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基板処理装置、デバイス製造方法、走査露光方法

阅读:682发布:2024-02-23

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照明光の照明領域に配置されるマスクのパターンの像を、基板が配置される投影領域に所定の投影倍率で投射する投影光学系を備えた基板処理装置であって、 前記照明領域と前記投影領域とのうちの一方の領域において所定の曲率半径で円筒面状に湾曲した第1面に沿うように、前記マスクと前記基板とのうちの一方を支持して回転する第1支持部材と、 前記照明領域と前記投影領域とのうちの他方の領域において所定の第2面に沿うように、前記マスクと前記基板とのうちの他方を支持する第2支持部材と、 前記第1支持部材を回転させて、前記第1支持部材が支持する前記マスクと前記基板との一方を第1移動速度で走査露光方向に移動させ、かつ、前記第2支持部材を移動させて、前記第2支持部材が支持する前記マスクと前記基板との他方を第2移動速度で前記走査露光方向に移動させる移動機構と、 を備え、 前記移動機構は、前記投影倍率と一致した前記第1移動速度と前記第2移動速度との速度比とは異なった速度関係であって、且つ、前記投影光学系によって形成される前記パターンの像の投影像面と前記基板の露光面とのうち曲率半径が大きい面又は平面となる側の移動速度を他方の移動速度よりも相対的に小さく設定する、基板処理装置。請求項1に記載の基板処理装置であって、 前記移動機構は、前記投影領域内での前記パターンの投影像面と前記基板の露光面との曲率半径の違いによって、前記走査露光方向に関して前記投影像面と前記露光面とが相対的にずれる像変位量の絶対値の平均値が、前記投影像面に形成される前記パターンの像の最小寸法よりも小さくなるように、前記第1移動速度と前記第2移動速度との相対差を設定する、 基板処理装置。請求項1に記載の基板処理装置であって、 前記移動機構は、前記投影領域内での前記パターンの投影像面と前記基板の露光面との曲率半径の違いによって、前記走査露光方向に関して前記投影像面と前記露光面とが相対的にずれる像変位量の絶対値の平均値が、前記投影光学系の解像によって決まるパターン像の最小寸法よりも小さくなるように、前記第1移動速度と前記第2移動速度との相対差を設定する、 基板処理装置。請求項1に記載の基板処理装置であって、 前記移動機構は、前記投影領域内での前記パターンの投影像面と前記基板の露光面との曲率半径の違いによって、前記走査露光方向に関して前記投影像面と前記露光面とが相対的にずれる像変位量の2乗の平均値が、前記投影光学系の解像力によって決まるパターン像の最小寸法、又は前記投影像面に形成される前記パターンの像の最小寸法よりも小さくなるように、前記第1移動速度と前記第2移動速度との相対差を設定する、 基板処理装置。請求項2〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置であって、 前記移動機構は、前記走査露光の間に、前記投影領域内でずれる前記投影像面と前記露光面との相対的な像変位量が、前記投影領域の前記走査露光方向の少なくとも3ヶ所においてゼロとなるように、前記前記第1移動速度と前記第2移動速度との相対差を設定する、 基板処理装置。請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置であって、 前記投影光学系は、同一構成の複数の投影光学モジュールで構成され、 前記投影光学モジュールは、前記走査露光方向に直交する方向に列状に配置され、それぞれが対応する前記投影領域に前記パターンの像を投射する、 基板処理装置。請求項6に記載の基板処理装置であって、 前記複数の投影光学モジュールは、前記走査露光方向に少なくとも2列で配置され、隣接する前記投影光学モジュールの前記第1支持部材側の間隔と前記第2支持部材側の間隔とが、前記第1移動速度と前記第2移動速度との比に対応して設定される、 基板処理装置。請求項6又は7に記載の基板処理装置であって、 前記複数の投影光学モジュールは、前記走査露光方向に少なくとも2列で配置され、前記走査露光方向に直交する方向において、隣接する前記投影光学モジュールの前記投影領域の端部同士が一部重なる、 基板処理装置。請求項1〜8のいずれか一項に記載の基板処理装置であって、 前記第1支持部材は、前記マスクを支持し、 前記第2支持部材は、前記基板を支持する、 基板処理装置。請求項1〜8のいずれか一項に記載の基板処理装置であって、 前記第1支持部材は、前記基板を支持し、 前記第2支持部材は、前記マスクを支持する、 基板処理装置。請求項1〜10のいずれか一項に記載の基板処理装置であって、 前記第2面は、所定の曲率半径で円筒面状に湾曲している、 基板処理装置。請求項11に記載の基板処理装置であって、 前記投影領域の前記走査露光方向の幅を±A、前記パターンの像が形成される前記投影像面の曲率半径をRm、前記基板の走査露光方向の露光面の曲率半径をRp、前記走査露光の際の前記投影像面の速度をωm、前記走査露光の際の前記露光面の角速度をωp、前記投影光学系の開口数をNA、露光波長をλ、プロセス定数をkとし、前記走査露光時の前記投影像面と前記露光面との基準となる移動速度をV、前記投影領域の幅±A内での移動位置をxとしたとき、下記式を満たすことを特徴とする、 基板処理装置。請求項1〜12のいずれか一項に記載の基板処理装置であって、 前記第1支持部材と前記第2支持部材との一方は、支持するマスクを交換可能であり、 交換したマスクに基づいて、前記第1移動速度、前記第2移動速度及び前記投影領域の前記走査露光方向の幅の少なくとも1つを調整する、 基板処理装置。請求項1から13のいずれか一項に記載の基板処理装置を用いて前記基板に前記マスクのパターンを形成することと、 前記基板処理装置に前記基板を供給することと、を含む デバイス製造方法。所定の曲率半径で円筒状に湾曲したマスクの一面に形成されたパターンを、投影光学系を介して円筒状又は平面状に支持されるフレキシブルな基板の表面に投影すると共に、前記マスクを前記湾曲した一面に沿って所定の速度で移動させつつ、前記円筒状又は平面状に支持された前記基板の表面に沿って所定の速度で前記基板を移動させて、前記投影光学系による前記パターンの投影像を前記基板上に走査露光する露光方法であって、 前記投影光学系による前記パターンの投影像がベストフォーカス状態で形成される投影像面の曲率半径をRm、前記円筒状又は平面状に支持された前記基板の表面の曲率半径をRpとし、前記マスクの移動により前記投影像面に沿って移動する前記パターンの投影像の移動速度をVm、前記基板の表面に沿った所定の速度をVpとしたとき、RmVpに設定し、Rm>Rpの場合はVm請求項15に記載の走査露光方法であって、 前記曲率半径Rmと前記曲率半径Rpは、Rm≠Rpの条件のもとで、 0 走査露光方法。請求項15又は16に記載の走査露光方法であって、 前記投影像面と前記基板の表面との曲率半径の違いによって、前記走査露光する方向に関して前記投影像面と前記基板の表面とが相対的にずれる像変位量の絶対値の平均値が、前記投影像面に形成される前記パターンの投影像の最小寸法よりも小さくなるように、前記移動速度Vmと前記速度Vpとの相対差を設定する、 走査露光方法。請求項15又は16に記載の走査露光方法であって、 前記投影像面と前記基板の表面との曲率半径の違いによって、前記走査露光する方向に関して前記投影像面と前記基板の表面とが相対的にずれる像変位量の絶対値の平均値が、前記投影光学系の解像力によって決まる前記パターンの投影像の最小寸法よりも小さくなるように、前記移動速度Vmと前記速度Vpとの相対差を設定する、 走査露光方法。請求項15又は16に記載の走査露光方法であって、 前記投影像面と前記基板の表面との曲率半径の違いによって、前記走査露光する方向に関して前記投影像面と前記基板の表面とが相対的にずれる像変位量の2乗の平均値が、前記投影光学系の解像力によって決まる前記パターンの投影像の最小寸法、又は前記投影像面に形成される前記パターンの投影像の最小寸法よりも小さくなるように、前記移動速度Vmと前記速度Vpとの相対差を設定する、 走査露光方法。請求項17〜19のうちのいずれか一項に記載の走査露光方法であって、 前記走査露光の間に、前記パターンの投影像が形成される前記投影光学系の投影領域内で、前記投影像面と前記基板の表面とがずれる際の相対的な像変位量が、前記投影領域の前記走査露光の方向の少なくとも3ヶ所においてゼロとなるように、前記移動速度Vmと前記速度Vpとの相対差を設定する、 走査露光方法。

说明书全文

本発明は、マスクのパターンを基板に投影し、該基板に該パターンを露光する基板処理装置、デバイス製造方法、走査露光方法、露光装置、デバイス製造システム及びデバイス製造方法に関する。

液晶ディスプレイ等の表示デバイスや、半導体等、各種デバイスを製造するデバイス製造システムがある。デバイス製造システムは、露光装置等の基板処理装置を備えている。特許文献1に記載の基板処理装置は、照明領域に配置されたマスクに形成されているパターンの像を、投影領域に配置されている基板等に投影し、基板に当該パターンを露光する。基板処理装置に用いられるマスクは、平面状のもの、円筒状のもの等がある。

フォトリソグラフィ工程で用いられる露光装置において、下記特許文献に開示されているような、円筒状又は円柱状のマスク(以下、総称して円筒マスクともいう)を用いて基板を露光する露光装置が知られている(例えば、特許文献2)。また、円筒マスクを用いて、可撓性(フレキシブル)を有する長尺のシート基板上に表示パネル用のデバイスパターンを連続して露光する露光装置も知られている(例えば、特許文献3)。

特開2007−299918号公報

国際公開WO2008/029917号

特開2011−221538号公報

ここで、基板処理装置は、走査露光方向における露光領域(スリット状の投影領域)を大きくすることで、基板上の1つのショット領域、或いはデバイス領域に対する走査露光時間を短くすることができ、単位時間当たりの基板の処理枚数等の生産性を向上させることができる。しかしながら、特許文献1に記載のように、生産性の向上を図る為に回転可能な円筒状マスクを用いると、マスクパターンが円筒状に湾曲していることから、マスクパターン(円筒状)の周方向を走査露光の方向とし、スリット状の投影領域の走査露光方向の寸法を大きくすると、基板に投影露光されるパターンの品質(像質)が低下する場合がある。

前述した特許文献2に示されるように、円筒状又は円柱状のマスクは、所定の回転中心軸(中心線)から一定半径の外周面(円筒面)を有し、その外周面に電子デバイス(例えば半導体ICチップ等)のマスクパターンが形成されている。感光性の基板(ウェハ)上にマスクパターンを転写する際は、基板を所定速度で一方向に移動させつつ、円筒マスクを回転中心軸の周りに同期回転させる。その場合、円筒マスクの外周面の全周長が基板の長さに対応するように円筒マスクの直径を設定すると、基板の長さに渡って連続してマスクパターンを走査露光することができる。また、特許文献3のように、そのような円筒マスクを用いると、長尺のフレキシブルなシート基板(感光層付き)を長尺方向に所定速度で送りつつ、その速度に同期させて円筒マスクを回転させるだけで、シート基板上に表示パネル用のパターンを繰返し連続して露光することができる。このように、円筒マスクを用いた場合、基板の露光処理の効率やタクトが向上し、電子デバイス、表示パネル等の生産性が高まることが期待される。

しかしながら、特に表示パネル用のマスクパターンを露光する場合、表示パネルの画面サイズは数インチ〜数十インチと多種多様であり、そのためのマスクパターンの領域の寸法やアスペクト比も多種多様である。その場合、露光装置に装着可能な円筒マスクの直径や回転中心軸方向の寸法が一義的に決まっていると、様々な大きさの表示パネルに対応して、円筒マスクの外周面に効率的にマスクパターン領域を配置することが難しくなる。例えば、大きな画面サイズの表示パネルの場合は、その表示パネルの1面分のマスクパターン領域を円筒マスクの外周面のほぼ全周に形成できても、そのサイズよりも少し小さい表示パネルの場合は、2面分のマスクパターン領域を形成することができず、周方向(又は回転中心軸方向)の余白が増大することになる。

本発明の態様は、高い生産性で高い品質の基板を生産することができる基板処理装置、デバイス製造方法及び走査露光方法を提供することを目的とする。

本発明の他の態様は、直径の異なる円筒マスクが装着可能な露光装置、デバイス製造システム及びそのような露光装置を用いたデバイス製造方法を提供することを目的とする。

本発明の第1の態様に従えば、照明光の照明領域に配置されるマスクのパターンからの光束を、基板が配置される投影領域に投射する投影光学系を備えた基板処理装置であって、前記照明領域と前記投影領域とのうちの一方の領域において所定曲率で円筒面状に湾曲した第1面に沿うように、前記マスクと前記基板とのうちの一方を支持する第1支持部材と、前記照明領域と前記投影領域とのうちの他方の領域において所定の第2面に沿うように、前記マスクと前記基板とのうちの他方を支持する第2支持部材と、前記第1支持部材を回転させ、該第1支持部材が支持する前記マスクと前記基板との一方を走査露光方向に移動させ、かつ、前記第2支持部材を移動させ、該第2支持部材が支持する前記マスクと前記基板との他方を前記走査露光方向に移動させる移動機構と、を備え、前記投影光学系は、前記パターンの像を所定の投影像面に形成し、前記移動機構は、前記第1支持部材の移動速度及び前記第2支持部材の移動速度を設定し、前記パターンの投影像面と前記基板の露光面とのうち曲率がより大きい面又は平面となる側の移動速度を他方の移動速度よりも相対的に小さくした基板処理装置基板処理装置が提供される。

本発明の第2の態様に従えば、第1の態様に記載の基板処理装置を用いて前記基板に前記マスクのパターンを形成することと、前記基板処理装置に前記基板を供給することと、を含むデバイス製造方法が提供される。

本発明の第3の態様に従えば、所定の曲率半径で円筒状に湾曲したマスクの一面に形成されたパターンを、投影光学系を介して円筒状又は平面状に支持されるフレキシブルな基板の表面に投影すると共に、マスクを湾曲した一面に沿って所定の速度で移動させつつ、円筒状又は平面状に支持された基板の表面に沿って所定の速度で前記基板を移動させて、投影光学系によるパターンの投影像を基板上に走査露光する際、投影光学系によるパターンの投影像がベストフォーカス状態で形成される投影像面の曲率半径をRm、円筒状又は平面状に支持された基板の表面の曲率半径をRp、マスクの移動により投影像面に沿って移動するパターン像の移動速度をVm、基板の表面に沿った所定の速度をVpとしたとき、Rm

Vpに設定し、Rm>Rpの場合はVm

本発明の第4の態様に従えば、所定の軸線から一定の曲率半径で湾曲した曲面の外周面にパターンを有する円筒マスクに照明光を導く照明光学系と、基板を支持する基板支持機構と、前記照明光で照明された前記円筒マスクの前記パターンを前記基板支持機構が支持する前記基板に投影する投影光学系と、前記円筒マスクを交換する交換機構と、前記交換機構が、前記円筒マスクを直径の異なる円筒マスクに交換したときに、前記照明光学系の少なくとも一部と前記投影光学系の少なくとも一部との少なくとも一方を調整する調整部と、を含む露光装置が提供される。

本発明の第5の態様に従えば、所定の軸線から一定半径で円筒状に湾曲した外周面にパターンを有し、互いに直径が異なる複数の円筒マスクの1つを交換可能に装着して、前記所定の軸線の周りに回転させるマスク保持機構と、前記円筒マスクのパターンに照明光を照射する照明系と、照明光で照射された前記円筒マスクの前記パターンからの光で露光される基板を、湾曲した面又は平面に沿って支持する基板支持機構と、前記マスク保持機構に装着される前記円筒マスクの直径に応じて、少なくとも前記所定の軸線と前記基板支持機構との距離を調整する調整部とを含む露光装置が提供される。

本発明の第6の態様に従えば、前述した露光装置と、前記露光装置に前記基板を供給する基板供給装置と、を備えるデバイス製造システムが提供される。

本発明の第7の態様に従えば、前述した露光装置を用いて、前記円筒マスクの前記パターンを前記基板に露光をすることと、露光された前記基板を処理することにより、前記円筒マスクの前記パターンに対応したデバイスを形成することと、を含むデバイス製造方法が提供される。

本発明の態様によれば、パターン像が形成される投影像面とパターン像が転写される基板の表面とのいずれか一方が、基板の走査露光方向において湾曲することによって生じる像位置のズレ(像変位)を抑えつつ、走査露光時の露光幅を大きくとることが可能となり、高品質でパターン像が転写される基板を、高い生産性で得ることができる。

本発明の他の態様によれば、所定の範囲内で直径の異なる円筒マスクが装着された場合でも、高品質なパターン転写が可能な露光装置、デバイス製造システム及びデバイス製造方法を提供することができる。

図1は、第1実施形態のデバイス製造システムの構成を示す図である。

図2は、第1実施形態の露光装置(基板処理装置)の全体構成を示す図である。

図3は、図2に示す露光装置の照明領域及び投影領域の配置を示す図である。

図4は、図2に示す露光装置の照明光学系及び投影光学系の構成を示す図である。

図5は、マスクにおける照明光束及び投影光束の振る舞いを誇張して示す図である。

図6は、図4中の偏光ビームスプリッタにおける照明光束及び投影光束の進み方を模式的に示す図である。

図7は、マスクのパターンの投影像面の移動と基板の露光面の移動との関係を誇張して示す説明図である。

図8Aは、投影像面と露光面との周速度に差が無いときの露光幅内での像のズレ量、差分量の変化の一例を示すグラフである。

図8Bは、投影像面と露光面との周速度に差が有るときの露光幅内での像のズレ量、差分量の変化の一例を示すグラフである。

図8Cは、露光面と投影像面と周速度の差を変えたときの露光幅内での像の差分量の変化の一例を示すグラフである。

図9は、投影像面と露光面との周速度の差の有無によって変化するパターン投影像の露光幅内でのコントラスト比の変化の一例を示すグラフである。

図10は、第2実施形態の露光装置(基板処理装置)の全体構成を示す図である。

図11は、マスクのパターンの投影像面の移動と基板の露光面の移動との関係を誇張して示す説明図である。

図12は、第2実施形態における投影像面と露光面との周速度の差の有無によって変化する露光幅内での像のズレ量の変化の一例を示すグラフである。

図13Aは、マスクM上のL&Sパターンの投影像の光強度分布を示す図である。

図13Bは、マスクM上の孤立線(ISO)パターンの投影像の光強度分布を示す図である。

図14は、周速度差無し(補正前)の状態で、L&Sパターンの投影像のコントラスト値とコントラスト比をシミュレーションしたグラフである。

図15は、周速度差有り(補正後)の状態で、L&Sパターンの投影像のコントラスト値とコントラスト比をシミュレーションしたグラフである。

図16は、周速度差無し(補正前)の状態で、孤立(ISO)パターンの投影像のコントラスト値とコントラスト比をシミュレーションしたグラフである。

図17は、周速度差有り(補正後)の状態で、孤立(ISO)パターンの投影像のコントラスト値とコントラスト比をシミュレーションしたグラフである。

図18は、基板上の露光面の移動速度に対してマスクMの投影像面の周速度を変えたときの像変位量(ズレ量)と露光幅との関係を示すグラフである。

図19は、ズレ量と解像とを使って求めた評価値Q1、Q2によって、最適な露光幅を評価するシミュレーションの一例を示すグラフである。

図20は、第3実施形態の露光装置(基板処理装置)の全体構成を示す図である。

図21は、第4実施形態の露光装置(基板処理装置)の全体構成を示す図である。

図22は、マスクのパターンの投影像面の移動と基板の露光面の移動との関係を示す説明図である。

図23は、第5実施形態に係る露光装置の全体構成を示す図である。

図24は、露光装置が用いるマスクを他のマスクに交換する際の手順を示すフローチャートである。

図25は、奇数番の第1の投影光学系のマスク側の視野領域の位置と偶数番の第2の投影光学系のマスク側の視野領域の位置との関係を示す図である。

図26は、マスクの情報を記憶した情報記憶部を表面に有するマスクを示す斜視図である。

図27は、露光条件が記述された露光条件設定テーブルの模式図である。

図28は、直径の異なるマスク間における照明光束及び投影光束の振る舞いを、先の図5を基にして概略的に示す図である。

図29は、直径の異なるマスクに交換した場合におけるエンコーダヘッド等の配置変更を示す図である。

図30は、キャリブレーション装置の図である。

図31は、キャリブレーションを説明するための図である。

図32は、エアベアリングを用いてマスクを回転可能に支持する例を示す側面図である。

図33は、エアベアリングを用いてマスクを回転可能に支持する例を示す斜視図である。

図34は、第6実施形態に係る露光装置の全体構成を示す図である。

図35は、第7実施形態に係る露光装置の全体構成を示す図である。

図36は、反射型の円筒マスクMの露光装置内での支持機構の部分的な構造例を示す斜視図である。

図37は、デバイス製造方法を示すフローチャートである。

本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。例えば、以下の実施形態では、デバイスとしてフレキシブル・ディスプレイを製造する場合として説明するがこれに限定されない。デバイスとしては、銅箔等による配線パターンが形成される配線基板、多数の半導体素子(トランジスタ、ダイオード等)が形成される基板等を製造することもできる。

[第1実施形態] 第1実施形態は、基板に露光処理を施す基板処理装置が露光装置である。また、露光装置は、露光後の基板に各種処理を施してデバイスを製造するデバイス製造システムに組み込まれている。先ず、デバイス製造システムについて説明する。

<デバイス製造システム> 図1は、第1実施形態のデバイス製造システムの構成を示す図である。図1に示すデバイス製造システム1は、デバイスとしてのフレキシブル・ディスプレイを製造するライン(フレキシブル・ディスプレイ製造ライン)である。フレキシブル・ディスプレイとしては、例えば有機ELディスプレイ等がある。このデバイス製造システム1は、可撓性の基板Pをロール状に巻回した供給用ロールFR1から、該基板Pを送り出し、送り出された基板Pに対して各種処理を連続的に施した後、処理後の基板Pを可撓性のデバイスとして回収用ロールFR2に巻き取る、いわゆるロール・ツー・ロール(Roll to Roll)方式となっている。第1実施形態のデバイス製造システム1では、フィルム状のシートである基板Pが供給用ロールFR1から送り出され、供給用ロールFR1から送り出された基板Pが、順次、n台の処理装置U1,U2,U3,U4,U5,…Unを経て、回収用ロールFR2に巻き取られるまでの例を示している。先ず、デバイス製造システム1の処理対象となる基板Pについて説明する。

基板Pは、例えば、樹脂フィルム、ステンレス鋼等の金属又は合金からなる箔(フォイル)等が用いられる。樹脂フィルムの材質としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレンビニル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂のうち1又は2以上を含んでいる。

基板Pは、例えば、基板Pに施される各種処理において受ける熱による変形量が実質的に無視できるように、熱膨張係数が顕著に大きくないものを選定することが望ましい。熱膨張係数は、例えば、無機フィラーを樹脂フィルムに混合することによって、プロセス温度等に応じた閾値よりも小さく設定されていてもよい。無機フィラーは、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、酸化ケイ素等でもよい。また、基板Pは、フロート法等で製造された厚さ100μm程度の極薄ガラスの単層体であってもよいし、この極薄ガラスに上記の樹脂フィルム、箔等を貼り合わせた積層体であってもよい。

