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癌治療および判断ターゲットとしてのLY75

阅读:0发布:2023-12-03

专利汇可以提供癌治療および判断ターゲットとしてのLY75专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且本発明は、癌、たとえば、リンパ腫、骨髄腫、白血病、甲状腺癌、膀胱癌、胸部癌、胃癌、食道癌、頭頸部癌および皮膚癌などのようなものの処置、スクリーニング、判断および予測のための、癌、たとえば、リンパ腫、骨髄腫、白血病、甲状腺癌、膀胱癌、胸部癌、胃癌、食道癌、頭頸部癌および皮膚癌などのようなものの処置の有効性を監視するための、および創薬のための方法および組成物を提供する。,下面是癌治療および判断ターゲットとしてのLY75专利的具体信息内容。

非ホジキンリンパ腫においてLY75が発現される前記リンパ腫の処置または防止にあたり、LY75に結合する親和性試薬の治療上有効な量を、必要とする対象に施与することを含む、方法。リンパ腫、骨髄腫、白血病、甲状腺癌、膀胱癌、胸部癌、胃癌、食道癌、頭頸部癌および皮膚癌からなる群より選ばれる癌においてLY75が発現される前記癌の処置または防止にあたり、LY75に結合する親和性試薬の治療上有効な量を、必要とする対象に施与することを含む、方法。親和性試薬はLY75に特異的に結合する、請求項1または請求項2に従う方法。親和性試薬は抗体またはその機能的断片またはその抗原結合部分、または抗体擬態物である、請求項1ないし3のいずれか一項に従う方法。親和性試薬はモノクローナル抗体である、請求項4に従う方法。親和性試薬は、キメラ抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体、脱フコシル化抗体または二重特異性抗体である、請求項4または5に従う方法。機能的抗体断片はユニボディ、ドメイン抗体またはナノボディである、請求項4に従う方法。抗体擬態物は、アフィボディ、DARPin、アンチカリン、アビマー、バーサボディまたはデュオカリンである、請求項4に従う方法。親和性試薬は治療的部分を含むか、またはそれに共役される、請求項1ないし8のいずれか一項に従う方法。治療的部分は細胞傷害性部分または放射性同位体である、請求項9に従う方法。親和性試薬は抗体薬物コンジュゲートである、請求項9または10に従う方法。親和性試薬は抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)を誘発する、請求項1ないし8のいずれか一項に従う方法。親和性試薬は補体依存性細胞傷害(CDC)を誘発する、請求項1ないし8のいずれか一項に従う方法。親和性試薬はT細胞の細胞傷害性を誘発する、請求項1ないし8のいずれか一項に従う方法。親和性試薬は癌細胞のアポトーシスを誘導し、癌幹細胞をなくし、またはその数を減少させ、および/または循環癌細胞をなくし、またはその数を減少させる、請求項1ないし8のいずれか一項に従う方法。親和性試薬はLY75の生理機能を調節し、リガンドがLY75に結合するのを抑制し、および/またはLY75により媒介されるシグナル伝達経路を抑制する、請求項1ないし8のいずれか一項に従う方法。対象において、リンパ腫、骨髄腫、白血病、甲状腺癌、膀胱癌、胸部癌、胃癌、食道癌、頭頸部癌および皮膚癌からなる群より選ばれる癌においてLY75が発現される前記癌の進行について検出、判断および/またはスクリーニングし、または監視するにあたり、または前記癌に向けた抗癌剤または治療の効果を監視するにあたり、LY75、または一以上のその断片の存在またはレベル、またはLY75をコードする核酸の存在またはレベルを検出することを含み、または前記対象におけるそれらのいずれかのレベルでの変化を検出することを含む、方法。LY75、または一以上のその断片の存在、またはLY75をコードする核酸の存在を検出することを含み、(a)対象において健常対象におけるレベルと比較して、LY75、または前記一以上のその断片の上昇したレベル、またはLY75をコードする核酸の上昇したレベルの存在、または(b)対象において健常対象における対応する検出不可能なレベルと比較して、LY75、または前記一以上のその断片の検出可能なレベル、またはLY75をコードする核酸の検出可能なレベルの存在のいずれかは、前記対象における前記癌の存在の指標である、請求項17に従う方法。対象において、リンパ腫、骨髄腫、白血病、甲状腺癌、膀胱癌、胸部癌、胃癌、食道癌、頭頸部癌および皮膚癌からなる群より選ばれる癌においてLY75が発現される前記癌の進行について検出、判断、および/またはスクリーニングし、または監視するにあたり、または前記癌に向けた抗癌剤または治療の効果を監視するにあたり、LY75、または一以上のその断片への免疫特異的結合が可能な抗体の存在またはレベルを検出することを含む、方法。LY75、もしくは一以上のその断片の存在、またはLY75をコードする核酸の存在またはLY75、もしくは一以上のその断片への免疫特異的結合が可能な抗体の存在またはレベルは、対象から得られた生物学的試料の分析により検出される、請求項17ないし19のいずれか一項に従う方法。LY75、または一以上のその断片の存在はLY75に結合する親和性試薬を用いて検出される、請求項17ないし20のいずれか一項に従う方法。親和性試薬は請求項3ないし8のいずれか一項に規定されるものである、請求項21に従う方法。親和性試薬は検出可能なラベルを含むか、またはそれに共役される、請求項21または22に従う方法。対象はヒトである、請求項1ないし23のいずれか一項に従う方法。リンパ腫、骨髄腫、白血病、甲状腺癌、膀胱癌、胸部癌、胃癌、食道癌、頭頸部癌および皮膚癌からなる群より選ばれる癌においてLY75が発現される前記癌の処置または防止のための薬剤を識別するにあたり、(a)LY75、または一以上のその断片を、候補薬剤と接触させること;および(b)薬剤がLY75、または前記一以上のその断片に結合するかどうかを定めることを含む、方法。さらに、前記癌を抑制するために、LY75、または一以上のその断片に結合する薬剤の能を試験するステップを含む、請求項25に従う方法。さらに、LY75の生理機能を調節し、LY75へのリガンド結合を抑制し、および/またはLY75により媒介されるシグナル伝達経路を抑制するためにLY75に結合する薬剤の能力を試験するステップを含む、請求項25または26に従う方法。リンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ組織(MALT)のリンパ腫、T細胞/組織球リッチB細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、T細胞リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫および血管免疫芽球性T細胞リンパ腫からなる群より選ばれる、請求項2ないし27のいずれか一項に従う方法。癌は、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫またはトリプルネガティブ乳癌である、請求項2ないし27のいずれか一項に従う方法。

说明书全文

はじめに 本発明は、癌の処置のための治療ターゲットとして、または癌についてのマーカーとして有用性を有し、癌、たとえば、リンパ腫、骨髄腫、白血病、甲状腺癌、膀胱癌、胸部癌、胃癌、食道癌、頭頸部癌、および/または皮膚癌などのようなものに関連した膜タンパク質の識別に関する。具体的には、そのタンパク質は、生物学的ターゲットを表し、それに対し治療用抗体や他の製薬上の薬剤を含む親和性試薬を作成することができる。本発明はまた、癌の処置および/または診断のためのそのような親和性試薬の使用に関する。

本発明の背景を以下に記載する。 癌、たとえば、リンパ腫、骨髄腫、白血病、甲状腺癌、膀胱癌、胸部(乳)癌、胃癌、食道癌、頭頸部癌および皮膚癌などのようなものの治療における主要な課題は、早期発見率を向上させること、新しい非侵襲性マーカーを見出し、それを疾患の進行に追従させ、そして再発を同定するために使用すること、および改善された、そして毒性の少ない治療法、特に、5年生存率が依然として低いままの、より一層進行した疾患について見出すことである。癌細胞に対してより一層特異的なターゲットを同定する大きな必要性が存在し、たとえば、それらは腫瘍細胞の表面に発現されるものであり、それにより、それらを免疫療法およびターゲット毒素のような有望な新しいアプローチによって攻撃することができる。

リンパ球抗原75は、エンドサイトーシス受容体として働き、細胞外空間から特定化抗原プロセシング区画へ捕捉抗原を向け、そしてBリンパ球の増殖の低下を引き起こすと考えられる。上述の癌細胞上のリンパ球抗原75の存在は、たとえば、抗体ベースの癌療法のための細胞表面ターゲットとして、その有用性が、たとえば、以前に開示されていないことを実証するために必要とされるであろう。

発明の概略を以下に記載する。本発明は、リンパ球抗原75、以下、LY75と称し、その、様々な疾患組織、例は、リンパ腫、骨髄腫、白血病、甲状腺癌、膀胱癌、胸部癌(乳癌)、胃癌、食道癌、頭頸部癌および皮膚癌、以下、「本発明の疾患」と称するものの膜抽出物における検出を開示する。

様々な癌におけるLY75の発現差異は、そのタンパク質が、そのような癌についての、親和性試薬(アフィニティーリージェント)、たとえば、抗体に基づく治療法を使用して標的とされるのを可能にする。それゆえに、LY75は、抗体を含む親和性試薬の生成に使用することができ、それはLY75内のエピトープに特異的に結合し、そして治療の基礎としてそのような親和性試薬によって標的とすることができる。抗体を含む親和性試薬は、癌細胞の細胞表面上のタンパク質を標的とし、(i)補体媒介または抗体依存性細胞傷害(ADCC)による溶解、(ii)そのような親和性試薬に共役した薬物または毒素(群、複数可の意味)による溶解または(iii)そのようなタンパク質の生理学的機能の抑制で、それは癌細胞の成長を、たとえば、シグナル伝達経路を通じて推し進めることができるものを含め、様々なメカニズムを介して癌の治療に使用することができる。そのような親和性試薬に基づく治療の重要な見地は、タンパク質ターゲットの正常な発現プロファイルが、組織分布および発現レベルの点で、抗体による正常組織におけるタンパク質ターゲットの任意のターゲティングにより、正常組織への結合を介して有害な副作用を生じさせないようなものであるということである。

本発明は、LY75が癌において発現される前記癌の処置または防止のための方法を提供するもので、それには、必要とする対象に、LY75に結合する親和性試薬の治療上有効な量を施与することが含まれる。

癌は好ましくは、本発明の疾患の一つである。

本発明はまた、癌の処置または防止における使用のためにLY75に結合する親和性試薬を提供し、好適には、癌は本発明の疾患の一つである。

本発明はまた、LY75に結合する親和性試薬の、癌の処置または防止のための薬の製造における使用を提供し、好適には、癌は本発明の疾患の一つである。

本発明における使用のための親和性試薬は、好適には、LY75に特異的に結合する。

親和性試薬は、抗体、例は、全抗体、またはその機能的断片(機能的フラグメント)または抗体擬態物(抗体ミメティック)であってもよい。好適な親和性試薬は、たとえば、モノクローナル抗体を含む抗体である。

親和性試薬は、キメラ抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体、脱フコシル化(defucosylated)抗体または二重特異性抗体であってよい。

含まれる機能的抗体フラグメントは、ユニボディ(UniBody)、ドメイン抗体またはナノボディ(Nanobody)である。

抗体擬態物には、アフィボディ(Affibody)、DARPin(DARピン)を、アンチカリン(Anticalin)、アビマー(Avimer)、バーサボディ(Versabody)またはデュオカリン(Duocalin)が含まれる。

本発明において使用するための親和性試薬は、治療的部分(セラピューティックモイエティー、治療に有効な部分)、たとえば、細胞傷害性部分または放射性同位元素などのようなものを含み、またはそれに共役(コンジュゲート)されることができる。親和性試薬は、抗体薬物コンジュゲート(配合体)またはイムノコンジュゲート(免疫複合体)であることができる。

親和性試薬は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を誘発することができ、または補体依存性細胞傷害(CDC)を誘発することができる。親和性試薬は、癌細胞のアポトーシスを誘導し、癌幹細胞をなくし、またはその数を減少させ、および/または循環癌細胞をなくし、またはその数を減少させることができる。親和性試薬は、LY75の生理学的機能を調節し、LY75へのリガンド結合を抑制し、そして/またはLY75により媒介されるシグナル伝達経路を抑制することができる。

代わりの実施形態において、本発明はまた、癌においてLY75を発現する前記癌の処置または防止のための方法を提供し、それには、LY75をコードする核酸にハイブリダイズすることが可能なハイブリダイズ薬剤(hybridizing agent)の治療上有効な量を、それを必要とする対象に施与することが含まれる。

本発明はまた、癌の処置または防止における使用のためにLY75をコードする核酸にハイブリダイズすることが可能なハイブリダイズ薬剤を提供し、好適には、癌は本発明の疾患の一つである。

本発明はまた、癌の処置または防止のために薬の製造においてLY75をコードする核酸にハイブリダイズすることが可能なハイブリダイズ薬剤の使用を提供し、好適には、癌は本発明の疾患の一つである。

本発明において使用するためのハイブリダイズ剤は、好適には、LY75の一またはそれよりも多く(一以上)の細胞外ドメインをコードする核酸に特異的に結合する。

本発明で使用するための適切なハイブリダイズ薬剤には、抑制性RNA(inhibitory RNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、アンチセンス核酸、相補的DNA(cDNA)、オリゴヌクレオチドおよびリボザイムが含まれる。

本発明はまた、対象において、癌においてLY75が発現される前記癌の進行について検出、判断、および/またはスクリーニング(選別)し、またはそれらをモニタリング(監視)し、または前記癌においてLY75が発現されるところでの、抗癌剤または治療の効果を監視する方法を提供し、それには、LY75、または一以上のその断片の存在またはレベル、またはLY75がコードされる核酸の存在またはレベルを検出することが含まれ、または前記対象におけるそのレベルでの変化を検出することが含まれる。

そのような方法には、LY75、または一以上のその断片の存在、またはLY75がコードされる核酸の存在を検出することが含まれてよく、(a)対象において健常対象におけるレベルと比較して、LY75または前記一以上のその断片の上昇したレベル、またはLY75がコードされる核酸の上昇したレベルの存在、または(b)対象において健常対象における対応する検出不可能なレベルと比較して、LY75または前記一以上のその断片の検出可能なレベルまたはLY75がコードされる核酸の検出可能なレベルの存在のいずれかは、前記対象において、LY75が前記癌において発現される癌の存在の指標である。

本発明はまた、対象において、癌においてLY75が発現される前記癌進行について検出、判断および/またはスクリーニングし、またはそれを監視し、または癌においてLY75が発現されるものでの、抗癌剤または治療の効果を監視する方法を提供し、それには、LY75、または一以上のその断片に免疫特異的結合が可能な抗体の存在またはレベルを検出することが含まれる。

本発明による方法において、LY75、または一以上のその断片の存在、またはLY75をコードする核酸の存在、またはLY75、または一以上のその断片に免疫特異的に結合することが可能な抗体の存在またはレベルは、対象から得られた生物学的試料の分析によって検出することができる。

LY75、または一以上のその断片の存在は、LY75に結合する親和性試薬を用いて検出することができる。親和性試薬は、ここに記載のように任意の適切な親和性試薬でありうる。親和性試薬は検出可能な標識を含むか、またはそれにコンジュゲートさせることができる。

ここに言及される本発明の態様のいずれかにおいて、対象はヒトであってよい。

本発明はまた、癌においてLY75が発現される前記癌の処置または防止用の薬剤を識別するための方法を提供し、その方法には、(a)LY75、または一以上のその断片を候補薬剤と接触させること、および(b)薬剤がLY75、または一以上のその断片に結合するか否かを決定することが含まれる。方法にはまた、癌においてLY75が発現される前記癌を抑制するために、LY75、または一以上のその断片に結合する薬剤の能を試験するステップを含むことができる。薬剤は、とりわけ、LY75の活性を調節し、LY75へのリガンド結合を低減し、またはLY75二量体化を減少させることができる。

ここに記載の本発明の様々な実施形態において、言及されうる特定の癌の種類は、本発明の疾患の一つである。

一実施形態において、検出、防止または処置する癌は、リンパ腫、例は、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫(特に指定されない)、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫(MALT)、T細胞/組織球リッチB細胞リンパ腫(T-Cell/Histiocyte-Rich B-Cell Lymphoma)、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫(Small Lymphoctyic Lymphoma)、辺縁帯リンパ腫、T細胞リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫および/または血管免疫芽球性(AngioImmunoblastic)T細胞リンパ腫、好適には、非ホジキンリンパ腫である。本発明のいくつかの態様において、リンパ腫は、ホジキンリンパ腫ではない。

別の実施形態では、検出、防止または処置される癌は甲状腺癌である。

別の実施形態では、検出、防止または処置される癌は膀胱癌である。

別の実施形態では、検出、防止または処置される癌は胸部(乳)癌、できれば、トリプルネガティブ乳癌である。

別の実施形態では、検出、防止または処置される癌は胃癌である。

別の実施形態では、検出、防止または処置される癌は食道癌である。

別の実施形態では、検出、防止または処置される癌は頭頸部癌である。

別の実施形態では、検出、防止または処置される癌は皮膚癌、たとえば、メラノーマである。

別の実施形態では、検出、防止または処置される癌は多発性骨髄腫である。

本発明の他の態様は、以下および特に請求の範囲に記載される。

抗LY75モノクローナル抗体のフローサイトメトリー分析を示し、LY75を発現する細胞に対するそれらの抗体の特異的結合が示される。

NAMALWA細胞による抗LY75モノクローナル抗体のインターナリゼーション(内部移行、内在化)を示し、MabZAPアッセイが用いられる。

RAJI細胞による抗LY75モノクローナル抗体のインターナリゼーションを示し、MabZAPアッセイが用いられる。

HCC1143細胞による抗LY75モノクローナル抗体のインターナリゼーションを示し、MabZAPアッセイが用いられる。

HCC1806細胞による抗LY75モノクローナル抗体のインターナリゼーションを示し、MabZAPアッセイが用いられる。

MDA-MB-468細胞による抗LY75モノクローナル抗体のインターナリゼーションを示し、MabZAPアッセイが用いられる。

SW780細胞による抗LY75モノクローナル抗体のインターナリゼーションを示し、MabZAPアッセイが用いられる。

Kato III細胞による抗LY75モノクローナル抗体のインターナリゼーションを示し、MabZAPアッセイが用いられる。

SCC-9細胞による抗LY75モノクローナル抗体のインターナリゼーションを示し、MabZAPアッセイが用いられる。

AML-193細胞による抗LY75モノクローナル抗体のインターナリゼーションを示し、MabZAPアッセイが用いられる。

THP-1細胞による抗LY75モノクローナル抗体のインターナリゼーションを示し、MabZAPアッセイが用いられる。

RPMI 8226細胞による抗LY75モノクローナル抗体のインターナリゼーションを示し、MabZAPアッセイが用いられる。

OE-19細胞による抗LY75モノクローナル抗体のインターナリゼーションを示し、MabZAPアッセイが用いられる。

以下、本発明を詳細に記載する。 以下に詳細に記載する本発明には、対象、たとえば、哺乳動物対象に対し、癌、例は、本発明での疾患を処置または防止するために、治療上の組成物を施与することが包含される。本発明はまた、癌、たとえば、本発明での疾患の臨床上のスクリーニング、判断および予測のための方法および組成物を、哺乳動物対象において、特定の治療的処置に応答する可能性が最も高いペイシェントを識別するために、癌、たとえば、本発明での疾患の結果を監視するために、薬物スクリーニングおよび薬物開発のために提供する。

本発明は、LY75タンパク質が一定の癌において発現されるという知見に基づくものである。具体的には、支持データをここに含め、それらは、膀胱癌、乳癌、慢性リンパ球性白血病、結腸直腸癌、食道癌、甲状腺癌、胃癌、頭頸部癌、腎臓癌、非小細胞(性)癌、卵巣癌、膵臓癌、皮膚癌、小細胞(肺)癌およびリンパ腫の原形質膜におけるLY75タンパク質の発現を実証する。免疫組織化学的分析はまた、膵臓、卵巣、胸部、結腸直腸、食道、皮膚、甲状腺および肺癌、ならびに多発性骨髄腫およびリンパ腫、ホジキンおよび非ホジキン型の双方の腫瘍細胞の特異的染色を示す。したがって、LY75に向けられた抗体は、これらの癌およびLY75の発現を示す他の癌の種類において治療論および診断として有用性を有することができる。

ここで使用されるように、用語「対象」は、動物、好適には哺乳動物に言及する。哺乳動物対象体は非ヒト哺乳動物でありうるが、大抵はヒト、たとえば、ヒト成体などのようなものであることができる。

対象は、概して、生きている対象のことになる。しかしながら、本発明の使用、方法および組成物は、生きている対象体のスクリーニング、判断および予測のために特に適する一方、それらはまた、対象における死後の判断のため、たとえば、同じ病気を発症する危険性のある家族メンバーを同定するためにも使用されうる。

ここで使用されるように、用語「ペイシェント(受動体、患者)」は、または本発明での疾患の一以上を有するか、またはそれが疑われる対象に言及する。

ここで用いるように、用語「本発明のタンパク質」は、リンパ球抗原75〔GeneID(遺伝子ID):4065〕に言及し、それをここではLY75と称する。このタンパク質は、さまざまな癌において異なって(差動的に)発現されることが見出されており、それゆえに、これらの癌の親和性ベースの治療のための新しいターゲット(標的)が提供される。LY75タンパク質のヒト配列は、配列番号1(SEQ ID NO:1)において与えられる。用語LY75は(タンパク質との関連において)、タンパク質で、そのアミノ酸配列が、配列番号1において与えられるアミノ酸配列、またはその派生体(誘導体)またはその変種(変異体)、特に、その自然発生のヒト誘導体または変異体であるものからなるか、またはそれを含むものが包含される。

このタンパク質は、癌ペイシェントからの癌組織サンプルの膜タンパク質抽出物において例1に記載される方法および装置を介して(たとえば、膜タンパク質抽出物の液体クロマトグラフィー-質量分析法によって)同定された。ペプチド配列は、SWISS PROTおよびTrEMBLのデータベース〔the Swiss Institute of Bioinformatics(スイス・インスティチュート・オブ・バイオインフォマティクス)(SIB)およびthe European Bioinformatics Institute(ヨーロピアン・バイオインフォマティクス・インスティチュート)(EBI)によって保有され、それはwww.expasy.orgで利用可能であった〕と比較し、およびエントリーO60449、リンパ球抗原75-LY75が同定された。このタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、配列番号2において与えられるように、アクセッション(受け入れ)番号NM_002349に見出される。

SWISS-PROTによれば、リンパ球抗原75は、脾臓、胸腺、結腸および末梢血リンパ球において発現される。それは、骨髄およびBリンパ細胞系(細胞株)において検出されている。アイソフォームOGTA076bおよびOGTA076cはHodgkin's and Reed-Sternberg(ホジキンスおよびリード・スタンバーグ)(HRS)細胞と呼ばれる悪性ホジキンリンパ腫細胞において発現される。LY75は、細胞外空間から特殊化抗原プロセシング区画へ捕捉された抗原を指向するためにエンドサイトーシス受容体として機能する。それはBリンパ球の減少した増殖を引き起こす。本発明者は、LY75がホジキンおよび非ホジキンリンパ腫タイプの双方において発現されることを示して、これらおよび他の癌タイプを有するものが含まれるペイシェントにおいてLY75に対して向けられた親和性ベースの療法に治療効果を有することが示唆された。

免疫組織化学実験(例2参照)は、膵臓、卵巣、胸部、結腸直腸、食道、皮膚、甲状腺および肺(非小細胞)癌ならびに多発性骨髄腫およびリンパ腫で:びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫(特に指定されない)、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫(MALT)、T細胞/組織球リッチB細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、T細胞リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫および血管免疫芽球性T細胞リンパ腫を含めるものでの腫瘍細胞の特異的染色を示した。後者の癌は、好適には本発明での疾患である。

断片、特に、含エピトープ断片、たとえば、その抗原性または免疫原性の断片およびその誘導体、特に、タンパク質の細胞外ドメイン(例は、細胞外テイルまたはループ)が含まれる断片がそうであるように、LY75は有用である。含エピトープ断片は、抗原性または免疫原性の断片を含め、典型的には、長さが12アミノ酸か、またはそれよりも長く(12以上のアミノ酸)、たとえば、20以上のアミノ酸、たとえば、50または100アミノ酸またはそれらよりも長いことがある。断片は、完全タンパク質の長さの95%以上、たとえば、90%以上、たとえば、完全タンパク質の長さの75%または50%または25%または10%またはそれらよりも長くてもよい。

あるいはまた、ここで採用され、または言及されるタンパク質/ポリペプチドは、本明細書に具体的に列挙され/記載されるようなそれらのタンパク質/ポリペプチドに、またはそれに対して少なくとも80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99%のアミノ酸配列同一性または類似性を有する変異体または誘導体に制限されることができる。パーセントアミノ酸配列同一性/類似性は、任意の適切なアルゴリズム、例は、BLAST、CLUSTALにより、適切なデフォルトパラメーターを用いて定めることができる。

したがって、タンパク質またはポリペプチドとの関連において、用語「LY75」は、タンパク質で、そのアミノ酸配列が配列番号1において与えられるアミノ酸配列からなるか、またはそれを含むもの、または配列番号1に対して少なくとも90%または95%の配列同一性を有するその誘導体または変異体で、およびタンパク質がLY75と同じ組織分布を本質的に有するものに言及する。

核酸との関連において、用語「LY75」は、核酸で、そのヌクレオチド配列が配列番号1において与えられるアミノ配列を含むタンパク質をコードするか、または配列番号1に対して少なくとも90%または95%の配列同一性を有するその誘導体または変異体で、およびタンパク質がLY75タンパク質と同じ組織分布を本質的に有するものに言及する。

核酸との関連において、用語「LY75」はまた、核酸で、そのヌクレオチド配列が配列番号2において与えられる配列を含むもの、または配列番号2に対して少なくとも90%または95%の配列同一性を有するその誘導体または変異体で、およびLY75タンパク質と同じ組織分布を本質的に有するタンパク質をコードするものに言及する。

抗原性または免疫原性断片を含むLY75の含エピトープ断片は、ペイシェントにおいて関連する免疫応答を誘発することが可能であろう。LY75をコードするDNAはまた、その断片、例は、LY75の断片をコードするDNAで、たとえば、その免疫原性断片などのようなものがそうであるように、有用である。LY75をコードする核酸のフラグメント(例は、DNA)は、完全コード領域の長さの95%以上、たとえば、90%以上、たとえば、完全コード領域の長さの75%または50%または25%または10%またはそれらよりも長くてもよい。核酸のフラグメント(例は、DNA)は、長さにおいて、36ヌクレオチド以上、たとえば、60ヌクレオチド以上、たとえば、150または300ヌクレオチドまたはそれよりも長くてもよい。

LY75の誘導体には、配列上の変異体が含まれ、そこでは、一以上(例は、1-20、たとえば、15アミノ酸などのようなもの、またはタンパク質の合計長さに基づいて20%まで、たとえば、アミノ酸の数によって、最大10%または5%または1%までなどのようなもの)の欠失、挿入または置換がなされている。置換は、典型的に、保存的置換であることができる。誘導体は、典型的に、それらが由来するタンパク質と本質的に同じ生物学的機能を有することになる。誘導体は、典型的に、それらが由来するタンパク質と比較できるほどに同等の抗原性または免疫原性である。誘導体は、典型的に、それらが由来するタンパク質のリガンド結合活性、または活性な受容体-複合体形成能、または好ましくはその双方を有することになる。誘導体および変異体は、概して、LY75と同じ組織分布を有することになる。

タンパク質の誘導体にはまた、化学的に処理されたタンパク質で、カルボキシメチル化、カルボキシアミド化、アセチル化したタンパク質などのような、たとえば、精製中に処理されたものが含まれる。

