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Surface acoustic wave filter and converter used for it

阅读:1020发布:2021-01-06

专利汇可以提供Surface acoustic wave filter and converter used for it专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To make a waveform of a pass characteristic of the surface acoustic wave filter symmetrical, to reduce effectively out-band spurious radiation and to obtain a suitable characteristic in the case of designing the surface acoustic wave filter with a steep frequency characteristic.
SOLUTION: A total sum of electrode fingers per 1λ, that is, a propagation wavelength of a basic surface acoustic wave is selected the same for an input side transducer 2 and an output side transducer 4, that is, for a unidirectional transducer and a two-way transducer. Thus, the propagation speed of a surface acoustic wave stimulated by the input side transducer 2 is in matching with the propagation speed of a surface acoustic wave stimulated by the output side transducer 4, then a center frequency of the surface acoustic wave stimulated by the input side transducer 2 is in matching with a center frequency of the surface acoustic wave stimulated by the output side transducer 4.
COPYRIGHT: (C)1998,JPO,下面是Surface acoustic wave filter and converter used for it专利的具体信息内容。

【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】圧電性基板と、この圧電性基板上に形成した入力側変換器と、この入力側変換器で励振された弾性表面波を変換する出力側変換器とを具える弾性表面波フィルタ装置において、前記入力側変換器又は出力側変換器のうちのいずれか一方を一方向性変換器で構成し、他方を双方向性変換器で構成し、λを基本弾性表面波の伝播波長とした場合、1λ当たりの、前記一方向性変換器の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の総和が、1λ当たりの、前記双方向性変換器の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の総和と、同一になるように構成したことを特徴とする弾性表面波フィルタ装置。
  • 【請求項2】前記一方向性変換器が、λを基本弾性表面波の伝播波長とした場合に、λのピッチで周期的に形成され、複数の電極指を有する正電極と、同様にλのピッチで周期的に形成され、複数の電極指を有し、各電極指が前記正電極の電極指とλ/2の中心間距離を以てそれぞれ位置する負電極と、前記正電極の電極指と負電極の電極指との間に配置され、複数の電極指を有し、各電極指が、隣接する正電極の電極指と負電極の電極指との間の中間位置から弾性表面波の伝播方向又はこれとは反対の方向にλ/12偏位して位置する短絡型浮き電極とを具え、前記双方向性変換器が、λを基本弾性表面波の伝播波長とした場合に、λ/4の中心間距離を以て配置し、2個の電極指の組をλのピッチで周期的に形成した正電極と、同様にλ/4の中心間距離を以て位置し、2
    個の電極指の組をλのピッチで周期的に形成され、各電極指の組が前記正電極の隣接する電極指の組とλ/2の中心間距離を以てそれぞれ位置する負電極とを具え、前記一方向性変換器の正電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、前記一方向性変換器の負電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、前記一方向性変換器の浮き電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、前記双方向性変換器の正電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、及び前記双方向性変換器の負電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅を全て等しくしたことを特徴とする請求項1記載の弾性表面波フィルタ装置。
  • 【請求項3】前記一方向性変換器が、λを基本弾性表面波の伝播波長とした場合に、第1の電極指及び第2の電極指が3λ/8の中心間距離を以て位置する電極指の組を、λのピッチで周期的に形成した、第1の電極と、複数の電極指を、隣接する前記電極指の組とそれぞれλ/
    2の距離を以て位置するようにλのピッチで周期的に形成した、第2の電極とを具え、前記双方向性変換器が、
    λを基本弾性表面波の伝播波長とした場合に、λ/4の中心間距離を以て配置し、2個の電極指の組をλのピッチで周期的に形成した正電極と、同様にλ/4の中心間距離を以て位置し、2個の電極指の組をλのピッチで周期的に形成し、各電極指の組が前記正電極の隣接する電極指の組とλ/2の中心間距離を以てそれぞれ位置する負電極とを具え、前記一方向性変換器の第1の電極の第2の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅を、前記一方向性変換器の第1の電極の第1の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の3倍とし、前記一方向性変換器の第2の電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅を、前記一方向性変換器の第1の電極の第2の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅と同一とし、前記双方向性変換器の正電極及び負電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅を、前記一方向性変換器の第1の電極の第2の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の1.25倍としたことを特徴とする請求項1記載の弾性表面波フィルタ装置。
  • 【請求項4】前記一方向性変換器を正規型電極構造とし、前記双方向性変換器を、重み付けした電極構造としたことを特徴とする請求項1から3のうちのいずれかに記載の弾性表面波フィルタ装置。
  • 【請求項5】前記双方向性変換器の重み付け電極構造が、各電極指の弾性表面波の伝播方向と直交する方向の長さが弾性表面波伝播方向に沿って順次変化するアポタイズ法により構成されていることを特徴とする請求項4
    記載の弾性表面波フィルタ装置。
  • 【請求項6】前記圧電性基板を、水晶基板、タンタル酸リチウム基板又はほう酸リチウム基板としたことを特徴とする請求項1から5のうちのいずれかに記載の弾性表面波フィルタ装置。
  • 【請求項7】圧電性基板と、この圧電性基板上に形成された双方向性変換器と、この双方向性変換器の弾性表面波の伝播軸線の両側にそれぞれ配置した第1及び第2の一方向性変換器とを具え、前記双方向性変換器を入力側変換器とした場合に前記第1及び第2の一方向性変換器を出力側変換器とし、前記双方向性変換器を出力側変換器とした場合に前記第1及び第2の一方向性変換器を入力側変換器とし、λを基本弾性表面波の伝播波長とした場合、1λ当たりの、前記一方向性変換器の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の総和が、1λ当たりの、前記双方向性変換器の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の総和と、同一になるように構成したことを特徴とする弾性表面波フィルタ装置。
  • 【請求項8】前記第1及び第2の一方向性変換器が、λ
    を基本弾性表面波の伝播波長とした場合に、λのピッチで周期的に形成され、複数の電極指を有する正電極と、
    同様にλのピッチで周期的に形成され、複数の電極指を有し、各電極指が前記正電極の電極指とλ/2の中心間距離を以てそれぞれ位置する負電極と、前記正電極の電極指と負電極の電極指との間に配置され、複数の電極指を有し、各電極指が、隣接する正電極の電極指と負電極の電極指との間の中間位置から弾性表面波の伝播方向又はこれとは反対の方向にλ/12偏位して位置する短絡型浮き電極とを具え、前記双方向性変換器が、λを基本弾性表面波の伝播波長とした場合に、λ/4の中心間距離を以て配置し、2個の電極指の組をλのピッチで周期的に形成した正電極と、同様にλ/4の中心間距離を以て位置し、2個の電極指の組をλのピッチで周期的に形成し、各電極指の組が前記正電極の隣接する電極指の組とλ/2の中心間距離を以てそれぞれ位置する負電極とを具え、前記一方向性変換器の正電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、前記一方向性変換器の負電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、前記一方向性変換器の浮き電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、前記双方向性変換器の正電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、及び前記双方向性変換器の負電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅を全て等しくしたことを特徴とする請求項7記載の弾性表面波フィルタ装置。
  • 【請求項9】前記第1及び第2の一方向性変換器が、λ
    を基本弾性表面波の伝播波長とした場合に、第1の電極指及び第2の電極指が3λ/8の中心間距離を以て位置する電極指の組を、λのピッチで周期的に形成した、第1の電極と、複数の電極指を、隣接する前記電極指の組とそれぞれλ/2の距離を以て位置するようにλのピッチで周期的に形成した、第2の電極とを具え、前記双方向性変換器が、λを基本弾性表面波の伝播波長とした場合に、λ/4の中心間距離を以て配置し、2個の電極指の組をλのピッチで周期的に形成した正電極と、同様にλ/4の中心間距離を以て位置し、2個の電極指の組をλのピッチで周期的に形成し、各電極指の組が前記正電極の隣接する電極指の組とλ/2の中心間距離を以てそれぞれ位置する負電極とを具え、前記一方向性変換器の第1の電極の第2の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅を、前記一方向性変換器の第1の電極の第1の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の3倍とし、前記一方向性変換器の第2の電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅を、前記一方向性変換器の第1の電極の第2の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅と同一とし、前記双方向性変換器の正電極及び負電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅を、前記一方向性変換器の第1の電極の第2の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の1.25倍としたことを特徴とする請求項7記載の弾性表面波フィルタ装置。
  • 【請求項10】前記第1及び第2の一方向性変換器を正規型電極構造とし、前記双方向性変換器を、重み付けした電極構造としたことを特徴とする請求項7から9のうちのいずれかに記載の弾性表面波フィルタ装置。
  • 【請求項11】前記双方向性変換器の重み付け電極構造が、各電極指の弾性表面波の伝播方向と直交する方向の長さが弾性表面波伝播方向に沿って順次変化するアポタイズ法により構成されていることを特徴とする請求項1
    0記載の弾性表面波フィルタ装置。
  • 【請求項12】前記圧電性基板を、水晶基板、タンタル酸リチウム基板又はほう酸リチウム基板としたことを特徴とする請求項7から11のうちのいずれかに記載の弾性表面波フィルタ装置。
  • 【請求項13】弾性表面波フィルタ装置用の変換器であって、圧電性基板と、この圧電性基板上に形成され、弾性表面波の伝播軸線の両方向に弾性表面波を励振する双方向性電極構造を有する双方向性変換器部分と、弾性表面波の伝播方向の一方の方向だけ弾性表面波を励振する一方向性電極構造を有する一方向性変換器部分とを具え、これら双方向性変換器部分と一方向性変換器部分とを、これら変換器部分の伝播軸線が互いに一致するように一体的に結合し、λを基本弾性表面波の伝播波長とした場合、1λ当たりの、前記一方向性変換器部分の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の総和が、1λ当たりの、前記双方向性変換器部分の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の総和と、同一になるように構成したことを特徴とする変換器。
  • 【請求項14】前記一方向性変換器部分が、λを基本弾性表面波の伝播波長とした場合に、λのピッチで周期的に形成され、複数の電極指を有する正電極と、同様にλ
    のピッチで周期的に形成され、複数の電極指を有し、各電極指が前記正電極の電極指とλ/2の中心間距離を以てそれぞれ位置する負電極と、前記正電極の電極指と負電極の電極指との間に配置され、複数の電極指を有し、
    各電極指が、隣接する正電極の電極指と負電極の電極指との間の中間位置から弾性表面波の伝播方向又はこれとは反対の方向にλ/12偏位して位置する短絡型浮き電極とを具え、前記双方向性変換器部分が、λを基本弾性表面波の伝播波長とした場合に、λ/4の中心間距離を以て配置し、2個の電極指の組をλのピッチで周期的に形成した正電極と、同様にλ/4の中心間距離を以て位置し、2個の電極指の組をλのピッチで周期的に形成し、各電極指の組が前記正電極の隣接する電極指の組とλ/2の中心間距離を以てそれぞれ位置する負電極とを具え、前記一方向性変換器の正電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、前記一方向性変換器の負電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、前記一方向性変換器の浮き電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、前記双方向性変換器の正電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、及び前記双方向性変換器の負電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅を全て等しくしたことを特徴とする請求項13記載の変換器。
  • 【請求項15】前記一方向性変換器部分及び双方向性変換器部分が、各電極指の弾性表面波の伝播方向と直交する方向の長さが弾性表面波の伝播方向に沿って順次変化するように重み付けされたことを特徴とする請求項13
    又は14記載の変換器。
  • 【請求項16】前記一方向性変換器部分の電極指の弾性表面波の伝播方向と直交する方向の長さが、前記双方向性変換器部分の電極指の弾性表面波の伝播方向と直交する方向の最大長より長いことを特徴とする請求項15記載の変換器。
  • 【請求項17】前記圧電性基板を、水晶基板、タンタル酸リチウム基板又はほう酸リチウム基板としたことを特徴とする請求項13から16のうちのいずれかに記載の変換器。
  • 【請求項18】圧電性基板と、この圧電性基板上に形成した入力側変換器と、この入力側変換器で励振された弾性表面波を変換する出力側変換器とを具え、前記入力側変換器又は出力側変換器のうちのいずれかの変換器を、
    弾性表面波の伝播軸線の一方の方向だけ弾性表面波を励振する一方向性変換器で構成し、他の変換器を、弾性表面波の伝播軸線の両方向に弾性表面波を励振する双方向性電極構造を有する双方向性変換器部分と、弾性表面波の伝播方向の一方の方向だけ弾性表面波を励振する一方向性電極構造を有する一方向性変換器部分とを具え、これら双方向性変換器部分と一方向性変換器部分とを、これら変換器部分の伝播軸線が互いに一致するように一体的に結合された変換器で構成し、λを基本弾性表面波の伝播波長とした場合、1λ当たりの、前記一方向性変換器の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の総和、1λ当たりの、前記変換器の前記一方向性変換器部分の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の総和、及び、1λ当たりの、前記双方向性変換器部分の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の総和が、同一になるように構成したことを特徴とする弾性表面波フィルタ装置。
  • 【請求項19】前記一方向性変換器及び前記一方向性変換器部分が、λを基本弾性表面波の伝播波長とした場合に、λのピッチで周期的に形成され、複数の電極指を有する正電極と、同様にλのピッチで周期的に形成され、
    複数の電極指を有し、各電極指が前記正電極の電極指とλ/2の中心間距離を以てそれぞれ位置する負電極と、
    前記正電極の電極指と負電極の電極指との間に配置され、複数の電極指を有し、各電極指が、隣接する正電極の電極指と負電極の電極指との間の中間位置から弾性表面波の伝播方向又はこれとは反対の方向にλ/12偏位して位置する短絡型浮き電極とを具え、前記双方向性変換器部分が、λを基本弾性表面波の伝播波長とした場合に、λ/4の中心間距離を以て配置し、2個の電極指の組をλのピッチで周期的に形成した正電極と、同様にλ
    /4の中心間距離を以て位置し、2個の電極指の組をλ
    のピッチで周期的に形成し、各電極指の組が前記正電極の隣接する電極指の組とλ/2の中心間距離を以てそれぞれ位置する負電極とを具え、前記一方向性変換器の正電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、前記一方向性変換器の負電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、前記一方向性変換器の浮き電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、前記双方向性変換器の正電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、及び前記双方向性変換器の負電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅を全て等しくしたことを特徴とする請求項18記載の弾性表面波フィルタ装置。
  • 【請求項20】前記一方向性変換器部分及び双方向性変換器部分が、各電極指の弾性表面波の伝播方向と直交する方向の長さが弾性表面波の伝播方向に沿って順次変化するように重み付けされたことを特徴とする請求項18
    又は19記載の弾性表面波フィルタ装置。
  • 【請求項21】前記一方向性変換器部分の電極指の弾性表面波の伝播方向と直交する方向の長さが、前記双方向性変換器部分の電極指の弾性表面波の伝播方向と直交する方向の最大長よりも長いことを特徴とする請求項20
    記載の弾性表面波フィルタ装置。
  • 【請求項22】前記圧電性基板を、水晶基板、タンタル酸リチウム基板又はほう酸リチウム基板としたことを特徴とする請求項18から21のうちのいずれかに記載の弾性表面波フィルタ装置。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は弾性表面波フィルタ装置、特にCDMA通信方式に好適な弾性表面波フィルタ装置に関するものである。 さらに、本発明は上記フィルタに好適な変換器に関するものである。