このように構成された基板Pは、ロール状に巻回されることで供給用ロールFR1となり、この供給用ロールFR1が、デバイス製造システム1に装着される。供給用ロールFR1が装着されたデバイス製造システム1は、1個のデバイスを製造するための各種の処理を、供給用ロールFR1から送り出される基板Pに対して繰り返し実行する。このため、処理後の基板Pは、複数のデバイスが連なった状態となる。つまり、供給用ロールFR1から送り出される基板Pは、多面取り用の基板となっている。なお、基板Pは、予め所定の前処理によって、その表面を改質して活性化したもの、或いは、表面に精密パターニングの為の微細な隔壁構造(凹凸構造)をインプリント法等で形成したものでもよい。

処理後の基板Pは、ロール状に巻回されることで回収用ロールFR2として回収される。回収用ロールFR2は、図示しないダイシング装置に装着される。回収用ロールFR2が装着されたダイシング装置は、処理後の基板Pを、デバイスごとに分割(ダイシング)することで、複数個のデバイスにする。基板Pの寸法は、例えば、幅方向(短尺となる方向)の寸法が10cm〜2m程度であり、長さ方向(長尺となる方向)の寸法が10m以上である。なお、基板Pの寸法は、上記した寸法に限定されない。

図1では、X方向、Y方向及びZ方向が直交する直交座標系となっている。X方向は、平面内において供給用ロールFR1及び回収用ロールFR2を結ぶ方向であり、図1における左右方向である。Y方向は、水平面内においてX方向に直交する方向であり、図1における前後方向である。Y方向は、供給用ロールFR1及び回収用ロールFR2の軸方向となっている。Z方向は、鉛直方向であり、図1における上下方向である。

デバイス製造システム1は、基板Pを供給する基板供給装置2と、基板供給装置2によって供給された基板Pに対して各種処理を施す処理装置U1〜Unと、処理装置U1〜Unによって処理が施された基板Pを回収する基板回収装置4と、デバイス製造システム1の各装置を制御する上位制御装置5とを備える。

基板供給装置2には、供給用ロールFR1が回転可能に装着される。基板供給装置2は、装着された供給用ロールFR1から基板Pを送り出す駆動ローラR1と、基板Pの幅方向(Y方向)における位置を調整するエッジポジションコントローラEPC1とを有する。駆動ローラR1は、基板Pの表裏両面を挟持しながら回転し、基板Pを供給用ロールFR1から回収用ロールFR2へ向かう搬送方向に送り出すことで、基板Pを処理装置U1〜Unに供給する。このとき、エッジポジションコントローラEPC1は、基板Pの幅方向の端部(エッジ)における位置が、目標位置に対して±十数μm〜数十μm程度の範囲に収まるように、基板Pを幅方向に移動させて、基板Pの幅方向における位置を修正する。

基板回収装置4には、回収用ロールFR2が回転可能に装着される。基板回収装置4は、処理後の基板Pを回収用ロールFR2側に引き寄せる駆動ローラR2と、基板Pの幅方向(Y方向)における位置を調整するエッジポジションコントローラEPC2とを有する。基板回収装置4は、駆動ローラR2により基板Pの表裏両面を挟持しながら回転し、基板Pを搬送方向に引き寄せると共に、回収用ロールFR2を回転させることで、基板Pを巻き上げる。このとき、エッジポジションコントローラEPC2は、エッジポジションコントローラEPC1と同様に構成され、基板Pの幅方向の端部(エッジ)が幅方向においてばらつかないように、基板Pの幅方向における位置を修正する。

処理装置U1は、基板供給装置2から供給された基板Pの表面に感光性機能液を塗布する塗布装置である。感光性機能液としては、例えば、フォトレジスト、感光性シランカップリング材(例えば、感光性親撥液性改質材、感光性メッキ還元材等)、UV硬化樹脂液等が用いられる。処理装置U1は、基板Pの搬送方向の上流側から順に、塗布機構Gp1と乾燥機構Gp2とが設けられている。塗布機構Gp1は、基板Pが巻き付けられる圧胴ローラDR1と、圧胴ローラDR1に対向する塗布ローラDR2とを有する。塗布機構Gp1は、供給された基板Pを圧胴ローラDR1に巻き付けた状態で、圧胴ローラDR1及び塗布ローラDR2により基板Pを挟持する。そして、塗布機構Gp1は、圧胴ローラDR1及び塗布ローラDR2を回転させることで、基板Pを搬送方向に移動させながら、塗布ローラDR2により感光性機能液を塗布する。乾燥機構Gp2は、熱風又はドライエアー等の乾燥用エアーを吹き付け、感光性機能液に含まれる溶質(溶剤又は水)を除去し、感光性機能液が塗布された基板Pを乾燥させることで、基板P上に感光性機能層を形成する。

処理装置U2は、基板Pの表面に形成された感光性機能層を安定にすべく、処理装置U1から搬送された基板Pを所定温度(例えば、数10〜120℃程度)まで加熱する加熱装置である。処理装置U2は、基板Pの搬送方向の上流側から順に、加熱チャンバHA1と冷却チャンバHA2とが設けられている。加熱チャンバHA1は、その内部に複数のローラ及び複数のエア・ターンバーが設けられており、複数のローラ及び複数のエア・ターンバーは、基板Pの搬送経路を構成している。複数のローラは、基板Pの裏面側に転接して設けられ、複数のエア・ターンバーは、基板Pの表面側に非接触状態で設けられる。複数のローラ及び複数のエア・ターンバーは、基板Pの搬送経路を長くすべく、蛇行状の搬送経路となる配置になっている。加熱チャンバHA1内を通る基板Pは、蛇行状の搬送経路に沿って搬送されながら所定温度まで加熱される。冷却チャンバHA2は、加熱チャンバHA1で加熱された基板Pの温度が、後工程(処理装置U3)の環境温度と揃うようにすべく、基板Pを環境温度まで冷却する。冷却チャンバHA2は、その内部に複数のローラが設けられ、複数のローラは、加熱チャンバHA1と同様に、基板Pの搬送経路を長くすべく、蛇行状の搬送経路となる配置になっている。冷却チャンバHA2内を通る基板Pは、蛇行状の搬送経路に沿って搬送されながら冷却される。冷却チャンバHA2の搬送方向における下流側には、駆動ローラR3が設けられ、駆動ローラR3は、冷却チャンバHA2を通過した基板Pを挟持しながら回転することで、基板Pを処理装置U3へ向けて供給する。

処理装置(基板処理装置)U3は、処理装置U2から供給された、表面に感光性機能層が形成された基板(感光基板)Pに対して、ディスプレイ用の回路又は配線等のパターンを投影露光する露光装置である。詳細は後述するが、処理装置U3は、反射型のマスクMに照明光束を照明し、照明光束がマスクMにより反射されることで得られる投影光束を基板Pに投影露光する。処理装置U3は、処理装置U2から供給された基板Pを搬送方向の下流側に送る駆動ローラDR4と、基板Pの幅方向(Y方向)における位置を調整するエッジポジションコントローラEPC3とを有する。駆動ローラDR4は、基板Pの表裏両面を挟持しながら回転し、基板Pを搬送方向の下流側に送り出すことで、基板Pを露光位置で支持する回転ドラムDR5へ向けて供給する。エッジポジションコントローラEPC3は、エッジポジションコントローラEPC1と同様に構成され、露光位置における基板Pの幅方向が目標位置となるように、基板Pの幅方向における位置を修正する。また、処理装置U3は、露光後の基板Pにたるみを与えた状態で、基板Pを搬送方向の下流側へ送る2組の駆動ローラDR6、DR7を有する。2組の駆動ローラDR6、DR7は、基板Pの搬送方向に所定の間隔を空けて配置されている。駆動ローラDR6は、搬送される基板Pの上流側を挟持して回転し、駆動ローラDR7は、搬送される基板Pの下流側を挟持して回転することで、基板Pを処理装置U4へ向けて供給する。このとき、基板Pは、たるみが与えられているため、駆動ローラDR7よりも搬送方向の下流側において生ずる搬送速度の変動を吸収でき、搬送速度の変動による基板Pへの露光処理の影響を縁切りすることができる。また、処理装置U3内には、マスクMのマスクパターンの一部分の像と基板Pとを相対的に位置合せ(アライメント)する為に、基板Pに予め形成されたアライメントマーク等を検出するアライメント顕微鏡AM1、AM2が設けられている。

処理装置U4は、処理装置U3から搬送された露光後の基板Pに対して、湿式による現像処理、無電解メッキ処理等を行なう湿式処理装置である。処理装置U4は、その内部に、鉛直方向(Z方向)に階層化された3つの処理槽BT1、BT2、BT3と、基板Pを搬送する複数のローラと、を有する。複数のローラは、3つの処理槽BT1、BT2、BT3の内部を、基板Pが順に通過する搬送経路となるように配置される。処理槽BT3の搬送方向における下流側には、駆動ローラが設けられ、駆動ローラDR8は、処理槽BT3を通過した基板Pを挟持しながら回転することで、基板Pを処理装置U5へ向けて供給する。

図示は省略するが、処理装置U5は、処理装置U4から搬送された基板Pを乾燥させる乾燥装置である。処理装置U5は、処理装置U4において湿式処理された基板Pに付着する液滴を除去すると共に、基板Pの水分含有量を調整する。処理装置U5により乾燥された基板Pは、さらに幾つかの処理装置を経て、処理装置Unに搬送される。そして、処理装置Unで処理された後、基板Pは、基板回収装置4の回収用ロールFR2に巻き上げられる。

上位制御装置5は、基板供給装置2、基板回収装置4及び複数の処理装置U1〜Unを統括制御する。上位制御装置5は、基板供給装置2及び基板回収装置4を制御して、基板Pを基板供給装置2から基板回収装置4へ向けて搬送させる。また、上位制御装置5は、基板Pの搬送に同期させながら、複数の処理装置U1〜Unを制御して、基板Pに対する各種処理を実行させる。

<露光装置(基板処理装置)> 次に、第1実施形態の処理装置U3としての露光装置(基板処理装置)の構成について、図2から図5を参照して説明する。図2は、第1実施形態の露光装置(基板処理装置)の全体構成を示す図である。図3は、図2に示す露光装置の照明領域及び投影領域の配置を示す図である。図4は、図2に示す露光装置の照明光学系及び投影光学系の構成を示す図である。図5は、マスクに照射される照明光束、及びマスクから射出する投影光束の状態を示す図である。図6は、図4中の偏光ビームスプリッタにおける照明光束及び投影光束の進み方を模式的に示す図である。以下、処理装置U3を露光装置U3という。

図2に示す露光装置U3は、いわゆる走査露光装置であり、基板Pを搬送方向に搬送しながら、円筒状のマスクMの外周面に形成されたマスクパターンの像を、基板Pの表面に投影露光する。なお、図2では、X方向、Y方向及びZ方向が直交する直交座標系となっており、図1と同様の直交座標系となっている。

先ず、露光装置U3に用いられるマスクMについて説明する。マスクMは、例えば金属製の円筒体を用いた反射型のマスクとなっている。マスクMは、Y方向に延びる第1軸AX1を中心とする曲率半径Rmとなる外周面(円周面)を有する円筒体に形成される。マスクMの円周面は、所定のマスクパターンが形成されたマスク面P1となっている。マスク面P1は、所定方向に光束を高い効率で反射する高反射部と所定方向に光束を反射しない又は低い効率で反射する反射抑制部とを含む。マスクパターンは、高反射部及び反射抑制部により形成されている。ここで、反射抑制部は、所定方向に反射する光が少なくなればよい。このため、反射抑制部は、光を吸収しても、透過しても、所定方向以外に反射(例えば乱反射)してもよい。ここで、マスクMは、反射抑制部を、光を吸収する材料や、光を透過する材料で構成することができる。露光装置U3は、上記構成のマスクMとして、アルミニウムやSUS等の金属の円筒体で作成したマスクを用いることができる。このため、露光装置U3は、安価なマスクを用いて露光を行うことができる。

なお、マスクMは、1個の表示デバイスに対応するパネル用パターンの全体又は一部が形成されていてもよいし、複数個の表示デバイスに対応するパネル用パターンが形成されていてもよい。また、マスクMは、パネル用パターンが第1軸AX1の周りの周方向に繰り返し複数個形成されていてもよいし、小型のパネル用パターンが第1軸AX1に平行な方向に繰り返し複数形成されてもよい。さらに、マスクMは、第1の表示デバイスのパネル用パターンと、第1の表示デバイスとサイズ等が異なる第2の表示デバイスのパネル用パターンとが形成されていてもよい。また、マスクMは、第1軸AX1を中心とする曲率半径Rmとなる円周面を有していればよく、円筒体の形状に限定されない。例えば、マスクMは、円周面を有する円弧状の板材であってもよい。また、マスクMは、薄板状であってもよく、薄板状のマスクMを湾曲させて、円周面を有するようにしてもよい。

次に、図2に示す露光装置U3について説明する。露光装置U3は、上記した駆動ローラDR4、DR6、DR7、回転ドラムDR5、エッジポジションコントローラEPC3及びアライメント顕微鏡AM1、AM2の他に、マスク保持機構11と、基板支持機構12と、照明光学系ILと、投影光学系PLと、下位制御装置16と、を有する。露光装置U3は、光源装置13から射出された照明光を、照明光学系ILと投影光学系PLの一部とを介して、マスク保持機構11に支持されるマスクMのパターン面P1に照射し、マスクMのパターン面P1で反射した投影光束(結像光)を、投影光学系PLを介して基板支持機構12に支持される基板Pに投射する。

下位制御装置16は、露光装置U3の各部を制御し、各部に処理を実行させる。下位制御装置16は、デバイス製造システム1の上位制御装置5の一部又は全部であってもよい。また、下位制御装置16は、上位制御装置5に制御され、上位制御装置5とは別の装置であってもよい。下位制御装置16は、例えば、コンピュータを含む。

マスク保持機構11は、マスクMを保持する円筒ドラム(マスク保持ドラムともいう)21と、円筒ドラム21を回転させる第1駆動部22とを有している。円筒ドラム21は、マスクMの第1軸AX1が回転中心となるようにマスクMを保持する。第1駆動部22は、下位制御装置16に接続され、第1軸AX1を回転中心に円筒ドラム21を回転させる。

なお、マスク保持機構11の円筒ドラム21は、その外周面に高反射部と低反射部とでマスクパターンを直接形成したが、この構成に限らない。マスク保持機構11としての円筒ドラム21は、その外周面に倣って薄板状の反射型マスクMを巻き付けて保持してもよい。また、マスク保持機構11としての円筒ドラム21は、予め半径Rmで円弧状に湾曲させた板状の反射型マスクMを円筒ドラム21の外周面に着脱可能に保持してもよい。

基板支持機構12は、基板Pを支持する基板支持ドラム25(図1中の回転ドラムDR5)と、基板支持ドラム25を回転させる第2駆動部26と、一対のエア・ターンバーATB1、ATB2と、一対のガイドローラ27、28とを有している。基板支持ドラム25は、Y方向に延びる第2軸AX2を中心とする曲率半径Rpとなる外周面(円周面)を有する円筒形状に形成されている。ここで、第1軸AX1と第2軸AX2とは互いに平行になっており、第1軸AX1及び第2軸AX2を通る面を中心面CLとしている。基板支持ドラム25の円周面の一部は、基板Pを支持する支持面P2となっている。つまり、基板支持ドラム25は、その支持面P2に基板Pが巻き付けられることで、基板Pを円筒面状に湾曲させて支持する。第2駆動部26は、下位制御装置16に接続され、第2軸AX2を回転中心に基板支持ドラム25を回転させる。一対のエア・ターンバーATB1,ATB2と一対のガイドローラ27、28が、基板支持ドラム25を挟んで、基板Pの搬送方向の上流側及び下流側にそれぞれ設けられている。ガイドローラ27は駆動ローラDR4から搬送された基板Pを、エア・ターンバーATB1を介して基板支持ドラム25に案内し、ガイドローラ28は基板支持ドラム25を経てエア・ターンバーATB2から搬送された基板Pを駆動ローラDR6に案内する。

基板支持機構12は、第2駆動部26により基板支持ドラム25を回転させることで、基板支持ドラム25に導入した基板Pを、基板支持ドラム25の支持面P2で支持しながら、所定速度で長尺方向(X方向)に送る。

このとき、第1駆動部22及び第2駆動部26に接続された下位制御装置16は、円筒ドラム21と基板支持ドラム25とを所定の回転速度比で同期回転させることによって、マスクMのマスク面P1に形成されたマスクパターンの像が、基板支持ドラム25の支持面P2に巻き付けられた基板Pの表面(円周面に倣って湾曲した面)に連続的に繰り返し投影露光される。露光装置U3は、第1駆動部22及び第2駆動部26が本実施形態の移動機構となる。

光源装置13は、マスクMに照明される照明光束EL1を出射する。光源装置13は、光源31と導光部材32とを有する。光源31は、所定の波長の光を射出する光源である。光源31は、例えば水銀ランプ等のランプ光源、レーザーダイオード又は発光ダイオード(LED)等である。光源31が射出する照明光は、例えばランプ光源から射出される輝線(g線、h線、i線)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)等である。ここで、光源31は、i線(365nmの波長)より短い波長を含む照明光束EL1を射出することが好ましい。そのような照明光束EL1として、YAGレーザ(第3高調波レーザ)から射出されるレーザ光(355nmの波長)、YAGレーザ(第4高調波レーザ)から射出されるレーザ光(266nmの波長)、又はKrFエキシマレーザから射出されるレーザ光(248nmの波長)等を用いることができる。

導光部材32は、光源31から出射された照明光束EL1を照明光学系ILに導く。導光部材32は、光ファイバ、又はミラーを用いたリレーモジュール等で構成される。また、導光部材32は、照明光学系ILが複数設けられている場合、光源31からの照明光束EL1を複数に分割し、複数の照明光束EL1を複数の照明光学系ILに導く。本実施形態の導光部材32は、光源31から射出された照明光束EL1を所定の偏光状態の光として偏光ビームスプリッタPBSに入射させる。偏光ビームスプリッタPBSは、マスクMを落射照明するためにマスクMと投影光学系PLとの間に設けられ、S偏光の直線偏光となる光束を反射し、P偏光の直線偏光となる光束を透過する。このため、光源装置13は、偏光ビームスプリッタPBSに入射する照明光束EL1が直線偏光(S偏光)の光束となる照明光束EL1を出射する。光源装置13は、偏光ビームスプリッタPBSに波長及び位相が揃った偏光レーザを出射する。例えば、光源装置13は、光源31から射出される光束が偏光された光である場合、導光部材32として、偏波面保存ファイバを用い、光源装置13から出力されたレーザ光の偏光状態を維持したまま導光する。また、例えば、光源31から出力された光束を光ファイバで案内し、光ファイバから出力された光を偏光板で偏光させてもよい。つまり光源装置13は、ランダム偏光の光束が案内されている場合、ランダム偏光の光束を偏光板で偏光してもよい。また光源装置13は、レンズ等を用いたリレー光学系により、光源31から出力された光束を案内してもよい。

ここで、図3に示すように、第1実施形態の露光装置U3は、いわゆるマルチレンズ方式を想定した露光装置である。なお、図3には、円筒ドラム21に保持されたマスクM上の照明領域IRを−Z側から見た平面図(図3の左図)と、基板支持ドラム25に支持された基板P上の投影領域PAを+Z側から見た平面図(図3の右図)とが図示されている。図3の符号Xsは、円筒ドラム21及び基板支持ドラム25の移動方向(回転方向)を示す。マルチレンズ方式の露光装置U3は、マスクM上の複数(第1実施形態では例えば6つ)の照明領域IR1〜IR6に照明光束EL1をそれぞれ照明し、各照明光束EL1が各照明領域IR1〜IR6に反射されることで得られる複数の投影光束EL2を、基板P上の複数(第1実施形態では例えば6つ)の投影領域PA1〜PA6に投影露光する。

先ず、照明光学系ILにより照明される複数の照明領域IR1〜IR6について説明する。図3に示すように、複数の照明領域IR1〜IR6は、中心面CLを挟んで、回転方向の上流側のマスクM上に第1照明領域IR1、第3照明領域IR3及び第5照明領域IR5が配置され、回転方向の下流側のマスクM上に第2照明領域IR2、第4照明領域IR4及び第6照明領域IR6が配置される。各照明領域IR1〜IR6は、マスクMの軸方向(Y方向)に延びる平行な短辺及び長辺を有する細長い台形状の領域となっている。このとき、台形状の各照明領域IR1〜IR6は、その短辺が中心面CL側に位置し、その長辺が外側に位置する領域となっている。第1照明領域IR1、第3照明領域IR3及び第5照明領域IR5は、軸方向に所定の間隔を空けて配置されている。また、第2照明領域IR2、第4照明領域IR4及び第6照明領域IR6は、軸方向に所定の間隔を空けて配置されている。このとき、第2照明領域IR2は、軸方向において、第1照明領域IR1と第3照明領域IR3との間に配置される。同様に、第3照明領域IR3は、軸方向において、第2照明領域IR2と第4照明領域IR4との間に配置される。第4照明領域IR4は、軸方向において、第3照明領域IR3と第5照明領域IR5との間に配置される。第5照明領域IR5は、軸方向において、第4照明領域IR4と第6照明領域IR6との間に配置される。各照明領域IR1〜IR6は、Y方向に隣り合う台形状の照明領域の斜辺部の三部同士が、マスクMの周方向(X方向)に回したときに互いに重なるように(オーバーラップするように)配置されている。なお、第1実施形態において、各照明領域IR1〜IR6は、台形状の領域としたが、長方形状の領域であってもよい。

また、マスクMは、マスクパターンが形成されるパターン形成領域A3と、マスクパターンが形成されないパターン非形成領域A4とを有する。パターン非形成領域A4は、照明光束EL1を吸収する反射し難い領域であり、パターン形成領域A3を枠状に囲んで配置されている。第1〜第6照明領域IR1〜IR6は、パターン形成領域A3のY方向の全幅をカバーするように、配置されている。

照明光学系ILは、複数の照明領域IR1〜IR6に応じて複数(第1実施形態では例えば6つ)設けられている。複数の照明光学系(分割照明光学系)IL1〜IL6には、光源装置13からの照明光束EL1がそれぞれ入射する。各照明光学系IL1〜IL6は、光源装置13から入射された各照明光束EL1を、各照明領域IR1〜IR6にそれぞれ導く。つまり、第1照明光学系IL1は、照明光束EL1を第1照明領域IR1に導き、同様に、第2〜第6照明光学系IL2〜IL6は、照明光束EL1を第2〜第6照明領域IR2〜IR6に導く。複数の照明光学系IL1〜IL6は、中心面CLを挟んで、第1、第3、第5照明領域IR1、IR3、IR5が配置される側(図2の左側)に、第1照明光学系IL1、第3照明光学系IL3及び第5照明光学系IL5が配置される。第1照明光学系IL1、第3照明光学系IL3及び第5照明光学系IL5は、Y方向に所定の間隔を空けて配置される。また、複数の照明光学系IL1〜IL6は、中心面CLを挟んで、第2、第4、第6照明領域IR2、IR4、IR6が配置される側(図2の右側)に、第2照明光学系IL2、第4照明光学系IL4及び第6照明光学系IL6が配置される。第2照明光学系IL2、第4照明光学系IL4及び第6照明光学系IL6は、Y方向に所定の間隔を空けて配置される。このとき、第2照明光学系IL2は、軸方向において、第1照明光学系IL1と第3照明光学系IL3との間に配置される。同様に、第3照明光学系IL3、第4照明光学系IL4、第5照明光学系IL5は、軸方向において、第2照明光学系IL2と第4照明光学系IL4との間、第3照明光学系IL3と第5照明光学系IL5との間、第4照明光学系IL4と第6照明光学系IL6との間に配置される。また、第1照明光学系IL1、第3照明光学系IL3及び第5照明光学系IL5と、第2照明光学系IL2、第4照明光学系IL4及び第6照明光学系IL6とは、Y方向からみて対称に配置されている。

