专利汇可以提供Surface plasmon resonance measuring sensor chip, surface plasmon resonance measuring apparatus, and its measuring method专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a surface plasmon resonance (SPR) measuring sensor chip of high sensitivity.
SOLUTION: The surface plasmon resonance measuring sensor chip 1 is provided for observing a surface plasmon resonance phenomenon generated by arranging a sample S on one surface of a measuring region 10 and injecting light L1 of predetermined wavelength from the other surface. The measuring region 10 has a metal thin film 100 with plasmonic crystals 102 formed on the surface side where the sample S is arranged, and the plasmonic crystals 102 are formed on the surface of the metal thin film 100 in an arrangement cycle Λ in which band gaps adapted to the predetermined wavelength are formed.
COPYRIGHT: (C)2009,JPO&INPIT,下面是Surface plasmon resonance measuring sensor chip, surface plasmon resonance measuring apparatus, and its measuring method专利的具体信息内容。
本発明は、表面プラズモン共鳴(SPR)測定センサチップ、表面プラズモン共鳴装置、並びにその測定方法に関する。 より詳しくは、表面プラズモン共鳴測定の高感度化の技術に関する。
近年、生体内で起こる様々な分子間相互作用を観察するものとして、表面プラズモン共鳴(Surface plasmon resonance;SPR)現象が利用されている。 表面プラズモン共鳴現象は、金(Au)等の薄膜表面で起こる反応を、薄膜表面上で固定化した物質固有の誘電率変化によりモニタリングするものである。
表面プラズモン共鳴とは、ある波数で入射した光が共鳴的に金属薄膜の表面プラズモンポラリトン(Surface plasmon polariton;SPP)を励起させることで、反射光強度が著しく減少する現象である。 薄膜表面でのわずかな誘電率変化で共鳴状態が変化することから、表面に固定化した生体材料の特異的相互作用等を利用して目的物の定量を行うことができる。 また、放射性物質や蛍光物質等によるラベリングが不要であるため、生体物質間の相互作用等を簡便に測定することができるという利点もある。
表面プラズモン共鳴が起こっている薄膜表面領域では、わずかな分子が結合しただけで敏感に共鳴状態が変化するため、タンパク質や核酸といった生体高分子を検出するバイオセンサ等としての開発も期待されている。
そして、測定に用いる表面プラズモン共鳴(SPR)測定センサは、通常、表面100nm程度の部分の誘電率の変化を励起光の波数の変化として検出するセンサである。
前記波数は、入射光の入射角度を固定した測定系では波長(エネルギー)によって知ることができ、波長を固定した測定系では入射角度に依存する。 また、前記入射角度を走査させることで共鳴角を変化させることができ、これによりリアルタイムで定性分析と定量分析を行なうこともできる。
また、非特許文献1には、プラズモニックバンドギャップレーザー等のプラズモニックバンドギャップ端における電場の局在と増強を利用する技術が提案されている。
Applied Physics Letters, 2004, Vol. 85, 3968-3970.
