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炎症性腸疾患に関連する抗原

阅读:956发布:2024-02-15

专利汇可以提供炎症性腸疾患に関連する抗原专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且炎症 性腸疾患(IBD)を処置、診断、検出、および/もしくは画像化する方法において用いるため、ならびに/または特異的な結合メンバーにコンジュゲートしている分子のIBD組織への送達において用いるための、フィブロネクチンのED−Aアイソフォームに結合する特異的な結合メンバー。特異的な結合メンバーは、例えば、インターロイキン10などの免疫抑制性または抗炎症性の分子にコンジュゲートしていてよい。,下面是炎症性腸疾患に関連する抗原专利的具体信息内容。

クローン病(CD)または潰瘍性大腸炎(UC)のような炎症性腸疾患(IBD)を処置する方法において用いるための、フィブロネクチンのエキストラドメイン−A(ED−A)アイソフォームに結合する、特異的な結合メンバー。CDまたはUCのようなIBDを処置するための薬物を製造するための、フィブロネクチンのED−Aアイソフォームに結合する特異的な結合メンバーの使用。フィブロネクチンのED−Aアイソフォームに結合する特異的な結合メンバーを含む治療有効量の薬物を患者に投与することを含む、患者におけるIBDを処置する方法。特異的な結合メンバーはフィブロネクチンのED−Aに結合する、請求項1に記載の使用のための特異的な結合メンバー、請求項2に記載の使用、または請求項3に記載の方法。特異的な結合メンバーは、IL−10のような免疫抑制性または抗炎症性の分子にコンジュゲートしている、請求項1もしくは4に記載の使用のための特異的な結合メンバー、請求項2または4に記載の使用、または請求項3または4に記載の方法。特異的な結合メンバーは、切断可能なリンカーによって生理活性分子にコンジュゲートしている、請求項5に記載の使用のための特異的な結合メンバー、使用または方法。IBDを診断する方法において用いるための、フィブロネクチンのED−Aアイソフォームに結合する、特異的な結合メンバー。フィブロネクチンのED−Aに結合する、請求項7に記載の使用のための特異的な結合メンバー。検出可能な標識または放射性同位体にコンジュゲートしている、請求項7または8に記載の使用のための特異的な結合メンバー。特異的な結合メンバーにコンジュゲートしている分子の、IBD組織の新生脈管構造への送達において用いるための、フィブロネクチンのED−Aアイソフォームに結合する、特異的な結合メンバー。フィブロネクチンのED−Aに結合する、請求項10に記載の使用のための特異的な結合メンバー。分子は、IL−10のような免疫抑制性または抗炎症性の分子である、請求項10または11に記載の使用のための特異的な結合メンバー。特異的な結合メンバーは、フレームワークならびに1セットの相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含むVHドメインを含み、 HCDR1は配列番号1のアミノ酸配列を有し、 HCDR2は配列番号2のアミノ酸配列を有し、 HCDR3は配列番号3のアミノ酸配列を有し、 または、VHドメインは、相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3内に10個以下のアミノ酸置換を有する1セットの相補性決定領域を含む、 請求項1および4〜12のいずれか1項に記載の使用のための特異的な結合メンバー、請求項2に記載の使用、または請求項3に記載の方法。VHドメインフレームワークはヒト生殖系列フレームワークである、請求項13に記載の使用のための特異的な結合メンバー、使用または方法。VHドメインは配列番号7のアミノ酸配列を有する、請求項14に記載の使用のための特異的な結合メンバー、使用または方法。特異的な結合メンバーは、1セットの相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3、ならびにフレームワークを含むVLドメインをさらに含む、請求項13〜15のいずれか1項に記載の使用のための特異的な結合メンバー、使用または方法。LCDR1は配列番号4のアミノ酸配列を有し、 LCDR2は配列番号5のアミノ酸配列を有し、 LCDR3は配列番号6のアミノ酸配列を有し、 または、VLドメインは、相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3内に10個以下のアミノ酸置換を有する1セットの相補性決定領域を含む、 請求項16に記載の使用のための特異的な結合メンバー、使用または方法。VLドメインフレームワークはヒト生殖系列フレームワークである、請求項16または17に記載の使用のための特異的な結合メンバー、使用または方法。VLドメインは配列番号8のアミノ酸配列を有する、請求項18に記載の使用のための特異的な結合メンバー、使用または方法。特異的な結合メンバーは単鎖Fvを含む、請求項17〜19のいずれか1項に記載の使用のための特異的な結合メンバー、使用または方法。結合メンバーは小型免疫タンパク質(SIP)である、請求項20に記載の使用のための特異的な結合メンバー、使用または方法。IBDは潰瘍性大腸炎(UC)ではない、請求項1〜21のいずれか1項に記載の使用のための特異的な結合メンバー、使用または方法。IBDはコラーゲン性大腸炎である、請求項1〜22のいずれか1項に記載の使用のための特異的な結合メンバー、使用または方法。IBDはリンパ球性大腸炎である、請求項1〜23のいずれか1項に記載の使用のための特異的な結合メンバー、使用または方法。IBDは虚血性大腸炎である、請求項1〜24のいずれか1項に記載の使用のための特異的な結合メンバー、使用または方法。IBDは空置性大腸炎である、請求項1〜25のいずれか1項に記載の使用のための特異的な結合メンバー、使用または方法。IBDはベーチェット病である、請求項1〜26のいずれか1項に記載の使用のための特異的な結合メンバー、使用または方法。IBDは不確定の大腸炎である、請求項1〜27のいずれか1項に記載の使用のための特異的な結合メンバー、使用または方法。IBDはクローン病(CD)である、請求項1〜28のいずれか1項に記載の使用のための特異的な結合メンバー、使用または方法。配列番号13に示す配列を有する、IL−10にコンジュゲートしているフィブロネクチンのED−Aアイソフォームに結合する結合メンバーを含むコンジュゲート。

炎症性腸疾患(IBD)の処置のための薬物を製造するための抗体コンジュゲートの使用であって、ここで抗体コンジュゲートは、フィブロネクチンのエキストラドメイン−A(ED−A)に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、そして免疫抑制性または抗炎症性の分子にコンジュゲートしており、該抗体は、VHドメインおよびVLドメインを含み、ここで、 VHドメインは、配列番号7の重鎖CDR1、CDR2およびCDR3アミノ酸配列を含み;ならびに VLドメインは、配列番号8の軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3アミノ酸配列を含む、 上記使用。免疫抑制性または抗炎症性の分子を患者の炎症性腸疾患(IBD)の部位に送達するための薬物を製造するための抗体コンジュゲートの使用であって、ここで抗体コンジュゲートは、フィブロネクチンのエキストラドメイン−A(ED−A)に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、そして免疫抑制性または抗炎症性の分子にコンジュゲートしており、該抗体は、VHドメインおよびVLドメインを含み、ここで、 VHドメインは、配列番号7の重鎖CDR1、CDR2およびCDR3アミノ酸配列を含み;ならびに VLドメインは、配列番号8の軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3アミノ酸配列を含む、 上記使用。VHドメインおよび/またはVLドメインが、ヒト生殖系列フレームワークを含む、請求項1または2に記載の使用。VHドメインのヒト生殖系列フレームワークがヒトDP47遺伝子由来であり、および/または、VLドメインのヒト生殖系列フレームワークがヒトDPK22遺伝子由来である、請求項3に記載の使用。VHドメインが配列番号7のアミノ酸配列を含み、および、VLドメインが配列番号8のアミノ酸配列を含む、請求項1または2に記載の使用。抗体またはその抗原結合フラグメントが検出可能な標識とコンジュゲートしている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。検出可能な標識が放射性同位体である、請求項6に記載の使用。抗炎症性分子がサイトカインである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用。サイトカインがヒトインターロイキン−10(IL−10)である、請求項8に記載の使用。抗体またはその抗原結合フラグメントが、切断可能なリンカーによって、免疫抑制性または抗炎症性の分子にコンジュゲートしている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用。抗体またはその抗原結合フラグメントが、ペプチドリンカーを介して、免疫抑制性または抗炎症性の分子にコンジュゲートしている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用。ペプチドリンカーが15個のアミノ酸を含む、請求項11に記載の使用。ペプチドリンカーがアミノ酸残基(SSSSG)3(配列番号10)からなる、請求項12に記載の使用。抗体コンジュゲートが該抗体の抗原結合フラグメントを含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の使用。抗原結合フラグメントが小型免疫タンパク質(SIP)を含む、請求項14に記載の使用。抗原結合フラグメントが単鎖Fv(scFv)を含む、請求項14または15に記載の使用。scFvのVHドメインおよびVLドメインが互いにアミノ酸リンカーを介してコンジュゲートしている、請求項16に記載の使用。アミノ酸リンカーが5〜25個のアミノ酸を含む、請求項17に記載の使用。抗原結合フラグメントが、VHおよびVLドメインを含むポリペプチドを含むダイアボデイであり、ここでポリペプチドのVHおよびVLドメインは互いに1〜5個のアミノ酸を含むアミノ酸リンカーを介してコンジュゲートしている、請求項14または15に記載の使用。アミノ酸リンカーがアミノ酸残基GGSGG(配列番号9)からなる、請求項19に記載の使用。抗体コンジュゲートが、(i)ダイアボデイ、および(ii)アミノ酸残基(SSSSG)3(配列番号10)を含むペプチドリンカーを介して該ダイアボデイのVLドメイン にコンジュゲートしているヒトインターロイキン−10(IL−10)を含む、請求項20に記載の使用。抗体コンジュゲートが、(i)ダイアボデイ、および(ii)アミノ酸残基(SSSSG)3(配列番号10)からなるペプチドリンカーを介して該ダイアボデイのVLドメインにコンジュゲートしているヒトインターロイキン−10(IL−10)を含む、請求項20に記載の使用。炎症性腸疾患(IBD)の処置のための薬物を製造するための抗体コンジュゲートの使用であって、ここで抗体コンジュゲートは配列番号13のアミノ酸配列を含む、上記使用。炎症性腸疾患(IBD)の処置のための薬物を製造するための抗体コンジュゲートの使用であって、ここで抗体コンジュゲートは配列番号13のアミノ酸配列からなる、上記使用。ヒトIL−10を患者の炎症性腸疾患(IBD)の部位に送達するための薬物を製造するための抗体コンジュゲートの使用であって、ここで抗体コンジュゲートは配列番号13のアミノ酸配列を含む、上記使用。ヒトIL−10を患者の炎症性腸疾患(IBD)の部位に送達するための薬物を製造するための抗体コンジュゲートの使用であって、ここで抗体コンジュゲートは配列番号13のアミノ酸配列からなる、上記使用。炎症性腸疾患(IBD)が、潰瘍性大腸炎(UC)、コラーゲン性大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置性大腸炎、ベーチェット病、不確定の大腸炎およびクローン病(CD)のいずれかから選択される、請求項1〜26のいずれか1項に記載の使用。

说明书全文

本発明は、炎症性腸疾患(IBD)の処置および検出に関する。本発明は、フィブロネクチンのED−Aアイソフォームに結合する特異的な結合メンバー、特に、フィブロネクチンのドメインED−Aに結合する特異的な結合メンバーの使用を伴う。特異的な結合メンバーは、例えば、インターロイキン−10などの免疫抑制性または抗炎症性の分子にコンジュゲートしていてよい。

炎症性腸疾患(IBD)は、結腸および小腸に罹患する一群の炎症性状態である。IBDの主なタイプには、クローン病(CD)および潰瘍性大腸炎(UC)がある。IBDの病原性は、腸における慢性的な炎症状態に寄与し、炎症状態を永続化させる様々な血管新生の調節によって特徴付けられる(非特許文献1)。クローン病は消化管の任意の部分に罹患し得るが、潰瘍性大腸炎は結腸および直腸に限定されるのが典型的である(非特許文献2)。潰瘍性大腸炎の処置は、重症度に応じて、その症状を制御するための免疫抑制を必要とし得、処置は通常、抗炎症性の分子の投与を伴う。

IBDは、IFN−γ、IL−6、およびIL−12(例えば、IL−12p70)などの炎症促進性サイトカインの上方制御によって特徴付けられることが知られている。例えば、クローン病は、IL−12/IL−23およびIFN−γ/IL−17の過剰生成に関連することが知られている(非特許文献3)。活動性のクローン病の間にIL−12p70およびIL−23が合成されることも報告されている(非特許文献4)。

フィブロネクチン(FN)は糖タンパク質であり、様々な正常組織および体液において広く発現される。フィブロネクチンは細胞外マトリックス(ECM)の構成成分であり、細胞接着、細胞遊走、止血、血栓形成、創傷治癒、組織の分化、および癌化を含めた、多くの生物学的プロセスにおいて役割を果たす。

FNの様々なアイソフォームが、サイトカインおよび細胞外pHによって変調されるプロセスである、転写一次産物であるFNのpre−mRNAの3領域(ED−A、ED−B、IIICS)の選択的スプライシングによって産生される(非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7)。フィブロネクチンは、選択的スプライシングを経験し得る2つのIII型球状エキストラドメインであるED−AおよびED−Bを含んでいる(非特許文献8、非特許文献9)。マウスフィブロネクチンおよびヒトフィブロネクチンのED−Aは96.7%同一である(アミノ酸90個の配列2つの間でアミノ酸3個のみが異なる)。

フィブロネクチンのED−Aの発現は、乳癌における(非特許文献10、非特許文献11)、および肝臓癌における(非特許文献12、非特許文献13)、腫瘍細胞および固形腫瘍においてmRNAレベルで、ならびに線維肉腫、横紋筋肉腫、およびメラノーマにおいて単離されたタンパク質のレベルで(非特許文献14)報告されている。癌以外では、フィブロネクチンのED−Aの発現は、関節リウマチにおいて報告されている(特許文献1)。特許文献2はまた、子宮内膜症、乾癬、および乾癬性関節炎におけるフィブロネクチンのED−Aの発現を報告しているが、組織化学的分析により、多発性硬化症および潰瘍性大腸炎におけるED−Aの発現は非常に弱いものから実質的に存在しないものであることが明らかになった。Brenmoehlらによって報告された免疫組織化学分析は(非特許文献15)、CD患者の炎症を起こした腸管粘膜では、対照の粘膜に比べてED−A発現が低減し、潰瘍性大腸炎では増大することが示されている。非特許文献15はまた、CD患者の線維性の粘膜におけるED−AおよびED−Bのアイソフォームの発現の増大を報告している。ED−AおよびED−Bのアイソフォームは創傷治癒に関与することが知られているので、これらのフィブロネクチンアイソフォームは線維性の粘膜において発現することが予想される。非特許文献15において、対照の患者に由来する粘膜と比べてCD患者の炎症を起こした腸管粘膜におけるED−Aの発現が低下することから、ED−Aが(活動性の)CDの間に発現される示唆はない。IBDを処置または診断するための、フィブロネクチンのED−Aアイソフォームに結合する結合メンバーの使用は、この文書にも開示されていない。

