公開第 0,067,553号および米国特許第
    4,407,956号に記載)、並びにリポソーム媒介形質転換(たとえば米国特許第4,536,475 号に記載)のような方法により形質転換させることができる。

    【0023】好ましくは、本発明の核雄性不稔植物は、
    第1プロモータの制御下にある雄性不稔DNAと第2プロモータの制御下にあるマーカーDNAとの両者を有する外来DNA配列を持った無力のTi−プラスミドベクターにより植物細胞を形質転換させて得られる。 マーカーDNAはTi−プラスミドベクターにおける雄性不稔DNAの上流もしくは下流に存在しうるが、好ましくは両者が互いに隣接しかつ境界配列の間或いは少なくともTi−プラスミドベクターの右側境界配列の左側に位置して、これらは一緒になって適切に植物細胞の核ゲノム中に移行する。 しかしながら、所望ならば細胞を先ず最初に雄性不稔DNAと第1プロモータとを有する外来D
    NA配列により形質転換させることができ、次いで雄性不稔DNAと同じ細胞の核ゲノムにおける遺伝子座に挿入されたマーカーDNAおよび第2プロモータにより形質転換することができる。 この目的に適するベクターは、外来DNA配列で細胞を形質転換させるため上記したものと同じである。 好適ベクターは無力性(非病原性)のTi−プラスミドベクターである。

    【0024】本発明において、雄性不稔DNAの選択は重要でない。 適する雄性不稔DNAは、これが雄性不稔DNAを発現する雄蕊細胞の適切な代謝、機能および/
    または発育を顕著に阻害して、好ましくはこれにより全ての雄蕊細胞の死滅をもたらす第1RNA、蛋白もしくはポリペプチドをコードするよう周知方法で選択しかつ分離することができる。 雄性不稔DNAの好適例は次のものをコードする:たとえばRNアーゼT1 のようなR
    Nアーゼ(これはグアニン残基の後で結合を加分解することによりRNA分子を分解する)およびバルナーゼ
    (Barnase);たとえばエンドヌクレアーゼのようなDNアーゼ(たとえばEcoR I);またはたとえばパパインのようなプロテアーゼ(たとえばパパインチモーゲンおよびパパイン活性蛋白)。

    【0025】雄性不稔DNAの他の例は植物ホルモンの合成を触媒する酵素、たとえば、サイトカイニン生合成における第1過程を触媒すると共にアグロバクテリウムT−DNAの遺伝子 4( cyt )によりコードされる酵素であるイソペンテニルトランスフェラーゼ;およびオーキシンの合成に関与しかつアグロバクテリウムT−D
    NAの遺伝子 1( aux −1)および遺伝子 2( aux
    −2)によりコードされる酵素をコードする。 雄性不稔DNAのさらに他の例は、グルカナーゼ;リパーゼ、たとえばホスホリパーゼA2 〔Verheij 等(1981)、レビュー・バイオケミカル・ファーマコロジー(Rev. Bioch
    em. Pharmacol.),第91巻,第92〜203頁〕;脂質ペルオキシダーゼ;または植物細胞壁の阻害剤をコードする。 さらに他の雄性不稔DNAの例は、植物細胞に対し毒性である蛋白、たとえば細菌毒素(たとえばジフテリアトキシンのB−断片、すなわちボツリン (botulin))
    をコードする。

    【0026】さらに他の雄性不稔DNAの例は、たとえばヨーロッパ特許公開第 0,223,399号に記載されたような内在性プロモータの制御下で植物の雄蕊細胞中で天然に転写されるDNA鎖に相補的なDNA鎖をコードするアンチセンスDNAである。 この種のアンチセンスDN
    Aは、雄蕊細胞中で天然に産生されるRNAのコード化および/または非コード化部分に結合しうるRNA配列(アンチセンスRNA)に転写されて、天然産生されたRNAの翻訳を阻止することができる。 この種のアンチセンスDNAの例は、植物における葯のタペータム細胞中でTA29プロモータの制御下に天然に発現されTA29
    遺伝子のアンチセンスDNA(実施例2に記載)である。

    【0027】雄性不稔DNAの他の例は、Haseloffおよび Gerlach(1988),ネイチャー(Nature),第 334
    巻,第 585〜591 頁に記載されたような所定の標的配列に対し高特異的開裂を行ないうる特定のRNA酵素(すなわち、いわゆる「リボザイム」)をコードする。 この種のリボザイムは、たとえばTA29遺伝子によりコードされるRNAを標的とするリボザイムである。

    【0028】さらに他の雄性不稔DNAの例は、雄蕊細胞を特定の病気、たとえばカビ感染に対し感受性にしうる物質をコードする。 この種の雄性不稔DNAは、雄性不稔DNAを発現しない他の全ての細胞が特定の病気に対し耐性である植物に使用することができる。

    【0029】本発明の外来DNA配列に関し「外来」という用語は、この外来DNA配列が外来雄性不稔DNA
    および/または外来第1プロモータを含有することを意味する。 DNA、たとえば雄性不稔DNAおよび第1プロモータ、並びにマーカーDNA、第2プロモータおよびその他の外来DNA配列における他のDNAに関し「外来」という用語は、本発明により該DNAにより形質転換される植物細胞における同じゲノム環境に存在せず、たとえば植物、細菌、動物、カビ、ウイルスなどの細胞に天然に存在してそこから前記DNAが得られるようなDNAを意味する。 これは、たとえば外来雄性不稔DNAもしくはマーカーDNAが次のものであってもよいことを意味する:(1) 起原植物中の核DNAであり;
    (2) 形質転換植物細胞に対し内在性(すなわち形質転換される植物と同じ遺伝子型を持った起原植物由来)であり;および(3) 形質転換植物細胞内における本発明の外来DNA配列中のそれ自身の内在性プロモータおよび3'
    末端転写制御シグナル(起原植物由来)と同じ転写単位内に存在し;ただし(4) 起原植物に存在する位置とは異なる形質転換植物細胞の核ゲノム中の位置に挿入されるもの。 さらに外来雄性不稔もしくはマーカーDNAは、
    たとえば次のものとすることもできる:(1)起原植物中の核DNAであり;および(2) 形質転換植物細胞に対し内在性であり;ただし(3) 形質転換植物細胞内における本発明の外来キメラDNA配列中の異なる(すなわちそれ自身のものでない)内在性プロモータおよび/または
    3'末端転写制御シグナルと同じ転写単位内に存在するもの。 さらに、外来雄性不稔もしくはマーカーDNAは次のものとすることもできる:(1) 起原植物内の核DNA
    であり;および(2) 形質転換植物細胞に対し内在性であり;ただし(3) 形質転換植物細胞内における本発明の外来キメラDNA配列中の異種プロモータおよび/または
    3'末端転写制御シグナルと同じ転写単位内に位置するもの。 さらに、外来雄性不稔もしくはマーカーDNAは、
    たとえば形質転換植物細胞に対し異種としかつ内在性プロモータおよび/または3'転写制御シグナル(たとえば形質転換される植物と同じ遺伝子型を有する植物の核ゲノム由来のもの)と同じ転写単位内に位置することもできる。 外来雄性不稔DNAの例は、転写される植物と同じ遺伝子型を有する植物の核ゲノムから得られて、たとえば形質転換される植物の雄蕊細胞に対し内在性であるプロテアーゼもしくはリボヌクレアーゼのような酵素をコードすることができ、したがって形質転換された雄蕊細胞にて酵素が過剰産生されてその代謝、機能および/
    または発育を顕著に阻害する。 好ましくは、雄性不稔D
    NAおよびマーカーDNAは、それぞれ形質転換される植物細胞に対し異種である。

    【0030】DNA、たとえば雄性不稔DNA、第1プロモータ、マーカーDNA、第2プロモータおよびその他任意の外来DNA配列におけるDNAに関し「異種」
    という用語は、この種のDNAが形質転換される植物と同じ遺伝子型を有する植物の細胞の核ゲノムには天然に存在しないことを意味する。 異種DNAの例は、形質転換される植物と同じ遺伝子型を有する植物から得られる葉緑体およびミトコンドリアDNAを包含するが、好適例は形質転換される植物とは異なる遺伝子型を有する植物からの葉緑体、ミトコンドリアおよび核DNA、動物および細菌ゲノムからのDNA、並びにカビおよびウイルスゲノムからの染色体およびプラスミドDNAを包含する。

    【0031】本発明の外来DNA配列に関し「キメラ」
    という用語は、その雄性不稔DNA配列の少なくとも1
    つが(1) 前記1つの雄性不稔DNA用の第1プロモータの制御下で天然には存在せず;かつ/または(2) マーカーDNAの少なくとも1つと同じ遺伝子座には天然に存在しないことを意味する。 本発明の外来キメラDNA配列の例は、植物起源の第1プロモータの制御下における細菌起源の雄性不稔DNA;並びに植物起源の第1プロモータの制御下にありかつ細菌起源のマーカーDNAと同じ遺伝子座にある植物起源の雄性不稔DNAである。

    【0032】雄性不稔DNAが植物の雄蕊細胞中で選択的に発現されるよう、外来DNA配列中の雄性不稔DN
    Aを制御する第1プロモータが、植物の雄蕊細胞中で遺伝子発現を選択的に誘起しうるプロモータであることが好ましい〔「雄蕊」という用語は、雄性配偶子を産生しかつ葯および花糸を含む花の器官を意味する〕。 この種の雄蕊特異性プロモータは内在性プロモータであっても外在性プロモータであってもよく、かつ核ゲノムから或いは植物細胞のミトコンドリアもしくは葉緑体ゲノムから得ることができる。 いずれにせよ、第1プロモータは形質転換される植物細胞の核ゲノムに対し外来性である。 好ましくは、第1プロモータは、雄性不稔DNAを葯、花粉もしくは花糸細胞においてのみ、特にタペータム又は葯表皮細胞においてのみ発現させる。 第1プロモータは、この第1プロモータが雄蕊細胞における雄性不稔DNAの発現を選択的に誘起して雄蕊を死滅させ或いは無力にすると共に、植物が稔性雄性配偶子を産生しえなくするよう雄性不稔にするべく、植物種から周知方法で選択しかつ分離することもできる。 第1プロモータは好ましくはさらに、特に植物の雌性器官における稔性花粉の産生に関与しない他の植物部分における雄性不稔D
    NAの発現を防止するのに有効となるよう選択されかつ分離される。 たとえば、適する内在性の雄蕊特異性第1
    プロモータは次の工程により雄性不稔となるよう植物にて同定しかつ分離することができる: 1. 雄蕊、好ましくは葯、花粉もしくは花糸の発育に際してのみ植物中に存在するmRNAを探し; 2. この雄蕊特異性mRNAを分離し; 3. この雄蕊特異性mRNAからcDNAを作成し; 4. このcDNAをプローブとして使用することにより、雄蕊特異性mRNAをコードするDNAを持った植物ゲノムにおける領域を同定し;次いで 5. 雄蕊特異性mRNAをコードするDNAの上流(すなわち5')に存在しかつこのDNAのプロモータを含有する植物ゲノムの部分を同定する。