次に、図4を参照して、各照明光学系IL1〜IL6について説明する。なお、各照明光学系IL1〜IL6は、同様の構成となっているため、第1照明光学系IL1(以下、単に照明光学系ILという)を例に説明する。

照明光学系ILは、照明領域IR(第1照明領域IR1)を均一な照度で照明すべく、光源装置13からの照明光束EL1をマスクM上の照明領域IRにケーラー照明する。また、照明光学系ILは、偏光ビームスプリッタPBSを用いた落射照明系となっている。照明光学系ILは、光源装置13からの照明光束EL1の入射側から順に、照明光学モジュールILMと、偏光ビームスプリッタPBSと、1/4波長板41とを有する。

図4に示すように、照明光学モジュールILMは、照明光束EL1の入射側から順に、コリメータレンズ51と、フライアイレンズ52と、複数のコンデンサーレンズ53と、シリンドリカルレンズ54と、照明視野絞り55と、複数のリレーレンズ56とを含んでおり、第1光軸BX1上に設けられている。

コリメータレンズ51は、導光部材32から射出する光を入射して、フライアイレンズ52の入射側の面全体を照射する。

フライアイレンズ52は、コリメータレンズ51の出射側に設けられている。フライアイレンズ52の出射側の面の中心は、第1光軸BX1上に配置される。フライアイレンズ52は、コリメータレンズ51からの照明光束EL1を、多数の点光源像に分割した面光源像を生成する。照明光束EL1はその面光源像から生成される。このとき、点光源像が生成されるフライアイレンズ52の出射側の面は、フライアイレンズ52から照明視野絞り55を介して後述する投影光学系PLの第1凹面鏡72に至る各種レンズによって、第1凹面鏡72の反射面が位置する瞳面と光学的に共役となるように配置される。

コンデンサーレンズ53は、フライアイレンズ52の出射側に設けられている。コンデンサーレンズ53の光軸は、第1光軸BX1上に配置される。コンデンサーレンズ53は、フライアイレンズ52の出射側に形成された多数の点光源像の各々からの光を、照明視野絞り55上で重畳させて、均一な照度分布で照明視野絞り55を照射する。照明視野絞り55は、図3に示した照明領域IRと相似となる台形又は長方形の矩形状の開口部を有し、その開口部の中心は第1光軸BX1上に配置される。照明視野絞り55からマスクMに至る光路中に設けられるリレーレンズ56、偏光ビームスプリッタPBS、1/4波長板41によって、照明視野絞り55の開口部はマスクM上の照明領域IRと光学的に共役な関係に配置される。リレーレンズ56は、照明視野絞り55の開口部を透過した照明光束EL1を偏光ビームスプリッタPBSに入射させる。コンデンサーレンズ53の出射側であって、照明視野絞り55に隣接した位置には、シリンドリカルレンズ54が設けられている。シリンドリカルレンズ54は、入射側が平面となり出射側が凸円筒レンズ面となる平凸シリンドリカルレンズである。シリンドリカルレンズ54は、シリンドリカルレンズ54の光軸は、第1光軸BX1上に配置される。シリンドリカルレンズ54は、マスクM上の照明領域IRを照射する照明光束EL1の各主光線を、XZ面内では収斂させ、Y方向に関しては平行状態にする。

偏光ビームスプリッタPBSは、照明光学モジュールILMと中心面CLとの間に配置されている。偏光ビームスプリッタPBSは、波面分割面でS偏光の直線偏光となる光束を反射し、P偏光の直線偏光となる光束を透過する。ここで、偏光ビームスプリッタPBSに入射する照明光束EL1をS偏光の直線偏光とすると、照明光束EL1は偏光ビームスプリッタPBSの波面分割面で反射し、1/4波長板41を透過して円偏光となってマスクM上の照明領域IRを照射する。マスクM上の照明領域IRで反射した投影光束EL2は、再び1/4波長板41を通ることによって円偏光から直線P偏光に変換され、偏光ビームスプリッタPBSの波面分割面を透過して投影光学系PLに向かう。偏光ビームスプリッタPBSは、波面分割面に入射された照明光束EL1の大部分を反射すると共に、投影光束EL2の大部分を透過することが好ましい。偏光ビームスプリッタPBSの波面分割面での偏光分離特性は消光比で表されるが、その消光比は波面分割面に向かう光線の入射角によっても変わる為、波面分割面の特性は、実用上の結像性能への影響が問題にならないように、照明光束EL1や投影光束EL2のNA(開口数)も考慮して設計される。

図5は、マスクM上の照明領域IRに照射される照明光束EL1と、照明領域IRで反射された投影光束EL2との振る舞いを、XZ面(第1軸AX1と垂直な面)内で誇張して示した図である。図5に示すように、上記した照明光学系ILは、マスクMの照明領域IRで反射される投影光束EL2の主光線がテレセントリック(平行系)となるように、マスクMの照明領域IRに照射される照明光束EL1の主光線を、XZ面(軸AX1と垂直な面)内では意図的に非テレセントリックな状態にし、YZ面(中心面CLと平行)内ではテレセントリックな状態にする。照明光束EL1のそのような特性は、図4中に示したシリンドリカルレンズ54によって与えられる。具体的には、マスク面P1上の照明領域IRの周方向の中央の点Q1を通って第1軸AX1に向かう線と、マスク面P1の半径Rmの1/2の円との交点Q2を設定したとき、照明領域IRを通る照明光束EL1の各主光線が、XZ面では交点Q2に向かうように、シリンドリカルレンズ54の凸円筒レンズ面の曲率を設定する。このようにすると、照明領域IR内で反射した投影光束EL2の各主光線は、XZ面内では、第1軸AX1、点Q1、交点Q2を通る直線と平行(テレセントリック)な状態となる。

次に、投影光学系PLにより投影露光される複数の投影領域(露光領域)PA1〜PA6について説明する。図3に示すように、基板P上の複数の投影領域PA1〜PA6は、マスクM上の複数の照明領域IR1〜IR6と対応させて配置されている。つまり、基板P上の複数の投影領域PA1〜PA6は、中心面CLを挟んで、搬送方向の上流側の基板P上に第1投影領域PA1、第3投影領域PA3及び第5投影領域PA5が配置され、搬送方向の下流側の基板P上に第2投影領域PA2、第4投影領域PA4及び第6投影領域PA6が配置される。各投影領域PA1〜PA6は、基板Pの幅方向(Y方向)に延びる短辺及び長辺を有する細長い台形状(矩形状)の領域となっている。このとき、台形状の各投影領域PA1〜PA6は、その短辺が中心面CL側に位置し、その長辺が外側に位置する領域となっている。第1投影領域PA1、第3投影領域PA3及び第5投影領域PA5は、幅方向に所定の間隔を空けて配置されている。また、第2投影領域PA2、第4投影領域PA4及び第6投影領域PA6は、幅方向に所定の間隔を空けて配置されている。このとき、第2投影領域PA2は、軸方向において、第1投影領域PA1と第3投影領域PA3との間に配置される。同様に、第3投影領域PA3は、軸方向において、第2投影領域PA2と第4投影領域PA4との間に配置される。第4投影領域PA4は、軸方向において、第3投影領域PA3と第5投影領域PA5との間に配置される。第5投影領域PA5は、軸方向において、第4投影領域PA4と第6投影領域PA6との間に配置される。各投影領域PA1〜PA6は、各照明領域IR1〜IR6と同様に、Y方向に隣り合う台形状の投影領域PAの斜辺部の三角部同士が、基板Pの搬送方向に関して重なるように(オーバーラップするように)配置されている。このとき、投影領域PAは、隣り合う投影領域PAの重複する領域での露光量が、重複しない領域での露光量と実質的に同じになるような形状になっている。そして、第1〜第6投影領域PA1〜PA6は、基板P上に露光される露光領域A7のY方向の全幅をカバーするように、配置されている。

ここで、図2において、XZ面内で見たとき、マスクM上の照明領域IR1(及びIR3,IR5)の中心点から照明領域IR2(及びIR4,IR6)の中心点までの周長は、支持面P2に倣った基板P上の投影領域PA1(及びPA3,PA5)の中心点から第2投影領域PA2(及びPA4,PA6)の中心点までの周長と、実質的に等しく設定されている。

投影光学系PLは、複数の投影領域PA1〜PA6に応じて複数(第1実施形態では例えば6つ)設けられている。複数の投影光学系(分割投影光学系)PL1〜PL6には、複数の照明領域IR1〜IR6から反射された複数の投影光束EL2がそれぞれ入射する。各投影光学系PL1〜PL6は、マスクMで反射された各投影光束EL2を、各投影領域PA1〜PA6にそれぞれ導く。つまり、第1投影光学系PL1は、第1照明領域IR1からの投影光束EL2を第1投影領域PA1に導き、同様に、第2〜第6投影光学系PL2〜PL6は、第2〜第6照明領域IR2〜IR6からの各投影光束EL2を第2〜第6投影領域PA2〜PA6に導く。複数の投影光学系PL1〜PL6は、中心面CLを挟んで、第1、第3、第5投影領域PA1、PA3、PA5が配置される側(図2の左側)に、第1投影光学系PL1、第3投影光学系PL3及び第5投影光学系PL5が配置される。第1投影光学系PL1、第3投影光学系PL3及び第5投影光学系PL5は、Y方向に所定の間隔を空けて配置される。また、複数の投影光学系PL1〜PL6は、中心面CLを挟んで、第2、第4、第6投影領域PA2、PA4、PA6が配置される側(図2の右側)に、第2投影光学系PL2、第4投影光学系PL4及び第6投影光学系PL6が配置される。第2投影光学系PL2、第4投影光学系PL4及び第6投影光学系PL6は、Y方向に所定の間隔を空けて配置される。このとき、第2投影光学系PL2は、軸方向において、第1投影光学系PL1と第3投影光学系PL3との間に配置される。同様に、第3投影光学系PL3、第4投影光学系PL4、第5投影光学系PL5は、軸方向において、第2投影光学系PL2と第4投影光学系PL4との間、第3投影光学系PL3と第5投影光学系PL5との間、第4投影光学系PL4と第6投影光学系PL6との間に配置される。また、第1投影光学系PL1、第3投影光学系PL3及び第5投影光学系PL5と、第2投影光学系PL2、第4投影光学系PL4及び第6投影光学系PL6とは、Y方向からみて対称に配置されている。

再び、図4を参照して、各投影光学系PL1〜PL6について説明する。なお、各投影光学系PL1〜PL6は、同様の構成となっているため、第1投影光学系PL1(以下、単に投影光学系PLという)を例に説明する。

投影光学系PLは、マスクM上の照明領域IR(第1照明領域IR1)におけるマスクパターンの像を、基板P上の投影領域PAに投影する。投影光学系PLは、マスクMからの投影光束EL2の入射側から順に、上記の1/4波長板41と、上記の偏光ビームスプリッタPBSと、投影光学モジュールPLMとを有する。

1/4波長板41及び偏光ビームスプリッタPBSは、照明光学系ILと兼用となっている。換言すれば、照明光学系IL及び投影光学系PLは、1/4波長板41及び偏光ビームスプリッタPBSを共有している。

図7に示すように、照明領域IR(図3参照)で反射された投影光束EL2は、各主光線が互いに平行となったテレセントリックな光束となって、図2に示す投影光学系PLに入射する。照明領域IRで反射された円偏光となる投影光束EL2は、1/4波長板41により円偏光から直線偏光(P偏光)に変換された後、偏光ビームスプリッタPBSに入射する。偏光ビームスプリッタPBSに入射した投影光束EL2は、偏光ビームスプリッタPBSを透過した後、図4に示す投影光学モジュールPLMに入射する。

一例として、偏光ビームスプリッタPBSは、XZ面内において三角形の2つのプリズム(石英製)を貼り合せたり、オプチカルコンタクトによって接触保持したりして、全体として矩形状にしたものである。その貼り合せ面には、偏光分離を効率的に行うために、酸化ハフニウム等を含む多層膜が形成される。さらに、マスクMからの投影光束EL2を入射する偏光ビームスプリッタPBSの面と、その投影光束EL2を投影光学系PLの第1偏向部材70の第1反射面P3に向けて射出する面とは、投影光束EL2の主光線に対して垂直になるように設定される。さらに、照明光束EL1が入射する偏光ビームスプリッタPBSの面は、照明光学系ILの第1光軸BX1(図4参照)と垂直に設定される。なお、接着剤を用いることによる紫外線又はレーザ光への耐性が懸念される場合、偏光ビームスプリッタPBSの貼り合せ面は、接着剤を使わないオプチカルコンタクトによる接合が適用される。

照明領域IRで反射された投影光束EL2は、テレセントリックな光束となって、投影光学系PLに入射する。照明領域IRで反射された円偏光となる投影光束EL2は、1/4波長板41により円偏光から直線偏光(P偏光)に変換された後、偏光ビームスプリッタPBSに入射する。偏光ビームスプリッタPBSに入射した投影光束EL2は、偏光ビームスプリッタPBSを透過した後、投影光学モジュールPLMに入射する。

投影光学モジュールPLMは、照明光学モジュールILMに対応して設けられている。つまり、第1投影光学系PL1の投影光学モジュールPLMは、第1照明光学系IL1の照明光学モジュールILMによって照明される第1照明領域IR1のマスクパターンの像を、基板P上の第1投影領域PA1に投影する。同様に、第2〜第6投影光学系PL2〜PL6の投影光学モジュールPLMは、第2〜第6照明光学系IL2〜IL6の投影光学モジュールILMによって照明される第2〜第6照明領域IR2〜IR6のマスクパターンの像を、基板P上の第2〜第6投影領域PA2〜PA6に投影する。

図4に示すように、投影光学モジュールPLMは、照明領域IRにおけるマスクパターンの像を中間像面P7に結像する第1光学系61と、第1光学系61により結像した中間像の少なくとも一部を基板Pの投影領域PAに再結像する第2光学系62と、中間像が形成される中間像面P7に配置された投影視野絞り63とを備える。また、投影光学モジュールPLMは、フォーカス補正光学部材64と、像シフト用光学部材65と、倍率補正用光学部材66と、ローテーション補正機構67と、偏光調整機構(偏光調整手段)68とを備える。

第1光学系61及び第2光学系62は、例えばダイソン系を変形したテレセントリックな反射屈折光学系である。第1光学系61は、その光軸(以下、第2光軸BX2という)が中心面CLに対して実質的に直交する。第1光学系61は、第1偏向部材70と、第1レンズ群71と、第1凹面鏡72とを備える。第1偏向部材70は、第1反射面P3と第2反射面P4とを有する三角プリズムである。第1反射面P3は、偏光ビームスプリッタPBSからの投影光束EL2を反射させ、反射させた投影光束EL2を第1レンズ群71を通って第1凹面鏡72に入射させる面となっている。第2反射面P4は、第1凹面鏡72で反射された投影光束EL2が第1レンズ群71を通って入射し、入射した投影光束EL2を投影視野絞り63へ向けて反射する面となっている。第1レンズ群71は、各種レンズを含み、各種レンズの光軸は、第2光軸BX2上に配置されている。第1凹面鏡72は、第1光学系61の瞳面に配置され、フライアイレンズ52により生成される多数の点光源像と光学的に共役な関係に設定される。

偏光ビームスプリッタPBSからの投影光束EL2は、第1偏向部材70の第1反射面P3で反射され、第1レンズ群71の上半分の視野領域を通って第1凹面鏡72に入射する。第1凹面鏡72に入射した投影光束EL2は、第1凹面鏡72で反射され、第1レンズ群71の下半分の視野領域を通って第1偏向部材70の第2反射面P4に入射する。第2反射面P4に入射した投影光束EL2は、第2反射面P4で反射され、フォーカス補正光学部材64及び像シフト用光学部材65を通過し、投影視野絞り63に入射する。

投影視野絞り63は、投影領域PAの形状を規定する開口を有する。すなわち、投影視野絞り63の開口の形状が投影領域PAの実質的な形状を規定することになる。したがって、照明光学系IL内の照明視野絞り55の開口の形状を、投影領域PAの実質的な形状と相似の台形状にする場合は、投影視野絞り63を省略することができる。

第2光学系62は、第1光学系61と同様の構成であり、中間像面P7を挟んで第1光学系61と対称に設けられている。第2光学系62は、その光軸(以下、第3光軸BX3という)が中心面CLに対して実質的に直交し、第2光軸BX2と平行になっている。第2光学系62は、第2偏向部材80と、第2レンズ群81と、第2凹面鏡82とを備える。第2偏向部材80は、第3反射面P5と第4反射面P6とを有する。第3反射面P5は、投影視野絞り63からの投影光束EL2を反射させ、反射させた投影光束EL2を第2レンズ群81を通って第2凹面鏡82に入射させる面となっている。第4反射面P6は、第2凹面鏡82で反射された投影光束EL2が第2レンズ群81を通って入射し、入射した投影光束EL2を投影領域PAへ向けて反射する面となっている。第2レンズ群81は、各種レンズを含み、各種レンズの光軸は、第3光軸BX3上に配置されている。第2凹面鏡82は、第2光学系62の瞳面に配置され、第1凹面鏡72に結像した多数の点光源像と光学的に共役な関係に設定される。

投影視野絞り63からの投影光束EL2は、第2偏向部材80の第3反射面P5で反射され、第2レンズ群81の上半分の視野領域を通って第2凹面鏡82に入射する。第2凹面鏡82に入射した投影光束EL2は、第2凹面鏡82で反射され、第2レンズ群81の下半分の視野領域を通って第2偏向部材80の第4反射面P6に入射する。第4反射面P6に入射した投影光束EL2は、第4反射面P6で反射され、倍率補正用光学部材66を通過し、投影領域PAに投射される。これにより、照明領域IRにおけるマスクパターンの像は、投影領域PAに等倍(×1)で投影される。

フォーカス補正光学部材64は、第1偏向部材70と投影視野絞り63との間に配置されている。フォーカス補正光学部材64は、基板P上に投影されるマスクパターンの像のフォーカス状態を調整する。フォーカス補正光学部材64は、例えば、2枚のクサビ状のプリズムを逆向き(図4ではX方向について逆向き)にして、全体として透明な平行平板になるように重ね合わせたものである。この1対のプリズムを互いに対向する面間の間隔を変えずに斜面方向にスライドさせることにより、平行平板としての厚みを可変にする。これによって第1光学系61の実効的な光路長を微調整し、中間像面P7及び投影領域PAに形成されるマスクパターンの像のピント状態が微調整される。

像シフト用光学部材65は、第1偏向部材70と投影視野絞り63との間に配置されている。像シフト用光学部材65は、基板P上に投影されるマスクパターンの像を像面内において移動可能に調整する。像シフト用光学部材65は、図4のXZ面内で傾斜可能な透明な平行平板ガラスと、図4のYZ面内で傾斜可能な透明な平行平板ガラスとで構成される。その2枚の平行平板ガラスの各傾斜量を調整することで、中間像面P7及び投影領域PAに形成されるマスクパターンの像をX方向やY方向に微少シフトさせることができる。

倍率補正用光学部材66は、第2偏向部材80と基板Pとの間に配置されている。倍率補正用光学部材66は、例えば、凹レンズ、凸レンズ、凹レンズの3枚を所定間隔で同軸に配置し、前後の凹レンズは固定して、間の凸レンズを光軸(主光線)方向に移動させるように構成したものである。これによって、投影領域PAに形成されるマスクパターンの像は、テレセントリックな結像状態を維持しつつ、等方的に微少量だけ拡大又は縮小される。なお、倍率補正用光学部材66を構成する3枚のレンズ群の光軸は、投影光束EL2の主光線と平行になるようにXZ面内では傾けられている。

ローテーション補正機構67は、例えば、アクチュエータ(図示略)によって、第1偏向部材70をZ軸と平行な軸周りに微少回転させるものである。このローテーション補正機構67は、第1偏向部材70の回転によって、中間像面P7に形成されるマスクパターンの像を、その中間像面P7内で微少回転させることができる。

偏光調整機構68は、例えば、アクチュエータ(図示略)によって、1/4波長板41を、板面に直交する軸周りに回転させて、偏光方向を調整するものである。偏光調整機構68は、1/4波長板41を回転させることによって、投影領域PAに投射される投影光束EL2の照度を調整することができる。

このように構成された投影光学系PLにおいて、マスクMからの投影光束EL2は、照明領域IRからテレセントリックな状態(各主光線が互いに平行な状態)で出射し、1/4波長板41及び偏光ビームスプリッタPBSを通って第1光学系61に入射する。第1光学系61に入射した投影光束EL2は、第1光学系61の第1偏向部材70の第1反射面(平面鏡)P3で反射され、第1レンズ群71を通って第1凹面鏡72で反射される。第1凹面鏡72で反射された投影光束EL2は、再び第1レンズ群71を通って第1偏向部材70の第2反射面(平面鏡)P4で反射されて、フォーカス補正光学部材64及び像シフト用光学部材65を透過して、投影視野絞り63に入射する。投影視野絞り63を通った投影光束EL2は、第2光学系62の第2偏向部材80の第3反射面(平面鏡)P5で反射され、第2レンズ群81を通って第2凹面鏡82で反射される。第2凹面鏡82で反射された投影光束EL2は、再び第2レンズ群81を通って第2偏向部材80の第4反射面(平面鏡)P6で反射されて、倍率補正用光学部材66に入射する。倍率補正用光学部材66から出射した投影光束EL2は、基板P上の投影領域PAに入射し、照明領域IR内に現れるマスクパターンの像が投影領域PAに等倍(×1)で投影される。

本実施形態において、第1偏向部材70の第2反射面(平面鏡)P4と、第2偏向部材80の第3反射面(平面鏡)P5は、中心面CL(或いは光軸BX2、BX3)に対して45°傾いた面となっているが、第1偏向部材70の第1反射面(平面鏡)P3と、第2偏向部材80の第4反射面(平面鏡)P6は、中心面CL(或いは光軸BX2、BX3)に対して45°以外の角度に設定される。第1偏向部材70の第1反射面P3の中心面CL(或いは光軸BX2)に対する角度α°(絶対値)は、図5において、点Q1、交点Q2、第1軸AX1を通る直線と中心面CLとのなす角度をθ°としたとき、α°=45°+θ°/2の関係に定められる。同様に、第2偏向部材80の第4反射面P6の中心面CL(或いは光軸BX2)に対する角度β°(絶対値)は、基板支持ドラム25の外周面の周方向に関する投影領域PA内の中心点を通る投影光束EL2の主光線と中心面CLとのZX面内での角度をε°としたとき、β°=45°+ε°/2の関係に定められる。なお、角度εは、投影光学系PLのマスクM側、基板P側の構造上の寸法、偏光ビームスプリッタPBS等の寸法、照明領域IRや投影領域PAの周方向の寸法等によっても異なるが、10°〜30°程度に設定される。