インターロイキン−10(IL−10)は、免疫系の重要なレギュレーターとして機能する、抗炎症性サイトカインである。IL−10は免疫系において多くの様々な役割を有することが知られているが、IL−10の主要な2つの活性には、マクロファージによるサイトカイン生成の阻害、およびT細胞活性化の間のマクロファージの付属機能の阻害が含まれる(非特許文献16)。これらの作用の効果により、IL−10は免疫系において主に抗炎症の役割を果たすようになる。IL−10は当初、サイトカイン合成阻害因子(CSIF)として知られており、このタンパク質の発見はこのタンパク質の生物学的活性に基づくものであった(非特許文献17)。IL−10はよく知られている抗炎症性の性質のため、IL−10治療はクローン病(CD)における潜在的な新たな抗炎症治療として導入された(非特許文献18、非特許文献19、非特許文献20)。

Asadullahら(非特許文献21)は、数々の炎症性疾患におけるインターロイキン−10療法の最新技術を再考するものである。Asadullahらは、慢性炎症性腸疾患を再考するにあたり、いくつかの大規模な多施設治験を行い、軽度/中等度または治療不応性のCDを有する患者、および全身投与による内視鏡的な術後発生を防ぐために回腸または回腸結腸の治療的切除を行った患者においてIL−10の複数の投与量を試験したことを報告している(非特許文献18;非特許文献19;非特許文献20)。このデータは、IL−10療法は安全であり、十分に認容されることを示す。しかし、IL−10処置は、プラセボ処置に比べて、著しく高い寛解率または臨床的改善をもたらさなかった。

全体的に見て、臨床結果は不満足であることが判明し、この治療戦略での期待外れに対するいくつかの説明が、HerfarthおよびScholmerich(非特許文献22)によって論じられた。

WO2009/056268

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したがって、多様なIBD状態の効果的な処置が必要とされている。

本発明者らは驚くべきことに、IL−10に融合した抗−EDA抗体は、(i)IBD疾患マウスにおいてin vivoで炎症を起こした結腸の部位に選択的に局在化し、(ii)IBD疾患マウスにおけるある種の炎症促進性サイトカイン、特に、インターフェロン−ガンマ、IL−6、およびIL−12p70の血清レベルを低減することができることを見出した。

Tilgら(Gut(2002年)、50巻、191〜195頁)は、クローン病患者を組換えヒトIL−10で処置するとインターフェロン−ガンマを誘発することを報告しているため、IL−10に融合した抗−EDA抗体の投与による炎症促進性サイトカインの下方制御は特に驚くべきことであった。Shibataら(J.Immunol.、(1998年)161巻、4283〜4288頁)も、IL−10はNK細胞のINF−ガンマ生成を増強するが、IFN−ガンマ誘導性因子のマクロファージ生成は阻害すると報告している。

したがって、第1の態様において、本発明は、IBDの処置の方法において用いるための、フィブロネクチン(A−FN)のエキストラドメイン−A(ED−A)アイソフォームに結合する、特異的な結合メンバー、例えば抗体分子を提供する。本発明は、IBDを処置するための薬物を製造するための、フィブロネクチンのエキストラドメイン−A(ED−A)アイソフォームに結合する特異的な結合メンバー、例えば抗体分子の使用も提供する。本発明は、フィブロネクチンのED−Aアイソフォームに結合する特異的な結合メンバーを含む治療有効量の薬物を患者に投与することを含む、患者におけるIBDを処置する方法も提供する。特異的な結合メンバーが、ヒトフィブロネクチンのED−Aアイソフォームに結合するのが好ましい。

本発明のこの第1の態様において用いるための特異的な結合メンバー、例えば抗体分子は、フィブロネクチンのED−Aに結合し得る。

本発明のこの第1の態様において用いるための特異的な結合メンバー、例えば抗体分子は、免疫抑制性または抗炎症性の活性を有する分子、検出可能な標識、放射性同位体、または生理活性分子、例えば、サイトカイン、ホルモン、治療用放射性同位体、細胞毒性薬物にコンジュゲートしていてよい。特異的な結合メンバーは、切断可能なリンカーによって生理活性分子にコンジュゲートしていてよい。

好ましい一実施形態において、特異的な結合メンバー、例えば抗体分子は、免疫抑制性または抗炎症性の活性を有する分子、例えばIL−10にコンジュゲートしている。

本明細書で言及するIBDは、活動性のIBDであってよい。特に、IBDはクローン病(CD)、潰瘍性大腸炎(UC)、コラーゲン性大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置性大腸炎、ベーチェット病、または不確定の大腸炎であってよい。IBDは、CDまたはUCであってよい。IBDは、CD、コラーゲン性大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置性大腸炎、ベーチェット病、または不確定の大腸炎であってよい。一実施形態において、IBDはUCではない。IBDは、典型的に、結腸および直腸における炎症に制限されないIBD、例えばCDであってよい。IBDは結腸の内壁(lining)のみに罹患しないIBDであってよい。IBDがCDであるのが好ましい。本明細書で用いられる、CD、UC、コラーゲン性大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置性大腸炎、ベーチェット病、および不確定の大腸炎の語は、それぞれ、活動性のCD、活動性のUC、活動性のコラーゲン性大腸炎、活動性のリンパ球性大腸炎、活動性の虚血性大腸炎、活動性の空置性大腸炎、活動性のベーチェット病、および活動性の不確定の大腸炎を指し得る。

第2の態様において、本発明は、特異的な結合メンバーにコンジュゲートしている分子のIBD組織への送達において用いるための、フィブロネクチンのED−Aアイソフォームに結合する、特異的な結合メンバー、例えば抗体分子を提供する。本発明は、特異的な結合メンバーにコンジュゲートしている分子をIBD組織に送達するための薬物を製造するための、フィブロネクチンのED−Aアイソフォームに結合する、特異的な結合メンバー、例えば抗体分子の使用も提供する。本発明は、ヒトまたは動物におけるIBD組織に分子を送達する方法も提供し、分子は、フィブロネクチンのED−Aアイソフォームに結合する特異的な結合メンバーにコンジュゲートしてコンジュゲートを形成し、方法はコンジュゲートをヒトまたは動物に投与することを含む。特異的な結合メンバーが、ヒトフィブロネクチンのED−Aアイソフォームに結合するのが好ましい。

本発明のこの第2の態様において用いるための特異的な結合メンバー、例えば抗体分子は、フィブロネクチンのED−Aに結合し得る。

本発明のこの第2の態様において用いるための特異的な結合メンバー、例えば抗体分子は、検出可能な標識、放射性同位体、または生理活性分子、例えば、サイトカイン、ホルモン、治療用放射性同位体、または細胞毒性薬物にコンジュゲートしていてよい。特異的な結合メンバーは、切断可能なリンカーによって生理活性分子にコンジュゲートしていてよい。

特異的な結合メンバー、例えば抗体分子が、IL−10にコンジュゲートしているのが好ましい。

第3の態様において、本発明は、IBDを診断する方法において用いるための、フィブロネクチンのED−Aアイソフォームに結合する、特異的な結合メンバー、例えば抗体分子を提供する。本発明は、IBDを診断するための診断用生成物を製造するための、フィブロネクチンのED−Aアイソフォームに結合する特異的な結合メンバーの使用も提供する。本発明は、ヒトまたは動物におけるIBDを検出または診断する方法も提供し、方法は、 (a)ヒトまたは動物に、フィブロネクチンのED−Aドメインに結合する特異的な結合メンバーを投与する工程と、 (b)ヒトまたは動物の身体のIBDの部位における特異的な結合メンバーの存在または非存在を決定する工程と を含み、 特異的な結合メンバーのIBDの部位への局在によりIBDの存在が示される。

特異的な結合メンバーがヒトフィブロネクチンのED−Aアイソフォームに結合するのが好ましい。

本発明のこの第3の態様において用いるための、特異的な結合メンバー、例えば抗体分子は、フィブロネクチンのED−Aに結合し得る。

本発明のこの第3の態様において用いるための、特異的な結合メンバー、例えば抗体分子は、検出可能な標識、または放射性同位体にコンジュゲートしていてよい。

第4の態様において、本発明は、IBD組織を画像化する方法において用いるための、フィブロネクチンのED−Aアイソフォームに結合する特異的な結合メンバーを提供する。本発明は、IBD組織を画像化するための画像化剤を製造するための、フィブロネクチンのED−Aアイソフォームに結合する特異的な結合メンバーの使用も提供する。本発明は、ヒトまたは動物におけるIBD組織を検出または画像化する方法も提供し、方法は、 (a)ヒトまたは動物に、フィブロネクチンのED−Aドメインに結合する特異的な結合メンバーを投与する工程と、 (b)ヒトまたは動物の身体のIBD組織に対する特異的な結合メンバーの結合を検出する工程と を含む。

特異的な結合メンバーがヒトフィブロネクチンのED−Aアイソフォームに結合するのが好ましい。

本発明のこの第4の態様において用いるための特異的な結合メンバー、例えば抗体分子は、フィブロネクチンのED−Aに結合し得る。

本発明のこの第4の態様において用いるための特異的な結合メンバー、例えば抗体分子は、検出可能な標識、または放射性同位体にコンジュゲートしていてよい。

第5の態様において、本発明は、IL−10にコンジュゲートしている、フィブロネクチンのED−Aアイソフォーム、例えばED−Aに結合する結合メンバーを含むコンジュゲートを提供し、コンジュゲートは配列番号13に示す配列を有する。このコンジュゲートを、本明細書ではF8−IL10と呼ぶ。このコンジュゲートのVHドメインとVLドメインとは、アミノ酸5個のリンカーによって連結されており(図1Bを参照されたい)、コンジュゲートは、溶液中で非共有結合性のホモ二量体を形成することが予想される。

本発明において用いるための特異的な結合メンバーは、フィブロネクチンのED−Aアイソフォームに結合する抗体分子、および/またはフィブロネクチンのED−Aであってよく、抗体は、本明細書に記載するF8抗体の相補性決定領域(CDR)を1つまたはそれ以上含む。これらの配列を以下に提供する(配列番号1〜6を参照されたい)。F8抗体のCDR配列も図1に示す。

本発明において用いるための特異的な結合メンバーは、本発明に記載する1つまたはそれ以上のCDR、例えばCDR3、ならびに場合により、1セットのCDRを形成するためのCDR1およびCDR2も含むことができる。

本発明において用いるための特異的な結合メンバーが、抗体のCDRのHおよび/またはLの1セットを含むのが好ましく、本明細書に記載するF8抗体は、開示するCDRのセットのHおよび/またはL内に10個以下、例えば、1、2、3、4、または5個のアミノ酸置換を有する。

置換は、潜在的にCDRのセット内の任意の残基でなされてもよく、CDR1、CDR2、および/またはCDR3内であってもよい。

本発明において用いるための特異的な結合メンバーは、抗体分子、例えば、ヒト抗体分子を含むことができる。特異的な結合メンバーは、通常、抗体のVHおよび/またはVLドメインを含む。特異的な結合メンバーのVHドメインも、本発明において用いるために提供する。各VHおよびVLドメイン内に、相補性決定領域(「CDR」)、およびフレームワーク領域(「FR」)がある。VHドメインは1セットのHCDRを含み、VLドメインは1セットのLCDRを含む。抗体分子は、VHのCDR1、CDR2、およびCDR3、ならびにフレームワークを含む抗体のVHドメインを含むことができる。これは代替的に、またはやはり、VLのCDR1、CDR2、およびCDR3、ならびにフレームワークを含む抗体のVLドメインを含むことができる。本明細書に開示する、VHおよびVL配列、CDR配列、CDRのセット、およびHCDRのセット、およびLCDRのセットは全て、本発明において用いるための特異的な結合メンバーの実施形態を表す。本明細書に記載する、「CDRのセット」は、CDR1、CDR2、およびCDR3を含む。したがって、1セットのHCDRは、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を指し、1セットのLCDRは、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を指す。別段の記載がなければ、「CDRのセット」は、HCDRおよびLCDRを含む。

本発明において用いるための特異的な結合メンバーは、相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3、ならびにフレームワークを含む抗体のVHドメインを含むことができ、HCDR1は配列番号1であり、場合によりHCDR2は配列番号2であり、かつ/またはHCDR3は配列番号3である。

典型的に、VHドメインはVLドメインと対形成して抗体の抗原結合部位を提供するが、以下にさらに論じる通り、VHまたはVLドメインを単独で用いて抗原に結合させてもよい。このように、本発明において用いるための特異的な結合メンバーは、相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3、ならびにフレームワークを含む抗体のVLドメインをさらに含むことができ、LCDR1は配列番号4であり、場合によりLCDR2は配列番号5であり、かつ/またはLCDR3は配列番号6である。

本発明において用いるための特異的な結合メンバーがフィブロネクチンのED−Aに対する抗体分子を含むことができるのが好ましく、抗体分子はVHドメインおよびVLドメインを含み、VHドメインはフレームワークおよび1セットの相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、VLドメインは相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3、ならびにフレームワークを含み、 HCDR1は配列番号1のアミノ酸配列を有し、 HCDR2は配列番号2のアミノ酸配列を有し、 HCDR3は配列番号3のアミノ酸配列を有し、 LCDR1は配列番号4のアミノ酸配列を有し、 LCDR2は配列番号5のアミノ酸配列を有し、 LCDR3は配列番号6のアミノ酸配列を有する。

抗体の1つもしくはそれ以上のCDRまたは1セットのCDRを、本発明において用いるための抗体分子を提供するために、フレームワーク(例えば、ヒトフレームワーク)にグラフトしてもよい。フレームワーク領域は、ヒト生殖系列遺伝子セグメント配列を含むことができる。このように、フレームワークは、生殖系列化されていてよく、それによってフレームワーク内の1つまたはそれ以上の残基が、最も類似するヒト生殖系列フレームワークにおける等価な位置の残基に適合するように変更される。本発明において用いるための特異的な結合メンバーは、DP47など、ヒト生殖系列フレームワークに1セットのHCDRを含むVHドメインを有する、単離された抗体分子であってよい。通常、特異的な結合メンバーはまた、ヒト生殖系列フレームワークなどに、1セットのLCDRを含むVLドメインを有する。VLドメインのヒト生殖系列フレームワークはDPK22であってよい。

本発明において用いるためのVHドメインが、F8抗体のVHドメインである、配列番号7のアミノ酸配列を有し得るのが好ましい。本発明において用いるためのVLドメインが、野生型F8抗体のVLドメインである、配列番号8のアミノ酸配列を有し得るのが好ましい。

