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Device and method for wireless communication

阅读:912发布:2024-02-14

专利汇可以提供Device and method for wireless communication专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To solve a problem of a wireless communication device with repetitive-decode receiving of a spatial multiplexed signal that a deterioration of a reception characteristics results from interference signal components when a symbol in which discrimination is erroneous is included at a time of an interference cancellation, and when error causes result from a propagation channel estimation deviation, a hard deviation (carrier frequency deviation, sampling frequency deviation) are included. SOLUTION: The wireless communication device 100 is provided with an error estimation unit 13 which estimates a deviation of a replica signal at a time of interference cancellation and a weighting unit 14 which weights likelihood information on a spatial multiplexed signal separated and compounded after interference cancellation based on the output of the error estimation unit 13. Accordingly, an excellent reception characteristic is obtained even when the deviation of the replica signal is included at the time of interference cancellation. COPYRIGHT: (C)2008,JPO&INPIT,下面是Device and method for wireless communication专利的具体信息内容。

  • 空間多重伝送された送信信号を受信する無線通信装置であって、
    送信信号の判定結果、伝搬チャネルの推定結果、及び前記受信信号を基に、前記送信信号に対する誤差を推定する機能と、
    推定した誤差に基づいて重み付けられた、前記送信信号に対する尤度情報を用いて、誤り訂正復号処理を行う機能と、
    を有する無線通信装置。
  • 受信信号を用いて、送信信号に対する尤度情報を算出する尤度算出部と、
    前記尤度算出部の出力を基に前記送信信号の仮判定値を出力する仮判定部と、
    前記仮判定部の出力と伝搬チャネルの推定結果及び前記受信信号を基に送信信号に対する受信レプリカの誤差を推定する誤差成分推定部と、
    前記誤差成分推定部の出力に基づき重み付けられた尤度情報を用いて、前記受信信号に対する誤り訂正復号処理を行う復号処理部と、
    を有する請求項1記載の無線通信装置。
  • 受信信号を用いて、送信信号に対する尤度情報を算出する尤度算出部と、
    前記尤度算出部の出力を基に前記送信信号に対する誤り訂正復号処理を行って仮判定値を出力する第1の復号部と、
    前記第1の復号部の出力と伝搬チャネルの推定結果及び前記受信信号を基に送信信号に対する受信レプリカの誤差を推定する誤差成分推定部と、
    前記誤差成分推定部の出力に基づき重み付けられた尤度情報を用いて、前記受信信号に対する誤り訂正復号処理を行う第2の復号部と、
    を有する請求項1記載の無線通信装置。
  • 送信信号の推定結果を生成する第1の復号処理部と、
    伝搬チャネルの推定結果を生成するチャネル推定部と、
    前記送信信号の推定結果と前記伝搬チャネルの推定結果を基に、送信信号に対する受信レプリカを生成するレプリカ生成部と、
    受信信号から1つ以上の空間多重信号成分を減算処理する干渉キャンセル部と、
    前記受信レプリカの誤差を推定する誤差成分推定部と、
    前記干渉キャンセル部の出力から1つ以上の空間多重信号を分離合成する分離合成部と、
    前記分離合成部の出力に対し尤度情報を算出する尤度算出部と、
    前記誤差成分推定部の出力に基づき、前記尤度算出部の出力を重み付けする重み付け部と、
    前記重み付け部の出力を用いて、誤り訂正復号処理を行う第2の復号処理部と、
    を有する請求項1記載の無線通信装置。
  • 前記レプリカ生成部は、送信シンボルまたは送信ビットデータの推定結果に基づき、送信信号レプリカを生成する再符号化変調部を有する請求項4記載の無線通信装置。
  • 前記レプリカ生成部は、送信信号の推定結果に基づき送信信号レプリカを生成し、前記伝搬チャネルの推定結果を乗算して前記送信信号に対する受信レプリカを生成する請求項4記載の無線通信装置。
  • 前記誤差成分推定部は、前記受信信号から、全ての送信信号に対する受信レプリカを減算処理して得られる信号成分を基に、誤差成分を推定する請求項4記載の無線通信装置。
  • 前記誤差成分推定部は、前記再符号化変調部の出力である送信信号レプリカと、前記チャネル推定部の出力であるチャネル推定値を用いて、全ての送信信号に対する受信レプリカを生成する請求項5記載の無線通信装置。
  • 前記分離合成部は、前記干渉キャンセル部の出力から1つ以上の空間多重信号を分離合成するための分離合成ウエイトを生成し、
    前記誤差成分推定部は、前記受信信号から、送信信号に含まれる一部の送信信号に対する受信レプリカを減算処理して得られる信号成分、及び前記分離合成ウエイトを基に、誤差成分を推定する請求項4記載の無線通信装置。
  • 前記分離合成部は、前記干渉キャンセル部の出力から1つ以上の空間多重信号を分離合成する分離合成ウエイトを生成し、
    前記誤差成分推定部は、前記受信信号から、全ての送信信号に対する受信レプリカを減算処理して得られる信号成分、及び前記分離合成ウエイトを基に誤差成分を推定する請求項4記載の無線通信装置。
  • 前記送信信号レプリカの信頼性情報を生成するストリーム受信品質推定部を更に有する請求項4記載の無線通信装置。
  • 前記誤差成分推定部は、前記送信信号レプリカの信頼性情報とその受信電力情報、及び前記受信信号から、全ての送信信号に対する受信レプリカを減算処理して得られる信号成分を基に、誤差成分を推定する請求項4記載の無線通信装置。
  • 前記誤差成分推定部は、前記送信信号レプリカの信頼性情報とその受信電力情報、前記受信信号から全ての送信信号に対する受信レプリカを減算処理して得られる信号成分、及び前記分離合成部における分離合成ウエイトを基に、誤差成分を推定する請求項4記載の無線通信装置。
  • 前記受信信号を用いて送信シンボルを判定し、その判定結果に対する尤度情報を出力する検波部を更に有し、
    前記第1の復号処理部は、前記検波部の出力を基に誤り訂正復号処理を行い、
    前記再符号化変調部は、前記第1の復号処理部の判定出力に対し、誤り訂正符号化及び変調処理を再度行うことにより、送信信号のシンボル毎のレプリカを生成する請求項5記載の無線通信装置。
  • 前記検波部は、
    受信信号に空間多重ウエイトを乗算して受信シンボル系列を分離する信号分離部と、
    前記受信シンボル系列を前記尤度情報に変換する復調部と、
    を有する請求項14記載の無線通信装置。
  • 前記送信信号レプリカの信頼性情報は、第1の復号処理部で得られる尤度情報に基づいて生成される請求項14記載の無線通信装置。
  • 前記復調部は、更に、
    第2の尤度算出部を含み、
    前記送信信号レプリカの信頼性情報は、前記第2の尤度算出部で得られる尤度情報に基づいて生成される請求項15記載の無線通信装置。
  • 前記送信信号レプリカの信頼性情報を生成するストリーム受信品質推定部を更に有する請求項4記載の無線通信装置。
  • 受信信号を用いて、送信信号に対する尤度情報を算出する復調部と、
    受信信号を用いて、送信信号に対する硬判定結果を算出するシンボル硬判定部と、
    前記シンボル硬判定部の出力と伝搬チャネルの推定結果及び前記受信信号を基に送信信号に対する誤差を推定する誤差推定部と、
    前記誤差推定部の出力に基づき重み付けられた尤度情報を用いて、前記受信信号に対する誤り訂正符号処理を行う復号処理部と、
    を有する請求項1記載の無線通信装置。
  • 前記シンボル硬判定部の出力と伝搬チャネルの推定結果を基に送信信号に対する受信レプリカを生成するレプリカ生成部と、
    前記レプリカ生成部の出力と前記受信信号を用いて干渉成分をキャンセルする干渉キャンセル部と、
    を更に有する請求項19記載の無線通信装置。
  • 送信信号の硬判定結果を生成するシンボル硬判定部と、
    伝搬チャネルの推定結果を生成するチャネル推定部と、
    前記送信信号の硬判定結果と前記伝搬チャネルの推定結果を基に、送信信号に対する受信レプリカを生成するレプリカ生成部と、
    受信信号から1つ以上の空間多重信号成分を減算処理する干渉キャンセル部と、
    前記受信レプリカの誤差を推定する誤差成分推定部と、
    前記干渉キャンセル部の出力から1つ以上の空間多重信号を分離合成する分離合成部と、
    前記分離合成部の出力に対し尤度情報を算出する尤度算出部と、
    前記誤差成分推定部の出力に基づき、前記尤度算出部の出力を重み付けする重み付け部と、
    前記重み付け部の出力を用いて、誤り訂正復号処理を行う復号処理部と、
    を有する請求項1記載の無線通信装置。
  • 受信信号を用いて、送信信号に対する尤度情報を算出する復調部と、
    送信信号の硬判定結果を生成するシンボル硬判定部と、
    伝搬チャネルの推定結果を生成するチャネル推定部と、
    前記シンボル硬判定結果と前記チャネル推定結果及び前記受信信号を基に、送信信号に対する誤差を推定する誤差推定部と、
    前記誤差推定部の出力を基に前記復調部の出力を重み付けする第一の重み付け部と、
    前記第一の重み付け部の出力を基に誤り訂正復号を行う復号処理部と、
    を有する請求項1記載の無線通信装置。
  • 前記送信信号の推定結果と前記伝搬チャネルの推定結果を基に、送信信号に対する受信レプリカを生成するレプリカ生成部と、
    前記受信信号から1つ以上の空間多重信号成分を減算処理する干渉キャンセル部と、
    前記受信レプリカの誤差を推定する誤差成分推定部と、
    前記干渉キャンセル部の出力から1つ以上の空間多受信号を分離合成する分離合成部と、
    前記分離合成部の出力に対し尤度補正情報を算出する尤度算出部と、
    前記誤差成分推定部の出力に基づき、前記尤度算出部の出力を重み付けする重み付け部と、
    前記重み付け部の出力を用いて、誤り訂正復号処理を行う復号処理部と、
    を有する請求項22記載の無線通信装置。
  • 前記受信信号から空間多重された信号を分離する信号分離部と、
    前記信号分離部の出力を基に送信信号に対する尤度情報を算出する復調部と、
    前記復調部の出力を基に誤り訂正復号を行う第1の復号処理部と、
    伝搬チャネルの推定結果を生成するチャネル推定部と、
    前記送信信号の推定結果と前記伝搬チャネルの推定結果を基に、送信信号に対する受信レプリカを生成するレプリカ生成部と、
    前記受信信号から1つ以上の空間多重信号成分を減算処理する干渉キャンセル部と、
    前記受信レプリカの誤差を推定する誤差成分推定部と、
    前記干渉キャンセル部の出力から1つ以上の空間多重信号を分離合成する分離合成部と、
    前記分離合成部の出力に対し尤度情報を算出する尤度算出部と、
    前記誤差成分推定部の出力に基づき、前記尤度算出部の出力を重み付けする重み付け部と、
    前記尤度算出部の出力を基に前記重み付け部の出力を補正する第一の尤度補正部と、
    前記第一の尤度補正部の出力を基に誤り訂正復号を行う第2の復号処理部と、
    を有する請求項1記載の無線通信装置。
  • 前記受信信号から空間多重された信号を分離する信号分離部と、
    前記信号分離部の出力を基に送信信号に対する尤度情報を算出する復調部と、
    前記信号分離部の出力を基に送信信号に対する硬判定結果を算出するシンボル硬判定部と、
    前記シンボル硬判定部の出力と前記チャネル推定部の出力および前記受信信号を基に送信信号に対する誤差を推定する誤差推定部と、
    前記誤差推定部の出力に基づき、前記復調部の出力を重み付ける第一の重み付け部と、
    前記第一の重み付け部の出力を基に誤り訂正復号を行う第1の復号処理部と、
    伝搬チャネルの推定結果を生成するチャネル推定部と、
    前記送信信号の推定結果と前記伝搬チャネルの推定結果を基に、送信信号に対する受信レプリカを生成するレプリカ生成部と、
    前記受信信号から1つ以上の空間多重信号成分を減算処理する干渉キャンセル部と、
    前記受信レプリカの誤差を推定する誤差成分推定部と、
    前記干渉キャンセル部の出力から1つ以上の空間多重信号を分離合成する分離合成部と、
    前記分離合成部の出力に対し尤度情報を算出する尤度算出部と、
    前記誤差成分推定部の出力に基づき、前記尤度算出部の出力を重み付けする重み付け部と、
    前記重み付け部の出力に基づき前記重み付け部の出力を重み付ける第一の尤度補正部と、
    前記第一の尤度補正部の出力を基に誤り訂正復号を行う第2の復号処理部と、
    を有する請求項1記載の無線通信装置。
  • 前記第一の尤度補正部は、復調部の出力と重み付け部の出力とを加算する請求項24記載の無線通信装置。
  • 前記第一の尤度補正部は、復調部の出力と重み付け部の出力の尤度の高いほうを選択し、選択した尤度を出力する請求項24記載の無線通信装置。
  • 前記第一の尤度補正部は、送信ストリーム毎に付与されるCRCを基に復調部の出力に含まれるCRCが正しい場合復調部の尤度を選択し、CRCが間違っている場合は重み付け部から出力される尤度を選択する請求項24記載の無線通信装置。
  • 前記第一の尤度補正部は、第一の重み付け部の出力と重み付け部の出力とを加算する請求項25記載の無線通信装置。
  • 前記第一の尤度補正部は、第一の重み付け部の出力と重み付け部の出力の尤度の高いほうを選択し、選択した尤度を出力する請求項25記載の無線通信装置。
  • 前記第一の尤度補正部は、送信ストリーム毎に付与されるCRCを基に復調部の出力に含まれるCRCが正しい場合復調部の尤度を選択し、CRCが間違っている場合は重み付け部から出力される尤度を選択する請求項25記載の無線通信装置。
  • 前記誤差推定部は、前記受信信号から前記チャネル推定信号とシンボル硬判定結果を基に作成した全ての受信レプリカを減算する請求項22記載の無線通信装置。
  • 说明书全文

    本発明は、信号を反復復号受信する無線通信装置に関するものである。

    近年、無線通信の大容量化、高速化の要求が非常な高まりをみせており、有限な周波数資源の有効利用効率を更に向上させる方法の研究がさかんになっている。 その一つの方法として、空間領域を利用する手法が注目を集めている。 空間領域利用技術のひとつは、アダプティブアレーアンテナ(適応アンテナ)である。 このアダプティブアレーアンテナは、受信信号に乗算する重み付け係数(以下、この重み付け係数を「重み」という。)により振幅と位相を調整することができる。 この調整により、アダプティブアレーアンテナは、所望方向から到来する信号を強く受信し、また、干渉波方向を抑圧することができ、これによりシステムの通信容量を改善することが可能となる。

    また、空間領域を利用した別な技術として、伝搬路における空間的な直交性を利用することで、同一時刻、同一周波数、同一符号の物理チャネルを用いて異なるデータ系列を、1)異なる端末装置に対して伝送する空間分割多元接続(以下、SDMA)技術、2)同一の端末装置に対して伝送する空間多重技術がある。

    SDMA技術は、非特許文献1等において情報開示されており、端末装置間の空間相関係数が所定値よりも低ければSDMAが可能であり、無線通信システムのスループット、同時ユーザ収容数を改善することができる。

    一方、空間多重技術は、例えば非特許文献2において情報開示されており、送信機及び受信機共に複数のアンテナ素子を備え、アンテナ間での受信信号の相関性が低い伝搬環境下において空間多重伝送が実現できる。

    この場合、送信機は、備えられた複数のアンテナから、アンテナ素子毎に同一時刻、同一周波数、同一符号の物理チャネルを用いて異なるデータ系列異なるデータ系列を送信する。 また、受信機は、備えられた複数アンテナでの受信信号から、異なるデータ系列を基に分離受信する。 これにより、空間多重ストリームを複数用いることで、多値変調を用いずに高速化の達成が可能である。

    SDM伝送を行う場合、十分なS/N(信号対雑音比)条件下において、送受信機間に多数の散乱体が存在する環境下では、送信機と受信機とが同数のアンテナを備えた上で、アンテナ数に比例して通信容量の拡大が可能である。

    SDM受信方法については、例えば非特許文献3において情報開示されており、複数の無線通信装置からの送信系列は、MMSE(Minimum Mean squared error)、ML(Maximum Likelihood)及び反復復号受信等の手法を用いて分離受信が可能である。

    反復復号受信の構成としては、干渉信号を一括して除去して復号処理を行うパラレル型干渉キャンセラPIC(parallel Interference Cancellation)と、受信信号から逐次的に空間多重信号を分離受信し復号処理行い、受信信号から干渉信号を徐々に取り除いていく逐次型干渉キャンセラSIC(Successive Interference Cancellation)と、が知られている。

    空間多重伝送における受信方法として、反復復号受信構成を用いる場合、仮判定結果として硬判定を用いるハードキャンセラーと、軟判定出を用いるソフトキャンセラーと、が知られている。