<マスクのパターンの投影像面と基板の露光面との関係> 図7は、マスクMの円筒状のパターン面P1の投影像面Smと円筒状に支持される基板Pの露光面Spとの関係を、誇張して示す説明図である。次に、第1実施形態の露光装置U3におけるマスクのパターンの投影像面と基板の露光面との関係について、図7を参照して説明する。

露光装置U3は、投影光学系PLによって投影光束EL2が結像されることで、マスクMのパターンの投影像面Smが形成される。投影像面Smは、マスクMのパターンが結像される位置であり、ベストフォーカスとなる位置である。なお、投影像面Smに換えて、ベストフォーカス以外の位置の面を用いてもよい。例えば、ベストフォーカスから一定距離離れた位置で形成される面としてもよい。ここで、マスクMは、前述したように曲率半径Rmの曲面(ZX平面において曲線)に配置されている。投影光学系PLの投影倍率を等倍としたので、これにより投影像面Smも、投影領域PAの周方向の寸法である露光幅2Aの範囲では、近似的に、Y方向に延びる中心線AX1’を中心とした曲率半径Rmの曲面の一部とみなせる。また、前述のように、基板Pは円筒形状の基板支持ドラム25の支持面P2に保持されるので、基板Pの表面の露光面Spは曲率半径Rpの曲面(ZX平面において曲線)の一部となる。さらに、投影像面Smの曲率中心である中心線AX1’と基板支持ドラム25の中心軸AX2とは互いに平行となり、YZ面と平行な面KSに含まれるものとすると、面KSは露光幅2Aの中点に位置し、さらに半径Rmの投影像面Smと半径Rpの露光面Spとが接するY方向に延びた接線Cpを含むように位置する。尚、説明の為に、露光面Spの半径Rpと投影像面Smの半径Rmは、Rp>Rmの関係に設定する。

ここで、マスクMを保持する円筒ドラム21は、第1駆動部22によって角速度ωmで回転し、基板P(露光面Sp)を支持する基板支持ドラム25は第2駆動部26によって角速度ωpで回転するものとする。また、面KSと直交し、投影像面Smと露光面Spとの接線Cpを含む面を基準面HPとする。この基準面HPはXY面と平行であり、基準面HPがX方向に仮想の移動速度V(等速)で移動するものと仮定する。その移動速度Vは、投影像面Sm及び露光面Spの周方向の移動速度(周速度)と一致している。本実施形態の露光領域(投影領域PA)は、基準面HPに平行な方向おいて、当該投影像面Smと露光面Spとの接線Cpを中心として、幅2Aとなる幅である。つまり、露光領域(投影領域PA)は、基準面HPの移動方向において、投影像面Smと露光面Spとの接線Cpから+X方向と−X方向のそれぞれに距離A移動した位置までを含む領域となる。

投影像面Smは、曲率半径Rmの面上を角速度ωmで回転するので、接線Cp上に存在する投影像面Sm上の特定点は、時間t経過後、θm=ωm・tだけ回転する。このため、当該特定点は、基準面HP上でみると、+X方向にXm=Rm・sin(θm)だけ移動した点Cp1に位置する。一方、接線Cp上に存在する上記の特定点が基準面HPに沿って移動速度Vで直線移動すると、当該特定点は、時間t経過後には+X方向にV・tだけ移動した点Cp0に位置する。したがって、接線Cp上の特定点が、時間t経過後に投影像面Smに沿って移動したときのX方向の移動量と、基準面HPに沿って直線移動したときのX方向の移動量とのズレ量Δ1は、Δ1=V・t−Xm=V・t−Rm・sin(θm)となる。

同様に、露光面Spは、曲率半径Rpの面上を角速度をωpで回転するので、接線Cp上に存在する露光面Sp上の特定点は、基準面HP上でみると、時間t経過後、θp=ωp・tだけ回転する。このため、当該露光面Sp上の特定点は、+X方向にXp=Rp・sin(θp)だけ移動した点Cp2に位置する。したがって、接線Cp上の特定点が、時間t経過後に露光面Spに沿って移動したときのX方向の移動量と、基準面HPに沿って直線移動したときのX方向の移動量とのズレ量Δ2は、Δ2=V・t−Xp=V・t−Rp・sin(θp)となる。上記のズレ量Δ1、Δ2は、円筒面上の点を平面(基準面HP)に射影したときの射影誤差とも言う。先に図5で説明したように、本実施形態では、図7に示した露光幅2Aの投影領域PA内では、マスクMのパターンの投影像がテレセントリックな状態で露光面Spに投影される。すなわち、XZ面内において、投影像面Sm上の各点は面KSと平行な線(基準面HPと垂直な線)に沿って露光面Sp上に射影される。このため、基準面HP上の点Cp0に対応する投影像面Sm上の点Cp1(位置Xm)は、露光面Sp上でも同じX方向の位置Xmに射影されることになり、基準面HP上の点Cp0に対応する露光面Sp上の点Cp2の位置Xpとの間でズレが生じる。このズレの主な原因は、投影像面Smの半径Rmと露光面Spの半径Rpが異なる為である。

このように、半径Rmと半径Rpに差がある場合には、図7中に示した投影像面Sm上の点Cp1のズレ量Δ1と露光面Sp上の点Cp2のズレ量Δ2との差分量Δ(=Δ1−Δ2)が、露光幅2A内のX方向の位置に応じて漸次変化する。そこで、投影像面Smと露光面Spの半径差(Rm/Rp)により生じるズレの差分量Δを露光幅2A内で定量化(シミュレーション)することにより、基板P上に投影露光されるパターンの品質(投影像の質)を考慮した最適な露光条件を設定することができる。尚、差分量Δは、円筒状の投影像面Smを円筒状の露光面Sp上に転写する際の射影誤差とも言う。

図8Aは、一例として、投影像面Smの半径Rmを125mm、露光面Spの半径Rpを200mmとし、投影像面Smの周速度(Vmとする)と露光面Spの周速度(Vpとする)とを移動速度Vに一致させた状態で、露光幅2Aとして±10mmの範囲内で、上記のズレ量Δ1、Δ2、及び差分量Δの変化を算出したグラフである。図8Aにおいて、横軸は投影領域PAの中心(面KSが通る位置)を原点とした基準面HP上の座標位置[mm]を表し、縦軸は算出されるズレ量Δ1、Δ2、差分量Δ[μm]を表す。図8Aのように、投影像面Smの周速度Vmと露光面Spの周速度Vpとが一致している場合、差分量Δの絶対値は、投影像面Smと露光面Spとが接する接線Cpの位置(原点)から±X方向に離れるにしたがって漸次大きくなる。例えば、最小線幅が数μm〜10μm程度のパターンの忠実な転写の為に、差分量Δの絶対値を1μm程度に抑える場合は、図8Aの計算結果から、投影領域PAの露光幅2Aは±6mm(幅で12mm)以下にする必要がある。

なお、投影像面Smの周速度Vmは、円筒ドラム21に保持されるマスクMのパターン面の周速度をVfとすると、投影光学系PLの投影倍率βによって、Vm=β・Vfの関係に設定される。例えば、投影倍率βが1.00(等倍)であれば、マスクMのパターン面の周速度Vfと露光面Spの周速度Vpは等しく設定され、投影倍率βが2.00(2倍拡大)であれば、2・Vf=Vpに設定される。一般的に、図8Aに示したように、投影像面Smと露光面Spの各周速度はVm=Vpに設定されるので、β・Vf=Vpの関係(基準の速度関係)になるように、マスクMを保持する円筒ドラム21と基板Pを支持する基板支持ドラム25との回転角速度が精密に制御される。しかしながら、投影像面Smの周速度Vmと露光面Spの周速度Vpとに僅かな差を与えて、図8A中の差分量Δがどのように変化するかを、後述する図8Cのようにシミュレーションしてみたところ、周速度Vmと周速度Vpとに僅かな差を与えることによって、差分量Δの絶対値を小さく抑えた状態で、利用可能な露光幅2Aを拡大することができる。本実施形態では、露光面Spの半径Rpが投影像面Smの半径Rmよりも大きいという条件のもとで、露光面Spの周速度Vpを投影像面Smの周速度Vmよりも相対的に低くした。具体的には、露光面Spの周速度Vpは変えずに、投影像面Smの周速度Vmが図7で示した基準面HPの移動速度Vよりも僅かに高くなるように、投影像面Sm(マスクM)側の回転角速度ωmのみを若干変えた。変更後の角速度をωm’とし、時間t経過後の投影像面Smの回転角度はθm’とする。投影像面Smの周速度Vmを移動速度Vに対して少しだけ高くして、ズレ量Δ1を算出してみると、図8A中のズレ量Δ1のグラフの曲線が原点0において負の傾きを持つように変化する。

そこで本実施形態では、そのような傾向を利用して、露光幅2A内の位置で原点0を挟んだ対称的な2ヶ所で差分量Δがゼロとなるように、投影像面Smの周速度Vm(角速度ωm’)を設定した。図8Bは、投影像面Smの周速度Vmを変更した後に得られる差分量Δ、ズレ量Δ1、Δ2の各計算結果を表すグラフであり、縦軸と横軸の定義は図8Aと同じである。図8Bにおいて、ズレ量Δ2のグラフは図8A中のものと同じであるが、ズレ量Δ1のグラフは、露光幅中の+5mm、−5mmの各位置、及び原点0において、ズレ量Δ1がゼロとなるように投影像面Smの角速度ωm’(θm’)を設定したものである。その結果、差分量Δは、露光幅中の位置が±4mmの範囲内では負の傾きで変化し、その外側の範囲では正の傾きで変化することになり、露光幅中の原点0、+6.4mm、−6.4mmの各位置でゼロとなる。

差分量Δとして許容できる範囲が、例えば±1μm程度である場合、先の図8Aの条件での露光幅は±6mmであったが、図8Bの条件での露光幅は±8mm程度まで広がる。これは、投影領域PAの走査露光方向(周方向)の寸法を12mmから16mmに増大(約33%増)できることを意味し、露光用の照明光の照度が同じであれば、パターン転写の忠実度を落とすことなく、基板Pの搬送速度を約33%早めて生産性を上げられることを意味する。また、投影領域PAの寸法を33%増大できることは、基板Pに与える露光量をその分だけ増やせることも意味し、露光条件を緩和させることができる。なお、露光装置U3は、マスクMを保持する円筒ドラム21の回転と基板Pを支持する基板支持ドラム25の回転とを、各々、高分解能のロータリーエンコーダで計測しつつサーボ制御することで、微小な回転速度の差を生じさせつつ、精度の高い回転制御を行うことができる。

露光面Spの周速度Vpを基準面HPの移動速度Vと等しくし、投影像面Smの周速度Vmを基準面HPの移動速度Vよりも僅かに高くする場合、図8A中に示した差分量Δは、図8Cのように変化する。図8Cは、図8A中の差分量Δのグラフのみに対して、露光面Spの周速度Vp(=V)に対する投影像面Smの周速度Vmの変化率をα〔=(Vm−Vp)/Vp〕%として、±0%から+0.01%ずつ変えた場合の傾向を示す。図8C中のα=±0%の差分量Δのグラフは、図8A中の差分量Δのグラフと同じものである。変化率α=±0%の場合は周速度Vmと周速度Vpが一致した状態であり、例えば、変化率α=+0.02%の場合は、周速度Vpに対して周速度Vmが0.02%大きい状態である。この図8Cのような計算に基づき、図8Bでは、投影像面Smの周速度Vmを基準面HPの基準速度V(=Vp)に対して、約0.026%増加させた状態でシミュレーションを行った。図8Cのシミュレーション結果は、投影像面Smの基準面HPに対するズレ量Δ1を求める式におけるRm・sin(θm)のθmを、(1+α)・θmに置き換え、変化率αを種々に変えることで得られる。実際には、V・tを、露光幅のX方向の位置(mm)を表すAに置き換えると、以下の式により簡単に求められる。 Δ=Δ1−Δ2=(A−Rm・sin〔(1+α)・A/Rm〕)−Δ2

以上のように、投影像面Smの半径Rmと露光面Spの半径Rpとが異なる場合は、投影像面Smと露光面Spの各移動速度(周速度Vm、Vp)に僅かな差を与えることによって、走査露光の際の各種露光条件(マスクMの半径、光感応層の感度、基板Pの送り速度、照明用の光源のパワー、投影領域PAの寸法等)の設定範囲を広くすることが可能となり、プロセスの変更等に柔軟に対応可能な露光装置を得ることができる。

次に、図8Bのように、投影像面Smと露光面Spの各周速度Vm、Vpに僅かな差を与えた場合に、露光面Sp上で得られるパターン像のコントラストについて、図9を参照して説明する。図9は、横軸に図8A、7B中の原点0を0mmとした露光幅の位置(絶対値)を取り、縦軸に原点0での値を1.00(100%)としたコントラスト比を取って、投影像面Smと露光面Spとに周速度差が無い場合(図8A)と周速度差が有る場合(図8B)とで、露光幅内の位置に応じたコントラスト比の変化を計算したグラフである。本実施形態では、照明光束EL1(露光光)の波長λを365nmとし、図4に示した投影光学系PL(PLM)の開口数NAを0.0875、プロセス定数kを0.6とした。この条件の下で得られる最大の解像力Rsは、Rs=k・(λ/NA)より、2.5μmとなるので、計算に当たっては2.5μmのL&S(ラインアンドスペース)パターンを用いた。

図9に示すように、マスクパターンの投影像面Smと基板P上の露光面Spとのうち曲率がより大きい面側の周速度Vpを他方の周速度Vmよりも僅かに低く設定することにより、高いコントラスト比が得られる露光幅の範囲が広がる。例えば、露光面Sp上に転写されるパターン像の品質を維持する為に、コントラスト比0.8程度が必要とされる場合、周速度差の無い状態(Vm=Vp)での露光幅は±6mm程度なのに対し、周速度差が有る状態(Vm>Vp)での露光幅は±8mm以上確保できる。また、コントラスト比が0.6程度でもよいのであれば、周速度差が有る状態(Vm>Vp)での露光幅は±9.5mm程度まで広がる。以上のように、投影像面Smの周速度Vmと露光面Spの周速度Vpとに僅かな差を与えることによって、投影領域PAの走査露光方向の寸法(露光幅2A)を大きくしても、投影されるパターン像のコントラスト(像質)を良好に維持したパターン露光ができる。また、投影領域PAの走査露光方向の露光幅2Aを大きくできることから、基板Pの送り速度をより高めたり、或いは投影領域PA内の単位面積当たりの露光光(投影光束EL2)の照度を低くしたりすることができる。

ところで、先の図8Cのように、周速度差(Vm−Vp)を少しずつ変えつつ、露光幅の位置に対する差分量Δをシミュレーションする場合、投影領域PA内でのパターンの投影像面Smと基板P上の露光面Spとの走査露光方向におけるズレの差分量Δの平均値、或いは最大値が、転写すべきパターン像の最小線幅(最少寸法)よりも小さくなるように設定することが好ましい。例えば、図8B中の露光幅のうち、露光幅0mm〜+6mmまでの範囲に着目すると、その範囲内での差分量Δの平均値は約−0.42μm、最大値は約−0.66μmとなる。また、露光幅0mm〜+8mmまでの範囲に着目すると、その範囲内での差分量Δの平均値は約−0.18μm、最大値は約+1.2μmとなる。転写すべきパターン像の最小線幅を、先の図9のシミュレーション時に設定した2.5μmとすると、露光幅6mmまでの範囲と露光幅8mmまでの範囲とのいずれにおいても、差分量Δの平均値、最大値を最小線幅2.5μmよりも小さくすることができる。

また、先の図8Bのように、シミュレーションにて求めた差分量Δの変化特性において、実際の露光幅(投影領域PAの走査露光方向の寸法)内で差分量Δがゼロとなる位置を少なくとも3ヶ所設定するのが好ましい。例えば、投影領域PAが±8mmの露光幅に設定されている場合、走査露光の間、投影領域PA内に投影されるパターン像中の1点は、露光幅内の−8mmの位置から+8mmの位置に移動する。この間、パターン像中の1点は、差分量Δがゼロとなる位置−6.4mm、位置0mm(原点)、位置+6.4mmの各々を通って、露光面Sp上に転写される。このように、投影領域PAの走査露光方向の露光幅内の少なくとも3ヶ所で差分量Δがゼロとなるように、マスクMを保持する円筒ドラム21と基板支持ドラム25の各回転速度を精密に制御することにより、投影領域PA内(露光面Sp)に露光されるパターン像の走査露光方向における寸法(線幅)誤差を小さく抑えることができ、忠実なパターン転写が可能となる。

先にも説明したように、最大の解像力Rsは、投影光学系PLの投影像面Sm側の開口数NA、照明光束EL2の波長λ、プロセス定数k(通常1以下)によって、Rs=k・(λ/NA)で規定される。この場合、基準面HPの移動速度をV、基準面HPの移動距離をx、Aを露光幅の絶対値とすると、下記の関係を満たすことが好ましい。

この式F(x)は、基準面HP上のある点の位置xにおける差分量Δを示す式であるが、基準面HPの移動速度Vと移動距離xとの関係は、図7を参照して説明したように、時間t(=x/V)に相当する。本実施形態による露光装置U3は、上記式を満足することで、実効的な投影領域PAの露光幅を大きくしても、投影されるパターン像のコントラストを低下させることなく、良好な像質で基板Pにパターンを形成することができる。

また、本実施形態による露光装置U3は、マスクMを保持する円筒ドラム21を交換可能にすることができる。反射型の円筒マスクの場合、円筒ドラム21の外周面にマスクパターンとしての高反射部と低反射部(光吸収部)を直接形成することができる。その場合、マスク交換は円筒ドラム21ごと行われる。その際、新たに露光装置に装着される反射型円筒マスクの円筒ドラム21の半径(直径)を、交換前に装着されていた円筒マスクの半径と異ならせる場合がある。これは、基板P上に露光すべきデバイスの寸法(表示パネルのサイズ等)を変える場合などに起こり得る。本実施形態においては、そのような場合でも、交換後の円筒ドラム21のマスクパターン面の半径に基づいて、図8A〜7C、図9のような計算(シミュレーション)を行うことにより、円筒ドラム21と基板支持ドラム25に設定すべき回転角速度差、設定すべき投影領域PAの露光幅、調整すべき照明光束EL2の照度、或いは調整すべき基板Pの搬送速度(基板支持ドラム25の回転速度)等のパラメータを、事前に決めることができる。尚、半径Rmが、例えばミリ単位、又はセンチ単位で異なる複数の円筒ドラム21を交換可能に装着する場合は、円筒ドラム21の回転中心軸AX1を支持する露光装置側の軸受部をZ方向に調整する機構が設けられる。また、調整するパラメータとして、投影領域PAの走査露光方向の露光幅を変える場合は、例えば、図4中の照明視野絞り55、又は中間像面P7の視野絞り63で調整することができる。以上のように、露光装置U3(基板処理装置)は、上記の各種パラメータを調整することで、マスクMに応じて露光条件を適宜調整することができ、マスクMに適した露光を行うことができる。

露光装置U3は、基板保持機構12(基板支持ドラム25)による基板Pの移動速度、及び、投影領域PAの走査露光方向の幅の少なくとも1つを、投影像面Smと露光面Spとの関係により規定された条件式に基づいて計算される値、さらには、製造工程中の基板Pの伸縮等の計測結果を加味して計算される値に基づいて調整することが好ましい。これにより、露光装置U3は、自動的に各種条件を調整することができる。

本実施形態の露光装置U3は、基板P上に形成する表示パネル等の全パターン領域の幅方向の寸法が、投影領域PAの軸AX2の方向の寸法よりも大きいという前提で、1つの投影光学系PLによる投影領域PAが図3の右図のように並ぶように、6つの投影光学系PL1〜PL6を設けたが、その数は、基板Pの幅によっては1つでもよいし、7つ以上であってもよい。

複数の投影光学系PLを基板Pの幅方向に並べる場合、走査露光時に各投影領域PAの露光幅に渡って積算される露光量が、走査露光方向と直交する方向(基板Pの幅方向)において、どこでも略一定(例えば±数%以内)にすることが好ましい。

[第2実施形態] 次に、図10を参照して、第2実施形態の露光装置U3aについて説明する。なお、重複する記載を避けるべく、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明し、第1実施形態と同様の構成要素については、第1実施形態と同じ符号を付して説明する。図10は、第2実施形態の露光装置(基板処理装置)の全体構成を示す図である。第1実施形態の露光装置U3は、円筒状の基板支持ドラム25で、投影領域を通過する基板Pを保持する構成であったが、第2実施形態の露光装置U3aは、平板状の基板Pを、移動可能な基板支持機構12aで保持する構成となっている。

第2実施形態の露光装置U3aにおいて、基板支持機構12aは、基板Pを平面状に保持する基板ステージ102と、基板ステージ102を中心面CLと直交する面内(XY面)でX方向に沿って走査移動させる移動装置(図示略)とを備える。

図10の基板Pの支持面P2は実質的にXY面と平行な平面であるので、マスクMで反射して投影光学モジュールPLM(PL1〜PL6)に入射した投影光束EL2は、基板Pに投射される際、投影光束EL2の主光線がXY面と垂直になるように設定される。

また、第2実施形態においても、先の図2と同様に、XZ面内で見たとき、マスクM上の照明領域IR1(及びIR3,IR5)の中心点から照明領域IR2(及びIR4,IR6)の中心点までの周長は、支持面P2に倣った基板P上の投影領域PA1(及びPA3,PA5)の中心点から第2投影領域PA2(及びPA4,PA6)の中心点までの周長と、実質的に等しく設定されている。

図10の露光装置U3aにおいても、下位制御装置16が、基板支持機構12の移動装置(走査露光用のリニアモータや微動用のアクチュエータ等)を制御し、円筒ドラム21の回転と同期して基板ステージ102を駆動する。なお、本実施形態での基板Pは、樹脂フィルム等のフレキシブル基板でもよいし、液晶表示パネル用のガラス板でもよい。さらに、基板ステージ102の精密な移動によって走査露光を実施する場合は、支持面P2に基板Pを真空吸着する構造(例えばピンチャック方式、多孔質方式の平面ホルダ等)が設けられる。また、基板ステージ102は移動させずに、基板Pを平面状に支持するだけの場合は、支持面P2に基板Pをエアベアリングによる気体層で低摩擦状態、或いは非接触状態で支持する機構(例えばベルヌイチャック方式の平面ホルダ等)と、基板Pに所定のテンションを与えて平面性を保つためのテンション付与機構とが設けられる。

次に、第2実施形態の露光装置U3aにおけるマスクMのパターンの投影像面Smの移動と基板Pの露光面Spの移動との関係について、図11を参照して説明する。図11は、先の図7と同様の条件と定義のもとで、マスクMのパターンの投影像面Smと基板P上の露光面Spとの関係を誇張して表した説明図である。

露光装置U3aは、テレセントリックな投影光学系PLによって、円筒面状のマスクMのパターンの投影像面Smを形成する。投影像面Smは、マスクMのパターンが結像されるベストフォーカス面でもある。ここでも、マスクMのパターン面が曲率半径Rmの曲面で形成されているため、投影像面Smも、仮想的な線AX1’を中心とした曲率半径Rmの円筒面(ZX平面において円弧曲線)の一部となる。一方、基板Pが基板ステージ102によって平面に保持されるので、露光面Spは平面(ZX平面において直線)となる。したがって、本実施形態における露光面Spは、先の図7で示した基準面HPと一致した面になる。すなわち、露光面Spは曲率半径Rpが無限大(∞)の面、或いは、投影像面Smの半径Rmに対して極めて大きな曲面とみなせる。