    【0033】この種の第1プロモータの例はTA29プロモータ、TA26プロモータおよびTA13プロモータ(これらについては後記実施例に説明し、タバコから分離されている)およびタペータム特異性プロモータである。
    他の植物種から得られる他のタペータム特異性第1プロモータは、上記工程4におけるようにプローブとしてT
    A29,TA26もしくはTA13遺伝子を用いることにより、そのゲノムから分離することができる。 ハイブリッド化条件の下で、この種のプローブは他の植物種のゲノムから得られたDNA配列の混合物中でタペータム特異性mRNAをコードするDNAにハイブリダイズする〔Maniatis等(1982),モレキュラ・クローニング,ラボラトリー・マニュアル(Molecular Cloning. A Labora
    tory Manual),コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー出版〕。 その後、上記工程5におけるように、
    他のタペータム特異性第1プロモータを同定することができる。

    【0034】2個以上の雄性不稔DNAが本発明の外来DNA配列に存在する場合、これら全ての雄性不稔DN
    Aは単一の第1プロモータの制御下にあってもよいが、
    好ましくは各雄性不稔DNAはそれ自身の別個の第1プロモータの制御下にある。 複数の雄性不稔DNAが外来DNA配列に存在する場合、雄性不稔DNAは同じもしくは異なる第1RNA、ポリペプチドおよび蛋白をコードすることができる。 たとえば雄性不稔DNAがRNアーゼ(たとえばRNアーゼT1 )をコードする場合、雄性不稔DNAおよびその第1プロモータの少なくとも 3
    個、特に 4〜6個のコピーを外来DNA配列に与えることが好ましい。 いずれにせよ、全ての雄性不稔DNAおよびその第1プロモータは、好ましくは互いに外来DN
    A配列中で隣接し、かつ外来DNA配列で植物細胞を形質転換するために使用する任意のベクター中に存在する。

    【0035】本発明においては、マーカーDNAの選択も重要でない。 適するマーカーDNAは周知方法で選択しかつ分離することができ、マーカーDNAを発現する植物を、第2RNA、蛋白もしくはポリペプチドを発現しない植物から容易に区別しかつ分離しうる第2RN
    A、蛋白もしくはポリペプチドをコードするようにする。 マーカーDNAの例は、植物細胞に対し識別可能な色を付与しうる蛋白、たとえばジヒドロケルセチン-4-
    レダクターゼをコードするA1 遺伝子〔Meyer等(198
    7),ネイチャー(Nature),第 330巻,第 677〜678
    頁〕およびβ−グルクロニダーゼ遺伝子〔Jefferson 等(1988),プロシーディング・ナショナル・アカデミー・サイエンス(Proc. Natl. Acad. Sci) ・USA(「P
    NAS」)、第83巻,第8447頁〕、或いはたとえば矮小な成長または葉の異なる形状など、特定の形態学的特徴を植物に付与する蛋白をコードする。 マーカーDNAの他の例は植物に対し次の性質を付与する:ヨーロッパ特許出願第 88/402222.9号に記載されたようなスーパーオ<br>キシジスムターゼをコードする遺伝子により付与されるようなストレス耐性;ヨーロッパ特許出願第86/3002
    91.1号に記載された昆虫耐性を付与するBacillus thuri
    ngiensisエンドトキシンをコードする遺伝子により付与されるような病気もしくは害虫耐性;またはヨーロッパ特許出願第88/401673.4号に記載された細菌耐性を付与する細菌ペプチドをコードする遺伝子。

    【0036】好適なマーカーDNAは除草剤の作用を阻止し、或いは中和する第2蛋白もしくはポリペプチドをコードし、たとえば次の遺伝子である:ヨーロッパ特許出願第87/400,544.0号に記載されたビオラホスおよびホスフィノトリシンのようなグルタミンシンテターゼ阻該剤に対する耐性を付与する酵素をコードするsfr遺伝子およびsfrv遺伝子;ヨーロッパ特許公開第 0,24
    0,792号に記載されたホスフィノトリシンが標的とするたとえば改変グルタミンシンテターゼおよびヨーロッパ特許公開第 0,218,571号公報に記載されたグリホセート(glyphosate)が標的とする改変5-エノールピルビルシキメート-3ホスフェートシンターゼのような天然産生される内在性酵素よりも低い親和性を除草剤に対して有する或る種の除草剤用の改変標的酵素をコードする遺伝子。

    【0037】マーカーDNAを制御する第2プロモータは、マーカーDNAが 1個もしくはそれ以上の特定組織もしくは特定細胞中で選択的に或いは全植物内に構造的に発現されるよう、所望に応じマーカーDNAによりコードされる第2RNA、蛋白もしくはポリペプチドの性質に依存して周知方法で選択しかつ分離することができる。 たとえばマーカーDNAが除草剤耐性をコードする場合、マーカーDNAは、たとえば35Sプロモータ〔Od
    ell 等(1985),ネイチャー(Nature),第 313巻,第 8
    10〜812 頁〕,35S′ 3プロモータ〔Hullおよび Howel
    (1987),バイロロジー(Virology)、第86巻,第 482
    〜493 頁〕、Ti−プラスミドにおけるノパリンシンテターゼ遺伝子(「PNOS」)のプロモータ〔Herrera-
    Estrella(1983),ネイチャー(Nature),第 303巻,第
    209〜213 頁〕またはオクトピンシンターゼ遺伝子(「POCS」)のプロモータ〔De Greve等(1982),
    ジャーナル・モレキュラ・アプライド・ジェネチックス(J. Mol. Appl. Genet.),第1(6)巻,第 499〜511
    頁〕のような強力な構第2プロモータを用いて植物の全細胞中で発現させるのが有利である。 マーカーDNA
    が病気抵抗性を付与する蛋白をコードする場合、たとえばTi−プラスミドのTR1'もしくはTR2'プロモータのようなTRプロモータを用いてマーカーDNAを傷組織で発現させるのが有利である〔Velten等(1984),E
    MBO J. ,第 3巻,第2723〜2730頁〕。 マーカーD
    NAが除草剤耐性をコードする場合、マーカーDNAをたとえばルビスコ(Rubisco) の小サブユニットをコードする遺伝子のプロモータにより緑色組織中で選択的に発現させるのが有利である〔ヨーロッパ特許出願第87/40
    0,544.0号〕。 マーカーDNAが色素をコードする場合は、たとえば花弁細胞、葉細胞もしくは種子細胞のような特定細胞にて、好ましくは種子被覆の外側層でマーカーDNAを発現させるのが有利である。

    【0038】植物を雄性不稔にしかつ非形質転換植物から容易に識別しうるように組織特異性の第2プロモータを周知方法で次の工程により同定しかつ分離することができる: 1. 或る種の組織、たとえばその花弁、葉もしくは種子の発生の際にのみ植物中に存在するmRNAを探し; 2. この組織特異性mRNAを分離し; 3. この組織特異性mRNAからcDNAを作成し; 4. このcDNAをプローブとして使用することにより、この組織特異性mRNAをコードするDNAを持った植物ゲノムにおける領域を同定し;次いで 5. 組織特異性mRNAをコードするDNAの上流に位置しかつ前記DNAのプロモータを含有する植物ゲノムの部分を同定する。

    【0039】1個以上のマーカーDNAが本発明の外来DNA配列に存在する場合、全マーカーDNAは単一の第2プロモータの制御下にあってもよいが、好ましくは各マーカーDNAはそれ自身の別の第2プロモータの制御下にある。 より好ましくは、各マーカーDNAはそれ自身の第2プロモータの制御下にあって形質転換植物に異なる識別可能な特徴を与える異なる第2RNA、蛋白もしくはポリペプチドをコードする。 いずれにせよ、マーカーDNAおよび第2プロモータは互いに隣接しかつ本発明の外来DNA配列に含まれる 1個もしくはそれ以上の雄性不稔DNAに隣接すべきであり、さらに任意のベクター中で使用して外来DNA配列により植物細胞を形質転換させる。

    【0040】雄性不稔DNAによりコードされる第1R
    NA、蛋白もしくはポリペプチドは雄蕊細胞の細胞質もしくは核中で作用することにより雄蕊細胞の代謝、機能および/または発育を顕著に阻害するのが一般に好適である。 しかしながら、第1蛋白もしくはポリペプチドおよび/または第2蛋白もしくはポリペプチドを形質転換植物の細胞の細胞質から葉緑体もしくはミトコンドリア中へ輸送することが望ましければ、外来DNA配列はさらに運搬体(transit)ペプチドをコードする追加外来D
    NAを含むこともできる。 追加DNAは、第1蛋白もしくはポリペプチドがこのように輸送される場合は雄性不稔DNAと第1プロモータとの間に位置し、かつ第2蛋白もしくはポリペプチドがこのように輸送される場合はマーカーDNAと第2プロモータとの間に位置する。
    「運搬体ペプチド」という用語は、葉緑体もしくはミトコンドリア蛋白または蛋白のサブユニット一般に関連しかつ細胞の核DNAによりコードされる先駆体蛋白として細胞内に産生されるポリペプチド断片を意味する。 運搬体ペプチドは、核コードされた葉緑体もしくはミトコンドリア蛋白またはサブユニットを葉緑体もしくはミトコンドリア中へ移動させる過程でその役割を果たし、かつこの過程の間に、運搬体ペプチドは葉緑体もしくはミトコンドリア蛋白もしくはサブユニットから分離され或いは蛋白分解により除去される。 1個もしくはそれ以上のこの種の追加DNAを本発明の外来DNA配列に供給して、一般にヨーロッパ特許出願第85/402,596.2号および第 88/402,222.9号並びにvan den Broeck等(198
    5),ネイチャー(Nature),第 313巻,第 358〜363
    頁;Schatz(1987),ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(J. of Bioch.),第165 巻,第
    1〜6 頁;および Boutry 等(1987),ネイチャー(Nat
    ure),第 328巻,第 340〜342 頁に記載されたように 1
    個もしくはそれ以上の第1もしくは第2蛋白もしくはポリペプチドを輸送することができる。 葉緑体中への輸送
    (transport) に適する運搬体ペプチドの例は酵素RUB
    Pカルボキシラーゼの小サブユニットを有する運搬体ペプチド(ヨーロッパ特許出願第85/402,596.2号)であり、かつミトコンドリア中への輸送のための運搬体ペプチドの例は酵素Mn−スーパーオキシドジスムターゼの運搬体ペプチドである(実施例16参照)。