    このうちハードキャンセラーは、硬判定値を用いることからソフトキャンセラーに比べ、受信装置の回路規模を小さくすることができ、消費電力的、コスト的に有利である。

    T.Ohgane et al, " A study on a channel allocation scheme with an adaptive array in SDMA, " IEEE 47th VTC, Page.725-729, vol.2(1997) GJFoschini, " Layered space-time architecture for wireless communication in a fading environment when using multi-element antennas, " Bell Labs Tech. J., pp.41-59, Autumn 1996 GJFoschini, " Layered space-time architecture for wireless communication in a fading environment when using multi-element antennas, " Bell Labs Tech. J., pp.41-59, Autumn 1996

    しかしながら、受信機は、干渉キャンセル時に、判定誤りした送信信号レプリカ、伝搬チャネル推定あるいはチャネル変動の誤差、ハードウエア誤差(送受信間の局部発振器の周波数誤差、送信側のD/A変換器及び受信側のD/A変換器間でのサンプリングクロックの周波数誤差など)に起因する、位相誤差等の誤差要因(自動周波数制御(AFC)でとりきれなかった残留周波数誤差あるいは位相トラッキングでとりきれなかった残留位相誤差など)を含む場合、干渉信号成分を除去することができず、受信特性に劣化を生じる。 特に、可変長のフレームフォーマットを採用している無線LANシステムでは、送信パケットサイズが大きくなる程、ハードウエア誤差に起因する位相誤差等の誤差要因による劣化の影響が大きくなる。

    ソフトキャンセラーを用いた場合、受信機は、キャンセル時の送信信号に対する受信レプリカは、その信頼性情報に基づく重み付けされた形でキャンセル動作を行うため、受信特性の劣化は比較的に小さく抑えられることができる。 しかし、伝搬チャネル推定あるいはチャネル変動の誤差、ハード誤差を含む場合は、ハードキャンセラーと同様に受信特性の劣化を生じる。

    本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、受信特性の良好な無線通信装置を得ることを目的とする。

    前記従来の課題を解決するために、本発明の無線通信装置は、受信信号を用いて、送信信号に対する尤度情報を算出する尤度算出部と、前記尤度算出部の出力を基に前記送信信号の仮判定値を出力する仮判定部と、前記仮判定部の出力と伝搬チャネルの推定結果及び前記受信信号を基に送信信号に対する受信レプリカの誤差を推定する誤差成分推定部と、前記誤差成分推定部の出力に基づき重み付けられた尤度情報を用いて、前記受信信号に対する誤り訂正復号処理を行う復号処理部とを有することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置は、受信信号を用いて、送信信号に対する尤度情報を算出する尤度算出部と、前記尤度算出部の出力を基に前記送信信号に対する誤り訂正復号処理を行って仮判定値を出力する第1の復号部と、前記第1の復号部の出力と伝搬チャネルの推定結果及び前記受信信号を基に送信信号に対する受信レプリカの誤差を推定する誤差成分推定部と、前記誤差成分推定部の出力に基づき重み付けられた尤度情報を用いて、前記受信信号に対する誤り訂正復号処理を行う第2の復号部とを有することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置は、空間多重伝送された送信信号を受信する無線通信装置において、送信信号の推定結果を生成する第1の復号処理部と、伝搬チャネルの推定結果を生成するチャネル推定部と、前記送信信号の推定結果と前記伝搬チャネルの推定結果を基に、送信信号に対する受信レプリカを生成するレプリカ生成部と、受信信号から1つ以上の空間多重信号成分を減算処理する干渉キャンセル部と、前記受信レプリカの誤差を推定する誤差成分推定部と、前記干渉キャンセル部の出力から1つ以上の空間多重信号を分離合成する分離合成部と、前記分離合成部の出力に対し尤度情報を算出する尤度算出部と、前記誤差成分推定部の出力に基づき、前記尤度算出部の出力を重み付けする重み付け部と、前記重み付け部の出力を用いて、誤り訂正復号処理を行う第2の復号処理部とを有することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置は、前記レプリカ生成部は、送信シンボルまたは送信ビットデータの推定結果に基づき、送信信号レプリカを生成する再符号化変調部を有することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記レプリカ生成部は、送信信号の推定結果に基づき送信信号レプリカを生成し、前記伝搬チャネルの推定結果を乗算して前記送信信号に対する受信レプリカを生成することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置は、前記1つ以上の空間多重信号を受信する1つ以上のアンテナを有し、前記干渉キャンセル部は、前記1つ以上の空間多重信号を含む干渉キャンセル信号を、前記アンテナ数分出力することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記誤差成分推定部は、前記受信信号から、全ての送信信号に対する受信レプリカを減算処理して得られる信号成分を基に、誤差成分を推定することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記誤差成分推定部は、前記再符号化変調部の出力である送信信号レプリカと、前記チャネル推定部の出力であるチャネル推定値を用いて、全ての送信信号に対する受信レプリカを生成することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記分離合成部は、前記干渉キャンセル部の出力から1つ以上の空間多重信号を分離合成するための分離合成ウエイトを生成し、前記誤差成分推定部は、前記受信信号から、送信信号に含まれる一部の送信信号に対する受信レプリカを減算処理して得られる信号成分、及び前記分離合成ウエイトを基に、誤差成分を推定することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記レプリカ生成部は、送信信号に含まれる一部の送信信号に対する受信レプリカを生成することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記分離合成部は、前記干渉キャンセル部の出力から1つ以上の空間多重信号を分離合成する分離合成ウエイトを生成し、前記誤差成分推定部は、前記受信信号から、全ての送信信号に対する受信レプリカを減算処理して得られる信号成分、及び前記分離合成ウエイトを基に誤差成分を推定することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記誤差成分推定部は、前記送信信号レプリカの信頼性情報及び受信電力情報を基に、誤差成分を推定することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置は、前記送信信号レプリカの信頼性情報を生成するストリーム受信品質推定部を有することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記誤差成分推定部は、前記チャネル推定部の出力を用いて前記受信電力情報を生成することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記誤差成分推定部は、前記送信信号レプリカの信頼性情報とその受信電力情報、及び前記受信信号から、全ての送信信号に対する受信レプリカを減算処理して得られる信号成分を基に、誤差成分を推定することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記誤差成分推定部は、前記送信信号レプリカの信頼性情報とその受信電力情報、前記受信信号から全ての送信信号に対する受信レプリカを減算処理して得られる信号成分、及び前記分離合成部における分離合成ウエイトを基に、誤差成分を推定することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置は、前記受信信号を用いて送信シンボルを判定し、その判定結果に対する尤度情報を出力する検波部を有し、前記第1の復号処理部は、前記検波部の出力を基に誤り訂正復号処理を行い、前記再符号化変調部は、前記第1の復号処理部の判定出力に対し、誤り訂正符号化及び変調処理を再度行うことにより、送信信号のシンボル毎のレプリカを生成することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記検波部は、受信信号に空間多重ウエイトを乗算して受信シンボル系列を分離する信号分離部と、前記受信シンボル系列を前記尤度情報に変換する復調部とを有することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記送信信号レプリカの信頼性情報は、第1の復号処理部で得られる尤度情報に基づいて生成されることを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記復調部は、第2の尤度算出部を含み、前記送信信号レプリカの信頼性情報は、前記第2の尤度算出部で得られる尤度情報に基づいて生成されることを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記検波部は、前記受信信号に対しMMSEウエイトを乗算して空間多重信号を分離して検波することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記検波部は、前記受信信号に対しMMSEウエイトを乗算することにより、複数の空間多重ストリームを分離して一つの空間多重ストリームを取り出し、その送信シンボルを判定し、その判定結果に対する尤度情報を出力することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記検波部は、前記受信信号に対しZFウエイトを乗算して空間多重信号を分離して検波することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記送信信号レプリカの信頼性情報は、前記検波部で用いられる空間多重信号を分離する受信ウエイト情報に基づいて生成され、前記受信ウエイト情報は、前記MMSEウエイトまたは前記ZFウエイトを含むことを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置は、受信信号を用いて、送信信号に対する尤度情報を算出する復調部と、受信信号を用いて、送信信号に対する硬判定結果を算出するシンボル硬判定部と、前記シンボル硬判定部の出力と伝搬チャネルの推定結果及び前記受信信号を基に送信信号に対する誤差を推定する誤差推定部と、前記誤差推定部の出力に基づき重み付けられた尤度情報を用いて、前記受信信号に対する誤り訂正符号処理を行う復号処理部とを有することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置は、前記シンボル硬判定部の出力と伝搬チャネルの推定結果を基に送信信号に対する受信レプリカを生成するレプリカ生成部と、前記レプリカ生成部の出力と前記受信信号を用いて干渉成分をキャンセルする干渉キャンセル部とを有することを特徴とする。

    また、本発明は、空間多重伝送された送信信号を受信する無線通信装置において、送信信号の硬判定結果を生成するシンボル硬判定部と、伝搬チャネルの推定結果を生成するチャネル推定部と、前記送信信号の硬判定結果と前記伝搬チャネルの推定結果を基に、送信信号に対する受信レプリカを生成するレプリカ生成部と、受信信号から1つ以上の空間多重信号成分を減算処理する干渉キャンセル部と、前記受信レプリカの誤差を推定する誤差成分推定部と、前記干渉キャンセル部の出力から1つ以上の空間多重信号を分離合成する分離合成部と、前記分離合成部の出力に対し尤度情報を算出する尤度算出部と、前記誤差成分推定部の出力に基づき、前記尤度算出部の出力を重み付けする重み付け部と、前記重み付け部の出力を用いて、誤り訂正復号処理を行う復号処理部を有することを特徴とする無線通信装置である。

    また、本発明は、空間多重伝送された送信信号を受信する無線通信装置において、受信信号を用いて、送信信号に対する尤度情報を算出する復調部と、送信信号の硬判定結果を生成するシンボル硬判定部と、伝搬チャネルの推定結果を生成するチャネル推定部と、前記シンボル硬判定結果と前記チャネル推定結果及び前記受信信号を基に、送信信号に対する誤差を推定する誤差推定部と、前記誤差推定部の出力を基に前記復調部の出力を重み付けする第一の重み付け部と、前記第一の重み付け部の出力を基に誤り訂正復号を行う復号処理部とを有することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置は、前記送信信号の推定結果と前記伝搬チャネルの推定結果を基に、送信信号に対する受信レプリカを生成するレプリカ生成部と、前記受信信号から1つ以上の空間多重信号成分を減算処理する干渉キャンセル部と、前記受信レプリカの誤差を推定する誤差成分推定部と、前記干渉キャンセル部の出力から1つ以上の空間多受信号を分離合成する分離合成部と、前記分離合成部の出力に対し尤度補正情報を算出する尤度算出部と、前記誤差成分推定部の出力に基づき、前記尤度算出部の出力を重み付けする重み付け部と、前記重み付け部の出力を用いて、誤り訂正復号処理を行う復号処理部とを有することを特徴とする。

    また、本発明は、空間多重伝送された送信信号を受信する無線通信装置において、前記受信信号から空間多重された信号を分離する信号分離部と、前記信号分離部の出力を基に送信信号に対する尤度情報を算出する復調部と、前記復調部の出力を基に誤り訂正復号を行う第1の復号処理部と、伝搬チャネルの推定結果を生成するチャネル推定部と、前記送信信号の推定結果と前記伝搬チャネルの推定結果を基に、送信信号に対する受信レプリカを生成するレプリカ生成部と、前記受信信号から1つ以上の空間多重信号成分を減算処理する干渉キャンセル部と、前記受信レプリカの誤差を推定する誤差成分推定部と、前記干渉キャンセル部の出力から1つ以上の空間多重信号を分離合成する分離合成部と、前記分離合成部の出力に対し尤度情報を算出する尤度算出部と、前記誤差成分推定部の出力に基づき、前記尤度算出部の出力を重み付けする重み付け部と、前記尤度算出部の出力を基に前記重み付け部の出力を補正する第一の尤度補正部と、前記第一の尤度補正部の出力を基に誤り訂正復号を行う第2の復号処理部とを有することを特徴とする無線通信装置である。

    また、本発明は、空間多重伝送された送信信号を受信する無線通信装置において、前記受信信号から空間多重された信号を分離する信号分離部と、前記信号分離部の出力を基に送信信号に対する尤度情報を算出する復調部と、前記信号分離部の出力を基に送信信号に対する硬判定結果を算出するシンボル硬判定部と、前記シンボル硬判定部の出力と前記チャネル推定部の出力および前記受信信号を基に送信信号に対する誤差を推定する誤差推定部と、前記誤差推定部の出力に基づき、前記復調部の出力を重み付ける第一の重み付け部と、前記第一の重み付け部の出力を基に誤り訂正復号を行う第1の復号処理部と、伝搬チャネルの推定結果を生成するチャネル推定部と、前記送信信号の推定結果と前記伝搬チャネルの推定結果を基に、送信信号に対する受信レプリカを生成するレプリカ生成部と、前記受信信号から1つ以上の空間多重信号成分を減算処理する干渉キャンセル部と、前記受信レプリカの誤差を推定する誤差成分推定部と、前記干渉キャンセル部の出力から1つ以上の空間多重信号を分離合成する分離合成部と、前記分離合成部の出力に対し尤度情報を算出する尤度算出部と、前記誤差成分推定部の出力に基づき、前記尤度算出部の出力を重み付けする重み付け部と、前記重み付け部の出力に基づき前記重み付け部の出力を重み付ける第一の尤度補正部と、前記第一の尤度補正部の出力を基に誤り訂正復号を行う第2の復号処理部とを有することを特徴とする。

    また、本発明は、空間多重伝送された送信信号を受信する無線通信装置において、受信信号から受信信号の変調方式を特定する変調方式特定部と、受信信号を用いて、送信信号に対する尤度情報を算出する復調部と、送信信号の硬判定結果を生成するシンボル硬判定部と、伝搬チャネルの推定結果を生成するチャネル推定部と、前記シンボル硬判定結果と前記チャネル推定結果及び前記受信信号を基に、送信信号に対する誤差を推定する誤差推定部と、前記変調方式特定部の出力に基づき、送信信号に対する誤差のビット切り出し位置を選択する第1のビット選択部と、前記第1のビット選択部の出力に基づき、復調部の出力を重み付ける第1の重み付け部と、前記第1の重み付け部の出力を基に誤り訂正復号を行う第1の復号処理部とを有することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置は、前記送信信号の推定結果と前記伝搬チャネルの推定結果を基に、送信信号に対する受信レプリカを生成するレプリカ生成部と、前記受信信号から1つ以上の空間多重信号成分を減算処理する干渉キャンセル部と、前記受信レプリカの誤差を推定する誤差成分推定部と、前記干渉キャンセル部の出力から1つ以上の空間多受信号を分離合成する分離合成部と、前記分離合成部の出力に対し尤度補正情報を算出する尤度算出部と、前記変調方式特定部の出力に基づき、送信信号に対する誤差のビット切り出し位置を選択する第2のビット選択部と、前記第2のビット選択部の出力に基づき、前記尤度算出部の出力を重み付けする第2の重み付け部と、前記第2の重み付け部の出力を用いて、誤り訂正復号処理を行う第2の復号処理部とを有することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記レプリカ生成部は、送信信号の推定結果に基づき送信信号のレプリカを生成し、前記伝搬チャネルの推定結果を乗算して前記送信信号に対する受信レプリカを生成することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置は、前記1つ以上の空間多重信号を受信する1つ以上のアンテナを有し、前記干渉キャンセル部は、前記1つ以上の空間多重信号を含む干渉キャンセル信号を、前記アンテナ数分出力することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記誤差成分推定部は、前記受信信号からすべての送信信号に対する受信レプリカを減算処理して得られる信号成分を基に、誤差成分を推定することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記分離合成部は、前記干渉キャンセル部の出力から1つ以上の空間多重信号を分離合成するための分離合成ウエイトを生成し、前記誤差成分推定部は、前記受信信号から、送信信号に含まれる一部の送信信号に対する受信レプリカを減算処理して得られる信号成分、及び前記分離合成ウエイトを基に、誤差成分を推定することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記レプリカ生成部は、送信信号に含まれる一部の送信信号に対する受信レプリカを生成することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記分離合成部は、前記干渉キャンセル部の出力から1つ以上の空間多重信号を分離合成する分離合成ウエイトを生成し、前記誤差成分推定部は、前記受信信号から、すべての送信信号に対する受信レプリカを減算処理して得られる信号成分、及び前記分離合成ウエイトを基に誤差成分を推定することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記誤差成分推定部は、前記送信信号レプリカの信頼性情報及び受信電力情報を基に、誤差成分を推定することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記シンボル硬判定部は、送信シンボル毎に送信信号候補点に最も近い信号点を選択し、その信号点を出力することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記第一の尤度補正部は、復調部の出力と重み付け部の出力とを加算することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記第一の尤度補正部は、復調部の出力と重み付け部の出力の尤度の高いほうを選択し、選択した尤度を出力することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記第一の尤度補正部は、送信ストリーム毎に付与されるCRCを基に復調部の出力に含まれるCRCが正しい場合復調部の尤度を選択し、CRCが間違っている場合は重み付け部から出力される尤度を選択することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記第一の尤度補正部は、第一の重み付け部の出力と重み付け部の出力とを加算することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記第一の尤度補正部は、第一の重み付け部の出力と重み付け部の出力の尤度の高いほうを選択し、選択した尤度を出力することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記第一の尤度補正部は、送信ストリーム毎に付与されるCRCを基に復調部の出力に含まれるCRCが正しい場合復調部の尤度を選択し、CRCが間違っている場合は重み付け部から出力される尤度を選択することを特徴とする。