    【0002】

    【従来の技術】デジタル通信システムの開発に伴い、種々の通信方式が提案されている。 このような通信方法としては、例えば、FDMA(周波数分割多元接続)方式及びTDMA(時分割多元接続)方式がある。 FDMA
    方式では、周波数帯域を分割してこれらを各無線局に割り当てており、それに対してTDMA方式では、時間帯域を分割してこれらを各無線局に割り当てている。

    【0003】また、CDMA(符号分割多元接続)方式が近年提案されている。 このCDMA方式では、周波数及び時間で重畳された信号を利用することによりチャネル数を多数確保することができるため高い有用性があり、その開発が強く要請されている。 このCDMA方式に用いられる弾性表面波フィルタ装置については特有のフィルタ特性が要求されており、その特性を要約すると次のようになる。 (1)10dB以下の挿入損失を満足すること。 (2)位相歪みの小さい周波数特性を獲得できること。 (3)30dB以上のT. T. E. (triple Transit Ec
    ho) 減衰レベルを満足すること。

    【0004】これら特性を満足するために、本発明者による特開平第8-213870号公報に開示された弾性表面波フィルタ装置は、入側変換器又は出力側変換器のうちの一方を一方向性変換器で構成するとともに、他方を双方向性変換器で構成している。 このように、アポタイズ電極構造を有する双方向性変換器と、励振効果及び反射効果を利用する一方向性変換器を適切に組み合わすことにより、周波数特性については双方向性変換器の特性が活用され、挿入損失及びT. T. E. 減衰レベルについては、一方向性変換器の特性が活用され、その結果、挿入損失、T. T. E. 減衰レベル及び周波数特性の全てを満足する弾性表面波フィルタ装置を実現することができる。

    【0005】

    【発明が解決しようとする課題】このような弾性表面波フィルタ装置では、弾性表面波フィルタ装置の通過特性の波形が非対称になるとともに帯域外スプリアスを有効に低減できず、これは弾性表面波フィルタ装置にとって好ましくない。 また、このような弾性表面波フィルタ装置では、周波数特性が急峻な弾性表面波フィルタ装置を設計するに当たっても好ましくない。

    【0006】本発明の第1の目的は、入力側変換器又は出力側変換器のうちのいずれか一方を一方向性変換器で構成し、他方を双方向性変換器で構成した弾性表面波フィルタ装置において、弾性表面波フィルタ装置の通過特性の波形を対称にするとともに帯域外スプリアスを有効に低減し、かつ、周波数特性が急峻な弾性表面波フィルタ装置を設計する場合にも好適な弾性表面波フィルタ装置を提供することである。

    【0007】本発明の第2の目的は、双方向性変換器の弾性表面波の伝播軸線の両側に第1及び第2の一方向性変換器をそれぞれ配置した弾性表面波フィルタ装置において、弾性表面波フィルタ装置の通過特性の波形を対称にするとともに帯域外スプリアスを有効に低減し、かつ、周波数特性が急峻な弾性表面波フィルタ装置を設計する場合にも好適な弾性表面波フィルタ装置を提供することである。

    【0008】本発明の第3の目的は、弾性表面波の伝播軸線の両方向に弾性表面波を励振する双方向性電極構造を有する双方向性変換器部分と、弾性表面波の伝播方向の一方の方向だけ弾性表面波を励振する一方向性電極構造を有する一方向性変換器部分とを具える変換器において、弾性表面波フィルタ装置の通過特性の波形を対称にするとともに帯域外スプリアスを有効に低減し、かつ、
    周波数特性が急峻な弾性表面波フィルタ装置を設計する場合にも好適な変換器を提供することである。

    【0009】本発明の第4の目的は、弾性表面波の伝播軸線の両方向に弾性表面波を励振する双方向性電極構造を有する双方向性変換器部分及び弾性表面波の伝播方向の一方の方向だけ弾性表面波を励振する一方向性電極構造を有する一方向性変換器部分とを有する変換器と、一方向性変換器とを具える弾性表面波フィルタ装置において、弾性表面波フィルタ装置の通過特性の波形を対称にするとともに帯域外スプリアスを有効に低減し、かつ、
    周波数特性が急峻な弾性表面波フィルタ装置を設計する場合にも好適な弾性表面波フィルタ装置を提供することである。

    【0010】

    【課題を解決するための手段】本発明による請求項1記載の弾性表面波フィルタ装置は、圧電性基板と、この圧電性基板上に形成した入力側変換器と、この入力側変換器で励振された弾性表面波を変換する出力側変換器とを具える弾性表面波フィルタ装置において、前記入力側変換器又は出力側変換器のうちのいずれか一方を一方向性変換器で構成し、他方を双方向性変換器で構成し、λを基本弾性表面波の伝播波長とした場合、1λ当たりの、
    前記一方向性変換器の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の総和が、1λ当たりの、前記双方向性変換器の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の総和と、同一になるように構成したことを特徴とするものである。

    【0011】上記弾性表面波経装置の通過特性の波形が非対称となるとともに帯域外スプリアスを有効に低減できない理由を本発明者が検討した結果、上記弾性表面波フィルタ装置では、一方向性変換器で励振される弾性表面波の伝播速度と双方向性変換器で励振される弾性表面波の伝播速度が相違するために、これらの変換器の中心周波数がずれるからであることが確認された。

    【0012】従来既知のように、基本弾性表面波の伝播速度、波長及び中心周波数をV,λ及びfとすると、

    【数1】V=fλ の関係がある。 したがって、一方向性変換器の電極指のピッチ及び双方向性変換器の電極指のピッチを共にλとした場合、すなわち一方向性変換器で励振される弾性表面波の波長と双方向性変換器で励起される弾性表面波の波長とが同一である場合、一方向性変換器で励振される弾性表面波の速度が双方向性変換器で励振される弾性表面波の速度と異なると、一方向性変換器で励振される弾性表面波の中心周波数が、双方向性変換器で励振される弾性表面波の中心周波数とずれるようになる。