投影像面Smは、曲率半径Rmの面上を角速度ωmで回転するため、投影像面Smと露光面Spとが接する投影像面Sm上の点Cpは、時間t経過後、角度θm=ωm・tだけ回転した点Cp1に位置する。したがって、投影像面Sm上の点Cp1の基準面HPに沿った方向(X方向)の位置Xmは、Xm=Rm・sin(θm)となる。また、露光面Spは、基準面HPと一致した平面であるため、投影像面Smと露光面Spとが接する露光面Sp上の点Cpは、時間t経過後、X方向にXp=V・tだけ移動した点Cp0に位置する。したがって、先の図7で説明したように、時間t経過後の投影像面Sm上の点Cp1と露光面Sp上の点Cp0とのX方向(走査露光方向)のズレ量Δ1は、Δ1=V・t−Rm・sin(θm)となる。

図11のズレ量Δ1は、マスクM又は投影像面Smが等角速度移動し、基板P又は露光面Spが等速直線移動することにより生じる射影誤差(sin誤差)である。そのズレ量Δ1は、点Cpが露光幅2A内の中心となる面KS上に位置するときをゼロとすると、その位置からから±X方向に離れるに従って漸次増大していく。走査露光の際、基板P上の露光面Spには、露光幅2Aの範囲に渡って、投影像面Smのパターン像が継続的に積算されて転写される。しかしながら、ズレ量Δ1の射影誤差の影響により、転写されたパターン像の走査露光方向の寸法は、マスクM上のパターンの寸法に対して誤差を持つことになり、転写忠実度が低下してしまう。

そこで、本実施形態でも、投影像面Smと露光面Spのうちで、曲率半径が小さい方の面の周速度を曲率半径が大きい方の面の周速度に対して、わずかに高く設定することで、先の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。本実施形態では、露光面Spの曲率半径Rpと投影像面Smの曲率半径Rmとが、Rp≫Rmの関係であることから、露光面Spの移動速度Vに対して、相対的に投影像面Smの周速度Vmをわずかに高くする。

以下、図12から図18を用いて、露光装置U3aの構成で各種シミュレーションを実行した一例について説明する。図12は、露光面Spの移動速度V(周速度Vpと同一)と投影像面Smの周速度Vmとの差の有無によるズレ量Δ1の変化を示すグラフであり、図12の縦軸は図11中のズレ量Δ1を表し、横軸は図8A、7Bの同様に露光幅を表す。なお、図12以降の各シミュレーションでは、マスクMの半径Rm、すなわち投影像面Smの半径Rmを150mmとした。図11で説明したように、露光面Spの移動速度V(周速度Vp)と投影像面Smの周速度Vmとを等しくした場合、すなわち周速度差が無い場合、ズレ量Δ1の許容範囲を±1μm程度とすると、露光幅は±5mm程度の範囲になる。

そこで、露光面Spの移動速度V(周速度Vp)に対して投影像面Smの周速度Vmを僅かに高くするように、投影像面Smの角速度をωmからωm’(ωm<ωm’)に調整すると、ズレ量Δ1’は、原点0を中心とした露光幅±4mmの範囲では負の傾きで変化し、その範囲の外側では正の傾きで変化する。ズレ量Δ1’がゼロとなる露光幅上の位置を±6.7mm程度のところにすると、ズレ量Δ1’の許容範囲が±1μm程度に収まる露光幅は±8mm程度の範囲になる。これは、走査露光として使用可能な露光幅を、周速度差を与えない場合に比べて60%程度拡大したことなる。

次に、先の図9と同様に、露光面Spの移動速度V(=周速度Vp)と投影像面Smの周速度Vmとを一致させた場合(周速度差無し)と、僅かな差を与えた場合(周速度差有り)とのパターン像のコントラスト値(又はコントラスト比)の変化について説明する。 図13Aは、投影光学系PLの露光面Sp側の開口数NAを0.0875、照明光束EL1の波長を365nm、プロセス定数0.6、照明σを0.7としたときに、マスクM上に形成された最大解像力Rs=2.5μmのL&Sパターンを投影した場合に露光面Sp上で得られる像のコントラストを表す。図13Bは、同じ投影条件で得られる最大解像力Rs=2.5μmの孤立線(ISO)パターンを投影した場合に露光面Sp上で得られる像のコントラストを表す。

2.5μmのL&SパターンでもISOパターンでも、像の明部分はコントラスト値として1.0に近く、暗部分は0に近い強度分布CN1になるのがよい。コントラスト値は、明部分の光強度の最大値Imaxと暗部分の光強度の最小値Iminとによって、(Imax−Imin)/(Imax+Imin)によって求められる。強度分布CN1は総じてコントラストが高い状態であるが、低い状態とは強度分布CN2のように最大値Imaxと最小値Iminとの差(振幅)が小さくなることである。図13A、12Bで示した像の強度分布CN1は、2.5μmのL&Sパターン又はISOパターンの静止した投影像のコントラストであるが、走査露光の場合、設定された露光幅に渡って基板Pが移動する間、例えば静止した強度分布CN1を走査露光方向に、図8Bで説明した差分量Δ、或いは、図12で説明したズレ量Δ1の変化に則ってずらしながら積算したものが、基板P上に転写されるパターン像の最終的なコントラストになる。

次に、図13A、12Bで説明した投影露光条件(Rm=150mm、Rp=∞、NA=0.0875、λ=365nm、k=0.6)の下で、2.5μmのL&Sパターンの投影像の露光幅の位置に対するコントラスト値(コントラスト比)の変化をシミュレーションした結果を図14、図15に示す。図14、図15の横軸は正側の露光幅Aの位置を表し、縦軸は(Imax−Imin)/(Imax+Imin)で求められコントラスト値と、露光幅0mmでのコントラスト値を1.0に規格化した場合のコントラスト比とを表す。さらに、図14は露光面Spの移動速度V(=周速度Vp)と投影像面Smの周速度Vmとを一致させた周速度差無しの場合のコントラスト変化を表し、図15は、図12中のズレ量Δ1’のような変化特性となるように、投影像面Smの周速度Vmを露光面Spの移動速度V(=周速度Vp)よりも僅かに大きくした周速度差有りの場合のコントラスト変化を表す。

図14のように、周速度差無し(補正前)の場合、コントラスト比は、露光幅の位置が原点0から4mm程度の間ではほぼ一定であるが、5mm以上の位置から急激に低下する。そして露光幅の位置が8mm以上ではコントラスト比が0.4以下となり、フォトレジストに対する露光ではコントラスト不足となり得る。なお、シミュレーションにおいては、露光幅の位置0mmでのコントラスト値は約0.934となり、コントラスト比はその値を1.0に規格化して示した。

これに対して、図15のように周速度差有り(補正後)の場合、コントラスト比は、露光幅の位置が0〜4mmの間で1.0から0.8程度に漸次低下するものの、位置4mm〜8mmの間では0.8程度を維持している。シミュレーション上、露光幅の位置5mmでのコントラスト比は約0.77、位置7mmでのコントラスト比は約0.82である。 このように、平面状の露光面Spの移動速度V(=周速度Vp)に対して投影像面Smの周速度Vmを僅かに大きくすることによって、走査露光の際に設定できる投影領域PAの露光幅2Aを大きくすることができる。

また、図16に示すように、周速度差無し(補正前)の場合の2.5μmのISOパターンの像のコントラスト比は、露光幅の位置が5mmまではほぼ一定であるが、5mm以上から徐々に低下し、位置6mmで約0.9、位置8mmで約0.6、位置9mmで約0.5、そして位置10mmで約0.4となる。尚、図16におけるコントラスト比は、図14中の露光幅の位置0mmで得られる2.5μmのL&Sパターンの像のコントラスト値(約0.934)を基準にして、2.5μmのISOパターンの像で得られるコントラスト値(位置0mmで約0.968)の比を取ったものである。そのため、図16に示すコントラスト比の初期値(位置0mmでの値)は、約1.04となる。

これに対して、図17のように周速度差有り(補正後)の場合、2.5μmのISOパターンの像のコントラスト比は、露光幅の位置が0〜8mmの範囲では0.9以上を維持し、位置9mmで0.8程度に低下するものの、位置10mmでも約0.67を維持している。以上のように、平面状の露光面Spの移動速度V(=周速度Vp)に対して投影像面Smの周速度Vmを相対的に僅かに大きくすることによって、走査露光の際に設定できる投影領域PAの露光幅2Aを大きくすることができる。

ところで、投影像面Smの周速度Vmと露光面Spの周速度Vp(又は直線移動速度V)との間に僅かな差を与えて、図8B中の差分量Δ、或いは図12中のズレ量Δ1’のような特性を得て、最適な露光幅2A(又はA)の範囲を見極めるために、差分量Δ又はズレ量Δ1’と解像力Rsとの関係を利用する評価法もある。以下、その方法を説明するが、簡略化のために、図8B中の差分量Δや図12中のズレ量Δ1’のことを像変位量Δと読み替えることもある。

その評価法では、像変位量Δの平均値/Rsの関係、又は像変位量Δ2の平均値/Rsの関係を露光幅の位置毎に計算する。そこで、像変位量Δの平均値/Rsを評価値Q1、像変位量Δ2の平均値/Rsを評価値Q2としてシミュレーションする例を、図18、図19に基づいて説明する。図18は、先の図12に示したズレ量Δ1’のグラフと同じものであるが、計算すべき露光幅を±12mmの範囲とした。また、ズレ量Δ1’(像変位量Δ)を算出した露光幅上のサンプル点は図12と同様に0.5mm間隔である。

像変位量Δの平均値は、露光幅の原点0mmから着目するサンプル点までの間で得られる各ズレ量Δ1’の絶対値を加算平均したものである。例えば、位置−10mmのサンプル点における像変位量Δの平均値は、位置0mmから位置−10mmの間の各サンプル点(図18では21点)で得られるズレ量Δ1’の絶対値を加算し、それをサンプル点数で除して求められる。図18の場合、位置0mmから−10mmまでの各サンプル点でのズレ量Δ1’の絶対値の加算値は20.86μmとなり、サンプル点数21で除した平均値は約0.99μmとなる。また、シミュレーション上での解像力Rsは、ここではNA=0.0875、λ=368nm、プロセス定数k=0.5として、2.09μmにした。したがって、露光幅の位置−10mmにおける評価値Q1(無単位)は約0.48となる。以上のような計算を露光幅内の各位置(サンプル点)で行うと、評価値Q1の変化傾向が判る。

また、(像変位量Δ)2の平均値は、露光幅の原点0mmから着目するサンプル点までの間で得られる各ズレ量Δ1’の絶対値を2乗した値(μm2)を加算平均したものである。図18の場合、例えば、位置0mmから−10mmまでの各サンプル点におけるズレ量Δ1’の絶対値を2乗して加算した値は42.47μm2となり、サンプル点数21で除した平均値は約2.02μm2となる。シミュレーション上での解像力Rsを2.09μmとしたので、露光幅の位置−10mmにおける評価値Q2は約0.97μmとなる。以上のような計算を露光幅内の各位置(サンプル点)で行うと、評価値Q2(μm)の変化傾向が判る。

図19は、以上のようにして求めた評価値Q1、Q2を縦軸に取り、横軸に露光幅の位置を取ったグラフである。評価値Q1(像変位量Δの平均値/解像力Rs)は、露光幅(絶対値)が大きくなるに連れてなだらかに変化し、おおよそ、露光幅の±12mmの位置で、ほぼ1.0となる。このことは、±12mmの位置における像変位量Δの平均値が、解像力Rsとほぼ一致していることを意味する。一方、評価値Q2(像変位量Δ2の平均値/解像力Rs)は、露光幅の位置±8mmまでの範囲では評価値Q1と同等の傾向で変化するが、8mm以上では急峻に増大し、露光幅の位置±10mmでほぼ1(μm)となっている。

ここで、先の図17に示したISOパターンのコントラスト変化、或いは図15に示したL&Sパターンのコントラスト変化においては、露光幅が8mm以上のところからコントラスト比が大きく低下している。図15、図17で求めたコントラスト比の変化は、解像力Rsを2.5μmとした場合であって、Rs=2.09μmで計算したものではないが、傾向は概ね同じである。このように、評価値Q1、又はQ2を指標とする評価法によっても、コントラスト変化を反映した最適な露光幅を決定することができる。

なお、本実施形態の場合、先の第1実施形態で用いた式F(x)は、露光面Spが基準面HPと平行にX方向に移動速度V(周速度Vp)で移動していることから、以下のような式F’(x)に置き換えられる。

図10に示した第2実施形態の露光装置U3aは、この式F’(x)を上記第1実施形態の式に適用し、当該関係を満たすことで第1実施形態と同様の効果を得ることができる。

[第3実施形態] 次に、図20を参照して、第3実施形態の露光装置U3bについて説明する。なお、重複する記載を避けるべく、第1、第2実施形態と異なる部分についてのみ説明し、第1、第2実施形態と同様の構成要素については、第1、第2実施形態と同じ符号を付して説明する。図20は、第3実施形態の露光装置(基板処理装置)の全体構成を示す図である。第3実施形態の露光装置U3bは、マスクMのパターン面で反射した光が投影光束となる反射型マスクを用いる構成であったが、第3実施形態の露光装置U3bは、マスクのパターン面を透過した光が投影光束となる透過型マスクを用いる構成となっている。

第3実施形態の露光装置U3bにおいて、マスク保持機構11aは、マスクMを保持する円筒ドラム(マスク保持ドラム)21aと、円筒ドラム21aを支持するガイドローラ93と、円筒ドラム21aを駆動する駆動ローラ94と、駆動部96と、を備える。

円筒ドラム21aは、マスクMA上の照明領域IRが配置されるマスク面を形成する。本実施形態において、マスク面は、線分(母線)をこの線分に平行な軸(円筒形状の中心軸)周りに回転した面(以下、円筒面という)を含む。円筒面は、例えば、円筒の外周面、円柱の外周面等である。円筒ドラム21aは、例えばガラスや石英等で構成され、一定の肉厚を有する円筒状であり、その外周面(円筒面)がマスク面を形成する。すなわち、本実施形態において、マスクMA上の照明領域は、中心線から曲率半径Rmを持つ円筒面状に湾曲している。円筒ドラム21aのうち、マスク保持ドラム21aの径方向から見てマスクMのパターンと重なる部分、例えば円筒ドラム21aのY軸方向の両端側以外の中央部分は、照明光束EL1に対して透光性を有する。

マスクMAは、例えば平坦性のよい短冊状の極薄ガラス板(例えば厚さ100〜500μm)の一方の面にクロム等の遮光層でパターンを形成した透過型の平面状シートマスクとして作成され、それを円筒ドラム21aの外周面に倣って湾曲させ、この外周面に巻き付けた(貼り付けた)状態で使用される。マスクMAは、パターンが形成されていないパターン非形成領域を有し、パターン非形成領域において円筒ドラム21aに取付けられている。マスクMAは、円筒ドラム21aに対してリリース可能である。マスクMAは、第1実施形態のマスクMと同様に、透明円筒母材による円筒ドラム21aに巻き付ける代わりに、透明円筒母材による円筒ドラム21aの外周面に直接クロム等の遮光層によるマスクパターンを描画形成して一体化してもよい。この場合も、円筒ドラム21aがマスクパターンの保持部材として機能する。

ガイドローラ93及び駆動ローラ94は、円筒ドラム21aの中心軸に対して平行なY軸方向に延びている。ガイドローラ93及び駆動ローラ94は、中心軸と平行な軸周りに回転可能に設けられている。ガイドローラ93及び駆動ローラ94は、円筒ドラム21aに保持されているマスクMAに接触しないように、設けられている。駆動ローラ94は、駆動部96と接続されている。駆動ローラ94は、駆動部96から供給されるトルクを円筒ドラム21aに伝えることによって、円筒ドラム21aを中心軸周りに回転させる。

本実施形態の照明装置13aは、光源(図示略)及び照明光学系ILaを備える。照明光学系ILaは、複数の投影光学系PL1〜PL6の各々に対応してY軸方向に並んだ複数(例えば6つ)の照明光学系ILa1〜ILa6を備える。光源は、前述した各種照明装置13aと同様に各種光源を用いることができる。光源から射出された照明光は、照度分布が均一化されて、例えば光ファイバ等の導光部材を介して、複数の照明光学系ILa1〜ILa6に振り分けられる。

複数の照明光学系ILa1〜ILa6のそれぞれは、レンズ等の複数の光学部材、インテグレータ光学系、ロッドレンズ、フライアイレンズ等を含み、均一な照度分布の照明光束EL1によって照明領域IRを照明する。本実施形態において、複数の照明光学系ILa1〜ILa6は、円筒ドラム21aの内側に配置されている。複数の照明光学系IL1a〜ILa6のそれぞれは、円筒ドラム21aの内側から円筒ドラム21aを通して、円筒ドラム21aの外周面に保持されているマスクMA上の各照明領域を照明する。

照明装置13aは、照明光学系ILa1〜ILa6によって光源から射出された光を案内し、案内された照明光束を円筒ドラム21a内部からマスクMAに照射する。照明装置13aは、円筒ドラム21aに保持されたマスクMの一部(照明領域IR)を、照明光束EL1によって均一な明るさで照明する。なお、光源は、円筒ドラム21aの内側に配置されていてもよいし、円筒ドラム21aの外側に配置されていてもよい。また、光源は、露光装置EXと別の装置(外部装置)であってもよい。

露光装置U3bは、マスクとして透過型マスクを用いた場合も、露光装置U3,U3aと同様に、投影像面Smの移動速度(周速度Vm)と露光面Spの移動速度(V、又は周速度Vp)との関係を、先の第2実施形態と同様に調整(補正)することによって、走査露光時に利用できる露光幅を拡大することができる。

[第4実施形態] 次に、図21を参照して、第4実施形態の露光装置U3cについて説明する。なお、重複する記載を避けるべく、先の各実施形態と異なる部分についてのみ説明し、先の各実施形態と同様の構成要素については、同じ符号を付して説明する。図21は、第4実施形態の露光装置(基板処理装置)の全体構成を示す図である。先の各実施形態の露光装置U3、U3a、U3bは、いずれも回転可能な円筒ドラム21(又は21a)に保持される円筒状マスクMを用いる構成であった。第4実施形態の露光装置U3cでは、平板状の反射型マスクMBを保持して、走査露光時にXY面に沿ったX方向に移動するマスクステージ110を備えたマスク保持機構11bが設けられる。

第4実施形態の露光装置U3cにおいて、マスク保持機構11bは、平板状の反射方マスクMBを保持するマスクステージ110と、マスクステージ110を中心面CLと直交する面内でX方向に沿って走査移動させる移動装置(図示略)とを備える。

図21のマスクMBのマスク面P1は実質的にXY面と平行な平面であるので、マスクMBから反射された投影光束EL2の主光線は、XY面と垂直になる。このため、マスクMB上の各照明領域IR1〜IR6を照明する照明光学系IL1〜IL6からの照明光束EL1の主光線も偏光ビームスプリッタPBSを介してXY面に対して垂直になるように配置される。

また、マスクMBから反射される投影光束EL2の主光線がXY面と垂直になる場合、投影光学モジュールPLMの第1光学系61に含まれる第1偏向部材70の第1反射面P3は、偏光ビームスプリッタPBSからの投影光束EL2を反射させ、反射させた投影光束EL2を第1レンズ群71を通って第1凹面鏡72に入射させる角度にされる。具体的に、第1偏向部材70の第1反射面P3は、第2光軸BX2(XY面)に対して実質的に45°に設定される。

また、第4実施形態においても、先の図2と同様に、XZ面内で見たとき、マスクMB上の照明領域IR1(及びIR3,IR5)の中心点から照明領域IR2(及びIR4,IR6)の中心点までのX方向の直線距離は、基板支持ドラム25の支持面P2に倣った基板P上の投影領域PA1(及びPA3,PA5)の中心点から第2投影領域PA2(及びPA4,PA6)の中心点までの周長距離と、実質的に等しく設定されている。

図21の露光装置U3cにおいても、下位制御装置16が、マスク保持機構11の移動装置(走査露光用のリニアモータや微動用のアクチュエータ等)を制御し、基板支持ドラム25の回転と同期してマスクステージ110を駆動する。図21の露光装置U3cでは、マスクMBの+X方向への同期移動で走査露光を行なった後、−X方向の初期位置にマスクMBを戻す動作(巻戻し)が必要となる。そのため、基板支持ドラム25を一定速度で連続回転させて基板Pを等速(周速度Vp)で送り続ける場合、マスクMBの巻戻し動作の間、基板P上にはパターン露光が行なわれず、基板Pの搬送方向に関してパネル用パターンが飛び飛びに(離間して)形成されることになる。しかしながら、実用上、走査露光時の基板Pの速度(周速度Vp)とマスクMBの速度は50〜100mm/sと想定されていることから、マスクMBの巻戻しの際にマスクステージ110を、例えば500〜1000mm/sの最高速で駆動すれば、基板P上に形成されるパネル用パターン間の搬送方向に関する余白を狭くすることができる。

次に、第4実施形態の露光装置U3cにおけるマスクのパターンの投影像面Smと基板P上の露光面Spとの関係について、図22を参照して説明する。図22は、マスクのパターンの投影像面Smの移動と基板Pの露光面Spの移動との関係をし、先の図11で説明した投影像面Smと露光面Spとの関係を逆にしたものに相当する。すなわち、図22では、平面状(曲率半径が無限大)の投影像面Smに形成されるパターン像を、曲率半径Rpの露光面Sp上に転写する。

ここで、マスクMは平面であることから、投影像面Sm(ベストフォーカス面)も平面となる。したがって、図22中の投影像面Smは、先の図7で示した速度Vで移動する基準面HPに相当する。一方、基板P上の露光面Spは、先の図7で示したのと同様に、曲率半径Rpの円筒面(ZX平面においては円弧)となる。

本実施形態でも、基板保持ドラム25(露光面Sp)の角速度をωpとすると、図7と同様に面KSの位置で投影像面Smと露光面Spが接しているものとし、その接点Cpが半径Rpの露光面Spに沿って時間t経過後に移動した点Cp2のX方向の位置Xpを、Xp=Rp・sin(ωp・t)で求める。ここで、ωp・tは、接点Cpを原点として、そこから時間t経過後の露光面Spの回転角度θpである。これに対して、投影像面Smと露光面Spとの接点Cpが、平坦な投影像面Smに沿って原点から時間t経過後に移動した点Cp0の位置Xmは、Xm=V・t(但しV=Vm)で表されるから、先の各実施形態と同様に、投影像面Smと露光面Spとの間に射影誤差(ズレ量、或いは像変位量)が生じる。

その射影誤差(ズレ量、或いは像変位量)をズレ量Δ2とすると、ズレ量Δ2はΔ2=Xm−Xpで求められ、Δ2=V・t−Rp・sin(θp)となる。このズレ量Δ2の特性は、図8A中のズレ量Δ2のグラフと同じであり、投影像面Smの移動速度Vと露光面Spの周速度Vpに僅かな差を与えることで、先の各実施形態と同様に、走査露光時に利用できる投影領域PAの露光幅を拡大することができる。その為には、投影像面Smと露光面Spのうち曲率半径が小さい方の面の速度(周速度)を相対的に僅かに大きくする必要がある。本実施形態では、投影像面Smの速度V(周速度Vm)が露光面Spの周速度Vpに対して、例えば、図8C中に例示した変化率α程度だけ小さくなるように、マスクMBの走査露光時の速度Vfを投影倍率βに基づいて決まる基準速度Vより僅かに小さく設定する。