    また、本発明の無線通信装置において、前記誤差推定部は、前記受信信号から前記チャネル推定信号とシンボル硬判定結果を基に作成した全ての受信レプリカを減算することを特徴とする。

    本発明の無線通信装置によれば、送信信号に対する受信レプリカ信号生成時の誤差成分を推定する誤差成分推定部の出力を基に、空間多重信号に対する尤度情報を重み付けることにより、送信信号レプリカに誤差が含まれる場合でも、その受信特性の劣化を抑えることができる。

    これにより、ハードキャンセラーの特徴である回路規模面、コスト面、消費電力面の有利性を維持するとともに、受信特性の良好な無線通信装置を得ることができる。

    以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。

    (実施の形態1)
    図1は、本実施の形態1における無線通信装置100の構成を示す図である。 なお、図1における無線通信装置100は受信構成のみを示しており、送信構成は図2の無線通信装置100aに示している。 本実施の形態における受信構成は、パラレル型干渉キャンセラ(PIC)を用いて反復復号を行う構成を示している。 以下、図1及び図2を用いてその動作を順に説明する。

    まず、図2を用いて、無線通信装置100aの送信動作を説明する。 無線通信装置100aは、複数(M本、M>1)のアンテナ26−1〜Mから、複数M個の送信系列を空間多重伝送する(以下、空間多重ストリームと呼ぶ)。 なお、図2では、一例として、M=2である場合の無線通信装置100aの構成を示すが、これに限定されるものではない。

    図2において、送信データ生成部20は、無線通信装置へ送信するビットデータ系列z(k)を生成する。 ここで、kは離散時刻を示す。 伝送路符号化部21は、ビットデータ系列z(k)に対し、所定の符号化率で誤り訂正符号化を施す。 直並列変換手段(S/P変換手段)22は、伝送路符号化部20のデータ出力をアンテナ数M分の並列データ列に変換し、送信ビットデータ系列d m (k)として出力する。

    その後、インターリーバ23―mは、送信ビットデータ系列d m (k)に対しインターリービング処理を施す。 変調部24―mは、インターリーバ23―mの出力に対し、所定の多値レベル(1シンボルで送信される情報量を示す値)の変調方式を用いて、I(In−Phase)信号及びQ(Quadrature−Phase)信号からなる複素平面上の変調シンボルにマッピングした送信シンボル系列x m (k)を出力する。

    送信部25―mは、ベースバンド信号である送信シンボル系列x m (k)を周波数変換し、高周波信号として、アンテナ26―mから送信する。 ここで、mはM以下の自然数である。 以上の動作をすべてのmに対して行う。

    ここで、第m番目アンテナから送信される離散時刻kにおける送信シンボル系列を、x m (k)と表記する。 また、x(k)を、複数のアンテナ(M>1)から送信される離散時刻kにおける送信シンボル系列とする。 ここで、x(k)はM次元の列ベクトルであり、第n番目の要素はx m (k)からなる。

    次に、本発明の無線通信装置の受信構成について説明する。 図1を用いて、無線通信装置100における動作を説明する。 なお、以下では、周波数同期、位相同期、シンボル同期確立後の動作を説明する。

    Nr個の複数アンテナ1−1〜Nrは、送信された高周波信号を受信する。 ここで、Nrは送信される空間多重ストリーム数M以上の自然数とする。 なお、図1では一例としてNr=2の場合を示しているが、これに限定されるものではない。

    受信部2―nは、アンテナ1−nで受信された高周波信号に対し、図示されていない増幅及び周波数変換処理後に、さらに直交検波処理を行い、I信号及びQ信号からなるベースバンド信号に変換する。 さらに、ベースバンド信号は、図示されていないA/D変換器を用いて、離散信号としてサンプリングされる。

    ここで、離散時刻kにおいてサンプリングされたI信号及びQ信号を、それぞれ実数成分及び虚数成分として有する受信信号y n (k)と標記する。 また、y(k)を受信に用いるアンテナ1−1〜Nrにおける受信信号と標記する。 これは、第n番目の要素が、y n (k)からなる列ベクトルである。

    ここで、無線通信装置100aからの離散時刻kにおける送信シンボル系列x m (k)に対し、フラットフェージング伝搬環境下において、無線通信装置100により得られる受信信号y(k)は、(数1)のように示すことができる。

    また、Hは、無線通信装置100aからの送信シンボル系列x(k)が受ける伝搬路変動を示す。 また、伝搬路変動Hは、(無線通信装置100のアンテナ数Nr)行×(無線通信装置100aにおける送信アンテナ数M)列からなる行列である。 また、伝搬路変動Hのi行j列の行列要素h ijは、無線通信装置100aにおける第j番目の送信アンテナから送信された高周波信号が、無線通信装置100における第i番目のアンテナで受信時の伝搬路変動を示す。

    また、n(k)は無線通信装置100のNr個のアンテナで受信時に付加されるNr個の要素をもつ雑音ベクトルを示し、(数2)に示すような雑音電力σの白色雑音とする。 ここで、I Nrは、Nr次の単位行列であり。 E[x]はxの期待値を表す。

    チャネル推定部3は、無線通信装置100から送信される既知のパイロット信号などを用いて、伝搬路変動Hに対する推定値である伝搬路変動推定値B(以下、チャネル推定値)を出力する。

    次に、信号分離部4は、チャネル推定値Bを用いて、無線通信装置100aから空間多重伝送される送信信号を分離受信する空間多重分離ウエイトを生成し、受信信号y(k)に対し乗算演算を行う。 乗算演算後の出力信号は、伝搬路による振幅位相変動が等化(以下、チャネル等化)された信号s m (k)を出力する。

    また、信号分離部4は、チャネル等化された信号のみでは、受信信号品質に関する情報が欠落するため、それを補うために、分離された信号s m (k)の受信品質情報q m (k)もあわせて出力する。

    ここで、所望の送信シンボル系列x m (k)に対する空間多重信号分離ウエイトW mとしては、ZF(Zero Forcing)、MMSE(Minimum Mean Square Error)等の手法を適用して算出する。 信号分離部4は、このように生成された空間多重分離ウエイトW mを用いて、受信信号y(k)に対し、(数3)に示すように乗算することで、他の空間多重ストリームからの干渉信号成分を取り除いた信号s m (k)を得る。

    ここで、W mはNr個の要素をもつ列ベクトル、Tはベクトル転置を表す。 信号分離部4の出力信号s m (k)は、送信側の変調部24において、所定の多値変調レベルの変調方式でシンボルマッピングされた、送信シンボル系列に対する受信結果のシンボル系列(以下、受信シンボル系列)である。

    なお、Nr=2,M=2におけるZF手法を用いた場合のW mは、(数4)で示すように伝搬路変動推定値Bの逆行列で表すことができる。 なお、Nr>Mの場合、伝搬路変動推定値Bの擬似逆行列を用いる。 また受信品質情報q m (k)は、信号分離されて得られる受信シンボル系列s m (k)の受信SNRまたは受信SINRを用いる。 なお、受信SNRまたは受信SINRは、空間多重分離ウエイトW mを用いて換算することができる。 ここで、信号分離部4は、ZF手法の場合、受信品質情報q m (k)として、(数5)で示すように受信SNR規範に基づく値を算出できる。

    次に、復調部5―mは、信号分離部4の出力である受信シンボル系列s m (k)を、ビット列からなるビットデータ列に変換するデマッピング処理を行う。 ビット列への変換時には、受信シンボル点に、最も近いシンボル候補点の硬判定値を出力する手法もあるが、本発明においては、ビット毎の尤度情報を出力する。

    ビット毎の尤度情報として、対数尤度比LLR( Log Likelihood Ratio)を算出する。 対数尤度比の算出方法に関しては、例えば非特許文献:三瓶著、「デジタルワイヤレス伝送技術」、pp. 275〜279、ピアソン・エデュケーション出版に記載されている。

    すなわち、復調部5―mは、受信シンボル系列s m (k)における、第i番目ビットの対数尤度比LLR m,i (k)として、(数6)を用いて算出する。 ここで、Lは送信時に用いられた変調多値数、s c (bi=A)はシンボルマッピング時に用いられたシンボル候補の内、第i番目のビットがAであるシンボル候補の集合を示す。 ここで、Aは、0または1であり、iは、log 2 (L)以下の自然数である。 また、mはM以下の自然数である。

    復調部5―1〜Mの出力は、第1の復号処理部6に入力される。 第1の復号処理部6は、デインターリーバ60―1〜M、P/S変換部61、復号部62から構成される。 以下その動作の説明を行う。

    デインターリーバ60―mは、復調部5―mから出力されるビット毎の尤度情報の出力(以下、ビット尤度系列)に対し、送信側で施されたインターリーブと逆の動作によりビットデータ順を変換する。 並直列変換部(P/S変換部)61は、複数のデインターリーバ60―1〜Mから出力されるビット尤度列を、所定の手順によりシリアルのビット尤度列に変換する。

    復号部62は、P/S変換部61から出力される軟判定値であるビット尤度列に対し、誤り訂正復号処理を施す。 復号部62は、誤り訂正復号処理後に、2値の硬判定値で仮判定されたビットデータを、送信ビットデータ系列に対する仮判定ビット列b(k)として出力する。

    再符号化変調部8は、仮判定ビット列b(k)に基づいて、送信シンボルデータを再生成する。 図3は再符号化変調部8の詳細構成を示す。 図3において、伝送路符号化部31は、仮判定ビット列b(k)に対し、送信時に用いた所定の符号化率及び誤り訂正方式によって、誤り訂正符号化を施す。

    直並列変換手段(S/P変換手段)32は、伝送路符号化部31のデータ出力を、送信時と同様に、アンテナ数M分の並列データ列に変換し、仮判定送信ビットデータ系列d [1] m (k)として出力する。

    その後、送信時に用いた同一のインターリーブパターンを有するインターリーバ33−mは、仮判定送信ビットデータ系列d [1] m (k)に対し、インターリービング処理を施す。 変調部34は、インターリーバ33―mの出力に対し、送信時に用いた所定の多値変調を用いて、I(In−Phase)信号及びQ(Quadrature−Phase)信号からなる複素平面上の変調シンボルにマッピングした仮判定送信シンボル系列x [1] m (k)を出力する。

    なお、mはM以下の自然数である。 ここで、x [1] (k)を、複数のアンテナ(M>1)から送信される離散時刻kにおける仮判定送信シンボル系列とする。 ここで、x [1] (k)はM次元の列ベクトルであり、第m番目の要素はx [1] m (k)からなる。

    レプリカ生成部9は、再符号化変調部8の出力である仮判定送信シンボル系列x [1] m (k)及びチャネル推定部3からの出力であるチャネル推定値Bを用いて、(数7)に示すような、受信信号y(k)のレプリカ信号y [1] (k)を生成する。 ここで、Grは、M次の単位行列からr行r列の対成分を0にした行列を示す。

    干渉キャンセル部10は、受信部2の出力である受信信号y(k)から、所望の第r番目の空間多重ストリームを除く、空間多重ストリームを干渉信号とみなし除去を行い、干渉除去された第r番目の空間多重ストリームを出力する。 すなわち、(数8)に示すように、干渉キャンセル出力v r (k)を算出する。

    ここで、rは1からMまでの自然数、y [1] (k)はレプリカ信号である。 また、干渉キャンセル出力v r (k)は、Nr個の要素をもつ列ベクトルである。 干渉キャンセル部10は、以上の干渉キャンセルの動作を、送信された全てのM個の空間多重ストリームに対して行う。 すなわち、干渉キャンセル部10は、r=1、. . . ,Mに対して、(数8)に示す干渉キャンセル動作を行う。

    分離合成部11―rは、Nr個の要素をもつ干渉キャンセル出力v r (k)を合成する。 干渉キャンセル出力の合成手法としては、最大比合成(MRC合成)、MMSE合成(最小自乗誤差合成)等の適用が可能である。 分離合成部11―rは、最大比合成手法を適用する場合、(数9)のように、所望の第r番目の空間多重ストリームに対する合成出力u r (k)を算出する。 ここで、b rは、チャネル推定値Bにおける第r番目の列ベクトル、上付きの添え字Hはベクトル共役転置を表す。 ここで、rはM以下の自然数である。

    誤差成分推定部13は、干渉キャンセル部10におけるレプリカ信号の誤差成分E(k)を推定する。 すなわち、誤差成分推定部13は、(数10)に示すように、チャネル推定部3の出力B及び再符号化変調部8の出力を用いて、全ての空間多重ストリームに対するレプリカ信号y [1] (k)を生成し、それを受信信号y(k)から減算除去する。

    なお、誤差成分推定部13の別な動作として、干渉キャンセル部10におけるレプリカ信号の誤差成分E(k)を用いて、さらに、合成ウエイトGrを用いて重み付けして得られるレプリカ信号の誤差成分Er(k)を推定してもよい。 なお、合成ウエイトGrは、分離合成部11―rにおける干渉キャンセル出力v r (k)を合成するものである。

    すなわち、(数11)に示すように、チャネル推定部3の出力B及び再符号化変調部8の出力を用いて、全ての空間多重ストリームに対するレプリカ信号y [1] (k)を生成し、それを受信信号y(k)から減算除去し、さらに分離合成部11―rにおける干渉キャンセル出力v r (k)に対する合成ウエイトGrで合成する。

    本構成では、特に、空間的に有色な干渉雑音成分が残る場合、空間多重ストリーム毎に、重み付け合成ウエイトGを用いることで、有色な干渉雑音成分が適切に除去された後の、レプリカ信号の誤差成分Er(k)が得られる。 このため、ストリーム毎により最適な尤度情報が得られ、尤度情報の重み付けの精度を向上させることができ、その結果として、受信品質の向上が可能となる。

    ここで、算出されるレプリカ信号の誤差成分E(k)は、雑音電力σの成分に加えて、以下のような離散時刻k毎のシンボルデータ系列に対する干渉雑音電力成分を検出できる。

    1)復号部62において判定誤りした仮判定出力が含まれる場合:
    レプリカ生成部9において生成されるレプリカ信号y [1] (k)=Bx [1] (k)のx [1] (k)成分に誤差が生じるため、干渉キャンセル部10の干渉キャンセル動作によっては、干渉信号成分が除去されずに、干渉信号残差成分として残る干渉雑音電力成分。

    2)チャネル推定誤差、あるいは伝搬路変動に起因するチャネル変動誤差が含まれる場 合:
    レプリカ生成部9において生成されるレプリカ信号y [1] (k)=Bx [1] (k)のB成分に誤差が生じるため、干渉キャンセル部10の干渉キャンセル動作によっては、干渉信号成分が除去されずに、干渉信号残差成分として残る干渉雑音電力成分。

    3)ハード誤差(キャリア周波数誤差、サンプリング周波数誤差)に起因する位相変動 誤差を含む場合:
    レプリカ生成部9において生成されるレプリカ信号y [1] (k)=Bx [1] (k)のB成分に誤差が生じるため、干渉キャンセル部10の干渉キャンセル動作によっては、干渉信号成分が除去されずに、干渉信号残差成分として残る干渉雑音電力成分。

    尤度算出部12―rは、分離合成部11―rの出力である合成出力シンボルデータ系列u r (k)を、ビット列からなるビットデータ列に変換するデマッピング処理を行う。 ビット列への変換時には、復調部5と同様にビット毎の対数尤度比LLRを算出する。 すなわち、合成出力シンボル系列u r (k)に対する第i番目のビットにおける信頼性情報として、(数12)のような対数尤度比LLRr,j(k)を算出する。

    ここで、Lは送信時に用いられた変調多値数、s c (bi=A)は、シンボルマッピング時に用いられたシンボル候補の内、第i番目のビットがAであるシンボル候補の集合を示す。 ここで、Aは、0または1であり、iはlog 2 (L)以下の自然数である。 また、mはM以下の自然数、brは、チャネル推定値Bにおける第r番目の列ベクトル、rはM以下の自然数である。

    なお、(数12)は、分離合成部11において最大比合成手法を適用した場合を前提に記している。 すなわち、受信品質情報q m (k)は、SNR規範を用いている。 各アンテナでの雑音電力は、共通として省略している。 第r番目の空間多重ストリーム対するMRC合成による受信電力||br|| 2による重み付けを行っている。 ここで、||x|| 2はベクトルxに対するノルムを表す。

    重み付け部14―rは、誤差成分推定部13から出力される誤差成分を基に、尤度算出部12―rの出力である第r番目の空間多重シンボルに対するビット尤度系列に対して、誤差成分に応じた補正を行う。 すなわち、(数13)に示すような補正ビット尤度系列LLR [1] r,i (k)を算出する。