しかし、表面プラズモン共鳴測定法において、例えば、生体高分子等の測定・検出を行なう際に試料を測定表面に付着させることができても、その付着量が少なすぎる場合や分子量が小さすぎる場合等がある。 このような場合、その表面誘電率の変化が微少となってしまい、励起光の波数変化を十分に検出できないといった問題等がある。 かかる問題は、分子量が小さい試料や、採取量が少ない試料等を測定する際に顕著にみられる。
そこで、本発明は、高感度の表面プラズモン共鳴(SPR)測定用センサチップを提供することを主目的とする。
本発明は、一方の表面に試料を配置し、他方の表面から所定波長の光を入射させることで発生する表面プラズモン共鳴現象を観測する表面プラズモン共鳴測定用センサチップであって、前記試料が配置される表面側にプラズモニック結晶が形成された金属薄膜を備え、前記プラズモニック結晶は、前記所定波長に適合するバンドギャップが形成される配置周期で前記金属薄膜の表面に設けられた表面プラズモン共鳴測定用センサチップを提供する。
前記バンドギャップを形成させることで、試料の表面誘電率の変化量に対する光の波数変化を増大させることができる。 これによって、高感度の表面プラズモン共鳴測定用センサチップとすることができる。
なお、前記プラズモニック結晶とは、金属等の表面に周期的レリーフが存在し、表面プラズモンポラリトン(SPP)が干渉して定常波を起させる構造をいう。
次に、本発明は、前記金属薄膜の前記他方の表面側にはプリズムが設けられ、該プリズム側から全反射条件で前記所定波長の光が入射され、その反射光を検出することを特徴とする請求項1記載の表面プラズモン共鳴測定用センサチップを提供する。
かかる励起光学系構造とすることで、測定可能な試料の形態の自由度が広く、かつ他の測定手法等と併用できる自由度が高い表面プラズモン共鳴測定用センサチップとすることができる。
そして、本発明は、前記プラズモニック結晶の配置周期は、表面プラズモンポラリトン(SPP)の分散関係と、下記式1により示されるブラッグ反射条件と、を満たす配置周期である表面プラズモン共鳴測定用センサチップを提供する。
これにより、前記所定波長の光に適合する配置周期を簡便に見積もることができ、より高い感度の表面プラズモン共鳴測定用センサチップとすることができる。
また、本発明は、試料を一方の表面に配置する測定領域と、前記測定領域の他方の表面から入射光を照射して表面プラズモン共鳴現象を発生させる光学手段と、前記表面プラズモン共鳴により生じる反射波を検出する検出部と、を少なくとも備える表面プラズモン共鳴測定装置であり、前記測定領域は、前記試料が配置される表面側にプラズモニック結晶が設けられた金属薄膜を備え、かつ前記プラズモニック結晶は、前記入射光に適合するバンドギャップが形成される配置周期で前記金属薄膜の表面に設けられた表面プラズモン共鳴測定装置を提供する。
前記バンドギャップを形成させることで、試料の表面誘電率の変化量に対する光の波数変化を増大させ、これを検出することで高感度の共鳴測定装置とすることができる。
本発明では、試料を測定領域の一方の表面に配置する工程と、前記測定領域の他方の表面から入射光を照射して表面プラズモン共鳴を発生させる工程と、前記試料の表面誘導率の変化量に対する光の波数の変化量を、バンドギャップを形成させることで増大させる工程と、前記光の波数の変化量を検出する工程と、を少なくとも行なう表面プラズモン共鳴測定方法を提供する。
前記バンドギャップを形成させることで、これに起因する光の波数の変化量を増大させることができるため、高感度の測定を行なうことができる。
本発明によれば、高感度の表面プラズモン共鳴(SPR)測定用センサチップとすることができる。
以下、本発明を実施するための好適な形態について図面を参照としながら説明する。 なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
図1は、本発明に係る表面プラズモン共鳴測定用センサチップの一実施形態の概念図である。
図1の符号1は、表面プラズモン共鳴測定用センサチップを示している。 該表面プラズモン共鳴測定用センサチップ1は、測定領域10の一方の表面にプリズム12を設け、他方の表面に試料Sを配置させる構造である。