本発明において用いるための特異的な結合メンバーは、ペプチドのリンカーによって接続されているVHドメインおよびVLドメインを含む、単鎖Fv(scFv)であってよく、または単鎖Fvを含むことができる。当業者であれば、好適な長さおよび配列の、例えば、アミノ酸の長さ少なくとも5または少なくとも10個、アミノ酸の長さ最大約15個、最大約20個、または最大約25個である、リンカーを選択することができる。リンカーは、アミノ酸配列GGSGG(配列番号9)を有することができる。

特異的な結合メンバーは、遺伝子融合によって構築される、多価または多特異性のフラグメントである、ダイアボディであってよい(WO94/13804;Holligerら(1993年a)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90巻、6444〜6448頁)。

特異的な結合メンバーが、溶液中で(安定な)非共有結合性のホモ二量体を形成するscFvであるのが好ましい。例えば、本明細書に記載するF8抗体およびF8−IL10コンジュゲートは両方とも、溶液中で(安定な)非共有結合性のホモ二量体を形成することが予想されるscFvを含む。

単鎖Fv(scFv)は、例えば、(Liら、(1997年)、Protein Engineering、10巻、731〜736頁)に記載される、ミニ免疫グロブリンまたは小型免疫タンパク質(small immunoprotein)(SIP)からなっていてもよい。SIPは、ヒトIgE分泌型アイソフォームであるIgE−S2のCH4ドメインに融合しているscFv分子を含み(εS2−CH4;Batistaら、(1996年)、J.Exp.Med.、184巻、2197〜205頁)、ホモ二量体のミニ免疫グロブリン抗体分子を形成することができる。

あるいは、本発明において用いるための特異的な結合メンバーは、通常1つまたはそれ以上のCDRによって提供される、非抗体分子内の抗原結合部位、例えば、非抗体タンパク質骨格における1セットのCDRを含むことができる。非抗体および抗体の分子を含めた特異的な結合メンバーは、本明細書の他所により詳しく記載されている。

本発明において用いるための特異的な結合メンバーは、配列番号7に示すF8抗体のVHドメイン、および/または配列番号8に示すF8抗体のVLドメインを含む抗体分子であってよい。本発明において用いるための特異的な結合メンバーは、配列番号11に示す配列を含む抗体分子であってよい。本発明のIL−10にコンジュゲートしている特異的な結合メンバーは、配列番号13に示す配列を含むことができる。

本発明において用いるための特異的な結合メンバーはまた、抗ED−A抗体のH1、B2、C5、D5、E5、C8、F1、B7、E8、もしくはG9のCDR、もしくはこれらのバリアント、または抗ED−A抗体のH1、B2、C5、D5、E5、C8、F1、B7、E8、もしくはG9、もしくはこれらのバリアントのVHおよび/またはVLドメインの1つまたはそれ以上、例えば6個全てを含むことができる。これらの抗体のCDR配列、ならびにVHおよびVLドメイン配列は、WO2010/078950に開示されている。

本発明において用いるのに適するバリアントは、本明細書に記載するF8抗体のVHドメインおよびVLドメインを含む、抗体の抗原結合部位を含み、配列番号7として示すVHドメインの5位のロイシン(L)残基がバリン(V)で置換されており、かつ/または配列番号8として示すVLドメインの18位のアルギニン(R)残基がリジン(K)で置換されている。

本発明のこれらおよび他の態様を以下にさらに詳しく記載する。

抗ED−A F8抗体の重鎖(VH)(配列番号7)のアミノ酸配列を示す図である。抗ED−A F8抗体の重鎖CDR1のアミノ酸配列(配列番号1)に下線を付す。抗ED−A F8抗体の重鎖CDR2のアミノ酸配列(配列番号2)をイタリックで示し、下線を付す。抗ED−A F8抗体の重鎖CDR3のアミノ酸配列(配列番号3)を太字で示し、下線を付す。

VHとVLドメインとの間の抗ED−A F8抗体リンカー配列のアミノ酸配列を示す図である(配列番号9)。

抗ED−A F8抗体の軽鎖(VL)のアミノ酸配列を示す図である(配列番号8)。抗ED−A F8抗体の軽鎖CDR1のアミノ酸配列(配列番号4)に下線を付す。抗ED−A F8抗体の軽鎖CDR2のアミノ酸配列(配列番号5)をイタリックで示し、下線を付す。抗ED−A F8抗体の軽鎖CDR3のアミノ酸配列(配列番号6)を太字で示し、下線を付す。

抗体をIL−10にコンジュゲートさせた場合のF8抗体とIL−10との間のリンカーのアミノ酸配列を示す図である。

ヒトIL−10のアミノ酸配列を示す図である。

IBDおよび健常マウスからの結腸のオートラジオグラフィーの結果を示す図である。結腸を収集し、リン光体−イメージングスクリーン(Molecular Dynamics)に24時間、およびStorm 860によるイメージングに曝露した。レーン1:注射6時間後に0群(健常マウス)から収集した結腸;レーン2:注射6時間後に2群(IBDマウス)から収集した結腸;レーン3:注射24時間後に0群(健常マウス)から収集した結腸;レーン4:注射24時間後に2群(IBDマウス)から収集した結腸。

健常または疾患マウスにおける

125I−F8−IL10の体内分布を示す図である。チャートは、(A)注射後6時間、(B)注射後24時間、および(C)注射後96時間の、健常および疾患マウスにおける

125I−F8−IL10の体内分布を示す。96時間では、疾患マウスの結腸および腸間膜リンパ節(L.N.)における

125I−F8−IL10の優先的な蓄積が、健常マウスに比べて明白である。これらの実験に用いたF8−IL10コンジュゲートの配列を、配列番号13に示す。

F8−IL10で処置したマウスにおけるサイトカインレベルを示す図である。上のチャートは、健常マウス()、処置を受けなかった疾患マウス(3%DSS)、小型免疫タンパク質のフォーマットのF8抗体を投与した疾患マウス(F8 SIP)、F8−IL10を投与した疾患マウス(F8−IL10)の、血清中のサイトカインレベルを表す。報告するサイトカインレベル(血清1mlあたりのタンパク質のpgとして表す)は:インターロイキン1β、(IL1−b)、インターロイキン12(IL−12p70)、インターフェロンγ(IFNγ)、およびインターロイキン6(IL6)である。

F8−IL10で処置したマウスにおけるサイトカインレベルを示す図である。上のチャートは、健常マウス(水)、処置を受けなかった疾患マウス(3%DSS)、小型免疫タンパク質のフォーマットにおけるF8抗体を投与した疾患マウス(F8SIP)、F8−IL10を投与した疾患マウス(F8−IL10)の、血清中サイトカインレベルを表す。報告するサイトカインレベル(そのレベルを血清1mlあたりのタンパク質のpgとして表す)は:ケラチノサイト由来ケモカイン(KC)、インターロイキン10(IL10)、および腫瘍壊死因子アルファ(TNFa)である。

SIPフォーマットにおけるF8抗体、およびフォンウィルブランド因子でプロービングした、潰瘍性大腸炎およびクローン病に罹患している患者からの結腸組織の検体の組織化学的分析を示す図である。F8抗体およびフォンウィルブランド因子で観察される染色パターンは、F8は、潰瘍性大腸炎およびクローン病に罹患している患者において、新たに形成された血管を染色するが、正常な血管は染色しないことを示す(フォンウィルブランド因子は、正常の脈管形成のマーカーとしてルーチンで用いられる)。

潰瘍性大腸炎およびクローン病に罹患している患者の結腸組織(右)、ならびに罹患していない結腸(左)の検体の組織化学的分析を示す図である。F8抗体で観察される染色パターンは、F8染色は、罹患している結腸における新たに形成される血管を、より強に染色することを示す。

用語 フィブロネクチン フィブロネクチンは、選択的スプライシングに供される抗原であり、本明細書の他所に記載する通り、数々の代替的なフィブロネクチンのアイソフォームが知られている。エキストラドメイン−A(EDAまたはED−A)も、ED、エキストラタイプIIIリピートA(EIIIA)、またはEDIとして知られている。ヒトED−Aの配列は、Kornblihttら(1984年)、Nucleic Acids Res.、12巻、5853〜5868頁、およびPaolellaら(1988年)、Nucleic Acids Res.、16巻、3545〜3557頁によって公表されている。ヒトED−Aの配列はまた、受諾番号P02751の下に寄託されているアミノ酸配列のアミノ酸1631〜1720(フィブロネクチンIII型12;エキストラドメイン2)として、SwissProtデータベース上で入手できる。マウスED−Aの配列は、受諾番号P11276の下に寄託されているアミノ酸配列のアミノ酸1721〜1810(フィブロネクチンIII型13;エキストラドメイン2)として、SwissProtデータベース上で入手できる。

フィブロネクチンのED−Aアイソフォーム(A−FN)はエキストラドメイン−A(ED−A)を含む。ヒトA−FNの配列は、受諾番号P02751の下にSwissProtデータベース上で入手できる、対応するヒトフィブロネクチン前駆体配列から推定することができる。マウスA−FNの配列は、受諾番号P11276の下にSwissProtデータベース上で入手できる、対応するマウスフィブロネクチン前駆体配列から推定することができる。A−FNは、フィブロネクチンのヒトED−Aアイソフォームであってよい。ED−Aは、ヒトフィブロネクチンのエキストラドメイン−Aであってよい。

ED−Aは、選択的スプライシングによってフィブロネクチン(FN)中に挿入され、FNのドメイン11と12との間に位置する、アミノ酸90個の配列である(Borsiら、1987年、J.Cell Biol.、104巻、595〜600頁)。ED−Aは、血漿型のFN中には主に非存在であるが、胚形成、組織のリモデリング、線維症、心臓移植、および固形腫瘍の増殖の間は大量にある。

選択的スプライシング 選択的スプライシングは、DNAの一次RNA転写物のスプライシングの様々なパターンが生じて様々なmRNAを生成することを指す。イントロンを切り出した後、選択により、mRNAを形成するのにどのエクソンが一緒にスプライシングされるかが決定され得る。選択的スプライシングにより、様々なエクソンおよび/または様々な数のエクソンを含む様々なアイソフォームの生成がもたらされる。例えば、1つのアイソフォームは、1つまたはそれ以上のエクソンに対応するさらなるアミノ酸配列を含むことができ、1つまたはそれ以上のエクソンは1つまたはそれ以上のドメインを含むことができる。

特異的な結合メンバー これは、相互に特異的に結合する1対の分子の1メンバーを記述するものである。特異的な結合対のメンバーは、天然由来でも、または全体的もしくは部分的に合成で生成されていてもよい。分子の対の1メンバーはその表面上、または孔上に、分子の対の他のメンバーの特定の空間および極性の組織化に結合し、ゆえに相補的である区域を有する。結合対のタイプの例として、抗原−抗体、ビオチン−アビジン、ホルモン−ホルモン受容体、受容体−リガンド、酵素−基質がある。本発明は、抗原−抗体タイプの反応に関する。

特異的な結合メンバーは、通常、抗原結合部位を有する分子を含む。例えば、特異的な結合メンバーは、抗原結合部位を含む抗体分子または非抗体タンパク質であってよい。特異的な結合メンバーは、本明細書に言及する通り、抗体分子であるのが好ましい。

抗原結合部位は、フィブロネクチンまたはチトクロームBなどの非抗体タンパク質骨格上の相補性決定領域(CDR)の配置によって(HaanおよびMaggos、(2004年)、BioCentury、12巻(5):A1〜A6頁;Koideら、(1998年)、Journal of Molecular Biology、284巻、1141〜1151頁;Nygrenら、(1997年)、Current Opinion in Structural Biology、7巻、463〜469頁)、または所望の標的に対する結合特異性を付与するタンパク質骨格内のループのアミノ酸残基をランダム化もしくは変異することによって提供することができる。タンパク質における新規な結合部位を操作するための骨格は、Nygrenら(1997年)(Current Opinion in Structural Biology、7巻、463〜469頁)によって詳しく概説されている。抗体ミミックに対するタンパク質骨格はWO/0034784に開示されており、WO/0034784の発明者らは、少なくとも1つのランダム化されたループを有するフィブロネクチンIII型ドメインを含むタンパク質(抗体ミミック)を記載している。1セットのHCDRなど、1つまたはそれ以上のCDRをその中にグラフトする適切な骨格は、免疫グロブリン遺伝子スーパーファミリーの任意のドメインメンバーによって提供され得る。骨格は、ヒトまたは非ヒトのタンパク質であってよい。非抗体タンパク質骨格の利点は、少なくともいくつかの抗体分子よりも小型であり、かつ/または製造が容易である骨格分子における抗原結合部位を提供し得ることである。小型サイズの結合メンバーは、細胞に侵入し、組織深部に浸透し、もしくは他の構造内の標的に到達する能力、または標的の抗原のタンパク質孔内に結合する能力などの、有用な生理学的性質を付与し得る。非抗体タンパク質骨格における抗原結合部位の使用は、Wess、2004年、BioCentury,The Bernstein Report on BioBusiness、12巻(42)、A1〜A7頁に概説されている。ループ(単数または複数)のアミノ酸配列を特異的に、またはランダムに変異させて標的の抗原に結合する抗原結合部位を創出する、安定なバックボーンおよび1つまたはそれ以上の可変のループを有するタンパク質が典型的である。このようなタンパク質には、黄色ブドウ球菌(S.aureus)からのプロテインAのIgG結合ドメイン、トランスフェリン、テトラネクチン、フィブロネクチン(例えば、第10フィブロネクチンIII型ドメイン)、およびリポカリンが含まれる。他の手法には、分子内ジスルフィド結合を有するシクロチド−小型タンパク質をベースとした、合成の「マイクロボディ(Microbodies)」(Selecore GmbH)が含まれる。

抗体の配列および/または抗原結合部位の他に、本発明において用いるための特異的な結合メンバーは、例えば、フォールディングされたドメインなどのペプチドまたはポリペプチドを形成する、または抗原に結合する能力に加えて別の機能的な特徴を分子に付与するための、他のアミノ酸を含むことができる。本発明において用いるための結合メンバーは検出可能な標識を保有していてよく、または免疫抑制性もしくは抗炎症性の効果を発揮する分子である毒素、もしくはターゲティングモイエティもしくは酵素にコンジュゲートしていてよい(例えば、ペプチド結合またはリンカーによって)。本発明において用いるための結合メンバーがインターロイキン10にコンジュゲートしているのが好ましい。

例えば、結合メンバーは、触媒部位(例えば、酵素ドメインにおける)、および抗原結合部位を含むことができ、抗原結合部位は抗原に結合し、ゆえに触媒部位の標的を抗原とする。触媒部位は、切断などによって、抗原の生物学的機能を阻害し得る。