    ここで、d(k)は、(数14)で示すような、無線通信装置100の受信時に付加される雑音電力σと、誤差成分推定部13の出力と、をパラメータとした関数値として表現でき、レプリカ信号の誤差成分E(k)が大きい程、d(k)を小さくする関数形状とする。 一例として、(数15)に示す関数を用いる。 なお、(数15)の代わりに、d(k)=tanh(α×σ/E(k))を用いても良い。 この場合αは定数値である。

    重み付け部14―rの出力は、第2の復号処理部6 (2)に入力される。 第2の復号処理部6 (2)は、デインターリーバ60 (2) ―1〜M、P/S変換部61 (2) 、復号部62 (2)から構成され、第1の復号処理部6と同様の構成であるため、その詳細説明は省略する。 最終的に、復号部62 (2)は、P/S変換部61 (2)から出力されるビット尤度列に対し誤り訂正復号処理を施し、2値の硬判定値を送信ビットデータ系列の復号結果として出力する。

    以上のような動作により、本実施の形態では、レプリカ信号の誤差成分を、受信信号とレプリカ信号を用いて検出する動作を行う誤差成分推定部13の出力を基に、干渉キャンセル後に分離合成される空間多重信号に対する尤度情報を重み付け部14において補正する。

    これにより、本実施の形態の無線通信装置は、干渉キャンセル時に、判定誤りした仮判定出力が含まれる場合や、チャネル推定誤差及びチャネル変動誤差などによる誤差要因により干渉雑音電力が顕著に含まれる場合に、当該受信シンボルに対するビット尤度を小さくすることができる。 その結果、本実施の形態の無線通信装置は、前記ビット尤度を用いて誤り訂正復号処理を行うことで、判定誤りした仮判定出力が含まれる場合や、チャネル推定誤差及びチャネル変動誤差などによる誤差要因が含まれる場合でも、受信特性の劣化を抑えることができる。

    また、本実施の形態において、仮判定値を2値の硬判定値としたハードキャンセラーは、軟判定値を用いたソフトキャンセラーよりも簡易な構成が可能であり、更に、受信特性の良好な無線通信装置を得ることができる。

    なお、本実施の形態における無線通信装置は、仮判定値の代わりに、軟判定値を用いたソフトキャンセラーを行う構成に用いてもよい。 すなわち、無線通信装置は、干渉キャンセル部10の代わりに、ソフトキャンセルを行うソフト干渉キャンセル部を用いる。 この場合、ソフトキャンセラーによる利得向上効果に加え、本発明の構成である、受信レプリカの誤差成分を検出する誤差成分推定部13による尤度情報の重み付け効果による受信特性の改善効果を得ることができる。

    なお、本実施の形態では、第2の復号処理部の出力を、最終的な送信ビットデータ系列に対する復号結果として出力したが、この出力を、再度、再変調符号化変調部8に入力して、以下、再符号化変調部8、レプリカ生成部9、干渉キャンセル部10、誤差成分推定部13、分離合成部11、尤度算出部12、重み付け部13及び第2の復号処理部において、前述したのと同様な処理を繰り返し行っても良い。 このような繰り返し処理により、処理遅延が大きくなるが、復号部における誤り訂正の効果が高まり、受信特性が改善される効果を有する。

    (実施の形態2)
    図9は、本実施の形態2における無線通信装置200の構成を示す図である。 なお、図9における無線通信装置200は受信構成のみを示しており、送信構成は図10の無線通信装置201に示している。 実施の形態1では、空間多重伝送を行う場合の送信及び受信構成を示したが、本実施の形態は、実施の形態1でM=1にした場合に相当する空間多重伝送を行わない場合の送信及び受信構成を示している。 以下、図9及び図10を用いてその動作を順に説明する。

    まず、図10を用いて、無線通信装置201の送信動作を説明する。 無線通信装置201は、1つのアンテナ26から、1つの送信系列を伝送する(以下、送信ストリームと呼ぶ)。 図10において、送信データ生成部20は無線通信装置へ送信するビットデータ系列z(k)を生成する。 ここで、kは離散時刻を示す。

    伝送路符号化部21は、ビットデータ系列z(k)に対し、所定の符号化率で誤り訂正符号化を施し、送信ビットデータ系列d(k)として出力する。 インターリーバ23は、送信ビットデータ系列d(k)に対しインターリービング処理を施す。

    変調部24は、インターリーバ23の出力に対し、所定の多値レベルの変調方式を用いて、I信号及びQ信号からなる複素平面上の変調シンボルにマッピングした送信シンボル系列x 1 (k)を出力する。 送信部25は、ベースバンド信号である送信シンボル系列x 1 (k)を周波数変換し、高周波信号として、アンテナ26から送信する。

    次に、本実施形態の無線通信装置の受信構成について説明する。 図9を用いて、無線通信装置200における動作を説明する。 なお、以下では、周波数同期、位相同期、シンボル同期確立後の動作を説明する。

    Nr個のアンテナ1−1〜Nrは、送信された高周波信号を受信する。 ここで、Nrは1以上の自然数とする。 なお、図9では一例としてNr=2の場合を示しているがこれに限定されるものではない。

    受信部2―nは、アンテナ1−nで受信された高周波信号に対し、図示されていない増幅及び周波数変換処理後に、さらに直交検波処理を行い、I信号及びQ信号からなるベースバンド信号に変換する。

    さらに、ベースバンド信号は、図示されていないA/D変換器を用いて、離散信号としてサンプリングされる。 ここで、離散時刻kにおいてサンプリングされたI信号及びQ信号を、それぞれ実数成分及び虚数成分として有する受信信号y n (k)と標記する。 また、y(k)を受信に用いるアンテナ1−1〜Nrでの受信信号と標記する。 これは、第n番目の要素がy n (k)からなる列ベクトルである。

    ここで、無線通信装置201からの離散時刻kにおける送信シンボル系列x 1 (k)に対し、フラットフェージング伝搬環境下において得られる無線通信装置200での受信信号y(k)は、(数16)のように示すことができる。

    また、hは、無線通信装置2001からの送信シンボル系列x 1 (k)が受ける伝搬路変動を示し、(無線通信装200のアンテナ数Nr)行からなる列ベクトルである。 伝搬路変動hの第i番目の要素h iは、無線通信装置201における送信アンテナから送信された高周波信号が、無線通信装置200における第i番目のアンテナで受信時の伝搬路変動を示す。

    また、n(k)は、無線通信装置200のNr個のアンテナで受信時に付加されるNr個の要素をもつ雑音ベクトルを示し、(数2)に示すような雑音電力σの白色雑音とする。 ここで、I Nrは、Nr次の単位行列であり。 E[x]はxの期待値を表す。

    チャネル推定部3は、無線通信装置100から送信される既知のパイロット信号などを用いて、伝搬路変動hに対する推定値である伝搬路変動推定値b 1 (以下、チャネル推定値)を出力する。

    次に、等化合成部80は、チャネル推定値Bを用いて、無線通信装置201から伝送される送信信号を等化合成するウエイトを生成し、受信信号y(k)に対し乗算演算を行う。 乗算演算後の出力信号は、伝搬路による振幅位相変動が等化(以下、チャネル等化)された信号s 1 (k)を出力する。

    また、等化合成部80は、チャネル等化された信号のみでは、受信信号品質に関する情報が欠落するため、それを補うために、分離された信号s 1 (k)の受信品質情報q 1 (k)もあわせて出力する。

    ここで、等化合成部80は、所望の送信シンボル系列x 1 (k)に対する等化合成ウエイトW 1としては、ZF、MMSE等の手法を適用して算出する。 等化合成部80は、生成された等化合成ウエイトW 1を用いて、受信信号y(k)に対し、(数17)に示すように乗算することで、等化合成された信号s m (k)を得る。

    ここで、W 1はNr個の要素をもつ列ベクトル、Tはベクトル転置を表す。 等化合成部80の出力信号s 1 (k)は、送信側の変調部24において、所定の多値変調レベルの変調方式によりシンボルマッピングされた、送信シンボル系列に対する受信結果のシンボル系列(以下、受信シンボル系列)である。

    また、受信品質情報q 1 (k)は、等化合成される受信シンボル系列s m (k)の受信SNRまたは受信SINRを用いる。 なお、受信SNRまたは受信SINRは等化合成ウエイトW 1を用いて換算することができ、ZF手法の場合、受信品質情報q m (k)は、(数5)で示すように受信SNR規範に基づく値として算出できる。

    次に、尤度算出部12は、等化合成部80の出力である受信シンボル系列s 1 (k)を、ビット列からなるビットデータ列に変換するデマッピング処理を行う。 ビット列への変換時には、受信シンボル点に、最も近いシンボル候補点の硬判定値を出力する手法もあるが、本発明においては、ビット毎の尤度情報を出力する。

    ビット毎の尤度情報としては、対数尤度比LLR( Log Likelihood Ratio)を算出する。 すなわち、(受信シンボル系列s 1 (k)における、第i番目ビットの対数尤度比LLR 1,i (k)として(数18)を用いて算出する。

    ここで、Lは送信時に用いられた変調多値数を示し、s c (bi=A)はシンボルマッピング時に用いられたシンボル候補の内、第i番目のビットがAであるシンボル候補の集合を示す。 ここで、Aは、0または1であり、iは、log 2 (L)以下の自然数である。

    デインターリーバ60―1は、尤度算出部12から出力されるビット毎の尤度情報の出力(以下、ビット尤度系列)に対し、送信側で施されたインターリーブとは逆の動作により、ビットデータ順を変換する。

    第1の復号部62―1は、デインターリーバ60―1から出力される軟判定値であるビット尤度列に対し、誤り訂正復号処理を施し、その出力として、2値の硬判定値で仮判定されたビットデータを送信ビットデータ系列に対する仮判定ビット列b(k)として出力する。

    再符号化変調部8は、仮判定ビット列b(k)に基づいて仮判定送信シンボル系列x [1] 1 (k)を出力し、送信シンボルデータを再生成する。 再符号化変調部8の動作は、無線通信装置201における送信データ生成部20、伝送路符号化部21、インターリーバ23及び変調部24と同様な動作であるため、その説明を省略する。

    レプリカ生成部9は、再符号化変調部8の出力である仮判定送信シンボル系列x [1] 1 (k)及びチャネル推定部3からの出力であるチャネル推定値b 1を用いて、(数19)に示すような、受信信号y(k)のレプリカ信号y [1] (k)を生成する。

    誤差成分推定部13は、レプリカ信号の誤差成分E(k)を推定する。 すなわち、誤差成分推定部13は、(数10)に示すように、チャネル推定部3の出力B及び再符号化変調部8の出力を用いて、全ての送信ストリームに対するレプリカ信号By [1] (k)を生成し、レプリカ信号By [1] (k)を受信信号y(k)から減算除去する。

    ここで、算出されるレプリカ信号の誤差成分E(k)は、雑音電力σの成分に加えて、以下のような離散時刻k毎のシンボルデータ系列に対する干渉雑音電力成分を検出できる。

    1)復号部62―1において判定誤りした仮判定出力が含まれる場合:
    レプリカ生成部9において生成されるレプリカ信号y [1] (k)=b 1[1] (k)のx [1] (k)成分に、誤差が生じるために残る誤差電力成分。

    2)チャネル推定誤差、あるいは伝搬路変動に起因するチャネル変動誤差が含まれる場 合:
    レプリカ生成部9において生成されるレプリカ信号y [1] (k)=b 1[1] (k)のb 1成分に、誤差が生じる誤差電力成分。

    3)ハード誤差(キャリア周波数誤差、サンプリング周波数誤差)に起因する位相変動 誤差を含む場合:
    レプリカ生成部9において生成されるレプリカ信号y [1] (k)=b 1[1] (k)のb 1成分に、誤差が生じるために残る誤差電力成分。
    なお、1)から3)の誤差電力成分は、独立して生じるものである。

    重み付け部14は、誤差成分推定部13の出力を基に、尤度算出部12の出力であるビット尤度系列に、誤差成分に応じた補正を行う。 すなわち、重み付け部14は、(数20)に示すような補正ビット尤度系列LLR [1] 1,i (k)を算出する。

    ここで、d(k)は、(数14)で示すような、無線通信装置200の受信時に付加される雑音電力σと、誤差成分推定部13の出力と、をパラメータとした関数値として表現でき、レプリカ信号の誤差成分E(k)が大きい程、d(k)を小さくする関数形状とする。 一例として、(数15)に示す関数を用いる。

    第2のデインターリーバ60―2は、重み付け部14の出力に対し、デインターリービング処理をおこなう。 第2の復号部62―2は、デインターリービング処理されたビット尤度列に対し、誤り訂正復号処理を施し、2値の硬判定値を送信ビットデータ系列の復号結果として出力する。

    以上のような動作により、本実施の形態では、レプリカ信号の誤差成分を、受信信号とレプリカ信号とを用いて検出する動作を行う誤差成分推定部13の出力を基に、送信ストリームに対する尤度情報を重み付け部14において補正する。

    これにより、本実施の形態の無線通信装置は、判定誤りした仮判定出力が含まれる場合や、チャネル推定誤差及びチャネル変動誤差などによる誤差要因により誤差音電力が顕著に含まれる場合に、当該受信シンボルに対するビット尤度を小さくすることができる。 その結果、本実施の形態の無線通信装置は、ビット尤度を用いて誤り訂正復号処理を行うことで、判定誤りした仮判定出力が含まれる場合や、チャネル推定誤差及びチャネル変動誤差などによる誤差要因が含まれる場合でも、受信特性の劣化を抑えることができる。

    また、本実施の形態において、仮判定値を2値の硬判定値としたハードキャンセラーは、軟判定値を用いたソフトキャンセラーよりも簡易な構成が可能であり、更に、受信特性の良好な無線通信装置を得ることができる。

    なお、本実施の形態における無線通信装置は、第2の復号部62−2の出力を最終的な送信ビットデータ系列に対する復号結果として出力したが、復号結果の出力を、再度、再変調符号化変調部8に入力して、以下、再符号化変調部8、レプリカ生成部9、誤差成分推定部13、重み付け部13及び第2の復号処理部62−2において、前述した処理を繰り返し行っても良い。 無線通信装置は、前記繰り返し処理により処理遅延が大きくなるが、復号部における誤り訂正の効果が高まり、受信特性が改善される効果を有する。

    なお、本実施の形態における別な構成を図11に示す。 本構成では、デインターリーバ60−1、第1の復号部62−1及び再符号化変調部8の代わりに、シンボル仮判定部81を用いる。

    すなわち、シンボル仮判定部81は、尤度算出部12の出力である、受信シンボル系列s 1 (k)における、第i番目ビットの対数尤度比LLR 1,i (k)を用いて、シンボルデータ系列に対するシンボル硬判定を行う。 また、シンボル仮判定部81は、シンボル硬判定結果を用いて、再度、変調を行い、仮判定送信シンボル系列x [1] 1 (k)を出力する。

    本構成では、誤り訂正復号処理を行わずに仮判定出力を得る構成となるため、レプリカ生成時に誤り訂正復号の効果を含まなくなるため特性の劣化が生じるが、構成的に図9に比べて簡易的に実現が可能でき、処理遅延も低減できるという特徴を有する。

    (実施の形態3)
    図4は、本実施の形態3における無線通信装置100bの構成を示す図である。 なお、図4における無線通信装置100bは受信構成のみを示しており、送信構成は図2の無線通信装置100aに示す構成と同一であるため、送信動作の説明は省略する。

    本実施の形態における受信構成は、パラレル型干渉キャンセラ(PIC)を用いて反復復号を行う構成を示している。 実施の形態1と異なる点は、実施の形態1の誤差成分推定部13と異なる入力信号を基に、誤差成分を推定する誤差成分推定部15を有する点である。 すなわち誤差成分推定部15は、ストリーム受信品質推定部7及びチャネル推定部3からの出力を基に、誤差成分を推定する。 以下、実施の形態1と異なる部分を主に図4を用いてその動作を説明する。

    アンテナ1で受信した高周波信号に対し、受信部2、チャネル推定部3、信号分離部4を介して復調部5で空間多重ストリームに対するビット尤度列LLR m,i (k)を算出するまでの動作は、実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。

    ストリーム受信品質推定部7は、復調部5で得られた空間多重ストリームに対するビット尤度列LLR m,i (k)を基に、空間多重ストリームの受信シンボル系列s m (k)におけるシンボル毎の受信品質を推定する。

    ここで、mはM以下の自然数である。 シンボル毎の受信品質推定としては、(数21)に示すように、第m番目の空間多重シンボルにおける第k番目の受信シンボルに対するlog 2 (L)個のビット尤度LLR m,i (k)の絶対値をとったものから、最小値をとるものを選択する。

    すなわち、ストリーム受信品質推定部7は、最も信頼性の低いビット尤度を当該シンボルの代表値と見なし、それを引数として、関数gによる出力値を算出する。 関数g(x)は、入力引数xが大きくなるにつれて出力値が大きくなる関数形状を適用する。 具体的な関数gとしては、g(x)=x 1/2などを用いる。 また、出力値として、0≦Q m (k)≦1となるような制限を加える。 以上の動作を、M個の全ての空間多重ストリームに対して行う。