    【0013】上記弾性表面波フィルタ装置において一方向性変換器で励振される弾性表面波の速度が双方向性変換器で励振される弾性表面波の速度と異なる理由を本発明者が検討した結果、圧電性基板の表面区域のうちの電極指が設けられた部分と圧電性基板の表面区域のうちの電極指が設けられていない部分とでは、弾性表面波の伝播速度が相違し、これら速度が相違するようになるためであることを確認した。 すなわち、圧電性基板の表面区域のうちの電極指が設けられた部分を伝播する弾性表面波の速度が、圧電性基板の表面区域のうちの電極指が設けられていない部分を伝播する弾性表面波の速度よりも遅い。 したがって、弾性表面波の伝播方向における、圧電性基板の表面区域全体に対する圧電性基板の表面区域のうちの電極指が設けられている部分の割合が大きくなるに従って、変換器を伝播する弾性表面波の速度が遅くなる。

    【0014】上記弾性表面波フィルタ装置では、弾性表面波の伝播方向における、圧電性基板の表面区域全体に対する圧電性基板の表面区域のうちの電極指が設けられている部分の割合は、一方向性変換器側と双方向性変換器側とでは相違する。 例えば、一方向性変換器として浮き電極型の変換器を用いるとともに双方向性変換器としてアポタイズ型の変換器を用いる場合には、通常一方向性変換器の電極指の幅を全てλ/12とするとともに双方向性電極指の幅を全てλ/8にする。 したがって、1
    λ当たりの一方向性変換器の電極指の総和はλ/3となるのに対して、1λ当たりの双方向性変換器の電極指の総和はλ/2となり、双方向性変換器側の方が電極指幅の総和が広いので、双方向性変換器で励振される弾性表面波の伝播速度は一方向性変換器で励振される弾性表面波の伝播速度より遅くなる。

    【0015】本発明者は、上記課題を解決するために、
    すなわち一方向性変換器で励振される弾性表面波の中心周波数を双方向性変換器で励振される弾性表面波の中心周波数と一致させるためには、一方向性変換器で励振される弾性表面波の伝播速度を双方向性変換器で励振される弾性表面波の伝播速度と一致させればよいことを見いだした。 このために、請求項1記載の弾性表面波フィルタ装置では、弾性表面波の伝播方向における、圧電性基板の表面区域全体に対する圧電性基板の表面区域のうちの電極指が設けられている部分の割合を、一方向性変換器側と双方向性変換器側とで同一にする。 すなわち、λ
    を基本弾性表面波の伝播波長とした場合、1λ当たりの、一方向性変換器の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の総和を、1λ当たりの、双方向性変換器の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の総和と、同一にする。

    【0016】このようにして、入力側変換器又は出力側変換器のうちのいずれか一方を一方向性変換器で構成し、他方を双方向性変換器で構成した弾性表面波フィルタ装置において、一方向性変換器で励振される弾性表面波の中心周波数と双方向性変換器で励振される弾性表面波の中心周波数とを一致させることができるので、従来の利点を維持しつつ、弾性表面波フィルタ装置の通過特性の波形を対称にするとともに帯域外スプリアスを有効に低減し、かつ、周波数特性が急峻な弾性表面波フィルタ装置を設計する場合にも好適なものとなる。

    【0017】本発明による請求項2記載の弾性表面波フィルタ装置は、前記一方向性変換器が、λを基本弾性表面波の伝播波長とした場合に、λのピッチで周期的に形成され、複数の電極指を有する正電極と、同様にλのピッチで周期的に形成され、複数の電極指を有し、各電極指が前記正電極の電極指とλ/2の中心間距離を以てそれぞれ位置する負電極と、前記正電極の電極指と負電極の電極指との間に配置され、複数の電極指を有し、各電極指が、隣接する正電極の電極指と負電極の電極指との間の中間位置から弾性表面波の伝播方向又はこれとは反対の方向にλ/12偏位して位置する短絡型浮き電極とを具え、前記双方向性変換器が、λを基本弾性表面波の伝播波長とした場合に、λ/4の中心間距離を以て配置し、2個の電極指の組をλのピッチで周期的に形成した正電極と、同様にλ/4の中心間距離を以て位置し、2
    個の電極指の組をλのピッチで周期的に形成され、各電極指の組が前記正電極の隣接する電極指の組とλ/2の中心間距離を以てそれぞれ位置する負電極とを具え、前記一方向性変換器の正電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、前記一方向性変換器の負電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、前記一方向性変換器の浮き電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、前記双方向性変換器の正電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、及び前記双方向性変換器の負電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅を全て等しくしたことを特徴とするものである。

    【0018】浮き電極型の一方向性変換器及び双方向性変換器を用いる場合、一方向性変換器の正電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、一方向性変換器の負電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、一方向性変換器の浮き電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、双方向性変換器の正電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、及び双方向性変換器の負電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅を全て等しくする。 これにより、1λ当たりの電極指の幅の合計が、一方向性変換器と双方向性変換器とで同一となり、一方向性変換器を励振する弾性表面波の中心周波数と双方向性変換器を励振する弾性表面波の中心周波数を一致させることができるので、従来の利点を維持しつつ、弾性表面波フィルタ装置の通過特性の波形を対称にするとともに帯域外スプリアスを有効に低減し、かつ、周波数特性が急峻な弾性表面波フィルタ装置を設計する場合にも好適なものとなる。

    【0019】本発明による請求項3記載の弾性表面波フィルタ装置は、前記一方向性変換器が、λを基本弾性表面波の伝播波長とした場合に、第1の電極指及び第2の電極指が3λ/8の中心間距離を以て位置する電極指の組を、λのピッチで周期的に形成した、第1の電極と、
    複数の電極指を、隣接する前記電極指の組とそれぞれλ
    /2の距離を以て位置するようにλのピッチで周期的に形成した、第2の電極とを具え、前記双方向性変換器が、λを基本弾性表面波の伝播波長とした場合に、λ/
    4の中心間距離を以て配置し、2個の電極指の組をλのピッチで周期的に形成した正電極と、同様にλ/4の中心間距離を以て位置し、2個の電極指の組をλのピッチで周期的に形成し、各電極指の組が前記正電極の隣接する電極指の組とλ/2の中心間距離を以てそれぞれ位置する負電極とを具え、前記一方向性変換器の第1の電極の第2の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅を、前記一方向性変換器の第1の電極の第1の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の3倍とし、前記一方向性変換器の第2
    の電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅を、前記一方向性変換器の第1の電極の第2の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅と同一とし、前記双方向性変換器の正電極及び負電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅を、
    前記一方向性変換器の第1の電極の第2の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の1.25倍としたことを特徴とするものである。

    【0020】ダート型の一方向性変換器及び双方向性変換器を用いる場合、一方向性変換器の第1の電極の第2
    の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅を、一方向性変換器の第1の電極の第1の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の3倍とし、一方向性変換器の第2の電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅を、一方向性変換器の第1
    の電極の第2の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅と同一とし、双方向性変換器の正電極及び負電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅を、一方向性変換器の第1の電極の第2の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の1.
    25倍とする。 これにより、1λ当たりの電極指の幅の合計が、一方向性変換器と双方向性変換器とで同一となり、一方向性変換器を励振する弾性表面波の中心周波数と双方向性変換器を励振する弾性表面波の中心周波数を一致させることができるので、従来の利点を維持しつつ、弾性表面波フィルタ装置の通過特性の波形を対称にするとともに帯域外スプリアスを有効に低減し、かつ、
    周波数特性が急峻な弾性表面波フィルタ装置を設計する場合にも好適なものとなる。

    【0021】本発明による請求項4記載の弾性表面波フィルタ装置は、前記一方向性変換器を正規型電極構造とし、前記双方向性変換器を、重み付けした電極構造としたことを特徴とするものである。

    【0022】この場合、一方向性変換器は、各電極指の弾性表面波の伝播方向と直交する方向の寸法が同一に設定され、重み付けされていない電極構造である正規型電極構造を有し、それに対して、双方向性変換器は、重み付けした電極構造を有する。 帯域外減衰特性を大きく設定するためには、変換器に重み付けを施す必要がある。
    ここで、一方向性変換器の電極構造に重み付けをすると周波数特性が悪化する。 特に、短絡型浮き電極型の一方向性変換器を重み付け電極構造とすると、短絡型浮き電極の電極指を接続する接続部が励振領域内に位置するようになり、この部分で不所望な反射波が生じたり、励起された弾性表面波に伝播速度差が生じたりするので、強いリップルが生じる。 このような認識に基づいて、一方向性変換器を正規型の電極構造とするとともに、双方向性変換器に重み付けを行う。 このような構成にすることにより、リップルのない特性を得ることができる。

    【0023】本発明による請求項5記載の弾性表面波フィルタ装置は、前記双方向性変換器の重み付け電極構造が、各電極指の弾性表面波の伝播方向と直交する方向の長さが弾性表面波伝播方向に沿って順次変化するアポタイズ法により構成されていることを特徴とするものである。

    【0024】重み付けの方法として、電極指を所望のピッチで間引く間引き法やバリビッチ法が知られている。
    しかしながら、これらの方法では、電極指における反射波に位相ずれが生じ、これがリップルの原因となる。 それに対して、アポタイズ法では、電極指の弾性表面波の伝播方向と直交する方向の長さを順次変化させているので、位相ずれによるリップルの発生を防止し、リップルのない周波数特性を得ることができる。

    【0025】本発明による請求項6記載の弾性表面波フィルタ装置は、前記圧電性基板を、晶基板、タンタル酸リチウム基板又はほう酸リチウム基板としたことを特徴とするものである。