一態様において、本発明は、LY75、またはLY75を含む組成物を提供する。そのタンパク質は、単離または精製された形態であってもよい。さらに本発明は、LY75をコードする核酸、およびLY75をコードする核酸が含まれる組成物を提供する。

さらなる態様において、対象において免疫反応を引き出すことが可能な組成物が提供され、その組成物には、LY75ポリペプチドおよび/または一以上のその抗原性もしくは免疫原性断片、および一以上の適切なキャリヤ(担体)、賦形剤、希釈剤またはアジュバントが含まれる(適切なアジュバントは以下に説明する)。

免疫反応を誘出することが可能な組成物は、たとえば、LY75ポリペプチドまたはその誘導体または変異体、および/または一以上のその抗原性もしくは免疫原性断片を、随意に、一以上の適切な担体、賦形剤、希釈剤またはアジュバントと一緒に含むワクチンとして提供されることができる。

別の態様において、本発明は、LY75ポリペプチド、または一以上のその断片または誘導体または変異体を、たとえば、一以上の本発明での疾患の処置または防止のために提供する。

別の態様において、本発明は、LY75ポリペプチド、または一以上のその断片または誘導体または変異体の、たとえば、一以上の本発明での疾患の処置または防止のための使用を提供する。

本発明はまた、LY75ポリペプチド、一以上のその断片または誘導体または変異体の、たとえば、一以上の本発明での疾患の処置または防止のための薬の製造における使用を提供する。

一態様では、たとえば、一以上の本発明での疾患の処置または防止のために、LY75ポリペプチド、その一以上の断片または誘導体または変異体の治療上有効な量を施与することを含む、処置の方法が提供される。

本発明はさらに、たとえば、対象において、一以上の本発明での疾患の処置または防止のための、またはたとえば、一以上の本発明での疾患に対して対象にワクチン接種をするための方法を提供し、それには、対象に、LY75ポリペプチドおよび/または一以上のその抗原性もしくは免疫原性断片または誘導体または変異体の有効量を、たとえば、ワクチンとして施与するステップが含まれる。

別の態様において、本発明は、たとえば、本発明での疾患を処置する方法を提供し、それには、たとえば、本発明での疾患を有するペイシェントにおいてLY75の発現または生物活性(または双方)を調節(たとえば、上方調節または下方制御)するか、または補完する化合物の治療上有効な量を、(a)たとえば、本発明での疾患の発症または発達を防止し、(b)たとえば、本発明での疾患の進行を防止し、または(c)たとえば、本発明での疾患の症状を改善するために、ペイシェントに施与することが含まれる。

さらに別の実施形態において、本発明は、別々にまたは一緒に: (a)LY75、および (b)抗がん剤を、 癌の処置において、なるべくなら(preferably)、本発明での疾患の一つの処置において、同時、逐次または別個の施与のために含む薬を提供する。

LY75は、たとえば、本発明の疾患の検出、予測、判断、または監視のため、または薬物開発のために使用することができる。

本発明の別の態様によれば、本発明者らは、たとえば、本発明での疾患についての検出、判断および/またはスクリーニングの、またはその進行を監視し、またはたとえば、対象において本発明での疾患に向けられた抗癌薬物または療法の効果を監視する方法を提供し、それには、LY75、または一以上のその断片の存在またはレベル、またはLY75をコードする核酸の存在またはレベル、またはLY75の活性の存在またはレベルを検出することが含まれ、またはそれには、前記対象におけるそのレベルでの変化を検出することが含まれる。

本発明の別の態様によれば、本発明者らは、たとえば、候補対象における本発明での疾患についての検出、判断、および/またはスクリーニングする方法を提供し、それには、前記候補対象において、LY75、または一以上のその断片の存在、またはLY75をコードする核酸の存在、またはLY75の活性の存在を検出することが含まれ、そこでは、(a)候補対象において、健康な対象におけるレベルと比較して、LY75または前記一以上のその断片の上昇したレベルの存在またはLY75をコードする核酸の上昇したレベルの存在またはLY75活性の上昇したレベル、または(b)候補対象において、健康な対象における対応する検出不可能なレベルと比較して、LY75または前記一以上のその断片の検出可能なレベルの存在またはLY75をコードする核酸の検出可能なレベルまたはLY75活性の検出可能なレベルの存在は、たとえば、前記対象において、本発明での疾患の存在を示す。

本発明の別の態様によれば、本発明者らは、たとえば、対象において、本発明での疾患の進行を監視し、またはたとえば、本発明での疾患に向けられた抗癌薬物または療法の効果を監視する方法を提供し、それには、前記候補対象において、第一の時点および後の時点で、LY75または一以上のその断片の存在、またはLY75をコードする核酸の存在またはLY75の活性の存在、対象において、後の時点で、対象における前記第一の時点でのレベルと比較して、LY75または前記一以上のその断片の上昇または低下したレベル、またはLY75をコードする核酸の上昇または低下したレベルの存在またはLY75活性の上昇または低下したレベルの存在を検出することが含まれ、たとえば、前記対象において、本発明での疾患の進行または退行が示され、またはたとえば、本発明での疾患に向けられた抗癌薬物または療法の効果または無効(non-effect)が示される。

LY75について、たとえば、本発明での疾患を有する対象由来の組織サンプルを分析して得られる検出されたレベルは、たとえば、本発明での疾患がない対象からの組織を分析する際に得られる検出されたレベルに関して、使用される特定の分析プロトコルおよび検出技術に依存する。したがって、本発明は、各研究室が、たとえば、本発明での疾患を有さない対象において、診断技術において慣習的であるように、使用される分析プロトコルおよび検出技術に従って基準範囲を確立することを企図している。好ましくは、たとえば、本発明での疾患を有することがわかっている対象からの少なくとも一のコントロール陽性組織サンプル、またはたとえば、本発明での疾患がないことがわかっている対象からの少なくとも一のコントロール陰性組織サンプル(そしてより一層好ましくは陽性および陰性のコントロールサンプルの双方)は、分析される試験サンプルの各バッチに含まれる。

本発明の一態様では、液体クロマトグラフィー-質量分析または他の適切な方法は、たとえば、本発明での疾患のスクリーニングまたは判断のためのLY75の発現を測定するために、対象、好ましくは生きている対象からの本発明での組織サンプルの疾患を分析し、本発明での疾患のペイシェントの予測を決定し、本発明での疾患の治療の有効性を監視するために、または薬物の開発ために使用される。

上記の方法のいずれかで、癌、たとえば、本発明での疾患を有する候補対象において検出されうるレベルは、好ましくは、健常対象のレベルより2倍またはそれよりも高い。

本発明の一つの実施形態において、対象(たとえば、本発明での疾患を有すると疑われる対象)からの組織試料は、LY75の検出のために液体クロマトグラフィー-質量分析によって分析される。対象由来の組織におけるLY75の増加した存在量(increased abundance)は、対象由来または本発明での疾患を有さない対象からの組織(たとえば、コントロールサンプル)または事前に決定した基準範囲に関連して、本発明での疾患の存在を示す。

断片、エピトープ含有断片、免疫原性断片またはLY75の抗原性断片に関連して: 関連する癌の用途のため、本発明の一態様では、これらには、例1でのトリプシン配列として識別される配列が含まれる。

ここで使用するように、LY75は「分離(単離)」され、それはそれが汚染タンパク質を実質含まない調製物において存在するときであり、すなわち、存在する合計タンパク質の10%未満(たとえば、5%未満、たとえば、1%未満などのようなもの)しか汚染性タンパク質(群、複数可の意味)でない調製物である。汚染性(夾雑)タンパク質は、質量スペクトル分析により決定されるように、分離されたLY75のものとは著しく異なるアミノ酸配列を有するタンパク質である。ここで使用されるように、「著しく異なる」配列は、ここでの例1において記載のプロトコルに従って行われる質量スペクトル分析によって、汚染性タンパク質がLY75から分解されるのを可能にするものである。

本発明の判断および予測の方法において、LY75は、この技術において熟練した者(当業者)に知られた任意の方法によってアッセイすることができ、それには、制限はないが、ここに記載された好適な技術(the Preferred Technologies)、キナーゼアッセイ、酵素アッセイ、結合アッセイおよび他の機能アッセイ、イムノアッセイ(免疫学的検定法)、およびウエスタンブロッティングが含まれる。

あるいはまた、LY75はイムノアッセイにおいて検出することができる。一実施形態では、イムノアッセイは、LY75が存在する場合に結合(たとえば、免疫特異的結合)が起こりうるような条件の下に、試験される対象からのサンプルを、抗LY75抗体(または他の親和性試薬)と接触させることにより行われ、そしてその薬剤によって任意の結合(たとえば、免疫特異的結合)の量が検出または測定される。LY75結合薬剤は、ここに教示される方法および技術によって生成することができる。特定の実施形態では、LY75は免疫組織化学を用いて分析される。

LY75、その断片、たとえば、その含エピトープ(たとえば、免疫原性または抗原性)断片の検出によって検出することができる。断片は、少なくとも10の長さ、より一層典型的には、少なくとも20のアミノ酸、たとえば、少なくとも50または100のアミノ酸、たとえば、少なくとも150または200のアミノ酸;たとえば、少なくとも300または500のアミノ酸;たとえば、少なくとも700または900のアミノ酸を有することができる。

一実施形態において、組織切片における親和性試薬(たとえば、抗体)の結合は、異常LY75の局在またはLY75の異常なレベルを検出するために用いることができる。具体的実施形態では、LY75に対する抗体(または他の親和性試薬)は、LY75のレベルについて、ペイシェント組織(たとえば、リンパ系、甲状腺、膀胱、胸、胃、食道、頭頸部および皮膚組織)をアッセイするために使用されえ、そこでは、LY75の異常なレベルが本発明での疾患の指標である。ここで使用する「異常なレベル」は、本発明での疾患がない対象におけるレベルまたは基準レベルと比較して増加するレベルを意味する。

任意の適切なイムノアッセイは、制限されることなく、たとえば、ウエスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、イムノラジオメトリックアッセイ、蛍光イムノアッセイおよびプロテインAイムノアッセイなどのような技術を用いる競合的および非競合的アッセイシステムなどを含めて、使用することができる。

たとえば、LY75は、二段階サンドイッチアッセイによって、流体サンプル(たとえば、血液、尿、または唾液)において検出することができる。第一のステップでは、捕捉試薬(capture reagent)(たとえば、抗LY75抗体または他の親和性試薬)を、LY75を捕捉するために使用する。捕捉試薬は、随意に、固相上に固定化することができる。第二ステップにおいて、直接または間接的に標識された検出試薬は、捕捉されたLY75を検出するために使用される。一実施形態では、検出試薬はレクチンである。任意のレクチンをこの目的のために使用することができ、それは、LY75に対して、LY75と同じコアタンパク質を有する他のアイソフォームに対してか、または抗体によって認識される抗原決定基を共有する他のタンパク質に対してよりはむしろ、選択的に結合する。好ましい実施形態では、選択されたレクチンは、LY75と同じコアを有する前記他のアイソフォームに対して、または親和性試薬によって認識される抗原決定基を共有する前記他のタンパク質に対してよりは、少なくとも2倍高い親和性、より一層好ましくは少なくとも5倍高い親和性、さらにより一層好ましくは少なくとも10倍高い親和性でLY75と結合する。本説明に基づいて、LY75を検出するのに適するレクチンは、この技術においてよく知られた方法、例として、Sumar(スマー)ら、Lectins as Indicators of Disease Associated Glycoforms(疾患関連糖型の指標としてのレクチン)、In: Gabius H-J & Gabius S(eds.)〔ガビアスH-J &ガビアスS.(編)〕、1993、Lectins and Glycobiology(レクチンおよび糖生物学)、at pp. 158-174の第158-159頁の表Iに列挙される一以上のレクチンをテストすることにより容易に同定されうる(それをここに参照することによりその全体を組込む)。代わりの実施形態では、検出試薬は抗体(または他の親和性試薬)、たとえば、リン酸化されたアミノ酸に免疫特異的に結合する抗体などのような他の翻訳後修飾を特異的に(たとえば、免疫特異的に)検出する抗体である。そのような抗体の例には、ホスホチロシンに結合するもの〔BD Transduction Laboratories(BDトランスダクション・ラオラトリーズ社)、カタログ番号:P11230-050/P11230-150;P11120;P38820;P39020〕、ホスホセリンに結合するもの〔Zymed Laboratories Inc.(ザイメッド・ラボラトリーズ社)、South San Francisco(サウスサンフランシスコ)、CA(カリフォルニア州)、カタログ番号61-8100〕およびホスホスレオニンに結合するもの(Zymed Laboratories Inc.、サウスサンフランシスコ、CA、カタログ番号71-8200、13-9200)が含まれる。

必要に応じて、LY75、関連遺伝子、または関連核酸配列またはサブシーケンス(部分配列)をコードする遺伝子は、相補配列を含め、また、ハイブリダイゼーションアッセイにおいて使用することができる。LY75をコードするヌクレオチド、または少なくとも8のヌクレオチド、好ましくは少なくとも12のヌクレオチド、そして最も好ましくは少なくとも15のヌクレオチドを含む部分配列は、ハイブリダイゼーションプローブとして使用することができる。ハイブリダイゼーションアッセイは、LY75をコードする遺伝子の異常な発現と関係がある状態、障害、または疾患状態の、検出、予測、判断、または監視のために、またはたとえば、本発明での疾患を示唆する徴候または症状を有する対象の鑑別診断のために使用することができる。特に、そのようなハイブリダイゼーションアッセイは、ハイブリダイゼーションが起こりえ、そして任意の結果として得られたハイブリダイゼーションが検出または測定されるような条件下で、核酸を含む対象のサンプルを、LY75をコードするDNAまたはRNAにハイブリダイズすることが可能な核酸プローブと接触させることを含む方法によって行うことができる。

それゆえ、LY75をコードする核酸(たとえば、DNAまたはより一層好適にはRNA)は、たとえば、LY75をコードする核酸にハイブリダイズすることが可能なハイブリダイズ薬剤(特に、オリゴヌクレオチドプローブ)を使用して、検出されてもよい。

一つのそのような模範的な方法には: LY75をコードするヌクレオチド配列に相補的な10以上の連続したヌクレオチドを含む一以上のオリゴヌクレオチドプローブを、対象からの生物学的サンプルから得られたRNAと、またはRNAからコピーしたcDNAと接触させることであり、そこでは、もしあれば(存在する場合)、ヌクレオチド配列へのプローブのハイブリダイゼーションが可能にされる条件下で前記接触は起こり、 ハイブリダイゼーションを検出することであり、もしあれば、プローブおよびヌクレオチド配列の間でのもの、および ハイブリダイゼーションを比較することであり、もしあれば、ステップ(b)において検出されたものを、コントロールサンプルにおいて検出されたハイブリダイゼーションと、または予め決定された基準範囲とのものであるもの が含まれる。

本発明はまた、抗LY75抗体(または他の親和性試薬)を含む診断キットを提供する。さらに、そのようなキットは、随意に、以下の一以上のものを含むことができる。 (1)診断、予測、治療モニタリングまたはこれらの用途の任意の組合せ用の抗LY75親和性試薬を使用するための指示書、 (2)親和性試薬に対する標識結合パートナー、 (3)抗LY75親和性試薬が固定される際の固相(たとえば、試薬ストリップなど)、および (4)診断、予測または治療的使用またはそれらの任意の組合せのための規制当局の認可を示すラベルまたはインサート(挿入物)である。親和性試薬への標識された結合パートナーが提供されない場合、抗LY75親和性試薬はそれ自体が、検出可能なマーカー、たとえば、化学発光、酵素、蛍光、または放射性部分により標識することができる。

本発明はまた、LY75をコードする核酸、好適にはRNAにハイブリダイズすることが可能な核酸プローブを含むキットを提供する。特定の実施形態において、キットには、一以上の容器に一対のプライマー(たとえば、それぞれ、6-30のヌクレオチド、より一層好ましくは、10-30のヌクレオチド、さらに好ましくは10-20ヌクレオチドのサイズ範囲内)で、それが、適切な反応条件下では、たとえば、ポリメラーゼ連鎖反応〔たとえば、Innis(イニス)ら、1990、PCR Protocols(プロトコルズ)、Academic Press, Inc.(アカデミックプレス社)、San Diego(サンディエゴ)、CA参照〕、Qβのレプリカーゼのリガーゼ連鎖反応〔EP 320308(欧州特許出願公開第320308号明細書)参照〕の使用、環状プローブ反応、またはこの技術において既知の他の方法によってなどで、LY75をコードする核酸の少なくとも一部分の増幅をプライミングすることができるものが含まれる。

キットは、随意に、さらにLY75またはLY75をコードする核酸の所定量を、たとえば、標準またはコントロールとしての使用のために含むことができる。

ここで使用されるように、用語「サンプル(試料)」には、本発明での疾患の一以上を有する危険性がある対象から採取した体液(たとえば、血液、尿または唾液)、および組織生検(たとえば、リンパ系、甲状腺、膀胱、胸部、胃、食道、頭頸部および皮膚の生検などのような生検)またはそのホモジェネートが含まれる。

たとえば、使用される生物学的サンプルは、たとえば、血清サンプルまたは組織サンプルなどのような任意の供給源由来であることができ、たとえば、リンパ系、甲状腺、膀胱、胸部、胃、食道、頭頸部および皮膚組織である。例として、本発明での疾患の転移の証拠を探すとき、あるものは本発明での転移の疾患の主要な部位で見られ、たとえば、リンパ腫についてのリンパ節、脾臓、肝臓、胃、骨、脳、肺、精巣および皮膚;甲状腺癌についての肺および骨、膀胱癌についての骨、肺、皮膚および肝、乳癌についての骨、肝臓および肺、食道癌についての肝臓、肺および骨、胃癌についての肝臓、肺、脳、骨、腎臓および膵臓、頭頸部癌肺、骨、肝臓および皮膚または皮膚癌についての肺、脳および骨である。

あるいはまた、LY75、または一以上のその断片の存在、またはLY75をコードする核酸の存在、またはLY75の活性の存在は、インシトゥー(その場)での分析によって検出することができる。

一定の実施形態において、ここに記載の判断の方法は、少なくとも部分的に、または全体的に、インビトロ(試験管内)またはエキソビボ(生体外)で実施することができる。

適切には、LY75、または一以上のその断片の存在、またはLY75をコードする核酸の存在またはLY75の活性の存在は、量的に検出される。

たとえば、量的な検出には、 生物学的サンプルをLY75に特異的な親和性試薬と接触させることであり、前記親和性試薬は随意に検出可能な標識にコンジュゲートされていること、および 結合が、サンプルにおいて親和性試薬および少なくとも一の種の間で発生したか否かを検出し、前記検出は直接的または間接的かのいずれかで実行されること が含まれうる。

あるいはまた、LY75、または一以上のその断片の存在、またはLY75をコードする核酸の存在またはLY75の活性の存在は、イメージング技術の使用を含む手段によって定量的に検出することができる。

別の実施形態では、本発明の方法には、たとえば、リンパ系、甲状腺、膀胱、乳房、胃、食道、頭頸部および皮膚組織切片上で、LY75、または一以上のその断片の存在、またはLY75をコードする核酸の存在またはLY75活性の存在を決定し、そしてそれによってたとえば、本発明の細胞での疾患を局在化するために、免疫組織化学の使用が包含される。

一実施形態では、LY75または一以上のそのエピトープ含有断片の存在は、たとえば、抗体などのようなLY75または一以上のその断片に対する特異的結合が可能な親和性試薬を使用して検出される。

別の実施形態において、LY75の活性が検出される。

臨床研究での使用

本発明の判断方法および組成物は、たとえば、本発明での疾患の治療のための薬物を評価するために、臨床試験の監視に役立つことができる。一実施形態において、候補分子は、たとえば、本発明の疾患を有する対象において、LY75レベルを、本発明での疾患を有しない対象において、または、治療された対象において見出されるレベルにまで回復させ、LY75レベルを、非リンパ腫、非甲状腺癌、非膀胱癌、非胃癌、非食道癌、非頭頸部癌および非皮膚癌の値に、またはその付近に維持するそれらの能力について試験される。

別の実施形態では、本発明の方法および組成物は、たとえば、本発明での疾患を有する個体を識別するために臨床研究用の候補をスクリーニングするために使用され、そのような個体は次いで研究から除外でき、または処置もしくは解析のための別々のコホート(集団)に配置することができる。

本発明のタンパク質および対応核酸の生産

一態様において、本発明は、たとえば、本発明での疾患の処置または防止の方法を提供し、それには、そのような処置または防止を必要とする対象に、LY75またはその一以上の断片もしくは誘導体をコードする核酸の治療上有効な量を、たとえば、ワクチンの形態で施与することが含まれる。

別の態様では、たとえば、本発明での疾患を処置または防止する方法が提供され、それには、そのような処置または防止を必要とする対象に、LY75の機能または発現を抑制する核酸の治療上有効な量を施与することが含まれる。

本発明の方法(および/またはここに開示される他のDNA態様)には、たとえば、核酸がLY75アンチセンス核酸またはリボザイムであることが含まれてもよい。

したがって、本発明には、たとえば、本発明での疾患の処置または防止のための薬の製造において、LY75または一以上のその断片もしくは誘導体をコードする核酸の使用が含まれる。

また、たとえば、本発明での疾患の一以上の処置または防止のための薬の製造における、LY75の機能または発現を抑制する核酸の使用が提供される。

本発明において採用されるDNAは、cDNAライブラリーから、出発物質として商業上のmRNAsを使用してcDNA断片として分離することによって得ることができ、そしてそのヌクレオチド(塩基)配列が決定され、そして識別される。すなわち、具体的には、クローンをランダムにcDNAライブラリーから分離し、それらライブラリーはOhara(オハラ)らの方法〔DNA Research(DNAリサーチ)第4巻、53-59(1997)〕に従って調製される。次に、ハイブリダイゼーションを介して、重複クローン(繰り返し現れる)が除去され、そして次いでインビトロ転写および翻訳が行われる。クローンの両端のヌクレオチド配列は、50kDa以上の産物が確認され、決定される。

さらに、既知遺伝子のデータベースは、クエリーとしてこのようにして得られた末端ヌクレオチド配列を用いて相同性について検索される。

上記スクリーニング方法に加え、cDNAの5'および3'末端配列はヒトゲノム配列に関連する。次に、未知の長鎖遺伝子は配列の間の領域で確認され、そしてcDNAの完全長が分析される。このように、既知の遺伝子に依存する慣習的なクローニング方法によって得ることができない未知の遺伝子を体系的にクローン化することができる。

さらに、本発明のヒト由来の遺伝子含有DNAの領域のすべてはまた、たとえば、RACEなどのようなPCR法を用いて、短い断片または得られた配列において人工的エラーが起こらないように十分注意を払いながら調製することができる。上述のように、本発明のDNAを有するクローンは得ることができる。

本発明のDNAをクローニングするための別の手段では、本発明のポリペプチドの一部の適切なヌクレオチド配列を有する合成DNAプライマーを生成し、次いで適切なライブラリーを使用してPCR法による増幅が続けられる。あるいはまた、選定は、本発明のDNAと、適切なベクターに組み込まれ、DNA断片または本発明のポリペプチドの領域の一部または全部をコードする合成DNAで標識されたDNAとのハイブリダイゼーションにより行うことができる。ハイブリダイゼーションは、たとえば、Current Protocols in Molecular Biology(カレント・プロトコルズ・イン・モレキュラー・バイオロジー、分子生物学の最新プロトコル)〔Frederick M. Ausubel(フレデリックM.オーズベル)による編集、1987〕に記載された方法によって行うことができる。本発明のDNAは、それらが上記のように、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む限りは、任意のDNAであってもよい。そのようなDNAは、cDNAライブラリーまたはその種の他のものから確認され、そして分離されたcDNAであってもよく、それらは、リンパ、甲状腺、膀胱、胸部、胃、食道、頭頸部および皮膚の組織に由来する。そのようなDNAはまた、合成DNAまたはその種の他のものであってもよい。ライブラリー構築における使用のためのベクターは、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミド(phargemids)、またはその種の他のもののいずれであってもよい。さらに、増幅は、合計RNA画分または上記細胞および/または組織から調製されたmRNA画分の使用によって、直接逆転写結合ポリメラーゼ連鎖反応(direct reverse transcription coupled polymerase chain reaction)(以下、「RT-PCR法」と略す)によって行うことができる。

LY75のアミノ酸配列と実質同一であるアミノ酸配列からなる上記ポリペプチドをコードするDNA、またはアミノ酸配列の一部を構成する一以上のアミノ酸の欠失、置換、または付加によってLY75のアミノ酸配列に由来するアミノ酸配列からなる上記ポリペプチドをコードするDNAは、容易に、たとえば、部位特異的変異誘発法、遺伝子相同組換え法、プライマー伸長法、および当業者によって知られるPCR法の適切な組合せによって生産することができる。加えて、この時点では、実質的に同等の生物学的活性を有するようにポリペプチドを生じさせるための可能な方法は、ポリペプチドを構成するアミノ酸のうちの相同アミノ酸の置換である(たとえば、極性および非極性アミノ酸、疎性および親水性アミノ酸、正に帯電した、および負に荷電したアミノ酸、および芳香族アミノ酸)。さらに、実質的に同等の生物学的活性を維持するために、好適には、本発明のポリペプチドに含まれる機能ドメイン内のアミノ酸は保存される。

さらに、本発明のDNAの例には、LY75のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むDNAおよびそのDNAにストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、そしてLY75のアミノ酸配列からなるポリペプチドの機能に等価な生物学的活性(機能)を有するポリペプチド(タンパク質)をコードするDNAが含まれる。そのような条件下、LY75のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むDNAにハイブリダイズすることが可能なそのようなDNAの例は、DNAの全体のヌクレオチド配列と全体平均相同性(overall mean homology)の程度、たとえば、およそ80%以上、好ましくは、およそ90%以上、およびより一層好ましくは、およそ95%以上などのようなものを有する塩基配列を含むDNAである。ハイブリダイゼーションは、たとえば、Current Protocols in Molecular Biology(Frederick M. Ausubelによる編集、1987)に記載の方法またはそれに従う方法などのように、この技術において知られた方法に従って行うことができる。ここで、「ストリンジェントな条件」は、たとえば、およそ次の条件「1*(「×」の意)SSC、0.1%SDS、および37℃、より一層ストリンジェントな、およそ次の条件「0.5*SSC、0.1%SDS、および42℃、またはなおより一層ストリンジェントな、およそ次の条件「0.2*SSC、0.1%SDS、および65℃である。より一層ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件により、プローブ配列と高い相同性を有するDNAの分離を期待することができる。SSC、SDS、および温度条件の上記組合せは、例示の目的のために与えられる。上記と同様のストリンジェンシーは、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーの決定のための上記の因子または他の因子(たとえば、プローブ濃度、プローブの長さ、およびハイブリダイゼーションのための反応時間)の適切な組合せを用いて当業者によって達成することができる。

本発明のクローニングされたDNAは、直接使用するか、または、必要に応じ、目的に応じて、制限酵素での消化またはリンカーの付加の後、使用することができる。DNAは、5 '末端側に翻訳開始コドンとしてATGを有し、および3'末端側には翻訳終止コドンとしてTAA、TGA、またはTAGを有していてもよい。これらの翻訳開始および翻訳終止コドンはまた、適切な合成DNAアダプターを用いて付加することができる。