    【0041】本発明の外来DNA配列において、3'転写制御シグナルは、植物細胞における正確な転写停止およびmRNAのポリアデニル化を可能にするものから選択することができる。 転写制御シグナルは、天然の転写される遺伝子の 1種としうるが、外来もしくは異種であってもよい。 異種転写制御シグナルの例は、オクトピンシンターゼ遺伝子〔Gielen等(1984),EMBO J. ,
    第 3巻,第 835〜845頁〕およびT−DNA遺伝子7 〔V
    eltenおよびSchell(1985),ヌクレイック・アシッド・リサーチ(Nucleic Acids Research)(「NAR」)
    第13巻,第6981〜6998頁〕である。

    【0042】さらに本発明によれば、第1プロモータが花粉発生の所定段階にて、(より好ましくは減数分裂後に)雄性不稔DNAの発現を行なう本発明の外来DNA
    配列を持った、たとえば葯細胞培養物のような植物細胞培養物を用いて、ホモ接合性の優性雄性不稔植物を再生させることができる〔「 Brassica napusからの小胞子の効率的分離および小胞子由来の胚芽の生成」,EB
    Swanson , MP Coumans , SC Wu, TL Barby およびWD Beversdorf,プラント・セル・リポート(Pl
    ant Cell Reports)(1987),第 6巻,第94〜97頁〕。

    【0043】さらに本発明によれば、ハイブリッド植物に成長させうるハイブリッド種子の生産方法も提供される。 1つの方法は、少なくとも1つのマーカーDNAを有する核雄性不稔植物を、マーカーDNAを持たない雄稔性植物と交配させることを含む。 雄性不稔植物と雄稔性植物の両者を互いに近接して別々の列に植える。 他の方法は、少なくとも2つの異なるマーカーDNAを有する核雄性不稔植物を、これら2つの異なるマーカーDN
    Aの一方のみを共通してホモ接合型で有する雄稔性植物と交配させることを含む。 雄性不稔親植物と雄稔性親植物の両者を実質的にランダムな集団として成長させ、正確な植付けパターンの必要なしに他家受粉のチャンスを増大させる。 雄稔性親植物を、次いで雄稔性親植物が持たない非共通のマーカーDNAによりコードされる明確な形質を用いて集団から容易に除去することができる。
    好ましくは、この方法において雄性不稔植物における非共通のマーカーDNAは構成プロモータの制御下にあって、雄性不稔植物を特定の除草剤に対し耐性にする蛋白もしくはポリペプチドをコードする。 次いで、雄稔性植物を他家受粉の後に特定の除草剤を用いて死滅させることができる。

    【0044】雄性不稔DNAにより、好ましくは雄性不稔DNAと除草剤耐性をコードし、安定に組込まれかつ世代全体にわたり優性対立形質として遺伝させうるマーカーDNAとの両者により、本発明にしたがって形質転換された植物は、ハイブリッド作物を育種しかつ生産するための現在使用されている細胞質雄性不稔システムの代案となり、これらシステムよりも幾つかの利点を与える。 この種の利点は次のものを包含する: 1. 作物を他家受粉させるため、育種手段がずっと簡単になる。 何故なら、商業的に販売されるハイブリッド種子を産生する交雑種の雄稔性親系に回復遺伝子を導入する必要がないからである。 事実、商業的な種子生産のための他の雄稔性親系と交配させたヘテロ接合型核雄性不稔親系は50%の雄性不稔ハイブリッド子孫と50%雄稔性ハイブリッド子孫とを生産し、その結果、市販作物は充分な結実、したがって正常な収量を保証するのに充分な花粉を産生する。 この種の作物の例はトウモロコシおよびアブラナである。 2. 種子が経済的収穫を示さないような作物にとって、
    育種手段は同様にずっと簡単になる。 何故なら、雄稔性親系で発現される回復遺伝子を必要としないからである。 事実、これら作物用に市販されるハイブリッド種子の50%が雄性不稔であってもよい。 これら作物の例は甜菜およびアルファルファである。 3. このシステムは現存する同型交配種から一操作で核雄性不稔系と維持系との生産を可能にし、戻し交配の必要性を排除する。 これはハイブリッドの胚形成から市販化までの時間を少なくとも 6〜8 世代に亘って短縮させる。 雄性不稔DNAを挿入しかつ発現する植物を親植物として使用するハイブリッド植物の典型的な生産法の例は、次の工程で構成することができる: (1) 近親交配系を交配させかつ組合せ能力および選択された特徴について試験することにより手作業で試験ハイブリッドを作成し(2年間)、(2) 選択されたハイブリッドのそれぞれにおける1つの親系を本発明の目的である方法により核雄性不稔となし(1年間)、(3)
    前記工程から得られた核雄性不稔親植物(以下「A s
    と称する)およびその維持系(以下「A」と称する)、
    並びに将来の市販作物の受粉用雄稔性親植物(以下「B」と称する)を増殖させ(3年間)、この期間中に選択されたハイブリッドを公的な収量試験にかけ(3年間)、(4) 承認されたハイブリッド種子を生産しかつ販売する(1年間)。 4. 除草剤耐性をコードするマーカーDNAを組合せると、この種の核雄不稔系は、必要とされる任意の組合せにて 2−, 3−および 4−ウェイ(way) ハイブリッドの生産を可能にする。 雄性不稔DNAとこれに隣接したマーカーDNAとを2−もしくは 3−ウェイハイブリッドを得るための祖父母育種系の 1種として使用される1つの植物の核ゲノムに導入し或いは 4−ウェイハイブリッドを得るための 2種の祖父母育種系として使用される2
    種の植物の核ゲノムに導入すれば充分であると思われる。 各育種系を、例として下記する2つの交配(交雑)
    により維持することができ、ここで「SH」はそれぞれ雄性不稔(S)および除草剤耐性(H)の優性対立形質を示し、かつ「sh」はそれぞれ雄稔性(s)および除草剤感受性(h)の劣性対立形質を示す: a. SH/sh×sh/shは50%SHおよび50%sh
    の子孫を与え、かつHが耐性を付与する除草剤を噴霧した後に 100%の不稔性植物が得られる。 b. sh/sh×sh/shは 100%稔性子孫を与える。 5. これは雄不稔系に組込まれたマーカーDNAの保有体を保護する。 何故なら、競争相手が自分の所有する育種系に前記マーカーDNAを組込むことを一層困難にするからである。

    【0045】例示の目的で、本発明にしたがう2つの作物育種方式を示せば次の通りである: 方式1隣接した雄性不稔DNAと除草剤耐性をコード
    するマーカーDNAとを有する植物の育種 (1A)雄性不稔系A sの維持: A SH/sh系×A sh/sh系からは次の種子が得られる:50
    %A SH/sh (表現型:雄性不稔,除草剤耐性)、50%A
    sh/sh (表現型:雄稔性,除草剤感受性)。 (1B)ハイブリッド種子作物の生産: (a) B sh/sh (雄植物)の種子、並びにA SH/shおよびA sh/shよりなる交配(1A)(「雌」植物)により得られた種子を別々の列に植え、(b) 雌の列に除草剤を噴霧して遺伝子型A sh/shを除去し、(c) 次のように他家受粉を行ない: A SH/sh ×B sh/shおよびB sh/sh ×B sh/shからは雌列に次の種子が得られる:50%AB SH/sh (表現型:ハイブリッド,雄性不稔、除草剤耐性)、50%AB sh/sh
    (表現型:ハイブリッド,雄稔性、除草剤感受性)、 さらに雄列に次の種子が得られる:100 %B sh/sh
    (d) 雄列に生じた遺伝子型B sh/shを除草剤の噴霧により或いは機械的手段により除去し、(e) 上記工程(c) の他家受粉が生じた雌列のハイブリッド種子を収穫する。
    これは市販される種子である。 方法2雄性不稔DNAとそれぞれ異なる除草剤耐性を
    コードする 2種のマーカーDNA(H1 およびH2)とを
    有する植物の育種 (2A)雄性不稔系A sの維持: A S :A SH1H2/sh1h2 ×A sh1h2/sh1h2からは次の種子が得られる:50%A SH1H2/sh1h2 (表現型:雄性不稔,
    両除草剤に対し耐性)、50%A sh1h2/sh1h2 (表現型:
    雄稔性,両除草剤に対し感受性)。 (2B)受粉系Bの維持: B sh1H2/sh1H2 ×B sh1H2/sh1H2からは次の種子が得られる:100 %B sh1H2/sh1H2 (表現型:雄稔性,除草剤
    1 に対し感受性かつ除草剤2に対し耐性)。 (2C)ハイブリッド種子作物の生産: (a) 上記(2A)から得られた種子および(2B)から得られた種子をランダムに植える。 (b) 畑地に除草剤2 を噴霧して遺伝子型A sh1h2/sh1h2
    を除去する。 (c) 他家受粉を行なう: A SH1H2/sh1h2 ×B sh1H2/sh1H2からは次の種子が得られる:50%AB SH1H2/sh1H2 、および50%AB
    sh1h2/sh1H2 。 さらに自家受粉を行なう: B sh1H2/sh1H2 ×B sh1H2/sh1H2からは次の種子が得られる:100%B sh1H2/sh1H2 。 (d) 自家受粉が生じた親系Bから得られた遺伝子型B
    sh1H2/sh1H2を有する植物を、畑地に除草剤1 を噴霧して除去する。 (e) 上記(c) の他家受粉により得られた残余の植物A
    SH1H2/sh1H2のハイブリッド種子を収穫する。