測定領域10は、金属薄膜100上にプラズモニック結晶102が所定周期で配置されている構造である。 このプラズモニック結晶102の配置周期については後述する。 本発明では、前記金属薄膜100は、通常の表面プラズモン共鳴法に用いられる薄膜を用いることができ、例えば、金(Au)や銀(Ag)等を蒸着した薄膜を用いることができる。
測定領域10の形態は、特に限定されず、適宜好適な形状等を選択することができる。 例えば、基板等に金属薄膜100を形成し、さらにプラズモニック結晶102を設ける形状としてもよいし、合成樹脂等を用いたフィルム状の形状等であってもよい。
そして、本発明における前記プラズモニック結晶は、金属等の表面に周期的レリーフが存在し、表面プラズモンポラリトン(SPP)が干渉して定常波を起させる構造であればよい。 従って、表面の周期的構造として、突起物のアレイや、ホールアレイや、金属微粒子アレイ等であってもよいし、波面状の誘電体上に金属薄膜を蒸着した構造であってもよい。
本実施形態に係るプラズモニック結晶102は、金属表面に二次元表面レリーフ格子を刻むことによって光子を三次元的に閉じこめる構造の一例であり、その材質や作成方法等については限定されず、従来公知の手法を用いることができる。 例えば、フォトレジスト等を用いてエッチングすること等によって作成してもよい。
光源20から入射光L1がプリズム12を経由して入射する。 その際、入射光L1の一部は、金属薄膜100を透過し、プリズム12とは反対側の測定領域10の表面に到達し、この表面にエバネッセント波Eを発生させる。 表面プラズモン共鳴は、この入射角や入射波長を適切に選択することで、エバネッセント波Eの波数を表面プラズモンPの波数に一致させることで、エバネッセント波Eによって表面プラズモンPを共鳴励起させることができる。
そして、反射光L2を検出部30で測定する。 なお、入射光L1の入射角度を走査可能としてもよいし、角度幅を持った単色光を入射させて反射光L2に含まれるの暗線の角度を検出する方法で表面プラズモン共鳴を測定してもよい。
また、本発明では、測定に用いる表面誘導体について限定されず、例えば、空気(n=1)や純水(n=1.33)や種々の有機溶媒等を用いることができる。 図示はしないが、測定領域10の表面に試料Sを流すための流路を設けてもよい。 また、該流路にはバッファーを流しておく構造としてもよい。
そして、試料Sを測定領域10の表面に配置する手法は、表面プラズモン測定法で通常用いる手法を採用でき、例えば、吸着させてもよいし、化学的結合によって固定化させてもよい。
図2は、本発明における表面プラズモン共鳴現象測定の高感度化を説明するための概念図である。
表面プラズモン共鳴現象測定の感度は、表面誘導率変化に対する表面プラズモン共鳴角度シフト(以下、SPR角度シフトという)の大きさに、ピーク幅を乗じることで評価できる。
本発明では、プラズモニック結晶102を測定領域10上に設けること等によって、プラズモニックバンドギャップGを発生させる。 そして、プラズモニックバンドキャップ端付近における分散曲線の傾き変化を利用すること等によって、表面プラズモン共鳴測定での試料の誘電率変化に対する共鳴波数シフト幅を大きくする。 これによって高感度の測定を可能とするものである。
また、共鳴波数の測定は、検出部としてフォトディテクタやゴニオメーターを用いて反射光L2が殆ど帰ってこなくなる入射角度を検出すること等によって行なうことができる。 また、角度についての解像度が一定の場合は、表面誘電率の変化に対する吸収ピークのシフトが大きくなるほど、表面誘電率変化の検出限界が下がる。 これにより測定感度をより高感度にすることができる。
例えば、表面プラズモン共鳴を用いたアフィニティーセンサの場合、表面プラズモン共鳴センサの表面に試料を流すための流路を設ける。 該流路にはバッファーを流しておく。 このときの表面誘電率はε s1である。 そして、分散曲線に従って表面プラズモン共鳴現象が発生し、そのピーク波数はk 0となる(図2参照)。
一方、プラズモニック結晶102を設けることで、プラズモニック結晶102を設けない場合(波数=k 1 )よりも低波数で励起が起こるため、反射光L2に関しては低角度に吸収が起こる。
この状態で前記流路に試料Sを含む溶液を流すと、表面誘電率がε s1からε s2に変化する。 かかる原理によって、表面プラズモン共鳴センサ1の表面に目的物質である試料Sを特異的に吸着させるようにすることで、この吸着によって表面誘電率が変化することで分散曲線が変化する。