本発明の方法/使用において、LY75は、たとえば、分離された形態で提供することができ、それはたとえば、LY75ポリペプチドが少なくともある程度まで精製されている場合のようなものである。LY75ポリペプチドは、実質的に純粋な形態で提供されてもよく、すなわち、それは他のタンパク質から、実質的な程度にまでフリーと言うことである。LY75ポリペプチドはまた、組換え方法を用いて生産され、合成的に生成され、またはこれらの方法の組合せによって生成されることができる。LY75は、当業者に知られた任意の方法によって容易に調製することができ、それには、本発明の適切なDNAを含む発現ベクターまたは本発明のDNAを含む遺伝子を生産すること、発現ベクターを用いて形質転換された形質転換体を培養すること、本発明の関連するポリペプチドまたはポリペプチドを含む組換えタンパク質を生成することおよび蓄積すること、および次いで結果として生じるものを収集することが包含される。

組換えLY75ポリペプチドは、発現システム(発現系)を含む遺伝子操作された宿主細胞から、この技術においてよく知られる方法によって調製することができる。したがって、本発明はまた、LY75ポリペプチドまたは核酸を含む発現系に、そのような発現系で遺伝的に操作された宿主細胞に、および組換え技術によるLY75ポリペプチドの生産にも関する。組換えLY75ポリペプチド生産のために、宿主細胞は、発現系またはその一部を核酸のために組み込むように遺伝的に操作することができる。そのような組込みは、この技術においてよく知られる方法を用いて行うことができ、たとえば、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEADデキストラン媒介トランスフェクション、トランスベクション、マイクロインジェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、スクレープローディング(スクレープ負荷)、バリスティックイントロダクション(弾道論的導入)または感染などのようなものである〔たとえば、Davis(デイビス)ら、Basic Methods in Molecular Biology(ベーシック・メソッズ・イン・モレキュラー・バイオロジー、分子生物学での基本的方法)、1986およびSambrook(サムブルック)ら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリー・マニュアル、分子クローニング:実験室マニュアル)、第2版、Cold Spring Harbour laboratory Press(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス)、コールド・スプリング・ハーバー、NY(ニューヨーク州)、1989参照〕。

宿主細胞としては、たとえば、エシェリキア、ストレプトコッキ(連鎖球菌)、スタフィロコッキ(ブドウ球菌)、ストレプトミセス属の細菌、バチルス属の細菌、酵母、アスペルギルス細胞、昆虫細胞、昆虫、および動物細胞が使用される。エシェリキア属の細菌の具体例は、本明細書において使用され、Escherichia coli(エシェリキア・コリ、大腸菌)K12およびDH1〔Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.(プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ)、第60巻、160(1968)〕、JM103〔Nucleic Acids Research(ヌクレイック・アシッヅ・リサーチ)、第9巻、309(1981)〕、JA221〔Journal of Molecular Biology(ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー)、第120巻、517(1978)〕、およびHB101(Journal of Molecular Biology、第41巻、459(1969))が含まれる。バチルス属の細菌としては、たとえば、Bacillus subtilis(バチルス・スブチリス、枯草菌)MI114〔Gene(ジーン)、第24巻、255(1983)〕および207-21〔Journal of Biochemistry(ジャーナル・オブ・バイオケミストリー)、第95巻、87(1984)〕が使用される。酵母としては、たとえば、Saccaromyces cerevisiae(サッカロマイセス・セレビシエ、出芽酵母)AH22、AH22R - 、NA87-11A、DKD-5D、および20B-12、Schizosaccaromyces pombe(シゾサッカロミセス・ポンベ、分裂酵母)NCYC1913およびNCYC2036、およびPichia pastoris(ピキア・パストリス)が使用される。昆虫細胞としては、たとえば、Drosophila(ドロソフィラ属、ショウジョウバエ)S2およびSpodoptera(スポドプテラ属)Sf9細胞が使用される。動物細胞としては、たとえば、COS-7およびVero(ベロ)モンキー細胞、CHOチャイニーズハムスター細胞(以下、CHO細胞と略記)、dhfr-遺伝子欠損(gene-deficient)CHO細胞、マウスL細胞、マウスAtT-20細胞、マウスミエローマ(骨髄腫)細胞、ラットGH3細胞、ヒトFL細胞、COS(COS細胞)、HeLa(ヒーラ細胞)、C127,3T3、HEK 293、BHKおよびBowes(ボーズ)メラノーマ細胞が使用される。

無細胞翻訳系もまた、組換えポリペプチドを生産するために採用することができる〔たとえば、Roche Diagnostics Ltd.(ロシュ・ダイアグノスティックス社)、Lewes(ルイス)、UK(英国)からのウサギ網状赤血球ライセート、コムギ胚芽溶解物、SP6/T7インビトロT&TおよびRTS 100 E. coli HY転写および翻訳キット、およびPromega UK(プロメガ英国)、Southampton(サウサンプトン)、UKからのTNT Quick coupled Transcription/Translation System(TNTクイック・カップルド・トランスクリプション/トランスレーションシステム)〕。

発現ベクターは、この技術において既知の方法に従って製造することができる。たとえば、ベクターは、(1)本発明のDNAを含むDNA断片または本発明のDNAを含む遺伝子を切り出し、そして(2)適切な発現ベクターにおいてプロモーターの下流のDNA断片を連結することにより生産することができる。多種多様な発現系を、たとえばであり、そして制限はされないが、染色体、エピソームおよびウイルス由来システムなどのような、例は、大腸菌由来のプラスミド(たとえば、pBR322、pBR325、pUC18、およびpUC118)、枯草菌由来のプラスミド(たとえば、pUB110、pTP5、およびpC194)、バクテリオファージ由来、トランスポゾン由来、酵母エピソームからのもの(たとえば、pSH19およびpSH15)、挿入エレメント由来、酵母染色体エレメント由来、たとえば、バキュロウイルスのようなウイルス、たとえば、SV40のようなパポバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルスおよびレトロウイルス、およびそれらの組合せに由来するベクターで、たとえば、コスミドおよびファージミドなどのような、プラスミドおよびバクテリオファージ(たとえば、[ラムダ]ファージなどのようなもの)の遺伝的エレメントに由来するものなどのようなものを使用することができる。発現系は、発現を調節し、ならびに生じさせる制御領域を含んでいてもよい。本発明において使用されるプロモーターは、それらが遺伝子発現のために使用されるホストに適切な限り、任意のプロモーターであってもよい。たとえば、宿主が大腸菌であるとき、trpプロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、pLプロモーター、lppプロモーター、および同類のものなどが好適である。宿主が枯草菌であるとき、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーター、および同類のものなどが好ましい。宿主が酵母であるとき、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター、および同類のものなどが好ましい。動物細胞を宿主として用いるとき、この場合に使用するためのプロモーターの例には、SRaプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMVプロモーター、およびHSV-TKプロモーターが含まれる。大抵、宿主においてポリペプチドを産生するために核酸を維持し、増やし、または発現することが可能な任意のシステムまたはベクターを使用することができる。

適切な核酸配列は、上掲のSambrookらに記載されたもののような、よく知られ、かつ、日常的な技術の任意の様々なものによって、発現系に挿入することができる。適切な分泌シグナルは、小胞体、細胞膜周辺腔または細胞外環境の内腔中への翻訳されたタンパク質の分泌を可能にするためにLY75のポリペプチドに組み込むことができる。これらのシグナルは、LY75のポリペプチドに対して内因性であってもよく、またはそれらは異種シグナルであってもよい。宿主細胞の形質転換はこの技術において既知の方法に従って行うことができる。たとえば、以下の文書を参照することができる。すなわち、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、第69巻、2110(1972);Gene(ジーン)、第17巻、107(1982);Molecular & General Genetics(モレキュラー&ジェネラル・ジェネティクス)、第168巻、111(1979);Methods in Enzymology(メソッズ・イン・エンザイモロジー)、第194巻、182-187(1991);Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.)、第75巻、1929(1978);Cell Technology(セル・テクノロジー、細胞工学)、別冊第8巻、New Cell Technology、Experimental Protocol.(新細胞工学、実験プロトコル。)263-267(1995)〔Shujunsha(秀潤社)によって発行された〕;およびVirology(バイロロジー)、第52巻、456(1973)である。本発明のDNAを含む発現ベクターまたは本発明のDNAを含む遺伝子で形質転換されたこのようにして得られた形質転換体は、この技術において既知の方法に従って培養することができる。たとえば、宿主がエシェリキア属の細菌であるとき、細菌は大抵およそ15℃ないし43℃におよそ3ないし24時間にて培養される。必要に応じて、通気(エアレーション)または振動(アジテーション、撹拌)を加えることもできる。宿主がバチルス属菌であるとき、細菌は大抵およそ30℃ないし40℃およそ6ないし24時間にて培養される。必要に応じて、通気または振動を加えることもできる。形質転換体は、その宿主が酵母であり、培養されるとき、培養は大抵およそ20℃ないし35℃およそ24ないし72時間、およそ5ないし8になるように調整されたpHを有する媒体を使用して行われる。必要に応じて、通気または振動を加えることもできる。形質転換体は、その宿主が動物細胞であり、培養されるとき、細胞は、およそ30℃ないし40℃およそ15ないし60時間、およそ6ないし8になるように調整されたpHを有する媒体を用いて培養される。必要に応じて、通気または振動を加えることもできる。

LY75ポリペプチドが細胞ベースのスクリーニングアッセイにおける使用のために発現される場合、ポリペプチドは細胞表面で生成されることが好ましい。この場合には、細胞は、スクリーニングアッセイにおいて使用する前に収集することができる。LY75ポリペプチドが培地中に分泌される場合、培地は、前記ポリペプチドを分離するために回収することができる。細胞内に生成する場合、LY75ポリペプチドを回収する前に、まず細胞を溶解しなければならない。

LY75ポリペプチドは、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、分子ふるいクロマトグラフィー、遠心分離法、電気泳動法およびレクチンクロマトグラフィーを含むよく知られた方法によって、組換え細胞培養物から、または他の生物学的供給源から回収し、そして精製することができる。一実施形態において、これらの方法の組合せが使用される。別の実施形態では、高性能液体クロマトグラフィーが使用される。さらなる実施形態では、LY75ポリペプチドに特異的に結合する抗体を、前記ポリペプチドのLY75ポリペプチドを含むサンプルを減らすために、または前記ポリペプチドを精製するために使用することができる。

培養生成物から本発明のポリペプチドまたはタンパク質を分離および精製するために、たとえば、培養後、微生物本体または細胞を、既知の方法によって集め、それらを適切な緩衝剤において懸濁し、微生物本体または細胞を、たとえば、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解によって破壊し、次いで、結果として得られたものを遠心分離またはろ過し、そして次いでタンパク質の粗抽出物を得ることができる。緩衝剤はまた、尿素または塩酸グアニジンまたは、たとえば、トリトンX-100〔TM(商品名)〕などの界面活性剤などのようなタンパク質変性剤を含んでもよい。タンパク質が培養溶液において分泌されるとき、微生物本体または細胞および上清は、培養終了後、既知の方法により分離され、そして次に上清が集められる。このようにして得られた培養上清または抽出物中に含まれるタンパク質は、既知の分離および精製法の適切な組合せによって精製することができる。こうして得られた本発明のポリペプチド(タンパク質)は、既知の方法またはそれに準じた方法によって塩に変換することができる。逆に、本発明のポリペプチド(タンパク質)が塩の形態において得られるとき、既知の方法またはそれに準じた方法によって遊離タンパク質またはペプチドまたは他の塩に変換することができる。また、たとえば、トリプシンまたはキモトリプシンなどのような適切なタンパク質修飾酵素は、修飾を任意に追加することができるか、またはポリペプチドを部分的に除去することができるように、精製の前または後に組換えによって産生されたタンパク質に対して作用をもたらす。本発明のポリペプチド(タンパク質)の存在またはその塩は、様々な結合アッセイ、特異的抗体を用いたエンザイムイムノアッセイ、および同類のものなどによって測定することができる。

この技術においてよく知られた技術は、ポリペプチドが分離およびまたは精製の間に変性されたとき、LY75ポリペプチドの自然な、または活性な立体構造を再生するためにリフォールディング用に使用することができる。本発明の関連において、LY75ポリペプチドは、次のような、そして制限されない、任意の供給源からの生体試料から得ることができ、血液サンプルまたは組織サンプル、たとえば、リンパ系、甲状腺、膀胱、乳房、胃、食道、頭頸部および皮膚の組織サンプルである。

LY75ポリペプチドは、「成熟タンパク質」の形態であってもよく、またはたとえば、融合タンパク質などのようなより一層大きなタンパク質の一部分であってもよい。たとえば、親和性タグ、たとえば、制限されないが、分泌またはリーダー配列、プレ-、プロ-またはプレプロ-タンパク質配列、または複数(マルチプル)ヒスチジン残基、FLAGタグ、HAタグまたはmycタグなどのような、精製を助ける配列を含む追加のアミノ酸配列を含むことが有利であることが多い。

LY75は、たとえば、表面タンパク質で、たとえば、Haemophilus Influenza(ヘモフィルス・インフルエンザ)Bからのタンパク質Dとして知られるもの、インフルエンザウイルス由来の非構造タンパク質で、たとえば、NS1などのようなもの、B型肝炎からのS抗原、またはLYTAとして知られるタンパク質で、たとえば、そのC端子などのようなものなどの異種融合パートナーと融合させることができる。

組換え生産の間の安定性を提供することができる追加の配列も使用することができる。そのような配列は、随意に、それらの追加の配列またはその一部分として開裂可能な配列を組み込むことによって、必要に応じて除去することができる。それゆえ、LY75ポリペプチドは、他のポリペプチドまたはタンパク質(たとえば、グルタチオンS-トランスフェラーゼおよびプロテインA)を含む他の部分に融合させることができる。そのような融合タンパク質は、適切なプロテアーゼを用いて開裂させ、そして次いで各タンパク質へ分けることができる。そのような追加の配列および親和性タグはこの技術においてよく知られている。所望であれば、上記の、この技術において知られる特徴に加えて、たとえば、エンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、およびSV40複製起点などのようなものを、発現ベクターに加えることができる。

一態様では、本発明は、LY75、またはその断片に特異的に結合することが可能な薬剤、またはLY75をコードする核酸にハイブリダイズすることが可能なハイブリダイズ剤、または疾患、たとえば、癌などのようなもの、および特に本発明での疾患について処置し、スクリーニングし、検出し、および/または判断することにおける使用のためにLY75の活性の検出が可能な薬剤を提供する。

LY75に対する親和性試薬の生産

一態様において、本発明は、LY75またはその断片に特異的に結合可能な親和性または免疫親和性試薬、たとえば、検出可能な標識を含むか、またはそれにコンジュゲートされ、または、治療的部分、たとえば、細胞毒性部分などのようなものを含むか、またはそれにコンジュゲートされる親和性試薬を提供する。親和性薬剤は、たとえば、抗体でよい。

一実施形態では、本発明における使用のための親和性試薬は、LY75上のエピトープ、例は、一以上の配列番号1の部分に結合することができる。好ましい実施形態では、本発明における使用のための親和性試薬は、LY75細胞外ドメイン上のエピトープ、たとえば、配列番号53の一以上の部分に結合することができる。

この技術でのものによれば、三つの主要なタイプの免疫親和性試薬-モノクローナル抗体、ファージ提示抗体およびより一層小さな抗体由来分子で、たとえば、アフィボディ、ドメイン抗体(dAbs)、ナノボディ、ユニボディ、DARPins、アンチカリン、デュオカリン、アビマーまたはバーサボディなどのようなものがある。大抵、抗体の使用が記載される本発明の適用において、他の親和性試薬(たとえば、アフィボディ、ドメイン抗体、ナノボディ、ユニボディ、DARPins、アンチカリン、デュオカリン、アビマーまたはバーサボディ)を採用することができる。そのような物質は、LY75に免疫特異的に結合しうるということができる。適切である場合、用語「親和性試薬」は、免疫親和性試薬およびLY75に特異的に結合しうる他の物質を包含すると解釈されるものであり、制限されないが、リガンド、レクチン、ストレプトアビジン、抗体擬態物および合成結合剤が含まれる。

LY75に対する抗体の生産

本発明によれば、LY75、LY75類似体、LY75関連タンパク質、または上述のいずれかの断片または誘導体を免疫原として使用し、そのような免疫原に免疫特異的に結合する抗体を生産することができる。そのような免疫原は、任意の好都合な手段によって分離することができ、上記した方法が含まれる。ここで使用するように用語「抗体」は、免疫グロブリン遺伝子またはその断片に由来し、これらを手本にし、またはこれらによって実質コードされるペプチドまたはポリペプチドに言及し、抗原またはエピトープを特異的に結合しうる。たとえば、Fundamental Immunology(フンダメンタル・イムノロジー)、第3版、W.E. Paul(ポール)編、Raven Press(ラブン・プレス)、N.Y.(1993);Wilson(ウィルソン)(1994)J. Immunol. Methods(ジャーナル・オブ・イムノロジカル・メソッヅ)175:267-273;Yarmush(ヤールマッシュ)(1992)J. Biochem. Biophys. Methods(ジャーナル・オブ・バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・メソッヅ)25:85-97参照。用語の抗体には、抗原結合部分、すなわち、抗原に結合する能力を保持する「抗原結合部位」〔たとえば、断片、サブ配列、相補性決定領域(CDRs)〕が含まれ、(i)Fabフラグメント、一価断片で、VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなるもの;(ii)F(ab')2断片、二価断片で、ヒンジ領域でジスルフィドブリッジにより連結された2つのFab断片を含むもの;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFv断片、(v)dAb断片〔Ward(ウォード)ら(1989):Nature(ネイチャー)、341:544-546〕で、VHドメインからなるもの;および(vi)分離された相補性決定領域(CDR)が含まれる。単鎖抗体も、用語「抗体」において参照することにより含まれる。本発明の抗体には、制限されないが、ポリクローナル、モノクローナル、二重特異性、ヒト化またはキメラの抗体、単鎖抗体、Fab断片およびF(ab')2断片、Fab発現ライブラリーによって生産される断片、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、および上記の任意のエピトープ結合断片が含まれる。本発明の免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子のいずれかのクラス(たとえば、IgG、IgE、IgM、IgDおよびIgAで、たとえば、IgGなどのようなもの)またはサブクラスでありうる。

用語「特異的に結合する」または「結合特異的に」(または「免疫特異的に結合」)は、抗体がその意図する標的のみに結合することを示すことを意図するものではない。むしろ、抗体は、典型的に、その意図する標的のためのその親和性が、非標的分子に対するその親和性と比較したとき、約5倍を上回る場合、「特異的に結合する」。適切には、望ましくない物質、特に健常なパースン(人物)または動物の自然発生タンパク質または組織との有意な交差反応または交差結合がない。好適には、抗体の親和性は、非標的分子に対するその親和性よりも、少なくとも約5倍、好ましくは10倍、より好ましくは25倍、更により好ましくは50倍、および最も好ましくは100倍以上、標的分子に対して大きな親和性である。若干の実施形態において、抗体または他の結合物質および抗原との間の特異的結合は、少なくとも106M-1の結合親和性を意味する。抗体は、たとえば、少なくとも約107M-1、および好ましくは約108M-1ないし約109M-1、約109M-1ないし約1010M-1、または約1010M-1ないし約1011M-1の間の親和性で結合しうる。

親和性はKd=koff/konとして算出される(koffは解離速度定数であり、konは会合速度定数であり、Kdは平衡定数である。)。親和性は、種々の濃度(c)で標識化リガンドの画分結合(r)を測定することによって、平衡で決定することができる。データは、スキャッチャード式:r/c=K(n-r)を用いてグラフ化される。 式中、 r=平衡時の結合したリガンドのモル数/受容体のモル数; c=平衡時の遊離リガンド濃度; K=平衡会合定数;および n=受容体分子あたりのリガンド結合部位の数である。 図式解析により、r/cをY軸にプロットし、対してrをX軸にプロットし、こうしてスキャッチャードプロットを生成する。親和性は、そのラインの負の傾斜である。Koffは、結合した標識化リガンドを、標識されていない過剰のリガンドと競合させることにより決定することができる(たとえば、米国特許第6316409号参照)。その標的分子に対するターゲティング薬剤の親和性は、たとえば、少なくとも約1×10-6モル/リットル、たとえば、少なくとも約1×10-7モル/リットルなどのようなもの、たとえば、少なくとも約1×10-8モル/リットルなどのようなもの、特に、少なくとも約1×10-9モル/リットル、および特に、少なくとも約1×10-10モル/リットルである。スキャッチャード分析による抗体親和性測定は、この技術においてよく知られ、たとえば、van Erp(ファン・エルプ)ら:J. Immunoassay(ジャーナル・オブ・イムノアッセイ)12: 425-43、1991;Nelson(ネルソン)およびGriswold(グリズウォルド):Comput. Methods Programs Biomed.(コンピューター・メソッヅ・アンド・プログラムズ・イン・バイオメディシン)27: 65-8、1988参照。

一実施形態において、LY75をコードする遺伝子の遺伝子産物を認識する公的に入手可能な任意の抗体を用いうる。別の実施形態において、この技術において熟練した者(当業者)に知られた方法は、LY75、LY75類似体、LY75関連ポリペプチド、または前述のいずれかの断片または誘導体を認識する抗体を生産するのに使用される。当業者は、抗体の生産のために、多くの手段が、たとえば、Antibodies, A Laboratory Manual(抗体、実験室マニュアル)、Ed Harlow(エド・ハーロー)およびDavid Lane(ダビデ・レーン)編、Cold Spring Harbor Laboratory(1988)、Cold Spring Harbor、N.Y.に記載されているように、利用可能であることを認識する。当業者はまた、抗体を擬態する結合断片またはFab断片も種々の手段により遺伝情報から調製できることも認識する〔Antibody Engineering: A Practical Approach(抗体工学:実践的アプローチ){Borrebaeck(ボレベック)、C編}、1995、Oxford University Press(オックスフォード・ユニバーシティ・プレス)、Oxford; J. Immunol.(ジャーナル・オブ・イムノロジー)149、3914-3920(1992)〕。

本発明の一実施形態において、LY75の特定のドメインに対する抗体が生産される。特定の実施形態において、LY75の親水性断片が抗体生産のための免疫原として使用される。

抗体の生産において、所望の抗体のためのスクリーニングは、この技術において知られる技術、たとえば、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)によって達成することができる。たとえば、LY75の特定のドメインを認識する抗体を選ぶために、あるものは、そのようなドメインを含むLY75断片に結合する生成物について生成されたハイブリドーマをアッセイすることができる。第1のLY75相同体に特異的に結合するが、第2のLY75相同体には特異的に結合しない(またはあまり貪欲には結合しない)抗体の選定のために、第1のLY75相同体への正の結合(positive binding)、および第2のLY75相同体への結合の欠如(または結合の減少)に基づき、あるものは抗体を選定することができる。同様に、LY75に特異的に結合するが、同じタンパク質の異なるアイソフォーム(たとえば、LY75と同じコアペプチドを有する異なるグリコフォームなどのようなもの)に特異的に結合しない(またはあまり貪欲に結合しない)抗体の選定のために、LY75への正の結合、および異なるアイソフォーム(たとえば、異なるグリコフォーム)への結合の欠如(または結合の減少)に基づき、あるものは、抗体を選定することができる。それゆえ、本発明は、LY75の異なるアイソフォームまたはアイソフォームの複数(たとえば、グリコフォーム)に対するよりも、LY75に対して大きな親和性(たとえば、少なくとも2倍、たとえば、少なくとも5倍などのようなもの、特に、少なくとも10倍大きな親和性)で結合する抗体(たとえば、モノクローナル抗体などのようなもの)を提供する。

本発明の方法において使用することができるポリクローナル抗体は、免疫動物の血清由来の抗体分子の異種集団である。非分画免疫血清を使用することもできる。この技術において知られる種々の手順は、LY75、LY75の断片、LY75関連ポリペプチド、またはLY75関連ポリペプチドの断片に対するポリクローナル抗体の生産のために使用可能である。たとえば、一つの方法は、関心がある対象ポリペプチドを精製すること、または、たとえば、この技術においてよく知られる固相ペプチド合成法を用いて、関心がある対象ポリペプチドを合成することである。たとえば、Guide to Protein Purification(タンパク質精製のガイド)、Murray(マリー)P. Deutcher(ドイチャー)編、Meth. Enzymol.(メソッズ・イン・エンザイモロジー)第182巻(1990);Solid Phase Peptide Synthesis(固相ペプチド合成)、Greg(グレッグ)B. Fields(フィールズ)編、Meth. Enzymol.第289巻(1997);Kiso(キソ)ら:Chem. Pharm. Bull.(ケミカル&ファーマシューティカル・ブレティン)〔Tokyo(東京)38:1192-99、1990;Mostafavi(モスタファビ)ら:Biomed.Pept.Proteins Nucleic Acids(バイオメディカル・ペプチヅ、プロテインズ&ヌクレイック・アシッズ)1:255-60、1995;Fujiwara(フジワラ)ら:Chem.Pharm.Bull.(ケミカル&ファーマシューティカル・ブレティン)(Tokyo)44:1326-31、1996参照。次に、選択されたポリペプチドは、ウサギ、マウス、ラットなどを含むが、これらに制限されない種々の宿主動物に注入によって免疫にし、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を生じさせるのに用いてよい。LY75がゲル電気泳動により精製される場合、LY75は、ポリアクリルアミドゲルからの先立つ抽出を伴うか、または伴わずに、免疫化に使用することができる。種々のアジュバント(すなわち、免疫賦活剤)を、宿主種に応じて、免疫応答を強化するために、制限されないが、完全または不完全フロイントアジュバント、ミネラルゲルで、たとえば、水酸化アルミニウムなどのようなもの、表面活性物質で、たとえば、リゾレシチンなどのようなもの、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油乳剤、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、およびアジュバントで、たとえば、BCG(bacille Calmette Guerin)(カルメット‐ゲラン桿菌)またはコリネバクテリウム・パルバムなどのようなものを含め、使用することができる。追加のアジュバントも、この技術においてよく知られる。

LY75、LY75の断片、LY75関連ポリペプチド、またはLY75関連ポリペプチドの断片に対するモノクローナル抗体(mAbs)の用意のために、培養において持続細胞系による抗体分子の生産を提供する何らかの技術を使用することができる。たとえば、ハイブリドーマ技術は、Kohler(ケーラー)およびMilstein(ミルスタイン)によってはじめて開発され(1975、Nature 256:495-497)、同様にトリオーマ技術(trioma technique)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術〔Kozbor(コズバー)ら、1983:Immunology Today(イムノロジー・トゥデー)4:72〕およびEBV-ハイブリドーマ技術〔Cole(コール)ら、1985:in Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy(モノクローナル抗体および癌療法において)、Alan R. Liss(アランR.リス社)、77-96頁〕がヒトモノクローナル抗体を生産するためにある。そのような抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、IgDおよびその任意のサブクラスを含め、任意の免疫グロブリンのクラスのものでありうる。本発明のmAbsを生産するハイブリドーマはインビトロまたはインビボで培養してもよい。本発明の追加の実施形態において、モノクローナル抗体は、既知の技術(国際出願第PCT/US90/02545号、ここに参照することにより組み込まれる)を利用して無菌の動物において生産することができる。

モノクローナル抗体には、制限されないが、ヒトモノクローナル抗体およびキメラモノクローナル抗体(たとえば、ヒト‐マウスキメラ)が含まれる。キメラ抗体は、異なる部分が異なる動物種由来である分子、たとえば、ヒト免疫グロブリン定常領域およびマウスmAb由来の可変領域を有するものなどのようなものである〔たとえば、Cabilly(カビリー)ら、米国特許第4816567号;およびBoss(ボス)ら、米国特許第4816397号を参照し、それらをここに参照することにより全体として組み込まれる〕。ヒト化抗体は、非ヒト種からの1以上の相補性決定領域(CDRs)、およびヒト免疫グロブリン分子からのフレームワーク領域を有する非ヒト種からの抗体分子である〔たとえば、Queen(クイーン)、米国特許第5585089号を参照し、それをここに参照することによりその全体を組み込む〕。