    【0046】

    【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。 これら実施例において説明する図面は次の通りである:第1
    図は実施例1のpTA29S3 におけるTA29cDNAおよびそのClaI断片の制限マップを示し、第2図は実施例2のTA29遺伝子におけるPstI断片のcDNA配列を示し、第3A図はTA29遺伝子のClaI部位からHin
    d III部位に至るDNA配列およびアミノ酸配列を示し、これら配列の上に重要な制限部位を示すと共に、配列の下にはORFによりコードされたアミノ酸配列を示し、さらに −ヌクレオチド(「nt」)1446〜1452にはTATAボックス(星印)、 −nt1477にはTA29mRNAの転写開始部位(星印)、 −nt1514〜1537には実施例2に説明する合成オリゴマーの3'〜5'配列、および−nt1940〜2296(矢印の間)にはTA29cDNAの配列をも示し、第3B図は実施例4で説明するTA13cDNA(上側ライン)およびTA29c
    DNA(下側ライン)の配列(alignment)を示し、さらに垂直線により相同ヌクレオチドを示し、第3C図は実施例4で説明するTA26cDNAの配列を示し、ここでORFに下線を施こし、第4A図は実施例3のベクターpMB2 の構築(作成)を図示し、第4B図は実施例3
    のベクターpMB3 のマップを示し、第5図は実施例5
    のベクターpTTM3 のマップを示し、第6図は実施例7のベクターpTTM4 のマップを示し、第7A図は実施例9のベクターpTTM6 のマップを示し、第7B図は実施例11のベクターpTTM6 A- のマップを示し、
    第8図は実施例12のベクターpTTM8 のマップを示し、第9A図は実施例14のベクターpTVEP1 のマップを示し、第9B図は実施例14のベクターpTVEP2
    のマップを示し、第10A図は実施例16のベクターpTV
    EP63のマップを示し、第10B図は実施例16のベクターpTVEP62のマップを示し、第11図は実施例9の雄性不稔DNAで形質転換されたタバコ植物の花と比較した正常なタバコ植物の花の写真を示し、第12図は実施例9
    の雄性不稔DNAで形質転換されたタバコ植物の葯と比較した正常なタバコ植物の葯の横断面の写真(倍率 250
    倍)を示す。

    【0047】実施例において特記しない限り、組換えD
    NAを作成しかつ操作する手順は全て Maniatis等、モレキュラ・クローニング,ラボラトリー・マニュアル(Molecular Cloning-A Laboratory Manual ),コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー出版(1982)
    に記載された標準法を用いて行なった。 実施例で用いた次のプラスミドおよびベクターは西ドイツ連邦共和国、
    ブラウンシュバイクD−3300,マシェルオーダー・ウェーク 1B在、ドイッチェ・ザンムルンク・フュル・ミクロオルガニスメン・ウント・ツェルクルチューレン(「DSM」)にブタペスト条約の規定に従って寄託されている:

    【0048】

    【表】

    【0049】 実施例1葯特異性遺伝子(「TA29遺伝
    子」)のサブクローン化 カリホルニア大学,ロサンゼルス(UCLA)のロバート・ゴールドバーグ教授から次のものを入手した:GC
    テーリングによりpBR329 〔Covarrubias および Bol
    ivar(1982),ジィーン(Gene),第17巻,第79頁〕に<br>おいてPst I断片としてクローン化したNicotiana taba
    cumの葯特異性cDNA(「TA29cDNA」);並びにTA29cDNAをプローブとして用いることによりN.
    tabacum “Samsun”ゲノムライブラリーから分離しかつλファージベクターcH32〔LoenenおよびBlattner(19
    83),ジーン(Gene),第26巻,第 171頁〕のEco RI
    部位に挿入された対応のゲノムクローン(「λTA2
    9」)。 このTA29cDNAは長さ 365塩基対(±0.4k
    b)であって、 N. tabacumの葯から得られたポリA+ mR
    NAの0.24%を示す 1,100ヌクレオチドのタペータム特異性mRNAにハイブリダイズ化させた。 第1図に示したように、λTA29は 2個のEco RI断片を有し、全挿入物は13.2kbの測定値を有する。

    【0050】第1図に示した如くTA29遺伝子を有する内部 7.5kbのCla I断片をλTA29からpLK31〔Bott
    erman およびZabeau(1987),DNA,第 6巻,第 6
    頁〕にサブクローン化させ、これは「pTA29S3 」と呼ばれるプラスミドを生産する。 EcoR I/ Cla I/
    ind III/ Hind III− EcoR Iの組合せおよび
    la I− EcoR Iの組合せで消化されかつTA29cDNA
    に対しハイブリダイズ化されたλTA29のニトロセルロース結合断片は、TA29cDNAに相同の配列の存在を示した。

    【0051】 実施例2pTA29S3 由来のTA29cD
    NAおよびその相同配列のヌクレオチド 配列決定TA29遺伝子およびそのプロモータの地図化 pBR329 におけるTA29cDNAのPst I挿入物を完全に配列決定した〔Maxam およびGilbert (1977),プロシーディング・ナショナル・アカデミー・サイエンス(Proc. Natl. Acad. Sci.)・USA(「PNA
    S」),第74巻,第 560頁〕。 このcDNA配列を第2
    図に示す。 これは全cDNA配列(示した通り)にわたり1 個のオープンリーディングフレームの存在を示す。

    【0052】次いで、pTA29S3 におけるCla I挿入物の配列をCla I部位からHind III部位まで(3261
    塩基対の間隔)決定した。 TA29cDNA配列とpTA
    29S3 配列との比較は、TA29cDNA配列と完全に相同であるpTA29S3 における配列の存在を示した。

    【0053】第3図はpTA29S3 におけるTA29遺伝子の配列を示している。 TA29 cDNA配列と同一であるpTA29S3 における配列は、第3図において矢印の間に存在する。 オープンリーディングフレームは、第3図にて対応のアミノ酸配列により示される。 これは、
    TA29遺伝子が 321個のアミノ酸残基の蛋白をコードしかつコード化領域にはイントロンが存在しないことを示している。 964(+リーダー)ヌクレオチドのオープンリーディングフレームの長さは、若い(長さ12〜20mm)
    のタバコ蕾から分離した葯から作成されるタバコ葯mR
    NAに存在しかつ葉および旧花(蕾が開きかつ花弁が発生したもの)から分離されたmRNAには存在しない転写物の寸法と一致する。 このmRNAの寸法は約1100ヌクレオチドである。

    【0054】一方がヌクレオチド(「nt」)1527に位置しかつ他方がnt1560に位置する 2個のATGコドンが存在し、これらは33ヌクレオチドの間隔のオープンリーディングフレームに対する開始コドンとして作用しうる。
    第1ATGコドンの81ヌクレオチド5'上流に位置するnt
    1446には共通配列TATAが存在する(第3図に星印で示す)。 この「TATA」ボックスがTA29遺伝子のプロモータの一部であることを確認するため、TA29mR
    NAの5'末端を決定した。 これは、プライマー伸長〔Mc
    Knight 等(1981),セル(Cell),第25巻,第 385
    頁〕により行なった。 この目的で、配列5' GGA G
    CT ACC ATT TTA GCTAAT TTC
    3'を有する24ヌクレオチドのオリゴマーを使用した。
    何故なら、これは第3図に示すようにnt1514からnt1537
    までTA29遺伝子に対し相補的であるからである。

    【0055】このオリゴヌクレオチドを5'末端でのリン酸化(kination)により32 P標識した。 葯mRNAとハイブリダイズ化させた後、オリゴヌクレオチドを逆転写酵素により伸長させた。 得られた伸長オリゴヌクレオチドを配列決定ゲルに続き配列決定ラダーで分析してその正確な寸法を決定した。 この断片は長さ61ヌクレオチドであることが示された。 これは、TA29mRNAの転写開始がnt1477で生じたことを示す(第3図にて星印で示す)。 したがって、TA29遺伝子は転写開始部位の31ヌクレオチド上流に位置するTATAボックスを有する。
    mRNAはnt1477からnt1527に至る長さ51ヌクレオチドのリーダー配列とnt1527からnt2491に至る 964ヌクレオチドのコード化領域とnt2492からnt2590に至る約 100ヌク レオチドの3'非コード化領域とを有する。 現在性化されている植物遺伝子〔Joshin(1987),ヌクレイック・アシッド・リサーチ(Nucleic Acids Research),
    (「NAR」),第15巻,第16号,第6643頁〕の約92%
    における場合のように、mRNAの最初のAUGコドンは翻訳を開始させるために使用されると思われる。 したがって、TA29プロモータはCla I制限部位とnt1477との間に位置すると思われる。

    【0056】 実施例3TA29遺伝子から誘導されるプ
    ロモータカセット(「PTA29」)の構築 第1の異型雄性不稔DNAと同じ転写単位に位置しかつこれを制御するTA29遺伝子の5'制御配列(プロモータを含む)を含むキメラDNA配列を構築するため、pT
    A29S3 からの2.5kb Cla I/ Acc I断片をpMAC5-
    8 のポリリンカーAcc I部位にサブクローン化させることにより第4図に示したようにカセットを作成した(ヨーロッパ特許出願第87/402348.4号)。 これは、第4図に示した「pMB2 」と呼ばれるベクターをもたらし、
    このベクターを用いて部位特異的突然変異に使用するための一本鎖DNAを分離することができた。

    【0057】次いで、第1のATGコドンを包囲する配列AAA ATG GTAをシトシン残基の代りに 2個のアデニン残基を用いてACC ATG GTAに改変させた。
    この突然変異は配列CCATGGを形成し、この配列は制限酵素Nco Iの認識部位である。 pMB2 におけるこの部位特異的突然変異は、次の配列を有する24ヌクレオチドの合成オリゴヌクレオチドを用いて行なった: 3' GTT TAA TCG ATG GTA CCA TCG AGG 5' 新たに形成されたNco I部位を有する得られたプラスミドを「pMB3 」と名付け、これを第4B図に示す。
    co I部位を有する正確なヌクレオチド配列を決定して、
    これがTA29遺伝子の5'配列とはAA -- CC置換だけ相違してNco I部位を形成することを確認した。 長さ15
    07ヌクレオチドの断片Cla I-- Nco Iを「PTA29」と名付けた。