プラズモニックバンドギャップGは波数依存なので、図2に示すようにバンドギャップ端が低エネルギー側にずれる。 同じエネルギーの光を入射させていると表面プラズモン共鳴ピークは高波数側にずれる。 このときのピーク波数はk 2である。
そして、プラズモニック結晶102を設けた場合の表面プラズモン共鳴が起こる波数のシフトは、「k 2 −k 0 」となる。 これに対し、プラズモニック結晶102を設けない場合の表面プラズモン共鳴が起こる波数のシフトは、「k 2 −k 1 」である。 波数のシフト幅は「k 2 −k 0 >k 2 −k 1 」であるため、プラズモニック結晶102を設けることで検出感度をより高感度にすることができる。
図3は、プラズモニック結晶の配置周期Λを説明するための概念図である。
プラズモニック結晶102は、金属薄膜100上に周期的レリーフを刻んだものである。 表面プラズモンポラリトンの波数ベクトルk sppが周期構造の波数ベクトルの1/2のとき、表面プラズモンポラリトンはこの周期構造によりブラッグ反射を起す。 これにより、定常波を生じ、電場はその腹に局在することになる(図3参照)。
即ち、ある周期のプラズモニック結晶102は適合する波数の表面プラズモンポラリトンを干渉させ、定在波が生じ、ω +とω −の2つのエネルギー状態を取りうる。 この定常波と周期構造Λの相対位相によって2つのエネルギー状態が生じ、表面プラズモンポラリトンの分散曲線にバンドギャップG(即ち、禁止帯)が生じる(図2、図3参照)。
このバンドギャップG内の周波数を持つ表面プラズモンポラリトンは伝播を禁止させることができる。 このバンドギャップ端では、分散曲線の傾きがdω/dk=0になっている。 これは群速度が0、すなわち表面プラズモンポラリトンが閉じ込められたことで大きな電場増強が起きることを示している。
本発明ではかかる現象等に着目し、これを表面プラズモン共鳴法、特に、小分子量であったり測定量が少ない生体系分子の高感度検出に応用する技術について鋭意研究した結果、本発明を完成させたものである。
このバンドギャップGの位置は、例えば、白色光を全反射条件で角度を変えながら入射して、その反射光L2を分光することで各入射角度で吸収される波長を求め、それをエネルギー対波数(入射角度)でプロットすることにより調べることができる。
本発明で用いるプラズモニック結晶102は、前記高感度表面プラズモン共鳴センサに用いる入射光の波長に合わせて作製すればよい。 表面プラズモン共鳴では、波長が長いほうが高感度であるので、用いる入射光L1を適当に選択し、その波長に合わせてプラズモニック結晶102の配置周期Λを決定すればよい。
前記プラズモニック結晶102のバンドギャップ上端が、前記入射光L1のエネルギーとなるようにする。 また、入射光L1のエネルギーは、バンドギャップ端より高いエネルギーであれば、厳密にバンドギャップ端と合致させなくてもよい。 以下、プラズモニック結晶102の配置周期Λを計算により導出する好適な一例について説明する。
図4は、入射波長に対してカップルするプラズモニック結晶の配置周期Λの計算値の一例を示すグラフである。 即ち、入射角L1の周波数に対して有効な配置周期Λを見積もったものである。 この配置周期Λの計算値は、例えば、以下に示す手法で見積もることができる。
クレッチマン配置による表面プラズモン共鳴現象を例に挙げて説明すれば、プラズモニックバンドギャップの条件は、表面プラズモンポラリトンの分散関係と、任意の結晶配置で表面プラズモンポラリトンがブラッグ反射する入射光条件とを同時に満たす条件とすることで得ることができる。
まず、表面プラズモンポラリトンの分散関係を求める。
表面/金属/プリズムの3層系における反射光強度については、フレネルの式と多波干渉の式を用いることで、任意の波長・誘電率条件における表面プラズモンポラリトン曲線を得ることができる。 これにより、反射光強度角度依存性を知ることができる(例えば、栗原一嘉ら、ぶんせき、2002,4,161−167等参照)。 そして、このディップの角度を、所定波長に対してプロットしていくことで表面プラズモンポラリトンの分散関係を得ることができる。
次に、所定の結晶配置で表面プラズモンポラリトンがブラッグ反射する入射光条件を求める。 ブラッグ反射する入射光条件は下記式1にて示される。 ここで、k sppは、表面プラズモンポラリトンの波数であるが、測定領域10とプリズム12との界面の端数と同一である(図2、図3参照)。