    【0026】弾性表面波フィルタ装置の圧電性基板としては、通常、ニオブ酸リチウム基板、水晶基板、タンタル酸リチウム基板、ほう酸リチウム基板等が用いられている。 これら基板のうち、ニオブ酸リチウム基板は比較的大きな電気機械結合係数(K 2 )を有するので、良好な変換特性が得られるという利点がある。 しかしながら、温度特性に難点があるため、すなわち温度変化に対する帯域幅の変化が大きくなるという欠点があり、広帯域用のフィルタとしてだけ用いられてきた。 このため、
    従来の狭帯域フィルタとしては共振型のフィルタ装置だけが用いられてきた。 しかしながら、共振型のフィルタは、その構造からGDTが大きい不具合が強く指摘されていた。 それに対して、浮き電極型又はダート型の変換器を有する弾性表面波フィルタ装置は、電極の非対称構造を有効に利用しているため、挿入損失、GDTを大幅に低減することができる。 したがって、非対称構造の内部反射型電極構造を温度特性に優れた圧電性基板に適用すれば、GDT及び挿入損失に優れるとともに、温度変化に対する通常帯域の変化が極めて小さい弾性表面波フィルタ装置を実現することができ、したがって、狭帯域フィルタとして構成した場合でも、極めて良好なフィルタ特性を有する弾性表面波フィルタ装置を実現することができる。

    【0027】このような状況を考慮すると、本発明の弾性表面波フィルタ装置によれば、周波数に対する温度特性が極めて小さく、電気機械結合係数がニオブ酸リチウム基板に比べて1桁以上小さく、かつ、電極指による反射係数が短絡型浮き電極に対して正の反射係数を有する圧電性基板を用いる。 本発明では、このような圧電性基板として、電気機械結合係数が0.14%の水晶基板、
    電気機械結合係数が0.64%のタンタル酸リチウム基板、又は電気機械結合係数が1.0%のほう酸リチウム基板を用いる。 これら基板は温度変化に対する周波数変動が微小であるので、圧電性基板としてこれら基板のうちのいずれかを用いると、温度特性に対する通過周波数帯域の変化を微小範囲に維持することができる。 しかしながら、水晶、タンタル酸リチウム及びほう酸リチウムは電気機械結合係数が小さいため、既存の変換器をそのまま形成すると、挿入損失の観点から実現することができない。

    【0028】本発明者が水晶基板、タンタル酸リチウム基板及びほう酸リチウム基板における挿入損失について詳細な検討を行った結果、浮き電極の反射係数の符号が挿入損失に大きく影響していることが判明した。 水晶基板、タンタル酸リチウム基板及びほう酸リチウム基板の場合、開放型浮き電極に比べて短絡型浮き電極の方が反射係数が大きい。 したがって、浮き電極として短絡型浮き電極を用いるのが好適である。 このように構成することにより、電気機械結合係数の小さい水晶基板を用いても挿入損失を極めて小さい範囲に抑制することができ、
    その結果、温度特性に優れるとともに低損失の広帯域弾性表面波フィルタ装置を実現することができる。 また、
    一方向性変換器としてダート型電極構造の変換器を用いた場合でも、同様に温度特性に優れるとともに低損失の広帯域弾性表面波フィルタ装置を実現することができる。

    【0029】本発明による請求項7記載の弾性表面波フィルタ装置は、圧電性基板と、この圧電性基板上に形成された双方向性変換器と、この双方向性変換器の弾性表面波の伝播軸線の両側にそれぞれ配置した第1及び第2
    の一方向性変換器とを具え、前記双方向性変換器を入力側変換器とした場合に前記第1及び第2の一方向性変換器を出力側変換器とし、前記双方向性変換器を出力側変換器とした場合に前記第1及び第2の一方向性変換器を入力側変換器とし、λを基本弾性表面波の伝播波長とした場合、1λ当たりの、前記一方向性変換器の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の総和が、1λ当たりの、前記双方向性変換器の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の総和と、同一になるように構成したことを特徴とするものである。

    【0030】双方向性変換器の弾性表面波の伝播軸線の両側に第1及び第2の一方向性変換器をそれぞれ配置した弾性表面波フィルタ装置においても、上記理由により、第1及び第2の一方向性変換器で励振される弾性表面波の中心周波数と双方向性変換器で励振される弾性表面波の中心周波数を一致させることができるので、従来の利点を維持しつつ、弾性表面波フィルタ装置の通過特性の波形を対称にするとともに帯域外スプリアスを有効に低減し、かつ、周波数特性が急峻な弾性表面波フィルタ装置を設計する場合にも好適なものとなる。

    【0031】本発明による請求項8記載の弾性表面波フィルタ装置は、前記第1及び第2の一方向性変換器が、
    λを基本弾性表面波の伝播波長とした場合に、λのピッチで周期的に形成され、複数の電極指を有する正電極と、同様にλのピッチで周期的に形成され、複数の電極指を有し、各電極指が前記正電極の電極指とλ/2の中心間距離を以てそれぞれ位置する負電極と、前記正電極の電極指と負電極の電極指との間に配置され、複数の電極指を有し、各電極指が、隣接する正電極の電極指と負電極の電極指との間の中間位置から弾性表面波の伝播方向又はこれとは反対の方向にλ/12偏位して位置する短絡型浮き電極とを具え、前記双方向性変換器が、λを基本弾性表面波の伝播波長とした場合に、λ/4の中心間距離を以て配置し、2個の電極指の組をλのピッチで周期的に形成した正電極と、同様にλ/4の中心間距離を以て位置し、2個の電極指の組をλのピッチで周期的に形成し、各電極指の組が前記正電極の隣接する電極指の組とλ/2の中心間距離を以てそれぞれ位置する負電極とを具え、前記一方向性変換器の正電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、前記一方向性変換器の負電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、前記一方向性変換器の浮き電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、
    前記双方向性変換器の正電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、及び前記双方向性変換器の負電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅を全て等しくしたことを特徴とするものである。

    【0032】この場合も、上記理由により、1λ当たりの電極指の幅の合計が、第1及び第2の一方向性変換器と双方向性変換器とで同一となり、第1及び第2の一方向性変換器で励振される弾性表面波の中心周波数と双方向性変換器で励振される弾性表面波の中心周波数を一致させることができるので、従来の利点を維持しつつ、弾性表面波フィルタ装置の通過特性の波形を対称にするとともに帯域外スプリアスを有効に低減し、かつ、周波数特性が急峻な弾性表面波フィルタ装置を設計する場合にも好適なものとなる。

    【0033】本発明による請求項9記載の弾性表面波フィルタ装置は、前記第1及び第2の一方向性変換器が、
    λを基本弾性表面波の伝播波長とした場合に、第1の電極指及び第2の電極指が3λ/8の中心間距離を以て位置する電極指の組を、λのピッチで周期的に形成した、
    第1の電極と、複数の電極指を、隣接する前記電極指の組とそれぞれλ/2の距離を以て位置するようにλのピッチで周期的に形成した、第2の電極とを具え、前記双方向性変換器が、λを基本弾性表面波の伝播波長とした場合に、λ/4の中心間距離を以て配置し、2個の電極指の組をλのピッチで周期的に形成した正電極と、同様にλ/4の中心間距離を以て位置し、2個の電極指の組をλのピッチで周期的に形成し、各電極指の組が前記正電極の隣接する電極指の組とλ/2の中心間距離を以てそれぞれ位置する負電極とを具え、前記一方向性変換器の第1の電極の第2の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅を、前記一方向性変換器の第1の電極の第1の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の3倍とし、前記一方向性変換器の第2の電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅を、前記一方向性変換器の第1の電極の第2の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅と同一とし、前記双方向性変換器の正電極及び負電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅を、前記一方向性変換器の第1の電極の第2の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の1.25倍としたことを特徴とするものである。

    【0034】この場合も、上記理由により、1λ当たりの電極指の幅の合計が、第1及び第2の一方向性変換器と双方向性変換器とで同一となり、第1及び第2の一方向性変換器で励振される弾性表面波の中心周波数と双方向性変換器で励振される弾性表面波の中心周波数を一致させることができるので、従来の利点を維持しつつ、弾性表面波フィルタ装置の通過特性の波形を対称にするとともに帯域外スプリアスを有効に低減し、かつ、周波数特性が急峻な弾性表面波フィルタ装置を設計する場合にも好適なものとなる。

    【0035】本発明による請求項10記載の弾性表面波フィルタ装置は、前記第1及び第2の一方向性変換器を正規型電極構造とし、前記双方向性変換器を、重み付けした電極構造としたことを特徴とするものである。

    【0036】上記理由により、一方向性変換器を正規型の電極構造とするとともに、双方向性変換器に重み付けを行うことにより、リップルのない特性を得ることができる。

    【0037】本発明による請求項11記載の弾性表面波フィルタ装置は、前記双方向性変換器の重み付け電極構造が、各電極指の弾性表面波の伝播方向と直交する方向の長さが弾性表面波伝播方向に沿って順次変化するアポタイズ法により構成されていることを特徴とするものである。

    【0038】上記理由により、重み付けの方法としてアポタイズ法を用いることによって、位相ずれによるリップルの発生を防止し、リップルのない周波数特性を得ることができる。

    【0039】本発明による請求項12記載の弾性表面波フィルタ装置は、前記圧電性基板を、水晶基板、タンタル酸リチウム基板又はほう酸リチウム基板としたことを特徴とするものである。

    【0040】上記理由により、圧電性基板として、水晶基板、タンタル酸リチウム基板又はほう酸リチウム基板を用いることによって、温度特性に優れるとともに、低損失の弾性表面波フィルタ装置を実現することができる。

    【0041】本発明による請求項13記載の変換器は、
    弾性表面波フィルタ装置用の変換器であって、圧電性基板と、この圧電性基板上に形成され、弾性表面波の伝播軸線の両方向に弾性表面波を励振する双方向性電極構造を有する双方向性変換器部分と、弾性表面波の伝播方向の一方の方向だけ弾性表面波を励振する一方向性電極構造を有する一方向性変換器部分とを具え、これら双方向性変換器部分と一方向性変換器部分とを、これら変換器部分の伝播軸線が互いに一致するように一体的に結合し、λを基本弾性表面波の伝播波長とした場合、1λ当たりの、前記一方向性変換器部分の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の総和が、1λ当たりの、前記双方向性変換器部分の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の総和と、同一になるように構成したことを特徴とするものである。

    【0042】弾性表面波の伝播軸線の両方向に弾性表面波を励振する双方向性電極構造を有する双方向性変換器部分と、弾性表面波の伝播方向の一方の方向だけ弾性表面波を励振する一方向性電極構造を有する一方向性変換器部分とを具える変換器を他の変換器と組み合わせ用いる場合においても、上記理由により、第1及び第2の一方向性変換器で励振される弾性表面波の中心周波数と双方向性変換器で励振される弾性表面波の中心周波数を一致させることができるので、従来の利点を維持しつつ、
    弾性表面波フィルタ装置の通過特性の波形を対称にするとともに帯域外スプリアスを有効に低減し、かつ、周波数特性が急峻な弾性表面波フィルタ装置を設計する場合にも好適なものとなる。