    【0058】 実施例4他の雄特異性mRNAから得
    られたcDNAクロンの同定 他の葯特異性mRNAを同定し、次いでこれを使用してTA29遺伝子と同類の性質を有するcDNAクローンを分離しうることを示すため、他の 2種のN. tabacum葯特異性cDNA(「TA13cDNA」および「TA26cD
    NA」)をUCLAのゴールドバーグ教授から入手した。

    【0059】TA13cDNAは1100bpのクローンであって、タペータム細胞に特異性でありかつ極めて早期の葯発育段階の際に多量に存在するそれぞれ約1100および12
    00ヌクレオチドの 2種のmRNAにハイブリダイズ化したものである。 TA13cDNAを実施例2の手順により配列決定し、次いで第3B図に示したようにTA29cD
    NAの配列と比較した。 この配列の比較は、TA13cD
    NAおよびTA29cDNAが92%の類似性を有しかつO
    RFがグリシン含有量につき極めて多いことを示す。

    【0060】TA26cDNAを、ポリ−G/CテーリングによりpBR329 中へPst I挿入物としてクローン化させた。 これは 580ヌクレオチドの 1種のタバコmRN
    Aにハイブリッド化した 519bpのクローンであって、前記mRNAはタペータム細胞に対し特異性であると共に所定の葯発育段階にて多量に存在する。 全TA26cDN
    Aを実施例2の手順により配列決定し、これはTA29c
    DNAの配列と比較した際に相同性(homology)を全く示さなかった。 TA26cDNAの配列を第3C図に示す。

    【0061】 実施例5PTA29およびβ−グルクロニ
    ダーゼ遺伝子のキメラDNA配列の構築 第5図に示す「pTTM3 」と生するプラスミドを、次の周知のDNA断片を組合せて構築した: 1. pGSC1600から誘導されたT−DNA境界配列を有するベクター断片; 2. 実施例3からのプロモータカセットPTA29を含有し、β−グルクロニダーゼをコードするE.coli遺伝子(「GUS」〔Jefferson 等(1986),PNAS,第83
    巻,第8447頁;Jefferson 等(1987),EMBO J. ,
    第 6巻,第3901頁〕)およびオクトピン−シンターゼ遺伝子の3'末端シグナル(「OCS」〔Dhaese等(198
    3),EMBO J. ,第 2巻,第 419頁〕)を有するpMB3 Nco I/ EcoR I断片とフレームに融合したキメラ配列; 3. Arabidopsis SSUプロモータ(「PSSU」もしくは「PSSUARA」)と除草剤耐性遺伝子sfr
    (ヨーロッパ特許出願第87/400,544.0号)とT−DNA
    遺伝子7 の3'末端シグナル〔VeltenおよびSchell(198
    5),NAR,第13巻,第6981頁〕とを有するキメラ配列;および 4. ノパリン−シンターゼプロモータ(「PNOS」)
    とカナマイシン耐性をコードするneo遺伝子とオクトピンシンターゼ遺伝子(ヨーロッパ特許出願第87/400,5
    44.0号)の3'末端シグナルとを有するpGSFR401
    (ここでpGSFR401 を「pGSR4 」と呼ぶ)からのEcoR I/ Sac I断片を有するキメラ配列。 pTTM
    3 は、T−DNA境界配列内に次の 2個のキメラ配列を有するT−DNAベクターである:すなわちsfrが第2プロモータとしてのPSSUの制御下にあるマーカーDNA(ヨーロッパ特許出願第87/400,544.0号)となるPSSU−sfr;およびGUSがリポータ遺伝子であってTA29プロモータの制御下における植物および植物細胞でのその発現を容易に確認しかつ定量化しうるPT
    A29−GUS。

    【0062】 実施例6タバコ中への実施例5のキメラ
    DNA配列の導入 E. collからのpTTM3 (実施例5から)をpGV22
    60を含有するAgrobacterium C58C1 RifR 〔De Blaer
    e 等(1985),NAR,第13巻,第4777頁〕中へ移動させることにより、組換えAgrobacterium菌株を作成した。
    移動は、ヨーロッパ特許公開第 0,116,718号に記載されたようにヘルパーとしてpRK2013〔Figurski等(197
    9),PNAS,第76巻,第1648頁〕を有するE.coli
    B101 を用いて行なった。 得られたAgrobacterium菌株は、pGV2260とpTTM3 とからなるハイブリッドT
    i−プラスミドを含有していた。

    【0063】この菌株を用いて、たとえばヨーロッパ特許出願第87/400,544.0号に記載されたような標準法によりタバコ葉ディスク( N. tabacum Petite Havane SR1)
    を形質転換させた。 形質転換されたカルスとシュートとを培地中の 5mg/〓の除草剤ホスフィノトリシンを用いて選択した〔De Block等(1987),EMBO J. ,第6
    巻,第2513頁〕。 形質転換された除草剤耐性のカルスおよびシュートには、β−グルクロニダーゼ酵素活性が検出されなかった。

    【0064】次いで、形質転換されたシュート組織を発根させ、温室内の土壌に移し、開花するまで成長させた。 花を検査し、雄蕊の葯におけるタペータム細胞のみがβ−グルクロニダーゼ活性を有することが判明した。
    これは、TA29プロモータがβ−グルクロニダーゼ遺伝子と同様に異種遺伝子の発現を植物のタペータム細胞中で選択的に誘起しうることを示している。

    【0065】 実施例7PTA29および遺伝子4 のキメ
    ラDNA配列の構築 第6図に示した「pTTM4 」と名付けるプラスミドを、次の周知のDNA断片を組合せて構築した: 1. pGSC1700〔Cornellisen およびVandewiele(198
    9),NAR,第 17 (1)巻,第19〜29頁〕から誘導されたT−DNA境界配列を有するベクター断片; 2. 除草剤耐性遺伝子sfrおよびT−DNA遺伝子7
    の3'末端の発現を制御するPSSUプロモータを持った実施例5のキメラ配列(No.3); 3. neo遺伝子およびオクトピンシンターゼ遺伝子の
    3'末端の発現を制御するPNOSプロモータを持った実施例5のキメラ配列(No.4);および 4. 実施例3からのPTA29プロモータカセットを含み、それ自身の3'末端転写制御シグナルを有するイソペンテニルトランスフェラーゼをコードするAgrobacteriu
    m T−DNA遺伝子〔Akiyoshi等(1984),PNAS,
    第76巻,第5994頁;Barry 等(1984),PNAS,第81
    巻,第4776頁〕とフレーム中で融合したキメラ配列。

    【0066】pTTM4 は、T−DNA境界配列内に次のキメラ配列を有する 2成分型のT−DNAベクターである:すなわちPSSU− sfrおよびPNOS− ne
    〔ここでsfrおよびneo遺伝子は植物に関する優性の選択可能なマーカーをコードすると共に第2プロモータとしてのそれぞれPSSUおよびPNOSの制御下にある標識DNAである〕;およびPTA29−遺伝子4
    〔ここで遺伝子4 は第1プロモータとしてのPTA29の制御下にありかつサイトカイニンの生産向上を生ぜしめる酵素イソペンテニルトランスフェラーゼをコードする雄性不稔DNAである〕。 TA29プロモータの制御下でのタペータム細胞におけるサイトカイニン生産の増大は、タペータム細胞の代謝および器官形成を阻害する。

    【0067】 実施例8タバコ中への実施例7のキメラ
    DNA配列の導入 実施例6に記載したように、pTMM4 (実施例7から)を、 E.coliからの移動によりAgrobacterium C58C
    1 Rif R中に導入した。 得られたAgrobacterium菌株は、pGV2260とpTTM4 とからなる 2成分型Ti−
    プラスミドを含有していた。

    【0068】また、実施例6に記載したように、この菌株を用いてタバコ葉ディスクを形質転換させ、形質転換されたカルスおよびシュート組織を 5mg/lのホスフィノトリシンを用いて選択した。 形質転換された除草剤耐性のシュート組織を発根させたところ、遺伝子4 がまだ形質転換植物で発現されていないことを示した。

    【0069】次いで、これら植物を温室内の土壌に移し、開花するまで成長させた。 花を検査し、機能性のタペータム細胞はその雄蕊の葯に存在しなかった。 これは、TA29プロモータが異種遺伝子4 の発現を植物のタペータム細胞中で選択的に誘起しうることを示す。

    【0070】 実施例9PTA29およびRNアーゼT1
    遺伝子のキメラDNA配列の構築 第7A図に示した「pTTM6 」と生するプラスミドを、次の周知のDNA断片を組合せて構築した: 1. pGSC1600からのT−DNA境界配列を有するベクター断片; 2. PSSUプロモータと除草剤耐性遺伝子sfrとT
    −DNA遺伝子7 の3'末端とを有する実施例5のキメラ配列(No.3);および 3. 実施例3からのpTA29プロモータカセットを有し、 A. orhyzaeからのRNアーゼT1 〔Quaas 等,「ビオホスフェートおよびその同族体の合成、構造、代謝および活性(Biophosphates and their Analogeus-Synthe
    se, Structur, Metabolism and Activity )」(1987),
    エルセビール・サイエンス・パブリッシャB. V. (El
    sevier Science Pulisher BV ),アムステルダム;
    Quaas 等(1988),ヨーロピアン・ジャーナル・バイオケミストリー(Eur. J. Biochem.),第173巻,第 617〜6
    22 頁〕およびノパリンシンターゼ(「NOS」)遺伝子 〔An等(1985),EMBO J. ,第4(2)巻,第 2
    77頁〕の3'末端シグナルをコードする合成遺伝子とフレーム内で融合したキメラ配列。