キメラおよびヒト化モノクローナル抗体は、この技術において知られる組換えDNA技術によって生産することができ、たとえば、国際公開第WO 87/02671号;欧州特許出願公開第184187号;欧州特許出願公開第171496号;欧州特許出願公開第173494号;国際公開第WO 86/01533号;米国特許第4816567号;欧州特許出願公開第125023号;Better(ベター)ら、1988:Science(サイエンス)240:1041-1043;Liu(リュー)ら、1987、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:3439-3443;Liuら、1987、J. Immunol.139:3521-3526;Sun(サン)ら、1987、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:214-218;Nishimura(ニシムラ)ら、1987、Canc. Res.(キャンサー・リサーチ)47:999-1005;Wood(ウッド)ら、1985、Nature 314:446-449;およびShaw(ショー)ら、1988、J. Natl. Cancer Inst.(ジャーナル・オブ・ザ・ナショナル・キャンサー・インスティチュート)80:1553-1559;Morrison(モリスン)、1985、Science 229:1202-1207;Oi(オイ)ら、1986、BioTechniques(バイオテクニークズ)4:214;米国特許第5225539号;Jones(ジョーンズ)ら、1986、Nature 321:552-525;Verhoeyan(バーホーヤン)ら(1988)Science 239:1534;およびBeidler(ベイドラー)ら、1988、J. Immunol.141:4053-4060に記載されている方法が用いられる。

完全ヒト抗体は、ヒト対象の治療的処置のために特に望ましい。そのような抗体は、トランスジェニックマウスを使用して生産することができ、それらは内在性免疫グロブリン重鎖および軽鎖遺伝子を発現することができないが、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子を発現することができる。トランスジェニックマウスは、選択された抗原、たとえば、LY75のすべてまたは一部分を用いて通常の様式において免疫される。抗原に対して向けられるモノクローナル抗体は、慣習的なハイブリドーマ技術を使用して得ることができる。トランスジェニックマウスによって保有されるヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞分化の間に再編成され、そして次に、クラス転換および体細胞変異を受ける。それゆえ、そのような技術を使用して、治療に有用なIgG、IgA、IgMおよびIgE抗体を生産することができる。ヒト抗体を生産するためのこの技術の概要について、Lonberg(ロンバーグ)およびHuszar(フサール)〔1995、Int. Rev. Immunol.(インターナショナル・レビューズ・オブ・イムノロジー)13:65-93〕を参照。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を生産するためのこの技術、およびかかる抗体を生産するためのプロトコルの詳細な考察について、たとえば、米国特許第5625126号;米国特許第5633425号;米国特許第5569825号;米国特許第5661016号;および米国特許第5545806号を参照。さらに、たとえば、Abgenix, Inc.(アブジェニックス社)〔Freemont(フリーモント)、CA〕およびGenpharm(ジェンファーム社)〔San Jose(サンノゼ)、CA〕などのような企業は、先に記載したものと類似の技術を使用して、選択された抗原に対して向けられるヒト抗体を提供することに携わることができる。

選定されたエピトープを認識する完全ヒト抗体は、「ガイドセレクション(guided selection)」と称される技術を使用して生じさせることができる。このアプローチにおいて、選定された非ヒトモノクローナル抗体、たとえば、マウス抗体は、同じエピトープを認識する完全ヒト抗体の選定をガイドするために使用される〔Jespers(ジェスパース)ら、(1994):BioTechnology 12:899-903〕。

本発明の抗体はまた、選定された標的に対する結合のために、ポリペプチドのライブラリーを生成し、およびスクリーニングするようにファージディスプレイ(ファージ提示)技術の使用により生じさせることもできる。たとえば、Cwirla(クウィルラ)ら、Proc. Natl. Acad. Sci USA 87、6378-82、1990;Devlin(デブリン)ら、Science 249、404-6、1990、Scott(スコット)およびSmith(スミス)、Science 249、386-88、1990;およびLadner(ラドナー)ら、米国特許第5571698号を参照。ファージディスプレイ法の基本的概念は、スクリーニングされるポリペプチドをコードするDNAおよびそのポリペプチド間の物理的関連性の確立である。この物理的関連性は、ファージ粒子により提供され、それは、ポリペプチドをコードするファージゲノムを封入するキャプシドの一部分としてポリペプチドを提示する。ポリペプチドおよびその遺伝物質間の物理的関連性の確立は、異なるポリペプチドを担う非常に多くの数のファージの同時マス(集団)スクリーニングを可能にする。標的への親和性を有するポリペプチドを提示するファージは、標的に結合し、そしてこれらのファージは、標的への親和性スクリーニングにより濃縮される。これらのファージからの提示されるポリペプチドの同一性は、それらのそれぞれのゲノムから定めることができる。これらの方法を用い、望ましい標的のための結合親和性を有すると識別されるポリペプチドは、次いで慣習的な手段によりバルクにおいて合成することができる。たとえば、米国特許第6057098号を参照し、それをここに、その全体において、すべての表、図面、およびクレームを含めて組み込む。特に、そのようなファージは、レパートリーまたは組合せの抗体ライブラリー(たとえば、ヒトまたはネズミ)から発現される抗原結合ドメインを提示するのに利用することができる。関心がある抗原に結合する抗原結合ドメインを発現するファージは、抗原を用いて、たとえば、標識化抗原、または固体表面もしくはビーズに結合もしくは捕捉された抗原を使用して選定または識別することができる。これらの方法で使用するファージは、典型的に、ファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIタンパク質のいずれかに組換えにより融合されたFab、Fvまたはジスルフィド安定化Fv抗体ドメインを有するファージから発現されたfdおよびM13結合ドメインを含む、線維状ファージである。本発明の抗体を作製するのに用いることができるファージディスプレイ法には、Brinkman(ブリンクマン)ら、J. Immunol. Methods 182:41-50(1995);Ames(エームズ)ら、J. Immunol. Methods 184:177-186(1995);Kettleborough(ケトルバーロウ)ら、Eur. J. Immunol.(ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・イムノロジー)24:952-958(1994);Persic(パーシク)ら、Gene 187 9-18 (1997);Burton(バートン)ら、Advances in Immunology(アドバンシーズ・イン・イムノロジー)57:191-280(1994);国際出願第PCT/GB91/01134号;国際公開WO 90/02809号;WO 91/10737号;WO 92/01047号;WO 92/18619号;WO 93/11236号;WO 95/15982号;WO 95/20401号;および米国特許第5698426号;第5223409号;第5403484号;第5580717号;第5427908号;第5750753号;第5821047号;第5571698号;第5427908号;第5516637号;第5780225号;第5658727号;第5733743号および第5969108号に開示されているものが含まれ、それらをそれぞれここに参照することによってその全体において組み込む。

上述の参考文献に記載されているように、ファージ選択の後、ファージからの抗体コード領域は、ヒト抗体を含む全抗体、または任意の他の望ましい抗原結合断片を生じさせるために分離し、および使用することができ、および任意の望ましい宿主において、たとえば、以下に詳細に説明するような、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母および細菌を含めて、発現させることができる。たとえば、Fab、Fab'およびF(ab')2断片を組換えにより生産するための技術はまた、この技術において知られた方法で、たとえば、国際公開WO 92/22324号;Mullinax(マリナックス)ら、BioTechniques 12(6):864-869(1992);およびSawai(サワイ)ら、AJRI 34:26-34(1995);およびBetterら、Science 240:1041-1043(1988)に開示されているものなどのようなものを用いて採用することもできる(前述の参考文献を参照することにより全体として組み込む)。

単鎖Fvsおよび抗体を生産するのに使用することができる技術の例には、米国特許第4946778号および第5258498号;Huston(ヒューストン)ら、Methods in Enzymology 203:46-88(1991);Shuら、PNAS(プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ)90:7995-7999(1993);およびSkerra(スカーラ)ら、Science 240:1038-1040(1988)に記載されているものが含まれる。

本発明はさらに、二重特異性抗体の使用を提供し、それはこの技術において知られる方法により作成することができる。全長二重特異性抗体の伝統的生産は、2つの免疫グロブリン重鎖‐軽鎖対の同時発現に基づき、そこでは、2つの鎖が異なる特異性を有する(Milsteinら、1983、Nature、305:537-539)。免疫グロブリン重鎖および軽鎖のランダムな組合せのため、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、10の異なる抗体分子の潜在的混合物を生じ、そのうちの1つのみが適切な二重特異性構造を有する。通常、親和性クロマトグラフィーステップによってなされる適切な分子の精製は、むしろわずらわしく、そして生成物収率は低い。同様の手法は、1993年5月13日に公開された国際公開第WO 93/08829号において、およびTraunecker(トローネッケル)ら、1991:EMBO J.(ザEMBOジャーナル)10:3655-3659において開示される。

種々のアプローチおよびより一層好ましいアプローチに従って、望ましい結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗体‐抗原結合部位)を免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合させる。融合は、好ましくは、ヒンジ、CH2、およびCH3領域の少なくとも一部分を含む、免疫グロブリン重鎖定常ドメインを伴う。融合のうちの少なくとも1つに存在する軽鎖結合のために必要な部位を含有する、第1の重鎖定常部(CH1)を有することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合物、および必要なら、免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAsを別々の発現ベクターに挿入し、そして適した宿主生物中に同時トランスフェクトする。これにより、ある実施形態において、構築に使用した不均等な比率の3つのポリペプチド鎖が最適収量を提供するとき、3つのポリペプチド断片の相互の比率を調節する際に優れた柔軟性が提供される。もっとも、同等の比率の少なくとも2つのポリペプチド鎖の発現により高収率を生じるとき、または比率が特に有意でないとき、1つの発現ベクターにおいて2または3つすべてのポリペプチド鎖のためのコード配列を挿入することができる。

このアプローチの好適な実施形態において、二重特異性抗体は、一方のアームにおける第1の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖、および他方のアームにおける(第2の結合特性を提供する)ハイブリッド免疫グロブリン重鎖-軽鎖対から構成される。この非対称構造は、二重特異性分子の半分だけでの免疫グロブリン軽鎖の存在が分離の容易な方法を提供するので、望まれない免疫グロブリン鎖の組合せからの望ましい二重特異性化合物の分離を促進することがわかった。このアプローチは、1994年3月3日公開の国際公開第WO 94/04690号に開示される。二重特異性抗体の生産に関する更なる詳細については、たとえば、Suresh(シュレーシュ)ら、Methods in Enzymology、1986、121:210を参照。

本発明の若干の実施形態では、親和性試薬(たとえば、抗体、またはその抗原結合部分または抗体擬態物)は二重特異性でない。本発明の若干の特定の実施形態において、親和性試薬(たとえば、抗体、またはその抗原結合部分または抗体擬態物)は、リンパ腫、膀胱癌/癌腫、乳癌、胃/結腸癌、食道癌および皮膚癌/黒色腫からなる群から選択される1以上の癌の処置のための二重特異性抗体ではない。

本発明は、抗LY75免疫グロブリン分子の機能的に活性な断片、抗原結合部分、誘導体または類似体を提供する。機能的に活性は、断片、誘導体または類似体が、断片、誘導体または類似体を誘導される抗体により認識されるのと同じ抗原を認識する抗-抗-イディオタイプ抗体(すなわち、三次抗体)を誘発できることを意味する。具体的には、好適な実施形態において、免疫グロブリン分子のイディオタイプの抗原性は、フレームワークおよび抗原を特異的に認識するCDR配列に対するC末端であるCDR配列の欠失により高めることができる。CDR配列が抗原に結合するか否かについて判断するために、CDR配列を含む合成ペプチドを、抗原との結合アッセイにおいてこの技術において既知の任意の結合アッセイによって使用することができる。

本発明は、抗体断片で、たとえば、制限されないが、F(ab')2断片およびFab断片などのようなものを提供する。特異的なエピトープを認識する抗体断片は、既知の技術によって生じさせることができる。F(ab')2断片は、可変領域、軽鎖定常領域および重鎖のCH1ドメインから成り、そして抗体分子のペプシン消化によって生成される。Fab断片は、F(ab')2断片のジスルフィド架橋を還元することにより生成される。また、本発明は、本発明の抗体の重鎖および軽鎖の二量体を提供し、またはたとえば、Fvsもしくは単鎖抗体(SCAs)などのような任意のその最小断片〔たとえば、米国特許第4946778号;Bird(バード)、1988、Science 242:423-42;Hustonら、1988、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883;および、Wardら、1989、Nature 334:544-54に記載されているようなもの〕、または本発明の抗体と同じ特異性を有する任意の他の分子も提供する。単鎖抗体は、アミノ酸架橋を介してFv領域の重鎖および軽鎖断片を連結することにより形成され、単鎖ポリペプチドがもたらされる。E. coli(大腸菌)における機能的なFv断片のアセンブリ(組み立て)のための技術を使用することができる(Skerraら、1988、Science、242:1038-1041)。

他の実施形態において、本発明は、本発明の免疫グロブリンの融合タンパク質(またはその機能的に活性な断片またはその抗原結合部分)を提供し、たとえば、そこでは、免疫グロブリンが、N末端またはC末端のいずれかにて、共有結合(たとえば、ペプチド結合)を介して、その免疫グロブリンでない別のタンパク質のアミノ酸配列(またはその部分、好ましくは、タンパク質の少なくとも10、20または50アミノ酸部分)に融合される。好ましくは、免疫グロブリン、またはその断片は、定常ドメインのN末端にて、他のタンパク質に共有結合される。上述したように、そのような融合タンパク質は精製を容易にし、インビボでの半減期を増加させ、および免疫系に対する上皮性関門を横切る抗原の配送を高めることができる。

本発明の免疫グロブリンには、修飾、すなわち、任意の種類の分子の共有結合により、そのような共有結合が免疫特異的結合を損なわない限り、それによる類似体および誘導体が含まれる。たとえば、制限されるものではないが、免疫グロブリンの誘導体および類似体には、たとえば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、ホスフィレーション(phosphylation)、アミド化、既知の保護基/ブロック基による誘導体化、タンパク質切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質に対する結合などによって更に修飾されたものが含まれる。非常に多くの任意の化学修飾を、既知の技術によって、制限されないが、特定の化学裂開、アセチル化、ホルミル化などを含めて行うことができる。追加的に、類似体または誘導体は、1以上の非古典的アミノ酸を含みうる。

前述の抗体は、LY75の局在および活性に関するこの技術において既知の方法において、たとえば、このタンパク質を画像化し、適切な生理的試料において、診断上の方法などにおいて、そのレベルを測定するために使用することができる。

LY75に対するアフィボディの生産

アフィボディ分子は、ブドウ球菌プロテインAのIgG-結合ドメインの1つに由来する、58のアミノ酸残基のタンパク質ドメインに基づく親和性タンパク質の新しいクラス(部類)を表す。この3ヘリックスバンドル(三重螺旋束)ドメインは、コンビナトリアル(組み合わせの)ファージミドライブラリーの構築のためのスキャフォールド(足場)として使用され、これから、望ましい分子を標的化するアフィボディ変種(変異体)がファージディスプレイ技術を使用して選択されることができる〔Nord(ノール)K、Gunneriusson(ガンナーイッセン)E、Ringdahl(リングダール)J、Stahl(シュタール)S、Uhlen(ウーレン)M、Nygren(ニーグレン)PA、Binding proteins selected from combinatorial libraries of anα-helical bacterial receptor domain(αヘリカル細菌受容体ドメインのコンビナトリアルライブラリーから選択された結合タンパク質)、Nat Biotechnol(ネイチャー・バイオテクノロジー)1997;15:772-7。Ronmark(ロンマーク)J、Gronlund(グロンランド)H、Uhlen M、Nygren PA、Human immunoglobulin A(IgA)-specific ligands from combinatorial engineering of protein A(プロテインAのコンビナトリアルエンジニアリングからのヒト免疫グロブリンA(IgA)特異的リガンド)、Eur J Biochem(ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー)2002;269:2647-55〕。アフィボディ分子の単純で堅固な構造は、それらの低分子量(6kDa)との組合せで、広範囲の用途に、たとえば、検出試薬として〔Ronmark J、Hansson(ハンソン)M、Nguyen Tら、Construction and characterization of Affibody-Fc chimeras produced in Escherichia coli(大腸菌において産生されるアフィボディ-Fcキメラの構築および特徴付け)、J Immunol Methods 2002;261:199-211〕、および受容体相互作用を抑制するために〔Sandstorm(サンドストーム)K、Xu(スー)Z、Forsberg(フォルスバーグ)G、Nygren PA、Inhibition of the CD28-CD80 co-stimulation signal by a CD28-binding Affibody ligand developed by combinatorial protein engineering(コンビナトリアルタンパク質エンジニアリングにより開発されたCD28結合アフィボディリガンドによるCD28-CD80同時刺激シグナルの抑制)、Protein Eng(プロテイン・エンジニアリング)2003;16:691-7〕、それら(アフィボディ分子)が適するようにする。アフィボディおよびその生産方法の更なる詳細は、米国特許第5831012号を参照することにより得ることができ、それをここに参照することにより全体として組み込む。

また、標識化アフィボディは、アイソフォームの存在量を測定するためのイメージング用途にも有用であり得る。

LY75に対するドメイン抗体の生産

本明細書における抗体についての言及は、ドメイン抗体についての言及を包含する。ドメイン抗体(dAbs)は、抗体の最も小さな機能的結合単位であり、ヒト抗体の重(VH)鎖または軽(VL)鎖の可変領域に対応する。ドメイン抗体は、およそ13kDaの分子量を有する。ドマンティス(Domantis)は、完全ヒトVHおよびVL dAbsの一連の大きく、かつ、高度に機能的なライブラリーを開発し(各ライブラリーにおいて百億を超える異なる配列)、これらのライブラリーを使用して治療標的に特異的であるdAbsを選択する。多くの慣習的な抗体とは対照的に、ドメイン抗体は、細菌、酵母および哺乳動物細胞系において良好に発現する。ドメイン抗体およびその生産方法の更なる詳細は、次に示すものを参照することによって得ることができる:米国特許第6,291,158号;同6,582,915号;同6,593,081号;同6,172,197号;同6,696,245号;米国出願第2004/0110941号;欧州特許出願第1433846号、ならびに欧州特許第0368684号および同0616640号;国際公開第05/035572号、同04/101790号、同04/081026号、同04/058821号、同04/003019号および同03/002609号(これらはそれぞれ、その全体が本明細書中に引用により組み込まれる。)。

LY75に対するナノボディの生産

ナノボディは、抗体由来の治療用タンパク質であり、天然に存在する重鎖抗体の固有の構造および機能特性を含有する。これらの重鎖抗体は、単一の可変ドメイン(VHH)および2つの定常ドメイン(CH2およびCH3)を含有する。重要なことに、クローン化され、かつ、分離されたVHHドメインは、もとの重鎖抗体の全抗原結合能を保持する完全に安定なポリペプチドである。ナノボディは、ヒト抗体のVHドメインと高い相同性を有し、活性の損失を全く伴わずに更にヒト化することができる。重要なことに、ナノボディは低免疫原性能を有し、これは霊長類研究において、ナノボディリード化合物を用いて確認された。

ナノボディは、慣習的な抗体の利益を、低分子薬物の重要な特徴と組み合わせる。慣習的な抗体のように、ナノボディは、高い標的特異性、これらの標的に対する高親和性、および低い固有毒性を示す。しかしながら、低分子薬のように、ナノボディは、酵素を阻害することができ、および受容体間隙に容易に到達することができる。さらにまた、ナノボディは極めて安定で、注入以外の手段により施与することができ(たとえば、引用によりそのすべてが本明細書中に組み込まれる国際公開第04/041867号を参照)、そして生産が容易である。ナノボディの他の利益には、それらの小さいサイズの結果として共通しないか、または隠れたエピトープを認識すること、それらの特有の三次元構造に起因する高親和性および選択性を伴うタンパク質標的のキャビティまたは活性部位に結合すること、薬剤様式柔軟性、半減期の合目的化、ならびに薬物発見の容易性および迅速性が含まれる。

ナノボディは、単一の遺伝子によってコードされ、そしてほとんどすべての原核生物および真核生物宿主、たとえば、大腸菌(たとえば、引用によりそのすべてが本明細書中に組み込まれる米国特許第6,765,087号参照)、カビ(たとえば、アスペルギルスまたはトリコデルマ)および酵母(たとえば、サッカロマイセス、クルイベロマイセス、ハンゼヌラまたはピキア)(たとえば、引用によりそのすべてが本明細書中に組み込まれる米国特許第6,838,254号参照)において効率的に生産される。生産過程は計測可能であり、数キログラム量のナノボディが生産されている。ナノボディは、慣習的な抗体と比較して優れた安定性を発揮するので、それらは、長期貯蔵寿命があり、すぐに使用可能な溶液として製剤化することができる。

ナノクローン法(たとえば、引用によりそのすべてが本明細書中に組み込まれる国際公開06/079372号参照)は、B細胞の自動化ハイスループット選択に基づき、望ましい標的に対してナノボディを生成する独自方法である。

LY75に対するユニボディの生産

ユニボディは別の抗体断片技術であるが;もっとも、このものは、IgG4抗体のヒンジ領域の除去に基づくものである。ヒンジ領域の欠失は、伝統的なIgG4抗体の基本的に半分のサイズであり、かつ、IgG4抗体の二価結合領域よりもむしろ一価結合領域を有する分子を生じる。IgG4抗体が不活性で、それゆえ免疫系と相互作用しないこともまたよく知られ、これは免疫応答が望ましくない場合における疾患の治療に有利であり得、この効果はユニボディに受け継がれている。たとえば、ユニボディは、これらが結合した細胞を阻害または抑制するが、死滅させないように機能し得る。加えて、癌細胞に結合するユニボディは、癌細胞が増殖することを刺激しない。さらに、ユニボディは従来型IgG4抗体の約半分のサイズであるので、これらは、潜在的に有利な効率でより大きな固形腫瘍により良好な分布を示し得る。ユニボディは、全IgG4抗体と同等の速度で身体から排出され、これらの抗原に対し全抗体と同等の親和性で結合することができる。ユニボディの詳細は、引用によりそのすべてが本明細書中に組み込まれる特許の国際公開第2007/059782号を参照することにより得ることができる。

LY75に対するDARPinsの生産

DARPins〔設計されたアンキリンリピートタンパク質(Designed Ankyrin Repeat Proteins)〕は、非抗体ポリペプチドの結合能力を利用するために開発された、抗体模倣体DRP〔設計されたリピートタンパク質(Designed Repeat Protein)〕技術の1つの例である。アンキリンまたはロイシンリッチリピートタンパク質などのリピートタンパク質は遍在的な結合分子であり、抗体と異なった様式で、細胞内および細胞外で生じる。これらの固有のモジュラー構造は、構造単位を反復すること(繰返し)を特徴とし、これらはともに積み重なり、可変的およびモジュラー標的結合表面を提示する長いリピートドメインを形成する。このモジュラリティに基づき、高度に多様化された結合特異性を有するポリペプチドのコンビナトリアルライブラリーを作製することができる。この戦略には、可変表面残基を提示する自家和合性リピートのコンセンサス設計およびリピートドメインへのこれらのランダムなアセンブリが含まれる。

DARPinsは、細菌発現系において非常に高収率で生産でき、これらは既知の最も安定なタンパク質に属する。ヒト受容体、サイトカイン、キナーゼ、ヒトプロテアーゼ、ウイルスおよび膜タンパク質を含む広範囲の標的タンパク質に対し高度に特異的で高親和性なDARPinsが選択された。一桁台のナノモルからピコモル範囲に親和性を有するDARPinsを得ることができる。

DARPinsは、ELISA、サンドイッチELISA、フローサイトメトリー解析(FACS)、免疫組織化学法(IHC)、チップ適用、親和性精製またはウエスタンブロット法を含む、広範囲の用途に使用されている。DARPinsは、たとえば、緑色蛍光タンパク質(GFP)に融合した細胞内マーカータンパク質として、細胞内区画内で非常に活性であることも判明した。DARPinsは更に、pM範囲のIC50でウイルス侵入を阻害するのに使用された。DARPinsは、タンパク質-タンパク質相互作用を遮断するのに理想的であるだけでなく、酵素も阻害する。プロテアーゼ、キナーゼおよび輸送体は、ほぼアロステリック阻害様式で良好に阻害された。腫瘍上の非常に速くかつ特異的な富化ならびに血液比率に対する腫瘍の高度な優位性により、DARPinsがインビボ診断または治療アプローチに非常に適するようになる。

DARPinsおよび他のDRP技術に関する追加的情報は、米国特許出願公開第2004/0132028号および国際出願公開第WO 02/20565号に見出すことができ、これらはともに、引用によりそのすべてが本明細書中に組み込まれる。

LY75に対するアンチカリンの生産

アンチカリンは更なる抗体模倣技術であるが、この場合における結合特異性は、ヒト組織および体液において自然にかつ豊富に発現される低分子量ファミリーのタンパク質である、リポカリンに由来する。リポカリンは、化学的に感応性なまたは不溶な化合物の生理学的輸送および貯蔵に関連して、インビボにおける一定の範囲の機能を実行するために進化してきた。リポカリンは、タンパク質の一方の末端で4つのループを支持する高度に保存されたβバレルが含まれる堅固な固有の構造を有する。これらのループは、結合ポケットへの入口、および個々のリポカリンの間の結合特異性におけるバリエーションの主因である分子のこの部分における高次構造的な差異を形成する。

保存されたβシートフレームワークにより支持される超可変ループの全体構造は免疫グロブリンを暗示し、リポカリンは、サイズに関してかなり抗体と異なり、これは、単一の免疫グロブリンドメインよりもわずかに大きい160-180アミノ酸の単一のポリペプチド鎖からなる。

リポカリンはクローン化され、これらのループは、アンチカリンを造るために操作に供される。構造的に多様なアンチカリンのライブラリーが作製されており、アンチカリンディスプレイは、結合機能の選択およびスクリーニングを可能にし、続いて、原核生物系または真核生物系の更なる分析のための可溶タンパク質の発現および生産がなされる。試験は、アンチカリンが実質的にヒト標的タンパク質に特異的であるように開発できることを好首尾に実証し、これらは単離することができ、ナノモル以上の範囲の結合親和性で得ることができる。

アンチカリンはまた、二重標的化タンパク質、いわゆるデュオカリンとして形式化することもできる。デュオカリンは、標準的な製造法を用いて、1つの容易に生成された単量体タンパク質における2つの別々の治療標的に結合するとともに、その2つの結合ドメインの構造的方向性(structural orientation)にかかわらず、標的特異性および親和性を保持する。

単一の分子を介する複数の標的の調節は、1つよりも多くの原因因子を含むことが既知の疾患において、特に有利である。さらに、デュオカリンなどの二価または多価の結合様式は、疾患において細胞表面分子を標的化すること、シグナル伝達経路においてアゴニスト的効果を媒介すること、または細胞表面受容体の結合およびクラスタリングを介する強化された内部移行効果を誘導することにおいて、顕著な潜在性を有する。さらにまた、デュオカリンの高度に固有な安定性は単量体アンチカリンに匹敵し、デュオカリンのための柔軟な製剤および送達能を提供する。

アンチカリンに関する追加的情報は、米国特許第7,250,297号および国際公開第99/16873号に見出すことができ、これらはともに、引用によりそのすべてが本明細書中に組み込まれる。