    【0043】本発明による請求項14記載の変換器は、
    前記一方向性変換器部分が、λを基本弾性表面波の伝播波長とした場合に、λのピッチで周期的に形成され、複数の電極指を有する正電極と、同様にλのピッチで周期的に形成され、複数の電極指を有し、各電極指が前記正電極の電極指とλ/2の中心間距離を以てそれぞれ位置する負電極と、前記正電極の電極指と負電極の電極指との間に配置され、複数の電極指を有し、各電極指が、隣接する正電極の電極指と負電極の電極指との間の中間位置から弾性表面波の伝播方向又はこれとは反対の方向にλ/12偏位して位置する短絡型浮き電極とを具え、前記双方向性変換器部分が、λを基本弾性表面波の伝播波長とした場合に、λ/4の中心間距離を以て配置し、2
    個の電極指の組をλのピッチで周期的に形成した正電極と、同様にλ/4の中心間距離を以て位置し、2個の電極指の組をλのピッチで周期的に形成し、各電極指の組が前記正電極の隣接する電極指の組とλ/2の中心間距離を以てそれぞれ位置する負電極とを具え、前記一方向性変換器の正電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、前記一方向性変換器の負電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、前記一方向性変換器の浮き電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、前記双方向性変換器の正電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、及び前記双方向性変換器の負電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅を全て等しくしたことを特徴とするものである。

    【0044】この場合も、上記理由により、1λ当たりの電極指の幅の合計が、一方向性変換器部分と双方向性変換器部分とで同一となり、一方向性変換器部分で励振される弾性表面波の中心周波数と双方向性変換器部分で励振される弾性表面波の中心周波数を一致させることができるので、他の変換器と組み合わせて用いる場合にも、従来の利点を維持しつつ、弾性表面波フィルタ装置の通過特性の波形を対称にするとともに帯域外スプリアスを有効に低減し、かつ、周波数特性が急峻な弾性表面波フィルタ装置を設計する場合にも好適なものとなる。

    【0045】本発明による請求項15記載の変換器は、
    前記一方向性変換器部分及び双方向性変換器部分が、各電極指の弾性表面波の伝播方向と直交する方向の長さが弾性表面波の伝播方向に沿って順次変化するように重み付けされたことを特徴とするものである。

    【0046】上記理由により、他の変換器と組み合わせて用いる場合、一方向性変換器部分及び双方向性変換器部分に重み付けを行うことにより、リップルのない特性を得ることができる。

    【0047】本発明による請求項16記載の変換器は、
    前記一方向性変換器部分の電極指の弾性表面波の伝播方向と直交する方向の長さが、前記双方向性変換器部分の電極指の弾性表面波の伝播方向と直交する方向の最大長より長いことを特徴とするものである。

    【0048】上記理由により、他の変換器と組み合わせて用いる場合、位相ずれによるリップルの発生を防止し、リップルのない周波数特性を得ることができる。

    【0049】本発明による請求項17記載の変換器は、
    前記圧電性基板を、水晶基板、タンタル酸リチウム基板又はほう酸リチウム基板としたことを特徴とするものである。

    【0050】上記理由により、圧電性基板として、水晶基板、タンタル酸リチウム基板又はほう酸リチウム基板を用いることによって、他の変換器と組み合わせて用いる場合、温度特性に優れるとともに、低損失の弾性表面波フィルタ装置を実現することができる。

    【0051】本発明による請求項18記載の弾性表面波フィルタ装置は、圧電性基板と、この圧電性基板上に形成した入力側変換器と、この入力側変換器で励振された弾性表面波を変換する出力側変換器とを具え、前記入力側変換器又は出力側変換器のうちのいずれかの変換器を、弾性表面波の伝播軸線の一方の方向だけ弾性表面波を励振する一方向性変換器で構成し、他の変換器を、弾性表面波の伝播軸線の両方向に弾性表面波を励振する双方向性電極構造を有する双方向性変換器部分と、弾性表面波の伝播方向の一方の方向だけ弾性表面波を励振する一方向性電極構造を有する一方向性変換器部分とを具え、これら双方向性変換器部分と一方向性変換器部分とを、これら変換器部分の伝播軸線が互いに一致するように一体的に結合された変換器で構成し、λを基本弾性表面波の伝播波長とした場合、1λ当たりの、前記一方向性変換器の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の総和、
    1λ当たりの、前記変換器の前記一方向性変換器部分の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の総和、及び、1λ
    当たりの、前記双方向性変換器部分の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の総和が、同一になるように構成したことを特徴とするものである。

    【0052】弾性表面波の伝播軸線の両方向に弾性表面波を励振する双方向性電極構造を有する双方向性変換器部分及び弾性表面波の伝播方向の一方の方向だけ弾性表面波を励振する一方向性電極構造を有する一方向性変換器部分とを有する変換器と、一方向性変換器とを具える弾性表面波フィルタ装置において、上記理由により、一方向性変換器部分及び一方向性変換器側と双方向性変換器部分で励振される弾性表面波の中心周波数を一致させることができるので、従来の利点を維持しつつ、弾性表面波フィルタ装置の通過特性の波形を対称にするとともに帯域外スプリアスを有効に低減し、かつ、周波数特性が急峻な弾性表面波フィルタ装置を設計する場合にも好適なものとなる。

    【0053】本発明による請求項19記載の弾性表面波フィルタ装置は、前記一方向性変換器及び前記一方向性変換器部分が、λを基本弾性表面波の伝播波長とした場合に、λのピッチで周期的に形成され、複数の電極指を有する正電極と、同様にλのピッチで周期的に形成され、複数の電極指を有し、各電極指が前記正電極の電極指とλ/2の中心間距離を以てそれぞれ位置する負電極と、前記正電極の電極指と負電極の電極指との間に配置され、複数の電極指を有し、各電極指が、隣接する正電極の電極指と負電極の電極指との間の中間位置から弾性表面波の伝播方向又はこれとは反対の方向にλ/12偏位して位置する短絡型浮き電極とを具え、前記双方向性変換器部分が、λを基本弾性表面波の伝播波長とした場合に、λ/4の中心間距離を以て配置し、2個の電極指の組をλのピッチで周期的に形成した正電極と、同様にλ/4の中心間距離を以て位置し、2個の電極指の組をλのピッチで周期的に形成し、各電極指の組が前記正電極の隣接する電極指の組とλ/2の中心間距離を以てそれぞれ位置する負電極とを具え、前記一方向性変換器の正電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、前記一方向性変換器の負電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、前記一方向性変換器の浮き電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、前記双方向性変換器の正電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅、及び前記双方向性変換器の負電極の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅を全て等しくしたことを特徴とするものである。

    【0054】この場合も、上記理由により、1λ当たりの電極指の幅の合計が、一方向性変換器部分と双方向性変換器部分とで同一となり、一方向性変換器部分及び一方向性変換器側と双方向性変換器部分で励振される弾性表面波の中心周波数を一致させることができるので、従来の利点を維持しつつ、弾性表面波フィルタ装置の通過特性の波形を対称にするとともに帯域外スプリアスを有効に低減し、かつ、周波数特性が急峻な弾性表面波フィルタ装置を設計する場合にも好適なものとなる。

    【0055】本発明による請求項20記載の弾性表面波フィルタ装置は、前記一方向性変換器部分及び双方向性変換器部分が、各電極指の弾性表面波の伝播方向と直交する方向の長さが弾性表面波の伝播方向に沿って順次変化するように重み付けされたことを特徴とするものである。

    【0056】上記理由により、一方向性変換器及び一方向性変換器部分に重み付けを行うことにより、リップルのない特性を得ることができる。

    【0057】本発明による請求項21記載の弾性表面波フィルタ装置は、前記一方向性変換器部分の電極指の弾性表面波の伝播方向と直交する方向の長さが、前記双方向性変換器部分の電極指の弾性表面波の伝播方向と直交する方向の最大長よりも長いことを特徴とするものである。

    【0058】上記理由により、位相ずれによるリップルの発生を防止し、リップルのない周波数特性を得ることができる。

    【0059】本発明による請求項22記載の弾性表面波フィルタ装置は、前記圧電性基板を、水晶基板、タンタル酸リチウム基板又はほう酸リチウム基板としたことを特徴とするものである。

    【0060】上記理由により、圧電性基板として、水晶基板、タンタル酸リチウム基板又はほう酸リチウム基板を用いることによって、温度特性に優れるとともに、低損失の弾性表面波フィルタ装置を実現することができる。

    【0061】

    【発明の実施の形態】本発明による弾性表面波フィルタ装置の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
    図1は、本発明による弾性表面波フィルタ装置の第1の実施の形態の線図的平面図である。 本実施の形態では、
    圧電性基板として矩形の水晶基板1を用いる。 水晶基板は、温度変化に対する帯域幅変化が微小であるから、温度変化による通過周波数帯域の変化を微小範囲に維持することができる。 この水晶基板1の表面上に、入力側変換器2と、シールド電極3と、出力側変換器4とを、弾性表面波の伝播軸線に沿って形成する。

    【0062】入力側変換器2を一方向性変換器とし、この一方向性変換器を、正電極5及び負電極6と、これら正電極5及び負電極6の電極指間に配置した短絡型浮き電極7とで構成する。 本実施の形態では、これら正電極5、負電極6及び短絡型浮き電極7の弾性表面波の伝播方向における電極指の幅を、全てλ/10に設定する。
    ここで、λを、弾性表面波フィルタ装置を伝播する基本弾性表面波の波長とする。

    【0063】正電極5及び負電極6の各電極指をそれぞれλのピッチで形成し、正電極5の電極指と隣接する負電極6の電極指との間の中心間距離をλ/2に設定する。 また、短絡型浮き電極7の電極指を、これに隣接する正電極5の電極指及び負電極6の電極指との間の中間位置から、弾性表面波の伝播方向の上流側にλ/12だけ偏位するように配置して、電極の非対称構造に基づく一方向特性を高める。

    【0064】入力側変換器2の正電極5及び負電極6の対数を、例えば40対に設定する。 この対数は、要求されるフィルタ特性に応じて適宜最適条件に設定することができる。

    【0065】本実施の形態では、入力側変換器2において、短絡型浮き電極7の配置位置を、これに隣接する正電極5の電極指と負電極6の電極指との間の中間位置から大幅に偏位させて、非対称構造に基づく一方向伝播を一層増強させることにより、弾性表面波フィルタ装置の挿入損失を小さくしている。