    なお、ストリーム受信品質推定部7の別な動作としては、(数21)を用いたストリーム受信品質推定の代わりに、(数5)を用いた推定を行う方法でもよい。

    誤差成分推定部15は、ストリーム受信品質推定部7の出力を基に、干渉キャンセル部10における干渉キャンセル動作時の第r番目の空間多重ストリームに対する誤差成分E r (k)を推定する。

    すなわち、(数22)で示すように、当該の第r番目の空間多重ストリームを除く、干渉として除去する対象となっている第m番目の空間多重ストリームのストリーム受信品質Q m (k)が高い場合は、誤差成分は0に近づき、逆に、ストリーム受信品質Q m (k)が低い場合は、ストリーム受信品質の信頼度の低さに応じて、第m番目の空間多重ストリームの受信電力に比例した干渉電力が誤差成分として発生するものとして、干渉雑音電力推定を行う。

    ただし、b mは、チャネル推定値Bにおける第m番目の列ベクトル、rはM以下の自然数である。 また、当該の第r番目の空間多重ストリームを除く、干渉として除去する対象となっている空間多重ストリームが複数存在する場合は、全ての除去対象空間多重ストリームに対し上記の演算を行い、算出された干渉雑音電力の総和を出力値とする。

    一方、復調部5―1〜Mの出力は、第1の復号処理部6に入力される。 第1の復号処理部6は、2値の硬判定値で仮判定されたビットデータを、送信ビットデータ系列に対する仮判定ビット列b(k)として出力する。 復調部5―1〜Mの動作は、実施の形態1と同様であり、説明は省略する。

    続いて、再符号化変調部8、レプリカ生成部9、干渉キャンセル部10、分離合成部11、尤度算出部12は、実施の形態1と同様な動作を行う。 すなわち、再符号化変調部8は、仮判定ビット列b(k)に基づいて送信シンボルデータを再生成する。

    レプリカ生成部9は、再符号化変調部8の出力である仮判定送信シンボル系列x [1] m (k)及びチャネル推定部3からの出力であるチャネル推定値Bを用いて、(数7)に示す、受信信号y(k)のレプリカ信号y [1] (k)を生成する。

    干渉キャンセル部10は、受信部2の出力である受信信号y(k)から、所望の第r番目の空間多重ストリームを除く空間多重ストリームを、干渉信号とみなし除去を行い、干渉除去された第r番目の空間多重ストリームを出力する。

    分離合成部11―rは、Nr個の要素をもつ干渉キャンセル出力v r (k)を合成した合成出力u r (k)を算出する。 尤度算出部12―rは、分離合成部11―rの出力である合成出力シンボルデータ系列u r (k)を、ビット列からなるビットデータ列に変換するデマッピング処理を行う。

    すなわち、分離合成部11―rは、合成出力シンボル系列u r (k)に対する第i番目のビットに対する信頼性情報として、(数12)のような対数尤度比LLRr,j(k)を算出する。 ただし、rはM以下の自然数であり、全てのrに対して、実施の形態1と同様な動作を行う。 なお、分離合成部11―rの動作説明は省略する。

    重み付け部14―rは、誤差成分推定部15の出力である誤差成分E r (k)を基に、尤度算出部12―rの出力である第r番目の空間多重シンボルに対するビット尤度系列に、誤差成分に応じた補正を行う。

    すなわち、(数23)に示すような補正ビット尤度系列LLR [1] r,i (k)を算出する。 ここで、d r (k)は、(数24)で示すような、無線通信装置100の受信時に付加される雑音電力σと、誤差成分推定部15の出力と、をパラメータとした関数値として表現でき、レプリカ信号の誤差成分E r (k)が大きい程、d r (k)を小さくする関数形状とする。 一例として、(数25)に示す関数を用いる。

    重み付け部14―rの出力は、第2の復号処理部6 (2)に入力される。 第2の復号処理部6 (2)は、デインターリーバ60 (2) ―1〜M、P/S変換部61 (2) 、復号部62 (2)から構成され、第1の復号処理部6と同様の構成であるため、その詳細説明は省略する。 最終的に、復号部62 (2)は、P/S変換部61 (2)から出力されるビット尤度列に対し誤り訂正復号処理を施し、2値の硬判定値を送信ビットデータ系列の復号結果として出力する。

    以上のような動作により、本実施の形態では、干渉キャンセル時のレプリカ信号の誤差成分を検出する誤差成分推定部15の出力を基に、干渉キャンセル後に分離合成される空間多重信号に対する尤度情報を重み付け部14において補正する。

    これにより、干渉キャンセル時に、判定誤りした仮判定出力が含まれる確率が高い場合、すなわち、ストリーム受信品質推定部7において、干渉信号として除去をするレプリカ信号の推定したシンボル毎の受信品質が低い場合に、仮判定出力に誤りが含まれる確率が高いと見なして、当該受信シンボルに対するビット尤度を小さく補正する。 これにより、尤度補正されたビット尤度を用いて誤り訂正復号処理を行うことで、受信特性の劣化を抑えることができる。

    また、本実施の形態で対象とする、仮判定値を2値の硬判定値としたハードキャンセラーでは、軟判定値を用いたソフトキャンセラーよりも簡易な構成が可能であり、更に、受信特性の良好な無線通信装置を得ることができる。

    なお、本実施の形態では、第2の復号処理部6 (2)の出力を最終的な送信ビットデータ系列に対する復号結果として出力したが、この出力を、再度、再符号化変調部8に入力して、以下、再符号化変調部8、レプリカ生成部9、干渉キャンセル部10、誤差成分推定部15、分離合成部11、尤度算出部12、重み付け部14及び第2の復号処理部6 (2)において、前述したのと同様な処理を繰り返し行っても良い。 このような繰り返し処理により、処理遅延が大きくなるが、復号部における誤り訂正の効果が高まり、受信特性が改善される効果を有する。

    また、この際に、図5に示すように、重み付け部14の出力に対するストリーム受信品質を推定するストリーム受信品質推定部7bを別に設けて、ストリーム受信品質推定部7bの出力を誤差成分推定部15bへ出力する構成としてもよい。

    誤差成分推定部15bは、第2の復号処理部6 (2)からの復号結果を、再度、再符号化変調部8に入力した場合には、ストリーム受信品質推定部7の代わりに、ストリーム受信品質推定部7bの出力に基づき、誤差成分電力を推定する。 以上のような構成により、繰り返し処理により更新された誤差成分電力を推定することができ、受信品質の改善度を高めることができる。

    なお、復号部62において、ビット毎に軟判定値として尤度情報出力が得られる、例えば、MAP(最大事後確率)復号器、SOVA(ソフトアウトプットビタビアルゴリズム)復号器、Max Log MAP復号器を用いる場合、図6に示すように、復号部62からのビット毎の尤度情報出力を用いて、重み付け部14の出力に対するストリーム受信品質を推定するストリーム受信品質推定部7cを別に設けて、その出力を誤差成分推定部15cへ出力する構成としてもよい。

    この場合、ストリーム受信品質推定部7cは、図3に示す伝送路符号化器31に入力される前のビットデータ列に対してビット毎の受信品質の推定を行うため、ストリーム受信品質推定部7cの出力の順番を、重み付け部14において重み付け処理を行うデータの出力の順番に揃える変換処理を加える。

    すなわち、重み付け部14がシンボルデータに対し重み付け処理を行う場合、誤差成分推定部15cは、ストリーム受信品質推定部7cの出力を、当該シンボルデータに含まれる全てのビットに対する受信品質推定部7cの出力データを用いて、(数21)に示す処理を行う。 以上のような構成により、復号部の仮判定出力に対する尤度情報としては、復号部62からのビット毎の尤度情報の方が、より精度高く反映されたものが得られるため、誤差成分推定の精度を高めることができる。

    なお、本実施の形態で説明した構成と、前述した実施の形態1における誤差成分推定部13と、を組み合わせる構成の適用も可能である。 この場合、2つの誤差成分推定部13及び15の出力に対し、重み付け部14で、(数24)に示すd r (k)を個別に算出し、重み処理を行う構成でもよいし、2つ誤差成分推定部13及び15の出力を、さらに重みづけ合成した結果を基に、(数24)に示すd r (k)を算出し、重み処理を行う構成でもよい。 この場合、構成は複雑になるが、異なる算出方法による誤差成分を検出することで、受信特性の向上が可能となる。

    (実施の形態4)
    図7及び図8は、本実施の形態4における無線通信装置100cの送信構成及び受信構成を示す図である。 なお、図7における無線通信装置100cは受信構成のみを示しており、送信構成は図8の無線通信装置100dに示している。 本実施の形態における受信構成は、シリアル(逐次)型干渉キャンセラ(SIC)を用いて反復復号を行う構成を示している。 以下、図7及び図8を用いてその動作を順に説明する。

    図8の構成は、実施の形態1における送信構成である図2の構成に対し、以下の点が異なる。 すわなち、複数の伝送路符号化器21を有し、複数アンテナ26から送信される空間多重ストリーム毎に独立に伝送路符号化処理を行う点である。 以下、図8を用いて、無線通信装置100dの送信動作を説明する。

    無線通信装置100dは、複数(M本、M>1)のアンテナ26−1〜Mから、複数M個の空間多重ストリームを送信する。 なお、図8では、一例として、M=2である場合の無線通信装置100dの構成を示すが、これに限定されるものではない。 図8において、送信データ生成部(図示省略)は、受信側の無線通信装置へ送信するビットデータ系列z(k)を生成する。 ここで、kは離散時刻を示す。

    直並列変換手段(S/P変換手段)70は、送信データ系列であるビットデータ系列z(k)出力をアンテナ数M分の並列ビットデータ列z m (k)に変換する。 伝送路符号化部21―mは、ビットデータ系列z m (k)に対し、所定の符号化率で誤り訂正符号化を施した送信ビットデータ系列d m (k)を出力する。

    インターリーバ23―mは、送信ビットデータ系列d m (k)に対し、インターリービング処理を施す。 変調部24―mは、インターリーバ23―mの出力に対し、所定の多値レベルの変調方式を用いて、I信号及びQ信号からなる複素平面上の変調シンボルにマッピングした送信シンボル系列x m (k)を出力する。

    送信部25―mは、ベースバンド信号である送信シンボル系列x m (k)を周波数変換し、高周波信号として、アンテナ26―mから送信する。 ここで、mはM以下の自然数である。 以上の動作をすべてのmに対して行う。

    ここで、第m番目アンテナから送信される離散時刻kにおける送信シンボル系列をx m (k)と表記する。 また、x(k)を、複数のアンテナ(M>1)から送信される離散時刻kにおける送信シンボル系列とする。 ここで、x(k)はM次元の列ベクトルであり、第n番目の要素はx m (k)からなる。

    次に、本発明の無線通信装置の受信構成について説明する。 図7を用いて、無線通信装置100cにおける動作を説明する。 なお、以下では、周波数同期、位相同期、シンボル同期確立後の動作を説明する。

    Nr個の複数アンテナ1−1〜Nrは、送信された高周波信号を受信する。 ここで、Nrは、送信される空間多重ストリーム数M以上の自然数とする。 なお、図7では一例として、Nr=2の場合を示しているが、これに限定されるものではない。

    受信部2―nは、アンテナ1−nで受信された高周波信号に対し、図示されていない増幅及び周波数変換処理後に、さらに直交検波処理を行い、I信号及びQ信号からなるベースバンド信号に変換する。 さらに、ベースバンド信号は、図示されていないA/D変換器を用いて、離散信号としてサンプリングされる。

    ここで、離散時刻kにおいてサンプリングされたI信号及びQ信号を、それぞれ実数成分及び虚数成分として有する受信信号y n (k)と標記する。 また、y(k)を、受信に用いるアンテナ1−1〜Nrでの受信信号として標記する。 y(k)は、第n番目の要素がy n (k)からなる列ベクトルである。

    ここで、無線通信装置100dからの離散時刻kにおける送信シンボル系列x m (k)に対し、フラットフェージング伝搬環境下において得られる無線通信装置100cでの受信信号y(k)は、(数1)のように示すことができる。

    また、Hは、無線通信装置100dからの送信シンボル系列x(k)が受ける伝搬路変動を示す。 伝搬路変動Hは、(無線通信装置100cのアンテナ数Nr)行×(無線通信装置100dにおける送信アンテナ数M)列からなる行列である。 伝搬路変動Hのi行j列の行列要素h ijは、無線通信装置100dにおける第j番目の送信アンテナから送信された高周波信号が、無線通信装置100cにおける第i番目のアンテナで受信時の伝搬路変動を示す。

    また、n(k)は、無線通信装置100cのNr個のアンテナで受信時に付加されるNr個の要素をもつ雑音ベクトルを示し、(数2)に示すような雑音電力σの白色雑音とする。 ここで、I Nrは、Nr次の単位行列であり。 E[x]はxの期待値を表す。

    チャネル推定部3は、無線通信装置100dから送信される既知のパイロット信号などを用いて、伝搬路変動Hに対する推定値であるチャネル推定値Bを出力する。

    次に、信号分離部4は、チャネル推定値Bを用いて、無線通信装置100dから空間多重伝送される送信信号のうち、一つの空間多重ストリームを分離受信する空間多重分離ウエイトを生成し、受信信号y(k)に対し乗算演算を行う。

    ここで、信号分離部4は、受信SNRまたは受信SINRが良好なものから順に、分離受信するオーダーリングを用いてもよい。 これにより受信特性の改善が図れることが、非特許文献3で情報開示されている。

    以下では、第m番目の空間多重ストリームが、選択されて分離受信されるものとする。 ただし、mはM以下の自然数である。 また、信号分離部4による乗算演算後の出力信号は、伝搬路による振幅位相変動が等化(以下、チャネル等化)された信号s m (k)が出力される。 また、チャネル等化された信号のみでは、受信信号品質に関する情報が欠落するため、信号分離部4は、情報欠落を補うために、分離された信号s m (k)の受信品質情報q m (k)もあわせて出力する。

    ここで、信号分離部4は、所望の送信シンボル系列x m (k)に対する空間多重信号分離ウエイトW mとしては、ZF(Zero Forcing)、MMSE(Minimum Mean Square Error)等の手法を適用して算出する。 このように生成された空間多重分離ウエイトW mを用いて、受信信号y(k)に対し、(数3)に示すように乗算することで、他の空間多重ストリームからの干渉信号成分を取り除いた信号s m (k)を得る。

    ここで、W mはNr個の要素をもつ列ベクトル、Tはベクトル転置を表す。 信号分離部4の出力信号s m (k)は、送信側の変調部24において、所定の多値レベルの変調方式に応じてシンボルマッピングされた、送信シンボル系列に対する受信結果のシンボル系列(以下、受信シンボル系列)である。

    なお、ZF手法を用いた場合のW mは、(数4)で示すように伝搬路変動推定値Bの逆行列で表すことができる。 なお、Nr>Mの場合、W mは、伝搬路変動推定値Bの擬似逆行列を用いる。 また受信品質情報q m (k)は、信号分離されて得られる受信シンボル系列s m (k)の受信SNRまたは受信SINRを用いる。 なお、受信SNRまたは受信SINRは、空間多重分離ウエイトW mを用いて換算することができ、ZF手法の場合、受信品質情報q m (k)は、(数5)で示すように、受信SNR規範に基づく値を算出できる。

    次に、復調部5―mは、信号分離部4の出力である受信シンボル系列s m (k)を、ビット列からなるビットデータ列に変換するデマッピング処理を行う。 復調部5―mは、ビット毎の尤度情報として、対数尤度比LLRを算出する。

    すなわち、復調部5―mは、受信シンボル系列s m (k)における、第i番目ビットの対数尤度比LLR m,i (k)として、(数6)を用いて、尤度情報を算出する。 ここで、Lは送信時に用いられた変調多値数、s c (bi=A)はシンボルマッピング時に用いられたシンボル候補の内、第i番目のビットがAであるシンボル候補の集合を示す。 ここで、Aは、0または1であり、iは、log 2 (L)以下の自然数である。 また、mはM以下の自然数である。

    復調部5―mの出力は、第1の復号処理部80に入力される。 第1の復号処理部80は、デインターリーバ60―m、第1の復号部62―mから構成される。 以下その動作の説明を行う。

    デインターリーバ60―mは、復調部5―mから出力されるビット毎の尤度情報の出力(以下、ビット尤度系列)に対し、送信側で施されたインターリーブとは逆の動作により、ビットデータ順を変換する。

    第1の復号部62―mは、デインターリーバ60―mから出力される軟判定値であるビット尤度列に対し誤り訂正復号処理を施し、2値の硬判定値で仮判定されたビットデータを、送信ビットデータ系列に対する仮判定ビット列b m (k)として出力する。

    第2の反復復号部90は、再符号化変調部8−2、レプリカ生成部9−2、干渉キャンセル部10−2、分離合成部11−2、尤度算出部12−2、ヌルウエイト乗算部75−2、誤差成分推定部76−2、重み付け部14−2、第2の復号処理部80 (2)からなり、以下の動作を行う。

    再符号化変調部8−2は、仮判定ビット列b m (k)に基づいて送信シンボルデータを再生成するため、図示していない伝送路符号化部、インターリーバ及び変調部を含み、以下のような処理を行う。