LY75に対するアビマーの生産

アビマーは、インビトロエキソンシャフリングおよびファージディスプレイによりヒト細胞外受容体ドメインの大きなファミリーから進化し、結合特性および阻害特性を有するマルチドメインタンパク質を生じる。複数の独立する結合ドメインを連結することは、結合能力を生み出すことが示されており、慣習的な単一エピトープ結合タンパク質と比較して親和性および特異性の向上をもたらす。他の考えられ得る利点には、大腸菌における複数標的特異的分子の単純、かつ、効果的な生産、耐熱性の向上およびプロテアーゼに対する耐性が含まれる。ナノモル未満の親和性を有するアビマーは、種々の標的に対して得られている。

アビマーに関する追加的情報は、米国特許出願公開第2006/0286603号、同2006/0234299号、同2006/0223114号、同2006/0177831号、同2006/0008844号、同2005/0221384号、同2005/0164301号、同2005/0089932号、同2005/0053973号、同2005/0048512号、同2004/0175756号に見出すことができ、これらはすべて、引用によりそのすべてが本明細書中に組み込まれる。

LY75に対するバーサボディの生産

バーサボディは、>15%のシステインを有する3-5kDaの小さいタンパク質であり、これは、高いジスルフィド密度足場を形成し、典型的なタンパク質が有する疎水性核が置換される。疎水性核を含み、少数のジスルフィドを有する多数の疎水性アミノ酸の置換は、より一層小さく、より一層親水性で(より一層少ない凝集および非特異的結合)、プロテアーゼおよび熱に対してより一層耐性があり、かつ、より一層低密度のT細胞エピトープを有するタンパク質を生じる。これは、MHC提示に大部分寄与する残基が疎水性であるからである。これら4つの特性のすべては、免疫原性に影響を及ぼすことがよく知られるとともに、これらは、免疫原性を大きく減少させると予測される。

バーサボディについてのインスピレーションは、ヒル、ヘビ、クモ、サソリ、カタツムリ、およびアネモネによって産生される天然の注射可能なバイオ製剤から生じ、これらは、予想外に低い免疫原性を示すことが既知である。サイズ、疎水性、タンパク質分解性抗原プロセシング、およびエピトープ密度を設計し、スクリーニングすることにより選択された天然のタンパク質ファミリーで開始することは、天然の注射可能なタンパク質の平均をはるかに下回るレベルまで最小化する。

バーサボディの構造を考えると、これらの抗体模倣体は、多価性、複特異性、半減期機構の多様性、組織標的化モジュール、および抗体Fc領域の存在しない状態を含む、多用な様式を提供する。さらに、バーサボディは大腸菌において高収率で生産され、これらの親水性および小さなサイズにより、バーサボディは高度に可溶性であり、高濃度で製剤化することができる。バーサボディは、例外的に、熱安定性(バーサボディは煮沸することができる。)であり、長期の貯蔵寿命をもたらす。

バーサボディに関する追加的情報は、引用によりそのすべてが本明細書中に組み込まれる米国特許出願公開第2007/0191272号において見出すことができる。

親和性試薬の発現

抗体の発現

本発明の抗体は、抗体合成に関する当該技術で既知のいずれかの方法、特に、化学合成によって、または組換え発現によって生産することができ、好ましくは組換え発現法によって生産される。

抗体またはその断片、誘導体または類似体の組換え発現は、抗体をコードする核酸の構築を必要とする。抗体ヌクレオチド配列が既知である場合、抗体をコードする核酸は、(たとえば、Kutmeierら、1994、BioTechniques、17:242に記載されているように)化学的に合成されたオリゴヌクレオチドから集成してもよく、これは、簡単にいうと、抗体をコードする配列の部分を含有した重複するオリゴヌクレオチドの合成、これらのオリゴヌクレオチドのアニーリングおよびライゲーション、そして、PCRによる連結されたオリゴヌクレオチドの増幅を含む。

あるいはまた、抗体をコードする核酸は抗体をクローニングすることによって得ることができる。特定の抗体をコードする核酸を含有するクローンが利用できないが、抗体分子の配列が既知の場合、抗体をコードする核酸は、適切な供給源(たとえば、抗体cDNAライブラリー、または抗体を発現するいずれかの組織または細胞から生産されるcDNAライブラリー)から、配列の3'および5'末端にハイブリダイズし得る合成プライマーを使用するPCR増幅、または特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを使用するクローニングによって、得ることができる。

特定の抗原を特異的に認識する抗体分子(または、かかる抗体をコードする核酸をクローニングするためのcDNAライブラリーのための供与源)が利用することができない場合、特定の抗原に特異的な種の抗体は、当該技術で既知のいずれかの方法によって、たとえば、ウサギなどのような動物を免疫して、ポリクローナル抗体を生産することによって、またはたとえば、モノクローナル抗体を生産することによって、生産することができる。あるいはまた、少なくとも抗体のFab部分をコードするクローンは、(たとえば、Huseらの文献、1989、Science 246:1275-1281に記載されているように)特異抗原に結合するFab断片のクローン用のFab発現ライブラリーをスクリーニングすることによって、または抗体ライブラリーをスクリーニングすることによって(たとえば、Clacksonら、1991、Nature 352:624;Haneら、1997、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:4937参照)、得ることができる。

一旦、少なくとも抗体分子の可変ドメインをコードする核酸が得られたら、これを、抗体分子の定常領域をコードするヌクレオチド配列を含有するむベクターに導入することができる(たとえば、国際公開第86/05807号;同89/01036号;および、米国特許第5,122,464号参照)。完全な抗体分子の発現を可能にする核酸との同時発現のための完全な軽鎖または重鎖を含有するベクターも利用することができる。そして、抗体をコードする核酸を使用して、スルフヒドリル(sulfhydyl)基を含有しないアミノ酸残基との鎖内ジスルフィド結合に関与する1以上の可変領域システイン残基を置換する(または欠失させる)のに必要なヌクレオチド置換または欠失を導入することができる。かかる修飾は、ヌクレオチド配列における特定の突然変異または欠失の導入のための当該技術で既知のいずれかの方法、たとえば化学的突然変異誘発、インビトロ部位特異的突然変異誘発(Hutchinsonら、1978、J. Biol. Chem. 253:6551)、PCTに基づく方法などであるが、これらに制限されない方法で行うことができる。

さらに、適切な生物活性のヒト抗体分子由来遺伝子とともに適切な抗原特異性のマウス抗体分子由来遺伝子をスプライシングすることによる、「キメラ抗体」の生産のために開発された技術(Morrisonらの文献1984:Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:851-855;Neubergerらの文献1984:Nature 312:604-608;Takedaらの文献1985:Nature 314:452-454)を使用することができる。上述したように、キメラ抗体は、異なる部分が異なる動物の種に由来する分子、たとえば、ネズミmAbおよびヒト抗体定常領域に由来する可変領域を有する、たとえばヒト化抗体などの分子である。

一旦、本発明の抗体分子をコードする核酸が得られたら、抗体分子の生産のためのベクターは、当該技術でよく知られた技術を使用する組換えDNA法によって生産することができる。したがって、抗体分子の配列を含む核酸を発現することによりLY75を用意するための方法が本明細書に記載される。当業者によく知られた方法を用いて、抗体分子コード配列ならびに適切な転写および翻訳制御シグナルを含む発現ベクターを構築することができる。これらの方法には、たとえば、インビトロ組換えDNA法、合成法、およびインビボ遺伝子組換え法が含まれる。たとえば、Sambrookらの文献(1990、「分子クローニング:研究室マニュアル(Molecular Cloning, A Laboratory Manual)」、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NY)およびAusubelら(編)の文献(1998、「分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」、John Wiley & Sons、NY)に記載されている技術を参照。

発現ベクターを慣習的な技術によって宿主細胞に移入し、次いで、トランスフェクト細胞を慣習的な技術によって培養し、本発明の抗体を生産する。

本発明の組換え抗体を発現するのに使用される宿主細胞は、大腸菌などのような細菌細胞、または好ましくは特に組換え抗体分子全体の発現のための真核細胞のいずれかであってもよい。チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)などのような哺乳動物細胞は、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要中初期遺伝子プロモータエレメントなどのベクターと併せて、抗体の有効な発現系である(Foeckingらの文献1986:Gene 45: 101;Cockettらの文献1990:BioTechnology 8:2)。

種々の宿主-発現ベクター系を、本発明の抗体分子を発現させるのに利用してもよい。かかる宿主‐発現系は、関心対象のコード配列を生産し、その後に精製され得る媒体を表すだけでなく、適切なヌクレオチドコード配列により形質転換されたかまたはトランスフェクトされた場合、本発明の抗体分子をインサイチュで発現し得る細胞も表し得る。これらには、抗体コード配列を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAもしくはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(たとえば、大腸菌、枯草菌)などの微生物;抗体コード配列を含有する組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(たとえば、サッカロマイセス、ピキア);抗体コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(たとえば、バキュロウイルス)を感染させた昆虫細胞系;組換えウイルス発現ベクターで感染させた植物細胞系(たとえば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)、または抗体コード配列を含有する組換えプラスミド発現ベクター(たとえば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系;または、哺乳動物細胞のゲノムに由来する(たとえば、メタロチオネインプロモーター)か、もしくは哺乳動物ウイルスに由来する(たとえば、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)プロモーターを含む組換え発現構築物を保有する哺乳動物細胞系(たとえば、COS、CHO、BHK、293、3T3細胞)が含まれるが、これらに制限されない。

細菌系では、発現される抗体分子の意図される用途に応じて、多数の発現ベクターを都合よく選択することができる。たとえば、大量のかかるタンパク質が生産されるとき、抗体分子を含む製薬上組成物の生産のために、容易に精製される融合タンパク質産物の高レベルの発現を命令するベクターが望ましいことがある。かかるベクターには、抗体コード配列がインフレームでlacZコード領域を有するベクターにそれぞれ連結され、それゆえ、融合タンパク質が生産され得る、大腸菌発現ベクターpUR278(Rutherらの文献1983:EMBO J. 2:1791);pINベクター(Inouye&Inouyeの文献1985:Nucleic Acids Res. 13:3101-3109);Van Heeke&Schusterの文献:1989, J. Biol. Chem. 24:5503-5509)などが含まれるが、これらに制限されない。pGEXベクターを使用して、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現させてもよい。一般に、かかる融合タンパク質は可溶性であり、マトリクスグルタチオン-アガロースビーズへの吸着および結合、続く遊離グルタチオンの存在下における溶出により、溶解した細胞から容易に精製することができる。pGEXベクターは、クローン化された標的遺伝子産物がGST部分から放出することができるように、トロンビンまたはXa因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計される。

昆虫系では、外来遺伝子を発現するためのベクターとして、オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)核多体病ウイルス(AcNPV)を使用する。ウイルスは、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞において増殖する。抗体コード配列は、ウイルスの非必須領域(たとえば、ポリヘドリン遺伝子)に個々にクローン化することができ、AcNPVプロモーター(たとえば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下に配置することができる。哺乳動物宿主細胞において、多くのウイルスに基づく発現系(たとえば、アデノウイルス発現系)を利用することができる。

上述のように、挿入された配列の発現を調節するか、または望まれる特定の様式で遺伝子産物を修飾および加工された宿主細胞株を選択することができる。タンパク質産物のかかる修飾(たとえば、グリコシル化)およびプロセシング(たとえば、切断)は、タンパク質の機能に重要であり得る。

組換え抗体の長期多収生産のためには、安定な発現が好ましい。たとえば、安定的に関心対象の抗体を発現する細胞系は、細胞を抗体のヌクレオチド配列および選択可能な(たとえば、ネオマイシンまたはハイグロマイシン)ヌクレオチド配列を含む発現ベクターでトランスフェクトすること、および選択可能マーカーの発現について選択することにより、生産することができる。かかる改変細胞株は、抗体分子と直接または間接的に相互作用する化合物のスクリーニングおよび評価に特に有用であり得る。

抗体分子の発現レベルは、ベクター増幅によって増加させることができる〔総説については、BebbingtonおよびHentschelの文献:「DNAクローニングにおける哺乳動物細胞中のクローン化遺伝子の発現についての遺伝子増幅に基づくベクターの使用(The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning)」、第3版(Academic Press, New York, 1987)を参照〕。抗体を発現するベクター系においてマーカーが増幅可能である場合、宿主細胞の培養に存在する阻害剤のレベルを高めることは、マーカー遺伝子の複製数を増加させる。増幅された領域は抗体遺伝子と関係するので、抗体の生産も増加する(Crouseらの文献1983:Mol. Cell. Biol. 3:257)。

宿主細胞は、本発明の2つの発現ベクター、すなわち、重鎖由来ポリペプチドをコードする第1のベクター、および軽鎖由来ポリペプチドをコードする第2のベクターにより同時トランスフェクトしてもよい。2つのベクターは、同等の重鎖および軽鎖ポリペプチドの発現を可能にする、同一の選択可能なマーカーを含有していてもよい。または、重鎖および軽鎖ポリペプチドをともにコードする1つのベクターを使用してもよい。かかる状況において、有毒な遊離重鎖過剰を避けるために、軽鎖を重鎖の前に配置する必要がある(Proudfoot、1986、Nature 322:52;Kohler、1980、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:2197)。重鎖および軽鎖のコード配列は、cDNAまたはゲノムDNAを含んでいてもよい。

一旦本発明の抗体分子が組換え発現されたならば、これを、抗体分子の精製のための当該技術で既知のいずれかの方法、たとえば、クロマトグラフィー(たとえば、イオン交換クロマトグラフィー、プロテインAもしくは特異抗原などを用いる親和性クロマトグラフィー、およびサイズカラムクロマトグラフィー)、遠心単離、差動的溶解度により、またはタンパク質精製のための他のいずれかの標準的技術により、精製することができる。

あるいはまた、いずれかの融合タンパク質は、発現される融合タンパク質に対して特異的な抗体を利用することによって、容易に精製することができる。たとえば、Janknechtらの文献に記載されている系は、ヒト細胞株おいて発現される非変性融合タンパク質の容易な精製を可能にする(Janknechtらの文献1991:Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:8972-897)。この系では、遺伝子のオープンリーディングフレームが6ヒスチジン残基からなるアミノ末端タグに翻訳可能に融合されるように、関心対象遺伝子をワクシニア組換えプラスミドにサブクローニングする。タグは、融合タンパク質に対するマトリクス結合ドメインとして有用である。組換えワクシニアウイルスを感染させた細胞由来の抽出物をNi2+ニトリロ酢酸‐アガロースカラムにかけ、ヒスチジンタグを付けたタンパク質を、イミダゾール含有緩衝液で選択的に溶出する。

次いで、これらの方法により生成する抗体を、関心がある精製ポリペプチドとの親和性および特異性について最初にスクリーニングすること、必要であれば、抗体の親和性および特異性の結果を、結合から除外されることが望まれるポリペプチドと比較することによって、選択してもよい。スクリーニング手順には、マイクロタイタープレートの別々のウェルにおける精製ポリペプチドの固定化を含めることができる。次いで、可能性のある抗体または抗体群を含有する溶液をそれぞれのマイクロタイターのウェルに入れ、約30分ないし2時間インキュベートする。そして、マイクロタイターのウェルを洗浄し、標識化二次抗体(たとえば、産生抗体がマウス抗体である場合、アルカリホスファターゼに結合された抗マウス抗体)をウェルに添加し、約30分間インキュベートし、その後洗浄する。基質をウェルに添加し、固定されたポリペプチド(群)に対する抗体が存在する場合、呈色反応がみられる。

次いで、こうして同定された抗体を、選択したアッセイデザインにおいて親和性および特異性について更に分析してもよい。標的タンパク質に関するイムノアッセイの開発において、精製した標的タンパク質は、選択された抗体を使用するイムノアッセイの感受性および特異性を判断するための標準として機能する。種々の抗体の結合親和性は異なり得るので、(たとえば、サンドイッチアッセイにおいて)特定の抗体対が立体配置的になどで互いに妨げることがあり得、抗体のアッセイ性能は、抗体の絶対親和性および特異性よりも重要な基準であり得る。

当業者であれば、多くのアプローチは、抗体または結合断片を生産すること、種々のポリペプチドに対する親和性および特異性についてスクリーニングおよび選択することに採用できるが、これらのアプローチが本発明の範囲を変更しないことを認識する。

治療的使用に関し、抗体(特に、モノクローナル抗体)は、好適には、ヒトまたはヒト化動物(たとえば、マウス)抗体であってもよい。動物抗体は、免疫原としてヒトタンパク質(たとえば、LY75)を使用し、動物において産生することができる。ヒト化は、通常、これにより同定されるCDRsをヒトフレームワーク領域に移植することを含む。通常、鎖の高次構造を最適化するために、その後、一部のレトロ突然変異が必要とされる。かかる方法は当業者に知られている。

アフィボディの発現

アフィボディの構築は、他に記載されており(Ronnmark J、Gronlund H、Uhln, M.、Nygren P.Aの文献:「プロテインAのコンビナトリアル工学からのヒト免疫グロブリンA(IgA)特異リガンド(Human immunoglobulin A(IgA)-specific ligands from combinatorial engineering of protein A)」、2002、Eur. J. Biochem. 269、2647-2655)、アフィボディファージディスプレイライブラリーの構築を含む(Nord, K.、Nilsson, J.、Nilsson, B.、Uhln, M.およびNygren, P.Aの文献:「a-ヘリカル細菌受容体ドメインのコンビナトリアルライブラリー(A combinatorial library of an a-helical bacterial receptor domain)」、1995、Protein Eng. 8、601-608。Nord, K.、Gunneriusson, E.、Ringdahl, J.、Stahl, S.、Uhlen, M.およびNygren, P.Aの文献:「a-ヘリカル細菌受容体ドメインのコンビナトリアルライブラリーから選択された結合タンパク質(Binding proteins selected from combinatorial libraries of an a-helical bacterial receptor domain)」、1997、Nat. Biotechnol. 15、772-777)。

バイオセンサー結合試験を用いて最適なアフィボディ変異体を調査するためのバイオセンサー分析も、他に記載されている〔Ronnmark J、Gronlund H、Uhlen, M.、Nygren P.Aの文献:Human immunoglobulin A(IgA)-specific ligands from combinatorial engineering of protein A、2002、Eur. J. Biochem. 269、2647-2655〕。

親和性試薬修飾

好適な実施形態において、抗体またはその断片などの抗LY75親和性試薬は、診断部分(たとえば、検出可能な標識などのようなもの)または治療的部分に結合される。抗体は、判断(診断)のために、または所定の治療計画の有効性を判断するのに使用することができる。検出は、抗体を検出可能な物質(標識)に接合(連結)することによって促進することができる。検出可能な物質の例としては、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、放射性核種、ポジトロン放射金属(ポジトロン放出断層撮影における使用のため)、および非放射性常磁性金属イオンが挙げられる。一般に、本発明による診断に使用する、抗体に結合することができる金属イオンについては、米国特許第4,741,900号を参照。適切な酵素には、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ‐ガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼが含まれ、適切な補欠分子族には、ストレプトアビジン、アビジンおよびビオチンが含まれ、適切な蛍光物質には、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドおよびフィコエリトリンが含まれ、適切な発光物質には、ルミノールが含まれ、適切な生物発光物質には、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンが含まれ、適切な放射性核種には、125I、131I、111Inおよび99Tcが含まれる。68Gaも利用することができる。

上述のように、本発明に使用する抗体などの親和性試薬は、細胞毒素、薬剤(たとえば、免疫抑制薬)または放射性毒素などの治療的部分に結合することができる。かかる結合体は、本明細書中で「免疫複合体(イムノコンジュゲート)」とも称される。1以上の細胞毒素を含む免疫結合体は「免疫毒素」と称される。細胞毒素または細胞傷害性物質には、細胞に対して有害な(たとえば、死滅させる)いずれかの物質が含まれる。例には、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、糖質コルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロールおよびピューロマイシン、およびその類似体または相同体が含まれる。治療薬剤の例にはまた、たとえば、アンチメタボライト(たとえば、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤〔たとえば、メクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、ならびにシスジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン〕、アントラサイクリン〔たとえば、ダウノルビシン(旧称ダウノマイシン)およびドキソルビシン〕、抗生物質〔たとえば、ダクチノマイシン(旧称アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシンおよびアントラマイシン(AMC)〕、ならびに抗有糸分裂剤(たとえば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)も挙げられる。

本発明の抗体に結合可能な治療用細胞毒素の他の好適な例としては、デュオカルマイシン、カリケアマイシン、メイタンシンおよびアウリスタチン、ならびにこれらの誘導体が挙げられる。カリケアマイシン抗体結合体の例は商業上入手可能である〔Mylotarg(R)(商標);American Home Products社製〕。

細胞毒素は、当該技術において利用可能なリンカー技術を使用して、本発明の抗体に結合することができる。抗体に細胞毒素を結合させるのに使用するリンカーの種類の例としては、ヒドラゾン、チオエーテル、エステル、ジスルフィド、およびペプチド含有リンカーが挙げられるが、これらに制限されない。リンカーは、たとえば、リソソーム区画内の低いpHによって切断されやすい、またはカテプシン(たとえば、カテプシンB、C、D)などの腫瘍組織において優先的に発現されるプロテアーゼなどのプロテアーゼによって切断されやすいものを選択することができる。

細胞毒素の例は、たとえば、米国特許第6,989,452号、同7,087,600号、および同7,129,261号、および国際特許出願第PCT/US2002/17210号、同PCT/US2005/017804号、同PCT/US2006/37793号、同PCT/US2006/060050号、同PCT/US2006/060711号、国際公開第2006/110476号、ならびに米国特許出願第60/891,028号(これらの開示はすべて、全体において引用により本明細書中に組み込まれる。)に記載されている。細胞毒素の種類、リンカー、および抗体への治療剤の結合方法についての更なる論考については、Saito, G.らの文献(2003):Adv. Drug Deliv. Rev. 55: 199-215;Trail, P.A.らの文献(2003):Cancer Immunol. Immunother. 52:328-337;Payne, G.の文献(2003):Cancer Cell 3:207-212;Allen, T.M.の文献(2002):Nat. Rev. Cancer 2:750-763;Pastan, I.およびKreitman, R. J.の文献(2002):Curr. Opin. Investig. Drugs 3: 1089-1091;Senter, P.D.およびSpringer, C.J.の文献(2001):Adv. Drug Deliv. Rev. 53:247-264も参照。

また、本発明の抗体は、放射性同位体に結合して、細胞傷害性放射性医薬品(放射性免疫結合体ともいう。)を生成することもできる。診断または治療に使用する抗体に結合することができる放射性同位元素の例としては、ヨウ素131、インジウム111、イットリウム90およびルテチウム177が挙げられるが、これらに制限されない。放射性免疫結合体の調製方法は、当該技術で確立されている。放射性免疫結合体の例は、商業的に入手可能であり、Zevalin(R)(IDEC Pharmaceuticals社製)、およびBexxar(R)(Corixa Pharmaceuticals社製)を含み、類似した方法を、本発明の抗体を使用して放射性免疫結合体を調製するのに用いることができる。

親和性試薬はまた、フタロシアニンダイにも結合させることができ、以下、フタロシアニン複合体(コンジュゲート)と呼ぶ。診断上または治療上に使用するための抗体に結合させることができるフタロシアニンダイの例には、制限されないが、IR700が含まれる。フタロシアニンコンジュゲートを調製するための方法は、たとえば、Mitsunaga M、Ogawa M、Kosaka N、Rosenblum(ローゼンブラム)LT、Choyke PLおよびKobayashi H(2011)Nat Med. 2011年11月6日。doi:10.1038/nm.2554に記載されている。

複合体を使用して、所定の生物反応を修飾することができ、および薬物部分は、古典的な化学治療剤に制限されるように解釈されない。たとえば、薬物部分は、所望の生物活性を有するタンパク質またはポリペプチドであり得る。かかるタンパク質には、たとえば、アブリン、リシンA、シュードモナス外毒素もしくはジフテリア毒素などのような、酵素活性のある毒素、もしくはその活性断片;腫瘍壊死因子もしくはインターフェロン‐γなどのような、タンパク質;または、たとえば、リンホカイン、インターロイキン‐1(「IL-1」)、インターロイキン‐2(「IL-2」)、インターロイキン‐6(「IL-6」)、顆粒細胞マクロファージコロニー刺激因子(「GM-CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G-CSF」)、もしくは他の成長因子などのような、生物反応調節剤が含まれ得る。Senter P.D.の文献(2009):Curr. Opin. Chem. Biol. 13(3):235-244; Kovtunら、(2010) Cancer Res. 70(6):2528-2537参照。

かかる治療的部分を抗体に結合させる技術は、よく知られ、たとえば、Arnonらの文献:「癌治療における薬剤の免疫標的化のためのモノクローナル抗体(Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy)」、「モノクローナル抗体と癌治療(in Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy)」、Reisfeldら(編)、pp. 243-56 (Alan R. Liss, Inc. 1985);Hellstromらの文献:「ドラッグデリバリーのための抗体(Antibodies For Drug Delivery)」、「制御されたドラッグデリバリー(Controlled Drug Delivery)(第2版)」、Robinsonら(編)、pp. 623-53(Marcel Dekker, Inc. 1987);Thorpeの文献:「癌治療における細胞傷害性物質の抗体担体:総説(Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review)」、「モノクローナル抗体'84:生物学的および臨床応用(in Monoclonal Antibodies '84: Biological And Clinical Applications)」、Pincheraら(編)、pp. 475-506(1985);「癌治療における放射性同位元素標識化抗体の治療的使用に予想される分析、結果、および将来 (Analysis, Results, And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy)」、「癌検出および治療におけるモノクローナル抗体(Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy)」、Baldwinら(編)、pp. 303-16 (Academic Press 1985);および、Thorpeらの文献:Immunol. Rev., 62: 119-58(1982)参照。

あるいはまた、Segalにより米国特許第4,676,980号に記載されているように、抗体を第2の抗体に結合させ、抗体ヘテロ結合体を形成することができる。

抗体は、結合される治療的部分の有無にかかわらず、単独で、または細胞傷害性因子(群、複数可の意)および/もしくはサイトカイン(群)と組み合わせて投与される治療薬として使用することができる。

本発明の若干の実施形態では、親和性試薬(たとえば、抗体、またはその抗原結合部分または抗体模倣体)は、腫瘍抗原、アレルゲン、自己抗原またはウイルス抗原を含有しないか、または包含しないか、またはそれに結合しない。若干の特定の実施形態では、親和性試薬(たとえば、抗体、またはその抗原結合部分または抗体模倣体)は、腫瘍抗原が含まれてないか、または包含しないか、またはそれに結合していない。

本発明はまた、抗体介在性(antibody-directed)細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)を誘導する、完全ヒトまたはヒト化抗体も提供する。完全ヒト抗体は、タンパク質配列が天然に存在するヒト免疫グロブリン配列によってコードされており、単離された抗体産生ヒトBリンパ球、または、染色体領域をコードするネズミ免疫グロブリンがオルソログ的なヒト配列により置換されたマウスのトランスジェニックネズミBリンパ球のいずれかに由来する。後者の型のトランスジェニック抗体には、HuMab(Medarex社、CA)およびXenoMouse(Abgenix社、CA)が含まれるが、これらに制限されない。ヒト化抗体は、適切な抗原特異性の非ヒト抗体分子の定常領域が、適切なエフェクター機能を有するヒト抗体の、好ましくはIgGサブタイプの定常領域により置換される抗体である(Morrisonらの文献1984:Proc. Natl. Acad. Sci. 81:851-855; Neubergerらの文献1984:Nature 312:604-608;Takedaらの文献1985:Nature 314:452-454)。適切なエフェクター機能にはADCCが含まれ、これは、完全ヒト抗体またはヒト化抗体が癌細胞の表面上の標的に結合した場合、通常の免疫系の一部であるリンパ球の細胞死滅特性のスイッチを入れることによる、自然過程である。これらの活性なリンパ球、いわゆるナチュラルキラー(NK)細胞は、抗体が結合する生存細胞を破壊するために、細胞傷害過程を用いる。ADCC活性は、抗原特異的抗体および免疫適格の生存ヒト対象から抽出した末梢血単核細胞の存在下、ユーロピウム(Eu3+)標識された生存細胞からのEu3+の放出を測定することにより検出および定量化することができる。ADCC過程は、Janeway Jr. C.A.らの文献:Immunobiology, 第5版, 2001, Garland Publishing, ISBN 0-8153-3642-X; Pier G.B.らの文献:Immunology, Infection, and Immunity, 2004, p246-5; Albanell J.らの文献:Advances in Experimental Medicine and Biology, 2003, 532:p2153-68、およびWeng, W.-K.らの文献:Journal of Clinical Oncology, 2003, 21:p 3940-3947に詳細に記載されている。ADCCの検出および定量化のための適切な方法は、Blombergらの文献:Journal of Immunological Methods. 1986, 86:p225-9; Blombergらの文献:Journal of Immunological Methods. 1986, 21;92:p117-23、ならびにPatelおよびBoydの文献:Journal of Immunological Methods. 1995, 184:p29-38に見出すことができる。