ここで、第1実施形態のF(x)の式は、本実施形態の露光装置U3cの場合、下記のF’(x)の式に置き換えられる。

ここで、露光装置U3cは、この式F’(x)を先の第1実施形態の式に適用し、当該関係を満たすことで、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。

なお、本実施形態の露光装置は、マスク保持機構と基板支持機構のうち、曲面で保持する方が第1支持部材となり、曲面又は平面で支持する方が第2支持部材となる。

以上、各実施形態では、円筒状又は平面状のマスクMを用いたが、CADデータに基づいて、DMD(デジタルミラーデバイス)やSLM(空間光変調素子)等を制御して、パターンに対応した光分布を投影光学系(マイクロレンズアレーを含んでもよい)を介して露光面Sp上に投射するマスクレス露光方式であっても、同様の効果を得ることができる。

また、各実施形態において、パターンの投影像面Smと基板Pの露光面Spとの曲率半径を比べて、走査露光時には、面Smと面Spのうちの曲率半径の小さい方の周速度を相対的に僅かに大きくすること、又は面Smと面Spのうちの曲率半径の大きい方の周速度(又は直線移動速度)を相対的に僅かに小さくすることによって、走査露光に利用可能な露光幅を拡大できる。相対的な周速度(又は直線移動速度)の僅かな差をどの程度にするかは、像変位量Δ(差分量Δ、ズレ量Δ1、Δ2)と解像力Rsとに応じて変わり得る。例えば、先の図19の評価値Q1、Q2による評価法では、解像力Rsを2.09μmとしたが、これは投影光学系PLの開口数NA、露光波長λ、プロセス定数kによって決まるものである。実際に基板P上に露光されるパターンの最小寸法(線幅)は、マスクM上に形成されるパターンと投影倍率βによって決まる。仮に、基板P上に形成すべき表示パネル用のパターンにおいて、最小の実寸法(実線幅)が5μmでよいのであれば、その実線幅の値を解像力Rsとして、許容される像変位量Δの範囲内になるような周速度差(変化率α等)を求めればよい。すなわち、露光装置の構成(NA,λ)によって決まる解像力Rs、又は基板P上に転写すべきパターンの最小寸法に応じて、露光幅を拡大するための周速度差の変化率αが決められる。

以上、各実施形態で示した露光装置を用いることにより、以下のような走査露光方法が実施される。すなわち、所定の曲率半径で円筒状に湾曲したマスク(M、MB)の一面に形成されたパターンを、投影光学系PL(PLM)を介して円筒状又は平面状に支持されるフレキシブルな基板Pの表面(露光面Sp)に投影すると共に、マスクMを湾曲した一面に沿って所定の速度で移動させつつ、円筒状又は平面状に支持された基板の表面(Sp)に沿って所定の速度で基板Pを移動させて、投影光学系によるパターンの投影像を基板上に走査露光する際に、投影光学系によるパターンの投影像がベストフォーカス状態で形成される投影像面Smの曲率半径をRm(Rm=∞も含む)、円筒状又は平面状に支持された基板Pの表面(露光面)Spの曲率半径をRp(Rp=∞も含む)とし、マスク(M、MB)の移動により投影像面(Sm)に沿って移動するパターン像の移動速度をVm、基板Pの表面(露光面)Spに沿った所定の速度をVpとしたとき、Rm

Vpに設定し、Rm>Rpの場合はVm

[第5実施形態] 図23は、第5実施形態に係る露光装置の全体構成を示す図である。処理装置U3dは、図1及び図2に示した処理装置U3に相当する。以下においては、処理装置U3dを露光装置U3dと称して説明する。この露光装置U3dは、マスクMを交換する機構を有している。露光装置U3dは、前述した露光装置U3と同様の構造であるので、共通する構造は原則として説明を省略する。

露光装置U3dは、上記した駆動ローラR4〜R6、エッジポジションコントローラEPC3及びアライメント顕微鏡AM1、AM2の他に、マスク保持機構11と、基板支持機構12と、照明光学系(照明系)ILと、投影光学系PLと、下位制御装置16と、を有する。

下位制御装置16は、露光装置U3dの各部を制御し、各部に処理を実行させる。下位制御装置16は、デバイス製造システム1の上位制御装置5の一部又は全部であってもよい。また、下位制御装置16は、上位制御装置5に制御され、上位制御装置5とは別の装置であってもよい。下位制御装置16は、例えば、コンピュータを含む。本実施形態において、下位制御装置16は、マスクMに取り付けられた情報記憶部(例えば、バーコード、磁気記憶媒体又は情報を記憶できるICタグ等)からマスクMに関する情報を読み取る読み取り装置17と、マスクMの形状、寸法及び取付位置等を計測する計測装置18とを接続している。

なお、マスク保持機構11は、円筒体のマスクM(高反射部と低反射部とによるマスクパターン面)をマスク保持ドラム21で保持したが、この構成に限らないのは第1実施形態と同様である。本実施形態において、マスクM又は円筒マスクというときには、マスクMのみならず、マスクMを保持した状態のマスク保持ドラム21(マスクMとマスク保持ドラム21との組立体)も含むものとする。

基板支持機構12は、照明光で照射されたマスクMのパターンからの光で露光される基板Pを、湾曲した面又は平面に沿って支持する。基板支持ドラム25は、Y方向に延びる第2軸AX2を中心とする曲率半径Rfaとなる外周面(円周面)を有する円筒形状に形成されている。ここで、第1軸AX1と第2軸AX2とは互いに平行になっており、第1軸AX1及び第2軸AX2を含み、かつ両者に平行な平面を中心面CLとしている。中心面CLは、2本の直線(この例では第1軸AX1及び第2軸AX2)によって定まる平面である。基板支持ドラム25の円周面の一部は、基板Pを支持する支持面P2となっている。つまり、基板支持ドラム25は、その支持面P2に基板Pが巻き付けられることで、基板Pを支持して搬送する。このように、基板支持ドラム25は、所定の軸線としての第2軸AXから一定の半径(曲率半径Rfa)で湾曲する曲面(外周面)を有し、外周面に基板Pの一部分が巻き付けられて第2軸AX2を中心として回転する。第2駆動部26は、下位制御装置16に接続され、第2軸AX2を回転中心軸として基板支持ドラム25を回転させる。

一対のエア・ターンバーATB1、ATB2は、基板支持ドラム25を挟んで、基板Pの搬送方向の上流側及び下流側にそれぞれ設けられている。一対のエア・ターンバーATB1、ATB2は、基板Pの表面側に設けられ、鉛直方向(Z方向)において基板支持ドラム25の支持面P2よりも下方側に配置されている。一対のガイドローラ27、28は、一対のエア・ターンバーATB1、ATB2を挟んで、基板Pの搬送方向の上流側及び下流側にそれぞれ設けられている。一対のガイドローラ27、28は、その一方のガイドローラ27が駆動ローラR4から搬送された基板Pをエア・ターンバーATB1に案内し、その他方のガイドローラ28がエア・ターンバーATB2から搬送された基板Pを駆動ローラR5に案内する。

したがって、基板支持機構12は、駆動ローラR4から搬送された基板Pを、ガイドローラ27によりエア・ターンバーATB1に案内し、エア・ターンバーATB1を通過した基板Pを、基板支持ドラム25に導入する。基板支持機構12は、第2駆動部26により基板支持ドラム25を回転させることで、基板支持ドラム25に導入した基板Pを、基板支持ドラム25の支持面P2で支持しながら、エア・ターンバーATB2へ向けて搬送する。基板支持機構12は、エア・ターンバーATB2に搬送された基板Pを、エア・ターンバーATB2によりガイドローラ28に案内し、ガイドローラ28を通過した基板Pを、駆動ローラR5に案内する。

このとき、第1駆動部22及び第2駆動部26に接続された下位制御装置16は、マスク保持ドラム21と基板支持ドラム25とを所定の回転速度比で同期回転させることによって、マスクMのマスク面P1に形成されたマスクパターンの像が、基板支持ドラム25の支持面P2に巻き付けられた基板Pの表面(円周面に倣って湾曲した面)に連続的に繰り返し投影露光される。

露光装置U3dは、図2に示すように、マスクMに予め形成されたアライメントマーク等を検出するアライメント顕微鏡GS1、GS2を、マスクMの外周面外側に備えている。また、露光装置U3dは、マスクM及びマスク保持ドラム21の回転角度等を検出するためのエンコーダヘッドEH1、EH2を有している。これらは、マスクM(又はマスク保持ドラム21)の周方向に沿って配置される。エンコーダヘッドEH1、EH2は、例えば、マスク保持ドラム21の第1軸AX1方向の両端部に取り付けられて、マスク保持ドラム21と共に第1軸AX1を中心として回転するスケール円盤SDの外周面に刻設されたスケール(周方向に一定ピッチで刻設された格子状のパターン)を読み取る。さらに、露光装置U3dは、回転するマスクMの外周面(マスク面P1)の径方向における微小変位を計測して、投影光学系PLに対するマスク面P1のピントずれを検出する焦点計測装置AFM及びマスク面P1上に付着する異物を検出する異物検査装置CDを設けることができる。これらは、マスクMの外周面の周りの任意の方位に配置することが可能であるが、マスク交換時のマスクMの挿脱移動空間を避けた方向に設置するのがよい。

なお、エンコーダヘッドEH1のスケール読取り位置は、第1軸AX1と直交するXZ面では、マスクM上の奇数番の照明領域IR1、IR3、IR5の周方向の中心位置(図5又は図7中の交点Q1)に揃うように設置され、エンコーダヘッドEH2のスケール読取り位置は、XZ面では、マスクM上の偶数番の照明領域IR2、IR4、IR6の周方向の中心位置に揃うように設置される。また、エンコーダヘッドEH1、EH2によって計測されるスケールは、マスク保持ドラム21(マスクM)の両端部の外周面にマスクパターンと共に形成してもよい。

露光装置U3dは、基板P上のマーク等を検出するアライメント顕微鏡AM1、AM2の他に、基板支持ドラム25の回転角度等を検出するためのエンコーダヘッドEN1、EN2、EN3、EN4を有している。これらは、基板支持ドラム25の周方向に沿って配置される。エンコーダヘッドEN1、EN2、EN3、EN4は、例えば、基板支持ドラム25の第2軸AX2の方向における両端部に取り付けられて基板支持ドラム25と共に第2軸AX2を中心として回転するスケール円盤の外周面又は基板支持ドラム25の第2軸AX2の方向における両端の外周面に刻設されたスケール(周方向に一定ピッチで刻設された格子状のパターン)を読み取る。

なお、エンコーダヘッドEN1のスケール読取り位置は、第2軸AX2と直交するXZ面では、アライメント顕微鏡AM1の観察視野の周方向の位置に揃うように設置され、エンコーダヘッドEN4のスケール読取り位置は、XZ面では、アライメント顕微鏡AM2の観察視野の周方向の位置に揃うように設置される。同様に、エンコーダヘッドEN2のスケール読取り位置は、基板P上の奇数番の投影領域PA1、PA3、PA5の周方向の中心位置に揃うように設置され、エンコーダヘッドEN3のスケール読取り位置は、XZ面では、基板P上の偶数番の投影領域PA2、PA4、PA6の周方向の中心位置に揃うように設置される。

さらに、図2に示すように、露光装置U3dは、マスクMを交換するための交換機構150を備えている。交換機構150は、露光装置U3dが保持しているマスクMを、曲率半径Rmが同一の他のマスクMに交換したり、曲率半径Rmが異なる別のマスクMに交換したりすることができる。曲率半径Rmが同一のマスクMに交換する場合、交換機構150は、マスクMのみをマスク保持ドラム21から取り外して交換してもよいし、マスク保持ドラム21ごとマスクMを露光装置U3dから取り外して交換してもよい。曲率半径Rmが異なるマスクMに交換する場合、交換機構150は、マスク保持ドラム21ごとマスクMを露光装置U3dから取り外して交換することができる。マスクMとマスク保持ドラム21とが一体になっている場合も、交換機構150は両者を一体として交換する。交換機構150は、マスクM又はマスクMとマスク保持ドラム21との組立体を露光装置U3dに取り付け及び露光装置U3dから取り外すことができれば、どのような構造でもよい。

露光装置U3dは、交換機構150を備えることによって、直径の異なるマスクMを自動的に装着して基板Pにマスクパターンを露光することができる。このため、露光装置U3dを備えるデバイス製造システム1は、製造するデバイス(表示パネル)の寸法に応じて適切な直径のマスクMを用いることができる。その結果、デバイス製造システム1は、基板Pの使用されない余白部分の発生を抑えることができ、基板Pの無駄を抑制し、デバイスの製造コストを低減することができる。このように、交換機構150を備える露光装置U3dは、デバイス製造システム1が製造するデバイス(表示パネル)寸法の選択の自由度が大きいため、露光装置自体を替えるといった過大な設備投資を必要とせずに、異なるインチサイズの表示パネルを効率的に製造できるという利点がある。

直径の異なるマスクMに交換した場合、両方のマスクM間においては、マスク面P1の曲率及び第1軸AX1のZ方向における位置等が異なることにより、照明光束EL1とマスクMと投影光束EL2との関係、マスクM上の照明領域IRの位置及び照明光束EL1の主光線の非テレセントリックの度合い等が、直径の異なるマスクM同士の間で変化したり、エンコーダヘッドEH1、EH2とスケール円盤SDとの位置関係が異なったりする。

したがって、露光装置U3dのマスクMを、直径の異なるマスクMに交換した場合、マスクMのマスク面P1に形成されたマスクパターンの像を基板Pへ適切な像質で投影露光すると共に、マルチレンズ方式の場合は、複数の投影領域PA1〜PA6の各々に現れるマスクパターン像を、良好な精度で継ぎ合わせるように、露光装置U3d内の関連機構及びこれに関係する部分を調整する必要がある。

本実施形態においては、直径の異なるマスクMに交換した際には、例えば、下位制御装置16を調整用の制御部(調整部)として用いて、露光装置U3dの各部、具体的には照明光学系IL又は投影光学系PLを構成する光学部材の少なくとも一部の位置を変更したり、光学部材の一部を異なる特性の部材に切り替えたりする等の調整を行う。このようにすることで、マスクMの交換後において、露光装置U3dは基板Pに対して適切かつ良好に露光することができる。すなわち、露光装置U3dは、デバイスのサイズに対して自由度の大きい露光、すなわち異径サイズのマスクMを用いた露光を適切かつ良好に実現することができる。次に、露光装置U3dが使用するマスクMを、直径の異なるマスクM又は同径の別のマスクMに交換する手順の概略と露光装置U3dの調整の具体例に関して説明する。

図24は、露光装置が用いるマスクを他のマスクに交換する際の手順を示すフローチャートである。図25は、奇数番の第1の投影光学系のマスク側の視野領域の位置と偶数番の第2の投影光学系のマスク側の視野領域の位置との関係を示す図である。図26は、マスクの情報を記憶した情報記憶部を表面に有するマスクを示す斜視図である。図27は、露光条件が記述された露光条件設定テーブルの模式図である。

露光装置U3dが使用するマスクMを異なる直径のマスクMに交換する場合、ステップS101において、図23に示す下位制御装置16は、マスクMの交換動作を開始する。具体的には、下位制御装置16は、交換機構150を駆動して現在露光装置U3dに装着されているマスクMを取り外した後、交換機構150を駆動して交換対象のマスクMを露光装置U3dに装着する。この交換においては、交換機構150は、マスクMを有するマスク保持ドラム21を、第1軸AX1となるシャフトごと取り外し、直径の異なるマスクM及びマスク保持ドラム21を露光装置U3dへ取り付ける。その際、マスク保持ドラム21の両端部にスケール円盤SDが第1軸AX1と同軸に取り付けられている場合は、そのスケール円盤SDごと交換するのがよい。

本実施形態では、直径の異なるマスクMに交換するにあたって、新たに露光装置U3dに装着されるマスクM(マスク面P1)の直径に基づき、マスク保持ドラム21の回転中心軸である第1軸AX1のZ軸方向におけるシャフト支持位置が変更される。このため、露光装置U3dは、マスク保持ドラム21を回転可能に支持する軸受装置をZ軸方向に移動できる機構を有している。

この軸受装置は、マスク保持ドラム21の両端側に突出する第1軸AX1となるシャフトの各々を回転可能に軸支するようなベアリング(ボールベアリング、ニードルベアリング等の接触型又はエア・ベアリング等の非接触型)を有する。接触型のベアリングは、マスク保持ドラム21のシャフトに固定される内輪と、露光装置U3dの本体側に固定される外輪と、内輪と外輪との間に挟み込まれたボール又はニードルとで構成される。

円滑なマスク交換のためには、マスク保持ドラム21のシャフト側に接触型ベアリングの内輪と外輪の両方が付いた状態で、露光装置U3dの本体側の軸受装置から接触型ベアリングの外輪が外れる構造とするのがよい。また、露光装置U3dの本体側の軸受装置は、第1軸AX1(シャフト)が第2軸AX2(Y軸)と平行になるように、YZ面内での傾きを調整するZ駆動機構を含むと共に、第1軸AX1(シャフト)が中心面CLとも平行になるように、XY面内での傾きを調整するためのX駆動機構を有する。

図25は、マスク保持ドラム21に保持されたマスクMを、これらよりも直径の小さいマスク保持ドラム21aに保持されたマスクMaに交換する場合の状態を示している。マスクMは曲率半径がRmであり、マスクMaは曲率半径がRma(Rma

本実施形態においては、マスクMをマスクMaに交換する前後において、Z軸方向における第1の投影光学系の視野領域IRaの位置と、Z方向における第2の投影光学系の視野領域IRbの位置とが変わらないようにすることが好ましい。Z軸方向は、マスクM(マスク保持ドラム21)の回転中心軸(第1軸AX)と基板支持ドラム25の回転中心軸(第2軸AX2)との両方に直交し、中心面CLに沿った方向である。Z軸方向における視野領域IRaと視野領域IRbとの空間的な配置関係がマスクMの交換の前後で変わらないようにすることで、照明光学系IL及び投影光学系PLの調整、各種の計測用機器(エンコーダヘッドEH1、EH2、アライメント顕微鏡GS1、GS2等)の位置調整又はこれらと関連する部品の変更等を最小限に抑えることができる。

本実施形態は、図23で示したようなマルチレンズ方式を前提にするが、マスクMの外周面の周方向の1ヶ所に設定される照明領域IR内のパターンを投影領域PA内に投影する投影光学系を、Y方向に単一又は複数個配列する露光装置の場合、その照明領域IRと投影領域PAとの周方向の各中心を、共に中心面CL上に配置するのがよい。そのような露光装置では、半径(曲率半径)RmのマスクMを半径Rma(Rma

しかしながら、本実施形態のマルチレンズ方式では、マスクMの外周面上の周方向の離れた2ヶ所の一方に、奇数番の投影光学系の視野領域IRa(奇数番の投影領域PAと共役な物面)が位置し、他方に偶数番の投影光学系の視野領域IRb(偶数番の投影領域PAと共役な物面)が位置するため、単に半径差(Rma−Rm)だけマスクMaをZ方向に位置変更しても、半径差の度合いによっては、良好なフォーカス精度(又は良好な継ぎ位置精度)が得られないことがある。したがって、本実施形態では、交換される円筒マスクの外周面が、奇数番の投影光学系の視野領域IRa(物面)と偶数番の投影光学系の視野領域IRb(物面)との両方に正確に合致するように軸受装置をZ駆動させる。

以上の実施形態では、奇数番の投影光学系(PL1、PL3、PL5)の視野領域IRaと、偶数番の投影光学系(PL2、PL4、PL6)の視野領域IRbとの露光装置内での位置(XYZの各方向)が変わらないように、装着される円筒マスクの直径に応じて、円筒マスクのZ方向の位置を変えられるようにした。このように、視野領域IRa、IRbの位置を変えないようにすると、径が異なる円筒マスクに対する装置側の変更箇所や調整箇所が少なくて済むといった利点がある。しかしながら、その場合、円筒マスクを回転させるモーター及びXYZ方向へ微動させるアクチュエータといった駆動系も全体的にZ方向に移動させることになり、駆動系の安定性を損なう可能性もある。

そこで、駆動系の安定性が保てるという利点を得るために、露光装置内での円筒マスクの回転中心(第1軸AX1、シャフト)のZ位置(又はX位置)は変えずに、径が異なる円筒マスクを装着するようにしてもよい。このようにすると、駆動系の安定性が保てるという利点の他に、径が一定の回転軸に対して外側に装着される中空状の円筒マスク(外周面の半径が異なる)のみを交換すればよいといった特徴的な効果が得られる。それに対応するため、露光装置側では、各投影光学系のピント位置の調整を筆頭に、各種アライメントセンサー(顕微鏡)の円筒マスクに対するピント位置の調整、視野領域IRa、IRb及びアライメントセンサーの検出視野のXYZ方向への位置調整、照明光束EL1の主光線の傾きと収れん度合の調整又は奇数番の投影光学系(PL1、PL3、PL5)と偶数番の投影光学系(PL2、PL4、PL6)との間隔調整等が可能な構成にしておくのが望ましい。

さて、本実施形態では、図23で示したように、交換機構150によって、マスクM(及びマスク保持ドラム21)を軸受装置から取り出し、別途用意されているマスクMa(マスク保持ドラム21a付き)を軸受装置に装着する。マスクMの取り出し及びマスクMaの装着の際に、図23中の焦点計測装置AFMや異物検査装置CDがマスクや交換機構150の一部と空間的に干渉する場合は、それらを一時的に退避させておく。また、図23のように、第1軸AX1を支持する軸受装置に対して、−Z方向には投影光学系PL及び照明光学系ILが位置し、−X方向にはアライメント顕微鏡GS1、GS2が位置するので、マスクMやマスクMaの搬出、搬入が可能な方向は、軸受装置に対して、+Z方向か+X方向又は±Y方向(第1軸AX1の方向)になる。

マスクMが直径の異なるマスクMaに交換されたらステップS102に進み、下位制御装置16は、交換後、露光装置U3dに装着されているマスクMaについての情報(交換後マスク情報)を取得する。交換後マスク情報は、例えば、直径、周長、幅、厚み等の寸法、公差、パターンの種類、マスク面P1の真円度、偏心特性又は平坦度等といったマスクに起因する各種の諸元値及び補正値等である。

これらの情報は、例えば、図26に示すように、マスク保持ドラム21aの表面に設けた情報記憶部19に記憶されている。情報記憶部19は、例えば、バーコード、ホログラム、又はICタグ等である。本実施形態では、情報記憶部19は、マスク保持ドラム21aの表面に設けられているが、マスクMaにデバイス用のパターンと共に設けられていてもよい。本実施形態において、円筒マスクの表面というときには、マスクMaの表面及びマスク保持ドラム21aの表面のいずれも含むものとする。図26において、情報記憶部19はマスク保持ドラム21aの円筒状の外周面に設けられるが、マスク保持ドラム21aの軸線方向の端面部に設けてもよい。