    【0066】出力側変換器4を、正電極8及び負電極9
    をλ/4の中心間距離を以て配置した二つの電極指の組をλのピッチで周期的に複数組形成したスプリット電極構造の双方向変換器で構成し、正電極8の各電極指の組が負電極8の電極指の組とλ/2の中心間距離を以てそれぞれ位置するように設定する。

    【0067】本実施の形態では、これら正電極8及び負電極9の電極指の幅を、入力側変換器2すなわち一方向性変換器の正電極5、負電極6及び短絡型浮き電極7の弾性表面波の伝播方向における電極指の幅と同一のλ/
    10に設定する。 したがって、入力側変換器2の正電極5、負電極6及び短絡型浮き電極7の弾性表面波の伝播方向における電極指の幅並びに出力側変換器4の正電極8及び負電極9の弾性表面波の伝播方向における電極指の幅は全て同一となり、したがって、1λ当たりの、入力側変換器2の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の総和が、1λ当たりの、出力側変換器4の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の総和と、同一になる。 出力側変換器4の電極の対数を、例えば300対に設定する。

    【0068】また、出力側変換器4には、アポタイズ法による重み付けが行われており、正電極8の電極指と負電極9の電極指との交叉幅すなわち開口長を、弾性表面波の伝播方向に沿って変化させてる。

    【0069】入力側変換器2として一方向性変換器を用いるとともに出力側変換器4として双方向性変換器を用いる場合、濾波されるべき信号が端子10及び11に入力されると、入力側変換器2によって励起された弾性表面波はほとんど一方向に、すなわち出力側変換器4方向に伝播され、シールド電極3を経て出力側変換器4で電気信号に変換され、端子12及び13から濾波された信号が出力される。 端子12及び13から得られる信号の周波数特性は、一方向性変換器の特性と双方向性変換器の特性とが掛け合わされた特性となる。 したがって、トランスバーサル型の弾性表面波フィルタ装置において一方向性変換器と双方向性変換器とを組み合わせることにより、周波数特性については双方向性変換器の良好な特性が活用され、挿入損失及びT. T. E. レベルについては一方向性変換器の特有な特性が生かされた弾性表面波フィルタ装置を実現することができる。 その結果、周波数特性、挿入損失及びT. T. Eレベルの要件を全て満たす弾性表面波フィルタ装置を実現することができる。

    【0070】本実施の形態の動作を説明する。 先ず、入力側変換器2で励振される弾性表面波の伝播速度について考察する。 1λ当たりに存在する、入力側変換器2側の圧電性基板1の表面区域のうちの電極指が設けられた部分の弾性表面波の伝播方向の幅の和は、正電極5、負電極6及び短絡型浮き電極7の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅がそれぞれλ/10であるので、λ/10×
    4=2λ/5となる。 それに対して、1λ当たりに存在する、入力側変換器2側の圧電性基板1の表面区域のうちの電極指が設けられていない部分の弾性表面波の伝播方向の幅の和は、λ−2λ/5=3λ/5となる。

    【0071】ここで、入力側変換器2側の圧電性基板1
    の表面区域のうちの電極指が設けられた部分を伝播する弾性表面波の速度をv1とし、入力側変換器2側の圧電性基板1の表面区域のうちの電極指が設けられていない部分を伝播する弾性表面波の速度をv2とすると、入力側変換器2側の圧電性基板1の表面区域を伝播する弾性表面波の平均速度V1は、

    【数2】 V1={(v1×2λ/5)+(v2×3λ/5)}/λ =(2v1+3v2)/5 となる。 したがって、入力側変換器2で励振される弾性表面波の中心周波数をf1とすると、数1から、

    【数3】f1=(2v1+3v2)/5λ となる。

    【0072】次に、出力側変換器4で励振される弾性表面波の伝播速度について考察する。 1λ当たりに存在する、出力側変換器4側の圧電性基板1の表面区域のうちの電極指が設けられた部分の弾性表面波の伝播方向の幅の和は、正電極8及び負電極9の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅がそれぞれλ/10であるので、λ/10
    ×4=2λ/5となる。 それに対して、1λ当たりに存在する、出力側変換器4側の圧電性基板1の表面区域のうちの電極指が設けられていない部分の弾性表面波の伝播方向の幅の和は、λ−2λ/5=3λ/5となる。

    【0073】同様に、出力側変換器4側の圧電性基板1
    の表面区域のうちの電極指が設けられた部分を伝播する弾性表面波の速度をv1とし、出力側変換器4側の圧電性基板1の表面区域のうちの電極指が設けられいない部分を伝播する弾性表面波の速度をv2とすると、出力側変換器4側の圧電性基板1の表面区域を伝播する弾性表面波の平均速度V2は、

    【数4】 V2={(v1×2λ/5)+(v2×3λ/5)}/λ =(2v1+3v2)/5 となる。 したがって、出力側変換器4で励振される弾性表面波の中心周波数をf2とすると、数1から、

    【数5】f2=(2v1+3v2)/5λ となる。

    【0074】このようにして、1λ当たりの電極指の幅の合計を、入力側変換器2と出力側変換器4とで、すなわち一方向性変換器と双方向性変換器とで同一とすることにより、入力側変換器2で励振される弾性表面波の中心周波数f1と出力側変換器4で励振される弾性表面波の中心周波数f2を一致させることができるので、従来の利点を維持しつつ、弾性表面波フィルタ装置の通過特性の波形を対称にするとともに帯域外スプリアスを有効に低減し、かつ、周波数特性が急峻な弾性表面波フィルタ装置を設計する場合にも好適なものとなる。

    【0075】図2は、本発明による弾性表面波フィルタ装置の第2の実施の形態の線図的平面図である。 本実施の形態では、水晶基板21の表面上に、入力側変換器2
    2と、シールド電極23と、出力側変換器24とを、弾性表面波の伝播軸線に沿って順に形成する。

    【0076】入力側変換器22を一方向性変換器とし、
    この一方向性変換器を、λを弾性表面波フィルタ装置を伝播する基本弾性表面波の伝播波長とした場合に、弾性表面波の伝播方向における幅がλ/10の電極指25a
    をλの中心間距離を以て配置した、第2の電極としての正電極25と、弾性表面波伝播方向における幅がλ/1
    0及び3λ/10の電極指26a及び26bを3λ/8
    の中心間距離を以て配置した電極指の組をλのピッチで周期的に形成した、第1の電極としての負電極26とで構成する。 また、正電極25の電極指25aと隣接する負電極26の電極指26aとの間の中心間距離を3λ/
    4に設定する。 出力側変換器24を、図1の出力側変換器4と同一構造とするが、出力側変換器24の正電極2
    7及び負電極28の電極指の弾性表面波の伝播方向における幅を全てλ/8に設定する。

    【0077】本実施の形態では、入力側変換器22の負電極26の電極指26bの弾性表面波の伝播方向の幅を、入力側変換器22の負電極26の電極指26aの弾性表面波の伝播方向の幅の3倍とし、入力側変換器22
    の正電極25の電極指25aの弾性表面波の伝播方向の幅を、入力側変換器22の負電極26の電極指26aの弾性表面波の伝播方向の幅と同一とし、出力側変換器2
    4の正電極27及び負電極28の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅を、入力側変換器22の負電極の電極指2
    6aの弾性表面波の伝播方向の幅の1.25倍とし、これにより、1λ当たりの、入力側変換器22の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の総和が、1λ当たりの、出力側変換器24の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の総和と、同一になる。

    【0078】電極指26aと、弾性表面波伝播方向における幅がその3倍である電極指26bとを組み合わせる構成とすることにより、入力側変換器22を一方向性変換器として用いた場合、端子30及び31に信号が入力されると、励起された弾性表面波は、それぞれの電極指の音響インピーダンスの不整合により反射されるが、その合成ベクトルの位相は電気的な反射波の位相と正反対となるので、合成反射波を零にすることができ、弾性表面波フィルタ装置の挿入損失を犠牲にすることなく反射波をなくすことができる。

    【0079】本実施の形態の動作を説明する。 先ず、入力側変換器22で励振される弾性表面波の伝播速度について考察する。 1λ当たりに存在する、入力側変換器2
    2側の圧電性基板21の表面区域のうちの電極指が設けられた部分の弾性表面波の伝播方向の幅の和は、正電極25の電極指25a並びに負電極26の電極指26a及び26bの弾性表面波の伝播方向の幅がそれぞれλ/1
    0,λ/10及び3λ/10であるので、λ/10×2
    +3λ/10=λ/2となる。 それに対して、1λ当たりに存在する、入力側変換器22側の圧電性基板21の表面区域のうちの電極指が設けられていない部分の弾性表面波の伝播方向の幅の和は、λ−λ/2=λ/2となる。

    【0080】ここで、入力側変換器22側の圧電性基板21の表面区域のうちの電極指が設けられた部分を伝播する弾性表面波の速度をv1とし、入力側変換器22側の圧電性基板21の表面区域のうちの電極指が設けられていない部分を伝播する弾性表面波の速度をv2とすると、入力側変換器22側の圧電性基板21の表面区域を伝播する弾性表面波の平均速度V3は、

    【数6】 V3={(v1×λ/2)+(v2×λ/2)}/λ =(v1+v2)/2 となる。 したがって、入力側変換器22の中心周波数をf3とすると、数1から、

    【数7】f3=(v1+v2)/2λ となる。

    【0081】次に、出力側変換器24で励振される弾性表面波の伝播速度について考察する。 1λ当たりに存在する、出力側変換器24側の圧電性基板21の表面区域のうちの電極指が設けられた部分の弾性表面波の伝播方向の幅の和は、正電極27及び負電極28の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅がそれぞれλ/8であるので、
    λ/8×4=λ/2となる。 それに対して、1λ当たりに存在する、出力側変換器24側の圧電性基板21の表面区域のうちの電極指が設けられていない部分の弾性表面波の伝播方向の幅の和は、λ−λ/2=λ/2となる。

    【0082】同様に、出力側変換器24側の圧電性基板21の表面区域のうちの電極指が設けられた部分を伝播する弾性表面波の速度をv1とし、出力側変換器24側の圧電性基板21の表面区域のうちの電極指が設けられいない部分を伝播する弾性表面波の速度をv2とすると、出力側変換器24側の圧電性基板21の表面区域を伝播する弾性表面波の平均速度V4は、