ADCCは、通常、NK細胞の活性化を含み、NK細胞の表面上のFc受容体によって、抗体で被覆した細胞の認識に依存する。Fc受容体は、標的細胞の表面に特異的に結合した、IgGなどの抗体のFc(結晶質)部分を認識する。NK細胞の活性化を誘発するFc受容体は、CD16またはFcγRIIIaと呼ばれている。一旦FcγRIIIa受容体がIgG Fcに結合すると、NK細胞は、IFN-γなどのサイトカイン、ならびに標的細胞に入り、アポトーシスを誘発することによって細胞死を促進するパーフォリンおよびグランザイムを含有する細胞傷害性顆粒を放出する。

抗体による抗体依存性細胞傷害(ADCC)の誘導は、抗体定常領域(Fc)と、免疫系の細胞の表面に存在する種々の受容体との間の相互作用を変える修飾により強化することができる。かかる修飾には、哺乳動物細胞での天然合成もしくは組換え合成時において、抗体のFcに通常添加される複雑なオリゴ糖鎖におけるα1,6結合フコース部分の減少または欠如が含まれる。好適な実施形態において、抗体またはその断片などの非フコシル化抗LY75親和性試薬は、ADCC反応を誘導するこれらの能力を強化するために生産される。

Fcのオリゴ糖鎖におけるアルファ1,6結合フコース部分を低減または切除する技術は十分に確立されている。第1の例において、組換え抗体は、アルファ1,6結合のフコースを、N結合二分岐複雑型Fcオリゴ糖の最も内側のN-アセチルグルコサミンに加えるその能力が欠損した細胞株において合成される。かかる細胞株には、低レベルのアルファ1,6-フコシル基転移酵素遺伝子(FUT8)を発現するラットハイブリドーマYB2/0が含まれるが、これに制限されない。好ましくは、抗体は、FUT8遺伝子の両方の複製の欠失により、アルファ1,6結合フコシル部分を複雑なオリゴ糖鎖に加えることができない細胞株において合成される。かかる細胞株には、FUT8-/-CHO/DG44細胞株が含まれるが、これらに制限されない。部分的にフコシル化されたもしくは非フコシル化された抗体および親和性試薬を合成する技術は、Shinkawaらの文献:J. Biol. Chem. 278:3466-34735(2003);Yamane-Ohnukiらの文献:Biotechnology and Bioengineering 87: 614-22 (2004)、ならびに国際公開第00/61739 A1号、同02/31140 A1号および同03/085107 A1号に記載されている。第2の例において、組換え抗体のフコシル化は、二分したN-アセチルグルコサミンを運搬する複雑なN結合オリゴ糖の生産を最大にするレベルで糖タンパク質修飾グリコシルトランスフェラーゼを過剰発現させるように遺伝子操作した細胞株の合成によって、低減されるか、または中止される。たとえば、抗体は、酵素N-アセチルグルコサミン転移酵素III(GnT III)を発現する、チャイニーズハムスター卵巣細胞株において合成される。好適な糖タンパク質修飾グリコシル転移酵素で安定的にトランスフェクトされた細胞株、およびこれらの細胞を使用する抗体の合成法は、国際公開第99/54342号に開示されている。

非フコシル化抗体または親和性試薬は、単独で、または細胞傷害性因子および/もしくはサイトカインと組み合わせて投与される治療薬として使用することができる。

更なる修飾において、抗体Fcのアミノ酸配列は、リガンド親和性に影響を及ぼすことなく、ADCC活性化を高めるように変更される。かかる修飾の例は、Lazarらの文献:Proceedings of the National Academy of Sciences 2006, 103: p4005-4010;国際公開第03/074679号および同2007/039818号に記載されている。これらの例において、239位のセリンのアスパラギン酸へ、および332位のグルタミン酸のイソロイシンへなどの抗体Fc内のアミノ酸の置換は、Fc受容体への抗体の結合親和性を変更し、ADCC活性化の増加をもたらした。

アミノ酸置換によりADCC活性化が増強された抗体試薬は、単独で、または細胞傷害性因子(群)および/またはサイトカイン(群)と組み合わせて投与される治療薬として使用することができる。

本発明の若干の実施形態では、親和性試薬(たとえば、抗体、またはその抗原結合部分または抗体模倣体)は、scFVでない。本発明の若干の特定の実施形態では、親和性試薬(たとえば、抗体、またはその抗原結合部分または抗体模倣体)は、本発明での疾患の処置のためのscFVではない。

本発明での疾患を含む癌の判断

本発明の別の態様によれば、癌、たとえば、本発明での疾患の進行について、検出、診断および/またはスクリーニングし、またはそれを監視し、または対象における本発明での疾患に向けられた、たとえば、抗癌薬物または療法の効果を監視する方法が提供され、それには、LY75、または1以上のその含エピトープ断片への免疫特異的結合が可能な抗体の存在またはレベルを検出することが含まれるか、またはそれには、前記対象におけるそのレベルでの変化を検出することが含まれる。

本発明の別の態様によれば、また、対象における癌、たとえば、本発明での疾患についての検出、診断および/またはスクリーニングの方法が提供され、それには、前記対象におけるLY75、または1以上のその含エピトープ断片への免疫特異的結合が可能な抗体の存在を検出することが含まれ、そこでは、(a)前記対象において、LY75または前記1以上のその含エピトープ断片と免疫特異的に結合が可能な抗体の、健常対象におけるレベルと比べて高められたレベルの存在または(b)前記対象において、LY75または前記1以上のその含エピトープ断片への免疫特異的結合が可能な抗体の、健常対象における対応する検出不可能なレベルと比べて検出可能なレベルの存在は、前記対象において前記癌の存在を示す。

癌、たとえば、本発明での疾患について検出、診断および/またはスクリーニングする特定の一つの方法には、 試験される生物学的サンプルと、LY75、または1以上のその含エピトープ断片とを接触させること、および 対象において、LY75、または1以上のその含エピトープ断片と免疫特異的な結合が可能な抗体の存在を検出すること が含まれる。

本発明の別の態様によれば、癌、たとえば、本発明での疾患の進行を監視し、または対象において、たとえば、本発明での疾患に向けられた抗癌薬物または治療の効果を監視する方法が提供され、それには、前記対象において、第1の時点および後の時点での、LY75、または1以上のその含エピトープ断片への免疫特異的結合が可能な抗体の存在、前記対象において、後の時点での、LY75、または1以上のその含エピトープ断片に対して免疫特異的結合が可能な抗体の、前記第1の時点での前記対象でのレベルと比べて上昇または低下したレベルの存在を検出することが含まれ、前記癌の進行または退行、または前記対象における抗癌薬または治療の効果または非効果が示される。

LY75、または1以上のその含エピトープ断片への免疫特異的結合が可能な抗体の存在は、典型的に、前記対象から得られる生物学的試料の分析により検出される(模範的な生物学的試料は上述され、たとえば、サンプルは、リンパ系、甲状腺、膀胱、乳房、胃、食道、頭頸部および皮膚組織のサンプル、あるいは血液または唾液のサンプルである)。その方法には、典型的には、分析のために前記対象からの前記生物学的サンプルの取得のステップが含まれる。検出することができる抗体には、IgA、IgMおよびIgG抗体が含まれる。

本発明によれば、本発明の疾患を有することが疑われるか、または有することが既知の対象から得られたリンパ性、甲状腺、膀胱、胸部、胃、食道、頭頸部および皮膚の組織、血清、血しょうまたは尿の試験試料を診断またはモニタリングするのに使用することができる。一実施形態において、(本発明の疾患を有しない対象由来の)コントロール試料または予め決定された基準範囲と比較しての試験試料におけるLY75の存在量の変化は、本発明の疾患の存在を示す。別の実施形態において、コントロール試料またはあらかじめ決定された基準範囲と比較しての試験試料におけるLY75の相対的存在量は、本発明の疾患のサブタイプを示す〔たとえば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫(特に指定されない)、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫(MALT)、T細胞/組織球リッチB細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、T細胞リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫および血管免疫芽球性T細胞リンパ腫;組織非形成性甲状腺癌(未分化甲状腺癌);移行上皮癌;炎症性乳癌;扁平上皮食道癌;胃腺癌;扁平上皮頭頸部癌または扁平上皮細胞皮膚癌、メラノーマ〕。さらに別の実施形態において、コントロール試料またはあらかじめ決定された基準範囲と比較しての試験試料におけるLY75の相対的存在量は、本発明の疾患(たとえば、転移の可能性)の程度または重篤性を示す。上述した方法のいずれかにおいて、LY75の検出は、場合により、本発明の疾患についての1以上の追加的なバイオマーカーの検出と組み合わせることができる。本明細書に記載する好ましい技術、キナーゼアッセイ、LY75を検出しおよび/または視覚化するイムノアッセイ(たとえば、ウエスタンブロット、免疫沈降後のドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動、免疫組織化学法など)を含むがこれらに制限されない、いずれかの適切な方法を用いて、LY75のレベルを測定することができる。更なる態様において、対照試料またはあらかじめ決定された基準範囲と比較しての試験試料におけるLY75をコードするmRNAの存在量の変化は、本発明の疾患の存在を示す。いずれかの適切なハイブリダイゼーションアッセイ法を用いて、LY75をコードするmRNAを検出しおよび/または視覚化することによりLY75発現を検出することができる(たとえば、ノーザンアッセイ、ドットブロット、インサイチュハイブリダイゼーションなど)。

本発明の別の実施形態において、LY75に特異的に結合する標識化抗体(または他の親和性試薬)、その誘導体および類似体は、本発明の疾患を検出し、診断し、またはモニタリングするための診断目的に使用することができる。本発明の疾患は、動物において、より好ましくは哺乳動物、および最も好ましくはヒトにおいて検出されることが好ましい。

スクリーニングアッセイ

本発明は、LY75に結合し、またはLY75の発現もしくは活性に対し刺激効果もしくは阻害効果を有する物質(たとえば、候補化合物または試験化合物)を同定する方法を提供する。また、本発明は、LY75関連ポリペプチドもしくはLY75融合タンパク質に結合するか、またはLY75関連ポリペプチドもしくはLY75融合タンパク質の発現もしくは活性に対し刺激効果もしくは阻害効果を有する物質、候補化合物または試験化合物を同定する方法を提供する。物質、候補化合物または試験化合物の例としては、核酸(たとえば、DNAおよびRNA)、炭水化物、脂質、タンパク質、ペプチド、ペプチド模倣体、低分子および他の薬物が挙げられるが、これらに制限されない。物質は、次に示すものを含む、当該技術で既知のコンビナトリアルライブラリー法における多数のアプローチのいずれかを用いて得ることができる:生物学的ライブラリー;空間的にアドレス指定可能な並列固相または溶液相ライブラリー;デコンボリューションを必要とする合成ライブラリー法;「1ビーズ1化合物」ライブラリー法;および、親和性クロマトグラフィー選択を使用する合成ライブラリー法。生物学的ライブラリーアプローチはペプチドライブラリーに限られるが、他の4つのアプローチは、化合物のペプチド、非ペプチドオリゴマーまたは低分子ライブラリーに適用することができる(Lamの文献1997:Anticancer Drug Des. 12:145;米国特許第5,738,996号;および、米国特許第5,807,683号。それぞれ、その全体が引用により本明細書中に組み込まれる。)。

分子ライブラリーの合成についての方法の例は、当該技術において、たとえば、DeWittらの文献1993:Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6909;Erbらの文献1994:Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91:11422;Zuckermannらの文献1994:J. Med. Chem. 37:2678;Choらの文献1993:Science 261:1303;Carrellらの文献1994:Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2059;Carellらの文献1994:Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2061;および、Gallopらの文献1994:J. Med. Chem. 37:1233に見出すことができる。これらはそれぞれ、引用によりそのすべてが本明細書中に組み込まれる。

化合物のライブラリーは、たとえば、溶液中に(たとえば、Houghtenの文献1992:BioTechniques, 13:412-421)、またはビーズ上に(Lamの文献1991:Nature 354:82-84)、チップ(Fodorの文献1993:Nature, 364:555-556)、細菌に(米国特許第5,223,409号)、胞子(特許第5,571,698;5,403,484;および5,223,409号)、プラスミドに(Cullらの文献1992:Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:1865-1869)もしくはファージに(ScottおよびSmithの文献1990:Science, 249:386-390;Devlinの文献1990:Science 249:404-406;Cwirlaらの文献1990:Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:6378-6382;およびFeliciの文献1991:J. Mol. Biol. 222:301-310)存在し得、これらはそれぞれ、引用によりそのすべてが本明細書中に組み込まれる。

一実施形態において、LY75、LY75断片(たとえば、機能的に活性な断片または抗原結合部分)、LY75関連ポリペプチド、LY75関連ポリペプチドの断片、またはLY75融合タンパク質と相互作用する(すなわち、結合する)物質は、細胞に基づくアッセイ系で同定される。本実施形態によれば、LY75、LY75の断片、LY75関連ポリペプチド、LY75関連ポリペプチドの断片、またはLY75融合タンパク質を発現する細胞を候補化合物または対照化合物と接触させ、LY75と相互作用する候補化合物の能力を決定する。所望の場合、このアッセイを用いて、複数(たとえば、ライブラリー)の候補化合物をスクリーニングすることができる。細胞は、たとえば、原核生物起源(たとえば、大腸菌)または真核生物起源(たとえば、酵母または哺乳動物)であり得る。さらに、細胞は、LY75、LY75の断片、LY75関連ポリペプチド、LY75関連ポリペプチドの断片もしくはLY75融合タンパク質を内因的に発現することができるか、またはLY75、LY75の断片、LY75関連ポリペプチド、LY75関連ポリペプチドの断片もしくはLY75融合タンパク質を発現するように遺伝子操作することができる。特定の場合において、LY75、LY75の断片、LY75関連ポリペプチド、LY75関連ポリペプチドの断片もしくはLY75融合タンパク質、または候補化合物は、たとえば、放射性標識(たとえば、32P、35S、および125I)または蛍光標識(たとえば、フルオレッセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルアルデヒドまたはフルオレサミン)で標識化し、LY75と候補化合物との間の相互作用の検出を可能にする。LY75、LY75の断片、LY75関連ポリペプチド、LY75関連ポリペプチドの断片もしくはLY75融合タンパク質により直接または間接的に相互作用する候補化合物の能力は、当業者に既知の方法で決定することができる。たとえば、候補化合物と、LY75、LY75関連ポリペプチド、LY75関連ポリペプチドの断片もしくはLY75融合タンパク質との間の相互作用は、フローサイトメトリー、シンチレーションアッセイ、免疫沈降またはウエスタンブロット分析によって決定することができる。

別の実施形態において、LY75、LY75断片(たとえば、機能的に活性な断片または抗原結合部分)、LY75関連ポリペプチド、LY75関連ポリペプチドの断片もしくはLY75融合タンパク質と相互作用する(すなわち、結合する)物質は、無細胞アッセイ系で同定される。本実施形態によれば、天然型もしくは組換え型のLY75もしくはその断片、天然型もしくは組換え型のLY75関連ポリペプチドもしくはその断片、LY75融合タンパク質もしくはその断片を候補化合物またはコントロール化合物と接触させ、LY75、またはLY75関連ポリペプチド、またはLY75融合タンパク質と相互作用する候補化合物の能力を決定する。所望の場合、このアッセイ法を用いて、複数(たとえば、ライブラリー)の候補化合物をスクリーニングすることができる。好ましくは、LY75、LY75断片、LY75関連ポリペプチド、LY75関連ポリペプチドの断片もしくはLY75融合タンパク質は、はじめに、たとえばLY75、LY75断片、LY75関連ポリペプチド、LY75関連ポリペプチドの断片もしくはLY75融合タンパク質を、これらを特異的に認識し結合する固定された抗体(もしくは他の親和性試薬)と接触させることにより、またはLY75、LY75断片、LY75関連ポリペプチド、LY75関連ポリペプチドの断片もしくはLY75融合タンパク質の精製調製物を、タンパク質に結合するように設計された表面と接触させることにより、固定される。LY75、LY75断片、LY75関連ポリペプチド、LY75関連ポリペプチドの断片もしくはLY75融合タンパク質は、部分的にもしくは完全に精製し得る(たとえば、部分的にまたは完全に他のポリペプチドがない)か、または細胞溶解物の一部であり得る。さらに、LY75、LY75断片、LY75関連ポリペプチドまたはLY75関連ポリペプチドの断片は、LY75もしくはその生物学的活性部分、またはLY75関連ポリペプチド、およびグルタチオンSトランスフェラーゼなどのドメインを含む融合タンパク質であり得る。または、LY75、LY75断片、LY75関連ポリペプチド、LY75関連ポリペプチドの断片もしくはLY75融合タンパク質は、当業者によく知られた技術(たとえば、ビオチン化キット、Pierce Chemicals社(Rockford, IL)製)を使用してビオチン化することができる。LY75、LY75断片、LY75関連ポリペプチド、LY75関連ポリペプチドの断片もしくはLY75融合タンパク質と相互作用する候補化合物の能力は、当業者に既知の方法で決定することができる。

別の実施形態において、細胞に基づくアッセイ系を用いて、LY75の生産もしくは分解の原因であるか、またはLY75の翻訳後修飾の原因である酵素などのタンパク質またはその生物学的活性部分に結合しまたはその活性を調節する物質を同定する。一次スクリーニングにおいて、複数(たとえば、ライブラリー)の化合物を、自然にまたは組換えにより次に示すものを発現する細胞と接触させる:(i)LY75、LY75アイソフォーム、LY75相同体、LY75関連ポリペプチド、LY75融合タンパク質または前述のいずれかの生物学的に活性な断片;および、(ii)LY75、LY75アイソフォーム、LY75相同体、LY75関連ポリペプチド、LY75融合タンパク質のプロセシングの原因であるタンパク質、またはLY75、LY75アイソフォーム、LY75相同体、LY75関連ポリペプチド、LY75融合タンパク質もしくは断片の生産、分解または翻訳後修飾を調節する化合物を同定するための断片。そして、必要に応じて、一次スクリーニングにおいて同定された化合物を、自然にまたは組換えによりLY75を発現する細胞に対する二次スクリーニングにおいてアッセイすることができる。LY75、アイソフォーム、相同体、LY75関連ポリペプチドまたはLY75融合タンパク質の生産、分解または翻訳後修飾を調節する候補化合物の能力は、フローサイトメトリー、シンチレーションアッセイ、免疫沈降およびウエスタンブロット分析を含むがこれらに制限されない、当業者に既知の方法で決定することができる。

別の実施形態において、LY75、LY75断片、LY75関連ポリペプチド、LY75関連ポリペプチドの断片もしくはLY75融合タンパク質に競合的に相互作用する(すなわち、結合する)物質を競合結合アッセイで同定する。本実施形態によれば、LY75、LY75断片、LY75関連ポリペプチド、LY75関連ポリペプチドの断片もしくはLY75融合タンパク質を発現する細胞を、候補化合物、およびLY75、LY75断片、LY75関連ポリペプチド、LY75関連ポリペプチドの断片もしくはLY75融合タンパク質と相互作用することが既知の化合物と接触させ、次いで、LY75、LY75断片、LY75関連ポリペプチド、LY75関連ポリペプチドの断片もしくはLY75融合タンパク質に優先的に相互作用する候補化合物の能力を決定する。または、LY75、LY75断片、LY75関連ポリペプチドまたはLY75関連ポリペプチドの断片に優先的に相互作用する(すなわち、結合する)物質は、無細胞アッセイ系において、LY75、LY75断片、LY75関連ポリペプチド、LY75関連ポリペプチドの断片、もしくはLY75融合タンパク質を、候補化合物、およびLY75、LY75関連ポリペプチドもしくはLY75融合タンパク質と相互作用することが既知の化合物と接触させることにより同定される。上述したように、LY75、LY75断片、LY75関連ポリペプチド、LY75関連ポリペプチドの断片もしくはLY75融合タンパク質と相互作用する候補化合物の能力は、当業者に既知の方法で決定することができる。これらの細胞に基づくアッセイ、または無細胞アッセイのいずれかを用いて、複数(たとえば、ライブラリー)の候補化合物をスクリーニングすることができる。

別の実施形態において、LY75またはLY75関連ポリペプチドの発現または活性を調節する(すなわち、上方制御するか、もしくは下方制御する)物質は、LY75またはLY75関連ポリペプチドを発現する細胞(たとえば、原核生物起源もしくは真核生物起源の細胞)を候補化合物またはコントロール化合物(たとえば、リン酸緩衝食塩水(PBS))と接触させること、および、LY75、LY75関連ポリペプチド、またはLY75融合タンパク質、LY75をコードするmRNA、またはLY75関連ポリペプチドをコードするmRNAの発現を決定することにより同定される。候補化合物の存在下におけるLY75、LY75関連ポリペプチド、LY75をコードするmRNAまたはLY75関連ポリペプチドをコードするmRNAの発現レベルは、候補化合物の存在しない状態における(たとえば、コントロール化合物の存在下における)LY75、LY75関連ポリペプチド、LY75をコードするmRNAまたはLY75関連ポリペプチドをコードするmRNAの発現レベルと比較される。そして、候補化合物は、この比較に基づいて、LY75またはLY75関連ポリペプチドの発現のモジュレーターと同定することができる。たとえば、LY75またはmRNAの発現が、その存在しない状態よりも候補化合物の存在下で顕著に多い場合、候補化合物はLY75またはmRNAの発現の刺激因子と同定される。または、LY75またはmRNAの発現が、その存在しない状態よりも候補化合物の存在下で顕著に少ない場合、候補化合物はLY75またはmRNAの発現の阻害因子と同定される。LY75またはこれをコードするmRNAの発現レベルは、当業者に既知の方法により決定することができる。たとえば、mRNA発現は、ノーザンブロット分析またはRT-PCRにより評価することができ、タンパク質レベルは、ウエスタンブロット分析により評価することができる。

別の実施形態において、LY75またはLY75関連ポリペプチドの活性を調節する物質は、LY75もしくはLY75関連ポリペプチドを含む調製物、またはLY75もしくはLY75関連ポリペプチドを発現する細胞(たとえば、原核生物もしくは真核生物細胞)を、試験化合物もしくはコントロール化合物と接触させること、および、LY75またはLY75関連ポリペプチドの活性を調節する(たとえば、刺激もしくは阻害する)試験化合物の能力を決定することにより、同定される。LY75またはLY75関連ポリペプチドの活性は、LY75もしくはLY75関連ポリペプチドの細胞シグナル伝達経路の誘導(たとえば、細胞内Ca2+、ジアシルグリセロール、IP3など)を検出すること、適切な基質における標的の触媒もしくは酵素活性を検出すること、レポーター遺伝子(たとえば、LY75もしくはLY75関連ポリペプチドに応答性であり、かつ検出可能なマーカー(たとえば、ルシフェラーゼ)をコードする核酸に機能的に連結された、調節エレメント)の誘導を検出すること、または、細胞応答、たとえば細胞分化もしくは細胞増殖を検出することにより、評価することができる。本記載に基づき、当業者に既知の技術が、これらの活性を測定するのに使用することができる(たとえば、米国特許第5,401,639号(引用により本明細書中に組み込まれる。)参照)。そして、候補化合物は、コントロール化合物に対する候補化合物の効果を比較することにより、LY75またはLY75関連ポリペプチドの活性のモジュレーターと同定することができる。適切なコントロール化合物には、リン酸緩衝食塩水(PBS)および通常の食塩水(NS)が含まれる。

別の実施形態において、LY75またはLY75関連ポリペプチドの発現、活性、または発現および活性の両方を調節する(すなわち、上方制御するかもしくは下方制御する)物質を動物モデルにおいて同定する。適切な動物の例としては、マウス、ラット、ウサギ、サル、モルモット、イヌおよびネコが挙げられるが、これらに制限されない。好ましくは、使用する動物は、本発明の疾患のモデルを表す〔たとえば、SCIDマウスにおけるリンパ腫細胞系DoHH2またはWSU-FSCCLの異種移植片、Smith MR、Jhoshi I、Jin F、Obasaju C、BMC Cancer. 2005年8月18日; 5:103; AROなどのような甲状腺癌細胞系の異種移植片、Viaggiら、Thyroid 2003年6月; 13(6):529-36;UCRU-BL-12、UCRU-BL-13およびUCRU-BL-14などのような膀胱癌細胞系の異種移植片、Russellら、Cancer Res. 1986年4月;46(4 Pt 2):2035-40;ヌードマウスもしくはSCIDマウスにおけるMCF-7(Ozzello L, Sordat M., Eur J Cancer. 1980; 16:553-559)およびMCF10AT(Millerらの文献:J Natl Cancer Inst. 1993;85:1725-1732)などのような乳癌細胞系の異種移植片;OE19などのような食道癌細胞系の異種移植片、Kellyら、Br J Cancer. 2010年7月13日;103(2):232-8;ヌードマウスにおけるFaDuおよびHNX-OEなどのような頭頸部癌細胞系の異種移植片またはMV3などのような皮膚癌細胞系の異種移植片、van Muijenら、Int J Cancer 1991年4月22日;48(1):85-91〕。これらのモデルにおいて示される病理は、本発明の疾患の病理と類似しているので、これらは、LY75のレベルを調節する試験化合物に利用することができる。本実施形態により、試験化合物またはコントロール化合物を(たとえば、経口的に、直腸にまたは非経口的に、たとえば腹膜内にまたは静注で)適切な動物に投与し、LY75またはLY75関連ポリペプチドの発現、活性、または発現および活性の両方における効果を判断する。LY75またはLY75関連ポリペプチドの発現における変化は、先に概要を示した方法で評価することができる。

さらに、別の実施形態において、LY75またはLY75関連ポリペプチドは、LY75またはLY75関連ポリペプチドに結合するかまたは相互作用する他のタンパク質を同定するためのツーハイブリッドアッセイまたはスリーハイブリッドアッセイにおける「ベイトタンパク質」として使用される(たとえば、米国特許第5,283,317号;Zervosらの文献(1993):Cell 72:223-232; Maduraらの文献(1993):J. Biol. Chem. 268:12046-12054;Bartelらの文献(1993):BioTechniques 14:920-924;Iwabuchiらの文献(1993):Oncogene 8:1693-1696;および、国際公開第94/10300号参照)。当業者に認識されているように、かかる結合タンパク質は、たとえば、LY75が関与するシグナリング経路の上流または下流の要素として、LY75によりシグナルの伝播に関与する可能性もある。

本発明は、先に記載したスクリーニングアッセイ法により同定される新規物質、および本明細書に記載するような治療におけるその使用を更に提供する。加えて、本発明はまた、本発明の疾患の治療用医薬の製造における、LY75と相互作用するかまたはその活性を調節する物質の使用についても提供する。