    まず、伝送路符号化部は、仮判定ビット列b(k)に対し、送信時に用いた所定の符号化率及び誤り訂正方式によって、誤り訂正符号化を施し、仮判定送信ビットデータ系列d [1] m (k)として出力する。

    その後、送信時に用いた同一のインターリーブパターンを有するインターリーバは、仮判定送信ビットデータ系列d [1] m (k)に対し、インターリービング処理を施す。 変調部は、インターリーバの出力に対し、送信時に用いた所定の多値変調を用いて、I信号及びQ信号からなる複素平面上の変調シンボルにマッピングした仮判定送信シンボル系列x [1] m (k)を出力する。 なお、mはM以下の自然数である。

    レプリカ生成部9−2は、再符号化変調部8−2の出力である仮判定送信シンボル系列x [1] m (k)及びチャネル推定部3からの出力であるチャネル推定値Bを用いて、(数26)に示すような、受信信号y(k)のレプリカ信号y m [1] (k)を生成する。 ここで、b mは、チャネル推定値Bにおける第m番目の列ベクトルを表す

    干渉キャンセル部10−2は、受信部2の出力である受信信号y(k)から、第m番目の空間多重ストリームを干渉信号とみなし除去を行い、第m番目の空間多重ストリームが干渉除去された干渉キャンセル信号v 1 (k)を出力する。 すなわち、干渉キャンセル部10−2は、(数27)に示すように、干渉キャンセル出力v 1 (k)を算出する。 また、干渉キャンセル出力v 1 (k)は、Nr個の要素をもつ列ベクトルである。

    ここで、干渉キャンセル出力が、1)一つの空間多重ストリームのみを含む場合と、2)干渉キャンセル出力が複数の空間多重ストリームを含む場合とでは、以下異なる動作を行う。

    1)一つの空間多重ストリームのみを含む場合:
    分離合成部11―2は、干渉キャンセル出力v 1 (k)を合成して出力する。 干渉キャンセル出力の合成手法としては、最大比合成(MRC合成)、MMSE合成(最小自乗誤差合成)等の適用が可能である。 最大比合成手法を適用する場合、(数28)のように、所望の第r番目の空間多重ストリームに対する合成出力u r (k)を算出する。 ここで、b rは、チャネル推定値Bにおける第r番目の列ベクトル、上付きの添え字Hはベクトル共役転置を表す。 ここで、rはM以下の自然数である。

    2)干渉キャンセル出力が複数の空間多重ストリームを含む場合:
    分離合成部11―2は、干渉除去した第m番目の空間多重ストリームを除いた複数の空間多重ストリームに対し、再度、信号分離処理を行う。 この際、干渉除去したチャネル推定成分を除去した新たなチャネル推定値B 1を用いる。

    すなわち、チャネル推定値B 1は、チャネル推定値Bの第m番目の列ベクトルを除いたNr行(M−1)列の行列である。 分離合成部11―2は、得られたチャネル推定値B 1を用いて、信号分離部4と同様に、無線通信装置100dから空間多重伝送される送信信号のうち、一つの空間多重ストリームを分離受信する空間多重分離ウエイトを生成し、受信信号y(k)に対し乗算演算を行う。

    ここで、分離合成部11―2は、受信SNRまたは受信SINRが良好なものから順に、分離受信するオーダーリングを用いてもよい。 以下では第r番目の空間多重ストリームが選択されて分離受信されるものとする。 ただし、rは、M以下の自然数であり、干渉キャンセルした第m番目を除く。

    また、乗算演算後の出力信号は、伝搬路による振幅位相変動が等化(以下、チャネル等化)された信号s r (k)を出力する。 また、チャネル等化された信号のみでは、受信信号品質に関する情報が欠落するためが、情報欠落を補うために、分離された信号s r (k)の受信品質情報q r (k)もあわせて出力する。

    尤度算出部12―2は、分離合成部11―2の出力である合成出力シンボルデータ系列u r (k)を、ビット列からなるビットデータ列に変換するデマッピング処理を行う。 ビット列への変換時には、復調部5と同様にビット毎の対数尤度比LLRを算出する。

    すなわち合成出力シンボル系列u r (k)に対する第i番目のビットに対する信頼性情報として、(数29)のような対数尤度比LLRr,i(k)を算出する。 ここで、Lは送信時に用いられた変調多値数、s c (bi=A)はシンボルマッピング時に用いられたシンボル候補の内、第i番目のビットがAであるシンボル候補の集合を示す。 ここで、Aは、0または1であり、iはlog 2 (L)以下の自然数である。 また、brは、チャネル推定値Bにおける第r番目の列ベクトル、rはM以下の自然数である。

    なお、(数29)は分離合成部11−2において最大比合成手法を適用した場合を前提に記している。 すなわち、受信品質情報qエ(k)としてSNR規範を用いており、各アンテナでの雑音電力は共通として省略し、第r番目の空間多重ストリーム対するMRC合成による受信電力||br|| 2による重み付けを行っている。 ここで、||x|| 2はベクトルxに対するノルムを表す。

    ヌルウエイト乗算部75−2は、(数30)に示すように信号分離部4で用いた第m番目の空間多重ストリームを分離受信する際に用いた空間多重分離ウエイトW mを用いて、干渉キャンセル出力v 1 (k)に対して乗算する。

    なお、(数30)は、チャネル推定値の精度が十分確保されていることを前提に、第m番目の空間多重ストリームの受信電力を考慮していない方式であるが、別な方法として、(数30)の代わりに、分離受信する際に用いた空間多重分離ウエイトの受信電力||b m || 2を含めたg 1 =||b m || 2 W m T v 1 (k)を用いる方式でもよい。 この場合、チャネル推定値に誤差を含む場合には、その誤差成分を含めた検出が可能となるため、(数30)よりも有効な方式となる。

    誤差成分推定部76−2は、ヌルウエイト乗算部75−2の出力を基に、干渉キャンセル部10におけるレプリカ信号の誤差成分E 1 (k)を推定する。 すなわち、(数31)に示すように、ヌルウエイト乗算部75の出力g 1の絶対値の2乗を算出する。

    ここで、算出されるレプリカ信号の誤差成分E 1 (k)は、雑音電力σの成分に加えて、以下のような離散時刻k毎のシンボルデータ系列に対する干渉雑音電力成分を検出できる。

    1)第1の復号部62−1において判定誤りした仮判定出力が含まれる場合:レプリカ生成部9で生成されるレプリカ信号y m [1] (k)成分に誤差が生じるため、干渉キャンセル部10の干渉キャンセル動作で、干渉信号成分が除去されずに干渉信号残差成分として残る干渉雑音電力成分。

    2)チャネル推定誤差、あるいは伝搬路変動に起因するチャネル変動誤差が含まれる場合:レプリカ生成部9で生成されるレプリカ信号y m [1] (k)のチャネル推定値成分b mに誤差が生じるため、干渉キャンセル部10の干渉キャンセル動作で、干渉信号成分が除去されずに干渉信号残差成分として残る干渉雑音電力成分。

    3)ハードウエア誤差(キャリア周波数誤差、サンプリング周波数誤差)に起因する位相変動誤差を含む場合、レプリカ生成部9で生成されるレプリカ信号y m [1] (k)のチャネル推定成分b mに誤差が生じるため、干渉キャンセル部10の干渉キャンセル動作で、干渉信号成分が除去されずに干渉信号残差成分として残る干渉雑音電力成分。

    重み付け部14―2は、誤差成分推定部76−2の出力を基に、尤度算出部12―2の出力である第r番目の空間多重シンボルに対するビット尤度系列に、誤差成分に応じた補正を行う。

    すなわち、(数32)に示すような補正ビット尤度系列LLR [1] r,i (k)を算出する。 ここで、d(k)は、(数33)で示すような、無線通信装置100cの受信時に付加される雑音電力σと、誤差成分推定部76−2の出力をパラメータとした関数値として表現でき、レプリカ信号の誤差成分E(k)が大きい程、d(k)を小さくする関数形状とする。 一例として、(数34)に示す関数を用いる。

    重み付け部14―2の出力は、第2の復号処理部80 (2)に入力される。 第2の復号処理部80 (2)は、デインターリーバ60 (2) ―2、第2の復号部62 (2)から構成され、第1の復号処理部80と同様の構成であるため、その詳細説明は省略する。 最終的に、第2の復号部62 (2)は、デインターリーバ60 (2) ―2から出力されるビット尤度列に対し誤り訂正復号処理を施し、2値の硬判定値を送信ビットデータ系列の復号結果として出力する。

    なお、空間多重ストリーム数がMである場合、本発明の無線通信装置は、第2の反復復号部90から第M−1までの(M−1)個の反復復号部を有する。 第2の反復復号部90の動作は上述した通りである。 第nの反復復号部90−nは、以下のような動作を行う。 ここでnは3以上、M―1以下の自然数である。

    再符号化変調部8―nは、第n−1の反復復号部の出力である第m番目の空間多重ストリームに対する仮判定ビット列に基づいて送信シンボルデータを再生成するため、図示していない伝送路符号化部、インターリーバ及び変調部を含み、以下のような処理を行う。

    まず伝送路符号化部は、仮判定ビット列に対し、送信時に用いた所定の符号化率及び誤り訂正方式によって、誤り訂正符号化を施し、仮判定送信ビットデータ系列d [n1] m (k)として出力する。 その後、送信時に用いた同一のインターリーブパターンを有するインターリーバにより仮判定送信ビットデータ系列d [n-1] m (k)に対しインターリービング処理を施す。

    変調部は、インターリーバの出力に対し、送信時に用いた所定の多値変調を用いて、I信号及びQ信号からなる複素平面上の変調シンボルにマッピングした仮判定送信シンボル系列x [n-1] m (k)を出力する。 なお、mはM以下の自然数である。

    レプリカ生成部9―nは、再符号化変調部8―nの出力である仮判定送信シンボル系列x [n-1] m (k)及びチャネル推定部3からの出力であるチャネル推定値Bを用いて、(数35)に示すような、受信信号y(k)のレプリカ信号y m [1] (k)を生成する。 ここで、b mは、チャネル推定値Bにおける第m番目の列ベクトルを表す

    干渉キャンセル部10―nは、第n−1の反復復号部の干渉キャンセル部10―(n−1)の出力であるv n-1 (k)から、第m番目の空間多重ストリームを干渉信号とみなし除去を行い、第m番目の空間多重ストリームが干渉除去された干渉キャンセル信号v n (k)を出力する。

    すなわち、(数36)に示すように、干渉キャンセル出力v n (k)を算出する。 また、干渉キャンセル出力v n (k)はNr個の要素をもつ列ベクトルである。 ここでv n (k)は、第2の反復復号部の干渉キャンセル部10―2から第nの反復復号部の干渉キャンセル部10―nによりn−1個の空間多重ストリームが干渉除去されたことになり、干渉キャンセル出力v n (k)は、M−(n―1)個の空間多重ストリームが含まれる。

    ここで、干渉キャンセル出力が、1)一つの空間多重ストリームのみを含む場合と2)干渉キャンセル出力が複数の空間多重ストリームを含む場合では、以下異なる動作を行う。

    1)一つの空間多重ストリームのみを含む場合:分離合成部11―nは、干渉キャンセル出力v n (k)を合成して出力する。 干渉キャンセル出力の合成手法としては、最大比合成(MRC合成)、MMSE合成(最小自乗誤差合成)等の適用が可能である。 最大比合成手法を適用する場合、(数37)のように所望の第r番目の空間多重ストリームに対する合成出力u r (k)を算出する。 ここで、b rは、チャネル推定値Bにおける第r番目の列ベクトル、上付きの添え字Hはベクトル共役転置を表す。 ここで、rはM以下の自然数である。

    2)干渉キャンセル出力が複数の空間多重ストリームを含む場合:分離合成部11―nは、既に干渉除去された空間多重ストリームを除いた複数の空間多重ストリームに対し、再度信号分離処理を行う。 この際、干渉キャンセル部で除去された空間多重ストリームのチャネル推定成分を除去した新たなチャネル推定値B nを用いる。

    すなわち、第m番目の空間多重ストリームが除去された場合、チャネル推定値Bから対応する第m番目の列ベクトルを削除する。 従って、B nは、Nr行(M−n+1)列の行列である。

    得られたチャネル推定値B nを用いて、信号分離部と同様に、無線通信装置100dから空間多重伝送される送信信号のうち、一つの空間多重ストリームを分離受信する空間多重分離ウエイトを生成し、干渉キャンセル部10―nの出力v n (k)に対し乗算演算を行う。

    ここで、受信SNRまたは受信SINRが良好なものから順に分離受信するオーダーリングを用いてもよい。 以下では第r番目の空間多重ストリームが選択されて分離受信されるものとする。 ただし、rは、M以下の自然数であり、既に干渉キャンセルされた空間多重ストリームのインデックスは除く。

    また、乗算演算後の出力信号は伝搬路による振幅位相変動が等化(以下、チャネル等化)された信号s r (k)を出力する。 また、チャネル等化された信号のみでは、受信信号品質に関する情報が欠落するため、それを補うために、分離された信号s r (k)の受信品質情報q r (k)もあわせて出力する。

    尤度算出部12―nは、分離合成部11―nの出力である合成出力シンボルデータ系列u r (k)を、ビット列からなるビットデータ列に変換するデマッピング処理を行う。 ビット列への変換時には、復調部5と同様にビット毎の対数尤度比LLRを算出する。 ヌルウエイト乗算部は、(数38)に示すように分離合成部10―(n−1)で用いた第m番目の空間多重ストリームを分離受信する際に用いた空間多重分離ウエイトW mを用いて、干渉キャンセル出力v n (k)に対して乗算する。

    なお、ヌルウエイト乗算部の別な動作としては、(数39)に示すように、全ての空間多重ストリームが存在する場合の、第m番目の空間多重ストリームを分離受信する空間多重分離ウエイトW mを、チャネル推定値Bを用いて算出し、受信信号y(k)に対して乗算する。

    この場合、逐次的に行われる干渉キャンセル部10―nの出力v n (k)は、複数の空間多重ストリームのレプリカ生成の誤りが含まれるが、(数39)では、受信信号y(k)を用いることで、より正確な誤差成分を推定することができる。

    誤差成分推定部は、ヌルウエイト乗算部の出力を基に、干渉キャンセル部10におけるレプリカ信号の誤差成分E 1 (k)を推定する。 すなわち、ヌルウエイト乗算部の出力g 1の絶対値の2乗を算出する。

    重み付け部14―nは、誤差成分推定部13―nの出力を基に、尤度算出部13―nの出力である第r番目の空間多重シンボルに対するビット尤度系列に、誤差成分に応じた補正を行う。

    重み付け部14―nの出力は、第nの復号処理部80 (n)に入力される。 第nの復号処理部80 (n)は、デインターリーバ60 (n) 、第n+1の復号部62 (n)から構成され、第1の復号処理部80と同様の構成であるため、その詳細説明は省略する。

    以上のような動作により、本実施の形態では、干渉キャンセル時の誤差成分を、受信信号とレプリカ信号及び信号分離部での空間多重分離ウエイトを用いて、干渉雑音電力を検出する動作を行う誤差成分推定部76−2の出力を基に、干渉キャンセル後に分離合成される空間多重信号に対する尤度情報を重み付け部14−2において補正する。

    これにより、干渉キャンセル時に、判定誤りした仮判定出力が含まれる場合、チャネル推定誤差及びチャネル変動誤差などによる誤差要因により干渉雑音電力が顕著に含まれる場合に、当該受信シンボルに対するビット尤度を小さくすることができ、その結果、それらのビット尤度を用いて誤り訂正復号処理を行うことで、受信特性の劣化を抑えることができる。

    また、本実施の形態で対象とする、仮判定値を2値の硬判定値としたハードキャンセラーでは、軟判定値を用いたソフトキャンセラーよりも簡易な構成で、受信特性の良好な無線通信装置を得ることができる。

    なお、本実施の形態では、第Mの復号処理部の出力を最終的な送信ビットデータ系列に対する復号結果として出力したが、この出力を、再度、再符号化変調部8−2に入力して、以下、再符号化変調部8−2、レプリカ生成部9−2、干渉キャンセル部10−2、誤差成分推定部76−2、分離合成部11−2、尤度算出部12−2、重み付け部14−2及び第2の復号処理部80 (2)において、前述したのと同様な処理を繰り返し行っても良い。 このような繰り返し処理により処理遅延が大きくなるが、復号部における誤り訂正の効果が高まり、受信特性が改善される効果を有する。

    なお、本実施の形態では、送信側の構成として、図8に示すように複数の伝送路符号化器21を有する構成を示したが、これに限定されず、図2に示すように伝送路符号化器21が一つである場合でも適用が可能である。 すなわち、復調部5の出力であるシンボル毎の尤度情報を用いて第1の仮判定出力、及び第nの尤度算出部12−nをシンボル毎の尤度情報を用いて第nの仮判定出力とすることで、同様に適用できる。