下位制御装置16は、読み取り装置17が情報記憶部19から読み取った交換後マスク情報を取得する。読み取り装置17は、情報記憶部19がバーコードである場合はバーコードリーダー、ICタグである場合はICタグリーダー等を用いることができる。情報記憶部19は、マスクMaに予め情報が書き込まれた部分であってもよい。

交換後マスク情報は、露光条件に関する露光情報に含まれていてもよい。露光情報は、露光対象の基板Pの情報、基板Pの走査速度、照明光束EL1のパワーといった露光装置U3dが基板Pに露光処理を施す際に必要な情報である。本実施形態では、露光情報に交換後マスク情報を加味して、各種の調整及び補正を行うと共に、露光時の装置運転上のレシピ条件及びパラメータの設定が行われる。露光情報は、例えば、図27に示す露光情報格納テーブルTBLに記憶されており、下位制御装置16の記憶部又は上位制御装置5の記憶部に記憶されている。下位制御装置16は、前述した記憶部から露光情報格納テーブルTBLを読み出し、交換後マスク情報を取得する。なお、交換後マスク情報は、下位制御装置16又は上位制御装置5への入力装置(キーボード又はマウス等)を介して入力されたものであってもよい。この場合、下位制御装置16は、前述した入力装置から交換後マスク情報を取得する。下位制御装置16が交換後マスク情報を取得したら、ステップS103へ進む。

ステップS103において、下位制御装置16は、交換後のマスクMaの直径に応じて露光装置U3dの調整が必要な部分及び調整に必要な条件に関するデータを収集したり演算したりする。調整が必要な部分としては、例えば、マスクMのZ軸方向における位置、照明光学系IL、投影光学系PL、マスクMの回転速度、露光幅(照明領域IRの周方向の幅)、エンコーダヘッドEH1、EH2の位置又は姿勢、アライメント顕微鏡GS1、GS2の位置又は姿勢等である。また、本実施形態では、交換後のマスクMaの回転中心軸(第1軸AX1a)が、交換前のマスクMの回転中心位置からZ軸方向にシフトするため、マスクMaを駆動する駆動源(例えば、電動機)の出力軸がマスクMaのシャフトと連結可能なように、駆動源の露光装置本体内での取り付け位置をステップS103において調整(位置シフト)しておく必要がある。このため、露光装置U3dは、互いに直径が異なる複数のマスクの1つを交換可能に装着して、所定の軸線としての第1軸AX1の周りに回転させるマスク保持機構11に装着されるマスクMaの直径に応じて、少なくとも第1軸AX1と基板支持機構との距離を調整する調整部を有している。この調整部は、マスク保持機構11に装着されたマスクの外周面と基板支持機構に支持された基板Pとの間隔を、予め定められた許容範囲内に設定する。

前述したように、本実施形態では、Z軸方向における照明視野IRの位置は、直径の異なるマスクMaに交換された前後において、変わらないようされる。このため、例えば、ステップS101において、下位制御装置16は、直径の異なるマスクMaに交換するのみで、ステップS102で交換後マスク情報を取得したら、これに基づいてマスクMaのZ軸方向における照明視野IRの位置を交換前と同等の位置に制御する。なお、マスクMaに交換する前に、下位制御装置16が、例えば露光情報格納テーブルTBLからマスクMaの情報を取得し、これに基づいて、マスクMaに交換するタイミングで、マスクMaのZ軸方向における照明視野IRの位置を交換前と同等の位置に制御してもよい。次に、ステップS103における調整の例について説明する。

図28は、直径の異なるマスク間における照明光束及び投影光束の振る舞いを、先の図5を基にして概略的に示す図である。前述したように、マスクMの交換の前後において、照明視野IRのZ軸方向における位置が変化しないようにすると、図25に示すように、マスクM及びマスク保持ドラム21の回転中心軸、すなわち第1軸AX1のZ軸方向における位置が変化する。具体的には、直径が小さいマスクMaの回転中心軸AX1aは、直径が大きいマスクMの第1軸AX1よりも、基板支持ドラム25の回転中心軸である第2軸AX2に接近する。

交換後のマスクMaが交換前のマスクMよりも直径が小さい場合でも、図28に示すように、マスクMa(マスク面P1a)上の照明領域IRの周方向の中心である交点Q1のXYZ座標内での絶対位置(露光装置内の一義的な位置)を変えないものとする。このため、図28に示すように、交換前のマスクMに対して設定された照明光束EL1の照明条件、すなわち、XZ面内において照明光束EL1の各主光線を半径(曲率半径)Rmの1/2の点Q2に向けて傾ける、といった条件を維持しつつ、直径が小さいマスクMaに照明光束EL1を照射すると、マスクMa上の照明領域IRで反射した投影光束EL2aの各主光線は、互いに平行な状態からずれて、XZ面内で発散する状態となり、進む方向もずれてしまう。

このため、照明光学系ILからの照明光束EL1を、マスクMaに適した照明光束EL1に調整する必要がある。そこで、ステップS103において、照明光学系ILが有するシリンドリカルレンズ54(図4参照)を異なるパワーのものに変更して倍率テレセントリックの状態を、照明光束EL1の各主光線が、XZ面内でマスクMaの半径Rmaの1/2の位置に向かって収れんするように調整する。さらに、図示しない偏角プリズムを用いて視野領域IRa(照明領域IR)の中心である交点Q1での軸テレセントリックの状態を、交点Q1を通る照明光束EL1の主光線の延長がマスクMaの中心軸AX1aを通る状態に調整する。

また、マスクMaからの反射光束、すなわち投影光束EL2aの角度を調整する。この場合、照明光束EL1と投影光束EL2aとの軸角度(主光線のXZ面内での角度)は、マスクMaの直径(主光線の中心位置)により変化するため、共通の光路である偏光ビームスプリッタPBSとマスクMaとの間に偏角プリズム(入射面と射出面とが非平行なくさび状のプリズム)を配置して投影光束EL2aの角度を調整することができる。

また、投影光束EL2aのみの角度を調整する場合は、投影光学系PLが有する偏光部材(例えば、第1偏向部材70の第1反射面P3、又は第2偏向部材80の第4反射面P6)の角度を調整してもよい。このようにすることで、直径が異なるマスクMaに交換した場合に(この例では交換後のマスクMaの直径が交換前よりも小さい)、マスクMaで反射された投影光束EL2aの各主光線をXZ面内で互いに平行光とすることができる。すなわち、交換後の径の異なるマスクMaに対しても、照明光学系ILは、マスクMaの照明領域IRで反射される投影光束EL2aがテレセントリックな状態となるように、マスクMa上の照明領域IRに照射される照明光束EL1の照明条件が調整される。

前述した調整を実行する場合、例えば、照明光学系ILの照明光学モジュールILMには、パワーの異なる複数のシリンドリカルレンズ54の内の1つを交換可能に光路内に設置するレンズ交換機構等が付設される。下位制御装置16からの指令によって、そのレンズ交換機構を制御して、最も適したパワーのシリンドリカルレンズ54に切り替えてもよい。このとき、下位制御装置16は、交換後におけるマスクMaの直径の情報に基づいてシリンドリカルレンズ54を切り替える。また、前述した偏光ビームスプリッタPBSとマスクMaとの間の偏角プリズム又は投影光学モジュールPLM内の偏光部材の角度(及びXZ面内での位置)を調整するためのアクチュエータを下位制御装置16によって制御して、マスクMaで反射される投影光束EL2の光学特性を調整してもよい。この場合も、下位制御装置16は、交換後におけるマスクMaの直径の情報に基づいて偏角プリズム又は偏光部材の角度を調整する。なお、シリンドリカルレンズ54の交換及び偏角プリズム等の調整は、露光装置U3dのオペレータが行ってもよい。

図29は、直径の異なるマスクに交換した場合におけるエンコーダヘッド等の配置変更を示す図である。ステップS103における調整では、必要に応じて、さらに、エンコーダヘッドEH1、EH2、アライメント顕微鏡GS1、GS2、マスクM側の焦点計測装置AFM及び異物を検出する異物検査装置CDの調整が行われる。図29に示すように、例えば、半径(曲率半径)RmのマスクM及びマスク保持ドラム21から、直径が小さい半径RmaのマスクMa及びマスク保持ドラム21aに交換された場合、マスクMの周囲に配置されていたエンコーダヘッドEH1、EH2、アライメント顕微鏡GS1、GS2、焦点計測装置AFM及び異物検査装置CDは、直径が小さくなったマスクMaの周囲に配置し直したり、姿勢を調整したりする必要がある。このようにすることで、マスクMa上のアライメントマークの位置、マスクMaの回転角度等を正しく計測できるようになる。

図29に示す例では、アライメント顕微鏡GS1、GS2、焦点計測装置AFM及び異物検査装置CDを、直径が小さくなったマスクMaの周りに配置し直す。また、この例におけるエンコーダヘッドEH1、EH2は、XZ面内では、それぞれ第1の投影光学系(奇数番)の視野領域IRaの位置、第2の投影光学系(偶数番)の視野領域IRbの位置の近傍に配置されている。そのため、マスク交換後に、エンコーダヘッドEH1、EH2の位置をXZ面内で大きく変更する必要はない。

しかし、マスクMaに交換することによって、エンコーダヘッドEH1、EH2が読み取るスケール円盤SDの外周面のスケール、又はマスクMaと共にマスク保持ドラム21aの外周面に形成されたスケールと、各エンコーダヘッドEH1、EH2との相対的な読み取り角度が変化してしまう。このため、エンコーダヘッドEH1、EH2は、正確にスケール面と対向するように姿勢が調整される。具体的には、図29に示す矢印N1、N2のように、各ヘッドEH1、EH2を、スケール面の径に応じて、その位置で回転(傾斜)させる。このようにすることで、マスクMaの回転角度の情報を高精度に得ることができる。

マスクMaに交換する際には、マスクMa及びマスク保持ドラム21aと共にスケール円盤SDを同時に交換し、エンコーダヘッドEH1、EH2の姿勢(傾斜)を調整すると共に、取付位置等を調整してもよい。スケールは、マスクMaの表面又はマスク保持ドラム21aの外周面に設けられていてもよい。マスクMaに交換した際に、エンコーダヘッドEH1、EH2が読み取るスケールの周方向の格子ピッチが、交換前のものと異なっている場合、下位制御装置16は、交換後におけるスケールの格子ピッチとエンコーダヘッドEH1、EH2の検出値との対応関係を修正する。具体的には、エンコーダシステムのデジタルカウンタによる1カウントが、交換後のマスクMaの回転角度又はマスク面P1aの周方向の移動距離として、どの程度の値になるかの変換係数を修正する。

焦点計測装置AFM及び異物検査装置CDは、図29中に想像線で示すように、マスクM又はマスクMaの回転中心軸(第1軸AX1又は第1軸AX1a)のZ軸方向における直下、かつ第1の投影光学系の照明視野IRaと第2の投影光学系の照明視野IRbとの間に配置し、マスクM又はマスクMaのマスク面P1又はマスク面P1aを下から検出するようにしてもよい。このようにすれば、マスクMaの交換の前後において、焦点計測装置AFM及び異物検査装置CDからマスクMの表面又はマスクMaの表面までの距離の変化を小さくできる。このため、焦点計測装置AFM及び異物検査装置CDの光学系又は処理用のソフトウェアの修正等で対応できる可能性がある。この場合、焦点計測装置AFM及び異物検査装置CDの取り付け位置を変更しなくてもよい。

マスクMaに交換することで、曲率半径が小さくなることにより、投影領域PAの露光幅(基板Pの走査方向又はマスクMaの周方向)内のデフォーカスが大きくなる可能性がある。このような場合には、露光幅(斜め部分を含む)、照明光学系ILの照度又は走査速度(マスクMaの回転速度と基板Pの送り速度)の調整が必要である。これらは、投影視野絞り63を調整したり、下位制御装置16が光源装置13の光源の出力、マスク保持ドラム21a及び基板支持ドラム25の回転を調整したりすることによって調整できる。この場合、露光幅と照度と走査速度とを共に変更することが好ましい。

さらに、投影光学系PLの投影領域PAの位置、投影光学モジュールPLMの相対位置関係、及びマスクMaの周長が変化することによるマスクMaの回転方向における倍率等を調整する必要がある。例えば、下位制御装置16は、投影光学系PLの投影光学モジュールPLMが備える像シフト用光学部材65又は倍率補正用光学部材66等を制御することにより、投影光学系PLの投影領域PA又はマスクMaの回転方向における倍率等を調整することができる。

ステップS103においては、マスクMaのZ軸方向における位置の調整、照明光学系ILが有する光学部品の調整、投影光学系PLが有する光学部品の調整、及びエンコーダヘッドEH1、EH2の調整等といった機械的な調整が行われる。これらには、下位制御装置16と調整用の駆動機構等によって自動(又は半自動)で調整可能なものもあれば、露光装置U3dのオペレータが手動で調整するものもある。この他に、ステップS103において、下位制御装置16は、交換後マスク情報又は露光情報等に基づいて、露光装置U3dを制御するための制御データ(各種パラメータ)等を変更する。

ステップS103では、ステップS102で取得された交換後マスク情報に基づいて、露光装置U3dが調整されたが、図23に示す計測装置18が計測したマスクMaの形状、寸法及び取付位置等を交換後マスク情報とし、これに基づいて露光装置U3dが調整されてもよい。この場合、例えば、下位制御装置16は、マスクMaに交換された後、計測装置18が計測したマスクMaに基づき、各種の調整を行う。また、オペレータが調整、交換しなければならない部品等については、下位制御装置16は、調整が必要な部品等を、例えば、モニタ等に表示してオペレータに通知する。交換後におけるマスクMaの計測値に基づいて露光装置U3dが調整されることにより、例えば、温度又は湿度等、環境の変化を加味した交換後マスク情報が得られるので、より実際の状態に即して露光装置U3dを調整することができる。ステップS103において、マスクMaに交換することによる調整が終了したら、ステップS104に進む。

以上のように、異なる径のマスクに交換すると、露光装置内の関連した光学系、機構系、検出系の各特性が変動する場合がある。本実施形態では、マスク交換後の露光装置としての特性や性能を確認できるように、図30に示すようなキャリブレーション装置を設ける。図30は、キャリブレーション装置の図である。図31は、キャリブレーションを説明するための図である。ステップS103で露光装置U3dは、交換後のマスクMaに適した状態となっているが、ステップS104でキャリブレーションを行うことにより、露光装置U3dの状態をさらに交換後のマスクMaに適した状態とする。キャリブレーションは、図30に示すキャリブレーション装置110を用いる。本実施形態におけるキャリブレーションは、下位制御装置16が実行する。下位制御装置16は、キャリブレーション装置110によって、図31に示すようなマスク保持ドラム21aに保持されたマスクMaの表面に設けられた調整用マークとしての第1マークALMMと、基板支持ドラム25の表面(基板支持ドラム25の基板Pを支持する部分)に設けられた調整用マークとしての第2マークALMRとを検出する。そして、下位制御装置16は、第1マークALMMと第2マークALMRとの相対位置が所定の位置関係になるように照明光学系IL、投影光学系PL、マスクMaの回転速度、基板Pの搬送速度又は倍率等を調整する。したがって、キャリブレーションのステップS104は、基板支持ドラム25に基板Pを巻き付ける前に行なうのが好ましいが、基板Pの透過性が高く、基板P上に各種のパターンが形成されていない状態であれば、基板支持ドラム25に基板Pを巻き付けたまま、キャリブレーションを行ってもよい。

図30に示すように、キャリブレーション装置110は、撮像素子(例えばCCD、CMOS)111と、レンズ群112と、プリズムミラー113と、ビームスプリッタ114とを含む。キャリブレーション装置110は、マルチレンズ方式の場合、それぞれの照明光学系IL1〜IL6に対応して設けられる。キャリブレーションを実行する場合、下位制御装置16は、キャリブレーション装置110のビームスプリッタ114を、照明光学系ILと偏光ビームスプリッタPBSとの間における照明光束EL1の光路中に配置する。キャリブレーションを実行しない場合、ビームスプリッタ114は、照明光束EL1の光路から退避している。

撮像素子111の感度は十分に高いので、光のパワーの損失は考慮しなくてもよい。このため、ビームスプリッタ114は、例えば、ハーフプリズム等でよい。また、ビームスプリッタ114を、照明光学系ILと偏光ビームスプリッタPBSとの間における照明光束EL1の光路に出し入れすることにより、キャリブレーション装置110を小型化することができる。

図30に示すように、キャリブレーション用の光源115からの光束を、照明光束EL1と投影光束EL2とを分離するための偏光ビームスプリッタPBSの照明光束EL1が入射する面の反対の面側から入射させる方法もある。さらに、基板支持ドラム25の第2マークALMRの裏面側に、キャリブレーション用の光源115(発光部)を配置して、第2マークALMRの裏面側からキャリブレーション用の光束を照射し、第2マークALMRを透過した光を、投影光学系PLと偏光ビームスプリッタPBSとを介して、交換後のマスクMaのマスク面P1aに投射してもよい。この場合、キャリブレーション装置110の撮像素子111は、交換後のマスクMa上に逆投影される基板支持ドラム25の第2マークALMRの像と、マスクMa上の第1マークALMMとを共に撮像することができる。

照明光学系ILと偏光ビームスプリッタPBSとの間における照明光束EL1の光路にビームスプリッタ114を配置することで、マスクMaからの第1マークALMMの像と、基板支持ドラム25からの第2マークALMRの像とが、ビームスプリッタ114を介してキャリブレーション装置110のプリズムミラー113に導かれる。プリズムミラー113で反射した各マーク像の光は、レンズ群112を通過した後、1フレーム分の撮像時間(サンプリング時間)が0.1〜1ミリ秒程度と極めて短い、高速シャッタースピードを有する撮像素子111に入射する。下位制御装置16は、撮像素子111から出力された第1マークALMMの像、及び第2マークALMRの像に対応した画像信号を解析し、その解析結果と、撮像時(サンプリング時)の各エンコーダヘッドEH1、EH2、EN2、EN3の計測値とに基づいて、第1マークALMMと第2マークALMRとの相対位置関係を求め、両者の相対位置が所定の状態になるように照明光学系IL、投影光学系PL、マスクMaの回転速度、基板Pの搬送速度又は倍率等を調整する。

図31に示すように、第1マークALMMは、それぞれの照明光学系IL(IL1〜IL6)に対応するそれぞれの照明領域IR(IR1〜IR6)が中心面CLを挟んでオーバーラップする位置(各照明領域IRのY方向における両端の三角部)に配置される。第2マークALMRは、それぞれの投影光学系PL(PL1〜PL6)に対応するそれぞれの投影領域PA(PA1〜PA6)が中心面CLを挟んでオーバーラップする位置(各投影領域PAのY方向における両端の三角部)に配置される。キャリブレーションにおいて、各投影光学モジュールPLM毎に設けられたキャリブレーション装置110は、中心面CLを挟んで1列目(奇数番)、2列目(偶数番)の順に、順次第1マークALMMの像と第2マークALMRの像とを受光する。

以上のように、ステップS103において、マスクMaに交換することによる調整(主として機械的な調整)が終了したら、下位制御装置16は、交換後のマスクMaと基板Pを搬送する基板支持ドラム25との間の位置ずれが許容範囲以下となるように、露光装置U3dを調整する。このように、下位制御装置16は、第1マークALMMの像及び第2マークALMRの像を少なくとも用いて、露光装置U3dを調整する。このようにすることで、機械的な調整で修正し切れなかった誤差を、交換後のマスクMaと基板支持ドラム25とから取得した実際のマークの像に基づいてさらに修正する。その結果、露光装置U3dは、適切かつ良好な精度で、交換後のマスクMaを用いた露光を行うことが可能になる。

上記例では、マスクを交換した後、主として機械的に露光装置U3dを調整したが、マスクを交換した後の調整はこれに限定されるものではない。例えば、露光装置U3dに装着可能な円筒マスクの直径の差が小さい場合は、それらの円筒マスクの中で最も直径が小さい円筒マスクに合わせて、照明光学系IL及び投影光学系PLの有効径並びに偏光ビームスプリッタPBSの大きさ決めておくことで、照明光束EL1等の角度特性等の調整を不要とすることもできる。このようにすれば、露光装置U3dの調整作業を簡略化することができる。本実施形態においては、露光装置U3dが使用可能なマスクを、マスクの直径毎に複数のグループに分類し、グループ内でマスクの直径が変更される場合と、グループを超えてマスクの直径が変更させる場合とで、露光装置U3dの調整対象又は部品等を変更してもよい。

図32は、エアベアリングを用いてマスクを回転可能に支持する例を示す側面図である。図33は、エアベアリングを用いてマスクを回転可能に支持する例を示す斜視図である。マスクMを保持するマスク保持ドラム21は、両端部をエアベアリング160によって回転可能に支持されていてもよい。エアベアリング160は、複数の支持ユニット161をマスク保持ドラム21の外周部へ環状に配置して作られている。そして、エアベアリング160は、それぞれの支持ユニット161の内周面からマスク保持ドラム21の外周面に向かって空気(エア)を噴出することによって、マスク保持ドラム21を回転可能に支持する。このように、エアベアリング160は、互いに直径が異なる複数のマスクMの1つを交換可能に装着して、所定の軸線(第1軸AX1)の周りに回転させるマスク保持機構として機能する。

前述したステップS103において、交換されたマスクMaの直径に応じてエアベアリング160は支持ユニット161が交換される。また、交換の前後において、マスクMの直径(2×Rm)の差が小さい場合、それぞれの支持ユニット161の径方向における位置を調整して、交換後のマスクMに対応させてもよい。このように、露光装置U3dが、エアベアリング160を介してマスクMを回転可能に支持する場合、エアベアリング160は、直径の異なるマスクを交換可能に支持する露光装置U3d本体側の軸受装置として機能する。

<第6実施形態> 図34は、第6実施形態に係る露光装置の全体構成を示す図である。図34を用いて、露光装置U3eについて説明する。重複する記載を避けるべく、前述した実施形態と異なる部分についてのみ説明し、実施形態と同様の構成要素については、実施形態と同じ符号を付して説明する。なお、第5実施形態の露光装置U3dの各構成は、本実施形態に適用することができる。

実施形態の露光装置U3は、マスクを反射した光が投影光束となる反射型マスクを用いる構成であったが、本実施形態の露光装置U3eは、マスクを透過した光が投影光束となる透過型マスク(透過型円筒マスク)を用いる構成となっている。露光装置U3eにおいて、マスク保持機構11eは、マスクMAを保持するマスク保持ドラム21eと、マスク保持ドラム21eを支持するガイドローラ93と、マスク保持ドラム21eを駆動する駆動ローラ94と、駆動部96と、を備える。図示はしないが、露光装置U3eは、図23に示すような、マスクMAを交換するための交換機構150を備えている。

マスク保持機構11eは、互いに直径が異なる複数のマスクMAの1つを交換可能に装着して、所定の軸線(第1軸AX1)の周りに回転させる。露光装置U3eは、互いに直径が異なる複数のマスクMAの1つを交換可能に装着して、所定の軸線としての第1軸AX1の周りに回転させるマスク保持機構11eに装着されるマスクMAの直径に応じて、少なくとも第1軸AX1と基板支持機構との距離を調整する調整部を有している。この調整部は、マスク保持機構11eに装着されたマスクMAの外周面と基板支持機構に支持された基板Pとの間隔を、予め定められた許容範囲内に設定する。