    【0071】pTTM6 は、T−DNA境界配列内に次の2種のキメラ配列を有するT−DNAベクターである:すなわち第2プロモータとしてのPSSUの制御下にある標識DNAであるPSSU− sfr ;および第1
    プロモータとしてのPTA29の制御下にある雄性不稔D
    NAであるPTA29−RNアーゼT1 遺伝子。 TA29プロモータの制御下における雄性不稔DNAのタペータム細胞での発現は、細胞に対し致死性であるRNアーゼT
    1 を生産するが、これはRNアーゼT1 がこれら細胞の代謝に不可欠なRNA分子を分解するからである。

    【0072】 実施例10タバコ中への実施例9のキメラ
    DNA配列の導入 実施例6に記載したように、 E. coliからのpTTM6
    (実施例9から)をAgrobacterium C58C1 Rif R中へ移動させることにより、組換えAgrobacterium菌株を作成した。 得られたpGV2260およびpTTM6 からなるTi−プラスミドが同時に組込まれたAgrobacterium菌株を用いて、タバコ葉ディスクを形質転換させた。 形質転換されたカルスおよびシュート組織を、 5mg/lのホスフィノトリシンを用いて選択した。 RNアーゼT1 遺伝子が形質転換された除草剤耐性カルスおよびシュート中で発現されないことが、その成長によって示された。

    【0073】形質転換したシュート組織を発根させ、温室内の土壌に移し、開花するまで成長させた。 形質転換したタバコ植物は、その葯以外は正常な花を発生した。
    これら葯は正常な形状を有するが、その後の時点で裂開し、形質転換されてないタバコ植物の葯と対照的である(第11図参照)。 裂開すると、形質転換植物からは殆んどまたは全く花粉が放出されず、かつ形質転換植物により形成された花粉粒は正常な花粉粒よりも容積が約50〜
    100 倍小さく、さらに不規則な形状であった。 さらに、
    形質転換植物からの花粉粒の大部分は発芽せず、形質転換植物からの花粉の発芽効率は正常な花粉粒の発芽効率の約 0〜20%であった。 さらに、形質転換植物は自家受粉により(天然の自家受粉によっても或いは手作業による自家受粉によっても)種子を生産しなかった。

    【0074】形質転換植物の薄層断面による顕微鏡観察は、正常なタペータム層が形成されず、かつ花粉袋が空のままとなることを示した(第12図参照)。 これは、T
    A29プロモータが異種RNアーゼT1 遺伝子の発現を形質転換植物のタペータム細胞中で選択的に誘起しうることを示し、さらにRNアーゼT1 がタペータム細胞の機能を充分に阻害して植物を雄性不稔にすることを示す。

    【0075】 実施例11アブラナ中への実施例9のキメ
    ラ配列の誘導体の導入 E.coliからのpTTM6 A- をpMP90を有するAgroba
    cterium C58Rif R 〔Koncz およびSchell(1986),モレキュラ・ゼネラル・ジェネチックス(Mol. Gen. Gent
    ics ),第 204巻,第 383〜396 頁〕中へ移動させることにより、組換えAgrobacterium菌株を作成した。 pM
    P90はvir およびtrans 機能を与えるが、アンピシリン耐性をコードする遺伝子を持たない。 第7B図に示したように、pTTM6 A- はPTTM6 (実施例9から)
    の誘導体であって、アンピシリン耐性をコードするβ−
    ラクタマーゼ遺伝子がこのβ−ラクタマーゼ遺伝子の
    ca I部位に対するDNA配列の挿入により失活されている。

    【0076】pMP90とpTTM6 A- とを有する得られたAgrobacterium菌株(「A3144」と称する)を用いて、Lloyd 等(1968),サイエンス(Science ),第 2
    34巻,第 464〜466 頁およびKlimaszewska等(1985),
    プラント・セル・ティシュー・オーガン・カルチャー(Plant Cell Tissue Organ Culture ),第 4巻,第 1
    83〜197 頁の方法にしたがってBrassica napusを形質転換させた。 カルベニシリンを用いて、同時培養した後にA3144を死滅させた。 形質転換したカルスを 5mg/l
    のホスフィノトリシンと 100μg/mlのカナマイシンとを用いて選択し、耐性カルスを植物中に再生させた。
    シュートおよび根を誘発させた後、形質転換体を温室に移し、開花するまで成長させた。 これらの花を検査し、
    実施例10に記載した形質転換タバコ植物につき観察されたと実質的に同じ表現型を示した。 これは、TA29プロモータが異種RNアーゼT1 遺伝子の発現をタバコ以外の植物のタペータム細胞中で選択的に誘起して、この種の他の植物を雄性不稔にしうることを示す。

    【0077】 実施例12PTA29およびバルナーゼ遺伝
    子のキメラDNA配列の構築 第8図に示した「pTTM8 」と称するプラスミドを、
    次の周知の断片を組合せて構築した: 1. pGSC1700〔Cornelissen およびVandewiele(198
    9),NAR,第 17(1)巻,第19〜29頁〕から誘導されかつβ−ラクタマーゼ遺伝子(第8図の1')がそのSca
    I部位中へのDNA配列の挿入により失活されているT
    −DNA境界配列を有するベクター断片; 2. PSSUプロモータと除草剤耐性遺伝子sfrとT
    −DNA遺伝子7 の3'末端とを有する実施例5のキメラ配列(No.3); 3. PNOSプロモータとneo遺伝子とオクトピンシンターゼ遺伝子の3'末端とを有する実施例5のキメラ配列(No.4);および 4. 実施例3からのPTA29プロモータカセットを有し、 Bacillus amiloliquefaciens 〔Hartley およびRoge
    rson(1972),プレパラティブ・バイオケミストリー(Preparative Biochemistry),第2(3)巻,第 243〜25
    0 頁〕からのバルナーゼ遺伝子および実施例9のノパリンシンターゼ遺伝子の3'末端とフレーム内で融合したキメラ配列。

    【0078】pTTM8 は 2成分型T−DNAベクターであって、T−DNA境界配列内に次の 3種のキメラ配列を有する:すなわちPSSU− sfrおよびPNOS
    neo 〔これらはそれぞれ第2プロモータとしてPS
    SUおよびPNOSを有するマーカーDNAである〕;
    並びにPTA29−バルナーゼ遺伝子〔これは第1プロモータとしてのPTA29の制御下にある雄性不稔DNAである〕。 TA29プロモータの制御下における雄性不稔D
    NAのタペータム細胞中での発現はバルナーゼをタペータム細胞中で選択的に産生する結果、バルナーゼはこれら細胞の代謝を阻害する。

    【0079】 実施例13タバコおよびアブラナ中への実
    施例12のキメラDNA配列の導入 実施例11に記載したように、 E.coliからのpTTM8
    (実施例12から)をpMP90を有するAgrobacterium
    58C1 Rif R 〔Koncz およびSchell(1986),モレキュラ・ゼネラル・ジェネチックス(Mol. Gen. Genetic
    s),第 204巻,第 383〜396 頁〕中に移動させることにより、組換えAgrobacterium菌株を作成した。 pMP
    90とpTTM8 とを有する得られた菌株(「A3135」と称する)をタバコ葉ディスクの形質転換およびアブラナの形質転換に使用した。 形質転換されたカルスおよびシュート組織を 5ml/lのホスフィノトリシンおよび 1
    00μg/mlのカナマイシンを用いて選択した。 バルナーゼ遺伝子は形質転換された除草剤耐性カルスおよびシュートにて発現されないことが、その成長により示された。 形質転換されたシュート組織を発根させ、温室内の土壌に移し、開花するまで成長させた。 タバコおよびアブラナの両者の花を検査し、形質転換植物につき表現系を観察したところ、実施例10に記載した形質転換タバコ植物の表現型と実質的に同じであった。 これは、TA
    29プロモータが異種バルナーゼ遺伝子の発現を植物のタペータム細胞中で選択的に誘起することにより、これら植物を雄性不稔にしうることを示している。

    【0080】 実施例14pTA29およびパパインをコー
    ドする遺伝子のキメラDNA配列の構築 第9A図に示した「pTVEP1 」と称するプラスミドを、次の周知の断片を組合せて構築した: 1. pGSC1700から誘導されたT−DNA境界配列を有しかつβ−ラクタマーゼ遺伝子(第9A図の1')が
    ca I部位中へのDNA配列の挿入により失活されているベクター断片; 2. PSSUプロモータと除草剤耐性遺伝子sfrとT
    −DNA遺伝子7 の3'末端とを有する実施例5のキメラ配列(No.3); 3. PNOSプロモータとneo遺伝子とオクトピンシンターゼ遺伝子の3'末端とを有する実施例5のキメラ配列(No.4);および 4. 実施例3からのPTA29プロモータカセットを有し、これらが次のものとフレーム内で融合したキメラ配列: (a) ペプチド結合並びにエステル結合を攻撃しうる植物エンドペプチダーゼ〔Cohen 等(1986),ジーン(Ge
    ne),第48巻,第219 〜227 頁〕であるパパインチモーゲンをコードし、Cohen 等(1986)のDNA配列にて実施例3に記載したような部位特異的突然変異を用いて次の改変がなされたCarica papaya果実からのパパイン遺伝子: i. 第1ATGコドンの上流の位置−1 におけるヌクレオチドAがヌクレオチドCに突然変異して適するNco
    クローン化部位を得る;かつ ii. それぞれ位置47, 118, 135にてグルタミン酸をコードするGAAコドンを、グルタミンをコードするCA
    Aコドンに突然変異させる;さらに (b) 実施例9のノパリンシンターゼ遺伝子の3'末端。

    【0081】pTVEP1 は 2成分型のT−DNAベクターであって、T−DNA境界配列内に次の 3種のキメラ配列を有する:すなわちPSSU− sfrおよびPN
    OS− neo 〔これらは植物形質転換体に関する選択可能な優性標識を第2プロモータとしてのそれぞれPSS
    UおよびPNOSの制御下でコードするマーカーDNA
    である〕;並びにPTA29−パパイン遺伝子〔これは第1プロモータとしてのPTA29の制御下にある雄性不稔DNAである〕。 TA29プロモータの制御下における雄性不稔DNAのタペータム細胞中での発現は、これらタペータム細胞中で蛋白を開裂することによりこれら細胞の死滅をもたらすエンドペプチダーゼ(パパインチモーゲン)を生産する。