    なお、以上の実施の形態においては、シングルキャリア変調方式を用いて無線通信を行う無線通信装置の構成について説明を行ったが、マルチキャリア変調方式を用いた無線通信装置への適用も可能である。 特に、空間多重伝送を行う場合、直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal frequency division multiplexing)を用いたマルチキャリア変調方式がよく用いられる。 これは、無線伝搬路のマルチパス遅延が、ガードインターバル時間内であれば、各サブキャリアが受ける伝搬路変動はフラットフェージングとして扱えるため、マルチパス等価処理が不要となり、空間多重伝送された信号の分離処理が軽減されるためである。

    ここで、マルチキャリア変調方式は複数のサブキャリアを用いる伝送方式であり、各サブキャリアへの入力データ信号は、M値QAM変調等で変調されサブキャリア信号となる。 OFDMは各サブキャリアの周波数が直交関係にあり、高速フーリエ変換回路を用いて周波数の異なるサブキャリア信号を一括変換することで時間軸の信号に変換され、キャリア周波数帯に周波数変換されアンテナより送信される。

    一方、受信時には、アンテナより受信された信号をベースバンド信号に周波数変換されOFDM復調処理が行われる。 このような周波数変換操作の際に、位相雑音が受信信号に加わる。 送受信間のキャリア周波数誤差については、自動周波数制御(AFC)回路により抑えることができるが、その誤差成分である残留キャリア周波数誤差が残る。 M値QAMをサブキャリア変調に用いる場合、復調時に絶対位相を基準に判定回路によりデータ判定を行うため残留キャリア周波数誤差や位相雑音による位相回転を受けると判定誤りを引き起こし、受信特性が劣化する。

    このような位相回転に対する補償回路として、既知であるパイロットサブキャリア信号を送信して、受信時にパイロットサブキャリア(PSC)の位相回転量を検出して位相補償を行う位相トラッキング回路が一般的に用いられている。

    図12はパイロットサブキャリア信号を含む送信フレーム構成の一例を示す。 図12に示すように、送信フレームは、トレーニング信号部50、シグナリング部51、データ部52から構成されている。 また、データ部52において特定のサブキャリアにPSC信号が含まれる。

    図13は、上述した位相トラッキング回路55を含む本発明の実施形態における無線通信装置100jの構成を示す図である。 以下、図13において、図1の構成と異なる動作を行う部分について、すなわち、新たに追加変更された構成部である受信部54及び位相トラッキング回路55の動作を説明する。 無線通信装置100jは、受信部54において、図12のような送信フレーム構成でOFDM変調されて送信された信号に対し、以下のような動作を行う。 まず、トレーニング信号部50の受信信号を用いて、1)自動利得制御(AGC)を行うことで、受信信号レベルを適正にする。 2)続いて、自動周波数制御(AFC)による周波数誤差補正後、OFDM復調部において、OFDM復調処理を行う。 なお、OFDM変調及びOFDM復調に関しては、文献(尾知、“OFDMシステム技術とMATLABシミュレーション解説“、トリケップス刊)に情報開示されており、ここではその詳細説明は省略する。 そして、OFDM復調部は、サブキャリア毎のシンボルデータを出力する。 チャネル推定部3は、サブキャリア毎に、伝搬路変動を示すチャネル推定値を算出する。 信号分離部4はサブキャリア毎のチャネル推定値を基に、信号分離処理を行う。

    次に、信号分離部4で、チャネル等化されたデータ部の信号を入力として、サブキャリア位相トラッキング回路55は以下のような動作を行う。 まず、PSC信号抽出部56は、等化されたデータ部のサブキャリア信号からPSC信号を抽出する。 続いて、位相回転検出部57は、抽出したPSC信号と、PSC信号のレプリカ信号からチャネル等化後のサブキャリア信号の位相回転を検出する。 位相補償部58は、チャネル等化されたデータ部のサブキャリア信号に対し、検出された位相回転を補償し、後続する復調部5に出力する。 復調部5は、シグナリング部で得られた情報、すなわち、送信ストリームの符号化変調情報に基づき、所定変調方式によるシンボルデータ列から送信シンボルを判定し、ビットデータ列に変換するデマッピング処理を行い、また、同時にビット毎の尤度情報を出力する。 第1の復号処理部6は、復調部5の出力結果を用いて、送信側で施されたインターリーブと逆の動作によりビット順を復元するデインターリーバ処理、入力されるビットデータ列に対し誤り訂正復号処理などを施し、送信ビット系列を復元する受信処理を行うことで、仮判定出力を得る。 なお、デインターリーバは、異なるサブキャリア間をまたがるビットデータ列に対するインターリービングを含みことで、周波数ダイバーシチ効果を高めることができる。 これ以降の処理は上述した実施の形態での動作をサブキャリア毎に行うことで、シングルキャリア変調方式と同様に、マルチキャリア変調方式に対しても、上述した実施の形態と同様な効果を得ることができる。

    以上のような動作によって、AFC誤差による残留キャリア周波数誤差、あるいはアナログデジタル変換器(A/D)におけるサンプリングクロック誤差等に起因する時間的に変化する位相回転が生じるが、位相トラッキング回路55を用いることで、位相回転に追従した位相補償が所定のレベルの精度で実行可能となり、同期検波を安定的に行うことができる。 また、データ部のサイズが長い場合、受信電力が小さい場合などでは、位相トラッキング回路55で、補正できなかった残留位相補償誤差が無視できない大きさになることがある。 そのような場合、従来の無線通信装置では、受信特性の著しい劣化を生じることとなる。 一方、本実施形態の構成においては、誤差成分推定部13において、残留する位相補償誤差の大きさに応じたサブキャリア毎の尤度重み付けを行うことができる。 これにより、第2の復号処理部6 (2)における誤り訂正復号を行うことで、誤り訂正能力を高めることができ、受信特性の劣化を抑えることができる。 これにより、無線通信装置の受信品質の向上を図ることができる。

    なお、図14に示すように、図13における信号分離部4と位相トラッキング回路55の配置を入れ替えた構成としてもよい。 複数の空間多重ストリームが伝送されている場合、PSC信号も多重された状態で受信されるため、位相トラッキング回路55は、以下のような動作を行う。 すなわち、位相回転検出部57は、チャネル推定部3の出力とPSC信号抽出部56の出力を基に、新たな位相トラッキング用の基準信号を生成し、位相回転を検出する。 そして、位相補償部58において検出された位相回転を補償する。 詳細な構成及び動作については、その説明を省略する。

    以上説明した本発明の実施の形態の無線通信装置は、受信ダイバーシチ利得を十分に得ることができる空間多重伝送を可能とするものであり、複数の信号系列を送信する無線通信装置を含む、複数の無線通信装置により空間多重伝送を行う無線基地装置等の無線通信分野において有用である。

    (実施の形態5)
    図15は、実施の形態5における無線通信装置100dの構成を示す図である。 なお、図15における無線通信装置100dは、受信装置の構成のみを示しており、送信装置の構成は、図2の無線通信装置100aに示す構成と同様であるため、動作の説明を省略する。

    本実施の形態における受信機の構成は並列型干渉キャンセラを用いた反復復号を行うものである。 実施の形態1と異なる点は、信号分離部4の出力を用いて、シンボルにマッピングされたデータを硬判定するシンボル硬判定部15と、硬判定結果と受信信号、伝搬路変動推定値を用いて誤差成分を推定する誤差推定部16、第一の重み付け部17を有する点である。 以下、主に実施の形態1と異なる部分の動作について図15を用いて説明する。

    受信アンテナ1−nrで信号を受信し、受信信号に対して無線部2−nr、チャネル推定部3、信号分離部4、復調部5−mで行う処理は実施の形態1と同様であるのでその説明を省略する。

    シンボル硬判定部15は、信号分離部4から出力される受信シンボル系列s m (k)を入力とし、受信シンボル点に最も近い候補信号点を選択し、その候補信号点を送信されたシンボルの推定値として出力する。 ここで、シンボル硬判定部15から出力される離散時間kにおけるシンボル推定値をxa m (k)と、離散時間kにおける複数のストリームのシンボル推定値をxa(k)と表す。 xa(k)は、m次元の列ベクトルである。

    誤差推定部16は、受信部2−nrから出力されるベースバンド信号と、チャネル推定部3から出力される伝搬路変動推定値B、シンボル硬判定部15から出力される送信シンボル推定値を入力とし、これら入力より受信処理の誤差成分を推定し、この誤差成分を出力する。

    以下に、誤差成分を算出する動作を説明する。 (数40)に示すように、シンボル推定値xa(k)に伝搬路変動推定値Bを乗算することにより受信信号y(k)に対するレプリカ信号ya(k)を生成する。 ここで、レプリカ信号ya(k)は、nr次元の列ベクトルである。

    次に(数41)に示すように、受信信号y(k)からレプリカ信号ya(k)を減算し誤差成分E(k)を算出する。 ここで、E(k)は、nr次元の列ベクトルである。

    誤差推定部16から出力される誤差成分から、以下に示す誤差要因を特定できる。

    1)チャネル推定誤差:チャネル推定部3は、受信データに含まれる既知のシンボルを利用して、送信アンテナから受信アンテナまでの伝搬路変動推定値を算出するが、この時算出する伝搬路変動推定値が劣化した場合、(数40)に示すBに誤差が発生することによりレプリカ信号ya(k)に誤差が発生し、(数41)に示す誤差成分E(k)に伝搬路変動推定値の誤差が現れる。

    2)ハードウエアによる誤差:ハードウエアによる誤差(キャリア周波数誤差、サンプリング周波数誤差)が発生した場合、(数40)に示すBに誤差が発生し、レプリカ信号ya(k)に誤差が発生することから、(数41)に示す誤差成分E(k)に誤差が現れる。

    第一の重み付け部17は、復調部5−mの出力である尤度LLRと誤差推定部16の出力である誤差成分E(k)を入力とし、尤度LLRを誤差成分で補正し、補正された尤度LLRを出力する。

    ここで、補正された尤度LLRの算出方法を説明する。 復調部5−mから出力される尤度は、ビット毎の対数尤度比LLRである。 対数尤度比LLRは(数42)で算出される。 s m (k)は受信シンボル系列、Lは送信時に用いられた変調多値数、s c (bi=A)はシンボルマッピング時に用いられたシンボル候補の内、第i番目のビットがAであるシンボル候補の集合を示す。 また、Aは、0または1であり、iは、log 2 (L)以下の自然数であり、mはM以下の自然数である。 q m (k)は、受信品質情報を表す。

    次に(数43)で示すように(数42)で算出される尤度LLRに誤差補正値d(k)を乗算し第一の重み付け部17の出力である補正された尤度LLRを算出する。 ここで、誤差補正値d(k)は、(数44)に示すように、誤差推定値E(k)と無線通信装置100dの受信時に付加される雑音電力とで表し、誤差推定値E(k)の値が大きい程、d(k)の値を小さくする関数とする。 一例として(数45)に示す関数を利用する。 なお、(数15)の代わりに、d(k)=tanh(α×σ/E(k))を用いても良い。 この場合αは定数値である。

    第一の復号処理部6は、第一の重み付け部17の出力である尤度LLRを入力とし、実施の形態1と同様の処理を行い、復号結果を出力する。 第一の復号処理部6の動作は、実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。 図15において、図中の符号8〜14、6 (2)で示す各ブロックで行う、第二の復号処理部6 (2)から復号結果を得るまでの動作は実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。

    これにより、第一の復号処理において、チャネル推定誤差やハードウエアに起因する誤差が発生する場合に、復調部5−mから出力される値が誤っている可能性が高いとみなし、尤度を小さくするよう補正する。 そして、小さく補正された尤度を誤り訂正復号処理することにより特性劣化を抑えることができる。

    また、硬判定処理を用いることで、第一の復号処理における誤差成分を求めるための復調回路や、再変調回路を必要としないため、回路の増加を最小限に抑えることが出来る。

    なお、図15の第一の復号処理部6を省略し、図16に示す無線通信装置100eに示すように、信号分離部4の出力をそれぞれ硬判定し、その結果を用いてレプリカ信号を生成する構成も考えられる。 本構成によると、受信特性は劣化するものの、反復復号における以下の課題を解決することができる。

    すなわち、一度復号したデータを用いてレプリカ信号を発生させ、これを用いて干渉信号をキャンセルした後に、再度復調および復号処理を行うため、受信処理が完了するまでに比較的時間を要するという課題を解決することができる。 以下、図15に示す構成と異なる部分を中心に、図16に示す構成の説明を行う。

    レプリカ生成部9は、入力をシンボル硬判定部15の硬判定結果(仮判定出力)とチャネル推定部3からの伝搬路変動推定値を入力とし、図15のレプリカ生成部9と同様の処理を行い、シンボル硬判定結果を出力する。 その後、図中の符号13〜14、6 (2)で示す各ブロックで図15と同様の処理を行い、復号結果を得る。

    これにより、第一の復号処理部の誤り訂正復号の効果が得られない事による特性劣化が発生した場合に、第一の復号処理と再符号化変調部8による再符号化変調処理に要する処理時間が大幅に短縮でき、受信処理全体の処理遅延を大幅に短縮できる効果がある。 更に干渉キャンセル後の信号に尤度補正を施すことにより、復号結果の劣化を抑えることができる。

    (実施の形態6)
    図17は本実施の形態6における無線通信装置100fの構成を表す。 なお、図17における無線通信装置100fは、受信装置の構成のみを示しており、その送信装置は、図2に示す構成と同様であるため、その動作の説明を省略する。

    本実施の形態で示す無線通信装置100fは、並列干渉キャンセラを用いた反復復号受信装置に関するものである。 図17において、実施の形態1(図1)と異なる点は、復調部5−mの出力である尤度を用いて重み付け部14−mの出力の尤度LLRを補正する第一の尤度補正部18を有することである。 以下に図17を用いて、実施の形態1と異なる部分を主に説明し、同様の構成については、その説明を省略する。 なお、図17において受信アンテナ数nr=2、送信ストリーム数m=2の場合を示しているが、これに限るものではない。

    図17において、アンテナ1−nrで受信した信号を、受信部2−m、チャネル推定部3、信号分離部4、復調部5−m、第一の復号処理部6、再符号化変調部8、レプリカ生成部9、干渉キャンセル部10、分離合成部11−m、尤度算出部12−m、誤差成分推定部13、重み付け部14から尤度LLRを出力するまでの動作は、実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。

    図17において、第一の尤度補正部18は、復調部5−mの出力である尤度LLRと、重み付け部14の出力である重み付け後の尤度LLRを入力とし、両入力を加算し、加算した尤度LLRを出力する。

    すなわち、(数46)に示すように、(数6)により算出される尤度と(数13)により算出される尤度を加算した尤度LLRaを算出する。

    第二の復号処理部6 (2)は、第一の尤度補正部18から出力される尤度LLRaを入力とし、第一の復号処理部6と同様の処理を行い、復号結果を出力する。 第二の復号処理部6 (2)の動作は実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。

    以上のような構成により、以下の効果を得ることができる。 すなわち、干渉キャンセル部10において、間違った仮判定出力を用いて生成したレプリカ信号により干渉成分をキャンセルすることで、第一の復号処理部6の正しい復号結果が得られたとしても、シンボル判定誤りを発生させる誤り伝搬が生じることがあるが、本実施形態に係る構成によれば、第一の復号処理部6に入力される尤度LLRと、誤り伝搬が生じたビットのLLRを加算することによって、第2の復号処理部6 (2)で誤りの発生を抑制し、性能劣化を抑えることができる。

    なお、第一の尤度補正部18において、復調部5−mの出力する尤度LLRと重み付け部14が出力する尤度LLRを加算したが、これに限るものではなく、重み付け加算してもよい。

    あるいはまた、これらの尤度の高いほうを選択する方法でも良い。 この場合、以下のような構成をとる。 すなわち、第一の尤度補正部18の出力は、(数47)に示すように、LLR r,i (k)がLLR [1] r,i (k)よりも大きい場合はLLR r,i (k)を出力し、一方、LLR [1] r,i (k)がLLR r,i (k)よりも大きい場合はLLR [1] r,i (k)を出力する。

    第一の尤度補正部18から出力された尤度は、第二の復号処理部6 (2)に入力され、実施の形態1と同様の処理を行い、復号結果を出力する。

    以上のような構成により、復調部5−mから出力される尤度LLRと、重み付け部14から出力される尤度LLRのうち、正しく復号される可能性の高いほうを第二の復号処理部6 (2)に入力するので、第二の復号処理部6 (2)から出力される復号結果が劣化するのを抑えることができる。

    なお、第一の尤度補正部18の別な動作として、送信ストリーム毎にCRC(Cyclic Redundancy Check)コードが付与されている場合、そのCRCのチェック結果を基に、出力する尤度情報を選択する方法でもよい。

    すなわち、復調部5−mの出力に対するCRCの結果を基に、当該送信ストリームに含まれるビットが誤りなく復号されていると判定される場合、LLR r,i (k)を出力する。 一方、CRCの結果、当該送信ストリームに含まれるビットに誤りが含まれて復号されていると判定される場合、(数47)の結果を基に出力する。

    以上のような動作により、CRCに基づき、誤りなく復号できる場合の尤度情報を第2の信号処理部6 (2)に入力することができるため、干渉キャンセル時の誤り伝搬の影響を低減でき、第二の復号処理部6 (2)から出力される復号結果が劣化するのを抑えることができる。