しかし、注目される通り、CDRは非抗体の骨格によって輸送され得、CDRまたは1セットのCDRを輸送するための骨格は、抗体の重鎖もしくは軽鎖の配列、またはこれらの実質的な一部分であるのが一般的であり、これらの骨格では、CDRまたはCDRのセットは、再配列した免疫グロブリン遺伝子によってコードされる、天然に存在するVHおよびVLの抗体可変ドメインのCDRまたはCDRのセットに対応する位置に位置する。免疫グロブリンの可変ドメインの構造および位置は、Kabatら(1987年)(Sequences of Proteins of Immunological Interest.、第4版、US Department of Health and Human Services)、および現在インターネット上で入手できるこの最新版(immuno.bme.nwu.edu、または任意のサーチエンジンを用いて「Kabat」で見出される)を参考にして決定することができる。

CDR領域またはCDRとは、Kabatら(1987年)Sequences of Proteins of Immunological Interest、第4版、US Department of Health and Human Services(Kabatら、(1991年a)、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、US Department of Health and Human Services、Public Service、NIH、Washington、およびその後の版)によって規定される免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の超可変領域を意味するものとされる。抗体が、重鎖CDRを3個、および軽鎖CDRを3個含むのが典型的である。CDR(単数または複数)の語は、場合によって、抗体が認識する抗原またはエピトープに対する抗体の親和性によって結合を担うアミノ酸残基の大多数を含む領域の1つもしくはいくつか、または全てを示すために本明細書において用いられる。

6個の短いCDR配列の中で、重鎖の3番目のCDR(HCDR3)はより大きなサイズの可変性(本質的に、それを生じる遺伝子の配置のメカニズムによる、より大きな多様性)を有する。知られている最長のサイズはアミノ酸26個であるが、アミノ酸2個ほどに短くてもよい。機能的に、HCDR3は、抗体の特異性の決定において部分的に役割を果たす(Segalら、(1974年)、PNAS、71巻、4298〜4302頁;Amitら、(1986年)、Science、233巻、:747〜753頁;Chothiaら、(1987年)、J.Mol.Biol.、196巻、901〜917頁;Chothiaら、(1989年)、Nature、342巻、877〜883頁;Catonら、(1990年)、J.Immunol.、144巻、1965〜1968頁;Sharonら、(1990年a)、PNAS、87巻、4814〜4817頁;Sharonら、(1990年b)、J.Immunol.、144巻、4863〜4869頁;Kabatら、(1991年b)、J.Immunol.、147巻、1709〜1719頁)。

抗体分子 これは、天然でも、または部分的もしくは完全に合成で生成されたものでも、免疫グロブリンを記載するものである。この語は、抗体の抗原結合部位を含めた、任意のポリペプチドまたはタンパク質にも関する。本明細書において、本発明は天然の形態の抗体に関するものではなく、すなわち抗体は天然の環境におけるものではなく、天然の源から精製によって単離および入手することができ、またはそうでなければ遺伝的組換えによって、もしくは化学合成によって得ることができ、次いで、これらは後に記載する非天然のアミノ酸を含むことができることを理解されたい。抗体の抗原結合部位を含む抗体フラグメントには、それだけには限定されないが、Fab、Fab’、Fab’−SH、scFv、Fv、dAb、Fdなどの抗体分子、およびダイアボディが含まれる。

モノクローナル抗体および他の抗体を取り、組換えDNA技術の技法を用いて、標的の抗原に結合する他の抗体またはキメラ分子を生成することが可能である。このような技法は、免疫グロブリンの可変領域をコードするDNA、または抗体のCDRを、異なる免疫グロブリンの定常領域、または定常領域プラスフレームワーク領域に導入することを伴い得る。例えば、EP−A−184187、GB 2188638A、またはEP−A−239400、およびそれに続く文献の大方を参照されたい。ハイブリドーマ、または抗体を生成する他の細胞を、生成された抗体の結合特異性を変更し得、または変更し得ない、遺伝的変異または他の変更にかけてもよい。

抗体は数々の方法で改変され得るので、「抗体分子」の語は、必要とされる特異性および/または抗原に対する結合性を有する抗体の抗原結合部位を有する任意の結合性のメンバーまたは物質を網羅するものと解釈されたい。したがって、この語は、天然でも、または完全に、もしくは部分的に合成でも、抗体の抗原結合部位を含む任意のポリペプチドを含めた、抗体のフラグメントおよび誘導体を網羅するものである。別のポリペプチド(例えば、別の種に由来し、または別の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する)に融合している、抗体の抗原結合部位、または同等物を含めたキメラ分子がしたがって含まれる。キメラの抗体のクローニングおよび発現は、EP−A−0120694およびEP−A−0125023、ならびにそれに続く文献の大方に記載されている。

抗体の操作の技術分野に利用できるさらなる技法により、ヒトおよびヒト化の抗体を単離することが可能になっている。例えば、ヒトハイブリドーマは、KontermannおよびDubel(2001年)、S、Antibody Engineering、Springer−Verlag New York、LLC;ISBN:3540413545によって記載されている通りに作製することができる。結合メンバーを産生するのに確立されている別の技法であるファージディスプレイは、WO92/01047(以下に詳しく記載する)、および米国特許US5969108、US5565332、US5733743、US5858657、US5871907、US5872215、US5885793、US5962255、US6140471、US6172197、US6225447、US6291650、US6492160、US6521404、ならびにKontermannおよびDubel(2001年)、S,Antibody Engineering、Springer−Verlag New York、LLC;ISBN:3540413545など、多くの出版物に詳しく記載されている。マウスの抗体遺伝子を不活性化し、ヒトの抗体の遺伝子で機能的に置き換え、マウスの免疫系の他の構成成分はインタクトなままであるトランスジェニックマウスを、ヒトの抗体を単離するのに用いることができる(Mendezら、(1997年)、Nature Genet、15巻(2):146〜156頁)。

例えば、Knappikら(2000年)J.Mol.Biol.、296巻、57〜86頁またはKrebsら(2001年)Journal of Immunological Methods、254巻、67〜84頁によって記載されているように、合成の抗体分子を、適切な発現ベクター内で合成され、組み立てられたオリゴヌクレオチドによって産生された遺伝子から、発現によって創出してもよい。

全抗体のフラグメントは、結合性の抗原の機能を遂行することができることが示されている。結合性フラグメントの例として、(i)VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなるFabフラグメント;(ii)VHおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iii)単一の抗体のVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント;(iv)VHまたはVLドメインからなるdAbフラグメント(Wardら(1989年)Nature、341巻、544〜546頁;McCaffertyら、(1990年)Nature、348巻、552〜554頁;Holtら(2003)Trends in Biotechnology、21巻、484〜490頁);(v)単離されたCDR領域;(vi)連結された2個のFabフラグメントを含む2価のフラグメントである、F(ab’)2フラグメント;(vii)2つのドメインを会合させて抗原結合部位を形成するペプチドリンカーによってVHドメインとVLドメインとが連結されている、単鎖Fv分子(scFv)(Birdら(1988年)Science、242巻、423〜426頁;Hustonら(1988年)PNAS USA、85巻、5879〜5883頁);(viii)二重特異性単鎖Fv二量体(PCT/US92/09965)、お よび(ix)遺伝子融合によって構築される多価または多特異性のフラグメントである「ダイアボディ」(WO94/13804;Holligerら(1993年a)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90巻、6444〜6448頁)がある。Fv、scFv、またはダイアボディ分子は、VHとVLドメインとを連結するジスルフィド架橋を組み込むことによって安定化することができる(Reiterら(1996年)、Nature Biotech、14巻、1239〜1245頁)。CH3ドメインに接続しているscFvを含むミニボディも作製することができる(Huら(1996年)、Cancer Res.、56巻(13)、3055〜61頁)。結合性フラグメントの他の例にはFab’およびFab’−SHがあり、Fab’は、抗体のヒンジ領域からのシステインを1つまたはそれ以上含めた、重鎖CH1ドメインのカルボキシル末端に数個の残基を加えることによりFabフラグメントと異なり、Fab’−SHは、定常領域のシステイン残基(複数可)が遊離のチオール基を保有するFab’フラグメントである。

本発明において用いるための抗体フラグメントは、本明細書に記載する抗体分子のいずれか(例えば、VHおよび/もしくはVLドメイン、もしくは本明細書に記載する抗体のいずれかのCDRを含む抗体分子)から出発して、ペプシンもしくはパパインなどの酵素による消化などの方法によって、および/または化学的還元によるジスルフィド架橋の切断によって得ることができる。別の様式では、本発明の抗体フラグメントは、遺伝的組換えなどの当業者にはよく知られている技法によって、またはそうでなければApplied Biosystems社などによって供給されるものなどの自動ペプチド合成機などによるペプチド合成によって、または核酸の合成および発現によって得ることができる。

本発明による機能的な抗体フラグメントは、その半減期が化学修飾によって、特にPEG化によって、またはリポソーム中への組み込みによって増大する、任意の機能的なフラグメントを含む。

dAb(ドメイン抗体)は、抗体の、すなわち抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の、小型の単量体の抗原結合性フラグメントである(Holtら(2003年)Trends in Biotechnology、21巻、484〜490頁)。VH dAbは、ラクダ科動物(例えば、ラクダ、ラマ)に天然に存在し、ラクダ科動物を標的の抗原で免疫化し、抗原特異的なB細胞を単離し、個々のB細胞からdAb遺伝子を直接クローニングすることによって生成することができる。dAbは細胞培養物においても生成できる。dAbは、サイズが小型であり、溶解性が良く、温度安定性であるため、特に生理学的に有用で、選択およびアフィニティ成熟に適切となっている。本発明の結合メンバーは、本明細書に実質的に説明するVHもしくはVLドメイン、または本明細書に実質的に説明する1セットのCDRを含むVHもしくはVLドメインを含むdAbであってよい。

本明細書で用いられる、「実質的に説明する」の句は、本明細書に記載する結合メンバーのVHまたはVLドメインの関連のCDRの特徴(複数可)が、本明細書に配列を説明する特定の領域に同一であるか、または高度に類似することを指す。本明細書に記載する、1つまたはそれ以上の可変ドメインの特定の領域(複数可)に関して「高度に類似する」の句は、1個から約5個、例えば、1個から3個、または1個、または2個、または3個、または4個を含めた、1個から4個のアミノ酸置換が、CDRおよび/またはVHもしくはVLドメインにおいてなされ得ることを企図するものである。

二重特異性抗体または二機能性抗体は、2つの異なる可変領域が同じ分子において組み合わされている第2世代のモノクローナル抗体を形成する(HolligerおよびBohlen、1999年、Cancer and metastasis rev.、18巻、411〜419頁)。これらの使用は、これらが新たなエフェクター機能をリクルートし、または腫瘍細胞の表面上のいくつかの分子を標的化する能力から、診断分野および治療分野の両方で実証されている。二重特異性抗体を用いようとする場合、二重特異性抗体は、化学的に、もしくはハイブリッドのハイブリドーマから調製するなどの多様な方法で製造することができる従来の二重特異性抗体であってよく(Holligerら(1993年b)、Current Opinion Biotechnol、4巻、446〜449頁)、または上記に言及した二重特異性抗体のフラグメントのいずれかであってもよい。これらの抗体は化学的方法によって(Glennieら、(1987年)J.Immunol.、139巻、2367〜2375頁;Reppら、(1995年)J.Hemat.、377〜382頁)、または体細胞の方法によって(Staerz U.D.およびBevan M.J.(1986)PNAS、83巻;Sureshら(1986年)Method.Enzymol.、121巻、210〜228頁)、しかし同様に、ヘテロ二量体化を強制させ、したがって探求する抗体の精製プロセスを促進する遺伝子操作技法によって(Merchandら、1998年、Nature Biotech.、16巻、677〜681頁)得ることができる。二重特異性抗体の例には、特異性の異なる2つの抗体の結合ドメインを用いることができ、短い柔軟性のペプチドによって直接連結するBiTE(商標)技術のものが含まれる。これは2つの抗体を短い単一のポリペプチド鎖上で組み合わせるものである。ダイアボディおよびscFvは、Fc領域なしで、可変ドメインのみを用いて、抗イディオタイプ反応の効果を潜在的に低減して構築することができる。

二重特異性抗体は、IgG全体として、二重特異性Fab’2として、Fab’PEGとして、ダイアボディとして、またはそうでなければ二重特異性scFvとして構築することができる。さらに、2つの二重特異性抗体を、当技術分野において知られているルーチンの方法を用いて連結して4価の抗体を形成することができる。

二重特異性の全抗体に対立するものとして、二重特異性ダイアボディも、容易に構築し、大腸菌(E.coli)で発現させることができるので、とりわけ有用であり得る。好適な結合特異性のダイアボディ(および、抗体フラグメントなどの他の多くのポリペプチド)は、ライブラリーからファージディスプレイ(WO94/13804)を用いて容易に選択することができる。ダイアボディの1本のアームを、標的の抗原に対して向けられる特異性などと一定に維持しようとする場合、他方のアームを変化させ、好適な特異性の抗体を選択するライブラリーを作製することができる。二重特異性な全抗体は、Ridgewayら(1996年)、Protein Eng.、9巻、616〜621頁に記載される代替的な操作方法によって作製することができる。

標的の抗原に対する抗体を得るために、当技術分野において多様な方法が利用できる。抗体は、特に、ヒトの、マウスの、キメラの、またはヒト化起源のモノクローナル抗体であってよく、これらは、当業者にはよく知られている標準方法に従って得ることができる。

一般的に、特にマウス起源の、モノクローナル抗体またはその機能的なフラグメントを調製するには、特に、マニュアルである「Antibodies」(HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor N.Y.、726頁、1988年)に記載されている技法に、またはKohlerおよびMilstein、1975年、Nature、256巻、495〜497頁によって記載されているハイブリドーマから調製する技法に言及することができる。

モノクローナル抗体は、例えば、A−FNに対して免疫化した動物細胞から、または前記モノクローナル抗体によって認識されるエピトープを含むそのフラグメントの1つ、例えば、ED−Aを含み、もしくはED−Aからなるフラグメント、またはED−Aのペプチドフラグメントから得ることができる。A−FN、またはこれらのフラグメントの1つは、特に、通常の作業方法に従って、A−FNまたはそのフラグメントをコードするcDNA配列に含まれている核酸配列で出発する遺伝的組換えによって、A−FNおよび/またはそのフラグメントのペプチド配列に含まれているアミノ酸の配列から出発するペプチド合成によって生成することができる。

モノクローナル抗体は、例えば、A−FN、または前記モノクローナル抗体によって認識されるエピトープを含むA−FNのフラグメントの1つ、例えば、ED−Aを含みもしくはED−Aからなるフラグメント、またはED−Aのペプチドフラグメントをカラム上に予め固定化した、アフィニティカラム上で精製することができる。モノクローナル抗体は、プロテインAおよび/またはG上のクロマトグラフィーによって精製することができ、その後に残留のタンパク質の不純物、ならびにDNAおよびLPSそれ自体を除去する目的のイオン交換クロマトグラフィーが続き、または続かず、その後に二量体または他の多量体の存在による潜在的な凝集物を除去するためにセファロースゲル上の排除クロマトグラフィーが続き、または続かない。これらの技法全てを同時に、または引き続き用いることができる。