    【数8】 V4={(v1×λ/2)+(v2×λ/2)}/λ =(v1+v2)/2 となる。 したがって、出力側変換器24の中心周波数をf4とすると、数1から、

    【数9】f4=(v1+v2)/2λ となる。

    【0083】このようにして、1λ当たりの電極指の幅の合計が、入力側変換器22と出力側変換器24とで、
    すなわち一方向性変換器と双方向性変換器とで同一とすることにより、入力側変換器22で励起される弾性表面波の中心周波数f3と出力側変換器24で励起される弾性表面波の中心周波数f4を一致させることができるので、従来の利点を維持しつつ、弾性表面波フィルタ装置の通過特性の波形を対称にするとともに帯域外スプリアスを有効に低減し、かつ、周波数特性が急峻な弾性表面波フィルタ装置を設計する場合にも好適なものとなる。

    【0084】図3は、本発明による弾性表面波フィルタ装置の第3の実施の形態の線図的平面図である。 本実施の形態では、水晶基板41の中央部に入力側変換器42
    を配置し、その両側に第1の出力側変換器43及び第2
    の出力側変換器44をそれぞれ配置する。 入力側変換器42として、図1及び2に示す双方向性変換器と同一構造の双方向性変換器を用いるが、入力側変換器42の正電極45及び負電極46の電極指の弾性表面波の伝播方向における幅を全てλ/10に設定する。

    【0085】また、出力側変換器43及び44として、
    図1に示すような一方向性変換器を用い、出力側変換器43及び44の正電極47及び49並びに負電極48及び50の電極指の弾性表面波の伝播方向における幅と、
    出力側変換器43及び44の浮き電極の電極指の弾性表面波の伝播方向における幅とを、全てλ/10に設定する。 第1の出力側変換器43の浮き電極は、弾性表面波フィルタ装置の弾性表面波の伝播方向すなわち図に対して左側にλ/12だけ偏位させ、第2の出力側変換器4
    4の浮き電極は、弾性表面波の伝播方向すなわち図に対して右側にλ/12だけ偏位させる。

    【0086】本実施の形態では、入力側変換器42の正電極45及び負電極46弾性表面波の伝播方向における電極指の幅と、出力側変換器43及び44の正電極47
    及び49並びに負電極48及び50の弾性表面波の伝播方向における電極指の幅と、出力側変換器43及び44
    の浮き電極の弾性表面波の伝播方向における電極指の幅は全て同一となり、したがって、1λ当たりの、入力側変換器42の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の総和が、1λ当たりの、出力側変換器43及び44の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の総和と、同一になる。

    【0087】入力側変換器42並びに出力側変換器43
    及び44の対数をそれぞれ、例えば300対、40対及び40対とする。

    【0088】入力側変換器42により励起された弾性表面波は、第1の出力側変換器43及び第2の出力側変換器44に対して互いに等しいエネルギー量で伝播し、第1の出力側変換器43及び第2の出力側変換器44により電気信号に変換される。 このような構成により、入力側の双方向性変換器42により励起された全ての弾性表面波を有効に利用することができ、その結果挿入損失を一層低減することができる。

    【0089】本実施の形態の動作を説明する。 先ず、入力側変換器42を伝播する弾性表面波の中心周波数は、
    上記第1の実施の形態と同様に考えると、(2v1+3
    v2)/5λとなる。 それに対して、第1の出力側変換器43及び第2の出力側変換器44を伝播する弾性表面波の中心周波数も、上記第1の実施の形態と同様に考えると、(2v1+3v2)/5λとなる。

    【0090】したがって、この場合も、1λ当たりの電極指の幅の合計を、入力側変換器42と第1の出力側変換器43及び第2の出力側変換器44とで、すなわち一方向性変換器と双方向性変換器とで同一とすることにより、入力側変換器42で励振される弾性表面波の中心周波数と第1の出力側変換器43及び第2の出力側変換器44を伝播する弾性表面波の中心周波数とを一致させることができるので、従来の利点を維持しつつ、弾性表面波フィルタ装置の通過特性の波形を対称にするとともに帯域外スプリアスを有効に低減し、かつ、周波数特性が急峻な弾性表面波フィルタ装置を設計する場合にも好適なものとなる。

    【0091】図4は、本発明による弾性表面波フィルタ装置の第4の実施の形態の線図的平面図である。 本実施の形態では、水晶基板51の中央部に入力側変換器52
    を配置し、その両側に第1の出力側変換器53及び第2
    の出力側変換器54をそれぞれ配置する。 入力側変換器52として、図1〜3に示す双方向変換器と同一構造の双方向性変換器を用いるが、正電極55及び負電極56
    の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅を全てλ/8に設定する。

    【0092】また、出力側変換器53及び54として、
    図2に示すような一方向性変換器と基本的に同一構造のものを用いる。 第1の出力側変換器53の正電極57
    を、弾性表面波フィルタ装置の弾性表面波の伝播方向すなわち図に対して左側に、弾性表面波の伝播方向における幅がλ/10及び3λ/10の電極指を3λ/8の中心間距離を以て配置した組をλで周期的に形成したものとし、その負電極58を、複数の電極指を、隣接する正電極57の電極指の組とそれぞれλ/2の距離を以て位置するようにλのピッチで周期的に形成したものとする。 第2の出力側変換器54の正電極59を、弾性表面波フィルタ装置の弾性表面波の伝播方向すなわち図に対して右側に、弾性表面波の伝播方向における幅がλ/1
    0及び3λ/10の電極指を3λ/8の中心間距離を以て配置した組をλのピッチで周期的に形成したものとし、その負電極60を、複数の電極指を、隣接する正電極59の電極指の組とそれぞれλ/2の距離を以て位置するようにλのピッチで周期的に形成したものとする。

    【0093】本実施の形態では、入力側変換器52の正電極55及び負電極56の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅を、出力側変換器53及び54の正電極のうちの電極指幅の狭い方の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の1.25倍とし、出力側変換器53及び54の正電極57及び59のうちの電極指幅の広い方の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅を、出力側変換器53及び54の正電極57及び59のうちの電極指幅の狭い方の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の3倍とし、出力側変換器53及び54の負電極58及び60の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅を、出力側変換器53及び54の正電極57及び59のうちの電極指幅の狭い方の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅と同一とし、これにより、1λ
    当たりの、入力側変換器52の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の総和が、1λ当たりの、出力側変換器53
    及び54の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の総和と、同一になる。

    【0094】この場合も、上記第3の実施の形態と同様に、入力側変換器52並びに出力側変換器53及び54
    の対数をそれぞれ、例えば300対、40対及び40対とする。

    【0095】この場合も、上記第3の実施の形態と同様に、入力側の双方向性変換器52により励起された全ての弾性表面波を有効に利用することができ、その結果挿入損失を一層低減することができる。

    【0096】本実施の形態の動作を説明する。 先ず、入力側変換器52で励振される弾性表面波の中心周波数は、上記第2の実施の形態と同様に考えると、(v1+
    v2)/2λとなる。 それに対して、第1の出力側変換器53及び第2の出力側変換器54で励振される弾性表面波の中心周波数も、上記第2の実施の形態と同様に考えると、(v1+v2)/2λとなる。

    【0097】したがって、この場合も、1λ当たりの電極指の幅の合計を、入力側変換器52と第1の出力側変換器53及び第2の出力側変換器54とで、すなわち一方向性変換器と双方向性変換器とで同一とすることにより、入力側変換器52で励振される弾性表面波の中心周波数と第1の出力側変換器53及び第2の出力側変換器54で励振される弾性表面波の中心周波数とを一致させることができるので、従来の利点を維持しつつ、弾性表面波フィルタ装置の通過特性の波形を対称にするとともに帯域外スプリアスを有効に低減し、かつ、周波数特性が急峻な弾性表面波フィルタ装置を設計する場合にも好適なものとなる。

    【0098】図5は、本発明による弾性表面波変換器の実施の形態の線図的平面図である。 この弾性表面波変換器は、水晶基板61と、弾性表面波の伝播軸線が互いに一致するように水晶基板61上に形成されたインタディジタル型の第1及び第2の双方向性変換器部分62a及び62b並びに一方向性変換器部分63とを具える。 これら第1及び第2双方向性変換器部分62a及び62b
    は、図1及び2に示す双方向性変換器の電極構造と基本的に同一であり、一方向性変換器部分63は、図1に示す一方向性変換器の電極構造と基本的に同一である。

    【0099】第1の双方向性変換器部分62aは、λを弾性表面波フィルタ装置を伝播する基本弾性表面波の伝播波長とした場合に、中心間距離をλ/4にして配置した二つの電極指の組をλのピッチで周期的に複数組形成した正電極64aと、同様にλ/4の中心間距離を以て配置した二つの電極指の組をλのピッチで周期的に形成し、各電極指の組が正電極の電極指の組とλ/2の中心間距離を以てそれぞれ位置する負電極65aとを具える。 各電極指の弾性表面波の伝播方向における幅をλ/
    10とする。 電極指64aの電極指とこの電極指に対向する負電極65aの電極指との交叉幅を、弾性表面波の伝播方向に沿って重み付けしている。

    【0100】第2の双方向性電極部分62bは、λを弾性表面波フィルタ装置を伝播する基本弾性表面波の伝播波長とした場合に、λ/4の中心間距離を以て配置した二つの電極指の組をλのピッチで周期的に複数組形成した正電極64bと、同様にλ/4の中心間距離を以て配置した二つの電極指の組をλのピッチで周期的に複数組形成し、各電極指の組が正電極64bの電極指の組とλ
    /2の中心間距離を以てそれぞれ位置する負電極65b
    とを具える。 各電極指の弾性表面波の伝播方向における幅をλ/10とし、正電極64bの電極指とこの電極指に対向する負電極65bの電極指との交叉幅を、弾性表面波の伝播方向に沿って重み付けしている。

    【0101】一方向性変換器部分63は、正電極64c
    及び負電極65cと、これら正電極64c及び負電極6
    5cの電極指間に配置した短絡型浮き電極66とで構成する。 各電極指の弾性表面波の伝播方向における幅をλ
    /10とする。 また、浮き電極66を弾性表面波の伝播方向又はその逆にλ/12偏位させる。 この一方向性変換器部分63を、第1の双方向性変換器部分62aの電極指及び第2の双方向性変換器部分62bの電極指の最大交叉幅の部分に隣接するように、第1の双方向性変換器部分62aと第2の双方向性変換器部分62bとの間に配置する。 一方向性変換器部分63の開口長を、第1
    の双方向性変換器部分62a及び第2の双方向性変換器部分62bの最大開口長より大きくする。