    なお、本実施の形態で説明した構成に実施の形態5におけるシンボル硬判定部15、誤差推定部16、第一の重み付け部17を組み合わせた構成でもよい。 図18にこの場合の受信装置の構成を示す。 図18において、アンテナ1−nrで受信した信号を受信部2−nr、チャネル推定部3、信号分離部4、復調部5−mから尤度LLRを出力するまでの動作は本実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。

    図18において、シンボル硬判定部15、誤差推定部16、第一の重み付け部17は、実施の形態5で説明した誤差推定のための構成と同様である。 これらを上記説明した無線通信装置100fに追加する。

    すなわち、シンボル硬判定部15は、信号分離部4の出力である受信シンボル系列s m (k)を入力とし、I信号とQ信号の複素平面上にマッピングされた送信信号点と入力受信シンボル系列との距離が最も近い点を送信信号点と推定することにより硬判定し、その信号点を出力する。

    誤差推定部16は、シンボル硬判定部16の出力である硬判定された信号点と、受信部2−nrから出力されるベースバンド信号、チャネル推定部3から出力される伝搬路変動推定値を入力とし、これらを用いてベースバンド信号からシンボル硬判定値と伝搬路変動推定値を用いて作成したレプリカ信号を減算することにより誤差成分を推定し、推定した誤差成分を出力する。

    第一の重み付け部17は、推定された誤差成分と復調部5−mから出力される尤度LLRを入力とし、雑音成分に応じて尤度LLRを重み付けし、重み付け後の尤度LLRを出力する。 これらの処理の詳細な動作は実施の形態5と同様であるので、その説明を省略する。

    第一の重み付け部17から出力される重み付けされた尤度LLRは第1の復号処理部6と第1の尤度補正部18に入力される。 第1の復号処理部6から後の動作は、本実施の形態の図17と同様である。 よって、その説明を省略する。

    これにより、チャネル推定誤差、ハードウエアによる誤差が発生した場合に、誤差推定部16から出力される誤差推定値が大きく現れ、第一の重み付け部17から出力する尤度LLRが正しい可能性が低いと見なし尤度LLRを小さく補正することにより、性能劣化を防ぐことができる。

    また、第1の尤度補正部18の入力にチャネル推定誤差、ハードウエアによる誤差を補正した尤度LLRを用いることにより、これら誤差が発生した場合でも第2の復号処理部6 (2)での劣化を抑えることができる。

    また、誤差成分を推定するときに受信シンボル系列を硬判定しているため、軟判定し復号を行う場合に比べて、性能劣化は発生するが、簡単な演算回路で構成できるので、回路規模を小さく抑えることができる。

    (実施の形態7)
    図19は本実施の形態7の無線通信装置100gの構成を示している。 なお、図19は、受信装置の構成のみを示しており、送信装置は、図8に示した構成と同様であるため、その動作の説明を省略する。

    本実施の形態に示す無線通信装置100gは、シリアル(逐次)干渉キャンセラ(SIC)を用いて反復復号を行う構成を示している。 図19を用いてその動作を説明する。

    図19において、実施の形態4の図7と異なる点は、信号分離後の受信シンボル系列を硬判定するシンボル硬判定部15、受信ベースバンド信号と硬判定値、伝搬路変動推定値を用いて誤差成分を推定する誤差推定部16、推定した誤差成分に応じて尤度LLRを補正する第一の重み付け部17を有することである。 以下に図19を用いて実施の形態4の図7と異なる部分を主に説明し、同様の構成についてはその説明を省略する。

    図19において、受信アンテナ1−nrで受信した受信信号を受信部2−nr、チャネル推定部3、信号分離部4、復調部5−mで処理し、尤度LLRを出力するまでの動作は実施の形態4の図7と同様であるので説明を省略する。

    シンボル硬判定部15は、信号分離部4から出力される受信シンボル系列s m (k)を入力とし、受信信号を硬判定し、硬判定した信号点を送信シンボルの推定値として出力する。 ここで、硬判定は、送信されたI信号とQ信号からなる複素平面上の信号点の候補の中から、等化された受信シンボル系列s m (k)の複素平面上の信号点との距離が一番近い点を送信シンボルの推定値として選択する。 ここで、離散時間kにおける送信シンボルの推定値をxa m (k)と表す。

    誤差推定部16は、受信ベースバンド信号y(k)とチャネル推定部3から出力される伝搬路変動推定値B、シンボル硬判定部15から出力される送信シンボル推定値xa m (k)、図示されていない第m番目の空間多重ストリームを取り出すために信号分離部4で用いた空間多重分離ウエイトW mを入力とし、受信処理による誤差成分を算出し、誤差成分を出力する。 誤差成分の算出方法を以下に説明する。

    (数48)に示すように、入力される送信シンボル推定値xa m (k)とチャネル推定値Bを用いてレプリカ信号ya m (k)を作成する。 ここで、b mは伝搬路変動推定値Bにおける第m番目の列ベクトルを表す。

    次に、(数49)に示すように、受信ベースバンド信号y(k)からレプリカ信号ya m (k)を減算し干渉をキャンセルした信号va(k)を求める。 さらに、第m番目の空間多重ストリームを取り出すために用いた空間多重分離ウエイトW mをva(k)に乗算し、誤差成分E(k)を推定する。

    ここで、誤差成分E(k)は、雑音電力σに加えて以下のような離散時間kにおける受信シンボル系列の干渉雑音電力成分を検出できる。

    1)チャネル推定誤差:チャネル推定部3は、受信データに含まれる既知のシンボルを利用して、送信アンテナから受信アンテナまでの伝搬路変動推定値を算出するが、この時算出する伝搬路変動推定値が劣化した場合、(数48)に示すb mに誤差が発生することによりレプリカ信号ya(k)に誤差が発生し、(数49)に示す誤差成分E(k)に伝搬路変動推定値の誤差が現れる。

    2)ハードウエアによる誤差:ハードウエアによる誤差(キャリア周波数誤差、サンプリング周波数誤差)が発生した場合、(数48)に示すb mに誤差が発生し、レプリカ信号ya(k)に誤差が発生することから、(数49)に示す誤差成分E(k)に誤差が現れる。

    第一の重み付け部17は、復調部5−1の出力である尤度LLRと誤差推定部16の出力である誤差成分を入力とし、誤差成分に応じて尤度LLRを補正し、補正された尤度LLRを出力する。

    (数50)に示すように、補正された尤度LLRa [1] rj (k)は、尤度LLRと補正値d(k)の積で算出される。

    ここで、補正値の算出方法を説明する。 (数51)に示すように、補正値d(k)は、無線通信装置100gにおける雑音電力σと誤差成分E(k)のパラメータを含む関数で表すことができ、E(k)の値が大きくなるとd(k)の値は小さく、E(k)の値が小さくなるとd(k)の値は大きい関数形状とする。 d(k)の一例を(数52)に示す。

    第一の復号処理部80は、第一の重み付け部17から出力される尤度LLRを入力とし、実施の形態4と同様の処理を行い、第一の仮判定値を出力する。 これ以降の、第2の反復復号部90、第3の反復復号部は実施の形態4と同様の処理を行い、第3の判定出力を得る。

    以上のような動作により、本実施の形態では、チャネル推定部3やハードウエアで発生する誤差を、受信信号の硬判定値、受信信号、チャネル推定値を用いることにより誤差推定部16で求め、これに基づき第一の重み付け部17により、第1の復号処理部80に入力する尤度LLRを補正する。

    これにより、チャネル推定値の算出時の誤差やハードウエアによるキャリア周波数誤差、サンプリング周波数誤差が発生し干渉雑音電力が含まれる場合に、第1の復号処理部80に入力する当該シンボルの尤度を雑音成分の推定値に基づいて小さくすることができ、その結果、この尤度を用いて復号処理を行うことによって、受信特性の劣化を抑えることができる。

    また、第1の復号処理部80に入力する尤度を補正し、その結果を用いて復号処理を行うため、第2の反復復号部90内の干渉キャンセル部10−2において、間違ったレプリカ信号で干渉をキャンセルすることによる性能劣化を抑えることができる。 これにより、第2の反復復号部90以降の性能劣化を抑えることができる。

    なお、誤差成分E(k)の算出時に、第m番目の空間多重ストリームの受信電力を考慮し、分離受信する際に用いた空間多重分離ウエイトの受信電力||bm|| 2を含めたE(k)=|||bm|| 2m T Va(k)| 2を用いてもよい。 これにより、伝搬路推定値に誤差を含む場合に、この誤差を含めて重み付けできることから、受信品質の劣化を抑えることができる。

    (実施の形態8)
    図20は、本実施の形態の無線通信装置100hの構成を示している。 なお図20は受信装置のみを表しており、送信装置は図2と同様であるので、その動作の説明を省略する。

    本実施の形態に示す無線通信装置100hは、並列干渉キャンセラ(PIC)を用いた反復復号受信装置に関するものである。 図20を用いて無線通信装置100hの動作を説明する。

    図20において、実施の形態5(図15)と異なる点は、(数45)に示すσによる正規化の近似演算を行うためのビット選択部18と受信したフレームの変調方式を特定する変調方式特定部20を有する点である。 また、重み付け部19は、誤差成分から補正値を求める回路を簡略化するために、割り算回路の演算結果をテーブル参照により求める。

    本構成によると、尤度補正回路を追加した場合には性能劣化を抑えることができるが、尤度補正値を算出するための回路規模が増加するという課題を解決できる。 以下に、実施の形態5の構成と異なる部分を中心に説明し、同様の構成についてはその動作の説明を省略する。

    受信アンテナ1−nrで信号を受信し、受信部2−nr、チャネル推定部3、信号分離部4、復調部5−m、シンボル硬判定部15、誤差推定部16から誤差値を出力するまでの動作は実施の形態5と同様であるので、その動作の説明を省略する。

    ビット選択部18は、誤差推定部16から出力される誤差値E(k)と現在の変調方式を示した制御信号を入力とし、(数53)に示すように、制御信号が示す変調方式ごとに誤差値E(k)をc倍し、c倍した誤差値Ea(k)を出力する。

    ここで、cは制御信号の値に応じて変化する値である。 図21に制御信号の入力に対するcの出力値の一例を示す。 制御信号は、受信したパケットの変調方式に応じて変化する。 入力する制御信号については後述する。 なお、制御信号は、変調方式に限ったものではなく、送信側で施す符号化の符号化率でもよい。 なお、変調方式と符号化率を組み合わせた信号でも良い。

    このように、誤差値E(k)にcを乗算することは、実施の形態5の(数45)に示すd(k)の演算のσで正規化する部分に相当する。 また、図21に示した演算をハードウエアで実現する場合、E(k)のビットシフトにより実現することができる。 これにより、σの正規化演算の回路規模を小さくすることができる。

    重み付け部19は、復調部5−mからの出力である尤度LLRと誤差値Ea(k)を入力とし、誤差値を用いて尤度LLRを補正し、補正された尤度LLRを出力する。 (数54)に示すように、補正値d(k)と入力される尤度LLR rj (k)を乗算し補正された尤度LLRa [1] rj (k)を算出する。

    ここで、補正値d(k)の算出方法の一例を説明する。 補正値d(k)は、(数55)で示すように、誤差値Ea(k)の値が大きくなると、補正値d(k)が小さくなり、誤差値Ea(k)の値が小さくなると、補正値d(k)が大きくなるような形状の関数から算出される。

    補正値d(k)を算出する演算回路を簡略化するために、テーブル参照を用いて演算結果を求める。 図23にd(k)の演算に用いるテーブル参照ROM(Read Only Memory)を示す。 (数55)に示す補正値d(k)の演算結果をテーブル参照ROMにあらかじめ書き込む。 このROMに誤差値Ea(k)を入力し、d(k)の演算結果を得る。 なお、誤差値の入力範囲は、1以下の値とし、1以上の値が入力された場合、1を出力するものとする。

    第1の復号処理部6は、重み付け部19が出力する補正された尤度LLRを入力とし、データ系列を並べ替えるデインタリーブ、誤り訂正復号等の処理を行い、第1の復号処理部6の復号結果である仮判定結果を出力する。 第1の復号処理部6の構成は、実施の形態5と同様であるので、その動作の説明を省略する。

    仮判定出力を再符号化変調部8、レプリカ生成部9、干渉キャンセル部10、分離合成部11−1、尤度算出部12−1、誤差成分推定部13までの構成は実施の形態5と同様であるので、その動作の説明を省略する。

    ビット選択部18 (2)は、誤差成分推定部13から出力される誤差成分と制御信号を入力とし、ビット選択部18と同様の処理を施し、その結果を出力する。 ビット選択部18 (2)の動作は、ビット選択部18と同様であるので、その説明を省略する。

    重み付け部19 (2)は、尤度算出部12−1から出力される尤度LLRとビット選択部18 (2)から出力される誤差成分を入力とし、尤度LLRに重み付け部19と同様の処理を施し、その結果を出力する。 重み付け部19 (2)の動作は、重み付け部19と同様であるので、その説明を省略する。

    ここで、送信パケットのフレームフォーマットを図22に示す。 トレーニング部22−1は、既知のシンボルであり、フレーム同期、周波数同期、サンプリング位相同期、チャネル推定等に用いられる。 シグナリング部22−2は、既知の変調方式、例えばBPSKで変調されたシンボルで、その後に続くデータ部22−3がどのような変調方式で変調されているかを示すためのシンボルである。 データ部22−3は、通信するデータを変調したシンボルである。

    図20に示す変調方式特定部20は、第1の復号処理部6から出力される復号結果を入力とし、受信信号のシグナリング部22−2をデーコードし、データ部22−3の変調方式を特定し、特定した変調方式を制御信号として出力する。 変調方式は、BPSK、QPSK、16QAM、64QAM等のマッピング方式によって分類できる。

    また、符号化方法に関しては、送信側で施す誤り訂正符号の符号化率で分類できる。 符号化率は、畳み込み符号化器から出力される符号化率1/2のビット系列をパンクチャすることにより変更される。 マッピング方式を変える場合、符号化率を変える場合も共に、それぞれが持っている雑音電力に対する耐性が異なるという特性がある。

    以上のような動作により、本実施の形態では、ビット選択部18、ビット選択部18 (2)において、変調方式特定部20で特定した変調方式に応じて誤差成分を演算し、その結果を用いて重み付けした尤度LLRを復号する。

    以上のような構成により、変調方式や符号化率ごとに設定した値を誤差成分に乗算し、変調方式や符号化率ごとに最適な補正値を用いて尤度LLRを補正することができるため、その結果、復号した出力の劣化を抑えることができる。

    また、補正値算出において、実施の形態5の雑音電力σによる正規化をビットシフトにより行う構成、割り算回路の機能をテーブル参照により実現する構成とすることで、尤度補正のために追加される回路の回路規模が削減できる。

    なお、本実施の形態で説明したビット選択部18と重み付け部19で、本明細書のすべての実施の形態における図の重み付け部14、または、第一の重み付け部17を置き換えることができる。

    本発明は、送信信号レプリカに誤差が含まれる場合でも、その受信特性の劣化を抑えることができる効果を有し、信号を反復復号受信する無線通信装置等に有用である。

    本発明の実施の形態1における無線通信装置の構成図

    本発明の実施の形態1における無線通信装置の送信側の構成図

    本発明の実施の形態1における符号化変調部の構成図

    本発明の実施の形態3における無線通信装置の構成図

    本発明の実施の形態3における無線通信装置の別な構成図

    本発明の実施の形態3における無線通信装置の別な構成図

    本発明の実施の形態4における無線通信装置の構成図

    本発明の実施の形態4における無線通信装置の送信側の構成図

    本発明の実施の形態2における無線通信装置の構成図

    本発明の実施の形態2における無線通信装置の送信側の構成図

    本発明の実施の形態2における無線通信装置の別な構成図

    パイロットサブキャリア信号を含む送信フレーム構成の一例を示す図

    本発明の実施の形態における位相トラッキング回路を含む無線通信装置の構成を示す図

    本発明の実施の形態における位相トラッキング回路を含む無線通信装置の他の構成を示す図

    本発明の実施の形態5における無線通信装置100dの構成図

    本発明の実施の形態5における無線通信装置100eの構成図

    本発明の実施の形態6における無線通信装置100fの構成図

    本発明の実施の形態6における無線通信装置の別な構成図

    本発明の実施の形態7における無線通信装置100gの構成図

    本発明の実施の形態8における無線通信装置100hの構成図

    制御信号の入力に対するcの出力値の一例を示す図

    送信パケットのフレームフォーマットを示す図

    補正値d(k)の演算に用いるテーブル参照ROMを示す図

    符号の説明

    1 アンテナ2 受信部3 チャネル推定部4 信号分離部5 復調部6 復号処理部8 再符号化変調部9 レプリカ生成部10 干渉キャンセル部11 分離合成部12 尤度算出部13 誤差成分推定部14 重み付け部15 シンボル硬判定部16 誤差推定部17 第一の重み付け部18 第一の尤度補正部19 ビット選択部20 変調方式特定部

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