抗原結合部位 これは、標的の抗原の全てまたは部分に結合し、相補的である分子の部分を記載するものである。抗体分子では、これは抗体の抗原結合部位と呼ばれ、標的の抗原の全てまたは部分に結合し、相補的である抗体の部分を含む。抗原が大型である場合、抗体は抗原の特定の部分にのみ結合し得、この部分をエピトープと呼ぶ。抗体の抗原結合部位は、1つまたはそれ以上の抗体の可変ドメインによって提供され得る。抗体の抗原結合部位は、抗体の軽鎖可変領域(VL)および抗体の重鎖可変領域(VH)を含むことができる。

単離された これは、本発明において用いるための特異的な結合メンバー、またはこのような特異的な結合メンバーをコードする核酸が、概ね本発明にしたがう状態を述べることを指す。このように、特異的な結合メンバーである、本発明のVHおよび/またはVLドメインは、例えば、これらの天然の環境から、実質的に純粋な、もしくは均一な、または核酸の場合は、必要とされる機能を有するポリペプチドをコードする配列以外を起源とする核酸もしくは遺伝子がない、もしくは実質的にない形態において、単離および/または精製されて提供され得る。単離されたメンバーおよび単離された核酸は、天然の環境において、またはこのような調製がin vitroまたはin vivoで行われる組換えDNA技術による場合は、これらが調製される環境(例えば、細胞培養物)において、これらが一緒に見出される他のポリペプチドまたは核酸など、これらが天然に関連する物質がなく、または実質的にない。特異的な結合メンバーおよび核酸は、希釈剤またはアジュバントと調合し、さらに実際的な目的で単離することができ、例えば、メンバーは通常、免疫アッセイで用いるためのマイクロタイタープレートをコーティングするのに用いる場合はゼラチンもしくは他の担体と混合され、または診断もしくは治療において用いる場合は薬学的に許容される担体もしくは希釈剤と混合される。特異的な結合メンバーは、天然に、もしくは異種性の真核細胞(例えば、CHOもしくはNS0(ECACC 85110503))細胞の系によってグリコシル化されていてよく、またはこれらは(例えば、原核細胞における発現によって生成される場合は)非グリコシル化であってよい。

抗体分子を含む異種性の調製物を、本発明において用いることができる。例えば、このような調製物は、多様な程度のグリコシル化を有する、および/または誘導体化されたアミノ酸を有する、例えば、ピログルタミン酸残基を形成するためのN−末端のグルタミン酸の環化を有する、全長の重鎖とC末端のリジンを欠く重鎖との抗体の混合物であってよい。

抗原、例えば、A−FN、フィブロネクチンのED−Aに対する1つまたはそれ以上の特異的な結合メンバーは、本発明による特異的な結合メンバー、および抗原またはそのフラグメント、例えば、ED−Aを含みもしくはED−Aからなるフラグメント、またはED−Aのペプチドフラグメントのライブラリーと接触させ、抗原に結合することができるライブラリーの1つまたはそれ以上の特異的な結合メンバーを選択することによって得ることができる。

抗体のライブラリーを、反復性コロニーフィルタースクリーニング(Iterative Colony Filter Screening)(ICFS)を用いてスクリーニングしてもよい。ICFSでは、いくつかの結合特異性をコードするDNAを含むバクテリアを液体培地中で増殖させ、指数関数的な増殖の段階に到達したら、これらの数十億個を、適切に前処理したメンブレンフィルターからなる増殖支持体上に分配し、これを完全にコンフルエントな細菌のコロニーが出現するまでインキュベートする。第2の捕捉基質は、予め加湿し、所望の抗原で覆われた別のメンブレンフィルターからなる。

次いで、捕捉メンブレンフィルターを、適切な培養培地を含むプレート上に配置し、増殖フィルターで覆い、細菌のコロニーで覆われた表面が上方を指す。このようにして得たサンドイッチを室温で約16時間インキュベートする。このようにして、拡散性の作用を有する抗体フラグメントscFvをコードする遺伝子の発現を得ることができ、その結果、捕捉メンブレン上に存在する抗原と特異的に結合するフラグメントが捕捉される。次いで、捕捉メンブレンを処理すると、この目的で通常用いられる比色分析技法で、結合した抗体フラグメントのscFvが指摘される。

捕捉フィルター上の着色したスポットの位置により、増殖メンブレン上に存在し、捕捉された抗体フラグメントを生成する対応する細菌コロニーに立ち返ることができる。このようなコロニーを収集し、細菌を増殖させ(これら数十億個が新たな培養メンブレン上に分配されている)、上記に記載した手順を繰り返す。次いで、選択に用いた抗原に対して向けられるモノクローナル抗体のフラグメントの潜在的な供給源を各々が表す、単一の陽性のコロニーに相当する捕捉メンブレン上に陽性のシグナルが得られるまで、類似のサイクルを行う。ICFSは、WO0246455などに記載されている。

ライブラリーは、粒子または分子の複合体上に、例えば、バクテリオファージ(例えば、T7)粒子などの複製可能な遺伝子パッケージ、または他のin vitroのディスプレイ系にディスプレイされ、抗体のVH可変ドメインをコードする核酸を含む各粒子もしくは分子の複合体がその上にディスプレイされ、および場合により、存在する場合にはVLドメインもディスプレイされ得る。ファージディスプレイは、WO92/01047、ならびに例えば、米国特許US5969108、US5565332、US5733743、US5858657、US5871907、US5872215、US5885793、US5962255、US6140471、US6172197、US6225447、US6291650、US6492160、およびUS6521404に記載されている。

抗原に結合することができ、バクテリオファージまたは他のライブラリー粒子または分子複合体上にディスプレイされる結合メンバーを選択した後、核酸を、前記選択された結合メンバーをディスプレイするバクテリオファージまたは他の粒子もしくは分子複合体から取ってもよい。このような核酸は、引き続き結合メンバーまたは抗体のVHもしくはVL可変ドメインの生成において、前記選択された結合メンバーをディスプレイするバクテリオファージまたは他の粒子もしくは分子複合体から取った核酸の配列を有する核酸から発現させることにより、用いることができる。

前記選択された結合メンバーの抗体のVH可変ドメインのアミノ酸配列を有する、抗体のVH可変ドメインは、このようなVHドメインを含む結合メンバーと同様に、単離された形態において提供され得る。

A−FN、またはフィブロネクチンのED−A、または他の標的の抗原もしくはアイソフォームに結合する能力を、例えば、抗ED−A抗体F8と、A−FNまたはA−FNのフラグメント、例えば、フィブロネクチンのED−Aに対する結合に対して競合する能力を、さらに試験することができる。

本発明において用いるための特異的な結合メンバーは、A−FNおよび/またはフィブロネクチンのED−Aに特異的に結合し得る。本発明の特異的な結合メンバーは、A−FNおよび/またはフィブロネクチンのED−Aに、抗ED−A抗体F8と同じ親和性で(例えば、scFvフォーマットにおいて)、またはそれより良好な親和性で結合し得る。本発明において用いるための特異的な結合メンバーは、A−FNおよび/またはフィブロネクチンのED−Aに、3×10−8MのKDで、またはそれより良好な親和性で結合し得る。本発明において用いるための特異的な結合メンバーが、A−FNおよび/またはフィブロネクチンのED−Aに、2×10−8MのKDで、またはそれより良好な親和性で結合するのが好ましい。本発明において用いるための特異的な結合メンバーが、A−FNおよび/またはフィブロネクチンのED−Aに、1.7×10−8MのKDで、またはそれより良好な親和性で結合するのがより好ましい。本発明において用いるための特異的な結合メンバーが、A−FNおよび/またはフィブロネクチンのED−Aに、1.4×10−8MのKDで、またはそれより良好な親和性で結合するのがさらにより好ましい。本発明において用いるための特異的な結合メンバーが、A−FNおよび/またはフィブロネクチンのED−Aに、3×10−9MのKDで、またはそれより良好な親和性で結合するのが最も好ましい。

本発明の特異的な結合メンバーは、A−FNおよび/またはフィブロネクチン抗ED−A抗体F8のED−A上の同じエピトープに結合し得る。

本発明において用いるための特異的な結合メンバーは、A−FNおよび/またはフィブロネクチンのED−A以外の分子に対していかなる重大な結合を示し得ない。特に、特異的な結合メンバーは、フィブロネクチンの他のアイソフォーム、例えば、フィブロネクチンのED−Bアイソフォームおよび/またはIIICSアイソフォームに結合し得ない。

本明細書に開示する抗体分子のバリアントを生成し、本発明において用いることができる。CDR、抗体のVHまたはVLドメイン、特にVHおよびVLドメインのフレームワーク領域、ならびに結合メンバーのアミノ酸配列内に置換をなすのに必要とされる技法は、一般的に、当技術分野において入手できる。バリアントの配列は、活性に対して最小の、または有益な効果を有するように予想され得、またはされ得ない置換を用いて作製することができ、A−FNおよび/もしくはフィブロネクチンのED−Aに結合する能力に対して、かつ/または任意の他の所望の性質に対して試験することができる。

その配列を本明細書に具体的に開示するVHおよびVLドメインのいずれかの、可変ドメインアミノ酸配列のバリアントを、論じる通り、本発明に従って用いることができる。特定のバリアントは、1つまたはそれ以上のアミノ酸配列の変更(アミノ酸残基の付加、欠失、置換、および/または挿入)を含むことができ、約20個未満の変更、約15個未満の変更、約10個未満の変更、または約5個未満の変更であってよく、5、4、3、2、または1個であってよい。変更は、1つもしくはそれ以上のフレームワーク領域、および/または1つもしくはそれ以上のCDRにおいてなされてよい。変更は通常、機能の喪失をもたらさず、したがってこのように変更されたアミノ酸配列を含む特異的な結合メンバーは、A−FNおよび/またはフィブロネクチンのED−Aに結合する能力を保持し得る。例えば、本明細書に記載するアッセイなどで測定すると、このような特異的な結合メンバーは変更が行われていない特異的な結合メンバーと同じ量的結合を保持し得る。このように変更されたアミノ酸配列を含む特異的な結合メンバーは、A−FNおよび/またはフィブロネクチンのED−Aに結合する、改善された能力を有し得る。例えば、本明細書に言及する、ED−AアイソフォームまたはフィブロネクチンのED−Aに結合する特異的な結合メンバーは、VHおよび/またはVLドメインのフレームワーク領域内にアミノ酸置換を10個以下、例えば、5、4、3、2、または1個有する、配列番号7に示すVHドメインおよび配列番号8に示すVLドメインを含むことができる。このような特異的な結合メンバーは、配列番号7に示すVHドメインおよび配列番号8に示すVLドメインを含む特異的な結合メンバーと同じもしくは実質的に同じ親和性で、ED−AアイソフォームもしくはフィブロネクチンのED−Aに結合することができ、または配列番号7に示すVHドメインおよび配列番号8に示すVLドメインを含む特異的な結合メンバーよりも高い親和性で、ED−AアイソフォームもしくはフィブロネクチンのED−Aに結合し得る。

本発明において用いるためのCDR由来の配列を保有する新規なVHまたはVL領域は、全体の可変ドメイン内に変異を産生するように、1つまたはそれ以上の選択されたVHおよび/またはVL遺伝子のランダム変異誘発を用いて産生することができる。いくつかの実施形態において、1つまたは2つのアミノ酸置換は、全体の可変ドメインまたはCDRのセット内になされる。用いることができる別の一方法は、VHまたはVL遺伝子のCDR領域の変異誘発を指示することである。

先に述べた通り、本明細書に実質的に記載するCDRのアミノ酸配列は、ヒト抗体可変ドメインまたはその実質的な一部分におけるCDRとして保有され得る。本明細書に実質的に記載するHCDR3の配列は、本発明の実施形態を表し、例えば、その各々はヒト重鎖可変ドメインまたはその実質的な一部分におけるHCDR3として保有され得る。

本発明で用いる可変ドメインは、任意の生殖系列の、もしくは再配列されたヒト可変ドメインから得ることができ、もしくは由来していてよく、または知られているヒト可変ドメインのコンセンサスもしくは実際の配列をベースとした合成の可変ドメインであってよい。可変ドメインは、非ヒト抗体に由来していてよい。本発明において用いるためのCDR配列(例えば、CDR3)は、組換えDNA技術を用いて、CDR(例えば、CDR3)を欠く可変ドメインのレパートリー中に導入することができる。例えば、Marksら(1992)は、可変ドメイン区域の5’終端に向けられ、または5’終端に隣接するコンセンサスプライマーをヒトVH遺伝子の第3のフレームワーク領域に対するコンセンサスプライマーと組み合わせて用いて、CDR3を欠くVH可変ドメインのレパートリーを提供する、抗体可変ドメインのレパートリーを生成する方法を記載している。Marksらは、このレパートリーを特定の抗体のCDR3と組み合わせることができる方法をさらに記載している。類似の技法を用いて、本発明のCDR3由来の配列を、CDR3を欠くVHまたはVLドメインのレパートリーとシャッフルし、シャッフルした完全なVHまたはVLドメインを同族のVLまたはVHドメインと組み合わせて本発明において用いるための結合メンバーを提供してもよい。次いで、レパートリーを、WO92/01047のファージディスプレイ系、またはKay、Winter、およびMcCafferty(1996年)を含めた後続の大方の文献のいずれかなど、適切な宿主系においてディスプレイすることができ、したがって適切な結合メンバーを選択することができる。レパートリーは、104個の個々のメンバーから上方向の任意のものから、例えば、少なくとも105、少なくとも106、少なくとも107、少なくとも108、少なくとも109、または少なくとも1010個のメンバーからなっていてよい。

同様に、CDRの1つもしくはそれ以上、または3つ全てを、次いでA−FNおよび/またはフィブロネクチンのED−Aに対する結合メンバー(単数または複数)に対してスクリーニングされる、VHまたはVLドメインのレパートリー中にグラフトしてもよい。

抗体F8のHCDR1、HCDR2、およびHCDR3の1つもしくはそれ以上もしくは抗体F8のHCDRのセットを用いてもよく、かつ/または抗体F8のLCDR1、LCDR2、およびLCDR3の1つもしくはそれ以上もしくは抗体F8のLCDRのセットを用いてもよい。

同様に、本明細書に開示する、他のVHおよびVLドメイン、CDRのセット、およびHCDRのセット、および/またはLCDRのセットを用いてもよい。

A−FNおよび/またはフィブロネクチンのED−Aを、IBDを処置するための薬物の調製において用いるための、特異的な結合メンバー、例えば抗体分子に対するスクリーニングにおいて用いてもよい。スクリーニングは、本明細書他所に開示するレパートリーのスクリーニングであってよい。