    【0082】第9B図に示した「pTVEP2 」と称するプラスミドをも、次の周知の断片を組合せて構築した: 1. pGSC1700から誘導されたT−DNA境界配列を有しかつβ−ラクタマーゼ遺伝子(第9B図の1')が
    ca I部位中へのDNA配列の挿入により失活されているベクター断片; 2. PSSUプロモータと除草剤耐性遺伝子sfrとT
    −DNA遺伝子7 の3'末端とを有する実施例5のキメラ配列(No.3); 3. PNOSプロモータとneo遺伝子とオクトピンシンターゼ遺伝子の3'末端とを有する実施例5のキメラ配列(No.4);および 4. 実施例3のpTA29プロモータカセットを有し、次のものとフレーム内で融合したキメラ配列: (a) パパインチモーゲンの活性蛋白をコードし、実施例3に記載した部位特異的突然変異を用いてcohen 等(1986)のDNA配列において次の改変を行なったCari
    ca papaya果実からのパパイン遺伝子: i. 活性蛋白の第1Ile残基の上流にてAsnをコードするAATコドンがGATコドンに突然変異して、適する
    EcoR Vクローン化部位(GAT ATC)を与える。
    EcoR V処理された部位がpTA29カセットに直接融合して、パパインチモーゲンの活性蛋白をコードする配列とプロモータとの直接的なフレーム内融合を得る;かつ ii. それぞれ位置47, 118, 135におけるグルタミン酸をコードするGAAコドンが、グルタミンをコードするCAAコドンに突然変異される;さらに (b) 実施例9のノパリンシンターゼ遺伝子の3'末端。

    【0083】pTVEP2 はpTVEP1 と同様に 2成分型のT−DNAベクターであって、T−DNA境界配列内に次の 3種のキメラ遺伝子を有する:すなわち植物形質転換のための選択可能な優性マーカーをコードするPSSU− sfrおよびPNOS− neo ;並びにタペータム細胞中で蛋白を開裂してこれらの細胞の死滅をもたらすエンドペプチダーゼをコードするpTA29−パパイン遺伝子。

    【0084】 実施例15タバコおよびアブラナ中への実
    施例14のキメラDNA配列の導入 実施例11に記載したように、pTVEP1 およびpTV
    EP2 をそれぞれE.coliからpMP90を有する別のArgo
    bacterium C58C1 Rif R中に移動させた。 pMP90とpTVEP1 とを有しかつpMP90とpTVEP2 とを有する得られた菌株を用いて、タバコおよびアブラナを実施例11および13の手順にしたがって形質転換させた。
    パパイン遺伝子は形質転換された除草剤耐性およびカナマイシン耐性のカルス、シュートおよび根に発現されないことが、その成長により示された。

    【0085】形質転換された植物を温室内に移し、開花するまで土壌にて成長させた。 タバコおよびアブラナの両者の花を検査し、表現型を形質転換植物につき観察したところ、実施例10に記載した形質転換タバコ植物の表現型と実質的に同じであった。 これは、TA29プロモータがpTVEP1 およびpTVEP2 中の異種パパイン遺伝子の発現を植物のタペータム細胞中で選択的に誘起することにより、これら植物を雄性不稔にしうることを示す。

    【0086】 実施例16pTA29およびEcoRIをコー
    ドする遺伝子のキメラDNA配列の構築 第10A図に示した「pTVE63」と称するプラスミドを、次の周知の断片を組合せて構築した: 1. pGSC1701A2 (ヨーロッパ特許出願第 87/11598
    5.1号)から誘導されたT−DNA境界配列を有するベクター断片; 2. PSSUプロモータと除草剤耐性遺伝子sfrとT
    −DNA遺伝子7 の3'末端とを有する実施例5のキメラ配列(No.3); 3. PNOSプロモータとneo遺伝子とオクトピンシンターゼ遺伝子の3'末端とを有する実施例5のキメラ配列(No.4); 4. 実施例3のpTA29プロモータカセットを有し、次のものとフレーム内で融合したキメラ配列: (a) E.coliからのEcoR I制限エンドヌクレアーゼをコードし〔Green 等(1981),ジャーナル・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.),第 256巻,第
    2143〜2153頁;Botterman およびZabeau(1985),ジーン(Gene),第37巻,第 229〜239 頁〕かつ二本鎖DN
    A上の標的配列GAATTCを認識して開裂することができ、実施例3に記載したように部位特異的突然変異を用いてGreen 等(1981)のDNA配列において次の改変を行なった遺伝子: i. ATG開始コドンのヌクレオチドをATGCAにより交換して、開始コドンにNsi I部位を形成すると共に次のヌクレオチド配列: ATG CA,TCT,AAT… を生ぜしめ;かつ ii. pEcoR12〔Botterman およびZabeau(1985)〕にてクローン化されたEcoR I遺伝子のHind II− Hin
    d III断片をpMAC5-8 部位特異的突然変異ベクターにクローン化させ;さらに (b) 実施例9のノパリンシンターゼ遺伝子の3'末端;
    並びに 5. E.coliまたはAgrobacteriumにてEcoR I遺伝子の活性を阻害することにより、生物におけるEcoR Iの潜在的なリーク発現(potential leakly expression)を解消しうる、天然プロモータ〔Botterman およびZabeau
    (1985),ジーン(Gene),第37巻,第 229〜239 頁〕
    の制御下にあるEcoR Iメチラーゼをコードする遺伝子。

    【0087】pTVE63は 2成分型のT−DNAベクターであって、T−DNA境界配列内に次の 3種のキメラ配列を有する:PSSU− sfrおよびPNOS− ne
    〔これらは第2プロモータとしてのそれぞれPSSU
    およびPNOSの制御下にあるマーカーDNAである〕;並びにpTA29−EcoRI遺伝子〔これは第1プロモータとしてのpTA29の制御下にある雄性不稔DN
    Aである〕。 タペータム細胞中でのTA29プロモータの制御下における雄性不稔DNAの発現はEcoR I制限エンドヌクレアーゼを産生し、これはタペータム細胞のG
    AATTC部位にて二本鎖DNAを切断し〔タイプII
    型制限改変系に関する文献:Wilson(1988),TIG,
    第 4(11)巻,第 314〜318 頁参照〕、これら細胞の死滅をもたらす。

    【0088】第10B図に示したpTVE62と称するプラスミドをも、次の周知の断片を組合せて構築した: 1. pGSC1701A2 から誘導されたT−DNA境界配列を有するベクター断片; 2. SSUプロモータと除草剤耐性遺伝子sfrとT−DNA遺伝子7 の3'末端とを有する実施例5のキメラ配列(No.3); 3. PNOSプロモータとneo遺伝子とオクトピンシンターゼ遺伝子のneo 3'末端とを有する実施例5のキメラ配列(No.4); 4. 実施例3のpTA29プロモータカセットを有し、p
    SODI〔Bowler等(1989),EMBO J. ,第 8
    巻,第31〜38頁〕からのHpa I− Hind III断片の
    co I− Pst I断片であるMn−スーパーオキドジスムターゼ(「Mn−SOD」)の運搬体ペプチドをコードする遺伝子断片とフレーム内融合し、実施例3に記載した部位特異的突然変異を用いてBowler等のDNA配列において次の改変を行なったキメラ配列: i. ATG開始コドンの位置−2 および−1 にて上流に位置するAAヌクレオチドがCCヌクレオチドに変化して、開始コドンにNco I部位を形成しかつ次のヌクレオチド配列:

    を生成し; ii. 運搬体ペプチドのプロセシング部位の直ぐ下流に位置するT,TCG,CTC,ヌクレオチドがC,TG


    C,AGC,に変化して、プロセシング部位の背後に


    st I部位を形成しかつ次のヌクレオチド配列: LQTFSL CTC ,CGC ,GGC , TTG ,CAG ,ACC ,TTT ,TCG ,CTC , CTC ,CGC ,GGC , TTG ,CAG ,ACC ,TTC

    ,TGC ,AGC … Pst I 〔ここで、矢印は運搬体ペプチド配列のプロセシング部位を示しかつ上側ラインはMn−SODコード配列に対応するアミノ酸配列を示す〕を生成し:

    Nco I−

    Pst


    断片はさらに

    E.coliからの

    EcoR I制限エンドヌクレアーゼ〔Greene等(1981),ジャーナル・バイオロジカル,ケミストリー(J. Biol. Chem.),第256巻,第214


    3〜2153頁;Botterman およびZabeau(1985),ジーン(Gene),第37巻,第 229〜239 頁〕をコードしかつp


    TVE63に存在する二本鎖DNAにおける標的配列GA


    ATTCを認識して切断しうる遺伝子とフレーム内で融合する;および(b) 実施例9のノパリンシンターゼ遺伝子の3'末端;並びに 5.