このようにして求めたSPPの分散関係と、任意の結晶配置でSPPがブラッグ反射する入射光条件とを同時に満たす条件が、プラズモニックバンドギャップの条件として得ることができる。 これにより、与えられた入射波長に対してプラズモニックバンドギャップが得られる配置周期Λを決定することができる。
表面プラズモン共鳴を発生させる光学励起系構造については、本発明の効果が得られる範囲内であれば、特に限定されず、クレッチマン(Kretschmann)配置以外の配置も適宜用いることができ、例えば、オットー(OTTO)配置等を採用することもできる。
また、本発明では、前記表面プラズモン共鳴測定用センサチップ1と、測定領域10の表面から入射光L1を照射して表面プラズモン共鳴現象を発生させる光学手段20と、前記表面プラズモン共鳴により発生する反射波L2を検出する検出部30と、を少なくとも備える表面プラズモン共鳴測定装置Aとすることができる。
前記光学手段20は、特に限定されず、通常の表面プラズモン共鳴法に用いられる手法を用いることができる。 例えば、光源としてレーザー等の単色光や、白色光を用いたりしてもよいし、さらには、試料Sに入射される入射光L1として、単一の偏光成分のみからなる偏光を用い、偏光子を介して同一方向に偏光した光のみを検出できるよう設定することで、より良好なSN比(Signal to noise ratio)を得ることができる。
検出部30の測定手段等は、特に限定されず、通常の表面プラズモン共鳴法や一般の光学分光測定等で用いられる測定手段・測定機器等を用いることができる。 例えば、フォトディテクタや、ゴニオメータや、CCD(Charge Coupled Device)や、MOSセンサによるイメージセンサ等によるディテクタ等を用いることができる。
また、本発明に係る表面プラズモン共鳴測定装置Aや表面プラズモン共鳴測定用センサチップ1には、適宜、他の測定手法を併用してもよい。 そして、本発明では、光学励起系の構造としてクレッチマン配置を用いることが望ましい。 クレッチマン配置は測定可能な試料の形態の自由度が広く、かつ他の測定手法等と併用できる自由度が高い励起光学系構造であるため好適である。
そして、本発明では、表面プラズモン共鳴の測定方法として、試料Sを測定領域10の一方の表面に配置する工程と、前記測定領域10の他方の表面から入射光L1を照射して表面プラズモン共鳴を発生させる工程と、前記試料Sの表面誘導率の変化量に対する光の波数の変化量を、バンドギャップを形成させることで増大させる工程と、前記光の波数の変化量を検出する工程と、を少なくとも行なう表面プラズモン共鳴測定方法を用いることで、より高感度の測定を行なうことができる。
なお、本発明に係る表面プラズモン共鳴測定方法では、前記バンドギャップを形成させる手法については、試料の表面誘電率の変化量に対する光の波数変化を増大させ、これを検出することで高感度化させることができればよく、その手法については限定されない。 例えば、前述したプラズモニック結晶102を用いることができる。 そして、金属等の表面に周期的レリーフを存在させる手法として、例えば、表面誘導体(例えば、試料S)の誘電率を周期的に変化させることで、表面波を干渉させて定常波化する手法等を用いてもよい。 以上より、本発明によれば、表面プラズモン共鳴測定に際して、一定の誘電率変化に対してより大きな波数シフトを得ることができるため、より高感度の検出が可能である。
そして、測定領域10の表面にプラズモニック結晶102を形成するという簡便な処理でよいため、表面プラズモン共鳴測定用センサチップ1は、従来の表面プラズモン共鳴測定装置に容易に規格化・適合させることができるため、汎用性にも優れたセンサチップとすることができる。
従来では、特に、表面プラズモン共鳴法を用いてゲノム等を直接解析するには十分な感度を得ることが困難であったが、本発明によれば、低分子量の試料や、少量しか得られない試料に対して別途の増感処理等を行わずに、簡便に測定感度を向上させることができる。
本実施例では、バンドギャップの形成において、予測した計算値の有効性について検証した。 具体的には、プラズモニック結晶を計算に従って作成し、そのバンドギャップエネルギーについて評価した。
<プラズモニック結晶の配置周期Λの計算>