    【0102】したがって、本実施の形態によれば、1λ
    当たりの、一方向性変換器部分63の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の総和が、1λ当たりの、第1の双方向性変換器部分62a及び第2の双方向性変換器部分6
    2bの電極指の弾性表面波の伝播方向の幅の総和と、同一になるように変換器を構成する。

    【0103】本実施の形態の動作を説明する。 先ず、一方向性変換器部分63で励振される弾性表面波の伝播速度について考察する。 1λ当たりに存在する、一方向性変換器部分63の圧電性基板61の表面区域のうちの電極指が設けられた部分の弾性表面波の伝播方向の幅の和は、その正電極64c、負電極65c及び短絡型浮き電極66の電極指の弾性表面波の伝播方向の幅がそれぞれλ/10であるので、λ/10×4=2λ/5となる。
    それに対して、1λ当たりに存在する、第1の双方向性変換器部分62a及び第2の双方向性変換器部分62b
    の圧電性基板61の表面区域のうちの電極指が設けられていない部分の弾性表面波の伝播方向の幅の和は、λ−
    2λ/5=3λ/5となる。

    【0104】ここで、一方向性変換器部分63の圧電性基板61の表面区域のうちの電極指が設けられた部分を伝播する弾性表面波の速度をv1とし、一方向性変換器部分63の圧電性基板61の表面区域のうちの電極指が設けられていない部分を伝播する弾性表面波の速度をv
    2とすると、一方向性変換器部分63の圧電性基板61
    の表面区域を伝播する弾性表面波の平均速度V5は、

    【数10】 V5={(v1×2λ/5)+(v2×3λ/5)}/λ =(2v1+3v2)/5 となる。 したがって、一方向性変換器部分63で励振される弾性表面波の中心周波数をf5とすると、数1から、

    【数11】f5=(2v1+3v2)/5λ となる。

    【0105】次に、第1の双方向性変換器部分62a及び第2の双方向性変換器部分62bで励振される弾性表面波の伝播速度について考察する。 1λ当たりに存在する、第1の双方向性変換器部分62a及び第2の双方向性変換器部分62bの圧電性基板61の表面区域のうちの電極指が設けられた部分の弾性表面波の伝播方向の幅の和は、正電極64a及び64bび負電極65a及び6
    5bの電極指の弾性表面波の伝播方向の幅がそれぞれλ
    /10であるので、λ/10×4=2λ/5となる。 それに対して、1λ当たりに存在する、第1の双方向性変換器部分62a及び第2の双方向性変換器部分62bの圧電性基板61の表面区域のうちの電極指が設けられていない部分の弾性表面波の伝播方向の幅の和は、λ−2
    λ/5=3λ/5となる。

    【0106】同様に、第1の双方向性変換器部分62a
    及び第2の双方向性変換器部分62bの圧電性基板61
    の表面区域のうちの電極指が設けられた部分を伝播する弾性表面波の速度をv1とし、第1の双方向性変換器部分62a及び第2の双方向性変換器部分62bの圧電性基板61の表面区域のうちの電極指が設けられいない部分を伝播する弾性表面波の速度をv2とすると、第1の双方向性変換器部分62a及び第2の双方向性変換器部分62bの圧電性基板61の表面区域を伝播する弾性表面波の平均速度V6は、

    【数12】 V6={(v1×2λ/5)+(v2×3λ/5)}/λ =(2v1+3v2)/5 となる。 したがって、双方向性変換器部分62a及び6
    2bで励振される弾性表面波の中心周波数をf6とすると、数1から、

    【数13】f6=(2v1+3v2)/5λ となる。

    【0107】このようにして、1λ当たりの電極指の幅の合計を、一方向性変換器部分63と、第1の双方向性変換器部分62a及び第2の双方向性変換器部分62b
    とで、同一とすることにより、一方向性変換器部分63
    で励振される弾性表面波の中心周波数f5と、第1の双方向性変換器部分62a及び第2の双方向性変換器部分62bで励振される弾性表面波の中心周波数f6を、一致させることができるので、従来の利点を維持しつつ、
    弾性表面波フィルタ装置の通過特性の波形を対称にするとともに帯域外スプリアスを有効に低減し、かつ、周波数特性が急峻な弾性表面波フィルタ装置を設計する場合にも好適なものとなる。

    【0108】図6は、本発明による弾性表面波フィルタ装置の第5の実施の形態の線図的平面図である。 本実施の形態では、弾性表面波フィルタ装置の変換器のうちの一方を図5に示す変換器とする。 本実施の形態では、基板71上に、入力側変換器72として図1の一方向性変換器を形成し、出力側変換器73として図5に示す双方向性変換器を用いる。 この場合、出力側変換器73は、
    正電極74及び負電極75を具え、入力側変換器72
    は、正電極76及び負電極77を具える。

    【0109】図5に示す変換器を、短絡型浮き電極の電極指の偏位方向に応じて入力側変換器及び出力側変換器として用いることができる。 すなわち、短絡型浮き電極の電極指を弾性表面波の伝播方向にλ/12偏位させた場合には、出力側変換器として用いられる。 それに対して入力側変換器として用いる場合には、弾性表面波の伝播方向と反対の方向にλ/12偏位させる。

    【0110】本実施の形態の動作を説明する。 先ず、入力側変換器72で励振される弾性表面波の中心周波数は、上記第1の実施の形態と同様に考えると、(v1+
    v2)/2λとなる。 それに対して、出力側変換器73
    で励振される弾性表面波の中心周波数も、上記変換器の実施の形態と同様に考えると、一方向性変換器部分及び双方向性変換器部分とも、(v1+v2)/2λとなる。

    【0111】したがって、この場合も、1λ当たりの電極指の幅の合計を、入力側変換器72と出力側変換器7
    3とで同一とすることにより、入力側変換器72で励振される弾性表面波の中心周波数と出力側変換器73で励振される弾性表面波の中心周波数とを一致させることができるので、従来の利点を維持しつつ、弾性表面波フィルタ装置の通過特性の波形を対称にするとともに帯域外スプリアスを有効に低減し、かつ、周波数特性が急峻な弾性表面波フィルタ装置を設計する場合にも好適なものとなる。

    【0112】図7は、弾性表面波フィルタ装置の波形特性を示す図である。 図7において、本発明による弾性表面波フィルタ装置の第1の実施の形態を用いて得られる波形特性を実線で示し、従来の、一方向性変換器と双方向性変換器とを組み合わせた弾性表面波フィルタ装置を用いて得られる波形特性を破線で示す。 この図において、f 0を、弾性表面波フィルタ装置の中心周波数とする。 これら波形特性から明らかなように、本発明による弾性表面波フィルタ装置の第1の実施の形態では、従来の弾性表面波フィルタ装置に比べて帯域外のスプリアスが改善していることがわかる。

    【0113】図8は、従来の及び本発明による、一方向性変換器と双方向性変換器とを組み合わせた弾性表面波フィルタ装置の波形特性を示す図である。 この図において、本発明による弾性表面波フィルタ装置によって得られた特性を実線で示し、従来の弾性表面波フィルタ装置によって得られた特性を破線で示す。 この図においても、f 0を、弾性表面波フィルタ装置の中心周波数とする。 この図から明らかなように、本発明による弾性表面波フィルタ装置は、従来の弾性表面波フィルタ装置に比べて波形特性の対称性が改善していることがわかる。

    【0114】本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。 例えば、上記弾性表面波フィルタ装置の第1〜5の実施の形態及び変換器の実施の形態で、圧電性基板として水晶基板を用いたが、水晶基板の他に、水晶基板とほぼ同等の電気機械結合係数及び反射特性を有するタンタル酸リチウム基板及びほう酸リチウム基板を用いることもできる。

    【0115】また、第1、3、5及び6の実施の形態において、電極指の弾性表面波の伝播方向の幅すなわち線幅を、所定の値として、浮き電極型変換器の正電極、負電極及び浮き電極についてはλ/10とし、スプリット型変換器の正電極及び浮き電極についてもλ/10とし、これらの線幅が全て同一としたが、他の任意の値、
    例えばλ/12を選択することもできる。

    【0116】また、第2及び4の実施の形態において、
    電極指の線幅を、ダート型変換器の正電極についてはλ
    /10とし、その負電極についてはλ/10及び3λ/
    10とし、双方向性変換器としては、正電極及び負電極についてλ/8としたが、ダート型変換器の正電極及び負電極の一方の電極指の線幅を同一とし、その負電極の他方の電極指の線幅を一方の電極指の線幅の3倍とし、
    かつ、双方向変換器の正電極及び負電極の電極指の線幅が、ダート型変換器の正電極及び負電極の一方の電極指の線幅の1.25倍であれば、他の任意の値を選択することができる。

    【0117】また、第1〜5の実施の形態において、入力側変換器として一方向性変換器を用い、出力側変換器として双方向性変換器を用いたが、入力側変換器として双方向性変換器を用い、出力側変換器として一方向性変換器を用いることもできる。

    【0118】また、上記第2及び第4の実施の形態において、第1の電極として負電極を用い、第2の電極として正電極を用いたが、第1の電極として正電極を用い、
    第2の電極として負電極を用いることもできる。 第1,
    3及び5の実施の形態において、正電極を負電極として用いるとともに、負電極を正電極として用いることもできる。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】本発明による弾性表面波フィルタ装置の第1の実施の形態の線図的平面図である。

    【図2】本発明による弾性表面波フィルタ装置の第2の実施の形態の線図的平面図である。

    【図3】本発明による弾性表面波フィルタ装置の第3の実施の形態の線図的平面図である。

    【図4】本発明による弾性表面波フィルタ装置の第4の実施の形態の線図的平面図である。

    【図5】本発明による弾性表面波変換器の実施の形態の線図的平面図である。

    【図6】本発明による弾性表面波フィルタ装置の第5の実施の形態の線図的平面図である。

    【図7】弾性表面波フィルタ装置の波形特性を示す図である。

    【図8】従来の及び本発明による、一方向性変換器と双方向性変換器とを組み合わせた弾性表面波フィルタ装置の波形特性を示す図である。

    【符号の説明】

    1,21,41,51,61,71 水晶基板 2,2
    2,42,52,72入力側変換器 3,23 シールド電極 4,24,43,44,53,54,73 出力側変換器 5,8,25,27,45,47,49,
    55,57,59,64a,64b,64c,74,7
    6 正電極 6,9,26,28,46,48,50,
    56,58,60,65a,65b,65c,75,7
    7 負電極 7,66 短絡型浮き電極 10,11,
    12,13,30,31,32,33 端子 25a,
    26a,26b 電極指 62a,62b 双方向性変換器部分 63 一方向性変換器部分

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