免疫グロブリン可変ドメインの実質的な一部分は、少なくとも3つのCDR領域を、これらの介在性のフレームワーク領域と一緒に含んでいてよい。その一部分はまた、第1および第4のフレームワーク領域のいずれかまたは両方の少なくとも約50%を含むことができ、この50%は第1のフレームワーク領域のC末端50%、および第4のフレームワーク領域のN末端50%である。可変ドメインの実質的な部分のN末端またはC末端終端のさらなる残基は、天然に存在する可変ドメイン領域に通常関連しないものであってよい。例えば、組換えDNA技法によってなされる本発明の特異的な結合メンバーの構築により、クローニングまたは他の手技のステップを促進するように導入されるリンカーによってコードされるN末端またはC末端の残基の導入がもたらされ得る。他の手技のステップは、本明細書の他所に開示する可変ドメインを、抗体定常領域、他の可変領域(例えば、ダイアボディの生成における)、または本明細書他所により詳しく論じる検出可能/機能的な標識を含めたさらなるタンパク質配列に接続するためのリンカーの導入を含む。

特異的な結合メンバーは、1対のVHおよびVLドメインを含んでいてよいが、VHまたはVLドメインの配列のいずれかをベースとする単一の結合ドメインも本発明において用いることができる。単一の免疫グロブリンドメイン、特にVHドメインは、特異的に、標的の抗原に結合することができることが知られている。例えば、上記のdAbの考察を参照されたい。

単一の結合ドメインのいずれかの場合、これらのドメインを、A−FNおよび/またはフィブロネクチンのED−Aに結合することができる2ドメインの結合メンバーを形成することができる相補性のドメインに対してスクリーニングするのに用いることができる。これは、HまたはL鎖いずれかのクローンを含む個々のコロニーを用いて、他の鎖(LまたはH)をコードするクローンの完全なライブラリーに感染させ、得られた2本鎖の結合メンバーを、この参考文献に記載するものなどのファージディスプレイ技法に従って選択する、WO92/01047に開示されている、いわゆる階層的二重コンビナトリアルの手法を用いて、ファージディスプレイスクリーニング法によって、実現することができる。この技法は、Marks、1992年にも開示されている。

本発明において用いるための特異的な結合メンバーは、抗体の定常領域またはその部分、例えば、ヒト抗体定常領域またはその部分をさらに含むことができる。例えば、VLドメインは、ヒトCκまたはCλ鎖、例えばCλを含めた、抗体の軽鎖定常ドメインのC末端終端に付着していてよい。同様に、VHドメインをベースにした特異的な結合メンバーは、任意の抗体アイソタイプ、例えば、IgG、IgA、IgE、およびIgMに由来する免疫グロブリン重鎖の全てまたは部分、ならびにアイソタイプサブクラスのいずれか、特にIgG1およびIgG4に対するC末端(例えば、CH1ドメイン)に付着していてよい。これらの性質を有し、可変領域を安定化する、任意の合成の、または他の定常領域バリアントも本発明の実施形態において有用である。

本発明において用いるための特異的な結合メンバーは、検出可能または機能的な標識で標識化されていてよい。標識は、それだけには限定されないが、蛍光、放射標識、酵素、化学発光、または光増感剤を含めた、シグナルを生成し、またはシグナルを生成するように誘発され得る任意の分子であってよい。このように、結合は、蛍光もしくは発光、放射能、酵素活性、または光吸収を検出することにより、検出および/または測定することができる。検出可能な標識は、当技術分野において知られている従来の化学反応を用いて、本発明において用いるための抗体に付着していてよい。

標識が、目視検査、電磁放射線、熱、および化学試薬などの外部手段によって検出可能なシグナルを生成することができる、多数の方法がある。標識はまた、本発明において用いるための抗体に結合する別の特異的な結合メンバーに、または支持体に結合していてよい。

標識化された特異的な結合メンバー、例えば、検出可能な標識で標識化されたscFvは、in vivo、ex vivo、もしくはin vitroで診断的に、かつ/または治療的に用いることができる。

例えば、放射標識した結合メンバー(例えば、放射性同位体にコンジュゲートしている結合メンバー)を、放射線診断法および放射線治療において用いることができる。本発明において用いるための結合メンバーにコンジュゲートしていてよい放射性同位体には、94mTc、99mTc、186Re、188Re、203Pb、67Ga、68Ga、47Sc、111In、97Ru、62Cu、64Cu、86Y、88Y、90Y、121Sn、161Tb、153Sm、166Ho、105Rh、177Lu、123I、124I、125I、131I、18F、211At、および225Acなどの同位体が含まれる。18Fおよび124Iなどのポジトロン放射体、または99mTc、111In、および123Iなどのガンマ放出体が診断応用に(例えば、PETに)用いられ、131I、90Y、および177Luなどのベータ放出体が、好ましくは治療応用に用いられる。211Atおよび225Acなどのアルファ放出体も治療に用いることができる。

例えば、検出可能な標識で標識化されている本発明において用いるための特異的な結合メンバーを用いて、ヒトまたは動物におけるIBDを検出し、診断し、またはモニタリングすることができる。

本発明の特異的な結合メンバーを、IBDの診断において用いるための診断用生成物の製造に用いることができる。

本発明において用いるための結合メンバーと、病変における標的細胞に対して殺生物性の、細胞毒性の免疫抑制性の、または抗炎症性の効果を発揮する分子と、このような病変に存在する細胞外マトリックス構成成分に対して向けられる抗体との間のコンジュゲートまたは融合を、本発明において用いることができる。例えば、コンジュゲートしている分子はインターロイキン−10であってよい。このようなコンジュゲートを、本明細書に言及するIBDの処置などのために、治療的に用いることができる。

特異的な結合メンバーの、殺生物性または細胞毒性の分子との融合またはコンジュゲートの生成および使用は、例えばWO01/62298に記載されている。

本発明において用いるための特異的な結合メンバーは、(i)細胞の相互作用によって標的の細胞に対して抗炎症性の効果を発揮する分子、抗炎症性の分子、サイトカイン、例えば、IL−10、および(ii)フィブロネクチンのED−Aアイソフォームおよび/またはフィブロネクチンのED−Aに対する特異的な結合メンバーのコンジュゲートであってよい。

本発明において用いるための特異的な結合メンバーは、(i)免疫抑制性または抗炎症性の効果を発揮する分子、および(ii)フィブロネクチンのED−Aアイソフォームおよび/またはフィブロネクチンのED−Aに対する特異的な結合メンバーのコンジュゲートであってよい。

本発明において用いるための特異的な結合メンバーが、(i)インターロイキン−10(IL−10)、および(ii)フィブロネクチンのED−Aアイソフォームおよび/またはフィブロネクチンのED−Aに対する特異的な結合メンバーのコンジュゲートであるのが好ましい。このような特異的な結合メンバーは、IBDの処置に関する本明細書に開示する本発明の態様において有用である。

本明細書に記載するのはまた、(i)細胞の相互作用により標的の細胞に対して殺生物性もしくは細胞毒性の効果、または免疫抑制性もしくは抗炎症性の効果を発揮する分子、ならびに(ii)フィブロネクチンのED−Aアイソフォームおよび/またはフィブロネクチンのED−Aに対する結合メンバーのコンジュゲートである。このようなコンジュゲートは、殺生物性、細胞毒性、免疫抑制性、もしくは抗炎症性の分子、および前記結合メンバーを含む融合タンパク質を含むのが好ましく、または結合メンバーが2本鎖もしくは多数鎖である場合、融合タンパク質は、殺生物性、細胞毒性、免疫抑制性、もしくは抗炎症性の分子、および前記結合メンバーのポリペプチド鎖構成成分を含む。結合メンバーが単鎖ポリペプチド、例えば、scFvなどの単鎖抗体分子であるのが好ましい。

本明細書で言及するコンジュゲートは、融合タンパク質として発現され得る。このように、免疫抑制性または抗炎症性の分子および単鎖Fv抗体分子を含む融合タンパク質を、本発明において用いることができる。

細胞の相互作用によって標的細胞に対するその効果を発揮する免疫抑制性または抗炎症性の分子を、標的細胞と直接相互作用させてもよく、標的細胞上の膜結合した受容体と相互作用させてもよく、または細胞膜の電気化学ポテンシャルを攪乱してもよい。分子がIL−10であるのが好ましい。

特異的な結合メンバーとコンジュゲートしている分子がIL−10であるのが好ましい。

下記に詳しく論じる通り、本発明において用いるための特異的な結合メンバーは、抗体分子であるのが好ましく、または抗体の抗原結合部位を含む。特異的な結合メンバーが、単鎖抗体などの単鎖ポリペプチドであり得るのが便利である。これにより、免疫抑制性または抗炎症性の分子(例えば、インターロイキン−10もしくはTGFベータ)など、単鎖抗体を含む融合タンパク質が便利に生成できるようになる。抗体の抗原結合部位は、別々のポリペプチドにおける、例えば、完全な抗体における、またはFabもしくはダイアボディなどの抗体フラグメントにおける、抗体のVHドメインと抗体のVLドメインとの会合によって提供され得る。特異的な結合メンバーが2本鎖または多数鎖の分子(例えば、それぞれFabもしくは全抗体)である場合、免疫抑制性または抗炎症性の分子は、例えば、特異的な結合メンバーにおける1つまたはそれ以上のポリペプチド鎖との融合ポリペプチドとしてコンジュゲートしていてもよい。

特異的な結合メンバーは、免疫抑制性または抗炎症性の分子とペプチド結合によって、すなわち、前記分子および特異的な結合メンバーまたはそのポリペプチド鎖構成成分を含む融合ポリペプチド内で、コンジュゲートしていてもよい(例えば、Trachselらを参照されたい)。コンジュゲーションのための他の手段には、化学的コンジュゲーション、特に二機能的試薬を用いた(例えば、DOUBLE−REAGENTS(商標)Cross−linking Reagents Selection Guide、Pierceを用いた)架橋結合が含まれる。

本発明において用いるための特異的な結合メンバーをコードする単離された核酸も提供する。核酸はDNAおよび/またはRNAを含むことができる。核酸は、CDRもしくはCDRのセット、またはVHドメインもしくはVLドメイン、または抗体の抗原結合部位もしくは抗体分子、例えば、scFvもしくはIgG、例えば、上記に規定するIgG1をコードしていてよい。ヌクレオチド配列は、本明細書に開示するVHおよび/またはVLドメインをコードしていてよい。

本明細書にさらに開示するのは、上記に記載するポリヌクレオチドを少なくとも1つ含む、プラスミド、ベクター、転写または発現カセットの形態の構築物である。

上記のような構築物を1つまたはそれ以上含む、組換えの宿主細胞も提供する。任意のCDRもしくはCDRのセット、またはVHドメインもしくはVLドメイン、または抗体の抗原結合部位もしくは抗体分子、例えば、提供するscFvもしくはIgG1もしくはIgG4をコードする核酸も、コードされた生成物を生成する方法同様に記載するが、この方法はコードする核酸からの発現を含む。発現は、好適な条件下で、核酸を含む組換え宿主細胞を培養することによって便利に実現することができる。VHもしくはVLドメイン、または特異的な結合メンバーの発現による生成の後、任意の適切な技法を用いて単離および/または精製し、次いで適宜用いることができる。

核酸はDNAまたはRNAを含むことができ、完全または部分的に合成であってよい。本明細書に記載するヌクレオチド配列に対する言及は、文脈により他のものが要求されなければ、特定の配列を有するDNA分子を包含し、Tに対してUが置き換えられている特定の配列を有するRNA分子を包含する。

抗体のVH可変ドメインを生成する方法、コードする核酸から発現を引き起こすことを含む方法も記載する。このような方法は、宿主細胞を、前記抗体のVH可変ドメインを生成するための条件下で培養することを含むことができる。

生成の方法は、生成物を単離および/または精製するステップを含むことができる。生成の方法は、生成物を、薬学的に許容される賦形剤など、少なくとも1つのさらなる構成成分を含む組成物に配合することを含むことができる。

多様な異なる宿主細胞においてポリペプチドをクローニングおよび発現させるための系は、よく知られている。適切な宿主細胞には、細菌、哺乳動物細胞、植物細胞、糸状菌、酵母菌、およびバキュロウイルス系、ならびにトランスジェニックの植物および動物が含まれる。抗体および抗体フラグメントの原核細胞における発現は、当技術分野において十分に確立されている。概説には、例えば、Pluckthun(1991年)、Bio/Technology、9巻、545〜551頁を参照されたい。一般的な細菌の宿主は大腸菌である。

培養物中の真核細胞における発現も、Chaddら(2001年)、Current Opinion in Biotechnology、12巻、188〜194頁;Andersenら(2002年)Current Opinion in Biotechnology、13巻、117頁;LarrickおよびThomas(2001年)Current Opinion in Biotechnology、12巻、411〜418頁など、特異的な結合メンバーを生成するための選択肢として当業者にはやはり利用可能である。異種性のポリペプチドを発現させるのに当技術分野において利用できる哺乳動物細胞系統には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、仔ハムスター腎細胞、NS0マウスメラノーマ細胞、YB2/0ラットミエローマ細胞、ヒト胎児腎細胞、ヒト胎児網膜細胞、およびその他多数が含まれる。

プロモーター配列、ターミネーター配列、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子、および適宜他の配列を含めた、好適な制御配列を含む適切なベクターを選択し、または構築することができる。ベクターは、適宜、ファージミドなどのプラスミド、または’ファージなどウイルスのものであってよい。さらに詳しくは、例えば、SambrookおよびRussell(2001年)Molecular Cloning:a Laboratory Manual:第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。核酸構築物の調製、変異誘発、シーケンシング、細胞中へのDNAの導入、および遺伝子の発現など、核酸の手技のための多くの知られている技法およびプロトコール、ならびにタンパク質の分析は、Ausubelら(1999年)第4版、Short Protocols in Molecular Biology:A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sonsに詳しく記載されている。

宿主細胞は、本明細書に記載する核酸を含むことができる。このような宿主細胞は、in vitroであってよく、培養物中であってよい。このような宿主細胞はin vivoであってよい。宿主細胞がin vivoで存在することにより、本発明において「イントラボディ(intrabodies)」すなわち細胞内抗体として用いるための結合メンバーの細胞内発現が可能になり得る。イントラボディは遺伝子治療に用いることができる。

本明細書に開示する核酸を宿主細胞中に導入することを含む方法も記載する。導入は、任意の利用できる技法を用いることができる。真核細胞に対して、適切な技法は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン、電気穿孔、リポソームが媒介するトランスフェクション、およびレトロウイルスまたは他のウイルス(例えば、ワクシニア、もしくは昆虫細胞に対してバキュロウイルス)を用いた形質導入を含むことができる。核酸の、宿主細胞、特に真核細胞における導入は、ウイルスまたはプラスミドベースの系を用いることができる。プラスミド系は、エピソームに維持することができ、または宿主細胞中もしくは人工の染色体中に組み込むことができる。組み込みは、単一または複数の遺伝子座での1つまたはそれ以上のコピーの、ランダムによる、または標的化組み込みによる、いずれかであってよい。細菌細胞に対して、適切な技法は、塩化カルシウム形質転換、電気穿孔、およびバクテリオファージを用いたトランスフェクションを含むことができる。