LY75の治療的使用

本発明は、治療用化合物の投与による種々の疾患および障害の治療または予防を提供する。かかる化合物には、次に示す化合物が含まれるが、これらに制限されない:LY75、LY75類似体、LY75関連ポリペプチドおよびその誘導体および変種(断片を含む);前述のものに対する抗体(または他の親和性試薬);LY75、LY75類似体、LY75関連ポリペプチドおよびその断片をコードする核酸;LY75またはLY75関連ポリペプチドをコードする遺伝子に対するアンチセンス核酸;および、LY75またはLY75関連ポリペプチドをコードする遺伝子のモジュレーター(たとえば、アゴニストおよびアンタゴニスト)。本発明の重要な特徴は、本発明の疾患などの癌に関与するLY75をコードする遺伝子の同定である。本発明の疾患を有する対象の血清もしくは組織におけるLY75の機能または発現を減少させる治療用化合物の投与により治療することができる(たとえば、症状を寛解させるかまたは発症もしくは進行を遅延させることができる)かまたは予防することができる。

一実施形態において、それぞれLY75に特異的に結合する1以上の抗体(もしくは他の親和性試薬)を、単独で、または1以上の追加的な治療用化合物もしくは治療と組み合わせて投与する。

抗体(または他の親和性試薬)などの生物学的生成物は、たとえば、これが投与される対象に対し同種異系(allogeneic)である。一実施形態において、ヒトのLY75もしくはヒトのLY75関連ポリペプチド、ヒトのLY75もしくはヒトのLY75関連ポリペプチドをコードする核酸、またはヒトのLY75もしくはヒトのLY75関連ポリペプチドに対する抗体(もしくは他の親和性試薬)を、治療法(たとえば、症状を寛解させるかまたは発症もしくは進行を遅延させる)または予防のためにヒト対象に投与する。

理論により制限されることなく、LY75に特異的に結合する抗体(または他の親和性試薬)の治療的活性は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)の現象を介して達成できることが考えられる(たとえば、Janeway Jr. C.A.らの文献:Immunobiology、第5版、2001、Garland Publishing、ISBN 0-8153-3642-X; Pier G.B.らの文献:Immunology, Infection, and Immunity, 2004、p246-5;Albanell J. らの文献:Advances in Experimental Medicine and Biology, 2003、532:p2153-68および、Weng, W.-K. らの文献:Journal of Clinical Oncology, 2003、21:p 3940-3947参照)。

本発明の疾患の治療および予防

たとえば、1以上の本発明の疾患を有することが疑われるか、もしくは有することが既知の対象への、または1以上の本発明の疾患を発症する危険性のある対象への、本発明の疾患を有しない対象の血清もしくは組織と比較して1以上の本発明の疾患を有する対象の血清もしくは組織に示差的に存在するLY75のレベルまたは活性(すなわち、機能)を調節する(すなわち、増加させるか、もしくは減少させる)化合物の投与により、治療または予防される。一実施形態において、本発明の疾患は、1以上の本発明の疾患を有することが疑われるか、もしくは有することが既知の対象への、または本発明の疾患が発生する危険性のある対象への、本発明の疾患を有する対象の血清もしくは組織において増加するLY75のレベルまたは活性(すなわち、機能)を上方制御する(すなわち、減少させる)化合物を投与することにより、治療または予防される。かかる化合物の例としては、LY75のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリボザイム、LY75に対する抗体(または他の親和性試薬)、およびLY75の酵素活性を阻害する化合物が挙げられるが、これらに制限されない。他の有用な化合物、たとえば、LY75のアンタゴニストおよびLY75の低分子アンタゴニストは、インビトロアッセイを用いて同定することができる。

また、癌、たとえば、本発明の疾患は、かかる癌を有することが疑われるか、もしくは有することが既知の対象への、またはかかる癌を発生する危険性のある対象への、かかる癌を有する対象の血清または組織において増加したLY75のレベルまたは活性(すなわち、機能)を下方制御する化合物の投与により、治療または予防される。かかる化合物の例としては、次に示すものが挙げられるが、これらに制限されない:LY75、LY75の断片およびLY75関連ポリペプチド;(たとえば、遺伝子療法における使用のための)LY75、LY75の断片およびLY75関連ポリペプチドをコードする核酸;および、酵素活性を有するLY75またはLY75関連ポリペプチドのための、酵素活性を調節することが既知の化合物または分子である。使用可能な他の化合物、たとえば、LY75のアゴニストは、インビトロアッセイを用いて同定することができる。

別の実施形態において、治療または予防は、個々の対象の必要に合わせて調製する。したがって、特定の実施形態において、LY75のレベルまたは機能を促進する化合物は、LY75のレベルもしくは機能がないか、またはコントロールもしくは正常の基準範囲と比較してLY75のレベルもしくは機能が減少している、癌、たとえば、本発明の疾患を有することが疑われるか、もしくは有することが既知の対象に、治療的に、もしくは予防的に投与される。更なる実施形態において、LY75のレベルまたは機能を促進する化合物は、LY75のレベルもしくは機能がコントロールもしくは基準範囲と比較して増加している、癌、たとえば、本発明の疾患を有することが疑われるかもしくは有することが既知の対象に、治療的に、もしくは予防的に投与される。更なる実施形態において、LY75のレベルまたは機能を減少させる化合物は、LY75のレベルもしくは機能がコントロールもしくは基準範囲と比較して増加する、癌、たとえば、本発明の疾患を有することが疑われるか、もしくは有することが既知の対象に、治療的に、もしくは予防的に投与される。更なる実施形態において、LY75のレベルまたは機能を減少させる化合物は、LY75のレベルもしくは機能がコントロールもしくは基準範囲と比較して減少している、癌、たとえば本発明の疾患を有することが疑われるかもしくは有することが既知の対象に、治療的にもしくは予防的に投与される。かかる化合物の投与によるLY75の機能またはレベルにおける変化は、たとえば、試料(たとえば、血液もしくは尿)を得ることにより、およびLY75のインビトロレベルもしくは活性、またはLY75をコードするmRNAのレベル、または前述のいずれかの組合せをアッセイすることにより、容易に検出することができる。かかるアッセイは、本明細書に記載するように、本化合物の投与前および投与後に行うことができる。

本発明の化合物には、LY75プロファイルを正常に回復させるいずれかの化合物、たとえば、有機低分子、タンパク質、ペプチド、抗体(または他の親和性試薬)、核酸などが含まれるが、これらに制限されない。本発明の化合物は、いずれかの他の化学療法剤と組み合わせて供することができる。

ワクチン療法

本発明の別の態様は、LY75もしくはそのエピトープ含有断片、またはLY75をコードする核酸もしくはその断片を、場合により免疫賦活剤とともに含む、免疫原性組成物、好適にはワクチン組成物である。

また、かかる組成物を対象に投与することを含む免疫応答を高める方法、並びに、かかる組成物の治療有効量をその必要のある対象に投与することを含む、癌、たとえば本発明の疾患の治療方法または予防方法、および本発明の疾患の予防または治療に使用するかかる組成物も提供する。

したがって、LY75は、抗原性物質として有用であり、癌、たとえば、本発明の疾患の治療または予防のためのワクチンの製造に使用することができる。かかる物質は、「抗原性」および/または「免疫原性」であり得る。通常、「抗原性」とは、タンパク質が抗体(もしくは他の親和性試薬)を生じるように使用できるか、または実際に対象もしくは実験動物における抗体反応を誘導できることを意味する。「免疫原性」とは、タンパク質が、対象または実験動物において保護免疫応答などの免疫応答を誘発できることを意味する。したがって、後者の場合、タンパク質は、抗体反応を発生させるだけでなく、抗体に基づかない免疫応答も発生させ得る。また、「免疫原性」は、タンパク質がインビトロ設定(たとえば、T細胞増殖アッセイ)における免疫様反応を誘発することができるか否かも含む。適切な免疫応答の生成は、1以上のアジュバントの存在および/または抗原の適切な提示を必要とし得る。

当業者は、LY75の相同体または誘導体も抗原性/免疫原性物質としての使用が見出されることを認識する。したがって、たとえば、1以上の付加、欠失、置換などを含むタンパク質が本発明に含まれる。加えて、一方のアミノ酸を別の類似の「型」に置き換えることが可能であり得る。たとえば、一方の疎水性アミノ酸を別のものに置き換える。アミノ酸配列を比較するために、CLUSTALプログラムなどのプログラムを使用することができる。このプログラムはアミノ酸配列を比較し、適切にいずれかの配列にスペースを挿入することにより最適なアライメントを見出す。最適なアライメントについてのアミノ酸同一性または類似性(アミノ酸型の同一性および保存)を算出することができる。BLASTxのようなプログラムは、類似配列で最も長いストレッチを配置し、値を適合させるように割り当てる。このようにして複数の類似領域が見出される比較を得ることが可能であり、そのそれぞれは異なるスコアを有する。両方のタイプの分析が本発明で考慮される。

相同体および誘導体の場合、本明細書に記載するタンパク質との同一性の程度は、相同体または誘導体がその抗原性および/または免疫原性を保持することよりも重要ではない。しかしながら、好適には、本明細書に記載するタンパク質またはポリペプチドと少なくとも60%の類似性を有する(上述のような)相同体または誘導体、たとえば、少なくとも80%の類似性などの少なくとも70%の類似性を有する相同体または誘導体が提供される。特に、少なくとも90%または更に95%の類似性を有する相同体または誘導体が提供される。好適には、相同体または誘導体は、本明細書に記載するタンパク質またはポリペプチドと少なくとも60%の配列同一性を有する。好ましくは、相同体または誘導体は、少なくとも70%の同一性を有し、より好ましくは少なくとも80%の同一性を有する。最も好ましくは、相同体または誘導体は、少なくとも90%または更に95%の同一性を有する。

代替的なアプローチにおいて、相同体または誘導体は、たとえば所望のタンパク質またはポリペプチドに効果的にタグを付けることによって精製がより容易になる部分を組み込んだ融合タンパク質であり得る。これは、「タグ」を除去するのに必要であるか、または、これは、融合タンパク質自体が有用であるのに十分な抗原性を保持する場合でもあり得る。

エピトープ領域、すなわちタンパク質またはポリペプチドの抗原性または免疫原性の原因となるその領域を同定するのに抗原性タンパク質またはポリペプチドをスクリーニングできることは周知である。当業者によく知られた方法は、抗原性について断片および/または相同体および/または誘導体を試験するのに用いることができる。したがって、本発明の断片には、1以上のかかるエピトープ領域が含まれる必要があるか、または、本発明の断片は、これらの抗原性/免疫原性特性を保持するためにかかる領域に十分に類似する必要がある。そして、本発明による断片について、これらは本明細書に記載するタンパク質またはポリペプチド、相同体もしくは誘導体の特定の部分と100%同一であり得るので、同一性の程度は恐らく無関係と考えられる。重要な問題は、再度、断片が、その由来するタンパク質の抗原性/免疫原性特性を保持するということである。

相同体、誘導体および断片にとって重要なことは、これらが、その由来するタンパク質またはポリペプチドの抗原性/免疫原性の少なくとも1つの程度を有することである。したがって、追加的な本発明の態様において、LY75の抗原性もしくは免疫原性断片、またはその相同体もしくは誘導体が提供される。

LY75またはその抗原性断片は、精製されたもしくは単離された調製物として、単独で提供することができる。これらは、本発明の1以上の他のタンパク質またはその抗原性断片との混合物の一部として提供することができる。したがって、更なる態様において、本発明は、LY75および/またはその1以上の抗原性断片を含む抗原組成物を提供する。かかる組成物は、癌、たとえば本発明の疾患の検出および/または診断に使用することができる。

本発明によるワクチン組成物は、予防用ワクチン組成物または治療用ワクチン組成物のいずれかであってもよい。

本発明のワクチン組成物には、1以上のアジュバント(免疫賦活剤)が含まれ得る。当該技術でよく知られた例としては、水酸化アルミニウムなどの無機ゲル類、および不完全フロイントアジュバントなどの油中水乳剤が挙げられる。他の有用なアジュバントは、当業者によく知られる。

癌の治療のためにワクチン組成物に使用する適切なアジュバントには、次に示すものが含まれる:3De-Oアシル化モノホスホリル脂質A(3D-MPLまたは単なるMPLとして既知である。国際公開第92/116556号参照)、サポニン、たとえばQS21またはQS7、およびたとえば国際公開第95/26204号に開示されているCpG含有分子などのTLR4アゴニスト。使用するアジュバントは、構成要素、たとえば、MPLおよびQS21またはMPL、QS21およびCpG含有部分の組合せであってもよい。アジュバントは、水中油乳剤またはリポソーム製剤として製剤化することができる。かかる製剤には、他のビヒクルが含まれ得る。

別の実施形態において、LY75またはLY75のペプチド断片をコードするヌクレオチド配列に相補的な10以上の連続するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの調製物を、癌、たとえば本発明の疾患の治療のためのワクチンとして使用する。かかる調製物には、アジュバントまたは他のビヒクルが含まれ得る。

本発明の疾患を治療するためのLY75の阻害

本発明の一実施形態において、癌、たとえば本発明の疾患は、かかる癌を有しない対象の血清または組織と比較して、かかる癌を有する対象の血清または組織において上昇するLY75のレベルおよび/または機能をアンタゴナイズする(阻害する)化合物の投与により治療されるかまたは予防される。

この目的のために有用な化合物には、抗LY75抗体(または他の親和性試薬、並びにその結合領域を含有する断片および誘導体)、LY75のアンチセンスまたはリボザイム核酸、および相同組換えによる内因性LY75機能を「ノックアウト」するのに使用することができる非機能的LY75をコードする核酸が含まれるが、これらに制限されない(たとえば、Capecchiの文献1989:Science 244:1288-1292参照)。LY75の機能を阻害する他の化合物は、既知のインビトロアッセイ、たとえば、別のタンパク質または結合パートナーへのLY75の結合を阻害する、またはLY75の既知の機能を阻害する試験化合物の能力についてのアッセイの使用により、同定することができる。

かかる阻害は、たとえば、インビトロでまたは細胞培養でアッセイすることができるが、遺伝的アッセイを利用することもできる。また、好ましい技術を使用して、化合物の投与の前後でLY75のレベルを検出することもできる。適切なインビトロまたはインビボアッセイは、以下により詳細に説明するように、具体的化合物の効果、およびその投与が罹患組織の治療を示すか否かを判断するのに利用される。

特定の実施形態において、LY75の機能(活性)を阻害する化合物は、本発明による治療を受けていない、たとえば本発明の疾患を有する対象の血清もしくは組織と比較して、LY75の血清もしくは組織レベルまたは機能的活性の増加(たとえば、正常レベルまたは所望のレベルよりも高い)が検出される対象に治療的または予防的に投与されるか、または、かかる癌を有しない対象において見出されるレベルもしくは活性またはあらかじめ決定された基準範囲をもたらすように、治療的または予防的に投与される。先に概説したように、当該技術における標準的方法を利用して、LY75のレベルまたは機能における増加を測定することができる。LY75の適切な阻害因子組成物には、たとえば、低分子、すなわち1000ダルトン以下の分子が含まれ得る。かかる低分子は、本明細書に記載するスクリーニング方法によって同定することができる。

治療用化合物または予防用化合物のアッセイ

本発明は、LY75を発現する癌、たとえば本発明の疾患の治療または予防のための化合物の有効性を確認または検証するための、薬剤開発に使用するアッセイも提供する。

したがって、LY75の活性を調節する化合物のスクリーニングの方法が提供され、この方法は次に示すことを含む:(a)LY75またはその生物学的活性部分を候補化合物と接触させること;および(b)LY75の活性がこれによって調節されているか否かを判断すること。かかる方法は、(a)LY75またはその生物学的活性部分を試料中の候補化合物と接触させることと、(b)前述の候補化合物を接触させた後の前述の試料中のLY75またはその生物学的活性部分の活性を、前述の候補化合物を接触させる前の前述の試料中のLY75またはその生物学的活性部分の活性と、または基準レベルの活性と比較することとを含み得る。

スクリーニングの方法は、LY75の活性を阻害する化合物のスクリーニングの方法であり得る。

LY75またはその生物学的活性部分は、たとえば細胞上にまたは細胞により発現され得る。LY75またはその生物学的活性部分は、たとえばこれを発現する細胞から単離することができる。LY75またはその生物学的活性部分は、たとえば固相上に固定することができる。

また、LY75またはLY75をコードする核酸の発現を調節する化合物のスクリーニングの方法も提供され、この方法は、(a)LY75またはLY75をコードする核酸を発現する細胞を候補化合物と接触させることと、(b)LY75またはLY75をコードする核酸の発現がこれにより調節されるか否かを判断することとを含む。かかる方法は、(a)LY75またはLY75をコードする核酸を発現する細胞を試料中の候補化合物と接触させることと、(b)前述の候補化合物を接触させた後の前述の試料中の細胞によるLY75またはLY75をコードする核酸の発現を、前述の候補化合物を接触させる前の前述の試料中の細胞のLY75またはLY75をコードする核酸の発現と、または基準レベルの発現と比較することと、を含み得る。

本方法は、LY75またはLY75をコードする核酸の発現を阻害する化合物のスクリーニング方法であり得る。

本発明の他の態様には、次に示すものが含まれる:上述したスクリーニング方法により得ることができる化合物、LY75またはLY75をコードする核酸の活性または発現を調節する化合物、たとえば、LY75またはLY75をコードする核酸の活性または発現を阻害する化合物。

かかる化合物は、癌、たとえば本発明の疾患の治療または予防に使用するのに提供される。また、かかる化合物の治療有効量をその必要のある対象に投与することを含む、癌、たとえば本発明の疾患を治療または予防する方法も提供される。

試験化合物は、かかる癌を有しない対象において見出されるレベルに対して、たとえば本発明の疾患を有する対象におけるLY75のレベルを回復させるか、またはかかる癌の実験動物モデルにおいて同様の変化をもたらす、これらの能力についてアッセイすることができる。癌、かかる癌を有しない対象において見出されるレベルに対して、たとえば本発明の疾患を有する対象におけるLY75のレベルを回復させることができるか、またはかかる癌の実験動物モデルにおいて同様の変化をもたらすことができる化合物を、更なる創薬のリード化合物として使用することができるかまたは治療に使用することができる。LY75の発現は、好ましい技術、イムノアッセイ、ゲル電気泳動と、これに続く視覚化、LY75の活性の検出、または本明細書に教示するかもしくは当業者に既知の他のいずれかの方法によってアッセイすることができる。かかる分析は、臨床モニタリングにおいて、または薬剤開発において、候補薬物をスクリーニングするのに使用することができ、LY75の存在量は、臨床疾患の代理マーカーとして有用であり得る。

種々の特定の実施形態において、インビトロアッセイを、対象の障害に関与する細胞型の代表的な細胞により行い、化合物が、かかる細胞型において所望の効果を有するか否かについて判断することができる。

治療に使用する化合物は、ヒトでの試験前に、ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ウサギなど含むが、これらに制限されない適切な動物モデル系で試験することができる。インビボ試験については、ヒトに対する投与の前に、当該技術で既知のいずれかの動物モデル系を使用することができる。本発明の疾患の動物モデルの例としては、SCIDマウスにおけるリンパ腫細胞系DoHH2またはWSU-FSCCLの異種移植片、Smith MR、Jhoshi I、Jin F、Obasaju C、BMC Cancer. 2005年8月18日; 5:103; AROなどのような甲状腺癌細胞系の異種移植片、Viaggiら、Thyroid 2003年6月; 13(6):529-36;UCRU-BL-12、UCRU-BL-13およびUCRU-BL-14などのような膀胱癌細胞系の異種移植片、Russellら、Cancer Res. 1986年4月;46(4 Pt 2):2035-40;ヌードマウスもしくはSCIDマウスにおけるMCF-7(Ozzello L, Sordat M., Eur J Cancer. 1980; 16:553-559)およびMCF10AT(Millerらの文献:J Natl Cancer Inst. 1993;85:1725-1732)などのような乳癌細胞系の異種移植片;OE19などのような食道癌細胞系の異種移植片、Kellyら、Br J Cancer. 2010年7月13日;103(2):232-8;ヌードマウスにおけるFaDuおよびHNX-OEなどのような頭頸部癌細胞系の異種移植片またはMV3などのような皮膚癌細胞系の異種移植片、van Muijenら、Int J Cancer 1991年4月22日;48(1):85-91が挙げられるが、これらに制限されない。これらのモデルにおいて示される病理は、たとえば本発明の疾患の病理と類似しているので、上述のものは、LY75のレベルを調節する試験化合物に利用することができる。また、本開示に基づき、トランスジェニック動物がLY75をコードする遺伝子または遺伝子群の「ノックアウト」変異を有して産生され得ることも、当業者にとって明らかである。遺伝子の「ノックアウト」変異は、変異された遺伝子を発現させなくするか、または異常形態でもしくは低レベルで発現させる突然変異であり、その結果、遺伝子産物に関連する活性がほとんどまたは完全になくなる。トランスジェニック動物は、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはマウスである。

一実施形態において、LY75の発現を調節する試験化合物は、非ヒト動物(たとえばマウス、ラット、サル、ウサギおよびモルモット)において、好ましくはLY75を発現する本発明の疾患についての非ヒト動物モデルにおいて同定される。本実施形態により、試験化合物またはコントロール化合物を動物に投与し、LY75の発現における試験化合物の効果を判断する。LY75の発現を変える試験化合物は、試験化合物で処置した動物もしくは動物群におけるLY75(もしくはこれをコードするmRNA)のレベルを、コントロール化合物で処置した動物もしくは動物群におけるLY75またはmRNAのレベルと比較することにより、同定することができる。当業者に既知の技術、たとえばインサイチュハイブリダイゼーションを用いて、mRNAおよびタンパク質レベルを測定することができる。動物は、試験化合物の効果をアッセイするために致死させることができるか、または致死させなくてもよい。

別の実施形態において、LY75またはその生物学的活性部分の活性を調節する試験化合物は、LY75を発現する、非ヒト動物(たとえば、マウス、ラット、サル、ウサギおよびモルモット)、好ましくは本発明の疾患についての非ヒト動物モデルにおいて同定される。本実施形態により、試験化合物またはコントロール化合物を動物に投与し、LY75の活性における試験化合物の効果を判断する。LY75の活性を変える試験化合物は、コントロール化合物で処置した動物、および試験化合物で処置した動物をアッセイすることにより同定することができる。LY75の活性は、LY75の細胞セカンドメッセンジャー(たとえば、細胞内Ca2+、ジアシルグリセロール、IP3など)の誘導を検出すること、LY75もしくはその結合パートナーの触媒活性または酵素活性を検出すること、レポーター遺伝子(たとえば、ルシフェラーゼもしくは緑色蛍光タンパク質などの検出可能なマーカーをコードする核酸を機能的に連結したLY75応答性調節エレメント)の誘導を検出すること、または細胞応答(たとえば、細胞分化もしくは細胞増殖)を検出することにより評価することができる。当業者に既知の技術は、LY75の活性の変化を検出するのに利用することができる(たとえば、米国特許第5,401,639号(引用により本明細書中に組み込まれる。)参照)。

さらに、別の実施形態において、LY75のレベルまたは発現を調節する試験化合物は、たとえば本発明の疾患を有するヒト対象において、好ましくは、たとえば重篤な本発明の疾患を有するヒト対象において同定される。本実施形態により、試験化合物またはコントロール化合物をヒト対象に投与し、LY75の発現における試験化合物の効果を、生体試料(たとえば、血清、血漿もしくは尿)中のLY75またはこれをコードするmRNAの発現を分析することにより判断する。LY75の発現を変える試験化合物は、コントロール化合物で処置した対象または対象群におけるLY75またはこれをコードするmRNAのレベルを、試験化合物で処置した対象または対象群におけるLY75またはこれをコードするmRNAのレベルと比較することにより、同定することができる。または、LY75の発現の変化は、試験化合物の投与前または後の対象または対象群におけるLY75またはこれをコードするmRNAのレベルを比較することによって確認することができる。当業者に既知の技術を使用して、生体試料を得、mRNAまたはタンパク質発現を解析することができる。たとえば、本明細書に記載する好ましい技術は、LY75のレベルの変化を評価するのに使用することができる。

別の実施形態において、LY75の活性を調節する試験化合物は、たとえば本発明の疾患を有するヒト対象(好ましくは、たとえば重篤な本発明の疾患を有するヒト対象)で同定される。本実施形態において、試験化合物またはコントロール化合物をヒト対象に投与し、LY75の活性における試験化合物の効果を判断する。LY75の活性を変える試験化合物は、コントロール化合物で処置した対象由来の試料を、試験化合物で処置した対象由来の試料と比較することにより同定することができる。または、LY75の活性の変化は、試験化合物の投与前または後の対象または対象群におけるLY75の活性を比較することによって確認することができる。LY75の活性は、生体試料(たとえば、血清、血漿もしくは尿)における、LY75の細胞シグナル伝達経路(たとえば細胞内Ca2+、ジアシルグリセロール、IP3など)、LY75もしくはその結合パートナーの触媒活性もしくは酵素活性、または細胞応答、たとえば、細胞分化もしくは細胞増殖の誘導を検出することにより評価することができる。当業者に既知の技術を使用して、LY75のセカンドメッセンジャーの誘導における変化、または細胞応答の変化を検出することができる。たとえば、RT-PCRを使用して、細胞セカンドメッセンジャーの誘導における変化を検出することができる。

別の実施形態において、コントロール対象(たとえば、本発明の疾患を有しないヒト)において検出されたレベルに対し、LY75のレベルまたは発現を変化させる試験化合物は、更なる試験用途または治療的使用のために選択される。別の実施形態において、コントロール対象(たとえば、本発明の疾患を有しないヒト)において見出される活性に対し、LY75の活性を変化させる試験化合物は、更なる試験用途または治療的使用のために選択される。

別の実施形態において、たとえば本発明の疾患に関連する1以上の症状の重篤性を減少させる試験化合物は、たとえば本発明の疾患を有するヒト対象、特に、たとえば重篤な本発明の疾患を有する対象で同定される。本実施形態により、試験化合物またはコントロール化合物を対象に投与し、本発明の疾患の1以上の症状における試験化合物の効果を判断する。1以上の症状を減少させる試験化合物は、コントロール化合物で処置した対象を、試験化合物で処置した対象と比較することにより同定することができる。たとえば本発明の疾患に精通している医師に既知の技術を使用して、たとえば本発明の疾患に関連する1以上の症状を減少させるか否かを判断することができる。たとえば、本発明の疾患を有する対象において腫瘍量を減少させる試験化合物は、かかる対象に有益である。

別の実施形態において、癌、たとえば本発明の疾患に関連する1以上の症状の重篤性を減少させる試験化合物は、更なる試験用途または治療的使用のために選択される。

治療用組成物および予防用組成物およびそれらの使用

本発明は、本発明の化合物(たとえば、LY75タンパク質、Ly75またはその断片に特異的に結合することが可能な親和性試薬。またはLY75をコードする核酸)の有効量を対象に投与することを含む、治療(および予防)の方法を提供する。特定の態様において、本化合物は、実質的に精製されている(たとえば、その作用を制限するかまたは望ましくない副作用をもたらす物質を実質的に含まない。)。