前記式(1)等に基づいて、表面誘電体層は空気(n=1)、純水(n=1.33)として、表面プラズモン共鳴が行なう条件(即ち、表面プラズモンポラリトン分散関係)と、プラズモニック結晶がカップルする条件を両方満たす系となるように計算した。
<プラズモニック結晶の作成>
クレッチマン配置を採用し、0.7mm圧BK7基板に、接着層としてクロム(Cr)1nmを挟んで金(Au)45nmを蒸着させた。 ポリメタクリル酸メチル(PMMA)をレジストとして用い、EB露光装置ELS−7500(エリオニクス社製)を用いて、金表面に表面周期構造を描画した。 そして、現像後30nmの金を蒸着した。 続いて、ポリメタクリル酸メチルをリフトオフして、結晶チップを得た。
<プラズモニックバンドギャップの測定>
表面層を空気(n=1)とし、波長347〜784nmの条件におけるプラズモニックバンドギャップを実測した。 得られた結晶チップをBK7からなる半円筒形プリズムの底面に屈折液を介して載せた。 光源はタングステンランプを用いた。 光照射は、プリズム側からファイバーにカップリングした白色光を入射させ、反射光はファイバーを用いてCCD分光器に導きスペクトルを得た。
そして、入射角度を41°〜50°まで、0.2°ずつ走査しながら、反射光スペクトルを測定することで分散関係を求め、プラズモニックバンドギャップを測定した。
表1に実験を行った結晶チップについて得られたバンドギャップのエネルギーを示す。 配置周期260nm以下になると、プラズモニックバンドギャップが観測できなかった。 そして、バンドギャップ幅は低エネルギーになるについて狭くなっている傾向が確認された。
上記実験値と予測により求めた計算値とを比較した。 図5は、プラズモニックバンドギャップについて実験値と計算値をプロットした図である。 その結果、実験と計算値は良好に一致していることが示された。 以上より、本実施例によれば、プラズモニック結晶のバンドギャップエネルギーに関する理論計算による予測が有効であることが示された。
本実施例では、プラズモニック結晶を用いて、そのプラズモニックバンドギャップ端付近での表面プラズモン共鳴曲線の振る舞いを実測した。
<測定条件>
試料は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)製マイクロ流路をプラズモニック結晶チップ上に貼り付け、プラズモニック結晶上に純水を流しながら表面プラズモン共鳴測定を行なった。
使用した表面プラズモン共鳴装置は、フルイドウェアテクノロジー社の表面プラズモン共鳴センサを用いた。 入射光スポットは300μm×1cmであり、ライン型CCDの幅は1mmであるため、センシング領域は300μm×1mmとなる。
<プラズモニック結晶>
波長770nm、純水(表面誘導率n=1.33)に対して、配置周期Λの計算値を275nmと見積もった。 これを踏まえて、配置周期250,260,270,280,290nmのプラズモニック結晶を、実施例1と同様の手法で作製した。 なお、表面プラズモン共鳴装置の関係上、基板として用いたガラスの厚みは0.17mmである。
<考察>
かかるプラズモニック結晶について得られた吸収ピーク面積を図6に示す。 配置周期Λの計算値(275nm)に近い270nm,280nm周期のプラズモニック結晶を中心に吸収ピーク面積(ピーク強度)の減少が確認された(図6参照)。 プラズモニックバンドギャップの存在により、プラズモニック結晶内の当該波長に相応するエネルギーが禁止されるため、光エネルギーの吸収が起こらなくなったと考えられる。 即ち、270nmや280nmのプラズモニック結晶では、角度走査(波長を固定し入射角を走査させる)によって、バンドギャップを効率よく捕らえることができたといえる。
本実施例によれば、計算値に基づいて作成したプラズモニック結晶では、バンドギャップの表れる波長を制御できることが示された。 そして、表面プラズモン共鳴センサーを用いてプラズモニックバンドギャップを捕らえることができることが示された。 以上より、本発明によれば表面プラズモン共鳴センサを高感度化できることが示唆された。
1 表面プラズモン共鳴測定用センサチップ10 測定領域12 プリズム100 金属薄膜102 プラズモニック結晶A 表面プラズモン共鳴測定装置S 試料
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