導入の後に、例えば、遺伝子を発現させるための条件下で宿主細胞を培養することにより、核酸からの発現を引き起こし、または発現させてもよい。発現された生成物の精製は、当業者には知られている方法によって実現することができる。

核酸を、宿主細胞のゲノム(例えば、染色体)中に組み込むことができる。組み込みは、標準の技法に従って、ゲノムとの組換えを促進する配列を包含することによって促進され得る。

上記の特異的な結合メンバーまたはポリペプチドを発現させるために、発現系において上記に記載した構築物を用いることを含む方法も記載する。

本発明において用いるための特異的な結合メンバーは、ヒトまたは動物対象、例えば、ヒトにおける診断または処置の方法において用いるようにデザインされている。本発明において用いるための特異的な結合メンバーを、IBDの診断または処置において用いることができる。

したがって、本発明は、記載した特異的な結合メンバーの投与を含む処置の方法、このような特異的な結合メンバーを含む医薬組成物、および投与のための薬物の製造における、例えば、特異的な結合メンバーを薬学的に許容される賦形剤と配合することを含む薬物または医薬組成物を作製する方法における、このような特異的な結合メンバーの使用を提供する。薬学的に許容されるビヒクルはよく知られており、当業者によって、選択した有効化合物(複数可)の性質および投与様式の関数として適応される。

本発明において用いるための特異的な結合メンバーは、通常、医薬組成物の形態において投与され、医薬組成物は、特異的な結合メンバーの他に少なくとも1つの構成成分を含むことができる。このように、本明細書に記載し、本発明に従って用いるための医薬組成物は、有効成分の他に、薬学的に許容される賦形剤、担体、バッファー、安定化剤、または当業者にはよく知られている他の材料を含むことができる。このような材料は非毒性でなければならず、有効成分の効能を妨害してはならない。担体または他の材料の厳密な性質は投与経路に依存し、投与経路は経口、吸入、または静脈内などの注射であってよい。

例えばナノボディなどの経口投与用の医薬組成物も、本発明において想定される。このような経口製剤は、錠剤、カプセル剤、散剤、液剤、または半固体の形態であってよい。錠剤は、ゼラチンなどの固体の担体、またはアジュバントを含むことができる。液体の医薬組成物は、水、石油、動物油もしくは植物油、鉱油または合成油などの液体の担体を一般的に含む。生理食塩水、デキストロースもしくは他の糖類溶液、またはエチレングリコール、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコールなどのグリコールも含まれ得る。

静脈内注射または患部の注射に対して、有効成分は、パイロジェンフリーであり、適切なpH、等張性、および安定性を有する、非経口投与に許容される水溶液の形態である。当業者であれば、例えば、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、乳酸加リンゲル注射液など等張のビヒクルを用いて適切な溶液を調製することが十分にできる。保存剤、安定化剤、バッファー、抗酸化剤、および/または他の添加剤を、必要に応じて用いることができる。医薬製剤を調製するための多くの方法が当業者には知られている。例えば、Robinson編集、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems、Marcel Dekker、Inc.、New York、1978年を参照されたい。

組成物は、処置しようとする状態に応じて、単独で、または他の処置との併用において、同時に、もしくは経時的に、または別の治療薬(単数もしくは複数)との併用調製物として投与することができる。

本発明において用いるための特異的な結合メンバーは、さらなる薬用の構成成分と組み合わせて併用療法の一部として用いることができる。併用処置、特に、本発明において用いるための特異的な結合メンバーの1つまたはそれ以上の他の薬物との併用を用いて、著しい相乗効果を提供することができる。本発明において用いるための特異的な結合メンバーは、本明細書に列挙する1つまたはそれ以上の状態を処置するために、同時に、もしくは経時的に、または別の治療薬(単数もしくは複数)との併用調製物として投与することができる。

例えば、本発明において用いるための特異的な結合メンバーは、IBDを処置するための既存の治療薬と併用して用いることができる。

本発明において用いるための特異的な結合メンバー、および上記のさらなる薬用の構成成分の1つまたはそれ以上を、薬物の製造において用いることができる。薬物は、個体に対して別個に、または併用して投与することができ、したがって特異的な結合メンバー、およびさらなる構成成分を、併用の調製物として、または別個の調製物として含むことができる。別個の調製物を用いて、別個の、経時的または同時の投与を促進することができ、経口投与および非経口投与など、異なる経路による成分の投与が可能になる。

本発明に従って、提供する組成物を哺乳動物に投与することができる。投与は、患者に利益を示すのに十分である、「治療有効量」におけるものであってよい。このような利益は、少なくとも1つの症状の少なくとも寛解であってよい。したがって、「IBDの処置」は、少なくとも1つの症状の寛解を指す。投与する実際の量、ならびに投与の速度および時間経過は、処置するものの性質および重症度、処置する特定の哺乳動物、個々の患者の臨床的状態、障害の原因、組成物の送達部位、特異的な結合メンバーのタイプ、投与の方法、投与の日程計画、ならびに医師(medical practitioner)に知られている他の因子に依存する。投与量に対する判断などの処置の処方箋は、一般診療医および他の医師の責任の範囲内であり、症状の重症度および/または処置する疾患の進行に依存し得る。抗体の好適な投与量は当技術分野においてよく知られている(Ledermannら(1991年)Int.J.Cancer、47巻、659〜664頁;および、 Bagshaweら(1991年)Antibody、Immunoconjugates and Radiopharmaceuticals、4巻、915〜922頁)。本明細書に示される特定の投与量、または投与する薬物のタイプに好適であるとしてPhysician’s Desk Reference(2003年)におけるものも用いることができる。本発明において用いるための特異的な結合メンバーの治療有効量または適切な投与量は、そのin vitroの活性とin vivoの活性とを動物モデルにおいて比較することによって決定することができる。マウスおよび他の試験動物における有効な投与量をヒトに外挿するための方法は知られている。厳密な投与量は、抗体が診断用であるか、予防用であるか、または処置用であるか、処置しようとする区域のサイズおよび位置、抗体の厳密な性質(例えば、全抗体、フラグメント、またはダイアボディ)、および抗体に付着している任意の検出可能な標識または他の分子の性質を含めた数々の因子に依存する。典型的な抗体の投与量は、全身適用に対して100μgから1g、および局所適用に対して1μgから1mgの範囲にある。初期に高負荷投与量を、引き続き1つまたはそれ以上の低投与量を投与してもよい。抗体は全抗体、例えば、IgG1またはIgG4アイソタイプであってよい。これは、成人患者の単一処置用の投与量であり、小児および乳児に対して比例的に調節することができ、他の抗体のフォーマットに対して分子量に比例して調節することもできる。処置は、医師の裁量で、毎日、週2回、毎週、または毎月の間隔で繰り返すことができる。処置は、皮下投与に対して2週間毎から4週間毎、静脈投与に対して4週間毎から8週間毎であってよい。本発明のいくつかの実施形態において、処置は周期的であり、投与の間の周期は約2週間以上、例えば、約3週間以上、約4週間以上、または約1か月に1回である。本発明の他の実施形態において、処置は、外科手術の前および/または後に与えることができ、外科手術処置の解剖学的部位に直接投与または適用することができる。

炎症性腸疾患(IBD) 炎症性腸疾患は、結腸および小腸に罹患する一群の炎症状態である。IBDの主なタイプには、クローン病(CD)および潰瘍性大腸炎(UC)があり、IBDの他のタイプには、コラーゲン性大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置性大腸炎、ベーチェット病、および不確定の大腸炎が含まれる。CDは、消化管の任意の部分に罹患し得るが、UCは結腸および直腸に限定されるのが典型的である。

本明細書に言及するIBDは、CD、UC、コラーゲン性大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置性大腸炎、ベーチェット病、または不確定の大腸炎であってよい。特に、本明細書で用いられる、CD、UC、コラーゲン性大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置性大腸炎、ベーチェット病、および不確定の大腸炎の語はそれぞれ、活動性のCD、活動性のUC、活動性のコラーゲン性大腸炎、活動性のリンパ球性大腸炎、活動性の虚血性大腸炎、活動性の空置性大腸炎、活動性のベーチェット病、および活動性の不確定の大腸炎を指し得る。一実施形態において、IBDはCDまたはUCであってよい。別の一実施形態において、IBDは、CD、コラーゲン性大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置性大腸炎、ベーチェット病、または不確定の大腸炎であってよい。さらなる一実施形態において、IBDはUCではない。IBDは、CDなど、結腸および直腸における炎症に典型的には限定されないIBDであってよい。IBDは結腸の内壁のみに罹患しないIBDであってよい。好ましい一実施形態において、IBDはCDである。IBDが活動性のCDであるのが最も好ましい。

本発明のさらなる態様および実施形態は、以下の実験上の実施例を含めた本開示から、当業者には明らかである。

本明細書に言及する文書は全て、その全文を参照によって本明細書に組み込む。

本明細書で用いられる「および/または」は、他者とともに、または他者なしでの、特定される2つの特徴または構成成分の各々の特定の開示と理解されたい。例えば、「Aおよび/またはB」は、特定の開示として、各々を本明細書に個々に記載するように、(i)A、(ii)B、ならびに(iii)AおよびBの各々と理解されたい。

文脈が他のものを指示しなければ、上記に記載した特徴の記述および定義は、本発明のいかなる特定の態様または実施形態に限定されず、記載する全ての態様および実施形態に等しく適用される。

本発明のある種の態様および実施形態を、これより実施例により、上記に記載する図を参考にして説明する。

実験 材料と方法 マウスIBDモデル DSSの投与を伴うIBDに対するマウスモデルは当技術分野において知られている。適切なマウスモデルは、例えば、Okayasuら(1990年)、Gastroenterology、98巻、694〜702頁にも記載されている。

本明細書に記載する実験では、7日間、飲料水中に3%デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)(MP BioMedicals)を含めた後、通常の飲料水を3〜5日与えることによって、C57BL/6マウス(Jackson Laboratories、Bar Harbor、ME)に大腸炎を誘発した。対照のマウスには、試験の経過を通して標準の水を与えた。マウスを、3〜5日目のヘモカルトおよび毎日の体重変化によって明らかにされる、疾患の誘導/進行に対してモニタリングした。水中DSSを休止した後、マウスを3〜5日の多様な時間で安楽死させて、F8−IL−10の標的化、局在化、および薬理学的効果を評価した。

125I−F8/IL10放射ヨウ素標識、精製、特徴付け、および投薬溶液の調製 ヨード安息香酸スクシンイミジル(SIB)を用いて125I−F8/IL10を調製した(ZalutskyおよびNarula(1988年)Cancer Research、48巻、1446〜1450頁;ZalutskyおよびNarula(1987年)Appl.Radiat.Isot.、38巻、1051〜1055頁;Chengら(2002年)J.Med.Chem.、45巻、3048〜3056頁)。簡潔に述べると、ヨウ素125(20μL〜2.0mCi)(Perkin Elmer、Waltham、MA)のアリコートを、1.5%酢酸(v:v)を含むメタノール(両方ともSigma−Aldrich)50μL中の酸化体としてNCS(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO)10μgと一緒に、N−スクシンイミジル−3−(トリ−n−ブチルスタニル)安息香酸(C23H35NO4Sn;MW=508.23、Texas Biochemicals、Inc.College Station、TXによって合成されたもの)2.5μgと反応させた。周囲温度で15分インキュベートした後、硫酸水素ナトリウム(Sigma−Aldrich)10μg(還元剤)を加えることによって、反応溶液中の残余の酸化体をクエンチし、周囲温度でさらなる5分間インキュベートした。125I−標識したSIBを、周囲温度で20分間、pH8.0でインキュベートすることによって、F8−IL10抗体(およそ0.2mg、出発のモル比は中間体対抗体でおよそ2.5:1)にコンジュゲートさせた。放射標識した生成物(125I−F8/IL10)を、予め平衡にしたPD−10カラム(GE Healthcare、Little Chalfont、Buckinghamshire、UK)を用いて精製し(カラム上の潜在的な非特異的なタンパク質結合部位を、ウシ血清アルブミンを用いて飽和させた後、少なくとも3カラム容積のPBSでカラムをすすぐことにより)、PBS中に溶出した。放射化学収率およそ30%を得た。

125I−F8/IL10の放射化学的純度(RCP)および生理活性をそれぞれ、サイズ排除クロマトグラム(SEC)、およびEDA−アフィニティカラムによって特徴付けた。SEC分析では、およそ1μCiの125I−F8/IL10生成物溶液を、サイズ排除カラム(G3000SWxl、東ソー株式会社バイオサイエンス事業部、東京、日本)を装着したHPLC(直列の放射性検出器を装着した、Agilent 1100)に注入し、流速1mL/分の25mMリン酸バッファー、0.15M NaCl、pH6.8の移動相溶媒で溶出した。125I−F8/IL10の同一性を、放射測定クロマトグラムにおける保持時間をUV(280nm)クロマトグラム中の基準のF8/IL10の保持時間と比べることによって確定した。125I−F8/IL10に対して99%を超えるRCPが得られ、放射活性特異的活性はおよそ4.5mCi/mgであった。

125I−F8−IL10の生理活性を、EDAアフィニティカラムアッセイによって決定した。簡潔に述べると、125I−F8/IL10のアリコート(およそ1μCi)を、予め平衡にしたEDAアフィニティカラム(EDA樹脂250μLを含む。非特異的な結合部位をPBS中2mg/mLのBSA2mLでブロックし、次いでカラムをPBS8mLで洗浄することにより予め平衡化を行った)上に負荷した。アフィニティカラムをBSA6mL(PBS中2mg/mL)で洗浄し、溶離液を分画として(fractionally)採取した。採取した溶離液中の放射能、およびアフィニティカラム上の残余を、ガンマカウンターで測定した。EDA−樹脂カラム中に保持された放射能の、負荷した放射能の合計に対するパーセント値を算出した。アフィニティカラムに保持された放射能のパーセント値64%を、125I−F8/IL10に対して得た。

125I−F8/IL10を非標識のF8/IL10(F8/IL10保存溶液)および配合バッファーと混合して必要とされる最終濃度にすることにより、PKおよび組織分布試験に用いる投薬溶液を調製した。試験物品の溶液を投薬日に調製し、周囲温度にした後、動物に投与した。