本化合物が核酸を含む場合に利用することができる製剤および投与方法は、先に記載されており、更なる適切な製剤および投与経路は、以下に記載されている。

たとえば、リポソーム内のカプセル化、微小粒子、マイクロカプセル、本化合物を発現することができる組換え細胞、受容体媒介型エンドサイトーシス(たとえば、WuおよびWuの文献:1987, J. Biol. Chem. 262:4429-4432を参照)、レトロウイルスまたは他のベクターの一部としての核酸の構築などの種々の送達系が既知であり、本発明の化合物を投与するのに使用することができる。導入方法には、経腸的または非経口的であり得、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外および経口経路が含まれるが、これらに制限されない。本化合物は、いずれかの好都合な経路により、たとえば、注入または大量瞬時投与により、上皮性または粘膜皮膚の内層(たとえば、口腔粘膜、直腸および腸管粘膜など)を介した吸収により投与することができ、他の生物活性物質とともに投与することができる。投与は、全身的または局所的であり得る。さらに、脳室内および髄腔内注射を含むいずれかの適切な経路により、本発明の医薬組成物を中枢神経系に導入することが望ましい可能性があり、たとえば、脳室内注入は、たとえばオマヤレザバー(Ommaya reservoir)などの貯蔵部に取り付けた脳室内カテーテルにより容易にすることができる。また、たとえば吸入器または噴霧器の使用により、およびエアロゾル化剤での処方により、肺投与も利用することができる。

本発明の一態様において、本発明で利用される核酸は、たとえば粒子媒介型表皮性送達を利用して真皮に送達することができる。

特定の実施形態において、治療を必要とする領域に局所的に本発明の薬組成物を投与することが望ましい場合があり、これは、たとえば、制限されるものではないが、外科手術の間の局部的な注入、局所適用、たとえば注射によって、カテーテルによって、またはインプラントによって達成してもよく、このインプラントは、サイラスティック(sialastic)膜などの膜を含む多孔性、非多孔性もしくはゲル状物質または線維である。一実施形態において、投与は、リンパ系、甲状腺、膀胱、胸部、胃、食道、頭頸部または皮膚の組織への直接注入によるものであり得るか、または悪性腫瘍組織もしくは新生物組織もしくは前新生物組織の部位(または前者の部位)での直接注入によるものであり得る。

別の実施形態において、本化合物は、小胞、特にリポソームで送達することができる(Langerの文献1990:Science 249:1527-1533;Treatらの文献:「感染性疾患および癌の治療法におけるリポソーム(Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer)」中, Lopez BeresteinおよびFidler (編), Liss, New York, pp. 353-365 (1989);Lopez Beresteinの文献:同書, pp. 317-327;同書を一般に参照)。

さらに、別の実施形態において、本化合物は、徐放系で送達することができる。一実施形態において、ポンプを使用することができる(Langerの文献,上述; Seftonの文献1987:CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201;Buchwaldらの文献1980:Surgery 88:507; Saudekらの文献1989:N. Engl. J. Med. 321:574参照)。別の実施形態において、ポリマー物質を使用することができる(「徐放の医学的適用(Medical Applications of Controlled Release)」, LangerおよびWise (編), CRC Pres., Boca Raton, Florida (1974);「制御薬剤生体利用能、薬剤生産設計および性能(Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance)」, SmolenおよびBall (編), Wiley, New York (1984); RangerおよびPeppas, J.の文献1983:Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61参照。また、Levyらの文献1985:Science 228:190;Duringらの文献1989:Ann. Neurol. 25:351;Howardらの文献1989:J. Neurosurg. 71:105も参照)。さらに別の実施形態において、徐放系は、治療標的、たとえば、本発明での疾患の近傍に配置することができ、このため、全身用量の一部のみが必要とされるにすぎない(たとえば、Goodsonの文献, 「徐放の医学的適用(Medical Applications of Controlled Release)」中,上述, vol. 2, pp. 115-138 (1984)参照)。他の徐放系は、Langerによる総説(1990, Science 249:1527-1533)に論じられている。

本発明の化合物がタンパク質をコードする核酸である特定の実施形態において、核酸は、適切な核酸発現ベクターの一部としてこれを構築し、これが細胞内になるように投与することにより、たとえばレトロウイルスベクターの使用により(米国特許第4,980,286を参照)、または直接注入により、または微粒子照射の使用により(たとえば、遺伝子銃;Biolistic, Dupont)、または脂質もしくは細胞表面受容体もしくはトランスフェクト試薬での被覆により、または核内に入ることが既知のホメオボックス様ペプチドに関連付けてこれを投与すること(Joliotらの文献, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:1864-1868)などにより、インビボで投与して、そのコードタンパク質の発現を促進することができる。または、核酸は、細胞内に導入し、相同組換えにより発現のために宿主細胞DNA内に組み込むことができる。

また、本発明は薬組成物も提供する。かかる組成物は、治療有効量の本発明の化合物および薬として許容し得る担体を含む。特定の実施形態において、「薬として許容し得る」という用語は、動物およびより具体的にはヒトにおける使用について、連邦政府もしくは州政府の規制当局により適切に承認されているか、または米国薬局方もしくは他の一般的に認められている薬局方に収載されていることを意味する。「担体」という用語は、治療薬とともに投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビヒクルをいう。かかる医薬担体は、水および油などの滅菌液であり得、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの石油、動物、植物または合成起源のものを含む。水は、医薬組成物を静脈内投与するときに好ましい担体である。特に注射用溶液については、生理食塩水並びに水性デキストロース溶液およびグリセロール溶液も液体担体として利用することができる。適切な医薬賦形剤には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが含まれる。組成物は、所望の場合、微量の湿潤剤もしくは乳化剤またはpH緩衝剤も含有し得る。これらの組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、徐放性製剤などの形態を採用することができる。組成物は、坐薬として、トリグリセリドなどの従来型の結合剤および担体とともに製剤化することができる。経口製剤には、医薬品等級のマンニトール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準的担体が含まれ得る。適切な医薬担体の例は、E.W. Martinによる文献:「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」に記載されている。かかる組成物は、治療有効量の本化合物を、たとえば精製した形態で、対象への投与に適した形態を提供するのに適切な量の担体とともに含有する。製剤化は、投与様式に適合させる必要がある。

たとえば、1以上の抗体が利用される実施形態において、本組成物は、ヒトへの静脈内投与に適合させた医薬組成物としてルーチン手順に従い製剤化される。通常、静脈内投与用組成物は、無菌の等張性水性緩衝液中の溶液である。必要な場合、本組成物には、溶解剤、および注射部位における疼痛を緩和するリドカインなどの局所麻酔薬も含まれ得る。一般に、成分は、別々に、または単位剤形、たとえば活性剤の量を示すアンプルもしくはサッシェなどの密封封止容器内に乾燥凍結粉末としてもしくは水を含まない濃縮物として混合され、供給される。本組成物を輸液により投与する場合、無菌医薬品等級の水または生理食塩水を含有する輸液ボトルで供給することができる。本組成物が注射により投与される場合、成分が投与前に混合することができるように、注射用滅菌水または生理食塩水のアンプルを提供することができる。

本発明の化合物は、中性または塩形態として製剤化することができる。医薬として許容し得る塩には、適切な場合、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来するものなどの遊離アミノ基と形成されたもの、およびナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第2鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどの遊離カルボキシル基と形成されたものが含まれる。

癌、たとえば本発明の疾患の治療に効果的である本発明の化合物の量は、標準的な臨床技術により決定することができる。加えて、場合により、最適な用量範囲の確認を補助するのに、インビトロアッセイ法を用いることができる。また、製剤に利用される正確な用量は、投与経路および疾患または障害の重症度にも依存し、従事者の判断および各対象の状況に従って決定されることを要する。ただし、静脈内投与に適切な用量範囲は、一般に、体重1キログラムあたり約20〜500 μgの活性化合物である。鼻腔内投与に適切な用量範囲は、一般に、約0.01pg/kg体重〜1mg/kg体重である。有効用量は、インビトロまたは動物モデル試験系から得た用量反応曲線から推定することができる。

坐薬は、一般に、0.5重量%〜10重量%の範囲の活性成分を含有し、経口製剤は、好ましくは10%〜95%の活性成分を含有する。

また、本発明は、本発明の医薬組成物の1以上の成分を充填した1以上の容器を備える医薬パックまたはキットも提供する。かかる容器は、場合により、医薬品または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する政府当局により規定された形態での通知を伴い得、この通知は(a)ヒト投与についての製造、使用または販売の当該機関による承認、(b)使用の方向性、またはこれらの両方を反映する。

したがって、キットが本発明で利用される抗体を備えるという態様において、たとえば、抗体は、投与または使用の前の再構成のために凍結乾燥することができる。キットが癌などの療法/治療における使用のための場合、抗体は、等張水溶液により再構成することができ、この等張水溶液は、キットに備えられている場合がある。一態様において、キットは、本発明で使用される免疫原性ポリペプチドなどのポリペプチドを備えており、これは、たとえば凍結乾燥することができる。後者のキットは、免疫原性ポリペプチドを再構成するためのアジュバントを更に備え得る。

また、本発明は、本明細書に記載する組成物、たとえば、対象において免疫応答を誘発するための医薬組成物および/またはワクチン組成物にも及ぶ。

まださらなる実施形態では、本発明は、薬を提供し、それには、別々に、または一緒に、 (a)LY75に結合する親和性試薬、および (b)抗ガン剤または他の活性薬剤 が、ガンの処置において、本発明での疾患の一つの処置において、同時、順次、または別々の施与のために含まれる。

イメージング技術によるLY75の存在量の測定

イメージング技術によるLY75の存在量の測定の利点は、かかる方法が非侵襲性であり(試薬を投与する必要があり得ることは別として)、対象から試料を抽出する必要がないことであり得る。

適切なイメージング技術には、ポジトロン放出断層撮影(PET)および単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)が含まれる。かかる技術を使用するLY75の視覚化は、適切な標識、たとえば18F、11Cまたは123Iなどの放射性トレーサの取り込みおよび結合を必要とする(たとえば、NeuroRx - The Journal of the American Society for Experimental NeuroTherapeutics (2005) 2(2), 348-360、および技術の更なる詳細については上述の361-371頁を参照)。放射性トレーサまたは他の標識は、好適に標識された特定のリガンドの対象への投与により(たとえば注入により)、LY75に組み込むことができる。または、これらは、(たとえば注入により)対象に投与できるLY75に特異的な結合親和性試薬(たとえば、抗体)に組み込むことができる。イメージングについてのアフィボディの使用に関する論考については、たとえばOrlova A, Magnusson M, Eriksson TL, Nilsson M, Larsson B, Hoiden-Guthenberg I, Widstrom C, Carlsson J, Tolmachev V, Stahl S, Nilsson FYの文献:「ピコモル親和性HER2結合アフィボディ分子を使用する腫瘍イメージング(Tumor imaging using a picomolar affinity HER2 binding Affibody molecule)」, Cancer Res. 2006 Apr 15;66(8):4339-48を参照。

免疫組織化学法を用いた本発明の疾患を含む癌の診断および治療

免疫組織化学法は、優れた検出法であり、それゆえ、本発明の疾患を含む癌の診断および治療に非常に有用であり得る。免疫組織化学法は、蛍光色素、酵素、放射性元素またはコロイド金などのマーカーにより視覚化される抗原-抗体相互作用を介する特異試薬として、LY75に特異的に結合する標識化抗体(または他の親和性試薬)、その誘導体および類似体の使用により、組織切片におけるLY75抗原の局在を介して、上述したような癌を検出し、診断しまたはモニタリングするのに使用することができる。

モノクローナル抗体技術の発達は、ヒト新生物の最新の正確な顕微鏡診断における免疫組織化学法の立場を確実にする際に極めて重要であった。免疫組織化学法による拡散した腫瘍的形質転換細胞の同定は、癌浸潤および転移、並びに悪性度増加に対する腫瘍細胞関連免疫表現型の進化のより鮮明な画像を可能にする。将来の抗新生物治療アプローチには、個々のペイシェントの腫瘍性疾患に伴う特定の免疫表現型的パターンに特異的な種々の個別的免疫治療が含まれ得る。更なる論考については、たとえば、Bodey Bの論文:「新生物の診断および治療における免疫組織化学法の意義(The significance of immunohistochemistry in the diagnosis and therapy of neoplasms)」, Expert Opin Biol Ther. 2002 Apr;2(4):371-93を参照されたい。

本発明の各態様の好適な特徴は、必要な変更を加えた他の態様のそれぞれに関して同様である。本明細書に記載の先行技術文献は、法律により許容される最大範囲で組み込まれる。

本発明は、次の非制限的な例によって示される。

例1:膀胱癌、乳癌、慢性リンパ性白血病、結腸直腸癌、食道癌、胃癌、頭頸部癌、腎臓癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、膵癌、皮膚癌。小細胞肺癌、リンパ腫、急性単球性白血病の組織試料および多発性骨髄腫細胞の組織試料で発現されたLY75の、液体クロマトグラフィー-質量分析(LC/MS)を用いた識別。

以下のプロトコルを使用して、膀胱癌、乳癌、慢性リンパ球性白血病、結腸直腸癌、食道癌、胃癌、頭頸部癌、腎臓癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、膵臓癌、皮膚癌、小細胞肺癌、リンパ腫、急性単球性白血病の組織試料および多発性骨髄腫細胞および対応する正常または正常隣接組織(NAT)の試料から抽出された膜タンパク質を消化し、そして得られたペプチドをタンデム質量分析法により配列決定した。

1.1材料および方法 1.1.1細胞膜(原形質膜)分画

膀胱癌、乳癌、慢性リンパ球性白血病、結腸直腸癌、食道癌、胃癌、頭頸部癌、腎臓癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、膵臓癌、皮膚癌、小細胞肺癌、リンパ腫、急性単球性白血病組織試料および多発性骨髄腫細胞または正常または正常隣接組織から回収した細胞を均質化し、そして1000×gで遠心分離に供した。上清を採取し、そして49500×gで超遠心分離した。得られたペレットを再度ホモジナイズし、そして不連続ショ糖密度遠心分離により分離した。107000×gで超遠心分離した後、相境界での画分を回収し、そしてペレット化した。

1.1.2細胞膜の可溶化

細胞膜画分を、0.5%のSDSの最終濃度を与えるためにSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)中に再懸濁し、遠心分離し、そして可溶化タンパク質を抽出した。

1.1.3トリプシン分解

溶液内消化(in-solution digestion)のため、50μgタンパク質溶液の容量を、200mMの重炭酸アンモニウムを使用して100μlにした。還元剤DL-ジチオスレイトール(75mM)の10μlを試料に添加し、15分間80℃でインキュベートした。これを、次いで150mMのヨードアセトアミド10μlを用いてシステインのブロッキングステップを続け、および室温30分間暗所でインキュベートを行った。SDS濃度はその後、超純水を加えて0.05%に希釈した。トリプシン〔Promega(プロメガ)V5111〕の十分な量を、タンパク質の2.75μgに対してトリプシン1μgを可能にする混合物に添加し、そして37℃で一晩インキュベートした。

代わりに、タンパク質溶液の105μgを、50mMのTCEPの3μ1を用いて還元し、そして1hr(1時間)、60℃でインキュベートした。次いで、試料を、炭酸アンモニウムの代わりに重炭酸トリエチルアンモニウムを用いて、製造者の指示に従ってProtein Digestion Kit(タンパク質消化キット)〔Protein Discovery(プロテイン・ディスカバリー)〕のFASPろ過装置で処理がされた。トリプシン分解は、タンパク質50μgに対しトリプシンの1μgを使用して、75μ1の最終容量で行った。

1.1.4ペプチド分画

消化されたタンパク質サンプルを、真空下で乾燥し、0.1%水性ギ酸に再懸濁させ、およびトリフルオロ酢酸(TFA)を、溶液のpHを<3まで低減するために添加した。ペプチドは、Agilent(アジレント)LCI 200シリーズ液体クロマトグラフィーシステムを用いて、Agilent Zorbax Bio-Strong Cation Exchange(アジレント・ゾルバックス・バイオ・ストロング・チオン交換)シリーズIIカラムを用いたイオン交換によって分離した。代替的には、Agilent 3100 OFFGEL Fractionator(オフゲル・フラクショネーター)およびOFFGEL Kit(キット)のpH3-10を、供給業者のプロトコルに従って、pIに基づく分離のために使用した。IPGストリップの再水和の後、膜ダイジェストの等量を各ウェルに負荷した。分離後、得られた画分を酸性化した。

1.1.5質量分析

分画したサンプルは、nano(ナノ)ACQUITY UPLC BEH 130 C18カラム、75μm×250ミリメートル(186003545)およびLTQ Orbitap Velos(オービトラップ・ベロス)〔Thermo Fisher Scientific(サーモフィッシャーサイエンティフィック)〕を装備したWaters(ウォーターズ)nanoACQUITY UPLCシステムを用いた液体クロマトグラフィー-質量分析によって分析した。ペプチドは、120分かけて3%から35%までのアセトニトリルを増加する300nl/分の勾配で溶出した。フルスキャン質量スペクトルは、Orbitap内の400-2000m/zの質量範囲間の分解能60000で取得した。各サイクルでは、二十の最も強いペプチドは、機器に装着したナノスプレーイオン源を有する線形イオントラップにおいてCID MS/MSスキャンのために選定した。

1.1.6ペプチドのアミノ酸配列分析

LTQ Orbitap Velosから生成された生データは、Mowse(モウズ)アルゴリズム〔Curr Biol. 1993年6月1日;3(6):327-3〕を使用するMascot(マスコット)ソフトウェア〔Matrix Science(マトリックス・サイエンス)〕を介して処理し、Ensembl(アンサンブル)(http://www.ensembl.org/index.html)、IPI(www.ebi.ac.uk/IPI/IPIhuman.html)およびSwissProt(スイスプロット)(http://www.uniprot.org)からなる配列データベースに対して汚染物質タンパク質配列と一緒に検索することによって、ピークリストからのアミノ酸配列を推論する。ペプチド識別のための基準は、トリプシン消化を含め、切断部位および様々な生物学的および化学的修飾(酸化メチオニン、MMTSまたはヨードアセトアミドによるシステイン修飾、およびセリン、スレオニンおよびチロシンのリン酸化)を2まで逃した。ペプチドは、0.05%またはそれよりも低い(以下の)期待値を1位と、28以上のイオンスコアは、それらがタンパク質のグループ中に処理されたOGAPデータベースにロードされた。

1.1.7膀胱癌、乳癌、慢性リンパ球性白血病、結腸直腸癌、食道癌、胃癌、頭頸部癌、腎臓癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、膵臓癌、皮膚癌、小細胞肺癌、リンパ腫、急性単球性白血病の組織試料および多発性骨髄腫細胞関連タンパク質の区別

プロセスは、LY75を識別するために、上記のように、自然に発生するヒトタンパク質の、質量分析法によって実験的に得られるペプチド配列を使用し、刊行されたヒトゲノム配列におけるコードエキソンを識別し、そして整理する。表1に示すこれらの実験的に決定された配列は、国際出願の国際公開2009/087462号に記載されているように、ペプチド質量、ペプチド記号(peptide signatures)、ESTsおよびPublic Domain Genomic Sequence Data(パブリック・ドメイン・ゲノム配列データ)で処理し、統合することによってコンパイルされたOGAP(R)データベースと比較した。

1.1.8タンパク質インデックス タンパク質インデックス(指数)は、タンパク質の有病率およびペプチドの存在量の両方の尺度である。アルゴリズムは、タンパク質が観察されたサンプルの数および各サンプルから観察されたペプチド対検出されうるペプチドの数の双方が考慮される。結果として得られる値は次いで、対応する正常サンプル対癌サンプルの対比較によって類別される。

1.2結果 これらの実験は、本明細書にさらに記載するLY75を識別した。完全長LY75は、膀胱癌、乳癌、慢性リンパ性白血病(CLL)、結腸直腸癌、食道癌、胃癌、頭頸部癌、腎臓癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、膵臓癌、皮膚癌、小細胞肺癌およびリンパ腫(NHL)、急性単球性白血病(AML)の組織試料および多発性骨髄腫細胞(MM)の原形質膜において検出された。表2は、タンパク質指数により測定されたLY75の発現分布を示す。これらの癌組織におけるLY75の発現は、LY75がこれらの癌における貴重な処置および診断対象であることを示す。

例2:LY75に対する抗体を用いる免疫組織化学 以下の参照プロトコルを使用し、免疫組織化学を、LY75〔Leica(ライカ)〕に対するマウスモノクローナル抗体を用いてFFPE腫瘍および正常組織において行った。

2.1材料および方法

2.1.1材料 TCS Biosciences(TCSバイオサイエンシーズ)、英国からCitroclear(シトロクリアー)(HC5005)。 Sigma-Aldrich(シグマアルドリッチ)、英国からの試薬アルコール(R8382)。 Dako(ダコ)、英国からのTarget Retrieval Solution(ターゲット回復ソリューション)、pH6(S2369)。 Dako、英国からのREAL Peroxidase Blocking Solution(REALペルオキシダーゼブロッキングソリューション)(S2023)。 Dako、英国からのAntibody Diluent(抗体希釈剤)(S0809)。 Dako、英国からのEnVision+ HRP-conjugated polymer, Mouse(エンビジョン+HRP共役系ポリマー、マウス)(K4000)。 Dako、英国からのLiquid DAB+ substrate(液体DAB +基質)(K3468)。 Dako、英国からのMayer’s Hematoxylin(マイヤーのヘマトキシリン)(X0909)。 VWR、英国からのAquatex(アクアテックス)(1.08562.0050)。 組織切片およびアレイは、US Biomax Inc.(米国バイオマックス社)、MD、USAからのものであった。

2.1.2脱パラフィンおよび再水和 スライドをCitroclear(2×5分)において脱パラフィン化し、次いで、100%アルコール(2×5分)、50%アルコール(1×5分)および水道水(1×5分)を介して再水和した。

2.1.3抗原回復(圧力鍋) LY75抗原はCoplin jar(コプリンジャー)において50mlのTarget Retrieval Solution中で20分間の圧力下に回復させた。次に、スライドを冷却し、さらに20分間室温にまでした。円は疎水性バリアーペンで各組織切片/TMAの周りに描き、そして次いで、スライドを、PBSで2回洗浄し、3分の各洗浄を行った。

2.1.4組織染色 内因性ペルオキシダーゼ活性は、加湿チャンバーにおいて室温で10分間ペルオキシダーゼブロッキング溶液により組織をインキュベートすることによってブロックした。次いで、スライドを、一回PBSで、一回PBS-T(Tween-20含有PBS、0.125%v/v)洗浄し、各洗浄3分であった。一次抗体(抗体希釈剤において1/160に希釈)を各組織切片および/またはマイクロアレイに適用し、そしてスライドを加湿チャンバー中、室温で45分間インキュベートした。次に、スライドを、1回PBSで、1回PBS-Tで洗浄し、各洗浄3分間ずつであった。エンビジョン+HRP共役系ポリマーは、その後、組織に適用し、そしてスライドを加湿チャンバー内にて室温で30分間インキュベートした。次に、スライドを、1回PBSで、1回PBS-Tで洗浄し、3分間ずつ洗浄した。組織を、加湿チャンバー内で10分間、室温にて液体DAB +基質中でインキュベートした。次いで、スライドをPBS中で1回、PBS-T中で1回洗浄し、加湿チャンバー中、室温で1分間、ヘマトキシリンで対比染色し、そして再度洗浄し、PBSで1回、PBS-Tで1回、各洗浄3分であった。カバーガラスは、その後Aquatexを使用してスライド上に載せた。

2.2結果 免疫組織化学的分析は、膵臓、卵巣、胸部、結腸直腸、食道、皮膚、甲状腺および肺(非小細胞)癌、ならびに多発性骨髄腫およびリンパ腫、ホジキンおよび非ホジキン型の両方における腫瘍細胞の特異的染色を明らかにした。LY75抗体で染色されたホジキンリンパ腫のサブタイプ(亜型)は:結節性硬化型(Nodular-Sclerosing)、リンパ球優位型、リンパ球減少型、混合細胞型、およびホジキンリンパ腫(特に指定はない)であった。LY75抗体で染色した非ホジキンリンパ腫のサブタイプは:びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫(特に指定はない)、ろ胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ組織(MALT)のリンパ腫、T細胞/組織球リッチB細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、T細胞リンパ腫(特に指定はない)、末梢T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫および血管免疫芽球性T細胞リンパ腫であった。このように、LY75に指向する抗体は、LY75の発現を示すこれらの癌および他の癌の種類における治療学および診断として有用性を有しうる。

例3:フローサイトメトリーの分析によって定められたLY75に対するモノクローナル抗体の特異性

LY75に対するモノクローナル抗体の特異性を、フローサイトメトリー分析により試験し、LY75発現細胞系において行った。

材料および方法 抗LY75抗体を、LY75発現細胞と共にインキュベートした。細胞を、FACS緩衝液(DPBS、2%FBS)において洗浄し、遠心分離し、そして希釈した一次LY75抗体の100μlに再懸濁した(また、FACS緩衝液中に希釈)。抗体-細胞複合体を60分間氷上でインキュベートし、次に上記のようにFACS緩衝液で2回洗浄した。細胞-抗体ペレットを希釈した二次抗体(また、FACS緩衝液中に希釈)の100μlに再懸濁し、氷上での60分間氷上インキュベートした。ペレットを前と同様に洗浄し、200μlFACS緩衝液に再懸濁した。試料は、BD FACSCanto IIフローサイトメーター上にロードし、そしてデータをBD FACSdivaソフトウェアを用いて分析した。

結果 フローサイトメトリー分析の結果は、抗LY75モノクローナル抗体が、細胞表面ヒトLY75に効果的に結合することを実証した。LY75発現細胞の細胞に対する抗LY75抗体の結合特異性を図1に示す。結果は、LY75発現細胞上のLY75に対するこれらの抗体の強い結合を示す。

例4:LY75-発現細胞による抗LY75モノクローナル抗体の内部移行。

抗LY75モノクローナル抗体は、LY75発現細胞の細胞への結合の際に内在化されることが示された。MabZAP抗体を一次抗体に結合させた。次に、MabZAP複合体は細胞によって内在化された。細胞へのサポリンの入口はタンパク質合成阻害および最終的な細胞死をもたらした。

次のようにMabZAPアッセイを行った。セルのそれぞれを、ウェルあたり5×103細胞の密度で播種した。抗LY75モノクローナル抗体またはアイソタイプコントロールヒトIgGを、連続的に希釈し、次いで細胞に添加した。その後MabZAPを50μg/mlの濃度で加え、プレートを48時間および72時間インキュベートした。プレートにおいて細胞生存率を、CellTiter-Glo(R)(セルタイター-グロ)Luminescent Cell Viability Assay(ルミネセント細胞生存率アッセイ)キット〔Promega(プロメガ)、G7571〕により検出し、そしてプレートを、Luminomitor(ルミノミター)〔Tuner BioSystems(チューナー・バイオシステムズ)、Sunnyvale(サニーベール)、CA〕によって490nmで読み取った。データは、Prism(プリズム)〔Graphpad(グラフパッド)〕によって分析した。

細胞死は抗LY75モノクローナル抗体の濃度に比例した。結果は、抗LY75が効率的にNamalwa(ナマルバ)(図2a)、RAJI(図2b)、HCC1143(乳管癌-ER陰性、PR陰性およびHer2陰性(図2c)、HCC1806〔breast acantholytic squamous cell carcinoma(胸部棘融解扁平上皮癌)〕-ER陰性、PR陰性およびHer2陰性)(図2d)、MDA-MB-468(図2e)、SW780〔Bladder transitional Carcinoma(膀胱移行癌)〕(図2f)、カト(Kato)III(胃腺癌)(図2g)、SCC-9(舌癌)(図2h)、AML-193(図2i)、THP-1(図2j)、RPMI 8226(多発性骨髄腫)(図2k)およびOE-19(図2l)細胞によって、抗ヒトIgGアイソタイプコントロール抗体と比較して内在化され、そしてMabZAP複合体の濃度に比例した(propotional to)ことを示す。

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