マスク保持ドラム21eは、例えばガラス又は石英等で製造された、一定の肉厚を有する円筒状であり、その外周面(円筒面)がマスクMAのマスク面を形成する。すなわち、本実施形態において、マスクMA上の照明領域は、中心線から一定の曲率半径Rmを持つ円筒面状に湾曲している。マスク保持ドラム21eのうち、マスク保持ドラム21eの径方向から見てマスクMAのパターンと重なる部分、例えばマスク保持ドラム21eのY軸方向における両端側以外の中央部分は、照明光束に対して透光性を有する。マスク面には、マスクMA上の照明領域が配置される。

マスクMAは、例えば、平坦性のよい短冊状の極薄ガラス板(例えば厚さ100μm〜500μm)の一方の面にクロム等の遮光層でパターンを形成した透過型の平面状シートマスクとして作成され、それをマスク保持ドラム21eの外周面に倣って湾曲させ、この外周面に巻き付けた(貼り付けた)状態で使用される。マスクMAは、パターンが形成されていないパターン非形成領域を有し、パターン非形成領域においてマスク保持ドラム21eに取り付けられている。マスクMAは、マスク保持ドラム21eに対して取り外すことができる。マスクMAは、実施形態のマスクMと同様に、透明円筒母材によるマスク保持ドラム21eに巻き付ける代わりに、透明円筒母材によるマスク保持ドラム21eの外周面に直接クロム等の遮光層によるマスクパターンを描画形成して一体化してもよい。この場合も、マスク保持ドラム21eがマスクの支持部材として機能する。

ガイドローラ93及び駆動ローラ94は、マスク保持ドラム21eの中心軸に対して平行なY軸方向に延びている。ガイドローラ93及び駆動ローラ94は、マスクMA及びマスク保持ドラム21eの回転中心軸と平行な軸線周りに回転可能に設けられている。ガイドローラ93及び駆動ローラ94は、それぞれ、軸線方向の端部の外径が他の部分の外形よりも大きくなっており、この端部がマスク保持ドラム21eに外接している。このように、ガイドローラ93及び駆動ローラ94は、マスク保持ドラム21eに保持されているマスクMAに接触しないように設けられている。駆動ローラ94は、駆動部96と接続されている。駆動ローラ94は、駆動部96から供給されるトルクをマスク保持ドラム21eに伝えることによって、マスク保持ドラム21eを、その回転中心軸周りに回転させる。

マスク保持機構11eは、1つのガイドローラ93を備えているが数は限定されず、2以上でもよい。同様にマスク保持機構11eは、1つの駆動ローラ94を備えているが数は限定されず、2以上でもよい。ガイドローラ93と駆動ローラ94とのうち少なくとも1つは、マスク保持ドラム21eの内側に配置されており、マスク保持ドラム21eと内接していてもよい。また、マスク保持ドラム21eのうち、マスク保持ドラム21eの径方向から見てマスクMAのパターンと重ならない部分(Y軸方向の両端側)は、照明光束に対して透光性を有していてもよいし、透光性を有していなくてもよい。また、ガイドローラ93及び駆動ローラ94の一方又は双方は、例えば円錐台状であって、その中心軸(回転軸)が中心軸に対して非平行であってもよい。

露光装置U3eは、ガイドローラ93と駆動ローラ94との位置に、図25に示す、第1の投影光学系の視野領域(照明領域)IRaと第2の投影光学系の視野領域(照明領域)IRbとをそれぞれ配置することが好ましい。このようにすれば、マスクMAの直径が変化しても、視野領域IRa、IRbそれぞれのZ軸方向における位置を一定に保つことができる。その結果、直径の異なるマスクMAに交換した場合において、視野領域IRa、IRbそれぞれのZ軸方向における位置の調整が容易になる。

本実施形態の照明装置13eは、光源(図示略)及び照明光学系(照明系)ILeを備える。照明光学系ILeは、複数の投影光学系PL1〜PL6の各々に対応して、Y軸方向に並んだ複数(例えば6つ)の照明光学系ILe1〜ILe6を備える。光源は、実施形態の光源装置13と同様に、各種の光源を用いることができる。光源から射出された照明光は、照度分布が均一化されて、例えば光ファイバ等の導光部材を介して、複数の照明光学系ILe1〜ILe6に振り分けられる。

複数の照明光学系ILe1〜ILe6のそれぞれは、レンズ等の複数の光学部材を含む。複数の照明光学系ILe1〜ILe6のそれぞれは、例えばインテグレータ光学系、ロッドレンズ又はフライアイレンズ等を含み、均一な照度分布の照明光束によってマスクMAの照明領域を照明する。本実施形態において、複数の照明光学系ILe1〜ILe6は、マスク保持ドラム21eの内側に配置されている。複数の照明光学系ILe1〜ILe6のそれぞれは、マスク保持ドラム21eの内側からマスク保持ドラム21eを通して、マスク保持ドラム21eの外周面に保持されているマスクMA上の各照明領域を照明する。

照明装置13eは、照明光学系ILe1〜ILe6によって光源から射出された光を案内し、案内された照明光束をマスク保持ドラム21e内部からマスクMAに照射する。照明装置13eは、マスク保持ドラム21eに保持されたマスクMAの一部(照明領域)を、照明光束によって均一な明るさで照明する。なお、光源は、マスク保持ドラム21eの内側に配置されていてもよいし、マスク保持ドラム21eの外側に配置されていてもよい。また、光源は、露光装置U3eとは別の装置(外部装置)であってもよい。

照明光学系ILe1〜ILe6は、マスクMAの内側からその外周面に向けて、所定の軸線としての第1軸AX1の方向にスリット状に延びた照明光束を照射する。また、露光装置U3eは、照明光束のマスクMAの回転方向に関する幅を、装着されるマスクMAの直径に応じて調整する調整部を有している。

露光装置U3eの基板支持機構12eは、平面状の基板Pを保持する基板ステージ102と、基板ステージ102を中心面CLと直交する面内でX方向に沿って走査移動させる移動装置(図示略)とを備える。図34に示す支持面P2側における基板Pの表面は実質的にXY面と平行な平面であるので、マスクMAから反射され、投影光学系PLを通過し、基板Pに投射される投影光束の主光線は、XY面と垂直になる。前述したステップS104のキャリブレーションにおいては、基板ステージ102の支持面P2の表面に、図31に示した第2マークALMRが設けられる。

露光装置U3eは、マスクMAとして透過型マスクを用いているが、この場合も、露光装置U3と同様に、異なる直径のマスクMAと交換することができる。そして、異なる直径のマスクMAに交換した場合、露光装置U3eは、露光装置U3と同様に、照明光学系ILe1〜ILe6と投影光学系PL1〜PL6との少なくとも一方が少なくとも調整された後、交換後のマスクMAと基板Pを搬送する基板ステージ102との間の相対位置関係が所定の許容範囲内のずれとなるように調整(設定)される。このようにすることで、機械的な調整で修正し切れなかった誤差を、マスクMAと基板ステージ102とから取得した実際のマーク像等に基づいてさらに精密に修正する。その結果、露光装置U3eは、適切かつ良好な精度に保たれて、交換後のマスクによる露光を行うことが可能になる。

なお、実施形態の露光装置U3が有する基板支持機構12に代えて、本実施形態の露光装置U3eが有する基板支持機構12eを露光装置U3に適用してもよい。また、実施形態の露光装置U3に、ガイドローラ93と駆動ローラ94とを用いて基板支持ドラム25を回転可能に支持し、かつガイドローラ93と駆動ローラ94との位置に、図25に示す、第1の投影光学系の視野領域(照明領域)IRaと第2の投影光学系の視野領域(照明領域)IRbとをそれぞれ配置してもよい。このようにすることで、直径の異なるマスクMAに交換した場合において、視野領域IRa、IRbそれぞれのZ軸方向における位置の調整が容易になる。

<第7実施形態> 図35は、第7実施形態に係る露光装置の全体構成を示す図である。図35を用いて、露光装置U3fについて説明する。重複する記載を避けるべく、前述した実施形態と異なる部分についてのみ説明し、実施形態と同様の構成要素については、実施形態と同じ符号を付して説明する。なお、第5実施形態の露光装置U3d及び第6実施形態露光装置U3eの各構成は、本実施形態に適用することができる。

露光装置U3fは、いわゆるプロキシミティ露光を基板Pに施す基板処理装置である。露光装置U3fは、マスクMAと、基板支持ドラム25fとの隙間(プロキシミティ・ギャップ)を数μm〜数十μm程度に設定して、照明光学系ILcが直接基板Pに照明光束ELを照射し、非接触露光する。マスクMAは、マスク保持ドラム21fの表面に設けられている。本実施形態の露光装置U3fは、マスクMAを透過した光が投影光束ELとなる透過型マスクを用いる構成となっている。露光装置U3fにおいて、マスク保持ドラム21fは、例えばガラス又は石英等で製造された、一定の肉厚を有する円筒状であり、その外周面(円筒面)がマスクMAのマスク面を形成する。図示はしないが、露光装置U3fは、図23に示すような、マスクMAを交換するための交換機構150を備えている。

本実施形態において、基板支持ドラム25fは、電動モーター等のアクチュエータを含む第2駆動部26fから供給されるトルクによって回転する。第2駆動部26fの回転方向と逆回りとなるように、例えば磁気歯車で連結された一対の駆動ローラMGG、MGGがマスク保持ドラム21fを駆動する。第2駆動部26fは、基板支持ドラム25fを回転させ、かつ駆動ローラMGG、MGGとマスク保持ドラム21fとを回転させ、マスク保持ドラム21fと基板支持ドラム25fとを同期移動(同期回転)させる。基板Pは、その一部が、一対のエア・ターンバーATB1f、ATB2fと、一対のガイドローラ27f、28fとを介して基板支持ドラム25fに巻き付けられているので、基板支持ドラム25fが回転すると、基板Pは、マスク保持ドラム21fと同期して搬送される。このように、一対の駆動ローラMGG、MGGは、互いに直径が異なる複数のマスクの1つを交換可能に装着して、所定の軸線(第1軸AX1)の周りに回転させるマスク保持機構として機能する。

照明光学系ILcは、一対の駆動ローラMGG、MGGとの位置で、マスクMAの外周面と基板支持ドラム25fに支持される基板Pとが最も接近している位置で、Y方向にスリット状に延びた照明光束をマスクMAの内側から基板Pに向けて投射する。このようなプロキシミティ露光方式では、基板Pへのマスクパターンの露光位置(投影領域PAに相当)は、マスクMAの周方向に関して1ヶ所となるため、直径の異なる円筒マスクに交換する際は、プロキシミティ・ギャップを所定値に保つように、円筒マスクのZ軸方向の位置又は基板Pを支持する基板支持ドラム25fのZ軸方向の位置を調整するだけでよい。

このように、露光装置U3fは、マスクMAとして透過型マスクを用い、かつプロキシミティ露光を基板Pに施すが、この場合も、露光装置U3と同様に、異なる直径のマスクMAと交換することができる。そして、異なる直径のマスクMAに交換した場合、露光装置U3fは、露光装置U3と同様のキャリブレーションを行うことにより、交換後のマスクMAと基板Pを搬送する基板支持ドラム25fとの間の相対的な位置ずれ(プロキシミティ・ギャップも含む)が許容範囲内となるように調整することができる。このようにすることで、機械的な調整で修正し切れなかった誤差を、マスクMAと基板支持ドラム25fとから取得した実際のマーク像に基づいてさらに精密に修正し、その結果、露光装置U3fは適切かつ良好な精度を保って露光を行うことが可能になる。

なお、図35のような露光装置U3fの照明光学系ILcは、Y方向に細長くX方向(マスクMAの回転方向)の幅が狭い照明光束を、所定の開口数(NA)でマスクMAのマスク面に照射するだけなので、装着される円筒マスクの径が異なっても、照明光学系ILcからの照明光束の配向特性(主光線の傾き等)を実質的に大きく調整する必要はない。ただし、マスクMAの直径(半径)に応じて、マスク面に照射される照明光束のX方向(マスクMAの回転方向)の幅を変えられるように、照明光学系ILc内に幅可変の照明視野絞り(可変ブラインド)を設けたり、照明光束のX方向(マスクMAの回転方向)の幅のみを縮小又は拡大する屈折光学系(例えばシリンドリカルズームレンズ等)を設けたりしてもよい。

また、図35の露光装置U3fでは、基板Pを基板支持ドラム25fによって円筒面状に支持したが、図34の露光装置U3eのように平面状に支持してもよい。基板Pが平面状に支持されると、円筒面状に支持される場合と比べ、マスクMAの径の違いに対応した照明光束のX方向(マスクMAの回転方向)における幅の調整範囲を広くできる。このようにすることで、マスクMAの径に応じたプロキシミティ・ギャップの許容範囲内で、照明光束のX方向(マスクMAの回転方向)の幅を最適に調整でき、基板P上に転写されるパターン品質(忠実度等)の維持と生産性とを最適化させることができる。その場合、可変ブラインドやシリンドリカルズームレンズ等が、透過型のマスクMAの直径に応じて照明光束の幅を調整する調整部に含まれる。

以上の各実施形態において、露光装置に装着可能な円筒マスクの直径には一定の範囲がある。例えば、線幅が2μm〜3μm程度の微細パターンを投影する投影光学系を備えた露光装置では、その投影光学系の焦点深度DOFが幅で数十μm程度と狭く、また投影光学系内でのフォーカス調整の範囲も狭いのが一般的である。そのような露光装置にとっては、規格として定められた直径からミリ単位で変わった直径の円筒マスクは装着が困難となる。ただし、露光装置側で、当初から円筒マスクの直径変化に対応するように、各部、各機構に大きな調整範囲を持たせている場合は、その調整範囲を踏まえて、装着可能な円筒マスクの直径範囲が定まる。また、図35のようなプロキシミティ方式の露光装置では、マスクMAの外周面の一部と基板Pとのギャップが所定の範囲に収まっていればよく、円筒マスクの支持機構が対応可能な構成であれば、直径が0.5倍、1.5倍、2倍・・・と、大きく異なる円筒マスクであっても装着可能である。

図36は、反射型の円筒マスクMの露光装置内での支持機構の部分的な構造例を示す斜視図である。図36では、円筒マスクM(マスク保持ドラム21)の回転軸AX1が延びる方向(Y方向)の一方側に突出したシャフト21Sを支持する機構のみを示すが、反対側にも同様の機構が設けられる。図36の場合、スケール円盤SDは円筒マスクMと一体的に設けられるが、円筒マスクMの外周面のY方向の両端側に、デバイス用マスクパターンの形成と同時に、エンコーダヘッドによって読み取り可能なスケール(格子)が刻設されてもよい。

シャフト21Sの先端部には、異なる直径のマスクM(マスク保持ドラム21)であっても、常に一定の直径で精密加工された円筒体21Kが形成される。この円筒体21Kは、露光装置本体のフレーム(ボディ)200の一部をU字状に切り欠いた部分において、上下方向(Z方向)に移動可能なZ可動体204によって支持される。フレーム200のU字状の切り欠き部分のZ方向に延びた端部には、Z方向に直線的に延びるガイドレール部201A、201BがX方向に所定の間隔で対向するように形成されている。

Z可動体204には、円筒体21Kの下半分程度をエアベアリングで支持するための半円状に窪んだパッド部204Pと、フレーム200のガイドレール部201A、201Bと係合するスライダー部204A、204Bとが形成される。スライダー部204A、204Bは、ガイドレール部201A、201Bに対して、機械的に接触するベアリング又はエアベアリングによって、Z方向に滑らかに移動するように支持される。

フレーム200には、Z軸と平行な軸線の回りに回転可能に軸支されたボールネジ203と、このボールネジ203を回転させる駆動源(モータ、減速ギア等)202とが設けられる。ボールネジ203と螺合するナット部は、Z可動体204の下側に設けられるカム部材206内に設けられる。従って、ボールネジ203の回転によって、カム部材206がZ方向に直線移動し、これによってZ可動体204もZ方向に直線移動する。図36では示されていないが、ボールネジ203の先端部を支持する部材に、カム部材206がX方向やY方向に変位せずに、Z方向に移動するように案内するガイド部材を設けても良い。

カム部材206とZ可動体204とは一体に固定されていてもよいし、Z方向には高剛性で、X方向やY方向には低剛性の板バネやフレクチャー等で連結されてもよい。あるいは、カム部材206の上面とZ可動体204の下面との各々に球面座を形成し、それらの球面座の間に鋼球を設けてもよい。このようにすると、カム部材206とZ可動体204とをZ方向には高剛性で支持しつつ、鋼球を中心としたカム部材206とZ可動体204との相対的に微少傾斜を許容することができる。さらに、図36の支持機構では、Z可動体204とフレーム200との間に、円筒マスクM(マスク保持ドラム21)の自重の大部分を支持するための弾性支持部材208A、208Bが設けられる。

この弾性支持部材208A、208Bは、内部に圧搾気体を供給することで長さが変わるエアピストンで構成され、Z可動体204で支持される円筒マスクM(マスク保持ドラム21)の荷重を空圧によって支持する。円筒マスクM(マスク保持ドラム21)の回転軸としての円筒体21Kを、Z可動体204のパッド部204Pで支持する場合、径の異なる円筒マスクM(マスク保持ドラム21)では、当然に自重も異なる。このため、その自重に応じて、弾性支持部材208A、208Bとしてのエアピストン内に供給される圧搾気体の圧力を調整する。このようにすると、ボールネジ203とカム部材206中のナット部との間に働くZ方向の荷重が大幅に低減され、ボールネジ203も極めて小さなトルクで回転させることができ、従って駆動源202も小型にでき、発熱等によるフレーム200の変形を抑制できる。

また、図36には示していないが、Z可動体204のZ方向の位置は、リニアエンコーダのような測長器によってサブミクロン以下の計測分解能で精密に計測され、その計測値に基づいて駆動源202がサーボ制御される。さらに、Z可動体204とカム部材206との間に働く荷重の変化を計測する荷重センサー又はカム部材206のZ方向応力による変形を計測する歪みセンサー等を設け、それぞれのセンサーからの計測値に応じて、弾性支持部材208A、208Bとしてのエアピストンに供給される圧搾気体の圧力(気体の供給と排気)をサーボ制御してもよい。

さらに、円筒マスクM(マスク保持ドラム21)をZ可動体204のパッド部204Pに装着し、駆動源202によるZ方向の高さが所定の位置に設定された後、照明光学系ILや投影光学系PLの各種調整やキャリブレーションを行なう途中で、あるいはキャリブレーションの結果に基づいて、再度、円筒マスクM(マスク保持ドラム21)のZ方向位置を微動させることもある。図36のZ可動体204を含む支持機構は、円筒マスクM(マスク保持ドラム21)の反対側のシャフトにも設けられており、両側に設けられた支持機構の各Z可動体204のZ方向位置を個別に調整することによって、回転中心軸AX1のXY面に対する微少な傾きも調整できる。以上により、装着した円筒マスクM(マスク保持ドラム21)のZ方向の位置調整や傾斜調整が完了したら、Z可動体204をガイドレール部201A、201B(即ち、フレーム200)に機械的にクランプしてもよい。

投影露光装置に装着可能な円筒マスクM(マスク保持ドラム21)の最大直径をDSa、最小直径をDSbとすると、Z可動体204のZ方向の移動ストロークは、(DSa−DSb)/2でよい。一例として、装着可能な円筒マスクM(マスク保持ドラム21)の最大直径を300mm、最小直径を240mmとすると、Z可動体204の移動ストロークは30mmとなる。

直径300mmの円筒マスクMは、直径240mmの円筒マスクMに対して、マスクMとしてのパターン形成領域を、円筒マスクの周方向(走査露光方向)に、60mm×π≒188mmだけ広げられることを意味する。従来の走査露光装置のように、平面マスクを一次元に走査移動させる場合、走査方向にパターン形成領域を広げることは、平面マスクの180mm以上の寸法拡大に対応したマスクステージの大型化、マスクステージの移動ストロークを180mm以上拡大させるためのボディ構造体の大型化を招く。これに対して、図36のように、円筒マスクM(マスク保持ドラム21)の回転軸AX1(シャフト21S)を支持するZ可動体204をZ方向に精密に移動可能な構成とするだけで、装置の他の部分を大型化することなく、容易にマスクのパターン形成領域の拡大に対応できる。

<デバイス製造方法> 次に、図37を参照して、デバイス製造方法について説明する。図37は、デバイス製造システムによるデバイス製造方法を示すフローチャートである。このデバイス製造方法は、第1実施形態から第7実施形態のいずれによっても実現できる。

図37に示すデバイス製造方法では、まず、例えば有機EL等の自発光素子による表示パネルの機能・性能設計を行い、必要な回路パターンや配線パターンをCAD等で設計する(ステップS201)。次いで、CAD等で設計された各種レイヤー毎のパターンに基づいて、必要なレイヤー分のマスクMを製作する(ステップS202)。また、表示パネルの基材となる可撓性の基板P(樹脂フィルム、金属箔膜、プラスチック等)が巻かれた供給用ロールFR1を準備しておく(ステップS203)。なお、このステップS203にて用意しておくロール状の基板Pは、必要に応じてその表面を改質したもの、下地層(例えばインプリント方式による微小凹凸)を事前形成したもの、光感応性の機能膜や透明膜(絶縁材料)を予めラミネートしたもの、でもよい。

次いで、基板P上に表示パネルデバイスを構成する電極や配線、絶縁膜、TFT(薄膜半導体)等によって構成されるバックプレーン層を形成すると共に、そのバックプレーン層に積層されるように、有機EL等の自発光素子による発光層(表示画素部)が形成される(ステップS204)。このステップS204には、先の各実施形態で説明した露光装置U3を用いて、フォトレジスト層を露光する従来のフォトリソグラフィ工程も含まれるが、フォトレジストの代わりに感光性シランカップリング材を塗布した基板Pをパターン露光して表面に親撥水性によるパターンを形成する露光工程、光感応性の触媒層をパターン露光し無電解メッキ法によって金属膜のパターン(配線、電極等)を形成する湿式工程、或いは、銀ナノ粒子を含有した導電性インク等によってパターンを描画する印刷工程、等による処理も含まれる。

次いで、ロール方式で長尺の基板P上に連続的に製造される表示パネルデバイス毎に、基板Pをダイシングしたり、各表示パネルデバイスの表面に、保護フィルム(対環境バリア層)やカラーフィルターシート等を貼り合せたりして、デバイスを組み立てる(ステップS205)。次いで、表示パネルデバイスが正常に機能するか、所望の性能や特性を満たしているかの検査工程が行なわれる(ステップS206)。以上のようにして、表示パネル(フレキシブル・ディスプレイ)を製造することができる。

前述した実施形態及びその変形例に係る露光装置は、本願請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度及び光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、露光装置の組立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組立工程は、各種サブシステム相互の機械的接続、電気回路の配線接続及び気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組立工程の前に、各サブシステム個々の組立工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組立工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。

また、上記実施形態及びその変形例の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の置換又は変更を行うこともできる。また、法令で許容される限りにおいて、前述の実施形態で引用した露光装置等に関するすべての公開公報及び米国特許の記載を援用して本明細書の記載の一部とする。このように、上記実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態及び運用技術等は、すべて本発明の範囲に含まれる。

1 デバイス製造システム 2 基板供給装置 4 基板回収装置 5 上位制御装置 U3 露光装置(基板処理装置) M マスク IR1〜IR6 照明領域 IL1〜IL6 照明光学系 ILM 照明光学モジュール PA1〜PA6 投影領域 PLM 投影光学モジュール

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