IBDマウスモデルにおける125I−F8/IL10の体内分布および結腸への局在化 非処置またはDSS処置したマウスを両方とも、投薬のおよそ2〜4日前(DSS開始後5〜7日目)、ヨウ化カリウム(KI)水(20mM)で処置して、in vivoで産生された任意の潜在的な非結合の遊離I−125の甲状腺取込みを阻止した。DSS処置開始後9日目、単一投与量の125I−F8/IL10を静脈内投与(IV)した。1群あたりの投与量および放射能を以下に概要する: i)0群−マウス1匹あたりのおよその投与量:5mg/kg 0群−マウス1匹あたりのおよその放射能:7.5μCi(比放射能75uCi/mg) ii)1群−マウス1匹あたりのおよその投与量:5mg/kg 1群−マウス1匹あたりのおよその放射能:10μCi(比放射能100uCi/mg) iii)2群−マウス1匹あたりのおよその投与量:0.15mg/kg 2群−マウス1匹あたりのおよその放射能:12μCi(比放射能4490uCi/mg)

亜群のマウスを、5分、1、3、6、24、48、および96時間に出血させ、次いで多様な組織を採取した。血液試料を、心穿刺または眼窩後出血のいずれかによって、血清分離採取管中に採取した。血液試料を10000gで5分間遠心分離することにより、血清試料を収集した。組織採取には、動物を屠殺し、血液サンプリングおよび全身の灌流の直後に対象の組織を採取した。およそ10分間、ヘパリン−PBS(25単位/mL)およそ20mLを投与することにより、全身の血液の灌流を行った。脳、腸間膜リンパ節、皮膚、脂肪、骨格大腿筋、、心臓、脾臓、肝臓、胃、小腸、大腸、および腎臓を含めた対象の組織を採取し、重量測定した。GIの内容物は除去した。組織試料の放射能(cpmにおける合計計数値)をガンマカウンターによって直接測定した。

疾患マウスおよび健常マウスの結腸のオートラジオグラフィー 0群および2群のマウスからの結腸に対して結腸のオートラジオグラフィーを行った。結腸を収集し、その内容物を除去し、組織をリン光体イメージングスクリーン(Molecular Dynamics)に24時間曝露し、Storm860によって画像化した。結果を図2に示す。レーン1:0群(健常マウス)から注射6時間後に収集した結腸、レーン2:2群(DSS処置マウス)から注射6時間後に収集した結腸、レーン3:0群(健常マウス)から注射24時間後に収集した結腸、レーン4:2群(DSS処置マウス)から注射24時間後に収集した結腸。125I−F8/IL10のパッチ状の局在化が、DSS処置したマウスにおける結腸に沿って観察され、正常マウスでは観察されず、このモデルにおける不規則な結腸の炎症、および標的EDAの関連の発現プロファイルに一致した。

血清および組織における放射能の当量濃度の決定ならびに薬物動態学的計算値 125I−F8/IL10の血清の当量濃度(ng eq./g)を、TCA(トリクロロ酢酸)沈澱性の(タンパク質関連の)放射能の測定値に基づいて推定した。TCA沈澱に対して、血清試料のアリコート(50μL)をマウス血清50μLと混合した後、20%TCA溶液100μLを加えた。試料混合物を10000gで5分間回してタンパク質を沈澱させた。上清中の合計およびTCA可溶性の放射能を決定した。所与の試料中のTCA沈澱性の放射能(cpm)、投薬溶液の比放射能(タンパク質1mgあたりのTCA沈澱性のcpm)、ならびに試料(tS)および投薬溶液(tD)の測定日を用い、式:[TCA沈澱性のcpm/EXP(−0.693/60.2*(tS−td))]/[比放射能(cpm/mg)*試料体積(mL)]を用いて、所与の試料中の試験物品の当量濃度(ng eq./mL)を算出した。

組織中125I−F8/IL10の当量濃度(ng eq./g)の定量化を、125Iの物理的崩壊半減期に対して補正した後、式:[試料のcpm/EXP(−0.693/60.2*(tS−tD))]/[比放射能(cpm/mg)*試料重量(mg)]を用いて、試料中の合計放射能の測定値、および投薬溶液の比放射能に基づいて算出した。組織試料に対して均一化またはTCA−沈澱は行わなかった。放射性の当量濃度(血清に対してng eq./mL、組織に対してne eq./g)の他に、1グラムあたりの注射した投与量のパーセント値(%ID/g)、および/または注射した投与量のパーセント値(%ID)も、対象の血清および組織に対して算出した。

正常(0群)およびDSS処置(1群)マウスにおける125I−F8/IL10の生体分布を、注射6時間後(図3A)、24時間後(図3B)、および96時間(図3C)後に決定した。

測定した時間点の血清または組織の平均濃度でPKパラメータを算出した。薬物動態学的ソフトウエアパッケージの非コンパートメント分析モジュールであるWinNonlin(バージョン5.1、Pharsight)を用いた。濃度対時間曲線下面積(AUC)を、線形台形法を用いて算出した。

IBDのマウスモデルにおけるF8−IL10の治療的処置の、血清サイトカインレベルに対する影響 IL−10は炎症促進性サイトカインを低減することが知られているので、本発明者らは、IBDのマウスモデルにF8−IL10を投与すると、このモデルにおける血清サイトカイン応答に影響を及ぼすか否かを試験した。DSS処置を開始後3、6、および9日目、マウス1匹あたり200μgのF8/IL10、または対照の小型免疫タンパク質(F8−SIP)をIV投与した(n=10マウス/群)。この投与レジメンは、コラーゲン誘発性関節炎モデルにおける有効なレジメンと同じであった(Schwager Kら、Arthritis Research and Therapy、(2009年)11巻、R142頁)。対照群には、非疾患(レギュラーの水)および非処置疾患が含まれた(n=10マウス/群)。DSSの開始後10日目、局在化試験に対して上記に記載した通りに血液を採取し、血清を得た。血清を、MSD法のプラットホームおよびマウス7plexMSDキットを用い、製造元の指示に従って(Mesoscale Discovery、Gaithersburg、MD)、IL−1b、IL−12p40、IFNg、IL−6、KC、IL−10、およびTNFaのレベルに対して評価した。サイトカインのレベルを、図4および5において、血清1mlあたりのタンパク質のpgとして表す。

EDA発現に対するヒト組織染色 潰瘍性大腸炎に罹患している60歳女性患者、およびクローン病に罹患している42歳男性患者の結腸組織をOCT包埋した検体を凍結し、免疫組織化学的分析を行った。両方の検体をSIPフォーマットにおけるF8抗体、およびフォンウィルブランド因子で検査した。

さらに、クローン病または潰瘍性大腸炎を有する同じ患者(クローン病患者n=3、およびUC患者n=5)から対にした、罹患および非罹患の凍結生検検体を、Analytical Biological Services(Wilmington、DE)から得た。凍結試料を、ドライアイス上に置いて解凍を防ぎ、O.C.T.化合物(Tissue−Tek #4583)で充填した標準(Tissue−Tek 4557)のCryomold中に包埋し、ドライアイスで冷却しておいたイソペンタン中で瞬間凍結させた。組織ブロックをLeica CM1850クリオスタット上で4ミクロンの薄片にし、スライドガラス上に配置し、免疫組織化学(IHC)を行うまで−80℃で貯蔵した。IHCを開始する際、組織を冷(−20F)メタノール(Fisher Scientific A412P−4)に浸漬して、貯蔵とともに形成し得る水分を除去し、室温で20分空気乾燥した。次いで、組織を冷(−20F)アセトン(ACROS CAS # 67−64−1)中に10分間浸漬し、室温で10分空気乾燥した。

組織スライドを、適切なVentanaバーコードで標識し、フィブロネクチンF8 SIPまたはKSF SIP(対照の抗体)のIHC用にVentana Discovery XT中に配置した。内在性のビオチンを、Ventana Sブロック(Ventana 760−4212)中5%正常マウス血清(Jackson Immuno Research 015−000−120)20分間、およびVentanaビオチンブロッキングキット(Ventana 760−050)8分間の両方でブロッキングした。フィブロネクチンF8 SIPまたはKSFをDako抗体希釈液(S0908)(Dako North America、Carpinteria、CA)中1:200濃度に希釈し(スライド1枚あたり100ul)、40分間インキュベートした。スライドを、ヘマトキシリンおよびブルーイング(bluing)試薬で対比染色(各4分)した後、作業(run)を完了した。スライドを除去し、その後の脱水およびカバーガラス用にVentana Symphony中に配置した。IHCの代表的な画像を図7に示す。潰瘍性大腸炎患者UH0501−34(上)およびクローン病患者UH0405−09(下)からの、非罹患(左)および罹患(右)の組織試料からのIHC。

結果 結腸のオートラジオグラフィー 図2は、非疾患マウス(水)(レーン1および3)、または疾患マウス(DSS処置)(レーン2および4)の、放射標識したF8−IL10を投与し6時間後(レーン1および2)または24時間後(レーン3および4)いずれかの結腸のオートラジオグラフィーを示す。これは、F8−IL10は、正常の結腸よりも炎症を起こした結腸に多く蓄積することを実証している。F8−IL10が罹患している結腸に局在するパッチ状の外観は、不定のレベルの炎症およびこのモデルにおいて結腸の長さに沿って観察されるEDA発現に一致し、炎症でのF8−IL10の局在をさらに支持するものである。

疾患マウスおよび健常マウスにおける125I−F8−IL10の体内分布 図3は、正常(水)マウスと比べた疾患(DSS)マウスにおける、6、24、および96時間の時間点の、結腸および腸間膜リンパ節(L.N.)における125I−F8−IL10の蓄積を示す。図2同様、これらのデータは、DSS処置マウスでは、F8−IL10が結腸および関連のリンパ節を標的化することを実証している。またこれらの試験より、血清半減期はおよそ3.5時間であることが決定され、結腸におけるF8−IL10の半減期はおよそ35時間であり;10倍の増大は組織残留性の増強を示唆している。これは、F8−IL10は結腸の炎症の間、結腸および腸間膜リンパ節を標的化するだけでなく、一旦存在すると循環中よりも長期間残留することを示す。まとめると、これらのデータは、ヒトにおけるクローン病および潰瘍性大腸炎など、結腸における炎症の条件下では、F8−IL10はこれらの部位を優先的に標的化し、残留することを示唆している。

疾患マウスおよび健常マウスからの血清におけるサイトカインレベル 図4は、治療モダリティにおいてF8−IL10を投与すると、対照群に比べて、炎症性サイトカインであるIL−1β、IL12p40、IFNγ、およびIL−6の血清レベルの有意な低減をもたらすことを示すものである。

図5は、治療モダリティにおいてF8−IL10を投与しても、対照群に比べて、TNF−アルファおよびケラチノサイト由来のケモカイン(KC)の増大をもたらさず、IL−10レベルの増大をもたらすことを示す。DSSモデルにおける図4のこれらサイトカインのレベルの増大は、結腸における疾患の誘導に関連する。図4のこれら炎症性サイトカインの低減、およびIL−10の増大は、IL−10の知られている生物学的効果に一致する(Abbas A、Lichtman A、Pober J.、1994、Cellular and Molecular Immunology.、第2版、Philadelphia:W.B.Saunders Company;Delves P、Roitt I(編集)、1998年、Encyclopedia of Immunology、第2版、San Diego:Academic Press)。このようにF8−IL10は、IBDの設定における炎症および病態に関連するサイトカインを低減することによって、このIBDのモデルにおける薬理学的活性を実証する。これらの炎症促進性サイトカインは、IBD患者では上方制御されることが知られているので、F8−IL10の投与によってこれらのサイトカインが下方制御されれば、F8−IL10がin vivoでIBDを処置するのに有益である可能性があることが示唆される。インターフェロンγおよびIL−12p70は特に、CD患者では上方制御されることが知られており、本明細書に開示するデータは、F8−IL10の投与はしたがって、in vivoでCDを処置するのに特に有用である可能性があることを示唆している。

免疫組織化学 図6は、F8 SIP抗体は、新たに形成した血管を染色するが、潰瘍性大腸炎に罹患している患者における正常な血管は染色しないことを示す。(フォンウィルブランド因子は、正常な脈管構造のマーカーとしてルーチン的に用いられる。)

図7は、EDAに対して免疫組織化学によって染色した、クローン病またはUCの対となった生検試料の代表的な画像を示す。矢印は、各画像内の血管を示す。罹患している血管において周囲の血管を染色する強度は、同じ患者からの非罹患の試料に比べて増大する。これは、EDA発現の増大は、これらのヒト疾患の設定において結腸の炎症区域の標的化の増大をもたらし得ることを示唆する。要約すると、マウスIBDモデルにおけるF8−IL10に観察される、結腸を標的化した分布および血清サイトカインの低減、およびヒトクローン病および潰瘍性大腸炎に罹患している結腸組織における血管の周囲のEDAの発現の増大は、ひとまとめに、F8−IL10を投与するとIBDを有する患者を標的化し、正の影響を及ぼし得ることを示唆する証拠を提供する。

本出願において開示する配列 配列番号1(F8抗体のVHドメインのCDR1) LFT 配列番号2(F8抗体VHドメインのCDR2) SGSGGS 配列番号3(F8抗体VHドメインのCDR3) STHLYL 配列番号4(F8抗体VLドメインのCDR1) MPF 配列番号5(F8抗体VLドメインのCDR2) GASSRAT 配列番号6(F8抗体VLドメインのCDR3) MRGRPP 配列番号7(F8抗体VHドメイン) EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSLFTMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKSTHLYLFDYWGQGTLVTVSS 配列番号8(F8抗体VLドメイン) EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSMPFLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQMRGRPPTFGQGTKVEIK 配列番号9(F8抗体のVHドメインとVLドメインとの間のリンカー) GGSGG 配列番号10(F8抗体のVLドメインとIL−10との間のリンカー) SSSSGSSSSGSSSSG 配列番号11(ヒトIL−10) SPGQGTQSENSCTHFPGNLPNMLRDLRDAFSRVKTFFQMKDQLDNLLLKESLLEDFKGYLGCQALSEMIQFYLEEVMPQAENQDPDIKAHVNSLGENLKTLRLRLRRCHRFLPCENKSKAVEQVKNAFNKLQEKGIYKAMSEFDIFINYIEAYMTMKIRN配列番号12(F8抗体) EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSLFTMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKSTHLYLFDYWGQGTLVTVSSGGSGGEIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSMPFLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQMRGRPPTFGQGTKVEIK 配列番号13(F8−IL10) EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSLFTMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKSTHLYLFDYWGQGTLVTVSSGGSGGEIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSMPFLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQMRGRPPTFGQGTKVEIKSSSSGSSSSGSSSSGSPGQGTQSENSCTHFPGNLPNMLRDLRDAFSRVKTFFQMKDQLDNLLLKESLLEDFKGYLGCQALSEMIQFYLEEVMPQAENQDPDIKAHVNSLGENLKTLRLRLRRCHRFLPCENKSKAVEQVKNAFNKLQEKGIYKAMSEFDIFINYIEAYMTMKIRN

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