    E.coliもしくは

    Argobacteriu


    mにて

    EcoR Iの活性を阻止して、微生物における

    Eco


    I遺伝子の潜在的なリーク発現を解消する天然プロモータ〔Botterman およびZabeau(1985)〕の制御下における

    EcoR Iメチラーゼをコードする遺伝子(この遺伝子は境界配列の外側でベクター断片中に挿入される)。 p


    TVE62は 2成分型のT−DNAベクターであって、境界配列内に次の 3種のキメラ配列を有する:すなわちP


    SSU−

    sfrおよびPNOS−NPTII〔これらは第2プロモータとしてのそれぞれPSSUおよびPNO


    Sの制御下にあるマーカーDNAである〕;並びにpT


    A29−運搬体ペプチドEcoRIエンドヌクレアーゼ遺伝子〔これは第1プロモータとしてpTA29を有しかつそれらの間に運搬体ペプチドコード配列を有する雄性不稔DNAである〕。 タペータム細胞でのTA29プロモータの制御下における雄性不稔DNAの発現はタペータム細胞のミトコンドリアを標的としかつこれら細胞におけるGAATTC部位にて二本鎖DNAを切断する制限エンドヌクレアーゼを産生する。 これは、これら細胞の死滅をもたらす。

    【0089】 実施例17タバコおよびアブラナ中への実
    施例16のキメラDNA配列の導入 実施例11および15に記載したように、pTVE62およびpTVE63をE.coliからpMP90を有するAgrobacteriu
    m C58C1 Rif Rに移動させた。 pTVE62をpMP90
    と共に、およびpTVE63をpMP90と共に有する得られた菌株を用いてタバコを形質転換させ、さらにこれらを用いて実施例11および13に記載した手順にしたがいアブラナを形質転換させた。 EcoR Iエンドヌクレアーゼ遺伝子は形質転換された除草剤耐性およびカナマイシン耐性のカルス、シュートおよび根に発現されなかったことが、その成長により示される。

    【0090】形質転換した植物を室温中に移し、開花するまで土壌にて成長させた。 タバコと油菜との両者の花を検査し、形質転換植物につき表現型を観察したところ、実施例10に記載した形質転換タバコ植物と実質的に同じであった。 これは、TA29プロモータが異型EcoR
    Iエンドヌクレアーゼ遺伝子の発現をpTVE62およびpTVE63で形質転換された植物のタペータム細胞中で選択的に誘起して、これら植物を雄性不稔にしうることを示している。

    【0091】説明する必要はないが、本発明は特定植物の形質転換のみに限定されない。 本発明は、雄性不稔D
    NAの発現を植物の雄蕊細胞中で選択的に誘起することにより植物を自家受粉および他家受粉しうる第1プロモータの制御下にて、雄性不稔DNAで形質転換しうる核ゲノムを持った任意の植物に関するものである。 たとえば本発明は、馬鈴薯、トマト、油菜、アルファルファ、
    ヒマワリ、綿、セロリ、玉ネギ、トウモロコシ、大豆、
    タバコ、アブラナ属野菜および甜菜のような植物に関するものである。

    【0092】さらに本発明は上記実施例に記載した特定のプラスミドおよびベクターに限定されず、寧ろ第1プロモータの制御下にある雄性不稔DNAを持ったあらゆるプラスミドおよびベクターを包含する。

    【0093】さらに本発明は上記実施例に記載されたたとえばTA29プロモータのような特定プロモータに限定されず、寧ろ雄性不稔DNAの発現を雄蕊細胞中で選択的に誘起しうるプロモータをコードするあらゆるDNA
    配列を包含する。 この点に関し、本発明は第3A図のT
    A29プロモータのDNA配列、並びにその等価なDNA
    配列、たとえば第3B図のTA13プロモータの配列および第3C図のTA26のプロモータの配列を包含し、これらを用いて雄性不稔DNAの発現を植物のタペータム細胞中で選択的に制御することができる。 事実、TA29,
    TA26およびTA13プロモータのDNA配列は、 (1)或る種のコドンを同じアミノ酸または他のアミノ酸をコードする他のコドンで置換することにより、かつ/または
    (2)或る種のコドンを除去し或いは付加することにより改変することができ、ただしこの種の改変は雄性不稔のタペータム特異性発現を制御するためのコード化されたプロモータの性質を実質的に変化させないものとする。

    【0094】さらに本発明は上記実施例に記載した特定の雄性不稔DNAに限定されず、寧ろ第1プロモータの制御下で産生されて雄蕊細胞の代謝、機能および/または発育を顕著に阻害する第1RNA、蛋白もしくはポリペプチドをコードするあらゆるDNA配列を包含する。

    【0095】さらに本発明は上記実施例に記載された特定のマーカーDNAに限定されず、寧ろこの種のDNA
    配列が発現される少なくとも特定植物組織もしくは特定植物細胞に、この種のDNA配列が発現されない特定植物組織もしくは特定植物細胞と対比して異なる形質を付与する第2RNA、蛋白もしくはポリペプチドをコードするあらゆるDNA配列を包含する。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】実施例1のpTA29S3 におけるTA29cDN
    AおよびそのClaI断片の制限マップを示す図である。

    【図2a】実施例2のTA29遺伝子におけるPstI断片のcDNA配列を示す図である。

    【図2b】実施例2のTA29遺伝子におけるPstI断片のcDNA配列を示す図である。

    【図3A1】TA29遺伝子のClaI部位からHind III
    部位に至るDNA配列およびアミノ酸配列を示し、これら配列の上に重要な制限部位を示すと共に、配列の下にはORFによりコードされたアミノ酸配列を示し、さらに −ヌクレオチド(「nt」)1446〜1452にはTATAボックス(星印)、 −nt1477にはTA29mRNAの転写開始部位(星印)、 −nt1514〜1537には実施例2に説明する合成オリゴマーの3'〜5'配列、および−nt1940〜2296(矢印の間)にはTA29cDNAの配列をも示す図である。

    【図3A2】TA29遺伝子のClaI部位からHind III
    部位に至るDNA配列およびアミノ酸配列を示し、これら配列の上に重要な制限部位を示すと共に、配列の下にはORFによりコードされたアミノ酸配列を示し、さらに −ヌクレオチド(「nt」)1446〜1452にはTATAボックス(星印)、 −nt1477にはTA29mRNAの転写開始部位(星印)、 −nt1514〜1537には実施例2に説明する合成オリゴマーの3'〜5'配列、および−nt1940〜2296(矢印の間)にはTA29cDNAの配列をも示す図である。

    【図3A3】TA29遺伝子のClaI部位からHind III
    部位に至るDNA配列およびアミノ酸配列を示し、これら配列の上に重要な制限部位を示すと共に、配列の下にはORFによりコードされたアミノ酸配列を示し、さらに −ヌクレオチド(「nt」)1446〜1452にはTATAボックス(星印)、 −nt1477にはTA29mRNAの転写開始部位(星印)、 −nt1514〜1537には実施例2に説明する合成オリゴマーの3'〜5'配列、および−nt1940〜2296(矢印の間)にはTA29cDNAの配列をも示す図である。

    【図3A4】TA29遺伝子のClaI部位からHind III
    部位に至るDNA配列およびアミノ酸配列を示し、これら配列の上に重要な制限部位を示すと共に、配列の下にはORFによりコードされたアミノ酸配列を示し、さらに −ヌクレオチド(「nt」)1446〜1452にはTATAボックス(星印)、 −nt1477にはTA29mRNAの転写開始部位(星印)、 −nt1514〜1537には実施例2に説明する合成オリゴマーの3'〜5'配列、および−nt1940〜2296(矢印の間)にはTA29cDNAの配列をも示す図である。

    【図3A5】TA29遺伝子のClaI部位からHind III
    部位に至るDNA配列およびアミノ酸配列を示し、これら配列の上に重要な制限部位を示すと共に、配列の下にはORFによりコードされたアミノ酸配列を示し、さらに −ヌクレオチド(「nt」)1446〜1452にはTATAボックス(星印)、 −nt1477にはTA29mRNAの転写開始部位(星印)、 −nt1514〜1537には実施例2に説明する合成オリゴマーの3'〜5'配列、および−nt1940〜2296(矢印の間)にはTA29cDNAの配列をも示す図である。

    【図3A6】TA29遺伝子のClaI部位からHind III
    部位に至るDNA配列およびアミノ酸配列を示し、これら配列の上に重要な制限部位を示すと共に、配列の下にはORFによりコードされたアミノ酸配列を示し、さらに −ヌクレオチド(「nt」)1446〜1452にはTATAボックス(星印)、 −nt1477にはTA29mRNAの転写開始部位(星印)、 −nt1514〜1537には実施例2に説明する合成オリゴマーの3'〜5'配列、および−nt1940〜2296(矢印の間)にはTA29cDNAの配列をも示す図である。

    【図3A7】TA29遺伝子のClaI部位からHind III
    部位に至るDNA配列およびアミノ酸配列を示し、これら配列の上に重要な制限部位を示すと共に、配列の下にはORFによりコードされたアミノ酸配列を示し、さらに −ヌクレオチド(「nt」)1446〜1452にはTATAボックス(星印)、 −nt1477にはTA29mRNAの転写開始部位(星印)、 −nt1514〜1537には実施例2に説明する合成オリゴマーの3'〜5'配列、および−nt1940〜2296(矢印の間)にはTA29cDNAの配列をも示す図である。

    【図3B1】実施例4で説明するTA13cDNA(上側ライン)およびTA29cDNA(下側ライン)の配列(alignment)を示し、さらに垂直線により相同ヌクレオチドを示す図である。

    【図3B2】実施例4で説明するTA13cDNA(上側ライン)およびTA29cDNA(下側ライン)の配列(alignment)を示し、さらに垂直線により相同ヌクレオチドを示す図である。

    【図3B3】実施例4で説明するTA13cDNA(上側ライン)およびTA29cDNA(下側ライン)の配列(alignment)を示し、さらに垂直線により相同ヌクレオチドを示す図である。

    【図3C1】実施例4で説明するTA26cDNAの配列を示す図であり、ORFに下線を施こ示してある。

    【図3C2】実施例4で説明するTA26cDNAの配列を示す図であり、ORFに下線を施こ示してある。

    【図4A1】実施例3のベクターpMB2 の構築(作成)を示す図である。

    【図4A2】実施例3のベクターpMB2 の構築(作成)を示す図である。

    【図4B】実施例3のベクターpMB3 のマップを示す図である。

    【図5】実施例5のベクターpTTM3 のマップを示す図である。

    【図6】実施例7のベクターpTTM4 のマップを示す図である。

    【図7A】実施例9のベクターpTTM6 のマップを示す図である。

    【図7B】実施例11のベクターpTTM6 A- のマップを示す図である。

    【図8】実施例12のベクターpTTM8 のマップを示す図である。

    【図9A】実施例14のベクターpTVEP1 のマップを示す図である。

    【図9B】実施例14のベクターpTVEP2 のマップを示す図である。

    【図10A】実施例16のベクターpTVEP63のマップを示す図である。

    【図10B】実施例16のベクターpTVEP62のマップを示す図である。

    【図11】実施例9の雄性不稔DNAで形質転換されたタバコ植物の花と比較した正常なタバコ植物の花の写真を示す図である。

    【図12】実施例9の雄性不稔DNAで形質転換されたタバコ植物の葯と比較した正常なタバコ植物の葯の横断面の写真(倍率 250倍)を示す。

    フロントページの続き (72)発明者 ウイリー・デ・グレーフ ベルギー国、9000・ゼント、クピユーレ・ レツチユ・154 (72)発明者 マルク・デ・ブツケレール ベルギー国、9220・メレルビーク、フラタ ーストラート・2

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